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1956/04/17 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第27号
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1956/04/17 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第27号

#1
第026回国会 商工委員会 第27号
昭和三十二年四月十七日(水曜日)
    午後一時三十二分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 鹿野 彦吉君 理事 小平 久雄君
   理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    内田 常雄君
      川野 芳滿君    菅  太郎君
      齋藤 憲三君    椎名悦三郎君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      鈴木周次郎君    中村庸一郎君
      前田 正男君    南  好雄君
      村上  勇君    横井 太郎君
      春日 一幸君    佐竹 新市君
      田中 武夫君    田中 利勝君
      中崎  敏君    永井勝次郎君
      帆足  計君    八木  昇君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        通商産業大臣  水田三喜男君
 出席政府委員
        法制局参事官
        (第三部長)  西村健次郎君
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局長)  坂根 哲夫君
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 松尾 金藏君
        中小企業庁長官 川上 爲治君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    今井 善衛君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    塩崎  潤君
        通商産業事務官
        (中小企業庁指
        導部長)    川瀬 健治君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
四月十六日
 委員阿左美廣治君及び田中角榮君辞任につ
 き、その補欠として戸塚九一郎君及び馬場元治
 君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員戸塚九一郎君及び馬場元治君辞任につき、
 その補欠として阿左美廣治君及び田中角榮君が
 議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
 委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
 春日一幸君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業団体法案(内閣提出第一三〇号)
 中小企業組織法案(水谷長三郎君外二十三名提
 出、衆法第二号)
 中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に
 関する法律案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 衆法第七号)
 中小企業の産業分野の確保に関する法律案(水
 谷長三郎君外二十三名提出、衆法第五号)
 商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 衆法第六号)
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 中小企業団体法案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案、以上各案を一括議題とし審査を進めます。質疑を継続いたします。西村直己君。
#3
○西村(直)委員 中小企業団体法並びに社会党からも幾つかこれに関連する法案が出ておりますが、先般総理大臣にわが党から首藤新八君が、この非常に中小企業に基本的に大きな影響を与えまするところの団体法に対しまして質問がありましたが、御答弁がそのときの都合でいただいておりませんので、あらためまして私から基本的な問題について一、二御質問申し上げます。本日非常に短かい時間でありますから、きわめて端的に要点だけを申し上げたいと思います。
 この団体法というものができますにつきましては、各方面の要望もありましたし、またこういったような形のもの、いわゆる中小企業の人たちの過当競争を中心にして非常に共食い競争をやっておる、それに対してその弊害を排除するためにも団結と申しますか組織化というようなものが必要である、こういう趣旨からこれが出てきたと思うのでありますが、まずその前提になりまするわが国の経済構造の中で、中小企業というものが大きく存在しておる、これに対しましてこの基本法的な一つのものが出た場合に、これはあくまでも抽象的なものでありますから、それから具体化していかなければならぬ問題がたくさんあると思います。たとえば税制であるとか金融のあり方であるとかあるいは経営あるいは実態調査あるいは技術の振興、労働あるいは社会保障、こういったような各般の問題がおのずからほぐれてこなければいけないと思うのであります。そこでこの中小企業というものを、わが国の全体の経済の中からこういったようた基本法を立てて、どういうふうにこれを育成助長されていくかという根本的な命題につきまして、一つ総理大臣から所信を御披濫願いたい、こういう質問でございます。
#4
○岸国務大臣 中小企業の問題は、私がここに申し上げるまでもなく、日本の産業構成の上から見まして各国に例を見ないほど重要な問題であると思う。しかしてこれに対しまして一般的に言われていることは、あるいは税制が適当でない、大企業と中小企業との負担において中小企業の負担がむしろ過重であるというふうな税制の面からの問題がある。また金融の点が、大企業中心に金融が行われておって、中小企業の金融は非常に不円滑であるという点が強く考えられる。また技術あるいは設備の点等における改善を要するものがあるというふうな点が従来強く要求をされ、また政府もそれらに対する施策を行なってきております。ところが私もかつて商工省の役人を長くやっておりまして、中小企業の問題につきましては、ずっと私が官吏として生活した当時、ほとんど二十年前後を通じてこの問題に取り組んで参ったのであります。御承知の通り日本にはかつて重要物産同業組合法という法律があり、また工業組合法、輸出組合法、商業組合法等のいわゆる組合制度が行われておったのであります。数が非常に多くて、しかもそう言ってはなんですが、業者の経済全体に対する認識というものが比較的十分でない。もうして自分の扱っておる仕事だけを見ておるというようなことのために、中小企業の対策というものが特に金融の例を一つあげましてもなかなかこれが実際に実行できない。何といっても銀行が貸すのに実際上の担保もなければあるいは信用程度も薄いというものに、金を貸せと言ったってこれはなかなかできないことである。そういうことをいろいろ考えてみますと、基本的なものはやはり業者を組織化するということである。その組織を中心にあらゆる業態の改善やあるいは金融の問題あるいはその育成助長の問題が講ぜられるということが必要になってくることは当然であります。従ってこの組合制度というものはいろいろな変革を経てきておりますが、この自治的な業者の組織、そうしてこの自治的な調整的な仕事というようなものを助長していくことが、これがやはり中小企業対策として根本的に考えなければならぬ問題だ。ただその自主的な調整事業というものにつきましては、調整事業そのものの性質上、自由意思で加入した組合員だけで調整をしても、その組合に入らない人が勝手な行動をするというようなことによって業界全体が困るというような場合もありますから、かつて中小企業安定法においてそういう場合における調整事業を員外の人にも強制するような行政令命が出せるという制度もありましたが、むしろそれよりも業者の自治的な組織そのものを中心としてこれを助長し強化していくというような組織化を中小企業対策としては根本的に考えなければならぬ。その上に今要望されておる各種の実体的の問題を織り込んでいくということで初めて有効な対策が行われんだ、かように考えます。
#5
○西村(直)委員 それでちょっと関係した事柄になりますが、実は町の声なり地方の声あるいは国民の相当な部分の声だと思うのでありますが、総理大臣に一つこの機会に伺いたいことは、中小企業対策をこうして進めるかたわら、中小企業者の脱税はきびしくやられる、違法行為は非常に強くやられるという場合に、今よく国民の間で話題になっております総評ストの跡始末の問題、どうも政府はこれに対して弱腰じゃないか、一方においては総評勢力で違法行為をやっておる、こういう声が相当強いのであります。これに対してはやはり中小企業を助長し団結しながら、かたわら……。(「余計な質問だ」と呼ぶ者あり)なぜ関連あるかというと、中小企業というものには社会党の案ではその団体交渉権という膨大なるものをあらゆる組合に認めてやっていこう、下からは労働協約で労働権を強化していこう、このように私から言えば階級闘争的な思想を織り込んだ組織法が出ておる。そこで中小企業者の一部には、はき違えまして、われわれも団結して汽車をとめるくらいの力を持たなければ政府は動かぬ、このくらいの思想誘導をする面もあるのです。そこで私は、この機会に、総評スト等に対する総理大臣の所信を伺っておきたいと思うのであります。
#6
○岸国務大臣 私は、民主主義政治というものの根本は、あらゆる面においてわれわれが法律を守るということだろうと思います。いかなる場合においても、われわれに与えられておる権利を正当に行使するとともに、それを逸脱しないということは、民主主義社会における一つの制約でなければならぬ。労働に関しましても、中小企業の組織でありましても、あるいは官僚の組織でありましても、とにかくわれわれが民主的にこしらえたところの法律が守られなければ、民主政治というものは完全にできないと思う。かつて一つの権力がすべての法律を超越したような、あるいは軍閥の勢力とか独裁的な勢力が現われるならば、これは民主政治の敵である。われわれは、中小企業の団結を、それが中小企業を救うゆえんであり、また健全に発達させるゆえんであるとして認めておりますけれども、もしもそれを逸脱して、中小企業の団結の力というものが最高であるというような誤まったことになるならば、それは中小企業の健全なる発達を阻害するものである。それは労働運動についても当然言えることである。ただし、当然の権利としての主張は、あくまでも政府として尊重しなければならぬ。しかし、それを逸脱し、あるいは法律に反する行為に対しましては、当然その責任を明らかにして責めを負うべきものであると考えております。
#7
○西村(直)委員 この法案について世論が非常にいろいろ批判をしておりました中で、大きな問題が一つあります。われわれの党は自由主義経済というものを非常に強く打ち出し、片方の社会党の立場からは社会主義経済、この場合に、あくまでもこの法案は自由主義経済の正常化、健全化のための法案だという筋だけは、はっきり総理の御答弁で通しておいていただきたいと思います。ややもすれば、これは統制へ移行するものだとか、消費者を圧迫するものだとか、あらゆる観点から誤解を受けやすい。同時にまた、この法案の出方がおそかったために、PRも行われていないので、はっきりと御所見を述べておいていただきたいと思います。
#8
○岸国務大臣 この法案の各条を御検討いただくならば、あくまでもこの組織というものが自治的な総意によって作られ、またその調整も業者の総意に基く調整を基本にして行われているということがはっきりするであろうと思います。私は、中小企業の日本の実情から見まして、そういう自治的な組織、調整ということが行われ、これを政府がまた法律においてある程度助成し、それを助けるという建前が日本の中小企業の実情に合うものとしてこの法案を提案しているのであります。もちろん、われわれがとっている自由主義経済という観念の根本に立脚しておるのでありまして、決して統制経済というような考えではございません。特にまたその点において、なおつけ加えて申し上げておきたいと思うのは、私がかつて商工大臣をいたしておりました当時、これは戦時経済の意味における統制上、あるいは中小企業に対しましても大企業に対しましても、各種の産業に対し、その経済的行動に対しまして国家の権力的統制を加えたことがございます。当時の戦時経済としてそれがよかったか悪かったかはもちろん批評があると思いますが、これは異常な時代におけるところの異常な事態であって、平常なもとにおいてはあくまでも自由主義経済という観念を貫いておるものである、この法律もそういう観点に立っておるのであって、決して統制経済という立場からこれを考えているわけではないのであります。
#9
○西村(直)委員 時間の関係上、最後に、この法案の問題で強制加入の問題が昨日論議をせられました。御存じの通り、先般の本会議でも、公取委員長と政府と意見の合わない部分がございました、その点は強制加入の問題であろうと思います。そこで、公取委員会がこの団体法の各種の調整行為なりあるいはアウトサイダー規制というような問題に対して、協議または同意という形でその権限をもって介入してくる部面が非常に多いのであります。公取は政府の行政機関の一つであると考えているのでありますから、国会に対して意見を言うということはよいのでありますが、しかしあくまでも政府としては、これは強制加入――その前に公取の同意あるいは協議、また安定委員会における審議、こういう過程を経てこれが行われるのでありますから、政府は一体として、強制加入はあくまでも調節機関、スプリングをもって出てくるいわゆる加入命令である、こういうふうに私どもは受け取っていきたいのであります。ややもすると政府内部で対立があるような印象を与えるような面もなきにしもあらずと思いますので、政府は一体であるという点総理からはっきり御所信を承わりたいと思うのであります。
