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1956/06/25 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第7号
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1956/06/25 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第7号

#1
第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第7号
昭和三十二年六月二十五日(火曜日)
    午前十時二十七分開議
 出席小委員
   小委員長 小島 徹三君
      亀山 孝一君    田中 正巳君
      野澤 清人君    八田 貞義君
      岡本 隆一君    滝井 義高君
      八木 一男君
 小委員外の出席者
        厚生事務官
        (医務局長)  小澤  龍君
        厚生事務官
        (社会局保護課
        長)      尾崎 重毅君
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 正巳君
        厚生事務官
        (保険局次長) 小山進次郎君
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      館林 宣夫君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
六月二十日
 堂森芳夫君五月十三日委員辞任につき、委員長
 の指名で小委員に補欠選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 診療報酬及び薬価に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島小委員長 これより診療報酬及び薬価に関する小委員会を開会いたします。
 診療報酬及び薬価に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。滝井君。
#3
○滝井小委員 先般五月十三日に第五回目の委員会を開催したときに、いろいろ厚生省の方から出していただいた数字を基礎にして単価らしいものを出したのですが、それには多くの未定稿の部分があった。それらのものをある程度厚生省のいろいろな資料に基いて埋めてもらいたい、そうすればある程度単価らしいものが、またより単価らしいものに近づいていくのじゃないか、そういうことでだんだんたたき台を作っておるうちに、いろいろと世論もこの問題に関心を持って、厚生大臣が言明したことが実現できる情勢になってくるだろうというような考え方から、厚生省の意見をいろいろと求めたのですが、それを一つきょうは御説明願いたいと思います。
#4
○高田説明員 厚生省の意見というわけではございませんが、いろいろ委員会でも御意見が出たようでございますから、それらのものを総合しまして、一応こういう計算もできるというものをごらんに入れたわけでございます。それで左側は、滝井先生がこの前でございましたかお示しになりましたものでございます。右側について詳細の説明を医療課長からさせていただきますが、滝井先生の御案の中に盛り込んである思想を取り入れまして、理屈からいって少し悪くなったところと、それからいろいろその他の経費等につきまして私どもの方の数字でよくなったところと、両方ございます。これにつきまして御説明申し上げます。
#5
○館林説明員 お手元にお配り申し上げました資料の右側をごらんいただきたいと思います。印刷の間違い、説明の不十分な点もございますので、それをあわせて訂正しながら御説明を申し上げます。
 滝井先生の御案によりますと、満四十九才になりました国立施設に勤務する医師の俸給が基準になっておりますが、この小委員会の御意見によって計算いたしました方は、三十才から六十才まで勤務すると仮定いたしまして、その間三十年の間に収得する報酬額を計算いたしたわけでございます。それが一番上にございます五万一千六百九十六円、これはそれを平均して得た数字でございます。ところが三十才から六十五才まで勤務するといたしますと、その下の数字、五万四千四百二十二円になり、七十才まで勤務するとすれば五万六千三百四十三円になるという、下の数字は参考までに書いてある数字でございます。
 次の退職金積立月額は、その六十才まで勤めてやめた場合に収得する退職金の額を、三十才から六十才までの三十年間に月々その分としてもらうということを仮定して計算したものでございまして、そのときもらう退職金の額は百十七万円でございます。やはり三十才から六十才まで勤務し、最終の俸給が本俸六万円になったといたしました国家公務員の医師の退職金百十七万円を三十才から毎月もらっておるという計算をしたわけでありまして、その間複利で、ここへ書いてございませんが五分の複利の利子を加算する計算をいたしてございます。
 それから次の欄は、その六十才にやめた人が――六十才の平均余命は一五・五二年の平均余命がございますが、その間恩給をもらえる。その最終のときの基本金として本俸六万円として、そのもらうべき恩給総額は年三十万二千四百円でございます。それだけの恩給を七十五才六カ月ぐらいまでの間もらっておる、こういう仮定のもとにその総額を三十才から六十才までの間になしくずしにもらうとして計算してございまして、その間の利率を五分の複利として計算してございます。ただしここには一つの問題がございまして、本来であれば三十才の人の平均余命を使う方がより正確であるのでございまして、この計算で参りますと六十才の平均余命を使ってございますから、全部の医師が必ず六十才までは生きるということを仮定したことになっておりますので、少し平均余命を長く見ております。実際は三十才から勤務するとすれば当然三十才がスタートでございますので、三十才のときの平均余命をとるべきであったかもしれません。そういたしますと平均余命の上では三、四年短かくなります。
 それから次の薬品衛生材料費でございますが、これは滝井先生の御案では、直接医業支出額二万一千九百三十八円をもって各種の経費の代表値としておとりになっておられますが、さらにそれを細分いたしまして、薬品衛生材料費、給食材料費、経費等に区分をいたしまして、また人件費の中の、診療所長以外の従事者の人件費というようにこまかく分けて計算をいたしたわけであります。この薬品衛生材料費の計算根拠は、あるいは本委員会に先般資料として一応お出ししてあったかと思うのでございますが、昭和三十年七月に厚生省で薬品の原価の占める割合を調査いたしてございます。すなわち薬品関係として取得した点数、たとえて申しますれば、注射をしたことによって何点得たかという点数、あるいは投薬をしたことによって得た点数、そういうような薬品を使用することによって取得した点数に対して使用薬品の原価が何パーセントを占めておるかという調査をいたしてございます。その調査によりまして一点当りの購入原価というものを出しました。そういたしますと、薬品関係で占める点数へその一点当りの購入原価をかけますと、薬品に費した経費が出て参ります。そのような計算をいたして、薬品関係の点数というのは三十年三月で非常に詳細にわかっておりますので、その詳細な資料から出て参りました薬品関係の点数に、三十年七月調査の一点当りの薬品の原価の割合をかけて、この数字を出したわけでございます。それがこの三万六千九百円九十銭という数字でございます。
 次は人件費でございますが、この個人立診療所院長、これは上にございます五万六千六百九十三円というものから出ております。この六万六千とありますのは間違いでございまして、五万六千六百九十三円の誤まりでございますが、ただいま申しましたような計算で、院長の俸給をここへ持ってきたわけでございます。その院長は、この右の欄の代表する診療所の様態は必ずしも全部が個人立のものだけでなくて、わが国の診療所の全体を代表する数字でございますので、そのうちのもちろん大部分は個人立でございますが、一部は個人立でない診療所があるわけでございまして、それと個人の診療所と分けるために、個人立の診療所の占める割合を調べたわけでありまして、その結果昭和三十年には八割七分が個人立であったということで今の五万六千六百九十三円へ八割七分をかけたもの、その四万九千三百二十二円九十一銭というものが、一施設当りの院長の俸給に該当することになりまして、残りの一割三分に相当する公的施設――国保の診療所のような施設の院長の分は下の欄にございますその他の従業者の中に含めたわけでございます。そういう調査がございますので、そのような様式によったわけでございます。この昭和三十年三月の、厚生省の医業経済調査によります個人立の診療所の院長を除いた診療所の従業者の俸給の一カ所当りの平均は、一万四百四十円二十三銭でございます。それが昭和二十七年三月の一施設当りの個人立の診療所長以外の人の俸給の平均額でございます。それに昭和二十七年から今日までの間に人数がふえております。患者がふえる、施設の拡張というようなことで人数がふえておりますので、それを考慮して――これは厚生省の統計調査部でやっておる、医療施設調査というのがございますが、その医療施設調査に基きまして増加率の補正をやって、一・二九というものをかけたわけであります。すなわち昭和二十七年以来二割九分の人員の増加があった。それから俸給の値上りをそれへさらにかけたわけでありまして、九人以下の医療担当者給与指数というのが総理府の調査資料にございます。その医療担当者給与指数による俸給の値上り一・三五をかけました、すなわち三割五分俸給が値上りになったという数字でございます。なお御参考までに毎勤はこの間二割四分程度の値上りでございます。従って数式といたしましては一万四百四十円二十三銭かける一・二九かける一・三五、その結果一万八千百八十一円六十六銭という数字が出て参るわけでございます。そのときのこれらの従業員に対する賞与、臨時給与、そのようなものが八百七十一円五十五銭でございまして、これに今と同じような人数の増加率、俸給の値上り率をかけたものがそこにございます千五百十七円八十銭、以上が人員増をかけたものでございます。賞与には人員増の割合もかけまして、千五百十七円八十銭が出て参りましたので、これらを全部加えました六万九千二十二円三十七銭というのが、一診療所当りの人件費総額でございます。
 それから給食材料費というものがございます。これは診療所によりましても、ごくわずかながらベッドを持っておる例もございます。統計上出て参っております。それは二十七年三月の一施設当り五百十六円十二銭という割合になります。それを今度は一施設当りの患者の増加率、これは厚生省の統計調査部で患者調査というものをやっております。患者調査の全国的な調査をいたしておりますが、それによる増加率一・一〇、一割患者がこの間ふえておりますので、それをかけまして、それから物価庁の調査による食糧消費者価格の指数による、食糧消費者価格の値上り率一・一二、一割二分の食糧費の値上り、これをかけ、すなわち数式で申しますと、五百十六円十二銭かける一二〇、かける一・一二、それが六百三十五円八十六銭という食糧費のスライドでございます。
 次は諸経費でございます。諸経費は非常に簡単にここに書いてございますが、やはり同じ様式で昭和二十七年三月の、一施設当りの諸経費を一応頭に置きまして、それでもっていって一施設当りの患者増加率、これは入院患者ばかりじゃございませんので、先ほどの一・一〇とは数字が違いまして一・一二でございます。二割一分の患者の増加率がある。それに各種経費の昭和二十七年以来の価格指数をかけてございます。
 ちょっと参考までに申し上げますと、水道料金、これは一施設当り百四十円九十三銭でございますが、それに一・二一という患者の増加率をかけまして、料金指数は全国的にこれを見る場合には、ほとんど変化がないので、一・〇〇というものをかけました百七十円五十三銭となります。ここにかなり問題がございますのは、人間がふえた割合に水道料が並行してふえる、患者がふえた割合に水道料金が並行してふえるという計算は、少し大目に見過ぎてあるかもしれません。必ずしも患者が倍になったから、水を倍使うというものであるいはないかもしれませんけれども、経費の考え方はおおむね患者に比例してふえるというかなり大目に見てございます。
 次が電気料金でございますが、八百六十二円五十三銭、それに一・二一という患者の増加率をかけて、電気料金の増加指数一・一三、一割三分の電気料金の増加指数をかけまして千百七十九円三十四銭。
 次がガスでございますが、ガス料金は五百四十八円七十五銭、これにやはり患者の増加率二割一分、一・二一をかけまして、ガス料金の値上りを考えて一・一五をかけまして、七百六十三円五十九銭となります。
 次が燃料費、二千二百七十六円二十九銭、それに患者の増加率一・二一をかけまして消費者価格指数の中の光熱費の比率、これは料金指数じゃございません。消費者価格指数というものがございます。先ほど申しました食糧費の一・一八というものがございますが、これをかけてございます。そういたしますと三千二百五十円九銭であります。次は被服費でございます。被服費は五百一円九十五銭、それに一・二一の患者の増加率をかけまして、同じく被服費の消費者価格指数〇・九五、五分値下りでございます。答えは五百七十六円九十九銭、次が事務通信雑費、これはたとえば基金へ報告する書類とか手紙の料金というようなものであります。これが二千三百八十八円八十八銭、これにやはり患者の増加率一・二一をかけまして、消費者価格の中の雑費指数というのがございますが、雑費の項目の値上り率一・二二をかけますと三千五百二十六円四十六銭になります。次は会議費、図書費及び旅費、こういう種類のものであります。これが千七百七十九円八十五銭であります。これは患者の増加率をかけるのは非常におかしくありますので、ここだけ一施設当りの従業員の増加指数一・一九というのをかけまして、そうしてそれに、これはちょっと計数を見つける方法がございませんので、ただいまの上の欄の通信費と同じ雑費の指数一・二二をかけまして二千五百八十三円九十九銭、そのようにした以上の計が一万二千五十円九十九銭、こうなります。
