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1956/03/29 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第20号
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1956/03/29 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第20号

#1
第026回国会 商工委員会 第20号
昭和三十二年三月二十九日(金曜日)
   午前十一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    内田 常雄君
      大倉 三郎君    岡崎 英城君
      首藤 新八君    中村庸一郎君
      南  好雄君    村上  勇君
      山手 滿男君    横井 太郎君
      田中 武夫君    多賀谷真稔君
      永井勝次郎君    帆足  計君
      水谷長三郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  水田三喜男君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      岩武 照彦君
 委員外の出席者
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 委員渡海元三郎君辞任につき、その補欠として
 福井順一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員岡崎英城君、佐竹新市君及び多賀谷真稔君
 辞任につき、その補欠として山手滿男君、中村
 時雄君及び木原津與志君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員木原津與志君及び中村時雄君辞任につき、
 その補欠として多賀谷真稔君及び佐竹新市君が
 議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員福井順一君辞任につき、その補欠として岡
 崎英城君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電気料金に関する件
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 この際水田通商産業大臣より電気料金に関し発言を求められております。これを許します。水田通商産業大臣。
#3
○水田国務大臣 いわゆる電気料金の頭打ちの問題につきましては、当委員会でもいろいろ御質問その他で御心配を願っておりますので、政府の考えをまとめて御相談をかけるという段取りになっておりましたが、政府部内でもいろいろ検討し、多方面の御意見も聞いてどう対処するかを考えたのでございますが、夏冬料金を機械的に一本化したという問題から派生する料金の不合理性というものが、御承知のようにたくさん出ております。そういうものの一つの是正手段として、料金制は政府が認可しておきながら、別に電力会社に要請して、そういう不合理な点を是正するために一時暫定措置として認可を申請しないかといって業界に勧めて、政府がこれを認可しているというような行政を暫定的にやってきたことは御承知の通りでありますが、いつまでこういう行政を私どもとしてはやるべきじゃない、従ってこういう暫定措置をとるためには根本的な料金制の再検討も必要でありますし、同時にこれから電力会社にいろいろな開発を促進させるための助成策も必要であろう、それらの検討がおくれているために、とりあえずというようなことで今日まできたいきさつも御承知の通りと思いますが、いつまでこういうふうなことをやっておることも私は不合理と思いますので、政府としましては、今度こそそういう不合理の是正というための根本的な検討をここでやるということを前提といたしまして、もう一年原則として従来の三割頭打ちの措置を続行する、そうして電気料金の値上げはしないという原則をきめました。ただしこの実態調査によって得られました結果を見ますと、一般家庭の電灯の状態と、特別に多い電灯をつけて電力を使っておるところの比率そのほかを見ますと、一般の家庭電灯は、今の料金制からいいまして十アンペア未満のものである。それ以上のものはぜいたくな部類に属すると思いますが、数は平均して一割前後のものであるという調査の実態から見まして、この際アンペア別基本料金制地区の十アンペア以上のものに対しては、この三割頭打ちということをしないで、これを解除するということにいたしまして、あと全部は本年の四月一日から一カ年間三割頭打ちの従来の措置を存続するというような方針にいたしたいと考えまして、ただいま閣議の了承も得て参ったという次第でございますので、この点は一つ御了承願いたいと思います。
#4
○福田委員長 質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。永井勝次郎君。
#5
○永井委員 電力料金の措置に関する閣議決定の事情はただいま通産大臣から伺いまして了承いたしました。新聞の伝えるところによると前回の閣議に通産大臣が三割頭打ちを全面的に廃止するという提案をし、岸総理を初め閣議で相当の問題があって、一たんその原案を引っ込めてさらに再検討して、現在御説明のようなところに落ちついたというようにわれわれは了承するのでありますが、もう少し今回の料金が決定に至ります間にどういう論議があったか、これがどういう経過をとってここに落ちついたかということが今後岸内閣及び通産大臣が電力料金と取っ組む場合における志向を見当づけさせるものであると考えますので、その点が重要であると考えますからお尋ねをいたしたいのであります。どういう経過をとってこういうふうになったか、どういう閣議の論議であったか、単に選挙を控えて今電力料金を上げることは対外的な印象が悪いとか、あるいは諸物価の値上りを刺激するようなことになってはいけないとかいうような・便宜主義の上からそういう措置がなされたように新聞では伺うのであります。今通産大臣のお話によると、料金の不合理性なり今日の暫定措置を根本的に再検討してそして対処するというお話でありましたが、この根本的に検討するファクターはどういう問題かということもあわせて明らかにしていただきたい。
#6