#10
○岸国務大臣 本案を提案いたします前に、審議の過程においていろいろな意見がありましたことはこれは当然である。しかし、最後に決定するものは言うまでもなく閣議で、そういう反対の意見もすべてこれを検討いたしまして、そうして閣議で政府としての最後の意思を決定いたして提案いたしたわけであります。従いまして、もちろん公取委員会におきまして、これに対して公取の立場から――それの運用いかんによっては公取委員会の心配されているような事態も起り得ると思います。そこで、十分その運用については注意をしなければならぬ点があると思いますが、政府の意見としては、最後に閣議できめましたなにで、決して政府部内に異論があるという性質のものではないと信じております。
#11
○福田委員長 中崎敏君。
#12
○中崎委員 ただいま西村君から質問があった点について、きわめて重要なことでもありますので重ねてお尋ねいいたすわけであります。
 公正取引委員会なり独禁法の使命というものは、公正自由なる取引を達成させるところにあることは言うまでもないのであります。ところが、今回、本人がいやだいやだと言うのに強引に強権をもってこれを引き入れる、こういうことは、法の精神からいうても適当でないという考え方の上に立って公取側の発言がされたと思うのであります。これに対して、最後的には閣議で押し切ったのであるから政府の方針としては一つであると言われても、独禁法の精神並びに法律の点からいうて、これは違反するのじゃないかということが問題となるのであります。同時に、これは憲法の条章から申しましても、いわゆる結社の自由というものに当るのか、あるいはその次の職業選択の自由というものに当るのか、いずれにいたしましてもそういうものに関連のある重大なる国民の基本的人権に関する問題であると考えておるのであります。従いまして、この問題を、ただ単に一つの判断の上に立って処理するというよりも、むしろ法の基本に関する考え方の問題をどうするか。言いかえれば、憲法違反であり、さらに法律違反ではないかという考え方の上に立っての問題であるから、単なる閣議で決定したんだからこれが適法になるのであるというような考え方はわれわれは納得がいかないのであります。そういう意味においての総理の考えを明らかにしてもらいたいと思うのであります。
#13
○岸国務大臣 もちろん私どもが閣議で検討をいたします場合において、憲法違反にはならないかどうか、あるいは独禁法に反しやしないかどうかというような法律的な見解についても、われわれは十分検討して最後の結論を出しております。もちろんこの法律につきましては、憲法その他の法律についてもこれは学説としていろいろな議論があることも、これもやむを得ないことだと思います。従ってどういう学説をとるか、自分の一つの法律的意見としてある意見をとるということもあり得る。同じ条文を解釈する場合において、二つの意見があることもあり得るのであります。しかし政府としては、これに対する法律解釈というものを、これは二つあるんだ、三つあるんだ、どれかよくわからないというようなわけにはいかない問題であって、必ず法律解釈にしても、かりに意見が二つあるとすれば、十分検討して、政府としてはどういう見解をとるということを明らかにしてわれわれは進んでいかなければならない、この問題だけではなしにすべてそうだろうと思います。
 それからこの問題に関する公取委員会の議論をいろいろと検討し、いろいろと議論をかわしてみますと、私は公取委員会が公取委員会の使命として、ある一つの独占的なものが出てくる、そうして経済界におけるところの公正なる自由競争を阻害するというようなことは、これは独禁法の精神からいってもまた公取の使命からいってもそういう事態が起ってはならぬということを強く考えられるのは当然だと思うのです。それでこの団体法の施行の際におきましては、私は法律的には決して違法ではないという信念に立っております。その法律的解釈の根拠につきましては法制局長官から詳しく述べさすのが適当であると思いますが、いずれにしても法律的議論もわれわれは違法ではないという信念に立っておる。ただ実際の運用においては、公取委員会が考えておる意見については十分考えなければならない点があると思うのです。従ってその運用の間において十分にわれわれが考慮するならば、決して公取委員会が心配されるようなことはないという結論に達して、これを提出した次第であります。
#14
○中崎委員 運用をどうすればという問題の前に、この法律が適法であるかどうかという問題は先に決定する問題でございまして、死んだ子供を幾らどういうように手当しても生きてくるわけじゃない。従いましてそういう意味において、これは適法であるかどうかという問題について学説云々と言われますが、現実の問題としてもう政治問題として、法律としてどう扱うかということに今なっているんだ。学説を待ってかれこれという問題ではないのであります。従ってこういうような大きな異論がある場合において、その判断はどこでやるのか。ただ政府が独裁的にやるのかどうなのか、こういうことをお尋ねしたいのであります。言いかえますと、憲法なりあるいは法律に違反するという議論が現実に上っているときにおいて、その最後的判断はどこでやるのか、こういうことをお尋ねしたいのであります。
#15
○岸国務大臣 最後の決定は、言うまでもなく、最高裁判所で決定するものだと思います。しかし政府がある行政を行い、またあらゆる仕事をやっていく上においては、政府自身としては今の法律をいかに解釈するかということは大きな政府の責任においてきめていかなければならぬ。しかし反対の議論があった場合において、正しいかどうかという最後の決定は、言うまでもなく裁判所においてするほかはないと思います。
#16
○中崎委員 現在その憲法なり法律に違反するというような条項についても、最高裁判所なり何なりの機構というものは完備しているのかどうか。もししていなければ行政権の独裁というようなことになるおそれがある。そういう場合を防止するために、岸総理はどういうふうに考えておるのか。これは基本的な重安な問題であるから、お尋ねしておきたい。
#17
○岸国務大臣 これは言うまでもなく、三権分立の立場から申しますと、われわれは行政の執行に全責任を持って当っておりますが、その行為が法律に違反するかどうか、それが違法であるかどうかという判断は、結局最高裁判所かするのが三権分立の本質からいって私は当然であると思う。しかし私自身が政府の解釈としてこういう解釈をとっておるということは政府の全責任において申し上げておきます。
#18
○中崎委員 現在最高裁判所へ行っても受け付けてくれないんだ、これを一体どうすればいいかということを質問しているんです。現在の法律が不備で、そういう手続ができないことになったんだが、総理大臣はそういう独裁的な形を依然として持っていかれるのかどうか、そういうことをお尋ねしておるのであります。
#19
○岸国務大臣 これはたとえば今の加入命令を出されまして、それに従わない、それに対して不服がある者が、その命令に服さないとして裁判所の判決を求めるということならば、これに対する裁判所の法律解釈というものはきまるだろうと思います。
#20
○中崎委員 その以前に、国会において、こういうはっきり違った意見がある。それを判断するのに、総理大臣は裁判所で決定するという。その裁判所で決定する方法が現在ここにない。そういう不備な状態であるが、それをどういうふうにして正しい法を守るような道を開かれるか、こういうことをお尋ねしておるんです。
#21
○岸国務大臣 これはある法律の解釈ではなしに、今立法をするということですから、その立法がある法律に違反しているとか、憲法に違反しているという御意向が国会において多数であれば、そういう法律案は当然成立しないだろうと思います。政府はそれを違法にあらずという信念のもとに出しておるのでありますが、その御審議の結果、これは違法なりと国会が判断されて、立法はすべきものでないということになれば、本件の場合、その法律案は当然成立しないことだろうと思います。
#22
○中崎委員 総理大臣は私の質問を少しも正当に答えておられない。言いかえますと、法律や憲法に違反しておるかどうかということを判断するのは裁判所であるが、その裁判所において判断する手続が明らかにされていないために、提訴しても、結局うやむやになってしまう。であるからこういうふうな重要な問題は基本的な問題であるから、政府の責任をもってこうした問題を将来正道に持っていくためにこういうふうなルートをもってこういうふうにする考えを持っているとか、あるいはこういうことを調査するとか、こういうことを総理大臣の口から聞きたい、こういうお尋ねであります。
#23
○岸国務大臣 その法制の手続的な、訴訟法的な問題につきましては私実はまだ法律の専門家でございませんから、法制局長官からお答えさすことにしますが、しかし現在御審議願っておるこの団体法が法律違反であるとかどうかということにつきましては、政府は法律違反にあらずという見解をとっておるのであります。御審議の結果、この国会において政府はああ言っておるけれども、これはあくまでも法律違反なりと認めるということの御意見が多数であれば、成立しないことになるだろう。われわれ政府が法律違反にあらずと信じて提案しておるこのわれわれの意見を十分御検討願いたいと思います。
#24
○中崎委員 総理の言われることは、多数をもって決定すればそれが正しいんだ、こういう判断の上に立っておられるのでありますが、これは間違いだと思います。しかしこれは時間の関係があるから、一応この程度にいたしますが、いずれにいたしましても、この法律案が、岸さんがかつて満州国において強力な統制をやって失敗しておられる、あるいは日本の戦争指導のためにそういう立場をとっておられたのと同じような一つの流れをくむものだと考えておる。従いまして、本人の基本的人権まで侵して、いやおうなしにこういう組合へ持っていって引っぱり込む前に、一面において員外規制においてこれを相当強力にやることによって、憲法の基本的人権の趣旨をどこまでも守りながらやれる方法があると思う。現にあの調整法があってこれは必ずしもうまくいっていないという面があるかもしれないけれども、そのうまくいっていない面は、さらにこれを強化するなら強化する、さらに適正な方法を考えて、第一段の段階としては、そういうことを考えて、そうした後においてもどうしてもうまくいかぬかどうかということを考えてもおそくないと思う。こうして一挙に、無理やりな――一面において多数の消費者の犠牲の上においてやられる場合も、こういう無理をすれば、あり得る。だから、員外規制という方法をさらに十分に取り入れて、そうしてまず第一は憲法と基本的人権の精神をどこまでも尊重してやっていくべきだというふうに考えるのでありますが、総理はどういうふうにお考えになりますか。
#25
○岸国務大臣 従来あるところの安定法等の員外調整の方法が適当であるか、あるいはこの加入命令を出していく方が適当であるかという実質的の問題につきましては、私は各種の事態を見まして、今までに服せしめるという方法における欠点を補うものであり、また同時に、むしろ員外の調整命令というものは、行政命令だけで、いろいろなことが、すべて行政官庁がこれを指示し、それをやっていくことになりますが、業者の自主的な調整の自主的に業者として服していくという方が、業界のほんとうの安定なり、あるいは業界の団結というものを高める上からは、むしろ望ましい方法であって、その方が円滑にいくだろう、こういう見地に立ってこれを出しておるわけであります。
#26
○春日委員 関連をいたしまして岸総理にお伺いをいたしたいのでありますが、たとえば憲法に例をとってみますならば、憲法には、基本法といたしまして、とにかく一切の基本権が定められておる。しかしながら、他の政策上の必要が生じますると、さまざまな立法を行なって参ってきておる。けれども、いかなる政策上の必要があろうとも、たとえば憲法の基調をなしておりまする交戦権、これを保持するための特別立法であるとか、あるいはまた議会制度を廃止するための法律であるとか、あるいは私有財産権を否認するための法律であるとか、こういうものは、政策目的がいかがあろうとも、これは立法することを許されません。私たちはその点をお伺いをいたしておるわけであります。もとより他に政策上の必要があるので、なるほどすでに既応におきましても独占禁止法の適用を除外する幾多の立法が行われておるということは、われらもまた承知しておるところであります。けれども、許さるべき限界と許すべからざる条件というものがなければならぬ。これは憲法におきまして、その憲法の基調をなしておる交戦権であるとか、あるいは議会制度であるとか、あるいは私有財産権であるとか、基本的人権尊重の原則であるとか、こういうものに反するところの他の立法は許されない。それと同じように、独占禁止法がわが国における経済憲章でありまする限り、その根底をゆすぶるような他の立法は許されない。過去において許されておりまする独禁法の適用除外の各法律をいろいろ調べてみましても、ことごとく許すべからざるところの条件には触れてはいないのです。われわれが今ここに指摘をいたしておりまする強制加盟の問題は、私どもといたしましてはやはりその基本的人権さらにまた加入、脱退の自由の原則から生ずるいろいろな経済行為によって生じてくる派生的な経済現象、たとえば自由にして公正なる競争の原則とか、優良なる品物を安く売るためのいろいろな経済措置とか、こういうものの根本をこの点からこわしてくるのではないか。だからこそ、この点は厳粛に守っていって、そうしてこの経済憲章をあくまで守っていく。でなければ自由経済の資本主義の根底もこわれてしまうのだ。すなわち議会制度を否認したり、交戦権をさらに復元したり、あるいは私有財産を否認したり、そういうような結果になるのだ。こういうことを私どもはおそれておるからこそ、この問題を指摘いたしておるのであります。私たちが特に不安にたえないことは、この問題を取り扱う公正取引委員会委員長の見解であります。本会議におきましても、また昨日の本委員会におきましても、公正取引委員会としては強制加盟については重大な疑義がある、最後まで、閣議においても、この一点だけは公取としては容認することができなかった、なお本日までその態度は何ら変更されてはいないと述べられておる。少くとも独占禁止法の最高の守護職の立場にあります公取の委員長が、これを、独禁法の精神の根底をゆるがすものであって、許すことはできないとはっきりと断言しているのですよ。その主管責任者のそういう責任ある見解を無理に押し切って、閣議で、今後取扱いの過程においてその公取の意見も尊重して、その運営に配慮を加えていけば心配ない、こういうようなことでは、私は御答弁にはならないと思うし、また国民もわれわれもその程度の御答弁では納得、理解することができません。その点を伺っておるのです。そういう疑義を差しはさんだ者が運輸大臣さんであられるとか、あるいはまた地方自治庁の長官であられるとかというなら、これはこれとして、われわれはまた考え方が違うでありましょう。けれども、少くともこの独禁法を責任を持って守っていくための責任者が、断じてこの点は許すことができないと言っておるその言葉を、あなたは総理大臣としてどうして尊重することができなかったのですか。私たちはこの点を最も憂えておるのです。
