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1956/05/14 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第39号
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1956/05/14 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 商工委員会 第39号

#1
第026回国会 商工委員会 第39号
昭和三十二年五月十四日(火曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 加藤 清二君 理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    内田 常雄君
      川野 芳平君    菅  太郎君
      齋藤 憲三君    椎名悦三郎君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      鈴木周次郎君    中村庸一郎君
      南  好雄君    山手 滿男君
      横井 太郎君    佐々木良作君
      佐竹 新市君    田中 武夫君
      多賀谷真稔君    中崎  敏君
      永井勝次郎君    帆足  計君
      八木  昇君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (通商局長)  松尾泰一郎君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 齋藤 正年君
        中小企業庁長官 川上 爲治君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (軽工業局有機
        化学第一課長) 熊谷 典文君
        通商産業事務官
        (軽工業局有機
        化学第二課長) 新井 泰助君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
五月十四日
 委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として八
 木昇君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十三日
 輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一四八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 合成ゴム製造事業特別措置法案(内閣提出第一
 五四号)
 輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一四八号)(参議院送付)
 中小企業に対する官公需の確保に関する法律案
 (水谷長三郎君外十三名提出、衆法第三〇号)
 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
 律案(水谷長三郎君外十三名提出、衆法第三一
 号)
 百貨店法の一部を改正する法律案(水谷長三郎
 君外十三名提出、衆法第三二号)
    ―――――――――――――
#2
○福田委員長 これより会議を開きます。
 合成ゴム製造事業特別措置法案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。中崎敏君。
#3
○中崎委員 私は国家的見地に立って、日本の産業の正しいあり方などについて、私心を交えないで一つ質問をしたいと思うのであります。
 そこで第一に、この法案の提出までの過程並びに審議の経過から見ますと、何だか割り切れないものがあるのでありまして、こうした問題は今後の運営等を通して最も明朗に持っていくべきものだというふうに考えておるのであります。そこで、私たちは元来この法律案を根本的に考え直しをして、そうして特殊会社の形態とする、たとえば国家が相当の金を投じてこの産業を助長するという考え方の上に立っておるのでありますから、一応この特殊会社的な形態を持たすべきであるというふうな考え方もあったのでありますが、何しろこの産業の出発を一日もすみやかにさせる必要があるということなどを考慮いたしまして、そうして一応現在の法案の姿において進行をはかっていきたいというふうに考えておるのでありますが、さてそうした欠陥を補う意味において、まず第一に、今までややもしますと国会ではいろいろ答弁がされておるにもかかわらず、その後の運営は必ずしも国会における言明の線に沿わないで、ときには政治的ないろいろな動きやあるいは官僚の意図によって曲げられるというような場合がしばしばあるのでありまして、こういうふうなことを再びなからしむるために、形の上は別として、少くとも実質的には特殊会社的なものであるという考え方の上に立って、この会社の設立並びにその後の運営等の重要な事項については、すみやかにこの委員会に報告されることを政府に要望しておきたいのであります。これは多分きのうわが党の佐々木君からもこの質問があったと思うのでありますが、きょういよいよこの法案に対する最後的態度を決定する上において、さらにあらためて政府側からこの所信を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
