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1957/11/06 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会 第2号
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1957/11/06 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第027回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十二年十一月六日(水曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 藤本 捨助君
   理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 野澤 清人君 理事 八田 貞義君
   理事 八木 一男君 理事 吉川 兼光君
      大橋 武夫君    加藤鐐五郎君
      亀山 孝一君    小島 徹三君
      小林  郁君    田子 一民君
      田中 正巳君    高瀬  傳君
      中山 マサ君    古川 丈吉君
      山下 春江君    岡本 隆一君
      栗原 俊夫君    五島 虎雄君
      滝井 義高君    中原 健次君
      西村 彰一君    山口シヅエ君
      山花 秀雄君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (大臣官房長) 太宰 博邦君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      山口 正義君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  尾村 偉久君
        厚生事務官
        (医務局長)  小澤  龍君
        厚生事務官
        (社会局長)  安田  巖君
        厚生事務官
        (児童局長)  高田 浩運君
        厚生事務官
        (保険局次長) 小山進次郎君
        厚生事務官
        (保険局国民健
        康保険課長)  伊部 英男君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十一月五日
 看護人員増加に関する請願(田中武夫君紹介)
 (第三七号)
 日雇労働者の賃金引上げ等に関する請願(西村
 彰一君紹介)(第三八号)
 同(赤松勇君紹介)(第九八号)
 医業類似行為既存業者の業務存続に関する請願
 外一件(床次徳二君紹介)(第三九号)
 同(保利茂君紹介)(第四〇号)
 同(有田喜一君紹介)(第一〇〇号)
 同(今澄勇君紹介)(第一〇一号)
 同(中村三之丞君紹介)(第一〇二号)
 同(福田昌子君紹介)(第一〇三号)
 同(古井喜實君紹介)(第一〇四号)
 同(山口丈太郎紹介)(第一〇五号)
 未帰還者留守家族等援護法による療療給付期間
 延長等に関する請願(佐々木更三君紹介)(第
 九九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 社会保障制度、医療及び公衆衛生に関する件
    ―――――――――――――
#2
○野澤委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により委員長が不在のため、私が委員長の職を勤めます。
 社会保障制度、医療及び公衆衛生に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
#3
○滝井委員 厚生行政一般の中で特に社会保障関係がきょうは議題になっておるようでございますが、先般、多分七月三十日であったかと記憶しますが、当時堀木厚生大臣が御就任になって初めて大臣のほんとうに基本的な考え方をお聞きしたわけです。そこでその基本的な考え方に基いて、大臣としては来年度、昭和三十三年度の予算を編成されることになるわけでございますが、すでに新聞等を見てみますと、三十三年度の厚生省の予算要求の総額が千五百五十九億になるのだ、本年度に比べて五百四十五億多く要求している、というようなことを記事で見たことがあるのです。まず昭和三十三年度の予算を編成せられるに当って、一体大臣はどういうことを柱にして大蔵省と予算折衝をやっておられるのか、その点を一つお示し願いたいと思うのです。
#4
○堀木国務大臣 三十三年度の予算編成におきまして重点を置きましたおもな点を申し上げますと、第一は、国民皆保険を進めます上において必要な事柄であるということを当委員会において申し上げました、その基礎的諸条件の整備ということを考えまして、医療費の問題、診療報酬の問題、それから無医地区の解消の問題、結核予防の関係というものに重点を置きまして予算を編成いたさせましたような次第でございます。と同時に国民皆保険を進めます上においてどうしても必要なことは、地方財政をなるべく圧迫しないということが一つでございます。と同時に社会保障の原理から見まして、従来の予算の上において国庫が負担する理由のあるものは最小限度要求いたしたい、こういうふうな考え方でございます。なお厚生省の所管の事項を実際に国民生活に取り入れて参ります上におきまして、現場機構、すなわち国民に一番直接に接近しているところの厚生行政の末端がどうも全体から見ますと弱いと考えましたので、それらについて整備をいたしたいということをもう一つの条件として来年度予算編成に当って考えましたような次第でございます。
#5
○滝井委員 三十三年度の予算編成の重点として国民皆保険の推進に必要な事項を第一に重点的に取り上げていく、それからまたその取り上げ方については、地方財政を圧迫しないということと、同時に末端の厚生省の機構の整備をはかりたいというお説でございます。そこで私はまず第一の皆保険を推進していく上において、第一に大臣にお考えをいただきたい点は、皆保険と年金との関係です。これを大体大臣はどういうようにお考えになっているのか。国民年金制度はすでに厚生省も重要な施策としてお取り上げになっている。皆保険というものは四カ年でやるのだということになりますと、三十五年には皆保険というものは一応構図としてはでき上ることになるわけです。その場合に、国民年金というものはおそらくほとんど時期を同じくして発足することになるのではないかと思うのですが、その場合に国民年金と皆保険との関係というものをどういう工合にお考えになっているのか。これを一つ端的に御表明を願いたいと思うのです。これは昭和三十三年度の予算を推進していく場合に、非常に重要な点になるのじゃないかという感じがいたしますので、特にお尋ねいたしたい。
#6
○堀木国務大臣 例の国民年金制度は、御承知の通り、内閣に社会保障制度審議会があって、すでにこの年金制度について御諮問申し上げると同時に、厚生省の中に御承知の五人の年金のための委員を設けまして、相当審議の回数を経ておるのでありますが、しかし現在の段階におきまして、原則的な問題、すなわち賦課方式がいいか、積み立て方式がいいか及び醵出制をとるとしても無醵出制のものについてどう考えるか、あるいは国民経済とのつながりにおいてこれらのものをどう考えるか、及び共済組合年金でありますとか、厚生年金をどう考えるかという基本的なお話し合いが行われている程度でございます。従いまして、むろん目標といたしましては、二年間の準備を置きまして三十四年度から実施したいという目標で進んでおりますが、いまだこの問題について具体的に実施の施策という方向がきまっておりません。従いまして、国民医療保険の問題を進めて参ります上におきましては、既定計画で一応進めて参るよりほかないという考え方のもとに、予算を編成いたしておるのであります。
#7
○滝井委員 今の大臣の御説明、社会保障制度審議会の中における年金をやる委員会、あるいは厚生大臣自体の諮問機関である五人の厚生年金のための委員会が、いろいろのことをおやりになっておるということはよく存じております。そこで諮問機関の結論が出てから考えたいということも、これは一つの方法かとも思います。しかし、現実に皆保険政策というものは進行中でございます。従って、その皆保険政策と年金というものを重要な党の政策としてお掲げになっておる自民党の厚生大臣の堀木さんとしては、当然この国民年金と医療保障、すなわち皆保険との間を一体どういう工合に調整していくかということは、やはりある程度見通しのある御答弁がいただけるのじゃないかと私は思うのです。それなくして、ただ国民皆保険は既定計画だからそのままやっていくんだ、年金は今三十四年から実施することになっておるのだが、それは答申が出てから、そのときだということでは――国民の財布は一つなんです。私はあとで皆保険のことも、基本的なことをいろいろお尋ねいたしますが、国民の財布は一つでございますので、酸出制をとるか、無醵出制をとるかということは、すでに大臣の方の党では醵出年金というものを考えなければならぬということをお考えになっているわけです。われわれ社会党としてもまた醵出制を考えております。そうしますと、国民の財布というものは、口は一つですから、皆保険のためにも財政負担をその一つの口の財布からやらなければならぬ、醵出制をとる年金にも負担をしなければならぬという問題が出てくるわけです。従って、その場合にほとんど時期を同じくして、今の大臣の御答弁によれば三十四年からおやりになるということですが、三十四年には皆保険ができ上った形なんですから、これはほとんど同時的にいくわけです。そういうことが科学的に見て、あるいは財政上から見てどういうことになるのだ、こういうことなんです。その点いろいろ調査会からの答申が出ればもっと明白になるのですが、そこらあたりは、大臣としては、主管省の大臣ですから、こういう関係にしていきたい、こういう見通しになるだろうというくらいのことは、ある程度御答弁できるのではないかと思うのです。
#8
○堀木国務大臣 財政的に見ますときに、いかにこれを調和するかという問題が、滝井さんのおあげになりましたように一つの大きな問題であることは確かであります。私どももこの年金制度自身を考えますときに、国民の所得を補佐するといたしましても国民の総所得及び経済の状況及び最近の老齢者の年令の延長等を考えますと、非常に調和しにくいと申しますか、国家財政上膨大な費用になるということは十分考え得ることであります。そうかといって、この所得補償の金額を少くいたしますことは、社会保障の見地から見ましても相当問題になって参るということで、調和をいかにするかということが最終にこの年金制度に対する一つの制約になるということは考えられるのであります。しかし、それらをほんとうに具体的に構図を描く段階にまだなっておりません。その点につきましては今後、滝井さんのお説によりますと厚生大臣の命も短かいことでございますから、せっかく努力いたしたいと思いますが、まだ三カ月で、今そういう構図を描くまでには参っておりません。
 それから医療費の問題につきましては、いろいろ問題がございますが、今のところ六年間も一応ほってあった、一応続けて参って医療費の問題、適正診療報酬の問題を、さしあたりきめることが何よりも必要であろうということは、これは滝井さんも私がこの委員会に出ました最初の委員会においておっしゃったことであります。その問題の解決に専念いたしておるというところでございます。
#9
○滝井委員 医療費の問題はあとで尋ねますので、先に答弁していただかなくてもよかったのですが、それならば大臣にお尋ねをしなければならぬのは、皆保険と年金制度との関係については、大臣就任三カ月であるので、なかなかまだ答弁できないということでございます。そうしますれば、今進行しておる、十一月十五日までには結論の出る恩給との関係を一体どうするかということです。これは大臣も御存じの通り、年金というものは無醵出と醵出があります。しかし本筋は何といってもやはり醵出の年金であろうと思う。それが賦課式をとるか、あるいは積み立て方式をとるか、それはいろいろ問題はあるにしても、まず自分のふところから金を出して、自分の老後を守っていくという形、これがやはり本流、本筋であろうと思う。としますと、大臣も御存じの通り、今のままの恩給制度の姿でいっても、昭和三十六年にならなければ、日本の恩給が減らないのです。そうしますと、ここに約一千億をこえる――ことしは公務扶助料も入れて九百六十億、恩給類似のものもひっくるめて九百五、六十億ですが、公務員に出している国の負担を加えますと千億をこえるものが出ていっておるわけです。そういう中で皆保険も同時にやっていくわけです。そしてさらに醵出的な年金制度を作る、こういうことが今企図されなければならぬ問題になっておるわけなんです。そういうことが今の段階で一体可能なのかどうかという点です。だから従って問題を要約すれば、年金と恩給との関係というものを現実の問題――すでに恩給というものは十一月十五日には臨時恩給等の調査会で結論が出てくれば、これはある程度昭和三十三年度予算に組んでいかなければならない、こういう形が出てくるわけです。そうしますとここに公務扶助料だけでも百五、六十万の諸君に一つの既得権として進行していくわけです。そのあとに年金というものが今度これを追っていくという形が出てくれば、底の浅い日本経済というものは大きな手かせ足かせをはめることになるわけです。そうすれば政治家としては、現実に行政を御担当になっておる厚生大臣としては、私は当面の問題として医療保障と年金をどうするかという問題を出してみたが、それはわからぬとこうおっしゃるのだから、今度は一体恩給との関係はどうなのか、こういうことなんです。この問題は、今多く恩給は既得権だからということで、安易な考え方で問題が進行しているのです。これは安易な形で進行さしていいのかどうかということなんです。将来ほんとうに政府与党として年金制度をおやりになろうとするならば、この恩給と年金との基本的な調整の仕方と申しますか、考え方というものをやはりきめておかなければ、これは将来になったら大へんなことになるだろうと思うのです。この点、大臣まだまだ就任早々で答弁むずかしいと言われればそれまでですが、これは大臣就任早々でも真剣に一つ、きょうお答弁できなければまた私機会をあらためて予算委員会か何かでやってもかまわぬのですが、一つ御答弁願っておきたいと思います。
#10
○堀木国務大臣 実際お話の通りで、恩給の問題を例におあげになりましたが、現在の厚生年金の問題それから現在の共済組合の年金の問題、そういうものを国民的な年金制度とどう調和させるか。それからさらに今問題になっておりますところの恩給の問題に関しましての問題が、そのままここに解決されて参って、しかも将来一つの施策として考えている国民年金との上にどう調和さしていくのかという問題は大問題だと思うのであります。私どもも率直に申して、国民年金の一つの構図があってそれに乗せて参るというふうな方向で参ればよかったものが、ここに問題が取り上げられて、全体の国民年金制度の方があとになって参ったということは、非常に国民年金制度を施行いたします上において困難さを増して参るということは十分感じておるのであります。従いまして過般内閣におきましても、これらの全体の社会保障を取り上げて、これらの個々の問題についてもさらにその得失に応じてどう考えるかという調和をはかることが必要でないかということが、提案されておるのでありますが、これは滝井さんも御承知の通りに非常に大きな問題でございますので、私どもとしては今おっしゃるような、最近に問題になっております恩給の問題のときにさしあたりぶつかってくる問題であるとは考えますが、もう少し構想を練ってみたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
#11