 それからその他の経費、これが非常にむずかしい部分でございまして、その他の経費の中には設備費、修理費というものもありますし、あるいは固定資産税というような税金も含まれております。この部分がはっきりいたしませんとなかなか正確な数字が出て参らぬわけでございまして、ここに相当問題がございますけれども、一応こういう計算をいたしたわけでございますが、昭和二十七年三月のときにその他の経費が占める割合と今日もその他の経費が同じ割合を占めるであろう、かような計算をいたしたわけであります。すなわちここに書いてございますように、AプラスBプラスCプラスD、それが十一万四千二百六十二円七十三銭、それに対してその他の経費が昭和二十七年三月に占めた割合は二割二分一厘五毛という数字を示しておったので、今日も同じ割合を占めるであろうとかけ算をして出してあります。ここでかなり問題となりますのは、設備、修理というようなものは、ただいまのAプラスBプラスCプラスDの中で、人間のふえ、患者のふえあるいは物価の値上り等をかなり実情に沿って見てありますので、設備、修理等についてもこの割合を使ったものをもとにすれば値上り率は相当加味されておると思われるのでございますが、税金はむしろ下っておるのではないかと思います。従ってそこへ出て参りました数字は、もう少しこまかく税率に当って参りますと相当程度下るのじゃないかという感じがするわけでありまして、これはさらに詳細な計算をしてみませんとわからないわけであります。
 以上のようにいたしまして、この全部の経費を総計いたしますと十四万三千九百十九円三十一銭、これが必要経費でありますその必要経費に対しまして、今日の医療の実態からどの程度の収入点数があるかということを次に計算してあるわけでありますが、これは昭和三十年三月に全国調査をいたしまして、一施設当りの点数が、いわゆる社会医療保険としての点数は八、七四〇・八二あるわけであります。そのほかに国民健康保険あるいは自費というような部分が相当程度あって、それによって医師が自分の毎日の時間を使用し、生計を立てておるわけであります一一・三〇という数字がそこに出ております。すなわち毎日のうちの七割の時間は保険の点数の時間で費されるけれども、残りの三割の時間は国民健康保険と自費の患者のために費される時間である、別の言葉で言えばそういうことでございますが、当然その分もこの計算では入れないとおかしいことになりますので、その分を加味いたしまして、一一三六三・〇七点の稼働点数がある、かように計算したわけであります。その稼働点数で必要経費を割りますと十二円六十七銭と出て参ります。なおここで先ほど申しましたように恩給の計算とか、あるいは各種経費を患者と比例して伸びると計算した点と、あるいは税率の値下りを考えてないという必要経費をかなり大幅に見てあります点が一つと、いま一つは二八%という税の特別措置による分の計算をしてございませんので、実際問題としてはこれは予測はできませんが、一円というような大きな額になるかどうかは存じません、何十銭という程度かもしれませんが、精密な計算をするとこの額よりは下るのではなかろうか、かように予測できるわけであります。
 以上御説明申し上げました。
#6
○滝井小委員 今の御説明は非常に科学的なようであって、非科学的です。というのは、二十七年三月という日本の自由診療が非常に多かったときの患者の指数をとっているのです。二十七年三月なんというのは、まだ日本の国民健康保険が一つも進展していない、いわゆる国民皆保険論なんというものが進展していないときだ。そのころは私たち学校を卒業してちょうど五、六年目なんだが、非常に自由診療が多かった時代だ。まだ国民保険なんかできておっても使わない時代です。従ってそういう二十七年三月の指数なんかを用いた単価の計算は、今の日本の皆保険下の計算としてはナンセンスだ。たとえば、この三十七年三月ごろを基礎にした国民所得、総医療費なんかの計算を見てごらんなさい。全部間違っている。この医療保障制度に関する勧告案を作るときの基礎数字が、社会保障制度審議会事務局から出ているのです。これをずっと見てみますと、たとえば国民所得の――これは政府から出ている資料です。分配所得が三十年が六兆七千九百四十八億とこう見て、そして総医療費が二千百二十三億三千八百万円、こういうふうになっている。それから三十一年が六兆九千七百十億の国民所得がある。もうこれは一兆違っている。三十一年は七兆六千百億。それからそのときの総医療費が二千二百七十一億三千二百万円。三十二年は見積りをしたときどういう工合に見積ったかというと、分配所得は七兆二千五百億と政府は見積っていたが、今年度予算編成に当って政府は八兆一千八百億と見積っている。そうするともうここで一兆違う。それに対する国民総医療費というものは二千三百九十四億七千百万円、ところがもう今年の医療費が二千三百億なんということはあり得ないのです。これは五百億以上違います。そうすると過去のずっと日本の医療調査を見てみますと、曽田さんの医務局長のときに出した、二十七年三月を基礎にした総医療費は千五、六百億円です。これからずっと逆算していくと、みんな間違っているのです。だから二十七年三月の調査などをもって日本の今の単価問題を論ずるということはナンセンスです。だからすべからくこれはやはり私のやったように三十一年をとらなければいけない。三十一年をとってそれをやらないと、今のように――今井案というものの非科学性はどこにあるかというと、いかにも今井案というものは科学的のように見えて多くのところからいろいろ指数を持ってきている、だからきわめて科学的のようであって間違っている。あれが間違っていなかったら、医師団体というものはあれに不満はなかった。ところが今井案を見てみると、非常に多くの指数を人件費、物件費でとってきている。今その今井案のいわゆる誤謬を脱却できずに、また医務局が同じように二十七年三月を基礎にしていろいろの詳しいかけ算をしてきている。こういう形で計算をすると大へんな誤差になってくるのです。だから統計というものは、そういう間違いがあるにしても、やはり三十一年度分くらいをとらなければいかぬ。少くとも皆保険を施行したときをとらなければいかぬのです。だからそういう意味で、今の案はいかにも正確で科学的のようであるけれども、これはきわめて非科学的です。しかも二十七年三月というときは、国民の医療費が今と全く違った要素で行われておるということなんです。それは国民健康保険が当時は行われていなかった。ところがもう国民健康保険が行われた現段階においては違う。たとえば東京と国民健康保険のある地区を調べてごらんなさい。がらり違う。だから問題はむしろ東京のような、あるいは福岡市のような国民健康保険のない地区の資料を基礎にした診療報酬の算定の仕方というものはだめなんです。だから、たとえば筑豊炭田、北九州のような、あるいは関西のようなほんとうに国民健康保険が行われ、健康保険の行われる地区を全国的にピック・アップして、そしてそれらのものを二、三十調べてみれば、大体今の保険医の収入というものがどういう実態であるかすぐわかります。それは私のところにいろいろたくさんそれぞれのところから持ってきておるが、岐阜などを調べてみると、もう医者の収入というものは哀れなものです。これは昭和三十年の調査なんです。これでもずいぶん違うのだけれども、基金から支払われた個人診療所だけの分を見ているのですが、そうすると岐阜で年間基金の総支払い高は約三億八千万円、そのうち二億六千万円が七つの官公立病院でみなとっておる。そしてわずかに八千九百万円が百六十一名の開業医で分配されている、こういう実態なんです。従ってこういう実態というものを調べてみると、私立診療所の平均月収が四万六千円です。そうすると、所得にしてみると、これは二八%というと一万三千円になってしまう。だからそういうことで、これは二十七年三月を基礎にしていろいろと物価で修正しているけれども、いかにもそれは科学的なようであるけれども、それではどうもなかなか納付がいかない。というのは数字のとり方という問題が出てくる。従ってやはり実態は、ごめんどうだけれども――私はだから昭和三十一年をできるだけ無理してとった。それはやはり近いところにとらないと、こうした統計というものは非常に大きな間違いを起してくる。それはいかにも科学的のようにあって非科学的なのです。現実は政府が皆保険政策を打ち出したのは三十一年になって打ち出している。しかもそれをどんどん推進している。むしろ私が言いたいのは、そういう国民健康保険と健康保険の行われている地区にやる。そうしますと、自由診療で三割なんということはできなくなる。問題は、自由診療の三割なんというものをこういう形で見てくれば、一万一千――一万一千というのは開業医には絶対にありませんよ。だから自由診療の三割を見るとするならば、むしろ逆に経費の中から自由診療の経費を差し引いてやる方が親切なのです。それを、労働力が加わった、しかも日本の開業医の経営というものは原始的な農業経営と同じです。一家をあげて家族が経営している。だから私なら私が私のうちで一人でやって、あと私の家内と私の妹が全部やる、こういう形態です。従って経費の中の家内が看護婦としてやる分と妹が看護婦としてやる分は、税務署の見積りは経費がないと同じ形になる。従ってそういうものは、原始的な農業経営において農業の生産費が非常に出しにくいと同じ形が出てくる。それはその経費をわれわれが二万円に見積りましても、税務署はとても見積ってくれない。それと同じです。従ってそういう形態があるので、これはあまり自由診療分を三割なんというものを見ずに、むしろ自由診療分を三割と見るならば、三割を自由診療分としてその医者の経費から引いてみたらいい。そうすると、純粋の社会保険の経費が出てくるのですね。それの方がいい。むしろそういうやり方の方が科学的なのです。そしてしかも今後皆保険下における開業医のあり方、開業医の実質的な診療報酬をどうするかということは、それの方がいいのです。こういうあまり複雑な計算というものは、われわれ代議士にもわかりにくいし、いかにも科学的なようにあって非科学的だ。だから、こういうめんどうな計算をやるならば、厚生省は、私はそう長くかからぬと思うから、抜き取り調査で国民保険と健康保険の行われているところを精力的に医師会と協力して十カ所ぐらい調査してみたらいい。そうすると割合に出てきますよ。そういう欠点の大きなところとして、今の計算の仕方は依然として今井案の大きな誤謬を踏襲しておる。そういうものから厚生省は抜け切っていない。そういうことが直感をしたことです。
 それから一つ、今のあれですが、私ばかり恐縮ですけれども尋ねたいのですが、一点当りの薬品の購入原価ですね、これを幾らに見積っているかということです。それは説明されなかったのです。
#7
○館林説明員 なお先ほど説明の足りなかったところを敷衍しておきますと、一・三〇というのは昭和三十年三月の実態からとってありますので、少し卑近の数字と私ども思っている次第でございます。もちろん滝井先生のおっしゃいますように昭和二十七年三月よりは、今日調査をした新しい数字の方が確かであることは間違いがないわけでございますが、ただそのような際に、日本の代表地をとるためにはかなり大槻模な調査をしないと、抜き取りで、それをもって日本の代表地とするには相当むずかしい問題が出てきはしないか、かように思う次第でございます。
 それから一点当りの中の薬品の価格と申しますのは、これは少し中がこまかく分れておりまして、投薬でいきますと……。
#8
○滝井小委員 医薬品、材料費でいいです。そういう形で出して下さい。
#9
○館林説明員 医薬品の方は三万一千百十九円二十八銭でありまして、これが最終の出た数字であります。これは一点当りの購入原価を医薬品全体として見てございませんので、そういう数字がございません。ただ医薬品をさらに投薬と注射にわけて、投薬でもパスとその他に分けるという、非常にこまかい計算から出てきたものでございます。医薬品の分は三万一千百十九円二十八銭、衛生材料費が五千七百八十一円六十二銭、この二つを足したものが三万六千九百円九十銭、こういうことでございます。
#10
○滝井小委員 その一点当りの購入原価というものをかけ算したでしょう。薬品の点数に一点当りの購入原価というものをかけたでしょう。たとえば今の単価――私の調べたところではこういうことが出ておるらしいのですが、一点単価の中で医薬品の材料費というものは二円九十八銭だ、こういうことでしたのじゃないのですか、購入原価一点当りというのは。
#11
○館林説明員 もっと高く見ております。投薬ではパスが一点当り四円三十三銭、パス以外の投薬用の……。
#12
○滝井小委員 そういう個々の薬品、パスとか何とかじゃなくて、少くとも医者はパスだけ使っているわけじゃない。医薬品というのはひっくるめて使っている。医薬品十一円七十七銭の単価の中には、今の計算でいえば、医薬品、衛生材料費というのはどのくらい占めているかということでしょう、今のあなたの一点当りの購入原価というのは。
#13
○館林説明員 私が先ほど申しましたのは、たとえば、しばしば言われますように、一般内科の開業医の収入の中で、投薬、注射によって所得する収入は総収入の六、七〇%を占めるという、その六、七〇%を占めるそういう医療行為に使用する原材料費は幾らであるか、こういう調査です。すなわちこういうことでございます。ある一診療所が月にかりに一万点の医療を行なったとします。その一万点の中で、簡単のために五千点が投薬、注射で取得いたします。その五千点の投薬、注射をするために使った薬品、材料費は二万円である、こういうような調査があるわけでございます。そういたしますと、五千円で二万円を割りますと、一点当り幾らの材料が要るかということがわかるわけでございます。そして五千点が一万点にふえれば、二万円が四万円になる、こういうふうなスライドの方法をとったわけでございます。