#4
○齋藤政府委員 大へんごもっとものことでございます。この会社の発足は国会終了後になりますけれども、適当な機会にその進行状況を御報告したいと思います。なお会社としていろいろな事業計画の具体的なものがきまりますれば、さらにそのときに御報告するというふうに、逐次御報告をしていきたいと思います。
#5
○中崎委員 次にこの株式の引き受けということは最も重要な事項でありまして、一応これは民間の会社的な形態をとって発足するというのでありますから、ことにそれが重要だと考えておるのであります。今までの質疑を通しまして、ゴム工業の関係者の引き受ける株は、開銀の出資は別として、約その三分の二見当を予定しているというのでありますが、元来この会社の製品の供給を受ける需要者が、業界全体としてはほとんど独占的な形においてその供給を受けるという関係等もありまして、それが株式の三分の二も持ち、支配的な立場を持つということは、利害の相反する上において適正を欠くのじゃないかというふうな点もありますので、この点についてはあまりにそうした過大なウエートを持たせないことが必要ではないかと考えるのであります。従いましてまた原料の供給者等についても、同じような意味において、あまり過大にウエートが株式の上においてかかることは適当でないというふうにも考えられますので、今まで政府の言明されておった点について、もう一度検討する余地があるのかどうかということをお尋ねしたいのであります。要は株式の場合においても、あまりにある特別の利害関係のある者が、しかも少数の業者であるというならですが、ほとんど全部を網羅した形においてその需要者がある場合、しかも国策的な意義を持ったものであって、相当広い分野からこの株式などを募集されるという性格の場合において、あまりに片寄り過ぎた株式の持ち方は当を得ていないのじゃないか、さらにまた人事の問題についても、あまりにこれが強く反映をして、そうして国策会社で国民の大きな犠牲の上に作られたものが、ある特別の業界のために非常に利益を壟断される形に陥るような運営は適当でないと考えるのであります。この会社の性格にかんがみて、株式の引き受け並びに主たる役員等の点について公正妥当な一つのあり方が望ましいと思うのでありますが、この点どうかということをお尋ねすると同時に、もう一点、そのかわりゴム工業界の協力を得る必要があるのはもちろんのことでありまして、むしろこの合成ゴム工業が今後誕生して、いよいよ製品ができる場合においては、天然ゴムよりも特殊の加工上の困難性等があって、そういうものについては従来ややもすれば中小のゴム工業ば非常に不安定な立場に立っておるのだから、そういうものを今回の機会において特別に助長する上において、あるいは工業組合とかそのほか協同的な中間体を作る、そういう施設を作る上において政府がその必要な協力をするという育成の考え方をする必要があるのじゃないだろうか、大体この二点について政府の考え方をお尋ねしておきたいのであります。
#6
○齋藤政府委員 新会社の株式及び役員に関しての御質問でございますが、合成ゴムという製品は、さしあたり現在のところはほとんどゴム業者だけが使う品物でございます。従ってゴム業界がこの会社に対して協力するかどうかということが、この会社の存立あるいは順調な発展というふうなものの一番大事な点でありますので、われわれといたしましては、ゴム業者全部に参加してもらいまして、業界の共同の会社だ、そういう意識を十分持って運営してもらいたい、そのように考えております。なお技術関係あるいは原料関係の者もやはりできるだけ広い範囲で入ってもらいまして、この会社の運営に協力してもらいたい、このように考えておるわけであります。もちろん株式の引き受けにつきましては、特定の二、三の会社が支配的な力を持つような形にならないように、われわれとしては十分業界を指導していきたいと考えております。役員につきましても全く同じでございまして、特定の企業が特別な支配力を持つようなことが絶対にないように監督していきたい、ただし株式について申しましたように、業界が心から協力できる形に持っていくことは、役員構成についても必要ではないか、このように考えております。それから御質問の第二点の、中小企業に対する対策でございますが、これは全く仰せの通りでございまして、この会社の生産量のうちで相当部分はどうしても中小のゴム業者に使ってもらわなければならないものでありますから、現在の設備だけで十分使い切れないというような業者につきましては、今お話しの協同組合のような制度が多分適当だと思いますので、そういう組織を使いまして、十分使いこなせるように政府の方としても援助したい、またこの新会社としても当然そういう方面に努力をすべきであると思っております。
#7
