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1956/03/05 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第9号
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1956/03/05 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第9号

#1
第026回国会 商工委員会 第9号
昭和三十二年三月五日(火曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    大倉 三郎君
      菅  太郎君    田中 角榮君
      中村庸一郎君    福井 順一君
      横井 太郎君    井手 以誠君
      伊藤卯四郎君    佐々木良作君
      田中 利勝君    滝井 義高君
      多賀谷真稔君    中崎  敏君
      帆足  計君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  水田三喜男君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 松尾 金藏君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  讃岐 喜八君
        通商産業事務官
        (鉱山保安局
        長)      小岩井康朔君
        建 設 技 官 山本 三郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (自治庁財政部
        財政課長)   柴田  護君
        農林事務官
        (水産庁魚政部
        長)      新沢  寧君
        通商産業事務官
        (石炭局鉱害課
        長)      佐藤 京三君
        日本国有鉄道副
        総裁      小倉 俊夫君
        国有鉄道参事
        (総裁室法務課
        長)      鵜沢 勝義君
        日本国鉄道参与
        (施設局長)  今井 四郎君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
三月二日
 委員森山欽司君辞任につき、その補欠として山
 手満男君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
 委員片島港君、佐竹新市君及び田中武夫君辞任
 につき、その補欠として井手以誠君、滝井義高
 君及び伊藤卯四郎君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
三月四日
 輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七九号)(予)
同月一日
 中小企業団体法制定に関する請願(奥村又十郎
 君紹介)(第一五八九号)
 同(木崎茂男君紹介)(第一五九〇号)
 同(粟山博君紹介)(第一五九一号)
 同外一件(田中久雄君紹介)(第一五九二号)
 同(坊秀男君紹介)(第一五九三号)
 同(渡邊良夫君紹介)(第一五九四号)
 同(阿左美廣治君紹介)(第一六四三号)
 同(池田清志君紹介)(第一六四四号)
 同(白井莊一君紹介)(第一六四五号)
 同(宇都宮徳馬君紹介)(第一六四六号)
 同外二十一件(内田常雄君紹介)(第一六四七
 号)
 同外一件(内海安吉君紹介)(第一六四八号)
 同外一件(大野市郎君紹介)(第一六四九号)
 同(荻野豊平君紹介)(第一六五〇号)
 同(大島秀一君紹介)(第一六五一号)
 同外十五件(加藤鐐五郎君紹介)(第一六五二
 号)
 同(小泉純也君紹介)(第一六五三号)
 同(小林かなえ君紹介)(第一六五四号)
 同(島村一郎君紹介)(第一六五五号)
 同外九件(戸塚九一郎君外三名紹介)(第一六
 五六号)
 同(徳田與吉郎君紹介)(第一六五七号)
 同(野田卯一君紹介)(第一六五八号)
 同外一件(林博君紹介)(第一六五九号)
 同外十七件(保利茂君紹介)(第一六六〇号)
 同(松田竹千代君紹介)(第一六六一号)
 同(山口好一君紹介)(第一六六二号)
 同(山手満男君紹介)(第一六六三号)
 同外六件(米田吉盛君紹介)(第一六六四号)
 電話加入権を担保とする金融機関に全国都市電
 話業組合連合会会員を指定の請願(阿左美廣治
 君紹介)(第一六二八号)
 小売市場乱立防止に関する請願(加藤鐐五郎君
 紹介)(第一六四二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第二四号)
 臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第四二号)
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案を一括議題とし審査を進めます。質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。伊藤卯四郎君。
#3
○伊藤(卯)委員 昨年の夏でございまましたか本商工委員から、代表者が国政調査の使命を持って鉱害地等を視察にそれぞれ出かけました。九州福岡の最もひどい地区を視察しまして、その結果の報告書というか、それをまとめまして、本委員会の院議として議決をいたしました。その項目が六項目になって、それを当局に要請をしております。それについて通産省側では、家屋の問題と特鉱法の一年延長問題とは取り上げられておるようでありますが、あとその他重要な院議決定になっておるものが具体的に取り上げられておらぬようでありますか、院議尊重の上から、これらの問題をどのようにお考えになって処理されようとしておるか、こういう点を先にまず伺いたい。
#4
○長谷川政府委員 委員会の決議等もございますので、当然尊重することでございますが、その後の経過について御報告を申し上げます。
 鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関する本委員会の御決議もありましたので、その後現地におきまして被害者の方々初め関係各位の熱心な御協力のもとに次のような処置を講ずることといたしたのでございます。
 第一に、賠償責任者たる炭鉱が所在不明であり、または資力を有しないような鉱害を復旧する場合に、河川道路等の公益施設につきましては、現在地方公共団体が復旧費の六割を負担することになっておりますが、負担を三割程度に軽減することにつきましておおむね大蔵省の了解を得たので、目下これに伴いまして施行政令の改正を準備しておるのでありまして、なお炭鉱が無資力または所在不明の鉱害を復旧するに当りましては、慎重に現地調査を行い、これらの防止には万全を期する所存でございます。
 第二には、鉱害家屋の復旧につきましては、臨時石炭鉱害復旧法に基きまして、家屋を復旧することができるように、ただいま同法の一部改正案を提案いたしておる通りでございますが、さしあたり年度内につきましては国の補助金として七千万円を予算に計上いたしまして、約一千戸の家屋復旧を計画しておるのであります。
 第三に、鉱業権者の鉱害賠償資金の確保に関しましては、税法上の処置につきましては、その後大蔵省及び国税庁との再三の折衝の結果、その処理に急を要する安定鉱害につきまして必要な資金をあらかじめ積み立てて、これを損金に算入することにつきまして、おおむね了解を得ておるのでございます。
 第四に、従来何らの予算処置も講ぜられていなかった和解の仲介制度に対しましては、年度内は予算を計上いたしております。これを活用して、鉱害測量の充実と相待って鉱害紛争の円滑な処理に努力する所存でございます。
 第五に、鉱害測量の充実につきましては、来年は一千万円の予算を計上しており、鉱害紛争の合理的な解決に資するとともに、広く石炭の採掘と社会公益の調整をはかるために必要な資料を得る目的をもって、年度内は筑豊地帯に重点を置いて測量を大規模に実施する計画でございます。
 第六に、特別鉱害の残事業の処理につきましては、その復旧に遺憾なきを期するために、法律の有効期間を昭和三十三年まで延長すべく、ただいま法律の改正案を提案いたしておる通りであります。
 最後に、鉱害賠償供託金につき、被害者が権利を実行しようとする場合、従来はその手続に関する政令が公布されていないままになっておりましたが、去る二月二日政令第十二号として制定いたし、本年の四月一日から施行の運びとなっておるのであります。
 以上はなはだ簡単でありますが、本委員会の御決議に基きまして、その後の処置の大略を御説明いたした次第でございます。なおこまかい点につきましては局長より御説明を申し上げます。
#5
○伊藤(卯)委員 今非常にはだざわりのいいような御答弁を聞きましたが、次官は御存じにならないので、多分事務当局の方で国会答弁としてはだざわりよく書いたものだと思うのであります。しかし当局側が熱心にこの問題を漸次解決しようとしておられるその点には私も深く敬意を表しております。
 順次大きな点だけを伺って参りますが、臨時石炭鉱害復旧の法律制定当時の、いわゆる鉱害面積、鉱害量ですが、これらがどのくらいあったか、それから鉱害復旧法を制定してどのくらい復旧がされてきておるか、それからさらに新たなるものがどのくらいその後できてきておるか、この点をまず先に一つ伺っておきたい。
#6
○讃岐政府委員 鉱害量の問題でございますが、この調査は御承知のように非常に困難でございまして、今日まで福岡県の出しておられます資料、それから地元の市町村でもお出しになっている資料があるのであります。そのいずれもしさいに検討していただきますと、非常にあいまいな点がございます。そういうわけで、私どもも非常にその点を苦慮いたしまして、毎年わずかでございますが予算を計上いたしまして鉱害量の調査をやっておるわけでございますが、これとても、十分これで大丈夫だというところまで自信のある数字が出ておりません。これはまことに恐縮な次第でございますが、鉱害の問題につきましては、御承知のように鉱害であるかどうかという認否の問題がまず第一にありますことと、鉱害そのものが時々刻々に動いておると申しますか、移動しているというようなこともございまして、はなはだ正確な数字を出すことは困難でございます。
 一応調査いたしましたところによりまして御説明申し上げますと、昭和二十六年におきまして、当時の資源庁が炭鉱から報告をとりまして調査いたしました数字を申し上げますと、公共施設につきましては二十九億、農地が六千四百町歩、家屋が二百三十万坪、こういう数字になっております。まことに大ざっぱな数字でございますが、そういたしまして昭和三十一年度におきまして、広島及び福岡の通産局を中心といたしまして調べました数字によりますと、公共施設が十七億、農地が五千九百町歩、家屋は二百十万坪になっております。でございますから、二十六年度の調査と三十一年度の調査とがどれだけの正確性を持っておるかということはしばらくおくといたしまして、二十六年と三十一年の差額をとってみますと、公共施設におきましては十二億円の事業量の減少になっておりまして、農地におきましては五百町歩、家屋につきましては二十万坪の減少ということになっておるわけであります。この減少額が今までやりました復旧の仕事に比べまして少いということになるわけでございます。申しおくれましたが、今日までの復旧いたしました事業の合計が、公共施設におきましては十四億、農地におきましては千町歩、家屋については四十七万坪、これだけの復旧をやりましたが、減少額は、わずかに公共施設におきましては十二億、農地におきましては五百町歩、家屋については二十万坪、こういうことになっておる次第であります。
#7
○伊藤(卯)委員 今局長が答弁された点ではきわめて抽象的でありますし、われわれは信ずることができません。そこでこれは本日私がここで具体的にそういう点も明らかにしてくれと言っても、調査が十分できておらないようでありますから無理であろうと思いますが、これはできるだけ早い機会に、できるだけ正確なものを作って一つ資料としてお出しを願いたいと思うのです。つまりもう一回申し上げますと、臨時鉱害復旧法を制定する当時の鉱害の面積、量、それから法を制定した後にどのくらい復旧をしたかという具体的なもの、それから新たなるものがどのくらい発生をしたかということでございます。これらをわれわれが見ますと、鉱害に対して復旧がどの程度解決しつつあるかということを見ることができるのであり、これを見ないと、われわれは鉱害がふえていくのか復旧がされていくのか、その辺の見当がつかぬのでございます。これは単に鉱害だけの問題ではなくて、ひいてはやはり農地、農作に関する問題等もあり、また公共施設の問題等もあり、家屋の問題等もあり、いろいろ社会問題等にも関連をするのでありますから、そういう具体的なものを見た上で、われわれは国家的見地からこれらをどのように解決すべきかという大きな計画を立てなければならぬ、こう思うのです。従ってこの資料が非常に重要であることは、当局側も私多分御存じであろうと思う。そこで私は政務次官もおるからここで要求をいたしておきますが、事業団もできておることでありますから、これら事業団が主としてそれらの任務にも当るべきだとも思いますけれども、聞くところによれば、調査機関というか、そういうものも十分でないように思います。従ってこれは石炭局というかあるいはその他の方面でも、これは役所でお考えになったらいいと思いますが、やはり相当大きな問題でありますから、調査機関をお作りになって、そうしてそれらの必要なる調査予算を計上して具体的に資料をお作りになるいうことが私まず鉱害復旧に対する大前提の一つではないか、こう思うのであります。これらに対してどのようにお考えになっておるかということを一つ伺いたい。
 ついでながらあわせて、先ほど政務次官が御答弁になった中で仲介制度等の問題について云々ということをお答えになっておりますが、さきにも制度として仲裁裁定の機関があります。ところが昨年われわれが調査をいたしましたところが、仲裁裁定の委員は任命されてあるけれども、会合する会合費もない、あるいは日当もない、旅費も与えないというのでありますから、機関を作ってみたところで、結局手銭手弁当でそれらの人が奉仕する道理はないのであります。その後われわれがいろいろ調査の結果政府側に要請しましてから、正式な予算でなくて、何だか予備費というか、そういうところから配慮されたことを聞いておりますが、そういうことでは本格的な調査なり、また起った問題の仲裁裁定なりというものもなかなかできないと思うのです。そういう点についての、さっき政務次官が言われた仲介制度に対する予算、あるいはあっせんに対するそういう委員の人々に対する旅費、日当というか、これはこまかい問題になりますけれども、そういう問題についても具体的にどのようにお考えになっておるか、以上の点をあわせてそれぞれ御答弁願いたい。
#8
○讃岐政府委員 鉱害量の調査の問題は、御指摘の通り鉱害復旧計画の基本をなすものでございまして、これが正確に調査されなければならぬことはもちろんでございます。ただいま説明が不備であったのでございますが、現在におきましては、わずかではございますが、毎年二十五万円の予算を計上いたしまして現状把握に努めております。それで先ほど申し上げましたうちの三十一年度の状況をそれではもう少し詳しく申し上げたいと思います。農地におきましては五千九百町歩と先ほど申しましたが、金額にいたしまして九十一億二千四百六十九万一千円、家屋におきまして二百十万坪と申し上げましたが、これは金額にいたしまして四十四億五千四百五万五千円、墓地その他が一億四千三百五万円、土木につきましては十一億二千八百十二万二千円、水道におきましては三億一千六百八十九万円、鉄道が一億一千二百九万三千円、公用の建物が四千九百五十七万六千円、学校が八千百三十一万円、こういうことになっております。パーセントで申し上げますと、鉱害量のうち、農地の占める割合は約六〇%、家屋が三〇%、墓地その他が一%でございまして、土木が六%、水道が二%、その他合せて一%という程度でございます。それで毎年発生する鉱害の量でありますが、大体現在の出炭べースで考えまして、毎年十二億くらいであろう、これは推計でございます。そういうことに基きまして、先ほど政務次官から申しましたように、未払い金制度もこの数字を基礎として算出しておる次第であります。これを金額で申し上げますと、農地が毎年七億三千万、それから家屋が三億六千万、墓地その他が千二百万、土木が七千二百万、水道が二千四百万、鉄道が九十万、公用の建物が四十万、学校が七十万、こういうように考えておる次第でございます。
 それで今後のこの鉱害量調査の問題について特別な機構を作ってやる意思はないかどうか、こういうことでございます。冒頭に申し上、げましたように、鉱害の調査というものはなかなか困難でございまして、今後この面につきましては十分検討を進めまして、もし現状で不足という場合におきましては、特別な機関を設けるということ等も研究いたしたい、かように考える次第でございます。
 次に和解仲介制度でございます。御指摘の通り、本年度までは何ら予算の準備がなくて、仲介委員の方にごめんどうを願っておりました。従いまして結果も、十分の効果が上らないということで、地元におきましても相当非難の声もございます。先般商工委員会で御決議をいただきました決議事項の中にも、この問題が取り上げられまして、いろいろ御鞭撻を願ったわけであります。私どもも事務的に真剣に検討いたしまして、結論として出てきましたことは、結局予算の問題であるということと、それから実際にその衝に当っていただく人の問題であるという結論に達しました。そこで来年度の予算には、わずかではございますが、四十四万円程度本予算に計上いたしまして、これをもちまして和解仲介の委員の方に十分活動していただこう、こういうつもりでございます。なお仲介委員の選定につきましては、これは現地の通産局長が委嘱するわけでございますが、地方の公共団体と十分連絡をとりまして、この人ならばというりっぱな人を委嘱することによりまして、本制度の円滑なる運用を期したい、かように考えておる次第でございます。
#9
○伊藤(卯)委員 あとで滝井委員からさらに詳細な点は質問をすると思いますので、私は大あらましな点のみをお尋ねしようと思います。鉱業権者が鉱害のみを与えて行方不明になった鉱害地面積というものはどのくらい全体的にあるか、あるいはできればこれを炭田別にお知らせ願えればなおけっこうです。それから鉱害に対して鉱業権者の行方不明になったものは、当然国がほとんど大部分鉱害復旧をやってやらなければならないのでありますから、従ってどのくらい面積があるか、その復旧費がどのくらいを要するかということはきわめて重要でありますから、この点を一つ伺いたいと思います。
#10
○讃岐政府委員 お答えいたします。炭鉱が無資力であるとか、あるいは行方不明である……。
#11
○伊藤(卯)委員 先に行方不明の分だけを……。
#12
○讃岐政府委員 ちょっと調査が無資力と行方不明とを合せてできておるものでございますから……。
#13
○伊藤(卯)委員 合せてもよろしゅうございます。
#14
○讃岐政府委員 これは福岡県の調査で申し上げますと、農地関係では七億、家屋関係では二億九千万円、土木二億三千万円、その他一億一千万円、合計十三億三千万円になっております。
#15
○伊藤(卯)委員 いや、私の伺っておるのは面積を伺っておるのです。その鉱業権者が行方不明になっている。それから今おっしゃったように、鉱業権者はおるけれども無資力である。復旧する資産能力がないというものと合せた鉱害地面積が全国的にどのくらいあるか。それからできれば福岡とか佐賀とか長崎とか常磐とか炭田別に伺いたいが、これがわからなければ後日お調べを願いたい。これもやはりそういう面積がわからなければ、国家が責任をもって復旧しなければならないのであるから、その予算の組みようもわからないのであるから、まずこの面積を十分お調べになるということ、並びにその復旧工事費がどのくらいかかるかということを計画されることは一番大事なことですから、本日それがおわかりにならなければできるだけ早い機会にお調べになるか、もしくはさきに私が要請しましたように、調査機関でもお作りになって、すみやかにその機関によってお調べになるか、いずれかをされなければ、国が国費をもって復旧する基本計画が立たないのであるから、この点を一つ、わからなければあとでよろしゅうございますから、今私が要請しておるようなことについてどのようにお考えになっておるかをあわせて伺っておきたい。
#16
○讃岐政府委員 まことにごもっともな御指摘でございまして、鉱害の実情の調査は最も大事であることは先ほど申し上げた通りであります。ただ無資力等の判定が、これは先生も御心配いただいておることだと思いますが、便乗防止等がございまして、具体的に個々のケースに当ってその人を判断して、その上で鉱害の有無を調査するということが最も正しい方法ではないかというふうに考えておるわけであります。そこで予算の関係と実際の行政事務と前後するわけでございますが、私どもといたしましては、今度の予算を実施するに当りまして、無資力または行方不明の鉱害を現実に認定する場合におきまして、個々に当ってきめて参りたい、かように考えておる次第でございます。しかしそれが事前に調査なくしてどうして予算が立ったか、こういう問題にもなるわけでございまして、御指摘の点はまことにごもっともですが、そういう鉱害につきましては鉱害であるかどうかという認否、それからその本人が無資力であるかどうかということの認否そのものが非常に問題でございますので、調査も非常に困難な事情にあるわけでございますが、御指摘の点はさっそく調査いたしましてお答えいたすことにいたしたいと思います。
#17
○伊藤(卯)委員 これは事務当局に質問しても非常に無理だと思いまして、大臣が出席されておるかを伺ったわけでありますが、大臣が出てきておりませんから政務次官でけっこうです。今お聞きのようなことであって、これは事務当局の問題ということよりも、むしろ政府としてやはりお考えにならなければならぬ問題であります。だから通産省として、大臣として――政務次官は大臣のかわりでありますから、大臣として、今まで具体的にそういう調査のなされてないことについて、すみやかにこういう基本的なものを調査して――復旧事業計画が計画的に完遂ができるようにするためには、かなり政治的な力か必要であると思うのです。たとえばそういうものに対して新たな予算の問題も出て参りますから、対大蔵省との関係ということについてもやはり相当話し合われねばならねということも当然起ってくる。そういう点について、政務次官としては、事務当局で解決し得ない、新たなる国家計画の上に立っていかなければならぬ、そうしたもろもろの問題について、予算等にもからまる問題でありますから、どのようにお考えになっておるか。さらに大臣とどのように御相談なされようというお気持を持っておられるか、こういう点を一つお聞かせ願いたい。
#18
○長谷川政府委員 ただいま事務当局からもお話し申し上げました通り、きわめて必要なことは明らかな事実であり、御指摘の通りまた政治的な折衝の面も多々あると思いますので、よく大臣とも打ち合せまして、さらにまた事務当局と打ち合せをいたしまして、御期待に沿うような処置をいたしたいと思います。
#19
○伊藤(卯)委員 政務次官がせっかくそうおっしゃいますから、私はそれを信用し、期待をしておりますから、ほごにならないように一つ誠実に責任を果していただくように要望いたしておきます。
