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1957/11/14 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第2号
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1957/11/14 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第2号

#1
第027回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第2号
昭和三十二年十一月十四日(木曜日)
   午前十時二十一分開議
 出席小委員
   小委員長 小島徹三君
      野澤 清人君    八田 貞義君
      岡本 隆一君    滝井 義高君
      八木 一男君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 正巳君
 小委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      館林 宣夫君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 診療報酬及び薬価に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島小委員長 これより診療報酬及び薬価に関する小委員会を開会いたします。
 診療報酬及び薬価に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、順次これを許します。滝井義高君。
#3
○滝井小委員 この前御質問を申し上げたときに、宿題といっては語弊がありますが、二十七年三月調査で、病院、診療所、それぞれ赤字であったものが、今度は黒字とはいわないにしても、とにかく普通の世間的な常識でいえば、二十七年三月は医師の所得が三万何がしというものが出てきておるわけで、いわばこれはやっぱり黒字と同じ形で出てきておるわけですね。それをだんだん引き伸ばしていって、結局、究極昭和三十三年度の医師の所得というものが六万何がしと、二・一倍になるんだ、こういうことになっておるわけです。そこで、それの検討をお願いしておったのですが、赤字であったものが黒字に変化をしたのはどういうことからきたのかという点ですね。
#4
○館林説明員 二十七年三月のときの調査におきまして、各医療機関の必要経費及びその中には生計費を含めまして、そういう必要経費と、医療による収入、その医療による収入の中には、社会保険によるものもございましょうし、あるいは自費によるものもございましょう。その両者を比較いたしました場合に経費の方が上回っておる。従って見かけ上の赤のような姿を呈しておることは御指摘の通りでございます。ただし、実際上果してこれが赤であったかどうかは別の問題でございまして、医師の収入は医業による収入のみに限られておるわけではもちろんないわけでありまして、収入は各種のその他の収入もございましょうし、またいま一つは支出の面である種の拡大再生産的な減価償却をみておるわけであります。従って、そのものと収入とが必ずしも見合うべき性質のものでなくて、非常に医療機関の拡張の時期においては投資的な部分が出る場合もあり得るわけでありますので、このときの医業の実態そのものが果して赤字の医業であったかどうかということはにわかには断定できないと思っております。しかしながら御指摘のように、この当時の生計費を含んだ所要経費と医業による収入とのバランスでは、医業による収入の方が少かったことは御指摘の通りでございます。ただ今回医師の必要経費を算定いたしました基礎は、この必要経費を土台にして伸ばしてきたわけであります。すなわち、それらの必要経費は全部適正なものという仮定のもとにスライドをさせ、またそのほかの要素を加えてさらに補正をいたしたわけであります。従って収入のいかんにかかわらず相当大幅な支出が行われ、生計が営まれておったものをそのまま容認して作った案でございます。
#5
○滝井小委員 どうも今の御説明ではちょっと納得ができないのですよ。とにかく今度のこの厚生省の事務局試案というものはあくまでも二十七年三月調査が基礎になっておるわけなんです。従って、その三月のときに赤字であったということは、これはもう明白なんですね。とにかく曾田さんが当時赤字であったことを明らかに国会で説明しておるんですよ。そのときは何も医業以外の収入まで加えているわけじゃないのです。あれは医業の支出と収入とを基礎にして赤字であったということを認定しているわけです。病院も診療所も赤字であった。従って当時岡君が、しからば十一円七十七銭あるいは十一円八十三銭ですか、そういうものは不当じゃないか、むしろそれは、たしか十二円五十銭くらいになるんじゃないかということを言っているのです。そうすると、久下さんが、まことにそうだ、十二円五十銭くらいになるんじゃということを答弁しているんですよ。従ってこのときに三万何ぼのものが出てきているというなら、当時は赤字でなくて黒字であったということにならなければならぬ。一診療所当りにすれば三万何ぼ、それからあの調査病院百十五、診療所二百十七ですか、それぞれのものをずっと総収入と総経費を出しております。それを差し引いたら何億の赤字と何百万円の赤字と、こう出てきているわけです。そうしますと、結果はあなた方のこの計算からいけば、その何億かの黒と何百万かの黒と、こう出てこなければならぬことになるわけです。ところがこの結果から見れば、それが出てきていない。それはあのときの赤というものがうそだったということになる。それは信憑性からいえば、二十九、三十、三十一、三十二と四年の経過を、今になってあたかも二十七年三月が医療機関というものが黒字であったということを言っても、当時赤だと言っておるのですから、それはちょっと納得できないのです。それだから、まずそのことを明白にしなければ、土台が赤であったものが、黒に変った土台に書きかえられて積み上げられておるということは納得できない。だから、当時の状態をもう少し思い起してもらわなければいかぬと思うのです。そこをあなた方お調べになっておるのですか。
#6
○館林説明員 もし滝井委員の御指摘のようにこれを直すといたしますと、どこを削るか、削る場所がはっきりいたしませんけれども、この二十七年三月の所要経費から医業以外の収入によってこれだけの経費が出ておったと思われる程度の分を縮めた土台から持ってくれば、御指摘のように、赤が出ないとおっしゃるようなことに相なるかもしれません。と申しますのは、このときの開業医師が一月に三万三千五百二十五円の生活ができたということは、医療収入だけでこれだけの生活ができたわけではなくて、医業以外の収入もかきまぜてこれだけの生計を営んでおったわけであります。この収入というものは医業による生活である、これは医業以外の収入による生活であると、わざわざ分けて必要経費なり生計費を算定したものではなくて、現に実際に支出している総額をここで算定したわけでございます。ところが収入の方は、医業だけの収入に限って集計いたしてあります。従って必ずしも相見合うべからざるものでございます。ただ少くとも医師が医師の生活を営むにはこれだけ要ったことは間違いがないし、また医業という医療行為をするためにこれだけの経費が要ったことは間違いないわけであります。それらの支出をするために医業で間に合ったか間に合わぬかということは全然問わないで、要するにこれだけの経費が要ったことは間違いないのであるから、その要ったことの間違いない経費がまあ妥当な経費であろうという仮定のもとに、私どもは今回の案を作ったわけであります。
#7
○高田政府委員 今館林君が言っております前半のことは、滝井先生の、二十七年当時は赤であったということであるという点について、なるほど見かけ上の赤ではあるけれども、医業だけについてこれを見たならば、それがほんとうに医業の部面だけについて赤であったかどうかということはまだわかりませということを言っておるのでございますが、しかし先生の御指摘のことを容認して、かりに赤であったといたしましても、今回のわれわれの案というのは、その当時の収入以上の支出というものをもとにして、それを伸ばして、そうしてそれを基礎に八・五%の引きうげをしなければならぬということを結論づけておるのでございますから――もう少し突っ込んで申せば、当時の支出というものを伸ばして、それがこれだけに伸びなければならなぬという支出の金額と、現在の十一円七十七銭の平均単価で得られておる収入というものを比較いたしまして、それを伸ばした約十六万円程度、のものにしなければならぬということで結論を出しておるのでございますから、別に二十七年当時が赤であったということを容認してものを考えまして差しつかえないことなんです。
 それからまた、二十七年当時は赤であったのが今回黒になるのはどういうことだということでございますが、それは収支償うような収入を得させるためには八・五%引き上げなければならなぬ、こういう結論を出しておるわけでございます。前段をかりに容認いたしたといたしましても、今回私どもが出しておりまする案がそのことによってどうのこうのということにはならない、こういうふうに私どもは考えたわけでございます。
#8
○滝井小委員 館林さん今の御答弁の中で、所要経費というものが医業以外の収入から入ってまかなわれたかもしれぬという御発言もあったわけなんですが、事実はそうかもしれません。しかしとにかく二十七年三月の調査においては、厚生省の調査した限り、日本の医療機関においては赤字であった、これはあなた方お認めになるわけでしょう。病院の収入だけでは医療機関というものはまかなえなかったということはお認めになるわけなんでしょう。病院、診療所の医業収入だけでは――医業収入ということを限定する限りにおいては、医業収入で医業の支出をまかなうのは当然なんですから、その限りにおいては赤字であったということはお認めになるでしょう。そこからまず問題を区切っていきましょう。
#9
○館林説明員 生計費というものが果して医業支出であるかどうかは疑問でございます。三万三千五百二十五円というものがかりにゼロであったとした場合にどうなるかは一度検討してみる必要がありますが、それがもしゼロであって、すなわち残りの部分が医業による収入に必ずしも見合わなかったとすれば、多少医業による収入の方が少かったろう想像できます。ただこの際一応考える必要がありますのは、このときの調査は拡大再生産的な減価償却費の取り方をしておりますので、その点をもう一度振り返ってみる必要があると思います。
#10