○中崎委員 ちょっと最初の点について釈然としないものがあるのでもう一度質問してみたいと思う。この会社はゴム関係業者の自分たちの会社であるという考え方を持って進んでいきたいというのでありますが、これはゴム関係業者の自分たちの会社であると同時に、国民の会社でもある。同時に原料を供給する者の会社でもある。あるいは技術の関係を持つところの会社側方面の会社でもある。お互いが持ちつ持たれつして一つのものを作り上げていくのだという考え方の上に立っているのだということを確認願うと同時に、元来この人造ゴムは、ゴム業者が使うのだ、これはわかっている。ところが現在においても外国からどんどん輸入して使っている。しかも外国から輸入してきたものと同じ価格の、同じ質のものを今度の会社において提供するということになっているのだから、好んで外国から輸入する必要はない。国内のゴム業者は、この会社ができるできないにかかわらず、どこかから買うのはきまりきっている。しかもこの会社は一ぺんに四万五千トン作るのではなく、最初はごく少量で、だんだんと民間のそうしたものの需要にぴしゃっと合うように施設とか技術とか、生産が進められることになっている。そういう意味において、必ずしも七割に近いような株を持たさぬでも、あるいは代表者その他の重要な人事がそういうものに片寄らなくても、十分に運用できるのだから、そういうことも含めて公正に――ウェートをどっちにもかけるな、三つにも四つにも割れという考え方ではないのだけれども、あまりにも一つに片寄り過ぎて、その発言が大勢を支配するような、そういうやり方ではいけない。この前のように、ゴム業者の一、二がそうしたというのなら、これは一、二の特定の会社に指導力を持たせないということは言えるかもしれないが、ゴム工業が一丸となって独占的な形においてやるのだからそういうことが言われる。それから一、二の会社がどうのこうのというのではなしに、ゴムならゴムの需要者、その方面にもあまりに大きなウェートをかけ過ぎてはいけないのではないか、こういうことを言うているのだから、この点も含んで、今私が言ったようなおよその線において、結局においてそういう妥当な結論を生むような運営をしてもらいたい、こういうのが私の布望なんですが、そういう点についてもう一度一つ……。
#8
○齋藤政府委員 先ほどお答えしましたのが不十分だりたかと思いますが、これは全くお話の通りでございます。株式の引き受けでも、役員の選任でも、特定のグループに支配権を持たせるような、そういうやり方はもちろんいたす考えはございません。大体資本金の半分近く政府資金を出しますから、その辺は出資者としての政府の立場、また広く国民の立場というものも当然会社の方へ反映さしていかなければなりませんし、原料供給者なり技術の提供者なりの正当な立場というものも、当然生かされなければならないということは言うまでもないことであります。その点は十分気をつけていきたいと存じております。
#9
○中崎委員 問題があるのですが、この程度にして……。
#10
○福田委員長 これにて質疑は終局いたしました。
 ちょっと速記をやめて。
    〔速記中止〕
#11
○福田委員長 速記を始めて下さい。引き続き本案を討論に付します。通告がありますのでこれを許します。多賀谷真稔君。
#12
○多賀谷委員 ただいま議題になっております合成ゴム製造事業特別措置法案について、日本社会党を代表して討論を行わんとするものであります。
 まず、合成ゴムの国産化の必要性については、今さら多言を要しないと思い、この点につき政府の積極的な政策については賛意を表するものであります。しかし合成ゴム製造の会社の性格について一言いたしたいと思います。本法によりますと、本年度は開発銀行による出資によって出発し、その後一年後において政府の直接出資に切りかえることになっているのであります。しかも一年後の会社の性格については、いまだ不明確であることはまことに遺憾であります。政府出資の会社は、従来は電源開発会社が、石油資源開発会社のごとく特殊法人となっており、政府出資をする以上は当然であると思考するのであります。もし民間会社として育成するのでありますならば、政府出資とする要はなく、補助、金制度、融資制度として産業振興をはかるべきであり、新たなる形態の株式会社を設立すべきではないと思うのであります。本法施行後、一年後の会社の性格を不明確にし、暫定処置を本文にして本内容とすべきものを、附則第三項としている妙な法体系と言わざるを得ないのであります。われわれはこの会社の性格の不明確なものの設立を容認することは、国会の権威からいってもいさぎよしとしないのでありますけれども、合成ゴム製造の緊急性を痛感いたしますがゆえに、ここに賛意を表する次第であります。政府はこの点を十分留意せられて善処せられんことを要請し、討論にかえる次第であります。(拍手)
#13
○福田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 合成ゴム製造事業特別措置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#14
○福田委員長 起立総員、よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 この際、佐々木良作君外一名より、本案に対し自由民主党及び日本社会党両派共同提案にかかる付帯決議を付したいとの提案がなされております。佐々木良作君に発言を許します。佐々木良作君。
#15
○佐々木(良)委員 お許しを得まして、まず付帯決議の案文を朗読させていただきます。
   合成ゴム製造事業特別措置法案に対する付帯決議案
