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1947/08/12 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第6号
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1947/08/12 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第6号

#1
第001回国会 国土計画委員会 第6号
昭和二十二年八月十二日(火曜日)
    午前十時二十五分開議
 出席委員
   委員長 荒木萬壽夫君
   理事 藤田  榮君 理事 内海 安吉君
  理事 的場金右衞門君
      足立 梅市君    伊瀬幸太郎君
      溝淵松太郎君    宮村 又八君
      生方 大吉君    田中 角榮君
      原  孝吉君    村瀬 宣親君
      松浦 東介君    水田三喜男君
      野本 品吉君    高倉 定助君
      只野直三郎君
 出席政府委員
        内務事務官   岩澤 忠恭君
    ―――――――――――――
八月十一日
 三國港浚渫に關する請願(坪川信三君紹介)(
 第八〇號)
 最上川本支流改修工事促進の請願(圖司安正君
 紹介)(第八六號)
 小名濱港修築費増額の請願(齋藤晃君外二名紹
 介)(第八七號)
 福江港修築促進に關する請願(西村久之君紹
 介)(第九〇號)
 本庄川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二三號)
 小林川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二四號)
 社川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)(
 第一二五號)
 河内川改修工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二六號)
 羽部川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二七號)
 初瀬川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二八號)
 落合川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一二九號)
 西山川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三〇號)
 大渡川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三一號)
 舟山川護岸工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三二號)
 大谷川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三三號)
 杉谷川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三四號)
 大庭皿川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介
 (第一三五號)
 田羽根川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹
 介)(第一三六號)
 鹽谷川砂防工事繼續施行の請願(小枝一雄君紹
 介)(第一三七號)
 井原川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三八號)
 福井川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一三九號)
 西屋川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一四〇號)
 樋谷川砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹介)
 (第一四一號)
 吉岡村地内砂防工事施行の請願(小枝一雄君紹
 介)(第一四二號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 東北地方水害状況に關する派遣委員の報告、竝
 びにこれに對する政府の意見聽取
    ―――――――――――――
#2
○荒木委員長 それではこれより委員會を開會いたします。
 まず先般東北地方の水害に對しまして、本委員會より現地視察にお出かけいただきました報告をお願い申し上げます。第一班、第二班の順序でそれぞれ班長から御報告をお願い申し上げます。
#3
○松浦(東)委員 本委員會より派遣されました東北地方の水害調査の秋田、山形、新潟班を代表いたしまして、私から簡單にその御報告をいたしたいと存じます。私どもの秋田、山形、新潟班は、溝淵松太郎君。的場金右衞門君。不肖松浦三名をもつて構成いたしまして、内務省から伊藤技官を帶同いたしましたから、一行四名、常に一致した行動をとつてまいつたのでございます。
 七月三十一日夜上野發秋田行急行で東京を出發いたしまして、まず秋田縣に直行いたしました。八月一日、二日は秋田縣、三日、四日は山形縣、五日、六日は新潟縣という順序で見まして、七日は途中で一泊し、八日に歸京いたしたのでございます。本來與えられました日程は三十一日から五日でありましたが、途中で汽車普通その他の支障のために、電報をもつて三日間の延期を委員長あて申請した次第でございました。この點も御了承願いたいと存じます。
 三縣の被害中一番ひどいのは何といつても秋田縣でございます。秋田縣の被害状況はまつたく想像以上であります。筆や言葉に盡せぬものがあり、實に驚くほどの甚大なる被害でございます。昭和十九年七月の水害記録をはるかに突破いたしまして、明治二十七年以來の大洪水であると地方の官民は口をそろえて言つております。しかもその被害たるや縣北、縣南、中央地區と、全縣下にわたるところの廣範圍なものであります。寫眞も一部持參してまいりましたし、秋田魁新聞ももつてまいりましたから、ご參考までに後ほど御囘覽を願いたいと存じます。汽車が山形縣から秋田縣にはいりますと、まず停車するのは院内という驛でございますが、その院内驛の次の湯澤、横手とわれわれの乘つた汽車がとまるごとに、秋田縣土木部長、その他關係官または秋田縣縣會議員、町村長の人々、これらの官民の有力な人々が乘込みまして、被害の状況を詳しく話して下さいました。話を聽くまでもないのでございます。汽車の窓に映る左右の風物は、これことごとく大水害の惨状たらざるはない。橋は流れ、田畑は一面湖水のごとく氾濫し、人家は倒壞または浸水し、河川の流路は擴大されまして、濁水滔々と奔流を續け、あだかも大海のごとく、ほとんど現形を止めざるありさまであります。北方の米代川、南の雄物川とともに大増水でありまして、支流も一齊に大増水、氾濫をしたのでありますが、殊に雄物川の大増水は、實に最高十メートル餘ということで、そのため大曲町及び刈和野町は全町浸水という惨状であります。詳しい統計は省略いたしますが、縣下において死者二十五名を算し、流失または倒壞家屋が五百八十一戸、床の上まで水に浸つた家屋が一萬五千四百、床の下まで水に浸つた家屋が約一萬八百戸、流されてしまつた田は二千三十五町歩、冠水の田は三萬九千四百町歩、流失の畑は九百七十一町歩、冠水の畑は約五千四百町歩という厖大なものであります。流失の橋は、國道にかかつたものが十五、縣道にかかつたものが百八十、町村道にかかつたものが五百四十七に上つております。堤防の決壞は四百三十六箇所、道路の決壞四百餘であります。水浸しの米が六千二百七十三俵、流失木材が八萬七千餘石等で、いずれも驚威的數字を示しているのであります。