#14
○滝井小委員 そのことはもっとわかりやすく言えば、十一円三十銭なり、十二円五十銭の単価の中に医薬品、衛生材料が何円含まれているかということを見たら、結論は同じことじゃないですか。それの方が早い。日本全国の個人診療所の中の十一円五十銭という単価の中には、人件費が幾ら、医薬品、衛生材料が幾ら、給与が幾ら、償却費が幾ら、支払い利息が幾ら、その他が幾ら、こういうことを見ていけば、結局同じ結論になる。
#15
○館林説明員 計算的には同じことでございます。ただかけ算をするときに、薬品の部分だけとれば、薬品の部分の増加の数字へもっていってかければよろしいし、全体の中で占める割合を見れば、全体の点数の伸びへそれをかければよろしい。結果的には同じ数字になるのであります。
#16
○滝井小委員 だから、その一点当りの購入単価というものは幾らかというのです。今の計算をした基礎は。
#17
○館林説明員 私どもは投薬、注射の点数の中で占める数字から算出しております。その数字しか持ち合せがないわけであります。
#18
○滝井小委員 だから、投薬、注射と衛生材料と分けているのですから、幾らか出てくるんじゃないですか。
#19
○館林説明員 従って投薬、注射の一点当りの購入原価が、パスが四円三十三銭、その他パス以外の薬品が四円七十六銭、それから注射の面ではペニシリンが五円四十一銭、ストレプトマイシンが五円八十三銭、マイシリンが五円九十五銭、それ以外の全注射薬が三円六十六銭という数字が出ております。
#20
○滝井小委員 そうすると、それは平均したら幾らになるのですか。
#21
○館林説明員 これは加重平均をしなければなりませんので、ちょっと私どもは手元に持ち合せておりません。もちろんこれは計算をすれば出てくるかと思います。
#22
○滝井小委員 これはかえって加重平均なんてものは、さいぜんから言うように、科学的なようであるけれども、いかにも混乱している。一診療所当りの医薬品と衛生材料費が一万円の収入の中で幾らを占めているかということは、一万円はすぐ点数に換算できる、従ってその点数の中で薬品の価格が幾らかということは、昭和二十七年の曽田医務局長時代の三月調査で二割六分とか七分とかいう薬品の原価は出ている。
#23
○館林説明員 薬品のスライドの方式というものは非常にむずかしいのでございまして、昭和二十七年三月の調査を基礎にとれないのは、昭和二十七年三月にかりにAとBとCという薬を使った。Aを一、Bを二、Cを三使っておったといたします。今日も同じA、B、C以外の薬は使わない、A、B、Cの薬を一、二、三の割合で使っておれば、非常に簡単にスライドができるわけでありますが、A、B、Cは内容は今日すでに変っておりまして、数量的にもその配列が変っておりますので、やむを得ず一番新しい三十年七月の今日の実態をとって推定いたしたわけであります。
#24
○滝井小委員 その理論は、人件費にも当てはまるのです。二十七年の当時においては自由診療所等がふんだんにあったので、いろいろな家族以外の雇用人を使っておった。ところが二十八年暮れになって看護婦制度の改革等もあって、みんな個人開業医は雇用人を減らした。これはうしろに医務局の方がおられるから、聞いてみたらわかる。福岡なんか奥さんに全部看護婦の免状をとらしてしまった。そうして自分の家の看護婦の人件費を減らさなければ食っていけないような状態が出てきた。従って人件費の構成も違ってきた。それをいかにもこういう科学的な資料でやることは、ちょうど医療行為の頻度が違い、しかも使う物質の質が違うと同じことが、日本の医療に起ってきておる。その時代と昭和三十五年に皆保険を唱えておる現段階と非常に違う。従って私の言いたいことは、もはや自由診療によって立てる計算はすでに古い。だからそういうことをいつまでも厚生省がやっておるから、皆保険を疑われる。それなら思い切って自由診療なんかさっぱりのけて、国民健康保険とかそういうものを集中的にやってみて、そうして医療の形態はどうだ、これの方がはるかに将来のあり方を見通したことになる。そういうことは根本論になりますから、またいずれやります。
 次に説明を聞きたいのは、現在管理職員手当というものは病院の院長なんかに出ておりますが、院長は超過勤務手当をもらっていないから、管理職手当をもらっておるのですか。
#25
○小澤説明員 その通りでございます。
#26
○滝井小委員 管理職手当というものが超過勤務に切りかえられておるということで、私ちょっと疑問に思ったことがあったのですが、大体わかりました。
 そこで少しく尋ねておきたいのは、今国家公務員には期末手当があるわけです。ここに賞与、臨時給与というものの中には一千五百十七円八十銭ということになっておるが、院長には賞与や期末手当はやらぬということになるのですか。
#27
○小澤説明員 管理職手当をもらっておる者もその他の職員と同じように本俸に対して夏と冬合せまして二・二五現在ではやっております。
#28
○滝井小委員 そうすると千五百十七円八十銭というものに期末手当というものを加えなければならぬ。これは多分二カ月分くらいもらえますから、六万円なら十二万円、月約一万円程度の期末手当というものがこういう形でいくとすれば当然得られなければならないということになるわけですね。そういう点が一つ。それからこういう考え方なのですが、今度の健康保険法の改正で開業医は一つの医療機関に行って診療に従事するということになったわけです。そして従事した保険医の診療した集積が今度は療養の給付となって保険医療機関が請求するということになるわけですね。従っていわばわかりやすい概念でいえば一つの機関に行って技術を提供するという形はサラリーマンと非常に似ておるわけです。今度の健康保険法の立て方からいえばそういう形が一つ出てきておるわけです。そういう一面が現在開業医には客観的には健康保険法の成立によって出てきた。入っては一介の技術者となるが、同時に出でては一個の企業の経営者となるのです。従って当然恩給の前払い思想、退職金の前払い思想というものはそういう点から考えていいと思うのです。そういうものは医療国営の思想だと医師会なんか言っておるが、決してこれはそういう思想ではなくて、当然そういう医療国営思想、国家管理思想とは別に考えてもいいと私は思うのです。入っては技術を提供する一個の技術者として動くとすれば、言葉は悪いがその医療機関の一個の細胞、構成員の形です。従って当然期末手当的なものが加えられていいと思う。それから出でては企業の経営者ということになると、病院長あたりは交際費というものが必要になってきます。それはどういうものから出ておるかというと会議費、食糧費から出ておる。そうすると会議費、食糧費的なものを出でては一つの企業の経営者となるについては考えなければならぬということになる。これは通俗的な言葉でいえば、大学を出て、五年研究して村に帰る。三十になって開業した。帰ると先生だというので床柱の前にすわらされる。床柱の前にすわらされていい気持になっていたら、そのあくる日になると消防ポンプの寄付金が一万円きた。いわゆる一介のサラリーマンならそういうことはない。しかし一個の病院を経営している経営者ということで、その地域においては非常に重んぜられているという形です。これは当然病院のサラリーマンである院長が、同時にその病院を代表する経営者だという概念からすれば、そういう交際費なりあるいはそれに類似したものが会議費なり食糧費から出てきておるというようなことがある。当然そういう概念というものが経営者の面から加えられなければならぬ。いま一つはそういうものはおそらく医師会費等も含めて月五千円ぐらい要るだろうということがこれに加えられる思想になる。それから企業経営の危険率というものを幾らに見るかということです。これは普通医業というものが現段階では中小企業の範疇に入るという概念がだんだん濃厚になってきた。中小企業とは僕ら思っていないが、そういう概念が濃厚になってきた。そうすると、中小企業その他で大体危険率をどのくらいに見るかということは、いろいろ経営学等調べてみますと、大体売上高の二%から五%というのが――どうもこれは野澤さんがここにいらっしゃるから聞いてみないとわかりませんが、私のちょっと見たところでは、そのくらい経常学等では見ているようであります。そうすると、これの中をとって三%か四%と見ると、あなたの今出された十四万の四%とすると、約五千円くらいはこれを見なければならぬ、こういうことになるわけです。こういう面は当然考えられなければならぬという形が出てくると思うのです。入っては一個の技術を提供する、保険診療に従事する有機体の中の一構成、歯車である、出でては、その人は同時に小なりといえども一国一城のあるじである、こういう二面を開業医というものは備えてきておるわけであります。そういう点の考慮というものを厚生省はどういう工合にやるかということなんですね。今までの考えは、今井案というものを見ると、全然そういうものがされていない。世帯支出が昭和二十四年九月の実績では一万八千三百三十三円、これは二十七年一月の見込みではCPSの三〇%増として今後の見込み三%、世帯人員は五・二人、これは一万八千九百十九円という形になっておる。これはいわばほんとうに最低の生活をやりながら、そうして原材料なりいろいろの人件費的な要素を提供をされてやっておるというだけで、そこにいわゆる一個の経営者としての姿というものが何もない。従って当然正しい医療のあり方というものは、これはそういう姿が出てこなければならぬということなんですね。高田さん、きょうの朝日新聞をお読みになったかどうか知りませんけれども、現在聖路加病院あたりで聞いてみますと、もはや日本の医療は荒廃してどうにもやっていけない状態が来ておる。そして腰だめ的な数字だったけれども、原材料費が三五%、それから経費が二五%、人件費四〇%、そして四〇%の人件費が現在六〇%になりつつある。そして原材料、経費を人件費が食わなければならぬ、いわゆる低ベース診療従事者というものは呻吟しているということを言っておる。日本の過去の国家公務員の医療の実態を見ると、実に哀れな状態だったということは、これは小澤さんが御存じの通りです。先般私が質問したときも、全国の保健所長の最高給与は一体幾らかと言ったら十四級三号、これは四万五千九百円です。私らの学生のときもそうだった、三丁目一番地という言葉がはやった、理乙を秀才で鳴らした者が大学を卒業して落ち行く先はどこかというと高等官三等一級なんだ、勅任になれなかった。そして中学校で秀才で鳴らし、文科甲に行った連中にドイツ語や英語を学生時代に教えておった連中が、一方は功なって、たとえば門鉄局長になった、一方は功なって門鉄の病院長になった。給料を比べてみたらはるかに下になってしまった。いろいろな手当なんかを見て比べてみたら下になってしまった。日本の技術を尊重しないいろいろな形態というものはそういうものである。従ってそういう過去の、非常に技術者を冷遇しておった実態というものはこの際打破されなければならない。これが、日本の診療報酬をわれわれが問題にする一つの大きなゆえんでもあるのです。従って今後あるべき単価というものは、そういう日本の冷遇された技術者をいかに正当な位置に持っていくかということを国家予算とにらみ合せ、同時に文科系統のサラリーとにらみ合せて作られなければならぬ。そういう点が、私の出したたたき台に対する厚生省の意見の中には落ちているということなんです。そういう点、あなた方はどういう工合にお考えなのか。私は、これは正論だと自負しているんだけれども。
#29
○高田説明員 この単価の計算につきましてはいろいろな考え方があり得るわけで、そのルール自体がきまっていないからなかなかむずかしい問題になるのでございますが、今滝井先生がいろいろお述べになったようなお考え方も確かにあり得ると思うのです。私はそういう先生のお考えに対して反駁する意味ではございません。きょうお目にかけましたのは、先生の方で、大体開業医あるいは国立病院のサラリーマンの俸給をとってみたらどうなるか、それに退職金だの何だのを全部入れてみたらどうなるか、そういう思想で出発しておりますので、それを置きかえてみたわけなんです。それで、そういう思想でずっといくとすれば、期末手当というものはたしかに問題になってくるだろうと思うのです。しかし、今の国立病院の医師と同じ待遇をしろ、それを保障しろと言っておいて、その上に、出でてはあれになるんだからそれをプラスして全部保障するというのは、どっちかにこれを割り切らなければ――一応サラリーマンと同じように保障され、さらにその上に危険率等を保障されるということは両方ねらうということになりましてどういうものであろうか。どちらかに割り切る必要があるのではないかという気がするわけでございます。しかしこれもよく考えてみませんと、あるいは先生のおっしゃるようなことが正しいのか、私がちょっと感じておりますことが正しいのか、それはもう少し詰めて、いろいろ考え方の問題であろうと思います。
 それから最初先生は、二十七年のものをとっておるのはけしからぬじゃないかということでございましたが、確かに先生仰せのように、最近の調査をやればそれが一番いいわけなんです。ところが先ほど医療課長も申しましたように、日本の代表値として統計的に価値のある調査をやろうとしますと、これは一年、ことによると二年もかかると思うのです。それを全部集計してあれします余裕がとてもない。二十七年の医療経済調査というものが直近のしかも非常に広範な調査でありますので、それを押えてそうして原則的には物価の値上り――よく単価問題で言われます物価の値上り、ベース・アップというのが全然見てないじゃないか、据え置きだというところを、先生がおとりになっておる数字よりは、できるだけ有利に有利に、大きく大きく根拠のある数字をとっていったわけなんです。それでなおしかし稼働点数の問題だとか個人立施設とそうでない施設とのパーセンテージというのは、これは先生御指摘のように二十七年のものじゃいけないから三十年の三月という比較的新しいものをとったわけであります。