  政府は、本法の施行にあたっては、次の諸点に特に留意すべきである。
 一、日本開発銀行の出資による方式を政府出資に切り換えるに際し、合成ゴム会社の性格を明確化し、政府出資を受け入れるにふさわしいものたらしめること。
 二、本法による会社の設立並びに運営の経過については、適時国会に報告すること。
 三、本法による会社の製品についての中小企業者の利用を容易ならしめるよう、中間加工施設の整備をはかること。
 四、本法による会社の株式の引受並びに主たる人事については、利害関係の深い特定のものに集中しないよう指導すること。
 以上であります。
 これは御説明するまでもなく、ただいまの同僚多賀谷委員の討論の中にもありましたように、まず第一点におきましては、本法によって設立される合成ゴム会社の性格がこの法律の中では必ずしも明確でないのでありまして、これが本格的に特殊産業として政府が育成に当るべきものなのか特定な段階にいくと、完全に民間産業として発展させようとするものであるか、不明確な内容を持ったものでありまして、本法もそのことを承知した上で、一年後におきましては開銀出資を政府出資に切りかえるということを明確化しておるわけであります。従いまして政府出資に切りかえるに際しては、今不明確となっておるところの性格を明確に打ち出すべきであるということを言ったわけでありまして、それが第一点であります。
 第二点は、これは申すまでもないことでありまするけれども、今申し上げましたようないわば暫定法的な性格を持っておる立法でありまするがために、その会社の設立から運営の経過並びに一年後の切りかえの方法等につきまして、適時国会に報告をし、そうして最初の本法の目的を逸脱しないように、目的に、沿うような運営がされるようにという注意であります。
 それから第三番目の問題も、申すまでもないことでありまするけれども、特に中小企業者の利益を容易ならしめるような施設を整備しろと、特例に注意を喚起しておいたわけであります。最後の第四番の問題も、これも言うまでもないことでありまするけれども、特別に性格の不明確な法律による会社でありまするがために、特に監督官庁でありますところの通産省の指導方針を明確にしまして、本法の運用に遺憾なきを期したいという趣旨のものでありますので、皆さんの御同意を得て、全会一致の付帯決議たらしめたいと存ずるわけであります。
#16
○福田委員長 採決いたします。佐々木良作君の御提案の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#17
○福田委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。
 この際、通商産業政務次官より発言を求められておりますのでこれを許します。長谷川政務次官。
#18
○長谷川政府委員 ただいまの御決議に対しまして一言あいさつを申し上げます。審議の過程において御意見のあった点と、さらに本決議案の御趣旨は十分尊重をいたして参りたい所存でございます。
#19
○福田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#20
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#21
○福田委員長 次に、昨十三日参議院より送付せられ、本委員会に付託せられました輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。これよりその趣旨の説明を求めることにいたしますが、参議院において修正された議案が原案となって本院に送付せられておりますので、本案の説明聴取に際し、参議院の修正点につきましても、便宜上政府より説明を聴取することにいたします。長谷川通商産業政務次官。
    ―――――――――――――
#22
○長谷川政府委員 輸出入取引法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 輸出入取引法は昭和二十七年八月に制定されて以来、二十八年八月、三十年八月の改正を経て、今回第三回目の改正となるわけであります。この間、輸出入取引法に基き三十四の輸出組合、一の輸出入組合が設立され、現在約七十件の輸出または輸入に関する協定の締結、組合員の順守すべき事項の設定が行われ、関係業界の自主的協調態勢の強化も見るべきものがあります。しかしながら、輸出輸入ともに過当競争がなお依然として行われ、わが国貿易の健全な発展上種々の障害を与える事例か跡を断っていないことは御承知の通りであります。申すまでもなく、ひとりわが国貿易の健全な発展をはかるためのみならず、国際貿易の円滑な遂行に寄与するためにも、一日も早くかような過当競争を排除し、輸出取引、輸入取引の秩序の確立をはかることが、わが国貿易の当面している最も重要な課題の一つであります。このたび提案をいたしました輸出入取引法の一部を改正する法律案は、かような過当競争の排除と貿易における協調態勢の確立を意図するものでありまして、その主要な改正点は、次の通りであります。
 第一に、輸入に関する協定締結事由の制限を緩和し、輸入業者が国際的な取引条件等に比較して不利な輸入取引条件を課せられる場合に、これを改善するため必要な協定を締結できることとし、また外国における資源の開発に資するための協定も新たに認めることといたしました。