 それからさきも石炭局長が言われておりましたが、鉱害地であるかないかという問題、これもかなり全国的に相当争いを起しておる。上の方か陥落して、あるいは田も作れない、あるいは沼地になる、あるいは家が傾く、あるいは公共物も非常な被害を受けるというので、鉱害は大体この炭鉱だろうと思って復旧に対しての賠償について交渉すると、いやおれの方ではそこを掘っておらないのだということになります。そうすると、被害者が坑内に入ることは許されませんし、また入って改たところでわかることではない。これがわかっておるのは監督官庁である通産省の石炭局か一番よくわかっておるわけでありますけれども、しかしながら監督官庁もこの板狹みになってなかなか裁定を下し得ないでおるというところから、被害者は鉱害である、鉱業権者は、わしのところの鉱害でないと言う。この争いが非常にたくさんあるのです。さらにまたたとえば炭鉱地区において坑内の水を大がかりで揚げているところがたくさんある。あるいは共同排水ということで揚げているところもあるけれども、水をどんどん排水すれば、従って地盤が沈下することは当然です。そういうことは炭田地区でなくても、今工業地帯で地下水をとっているために沈下問題が起っていることは御存じの通りです。こうなると、これは一体どっちの責任において賠償すべきものかということがまた問題になってくると思うのです。従ってそういう争いをしているところの面積が大体においてどのくらいあるか。それから排水によって沈下しているであろうと想定されるところが大体どのくらいあるか。それからこういう争いというものをどのように解決してやろうとしておられるのであるか。このままほうっておいたならば何年たっても争いが激化するばかりでありますが、こういうものを新たな測量制度でもお作りになって裁定されるというお考えであるかどうか、これらの問題についての政府側の解決への考え方を一つお聞かせ願いたいと思います。
#20
○讃岐政府委員 被害状況の調査の問題は、ちょっと今、手元に資料かございませんが、これもさっそく調べまして提出いたしたいと存じます。考え方といたしましては排水の問題それから坑内の掘進によりまして、非常に鉱害が現れてくるわけであります。これにつきましては先ほど政務次官から御説明申し上げましたように、本年度から一千万円の予算をもちまして鉱害測量の画期的な増強と申しますか、測量には遺憾のないような手を打ちたいということで、来年度から始まるわけでございます。これには今申し上げました通り、地下の掘さくの問題、排水による影響がどのように現われてくるかということをしさいに検討いたしまして、これは単に鉱害問題の紛争の解決のみならず、将来の鉱害の発生を予防するという意味からも、十分測量を実施して参りたい、かように考えておるわけでございまして、その測量の結果によりまして十分対策を講じたいというふうに考えている次第でございます。
#21
○伊藤(卯)委員 私は事務当局が一生懸命になっておられるので、実はあまりやかましく言いたくないと思って、非常に同情をしておる一人なんですけれども、これではあまり事務当局も、この大きな鉱害問題に対して怠慢ではないかと思うのです。やはりもっと十分なる調査をされて、確固たるものを持って、鉱業権者にも被害者にもその立場に立って政府の方針を常に示すことができる、それからまた復旧問題についても、その基本の上に立って復旧計画がいつでもやれる、また予算の問題についても、いつでもその上に立って正確な予算要求ができる、こういうものを私はお持ちになっておらなければ、鉱害というものに対して政府が責任を持ってやっておるとは言えないと思うのです。あるいは事務当局の方ではそれぞれ要求をされていたのかもしらぬ。けれどもあるいは歴代の大臣なりの熱意が足らなかったのか、あるいは大蔵省がそういう問題に対して予算を拒否してきたのか、この辺のことは私はよくわからないのであるが、大体その辺はどうなんです。事務当局では大臣に要求し、大蔵省にそういうことについての予算要求なりをされたことがありますか、この点を一つお聞かせ下さい。
#22
○讃岐政府委員 おしかりを受けて申しわけないわけでございますけれども、予算の問題につきましては、鉱害の調査は毎年二十五万円でやっております。先ほど来申し上げましたように、鉱害につきましては非常にややこしい問題がたくさんございまして、これには府県の調査もありますし、市町村の調査もございます。また炭鉱で出す調査もあるわけでありますが、われわれといたしましては今日までまず調査にも一面重点を置きながら、しかし根本的には測量制度等が確立することによって完全に調査ができるんだ、こういう建前から毎年の事業量をいかにして増加して参るかということに重点を置いて参ったような次第でございまして、ただいま御指摘の点につきましてはまことにごもっともな話でございまして、今後大いに努力をいたしたい、かように考える次第でございます。御了承願いたいと思います。
#23
○伊藤(卯)委員 この問題はそれ以上追及いたしませんが、政務次官もお聞きになっておるのであるから、この辺は長谷川政務次官もせっかく政務次官になられたのだから、何か従来からやれなかったことをおやりになって、歴史的にさすがに長谷川政務次官はやはり政治力があったということで、歴代の人がやれなかったのを一つ解決するというくらいな勇気を持ってやってもらいたいと思うが、どうですか。
#24
○長谷川政府委員 どうも同僚として今日まで委員会に出ておりましたが、石炭の方は伊藤さんに全部お願いしておったような関係で、その点非常にどうも私の不勉強もありまして、その実情を今ここに立って伺いますと、全くその通りであると思うのであります。従って御指摘の通り政治力を十分発輝いたしまして、その点につきましては、来年度の予算には当然より以上の含みを持って予算を成立させるように努力いたしていきたいと思います。
#25
○伊藤(卯)委員 これは余談になりますけれども、内閣がどうなろうともその責任を果してもらうために、長谷川政務次官だけはやめさすことはできないと思う。(笑声)われわれはそのつもりで期待しますから、きょう御答弁になったことは深く肝に銘じてお忘れにならないように願いたい。お忘れになるとあとはちょっと手ごわいということを、一つ御承知置きになって御尽力を願いたいと思います。
 それからさっき政務次官が答弁されておりましたが、鉱業権者の行方不明の鉱害復旧地あるいは無資力者の復旧地、その復旧はどの程度おやりになろうと本年度においてお考えになっておるか、あるいは面積の上に、あるいは金額の上に、さきに何かかなり期待のできるような御答弁をされておりましたが、この二つについてお聞かせ願いたいと思います。
#26
○讃岐政府委員 これは御承知のように鉱害復旧事業団で基本計画を立てまして、通産省が各省と協議して認可するということになっております。計画は事業団で立てることになっておりますが、目下のところまだきまっておりません。しかし木屋瀬及び西川地区等重要な地区には復旧計画を立てるように考えたい、かように考えております。
#27
○伊藤(卯)委員 それは事業団にいつごろまでにその立案をさせて、それをさらに予算化し、工事としてやろうというのか、およその目安をどういうところに置いて進行させられつつあるのか、それをお聞かせ願いたい。
#28
○讃岐政府委員 昨日も鉱害復旧事業団の天日理事長が参られまして、さっそく評議委員会を開くというお話でございました。従いまして現在の見通しでは四月もしくは五月ごろには計画ができ上ると存じます。さようにいたしまして、この問題を至急に実施に移すように努力いたしたいと思っておる次第であります。
#29
○伊藤(卯)委員 どうもため息をつきたくなる答弁ですけれども、どれを聞いてもあまりずばりずばりとお答えを願えないので、今までのことは仕方ありませんが、今度はむしろわれわれの質問より、あなた方の答弁というか、計画に、実行に非常な確信を持ってやるというようなことを私はこの機会にあらためて強く要請をいたしておきます。
 それから鉱害といえば、下の方を掘って、そのために陥落するというのを一般的に言われておるのでありますか、これは特に福岡県がそうですが、長崎県でも佐賀県でも、常磐地方等にもありますが、あのボタ山ですね、めちゃくちゃに大きなピラミッドみたいなものがたくさんできまして、それが雨の降るたびに絶えず流れるわけです。あるいはまた中に火が入ってなにする。その被害というものは、陥落する以上の被害をあるいは田面にあるいは河川、水路にあるいは家屋に――昨年でしたか長崎などには、何十人という死者を出すほど、生き埋めにしてしまうということなども起っておる。これが絶えずそういう大きな被害を与えておるのです。ボタ山がそういう被害を与えるということについては、実はあまりに取り上げられてない。古くなればなるほど陥落以上の被害を与えるわけです。このためにどのくらい多くの耕作地、水路などに被害を与えておるかということは、非常な大きな問題だと思うが、もちろんこういう問題の調査もされてないことだと思いますから私はそれを聞こうとは思いませんが、しかし炭鉱がなくなりましてもこれは残る。おそらく炭鉱がなくなって五十年、百年たってもそれはなくならないと思うのです。これが非常な大きなものなんです。これらに対する鉱害の対策というもの――河川に水路に田面に与える影響、あるいは家屋に与える被害の上に、これは十分対策を立てていかなければならぬと思うのであるが、これらに対しての、鉱害というものについてのお考えというものは、どういうように見ておられるか、これを一つお伺いをしたい。なおまた対策をどう立てようとしておられるかもお伺いしておきたい。
#30
○讃岐政府委員 ボタ山の鉱害につきましては、今日までもしばしば大きな被害を起しまして、被害者の方に大へんな迷惑をかけましたことは御承知の通りであります。これらにつきましてはその鉱害の防止について、主としてこれは鉱山保安局が担当いたしておりますが、鉱山保安局と資源技術試験所におきまして、鉱害の防止につきまして毎年相当な予算を計上いたしまして、工業技術院を中心に研究を進めているような次第でございまして、その詳しいことにつきましてはむしろ私よりも鉱山保安局長からお答えした方が適当かと存じますが、その対策の一つとしてこの間から福岡県とも御相談いたしておりますが、ボタ山の緑化運動というのがございます。これは福岡県の知事さんが非常に御熱心でございまして、中央官庁においても十分協力せよというような申し出がございました。これはまことにけっこうな計画でございますので、われわれも十分それに協力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#31
○伊藤(卯)委員 この被害がどの炭鉱のボタ山の被害であるかということはなかなか判定しにくいということも出てくると思うのです。従ってこの復旧の責任をどこが持ってやるのか、それから与える被害の補償というか、これをどこが持つべきか、これについて一つお聞かせを願いたいと思う。
#32
○讃岐政府委員 二つ以上のボタ山から土砂が流れまして、近辺の農地その他水路等に被害を与えます場合におきまして、だれが責任者かという問題でございますが、これは実際に具体的にその場所に当って調査いたしませんければ、簡単にどうだというわけにも参らぬかと存じます。しかし鉱業権者の責任というものは、鉱業権の消滅後もあるわけでございますから、少くとも鉱業権者が責任があるということは申し上げられるのではないかと存じます。
#33
○伊藤(卯)委員 私は局長のようにそう簡単にはこれはいかないと思います。陥落鉱害に対してそれぞれ鉱業権者が分担をし合って復旧をするのでありますから、こういうボタ山から与える鉱害についても、その復旧の責任についてはどのように分担をし合ってやるというようなものがやはり一応計画さるべきだと思います。さらにまた被害の補償等の問題についても、どのようにしてすべきかということ等も、私は陥落鉱害以上にいろいろ問題点が多いと思いますから、私はきょうはこれ以上この点については追及しませんけれども、一つ十分この調査、研究等もされて、立案をしていただきたい。そうしてこれらの被害に対してはこういう方法で復旧をし、補償の責任等の問題も解決するということをすみやかに一つ立案をして、われわれにその回答のできるようにされるように私はここで強く要望いたしておきます。
#34
○讃岐政府委員 お話でございましたが、鉱害の処理の問題につきましては、農地、河川等に及ぼします地下の掘採と同様であると存じます。今申し上げましたのは、数個のボタ山から流れ出した土砂による被害をだれが責任を持つか、責任の分界ということを私が聞き違えたものだと思います。
#35
○伊藤(卯)委員 私もそれを言っておるのです。
#36
○讃岐政府委員 復旧する場合におきまして、鉱業権者が二人以上ある、鉱区が二個以上あるという場合、そのどちらに責任があるかということは、現場におきまして具体的に解決しなければならぬ問題であると思いますが、このボタ山から出たということがはっきりする場合におきまして、河川、道路等に被害を与えた場合の復旧のやり方並びにその復旧の費用の分担のやり方等は、地下で掘採した場合と同様に考えてよろしいと考えておる次第でございまして、今日までボタ山による被害の復旧をやった例があるわけでございます。三十年度、三十一年度の両年度で三十二個所八千三百万円の復旧をやっておるようでございます、
#37
○伊藤(卯)委員 いろいろその問題についても議論がありますけれども、時間の関係もありますから、省略いたしますが、言だけつけ加えておきたいのは、二つとか三つとかじゃなくて、たとえば福岡の例をとって言いますならば、遠賀川であるとか、あるいはその枝に流れておるところの河川であるとか――たとえば一例をあげますと、遠賀川から洞海湾に注いでおりまする、昔は唯一の石炭輸送路でありましたが、その後あれは北九州の工業用水の唯一の水路でもあった。これは特に昔栗山大膳が掘ったという堀割水路でありますが、これなどは、今日炭鉱の石炭を洗った微粉というか、その他のどろ水によってすっかり埋まってしまいました。もはや水が流れなくなっている。おそらくこれは県の方からも相当陳情してきておると思う。あれをやってもらわなければ北九州の工業用水の上に重大な影響があるだろうということで、大きな問題になっているのです。ところがこれは一体だれの炭鉱が被害を与えたかというと、だれも判定できない。これはもう川上にあるところの全部の炭鉱が被害を与えたといわざるを得ない。そういうこと等もありますから、一つボタ山の問題――ボタ山ばかりではありますまいが、よって起る河川、水路等の問題について、復旧せなければならぬということについての十分な対策、国としてどのようにしてそれらを至急復旧してやるかということについてのお考えを、十分立てておかれる必要があると思いますから、これは私はすみやかにそれらの立案に当られるよう要請しておきます。
 それから家屋の問題ですが、これはさきに政務次官からも答弁報告がありましたが、これは新たに家屋復旧について国家が一部を補償するという問題についてやられたことは、水田通産大臣の政治力というか、事務当局の熱心なる努力というか、この点は私は高く評価せなければならぬと思っております。もちろん今日の額では、これは一部でありますから、金額の点からいえばもの足らない、不満がたくさんありますけれども、一応のそういう窓口があけられたということについては、感謝をしなければならぬと思っております。ついてはこの家屋の復旧の問題についてでありますが、これはどういう計画でこの復旧をされるのか。たとえば道路を上げる、あるいは陥落地面を上げるというような場合に復旧されるのか、あるいは道路をやれば、地面を上げなくとも、家屋がそこに住むに危険であるというような場合には、その家屋のみを復旧されるという考えがあるのか、あるいはまた本人自身がそれを復旧せなければもう住んでおれないから復旧したいという場合には、本人自身の計画による復旧費というものを与えて復旧をさして、それをあとで監督されるというか、監査されるというか、そういうことをおやりになるのかどうか。その辺の復旧方法について一つお聞かせ願いたいと思います。
#38
○讃岐政府委員 家屋復旧の順序の問題でございますが、これは先ほども申し上げました通りに、鉱害復旧事業団の基本計画に入れまして、まず基本計画からきめていく、こういうことになりますので、基本計画を決定するにつきまして必要な手順をきめますことは、御存じの通りであります。鉱業権者の同意を要しますし、地方の県庁との協議も要るわけでございますが、私どもの考えておりますところでは、農地その他公共施設の復旧と関連させまして総合的にやって参りたい、そうすることが少い予算の効率を最もよく発揮できる方法ではないか、かように考えておる次第でございます。何せただいま御指摘の通り、予算金額が少いので、復旧できる家屋の数も、三十二年度におきましてはわずかに千戸ということでございますから、このどこから先に手をつけるかということは、非常に問題になるかと存じます。御指摘の通り、非常に危ない状況にあるか、あるいは周囲の農地なり公共施設が復旧されて、そこだけが取り残されておる、こういうものを取り上げる、つまり痛切なものから手をつけるということになると存じますが、大きく見ますれば、農地その他と総合的に復旧の仕事をやって参りたい、かように考えておるわけでございます。なお施行の方法でございますが、これは補助金を出す関係もございまして、施行者は原則として炭鉱というようになっております。従いまして炭鉱が施行者になるわけでございますが、特別の場合におきましては、基本計画に基く実施計画を決定いたします場合には、家屋の所有者の同意を求める、こういうことも農地等と同様でございまして、従いまして基本計画を立てる場合におきましても、家屋の所有者なり居住者の希望の問題もございます。また施行者である炭鉱の希望の問題もございます。これらを総合いたしまして、鉱害復旧事業団では基本計画を作り上げるわけでございます。
#39
○伊藤(卯)委員 一般鉱害等の問題についてもまだいろいろお尋ねしなければならぬ点が多々ございますけれども、滝井委員からお尋ねしてもらうことにしまして、私はあと二、三点だけ伺ってやめたいと思っております。
 特別鉱害の復旧の問題です。これは御存じのように、二年前に期限が来たのでありますけれども、工事がたくさん残ったので、二年間延長した。さらにまた今度期限が切れるので、そこに工事が余っておるから、一年間延長されるわけでありますが、これはわれわれとしてはけっこうだと思っております。やはり特別鉱害である以上は、特別鉱害の機関によって最終的仕上げをやはりやってやるということは、これは当然であろうと思いますから、一年延ばされることもけっこうであります。そこで問題は、今後この一年間に完全に復旧できるという自信をお持ちになっておるかどうか。それからまた工事変更その他等も出てくると思いますから、もし一年後に至っても復旧できないというような場所が起らぬとも限りません。そういう場合には、やはりこの機関によって特別鉱害復旧だけは完成をさす、そういう信念をお持ちになっておるかどうかということが一点。それからこの特別鉱害地の中において、特別鉱害としては復旧不適地というか、そういうところで、特別鉱害とは認めるけれどもこれは復旧ができないからといってこれをのけようとしておられるということも聞くのであるか、そういうお考えがあるのであるかどうか。また不適地として残されるとするならその地区がどのくらいあるのであるかどうか。この問題は特別鉱害地区として指定をしておきながら、その法律によって復旧しなければならなくなっているのを政府の方で勝手に不適地であるとしてこれを復旧されないということになれば、被害地が困るのみならず法律上からもこれはかなり問題ではないかと実は思うのです。こういう点はどういうようにお考えになっておるかということが一点。
 時間の関係がありますから続けて伺いますが、特に福岡県において三菱関係における特別鉱害で、サンド・ポンプで大きく復旧しましたために驚くべき運河ができているわけです。あのクリークを一体どういうようにされるつもりか、あのままにしておかれるつもりであるか。あるいはあの付近のボタ山でも盛って全部あれを埋めて鉱害地として復旧されるつもりであるかどうか。農地の足らない、いわゆる干拓などを盛んにやらなければならぬという今日の日本においては、これはやはり相当真剣に考えなければならぬ問題ではないか。あの付近の農民は何千年来という祖先伝来の美田がああいうふうになってしまっているので、あのクリークを見るたびにどうも胸が痛くなるということをよく聞かされるのであるが、ああいうものをやはり復旧して完成されるというようなことも将来お考えになっておるかどうか、こういう点もあわせて、この三点について一つ御答弁願いたいと思います。
#40
○讃岐政府委員 まず最初に法律を約一年延ばしていただいてその間に完全に仕事が完了する自信があるかどうかという問題でございます。これは第二、第三の御質問とも関連すると思いますが、ただいま計画いたしております仕事が農地におきまして三億六千万円、家屋におきまして一億円の残事業量が三十二年度に繰り越されるということに相なります。その仕事を三十二年度に完全に仕上げたいというように考えております。そういう意味におきましてはただいま御指摘の信念を持って完全にやり通し得る自信があるかということでございますが、私どもとしてはこれは完全にやり遂げ得る自信があると申し上げ得ると思います。しかしながらそれだけの仕事をやりましてもなお農地だけがただいま御指摘のように二百五十八町歩がさしあたり復旧できないものとして残される予定になっております。これはただいま御質問のありましたクリークの問題もありますが、この二百五十八町歩の内容を申し上げますと、第一には炭鉱の所有地になったもの、それから特別鉱害として認定されましたけれども、その後累層採掘のために二次被害が進行しているものもございます。それからクリークになっておる場所もあるわけでございます。それからもう一つ従来農地でありましたものが、道路敷地とかあるいは宅地の敷地とかその他用途が変更されたものもございます。それらにつきまして申し上げますと、まず用途変更されたものにつきましては原状回復ということは意味をなさないことになっておるわけでございます。農地でありましたものをその他の用途に供しておるものを農地に復旧するということは意味をなしません。これは当然のことかと存じます。それからその後炭鉱の所有地となったというものにつきましては、これは法律的に申しますと、その場所は被害地でないということになるかと思いますが、しかしこれはそれだからといって復旧をしないというわけではございません。それからもう一つ、累層採掘のために被害が進行しているというものにつきましては、これは今直ちに手をつけて復旧することは意味をなさない。従いまして鉱害が安定しました後に復旧しなければならぬ、これは事実上当然にそうなるものと思います。それからもう一つ、農地の復旧をやるために多量の土砂が必要になって参るわけでございますが、付近にはどうしてもその土砂が得られない。そこでそのままで進みましては農地の復旧にきわめて長時間を要するということから、農地の復旧をやるためにある程度の農地を犠牲に供しまして、そこから土を取りましてその他の農地を復旧したという場合があるわけでございます。これはその当時、さようにいたしまして鉱害を復旧することが最も適当であるという判断から、現地におきまして鉱業権者、被害者はもちろん、地方公共団体とも御相談いたしまして、その当時におきまして最もいい方法であるということからいたしまして復旧いたしました結果、さようなクリークのようなものが現在残されているという次第でございます。かような農地を原状に復旧いたしますには反当り五十万円ないし百二十万円を要するということになりまして、非常に今後問題が多いわけでございますが、総じて申し上げますと、かようなものは特別鉱害復旧臨時措置法の存続期間が満了いたしました後に残りますけれども、これは一般鉱害として復旧に十分努力を払いたいと存じます。ただし、ただいま申し上げました農地の用途が他の目的に変更されたというものについては何ら措置する必要はないかと思いますが、クリークになったもの、それから累層採掘のために被害が進行しているもの等につきましては、幾ら金がかかりましても、これは付近のボタ山をくずして土を運ぶなり、あるいは新しい採掘によりまするボタを運んで埋めるなり、相当長時間を要するかと存じますが、究極におきましては当初予定されました通り何とかして復旧に努める、かように考えておる次第でございます。
#41
○伊藤(卯)委員 まだ疑問がありますけれども省きますが、特別鉱害として復旧しましても漸次また沈下してくるのです。その沈下していったものはその後は特別鉱害としてではなくて一般鉱害として復旧工事をするのか、あるいは特別鉱害地区は特別鉱害としての予算を一般事業団に委託をしてやらすのか、その点はどうです。
