くにさくロゴ
1956/03/20 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第27号
姉妹サイト
 
1956/03/20 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第27号

#1
第026回国会 社会労働委員会 第27号
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
   午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 藤本 捨助君
   理事 大坪 保雄君 理事 亀山 孝一君
   理事 野澤 清人君 理事 八木 一男君
      植村 武一君    小川 半次君
      越智  茂君    大石 武一君
      加藤鐐五郎君    田子 一民君
      田中 正巳君    高瀬  傳君
      八田 貞義君    古川 丈吉君
      山下 春江君    井堀 繁雄君
      岡本 隆一君    栗原 俊夫君
      五島 虎雄君    滝井 義高君
      堂森 芳夫君    山口シヅエ君
      山花 秀雄君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 神田  博君
 出席政府委員
        自治政務次官  加藤 精三君
        厚生政務次官  中垣 國男君
        厚生技官
        (公衆衛生局
        長)      山口 正義君
        厚生技官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
        厚生事務官
        (児童局長)  高田 浩運君
        労働事務官
        (労政局長)  中西  實君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (自治庁財政部
        財政課長)   柴田  護君
        大蔵事務官
        (主計官)   小熊 孝次君
        労働事務官
        (労政局労政課
        長)      宮本 一朗君
        労働事務官
        (労働基準局監
        督課長)    辻  英雄君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
三月二十日
 委員倉石忠雄君及び山崎始男君辞任につき、そ
 の補欠として西村直己君及び井堀繁雄君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月二十日
 最低賃金法案(和田博雄君外十六名提出、衆法
 第三号)
 家内労働法案(和田博雄君外十六名提出、衆法
 第四号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公衆衛生修学資金貸与法案(内閣提出第三九
 号)
 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第四〇号)
 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第五一号)
 労使関係、労働基準及び失業対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○藤本委員長 これより会議を開きます。
 労使関係、労働基準及び失業対策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。山花秀雄君。
#3
○山花委員 労働問題に関しまして一言労働省当局にお尋ねをしたいと思います。多分御存じだろうと思いますが、立川市にある米軍基地の施設内におきましてメイドの諸君がただいまストライキをやっておるそうであります。私も若干事情を承わりましたが、何か労働省の方でも調査をされたと聞いておるのでありますが、一応その調査の概要を御報告願いたいと思います。
#4
○中西政府委員 ただいま山花委員の御質問になりました駐留軍家族に勤めておりますメイドの問題、これにつきましては先般労働省の方にも陳情の方が見えまして問題になっておりますので、一応米軍の意向をよく聞いておきたいと思いまして、昨日私の方の労政課長にその間の事情を聞きに行ってもらいましたので、一応向うの言い分、向うの考え方を御報告せしめたいと思います。