 第二に、輸出輸入または輸出入調整に関するアウトサイダー規制命令が行われる場合に、その命令にかかる事務の一部を輸出組合、輸入組合または輸出入組合に処理させることができることとし、事務処理の能率化と簡素化をはかることといたしました。
 第三に、輸出の過当競争に伴う安値輸出が行われる結果、輸出価格の維持安定をはかることができないのみならず、生産業者または販売業者の経営の安定も阻害されるため、これに対処して輸出業者と生産業者または販売業者との中間に共同の買い取りまたは販売機関が設立されている場合に、特に必要があると認めるときは、この機関を法律上の一元的な買い取りまたは販売機関とし、その業務の公正を確保するため所要の監督を行うことといたしました。
 これを要するに、この法律案はわが国貿易の特質と現状に即応するよう、輸出入取引法の規定をさらに整備して、輸出取引及び輸入取引の秩序確立並びにわが国貿易の健全な発展をはかろうとするものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望する次第であります。
#23
○福田委員長 この際松尾通商局長より本案に対し補足説明をいたしたいとの申し出がありますので、これを許します。松尾通商局長。
#24
○松尾(泰)政府委員 お手元に輸出入取引法改正要綱をお配りしてありますので、それを読みながら若干補足説明をさせていただきます。
 第一に輸入協定の締結事由の制限の緩和であります。「輸入業者は、次の各号の一に掲げる事由がある場合において、それぞれ各号の事由を除去するため必要あるときは、輸入に関する協定を締結するとができることとすること。一、輸出国における輸出の競争制限、その輸出国からの他の外国の輸入の競争制限、わが国の輸入過当競争等の原因により一国際的取引条件等に比して著しく不利な輸入取引条件が課せられ、またはそのおそれがあること。二、通商協定の実施等のため、貨物の輸入が必要である場合に、その貨物の価格が高いか品質が異なるため輸入が困難となり、またはそのおそれがあること。三、外国における資源開発促進のため、その開発によって生産される貨物の継続的な輸入を共同して保障する必要があること。」若干説明を加えさせていただきますが、一、二、三と三つ号を掲げてありますが、二号は現行法にもあるわけでありますので、説明を省略いたします。第一号が若干現行法とは改正されましたのと、三号が今回新しく追加せられたのであります。先ほども提案理由の中で御説明があった通りでありますが、現在の輸入業者が輸入の協定を締結し得る場合、また輸入組合が設立されておる場合におきまして、組合が組合員の順守すべき事項を定める、こういう非常な制限をされておるのでありまして、それを今回最近の輸入取引の事態に即応するように輸入協定を締結し得る場合をかなり範囲を拡大したいという趣旨でございます。
 まず第一号から説明を申し上げてみますと、現行法によりますと、相手国におきます輸出競争制限なりあるいはわが国の輸入の過当競争がありましても、その結果国内の関係事業者または一般消費者の利益を著しく害するようなときでなければ輸入協定の締結が認められないということになっております。それを今回は輸出国における輸出の競争制限のほか、その輸出国からの他の外国、いわゆる日本から見ますと日本の競争国の輸入競争制限、わが国の輸入過当競争というような原因から、国際的取引条件に比べて著しく不利な輸入取引条件が課せられ、あるいはそのおそれがある場合に、輸入業者が協定を締結できるというように範囲をかなり拡大しようという趣旨でございます。
 次は第三号でございますが、最近の外国における資源の開発状況にかんがみましてわが方もこの開発に協力をするような態勢を作る必要があるのではないかと思うのであります。それには個々の輸入業者がばらばらに貨物の輸入をやっているということでありますと、継続的な貨物の輸入も困難になり、その結果相手方における資源開発の意欲も、あるいは開発した物資の市場の確保というような点から見ましても、困難が生じて参り、ひいては外国における資源開発の促進にもならないわけであります。従いまして、さような場合にわが国の関係輸入業者が、長期にわたりましてその貨物を輸入することを協定をするわけであります。さらにまたその協定を補完するため必要な限度におきましては、他の外国から輸入をする同種もしくは類似の貨物との調整を行う協定、たとえばプールのような協定を実施いたしまして、その資源の開発に協力する態勢を整えることを認めようとするのが第三号の趣旨であります。現在のところ輸入業者の協定というのはわずか二件であります。輸入組合もまだ一件も設立に至っておりません。それはこの輸入貿易が輸出貿易と違いまして為替管理制度のもとに置かれている結果ももちろんありますが、この輸入業者の協定が締結し得る場合のこの条件が非常に制限されておるということにもあるのではないかと思うのであります。必要が痛感されながら、実情はそのようにうまく行っておりませんので、今回こういう業者が協定をし得る場合を拡大をしまして、輸入貿易の秩序の確立なり輸入貿易の健全な発達に資したいという趣旨でございます。