 私ども一行は大曲驛に下車いたしまして、秋田縣選出の細野、田中、根本の三代議士その他農林委員の派遣團、厚生委員の派遣團の諸君と合同の上、仙北郡地方事務所で被害状況を聞き、大曲町附近、主として大川西根村を視察したのであります。それからまた汽車で北進しまして、橋という橋はほとんど落ちて、ない。從つて自動車は全然きかず、汽車以外には交通はないので、非常に不便でありました。二ツ井驛で下車いたしまして、山本郡の被害を町村長會から聽取し、さらに大館町附近を見て、その晩九時ごろ大瀧という小さな温泉場についたのであります。そこでまた北秋田郡鹿角郡の町村長會陳情に會い、十一時ごろまでかかつたのであります。この日一番われわれの印象に殘つたのは、山本郡種梅村の被害でありまして、種梅村の村内の橋は二十七橋あるそうでありますが、そのうち二十五橋が流失をしてしまつたということでありました。翌二日は朝の四時に起床いたしまして、秋田縣の南部に向つたのであります。あとで聞いたのでありますが、その一番汽車に乘らなければ不通になつて、われわれは秋田縣の北部に立往生になつたらしいのであります。南部の雄物川水系にあたるところの平田郡、また雄勝郡、すなわち横手町、湯澤町附近を見まして、土木關係の被害は驚くべき甚大なるものがあるのであります。その夜は、豫定としては山形縣にはいるのでありましたが、汽車が不通で、しかも電信電話不通というような状態でありましたので、やむなく湯澤町荷一泊いたしました。雨はますます降りしきりまして、被害は増大しつつあつたようであります。その翌日八月三日、四方八方汽車は不通でありまして、どこにも出られません。やむなく奥羽線釜淵眞室川間九キロ二分、約二里強、雨の中を一行は強行軍をあえてしたのであります。一行全身はずぶ濡れであります。そうして秋田縣から山形縣にはいつたのでありますが、非常に難儀をいたしました。われわれ一行はその日山形縣最上郡新庄町、及位村、眞室川村、安樂城を踏査いたしました。翌四日には新庄町で、山形縣の土木部長、縣會議長、町村長諸君と曾つて被害状況を聞き、山形市に行き、さらに縣廳でいろいろ官民の説明を聞いたのであります。それから最上川上流を視察いたしまして、またその支流の眞室川、鮭川等も視察したのであります。山形縣の被害は、縣北地區すなわち秋田縣に隣接する最上郡、飽海郡がおもであります。最上川本川の増水四メートル餘、最上郡を流れる支流眞室川、鮭川は五メートルに上りまして、沿岸の農耕地、土木工作物、鐵道等の被害は甚大でありました、縣内土木工作物の被害は九百二十箇所に上りまして、これが復舊費二億二千二百萬圓に上り、農耕地埋沒、流失を合して千三百町歩、うち収穫皆無千町歩の状態であります。その他林産物等の被害も甚大でありまして、木材一萬三千石、木炭七千五百貫、薪三千石の流失であります。新潟縣に隣接する西置賜郡北小國村は小さな百姓の村でありますが、荒川の上流になつておりますので、荒川の増水のために村内の橋というものはことごとく流れてしまつたということを、汽車の中で陳情を受けました。なお當日最上川上流の、山形市近郊でありますが、寒河江町、長崎町附附近の兩岸を見るために、船で視察をいたしました。またその地方や最上川の支流であるところの亂川、立谷川、須川等は原始河川であつて、一雨ごとに一部は必ず決壞するという決壞直前の、最も危險な状態にあるということでありました。防災工事を今にして施工しないならば、秋田縣の二の舞であるということを一同痛感いたしたような次第であります。その翌日は山形を發ちまして、米坂線を通つて新潟縣に向いました。
 新潟縣の被害は山形縣に隣接するところの北部地方岩船郡の被害が最も大きく、特に荒川上流の増水が影響して、下流部に至つて關谷村、平林村に相當の被害を及ぼしているのであります。この地方は新潟縣有數の穀倉地帶で、かりに平林村ほか二箇所の揚水機でも一朝流失したならば、灌漑耕地面積は二千四百町歩ということでありますから、このこうむるところの損害は、けだし甚大なるものがあるだろうと想像せられるのであります。本縣における災害復舊費は約一億圓という見込みだそうであります。それから新潟縣廳に參りまして、知事、副知事竝びに土木部長より詳しく新潟縣の事情を聽取したのであります。
 行程の概略について申し上げますと大體以上の通りでございますが、秋田、山形、新潟三縣のおもなる要望事項を簡單に申し上げますと、大體非常に共通點が多いのであります。
 秋田縣は、第一、今期水害復舊工事を全額國庫補助として、短期間にこれが復舊するように考慮されたいこと、第二は、雄物川及び米代川の根本的改修をされたきこと、第三、災害を未然に防止するように、維持費の國庫補助の増額を願いたきこと、以上でありました。山形縣は、第一は、災害土木費國庫助成費増額と、その施行年度を短縮せられたきこと、第二は、水害の事前防除工事を積極的に實施してほしいこと、第三は、最上川の根本的改修の促進であります。なお本災害によつて特に要望したきことは、災害土木費國庫補助率の増加と、中小河川の改修竝びに防災工事施工についてでございます。新潟縣の要望は、第一は、災害復舊工事國庫補助金及び資材は府縣の工事進捗上支障のないよう、適期に交付及び割當せられたいこと、第二は、公共事業については縣の特殊事情を十分考慮せられたいことであります。特殊事情というのは、雪が降る積雪地帶であること、米の單作地帶であること、電力の供給縣たること、以上のようでございました。その共通點といたしましては、ご承知のごとく雄物川とか、米代川とか、最上川、荒川の根本的改修、第二番目には、地方は非常に財政的に行き詰まつておりますので、補助を増額しなければ國土の安全は保障できないということ、第三は災害に遇つてからではもう遲いから、事前に手を打つてもらいたいということ、第四番目は雪が降る地帶であり、また穀倉地帶でありますので、この特殊の事情を考慮してほしい。以上の四點でございます。
 最後に申し上げたいのは、われわれ調査団の所見であります。これを本委員會に御採擇の上に、國政に協力に反映さしていただきたいと思うのでございます。まず何といいましても今囘の大出水は、降雨量も多いが、戰争中の山林の無計画伐採、また土砂の濫獲、加うるに砂防工事竝びに河川の手入れをまつたく怠つた。すなわち治山治水を忘れたということに起因することは、衆口の齊しく一致する意見であります。すでに災害に遭つたものはいかに廣範圍であろうとも、またはいかに巨額に上るとも、速やかに復舊すべきことは理の當然でございまするが、これが工事の施行にあたりましては、第一、金融の途を急速に決定してもらいたい。すぐ間に合うような簡素な起債なり、もしくは助成金を出してもらいたいということであります。從來は非常にこの點が緩漫なものがありまして、現在では非常にやりにくいということをわれわれは痛感しております。資材を現金買いをするとか、いろいろなことを考えましても、この金融の途をつけることが大きな問題であると思います。これが具體的な方法につきましては、特に委員長にお願いいたしまして、財政及び金融委員會と本委員會との合同協議會を開いて、その措置を緊急に考究し、決定をしていただきたいと思うのであります。
