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1956/04/22 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第29号
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1956/04/22 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第29号

#1
第026回国会 商工委員会 第29号
昭和三十二年四月二十二日(月曜日)
    午前十一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 笹本 一雄君 理事 西村 直己君
   理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    岡崎 英城君
      川野 芳滿君    菅  太郎君
      佐々木秀世君    齋藤 憲三君
      椎名悦三郎君    首藤 新八君
      田中 角榮君    中村庸一郎君
      南  好雄君    横井 太郎君
      春日 一幸君    片島  港君
      佐竹 新市君    永井勝次郎君
      帆足  計君    水谷長三郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  水田三喜男君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局長)  坂根 哲夫君
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 松尾 金藏君
        中小企業庁長官 川上 爲治君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    今井 善衛君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    塩崎  潤君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業団体法案(内閣提出)外三案について
 参考人出頭要求に関する件
 中小企業団体法案(内閣提出第一三〇号)
 中小企業組織法案(水谷長三郎君外二十三名提
 出、衆法第二号)
 中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に
 関する法律案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 衆法第七号)
 中小企業の産業分野の確保に関する法律案(水
 谷長三郎君外二十三名提出、衆法第五号)
 商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 衆法第六号)
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 この際参考人の出頭要求の件についてお諮りいたします。中小企業団体法案、並びに中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、及び商業調整法案審査のため、参考人の出頭を求め、各案について意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお日時、参考人の選定等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○福田委員長 中小企業団体法案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案、以上各案を一括議題とし審査を進めます。質疑を継続いたします。春日一幸君。
#6
○春日委員 まずこの団体法の母体ともなります独占禁止法との関係について通産大臣にお伺いいたしたいと存ずるのであります。まず第一番に、独占禁止法はわが国の経済活動の組織を、自由にして公正なる競争の原則に立たしめることを法定したものであって、わが国における経済行為は原則といたしましてこの法律の規定の範囲内においてのみ許される、この趣旨に反したことは当然容認さるべきものではない、こういうふうに理解をしておるのであります。これに対する大臣の御見解をまずお伺いをいたしたいと存じます。
#7
○水田国務大臣 もう御説の通りだと思います。
#8
○春日委員 そういたしますとさらに念のために伺うのでありますが、この独占禁止法はこのような基本的理念に従いまして、いい品物が安く売れるように、その経済行為の方式を規定しておる。従いましてこれに反する一切の経済行為並びにそういうような経済の方式、これもまた厳粛に禁止をいたしておるのでありますから、従いまして他の政策上の必要があって特別立法を行うような場合でも、やはりいい品物が安く売れる態勢が阻害されるような法律、あるいは阻害されるようなおそれのある法律は、これは厳に慎しまなければならぬと考えますがこれに対する、これまた大臣の御見解を伺っておきたいと存じます。
#9
○水田国務大臣 それも同様だと思います。
#10
○春日委員 そういたしますとこの際公正取引委員長は――本日坂根事務局長が委員長代理で御出席に相なっておるのでありますが、私は基本的な独禁法の理解についての二つの質問をいたしましたが、これに対する公取の意見、なおさらにこれに敷衍いたしましてこの独占禁止法の基本的な理念についてこの際お述べをいただきたいと存じます。
#11
○坂根政府委員 ただいま通産大臣からお答えいただきましたように、独占禁止法は経済活動のある意味の基本法でございまして、第一条にその目的をうたっておりまして、これはここでお読みいたすまでもなく皆さんの方がよく御存じでありますが、要するに独占禁止法は私的な独占、不当な取引制限及び不公正な取引を禁止いたしまして、その事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法によります生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することによりまして、公正かつ自由な競争を促進して、事業者のイニシアチブを発揮させる、こういうことで事業者のイニシアチブを発揮させますと従って事業活動が盛んになります。そうしてエンプロイメント及び国民所得水準を高め、もって一般の消費者の利益を確保するとともに国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とすると、第一条にきわめて政策的目的を掲げております。その目的によってこの法律が運営される、こう御了承願いたいと思います。
#12
○春日委員 この際通産大臣並びに公取に対して特に明確にいたしておかねばならぬ一点があると存ずるのであります。それは今坂根事務局長からも御見解の表示がありました、なお通産大臣からもそれぞれ御見解の表示がありまして、ことごとくその限界においてはわれわれとその考え方を異にはいたしておりません。ところがこの際明確に理解しておかねばならぬことがあると存ずるのであります。それは独占禁止法の目的とするものの本体、これが何であるかという一点についてであります。すなわちこの独占禁止法の真のねらいは、この第一条では必ずしも読んでそのまま了解できるような表現になっておりません。と申しますのは、独占禁止法の真のねらいは消費者の利益を確保するためのものであるのか、あるいはまたこれは関係業者の利益を確保するためのものであるのか、もとよりこの独占禁止法は私的独占の禁止、公正取引の確保、これにあるのでありまして、当然この法律は関係業者の利益を確保する事柄の効果を多くねらっている。そうして最終的にはこの第一条にうたっておりまする通り「以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」と書いてありまするけれども、この法律並びにこの法律から発生するところのいろいろな特別立法が関連事業者の利益と消費者の利益とが相対立するような二者択一に迫られた場合に、たとえば今回の団体法なんかも私はそれに該当すると思うのでありますが、こういうような場合、独占禁止法の真のねらいは、すなわちわが国の経済憲章の真のねらい、こういうものは、消費者の利益を確保することのために万全の措置が講ぜらるべきものであるか、あるいはまた関係業者の事業の安定をはかることのために消費者の利益はときに相当の調整、制限を受けてもやむを得ないという仕組みになっておるのであるか。これはこれからこの団体法を審議していく上におきまして重大なキー・ポイントの分れ目になると考えますので、この一点についてまず最初に公取の専門的な御見解を伺って、それから通産大臣の御所見をあわせてお述べいただきたいと存じます。
#13
○坂根政府委員 考えようによりましては非常にむずかしい問題でありますが、今私がお読みいたしましたように、独占禁止法の真のねらいというものは、あるいは消費者のためとかまたは事業者のためというように二者択一にお考えにならないで、むしろその相反する二つのものが総合され、あるいは止揚された意味におきまする一般消費者の利益と申しまするか、そういりものが「国民経済の民主的で健全な先達を促進することを目的とする。」、その目的を達するには公正かつ自由な競争を促進すること以外には適切な方法はないと思われる、こういう建前かと思われます。これはあるいは当らないかもしれませんが、生産者といえども原料を買うという意味では関連事業者であり消費者でありますから、その辺はどうも二者択一という工合には考え得られないのではないか、こういうふうに考えます。
#14
○水田国務大臣 私の方も同じで、究極の目的は、そういう関連者の利害を調整し、国民経済全体の利害の調整によって健全な発達をはかる、公共の福祉ということがやはり最後の目的であると私どもは考えております。
#15
○春日委員 この問題は、私ども「国民経済の健全な発達」という抽象文字を分解いたしますと、当然消費生活が健全なものでなければならないし、安定したものでなければならないし、また消費生活者に消費物資を供給するその根源であるところの経済関係者事業関係者等の事業がこれまた安定したものでなければならない、これは相互の関係において片一方が不健全であって片一方のみが健全であろうはずはない、こういう理解において、私どもも別途中小企業組織法案を出しておりまする立場において、当然関係業者の安定をはかりつつ消費者の利益をさらに確保していくというところにおいては、この独占禁止法第一条の大体の目的を完全に把握しておると思うのであります。ところが、その各手続の段階において特に消費者の利益を確保する方に重点が置かれます場合、結局、関連事業者の利益が一〇〇%の要求があった場合、それを八〇%なり六〇%なりに削減して一定の調整、制限を加えていく必要があると思う。二者択一という場合があったときのことを私は言っております。この場合抽象的には二者択一という場合はあり得ない、いずれも相互の関係において両者の利益を確保していかなければならぬというそれはわかるのでありますが、こういうような、たとえばカルテル行為を容認するとか何らかの特殊立法を行いまする場合、そのことによって消費者の利益が大幅に制限される、こういうようなときにいずれをとるか、問題はそこにあるのであります。すなわち、この独占禁止法の最終的なねらいは、真に消費者に重点がより多く置かれておるのであるか、あるいはその関係事業者の利益により多く重点が置かれておるのであるか、わが国の経済憲章の真のねらい、最終的なねらいは何であるか、かりに二者択一の場合――私はこれをかりに二者択一と言っておりますけれども、これは断じて仮想の理論ではございません。そういうような問題につきましては、不況に対処するための共同行為容認のこと岳独占禁止法の二十四条の三にずっと規定をいたしております。そういう場合においては一定の条件がなければならぬ、消費者の利益をまず優先に確保しつつ、なおかつ関連事業者の不況に対処するためのカルテル行為容認の一つの範疇がここに厳粛に規定してあると思う。従いまして、消費者の利益とそれから関連事業者の利益が相対立する場合、いずれをとるべきものであるか。独占禁止法の真のねらい、最終的な精神はどこに置かれておるか、この点を一つ明確にしてから、この団体法の中身に入っていきたいと考えますので、これは一つ公正取引委員会から、あなた方はこの独禁法のとにもかくにも船頭さんでありまして、もしもあなた方の判断が誤てば、船は、わが国の経済は、とんでもない方向に参ります。でありますから一つ責任ある、権威ある御答弁を願っておきたいと存ずるわけであります。
#16
○坂根政府委員 ただいまの事業者と消費者の二者択一の問題でございますが、これはいろいろ抽象的な問題になりますと議論にわたりますが、幸い春日先生の御指摘になりましたように独占禁止法としては二十四条の三に独占禁止法の一つの除外をする場合の適用の限界を示しておるわけであります。それが二十四条の三の不況カルテルの認可の要件でありまして、認可要件が四つございます。第一は二十四条の三の不況の事態の場合の説明をいたしまして、こういう場合に不況カルテルを結べるのだ、その事態を克服するための必要な限度は越えない、第二は、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと、第三には、そのカルテルが不当に差別的でないこと、第四には、そのカルテル行為に参加し、またはそのカルテル行為から脱退することを不当に制限しないこと、これは今日までの適用除外の一つの限界の線を示しておると思います。これが公取としての具体的な一つの考え方であります。
#17