 それからもう一つそれなら自由診療の方がもし三割もあるというなら、経費の方をそれだけ落していったらよいじゃないかという仰せでございますが、それじゃ同じことになるのでございます。分母の方を三割増しますのとあまり変りません。そういうことになりまして、きょうお目にかけましたこの中にも医療課長が御説明いたしましたように、まだまだ反省検討を加うべき点が多々あるわけでございますが、これが決して正しいという意味ではなく、一応こういう計算もできますという意味で、委員会でいろいろ御論議のありましたようなことを集約してお気持を汲んでこういうふうなものをお目にかけたのであります。従って今先生のおれがあげた諸点についてはどうかということにつきましては、そういう考え方もありましょう。決して反論を申し上げるわけではございません。
#30
○滝井小委員 反論を申し述べてもらわなければ困る、問題はこれは本来行政のやるべきことなんです。ところがこれは日本の医療の根本的な問題に触れるというので、われわれも暑いのに出てきてやっておるわけです。そこで、滝井さんのお考えもそういう考え方もあるでしょうというなら、あなた方行政当局の考え方をこの際一つ述べてもらいたいということなんです。高田さん、事実は許さぬのです。なぜ許さぬかというと、御存じの通り重大段階がやってきた、どういう重大段階かというと、御存じのように日本経済は非常に悪くなりました。これは御存じのように小笠原大蔵大臣が二十八年にとり始めたデフレ政策というものをとらざるを得ない状態になってきた、すでに繊維産業を中心としていわゆる卸屋なんというものは倒れ始めたのです。同時に日銀の公定歩合の引き上げが中小企業に非常な影響を与えておる。もう造船あたりでも相当行き詰まるきざしとはいわないが、とにかく相当困難な面が出てき始めたことは確実です。そうしますと、そういう中で秋までに単価を出すというのんきなことは言っておれぬという情勢が出てきた、いずれあとでもう少し健康保険の経済について尋ねたいのですが……。
 いま一つは御存じの通り軍人恩給というのは十一月十五日までに結論を出されなければならぬ段階になってきた、そうすると社会保障費というものは一国の予算で占める割合が何%とはきまっておりません。しかしこれは財政の一つの慣行として考えなければならぬことなんです。そうしますと、あなたの方の厚生省では結核問題というのが非常におくれておる、あなた方厚生当局自体が恩給や社会保険の単価問題で予算をとられれば結核問題をまた置きざりだということであわてていることを私は仄聞しておる。これは当然だと思うのです。そうしますと、これは恩給だけでも今まで問題になっておる公務扶助料の拡大とか軍人と文官とのベース・アップの均衡をとるというようなことをやり、あるいは学徒動員とか傷痍軍人等を一応言う通りにしたら四百億ぐらい要る、その半分にしたところで二百億要る、そうしますと日本の社会保障費がそういう今のような状態の中で、二百億も加えられるかというと絶対加えられぬという情勢です。そういう中で予算が来年もことしのように千二十五億もふえる情勢かというと、私はふえる情勢じゃないと思う。これは私の独断かもしれないけれども、そうしますと、まず軍人恩給との競合というものを考えなければならぬのです。厚生省関係の、大きな意味で引揚援護局と関係がありますから。それからふろ賃が上り、消費者米価が上ろうとしています。そういうふろ賃が上り、米代が上り、運賃が上るというときに、医療費というものを上げ得るかどうかということです。しかも内閣は改造されて大臣の首はわからぬ。こういう中で、あなた方は秋までにやりますとおっしゃったが、それができないときは、当然高田さんが腹を切らなければならぬことになります。健康保険以上です。だから従って、私にしてみれば、社会党は予算審議のときからそれを指摘している。そういう客観的に困難な情勢の中で単価問題というものをずるずるっと、今井第三次メモが出て今から大綱をきめて、そうして中央社会保険医療協議会にかけて、それからあなたの方の五人委員会にかけてやっておったら、これは始まらぬですよ。従ってこれはやはりあなた方が踏み切っておるのだから夏のうちに早くやらぬと、十一月ころになったら終りになりますよ。それは確実です。そういう情勢の中でやるということは本によって魚を求めるのたぐいです。そういう客観情勢の中で保険局当局としてはどういう方針でやるのか。もうあれから一カ月余裕を与えているのですからね。小山さんがおられますが、与えている。だから私の意見に対する十分な批判はありがたく私はお受けをします。これは非常に参考になる。十二円六十七銭で現在の単価よりか相当シビヤーに見積っても上に行くということは確実になってきた。だから、まず現在の単価が適正であるか不適正であるかという結論を出すのが第一前提でなければならぬ。現在の単価が、私のずさんなものをある程度正確にしてもらったものの中でも不適正であるということが出てきた。それじゃ不適正な単価というものが出てきたのだが、今度は厚生省当局は具体的にどうなったか。これは事務当局のあるべき姿を出してもらったらいい。そのあるべき姿が出れば、それをどういう工合に実現するかということは、現在政権を担当している政府与党が二十円と出せば日本の財政状態のもとでは二十円が実現できる。十三円といえば十三円でけっこうです。あるべきものが出ないところに問題がある。あるべきところが十一円と出れば十一円でけっこうです。自民党は一十円と出すかもしれない、またわれわれは二十円と主張するかもしれない。だからあるべき姿をいわゆる政治的な考慮を入れない、事務当局として純粋な科学的な見地というものを出す義務があるのです。それからそれを実現するかいなかということは、政党内閣ですから内閣にやってもらったらいいのです。だから、まず科学的な根拠というものが二十六年以来再三問題になっておる。私は代議士に出て五年になるが、出たときから単価問題をやっている。風の間に間に大蔵省と相談している、折に触れてやっているということだから、折に触れてもう結論が――あなたが折に触れてと言っておったのは二十九年ですから、もうきょうころはあなた方のものを出してもらわなくちゃいかぬというのです。それが事務当局が出せぬということになるならば、事務当局はかわってもらわなければならぬ。そうして一カ月くらいに出してもらう。日本経済が今のような情勢のもとでは大へんだと思うのです。そうしてこのままでは日本の医療機関が荒廃するから国民は不幸です。あのぜいたくな治療をしておる聖路加病院が、しかも自由診療があるのです。いずれ私は日赤をここに呼びますが、日赤は受診料二十円でなければやっていけぬと言っている。しかもこの前問題になったように、特一等というのは三万円も身のしろ金を取らなければ入院できぬという病院がどのくらいでやっておるか。今の単価ではやっていけぬということを言っている。社会局なりあるいは厚生連というものは国民保険を通じてあなたの所管である。そういうところはやはり十七円ではやっていけぬとはっきり言っている。あなたの部下のものがそれではやっていけぬと言っているのに、監督官庁のあなたがやっていけるというのなら、当局は大臣がかわるとき一緒にかわってもらわなければいかぬ。私は一カ月待っておったから、きょうは批判もいただきましたから、一つあなたの方のどういう工合に単価を出して、どう考えるかということを承わらなければ困る。あなたの方の諮問機関が発足するときにそれがどう結論出そうと御自由だと申しておる。同時に、この前私宿題として出しておった皆保険下における医療機関のあり方がどういう工合になるか、これは単価問題と不可分です。この二点について、まず第一点の方からお聞かせ願って、そうして第二点に次に入らしていただきたいと思います。
#31
○小島小委員長 それはまあ……。
#32
○滝井小委員 それはあなたたちの方の政党がやるということを約束しておる公約ですからね。それができないということになれば、大臣の言うことをやっていないのですから、事務当局をかえてもらわなければならぬ。
#33
○高田説明員 いろいろな情勢が今滝井先生の御指摘になったようなことであるということは私どももおぼろげながらわかるのであります。それでできるだけ早く事務当局の考え方をまとめたいということで走っておるわけであります。その場合にいろいろな審議会とか協議会とかいうものがございますが、これは中央社会保険医療協議会の方は法律上の諮問機関でございますので、最後には諮問をいたさなければならぬことになるわけであります。そういうふうな御審議の状態に隠れて私どもがその作業をおくらせるというつもりもございません。事務当局は事務当局なりに考えをまとめたいというつもりで走っておりますが、それはもう少し先になって私どもとしては考えがまとまるだろうという見通しは今までも申し上げておりますし、おそらく次長ももちろん私どもの数字的な考え方を申し上げるというところまではお約束をしてないじゃないかと思います。もうしばらくいたしますと、私どもも現行の単価がどうあるべきかということについての数字的な事務当局の考え方をまとめる時期が参ると思います。今日それを申し上げるまでにまだ進んでおりません。
#34
○小島小委員長 作業はやっておるのですか。
#35
○高田説明員 やっております。
#36
○小島小委員長 不適正という結論が出てしまったと言い切ることは小委員会としてはまだ早いと思うのです。
#37
○滝井小委員 今委員長からも言われましたように、何もこれは委員会としてじゃなくて、私個人が大体こういうシビヤーな計算で十二円六十七銭というものが出たのです。だからそういうことも考えてもいいじゃないかということを言っておるのです。私は高田さんにこまかい単価の計算を出せと言っておるんじゃない。単価に対するものの考え方の基本を尋ねたのですよ。これはもう大臣が言明をしてから半年になりますよ。大臣はこの一月ごろから医師の待遇改善をやるのだと言っておる。私は代議士に出てから五年になるが、出た初めから私はやっておる。そうしてこれが適正であるか不適正であるかということで禅問答を今まで繰り返してきました。しかし私委員会の冒頭で申し上げましたように、大臣は医師の待遇改善をする、今の単価は不適正であるということを断言しておるわけです。断言をしておるからには大臣が一人で言うはずはない。それは厚生省はたびたびにわたって省議を開いて大臣に献策をしておるから大臣は大胆率直に言っておるのだろうと思うのです。そうでなく、大臣が勝手に言っておるのですか。あなたが勝手に言ったという御答弁であれば、それを私は聞きたい。それは勝手に言ったんですか。そこらをはっきりしてもらわぬと困る。
#38
○小島小委員長 そう問い詰めないでいこうじゃないか。
#39
○野澤小委員 しかし問題の正体をはっきりしておこう。
#40
○高田説明員 この問題についての基本的なお前たちの考えを聞きたい、こういう仰せでございますが、私どもとしましても単価が安い安いと言われておりますので、これは安いか高いかということについての取り組みをしなければならぬ、こういうつもりでおるわけでございます。それがどういう計算になるかということを今突き詰めようとしているわけです。それで私の今までの予想ではどうしても現行単価よりは上るであろうという予想をいたしております。もしさようなことが妥当だという結論が出ましたならば、これはいろいろ政治的な事情もございましょうし、私どもの考えがそのまま実施されるかどうかは、これは問題でございますが、その実現に向って努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#41
○滝井小委員 そういう答弁なら、私はあなたに来てもらわなくてもいいのです。私がこれを出すのにどのくらいかかったのかということです。これを出すのに三日しかかからないですよ。少くとも四月二日に出て、この資料が出たのは五月二日には完了しているのですよ。しろうとの私が厚生省の医療課の事務の人にいろいろ加勢してもらってやるのに、わずかに一カ月かかっていない。これを作るのに三日ぐらいしかかからない。あなたの方は、膨大な機構を持っておって、そして六年もかかってまだそれが出ないというようなことは言わせません。しかも私がその宿題を出してから一カ月以上もかかっている。今言ったように取り組まなければならぬ、上るであろうということなら、その方式ぐらいは示してもいい。こまかい計算を示す必要はない。私のと同じような方式をとるのか、今井方式でいくのか、高田方式を別に編み出して、その高田方式でいくのか、それを示してくれというのです。そのこまかい計算というものは、これはゆっくりおやりになってけっこうなんです。その方式を示さずに、ただ、取り組まなければなりません、走っております。上るでありましょう、そんな禅問答を国会は聞くところじゃないです。だから、事務当局は事務当局の考え方を述べたらいい。それが間違っておるかどうかということは、与党なり野党なりが直していきますよ。悪かったら拒否します。そこらあたりを述べることは、これはちっとも政治的に差しつかえないことなんです。それを今までかかってやっていないというなら、これは私は社会党として、党に帰ってからあなたの更迭を要求しますよ。
#42
○高田説明員 もちろん、いずれ事務当局の考えをまとめて、いろいろ御批判を得る予定でおりますけれども、まだそこまでいっていないということを私は申し上げておる。滝井先生はこういう考え方でということを一つお述べになりましたが、先ほどもいろいろ期末手当がどうだとか、賞与がどうだとか、危険率がどうだとかいうことを仰せになっておる。そういうふうな方式そのものについて、この問題についてはいろいろ論議があるわけであります。従って、その方式がきまれば計算はすぐできるわけでありますけれども、その方式そのものに論議があるわけでありますから、なかなか私どもが今役所の立場に立って、事務当局はこういう考えでございますというふうなことを申し上げられる時期にまだ至っておらないということを、先ほどから繰り返しお願い申し上げておるわけであります。
#43