 その次は、各縣とも非常に財政が極度に逼迫いたしておりますので、この際補助率を増加していただきたいのであります。
 第三番目は、秋田、山形、新潟三縣とも十一月になりますと雪が降ります。すなわち降雪期になると非常に工事の實施が不可能となるようなこの特殊の事情を考慮し、從來の内務省のとりましたぐずぐずする緩漫主義を一擲いたしまして、直ちに査定官を派遣して、應急對策を講じて欲しいのであります。この點につきましては、國土局長より御言明をいただければ幸せと存じます。
 次は、政府の補助政策如何に拘らず、すでに現地におきましては、災害のその翌日より復舊に向かつて全努力を傾倒いたしておりますが、これに要する資材、セメント、鐵線、木材、そういうものをできる限り早くわくを決定して、現地に急送していただきたい。なお勞務省の加配米等についても御考慮を願わなければならぬと思います。われわれは實見してまいつたのでありますが、洪水の直後におきまして、その田が泥を浴びておる、泥田の中に農民の方々がはいりまして、あたかも自分の子供を洗うような眞心をこめて、その苗の一本々々を洗つておる。その姿を見ましては、われわれは早急に救済の手を述べなければならぬと考える次第であります。なお非常に大事なことは、政治は事前に手を打たなければならぬ。前者の覆つて後車の戒めとすべきであると思います。破壞直前の非常に危い個所が到るところに散見するのでありますが、直ちに應急の手を打つていただきたいのであります。災害の防除費というようなことに金を出しますことは、災害になつてからならばその数十倍の被害があるのでございまするから、これをいかに多く出そうとも、かえつて健全財政を保持するゆえんであると思います。具體的に申しますと、今回の大出水に鑑みまして、またその一面日本の米産地帯、いわゆる穀倉を保護するという意味におきまして、早急に臨時費として一億八千萬圓を國庫支出として、その内訳は、秋田一億、山形五千萬圓、新潟三千萬圓とし、破壞直前にある堤防、または橋梁流出のために孤立してしまつたところの、村の連絡道路等をつくつていただきたいのであります。この點につきましては、委員長より、予算委員會と本委員會との合同協議會を開いていただきたいと要望するのであります。
 なおその恒久策として考えられましたことは、米代川、雄物川、最上川、荒川、これらの川も根本的改修を断行すること、第二は砂防工事費を大幅に増額すること、第三は河川維持費を大幅に増額して、できるだけ災害予防の方法を講ずること、第四は、直接被害の多いのは、今回は非常に支流が被害が多かつたように見られるのでありますが、本流を改修するだけでなく、これらの支流に對しましても、國庫支辨の工事を施行していただきたいこと、第五は、これは農林關係でありますが、開拓事業も非常に大事でありましようが、河川を整備し、熟田を保護することは最も先決と思うのであります。これにつきましては、農林委員會との合同協議會を開き、大乗的な見地より根本方針を樹立していただきたいと思うのであります。
 大體以上でございます。なお同行いたしました溝淵、的場両君よりしかるべく訂正、補整等をお願いいたしたいのであります。
#4
○荒木委員長 続いて第二班の御報告をお願いいたします。
#5
○内海委員 三十日の委員會におきまして、宮村又八君、原孝吉君、それに私を加えまして、この三名が第二班として東北に出張することになつたのであります。その結果は、大体抽象的に御覧になりました點においては、ほぼ松浦君と同様の感をもつているのでありますが、第一に上野から水魔の東北へ、第二には一の關町周邊の惨状、第三には災害の実況と應急對策、第四には緊急施策決定、第五には東北北総合會議開催、第六には水害對策と各種の要望、第七には両立し得ない治水と開墾、第八には結論、こういう順序で御報告申し上げたいと思うのであります。本日は幸いに岩澤國土局長もお見えになつておりますから、過去における水害の陳情というがごとき氣持ではなく、ほんとうにわれわれ國土計画委員は、実際に事実ありのままを踏査してまいりましてこれを本委員會に報告し、いかにしてこれを中央の政府に反映せしめて、復興しなければならぬという意氣こみであることをご承知の上、御清聴いただきたいと思うのであります。
 東北水害地視察につきまして、三十日の当委員會におきまして、われわれ委員は御委嘱を受けて、直ちに委員長を加えまして視察日程、班の組織等について協議いたしました結果、われわれ委員三名は、第二班たる宮城、岩手の両縣へ出張することに決定いたしました。宮城、岩手おのおの三日づつ、現地六日間の行程で、往復一週間ぐらいの予定で行くことになり、内務省より特派の有泉技官を加えまして、一行四名は翌三十一日朝九時上野發急行で仙台に向かいまして、同日午後五時仙台着、縣当局の出迎えを受けて直ちに縣廳にまいりまして、長官室に設けられました會議室において、高橋副長官、長久内務省東北土木出張所長、橘内工務部長、照井土木部長、高橋縣會議長、佐々木縣會議員等、土木常任委員出席のもとに、管下の水害状況につき詳細の説明を受け、そうして縣下の視察日程を決定いたしまして、午後八時指定の旅館に引揚げたのであります。翌八月一日朝八時旅館を出發いたしまして、縣差しまわしのトラックで、一行四名のほか、縣より参加の縣會議員、松岡監理課長等の一行十餘名を加え、曇後雨の悪天候、泥濘膝を没する悪路の難關を突破して、被害の最もはなはだしい迫川流域の栗原及び登米、玉造三郡の中心地點たる築館町及び若柳町に至つたのであります。ここから順次日程によりまして一迫、二迫、芋埣、熊川、富野村地内を一巡いたし、合流迫川を中心に若柳町周邊各被害部落を視まして、さらに登女郡錦織村地内二股川、米谷村淺水村、米川村等の被害地を視たのであります。転じて江合川沿岸の遠田郡涌谷町、元涌谷村、中埣村地内より志田郡古川町を経て、玉造郡岩出山町周邊一帯を一巡して、川渡の砂防工事を視まして同地に一泊、第三日は鳴子町の周邊及び江合川の上流西大崎の被害を視たのでありまして、これにて宮城縣全体の日程を完了いたしたのであります。