○春日委員 私は言葉じりをとらえるわけではありませんが、今坂根局長は一応現在までのという表現を用いられております。一応ということは一応の基準を示すものであって、例外も多々り得るということが私は言外のニュアンスとして判断し得ると思うのでありますが、ここで私はただしておかねばならぬことがある。それは、それが一応であるならば従来まで不況カルテルあるいは合理化カルテル、さまざまなカルテル行為が容認されていると思う。不況に対処するための共同行為も、しばしばあなたの方が独占禁止法のこの規定に適用を除外した立法が行われておると思う。あるいはそういう経済活動を容認しておると思う。ところが第二十四条の三の四項に一、二、三、四とありますが、そこの中で特に伺いたいことは、そういうような今まであなたの方のこの独禁法の執行を通じて、「共同行為に参加し、又はその共同行為から脱退することを不当に制限しないこと。」という、いうならば加入脱退の自由の原則を、かつてこれを適用除外して、そうしてそのカルテル行為を容認した前例があるかどうか、この点を明確にお述べを願いたいと存じます。なお局長は一応と言われたが、本日まで一応ということはかりそめの定めであるということであって、これは決定的な、あるいは厳粛に断じて例外を認めないというのとだいぶん違うと思うのですね。一応ということが言葉のあやで表現されたのであるか、あるいは心あってそういう表現を用いられたのであるか、具体的に過去の事例をお述べ願いつつ、この一応という表現の中身を、なお独禁法の他に適当な条文がありまするならば、その法律に準拠してお述べを願いたいと存ずるわけであります。
#18
○坂根政府委員 ただいまの加入脱退の自由の制限、今日までわれわれがそれの除外を認めた例があるかという御質問でございますが、これを今日まで認めた例はありません。それからちょっと言葉じりで春日先生からおしかりを受けましたが、今日まで適用除外の原則はこのラインでやってきておりますから、その点はよろしく御了承願いたいと思います。二十四条三のラインでやっております。
#19
○春日委員 ちょっと私聞き漏らしましたが、最後の語尾が不明確でありました。一応ということは言葉のあやであって、何らお考えになっておる内容はない。ということは、あらゆる、公正取引委員会としては責任重き独占禁止法の番人として、わが国の経済憲章の管理の責任者として、この加入脱退自由の原則を除外してカルテル行為は容認すべきものではない、こういう大確信の上にお立ちになっておるのか、この点を明らかにお述べを願いたいと存ずるのであります。
#20
○坂根政府委員 私としてはそう考えております。ただしこれは公正取引委員会という一つの合議体がございますが、私の了承しておる限り、委員会も今日そうやってきておると了承しております。
#21
○春日委員 よくわかりました。
 そこで私は水田通産大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、これは先般岸総理にもお伺いをいたしました。けれども岸さんは他の用件が重なりまして十数分で本委員会を退去されましたので、従って問題の核心をついて明らかにすることができ得なかったのであります。この際、所管大臣としての責任において明らかにしていただきたいことがある。それは当時岸さんにもお伺いをいたしたのでありますが、わが国の憲法はわが国行政の基本法である。たとえば基本的人権、あるいは一つの例をあげまするならば、労働者には憲法二十何条でありましたか、団結の自由並びにその行動の自由がある。労働組合を結成し、ストライキを行うの権利が労働基本権として認められておる。ところが現に、そのことのよしあしは別といたしまして、石炭並びに電力関係はストライキの規制法という特別立法が行われまして、そうして労働基本権というものに対して制限を与えております。その他さまざまな制限立法が行われておると思うのでありまするが、私が先般伺いましたのは、憲法の中のこれだけは断じてその調整、制限することを許されないという事柄があるであろう、たとえば交戦権を放棄しておる事柄であるとか、あるいは議会制度の問題であるとか、私有財産権尊重の原則であるとか、こういうような基本的原則、すなわち他の立法によって議会制度を否認するような立法とか、私有財産権を全然否認するような立法とか、あるいは戦争を行う交戦権回復の立法とか、こういうことは現在の忍法が存する限りは、これは特別立法を許されないものとわれわれは理解いたしております。憲法を改正することなくしては、現在の憲法のもとにおいてその基本精神に反する、これを侵害するところの特別立法は許されない、これが一つの例でありますが、さすれば独占禁止法はわが国における憲法である、経済憲章である、一切の経済行為というものの原則がこの法律によって厳粛に規定されておる。ただいま坂根事務局長が答えられたところによりますると、事務局長はもとよりのこと、公正取引委員会としての機関の決定は、これは少くともカルテル行為を容認する場合、金科玉条としてこの第二十四条の三の四項の四、すなわち加入脱退の自由の原則というものは、あらゆる場合においてこれを取りはずすということは許されない、こういう工合に言われておる。いうならば、たとえば議会制度を否認するような特別立法が行われて憲法を無視するようなことが許されないと同じように、独占禁止法そのものを圧殺してしまうような特別立法は許されない、こういう工合に私は理解をしておるのでありますが、私ども新聞その他によって承知をいたしておりまする範囲内においては、この加入脱退自由の原則をめぐって、閣議においても公正取引委員長と通産大臣その他において、相当問題を掘り下げての論議が行われたと聞いております。公正取引委員長の意に反して、特にこの閣議が押し切られたというところに国民は大きな不安の念を抱いているのである。私は許すべからざるところの、経済憲章のその金科玉条とも、生命ともなるべきところの第二十四条の三の四の四、これを特に否認せんとする団体法のあり方、これに私どもは非常にその危険を感ぜざるを得ないのであります。あえてこのことをなさんとする理由は何であるか、この際大臣から、今までこの法律が立案される経緯等の御報告をも含めて、一つ確信ある御答弁を願いたいと存ずるのであります。
#22
○水田国務大臣 憲法論になって恐縮ですが、国民の基本的人権というものは憲法によって保障されておりますが、近代憲法の理念として、憲法に保障されている人権がいかなる場合に制限を許されるかと申しますと、これが公共の利益というものに関する限り、憲法保障のいろいろな権利も制限をすることが許されるというのが近代の憲法論でございます。従って所有権というものは不可侵だといわれておっても、公共の用のためには土地収用法とか、そういうものによって個人の所有権は公共のためには制限を許されるということでございまして、現行憲法のもとにおいてもそういうものはたくさんあろうと思います。国民の団体への加入脱退の自由ということも基本的な人権ではありますが、現に今の法制下におきましても司法書士は全員あの団体に入らなければならぬとか、弁護士というものは全部弁護士会に加入しなければならぬというふうに、一般公共のためにこれが必要だという場合には、この原則を曲げて行なっておる例もたくさんあるという実情でございます。従ってこの団体法における加入の問題でも同様でございまして、商工業者があらゆる調整事業をやってもどうしても事態の克服ができない、これを放置しておいたらひとりその関連業界だけじゃなくて、全体の国民経済に大きい影響を与えて、ひいてはそれが国民福祉というものに影響するというような臨時緊急の事態においては、政府が権力を持って一定の命令ができるというのが今までの建前でしたが、政府が権力によって一定の事項を指示して命令をするというなら、むしろ業界の希望によって、業界が員外者を加入させてくれるならお互いの相談によってこの克服はできるのだという一定の力を持っておるときには、その希望によってそういうことをきせて、内部においてそういう事態の克服に協力きせるという方が、政府の命令によってやるよりはなお民主的じゃないか。しかもそういう命令はよくよくの場合でなければありませんので、強制加入を命じたという場合には、その事態がなくなればすぐにそれを解除してしまう、もう臨時緊急の場合に限る、しかもそうすることが国民の福祉にとって重要な影響があるというときに私どもはやろうということで、憲法論に衝突するわけではございませんし、これをやることがすぐに政府の権力によって命令一本でやるというよりは、実情に即した事態であり、しかもそれをやることによって業界の事態が克服され、これが国民経済全体にいい影響を与えるというようなときには許されて少しもかまわない。これを金科玉条として、そういうところに弾力性を欠くやり方というものが必ずしもいいとは思いませんので、私どもは今度の団体法におきましては、どちらがいいかと比べたら、そういう事態に立ち至ったときに強制加入命令を出す方が、まだ員外規制命令をいきなり出すよりも民主的じゃないかと考えておる次第であります。
#23
○春日委員 その程度の御意見は、これは中学生の公式論みたいなもので、私どももかねて承知いたしております。基本的人権が公共の福祉のために制限をされた場合の事例はたくさんあります。たとえば現在におきましても、国家経済の権威ある角度からいろいろ必要が生じた場合、それぞれの経済行為の中においても、たとえば酒、たばこの販売については許可認可とか、あるいは輸送事業、タクシーその他についても許可認可とか、いろいろそういう基本的な営業権といいますか、職業選択の自由の原則等においても、現実にそういう事例はあります。けれども、これは特定少数の、その事業そのものが国家経済のために、公共の福祉のためにという角度からいろいろ判断されて、その業種だけを指定して、あらゆる角度から判断して、それが消費者の利益を阻害しない、基本的人権を侵すことはない、そしてそのことを制限することなくしては公共の福祉が保ちがたい、こういうときにのみ、そういう特殊の立法と申しましょうか、特殊の調整が行い得ておるのであります。ところが私どもが指摘せんとするところは、今回の法律は不特定多数、一切の業種、一切の経済活動に対してやる。従来の公正取引委員会が、少くともこの公正取引の生命とも目さるべきこの第二十四条の三の四の四・これが圧殺されるということに対して非常な危険をすら訴えておるわけであります。従いまして、今大臣の答弁によりますと、司法書士とか、あるいはまた弁護士とか――私はかつて大蔵委員会に席を置いておりましたが、先国会においては税理士の強制加入の法律も作りましたが、これは一つの経済行為――これが果して経済行為と目し得るかどうかは、これは別問題でありますが、かりにその弁護士の活動やあるいは司法書士の活動や税理士の活動を経済行為と仮定いたしましても、これはいわゆる経済の流動の面において総合的な、有機的な関連性を生じてはいない。私どもが指摘せんとするところは、そういう特定のものについては、そのもの限りの判断において、いろいろと支障があるかどうかを十分に検討して、これは公共の福祉のために、あるいは基本的人権を尊重する憲法の原則の立場において支障なしとして法律を今まで通してきておる。ところが今度はこれは一切の経済活動に対して、これを禁止しよう、この法律を殺してしまおう、こういうことでありますから、これは問題が非常に重大であると考えるわけであります。私はあなたに警告的といっては語弊がありますが、特に申し上げたいことは、何といっても公正取引委員会は、さきにも申しました通り独占禁止法の船頭さんなんです。わが国の経済を船に乗せて、公正取引委員長が国民経済の健全なる発展の方向へとにかくかじをとっておる、そのかじとりが言っておるのです。第二十四条の三の四の四、これを無視したらとんでもないことになるのだ、いうならば、この川をこんな方向へずっと進んでいったら、この川の先に滝つ瀬があって、船がそこから滝の中へ転落してみんな死んでしまう。わが国の経済はおおうべからざるところに突入するおそれなしとはしないと指摘しているのです。
 私どもはただ一個条の法律論ではない、わが国の消費生活者の将来、わが国の経済の将来を深く案ずるためにこのことを論じているのです。だからお互いに面子にこだわらず、いうなれば、胸襟を開いてこの問題を論じ合わなければならぬと考えますから、一つそういう気持で私の質問に対しても、とにかく、よってもたらされるであろう経済的な影響、これをいろいろと、あなたも自民党の政策の総元締であられたのでありますから、当然経済現象についてはくろうとであろうと思う。ですから、よってもたらされる経済的な影響をいろいろと御想像願って、そうしてともにいい結果を得ようではありませんか。もとより政府与党といえども、わが国の経済をこわしてやろうと思ってこんな立法をされるはずもない。けれども、はからずしてそういうような結果になれば、これはあとになってどうすることもできない。岸さんがかつて商工大臣当時、価格統制をやった、あるいは物動計画をやった。中小企業をみなこわしてしまって炭鉱へ追いやった。今度平和になって、いざ日本の産業を再建しようと思ったときに、みなスクラップにしてしまっているものだから、ドイツ、イタリア等の再建の実情に比べて、日本の経済は数年立ちおくれた。これは岸さんの作為の悪ではない。不作為の悪です。結局あなたが今よかれかしと立法せんとしておられても、かつて岸さんが経験されたように度を過ごしたことをやったら、あとの後悔先に立たず、迷惑を受けるのは国民だけです。この立場から一つこの問題を考えなければならぬ。そこで私は加入脱退の自由の原則について、この二十四条の三の四の四、特にこの規定があるということは、アウトサイダーの存在というものがカルテル行為のためには必要にして欠くべからざるものではないかと私は考える。私どもこの中小企業組織法を立法する過程において、特にこの問題を取り上げて探究をいたしました。たとえば自動車がブーツと走っていく、ブレーキなしで走っていく。そうすれば事故は免れない。私たちがこの組織法を立法するときに、これは公正なる組合協定が発せられても、へそ曲りなアウトサイダーによって組合の協定が服されなければ、せっかくの調整行為はその効果を失う、この場合、加入命令か何か、そういう権力の介入やむを得ないのではないかと、あなた方がお考えになったとほぼ同じようなことも考えてみた。ところがそのことは結局その協同組合は自分の事業の安定をはからんとすることのあまり、たとえば生産数量の制限の場合も同様でありますが、たとえば価格協定の場合、十円で売れるものを十一円にしようと、ともすれば群衆心理で度を過ぎたところの結果を見る場合がないとはいえない。そういうような場合、アウトサイダーがおればそれがブレーキをかけましょう。そんなことはやれません、そんな高い値段では売れませんということを、アウトサイダーがおって組合のその協定にブレーキをかけていく。ちょうど自動車でも自転車、でも何でも、ブレーキなしで走ったら危険を生ずると同じように、アウトサイダーなしのこのカルテル行為は、これは特に行き過ぎる。そうしてまた経済人の持つ一つの習性が、ともすれば行き過ぎになりがちになる、そういう習性を持っているのです。もうけんかなという、より一そうもうけたいために、全部インサイダーになってしまえば、ブレーキなしに走ってしまうという懸念を生ずる形になって、そうして結局値段がはなはだ暴騰してしまう、品物が悪くなってくる、こういう形になりはしないかということを案ずるのだが、公正取引委員会の事務局長は、この第二十四条の三の四の四、特にこれが必要である理由を一つ法律的にも、また経済現象の一つの事例をもあげて、この際特に今までこの条文を厳粛に守ってこられたところの理由を明確にお述べを願いたいと存じます。