 そこで私はあなたにお伺いをいたしたいのだが、あなたは少くとも長い年月を通じて商工行政のわが国における有数のベテランだろうと思うのだが、独占禁止法においてどの点だけは、とにかく他の法律においてこれを変更するとかあるいは適用除外を許すことができないとか、こういう限界がおのすからなければならぬ。あなたはこれをいかに理解されておりますか。あなたの御見解を伺いたい。
#27
○岸国務大臣 独占禁止法の趣旨は、言うまでもなくわれわれの経済行為の上において自由公正なる競争というものが保持されることが、私は根本の精神であると思います。春日君もよく御承知のように、日本の中小企業の実情をしさいに検討されるならば、私は決して中小企業の中において公正自由なる競争が保持されておるというのではなしに、過当の競争、これが業界全体の不幸であり、それをゆがめており、中小企業自体が弱い大きな原因というものが、このいわゆる自由競争という名において過当に行われておるというところに、日本の中小企業の非常な禍根があると思うのです。これは少くとも中小企業の実態をよく御承知の方はお気づきの点であり、春日君は特にその方面において十分なあれを持っておいでになりますから、よくわかっておると思う。この公正なる競争、自由競争というものは、自由経済主義をとるわれわれとしては、あくまでもこれを保持していかなければならぬ。しかし、その過当に行われるというものに対してこれを調整していくということは、むしろ公正なる競争を保持する上において必要なんだという考えのもとに私は立っております。その意味からいって、この運用を誤まらないならば、私はこの独禁法の精神に決して反するものじゃないという観念が私の信念であります。
#28
○春日委員 私はそんなことを質問してはおりません。私どもは本会議の代表質問以来、あなたの過去の政治経歴上にも触れていろいろと質問をして参っております。そのつどあなたの御答弁は、私は巣鴨において長い間反省をして、過去におけるあやまちを贖罪することのために残されておる生涯を通じて大いに努力したいという、はなはだ謙虚な御答弁を得て、現実問題といたしまして、私どもはとにもかくにもあなたに期待するところ――全然ないわけではない。(笑声)しかし私があなたに申し上げておることは、ただ習い性となるということもある。長い年月をかけてあなたが統制をやってきたことがいつしかあなたの本質に化して、民主主義の時代においても、そのあなたがとったきねずかで、その統制の概念でこれを押し切られて、そうしてこれを民主主義の名で擬装されてはたまったものではないからこそ、問題を私どもは取り上げて論じておるのです。過当競争によって中小企業がはなはだ不況に陥っておるので従って私ども社会党は、この問題は調整事業を通じて、調整行為を通じて排除しなければならぬということは認めております。だからこそわれわれは、その方法こそ違え同様の効果を期し得るためにああいう中小企業等組織法案を提出しておる。私たちはその過当競争を防止するための調整行為が必要であるということについてはあなたに異論はない。ただ問題は、政治に民主主義態勢が尊重されなければならぬと同じように、経済活動の場面においても、この民主制度というものが最高度に確保されなければならぬというこの一点にあるのです。強制加盟になれば、あるいはまた服従命令が発すれば、これはすべて国家権力によってそういう命令が発せられてくるのだから、弱き中小商工業者は結局自分の意見を十分にその調整事業の決定の過程において影響力を与えることができない結果になる。だからこそ一部の決定が全部を制する形になって、それが零細業者のためにもあるいは他の関係業者のためにも実情に沿わない結果になって、ときには物価の騰貴を来たすおそれなしとはしない。そういう意味で私たちは加入脱退の自由の原則を貫いて、あくまでもその民主主義の原則を経済行為の中に確保するためにも、まず第一番に取り上げておるのは強制加入の問題、加入命令の問題である。われわれが重視しておると同じようなことを、はからずも公正取引委員会において横田委員長があらゆる関係法規との関連において断じて容認すべからずとなしておる。だから私たちは調整行為の効力を確保することのためには、こういう大臣命令が発せられなければその効力が確保できない、その機能確保することができないかどうか、もう少し別の角度から検討しなければならぬのではないか。あなたの内閣において、横田公取委員長が絶対承認できないというような事柄を無理押しをしなければならぬという必要が一体どこにありますか。私は調整事業の必要があるかないかの問題を聞いておるのではありません。加入脱退の自由の原則、あくまでも民主主義態勢を貫いて、決定反対者と少数者の意見が十二分に述べられる堤を確保するための構成で法律を作るべきではないか、こういうことを申し上げておる。
 なおあなたにお伺いしたいことは、独占禁止法において許すべからざるところの条件というものがあるはずだ。金科玉条というものがあるはずです。たとえば憲法において、私が今申し上げたような事柄を他の法律によって、特別立法で抵触することができないと同じように、この独占禁止法においても、他の法律においてこの条文とこの箇所だけは、またこの精神だけは犯すべからずとなす点があるはずです。その点一つ総理からお伺いいたしたい。
#29
○岸国務大臣 そういう調整事業をやります場合に、その組織外に立つ者が、その調整事業に服せないことは当然であります。ところがその員外によって調整事業に服せないということが、多数の企業者、同業者が考えておる調整事業の実際の効果を上げることができない、そのために調整事業が成り立たないという場合は非常にたくさんあるわけであります。その場合に員外におらして一つの行政命令で組合の調整に服せしめるというやり方が従来の安定法には行われておりました。しかし私は、むしろその業界、ことに中小企業、これはほかのものもそうですが、ことに中小企業では、同業者がほんとうに相つどうて、お互いが自分たちの問題だという精神的の融和の関係ができることが一番望ましいと思うのです。ところが今言うように、あくまでもお前たちは組合外にあって、ただ調整に服するのだという立場をとって対立的に考えるよりも、むしろそういう人々が自主的に調整事業をやっておる組合に加入して、それらの業者と一緒にその事業の調整をやっていくということが、より望ましい、また考えようによっては、より民主的な方法であると思うのです。こういう立場に立ってこの法案における強制加入の問題が考えられておるのでありまして、どうかその趣旨において御審議を願いたい。
#30
○福田委員長 時間が切れましたので総理以外の質問を願いたいと思います。
#31
○春日委員 他の経済立法によって独禁法の精神並びにその条文の中で抵触することを許されさるものはどれどれだと考えるかお伺いをいたします。(「総理答弁」と呼び、その他発言する者あり)公正取引委員長の反対を押し切って総理がこういう決定をなしたからには、総理の責任においてこれの答弁を願わなければなりません。
#32
○岸国務大臣 私は、独禁法の一番大きな精神は、先ほど申しましたように、公正なる自由競争を確保するということ、これが産業なりあるいは経済の民主的な姿として最も民主的なものであるという考えに立っておると思います。
#33
○加藤(清)委員 議事進行。せっかく話が緒論に入ったところで総理大臣の時間だそうでございまするが、実はすでに本委員会で予定されました質問者も準備を整えてきておりますが、本日は総理がどうしてもとおっしゃるならば、その総理を無理に引きとめるほど社会党も年少でございませんので、総理の行動を規制しようとは存じませんが、さりとて総理の時間が短かいがゆえに、この重要な法案の疑点が明らかにされずに、また内閣と同じように本委員会を無理押しに通過させていくということについては、わが党としては承服できないところでございます。従いまして近々の日において再び総理に本席に出ていただいて総理の本心をここに披瀝していただき、やがて国民に総理の気持をはっきりさせていただきたい、こう思うわけでございますが、この点委員長並びに与党側の私と同等な意見が得られるならば、ここであえて打ち切りされてもけっこうでございます。しからずんば、やむを得ず私どもは最後の手段に訴えざるを得ない、こういうわけでございます。
#34
○福田委員長 御発言の趣旨は、後刻の理事会においてお諮りいたしたいと存じます。
#35
○加藤(清)委員 それから御承知の通り本会議ですでに承認を得ている問題で、本会議質問の首相答弁というものはいまだ行われておりません。それをわが党としては待っておったわけであります。従ってこれで首相がもう出たいということであれば、もう一度本会議に出し直してもらわなければならぬ、こういう勘定になります。
#36
○福田委員長 先ほどお話ししました通り、後刻理事会でその点を取り上げましてお諮りいたします。
#37
○加藤(清)委員 その理事会はいつやりますか。
#38
○福田委員長 散会後直ちに理事会をやります。
#39
○加藤(清)委員 いつも法案がごたつきますると、社会党がじゃましたとかあるいは引き延ばしをやったとか言われますが、ほかの委員会と違いまして、少くとも本委員会においてはさようなことは一度もございません。本委員会において法律審議が遅延したとかどうとかいうことがもしあったとすれば、その原因は一にかかって答弁者側の不出席によることが多いということをはっきり御認識の上、どうしてもこの法案を通したいというならば、必ず総理に近々のうちに本委員会にもう一度出席していただく、こういうことを前提条件として審議を進められんことを望みます。もしそれが不可能ということであるならば、私どもはやむなく別席において協議をしなければならぬということに相なります。
#40
○福田委員長 御意見よく承わっておきます。
 佐竹新市君。
#41
○佐竹(新)委員 私は通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、まず第一番に、この法案はわれわれ社会党においてもずいぶん以前から用意しておりまして、また政府においても相当以前からこの法案を本国会に提案されることを用意されていたはずであります。しかるに本国会はもう末期であります。そのときにこの重大な法案が出されて審議される。しかもこれだけの法案を出されるには、政府当局においても、少くとも全国の中小企業に、これらの法案を出されるまでに意見を聞く機会を設けられて、十分に慎重なる用意をされて、しかる上に出されなければならなかったのではないかと思いますが、通産大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#42
○水田国務大臣 御承知のように、この法案を作るまでには、政府としても合理化審議会において、この問題に関する権威者に諮問して、そうしてこうすることがいいという一つの答申をまとめてもらった、こういういきさつがございますので、本法の基礎になる考え方については、あらゆる関係者、専門家の意見を聞いているということになります。その答申を得ましてからも、できるだけの団体の意見を聞いて、そうして一応の政府の考え方をまとめていったということと同時に、この問題はひとり政府だけの考えでもきまりませんので、与党側にも同様の研究を願って、与党には特別委員会がこのためにできて、そこにおいて関連産業者のいろいろな意見を聞いていただいて、そうして与党側と政府側の意見を最後に調整してこの法案ができ上ったということになりますので、この法案が提出されるまでには、相当多数の関連者の意見は一応聞いているということになろうと私どもは考えております。
#43
○佐竹(新)委員 与党と政府との間において、この法案提出までに相当長い間かかって調整されたということは聞いております。その他鮎川さんの中小企業の政治連盟が入りまして、相談にあずかったということも聞いておりますが、私の申し上げるのはそういうことではないのであります。広く一般の中小企業を集めて、そうして政府のお出しになろうとする法案についての意見を聞かれる機会をなぜ持たれなかったかということであります。と申しますのは、御承知のようにこの法案は、言い過ぎかもしれませんけれども、ある意味におきましては、官僚統制のにおいの強いような法案である、私はかように考えるのであります。これは意見の相違であるかもしれませんが、こういうような重要な法案を出される場合におきましては、そうした機会を持つことがより民主的である、そうして中小企業者の考え方を十分に取り入れる。今問題になっておりまするところの強制加入の問題なんかは、これはただ与党と政府とが中心になって考えて、そうして法案として提出するというようなことでは、議論を後に多く残す問題である。これらの問題は最も重要な問題であるから、そういう点に対してそういう機会を持たれることが必要ではなかったかということを質問しているのが第一点。