#42
○讃岐政府委員 累層採掘のために沈下してくる場合におきましては、現在のところ一般鉱害として復旧いたしたい、かように考えております。
#43
○伊藤(卯)委員 あと二点だけ伺いますが、鉱業権者側が鉱害復旧費として分担しなければならない分担金があります。この分担金の引当金を鉱業権者は自分の会社に積んでおきたいと、こう言います。そうしてさらにこの金額については免税してくれと言っております。そこで何億という鉱業被害の工事費の分担金の引当金を会社が社内に積み立ていたしておきますと、自分の会社がこれを使うわけです。会社はその金を使ってしまった、炭鉱は破産してしまったということになってくると、鉱業権者側の負担分はなくなってしまう。そうすると、今の法律の建前からいけば、国が幾ら、鉱業権者が幾らという分担がそろわなければ大蔵省は金を出さない、そうなってくると工事はやれなくなってしまう。だから鉱業権者側が自分の会社に引当金を積み立てようということは、自分の自己的立場からこの金を流用しようという意味でやるわけなんです。われわれはこれは許されぬと思う。この点についてどのようにお考えになっておるか。
 さらにまた引当金に免税をする、これは私はよろしいと考えます。どうせそれは会社の収益じゃなくて、鉱害復旧費に使う金でありますから、これを免税してやることはよろしいと思うのであるが、自分の会社にその金を積んで、それを使って、それでなおかつ免税してくれというのは、ちょっとあまり虫がよ過ぎる。だからその金はあくまでも復旧事業団に積み立てさして、国家管理のもとに置いておく。そうしてその分については免税をしてやるならしてやる、こういうやり方が私は一番公正妥当だと考えるが、これももう当面しておる、起っておる問題で、これは当局の方でどのようにお考えですか。
#44
○讃岐政府委員 短期の問題と長期的な問題とあるかと思いますが、先ほど政務次官から御説明申し上げましたように、鉱害の適正かつ早急な復旧をはかるために、鉱業権者の鉱害賠償資金の確保について適切な措置を講ぜよという決議がございます。この御決議に基きまして、政府といたしましては鉱害賠償引当金というような制度を考えたわけでございます。その後研究を進めました結果、これを未払金として計上するということに大体の結論を得ております。細部の点につきましてはなお事務的に調整する問題があるのでございますが、さような次第で、未払金として処理する場合におきまして、この未払金が損金に算入されるということはもちろんのことという前提に立ちました場合におきましても、これを積み立てた後におきまして、自由に会社で使うことはできない仕組みになるわけでございます。でございますから社内に留保いたしましても鉱害賠償以外の目的に使うことはできない、さようになりますので、これは先生の御心配のようにはならぬと思います。なお短期に鉱害復旧事業団に納めるべき納付金を、それ自身長くひっぱっておこうというようなことかと思いますが、これは適当な時期に納付の要請があり、その時期に納入してもらえばいいわけでございます。これを長く社内に留保したいというようなことであれば、これは限度のある問題ではないか、かように考えております。
#45
○伊藤(卯)委員 局長あなたは役人で殿様生活のような生活で、金銭にあまり縁のない方だろうから、非常にお人がいいと思うのです。大体お考えになるとわかるように、今日鉱業権者が行方不明になって、鉱害地がたくさん残っておる。それから存在はわかっておるけれども、無資力であるというのがたくさんあるでしょう。それからなおかつ今日鉱業をやっておるけれども、鉱業権者が負担分を出さないので工事がやれない、復旧がやれないというものがたくさんあるでしょう。これらは当然負担すべきものをやっていないからやれなくなっておるのではないですか。自分の会社で積んでおいても、使われないようになっておるといったって、それならその預金簿、積立金を役所が監督しておるでしょうか、監督しておらぬのです。だからその金を会社の中に置いたのでは会社がそれを使うのです。使ってしまって、今度は行方不明になれば今のような鉱害だけ残るでしょう。それが本人はおるけれども、無資力ということになったら何ともしようがないでしょう。鉱業をやっておるけれども、負担ができないということになると、これまた取れないということになるでしょう。今日そういう膨大な復旧できない鉱害地があるではありませんか。だから今後確実に復旧をしようとするならば、それぞれ炭鉱が石炭を出す一トン当りが幾らというものはちゃんとわかっておるのです。きまっておるのですから、これを積み立てさせ、これを鉱業権者の自由にはさせない、これを復旧事業団の国家管理のもとに置いておく。そのかわりこの分は免税してやるならやるというならこれは別です。だからこれを取っておかない限りにおいては、国家予算をこれに合せて組むということもできないでしょう。従って工事はやれない、だからそういう甘い考え方であなた方がこの問題を扱おうとされるならわれわれ承服できません。だからトン当り幾らということできまっておるものはあくまで積み立てをやらす。社内留保はやらせない。これは事業団のもとに積み立てさせておく。そうして国家の事業団の復旧計画の工事をその予算によってやらすという、これは大事なことです。この点は私は今あなたのおっしゃるようなことでは承服できませんから、もしそういうことでやろうとお考えになっておるなら反対しなければなりません。だからその点をここでもっと明確にして下さい。
#46
○讃岐政府委員 社内留保と社外留保の問題であります。これは監督をするかというお話でございます。これは税務署の監督下にあるわけでありまして、税法上現場に立ち入り検査もできますし、監督もできます。また実際にその未払い金が他の用途に供された場合には免税措置がなくなるわけであります。また税法違反という問題も起ります。さようなわけで未払い金制度というものが絶対いけないものだということではないと存ずるわけでございます。しかし社内留保と社外留保と比べまして、社内留保はもの足らないという御意見であれば、これは私どももある程度同感の面もあるわけであります。しかしながら御決議にありましたように、賠償資金の確保を何とかして考えろということでございました。私どもといたしましては、社内留保の問題と供託金の問題とあわせ考えておるわけであります。この面につきましては、なお準備はでき上りませんけれども、鉱業法の改正の問題として近く提案できる見込みでございます。
#47
○伊藤(卯)委員 そういうことでお考えになるということであればそれ以上追及はいたしません。
 それから税務署に云々とおっしゃるが、税務署が自分が取り立てなければならぬ税でさえ今日とれない税金がどのくらいありますか。(「八百億だ」と呼ぶ者あり)八百億ですか、そんなにたくさん税務署が自分の税金を取り切れない今日の状態のところで、税務署に監督をやらすくらいのことじゃ、炭鉱経営者の方ではおかしくてしょうがないというところでしょう。だからこの点は次に出されるまでに私が申し上げたことを一つ十分お含みを願いたい。
 それからたとえば過去のものがございますね。今後のものを免税するということになれば、やはり過去のものも免税してやらなければなりません。今後のものの積み立てば、正確に積み立てて事業費に充てる、しかしその分は免税してやるということについて、過去のもの、今後のものについての扱い方を、一つ簡単でよろしゅうございますから伺いたい。
#48
○讃岐政府委員 未払い金制度の問題につきましては、最終的な結論に至っておりませんことは、ただいま申し上げました通りでございますが、現在進めておりまする構想と申しますか、事務的な折衝では、過去のものはもちろんでございます。安定鉱害という考え方に基きまして、安定している鉱害は、過去より現在までの鉱害量に見合う賠償金を未払い金に全部計上する。なお今後発生し、安定してくる鉱害につきましては、安定の都度その金額を未払い金に計上して参る、かように考えております。
#49
○伊藤(卯)委員 もう一点だけで終ります。これは鉱害と全然別個の問題になりますが、今盛んに炭鉱側の方で追加投資に対する免税措置の問題が言われておるわけでありますが、これはわれわれとしても確かに理由は立つと思っております。坑内がだんだん深くなっていけばいくほど生産費が高くなっていきます。それで一定の出炭を維持しようとすれば、当然それを維持するために追加投資を漸次増大していかなければならぬことはわかっております。だから動産になったものは当然課税の対象とすべきでありますが、一定の量を維持するために坑内が深くなって投資を追加していかなければならぬ場合、この分に対する免税措置を考えてくれないかということは、われわれとしても一応筋が立つような気がするのであるが、その点についてどのようなお考えでしょうか。
#50
○讃岐政府委員 追加投資の問題と鉱害賠償未払い金の問題とは、石炭関係におきまして本年度の税制特別措置の最も大事な問題の二つでございまして、同時に取り上げまして同時に引当金制度で参るということで最初進めて参りましたが、政府部内の折衝の都合もございまして、鉱害賠償につきましては未払い金に計上して損金扱いにする、同時に追加投資につきましては、これは税法上損金範囲の拡大ということで決定いたしまして、おそらく大蔵省からもう法案の提出になっておることだろうと存じます。その仕組みは、条文にも書いてございますが、採掘場所の深部移行、または坑内条件の悪化に対処して投資する場合、その他いろいろございますか、問題といたしましては、坑内より掘さくする坑道、これに伴いますレール、パイプ、車両、運搬具その他の施設につきまして、これは政令で定めるところによりまして損金に算入することはよろしいという規定になっているはずでございます。ただいまその条文を持ち合せておりませんけれども、そういうことにいたしまして、なお坑外から掘さくする坑道につきましては、これは追加投資なりやいなやという問題も非常にございまして、通気排水坑道につきましては特別償却を認める、こういうことになっております。なおその他鉱床探査に必要な機械あるいはその他の費用につきましても特別償却が認められることになりまして、結局免税措置としては、追加投資の理論から申しますればやや不満足な点もあるのでございますが、実質上大体同様の目的を達することができるということで一応満足しておるような次第でございます。
#51
○伊藤(卯)委員 なお言い足らぬ点もございますけれども、相当時間もたったようでございまして、他の同僚委員各位に御迷惑をかけると思いますから、私の質問は以上をもって一応打ち切ることにいたします。ありがとうございました。
#52
○福田委員長 この際午後一時まで休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十三分開議
#53
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を継続いたします。滝井義高君。
#54
○滝井委員 臨鉱法並びに特鉱法の二つの法律の改正案に関連をして少しく具体的に質問をしてみたいと思いますが、午前中の伊藤さんの御質問に対して石炭局当局の御答弁をいろいろ聞いてみると、鉱害問題に対する自信が非常にないですね。われわれ炭鉱のまん中に育って鉱害の非常な苦しみを受けた者から見れば、石炭鉱業が日本の基幹産業として、あるいは基礎資材を提供する産業として、その重要性が非常に大きくクローズ・アップをされておるにもかかわらず、その石炭鉱業が石炭を掘ってそのあとに残した被害については、国のそれに対するものの考え方がきわめて消極的であるという点は、私はやはりこれは今後考慮しなければならぬ問題だと思うのです。さいぜんいろいろ調査費等の経費の問題などもあって、年間二十五万円という情けない数字を御説明になっておりましたが、私は問題は、その経費や何かもあるのですが、石炭局の機構だと思うのです。現在地方に石炭事務所と申しますか出張所みたいなものがあります。それから通産局に鉱害部がある。ところが個々の人的な構成を見ると、きわめて貧弱です。この大きな今後何百億と累積をしていくであろう鉱害を処置するための、鉱害復旧の人的な構成というものが、きわめて貧弱です。こういう点局長さんなり、大臣のかわりに来られておる政務次官の長谷川さんは一体どう考えるかということなんです。今のような機構で日本の石炭産業のしりぬぐいを大体十分やっていけるかどうかということです。もちろん鉱業権者なり租鉱権者というものが責任を持ってやらなければならぬが、当然それに対して、石炭の重要性から考えて、国の責任というものもある程度考えなければならぬ。今の石炭局あるいは地方の通産局における鉱害部と申しますか、そこらの機構の問題を一体どうお考えになるか、これをまず御説明願いたいと思います。
#55
○讃岐政府委員 石炭関係の行政機構の問題と定員問題等についてお話がございましたが、われわれといたしましても問題を急速に解決するために、できるだけ多くの人員がほしい、あるいは機構も整備したいという希望がございますが、一方財政的な考慮も必要であろうかと存じまして、現在の定員とその機構で何とかやって参りたいというように考えております。現在までのところ、特鉱関係と臨鉱関係を二本建でやっておりまして、もう一年特鉱を延ばしていただきたいというのが現在の問題でございますが、特鉱関係が来年一年で終りまして、臨鉱関係一本になって参りますと、現在の陣容で何とかやっていけるのじゃないかというように考えておる次第でございます。来年度の問題としまして、定員上相当困難な問題があったのでございます。御承知のように特鉱関係は予算的にもあるいは納付金の関係から申しましても事務としては三十一年度の事務でございまして、三十二年度の仕事は、先ほども御説明申し上げました通り、事実行為だけが残っておるということで、政府部内におきましては、特鉱関係の定員を大幅に落しておるのではないかということが一つの問題になったわけでございますが、各方面の理解を得まして定員問題も無事に解決しまして、この定員が来年度以降残っていくということになったとわれわれは了解しておりまして、安心したような次第でございます。そういうようなわけで今後も減らされることはないという前提に立ちまして、現在の機構でできるだけ勉強いたしまして大いにやっていけば、何とかこの問題は解決できるのではないかというように考えております。
#56
○滝井委員 現在鉱害関係を担当しておる中央の人員、それから出先の人員というものは大体どのくらいおるのですか。
#57
○讃岐政府委員 本省は三十五名、地方は合計七十名でございます。それから鉱害関係につきましては主として鉱害課で担当しておりますが、鉱山保安局関係の人員を鉱害防止の建前から、相当鉱害問題に関与さしておるわけであります。
#58
○滝井委員 中央三十五人、地方七十人でございますが、その中で実際に鉱害の認定その他を行う技術的な専門家、たとえば地質学等についても相当精通をしておる人は中央に何人、地方に何人おられますか。
#59
○讃岐政府委員 地質関係の専門家は地方に二名、本省は採鉱が二名でございます。
#60
○滝井委員 長谷川さんもお聞きの通り、この鉱害の認定というものはなかなか法学士ではわかりかねる面が非常に多いのです。非常に複雑微妙です。ことに現在の日本の炭鉱のように老朽化してくると、ますます複雑怪奇になってくる。そうしますと権威ある官庁にわれわれが参りまして、一体あれはどこの鉱害だと言っても、さあちょっと調査しなければわかりません、こうなる。じゃ一つ調査をやってくれぬか、こう言いますと、いやそれは大学の先生か何かに頼まなければならないが金がない、こういうことになる。大手の炭鉱になるとみずからのところにそういう専門家を委嘱して着々調査をやっておる。従って大手筋の炭鉱が、あれは私の方の鉱害ではありませんと石炭局に申し出ると、もうあなたの方では何ともしがたいのです。手も足も出ないのが現状です。そうしますと、これはもう農民にしても被害者にしても泣き寝入りです。大きな炭鉱で、その専門の地質学者を雇ってきて、そうしてあすこはだめだと言われたら、もう通産局は手も足も出ません。こういうことで今度はわれわれのところに、あすこの被害は鉱害ではありません、こういう公文書をぽんとくれる。そうすると農民というものは泣き寝入りです。被害者は泣き寝入りです。だからまず日本の鉱害問題を解決しようとするならば、被害者と加害者との間に立って、権威ある国の機関が、これは鉱害である、鉱害でないということをぴしっと公平中正な立場で認定をする機構を石炭局の内部なりあるいは出先の通産局の鉱害部なりに置かなければならぬ。これがないから現在鉱害の仲介機関を幾ら作ろうとだめなんです。権威ある、主体的に認識するものがないのです。だからこういうりっぱな、今後家屋まで入れてくれるという思い切った施策、法律を実施しようとするのですから、こういう点をどういう工合にお考えになっておられるのか。
#61
○讃岐政府委員 先ほど地質二名と申しましたが、地方の技術職員は地質は二名でございますが、採鉱関係は十名です。土木、建築、農業、化学等それぞれ若干名おるわけでございます。そこでこれだけの技術職員の能力で足りるかどうかという問題でございますが、もちろん行政官庁といたしまして、技術職員が万能ということは申し上げられないのでございまして、技術的ないろいろむずかしい問題につきましては、しばしば九州大学の先生方あるいはその他の専門家の助けを得て仕事を進めているような次第でございます。大手でどうしたから官庁としては手はないとおっしゃいますが、われわれとしては謙虚な気持で専門家の意見をただして仕事を進めていく限りにおきましては、そんなことはないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
#62
○滝井委員 鉱害の問題をほんとうに解決しようとする意思があるならば、まず鉱害が起らないような技術指導をしなければならない。その技術指導をする一番の重点は坑内充填だと思うのです。掘ってボタなり土を外に出して、スキップというボタ山を作ることではなしに、その掘ったあとの充填を指導すべきではないかと思うのです。大体その充填指導をきめる場合に、どの程度の経費、標準炭価を見ておるのか、こういう点を一つ御説明願いたいと思います。
#63
○讃岐政府委員 鉱害防止の関係は、先ほども申しました通り鉱山保安局で担当いたしております。防止の建前から鉱山保安局の職員がわれわれを大いに助けてくれておることはあるわけであります。ただいま鉱山保安関係の技術職員がどうなっておるか残念ながら申し上げられないのであります。そういう意味で、今申しましたのはわれわれの石炭局関係職員だけであって、鉱山保安関係にも相当の技術職員がおるわけであります。なお鉱害防止に関しましては午前中伊藤先生にも御説明申し上げましたように、工業技術院等におきましても、ここ数年来研究を進めております。その他特に九州地区について申し上げますと、福岡通産局を中心としまして九州大学の山田学長以下専門家の方が通産局の顧問的立場に立ちましてわれわれを指導してくれておるわけでございます。そういう面で技術的には職員の構成から申しますと、相当自信があるとは申しがたいのでございますが、そういう専門家の助けを得て何とかやっておるという状況でございます。充填の問題につきましては、これも保安関係の仕事ではないかと思いますので、鉱山保安局長からお聞き願いたいと思うのでございますが、特別に充填させるための予算措置なり何なりがあるかということについては、私ちょっと準備がございませんでお答えできないのは残念でございますが、鉱害防止のやり方としまして、充填採掘も一つの方法でございます。また炭柱式なり、いろいろ技術的にあるようであります。その技術的問題につきましては、私、即座にお答えをする知識を持たないのはこれも残念でございますが、そういう面は先ほど申し上げました通り、工業技術院の陣容あるいは鉱山保安局並びにわれわれも関与いたしまして研究を進めておる次第であります。
#64
○滝井委員 鉱害予防のために保安炭柱なり、あるいは充填をやるということはきわめて重要なことなんです。また今後国が予算を計上する上においてもこれは非常に関係をしてくる。そこで委員長、ちょっと鉱山保安局長を呼んでいただけませんか。この質問は鉱山保安局長が来られてからいたします。
 次にお尋ねいたしたいのは局長も御存じのように、現在一日約十七万トンの石炭が出始めました。今までは四千三百万トンの石炭を掘り出しても使えぬということで困っておったが、現在は五千二百万トンの石炭を出しても足りなくて困るというくらい、日本の経済情勢が全く違ってきた。いわば大東亜戦争のときの強行出炭と同じような情勢が出て参った。このように石炭出炭量の飛躍的な増加が要請をせられておる現段階においては、鉱害に対するものの考え方も違ってこなければならない。少くとも特鉱法ができた当時の昭和二十五年と同じようなものの考え方を、今後は一般の鉱害についてもしなければならないという情勢が出てきておると私は思うのです。しかも日本の炭鉱が老朽化して保安炭柱などどんどん入れて、この石炭の需要に応じようとする態勢を作ろうとしておるというのが、現在の日本の炭鉱界の情勢だと思うのです。そうだとするならば、当然今までの鉱害のものの考え方と、日本経済が現在のように石炭需要を証歌する段階とは違ってこなければならぬと思うのですか、そういう点について一体石炭局長はどういう工合に考えておるのか、この点を一つ明確にしていただきたい。
#65
○讃岐政府委員 ただいま出炭増加に伴いまして、鉱害関係も考え方を変えるべきだというお話でございましたか、遺憾ながらこの点につきましては全く見解を異にいたします。私ども来年度の石炭の生産計画を五千二百万トンにすべきか、あるいは五千三百万トンにすべきかということも目下研究中でございまして、結論が出ておりませんが、いずれにしても本年度に比べて非常に増産することは確かでございます。しかしながら、その生産のやり方につきましては、合理化の基調をくずさず、鉱害問題につきましても、従来と同様、あるいはそれ以上の注意をもちまして鉱害の発生を予防しながらやって参りたい。生産関係はそういう面におきましていささかもゆるめる意思はございません。しかしながら、多数の鉱業権者もありますことでございますから、あるいは例外もあるかと存じます。そういう面につきましては十分監督を厳にして参る方針でございます。御了承をお願いしたいと思います。
#66
○滝井委員 今後ますます監督を厳重にしてやられる、こういうことでございます。これはぜひそうしてもらわなければならぬと思います。さいぜんから伊藤さんの御発言もありましたように、社内留保あるいは社外留保の問題、あるいは供託金の問題にしても、供託金なんというものは現実において積まれていないのです。だから従って泣き寝入りにならなければならぬ問題になる。今後、四千三百トンか五百万トンしか石炭が出なかったときと違って、約一千万トンもふやそうという段階ですから、従ってこれは社内留保なり供託金の問題とあわせて、監督というものは厳重にしてもらわなければならぬことは当然だと思います。今、今後監督を厳重にやっていくというお話でございましたので、それを期待し、同時に見守らしていただきたいと思います。
 そこで次に問題になってくるのは、さいぜん伊藤さんの御質問の中で、特鉱の問題でなお一年延ばしても残るものが出やしないかという質問がありまました。その質問の中で、累層採掘と申しますか、そういう場合でなお安定していないというような場合が、一年延びてもあるいはその先に延びるかもしれぬという御意見があったのですが、同時に、そのときに延びたものは、特鉱ではなくして一般鉱害でやるんだ、こういう御説明があったのです。そうしますとこれは被害者にとっては、一般鉱害でやるか、特鉱でやるかということは、現地の状態を見ると相当違ってくるのです。それは特鉱でやったものは非常に早く復旧して、体裁もむしろよくなってきている。ところが一般鉱害ということになると、なかなか進捗がにぶいのです。これは負担金その他で違うことは明らかなことなんです。現在こういう場合に、すでに特鉱でやったもので今度は新しく一般鉱害として復旧の対象にならなければならぬものもあります。こういうものは一応第二段といたしまして、現実に特鉱であるということが認定せられておりながら、それが不安定であるがゆえに、法律が来年で終ってしまって、それが一般鉱害に切りかえられていくということになると、これは鉱業権者にとっても問題だと思うし、それから被害者にとっても問題だと思いますが、この間の調整を一体どうやる所存なのか、これをこの際具体的に御説明願いたい。