○滝井委員 全体の社会保障の問題を取り上げて、そして総合的に検討し調和をはかっていくということは、これは当然なんです。そこで実は日本の社会保険というものが今のような行き詰まりを来たし、そして問題を解決しようとしてもにっちもさっちもいかぬという状態になってきたということは、結局日本の社会保険がそのとき、そのときの絵をかいて、つぎはぎの状態で作られたところに問題があるのです。ところが私たちは、やがてこの退職年金制度なり国民年金制度を作ろうとするときに、今年金問題で、おそらくここ一、二年のうちには、今の社会保険が行き当ったと同じ問題が私は繰り返されるのじゃないかという気がするのです。そこで今大臣に国民皆保険の問題と国民年金の問題、それから今度年金問題を解決しようとするならば、現在年金類似の諸制度がありますが、特に大きく国家予算の中に比重を占めておる国民年金との問題、これを基本的に考えていっておらないと、これは先になってくると、今の医療問題どころじゃなくて、もっと大きな問題を残すだろうということなのです。大臣少し研究不足のようでございますので、これ以上この問題あれしません。いずれ来年の一月くらいになって解散でもなければ、予算委員会が開かれるときまで宿題にして、私も研究いたしましょう、大臣ももうちょっと研究して、予算委員会で一つこの点は質問さしていただきます。
 そこで大臣の今の一番当初に御答弁いただきました国民皆保険を推進する、今年度は四カ年計画の第二年目だ、こういうことになっておる。そうしますと、国民皆保険をわれわれが推進する場合に一番注目をしなければならぬ、焦点を置かなければならぬ問題は、これは私は国民健康保険だと思うのです。国民健康保険はいずれその法が改正になると思うので、その改正のときに基本的な問題も質問はいたしたいと思います。しかしきょうはその国民皆保険の重要なにない手である国民健康保険の基礎的な条件として、大臣は診療報酬の問題をお取り上げになった。私まだ質問しないうちに診療報酬を一生懸命やりたいとおっしゃったわけです。そこで厚生省事務局案でございます。あれはある意味では私は大臣の野心作じゃないかと言ったのですが、あれによりますと一円引き上げるということになっておる。そこで私は保険局が来たら保険局に尋ねますが、まだおいでになっておりませんので、政府管掌の健康保険の今年度と来年度の財政の見通しはあと回しにしまして、一番焦点になる国民健康保険の問題について見ますと、この国民健康保険は大臣も御存じのように、今大きな三つの課題を持っておるのです。一つは、すでに国民健康保険を実施しておる全国の市町村が背負っておる赤字を一体どういうふうにして解消していくかという、赤字解消の問題が一つ。それからいま一つは、九千万の国民の中に何ら社会保険の組織の恩典を受けない約二千七百万の――大ざっぱに普通三千万と言っておりますが、二千七百万そこそこの国民がおる。この国民をとにかく皆保険の組織の中に入れなければならぬ。皆保険の組織に入れるときにはどこに入れるかというと、国民健康保険に入れるんだということですね。これが第二の課題。そうして第三の課題は、国民健康保険においては、今の五割の給付ではもはやだめな状態が出てきておるということなんです。どういう点でだめなのかというと、私たちがたびたびここで言うように、農村における貧農を見ると、もはやその貧農というものは、国民健康保険の被保険者ではあるけれども、五割の半額負担ができないために国民健康保険を利用しないという形が出てきているので給付率を上げていかなければならぬという課題があるのです。そしてその上に今新しく加えられた第四の課題として、厚生省当局が言われるように、社会保険の診療報酬を一円だけ上げることが、すなわち総医療費でいえば八五%二百十七億上げることが適当だということになると、一円上げるということをそのまま受け取るにしても、一円上げれば五十銭は半額負担をしておる農村あるいは都市における独立自営の業者、すなわち中小企業者や農民諸君が国民健康保険においては負担しなければならぬ、こういう形が出てくるわけです。そうすると一円上げれば国民健康保険においては財政負担が幾ら加重するかということは、この前あなたの方の説明によれば三十九億だったのです。これは三十三年に引き伸ばせばもっと多くなります。そうして今でさえもが保険料の徴収率は過年度分を入れて多分八割そこそこだったと思います。従って今大臣は診療報酬の問題を一生懸命で解決せられると言ったが、国民皆保険の課題を背負う国民健康保険と診療報酬の改訂の問題との関係を大臣はどういう工合に御理解になっておるのか、端的にきょうは御説明願いたいと思います。
#12
○堀木国務大臣 確かに今滝井委員の言われましたように、どうしてもこの国民健康保険を推進していく以上、地方の保険者としての赤字を考えなければ推進しにくい。現に今度の診療報酬の問題に関しましても、地方の町村において取り上げられております問題は、これ以上保険者団体として赤字をしょっていくのは困るんだ、厚生省の施策をやりますときに、地方団体に赤字のしわ寄せがいかないように考えなければならぬというので、先ほども地方団体の赤字の問題を解消しなければならぬというようなことで例に申し上げたような状態であります。今度の三十三年度予算におきましては、事務費においては実費を償うだけのものを考えて参らなければならないと考えますと同時に、総医療費の二割を負担いたしておりますのを国庫においてさらに負担を増して参らなければ、この問題を推進することは困難でなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。従いましてこれらが一つの要件になることはお説の通りであります。それから未組織の二千七百万人の国民を、この国民健康保険の中あるいは健康保険の中に包摂して参りますための工夫が要ることも事実でございます。それらをして参ります上において健康保険の財政あるいは国庫の財政の上に影響が出て参るということについての予算との関係を考えなければならぬと思うのであります。さらに今おあげになりました五割給付では実際に国民健康保険に入る魅力が生じないのじゃなかろうかというふうなお説についても、これは多くの声を私どもとしては聞いておる。しかしそれかといって保険料なり給付率を相当引き上げるというふうな問題になって参りますと、これも財政との調整が必要になって参りますことも私ども無視するわけには参らないと思うわけですが、今これらの問題をどう解決するかということは、三十三年度の予算全体としての構想の中にこれをどう取り入れていくかという問題が一番問題になることでございます。なお今後予算としては折衝を要する重要点をおあげになったものである、こういうふうに私どもも考えますと同時に、国民健康保険の普及をはばむその他の要素をもあわせて除去しつつ皆保険の完成に向って進みたい、こう考えておりますような次第でございます。
#13
○滝井委員 そうしますとちょっと聞き漏らしたのですが、事務費は現在大臣も御存じだし、自治庁の調査によっても百十五円要っておる。今年は八十五円しかやっていない。従ってその開きの事務費は、要っておるだけの実費はやろうということなんでしょうか。これは大蔵省とも調査をやらなければ結論は出てこない問題だと思うのです。従って私はそれはいずれそのときになってから質問をするとして、問題は国庫負担です。あなたの方は国庫負担を医療給付の二割しか御要求になっていないのです。二割を要求することになると昭和三十三年度には幾らの医療給付費の補助金が出ることになるのですか。
#14
○堀木国務大臣 数字は政府委員から答弁させますが、私の方が二割しか大蔵省に要求してないとおっしゃることはちょっと違うのじゃないかという点も考えますが、しかしいずれにいたしましても滝井さんの今おっしゃったように三十三年度の予算編成とにらみ合わさなければ最終決定には参りません問題であります。しかし私どもとしてはともかくも二割では無理じゃなかろうかというふうに考えて、それらについて何とか一般財政との調和をはかりたい、こういう考え方ではおります。
#15
○滝井委員 こまかい数字はあとでよろしいのですから基本的なところを先に……。一体昭和三十三年度の国民健康保険の国庫補助を大臣は幾ら要求なさる所存なのか。これは調整交付金というようなものをお作りになっておる、それを加えてもかまいませんよ。それを加えても新聞あたりでは二割五分ですか、そういうことなのか、今市町村が要求しておる三割、四割をやるのか。厚生省の当局の気持によってこれは次の質問がはっきりしてくるわけです。幾ら御要求になる所存であるか。
#16
○堀木国務大臣 何もかも滝井さんの方がよく御承知のようでございますが、私の方としては現在のところ大体二割五分を目標に交渉をいたしておるというのが実情でございます。それから国民健康保険組合その他におきましては三割ないし三割以上のものをぜひこの際に実現しないと困るんだというお話も承わっておるわけでございます。
#17
○滝井委員 そうしますと国民健康保険は調整交付金もひっくるめて二割五分を目標に要求する、こういうことなんですね。
#18
○堀木国務大臣 そうです。
#19
○滝井委員 そうするとその額は一体幾らになるのでしょうか。
#20
○太宰政府委員 大体百三十八億要求しております。
#21
○滝井委員 そこで百三十八億ということになると、多分ことしは八十五、六億じゃなかったかと記憶しておりますので、約七十億程度の増になるわけですね、そうすると、今まで私たちの手元で国民健康保険財政の全貌が明白になっておるのは昭和三十年度までなんです。三十年度においては多分赤字が二十億だ。そして市町村の一般会計から国民健康保険の特別会計に繰り入れた額は三十七億ではなかったかと記憶しておるのですが、とにかくその程度です。
    〔野澤委員長代理退席、委員長着席〕
そうしますと、三十一年度、三十二年度、三十一年度はすでに決算ができておるはずですから、まず三十一年度の国民健康保険の財政の見通しというものはどういうものであるのか。これは先般政府管掌の健康保険の決算と申しますか、決算予定、そういうものについては赤字々々と言っておった政府管掌の健康保険は四十八億の黒字になっていたということの説明を受けたのです。そこでまず国民健康保険の昭和三十一年度の決算の状態、同時に三十二年度、今年度の財政の見通し、もうすでに十一月ですから四、五、六、七、八、九、十と七カ月明白になっておれば大体ことしの見通しもつくわけです。
#22
○太宰政府委員 三十一年末の国保の赤字は十五億というふうに私ども承知しております。その今年度の見通しについては現在のところまだつまびらかにしておりません。
#23
○滝井委員 三十一年度の国民健康保険の赤字が十五億だ、こういうことでございます。そこでこれから大臣になるのですが、大臣も御存じの通り、昭和二十七年度から三十年度までに市町村の一般会計が国民健康保険に入れた金を総計してみますと、約百十億程度になります。現在昭和三十年度をとってみても、市町村の地方財政――さいぜん大臣はことしの予算の重点を考える場合には地方財政を圧迫しないということを掲げたわけなんです、予算編成の重点の一つに考慮したわけなんです。そうすると、昭和三十年度の市町村の実質赤字というものは二百七十九億ある。それで自治庁あたりの主張を見ると、実質赤字二百七十九億の中で国民健康保険のために出したのは百十億もあるんじゃないか。だからいわば地方財政の実質赤字二百七十九億の四割というものは国民健康保険によって赤字が出たんだという主張が行われているわけなんです。そこで問題は、今後皆保険をやっていかれる場合にないて、一般会計から国民健康保険の特別会計に金をつぎ込むということを自治庁は地方財政再建整備法が成立した後において、あなたの方の次官か局長も同意をされて通達を出している。もう一般会計から特別会計に入れちゃまかりならぬ、特に赤字団体において入れちゃならぬ、入れるとすればそれは二年を限ってじゃ、こういう強い通達を出しておるので、今後は一般会計から特別会計にお金を持っていくということは非常に困難になってくる。特に富裕な市町村においてはいいでしょう。交付税交付金をもらっていないようなものはいいですが、交付税交付金の御厄介になっておる市町村の方が多いのですから、従ってそういう市町村というものは今後非常に困難になってくるわけなんです。そうすると保険税ないし保険料の自前でまかなわなければならぬ、こういうことになる。その上にさいぜん私が申し上げた赤字を解消をし、なお普及に協力していく、そうして給付率を引き上げて、その上に診療報酬の問題を解決していくということになると、これは盆と正月が一緒に来た喜びでなく、これは借金取りが暮れのやつと盆のやつを一緒にとりにきたという形になる。この解明がない限り、診療報酬問題を大臣が一生懸命になっておるなっておると言うだけではだめなんですね。従って診療報酬は適正化されなければならない、しかも科学的な根拠に基いて適正化されなければならぬが、適正化せられるに当って国民健康保険の現実の姿をながめて、その姿の上において一体診療報酬の合理化、もっと端的にいえば、引き上げるということが可能であるかどうか。しかもそれが来年度において二割五分をとっても、ことしよりか七十億しか増加しない。七十億全部つぎ込んでも二円しか上げることができない。だからここでただ何円上げますかという質問をしなくとも、算術計算で出てくる。七十億そのままをつぎ込んでも二円しか上げることができないんだ、こういうことになるんです。もしそれを国庫負担以外から求めようとするならば、被保険者の保険料を上げるか、あるいは患者負担の半額をさらに六割負担にするか、こういうことしかないんです。だから私は理詰めで言っているようだけれども、これは科学的根拠に基いて、今大臣から答弁をもらった数字そのままを基礎にしてお返ししているわけです。従ってその点はそろそろ明白にして、大蔵省に科学的な根拠に基いて交渉しなければならぬ段階に来ていると私は思うのです。そこでわれわれも政治家の端くれですから、国民から尋ねられた場合には、科学的にはこうなっておるということになると、それは結論が出てしまう。だからその点大臣の考え方を承わりたい。
#24
○堀木国務大臣 先ほども繰り返して申し上げましたように、確かに滝井さんのおっしゃるように、国民健康保険を推進して参ります以上、地方団体の負担増ということはこの普及をはばむ一つの大きな原因でございます。私どもの方も実は過般新聞に自治庁系統から出たという新聞記事で、この国保が地方団体の赤字を非常にふやしているということがこまかく数字をあげて出たわけでございます。その前から私自身の方針が地方団体の赤字をふやすようなことをできるだけ避ける、地方団体の負担を増すようなことはなるべく避けたいということで、両省でもって事務当局の間に折衝をさしているような次第であります。今滝井さんがおっしゃったようでありますが、しかし健康保険の問題は全部地方団体が負担しないという考え方もおかしいのでありまして、一部は負担すべきものもあり、そうでない部分もございますので、それらに打ち合せを遂げまして、大体自治庁の方も了承するような段階にまづ至っているのであります。
 三十三年度の予算の編成に当りましては、そういう関係から十分自治庁とも歩調を一致さして参りたい。なお国民健康保険法の改正に伴っての諸種の問題もあわせて自治庁の方の十分な理解、従って地方団体の十分な理解の上に立って推進して参りたいというふうに進めておるような次第でございます。もしも個々につきましてこまかい数字が御入用でございましたら、政府委員の方から答弁させていただきたいと思います。
#25