 第二点は、国会の会期がもうこうなって、こういう重要法案を出されれば――今までこれだけの大きな重要法案を、こう会期が押し詰まって出された例はないのです。これは与党の方との話し合いによりますると、二十五、六日までには審議を終って、そうして本委員会を上げてもらいたい、こういうことなのです。われわれは、目途としては審議を進めまする上に三十日ということを言っておりまするけれどもが、これが法案の内容に入ってみますると、事ほどさように簡単にわれわれは済む問題ではないと思う。これは政府が早く国会に提案されたなれば、今日ごろは上っておるかもわからなかった。私はこの法案を、今日になって審議していかなければならぬようなことはあげて政府の責任であると思いまするが、通産大臣はいかようにお考えになりますか。
#44
○水田国務大臣 第一の御質問でございますが、いわゆる公聴会というようなことはやっておりません。と申しますのは、中小企業の振興審議会には相当あらゆる方面の関係者を集めておりますので、また中央会とかあるいは従来安定法による調整組合の実施経験や、そこらの意見も聞くというふうに相当個別に意見を聞いておりますので、いわゆる公聴会的なものはやっておりませんでした。
 それから会期が末になってこの法案を出したことは、これは非常に申しわけございませんが、しかしこの問題は与野党とも相当お互いに長い間研究されている問題でございまして、ことに社会党におきましても独自の立法をされているくらいこの問題とは取り組んでおられますので、与野党とも、この中小企業の組織を中心にする法案についてはもう両方とも研究がされているので、問題点というものはきわめて少数なところに限定されるのじゃないかと思いますので、会期はおくれましたが、この審議について、今からやっていただいてそう間に合わないという時期ではないと私どもは考えておりますので、これは両党において問題点の究明がついて、そして話し合いがつけば、この問題を決定していただくのには私は時間は十分じゃないかと考えております。
#45
○佐竹(新)委員 もちろん両党において、本問題に対しては相当に研究はしております。今通産大臣の言われておりまするところの問題点となっておる問題が、きわめて重要なのであります。そこでわが党におきましては、本委員会におきまして、少くとも全国の重要都市においては、今からでもおそくない――そういうようにこの法案が立案されるまでに各業界の団体の意見が十分に聴取されていない、そこで中小企業の方々はこの法案の審議に当ってどのように考えておられるかということは、私が申し上げますまでもなく、中小企業の業種別というものは多種多様にわたっております。そういうような関係でいろいろと御意見のあることであろうと思う。ただここで法律を成立させてこの団体法でいくんだ、こういうしごく簡単なものではない。内容は複雑多岐でございます。それだけに中小企業者の意見を十分に聴取しなければならない。そこで重要都市においては公聴会を開くことが必要である、わが党はかように言ったのであります。しかし与党側におきましては、いまだその議がきまっておらないように考えておるのでありまするが、政府はこういう公聴会を開いて、そうして十分に政府の出された法案、またわれわれの方で出しておりまするところの組織法案の問題も、これを並行して中小企業者の意見を聞くことが必要かのように考えるのでありますが、通産大臣はどのように考えておいでになりますか。
#46
○水田国務大臣 政府としましては、今申しましたように相当多方面の意見を聞いてこの法案を作っておりますので、私どもにはその必要はないように思いますが、しかし審議の過程において、公聴会を開く必要があるかどうかという問題はこの委員会においておきめ下さる事項だと思いますので、政府としては別にそれについて、どうこうということは申し上げる筋じゃないと思います。
#47
○田中(武)委員 ちょっと今の大臣の御答弁に関連してお伺いいたします。大臣は今多方面の意見を聞いた、こう
 いう御答弁をいたされましたが、どう
 いう方面の意見を聞かれましたか。たとえば消費者関係の意見を聞かれましたか、それに対して消費者関係はどのような意見を述べたかお伺いいたします。
#48
○水田国務大臣 どの団体とどの団体の意見を聞いたかというようなことは、ずっとその衝に当っておった長官から説明してもらった方が具体的だろうと思いますので、長官から、今まで政上府がこの法案を作るまでのいろいろ諸方面に聞いた団体というようなものを答弁させようと思います。
#49
○田中(武)委員 大臣、先ほど各方面の意見を聞いたとおっしゃったんでしょう。そうすると各方面の意見を聞いたということを聞かれたわけですね。そういうことでしょうね、直接聞かれたわけではないのでしょう。
#50
○水田国務大臣 直接聞いたのもありますし、これは役所として当局に諸方面の意見を聞かせるということをやらせましたので、間接にも聞いております。
#51
○川上政府委員 私どもの方としましては、この法律はきわめて重要な法案だと考えましたので昨年の六月に内閣に中小企業振興審議会を設けまして、そこに各方面の代表者を入れまして、約六カ月にわたりましていろいろ意見も聞いております。またその答申も出ておるわけでございます。また一方におきましては全国の商工会議所を通しまして、商工会議所関係の意見も聞いております。また協同組合の中央会関係を通しまして、その方面の意見も聞いております。それからまた経団連関係の意見も聞いております。また労働組合関係のものにつきましても、われわれ個別的に意見もいろいろ聞いておりまして、少くとも今日までにおきましては、各方面の意見を聞いた上で立案をしておるつもりでございます。また与党におきましても――私からこれは申し上げるのもどうかと思うのですが、消費者の代表とかあるいは協同組合の代表とか、そういうような方々も集まりまして、意見を聞いているように私ども承知しております。
#52
○田中(武)委員 私がお伺いしておるのは、各方面の意見を聞いた、こういうことでございました。この法律が通過するならば、中小企業者にはもちろん、消費者にも大きな影響があることは御承知の通りであります。従って消費者関係についてどのような代表的な意見をお伺いになったか、そのときに消費者の代表はどう答えたか。今日この法案に対しまして、主婦連を中心とし、労働組合等が政府案反対のための反対期成同盟を作って反対運動を展開しておることは御承知の通りであります。政上府案が通るならば、かつてのマル公とかマル定といったような、いわゆる価格統制が行われるのではないかという点からも反対がなされていると思います。なるほどその反対の中にはある程度、法をまっすぐに解釈しなかった点もあろうかと思いますが、消費者に対して大きな影響を与えることは確かなんです。従って消費者はこれに対してどういう意見を持っておったか、これを聞いておるわけです。同時に社会党の提出しておる組織法案にはそういう点も考慮いたしておりますが、政府案ではいわゆる中小企業審議会に消費者が利益をみずから守るという機会が与えられていないわけです。そこで中小企業審議会その他において、消費者が直接自分たちの利益を守り、かつそれに対して発言できる機会をどういうようにして与えようとお考えになっておられるか、その二点をお伺いいたします。
#53
○川上政府委員 消費者の代表といたしまして私どもの方としましては婦人団体の代表者に私の方にきていただきまして、話もいたしております。それからまた生協の代表者にも私どもお会いしましていろいろお話しをいたしました。もちろんこれらの方々につきまして、私どもの法案につきまして特に強制加入あるいは価格協定の問題につきましてはいろいろお話をいたしたのですが、この問題につきまして十分おわかりになっていない点もあるのじゃないかと思いますので、さらに私どもとしましてはその後におきましてもいろいろ話もしたわけなんですが、なおいろいろな点につきまして反対の意見がありますことは私ども承知いたしております。しかし法案につきまして十分審議していただきますならば、おそらくこれはそう反対すべきものはないのじゃないかというふうに私は考えておるわけなんですが、その点につきましては十分話したつもりでございますけれども、いまだにそれらの代表の方方の納得をいただいておりません。
 それから第二の問題につきまして、中小企業安定審議会におきまして消費者の代表者が入っておるかという問題でございますが、この問題につきましては学識経験者というような方も多数入っておりまして、これはもちろん消費者を代表してもあるいはその他の方面を代表しても入っておりますので、私どもとしましてはそうした人々の御意見も十分拝聴いたしておりますので、消費者の代表としての消費者の声も、大体そういう点からも伺われるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#54
○田中(武)委員 大臣にお伺いしたいのですが、今長官の御答弁によると、消費者代表の意見は反対である、こういうことなんです。この消費者の代表の反対の意見に対して、この法案と関連してどのように考えられておるか、この点をまず第一にお伺いいたします。
 それからもう一つは、一つの業者にいたしましても、たとえば呉服屋さんなら呉服屋ということについてはこれは業者でございます。しかしそれ以外の生活の面においては消費者になるわけです。従って中小企業の振興安定という点からその人々の生活を見た場合、やはり消費者という立場を離れては考えられないわけです。それに今言っておるように消費者はまだこの法案について了解していない、こういう点について、この法案と関連してどう処理しようと考えられるか。
 もう一つお伺いしたいのは、この団体法の通過によってできる中小企業審議会に、消費者の代表者が入る道がはっきりとうたわれていない。従って消費者がこの法案が通った後、消費者の立場から、自分たちの利益といいますか権利を擁護するための発言の機会が与えられない。そこでどういうふうにしてそれらの消費者の発言なり利益擁護の意見を取り入れるような措置を講じようと考えておられるか、この二点であります。
#55
○水田国務大臣 まず後の方の問題ですが、これは消費者代表を審議会に入れることになっております。ただ法律の書き方に学識経験者とありますので、消費者代表ということをはっきりうたっておりませんが、これはどの法律にもそういう字が使ってあるので、それによって学識経験者という字を使ってありますが、内容は消費者代表を入れるということになっております。
 それから消費者が納得していないということは、私どもの法案の趣旨が結局十分徹底していないということだろうと思います。担当当局からは相当説明してあるのですが、何としても商工組合、ことに商人の組合ができたら、みんなで相談して、不況の名のもとにすぐ値を上げるだろうということを家庭の主婦たちは一番心配するようです。そういうような心配はないんだ、あらゆる調整行為をやってなおかつ値段の問題に入らなければ商人はもう不況が克服できないんだという事態にならなければ、こういうことにならぬと言って、他の調整行為とあわせて価格の制限が行われるという場合の説明をしましても、わかったようであって、いやそんなものができたらすぐとうふ一丁二十円にされたらどうするかという心配があって、十分法案の説明はいたしますが、まだこの調整行為についてののみ込み方が足りないのです。ほかの点については心配しませんが、商人の組合を作るということについては、そういう点が何かありはしないかというふうに、最後には首をかしげて帰るというような状態で、説明があらゆるところで十分徹底していないということは私どもも認めますが、実際問題として、今私どもに反対してくる消費者の心配は、この法案ではないだろうと私どもは考えております。
#56
○佐竹(新)委員 川上中小企業庁長官の今のお言葉は、将来ともこういう法案を御提案になるのに対しまして、おそらくこの法案に対していろいろの団体は反対がないだろう、こういう考え方で、将来もしこの法案が成立した後に運営されるというようなことになりますと、強制加入の問題が非常な問題になるのであります。われわれが一番警戒しておるのは、中小企業というものは、一方においては絶えず大資本の圧迫を受ける。一方においては官僚のいわゆる高圧的な態度によって――中小企業、中小企業と口では言われますけれども、一向に中小企業の振興に身が入らない、これは言いかえれば法律ができたならばその法律の中に立てこもって、あくまでも昔の官僚意識を発揮して法を運営していこうというところに大きな欠陥があると私は考えるのであります。でありますから、私が申し上げる、地方で公聴会式なものを開いて、十分にその意見をくみ入れて法案提出の用意をなされるということが、民主主義的なあり方であり、これが政府の親心である、私はかように考えておるのであります。かるがゆえにわれわれ社会党の方におきましても、この組織法案を作りますについては、水谷特別委員長と春日部長が全国の主要都市において中小企業者の会合を求めて、十分にわが党の法案を説明をして意見を聞いてこの国会に提案しておるのでございます。私はこれだけの用意と親心があってしかるべきだ。ただあなた方の方ですぐ勝手な人を集めて意見を聞いた、こういうことでは私どもは納得はいかないのです。さらに今後この法案成立後における運営というものが、私がさっき申し上げましたような官僚独善に陥るようなことになりますと、せっかくこういう団体組織をもって中小企業の振興をはかっていくということとは逆な方向の法律が過去において幾多作られております。言いかえるなれば、金融処置に対する法律にいたしましても、中小企業の金融とは言われておりまするけれども、一向にこれが実っていない、こういうことは何を意味するかということであります。法の運営は完全に行われていないということであります。こういう点から考えまして、今の川上長官のお言葉は私は非常に納得がいかない。これは御注意までに申し上げて、私の本論に入りたいと思うのであります。
