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1957/11/13 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 商工委員会 第6号
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1957/11/13 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 商工委員会 第6号

#1
第027回国会 商工委員会 第6号
昭和三十二年十一月十三日(水曜日)
   午後四時三十七分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 島村 一郎君 理事 西村 直己君
   理事 加藤 清二君
      青木  正君    阿左美廣治君
      有馬 英治君    荒舩清十郎君
      内田 常雄君    大倉 三郎君
      川野 芳満君    菅  太郎君
      佐々木秀世君    椎名悦三郎君
      椎熊 三郎君    首藤 新八君
      中垣 國男君    藤枝 泉介君
      南  好雄君    横井 太郎君
      伊藤卯四郎君    石野 久男君
      春日 一幸君    片島  港君
      佐竹 新市君    田中 武夫君
      田中 利勝君    多賀谷真稔君
      永井勝次郎君    帆足  計君
      水谷長三郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  前尾繁三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       小笠 公韶君
        通商産業事務官
        (通商局長事務
        代理)     杉村正一郎君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  村田  恒君
        中小企業庁長官 川上 爲治君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    今井 善衛君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (為替局資金課
        長)      村井 七郎君
        農林事務官
        (農林経済局経
        済課長)    二子石揚武君
        通商産業事務官
        (通商局次長) 中山 賀博君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十一月十三日
 委員宇田耕一君、神田博君、條田弘作君、田中
 彰治君、松岡松平君、帆足計君及び松平忠久君
 辞任につき、その補欠として青木正君、椎熊三
 郎君、荒舩清十郎君、藤枝泉介君、中村梅吉
 君、石野久男君及び春日一幸君が議長の指名で
 委員に選任された。
同日
 委員青木正君、荒舩清十郎君、椎熊三郎君、中
 村梅吉君、藤枝泉介君、及び春日一幸君辞任に
 つき、その補欠として宇田耕一君、篠田弘作
 君、神田博君、松岡松平君、田中彰治君及び松
 平忠久君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 松平忠久君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
十一月十三日
 中小企業団体法案(第二十六回国会閣法第一三
 〇号、参議院継続審査)
 中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等
 に関する法律案(第二十六回国会閣法第一五二
 号、参議院継続審査)
 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
 (第二十六回国会衆法第三六号、参議院継続審
 査)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 閉会中審査に関する件
 委員派遣に関する件
 中小企業団体法案(第二十六回国会閣法第一三
 〇号、参議院継続審査)
 中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等
 に関する法律案(第二十六回国会閣法第一五二
 号、参議院継続審査)
 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
 (第二十六回国会衆法第三六号、参議院継続審
 査)
 通商産業の基本施策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 本日、参議院より送付せられ、本委員会に付託せられました中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題とし、審査を進めます。
#3
○福田委員長 御承知の通り、中小企業団体法案及び中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案は、第二十六回国会において内閣より提出せられ、本委員会において十分慎重審議を行なった後、本院におきましては修正議決し、またこの両案の審査の過程において、中小企業団体法案との関連により、中小企業等協同組合法の一部を改正する必要を認め、委員会において成案を得、本院の議決を経て、これら三案は参議院に送付せられたのであります。
 自来、参議院において継続審査の後、本日衆議院送付案通り可決の上、国会法第八十三条の四の規定により、本院に送付せられて参ったものであります。従いまして、右三案の趣旨は十分御承知のことと存じますので、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○福田委員長 御異議なしと認め、質疑に入ります。通告があります。これを許します。水谷長三郎君。
#5
○水谷委員 ただいま委員長からも仰せられました通り、本法案は、衆議院におきまして、自民党並びに社会党の共同修正の結果成ったものでございますが、御案内の通り、この法案は、中小企業の皆さん方にとっては、革命的な法案とも言われ、従って、相当各方面において問題が起ったところの法案であることは、これは何としても否認することができないと思うのであります。従って、わが参議院の社会党におきましても、非常な熱意を持ちましてこの法案の審議に当ったのでございます。わが参議院の社会党が出しましたところの強制加入反対を中心にいたしました十一項目の修正案は、不幸にいたしまして少数で否決されたのでございますが、そのわが党の修正案の精神を盛りましたところの附帯決議というものは、これは、社会党はいうまでもなく、さらにまた自民党、緑風会、全会一致をもちまして、附帯決議が通ったのであります。この附帯決議は、七つから成っておりまして、わが社会党の共同修正の精神をば大幅に入れたものでございます。これについて、前尾通産大臣は、もちろん、この附帯決議は尊重するという従来の通り一ぺんの御答弁しかされておらないのでありますが、われわれは、この法案に対するいろいろな点を考慮いたしまして、参議院において全会一致で可決されましたところのこの七項目の決議に対して、通り一ぺんの尊重ということだけでは、満足できないのでございまして、これらの七つの問題に関して、通産当局としては、いかなる決意を持っておられるか。少くともこの全会一致の附帯決議に対する一から七の点に関して、大体の傾向、あるいは心がまえというようなものをば、この際特にお聞かせ願えば非常に幸いと存ずる次第でございます。
#6
○前尾国務大臣 参議院でいろいろ御審議を願いました。また非常に熱心な御審議を願いました過程におきまして、この附帯決議の問題とされております点につきましては、私もいろいろ私の考えを申し上げておるのであります。ただ、附帯決議がありましたそのすぐあとで所信も申し上げて、簡単に、それは尊重して、あくまで慎重に万全を期したいという意思を表明したにすぎませんが、ただいま申し上げましたように、審議の過程におきましては、いろいろ具体的にお話を申し上げてきた次第であります。従って、私の考えておりますところを、この附帯決議の各項について、簡単ではありますが、できるだけ申し上げたいと思います。
 第一に、この不況要件なり過当競争というものの認定については、厳密な検討を行い、御承知のように安定法の調整事業の出発点が不況要件、また目的が過当競争を排除していこうというところにあるのでありまして、もとより出発点におきまして慎重を期さなければ、法全体の趣旨が生きないということは、当然のことでありまして、具体的にはいろいろむずかしい問題があると思います。しかし、われわれも全然未経験ではありませんで、中小企業安定法によりまして、かなり従来からも経験はいたしておるのでありまするから、不況の場合におきまする認定につきましても、従来の価格の推移を見たり、あるいは在庫の状況を見ましたり、倒産の状況を見ましたり、そういうようなある程度の一般的な基準ということも設けなければなりません。これは、もちろん安定審議会にかけまして、厳密にまた御検討も願うというふうにいたして参りますとともに、また認定につきましては、われわれも行政的に力を尽して、慎重に事態を見まして判定をするつもりであります。