○滝井小委員 どうもあなた方は前任者の言ったことをはっきり御理解がいっていない感じがするのですがね。当時曾田さんがどうして日本の医療機関が赤字であると言われたかということですね。曾田さんが赤字だと言ったことの意味はどうなんですか。病院が赤字であるということは何もそこで暮している医師の生計費を問題としているわけじゃない。病院の収入と支出のバランスがとれていないということが赤字であるということなんですよ。当時その集計まで出して、大体幾らの赤字だという額まで言っている。私は秘書に当時の速記録を探さしておりますけれども、ちょっと見つからぬので持ってきておりませんが、とにかく答弁者は曾田さんであり、質問者は岡君です。それで赤字だということをはっきり言っている。私も当時のことを書いたのがあるから探せばあるのだが、当時の医務局のそれをやった方を呼んでもらいたいですね。わかるはずです、曾田さんが自分で足し算をするわけではないのですから。当時赤字であったものが、今になって黒字のような格好で問題を進めていくと、非常に混迷が出てくるわけです。今の保険局長の答弁では、それが赤であるならば赤字であったとしてもよろしいというようなことをおっしゃっているのですが、それならば、赤であったならば赤であってもよろしいということは、赤であっても黒字であってもよろしいというようなことで、そういうことで話を進めていっては工合が悪い。問題は結局、世間的な常識はどういう工合に考えているかというと、こう考えているわけです。とにかく二十七年の三月においては、医者のもうけというものは三万三千五百二十五円あった、ところが今度そのもうけが八・五%引き上げると六万九千九百五十五円になってしまう、二倍をこえるものになる、これはけしからぬ、世間は単純に考えるから、こういうことを言っているわけです。そうしてしかも労働者の生計費は、あなた方の一番の結論に書いてあるように、わずかに六割しか上っていないじゃないか、医者が倍の収入に――収入ということはもうけなんです――もうけになるのはけしからぬ。これは世の中の論理なんです。そこで医療機関というものは特権的な生活をしてけしからぬ、こういう論理になってきているわけなんです。だからその論というものが、今のあなた方の御答弁のように、赤字なら赤字でよろしいのだ、こういうことになると、医療機関の経営というものは八・五%上げても赤字になるということになるわけなんです。二十七年三月が赤字なら赤字でよろしいということになれば、これは結果は同じなんです。三万三千五百二十五円五十七銭が六万九千九百五十五円五十六銭になるだけのことなんです。だからそこらあたりを――あんまり先に問題を進めるといけませんから、二十七年三月に日本の医療機関は赤字であったか黒字であったかということをまずはっきりして下さい。
#11
○高田政府委員 その問題につきましては、数値をもって申し上げればこういうことになると思うのです。二十七年三月調査でこの表で申しますと、一診療所当りが九万二千六百二十一円の支出があったわけであります。そしてこの九万二千六百二十円の支出に対する医業収入というものはこれに満たなかったということは御指摘の通りなんです。ところが減価償却は――九万二千円は少し数字が違います。減価償却の部分は変って見ておりますから、結局二十七年当時の一診療所当りの生計費をも含めた経費の総額と支出と、それから医業収入とを比べてみたら、医業収入の方が少かったということは仰せの通りなんであります、その当時の調査によれば。ところがその比べられている支出がどういうものかといいますと、まずそのうちには世帯支出というものが全部入っている。この世帯支出というものは果して医業収入だけでまかなわるべきものかどうかということも問題があるところであります。それから所要経費の中に見ております減価償却費というものが、置きかえ法という方法で見ておりますので、拡大再生産的なものをも支出の方に見ているわけであります。そういう見方をしているわけでございます。従って拡大再生産をするような支出までもそのときの医業収入でまかなうべきかどうかという議論もあるわけでございます。従って当時の支出と収入とを機械的に比べてみれば、今申したように医業収入の方が少かったけれども、しかしその支出として書きあげられているものの中には、ほんとうに医療機関として赤であるのか黒であるのか、バランスがとれているのかということを突っ込んで実態的に判定するには、まだまだ分析しなければならぬ要素がある、支出の方に。そういうことを申し上げているわけなんです。
 それから第二段としては、かりにそのときの支出は医業収入に見合っていなかった支出であった、そういうことを前提といたしましても、その大きい支出の方をわれわれはスライドさせてこれを伸ばしているわけであります。そしてこれを伸ばして十五万九千六百円ばかりの支出にならなければならぬ、こういう結論を下しているわけです。そうするには、単価が現行点数を前提にしてみれば十一円七十七銭でございまして、これに見合う収入が十四万七千円しかない。従って十五万九千円に収入をするには、八・五%引き上げなければならぬ、こういうことを言っているわけです。だから大きい支出の方を伸ばしてそれに見合う収入を得させるために八・五%を引き上げなければならぬ、こういうことを言っているわけです。従ってそのときが赤であったということを容認してもというのは、そういうふうに実態的に赤と見るべきか赤と見るべからざるかという論議はありますけれども、その論議はいずれにいたしましても、とにかくその支出の方を伸ばして、そしてその支出に見合うだけの収入を得させるために八・五%にしなければならぬ、引き上げなければならぬ、こういうことを言っておるのでございますから、その点については滝井先生が仰せのように二十七年当時が赤であったとすれば、今日こういう改訂を加えてもやはり赤ではないかということにはなりませんということを申し上げているわけであります。
#12
○滝井小委員 あとの方はここに書いているからもう御説明を受けなくてもわかりますが、やはり今のあなたの冒頭の御答弁にあったように、九万二千六百二十一円六十銭というものは、医業収入でまかなわれる全額であるかどうかはわからぬ、むしろそれはまかなわれておらなかったかもしれぬ、不足であったかもしれぬということを言われているわけです。そうしますと、医業収入でまかなわれていなかったということになれば、結局三万三千五百二十四円五十七銭というものは仮定の数字になるわけです。それだけのものは医者が食わなければならぬ生計費ですから。……だから医業以外のものからそれはきておったということになり得るわけです。ところが同時にまた世帯支出というものを今あなたは非常に重視される論をされた。私は診療所ならばその論は成り立つと思うのです。ところが一方今度は病院にその議論を発展させていくと、病院もまたこれは赤であるということになる。そうすると、病院には世帯支出というものはないわけです。だから一体日本の医療機関の病院というものがなぜ赤であったか、こうなるわけです。だからその議論を今度病院に置きかえてみればわかるのです。そうすると、病院だったならば、九万二千六百二十一円六十銭といっておっても、これは赤なんですね。だからそれを伸ばしていってもやっぱり赤は赤です、病院のあれがふえない限りは。
#13
○高田政府委員 病院につきましても、減価償却費のその当時の取り方について疑問があるのは今申し上げた通りでありますが、それは別といたしまして、病院がとにかく医業収入だけではまかなえなかったとしますね。そうすると、まかなえなかったその当時の経費を今日に伸ばしてみて、そうしてその経費をまかなえるだけの収入を得させようというのが今回のあれです。当時ある病院が百五十万円支出があったといたします。そうすると、その百五十万円を今日に伸ばしてみると、これが二百五十万円なければいかぬということになりました。そうすると、二百五十万円の収入を得させるには、現在の医療費をほっておいてはいかぬから、八・五%引き上げれば、ちょうどそれが見合うようになりますということなんでございます。その当時の収入が、百五十万円に対して、百四十万円であったとして、百四十万円であったとかないとかいうことは、われわれの今回の案を御批判いただくには何も関係のないことです。従ってその赤であったかなかったかということは――私どもは実態的に当時の医療機関が赤であったかなかったかということについては、また論議をしたいと思いますけれども、しかしそれは別としても、そういう論理の運び方で計算しておるのでございますから、そのことは関係ないのじゃないかということを今申し上げておるのです。
#14
○滝井小委員 関係ないことはないわけです。二十七年三月というものは、金科玉条の一番の基盤です。その基盤が赤であったか、黒であったかということの認定ができずして、先に進めば、黒であったならば、何も今単価を上げてやる必要はないのです。それから後の状態を見て、十四万七千百二十五円というもので採算がとれるかとれないかということを見さえすればよいわけです。ところが当時赤であったという認識が少くとも療養担当者なり医療機関に普遍的にあるわけです。しかもそれが十一円七十七銭という単価でやってきておるところに問題があるという普遍的な認識があるということは間違いないわけです。それはどうしてかというと、当時赤であったからだということだ。ところが当時赤であったか、黒であったかという認識を明白にせずして、ただ拡大生産なんかがあったからいけないんだ、だからそれらのものを削ってやれば、今一円上げればよいのだということだけでは議論が成り立たぬ。それはもちろん拡大再生産か、単純再生産かということもまだ今後論議をしなければならぬが、それは一応おくとして、二十七年三月の実態というものが明白でなくして、先に行くわけにはいかない。もう少しこれは当時の医務局の関係者も来てもらって、そして私も速記を探してきます。それから曾田さんが説明した資料を私全部書いておりますから、持ってきます。とにかく土台がお互いに認識が共通にならぬでは、先に行けないことになるわけです。どうしても私はここのからくりが納得いかない。いろいろ考えてみるけれども、赤字であったものがどうして今になってたった一円上げればいいかということの認識が立たない。それから、これからいくと、三万三千五百二十四円五十七銭というものは、当時は生計費までは入れていないのです。曾田さんの計算の中には、病院が赤字であるというけれども、病院は生計費にないのですからね。だから今診療所で論議をすれば生計費がありますけれども、病院は生計費はないのですから、病院に置きかえてみると、病院はとにかく一割四分赤字だから、病院に置きかえて議論してみると、今のあなた方の議論は成り立たなくなる。だからその点はもう少し私も検討してきます。あなた方ももう少しそれは検討してもらって、医務局の曾田さんの下でやった人がおるはずですから、その方も来てもらって、そして論議を少しさせてもらいたいと思う。あと補足の説明があればして下さい。
#15
○高田政府委員 私が申し上げておるのは、病院にこれを例にとったとしても、今申し上げたように、赤であったということを前提にして私はそれを論議をしたいと思いますけれども、それは容認して、病院の当時の支出が医療収入よりは多かったということを認めて、それが赤であったか黒であったかという論議は別といたしますよ。赤と見るか、見合っていると見るかということはもう少し検討してみなければならぬ。しかしとにかくその収入より以上の支出というものをもとにして、それを今日に伸ばして、そうしてそれがまかなえるような医療費にするにはどうしたらいいかということを考えているのです。だから何も滝井先生がおっしゃるように、二十七年当時の状態を基礎にして今日幾ら上げたらいいかという医療費を論議してみたところで、基礎がおかしいから、それは何とも言えないじゃないかとおっしゃいますけれども、その支出面をとらえて伸ばして、そしてそれをまかなうような収入はどうしたら得られるかということを検討しているのですから、論理的に申しまして、二十七年の支出をとらえて伸ばしたということは、何ら差しつかえないことではあるまいか、こういうふうに私は考えるわけです。
#16