#24
○坂根政府委員 カルテル行為に対して加入脱退の自由を特に独禁法制で責めておるのは、もともと独禁法制の建前が二条の私的独占あるいは不当の取引制限の禁止規定がございますが、それに該当するものはいかぬという建前でありまして、なるべくならば私的なトラストなりあるいは私的なカルテルは、企業の合理化意欲を失わせて、たとえばカルテルで申し上げますれば、大体コストにいたしましても、限界年産者のコストに近寄せる可能性が生じて、そこにカルテルを結んでいる産業の合理化意欲を低下させるということがございますので、なるべくならば今の春日先生の御質問の中にありましたように、アウトサイダーがあって、アウトサイダーの活動によって、カルテルの活動が行き過ぎないようにする、カルテルもみずからを反省してやっていくというところに特にその加入脱退の自由を求めておる。これを条件としてカルテルを認めていくという問題があるかと考えております。
#25
○春日委員 私どもがこの中小企業組織法を研究をしておりました当時、独占禁止法並びに関連法律との関係をいろいろと研究したところによりますと、やはりブレーキなしでスピードを出す、乗物はともするとスピードが出過ぎるものだ。自転車でも自動車でもみんなスピードが出過ぎる。だからスピードの制限がある。やっぱり通行人に迷惑を与えないために、また彼自体がけがをしないためにスピードの制限があるが、その法律だけではだめなんで、従って乗物そのものにブレーキが付してあるのです。だからそういう意味でこのカルテル行為を容認する、いうならば、この団体法はとにかくそういう不況に対処するための共同行為というものが目的であり、手段でありますから、その手段を通じて中小企業安定の目的を達せんとするものでありますから、私は、公取が今まで堅持しております大方針すなわち加入脱退の自由の原則はどうしても守らなければ大へんなことになると考えるのです。それで私はこの際大臣に虚心たんかいにお伺いをいたしますが、特にこの強制加入命令を発せんとするこの法律のねらいというものは、調整行為の機能、効力を確保する、そこにあるのであって、他意ないのでございましょう。他に何か目的がございますか、あればお伺いしたいと思います。
#26
○水田国務大臣 大体目的はそこにありますが、ただ今まで独禁法の運用を私どもはやってきましたが、そこでこういう問題になったときに、独禁法が占領時代に作られてあっただけアメリカ的な考えがやはり相当入っておることはいなめないと思います。そこでアメリカ的な考え方は私的独占を禁止するためにこういう法律によって運営する。しかしほんとうに国民経済に重大な関係を持つというときには、政府のやる行為は、こういう法律にかかわらず一切がジャスティファイされる、こういう考えでありますので、値段をきめるとかなんとかというようなことは政府自身がやるのならこれはもう一切かまわないという立場をとっておりますので、この調整行為の目的を果すために、その手段としても政府が命令で出すという方はもう簡単であって、それは一切をジャスティファイするのだ、政府の命令というのはオール・マイティだ、法律のいかんにかかわらずそれをやればそれで独禁法とは衝突しない、こういう観念で運営されておりますし、私どももそういうような方向で員外規制命令というものをきめておると思いますが、これは必ずしもそれがいいとは限らないので、日本の実情に即した、日本的な考えを運営の中に入れてもちっとも差しつかえないだろうと思います。命令でやるにしても、強制加入をやるにしても、政府が勝手にやるんじゃない。民間団体が自主的にこうしてくれと特別の決議をもって申し出たときに、それをしてやることがいいか悪いかということは、第三者の意見も聞くし、公取とも協議してきめるという慎重な手続をとってやるんなら、命令によってもいいし、命令でなくて、その前にみなが組合に入って内部でお互いが調整してやるというのならそれに従ってもいいじゃないか、政府としてはどちらを選んでもかまわない。要するに民間から自主的にそういう申し出があったときに、政府は受け身になってどちらかをきめるという立場で、いきなり命令を出すという、それ一つでなくても、業界がほんとうにみんなが団結して事態の克服ができるというふうに業界自身が考えてそういうことを申請してきた場合には、政府はこうしろというのじゃなくて、まずこの団体に入って、そうしてお互いが調整行為に参加しろということをやる方が、運営としては民主的じゃないかというふうに考えて、今までなかったことでございますが、新しくこういう運用の方法を私どもは考えたということでございまして、これを政府としては別に悪い意見だとは思っていません。政府部内には法制局もございますので、法制局とも十分そこらの法律的な相談はいたしましたが、しかし今まで独禁法の運営をやっておった公正取引委員会の意見というものはあったのでございます。こことの相談においてこの一点がまとまらなかったことは御承知の通りでございますが、政府といたしましては、当然政府の責任において解釈し決定する権限がございますので、閣議ではそう決定したが、公正取引委員会からは、自分の意見もこの商工委員会を通して審議の過程において皆さんに決定していただこう、こういう態度で政府は臨んでいるのでございますから、これは十分検討して下すって差しつかえないし、また検討していただきたいと思っております。私どもの考えは今まで申し述べた通りでございます。
#27
○春日委員 私が質問をいたしましたのは、結局あなた方の真のねらいは、すなわち強制加入命令を発したいというところの必要性は、結局組合が決定したところの調整計画の機能、効力を確保せんとするところがねらいなんでございましょう。それ以外にありませんね。
#28
○水田国務大臣 そうでございます。ただその目的を果すための手段としてこういう方法ではどうかという問題だけでございます。
#29
○春日委員 他に一案があって、あるいは他に補完のこれにかわるところの手段があって、真にあなた方がねらわれておりますところの、すなわち調整計画の機能が確保できるという態勢がはっきり確立すれば、こういう加入命令は削除しても差しつかえないとお考えになりますか、この点を一つ伺います。いや、しかし、今そういう結論的なことを伺うのはなお早いかと考えられますので、もう少しその前にお伺いをいたしまするが、私どもの研究の限界では、こういう想定も立ち得るのです。これは一つ深く聞いていただきたい。規制命令すなわち強制加入さしてもなおアウトサイダーがあって、その調整計画に服従しない、そのときには服従命令が出されるわけなんですね。この服従命令は、政府が調整規程そのままではない、組合の調整規程を参酌して、政府の独自の判断で制限内容を決定するという仕組みになっております。団体法五十六条、ちょっと目を通していただきましょう。「事業活動の規制に関する命令」だいぶごたごた書いてあるけれども、これを要約すれば、この規制命令は政府が調整規程を参酌して政府独自の判断で制限の内容を決定して、そうして政府の責任においてこの服従命令が発し得る、こういう工合に理解ができると思いますが、そのように理解して差しつかえありませんか。
#30
○川上政府委員 その通りであります。
#31
○春日委員 次いで伺います。そうすると今度加入命令の場合はこれと違うのです。加入命令の場合は、加入命令によって員外者たりし者が員内者になることによって受ける拘束は、これは調整規程であります。この調整規程は組合の発議に基くものであるから、その公正度というものは低きものと断ぜざるを得ない。こういう低い調整規程、と言っては語弊がありますけれども、たとえば前者は、服従命令を政府が出す、この事柄のいい悪いは別といたしまして、その服従命令のよってもたらすところの経緯、これは政府が業者から出されてきた調整規程というものをうのみにするわけではない。これを参酌して政府が行政的立場に立ってこれが消費者の利益を不当に侵害しないか、関連業者の立場を不当に侵害しないか、いろいろな情勢を判断して、そうして共同組織から出されてきた調整規程を行き過ぎは是正し、足らざるところは補う、そうして政府の独自の結論を新しく出して、服従命令を出していく。ところがこの加入命令の場合はそういうことになっておりません。すなわち公正なる判断というものが加わる場所がない。なるほど加入命令をお出しになるときには、政府案では総会の議決を五十八条で経て、六十条で本人について聴聞をして、七十三条二項で安定審議会に諮問をして、そうして九十条二項で公取に協議をして、それから大臣命令を出す、こういう一つの手続規定を経てばおりますけれども――各場所をずっと見て下さい、結局これは、この法律の条文その他から考えますと、加入命令については、その団体のいわゆる調整計画すなわち組合が決定した調整規程というものの内容を精査するという、こういう機会というものはどこにもない。ただ加入するかしないかということについてのみ、ここにいろいろな論議が行われるだけなんです。従いまして本人が加入した場合は、好むと好まざるとにかかわらず組合員になるわけでありますから、調整規程に服従せなければならぬ。そうするとその調整規程に反すれば過怠金その他組合内部の制裁を受けるという形になっている、受けざるを得ない。その場合この調整規程というものは公正度がはなはだ低い。なぜかならば、これは組合が勝手に作ったものであって、その中にはおそらくりっぱな指道者も経済人もおるけれども、経験者は豊富におるであろうけれども、やはり消費者の立場だとか、関連業者の立場だとか、あるいは国家社会の立場から、これが公正な調整規程であるかどうかということを十分論議しなければならないけれども、その調整規程の内容を審議するということはないのです。この加入命令の場合は、一、二、三、四、五といろいろの段階を経ても各段階においては調整規程の内容に触れて論議するという、そういう機会は与えられていない、だからそれが公正的確なものであるかどうかということは深く論議されない、ところが服従命令の場合はまた違う。これは安定審議会に諮っていろいろな問題がここで論議されてくるわけであります。調整事業の内容そのものに触れてこれを議題に供して論議される、そういう仕組みになっておるのです。従いまして、私がお伺いいたしたいことは、結局公正取引委員会というものは、これでは調整規程というものが公正なものであるかどうか責任が持てないだろうと思う。真剣に公正なる取引というものを守っていこうとするならば、調整組合が議決した調整計画というものがどうであるかということを議題にして審議するのでなければ、そういう調整規程に服従するために員内者になれ、組合員になれという命令を私は容易に発し得べき筋合いのものではないと思う。私はこの際、こういうような前提においてお伺いをいたしたいのでありますが、公正取引委員会は、この法律に基いて、すなわち九十条第二項に基いて、公正取引委員会が通産大臣から加入命令についての協議を求められた場合に、加入すべしという責任をもってそれに対して意見を述べることはできますか。同意か反対かは別といたしまして、責任を持って意見を述べることができますか。坂根君からお伺いいたします。
#32
○坂根政府委員 その問題は私どもは今の段階では、加入命令につきましては先ほど通産大臣がお述べになりましたように、公正取引委員会としてはその加入命令の制限の内容を今いろいろ春日先生が申し述べられましたように、アウトサイダー命令の場合には、行政庁が非常な責任をもって積極的に定めておる、従って一般消費者及び関連業者の利益が慎重に検討される、そういう工合に配慮されておる、これに対して、加入命令発動後の調整規程は、行政庁の認可にはかかわってはおりませんのでありますが、その内容は組合によって決定されて、行政庁は消極的な立場において検討することとなっておりますから、どうもその加入命令という制限の内容は、業界の利益に傾きやすいのではないかというので、従来反対意見を述べておるわけであります。
#33
