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1957/11/14 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
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1957/11/14 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号

#1
第027回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和三十二年十一月十四日(木曜日)
   午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 菅野和太郎君
   理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中曽根康弘君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君
      秋田 大助君    小平 久雄君
      須磨彌吉郎君    平野 三郎君
      保科善四郎君    山口 好一君
      田中 武夫君    原   茂君
      堂森 芳夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       吉田 萬次君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       藤岡 由夫君
        科学技術庁事務
        次官      篠原  登君
        総理府事務官
        (科学技術庁企
        画調整局長)  鈴江 康平君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      島村 武久君
        総理府技官
        (科学技術庁調
        査普及局長)  三輪 大作君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    松井佐七郎君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所副理事長) 嵯峨根遼吉君
    ―――――――――――――
十一月十四日
 委員松前重義君辞任につき、その補欠として堂
 森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として松
 前重義君が議長の指名で委員に選任された。
十一月十三日
 一、原子力委員会設置法の一部を改正する法律
  案(岡良一君外八名提出、第二十六回国会衆
  法第四七号)
 二、科学技術振興対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○菅野委員長 これより会議を開きます。
 これより科学技術振興対策に関する件について、調査を進めます。
 この際、正力国務大臣より科学技術振興に関する基本的施策について、所信の表明を承わりたいと存じます。正力国務大臣。
#3
○正力国務大臣 病気のためにだいぶ委員会を欠席いたしまして、ここに深くおわびをいたします。
 それでは、科学技術振興に関する基本構想につきまして、私の所信を申し上げます。
 最近における世界各国の科学技術の進展はまことに目ざましいものがあり、先般来のソ連の再度にわたる人工衛星の打ち上げにも見られるがごとく、その成果はまさに瞠目に値するものがある。この壮挙に関しては、すでに米国大統領の所信表明も行われ、米国においてすら、科学技術に対する行政施策上の深刻な反省が行われているのが現状であって、大統領所信中、注目すべき見解としては、教育と生活の場において科学技術がその優位性を十分に与えられていなかったこと、各種研究機関における基礎研究が優先されなかったこと、民主主義国家間の科学技術情報交換が適切に行われなかったこと等が述べられている。
 翻って、わが国における科学技術振興施策の現状を顧みるに、米国において行われた反省が、遺憾ながらより切実にそのままわが国にも当てはまることである。ただこの場合異なるのは、米国の反省が人工衛星という一つの競争目的において競争相手国に優先ざれたことに対する反省であるのに比して、わが国のそれは科学技術振興方策全般について言い得ることであるという点である。
 われわれは人工衛星打ち上げというはなばなしい成果のみを目標にする必要はない。むしろわが国としては、科学技術の各分野にわたるすそ野の広さの充実拡大をこそ目標とすべきであろう。しかも、このようなすそ野の広さの充実拡大は、一朝一夕にして成るものでないことを、わが国民はこの際特に銘記すべきである。国土も狭隘で、資源的にも恵まれず、過剰な人口をかかえているわが国が、欧米先進諸国に伍して経済基盤を確立し、文化生活の水準を高めて行くためには、いかにしても科学技術の振興をはかり、資源、エネルギーの有効利用を期し、もって産業の発展を画するほか、方策は考えられないのである。
 しからばいかにしてわが国の科学技術を振興させるか。この点について所見を述べるに、まず第一に科学技術教育の強化普及により国民の科学技術に対する関心を高めなければならないことである。じみな基礎的研究に世人はややともすれば無関心になりがちであるが、人工衛星打ち上げの陰にどれだけ多くの科学技術の研究が奉仕しているかを考えれば、これは自明の理である。このために科学技術者の待遇改善、研究施設の整備、研究費の増額等が急がれねばならないし、国民全般の物心両面にわたる支援が要請される。
 第二に、科学と技術との密接な連係が考えられねばならない。わが国の科学研究が単に学問的分野にのみとどまっていたことが、最近における技術導入費の著増の最大の理由と考えられることである。この両者の連係の強化をはかり、総合的推進をはかるためには、科学技術に関する長期計画を樹立し、その計画に従って、国、公、私各試験研究機関を総合的に整備拡充することが望まれる。
 第三に、かくして生まれた新しい技術の活用がはかられるべきであって、このためには特許発明の実施化促進方策を講ずるほか、新技術を産業文化面に移植するための強力な方策も講ずる必要があると信ずる。
 第四に、科学技術振興方策の基盤として強調しなければならないのは、科学技術者の質量両面にわたる強化であって、この点についてはアメリカ国民も深く反省しているととろであるが、わが国においても、従来の教育制度における文科偏重の風を是正し、社会の実需に見合い、新しい科学技術の分野に即応する科学技術者の養成計画を確立し、これを確実に実施して行くための措置を強力に施さねばならない。
 以上の四項目がわが国の科学技術振興のためにとらるべき基本的方策と信ずるのである。幸いわが国には科学技術の総合的推進機関として科学技術庁が設けられておるが、設立日なお浅く、機構も弱体であるから、この際、世界の大勢におくれないため、その強化拡充をはかり、これを中心にして、関係各方面の協力のもとに、はなばなしい一目標のみに幻惑されることなく、着実な科学技術行政を強力に推進していくべきときであると信ずる次第であります。
#4
○菅野委員長 以上をもちまして、大臣の所信の表明を終りました。
 続いて質疑に入ります。質疑は通告に従ってこれを許します。齋藤憲三君。
#5
○齋藤委員 正力長官には病気御静養中特に御出席を賜わりまして、ただいま科学技術振興に関する基本的構想についての所信を承わったのでありますが、私は今日の世界の科学技術進展の情勢にかんがみて、ただいまお述べになりました御所信は、まことに当を得た御所信と承わったのであります。医者の許可をせられた時間は一時間と承わっておりますので、質問を簡潔に申し上げますから、御着席のままで一つ簡潔に御答弁を承わりたいと思うのであります。
 私の質問は四点ございます。第一の質問は、ただいまお述べになりました基本的御構想を中心として、科学技術白書またはその他の方法によって、わが国の科学技術のあり方というものを国民一般に知らしめる方途を至急にお講じになるお考えがあるかどうかということが一点であります。
 第二は、現在の科学技術の進歩の非常に大きい分野を占めております電子技術の日本の現状にかんがみまして、科学技術庁当面の機構拡充の一つとして、科学技術庁に電子局を設けられまして、それと並行して、電子技術全般に関する法的措置を講ぜられる意図があるかどうかということが第二点であります。
 第三点は、この科学技術庁機構拡充、日本の科学技術総合統一、そういう行政機構の強力な力によって日本の科学技術の推進をはかっていくには、どうしても科学技術庁設置のときにありました附帯決議の最高の目標であります科学技術省を作らなければならぬと思うのでありますが、これに対するお考えはどらか。
 第四点は、どうしても将来は人類の平和を確立し、繁栄を求めて参りますには、原子力の平和利用というものを徹底的に普及して、その成果によって将来の人類社会の繁栄、平和を確立していかなければならぬということは申すまでもないことであります。欧州におきましてもユーラトムがございまして、欧州六カ国が力を合せて将来欧州の繁栄をソ連、アメリカにおくれざるように確立しようという強力な運動が行われておるのであります。これに対応するということでもございませんが、当然アジア諸国においても、原子力平和利用に対する協同的な力によって将来の平和、将来の繁栄に対しての措置を講じなければならぬということが当然考えられることであると思います。従いまして、この際アジア諸国の原子力共同体を確立する前提として、来年は必ずアジア諸国の原子力会議というものをやりまして、逐次アジアにおける将来の繁栄、将来の平和というものに対する措置を講じていかなければならぬ、さように存ずるのであります。これには当然予算を伴うことでございますが、これに対する大臣の御所見いかん。
 以上四点に対しまして、簡潔に、おすわりになったままで一つ御答弁をお願いいたしたいと思います。
#6
○正力国務大臣 ただいまの四つの御質問は、まことに適切なる御質問と思います。私も喜んで御答弁申し上げます。
 第一に、今度科学白書か何か出すかどうか、そうして国民に知らせなくちゃならぬということ、これはもちろんそらであります。私は第一、日本は科学立国でいかなくちゃならぬとまで思っております。従って、広く国民に知らして、これによって日本の産業を高め、生活を上げなくちゃならぬということで、実は病気になる前に総理にも私は科学立国の趣旨を話したのでありますが、そういう意味からしても、一刻も早く国民に科学技術振興について白書を出さなくちゃならぬと思っておりますから、目下考究中でありますが、できるだけ早く出したいと思っております。
 第二の御質問は、電子局を設けるかどうか、これはまことにごもっともであります。実は私は第一回に科学技術庁長官になったときに、すでに庁の幹部に話したのであります。これからは科学技術はすべてが必要だが、特に必要なのは原子と電子である、すでに原子力局ができておるのに、電子局といろものが何もないじゃないか、とりあえず一つ電子課を設けるようにしろと言いましたところが、これは各省に関係があるからなかなか考究を要するということで、考究を要することなら幾ら考究をしてもいいが、どうにかしなければならぬといううちに、私はかわったのであります。そこで、今度再び科学技術庁長官になりましたから、まだできてないじゃないか、もう電子課なんというものじゃない、早く一つ局を設けるためにその案を作れと私は言うたのであります。それで、それではこれはなかなか各省との関係もありますからよく調査しますというておるうちに、僕が病気になってしまったのです。そうして齋藤委員から六日に質問があったと聞きまして、私はまことに残念に思っておる次第でありますが、そういうわけですから、努めてこれをやりたいと思っています。
 その次に、科学技術省を設ける考えがあるかどうか、これはもとよりそうであります。科学技術庁ではとてもその目的は達せられません。これはことに社会党の方々は非常に熱心のようでありますが、今度は自民党の人々も非常に熱心のようであるから、これは私は必ず皆さんの協力を得て科学技術省ができるようになると思います。私どもはできるだけ進めますから、何分一つ、これは自民党、社会党共同一致で御支援あらんことを切にお願いいたします。
 最後に、アジア諸国の原子力研究に関する欧州のユーラトムのようなものを作ってはどうか、それについては一つ来年度あたりでも会議を開けというお話、これも全く同感であります。私ども一体原子力をやっておるのは、ただ日本のためにやっているのではありません。それは少くともアジア全体、世界全体のためであります。それでありますから、来年その会議を開くようにせよということはまことに同感です。しかし、何分これは予算を伴うことでありまして、なかなか政府がけちけちしておりますから、これもまた一つ皆様の御支援をお願いしたい。
#7
○齋藤委員 ただいまの大臣の御答弁で、私の質問は十分了承いたしました。ただ一点最後のアジア原子力会議というものは予算も伴うことでございますし、また強力にこれを推進しなければ、なかなか実現がむずかしいと思いますので、こいねがわくは委員長発議でもって、このアジア原子力会議をなるべくすみやかに開催するという意思の決定を決議するということによって、お取り計らいを願いたいと思います。
#8
○正力国務大臣 ただいまの予算問題について一言申し上げておきますが、齋藤委員は科学技術庁のことに非常に詳しい。予算のことも御協力願っておるから、みな御承知と思うのでありますが、今日の状態では、外国から科学技術庁として科学者を呼ぶ予算もないようなありきまであります。ところが、昨年非常に熱心な結果、その費用を総括して外務省に移した。ところが、外務省が取った結果、ほかに回してくれないということで、まことに情ない状態であります。御承知のごとく、ヒントン卿を呼ぼうと思っても予算がなくて、私は読売新聞の費用で呼んだようなわけでありまして、まことに情ない状態でありますから、これについては皆さんの御支援がなくちゃならぬので、どうぞよろしくお願いいたします。
#9
○菅野委員長 ただいま齋藤委員よりの委員長に対する動議につきましては了承いたしました。後刻またあらためて御相談したいと思いますから、よろしくお願いします。
 次に、岡良一君。
#10
○岡委員 正力国務大臣の非常にお元気な、しかも積極的な御構想を承わりまして、さぞかし今のお話のことについては、科学技術行政が全世界の最先頭に立っておるときに、不本意なことと存じます。そこで、きょう科学技術振興に関する御所信を承わり、それからアジアにおける原子力の開発について、各国の協力の関係を作り上げていこうという御方針についても承わりましたので、唐突ではありますが、御所信について若干お尋ねいたしたいと思います。
 実は、私ども新聞紙の情報で見ますと、すでに防衛庁は無線誘導の研究のために、ミサイルのエリコンをスイスから購入しようというので、昨年三億余りの予算が計上された。また最近伝えられるところによると、アメリカからさらに進歩した無線誘導弾を購入しようというようなことで、ソーア、ジュピター、タイタンとまではいきますまいが、IRBMに近いようなものを購入しようということも伝えられておるのであります。こういうところに大きな予算がさかれて、そうして今、科学技術のいわば高峰に位するところの電子工学や、原子力やあるいはロケット等のそういう科学技術の高い水準に連なるところのものがの防衛庁において莫大な予算が計上せられ、しかも事実上その運営が国内における機密立法を伴うというようなことになったのでは、せっかくの生活と科学の直結という第一項にうたわれておるところの構想が、大きく阻害をされると私は思うのであります。そういう観点からいたしまして、科学技術振興には私どもも双手をあげて賛成でありますが、わが国における科学技術振興の推進は、そのような軍事的目的に、予算なり運営において絶対に変更すべきものでない。あくまでもこれを国民生活の文化的水準を高める国民福祉のために用いる、こういう方向に科学技術の振興が重きを置いて進められなければならない、かように感じておるのであります。大臣の所信を承わりたい。
#11
○正力国務大臣 今の御質問まことにごもっともです。私もこれは同感です。実際、科学技術の振興をはかるのは、防衛のための振興ではありません。やはり平和のために振興をはからなくてはならぬ。その意味において防衛庁の予算が多過ぎて、科学技術庁の予算が少いことは遺憾に思っておりますが、この予算を獲得するには皆さんの御協力がなくてはできない。それだから、これは自民党と社会党が協力してやれば何でもないことでありますから、これを一つ皆さんから始めてもらいたい。どうぞよろしくお願いします。
#12
○岡委員 それは後刻理事会で自民党の諸君ともお諮りして、防衛庁費は全額削減し、技術振興費に充てようという決議案を、わが社会党としては提出することについて検討いたしますから、その節は、政府においてもぜひとも御協力をお願いしたいと思います。
 それはさておきまして、いま一つは、ソ連あたりがなぜ人工衛星打上げの先頭を切ったかということについては、米英の科学者あるいは米英の政府も自己批判をしております。その中で、たとえばアメリカの科学者陣が、昨年ソ同盟を視察した報告の中にこういうことを言っておる。それは、アメリカの科学者は人口百万に対して一カ年間に百三十七名程度出ておる。ところがソ同盟は二百八十名出ておる。英国はアメリカよりも劣っておる、こういうことが伝えられておる。その次には、その科学者の中で基礎研究の部面におもむく者の比率が、実用の方面よりも、ソ同盟の方は若干優位である。ところがアメリカでは、むしろ応用の方面におもむくところの科学者や技術者の比率が七であって、基礎研究にとどまる者が三であるというようなことが伝えられておるわけであります。そういう意味で、御所信の中にも、基礎研究というものを大幅に積極的に進めなければならぬ、こら言われておるわけであります。ところが、日本の現状は、遺憾ながらむしろ利益になるところに科学者も技術者も引きずられていく。またそういうような態勢がそのままに容認されておるというようなことがあるわけです。そういうことからいたしまして、やはり基礎研究費に対する国の予算とともに、それに伴うところの基礎研究に携わる科学者や技術者に対する処遇の問題あるいは研究費の問題、その他こういう形において喜んで基礎研究に携われるところの具体的予算措置が私は必要だと思います。そういう点において、本年度における科学技術庁の予算の中で、この点についての意図がどの程度具体的にされておるのか、この点をまず事務当局からお伺いいたしまして、その上で重ねて大臣の御所信を承わりたいと思います。
#13