○水田国務大臣 今までの経過についてのお尋ねでございますが、経過につきましては主管官庁である通産省の内部においてどういうふうにしたらいいかということをずっと検討しておりました。その結論の出ない間に一ぺん党及び政府に、こういう問題があるから自分たちは現在検討しておるんだというふうに問題の所在をはっきり示して、そしていろいろ考えをまとめておいていただきたい、こういう意味で実は閣議に私からこの問題を出したということでございますので、閣議に私どもの検討した案を持って出て論議したわけではございませんでした。従来のいきさつを述べ、今後この問題についてはただ漫然と従来の制度続行というわけにはいかぬというような問題について私から説明いたし、またこの問題の解決と直接からまらないにしましても、今後電源開発をどんどん促進していくためには、資本費の増高とかいろいろな問題がございますので、公共事業である限り料金をなるだけ上げないで下げさせる、そのかわり政府として助成すべきものもある程度考えてやらなければいかぬではないかということから、今まで電力については重要物産免税とかあるいは増資免税とかいうような特例をもって一応の恩典を与えておったのでありますが、これは今度の税制改革によって果して電力に対してそういう措置をとるのがいいか、やはりそういう政府の措置は新規産業だけに限った方がいいというような意見になりまして、こういう税制上の特権をとってしまいました。とってしまいましたが、そうしますと開発銀行の資金を多くしてなるだけ開発費を安くするということに協力するかと申しますと、この点の措置も今度は十分でございませんでしたので、料金を上げないで将来なるだけ合理的に下げさして公益の用に供せしめるという線をどこまでもとるというなら、一面開発についての政府の考え方も今後根本的に変える必要があるのではないか、こういう問題も考慮して、そうしてとりあえず当面の頭打ちの問題を解決しなければならぬところに迫っているのだという問題の所在を説明したにとどまりましたが、その際、これは申しわけないことですが、ただ問題はそういう問題だといって私どもの案を出したわけでなかったので、これは一切議題からはずすという約束になっておりましたのが一部漏れまして、何か全面的な電力値上げ案を通産省から出したような勘違いり記事や何か出てしまったことは事実でございますが、経過から申しますと、こういう問題の所在をただ説明したというだけのものでございまして、それでは、当局としてこれでよかろうというしっかりした案を立てろ、そして次の閣議でそれを出してもらいたいということになって、私どもが研究の結果、一応今御説明申し上げましたような案を作って今日閣議に出した、こういう経過でございます。
#7
○永井委員 今日電力料金の問題が問題になり、あるいは三割頭打ちという暫定の措置の取扱いをどうするかという論議になって参りましたのには、いろいろな前提条件があるわけです。大臣御承知だろうと思うのでありますが、昭和二十九年十月に現在の新しい制度の電力料金が決定される場合、従来の従量制なりあるいは定額制なり、大口、小口といういろいろな扱いの制度から今度アンペア制に変るということになりますと、この料金単価の比較が次元が違うわけですから、同じ条件でできない。そういうことになって今度のアンペア制は比較する条件をすりかえて、実質的には大幅な料金の値上げをもくろんでおるものではないかということが、この委員会で論議になりました。そのときに、当時の公益事業局長の中島さんは、値上げにはならないのだ、そう大した違いはないのだ、こういう答弁でありました。しかし、内容を検討して、アンペア制にすれば必ず大幅な値上げになる、いや値上げにならないということで、それで、中島局長は公益事業局長として今日責任のある答弁をする、それがもし何年かの後に、うそであった、間違いであったということになれば、これは重大である、しかしそのときはもう君は公益事業局長じゃないだろう、責任はずれてしまうのだから、今日さえいいかげんに通ればいいということではいけない、首をかけるかといって私はそのとき論議をしたのです。そう大幅な値上げにはならないのだ、こういう前提に立ってこの新しい料金制度がきまったわけです。これは実施に当りまして相当な料金の値上げになります。そこで政府は、そういう言明をした建前上三割頭打ちというものを実施して、そうして、これは暫定措置であるが、その間には税金措置なり金融のいろいろな措置なり、いろいろ政府で行えるところの措置をして、実質的に値上げにならないような措置をするのだということで二年の時限を置いて、その間に政府はやるのだ、こういう話で今日に至っておるわけであります。でありますから、ただ単に今日三割頭打ちの問題をとるかとらないか、どうするかというだけの問題ではなくて、その前提条件になっているのは旧料金制度と新料金制度の間には大幅な値上げはないのだということなんです。こういう立場においてこういう問題の論議ももちろんワクがあるわけであります。また三十年の三月三十一日に本委員会は決議をいたしております。この決議の内容は、大臣は御承知であろうと存ずるのでありますが、これは電気料金の引き下げを行うべきであるということを決議しておるのであります。でありますから、電気料金の問題、三割頭打ちの問題の処理ということは、そういう問題を通して旧料金から新料金の実施に当って大幅な値上げはしないんだ、もし大幅な値上げのある部分ができたならば、それはいろいろな措置によって実質的に値上げをしないように措置をするんだ、こういう前提条件があると考えるのでありますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか。それからまたこの前提条件に立って今後この料金制度というものを検討されるのかどうか。この前提条件は前の内閣のことであるから、これは過ぎ去ったことであるから、新しい立場に立って、電気料金という問題は新しい角度から再検討するんだ、こういう立場なのかどうか。電力料金検討の立場を明確に一つしていただきたいと思います。
#8
○水田国務大臣 立場は、要するに私どもは合理性というところに一番力を置きたいと思います。冬料金、夏料金一本化に伴う措置にはいろいろ不合理な点が伴っておりますので、そういうものの総合検討をやって、そうして新しい料金制度をきめる。その場合には合理的、従って合理化することによって電灯料金は上げないという立場で検討したいと考えております。
#9
○永井委員 そういたしますと、水田通産大臣の電力料金検討の立場は、今のアンペア制、夏冬料金一本化の中にはいろいろな不合理な点がある、であるから新しい制度のアンペア制度というものを変える、再検討してアンペア制というものは取りかえる、取りかえた中において、現在実際に実施されておる料金から値上げをしないように検討するのだ。こういう立場であると了承して差しつかえありませんか。
#10
○水田国務大臣 アンペア制を変えるということは、すぐには考えておりません。やはりあのときの改正を基礎にして私は考えたいと思っております。
#11
○永井委員 そういたしますと、大臣の先ほど言われた料金制度を変えるということはどういう内容でありますか。料金制度を変えるという大臣の考え方を明らかにしていただきたい。
#12
○水田国務大臣 御承知のように各電力会社におきましては、アンペア制をとっているところと、とっていないところもございますし、従って今度のような頭打ちの措置をするについても、各電力会社間には非常なこの措置によるアンバランスというものが出ている。そういうものを全体総合して、アンペア制をとるところならとるところにおいて、この合理化の方法がございますし、そうでなくて、他の地区の制度をどうするかというような全般的な問題を一つ総合的に私は検討したいと思っております。
#13