 次に、第二の中小企業の組合が、調整事業のみに偏向するおそれがあるのではないかという御心配でございますが、これは、もとより従来の共同経済事業をやっておる事業協同組合が主となるべきことは申すまでもありませんので、同業者間でお互いに利益の相通ずる面において協力していくということが一番肝心なことであります。従って、この調整事業をやる商工組合ができたからといって、従来の事業協同組合の助成なり、健全な発達に対して、あらゆる手を尽して参ったのをやめるようなことは、毛頭考えておらぬばかりではなしに、実際申しますと、むしろこの調整事業をやり得るということが、事業協同組合をさらに補強するというふうな考えもありまして、そういう意味合いで、両々相待って従来の事業協同組合を健全化していく、また増強していくというふうに考えておるのであります。
 次に第三の、調整事業のために消費者に転嫁されはしないか。これは皆さんの一番御心配になった点であります。しかし、価格の制限については、むずかしい関門をたくさん作っておることは、すでに御承知の通りであります。安定審議会は、もとより公取の同意を得る、そうして不況を打開するというので、不当に価格が値下りしておるのを安定したところまで持っていこうというのでありますから、これは臨時的な措置で、永久的に価格を縛りつけるようなことが調整事業だとは私は考えておりません。従って、もとよりいろいろ慎重にやっては参りますが、物価がそのために上ったり、また消費者に転嫁されるようなことについては、もとよりよく考えて慎重にやって参るつもりであります。
 次に、第四の、経済取引秩序に無用の混乱を招来させるようなことはないかという御心配でありますが、御承知のように系列化という問題もあることはありますが、しかし、あの法の建前をごらんになりますと、私はむしろ経済秩序全体の混乱を起させるようなことは、絶対にないのではないかというふうに考えております。しかし、これはもとよりわれわれも十分留意してやらなければならないことだと思っております。
 第五の、加入命令の発動は必要やむを得ない場合に限ること、これはもう当然のことであります。非常に論争のあったところでありますが、私は加入命令の発動ということは、実際現実問題としては、予想していないくらいであります。ここまでいくことは、私はまれなケースだというふうに考えております。
 次に、審議会の運用に当りましては、利害関係者、学識経験者というふうに書いておりますけれども、もちろん消費者代表というようなものを入れまして、そういう意味では労働者関係の人にも出ていただいて、そして公平に考えていくということにつきましては、当然だと思っております。
 それから次の、環境衛生関係の問題でありますが、これは食肉の問題だと思います。食肉の問題につきましては、従来農林省の所管でありましたのが、厚生省の所管に変っておるというので、二元的じゃないか、むしろ農林省に変えるべきだというような御意見がありました。私は非常にもっともだというふうに考えておりますので、その点はさらに場合によりましては省令で変えたいと思っております。
 それから次の商店街組合につきましては、実はあの法文から見ますと、あるいは商店街組合という異種の業種が非常にたくさん集まるということについては、法文上から見ましても、無理ではないかというような御意見もあります。同業者の競争という意味合いからいたしまして、調整事業ができておる点から考えますと、該当する場合はごく軽い調整事業だけじゃないか、そこに不況要件というものとの競合がありますので、そういう両方の特殊性を考えますと、まああまり不況要件を簡単に考えてどんどん許可していくということも適当ではない。と申しまして、全然またこれをやらぬというのであっても何でありますから、それらの点につきましては、十分考えて、最も適当な程度にこれを許可していきたいというふうに考えておるのであります。
 ただいま申し上げましたような考え方を持っておるのでありますが、全般にわたりまして、いずれも適切であり、また慎重にわれわれも考えていかなければならぬという事柄でありますので、全体につきまして、今後この御趣旨を尊重して、そうしていわゆる執行の万全を期していきたい、かように考えておりますことを繰り返して申し上げます。
#7
○水谷委員 ただいま通産大臣からの参議院の附帯決議に関する一応の御答弁は了承いたしました。しかし、この七つの問題におきましても、重さにおいてそれぞれ甲乙丙丁がございますので、特に第五の、加入命令の発動は必要やむを得ざる場合に限るという点に関しましては、一つ特段の御留意をもちまして、今後善処をしていただきたいと思うのであります。
 次に、第二の点は、これはきわめて簡単でございまして、こういうことをば大臣に説法することは、あるいは釈迦に説法か存じませんが、中小企業の問題は、日本経済全般の関連において、またその中におきまして解決をほからねばならないことは言うまでもないと思うのであります。わが社会党は、前の二十六国会におきましても、中小企業三法といたしまして、この団体組織法に該当するところの中小企業組織法、さらにまた中小企業の産業分野の確保に関する法律、いま一つは商業調整法、この三つを、第二十六国会の二月十四日に国会に提出したのであります。この三法を中心といたしまして二十二の立法措置、四十五の行政措置を講じまして、中小企業の問題の解決をはかりたいというのが、われわれの考えにほかならないのでございます。これに対しまして、政府といたしましては、われわれの商業調整法に該当する法案として小売商業特別措置法案というのを二十六国会の終りに出されたことは、私ども了承しておるのでございますが、いま一つ、わが党の中小企業の産業分野の確保に関する法律案に該当するものといたしまして、中小企業振興特別措置法というものがいまだ法案として出ておらないということは、まことに残念であると思うのであります。われわれは、二十六国会におきましても、単に団体組織法だけでなしに、この中小企業組織法、それから中小企業の産業分野の確保に関する法律、そして商業調整法、この三つを中小企業三法といたしまして、同時に審議をお願いしたいというのが、われわれの建前でありまして、われわれは、この三つの法案を同時に提出したのであります。ところが、政府においては、小売商業特別措置法という法案は出されておりますが、わが党の中小企業の産業分野の確保に関する法律に該当するところの中小企業振興特別措置法というものは、いまだ出されておらないのでありますが、これはまことに遺憾であると思うのであります。私らは、中小企業問題の根本的な解決をはかるためには、少くともこの三つの法律というものは最少限度といたしまして必要であると考えておるのでありますが、この二つの法案に対しまするところの通産当局の所信をばお聞かせ願いたい、このように考えておる次第であります。
#8
○前尾国務大臣 中小企業の団体法等だけで事足れりというふうには、もちろん考えておりません。従って、御承知のように小売商業特別措置法というのも出しておったのでありまするし、また社会党からただいまお話しのような中小企業の産業分野の確保に関する法律案とか、商業調整法とか、そういうような法案も出ておりますことも、承知いたしておるのであります。またそれらを一緒に審議をしていただくことは、望ましいことではありまするが、何と申しましても、団体法が基礎の法律でありまするし、しかも、御承知のように、いろいろ問題がある法案でありますので、それに審議が手間取りまして、その他の法案について御審議を願ういとまもありませんでした。また、政府といたしましても検討し、中小企業の合理化振興法でありますか、そういうものにつきましても、構想を持ちながら、まだ出しておらない状況でありますが、これは通常国会におきましては、われわれも出すつもりでおりまするし、また御審議もできるだけ促進をしていただいて、うまく調整をしていただいて、成立をさせていただきたい。かように政府といたしましても熱意を持っておる次第であります。
#9
○水谷委員 最後に、もう一点お聞きしたいのでありますが、中小企業団体組織法の反対論の中におきましては、消費者の立場に立つ反対というものがきわめて熾烈であったことは、大臣も御案内の通りであろうと思うのであります。ところが、この小売商業特別措置法というものは、消費者の立場から見れば、団体組織法より以上に神経質にならざるを得ない内容が相当含まれておるということは、われわれも認めなくてはならぬと思うのです。特にこれまで消費生活安定をはかるために設けられておるところの消費生活協同組合というもの、あるいはまた購買会というようなものとの関係というものは、相当重大であろうと思うのです。われわれは団体組織法審議のときには、これらの問題に関しては、団体交渉の対象からはずすということで、団体組織法の上におきましては、一応の解決はつけておるのでございますが、今度の小売商業特別措置法ということになりますと、そういうような問題がなまに現われておりまして、消費者の立場からの反対というものは、団体組織法以上に燃え上ることは必至であろうと思うのであります。従って、われわれは、この法案の審議に当りましては、団体組織法の場合以上に、消費者の立場というものは十分尊重せなければならないということを特に考えておるのでございますが、この点に関しまして、大臣はどういうような心がまえでこの法案に臨まれるか、それを最後にお聞きしたいと思う次第であります。