#67
○讃岐政府委員 復旧の結果が、特鉱と一般鉱害とでは違うということは、どうも私は信じられないのでございまして、復旧というのは、法律上申しましても、従来の鉱害を回復するということでございます。特鉱はかように直し、臨鉱はかように直すという考え方はございません。同一であるはずでございます。ただ鉱業権者の負担の問題、あるいは被害者関係から、時期的におくれるというようなことがございます。これは従来の一般鉱害の復旧状況からにらみ合せてそういう御心配が出るのかと思います。先ほども申し上げました通り、特鉱関係は来年一年で終りまして、あとは臨鉱一本やりで大いに事業量も拡大いたしまして、復旧に努力いたしたいという考えでおりますので、おくれるということは、鉱害が安定するころになりますれば相当促進せられるのじゃないか、かように考えております。ただ法律上の問題といたしまして、特別鉱害と一般鉱害が競合するという関係が確かに現状においてあるのでございます。今直ちに復旧できれば、これはもう申し分のないことなんでございますが、何せこれが安定を待っておりますと、三十七、八年のころまで、あるいはそれ以後までかかるということでございます。一方この法律が時限法でございまして、五カ年の猶予期同を経過いたしました後、二度目の延長をお願いしているような次第でございまして、今回は一年の延長にとどめてあと一般鉱害の問題として継続して参りたいという方針にいたしておるわけであります。先ほども申し上げます通り、現在のベースでお考えになっております一般鉱害の復旧状況と、鉱害が安定したころにおける一般鉱害の復旧状況とは、ずいぶん様相を一変する予定でございます。そういうような面から御了承願いたいと存ずる次第でございます。
#68
○滝井委員 安定、不安定の問題というものは、現地においてはいつも非常に問題になるのです。たとえば炭鉱用地の農地の解放をやるというような場合に、ある農地委員はこれは安定しておると言い、ある農地委員は不安定だと言うのです。農地法の建前を見てみますと、大体少くともその農地の収支が償っておれば安定農地だという見方をしておるのです。ところがたまたま炭鉱の横にありますと、広い何町歩という農地で現実に農民が作っておっても、これは不安定農地だ、こういう認定をしていくのです。そういうところが特鉱でも一般の鉱害でも非常に多い。われわれは、少くとも収支償っておれば、農業経営は成り立っておる、従ってこれは安定していると見る。ところが今度は炭鉱側から言わせれば、いや、それはそうではございません、不安定農地でございます、こういうことになれば、農地の解放が進捗しない。そしてそれが絶えず係争になっている。福岡県の農地委員会に行ったら、現実に農民が耕作している農地であっても、炭鉱用地として残っているものが非常に多い。しかもそれが不安定というたった三字の烙印でどうにもならない。特鉱の方でも同じです。ただ不安定なりという認定のもとにぐっと延ばされて、それが今度は特鉱に行けず一般鉱害になる。これが不安定だ、不安定だというならば、いつ安定するかということがわからない。ところが筑豊炭田のようなところでございますから、そのうちに今度は全くその鉱区に関係のない別の鉱区から水を揚げることによって脱水現象が起ってくる。そうしますと、こういうものは永久に不安定だという認定も成り立つ。従ってこういう安定、不安定の認定をするためにも、やはりそこに何か国自身の機関でこれはやらなければならぬ。大手筋の炭鉱なんか、なんだ、君の方がそういう不服があるならば、裁判に持っていきたまえ、こう言われます。そうすると裁判に持っていけと言われた場合、資力のない農民は、よし裁判に持っていこうと男気を出して裁判に持っていける人というのは、百人のうちに一人いるかいないか、みんな泣き寝入りです。それで不安定農地だということになる。こういうことで残っている農地は幾らでもあります。われわれのところだって幾らもある。そういう実情であります。従っておそらく三十一年度においても、事業量は二十五億五百万円くらいだと一番初めに認定されておった。ところが公共事業関係が十八億三千四百万円、非公共が六億七千百万円ということで、公共関係でも五億二千九百万円くらいを不安定なものとして先に送られてしまって、こういうものは何をもって、だれがどうして不安定としてはっきりと大衆に納得させてきめていくかということなんです。どういう工合に被害農民なり――今後家屋も出てきますが、被害家屋の所有者に納得をさせていくかということなんです。その何か具体的に大衆を納得させるような行政指導なり、方法というものをどういう工合におやりになるつもりなんですか。
#69
○讃岐政府委員 鉱害の安定、不安定のボーダー・ライン、あるいは鉱害なりやいなやの認否の問題、これはボーダー・ラインに参りましては非常にむずかしい技術的な問題があるかと思うのでございます。しかしながら一定の個所を採掘することによりまして、それから出てきまする鉱害の発生の時期並びにそれの安定する時期は大体常識できまっているわけなんです。それでボーダー・ラインにおきまして問題はあるかと思いますが、それほど非常識な問題は長きにわたって起るはずはないんだど私は考えております。その鉱害が安定したか不安定かという問題につきましては、これは通産局長が現地におきまして現地の機構をもって判定するわけであります。先ほども申し上げました通り、むずかしい問題のありますときは、主として九州大学の教授方の御援助を仰いで技術的な問題を処理しておるということでございます。
#70
○滝井委員 そうおっしゃいますが、たとえばわれわれのところでも、もう十五年もわれわれが作っている耕地が不安定だと、こう言われるのです。それはどうして不安定だと言うかというと、これは御存じのように炭田地帯では田の中に湧水が出てくるのです。そうしてその湧水をつぶしてしまうと他のところにまた湧水が出てくる。いわゆる地下水がそこに出てくるのです。そうすると、これは湧水があってこの田は不安定でございます、こう言うのです。ところが湧水というのはこれは永遠に出るのですよ。地下の坑道から水が吹き上げてきている、そういうところは永遠に出るから永遠に不安定農地だとして、広い農地が炭鉱の用地となっている。そうすると今度はこれは不安定の農地ですからいつでも炭鉱農民は取り上げられてしまう、こういう事態が出てきている。そうして政治的にうちの炭鉱はやる必要はないからあれは一つ解放してもよかろう、こういう意思表示を炭鉱がしたら初めて農民に解放されている。筑豊炭田に行ってごらんなさい、そういう実態は幾らでもあります。ところが常識できまるということになると、私はその常識というものについてここで聞いておく必要がある。とにかくこういうむずかしい問題は、農民はみんな金がないですから、弁護士に頼むわけにはいきません。官庁に行っても今言ったように調査機構も何もないから、みんな代議士に頼む。問題がむずかしくなるとわれわれのところにみんな持ってくる。われわれのところに持ってこなければ、これは暴力をふるって話をつけることを商売にしている人か何かに頼む。現に一割くらいの、たとえば三十万の被害金をとってくれば三万円だけをその人にあげますということが、白昼公然と今なお行われているのであります。それは炭鉱に一回や二回行ったって、お前のところは鉱害だと認めてくれない。これは朝から晩まで炭鉱につかっていなければならない。もはや加害者と被害者の立場というものが逆になって、被害を受けた人の方が頭を下げて、そうしてはいつくばってお願いをしなければ、鉱害問題というものは解決をしません。掘った炭鉱がお前のところに鉱害を与えたから、家を補修してやりましょうというふうに言ってくるのはおそらく一件もないでしょう。こっちから何十回と押しかけて初めて話がつくという現状です。そこで今、局長さん常識でわかると言ったが、大体どの程度たてば安定したという常識を、通産当局としては、あるいは石炭局としての公式の見解としてお持ちか、これを一つ私は聞いておきたいと思います。
#71
○讃岐政府委員 お答えいたします。ただいまお話のごとき湧水の問題等は、ただいま申し上げましたむずかしいという範疇に入るのじゃないかと思います。私、現地を具体的に存じませんので、何とも申し上げられないのですが、一般にはその場所を採掘いたしまして鉱害が発生してくるのが三年目くらいで、五年目くらいには安定する、これが常識でございます。さような基礎に立ちましてわれわれの行政事務を進めておるわけでございますが、もちろんその採掘の個所から地表までの間の地質がいろいろございます。それによりまして違った場合も出てくるかと思います。通常の場合におきましては三年ないし五年で安定する、こういうことでございます。
#72
○滝井委員 三年目くらいに鉱害が発生して五年目ぐらいには安定をする、そうしますと六年目くらいからは復旧計画に乗って復旧されることになるわけですね、
#73
○讃岐政府委員 復旧計画に乗るにはこれは条件があるのでございます。つまり臨鉱法で申しますと復旧計画を立てるときは事業団が、鉱業権者の同意を得なければいけません。それから実施するときには被害者の同意を得なければならぬ、こういう条件がございます。なお予算の制限がございまして、先ほど来お話の通り鉱害の量というのは莫大なものでございまして、われわれが年々できる予算の額というものは制限されております。でございますから安定しても直ちには復旧計画に乗せられないというのが現状でございます。しかし先ほど申し上げました通り、先ほど御指摘の鉱害の問題につきましては、数年後には今とは様相を一変したいというようにわれわれが希望して考えておるということでございます。
#74
○滝井委員 まず今御説明いただいたように、復旧計画のためには鉱業権者の同意が要るということなんです。まずここに鉱害復旧が進行しない根本的な原因があるのです。いいですか、石炭は家なり田を持っている人の同意も得ずに黙って下を掘ってしまうのですよ。そうして田が陥没して堤ができてしまったり、お池になってしまう。しかしそれは復旧してくれといっても、おれのところは金がない、いずれぼつほっ掘ったら金ができるから、そうしたらやろう、こういうことになってしまうのです。問題はやはりここらあたりに国がもっと何かてこ入れをする必要がある。少くとも五年で安定するという科学的な常識論が出てきておるからには、六年目ぐらいには、あるいはおそくとも七年目ぐらいには具体的に計画に上るということを推進をしてやるてこ入れが必要なんです。これは鉱業権者の同意がなければできないということになればいつできるかわからないことになってしまう。そこでもう一つ今度は五年目には安定をするということになるが、一体安定するまでのものをどういう工合にしてくれるかということです。たとえば家の戸が動かなくなってしまう。これを炭鉱に交渉しても金がないといってなかなかやってくれない。安定をした場合にはなるほど百歩譲って、これは十年目か八年目か知りませんけれども一般鉱害の復旧計画の中に乗ってくるでしょう。しかし安定をするまでの、大体三年目から現われてそうして五年までの間のものは一体どうなるかということなんです。この点をまず御説明を願いたい。
#75
○讃岐政府委員 鉱害が安定に至りませんでも、鉱害が発生した以上は、鉱害賠償の責任があるわけでございます。でございますから、年々賠償の請求権が成立しておりますので、これは両者間で話し合えば話のつくごとじゃないかと思います。
#76
○滝井委員 私はだから国が特鉱法なり臨鉱法を作ってくれておる。法律というものは、鉱業法を除いては、これは計画を立てて安定したものしかやらないわけです。現在一番紛糾の基礎になるものはその安定するまでの間のものを一体どうするかということなんです。これが盲点になっているのですよ。それは鉱業法ではやらなければならぬことになっておるのです。しかし待って下さい、いずれ安定したらやります、こういうところでしょう。そうしてやってくれる処置はどういうことをやってくれるかというと、たとえば私の家なんか現実に鉱害を受けておりますが、へいが倒れようとします。そうしますと、まだ安定をしておりません。だから応急処置をしましょう、こういうことになる。応急処置というのは、倒れないように突っぱりをちょっとしてくれるだけです。従って当然国が安定をするまでの処置についても考えなければいかぬと私は思う。それを鉱業権者と被害者との両者の間の話し合いにまかしておけば、あとは国が知らぬ顔でよろしいというわけにはいかない。だからそこらの点をあなた方は一体どういう工合に行政指導なりあるいは法律上の規制を今後やってくれるかということなんです。その点を一つ、何もないならないとお答え願いたい。
#77
○讃岐政府委員 そこらの点は大へんむずかしい問題であります。法律上から申しまして、鉱害は賠償をしなければならぬ。賠償は金銭賠償でやるのが原則である、こういうことであります。そこで鉱害を復旧するという臨鉱法なり特鉱法は、これは例外をきめておるわけであります。例外の規定でございますから、鉱業権者の同意を得て、鉱業権者からの納付金も取り、あるいは受益者負担もとって復旧しなければないぬ。これが現在の鉱業法なり鉱害復旧法の仕組みでございます。これは権利の根本に触れる問題でございまして、相当むずかしい問題があると思うのでございますが、特別法のある復旧問題を別にしました鉱害賠償の問題というのは、鉱業法によってなされるべきでございまして、これは紛糾が生じますれば、もちろん通産局なりあるいは鉱害部なりあるいは現地の石炭事務所におきまして紛争の解決に当ります。和解の仲介委員をお願いしまして、和解制度というものもございます。さようなことであっせんはいたしますが、原則は一般の損害賠償の原理と同様にお考え願うほかはないのじゃないかというふうに考えております。
#78
○滝井委員 今局長さんは、一般鉱害と特別鉱害というこの二つの法律は、いわば例外のものをやるのだ、こうおつしゃいます。しからばこの鉱業法にいう安定するまでの間の全部の炭鉱が出している賠償金は一体幾らですか。
#79
○讃岐政府委員 いろいろなものを含めまして金銭賠償が年々二十五億でございます。
#80
○滝井委員 そうしますと、特鉱と臨鉱で出しておる年額は幾らですか。
#81
○讃岐政府委員 事業量は、三十一年度におきましては合計二十二、三億でございます。
#82
○滝井委員 讃岐局長さん御存じのように、これは確実性から言えば例外の方がむしろ多いのですよ。
#83
○讃岐政府委員 その二十五億の中にはいろいろなものを含んでおるのであります。御承知のように安定しましても復旧を希望しない人もあります。そういうような年々の賠償の全部を含めて申し上げたのでございます。
#84
○滝井委員 とにかく例外の方が、普通にいわゆる鉱業法の建前でやらなければならぬものよりかむしろ少くはないという程度にまで、ほとんど同額程度にまで迫っておるというこの現実は――私は例外というのは、鉱害全量の五割にも行くものが例外なんということは言わせられぬと思うのです。日本の現状においては、一般鉱害と特別鉱害によってほとんど全部のものがよくなっていっているのです。われわれのところで安定するまでの五年で家がりっぱになった例というのはありません。ほとんど戸をちょっと直してくれるか、今言ったようにへいがこわれればへいに突っぱりをする程度で、やはり特鉱法とか臨鉱法でなければ家というものはもとの通りりっぱになっていないのですよ。これは事実です。
#85
○讃岐政府委員 ただいま例外が多いというお話でございましたが、そういう趣旨ではありません。例外という趣旨を鉱害が発生してから安定するまでの間ということを例外といたしますならば、それはわずかなことでございます。その他は金銭賠償をやっているということにすきません。
#86
○滝井委員 だから安定するまでの金銭賠償の総額は二十五億だ、こういうことでしょう。
#87
○讃岐政府委員 そうじゃございません。
#88
○滝井委員 そうでなければどうですか。ちょっと二十五億の内訳をしてみて下さい。
#89
○讃岐政府委員 いろいろなものを含んでいるわけでございます。たとえば農地で申しますと、復旧の負担金もございますが、農地につきましては、鉱業権者が復旧したいと思いましても、被害者の方で復旧を希望しない場合があるとこれはできないのです。この場合は年々賠償するわけでございます。そういうものもございます。安定した鉱害でありましても、金銭で賠償するものがあるわけでございます。そこで鉱害が発生して安定し復旧するまでの間の金銭賠償は幾らかというのは、ただいまそれの調査はできておりませんですが、ただ先生の言われるように、それが全額でないことは確心でございます。
#90
○滝井委員 わかりました。安定しておる農地であっても、確かに麦米等の賠償金をもらっておって復旧してないというところはずいぶんあります。それは認めます。とにかく安定するまでの額というものは二十五億よりか下であるということはわかりました。わかりましたけれども、同時に一方においては、その例外というものが特鉱や臨鉱という例外のものが二十四億もあるということなんです。従って私の言いたいのは、そういう特鉱や臨鉱の例外のもののほかに、ほんとうのところ現実に家が傾いたりあるいは柱が傾いたりしておるものを、そこに国が一枚加わって効用回復だけは正確にやってやるような方法を講ずる必要があるのではないか、こういうことを言っている。安定してからのものをやってもらうのは当然です。しかし現実にペンディングしているものをやってもらわなければならぬ、不安定なものについても何らかの考慮が必要でないかということを言っているわけです。そうしますと、法律的な見解からいえば一般鉱害で復旧をいたします。そういたしますと、もうこれは安定をしておるという認定のもとにやるのだから、また一般鉱害にかけるわけにいかないわけでしょう。それができますか、つまりここに一つの田があります、そしてこれが大きく穴があき陥没した。そこでこれを一般鉱害でもう大体安定をしたということで復旧してしまった。ところが二、三カ月したらまた同じことになってしまった、こういうときにはこれはまた一般鉱害でできるかどうかということなんです。
#91
○讃岐政府委員 具体的の場合には、復旧の直後あるいはしばらくを経てと、いろいろあると思いますが、これは工事の不完全、あるいは鉱害の安定不安定の認定の誤まり等のことだと思います。あらためて復旧はできるはずであります。
#92
○滝井委員 そこらあたりできるという御答弁をいただいた。やはりそれをしてもらっておかぬといかぬと思うのです。と申しますのは、AならAという炭鉱が掘った場合に鉱害を起した、そして四、五年たったところが、それからはるかに距離の遠いBがやはり採炭をやって、そして今度脱水現象というのがあるわけです。脱水現象のために陥没してくる。こうなってもこれは一ぺんにやったからだめだ、こういうことでは農民はどうにもならぬ。しかもそれが資力があればいいのですが、ないような場合にはこの問題は非常に複雑になってきて、なかなかうまくいかないということなのです。しかも四つも五つもの炭鉱から出す納付金といいますか負担金を集めてやるような場合には、ますます問題は複雑になってくるのです。今、大体そういう場合はもう一ぺん一般鉱害でやれるという御答弁でございましたので、そう確認をさしていただきます。
 それから標準炭価の中に鉱害の費用というものは大体どの程度入っておるかということです。
#93
○讃岐政府委員 標準炭価の詳しい資料を持って参りませんでしたので、覚書には実際載っておりません。大体標準炭価の二、三%程度でございます。
#94
○滝井委員 実はそこらあたりをもう少しはっきりしてもらいたいのです。ことしの標準炭価は四千二十七円ですね、この中の二、三%じゃちょっとあやふやで困るのです。大体幾ら程度見ているのか、やはりこれは今後いろいろ事業団が計画を立てる場合においても、あるいはいろいろな炭鉱との折衝の場合にもなかなかこれは問題なんです。
#95
○讃岐政府委員 今資料を持っておりませんので、すぐ取り寄せます。
#96
○滝井委員 あとで調べるというなら一応二、三%でよろしいが、その二、三%の中には特鉱関係と臨鉱関係と、それから鉱害の安定するまでの二十五億、これが全部入って二、三%ですか。
#97
○讃岐政府委員 その通りでございます。
#98
○滝井委員 正確なことはあとで聞かしていただきます。
 その次には鉱害であるかどうかの認定の国の機関がないことはさいぜんお認めになりましたが、これをお作りになる意思はございませんか。現にある国の機関、たとえば通産局の鉱害部なら鉱害部に設けて、いろいろの問題を処理してやる、裁判に持っていかずに処理してやる、こういう何かぴしっと認定をしてやる機関というものを作るわけには参りませんか。
#99
○讃岐政府委員 これは先ほど来申し上げますように、われわれの関係では鉱山保安関係とわれわれの関係との共同作業の建前もございますし、また研究問題といたしましては技術的に工業技術院との関係もございます。そういうことでむずかしいボーダー・ラインにつきましては問題はその研究に待つなり、あるいは大学の教授方のお助けを得まして判定していくということでございます。行政機構としてはこのほかに和解の仲介の問題、それから地方の鉱業審議会の中に鉱害賠償に関する部会もございます。そういうような機構でもって何とかやっていける見込みでございます。現在のところ特別の機構は考えておりませんが、なお今後の推移によりましてはそういう問題も考慮に上ってくるかと存ずる次第でございます。
#100
○滝井委員 問題の推移によって今後御検討いただくそうでございますが、やはり現実に紛争になり、そして鉱害問題も片づかずに残っておるという問題は、いろいろだくさんございます。たとえば採掘をしておる部分よりも非常に離れたところに鉱害らしいものが起ったという場合、今まだ残って問題になっておるのはこういうところです。それから井戸水の渇水というものは、現実にその地区を炭鉱が十年前に掘った、現在掘っていない、従って井戸水の枯れたのは私の責任じゃございませんということで井戸水の渇水の原因がわからない。さいぜん申したような田面における湧水の問題、これは一体どこの炭鉱のためにこんな湧水が出てくるのかということがはっきりいたしません。それから耕地に田の水を注いでも水がどんどん減ってしまう、一日に三回も四回も田に水当てにいかなければならぬ、大体どの炭鉱のために水がこんなになくなってしまうのか原因がわからない、肥料の入れ損だ、こういうのがある。それから重複鉱区、鉱区が重複している。たとえばAという炭鉱が上層だけとる、しかし下層はBという炭鉱がとる、こういう場合にどっちの鉱害かということは、具体的にあとでその問題を尋ねますが、わからない。それから鉱業権をAからBに移譲したような場合には一番問題である。特に鉱業権者が租鉱権を設定した場合には、これはどこでも問題です。至るところに問題が起っております。それから炭鉱を廃止した後の鉱業権者の態度です。こういうように実に問題が山積してにっちもさっちもいかぬというのが今多いのです。現実に鉱害賠償が進行しておるのは、臨鉱法と特鉱法の関係か、現実に非常に景気よくやっている炭鉱以外には進捗していないのです。今五つ、六つあげましたが、それらの問題をぴしっと解決していくためには、国の権威ある機関が認定さえしてくれればいいのです。認定さえしてくれればそれから先は被害者が何とかして加害者との間で解決をしていく。ところがまず行ったところであれはおれの方の炭鉱でやったものじゃないといって一言で突っぱねられて、おれがどうしてもやったというならば裁判に持っていきたまえという、裁判の一語で片づけられているところに問題がある。そうすると気の短かいものは何くそといって暴力になる。暴力になると警察が出てくる。結局鉱害問題は、紛糾してくると警察権で片づけているというのが現状です。ある炭鉱のごときはわれわれに面会をしないのです。われわれ国会議員が刺を通じて直会を求めても会わないのです。しかも被害者と加害者と会う状態を見ると、まるっきり裁判所で検事と被告が会う格好なのです。机を隔てて、まるで加害者の方が王者の立場で被害者の方が奴隷の立場です。そしてそういう立場で被害者が腹を立ててすわり込みをやると警察が出てくる。われわれが中に入ると面会をしないのです。こういう実態というものが現在の、特に日本の鉱害が集中的に現われておる筑豊炭田の姿なんです。しかも官庁に、われわれが要請をして積極的に入ってくるだけの勇気があるかというと、それだけの勇気と自信がありません。そこで私はやはり国の機関が出ていって問題を解決するためには、これは鉱害であるという自信と確信を持ったところの国の立場が必要なのです。それがないところから現在の地方の鉱害部が、その日その日お茶を濁しておる格好になってしまう。問題がむずかしくなるとわれわれのところに問題が持ち込まれてくる、こういう格好です。従って今申しましたように、これは事態の推移を見るのではなくして、速急に勇気を持って局長さんの方で作ってもらわなければならぬと思うのです。この問題ができればずっと解決していきます、もっと早く鉱害問題は解決をすると思うのですが、今私が五つ、六つあげた実情から見るとそういうことが必要だと思いますが、推移を見なければならぬでしょうか。
