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1956/09/12 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第9号
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1956/09/12 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第9号

#1
第026回国会 社会労働委員会診療報酬及び薬価に関する小委員会 第9号
昭和三十二年九月十二日(木曜日)
    午前十時二十六分開議
 出席小委員
   小委員長 小島 徹三君
      亀山 孝一君    田中 正巳君
      野澤 清人君    岡本 隆一君
      滝井 義高君    堂森 芳夫君
      八木 一男君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
 小委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局次長) 村上  一君
        厚生事務官
        (医務局総務課
        長)      熊崎 正夫君
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 正巳君
        厚生事務官
        (保険局庶務課
        長)      今村  譲君
        厚 生 技 官
        (保険局医寮課
        長)      館林 宣夫君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
九月十二日
 亀山孝一君八月二十日委員辞任につき、委員長
 の指名で小委員に補欠選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 診療報酬及び薬価に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島小委員長 これより診療報酬及び薬価に関する小委員会を開会いたします。
 高田保険局長より小委員会に報告したいことがあるとの発言の申し込みがありますので、これを許可いたします。
#3
○高田(正)説明員 かねて当小委員会で、いろいろ御審議になっておりました診療報酬の改訂の問題につきまして、私どもかねがね検討を重ねておったのでございますが、ようやく一応の事務当局の考え方をまとめるに至りましたので、御報告を申し上げたいと思います。
 なお昨日中央医療協議会を開催いたされまして、厚生大臣より診療報酬の点数単価の改訂について諮問が出されました。なお御審議の参考といたしまして、事務当局の試案を医療協議会の方に御送付を申し上げたのであります。さような経緯もございますので、その御送付申し上げました事務当局の試案につきまして、御報告を申し上げたいと思います。
 お手元に「社会保険医療の診療報酬の算定方法並びに点数及び単価策定方針の概要」という資料がございますが、便宜これに従いましてお話を申し上げたいと存じます。現行の診療報酬を改訂いたすべきかどうかということにつきましては、当小委員会におかれましても、また社労の本委員会におかれましても、かねがね御論議があったのでございますが、私どもそれらの御論議をも参考にいたしまして、いろいろと検討を加えましたところ、これはやはり改訂をいたすのが妥当であろうという事務当局の結論に到達をいたしたわけでございます。この考えに到達をいたしました経緯といたしましては、やはり医療担当者の専門技術者としての、生活を確保するという見地に立って、それから医術の進歩に即したような、医療施設あるいは医療用器材というものにつきましても、十分な配慮をしなければならぬという点からいろいろと検討いたしまして、一応この際診療報酬を現行のものに比しまして、おおむね八・五%程度引き上げることが妥当であるという結論に到達いたしたわけでございます。次いでこの増額、平たく申せば値上げでございますが、これを現行の点数をそのままにいたしまして、一点単価をその程度だけ引き上げることによって処理いたしますことは、現行の点数における不合理というものは何人もこれは首肯いたしておるところでありますので不適当である、従って特にこの際医療技術をできるだけ高く評価するというような見地と、さらに医療担当者の請求事務その他の負担を大幅に軽減する、ひいては診療報酬の審査事務を徹底的に簡素化する、こういうふうなことに十分の考慮を払いまして、点数表の組み直しをやったわけでございます。かような事務簡素化の見地から、なお単価につきましては、従来の端数のついたものを、計算の単位として便宜なように十円というまるい数字にいたしました。この点につきましては、私かねてこの小委員会で、さような希望を持っておるけれども、そういうふうにうまくいくかどうかまだわからぬということを申し上げておったのでございますが、さようにいたしたわけでございます。なお今回のワク並びに点数表の組み直しの作業をいたします過程におきましては、御承知の二十七年以来やっておりました臨時医療保険審議会あるいは三十年の末以来御審議をいただいております中央社会保険医療協議会、特にその専門部会による中間報告が出て参りましたので、それら両審議会、協議会の今日までのかようなことに関連をいたします御審議の過程を十分尊重をいたして参ったわけでございます。
 それでは具体的な内容についてお話を申し上げたいと思いますが、この刷りものの二ページのところから診療報酬増加額の算定方法という項がございますが、それにつきまして御説明を申し上げます。
 診療報酬の適正額を算出するに当りましては、一般診療所における昭和二十七年三月の医業経済調査をもとといたしまして、昭和三十三年の年間平均に至るまで諸経費等の変動を加味いたしまして、そうして次の各項目に従ってそれぞれ算定いたしたのでございます。
 一番問題になります医師の所得でございますが、これは二十七年三月調査における医師の生計費三万三千五百二十四円と出ておりますものに、勤労者の消費支出金額の上昇率一・四五をかけまして、さらに貯蓄ということを考えまして、勤労者の実収入金額と支出金額の差の支出金額に対する比率一・一〇七という計数を乗じまして、さらにお医者様が非常に忙しくなっておるという点を配慮いたしまして、その増加率の二分の一、〇・三〇という数字をこれに乗じて参ったのでございます。繰り返して申し上げますと、二十七年三月当時の生計費――平たく申せば物価の値上りその他がございますので、さようなことでこれをまず伸ばしまして、さらに貯蓄の問題を加味いたしましてこれに忙しくなったであろうと推定されるものを加味して参った、かような意味合いでございます。この結果いわゆる個人立診療所の院長の平均ベースというものが六万九千九百五十五円、ほほ七万円でございますが、こういう数字が出て参ったのでございます。
 次は所要経費の問題でございますが、所要経費をこまかく分析をいたしまして、そのうちまず従業員の給与につきましては、勤労者の賃金の上昇率でこれを引き伸ばし、さらに三十三年における診療所一カ所当り職種別人員、言葉をかえて申せば、その後人数がふえておるのでございますので、その人数の増加というものを配慮し、これに賞与の問題を加算いたしまして算出をいたしたわけでございます。
 衛生材料費中、投薬、注射の薬品費は、その後の物価の変動を昭和三十年の社会医療調査における薬品費に昭和三十三年の総稼働点数と社会医療調査の一施設当りの点数の比率を乗じ、推計をいたしております。その他の衛生材料費は、三月資料に消費卸売物価指数の上昇率及び一施設当りの患者数の増加率をそのままぶっかけて加算をいたしたわけでございます。
 給食材料費は、消費者物価食糧指数の上昇率及び入院患者数の増加率を使って推定をいたしております。なお一般の経費のうちに光熱給水料、事務費、通信費、雑費等はそれぞれそれらの料金指数あるいは消費者物価雑費指数の上昇率というようなものをかけまして、さらに患者の増加率の三分の一を加算をいたしております。被服費につきましては被服指数の上昇率とそれから患者の増加率及び職員の増加率の二分の一を加算をいたしております。会議費、図書費、旅費というふうなものにつきましては消費者物価雑費指数の上昇率及び従業者の数の増加率、これをそのまま使って延ばしております。修理費はその二分の一を材料費、残りを賃金としてそのおのおのの価格上昇率及び患者の増加率の三分の一というものを加算いたしております。不動産賃借料は消費者物価住居指数を使って算出をいたしております。火災保険料は二月資料による建物の評価額の上昇率及び保険料率は低下いたしておりますので、その点を考慮して推計をいたしております。租税中の固定資産税は三月資料より敷地建坪を推算をいたしまして、現行の評価額すなわちこれを評価がえいたしまして、及び患者の増加に伴う拡張というものを配慮いたしまして計算をいたしております。法人税は昭和三十年の課税額実績と法人立施設における収入増額によって推計をいたしました。次は徴収不能額でございますが、社会保険の方は徴収不能ということは自由診療の場合とは異なり比較的少いのでありますが、それでも被扶養者の半額負担でありますとか、あるいは生活保護法による医療費の一部負担というようなものにつきまして徴収不能額がございますので、これも二十七年当時の徴収不能額から稼働点数の増加に伴う自己負担額というふうなものを勘案をいたしまして、これらの増加率を加味いたしまして推計をいたしております。借金の利子でございますが、これも当時の支払い利子を稼働点数の増加に伴って負債も増加するものと仮定をいたしまして稼働点数の増加率によってこれを補正をいたしております。減価償却費でございますが、これにつきましては特別の配慮を加えまして、医療器具機械というふうなもの、あるいはエッキス線装置、エレクトロというふうなものにつきましては医学の進歩ということを頭に入れまして、それぞれ償却年限を短縮いたしております。すなわちこれらのもが物としてただ存在するだけなら長くするけれども、学問の進歩によりまして陳腐化してしまう、新しいものができて古いものはあまり役に立たなくなる、こういうふうなことを配慮いたしまして償却年限を短縮をいたしております。
 以上のような方法でございますが、これを一口に申し上げてみますれば経費につきましてはその後の物価の上昇というものをまず考えますると同時に、人件費につきましては人員の増、その他の経費につきましては患者の増すなわち医療というものが拡大をして参った、さようなことを配慮いたしまして推定をいたしておるわけでございます。
 以上でこの所要経費の合計が十万百七十円と出たわけでございます。先ほど申し上げました六万九千九百五十五円の医師の所得、これを全診療所に引き直してみますると、公立診療所等もございまするので五万九千四百六十二円ということに相なるわけでございますが、この五万九千四百六十二円とただいま申し上げました十万百七十円の経費、これを合計いたしますると月十五万九千六百三十二円ということに相なるわけでございます。これを現在の平均単価十一円七十七銭と仮定をいたしました場合の診療所平均のグロス・インカムといいますか総収入は十四万七千百二十五円ということに相なりまするので、この十四万七千百二十五円と先ほど新たなる観点に立って計算をいたしました十五万九千六百三十二円というものとを比較いたしますると、後者は前者の八・五%の増ということに相なるわけでございます。これによりまして私どもといたしましてはおおむね八・五%程度の診療費の拡大――拡大と申すとあれでございますが、いわゆる平たく申せば値上げをいたすことが妥当であろうという結論に到達をいたしたわけでございます。
 なおこの改善案によりまするいわゆる開業医さんの得所は月六万九千九百五十五円ということになりまして二十七年三月の三万三千五百二十四円だけの世帯支出をまかなっておったであろう収入、これと比較いたしましておよそ二・一倍の増ということに相なります。一般の勤労者の二十七年当時から今日までの増加率が、大体いろいろなものを調べてみますると六割ということになっておりまするので、これと比較いたしますると大幅に上回る結果となっておりまして、その意味では待遇の改善は著しいものと私どもは考えるわけでございます。
 さて次は点数表の改訂の問題でございますが、これにつきましてはお手元に差し上げました資料の十八ページの次に「四、診療報酬点数の改訂方法」というのがございますが、ここをお開き願いたいと思います。診療報酬点数の改訂という問題につきましては、まず一般的なことを申し上げますると、今回の私どもの試案におきましては診療報酬算定表甲表、乙表という二つの表を作りました。そして医療機関にいずれかを御選択願うことにいたしたわけであります。しかしきょうこっちを選んであす向うを選ぶというのでは非常に困りますので、一年間はどちらかの表にきめてもらうということにいたしたわけでございます。それから単価は甲表乙表とも十円ということにいたしております。それからなお、甲地乙地の地域差の問題でございますが、これは先般の小委員会で、私はできるならばこれを廃止いたしたいという希望を申し述べたのでございますけれども、今直ちにこれを廃止いたすことは若干無理があるというふうに考えまして、従来の一円開き、大体八・五%程度ということになるわけでありますが、この八・五%開きよりはその開きを少くいたしまして、おおむね五%程度の開きということにいたしました。そういたしまして、用地乙地の単価の区別は廃止いたしました。従来甲地であった地域に所在する保険医療機関に対しまして、療養担当地域手当といたしまして外来患者につきましては一カ月の診療件数一件につき三点、入院患者につきましては入院日数一日につき三点というものを加算いたすということにいたしたわけでございます。以上甲表乙表の選択制にいたしたということ、単価は十円といたしたということ、甲地乙地の差を五%程度に縮めたということ、これらの点は、一般診療におきましても、歯科診療におきましても同様でございます。
 さて、甲表乙表の中身でございますが、甲表におきましては、基本診療料と特掲診療料というふうに大別いたしまして、基本診療料におきましては、件数払い的な思想を加味いたしまして、初診の際もしくは再診の際または入院の際に行われまする診察、投薬、簡単な検査、注射、処置、理学的療法、入院等の費用を一括いたしまして初診時基本診療料、再診時基本診療料及び入院時基本診療料といたして支払うことにいたしたわけでございます。もっとも投薬の場合におきましても注射の場合におきましても、その薬品のいわゆる実費というものはそのほかに払うわけでございます。
 かようなことにいたしまして、さらに、これだけでは物事は解決をいたしませんので、特掲診療料というものを設けまして、特殊な診察に要する費用、たとえば往診料、慢性疾患指導料等は別掲をいたしました。特殊な検査、注射、処置及び理学的療法に要する費用、手術に要する費用、これらのものは基本診療料とは別に支払う特殊な診療報酬といたしたわけでございます。それによりまして次のページに現行の点数と新しい点数との比較が書いてございますが、さようなことに相なるわけでございます。
 この甲表の場合の私どもの思想といたしましては、技術を尊重するという考え方を貫きますると同時に、従来から御指摘になっております事務の簡素化というふうなものを極度に配慮いたしまして点数表を組んだわけでございまして、その請求事務の簡素化という点につきましては、私どもの推算では投薬料関係九〇%以上、注射料関係八〇%以上、処置料関係八〇%以上が減少すると見込んでおります。請求事務が減少するにつれまして審査ということもほとんど必要がなくなるというふうに私どもは考えておるわけでございます。またいろいろトラブルを起す原因になっております監査というふうなことも非常に簡素化されるのではあるまいかと私どもは考えております。