○滝井小委員 事務当局はどうして言えないのですか。あるべき姿、真理を追求するのに、どうして事務当局が言えないのです。技術者としてこういう姿こそあるべき姿だということを、どうして言えないのですか。
#44
○高田説明員 事務当局の考え方がまだまとまってないわけでございます。
#45
○滝井小委員 それは怠慢ですよ。この問題を論議し始めてから一カ月なら、私はこういうことは言いません。少くともこの委員会ができたのはいつですか。四月二日ですよ。健康保険が通って、そうしてもう二ヶ月以上になります。やがて七月になる。そうすると、あなたは参議院で医療費体系というのは夏までにやるのだということをおっしゃった。ところが、医療費体系もまだ出ていないという状態でしょう。従って、私に言わしめれば、そういう方式がきまらぬといったって、その方式は今点数単価方式がきまっておるじゃないですか。その点数単価方式というのは、点数と単価をかけた相乗積で診療報酬というものが出る。その一方の点数の方を中心にしてあなた方は考えておったはずです。点数単価方式というものを変えるということは、国会で議決したこともないし、療養担当者もそれを変えてくれと要望をしたこともありません。点数単価方式の中の単価というものをどうするかということなんだから、今の姿の中から単価が十一円五十銭ということが適正でありますとか、あるいは不適正で、ありますとか、あるいはこれを上げなければならぬ、上げるならどういう計算方法で上げますという計算方法くらいは、単純なことですよ、出ないはずはないのです。私は今の答弁では納得できない。
#46
○高田説明員 私が申し上げているのは点数単価方式とかなんとかいうのではない。結局単価を出しますのには、支出を押えてそうして稼働点数で割るという算式になるわけです。その支出はどういう項目をどういうふうに見るかという見方というものに一定のきまったルールというものがない。それから分母になります稼働点数というものにしましても、一体どういうふうにこれを見ていくかということがきまってないわけです。それで御存じの臨時医療保険審議会で昨日メモが総会に報告されておりますけれども、それをごらんいただきましてもその問題点が非常に多く出ております。そういうものについて一々結論を出してから算式を考えていかなければならぬ。従って今滝井先生の仰せになった意味では方式がきまっておるわけでございますが、その計算の方式が、計算でございますからどういう数字に何を掛けてどうする、何を何で割るというあれがきまってないわけであります。これがきまっておれば単価の問題についてかようないろいろな論議が起らないわけであります。たとえば稼働点数というものをどういうふうに見るかというふうな問題につきましても非常に多くの問題点があるわけでございます。それから保険診療と自由診療との関係につきましても非常な問題点がある。また基準を診療所に置くか病院に置くかというようなことにつきましてもいろんな問題点があるわけでございます。そういうふうなわけでございまして、それは怠慢というおしかりを受ければ、大へん恐縮でございますけれども、あるいはそういうことになるかもしれませんが、私どもといたしましては一生懸命努力をいたしておるつもりでございます。お約束しておりますように、秋ごろまでには一つ何らかのものをまとめたい、こういう気持を持って努力をいたしておる次第でございます。
#47
○滝井小委員 臨時医療保険審議会は、局長さんも御存じのように、二十七年六月十五日に第一回の会議を開いて、そうして二十九年九月十一日までには十六回開いて、それから三十、三十一、三十二と足かけ三年も開いてない。そうして私がこの小委員会でこの案をたたき台として出してからあわてて開いているような委員会じゃないですか。しかもそれは法律の基礎のない委員会でしょう。それが問題点を出したことにこだわる必要はちっともない。あなたの方はあなたの方の独自の立場があるわけです。しかもこういう問題点というものは過去にいろいろ論議されてきていることです。厚生事務当局が論議されたことを、今から一つ一つ論議していくとすれば、二年かかりますよ。結論は現行の点数単価方式でいくということが書いてある。ほかのことに移ることは困難だと書いてある。そうしますと、今あなたの言った稼働点数を分母として支出を分子とするこの行き方は変えないということですね。そう理解して差しつかえありませんね。
#48
○高田説明員 医療費の総ワクがどの程度上るか、すなわち医療の値段というものをどの程度に評価するかということについて、一つの目算といいますか、見積りを立てる資料として、そういうふうな計算方式をせざるを得ないと思います。
#49
○滝井小委員 そうしますと、稼働点数で支出を割るというこの方式でいくことがきまれば、それから先はむずかしくないじゃないですか。なぜならば、現実の医療機関というものは、支出というものは調べればすぐわかることなんです。稼働点数も基金で――昨年十二月末にはわれわれ全部開業医は出しております。しかもそのうちには何人の医者がおるということも全部出しておる、看護婦何人おるということも全部出しております。従ってその製表を大車輪でやってみれば、個人診療所は出てくる。しかもその個人診療所の請求した基金を少し精力的に調べればすぐ出てくる。昨年の五月やっておるのです。ただ一年分がないだけです。だから一年分を今度は精力的にやったら、それは一カ月もかかりませんよ。全力を動員してやってごらんなさい、一カ月もかからない。そうすると稼働点数はすぐ出てくる。動員して統計調査部でやらしてごらんなさい、すぐ出てくる。それから基金を動員して、二、三百万の金をかけてごらんなさい、一カ月かからないうちに出ます。そうして稼動点数が出てくれば、あとの支出は、これは二十七年三月、今のようなやり方でやってもいいし、あるいは三十年三月にもやっているでしょう。それで補正してもいいです。いよいよとなれば妥協しても差しつかえない。そうしますと方式がむずかしいの何のということは何もない。簡単な算術なんです。だから稼働点数が出て、すぐ支出の実態をつかむということになれば、その支出の実態は、二十七年三月なり、十月、あるいは三十年三月の調査が間違っておるかどうかということは、今度全国的に抜き取り調査を健康保険だけをやっているところを二十カ所か、三十カ所、あなた方の社会保険出張所を動員してやればすぐやれる。私に指揮をとらしてみなさい、すぐできますよ。それを何かもったいをつけて、むずかしいの何のということはわからない。私は自分でこれを全部やってみているからむずかしくない。あなた方はやる気がない。やる気があるという証明をするなら、来月二日に委員会を開きますから、今から一週間のうちに馬力をかけてやってみて下さい。
#50
○高田説明員 今滝井先生がちょっと仰せになりましたような程度のものならば、実は計算は一応してあるのですが、これだと現行の単価ととんとんくらい、むしろちょっと下るくらいの数字が出るのではないか、それでそういうふうなものにつきまして、まだその考え方に不十分なところがどこにあるかというようなことを、いろいろ掘り下げて論議をしておるわけなんです。そういう次第でございますから、決して私どもやる気がないとか、なまけてやってないのだというようなことではございませんで、何しろ算式そのものがきまっておりますれば簡単にいくわけなんでございますが、算式そのものに議論があるわけでございますから、それで、それらのところをどういう理由で、どういうふうに考えてどう計算していくかということをいろいろ苦労をしてやっておるわけでございます。今まででもいろいろな計算をやっております。しかし、いずれも私ども事務当局の考え方はこうでございますというふうに今日御披露申し上げる段階に至っておらないということを御了承いただきたいために、先ほどからいろいろと申し上げておるのであります。
#51
○滝井小委員 問題は秘密にする必要はちっともない。こういう重大な国民生活に影響のある診療報酬というものを、あなた方が三通りなら三通りの計算をやったら公開すべきです。ガラス張りでやらなければいけない。従って、もしこれを科学的に検討してみて、今の単価より下って支出しておるということが出る、これが妥当ならそれを主張するのにやぶさかでありません。そういう資料ができておるならば、次回までにこの委員会へ出してもらいたい。それは低くてもかまいません。今言ったように、稼働点数なり支出というもののとった時期とか、とり方は必要なのです。だから今後は、私は局長に言っておきたいのですが、ガラス張りでこれをやるべきだと思う。事務当局が三つなら三つの案を考えたらここに堂々と出してもらいたい。私どもは政党政派を離れてこの問題はやらなければいかぬと思う。社会党の案、自民党の案というものを出してがたがたすべきものではない。少くともこういうところでガラス張りでみながフリー・トーキングをやって出していくべきだ、事務当局がそういうものができておるならできておるで出したらよいじゃないですか。それで結論が出ませんの何のと言う必要はない。低いなら低いでいいじゃありませんか。
#52
○野澤小委員 どうだろう、滝井君の言うのももっともだし、事務当局の苦しい立場もよくわかる。滝井君は何でも承知しておるのだから、ここらで一応妥協しようじゃないか。要は滝井君の方とすれば、経済情勢も不安だから、早くきめるものはきめたらいいじゃないか。そうすると君らの方の態度とすれば、三年も五年もかかったって、今までたってもはっきりせぬのだ。こういうこともはっきり指摘されておる。しかし事務当局とすればいろいろな調査会もあるし審議会もあるし、すべての意見を調整して完全無欠な案にして出したいという気持もよくわかる。特に滝井さんのようなエキスパートがいて突っ込まれるのだから……。だからなるべくそういう欠点のない案にして出したいという気持も、十分滝井さんもわかっておるし、われわれもわかっておるのだ。そこで促進の方法としては臨時保険審議会、あの方でも八月ごろまでには大体の結論を出そうとしておるらしいし、秋までなんてのんびりしたことではなく、可急的すみやかに出しますということで――あなた方事務局自体としての試案を幾つ出してみたところが議論するだけにすぎない。それよりも早くそうしたものを積み重ねて、一日も早く完全なものをお出しするのだ、こういうことできょうのところは委員長さんまとめてもらったらどうですか。それを追究していじめてみてもしようがない。考えはないかというと、考えはあるけれども、今のところ出せないというのだ、片方は出せというのだから……。
#53
○小島小委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#54
○小島小委員長 速記を始めて。滝井君。
#55
○滝井小委員 それではこの単価の問題に関連をして、医者としては事務費というのに非常に金がかかる。たとえばちょっとした病院で請求が複雑なために一件当り十五円とか二十円出して請求事務をやらしている。今回聞くところによると、保険者が一件当り十二円出していたのが、五十銭引き下げて十一円五十銭にしたらしい。これは当然そういう処置が講ぜられるということになれば――おそらく事務がある程度簡素化したからそういうことになったのかとも思う。あるいは事務に熟練したからかもしれない。従って今回健康保険の改正で請求の事務が変って七月一日から実施です。これはこの前社会局にやかましく言っておるのですが、当然医務局、保険局と社会局は連絡をして、事務の簡素化を協議をして、ある程度結論を出してくれたものだと思います。これは明白に大臣が事務の簡素化を言明している。健康保険法の改正をされ、生活保護法が改正されたのだから、大臣の命を受けてどういう工合に請求事務を簡素化したか、それを一つ御説明願いたい。
#56
○尾崎説明員 今のお話は請求事務がどういうふうに簡素化されたかという御質問ですが、一応医療扶助に関連しまして、医者の取り扱う事務がどういうふうに簡素化されたかという全般のお話にからみますので、全般的な問題を取り上げて御説明したいと思います。
 実はわれわれの方の関係の医療扶助の様式は、昭和二十四、五年からそのまま据え置きになっておりまして、もちろんその間若干の追加変更はしておりますが、初診券、医療券というような格好の基本的な様式は、ここ六、七年来据え置きであったわけです。それでちょうど二十五、六年から医療扶助の重要性がだんだん増加して参りまして、金額的にも非常な比重を占め、内容を見ましても、今いろいろ問題があるということがわかったものでありますから、そういうことから、厚生省としましては、ここ二年ほどの間に府県に医療扶助担当の専門の技師を置いたり、あるいはこれは割合最近でございますが、福祉事務所に嘱託医という制度を置きまして、民間の御理解のあるお医者さんに御協力を願うということをやって参ったのであります。そうしますと従来の様式では、いわゆる扶助の適正化を貫徹するためには不十分であるということがいわれて参りまして、実は昨年の五、六月ごろからこの様式改正ということが問題になりまして、実は鋭意研究を進めて参ったのであります。ところが三月に大臣が御言明になりましたような一面、開業医の事務の簡素化ということも同時に考えていかなければならないということもその当時からわれわれとしては十分配意いたしまして研究して参りました。
 四月一日に一応の様式改正をしたのでございますが、その結果はあるいは滝井先生の御要望の大幅の事務簡素化という御期待には沿えなかったうらみが若干あるのではないかと思っております。もちろんわれわれの方の医療は社会保険の医療に右へならえをしまして、基本的には国民健康保険の診療の例によるということになっております。いわば国民健康保険の医療が生活保護の医療扶助として右へならえするに適当な、いわゆる最低医療というと語弊がありますが、そういう意味合いにおける医療水準として適当であろうということから国民健療保険に右へならえしておりますが、実際問題としまして国民健康保険は給付内容等においていろいろ問題がございますので、概しては健康保険の医療に右へならえしております。そういうふうな関係から、根本的なお医者さんの事務の簡素化ということは、私どもだけの問題でなしに、健康保険等の請求事務の簡素化という点に密接に関連があるわけであります。従いまして今回の様式改正は一応はそういう御要望には沿えなかった点がございますが、なお保険の様式改正といいますか、手続の簡素化という点を大いに参考にいたしまして、研究の余地は十分あると思っております。