○鈴江説明員 各省の科学技術に関する予算につきまして、どの程度のものが要求されておるかということ、並びにそれに対する当庁の意見等は、お手元に差し上げてあります分厚い科学技術振興予算見積方針調整意見書にも出ておるわけであります。それで、当庁の性格上、設置法の趣旨からいいまして、大学におきます研究の問題には触れてないのでありますが、どの程度の予算が要求されておるかと申しますと、大体本年度の予算の二・三倍程度のものは要求されておるわけであります。その内容につきまして、当庁として特に推進すべき事項というものをそれぞれ検討いたしまして、大蔵省当局に意見を述べてあるわけでありますが、しかしながら、ただいま岡先生のおっしゃいましたような科学者の待遇その他の問題につきましては、私ども最も基本的な重大な問題であるということを痛感しておる次第でございまして、この点は最も強い意見として私どもはこれを表明いたしておる次第であります。現在の科学技術者の待遇と申しますと、同じ役人でございますけれども、本省庁の行政官と比較いたしますと、いろいろの点において不利がございます。たとえば管理職手当というものは、本省庁の課長以上は全部甲という本俸の二五%の手当がついておるわけでありますが、研究官につきましてはずっとこれが低下しております。昨年もその点を指摘いたしまして、大蔵省当局と折衝いたしました結果、相当の改善は見ておるわけでありますが、しかしながら、今に至りましても、研究所長は本省庁並みでありますが、部長級は乙、それから課長級は丙というような地方庁並みの手当しかついておらないわけでありまして、これらに対します改善の予算といたしましても、必ずしも多額なものではございません。これも一々計算してここに出ておるのでございますが、やはり数千万円程度のものであります。なお、旅費というようなものにつきましても、本省庁の約半分しかついておらないというような現状であります。また超過勤務手当というようなものも、省によって相当の違いがありまして、当庁におきましては、むしろわれわれ本省の者よりも時間数をよけいにふやしてございますけれども、ほかの官庁は必ずしもそらではありませんで、大体本省庁の半分程度であるということは、少くとも科学技術者が安心して、またよい人を集めるという意味におきましては非常な障害になっておりますので、こういう点をぜひ改善してもらいたいということを大蔵省に望んでおる次第であります。これらの問題につきましては、資料にありますが、非常にこまかくなりますので、御質問によりましてまたお答えいたします。
#14
○岡委員 その点で、公務員あるいはそれに準ずる立場の人だけではなくて、あるいは大学の教授や研究者も含めまして、もう少し科学者や技術家の養成のためにも、との処遇の改善に直接必要な予算的な状況というものが今御答弁のような次第でありますが、こういう点にも、ぜひ一つ科学技術振興の重要な要素として、大臣の御勇断を願いたいと思います。
 次に、この御所信の中では、先進国の技術の摂取ということについては触れるところがありませんが、これについて、いかなる御構想を持っておられるかという点についてお伺いいたします。
#15
○正力国務大臣 先ほどの岡委員のお話は、私もすべて同感でありまして、実は科学技術者の待遇の悪いこと、また研究費の少いとと、これは私がこの前科学技術庁長官になったときから言うていたことでございます。どうも日本では、今までは文科系統を尊重して、理工科系を軽んじておった結果、おのずと研究費も少くなって、待遇が悪かった。その結果、御承知のごとく、日本の研究が非常におくれてきたということになっておるのでありますから、私は、先ほども申し上げた通り、どろしても日本は、科学技術立国にいかなければ将来伸びていかないという考えを持っておるのであります。すでに病気になる前に総理とも話をしましたが、総理も、それは同感だ、どうしてもわが党としては、一つ科学技術について大いにやろうじゃないかということでありました。ところが、今までの慣例がありまして、予算を請求しても、まことにけちけちした予算の請求の仕方をしておるのでありまして、まことに恥かしいことでありますが、今までの慣例にとらわれておるのであります。それで、実は予算の決定したものを見て私は驚いたわけでありますが、今度は、さきに申し上げたごとく、総理も同感の意を表しております。まだ大蔵大臣とは折衝していませんから、これから大蔵大臣とも私自身も折衝しまして、科学技術立国でなくちゃならぬから、一つ予算をふんばってくれということを、あらためてとくと言うつもりでおります。実は、この間文部大臣が、病気見舞かたがた私のところへ来ました。そのときに、私に、どうも今までは法科を尊重したがる傾向があるが、今度は少くとも法科と文科の学生を半々くらいにしたいと思う、そうして広く単校方面にやらすつもりでおるので、君も早く出てきておれを応援してくれぬかというような話があったのであります。これは、昨年来、実は私が第一回長官のときからたびたび文部省に言ったことでありますが、今度は文部大臣が幸いそれを取り上げてくれましたので、われわれもできるだけ協力して、そうして何としても科学技術の基礎教育をやりたい。それには、先ほど申し上げたごとく、やはり大学だけではいかぬので、高等学校、中学校、小学校にまで科学技術を教えなくちゃいかぬ。そうして、日本の国民全体が科学技術教育の必要を痛感するようにしなくちゃいかぬと思います。幸い文部省もそうなったのでありますから、だんだん御趣意に沿うようにいくと思いますが、それについては、たびたび申し上げるように、どうぞ御協力を切にお願いいたします。
#16
○岡委員 私は、そのことと同町に、アメリカやソビエトなど、現に非常に高度に科学が発達をしておるのを見ておるので、諸外国の知識を日本が摂取するための具体的な方策が盛られてはおらないではないかということを実はお尋ねしたのです。
 そこで、時間もありませんので、具体的にお尋ねいたします。現にアメリカの方では、ソ連の人工衛星打ち上げ以来、米英の間に技術情報のプール機関を作ろら、とれをNATO加盟国にまで拡大しよえというような形で――これは軍事的な科学的努力ではありますけれども、非常に懸命な努力をやっておるようであります。日本の立場からいたしまして、まず諸外国の先進的な技術情報を摂取するという点から、ソ同盟とはすでに正常な外交関係が回復をされておるのでありますから、日本はこの際勇気をもってソ同盟とも科学の技術情報に対する交流をやる、こういうよろな御構想があってしかるべきであると思うのであるが、その点いかがでありますか。
 いま一つは、現在外国に派遣をされておる科学アタッシェであります。との科学アタッシェは、その身分においても、その数においても、予算においても非常に虐待されておると思う。これではとても、現在ワシントンやロンドンにおるあの諸君にいたしましても、内地が期待をするような活動はできないと思います。科学アタッシェというものは、英国のごときはアメリカに二百名もおります。日本ではたった二人しかおらない。しかも、英国やカナダの科学アタッシェは、ワシントン大使館では相当高い序列に位しております。日本の科挙アタッシェに至っては問題になりません。しかも、彼らは、たとえば旅費にしても、ニューヨークヘ往復二回しかできない旅費しか支給されておりません。これでは、たとえば西の海津でサンノゼなりあるいはセント・スザンナで、ノース・アメリカンやゼネラル・エレクトリックが原子炉を作った、あるいはドレスデンで実用動力炉の建設が始まっておるといっても、出張旅費がないから、実地を見学に行くことさえもできません。人が足りない、予算がない、身分が低い、こういう科学アタッシェを派遣をしておいたのでは、日本と外国とのいわば技術の大きな動脈の一つの役割を期待することはできないと思う。この点について、科学技術庁としても、もっともっと御努力あってしかるべきであるか。まず第一点は、ソ同盟との科学技術の交流について具体的な折衝を開始すべきである。第二点は、科学技術アタッシェの身分を高める、大使館の方から発言権を高める。同時に、予算を増額し、人員を増加して、十二分に先進国の科学技術情報を日本の国内に導入し得る動脈としての役割を果し得るようにする。このことは当面私は無常に必要なことではないかと思う大臣の御所見をお伺いいたします。
#17
○正力国務大臣 ただいまのお尋ねは、外国の技術を導入するかどうかという根本問題でありましたが、外国の技術を導入しなければならぬということは、私が野にあるときからの多年にわたる持論であります。ところが、従来、日本では長い間外国からの導入より、日本でやるのだという悪い癖がありましたので、私はいつもこういうことを言うた。一体、日本ではどうしても研究費が足らず、研究者も少いのだから、それをただ日本の力だけでいくということは無理だ。どうしてもまず外国の技術を導入して、外国と同じ水準になってやれば勝てる。日本人はかなり頭がよいのだから、必ずや外国に勝てる。しかしながら、ずっとハンディキャップがついておっても、頭がよいから日本でやれるというようなことではいかぬ。それだから、幾ら頭がよくても、同一水準までいって、それから行けばわれわれは勝てるということは、これは私の野にあるときからの持論であります。ところが、そのときにはなかなか反対があったのであります。現に私がテレビをやったときもそうであります。外国から技術を導入してはいかぬ、品物を買ってはいかぬという風潮があった。しかし、その風潮がすっかり改まって、何でもよいから外国の技術を持ってきて、日本全体の水準を高めなければならぬという空気に一般がなっておるのでありますから、これは私はまことに喜ぶべき現象だと思っておるのであります。それについては、お話の通り、アタッシェが少いじゃないか、これはまことに残念であります。アタッシェをどうしてももっともっとふやさなければいかぬ。それからまた、外国との情報交換をもっとやらなければならぬ。情報交換をやるについても、アタッシェをもっと多くしなければいかぬ。それについては予算を伴うから、何としても先だつものは金であると言うがごとく、予算をふやさなければならぬ。予算をふやしてもらえば、おのずからアタッシェもふやし、外国の技術も導入するということであります。
 それからソ連と早くやれということでありますが、私はソ連との技術交換については大賛成です。しかしながら、これまでいろいろな条件も伴うておることでありますから、これはよく研究の余地があると思っておりますが、単なる技術交換、技術導入については大賛成であります。
#18
○岡委員 ぜひ一つその御構想を実現をしていただきたいと思います。
 それから最後に、科学技術省を設けるかどうかということについては、これも賛成だ。国会もぜひ応援してくれ、特に社会党がその意見を先に出しておるのだから安心だ、こういうことをおっしゃいましたけれども、もう予算の編成期にもなっておるし、とても間に合うものではありません。ただこうして新しい科学というものが、本質的に、部分から全体、分化から総合という形に移っている。人工衛星一つを見たって、電子工学も要れば、原子力関係の物理学の研究も要るでしょうし、あるいはロケットの関係についてもいろいろな高度の科学技術が総合されたものが人工衛星という姿になって出てきておる。ところが、日本の行政機構は、まだ古い機械文明時代の割拠主義というものが残存しておる。だから、教育となれば、文部省、科学技術庁も、研究所だって国立の研究所を全部膝下に持っているわけじゃない。その他通産省でも特許庁を持っておる。いろいろな形で各省がそれぞれ従来のまだ初期の機械文明時代の割拠主義というものを温存し、かえってそれが強化されつつあるという現状であります。そこから、機構の上におけるマン・パワーのロス、予算の非効率的な運営というようなものが事実出てきておる。そこで、科学技術省を目途として、まずこの際日本が経済建設計画を立てるならば、どの程度の科学技術者がどの部面において必要ということも大体出てくるはずである。経済企画庁も加えて、通産省も文部省も加えて、あなたが中心になって政府部内に科学技術振興のためのこの際協議会とでも申すようなものを作って、これを足がかりにして、将来は科学技術省に発展させるまず段取りとして、ここに一つきっかけを求めていく、これがこの際大臣としてぜひやっていただきたいと思うわけです。いかがでしょうか。
#19
○正力国務大臣 ただいまのお話は、まことにごもっともであります。現に、民間においても、高碕達之助君は何か科学技術の審議会というものを作っておられるようですが、われわれの方ではそうではなく、政府として一つそういう審議機関を作って、御趣意の通りに促進したいと思います。
#20
○菅野委員長 田中武夫君。
#21
○田中(武)委員 時間もないようですし、御病気の由ですから、簡単にお伺いしたいと思います。
 まず第一に、先日設立を見ました日本原子力発電株式会社と、これに関連して、大臣が本委員会において述べられたことと若干食い違っておるように思いますので、その点をお尋ねいたしたいと思います。
 大臣は、九月の十七日の本委員会におきまする松前委員の質問に対して、この受け入れ方は、すなわち今までできております原子力発電株式会社の点につきまして、「私は先ほど申し上げました通り、これは電力の供給もあるが、研究ということに重きを置いておるということでありまして、従って、これは試験的のものであります。」こういうようにお答えになっておるわけであります。ところが今日できました原子力発電株式会社の定款を見てみました場合に、第二条の目的及び事業のところは、「原子力発電所の建設、運転操作およびこれに伴う電気の供給」とあり、二号の方に、「前号に付帯関連する事業」、こういうことになっておりまして、大臣は、研究、試験的である、これを重点に置いて、それからもう一度調査団を出して調べた上で、こういうふうに言われておる。それから暫定的なものである、こら言われておるのと現実にできた会社とは、だいぶこの間に食い違うところがあるように思うのですが、大臣が九月十七日当時考えられておった構想と、現在できております原子力発電株式会社とはどのように食い違っておるのか、大臣の先日の御発言と関連してお答え願いたいと思います。
#22
○正力国務大臣 ただいまの御質問は、まことにごもっともな御質問と思います。しかし、これは原子力発電株式会社の定款の書き方が少し誤解するようになっておりますが、これは民間の会社であるから、民間の会社の定款の形にのっとったものでありまして、その趣意においては、私の言うたことを全部含んでおるのであります。それはどういうところだと申しますと、まず第二条に「初期の段階における」とちゃんと書いてあります。それですから、これは全く原子力発電会社といろものは初期の段階における原子力発電の基本機関であります。これは将来の普通の民間の発電会社と違っております。初期の段階であるということであります。それからなお第二条の一に「原子力発電所の建設、運転操作およびこれに伴う電気の供給」とあります。この「原子力発電所の建設、運転操作」ということは、おのずとこれによって研究ができる。原子力発電所の建設をしたり、運転操作をやることそのこと自体が、当然研究になるという意味でこれは書いておるのでありまして、ただ民間の会社であるために、こういう文字を使ったのであります。私はこの文句は適当と思いません。思いませんが、しかし趣意においては全部含まれておると思いまずから、御質問もごもっともと思いますが、御趣意の点は決してはずしていないのであります。私の九月十七日の趣意に沿うておるが、ただし書き方は、民間の会社であるために、あまり上手でなかったということでありますから、それになお御注意もありましたから、発電会社に注意をいたします。
#23
○田中(武)委員 その際もわれわれは申し上げておったのですが、「研究」、こういうことであるならば、これが重点であるならば、原子力研究所でやらしたらどうか。それから民間会社であるからこうと、できておるのは民間会社でございますが、われわれはこういう初期の、ことに将来重大な国家並びに国民に影響を与えるであろう原子力発電のようなものは、むしろ公社なり特殊法人でやらすべきではないか、こうううこともわれわれは言っておったわけなんです。そこで、それでは今おっしゃいましたように、初期のこういうことは研究を含んでおる。そうするならば、将来原子力発電株式会社の行うところの、いわゆる大臣のおっしゃる研究という範疇に属する問題と、これに関する原子力研究所との関係、それからこれはあくまで私は民間のいわゆる会社法に基く民間会社かどうか、こういうものはやはり特殊法人、特別法によるところの法人または公社にすべきではないか、これは前もそう言っておったのですが、そういう考え方を持っております。これに対する大臣のお考え、もう一つは、あくまでも、民間会社であろうが何であろうが、原子力というものに関係のある限りは、原子力基本法の適用を受けるということは当然と思います。すなわち、民主、自由、公開、こういう原則の適用はあると思いますが、この原子力発電株式会社において、今後なされるところのいわゆる初期の段階におけるところの研究、こういうところに対する民主、自由、公開、こういう基本法によるところの三原則の適用――民間会社であるならば、会社の御都合によっていろいろなことが行われると思いますが、これに対する監督、これについてはいかがでしょうか。
 もう一つは、電気を現実に供給する事業をやるとするならば、電気事業法等の関係が起きてくると思います。電気事業法の第五条には、「電気事業者ハ命令ノ定ムル所二依リ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ工事ヲ施行シ又へ電気工作物ヲ使用スルコトヲ得ズ」こういうことであります。ところが、この工事の施行ということになりますと、定款にいうところの原子力発電所の設立ということが関連してきます。これに基くところのいわゆる電気事業法の施行規則の第一条以下にそれに対する手続が書いてありますが、もちろんこれは原子力発電とか、そういうことが考えられなかった時代である。従って、それに対して原子力発電ということに何ら規定がない、そういうような関係をどう整備せられるか。これは技術庁だけの問題ではないと思いますが、大臣はどういうふうに考えておられるか、これらの点についてお伺いいたします。
#24
○正力国務大臣 ただいまの御質問は、お疑いはごもっともと思いますが、御承知のごとく、今度の会社ができたのは、最初九電力が自分たち民間でやりたいというのがもとでありまして、それからまた電発が、それならば一つ自分どももやりたいという、それから原子力研究所もやりたいということであったが、結局こういうような初期の段階においては、みな個々にやらせるということはよくなかろう、これをなるたけ一つにした方がよかろうということで、あの会社にしたのであります。それは、一つはこういうことである。原子力研究所は、今日の原子力研究所の規定のもとにやると、研究が思う通りにいかぬ点がある。どうしてももう少し自由なものにしてもらいたいという機運もありました。そこで、原子力研究所は、この会社に参加することを非常に希望したのであります。それからまた公社でやった方がよかろうということでありますが、これは社会党のお方のかねて主張しておられるところでありますが、われわれはこういうものはやはり民間がやりたいというならば民間でやらすべきものだという考えと、一つはあの公社に縛られると、なかなか自由にいかないのです。ソ連のごとき、すべて統制でやるところなら別でありますけれども、今日、日本の状態において、公社でやることはなかなかむずかしい点があります。それで、こういう民間会社にしたが――しかし、公社のいいところもとらなくちゃならぬ。従って、役員の人事等につきましては政府の同意を得ること、政府の監督を厳重にすることを入れまして、公社のよい精神もやはりこれに含めておるのでありまして、それでああいう会社ができたようなわけであります。それで、あの会社の社長も原子力研究所の所長をしておった安川第五郎君になってもらうということにしたのでありまして、純然たる民間会社とは、多少違ったものにしたようなわけであります。