○永井委員 新聞の発表するところによると、今度の政府の措置は十アンペア以上の需用家を対象としてやるのであって、その対象となるものは全需用者の一割にも当らないごく少数のものである。そうして十アンペア使う家庭というのは、四十ワットの電灯にして二十五灯つけるんだ。だからこういう大口なところは非常に少いんだ。こういうような説明をしておるようでありますが、四十ワットの電灯で計算して二十五灯なんだ、こういうような発表をするということは、いかにも電気料金を担当しておる担当省としては実情に沿わない。いかにも電力会社は、今度そういうものをとってもそう値上りしないんだ、ほんとうに少数のものだけが対象なんで、一般家庭には影響ないんだ、こういうことでことさら実態と沿わない一つの計算を出して、そうして示しておるような感じが非常に強い。口の先では料金の値上げをしないようにするのだと言いながら、実質的には値上げを合理化してあまり影響を与えないように、ずるずるっとうまくすべり込むように、こういうような意図でこういう発表をしているのではないかと思うのです。もしほんとうに実情に合うならば、各家庭ではラジオもありましょう。電気洗濯機もありましょう。アイロンなんか使ってない家庭はありません。そういう大体一般家庭の標準を基礎にして、こういう家庭が大体十アンペア以下なんだ、こういうところが十アンペア以上なんだというような、もっと国民の実生活に即した材料を提供して、そうして理解させるようにしたら、もっとわかりやすくなるのじゃないか。そういう問題を出すと、これは大へんだという需用家の声が起るので、四十ワットの電燈を二十五つけることができるというような発表をしているのではないか、こういうふうに印象されるのでありますが、これはどうしてこういう数字を具体的に例示したのでありますか。
#14
○岩武政府委員 技術的な問題でございますから私から答弁いたしますが、御承知のようにアンペア制はやや設備料金的色彩が強いので、たとえば同じ四十五キロワット・アワー使いましても、アンペア制をとっているところとそうでないところでは、だいぶ料金が違うわけでございます。またアンペア制をとっておりますれば、十アンペアで四十五キロワット・アワー使っているところと、二十アンペアで使うところと、五アンペアとはそれぞれ違う。五アンペアで四十五キロワット・アワー使っている方が二十アンペアで四十五キロワット・アワー使っているよりも比較的値段が安いというふうになっております。端的に申しますれば、五燈くらいの家庭、これはもちろん五アンペアでございますが、そこでたとえば子供が試験勉強をしているとかあるいは病人があるということで四十五キロワット・アワー使いました場合、それから三十燈あるいは二十五燈程度持っております大きな家で四十五キロワット・アワー使っている場合とでは、料金がだいぶ違います。それが今までの最低料金制という制度でありますると、キロワット・アワーで計算いたしますから同じになっちゃうという不公平がありますので、アンペア制に切りかえたわけであります。従ってアンペア制の方がむしろ合理的に電気料金を徴収することになっているわけであります。だからこれは変える考え方はありません。
 そこで御質問ありましたように、説明の仕方の問題もあるかと思います。十アンペアと申しますと、百ボルトを標準といたしますから、大体千ワット、一キロワットになるわけであります。そこで今日本の家庭で平均してみますと、大体一燈当りのワットは四十ワットから五十ワットであります。従ってかりに四十ワットという例をとれば、二十五燈を同時につける電気に相当する。もちろん御指摘のようにラジオもございましょうし、その他の小型機器と称するものもございますから、二十五灯までが十アンペアというふうに断定はできません。大体傾向を見ておりますし、そういう小型機器が、これはいろいろ家庭によって違いますから、一々その家庭々々について調べて、いやしくも一つも間違いはないということはなかなかむずかしいと思いまするが、大体言うと、やはり十七、八灯から二十灯、二十四、五灯という辺が十アンペアのようでございます。従ってそういうふうなことでわかりやすく実は説明したつもりでありまして、おしかりを受けてははなはだ私たちも心外でございますが、そういうふうにわかりやすくするために、かりにというような前提で、同時に二十五灯使い得る家庭の設備、こういうふうに申したわけであります。
#15
○永井委員 新しい料金制度はアンペア制に基く料金であります。ところがこの新料金が決定されてからすでに三年になりますが、いまだにアンペア制が実行に移されていない。アンペア制に基く料金は一体いつごろ実行できる段階にあるのか、できないのはどういう理由によってできないのか、明らかにしていただきたい。
#16
○岩武政府委員 そういうことでアンペア制が合理的でありますので、早く実行するのが趣旨でございます。現在の建前もアンペア制を実行しております。ただ、御承知のように、九電力が従量電灯について全部アンペア制をとるということになったのではありません。関西電力以下西の方の四社は現在昔ながらの最低料金制をとっております。これはあまり合理的ではないと思いますが、この前の料金改訂のときの結果を見れば、その方が過渡的には値上り率が少かった。そしてアンペア制の方が個々の需用家にとって、中には過渡的にひどく上る階層が出てきたわけであります。これはいろいろな事情がございます。一律にだれもがみな三割以上上るということではございませんで、極端に申しますれば、その前の料金時代にたくさん灯数を持っておりながら、あまりキロワット・アワーを使ってなかった。従って従前の最低料金制であれば、キロワット・アワー本位で参りますから、比較的料金が安くて済んだ。それが今度のアンペア制の結果、先ほど申し上げましたように、設備料金的な面がふえますので、ひどく上って参るという階層が出て参りました。その辺を救済するために部分的に三割以上になる場合には、これは三割に据え置こうというのをこの前一昨年の三月に作ったわけであります。その結果の実態調査についてはお手元に配っておりますように、比較的そういうふうなアンペアの大きいところが三割頭打ちの割引の制度に浴しておるという傾向が現われております。従って今回も、そういうふうな結果が判明いたしましたので、あまり当初の直接家庭生活にひどい打撃を与えないというねらいと若干違った結果になっておりますので、そこはむしろもとのアンペア制に戻してそのままやった方がより公平に行えるのじゃないか、こういうふうなことで今考えたわけであります。
#17
○永井委員 今局長はアンペア制を実施しておるというが、実施しておるわけじゃないのです。アンペア制を実施していないから、アンペア制を実施するまでの暫定措置として、従量電灯金をアンペア制に置きかえて、五アンペア住宅用では何灯とか、商店用では幾ら、こういうふうに置きかえてやっておるのであって、アンペア制を実施しておるのではありません。この新制度実施に当っては二年のうちに全部やるんだという話であったが、二年たっても三年たってもやるような形勢は見えません、なぜか、問題はここだと思う。これは大臣おわかりだろうと思うが、一体新しい制度に切りかえるときには、今まで夏冬料金の二本建であった。夏料金になると二五%下げる。そこで冬の高い料金になっておるときに夏冬一本の料金にして、夏料金の値下げはしないということで、現在夏冬料金一本ですべり込んだ。ここに需用家の心理的な気持をつかんだごまかしがある。それからアンペア制にすぐ切りかえるならば、設備その他があって、時間がかかりましょう。しかしアンペア制に切りかえたら、非常な値上りになるわけです。当局はそう値上りはないと言う。とこがアンペア制にすると、四割、五割だけでなく、倍にも値上りするところがずっと出てくる。一応設備が整うまでアンペア機器を製造したり、設備するまでの期間ということで現在延びているんですが、そこでこのアンペア制に会社の方で切りかえても仕方ないだろうと思う。