○滝井小委員 そうしますと、一応二十七年の三月で医業収入よりか、病院であれ、診療所であれ、支出の方が多かったということは認めて、そしてその支出に見合うだけの収入を診療機関に得させるために、あるいは病院に得させるために、今度のいわゆる八・五%のワクの拡大をやったのだ、こういうことになるわけですね。そうしますと、この結果の書き方というものは、そういう工合に書かなければならぬことになる。全国の病院が適正妥当な診療をやり、そして医師が専門技術者として、やはり少くとも最低の生活をやるためには、これだけのものが必要なんだ、これはその認識から出発すれば、こういう書き方をしなければならぬのです。ところが世の中はこの姿をそう受け取ってない。労働組合その他を見ても、医者の健康保険組合から出ているパンフレットを見ても、医者の生活が二倍になる、けしからぬじゃないかということなんです。だから世の中はそんなぜいたくなものは一銭だって上げる必要がないという認識に立ってるわけです。高田さんにはどういうことになっておるか知らぬが、われわれのところではそういうことになっておる。ゆうべなど座談会をやりましたが、結局そういうことなんです。医者の収入が今よりかふえるようなことをやる必要はない、なぜならば、これは厚生省のあれをごらんなさい、二十七年の三月だって三万三千円以上の収入があった、それが医者の給料だ、ところがこれが今度倍の六万になるのだから、必要ないかというのがみんなの意見なんです。だから今のような大きな診療機関の収入、支出の問題は、話を進めていくと、結果的に見ると、そういうことではないということになるわけなんです。そこらあたりの認識が、二十七年三月は赤字でなかったという認識に世の中の者は立っている。所得がこれだけあるという形で出てきているものですらね。ところが今あなたの方の説明では、二十七年三月の医療機関は、病院であれ診療所であれ、収入の方より支出の方が多かったということを認めてよろしいということになると、当時の医者は、無理をして借金をしてでも、とにかくどこからか金を集めてきて、実際は収入と支出とのバランスを合せるために苦労しておったということになるわけですね。ところが、この試案の中にはその認識というものは出ていないんですよ。これを平面的にすっと読んでみますと、二十七年三月も三万何ぼの収入があってゆうゆうとやっていっておったんだということになる。そういう形が出ている。
#17
○高田政府委員 いや、先生が仰せのようにこの資料はなっているんですがね。二十七年三月当時に医者が三万三千円の生活をしておったという事実から出発しているんですよ。それを医業収入でまかなおうと、ほかの収入でまかなおうと、とにかく三万三千円の生活をしておったということなんです。それから経費の方もこれだけの支出をしておりました。そうすると今日は国民生活の上昇もありますし、それから賃金ベースの上昇もあるし、物価の変動もあるし、そういうものをずっと加味していきますと、三万三千円の生活というものは七万円程度にしてあげなければ気の毒でございます。それから医業の経費の方は、当時の六万一千円というものを十万百七十円にふくらませなければ不適当でございます。これは十万円お使いになっているかどうかということは疑問だけれども、十万円くらい使わなければ適正な医療というものが行われないであろう、医学術の進歩も取り入れられないであろうという経費を十万円と出しておるわけです。よろしゅうございますか。それを足して、それだけのものをまかなうような収入にするにはどうしたらいいかということを言っているのですから、先生が仰せの通りになっているわけです。
#18
○滝井小委員 従って私は、これは当時医者が三万三千五百二十四円五十七銭の生活をしておった。それから当時の病院の経費だけをずっとやってみると、六万一千四百六円十二銭になったのだ。だから足すと、九万二千六百二十一円六十銭というものは二十七年三月の、そうあらなければならぬ姿なのだ。しかし実際は、医療機関の実態を見ると、収入はこうなっていなかったということなんです。そういうことでしょう。だからそこを明らかにしなければいかぬというのです、私の言うのは。問題の出発点というものは、二十七年三月調査を基礎にしたならば、同時にこの横に、しからば二十七年三月の実態はどうなったのかということを書く必要があるというのです。たとえば、あなたの今そこに持ってきておった二十九年の医療費体系の一の表の四のa、病院百五十五の施設の三月の統計表を見ると、実際にかかった経費が二億二百四十七万円です。それから実際に受領すべき金額が一億七千六百四十九万円、差引二千五百九十八万円の赤になっておるのです。だからその実態というものが明らかにされておらなければならぬわけなんです。診療所についても、二百十七の診療所では約七%の赤字で、今ちょっと数字は出しておりませんが、多分二百何万円だったと私記憶しておりますが、あるわけなんです。従って、その実態というものがここに同時に明らかにされなければならぬ。そうならければならぬのは九万二千円なんだけれども、実際の収入というものはそうなかったということにしておかなければならぬわけなんです。ところが世の中はそうは受け取っておらぬ。もうすでに二十七年三月にこういう実態があったんだということで受け取っておるわけなんです。だからそういうことをはっきりして、そして今度は現在の十一円七十七銭がずっと発展してきて昭和二十九年の九月で十四万七千百二十五円になっておる。これが現実の実態なんです。ところが二十七年三月には、医療機関の支出の実態はそうであったかもしれぬけれども、医療機関の収入面の実態はそうでなかったはずなんです。だからその点をここに明らかにしなければならぬということなんです。あなた方もそこらのところもう少し――世の中というものは、いつも私の言うように、滝井義高が個人で幾ら立派なものを出してもなかなか信頼しないのです。曽田さんの言うように、滝井義高が幾ら勉強していいものを出したって、厚生省が出したものとどっちを信頼するかということになれば、それは厚生省の出したものの方を信頼しますよ。だからあなた方がこういうものを出せば、みんな二十七年はこうだったと思い込んでしまうのです。そこを私は言わんとしているのです。二十七年三月の実態調査を基礎にして出したんだとおっしゃるけれども、これは医療機関の収入面というものがありのままの姿で出されていないところに問題がある。こういうことなんですね。まあこれは大体わかりましたから、これ以上はやめます。
 それからもう一つは、健康保険経済の見通しですね。これを一つはっきりさせておきたいと思うのですが、先般私がお尋ねしたときに、三十年と三十一年については明確になりました。そして三十二年度――今年度については高田さんからとんとんだというお話があったのです。自民党の内閣ではとんとんと言うことが得意で、かつての経済企画庁の長官は、とんとんと言っておって、とんだ国際収支の赤字を教えてくれたんですが、まさか保険経済がとんとんだと言って赤字になることはないと思います。そこで保険経済の見通しについて少し正確なところを御説明願いたいと思うのです。もうすでに三十二年度に入って半年以上の実績が出たわけですから大体見通しはつくだろうと思うのですが、一つ簡単に要領よく御説明願いたいと思います。
#19
○高田政府委員 今日資料を持って参っておりませんが、一番問題は、十月一日から切りかえる定時改訂の収入の方の認定の結果がまだ判明いたしておりませんので、その辺のところがわかりませんと正確な見通しができないのでございますが、医療費の方の伸び方は大体予定通り行っているように思うのでございます。ただ感冒の関係で若干その影響を受けたと見られる節もございますが、おおむね予想通りというふうに私は心得ております。それから被保険者の増加傾向は、本年も昨年と同じように相当ふえてきております。このふえ方が、私は、いわゆる新規採用のものもございますけれども、未適用のもので適用されてきたものが相当あるというふうに見ております。従って、今日のところまず赤決算を出すことは絶対にないというふうな予想に立っておるわけでございます。しからばどの程度の黒になるかというと、先ほど申し上げました定時改訂の結果を総合して判定いたしませんと正確な見当がつかないのではないかというふうに思うのでございます。今後もう少し資料を分析いたしまして大まかな見当でも立てたい、こういうふうに存じております。
#20
○滝井小委員 定時改訂の問題ですが、これは局長も御存じのように、全産業の平均賃金ベースもずうっと上ってきているわけです。これは二十九年、三十年、三十一年と見てもずっと上ってきております。それから最近の給与の形態を見ると、基本給も確実な足取りである程度上ってきておりますが、基本給の上りよりか臨時的な給与――七月、八月、十二月に出される臨時的な給与の伸びの方が山がはるかに大きいのです。三十年が全給与の一割四分、三十一年は一割六分くらいになってきている。今年はおそらくもっとふえるのではないかと思うのです。そういう形から見て、基本給も上るし臨時的な給与も上ってくるということになると、診療報酬の額も相当上ることになるのです。現在の報酬額で計算をして行っておってもそうこれは大きな誤まりはない、むしろ客観情勢の判断からいけば、診療報酬を基礎にしてやっておっても改訂をしたときに伸びの方が上回ることは確実だ。従って現在の報酬、それからおよその雇用の伸び――これは年々雇用が伸びておる、特に中小企業において雇用が伸びておることは確実です。昨日もちょっと労働問題でそれを明白にしたいと思ったのですが労働省が勉強不足で、日本の資本主義といわゆる中小企業との関係、資本主義が伸びるにつれて資本の独占がだんだん強化されていくが、その場合に中小企業というものは量的に一体どういう発展をするかという明白な見通しを労働省は持っていなかった。しかし大体実績を見ると、中小企業というものが拡大再生産されていることは確実なんです。ずっと伸びております。従って雇用がそういうところに増加をしてくることは大体確実でございますので、定時改訂というものは行うが、それを今のままの姿で雇用の増加だけをある程度見積っていけば、保険経済は今あなたの言うようにそう赤字決算をすることは絶対にないというようなことは、これは今の保険経済の状態から見れば局長さんが言われなくても常識なんです。今感冒がはやっております。しかし感冒なんというのは二日か三日しか医者にかからないものなんです。これは五月ごろか六月ごろに流行したあの東京A57のあれと同じなんです。少し死亡が出ておりますけれども、感冒に保険経済を大きくゆさぶるほどのものはそうない。いろいろ基金の実績を調べても非常に短期です。従って雇用が増加をし、全産業の平均賃金がだんだん上っていく、臨時的な給与もふえるというような情勢になってくると、受診率、医療費の伸びというものは、昨年、一昨年から今年になっての伸びの状態をある程度プラスしても、およそのものは出てくるのではないかと思うのです。だからそれをあなた方がやっていないとは言わせられないと思うのです。おそらくある程度はやっていると思うのです。それはどうしてかというと、昨年において六十億の赤だといっておったのが四十八億の黒字が出ておるのですから、それはあつものにこりてなますを吹くというわけではないが、とにかくあなた方は保険経済については相当慎重になられておるはずなんです。それだけにまた相当検討されておるだろうと思うのです。だからきょうはそう秘密にせずに、およその見通しは大体このくらいの黒にはなるのじゃなかろうかと大まかには見ておるがという程度でよろしいと思うのです。そのくらいのことは保険局長として当然責任上私はやっておかなければならぬものだと思うのです。予算編成期になった現在では特にそうです。それを一つあまり秘密にせずにざっくばらんに御説明願いたい。
#21
○高田政府委員 賃金ベースの上昇ということは、私も大体傾向としては先生の仰せの通りだと思うのですが、ただ私どもの方の平均標準報酬というのは、賃金ベースが上りましても、上る部面もありますが、被保険者の構成によりましてかえって下る場合もあるわけなんです。特に先ほど私申しましたように、新規採用とかそれから未適用の事業場がどんどん入ってくるということになりますと、どっちかというと、その傾向は平均標準報酬という観点から見ますと下る要素になってくるわけです。従ってその辺が必ずしも――賃金ベースの上昇があるのだからそれを上ると見て計算をしてもということでございますが、ひょっとすると下るかもしれないという心配もいたしておりますので、そう簡単にも参らないと思うのでございます。大体の見当はつけておるはずだというお話でございますが、しかしこれは非常に無責任に、私どもは大体こういうふうに思いますと言いますと、今度その数字が違ってくると、また違ったじゃないかということで怒られますので、私そう無責任にその数字を申し上げるのはどうだろうかという感じがいたしておるのであります。いずれ十二月の末ごろになりますと、最終的に来年度予算を固めていくためには、毎年々々確実な見通しを私の方と大蔵省とでやることになりますので、その時期までにもう少し詳細な検討をいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#22