 なお、電気事業法の点についての御質問も、これもごもっともと思いますが、何しろあの事業法は、まだ原子力なんというものを考えておらぬときに法律ができたものでありますから、実は電源開発をあれに参加させることも、いろいろな解釈論の分れるところがあるようでありますので、この点は実はまことに遺憾に思っておりますが、あれも結局原子力ということを予想していなかったからああいうことが起ったのでありますから、これなども疑いのないように「原子力」という文句を、一つ皆さんの協賛を得てあれに入れたいと思っておるくらいでありますが、いずれにしても五条との関係は、まだ原子力を想定しておらぬときでありまして、そこに解釈上多少無理な点がありますけれども、その点は御了承願いたいと思います。
#25
○田中(武)委員 民間もやりたい、電発もやりたい、それから原子力研究所もやりたい、こういうことであったから、それを全部含めて民間にさしたのだ、将来も民間でやらす、こういった御答弁のように思いますが、いかがでしょう。それでは今後もこれが軌道に乗ってくれば、そしておれもやりたい、おれもやりたいということになれば、全部やらせるのですか。そうすると、原子力発電をする会社がたくさんできることも予想せられます。それで、将来も民間の形式でやる、こういうようなお考えを持っておられるのか。
 もう一つは、人事等について政府の監督許可が必要である、こういう点でやるのだから、純然たる民間会社とは違う、こういうことですが、あくまで法の適用は会社法の適用を受けておるわけです。政府の監督といいますか、そういう点はあくまでも行政的な措置だと思うのです。法律的な根拠のあるものじゃない。最初許可をとるときこそ言うことを聞くだろうが、その後は勝手なことをやるかもわからぬ。
 それからもう一つ答弁が抜けておりましたが、原子力基本法との関係、あの会社は民間会社ですから、おれのところの事業の関係だというようなことで、民主、自由、公開の原則がそこなわれるような場合があると思いますが、その点はどうなさいますか。
#26
○正力国務大臣 今この会社ができたが、あれはわれもわれもやりたいというなら、みな許すようになるのじゃないかというようなお話でありましたが、それは原子力の規制法がありまして、それに制限がありますから、勝手にやれません。だから、その御心配はないと思っております。
 それからなお、先ほども申し上げました通りに、原子力研究所では、今のあの規定に縛られては、研究に非常に不便が多いというのが原子力研究所の一般の意見です。そういうような点もありますので、そこで自由の民間会社にしたという点もあります。しかし、先ほど申し上げた通りに、必ずしも自由なものではありません。それから、また、今後どしどしできるととは原子力規制法に制限されますから、どうしようと思ってもできません。
 それからなおまた民主、自由、公開の原則、それはたとい民間であろうとも、どこまでもやらせます。その点の御心配はないと思います。
#27
○田中(武)委員 その点の御心配はない、こういうことですが、もちろん原子力基本法がある限り、民主、自由、公開の三原則が適用を受けることは当然です。ところが、それは建前であって、実際的にそれをどういう根拠によって監督をせられるかということです。現在の民間会社といろ形式であるならば、法律的なあれもないと思います。
 それから将来、やはり特殊会社とかそういう形態がいいと思うのですが、民間の今のような形式がいいとあくまでもお考えになっておりますか。
#28
○正力国務大臣 先ほども申し上げたように、原子力基本法のほかに原子力規制法というものがありますから、それで制限しますから、決して自由にできません。
 それからなお、今の方を今度はやりまして、なおその結果を見まして、悪い点があったら改良いたします。今のきめた通りでずっとやるという意味じゃありませんから、その点を御了承願いたいと思います。
#29
○田中(武)委員 それでは、あくまで特殊法人というか、特別法によるものは考えられない、こういうことですか。
#30
○正力国務大臣 特殊法人は考えられぬことはありません。現に法規をもって、将来必要がある場合においては、特に考えるという規定があります。それだから、何でもかんでも今のきめたあれでいくわけではありません。もしもあれでいかぬという点がはっきりしましたら、法律によってあれを変えると今度の会社のあれには書いてあります。それですから、御懸念の点はないと思います。要するに、今はあれでやってみまして、様子を見た上ということになっております。
#31
○田中(武)委員 今のままで一応やらしてみて、そうして欠陥があるようだったら考える、こういうことなんですね。
 それでは、時間もないようですから、もう一間だけお伺いいたします。これも九月当時われわれがよく御質問した点ですが、この原子力発電株式会社に対して、電源開発株式会社が設備行為に参加し出資しておる。それが電源開発促進法に触れないかどらか、こういう点につきましては、先日早稲田大学の大野教授に来てもらって、いろいろ法律的な見解も伺い、また法制局の見解も伺いましたが、大野教授は、電源開発促進法第十三条第二項のいわゆる火力という点には、この原子力を含まない、こういうこと。もう一つは、公益性という点の解釈、との二点からそういう行為は法律には違反である、こういうように言われておる。それに対して法制局は、この火力の中に原子力を含むのだ、こういう答弁だった。ところが、これは苦しい答弁だったと思うのです。私はやはり大野教授の意見の方がいいのじゃないかと考えております。と申しますのは、まずこの電源開発促進法の昭和二十七年七月当時の立法者の意思として、原子力というものを考えていなかった。それから電源開発促進法は、会社法に対して特別法となっております。特別法は厳格に解釈するのが建前であります。この火力といろ文字を拡張解釈すべきでない、なお、そのときの火力といろのは、いわゆる化学作用のみを考えたもので、物理的なもの、すなわち原子力のようなことは全然含まれていない。私はむずかしいことはわかりませんが、そのときに松前委員から、いわゆる原子力発電に対して直接直流電流を起すようななんとかということは、これも技術的に入らない、こういう反発があったわけです。そういたしますと、少くともこの電発が日本原子力発電株式会社の設立行為に参加し、これに出資したということは、電源開発促進法違反だということになる。従って、将来もあることですが、この電源開発促進法を改正せられる意思があるかどうか。もしそのいかんによっては――これは、私の考え方で、党にも何も相談しておりませんが、もしこういうことであるならば、原子力発電株式会社の設立行為に瑕疵ありとして設立行為無効の確認訴訟を起して、これを本訴として仮処分を出せば、この設立は無効だということになるおそれもあるのですが、大臣の所見はいかがですか。
#32
○正力国務大臣 ただいまの御質問は、まことにごもっともだと思います。実は電発が参加するときに、あの促進法に違反しやしないかどうかということでだいぶ議論がありました。ところが、あれは解釈論です。それで、法制局でも、これは解釈論であって、差しつかえないというもとに、あれをやったものであります。私も病中大野教授の話を聞きまして、なるほどこれも一理はあるわいと思いましたが、いずれにしても、促進法違反ではないが、解釈論としては議論の余地がある。それはもともと原子力というような想像していなかったものがひょっと出てきたものだから、そういう議論が分れるのでありますが、この際解釈上にそんなにむずかしいことを言わないで、促進法に原子力という文句をちゃんと入れた方がいいと私自身考えておりますので、この点についてはよく考えてみますし、御趣旨の点はよく考慮に入れてみます。
#33
○田中(武)委員 こういう電源開発促進法の所管は、通産省ないし経済企画庁になると思うのです。だから大臣の答弁だけでははっきりしないと思いますが、大臣が今のような御答弁ならけっこうだ。これが問題になれば直さなければ――かりに直しても、この改正以前に設立せられているのだから、訴訟の対象になる。われわれはあくまでそら考えております。しかし、それだけではなしに、今後こういった電気関係の法律を原子力発電ということに関連して整備しなくちゃならぬと考えておりますが、これは大臣どうでしょうか。全部一ぺん検討し直す必要があると思うのですが……。
#34
○正力国務大臣 御意見はごもっともでありまして、私個人としてはそうした方がよかろうと思っておりますが、重大なことでありますので、なおよく考えてみます。いずれにしても、原子力を想定しなかったときに作った法律でありますので、これはこの際適当に改正した方がよくないかと考えております。これは私の所管でなしに通産省の所管のことでありますから、なおよくその点を勘案いたします。
#35
○菅野委員長 なお質問者の通告がありますが、この際、先ほどの齋藤委員の御発言についてお諮りしたいと思います。
 原子力開発に関するアジア諸国の協力態勢の確立につきましては、先般来の本委員会の調査においてしばしば論議を重ねたのでありますが、先ほどの齋藤委員の御発言もありますので、本委員会といたしましては、次のような決議を行いたいと存じます。
 案文を朗読いたします。
   決議案
  最近における科学技術の躍進にかんがみ、政府は原子力平和利用の充実強化に邁進し、世界の平和と人類の幸福に寄与するため、アジアに於ける原子力協力体制の確立を目途として、これが準備のため、昭和三十三年度において、東京にアジア諸国の政府関係者を招請して、アジア原子力協議会を開催するよう措置すべきである。
  右決議する。
 以上の通りであります。
 この際、お諮りいたします。本決議案に賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔総員起立〕
#36
○菅野委員長 起立総員。よって、右決議案は可決いたしました。
 ただいまの決議につきまして、正力国務大臣より発言を求められております。正力国務大臣。
#37
○正力国務大臣 ただいま決議をしていただいたことは、私としては感謝をいたします。どうしてもこれは私どもでやらなければならぬことであります。まことにありがとうございます。
#38
○菅野委員長 正力国務大臣は十二時までというお約束でありますが、なお二人の通告者がありますので、簡単に御質問をお願いいたします。原茂君。
#39
○原(茂)委員 一点だけ大臣にお伺いしたいのですが、きょうの大臣の所見をお伺いしますと、やはり科学技術のほんとうの盛り上る力というものは、すそ野の拡充強化にあるんだということを、国民は深く銘記すべきであるということをおっしゃっている。しかし、国民は銘記しようにも、とにかく国民自体は、科学技術というものの重要性あるいは科学技術、特に今日では人工衛星等を中心にした、あるいはミサイル等に関する知識の知の字も持っていない。これは私どもにとっては非常に悲しいことなんですが、こういろ点を考えますと、ほんとうに日本の科学技術の振興をはかろうというならば、やはり諸外国との交流、これから日本が吸収しようとするいろいろな知識等に対する努力と同じウエイトをもって国民に対しても、これらの啓蒙あるいは指導、教育に思い切った重点を置いてやるべきことは、忘れてはならない重大な問題だと思うのであります。この点からいって、先ほども齋藤委員から質問がありまして、技術庁から白書を出すということも一つの方法だと思います。しかし、白書を出して読めということと同時に、もっと適切な方法があるのではないかと私は思います。かつて石橋内閣のときだったと思いますが、民間放送で石橋アワーという時間を設けて、こういうものを利用して国民に広報の役目をやりたいと考えて、予算をとって実行したわけであります。正力アワーを作ってくれとは言いませんが、少くとも科学技術に関して技術庁が思い切った予算をこの際とって、テレビあるいは放送の分野で、単にNHKばかりではなくて、民間放送も動員して、思い切ってこれに金をかけて、国民の啓蒙をやった方が早いのではないかと思う。単なる白書を新聞で発表したり、正力きんがたまにラジオで言ったって、国民全般の耳目にほとんど入らない。私はやはり日本で国民の教育をしようとするならば、ラジオを徹底的に使っていくことが大事だと思うのでありまして、予算を今編成中であると思いますが、この際、思い切って民間テレビ、民間放送も含めて、とにかくラジオ、テレビを通じての科学技術教育の振興策というものを、具体的に、わかりやすく、科学技術庁が中心になってやらなければならぬと思いますので、その御意思があるかどうか。その御意思があるならば、次の予算には思い切って多額の予算を組むべきではないか、正力さんにも多少の関係があるかもしれませんが、この一点だけお伺いいたします。
#40
○正力国務大臣 科学技術の普及強化ということにつきましては、先ほども申し上げたように、国民に徹底するのには、どうしても小学校からその思想を注入した方がいいと思います。幸いこの点は文部大臣が了承してくれているようでありますから、それでいくと思います。それからなお、欧米との情報交換をやって、それを流すことが必要だと思っておりますが、さらに御趣意のように、ラジオ、テレビで大いに宣伝をやるということは、私個人としてもけっこうだと思いますから、それについての予算でありますが、どうぞ御声援をお願いいたします。
#41
○菅野委員長 平野三郎君。
#42
○平野委員 実は、重大なお尋ねを申し上げたいのでありますが、時間がありませんので、問題の核心について簡潔にお尋ねいたしたいのであります。
 まず第一に御要望申し上げておきたいことは、先ほど大臣から予算の編成に当っては、皆様方の御協力をお願いするということがございましたが、もちろんわれわれは最善の御協力をいたしますけれども、われわれには予算の審議権はあるが、編成権はないのでありまして、協力をしたくてもしようがないわけであります。現実の問題としては、ここであなたを鞭揺する以外にないのであります。私が特にここで申し上げることは、いずれ近く政府は予算案を国会に提出せられるわけであるが、その際に今のあなたの抱負と違ったようなきわめてみすぼらしい予算案が提出せられたとき、皆さんの御協力が足らなかったからやむを得なかったと言われるようなことがあっては一大事であります。もちろんわれわれはできるだけの実際の協力はいたしますげれども、責任の中心はあなたにあるのでありますから、責任を国会に転嫁するようなことのないように、十分責任を自覚せられて健闘努力せられんことをまず御要望申し上げるわけでございます。
 そこで問題は、抽象論としては科学技術の振興ということは論議の余地はないわけで、それを具体的にどうするかということにあるわけであります。そこで私が申し上げたいことは、すでに科学技術庁から大蔵省に対して予算要求が出ているわけでありますが、今あなたがここで御言明になったこととその内容ははなはだしく違っているのです。先ほどあなたも、実は予算の請求が慣例にとらわれておっていけない、病気がなおって出てきたところが驚いたという御発言があったわけなんです。一方において、先ほど各委員の御質問に対して、大いにやるんだという非常に信頼すべきお言葉があり、ことに具体的に、齋藤委員の御質問に対しては、電子局を行政機構として必ず設置するというお話がありましたが、今出ておるところの予算要求の原案には、そういうものは含まれておらないわけなんです。そこで、私はただいまの大臣の御言明のように、最近における国際情勢の変化、そこにおける日本のあり方について再検討すべき段階がきておることは、みなが認めておることだと思うのであります。従って、本年度の予算の編成に当りましては、今出ておるところの科学技術庁のみすばらしいものでなく、これを根本的に考え直す。来たるべき予算閣議のこともありましょう、来月からは相当議論がありましょうが、その際に、大臣としては新しい構想で出発することがまず第一に必要であると思うのでありますけれどもそういうふうにお考えになるかどうかをまず最初にお尋ねいたしたい。
#43
○正力国務大臣 ただいまの御質問まことにありがたく存じます。実は今まで出した予算は、私は非常に不満でした。不満でしたけれども、なかなか実際にうまくいかないのです。ところが、きょうの皆さんの非常な意気込みで、自由民主党も社会党もみな協力して応援をする、こういうことで予算が通らぬわけはないと思いましたから、非常に心強く、また一面において安心しております。そこで、お話の通り、しかし予算を作るのはお前のところじゃないか、お前のところで出しておいて、あとでお前が応援してくれなかったからだめだと言うな、まことにごもっともだと思いますから、今度は予算を作りましても皆さんに腹を割って御相談いたしまして、皆さんの同意を得てそれを私が出します。それならば必ず――皆さんが御協力下されば、そこは議会政治です。自民党と社会党が協力一致して下されば、現実として予算は通るのでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。その場合にはこっちがよく御相談いたしまして、予算をもう一ぺん検討いたしますから、どうぞよろしくお願いいたします。
#44
○平野委員 この際、具体的な予算の編成に当って、根本的に考えるべきことは、先ほどもまた今もあなたがおっしゃったように、実際問題として各省との関係があってむずかしい、この点にあるわけなんです。同時に、あなたは先ほどから総理と話をしておるということを仰せられておるが、そこに重大な意義があるのでありまして、予算編成上の一番大きな問題は、各省との調整が困難であるというところにあるわけなんです。これはこの際根本的に考えを改めるべき段階が迫っておるという認識に立たなければならぬと思うのでありまして、それはもちろん科学技術行政が自由競争であることを原則として考えるべきであるが、しかしながら、同時に総合的な立場に立って考えるということも必要であって、どちらに重点を置くかということであると思います。最近の人工衛星の成功等も、やはり総合的に技術を統一していくということに勝利の原因があったということは、アメリカ自身も反省しておるところなんです。そこで、今あなたの科学技術行政の御所見がここに出されております。一々ごもっともであるが、この中にやはり重点を置くことが必要なんで、重点には、先ほどあなたは原子と電子に重点を置くということで、その点はわれわれも同感でありますが、重点を置くにいたしましても、さらにその行政を総合化する必要があると思う。現在は、各省にばらばらになっておりまして、それがために非常なロスがあって、結局膨大な予算をかりに持っておっても、効果を発揮し得ないということがありますから、これを総合統一することがこの際非常に必要なことなのです。ところが、あなたのお話では、従来の慣例にとらわれまして、なかなか突き破ることができない、というのは、電子局を設置するという問題につきましても、あなたがむずかしいとおっしゃることは、通産省との関係があるとか、そういうようなことなんです。あるいは電子に関しましては、当然研究所を作らなければならぬ。これはすでにたくさん研究所が各省ばらばらになっておるのでありますから、これをこの際総合する必要があると思うのでありますが、これには新しい観点に立った勇気が必要なんです。そこで、われわれはここで大いにあなたを御鞭撻をするわけでありますが、今年こそはほんとうにそういう観点に立って総理とお話しになって――もし関係各省の大臣諸君とあなたの意見が一致しない場合においては、あなたが繰り返し言われたように、総理と話し合っておるということでありますから、そこに重点があるのであって、そしてこの委員会におけるあなたの御抱負を予算として実現をせられて、われわれの前に御提出下さるようにお願いするわけであります。