#101
○讃岐政府委員 話が少し鉱害認否の問題に触れてきたような感じでございますが、さようじゃないのでございましょうか。鉱害が安定したかどうか、そういう判断の問題であります。事宝その鉱業権者の採掘行為に基く鉱害であるかどうかということはまた別問顧でございます。技術的に、非常に近似した技術的知識をもって判断することは違いありませんが、二つの問題があるわけであります。そこで鉱害の認否の問題につきましては、けさほどから政務次官から御説明申し上げましたように、われわれの今持っております方針は、昨年の商工委員会の決議に基きまして測量制度を樹立いたしましたり、和解の仲介制度を樹立いたしましたり、各種の手段をもちまして何とかしてやって参りたい、こういうことでございます。技術的な問題につきましては、工業技術院は来年度も研究を進めていく、こういうことでございますから、御了承をお願いしたいと思います。
#102
○滝井委員 いろいろ研究をしていただくことはわかるのですが、もう研究の段階ではないのですね。急速に現楠ではトラブルが毎日々々起っているのですから、われわれがもし現地へ行ってごらんなさい、われわれのところに鉱害問題を何件も持ってきます。弁護士に頼んだら金が要るから、農民は頼みつこないのです。だから県会議員か国会議員を動かしてやる以外にない。だからわれわれが仲裁機関みたいになっているのです。そういう姿というものはとるべきでない。だからそういう現地のいろいろのトラブルというものは、一現地の鉱害部長だけではどうにもならない。そこに急速にやはり権威あるものを作って、そうして積極的に推進をしていくということでなくてはならぬと私は思うのです。
#103
○長谷川政府委員 滝井さんのお話もよくわかりますし、また石炭の今日までの考え方というものには、要するに炭鉱というものに対しての保護政策という点については、十分考えられてきたと思うのであります。ところがその方でなく、今度は鉱害という点についても、当然考えなければならないという意見が本委員会からも出まして、それに応じまして今日のような法案を提案しておるのであるし、特にただいまの御意見等を聞いてみますと、またまことにごもっともな点が多々あると思うのでありまして、きょう保安局の方と技術研究所と、さらにまた鉱山局の方と会って、そうしてどの点まで私たちにおいて考えられるか、また御意見に従ってそのようなものが急速に必要であるかいなかということに対しては十分検討をしてみなければはっきりした御返事を申し上げられないと思うのですが、その点において一つ御了承を願いたいと思うのであります。
#104
○滝井委員 検討してみてけっこうでございます。しかし現実は今言ったように日々これトラブルなりということだけを一つよくお考えになって、そうしてこれを急速に解決するように措置していただきたいと思います。
 そこで合理化法との関係です。石炭合理化法ができましてから、ぽつぽつ買いつぶしの炭鉱が出て参りました。この炭界の好況にかかわりませず出てきております。これと鉱害――臨鉱法なり特鉱法との関係は一体どうなるかということ、これをまず一応、合理化法にかかったあとの処置の問題を一つ先に御説明願いたいと思います。
#105
○讃岐政府委員 合理化法によりまして石炭鉱業整備事業団が炭鉱を買い上げます。その場合に不安定鉱害につきましては、この不安定鉱害の賠償に必要な金額を炭鉱の賠償代金から差し引きまして、石炭鉱業整備事業団が鉱害復旧積立金という形で資金を確保いたしまして、将来の賠償に備えるわけでございます。
#106
○滝井委員 その場合に特別鉱害、これとの関係はどうなりますか。
#107
○讃岐政府委員 特別鉱害も全然同様でございます。
#108
○滝井委員 全然同様といっても……。
#109
○讃岐政府委員 失礼しました。安定鉱害は処理した後に買い上げるということにいたしておりますから、安定鉱害は片づいてしまうわけです。不安定鉱害だけを、賠償金額を積み立てて今後を処理する、こういうことであります。
#110
○滝井委員 そうしますとその合理化法にかかってそこにまず特別鉱害があれば、安定したものについてはそれはもう特別鉱害の会計の方でやってしまう、そうして特別鉱害の中の不安定なものについては、さいぜんのあなたの御意見のように一般鉱害になるのだから、その分のお金というものは事業団が確保していく、こうなるわけですね。わかりました。そうなりますとその場合に、一体被害者と鉱業権者いわゆる買い上げられる鉱業権者、それから事業団、この三者の協議の場というものがなければならぬと思うのですね。それは鉱害をやる場合には鉱業権者の同意が必要です。同時に合理化にかかった場合には、被害者の同意も必要だと思います。従ってその場合に、これは一方的に事業団がぽっと買い上げてしまって、なまはんかな同意と言っちゃおかしいが、農村ですからめくら判をつくような形でいってしまう場合が多いのです。将来整備事業団が鉱害復旧をやるためには、それを順当に遂行していくためには安定したときにやることになるわけでしょう。そうするとやはりそこに被害者と現実の鉱業権者と、それから整備事業団との三者の間で話し合いを持つ何か会議といいますか、場というものを作っておかないと、これはあとで問題が起ってくる可能性がある。そういう点は、どういう行政上の指導なり、具体的な処置をするのか伺いたい。
#111
○讃岐政府委員 鉱害復旧事業団が基本計画を作るときには鉱業権者の同意を要する、それから実施計画を作るときに被害者の同意書が必要になって参ります。そこでそういう建前からいきますと、鉱業権者が石炭鉱業整備事業団であろうがそれ以外の鉱業権者であろうが同じことでありまして、鉱害が安定しましたときに鉱害復旧事業団がそのつど、石炭鉱業整備事業団なり被害者なりと協議すればいいことになっております。別に変ったことはないと思います。
#112
○滝井委員 だから安定した後の問題はそれでわかります。ところが問題は安定しないまでの期間、現実にどんどん掘っておる炭鉱が買い殺されるのです。そうして不安定の鉱害というものがぐっと残っておる。戸も動かない、障子も動かない、屋根も落ちそうになっているのです。それは買い上げられたら当然整備事業団がいわゆる長期の一般鉱害に属する計画と同じようなもの以外に、そこにやってもらわなければならぬ問題が出てくると思うのです。現実に不安定な、効用を早く回復してもらわなければならぬというものが出てくる。この処置はどうしますか。
#113
○讃岐政府委員 鉱業権者といたしまして、石炭鉱業整備事業団が被害者に賠償をすることになります。
#114
○滝井委員 鉱業権者が被害者に賠償するということでありますが、買い取られるような炭鉱というのは非常に債務が多い。それから税金の滞納が多い。社会保険の滞納が多いのです。そうすると、銀行やら国税庁やら地方自治団体が取り上げてしまって金が残らない。未払い賃金もある。その場合に鉱害というものは先取得権があるわけでも何でもない。鉱害の賠償というのはあとに回されて残る。そうしますとそれがりっぱに効用を回復するためには、いわゆる安定をしたと認定を受けて、一般鉱害と同じように事業団がやるときまで待たなければならぬという事態が起ってくるのです。こういう事態というものは、炭鉱を売って金がふんだんにあって、借金も払って金がうんと余れば鉱害に回ってくると思いますが、しかしそういう場合は少い。筑豊の合理化にかかっている炭田を見ると現実に少いのです。そういう場合の処置を一体どうするかということです。
#115
○讃岐政府委員 不安定鉱害でもそれは売手の鉱業権者が処置するのじゃないのです。不安定鉱害だからこそかえって整備事業団が責任を持つのです。でございますから売った方の鉱業権者は関係はございません。そこで鉱業権者である整備事業団と被害者との関係は、一般の鉱業権者と被害者との関係と同じ事態になって現われるわけです。
#116
○滝井委員 これは大事なところでございますから確認をしておきますが、そうしますとAという炭鉱が買い上げられたと上ます。まず不安定の分については、とりあえず効用を回復する程度に、戸が動くように、あるいは屋根が落ちようとすればそれをもとに直すくらいの応急的な処置は、第一段階として整備事業団がやってくれる。そうしてさらに安定した後に恒久的な復旧を整備事業団がやってくれる、こういう二段がまえであると考えて差しつかえありませんね。
#117
○讃岐政府委員 その通りでございます。
#118
○福田委員長 この際暫時休憩いたします。本会議散会後、再開することといたします。
    午後二時二十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時一分開議
#119
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を継続いたします。
 質疑に入る前に、ただいま讃岐石炭局長から発言を求められておりますので、これを許します。讃岐石炭局長。
#120
○讃岐政府委員 先ほどの御質問で、標準炭価の中に賠償費を幾ら計上しておるかという御質問がございました。一トン当りにしまして平均六十三円となっております。
#121
○福田委員長 滝井義高君。
#122
○滝井委員 質問を続けさしていただきます。
 さいぜん合理化法にかかった炭鉱のいろいろな事後処理の問題について質問をいたしましたが、それに関連してもう一つ重要な問題があります。それは現在合理化にかかる炭鉱が簡易水道をやっておる。そしてその筋易水道の運営の経費というものは全部鉱業権者の経費でまかなっておるわけでございます。そうしますと合理化にかかりまして一切の権限が事業団に移ったのちにおける簡易水道の経常費というものは一体だれが持つかということです。これは市町村が持つことになるのか、それとも依然として鉱業権者の一切の権限を引き継いだ事業団が持つことになるのか、この点を一つ御説明願いたい。
#123
○讃岐政府委員 簡易水道の維持管理費の支出の問題でございますが、これは炭鉱が必ず出さなければならぬということは一般的には言えないのじゃないかと思います。これは管理者と炭鉱との契約によりましてその負担の原則がきまってくるのじゃないか、従いましてその炭鉱にそのような鉱害がありまして、それを石炭鉱業整備事業団が引き継ぐ場合におきましては、その契約を具体的に検討いたしませんければ、一般的にどうするということは申し上げられないと思いますが、個々の場合について検討いたしまして、どうしても事業団が引き継ぐべき性格のものであることがはっきりする場合におきましては、事業団がこれを引き受けることになると存じます。
#124
○滝井委員 きわめて抽象的なことでわかりにくかったと思うのですが、いいですか。炭鉱が簡易水道をやっておるということは、私の言う場合は鉱害です。鉱害のために井戸水が枯渇した、そのために簡易水道を作った、こういう場合があります。それから、簡易水道を作るには相当莫大な金が要る、従って水をくんであげましょうといって一軒々々の被害を受けておる世帯に対して水を配るといいますか、くんであげる場合があるわけなんです。これはいずれにしても同じなんです。炭鉱が合理化にかかってぴたっと休止をしたからといってすくには井戸水は出ません。また出ても、井戸水というものはいわゆる金けがありまして飲めない。そうしますと当然そのあと簡易水道なり飲料水の補給を炭鉱がやってくれなければならぬ。一体それは市町村がやるような形に――簡易水道ならば市町村が受け継ぐことになるわけでしょうが、しかし井戸の水をくんで差し上げるという場合があるのですから、そういう二つの場合をひっくるめて――きわめて具体的にそういう場合があるわけです。その場合には、さいぜんの御意見の通り、一切そういうものは事業団が引き受けていくという格好になるかどうか。それはいわゆる安定するまでの間は応急的臨時的なものは事業団が見るという御言明がありましたので、私はその範囲に属するという考えを持っておる。ところが簡易水道なんというものは、一つの暫定的な臨時的な措置ではなくて、ほとんど半恒久的にその地区の飲料水を補給するために作られたものです。そういう恒久的なものまで同時に整備事業団が持つか持たぬかということを確認しておかないと、これは今後重大な問題になってくる。
#125
○讃岐政府委員 先ほども申し上げました通り、簡易水道等の問題につきましては、個々の場合にケース・バイ・ケースに判断するものだと存じます。つまり井戸水が渇水しまして、それに対する賠償といたしまして、簡易水道を提供するという形の場合、原則としては水源があれば、簡易水道を作ることによって被害人口に対する水の供給ができるわけでございますから、その程度にとどめられるべきだと存じます。しかしながら賠償の一つの形態といたしまして、常に水源を供給しながら水を維持しなければならぬ、こういう場合におきましては、お話のようにそのような炭鉱の鉱業権を引き継いだ場合においては、鉱業権者である石炭鉱業整備事業団が引き継がねばならないという場合もあると存じます。しかしこれは一般的に言えることではございませんで、賠償と復旧とそれに伴う特約とでも申しますか、そういう契約によってきまるべき事項であると存じます。
#126
○滝井委員 たとえば農地も家屋もあるいはそこらにある公共的な施設も、全部事業団が復旧してしまった、しかし依然として井戸水が出ない、こういう場合にはこれを恒久的に整備事業団が見ていくことになると思うのですが、今の理論からそう確認して差しつかえありませんか。
#127
○讃岐政府委員 どうしても事業団が引き継がなければならないという前提に立ちますと、さようなことになると存じます。そこで毎日水をくむべきかあるいは別に水源を設けて供給すべきかという問題も起ってくるのではないかと存じますが、ともかく前提といたしまして、事業団が引ぎ継かなければならないということがはっきりするとしますと、これは事業団が責任を持って引き継ぐわけでございます。
#128
○滝井委員 大体明白になりました。
 次にもう一つ少し疑問に思う点は、たとえば具体的に例を出した方がわかりいいと思いますが、私の方にたぎりというものがあります。泌泉と書いてわれわれの方でたぎりと読むのですが、すっと昔から湧水をして二百町歩の田を灌漑しているわけです。ところがその付近に無数に炭鉱ができまして、二百町歩を灌漑するたぎりの水がぴたっと出なくなった。これは無数にそこに炭鉱があるために、どの炭鉱がやったかということは、実は坑内を調べるとわかるのです。というのが、今までたとえば二十立方の水を揚げておったものが、地下水の流れている水道と申しますか、それに突き当てますと、一挙に百立方になった、こういうことになれば、そのところが大体突き当てたということが言えるわけです。ところがその炭鉱だけに言っても、なかなか私がやりましょうとは言いません。従ってそこらの関係する五つ、六つの炭鉱が全部集まって鉱害を賠償しよう、こういう形が出てくるわけなんです。こういうような、どの炭鉱がやったか外観的に見たら明白でないというような場合に、その地区の住民はどの炭鉱に交渉していいかわからぬわけです。従ってこれは当然通産局に行くことになるわけですが、今の形態からいうと、通産局がこれらの関係炭鉱を呼んで相談して、あなたの方で負担金と申しますか、納付金というものを納めて、そして一つ臨鉱法にかけたい、こういうことになるわけです。こういう今一つの具体的な例で言ったのですが、今のような、筑豊炭田のような老朽化した炭鉱地帯においては、もはや原因がわからぬですね。どこがやったかわからぬ、こういう場合に、役所が積極的にそれに乗り出してくれればいいが、なかなか役所も忙しくて乗り出せぬという場合があるのです。今後非常に炭田が古くなるとそういう例が多くなってくるのですが、こういう場合は局長さんの方ではどういう行政指導なり措置をやっていくつもりなのか、考え得る方法があれば御説明願っておきたいと思います。
#129
○讃岐政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、答弁もなかなかはかばかしくないのでございますが、まずそういう場合におきまして、その被害が鉱害であるかどうかということは非常に大きな問題であろうと思います。そこでそれが鉱害であったと仮定しましてお答えさせていただきたいのでございますが、それが鉱害であった場合におきましては、従いまして、付近に数個の鉱区がある、その鉱区の共同責任だということもはっきりしてくるだろうと思うのでございます。そういうような場合におきましては、各炭鉱に負担の割当をいたしまして、共同の責任をもちまして賠償の責任に当る、かように今日までも指導して参っているわけでございますが、今後もその方針をとって参りたいと存ずる次第でございます。
#130
○滝井委員 その場合に、四つ、五つある炭鉱がみんなよろしい、こう言えば話がわかるのです。ところがそのうちの一つの炭鉱が、おれの方は技術的に自信を持って全然関係がないのだ、こうなりますと、あとの四つは、あの炭鉱が払わなければおれたちも払わない、こうなる。結局まとまった話はどうなるかというと、百の被害があったのに二十くらいしかやらない。それはどうしてかというと、話がまとまるときには出す納付金というか、分担金が少くなってしまう。従って監督官庁としてもやむなくまあまあしばらくがまんしなさいと言ってちょっとしかやらぬ、こういうことになる。こういう場合が最近はわれわれの地区においては多くなってきているのです。どこかわからない、鉱区境になった日には相錯綜してくるのです。こういう場合はとにかく法律は書きにくいけれども、もはや筑豊炭田の現状は非常に古くなっているということから考えて、やはりそこにずばりとそういうものを解決する道、あるいは行政指導のできる姿を作っていかなければならぬと思う。そのために今被害を受けている者が農民であり、あるいはその水を飲料水としている住民なんです。それでそのまま何も処置ができないのです。今のをころ炭鉱にこうだと言ってやる方法がないのです。これはあなたのところの現地の鉱害部長なんか実際非常に困っている。呼び出してもみな来ればいいけれども、五つのうち三つしか来なくて二つが来なかったときは処置ないのです。これを綱つけて来させる方法がないのです。そうしますと結局おざなりの鉱害の処置になってしまう、これが現状なんです。こういう点は一応宿題にしておきますから、研究をしてもらいたいと思う。
 それからそれと同じことが、今度は鉱業権者と租鉱権者の場合に言えるのです。たとえばAという鉱業権者がBという租鉱権者に鉱区の一部をやらすとします。そうしますと、Bというその租鉱権者が乱掘をやって、非常に莫大な鉱害をその地区に起したといたしますと、当然被害者はそのBという租鉱権者に向って鉱害の復旧の要求をいたします。そうしますと、そのBという租鉱権者が、大して資力がない。だから私は鉱害の復旧はやる意思はありますが、今は金がないからできません、こうなる。そうしますと、被害者は今度は鉱業権者のところに行くわけです。もうBという租鉱権者はやれないから、一つ鉱業権者であるあなたがやってくれ、こうなりますと、よろしい、やりましょう。しかしそれは私の租鉱権者であるBが、私はやりません、こうあなた方に明言した場合には私がやりましょう、こう言うのです。そうしますと、Bの租鉱権者は、いや、私がやります、ただし、今は金がないからしばらく待て、こういうことなんです。そうしますと、大体鉱業法は連帯責任になっております、百九条だったかで。何ということはない。連帯責任だけれども農民にしても被害者にしても取りつく島がない。一体こういう場合のきめ手は大体どうしたらいいのでしょうか。この法律の施行に当っておるあなた方は一体どうするのですか、そういう場合には。
#131
○讃岐政府委員 まず乱掘をするというお話でございます。乱掘はやらせないように施業案で十分監督して参るわけでづ。従いまして施業案に違反したり、あるいは施業案を出さずにやったり、そういうことはあるいはあるわけでございます。そういう場合における監督の方法としまては、場合によりましては鉱業権の停止というようなこともあるわけでございます。さて現実に被害を生じましてその賠償のやり方をどうするかという問題でございますが、租鉱権者も鉱業権者も責任を持っておるわけでありまして、相手がどう言ったからということはこの場合問題にならぬということでございます。われわれとしましては、賠償が円滑にいきますようにいかなる場合においても誠意を持って働いているつもりでございますか、十分賠償ができますように指導する方針でございます。
#132
○滝井委員 結局局長さんたちは非常に誠意をお持ちであるということは今の答弁でわかるのです。しかし現地の状態は、結局租鉱権者にしても鉱業権者にしても、いよいよ都合が悪くなると、今のような工合になってしまってどうにもならぬというのが現状であるということだけは一つ御認識をいただいておきたいと思います。
 そこで、それに関連して今施業案の話がいろいろ出てきました。まずこういうことがある。特鉱漏れというのかある。たとえば十軒の部落があります。そうしますと、部落のまん中の十軒のうち八軒は特鉱になっておる。二軒は特鉱になってない。これは一体どういうことかということなんです。いや、そこはどうも正直に言うと特鉱漏れでございました、こう言うのです。なるほどあの法律は鉱業権者がやるとともに関係者もやることができることになっておる。
 ところが今ごろ八軒が特鉱になっておるから自分のうちも特鉱になっているだろうと善意に思っていたところが、いよいよやる段になって、君のところはできないんだ、特鉱漏れだ、こうなんです。こういう特鉱漏れの救済措置があるかないかということです。これはこの法律が昭和二十五年にできたときには、大衆は知らないでしょう。私らでも知りませんでした。これはよほど専門にやっている人以外には知らない。そうしますと、今ごろになって初めて隣近所の家がりっぱになって、自分の家もしてもらえないかと思って行ったら、あなたのうちは特鉱漏れでだめだ。じゃ、今から申請します。いやあれは期限が切ってございます、だからだめでございます。そうすると今度は妥協で一般鉱害でしてやりましょう、こういうことになるでしょう。特鉱は一般鉱害でできないはずです。特鉱が一般鉱害になったり一般鉱害が特鉱になったりするのでしょう。しかも、道路の隣までは特鉱ですわ。道路を隔てた隣はもう特鉱でない、こういう場合がある。その場合、ではその道路を隔てた隣が特鉱ではないというならば地図を見せて下さいというと、地図は見せられませんという。あなたは施業案とおっしゃっているけれども、普通の人が鉱山監督当局に行って地図を見せて下さいと言っても、絶対見せません。それはわれわれが行ってよほど話し込めば地図は見せるかもわかりません。しかしその地図が信用できる地図であるかどうかということは疑わしいのです、もう今から十年も十五年も二十年も前に掘ったものですから。その通りであるかどうかということの信憑性がむずかしくなる。そこでわれわれとしては、今度はその当時坑内に働いておった人を連れてきて、大体君はどういう工合に掘進をしてどういう工合に掘っていったのだというと、いや、確かにあの下は掘ったんだという説明を故老がしてくれるけれども、そういう故老の説明は出るところに出たらだめなのです。だからそういう鉱害問題に当って――あなたは施業案というものをおっしゃいましたが、それならば坑道をどういう工合に進んだか、この坑道のこの地点は地上でいえばどの地点になるのだということは、やはり大衆が行ったら鉱山監督当局は懇切丁寧に説明をしてそれを見せるだけの雅量と公開性と民主的なる精神がなくてはならぬ。これが今やられていないのです。これは炭鉱に行っても絶対見せません。だからこういう点が――施業案々々々とおっしゃいますけれども、施業案なんというものはでたらめなんですよ。私も農地委員をして農地法でずいぶん施業案にも関係しましたが、施業案というと、農地法なんかその通りやるかと思ったらやりもどうもしない。施業案の通りやりはしないのです。施業案というものはそのときそのとき作っていく。従って、誠意をもって御指導いただいておるということは実はよくわかります、よくわかりますが、現実の状態というものは今申したようにそういう状態でない、こういうことなんです。それでどうですか、いわゆる坑内地図というものを大衆に公開はできないものかどうか、これは秘密も何もないと思うのです。