○滝井小委員 そうまで固くならないで下さい。およそのところの見通しがつかないはずはないと思うのです。それというのが、昭和三十三年度の社会医療の総支出が二千四百六十億であるというところまで見通しをおつけになっておるわけですね。そうしますと、そういうところでお見通しの立つ保険局が大事な収入の面で見通しが立たぬというそんなばかげたことばないわけです。従ってこれは何もあなた方がここで言ったからといって、見通しが間違っておったじゃないかといったところで、これは間違っておったものはやはり間違っておったもので仕方がないと思う。それで当るも八卦当らぬも八卦ということもあるのですから、占い師じゃないけれども、ある程度科学的な根拠に基いて推計というものはする必要があると思う。特に昭和三十三年度の医療費というものを問題にしてやっておるわけです。単価問題あるいは点数の問題というものは、従って一番大事な今年度の見通しが立たずして、二十七年あたりのものを基礎にしてだんだんやっていくというよりも、今年の財政というものが今後の政策を立てる上に大事じゃないかと思います。あなた方はこの前私に説明して、収支の見通しを立てる場合には、保険の支出というものは今年非常に大きな支出があると翌年は減るという形で御説明になったことがあるのは御記憶だと思いますが、それによりますと、ちょうど今年は医療の非常に少くなる年なんです。一人当りの医療の支出が少くなる年になる、来年は多くなる年になる、そうすると、流感の割引を幾分入れたにしても少くなる年だ。日本の社会保険の医療費というものは、大小大小とこういうカーブを繰り返していくのだというのは、過去二十五年以来ずっと三十年まで、あなた方が予算編成のときの一番基本としてお考えになる点だということを御説明になった、これを忘れていないと思います。今年は少くなる年なんですよ。その見通しからいくと、三十年度が小で三十一年度が大、三十二年度がちょうど小になる年だ。前には収支の見込みについてある程度科学的な根拠であなた方われわれに説明したことがあるわけです。従ってその科学的根拠で――あのときの説明があるいは間違っておるかもしれませんが、大体あのルールで御推計できると思います。そう固くならずに赤字にならぬことは確実だというならば、一体どの程度黒字になるかくらいのことは言えると思います。それが言えないはずはないと思うのです。だからあなた方の専門的な事務当局としての立場から見ると、どのくらいにはいけるだろうという推計はできるだろうし、また言えると思います。それを今度言ったからといって、間違っておったじゃないかとは申しません。ここではっきり申し上げておきますから、およそそこらあたりをやはり明白にしてもらわなければならぬと思う。群盲象をなでる形では困るので、やはり保険当局の推計というものが、われわれ政治家がいろいろ今後ものを考える場合にも、非常に重要な点になってくる。そこできょうはお尋ねしておるわけです。あと十分くらいで、まだ健康保険組合のことも尋ねなければならないので、早目にお答えて下さい。
#23
○高田政府委員 政府管掌の医療費としては、予算より医療費全体としてはふえるだろうということは、これは間違いございません。ということは、被保険者が相当伸びておりますので、予算よりは相当医療費の方の支出はふえるだろうという見当はつけております。それで御存じのように、支出と収入と両方の関係で、そのバランスが出て参りますので、両方が動くので、非常に見通しがつけにくいのでありますが、これはあとで間違うても怒られぬということですから、私のごく個人的な見当は、二、三十億程度は確実に黒になるだろうというふうな印象を持っております。というのは、予備金が十八億九千万か何か計上してございますから、大体予算通りに推移すれば、これだけは余るわけでございます。そういうふうなことを頭に置きますと、二、三十低程度は確実に黒決算ができるのじゃないかというふうに考えております。楽観的に見れば、もう少しいくだろうということも言えますし、それからまた最近悪質な感冒がはやっておりますので、そういうふうなもので悲観的に見れば、悪くなるという考え方もできると思います。これは私のごく個人的なあれでございますから、あとでおしかりを受けませんように、どうぞよろしくお願いします。
#24
○滝井小委員 どうもやっと白状したようなものだが、二、三十億の中には、結局十八億の余備金を入れてのことと今の説明を理解しておきたいのですが、個人的の見解であろうと、保険局の見解であろうと、厚生省の見解であろうと、一応非常に参考になるので、ありがたく拝聴いたしました。私の個人的な考えを一緒に申し述べさしていただくならば、もう少しやはりいけるのじゃないか。へまをすれば、これの三倍くらいはいくのじゃないかという感じもするのです。実は最低六十億くらいはいけるのじゃないかという感じがするのです。へまをすると百億くらい残るのじゃないかという感じがするのですが、これはやはり両極端でございますから、あなた方は最下位を見積っていくであろうし、私たちはできるだけ多くを見積ろうとするので、両極端で、六十億と二十億を足して二で割って四十億は最低いくのじゃないかという感じがいたします。しかしこれは非常に参考になりますので、ありがたく拝聴いたしたいと思います。
 次に健康保険組合のことですが、この健康保険組合の二十九年、三十年の経理を見ると、決算で繰越金が、二十九年は五十一億三千九百十九万円あります。それから三十年度は急激に繰越金が少くなって、二十六億二千六百八十九万五千円、こうあるわけです。これをやると少し長くなるのですが……。
#25
○小島小委員長 滝井君、あと五分です。
#26
○滝井小委員 わかっております。だからこまかいことは省きまして、三十一年度の決算見込みですか、一体繰越金がどの程度になっているのか。これはもうわかっているはずだと思うのです。五月末には締め切るわけですから、少し延びたにしても八月くらいにはわかっていると思うのですが、その資料が、実は三十年度は持って来ていないのですが、次にこの委員会が開かれるときには、できれば三十一年度分を出してもらいたいと思うのですが、とりあえず三十一年度の繰越金の見込みをお知らせ願いたい。
#27
○高田政府委員 個々の組合の分は、わかっているものもございますが、全部のものは、まだきておらないものがございますので、集計をいたしておりません。それで御参考までに三十年までの分で言いますと、法定準備金が全組合を通じて約七十億円程度あったと記憶をいたしております。それから共済組合の方におきましては、例の年金の、私の方の積立金に当るものが七百五十億程度あったと思います。これはたしかごく最近の数字であったように記憶します。これは三十年度ではございません。ごく最近の数字を私聞いたのでございまして、七百五十億程度。それから共済組合の短期保険の方で、支払い準準金、不足金補填積立金というふうなもので、おそらくこれは、まだ制度の内容はつまびらかにしておりませんけれども、健康保険組合の法定準備金に当るようなものだと思いますが、それが五十億程度、かように私記憶をいたしております。よく共済組合と健康保険組合を通ずると、八百億の金が余っておって、それがいろいろなところへ使われておるからというような話を聞くのでございますが、そのうちの大部分は、今申し上げたように共済組合の長期給付の方の積立金、すなわち厚生年金保険で二千億からに達しております、あれに当る分でございます。長期年金等を支給いたします分の、その支払いに充てる原資として積み立てている、これが大部分。大体大勢としてそういうふうな数字を私は記憶いたしておりますが、なお三十一年度の健康保険組合の方の決算じりというものは、追って取りまとめられましたならばお手元に差し上げたい、かように考えます。
#28
○滝井小委員 三十一年度の繰越金はわからぬそうでございますので、それは次会としてこの決算書を見てみますと、その他の収入で二十九年度で十六億余り、三十年度で二十四億あまりのその他の収入があるわけです。そこでその註の下の方を見ますと、寄付金、法定準備金及び別途積立金の利子収入、それから保養所等の利用収入、病院、診療所収入、雑収入、こう書いてあるわけですが、問題は病院、診療所の収入というものと、この前あなた方の出された一万二千五百点の問題ともこれは関連してくるわけなんです。そこで私はこの前係の方に病院と診療所の数とその収入を分けて出してくれぬかということをお願いしておったのですが、それはおわかりになったでしょうか。それから同時に全国の健康保険組合の保養所の数とその収入の状況をできれば御説明願いたいと思います。
#29
○高田政府委員 保養所の数はこれは容易にわかると思います。調査をいたします。保養所の収入が幾らあったかということは、あらためて調査をいたしませんと、今の資料ではわかりません。それから医療機関の数は、健康保険組合の医療機関調べというものがございます。組合直営の医療機関の数が二百三十九、その内訳といたしまして一般に開放しているものが九十五、一般に開放していないものが百四十四、それからまた別の内訳といたしまして病院の数が七十、診療所の数が百六十九、組合直営の医療機関はこうなっております。
#30
○滝井小委員 保養所の数やら収入はわからぬわけですね。
#31
○高田政府委員 今申し上げましたように保養所の数は、ただいま持っておりませんけれども、これは調査をすれば比較的容易に今ある資料で調査できると思います。それから収入はあらためて調査し直しませんと、なかなかつかめないと思います。これをやるということになりますれば、相当な期間をちょうだいしないとむずかしいかと思います。
#32
○滝井小委員 そうしますと、あなたの方に健康保険組合から決算書が出る場合に、二十四億の収入が三十年度にあった。それから十六億の収入が二十九年にあった。これらのものは積立金から法定準備金から寄付金から保養所から病院の収入一切がっさいひっくるめたものがこれだけだという、こういう大ざっぱな報告しか出てこないのですか、そんなばかげたことはないと思うのです。
#33
○高田政府委員 もちろん組合の経理の帳簿の方には明確になっておるわけでございます。決算書の形としましては、今先生御指摘のように詳細には決算の形式はなっていないようでございます。
#34
○滝井小委員 厚生省にそれぞれの健康保険組合から経理内容、いわゆる貸借対照表、損益計算書、こうものが全部出てくるわけなんです。同時にそのこまかい内訳が出てくると思うのです。それが出てこずに、こういう大ざっぱなことだけでは監督はできませんよ。これはどういうことに経理がなっておるのか、こういう大ざっぱなものだけでは――少くとも保険料が昭和三十年度に四百三億入るためにはその事業所の被保険者の数と標準報酬の額というようなものがきちんと出てこなければならぬと思うのです。そうしないと四百三億になる理論的根拠がわからぬ、厚生省はつんぼさじきだ、こういうことになると思う。その点はもっと明白になっていなければならぬと思うのです。
#35
○高田政府委員 私、そのもの自体の事務をつまびらかにしておりませんので大へん恐縮でございます。今予算の形式が見つかったのでございますが、しかし先生が御要望になる程度のものかどうかわかりませんけれども、もちろん中身のある程度の内訳は予算書には書いて出しておるような形式になっておりますから、その予算書なりあるいは報告書なりを詳細に全国の一千ばかりのものを集計いたしますれば、ある程度御要望に応じたようなものができるかと存じます。
#36