○滝井委員 今一般会計から国民保険の特別会計に負担をするものについては全部やらぬわけではない、こうおつしゃいましたが、それは非常に限局されているのです。それは私自身も自治庁をこの委員会に呼び、お宅の方の保険局長にも来てもらっていろいろ一、二時間にわたってその問題を討議したことがあるのです。両者の間の意見の一致をしている点は、たとえば直営診療所であっても、その直営診療所というものは全市町村民的に利用せられるのであるから、直営診療所の修理費とか建設費というようなものは一般会計から出すことはよろしい。それからそこにおる保健婦というような人件費も一般会計が負担することはよろしいが、そのほかのものについてはやはり自治庁としては異議がある、こういうことなんです。これは保険当局もそういう点は御主張になっておった。そのほかに出てくるところは、いわゆる保険税のもとにおいて――大臣はこまかい点ですから御存じないかもしれませんが、応能の原則と応益の原則というものがあるわけです。その中の応益の原則の分におけるものは、貧しい階層が多いという場合にはある程度自治体が見るよりむしろ国が見なければならぬだろうという理論づけなんです。そうすると自治体がほんとうに見なければならぬというのは、直営診療の施設か、妥協的に見ても直営診療所の従業員の給料程度、とこういうことになる。われわれが今問題にしているのは、その施設ではないのです。現実に支払われていく医療費をどうするかということが問題になる。国民皆保険を推進する場合には、給付費をどういう工合に、一体保険税と国の負担と患者負担でまかなっていくかということが問題になってくるわけです。現在法律の上からいけば少くとも給付費の七割というものは保険税でやらなければならぬということになっておる。ところがこれは自治庁の発表ですが、実際三割五分そこそこしかなっていないのです。これは一体何を意味するかというと、結局国民健康保険を実施している市町村の国民大衆の担税力は、もはや七割に耐え得るだけのものが安易に出し得ないという客観情勢があるのじゃないかということです。皆保険の問題は、私は年金と皆保険の問題をさきに問題にいたしたいのです。いたしたが、大臣は明確な答弁ができなかったので、私は今度皆保険だけに問題をしぼってきた。皆保険の中だけの特に国民健康保険の問題をしぼってきますと、国民保険自体の中の保険料が、すでに医療給付費の七割をとらなければならぬものが七割をとれない現実があるということです。あるいはこれは現実にはとる方が悪いかもしれないが、結果として出てきておるものは、とれてないという現実は隠すことができない事実です。しかもそれが三割五分程度しかとれていなかったと私は記憶しておる。そうしてしかも国民健康保険を実施しておる市町村の所得の状態を調べてみますと、被保険者の二七%というものは所得七万以下か無所得に近いものだという実態があるわけです。こういう実態の中で皆保険をやり、しかもその上に年金をそれらの大衆にもやろうということなんです。だから、これはよほどそこらあたりの基礎的な問題を固めなければ、四カ年で皆保険をやるのだ、こうおっしゃるけれども、なかなかできない問題がある。私は少し掘り下げましたけれども、そういう観点からいたしますと、二割五分おとりになって、ことしより七十億ふえる。その七十億は、四つの課題の中で、一生懸命やっておるというので診療報酬にみなつぎ込むわけにいかない。そうすると診療報酬には一体幾らつぎ込まれることになるか。
#26
○堀木国務大臣 この間、新聞に出ましたときに三割五分、七割の問題が出たのでありますが、これは少し研究すると、どうも国庫の負担二割が出てないときの観念でなかろうかというので、自治庁と精密に打ち合せをさしておりますし、その後の経過については、数字ですから、政府委員からお聞き取りを願えばけっこうだと思います。
 それから先ほど七十億という問題がしばしばあげられておりますが、この問題についても、政府委員が七十億と申しましたのがどういう数字かを御説明申し上げますと同時に、今全体としてどの程度に考えなければならぬかということを数字としては政府委員から申し上げさせていただきたいと思います。
#27
○太宰政府委員 前段の問題は少し技術的になりすので、保険局の主管課長が参っておりますから、そちらから申し上げます。
 あとの問題は、先ほど七十億いとうのは目算の間違いでございまして、ことしが八十六億、明年の要求が百三十八でございますから、その差は五十一億ほどであります。それで先ほど御質問のありました、今度の診療報酬のワクを拡大する問題、この問題がまだどうなるか見通しつかない段階に厚生省として決定し、大蔵省に説明しております関係上、一応その問題を切り離して、先ほど御指摘のように二割五分、そのうち二割を定率にして五分を調整交付金にする、こういう方式で要求しておるのであります。診療報酬の問題がいずれそのうち解決をしますれば、その分は新たに問題として向うと折衝する、こういうことになっております。
#28
○伊部説明員 ただいま滝井先生の御質問がございました七割と三割五分の問題でございますが、国民健康保険制度においては保険料の場合と保険税の場合とあるわけでございますが、保険税の場合は地方税法によって規定をされておるわけでざいます。そこで地方税法は目的税として国民健康保険税をとることになっておるわけでございますが、これが昭和二十六年に制定されたわけでございます。そこで制定当時においては事務費の補助金についても、今日のように十分の十ではございませんし、また療養給付に対する補助金も全然なかった時代でございます。それらを前提にして療養給付費に対する七割は地方税法に定まっておるわけでございます。ところがその後、事務費が十分の十の国庫補助と改善され、さらに療養給付費に対する二割の国庫補助が法定化された今日において、五割給付を前提にすると七割の必要がないわけでございます。これは次期国会に提案を予定しておる国民健康保険法の改正に伴いまして合理的な割合にするべく目下折衝をいたしておるわけでございますが、五割給付といたしますと、保険料が総療養給付に対して三割五分を徴収しておりますれば、二割国庫負担と加えまして五割給付には一応対応する数字になるわけでございます。
#29
○滝井委員 計算は、保険税を三五%とって給付費の二割を国が出し、五割を患者負担すれば一〇五%になるから五%の黒字が残らなければならぬ、今までの行き方をすれば一四〇%になるから四割は残らなければならぬ、こういうことになるわけですね。今の説明でわかりましたが、とにかく一〇五%としても実質的にそれがとれていない。こういうことは結局国民健康保険の恩典を受けている国民大衆というものの中には、とにかく二割七分というものは七万円以下の零細な所得層であって、いわゆる厚生省お得意のボーダー・ラインの層に入るものだ、こういう点があるのです。従ってこういう階層がこの中に含まれておる限りにおいては、当然国というものが、さいぜんの税の負担の場合における応益の原則というものを大きく肩がわりをしてカバーしなければならぬという面が出てくるのではないかと思うのです。これは非常に専門的になりますので法律を審議するときにもう一回議論をしますが、五十一億程度昨年よりか増になるが、それはワクの拡大の問題、診療報酬の問題が中央社会保険医療協議会等で解決をした後には別個の問題である、これは非常に重大な発言なんです。私はきょう初めて承わったわけなんです。そこでこれは非常に貴重な御答弁として了承しておきます。五十一億プラス・アルファというものが事態の進展いかんによってついてゆくのだということでございますので、これは非常に貴重な発言でございます。
 そこで次に私が問題にいたしたいのは、そのように現在の日本の医療のもろもろの問題というものは、少しく突っ込んでいきますと、至るところに厚い壁があってもはやそれ以上は行けないという形なんです。もう人工衛星ができて月の世界に行ける状態になったんだから、われわれは一つのその壁を打ち破らなければならぬところが打ち破るということになると、もはや医療の問題は現在の単価の問題、診療報酬の問題一つをとっても、保険局の段階ではこれはどうにもできないという段階にきているのです。あるいは厚生省一省だけでもこれを自由自在に自己の意思によってやることができないという客観情勢ができていたわけなんです。これは一体何を意味するかというと、もはや国民医療の問題、そして、その国民医療を生々発展せしめていくための医療報酬の問題というものは、あるいは医療費負担の問題というものは、きわめて国民生活に密接に結びついた問題になってきたということ、あるいはむしろ一国の予算の編成の根本をゆるがす問題に発展をしてきたということなんです。もはや今から二、三年前に考え得られなかった程度にこの問題というものは大きく国の政治の舞台においても取り扱われる情勢が出てきたということなんですね。私たちは米価審議会を持っております。この問題は米価以上に大きく政治の舞台に登場をしなければならぬというほどに重大な問題になってきた、こういうことなんです。そうしますと現在の日本の社会保険の機構自体も、国民健康保険は昭和三年にでき、健康保険は昭和二年にでき、そうしてつぎはぎだらけにやってきた。そういう制度なり機構というものが、もはやこの診療費の問題一つをとっても耐え得ない状態にあるのじゃないかという感じがするのです。そこで年金問題等の関連もありまして大臣から研究さしてもらわなければならぬという御答弁もありましたが、医療の問題一つをとってみても非常にそういうように比重が重くなってきたということなんですね。とすれば、大臣にお尋ねをしたいのですが、大臣は一体そういうようになってきた社会保険のもとにおける医療機関のあり方というものは、どういうあり方をすればいいのかということなんです。なるほど医療機関というものは私的医療機関と公的医療機関と二本立でいきます、こういうことなんですね。ところがいつかの質問で公的医療機関のほかに、第三の範疇である国立病院などがあるということがわかってきたわけです。だから従って今の日本の医療というものは、医療法における私的医療機関と、公的医療機関と、もう一つ医療法の規制を受けない国家的な機関があるわけなんです。実はこういう三本立になってきておるのですが、その中における社会保険のもとにおいては、一体今の開業医というものは三十四年になったらどういう姿になるのかということなんです。これを一つ教えてもらいたいのです。
#30
○堀木国務大臣 むしろ滝井さんに教えてもらいたいのですが、現実の問題として三十四年を目標に国民健康保険をやっていく上において医療機関のあり方というものを考えてみますときに、これについていろいろな問題はございます。しかしながら根本的に論議されているような観念的な考え方でなしに、やはり現実のある姿をそのままにおいて伸ばして参るということが一番適切なのでなかろうか、しかしそれは現実を肯定しながら進めて参りますときに、何もしなくていいかといえば、することは非常にたくさんあると私は思うのであります。そういう点で一つの医療機関の体系的整備ということは考えられると思うのであります。たとえば最も高度の医学の進歩、技術の向上をはかるという観点から見まするならば、これを各種の全部の医療機関にその整備をするということは不可能でありましょう。しかしそれを中心にいたしましてその研究の結果が他の医療機関にも及ぶようにすることを工夫しなければなるまいと思います。また先ほども申し上げましたように医療機関の所在、分布等が必ずしも国民健康保険を皆保険の状態に持ち上げて参ります上において現在の医療機関の所在、配置が適正かどうか、これは相当問題があることであって、しかもいまだに無医地区が確か二百数十あると思うのでありますが、そういうふうなことを考えますとこれも改正しなければならぬ、改正するといいましてもそれはそういうところに民間の医療機関が直ちに現在の姿で出られるかといえば採算はとれないだろう、従ってこれに対して別個の考え方を立てて参らなければならぬ、また全く開業医の存在につていも最近の医学の進歩から資金等が相当要る、そういう問題についての資金面の何らかの施策がいるであろう、そういうふうなことを考えますが、しかしながらやはり現実のある姿を適応させるように施策を進めて参るのが一番いいのじゃないかという考え方で、私としてはその方針のもとに現在諸般の政策を考えておる、こういうところでございます。
#31
○滝井委員 要約すれば現実の姿をそのまま移行せしめていく、こういう御説でございます。実はそのままの姿で移行するということが行われていないところに今問題がいろいろと派生的に起っておるわけなのです。だから時代は進歩するし地球は回っておる、従って地球が回り時代が進歩する限りにおいては変化というものがある、変化というものはやはりこれは一つの歴史の流れなのです。だから現実の姿をそのままに持っていくなんということは、なかなか言うべくして行われないことなのです。だから皆保険の政策を持っていけば自由診療というものはなくなってくる。自由診療というものがなくなれば医師の経済構造というものは違ってくる。医療機関の経済構造が違えばそこに働いておる医者のものの考え方も違ってくるわけなのです。今日本の医療がこういう混乱をするというのは、未来像がわからないところにあるのですよ。一体どんな未来像が四年の後に皆保険になったら出てくるのか、これがわからないのですよ。ここに今たった一つの氷山の一角のように現われておる診療費の問題というものが、こんなに大臣が就任以来三カ月、連日連夜苦労しなければならぬという形で現われてきておると思うのです。あるいは、もう一つ質問をしたいのですが、医師というもの、医療機関というものはあるべき姿に持っていくのだ、そうすると三師、医師、歯科医師、薬剤師の団体というものは、皆保険のもとにおいてはどういう役割を演じなければならぬのか、どういう姿をとらなければならぬのかということなんです。大臣どうお考えになりますか。
#32
○堀木国務大臣 先ほどの御質問に対しても、現状をそのまま肯定して、現状のままで移行するというつもりはございませんために、いろいろ考えておることを申し上げたのでございまして、むろん皆保険の推進とともにいろいろな施策が伴ってくる、しかしながら公的医療機関と私的医療機関の問題につきましては、少くとも現状を尊重した形の上において、しかも時勢に即応したやり方をして参るための諸般の政策が要るということを申し上げたわけであります。と同時に現在のお医者さんが大体自由診療の割合というものがだんだん減って参っておって、すでに全体の平均では、任意診療の分は約三割、社会保険診療が七割くらいになっておることも、統計を見れば明らかに看取できるのです一皆保険が進みますれば、さらにこの割合は非常にふえて参るだろう。その際に、実は今の診療報酬の問題についてどう考えるかということについても、構想を練らなくてはならないという考え方になっておるのでございます。そういうふうな次第で、私どもとしてやはりこれに対して現在の開業医、あるいはその他の医療に関係した機関というものも適応していき得るような変化は当然起らなければならぬ、こう考えておるのであります。
#33
○滝井委員 時勢に即応した姿をとっていく、そうしますと、そのときそのときに絵をかいておったのでは、非常にそれらの仕事に従事しておる者は不安です。やはり少くとも三年、五年先の像はこういう工合になるのだということを、親切に説明をして引っぱっていくのが、これがやはり政府の施策に現われてこなければいかぬと思う。きょうは統制をしたけれどもあしたは統制を緩和するということになっては大へんだ。さいぜん予算委員会が開かれておりましたが、一体昨年十二月には日本経済は神武以来の好景気になるのだといって、一千億の施策をやり、一千億の減税をやっておった。六月ごろになったところが、どうもあれは間違っておったとは言わずに、黙って引き締めの政策をとったということで、盛んに一萬田大蔵大臣、油をしぼられておりました。それは神ならぬ身でございますのでなかなかわかりかねます、という答弁をしておりましたが、それじゃ責任内閣の政府としての責任はとれないと思うのです。やはり少くとも皆保険をやって、昭和三十五年までには完成しますと言ったからには、三十五年には医師の姿というものはこういう工合になるだろう、あなた方の所得というものはこういう姿になるだろう、あなた方の科学技術を研さんする形はこういう形になっていくということを教えなければ、これは岸さんはよく、青年よ希望を持てというふうに、クラーク博士のようなことを言いますが、それを持たせようとするなら、やはり青年が大学に進学したならば、卒業するまでの社会の見通しというものは教えてやらなければいけません。どうもそういう点で、やはり私はある程度の政治というものは見通しを国民に示すべきで、一年の初めにはちゃんと政策を立てて、予算を立てて、そしてやっていっているのだろうと思うのです。そういう意味で私は今大臣のいろいろの御答弁から見ても、日本の将来の医薬制度、少くとも私は将来、十年先は言いません、まず皆保険が完成をするころにおける医薬の制度というものは一体どうなるのかということは、やはり教えてもらわなければならぬと思う。ところが今大臣はあれも研究、これも研究ということでございます。そこで大臣が一人で研究されておったのでは、なかなかこれはいかぬ。今地方制度を研究するためには地方制度の調査会がある。それから年金問題をやるためには社会保障審議会でやはり専門の委員を委嘱して年金の研究をやっている。今のように、こういうように厚生行政というものが、皮肉な言い方でございますが、大きな壁にぶち当って混迷しているという現段階においては、この壁をたたき破るためには、もはや国民的な衆知を結集しなければならぬ。従ってここに二十六年ごろにできておったような広範な、日本の財政を見、日本経済の発展の状態を見、国民所得の実態を見てみて、そういう中で一体医薬制度はどうしなければならぬか、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、看護婦は今のような養成の制度でいいのか悪いのか、こういう高度の技術者を養成しなければならぬ点もあるので、教育機関から医療機関から、そうして医療機関で行われる診療の姿から、そうして未来の医師の待遇改善の問題までひっくるめた多くの問題を調査して国民に行くべき方向を示すために、もはや審議会のようなものを作ってやる時期が私は来ていると思う。ところが厚生省は、それを四人か五人の委員、保障委員とか年金委員とかを作って、そのときそのときのお茶を濁している。いつか言った芸術は長いけれども人の命は短かい、大臣の命は短かいと言いましたら、きょうおれの命はどうせ短かいということを是認されましたけれども、短かい命の中で大臣、これを一つ残しておけば、堀木厚生大臣のときにできて日本の医療制度というものはこういうように生々発展する足場を作ったということになると思う。大臣、これを一つ、野党の私が進言するのはおかしいですが、勇断をもってお作りになったらどうですか。