#133
○讃岐政府委員 その点はかつて衆議院におきましてか参議院におきましてか私存じませんが、国会においても審議されたことがあるかと存じます。われわれの解釈によりますれば、施業案というものは鉱業権の内容であります。内容そのものであります。これは個人の財産権でございます。本人の承諾がある場合は別といたしまして、その財産権の内容をあずかっておりますものといたしましては、第三者に公開するということはとっておらないのでございます。
#134
○滝井委員 そうしますと特鉱の申請漏れというようなものの救済の措置は一体どうしてくれますか。
#135
○讃岐政府委員 その問題は非常に残念なことだと存じます。実際人間のすることでございますから誤まりがあったのじゃないかと存じますが、救済と申しましても特別鉱害復旧臨時措置法におきましては特別鉱害として認定しなければならないという要件がございます。その認定に期限のあることもただいまお話の通りでございます。それが済みまして時を経まして今日におきまして特鉱漏れだということが発見されたといたしましても、もはやこの法律では救済の手段がないのでございます。しかし特鉱に認定されなかったということから、これは一般鉱害であるということに解釈することにつきましては何ら疑いはないと思います。そこでわれわれとしましては、やむを得ぬ措置といたしまして、一般鉱害として賠償なり復旧なりの努力をいたしたいと存じます。まあ復旧の結果につきましては同様の結果は期待することもできるのじやなかろうか、さように考えておる次第であります。
#136
○滝井委員 そうしますと、特鉱漏れのものも一般鉱害としては一応救済が考えられる、そういう方向でやってもよろしい、こう理解して差しつかえありませんね。
#137
○讃岐政府委員 さようでございます。
#138
○滝井委員 だんだんわかって参りました。そういうように理解をいたしておきます。
 次には、一番問題なのは打ち切り補償というやつです。われわれのところには、主として大手筋なんですが、どういう一札を入れておるかというと、今から二十年も三十年も前に、われわれの父の時代に、私の家屋を復旧をしていただきました、もう今後孫子の末まで一切賠償ということは申しません、こういう一札を書いて入れておるわけです。そこで、最近になってから、今度は、その同じ鉱業権者の租鉱権者、あるいはその鉱業権者そのものが掘ることによって、陥落が起ってきます、家が狂ってくるわけです。そうしますと、その炭鉱に行くわけです。今暴力事件その他が起るのは、これが一番原因になってきておるのです。あなたは知っておるか、あなたのお父さんの時代にちゃんとした証書が入っております、覚書が入っております、これでございます、と炭鉱側は出します。なるほど見るとおやじの判を押して、孫子の末まで鉱害については一切何も申しません、こう書いてある。そうすると、ぐうの音も出ない。ところが打ち切り補償は、鉱業法の百十四条に、これは損害を必ずしも予見することができないので、「損害賠償の額が予定された場合において、その額が著しく不相当であるときは、当事者は、その増減を請求することができる。」と規定をしておるわけなんですね。この「額が著しく不相当である」ということなんですが、これは一体だれが不相当と見るかということです。これは炭鉱側から見れば不相当でないといえるし、われわれの側から、被害者の側から見れば不相当であるといえる。そこでどういうことが行われているかというと、こういうのです。あなたの家はごらんの通りこういう証書があります、この証書、覚書によってあなたのお父さんに私の方の炭鉱としては当時の金で、昭和三年なら三年で五百円支払いました、ところが、現在の日銀の物価指数を昭和三十年と比べてみると、ちょうど四百倍でございます。だから、あなたの家には当時のお金で、換算してみると二十万円払っております、ところが、今のあなたの家の被害状態を見ると、それは十二万円です、八万円炭鉱にお返しなさいというのです。今度炭鉱の方から返せというのです。そうしますと、無知の農民被害者というものはどうにもならぬ、それがあなた不服であるならば裁判に持っていきなさい、こういうのです。だから、この著しく不利益であるなんということは一体どうするかということです。こういうことで、結局もうできぬ、自分で行つちやだめだ、もう十回も二十回も行ってもだめなんだからということで、そごにブローカーができるでしょう。これは必然にできるのですよ。だれかに頼まなければならぬという格好になってくる。従ってこの鉱業法の百十四条の打ち切り補償における今のような場合の取扱いですね、今のように孫子の末まで文句は言いませんと書いておってもそれはだめだ、そういうことは二十世紀の後半における民主主義の新憲法のもとでは通らぬと御言明いただけるか。それとも、それは正確なものであって――これは民法の四百二十条か何かに関係すると思いますが、それは私的な契約であるからどうにもしようがないとおっしゃるのか、そこらあたり一つ……。これは今後非常に問題になってくるところなんです。大手筋から中小、中小からさらに小さいところに次第に炭鉱が移譲されていくにつれて、この証文は力強いものになって生きておるというのが今の筑豊炭田の現状です。一つ明快なお答えを願いたい。
#139
○讃岐政府委員 鉱業法の解釈の問題でございます。これは鉱山局で所管いたしておりまして、私どもはこの法律に基いて特別法である臨鉱法なり特鉱法でやっているわけでございまして、鉱業法の解釈を実は自信を持って申し上げることは、あるいはできないと申し上げる方がいいのかと存じますが、私どももこの鉱業法に基いてわれわれの仕事をしているという建前から、一応私から申し上げます。そこでもし誤まり等がございましたら鉱山局長から御訂正を願うことにいたします。鉱害賠償の額が予定された場合において、その額が著しく不相当であるときは、当事者はその増減を要求することができるということになっております。そこでその著しく不相当であるという判定の時期は、その当時に予想したことでありまして、その後出てきた被害を考えるというのが原則であろうと思うわけでございます。物価指数ではじいてみて四百倍だからどうだということを直ちに適用することは私は不適当ではないかと存じます。そのときの物価の状況と現在の物価のバランスの関係等もございますので、実情に即して判断すべきじゃないかと思いますので、物価指数の変動だけをこれに適応して考えるということは不穏当ではないかと存じます。
#140
○滝井委員 どうもちょっとわかりにくい。それじゃもうちょっと突っ込んで言いますと、二十年前に打ち切り補償をもらいました。ところが現在戸が動かない、家も狂ってきた、このときには鉱業権者に賠償を要求する権限はありますね。
#141
○讃岐政府委員 その場合も一般的に申し上げることは困難かと思いますが、当時におきましていわゆる打ち切り補償、予定した賠償がありまして、そのときに予定された範囲内のことでありますならば、その後発生した鉱害といえども賠償の請求はできないというのが原則であろうと存じます。しかし予定ということでもありますし、著しく不相当であるという場合もあるわけですね。予見することのできなかった鉱害が起ったという場合におきましては、新しい問題となるべきものだと考えます。それの判断につきましては、当事者間にかわされた契約の問題と、それからその当時当事者間の話し合いの言外の実情と申しますか、そういうものも判断いたしまして、個々ケース・バイ・ケースに考えるべきではないかというふうに考える次第でございます。
#142
○滝井委員 答弁で逃げる文句として、ケース・バイ・ケースというのをどこのお役所でも言いますが、筑豊炭田に行くとほとんど普遍的にあるのです。孫子の末まで文句は申しませんという一筆が入っている。しかもそれは今から二十年、三十年前のものです。これはきわめて具体的なものだから具体的にお答え願いたいと思うのです。現実に炭鉱は何層もあるわけなんですから、まず一層を掘るときにそういう打ち切りをやっておいて、そうしてしばらく掘らずにいる、また何年かおいて二層、三層を掘るというのは、今のあなたのお言葉で言えば明らかに予見されることのできない鉱害です。そんなに二年も三年もあるいは五年も十年も後に掘ったらどんな鉱害が起るかということは、神ならぬわれわれは予見することはできません。ところがその当時は、今から二十年前は、自分の鉱区なんだから、あとになって技術が発達すれば深い層までとるのだ、こういうことを考えておるわけです。おそらくやっと打ち切った鉱業権者はこう考えておった。鉱業権者から言えば予見することができておるとしても、こちらから言えば、わしのおやじは予見していなかったという水かけ論になってしまう。そこで私の方の意向を了承できないなら裁判所に持っていきなさい、みなこれです。だからそこを裁判所にまで持っていかなければならぬものなのか、それともそういうものは役所がぴしゃっと折り目を正して決裁をして、予見すべからざるものである――だから二十年、三十年前にやったものはもう効果がないとあなたがここで断言できればいいのです。ケース・バイ・ケースということになれば、答弁いただかないのと同じことになってしまう。
#143
○讃岐政府委員 事案としては普遍的に発生しているということも考えられますわけですが、しかし鉱業権者側の技術の状況からいって、それほど深部まで採掘できるかどうか、そういう問題もございます。鉱区の大きさ等からいきまして、それほどのことを当時において考えられておったかどうかというようなことも判断の資料になるかと思います。やはりこれは鉱業権者側の事情と、それから被害者側の事情を個々に判断しなければ、何とも申し上げられないのがほんとうかと思います。しかし究極におきましては、これは裁判所が決定いたしまして判例となってわれわれの行政を規制していくということになるわけでございます。私どもといたしましてはそれ以前の問題として、行政的に臨鉱法の適用なりそういう仕事があるわけでございまして、それまでに何とか判断はいたしたいと存じますが、ここで申し上げられることは、個々の場合についてしさいに検討いたしまして、それが予見された鉱害であるか、あるいは予見されなかった鉱害であるかということで判定を加えるほかはないと存じます。
#144
○滝井委員 一応そういう証書を取りかわしておっても、それは被害者を的確にきめるものではない。これはやはりケース・バイ・ケースによって検討すれば、孫子の末まで異議は申しませんというものを入れておいても、これは明らかに鉱害の対象となり得るということは大体わかっておるようでございますから、さよう了承いたしておきます。
 次に盗掘の問題です。鉱業権者と無関係に盗掘が行われたときの鉱害の責任は一体どこにありますか。
#145
○讃岐政府委員 鉱業法に基かずに、従って鉱業権に基かずに採掘をしたという場合でございまして、これは鉱害とば言えないのじゃよいか。従いまして違法行為に基く被害でございますので、これは一般の不法行為と考えるほかはないと思います。
#146
○滝井委員 そうしますとその場合に被害を受けた人は、盗掘をした人を相手にして賠償してもらうなり裁判を起す以外にない、こういうことになるのですか。
#147
○讃岐政府委員 さようでございます。
#148
○滝井委員 そうすると、盗掘した人が全然行方不明でわからない、こういうときにはいわゆる所在不明という今度の一般鉱害の改正に当てはまるかどうか。
#149
○讃岐政府委員 その場合にそれが鉱害とは言えないということを申し上げておる次第でございます。従いまして所在不明の鉱害と言えないということであります。
#150
○滝井委員 これは非常に重大ですが、そうしますと、その被害者は泣き寝入りだということになるのですね。手の施しようがないじゃないですか。
#151
○讃岐政府委員 さよう解釈するほかないと存じます。
#152
○滝井委員 どうもそこらあたりは私は非常に問題があると思うのです。それではもう少し問題を進めていきます。しからばその盗掘者が、鉱業権者に採掘をした炭料に相当する賠償金と申しますか、それを支払った場合には、この責任は一体どこにありますか。
#153
○讃岐政府委員 盗掘者である場合には、同様でございます。
#154
○滝井委員 そうしますと、鉱業権者が金を取って、おってもどうにもならぬ、こういうことなのですね。その場合に、炭料を支払ったばかりでなくして、たとえばAという鉱業権者がBという租鉱権者に自分の鉱区の一部をやっておった。ところがそのBという租鉱権者がAの鉱区を盗掘してしまった。そしてAという鉱業権者は自分の譲っておる租鉱権の範囲内でBは石炭を掘って、自分に斤先料を納めておる、こう思っておったというわけです。その場合に被害が起った。Bの鉱区でないところに被害が起ったので、被害民は鉱業権者のところに行ったところが、いやあれは私は知らない、それはBが盗掘したのだから賠償の責任がない、あなたの今の理論ではこうなっていくのです。そういう理論になると、今後大手の炭鉱はみんな租鉱権者に出して、掘らして、斤先だけ取って、私は知りません、あれはみんな私は知らなかった、盗掘をやったのだといって、鉱業権者は全部責任をのがれますよ。そういう理論になると思いますが、その点どうですか。
#155
○讃岐政府委員 例外としてそういう場合は起り得るかと存じますが、先ほど来申しました通り、施業案によりまして厳重に監督して、さようなことのないようにしていくわけであります。ただいま例をあげられました大手の場合等におきましては、そういうことは絶対にないように監督できるはずでございまして、そういう事態は一般的な事態として起り得ないのじゃないか、さように考えます。
#156
○滝井委員 それが起り得ておるんです。現実に私のところにあるんです。Aという炭鉱がありまして、そしてBという租鉱権者からどんどん斤先を取るし、一切の炭鉱の財産をAが押えてしまっておる。そして譲った租鉱権以外のところをBが掘ってしまったのです。同時に鉱業権者であるAもまたそのかすを取っておるのです。ところが上層の方は租鉱権者が自分の知らないうちに取ってしまったのだ、だから私の方は鉱害の責任はありません、しかし私の方の取った下層の分についての鉱害というものは、鉱業権者として私は認めましょう。しかし上層は私の鉱区内であるが、租鉱権者が掘ったものである、盗掘であるから、今のあなたの説明によって、私は責任を持ちません、こういうことになってくる。そうすると、相当広範囲の被害家屋なり被害農民というものは方法がないのです。こういうことになるのですか。しかも今のように施業案というもので厳重な監督をしておるということなら、施業案を実際に行なった結果からいえば、監督不行届きの役所自身が責任を負わなければならないということになれば、国が責任を負うということに落ちつく。現実に起り得ないのじゃない、私のところにある、しかも坑口が同じである。通産局は同じ坑口を許可しているんですよ。
#157
○讃岐政府委員 あげられた例は非常に具体的でございまして、例外としてそういう場合もあったのかと存じます。そこで法律的に筋を進めていきますと、その場合においては、下層を掘った鉱業権者がその限りにおいてその責任を負う。それから盗掘した租鉱権者が、その場合盗掘ということが事実でありますならば、その鉱害を復旧するに当りまして、これは不法行為者でありますから、損害賠償の責任を持つべきであります。そこで受益者負担としてその租鉱権者から受益者負担を出されて、鉱害復旧をやることが望ましい、かように考えます。これは今直ちにどうするということもできませんが、その点十分研究いたしまして、結果としてその鉱害が復旧できますように運用して参りたいと考えます。
#158
○滝井委員 受益者負担としてその盗掘をした租鉱権者にある程度の負担をやらせるということなんですか。ところがその会社は未払い賃金五千万円、国税の滞納がまた莫大である、債務は二億も三億もある、しかも整理会社で、裁判所の許可を得なければ金が出せない。それで施業案というものは許可されてどんどん現実にやっている。こういうことでは、いよいよとなると鉱業権者は盗掘だといって逃げてしまえばそれまでです。現実にないことはない、現実にある。そうしてあなた方の通産局が施業案の許可も出して、同じ坑口からやらしている。われわれは、すべての財産を押えている会社であるから、まさか盗掘などとは言うまいと思ったら、盗掘だと言う。それで鉱業権者は一切のがれてしまう。そういうことがこの二十世紀の後半白昼公然と許されるとするならば、鉱業権者はみんなやりますよ。みんなやって、知らなかったと言えばいい。それが盗掘であるかどうかの認定は一体どうしてしますか。そういう場合認定の方法がないと思う。
#159
○讃岐政府委員 租鉱権を設定する場合におきましては、租鉱権の範囲というものははっきりしているわけでございます。そこでその範囲内において施業案を出して、その施業案に基いて採掘を行うわけでございます。それがその範囲を逸脱して、故意に採掘した場合におきましては、盗掘と認めるべきものでございます。
#160
○滝井委員 施業案と違ったものは盗掘だということはよくわかるんですが、それでは全国何百とある炭鉱をたった七十人そこそこの人たちが行って監督できますか。実際問題としてできやしないですよ。
#161
○讃岐政府委員 施業案の監督につきましては、石炭局関係と申しますか、生産関係の職員と、先ほども申し上げましたように、鉱山保安関係職員とが入れかわり立ちかわりその鉱山の現場に参って監督しておるわけでございます。相当回数を重ねて行っておるわけでございます。
#162
○滝井委員 そう言っておって白昼公然とやはり行われておるわけなんです。しかも裁判所がきちっと押えておる整理会社ですよ。しかも鉱業権者が同じ坑口から石炭を出しておる、そうして鉱業権者は、私は知りません、そうして租鉱権者は、私は盗掘しましたと、こうなる。それからこれは二人で話し合えばわけないですよ。お前がほんとうのことを言えば租鉱権を取り消す、よろしい、こういう合意も成り立ち得るわけなのです。それがその場合に成り立ったかどうかわかりませんが、成り立ち得るわけです。そういうことがある。それについては、今のあなたの御答弁の中では、そういう盗掘というものについては鉱害が復旧できるように研究してみるという御言明がありました。これはぜひそうしていただきたいと私は思います。
 それから、盗掘をしたその炭鉱が合理化法にかかってしまったという場合に、その鉱害は事業団が引き継ぎますか。
#163
○讃岐政府委員 事業団は、その鉱業権者の債権債務等をしさいに検討して引き継ぐわけでございます。そこで不法行為として損害賠償の義務がある場合、不法行為に基く損害賠償を済ませて、それから事業団に引き継ぐことにするだろうと思います。
#164
○滝井委員 鉱業権者はまず被害者に対してそれらの盗掘の問題を片づけた後に売る、こういう格好になるとおっしゃるけれども、これは今申しますようにまだ不安定です。不安定のために、一般鉱害その他にもかけるというわけにいかぬ。それでいわゆる五年以内のワクの中に入っておるわけです。これをすぐに買い上げていくわけなのですから、そうすると盗掘の問題もはつきりしない、そういう中で、租鉱権と鉱業権者と一緒に買い上げられていく、あるいは鉱業権者だけが買い上げられて租鉱権の部分のところだけ残る、こういう場合がある。そうしますと盗掘の分だけそこに残ってしまうのですよ。
#165
○讃岐政府委員 この場合は不法行為でございますから、安定とか不安定とかいうことはないわけでございます。一般の債務でございますから、その債務の整理につきましては、債権者、債務者の間に円満に話し合いがっかなければ事業団は買えなくなる、それが実際の問題ではないかと存じます。
#166
○滝井委員 そこらは非常にこまかいむずかしいことになっておりますが、いよいよそういう問題が具体的になれば、いずれこれは具体的に今の御答弁の趣旨で一つ御処理を願いたい、こう思うわけでございます。
 次に、今度家屋の復旧について国と県とが五〇%の割合で総復旧費の中から持つことになるわけなのですが、県の負担は財政上の措置をしておかぬとなかなか地方自治体はやれないと思うのです。結核予防法なんかも地方負担を作っておるのですが、地方がそれの予算を計上しないためになかなかできないという状態がある。これは当然地方自治体への財政措置をあなたの方は大蔵省に要請させておるのでしょうね。
#167
○讃岐政府委員 その問題につきましては、これは大蔵省と自治庁で御相談願ったことでございます。私も承知しておるわけでありますが、福岡県その他関係府県におかれましてもこのことは了承されたはずでございます。そこで予算の問題になるのでありますが、おそらく各府県とも、来年度、本予算には盛られてないといたしましても、追加予算なり何らかの形において財政的措置がなされるであろうということは期待している次第でございます。
#168
○滝井委員 地方財政の具体的な問題は、多賀谷さんが聞くそうですから、一応私の質問はこれで打ち切っておきます。
#169
○福田委員長 多賀谷真稔君。
#170
○多賀谷委員 国鉄の方が見えておりますから、時間の関係で特に国鉄の関係をやりたいと思います。
 実は国鉄の志免炭鉱の関係ですけれども、国鉄の志免炭鉱は特別鉱害の関係にないわけであります。それで志免炭鉱だけが復旧が非常におくれておる。よそが九〇%程度進捗しておるにかかわらず、一〇%程度しか進捗していないということを聞くわけですが、なぜ特別鉱害の対象にしなかったか。当時国鉄は政府であったかもしれません。だから政府であるから賠償には何も資料的に困らないし、相手が政府であるからといって被害者の方も安心しておったかもしれませんけれども、政府機関のこういう賠償の仕方では民間はならないと思います。一体特別鉱害についてどういう態度を持っておられるか、これをお聞かせ願いたい。
#171
○小倉説明員 実はその鉱害につきましては、予見しておるものもございますけれども、今度の特別鉱害につきましては、まだ実際に詳しく調査してありませんものでございますから、まことに恐縮でございますが、いずれ調べまして御説明いたしたいと思います。
#172