○滝井小委員 今あなたの御説明をいただいて、病院、診療所の数が二百三十九、こう出てきたわけなんです。組合の直営診療所の数は二百三十九ございますが、事業主の病院との関係、これがやはり明白にされなければならぬと思うのです。私たちは日本の医療機関が末端にいったときに、何が何かわからないような状態では困ると思うのです。従って保険経済というものの経理を明白にするためには、その金が一体どういう方向に流れていくかということを明白にしなければならぬと思う。その場合に、われわれが保険経済を言うときには、政府管掌の健康保険だけではない、当然組合管掌なり、共済組合なり、国民健康保険というような面をある程度頭に描きながら、保険経済というものを問題にしなければならぬ。そうしますと、今のように二百三十九の組合直営診療機関のほかに、実に千五百八十七の事業主の病院がある、あるいは診療所があるということなんです。従ってこれらのものはどういう治療形態でやっておるかといいますと、非常に安い形態でやっておるわけです。それと並んで、たまたま事業主がないところに、今度は組合の病院を作っておるのです。事業主のあるところは、組合は作っていない。そうして健康保険組合と事業主の病院が密接な連携を結んでやっておる。こういう状態なんです。それで実質的に見ていきますと、組合の直営診療機関と事業主の病院というものは、大して変らない形になっておる。従ってそこらあたりの医師の給料の問題だって、組合立のものでも組合が全部払っておるかどうか、あるいは事業主から払っておりはしないかというようなことも検討する問題が出てくるのですね。そうしますと、そういう問題が入り組みますと、医療機関の経理の問題というものは組合や事業主の病院を持ってくると、非常に複雑になってきてわからぬことになるのです。そこが私の言わんとするところです。ところがその複雑なわからないものをあなた方は今度はこの点数の中に持ってきているのですよ。千二百五十点の計算の中に持っていらっしゃっているわけなんです。実ははっきり白状すれば、私はあなた方のこの千二百五十点というものの妥当でないということをつくために、今ずっと遠回しにこういうところからやってきておるわけです。そのためには、まず組合管掌の経理を問題にしていくということになって、それが明白になってくると、あなた方のこの推計が正しいかどうかということがわかるわけです。それは一にかかって今私が申しましたその他の収入の昭和三十年度の二十四億、二十九年度の十六億、そうして三十一年度は一体幾らなのか、三十二年度はどのくらいと推計がされるか、三十三年度は一体どうなるのかということによってきまってくる。ということは、三十三年の千二百五十点というものを推計するという形になるわけです。ところが二十九年、三十年はわかっておるが、三十一年、三十二年、三十三年も全部ブランクでわからぬものをあなた方は推計でここに出してきておるわけです。だから私は、これが出るならば、三十一年と三十二年度の実績というものがまずあなた方にわかっておるだろうという推定に立っているわけです。ところが今の御答弁では、まるきり三十一年も三十二年もわからぬし、それからすでに決算が出ている二十九年と三十年のその他の項目の診療所なんかの収入もまだはっきりわからぬ、こういうことなんです。今の御説明ではわからぬわけなんです。局長さんは知らぬわけなんですよ。従ってやはりこういうところを明白にしておく必要があると思うのです。それから巷間健康保険組合にしても共済組合にしても、今局長さんが言われたように、莫大な金を持っているんだというようなことを言われておるのです。それの疑いを解くためにも、一体保養所は幾らあるのか、現在の時価で評価をしたら幾らになるのか。固定費魔の評価、帳簿に載っている帳簿価格というものは使い。だから、一応時価で評価したらどのくらいになるのかを明白にする必要がある。日本の社会保険というものはちりちりばらばらになっておって、保険当局というものが確実にそれを把握していないところにこういう疑いが出てくるのです。だから、やはり監督下にある機関というものに、事務費を補助し、今後幾分の国庫負担を出そうとするなら、やはり経理の実態というものを明白に把握してもらっておく必要があろうと思うのですよ。そういう意味で、局長さんはどうも政府管掌の保険者だけの立場をとられて、あとのことは事務当局におまかせのようでありますけれども、これはやはり重大な問題になってきますから、局長さんとしては健康保険組合の実態をもう少し御調査を願って、そうして今言ったような保養所の問題、病院、診療所の実態、それから事業主病院と健康保険組合とのからみ合い、こういう問題を、次会には局長さんの方から、私が質問するまでもなく、まず冒頭にこういう状態になっているということを一つ御説明願いたいと思います。そうしてそれから質問に入らせていただくということで、一応きょうの私の質問は終りたいと思います。それはできると思いますが、そこらあたりどうですか。
#37
○高田政府委員 次会というその次会が問題になるのですが、そうすぐ次会が開かれたんでは研究するひまがありませんから、ずっと先にしてもらえればその間に私できるだけ勉強しておきます。
#38
○小島小委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#39
○小島小委員長 速記を始めて。
 八田貞義君。
#40
○八田小委員 大臣は来ないですか。
#41
○小島小委員長 本委員会があるので出にれないそうです。
#42
○八田小委員 それでは、今度の診療報酬を現行のものに比して八・五%程度引き上げる、このことは前に書いてあるいろいろな文章から八・五%程度引き上げることが適正なる医療報酬ということになるのかどうか、その点をお伺いしたい。
#43
○高田政府委員 私どもの見解は、それで適正な医療報酬になるという見解をとっておるわけでございます。これを今医療協議会で御批判をいただいておるということでございます。
#44
○八田小委員 適正なる医療報酬として現行のものに比して八・五%程度引き上げればいいのだという御答弁でございますが、そうしますと、二八%の税処置の問題です。これとのからみ合いがどうなるかという問題です。あの暫定処置は、少くとも適正なる医療ができるまでの暫定的な処置として、税体系の上からいえば変態的なものなんですね。ですから、もしも適正なる医療報酬だとして大蔵省に交渉されたなら、必ず大省蔵の方では暫定処置の税処置をはずそうではないかというようなことになってきやせぬかというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
#45
○高田政府委員 大蔵省の方からさような申し入れがあることは事実でございます。強硬な申し入れがございます。それから私ども医療報酬を幾らがいいかということを算定いたします場合には、二十七年の世帯支出三万三千円というもの、それから今回の私どもの医師の所得が平均して六万九千九百五十五円、七万円弱のものでございますが、これはいずれも所得税、市町村民税は含んで、その中にいわゆる税込みでものを考えておるわけでございます。従ってその際に理論的には特別措置云々というふうなこととは無関係にこの金額は算定をいたしたわけであります。従って特別措置の問題は別個な問題として端的に申し上げれば、開業医の税込みの平均ベースが約七万円になる、それでは気の毒であるから特別措置をすべきであるか、いやそれはそれだけになればもう特別措置は要らないのかというふうな、別個な高い立場からの御判定があってしかるべきものというふうに理論的には私ども考えておるわけでございます。
 ただこのことは一つ御了承おきを願いたいのであります。三万三千円という当時の世帯支出の中には税金は含まれておりますけれども、それはすでに当時特別措置があったわけでございます。従ってそれを引き伸ばして七万円弱のものにしたのでございますから、私どもが引き伸ばしたものとの中に特別措置というものがあるのでございますから、それを引き伸ばした場合においてもその考え方からいえばやはり特別措置があって妥当ではあるまいか、こういうふうな別個な観点からでございますが、私どもの持ちます資料そのものが二十七年当時にすでに特別措置があったわけでございますから、その特別措置があった当時の医師の世帯支出というものをもとにして伸ばしておるわけでございます。その伸ばす理由はそこに書いておりますように、いろいろな理由で伸ばしておるわけでございます。従って当時と同じ程度の生活を医師にしてもらい、さらに貯蓄の点も考え、忙しくなったことに対する報いというものも、こういうふうにするということであれば、やはりそこに、もとに特別措置があるわけでございますから、特例措置があってしかるべきものであるということに、私は資料の点からなって参ると思うのでございます。しかしこれは最初に申し上げましたように、私どもは適正な医療を算定いたします際に、その特別措置、税措置の問題を入れて考えますと、これは非常にめんどうな複雑な問題になりますので、一応倫理的には引き離した考え方で算定いたしております。用いた資料から申しますと、今のようなことになるわけでございます。その点は一つ御了承を願いたいと思います。
#46
○八田小委員 今の局長の話は、私はほんとうに同感なんです。ところが財政金融部会あたりの考え方というものは、必ずしもそういうふうな見方をしていないわけですね。もちろん医療の形態というものが、事業税を課するような考えから税を割り出していくということは、これはちょっと問題があると存じます。今までお伺いしました間にいろいろ折衝の場は持たれたでしょうが、私はあなたの今おっしゃったお考えに全く同感でありまして、私も同様にその問題を取り上てげ強力に進めていきたいと思うのです。
 それからもう一つの点ですが、それと関連して少し話して参ります。今度の厚生省の試案というものは、支払い方式の変更にひとしい大幅な点数改正というものがやられたわけなんですね。こういった支払い方式の変更にひとしい大幅な点数改正というものは、国民皆医療保険とにらみ合してもっと慎重に運ぶべきじゃないか。第一に診察料について問題があるわけですね。こういった診察料について今度変って参ったわけでありますが、こういった診察料については医学会の統一した見解を得た後に決定すべきものであろうというふうに考えるわけです。これは非常に重要な問題ですから。もちろん大幅な点数改正には、いろいろな問題がありますが、その中でも診察料という部門は、これは技術をいかように評価するかという大きな問題ですから、医学会の統一的な見解を得て決定していくべき問題であろうというふうに私は考えます。またあるいは医療協議会の専門部会かの決定を得まして、それをさらにまた日本医学会の方で検討してもらう、こういった段階を経た上での私は点数改正であるべきだと思うのです。ところがそういった段階なしに、ただあなた方の手でもって簡単に点数改正がやられてしまったということは、非常に私、自分ではこういうような方法が実際にやられていいのかどうかというような疑問を強く持つものでありますが、この点について一つ局長の御見解をお話し願いたいと思う。
#47
○高田政府委員 支払い方式の変更だという仰せなのでございますが、言葉の使い方で別に大して論議をする必要もないと思いますが、私は支払い方式の変更だとは考えておりません。普通支払い方式として呼ばれるのは、個別払い方式であるとか、あるいは人頭方式であるとか、件数定額方式であるとか、そういうふうなことがいわゆる支払い方式と申しておるのでありまして、別に私どもが今回改正を意図しておりまするところが、支払い方式の根本的な変更であるというふうには、私どもは考えておらないのでございます。
 それから診察料みたいなものは、学会の意見を聞いてきめたらどうかという仰せでございますが、学会の方からいろいろ出ておられます専門部会では、こういうことまではどうも御意見が一致しておるようでございます。というのは、各科の診察料を、内科の初診は幾らだ、耳鼻科は幾らだというふうに区別をつけることはこれはどうもいかぬ、みんな一緒にすべきであるというふうなところは、御意見が一致しているわけなのです。一体それを幾らにするかという金額をきめることが学会のお仕事でございましょうか。私はそういうふうには考えないのです。これは診察料が、たとえば内科の診察と耳鼻科の診察が一体同じ価値として評価せられるべきかどうかということは、これは学会でいろいろ御意見を伺ってみるということはありますけれども、それを一体百円にするがいいか、二百円にするがいいか、三百円にするがいいかということは、これは学会にお聞きしても、むしろ学会の方で迷惑千万だということになるのじゃないだろうかというふうに私は考えております。