 そこで、具体的には、先ほど電子局は必ず設置するという御言明がありましたが、これは今出しておられる予算の再検討を要するのでありまして、勇気を持って必ず実行していただきたい。これには当然法律を伴うことでありますが、さきの国会で政府は電子工業振興法というものを出しましたが、これはインダストリーとしての部面に限るのであって、技術の振興にはならないのであるから、あらためて電子技術振興法というものを出す、これは電子局との関連も密接にあるわけでありますから、来たるべき通常国会において、政府から電子技術振興法というものを提出されるかどうか、同時に電子関係の研究所を総合的にまとめて、りっぱなものを作るという御決意があるかどうか。これには、一番の根本問題は、繰り返し申し上げますが、各省との従来の関係がむずかしいのだというような既成観念にとらわれておったのでは実現ができないのであって、この際一大英断を要する段階が来ているわけでありますから、その点の深い御認識と勇気がおありになるかどうかということを、はっきり御言明いただきたいと思うのであります。
#45
○正力国務大臣 ただいまの御質問はまことにありがとうございました。先ほどから申し上げておりますように、総理とは大体の話だけをしておりますが、なおとくと相談をいたします。さらに大蔵大臣、通産大臣ともよく相談をいたしますが、私はおそらく了解は得られるだろうと思っております。それについては、やはりどしても国会の多数の応援がなくてはできませんから、国会には何でも御相談いたしますと同時に、自由民主党、社会党が一致して応援していただげば必ずできます。だから私はできるだけの勇気を持って、今までのような既成観念にとらわれませんで、国家のために、先ほども申しましたように科学立国にしなければならぬというのが私の根本の考えですから、その意味においても大いに努力をいたしますから、何分とも皆さんの御協力、御声援を切にお願いいたします。まことにありがとうございました。
#46
○菅野委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたします。
 これにて休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十九分開議
#47
○菅野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する諸般の問題について、質疑を続行いたします。
 なお、この際お諮りをいたします。すなわち、本日の議事に関しまして、本原子力研究所副理事長嵯峨根遼吉君を参考人に決定し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○菅野委員長 御異議なければさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#49
○菅野委員長 それでは、通告順に従って質疑を行います。岡良一君。
#50
○岡委員 実は、原研の運営の衝に当られる嵯峨根さんに、事態の真相をお尋ねいたしたいと思ってお見えをいただいたわけであります。
 新聞紙の最近の報道でありますが、それによりますと、日本原子力研究所の学術会議方面とのいわゆる共同利用に関しては、全く現在のところ予算的措置もなく、従って大騒ぎして作った原子炉が、仏作って魂入れずのまま放置されておる。これに対して、大学やその他の研究員の間でも次第に不満が高まっておる、こういう記事が出ておるわけであります。私どもも日本原子力研究所の設置についても、予算についても、委員会としてはできるだけ御協力を申し上げておるのであります。さらにまた午前の委員会でも、科学技術庁長官としても、またわれわれといたしましても、一同一致してこの際基礎研究に大幅な努力をさくべきであるということを強調いたしておったような次第でもありますので、そのやさき、せっかく運転を開始した第一号炉が一般研究者の共同利用の便に供されておらない、こういうことであって、は、私どもの気持からいってきわめて遺憾千万であると存じますので、その間の事情、真相について、率直なる御所見を伺いたいと存じます。
#51
○嵯峨根参考人 ただいまの御質問について、その間の状況を御報告し、御了承願いたいと存じます。問題の焦点は、ウォーター・ボイラーあるいはJRR一号原子炉についてのことと考えますが、原子力研究所には、まだファン・デ・グラフその他いろいろな多額の予算を要する施設で共同利用を目的としているものが幾つかこれからも…て参ります。問題をJRR一号炉に焦点をしぼりますと、初めの予定では六月に臨界に達し、十月ごろ一般の共同利用に公開しようという予定でありましたが、実際は六月がおくれまして八月の末になりましたので、現在の予定では大体来年の一月ごろから一般に公用しょう。その理由といたしましては、世界じゅうの原子炉が、特にウォーター・ボイラーは臨界に達してから本格的な使用に十分耐えるよろな出力になるまでに、相当の年月を要するのが普通でございます。たとえば、アメリカあたれ、でほ、一年たってもまだ五分の一程度のものがございます。ところが非常にうれしいことは、原子力研究所の原子炉については、予想に反して、十日以内で大体予期の出力に近くなりましたので、むしろそちらの方ではよかったのですが、ほかの準備が間に合わない点がありまして、例の竣工式をやったあとで、建物その他に不備なところがありましたのを直しまして、十月の途中からいよいよ――ビーム・ホールといっておりますが、研究をやる場所が約十くらいあります。そのおのおのについての特性その他の試験をずっと続けてやっておるわけでありまして、現在の予定でもまだ数カ月かかると思っております。その間にもちろん共同利用のことを初めから考えておりまして、たとえば八月の終りに学術会議の原子力特別委員会においては、共同利用の面でこういう点が問題になるという点も十分申し上げまして、予算の面については、今年の二月ですか三月ですか、セミナーがあったときにも、原子力研究所は特殊法人であって、文部省の下にある原子核研究所もしくは湯川先生の基礎物理研究所のようなものとは多少趣きが違う、共同利用の面では全面的ではないけれども、相当に考えてはいるが、文部省予算ではないのだという点に非常に大きな問題がございます。その点を申し上げまして、きょうの新聞に出ましたのは、共同利用に対する準備はむしろ原子力研究所の方が一先懸命進めていて、大学の方の予算の方がうまくついていないというふう、に私は解釈いたしているわけでごいます。実を申し上げますと、特殊法人である関係炉ができた場合の使用に当って、外部の会社にも株主の会社と株主以外の会社があり、あるいは各省があり、また国立の研究所や大挙という特殊の資格のところがございますが、原子力研究所の参与会でも、一体この使用料を有料とすべきか無料とすべきかという議論を数回重ねました結果、会社の方面では必然有料とすべきである、ただし料率は適当にきめろという点に問題がございまして、いまだに私どもは最後的な率をきめておりません。従って、予算の積算上、その率がきまらない以上は、うまくきまらないという問題がございます。そこで、大学の先生方は、原子核研究所並びに基礎物理研究所のように、そういう共同利用の研究所に予算をつけるのが当然だという解釈をとられるのですが、これは文部省ではありませんから予算の出る面が違う。従って、原子力研究所では、大学の先生方に対する予算をわれわれはとれない立場にあるということを、何べんか今年初めから文部省の当路の課長その他に御注意申し上げた次第でございます。最近に至りましていよいよ原子炉が共同利用の形になりましたので、これに対して原子力共同利用管理委員会というのを作るという構想がございまして、内部の部長クラス数名と、外部から推薦される何名かとでこれを結成するということになっておりして、学術会議それから参与会に適当な外部の委員の委嘱をお願いし、すでに一部の推薦が到着いたしております。そういう面で私の方としては一応一月には準備が間に合うようにやっておるつもりでありますが、大学の方では非常に無理なものですから、個人的に文部省の深長の方に申し入れて、積算ができなくとも、もう三十三年の予算はきまっておりますので、そこで何とか適当な方法で大学の先世のやれるように工面をしてくれということをすでに申し込んで、ある程度のめどがついたという了解をその課長から受けております。三十四年度についても、実際の積算ができませんから、多分同じことになって、三十五年度以後から表面上の予算に減せようというような意向を当路の人は申しでておりました。実際においては、大学の先生はどういうことになるかといいますと、研究費が少いものですから、料金については特別の料率をきめればよいと思いますが、そう大きな額ではありませんが、各大学から東海村にやってくる旅費がまず問題で、しかも今度は、そういう先生のために宿舎の点についてわれわれは外来者寮というものを要求いたしましたところ、それはまだ早いというよう御意見で、よそからの会社の出向の人をそこに入れろという御意見に今変っておりますので、ごくわずかの融通しかできない。そこで宿舎に対する旅費もある程度とっていただきたい。さらに施設については、各会社はどんどん会社のものを持ってこられますので、自分に合うものを十分に持ってこれますが、原子力研究所としても一応標準のものは取りそろえますけれども、特殊の研究岩に合らような施設については全部は取りそろえ切れません。ところが、大学で全部それが取りそろえられるかどうかというと、ほとんどそれは不可能に近いというようなことで、その三つ面についての予算の問題があることも十分に文部省に申し添えてございます。この点は茅学術会議会長にも私個人的に報告をしてありますが、その相談会がきのうあったときに、事務員がその点をはっきり報告しなかったのじゃないかというように私は思います。髪際において、新聞紙上に発表されておるほど、ものができても共同利用ができぬというようなことではなくて、むしろ相当めどがついているのだけれども、それをほんとうに知ってなかったのだという点ではないか、そういうふうに私は思っております。ですから、当面の問題は、一応御心配にならないでもやっていける。しかし、根本の問題は、やはり原子力に関する予算にして、大学についての予算は、原子力委員会も原子力局もほとんど関与ができない。いわゆる大学のオートノミーという点から出発して関与ができないというような点に、やはりある意味の問題点が残っているのじゃないか。そのために、文部省として予算を出すという点で、文部省が十分な迫力がない場合には、十分に予分がとり得ない場合が十分にあり得るという現在の状態であると私は了解しております。初めのうちは、どうせウォーター・ボイラーのようなものは、燃料費といっても大したものでありませんから、額も大したものではありませんが、第二号炉のいわゆるCP5型になりますと、燃料費だけでも非常に莫大な額になりますので、むしろ私はそちらのとぎの料金の方を問題に考えています。そのころには十分態勢ができて、うまく活用されることを期待しておるわけでございます。
#52
○岡委員 原子力研究所の運営については、やはり総括的な責任は、当然科学技術庁にもあり、原子力委員会にもあろうかと思います。そういう立場から、その責任において学界の意見を聞き、文部省と事前に折衝するということで、運営上遺憾なく原子力研究所を研究のセンターにする、こういう努力はなされたものと思うが、どういう経過になっておるのか。そしてまた来年度は、今おっしゃったように、この共同利用についての予算的な便宜というものについても、十分確たる見通しができておるのかどらか、この点いかがですか。
#53
○島村説明員 途中から参りまして申しわけございませんが、正確なお答えになるかどうか自信がございませんけれども、一応お等え申し上げまして、御不満でございましたら、またあらためてお答え申し上げます。日本原子力研究所の施設の共同利用ということは、原子力研究所を作りましたときからの根本的な考え方でございます。現在もその趣旨はちっとも変っておりませず、絶えず研究所ともよく連絡をとりまして、そういうことの具体化に努めるようにやって参りたいと考えております。ただ、実際問題といたしましては、今日までどの程度の共同利用の実をあげておるかということになりますと、御承知の通り、まだ建設をやっておる最中でございましたので、実際問題として、原子力研究所が国費をもって施設いたしましたものを、共同で利用するというところまでは至っておりません。問題になりましたウォーター・ボイラーにいたしましても、臨界には達しておりますけれども、いろいろ炉の性能等の試験のために使用しておるような状況でございまして、嵯峨根副理事長もお見えになっておりますけれども、おそらく今年一ぱいはまだこれを使用しての研究というところまでは進まないのではなかろうかと考えております。ただ、原子力研究所がウォーター・ボイラーのみならず、あらゆる研究を実施して参ります際に、人員の不足というような点もございましたし、かたがた共同利用、つまり原子力研究所の研究員のみならず、他のいろいろなところにおられますところの研究者、特に最近では民間におきますところの名企業の研究者というような方々のためにも、これを開放するという一つの意味も込めまして、すでに三十二年度の予算を編成いたします際にも、約五十名のいわゆる出向者というものも予定いたしまして、つまり研究所の職員以外に五十名は外部からきて研究される、研究に参加される方もあるという基礎の上に予算を作成いたしておりました。その分につきましては、先ほどの御説明にありましたように、宿舎も準備いたしますし、研究費というものも研究所の費用として考えておるわけであります。ただ、残念なことに、現在までその五十名の出向者も、研究施設が完備いしませんために、これを完全に受け入れることができないような状況でございますので、明年度も引き続きまして、当然研究所自体の予算の中にも、出向者を受け入れるための経費も計上いたしまして、研究所としても、この施設を開放して、共同に利用するという趣旨は将来とも十分生かして参りたいと考えておるわけでございます。この点につきましては、研究所の幹部の方々とも完全に意見は一致しておるわけでございます。岡委員の御指摘になりましたような点も、研究所の設備が完備して参り威すに伴って、逐次具体化されていくものと信じておる次第でございます。
#54
○岡委員 嵯峨根さんの御説明もその通りだったわけで、そこで私がお尋ね申し上げているのは、予想外に早く臨界に達した。そこで部内において炉の性能等について若干の試験をしておられる。来年一月になれば、部外者の共同利用の便に供せられる状態になる。そこで予算は文部省が計上しておる、ものだから、多少の予算のいわば繰り上げ支給、その他の措置を講じて、来年一月から共同利用できるのか、そこに旅費の問題もあるし、使用料の問題もある。出向老先十名の宿舎ができているのかどうか、万般の具体的な準備、予算についての文部省との話し合い等もすでに完了しておるのかどらかということを、私はお尋ねしておるわけです。
#55
○佐々木政府委員 具体的には、まだその面に関しましては、旅費幾ら、あるいは宿泊その他をどうするかというところまで細部にわたって交渉はしておりません。ただ幸い最近文部省との関係では、しばしば委員会と文部省の指導部の間の話し合いの機会を持つようになりまして、文部省の方からも、いろいろ文部省側の問題点は持ってきて、そうして一緒に相談するような態勢に漸次なってきておりますので、今までのところは十分じゃございませんが、そういう問題も今後取り上げまして、そうして具体的に問題を処理していきたいというふうに考えております。
#56
○岡委員 とにかく、研究費程度の費用というものは、たくさんな費用は要るものでもないのであります。しかも、これが無限の可能性を含んだ最も有用な投資でもあるわけだから、そういう点で、原子力委員会なり科学技術庁なりは、文部省が計上するといっても、やはり相当の責任の上に立って、十分文部省を駆使していただいて、将来もっと大きなCP5が入り、さらにまた他の炉も入ることになれば、日本原子力研究所も、やはり原子力研究のメッカとしての大きな役割を自覚せられて、理事者としても、これを文部省予算に載るのだからというので、知らぬ顔の半兵衛じゃなく、共同の責任の上に、日本子力研究所が、真の研究のセンターとして将来発展をさせ得るように、皆さんの責任ある措置をお願いして私の質問を終ります。
    ―――――――――――――
#57
○菅野委員長 次に、英国及び米国との原子力一般協定の締結交渉について説明を聴取することといたします。松井課長。
#58
○松井説明員 今、御命令によりまして、イギリスの一般協定の交渉の経過につきまして大まかなところを御説明申し上げ、かつアメリカの協定の問題点を御説明申し上げたいと思います。
 イギリスとの一般協定につきましては、御承知の通り、昨年か一昨年石川ミッションが行かれまして、コールダーホール型炉の経済性本しくは安全性の問題についてつぶさに御検討にたられ、その際、英国から動力炉並びに燃料を購入もしくは人手するためには一般協定が必要であるといことで、一般協定のひな形を持参いたざれました。それにつきまして、政府といたしましては、原子力委員会、関係各方面の御意見を徴しまして、交渉のわが方の対案を用意いたしました。
 対案の内容は、大まかに分ければ大体二つに大別できると思います。一つは、燃料並びに原子炉の入手、情報の入手交換に関する条件、もう一つは入手した燃料もしくはイクイプメントから生ずる副産物、並びに向うからもらった燃料に対する査察の問題でございます。
 第一の問題につきましては、大体今年の九月三十日から、ロンドンにおきまして、中川公使が主になりまして、本省から私と条約局の中島君が出張してお手伝いいたしまして、先方はイギリスの原子力公社の事務局長ピアソンを中心といたしまして、原子力公社、向うの外務省、それから向うの総理府にある原子力の担当課長ら数名と、約一週間にわたりまして鋭意折衝をとげた結果、第一の問題点につきましては、おおむね満足すべきラインに達しました。
 もう少し詳しく申し上げますと、まず第一に、燃料の入手につきましては、イギリスから購入するリアクター、原子炉に対する燃料の長期保証、これは数量の面から見たわけであります。それから品質の面としましては、コールダーホール型炉の燃料要素は、御承知の通り一日トン当り三千メガワット程度の出力の保証をし得るような性能のものを、協定上の義務として保証いたさせました。これはかねて国会におきましても、諸先生方がこの点を重視しておられたやに拝察いたしますので、この点につきましては、いささか諸先生方の御希望に沿い得たのではないかとひそかに思っております。