#10
○前尾国務大臣 消費生活協同組合というようなものにつきましても、われわれは非常に健全な発達を望んでおるわけであります。ところが、員外者その他の問題もあり、それが中小企業者との衝突面がまたかなり出て参るわけであります。従って両々相待って両者とも繁栄していくという点を見出していかなければならぬわけであります。ただいまお話しの点は、いろいろ重大な問題を含んでおりますことは、承知もいたしておりますし、またそれをうまく調整していくということについて、いろいろ特段の御工夫なり案も考えていただかなければならぬ、かように考えております。今後十分審議、検討していただいて、またわれわれとしても考えるべきところは十分考えまして、両立する最もいい案にするようにしていきたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
#11
○福田委員長 これにて質疑は終局いたしました。
 引き続き討論に入るわけでありますが、別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。
 まず、中小企業団体法案及び中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、右両案について採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#12
○福田委員長 起立総員。よって両案は可決すべきものと決しました。
 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#13
○福田委員長 起立総員。よって本案は可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#15
○福田委員長 この際、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。
 理事会の申し合せにより、内閣提出にかかる小売商業特別措置法案、水谷長三郎君外二十三名提出にかかる中小企業の産業分野の確保に関する法律案、同じく商業調整法案、水谷長三郎君外十三名提出にかかる中小企業に対する官公需の確保に関する法律案、同じく下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、同じく百貨店法の一部を改正する法律案、以上の各法律案及び日本経済の総合的基本施策に関する件、電気及びガスに関する件、鉱業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、機械工業、その他一般鉱工業及び特許に関する件、通商に関する件、中小企業に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件、以上の各件につきまして、議長に閉会中審査をいたしたい旨申し出ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#17
○福田委員長 次に閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が本委員会に付託せられました際において、これらの審査に当り、ぜひとも現地調査を行う必要が生ずることもあろうかと存じますが、この場合には、適宜委員派遣承認申請を行いたいと存じますが、御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお、この際の派遣委員の氏名、期間、派遣地等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお現在設置いたしております各小委員会のうち請願審査小委員会を除くものにつきましては、閉会中審査案件が本委員会に付託せられましたならば、閉会中も適宜調査を続行せしめたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお閉会中、理事、小委員及び小委員長より辞任の申し出がありました際の許可並びに理事、小委員及び小委員長に欠員を生じた際の補欠選任につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際参考人出頭の要求の件についてお諮りいたします。閉会中審査案件が本委員会に付託せられ、小委員会が調査を続行し得ることになった場合、小委員会において参考人より意見を聴取したい旨の申し出がありました場合に、委員長において適宜参考人の出頭を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#23
○福田委員長 次に、通商産業の基本施策に関しまして調査を進めます。
 理事会の申し合せにより、日朝貿易に関する問題について質疑を許します。石野久男君。
#24
○石野委員 私は、この際、通産大臣に、貿易問題について、特に日本と朝鮮との貿易問題について、お尋ねいたしたいと思います。
 去る九月二十七日、朝鮮の国際貿易促進委員会と日本の国際貿易促進委員会、それから日朝協会、日朝貿易会の三団体が、民間の間の貿易協定を結びました。この貿易協定が結ばれたことに対しましての政府のこれに対する所信をお伺いするわけですけれども、その前に、私は協定文をここに持っておりませんので簡単に協定の内容を申し上げますと、これは双方が貿易を発展させ、両国の人民間の友好を増進させるために、平等互恵の原則に基いて協定をやったわけです。総額五億一千二百万英ポンドの額に上りまして、分類は大体甲乙丙の三分類にしております。決済問題については、大体両国の国家銀行間の支払協定が締結されるまでの間は、商品代金の決済は英ポンド建信用状開設方式でやろうときめておるわけです。
 協定では、できるだけ早く両国の間における直接港への配船ができるようにしようということを言っており、なお見本市とか、あるいは通商代表部を設けることや、あるいは貿易業者並びに技術関係その他の人の往来と、貿易に関するそういう人の往来をひんぱんにしようということなど取りきめて、一年間の協定になっております。
 こういう協定が、現実に必要によって民間側で結ばれたのでありますが、現状まだ政府はこれに対してはっきりした考え方も出ていないようでありますが、われわれは、やはりこの際、わが国の国際収支の改善の必要性からいいましても、特にまた近隣地である朝鮮と日本との貿易問題は、近々のうちにもこれを盛んにすべきであるというふうに考えておりますので、それについての政府の考え方をお聞かせ願いたい。
 それと同時に、今日までの日本と朝鮮との貿易の事情はどういうふうになっているかということも、この機会に御説明願いたい、かように思います。
#25
○前尾国務大臣 北鮮との関係の貿易のことが中心だと思います。これは御承知のように、韓国との関係が非常に微妙な関係にあるのであります。航行の安全さえも心配になるというような関係にありますので、ただいまのところ、北鮮との貿易ということについては、われわれとして、直ちに今促進するというふうなことには至っておりません。あらゆる外交、国際関係の情勢を見ながら、今後考えていきたい、かように思います。もし、韓国との貿易の状況ということになりましたら、その他の局長から御説明いたします。
#26
○石野委員 ただいまのお話によりますと、とにかく国際的な諸事情があるから、それについては政府は考えていないというお話でありますが、実際に国内の商社の立場、貿易業者の立場からすると、これは非常に大きな熱望が出ているわけです。そのことは、政府もよく知っておると思います。しかも、国際貿易促進委員会を中心として、この三団体がこういう協定を結んでおるときに、政府はそれを、やはり韓国との関係だけで全然無視するという態度をおとりになるとすると、これは非常にわれわれにとっても残念に思うし、またそういう態度をとられたのでは、ほんとうに日本の国民の声を政府が正しく取り上げていないのじゃないかと思うのです。私は、やはりそういう問題があったとしても、今日、日本の国際収支の問題や諸般の経済事情を考えて、現実に出ておるこの国民の声というものを、政府が無視されるということは、解せないのですが、それらの点について、やはり依然として無関心のままで放置するという態度をとられるのでございましょうか。
#27
○前尾国務大臣 いろいろの民間の方々の非常な熱望も、われわれ承知をいたしております。できましたら、それはできるだけ早い機会に、貿易促進をいたしたいのでありますが、韓国の問題につきましては、御存じの通りに、まだ解決を見ないいろいろな問題を含んでおりまして、それがこの問題を刺激するということは、好ましくない問題を起しやすいのであります。それらの情勢を見ながら、今後できるだけ早い機会に貿易が行い得るような状態を作っていくということにしたい、かように思います。
#28
○石野委員 お尋ねしますが、今、朝鮮と日本との間の貿易をはばむ何か法的な根拠があるのでしょうか。
#29
○前尾国務大臣 別にそういう法的な根拠というものではありませんが、御承知のように、韓国との関係におきましては、いろいろ紛争が起っておるのでありまして、それが、ひいては十分な安全な北鮮との関係の貿易を保証しがたいというような状態にあるのであります。現実に即して、推移を見ていかなければならぬ、こういうことであります。
#30