#34
○堀木国務大臣 御忠告を受けまして、率直に申し上げますと、私厚生省に参りましたとき、国民皆保険を推進していくという方向はきまっておりましたが、しかしながら、その基礎的諸条件を整備し、さらにこの皆保険を四カ年で推進して参ります実際的な諸条件というもの、今おあげになりました医療制度も確かにその一つでございますが、それらについて四カ年の裏打ちを考えるべきだということで、実は構想を事務当局に命じてはいるのでございます。と同時に、今御忠告を受けましたような広範な分野にわたってこの問題をどう解決すべきかという問題もぜひいたしたい。そうしてそれには私どもだけでなしに、広く知識経験者の御意見を吸収するような制度をやって参りたい。短かい命でもそこだけはお説のように種をおろして参りたいというふうな方向で今考えているところでございます。来年度の予算におきましては、それらの構想も明らかにいたして参りたい、こう思っているような次第でございます。
#35
○滝井委員 一つぜひ、来年度予算ということでなくして、そういう日本の医薬制度を根本的に検討するような調査会を作っても必ずしもいいものができるとは限りません。しかしやはりその調査会ができれば、何か総合的な結論というものが出てくると思う。一つ次の通常国会にでも法律としてお出しになって、そうしてその予算の裏づけを二千万か三千万か知らぬけれども、そういうものをお取り上げになってやられる方が、この混迷を防ぐ上においても非常にいいのではないか、こう思うのです。そういうことを一つお願いをしておきます。
 そこで、そういうものと関連して、時間がありませんので、一、二、少し派生的な問題ですが、お尋ねしたいのですが、先般私は健康保険の問題を審議をしたあとに保健所の問題を論議した。そうして日本の保健所というものは、非常に失礼な言い方でございますが、人的な機構というものがなかなか整備ができないところに大きな欠陥がある。たとえば技術者中心である医師の充足率というものが七割かそこらしかないということは、もはや行政管理庁の指摘を待つまでもなく、今の第一線の予防行政を推進する上の非常に大きなガンになっている。隘路になっている。ところが健康保険法で、今度はあれが指定医療機関になってしまう。それは結核予防法やなにかの特殊なものしかやりませんというけれども、指定医療機関と銘を打たれたからには、これは患者さんが何でも見てくれといえば見ないわけにはいかなくなる。そういうことになると、本来の保健所のあり方というものは質的に長年の間には変ってくることになる。そういう点で、こういうように行政というものがそのときそのときの風のまにまに性格が変えられるというようなことを付加するようなことは許されぬと思うのです。そういう点について、一体大臣はどうお考えになっているかということなんです。
#36
○堀木国務大臣 たしか前にも申し上げたと思うのでありますが、厚生省の現場機構が割合に弱体だ、そうしていろいろなことを扱い過ぎているというふうなことは考えておりますので、今後におきまして実はもう少し勢力を集中した部面、しかも実効の上るような、何でもかんでも取り上げてやるようなやり方でなしにやって参りたい、と同時に現場の現在の機構をさらに充実発展させて参りたい、こういうふうな意図のもとに事務当局に今命じておるところでございます。いろいろな問題があると思いますが、それらにつきましては政府委員から答弁させます。
#37
○山口説明員 ただいま御指摘の保健所における治療業務でございますが、これは現在の保健所法に基きまして結核と性病、それから歯科の治療はすることができるということになっているわけでございます。保健所でそういう治療業務をやることができるというふうに、保健所法制定の際に入れました趣旨は、保健所における結核の治療は、主として予防治療というような意味に重点を置いた人工気胸――これは一般の開業医の方はどこでもあまりやられませんので、人工気胸を主としてやってもらう。それから性病については、当時は抗生物質あるいはサルファ剤というものの使用、あるいは生産配給が特殊な形態でございましたので、これを認めるようにしたわけでございます。それから歯科については、これも根本的な治療でなしに、ごく簡単な予防的な治療をやってもらうということで始めたわけでございまして、それが現在に至るまで残っているわけでございます。それで先ほど御指摘の保険医の指定の際に、保健所が指定医療機関になったという問題で、そうなれば単にその三つの項目だけでなしに、すべての科目について診療要求をされれば、それを拒否することができないじゃないか、という滝井先生の御指摘でございますが、これは保健所法では、保健所ではこれだけはすることができる、それ以外は治療業務は認めていないのでございますから、保健所でそういうほかのものの治療をやるということは、保険指定医療機関に指定されましても、保険診療はやらせないという方針でございます。それから保健所における治療業務の発端が先ほど申し上げましたような事情でございますので、最近の事情は非常に変ってきておりまして、結核の治療につきましても、人工気胸ということは非常に少くなってきております。それから性病につきましても、抗生物質あるいはサルファ剤の生産配給ということの状態が変ってきておりますので、行政指導としては逐次これをできるだけやめさせるように指導しているわけでございます。これは今後保健所法を改正するというような機会がございましたならば、その際にこの治療業務を法律の上からも取り除くというような点についても検討して参りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#38
○滝井委員 いろいろ過去において特定の法律によって保健所がその使命を負わされてはおりました。しかしそこの医師が保険医となったからには、結核の中の人工気胸や何かだけはやりますけれども、あとの結核の治療はやりませんと、こういうように患者が保健所へ来たからには言うわけにはいかぬと思うのです。同じ保険医でありながら人工気胸だけはやるけれども、他の結核の治療はやりませんなどと言ったら患者は怒ってしまう。そうすれば保険医というものの中にも特別な何かランクか色をつけてやらなければならぬ。保険医と言うからにはみな平等でなくちゃならぬわけなんです。だからそういう法律を上からかぶせてしまったからには、やはり私はそういう言いのがれというものは患者大衆から言えばできないと思うのです。私はむしろ保健所がそういうことをやることについては反対をしたくない、反対はしたくないけれども、この立法論から言うとやはり非常に問題が出てくる。それから一つは私が非常に心配をするのは、今の地方財政からの問題です。地方財政はできる限り保健所の経費を削ろうとしておる。これは日本の今までの政治家の物の考え方が、とかく収入のないところには金を出さぬといういき方なんです。金を使うところには出さぬというその証拠には、文部行政、厚生行政という面にはなかなか金が出ないというのはそういうところにある。それが端的に地方の保健所にも現われてきて、医者にも安い給料しかやらぬから医者は集まらぬ。この間も一体全国の保健所で最高の給料をもらっているのは幾らかと言ったら、前の体系からいって十四級の三号ですか、四万五千が最高だということなんです。そうすると功成り名遂げて、最高のポストというものは保健所長です。それ以外にいくならば、県の課長か衛生部長、課長と保健所長は同じ、衛生部長というものはたった一人しかいない。最近は衛生部長を廃止するところが多くなってきた、民生部と一緒になったり、労働部と一緒になったりしていることは、いかに厚生行政が落日の思いをしているかということを川崎厚生大臣のときに指摘した。今は川崎厚生大臣のときよりももっと衛生部長というものがなくなっているわけです。衛生部長がなくなるということは何を意味するかというと、下部の保健所というものが、だんだん虐待されているという氷山の一角として衛生部長のポストがなくなることに現われているのです。それが今度はそこを保険医療機関というものに指定して稼がせるということになればそれは稼ぎます。稼げばそこで金がもうかる、金がもうかればそれだけ県の財務当局は喜ぶという形になって、本来の予防というものはだんだん影が薄くなってくる。予防ぐらい金を食うものはない。厚生行政を見てごらんなさい、予防という面が一番虐待されておる。あなたの方の公衆衛生関係、それからいわばおとなになっていく、一番予防的な厚い手当をしなければならぬのは子供に対する行政なんです。児童局の状態を見てごらんなさい。今厚生省で一番目の当らぬところは公衆衛生局と児童局です。そうして出てきた貧乏を刈り取ったり、出てきた病気の跡始末のための社会局の中の保護課とか、あるいは保険局の中では健康保険とか、こういうところのみがいたずらに栄えているというのは、日本の政治の貧困を端的に示す以外の何ものでもないと私は思うのです。だからこれは出てきた結果を刈り取るには刈り取りのために非常に多くの金を要します。しかし予防は初めは金がかかるようであっても、長い目で国家百年の大計を目途にして物を考えていくならば、予防は初めはかかるが、だんだん今度は刈り取らなくてもよいので、跡始末に金が要らなくなるからずっと楽になる。ところが今までの厚生行政というものはそれなんです。厚生行政の地方行政もすべてそういうことなんです。従ってすべて物を根本的に見ていくときに、これを保険医療機関にするということについては、必ず日本の予防行政に大きな禍根を残す、こういうことじゃないかと思うのです。それはおそらく今は一粒の麦であるけれども、弁証法的にその一粒の麦は死なない。と同じように、今厚生大臣が言ったように、任期は短かくても残しておくんだ――いい方に残せば発展するが、悪い方に残せば悪い種がはびこることになる。そういう点で一つ私は、いろいろ隘路はあるかもしれませんが、保健所はやはり保健所本来のあり方にしてもらいたい。もしどうしてもそれをやらなければならぬとするならば、私がいつも御忠告を申し上げておるように、厚生省は日本の五万の開業医諸君を使うことが下手なんだということなんだ。もっと予防行政に開業医をかり立てる道を考えたらいいんだろうと思う。それをやらない。たとえば今度のいろいろの結核対策を見ても、公的医療機関を使うことは考えているけれども、開業医を動員することは考えていない。今の日本の保健所で開業医の協力がなかったら、やっていける保健所が一つでもあるか、ありはしない。そういう点で、何かこう今の厚生省というものは、そういう開業医を使うことを知らない。故意に知らないふりをしているのかもしれませんが、これをもっとざっくばらんに予防行政に使うということになれば、治療の面でも、もっと厚生省と私的、公的医療機関の関係はうまくいく、こういう関係が出てくると私は思う。これは釈迦に説法でございましょうが、そういう点だけ一つ御注意願いたいと思う。
 それから、もう時間がありませんので、最後に、ことしの九月に厚生省が生活保護の特別実態調査というものをおやりになっておるわけなんです。これは多分毎年こういうものをおやりになるのだと思うのですが、一体そのねらいはどういうところにあるのかということなんです。これを一つ教えていただきたいと思う。
#39
○安田説明員 被保護世帯につきましては、各福祉事務所のケース・ワーカーがおりまして、なるべくたびたび行ままして、保護家庭の状況でありますとか、そのほか本人が自立いたしますための援助等をいたさなければならぬのでありますけれども、なかなか現在では手が回りませんので、毎年九月一カ月を期して一斉調査をいたしまして、そういった資料にもし、またそういう指導にも遺憾のないようにいたす次第にいたしているわけでございます。
#40
○滝井委員 そういう実態調査をやっていろいろ資料にされるということでございますが、その協力機関、これは一体どういうものが協力機関になっておやりになっておるのか。
#41
○安田説明員 協力機関というのはどういう意味でございましょうか。
#42
○滝井委員 いろいろ調査をやるのに、ケース・ワーカーだけで被保護者の家へ行って調査をしておやりになっておるだけなのか、それとも、たとえば税務署あたりに行って調べたり、はなはだしいのは病院の中に入ってカルテまで見て調べる、こういう形は、結局医療機関なんかも協力させられた機関になるわけなんでしょうが、そういうケース・ワーカーと協力をするというか、協力させられるというか、そういうものはどういうところなのか、そういうものに何か指令を出しておやりになっておるのかということなんです。
#43
○安田説明員 今協力機関と申しますのは、たとえば公共職業安定所でありますとか、あるいは労働基準局、社会保険出張所でありますとか、それから保健所でありますとか、そういった必要な官公署であるとか、指定の医療機関等をさしております。
#44
○滝井委員 私の聞いたところでは、今局長さんが言われたほかに、警察署と税務署と出入国管理事務所ですか、こういうのがあるのです。公共職業安定所や労働基準局、社会保険出張所というものは保険があるかないか調べなければならぬと思うのですが、警察、税務署――警察というようなものは一体どういうところで必要になってくるのかと私思うのですが、これはあるのでしょう。
#45
○安田説明員 今お話のようなものは、保護を受けております世帯の収入の状況につきましていろいろ疑問がありました場合に、それを確実につかむ方法として協力を求める場合があります。
 それから警察の場合は、これは別に警察に行って何か調べるというのではなくて、たとえばある種の被保護者の場合には、それが密集した部落でございまして、そういうところに行って調べること自体非常に危険を感ずるようなことがございますから、そういった場合には、あらかじめそういうところと連絡をいたしまして、ケース・ワーカーなどに危害が及ばないことをあらかじめ準備することもございます。
#46
○滝井委員 密集した部落というのは第三国人なんかで生活保護の対象になるというような場合ですか。
#47
○安田説明員 大体そういうことでございます。
#48
○滝井委員 大体わかりました。
 そこでお尋ねをしたいのは、福祉事務所で、あなたはもう実態調査の結果保護を打ち切った、こういう形になるわけですね。そうしますと病気の場合をとったら一番早いと思いますが、その人が病気になります。そうすると前の月までは医療保護なり生活保護を受けているものだから、私はあります。こう言うわけです。じゃ一つ医療券を持ってきなさい、じゃあすもらってきますから、こういうことになります。そうして医療機関としては見ないわけにはいかないのですね。医療券がなければ見てやることはできないことになっております。なっているが、あす持ってくるというものを、特に貧しい人ですから、それに前の月までは医療券を持ってきているわけですから、まあ持ってこれるだろう、こう思っているわけです。そうしますとなかなか持ってこない。福祉事務所に電話をするか、使いを出してみるとどういうことになるかというと、あれはもう打ち切られている、生活保護者じゃない、こういうわけです。そうすると今度は、本人に言いますとどういうことかというと、私は全く医者代なんか払えません、こういうことなんですね。こういう問題が非常に多いのです。そこで私は実はこの実態調査の状態を見て、あなたの方でケース・ワーカーと生活保護を受ける対象の人との間の調査だけならば、そうたくさんなひどい無理はいかぬのだろうと思うのだが、こういう協力機関とやらいうものがだんだん中に入ってくるという形になると、その調査というものは非常に過酷というか、権力的というか、高圧的というか、そういうニュアンスがだんだん出てくるのですね。特に病院なんかに行くと、結核患者の寝ているところに行って看護婦に聞くとか、いろいろやっているらしいのですね。そういうことになると、これは全く実態と違った形が出てくる可能性がある。そうすると、一体その一番のしりぬぐいはどういうところがやっているかというと、医療機関がやっている。今まで、おそらくこの人は出るだろうと思ったものが出ない、こういう形になってしまう。従ってこういう制度は、私はやはり今まで保護を受けておった人がその次に来たときには医療機関に知らせるとか、あるいは学校その他、給食の関係もあります、給食の関係があってこれは非常に多くの問題をはらむわけです。こういう点をもっと具体的にサービスをしている機関とか学校とかいうものに迷惑のかからない姿をとらなければいかぬと思うのです。そうすると一体それはどこが最終的に責任を持つかというと、結局指定医療機関が責任を持っておるということになってしまう。ところが地方税法を見てみますと、地方税法で生活保護を受けるということになると免除されます。免除された者は国民健康保険の被保険者になれないのです。これは安田さん、そうでしょう。