 次に、情報の交換と技術協力の問題でありますが、まず情報につきましては、研究用の情報あるいは産業上の情報を含めまして、公社が協定上の義務としまして、日本の政府もしくは日本の政府の許可する人間に情報を提供する、その情報は単なる研究の情報ではなくて、テクニカルなものを含めましたところの産業上の情報の入手を含むものでございます。との情報の入手につきましては、向うの条件がただでくれるものではないのでありまして、向うのタックス・ペイアーで作った研究の成果というものは、日本にただであげるわけにはいかない、ライセンス・リクァイアメントを必要とするものはその取りきめが必要であろうし、あるいは特許を要するものにつきましては、その対価たるロイアリティを払ら、そういうことを考慮することを要しますのみならず、なお特許権の問題に関しましても、なるべく受け入れ国の現行法規を尊重するような条件で、かかる情報の入手ないし交換が行われることに合議が成立いたした次第でございます。
 次に、技術援助の問題でございますが、向うの原案では、燃料要素の成形加工に関する件、あるいは燃料要素の化学再処理に関する件、とれらに関して技術援助をしてもよいという案がございましたのを、こちらはさらに進めまして、原子炉自体の設計運転等に関する技術援助も公社があっせんするような協定に達しました。御承知の通り、燃料要素につきましては、その成形加工と化学再処理は、原子力公社がその所属の工場でやっておりますが、リアクターは、産業部門、すなわち民間ペースで今やっておられるので、協定上は、日本の原子炉の設計、建設、運転等に関する技術援助の情報がほしい場合には、なるべく公社があっせんしてやろうといち協定に達した次第でございます。
 以上、協定の主たる目的たる原子炉の購入、燃料の入手、技術協力、情報の交換、これらの一連の問題につきましては、大体おおむねわが方の目的を達し得る程度にまでこぎつけたのではないかと考えております。
 協定のもう一つの大きな問題は、御承知の通り、イギリスからもらう燃料要素、イギリスからもらう器材もしくはそれらの使用から生ずるととろの副産物のプルトニウムの査察の範囲をどこまで認めるか、あるいは、この査察を暫定的にはイギリスが行うとしましても、将来は国際原子力機関の査察に振りかえたい、すなわち査察の範囲、実行の方法等に関する問題が協定のもう一つの大きな部面でございます。との問題につきましては、初めのイギリスのわが方に提示しましたととろの協定がやや不備な点があったので、一般に誤解を招き、事実上交渉の過程において改善されたのにもかかわらず、当初の誤解が残っていたために、国内の意見の統一にやや時間を要したというととも申し上げ得ると思います。それはなぜかと申しますと、向うの初めの原案は、先般宇田大臣の御一行が行かれて、イギリスの公社と交渉ざれたときに、わが方の要求をかなり入れたものを持ってきたのでございますが、それでもなお、査察の問題につきましては、不満足な点が多くございました。すなわち、イギリスから入手した器材もしくは材料の使用の結果できるところの副産物の化学再処理は、未来永劫的にイギリスが化学再処理したいという点が一点でございます。それから、イギリスから入手したイクイプメントもしくは燃料からできるところの副産物に対しては、数代までも、あるいは極端なととを申し上げれば、未来末代までも査察を及ぼすというような問題がはっきり出ております。この点につきましては、初めにイクイプメントは、定義がなかったために、小さなくぎ一つもらっても――換言すれば、日本に将来国産の動力炉なり実験炉ができたような場合に、国産の燃料を使うにもかかわらず、くぎ一つイギリスからもらった、あるいはイギリスからフィッション・チャンバーのようなものやその他計測器を買ってつけたら、それがために査察を受けるのか、あるいは化学再処理を向うがするようになるのかというような疑義が起ったのは当然であります。これにつきましては、私ら現地において中川公使とともに交渉しましたが、まず査察の範囲というものにつきましては、国際原子力機関の憲章の十二条の字句をできるだけ忠実に使うべきだ、しかも、国際原子力機関の字句で不明な点を明らかにする場合には、できるだけ主権国たる受け入れ国の立場を尊重すべきものである。かつ、そのイクイプメントの定義につきましても、できるならば、リアクターそれ自体の定義に限定してはどうか、少くともそれが不可能な場合であっても、原子炉の従属部分に限定ずべきではないかということで、まずとのイクイプメントの定義につきましては、先方は、定義におきまして大体わが方の要求をいれまして、そのようにいたしました。しかしながら、ボーダー・ラインの定義でありまして、イクイプメントの何が果して協定上のイクイプメントの定義であるか、疑義があれば外交交渉できめよう、そういうわが方の提案をいれたわけであります。
 一方マテリアルの定義につきましても、初めは燃料、核原料物質、ソース・マテリアル、それから燃料要素あるいは特殊核分裂物質の定義であります。その後減速材を入れてきました。これがまた問題を紛糾させた原因でありますが、この点につきまして、しからばイギリスの政府は絶対この点は譲らないかということを執拗に迫りました。この点は、イギリス政府としては絶対に譲らない。しかもこの日英協定の中に示された査察の範囲は、国際原子力機関で定めたところの、あるいは合議されたところの範囲を一歩も出るものではない、そういうふうな態度を示しまして、私らの要求に基きまして、イギリス政府は、公式の文書をもってかかる見解を表明して参りました。私の方ではなお疑念がありましたので、原子力委員会の御希望もありましたし、一部の諸先生の御意見もございましたので、アメリカ政府、カナダ政府の意見も個々に求めました。ところが査察の及ぶ副産物の範囲につきましては未来末代にわたりまして査察を行うことは、国際原子力憲章の解釈であるとアメリカ政府もイギリス政府もかたく信ずるものであるという文書の回答が参りました。一方国際原子力機関の採択会議におきまして、御承知の通り、憲章の第十二条のAの六項におけるいわゆるソース・マテリアルをも査察の対象とすることにつきましては、インドもかなり反対しておりましたが、このインドの説は少数説でございまして、そのときバーバの言った言は、米ソを含む大国のために押し切られた議論でございます。かかるイギリス政府の見解、アメリカ政府の見解ないしカナダ政府の見解は、完全に一致するものでございます。すなわち副産物たるプルトニウムに対する査察は、インデフィニトリーに及ぶものである。機関から少しばかりの燃料をもらったがために、未来末代までも査察を受けるということは、いささか均衡を失するきらいがある。しかしながら、これが国際涼子力機関の肯定的な解釈としまして公式議事録に載っておるのみならず、この理事国の主要メンバーであるアメリカ、イギリス、カナダ政府は、これを確認しております。ソ連政府につきましては、この点につきましては、御承知の通り、英米と本質的に同じ見解を持っていた次第でございます。以上によりまして、査察の範囲につきまして、当初イギリス案の不備なため少し誤解がありましたが、大体本質的には国際原子力機関憲章の査察の範囲を逸脱するものでないということを確認いたしました。しかしながら、なおその用語をできるだけ、サブスタンスのみならず、着物なども一緒に、国際原子力機関のような表現にしたらどうかというような御希望がありましたので、この点につきましては、英国政府に提案しております。まだ正式の回答は来ておりませんが、中間的な報告では、大体イギリス政府は受け入れるのではないかとひそかに希望している次第でございます。あるいは、今ごろ回答が来ているころかと思っております。
 次に、査察の実施の方法でございます。国際原子力機関の査察の制度というものは、今後理研会その他で相当たくさんの学者なり専門家が集まってきまることと思いますが、現在まだ組織ができていない。従って、査察を実行する能力がないために、向うは、国際原子力機関の査察の制度が実施できる程度になれば、そのときが来たらば、喜んで切りかえることについては全然異議がない、従って、それまで協定上の査察というものは暫定的なものである、イギリスの政府の有する査察権というものは暫定的なものである、将来切りかえれば、全然実施の主体と実施の方法も国際原子力機関が行うということで、この点につきましては、すでに国際原子力機関を採択されました諸先先におかれましては、もとより御異存のないことと思っております。外務省としましては、できるだけこの気持をもっと率直に打ち出したかった次第でございますが、御承知の通り、国際原子力機関の保障制度を多数国間条約もしくは双務協定に適用する場合には、どの程度まで適用するのかということで、関係国、関係機関との間の協議に待たざるを得ない。一括で白紙委任状のようにしまして全部まかせるという表現はできないということになりましたので、とにかく将来時期が来れば必ず相談しよう、どの程度まで国際原子力機関の所掌に切りかえるのか相談しよう、もしもその相談が成り立たなかった場合には、締約国の一方は協定を破棄する権利を有する、こういうふうになっておる次第でございます。
 さらに査察の問題につきまして一言付替申し上げたいのは、プルトニウムの処分の問題でございます。本協定では、でき上ったプルトニウムは、わが国の平和利用の所要量に関する限り、日本政府の処分におまかせをします、余ったものがあれば、イギリスの公社が指定する倉庫に貯蔵しておく、必要があれば日本に返してやる、もしそれでも余ったものがあればイギリスが買ってもいい、あるいは第三国に譲渡してもいいということであります。御承知の通り、イギリスからもらう原子炉燃料というものは、三十万キロワットにつきまして五百トンの燃料でありますが、これにつきまして年間二百キロのプルトニウムができる計算だそうでございます。そうしますと、十年間におきまして約二トンのプルトニウムができるわけであります。これが日本の平和所要量の範陣内であれば日本側は全部これを使えるわけであります。平和所要量の算定方式も、向うの案では、平和研究用並びに現存もしくは建造中のリアクターの所要量といろ算定基準がありましたが、これを私らの方はもっと範囲を広げまして、将来の計画といたしまして、政府において、ファスト・ブリーターのような設計のものを作るような計画があるとすれば、それを政府の計画として立証するならば、将来のプルトニウムの必要量も日本にあらかじめ押えておくことができるというふうな結果になりました。この結果につきましては、私は自信を持って国会の諸先生の決議の趣旨にこたえ得たのではないかとひそかに思っております。
 話は長くなりますが、次にアメリカの協定についてお話し申し上げます。アメリカの協定の案文は、現在まで参りました内容は、アメリカと西独との間にできました協定とほとんど同じでございます。問題になりましたところの査察の範囲並びに査察の国際原子力機関への移譲の表現も、イギリスの協定と大同小異でございます。少しイギリスの方が有利な場合もしくはその逆の場合がありますが、本質的には同じでございます。この問題につきましては、原子力局に依頼しておりますが、協定の主たる目的は濃縮ウランを受けることであります。これについては、濃縮ウランの所要量を決定していただ幸たいことと、それから濃縮ウランの所要昂の決定につきましては、購入すべき原子炉のタイプ、出力あるいは濃縮ウランの発電計画の一部を示さないと、向うは話に乗らないのではないかと思います。それから、入手すべき濃縮ウランの入手の方式を購入するか貸与にするかを明らかにいたしませんと、免責条項の問題もしくはでき上ったプルトニウム所有権の問題が影響して参ります。これは事務的に至急解決していただかなければならぬ。
 査察の問題につきましては、イギリスの協定の場合に準じまして、なるべく国際原子力機関憲章の字句を使うように努力したいと思います。ただし、これはあらかじめ私が申し上げておきたいのは、アメリカとの協定の表現ほ、イギリスの場合の表現と実質的には同じでございますが、表現の方法が違うために、事務的に、形式的にこれを国際原子力機関憲章の表現に切りかえることは、かなり難航すると思います。しかしながら、できるだけその御趣旨に沿うように努力いたしたいと思っております。なお、アメリカとの協定につきましては、以上のような諸点について原子力委員会から御指示があれば、外務省としては至急本格的な交渉に入りたいと思っております。でき得ればイギリスとアメリカの協定を二つ並べて通常国会に出しまして、諸先生の御批判と御審議を仰ぎたいと考ええておりす申す。
 簡単でありますが、以上で終ります。
#59
○菅野委員長 松井課長の説明は終りました。これについて質疑があれば、これを許します。
#60
○齋藤委員 ただいま外務省の松井第三課長の日英、日米原子力一般協定締結の過和における御説明を承わったのでありますが、将来詳細にわたっていろいろ御質疑を申し上げる機会があると思うのでありますけれども、本日はただ一点、従来の一般協定締結の過程において、一番われわれの関心を引いておりました点について、あらためて御説明をお願いいたしたいと思います。
 この原子力平和利用は、申すまでもなく、世界全人類の平和と繁栄の確立のために、わが国におきましても、与野党一致をもって原子力基本法及びその他関係法規の制定を行なったのであります。しかも国際的にこれを見ますると、個々別々の国が、その国の状態においていろいろな目的を持っておる。わが国のように平和のみを目的としておるのでなく、戦略的に、戦術的に、原子力を大きなウエートとして考えておるところの国とは、原子力の全盤に対しての考え方に相当の開きがある。根本的な開きもある。そこでわが国といたしましては、八十数カ国の加盟を持った国際原子力機関の発足に中心的な課題を置いて、一切をあげて、将来は国際原子力機関のメンバーとして、平和的に限定された目的に向って日本は利用をやっていこう、こういうことで、日本は幸いにも理事国になり、これから諸国とともに、国際原子力機関の充実した活動を希望しておるわけであります。
 そこで、ただいま御説明になりました中の、日英、日米両国間における協定の中でわれわれが一番気にかかっておりまするのは、燃料から出てくるプルトニウムの査察であります。このプルトニウムの査察は、一回限りでなくして、末代までも査察を受けるということを、日英、日米両国間の条約に明記するということは、との本質論からいって、私は多少の疑義があるし、不満があると考えておるのであります。国際原子力機関を中心として、われわれが将来の平和利用を考えるということは、国際原子力機関が平和の目的を遂行するために、万全な措置を講ずるというところに信頼性があるのであって、こういう意味から申しますると、プルトニウムその他の査察に関しましては、国際原子力機関の査察機関によって査察を受けるということがわれわれの理想である。従いまして、日英、日米間の一般協定のとの点に関する条約文は、国際原子力機関憲章に明記してある字句そのままを用いるということが望ましい。その解釈は、国際原子力機関において解釈せられた通りで私はよろしいと思う。それは、将来国際原子力機関の査察を受けるということであります。それでございますから、当局におかれましては、その点だけは強力に純理論的、原則論に立って、英米両国に対して強く主張せられまして、将来われわれの希望する国際原子力機関が中心となって、世界の平和を確立し得るのだという大道を踏みはずすことなきよう、一つ一般協定に対して万全の措置を講じていただきたいと思うのであります。これに対して、一つあらためて御決意を承わりたいと思います。
#61
○松井説明員 まことに私どもといたしましても御説に全然同感でございます。日英協定の条文におきまして、賢察の権利というものにつきましては、私らの方は、このイギリスの有する権利というものは暫定的なものである、これは将来国際原子力機関の保障に切りかえれば完全にそれに切りかわるものであって、それまでの間の仮定的な権利であるという暫定的な性格を認めることにしております。
 第二には、この副産物に対するプルトニウムに対する査察の問題につきましては、国際原子力機関と同じである。すなわち国際原子力機関憲章の十二条のAの6項のフィッショナブル・プロダクツということと、5項のスペシャル・フィッショナブル・マテリアルズ・リカヴァード・オア・プロデュースド・アズ・ア・バイブロダクト、こういうことを協定の本文に残しまして、極力先生方の御趣旨に沿うように善処いたします。ただし、解釈は別に交換公文で確認する。これはなぜかと申しますと、査察の範囲、査察の方法、この規定にもしも違反があれば、イギリスはこの協定を破棄できます。その場合、購入した燃料その他は全部返さなければならない。これは会社の破産を意味します。重大な問題であります。従って、誤解があってはいけない。従って、誤解を招かないために、外務省としましても、国際信義上そういういいかげんなことはできないというふうな信念を持っております。しかし、これは協定の本文から全部はずしまして、別に交換公文で確認する、そういうふうにいたします。アメリカの場合につきましても同様の趣旨であります。ただし、アメリカの場合は協定の表現の字句の構成がかなり複雑であるので、イギリスのようにうまく一行を消して置きかえられるということにはいきかねる場合がかなりございます。しかしながら、これはできるだけ全力をあげて、御趣旨に沿うように努力する考えでございます。
#62
○齋藤委員 国際、原子力機関の設置を見まするまでに、国際原子力機国憲章の各条項に対してのディスカッションが行われて、その論議の過程において査察の問題がはっきりと定義されておるということであれば、われわれは国際原子力機関並びに国際原子力機関憲章の承認をいたした立場から、これを否定するわけには参らないと思うのであります。ただ、そういう解釈がはっきりいたしておればいたしておるほど、この際堂々と国際原子力機関憲章の字句によって、両国間の条約を締結してよろしいと私は考える。重ねてこれは一つそういうふうにお願いいたしたいと思います。
 なお、これに関連いたしまして、承わるところによりますと、国際原子力機関の事務局長も十二月一日からウイーンに赴任いたしまして、その業務を遂行していくということであります。これに対して甘木も当然スタッフを送らなければならないと考えられるのでありますが、そういう国際原子力機関に対する日本の態勢について、一つ御説明をお願いいたしたいと思います。
#63
○松井説明員 今の御質問に御説明申し上げる前に、きつき齋藤先生のおっしゃった国際原子力機関の解釈の確認、これは文書をもって国会へ提出してよろしゅうございます。一部の人には提出してございます。すなわちプルトニウムの査察が末代まで行われるということは、関係国政府の見解でございます。それから、それの関連性において、イクイプメントはなくていいという意見もございますが、エージェンシー・プロジェクトというものは、国際原子力機関の十一条のC項におきまして、イクィプメントも提供するとありまして、従って、十二条でAの1から7までの査察が行われるということになっておりますし、完全に、双務協定と国際原子力機関の協定の内容、従って副産物の範囲、副産物の生成の原因の範囲、方法というものは同じでございます。すなわち、これにつきましては、アメリカ政府もイギリス政府も全部同じでございます。カナダ政府は少し違った見解を持っております。しかし、本質的には、プルトニウムの査察が末代まで行われるということは全部そろでありますが、この点はさらに確認しておきます。