 三日午前十一時半小牛田發次の日程、岩手縣盛岡に向いました。前夜來の豪雨にて宮城岩手をつなぐ北上川の増水殊にはなはだしく、委員一行を乘せた東北本線は一の關以北運転中止となりました。三日午後一時半一の關驛下車各種公共機關と連絡をとることにいたしました。たまたま水害視察のため帰省中の岩手選出淺利代議士の應援を得て、岩手縣庁と電話連絡に努めましたが、困難でありました。最後に一電あり、我ら一行の視察は要望するところであるが、今日の場合中止され、改めて御計画を乞うとの通信あつたのみで、午後四時に至り電信電話まつたく不通となりました。さらに一の關を中心に路線による交通まつたく杜絶しました。続いて八月七日まで、雨天続くと警報がでました。土木出張所は減水一週間経るにあらざれば視察不能、國道で路面上八尺餘浸水の個所もあると發表しました。一の關に待機する乗客二千餘名、駅構内及び町内に雜踏する状況でありました。北上川の上流宮城岩手両縣境に介在する狭崖に阻まれて流水の疎通を止められ、この逆流が磐井川の氾濫となり、一の關町周圍の穀倉地帯、眞瀧、舞川、山ノ目、中里、平泉の各村落田畑浸水四千五百町歩、ほとんど全滅を予想され、一望限りなき濁水の大海と化したのであります。一の關町三千戸のうち浸水家屋午後四時半現在一千五十戸と報ぜられ、さらに平泉前澤間及び平泉山ノ目間の列車運転中止、平泉國道路面上で浸水十尺に及ぶほどでありまして、橋梁等の流失算なしという状況でありました。以上のほか一の關町の食料缺缺配の折柄、罹災者の救援に食料の炊出しに町役場、警察、消防等総動員で雑踏を極める状況でありました。
 現状を見ましたわれら一行は、淺利代議士や松川前代議士らと協議いたしました結果、岩手縣下の視察は一の關町にて一應打切り、引揚げることといたしまして、われら一行のほかに淺利代議士各機關代表の協力を得まして、雨中北上川の逆流のため、満潮時のごとき勢いで氾濫する磐井川の鐵橋に立ちまして、中里村、眞瀧村及び周邊の穀倉地帯全体が恐るべき洪水に呑まれてゆく無残なる泥海の惨状を見まして同夜七時半、一の關町發臨時特別列車で仙台に引返したのであります。翌四日宮城縣庁で各種の参考資料を得まして、五日上野着帰京いたしました。
 去る七月二十二日夜來の豪雨により宮城縣下、特に仙北地方の各河川は氾濫いたしまして、堤防は決壞して、奔流する濁流は、たちまちにして遠田、栗原、登米、志田郡の美田を泥海と化しましたほか、家屋の浸水に因ります罹災民の發生、鐵道の不通道路、橋梁の流失等その惨状は見るに忍びません。今回の被害は昭和十六年と十九年両度の水害よりは遙に甚大であります。ここに被害の實相を摘記いたしますならば、家屋の浸水一千四百戸、水田の冠水一萬一千六百九十九町歩、畑地の冠水七百六十二町歩、河川の決壞二十九箇所、その延長二千七百二十メートル、破損百九十箇所、うち應急七十三箇所、道路埋没及び流失六箇所、その延長四百メートル、その破損八十四箇所、その延長六千六百六メートル、うち應急四十三箇所、橋梁流失十二箇所、破損十八箇所、うち應急二十箇所、海岸護岸堤防など八箇所、その延長一千二十メートル砂防、堰堤、護岸堤防など九箇所、その延長五百二十六メートル、さらに被害甚大な箇所は、河川では迫川、第一迫川、第二迫川、第三迫川、熊川、江合川、北上川、二股川、新北上川、七北田川、名取川、白石川、道路では國道四號線、築館岩ヶ崎線、米谷律谷線、仙台秋田線、鳴子新庄線、仙台山形線、仙台植岡線、角田中村線、白石米澤線でありまして、次に被害の多かつた地方は栗原郡、登女郡、玉造郡、遠田郡、宮城郡、刈田郡、柴田郡、伊具郡であります。特に被害の甚大な地点と状況をあげますならば、第一は迫川でりまして、栗原郡若柳町大巻附近より堤防約百四十メートル破壞し、若柳町及び石越村に氾濫し、冠水耕地約三千町歩に及んでおります。東北本線は石越驛、新田驛間が約三日間位減水せず、浸水家屋数百戸に及びその水禍ははなはだしいのであります。第二は江合川でありまして、遠田郡元涌谷村前谷地附近において堤防約三百メートル破壞及び溢流いたしまして、かつ唐崎堤より逆流し、沼部村附近の冠水耕地は約一千五百町歩に及んでおります。なお陸羽東線岩出山池月間は鐵橋橋台破壞のため約四日間不通となりました。第三は北上川でありまして登米郡錦織村西部附近において支流二股川とも数箇所破壞及び溢水いたしまして冠水耕地約六百町歩に及んでおります。
 以上は被害の實相でありますが、被害の箇所に対する緊急復舊を要するものについては、縣が中心となりまして、それぞれ縣土木出張所及び河川改良事務所等が主となつて地元關係町村の協力を得まして復舊工事實施をやつておりますが、これに要する事業費は約一千五百萬圓と、さらに土地施設關係復舊費として應急工事費を含め約一億四千萬を要する見込でありまして、これが捻出について高橋副知事の上京となつたが、中央においても今次の水害対策につき、内務省が中心となつて農林、運輸、厚生、大蔵、安本、商工、内閣総理廳等が連絡會議を開き、これが恒久対策をきめることとなつたことが、高橋副知事の八月三日帰任によつて、明かにされたのであります。穀倉東北地方の水害を政府が大きく取上げたものとして、地方民は期待しておるのでありまするが、従來の治水対策が単に河川の復舊に重点をおいたため、対策が常に一時的に終わつた点を考慮に入れ、干拓、開拓、山林と河川の關連性を、総合的に検討した計画を立てることでなければ役立たないということは、地方及び縣當局並びに内務省土木出張所の人々の叫びであつたのであります。
 次に高橋副知事の上京によつて、緊急復舊費の請求は、各省よりほぼ了解を与えられたばかりでなく、さらに被害者救護用物資、水害地跡作物種、空俵輸送、医薬品類の供給、用排水施設等の資材の移入も了解ついたので、あとは復舊費國庫補助の決定を待つて、近く緊急縣會を招集して、正式に決定することとなつております。
 次に八月十一日東北六縣総務部長會議を仙台市に開催して、東北総合対策について協議決定することとなつたのであります。さらに八月二十二日東北六縣地方長官會議と、東北六縣縣會議長會議を、同時に仙台市に開催して、東北六縣を打つて一丸とする超地方的にして総合的なる治水、治山の根本対策を決定することとなつたのであります。一方北上川によつて結ぶ宮城、岩手の両縣、阿武隈川によつてつながる宮城、福島の両縣等、三縣縣會議長が發起人となりまして、關係縣會議員及び市町村長、治水關係者等を網羅した人々によつて、岩手縣黒澤尻より宮城縣を経て福島に通じる水運開發期成同盟會の發足がありまして、すでに三縣下における實地踏査は、今次水害前六、七月の交において、三縣下の調査を終了いたしたのであります。宮城縣における治水及び治山事業は、このたびの水災を契機といたしまして、俄然發展的活氣を呈したかのごとき感が多いのであります。水害対策と各種の要望について、申し述べてみたいと思います。今次水災の善後対策について、各種の要望を総合要約すれば、大體において次の四点でありまするが、この問題についてはすでに松浦君よりもいろいろな観点から御説明があつたのでありまするが、あらためて私の宮城縣及び岩手縣において、推理し得られたところの範囲におきまして、述べてみようと思います。
 水害対策事業費財源措置についてというのが、まず第一であります。水害復舊事業、同應急事業及び河川改修事業等の所要経費については、九割ないし全額の國庫補助金を支出せられるか、またはただちに強力な地方財源を供与せられるよう、特段の配慮をしてもらいたいというのが、第一の要求なのであります。その理由とするところのものは、今次の水害による復舊事業費は一億四千萬圓の多額に達し、うち應急対策費のみについても、二千三百萬圓を算するのであるが、宮城縣財政の現状は、大節減をはかりたるにもかかわらず、極度にその逼迫を告げているのであつて、しかも今後人件費のやむを得ざる増嵩と、物價事情の推移に伴う経費の自然増加のみにしても、一億二百萬圓の財源を必要とせられるのである。これが充足のためには、三収益税、縣民税及びその他の縣税について、二割ないし十割の増税を想定するとともに、税の自然増収に努め、さらに地方分与税の交付額を最大限に見込み得るものと仮定しても、二千萬圓の缺陥を生ぜんとする状態であり、多額に上る災害事業費については、残念ながらまつたくその負擔にたえないのであります。