○石野委員 今の韓国との関係からいって、それがなかなか保証しがたいということの意味は、どういう点が保証できないのですか。
#31
○前尾国務大臣 それはただいまもお話がありましたように、船が向うに行きますというようなことにつきましても、安全の保証が得られないような状況でないかと私は思います。
#32
○石野委員 これはきわめて大事なことで、実は商社あたりでも、現実に通産大臣は、今、日本と朝鮮との間の貿易関係に関連する内容はどういうものであるかということは、わからないはずだと思います。ここで私は公式のなにをはばかるというのであれば、いろいろ申しませんが、その現実の日本と朝鮮との間にある貿易関係の問題を無視して、政府が、韓国だけのことで、そういうふうにやっておられるということになると、これは非常に由々しい問題だと思うのです。ことに保証できないという問題については、船の関係だということになりますと、日本の船がもし朝鮮の方へ参りますと、何か非常に大きな危険があるという意味でございましょうか。
#33
○前尾国務大臣 私はただいま詳しい事情はよく存じませんが、常識的に、航行の安全ということも保証しがたいように聞いておるのであります。
#34
○石野委員 もし日本と朝鮮との貿易の問題が、商業採算のベースが合うというような見通しが立ち、そして、しかも日本の商社が、あるいはまた船舶会社が、そういう問題を決意をしてやるというような場合があっても、政府は、それに対してはほうりっぱなしにしますか。
#35
○前尾国務大臣 あえてそういう危険を冒してやっていただくということは、われわれとして、ただいま好ましいことに思っておりません。また、ただいま申し上げましたように、いろいろほかを刺激いたしまして、せっかく話のつきそうになっている状態もこわすというようなことが起りましては、われわれとしては、よほど考えなくてはならぬ問題でありますので、慎重に事態の推移を考えながら、一番早い機会にそういう安全な貿易が実現するように考えていかなければならぬと思っておるのであります。
#36
○石野委員 そういたしますと、政府の考えとしましては、現実に日本と朝鮮との間に取引の問題などが出てきても、日韓会談が何かのめどがつくまでは、もう絶対にやらないと、こういう基本方針を持っておられるということですか。
#37
○前尾国務大臣 日韓会談は、われわれとしましては、もうそう遠い将来でなしに、解決できるというふうに考えておりますので、それを妨げるような事柄につきましては、われわれ好ましくないというふうに考えておるのであります。
#38
○石野委員 時間がないので、こまかいことを尋ねることはできませんが、私、端的に政府の意見を聞いておきたいことは、現実に民間の三団体がこういうような貿易協定をしてきております。日本と朝鮮との間の貿易上の実績も上っていることは、実情だと思います。そういう問題を見ながら、しかも、日本の経済の上からいえば、やはり朝鮮との取引をするということが、非常に大事なものがあるように私は思っております。そういう問題を政府の方で無視されるということになると、現実に商売をやる方では困ってしまうと、こう思うのです。私はやはりこの際、政府がほんとうにこの商業採算上のベースが合って、そうして危険の問題については、韓国側がどういうような危険を加えてくるのか知りませんが、国際法上そんなことは許されないだろうと思うのです。そういう問題について韓国が明確にそういうことを言ってきておるなら、これは国際連合でもどこでも、事務局に持ち出すべきだと思いますけれども、私は現状にはそんなこともなかろうと思いますから、政府としても、やはり採算ベースがとれるようなものであって、日本にそう大して不利益がないというものであったならば、それに対して、やはり積極的に協力するような態勢を作っていくということが、日本の国際経済の関係からいっても非常にいいのじゃないか、こういうように思うわけです。だから、この際、前尾さんに、私は政府の所信としてはっきり聞いておきたいことは、そういうような事態があっても、やはり依然としてこれはほうりっぱなしておくのだという立場をとられるのかどうかということを、もう一度はっきり聞かしておいていただきたい。
#39
○前尾国務大臣 このままで、いつまでもほうりっぱなしておく積りではもちろんありませんし、熱意もよくわかっております。ただ問題は、南と北と両方の問題があるわけでありまして、総合して考えていかなければなりません。その状態の推移を見て、一番早い機会に実現できるようにということで考えていかなければ、現実問題として実が上らぬことになると思います。
#40
○石野委員 もう一ぺん、ちょっと大臣に聞きますが、法律的には、何も取引をしてはいかぬという理屈はないので、われわれの知っておる範囲内では、アメリカの外国資産管理規定から来るところの原産地証明の問題を、日本では取り上げねばいかぬということになっておるはずです。そういう問題と関連して、この貿易ができないとすれば、それに対する特別な申請をするということを商社、業者の方がやる。その場合に通産大臣は認可を与えないという立場をとっていくとすれば、容易でないと思います。ただいまほうりっぱなしにはしない、が、日韓会談が解決するまでというと、それが解決のめどがつくまではないということになり、ほうりっぱなしということになるわけです。そういうふうに理解していいわけですか。
#41
○前尾国務大臣 法律上は、なるほど別に規制があるわけではないので、要するに外交関係全体を考えていかなければならぬ。しかも日韓会談が永久に解決しない問題ではなしに、われわれとしては、もう解決のめどがつくところまで来ておるわけであります。それらとにらみ合せて考えていかなければならぬということを申し上げておるわけであります。
#42
○石野委員 もしこの協定に近い取引の話合いが進んで、船を入れるとかなんとかいうことを、日本の船会社などが積極的にそういうことの意思表示をなさった場合に、政府はそれをとめるというようなことはいたしませんか。
#43
○前尾国務大臣 これは先ほど来申しておりますように、やはり外交関係の状況を全般的に考えながら、あるいは船をとめるような措置もしなければならぬのじゃないか、かように考えております。
#44
○石野委員 もう一ぺん言って下さい。
#45
○前尾国務大臣 そういうようなことは、差しとめるような措置もとらなければならぬようなことがあるかもしれません。これは外交上の全般の問題を考えていかなければならぬわけであります。
#46
○石野委員 そうすると、もう岸内閣は、朝鮮との取引の問題については、現状のもとでは、一切好意的な態度はとらない、そして、とにかくそういうことについて業者からの申し出があっても、それを拒否する、押えるというような態度をとるという方針であるということを、ここではっきり確認できるわけですか。
#47
○前尾国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、極力日韓会談を成立させよう、それによって次の朝鮮との貿易も開いていきたい。どちらが一番効果的に早く御希望のような事態にできるかということを、彼此勘案しながらやっておるわけで、絶対に北鮮との貿易はやらないのだというような考えでは決してない。どういうようにやれば一番早く道が開けるかということを考えながらやっておるわけであります。
#48
○石野委員 三十年の十月二十五日に、何か次官会議の決議があるそうですね。それによって、朝鮮の方との取引問題について、思うようにいかないような線が出ているのだということを聞いているのですが、十月二十五日の次官会議の朝鮮に関しての決議というのは、どういう決議ですか。
#49
○前尾国務大臣 私は、その点につきましては、きょう実はそういうような申し合せがあるじゃないかということを聞いたのであります。そこで次官にお尋ねしたのですが、次官もよく承知しないというので、取り調べるということになっておるわけであります。
#50
○石野委員 この日朝の貿易方式は、バーター方式だと言っておるのでありますが、バーターでやるということになっておりますから、われわれとしては、その仕事を進める上においては、大臣に対して契約の許可か何かをとって、それを実際の実務の上に運ばしていくような、いわゆる標準決済方式とか、あるいは標準外決済方式、そういう建前による何かの方式をたどって、実際の仕事をしていかなければならぬ、こう思っております。そういう問題について、われわれはできるだけやはり合法的な立場で、できるだけ政府に対しても迷惑をかけないような立場での商売ができるのじゃないか。今、韓国と日本との関係がどういう関係になっておるか、われわれは真の内底はわかりませんけれども、しかし、実際には不調のようである。その不調のような状態の中において、日本の貿易すべき市場まで全部押えられてしまうということは、実に解せない問題です。ことに国際収支の関係からいえば、私は市場転換というものは、日本の非常に大事な経済の基本的な要求だと思っておる。そういう問題も含めて、日本が少しでも外へ出ていくという場ができれば、何をおいても政府はそういう方向をとるべきだと思う。ことに韓国との関係は、われわれにとっては、非常に解せない問題がたくさんあるわけです。もちろんわれわれは、南北朝鮮どちらとも仲よくやっていくべきだと思います。決して北と取引するのだから南をどうせよというようなことを申し上げておるのではない。同じように南も北も取り上げていく。そうなれば、南とも貿易しておったら、北とも貿易したっていいじゃないか、こういうようにわれわれは考えるし、実際に民間もそれを要求しておるから、今度の貿易協定ができておるわけです。そういう貿易協定について、ほんとうに政府がそれをほうりっぱなしておく、そういうものがあっても、とにかく日韓会談が解決するまでは絶対に手を触れないというような方針を、岸内閣がとるとするならば、それは仕方がない。私は、それを民間の諸君にも言って納得させて、それが岸内閣の方針だからお前らがまんせよということを言わざるを得ない。それでよろしいですか。