 結論的に申し上げますと、今回の様式改正は決して複雑化しているとは思っておりません。むしろある意味におきましては簡素化している面があるというふうに考えております。その主要な例としましては、たとえば従来初診券の際に、お医者さんにたといその患者が三年かかろうが四年かかろうが全体の医療費を見積っていただくというようなことになっておりました。これは私どもの医療扶助の実施上医療費の概算見積りはどうしても必要でございまして、その概算の見積りによって保護の要否、程度というものを決定しますので、その概算見積りはどうしても必要なんですが、それを長期にわたる患者にまで、何年先のことまでも医療費を積算することは適当でないというふうなことにしぼったということであるとか、あるいは結核入院の問題でございますが、御承知のように医療扶助の中では非常に重要なウエートを占めております結核入院につきましては、従来毎月診療継続の意見書を出してもらうということのほかに、六カ月以内に必ず医療扶助審議会の審議を経るというような、いわば二重の手続になっておりましたが、これは二重の手間であり不必要なことであるということで、毎月の診療継続意見書は省略するということだとか、あるいはまたつき添い看護の問題でございますが、これも従来は県本庁につき添い看護の承認の協議を申請する手続でございましたが、それをできるだけ実施機関におろすという方針にして参ったわけであります。そういうような簡素化の面も十分配意いたしましたが、なお基本的にはいろいろ問題は解消していないという意味合いにおきまして、今後の研究問題に待ちたいと考えている次第であります。
#57
○滝井小委員 お聞きしますが、これは大臣の言明によって十分保険局と打ち合せをした上での請求書なんですか。今度健康保険法があれだけの社会的な問題を呼んで七月一日から実施せられ、請求様式等も初診の関係があって変るということも御存じと思います。そうしますと当然生活保護法も、今あなたのおっしゃるように国民健康保険、健康保険にならっているので請求書様式も従って当然そういうことにならなければならぬと思うのですが、保険局と社会局との間にそういう診療報酬請求書に対する打ち合せがあったのか、なぜならば同じような基金に請求書が出ているので、従って基金の審査事務をある程度簡素化するというならば健康保険の請求の様式と、それから国民健康保険の様式と、こういう生活保護法の様式とが一致していることが審査能率を非常に上げるんですね、そういう点打ち合せをやっているのかどうか。
#58
○尾崎説明員 さっきも申し上げましたが、医療扶助の様式につきましては、診療報酬の請求の点についてはまさに今御指摘の通りでございます。それ以外につきましては、医療扶助独自の立場からする初診券制度あるいは結核の入院についての審議会活用のための入院要否判定書と申しますか、これの制度であるとか、そういうものが若干ございます。従いまして保険局と大体同様な診療報酬の請求の審査という面につきましては、支払い残金と十分打ち合せをしてございます。
#59
○滝井小委員 打ち合せしてれられるそうですが、まず第一に私がお伺いしたいことを、あなたは結局要望に沿えなかったということを前もって言ったので、どうも要望に沿えないことをはっきりお認めになっておるようなんですが、この前も、八木さんが失業保険の保険証の問題に関連して発言したときに私は申しました。大臣が国会で事務を簡素化するということを三月に言明しておいて、そして四月に改正されるときに今までよりも複雑化することがあっては、大臣の威令というものが行われないわけです。そういう大臣は大臣をやめてもらう方がいい。事務当局にその威令が行われない政党政治の大臣というものはナンセンスです。私は今までのものと二つ持ってきていますが、今までの初診券は、こっちを破って右側が福祉事務所に持っていく方です。こっちが診療報酬請求書につけるものなんです。今までの初診券というのは、さいぜんあなたがおっしゃったように、一カ月の内訳を書いてあります。しかしこれは、単価十一円五十銭と書いて、回数が、たとえば注射は何回とか処置は何回と書けばいい。そしてその点数を書けばいい。二カ月以降はおよそどのくらいということを大ざっぱに書けばいい。ところが今度のは実に複雑になっている。どういうことになるかというと、まず初診のときに投薬の薬品名から用量から、注射の薬品名から用量から、処置の名称、みな書かなければならぬ。そうすると、患者が高熱を発してきた、そこでまず解熱薬をやった、あしたになったらもう下っておるということになると、また薬を変えなければならぬ。そうすると初診券には全くうそを書いていることになる。三回以後からは解熱薬を抜いて違う薬になってしまっておる。この見積りを基礎にして後生大事に医療費の評画を立てたら大違いです。そういうことは福祉事務所に行ってみてもやっていませんよ。医者の見積った医療費の計画なんというものは絶対に立てていない。ただ医者に書かせるだけです。そういうめんどうなことを今度やってのけている。あなたの方の必要なものは経費なんです。だから、この患者が来たならば、これはおよそ一カ月どのくらいの金がかかるのだということだけでいいはずです。それをわざわざこの初診券の要否の意見書の中に、投薬や注射薬の名前からその他の処置の名前まで書いて、そしてそれを何回やって点数は何点だということを、その月はもちろん翌月分まで書かせなければならぬということになると医者は大へんです。予言者みたいなものです。なるほどそういうことを書かせれば、あなた方は自己満足はできるかもしれぬ。しかし、それが日本の生活保護の医療扶助の科学的なりっぱな根拠になっているかというと、こういうものを見てやっていない。調べてごらんなさい。翌月の予算を立てるときに、福祉事務所で医者から出たものを一々はじいて予算を立てているところがあったら聞きたい。絶対に立てていない。そういうやりもしないようなことを御丁寧に医者にやらせる。これを書いてこなければだめだといって突っ返される。しかも翌月に出す請求書にはやはり同じことを綿密に書かせる。今度どこが簡素化されたかというと、福祉事務所のやることだけが簡素化されている。医者の方は複雑になっている。しかも現在どういうことが行われているかというと、月の終りの二十五日になると、医者は全部福祉事務所に集められて、今かかっておる患者の請求書とカルテを持っていって、一々患者の状態を説明する。そこで初めて翌月分の要否を二十五日にもらう。そうすると、患者に変化があって月末になおると思っておったのがなおらないということになると、今度は一々福祉事務所に行かなければならない。そして理由を言うてやる。だから最近は、サービスのきく病院では、医療券から生活保護から、全部自分のところで福祉事務所に行ってとってくる役割ができている。そうしますと、患者はそういう医療券までとって親切にしてくれる医者のところに行きますよ。医療券をとってくれないような、自分でとって参りなさいというような医者のところに行っては大へんですから、生活保護の患者は手がありませんから、だからサービスをして医療券をとって参り、継続の請求書をとってきてくれるような病院に行く。病院によってはそういう人を一人置いておる。そういう実態というものは全く医療を冒涜しておるんですよ。そうすると、そういうところにこの前言ったようにいろいろの不正事件が起ってくる。今度はこれは他人が行っても渡すということになれば、人に流用するということも可能になってくる。だからこういうものは、前に私が申しましたように、例の生活保護の患者というものは非常に貧しい階層で、こういう事務的な要領の悪い人です。そういう人の医療券というものはできるだけ簡素化して、そうして右から左に渡すようにしていかなければならない。しかもそういう最低の医療を受けさせるものを、今度は医者にはこれだけの事務をまかせるのですよ。事務の書類についてこれだけのものを医者は覚えなければならぬ。これだけのものを覚える時間で技術の研究をさせてごらんなさい。日本の医者はもっとえらくなる。しかも単価は十一円五十銭ということで、この単価も六年間据え置きで改まらないという状態です。だからこれは請求事務のために医療扶助があるのではなくて、医療扶助というものは貧しい患者のためにあるのだという方向にものの考え方を切りかえていかなければならない。これは一枚の紙片でいいのです。生活保護法の患者であるということにして出して、あとは医者に請求させて、請求したものを厳重に査定したらよい。それをわざわざ前ぶれの事務というものを実に複雑にしている。この前も医務局長に言っておきましたが、こういうものとの関連における医者の応招の義務の法律論については、私は研究しておりますから、きょうはやりませんが、いずれ機会を見てやりたいと思います。これはこの前大臣に突きつけてやったら、大臣は、必ず改正の機会があればやりますと言っておきながら、こういうように複雑化されておる。同時にそのときに健康保険の請求についても簡素化いたしますと言っておる。だからこれは一つ、ごめんどうでしょうが印刷をして速急にやりかえてもらいたいと思います。やりかえなければ、これで日本の医療は死んでしまいます。こういう事務のために生活保護の患者というものはまま子扱いされますよ。医者というものは技術者だから事務はきらいですよ。もう少しこれは事務のために患者があるのではなくて患者のために事務があるということを考え、頭の切りかえをやってもらわなければならぬ。この事務を簡素化することによって、医師の待遇改善というものは、これだけで一件当り三円や五円は改善されますよ。だからそういう点は、生活保護の医療費が年間二百億も支払われるという現段階、日本の総医療費の少くとも一割をこえるという段階では、やはり考えてもらわなければならぬ。従ってこれは、大臣の言明に非常に遠い状態である。
 きょうは局長に来てもらいたかったのでありますが、これはめんどうくさいが、一つさっそく変えてもらいたいということです。これも一つ、健康保険が七月一日から実施されますから、七月一日とは申しませんが、それと前後して速急に変えて健康保険に右へならえしてもらいたい。生活保護に必要な事務というものは、生活保護の患者であろうと健康保険の患者であろうと、医者の出す意見には変りはないはずです。だから健康保険の意見でちっとも変りない。
 それから、さきの経済的の調査、例のいわゆる資産調査というものは、別個に経済的見地からやられたらよい。医療費の問題にまで違ったケースを持ち込もうというのは官庁のセクショナリズムである。こういうセクショナリズムというものはどけなければならぬ。だから健康保険の請求事務と生活保護の請求事務というものは違うはずがない。同じでいい。同じように医療を与えるのだから、ちっとも違わなければならない理論というものは出てこない。こういうものを何回も何回も変えるということは印刷屋をもうけさせるばかりである。そういうようなことは改めてもらいたい。この点は課長さんではご無理かと思いますが、局長に十分に伝えてもらって、速急に簡素化してもらいたい。そうして初診券というものは、もう初診だけの券が出たならば、同時にそのときには医療券もつけてやるというような、このくらいの親心があって日本国民を信用してよろしい。それを今度はわざわざ初診券をやって、それをまた役所に持っていって医療券をもらってきて、それを医者に持っていかなければならぬというような、そういう緊急の病人に間に合わないような政策というものをとるべきものではないと思います。今の初診券には同時に医療券がつくというような制度にしてもらいたいと思います。そうして医者が不正をやるというなら、どしどし福祉事務所が医者の家に行って、患者と立ち会いで怪しいと思ったら調べたらいい。そのくらいの信用を持ってやってもらうことをこれは要望しておきます。次会にこの具体的な案を一つ速急のようでございますけれども、人間の命に関することですから、速急でないといけないのです。これはできるのです。そういう点を一つ要望しておきます。
 保険局の事務の簡素化を一つお聞きしておきたい。
#60
○高田説明員 保険局はこの間法律の改正をいたしまして、それに伴う政令の施行関係のこまかい規定の改正の際に、従来とっておりました入院、退院届、これは相当な事務になっておったようでございますが、これをやめることにいたしました。
 それから七月一日から施行されます一時負担の関係、これに関連をいたしまして、請求書の内容につきまして、今関係の――具体的に申しますと、医師会と基金といろいろ御相談をいたしております。審査ができなくなるようなことにはこれはできませんけれども、その範囲内におきまして、できるだけ簡単に請求書の簡素化をいたすという方針でやっております。根本的に請求書の簡素化をいたしますには、やはり支払い方式そのものから変えてかからないと――ほんとうは支払い方式を変えれば事務は非常に簡素化されることになりますけれども、今の点は単価方式の範囲内で基金の審査に支障のない程度において簡素化いたしたい、こういうことでございます。
#61