 申し落しましたが、甲表におきましては投薬、注射の場合の薬品の実費は、事務簡素化の見地から一般の薬品すなわち六十円以下の薬品は平均単価でお支払いをする。それ以上の薬品につきましてはそれぞれの料金を支払うという建前にいたしておるわけでございます。大体内容が非常にこうかんなものでございますので、甲表につきましては大体の方向をその程度に御説明申し上げまして次は乙表に参りたいと思います。
 率直に申し上げますと、私どもは診療報酬の支払いの方法といたしましては、いろいろな観点からながめましてこの甲表のごときものが好もしい姿というふうに考えておるのでございますが、これは現在の現状と相当変動が参りまするので、これを一時に強行いたしますることは、実際問題といたしましては医療機関の中に収入の減るような方も出て参ります。さようなことは現実問題として妥当であるまい、こういうふうな観点から乙表というものを作ったわけでございます。この乙表の考え方は、おおむね現行点数で一円程度上げたのとほとんど実際の収入の状況におきましては変りがございません。一口に申し上げますれば、今回八・六%の診療費の値上げをする、その八・六%分を技術を伴いまする面、すなわち初診料、それから検査料、手術料というふうなところに配分をいたして参ったのでございます。投薬関係、注射関係等には配分をいたしておりません。なお、入院料につきましても配分をいたしております。しかもそれらの配分のいたし方は、おおむね現行点数のほぼ一割程度というふうなごく機械的な配分をいたしております。甲表におきましては、手術等につきましては、先般の専門委員会の中間報告に盛られました先生方の御意見というものを取り入れまして、技術差を大幅に盛り込んでおるのでございますが、乙表におきましてはさようなことをいたしておりません。従って現在の点数のままで、それにごく機械的に一割程度の割増しをいたしたということにいたしておるのでございます。そうしてその他の診療報酬の額、たとえば注射料でございますとか、投薬料でございますとか、処置料でございますとか、その他いろいろあると思いますが、そういうふうなものにつきましては、おおむね現行点数に現行単価をかけた額にとどめるということにいたしておるわけでございます。かようなことでございまするので、乙表におきましては、現行の診療報酬と比較いたしまして減収をいたすという医療機関は一つも出て参らなくなります。いずれも少しずつは、大体八%ないし一割程度は増額ということに相なるという結果になろうかと思います。もう少し端的に申し上げますれば、現行点数で一円ぐらい単価を上げたのと同じような、ほとんどそれに近い結果が現われてくるのでございます。この甲表と乙表とだいぶ性格の異なった二表を設けまして、これを医療機関の選択にまかせるということにいたしましたのは、一口に申せば理想と現実との調和をかような形ではかったというふうに申し上げ得るかと存ずる次第でございます。
 次は歯科診療の面でございますが、これも先ほど申し上げました基本的な点は共通でございまして、甲表と乙表、二表を設けております。考え方は大体同じでございまするので、詳細な御説明は省略をさせていただきます。
 最後に調剤報酬の算定でございますが、従来六円ということで、二十七年のコスト計算によりましても、やや低い単価ということになっておりましたので、今回これを一剤一日分八円ということに改訂を加えたわけでございます。
 以上非常に下手な説明でございましたが、一応御説明を申し上げました。
#4
○小島小委員長 発言の通告がありますので、順次これを許可いたします。滝井義高君。
#5
○滝井小委員 ただいま社会保険の診療報酬の改訂に関する厚生省の試案の御説明をいただいたわけですが、大臣の出席を一つ……。
#6
○小島小委員長 大臣は今ちょっと都合があって来られないから、一つ事務当局に質問して下さい。
#7
○滝井小委員 大蔵省は来ていますか。
#8
○小島小委員長 大蔵省は主計局次長が来るはずです。
#9
○滝井小委員 大臣に来てもらわぬと工合が悪いのだがね、大事な案なんだから。
#10
○小島小委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#11
○小島小委員長 速記を始めて。事務当局に対する質問をしておってもらえば、そのうちにまた大臣の出席を要求します。
#12
○滝井小委員 では来るまでやらしてもらいますが、参議院に通告しておいて下さい、大臣が衆議院に来るように。一つ委員長からやって下さい。
#13
○小島小委員長 だから、それで質問をして下さい。
#14
○滝井小委員 それでは大臣が来るまでやりますが、重複することがあって、時間がそのために延長されるかもしれませんが、それは一つ御了承願って質問を続けます。
 とにかくこういう試案が出たことに対しましては、事務当局なり大臣の御努力に対して非常に叱咤激励をした私としては感謝をいたします。しかし、案の出たことについては非常に感謝をいたしますが、内容については、いずれ詳細は次ぐらいにお聞かせいただきたいと思いますが、きょうは大ざっぱな基本的なところを一つお尋ねしたい。従ってきょうは、あなた方の試案が出たそれに対する当初の質問でございますので、高田さんが政治的にその点は答えられませんという点があれば、答えられませんという御答弁をいただいて、大臣に保留をしておきます。
 まず第一にお尋ねをいたしたい点は、七月三十日の社会労働委員会で八月中に案を出すというお約束でありましたが、なぜ八月中にできなかったか、これをまず第一にお尋ねをいたしたい。
#15
○高田(正)説明員 私どもの事務的な作業がなかなかそこまで進まなかったからであります。
#16
○滝井小委員 八月中にできなかったのは、事務的な作業が進まなかったということであります。それならば九月の五日には渾身の努力をもってお出しをいただくというお約束をしていたのに、さらにそれが一週間延びて、本日十二日になった、これは一体どういうわけなんですか。
#17
○高田(正)説明員 委員会の御開催が延びたわけでございます。
#18
○滝井小委員 それはそうは言わせません。委員会の責任ですか、では委員長、委員会の開催が延びたという事務当局の答弁ですが、その点を委員長から御答弁いただきたい。
#19
○小島小委員長 委員長は理由がありません。委員長の都合で十二日まで延ばしました。
#20
○滝井小委員 委員長の都合で十二日まで延ばしたということですが、昨日来私は厚生省に資料を要求いたしましたが、まだ資料はできておりませんので上げられませんという答弁ですが、今の高田さんの答弁とは違う。あなたの方はすでに九月の五日には開く準備ができておったという今の答弁なんですが、もしあなたがそういうことであるならば、少くとも個人的には私にそのくらいのことを言ってくれる雅量と親切を持っていいと思うのです。それを昨日まで私が要求したけれども資料がまだできませんということなんです。それで今のあなたの御答弁では、委員会が開かれなかったから自分の方は今まで待っておったんだということになる。これは明らかに食い違いです。少くとも厚生省が諮問案を中央社会保険医療協議会に出しておいて、そうして資料を議員が要求をしたのに出さない、しかもそれもようやく専門員室あたりは多分昨日くらいに来たのだろうと思うのです。だから、それは私にはできておりませんということなんです。隣りにいらっしゃる野沢さんにも聞いたら、厚生省はまだ会議中だ、結論が出ていない、こういうことなんです。そうすればあなた方は、けっこう与党と政府、厚生省がなれ合ってわれわれ社会党をぺてんにかけようとしている。もしあなた方がそういうきたない気持でこの問題を処理しようとするならば、私たちも開き直らざるを得ないということなんです。まず私はここで明白にしてもらいたいと思う。委員会は小島さんが勝手に延ばしたのか、あなた方の案ができなかったのか。これはあなたが九月五日には渾身の努力をもってやりますという約束をしている。小島君ももう九月の五日には来ておる。私はその前に要求しておる。ところがまた厚生省はできないんだということは小島君自身が言っている。だからその点も――これはわれわれにはわれわれの立場があります。従って明白に、一つあなたの方の責任でできなかったのかどうかということなんです。
#21
○高田(正)説明員 委員会の延びました理由は、今小島委員長からお話になった通りでありますが、私の方の作業も実は相当予定よりおくれたことは事実でございます。私の方でも構想はまとまりましても、それを印刷に出しましたり資料にいたしましたりするとなれば、いろいろ手間がかかりますので、さようなことで私の方の資料作成というものもおくれましたことは、これは事実でございます。
#22
○滝井小委員 時間の関係がありますから、とにかくお互いにすっぱだかになって、誠意を持って委員会を開いてこの問題を討議しておるときには、やはり物事は正直に言ってもらわなければいかぬと思うのです。あなた方はしょっぱなから、私に言わせれば虚偽です。そういう虚偽の答弁をするということは納得ができない。私は今の答弁には納得できません。
 そこで次に移ります。一体この案というものは、与党に十分納得の上で出した案であるかどうかということです。あなた方も御存じのように、今の日本の政治は政党政治です。日本の予算編成の根本に関係をし、日本の国民生活のすみずみにまで影響を及ぼすこの重大な問題というものを、十分与党の賛成の上に厚生大臣案として出されたものと了承しますが、そう了承して差しつかえありませんか。
#23
○高田(正)説明員 諮問機関というものがございまして、そこで御意見を十分拝聴した上で厚生大臣としては最後の自分の腹をきめるわけでございます。その際には十分政府の内部また政党政治でありますので、与党とも御調整になることと私どもは考えております。今回のこの案は、その諮問機関である医療協議会に大臣がこの案をかけたわけではございません。大臣といたしましては、その会の意見を問うというような抽象的な諮問を出しておるのでありますが、ただいろいろな情勢から、今日におきましてはただ抽象的な論議を重ねておりましてもなかなかまとまりませんような見通しでありますので、医療協議会の御審議の参考として事務当局の試案を出したわけでございます。この事務当局の試案を参考として提出いたしますることは、これは厚生大臣の権限でございますので、医療協議会を開いて事務当局の試案を出すということについての御報告なり、なんなりは与党にもなされておりますけれども、その中身については党としても今後御検討になるもの、かように私は考えておるのでございます。なお、そこらの点は政治的な問題でございますので、私のさような考え方が、大臣といたしましてはまた別のお考えなり、お手順を踏まれておるかもしれませんけれども、私どもが承知いたしておるのはさようなことでございます。(「大臣を呼ばなきゃだめだ」と呼ぶ者あり)
#24
○滝井小委員 今八木さんも言われましたが、大臣にどうしても来てもらわなければいけません。ぜひ来てもらいます。
 高田さんにお尋ねしますが、そうしますと、与党の正規の機関にかけた案ではない、事務当局の見解ではかけていない、こういう見解でございますね。そう了承して差しつかえありませんが。それをまず聞いておきます。
#25
○高田(正)説明員 かようなものを諮問機関である医療協議会に事務当局の試案として、参考としてこれを送付するということについての御報告は、党に対して申し上げてございます。
#26
○滝井小委員 党にただこういうものを出すということを言っただけで――それぞれ政党には政調会なり政策審議会なり正規の機関があります。一国の予算の編成に関係をし、国民生活に重大な影響を与えるものが、一厚生省だけで閣議の了解もなくして出されるということは、私は考えられないと思います。しかもこの問題は局長も御存じの通り、二十六年以来政治的に重大な問題になっておるものなんです。だから私はこの期に及んで、今日このときに及んで、あなたが今のような答弁をすることは私は承知できない。なぜならば、私は今までそうなるであろうことをおそれて忠告をしてきたはずです。館林試案でもいい、高田試案でもいいから、とにかく厚生省の事務当局の案をお出しになって、そして国民的なこの問題に対する討議の場を作るべきだということを私は申してきたのです。ところがあなたは私の言うたびごとに、滝井さんも事情はよくわかっておるでしょうが、なかなか事務当局の案は出せるものじゃないのだ。事務当局が出すときには大蔵省にも了解をつけなければならぬし、政府与党にも話さなければ出せぬぞということを言っておるのです。だから今日このときに及んで出た案は、私は当然大蔵省にも了解をつけておるだろうし、与党にも十分了解がつけて、岸内閣の新政策として出したものだという理解に立って私は質問している。ところが今の御答弁ではそうじゃないということになれば、これは国会では審議する価値がない。それならば審議する価値あるものを出せということになる。私の今まであなたに要求したものはそういうものなんです。厚生省の事務当局の役人が作った試案を出して、そしてわれわれに審議させようなんということは間違っておる。あなたの方の土俵の中の医療審議会とか中央社会保険協議会ならよろしいですよ。国会に出してくるからには、私たちの要求したものは、故事来歴を全部読み上げますと、単価を合理化したもので、しかも財政当局と十分了解を得たものをここに持ってこい。こういう約束だったはずです。そうでなければあなた方の作った案が四つあるなら四つお出しなさいということを、私は言々句々あなた方に述べてきているはずです。従って私はきょう出た案というものはそういうものであろう、これだけの膨大な国費を使って印刷してきているものであるから、与党も十分了解し、大蔵省の了解も得て、閣議も決定をしておるものだと了解しておった。ところが今の御答弁では、与党にはこういう案を出しますということを通告している。新聞を見ると、大蔵省にも、この案をとにかく中央社会保険協議会に出すことだけは了解してくれということを言ったと書いてある。そういうことであるならば、これはわれわれは納得ができない。審議の価値がないことになる。だからその点は、今まであなたは私をだましたことになる。今までの速記の経過を読んでごらんなさい。私は、この質問をするのにもし相違があってはいかぬと思って、きょう全部速記を読んできた。あなたの答弁は政治的な状態を考慮しながらの答弁です。単に事務当局の案を出して、それを修正してくれ。あとは野となれ山となれ。あとは逃げてしまうというばずではなかったのです。あなたが出すからには、十分渾身の努力を尽して出す。それには十分責任を持たなければならぬので、各方面と十分連絡して出さなければならぬというあなたの御意見であった。まさかきょうになって一保険局長高田の試案でございます。従ってこれは自民党にも大蔵省にも相談しておりません。これはどうなろうと、医療協議会の参考に出した案をここに持ってきたのだということは、あなたは言えないと思うんです。もしあなたがそういうことを言うなら、私は社会党に帰ります。そしてこれ以上私は質問しませんから。そういうものであるならば、私どもは今まで何のために四月以来この委員会でやってきたかということなんです。今までのものの考え方というものは、二十六年の十二月七日に単価及び点数については根本的に検討して、これが適正化をはかるということを言ってきている。それをあなた方は今までやらずに、二十八年の二月十三日に、今度は関係各省においてすみやかにやれということになっておる。その場合にでき得るならば、要すれば、臨時医療保険審議会、その他の民間の公正な意見を徴するものとする、要すればということは聞いても聞かなくてもいいということです。関係各省は責任を持ってやりなさいという閣議了解になっておる。しかも二十九年の十一月には、医療審議会で審議するとあなたは言うて、これを関係各省でやるが、大蔵省にも相談しなければならないが、相談しているか。折に触れて大蔵省とは交渉しておりますということをあなたは答弁しているはずです。しかも三十一年の四月四日に、一萬田大蔵大臣が何と言ったかというと、大橋武夫さんの意見によって、もし健康保険の会計に黒字が出るならば、最優先的に単価の合理化について考えますということを言っているのです。全部私は速記を調べてきたのです。そしてしかも三十二年の二月二十七日に、岡本委員の質問に答えて神田厚生大臣は、もはや個人診療所も公立も官立も県立も、全部どうにもならぬようになっているのだ。私のところにもたくさん決議が来ておりますので、私は合理的な単価をあげたいと思うが、案がないので、事務当局に命じて案を作らせます。案ができたら大蔵省と直ちに折衝して実現します。こういうことを言っておる。そしてしかも三十二年の七月三十日に八月一ぱいにこういうものを作る。こうなってきておる。だからこの経過を見ますと、単にあなた方のどこにも了解を得ぬような試案を作って、ここにお茶をにごしに持ってくるようなものではないはずである。それをきょうになってあなた方がそういうことを言うならば、社会党はこういうものを審議する価値はない。一厚生省の試案であるならば――責任政治ですよ。政党政治ですよ。しかも予算編成を前に控えて、与党にも了解を得ないような案をここに付議してやれといったって、やれますか。それは局長が、この案は必ず私は実行してみせますと言うならとにかく、これは参考の案で、どうなろうとあとは野となれ山となれだ、私は作ればそれで役目は終ったんですということですか。今私の述べた経過にかんがみてあなたの責任ある御答弁を要求して、それから大臣に聞きます。