#51
○前尾国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、日韓会談が永久にできぬものならば、これはまた考えなければならぬ。しかし御存じの通りに、今にもできようというところまで来ておるのですから、それを今この際に支障を来たすようなことは、とるべきでないという考えであります。何も永久にやらないとか、あるいは日韓会談がもう永久にできぬ、また早い機会にできないのだということになれば、またそのときに考えなければならぬと思います。
#52
○石野委員 永久にできないのじゃないから、そのときまで待とうということらしいですが、それならば、ここで政府に聞いておきますけれども、今、民間で作っておりまする三団体の貿易協定、これに対して、政府は、それではどういうふうにお考えになりますか。
#53
○前尾国務大臣 実現すれば非常にけっこうだと思って、できるだけ早い機会にやりたいと思っておるのでありまして、ただ、ただいま申し上げるような状態にあるものですから、両方の状況をいろいろ勘案しながらいかなければならぬ、かように考えております。
#54
○石野委員 それでは最後に一つだけお聞きしておきます。政府がこの日韓の問題を軸として、日朝間に結ばれておる民間の協定ではあるが、日朝貿易協定というものをここで見送りされて、その見送りしておるということについては、いろいろな問題について保証がとりにくいというようなことを先ほども言われたが、最後に、政府の方から、日朝貿易協定については、こういう点とこういう点とこういう点について、やはりわれわれとしてはまだそれに飛び込んでいくことはできないのだ、またそれを民間側でやらそうとしても、われわれはここでは制止しなければならない事情があるというような点についての重要な点を、一つ明確に示しておいていただきたいと思います。こういう点とこういう点とこういう点とが、日朝貿易協定をやる上に非常にまずいのだという点を、政府からはっきり聞いておきたいと思います。
#55
○前尾国務大臣 ただいまお話しの、この点とこの点とという問題ではなしに、もっぱら外交上の関係で考えておるわけです。その問題がなければ、極力皆さん方の御希望に沿いたいということで考えております。
#56
○福田委員長 石野君、約束の時間が参りましたから、簡潔にお願いします。
#57
○石野委員 もう一言だけ。もっぱら外交上の問題だというお話ですが、それならば、われわれはこの外交上の立場からして、南の韓国と朝鮮民主主義人民共和国という北の方と、これを外交上区別しなければならないような現在の法的な根拠はどこにあるのかということを、一つはっきり聞かせていただきたい。そういう問題がわかりませんと、今の御答弁を私は理解できないのです。
#58
○前尾国務大臣 法的な根拠とか、そういう問題ではありません。これは、やはり外交全般の関係から考えていかなければならぬことですし、現在におきましては、韓国とは貿易もやっておるわけです。そういうようないろいろな事情から考えていくべき問題だと思います。
#59
○石野委員 いま一つだけ聞いておきますが、南の方は、今代表部を日本に置いているわけです。だから、私は、今、南と北との間に区別がないはずだと思いますから、南の方の代表部を置いておるならば、北の方の代表部も日本に置いていいのではないかと、こういうふうに思います。日本の方は、韓国の方には、代表部を置いていないのです。一方的に向うから日本に代表部を置いているわけです。そういう点の事情から、これは外交問題だというから聞くのですが、南の代表部を日本に置いているというなら、北の方の代表部も、この際日本に置く方がいいのではないか。その方が、朝鮮に対する平和的統一の問題を考える場合に、われわれはよろしいのではないかと、こういうふうに思いますが、こういう点についての政府の方の考え方を一つ聞かしていただきたい。
#60
○前尾国務大臣 北については承認もしておらぬというようなことを聞いておるのでありますが、これも、私、外交関係のことはよく存じませんので、また外務大臣からなり、外務委員会でお聞き願いたいと思います。
#61
○福田委員長 次に特定物資輸入問題について質疑を許します。加藤君。
#62
○加藤(清)委員 時間がないようでございますので、簡単に質問しますから、一問一答でけっこうです。簡単に、三間いたします。
 第一問は、ノリの生産期に臨んで、韓国ノリ一億枚の輸入の問題が取りざたされ、そのおかげで、全国のノリ業者が被害を受けるというわけで、全国大会までやっております。去年は六億も欠損いたしたわけでございますが、これについて、大臣はどのように御処置なさいまするか。
#63
○前尾国務大臣 ノリの輸入につきましては、生産者、輸入業者、これらの方の需給調整協議会といいますか、協議会の意見を尊重してやるという建前のように聞いております。
#64
○加藤(清)委員 第二問、バナナの外貨割当の問題でございますが、これは、由来もんちゃくやら問題を再三繰り返してきたことでございます。この点について、聞くところによると、人口割りをするとかというお話でございます。この問題は、私の察するところは、やがて通産省の禁止しているところのアロケーション売買を結果生じさせるということになり、やがては市場の混乱を招くと思います。欠点のみ多くして長所がないと思いまするが、上期にその一部を行われたようでございます。はたして効果があったのか、なかったのか。
 それからまた、もしそれが許されたとするならば、砂糖も原綿も原毛も消費者割当、人口割当という希望が、次々に起るおそれといいますか、もうすでにそういう声が上っております。さすれば、通産の外貨行政というものが、てんやわんやになると思いますが、この点、大臣はいかが考え、下期の割当はいかに御対処なさいまするか。
#65
○前尾国務大臣 バナナの問題につきましては、前の国会で、人口割も採用するようにというような請願が採択されておりまして、そういう要素も入れて、試験的と言いますと語弊がありますが、一応の成案を得て、割当をやったばかりであります。その結果が、どういうふうになるかということにつきましては、実際の上の効果を見ておりません。今後の推移によって見なければならないと思います。しかし、バナナも、これは非常に特殊な関係のものでありますから、こういうようなことも行われるのでありまして、ほかの場合もこういう方式をすぐ採用するというようなことは、全然考えておりません。
#66
○加藤(清)委員 バナナの下期の割当に、同じような制度を加味しておやりになる予定ですか、そうではございませんか。その点が答弁に抜けておりますから……。
#67
○小笠政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたような事情で、国会の意思を尊重して、上期におきましては、総量の一割ばかりを人口割にいたしたのであります。この点につきましては、輸入の対象として問題のあることは、私も全く同感でございます。下期につきましては、国会の請願の趣旨もありますが、今加藤委員のような御発言もありますので、十分に慎重に考えていきたい、こう考えております。
#68
○加藤(清)委員 第三問、これでおしまいでございます。バナナ、ノリ、クライスラー、その他いろいろな通産行政の正規輸入以外の輸入が行われまして、今や東京はかつての上海だと、こう言われておるわけでございます。その中の最たるものは、自動車ではありません。自動車は、もうすでに新聞、雑誌で喧伝されましたが、最も大きいのは、時計だと存じます。そこで、時計のやみの防止策でございますが、これについて、大臣はどのようにお考えでございましょうか。御存じないといけませんから、一つ御参考にちょっと申し上げておきますが、ついせんだってのこと、神戸では、警察官が腹巻の中に時計を巻いておりました。そのままピストルで撃たれて死にました。三百個ほども巻いていた。その前には、やみ輸入であげた時計を、税関の官吏が、やっちゃいけない消費者へ一個売りをやって話題をかもしました。つい最近におきましては、これが東京からだんだんと地方へ参りまして、地方の小売店あるいは東京の大口消費へ、直接やみ屋から売り渡すというもぐり戦術が行われるように相なって参りました。かくては、せっかく正規輸入をいたし、差益金を三五%以上もとられている正規業者が、とうていまじめなことはできない、正直者がばかを見るから、これはかなわぬという声が盛んに起り、きのう、おとついと、これまた全国大会が行われております。また小売の方では、やみを扱わざるを得ない状況にありますので、これはあとで、あなたの答弁いかんによって説明いたしますが、その結果はあげられて、一週間も二週間も、やみ以外の品物まで取り上げられて、必然的な営業停止を食らうと同時に、貴金属商のように信用の大事なこの店が、信用失墜を来たしている。こういう社会問題まで引き起しておりますが、やみ輸入防止につきまして、どのようなお考えでございましょうか。時間があれば、数量その他から、ずっと読み上げまして申し上げたいのですが、大臣の御所見、御答弁のいかんによっては、これで質問を打ち切ります。