#5
○宮本説明員 調査いたしました結果の概略につきまして御報告申し上げます。
 本件は去る三月一日付をもちまして立川基地の将校及び軍属の寄宿舎と申しますか、そういう寄宿舎に雇用されておりますメイドが四月一日以降個人契約に切り変る、こういう問題でございます。人員は百十四名中二十五名を残してあとは個人の契約――個人と申しますのは、すなわちその寄宿舎を利用いたします人の直接の個人的な契約に変る、こういうことでございます。これにつきまして三月十一日からこれらのメイドの方々が無期限ストライキということに入っておりまして、現在その状態が続いております。なぜこのような事態ができたかということにつきましてアメリカ側にその趣旨と、それから今後のやり方につきまして事情を聴取いたしましたところ、向う側の申しますのには、これらのメイドの賃金が非常に高くなってきておる。もともとこのメイドに支払われる給料の源泉は、そこの寄宿舎を利用いたします各個人から頭割りで月幾らという金を取り立てまして、それが給料のもとになっておるわけでございます。従って軍直接、あるいは他の資金をもって給料に充てるという実情ではございません。従いまして非常にメイド一人当りの給料が高くなります場合には、これ以上の負担に応ずることはできない、こういう意見がその利用者から出て参った。これが一つの原因のようでございます。それからもう一つは量的に見ましても、必ずしも現在の百十四名程度の人は要らないのではないか、こういう理由、この二つの理由でもって、現在は中央人事局の雇用という形をとっておったのでありますが、四月一日以降、その寄宿舎を利用いたします各個人が、個人として好みに応じた、かつ給与の高もその個人とメイド個人との契約によって雇用関係を結ぶ、そういう方式をとるようにすべきである、このような理由によりまして今回の措置になった。こういうことでございます。アメリカ側の申します理由はそういう理由でございます。
#6
○山花委員 ただいま大体事情を承わりましたが、私はここに一つの大きな問題を生ずると思うのであります。私も一応参りまして事情を聴取いたしましたが、従来これらの諸君は全駐労のこの基地にある労働組合の分会を結成しておりまして、従来の雇用関係から、厚生問題といたしまして、たとえば健康保険、労災、厚生年金等々を確保しておりましたが、労働組合結成と同時に退職手当、期末手当、定期昇給の制度を確立して今日まできていたのであります。今御報告ございましたように独身寮で個人から十ドルずつ徴収して四人に対して一人のメイドがつく、そのうちの七割五分がこれらの労働者諸君に支払われる給料で、軍が直轄して統制し、按分していたのが、大体今までの雇用の形であります。ところが定期昇給の制度ができて参りました関係上必然的に昇給する資源がないというところから、今回軍当局がただいま御報告のような措置をとったと思うのであります。
 そこで問題となりますのは、軍直から個人雇用に切り変りますと、ここは御承知の通り独身寮であります、これは私はかようなことを言いたくはございませんが、個人雇用というようなことになりますと当然風紀問題などが必ず出てくる、これは一つの傾向であります。それと同時にあの地区にはいかがわしい女性がたくさんおりまして、そういう女性がやはり個人雇用という形で入り込むすきを与えて、善良なる女性が職場から放逐されるという結果が必然的に生じてくると思うのであります。特に一応のこういう就業規則を作り、諸制度も確立して、労使間において、たとい軍直といえども雇用契約というものははっきりしておるのでございますから、これらの関係に対して労働省としては、これらの労働者を保護する建前から私はしかるべき申し入れを軍当局になすべきではないか、かように考えておりますが、その点いかがでございましょうか。
#7
○中西政府委員 今おっしゃいましたような心配は、これは十分考えなければならぬことでございます。ただ私ども聞いておりますのは、建前を個人契約にするだけで、今まで通り宿舎その他施設は貸しておくということのようでございます。その点は特に今までと変った事態にはならないのではないか、しかしながらその心配もございますので、この際一応向うにわれわれの方の要望として、今おっしゃいました点は申し入れたいと思います。それから結論は結局一人一カ月二、三ドルよけい払うというのがどうも自今できないというところにあるのかと思いますので、自余の点については大体従来と変らないようにしてもらいたいということを、先方に申し入れたいと思います。