#27
○高田(正)説明員 私ども事務当局としましては、とにかくない知恵をしぼって、これが妥当であると考えて出した試案でございます。ただいま滝井先生審議をしてくれと言っているというような仰せでございましたが、私は昨日医療協議会にこういうものを提出いたしましたという御報告をいたしているだけでございまして、今まで当小委員会でいろいろ意見がございましたので、これはまず当小委員会に御報告を申し上げることが妥当であろう、こう考えて御報告を申し上げているのでございます。なお滝井先生が大蔵省並びに与党とも最終的に了解を取りつけた案を出すべきであるという仰せでございましたけれども、もちろん私どももさようなことが一番いいことだと思います。そうなれば事務当局の試案ということにならないで、これは政府の諮問案ということになるわけであります。しかしそういたしますには、先生も御存じのように財政的な裏づけ、その他予算の方なんかもぴちっときまらなければ、さようなものはなかなか出し得ないのでございます。そうかと申して、先生が繰り返し仰せになったように、何か事務当局の案でも考えろ、それを世の中に出せ、そうすることが事務当局の責任ではないかということ、私どももさようにいたすことが先ほど申し上げましたように協議会の御審議のたたき台としても必要であろう、さような意味で協議会の方に提出をいたしたわけでございます。従って協議会でいろいろな御論議があることと存じます。私どもの案だけでなく、他の関係者からの案もすでに提出されております。さようなわけで、いろいろな立場の方がいろいろな観点から御審議をいただきまして、やがて厚生大臣に何らかの御答申があることと思います。あるいはその場合には私どもの事務当局案というものと変った御答申があるかもしれません。厚生大臣としてはその御答申を十分にらみまして、その上で最終的な大臣の腹をきめ、政府の案を固め、与党とも十分なる調整をとって、政府の策として国会に御報告に相なることと存ずるわけでございます。
#28
○野澤小委員 関連して。今この案の取扱いについて滝井君から質問があったけれども、滝井さんと私がこの休み中に電話で連絡した事項にも、一体政府の原案というものはいつできるのかというので再三話もいたしました。経過的には滝井さんの述べられた通りです。ただし、私の方としても、党の政調会を中心にして、再三大臣にも局長にも、事柄が歴史的にきわめて重大な問題だからすっかり党も政府も態度をきめてかかるべきじゃないかということを忠告したけれども、事務的に進捗しない。それで一昨日初めて党の政調会の方に持ち込まれたわけで、そのときの説明の要旨を拝聴していると、単に中央社会保険医療協議会にいわゆる幹事案として諮問するんだ、政府の案として諮問するんじゃないのだ、こういうことで、党の方としては、そこに諮問すること自体については了承しようじゃないかということで話し合った。それからさらに、諮問している間に大蔵省との折衝もできるし、また中央社会保険医療協議会でどういう案にまとまるかもまだわからないんだ、こういうことであるために、党の方としても今後十分検討していこうじゃないか。数字も見ないでいい悪いということも言えないから、十分これも検討しようじゃないかというふうなことで、申し合せをしたように私記憶しています。そこで今滝井さんが審議する価値がないと言うのなら、もうこの小委員会で取り上げるのをやめたらいい。そうしてはっきりと政府の案がきまって、そうして正式な委員会の方に上程してもらう方が一番いい。きょうはただきのうの中央社会保険医療協議会に諮問したということを報告したというだけなら、これで了承しようじゃないですか。政府の方ではその諮問機関で十分意見が出て答申を得られたならば、大臣の力で固められて――ただ私たちが一昨日聞いたのは、事きわめて重大であるし、前大臣も声明していたりするし、医療担当者の待遇改善を早急にやりたい、そうして今年度の予算編成に間に合うように大蔵省とも折衝をしなければならぬ、こういうために、きょうの小委員会に持ち込むことも非常に時宜に適したものだと思っておったが、滝井君の理論も確かにその通りです。滝井君が社会党としては審議する価値がないというならやめられて、そうして正式に理事会を開いていただいて、社労の委員会に持ち込んでもらうことにして、審議すべき価値のあるものの出るのを待つ、これ以外に方法はないと思いますから、これは高田局長の御決心と同時に委員長の御決心をお聞きしたい。
#29
○小島小委員長 委員長として意見を申し上げます。本小委員会は適正なる診療報酬を探し出すという目的を持って開かれたものであって、何も政府の提出案を審議する目的を持っておるものじゃないのであります。今まで滝井私案というようなものについて審議いたしましたことも、どこに適正なる診療報酬があるかということを探し出すためにやっておったことであって、現在事務当局案として出たものでも、これが小委員会として適正なる単価を出すために必要であると考えるならば、私はこれは審議すべきものであると考えます。ただし委員長として、何もこれをしいて審議して下さいと言って頼むわけではないのであって、委員諸君として審議する必要があると思われる方は審議すればいい、審議する必要なしとお考えになる方は、審議しないでおいていただいても差しつかえありません。
#30
○野澤小委員 そうしますと、委員長の意見としては、継続してこの小委員会をお開きになって、この問題についての数字等も検討したい者はしてよろしい、こういう意味でございますか。今後お開きになるおつもりですか、それだけはっきりしておきましょう。
#31
○小島小委員長 委員長としては、適正なる診療報酬を探し出すためには、こういう一つの事務当局案といえども審議する価値がある、かように考えております。
#32
○滝井小委員 少し話がそれましたが問題は、われわれは適正な診療報酬すなわち適正な単価なりあるいは合理的な点数表というものを見つけるために四月以来この委員会を開いております。それはその通りです。しかし、この委員会が四月の二日にできて以来の経過というものは、いろいろの案が出ておるけれども、何といっても合理的な単価というものは一体どういうものなのか、これを政府の方から一つ出してみないかというのが、われわれが今まで主張してきたところなんです。ところが政府は、それについていろいろの事情があって出せません。その事情については滝井さんも常識でよく御存じでしょうがということが、今までの一貫した局長の答弁であったはずです。その事情は何かというと、なかなかうるさい与党もおるし、大蔵省もおるのだから、そこらあたりの了解を取りつけなければ、なかなか事務当局の案は出せませんというのが今までの答弁だった。だからそれはわかっておる。そういう事情があるので、ここで適正な単価をきめるためには、幾つでもいい、案があれば三つでも四つでもいいから厚生省で全部お出しなさい。そうして三つ四つ出た案をいろいろ討議しておる間に、厚生省の腹も固まるだろうし、それから世論も、なるほどそれならば上げなければならぬという世論も出てくるかもしれない、あるいは反対に上げてはならぬという世論も出てくるかもしれない。だからお出しになる方がいいだろうというのがわれわれの今までの主張だった。ところがきょうの態度は、今回社会保険医療協議会にこういうものを出しましたから委員会にも報告しておきましょう――これはわれわれの要求ではない。われわれはあるべき単価を一つ出してくれという要求をしたが、点数を出してくれという要求はしていない。あるべき単価を一ぺん出してみてくれぬか、あるべき単価が出ればそれをどういう工合に焼き直そうと、それから先は行政にまかしてもいい。またこういうむずかしい指数は、今の政党の政策審議会や何かでできるものじゃない。具体的な現実の調査をやらなければ出てこないのですから。だから療養担当者の団体に頼むか、あるいは保険者の団体にたのむか、厚生省自身がやるか以外は、実際問題としてわれわれ手足を持たないからできない。従って、今度出てきた数字が、ほんとうに信憑性があり、正当なものであるかどうかということをわれわれがお互いに一緒になって審議して、あなた方なり療養担当者なり保険者の作った案を、どれが一番いいかということをお互いに検討してきめて、ガラス張りの中で作るというのが、今までの念願だった。ところがきょうのあなた方の態度は、あなた方は政治的にいっておる。すでにわれわれの要求しない単価というものに焼き直してきて、点数表をこういう形で出してきておる。だから私たちは何もここで具体的に何円何十銭という単価を決定をして、それをここであなた方に押しつけようなどということを今まで一回だって言ったことはない。謙虚な気持で、ガラス張りの中で討議して教えていただこう、こういう気持です。われわれは、単価というものは行政府の決定するものであるということはよく知っております。しかしそうであるけれども、単価というものは日本の医療の根本に関係するものであるし、同時に予算編成の根本に関係する重要な問題だから、従ってこれはどうしてもここでやらなければならぬ問題であることは事実なんです。それを国会は審議する権限はないのだというような今の答弁は受け取れません。どうも報告すればいいのだから、報告をきょうやるだけだというような口ぶりなんです。あなた方の今の答弁は。だからわれわれが要求するものをざっくばらんに出して下さい。あるべき単価は一体幾らかという厚生省の責任ある単価をお出しなさい。それは出せませんか。もうここまで来れば、次回のこの委員会にあるべき単価が出せるはずだ。ここに出てきておるものは、むしろいえば政策単価です。だからあるべき単価が幾らだということを、もしそれがわかればここで言って下さい。今の十一円五十銭なり十二円五十銭というものを、あるべき単価として厚生省は幾らと見るか、これをまず言って下さい。それを言ってもらえばはっきりしてくるでしょう。
#33
○高田(正)説明員 一ページの「方針」というところの(2)のところに、「次いで、この増額を機械的に現行の一点単価をその程度だけ(約一円)」ということが書いてあります。その通りでございます。
#34
○滝井小委員 そうしますと、今の平均でいえば十一円八十三銭が今井案ですから、十一円七十七銭が十二円七十七銭になればよろしい、これがすなわちいわゆる歴代の保守党の政府が言った、しかも事務当局が心魂を打ち込んだ結論は、十二円七十七銭、あるいは十二円八十三銭だ、こういうことだということになるわけです。今の答弁では。そうするとその計算の方式を一つお示し願いたいと思います。
#35
○高田(正)説明員 ただいま私がるる御説明を申し上げたつもりでございますが、二ページ以下にそれが書いてあるわけであります。
#36
○滝井小委員 ところが稼働点数なんというものは出ていない。単価を出すためには割り算をしなければならない。経費だけではだめなんです。だから一円なら一円があるべき日本の療養担当者の適正な診療報酬であるということになれば、まず第一段階であるべき単価を一円上げたら、その一円を上げる理論的な根拠というものを示してもらわなければならぬ。それさえ示してもらえば、それから先はそれが正しいものかどうかをわれわれが論議していけばいいわけです。非常に時間も省ける。あなた方が初めからこういうしちめんどうくさいことを出してくると、これはよほど勉強しておらなければなかなかわかりませんよ。私今野澤さんとも話したんだが、この案をおそらく与党の総務会や政策審議会なりに出してぽっと説明してもわかる人は一人か二人おるかおらぬかだと思う。少くともこの問題を政治に移すからには、もっと政治家がわかるようなわかりやすい方法でやらなければならぬ。そのためには、今一番議論になっておるあるべき単価は幾らかと言ったら、一円上げたところがあるべき単価だ、こういうことなんです。そうすると、一円というものを上げるその基礎的な数字というものをここに示してもらえば、それから先はこれをどういう工合にやるかということを今度は討議していけばいい。ところが今結果だけが出ておる。だからそれを一つ簡単に模型的でよろしいから、経費は出ておりますから。一円を上げる稼働点数がどうなっておるかを説明してもらいたい。
#37
○高田(正)説明員 先ほど私申し上げたつもりなんですが、この五ページのところに現在の平均の収入が十四万七千百二十五円ということに推計されるということを申し上げたときに、私どものあれによりますれば、月一万二千五百点というものを考えておるということを申し上げたわけでございます。
#38