 次に、国際原子力機関の職員の問題でございますが、御承知の通り、国際原子力機関では、日本は理事国になっております。二十三カ国一のうちの極東の地域の代表理事たる地位を占めましたわが国といたしましては、その理事国の地位にふさわしき理想を持った態度をもって国際原子力機関を運営していき、国際原子力機関の本来の理想実現に協力したい、こういうふうに考えております。従って、日本は単に代表をきめるのみならず、事務局にも有力なエキスパートを送り込みたいと努力しております。ただ、いろいろな都合がございまして、私らの予定していることが必ずしも全部室現するかどうか疑問でありますが、かなり上級の職員あるいは中位の職員数名を候補者として推薦して、その採用方について、今せっかく努力中でございます。
#64
○岡委員 一般協定の資料は一昨日いただきましたが、私はまだ十分読む機会がないのでありますけれども、ただいまの松井課長の経過の御報告に関して、若干お尋ねをしたいと思います。そこで、保障の対象、保障の主体、保障の手段等については、松井課長も現地において非常な努力をされた趣きでありまして、その御努力は私は十分多といたしたいと思います。ただしかし、最後に御報告になりました、国際原子力機関が事実上査察業務を行い得る段階に到達したときには、日英あるいは日米両国政府は、協議の上その査察を受けるかどらかを決定する、こういうことになっておるのである、こらいろ御説明でございましたが、その通りでございますか。
#65
○松井説明員 その通りでございます。
#66
○岡委員 そういたしますと、協議の結果、英国あるいはアメリカ側が国際原子力機関憲章の十二条の機関の保障措置等、一連の憲章規定というものを受諾し得ないというケースも予想されますが、どうでありますか。
#67
○松井説明員 純理論的には考え得られますけれども、しかし、それは英米並びに日本の意図していることでは全然ございません。何となれば、もしも話がつかなければ協定をやめてまでもというかたい決意を持って、国際原子力機関の査察に乗りかえたいというふうな非常な決意を持っております。ただ、今相談なく自動的に切りかえ得られれ、ばもちろん理想的でありますが、事柄の性質上、そうはいかない。なぜかと申し上げますと、実際的な問題としましては、国際原子力機関は今発足して日が浅い。インスペクターのスタッフもない。実際の査察上の細目がきまっていないということが第一。第二には、お手元に国際原子力機関憲章の規定があると思いますが、十二条のAの1から7までの一連の保障措置というものは、エ一ジェンシー・プロジェクト、すなわち機関から原料、資材をいただくそのプロジェクトにつきましては、包括的に適用されます。ところが、双務協定につきましては、実際に適用しなくてもいい条文がございます。お手元の憲章をごらん下さい。まず十二条のAの1に施設の承認権というのがございます。すなわちこれは双務協定でイギリスからリブアターをもらう場合には、イギリスから一応リアクターのデザインをもらう。それから軍事利用を防止するに至るかどうかの立場から一応分析してアプルーヴしているが、もしそれを再び国際原子力機関がアプルーヴしてこなかった場合にどうするかという予盾が起る。従って、この国際原子力機関の査察は、機関の卒業経過に対してのみ適用されるのが本来の姿であります。しかしながら、多数国間条約もしくは二国間条約の協定の当事国から要請があった場合には、必要な範囲においてこれを適用する権利と責任を有することになっております。従って、どの程度までやるかということにつきましては、関係国間の協議が必要であります。この手続を無視してジャンプはできないわけであります。しかし、本質的には、両国関係者は、いずれも国際原子力機関に必ず乗りかえたい、それがいやならば、協定を破棄してもいいというような異常な決意を示している点を御指摘申し上げたいと思います。
#68
○岡委員 保障措置その他のことについて、イクイプメントの定義その他の問題点については、松井課長その他の御努力で多少英側は緩和してきたようでありますが、原子力委員会としては、かつて原子力委員会が一般協定に対する根本的な方針として、国際原子力機関憲章の趣旨を逸脱しないという意思表示をしておられますが、松片さんの方でその趣旨は一応貫徹されたもの、こういうふうにお考えでございますか。委員会としての正式な決定というふうなものがあったのでございますか。
#69
○藤岡説明員 この問題についてただいま松井課長がるる御説明になりましたことは、原子力委員会の意図しておりますことよく一致しておると存じます。委員会といたしましても、関係各方面とお話しいたしました結果、近ごろ再確認をいたしましたことは、日英、日米は双務協定でありますけれども、この問題の趣旨は、全部国際連合の機関において行れれますことと全く同等に行う。国際連合できめられましたことを世界の通念と見まして、その線に沿って行う。従って、もし国際連合の解釈ないし規定が将来変るようなことがあればまたこれに従ら、そういう趣旨でいくということを再確認いたします。従って、その字句も先ほどの御質問にありました通り、できるだけ国連の字句をそのまま使うようにいたしたい。
 それから、ただいまの御質問にあります将来国連の機関がほんとうに発達いたしましたときには、すみやかにこれに乗りかえたいということでございますが、その内容、範囲等につきましては協議を要する分がありますことは、ただいま松井課長の御説明の通りでありまして、私どもとしては、外務省の折衝せられておりますことは、十分にわれわれの趣旨を体してやっておられますことと存じまして、満幅の信頼をいたしておる次第でございます。
#70
○岡委員 さていよいよ機関が査察の機能を発揮し得るだけの態勢を整えて、そこで双務協定を切りかえたいというときに、なるほど松井君の御説明のように、AIのようなものは、これは適用を受けなくともよいことでもあり、事前にできてしまっておる問題でありますから、その炉なら炉の運営、そうして将来はいろいろな物質等についての査察ということになってくるわけであります。ところが、国際原子力機関は、ソビエトも入っておれば共産圏の国々もたくさん入っております。そこで、査察部から査察員が派遣されてくる場合には、どの人が来るか知れません。ところが、現状では、原子力あるいは科学兵器をめぐっての東西領陣営の対立はますます深刻な様相を示しておる。こういう情勢の中で、果して対立する陣営の側の査察費の査察をも、国際原子力機関が派遣する人であるからということで受け入れるかどうかという点に問題はありませんか。
#71
○松井説明員 憲章の十一条のAの6項をごらん下さい。国際原力機閥が代表者を派遣する場合には、まず受け入れ国との協議を要します。その際、日本政府は原子力委員会その他の意向を、参酌いたしまして、特定の人間がよいか悪いか、好ましいか好ましくないかといえ、ことの意思表示をする余裕が十分にあります。ただ、連続的に単一の人間を入れることがいやだとかよいとかいうことを、政府事務当局が今から申し上げるのは早いのであります。ただし、政府の独自の見解で裁量の余地があるということを御指摘申し上げるにとどめたいと思っております。
#72
○岡委員 重要な問題でありますから、微妙な問題ではありますが、ただ現在の国際原子力機関の憲章を見ても、これを貫く一番大きな矛盾は、いわゆる大国優先主義――大国の軍事利用は放任しておいて、小国のわずかなものは察査しょう、こういう大国優先主義というものは、国際原子力機関憲章の中の大きな矛盾なんです。これをそのままに受け入れるのだというような体制であってはならないとさえ私は思う。そういう立場から申せば、この査察についても、そういう大国の対立にかかわりなく、日本は公正に国際原子力機関が運営の全きを期し得るような査察を喜んで受ける、こういう態度であるべきだと思うわけです。これは、しかし、いよいよ国会の審議にかかったときにおける私どもの論点になろうかと思います。そこで、日英原子力協定につきまして、保障の措置の対象となる副産物の範囲、あるいは保障措置を実施する主体、その他情報交換等におけるわが方の有利になった点などについて若干の御説明を承わり、資料もいただいたのでございますが、この中で燃料の問題はどういうことになっておりますか。
#73
○松井説明員 燃料とおっしゃるのは、燃料要素の意味だと思いますが、協定上、先ほど申し上げたように、イギリスから購入するリアクターにつきましては、もちろん契約で購入いたしますが、その際リアクターの所要の燃料要素も保証しよう、品質も保証しようということであります。しからば国産動力源に対する燃料は提供しないのかという疑問が起るだろうと思いますが、この場合には、イギリスの原子力公社が日本の国産動力炉の設計を承認すれば、それに対する所要の燃料をこれまた契約で提供する。燃料の提供につきましては、条件がございます。まず第一は、原則としてイギリスから直った燃料は、イギリスから購入した原子炉に使わなければならぬ。ただし、例外として、イギリスが承認した原子炉ならば使ってもよろしい。ただし、承認なくしてイギリスから買わない原子炉にイギリスから買った燃料を使わないで下さい。これが第一。第二の点は、イギリスから購入した燃料の照射の結果、要するに被照射物質の化学再処理というようなものは、原則としてイギリスでやって下さい。もしくはイギリスの原子力公社が承認する施設でやりなさい。その場合に、原子炉から取り出して、イギリスに持っていくまでの閥において、被照射物質に手をつけてはならぬ。ただし、研究用その他例外の場合はこの限りにあらず、これが第二の場合。第三の場合は、イギリスからもらった燃料の事故品は、再処理を要すると要しないとにかかわらず、イギリスに返して下さい。事故品というのは、たとえば燃料要素の棒がひん曲っていたり、被覆材の形が曲るのがたまにはあるそらでございます。そういうものは一応イギリスに返しなさい。大体そういうふうな規定がございます。
#74
○岡委員 私は、日本が導入した動力炉の燃料棒の保証を相手方が与えるというのではなく、日本が日本の技術を完成して燃料棒を作った。これを導入した炉に使用していいのかどうか、あるいはそういうパテントを日本が獲得して、それに基いて燃料棒を作る。これを日本側が相手方から購入した炉に使用していいのか、これは減速材についてもそうですが、こういう点については、あなた方の折衝ではどういうことになっておりますか。
#75
○松井説明員 協定におきましては、イギリスのいわゆる燃料要素の成形加工の工場の設計運転に対する技術援助をしてやろう、それからその化学再処理工場の設計運転に対しても技術援助をしてやろう、それから工場へのインダストリアル・ノーハウ、テクニカル・ノーハウを含めた両方を提供してやるという規定がございます。ただし、この情報の提供につきましては、その該当条一項におきまして、コマーシャル・ベースのものは対価を払えばいいのだけれども、それは全部百パーセントに即時くれるかどうかという問題があります。向うはそういうものにつまきしては、即時でなくても一定の期間に条件つきでくれる。しかも、情報をくれない場合もございますが、大部分は即時にくれる、しかも研究の情報は無償でくれます。これが第一の点でございます。第二の点につきましては、本来の燃料はイギリスの原子力公社が作っておるから、公社を相手の契約でございますが、非常に純度の高い黒鉛だとか、もしくはイギリスから、これはおそらくないと思いますが、重水のよな減速材を買うとしますと、この場合、イギリスの政府が日本の政府、もしくは日本政府に許可された人間がかかる物質をイギリスにおいて入手することについてアシストする、応援援助してやろうという規定がございます。この規定を引用いたしまして、イギリスの援助に対して、もしも民間ベースで買う場合に困難がある場合、この協定の該当文を引用しまして、イギリスの政府もしくは原子力公社に対して便宜供与を要求する権利がございます。
#76
○岡委員 コールダーホール改良型を導入の対象と仮定した場合に、相当量の入れかえも必要になってくるし、当初相当なものが要るわけです。そこで、実は先般英国の産業グループの人たちと会う機会がありまして、そのときに、英国原子力公社から産業グループに開放したすべての情報は、日本側の新しき受け入れ態勢の側に全部これを通報するかということを私は確かめたのです。そうしたら、九五%はする、じゃ残りの五%は何か、それは燃料の成形加工にかかわる部分だ、こういうておるわけです。そこで、原子力発電を中心とする長期計画を見ましても、将来外国から輸入する化石原料が何倍にもなる。国際収支の上からも云々というようなことがうたい文句として繰り返される。ところが、英国から天然ウランを輸入するにいたしましても、そこに条件があり、まだ相手方が負担をしておるというようなことになっては、事実上はやはり日本の原子力発電によるエネルギー開発というものが大きな依存性から脱却できないということになる。これは日本の基礎産業であるエネルギー産業のためにも、日本の将来の国民経済の上からも、事実上の日本の自主権に対しては大きな脅威になるわけです。この点が協定上明確になったのかという点。
#77
○松井説明員 協定面では大体満足な程度になっていると思います。ただし、満足な程度になっているだけでは私どもは満足いたしません。その協定ができ次第、情報交換の促進に関して、向うの機構に提案いたしたいと思っております。あるいはイギリスが燃料要素成形に関するヨーロッパのモノポリーをある程度の期間まで留保したいという国策的な立場から、それをくれない場合があるかもわかりませんが、なるべくそういうことのないように、日本に今一番必要なのは、御承知の通り、燃料とか原子炉ももちろん大事でございますが、その前に、たとえば人の養成であるとか、あるいはそれに対して必要な科学情報、いろいろな工程の情報、こういうようなものはできるだけ機密――機密というのは法律上の機密でございませんで、いわゆるコマーシャルのシークレット、これは対価を払えばもらえますから、そういう情報はできるだけ早く正確なものを日本側に入手し得るように、さらに適当な措置を講じたい、こういうふうに考えております。
#78
○岡委員 英国の場合はそうでしょうが、特にアメリカの場合は、アメリカのメーカーに対しての濃縮ウランの供与は、全部貸与になっております。日本は買い取ることになるのですか。
#79
○松井説明員 米国政府から提示された一般協定の案文によりますと、買却もしくは貸与となっています。ほかの国の協定を見ますと、購入の場合もあります。私はこの点は原子力委員会の御決定に従いたい、こういうふうに思います。
#80
○岡委員 その場合、たとえばウランの精錬過程、特に六弗化ウラン、その濃縮というような科学操作の過程というものは、アメリカでは厳重な機密事項になっている。してみれば、買ったところで借り受けたところで、買えば使用済み燃料についての日本の発言権はかなり自主性が持てるか持てないかというような程度であって、燃料そのものの成形加工のインフォーメーションは、日本は受けられないということになれば、濃縮ウランをもってするところの実用動力炉につきましても、燃料は絶えずアメリカに、その限りにおいては、依存しなければならない。こういう事態になり得るわけでありますが、そのようでありますか。
#81
○松井説明員 化学町処理の立場から見ますれば、購入であろうが貸与であろうが、原則としましてアメリカで行うという点は同じであります。しかしながら、購入の場合は、まず日本から見ますれば、問題点としては、国庫の負担を伴うかどうか、すなわち日本政府の立場から、民間べースに行くことが可能かどうかということは、今のアメリカ政府の原子力基本法から非常に困難だと思いますが、なお研究いたしたいと思います。
#82
○齋藤委員 ただいまのフューエルの成形加工の問題ですが、昨年われわれアメリカに参りまして、アメリカの原子力委員長を初め、委員各位と、フューエルの加工、成形に対しても秘密を持たないように、一般公開をするようにという要求をしましたときに、それは特許に類するものである、だからこれは公開したくても公開できないのだ、だから日本もその点に対して研究、工夫するならば、何もおそれる必要はないのではないかという回答があったのであります。ただいま岡委員の九五%は技術を公開する、しかし五%を保留したというのは、そういう点にあるのではないかと私は思うのであります。これは科学技術庁にお伺いしますが、そういう特許関係は、アメリカにおける原子力に関する特許はすべて秘密特許であって、そういう部分は公開していないのは、いわゆるAECが特許を持っておって、公開していない。だからその特許によって拘束を受けることはないはずだ、秘密特許で公開していないから。日本において研究、工夫すれば、十分その難関は突破できる。それをあえてアメリカの方で公開するということはできない、こういうふうに聞いておったのでありますが、それはどうでありますか。
#83
○松井説明員 今お答え申し上げる前に、問題の概念を明白にしたいと思います。それは、燃料要素というのは、アメリカの濃縮ウランの場合には、六弗化ウランにしてガス散布法で濃縮する過程と、濃縮ざれたものを硝酸液あるいは硫酸液に入れて液体燃料にする、あるいは金属ウランにする、あるいはジルコニウムの被覆をつけてやる。成形加工はこの二つの面があります。初めの六弗化ウランにしてガス散布法による過程は、アメリカの原子力法の十一条の規定によりまして、機密事項であります。しかしながら、濃縮ウランを使いまして、燃料要素あるいは燃料液もしくは燃料棒に成形加工することは、民間に委託しております。その点は問題を間違えてはいかぬと思います。燃料要素の成形、たとえばセラミックをクラッジングとして燃料要素の被覆につける、あるいはベリリウムをつける、これらのものは今、齋藤先生の害われる商業上の秘密ないし特許の対象になっております。こういうものはもちろんただでくれるわけにはいかぬ、もちろんそれには相当の対価を払って、契約なり協定の取りきめが必要だと思います。その点をまず申し上げておきたいと思います。
 それから、アメリカの原子力法の特許に関する規矩は、相当膨大な規定でございますが、マクマホン・ローを修正された今日におきましては、一応原則としましては、原子力の平和利用に関する個々の特許は秘密でございません。ただそれが今までマンハッタン・プロジェクトの余弊を受けまして、軍事に関するものがあまりにも多かったために、事実上公開されたものは少いように聞いておりますが、法律上の建前としては、平和利用に関しては、特許権の設定を認めております。特別の例外の場合を除いて、政府は強制的に収用できないことに、建前としてはなっております。
#84
○岡委員 それでは、英国の場合は、その六弗化ウランですか、その辺のところまでは機密になっておる。そこで、そういうガス状のものをもらって、硝酸塩か硫酸塩にするということは、これは英国のメーカーでやっていることでもあり、商業上の取扱いで契約の過程において入手することができる。従って、日本もその程度で成形加工はできるが、大もとの六弗化ウランまでの過程は日本としては手がつけられない、こういうことですね。そこでもう一つ、英国から天然ウランを購入する場合、これは購入をするわけで、従って、使用済み燃料についても、日本は当然所有権を主張するということになるわけでしょうか。
#85
○松井説明員 使用済み燃料の所有権は、一応法律的には購入した者――日本に所有権があると見ております。ただし、その所有権を有する物の化学再処理という特定の行為は、イギリスでう行わなければならぬという制約がついているというふうにお考えいただければよいと思います。