 通産大臣にお尋ねいたしまするが、まず第一番に、この法案を提案されるにつきまして、わが国の中小企業のあり方という基本的な問題に入って考えてみなければならないと思うのでございます。私が申し上げますまでもなく、わが国の中小企業は、さっきも申し上げましたように、幾多の業種別に分れております。この業種別がなぜ今日までいわゆる弱体化されているか、特に小売商のごときは零細企業のもっとも顕著なものであります。こういうようないわゆる種々雑多な業種別の中にありますところの実態というものが完全に把握されない。私はこれが一番重要な問題であろうと思うのであります。この中小企業の業種別実態を把握して、その実態調査の上に立ってこういう法案が出されるなれば、これは実態がもはやわかっておるから非常にいいのであります。しかし団体法という一つの組織ができただけで実体がそれに備わっておらなければ、これは砂の上に持っていって家を作ったようなものです。建築をいたしますにつきましても、コンクリートで固めて、その上にりっぱな家を作っていく、コンクリートの家はできたけれども、その実体というものの脆弱性を調査になっていなければ、この団体ができましても、今後の金融その他の面の行政指導というものが一向に実っていかないという結果になると思いますが、通産大臣はこの実態調査については今日までどのような方向をとっておられますか、また方向をとられようとするのでありますか、その点をお尋ねしたいと思います。
#57
○水田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、実態調査が政府としては非常におくれております。従って今年度実態調査の問題も予算化しまして、今年度から相当本格的な実態調査をやろうと今考えておるところでございます。
#58
○佐竹(新)委員 本年度から実施をしようという御計画を持っておられるということでありますが、しかれば本体度において、私はまだよく了解いたしておりませんが、通産当局におきましてはどのくらいな予算をもって、どのくらいな人員をもって、どのくらいな組織構成をもって案態調査をなされようとしておるのでありますか。
#59
○水田国務大臣 今年度の予算は大体四千万円でございます。これによって十四万件前後を対象とした調査をするということになっておりますが、もっと具体的な問題でしたら長官からお答え申し上げます。
#60
○佐竹(新)委員 私はそこを言うのであります。これだけ大きな中小企業の問題の実態調査が今年度からようやく実態調査に入ろうというその予算がわずかに四千万円程度、今日まで政府はいつも口を開けば中小企業々々々という問題を言われるのであります。また政府の与党である自由民主党の政調会におけるところの中小企業対策要綱を見ましても実にりっぱに並べてあります。また去る参議院の選挙のときにおいても、中小企業対策としては相当中小企業が期待を持つような政策を発表されております。しかしその政府におきまして、今ここでこれだけの重要法案を御提案になって国会の審議をいたそうというときに、その基盤である実態調査に対してスズメの涙のわずか四千万円くらいでこれから始めるんだというようなことでは、この法案を作りましても、結局法律の形はできるが、この組織を動かしていくところの基本的なものが政府の方でつかまれていないのに、完全な法の運営ができるかどうかということを私はまず御質問申し上げてみたいと思うのであります。
#61
○川上政府委員 今までにおきましても、あるいは商業統計調査とかあるいは工業統計調査とか、また特別に経営調査とか、その他いろいろな調査を私どもの方としましてもやっておりまして、大体全国の中小企業の特殊な事情につきましてはやっておるわけでございます。ただ、先ほども大臣が申し上げましたように、まだ業種別に非常に深い調査ができておりませんので、その深い調査につきまして本年度から本格的に始めたいというふうに考えておるわけでございます。この団体法案が成立しました後におきましても、私どもとしましては、従来のそういう調査を資料といたしまして運営に万全を期していきたいと同時に、また今後の深い調査によりましては、場合によりましては、法律の不備なところについてはそれを訂正していくというようなこともやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#62
○佐竹(新)委員 この中小企業の実態調査に対しまして、経済企画庁の方と川上長官はどのような御連絡をこれまでとっておいでになり、また川上長官も就任後日が浅いのでありますが、その以前においてどのように連絡がなされておるか。やはり実態を把握することにつきましては、経済企画庁あたりが中心になって通産当局と相談し合って作らなければならないと思うが、そういうふうな関連性はいかようになっておりますか。
#63
○川上政府委員 従来の調査につきましても十分企画庁の方とは連絡をとってやっておりますし、また本年度から始めます実態調査につきましても、企画庁と十分打ち合せをしましてこれを実行することにいたしております。現に中小企業安定合理化審議会の中へ経済企画庁の方も出まして、またわれわれの方も出まして、民間の方々も出まして、みな一緒に、どういう調査をするか、どういう方法でやるかということも実は詳細に打ち合せておりますので、すべて企画庁の方とは十分な連絡をとってやっておるつもりでございます。
#64
○佐竹(新)委員 今長官がお答えになったようなことを聞きますと、経済企画庁とも十分な連絡をとってなされたということになりまするなれば、そのような重要な問題で、しかもこういう法案を作る基礎ともいうべき問題をこれと並行して本年度大幅な予算を盛ってやられなければその熱意は現われない。予算的な関係もあったのかもしれませんが、こういう重要な法案が出される以上においては、中小企業者の実態の把握が完全になされていなければ、これはただ形の運営でございます。実質上の運営というものはそう簡単に参りません。
 私今ここに資料として見ておりますと、三十一年七月十三日に経済企画庁が「中小企業問題総合基本調査に対する希望意見」というのを発表せられております。「T経済企画庁としては、(1)経済五カ年計画は補強するための掘下げ、(2)経済構造の長期的発展への方向づけ等のために、その前提として中小企業の実態把握を必要とするものであるが、主として中小企業庁の行う中小企業問題総合基本調査を中心として意見を述べれば、当庁としては次のような観点からの把握に資するようこれが行われることを希望するものである。1生産、流通等の面を表面的に把握するに止まらず大企業と中小企業との関連(競合の関係及び下請、系列等の結合の関係の両面から)、中小企業に占める輸出の地位、技術の問題等にも重点をおいて実態を把握する。なお、雇用、就業形態も明らかにする必要がある。2消費市場の形成に占める中小企業の地位、中小企業に従事乃至関係している人口(家族を含む。)は、わが国の場合、その総人口のうちに占める割合がきわめて大きく、従って国内市場を拡大し、経済の円滑な発展を企図するためには、比較的悪条件下にある中小企業を健全化するようその振興策が講ぜられなければならないが、その前提としてかかる悪条件の実態を明かにする。」という前提を置きまして、「1に述べたような観点から次のような調査を希望する。(1)中小企業実態調査の実施、中小企業はわが国において経済的、社会的に極めて重要な地位を占めているに拘らず、その実態に関しては、特に質的な把握および小規模零細企業の調査がなお甚だ不十分な現状にある。従ってかかる要請にこたえるため質的な調査に重点をおいた中小企業の実態調査を行うことが必要と考えられる。」「1中小企業の質的な把握に関しては、工業統計調査及び商業統計調査(通産省調査統計部)が漸次中小企業の質的な把握に資するよう調査項目の改正が行われてきており、このほか経済政策的、社会政策的観点から関係各省等において夫々中小企業に関する実態調査が計画ないし実施されている。しかし、これらの調査は、大部分特定業種、特定規模を対象とする調査であり、夫々の調査対象が異っているので、同一対象について総合的観察を行うことができない。本調査はこの欠陥を補うため、調査対象を選ぶ」というように書いておるのであります。これらの点から考えてみますと、経済企画庁におきましては、すでに昨年の七月十三日にこういうような一つの実態調食の企画がなされておる。しかも中小企業庁とは関連をとりつつやったと、この中にはうたわれておるのであります。しかるに今川上長官の言葉では、これは連絡はとっておいでになったかもしれませんが、しからば中小企業庁としては実態把握に対して、具体的にどのような構想を持ち、そしてどの点とどの点が今一番重要な問題であるかというような点についてお考えになったか、こういう点をお考えになってもし実態把握の上にこの法案を乗せられるというお考えであったならば、私は、これだけの四千円くらいの予算ではまことにりょうりょうたるものでありまして、こういうことではどうもこの法案の成果が危ぶまれると思うのでありますが、川上中小企業庁長官はどのようにお考えになっておりますか。
#65
○川上政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもの方としましては、産業合理化審議会というのがありまして、そこに中小企業部会というのかございます。その部会におきまして、経済企画庁も参加して、昨年度におきまして十数回にわたってこの中小企業の実態把握の問題につきましていろいろ検討をして参ったわけでございます。もちろん先ほどお話がありました経済企画庁の具体的な意見も十分取り入れまして、三十二年度におきましては、第一年度として、特に中小企業のうちでも工業者関係を、先ほど大臣がお話しになりました約十四万件くらい調査することになっておるわけでございます。調査の項目としましては、いろいろな業種につきましての、特に中小企業性というのがどこにあるか、大企業との関係がどういうふうになっておるか、あるいはまた下請関係がどういうふうになっておるか、資金関係がどういうふうになっておるか、経営の内情がどうなっておるか、あるいは零細企業についても、その経営と家計との関係がどういう関係になっておるかというような、きわめて詳細な点までも調査することに実はなっておるわけでございます。しかしながら、先ほどもお話がありましたように、本年度の四千万円程度の予算で果して十分なことができるか、またその程度の調査で果してこの団体法の運営が将来できるかという問題でございますが、私どもは、本年度におきましては、必ずしも十分な予算とは考えておりませんけれども、この調査につきましては、この四千万円を最も有効に活用いたしまして、できるだけ私どもが最も重点に考えておるところを調査したいというふうに考えておるわけでございます。この調査は来年度以降につきましても続けていきたいというふうに考えておるわけなんですが、われわれとしましては、そういう調査を、この団体法が成立いたしましたならば、その後の運営につきましても十分反映さして、そうして万遺憾なきを期していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#66
○佐竹(新)委員 私は、繰り返してお尋ねするようですが、資本主義の自由競争の経済のもとに置かれておる中小企業の立場といたしまして、どういたしましてもその実態把握が完全になされてこそ、そこに金融の問題であるとか、資材の問題であるとか、あるいはいろいろ中小企業が振興されていくところの基本的性格をなすものである、かように考えておるものであります。これができていないから、中小企業ということを口にはせられまするが、さて中小企業にとって一番重要な問題は何であるか、中小企業の集まりがあれば、何よりも一番先に中小企業の口から出てくるものは何であるかと申しますると、いわゆる金融の問題であります、金詰まりの問題であります。これを何とか政府の方でもう少し公庫の窓口を広げてもらいたい、こういうような意見がいつでも開口一番中小企業者の集まりからは出てくるのであります。事ほどさように金融という問題に対しては重要に考えられておるのであります。しかしながらこれらの問題の実態が把握されていないから、政府の方におきましても、議論は繰り返しまするが、まことにおざなりでございます。いつもおざなりである。そうして中小企業の金融のあらゆる機関の窓口は一向に広がっていかない、これが一番大きなガンとなっておるわけでございます。そこで川上企業庁長官は今そういう実態調査を経済企画庁あたりと相談をされてやると言われる。またこれを来年度も継続してやる、かようにおっしゃったけれども、私は来年度、再来年度じゃないと思う。これが完全に把握されるということは、わが国の中小企業にとりましては一番重要な問題であります。
 そこで通産大臣は、こういう実態把握をするための調査を、本年度においてはもはや予算が成立したことでありまするから、いたし方がないでありましょうが、来年度におきましては、大幅に予算を支出して実態把握の調査をし、その上に諸政策を打ち立てるというお考えはどのように持っておいでになりますか、お尋ねいたします。
#67