○滝井小委員 いや一万二千五百点を考えておるじゃ困るのですよ。やはり数字の基礎というものが一番大事なところでしょう。ここを出してもらわなければいかぬ。何年何月でどういう工合に全国のどういうところの統計資料を集めて、そうして窓口はどのような――有床の診療所なのか、無床の診療所なのか、病院も加わっておるのか、加わっていないのか、そういうことをはっきり出してもらわなければ――医者の収入というのは、これをやった結果十六万円程度になります。従って今二十七年の収入に比べたら二・一倍になりますということじゃ困る。そういうことを平気で言うものですから、日本の医者というものはよほど大金持が多くて、そうしてぜいたく三昧をやって、特権意識に燃え立っておる、こういう結論になるでしょう。たとえば健康保険組合の連合会の資料なんか見ると、厚生省の医務局が三十年度の総医療費二千九百億というものを持ってきた。そうしてその二千九百億の中には氷代まで入っているのですよ。売薬も入っている。ところがそれを医者の数で割って、医者の一人当りの医療費というものは、所得じゃないけれども、こうなる、こう言っている。そういう理論でいくならば、氷代も入っておるから、日本の総医療費というものは、あの中に医者も歯科医師も薬剤師も氷屋も加えて割らなければならぬ。ところがそういう簡単な割り算でごまかされてきておる。物事は根拠を明白にしてやらなければならぬ。医者の収入というものを、今あなたが言うように一万二千五百点になるものなら、一体どこからそういう数字が出てくるか、しかもその一万二千五百点を請求をしておる窓口というものは一体どういう実態の診療所なのか、こういうことを明白にわれわれ国会議員に教えてもらわなければ、あなた方が一万二千五百点になります。これを信頼せいと言ったって、こういう複雑な問題になってきておるときにはなかなかそういうわけにはいかぬ。こういうむずかしいものを出すにはわれわれ頭の悪い国会議員がわかるような姿で出してもらわなければいかぬ。それを物価指数がどうだこうだ、患者がどうだこうだ――われわれに言わせればそれはあなた方の独善です。あなた方の独断のものだけを出してきて、これで報告しておきますというんじゃ困る。まずあるべき単価は幾らだ、これを一つきょうは出してもらいましょう。そうしてあるべき単価が一円である、一円増加をすればいいという結論になれば、今度大蔵省に、あるべき単価はこうだが大蔵省は一体どうだ、こういうことになってくる。海のものとも山のものともわからぬ、与党の了承も得ておらぬ、大蔵省も知らぬようなものをここへ持ってきても、われわれはなかなか真剣に討議がやりにくい。だから、やがてこの案を実施したならば、医師の最終的な所得は十五万九千六百三十二円となるというその算定の基礎であるべき単価というものは今一円だということがわかりましたから、従ってその一円のもっと算数の基礎を一つ要約をして御説明願いたい、こういうことなんです。
#39
○高田(正)説明員 私どもといたしましては支払った側から調べたのです。基金の取扱い分、それの診療所分、それから国民健康保険の総点数、診療所分、かようなものを考えまして、それのできるだけ新しい資料を取りまして、さらにその合計から補正をいたしまして、一部負担の初診療、これは基金の請求に出て参りませんので、それを加算いたしましたし、それから基金等を通じないで医療機関に直接支払っている分がございます。さようなものを調査いたしまして補正いたしまして、そうして一施設当り十一万二千六百六十九点という数字が出ているのでございます。一応これを十一万二千五百点と丸く押えまして推計をいたしておるわけでございます。
#40
○滝井小委員 そうしますと、当然一万二千五百点というものの中には自由診療が入っておると思うのです。これはどういうような見方で、そういう自由診療というものの調査をどこから取ってきたかということなんです。まず簡単に説明を伺います。あとは何年何月の調査をしたのか、それからどういう窓口が請求したもので割り算をした結果一万二千五百点と出たのか、これを一つはっきりしてもらえば、あとの経費は出たんです。今あなた方の取っておるのは今井方式です。今度は医者の給料まで入れた点数で経費を割れば一点当りのものがすぐ出てくる。あるべき単価が出てくるわけです。それがプラス一円になるかどうかということはすぐわかる。これが一番かなめです。このかなめのところを言わずに、末の末の方ばかり言っておるから議論が沸騰してくる。あなた方がここへ出てきて一番先に報告しなければならぬのはこのかなめです。龍を書いても目を書かなければ龍は空に上りませんよ。
#41
○高田(正)説明員 自由診療は厚生省の統計調査部でたしか毎年やっていると思うのですが、その患者調査で自由診療の数字を出しているわけでございます。従って自由診療分につきましては、これは慣行料金といわれておりますもので、実際ば保険の料金よりは若干高いといわれているものでございますが、それを保険の点数といいますか、保険の料金にあれしてみるとどうなるかという考え方で、保険の料金でものを考えております。
#42
○滝井小委員 その自由診療分が幾らあるかということです。
#43
○小島小委員長 滝井君、主計局の次長が来ておりますから……。
#44
○滝井小委員 そこを確めてから……。一番大事なところをわれわれに資料として配らなければためですよ。
#45
○高田(正)説明員 非常に複雑な資料でございますが、三十年七月の調査月日によりますと、全額自費一九・一%、労災その他二・二%、計二一・三%、それから社会医療によるものが七八七%ということに相なっております。これは毎年調査がございまするが、それらの調査から推計をいたしまして、三十三年六月を押えてそのパーセンテージで自由診療分を考えておるわけでございます。その三十三年六月の推計は全額自費が一〇・九%、労災その他を合せまして十三・一%、八六・九%が社会医療ということに相なるわけでございます。
#46
○滝井小委員 よくわかりました。そこで今出された一番眼目のところの資料を一つもいただいておりません。今およその説明を伺っておよそのところはわかりましたから、従って一万二千五百点の出た詳細な資料、それから自由診療分の詳細な資料をお出し願いたいと思います。この考え方で参りますと、自由診療分が健康保険に換算されておりますから、医者の収入というものは、結論的に言いますと十四万七千百二十五円というこの数字は、実際にはもっと多いということになる。だから一体そういうことが常識で考えられるかということなのです。私は医者の実態を少くともよく知っています。あなた方よりもよく知っておると自負しておる。これは平均なのです。平均だからそういう見方も成り立つかもしれませんが、一体日本の医療機関の中で波数と申しますか、一番集中的に多いところはどこでしょうか。たとえば五人未満の事業場で賃金というものを調べてみると、六千円なら六千円、四千円なら四千円の層が一番多いということが出てくるわけです。政策というものはその波というか、一つのバンドを形成しているところ、集中的に医療機関なりあるいは賃金が出ているところを政策の対象に置かなければいかぬということなのだ。平均ではなかなかいかない。無床診療所をとっているならばともかく、診療所というものは二人、三人、四人、五人と医者がいる場合がある。有床もあれば無床もあり、いろいろあるのです。そこで平均だけではなかなかいかないところが出てくる。だから政策をやる場合には、一体全国の保険を担当している医師の中の、一番集中的にバンドを形成しているのはどの層なのかということです。基金から出ている年報を調べてみると、収入五万円以下というのは五割以上おります。そうすると、収入が五万円以下が五割以上もおるという実態の中で、一体その三倍の十五万円――今度は十六万円になるのですが、そういうものを政策の上に表わしてくる場合には、一体どういうことになるのかということなのです。だからまずその一番バンドを形成している層というものは一体どういうパーセントを占めて、どういう層なのか、何万円の所得の層なのかということなのです。これはおわかりだと思うのです。だからきょうおわかりにならなければ次会でよろしいので、そういうものもあわせて出してもらいたい。
 そこであるべき単価というものははっきりいたしました。現在の単価より約一円引き上げたものがあるべき単価である。これが事務当局の心魂を打ち込んで出した結論だ、こういうことになってきた。
 そこで、お忙しいところを村上主計局次長さんに来てもらいましたのでお尋ねしますが、今回厚生省が議案としてお出しになったわけです。当然これは一国の予算編成の根本に関係してくる問題なんです。厚生省の意見によれば、単価一円上げれば社会医療に及ぼす影響は、個人負担もかてて百七十七億円だ、こうおっしゃっている。もちろん一円上げれば、それだけ国立病院や大学の医療機関の収入というものは相当ふえてくることは明らかです。何となれば、現在社会保険医療で一番支払いを受けているのはどこかというと、病院、特に公的医療機関です。私的医療機関とそれから公的医療機関に分けると、公的医療機関が、大きい病院を加えればおそらく五割七分くらいは収入をとっている。私的医療機関というものは四割三分そこらしかとっていない、こういう形です。私的医療機関の診療所の取り口はそういう形ですが、一国の予算に関連する問題でございますけれども、この案に対する大蔵省の考え方はどういう考え方なのかということなんです。今質問の形で明白になったことは、ともかく今の医師というものは、一回だけ上げてやらなければ、これは日本の医学の進歩、施設の改善というものはできないのだ。一円だけはとにかくとりあえず上げてやらなければいかぬということは、これはあなたの方の大臣である一萬田大蔵大臣も、やはり何とか検討してやらなければいかぬということは、社会労働委員会なり予算委員会で言明を得ているところなんです。そうすると厚生省は、今一円絶対上げなければ、日本の医療というものは荒廃をする、専門技術者としての医師の生活も保てぬようになるのだということが厚生省の結論になってきた。一体大蔵省は、当然こういうものについては一応の御相談があったはずだと思うし、また大蔵省の見解というものも述べ得る段階にきていると思う。これはもう二十六年以来の問題でございます。試みに今あなたの方の所管大臣の言を一応お話ししておきます。そうしないとあなた方は事務当局だから、あすこにいって、滝井のやろうあんな質問をしたから答えたけれども、あとから責任をとられちゃ大へんだ、こう思われてもいけませんので……。大蔵大臣が一応言質を与えております。昭和三十一年の四月四日の社会労働委員会で、当時は鳩山内閣でございました。そして一萬田大蔵大臣でございました。そこで大橋武夫さん、これは与党の議員ですが質問している。すみやかにこの単価を検討することが必要だが、その場合に単価を検討するについては、今回健康保険法が改正になる。そうすると、自分としては健康保険というものは黒字だという認定をしている。従って将来黒字が出た場合には、優先的に医者に対する診療単価を合理的なところまで引き上げることが必要だが、大臣の意見はどうだ、こうやった。ところが大臣いわく、次の予算編成のときに今の御意見十分考慮して善処いたします。こうやったわけです。これは次の予算編成というのがちょうど回り回って一年ちょっとたったあとに、池田さんから今度また運悪くそれを言明した一萬田さんに回ってきた。ちょうど予算編成のときにきた。次じゃなくて、次の次で一年だけ延びましたけれども、とにかくこの言質というものは速記録で生きている。健康保険は、村上さんも御承知の通り四十八億の黒字になった。今年はとにかく健康保険法を改正しなくても、健康保険を改正するぞ改正するぞという声で、水鳥の羽音だけで四十八億の黒字になってきた。今度は具体的に一部負担もやるし、それから国も補助を、そのときも出しましたが、今年も続いて三十億出しております。堂々と今度二重指定、厚生省の思う通りに大体健康保険法が改正になったので、ことしの黒字というものは、昨年は百億の――正確にいったら六十億の赤字が出ますといったのに四十八億の黒字になっちゃった。それを合せますと、百億の黒字が実は出たことになる。ことしは一体健康保険法を改正をして見通しはどうだと言ったら、局長はとんとんだという説明をしておる。保険局長はことしの経費はとんとんでございますという。去年は六十億の赤字が出ますといって四十八億の黒字になってしまった。今年はとんとんというのだから。百億くらいの黒字というのはちゃんと出る。理論的な帰結が、ものの見方ではそういうようになる。一昨年は同じように四十億もの赤字が出ますと言ったが、四億の黒字が出た。昭和二十九、三十年と累計すれば百億の赤字が出るというので健康保険法の改正をした。ところが健康保険法が通ったとたんに、実施しない前に四十八億の黒字が出た。ことしは健康保険法が通って、見通しはとんとんだから、おそらく赤字といって四十八億の黒字ですから、とんとんでは百億くらいの黒字が出る。これは医者の待遇改善というか、単価の合理化、待遇改善といえば語弊があるので、単価の合理化をやらなければならぬ。ところが厚生省当局としては、合理的にいえば一円上げなければならぬと、心魂を打ち込んで出た結論です。これは今まで局長が首をかけて出した結論が一円絶対上げなければならぬという結論です。そうしますと、一体大蔵省はこの診療単価についていかなる見解をお持ちなのかということです。もうすでにこれは厚生省試案として、同じ内閣の中の一つの省というものがこういうものを出した。当然私は大蔵省にもしかるべき御相談があってお出しになっていると思う。新聞を拝見いたしますと、一萬田大蔵大臣に対して厚生大臣がこれを出すことについても了承を得て出しておるようでございます。そうすると、出すことを了承を得たからには、幸い一萬田さんのめぐりめぐって一年前の言質もあることだし、予算編成期も来ておるし、黒字も出たし、全く一萬田さんと大橋さんの言行一致をやってもらわなければならぬ。大蔵省は一体その前にどういうお考えなのかということですね。率直に村上さん担当ですから、お答え願いたいと思います。
#47
○村上説明員 お答え申し上げます。診療単価の問題が、今おっしゃいましたような長い経緯がございまして、まさに検討を要する段階に参っておるということについては、私どもも全くその通りに考えております。
 そこで今ここにお手元に渡っております案でございますが、その前にこういった問題についての厚生省のいろんなお考えは、私どももその都度伺っております。ただなかなかこれは御承知のように、非常に技術的にむずかしい問題も含んでおりますので、今お手元に渡っておりますところの案がまとまりましたのは、ごく最近でございまして、私どももさっそく二日ばかりぶっ通しで説明を伺ったわけでございますが、ただいまの御質問中にもいろいろ御指摘があったようでございますが、私どもとしましても、いろんな点について、もう少し補足的な資料をちょうだいして検討いたしたいというような点が相当残っております。従いましてまだ細部にわたっての全部の説明を聞き終っていないような段階でございます。いろいろ問題はあると思いますが、そういったような段階でございますので、大へん恐縮でございますが、大蔵省の意見というふうにまとめて申し上げるのは、もう少し先の時期にしていただきたいという気がいたすわけでありますが、説明を伺いました段階で、いわば私個人的な感じで問題の所在というふうなものを考えております点を申し述べさせていただきますと、この案はいろいろ結論が多少は動いておるようでございますが、結局医師の診療報酬、医者の収入というものを、二十七年の三月に一ぺん実態調査があったわけであります。当時三万三千円程度だったと記憶いたしますが、それに比較しまして倍以上に引き上げておるわけでございます。それは滝井委員がすでに御承知の通りでございますが、非常に大ざっぱに申し上げますと、点数の伸びは約六割六分を見込んでおられる。一方単価の方で大体二、三割程度、二、三割というのは先ほど保険局長からもお話がありましたように、単価としては一円を考えておられるようでございますが、これが現在の十一円七十七銭から見ますと、八・四%に当っておるわけでございます。そこで医者の所得率をどれくらいに見るか、これはなかなかむずかしい問題でございまして、その見方によりますが、かりに三割と考えますと、この単価の面で三割近い所得の増がくるわけでございまして、三割のものが八四%上るわけでございますから、その引き上げの割合はやはりこれが三割に近いものになります。そこで点数の増と両方が総合されまして、結論といたしまして所得が二倍以上に上ることになるわけでございますが、その程度が果して適当であろうかどうかという点でございます。これはいろいろな見方もありますし、前提になっております三万三千円というものがどうであったかというところまで実は入っていって議論をする必要があると思うのでございまして、そこらの点につきまして私どもも先ほど申し上げましたように、いろいろな角度から現在まだ御説明を伺って検討を続けておる段階でございます。