 第二は水害対策に要する資金についてであります。縣市町村水利組合その他公共組合及び水害をこうむりたる農家等で、水害対策のために必要とせられる資金については、速やかに預金部資金等の低利資金を融通するとともに、その利子については國庫において補給せられるよう、特別の考慮をしてもらいたいというのが政府に対する要望であり、また委員會に対する要望なのであります。その理由とするところは、水害対策事業について、全額または高率の國庫補助が交付せらるる場合においても、來るべき季節風の猛威を目前に控えて、各事業主體はその交付を受ける以前に、急速に資金を調達し、一刻も速やかに事業を遂行しなければならないのであるが、金融界の實情からすれば實に困難を伴い、利子もまた高率となる實情にあるので、速やかに特別融資の措置が必要であるのであります。なお天災による起債の利子の負擔については、被害者及び被害地域のみにこれを課することなく、國家的調整の必要があることは多言を要しないので、國庫による利子の補給を切望してやまないのであります。
 第三は事業用資材の確保についてであります。水害復舊――應急対策を含むのでありますが、水害復舊事業を速やかに遂行するためには、次の資材を確保することが絶対に必要不可缺である。特に即時配給を要望するというのであります。これは単に宮城縣だけの要望でありますが、セメント五百六十四トン、鐵材二十二トン、木材一萬八千二百二十九石、スコップ三百挺、シャベル三百挺、鐵線五トン、鐵線蛇籠三百本、以上が宮城縣の現地の要望であります。
 第四は直轄河川及び中小河川改良費の増額、並びに年度繰上施行に關する要望であります。今次災害の原因は七月十日及び二十二日の、両度にわたる豪雨によることはもちろんでありますが、この原因は遠く戦時中からの山林の濫伐と、財政面より制約せられて、河川改修の根本的對策が論ぜられなかつたことによるものであり、河川改修の根本的對策の、いかに肝要であるかを痛感させられるのであるが、今かりに直轄河川工事が、短年月の間に潤澤な予算をもつて施行せられていたならば、今度のごとき災害はもちろん、累年に及ぶ災害は未然に防止し得たばかりでなく、現下の食料増産に寄与することがいかに大であつたかを、推測するに難くないのであります。しかるに現状の予算は少額であつて、その竣功年限が相當長きにわたつておるので、河川改修の眞の目的が達成せられないばかりでなく、堤防の決壞等、こうむる被害の増大を來すことになるのである。すなわち例を阿武隈川下流改修工事にとりますと、本工事は総工費六百二十一萬圓をもつて、昭和十一年度より同二十七年度に至る十七箇年継続事業として、施行の計画であつたが、國庫財政の都合によつて、その完成年度を昭和三十年度まで、繰延べられたが、現在のごとき實行予算をもつてしては、この完成年度すらなお数年繰延べられるものとみられ、また江合、鳴瀬両川改修工事は、古く大正六年より工事に着手し、直轄工事として施行してよりすでに二十七箇年の歳月を閲しても、なお全計画の遂行に至らず、いたずらに美田を放置している現状にある。ほかに施行中である名取川、北上川とともに、この際國庫財政不如意の折柄とはいえ、極力予算を増額し、竣功年度の短縮をはかる等、根本的治水對策の實現をはかられたいというのであります。なお本直轄事業と並行して縣が施工している江合川及び鳴瀬川上流並びに迫川上流、白石川、七北田川改修工事についても、同様の措置を講ぜられたい。もちろん以上の河川の改修工事の施行にあたつて 河水統制的見地より、上流に河水調整池ダムを設置するなど、徹底的調査をなし、これが完成を期したい意向であるのであります。
 最後に両立し得ない河川と開墾であります。輓近食料増産の國策に順應して、河川の遊水池を田畑に耕し、山林を濫伐して畑と化し、はなはだしきに至つては、火田と稱して山林を焼き払い、これにそば、豆などを亂蒔して、二、三年の収穫後にはこれを放擲するがごときが、現在の開拓、開墾事業の實態であります。かかる現状で自然の川筋は遂に縮められ、おいおい延長が長くなり、加うるに山腹の崩壞、土砂の流出が頻繁に誘發せられまして、川床の隆起を招き、これが因となつてさらに川床を上流に追い込み、土砂の崩壞、押送を倍加する結果を醸しつつある。すなわち以上の關係は因が果となり、果は因となつて河川を一層荒廃せしめ、あまつさえ堤防によつて河積が極度に縮減せられているので、水源地森林出水緩和力の減殺を伴い、急激なる出水と異常なる高水を惹起して、近年長らく維持管理を放任して、弱體化しておる河川の附属物が襲われ、もろくも崩壞の惨に遭つて、沿岸耕地に廣く氾濫し、食料の増産よりはむしろ減収を來しておるのが現状なのであります。極言すれば、國土の開發よりはかえつて荒廃せしめつつあると言うのが眞相なのであります。例を引いてみますならば、今年秋田縣の七月における災害において、河川の氾濫により、耕地の流出、土砂埋没の面積は、約二千八百十町歩と稱せられております。同縣が今年度開墾開拓を予定した面積は、約五百町歩であります。これに對比するならば、二千八百十町歩を失つて、わずかに五百町歩の土地を開墾する結果になるのであります。こういう實態から考察するならば、現今のごとき末梢的利益に走り、開拓、開墾事業を起すなどは、いたずらに洪水を誘發せしめるのみならず、かえつて國土を荒廃せしむるの要素たるごとき観があるのであります。國策的見地から厳正にこれが禁止、または規正をすべきだと提唱する者が多かつたのであります。これは一つの参考事項として取上げたのであります。
 最後に結論として一言附加えたいと思うのであります。内務省東北土木出張所の調査によりますと、最近十箇年間における一箇年平均の災害復舊額をみるに、河川の復舊費は、二千六百五十三萬八千四百三十二圓、港湾及び海岸の復舊費が四百四十五萬六千八百五十圓、道路の復舊費については、一千六百十六萬六千五百七十六圓、橋梁の復舊費は、一千七十九萬八千五百九十七圓、用排水路その他の復舊費が、三百八十四萬六百八十九圓合計六千百八十萬一千四百四十四圓となり、さらに同年間における河川の災害による損害額、一箇年平均額は、水田において一千二百五十九萬六千七十九圓、畑地において一千二百五十二萬八千百六十三圓、米、麥、雑穀等において二千三百八十一萬一千七百四十四圓、その他の農作物一千三十七萬八千二百九十一圓、宅地その他の土地二百四十一萬四千六百九十九圓、建物一千九百三十九萬三千八百二圓、船舶その他一百八萬二千四百圓、流木その他二千八十萬千六百四十五圓、合計九千四百萬六千八百二十三圓となる。すなわち、一箇年平均の復舊費六千百八十蔓圓と水災被害額九千四百萬圓を合算すれば、年額一億五千五百八十萬圓の巨額の國費が毎年間マイナスとなつて、むだな國費を消費しておるのであります。
 これに對する河川改修工事費はわずかに一千萬圓以下であつたゆえに、常に河川の災害に河川の改修が追いつき得ない状態にある。現在では、むしろ災害の復舊にあくせくとして工事を施している状態である。試みに、河川關係の今年度追加予算十四億二千萬圓について考えてみても明らかなるがごとく、そのうち十三億圓が災害復舊費であつて、残りの一億二千萬圓がわずかに河川の改修費である。かかる現状では、穀倉の賽庫、東北の水災は永遠に除かれ得ないのであります。この際姑息なる彌縫策や、地域的偏見を脱皮して、國家的大局より飛躍的創意と大なる構想のもとに、総合的なる、東北六縣全體を打つて一丸とする抜本的永遠の根本的治水對策を速やかに決定することが急務中の急務であると信ずるのであります。