○春日委員 これは非常に重大な問題だと思うのです。私は冒頭に申し上げましたように、水田さんも非常に善良な政治家で、ずっとあなたのやっておられることは多少うそもあるけれども、しかし大体において誠実におやりになっておると思う。だれも悪い結果になろうと思ってこんな大きな法律を作る人はないのですけれども、この問題は中政連のいろいろなる活動がありまして、政治力が不当に政府案に圧迫を加えたきらいなしとしない。私は誹謗するものではないが、これは天下何人もよくそのことを知っております。だからこの法律の提案を急ぐことのあまり、さすがの水田さんの繊細緻密な頭脳の判断をもってしても結局中政連の怒涛のごとき圧力に押しまくられてしまったわけで、岸さんが中政連の顧問であられるようないろいろな関係も錯綜して、めんどうくさいから通しちゃって、あとは委員会で修正してもらおうというような気持でお出しになっておるのではないかと思うのです。少くとも私は良心高き水田さんがこのようなとほうもない法律案をお出しになるはずはない。だから、そこで私はお伺いをいたしますが、事務局長も、何も意趣遺恨はないけれども、わが国の経済というものの公正健全なる発展をこいねがうことの余り――このような委員会において、本来ならば政府の方針にたてつくようなことは今まであり得ない。けれども、公正取引委員会がその機関決定をあげて、この一点だけを固執しているゆえんのものは、これこそほんとうにわが国の経済の安定をこいねがう国に対する忠誠心以外の何ものでもないと思う。だから、私はこの際虚心たんかいに与野党が譲り得べきところは譲り、正当な事柄は正当に理解し合って、超党派的な立場において、自説を固執せずそうして公正なるわが国の経済活動の基本というものは厳守していかなければならぬと思う。大臣、私はあなたにお伺いをいたしますが、今坂根事務局長が、加入命令は受け身の形だから、従って公正度がはなはだ低い、従って国家機関として責任は負えない、こう言っておる。負えないようなものを、員外者たりしものは今までは服従する必要はなかったのだが、員外者たるものもこれは調整規程に服さなければならないのです。委員長、今日この法案の取扱いについてあなたの責任は重いですよ。員外者たりしものは、今までそんなものは不公正だから、インチキだから私は絶対服従しないというので組合から脱退したりあるいは組合に加入せずしておったのです。ところがその服従命令がくれば、員外者として過怠金、違約金を取られなければならぬ、組合の制裁を法律に基いて受けなければならぬのです。しかもその組合の調整規程なるものは、政府の機関自体が責任を負えぬと言っておる。すなわちなぜであるかといえば、関連業者並びに消費者の立場というものが十二分にその中に組み入れられてはいないからだと言っておる。ところが服従命令については責任が負えると言っておる。なぜかならば、組合から出してきた調整規程というものは一つの原案であって、この中小企業安定審議会がそれを議題に供して、これはどうであるか、ああであるかと精査することができるし、そうしてその原案を変えて、政府独自の案として服従命令が出し得るから、これは国家の責任が持てると言っておる。こういう関係でありまするが、政府が責任も持てないようなものを国民に服従せしめる、服従せよと言って発する加入命令というものは公正妥当を失すると思うが、大臣の良心に訴えて、一つあなたの御見解を伺いたいと思うのです。この点はちょっとややこしいからやめておこうということなら、なお、委員会で自主的に御検討願うということなら、御答弁の必要はありませんが、その辺のところはどうです。
#34
○水田国務大臣 私は良心を曲げてこの法案を出したわけではございませんで、今のこの問題につきましては、政府の中の行政委員会の意見もありますので、慎重に検討し、与党側にも特別委員会ができまして、政府、与党で非常に長い間かかってこの検討をやりましたが、こういう方法が大体妥当だろうという自信の上で政府の意思を決定して出したものでございますから、あまり自信がなくやったとか、良心を曲げて出したというわけではございません。ただし先ほども申しましたように、法律の決定権は国会にあるのでございますから、国会の審議においてこう、ああときめられれば政府としては従わざるを得ないと思いますが、この法案については、長い間党と政府の検討の結果、これがいいという自信の上で一応提出したということは御了承願いたいと思います。
#35
○加藤(清)委員 委員長、議事進行。(発言する者あり)関連じゃない。議事進行です。ただいまの大臣の答弁を聞いておりますと、良識高き委員会の輪講にゆだねるという重大な発言をなさったわけですが、その委員会がかくのごとき状態では委員にこういう重要な問題が徹底しないうらみがあると存じます。従って、こういう重要な問題を審議する場合には、当初理事会でも諮りました通り、せめて審議するメンバーだけぐらいはもっとそろえていただかないとこれはちょっといけない、こう思うのであります。
#36
○春日委員 今加藤理事もおっしゃったんですけれども、これは政府提案でありますから、大臣がおいでになっておればそれでいいようなものでありますが、今大臣の御答弁の中にもありました通り、与党の特別委員会等と政府が一体となって特別の機会と機関を持って検討した結果これでいこうということできておるけれども、委員会の審議を通じて、国会の責任において適当な調整が行われればこれはまたやむを得ない、こういう御意見が現実にあるんです。そういうときに、今加藤理事が発言されたように、しかも不肖春日一幸がこれだけの経済のうんちくを傾けて論述をしておっても、幸い小笠委員や西村博士がおられるのでいいようなものですが、少くとも特別委員長の周東君その他の諸君が来なければ、私のこの名論卓説ももう一ぺん繰り返さなければならないとすら案ずるわけです。私は実にこうかんなる資料を持ってきて、これからさらに核心に触れていろいろと質問をして問題を明らかにしていきたいと思うのです。これはお互いにこだわらないでいい結果を得ることのために誠実な努力をお互いに行なっていきたいと思う。ところが肝心の特別委員長もおらない。政府の責任だから大臣あればもって足れりとはいうものの、これは形式論であって、実質はおっしゃったような特別委員会の主たるメンバーがいらっしゃらない。━━━━━━━━━━━━━━━━━。これはやはり周東君以下責任者がおそろいのところで――今までは前提なんです。これからあと逐条にわたってお互いにいい結論空得るための研究をせなければならぬ。それで私はこれが相当むだになる、ダブるのではないかと思うのです。従いまして、ちょうど折しも食事の刻限でありますから、この際一応この辺で休憩していただいて、午後は周東さんも小笠さんも西村さんその他責任的な立場にあられる方が全部御出席になって、そうしてさらに問題の核心に触れてしんみり一つ論議をしたいと思いますが、いかがでありますか。
#37
○福田委員長 春日委員並びに加藤委員の御提案については、先週すでに国会対策委員長と連名で各委員に厳重に出席のことを御通知してありますが、もう一度十分督励いたします。
#38
○西村(直)委員 委員長、ただいまの春日委員の発言中私的な云々というところは速記から削るようにしていただきたいと思います。
#39
○福田委員長 さよう取り計らいます。
 この際午後一時半まで休憩いたします。
  午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
  午後二時二分開議
#40
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 中小企業団体法案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案、以上各案を一括議題とし、質疑を継続いたします。春日一幸君。
#41
○春日委員 午前中質問をいたしました要点は、主として加入脱退の自由の原則をめぐる問題でありました。要約いたしますと、私どもの主張はこの独占禁止法の定める第二十四条の三の四の四号、加入脱退の自由の原則はこれはカルテルの行き過ぎを防止するためのブレーキとしてアウトサイダーの存在が必要欠くべからざるものである、かつ公正取引委員会の御答弁によりますと、今まで不況カルテル、合理化カルテル、トラスト、いろいろなものが認められてはきたが、あらゆる場合においてこの条件が制限をされた形において許された事例はない、なおかつ公正取引委員会としてはこの加入脱退自由の原則はあらゆる不況に対処するための事業者の共同行為として貫かれなければならない、こういう見解に立っておるという御答弁でありました。いうならば、わが国の経済憲章の番人であります公正山取引委員会がそのような機関決定をし、そうしてこの委員会でその見解を述べておられるこの段階において、政府が肝心の船頭の言う方向へ身をゆだねようとはしないで、船頭の意思に反した方向を独断的に指示してそういう方向へあえて乗り切っていこうとすることは、わが国経済の将来のために最もおそるべき事態が予想される。だからこういう加入に対する強制命令、大臣命令、こういうような問題については厳に慎重を期すべきである、こういうところを質疑応答によっていろいろと意見の応酬を重ねて参ったのであります。引き続いてお伺いをいたします。
 そこで公正取引委員会にお伺いをいたしますが、このカルテルの行き過ぎを是正するための機関として、このアウトサイダーの存在が特に必要であると言っておられる。その行き過ぎといってもこれは具体的にはいろいろな行為があろうと思う。すなわちいわゆる一般消費者並びに関連事業者に対する行き過ぎ、あるいはその他組合の内部的運営に関する行き過ぎ、その他の行き過ぎがさまざまあろうと思われますが、公正取引委員会がいわゆる共同、行為の行き過ぎを是正しなければならぬと予想されておる、その行き過ぎの具体的な事柄というものはどういうものが予想されるか、この際お述べを願いたいと思う。
#42
○坂根政府委員 それはカルテルの一般的な問題でございまして、カルテルを自由に認めますると、けさ私からお話し申し上げましたように、能率のある経済の運営が行われないおそれが多分にあるということが非常に大きな点であります。たとえて申し上げまするならば、戦争中のような例で申し上げますと、ここに護送船団というようなものがある。そうしますと、非常にスピードのおそい船があって、それに合せて船を引っぱっていかなければならぬ。そういうような例がカルテルの一つの悪い面を表徴しておると思います。同時に、これを自由に野放しにしておきますと、資本の論理と申しますか、資本の運営において、ややもすれば国民経済全体の利益を忘れて活動しがちであるというような点があげられるかと思います。
#43
○春日委員 私どもは、政治の場面において民主主義体制が尊重されなければならぬと同じように、先刻も申し上げたのでありますが、経済活動、経済行為を通じて民主的に万事が取り運ばれなければならない、独禁法を貫く精神はこれであろうと存ずるわけであります。そういたしますると、加入脱退自由の原則が確保されていないところのこの共同組織というものは、いわゆる反対者の立場、少数者の意見というものが、その組合の決定が行われる段階において十二分に反映させる機会を失って、悪く極言するならば、ボス支配という結果に陥って、いうならば、調整規程といいますか調整計画といいますか、そういうものが一部ボスの一方的独断によって行われ、これが決定の大局を動かしていく、そしてこれが第三者に君臨してくる、こういうようなおそれがあると私どもは考えるが、公取は法理上の解釈として、かつはいろいろな事例を取り扱ってこられた行政機関として、私の案ずるような事柄はあるかないか、いかが考えられておりますか。
#44
○坂根政府委員 お話のような事態がくる可能性が非常に多いと考えております。
#45
○春日委員 加入脱退の自由の原則を確保すべしとなすわれわれの理論と、政府の中における公正取引委員会の見解とことごとく同一であります。これに対して水田通産大臣の所見はいかがでありますか。
#46
○水田国務大臣 一般的に言って、カルテル行為にはいろいろな弊害を伴うという点については同様でございますが、しかしそういう弊害を除くための法律的な配慮を、今度の法案ではいろいろしてあると思います。ボス支配というようなこともあり得ることであって、現に今までも安定法における調整組合によって、そういう例があったこともあるそうでございますが、また反対の場合もあり得て、調整事業におきまして、変な別の勢力を持っておる組合員が一般を律しようとしても、なかなかそうはいかなくて、組合員全般の総意できめなければなりませんので、そういう方向と反対な方向に常に調整されていくというような運用の例もございますので、これは一概には言えないだろうと思っております。
#47
○春日委員 一概には言えません。しかしながら原則として、かつ通例の事態としては、はなはだ心配いたさなければならないような事態がかつてあった。だから法律は一般的な方式を厳に規定しておる。こういうことでありまして、中には公正なる民主的な運営をされておる例があるということであります。しかしながら、あらゆる場合を想定して、法律は完璧を期せられなければならぬことは論議の余地はありません。大いに御反省をいただかねばならぬ事柄であろうと存ずるのであります。
 そこでこの際さらに一歩進んでお伺いをいたしまするが、この第五十五条は、水田通産大臣がおっしゃるがごとくであるならば、はなはだこの団体法の運営のためには、必要欠くべからざる条項であるかのごとく考えられる。だとするならば、この第五十五条、すなわち政府の、大臣の加入命令、これにかりに服従しない者があるとする。現にこの審議の過程においても、公正取引委員会は、こんなものは法律違反だ、独禁法違反だと言っておる。現に政府の機関が違反だと言っておるのですから、かりにあなたが大臣命令を発して、加入しろと命令しても、ばかこけ、こんなもの加入できるか、こう言うて加入しない者もあるだろう。そういう場合の拘束はいかになされておりますか。
#48
○川上政府委員 強制加入の命令が出ましたならば、アウトサイダーにつきましては加入したものとみなすということになっておりまして、これは組合の定款なりあるいはまた調整規程に従わなければならないことに当然なりますので、組合の方からの過怠金の措置というようなことで措置されるわけでございます。
#49