 それから多少こまかくなって恐縮でございますが、点数の伸びをどう見るかというような問題も一つの重要なファクターでございます。そこらに関連しまして、さっきいろいろ御意見が出ておりましたようでございますが、診療所別あるいはそれを大きな病院とか個人病院というふうないろいろなものに分けまして、過去の実績から振り返って将来を推計いたしたいわけでございますが、いろいろ資料面の制約もございまして、たとえて申しますと、二十九年以降についてはある資料が整備されておりますが、その同じ資料が二十八年以前について残念ながらないというようなものもございまして、厚生省事務当局が非常に御苦心をしておられますが、そこらをだんだん話を詰めて参りまして、私どもとしましても、すでに来年度予算の作業に入っておるわけでございますから、急いで取りまとめたいと思って、せっかく今勉強いたしておる段階でございます。
#48
○滝井小委員 どうも今の村上さんの御答弁を聞いて私は驚き入っておるのです。それはどうしてかと申しますと村上さん、二十八年の二月十三日に向井大蔵大臣が吉田茂内閣総理大臣に、社会保険診療報酬については、関係各省においてすみやかに根本的な検討を加えるものとする、なおこの場合要すれば臨時医療保険審議会その他の民間の公正な意見を徴するものとすると、あなたの方の大蔵大臣が言っておるわけです。厚生省の方にもそれを言ったら、今大蔵省とたびたび話し合っております。こういう答弁で、ところが今のあなたの御説明を聞くと、まだ資料等も厚生省からよう出しておらぬ、こういうことでは、これは大蔵省にも責任があると思う。といって一番先に言い始めたのは向井さんだし、厚生省も怠慢だと思う。こういう点はもう少しざっくばらんに関係各省が連絡をとって、きちっとした姿を出すべきだと私は思うんです。それがじんぜんこういう形で送られ、予算編成のまぎわに追い込まれて、ばさばさっとずさんな資料でやるということはいけないと思う。やはり今村上さんから御指摘があったように、厚生省の資料はそのたびごとに変ります。私は二十七年三月の調査なんかであなた方の使った資料をいろいろ見てみますと、われわれもらうたびごとに数字が違っているのです。いずれこれはこまかい審議になりましたら、二十七年の資料についていろいろ質問しますが、すべて違ってきているのです。たとえば私が出したあの単価に対する補正をやられた数字と今度の数字とは違ってきているわけです。一カ月か二カ月するうちに、数字が絶えず違ってきているのです。あるいは昭和三十年三月の医療実態調査ですか、ああいうものに使っていらっしゃるあなた方の数字もみんな違っていますよ。そのたびごとに違ってきている。これは局長首を傾けておられますが、いずれこまかくなったら私は指摘しますが、全部違ってきておる。二十七年三月のあの自由診療がたくさんあるときの資料を持ってきて、皆保険の思想の充満しておる今の統計に使うということはナンセンスです。そのころは自由診療がたくさんあるときです。皆保険の思想なんかないのです。二十七年の日本の社会保険の予算を見てごらんなさい。百億以下しか金を出しておらない。今は社会保険関係だけでも二百億出して、今度の案ではさらに百億出そうという、そういうように政治家自身のものの考え方が違う、それから国民のものの考え方が違うときの考え方というものは、今ちょっと金をかけて一カ月くらい療養担当者と被保険者と保険者とあなたと四者でおやりなさいというのです。そうすれば共同の広場でやる資料というものは、だれも文句の言いようがないと思うのです。これはあなた方がこっそりと独善的に――私はあえて言うのです。しかも客観的な人から言わせれば、厚生省は自分の都合のいいものを作っていくのだといって、せっかくあなた方が心魂を打ち込んだものが信用されない。これは四者でやるべきだ。中央社会保険医療協議会でやるべきだ。そしてできたものをわれわれに出してもらうと非常にわかりやすいのです。すでに健康保険の中の国民保険の事務費だって、なかなかあなた方が百五円といったって大蔵省が納得しないじゃないですか。大蔵省も納得しないで、共同調査しようじゃないかということになっている、それと同じですよ。従って私は二十七年の三月というものについては、これはこれで検討させていただきましょう。いただきますが、それについては多くの批判を持っている、こういうことです。
 それから甲乙二案という点です。一体こういう甲乙二案というもので二百十七億のワクを拡大するという結論がどこから出てくるかということです。もしかりに全部が甲案にいってしまったらどうしますか、二百十七億になりますか。全部が乙案にいったらどうなりますか、あるいは甲案に六分、乙案に四分いったら二百十七億になりますか。そういうことは不可能なんです。従って私がさいぜんから申し上げますようにどうしてもあるべき単価というものをぴちっと出して、それが出たならばそれをまず大蔵当局なり与党の十分な言質をとり、支持を得たならば、それを今度は療養担当者なり保険者なり被保険者、みんな集まっていかにこれを配分するかという問題をきめたい、それをあなた方が勝手にこういう案でこうやってしまうのだということになると、問題が出てくるのです。これは案だそうでございますから、勝手にやることはできぬでしょうが、やはりこういう既成事実というものを一つ作り上げてしまうと、なかなかむずかしくなる。あるべき姿が一円なら、その配分をどうするかということは、被保険者なり保険者なり療養担当者なりあなた方がそこに入って、ひざを交えて話し合う方がいいのです。頭からそういう方向をとることは口の悪い言い方をすれば、政府の労働政策と中小企業政策というものが、露骨に日本の医療政策に現われてきているのです。今政府のとっている労働政策は、日本の労働組合の分裂政策をとっている。農民と労働者の分裂をとり、国民と労働者の分裂をとる政策が医療に現われてきた。すなわち医療の中の病院と診療所を分裂しようとする分裂政策です。たちの悪い労働政策が医療政策に現われてきた。それから甲乙二案の考え方というものは、日本の独占資本の考え方が入ってきているのです。すなわち甲案というものは大きな病院を優遇する案です。それから乙案というものは小さい診療所にこれをとっていかせるということなんです。結論はどういうことになるかというと、大医療機関というものがうんともうかるという形です。すなわち日経連の思想を持ち込んでおる。日経連は病院の施設によってやりなさいということを天下に声明しておる。そういうものをわれわれ社会党から見れば持ち込まれておるという形です。すなわち保守党の中小企業政策が露骨に現われておる。金融独占資本は守っていく、大企業は守っていくけれども、中小企業は滅びていけという政策なんだ。そういう二面が高田さんがとっておるこの試案の甲乙二つの中に現われておるということです。こういう疑いをかけられることはあなたもいやでしょう。私も疑いをかけることはいやです。だからあるべき単価をお出しになったらそれから先はガラス張りの中で討議していくという形にいくべきだ。しかも出てきておるところのこの点数表というものはわれわれがまっ向から批判をした、死んだはずのお富さんがまた生まれてきておる。あの医療費体系はたな上げしたものでもう役に立ちませんと言っておった。それが何ということはない、購入価格の平均で出してきておる。これについてもずいぶん批判のあったはずだ。それをみな出してきておる。そういうように批判を受けて死んでたな上げされておりますものが生まれ変ってきておるのがこの案なんだ。それならばここで開き直らなければならぬ。あなた方の方で昨年だったか一昨年であったか、医療費体系に基いた点数表というものを出したときに、その基いた医療費体系というものを私は出せと言った。基いたものがあるはずだ。だから今度は医療費体系もどうしても出してもらわなければならぬ。その医療費体系に基いて点数表がきまってきたはずだ、平均の購入価格である〇・七点というものがきまってきたはずだ。そういう点を出してもらわなければならぬが、そういう点は今大臣が来ましたからあとであなた方の見解を甲乙二表については承わります。しかもこれが事務が九割も簡素になったようなことをおっしゃいますけれども、これは何ということはない、薬品の名前を書かなければならぬ、乙表でいけば今まで通りじゃないか、皮下注射したら四点、それを今度は薬の平均価格を書くんだから、ビタカンフルというものを十二円五十銭で買ったらビタカンフルと書いて、すなわちそれが八点、購入原価が十二円五十銭だ、購入原価を払うのですから購入原価を書かなければならぬ、注射の前も書かなければならぬ、事務は簡素化されていない。こういうことになるのではますます医療機関を複雑にする。もし同じ診療機関があって、甲には甲案を、乙には乙案をという場合にはどういう工合になる、これを自由に選ばせるということがわけがわからぬ。こういうわけのわからぬ形をとれば日本の医療費はまた複雑になる。それはまたあとで伺うことにします。
 実は時間がありませんしあとの質問者がおりますから簡単に一、二の点を大臣に伺いたいのですが、二十六年以来単価問題というものは国会でも非常に論議をせられました。私たちが出してもらいたいというその案というものは厚生省の事務当局の試案というようなものではなくして、少くとも岸内閣が責任を持ったあるべき単価というものを出してもらいたいというのがわれわれの二十六年以来一貫した要求でございました。そのあるべき姿というものをやはり権威ある厚生省が出し、それを閣議にかけて、そうしてこれはあるべき姿だ、こういうことで出してみて、諮問にかけて内閣諮問案として出して、そこでわれわれも討議をするという形を私どもは期待しておった。そうしたところが今事務当局から聞くと、これは単なる事務当局の一試案でございます。こういうことです。私は大臣に七月の三十日に要求したものはそんな事務当局の片々たる一試案を要求したのではなかったはずだ。少くとも堀木厚生大臣が男でござるという日本の医療保障の基盤を整備するための一番の中身であるあるべき姿、単価はどういうものなんだということを出してくれ、こういうことだった。ところが今事務当局の話を聞けば、いやこれは大蔵省の了解を得ておりません、与党の了解を得ておりません、これは単なる事務局の一試案であって、まあ医療協議会で何か出さなければ工合が悪いから、ちょっと遊戯のような、何というか子供にちょうど犬のおもちゃをやったような工合にちょっと出しておくだけだというわけなんです。今の答弁を聞いて極端な表現をすればですよ。そういう案はわれわれは約束をしたのではないのだ。少くとも岸内閣が貧乏を追放するというからには、責任ある内閣でなければならない。政党内閣です。官僚内閣じゃないはずです。ですから責任ある内閣の大臣が単価というものはやりますということを大蔵大臣も言明しておるし、厚生大臣も言明しておるし、岸内閣総理大臣も言明しておる。その言明しておる政党の各大臣が、首脳部が言明しておるものが与党の相談も受けておらない。大蔵省も知りません。今から検討してもらわなければ結論は出ません、こう言っている。この期に及んでそういう案ではおかしいと思うのです。私はずっと前にこういうことを言った。高田さん、これはあなた方が政治的な案を出すとたたかれて大へんだ。だから高田試案でもよろしい、あるいは館林試案でもよろしい。厚生省で四つ作るなら四つ案をお出しになってもよろしいと言ったら、これは滝井先生、政治的にいろいろなことがあって、あなたもよく御存じでしょう、こういう答弁をしてきた。だから私はその政治的なことというのは、おそらく与党とも話し合わなければいかぬし、大蔵省とも話し合わなければいかぬという意味で今日まで待ってきた。ところがきょうの話ではまた全く私らがペテンにかけられた、こういうことになった。これは大臣が責任を持って厚生大臣の首をかけてやる案なのかどうかということです。日本の政治家というものは責任を持たぬからいかぬ。お互いにその場限りで国会で何か言って委員会が終ればいい、そういう問題じゃない。みな一生懸命になっている。労働組合もウの目タカの目で見ていますよ。国民も療養者も見守っている。ちょうど岸さんがアイクとはだかで話したようにはだかで話さなければいけない。日本の医療の運命に関する問題です。大臣もほんとうのことを言ってもらいたいと思います。
#49
○堀木国務大臣 滝井さんの言われることも私よくわかるのであります。しかし法律で中央医療協議会に諮問してきめることになっておるのも御承知の通りでございます。私どもとしては、中央医療協議会に――ともかくもこの案が中央医療協議会の意見を十分汲み入れて物事を考えていかなければならぬというふうに考えておりますので、ともかくも今おっしゃったように官僚が勝手にきめてもいけないし、それから私どもとしても広く中央医療協議会を経て世論に耳を傾けて物事を最後的に決定いたしたい、こういうふうに考えると同時に、中央医療協議会の現状から見ますと、何らかの試案でも出さなければとうてい審議が進まないというふうな状況を察知いたしまして、そうしてあの案を時期に間に合って出したい、こういうことでございまして、今おっしゃったように固まる前に相当の余裕の期間をもってそういう手続をとりたい、こういう考え方で確かにまだ政党としての十分な態度及び大蔵省との事務的な折衝には非常な不完備な状態でありますが、何よりも中央医療協議会を通じて世論を聞きたい、こういう考えに立ちましてとりあえず案を出しましたような次第でございます。と同時に滝井委員からこの前のこの委員会でもずいぶんいつ出すのだいつ出すのだという御催促と、八月中にはぜひ何らかの事務案を得てそれを審議すべきだというお話もありまして、私どもとしてはできるだけ諸般の情勢をくみ入れて最善を尽して医療協議会にかけたという状況でございます。
#50
○滝井小委員 そうしますと、この案というものは厚生省なり岸内閣としては固守する案ではない。これを一つたたき台にして自由自在に何と申しますか、日本の診療報酬をきめて下さいと、こういう意味ですか。
#51
○堀木国務大臣 率直にいえば、滝井さんのおっしゃるほど権威のあるものだとも思っていないのでございます。中央医療協議会にかけます以上は、やはり相当これは御審議の対象にはなり得るというふうな考え方に立って御審議を願っておるような次第でございます。ですから、事務的な手続その他から見まして今滝井さんの御希望のような段階にはいっておりませんが、さしあたりの現段階においては十分御審議の対象になり得るものだ、こういう考え方に立って提示いたしましたような次第でございます。
#52
○滝井小委員 だんだんわかってきました。そうしますと、今の段階ではまだ与党の納得も得ていないし、大蔵省の納得も十分得ていないけれども、やがて最終段階がくるころにはこの案というものは岸内閣の何と申しますか診療報酬合理化の案となり、同時にそれが大蔵省の十分了解の得る案にもなり得る、こういう確信を持っている野心作だ、こういうことなんですね。
#53
○堀木国務大臣 どうも滝井さんのように割り切って申し上げるわけにいかないのです。それが私は現段階だと思いますが、中央社会保険医療協議会にかける原案としては、私は一応御審議を願うだけの価値があると思うのであります。しかし今あなたがおっしゃるようなことになりますと、中央医療協議会に諮問したことが意味をなしません。何でもこれを押し通すのだ、そういうことでなしに、むろん先ほどから申し上げましたように、広く協議会を通じて世論に訴える、こういう考え方に立っておるのでありますから、皆さんが一致してこの方がいいという具体的な案が幸いに中央医療協議会でできますれば、十分尊重して考慮したい、こう考えているような次第でございます。
#54