 それから点数改正というようなものは、学会の意見を聞かずにお前たちが今回勝手にやったのだからという仰せでございますが、私どもは勝手にやろうとしておるのじゃございませんで、一応案を出しまして、これを中央医療協議会という諮問機関にかけて御検討願っておるわけなのです。もしそういうものは学会でやらなければならぬ、学会に聞かなければならぬということになれば、これは法律上そういう手続をすべきで、中央医療協議会というところには、いわゆる診療担当者の代表者という方も出ておるわけでございます。学会の御意見というようなものも、そういうふうな協議会を通じて反映をいたしてくるということを予定して、ああいう法律上の手続を定めておるものと私は思うのです。従って中央医療協議会には各学会の代表者が――ことに第三専門部会には御参加になっておりまして、ここでいろいろ御意見に聞いたことは聞いたのでございます。最終的にこうだということはまとまっておりませんけれども、とにかく中間的なわれわれの考え方としてはこうだという報告をいただいておるわけなんです。従って、われわれはそれを尊重いたしましたけれども、役所の責任において――全部部会の責任というわけじゃございません、役所の責任においてそれをそのまま取り入れて今回の点数表の改正案を作り、医療協議会というところで御批判をいただいておるわけでございます。従って、私どもといたしましては、今日の客観情勢で許されておるだけの配慮はその手続の上においても十分いたしておると考えておるのでございます。
#48
○八田小委員 今局長は十分に学会の意見を反映させるような格好になっておるんだというようなお話でございまするし、第三部会の中間報告を根拠にしたというのですが、その中間報告は報告の程度であって、内容においてはほとんど具体化していないと思うのです。こういったものを取り上げられて、そして今度点数改訂というものが非常に大きく表面に出てきたわけです。しかも、これはあとでいろいろと順序を追って質問して参りますが、点数改訂をされるときに日本病院協会とかある一部の人との間に秘密裏な交渉の場が持たれて、そして大幅な点数改訂というものがやられてきたんだというふうに、自分らは経過の上から見て考えるわけです。特に、医学会の方に一々点数の問題について御相談したのでは医学会自身がお困りでしょうというような御発言もあったようですが、日本医学会はさきに、医学を根底とする技術の応用に関しては日本医学会の意見を徴すべきであることを専門分科会小委員会において決議しておるわけです。決して迷惑だなどとは言っていないのですよ。局長は一人できめてしまっておられるようですが、点数改訂ということは非常に重大な問題なんです。それを、日本病院協会とかあるいは一部の委員の間で交渉の場が持たれたということは承知いたしておりますが、そういう少数の人だけで当てはめ作業をやってみたりいろいろしまして、これならばいいんじゃないかということで点数を動かされてしまうということは、今の単価点数の支払い方式というものに対して概念を大幅に変えていった、こういうように私は考えるわけです。だから学会の方は決して迷惑していません。どんどん諮問していただいたらいいのです。専門の第三部会がございまして、そこで出された結論がさらにまた学会に供せられるのです。決して学会は迷惑しないし、こういう問題については非常に喜んでやるようにしたいということで決議をやっているわけなんです。この点、一つ明確にお聞きしたい。
#49
○高田政府委員 私が学会が御迷惑でしょうと申し上げたのは、先生が仰せのようなことではないのです。初診と再診の比率をどういうふうに見ていくかとか、あるいは各科の診察料を区別すべきか区別すべからざるかというてふうなことは学会としても十分御検討になるに適当な事柄でございましょう。しかし、初診料を二百円にするとか三百円にするとか金額を学会に聞いてみたところが、御存じのように、国民経済とか国民の生活の水準とかそういういろいろな経済要業によって金額の絶対値というものはきまるものでございます。学問なら別でございまして、医学的にきるものではないのです。そういう意味で、金額を聞いたところで学会としては御迷惑なことでございましょうということを申し上げただけでございますから、その点は一つ誤解のないようにお願いいたします。
 それから私どもの原案を作りますにつきまして、病院協会と相談をしたとかいうようなお話がちょっと出ましたが、さような事実は全然ございません。私ども事務当局の案を作りますにはどことも相談をいたしておりません。病院協会はもちろんのこと、いかなる団体とも相談をして作ったものではなく、私ども役所の内部だけで作ったものでございます。そのことは明確に申し上げておきます。
 それから医療協議会とかあるいは学会とかいうふうなところの最終的な意見もまとまらないのに点数改正という大事件を局だけで考えて案を出すとは何事だというふうな御趣旨の御質問でございますが、その点はワクの問題においても同じでございます。ワクの問題におきましても、そういうことを審議していただこうとしても諮問機関がまだ結論を出しておられないのでございます。一体どちらが重大かといいますと、点数改正も重大でございましょうけれども、ワクの問題もそれに劣らずあるいはそれ以上に重大な問題だと考えております。そういうふうに両方の問題につきましてとにかく結論が出ておらない。私どもはこの結論を待って今回の案を作りたかったのでありますが、御承知のような事情でいずれも結論が出ておらない。しかも、これが出ないから案を出さないのだと言えばまたこれをかくれみのに使って進まないという御非難を受ける部面もあるわけでございます。いずれの問題もそれぞれの審議会なりそういうところで結論が出ておらないけれども、医療費の再検討の問題は、国会の附帯決議にもございますように捨ておけないということで、私どもだけの責任において自分たちの考え方を明らかにしたわけなのでございます。そうして法律上の諮問機関である医療協議会の御批判を請うておる、こういうことでございまして、その点におきましては点数改正の問題もワクの問題も同じことであろうかと思います。
#50
○八田小委員 ワクの問題とおっしゃいますが、局長のワクの問題というのはどういうことを言っているわけですか。
#51
○高田政府委員 値上げの問題でございます。
#52
○八田小委員 値上げの問題をワクというふうなことで表現されておりますが、そうしますと、八・五%は適正だというふうなお考えでそういったワクをお作りになったと思いますが、そのワクを八・五%に引き伸ばすにしましても、私はやはり引き伸ばし方があると思う。単価と点数の同時改訂では医療費体系を混乱させると思う。医療費体系を混乱させるばかりでなく将来の資料をも混乱させるようなことになってくる。今までの方式から内容ががらっと変ってくるのですから、将来の資料にも混乱を来たす。こういったことについては何も私だけが言っているわけじゃないのです。健保連の倉品さんという委員も両者の同時改訂はいけないということを機関誌に発表しているわけなんです。そこで疑問点が生ずる。と申しますと、同町改訂では医療費の増減といった基準をどこに置いて考えられておるか。さきには一円上げると百七十七億円になる。今回の案では二百十七億円となるというふうに言っておられるのはどういう理由ですか。
#53
○高田政府委員 百七十七億円と二百十七億円との関係は、たしか当小委員会でも、滝井先生の御質問でありましたかあるいは八田先生の御質問であったか、その点は忘れましたが、申し上げたつもりでございます。それは三十二年度の社会医療費を前提としたものを考えますれば、一円上げますと百七十七億円ほどの影響がございます。それだけプラスになります。三十三年度の私どもの推定をいたしております社会医療費を基礎として計算をいたしますと二百十何億になるということを申し上げておるのでございます。この点はそういうことでございましたので、そのもとの数字が違っておりますので、従って八・五%の数字もそういうふうに開いてくるわけでございます。
 それから医療費の引き上げと点数改正とを同時にやるといろいろ混乱を来たすとかあるいは資料がなくなるかというふうなお話でございますが、そういう御意見も確かにあるかもしれません。資料という点は私よく了解できないのでございますが、とにかく単価の値上げだけして点数の改正をやらないがいいのだという御意見があることは私は十分承知いたしております。しかし私どもは医療費の引き上げをやるならば当然同時に点数の改正もあわせて行わなければならぬという見解をとっておるわけでございます。その理由は私どもはいろいろ持っておりますけれども、ともかくそういう見解をとって、そういう見解のもとに案をごらんに入れているわけでございます。これは他の見解もあることでありましょうし、いろいろ医療協議会等で御批判をいただきたいということを考えておるわけでございます。
#54
○八田小委員 どうも今の説明では私はっきりしないのですが、結局医療費増減の基準をどこに置いたかということが私のお聞きしたいところなんですが、同町改訂でははっきりと医療費の増減は、はっきり申しますとつかめないですよ。あなた方はいろいろな当てはめ作業をされてやられたとおっしゃるけれども、なかなかそう簡単にいかないと思う。というのは、医療機関を対象にして当てはめ作業をやられたのでしょうが、その医療機関の実態について、先ほども滝井委員からもいろいろこまかい質問があったようですが、そういった医療機関と一口に申しても複雑なもので多数に分れているものです。ですから同時改訂では各医療機関に及ぼす影響はなかなか推定ができない。特に先ほどお話しになった二十七年の医療実態調査の調査資料が基本となった上での推定であろうと考えられます。しかし二十七年調査の医療機関の収入支出がありのままに出されていないということは、先ほど滝井委員も指摘し、局長もそれに対して同意されておったようです。ですから同心改訂では医療費の増減の基準はそうはっきりとつかめないし、また医療機関に及ぼす影響の推定はむずかしいと思う。これは実際統計学の面から考えても、そう簡単にこういう数字になるといってそれを納得するだけの自信もわれわれはない。これはあなた方の方でも、そういった自信を持って私らに対してなかなか説明ができないと思う。ですから同時改訂ということは大胆なやり力だと考えるのですが、そのことをもう一回お願いしたい。
#55
○高田政府委員 点数改正をいたしますれば、個々の医療機関に対する影響はそれぞれ違ってくるのが当然でございます。従って点数改正をいたしますと、全体として八・五%程度増収になるということでございましても、個々の医療機関では、あるところは一〇%もいき、あるところは六%程度にとどまる。極端なものになると、もう少し極端なものも出て参ると思います。そのことは先生御指摘の通りでございます。ただ私どもは、この際に医療機関によって点数改正の関係で減収になるというふうなものが起っては、これは策の得たものではない、こういう観点から乙表も甲表と同じように取り扱って、それの選択制をとって案に入れておるわけでございます。乙表は、先生御指摘のように、点数表をそのままにして単価を一円上げたのとそっくりそのままではございませんけれども、それに近い表でございます。従って、そういうものを設けて選択制をとることによって、個々の医療機関の著しいマイナスの方の影響を防止をいたしたい、こういう立場をとっておるわけでございます。
#56