 それから次に移ります。「第二アウトサイダー規制命令にかかわる事務の処理、通商産業大臣は、アウトサイダー規制命令の円滑な実施をはかるため必要があると認めるときは、その命令にかかわる事務の一部を輸出組合、輸入組合または輸出入組合に処理さぜることができることとすること。なおこの場合において、通商産業大臣は、その組合の役員が命令にかかわる事務を不当に処理した場合等には、これを解任することができることとすること。」
 現行法によりますと、通商産業大臣がいわゆるアウトサイダー規制命令を出した場合には、たとえば通商産業大臣の承認を受けなければならぬというふうな命令を出しました場合には、通商産業大臣の直接管理になるわけであります。すなわち直接通商産業大臣の承認を受けるということになるわけでありますが、その場合におきましても、現在通商産業大臣の輸出承認に関する事務を処理するために特に必要がある場合には、特定の輸出組合を経由しまして、輸出承認申請に関する書類を提出させることができるようになっておるのであります。これを経由組合の制度と申しておるのであります。もちろんこの経由組合の制度もかなりの効果もあるわけでありますが、この制度は輸出取引秩序確立のためには、政府による直接管理のほか、業界における相互監視機能を活用するというふうな点におきまして、かなりの効果のあることはもちろんでございますが、最近におきます輸出組合の機能の強化と協定活動の活発化にかんがみまして、この経由組合の制度を一歩進めまして、単なる書類の経由事務にとどまらず、アウトサイダー規制に関する相当の事務を関係の組合に処理させることができることとしようということによりまして、経由組合の制度をより以上に能率的にこの事務の処理をさせよう、こういうわけであります。この点につきまして参議院におきまして修正をされましたのは、この事務の一部を関係の組合に処理させることができる、この場合もちろん政令をもっていたすのでありますが、この場合に輸出入取引審議会に諮問をして、この事務の一部を処理さぜるというふうに改正をせられたのであります。政府原案におきましては、アウトサイダーの規制命令はもちろん審議会にかけるという建前になっておりまするので、事務を一部処理させるという場合には、審議会に諮問する必要もなかろうかと思ったのでありますが、なお慎重を期するという意味におきまして、輸出入取引審議会に、この事務処理の場合にも諮問するということに改正をせられたのであります。なおこの場合におきまして、通商産業大臣は、その組合の役員が事務を不当に処理したり、役員たるにふさわしくないような非行のあった場合におきまして、これを解任することができることといたしまして、いわゆる組合の統制を受ける業者側の利益保護をはかったのであります。この解任をすることができるというところは、参議院におきまして、少しきつ過ぎるのではないかということで、解任の勧告ということに改正をせられたのであります。次は第三に移ります。「第三、指定機関、輸出貨物の国内取引にかかる適法な共同行為により、その貨物の一元的な購入または販売の機関が設立されており、かつその機関が次の各号に該当する場合であって、しかも輸出取引の秩序の確立または輸出買易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去するため必要があり、かつ適当であると認められるときに、政令でその機関を指定した場合は、輸出業者はその指定を受けた機関(以下「指定機関」という。)から購入したものでなければ、その貨物を輸出してはならないこととすること。一、輸出業者がその購入または販売の機関から購入して輸出している額がその貨物の総輸出額に対し相当の比率を占めていること。二、その購入または販売の機関が十分な経理的基礎を有していること。三、その購入または販売の機関が指定機関として指定されたい旨の申出をしたこと。2 指定機関の業務の方法、事業計画等業務に関する重要な事項について通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣は所要の監督を行うこととすること。3 独占禁止法の規定は、指定機関の行う正当な行為には、適用しないこととすること」若干補足を申しますと、まずこの指定機関の指定に当りましては、生産業者または輸出業者の段階におきまして適法な共同行為がありまして、たとえば輸出業者ならば輸出入取引法、製造業者ならば今回制定ぜられんとしております中小企業団体法、あるいは輸出水産物の製造業者であるならば輸出水産物振興法というような、それぞれの法律に基きまして、関係のこの組合が適法な共同行為によりまして、すでにこういう一元的な共販機関というか買取機関というようなものが設立されておりまして、かつその当該業者からこの機関を指定機関にするようにという申し出があり、政府の方でいろいろな判断を加えまして、その機関の設立が必要であり、かつ適当であると認めた場合に、初めてこの共販機関を法律上指定機関として認めるわけであります。
    〔委員長退席、笹本委員長代理着席〕