 以上は、私たち三名の委員によつて取りまとめましたところの材料による報告でありまするが、さらに内務省東北土木出張所及び宮城縣より、われわれ委員に提供せられたるところの、今次水災の河川關係参考資料としてもらつたのが、災害視察箇所圖、災害地視察写眞十一葉、江合川、鳴瀬川改修工事概要というようなものがあるのであります。以上はなはだ簡単ではありますけれども、私の述べましたことは、文書によつて朗讀的になつておりまするから、詳しいことはいずれ速記録によつて皆さんに御覧を願いたいと思うのであります。
 以上はわれわれ議員の持ち帰りましたところの報告のほんの一端でございます。この報告をよくお酌取りくださいまして、國土局におきましては、もちろんこの問題についての十分なる御關心をもつて立案を願うばかりでなく、また委員會におきましても、先ほど松浦君が述べられましたことく、予算面に關する問題は予算委員長と、さらにまた、農林方面に關する問題は農林方面と、それぞれ緊密なる御連絡をとつて、そうしてわれわれ委員の踏査に基くところのこの結論に對して、後援を与えられんことを希望して、私の報告を終りといたします。
#6
○荒木委員長 続いて政府側の説明を求めます。政府委員岩澤内務次官。
#7
○岩澤政府委員 ただいま松浦さんと内海さんから、東北水害の實況視察の御報告に接したのでありますが、内務省といたしまして、本年度の災害につきまして、一應皆様に御報告申し上げたいことは、今、本年度の災害がどういうふうな状況にあるかということでありますが、これは先般皆さんに二十二年度の災害の調べをお手許に配付いたしました通りに、現在におきましても、すでに當春の雪解の災害から、八で二日の災害までの総額は大體三十八億圓に上つておるのであります。そのうち地域に廣汎にわたつて災害を受けたのは今度の東北六縣でありますが、なおそのほか縣としてひどいのは、高知縣あるいは岡山縣、また山口縣、新潟縣、といつたものがやはり局所的に被害が甚大であつたのであります。従いまして、内務省としては、なお今後の災害の時期というものは、御存知の通りに大體台風時期として、九月ないし十月の初めまでが台風時期でありますから、そういうものを勘案いたしまして、十分對策を講じたいのであります。従つて、ただ単に東北六縣をこの際取上げて云々するというよりも、今日本の河川、あるいは山の水源の状態は、十分皆様御存知の通りに、すつかり戦争のために荒れに荒れはてて、わずかの水に對しましても、雨が降りましてもすぐに水害をこうむるという状態でありますから、これは全國的に治水治山の對策を講じなければならぬ。こう考えておるのであります。従いましてこの點につきましては、ただいま私の方におきましては安本と連絡をとりまして、參箇年計画における治山治水の計画を折衝中でありますから、いずれその案ができますれば、また參考資料として皆さんの手もとに配付申し上げて、そうして御意見なり御高見を承わり、今後の治山治水の對策を立てたいと考えておる次第であります。
 それから先ほど松浦さんからのお話でありましたが、河川の維持費について、これを國が相當補助したらいいじやないかというお話がありましたが、これは従来の例を申しますと、いわゆる河川の維持費というものは、その管理者である縣が負担をしておるという建前を河川法によつてとつておるのであります。と言うて河川の維持というものは、道路の維持と違いまして目に見えるということはなく、實際水が出てはじめて慌てふためき、水が出ないときにはほとんど無関心であるというような関係から、どの府縣でも河川の維持費についてはほとんど縣會において予算を請求していない。大體全國的の平均を見ますと、まずこのインフレ前におきましての平均は、一縣二萬圓くらいしか維持費を使つていなかつたような状態なのであります。そういうような関係から、當然わずかな破損箇所でも手直しをしておけば、水が出ても災害を起こさないのに、未然に防ぐということをほとんどなおざりにしたのが現状なのです。そういう意味におけるその維持方法は非常になおざりであつた。こういうことは災害をますます増大するという考えから、来年度におきましては、この維持費につきましてもやはり國が相當の補助を与える。要するに補助を与えれば義務づけられます。従つてこの維持費について相當府縣も関心をもつことになるだろうと考えまして、来年度の予算につきましては、維持費について補助を申請するつもりであります。なおこの災害を未然に防ぐという意味からここ数年前から防災の費として相當の額、今年度は大體六千萬圓の経費を支出して、各縣にこれを配付しておる状態であります。この防災費は、御承知の通りに局部的に悪い箇所を改修すれば、非常に水の疎通をよくするといつたような箇所を選びまして、その改修費に補助を与えるおるような状態であります。これも今後ますます増額いたしまして、災害の防止に努めたいと考えております。なお中小河川につきましてはこれはこの防災の局部的の改修とは違いまして、いわゆる河川を根本的にすつかり計画を立てて改修するのでありまして、これは各縣とも非常な要望がありますけれども、何しろ國の財政もある限度がありましたために、各府縣の御希望に副うことができないというのが現状でありますけれども、この災害の頻繁なる現状に鑑みまして、今後皆さんの御後援を得まして、中小河川なり、あるいは防災とか、あるいは維持費の補助の支出については、十分なる努力をしてみたいと考えております。
 それから國庫補助の問題でありますが、これは御存じの通りに、今の規則といたしましては、査定額の參分の二を國がもつという考えでありますから、たとえば、今申し上げました現在における締切額は、査定を受けた額が參十八億圓といたしますれば、その參分の二が國の負担と相なるのであります。しかしながら參分の二を限度として、それ以上はやらないかと申しますと、従来災害のひどい所におきましては、一昨年まではやはり高率の補助を出すという意味において、単行勅令を出しておつたのでありますが、昨年度からはこの単行勅令を出すことをやめまして、縣の財力いかんを考慮いたしまして、この災害の額と縣の財力とを比較いたしまして、非常に災害の復舊が困難であるという認定の場合においては、高率の補助を出す意味において、財政援助という方法をとつております。例を申し上げてみますと、昨年の南海の震災におきまして、高知縣のごときは十数億の災害を受けたのであります。この場合におきましても、やはりベースといたしまして參の二の補助は私の方からやりまして、そうして九割の補助ということとして、その九割と參分の二すなわち六割六分との差額は、財政援助という名目におきまして、これを元利全部補給するということにおいて、やはり國がこれを補助して、従つて原則としては従来と同じような九割の補助をもらつておる。こういう方法でやつておる。従つて國土局で補助額を全部出すということでなく、これから災害の激しいときにおきましては、縣の財力とのにらみ合わせによりまして、二本建で縣の財政を援助するという方法に相なることと存じます。