○水田国務大臣 ことしは予算の範囲内でしかやれないと思いますが、さらに来年から、必要があれば予算を大幅にふやしても、この実態調査をやるつもりでおります。そうかといって、万般の施策がこの調査を待たなければ的確な施策ができないというのでこれを放置するわけに参りませんので、いろいろの施策をやっております。たとえば今金融機関の問題が出ましたが、完全な実態調査ができなくても、中小企業は御承知のように多種多様でございますので、まずいわゆる零細企業、こういうものの生業資金を貸し付けるという機関として国民金融公庫というものがありまして、ここでそういうものへの貸付をやっていく。それから中小企業の組織化を進めるというために、協同組合の系統金融機関として南中というような制度を置いて、そこで役割を果させていく。さらに中小企業公庫というものも活用して、中小企業の合理化、近代化をはかるという方向に行く。それからまだそれでも中小企業の金融は非常にむずかしい問題になっておりまして、一般の銀行は借りかえの金は貸さない。すでにどっかから高利でも何でも借りておって、これを借りかえようとしても、市中銀行はなかなか貸さないというようなことがございますので、今度は使途はあまりやかましく言わないで、不動産の物件を持っていったら、これによって金を貸すという不動産銀行もこの四月から作るというような形で、中小企業の多種多様性に応じていろいろの金融機関を作ってきて、実際の需要に即応せしめるという方向を今とっておるのですが、国会の中で、こういう機関をなぜ統一しないかとか、一本化したらよかろうというような意見がしばしば出ておりますが、これを一本化す方がいいのか、多種多様性に応じて必要のある金融機関を作っていって、それぞれ別個の機能を発揮させるのがいいかというような問題も、根本的にはやはりこの実態調査がはっきりしてくると、そういう問題の対策も立つだろうと思いますが、今それができない間は、そういういろいろな機関を作って、必要に迫られている問題を解決するための機関を作っていく。その機関を通じて、同時に中小企業の実態というものも今政府側に明らかになってきまずから、年々国民金融公庫の資金がああいうふうに需要が多くなるということは、日本の零細企業の現状というものがこうだという実態の把握にも役立ちますので、私どもは実態の調査をやると同時に、ああいう政府機関を通じたいろいろな調査もさらに大幅に経費をふやして進めて行って、ほんとうの実態を把握した的確な措置を立てたい、こういうふうに考えております。
#68
○佐竹(新)委員 通産大臣の実態調査に対する御熱意を承わりまして、これが実際に実行され、また予算がそれだけ出されて、完全な実態把握の上にこういう法律が運営されていくということは、私はまず好ましいことであると思うのであります。
 そこで私は、法案の内容にわたりましては、あとから同僚諸君から十分にまた御質問があろうと思いますので、私は中小企業の基本となるべき問題に対しまして、主として通産大臣に質問を申し上げたいと思うのでありますが、ただいま申されました金融の問題でございます。日本が敗戦経済から今日になりまするまでに中小企業が果した役割というものはまことに大きく、はかり知れざるものがあるのであります。その役割を果しますためには、絶えず国からはまま子扱いにされておる。そうして自己資金でもって苦しい中から、低賃金と労働の強化が行われまして中小企業が成り立ってきておるのであります。一方、資本主義の経済のもとにおきましては、大産業は国のいわゆる財政投資を大幅に受ける。かつての造船問題みたようなものもこの一つでございます。かように大資本が今日これだけの大企業に発展し、そうして生産集中主義がとられて、神武以来の景気といわれておりまするが、これは決して中小企業に当てはまる言葉ではないと私は思う。神武以来の景気というのは、いわゆる大企業であり大資本であります。これらはみな国家の恩恵によって、敗戦の焼け野原の中から今日のこういう大企業ができてきておるのであります。すべて国家の保護政策のもとに大企業が生まれてきておるのである。だからこの大企業に対する財政投資というものは、私は今日の国家財政の上から見ましても、あの大企業は市中金融、銀行金融によって幾らでも金を運営できるのであります。日本の集まった金はほとんど大企業に資本主義のもとにおいては集中されておる。だからもう今度は中小企業に対しての財政投資がなされ、また中小企業金融公庫であるとか、あるいは国民金融公庫であるとか、商工組合中央金庫であるとか、こういうような中小企業の金融の窓口に対して国家が大幅な預託をして、中小企業の便利をはかる必要がある。今大臣の言われたように、あなたもかつて政調会長をしておられて、中小企業の事情はよく御存じであろうと思う。だから政府の方でどのように考案がなされましても、いまだに末端においては、金を借りるのにはやっぱり信用である。普通銀行で借りるのと何ら違いはない。中小企業金融公庫ができましたけれども、りっぱな技術を持っておりましても、やっぱりその信用度が低ければ窓口でけられてしまうという結果になるのであります。私は中小企業の金融のあり方というものは、設備、技術、そしてよりりっぱなものが作られるならば、そのものには担保というようなやかましいことでなしに、優先的に金融をしてやるというような――実態調査がなされていて、その上に金融がなされることが中小企業の振興策である、かように考えておるのであります。もちろん今日のような金融資本経済のもとにおきましては、基本的にわれわれのような社会主義の考え方とは違うかもしれません。これは論争になりますから申し上げませんが、われわれとても決して社会主義というものを今日直ちに行うというような政策を考えてはおりません。資本主義の中に社会主義的な政策を進めて行って、われわれが社会主義者であるということにおいて、一回革命においてすぐ社会主義国家を作ろうというような考え方は持っておらない。やはり議会を通して、そうして資本主義のらち内において社会主義的政策をより多分に進めていく、こういうのがわれわれの考え方であります。でありまするから、法律案を提案いたしても、その考え方のもとに、しかもその根底は民主的な立場をとりながら中小企業の振興を進めていく、こういうのがわれわれの基本的な考え方であります。通産大臣はこういう金融のあり方に対しまして、今後いかようにこれを進めていくお考えをお持ちなのか、この機会に伺っておきたいと思います。
#69
○水田国務大臣 金融につきましては、中小企業の実態が多種多様でありますので、それぞれに応じられるような機関を、一本化ではなくて、むしろ多角化してやっていくことが、いいんじゃないか。そういう意味におきましては、現存の機関はそれぞれの機能を持っておりますから、この機能をさらに伸ばすようにしていく、それに対して国はできるだけの財政資金を投入してやるという形と、そういう政府関係の機関には一定の限度がありますので、国民全体の蓄積の中から中小企業の金融に金を回すということが必要であります。現に市中銀行も中小企業に貸さないわけではなくて、市中銀行が貸しておる比率も相当多く、三十年から三十一年にかけてはその金額の増加が一千億円以上ということが統計でも出ております。この方向をさらに伸ばすためには、信用保証能力を中小企業に与えることが必要だと思いますので、今年度は十億でございましたが、さらに来年度十億、合計二十億――そうすれば中小企業に保証能力を与えてやる別個の中央機関を作ってもいいと思いますので、そういう形で、中小企業が金融に困らないような措置をさらに促進していきたい。同時に、相互銀行とか信用金庫という中小企業のための金融機関もさらに伸ばしていくことにしたいと思っています。さっき大企業大企業というお話がございましたが、大企業に金を貸すことが中小企業をいじめることになるかと申しますと、その点は私ども少し違いまして、同じ仕事をやっている大企業というのではなく、今政府が相当財政資金を出しているのはいわゆる基本産業でございます。たとえば鉄が足らない、電力が足らないという状態を放置すれば、その影響は国民経済全体に及んで、商取引は少くなりますし、工場も生産制限をしなければならぬ。こういう産業の不均衡を生ずることによってその余波を一番強く受けるのはやはり中小企業だろうと思っております。従って、国が今支出しておる財政資金というものは、同じ品物を売っても小さいものへは貸さないが大企業へは貸しているというのじゃなく、私ども政府が特に力を入れているのは国の基本産業であって、その産業の増産が間に合わないという場合に、国の均衡のとれた拡大がはばまれ、これによる国民経済の打撃が大きいのですから、こういう意味において国家の財政資金をできるだけ基本産業特に隘路部門に向けるという方針をとっておるのでございまして、いたずらに大企業に金を貸して中小企業をいじめるということではないのであります。この点一つ御了承願いたいと思います。
#70
○佐竹(新)委員 私は、決して通産大臣と理論闘争をしようとは思わない。われわれは、御承知のように、社会主義的な政策を進めていきたいという考え方を持っている。従って、鉄であるとか石炭であるとか電気であるとか、国の基本産業に対してはもちろん国の財政投資をすることも必要であり、それが中小企業に回ってくるということも考えております。しかしながら、われわれはまた別途の考え方を持っているわけであります。大資本の独占的な資本の蓄積になるような経営方針というところに理論的な見解の相違を持っておりますが、その点について通産大臣と私とが理論闘争をしましても、資本主義的な考え方と社会主義的な考え方の見解の相違でありますから、それを申し上げようとしているのではありません。そこで、さらにに金融の問題についてお尋ねしたいのであります。そういたしますと、この団体法に付随して、さっき申しましたようなあり方でない変った考え方、一口に申しますなれば、中小企業の金融が、今あなたのお言葉の中にありました不動産物件を担保に置いて貸し付けるいわゆる一般市中銀行のような考え方でなしに、国が財政投資をする以上、この団体法と並行して、何か金融的な措置をお考えになっておられるかどうか、もしお考えになっておられるとするならば、所見をお聞きしたいと思うのであります。
#71
○水田国務大臣 中小企業にとって一番重大な問題は金融を解決すること、その次が税制の問題で、金融と税制の面でいかに政府が骨を折ってもその効果を減殺してしまうのが中小企業の過当競争である。従って、ほんとうに中小企業の基礎を健全に作ってやらなければほかのことを幾らやっても効果がなくなってしまうということをおそれますのでこの団体法というものを考えているのであって、この三つの柱によって中小企業を振興することがやはり基本的な問題じゃないかというのが私どもの考えでございます。この団体法は団体法として、そういう意味で経営の基礎を確保してやるというための法律、それと並行して税制の問題を考えていくことと、金融の問題についても、さっき話しましたように、中小企業の多種多様性に応じた金融円滑化の方法をさらに推進していこう、こういうふうに考えております。
#72
○佐竹(新)委員 団体法と金融と税制、この三つをもって中小企業の振興をはかっていくというお考えのように承わったのであります。今まで中小企業の問題か出ますと、金融の問題についてはいろいろ議論がありますけれども、歴代の通産大臣がその場限りのきわめて上手なお答えをしておるのであります。しかし、今日の段階におきましては、この団体法という骨組の性格を持つ法案が審議されておりますので、これと並行して重要な金融の問題に対してもし通産大臣にお考えがあれば重ねてお答えを願いたいと思うのであります。
#73
○水田国務大臣 先ほど申しましたように中小企業のための政府関係機関というものに資金量をさらにふやしてやるということ、それからもう一つは、やはり信用保証能力の拡大をはかるということが、今後一番適切な措置になるのではないかと考えておりますので、今後その方面に画期的な措置を講じてみたいと私自身は考えています。
#74
○佐竹(新)委員 昭和三十二年度の中小企業関係予算の中で、中小企業対策費が四百五十三億七千万円と出ている。ことしは三十年度の中小企業対策費二百八十七億七千万円より百六十五億増加しておる、その内訳は次の通りであると、この資料に出ておりますが、こういうようにかりに中小企業対策費として支出を増額されましても、その金融のあり方というものが、私がさっき申し上げましたように、市中の銀行と何ら変らない金融のあり方であり、手続が非常にむずかしい、従って中小企業の一番困って金の借りたい連中は借りられないということであります。この借りられないものに対して政府の財政投資をして、現在の段階におきまして公庫の窓口を広げるというのでありますれば、それを一体どのように簡易にするか。そして、りっぱな技術を持っておるが設備がないというような人、あるいは信用度がないというようなときには、どのようにして実際に貸し付けて、その設備と技術を生かして、もって生産に役立たせるかというこの具体的な方針が、今中小企業者が一番困っておる問題であります。これはあなたが政調会の会長をやられて、いろいろ体験せられたことであろうと思う。われわれがいつも中小企業、中小企業、金融々々と申しますけれども、実際にはここで行き詰まってしまっておるというのが現在の状態であります。だから、こういう団体法というようなものができて、そうして中小企業者の力を結集する――私は決して西村氏が御質問になったような、赤旗を押し立てるというようなことはない、これは労働組合と違うので、経済行為をやるところの商工団体がそんな赤旗を持って押し寄せるというようなことは、ナンセンスでございます。そういうような考え方は、われわれの組織法の中でも考えておりませんが、しかし、問題は、こういう団体が作られて、中小企業の力の育成をするというところに法案の骨子があるとするなれば、その力をさらに強めるところのこの金融という問題が、今私が申しましたように、今までのようなことではいけない、これでは銀行の窓口と同じことだ、そこに何か変った通産大臣の御意見なり御方針があるかどうかということをお尋ねしておる。
#75
○水田国務大臣 その点に関しましては、この法律によってできる商工組合は商工中金から金が借りられるというふうにするつもりでおりますから、この法律が通れば来年からこの商工中金の拡充ということはやるつもりでおりますので、その点において、この団体法と関連して金融措置をする意思があるかというようなお話でしたが、これは十分あると答えて差しつかえないと思います。
#76
○佐竹(新)委員 そういたしますると、さらに突き進んでお尋ねするのでありますが、団体法と関連してそういう金融化をやる意思がある、商工中金なら商工中金に結集してやる意思がある、こういうお話でありますが、そうなりますと、この組合と、中小企業金融公庫なら金融公庫、あるいは商工中金なら商工中金、こういうものとが、団体が保証し、団体がその組合として必要な場合に金を借りるという場合は、公庫の方は、担保とかなんとかいう条件なしに貸し出すのですか。そういう道の講ぜられる金融措置をされるのでありますか、どうですか。
#77
○川上政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、今度は商工組合も中金の傘下に入って、そうして中金から金の貸し出しを受けるわけなんですが、その場合におきまして、その組合の理事者の保証によりまして、その組合に対しまして中金の方から金を出すというような道も開けていくわけでございまして、団体が強化されましてその組合が非常に確実な組合であって、かつまたその理事者の保証ということになりますと、組合員はそれによりまして中金からの貸し出しも十分に行えるようになるかと思うのであります。