会社がうんともうかるんです。ところが現在のように、三割頭打ちという制度の中でアンペア制に切りかえたら大騒ぎでありますから、まずアンペア制を実施する前提条件としてどうしても三割頭打ち制度を全廃しなければならない。使えば使っただけお前のところではちゃんと使ったんだからアンペアに現われている数字によって料金を納めてもらいましょうということにするには、どうしても三割頭打ち制度というものを取り除かなければならぬ。これが電気会社としては当面どうしても地ならしとしてやらなければならない問題であるが、これは大へんな値上りになると思う。今言ったように、十アンペア以上は非常に少いと言っておりますけれども、これは現在暫定措置として置きかえてやっておるわけです。需用家にはそう大した影響はありませんけれども、五アンペアというと五百ワット・アワーです。今どんな家庭でもアイロンを使わないところはありません。あれは三百ワットから六百ワットです。五アンペアの需用家は六百ワットのアイロン一つ使えばヒューズは飛んでしまうのでありますから、その家庭は十アンペアの契約をしなければならぬ。そのほかラジオもありましょう、テレビもありましょう、電気洗濯機もありましょう。たいていの家は十アンペアではだめなんです。五アンペア、その次は十アンペア、それから十アンペア飛びで二十アンペア、三十アンペア、こういうふうにして基本料金から何からずっと違う。私は今首をかけてお互いに論議しておるのでありますが、この新制度料金のときには、値段は旧制度に比べて上らないと言っている。三割の頭打ちはこの程度で大体済ませるんだと言っておきながら、アンペア制を実施してごらんなさい。倍も三倍も上るところが出てくる。そういうときに三割頭打ちされれば会社は困るから、それで三割頭打ちをやめてくれというのが実情です。この制度ができれば、この次には必ずアンペア制度をやるに違いないと思う。こういうように前の料金と今度の新しい料金とは条件が違うから、正確な比較はできない。そういう形にして需用家に大きな負担増を来たさせるというからくりがこのアンペア制にある。今局長はアンペア制を実施しているというが、大うそです。暫定措置として置きかえておるわけです。アンペア制という名前にしているだけです。大臣はこの問題について――技術やその内容のこまごましい問題はおわかりにならないでしょうが、大体今言った話だけでも、五アンペアが中心だなんと言ったらとんでもない間違いで、アイロン一つで三百ワットから六百ワットで、これだけで五アンペアは飛んでしまうのです。こういう問題について、技術的な内容は局長に聞きますが、政策的な点に対して、大臣はこのアンペア制と三割頭打ちというからみ合せをどういうふうに理解しておられるか、大臣の理解の程度を明らかにしてもらいたい。
#18
○水田国務大臣 私の理解している程度では、このアンペア制をしくときに、今五アンペアと言われましたが、実際には料金の値上りを避けるために、電力会社の方で今私どもが言っておる十アンペアという程度になるようなものもほとんど五アンペアの中に繰り入れられてあのときにきめられた、そういう事情がございますので、たとえば東京で見ましても、頭打ちの適用を受けている戸数が――六カ月間に延べ七百何万戸のうちで、六百何万戸は今度のこの措置によって全然影響ない。比率で言うと、東京地区においては全需用家のうちで七%だけが現実にこの問題にかかり、あとの大部分の家庭にはほとんど影響はないという説明を受けておりますので、その程度に理解しております。
#19
○永井委員 これは大臣まゆにつばをつけてしゃんとして何しないと困る。三十年度の本委員会の決議でも、電力料金はだれでもわかりやすいような制度にしなければいかぬ、今のようにややこしくて複雑で、料金の内容についても早収であるとか遅収であるとか、あるいは前には石炭の価格がどうだとかこうだとか、夏料金とかなんとか非常に複雑である、こう思っていたのですが、今度の制度は、前よりも単純化せよと言っておるにもかかわらず、今までの旧料金よりもずっと複雑です。前は夏冬二本建の料金で、そして六キロまでと六キロ以上というふうに単純な区分けだった。ところが今度はそうでなくて、五アンペア、十アンペア、二十アンペア、三十アンペアというふうに四つの内容に複雑になってきました。そうしてその上に基本料金とその上の料金、こういうふうに非常に複雑になってきた。その中でどさくさまぎれに、今までの旧料金よりも需用家にとって倍にも三倍にもなるような料金に切りかえて増収をはかろうというような意図が新料金の中に隠されているということを忘れてはならないと思う。でありますから、電力会社のいろいろな原価計算の問題にしてもあるいは収支の計算の内容の問題にいたしましても、正しい立場、国民経済の立場でぜひ通産大臣にしっかりしてもらわなければならぬと思いますことは、前の新料金に変りますときには、配電会社から値上げの要求があった。一割七分料金を値上げする、それは、二十九年の上期は百九億赤字が出る、こういうことで原価計算を出して値上げの要求をしてきた。ところが新しい料金が決定され、実施に入ってきた。そうして一割七分の値上げは一割一分に政府査定で落されました。それにもかかわらず、百九億が赤字になると言ったのが、二十九年の上期は決算において百十九億の黒字になっておる。収支の好転は実に二百二十八億、こういう大幅な開きが出てきている。それから三十年の上期、下期、三十一年の上期もそれぞれ百億ずつの黒字になっておりますことは御承知の通り、そうして渇水準備金は、天候のせいだといいますが、二百七十七億の蓄積が出ておる、それから税金の上においては、当然納めなければならない税金をいろいろな租税特別措置法によって三十一年度は二六%より税金を納めていない、業種別に見て電力会社は一番安い税金を何しておる、そしてこの配当の一割二分までは損金に落すとかいう措置を何されて、赤字が百九億出るというのが実質的には百十九億の黒字になっておるのです。これを実施していったら化けの皮がすぐはがれる、こういうことを平気でやっておる。今度の三割頭打ちの問題は、単に税金の裏づけをしないとか、金利の何をしないということで三割頭打ちが問題になっておるのではなくて、早くアンペア制を実制したい、そして倍も三倍もの料金を取りたい、こういうところに三割頭打ちの問題がある。頭打ちするなら半年にしてくれという要求を夕べ東京会館の会談で局長が申し入れされたということが新聞に出ておりますが、これは一日も早く三割頭打ちをなくしてアンペアに切りかえて、取れるだけの料金を取りたいというのが会社の偽わらざる底意だと思います。こういう問題について、もし私のこの考えが正しいとするならば、国民経済の立場で、料金の問題、アンペア制の問題、それから何倍も上るという問題について、大臣はどう処置しようとするのか、一つ所見を承わりたい。なるようになるのだから、それは仕方がないのだというお考えでありますか。もしそうでないとすれば、現在よりも急激なる負担増ができないように、制度的にも、運用的にもあるいは行政措置の上において――金融、税金その他いろいろな措置において食いとめて、会社だけの利益をはかるようなことはしないのだというお考えであるならば、そのお考えを示していただきたい。それを実行するためにはどういう措置を今考えられるかということを明確にしていただきたい。
#20