 なお私どもは今日までの災害の對策につきましては、一應次のようなことを考えておるのであります。第一に災害の査定を待つては應急の工事がなかなかはかばかしくいかない。まして現在における金融の梗塞の状態からみて、あるいは資金が非常に困難であるという考えから、先日来安本とも交渉いたしまして、さしあたり今年度の議會の決議になつております公共事業費の第二四半期分から、二億圓だけを臨時の災害の應急費として支出してもらうことにしまして、これは一應交渉が進みまして、その二億圓を全部、従来の府縣の災害の高に應じて、重點的にこれを配付するということを考えております。たとえば、ここで申しますと、はなはだ額が少ないからとお叱りを受けるかもしれませんけれども、全體のわくが小さいために、ついこういうようなことになつておりますが、今問題になつております東北六縣を申しますと、臨時應急費として一應配付しておるのは、これはまだきまつておりませんが、大體私の方の心組みとしての御報告ですから、そのおつもりでお聴き願いたいと思いますが、青森縣に對しては七百蔓圓、岩手縣に對して千二百萬圓、宮城縣に對しましては九百蔓圓、秋田縣に對しまして四千四百萬圓、山形縣に對しましては、千八百萬圓大體二億圓の中で九千萬圓を東北五縣に配付するという考えであります。そのほか新潟あるいは岐阜、兵庫、山口、関西方面の梅雨のときに出た災害に對する助成についても、それぞれその縣の財力と工事費に見比べて配分しまして、全體として縣に配付するのは一億八千萬圓、そうして二千萬圓は國の今直轄でやつておる災害工事の應急費として控除して、合計二億圓の應急費を配付する予定であります。
 それから今年の災害をどういうような進行年度で工事をやつていくかという計画でありますが、私どもといたしましては、大體従来の災害の復舊の進捗状況からにらみ合せて、金融とかあるいはまた資材の點と勘案して、大體二箇年くらいでこれを完成したい。しかしながら秋田とか高知のような、著しい被害の激甚な個所は、大體參箇年くらいをもつて進めましてこれを完成したい。こういうように考えております。従つて本年度の工事量を大體約十億圓くらいの金に考えております。そういうような状態でありますから、本年度の補助の総額はおよそ六億六千萬圓見當を要求したいと考えております。なお来年度の工事費は、先ほど申し上げました通りに、今年の九月、十月のほんとうの台風期なりまして、幸いにして台風も一度もこず、このままで推移いたしますれば、結局災害の費用が參十億圓程度で済むのでありますけれども、本格的の台風は當然こういうような陽氣ならば一、二度あるということを予想いたしますと、なおまだ二、三十億の被害はどこかの縣において發生するというような考えから、やはり全體の災害としては、本年度としては五十億を突破するのではないかとも考えております。この災害につきましては、従來の例は内務省で一應査定をいたしまして、それを全部まとめて、まとめたものをたとえば二十年度の追加予算といたしまして、通常議會にこれを提出して、皆様の御協贊を得た上においてこれを配付するというような建前になつておるのであります。そういうような関係から、とかく補助というものは遅ればせになつておるので、先ほど申し上げました二億圓の臨時的な措置というものは、今囘が初めてでありますから、この點はわれわれのこの災害に對する對策に對しての努力だけは、十分御了承願いたいと思います。なおこの二億圓について、各府縣からは非常に少いから、もう少しこの金を増してくれという要望が非常にあるのでありますけれども、何しろ既定予算の中からそれを生み出した関係上、御希望に副うことができないということは、われわれとしても非常に遺憾に考えておる次第であります。
 以上大體災害の對策に對して、今私どもが考えておる考えでありますが、先ほど松浦さんから災害の査定を迅速にしてくれというお話でありますが、これはわれわれとしても非常に考えておることでありますけれども、特に秋田縣のごときは、ほとんど全縣下全部やられておる関係上、ただ被害報告も大まかな被害報告で、實際査定を受けるだけのあらましな設計もできていないというような状態でありますから、これは被害を受けていない縣から一應應援隊をくり出しまして、できるだけ短時日に概算設計をつくらせて、それの報告を受け次第、私の方もすぐ乗り出すというような考えで待機の姿勢でおります。それから内海さんなりあるいは松浦さんから、資材の點についてお話がありましたけれども、資材は各府縣から應急的な資材について云々という報告がありましたので、これを全部取まとめて、安本の生産局の方に今交渉中でありますから、いずれ全部ということは望むことはできませんけれども、多少なりとも災害の應急復舊の資材は認められると確信しております。これは従來とも、やはり毎年々々災害の應急復舊に對する資材は特別に考えて配付しておりますから、何がしかの資材は獲得できると考えております。
#8
○荒木委員長 以上第一班の松浦班長、第二班の内海班長の現地御視察の報告及び政府側の岩澤國土局長からの御説明に関しまして、御質疑等がございましたならば御發言を願います。
#9
○内海委員 ただいま岩澤さんの御説明の中に、私の聴かんとしておるのは、開墾と治水の関係が現在までの實績からみると、常に相反するような結果をきたしておるように見ておる。この點についてどういう御見解をもつていらつしやるか、この際御説明承りたいと思います。
#10
○岩澤政府委員 この點につきまして私からはつきり申し上げますと、なんだかわが田に水を引くようで、なんとも申し訳ないのでありますが、そうでなくて、ほんとうに大所高所から考えますと、現在における拓殖計画は、なるほど絶對的に耕地を拡げるということは、國土がだんだん狭まつた現在、また人口が非常に多いという状態から考えまして、これは絶對的に必要ではありますけれども、しかしながら緊急を要する食料増産という建前から考えますと、この拓殖計画というものは、今日ただちにその實効をあげるかという點については、非常な疑問をもつておるのであります。その意味において、何百年來わが先祖が営々として開墾してきた熟田を保護するという意味からして、現在における堤防なり砂防に重點をおいて、それが災害によつて被害を受けない程度に、十分に堤防なりあるいは砂防工事をすれば、結局それが結果においては増産を來たすという意味から、われわれといたしましては、やはり開拓事業も全部廃止するということはこの際できませんから、ある程度に止めまして、その費用があるならば、皆さんから非常にお叱りを受けております河川の維持とか、あるいは治山が手ぬかりだというような方面に十分な経費をおまわしくだされば、非常に増産にも寄与し、また國土の保善、民心の安定という意味からいつても、非常な効果があるのじやないかとも考えております。
#11
○内海委員 もう一つ承つておきたいのですが、治山計画の立場からみて、今日の砂防工事でありますが、農林省と内務省がおのおのその立場々々によつて、現在われわれ東北の状態を見ると、勝手な砂防工事を行なつておるように見えるのであります。治水計画をまず立てんとするならば治山計画である。ところが治山計画が農林省と内務省がそれぞれ違つた観點から勝手にやるということは、治水事業の完璧を期すということは困難であると思う。この観點からいたしまして、砂防工事を國土局においてもつぱら主管する。統一するといつたような問題について、局長の御意見はどんなものであるか。一應承つておきたい。