#8
○山花委員 そこで問題になりますのは、軍直から個人契約に変りますと、今まで労働組合として確立をいたしましたところのこの制度が、おそらくなくなるのではないかと私は心配しておるのでございます。それと同時にこの宿舎関係に働いております従業員のうちで、ただいまのような個人から賃金の原資を徴収しておりました関係上、資金不足の結果ただいまのような状態が現われて、特にメイドの諸君だけが個人契約、そうして他の諸君は間接雇用に切りかわるということを聞いておるのでありますが、これは一括して間接雇用の切りかえを労働省当局から話していただいたらいいじゃないかと私は考えておりますが、その点どうでしょうか。
#9
○中西政府委員 他の職種の者とメイドとは若干性格が違うので、私の方でももう一ぺんよく検討はいたしてみますけれども、メイドについてこれを間接雇用にするのは非常に無理じゃないか。というのは、財源が結局この利用者個人の支出ということにならざるを得ないと思いますので、その点からもう一ぺん研究をいたしますけれども、若干そこに無理があるのではないかというふうに考えられます。
#10
○山花委員 このメイドは、ただいま労働省当局からも説明がございましたように、普通の家事従業員とはちょっと性質を異にした建前であります。それから他の面は、食堂関係の従業員が大体間接雇用に移ろうとしておる。ですから食堂関係の従業員と独身寮の施設のメイド諸君とは私はそんなに区別する差異がないと思うのであります。それからもう一つは、従来の関係からいたしましても、大体これらの諸君は平均七年ぐらいの勤続をしておる諸君であります。短かい人は一年未満の人もおりますが、長い人は十年ぐらい勤続しておる。平均七年くらい勤続をしておる。そうして多くの方々が一家の支柱という立場――俗にいう未亡人という立場の人もこの中には相当おると思うのであります。失業問題のかしましい今の時世におきまして、これはぜひとも労働省当局の強硬なる申し入れあるいは要請という形で、円満に解決するようにお骨折りを願いたいと思います。もちろん労働組合はただいまストという強硬手段に訴えておりますが、私は率直に考えまして、一片のストでは解決すべき問題ではないと考えておりますので、一つ労働省当局の、ただいま申しました趣旨にのっとって善処をしていただきたいということを、この際要望しておきたいと思うのであります。
    ―――――――――――――
#11
○藤本委員長 次に、公衆衛生修学資金貸与法案、結核予防法の一部を改正する法律案及び母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますのでこれを許します、滝井義高君。
#12
○滝井委員 この前公衆衛生修学資金貸与法の質問をいたしましたが、きょうは公衆衛生修学資金貸与法のこの前の残りと、それから結核予防法の一部を改正する法律と、この二案を先に質問いたしたいと思います。と申しますのは、公衆衛生修学資金貸与法は保健所における技術の中核をなす医師、歯科医師というものが不足をしておる、従ってこれを充足するためにこういう資金の貸与の道を開く、それによってこの充足をはかっていこうという法律です。ところが一応に保健所の機構に今のように人的な中核的要素というものが欠けておる、それに続く結核予防法というものが絵にかいたもちになってしまう。従ってこの両法案というものは不可分だ、こういう考え方に立つわけです。この二つをまず一括してお尋ねしたい。きょうは自治庁の方もおいでをいただいております。と申しますのは、これらのものは地方行政における非常に重要な問題になっております。しかし重要ではあるけれども、現在地方行政の中における民生、衛生行政というものはいわば日の当らない行政となっております。特殊の府県においてはすでに衛生部を廃止するというような動きさえ川崎厚生大臣当時あったという現実があるわけです。従って特にきょうは自治庁の方もおいでをいただきまして、この前局部的に問題を見てはいかぬということを、失業保険の問題を論議するときに申しましたが、やはりこういう公衆衛生なり結核予防の問題も、その局部だけを見てやっておっては大局を誤まる、こういう観点から大局的見地からいろいろのをお尋ねしてみたい、こう思うわけです。まずこの前公衆衛生の修学資金の貸与の問題で保健所の職員の待遇の問題が出て参りました。これについては局長さんの御答弁というものは必ずしも私の満足のいくような御答弁をいただけなかったのでございます。従ってきょうは特に大臣の御出席を願い、同時に自治庁の方の御出席も願って、まずこの点から明白にしてもらいたいと思うわけでございます。