○水田国務大臣 さっき申しましたように、また暫定的な措置をここでとらざるを得ないということであっては困りますので、こういう措置をとる前提として、今おっしゃられたような問題を全部含めまして、そうしてこれは会社の経理問題とも関連して参りますので、そういう点も見て、合理的な料金制度を作るための全般的な検討をしたい、こういう考えでございます。
#21
○永井委員 まだ大臣はよくおわかりになっておらぬから、問題のあるところをはっきりおつかみになっていないのは無理がないと思いますが、そういう条件がここに伏在しておるのです。これは三割頭打ちだけの問題じゃないということを銘記しておいていただきたい。そして需用家の恨みを買うような通産大臣であってはならないと思いますし、あらしめてはならないと思うので、一つそういう立場でこの三割頭打ちの問題は検討していただきたいと思う。
 もう一つお尋ねいたしたいのは、現在の料金制度の中に石炭条項というのがあります。これはまだ廃止になっておりません。停止ということになっておりますが、この石炭条項の今後の取扱いはどういうふうなお考えでありますか、承わりたい。
#22
○岩武政府委員 お尋ねはコール・クローズの問題だと思います。御指摘のように、今停止しております。大体最近の炭価、並びに重油の状況を見ておりますと、コール・クローズの幅一ぱい、あるいは若干上回りつつあるような傾向でございますが、通産省といたしましては、しばらくコール・クローズは復活させないでおきたいという気持でございます。まあ今後の炭価の情勢、あるいは重油の値段等を見ませんと、今の値段をすぐ受けまして、コール・クローズを復活して、それだけ大口の電力の方に影響を及ぼすということはちょっとまだきめかねる状況でありますから、しばらく現在のままでおきたいと思います。
#23
○永井委員 局長は今きめかねるとか何とか言っていますが、この問題をそういう答弁をすること自体が私はおかしいと思うのであります。たとえば新しい料金の問題が議題になったときは、ちょうど石炭が値下りしていて、そうして普通の石炭条項というのは、石炭が値上りしたならば、それだけのものは会社が取る。ずっと値下りした場合は、それだけのものは需用家に返還するということでありましょう。値幅だけ返すということでありましょう。当時は石炭の値段がどん底で、非常に安かった。だから会社側からすれば、この条項を置くならば料金を需用者に返さなければいけないというような状況があったから、それは当時の答弁を見てごらんなさい。もはや石炭は、石炭条項というものは必要ではない、問題ではなくなったのだ。値段も安いし、それからいろいろな新しい火力発電の設備ができて、そうして熱効率が非常に上って、石炭はそう大した料金制度の中のウエートにはならないのだということから、これは石炭条項を削るという話だった。それが廃止にならないで停止になっている。今石炭が上ってきた。そうしたらきめかねるとか何とか言う、冗談じゃない。下ったときは知らぬ顔をして、上ったときは何とか考える、すべてこういうふうなことで、会社側に立って、一方的な利益擁護のような行政庁であっては、われわれは納得できない。石炭条項は停止なんといういいかげんなことで、死んだものがどこで生きてくるかわからないようなことをしないで、明確にしていただきたい。
#24
○岩武政府委員 まさに御質問がありましたそれと同じことを私は会社側に申しております。今まで下ったときは黙っておって、少し上ってきたら上げろと言うなんということはいかぬということで、同じことを申しております。今すぐ復活するということは早過ぎるというのが私の意見でございます。永井委員と同じ気持で会社に当っておりますから御信用願います。
#25
○永井委員 やや安心の感があります。まだしっかりとは安心するわけにはいきませんが、やや安心いたします。
 それから次に通産大臣にお尋ねいたしますが、せっかくこの段階において電力料金の制度の問題、そういうものを根本的に再検討したい、こういうお考えのようでありますが、電力料金の問題については、水系別主義で行くか、あるいは原価主義で行くか、プール主義で行くか、地域差主義で行くか、あるいは日発の卸売料金の算定基準をきちっときめて、原価主義だけでなしにきめて、そうして物価と見合ってどうこうしようとか、いろいろ問題点があると思うのですが、一体どういう基本的な立場において料金問題というものは検討されようとするのか、基本的な態度を承わりたい。ただ会社の方から、原価が収支こういうようになるから、これだけ料金を上げてくれ――下げてくれという要求はないので、必ず上げてくれという要求がある。その場合、その料金が妥当かどうかという、料金をきめる場合の基準となる尺度を持たないで、ただ高い安いという取引じゃ問題にならぬと思う。料金制度を一体どういう基本的な理念の上に検討されるか、水系主義なのか、プール主義なのか、地域差ができても、それでよろしいのだ、できたままでやっていくというのか、そういう基本的な態度を一つ承わっておきたい。
#26
○水田国務大臣 結局この問題の検討の結果は、やはり現在のように、会社の地域別の原価主義というものに最後はよらざるを得ないのではないかと考えておりますが、そういたしますと、結局そこに出てくる問題は、料金決定の前提として政府のやるべきいろいろな施策と関連する問題がたくさん出て参ります。不当に原価がこの地域が多くなるということについては、多くなる原因について、これは公益事業でございますから、政府側として一定の援助とか、そういう方法があるかというような、そういうものに関連してきますので、最後は原価主義によらなければいかぬではないかと私自身は考えておりますが、それに寄り切るためには、今後政府の政策としてのいろいろなほかの問題が起ると思います。そこでそういう問題もあわせてこの際考えて、はっきり電源開発を促進させるための根本的な対策というようなものも一緒に私は考えたいと考えております。
#27
○永井委員 大臣が今後電力料金の問題は原価主義によっていきたい、こういう話であります。原価主義によっていくということであるならば、私はいろいろな問題があると思う。大臣は、今九分割されているが、この九分割されている基礎条件というものが合理的な分割になっていると思っているかどうか、伺っておきたい。
#28
○水田国務大臣 現在はなっていないと思います。
#29
○永井委員 合理的な分割になっていなければ、原価主義計算の作業の前にそれを合理化するということが前提条件にならなければ、国民としては原価主義というものには納得できないと思う。佐久間ダムができた、これをずっと長距離の東北まで送らなければならないというようなことをやっておれば、原価はどんどん高くなります。それから東北の方には発電所は多くない。発電所が固まっている。これを九分割というものでも、ただ地理的な条件で九分割したのであって、電力行政というものから合理的な配分をしたのではないから、そういうことが問題になってくると思う。従って原価を切り下げて、そうしてできるだけ生産を興し、あるいは安い料金をという国民の要請にこたえようとすれば、原価主義の前提作業として九分割の問題に手をつけてこなければならないと思いますが、この九分割の問題については大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
#30