○八田小委員 今の御答弁の中にありましたように、医療機関を個別に見まするとやはり上るところもあるだろうし下るところもある。しかも下るところの方の影響はむしろ私的医療機関の方に強く現われてくるわけなのです。こういった点から考えますと甲案、乙案の二つの表に分けておられるわけなのですが、物と技術を分離した案なのだというお考えならば、この甲と乙をはっきり分けられるという意味がないのですね。しかもその乙案の方は現在の私的医療機関のための医療報酬という面から考えて残しておくのだ、甲表の方はそうじゃなくて病院といった経営の面からの考えを入れて、そうして甲案を使ってもらうのだ、こういうふうに言っておられますが、そういったふうに二つの表があるということは、物と技術を分離した上での甲、乙二表だということにつきましては、物と技術をはっきり合理的にお分けになったのなら甲、乙二つの案があるということはちょっとわかりかねるのですが、この点いかがでしょうか。
#57
○高田政府委員 点数表を改正いたしますと、個々の医療機関にはことによると減るような影響を与えるということを申しましたが、それは私的医療機関が減るということではございません。私的医療機関でも公的医療機関でも、点数表を改正いたしますれば、同じワク内でやれば必ず減るものが出てくる、ふえるものも出てくる。これは同じワク内でやれば当りまえのことでございます。従って私的医療機関が減るのだというふうに私が申し上げたのではございませんので、その点は一つ言葉をつけ加えさせていただきます。
 それから甲表、乙表は物と技術を分離した案だというふうに言っておるが、物と技術を分離したものならば二つ出てくるはずはないではないかという趣旨の仰せでございますが、私ども甲表は比較的物と技術とをできるだけ分離したような表になっておりますが、乙表は先般も御説明を申し上げましたように現在の点数のそのままを前提といたしまして、それを重点に作ったものでございまするので、物と技術との分離というようなことは現行点数と比較いたしまして別に変ったところはございません。私どもが甲、乙両方を通じて配慮いたしたところは、これは技術面をなるべく尊重していこう、医療費のワクを広げるならば乙表においても技術面が多く含まれておるような医療行為に対しての評価を上げていこう、こういう気持で甲、乙とも貫いておるわけでございます。従って物と技術とを分けるというので両方が貫かれておるわけではございません。
 それからなおお話の中に、乙表は私的医療機関向き、甲表は病院向きといいますか、公的医療機関向きというふうに言っておるがということでございますが、そういうふうにしたらいいじゃないかという御意見も一部に私聞いておるのでございますが、私どもの案はそうではございません。病院の中でも甲表にいく医療機関も、乙表にいく医療機関もある。診療所、特に私的医療機関の中でも甲表にいかれる方もあるだろうし、乙表にいかれるところもあるだろう。そういうふうなことを私どもは前提として考えての案でございます。ただ甲表では請求事務の簡素化というものを非常に強く取り入れられておりますので、従ってそういう事務の簡素化というものを計数的に見積れる病院あたりが、その面で比較的甲表を多くとられるであろう、かもしれないという予想はいたしております。私どもの御提示申し上げておる案は、甲表が病院しかも公的病院である。乙表が私的医療機関であるというふうなことにはなっておらないのであります。
#58
○八田小委員 甲乙二案を出したのは医療機関、医療担当者の随意にまかせておるのだ、こういうのですね。これはあてがい扶持みたいなもので、なかなかむずかしいことなんですね。実際甲乙二案をもらってみても、医療担当者は実際の内容をはっきりつかめましょうか。私は医療経験がございませんから何ともいえないのですが、甲乙二案を示されて、どっちに従ったら自分の医療を適正にやれるか、自信をもってやれるか、こういうことについて、あなた方の方ではもしもこの甲乙二案が通った場合、何か指導でもなさるわけなんですか。こういうものがよくわかるように説明してもらえるのですか。それともただすぽっと出してしまって、お前たち勝手にいい方をとれとやるのですか。それで初め甲表をとってみたら、自分のところではうまくいかないので、今度は乙表をとるというふうに、始終変えてくるような状態も起ってくると思うのです。そういう場合の御指示ですね。指導なんかもお考えになっていらっしゃいますか。
#59
○高田政府委員 こういう案を実施をいたしますという場合におきましては甲乙二表があるとか、あるいは一表であっても二表であっても、これはもう点数表の改正でございますので、その指導といいますか、啓蒙といいますか、あるいは趣旨徹底といいますか、こういうふうなことは十分に私どももやるつもりでございますし、おそらく医療担当者の団体におかれましても、これは十分におやりをいただくと思うのでございます。
#60
○八田小委員 時間がないので先に進んで参りますが、前の小委員会で十円とまるい単価にされた意図を伺ったのでありますが、そのときにもはっきりとした私の納得のいくようなお答えがなかったわけなのです。そこで単価を十円とされたという言葉の中に、計算単位としての意味合いが強いというようなお答えがあったようなのですが、単価を十円とされた意図をもう少し御説明願いたいと思うのです。単価を十円とされた意図の中には、先ほどの御答弁にもありましたように、単なる計算尺度、計算単位としてお考えになったのかどうか、経済的要素は含まれているのか、いないのか知りませんが、そういった点について一つお答え願いたい。
#61
○高田政府委員 単価をまるく十円といたしましたのは、あくまでも事務簡素化という観点からしたわけでございます。それで私伺っておりまして、先生のお気持の中に、単価を十円にしたことと点数改正をしたこととが若干関連づけられているといいますか、ごっちゃになって御質問が展開されているのじゃないかと思います。かりに、バランスの点では点数改正は全然しない、そういうことにしましても、単価を十円にすることはできるわけですね。もちろん点数は変ってきますけれども、点数のバランスは今のまま、しかし十円にすることはできますね。この前申し上げたように、かりに単価が十二円ときまれば十一円七十七銭分の十二円を今の点数にかけていけばいいのですから、単価を十円にしたということと、それから点数改正すなわち点数のバランスを変えるということとは、私ども同時にやっておりますけれども、それは分けてもできることなのです。従って単価を十円にしたということがそれほど大きな意味を持っておるものとは私どもは考えないのです。これはむしろ事務の簡素化と、医療費の値上げをしないでおいて、現在の点数のバランスをくずさないでおいても、単価を十円にした方が便利だということでやれるわけでございます。点数はそれだけ増していけばいいわけです。これを二十円にすれば、それだけ減していけばいいわけなんです。だから私どもが単価を十円にしたのは、考え方といたしましては、窓口の事務とかいろいろあると思いますが、そういうふうな事務を簡素化するという点を一番大きくねらっておるわけでございます。
#62
○八田小委員 そうしますと、単価はまるくしてもいいのであって、点数の方を変えていっても八・五%のワクの引き上げには内容的に別に変らないのだ、こういうような答弁のように考えたのですが、事務簡素化のために単価をずっとまるくしちゃって、あとは八・五%のワクの引き上げに見合うように点数を操作していけばいいのだ、それはやはり事務簡素化のために計算をしやすくするためにそういうふうにしたのだ、こういうふうな意味でございますか。
#63
○高田政府委員 私の申し上げたのは、私どもの今回の案には点数のバランスを変えようという要素、いわゆる実質的な点数改正と、それから医療費を全体的には八・五%ふくらまそうというもの、それから単価のはしたのついたものを十円にしようということが一挙動で行われているわけなのです。従って私の申し上げたのは、単価を十円にしたということは、そういう実質的な点数改正なり、医療費のワクの引き上げなどしなくても、そういうものと切り離しても十円にはできるわけなのです。これはそのことがいいか悪いかという御批判は別でございますが、そういうことはできるわけなのです。私どもは事務簡素化の観点から、そうした方がみんなの都合がいいという考え方からそうしたわけなのです。従って単価を十円にしたということと、実質的な点数の改正、バランスの変更と、それから医療費のワクを広げる、値上げをするという問題とは、観念的にはみな別々に考えられるわけなのです。別々にでもできるわけなのです。それを私どもは一緒にやった方がいいという考え方で、われわれの案は一緒にやっているわけなのです。ことに点数の実質的な改正と医療費の引き上げという問題は、必ず一緒にやるべきである、やらなければいけないという見解に立っておるわけです。従って十円の単価と、私どもの今回の案との関連を若干分析的に申し上げればそういうことになるかと思うのでございます。
#64
○八田小委員 あなたのお答えの中には、点数のバランスを変えていくのだということが強く打ち出されてきているわけですが、そうすると点数そのものに医療の価値評価を求めるのだ、そのための点数のバランスの改正だ、こういうことですか。
#65
○高田政府委員 点数のバランスを変えたいといういわゆる実質的な点数改正をやらなければならぬという理由なり、どういう方針でそれをやったかというふうなことについては、今まで何度も御説明を申し上げたし、それからこの刷りものの中にもあるわけでございますが、私ども同時にやらなければならぬと考えておりますことの一つは、現在の点数表には根本的に欠点がある。この欠点というものは、万人が認めておられるところである。これをそのままにして単価だけの引き上げをやりますと、その欠陥がはさみ状に広がってくる。われわれがワクの拡大をやろうとするのは、医療の内容が、何と申しますか少しでもよくなるようにといいますか、妥当な医療が行われるようにという意図をもってワクの拡大もやりたいと思っておるのですが、現在の点数表をそのままにして、単価だけをいじくってワクを拡大しますと、そのねらいさえ失われるおそれがある。従ってこれは同時にやらなければならぬ。また点数表の改正は将来に譲ったらいいじゃないかというお話もありますけれども、先ほど申し上げましたように、点数の改正ということは、個々の医療機関をとってみますと、同じワク内でやれば減る人が必ず出てくるわけです。これは必然的に避けられないことなんです。そうすればそういう減る人が出てくるというようなことは、やはりワクを引き上げるときにこそやらなければなかなかできるものじゃない。その意味でもワクの引き上げと点数の改正というものは同時にやらなければできない、こういう考え方を私どもはいたしておるわけであります。その点数の改正というのは、先ほど申し上げた実質的な点数の改正でございます。医療行為のバランスを変えていくというものでございます。そういう観点に立って、私どもは今回の案を作っているわけでございます。先生の御質問の、それじゃ点数そのものが医療行為の評価なのかという御質問でございますが、その御質問の意味がよく私に受け取れないのでございますが、医療行為の評価というものは、その点数に単価を掛けた金額が評価ではあるまいかというふうに思うのでございます。
#66
○八田小委員 私の質問しているのは、今の局長の答弁の中にもありますように、単価と点数に対する今までの概念と全く変っちゃったのですよ。今までわれわれは、単価というのは物価の変動に応じて変えるべき基本の価だというふうに見ておったわけです。今までの単価計算方式の中にはそれがはっきり出ているわけです。そのときに、点数というのは診療行為相互間のバランスをきめる指数である、こういうふうに考えて、そしてこの点数、単価方式というものを、支払い方式としてはいろいろ文句があるけれども、他の方式に比べて妥当だというふうに考えておったわけです。ところが今度はもう単価をすっかりまるくしてしまわれて、単価というものは計算の一つの計数的な意味しかなくなってしまったわけです。これを考えていきますと、今の局長の答弁から――疑えば疑うということになりましょうが、単価はずっと十円に据え置いて、もうあと点数の方でバランスしていくんだ、こういうことになって参りまして、単価十円というものは二度と上らないようにしてしまう、上らないようにしようとする魂胆があるのではないか、こういう疑惑を持つ人も出てくるわけですね。厚生省では支払い方式の合理化という美名に隠れて、実は二度と単価が上げられないようにすると同時に、医師が医療内容向上に使おう一と思っておった部分を逆に引き下げようとしているのではないだろうか、こういう疑いを持つ人もあるわけなんです。