 そこで大臣がおりませんので、厚生政務次官に先に質問してみたいのですが、現在保健所に勤めている職員というものは、ほとんどすべて国家試験を受けてそうして勤めておる者なんです。日本のあらゆる職場において、高度の技術を持っている人がこれくらい集まっておる役所というものはないのです。電気産業に従事する労働者の技術水準というものは非常に高い、従ってこのベースも非常に高いのですが、他の職場で保健所ぐらい高度の技術を持っておる人が集まっておるところはない、しかもこれは働くほとんどすべての技術者というものは国家試験を受けておる者なんです。ところがそこの特に医師、歯科医師が不足するばかりでなくして、ほとんどあらゆる職員が百パーセント充足されておるものはないという現状なんです。一体どうしてそういうように大事な職員が充足できないかというと、これは公衆衛生、修学資金貸与法の提案理由の説明の中にも書いてあるように、これは結局給料が安いということなんです。待遇が悪いという一語に尽きると思う。そのほかにそういう特殊な技能を持っておる技術人が全般的に見て日本に不足しているのだ、従って保健所が人を得ることができない、こういうことなんです。そうしますと、これ問題が根本的なところにきているわけです。待遇が悪い、給料が悪いから集まらないのだ。それから一つは、そういう特殊な技術著が日本全体から見て不足しているのだ、こういうことなんですれ。そうしますと、単にここに公衆衛生の修学資金貸与法というようなものを出したところで――なるほど一カ月に四千五百円学生の時代に借りられればありがたいと思うが、しかし人間というものはお互いにアンビシャスを持っているわけです。希望を持っているわけですから、従って借りた期間の二分の三だけの期間を勤めればもうそれで終ってしまう、いわゆる義務的なものは終ってしまう。そうすると、より給料のいい、より待遇のいいところにいくことは、水の低きに流れるがごとく、人情なんです。従ってこの根本的な問題を解決する以外にはないのです。この点について一体厚生当局はどういう工合に考えているかということをまず御説明を願いたいと思います。
#13
○中垣政府委員 滝井さんにお答えいたします。ただいまの保健所職員の欠員の問題は、根本的な問題として待遇の低いという壁に突き当っている、従って根本的な考え方が必要であるという御指摘に対しましては、私どもも同感でございます。特に今度の貸費生制度だけでこういった問題が解決できるとは考えていないのでありまして、現在千七百名程度の保健所の、特に国家試験の資格を持っている公務員が欠員になっておるのであります。この問題につきましては、厚生省といたしまして自治庁といろいろ協議をいたしておりまして、たとえば給与体系の級位の引き上げであるとか、号俸の引き上げであるとか、そういう面から相当保健所の職員の待遇を上位に持っていきたい、かように考えております。ただいま国会で審議中であります公務員の給与体系とも関連いたしまして手落ちのないように、こういう人々の採用であるとか、あるいは欠員の補充であるとか、そういうことができやすいような、そういった給与体系に持っていくように努力をしておりまして、自治庁とも絶えず連絡をとっているのが現在の段階でございます。
#14
○滝井委員 どうも基本的に自治庁と連絡をとっているというくらいしか出てこないようでありますが、それでは満足がいかないのです。保健所の欠員、特に医師、歯科医師等が不足しているというのは、もう今に始まったことではないのです。昭和三十年のごときは五割の充足率です。最近はようやく一〇%上って六割になっております。しかしこれ以上飛躍的に上るという見通しはわれわれには全然ないのです。おそらく厚生当局にもないだろうと思うのです。