○水田国務大臣 この前お話し申し上げましたように、再編成が行われてからまだ五年だ。ですから現在のところですぐに再々編成を行うというようなことを考えるのも、これはまた大へんな仕事になりますので、当面は電力の需給を円滑にするというために、分割されたそれぞれの地域でどう電源を開発していくか、そうして足らないものをお互いにどう融通させるかというような、そういう問題の解決をやりながら、当面開発に力を入れていきたい。その間に今申されましたようないろいろな地域差が生じますが、水力と火力の割合をどうするとか地域別にそういういろいろな対策を立てることによって、原価主義からくるいろいろな障害というものもある程度防げるのじゃないか、そういうことをやりながら、根本的な電力業の再々編成と申しますか、そういうものをもう少し先にいって考えたい、四、五年のところですから、しばらくこの問題から離れてやっていきたいというのがわれわれの方針でございます。
#31
○永井委員 古い言葉を引っぱるまでもなく、間違いは早く改めた方がいいにきまっている。不合理だということの認定の上に立てば、今の政府はいろいろなことに合理主義をとって、合理化すると言っているのだから、不合理だということがわかっておりながら、その不合理を国民に押しつけようということは怠慢であります。また、政策について非常に良心的だという水田通産大臣の言葉ともわれわれは受け取れない。そういう子供だましのようなことでなくて、やはり間違っていることは一日も早く直していただきたい。いろいろなことを是正するといったって、それは次善三善の策であって、根本的なものではない。
 さらに私は、この原価主義でいくならばいろいろな問題があると思う。ここに資料がありますが、水源地におけるいろいろな問題のために、当初の全容量に対して――土砂がどんどん詰まって、そして全容量の半分も使えないようなダムがたくさんある。そういたしますと、そういう工法の間違いあるいは管理者としての善意ないろいろな措置が講じられないで、工事は百パーセントしたが実際の利用は半分よりできないというようなものを、研究中だから、こういうふうになっておるのだからといって全部消費者に転嫁して、原価主義でおっかぶされるのじゃ、国民は迷惑です。原価主義でいくというならば、こういう問題を一体どう合理的に処理されるか、明確にしていただきたい。
#32
○岩武政府委員 ダムの埋没の問題、いろいろお話は聞いております。ただ、われわれの方でもいろいろ調査しておりますが、御指摘のように有効貯水量の半分が失われておるダムがたくさんあるというふうにはわれわれは見ておりません。何か資料がございましたら御提出いただきましていろいろ検討いたしたいと思います。またその結果がそれほど大きく料金の原価に響いている現状ではないのじゃないかと私は思っております。いずれ資料をいただきまして検討してみたいと思います。あまり大きなことは申せませんが、それほど原価に響くことはないのじゃないだろうかと思います。
#33
○永井委員 それほど響くことはないのだということであるならば、一体どのくらいが響いてどのくらいが響かないか、その基準がわかっているなら示していただきたい。
#34
○岩武政府委員 ただいま申しましたように、私の方では埋没程度のデータがあまりないものでありますから何とも申し上げられません。ただこのダムの問題は、おそらくはそれに投ぜられました資本の償却あるいは金利等の関係の問題として原価に響いてくるのだろうと思いますが、その具体的な問題になりまするダムの埋没の程度等がわかりませんと――一般的に申しますれば、性質上そう大きく響くことはないだろうと思っております。
#35
○永井委員 これは科学技術庁の資源局の資料ですが、もし資源局で出しておる資料がうそであるというならば、これは別です。しかし資源局が資源局として何年かかかって調査したという資料はすでに御承知であろうと思う。この程度のことは問題でないのだというなら、電力行政というものはずいぶんでたらめなものであり、大ざっぱなものである。少しくらいのことは、電気をつけてもらえばあとはけっこうじゃないかという話では問題にならぬと思います。でありますから、原価主義でいくというのならば、私はもっと会社の経営内容や、工事を起す場合、電力を起すというような場合、そういうようなことにまで何らかの形で公的に参加する条件がなければ、ただこれだけかかったから、そろばんをはじいてこういう結果だからということでは許されないと思うのですが、これに対して原価主義でいくというのならば――これは政策の問題ですから大臣に伺いますが、ダムの問題、電線の問題、いろいろ問題はあります。原価主義でいくから、そろばんに合わないようなときには電灯をつけないのだというようなことで、北海道の方は住民の二割近くがまだ無電灯地帯にいる。会社に要求しても、そこはそろばんが合わないからだめなんだ、こういうことで、貧乏な山奥の農家が一戸十五、六万の自己負担によってようやく電灯がつく、しかもその設備は全部会社に寄付するという条件でなければいけないというようなことで、電灯一つつけるのに十五、六万の負担を需用者にさせてやっているというような状態である。もし原価主義でいくというのならば、われわれはその原価主義の料金制度の上に立って、経営その他についてもっと国民が公的に参加する条件が確立されなければ、単に会社から出した資料やなんかだけで、料金や経営の状態を放任しておくわけにはいかないと思うのでありますが、それについては大臣はどういうふうに考えているか。
#36
○水田国務大臣 原価主義でいくという方針になれば、それに伴うそういう問題もいろいろ出てくると思いますが、そういう点をこそ包括してこれから検討したいと思っておりますので、当然そういう原価主義でいく場合の、いろいろなこれに付随する不合理なものについても、われわれはあわせて考えたいと考えております。
#37
○永井委員 原価主義でいけば当然地域差が出てくる。地域差は地域差としてこれを認めていくということになれば、やはり産業構造も順次変ってくるのではないか、地域的な立地条件というものが制約を受けて相当変ってくるのではないかと思うのですが、そういう関連性はどういうふうに考えているか、一体基本的な基礎産業である電力の料金に地域差があってよろしいのか。だれかが言ったように、汽車や船ならばずっとどこまでも同一料金で行ける、私鉄であろうが、国鉄であろうが、大体同じ料金で計算できる。ところが電気だけは、東京から出て東北の方に行けば、ここから足一たびその領域に入れば、今度は電力料金はこれだけ高いのだ、こっちへ行けばこれだけ低いのだというでこぼこがある。こういう公共性ある国の産業における基礎的な重要な電気を、こういう地域的なアンバランスで、原価主義という便宜主義でほったらかしていいというふうに通産大臣としては考えているのかどうか。九分割という問題に基本的に手を触れて、その間違いを根本的に是正しない限り、どんなに水谷通産大臣がが英知をもって対処しようとも……(「水谷じゃないよ」と呼ぶ者あり)かつての水谷大臣ならこういうことはしないだろうと思う。(笑声)水田通産大臣はそういう問題についてどう考えるか。これは単にここでの質疑応答だけでなくて、今後の国の産業やなんかに及ぶ重大な基本的な問題でありますから、はっきりとした答弁を願っておきたいと思います。
#38