 そこで今結局単価というものは計数的なものである、その中に経済的な要素が含まれておるかどうか。今の答弁から考えますると、単価というものは計数的なものである、事務簡素化をねらった考え方だ。従って、経済的な要素がこの中にあるのかないのか。十円にされた単価、これはいわゆる計数的なものであって、経済的な要素は含まれておらなくて、単なる事務簡素化の観点から十円にしたのだ、こういうことでございましょうか。
#67
○高田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの今回の案はワクを八・五%上げるという要素と、実質的に点数のバランスを変えていこうという、いわゆる実質的な点数改正、それと単価をまるくしたということが一緒になっているわけです。そうするとこういうこともできるわけです。単価を十円にするということだけはやめて、ワクの引き上げと点数のバランスは変えていこう、この二つだけでも案は成り立つわけなんです。それはどうすればいいかというと、たとえば甲表なら甲表をつかまえてみますと、今の甲表の方の点数の単価を十五円にしてもいいし、あるいは十一円七十七銭が一円上ったその十二円七十七銭としてもいい。十円と十二円七十七銭との比率によって点数の方を変えていけば、そうして十二円七十七銭というのを単価にすればそれでも成り立つわけなんです。それでも八・五%という引き上げと点数のバランスを変えようというねらいとは成り立つわけです。よろしゅうございますか。そういうことの方が便利か、そして十二円七十七銭という単価がついているのが便利か。おのずから点数の方にもいろいろはしたがつくでしょう、今の案を直していけば。十円分の十二円七十七銭で、こちらにもはしたがつく、こちらにもはしたがつくというようなものが便利か、それからわれわれがやっているように単価を十円にしてやった方が便利かという問題になると私は思う。先生が、いや単価を十円にしたのはどうもおもしろくないとか、いろいろ言うような声があるがとおっしゃっているのは、単価を十円にしたということではなくて、むしろ別に実質的な点数改正をやった、それが気に入らぬということではないだろうか。従って、その単価を十円にしたということとは切り離れてもそういう意見は出てくるわけなんです。そこのところは一つ整理してお考えをいただきたいと思うのでございます。その問題はそれといたしまして、これは理屈、考え方の問題でございますが、単価を十円にしたら将来われわれの医療費はくぎづけになるような疑いがある、もう単価は十円だから上らないだろうという、こういう疑いがあるという仰せでございますが、私は、今回提案しておりますわれわれの単価十円案というのは、将来絶対にこの単価を動かさないつもりでございますということは申しておりません。この前の委員会で御説明申した通り、これをこのままにしておいた方がいいという意見が強くなるか、あるいはやはりはしたがついておっても単価を上げた方がいい、将来医療費を引き上げるときにそういう意見が強くなるか、それは、そこまでの勝負をつけたつもりで私どもはやっているわけではないのでございます。しかしかりに単価は十円のままで動かぬとしましても、そういう御心配をなさるのは、医療費が上ればいいのでございましょう。単価は別に十円であろうと、一円であろうと、百円であろうと、医療費が上ればいいのですね。私は単価を十円にしたことによって医療費がくぎづけになったりすることはないと思う。だからその点は、単価の十円というものをほかの実質的な医療費の引き上げの問題だとか、あるいは実質的な点数改正の問題だとかいうものとごっちゃにしていろいろ議論しておられるからそういうことになるのであって、これをよく分析していきますれば、単価十円というものは非常に便利でいいのじゃないだろうか。そいつをちゃんと区別して考え、将来かりに医療費を値上げしなければならぬというときがあったとします。そうすると、計算はなるほど単価十円で計算すると大へんだからというので、計算は別の形で計算をして、医療費の値上げ分を出して、それを単価十円に換算して点数の方をいじったところで、できるのですね。将来医療費の値上げを単価という形で、単価というものを基礎に置いた計算方法でやりたいという要望があるとすれば、単価の方でやっちゃって、そうしてしかもその比率で点数をいじるということもできるわけですね。ということは、私がこの前申し上げたように、点数をそのままにしておいて、単価を一律に一割なら一割上げなければならぬという結論が出たとすればそうしてもいいし、点数にずっと一割全部かけてもいいのですね。だから私はいろいろな場合を想定をいたしまして、別に単価を十円にしたということで医療費の引き上げが頭打ちになってしまうんだとかなんとかいうことは、これはむしろお考えになる方があまりとらわれた考えをなすった、その前提のもとにそういう御意見が出てくるんじゃないだろうか、こういうふうに私どもは考えるわけであります。
#68
○八田小委員 こういう話を盛んに蒸し返しておってもしようがないのですが、私は単価、点数の概念というものが、自分の今まで考えてきたものとは全くがらっと変ってしまったということに対して、私たちちょっと納得いかないんですね、あまりにも民主的でないのではないかという気持がするわけです。というのは、点数の問題について変えていけばいいんだ、単価はどうせまるくして、十円にしようが二十円にしようが、そんはことはかまわないんだ、計算のあれとして考えていくんだということになれば、初めから金額を表示してしまえばいいのです。がらっと変ってしまったのですから、初めから金額を表示してもらった方がいいのです。それをわざわざ単価方式とかいって出してきて、その上で点数を動かされたものですから、われわれは文句が出てくるのです。初めから金額表示方式に変えてしまえばいいのです。しかもこの点数の問題にしましても、点数のバランスという問題を盛んにおっしゃっておりますが、これを見ますと頻度の多いものは専門技術料というものを低く見ておりますね。頻度の少いものは技術料が高くなっておるというような傾向が出てきておる。頻度の多少によって技術の高低というものはわからないはずなんです。これがはっきりとこのところに出ておる。頻度の多いものは技術料を低く見積っておる。そうして頻度の少いものが技術が高く見積られてきておる。たとえば例をあげますと、小刀で指を切ったような場合、これは非常に頻度が多いのです。これは今日労働衛生という点から見ると頻度が多いのです。しかし技術料は安い。それから帝王切開なんかは、これは頻度が少いのです。ところが技術の点から見るとこんなものは簡単です。そういうふうに、あなたは点数のバランスを変えるんだとおっしゃっておりますけれども、頻度の多少によって技術の高低というものが判断されるんだというふうな考え方が、この点に出てきておるのです。またさらに専門的の技術の面になりますと、大きな装置、たとえばコバルトの療法をやるというような場合、非常に大きな装置が要るから専門的技術を必要としなければならぬという理由にならないのです。むしろかえって簡易化されているのです。そういったものに非常に大きな点数が与えられているのですね。ですからこういった点数のバランスを変えるんだとおっしゃっておられますけれども、どうも医療技術の基本的な理念というものを、厚生省でどういうふうにお考えになって点数のバランスをお考えになるかということについて、非常に私疑問を持つのです。こういった頻度とか、技術との関連というものは、これはあなた方の事務的な考えから私は簡単に割り出してはいけないと思う。やはり学会の意見を聞いてやっていかなければならぬ。新医療費体系が非常にもみにもんで流れちゃった、たな上げになった。それほどさように点数という問題は非常に重要な問題をはらんでおる。こういったことにつきまして、私は厚生省の特に保険局の高田さんは、医療技術の基本的理念、こういったものに対して、今の御答弁では、単価をまるく下げたとか、点数のバランス、そういう問題につきましては、どうも私には納得がいかないわけです。やはり私は純学問的に、また医療の実態、医療の内容の向上というものに対して、今後のあり方ということを強く考えておるのです。私は医科大学で講義をしております。こういった連中が卒業していった場合、果してほんとうに信念を持ったまじめな気持で医療内容をやっていけるかどうかというような疑問に入ってくるわけなのです。私は結局もうけるとか、もうけないとかいう考えは持ってないのです。ただ今後のお医者さんが、果してこういった点数単価の改訂によって、ほんとうに医療の内容というものを向上させることができるかどうか、医療技術というものに対しての厚生省の基本理念というものが、われわれにどうも納得ができないという気持が出てくるわけなのです。こういった点については、きょうは時間がないようですから、このくらいにしておきます。
 ただ問題は、先ほど局長は厚生省試案については、何ら病院協会の人とか、委員の一部と協議してやったものじゃない、われわれは独自でやったのだとおっしゃっておられますけれども、やはり経過を見ていきますと、そうではないのです。はっきり病院協会では声明を発表しているのです。これなんか見ておかれるといいでしょう。私これを見てびっくりしたのです。日本病院協会の立場を再び宣明する、といって、今回の診療報酬問題は、日本病院協会がイニシアチブをとって表面化させ、ついに厚生省を動かして今日に至ったものである。その間には何回かの交渉の場をもってやったのだ、こういうようなことを書いておる。さらにまた近畿病院協会の会合が九月二十七日に京都ホテルで開かれた。そのときには――あなた方はよく答弁の中に、求められればどこへでも説明にいくのです、と言っておりますが、この近畿病院協会からは何も説明にきて下さいということは頼んでいないそうです。ところがそこに行ったのが、病院管理研修所の厚生技官の守屋君です。これは役人です。また日本病院協会の平賀参与も行って主として厚生省試案というものを説明しておる。九月二十七日ですよ。そうしてその平賀氏が全部話している。平賀氏は、点数の動かし方については自分が終始やった、そういうことが言葉の中に出てきているのです。これは非常に誤解を生んでおりますよ。こういったことに非常に問題があるのですよ。平賀さんが、求められもせずに行って、厚生省案をほめたたえて、日本医師会の案というものはでたらめだと言ったこと自身が、私非常に納得がいかないのです。こういった問題について、大臣をつかまえて、今後何とか正しい診療方式を出していきたいのです。そのためには協会というもののあり方について、公正にしかも冷静にやってもらいたいという気持を持っておるのですが、これまでいろいろやられてきておることには納得のいかない点もある。そしてこの診療報酬の内容に至ると、私の今までの予防医学者としての立場からいってどうも納得できない。技術面からいっても考えていることが、ここに正しく表わされていない、こういう考えを持つわけです。きょうは時間もありませんからこれでやめますが、どうか一つよろしくお願いします。
#69
○小島小委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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