○春日委員 そのみなすという事柄自体が、あまりに独断的であって、一方的であって、権力的であって、これには多くの批判が存するところであろうと存じます。けれども当の公正取引委員会が、こんなものは独禁法違反だからだめだ、現にこう言っておるところへ、国民としては――国民は公取の委員長の方が偉いくらいにしか思っていない。大臣はしょっちゅう変るけれども、横田君はちっとも変らない。(笑声)それなのにその本人が、こんなものはだめだ。独禁法違反だと言う。しかも独禁法たるや、わが国の経済宗章である。その番人が、こんなものはだめだ、法律違反だと言っておるところに、水田さんが大臣命令をこそっと出してみたって、ばかこけと言うくらいで、命令を受けた紙をしりふきくらいにしてしまう。(笑声)問題は、そのときに服従命令、五十六条、五十七条は、罰金三十万円に処してやはり国民を拘束しておる。すなわち法律の権威がこれによって保たれ、法律の効果がこれによって保障されておる。ところが五十五条は、これは無罪だ。何も法律の拘束はない。今、川上君が組合員とみなすと言うているから、法の取り扱いは組合員になるから、従ってその過怠金、違約金等、組合の調整規程によっての組合内部の制裁を受けると言っておられるが、それは法律は組合が過怠金を取るものとするとはなっていない。二十四条には、取ることができるとなっているのであって、過怠金を取らない場合もあり得ると思う。そういう場合は、これは天下晴れてことごとく無罪である。だからこの五十五条の加入命令は、最終的に何ら拘束し得ないと思う。いうならば大臣命令が、命令してみるだけのしゃれならしゃれでよろしい。これは弊害をもたらさないのだから問題ではありませんが、一体この関係はどうなんですか。服従命令については、法律で三十万以下の罰金に処すると、こういうことになっておるが、五十五条には何も制裁規定がない。その制裁を一にこの調整組合の調整規程にゆだねている。二十四条には、過怠金を取るも取るまいも、結局その組合の自主的な決定となっております。二十四条には「過怠金を課することができる。」としている。過怠金を課さなければならないとはなっていない。従って、組合が過怠金を課さない場合は、大臣が命令しても、これは無罪だ。だから公正取引委員会が、この審議の過程を通じて、これは遺憾だと言うておったら、国民はやはり公取の意見を選ぶでしょう。そうすれば、こんなものは聞かないという形になれば、かりに大臣の方針によってあくまで五十五条を残したとしても、この法律がこの条件を加えて成立した場合といえども、法律の効果は及ばぬではないか、いかがでありますか。
#50
○川上政府委員 第二十四条におきましては、「過怠金を課することができる。」ということになっておりますので、組合において、場合によりましては過怠金を課さなくてもいいわけですが、私どもの方としまては、やはり中小企業者は組合に加入してもらって、そしてお互いに自主的に話し合いをして調整をすることが、最も民主的であり、それが最も適当なものではないかというように考えますので、やはり第一段の措置としましては、いわゆるその組合に加入さして、話の場を作らせるということが、最も大事なことではないかと考えるわけでございまして、もしこの話し合いが、内部においてなかなかつかないというような場合もあるかもしれないと思いますが、やはり第一段の措置としましては、そういうことをやるべきではないか、それが最も民主的ではないかというふうに考えているわけでございます。
#51
○春日委員 かくかくあるべしと期待するというようなことは、それはあなたが今中小企業庁長官で、いろいろなあなたの見解というものは、あなたが長官であられるうちは影響力を持つかもしれない。あなたはこの間まで鉱山局長で、きょうは長官で、あしたはどこどこの会社の重役になるかもしれない。あなたの観測や臆測というものは、法律の効果には何ら及ぼさない。ただあなたがその場におられるときに、辛うじてあなたの発言を通じて、特に効果を及ぼす場合があるかもしれないし、あなたの意見は、公正取引委員会の協議において、これは否認される場合もある。だからそういうことではならぬ。法律は第三者に対立する。あなたの全然いないところで、この条文によってそれぞれの法理の解釈が行われている。だから観測や、臆測や、希望というようなものは何ら価値のないものである。そこで私どもは、法律を作るからには、法文通り法律の効果が上る構想で、これを作っていかなければならぬと思う。だからあなた方が、あくまでも強制加盟が必要欠くべからざる事柄でありとするならば、われわれ法律家の仲間では言うのだが、これはやはり効果の上る態勢で、すなわち過怠金を徴収しなければならぬとか何とかいう形で、法律が体系をなさなければならぬのです。こんなものは抜け穴だらけのことなんです。しかもこんなことをやっては弊害を伴うと公取が言っている。それを押し切ってあなた方がここで強制加盟をやったところで、国民がそれに服従しない場合は何ら拘束を受けることはない。こういうような気やすめ的なことなら、事の成り行きはいかがあろうとも、この際せっかく公正取引委員会がしかも社会党も含めて、しかも全国の消費者団体をも含めて全国民の大多数の者があげてこの条項に反対をしておるのだから、今からでもおそくはない、ちょっと顧みてやっぱりわれわれの主張の中に正しいものがあるならば、いさぎよくこの問題について適当な機会に適当な結論を出されてはどうでしょう。
 そこでそれは基本論であるが、具体的にさらに論点を変えて話し合ってみようではありませんか。たとえば後日この法律が通り、そして調整組合ができて、そうして価格調整を行うという段階に至りました場合、こういうことが予想されると思うのです。一つの例を時計なんかにとってみましょうか。時計ならば・たとえば服部時計というものがおそらくはわが国におけるトップ・メーカーでありましょう。それが精密な機械と優秀な技術者と優秀な材料を使って、少くとも時計商品として最高の品格のものを作り上げておると思うのです。ところが服部の時計のほかにずっと群小のメーカーが何百とあるのです。それでかけ時計の値段の協定を二千円ときめますね。そうした場合服部さんのいろいろな影響力が全組合に影響を与えて、そうだ、柱時計は全部二千円でやろう、こういう形になる。そうしてそれがかりに大臣からその調整計画について認可が与えられた場合、組合は二千円で売らんならぬ。ところがアウトサイダーがおって、私の工場は機械が悪い、私の職人は非常に技術が低劣である、だから賃金もうんと安い、材料もボロだ、だから商品はうんと安いんだ、安いから千五百円で売れる、組合に入っておれば二千円で売らなければならぬから私は組合を脱退して千五百円で売りましょう、こういうような経済現象が現実に発生したとする。そうすれば組合はあなたの方へ申請してきますね。アウトサイダーがおって、組合が二千円で売っておるのにこのアウトサイダーが千五百円で売っておるから非常に困る、何とか組合へ加盟して組合の調整計画に服従して調整機能を確保できるように、その効力が確保できる態勢を作るために大臣の命令を発してくれとあなたの方に言ってくる。そうするとあなたの方は、いろいろな段階がありまするが、結論としてその命令を発した場合、結局その人は二千円で売らんならぬ。あるいはそこに一つの較差があって千八百円なり千六百円なり拘束を受けて、自分の意思に反して売らんならぬとする。そうした場合服部さんの時計だけ売れてほかの時計は全部売れなくなるのです。なぜかならば、同じ値段ならばいい品物を買いたいのはこれは経済の現象の必然の姿です。いい品物を買ってきて、悪いメーカーの悪い品物は、こういう強制加盟を通じて売れなくなる。中小企業団体法こそは中小企業者の安定とその振興保護が目的である。さらにその精神を押し進めていくならば、一人立ちのできないさらにその低クラスにある弱小企業保護にその焦点がこらされなければならぬと思う。そうするとこの強制加盟だ、さらにまた服従命令だ、あらゆる段階を通じて、いうなれば比較的有力な中小企業が保護されて、弱小企業は逆にそのしわを寄せられて被害を受けてくる、整理をされるという結果に陥るおそれなしとしないと思う。この点について公正取引委員会の事務局長いかに考えられますか。
#52
○坂根政府委員 ただいまのような設例であれば当然強制加入によって弱小企業者が救われないということになります。
#53
○川上政府委員 私……。
#54
○春日委員 あなたの答弁を求めておりません。これは事態まさにゆゆしき事柄だと思うのです。中小企業者の救済、中小企業の安定とその振興をはかるために作られた法律が、坂根公正取引委員会事務局長の責任と権威に満ちた答弁によればおそるべき事態が予想されると言われておる。こんな法律を通してよいか悪いか、三歳の童子といえども判断されるところは一つであろうと思う。従ってだんだんと与党並びに政府の反省の度は加わって参ると思う。
 そこで私はさらにお伺いをいたして参りたいのでありますが、この法律の第一条はこの法律の目的をうたっておりますからこれも非常に重大な関連があると思います。「この法律は、中小企業者その他の者が協同して」云々、ところが「中小企業者が自主的に事業活動を調整するために必要な組織を設けることができるようにし、」といっておる。自主的ということは第三者から命令されたり大臣が強制命令をしたり服従命令を発したりせなければこの協同組織の調整機能の効力が確保できないというようなことでは、これは民主的なものとは言いがたい。特に第一条では「自主的に」といっておる。自主的にということはこの法律では何にもできないじゃありませんか。いけなくなるとすぐ権力によって強制加入である、いけなくなれば権力による服従命令である、一体どこに自主的な活動分野が残されておりますか、それを伺いたい。
#55
○川上政府委員 これは強制加入命令のところにしましても、まず中小企業者が相集まりまして、そして自主的にこの事業活動を調整する、それがまず第一の段階でありまして、そういう努力をいたしましてなおアウトサイダーが若干あるためにその大部分の中小企業者の自主的な活動の調整がうまくいかないというような場合におきまして、初めて強制加入の命令を出すことになるわけでございますから、別に第一条とちっとももとっておるというようなことではないというふうに考えております。
#56
○春日委員 それは三百代言の詭弁とも称すべきものであって、何人をも首肯せしめるに足るところの理論ではない。少くともこの法律は調整行為を行うための協同組織がここに考えられておるのですよ。その調整行為の機能が確保されない場合にどういう力によって解決をしておるのですか、大臣が命令をしなければその効力は確保できないじゃありませんか、員外者に対して大臣が服従命令を発するにあらざればその調整機能というものは確保できないじゃありませんか。自主的ということはあらゆる段階において組合が自主的に立ち働くものでなければこれは文字通り自主的とは言いがたい。権力が介入するにあらざればその組合が、協同組織が作ったところのその調整計画の効率が保てないじゃありませんか。これは権力統制である、官僚統制である、国家統制である、こういうそしりを受けても抗弁の余地がないではありませんか。事務局長はことごとく僕と同意見であって、答弁を聞いても非常に楽しいから、事務局長から御答弁を承わりたい。
#57
○坂根政府委員 私の方は中小企業安定法のラインは当然認めておりまして、中小企業安定法には員外命令もございますし、春日先生はあるいは官僚統制とおっしゃるかもしれませんが、これは公取と協議ないしは相談の上で十分カバーして今までのところやっておりますから、その点は深く考えております。
#58
○春日委員 そういうことはけしからぬ。(笑声)そういうことはよろしくない。それは誤解を与える事柄であるから、重複をいたしますけれども明らかにしていかなければならぬ。と申しますのは、こういうことになっておると思うのです。服従命令に対しては、かりに業者から調整規程が出されて、こういう調整規程に服従せぬから調整機能が確保できたい、従って員外者に対して命令を発してくれという申請があった場合は、安定法の二十九条の――僕は経済学者としてあらゆる法規の各条文に通暁しておるので申し上げるのだが、あなた方はこの調整機能をうのみにして服従命令を出すわけにはいかないのです。そのときは、あなた方はこの服従命令を参酌して、公取が責任を持って服従命令を出すことができるのでしょう。だから政府の責任において、消費者の立場、関連業者の立場を不当に侵害することなきやいなや、この判断が国家の名においてなされるのです。ところが加入命令にはそういう機会はないのです。そういう場所は与えられていないのです。だからその公正度がはなはだ低い。従って、あなた方の方ではそういう加入命令が出せないことになっている。今われわれの論議の問題は、サブタイトルは服従命令だけれども、メインタイトルは何といっても加入命令なんだ。この点に限って一つ公取に御答弁願わなければいけないのです。いかがでありますか。
#59
○坂根政府委員 けさ申し上げましたように、アウトサイダー命令は、従来の安定法のラインでございますから、これは当然だと思っております。加入命令は、今日までのところ通産大臣からもしばしば公取委員会の態度を御表明になりましたように、公取としては反対してきておるわけであります。
#60
○春日委員 よくわかりました。この加入命令の条項については、委員長にも十分お聞き取りをいただいておりまするけれども、結論は得ざるといえども、いかにあるべきかという物事の本体は、おぼろげながら明確に浮び出つつあると思います。さらに、公聴会の意見等を通じて、国民がいかにこの問題を理解し、また希望しておるかが次第に明らかになって参るでありましょうから、与野党の話し合いの場においていろいろな問題がさらに具体的に論議される機会があろうと思います。本日はこの問題についてお話し申し上げるべき段階ではないと考えますから、一つ問題を先へ進めます。
 中小企業安定法二十九条の二に、新規開業者の設備の新設を禁止することができると規定してあるが、この団体法では、服従命令が発せられた後に開業する老の設備について何ら触れておりません。これは法律の面においてはどういう工合の取り扱いになるのでありますか。
#61
○川上政府委員 現在の安定法の二十九条の二の命令、これが今度の法律によりましてはないわけなんですが、私どもの方としましては、この条文がなくても、今度の団体法の条文の使用制限ということで十分行けるではないかというようなふうに考えております。