#86
○岡委員 所有権を持っている使用済み燃料だから、国際原子力機関がこれを保管ずる倉庫をもし持つならば、そこに委託保管をせしめたところでいいわけですね。
#87
○松井説明員 協定の文面上、もしもイギリスの原子力公社が、国際原子力機関の指定する倉庫を指定した場合には、それは事実上可能になります。
#88
○岡委員 それでは英国がもしそれはいけないのだ、おれのところによこせと言えば、英国に渡さなければならぬ、こういうことですか。
#89
○松井説明員 御説明申し上げますが、大体そうなると思います。これは、問題は、プルトニウムを、ほとんどでき上ったものは日本で留置するという、欲ばった案を出したために、貯蔵の場所だけは向うが発言権を持ちたいというために出てきたと思いますが、しかし、国際原子力機関の方に入れた方がいい、入れるのは単に安全の措置のみならず、輸送の観点とかいろいろな観点がございますので、それが交渉の過程によりまして、運営上日本の主張をできるだけ主張し得ることは可能だと私は思っております。ただ、協定の体裁としまして、貯蔵場所の指定はイギリスの原子力公社が行うという形は、これは認めざるを得なかったのであります。
#90
○岡委員 こまかい点ですが、これは原子力公社なり佐々木君にお聞きしたいのです。毎年百トンばかり入れかえしたいという、使用済み燃料も相当量出てくる。これをたとえば英国に送還するには、何千トンの鉛が要りますか。
#91
○藤岡説明員 はっきりした数字を今お答えする自信はないのでございますが、私の今まで調査し、ないし話し合いをいたしましたのでは、大体照射済みのウランを鉛の入れものに入れて送り返します場合には、ウランの目方の約二十倍くらいの鉛が要るように考えております。
#92
○岡委員 二十倍というと、ペア・ワン・セット輸入した場合に、一カ年間にどれくらいになりますか。
#93
○藤岡説明員 いわゆるコールダーホール改良型の約三十万キロ程度のものでございますと、初期装荷が百トンで、毎年の燃料取りかえが百トンと見積っております。従って、二千トン程度の鉛が要るものと考えております。
#94
○岡委員 それでは、そういうふうにして送り返した――どこの国にやるか知らぬが、かりに英国にやった。そとでその費用は日本が受け持たなければならぬ。そこで英国が保管を委託する。それからまた日本は、日本の判断において任意にその化学処理、いわば加工と化学処理を委託することもできますか。
#95
○松井説明員 それは両国政府の協議がととのえば、その例外として、日本において化学処理を行うことは可能でございます。
#96
○岡委員 日本ではとても、そういう百トンくらい出てきたものに、膨大な電力も必要であり、資金も必要な化学処理はできないと思います。そとで、ここ当分の間、とりあえずよその国に委託して加工してもらうなり、国際原子力機関に化学処理工場ができればこれにこしたことはありませんが、かりに英国の場合、英国に二千トンの鉛――私は五千万トンという専門家のお説をちょっと聞いておるのでありますが、いずれにしましても、これを受け持って、そうして保管を委託する。そらして英国に引き渡しますが、所有権は日本にあるわけだから、そこで日本はプルトニウムを加えて天然ウランの低濃縮ウランの効率を期待する研究、あるいは実施等のために、プルトニウム等が必要であるというようなことからいたしまして、保管を委託した、日本の所有権を持っておる使用済み燃料については、日本の必要量を化学処理きせる、こういう要求を英国はのむととに、この協定でなっておるわけですか。
#97
○松井説明員 なっております。可能でございます。
#98
○菅野委員長 次に、科学技術関係予算について、政府当局より説明を聴取することといたします。原田官房長。
#99
○原田政府委員 それでは、お手元にお配りしてあります資料に基きまして、御説明申し上げます。昭和三十三年度の予算に関しまする総表がございます。昭和三十三年度科学技術振興重要事項要求総裏というのがございますので、それに基きまして、予算の総括的な御説明を申し上げます。
 まず「一般の部」と書いてありますが、この第一に、「科学技術振興長期計画作成」とございます。これは当庁が発足以来、関係各省の予算の見積り方針の調整などをやっておりますが、何と申しましても、この見積りをいたしますには、この鏡になる基本がなければならないということを痛感いたし、また将来に向って発展過程にある科学技術を計画的に推し進めるためには、あらかじめ十分検討された資料を持っていなければ、効率的な発展が期待できないというような観点から、本年科学技術庁内に科学技術振興長期計画委員会というものを設けまして、骨格的な作業をしておりますが、肉づけ作業その他をいたしますためには、やはり予算も必要でございますし、組織も必要であろうというので、それに必要な経費として一千万円ほどでございますが、計上してある次第でございます。
 次に、二番目の「試験研究の推進」という項目が掲げでありますが、その内訳といたしまして、「多数部門に亘る共通的基礎的試験研究」、またさらにその内訳といたしまして、「航空技術研究所の整備」という項目があがっております。これは昭和三十年に総理府に設けました航空技術研究所の六カ年計画の第四年目に当る予算でございまして、すでに三十二年度におきましては、遷音速風洞の施設は半ば完成する予定になっておりますが、その残部と、機体研究施設、動力研究施設の経費を要求する内容のものでございまして、その総額は、債務負担行為を含めまして、約四十四億でございます。
 次に「金属材料技術研究所の整備」でございますが、これは一昨年発足いたしました研究所で、本年は第二年目に当り、予算要求としては第三年目の予算要求でございます。その内容といたしましては、溶解設備、圧延設備、材料試験設備等の主要設備の整備をはかる予算を含めまして、総額十八億ほどの予算要求になっております。
 三番目に、「多数部門の協力を要する試験研究助成」でございますが、本年初めてクロレラの研究に二千五百万円ほど予算をつけたものでございますが、来年は太陽エネルギー、その他オートメーション、ヒューマン・エンジニアリングに関する試験研究を総合的に多数部門協力して進める助成費といたしまして、八千万円計上してございます。
 次に、二番目の項目であります「電子技術の振興」関係でございますが、本日もいろいろ御議論がありました次第でございますが、予算といたしましては、電子技術に関する諸問題につきまして、政府機関として審議機関を設置いたしたいと考えております。その事務費として、四百万円ほど計上しております。
 三番目に、「株式会社科学研究所の整備」の予算でございますが、昭和三十年来三カ年にわたって出資を三億五千万円ほど続けておりますが、来年は二億円要求いたしまして、科学研究所の体制の整備を続けて参りたいと考えております。
 四番目に、「試験研究促進調整費」の新設でございます。これは、各省庁の科学技術関係予算の見積り方針の調整を、当庁でその責任においていたしまして、大蔵省へ意見を述べることになっており、現にお手元に差し上げてありまする「昭和三十三年度科学技術振興予算見積方針調整意見書」といろ大きな資料がございますが、そういった予算に関しまする意見を大蔵省に提出することになっております。すでに提出してございますが、それに基きまして、大蔵省はこれを十分尊重して予算を査定されることになっておりますが、何と申しましても、科学技術関係はその主計官も他方面にわたり、かつ十分調整のとれた予算がつかないというのが実情でございます。遺憾ながらそういう実情でございますので、そういうアンバランスを年度進行途上においう調整し、かつ緊急必要のある研究テーマに対しまして、当庁で一括計上して置いて、各省に配分して移しがえをするという予算といたしまして、三億円要求しております。
 五番目に、「在外研究員及研究チームの派遣」、これは従来からやっておりましたことをさらに拡大しようというのでございまして、予算要求額としましては一億円要求することになっております。
 六番目の「褒償制度の確立及強化」、これは新しい項目でございますが、内容といたしましては、科学技術勲章、科学技術功労者賞金、紫綬褒賞の授賞対象の拡大、それから科学技術顕功賞というような、科学技術者に対する褒賞制度の一貫した体制を整備したいという考えのもとに、当庁で想を練って参りました。賞勲部とも連絡しておりますが、科学技術勲章につきましては、栄典法の改正を行うという機運もございますので、まだ確立はしておりませんが、予算を伴いまする科学技術功労者賞金、これは一時命といたしまして一人当り百万円程度、計十人、計一千万円ほどでございますが、こらいった予算を要求しております。その他紫綬褒賞、科学技術顕功賞など合せまして一千三百万円の予算を要求しておる次第であります。
 次に、大きな項目の「研究成果の活用促進」でございますが、その内訳といたしまして、第一が「新技術開発機関の創設」でございます。この内容につきましては、前国会におきましても、当庁として提案した内容でございますので、すでに御承知かと思いますが、わが国では研究はできたけれども、実用化されないという技術が非常に多いのでございまして、そういった技術を、政府が出資いたしまするこの新技術開発機関の責任におきまして、試験的に企業化してみる、そして、それがうまく企業化されるということがわかりましたならば、一般企業者の利用に供していく、その収入をもとにして、ざらに次のそういった新技術の開発に着手するという考え方のもとに、昨年来海外にも調査員を派遣いたしまして検討した結果、想をまとめまして作りました案でございまして、十カ年計画で毎年五億円ずつ出すという特殊法人の機関を設置いたしたいと考えております。
 次に、二番目の「特許発明の奨励及実施化」でございますが、これは従来中小企業その他個人に対しまして、特許発明をとったものが、なかなか実施するのに資金が足りないということでできないという方のために補助金を交付しておりますが、その金額を増額いたしまして、五千五百万円ほど要求をいたしたいと考えております。
 四番目に、「科学技術調査及情報活動等の推進」でございますが、この第一に、「科学技術に関する調査活動強化」、これは科学技術庁といたしまして、科学技術に関する各般の行政上必要な調査をいたしておりますが、行政の要請にこたえるためには、まだ不十分でございますので、その機能を拡充して参りたいというので、予算を一千一百万円要求しております。
 二番目に、「日本科学技術情報センターの強化」でございますが、これは本年八月発足いたしました日本科学技術情報センターの第二年目の予算でございまして、内容の充実というのが主体でございます。出資じゃなく、補助金でございます。
 三番目に、「科学技術アタッシェの増強」、これは、本年は西独へ一人アタッシェを置くことになっておりますが、来年は、国連本部、エカッフェ、フランス、ソ連、スイスなどの五カ国ヘアタッシェを派遣したいという予算でございます。
 次は、「資源に関する調査活動の強化」でございますが、国際技術協力の強化という項目の内容について御説明いたします。これは後進諸国を主として対象といたしますが、そういった諸国にわが国の科学技術の実情を紹介し、また、そういった諸外国の科学技術事情を調査いたしまするのを第一番目の手初めといたしまして、科学技術協力態勢の強化の足がかりを作っていく段階を踏み出したいという予算でございます。内容といたしましては、科学技術庁内部に科学技術協力機構、小さな機構でございますが、ともかく機構を設けて、政府としての統一ある行政を推進して参りたいと考えております。
 七番目に、「技術革新に伴う科学技術者の需要調査」、これは新しい技術が進展いたしますると、それに伴いまして、また新しい角度から技術者の要請がありますわけでございますので、そういった需要につきまして実態調査を行いたいということでございます。これは、文教当局の科学技術者の養成計画にも反映させたいと考えております。
 以上が科学技術一般の部でございまして、総額を申し上げますと、債務負担行為を合せまして七十七億七千万円に相なっておりまして、前年度の予算額二十八億に比べますと、かなり増額されたものになっております。
 次に「原子力の部」について、御説明申し上げます。
 まず第一は「日本原子力研究所に必要な経費」でございますが、これは原子力研究所の三十三年度の計画といたしましては、CP5の原子炉の完成をいたすということ、それから国産一号炉の設計製作を推進するということ、国産動力炉開発を促進するための動力試験炉を輸入するための金の一部を必要とするというそういったもののほか、アイソトープ研究施設の整備、原子力訓練機関の開設等に必要な経費を含めまして、総額百三億八千万円ほどでございます。
 次に「原子燃料公社に必要な経費」でございますが、核燃料物質の探鉱を積極化するとともに、鉱石の買い上げ等による燃料資源の開発をはかり、また製錬工場を設けて、核燃料試験生産を開始するというような内容を持ちまして、これに必要な経費として二十五億五千三百万円を計上しております。
 三番目の「原子力技術者の海外派遣」は、前年同額の五千万円でございます。
 「核燃料物質の購入費」といたしましては、一億七千七百万円を計上しております。
 次に「試験研究の助成に必要な経費」でございますが、これは民間に対する補助金でございます。工業界の研究もだいぶ進んで参りましたので、工業化研窮の費用を含めまして、総額十億二千二百万円を計上しております。
 六番目に「原子力平和利用研究委託に必要な経費」、これは国家的に必要であるが、国の機関としては研究能力に欠けておるというような問題で、民間に能力があって適当であるというようなものがあれば、委託をして、研究をしてもらうという経費といたしまして、三億七千一百万円を計上しております。
 七番目に「核燃料物質の探鉱に必要な経費」、これは探鉱奨励金として前年度通産省に計上されておりましたものでございますが、来年は科学技術庁に四千万円ほど計上して、探鉱の奨励に資したいと考えております。
 八番目、「放射線量測定調査研究に必要な経費」でございますが、これは本年度の五百万円を千九百万円に増額したいと考えております。
 次に「国立機関の試験研究に必要な経費」、これは関係各省庁の行う原子力関係の研究に必要な経費として一括計上しておる分でございまして、総額が十二億二百万円に相なったものでございます。
 十番目にございます「放射線医学総合研究所に必要な経費」、これは放射線医学総合研究所は来年度は第二年度に当りまして、内容の充実をはかるための諸費用を計上いたしております。その金額といたしまして、十一億三千六百万円であります。
 十一番目の「原子力委員会に必要な経費」、十二番目の「原子力局一般行政事務処理費」は、説明を省略させていただきます。
 以上、合計いたしまして、原子力関係は債務負担行為を合せまして、百七十一億一千四百万円ということに相なります。その他雑件を含めまして、科学技術庁関係予算要求額総額は二百五十億七千三百万円と相なっておる次第でございます。
 なお、以上のほかに人員関係を申し上げますと、科学技術庁本庁関係の三十三年度予算要求人員総数は四百二十五名でございまして、差引現在員との増加数は百七十一名でございます。それから航空技術研究所関係は二百一名を来年度要求いたしておりまして、差引百十四名の増員を要求いたしております。金属材料技術研究所は二百二十六名の定員要求でございまして、現在員との差引は百四十一名の増でございます。放射線医学総合研究所は二百四名の定員を要求しておりまして、現存員四十名との差引百六十四名の増員を要求しております。科学技術アタッシェ五名分を要求しております。計、来年度の新規増の要求といたしましては五百九十名と相なっております。以上予算関係の説明を終ります。
#100
○菅野委員長 以上をもちまして予算説明を終りました。質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
#101
○岡委員 予算を一々お尋ね申し上げるの毛何ですから、特に原子力研究所関係の予算を中心に若干お尋ねをしたいと思います。もちろん私は技術的にはまだ全く無知な関係上、とんちんかんな質問があったら大いに御叱正を願いたいと思うわけでございます。
 そこで、この前の委員会で、火入れ式の前に日本原子力研究所の諸君がいろいろ処遇の問題について御発言があり、そのときには原研の理事者、あるいはまた科学技術庁原子力局の諸君も御出席でありましたが、この研究者の若い従業員の諸君の処遇の改善については、この予算案にどの程度具体的な顧慮が払われておるのでありますか。この点数字を一つお示し願いたいと思います。
#102
○佐々木政府委員 給与の改善等に関しましては、特別にこの予算といたしましてはベースアップ等の問題は取り上げておりません。ただ、生活環境の整備と申しますか、この点に関しましては、この前にもお話がありましたように、できるだけ研究者の環境整備をいたしまして、安心して研究ができますようにという建前をとりまして、むしろ三十三年度予算では入の予算という面に重点を置きまして、そちらの方を強化したいという案にしてございます。従って、単に人をふやすというだげでなくて、人の増加に伴ってのいろんな住宅その他付帯設備の整備をいたしまして、今年度のような問題がないように、あるいはより以上安んじて仕事ができますようにというような意味で計上しております。
#103
○岡委員 どの施設にどの程度の経費が計上されたのか。この前は飲料水の問題を初めいろいろ具体的なあれが出ておった、わけですが、その点です。
#104
○島村説明員 ただいまお尋ねの点は、職員の厚生関係の経費というふうに限りましてのお尋ねだと考えますので、その点を申し上げますが、住宅等につきましては、これは当然の施設であるといたしまして、大体予算要求いたしておりますところの人員に見合う宿舎設備は当然のことといたしまして、明年度におきましては、さらにその後の増員も考慮し、たとえば予算の定員がとれたときに、宿舎の建設の費用が同時にとれるということでは、研究者がすぐに行って研究するというわけには参りませんので、少し余裕をもちまして、宿舎を事前に建てていくということを考えるというようなことにしてございます。また、特別に厚生関係の施設ということに限って申しますならば、食堂でありますとかいうようなものも、研究所自体の食堂ということのほかに、独身寮にもそれぞれ食堂を設けますとか、あるいは衛生関係の医療の施設を整備いたしますとか、また職員クラブを設けまして、これに備品、消耗品――当然のことながら、そういうような施設も設けましたり、さらに運動関係の設備も設けるというようなことを計画いたしておるわけでございます。
#105
○岡委員 とにかくいずれまた現地へ行って見せていただきますが、一つぜひ予算をとっていただきたいし、何しろ若い人ですから、あまりかたくななことを言わずに、アミューズメントの点なども考えて、大いに張り切って勉強してもらえるようにしていただきたいと思います。そこで、大体研究所の増員はどの程度になるわけでございますか。
#106
○佐々木政府委員 職員は、今年度は役員以外は四百四十一人でございますが、それをさらに五百十人増加いたしまして、同時にいろいろ雑役的な仕事に従事する人たちを八十人ばかりふやしまして、千四十人ぐらいにするつもりであります。
#107