#49
○安田説明員 この調査の方法で、いろいろ協力機関の協力を求めることが調査を過酷にするのではないかということでありますけれども、実は私どもはそうは考えていないので、本人についていろいろ調べましてもわからない場合に、客観的な資料を得るためにそういう協力機関に参りましてすぐわかる場合がある。たとえて申しますと日雇いに就労いたしておりまして、そちらの方を隠しておって生活保護を受けておるというような場合もありましょう。あるいは基準局等でありますと労災保険とか、それから保険の方でございますと健康保険の傷病手当金でありますとか、そういうものをもらっておる場合、そういうものが調べました場合に出てくるようなことがございますので、そういった調べをいたすこともございます。しかしこのねらいは必ずしも締めようというだけではないのでありまして、こういうふうに平素そういう世帯になかなか接触する機会がありませんから、そういって接触をいたしまして、収入がその後渡っておるようなことがございますればこれは給付をふやさなければならない、あるいはまた本人の自立更生についていろいろと指導したり激励したりするというような場合もございます。必ずしもそれでもって締めていこうというだけのねらいでは毛頭ないわけでございます。それから医療機関に参りまして、たとえば入院患者等については今お話のようなことがございますので、十分主治医と打ち合せをいたしまして、そのやり方あるいは時間等につきましては通牒にも詳細な指示をいたします。なおまた係員を各県ごとに集めまして、そういう場合に無理のいかないようにということを実は特に注意をいたしております。
#50
○滝井委員 こういう場合が出てくるのです。さいぜん言ったように地方税法の免除を生活保護者が受ける。受けますとそれは国民健康保険の被保険者でなくなるのです。今度は保護を打ち切られます。打ち切られると国民健康保険の被保際者になり得るわけです。なり得るが国民健康保険の被保険者になっても、すぐは保険証は使えない。一カ月なり二カ月なり条例をもって期間を切っておるのです。そうするとその間はその人は国民健康保険の被保険者でもなければ生活保護の扶助対象にもならない。全部現金で払わなければならないということになる。そうするとこれは全く医療費が払えないのです。
#51
○安田説明員 医療の扶助の場合も生活保護の中の一つの給付の種類でございますから、本人の資力でもって医療が受けられないということになれば、これは医療費扶助を受けるわけであります。その場合に国民健康保険もそうでありましょうし、健康保険もそうでございますけれども、他の制度でもって医療給付ができるということでございますならば、その方にまずかかるのが定石かと思います。しかしそちらが出ないということであって、本人の収支の認定をいたして医療費が出ないということであれば、これは当然生活保護にかけるわけでありますから、医療費扶助を受けるのであります。
#52
○滝井委員 理論上の筋はその通りであります。それは私はよくわかっておる。よくわかっておるが、今まで無収入であった。従ってお母さんと子供二人でおったならば、東京ならば九千何ぼ、約一万円近くのものがもらえるわけです。ところがそれは生活費であって、医療にかかれる姿はそこからは出てこない。ところがたまたまその人が今度は一万円をちょっとこえる金、一万一千円なら一万一千円という金を得るようになったということになると、生活保護をぴたっと切られてしまうのです。と同時に強制設立であるとすれば、その人は今度の国民健康保険の被保険者にならなければならないことになる。そうすると、なってもその保険証の通用ができるのは、一カ月か二カ月あるいは三カ月先だ。条例でみなそういうことをきめておる。すぐに使えるというところもあるし、二ヶ月、三カ月して使えるというところもある。わずか千円だけの余裕ができたためにそういうことになる。一たび医療扶助なり生活保護が打ち切られてもすぐ出るようなことを局長さんはおっしゃるが、絶対出ない。出ないとその間はだれがかぶるか。医療機関がみなかぶる。そういう制度です。だからその認定の行き方はきわめて合理的であるけれども、それが実情に沿っていないということです。皆保険になったらますますその問題が至るところに出てきますよ。
#53
○伊部説明員 国民健康保険の被保険者と、ただいま滝井先生の御指摘がありました地方税の減免あったものとの関係でありますが、御指摘の通り、大多数の保険者におきましては、条例でもって地方税の減免を受ける者を除外するという規定を持っております。しかしながら給付の始まる時期につきましては、被保険者の資格を取得すると同時に給付の期間が始まるのが普通であります。もちろん保険証を受ける際事務上多少時間はかかると思いますが、資格を取得したら直ちに給付を受ける。ところがまだ国民皆保険になっておらない。都会におきまして国民健康保険を行なっており、周辺の農村が行なっておらぬという場合におきましては、健康保険の給付が切れたそのあと便宜上その先で編入するという場合が相当ございますので、国民皆保険が全面的に発生されるまでの間、暫定的に住所の移転のため被保険者の資格を取得したという場合には、若干の待期を認めることを認めております。しかしながら生活保護が切れた。従って健康保険の資格を取得したという場合に待期を認めるつもりはございません。
#54
○滝井委員 待期を認めるつもりはないと伊部さんはおっしゃっておるけれども、現実に加入の申し出をして保険証が渡ってから、その保険証は何月何日から有効であると書いてあるわけですから、国民保険当局はそれが生活保護であったかどうか皆目わからない。新しい加入者として取り扱っていくので、あなたの方がここでそういうものは認めませんとおっしゃっても、現実の行政の上ではそうやられておるわけです。国民保険というものがあっても、生活保護から国民保険に切りかえる場合には、そういう一つの盲点が出てきておる。いわんや皆保険でない。大都市は非常に多い。生活保護なり医療扶助を切られると、その次には自由診療です。そうするとわれわれみたいな高額の七万八千円もらっておる国会議員でも、自由診療で長くいくことは不可能だ。いわんや生活保護がきょう切れてすぐ自由診療でいけるか。不可能だ。ところが地方事務所にしても福祉事務所にしても、それはがんとして出さない。そういう組織になっておる。出すためには調査が要る。この協力機関に調査をしてもらってやるのですから、病気がなおって元気になり働けるころになって決定がくる。要するにそういう実態だ。一日や二日でできるものではない。私が現実に幾らでも扱っておるから、知っておる。現実にできるものではない。たとえば私は近くに母子寮を持っております。母子寮にいて前の月までは医療保護を受けておった人が翌月は受けていない。そうすると金が払えない。ところが母子寮におる者の治療を拒否するわけにいかぬからやることになるが、全部無料です。だからそういう点になると私的な医療機関の方が公的医療機関よりか仁術を施していることになる。公的医療機関は絶対無料ではしてくれません。医療券というものを前もって買わなければなりませんから。そういう点では、公益性というものは日赤よりかわれわれ零細機関の方があるということになる。そういう点が今の日本の政治では非常に盲点になっておる。社会局は社会局で勝手なこと、と言ってはおかしいけれども、行政を進めていく、保険局は保険局で進めていく、この間に盲点がある、橋がかかってないということですね。今私は一つの例を申したのですが、そういう盲点というものはどの制度でもありますが、こういう事人命に関し、しかも基本的な人権に関連する問題というようなものは、よほど行政の間に密接な連絡をとりながらやってもらわなければいかぬ、こういうことなのです。ただ警察や税務署ばかりに連絡をとるのが能ではないという点を言って、きょうの私の質問を終っておきます。
#55
○藤本委員長 八木一男君。
#56
○八木(一男)委員 堀木厚生大臣に厚生行政一般の大綱につきまして、また非常に緊急な問題につきましては幾分具体的な問題についてお聞きをしたいと思います。
 まず第一に、現在の内閣が貧乏と汚職と暴力の追放を大きな題目として掲げておられるわけでございますが、そのうちのあとの二脚自は国家財政にあまり関係がないと思います。貧乏の追放という問題は国家財政に非常に大きな関係があるわけでございますが、この貧乏の追放については何が一番大きな関係を持つか、たとえば予算項目では社会保障費であるか何であるが、官庁ではどこの省であるかということについての堀木さんの御見解を伺いたいと思います。
#57
○堀木国務大臣 今の内閣が三悪の追放を掲げておりますうちの一つであります貧乏の追放、これは確かに予算には非常に大きな関係を持っておるのでございますが、考え方の基本は、やはり社会保障の問題もその他の問題も、貧乏の追放というふうな観点から見ますと、基本的に経済施策がよろしきを得て経済が繁栄し、失業者が少くなり、そして国民所得がふえて参りますれば、社会保障の前進もはかり得るということが一つであります。と同時に、いかにそういうことを考えましても、現在の社会において貧乏な日の当らない人はたくさんある。この人に対して現実的に貧乏を追放して行くというような方策をとらなくてはならないと思うのでありますが、私どものあずかっておる厚生行政としてはやはり何といっても病気というものが生活を不安定ならしめ、そして事実貧乏になる原因の大きなものであるというふうに考えておるのであります。従いましてこれらに対する対策を私どもとしてはしなければならない。しかし、ほかの問題にいたしましても、厚生省の関係いたします各般の問題は、やはり国民生活にほとんどどれも直結したような仕事でございます。従いまして、今申し上げたことに対しましても、病気にかからない社会環境を作ることも一つでございましょうし、あるいは先ほど滝井さんの言われました予防関係につきましてやって参ります施策もそうでございましょう。しかし何といっても現実の問題ではこの病気が貧乏に対しての相当大きな要因として数えあげ得るものであろう、こういうふうに考えております。
#58
○八木(一男)委員 今の御答弁、大体けっこうなんですが、厚生大臣のお話にありましたように積極的に繁栄をはかるとか国民生活を非常に向上させるという打ち出し方でないので、貧乏の追放という言葉である以上は社会保障なり官庁関係では厚生省がその大部分を占める、これは貧乏の追放という言葉から当然くると思うわけでございます。その中で病気を特にあげられました。病気も大きな要因でございますが、厚生省の関係のすべてのことが貧乏の追放に関係がある問題だと思うわけでございます。内閣の基本方針の中で特に財政に関係のあるただ一つの貧乏の追放の大部分が厚生行政に関係があるということになりますと、内閣の政策のほとんど半分以上厚生行政が占めてもいいと思う。ところが、堀木さんが就任され、神田さんから引き継がれてからあと、新聞紙上で拝見すると、国民健康保険の問題も結核予防の問題も、なかなか御努力のあとは見えるわけでございますけれども、少くとも今のこの岸内閣が第一題目に掲げておる点で財政に関係のある第一の点に関係のある厚生行政としては、非常に御努力のあとは見受けられるけれども勇敢でない、非常に臆病であると思うわけでございますが、それについて御答弁願いたい。
#59
○堀木国務大臣 八木さんのおっしゃる点につきましては、率直に申して失業問題も私は一つの大きな貧乏の追放であろう、それから現在の育英制度と申しますか、文教関係あるいは学校給食等もそれにつながるものであろうと思います。しかし確かに八木さんのおっしゃるように、貧乏の追放の大きな部分は厚生行政というふうに考えるのでありますが、どうも努力のあとは見えるがしかし勇敢でないとおっしゃるのは、どういう点でおっしゃるのか存じませんが、そうらっぱを吹かないという意味ならば、確かに私はその方に属するのじゃなかろうか、しかし、政治はやはりらっぱを吹くことも私は必要性を認めます。けれども、ともかくも非常に多くの根本問題が残されております。私就任以来三カ月間、厚生行政は御承知の通りらっぱだけ吹きましても――らっぱはずいぶん吹いていると思う。社会保障は私が吹かなくてもずいぶん吹いている。総理大臣も社会保障の前進ということをずいぶんうたっております。しかし、社会保障の前進ということをいうのはいいのでありますが、確かに基本的な諸条件を備えなければなかなか口で言っただけではできない。しかもこれは非常に専門的な研究と努力を要するものであると考えますものですから、もう少し研究も伴っていかなければならない、らっぱは大体人が吹いてくれるが、だれでもが縁の下の力持ちをそうほんとうにやらない、しかし、縁の下の力持ちがなくては解決できない問題だ、こういう考え方が基調になりまして、あるいは勇敢でないという御批判を受けるのもまたわれわれとして反省すべきところでなかろうか、こう考えておる次第でございます。
#60
○八木(一男)委員 らっぱを吹いてあと実体がないようなことは実にけしからぬと私ども思うわけでございます。実際に言った事をやってもらわなければならぬと思うのですけれども、この貧乏の問題は、堀木さんは今まで保守党の内閣が、またその基盤である大自民党が唱えておられるくらいのところをらっぱと思われているようですね。これでは貧乏の追放などはほんとうに夢に化するわけです。実行するために着実なことをやりたいというお考えはいいのですけれども、岸内閣が貧乏の追放ということを掲げなくとも、日本の政治としてはこれは急速に解決をしなければならない問題であるということですね。その上にそれを公約なさったのですから、当然、らっぱじゃなしに大きなものをほんとうに実行されなければいけない。それについてはおそらく大蔵省がえらいブレーキになっておると思う。一萬田さんが何と言っても、内閣の方針であって、財政方針ではないのです。内閣全体の方針なんだから、財政は内閣全体の政治の方針に伴って編成さるべきものでありますから、内閣の方針に従って堀木厚生大臣が貧乏の追放の大部分の担当部門で勇敢にやっていただかないと、日本の貧乏の問題も解決しないし、それから岸内閣の一枚看板も完全にから宣伝であるということになってしまう。その点でもっと勇気を出していただきたいと思います。準備にいろいろ時間がかかるということはわかります。わかりますけれども、今まで準備とか調査をしなければならないとうことも、半分以上は逃げ言葉でしなければならないといわれる。だけれども、準備がありますからとか、調査があります、これは逃げ言葉であって、ほんとにやる気があったらできる。その点で、堀木先生が社会保障に熱心な非常にまじめな政治家であるということは、私も尊敬いたしておるわけでありますが、いろいろの諸般の事情で押されて、その答弁の材料として準備の都合で、となっては非常に困るのです。やろうと思えば、これはできる問題で、その点では蛮勇をふるっていただきたいと思うのですが、もう一回御決意をお伺いしたいと思います。
#61
○堀木国務大臣 大へんありがたい御忠告をちょうだいいたしました。実は腹の底では、何とか御期待に沿うように、単純に調査研究中でなしに、実際に施策として現われて、国民の幸福と生活の向上がはかり得るようにいたしたい決心であります。
#62