○滝井小委員 実は大臣は今中央医療協議会に、非常にこれは何と申しますか、私の言葉よりか重きを置いた案としてお出しになっているような御答弁をいただいたのでありますが、さいぜんの高田さんの答弁はそうじゃないのです。中央社会保険医療協議会には診療報酬の諮問をただ抽象的にしているだけであって、案というものは出していない。ただ参考的に出しているだけなんだ、大臣もこれをよく聞いておかぬといかぬですよ。そういうものなんです。大臣はどうも諮問案というものは諮問したような錯覚を起されているが、そうじゃないのです。諮問というものは抽象的に一つ社会保険の点数というようなものはどうしましょうかというようなことで、抽象的に出している。具体的にはこうするのだということは出していない。そうしてそれじゃ工合が悪かろうというので刺身のつまとしてちょっとつけておく、こういうことらしいのです。今の大臣の言うことと、高田さんのさいぜんの私に対する答弁とはそういう程度の食い違いはあるのですね。抽象的なものしか出しておりません。しかしそれではちょっと工合が悪いからこういうものをつけて出したのだ、こういうことです。
#55
○堀木国務大臣 滝井さんのお言葉でございますが、局長よりも大臣の言っておることを間違いなく、その方が正しいとお受け取りになってけっこうでございます。私は、私が一応事務の方のことをなんでございますが、そう考えております。私は決して諮問書と、そうして伴いまして出しました中央社会保険医療協議会長に出した書面というものを両方私が何と申しますか、こういう形において諮問するのが現段階では最も適当でなかろうか、こういう考えに立って出しましたような次第であります。
#56
○滝井小委員 そうしますと、一応合理的な診療報酬というものを一つ作ってもらいたい。われわれの方の考え方というものはこういうものである、こういう形で出しているということなんですね。――首を振っておるからそう了解いたします。
 そこでこの八・五%のワクを改善することになって二百十七億、こういう数字が出てきておる。この数字が二百十七億出るか出ないかということは、これは手品よりむずかしく、私はなかなか出にくいと思う。それは甲乙二つの表があって、もし甲だけをみな選んだら二百十七億になるかどうかわからぬ。あるいは乙だけ選んだらあるいは半々でいったらどうなるかわからぬ。わからぬが、そういうことはいずれ次会以降に論議するとして、二百十七億の財源というものは大臣は一体どういうようにお考えになっているかということです。今言ったように試案を出される以上は財源というものは考えておかなければならぬ。昭和三十二年度の社会医療費の推計が二千七十二億ですが、二千七十二億に二百十七億のワクを拡大する、こういう形になるのだろうと思うのですが、その二百十七億の財源というものは、一体どういう工合にして調達をするつもりなんですか。案を出された以上は大臣の考え方があると思う。その大臣の考え方が実現をするかしないかは今後の大蔵省との折衝、与党との折衝、閣議の決定、こういうことできまってくると思います。しかし大臣としての腹がまえというものは一応お聞かせ願っておく必要があるので、それを一つ……。
#57
○堀木国務大臣 おっしゃいますように、二百十七億というものは、三十三年度に今の趨勢で医療費がふえるとすれば二百十七億、それから現状で推移すれば百七十七億と推定されるということでありまして、要するに前提があるわけでございます。従いましてこれ自体が推定で、事務的に今計算の方法としてはこれよりないかと思いますが、一応そういうふうな点が出て参っております。これをいかに吸収するかというところが私どものさらに苦心をしなければならないところであるというふうに考えておりますので、今滝井さんが質問に名をかりてちょっとおっしゃいますように、その問題が今後財政当局、要するに日本の国の経済の状況とにらみ合していかに吸収方法を配分するかということを今考えておりますが、これ自体につきましてお答えができるようになるのは今後である、こういうふうに私どもは考えておる次第であります。
#58
○滝井小委員 一番扇のかなめでございます。あるべき単価というものは一円上げればよろしい。これが事務当局の心魂を打ち込んだ結論です。大臣が来る前にそういうことがはっきりしてきた。一円上げればいい。すなわち十一円七十七銭の今井案に一円足した十二円七十七銭あれば日本の医療というものは順当に進展していくのだ、こういう結論、同時にまた専門技術者としての医師、歯科医師、薬剤師の待遇はこれで十分だ、こういう結論です。そうしますと、第一に、この前も私ちょっと言いましたが、日本の昭和二十八年以来の社会保険の支出を見てみますと――この前は社会保険の中に失業保険等を加えていましたが、社会保険の支出を当初予算でずっと見ていきますと、二十八年は九十五億、端数は切り捨てます。二十九年は百五億、三十年は百二十二億、三十一年は百六十億が当初子算、そのほかに十億の追加があった。三十二年度が二百一億、こう見ますと、増加率はみな五十億以下です。そこでこの五十億以下の社会保険の増加率の中で、今年は全部現状のままで受診率その他が伸びないとすれば百七十七億ですが、百七十七億を出さなければならぬわけですね。国が出すとすれば、百七十七億を全部国が出さなければならぬ。そうすると過去の歴史というものは現実の――われわれ人間はやはり先人の歩んだ道というものを見なければならぬ。そうしますと五十億以下しか伸びていない。二十八年以来の状態を見ると、一番最高が三十一年から三十二年の四十億です。そうすると先人、われわれの前に歩いた政治家がやり遂げざることを今あなたはやらなければならぬということです。これは大臣に失礼な言い分でございますが、そう先人がやった以上のことを一挙にやるということは困難でございますが、まず初めにおいてやれるとしても八十億はとれることになるわけですね。ところがただことしは幸いに、大臣も御存じのように税の自然増がある。大蔵省は最近減った減ったと言っておるが、とにかく一千億くらいある。それから剰余金もやはり四、五百億以上出てくる。地方財政その他をやっても二百七、八十億くらいは来年度予算に使える新しい財源が出るわけです。そうすると、大臣も御存じのように、自衛隊も一万人ふやしますよ。日本の軍備のためには非常によけい使う。ところが貧乏の追放のためには一体幾らそういう来年度の剰余金の財源から回せるかという、こういう余裕財源という客観情勢が一つあるということです。しかしいま一つ悪い情勢は、米が上る、私鉄が上る、ふろ賃が上る――これは厚生省の所管です。そうして最後に、四番目に医療が上るということです。これはへまをしておると、医療が袋だたきにあうという悪い情勢がある。これは私は五月以来保険局長に警告してきた。こういう客観的情勢の悪い中で、勤労大衆なり被保険者の団体に了解を取りつけ、保険者も了解して、そうしてほんとうのあるべき姿というものを作っていくということは非常にむずかしいことなんです。これは常識論でございますが、今の百七十七億、あるいは受診率その他が今の状態でずっと伸びていくとすれば二百十七億というものをいかに吸収するかということが一番問題でございます。今のような客観的情勢から考えたら、一体どういう工合にしてこれを吸収していくかという、その方法論については、いろいろの方法があると思いますが、一体大臣はどういう方法でそれを吸収できるとお考えになっているか、これを一つ聞かしてもらいたいと思う。具体的に、たとえば国の負担を百億にしなさいとか、あるいは被保険者、患者が五十億持つのだ、保険料を千分の二だけ上げるのだというようなことが新聞に出ておるが、そういうことはここでは言えないと思う。しかし吸収の方法論については、こういう方法論があるのだということは言えると思います。大臣の方で考え得られる二百十七億、八・五%だけワクを拡大するとすれば、その吸収の方法というものはどういう方法があるのか、一つ御教示を願いたいと思います。
#59
○堀木国務大臣 中央医療協議会自身といたしましては、御承知の通り、適正な診療報酬とは何ぞやということについて御諮問を願っておりますので、またそういう性質のものだと思うのでありますが、私どもとしては従来の統計あるいは実態調査等から見まして、八・五%は考えなければ医術の進歩――結局それは国民の幸福と結びついておるのでありますが、医師の待遇等から見て適正な診療費でないというふうなことから今回の事務勘案が出たわけだと了承いたしております。今おっしゃった吸収方法につきましては、今私どもとして申し上げ得る状態は、それについては何らまだ、何と申しましょうか具体的な確定案というものをきめるのには早い、なるべく国民の負担を軽減して、しかも医師の待遇の改善をはかりたいという観点に立っておるにすぎないのです。それらの方法は今後の状況でいろいろ変って参ると思う。今おっしゃったようにいわゆるバターか大砲かという考え方も出て参りましょう、貧乏追放という点に非常に重点を置けばそれについて従来より別個の考えも出て参るでありましょう、それから物価政策の観点から言えば今おっしゃるような問題も出て参りましょう。しかし物価政策自体の内容についても、果してそれが物価政策だけの観点から考えるかどうかということのみならず、物価政策そのものとしてもいろいろと考える余地はある、こういうふうに私どもは考えておるのであります。もう一つおあげになりせんが不利な条件としては、国民経済全体としての伸びが最近悪いというような情勢も勘案しなければならないと思うのでありますが、これらを総合的に勘案いたしまして予算の上にどう現わすかということが私は今後の問題であると思う。なるほどおっしゃいますように従来の予算の関係から見れば四、五十億というものは最大限だとおっしゃることもよくわかるのであります。しかし皆さんのお力をもおかりして私は最大限度に国民の福祉をはかっていく努力をすべき任務にある、こう考えているような次第でございます。
#60
○滝井小委員 実は二百十七億の吸収の方法というものはそう多くないと思う。これは大臣、失礼な言い方ですけれども、そういう点をどうも非常にぼかしておっしゃったと思うのですが、これは事務当局の高田さんにお伺いしたい。二百十七億の吸収方法というものはこういう方法とこういう方法があるということだけでいいのです。それを一つ言っていただきたい。大臣は何か私が政治的にひっかけてくるんじゃないかと思っておられるようでありますので、これは事務当局の方から――方法論はある、これはあなたはわかるはずです。吸収の方法はこうこういう方法がある、これを一つお教え願いたい。それによって私は大臣に一つお伺いしたい。
#61
○高田(正)説明員 吸収の方法については今大臣がお答えになりましたように私どもといたしましてもまだ成案を得ておりません。抽象的にどういう方法があるかというお尋ねでございますが、それは税金という形になりますか、あるいは患者が窓口で負担をするというものがふえるということになりますか、あるいは保険料という形で吸収をいたしますか、抽象的に言えばこの三つしかない。ただし保険料の場合にはその各保険々々の財政事情によるわけでございますから、保険料の引き上げを行わなくてもその保険の財政で吸収ができるという場合もあると思います。抽象的に申し上げればそういうことになると思います。
#62
○滝井小委員 大臣、今お聞きの通り税金、患者負担、保険料、こういうふうな三つの方法を教えていただきました。私は日本の医療保障をほんとうに進展をしようとするならば方法はやはり三つだと思うのです。社会保険の順当な発展を遂げさせようと思ったら財源の醵出は三つです。一つは、これは国が金を出すか出さぬかという問題です。一つは利潤から出す方法です。一つは賃金です。この三つしかないと思う。形が変っただけです。国が出すというか税金でとったものから社会保険へ金を出すか出さぬか、それは国庫負担の形になってくる。まず岸内閣の堀木厚生行政というものは社会保険に今よりか国庫負担を増加をしていく方針をとるかとらぬかということです。これをまずお答えを願えれば第一の問題は解決すると思うのです。この点は大臣は今までは今言ったように四十億――おそらく四十億より増加するという気持だろうと思うのですが、まず社会保険に今よりか国庫負担を増加する方針があるかということです。これをまずお聞きしたい。
#63
○堀木国務大臣 私どもとしては社会保障の本質にかんがみまして、先ほど言われました三つのうちの税金でもって持つということがまず第一に考えられなければならぬ、こういうふうに考えております。と同時に、保険というものの本質から見て被保険者についても考えなければならぬ、こういうふうには考えておるのです。と同時に、従来の保険財政の経理からしまして吸収できる分は十分吸収してもらいたいというその三つの上に立って考えておることは確かでございます。ただ国民経済の向上あるいは国家財政の観点から見まして財政上許す限りは国家保障の観点を貫きたい。しかしながらそれが現実に幾らであるかという問題は今後に残された問題である、こう考えておる次第でございます。
#64
○滝井小委員 これは堀木厚生行政の基本に関することなんですよ。大体社会保険に対して国家負担というものを今のままでいくのか今よりふやそうとする政策をとるのか、どっちかということです。これは自民党の政策にもある。自民党の社会保障新政策の医療保障の達成という項の中に「医療保障達成に必要な経費については国庫において積極的に寄与するも極力むだの排除に努め健全な財政基礎の上にこれが運営を期するよう上記諸点を勘案しつつ制度の効率的運営をはかることとして疾病予防、早期発見、早期治療等のために全国民の理解と協力を求める。」こういうことになっておる。積極的に寄与する、こうなっている。この積極的に寄与するということが具体的に堀木厚生行政に現われてきた場合に、今よりか国庫負担を社会保険に対して増加する方針でいくのか、それとも今のままでいくのか、こういうことなんです。今のままでいくということは消極の方針だと思う。積極の方針ということは今より増加することだと思うのですが、増加をしていくのかどうかということなんです。この答弁くらいは大臣、得られると思うのですがね。これを得られぬとすれば八・五%のワクの拡大というものは、何ということはない、国は持たぬ、あとは患者とそれから保険料だ、こういうことになるのじゃないですか。私は非常に論理的に引き締めていくように思いますけれども、これは一番大事な点なんです。だから、その心がまえを聞かせてもらいたい。心がまえが実現しないことはやむを得ないと思う。しかし政治家としては心がまえが必要だと思う。今よりふやすかふやさないか、これは一番かなめです。堀木さんの保険行政が末広がりに進展するか消極的に今のままで横ばいしていくかという重要なところなんです。
#65
○堀木国務大臣 私も自由民主党員でございますので、党の政策はとっておるわけなんです。党の政策に反した堀木行政はありようがないという考え方に立っておりますが、しかしながらできるだけ先ほど申し上げました諸般の条件を勘案いたしましてその上に立って社会保障の進展をはかりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#66
○滝井小委員 国庫負担に対して増額するかどうかが明確ではございません。いずれ明確になるまで、それでは待ちましょう。