 そこでこれは自治庁の方にお尋ねしたいのですが、現在国家公務員の給与法の改訂が行われようとしております。そして今まで五つの職種の分類を、今度は八つに分けて今までなかった医療職というものができてくることになったわけですね。そうしますと、地方公務員の中において医療の仕事に従事している者についても当然こういう考え方が政府としては出てくるだろうと思うのです。ところが現在地方で医師、歯科医師、あるいはその他保健婦も看護婦もそうですが、六割か七割の充足率にしかなっていないということは、技術者の給料が非常に安いということと、それから技術者として勤めておっても希望がないということです。たとえば保健所の医者になっても、もう行きつくところは所長までです。県の衛生部長あるいは衛生部の課長の職なんというものは暁の星のごとく少い。そうしますと、これはもう保健所長で長くおるとすれば、保健所長の俸給表を相当高いところまで持っていってやらなければ、学生のときに金を貸してもらって大学を卒業して勤務しても、一定義務年限勤務したらやめてしまう。従って自治庁としては、国家公務員をこういう工合にかえられようとしておるが、一体保健所の所長程度の人たちをどの程度のクラスに持っていく考えなのかということです。一昨日の委員会で厚生当局の御答弁をいただきましたところによると、現在保健所長の最高は十四級の三号で、本俸が四万五千円だ、こういうことです。そうすると、四万五千円というものは日本で最高なんです。これでとまってしまう。そうしますと、これは一般職の人たちに比べると非常に低いということになるのです。一般職の人はずっと上まで上っていって、国家公務員と同じ程度までいくとすれば、これは国家公務員の方で七万二千円というものがあるわけです。そうすると四万五千円どまり、こういうことになると、保健所には行かない。むしろ厚生省の技官あたりに就職した方が得だ、こういう形が出てくるのです。こういう点、これは日の当らない民生衛生関係の仕事を推進するには、技術者というものは非常に大事なポストだと思うのです。今後こういう問題を解決しない限りは、いかに国民皆保険を唱え、結核予防法を推進すると言うたって、絵にかいたもちです。だからまず何といっても物事を推進するのは人間が中心です。機構じゃなく人です。だからその人的要素が確立されていないところに、いかにりっぱな機構を打ち立てても、それは何の役にも立たないということです。こういう点についてまず自治庁当局の御見解を承わっておきたいと思います。
#15
○加藤(精)政府委員 相当長時間の答弁になるかもわかりません。どうぞ御了承いただきたい。
 公衆衛生の方面が国の行政において日の当らない方面になっておるという現状につきましては、私もきわめて同感でございます。ことに財政力の少い府県におきまして保健所の医師の充足率の低いこと、その他公衆衛生とか予防衛生とか、あるいは社会保障とかいう方面の施設が非常に恵まれない現状にあることは、滝井委員の御指摘の通りであると考えるのであります。すべて国の地方行政の事情を見ますと、住民所得の少い地域におきましては全国平均の行政水準が要求されておりながら、これを維持することがきわめて困難な状態にあることは御指摘の通りであります。特に今問題になっておりまする保健所の問題等におきまして、あるいは昨日参議院の地方行政で問題になっておりまする結核予防の関係等につきましては、そういうことは如実に随所に行われておるというふうに考えております。で、これも大きな目からいいますると、単に地方財政の措置だけの問題でないかもしれません。より国の行政の末端においての総合的な指導が必要なのでないか、そういうことを感ずるのでございますが、単に地方財政だけの面から観察いたしますれば、国がある程度の補助をいたします際にも、その補助基準額そのもののとり方並びにまた補助の条件にもよることだと考えるのでございます。で、財源に非常に余裕のある交付団体の府県等におきましては別にこれを――たとえば四分の一補助でも相当な職員を充実し得る場合でございましても、もし財源が非常に少い、富裕でない交付団体等の県におきましては三分の一国費補助でもなかなか職員の設置に財政上困難する場合がございまして、そういうようなことは一律に言えないことだと思いますけれども、国の補助率を地方団体ごとに変えることは現実に至難な状況である、そういう面から見まして、この社会保障関係の施設を奨励しますためにはできるだけ補助率を高くすることが望ましいことだと考えております。また地方団体ばかりでなしに、地域によりまして、無保健者の手術後の入院経費の補助等におきましては、四分の一国庫補助、四分の一県費補助、、二分の一が自己負担という場合におきましては、住民所得が非常に少い地方におきましては国が予想した結核予防施設の目的を十分に遂行することができない、個人負担が重過ぎるというような場合もあり得るだろうというふうに、厳密に言えば考えております。