  〔加藤(清)委員「それじゃ今までと同じだ」と呼ぶ〕
#78
○佐竹(新)委員 そういうお答えでは私は満足いかないのです。私の質問はそこではないのです。今加藤君が私語いたしましたように、それなら今までとちっとも変っていない。それよりまだ別に、理事者の保証であるとか、あるいは担保をとるとか、そういうようなことでなしに、この団体法というものができたならば、そういうことはなしに、簡易な手続で貸す方法が団体的にできるのであるか、どうであるかということを尋ねておる。今のあなたのお答えではちっとも今までと違っておりません。
#79
○川上政府委員 手続の問題につきましては従来非常に複雑であるということを言われまして、また私どもの方としましてもいろいろ調査してみますと、なるほど非常に複雑な状況になっておりましたので、私どもとしましては最近におきまして極力手続を簡素化するように努力いたしておりまして、現在までにもうすでに中小企業金融公庫にしましても、あるいは商工中金にしましても、実はそういう措置をだんだんにとってきております。今後におきましても、その手続につきましてはもっと簡素にあるようにしたいと考えております。なおその担保の問題につきましては、先ほどおっしゃいましたように、従来におきましてはやはりとっていたのですが、われわれとしましては、今後につきましても信用保証協会の保証とか、あるいはまた組合の理事者の保証とかいうようなことによりまして、担保につきましてはなるべくとらなくてもいいようなものはとらないようなことにして、貸付を行えるよう持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。この問題について、団体法を作りまして、団体を強化して、そして担保の関係をどうするかという問題につきましては、私の方としましても今後十分検討いたしまして、佐竹先生がおっしゃるような方向になるべく簡単に金が借りられるように持っていきたいというように考えております。
#80
○佐竹(新)委員 これはまあ御参考までですが、過日中国地方の中小企業者が中共に行って――共産主義の国であるからああいうこともできると思うのであります。わが国のような金融資本の関係の国のあり方とは違いまするが、中共におきましても、中小企業は決して倒していない、中小企業を育成しておる。大きな資本産業は、みな国が経営しておるのでありますが、そうでないものは、国家と中小企業者とが一体になりまして、これに国家が資本をつぎ込み、中小企業の経営者は金が余るほど取れてぜいたくを幾らでもできる。これは国が非常な保護政策をとっておるからであります。わが国のような経済の国家においてはそういうようにはいきませんでしょうが、今申し上げました基幹産業に始まるわが国の大資本産業と中小企業への国の財政投融資の考え方を考えてみますると、もう今日におきましては中小企業を中核にものを考えていかなければ、日本の産業は成り立たない。これが私の申し上げたい基本的な問題であります。なぜかなれば、生産性の向上をやる、そうして生産集中をやっていく、そのことが国際価格に近づけていき、わが国の輸出の振興をするのだ、こういうように政府は口を開けば申されます。しかしながらこうしたオートメーション時代になって参りますと、大きな産業はもうほとんど機械化されてしまい、この犠牲はどこにしわ寄せされてくるかというと中小企業であります。高給な技術者を首切るでありましょう。あるいはもう定年になったら遠慮会釈なく首切って、若い人を入れかえていく。最低賃金法ということが今言われておりまするが、これはいろいろな角度からの検討がありますけれども、生産性の向上がなされ、こういうオートメーション化時代になって参りますと、若い人で差しつかえない。何ら技術を要しない。機械が仕事をする。機械が生産を行う。だからりっぱな技術者はどこへ一体行くかということは非常に大きな問題です。こういう技術者をどうしても将来吸収していかなければならぬ運命をしょっているのが中小企業者であると私は考える。最低賃金法で喜ぶのは大資本産業です。これは若い者を安い賃金で何ぼでも雇えます。だから中小企業者に対する金融を、大資本産業にやられるのと反対の中小企業の方向に向けていって、中小企業者を育成するという根本的な思想が生まれてこなければ、わが国の産業は成り立たないという考え方の上に私は金融という問題をやかましく言っておるわけであります。しかしそれが何回も何回も繰り返されても今川上長官のようなお言葉であって、この団体法ができてくるこの時代におきまして――これは非常に進歩的な法案であると私は思う。これは潮が寄せてきたのです。中小企業の大きな波が政治の上に寄せてきたと思う。この考え方の上に立って根本的な問題である金融の問題を考えるならば――私はこの問題を総理大臣にお尋ねしたかった。この問題が解決つかずして、ここへ持っていって団体法だけ生まれたのでは、やはり官僚の行政運用の面でおざなりのことになってしまう。骨はここへ持っていって入れるということ、それには今あなたのお答えになったようなことでは私は満足できない。財政投融資はもはや中小企業に向って大幅に行なっていくのだという考え方が根本的にあるのであるかないのであるか、通産大臣のお答えをもう一度お聞きしたいと思うのであります。
#81
○水田国務大臣 国家の財政資金をできるだけ多く中小企業金融機関に入れるということは大体政府の方針でございまして、今年度は昨年に比べてそういう面をみんな集めますと、全部で三百億近い投融資の拡充をやっておると思いますが、これは今後においてさらにこのワクを広げるという考えでおります。
#82
○佐竹(新)委員 なかなか通産大臣一人のお考えでもいかないのでありましょうが、この考え方を根本的に一つ考え直してもらわなければいけない。それでないと何としても中小企業は振興できないのです。
 そこで私は方針を変えまして、いま一つの問題は、中小企業に対するところの大産業の圧迫、ことに中小企業のやっている仕事を大企業が行なっていく、割り込んでいく。一口に申しますれば、そういうことに対する中小企業の安定法というものはありますけれども、基本的には中小企業の安定ということは、今私が申しましたように、機械化産業になりまして、あらゆる業種におきまして、従来中小企業の仕事であったものが、紡績にしましたならば、子会社を作りあるいは系統会社を作って、大資本のもとに中小企業の仕事をみんな取っていく。こういうようなのが幾多あるわけです。ここで私が一々例をあげるまでもなく通産大臣は御承知である。こういうようになりますと、中小企業の仕事は追いやられてしまう。みずからの仕事をみんな大産業に取られてしまう。原資材が握られてしまうというようなことになりますと、中小企業の職場をずっと取られてしまうわけです。こういうようなことに対しまして、何か一定の、これこれのものは中小企業、大企業はこれだけのもの、これ以上のものはいけないというような一つの産業分野、生産分野を明確にしてやるというような考え方はおありでございますか、どうですか。
#83
○水田国務大臣 商業部門におきまして、そういう点の見られる点は、近く政府が国会に提出しようとして考えております小売商振興法において、そういう問題を取り扱っております。それからさらに大企業と中小企業の分野の調整においては、前々から申し上げましたように、この国会では間に合わないと思いますが、来国会までには、別個の法律案として国会に提出するという大体方針でおります。
#84
○佐竹(新)委員 これは中小企業育成にとって重要な問題であります。かつて本委員会において百貨店法が成立いたしました。この百貨店法に対しましては、全国の小売業者が非常な猛運動を起された。しかしわれわれの党で考えておった百貨店法よりだいぶ中骨が抜かれましたが、いずれにしても小売業者はこの法案を早く通してくれということで、ちょうど今の団体法案と同じようだった。とにかく通してくれと言われる。しかしながらその法案が一度通ったら、その法律は百貨店という大企業を小売商を圧迫しないという内容で規制するものでなければならない。今通産大臣は、こういうことも来国会においては考えておると言われるけれども、実際に大資本が中小企業あるいは小売商人というような零細企業者を圧迫していくというときに、こういう法律がそれを規制できるような法律になるという確信をお持ちになるのであるか。そういう点、百貨店法はその許可の制限もいたしておりますが、やはりいろいろ理屈をつけて作る。それで内部は何ら規制されていない。ただ法律はできたが、内容はすっからかんである、こういうようなことで、小売商には一向にこたえぬ、やはり百貨店があらゆるものを全部吸収し、月賦販売から出張販売というようなことを行なっておる、これでは法律ができて名前はできましたが、内容が整っていない。私の言うのはそうではない、百貨店が小売商を圧迫するならば――こういう大きな商店には自然に人が行くのです。東京駅の出口へ持っていってぱっとやっていれば便利だから自然に行くのだから、そこには小売商を圧迫するようなことはしない規制法というものを出さなければ、ほんとうに小売商の救われる法律にはならない、と同時に今通産大臣が、来年度において、あるいは今度小売商のこの法案において、まだ出ておりませんから内容がよくわかりませんが、どういうような規制をしようとするお考えであるか、小売商の今度出る法律あるいは来年度にお出しになるとただいま御答弁になった法律の内容について、どのようなお考えとどのような構想を持たれておるのであるか、それを具体的に御答弁していただきたい。
#85
○水田国務大臣 技術的に立法措置をとる場合には、なかなかむずかしい問題がございますので、その点を中心にして今関係者の問で検討を行なっておりますが、たとえば企業者と商業者は本来なら別のものですが、今企業者が自分で作ったものをそれぞれ売る店を持って売るというような問題は一つの問題なっておりますので、そういう点は規制したい、それから一次産業者が二次産業の分野に入ってくるというようなものもできるだけ規制したいというような、いろいろな点をただいま検討中でございますが、なかなかむずかしい問題もございまして、たとえば百貨店の規制をすると申しますと、規制されるとあとで百貨店ができないというので、法律ができる前に一度に申請が出てしまうというようなこともございますし、政府はこの点を規制するのだというと、法律より先にいろいろな事態が起って、中小企業者の分野が非常に狭められるという、一時的な現象を起すこともございますので、今これを政府部内で慎重に検討中でございます。
#86
○佐竹(新)委員 なかなか味のある御答弁をやられますが、実際問題とすればあなたの方ではなかなかそういかぬらしい、これは考え方の相違でございますが……。
 そこでもう一点お尋ねするのでありますが、自由民主党の中小企業対策の中の第一番に書き出しておいでになる国の官庁並びに公社、これらに対して納める品物は、優先的に中小企業団体から納めさすようにするということが、第一にうたってあるのであります。これは多数をとっておられる、その上でできておる政府でございますので私はお尋ねするのでありますが、こういうことは私は非常にいいことだと思うのです。それは全部とは言えないでしょうが、大部分は官庁あるいは公社に対して中小企業団体の品物を優先的に納めるのだというようにうたってあるのでありまするが、その与党から政府に入っておられる閣僚の一人である通産大臣は、このような意見に対してはどのようにお考えになりますか。
#87
○水田国務大臣 これも今検討中の問題のうちで一番むずかしい問題になっております。と申しますのは、官庁の購買機構というものは、昔から一つの任務を持っておりまして、いい品物を安く調達するというのが、あの機構を動かしておる原理となっておりますので、今のいろいろな購買の規則そのほかでいきますと、大量に安いものを入れるというやり方に対して、小さく幾つかに分けてそれぞれ買い取るというようなことになりますので、その辺を中心とした関係官庁の相談がなかなか意見が一致しない。結局そういう制度をとって、従来の官庁のそういう機構の中において、若干高くても、いろいろな問題があっても、それが買えるということにするのには、やはり政策を織り入れたいろいろの改正というものを伴わなければできぬというようなことになりますので、そういう点の調整について今関係省で検討しておる最中であります。
#88
○佐竹(新)委員 あなたの方の政調会では、これは参議院選挙にも一つの大きな題目として全国を触れ歩いておるわけです。あなたの言われるような、何ぼ小さかろうが、官庁の機構がむずかしかろうが、ちっとも中小企業の方では遠慮はない、そういう御遠慮なしに、要はあなたの党でそれを発表しておられる。もしその発表されたことが、現実の上にそういう制度がこしらえられぬということになれば、これは選挙民をだまして、羊頭を掲げて狗肉を売って選挙の票だけとったというそしりを受けても仕方がないということになる。あなたは政調会長のときにそういう案を立てられて、それが通産大臣という、やる立場にある。それをやるかやらぬか、あなたに御答弁をいただきたい。
#89
○水田国務大臣 やるつもりでおりますので、やるための、やれるようにするいろいろの改正を伴いますので、やるつもりで現在やっております。
#90
○佐竹(新)委員 それはいつごろからですか。これは団体法と関係があるのです。非常な重大な関係があるわけです。団体法が出てさましたら、あなたの党がこういう政策でやっておるということで、あれは、団体も赤旗までは立てぬかもしれないが強硬に、政治的に要求してくるのです。これはもう活字に現われて出ておるのだ。そういうときに通産大臣あなたはそれを実行するか。いつも考えてみるということで答弁は逃げられる、しかし逃げずにどこに目途を置いたらできるか。こういう法案を作るならすぐ目途をきめてくれということが言われるのですが、あなたの目途はいつごろですか。
#91