 次の点です。次には患者負担と保険料という形で出て参りました。これは、今言ったように、利潤と賃金の問題になってくるわけであります。賃金から出ていくものは、すなわち患者の負担となり、同時に保険料となって現われてきます。それから企業の利潤から出ていくものは保険料になって現われていく。従って、今後われわれが社会保障政策をやる場合に、今言ったように、国の負担というものを現状よりかふやすかふやさぬかという判断をまず第一にやらなければならぬ。もしふやすとするならば、これは利潤と賃金の負担というものは、それだけ減るということを意味します。しかし、それはふやさないということにするならば、賃金と利潤から、患者負担と保険料というものを持ってくるわけです。そうしますと、賃金から出るものというのは、これは患者負担となり、同時に保険料となっていきますが、現在の日本の賃金というものが、すでにこのあなた方の統計にも出ておるように、二十七年に比べて六割程度の上昇しかない。しかも客観的な日本経済の現状は、運賃も上げる、米も上げる、ふろ代も上げるという情勢の中で、患者が再度ここに第三次健衆保険の改正によって一部負担をし、川崎君が厚生大臣の当時に、千分の六十を六十五に引き上げられて、三十億以上の金を出した被保険者が、さらに保険料を引き上げて、日本の療養担当者の待遇改善のために出し得る余裕があるかというと、これはあるにしても多くはないという結論が出る。そうしますと、保険料の面で寄与する企業の利潤というものが、ここに問題になってくる。貸金と利潤との保険料の分配の仕方というものは均等だというのが法律の立て方です。これでいいかどうかということなんです。神武以来の好景気によって、現在の企業はもうけているかいないかということを検討する必要がある。われわれは、今後保険経済を確立する上においては、一体今のままの、利潤と貸金とが半々の形で保険料を負担する方式というものが、現在の日本の社会保障の進展に妥当であるかどうかということを考えなければならない。私はこれは、結論は、早計かもしれないけれども、現在の日本の投資あるいは輸入の飛躍的な増加、企業の買いだめというものは、これはすでに利潤というものの隠し場がなくなっているということなんです。従って、この際保険料というものの折半方式を改めて、むしろこの際大胆率直に四分六の制度をとるべきだと思う。すなわち、労働者の負担分が四分ならば、企業の負担分が六分という、こういう政策をとることが、現在の日本経済の現状に合っていると思う。そして同時に、その上に国庫負担の増額というものを考えていくならば、これば日本の社会保障というものが、ほんとうに社会保障の姿をとり得る段階だと思うのです。そこで私は、堀木厚生大臣は、今国庫負担の問題についても述べることができませんでしたが、一体この利潤と賃金とが保険料を公平に負担をするという原則を貫いていくのか、それともこの際思い切って、日本の利潤の状態、資本蓄積の現状から考えて――賃金よりか利潤の方がうんと飛躍的に伸びておるということ、これは統計資料が示しております。また日本のこの過剰投資の状態から見ても明白でございます。従って、大臣は一体依然としてこの二百十七億のワクの拡大に当って折半方式をそのまま踏襲していくのかどうか、この際思い切って利潤の方の負担率をふやす考えはないかということなんです。これは日本の社会保障の一番ポイントですよ。少くとも私たちは真剣に考えているつもりです。それを一体どういう工合に大臣はお考えになるか。もしきまっておらなければ大臣の私見でもけっこうです。
#67
○堀木国務大臣 実はそこの点はまだほんとうにきまってないのです。これは私がある程度の案を持ちながら、きまっていて申し上げないのではなくて、その問題についていかに配分を考えるかという点を日夜考慮いたしておりますので、今実はその点について確答を求められますことは少し無理だし、実際問題としてももう少し時目をかしていただいても十分間に合う事柄であるというふうに考えておりますので、その点につきましてはもう少し時目をかしていただきたい。ただ滝井さんのおっしゃることは十分私も理解することができます。諸般の情勢を勘案いたしまして、滝井さんのお説も十分私は考えていきたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
#68
○滝井小委員 私は、やはり何といっても、案ができたならば最終的には財政問題というものが一番重要だと思います。従ってあなた方が、心魂を打ち込んで作られた一円単価の引き上げのその財政的な負担の問題について、なお、その案ができていないということは非常に遺憾です。そこで基本的に国庫負担と利潤と賃金、この三つについてどういう工合に負担区分をきめるかによって、日本の医療保障というものが進展するかしないかという運命がかかっていると思う。その三つの問題について基本的な態度をきめられたならば、次にはその関連の制度として税の問題、それから医薬品の廉価提供の問題、それから事務の簡素化の問題、これがその付帯的な対策としてあとに続くものだと思っています。いずれそれらの問題についてはあとに質問者がおるそうでございますからやめますが、基本的な三つの点について、一つ大臣に真剣な討議をやられることを要望して、一応私はこれで質問を終ります。
#69
○小島小委員長 岡本君。
#70
○岡本小委員 滝井委員から総括的な問題について質問がありましたので、私は出していただいた案についての具体的な問題をお尋ねしていきたいと思います。
 最初にちょうど厚生大臣お見えになりましたから、いい機会でありますからお考えを承わっておきたいのですが、今度出してこられた案というものは、これは日本の医療制度に画期的な案である。従ってこういうふうな案をお出しになった理由と、もう一つ甲案、乙案というふうにあるということは、医療機関にとってもいずれをとっていいかどうかということで非常にわずらわしい問題でありますし、同時にまた患者の側から見ましても、この問題はまたいろいろな問題を含んだものです。従って、こういうふうな二本建案というものをなぜお出しにになったかという点について、大臣のお考えを最初に承わりたい。
#71
○堀木国務大臣 今回の中央医療協議会に諮問いたしました案は、かねて懸案になっております国民皆保険を進めて参りますのに、適正な診療報酬がきまらないで、そして医師会としてお医者さんとして、これに対して非常にいつまでも不満な状況でいることは、私は社会情勢として好ましくない、万難を排して解決いたしたい、こういう気持で、しかも大体従来の制度を基礎にいたしますならば、この程度が全体を考えて穏当じゃなかろうかということから、今回の案を出しましたような次第でございます。
 甲案と乙案と出しましたのは、率直に申し上げて甲案自身が一つの医術の進歩向上、技術的な、この毎日進歩いたしております医術の面からいきまして、それに即応するような考え方をもっていきたい、それをやや強く強調いたしたいという考え方が甲案に盛られたわけでございます。しかしながら一方全体の医師会の現状から見ますと、ここへ移行することが困難な状態もあるだろう、そうするならば二つの案を選択的にお考え願うというふうな考え方に立つのが現状に一番即しているんじゃなかろうかというふうな考え方で、これを医療機関の選択にまかしてやって参りたい、こういう考え方から甲案、乙案と策定したような次第でございます。
#72
○岡本小委員 それは言いかえますと、甲案の方が進歩的であり、乙案の方が退嬰的である、従って医師会の考え方は退嬰的なんだというふうな意味にもとれるのですが、そうとっていいですか。
#73
○堀木国務大臣 医師会側が退嬰的であるとか何とかいう問題よりも、現状の診療機関の態様から見まして、私はこの甲案、乙案というものがかえって現状に即している、そしてこれは私が御説明するより御承知だと思うのでありますが、診療機関の態様が非常にいろいろあるわけでございます。そういう観点から現状を見て甲案、乙案にいたしましたので、医師会が退嬰的だとか何だとかいう、そういう問題では私はないと思うのであります。
#74
○岡本小委員 それではもう一歩進んでお伺いいたしますが、甲案と乙案とある場合に、甲案はどういうふうな形の医療機関にふさわしくて、乙案はどういうふうな形の医療機関にふさわしいとお考えになっておられるかということ、その次には甲案と乙案に対して同じような程度において待遇改善というものが盛られているか、どうかということ、甲案と乙案とが全くいずれを選ぼうとも、その待遇改善が公平に配分されているとお考えになっていらっしゃるか、その二点を伺いたいと思います。
#75
○堀木国務大臣 きょうの新聞を見ますと、甲案は病院向きである、乙案は開業医向きである、どうも厚生官僚分裂を策しているなんという、私ども考えもしないようなことが考え得るようななにに出ておりますが、実際は診療機関の特殊性に応じて、両方どっちでもおとり下さい、こういうのであって、でありますから病院でなくても甲案をとり得る、とる方がその医療機関としては適当だという分もあると思うのです。ですからそう概念的にきめなくても私はいいんじゃなかろうかと考えております。それから甲案、乙案ともに同様の医療総額を検討しまして、甲案も乙案も変りがないようにいたしたのがこの案である、こうお考え下さってけっこうだと思います。
#76
○岡本小委員 問題はこの表を両方を比較してみますときに、さらに甲案を見ていきますときに、内科の医療機関、これに対する技術料の評価というものがどこにもなされておらぬかに見える。それを具体的にどういうふうな形で技術料の評価が行われ、そしてまた内科的な医療機関、これは日本の全医療機関の約半数を占める、しかもそれは民間の開業医が一番多い、また小さな医療機関が多いと思う、そういうふうな医療機関が今一番経営に困っておる。その経営に困っておるところの医療機関に対してどういうふうな点でその医者の技術というものな評価されておるか、そのあなた方のお考えは、ある一面、それは医師の技術を高く評価して、その技術にふさわしいところの待遇を与えるというお考えは、一応なずけるものがあると思う。しかしながらそういうふうな考え方が甲案のどこに生きておるかということをお伺いしたいと思います。
#77
○館林説明員 技術的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。ただいま岡本委員からの御質問はごもっともな御疑問かと思うのでございますが、今回の甲表につきましては各科においても結果的にあまり差異がないような点数表になっておりまして、たとえば内科の方面におきしましても診察部分の点数あるいは夜間の特別加算、療養の指導料というようなものが大幅に従来に比して引き上げになっております。新たに従来ございませんでしたレントゲン写真の読影料というようなものもかなり大幅な点数が設けられておりますし、また内科的検査においても相当引き上げが行われておりますので、必ずしも内科の診療をする医師があまり引き上げの率が少いというようにはなっておらないはずでございます。
#78
○岡本小委員 初診は各科を通じてやることになっておる。それからレントゲン診断その他の検査も各科を通じてやるようになっておる。従来から健康保険の点数表は医者の外科的な手技、そういうふうなものに重点を置かれておるのであって、医師としての一番の技能の問題、手先のわざよりも知っておるということが一番重要なのです。そして内科の診断というものは、ものを考えていく。外から見えないものをいろいろな検査を通じていろいろ探っていって総合的な考えを一つの診断という形にまとめ上げていく。これが内科の医師のほんとうの手腕なのです。ところでそういうふうなことについは何ら考えられておらない。そしてたとえば盲腸の手術をやれば二百五十点である、あるいは子宮外妊娠の手術をやるとすればそれは四百点であるというふうに、手術の手技そのものに対する点数の評価が行われていっても――非常にむずかしい病気をさまざまな検査を通じて診断していくというこのことが内科の医師の生命なのです。その生命に対するところの評価が従来は全然生きておらない。そこで新しくあなた方が体系を作り、その新しい観点から技術を重んずるというふうなことを言われる限りにおいては、そういうふうにものを考えていくというコースに対する評価が当然織り込まれると思って、私は期待しておった。ところが、技術をうんと高く評価するのだとあなた方が自負し自慢しておられるこの表を通じても、そういうものがどこにも入っておらないという点を私は非常に遺憾に思うのですが、それが入っておるか入っておらないか。もっと具体的にはっきり言って下さい。それから厚生大臣にそういうふうなことがほんとうに必要なのであるということを私は思うのですが、厚生大臣どういうふうにお考えになりますか。
#79
○館林説明員 ただいま御指摘のございました内科の診断と申しますか、内科的の診療行為の中にお説のような重要な事項があることは私どももその通りであると思っております。従いまして今回定めました指導料の内容は、従来より大幅にこれを拡張いたしまして、たとえば高血圧症、糖尿病、胃潰瘍、結核、消化器または胸部臓器等の悪性新生物、アレルギー性疾患、内分泌疾患、ビタミン欠乏症、新陳代謝症、血液及び造血器の疾患、慢性循環器の疾患、胃十二指腸潰瘍、肝硬変、胆石、慢性膵臓炎、慢性腎炎、そういったような、主として内科的な疾患に対しての配慮でございます。
#80
○岡本小委員 私はそういうことをお尋ねしておるのではないのです。たとえば顔色の青い人が来た、そしていろいろなことを検査した結果、それが白血病であるという診断を下す、あるいはそれが原爆の被災を一度受けておる、それで原爆とそれが関係があるのかないのかというふうなことについて診断を下すということについては、相当該細に調べもしなければなりませんし、また文献も調べていろいろ考えていかなければならぬと思うのです。見てその場でわかるのは、たとえばにきびの青年が先生この顔を何とかしてもらえませんかとやってきた場合に、それはにきびだとその場ですぐ言えます。ところがそういうふうな診断行為と内科の診断行為というものとは全体的に非常に大きな開きがあるのです。たとえばあなた方はかぜというものは非常に簡単なものだと思っておられるかもしれません。かぜの診断ぐらい何でもないのだと思っておられるかもしれない。しかしながらすべての病気というものは、熱が出てもどこの熱かわからないというような形でやってくる。それが何のための熱かということを分類していくのに医者は非常に骨を折るのです。その結果、これはかぜであり、これは肺炎であり、チブスであり、あるいはツツガムシ病であるというふうに非常にまれな病気もやはり考慮に入れながら、あらゆる角度から検索して、そのいずれでもないからこれは単なるかぜだろう、あるいはこういうふうな症状が出てきており、こういうふうな検査の結果が出てきておるからこれは重大であるというふうに考えていくわけです。そういうふうなことで、同じ診断行為でも――もちろん外科的なものでも非常にむずかしいものはありますが、そういう診断行為についての評価というものは重く見られなければならないと思うのです。たとえていえば、急に夜中に婦人が便所の中で卒倒した、すぐ来てくれといわれて見に行った。なるほどまっさおになって倒れておる。それは脳貧血か内出血によるところの症状なのかということをまず見なければならない。それが内出血であるとすればどこの出血なのか、脳の出血なのかあるいは内臓の出血なのか、あるいは婦人科的な出血なのか、そういうことを即座に判断して、その上に立ってこれは子宮外妊娠で腹の中に出血しておるからすぐ手術をしなければならぬというような診断行為を内科の医師がするわけです。そしてすぐ婦人科の医師に連絡して開腹手術をされるわけですが、最初に夜中に起きていった医師は初診料と往診料と応急の注射料をもらえるが、それはほとんど実費にひとしいものです。新体系によれば応急の注射料というものは含まれない。基本初診料の中に含まれておりますから、注射料はほとんど実費です。そうすると結局内科の医師の報酬というものは基本初診料、往診料だけということになる。ところが一方、それを受け取った婦人科の医師にとっては五百点の手術料というもので、今度それが五千円になったのですが、いわゆる五百点の手術料というもので報いられるわけです。そういうものとその診断行為とどっちが重いのか。その診断行為がちょっとおくれれば婦人科の専門医に届くまでにその患者は死んでしまうのです。そういう重い診断行為をやっている者に対して、しかも緊急に、夜間にかり出されて四十点、五十点というふうな僅少な報酬より与えられない。片一方の婦人科の医師に対してはそれの十倍に相当するような報酬が与えられるということになると、手術をするという技能とものを考えていくということの間に画然と大きな差別がつけられておる。だからその差別をどうして解決するのか、どういうふうにこの点数表によって解決されておるか、それを私はお尋ねしているわけです。