○水田国務大臣 たとえば、東北地方は従来電力料金が安いというふうに、従来の政策が大体原価主義に基いてあったものでございますから、現在はっきりと地域差というものが出ておる。この出ておる現状に即応して、特に電力を使う企業は、地域差において低い地方にどんどん移動しておるというのが今までの実際の状況でございますので、これをここで急速にいろいろ変えるというようなことをすれば、従来せっかく立地条件というものに基いて出てきた産業が、ここで相当いろいろな障害を受けるというようなことにもなりますので、急速にこれを改めるということも実際上は私むずかしいのではないかと思っております。ですから、一応現在の実情に基いた、それを急速に変化させないような方法でやっていくよりほかにはやはり産業政策というものもないので、私は急には変えられないだろうと思います。それはそれとして、今の九分割という再編成の形がいいか悪いかは別でございまして、私は今後この問題は数年ならずしてやはり一応の問題になると思いますので、その検討は私どもとして十分やるつもりでございますが、ここで再編成をかりに私どもがやりたいと言ってみても、この問題は、政治の問題として、実際は相当年数かからなければやれぬという問題にもなっておりますので、そういうことを今われわれがやるのだというのではなくて、その間に当面開発の方を促進する、そこに全力をあげてやって、この問題はもう少し延ばしたい、先ほど申しました通りの考えでやっていきたいと思います。
#39
○永井委員 私今の御答弁に対してももっと論議をしたいと思いますし、料金その他についてももっと根本的な問題について話したいと思いますが、ほかの同僚議員も質問をせられるということでありますから、これで一応午前の質問を終ることにしますが、政府は、たとえば鉄鋼が不況になれば鉄鋼の合理化という法案を出して、そうしてこれに金をつぎ込んでやる。石炭が不景気になれば、石炭合理化法案というものを出して、これに四百億のてこ入れをしてやる。あるいは硫安が問題になってくれば、硫安の合理化法案というものを出して、三百六十億の金をつぎ込んでやる。一私企業に対して、合理化という名によってどんどんこういうことをやる。ところがほんとうにこれは不合理だ、これを合理化することによってこうなるんだということが百人が百人明瞭になっている問題でも、こういう問題に対しては、今言ったように大臣は少し憶病だ。これは電力資本の圧力に屈しているのか何か知らないが、問題はちゃんとつかんでおるようであって、表現は非常に憶病であるということに対しては、私は非常に残念だと思います。水田通産大臣ともあろう英知、良識の士は、もっと勇気を持って、今断行するのだということでなくても、こうすべきである、問題はここにあるのだというくらいな明確な表現をしなければいけない、こう思うのであります。
 それからもう一つは、今の三割頭打ちの料金の問題、ここに隠されている問題を見のがしてはいけないと思います。それから次に来たるアンペア制を実施した場合における旧料金から新料金へのはね上り、こういうものはだれでもよくわかることでありますから、はっきりと実態をつかんでいただいて、そうしてこれが一方的な会社の利益に終るということがないように、電気事業の公共性の立場から、私ははっきりとした態度を示していただきたいと思います。これはやはり三割頭打ちという問題を今日解決する段階でなければ、こういう問題の国民的な関心も引き起すことはできませんし、この機会に少しくこの電力料金の問題をもっと掘り下げて検討するというような措置をとっていただきたいと思います。この三割頭打ちの問題について、それから今後アンペア制に切り変っていく場合におけるはね上りというものに対して、どういうふうに良心的に対処されるのか、詳しいことは別としても、これが全部会社の利益のために需用家にしわ寄せされるという結果に終らないように、どういうふうな態度で臨まれるか、われわれの希望をもし申し出ることができるならば、このような大きな問題については、従来あったようなおざなりな審議会のようなものでなくて、消費者からあるいは国会議員の中からもそれぞれ代表を入れて、もっと根本的に検討すべき段階ではないか、そういうお考えがあるかどうかを伺いたいと思います。
#40
○水田国務大臣 私も全く同感でございますので、そういう努力をしたいと思います。
#41
○内田委員 私は与党議員といたしまして、電力料金三割頭打ちの問題が世間一般に誤解を与えるといけませんので、時間もありませんからごく簡単に確かめておきたいと思います。私ども与党議員といたしましても、今まで過去二年続けて参った料金三〇%頭打ちが、この際無条件で取りはずされ、そのために世間一般に電気料金が値上りするのではないかというような誤解を与えますことを非常に憂えまして、この問題に対する善処を政府に対して求めて参ったものであります。先ほどの水田通産大臣の御説明によりますと、この問題をも十分考慮せられて、大部分の電灯料金並びに電力料金につきましては、ことに公共事業の電力料金でありますとか、大口・小口の一部の電力料金並びに一般大衆に影響のある定額の電灯料金、十アンペア未満の電灯料金につきましては、もう一年引き続いてこの三〇%頭打ちを続けられるということを聞きまして、やや安堵いたしたわけであります。ところが世間に誤解を与えておるのではないかと思います点は、今度の措置で頭打ちを取り除かれるものがあるとすれば、四月から現実に今までの料金に比べて上るのではないかというような誤解がある。また三〇%の頭打ちを続ける電灯料金、電気料金につきましても、これは今までのつまり三月の料金がフラットに四月以後も続けられるので、いわゆる昔の夏料金に当あものは何も実現しないのではなかろうか。もし四月から電気料金が一部であれ引き上げられるということになると、一方において鉄道運賃の値上げもあり、また米価の値上げなんかにつきましても国民一般の間に心配されておる場合でありますので、いかにも政府がそれらの問題と相並んで現実に電気料金の引き上げをするような憂いを与えておるものであまますから、そこのところを明瞭に国民に伝えてもらわなければならぬと私は思うのであります。私どもが理解しておるところによりますと、三〇%頭打ちを続けられるものについては、今から三年前の安い夏料金が冬料金と同じ程度までに、つまり現在の三割の料金までに上るのじゃなしに、三年前の料金に比べて三割以上は上らないということでありますから、幾らか知らぬけれども今の三月の料金よりも、四月からはやはり料金が下って参る部分がある。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)また三〇%はずされますものについても、三月から上るのじゃなしに、最大限の料金と同じ料金ベースでこれから先進むのだ(「その通り」)こう了解しますが、その通り了解してよろしいものであるかどうか、明確にお答えを願いたいと思います。
#42
○岩武政府委員 今申されましたように、今度は原則として全部三割頭打ちを一カ年間続けまするので、大部分のもにつきましては、支払い料金は四月以降は三月に比べて下ることになります。また頭打ちをはずしますことになりまする十アンペア以上のものにつきましても、大体は下ることになると思います。
#43