○多賀谷委員 実は副総裁は御存じないかもしれませんが、関係者はよく存じておると思います。今からの問題じゃないのですよ。この特別鉱害というものは、たしか昭和二十五年当時行われたものでございまして、戦時中の鉱害なんです。すなわち戦時中海軍が掘ったときの鉱害で、これは政府がかなりの責任があるから、普通の鉱害とは考えられない、こういうわけで一般の炭鉱ではこの戦時中の鉱害につきましては、国が補助金を出して復旧を進めておるわけです。ところがおそらくその当時国鉄自身が政府であった関係もあったのでしょうけれども、いわば一般民間とは違うのだ、政府であるから十分補償してやる、そう関係者も思い、被害者も思ったのかもしれませんが、特別鉱害に入っていません。そこで実は法律も本年で終りまして、まあ残事業だけ明年度やろうというので、法律の一年延期の法案が出ておる。ところが志免炭鉱につきましては、今申しますような状態です。それで私考えますのに、当時でも特別会計でやっておったと思いますが、よその炭鉱がやはり政府の一般会計から支出を願うのですから、特別会計といえでもその分については一般会計から支出を願って、補助金をもらえば――これは補助金と今言うかどうか知りません。あるいは会計の組みかえというかもしれませんが、要するに一般会計から特別会計に移せばそれだけいわば経営状態がよくなる、そうしてこれは運賃値上げにならない一助かと思います。要するにそういう非常にずさんなことをしておる。それでこれは一般会計から出るのですし、ほかの炭鉱はもらっておるのですから、当然志免炭鉱ももらっていいと思います。それなのにそういう金は遠慮なさっておる、遠慮をしているならいいのですけれども、実は仕事をやっていない、こういうことなんです。よそでは法律が終り、ほとんど九〇%程度進捗しておるのです。ところが志免炭鉱はそういう事情ですから、財源がないからできないのです。これははなはだ関係被害者としては迷惑な話であります。いやしくも政府の機関が補償しないなんて、これは大問題になっているのですよ。粕屋炭田ではお隣は三菱の勝田炭坑、あるいは明治の高田炭坑、こういうのがありまして、その方はどんどんたんぽでも何でも復旧しておる。志免炭鉱だけはえらい復旧がおくれておる。これは政府の機関だ、こういうことではわが党が政権をとると非常に迷惑をするのですかね。それでこの関係については、私はぜひ考えてもらいたいと思うのです。
#173
○小倉説明員 実はまことに相済みませんでしたが、御質問の件がこの件であるとは存じませんでして、実は志免関係につきましては、今志免炭鉱の処分をどうするかというふうなことをいろいろな委員会その他で御質問を受けておりますので、その件だと思って参りました。私は昨年国鉄に来ましたばかりで、実は炭鉱のことは非常にしろうとでございます。しかし院内にそちらの方の担当の常務が来ておりますから、もしおよろしければ、私すぐ参って入れかわって説明させていただきたいと思います。
#174
○多賀谷委員 では後刻御答弁願いたいと思います。
 では続いて石炭局長にお尋ねいたしますけれども、明年度からは特鉱がなくなるわけであります。特鉱がなくなりまして、一般鉱害の復旧という臨時措置法による復旧が大多数になると思いますが、現在の状態、現在といいますと、明年度から始まる状態の時点において、大体復旧の進捗状態と被害の進捗がどういうバランスになるでしょうか。あるいは被害はだんだん拡大をするのですか、あるいはだんだん縮小するのですか、その見通しをまずお聞かせ願いたい。
#175
○讃岐政府委員 先ほど申し上げましたように、金額で申しまして毎年発生する鉱害量が十二億でございます。これは現在の出炭ベースで考えまして、そうなるであろうという推定でございます。従いまして、これを復旧するとしますと十二億の事業量になる、こう申し上げていいのじゃないかと思います。そこで昭和三十二年度に予定いたしました事業計画は、予算面から申しましてちょうど十二、三億ということになっておりますので、明年度におきましては発生量と復旧量というものがぴったりマッチする、こういうことになります。これは、しかしながら毎年発生する鉱害が鉱害復旧事業団で扱う鉱害かと申しますと、全部ではございません。御承知のことと存じますが、そのうちの一部は炭鉱関係において復旧する場合もございます、あるいは被害者の方で年々賠償を希望するという場合もございます。従いまして発生量と鉱害復旧事業団でやりまする復旧とはマッチいたしますが、しかし実際面におきましては、鉱害復旧事業団でやります事業量の方が多くなる。従いまして、すでに発生しております鉱害を逐次減少していける形ではないかと存じます。これは三十二年度の予算面から申してさようになるのでございまして、将来におきましては予算もさらに獲得する努力をいたしたいと存じます。おいおい現在たまっておりまする鉱害も完全に処理する時期が来るのではないかというふうに考えます。
#176
○多賀谷委員 発生量とそれから復旧しているのが同じであるということになると、大体同じだけの鉱害が持続するわけですが、発生量というのは、私は加速度的になると思う。これは大体深部採掘をだんだん累増していきますと、だんだん加速度的に鉱害はたまってふえていく、こういう状態になると思う。ですからどういう時点で、どういう計画をなさったかしれませんけれども、三十二年度が十二億ならば三十三年度は十三億、こういうように少くともふえていくというのが私たちの常識的な考えなのです。ですからこの点をコンスタントに考えられると非常に問題がある、こういうように私は考えます。それから三十二年度十二億というのは、これは特別鉱害を除いての話ですか。
#177
○讃岐政府委員 事業費といたしまして十二、三億と申し上げましたのは、もちろん特別鉱害を除いてあります。それから今申し上げましたのは予算面からそうなるという計算を簡単に申し上げたのでございまして、実際面では炭鉱自身復旧するものもございます、それから復旧を要しないものもあるわけでございます。
#178
○多賀谷委員 私は発生量の十二億というのが何を根拠にされたのだか、きわめて疑問に思うのですが、要するにできる仕事、本年度やろうという仕事がむしろ発生量ではなかろうか。そうすると発生量と事業量が合うのが大体当りまえで、ものの考え方から発生量というのは何を基準にして、どういう状態で発生量を把握されたか、この点非常に疑問に思うのですが、発生量は一体どういうような把握の仕方をされておるのか。
#179
○讃岐政府委員 こまかく申しますと、午前中伊藤先生から御質問のありましたことに結着してしまうことになるかと存じますが、毎年の発生量は従来の実績から推しまして、これくらいであろうということを推定した次第でございます。
#180
○多賀谷委員 その従来の実績というのは確かに仕事の量ですよ。その発在する量ではなくて、仕事のでき得る量が大体の実績ではないですか。発生まで大体わかるのですか。
#181
○讃岐政府委員 過去に発生しました鉱害をトータルいたしまして、それで毎年大体どれくらい出ているのだ、こういうことを計算しているわけでございます。先ほど標準炭価で御質問がありましたように、トン当り六十三円ですか、そういうことが計算の基礎になっております。さようでございますから、復旧しようとする事業量の額と合せているわけではもちろんございませんで、昭和三十一年度におきましては、一般鉱害といたしましては予算も少かったわけでございます。事業量も従って足りません。従いまして予算面から申しますと昭和三十一年度まではむしろ累増の形になるわけでございますが、しかし午前中にも申し上げました通り、数字の基礎はあまりはっきりはいたしておりませんが、公共施設にして昭和二十六年に二十九億あったのが三十一年には十七億になっておる、減少額は十二億だと申し上げました。農地につきましては六千四百町歩から五千九百町歩に減るわけで、家屋につきましては二百三十万坪が二百十万坪に減っておるわけでございます。これは鉱害復旧事業団で全部復旧したということではございませんですが、このように調査の結果一応減少した数字が出ておりますので、念のため申し上げます。
#182
○多賀谷委員 その一つの炭鉱で考えても、毎年コストの中に占める鉱害のパーセンテージがふえてきている。出炭はだんだん老朽化していますから、大体同じペースをたどっておる。この一事を見ましても、これは被害が加速度的に累増しておる、加速度はどれくらいのアルファをつけるかは別として、かなり進捗しておる、こう私は考えざるを得ないのです。それで特別鉱害がありまして、長い間いわば全然復旧に手をつけなかったものを一挙に復旧しましたから、最近はかなり復旧が行われたという感じを持つのです。しかし特別鉱害がなくなりますと、私は、一般鉱害だけではだんだん較差がひどくなって、そうして鉱害そのものがトータルとしてふえていくのではなかろうかと考えるわけですが、この点どういうようにお考えですか。
#183
○讃岐政府委員 先ほど申し上げますような、昭和三十二年度としましては、発生量と復旧のあれが予算面では偶然に一致した、こういうことでございますが、その他にも鉱業権者自身で復旧するものがありますので、昭和三十二年度におきましても減少する計算になると思います。しかし将来の問題につきましては、これは予算との関連でございまして、予算がふえれば事業量もふやすことができるわけでございます。私どもとしては、昭和三十一年度におきまして特鉱と臨鉱でやりました事業量の二十数億、これをなるべく維持したい、こういうことで本年度も予算の目途といたしましてやったわけでございます。御承知のように、特別鉱害の事業が来年度に相当繰り延べるものが出てきた、こういうことでトータルをいたしまして、十七、八億の事業量になるわけでございます。三十一年度に比べまして三十二年度は多少減りますが、しかし事業量としてはそんなに違わない量を確保することができたわけでございます。再来年度以降につきましては、さらに予算面でも努力をいたしまして、事業量をふやしていきまして、おいおいたまっておりまする鉱害の処理ができますように努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#184
○多賀谷委員 私は、人口あるいは雇用関係のように、昭和四十年がマキシマムで、それからだんだん減るというカーブを書けとは言いませんが、少くとも何年まではこの程度でいけばどのくらい被害が出て、そうして最初のうちはなかなか追いつかないけれども、ある一定のところまでいくと絶対量として下るのだ、こういうような見込みをされる必要があるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。と申しますのは、われわれ筑豊炭田におりまして、ことにこの炭鉱が終った場合に、一体鉱害がどのくらいあるだろうかということを想像するときに、りつ然たるものを感ずるわけです。それが大きな企業で各地に炭鉱を持っておる、この炭鉱がつぶれてもほかの方が採算がとれる、あるいはほかの方の経費で今つぶれた炭鉱の賠償をまかない得るという態勢にあれば格別です。ところがそういうことでなくて、一つの炭鉱で立っておる、その炭鉱が終局した場合に一体鉱害の復旧が事実問題としてできるだろうか、こういうことを考えるわけです。そこで結局炭鉱が終ったあとに、一体鉱害を復旧する費用と、炭鉱その他の資材を全部売ってそうしてそれに支払う額がマッチするだろうかということさえ実は危惧するわけです。もちろん炭鉱をやめるについては退職金もやらねばならぬし、債務処理もしなければなりませんでしょう。今までの利益金をはき出すかというと、やめる炭鉱の利益金をはき出すような炭鉱もないと思うのです。ですからそういうことを考えるときに、供託金制度というものはかなり意義がある、また意義を持たなければならぬと思う。ところが供託金制度というのは現在ある予定をしました賠償につきまして、それが終ればもう返してやる、こういうシステムです。現在のシステムを言うのではないのですけれども、私は炭鉱が終局いたしましたときに、一体十分担保し得るところの供託金が残り得るかどうか、こういうことを心配するのです。これを制度的に確立しておかなければ、付近の被害者というものは非常な不安におびえる、こういうふうに考えるのですが、その担保制度についてお聞かせ願いたい。
#185
○讃岐政府委員 御質問の趣旨はまことにごもっともだと思います。そういう意味で昨年の商工委員会でもこの賠償資金の確保について善処をするようにとの決議をいただいたわけでございますが、その決議に基きまして今日まで努力して参りました。引当金問題、供託金問題の進捗状況につきましては午前中政務次官よりも、また私からも御説明申し上げました通りでございまして、現在われわれの到達いたしておりまする結論から申しますと、ただいまの御質問の趣旨とは必ずしもマッチいたしませんが、少くとも今日までよりは相当改善したというふうに考えておる次第でございます。
#186
○多賀谷委員 鉱業権が消滅する場合に、そのときまで供託金を積んでおいて、そうして鉱業権消滅のときの担保にするようにはできないのですか。これは法律上の解釈だけではなくて、立法的処置として、考え方としてお聞かせ願いたい。
#187
○讃岐政府委員 立法論の問題になるわけでございます。十分今後も研究を進めて参りたいと存ずる次第でございますが、今日までようやく到達しましたこの賠償資金確保の問題は、現状は申し上げました通りでございます。将来の問題といたしましては何とかこれは研究して参りたいと存じますが、今、将来の構想についてこういう構想がございますというところまでは参っておらないわけでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
#188
○多賀谷委員 実はあるAという大手の炭鉱が山を廃止します場合には、Aという大炭鉱の場合は可採の炭量を残しているわけです。だからその廃止に伴って鉱区を分断してBなりCなりといういわば中小企業の経営になると思う。そこでその中小企業は従来からありました旧鉱業権者の被害も一応かかえながら――法律上明確にはなっておりますが、共同責任の形において、あるいは連帯責任の形において、とにかくかかえながら操業していくと思うのです。そうするとAというような大きな企業家ではなくなっているのですから、それでいよいよBもCも採鉱し得る炭量がなくなったときにはやめるということになるのです。鉱業権が全部消滅するという形になる、そうしますと、そういう場合において、B、Cがはたして支払い能力があるかというと、全然支払い能力があると考えられない。あるいは支払い能力が本来ならあるべきはずだけれども、会社を別にしたり、いろいろな形にして――私はこれは従来の例からうかがえるのですが、十分なる賠償をしてそうして立つ鳥跡を濁さずという形でやめていかれないのではないだろうか。かなり紛争を見て、結局被害者の方も泣き寝入りをせざるを得ないだろうということが十分想定をされるわけです。そこで私は今までわずかではありますけれども、供託金制度があるのですから、供託金制度を鉱業権消滅のときまで持っていって、そうしてやめる際の鉱業権消滅に伴う担保にしたらどうか、こういうことも考えるのですが、そういう点についてもう一度お聞かせ願いたい。
#189
○讃岐政府委員 供託金制度の改正の問題になるかと思いますが、これも法律的に一つの性格があるようでございまして、私の知っている範囲におきましては、供託金制度というものの制約からその額もおのずから限度がある、それから供託ということは、毎年起っておる鉱害の賠償に充てるべきものでありまして、将来のためにそれまで固定した状態に置いて、こういう社外留保と申しますか制度をやっていくためには、新しい立法が必要になるのじゃないかというように、今日までの研究の結果はそうなっております。そこでそれを将来どうするかという問題でございますが、これは先ほど来申し上げます通り、今直ちにこういう案がありますというところまで研究が進んでおりませんので、一つ御了承をお願いしたいと思います。
#190
○多賀谷委員 では現在の法律の供託というのはどういう場合にとれますか。これは政令の問題にかかると思いますが、政令はどういうことを予定して作られようとしておるのですか。
#191
○讃岐政府委員 鉱業法には、鉱害を賠償したら供託金は取り戻せると書いてございます。これは一般原則でございます、そこで供託金を取り戻す手続を決定しなければならぬのはそれ以外の場合であるべきだ、こういう観点から、これは私どもの所管と申しますよりも、むしろ鉱業法関係あるいは法務省の関係になるのでございますが、各省協議を進めまして到達いたしました結論は、鉱業権者が無資力または所在不明の場合に、残った鉱害賠償をやるためにそれの配分の方法をきめる、さような趣旨で書いてございます。でございますから、先ほど来の御質問の趣旨もこの中に入ってくるわけでございますが、しかしこれはどうしても手続によって進めなければならない場合を例外的に規定するということになっておりまして、鉱害賠償が済まされた場合には取り戻し得るというのが原則でございます。
#192
○多賀谷委員 ですから、政令が予定しておりますところの供託金取り戻しではなくて、供託金を担保として効果あらしめる場合に、鉱業権者が無資力、所在不明の場合、こういうことですが、鉱業権者から見れば最終的な段階、鉱業権消滅に近い段階――私は供託金というこの制度の金額が非常に多ければ率直に言ってこれは別の考え方でいいと思う。ところが実際この百十七条に規定しておりますところの供託金の金額といいますものは、これは金額それ自体は規定しておりませんけれども、実際の金額は賠償に十分役立つような金額でないのですね。ですから、そういう金額であるならば、一回一回鉱業権者も取り戻さないで、ずっと最終まで置いておけばいいじゃないか、こういう気持を持つのですよ、それほど小さい金栢であるから……。今炭界は逼迫しておるから、これだけでもほしいのだといえば別ですが、そうすると被害者の方では非常に安心感がある。ですから、供託金そのものの金額はそれほど大きな金額でないし、十分賠償に値するだけの金額でないのですから、そうすると鉱業権消滅の時期までそれを担保として置いておいて、鉱業権消滅のときは、資力があろうとなかろうと一応それが担保力を発揮する、こういうふうにする必要はありはしないか、こういうように考えたのですが、これは非常に困難な問題ですから一つ御研究を願いたい、かように考えます。
 そこで次に質問を続けていきたいと思いますが、まず自治庁も見えておるようですから他の官庁関係を先に済ましたいと思いますが、実は自治庁も御存じのように、特別鉱害も一年でなくなるのですけれども、さらに臨時鉱害にも家屋が入って参りましたし、所在不明の場合の家屋につきましても地方自治体の負担があると思います。この鉱害に関する地方自治体の負担分はどこで財政的に見ておられるか、これをお聞かせ願いたい。
#193
○柴田説明員 鉱害ということの性質からいいまして、これを一般的普遍的に見るわけには参りません。従いまして通常は若干の地方債もなにいたしますし、特別交付税の配分の場合に、臨時、特別合せまして鉱害復旧事業について地方負担分の一部を計算の根拠に入れてやっていく、こういうことになっております。
#194
○多賀谷委員 実際問題としては、福岡県なら福岡県でけっこうですが、福岡県が一年間に支出した賠償費のどの程度が特別交付税の算定の基礎になっているか、これをお聞かせ願いたい。
#195
○柴田説明員 これは事業が年度ごとに若干浮動いたします。さような関係を考慮いたしまして通常二カ年分、三十年度でいきますと、三十年度と三十一年度の二ヵ年度間の鉱害復旧の地方負担分をとりまして、それの大体二割、従って単年度でいきますと四割になるわけです。二カ年間の総額の二割ですから、単年度で大体四割、その程度のものを毎年出しております。福岡県の例で申し上げますと、昨年の例で県市合せまして六千万円ぐらいです。
#196
○多賀谷委員 四割じゃ、地方財政が逼迫しているときに――それでなくても炭鉱の鉱害所在の県並びに市町村というのは失業者も出ますし、いろいろな面で生活保護費も出ますし、出費が多いのですよ。それを地方交付税で見てやるというから、われわれ今までかなり見ているのだろうと思いましたら、今聞きますと四割というのですね。四割では問題にならぬと思うのです。それにこれは市町村によって非常にアンバランスがありますから、こういう面はやはり普遍的な財源でないだけに、私はかなり多くの率を見てやる必要があるのではなかろうか、こういうように考えるのです。
#197
○柴田説明員 地方団体の財源が交付税だけであるということならばお説も成り立つかと思いますけれども、別に独立財源を持っているわけですし、地方債も出すわけです。特別交付税として見る分が、地方負担分の四割で決して少いわけでなく、むしろ多過ぎるぐらいに私は考えております。失業については失業対策費として見、鉱産税につきましては鉱産税で、別に鉱産税が基準財政収入以下でありますれば適当に見ることにいたしておりますし、それぞれの町村について、別個の面から総合的にそれぞれの分子について見てるわけです。鉱害復旧だけについての比率を申し上げますと、その全部の地方負担分を限りある地方特別交付税のワクでは見切れません。普通交付税で見る分につきましては――事業の特殊性から見まして被害の算定ができにくいのでありますからして、どうしても特別交付税になります。特別交付税で見る範囲といたしましては、決して四割という数字は少くないと思います。
#198
○多賀谷委員 あとの六割をどこから出しますか。地方債といいましても何か利益を生むようなものならいいですが、これは借りになるものであります。しまいには利子に困るということになってくる。事業あるいは利益金を生むようなものならあえて言いませんけれども、鉱害の復旧というものは、ことに所在不明の場合の農地、家屋等の復旧に地方債でやっていくということは、私はこれは邪道だと思う、これは利益金を生みませんから。地方債でやっていかれたのではたまらぬと思います。
#199
○柴田説明員 特別に鉱害復旧費として地方債を充てておりません。充てておりませんが、現実に割当られた地方債のワクの中で鉱害復旧事業を一部やっているわけであります。それは異例な措置だと言われればそうかもしれ京せん。そして鉱害復旧事業は全然利益を生まないとおっしゃいますけれども、鉱害復旧したあと利益の残る部面かあると思います。しかし財源措置として必ずしも望ましいものではないとおっしゃられれば、それはさようかとも思いますけれども、そのほかに税収入もありましょうし、その他の収入もありましょうし、すべてを交付税でもって始末をしなければいかぬという理屈は成り立たない。われわれの感じから言いますと、四割というのは多過ぎはしませんけれども、決して少な過ぎやしないというふうに考えております。
#200
○多賀谷委員 市町村は被害者の立場が多いのです。その被害者の立場が四割しか見ていただけなくて、しかも地方債で見てやるじゃないか。金を貸してやるから、お前の被害はそれで償えなんで言われましても、それはものの考え方が妥当でないと思うのです。ですからこの鉱害の市町村負担分は、市町村が当該施設に対する被害者ですから、この被害者の財源を地方債で見てやるということは全く邪道だ、こういうことをするとますます借金が多くなってきて、今度は利子でもたまらぬという形になると思うのです。
#201
○柴田説明員 お言葉を返しますが、そのこと自身について市町村か被害者だという立場に立ちますれば、市町村が鉱害復旧事業を自分が継ぎ足してやらなければならぬ、継ぎ足して、つまり、国庫補助事業としてやるところに問題があるのじゃないかと思います。現在そういう建前になっている以上は、やはり市町村にも利益があるのだ、そして市町村としてやるべき仕事であるのだという前提かあるのじゃないか、そういう前提に立ちますれば、現在の制度は完全だとは言えませんけれども、今の建前でいいのじゃないかと考えます。そういうことを否定してしまいますと、お言葉のように全部事業団なり、あるいは国なりか炭鉱にかわって仕事をするという立場をとらなければならない。現在の建前はそうではないので、やはり市町村も国と力を合せてそういう復旧に当るべきものだという前提があるのじゃなかろうかと、独断ですけれども考えるわけです。
#202
○多賀谷委員 あなたの方は財政需要額とか、あるいは財政収入額とか見られるのですが、大体交付税で見る額といいますとちょっと問題があるのですけれども、交付税関係の支出として認めているのと、それから実際問題としてほかの財源から持ってきて支出しているのと、割合は幾らくらいになりますか。県でも市町村でもトータルでいいです。
#203
○柴田説明員 それはちょっと財源的にはわかりませんのですが、私どもといたしましては、ここを計算の基礎に置いているわけであります。その金がどう使われているかということは、一般財源でありますから、もちろん地方団体の自由であります。そしてこれは分けることはできません。
#204
○多賀谷委員 四割が多いという根拠はどこにあるのですか。
#205
○柴田説明員 通常地方団体の経費を基準財政需要で算定いたします場合には、市町村でいいますと、一般財源、税の三割くらい、府県でいいますと、二割ワク外に置きます。だから通常は七割程度をもって財政需要を見ていくというのか普通の方式である。それからいえば、ほかの財源もあることだから、決して多いことはないけれども少いとはいえぬじゃないかということを申し上、げたわけであります。
#206