#69
○前尾国務大臣 現在、時計のやみ輸入が相当行われておるのじゃないかということは、私も聞いてもおりますし、またその密貿に対する対策として、税関がかなり活動をいたしておることも承知いたしております。ただわれわれといたしましては、時計の輸入も認めておるのでありまして、これは、実はできるだけ国産によってやりたいのでありますが、遺憾ながらどうも国産が十分間に合わぬというようなこともありますし、さらにまた、輸入をすれば国産品の刺激にもなるのじゃないかというような考えで、輸入をいたしております。しかし、さらにその需要と供給の関係というようなものについては、十分検討をし、また密貿につきましても、十分な対策をとるように、従来も要望いたしておりますが、要望いたしたいと思っております。
#70
○加藤(清)委員 あなたが、どのように対策を立てられましょうとも、そういう答弁は、歴代の大臣がみな一様にお答えになっておる。ところが、月末になりますと、名古屋港だけでも四十隻の船が入る。これに対して、検査官は十一人しかいない。かけ持ちでは、とてもじゃないが、調べられるものではありません。そこで、ただ監督を厳重にすると一口におっしゃいましても、とうていそれはできることでもございませんし、また通産行政の問題から少しはずれる大蔵関係の問題もございます。そこで、通産省として、このやみ輸入防止のために打てる手はありやなしや、大臣の手元で早急にやれる手はありやなしや、この点が聞きたいのでございます。
 そこで、それだけではぴんとこないでしょうから、時間を気にしつつ簡単に申し上げますと、一九五三年度には八十九万個やみ輸入されている。何がしは略します。その次の五四年には九十七万個、五十五年には七十九万個、五十六年度、去年では百十六万一千九百九十個。これは何を隠しましょう、香港政庁の調査に基くものでございます。これだけ日本へ入れられている。そこで五十六年のものを金額にいたしますと、八百十三万三千九百三十ドル、こういうことになるわけでございます。なぜそうなるかといえば、今あなたもおっしゃいましたように、内地の生産が需要に追いつかないわけです。内地の生産は、どう考えてもせいぜい月三十一万個程度でございます。年間合せて三百七十二万個というのが通産省の統計に出ているわけでございますが、これを需要と比較いたしてみますと、需要が月に四十万個。この内訳もずっと説明したいのですけれども、時間がないから簡単に申しますが、年間四百八十万個ぐらいの需要が今起っておる。そこで不足分が百万個から百十万個出ているという勘定でございます。そこへ補われるのは、わずかに外貨割当は、去年にしてさえも二万個、今度は六十万ドルになりましたから六千個ぐらいしか入らない、こういう勘定でございます。さすれば需要と供給の関係で、どうしても、やみが横行ずるのは、これは当然のことでございます。これについて、生産を奨励して、早く需給のバランスがとれるように、あるいはまた輸入外貨をふやして、やみ輸入を減らすなり、あるいは需要を規制するなり何なりの方途に出てもらわなければならぬわけですが、このおかげで、内地生産の方では、引っぱり合いの上に抱き合せ販売に相なっております。九州の小売屋さんが、ほんの少々の日本製品を、セイコー、シチズン、オリエントを入れるために、東京へわざわざやってきて、五個か六個しか手に入らない。これはやがて日本製品も高くなるという状況に相なるわけでございます。大臣として、通産行政の上から、やみ輸入防止策を、一つここで述べていただきたい。
#71
○前尾国務大臣 お話しのように、国内の生産を上げるということが最も望ましい。それにつきましては、やはり時計業界、製造業界の育成、あるいはどういう指導が最も適当であるかというようなことも考えて今後検討して、ぜひ国産がふえますことを考えていきたい、かように存じております。
#72
○加藤(清)委員 国産をふやすようにとおっしゃいましても、高野精密を合せて四社でございますが、それの伸びは、年間二〇%以上伸びておりません。どんなにオートメーション化しても、二〇%以上伸びない。その上なお中共その他の貿易で、中共だけでも、去年十一万個の余輸出されているわけでございます。こうなって参りますと、ますます内地不足ということになります。金融引き締めもけっこうでございますけれども、去年二百二十万ドルもありましたものを、ことしの上期は六十万ドルに削ってしまわれた。その結果は、この正月を目ざしてますます香港ルートのやみ輸入が行われようという形勢がすでに情報として入っておりますが、これについて、大蔵省は、一体何がゆえにこのやみ輸入を助長させるようなこういう外貨割当をしいて行われようとするのか伺いたい。
#73
○村井説明員 ちょっと為替局長が手術中でございますので、かわりまして資金課長からお答えいたします。加藤委員のおっしゃいました点は、まことに一面もっともでございます。できますれば、そういうやみの起りやすい時計のようなものは、なるべく外貨が十分でございますれば、国産の足らない分だけは入れて、そういう変なことが行われるような事態はなくしたいことは、やまやまでございますが、何しろ私たちの感じといたしましては、現在のところ、国際収支の危機をとにかく乗り越えていかなければいかぬという気持が、実はございまして、これは腕時計を何個にしてもらいたいとか、何万ドルとかいうようなこまかいワクまでは、別に具体的に御相談はいたしませんが、全体のワクとしまして、どうしてもそういう品目は多少制約されるというような結果になりがちな全体の外貨予算を組まざるを得ないというのが、実情でございます。
#74
○加藤(清)委員 わかりました。薬もきき過ぎますと、肥える薬もやせてしまうのです。
 そこで、自余の問題はこの次に承わるとして、最後に一点だけ聞いておきます。大蔵省としては、ただ締めればいい、何でもかんでも十ぱ一からげに締めればいい、こういうことでお締めになりますが、その結果は、やみ輸入がどどんどん行われて、やみで入れば差益金の三五%もなければ、金利も何もありません。そこで、ずっと安いのが入る。商売する方ではそれを受け取った方がいい。正規輸入を扱うよりも、やみを扱った方がはるかに有利である。その結果、正規に許したところの商売が繁昌しなくなって、あなたの方の税金の吸い上げの点において、かえって逆な効果を生じてきている、こういう状況であります。そこで、締めるのもけっこうでございますが、こういう悪影響の大きいようなものは、一がいに十ぱ一からげにして締めるだけが芸じゃない。それでは、あまりにも知恵がなさ過ぎるではないかと思われるわけであります。
 次に、通産省に一お尋ねしますが、さなきだにやみが横行するということは、やみ輸入のうまみがあるということです。うまみがあるということは、差益が多いということなんです。その差益をより多く助長させるための手段として、三五%差益をとるものを、この年からは三八%によけいに上げられた。この際はやみが横行しないように、それを少くすれば、だんだんやみのうまみは少くなる。にもかかわらず、やみを助長するために、もっとふやしておられますが、これは一体どういうものの間違いでございましょうか、この点を一つ通産大臣に伺います。
#75
○前尾国務大臣 あらゆる問題を総合的に考えていかなければなりません。この際としては通貨の問題と外貨の問題というようなことがあるのでありまして、その点から不十分であることは私も認めております。しかし、ただいまお話しのように、やみ輸入を許すということは、実につまらぬことであります。そういうようなことも考えながら、今後の輸入の問題あるいは国内の生産の振興といいますか、増産というような問題を全体として取り上げて、適切な方法をとっていきたい、かように存じます。
#76
○加藤(清)委員 本件に関しては、次の国会というか、この閉会中に譲ります。要は、正直者がばかを見ないように、正規輸入業者が生産にいそしめると同時に、消費者が喜んで安心して正規なものを買って、ほんとうに生活が豊かになるよう、大臣としては早急対策をお立ていただきまして、業界並びに国民が安心するようにしていただきたいということを要望いたします。
#77
○福田委員長 次に鉱害について伊藤卯四郎君。
#78
○伊藤(卯)委員 大へん時間がおそくなりましたので、委員長並びに大臣、政府委員の方々に御迷惑と思いますが、会期は明日で終りまするし、なお休会中、または来るべき通常国会等の関係におきまして、それぞれお考えなり、あるいはお取り扱いを受けなければならぬ重要なことであると思いますので、三、四点について質問申し上げておきたいと思うのでございます。なお、私が御質問申すのについては、大臣初め政府委員においては、それぞれ明確にお答えになるのに、立場上いろいろ困られることなどもあろうと思いますから、なるべくそういう点は避けまして、大臣にその内容を知っていただいてお考え願うというようなことで、申し上げていこうと思っております。
 私、ここに持っておるのですが、福岡通産局長から、こういう意見書が本省に送られていると思います。鉱業と公益等との調整について、昭和三十二年九月二十八日、福岡通産局気付でございます。これは八幡市から助役その他の代表が請願書を本国会に提出するに当って、その了解というか意見を述べに行きました折に、福岡通産局としても、こういう意見書を本省の方に送ってあるということで、この刷りものは、向うからもらってきたものでございます。これはきわめて重要でありますので、その内容の重要な点だけを大臣に御参考に申し上げておこうと思います。