○八木(一男)委員 御決心非常にいいわけでございますが、それを今新聞に発表されたくらいじゃ非常に足りないものですから、さらに固めていただきまして、また厚生省の首脳部の方も、各事務局の首脳部の方もおられますので、一つ勇敢に打ち出していただきたい。勇敢に打ち出していただきたい裏づけがあるわけでございます。たとえば去年勧告になりました社会保障制度審議会の医療保障の勧告というものがございます。そういう問題については内閣はこれを尊重しなければならないわけでございますし、岸さんが内閣総理大臣の臨時代理のとき、また総理大臣になられてからも、二回もこれははっきりと公約されております。大蔵大臣がどんなブレーキをかけられましても、内閣のほんとうの責任者が、これを国会の場で公約したわけですから、それを大きなたてにせられて、厚生大臣が厚い壁を突き破っていただけば、皆様方のやろうとなさることが大きく進むと思うわけでございます。そういう点でぜひお願いしたいと思います。
 まずそれで具体的にお伺いいたしまするが、結核予防法の改正案のことが新聞に出ております。その内容について少し具体的に御説明を伺いたいと思います。
#63
○堀木国務大臣 こまかい内容につきましては、担当の政府委員から申し上げたいと思います。ただ私の考え方、行政方針だけについてお聞き取りを願いたいと思います。
 私、厚生省に参りまして考えましたことは、むろん国民皆保険を進めるということが一つだと思いますが、最近の医学の進歩、技術の向上が各方面で非常に著しいものがあるが、結核においては特にそうでなかろうかということを、私自身深く考えたわけけでございます。従いましてこの問題は、幸いにしてお医者さんの協力を得れば、単純にお題目でなしに、ほんとに五カ年精力的にすべての日本の持っております能力を動員してやれば、確かに半減もできるだろうという考え方に立ったわけでございます。しかしこの問題を私の方で主管しておりますのは、御承知の通り公衆衛生局、ところが公衆衛生局だけの仕事でなしに、先ほど滝井さんからもお話しになりましたように、児童局が関係いたしております。そのほか生活保護の関係その他から社会局も関係している。これはまず第一に厚生省の各局を一点に集中して問題を動員して参らなければならない。と同時に、この結核の状態を見ますと、学生のときに、学校におりますうちに早期診断、早期治療ということが非常に大切なことでもあろう。地域的につかまえますと同時に、そういう一つの場に集まって、しかも本人がトレースできるというふうな状態は、どうしても結核対策を推進する上に必要である。そのほかに各産業別に考えてみましても、労働省の所管しております各種産業の組合関係というふうなものも考えなければならない。そういうふうに考えまして、これらを打って結核対策に乗り出すならば、確かに所期の目的を達成するのでなかろうかということを考えまして、事務当局にそういう構想のもとに結核対策を講ずるということで立案を命じておるような次第でございます。今回三十三年度の予算もそういう方向でもって組んで参りたい。関係各省にもその点を打ち合せまして考えて参るのでありますが、ともかくも今申し上げましたような構想のもとに結核対策を推進して参りたい。私は率直に申して、この問題をほんとうに真剣に取り組んでいけば、必ず国民の幸福がはかれるのだというふうな考え方に立って諸般の政策を進めて参りたい、こう思っておるような次第でございます。こまかいことは公衆衛生局長からお答えいたさせます。
#64
○八木(一男)委員 実は今厚生大臣から伺った外貌もけっこうなんですけれども、そのほかに今結核予防法の改正で、公費負担率を上げるというようなことが厚生省の原案として新聞に書かれておったように思います。それを簡単でけっこうですから、ちょっと……。
#65
○堀木国務大臣 今の諸施策を進めて参ります上においては、やはり公費負担の割合をふやすといいますより一応本人負担をなくして、公費負担の原則を貫いて参るのがいいのじゃなかろうか。そうすれば、初めのうちは確かに国家の支出はかかるけれども、これが所期の目的を達成いたしますれば、相当漸滅して参るというふうに考えまして、公費負担の原則を立てて参りたい。なお結核予防法そのものをも改正いたしまして、真に医学的見地から考えて必要な諸般の改正をいたしたい、こういうことで今準備を急がしておるような次第でございます。
#66
○八木(一男)委員 政府委員の方でけっこうですけれども、もしおっしゃると工合が悪い事情があれば、おっしゃらなくてもけっこうですけれども、別にそういうことがなければ、公費負担率の現在の構想をお知らせ願いたい。
#67
○山口説明員 来年度の結核対策につきましては、ただいま大臣からお話がございましたが、大臣の構想に基いて私どもも、単に厚生省関係だけでなしに、文部省、労働省、すべての分野における結核対策を同じ歩調、同じレベルで進め得るようにやっていきたいということを念願しているわけでございます。その線に沿っていろいろな案を立てているわけでございます。ただいま御指摘の公費負担率の問題でございますが、結核対策の内容として、やはり早期発見、早期治療ということが原則になります。そのためには健康診断を徹底さしていく、そして発見された患者に対して医療費の裏づけをするということが根本になると思うのでございます。健康診断、予防接種につきましては、本年度から全額公費という線が打ち出されております。それについてやはり地方財政の問題がございます。国庫補助率は、現在二分の一になっておりますのを十分の八くらいまで引き上げたいということで予算の要求をしているわけでございます。
 それから医療費の面につきまして、新発見患者と濃厚感染源というところに重点を置いて、それに今考えておるような線を徹底させていけば、先ほど大臣がお話になりましたように、現在の医学においては今後五年間に患者を半減せしめ得るくらいのところまで持っていけると考えているわけでございます。そこで、その医療費につきましては、現在公費負担率あるいは国庫補助率が比較的低いというので、公費負担率をこれも十分の八くらいにして、さらにそれに対して国庫補助率を十分の八くらいのとこに持っていきたい、医療の範囲も現在よりさらに拡大していきたいという構想のもとに厚生省の案を作成して財政当局と折衝中でございます。
#68
○八木(一男)委員 今の厚生大臣並びに政府委員の方の御答弁で、予防の面に非常に重点を置いて、厚生省関係以外の文部省その他の関係でも総合的にやっていこうということは非常にいいことであろうかと思います。はっきり端的に申し上げますけれども、予防の面は、非常にいいことですが、金はあまりかからない。ですからそんなものは当然今までにやられていなければいけないことで、今からではおそいが――ことしからでも始められるならいいですけれども……。予防の面に関する限り大蔵省に一文も値切らせないで全部――ちょっと堤が漏れているからそこから新患者が出てくるというようなことがないように完全な方法をとっていただきたいと思います。こまかいことは申し上げませんけれども、予防面だけでは、この予防という目的も果せないわけです、濃厚感染源の問題もありまして。
 それからもう一つ、衛生行政の問題では予防が大事ですけれども、社会保障の観点からいけば、現在病気で困っている人の医療の面の方が重点的なわけなんです。予防面は後の世代の人のことを考えれば重大でありまするが、そのことのために、金をそっちへはつぎ込むけれども、現在困っておる人、病気で苦しんでおる人、悩んでおる人、その家族の方が、金がちょっと足らないからしばらくそっとほっておこうということでは社会保障の推進にはならないわけです。それを推進なさろうとして公費負担率を上げようとしておる。それもいいことですけれどもあまり大した金にはならないと思います。そんなにたくさんは用意しておらないと思いますけれども、僕らは五百億くらい一年にほうり込まなければいかぬと思います。かなりの金を用意されるとしてもそれがちょっとのところで役に立たなくなる。公費負担率が八割、それから地方行政官庁に対する国庫の負担率が八割、あと二割のところでこれがだめになってしまうわけです。対象者が減って実際表向きは非常に結核患者のためによくいっているように見えても、その二割なら二割のところで、片方は自己負担ができないから、片方は地方が赤字で適当にさばくから対象人員が減る、だから金額が少いというようなお考えであっては大へんだと思うわけでございますが、そういうようなお考えがあるのかないのか、一つ伺わせていただきたいと思います。
#69
○山口説明員 先ほど八木先生から御指摘になりました社会保障制度審議会の御答申の線は全額公費ということでございましたが、ただその中に、医療の対象が食費を除き入院費を見る、一般対症療法を除くというようなことがございました。私どもの今の案は、そういうものもひっくるめて一応考えております。社会保障制度審議会の御勧告は、医療の範囲が狭くて全額、こちらは医療の範囲を広げて八割というようなところで、結核医療についての本人の負担は現状に比べれば比較にならないほどで、もし今の案が実現できますれば軽くなるのでありまして、そういう線で、勧告の線を少し形を変えたような格好になりますけれども、実質的にはそういう考えで一応事務的に立案したわけであります。
#70
○八木(一男)委員 もう金額と八割ということで、その金額は食糧費を入れたか入れないかで操作して同じくらいということは調べてみなければわかりませんけれども、一応は今の局長さんの御意見を信用するとしましても、十割と八割ということではこれは大いに違うわけでありまして、十割なら大勢の人が救われて、八割ならたった二割のことのためにそのよい制度が活用できないということは、これは申し上げなくても厚生大臣、公衆衛生局長は私どもの意見に御同意下さると思う。それから地方に対して、国庫負担八割、あと二割ということが、財政的に困難なことでそれが動かなくなる。それについてはいろいろ手当をしているという御返事が当然あると思いますが、これは手当をしてもなかなかうまくいかないことも現実にはありますので、思い切って八割のところを十割にすると、皆様方のこういうことをやられようとすることが効果が上る。その点で厚生省案は完全に確定したわけでもありませんでしょうから、一つ十割という線を考えてみていただきたいと思うわけでございますが、厚生大臣にそのことをお伺いします。
#71
○堀木国務大臣 率直に申しますと、今度の厚生省の予算――五百億は、ちょっとなんでございますが、所要経費として予算要求している一番大きな問題でございます。私は、これをほんとうにやって実績を上げて見せてやれば、あの一文を出すのもいやだという顔の大蔵省も、国全体からこれはやっていかなくちゃならぬということが必ずわかってくる、こういうように考えております。だんだん実績を見せつつこの点に徹底的な対策を講じて参りたい、こういうように考えております。
#72
○八木(一男)委員 いろいろ御質問写し上げたいことがあるのでまた後の機会にこの問題は深く御質問したいと思うわけでありますが、実績論もよいのですけれども、今申し上げたように、実績を上げていく方が1大蔵省が通りやすい案で実績を上げるというお考えもありますけれども、大蔵省が通りやすいということでは案自体の実効が少くなるということがございますので、ここはぜひ一つがんばっていただきたいと思う。実績を上げなければ承知をしないような大蔵省が大体けしからぬのであって、一萬田さんであろうがだれであろうが、内閣の方針であって、日本の今の現状からぜひ完全に迅速にやらなければならない問題を、ただわからないなりに財布のひもを握っているからといってそっくり返って減らすというようなことは破っていただかなければいけないと思う。結核の問題も、申し上げなくてもわかりますけれども、治療については、医療的には大体方法が完成しているわけです。それを撲滅するのは結局金の問題なんです。国の金の問題か、地方の金の問題か、個人の金の問題、それをやってほとんど撲滅というところまで患者を減少させることができれば将来財政支出がなくなるのです。大蔵省の立場においても将来の財政支出をなくするという大きな見地から見たら、当然八割を十割にし、そして幾らか知りませんけれども、その少い金額を五百億まで上げるということがほんとうの財政方針だろうと思うのです。近視眼的な財政方針を立てておられる財政当局が非常に多いようでございますすが、ぜひもう一回今の案でも今までよりは非常にましだとは思いますけれども、もっと勇敢な案を立てていただいて、それをびた一文も負けさせない、負けるようなときには堀木さんが辞表を岸さんのところにたたきつけるというような決心でやっていただきたいと思うのでございますが、そういう点について、一つ再度御信念を伺いたい。
#73
○山口説明員 先ほど私のお答え申し上げました点で、言葉の足りない点がございましたので、八木先生に非常に御不満をお与えしたようでありますが、結核の医療費につきましては、今度の考え方では早期発見患者あるいは新規発見患者あるいは濃厚感染源に重点を置いております。濃厚感染源の方は、経済的に負担のできる人は除いて、負担のできないような人については全額公費で見る。その公費についての十分の八を国庫が見るという考え方であります。ただ新発見患者についてだけは十分の八の公費負担を適用する。と申しますのは、濃厚感染源の方は非常に期間が長くかかりますので、経済的な負担も非常に多くなりますが、新発見患者は早期一発見、早期治療が徹底いたしますれば、特に外来治療で済む場合には非常に経済的負担が少くなりますので、本人の負担も比較的軽くて済むのではないかということで十分の八ということを考えております。私の言葉が足りませんでしたので、非常に御迷惑をおかけいたしました。
#74
○八木(一男)委員 今の御説明で幾分よくわかりましたが、まあ堀木さんにしても山口さんにしても熱心にやろう、勇敢にやろうというお考えはわかるのですけれども、これは私ども非常に不満です。不満ですけれども、とにかく大蔵省にはびた一文も負けさせないという覚悟でやっていただきたいと思います。ただ、先ほどちょっとあとに回したのですが、結核医療費の公費負担は、健康保険あるいは国民健康保険あるいは日雇労働者健康保険あるいは船員保険、そういったような社会保険にも出すのかどうかということをお伺いしたい。
#75
○堀木国務大臣 今の社会保険との関連性につきましては、実際のところは今まだ研究中でございます。調整をいかにするかという問題は、きょうお答えする段階になっていないので、まことに申しわけないと思いますが、もう少し保留さしていただきたいと思います。
#76
○八木(一男)委員 これから御研究でありましても、ぜひそれを社会保険の関係も適用させるように考えていただきたいと思います。
 そこで厚生省にもいろいろ御意見があって、社会保険に入れるのならほかに使いたいなんて言い出される方もあるかもしれませんが、とにかく社会保険の方に別な意味で、それじゃ結核の方を入れないのならたとえば国民健康保険を七割の国庫負担にするとか、健康保険は六割の国庫負担にするとか、日雇労働者健康保険は全部国でやってしまうというようなことなど、別の意味の社会保険の国庫負担があるのだったらこれは同じ問題ですからかまいませんですけれども、結局医療保障勧告は、この各社会保険に対する国庫負担率を直接上げるとともに、その大きな支出の部門になっている結核医療費を別な意味の公費負担ということで減らすということが要件になっておるわけです。ですからあそこで少くとも国民健康保険を三割の国庫負担にしなければならないということは、結核の公費負担が社会保険に適用にならないのだったら、実質上は六、七割の公費負担をしなければ社会保障制度審議会の医療保障勧告を尊重したとはいえないので、その関連があるので申し上げたわけですけれども、今の点は十分に御研究になって、今会期中にさらにお伺いをいたしますから、その点で一つそのときにはっきりした御答弁を願いたいと思うわけでございます。一応今のところ御決定になっておらないということでございまするから、その点で関連いたしまして、健康保険なり国民健康保険なり、ほかの社会保険の関係に移りたいと思うわけであります。