#62
○春日委員 公正取引委員会から本件についての御答弁を願います。使用制限でできると言っているけれども、この法律は単独立法、独立立法として独自の見解を持つべきで、他の法律を採用しなければできないというようなことでは不完全なものと断ぜざるを得ない。服従命令が発せられた後に新規開業したものの設備制限には何ら触れていない。そうすると、古いものだけがいろいろな統制を受けて、他のものにはこの法律の効果は及ばぬ、こういうことが考えられるが、公取はいかがですか。
#63
○坂根政府委員 調整規程の方の設備の制限でそれがいけるではないか、こう考えております。
#64
○春日委員 何条ですか。
#65
○坂根政府委員 十七条です。
#66
○春日委員 どういう工合にいけますか、ちょっと解説して下さい。
#67
○川上政府委員 私が答弁してよいでしょうか。
#68
○春日委員 特に一回だけ許します。(笑声)
#69
○川上政府委員 この法律によりまして、別に新規開業につきまして特別な制限をいたしておりません。従いまして、営業の許可制というような措置はとっていないわけでございます。現在安定法の第二十九条の二におきましては、先ほどお話がありましたように、新設についての制限規定を置いておるわけですが、われわれとしましては、やはり最初からそういうような制限規定を設けるよりも、むしろ営業を開始してその組合に入って、組合の調整規程、いわゆる第十七条の規定によりまして行い得るそういう制限をやることによって十分その目的を達し得るではないかというふうに考えましたので、先ほども申し上げましたように第二十九条の二の規定を実は入れてないわけでございます。従いまして、使用の制限ができるというふうに思っておりますから、別に法律的な不備はないというふうに考えております。
#70
○春日委員 安定法は、特にその事業が公共の福祉に密接な関係のあるもの、国家国民の経済に重要な関連性がありまして、自由経済の基本的なあり方を一面において調整するもやむを得ない、あるいは基本的人権をある面において制限するもやむを得ないという立場で、何百何千とある業種業態の中から、二十六でありましたか、それだけのものを特に選んでおるのであります。従いまして安定法はこうした政治的背景の中で、特定少数の業種業態を対象としているだけに、価格の制限と生産数量の制限をしながら、かつ、その効果を確保するために新規開業者に対する設備制限もできることになっておるのであります。しかもその選ばれたところの一つ一つの業種業態が公共の福祉のために、個人の基本的人権制限あるいは国家経済の高い立場から自由経済の基本的理念が調整されることもやむを得ない。こういう意味で新規設備の制限がこの安定法ではなし得ておる。ところがこの団体法は、いうなれば女郎屋からパチンコ屋から何屋でもやろうと思えばこれはやれるんです。政府が認める認めないは別問題でございますが、一切の業種業種を対象としておる。一切の業種業態を対象としておる立場において、新設の制限を加えるということは大きな社会問題を惹起するおそれありとしてそういうことがなし得ないのです。これは政治的理由がある。そういう政治的理由を重視すれば、すなわち経済的必要に基くところの二十九条第二項第三項のそういう制限が現実になし得ないのですよ。だからあなたの方がなし得るものと認めるとか解釈するとかいうことは、これは最高裁の判決とか最終的な決定を待たなければなかなか断定しがたいことなんです。非常に疑義のある問題だということを私は申し上げておる。問題はこの団体法が一切の業種業態を対象にし得るということと、それから安定法の二十九条の何とかいうやつが、これは特定少数のものを対象としておる一ということから、新規開業に対する制限がなし得ることと、こちらにおいてはなし得ないということ、これは法律上当然の姿がこういう法の体系となって現われてきておる。だからこの点なんかも十分お考えを願わなければならぬ。と申しまするのは、この団体法は、一切の業種業態を対象としておるけれども、私たち社会党が別途提出しておる組織法では、少くとも基本的人権を公共の福祉の名において制限できる業種業態は何であるか、自由経済の立場において特にこれに対して調整行為が行われ得る業種業態は荷であるか、こういうことを何百業種の間からずっと精査いたして参りますると、すなわち中小企業安定法にすでに指定されておる業種業態あるいは機械工業振興臨時措置法によって自由な経済活動がすでに制限をされておる業種業態、あるいはまたこれは別途考慮を加えられておるようでありまするが、食品衛生法、環境衛生法、輸出品検査法でありまするか、そういうような他の法律によってすでに自由経済の基本的理念のあらゆるきびしい論議を経て、その関所をすでに越えてきてしまったものだけをこの組織法は対象としておる。そういう意味において当然憲法論と独禁法論との立場においていささかも障害がない、衝突するものがない、公正取引委員会も口をきわめて絶讃しておる、こういう状態です。そういう一立場において、私が今申し上げた服従命令が発せられたところの新規開設というものに対する団体法の調整力というものは重大な関連、があるということを十分御銘記を願わなければならぬと存ずるのであります。この点も一つ御研究を願うことといたします。
 それから次へ進みますが、この中小企業の定義、これもなかなか不明確だと思います。第五条の第三項、これは一体どういうことを考えられておりますか、これを一つ御答弁願いたい。
#71
○川上政府委員 本法において中小企業者とはどういうものであるかということをこの第五条で規定をしておるわけなんですが、まず第一においては、製造業者については中小企業性とはどういうものかということをいっておるのですが、これは従業員三百人以下ということにいたしておるわけでございます。それから第二においてはいわゆる商業者、あるいはサービス業者、そういうものについてはこれもまた従業員の数を標準としておりまして、三十人以下ということにいたしておるわけでございます。しかしながら中小企業者についてはこの二つの原則でこれを全部貫くことのできないものがあるわけでございまして、これはこの第三項によって特別な事情のあるものについてはこの人数に必ずしも制限されない、あるいはまたこれ以下にきめられる場合がある。これは政令によってきめるということにいたしておるわけでございます。たとえば商業者について申し上げますれば、問屋のごときは従業員三十人で縛るということはいかがかと思いますので、これは大体それよりも多い人数になるかと思うのであります。またある業種についてはそれよりもはるかに低いところできめなくちゃならないというようなものが出てくるかと思うのであります。そういう点につきましては、私どもの方としては、弾力的な運用をしたいということで、第三項の政令で定める業種については特別な措置をとるということにいたしておるわけであります。
#72
○春日委員 私どもの組織法が対象とする中小企業の定義は、工業については三百人以下、商業、サービス業については三十人以下にして、かつ資本金一千万円以下のもの、こういうことにしておるのです。ところがあなたの方ではキャピタル制限がないわけです。一切の制限が政令事項にゆだねられている。われわれが最も心配にたえないことは、たとえば今日オートメーションが産業界を風靡しております。特に化学工業なんかでは従業員三百人以下で数億、数十億円という生産を上げておる企業なしとはしない。その他経済活動の中ではいろいろ特殊な事例が大いにあると私は思う。そういうような意味でこれがあなたの方では一切政令にゆだねられておるのだから、従って第五条第三項はこの法律の死命を制するほどの重大な意義を持っておると思うのです。従ってあなたの方では、この法律案を通そうというからには、相当の業種別の従業者数の実態把握というものがあるべきだと思う。私はこの際本法律案を審議する意味において必要であると思うが、あなたの方で中小企業者の実態調査、たとえば事業者数及び業種別分類、これは的確に把握されておりますか。特にこの調整機能というものは、地域指定がありますから、各府県別でなければならない。そういう意味であなたの方では各府県別に今申し上げたような実態調査というものが的確にまとまっておるか、そのまとまりなくしては第三項の政令の書きようがないと思う。そうして化学工業あるいはその他特殊な、要する従業員と生産量との関係等は第三項の重要な要素になると思うが、そういう近代オートメーションのいろいろの影響下にあるもの、そういう方向へ向きつつあるものと、いろいろの新しい経済現象についてあなたの方では的確にその実態を現在把握されておりますか。されておるならば、それを一つ今御答弁を願いたい、なければ明日までに資料を御提出願いたいと思いますが、いかがですか。
#73
○川上政府委員 私どもの方としてはこの中小企業性ということについては、業種別にある程度の調査はしておるわけですが、これは十分精査しておりません。従ってこれは絶対大丈夫だというような把握は実はいたしておりません。従ってこの前もこの委員会において大臣からお話があったと思うのですが、この中小企業者の内容につきまして、もっと実態を精密に調べる必要があるというふうに考えまして、本年度から予算をいただきまして実態調査をいたすことになっております。これは従来のいろいろな資料を見ましても、非常に正確な精密な調査はできていないわけでございまして、現在の協同組合法によりましても、あるいは安定法にしましても、中小企業者の定義につきましては、工場につきましては大体従業員三百人以下、それから商業者につきましては大体三十人以下ということにしておるわけございまして、私どもとしましては、従来のそういう法律と同じような意味でこの条文は作っておるわけでございます。これは将来もっと正確にこれを十分調べた上で、私どもの方としましては、もっと正確な中小企業性というものを出したいというふうに考えておるわけでございます。従いまして、この一、二があくまでも原則でございまして、原則以外の例外的な措置につきましては、十分に私どもとしましては慎重に取り扱いたいというふうに考えておるわけでございます。たとえば、どういうものがこの三に今のところ該当するかと申し上げますと、たとえば石炭産業、あるいはまた鉱山関係、そういうものは明らかにこの一、二の除外例ではないかというふうに私どもは考えられるわけであります。ただ資本金一千万円とか、そういう資本金についてこれを一つの判断の基準にするという問題につきましては、いろいろ検討してみましたけれども、資本金一千万円にすることがいいか、あるいは千五百万円にすることがいいか、あるいは五千万円にすることがいいか、そういう点につきましていろいろな疑問がありまして、私どもとしましては、今の調査程度におきましては、資本金一千万円以下ということでこれを限定するということが非常にむずかしいというふうに考えましたので、資本金については、実はこの標準にはいたしていないわけでございます。その問題につきましては、先ほども申し上げましたように、今後十分調査しまして、そうして最も的確な資料が得られましたならば、この条文につきましても、私はそれによりまして措置してもいいのじゃないかというふうに考えておりますけれども、現在のところは、どうしてもそういう正確なものが把握できませんので、一応こういう条文にいたしておるわけでございます。
#74
○片島委員 今の長官のお話ですと、資本金が一千万円がいいか、二千万円がいいか、五千万円がいいかわからぬということでしたが、そうしますと、今の中小企業の定義をきめる場合に、従業員が二百五十人以下がいいか、三百人以下がいいか、四百人以下がいいかということも、これは同じなんです。せっかくあなたの方で三百人以下ということをばはっきり書いておられるけれども、三百五十人にした方がいいか、四百人がいいか、二百五十人があるいはいいかもしれない。それは資本金というものをきめる場合でも、大体の常識というものできめなければならぬ。特に春日君が質問しましたのは、オートメーション化によって非常に近代的になればなるほど、あるいは二百人くらいの従業員で何億円もの資本を有した相当大きな事業ができる可能性があるのです。(「現在あるよ」と呼ぶ者あり)相当あると思う。そういたしますと、やはりある程度常識的になるかしれないが、従業員の頭数ということをきめるのよりも、むしろ資本金というものの方が、中小企業の定義をきめる場合には、確かな基準になるのじゃないか。でありますから、従業員の数ということをきめるなら、資本金というものはちょっときめにくいからということは私は当らぬと思う。やはり大体の現在の常識において資本金というものがここに浮び上らなければおかしいと思うのでありますが、いかがでありますか。
#75
○川上政府委員 現在金融関係につきましては、従業員何名以下または資本金一千万円以下というような扱いをいたしております。「かつ」ということにはなっておりませんので、「または」ということになっておりますから、資本金一千万円以上のものでありましても、従業員が三百名以下でございますれば、金融の対象に実はいたしておるわけでございます。私どもの方としましては、それとこの第五条は矛盾するものでないというふうに考えておりますが、この資本金一千万円の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、果して一千万円が妥当であるか、あるいは二千万円が妥当であるか、あるいは五百万円が妥当であるか、その辺につきましてはさらに検討を十分しなければならないと考えますので、従来の例によりまして、実は従業員でこれをきめておるわけでございます。もちろんオートメーションが非常に発達して参りますと、従業員の数が非常に小さくてもいいじゃないかというような御意見に対しましては私ども同感でございますので、やはり第三号によりましてそういうものについては特別な例外的な措置をとって、一応製造業者につきましては三百人以下、あるいは商業者につきましては三十人以下ということになっておりますけれども、そういうものについてはもっと低いところで押えてもよろしいというのが第三号の趣旨であるわけであります。