○多賀谷委員 これは特別の支出でありまして、しかも臨時の支出でない、かなり恒久的な支出です。そうして今受益者という面がありましたが、これは政策的に国が補助をするから市町村も負担をする、こういう面と、市町村あるいは県の施設そのものか被害を受けておる面とが二つある。ですから市町村が被害を受けておりまする公共施設につきましては、被害者であると同時に、また国と同じ立場に立つ、いわば政策上の補助をする、負担をするという面とが二つあると思うのです。ですから被害者が、自分かみずから被害者であるというような場合に、これは考え方を変えなければならぬのじゃないかと思うのですかね。
#207
○柴田説明員 ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、たしか公共建物の復旧の場合、市町村なり県が直接被害の立場にある場合におきましては、地方団体の負担がないはずであります。その他の場合につきましては、やはり被害者の立場という面ももちろんあるでありましょうけれども、そのほかにやはり地方団体が国と共同してそういう復旧の仕事に当るというのが本来の仕事だ、こういう建前になっておると思います。
#208
○多賀谷委員 ちょっと誤解をしておりまして、わかりました。
 そういたしますと、続いて質問いたしたいと思いますが、今度の臨鉱法の家屋等の復旧によりましてどのくらいの国または公共団体の負担になるか、大体予定されておるその率を通産省からお聞かせ願いたい。
#209
○讃岐政府委員 法律に書いておりますところは、政令で定める、こういうことになっておるわけでございますが、大体四〇%を国が持ちまして、それから地方公共団体が一〇%程度を補助する、こういうことになっております。その他の部分は、これは鉱業権者の負担になるわけでございますが、この場合鉱業権者が無資力または不明の場合におきましては残る部分の負担につきましては国と地方公共団体、それから鉱害復旧事業団の三者でこれを負担する、こういうことにする予定でございます。
#210
○多賀谷委員 その割合を一つお聞かせ願いたい。
#211
○讃岐政府委員 その割合につきましては政令で定めるということになっておりますが、それで目下準備いたしております。準備ができ次第報告を申し上げることにいたしたいと思います。
#212
○多賀谷委員 政令で定めるということになっておりましても、やはり審議をしておることですから、大体どの程度であるということはかなり重大な問題です。ただ政令で定めるから、よろしくおまかせ願いたいと言われましても、われわれは、ぜひ一応聞いておきたいという気持がするのですから、一つお聞かせ願いたいと思います。
#213
○讃岐政府委員 大体の方向といたしまして、国か七〇%、それから地方公共団体で三〇%負担する、こういうことで話をまとめたいということで目下政府部内で折衝中でございます。
#214
○多賀谷委員 それから家屋復旧の場合の地盤沈下並びにそれに伴う家屋復旧以下の本来の、プロパーの家屋復旧、これについてはどういう御処置をなさるつもりでありますか。
#215
○讃岐政府委員 今申し上げたそれに関連しておるわけでございますが、つまり補助の対象になる部分は地盤等復旧費でございます。それ以外の復旧費は原則として炭鉱が負担する、こういうことになっておるわけであります。その場合におきまして、鉱業権者が無資力または所在不明の場合はその炭鉱の負担部分を国、地方公共団体及び鉱害復旧事業団が負担する、こういうことでありまして、その負担の割合もその補助対象になった額と補助対象にならない額との按分で参る、こういうことにしておるわけでございます。
#216
○多賀谷委員 地盤をかさ上げする、さらにそれに伴う家屋復旧をその限度においてする、こういう問題につきましては今お聞かせ願ったと思うのです。そこで、それ以外の、いわば地盤引き上げに伴う家屋復旧以外のプロパーの家屋については、しかも所在不明の場合これをどういう割合でだれが負担をするのですか。
#217
○讃岐政府委員 その地盤復旧を伴わない家屋の復旧というものはまずないであろうと存じますが、実際にありました場合にはこれは国庫の補助対象にならないわけでございます。従いまして、復旧の対象にもならない、一般の鉱害の賠償と同様のことになります。
#218
○多賀谷委員 私の質問が悪いのか、どうも答弁がはっきりしないのですが、実は所在不明の家屋を復旧しなければならぬ、そうすると地盤沈下をしておる、それをかさ上げをする、それに伴う若干の家屋の復旧補修をする、ところヂ本来家室そのもDが傾いておるという場合に、残工事があるわけですね。これをほっておくわけにいかないでしょう。ですから、この問題についてはだれがどういうように負担をするのか、こう言っているのです。
#219
○讃岐政府委員 御質問の趣旨ですが、地盤等が陥没した場合を言っておられるのですか。陥没して復旧を要する場合ならば、補助対象になる部分はこれは国と地方公共団体とが持つ。そこで、鉱業権者不明の場合は、それ以外の炭鉱の負担部分、つまり補助対象にならない部分は事業団が負担する、こういうことでございます。
#220
○多賀谷委員 続いて、所在不明の場合の公共施設ですが、この場合は、先ほど私が被害者と、こう言ったのは、その場合のことであったと思いますけれども、その場合は現在六〇対四〇で公共団体が持っているわけですね。その場合六〇というのが被害者である地方公共団体が持つ、こういうことになるのですが、その場合についてその六〇対四〇という比率をどういうようにお考えになっておるか。
#221
○讃岐政府委員 それも同様に七対三、逆に国が七〇%、地方公共団体が三〇%という方針で、政府部内で交渉を進めている次第でございます。近く決定する見込みでございます。
#222
○多賀谷委員 その所在不明の公共施設あるいは家屋でもそうですが、いわば石炭生産というものは国の政策になっておる。ですから、地方公共団体は直接受益者ではないのですけれども、いわばそれに準じた形においてあるいは政策の一部としてそれをやることは私はけっこうだと考えますが、公共団体の場合は、所在不明の場合には、これは被害者という形もある。そこで、三〇対七〇という比率は、現在の地方公共団体からいえば酷ではないか。あるいはまた地盤かさ上げ問題にしましても三〇対七〇というこの三〇はやはり酷じゃないか、こういうように考えるのですが、それについてお聞かせを願いたい。
#223
○讃岐政府委員 この問題は、地方公共団体からもいろいろ御意見がございまして、われわれといたしましては地方公共団体の財政状況等も考え、なるべく地方の負担にならないということで考えて参りました。しかしながら、この率を考える場合に、公共事業費の負担の割合つまり国庫補助率の割合等も勘案いたしまして、この点以上には望めないのじゃないか、こういうことで大体七〇%及び三〇%の割合で決定してはいかがかと存じまして、目下そういう線で政府部内の意見をまとめている次第でございます。
#224
○多賀谷委員 農地の例もあるのですからね。やはり私はもう少し率が下げられるのじゃなかろうかと思うのですね。率直にいって、役所によって、農林省ならば力が強くてこれだけ補助金をとれるし、通産省ならとれない、こういうことなんですか。
#225
○讃岐政府委員 農地の災害補助の場合の国庫の補助率も、特別になっておりまして、そういう前例と申しますかそういう基礎に合せて考えていかなければならないものじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、まあ農地だけ特別ということになるわけでございますが、これは基礎になる数字がそういうものであるというふうに御了承をお願いしたいのです。
#226
○多賀谷委員 この三〇と七〇という数字は何か別に根拠があるのですか。
#227
○讃岐政府委員 別に特別の根拠があるわけでないのでございます。ただしその災害の補助金の場合にそういうふうな率で今日までやっておるので、そういう例にならって、そういう方向で考えざるを得なかった、かように御了承をお願いしたいと思います。
#228
○多賀谷委員 災害は災害常襲地帯という言葉もありますけれども、これはいわば常時来るという形ではない。しかしこの鉱害の方はこれは常時支出ですからその点も一つ考えていただきたい、こういうように考えます。これは、三十二年度は仕方がないにいたしましても、今後とも努力をしていただきたい。これは一つ政務次官に特にお願いをいたしておきます。
 次に家屋の復旧の問題ですけれども、七千万円という金額が出ておりますが、この七千万円でどの程度の家屋をどういう率で復旧されるつもりであるか、大体概略でよろしゅうございますから説明を願います。
#229
○讃岐政府委員 七千万円で大体一千戸程度復旧できると思います。
#230
○多賀谷委員 七千万円で一千戸といいますと、大体七万円程度ですが、七万円で普通家屋全般の復旧の――これはかさ上げも入れまして何%くらいになるのですか。
#231
○讃岐政府委員 大体補助率が三五%程度になるだろうというように考えております。
#232
○多賀谷委員 補助率三五%といいますと、四対一対五という、その四が全部の家屋復旧の三五%になる、こういうふうに了解してよろしいげですか。
#233
○讃岐政府委員 計算の基礎は、大体喜平均しまして、特鉱の復旧の実績から申しまして一戸当り二十万円になるだろう、そのうちの七〇%が地盤等復旧費、つまり敷地のかさ上げと、それに伴う家屋の補修に必要な経費であろう、こういうような実績に基きまして、七〇%のうち国が四割、地方公共団体で一割を補助しますと、合計で五割の補助になりますから、従いまして全復旧費の三五%で……。
#234
○多賀谷委員 地方公共団体も入れてですか。
#235
○讃岐政府委員 はい、さようでございます。
#236
○多賀谷委員 三五%と言われるから、これは少し上ったなと思ったのですが、国と地方公共団体を入れてのお話でありましたので、大体七〇%……。これは今まで聞いておりました通りでありますので了承したいと思います。
 それから特鉱の問題ですが、特鉱廃止後の残事業については、先ほど若干お話がありましたけれども、残事業はどのくらいの予定であるのか、またいつごろ復旧される見込みであるのか、これを御説明願います。
#237
○讃岐政府委員 先ほども申し上げました通り、残事業は農地だけになるわけでございますが、その農地のうちでも種類がございまして、全体で二百五十八町歩が、さしあたり復旧できないものとして残るわけでございます。この二百五十八町歩の内容でございますが、炭鉱の所有地になったものが五十三町歩でございます。それから次は累層採掘の二次被害が進捗中のもの及び復旧費が著しく高く、反当り五十万円ないし百二十万円を要するので、さしあたり復旧できる状態にないものが二百五町歩ということでございます。
#238
○多賀谷委員 二百五町歩についてはいつごろできるのですか。さしあたりといいますが、ボタでも埋めて復旧する計画があるのかどうか。
#239
○讃岐政府委員 そのうちで二次被害の進捗中のものにつきましては、これは鉱害が安定する時期を待ちまして、一般鉱害として復旧する、こういうことで大体昭和三十七、八年ごろはに復旧できるのじゃないか、こういうふうに考えております。それから先ほども御質問がございましたが、クリークになっているようなものをどうするかという問題が、もう一つ残るわけでございます。これは先ほども申し上げました通り、その他の農地を復旧するためにやむを得ず犠牲にしたものでございまして、これの復旧のためには相当の長期間を要するであろうというふうに考えるわけでございます。この復旧には相当の土砂の量が必要でございまして、近隣にその土砂が得られないために、やむを得ず犠牲になったものでございます。これに対する復旧に必要な土量といたしましては、近辺の炭鉱のボタを持って参りまして埋めていくというような措置が必要になってこようかと思うのでございます。これにつきましては相当長期間かけて何とかして復旧して参りたいと思うのでございますが、この問題につきましては、現地の市町村なり被害者並びに炭鉱等の意見も聞きまして、実情に即するような適切な措置をとりたい、かように考えておる次第であります。
#240
○多賀谷委員 私に、二次被害が起きているという場合には、あるいは昭和三十七、八年までかかることはわかるのです。二次被害でまだ不安定だから……。ところがクリークの場合は、これは長期間かかるというだけでは、どうも私は無責任だと思うのです。被害がだんだん進行をしているという状態でなくて、仕事が困難だということですから、困難なら困難のように、どういう計画を持って復旧をすればどの程度はかかるということが一応目安にならなければ、特鉱を廃止するについて、残事業についてわれわれは非常に不安でたまらない。そのクリークというのは、これは人工的なクリークと言えば非常に怒られるかもしれないけれども、あるいは緊急やむを得なかった処置かもしれません。しかしあの辺は御存じのようにボタ山もあるのですから、ボタ山で埋めるという問題もある、だろうし、それではどのくらい埋められるのか、あるいは何カ年計画ならばそのクリークが埋まるのか、こういう計砥がなくてはならぬと思うのです。二次被害が起きてまだどんどん進行している分について少くとも昭和三十七年という線が出るなら、クリークならもう少し早く――あるいは期間的には長くなるかもしれませんけれども、計画が出されてしかるべきだ、こういうように考えますが……。
#241
○讃岐政府委員 この問題につきましては、いろいろ御意見があるかと存じますが、特別鉱害の農地を、クリークを作らないで、つまり犠牲田を出さないで復旧したとしますれば、どのようになったであろうかということが、一つの問題であろうかと思います。そうやっておりますと、近辺にどうしても土が得られない。河川の土なりあるいは近辺の山地の土なり持ってきて復旧するのが農地復旧の実情でございますが、これがどうしても得られない。そこで当時の関係者がやむを得ず一部を犠牲にするという決定をした次第でございまして、これは全体の利益のために犠牲者が出たということで、了承されるのじゃないかと思います。私も現在これを考えて、あの当時この復旧をやっていくためにどうしたらいいかということを考えてみまして、このような犠牲田を出すことはやむを得なかったと存じます。これは現地におきまして、現地の関係者も了承された事項でございまして、やむを得ず、残念ながらこういう事態が起った、こういうことでございます。そこでこれをどうするかという問題でございますが、これは一部鉱業権者の所有になっているものもございます。その所有になっているものは法律上意味がないじゃないか、こういう議論もできるわけでございます。しかしさようなことはあまり申しませずに、現地におきまして実情に即するように、関係者の意見を聞いて何とかやって参りたいというのが趣旨でございまして、これは実際やむを得なかったのじゃないかと、私もさように存じている次第でございます。
#242
○多賀谷委員 いや、私は過去のことを言っているのじゃないのですよ。過去のことは被害者も了承してやっているのですから、そのことを言っているのじゃない。それで、クリークは不適地であるから永久に復旧しない、こういうことなら、答弁としては一つのそういう型もあるのです。これは了承しませんけれども、そういう言い方もある。ところが復旧すると、こういうお話ですから、復旧するについては、クリークの問題は、あるいは計画が若干後になってそごを来たすということはありましても、一応の計画は立つと思う。ですからこの計画はどういうようにして行われ、いつごろになったら完成するのか、要するに復旧が完成するのか、こういうことを聞いておるわけです。
#243
○讃岐政府委員 残念ながらその御質問の趣旨に即応するようなお答えができないのでございます。これは第一こうやらなければならなかった事情から推しまして、どうしてもこれを犠牲にしなければならなかった。それはなぜそうなったかと申しますと、近辺にそれに適するといいますか、それに与える土がなかったわけです。そこで今度はこれを計画的に何年間でやれとおっしゃいましても、その土がないわけです。その土をどこから得るかということでございます。それは遠くから運べばできないことはございません。それは経済的にあまりにも高価な復旧になるわけでございまして、その点は御了承を願わなければなりませんが、しかしわれわれといたしましては、復旧はしないとは申していないのでございまして、これはできるだけ経済的に、相当の長時間を要しますが、御了承を願いまして、現地の実情に即するように復旧いたしたい、かように考えておる次第でございます。御了承をお願いしたいのであります。
#244
○多賀谷委員 どうも答弁がおかしいのですが、クリークを作るくらい土がなかった、こういうことなら、それはちょっとできぬと、こういうお話でしょう。いや、します、こういうことをおっしゃっておる。するについては、これはかなり努力して計画を持ってやらなければできませんよ。イージー・コーイングな形で復旧はされませんよ。少くともボタ山からあるいは車道をこしらえてどんどん運ばなければできません。私はできないと思う。ほっといたってできやしません。ですから相当の努力をしなければできないから、計画がなくちゃならぬ。その計画はどういう計画を持たれておるのか。いやこれは経済効果がとてもない、この復旧は高くてできないから、しないんだ、こういうことならば、またそれは一つの答弁でしょう。しかしあなたの方はされるというのですから、一体いつごろまでにできるんですか。計画がなくちゃこの特鉱法を上げるわけにはなかなかいかないんです。
#245
○讃岐政府委員 法律論をすれば、私は復旧しないということも言えるかと思います。しかし実際こういうような状況になりまして、どうするかということか問題でございます。そこで非常な経済的な犠牲を払いまして復旧するということがいいか、徐々にではあるが出てきますボタを埋めることによりまして、経済的にそれほど非常識でない費用をもちまして復旧することがいいかということは、やはりこれはクリークを作らなければならなかったそのときの事情とあわせ考えまして、計画的にやれとおっしゃいましても、これはむずかしい話でございますから、かすに時間をもっていただきまして、われわれとしては誠意をもちまして何とか復旧できるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#246
○多賀谷委員 どうも私は理解できないんですかね。かすに時間をもってとおっしゃいますけれども、昭和二十五年からやっておる。クリークを作ったときは、少くともこのクリークを作る以上は普通の田――普通といっても鉱害の田でしょうが、ほかを助けるために全部土をとって上げた。そしてほかに持っていった。これが大きくクリークになってしまった。ですからこれを将来やるというならやるというので一つの方法があるけれども、やるということについては、最初から土をよその田に移すときから計画がなくちゃならぬのです。ですからそれを今ごろ時をもってすると言われましても、もうすでに十分時がたっておるのです。特鉱法というのは昭和三十二年の五月に終るということかわかっているんですからね。ですからこれをどうするかということが今ごろになって論議をされ、そしてまだ計画がないということでは、私はきわめて責任がない答弁だといわざるを得ない。
#247
○讃岐政府委員 そういう議論も成り立つかと思います。しかし私といたしましては、これは何とかしなければならないものであるという前提に立ちまして、法律上の議論等もいろいろございましょうが、何とかいたしたい、こういうことでございます。そこで国としましても、また地方の公共団体といたしましても、無理やりに何年問でやってしまうということは、おそらく期待すべきような性質のものではないんじゃないか。それはやはりなぜこういうクリークを作らなければならなかったか、こういう事態にさかのぼりまして考えたならば、そういう結論が出るんじゃないか、私はこういうふうに考える次第でございます。
#248
○多賀谷委員 私はかなり努力をしなければできないと思うんです。普通の状態ならできないですよ。そこの土をわざわざとったのですから、計画性を持ってやらなければクリークの復旧というのは私は不可能だと思う。とったって、いつになったってそれは埋まりはしませんよ。少々のボタを持ってきても埋まりはしない。やはり計画を持って、そうして車道を引いて、そしてボタならボタを埋めなければできないんですよ。そうでしょう。それは自主的解決を待つ、そして復旧をしないでおさめるというのなら別ですよ。復旧をするという以上は、徹底的な計画を持って、そうしてそれはあるいは昭和三十七度というのが昭和三十八年になるかもしれませんけれども、計画性を持ってやらなければ、これだけ大きなクリークが埋まるということは考えられない。わずか三輪車ぐらいのボタでそれは埋まるという状態ではないんですよ。ですから私は、この問題については十分態度を明確にして、もう通産省としては腹をきめてこの席に臨まれたと考えるのですが、何か復旧をするような、しかもそうでもないような答弁をされると、関係者は非常に迷惑をすると思います。明快な御答弁を願いたい。
#249
○讃岐政府委員 それはもう見解の相違になるかと思いますか(「見解じゃない、事実問題だ」と呼ぶ者あり)事実問題でございますが、このクリークかできるときに、どうしても土が得られなかったんです。そこでそれを犠牲にしなければでき上らなかった。だからその当時においてこのクリークを作ることをみんな了承してくれているわけです。その上に立ってこのことができた。そういうことでございますから、これは法律論をいたしますれば、特鉱法のらち外ということもできるのじゃないか。そういうことも言えると思いますが、さようなことは申しませんで、何とかして復旧するようにいたしたい、こういう前提で申し上げているわけでございます。これほどの土の不足をまかなうためには、これは尋常の手段ではいかぬわけでございます。そこで計画を立てろとおっしゃいましても、なかなか計画は立たぬわけでございます。だから経済的に何とかしてやりたい。それには現地の皆さんとも相談しまして何とかいたします、こういうことでございます。
#250
○多賀谷委員 どうも僕は納得できないんですよ。僕は理屈を言っておるのじゃないんです。それは法律論の見解の相違じゃないんですよ。と申しますのは、非常に困難ですね。困難ですから、尋常なことではできないと、おっしゃる通りです。ですから、やるならやるについて、今から計画を持ってやらなければ簡単ではない。また何とかしますと言いましても、それができるくらいなら今できておる。それができてないのですから、これをどうしてやるかという計画を持っておやりにならなければできないだろう、こう言っておるんです。復旧をしないでとにかく片づけるというのならまた話は別です。しかし復旧をするということになると、やはりこれは相当な計画を持って、そうして車道も引き、ディーゼル・カーも持ってきてやらなければできないだろう、こういうように思うんですがね。
#251
○讃岐政府委員 復旧いたします場合には、それは車道もディーゼル・カーも必要かと思います。しかし問題は土を確保することでございますから、これは今も申し上げます通り、近辺のボタを運んで、ボタも十分には得られるわけではないのです。今後発生してくるボタをおいおいに入れる。従いまして相当時間がかかると思いますが、そういうことで復旧していくようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。これを何カ年計画でと言われましても、これは相当の長期間かかるだろうと私も思います。そういうことで考えておる次第でございます。
#252
○多賀谷委員 では委員長も所用があるそうですから、この問題はあすに延ばして、さらに追及することにいたします。
#253
○福田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明六日午前十時より開会することにいたします。
 これにて散会いたします。
    午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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