認めた場合におきましては、あらゆる貨物はそこを通さなければ輸出ができないということにせんとするのであります。ということは、現行法のもとにおきまして、いろいろのアウトサイダー規制命令等を加えましても、輸出業者が海外の業者に対しまするリベートとか、あるいはまたひいて輸出業者が生産業者に対する買いたたきというふうな行為が裏面にありまして、いろいろな措置をもってして本輸出価格の安定ということができにくい場合がかなり多いのであります。そういう場合に、この輸出業者と生産業者との中間にかかる一元的な機関を認めまして、その機関を通して売り買いをするということによって、輸出価格の安定をはかろうというのがこの趣旨であります。従いまして、この指定機関の指定を受けますと、この機関はかなり独占的な一元的な機関になりまするので、十分な監督を加える必要があるということで、この指定機関の基本的な事項になります業務方法と事業計画等を認可制にするほか、所要の監督命令も出せるというふうな建前になっておるのであります。また従いまして、独禁法の規定もこの指定機関の行う正当な行為には適用しないという建前になっておるのであります。
 簡単でありますが、これをもって終ります。
#25
○笹本委員長代理 本案に対する質疑は後日にこれを行うことにいたします。
    ―――――――――――――
#26
○笹本委員長代理 去る四月三十日本委員会に付託せられました水谷長三郎君外十三名提出、中小企業に対する官公需の確保に関する法律案、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、百貨店法の一部を改正する法律案、以上各案を一括議題とし、審査に入ります。中小企業に対する官公需の確保に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。八木昇君。
    ―――――――――――――
#27
○八木(昇)委員 ただいま議題となりました中小企業に対する官公需の確保に関する法律案の提案理由を、提案者を代表して簡単に御説明申し上げます。
 戦後の経済復興過程を通じ、保守党政府の一貫した独占資本擁護の経済政策によって独占資本は再建されましたが、それは一方において中小企業を犠牲としてのみ可能であったわけであります。中小企業は残された狭隘な市場をめぐって、その相互間の過度競争は激化するばかりでありまして、さらに最近では大企業による中小企業分野への進出は製造、販売その他すべての部門で顕著となり、中小企業者の存立に重大な脅威を与えておるわけであります。今日中小企業問題は、単なる経済問題としてばかりでなく、重大な社会問題として存在しておるのであります。こうした中小企業問題の根本的な解決は、国の財政、金融その他万般に及ぶ総合的な施策を待って初めて可能であることは言うまでもないのであります。しかし現実にはこのような施策が望み得ない今日の段階において、せめて中小企業の事業活動の分野を可能な限り確保していく措置がとられていかねばならないと信ずるものでございます。その意味において、まず国及び公共企業体等が率先してこの問題に対処すべきであると考えるのであります。アメリカにおいては国防省の総予算のうち一割以上を中小企業に発注しなければならないとの規定か施行せられております。このことはわが国における官公需品の発注が大企業に偏し、中小企業はほとんど顧みられないのと比べて特に重視されなければなりません。昭和三十一年度における国及び公共企業体並びに地方公共団体等の物件費の総額は九千億をこえる膨大な額に上り、かりにこのうち一割以上を中小企業に確保するとしましても、毎年一千億に及ぶ需要が保証されるわけであります。そこでまず国及び公共企業体のなす物資の調達、工事の請負その他の契約について、中小企業に対し一定割合を確保せんとするのが本法律案の目的であります。
 この法律案の内容の大要は次の通りであります。まず第一に、学識経験者を中心に構成された中小企業官公需確保審議会において、国及び公共企業体が中小企業者となすべき官公需契約の割合を調査審議せしめ、その答申に基き内閣総理大臣がその割合を公表することといたしたのであります。
 次に各機関にその公表された割合に達するよう努力する義務を負わしめ、その割合を達成するために必要がある場合は、契約の特例を設けて、中小企業者のみに対して競争入札を行うことができることとしているのであります。
 第三に、毎会計年度において中小企業者となした官公需契約の実績について、主務大臣または内閣総理大臣に対して報告をなさしめ、一方官公需契約を達成するため、内閣総理大臣または主務大臣に必要な勧告を行わしめることといたしているのであります。
 以上が本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。どうか慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げます。
#28
○笹本委員長代理 次に下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案並びに百貨店法の一部を改正する法律案について、その趣旨の説明を求めまする。田中武夫君。
#29