#76
○片島委員 どうもあなたの説明を聞いておると、従業員の員数というものが原則であって、そして資本金という問題は例外的扱いをされておるような答弁なんです。そういう例外があればというので、一と二というもの冷二つの原則として打ち立てて、三のいわゆる例外的なものによってそういうものを当てはめようとされるのであるが、しかし私どもも一千万円がよろしいか、一千五百万円がよろしいか、これはどうも、こうでなければならぬという非常に厳密な基準というものはありません。ないけれども、大体の常識というところで一千万円と書いたので、あるいは一千五百万円が妥当かもしれません。しかしそれは三百人以下ということが妥当であるか、三百五十人か、二百五十人か、いずれが厳密には妥当であるかということがわからないのに三百人以下と書いたのと同じ程度に、やはり一千万円というものをわれわれが入れておるのであって、当然従業員の頭数というものと、また資本金といったような経済的な基礎は、定義づける場合に同じウエートにおいて取り扱われなければならぬと思いますが、やはりあなたは頭数だけが重要で、資本金というものは第三の例外扱いにするのが正しいとお考えですか。
#77
○川上政府委員 この第三号におきましては、やはり一号、二号と同じように、従業員の数でいっておるわけでございまして、資本金の問題につきましては触れてないわけでございます。先ほども申し上げましたように、資本金の問題につきましてはこの一千万円がいいか、千五百万円がいいか、その辺につきましてはわれわれの方としましても今後さらに調査を十分いたしまして、的確な資料をもちまして判断の基礎にするかしないかということを、私どもの方としましてはきめたいと思うのですが、しかし今のところではそういう資料が十分ありませんので、やはり現在の中小企業安定法なり、あるいはまた協同組合法なりで採用しておる従業員だけで措置をするというようなことでやっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在金融関係でやはり資本金の問題をその対象にしておりますけれども、これは先ほども申し上げました通り、「三百人以下または資本金一千万円以下」ということになっておるわけでございまして、「かつ一千万円以下」ということにはなっていないわけでございますので、この第五条の条文と矛盾するものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#78
○片島委員 もし三百人以下かつ一千万円以下ということになっておるならば、これは常識的な考えですが、三百人以下のところは大体一千万円以下であろうというふうな常識的な基準のもとに「かつ」ということが入れてあるのであって、「または」となっているのは一千万円ではあるが百五十人あるいは百人の場合もある。それでも一千万円ということが一つの基準になっている。五百人でも一千万ということが一つの基準になっている。これは別個の資格で一千万円という資本金が資格条件になっている。でありますから、その「または」という言葉を使ったことは、同じレベルにこのウエートを置いておるということが言えるのでありまして、「かつ」ということになるならば同じウエートは置いてない。だから「または」ということが書いてあるのは、この団体法の第五条においても資本金を独立した条件とすべきであるという根拠にこそなれ、「かつ」と書いてないからこそむしろ私はあなたのおっしゃったことは矛盾をするのではないかと思う。
#79
○水田国務大臣 ただいまの問題ですが、結局中小企業というものを的確に定義する方法はなかなかむずかしいことは前に述べた通りでありますが、法律の目的によって違いますので、中小企業金融公庫が中小企業者としてどういう対象に金を貸したらいいかという場合は、中小企業公庫の資金にも限りがありますので、大体貸付等については平均どれくらい、三百万とか二百万とかいうふうにきめて運用しておりますが、金を貸す場合でございますから、従業員はどのくらい、または資本金はどのくらいという、これは金を貸すための中小企業についての規定でございますから、そういうことで資本金を入れるということは妥当であろうとは思いますが、この中小企業のこちらの方の法律の問題では、要するに中小企業の不況になった場合にどういう自主的な調整事業をやらせて不況の克服に寄与させようかというのが目的でございますので、資本金で規定するということは非常に無理だろうと思います。さっきからお話がありましたように、従業員はごくわずかでも資本金は非常に多いという業種も出て参りますし、それからこの政令で予定しておりますものは、さっき長官から申したようですが、各業種ごとにその業態のいかんによって、これが中小の企業の部類であるか大企業の部類であるかというものはそれぞれ違う。そうしますと、たとえば石炭鉱業で見ましたら三百人以下といっても、石炭鉱業の現在のあり方から見たら一千人以下くらいのところは明らかに石炭業としては中小企業の仲間に入れてもよろしいと私どもは思うのです。金属鉱業においては五百人前後は少くとも中小鉱山だということが言えようと思いますので、人数についてもそういう実態に応じた政令によって中小企業の対象をきめたい。同様に資本で一律に規定するということは実情から見て非常にむずかしゅうございますので、結局こういう業種の中でどれくらいが中小企業の部類に入るかという業界の実態から見て、資本金はさっきお話のように一億であっても中小企業の部に指定することが適当だという業種も出てこようと思いますので、こういう問題を政令に譲るという方が運用の場合に実際的である。従って中小企業の金融機関などに規定しているような資本金を入れた規定は、この団体法ではむしろ不適当だというので私どもはむしろ省いたわけで、やはり省いた方が適当だと思っております。
#80
○加藤(清)委員 関連。大臣、あなたが政調会の会長をやっていらっしゃらなければ私はこんなことを言わぬつもりでしたけれども、あなたは中小企業金融公庫法が通るときのいきさつをよく御存じのはずなんです。その大臣がこのときに至ってからそういうことをおっしゃるというのは、これは君子豹変したというものです。中小企業金融公庫法というものを審議いたします折に、時の岡田長官、時の大臣は口をそろえておっしゃった。資本金一千万というのはこれが最高限度でございますと口をそろえておっしゃった。その範疇がいつの間にやら変ってきた。それは何がゆえに変ったかをここではっきりしていただきたい。
 なぜそういう質疑応答が繰り返されたかと申しますと、あの当時あなたの今おっしゃいましたように員数を採掘業のごときは千人以下にしてもらいたいという陳情もあった。ところがあの当時の答弁によれば、ともすれば中小とはいうものの小や零細が犠牲にされて、金融はとかく大きい方に流れがちである。従って最高限度をきめる必要がある。その折の最高限度は員数では大体三百人、資本金では一千万円、ただしその三百人もサービス業にあっては三十人程度、こういうことになって、あの法案の中にはカッコでそれが入っておるはずです。ところがこのたびの法案になりましたら、いつの間にやら資本金の方だけが野放しにされた。これは大企業がここへ入ってくる突破口をあけなさった、門戸を開放なさった、こう見ても差しつかえないと思うのですが、中小企業のうちでも割合に大きい方と小さい方と零細と、こう並べた場合に、零細を生かす、中小の小を生かすのだという御答弁の趣旨を体した政府側の方が実権を握っていらっしゃる中小企業金融公庫であっても、なお今日の非難は割合に大の方に重くして零細の方には金が流れていないという批判なのです。ましてや今度の法律はあなたの先ほどからの答弁によりますれば、しかも運用の妙を得て自主的にやらせる、こういう話です。そうすればこの組合に資本金一千万円以上のものが入ってきた場合には、その同じ組合の中に系列ができて、親企業と下請企業が同じ組合に入ってくる関係になる。そうなれば下請企業はさながら親企業の言うことを聞かなければならぬことになってしまって、同じ会場に集めて発言させても、一ぺん親企業ににらまれたら下の中小企業は縮み上って一口もものが言えぬようになってしまうという今の中小企業の実態は、長官だって御存じのはずです。にもかかわりはせずここに大きいものが入ってくるような窓口をなぜにあけなければならぬのか。だれに圧迫されて、だれに注意されてこんな窓口をあけなさったか。この点をはっきりしてもらいたい。
#81
○水田国務大臣 今申しましたように、法律の目的が違っておりますので、金融については一般の市中銀行から金を借りるというのが企業家にとっても原則なのです。ところが経営の弱体である中小企業が市中銀行から金が借りづらい、実際的に困難だという必要に応じて、中小企業についての専門的な金融機関を置くという目的で金融公庫なりそのほかのものはできておりますので、その場合に特にその機関を最も活用させるものとしてどの程度のものを認めたらいいかという目的から対象をきめようとしますときには、そこに資本金が入ってきてもいい、千万が限度であって、それ以下ぐらいのものに恩典を与える特殊な金融機関にしようというので、そういう目的からそういうものは出てきておりますが、との団体法の問題はそうじゃなくて、大企業、中小企業があるうちで、いわゆる中小企業に属するものの特にこうむりやすい不況影響をどう助けるかというような目的から出ていますので、従って資本金を特に幾らときめなければならぬという重要性が少いということが一つと、それからもう一つは、さっき申しましたように業態が種々雑多でほんとうの実態をまだ正確につかんでいませんから、将来これが必要だというならば、実態に応じた資本金の規定をやることも差しつかえなかろうと思いますし、また御承知のように中小企業に資産再評価を許すという問題も出ておりますので、そういう点から将来金融公庫の方の資本規定を直す必要もあるかもしれませんが、この法律におきましても、そういう実態を見きわめてからきめてもいい、要は実情に応じてこれが運用されるようにすればいいと思いますので、ここではそういう問題の解決として事情に応じた政令によって定めるという運用をやってもその方が実際的ではないか、こういうように思います。
#82
○加藤(清)委員 それでは続いて承わりまするが、中小企業という言葉の中に包含されまする範疇というものは、政府の考えではそのときその場、対象とする法律の変るたびにその範疇の内容が変るというのが原則でございますか。これが第一点。第二点は、本法律案の対象とするところの中小企業というものは、資本金はどの程度が妥当であるとお考えであるか。それを妥当であるとなさるならば、一体政令では資本金をどの程度にきめようとなさっていらっしゃるのか、それとも野放しでございますのか。第三点は、先ほどさきの質問者からも出ましたように、員数は少いけれども資本は大きい場合、だんだん設備が変り、資産が再評価されていった場合に、だんだんと資本の大きいものがその中に包含されてくる傾向になっている。その傾向の場合に、弱肉強食の自由主義経済であれば、中小とはいうものの、中小のうちに含まれる大の方が小や零細をどうしても食い殺しがちであるが、政府が握っている親心を持った金融機関でさえも、なお大の方に多く貸して零細の方には貸されていない実態からかんがみても、今度のこの法律のように土俵を大きくしてその中に金力の大きいものを入れた場合には、中小を救うつもりであったけれども、あにはからんや、公式の席上においても零細はものも言えなくて、ついにその系列の中に入る下請に転落していかなければならぬ、こういう運命をすでにこの法律案はしょったと私はみなしまするが、その場合、中小のうちの大が小や零細を食い殺すようなことは見殺しにしてもよろしいとおっしゃるのでございまするか、それが第三点。
#83
○水田国務大臣 全然そういうことを考えておりません。中小企業とは何ぞやということにつきましては、政府は中小企業対策としていろいろな施策を従来やってきておりますので、その過程において一応の定義らしいものがだんだんに形作られてきていることは御承知の通りだと思います。しかしそのためのいろいろな施策を施すときどきの立法において、法律の目的からそこに弾力性を持たせて実情に合うような運用をやるということは、これまた当然なことでありまして、中小企業は多種多様であって非常に複雑でございますので、一ぺんこうきめたらあらゆる法律に適用する定義もそれでなければならぬというふうには私どもは考えておりません。特に最近の中小企業の実態の動きも相当大きく変っておるときでございますから、この際千万円で規定するというような行き方については相当実情からかんがみて問題がございますので、そういうものを省いて運用に弾力性を持たせるという方が、法律目的を達成する上にはよりよい方法じゃないかと考えているまでであります。
#84
○加藤(清)委員 それから政令できめるのか、きめるとすればいかほどにするのですか。
#85
○水田国務大臣 やはり政令でも、今の実態から見て、資本金でぴしゃっと、きめるということは、不都合が起りはしないかと思っております。
#86
○加藤(清)委員 そうすると、これは野放しなんですか。
#87
○水田国務大臣 それは業界の実情に応じて、そうして逐次政令で指定していけばいいのではないかと思います。
#88
○加藤(清)委員 それから第三点の土俵の問題ですが、資本金を野放しにすれば大きいのが入ってきますよ。
#89
○水田国務大臣 必ずしもそういうふうになるとは私どもは考えておりません。資本金によっても大きくなる部面があるかもしれませんが、さっきのオートメーションのような話もありまして、今度は人数によって、当然三百人以内であっても、これは中小企業と認めないという問題も出てきますので、どっちがふえるかということは、簡単に言えないと思います。
#90