○内田委員 それを聞いて私は安心いたしたのでありますが、今社会党の諸君から声が出ていますように、今日はもう冬料金、夏料金というものはない。今から三年前の昭和二十九年の十月に、冬料金、夏料金というものはなしに、年間一本料金でいってしまうのであるから、そのときにすでに電気料金は上ってしまっている。それが今までわれわれの頭に残っておるのは、四月からは豊水期でもあり、別の安い料金がきめられてあったから、その分が年間一本の料金になるということになると、電気料金は上るものじゃないけれども、とにかく下らないものだから、これはなるべく夏場は安い料金を保ちたいということで、そこで一年を限って三割の頭打ちということを無理に政府にやっていただいておったはずであります。ただその間政府がわれわれに約束をせられておったことがある。これは暫定料金であるから、一年間の間に政府は電源開発の必要資金の金利でありますとか、あるいは税金でありますとか、あるいはまた水利使用料であるとか、その上にさらに電力会社の企業努力をも認めて、この一年間に長期安定料金というものを必ず実現をする。その際にこの三割頭打ちというようなけちな制度ではなしに、夏でも冬でも、また電灯でも電力でも、国民が安心して安い電力が使えるような方策を確立すると、こういうことがあったわけであります。その間諸物価の高騰もあったでありましょうし、また思うように金利の引き下げもできない。また税制などにつきましては、安い税制を実現するのじゃなしに、今度の臨時租税特別措置法の改正などによりまして、電力会社のみならず一般の企業に対する増資配当の免税制度をやめてしまうとか、あるいは電力会社にも適用がありましたところの重要物産免税もやめてしまうというような、減税ではなしに、一部の電気事業会社に対する、いわば現実においては増税のような面も出てきましたために、この長期安定料金というものは実現できなかったでありましょうけれども、しかしこれはいつまでもそのままでは困るのでありまして、先ほどの水田通産大臣の御説明によりましても、今度はさらに政府が電力会社を無理に押えつけて、大部分の電力、電灯については三割頭打ちを一年続けるということでありますから、この一年がまた来年の三月になってまた同じことを繰り返されたのでは、これはもうわれわれ与党議員としても納得できないことになりまするし、政府もその信を天下に失うことになりますので、今度の一年間は、この暫定措置を延ばすことによって忍びますけれども、この間にぜひ一つ税制なり金利なりあるいはその他の原価諸要素に十分の検討を加えるとともに、電力会社の企業努力をさらに一そう求めまして、安定料金を根本的に実現するような政策を実現さしていただきたいのであります。ことに今日本は電気が足りない。これから電源開発五カ年計画によりまして、この五カ年間に六百万キロ以上の電源を開発せられるということでありますが、新しい電気については、これはもう資金にいたしましても労力にいたしましても、その他の資材にいたしましても、だんだんコストが上るにきまっておる。従ってこれからできる電気というものは、ほっておけば高いコストの電気になる。これはコスト主義によろうが何によろうが、われわれの見るところ、一般の感ずるところ、電気の料金のもとというものは上るでありましょうから、これを無為無策で放置せられるならば、来年の今ごろになると、もう三割頭打ちを続けると言っても、今度は電力会社の方がそれでは応じられない。電力会社が大半赤字になるというようなことにもなるし、また国民としても、それでは政府の約束が違うということになるのでありますが、ここで政府は、われわれはこの一年間あるいは半年間時間をかしますから、この間に、今申しましたような諸要素に十分な検討を加えられまして――電灯については、これは国民の生活必需品でありますし、電力については、これはエネルギーのもとでありまして、あらゆる物価に影響があるものでありますから、石炭や鉄よりも、ある意味においてはもっと根本的なものであります。水田通産大臣がおられるのでありますが、あなたは党の政調会長もなさった方でありますから、十分これを一つ御検討になって、この一年の期間に、われわれの納得できるような方策をとっていただきたい。これに対する水田通産大臣の御覚悟のほどをはっきり伺って、私の質問を終ります。
#44
○水田国務大臣 御意見全く同感でございます。この暫定措置をとるときに、政府が、さっき申しましたようないろいろ根本的な、金利、税制そのほかの対策も立てるということになって、新聞発表までしてあった事項でございますが、その後こういう根本的な検討というものが実際においてなされていなかった。そのために、毎年こういう事態を起したということは、非常に申しわけないと思っておりますが、たまたまこの問題とからんで、まだ未解決の間に、今度税制の問題や何かがいろいろ出ましたが、私は、一応この電気事業だけを特別に取り扱うことをしないで、一般の産業と同じように、税金の特例を廃止するものは廃止するという措置に同意して、(内田委員「同意しっぱなしじゃ困る」と呼ぶ)一応免税の特典というものをとりましたが、今申しましたように、根本的検討ということになりますと、電気事業はとにかく公益事業として一番重要なものでございますので、開発促進法とかいうような現在の法律について、特別公益性の強いものについて別個の考慮をするというようなことによって将来解決したらいいじゃないか、こういう考えも持ちまして、今度は一般産業と同じように、税制の特例をとることに同意している、こういう事情もございますので、今度は御希望のような方策を、この一年間に私どもは十分検討の上とりたいと思っております。
#45
○永井委員 今内田君の質問に対して岩武局長から、三割頭打ち制度を延長することによって、従来より料金が下る、こういうお話でしたが、この十アンペア以下の需用者に対しても下るのか、あるいは十アンペア以上のものに対してはこの制度をとるというのですが、三割頭打ちを押えていたのをとることによって、料金が下るということは私は了解しがたいので、どういう内容なのか……。
#46
○岩武政府委員 三月に電力会社から各家庭に請求します電力料金の額と、五月に会社が請求します額とは、おそらく五月の方が下っているだろうと申し上げたのであります。これは五アンペアの据え置きのところにおきましても同様でありますし、おそらく十アンぺアまでについても同様だろうと、こう申し上げたのであります。
#47
○永井委員 それをもっと具体的に示してもらいたい。どういうわけで下るのか……。
#48
○岩武政府委員 通常の場合、二月なり三月の電力の使用量と、四月、五月の使用量とは違うということを申し上げたのであります。御質問の趣旨をそういうように解釈したのです。
#49
○永井委員 冬は電熱を使ったりいろいろなものを使って、長時間電力を使うので基本料金に超過料が多くなる。夏は使用量が少いから料金が少い、制限内の定額だけの料金だ、そういう意味の下るという意味ですか。三割頭打ち制度をなくすことによって下ると言うが、下るわけはない、頭打ち制度を取り除いた分だけは上ってくるだろうと思うのです。
#50
○岩武政府委員 あるいは内田委員の御質問の趣旨を取り違えたかと思いますが、適用いたしまする料金の単価は、据え置きますものにつきましてもはずすものにつきましても同じでございます。ただはずすものはつきましては結果から計算いたしました料金の総額について天井があるということでございます。
#51
○福田委員長 この際暫時休憩いたします。
 午後は本会議散会後再開いたす予定であります。
    午後一時一分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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