○岡委員 その中で実際に研究に当られる人は何名くらいになりますか。
#108
○佐々木政府委員 五百十人の中で――きょうは詳細な資料を持って参りませんが、大体六割くらいが研究員と御理解いただきたいと思います。
#109
○岡委員 全体で千四十名とおっしゃるから、大体五、六百人ですね。問題は、私どもしろらと考えですが、研究所に千人以上の人がいる、そうして事実研究に従事するのがその六割程度、四割は他の事務に立つ、こういう人的配置というか、要員の実体が私どもには合理的じゃないじゃないかと思えるのです。なぜこういう人たちが要るのか。それよりももっと研究者そのものを充足していくという方向にいくべきじゃないか。基礎研究が云々と言われている段階で、この点再考慮の余地はないのですか。
#110
○佐々木政府委員 その点は私どもも非常な疑問を持ちまして、三十二年度の予算を編成する際も、いろいろ話し合ったのでありますが、どういたしましても会計、庶務等の事務的な面は、初期の段階には要るのでありまして、だんだん研究所が固まって参りますと、そういう人はふえないで、今度は研究員がどんどんふえていく。そらして終局の姿は、大体事務関係が一割五分から二割といったような格好になっているのが各国の例でもあります。また現実にやってみますと、そういう立場になるわけであります。従いまして、無理に研究員を削るとかいうのではなくて、ただいまの状態からいたしますと、採用人員の可能性等からも見まして、このくらいが現状では大体いいんじゃなかろうかと考えております。
#111
○岡委員 三十二年の十月には長期開発計画を一応内定ざれ、公布された。との十月五日の日には、原子力発電を中心とする長期計画を一応私ども拝見いたしました。こういう長期計画を担当する中心は、私ほ何といっても日本原子力研究所に期待したい。そこで研究者の定員六百名、こういうようなテンポで長期計画を十分にこなせるかどうか、その見通しはどうすか。
#112
○佐々木政府委員 今の御心配の点は、私どもも同じように実は心配いたしましたが、今度私どもが作りましたのほ、まだ研究中でございますが、ブリーダーの研究をやりたい。いつからそれに手がけるかという具体的な問題を出してみたのでありますが、実際問題として、研究所といたしましては、こちらで立てたのは少し早過ぎる。それがなかなか向うの人的な面からいいまして毛、あるいは研究のテンポからいいましても、むずかしいというふうなお話がありまして、お話のように、研究所自体がどんどんみずから、官庁側で考えるよりもむしろより早いテンポでと申しますか、そういったような点に関しましては、なかなか現在の状況では参らぬようでありまして、やはり人員の養成というものは一朝にしてそうなるのじゃなくて、逐次養成し、相互に検討しながら、その質的な向上をはかっていくというふうな着実な方法をとっていく次第のものかと思われますので、どうもどんどん急にふやしていく、あるいはふえたのに従って内容もすぐ即座に充実して、いろいろなそういう将来計画等に対してすぐ役立てていくというふうなところまでは、あまりそう短兵急に期待ができぬのではなかろうかというふうな感じを持つのであります。
#113
○岡委員 質と量というものは、いずれも伴って向上させていただきたいもので、御苦心のほどもわかります。なお、先般委員会でもやはり具体的な例としてあげられておったのですが、何しろ東海村は不便なところだし、旅費の問題がいろいろ当人にとっては思わざる負担にもなりかねないというようなことを申しておられたのでありますけれども、この点は、今度の予算では、相当大きく要求されましたか。
#114
○島村説明員 研究所の内国旅費の問題であると思いますけれども、三十二年度は内国旅費全般といたしまして三百十八万四千円でございましたが、明年度の予算要求といたしましては、千二百二十八万五千円ばかりを要求いたしております。
#115
○岡委員 予算全体の御説明を聞いても、文書を見ましても、原子炉を作るということは非常にはなばなしい、問題としては非常に大きいもので、当然金もかかることではありますが、その割合に基礎研究の部面あるいはこまかいそうした生活に即した点については、私どもどうも納得がいき得るようにも思えないのです。そこで、問題は、これは要求予算ですが、大蔵省がこの予算総額について承知しないで、削るということになりますと、原子力研究所の総予算の中で、基礎研究のものだけは当然確保すべきだと私は思うのですけれども、そういう点の御方針、削られてはならないが、そういうことがあった場合、基礎研究の部門に重点を置いて確保する、こういうようにやっていただかなければならないと思うのですが、その点どうでしょう。
#116
○佐々木政府委員 お説の通りでありますけれども、ただ、今までの経過からいたしますと、原子力予算に関しましては、ややともいたしますると、設備あるいは研究費といったようなものに対しては割合にこちらの要求をのんでいただけまして、これはまあ皆さんのお力でもございましょうが、それほど不満足だということはないのでございますが、反面人件費の問題あるいは人に伴う予算と申しますか、さっきお話がありましたいろんな住宅とかそういったような問題に関しましては、これは他との振り合いもございます関係もありまして、なかなか思うように予算がつかないという関係になっておるのでございます。しかし、もうある程度設備が整備して参りますと、もちろん設備の充実も必要ではありましょうが、それにもまして従来いささかおくれておりましたこういう人の面、研究者の充実の面等の点が一番中心問題になって参りますので、来年度予算といたしましては、その方面に極力重点を置きたいというふうに考えて、予算を組んでございます。そういう関係もございまして、全般的な考え方といたしましては、お説のように研究所自体はまだ応用研究という段階よりも、やはり基礎研究が主という段階でございますので、研究費を確保するという点に関しましては、言いかえますと基礎研究に重点を置いて、その面をさらに推し進めるという点に関しましては、従来と考えは変っておらないのであります。ただ、その中身をもっていく際に、どうしても基礎研究を充実ざすというためには、人の問題をもっと力を入れて解決していかなければならないというふうに考えます。
#117
○岡委員 そこで、この基礎研究というと、長期計画なんか見ると、日本の燃料原料の事情から見ても、増殖法が望ましいというようなことです。そとで、燃料の再処理が特にそういう関係からいろいろ問題になってくる。天然ウランにプルトニウムを添加すれば、低濃縮ウランの効率を期待できるというようなことが研究テーマになっておるとすれば、燃料の再処理ということを研究所の機能としてわれわれは大きく期待したいのですが、こういう点は具体的にどういう方針で来年度進められることになるのでしょろか。
#118
○島村説明員 燃料の再処理の関係の研究は、現段階といたしましては、なかなか研究自体もやりにくい問題でありますことはおわかり下さるだろうと思うのでございます。何しろ再処理する対象物がございませんような状況でございます。しかし、午前中からのお話にもございましたように、この関係の仕事が当然将来の日本として必要になってくる、しかも一刻も早くやる必要があるということは、何人といえども否定できないととろでございまして、できない、できないという中にも、何とかしてその手がかりをつかむようなことをやっていきたいという考え方は、本年度でもすでにあるわけでございます。具体的に、再処理関係の経費といたしましては、特にどの部分が再処理の費用だ、これですべてだというような言い方をしますことは、原子力研究所の研究の内容が、ただいまも御指摘のありました通り、同じ基礎という名前でいろいろなことにつながって参りますので、幾らと申し上げることはいささか語弊を生むかとも思うのでございますが、再処理というような名前を出しました研究費といたしましては、三十三年度の予算では、原子力研究所には約一億二千万円ばかりのものが上っております。しかし、これが今申し上げましたように、再処理に関するすべての研究費の総額ということではございませんで、いろんな面でそれにつながります科学的な研究が、科学の関係の研究室あるいはその設備を利用してできることになります。そのように御了解願いたいと思います。
#119
○岡委員 もちろん非常にむずかしい問題だと思いますけれども、しかし、長期計画でああした計画を立てておられるわけですから、そうしてみれば、やはりその計画に見合ら燃料サイクル、その燃料サイクルに見合う研究方針くらいは具体的にお立てになるようなことでお進めを願いたいと思います。
 それから、JRR二号炉の総額は、三十二年度負担行為分を含めて五十一億でしたか、相当ないわゆる動力試験炉の費用が計上されて要求されておるわけですが、これはどういう目的で入れるのでしょうか。これは予算と関係がないといえばないわけですが、長期計画の御説明では、ちょっと私ども術語が多くてはっきりわからないのです。
#120
○佐々木政府委員 これはいわゆる動力試験炉を目ざしたものでございまして、目的は、一つには、船舶用の動力試験炉を今から持って研究をいたしたいというのが一つの目的でございます。もう一つの面は、やはり実用炉の原子炉を入れましても、なかなかこれは運転の途中で運転を中止いたしまして、中身のいろいろなものを研究するというわけに参りませんので、小型の試験炉を持ちまして、必要に応じては炉をとめて炉心部の研究もやれるというふうな、ほんとうに将来の国産化あるいはより進んだ動力炉を日本で推し進めるための土台になる研究をいたしたいというので、船舶炉並びに発電用動力炉というものを兼ねまして、そういう動力試験炉を入れたいというふうに考えております。ただ、ただいまの段階では、この炉を濃縮ウラン系統のものを考えておりますが、しからばその濃縮ウラン系統の中で、PWRなりBWRなり、あるいはその他のいわゆる制限資料以外の五つの型があるわけですが、そのどれをいつどれくらいの規模で入れるかという点につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、せっかく運輸省と原子力研究所と両者の間に非公式の委員会のようなものを作っていただきまして、ただいま両者で研究中でございます。近くきまるだろうと思いますが、ここに掲げてございます予算は、まだそれがきまらぬのに、具体的な材料がきまらぬのに一応予算を出しておるわけではございますけれども、具体的な内容は近くきまるものといたしまして、とりあえず来年度予算にはこういうものが必要だという線だけをまず打ち出しておきまして、そしてその具体的な内容がはっきりきまりましたら、その線に沿って、具体的に大蔵省と折衝いたしたいというふうに考えております。
#121
○齋藤委員 金額は来年度幾らなのですか。
#122
○佐々木政府委員 来年度の予算としては五億足らずでございます。
#123
○岡委員 電気出力はどれくらいですか。
#124
○佐々木政府委員 これは実は原子力研究所の方では一万キロから一万五千キロくらいのものを大体予定いたしておるのでありますけれども、船の方ほそういう大きいものは要らない、もう少し小さいのでもよろしい、しかし、船の研究に合うような設計をなるべくよけい入れてもらいたいという、両方なかなか技術屋の方々ばかりでございまして、それぞれ要求を持っておるものでございますから、これは非常にむずかしいわけでございまして、まだきまってはおりませんが、おそらくやはり一万キロくらいなところでおきまるのじゃなかろうかというふうに思います。
#125
○岡委員 Pですか、Bですか。
#126
○佐々木政府委員 これは非常にむずかしいところで、まだきまっておらぬと思います。
#127
○岡委員 リアクターを国産化するという方式からいえば、MTR――材料試験炉、こういうものが私どもしろうとの考えからも当然必要じゃないかと思うのですが、そういうようなものを入れるというお考えはないのですか。
#128
○佐々木政府委員 私もこの春宇田大臣におともして参りましたとき、MTR系統のものは、各国ともほとんど例外なしに新しい大きいものを作って、今年あるいは来年からその実験に入る時代になっておりますので、ぜひ日本でもそういうものが至急必要じゃなかろうかと思って、帰って参りましてからいろいろ議論を戦かわしてみたのでありますが、ただいままでの結論では、CP5が入って参りますと、これは御承知のように相当効率を上げておる関係上、当分の間はこれでもって大丈夫やっていけるのではないかというお話で、もう少し高度のものが必要な時代はまだ先でもいいのではないかというのが、研究所並びに私どもの局の技術の方たちの御意見であります。まあ必要なことはよくわかるが、しばらくの間はこのCP5で間に合わして、そして四、五年先になっていよいよとれではいかぬということになったら、大きいものも一つ考えてみたらどらかというふうにただいまのととろでは考えております。
#129
○岡委員 このCP5といえば、いつか局長のお話だったと思うけれども、CP5もかなりわが方の要求でデザインを変えた、そこで中性子速度のリミットについても、相当増大を期待しておるのだというお話でありましたが、その後デザインをやってみたら、なかなか注文通りにいかないというようなところから、また小さくしてみたということも聞いておりますが、その間の経緯はどうなっておりますか。
#130
○佐々木政府委員 私どもの承知する範囲では、費用の点が今までの見積りよりは少しかきばるというような向うからのお話がありまして、それは約束が違うということでずいぶん押し返しておさまったように聞いております。まして、そのために今の能率を下げ、性能を下げるというようなことは、全然聞いておりません。
#131
○岡委員 そうすれば、国産の重水・天然ウラン炉を作る、それからCP5も相当の中性子速度のリミットを期待できるということですが、そうなると、その二つは重複するわけじゃないですか。それよりもMTRのようなものを入れる方が、やはり日本の原子力開発のためにはよろしいのではないかと考えますが、これはしろらと考えですけれども、どらですか。
#132
○佐々木政府委員 実は私も材料試験炉のことは、将来の燃料サイクルの問題等も考えまして、非常にポイントではなかろうかというふうに考えておったことは先ほど申し上げた通りでありますが、とりあえずの問題として、今までやはり考えておった点で一応それを完成して、そうしてそれを十分検討した上でざらに高度の材料試験炉といったようなものを取りつげるべきだという議論が、研究所の首脳部の皆様の一致した意見でありますし、局あるいは委員会でもそういう意見が支配的でありますから、ただいまはそういうことにしております。
#133
○岡委員 それから船舶用の動力炉にしても、すでに。パイロット・プラントのデザインもできて、それを作っておる。割合小型のもので研究には十分間に合うものができておるというような話も聞いておるわけですが、そうしてみると、舶用ということであれば、日本は海洋国でもあり、今インフォーメーションを全部開放しようということを向うも言っておりますが、一つのものについても多目的に使うのではなしに、小さい簡単なものですから、どうせ買うなら研究所の中に入れて、運輸省と共同して、それのみに専心するようなやはり舶用動力炉の実験炉を取りつける、こういう計画が必要じゃないでしょうか。
#134
○佐々木政府委員 運輸省の方は、御説の通り、運輸技研の方に自分で小さい舶用動力炉を持ちたいという希望が非常に強かったのであります。現在もおそらく強いだろうと思いますが、しかし、いろいろ考えました末、発電用の試験炉と舶用のための試験炉とは根本的に違うかと申しますと、必ずしもそうでもないように見受けられますので、一つでもって両方兼ね得るのじゃなかろうかという感じもありまして、また各国でも大体一つの炉で兼ねて研究するようなことが多い状況でもございまするから、一つ両方でこの際、日本のようなところは財政上あまり豊かでないのですから、仲よくやってもらいたいというので、原子力委員会の方で無理にと申しますか、そういう線でおさめたような格好になっております。
#135
○岡委員 国産一号炉は再来年はできるという計画になっておるはずです。三十五年にできるわけですね。このテンポで計画を進めて実施していって、それはできますか。
#136
○佐々木政府委員 この趣旨でやっていきたいと思っております。
#137
○岡委員 まだ若干お尋ねしたいこともありますが、いずれまた通常国会の予算委員会の方でも問題にしたいので、これまでにしておきます。
#138
○齋藤委員 時間もありませんから、私は予算に対する御質問は後日に譲りたいと思いますが、本日科学技術振興対策特別委員会に特に正力大臣の御出席を願いまして、いろいろ質疑応答を重ねたのでありますが、その中で一番重要な問題は、大臣と事務当局との間において、予算の編成に大きな根本方針の食い違いがあるということです。これは急速に展開した世界の科学技術の趨勢があるといえば、まああるでありましょうが、しかし、いやしくも科学技術の振興に専念する科学技術庁としての予算編成のあり方としては、承服しがたい重大な点であります。ただいま御説明を承わりましたが、これを基調として、われわれが昭和三十三年度の科学技術庁の予算に対して、考慮を払うべきか払う必要がないかという大きな問題です。よくわれわれも質問いたしますが、それに答えて、科学技術の強力なる進展のために総合統一性のある行政措置を講ずる、こう言う。しかし、この予算を見ますると、旧態依然としていまだ一歩も出でざる感がある。果してそのどこに総合統一性を強化して、この国際的な科学技術の進展に伴う予算措置ができているか。要するに予算というものは、各行政官庁が、その基本政策を実現する線に向って編成されるべきものであると私は考えておりますが、この点至急に大臣と事務当局と御相談下さいまして、変更すべき点があるならば変更して、この世界の大勢に即応するように一つ配慮を願いたいと思うのであります。科学技術振興のための行政措置として、一体どこに科学技術庁が大きな力を用いるか、小さな問題は羅列されておるようでありますが、根本的に大きな措置を講じられるところの予算体系というものが私は見られないと思う。われわれはあえて当局を信頼しないのじゃない、信頼する、信頼するからそういう大勢に即応するような予算措置を一つ講じていただきたい。それから私は本格的な質問をいたしたい、こう思います。それを一つ要望いたします。
#139
○篠原説明員 けさ午前中に正力大臣が見えられまして、いろいろ御答弁されました点につきましては、十分趣旨を体しまして、予算の面で訂正すべき点がございましたならば十分訂正いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
#140
○菅野委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
 今臨時国会も本日をもって終了することになりました。委員会運営につきまして、委員諸君より特段の御協力と御支援を賜わりましたことにつきまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。
 これにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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