 それで国民健険保険については、この前二割五分の国庫負担をするという案が新聞に出ておりました。大体この前の国民皆保険のときに、これは石橋さんの内閣で唱えられたわけですけれども、岸さんがそれを継がれていわれたわけですから、岸さんなり今の閣僚も全部責任がおありになるわけです。国民皆保険といわれたけれども、今までの二割の国庫負担の国民健康保険が、政府の慫慂によってふえた場合の――その二割の国庫負担、昔の二割の国庫負担の金額が二、三十億用意されただけの話であって、国民健康保険を今までないところにできるような要件を積極的に新しく作られたところは一つもなかったわけであります。そして何か普及宣伝費というものはちょっぴり組んでおられますが、あんなものは府県別にすると、小さな府県は一名くらいの普及宣伝員をその補助でふやせる程度しかないのであります。こんなものは要件になりません。ですから国民健康保険をふやそうとすれば、ほんとうは結局魅力が少い給付率が平均五割であるという点をあげなければならない。それからもう一つ、各国民健康保険組合の財政が非常に困難であるという問題を解決しなければならない。これはもうくどく申し上げませんけれども、この両面を解決するものは、国庫負担の増額ということに結論がなる。そのときに昨年度においてそれを何もしないで、国民皆保険などと耳にタコができるほど放送されたのは、実に堀木さんの最もきらいならっぱであって、ほんとうのやり方ではないわけであります。それをらっぱじゃなしに今度ちょっぴり笛か何かをやられたわけですけれども、二割五分ではあまり少な過ぎて話にならないわけであります。この点で二割五分ということでは、その勧告の中の、結核をはずしてその残りで結核公費負担が入ることを要件にして、少くとも三割は即時やらなければならぬという勧告を、さらに半分を値切ってしまったということは一体どういうことか。医療保障勧告を十分に尊重なされないのか、岸さんの前の公約を岸さんが忘れてしまったのか、それとも堀木さんが岸さんにそういうことを言うのを忘れたのか、あるいは一萬田さんが岸さんや堀木さんより強くて、どうしても通らないと初めから観念されて、それで退却されたのか、それを一つお伺いしたいと思うわけであります。
#77
○堀木国務大臣 率直に申しまして、何もほかの圧力があったわけではございません。実際に先ほど申しましたように、健康保険を推進するのに、いろいろと支障になる状況を除かなければならぬ、そのうちの一つとしてこの二割を二割五分に上げなければならないのであります。財政状態を赤字だ、赤字だという問題があるわけでありますが、実際の状況から見れば、二割五分に考えれば、まずまず現在の赤字、また今後国民皆保険を進めて参ります上において増額してくる分に対しても考えて、一応持てる数字ではなかろうか。と同時にこの問題だけでものごとを解決するのではございませんことは、八木さんよく御承知の通りなんでございます。各般の施策を集中して地方財政にはそう負担増をかけないでまずいけるのではないか。むろん理想として八木さんのおっしゃるように、私も社会保障制度審議会の報告もよく拝聴いたしております。しかし確かにその全体のウエートで、一体社会保障というもののあるべき姿が予算上今占めている割合がいいのかどうかという問題は、根本に私は検討を要すると思います。われわれが社会保障の前進を説く以上は、その比重はもう少し大きくならなければならないというように考えますが、それかといって全部が一挙に理想に到達しにくいこと、むろん八木さんのおっしゃるように理想を達成するのには、勇敢で相当行き過ぎでなければ、今の客観的諸情勢をくみ取るときには前進すらおぼつかなくなるじゃないかという御心配から、私に勇敢なれとおっしゃるのだということもよくわかりますが、今度は少くとも従来よりは社会保障の観点から見ましたら前進しているというふうな点にはぜひやりたい、それには全体とのにらみ合せも考えた方がかえって私は結果的には相当上り得るのだと思うのです。決して特別な考慮は考えていないのでございます。その点はどっちかというと少しらっぱが足りないのかという気はいたしますが、まじめに検討いたしましてまずまずこの程度ならいわゆるそろばんが持てる程度じゃないかということでいたしましたような次第でございます。
#78
○八木(一男)委員 またあとへ戻りますけれども、現在非常に問題になっております診料報酬の問題でございまするが、診療報酬の問題について昭和二十六年から単価が据え置きになっております。そこで諸物価の値上げとかほかの賃金の値上げから考えると非常にバランスを失しているわけでございます。それで世の中にはお医者様の経営がいいとか生活がいいとかいう人もおりまするけれども、それは実態を知らない人の話で、医者というものはいわば高級技術者ということが言えると思うのであります。高級技術者であって、しかも開業医の諸君やなんかでもそうです、病院の方もそうです、夜中に急拠起きて非常に神経の疲れる処置をしなければならぬということもありますから非常な重労働です。高級技術者であって猛烈な重労働をした場合には、工科系統の人がそういうことをしたならば非常な収入があるはずです。それから考えると一般的に医師の待遇がそんなに悪くないというのは事実を知らない人の言うことであって、そういう点では診療報酬の値上げを大幅に要求されておられる医師の方々の考え方、これは当然重視されなければならない、またそういうことをしなければ国民医療が完全にならなくて、医療をほんとうにいいものにする点でもまずいのじゃないか、この点についてもちろん厚生省の考え方は非常に微温的なわけですけれども、それについて一つ御見解を承わりたい。
#79
○堀木国務大臣 原則的に今おっしゃった通りだとは、私もその通りの同じ考え方でいるわけであります。むろん頭にありながらお言いになりませんでしたと思いますが、私は医術の進歩や医学の向上というものが国民生活に取り入れられなければ、国民の幸福ははかられないと思います。ところが実際今御指摘のように二十六年以来据え置きであったという点は、確かにその点についてわれわれが反省し、是正するべきものである。でなければ――何と申しますか収入が多いとか少いとかいう観点も、率直にいえばやはり医術の高い評価をして参りますのが、近代社会の根本理念でなければならぬというふうな考え方で私は対処してはおりますが、しかし現実の問題として、結局それが国家財政にもひっかかって参ります。今度の診療費の策定の内容をごらん願いましても、二十六年からの物価の単純な引き延ばしということは考えておらないわけであって、そういう計算も事実しております。説明としては少し失礼な言葉だと思いますが、一般労務者の賃金が一・四五上っておるのに今度はそうでないと書いてある書き方はどうかと思いますけれども、少くともそういう点を組み入れては参っております。ただそれが現実の問題との調和で、やはり国家財政というもの――国民の負担能力がふえて参りますればともかくも、そういうものとのにらみ合せも現実の問題としてはぶつかって参るわけであります。お医者さんがこれに不満であることも私よくわかるわけでありますが、まずここら辺で、一応がまんしていただけるという点で、私としてはがまんしていただけないだろうかというのがあの案であります、ということは言い得ると思います。しかしそれだからといって少しも解決しないでほっておくということも私としては申し訳ない。滝井さんに最初の委員会で、お前ら六年間調査研究、調査研究できた。また調査研究でいってしまうのだろうという、ひどい非難を受けましたのもやむを得ないといたしましても、少しでも一前進いたしたいという意味で今回の問題を中央医療協議会の方に諮問しておるような次第であります。
#80
○八木(一男)委員 先ほどは何といいますか高級技術者の点、重労働の点をあげましたけれども、医師の方が一人前になられるのには、今の現状からやはり三十を越してからでなければ一人前にはなられない。世の中の現状から医師の御子息は医師を継がれる方が多い、そういう方の教育にも相当費用が要る。それから自分で研究をされるためにもいろいろの費用が要る。それからまた人の命を預かるような重大な責任を持っておられる方が、経営に追われ、生活に追われてはそういうことはやっていけないし、またそういう状態でやっていこうとしたら医師自体の身心をすり減らして、非常にそういう人たちに不幸なことになるというようないろいろな観点から、当然引き上げられなければならないと思う。それで厚生省のお考えになっておるらしい案、これはその点から見たらあまりに少な過ぎて問題にならないと思う。これはもっともっと上げていただかなければなりませんと思いますが、この点については滝井先生なり岡本先生なりからまた御追究がありますし、第一日でありますから深く触れませんけれども、もっと実態に合うように適正な単価をきめていただかなければいけないと思う。
 それに関連いたしまして、単価をそういうふうにきめていただきますと、今度は被保険者の家族、たとえば健康保険の家族の負担がふえることになる。国民健康保険の自己負担もふえることになる、この点も考えなければならぬ。この点を考えなければならぬということになりますと、そのほかの点でも、健康保険でも、それから健康保険類似の船員保険でも、日雇労働者健康保険でも、あるいはまた国民健康保険でも、全部いろいろな要素で――詳しくは申し上げませんけれども国庫負担の増額が必要な時代です。そのほかに現在の単価の問題、この問題でさらに必要なんです。ですから国庫負担の問題で国民健康保険二割五分、それから健康保険その他について非常にまだゆっくり考えておられるようでございますが、こういうことではほんとうに厚生大臣としての責任を果しておられるとは思えない。さらに後日追究いたしますが、健康保険、国民健康保険、その他のすべての社会保険に対する国庫負担について、通常国会で勇敢なる案を出していただくということをぜひしていただきたい。もちろん診療報酬の引き上げも勇敢にやっていただく。ですから問題は非常に多いわけですから、これは堀木さんに非常に気の毒なんですけれども、担当大臣になられて、この大問題にぶつかられたのは、また政治家として本懐だろうと思う。非常にむずかしい、他の時代よりもむずかしいのですけれども、それを押しのけてぜひやっていただきたいと思いますし、また補佐される政府委員の方々、各局長の方々も、今までの既成概念でなく、このいろいろたくさんの問題を、ほんとうにいろいろの関係者が満足され、いろいろなことがスムーズにいくようにやろうとしたならば、大蔵省に当る決意も今までの十倍くらいで当らなければ十分にはいかないのです。ですから皆様方が御努力をなさっておられることはわかります。今までよりは御努力なさっておられる。ところが事態は、今までの五割増しくらいではいけないので、やはり十倍も二十倍も決心を固めて、そして厚生省が一丸となって当らなければ、この問題は解決しないと思う。そういう点で一つ、通常国会までまだ間があります、予算も最終確定したわけではございません。ですからその点で一つ勇敢にやっていただきたいと思います。
 時間がだいぶ経過いたしましたので、また後にそういう問題は追及することにいたしまして、日雇労働者健康保険問題について、やや具体的に申し上げたいと思います。日雇労働者健康保険につきましては、昨年の衆議院の本会議におきまして、神田厚生大臣より、翌年度からは必ず傷病手当金をつけるという明言がございました。大蔵大臣池田勇人君もこれを是認されました。また岸さんもそれを了承されました。そういう関係で、当然あの当時の内閣と続いている内閣としては、この三十三年度には必ず実現をされなければならない問題でございますし、さらにほんとうはこの臨時国会で、そういう問題を補正予算でも組んでやられなければならない問題であったと思いますが、残念ながらそういう用意がないようでございますが、それについての堀木さんの御決心をはっきりと伺わしていただきたいと思います。
#81
○堀木国務大臣 傷病手当金は何とか実現をはかるべく努力したい、それだけお答えすればいいのだろうと思うのですが、何とかして実現いたしたいという決心でおります。
#82
○八木(一男)委員 何とか実現するということで、これは決心ですか、お約束願えますか。
#83
○堀木国務大臣 お約束してもいいかと思いますが、しかし最終的には、御承知の通り、何といっても三十三年度の予算がきまらなければ確定的なことを申し上げるわけにいかないと思いますが、大体今申し上げたことでおくみとり願って、その解決に当りたい、こういう決心であることは事実でございます。
#84
○八木(一男)委員 予算は大蔵省が組む、閣議できまらなければならないから、お約束ということも無理かと思いますが、もし厚生大臣のそういう御決意が実現されないときには職を賭してでもがんばられる、実現できないときには直ちに辞表をたたきつける、それだけの御決心があるかどうか。
#85
○堀木国務大臣 やめることは大したことではないのですが、むしろ実現することが私の責任だと思う。大蔵大臣が――これは大蔵大臣だけ対立したものではございません。内閣として大蔵大臣も、私の言うことが正当ならば予算に入れるべきものでありますから、そういうおつもりでお考え願いたいと思います。
#86
○八木(一男)委員 これ以上御決心を伺っても無理だと思いますが、御決心はいいのですけれども今度は内容です。それが小さな金額であったり、短かい期間であったり、そのために保険料の値上げを考えたり、そういうことであっては、これは何にもならぬ。そういうことにならぬように、ほんとうの意味で、この前の国会で神田さんが公約されたような、保険料を値上げをしないで、そういう財源は国庫負担をふやして、十分なもので、十分な期間を持った、そういうものをなさっていただかなければならないと思いますが、それについての御決心を一つ伺わしていただきたいと思います。
#87
○堀木国務大臣 八木さんのおっしゃいますことは、社会保障の本旨を全部に貫いて徹底した御議論であって、私どもも方向としてはそうありたいと思いますが、ただ現実の問題として、八木さんの御理想の通りに実現することは相当困難だということは、今考えております健康保険の方であろうと何であろうと、あなたのお考え方を貫いているのは、被保険者は保険料はもう上げない、そして給付はよくして、そして国庫負担しろとおっしゃるので、この点はよくわかるのでございますが、この点についてはそこまでは私は徹底してお約束はちょっと無理だと思いますが、ともかくも傷病手当金については一歩前進いたしたい、こう考えております。
#88
○八木(一男)委員 さっきの御決心はいいですけれども、困難ということでは困ります。大体日雇労働者健康保険法については、堀木先生は非常に御熱心であられて、私どもも非常に感謝をしておるわけですが、実は昭和二十八年にこの法律ができ上りますときに、社会党では五割国庫負担の案を持っておりました。時の自由党案は事務費だけで、給付についてはゼロ割。ところで時の分党派自由党さんが、それではならないとお考えになりまして、根本さん、三木武吉さんなどが乗り出されまして、中間案で二割国庫負担案を、傷病手当金も入れ給付期間も延長するということでお考えになりまして、それで分自党から改進党に働きかけがありまして、改進党では一番社会保障に御熱心な堀木先生がまず第一に御賛成をいただきまして、改進党の良心的な参議院議員の方全部御賛成をいただいて、衆議院でも時の櫻内国会対策副委員長とか国会対策の人は全部御承知になったのに、残念ながら改進党の政策審議会の厚生部会の部長さんで、労働者の保険なんかは考えないで、農民のことだけでたくさんだというような非常に誤った考えをお持ちの方が一人おりまして、その人のためにブレーキがかかってしまって、あの二十八年に二割が実現されることが間一髪でだめになった。そのときゼロ割で二割ですから、今だったら一割五分のものは当然三割五分になっていいわけです。それが間一髪のところでだめになったが、堀木先生は当然それでやっていいと、ほんとうに熱心に動いていただいて、これは関係者一同、堀木先生にいまだ深甚な感謝を申し上げているわけですが、そういう点と、それから第一、ゼロ割の出たときに、厚生省では原案で、昭和二十七年の末に三割国庫負担を考えておられた。ところが頑迷固陋な大蔵大臣によってはね飛ばされて、それから廃案になりかかった。それが平野三郎君やなんかが、自由党でもやはりこれは出さなければいけないということでいろいろ動いた結果ゼロ割のものが出てきたというのが今の法案のもとになっているのです。もともと厚生省は二十七年から三割を考えておられた。堀木さんは二十八年からもっとたくさん考えておられたけれども、現実に通すために二割に賛成された。それから何年か過ぎて、ゼロというのが今一割五分になっておりますから、当然それより二割増し三割増しということを厚生省としても、大臣としてもお考えになっていいわけです。そうすれば傷病手当金の、たとえば六カ月間の、それから何百円という非常に大きなものをお考えになっても、その五割、三割とか、二割ふやすことから考えれば、それより少くて傷病手当金だったら解決する。また給付期間の問題もいろいろ解決をつけていかなければならぬわけですけれども、そういう歴史的な因縁は厚生大臣は十分御承知のことでございますが、保険局次長さんなどは御存じないかもしれません。十分に耳に入れていただきまして勇敢にやっていただかなければいかぬと思う。そういうことで、それは非常に大きな案にしていただかなければならないということと同時に、保険料を値上げなどせずに国庫負担ですることとする。今の財政上ほんとうに勇敢だったらできないはずはない。困難などとおっしゃらないで、厚生大臣は努力をされて、そうして大蔵大臣を説得されて保険料の値上げでなしにできるだけ十分な――それだけ譲歩します、できるだけ十分な傷病手当金を三十三年度において実現されることを一つお約束願いたいと思います。