○水田国務大臣 そこの検討が済めば、実際において中小企業振興助成法というものも、この国会に間に合ったかもしれませんが、そういう問題が残っておりますので、もうちょっと検討の余地を与えてもらいたい。来国会に出すということは先ほど来申し上げた通りであります。
#92
○佐竹(新)委員 来国会に中小企業の振興助成法を出されるというのですが、その法案の中にはそういうものが出ますか。
#93
○水田国務大臣 入れたいと思っておりますので、この法案の検討がおくれておるということ、でございます。
#94
○加藤(清)委員 先ほど来承わっておりますと、どうしても一言承わらなければならぬことになりましたので、ぜひ承わりたいのでございますが 実は中小企業の仕事の領域がだんだん減る傾向にある。これをふやすために少くとも政府の発注にかかわるところ、官公庁の需品は中小企業からある程度買う、こういう問題でございますが、これは何もあなたが提出しようとしていらっしゃる法律を待たずにでも、やろうと思えばできるのです。少くともあなたの地位でならばできるのです。それはしごく簡単です。品物がいいとか悪いとかいう問題ではない。大臣の名刺一枚で値段が高くて品物の悪い、ちんばのくつまでが売れていっておるのだから、やる気があれば名刺一枚でもそういう効果があるわけです。ましていわんや通産大臣と総理大臣が連署をもって、このものはこれだけ買えということを官庁にお命じになれば、何も名刺を置いてきたとやら、置いてこぬとやら、そんな心配は要らぬはずだ、正々堂々とやれる。選挙の公約を実行に移したのだと、こういうことでやれるはずなんです。が、私はこの際、方法は法律を作られようと、あるいは名刺を書かれようと、いかようにされようとも、このことを実行に移されることが選挙の公約を実現されることであると同時に、中小企業を救うゆえんの道であると思いますので、この際実態を申し上げますが、あなたは、先ほど来中小企業は責められる、倒れていくという切々たる同僚議員の訴えに対して、知っておりながら知らぬ顔をしているから、もう一つ呼び起してもらいたいために言うのです。よろしゅうございますか、中小企業と大企業とが並列をして官公庁に品物を納めようとしますと、中小企業のものは取り上げられないのです。なぜ取り上げられないかといえば、すでに原料が違うのです。大紡績の系列の中に入っておれば、これは紡績から受け取るときの糸の値段がすでに安い、糸の質がよろしい。外に出すところの、つまり中小企業に売るところの糸は悪いものにして高いものなんです。はなはだしきに至っては、ポンド四百円以上のプレミアムがついておる。現在それが行われておるのです。中小企業は高く買わされて、しかも量が思う通りもらえなく、これをいよいよ加工して、官庁にあるいはデパートに納めますときには、大企業から来たものはメーカーものとして初めから高く売れるのです。入札が高くても落ちるのです。ところが中小企業のものは雑品としてデパートに並ぶ場合でも特価品売り場にしか並べられないのです。たまたま中小企業にしても銘柄を売り込んでしまったものであれば別でございますが、そうでないものは必ず特価品か地下室の売り場なんです。すでにこういう大きなハンディキャップがついてしまっておるもの、これは政府の突っかい棒、支柱なくしては浮かび上ることができないのです。ますますこの系列化が増加の一途をたどっておる現状は、あなたのよく御存じの通りでございます。政府が中小企業からものを買うというならば、大きな機械を買うわけには参りません。汽車や電車を買うこともできません。買い得るものは何かといえば、衣料品のうちでもこういう生地でなくてくつ下だとか下着だとか簡単なものなんです。手袋、軍手、地下たびというもの。地下たびもオートメーションで作っておるものとのけんかは、中小企業はできないのです。せめてそういう中小企業の手において作り得るものくらいは、政府のお情心があったら、やってやれぬことはない。頼みに来た者にだけは名刺を書いてちんばのくつまで売らせるけれども、頼まなんだやつには一向やらないということであれば、この政府は中小企業のための政府、中小企業の指導育成をしているということは、これは今おっしゃった通り羊頭狗肉という結果になる。そこでこういう現状下において、あなたはどういう手を打って中小企業を救い、どういう手を打って公約を実行されようとするのか、その点をはっきり承わりたい。
#95
○水田国務大臣 今申しましたように、中小企業の品物というものは、そういうのが日本の現状では多いことは事実でございます。従って、今大臣が名刺を出したらすぐに役所は買うようなお話をされましたが、役所の購買機構というものはそうはなっておりません。役所には一つの買うものの規格というものがある、厳重に規格に合ったもので、これを見積りをとるとか、そうして安いものから買うとか、あるいは入札させてそうして規格に合ったもので一番安いものを買うとかいうふうになっておって、いやしくも悪い品を少し高いかもしれぬが買っていいというような機構にはなっていないので、ここらを厳重に取り締ってきたのが、従来からの官庁内の購買機構ということになっておりますので、そこでまずこの程度の規格ならこの程度、あるいは高いものでも中小企業のために政府は買うんだというためには、ここに今までのいろいろな原則の中にはっきりしたそういう政策論を入れ込まなければ、事実上の問題としてやっていけない、こういう問題が多うございますので、従ってこの購入の仕方から、あるいは規格のきめ方から、規則から、相当これを変えていかないというと中小企業から買ってやろうというふうになかなかなれないものでございますので、そこらをどう調整してやるかというのは、なかなか各省間において検討しても少しひまのとれる問題で、今やっておりますが、そういう問題があるから、やるつもりでおりますが、まだなかなか技術的にむずかしい問題があるので、ただいま検討中だと、こういうふうに御了承願います。
#96
○加藤(清)委員 私は、私の意見を大臣がそうだとおっしゃれば、黙って引き下るつもりでおったのです。ところが役所の機構がそうなっていないのだ、そういう事実はないのだ、こうおっしゃるから、私はあえて具体的に事実を申し上げます。名前を出すことだけは差し控えますが、国鉄の衣服などの入札は、あなたのおっしゃる通りになっております。非常に厳格でございます。強力検査から耐久検査から染色の堅牢の経皮までも厳重に分析の結果入札が行われるのでございます。しかし保安庁は必ずしもそうなっておりません。具体的に申し上げますと、名古屋にくつ下の製造会社がございます。これは今あなたのおっしゃるように組合を作っております。岐阜に、メーカーではないが、これを扱うところの小さい商社がございます。これが同時に保安庁に入札をいたしました。メーカーの方が安いのは当然でございます。商社の方がやや高い値をさしました。ところが落ちたのは一体どちらに落ちたかというと、高い方に落ちたのでございます。ところがここは作るところでないのだから、どこへその品物を注文したかというと、入札で落第した方へ注文を持ってきたのでございます。私の方が入札をとったのだから、お前さんのところで作ってくれないかというわけで、そこであなたのところは一体幾らで落したのだといったら、この人がメーカーの方がさした値段より高い値でさしている。それが落ちている。こういう具体的事実がありました。一体どういうわけでそうなったのかと、こう聞いたところ、そこから先は、きょうはそういうことを調査するのが目的でございませんから言いませんが、私はあえてちんばのくつと、こう申しておいたわけでございますが、まだ足らぬとおっしゃるならば、その次に帽子ときゃはん、軍手、軍足と、だんだん出して見せましょう。だから聞きますが、そうなっていないとあなたおっしゃるけれども、具体的事実というものはそういうふうになっているんだ、だから中小企業からものを政府が買うということは、今の機構でもやってやれぬことはないのだということを、私は確信をもって、いや、過去の実例をもって申し上げているわけでございます。ましていわんや、あなたのようにこれを法的措置をとってそのようにするとおっしゃるならば、それは完璧でございましょう。が、その法的措置をとらなければいけない、やれないのだとおっしゃるならば――それは表向きそうでしょう、そうなればその具体的な期日をはっきりここで確言していただかないと、私はあなたの言をここで額面通り受け取るわけには参らないわけでございます。
#97
○水田国務大臣 できるだけ早く検討をして実施したいと思います。
#98
○佐竹(新)委員 私は、ちょっと質問が横にそれましたけれども、この団体法とそれから今お尋ねしました金融問題と税制問題、これはきょう大蔵省がおいでになりませんから、ゆっくりともう一度質問をさしていただきたいと思います。
 そこで結論として私は申し上げておきたいのでございますが、中小企業のこうした団体法をわれわれが審議いたしまして、この法案が通過いたしますると、何といたしましても、これが下部に実際に浸透しなければいけない、この下部への浸透ということがなかなか言うはやすくして行うはかたいのでございます。そこで川上中小企業庁長官にお尋ねいたしますが、今後この法案が成立した暁におきましては、これはいかように修正されるかわかりませんが、いずれにしても団体法は、中小企業にとってはわれわれの組織法案と同様に必要なのでありますから、いずれがどういうようになりましょうとも、成立した暁においては、これを下部に浸透徹底させるにはどのような方策をお立てになるのであるか。たとえて申し上げますと、従来はややともすると法律を作っておいて、それが議会を通過されてしまったなれば、もうこれで官僚の人はこの法律の運営をやっていくのだということの中に隠れ込んでしまわれるのであります。しかしこれではいけない。これをほんとうに生かして、今の金融の問題、税制の問題、諸般の問題を中小企業対策として根幹とし、そうして中小企業の振興をやっていかなければならない、こういうように考えていきますなれば、この法案の使命は大きいものでございます。しかしながら法律という問題は、末端にはむずかしい問題でございますからなかなか徹底しない。そこで私は最初に質問申し上げましたような、今度は政府の方からみずから各県において何か懇談会というか、あるいは団体の人々を集めて十分に法案の説明をされて趣旨の徹底をされるような御意向があるのでありますかどうか。
#99
○川上政府委員 私どもの方としましては、この法律が通過いたしましたならば、その実施に当りましては、たとえば各府県についてはそれぞれ商工部なり、あるいはその係の課がありますので、あるいはその地方別のブロック会議を開いて趣旨の徹底をはかりまして、そしてこの組合がすみやかに設立できるような措置を講じますとともに、あるいはまた民間の団体としましては中央会の組織がありますので、この中央会の組織を通しましてその趣旨を徹底さしたい。あるいはまた会議所を通しましてもそれぞれその趣旨を徹底するように極力万全を期したいというふうに考えております。
#100
○佐竹(新)委員 最後に通産大臣に希望なり質問なりをいたしておきたいと思うのでありますが、元来こういった団体の法律というものは、ややもすれば幹部だけの一つの運営になって参りまして、下部機構に徹底しないというきらいがある、そういうことが官僚と幹部のなれ合いになっていくというようなことがしばしば起きるのであります。この団体にはそういうことはおそらくできないと思いますが、現在起きておりますところの農業協同組合の購買連合会、これらは肥料問題に端緒を発しまして、あれだけの含み資産を残しておる、これが今国会においてもあるいは検察庁においても問題になっておりますが、これはどういうことからきておるかというと、ややもすると、官僚の古手がそういう団体の中に入っていく、そうしてそれらとのなれ合いになっていく、この国会で審議いたします競輪の問題でもそうであります。通産省の役人の古手が入り込んで行ってこれと役所とのなれ合いになる。そこに忌まわしい問題が起きるのであります。こういうことは私は将来は非常に警戒をしていただきたい、もちろんこの団体法がただ通産省の官僚と、中小企業のいわゆる幹部の者が運営に当って、下部には一向に浸透しない、中小企業の諸問題が中小企業の振興になり、個人々々の生活の安定になる方向に法律は向っていかなければならないのであります。これが今日までおそらく団体と役所の幹部官僚となれ合いになってしまって、そこに情実行政が行われるというようなことであってはならないのであります。この点は今も話しましたような、農業協同組合の中にはしばしばそういう問題が農業協同組合の中の信用組合なり農林省なりあるいは検査課の検査が不十分であったということのために忌ましい問題が起きていく、購買連合会についてしかり、こういうことであったならは下部の農民が迷惑する、これは上部機構だけではいけない、下部に対して徹底し、もって中小企業の振興をはかっていく、中小企業者の生活の安定をはかっていく、こういう方向にこの法律の運営がなされていかなければなりません。それには今申し上げましたような金融の問題、税制の問題、そうして機構のいろいろな大企業と中小企業との関係の問題というようなものは、基本的な問題になってこようと思いまするので、こういう点が実際にこの団体法の組織された組合員一人々々の中に生きていくような法律をこの国会でどうしても作っていかなければならない。その関係においては、まだ政府の提案せられました法案の中には、われわれが審議、批判すべき幾多の問題があるのでございますから、この点を申し上げておきまして、私は税制の問題に移りたいと思ったのでありますが、大蔵当局の方がおいでになりませんから次会に譲りまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
#101
○福田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明後十九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
  午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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