○滝井小委員 そういう答弁では私は満足できない。具体的に示してもらいたいということをこの前要望しておる。だから私はあなた方を疑ってかかるのです。大臣が言明しておるのにじんぜん日を送ってやらないというのが今までの事務当局の態度です。これだってこの前大臣は簡素化すると言ったのです。どうも次長どっかに行ってしまったのだが、事務の簡素化を具体的にどうするかと言ったら、いや、この次までにやってきますと答えたのです。だから私はわざわざ前のやつ持ってきておる。どういう工合にやるのか、七月一日はもうすぐですよ。だからはっきりしてもらわなければ困る。どういう工合にやるのか。まだそれがきまっておらないと言うが、一番困るのは患者と医療担当者なのですよ。こういうことは五人も三人も寄らなくても、あなた方の基本方針がきまれば、すぐ、一時間だってきまるのです。そういうことさえもこうですから、単価問題なんか信用ならぬのです。だから私は急ぐのです。七月一日なら七月一日と切れということはそういうことです。七月一日になったら、もう請求書を毎月書かなければならない。それを請求書の様式がきまらぬということでは情ないじゃないですか。保険局だって社会局だって大臣の言うことを実行していない。それで政党政治が行われているというなら、自民党は一体何をしておるかということです。一つも実行していない。初診の際百円取るということは、あなた方がおきめになったのでしょう。しかもその百円の取り方を見てごらんなさい。この複雑な状態は……。私は下部の医師会をずっと回ったのですが、百円の取り方の十分にわかっておる医者は一人もおりません。この一部負担についての改正を読んでごらんなさい。これだけのものを知らなければ請求できませんよ。入院なんかその請求の様式さえもまだわかっていない。これは七月一日から実施です。きょうは六月二十五日です。あと五日しかありません。一日からわれわれは保険証を持ってきたらこの上を書きますよ。今でさえ請求様式がきまっていない。今から情宣活動をして全国の六万の保険医に徹底さす、これは法案を審議しておる私でさえ読まなければ全然わからない。入院なんかの請求の状態は実に複雑です。それを今からやるなんてそんなばかなことがありますか。全然きまっていないのですか。
#62
○高田説明員 先ほど申し上げましたように、具体的には一つ相当大きな事務簡素化をすでにやったわけでございます。それで請求書のあれにつきましては、私どもの方でだいぶ前に案を相談をいたしておるわけなんですが、まだその相談がまとまっていないわけです。具体的にその相談がまとまりますればお示しできると思うのでございますが、それでいろいろ御希望もございまして、それらの点を今調整をいたしておる最中でございます。
#63
○滝井小委員 健康保険の法律を審議するときに、私はまず様式を示せということをあなた方に迫ったのです。これは高田さんお聞きになっておると思う。そうしたらそれはもうしばらく待って下さいということだった。そこで私は待って、そして健康保険があがった後のこの委員会で、この前の多分一番最後です。五月十三日に様式はできたかということを言った。その前にも個人的には言っておる。事務の簡素化というものは今あなたのおっしゃったように、入院を通知しないことだけなんです。こんなのは重大な改正じゃない、当然のことです。それは医者のやる事務じゃない。患者を管理する保険者のやることを今まで医者にやらしておっただけのことです。そんなことで重大な改正と思ったら大間違い。もう五月から今まで一カ月以上待っておる。きょうは六月二十五日。そうしたらまだ相談してきまらない、そんなばかなことはない。そういうことであるので、こういう一片の紙切れを出す事務でさえもあなた方は今までうそを言って、一カ月も二カ月も引き延ばすという性格を持っておるのですから、だから私は疑わざるを得ない。あなたがそういう態度をとって出てくるというならば、私はこの際大臣に出てもらって、徹底的に大臣とやります。大臣の言うたことを事務当局はちっとも行なっていない。そういうことで厚生行政が政党内閣のもとで行われるならば、われわれは再びあなた方と問答はやりません。小委員会も全部大臣に来てもらって、大臣の答弁できめて、大臣があなた方をうしろに置いて、大臣がこの通りやれと言明して速記に残しておく以外にはない。保険局次長を呼んで下さい。こういうことが行われぬようだったならば、われわれはいつまでも国費を使って論議したってだめです。
#64
○高田説明員 今申し上げましたように、今診療担当者の団体と御相談しておる最中でございます。私どもが持ち込んだのはもう少し早うございました。それでこれは数日中にもちろんまとめて具体的にはきまると思います。おしかりをいろいろ受けましたけれども、できるだけ簡素化をしたいという方向でやっておりますことは事実でございますから、何とぞ御了承いただきたいと思います。
#65
○岡本小委員 それでは一点だけさっきの滝井委員の質問に関連して、社会局の方にお尋ねしたいのですが、最近何か通牒を出されたらしいのですね。そして民生安定所の所員が、患者さんの要求とその通牒との板ばさみになって、非常につらいというふうな声を聞くのです。その内容を聞きますと、私通牒の文を見ていないのですが、病気がなおってある程度の収入が予想される場合には、医療扶助の給付をしてはならぬというふうな基準が示されたように聞くのですが、それが事実なんですか。それとも事実とすればどういうふうな基準をお示しになったのだろうか、一つ承わりたいと思います。
#66
○尾崎説明員 今度の十四次基準改訂にからみまして通牒を出しましたが、おそらくそのことじゃないかと思います。この通知は決して今のお話の医療扶助を受けておる患者を締めるといいますか、医療扶助を受けにくくさすといいますか、そういうことを強化した意味の通牒ではございません。取扱い方の基本方針は前からきまっておりまして、それを本省としてその都度指摘しておりましたことを通牒の中に盛り込んだという程度でございます。それで実は社労の委員会でもしばしば社会局の医療扶助が少し締め過ぎてやせぬかというおしかりを受けておるわけでございますが、私どもとしましては、生活保護法の医療扶助といいますのは、大体最低生活――今度保護基準が上りましたのですが、上ってもまだそんなに高い基準ではございませんが、その基準で生活をしていただいて、それで収入があればその収入とその生活費の差額は医療扶助の一部負担をしていただく、そういう方針でございます。その点が実は過去二、三年前までは若干、そう申しては何ですがルーズになっておりますのを本来の軌道に戻すということで私どもやかましく言っておりますけれども、そういう点が実際に保護を実施いたしますケース・ワーカー、あるいは収入のあります保護を受けます患者の立場、両方の立場からいたしますと若干つらいところがあるということはその通りなんでありますが、生活保護法の建前からいたしますと、むしろ問題は国民皆保険とか、あるいは医療保障とか、そういうような問題で解決していただかないとちょっと何ともならぬじゃないかという気がいたす次第であります。
#67
○岡本小委員 以前にも委員会で問題になったことがあるのですが、医療機関として一番困ることは、生活保護法の場合初診券を持ってきます。その初診券に対しては治療してはならないということが書いてあるのです。しかしながら現実に熱が出ておる、腹が痛いという患者に、治療してはならないと書いてあっても治療せざるを得ぬのです。そうすると、その診療費は、その場合その日に取らなければならないのですか。その日にそれは現金で徴収しなければならぬのですか。
#68
○尾崎説明員 建前は今先生がおっしゃいましたように、初診券は治療するために発行する券ではございません。ただしこれは常識上当然でございますが、たとえばもう診察に引き続いてすぐ治療しなければならぬという場合も少からずあると思うのです。そういう場合は、手続としましては、大体医療券の発行というものはおくれるということになるわけです。実際問題として現在もそういう場合が多いわけでございます。問題はその初診券で一応治療する計画を立てまして、どれくらい金がかかるかということを計算していただいた場合に、あとで医療券が発行できる患者かどうかということが問題になるわけです。その場合に、患者に収入がありまして当然それくらいの治療費は払えるということでございますと、医療券はあとからでも発行できないわけでございます。従いまして、その場合は結局医療機関がその患者さんからとっていただくという建前になってしまうわけでございます。従って、その場合には、私どもは若干ニュアンスは違いますが、自費の患者から金をとれる場合もあり、とれない場合もあるという場合と同じだから一つかんべんしていただきたいというふうに考えておるわけであります。
#69
○岡本小委員 そういう場合に、初診券を民生安定所からもらってくるという人は、少くも相当生活に困っている人なのですが、問題になるのは、扶助対象になるかならないかの境目ですな。クレンツェ・ゲビートの人ですな。そういう人の場合負担能力があるかないかというのは、これは判定の問題であって紙一重の場合もあるわけです。そうしますと、事実上そういう人には相当な額に達した場合には負担能力がないわけです。だけれど現実に今悪い、たとえば盲腸炎だ。もう熱が出て化膿してきておる。すぐ切らなければ腹膜炎を起すという場合に、やはり医療券の交付を待たずに医療機関とすれば収容して手術しなければならぬ。これはやはり人命の問題ですからね。ところが問題になるのは、結局そういう患者の方は、民生安定所の方でやってもらえるという考え方の上に立って入院しておるわけです。治療を受けておるわけです。ところが一週間もして調査をしているわけですな。盲腸炎だと一週間たてば退院できるのですが、場合によるとその退院できる時期になってもまだその医療扶助をするかしないかということが決定しておらない。どっちからもらっていいかわからない。そうするとそのままうやむやのうちに帰してしまう。いつまでもおっては病室がつかえて困るから帰してしまうというような場合に、結局後になって扶助しないということが決定した場合に、どこからも徴収できないのです。そういうふうなものが医療機関には相当やはり出てくるのです。結局そういうような制度の欠陥が医療機関の大きな負担になって、生活保護法が負担しない場合には、医療機関の犠牲において医療保障が行われておる。こういうふうな大きなしわ寄せがきておる現実をあなたの方はよく御存じだと思いますが、この問題をどういうふうに解決しようと考えておられるのですか。
#70
○尾崎説明員 制度の欠陥というお話でございましたが、むしろ生活保護法の建前からいいますと、運営の問題がやはり重要な問題だと思うのであります。それは、初診券を出しまして、それで見てもらってすぐ治療しなければならぬ、そういう場合には医療券を出さなければならぬ。医療券を出す前提としましては、さっき申し上げた通りミーンズ・テストをやりまして、一部負担能力の有無並びに程度を判定するわけであります。従いまして、運営の問題としましては、初診券を出し、すぐ治療の要ありと判定されたら、福祉事務所は時を移さずミーンズ・テストをやって、その結果を医療機関に連絡する。医療券を出す必要のあるものは出す。出す必要のないものは、こういうことで本人が負担できると思うから本人からとってくれ、そういうふうにいくことで問題はある程度解決する問題だと思います。むしろ先生の御指摘の点は、たといそういう運営がうまくいっても本人が払えない、つまり、さっき申し上げましたように、われわれの方の保護基準で最低生活をやって、その余分の収入は全部医療費に当ててもらわなければならぬわけです。今まで一万五千円でかつかつ生活しておった。それにわれわれが医療券を出す場合には、その人の世帯の最低生活費は一万円だというふうにミーンズ・テストの結果判定しましたら、五千円は自己負担していただくという建前です。従って一万五千円でかつかつ生活をしておるのに、その五千円の余分の医療費を出すということは相当きついことだろうと思うのです。従って、そのしわ寄せがあるいは医療機関にくるとか、あるいはそういう事態というものについて、これはちょっと困るじゃないか、おかしいじゃないかという点の御指摘だろうと思います。私どもから申し上げますと、生活保護法の医療扶助というものが万能ではないのでございまして、結局法の建前である程度の制限がくる、その矛盾、これは現実に私どもがそういう扶助患者、それは医療単給と申しておりますが、医療単給の患者というものが圧倒的に多いのです。従いまして私どもは結局そういう患者をかかえて悩んでおるわけでありまするが、そういうことからもいわばミーンズ・テストをしないで、そういう国なり公けの、あるいは保険制度でもよろしゅうございますが、そういうところから医療の保障をしてもらうという制度が確立するまでは、やはり大なり小なりその問題は残るのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
#71