○田中(武)委員 ただいま上程されました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を申し上げます。去る二十四国会で成立を見ました下請代金支払遅延防止法の施行後心経緯を見まするに、一般に好景気がうたわれた経済の情勢にもかかわらず、下請代金の支払い遅延は依然として改善されず、また下請出金の額が不当に低く押えられているため、そのしわは結局下請事業の労働者の賃金に寄せられ、大企業と中小企業における賃金格差はますます大きく開きつつあるのであります。すなわち、法の施行後本年の二月までにおける下請代金の支払い状況を公正取引委員会の実態調査によって見まするに、一千の下請工場のうち今なお半数が九土日をこえる手形の交付を受けている状態であります。また最近労働省が発表した三十一年度職種別等賃金実態調査によりますと、全産業について一守人以上の企業に働く労働者の賃金を一〇〇%とすると、五百人から九百九十九人までの企業の賃金は八四%、百人から四百九十九人までが七七%、三十人から九十九人までは七一%、十人から二十九人までの企業における労働者の賃金に至ってはわずかに六〇%という状態であり、前年度に比し大企業と中小企業の賃金格差は一段と大きくなっているのであります。従いましてこうした下請事業者並びにそこに従事する労働者の利益を守り下請取引の公正を確保せんとするものであります。
 本法律案の内容は次の通りであります。一つには、親事業者が下請事業者に対して支払う下請代金の額は、不当に低いものであってはならず、下請事業の労働者の賃金が、親事業の労働者の賃金に比しで著しく不均衡となることが当然予想されるような下請代金の額を下請事業者に押しつけることのないように規定しているのであります。その第二は、親事業者が下請事業者に対し交付する書面に、単に下請代金の額だけでなく、返品の条件、検収期日、支払期日、支払手段を明記させることといたしたのであります。次に下請代金の支払いが不当に遅延することを防止するため、検収期日を物件の引渡し後十五日、支払期日を検収後六十日と規定することにしたのであります。従いまして、これらの期日を経過したものは不公正な取引の対象として規制せられることになるわけであります。これによって従来支払期日の不明のために骨抜きとなっていた法り内容を充足し、本来の目的の達成をはからんとするものであります。
 以上が本法律案み提案理由並びに内容の大要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のために御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
 次に、ただいま上程せられました百貨店法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。去る二十四国会におきまして特に百貨店業の事業活動を調整し、中小商業の事業活動の機会を確保する目的をもって百貨店法の制定を見たのでありますが、施行後約一年を経た今日、その経緯を顧みまするに、法の目的はかえって無視せられ、逆に既存の百貨店を保護するように運用されて参ったのであります。すなわち、同法附則第三条にいう工事施行中のものにつきましては、許可の申請をなしたもの七十四件のうち七十件に対し営業の許可を与え、その売場面積は三十万平方メートルも激増いたしたのであります。さらに加うるに、同法第六条に基く店舗の新設の許可はすでに十三件の多くに達しているのであります。法の運用を適正ならしめるため特に衆参両院において行われた付帯決議は、公共団体の土地または施設の利用、並びにターミナル施設の設置を禁止し、また中小商業者の利益を阻害するような不公正な事業活動を厳に戒めていたのでありますが、これらはすべてほごと化し、通商産業大臣はむしろ積極的に既存の百貨店の保護育成に努力を払い、百貨店審議会もまた法の公正な運用に何らの貢献もいたさなかったのであります。そこでわが社会党はここに百貨店法の一部を改正する法律案を提出し、法の本来の目的を達成するため、百貨店の事業活動を規制し、不当な店舗の拡張を制限し、もって中小商業者の公正な利益を確保せんとするものであります。
 その内容のおもなるものは次の通りであります。まず第一に、店舗の床面積について従来の物品販売業を営むもののほかに飲食店営業または喫茶店営業を営むものも加算することとし、百貨店の不当な売場面積拡張の手段を封ずることにいたしたのであります。
 第二は、割賦販売、積立金組織による予約販売その他特定の営業方法に関し、それが中小商業の利益を著しく害するおそれある場合は通産大臣は許可を行なってはならないこととしているのであります。
 第三は、百貨店がその優位な立場を利用して、仕入先たる中小企業者に対し、返品、値引きその他不公正な仕入れ行為を行うことを禁止しているのであります。
 第四は、百貨店審議会の公正な運営を期すため、学識経験者のほかに中小企業者を代表委員に任命すべきことを明記し、中小企業者の利益を公正に守る道を開いたのであります。
 次に、国、地方公共団体その他政府関係機関の所有する土地または施設を百貨店業の店舗の用に使用させることを禁じ、最後に百貨店業者の不公正な販売行為、仕入れ行為を規制するため、特に公正取引委員会にその判断をゆだねることといたしたのであります。以上がこの法律案の提案理由並びに内容の大要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
#30
○笹本委員長代理 本日はこの程度にとどめます。
 次会は明十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
    午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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