○加藤(清)委員 資本金で基準をきめた場合ときめない場合でいずれが大企業が多く入ってくるかということは、三才の童子でもわかります。今私とあなたが理論闘争をやっているということであれば、言葉のやりとりで事が済むかもしれませんが、これは実態は組合を作らなければならないのです。そこへ資本金は幾らでもよろしい、しかも基準は人数だけだということにすれば、今あなたのおっしゃったように、オートメーション化によって、三百人以下でも何億というものがますます入ってくる関係になってくる。ところが資本金できめればそれは入らないということになる。だからあなたの言っていることの理論が矛盾している。しかも入ってくるように野放しにしておけば、ここで大きな資本のものが入る可能性が大であるということはだれでもわかることだ。そうすればその同じ土俵の中で大きいものが小さいものを系列の中に入れて食い殺してしまうし、ものも言えなくしてしまう、こういうことになりがちだが、その際そういうことに対する手当はどうしようとしていらっしゃるかということを大臣にお聞きしたい。
#91
○水田国務大臣 資本の規定が入らなくとも、大体この法案における対象の中小企業というものは、今ここに書いてあるように、人数の制限をもって、大体これを中心としたものになるだろうと思います。政令によってこの人数が動く場合もあろうと思いますが、資本をきめないからといっても、たくさんのものが入ってきて場が広くなるという場合もございましょうし、そうでなくて、資本が多いから、三百人以内でもこれは中小企業と認めないというので、この中から抜けていく業種も出てくると思いますので、この法の運用をやる場合に、資本規定がないからといって、土俵が広がるということを一がいに私どもは考えておりません。
#92
○加藤(清)委員 広がりますよ。しかし私は関連ですから、私の質問はこの次にやりましょう。
#93
○春日委員 第五条の関係は、やはりこの法律のとにかく一つのキー・ポイントなんです。だからわれわれがこの問題について執拗にと思われるほどお伺いをいたしておるのであります。たとえば中小企業金融公庫法、これもわれわれが審議いたしました当時、やはりキャピタル・アンド・レーバースという問題のマキシマムのきめ方は非常に慎重でありました。ところがこれは多少違っておっても債権保全の道を講じさえすれば大した弊害を生じない。弊害を生じない事柄ではあるけれども、あの場合法律では制限列挙して、これは法律の条文の中に明確に規定いたしております。石炭産業においては一千名以下、これは政令じゃない、法律事項なんです。だからこの法律というものは、やはり法律だけで万事の執行が完璧になし得るようにこれは特に注意しなければならぬ。これは中小企業金融公庫法で中小企業の定義を定めたときでも、万事を法律事項として、石炭産業についてはこれこれということをきめて、そしてあらゆる検討の上に立って、これはやむを得ざるべしというその判断、その容認し得る限界においてこの法律が通っておるのです。今度の問題はそれはまかり違えば大へんな障害を及ぼすんですよ。大体この団体法自体の機能がとんでもない方向へ行く、中小企業の安定をはからんとした法律が中小企業を殺すような鬼子にならぬとは保証しがたい。
 特に私が最後に伺っておきたいことは、ただいま川上長官の御答弁によりますと、何でも本年度予算をもらって中小企業の実態調査を始めるという話だが、一体それを集計しで、整理して、それからいろいろな判断をしてその結論――いうなれば中小企業の実態ですね、――しかもそれはわが国産業経済の全体的背景の中において中小企業を中心としたその実態があなたのところで把握できるときはいつですか、これを伺いたい。
#94
○川上政府委員 私どもの方としましては本年度から始めまして大体三年ぐらいでやるつもりでありますが、少くとも四年目におきましてはこの実態がつかめるのじゃないかというふうに考えております。
#95
○春日委員 そういたしますと、本年度の予算、来年度の予算その他を通じて向う三年間にわたって、大体その構想において中小企業の実態、それから業種別、それから職種別の事業場の実態が府県別にわかるということなんですね。ところがこの法律は通れば直ちに施行せんならぬ。施行するにしてはこの第五条の第三項に基く業種別の指定を少くとも行わんならぬ。石炭産業については一千名以下まではよろしい、三百人をこえてもよろしい、あるいは化学工業においては、資本金が一億、二億であっても従業員が三百人以下の場合は、オートメーションを実施しておる会社においてはこれはいけない、こういう個々の規定をずっとしていかなければならぬのです。法律なんですからそれが一つでも抜けたらめちゃくちゃになるんです。ところが責任を持って実態把握できるのは向う三年後のことなんだ。そしてこの法律が通れば直ちに政令を公布しなければこれは法律が施行できない。これは与党の諸君も非常に謙虚な気持でいろいろ御研究を願っておるようだから、このようなずさんなでたらめな抜け穴だらけな法律を原案通りお通しになるはずがないと思うが……、(笑声)もし何かの拍子で意地になってこれを通そうとするならば、少くとも法律では政令を書かんならぬ。書こうと思っても原稿がないじゃないか。でたらめを書くわけにも参りますまい。これは重要なキー・ポイントになるが、その辺のかね合いはいかに処理なされようとするのであるか、水田通産大臣御答弁願いたい。
#96
○水田国務大臣 中小企業の実態把握を十分してなかったということは政府の怠慢であるかもしれませんが、そうかといってこれが完全に把握されないから把握されるまで法律を待とうということはできませんので、当面必要に迫られている問題でございますから、基本法としてそういう事態に至ったらこういうことができるということをきめると同時に、従来実態調査をしていないといいましても実際においては各業態のいろいろなものはけっこう把握されております。ですから従来の安定法の経験とかそういうものをもとにしまして、さらにこれで責任が持てるという範囲のものを政令できめていって、ほんとうの実態調査ができないという問題はあえてすぐにきめる必要はないと思います。その間にもし特定の業種でどうしても自分たちはこういう調整行為をやりたいんだという実際に即した問題が出れば、その場合の調査によって明らかにそういうものを政令できめるという処置もとれますので、実際に応じた運営をやっていけば、ほんとうの完全な調査が把握できなくてもこの法律の運営にはそう支障を来たさないでやっていけると私どもは考えております。
#97
○春日委員 ただいま理事からの連絡がありまして、大臣が三時半までにどこかに行かれねばならぬというお話でありますから、本日の質問はこの一点に極限をいたしまして結論にいたしたいと存ずるのでありますが、社会党提案の組織法はそういうような調整事業のよってもたらすところのいろいろな大きな影響をあらかじめ想定いたしまして、これをむやみに無差別に適用すべきではないということで、これはごらん願っておると思いますが、この対象とする業種業態を法律で別表に示しまして、とにかく現に八十五業種をとりあえず対象にいたさんとしております。われわれが考えましたこの八十五業種については、これは中小企業安定法に対象とする業種業態は、中小企業安定法の法律の施行を通じてその業界の実態がこれをあやまちなく把握されておる。あるいは機械工業振興臨時措置法同様、あるいは輸出品検査法同様、環境衛生法またしかり、ことごとくそういう論議を経てあらゆる角度からあやまちなく完璧が期せられておる。業種業態からそういう実態を把握した後においてそのような対策を講じてもその実態にはぐれたような影響は生じないであろう、こういうことでこういうようないろいろな機能を付与する調整組織を持とうといたしておるわけなのであります。ところが政府並びに与党は、これは無差別に不特定一切のものを対象としておられるのです。だからそこに大きな問題点があるのです。すなわち業態の実態を的確に把握することなくて、相互にいろいろな機能を持ち合うのでございますよ。たとえば鉄板なら鉄板からいろいろなものができていくでしょう。二次加工、三次加工。糸にいたしましても洋服からワイシャツから靴下からいろいろなものができていく。二次加工、三次加工に有機的に多角的に立体的に影響するのですから、そういうようにめくらめっぽうに対策を講じていくということは、これはハンドルなしに走っていくようなものじゃありませんか。めくらめっぽうということがありますけれども、これは無軌道というか、とにかくそれは実際の話がめちゃくちゃなんです。それじゃいけませんよ。これは実際問題としてオール・オア・ナッシングだ。これはこの法律が保障した限りはそういう新しい活動と、その活動を通じて新しい経済効果が現実の現象として発生してくるのです。これはオール・オア・ナッシングだ。完璧であるかあるいはそれをやらないか。だから私が申し上げるのは、この第五条の第三号は政令事項であるならたとえば化学工業は二百人でもこれはいかぬということを書かなければならぬ。石炭産業は従業員が千人でもこれはいい、いろいろなことを書かなければならぬ。けれどもこれ卒実態調査することなくてどうしてそういう原稿が書けますか。それでは今松平理事から、そういう理論はきわめて重要で欠くべからざる論点であるから、この際政令案なるものを一応原稿を書いて本委員会に資料として提出を求めよという連絡でありますから、当然この法律に関連して政府においても腹案がありましょうから、明日までにその腹案を一つ御提出あらんことを強く要望いたします。
 それで今私が申し上げましたことに対して御答弁願います。
#98
○水田国務大臣 従来の安定法において実施した経験のある業種だけ並べるなら、これはきわめて簡単でございますが、そうじゃなくてこの法案では今度商業及びサービス業へまで範囲を広げる、またその要望がそういう業者から非常に強くございますので、全部の業種について適用できるようにしたところに、このねらいがございます。従って従来の安定法で経験しただけの業種を並べるだけでは実際の目的を果せませんので、そこに私どもが業種というのを抜いている一つの理由もあるわけでございますので、その辺は今おっしゃられるように社会党においては実態調査を十分やっているようなお話でございますが、私どもはそうは思っておりません。まだ実態調査をやらなければこの商業及びサービス業の部門というものは非常にむずかしい問題でございますから、この際そういう範囲の特定をしない方がいいという考えで、そういうふうにしているというわけでございます。
#99
○春日委員 そういうことはいけませんよ。私はそういうふうなことを言っていないんです。もっとすなおに聞いていただかなければいけない。私どもが野党でこの関係業種八十業種にわたって実態調査ができるはずはないし、私どもは見ていない。誤まった資料によって調整機能を付与するということは関連業者のために、消費者のためにこれは重大な影響を与えるので、容易にこのことはなすべからずという立場には立つのだが、しかしながらこれらの業種、業態についてはすでに他の法律がとにかく通過しておる。その通過の過程においては当然その実態調査が政府の手によって現実に明らかにされておるのです。そうして公共の福祉のために基本的人権がどの程度まで調整されてもいいかという、あるいは自由経済の基本的理念が国家経済の立場からどの程度まで調整を受けてもやむを得ないかという、そういう非常に神経質な論議が、その法律の審議の中において行われておる。そういう関所を抜けてきておる。すなわちすでにそういう論議を濾過されておる業種業態だけをわれわれは対象としておる。そのことは心配がないからです。そういう疑義については一切の問題が解明されてきておる。その関所をまたいできておる、だからあらためて論議する必要はあるまい。社会公共の福祉と国家経済の立場、第三者の関係から、こういう業種業態だけを選んでおるという意義がそこにあるのです。従ってわれわれはそういう調整機能を付与するに当っても、どの程度の限界まではよいか、そこにおいてキャピタル・アンド・レーバーというもののマキシマム、限界がちゃんとそこに出てくる。すなわち過去の法律の審議のときに、それから法律を現実に実施した過程において、これは明らかになってきておる。ところが今あなた方が想定されておるのは、パチンコ屋から女郎屋から、一切のものを対象にしておるから、従ってこういうものに大きな国家権力が背景となる調整機能を付与すると、おそるべき事態が予想されるというのです。しかも法律第五条第三号にはそういう問題については政令にゆだねておる。どの業種は何人どの業種は何人、どの業種はその資本金を越えてもよいというような特例がみな書かれようとしておる。従って問題はそこなんですよ。中小企業金融公庫法においてあの特例が設けられたことは、私どもにおいては異論がある。けれども石炭産業そのものだけを対象として論じてやむを得ざるべし。もし間違ったとしても、これは国家国民に対して大きな被害を与えない。債権保全の道が確保されておればこれは国家の金を回収するに事欠くことはない、こういうことで、大過なかるべしという想定でこういうことが許されておる。しかりとはいえ、これを政令にゆだねてはおらぬ。しかるところ今回の法律はことごとく政令にゆだねんとしておるではないか。ゆだねんとする資料というのは、川上長官の言をもってすれば向う三年を待たなければ、あなたは握ることはできぬという、大体タイミングのずれはなはだしきの限りと断ぜざるを得ない。
 論じていけば数限りがないが、きょうはこの辺にして、せっかくの通産大臣も今の答弁を聞いてみるとちゃらんぽらんで、どうも頭がぼうっとしておるようだから、時間的に空気を入れて明日もう少し明晰な頭脳で一問一答をかわして、そうしてこいねがわくばこの法律が国家国民のために、また消費者、関連業者のために、悪い影響を与えることがないように、そうして中小企業の安定と振興のために公正なる効果が期待できるように、そういう工合に両方で心を合せてやりましょう。本日はこれでやめます。
#100
○福田委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。次会は明二十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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