#12
○岩澤政府委員 この問題につきましては長年各方面から論議せられておるのでありますが、實際仕事をやる上におきましては、山林局と國土局とにおきましては、事務的の連絡はとつておりますけれども、しかしながら現地におきましては、いろいろの事情のために多少齟齬しておるというのが現状なのです。また農林省において行う砂防というものは、御承知の通りに山腹の砂防、すなわち渓谷でなくて、山の腹の方の開いたものを土砂止めをするということをやつておるし、内務省といたしましてはその下を受けておる渓流の砂防を内務省がやつておる。しかしながら今内海さんからお話しの通りに、上の方はやつても下の方をやらない場合もあるし、また下の方をやつても上の方をしないために、山腹の砂防の設計も、たとえば十メートルぐらいのダムでいいものが上の方をやられたために、まつたく土砂に埋まつて効果を失うということが往々にしてありますから、私どもといたしましては、やはり治山、治水という一つの大きな目から見ますれば、こういつたような砂防というものは、一つの省によつて管轄するということが、最も必要ではないかと考えております。その意味においてわれわれは、先般來から問題になつております建設省の設置の際においては、少くともこの砂防の問題は、山腹砂防もやはり建設省の中に入れまして、そうして渓流砂防と山腹砂防との一貫した砂防計画を立てるということが、最も必要でないかと思います。
 なおこの席をかりまして申し上げます。砂防につきましては戦争以來非常に過伐に濫伐を加えて、山が荒れに荒れ果てておるというような状態で、従つて災害というものは今年度ばかりでなくて、私の見るところでは、なおここ十年近いものは、今年と同じような状態を繰返すのではないかと考えております。そういうような意味から、まず治山、治水のうちで治山という方面に、今後は十分力を入れていかなければならぬというように考えまして、全國における砂防の必要な箇所を一應調査いたしました結果は、大體全國で砂防をやりますと、工費にいたしまして百十五億くらいのものを要するのであります。しかしながら現在の國土に、國の財政からただちにこの百五十億というものを望むことはできませんから、われわれといたしましては、一應五箇年計画でこの百十五億というものを消化したい。こういう一應の計画は立つておりますけれども、これもやはり國の財政によつて左右せられるおそれが多分にあります。しかしながら私どもの考えといたしましては、この砂防については今年度以降十分なる力を盡していきたいと考えております。
#13
○荒木委員長 ほかに御發言がございませんか。宮村又八君。
#14
○宮村委員 毎年々々洪水が東北に起るのでありますが、してみれば、私は水利に缺陥がありはしないかと思う。たとえで申しますれば山間にある山のふちを水が通るが、今年はこちらの田地の方を水が通る。こういうことを考えましたとき、必ずそういうところには中に島がありまして、その島のために水がこういうふうにやつてきて、堤防が土砂のために決壞する。その水路がはつきりした流れ方がないということが、一番危険であると思いますが、いかがですか。
#15
○岩澤政府委員 この問題につきましては、今宮村さんからお話がありましたが、この現象は川幅が廣ければ廣いだけ、そういう現象が起つてくるのであります。なお山が荒れておりますと、水が出るたびごとに、水ばかりでなく、非常に土砂をもつてくる。土砂をもつてきますと、従つて河床があがつてきまして、従來低水路として水が底を流れておつたのが埋まる。従つてまた水路を変更する。こういうような状態が繰返し繰返しまいりますから、もし川幅が狭ければ、そういうことでなく、おのずからずつとあがつて、結局関西方面にあります天井川という現象を來してくるのであります。しかしもし川幅が廣いと、ある一時水勢の弱くなつたところに水をためて、川底があがつてくる。そうしてそこに大きな州をつくる。州をつくりますと、従來州のところが水路であつたのが、水路がさえぎられて、とんでもないところに水路をもつてくる。その水がたまたま堤防に直角に當たると、そのために水が出ると堤防が決壞するという現象が、特に川幅の廣い河川で、しかも上流から土砂を流すような河川において多いのでありますから、こういう河川に對しましては、やはり宮村さんのお話の通り、低水路を十分につけるということが、災害を防止する方法であると考えております。
#16
○宮村委員 私はあれを考えますとき、どうしても東北のあの雪の多い国では、毎年水害があるものと考えております。そこでここには大きな計画を立て、あんなに長く二百間も大曲りになつたようなところには、放水路でも一つ通して、水を散らす方法を考えなければ、災害が起つて農民が苦しむ。農民が苦しめば増産に影響が起つて、都會人も苦しむということになりますが、これに對して内務省には高度の計画はないでしようか。
#17
○岩澤政府委員 今のお話の通り、川々によつて、川はやはり人間と同じように、一つ一つの特異性をもつておるものでありますから、私どもといたしましては、その川について十分調査をして、それに合うように設計、計画を立てて、現在においてやつておりますから、ただ単に抽象的に、今のお話のようにこうすればよいということはお答え申し上げかねますけれども、どの河川のどういうようなところだということを御指示になりますれば、やはりそれに對する確答もなし得られるだろうと思います。しかしながら今お話のような根本對策ということにつきましては、やはり川の性質を十分知らなければなりませんから、一般的にこうだということはお答えしかねるだろうと思います。
#18
○荒木委員長 この際皆さんにお諮り申し上げます。第二班は宮城、岩手の現地視察の予定でありましたところ、先ほど内海班長より御報告の通り、水害のために予定の通りの現地視察を終了できなかつた趣きであります。のみならず現地視察を決定いたしました當時の情報によりますれば、青森縣はさほどのことはないということでありましたけれども、青森縣も相當の被害を受けておるようであります。従いまして岩手縣の未調査の部分及び青森縣を追加いたしまして、第二班として現地視察はあらためてやつたらどうか、こうい第二班としての御意向があるようであります。いかがいたしましようか。さよう取計つてよろしうございましようか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#19
○荒木委員長 御異議ないようでありまするから、適當の時期にお出かけ願うことにいたしまして、その手続は委員長において取運ぶことに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#20
○荒木委員長 それではさよう取計らいます。
 それからなお第一班及び第二班の班長より、委員長において適當に他の委員會との関係等も考慮して、善処しろという御趣旨の御發言があつたのでありまするが、これにつきましては理事諸君とも御相談申し上げまして、委員長において善処いたします。
 本日の委員會はこれをもつて散會いたします。
    午前十一時四十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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