○岡本小委員 問題は、ある程度調査に手間取っている間に、結局治療の方はどんどん進行するのです。だから初診券を発行した限り、給付するかしないかという決定までの医療行為については政府の方で責任を持つ、こういうことにしてもらわなければ困るのですよ。とにかくわれわれは初診券を持ってこられた限り、それがたとえば結核とか、そういう非常に慢性の病気で数日現状のまま置いておいてもいいというふうな病気であれば、それでは初診券をあげるから医療券を持ってきなさい、医療券を持ってきたらその日から治療しましょう、これはそれでいいのです。しかしながら事急性の病気に関する限りはそれでは済まないのです。どうしてもその場で即時治療をしなければならないのです。これはまたわれわれの義務です。診断と治療というものは場合によっては不可分のものなんです。診断したら即時治療しなければならぬというものが幾らでもあるのです。そういうふうな病気の種類に限っては、直ちにその医療券を見れば、われわれは少くも人道を解する者である限り見のがしにできないのです。そういう場合にあなたは医療券に治療してはならぬと書いてあるのに、勝手に治療しているのだから知りません、そんなことを言われて、ああそうでございますかといってわれわれ引き下っていられないのです。だから少くも急性の疾患であって放置しては生命の危険を来たすおそれがある、あるいは非常に苦痛を感じておるから――それは場合によってはできものができて化膿しておって、そしてわんわんうずいておるというのなら一日ほうっておいても死にやしません。だけれどもほうっておくのはかわいそうじゃないか。医療券を持っていらっしゃい、治療してあげます。医療券を持ってくるまではほっておくのだ、それでペニシリンの注射もしてやらなければ何も薬もやらないということは、人道主義の立場に立つ限りできません。完全な商人であればできますよ。だけれども医療機関というものはそういうことは絶対にできないのです。その場合に初診券に治療はまかりならぬと書いてあるからということであなたの方は責任をのがれようということは、これは非人道的な政治というべきだと思うのです。従ってそういう給付をするものについては、やはり治療についての責任は政府において持つ、それがいやなら初診券を発行しなければいいのですよ。場合によっては初診券の発行はきわめて緩漫なんですよ。民生事務所に言ってくれば、よしよしなんぼ要るか見積もりをもらってきなさい、まるで建具や造作の見積りをもらってくるような調子で初診券を出す、そのしわ寄せが全部医療機関にくるのです。それならば初診券を出す前に自転車で走ってその人の状態を調べてきて、その上で初診券を出されるなら、ままあなたの方の見込み違いでそういうふうな犠牲を払わされるということについて、医療機関もそれはがまんができると思うのです。初診券はむぞうさに出して、まるで品物の見積り書をとるようなつもりで発行する。そのあとでゆっくり調査して、その上でめんどうを見るのは知らぬ、これは金があるかないか知らぬというのでは、医療機関はたまったものじゃない。だから初診券を発行する限りにおいては、一応扶助をするかしないかということの決定までは政府において責任を持つ、こういう制度でなければ医療機関はたまらぬです。そういうふうな不払いが非常に多いのです。医療機関に初診券だけが来て、あと医療券が来ないというのがたくさんあるのです。そんなのがみな未収入でほっぽらかしです。ところが今度はそれに対して課税されるのですよ。それは未収入金ですから、今日の税法では未収入金というものは所存になるのです。だからそれに対して利益金としてずっとそろばんをおいて、末収入なんぼある、それについてなんぼだ、法人の場合はみなそうですよ。私のところだって、ことしはそれを未収入金が少いといって調べて、今度は未収入金について、医療扶助のそんなものについてまでも利益金として四〇%の課税をされるのですよ、そんなことでは医療機関は成り立っていかないのです。だからあなたの方でやはりそういうことについては責任をとってもらわなければ困る。そういうふうな改正はやってもらえますか。
#72
○尾崎説明員 結局さっき申し上げたことで尽きるわけなんですが、できるだけ医療券の発行をすみやかにするということが今のところではわれわれとしてできる問題でございまして、今先生のおっしゃるように、初診券を発行した者についてすぐ治療しなければならぬという場合には、その治療費は絶対的に国家で持てという御要望は、医療機関の立場に立ってみればよくわかるのです。しかしながらやはり生活保護法の公費負担による医療費支払いという建前からいきますと、どうしても本人の一部負担能力というものを見まして、一部負担能力があればそれは本人から取ってもらわなければならないということになりますので、その点は法改正ということはなかなかむずかしいと思うのです。
#73
○岡本小委員 だからもしあなたの方でそういう建前を堅持されるなら、初診券を出す前に一応、たとえばこれは扶助をするかしないかということの決定までの医療費の支弁に耐えるか耐えないかということを先に調べて、その上で医療券を発行していただけばいいのです。だから制度をそういうふうに変えていただくなら、われわれはそれでもいいと思うのです。だけれども簡単に見積りをとるような調子で初診券を乱発されて、その初診券乱発のあとの跡始末を医療機関が負わなければならないということでは医療機関が困る、こういうことを私は申し上げたいのです。一つその問題は研究していただきたいと思います。
 もう一つ、先ほどのこの小委員会の滝井案に対する補正について、滝井委員から相当微に入り細にわたった質問がございまして、大体尽されておると思うのですが、私は二、三不審に思うところをお尋ねしておきたいと思います。
 まず第一に、この五万一千六百九十六円という平均の給与、この公務員の医療職の給与の数字の中に超過勤務手当が入っているのか入っていないのかということなんです。
#74
○館林説明員 入っております。
#75
○岡本小委員 どの程度に入っているのでしょうか。
#76
○館林説明員 これは各年令ごとに別に計算いたしまして加えてございますが、例を満四十九才にとってみますと、医員であれば超過勤務手当は九千三百四十五円、医長であれば九千七百二十三円、医院長であれば管理職手当二五%一万一千五百円という計算で入っております。
#77
○岡本小委員 それは一日について何時間くらいの超勤手当になっているのでしょうか。時間に割り当てて……。
#78
○館林説明員 これは一日についての調べはございませんが、実際上の医務局の調査から出ておりますので、今日の国立病院の勤務の現状による超過勤務の状況に対するものでございまして、何時間くらい平均超過勤務をいたしておるかということは、月に一応三十六時間ということになっております。
#79
○岡本小委員 その超過勤務の実態について、私は相当さらにこれに補正していただかなければならぬと思う。ということは、国家公務員の勤務の状態というものは、拘束が一応午前九時から午後五時まで。そしてその間に施設の中で診療を担当しているわけなんです。それに一時間超過勤務がある。それは日曜の出勤であるとか当直の場合であるとか、そういうふうなものが超過勤務として出てきておると思うのです。ところで民間の医療機関の勤務時間というものは、これは夜を日に次いでという格好ですね。それで私はいつも言っているのですが、一ぺん厚生大臣と保険局長とに開業医がなめているような夜中の診療行為というもののつらさを実験してもらったらいいなと思う。この間――これはちょっと話が横にすべるかもしれませんが、私がここに来ておりますので弟がかわりにやっております。弟がこういうことを言うのです。兄さん、電話というものは非常にからだに毒ですな、こう言うのです。何のことかわからぬ。何のこっちゃと言うと、夜中に電話がかかったらぴりっと目をさまして、電気に打たれたような衝撃を受けると言う。確かにそうなんです。それはほんとうに上手な表現でした。私が長い間それを経験してきています。夜中に起されるときに、睡魔と戦うということは非常に苦しいのです。それを連日三日も四日も五日もやられる場合があるのです。その場合の肉体的苦痛というものは筆舌に尽しがたいようなものです。だから一ぺん厚生大臣と保険局長とに、僕がかわりに担当して、夜中に電話して僕の宿舎まで来てもらって、それでもうけっこうですと帰ってもらうということを五、六日続けたら、あなた方は平あやまりにあやまって、もうかんにんしてくれと言うにきまっていますよ。そういうふうな勤務というものを、やはり民間の医療機関というものは担当しなければならぬということなんです。国立とか公立の医療機関の人は、一定の、一週に一回とか月に四、五回の当直としてきめられて、その間だけやればいいのですけれども、民間の医療機関というものはそういうふうな急性の疾患は全部第一線の散兵壕でもって取り扱われておる。国立病院とかそういうところは、第一線の散兵壕と違った医療形態をやっておるのです。だからそういうふうな機関で扱うところの患者の種類と、民間医療機関が扱うところの、一般の保険医が扱うところの患者の種類とは非常に違うのです。急性の突発的な病気を担当しているのです。そういうところでは深夜の診療行為というものが非常に多いのです。だからそういうふうなものを担当して、これはもう超勤以上の超勤をいつも担当している。健康保険ではそれに対して加算があります。けれどもその加算たるや、これはお話にならないのです。もしもその加算分を過怠料金として納めることによって往診を拒否することが許されるなら、みなそれを出しますよ。その倍額出してもいいです。夜中に起された場合に、それでも天下御免で断わることができるならば、それは倍額出してもいい。それほどの痛苦に耐えて甘んじてその天職に尽しているのです。だからこの今の昼夜を分たない診療行為ということに対する補正は、これは当然行われるべきだと思うのですが、そういうことは考えていられるのですか。そういうことはこの数字の中に当然織り込まれているとお考えになりますか。
#80
○館林説明員 この開業診療所の実態はいろいろございまして、診療科別にも、ことに小児科等においては夜間起される率は多うございましょうし、眼科等においては夜間起されるということはまれでございます。従ってその問題は、むしろ診療点数を作成する際に、実際受けます非常に過重な勤務をされる人に実際に診療報酬がいくような形をとることが一番合目的々でございまして、実際夜間あまり起きもしない人まで広がるような方向でこれを考えるよりは、その方が考えられる。従って深夜の往診というようなものを十分それにふさわしい点数にするというような方向が一番考えられる、かように考える次第です。
#81
○岡本小委員 それでは今の往診料の点数というものは、これはもう一度再検討をされるべきだというふうな御意見に承わるのですが、もう一つ、先ほどの滝井委員の質問の中の、家族労働が加わっておらないのではないかというふうな点についての御回答が、この人件費の中に家族労働があまり加わっておらないじゃないかという点について、私はもう一つはっきりお答えがなかったように思うのです。家族労働の見積りがこの中に加算されていないということ……。
#82
○館林説明員 これは本日のこの表と全く表裏になるというような関係とは、ちょっと関係があるいは違うかもしれません。別の表で一診療所当りの患者数は平均二十三か四人かと出ております。実際はあるいはもう少し多いのかもしれませんが、純粋に統計だけをとって申しますると二十数人、かりに三十人おりましても、実際上の診療所の実態というものは、多くは医師一人で奥さんと、正式の免状をとった看護婦でないような手伝いを入れたぐらいで診療をしている実態があるわけです。そのような実態から考えるときに、ここに一万八千何がしという平均俸給で、診療所長以外の人の俸給を見ておるわけであります。従って表面上現われた形では、これが医師以外の人の給料、従って家族の人の給料もこれに含まれるとみなすことが一応できる形にはなっております。形にはなっておりましても、実際は、先生の御懸念になっておられますように、なかなかそれを金額に評価するということは容易ならぬわざでございまして、正確にこれを金額に評価するためにはあるいはストップ・ウォッチか何か使いまして、診療所へ入った時間は何時間というようなこまかい計算をやらなければならぬわけでございますが、形の上ではその他の従業員の中に含まれるという解釈も成り立つわけでございます。
#83
○岡本小委員 一つの施設を居宅以外に持ってやる場合には、私の病院で計算しますと、いつの場合も医師を一人ふやすと三人必要です。それは掃除というような雑用をする者、それから受付その他の仕事、それから診療助手、看護婦ですね、そういう者です。それは診療行為が少ければ二人ぐらいで済むかもしれません、しかし少くもその程度に必要なのです。そういう意味においては、患者の少い場合には奥さんが代用しているという場合があると思うのです。しかし医師一人について三人必要であるという建前に立つときに、一が八千円ではこれはどう見ても少いという計算が出てくると思うのですね。その点についてもう一度法制の再検討をやっていただかなければならないと思うのです。
 もう一つ、これは保険局長と医務局長と両方からそれぞれの御意見を承わっておきたいと思うのですが、専門医制度の問題をやはり秋までに検討するのだということが出ておるのですね。その専門医制度の問題を保険医に対する待遇改善の一環として取り扱っておられるのか、あるいは日本の将来の医療機関のあり方として一般医と専門医とに分けるべきだという考え方の上に立っておられるのか、どちらであるかということを一つ先に承わりたい。
#84
○小澤説明員 専門医制度につきましては、いかなる専門医制度を考えてしかるべきかという原案を私どもは持ちませんで、学者その他の方々のフリー・トーキングによって、日本の医療の現状に最もふさわしい専門医というものができるかできないか、できるとするならばいかなる姿のものがいいか、こういうふうに研究すべきだと思います。と申しますのは、専門医制度というものを考えた場合に影響するところがきわめて深刻であり、きわめて広範であります。従いましてなまなかな原案あたりを作りましてはなかなか収拾がつかないのではないか。むしろ皆様方の御意見から、あるべき姿としての専門医制度を将来考えていったらどうか。従いまして私どもといたしましては、これは必ず診療報酬とかみ合せるとか合せないとかという予想を立てないで、できた結果について判断していこう、こう考えております。
#85
○岡本小委員 高田局長はどうですか。
#86
○高田説明員 今の答えの通りでございます。従って今回の診療報酬再検討問題には専門医制度というものは関連づけて考えておりません。
#87
○岡本小委員 そうすると、この間新聞に出ておったのでは、専門医制度の問題は医師の待遇改善の中の一つとして、専門医と一般医との間には社会保険におけるところの診療報酬の単価に差異を設けるというような印象を私は受けたんですが、そういうことについてあなたの方では現在全然お考えになっていらっしゃらないのですね。
#88
○高田説明員 専門医制度につきましては今医務局長からお答えになりました通りでございます。診療報酬の再検討の問題は、これは今差し迫った問題であります。専門医制度というのは、どういうものができますかもわかりませんし、なかなか簡単にできそうにもありません。従ってそれと関連づけて考えるということはいたしておりません。
#89
○小島小委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は追って公報をもってお知らせいたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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