#89
○堀木国務大臣 大へん過去のことをあげて、お前はこのごろ堕落しているみたいに言われるので、非常に痛いのでございますが、しかし国庫負担率は御承知の通り、もうこれは八木さん自身も、そう言えばよく御承知なので、最初は不十分だけれどもこれでがまんして、こういうものは制度を創設して逐次整備していこうじゃないかと当時私話し合ったことを覚えております。そういう意味合いから、この制度を創設するのに相当無理があったことも、またあなたが今おっしゃられるようにいろいろな困難にぶつかって、現在ことに日雇健康保険が赤字になっていることも御承知の通りであります。むろん国庫の方もただ保険料だけでまかなうつもりは全然ございません。でありまするから、国庫の負担率をふやすというふうな点は十分考えておりますが、しかし何と申しますか、おそらくまあ怒られるだろうと思うことは、どうしても被保険者の幾分の負担率というものは考えていただかなければならぬ。これは八木さんはこの制度の創設当時から八木さん自身といえども現実問題として逐次解決するものであるということはよくおわかりになっていると私は存じ上げておりますが、できるだけ御期待に沿うように努力はいたします。あまりこまかいことじゃなしに、ともかくこの手当を創設すること自体が――私は逐次給付内容を充実して参るのが御趣旨に沿うゆえんでなかろうか、万難を排してこの制度の創設をしたい。創設することがまず第一歩だということで御了解を願いたいと思います。
#90
○八木(一男)委員 お気持は十分にわかりますが、創設をすることが第一歩であるという点は――私は一歩じゃなくて一ぺんに十歩飛びたいんですけれども、まず頭を出すことが絶対に必要です。それでわれわれは十歩と言いたいんですが、まず三歩、五歩ということで、やっぱり早く大幅に踏み出していただきたいのであります。三歩か五歩くらいで大またに飛び出していただきたいということ、それから国庫負担の点ですが、国庫負担も上げるけれども保険料も少し上げなければならないかもしれないということを示唆されておられますけれども、そういうことではなしに、もう一回一つ決心を固めていただいて、これはそうだから辞表をたたきつけろなんということは申しませんから、ほんとうにじっくりと粘り強く、保険料の値上げなどなしに、一歩じゃなしに三歩か五歩――十歩はもうあきらめてもいいですが――十歩というのは六カ月間であって金額がぐっと多いものですから、五歩くらいのところを保険料値上げじゃなしにぜひやっていただくように、予算完全確定するまでにぜひ一つお約束――と申し上げても今の御答弁では無理でしょうから、最善の御努力をしていただくということをお約束を願いたいと思います。
#91
○堀木国務大臣 八木さんと同じような気持で努力はいたします。ちょっと速記をとめて下さい。
#92
○藤本委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#93
○藤本委員長 速記を始めて。
#94
○八木(一男)委員 それではそういうことで御努力を心から期待をいたしますし、私ども野党の立場でございますが、対大蔵省その他の点で全幅のお手伝いをさせていただきたいと思いますので、どうか一つ御努力をお願いしたいと思います。
 それに関連いたしまして今度国民皆保険の問題で五人未満の事業場の労働者の方々はこれは当然健康保険に包含されるべきだと思うのですけれども、巷間ちょっと好ましからざるうわさが聞えますので、この点について堀木さんのお考えを伺いたいと思います。
#95
○堀木国務大臣 この問題も率直に申して最終決定まで参っておりません。私どもとしてもいろいろここでお答えをいたしておりますが、まだ党との調整等もありまして、むろん内閣の調整もございますが、党の考え方も最終的に煮詰まっていないわけであります。しかしできるならこれは内閣の方針全体としても調整しなければならぬことであります。ことに労働省の考えております保険の問題その他もございますので、それらとの均衡も考えなければなりません。そういう点からきますが、理論的には現在の健康保険自体に任意包括の制度がある以上、なるべくこれに包含できないだろうかということを今非常に突き詰めて研究しておる段階でございます。この前のときも確かにこの問題については五人未満の未適用事業場についてどう考えておるのだという御追及が相当ありました。しかしいまだにそういう点で最終的な決定には、お返事するまでには至っておりませんが、理論的に健康保険の方向にできるだけ包括していける方法はないだろうか。幸い健康保険に今申し上げた任意包括の制度がありとすれば、これにできるだけ吸収する方法はいかんということで、今最終的に煮詰まっておりませんが、その程度の答弁で今日の段階においては御了承願いたいと思います。
#96
○八木(一男)委員 態度がきまっておられないそうでございますが、お言葉から伺いますと、健康保険に適用しなければいけないという御信念はあるけれども、何か少しぐらついておるようにも伺われます。非常に心配なわけですけれども、まあ釈迦に説法になりますが、国民健康保険と健康保険では労働者にとって大きく違うわけであります。傷病手当金がなければ、ほんとうに都会の労働者の場合には、財産もほかの商売もなければ、医療の方ができてもその間の家族の生活ができない。傷病手当金のないものであれば、これは画龍点睛を欠くことになります。農村ではだんなさんが病気でも、奥さんが働いて、野菜の生長は少し悪いかもしれないけれども、野菜を作ることはできるのであります。またお店ではだんなさんが病気でも奥さんが店の手伝いをして、お店の収入は少し落ちても、何とか持てるという事情がありますが、ほんとうに労働者が労働だけで生活をささえておるときに、一家の主人公が病気で入院して収入が断たれたら、生活ができないために、医療の方もあきらめざるを得ないということが起るわけでございますので、その点傷病手当金のある健康保険というものは労働者に絶対に必要なものだと思う。またその内容にいたしましても、健康保険でしたら、雇用主の方の負担がございますから、内容もその点でよくできますし、本人の医療費については片方は十割、家族は現在残念ながら五割でありますけれども、労働者についてはそういう点で大いに違うわけです。六人以上の事業場は健康保険の適用を受けて、五人とか四人とかのところは適用を受けないということはおかしい。さらに三人でも二人でもおかしいわけです。それはやればできると思います。いろいろ捕捉ができないという理由はありますけれども、それは遁辞だと思うのです。労働者にとって利益になる法律ができましたときに、それを頑迷固陋な経営者がほっておいて社会保険の保険料を払わないということであれば、――これは自分の利益を守るために法律があるのですから、当然社会保険の適用が受けられる。捕捉が困難だということは、これは完全な遁辞だと思う。そういうことではなしに、そういう人たちには全部健康保険の適用を受けられるようにしていただきたい。国民皆保険という中に、ただ国民健康保険だけをやればいいという考え方であってはいけないと思います。今厚生大臣は首を横に振られたように、そういうお考えがないことはわかりますので、この点について全部健康保険の適用を受けられるようにしていただきたいと思います。時間がないので端折って申し上げますけれども、言いたいことはたくさんあるのですが、言い切れないのでございますが、日雇いの方の問題には、さらに給付の延長の問題がございます。要件を緩和する問題もございます。もう一つその問題で一番大事な問題は、手続の簡素化がございます。これは神田さんは公約されましたし、堀木先生にも大臣になられたときに個人的に陳情を申し上げまして、努力をしようと言われました。それには何らかの具体的な結論が出ていますか伺いたいと思います。
#97
○小山政府委員 ただいまお話しになりました手続の簡素化の問題については、でき得れば実現したい問題でございますが、いろいろ研究をいたしておりますが、八木先生よく御存じの通り、その簡素化ということが同時にまた財政状況に非常に関係のある問題でもありまして、まだ最終的な結論が出切らないということで、研究しておる段階でございます。
#98
○八木(一男)委員 小山さんの御答弁の中で、いろいろまじめに努力しておられる点はわかるのですけれでも、簡素化が財政的に関係があるという点、事務的な何かの点、財政の点も少しは関係があるかと思いますけれども、そういう点以外に財政に関係があるということは、非常に意地悪く解釈いたしますと、簡素化することによって今まで不便だったから被保険者なり関係者が、いろいろなことが手続ができなかったために支出が少かった、それを当然権利を完全に実行できるように手続を簡素化して、もらえば財政支出がふえるということであっては、これはそういう財政的な観点であれば即時変えていただかなければならない問題であると思う。財政的なことがあるからそれはまず研究する、調査するという問題ではないと思う。被保険者の権利が手続のために不当に圧迫されて、それで財政支出が不当に減っているわけなんです。それではいけない。そういう点では調査とか研究とかいう段階ではないと思う。今まで何年間か被保険者の権利が不当に圧迫されているのですから、一日も早くこれをしなければ被保険者に対して申しわけがないことなんです。そういう点で即時していただかなければならないわけでございますが、その点を堀木さんどうぞ……。
#99
○堀木国務大臣 確かに最初の委員会のときに、八木委員から手続の簡素化についていろいろな観点からの御質疑がございました。私もすぐ事務当局に、手続の簡素化について研究するように命じております。ほかのことは考えていないのですが、ともかくも実際に事務的に考えなければならぬ問題でありますので、とりあえず事務当局にやらせておるというのが実情でございますが、しかし何とかその点で事務当局が何かに籍口して逃げていれば、私はまた出なければならないのじゃなかろうかと思っておりますが、今はまだそういう段階でございましてまことに申しわけないと思いますが、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
#100
○八木(一男)委員 実は手続の簡素化は、もう三年か四年前から言っている問題なんです。それで神田さん、堀木さんはこの問題は取り上げなくてはいけないと言って、うんと言っていただいたのは非常にありがたいのですけれども、神田さんの在任中に果されなかった。堀木先生になってから、四、五カ月たってまだ果されていない。ほんとうにやる気になったら、これは頭のいい人がそろっていられるのだから、即時できるわけです。それからそれの関係者の団体で、こうやっていただきたいという熱心な陳情があるわけです。ですからそういうものを土台にして、それでそのまま入れたら僕はできると思うのです。そのままでできない点に、官庁の中のいろいろな権限争いとか、何かその中で一人か二人悪いやつがいて、逆選択を食うと困るからという考え方で、ブレーキをかけておられる。ところが一人か二人インチキをやる者がいても、何万人という人がそのために正当な権利をほんとうに実行できない。いろいろな手続をするために電車賃がかかって何にもならない、時間がつぶれて忙しい日雇いの人が休まなければならない。忙しい奥さんが子供をあずけてきたら、子供はその間にオート三輪でひき殺されたというような問題を考えると、二人や三人がインチキをするから、それをとめなければ日本の政治はもてないというような考え方をするのは、とんでもない間違いなんです。ですからほんとうに善意な被保険者の正当な権利を今まで不当に侵害していたわけですから、それを正当なものにするために勇敢であれば即時できる。何なら私は御相談申し上げて二日間で成案を作ってもけっこうです。できます。ですから頭のよい人がそろっておられるのだから、ほんとうに決心されたらできる。それを今まで悪い人にやられるといけないからという考え方でやっているからいけないので、そういう考え方でなしに、手続をほんとうに簡素化しょうという方針を堀木さんに御宣明願って、今までの過去のことは追及いたしませんから、関係者の方は即時二、三日で成案を作って臨時国会中にどういう方法でやるということをぜひ発表していただきたい。それが関係団体の陳情通りのことであればよいけれども、それにブレーキをかけたような案であれば、その前に必ずこういう案でどうだろうかとわれわれに御連絡を願って、それではいかぬというわれわれの意見も十分入れて、いい案をこの臨時国会中に作り上げて発表していただきたいと思う。その点で一つ堀木さんの御答弁を願いたいと思います。
#101
○堀木国務大臣 率直に申しますと、神田さんがお約束なすったのをいろいろ私がやらなければならないので、非常にたくさんのいろいろなことがございます。しかし今の問題は御趣旨は私前にも申し上げたと思いますが、八木さんのおっしゃる通りの方向でそのことは考えているのです。しかしそれはわれわれは役所としては延ばしているからというので、二、三日中にでも臨時国会中にとかいう期間をおきめになることもよくわかるのです。よくわかるのですが、しかしこういうこと自体がどうも日にちでできにくい仕事なんで、実はこの間参議院でも日にちを切れとおっしゃった、しかし日にちを切って事実その日にちにはなかなかできなかった。できなければやはり事情をお話すれば御猶予が願えたのですが、日にちの点は事務でございますので、お約束はかんべんしていただきたい、しかし御趣旨はほんとうに今おっしゃったような御趣旨で努力をいたしたい、こう考えております。
#102
○八木(一男)委員 それでは堀木さんの方の計算で、いつまでにできるという日にちの切り方について、ちょっと御意見を言っていただきたいと思います。
#103
○堀木国務大臣 率直に言って、私自身が手続をほんとうにトレースしていくひまがないのです。ですからやはり事務当局に熱心に私の方針に従ってやっていただく。私の方針に従わない事務当局では、これはしようがありません。しかし私は精一ぱいやるように命じて、やり得ないことだけはごかんべん願いたいと思う。私の方で、私がこれに精通いたしておりますと幾日以内にやりますというふうに言い得るのですが、実際は正直なところそういう状態でございません。しかし私すべてのことを――神田さんのお約束したことを着々実現していきたいという気持は持っております。どうぞそれで御了承願います。
#104
○八木(一男)委員 今お答え願うのは無理ですから、命令をなさった保険局関係の方だと思いますが、その作業をにらまれまして、それが手をつけてないところとか、非常に作業がおくれておるときには、私は今後そういうことでは困るということをおっしゃっていただいて、それで御相談になって、あしたといっても無理ですから、あさってくらいまでに、厚生省の方のいつまでにできるという見通しをつけていただいて、大臣から一つお答弁を願いたいと思います。あしたではなく、あさってですから、それをぜひその点だけお約束を願いたいと思います。
#105
○堀木国務大臣 八木さん、私の今までの答弁ではいけませんですか。私はいいかげんに言うのがきらいなものですから、この二日あとで大体この見当と申し上げて、そうしてまたいろいろそれについて論議して、延ばしていくということ自体は私はあまり好まないのです。まず誠意をもってこの手続の簡素化についてできるだけ早くやりたいということでごかんべんを願いたいと思います。
#106
○八木(一男)委員 厚生大臣の御答弁では十分に満足できませんのですけれども、お気持も十分わかりますから、またあしたでもやるかもしれませんけれども、今それで了承したということじゃなしに、この問題は一つこんな申し上げにくいことを申し上げなくてもいいようにぜひやっていただくようにお願いをしたいと思います。まだまだたくさんあるけれども、次の厚生大臣のおいでになるときに引き続きやらしていただきたいと思います。年金の問題と部落問題でまだ一時間半くらい申し上げたいとことがありますが、きょう厚生大臣の御会合もございまするし、大へん残念ですけれども、一応ここで打ち切らせていただきます。
#107
○藤本委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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