#81
○館林説明員 ただいま御指摘のような診察の内容の非常にむずかしいものと、さほどむずかしくなく、一見してわかるという種類があるわけでございます。それらに対してどう取り扱うかというような点は、例の中央医療協議会の専門部会の第二部会において今までに審議されまして相当問題があったわけでございまして、各科の診察料的配慮は別にすべきではないかという意見も出たのでございますが、大方の意見は、別にすべからざるものである、たとい簡単にわかりましても、その背景をなす医学的修練というものはこれを平等と見なければならぬ、かような配慮からかなり長期間にわたってその問題は論議されたのでありますが、最終的な結論は、各科の診察料は別にすべからざるものである、一応こういう御意見が出ておりますので、私どもも御指摘のような内容の違いはあろうかと思いますけれども、できる限りそのような御意見も取り入れたいと思いまして、今回は基本診察料には差をつけないということにいたしたわけでございます。しかしながらお話のように、内科において特殊な配慮をする必要があるということから、ただいまるるお話のありましたような重要疾病につきましては、指導料という形で特別料金を取れるようにいたしたわけであります。
#82
○岡本小委員 私がお伺いしているのは医療協議会の結論とか意見をお伺いしているのではないのです。実際問題としてあなた方は技術料を高く評価するためにこれを作るのだ、医師の技術は正当に評価するのだと銘を打って出されたものが、そういうふうなことが織り込まれてないじゃないか、だからこういうふうなものは、あなた方が言うような技術料を高く評価する見地から考えてみれば、もう一度再検討する必要がありはしないか、こういうことを私は申し上げているのです。この問題は、時間がないそうですからこの次に譲りまして、大臣がおられる間にもう一点お伺いしておきたいのは、この改善案のプリントに六万九千円の待遇にしよう、これはなるほどこの通りにいけば前に比べて非常な増収になると思うのです。ところでこの点数表とこの六万九千円という数字との関連というものはどこでも説明できていない。一生懸命調べてみましたが、どこにもそういう計数の根拠がないのです。だからどうして甲表を使いあるいは乙表を用いれば実質的に六万九千円になるような大幅な待遇改善ができるのか、その積算の根拠を見せていただきい。
#83
○高田(正)説明員 六万九千九百五十五円、約七万円程度のものでございますが、これは全診療所の平均でございます。それでその前に、先ほど御説明をいたしました所要経費十万百七十円を見込んでおるわけでございます。これは現実にこれだけ使っておられるかどうかということは疑問であります。いろいろな資料から参りますと、これだけは使っておられないのではないかと推察できるわけでありますけれども、しかし先ほど申し上げましたように、医療というものの今後の進歩その他を考えますと、従来の使い方が若干節約されており過ぎたのではないかということもいわれますので、従ってまず十万百七十円程度の平均として経費をお使いになるべきものであるという考え方から、この六万九千九百九十五円というものも出ておるわけでございます。従ってこの二つを足しますと、先ほど申し上げましたように、現在のこの支払いをした方の側からの診療所の平均のかせぎ高と申しますか、そういうものと比較してみると八・五%程度の増になる、こういうことでございます。
 それでしからば点数表の方とどういう関連があるのかということでございますが、点数表の方におきましては、甲表も乙表もそれぞれ全体の業種としましては、おおむね八%前後の医療費のふくらがりということに相なるわけでございます。特に乙表におきましては、私が先ほど申し上げましたように、従来の点数表とほとんど差がございませんので、従来の点数表をそのままにして、おおむね一円単価を上げたのとほとんど変らないような結果が出て参ります。従って乙表をおとりになれば、これが普遍的に各医療機関に大体八・五%程度の増収になる、こういうことになるわけでございます。甲表の方は先ほど来申し上げておりますように、私どもとしましては望ましい姿というものを考えまして、そこにいろいろな要素が入っておりますし、また事務簡素化の点も十分考慮をいたしておりますので、従って甲表の場合におきましては、医療機関によりましてその増収の程度が変ってくる。その変り方が、乙表と比べれば平均的でない、差が非常にあるということでございます。さようなわけでございますので、甲表をおとりになった場合には、より増収になる医療機関と、それほど増収にならない医療機関、ことによると減るものも出てくる可能性があるわけでございます。むしろ減るものが出るということも十分あり得るわけであります。ところが乙表の方は、今申し上げたように、減るものは一つもない。これはみんな増収になる。しかしその増収のなり方が、大体みんな平均、まあなべて言えば大体八%前後だ、こういうことになるわけでございます。
#84
○岡本小委員 私がこの表を見て感じることは非常に頻度の高いものはストップされている。そして頻度の低いものが上げられておる。たとえば手術料のごときは、なるほど乙表と甲表ができて、乙表を見ないと直接現在の点数とは比較できません。だから乙表で見ていくより仕方がないのですが、乙表で見ていくときに頻度の高いものはストップして、頻度の低いものを点数を高く上げられている。たとえば往診料のごとき、今私が申しましたように全国の内科医にとって一番大きな不満が出てくる。往診料は今まで乙地であれば十点で百十五円です。ところが今度は十一点にされて百十円にダウンされておる。ところが乙地で、雨の降る日などに細い道をオートバイでばたばた走っていってそれで車馬賃などは請求できません。大学を出て中には学位を持っておる者もある。それが雨に降られてかっぱ着て消防夫のような格好になってオートバイで走っていく。それでしかも百十円の往診料では困る。これは百十五円が百十円にむしろダウンされておるのです。しかも往診というものは、たとえば公的医療機関その他のものの入院に相当する。比較的重症な患者を見に行く。だから夜となく昼となく風雨を問わず医師が出ていかなければならない一番労苦の多いものなんです。この一番労苦の多いものに対して、しかもその労苦の上に、さっき言ったように患者が倒れた、熱が高い、さあこれは何だろうというふうに非常に頭をしぼらなければならない。頭をしぼり、しかも労苦が多いというものに報いるにベース・ダウンをもってしている。こういうふうな考え方は、これはできるだけ往診してくれるな、患者はできるだけほっとけというような考え方にとれる。この考えがこの新らしい点数表の組み方の中に生きておるということなんです。患者の方は日に再三来てほしい、できるならばそばについていてほしいのです。それに対して往診料はダウンしていくという考え方、しかもそのほかにも随所にそれは見られる。たとえば投薬の場合を見ましても、新しい体系を見ると、調剤料が〇・八点、これは二日分で一・六点になります。大体一回の診療行為は二日分出すのが慣習でありますから、二日分でありますから一・六点、そこに処方せん料が二点でありますから三・六点であります。そうすると結局新しい表では三十六円になる。普通の薬を出しますと医師の報酬は三十六円になる。ところが昔の表でいきますと、それは四十円になっております。計算してごらんなさい、四十円になっていますよ。だから結局四十円のものが三十六円に減らされておる。だから頻度の高いところはこのようにダウンされておる。ダウンされてどこに八・五%の診療費の増が出てくるかということが私らに読めない。読めないから実際的に――これはあなた方もやってできないことはない。やれば簡単です。たとえば平均一件当り六十点、そして二百件もあれば一万二千点ですから、そうするとさっき高田局長の言われた標準の診療費になります。そういうものの診療行為についてほんとうにこの表を当てはめて計算してみて果して新しい表ではどうなる、古い表ではどうだ、だから結局これだけの増になる、こういうふうなものをわれわれに示して、その上に立って、確かにこれだけの待遇改善をいたしましたというふうなことをわれわれに具体的に示していただきたい。ただ漫然と八%上るように組みました。なるほど平均八%上る、そういうふうに見えるように組んであっても、片っ方で頻度の少いものは大幅に上げて頻度の多いところはダウンしてあるというようなことでは、相殺してあるいはゼロになるかもしれない。だからそういうふうな点についてこの資料は非常に親切が足りないと思う。こんな親切の足りないものをわれわれに出してきて、これで了解してくれとか、あるいはこれについて検討してくれと言われても、私たちには検討するものさしがないわけです。だからもっと親切な資料を出してくれないと困る。館林さん、どうですか。そういう計算をしてみたことがあるのですか。
#85
○館林説明員 できるだけ初めの構想通り無理に少くするということをしないで、この乙表は作ってあります。
#86
○高田(正)説明員 この乙表の方はごく機械的にやりましたので、従来のものに増すべきところは増しまして、そうして若干四捨五入をいたしております。そういうふうな関係で若干出入りはございますけれども、ごく機械的にやっております。それで往診料の点は御存じのように、往診をしました場合には往診料と別に初診料なり何なりがつくわけでございます。往診料というのは行く手間賃でございますから、これはいろいろの専門技術というものに関係は全然ないということは言えませんけれども、専門技術との関連が比較的少い費目でございます。従って今回特にこれを新しい財源で引き上げるという措置をとらなかったものでございます。従ってそれらはごく機械的に従来のものから引き直しましてそうして四捨五入をいたしております。そういうわけでございますので、決して頻度の高いものを特に引き下げて、頻度の少いものを引き上げたというふうな操作は別にいたしておりません。
#87
○岡本小委員 それでは時間もないようですから、もう一つ。今の問題は私ももう一ぺん実地に計算してみますし、厚生省の方でも一つ計算してみて、果してこの表でもって八・五%の増になるかどうかという問題をもう一ぺん計算し直してみてもらいたいと思います。
 そこで大臣に一つ算術をしていただきたいと思うのですが、八・五%の増をやると、医師の所得は二・一倍になるということがきのうのこれにも書いてございますし、新聞にはトップの大きな見出しで書いてあります。そういうふうな宣伝は私から見ると、これは今度は医者にはこんなに優遇するのですよ、これでまだ文句を言う医者はけしからぬじゃないかというような印象を与えるために厚生省が宣伝をしておられる、こういうふうに私は悪意にとるのです。それを悪意にとると言うと大臣は笑っておられますが、しかしながら、あれはそういうふうな意味を確かに含んでおると私は思うのです。かりに一点単価を十円とすれば計算が非常に簡単ですから、一点単価十円と仮定しますよ。そうすると一円上げるということはそれは一〇%増になる。一〇%増のものが総収入に対する増となりますね。所得においては一〇%以上のものになるということはわかりますね。ところが一〇%増になって、たとえば一万点の請求を十円でもって請求する人は十万円です。一点単価一円上げれば十一万円になります。ところがその人がかりに今まで七万円の必要経費を使っておったとしますと、現在七万円という必要経費を相変らず差し引いていきますね。そうすると今まで三万円所得があったわけですね。その三万円が四万円になるだけではありませんか。そうでしょう。これは目の子勘定したってどう勘定したってそういう勘定しか出てこないのではないか。単価一円上げれば医師の収入は二・一倍になるのだ、そういう計算になっておるではありませんか。そういうような簡単な算術をあなた方は数字の魔術でごまかそうとしても、私らはごまかされませんよ。そういうふうな簡単なものを、目の子勘定をやっても出てくるものを、医師の所得を今度はこの案で二・一倍にしようというふうな大きな宣伝をされるということは、(「それは二十七年に比べてだよ」と呼ぶ者あり)二十七年に比べたって同じだ。そんな簡単な計算をあなた方は――かりに二十七年度としても、少々数字が違っても大きくは違いません。そういう点について厚生大臣は、どういうふうな計算をしてああいうふうな二・一倍になるということについてあなたも同意されたのですか。
#88
○堀木国務大臣 先ほどから拝聴いたしております問題につきましては、私大臣として十分に注意いたしております。なお審議の過程でございますから、お気づきの点がございましたらどんどんおっしゃって下さい。私ども一番苦慮しているのは、やはり社会保障という一つの統制的な仕組みの中に、お医者さんの技術の進歩それから経験のだんだんの積み重ねというもの自体をうまくつなぎ得るかどうかという根本的な問題は実にむずかしい問題であります。過去約二カ月半この問題と取り組みましたが、この問題が一番むずかしくて、その間にいろいろな論議があったということも十分にわかります。そういう点についてはこの制度自体との結びつきに非常な苦慮する点があって、今後常にその結びつきについては研究を重ねていかなければならない。
 なお岡本さん、そうおっしゃいますが、そう言っては悪いですが、きょうの産経時事をごらんになれば、厚生省の案を見るとお医者さんの報酬もこの程度でなければならないかという論説も出ておるから、岡本さんがおっしゃるように、これを読んですぐそう考えない人もあるということは私は事実だろうと思います。ですからそれらの点につきましては、今後とも十分に注意いたしますが、と同時にお互いに冷静に考え、まじめな適正なものをきめて参りたい、こういう誠意を持って当りたいと思っております。
#89
○滝井小委員 ちょっと資料要求をいたします。実はこの前医療費体系を審議するときに、曾田医務局長の医療費体系を撤回しなければならないという致命傷になったものは、今岡本さんとの間に議論のあった実際にできた点数表をその典型的な診療機関に当てはめてみた結果が収入はふえなかったということですね。それで今度も八・五%の収入があるかどうかということを、どこか社会保険の出張所を地域的に北九州と東京と東北というように三、四ヵ所とりまして、そうしてそれに甲案、乙案を一つ当てはめていただきたいと思います。今度は十月の十日だそうでありますから一カ月間ありますから、そういう結論を早く出す必要がある。もう医療費体系でもすでに僕らもわかっておりますから、今まで論議してきた基礎もずいぶん違っておりますから、中央医療協議会の結論も急がなければなりませんが、われわれもある程度この案の価値判断をやるためには、そういうものが具体的に出ることが一番わかりよいのです。それで一つ次会までにそれを出していただくことをお願いしておきます。
#90
○小島小委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は十月十日午前十時より開会いたします。
   午後一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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