 鉱業法第三十五条を初めとして作られてありますところの「これらの法律の多くは、何れか一方の制限または禁止による調整を目的とするものであり、両者の共存関係について適確な規定を欠くため、現実に直面して充分に調整し得ない憾みがある。特に北九州の如く、鉱区の上に他の産業、公共施設等が密集している地域においては、その競合の度合が著しく、両者の共存的調整は当面の緊急課題となっており、これについて根本的な対策が講ぜられない限り、経済の発展は期すべくもない。
 従って、この際特に別紙の事項等について、鉱業法あるいは鉱山保安法の一部改正または特別立法等強力な措置を講ずる必要が痛感される次第である。」ということで内容が書いてある。これは非常に重要でありまして、七つの項目になっておりますから、これを大臣の御参考に申し上げておきます。
 1、鉱業と公益等の競合の度合の著  しい地域および地下資、源の賦存  状況、土地の利用状況等よりみて  将来著しい競合が予想される地域  については、これを特別調整地域  として、予め指定すること。
 2、特別調整地域において、鉱物の  掘採を行わんとする場合には予め  鉱業権者をして、採掘計画および  それに伴う影響の範囲等を公開せ  しめること。
 3、特別調整地域において、現に鉱  業と地上物件等が競合し、かつ当  該鉱物の掘採が国家的に極めて重  要である場合には、国は鉱業権者  および地上物件の管理者双方に地  上物件の補強、坑内充てん等それ  ぞれ強力な予防措置を講ずること  を命令しうるようにすること。
  〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕
 4、その場合は、資源の開発が国家  的要請に基くものである点に鑑み  、国または公共団体においてその  費用の全部又は一部を負担するも  のとすること。
 5、特別調整地域において、新に工  作物等を構築する場合は、予想さ  れる鉱害および将来同地域内にお  いて鉱業が行われることを考慮に  入れて、充分な補強工事を行わし  めるように、事前に届出を要する  ものとすること。
 6、将来の鉱害を担保するため、特  に必要ある場合には、鉱業者をし  て事業着手と同時に賠償準備金の  供託を行わしめること。
 7、上記の主要事項につき必要な調  査審議を行うため学識経験者およ  び関係者よりなる委員会を設置す  ること。
 以上のような内容でありまして、これは人見局長が、自分の行政地区内にこれらに関する重大な問題が起っていて、その処置の苦境に当面して、本省に訴えたものと思います。行政責任者としての人見局長の意見はきわめて忠実で、尊敬すべきものであると私は思っております。前尾通産大臣は、この取り扱いをどのようにお考えになっておられるか、またこういうものをごらんになっておるかどうか、そういうことについて一応大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
#79
○前尾国務大臣 実は、私、先般九州に参りまして、福岡で通産局長とも会いまして、ただいまお読みの文書ももらいました。いろいろもっともな点もありまするので、これは一つの研究資料として、ただいま検討を事務局にやってもらっておる段階であります。
#80
○伊藤(卯)委員 今、私がお読みしました、また大臣もごらんになった通りでありますが、地下鉱物資源の採掘と地上権者の利益保護との調整は、国家の鉱業政策上、最も重大な問題になっておることは申し上げるまでもございません。そこで、それらの調整については、日本においては、いまだそうした法律もございませんので、これらが行われておりません。これは、私は、近代工業国家日本としては、非常に重大であろうと思っております。たとえば京浜地区であるとか、あるいは阪神地方であるとか、あるいは中京とか、北九州とか、こういう重工業地帯においては、どうしてもこの地下と地上との調整をする法律の制定というものの必要であることは、おそらく大臣も痛感しておられると思います。西ドイツその他の欧州の重工業地帯においては、御存じのように、それぞれこの調整規定が作られまして、とかくの問題が引き起らないように、そうした措置を国の対策としてやっておるようであります。これらの点においても、政府の方では、相当そういう資料も集め、研究もしておられるだろうと私は思うのですが、そういうことについて、何らかの措置を講じなければならないということについての用意と準備をされつつあるか、お聞かせ願いたいと思います。
#81
○前尾国務大臣 御存じの通りに、われわれは、今後エネルギー資源としての石炭という問題を、非常に重要視いたしております。従って、今後の石炭開発について、既存の炭鉱の開発なりあるいはその合理化を促進していく反面に、また新炭田の開発というようなことも考えております。また、ただいまお話しのような問題につきましても、いろいろ実際の実例に当りまして、いろいろな問題を考えておるわけであります。あらゆるものを総合して現在検討いたしておりますので、何らかの対策を考えたい、かように考えております。
#82
○伊藤(卯)委員 これは委員長にお願いをしておきたいと思うのですが、国会において、地上の産業施設、衛生施設、公共施設等、親しく御調査を賜わるとともに、利害関係者の意見の聴取をしてもらいたいということが、本委員会に鉱業法改正の請願書として提出をされて、それが本委員会で採択になっております。従いまして、当面しておる重大な問題として、通産省としても、また地元の通産局長としても、その処置方に相当困っておられる現状にあります。この点につきましては、請願書の採択に基きまして、休会中に現地調査というか、関係者を現地においてでもお呼びになり、意見聴取をされて、鉱業法改正の本委員会の資料としていただきますよう、この点を委員長にお願いしておきます。
 それから、先ほどの福岡通産局から本省に意見書として提出されておりまするその内容にほとんど盛られておりますので、重複して申し上げる必要はございませんが、鉱業法の三十五条は、保健衛生上害があり、公共の用に供する施設もしくはこれに準ずる施設を破壊し、産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、鉱業権の設定を許可してはならないと規定してあります。なお、これが取扱いの慎重を期するために、鉱業法第二十四条で、鉱業権設定許可に際しては、通産局長は都道府県知事に協議をしなければならないということも規定をされております。もっとも、同法中第五十三条に、既設設定の鉱区についても、同条に該当するようになったと認めるときは、通産局長は鉱区の減少の処分または鉱業権の取り消しをしなければならないと規定してありますが、同条の二項に、前条の場合に、国が鉱業権者に対して補償をしなければならないと規定してあります。そのために、実際問題としては、通産局長が五十三条を適用し、地上権者の利益や公共の福祉を保護した実例は、鉱業地帯において、いまだ日本には私の知る限りにおいてはないように思います。そうすれば、この五十三条は、実際上の運用からいけば、これは死文にひとしいと申し上げていいのであります。そこで、一通産局長が、鉱区を減少処分にしたり、鉱業権を取り消しをしたり、それから国家賠償などの重大な処理をされ得るものでないことは、もう申し上げるまでもありませんし、それから日本が産業上の重要地区等について、特別立法の措置を講ぜられ、採掘施業案の認可に当って、人見局長も言っておりますように国家の権威ある調査団を作ってその審議に付して、その結果、鉱物の採掘を制限を加える。または地上の被害を防止するために完全な充填方法を採用するとか、極力鉱害の防止をはかり、さらに、これら鉱害予防または鉱害復旧等のための費用については、鉱業権者が負担し得るものと、それから国家において補償するものとのこの必要性が書かれてあるのです。それは鉱業法制定当時の国情と、今日の日本の産業の基本である重工業等の関係というのは、全く違ってきておるのであります。特に重工業地帯に関する限り、諸種の点において鉱業法の改正の必要であることは、もう論ずる余地は私はないと思います。そこで、通産大臣は、こういうような現状でございますので、これはいかなる点から見ましても、この重工業地帯あるいは公共施設、その下の地下の鉱物採掘より起る被害との調整をどのようにするかという点から、鉱業法の改正というものは、何人も議論の余地はない。おそらく役所側でも、私どもの聞く限りにおいては、鉱業法の改正がいかに緊急であるかということは、もうしばしば聞かされておることでもありますが、大臣は、来たるべき通常国会において、鉱業法改正案をお出しになるお考えがあるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
#83
○西村(直)委員長代理 委員長に御要請になりました件は、重要な事柄でございますから、理事会で諮りまして、検討の上善処いたしたい、こう思います。
#84
○前尾国務大臣 先ほど来申しておりますように、ただいま検討中で、極力研究を進めているので、御希望に極力沿いたい、かように考えます。
#85
○伊藤(卯)委員 いま一点だけ伺います。時間の関係がありますから、先ほど申し上げましたように、私の方から意見を申し上げてしまう方が、時間が能率的になると思って申し上げておるわけでありますが、いま一点は、北九州地区に起っております争いの問題になっておる点でございます。それは、御存じのように、八幡市地区と、それからその隣りの町にあります日本炭鉱高松炭坑との関係において争いが起っておる点で、地元通産局長も相当お困りになっておる。そこで私は、その点について大略を述べまして、大臣の関心というか、あっせんを求めようと思っております。
 昭和二十六年に、北九州に総合開発地区としてこれは指定をされておるわけです。そういう点から八幡市の西部地区には政府関係者も御存じであると思いますが、非常な重工業地帯として発展をし、それに伴いまして上水道の関係、工業用水の関係あるいは水道、そうした飲料水との関係、こういう公共施設と、それからさらに鉄筋コンクリートの高層建築、そういうものが非常にその後建てられてきております。そこで、この地下を採掘をいたして参りますと、当然危害がよって起るということは申すまでもありません。そういう点から被害を受けるであろうと想像する地元の諸君が非常に心配しておりますので、そういう点から、地元通産局長も、炭鉱側に対する施業許可をなかなか出せないでおる、こういう悩みが起っておるわけでございます。ところが、この通産局長の現在解決し得ないで悩んでおる問題は、これは今後なおまだ続く問題であります。従って、何らかの解決対策をしてやって、今日のような争いを根本的に解決してやらぬと、通産局長のこの悩みというものは、永久に続いていくということになっております。従って、われわれ立法府の者としましても、鉱業法の欠陥からこれが起ってきておるなら、これを黙視することができません。また、従って、行政府であるところの政府も関係大臣も、これらを何らかの方法で解決ができるよう立法府の協力を得つつ、これらの解決策を見出そうとされることは当然だ、こう私は思っております。そういう点について、申し上げようと思うのは、たとえば高松炭坑側も、現在施業許可を得られるものとして、かなり広範な鉱区の施業許可願いを出しております。一千万トンにも上ろうとするこの出炭をするために、炭鉱側としても莫大な資本を投じて斜坑なども掘ってその事業を完成しております。従ってまた、労働者も数千人を抱えておるわけです。この地区が掘れるか掘れないかということは、炭鉱側にとってもこれは生命線というか、死活にかかわるほどの重大性を持っておると私は見ております。しからばといって、この許可を出せるまでの話し合いは、地元側ではつかないでおります。また、この話し合いは、法律の上からいっても、話し合いがつけられ得ない現状にあるので、地元通産局長も因り抜いております。この点は、本省の石炭局長も、ともに相当苦境に立っておられるのが現状じゃないか、こう私は思っております。そこで、この被害を想像して心配しておる地元関係者と炭鉱側との調整解決のためには、地元通産局長と本省の石炭局長だけにこれをまかされてあっても、なかなか立ち入って解決のできないというのが、今日のこの悩みになっておる点だろうと思います。従って、大臣も、この点に重大な関心をお持ちになって、この解決のでき得ないでおる問題を、やはり大臣が国家的見地から、積極的に解決のでき得るように、あっせん努力をしてやるということ以外にないのじゃないかと私は考えております。根本的には鉱業法の改正の必要、あるいはまたこれらの問題を解決しようとすると、国家賠償の問題ということも、もちろんこれは話として出てくることは当然であります。しかしながら、今行き悩みになっているのは、炭鉱側と三菱化成工場と、この両当事者が、工業用水の問題について話し合いの妥結ができないでおるのです。炭鉱側としては、石炭を掘って出すということは、やはり経営採算の上からやるのでありますから、おのずから賠償にも限度があると思います。ところが、被害を受けるであろうと想像する三菱化成側では、大きな化学工場をやっておるのでありまして、工業用水が生命線であるから、やはり水についての不安をなからしめる保証というものが与えられなければ、調印のできないのもやむを得ないことであろう、私はこう思います。そうして両者が利害関係でこれが解決できないでおるということであります。現在鉱害法によって、鉱害が起った場合には、鉱害復旧事業に対しては、国家が復旧費用の分担をしておるのでありますから、そういう見地から、大臣が乗り出していかれれば、おのずからまた解決の道もあるのじゃないか。たとえば穴生の浄水場の池から、あるいは工業用水の池から、万一の場合は水を補給さしてやるということについて政府側で努力をし、責任をもって保証してやるとか、そういうもろもろの努力をされれば、おのずから私は水の問題については解決の道があるように思います。そうして当面の問題を解決してやって、次に鉱業法の改正の問題等をあわせて、将来において起るであろうという問題をできるだけ早く解決する方策を立ててやることこそが、われわれ立法の府におるものとしても、また大臣としても、当然考えなければならないことである。地上の重工業、公共施設等と、その他下の鉱物を掘るということのこの調整関係等は、今後のために当然やられておかれなければならない問題だと思いますが、こういう点について、大臣は、内容は御存じだと思うから、これは現在及び将来のためにもやらなければならぬということで、この解決のために一そうの努力をされる御意思があるかどうか、この点を何います。
#86
○前尾国務大臣 ただいまお話しの具体的な問題につきましては、私も十分承知をいたしておるのでありますが、ただ従来からいろいろないきさつがあるように聞いております。これは長年の問題でありますから、調査会の結論も出ておるので、この際、何としても、両方うまく調整して解決していただきたいということを希望いたしておるのでありまして、もう一息というところで話がつかないように聞いております。この点、私としましても、もとより努力はいたしておるのでありますが、結局において、両方の言い分、もっともではありますが、両方また譲り合ってもらわなければ話がつかないのですから、それにつきましては、私としましても、さらに特段の努力はいたすつもりであります。また地元の方々にも大いに協力をしていただいて、一日も早く解決いたしたいと思います。実は、私は、もう解決するものだというふうに、むしろ考えておったのが、今日まで延び延びになっていることは、はなはだ遺憾であります。今後もさらに十分努力いたしたい、かように考えます。
#87
○伊藤(卯)委員 大臣に希望だけ述べておきます。もう内容は大臣が百も御存じだし、石炭局長なども、もう悩み抜いておられるほど知っておられる問題ですが、要は、地元通産局長や本省の石炭局長の手にはなかなか負えない、そういう点で行き悩みになっておる、こう思うのです。炭鉱側としても、申し上げたように、もう二百何十人の人間が、当面石炭を掘る所もないので、失業問題だといって深刻に訴えております。また炭鉱としても、計画事業をやれないということは、容易ならぬことでもありますし、ひいては膨大な炭鉱の失業者も出るというようなことも考えられますし、従って、これは放任しておけない現状でありますから、ぜひとも一つ、これらの話し合いが調整されて解決ができるように、双方の間に不安なからしめるような、また採掘についても、たとえば、地上に被害を与えることを極力なくしてやる採掘の方法もあるわけだし、それから、万一起った場合の補償の問題なり、あるいは国家としてそれらをどのように見てやるかという問題も、法律の上からいって、これは言えることでありますから、そういう点等も、一つ十分お含みの上で、この争いの問題をすみやかに解決して、それらを将来への解決の第一歩ということになり得るような努力を大臣がされるよう、これは強く私から要望をいたしておきます。
#88
○多賀谷委員 関連して。この際委員長に要望しておきたいのですが、鉱業権と地上権の競合の調整につきまして、恒久的な立法を研究するということについては異論はございません。しかし、現下に起っております北九州の紛争について、採択を見ました請願につきましては、実は反対陳情も参っておるようなわけであります。そこでことに当面の三菱化成と日本炭鉱との関係は、当事者間においても、解決に鋭意努力をされておるようでありますし、また国会において、これらの利害関係者を招致して意見を聞いたり、あるいは国会が乗り出して調査をするということは、果して問題解決の方向に進むかどうか、かなり疑問がございますので、慎重に扱っていただきたい、これを要望しておきます。
#89
○西村(直)委員長代理 よく理事会で相談をいたします。
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#90
○西村(直)委員長代理 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。本日、理事松平忠久君が委員を辞任せられ、ただいま再び委員に選任せられましたので、この際同君を再び理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○西村(直)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。本日は、これにて散会いたします。
  午後六時三十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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