そういうような状態にかんがみて、いかなる方法等をとるかということにつきましては国の地方自治財政の指導の面におきましても、国の政策の意を体しましてできるだけ社会保障の施設が充実しますように、地方団体それ自身が考えるように自治庁の方としても指導しなければならぬと考えるのでございまして、給与の改訂に際しましてもその趣旨を十分に生かしたいと考えておるのでございます。今般地方交付税の総額が増加いたしましても、その関係におきましてある程度のゆとりができましたので、一般職員に対して六・二%のベース・アップの予算を交付税の積算におきましても認めておるのでございますが、ことに医療関係者もまた働きがいのある将来の目標というようなことに関連をしまして、上級者の給与はできるだけよくするようにというふうな意図のもとに、地方財政計画なり交付税法なりで制度を運用いたしますように準備いたしておるのでございます。細部に関しましてはなお財政課長より答弁いたさせます。
#16
○滝井委員 私が知りたいのは、今加藤先生の力からいろいろ一般的な御説明がございましたが、自治庁としては大体保健所の所長クラスというものを、政府として一般職の職員の給与に関する法律というものを出しておられるのだから、当然これにならって地方の公務員の給与の体系も変ってくるだろうと思うのです。その場合に、給料が安いんだといって不足をしておる医師を充足するためにも、これはある程度現在のような給与の状態でなく、それを引き上げられるほかに方法がないということは明らかなんだ。不足の原因ははっきりしておる。従って、この機会をおいては地方の医療職の職員の給与を上げてやるという機会はない。従って、この機会に大体自治庁はどういう程度に地方の医療職の諸君の格づけをやろうとするかということなんです。現在は十四級三号四万五千円の本俸が最高であるわけなんですね。これ以上上げる意思が大体あるかないかということなんです。その点を私はお聞きしたいのです。これはおそらく厚生省としても、もう原因がはっきりしている。これは学生に金を貸さなければ集まらぬ。かねや太鼓だけでは集まらぬ。しかし、それじゃその金を貸した者に永遠にこれを天職としてずっと定年になるまで勤めてもらえるかというと、その自信はないと私は考えておるわけです そうしますと これは当然何か給与を上げる方法を講じなければならぬが、具体的にどうするか、こういうことなんですよ。
#17
○加藤(精)政府委員 その点につきましては、大体の心づもりといたしましては、政府当局といたしましては国の基準に応じて基準を上げるようにいたしたいと考えておりますが、なお十分厚生省当局とも協議いたしまして最終決定をいたしたいと考えております。
#18
○滝井委員 それならば、これはやはり主導権をにぎるところがなくちゃならぬと思うのです、物事を決定するのには。そうすると、こういう衛生行政の最高主任者は何といっても厚生省だと思うのです。これらあたりはどうも大臣がいないとちょっと工合が悪いのですが……。
#19
○中垣政府委員 ただいまの滝井さんのお尋ねでありますが、先ほど滝井さんから御指摘がございました医療職の問題が専門的に今度新たにふえて参りましたので、保健所職員を、医療職の中に一級、二級、三級、四級と分れておりますが、厚生省といたしましては、保健所の職員の最高の給与というものを一級職にまで持っていくように自治庁と交渉をしておるのでありまして、何とかおくれを取らないようにやりたいと考えております。
#20
○滝井委員 まあ一級職まで持っていきたい、こういう御意見がございました。これは他のいろいろの技術職との関係もあると思いますが、問題はそれを取け入れる側の自治庁の腹づもりです。大体そこまでいけるかどうかということですが、これはまたいろいろあとで具体的に尋ねていきますが、自治庁としてはその点は一級まで持っていける御自信がありますか。
#21
○加藤(精)政府委員 自治庁といたしましては、まだ最終決定をいたしておりませんので、十分御期待に沿うように努力いたしたい考えでございます。
#22
○滝井委員 まだ最終決定を見ていないということでございますから、できるだけ期待に沿えるようにしていただきたいと思います。私はなぜくどく申すかと申しますと、現在保健所の内容設備等を見ると、非常に近代的な予防なり治療の水準を保つためには、設備なりに相当の金が必要なんです。と同時にそこに勤務する職員というものが、さいぜんも申しましたように技術水準としては全部国家試験を受けてパスした人であるということ、従ってそこに勤められる職員の質が他の職場と違って非常に高いのですね。従って、これは相当の給料を出さなければどうにもならぬわけなんです。すなわち、高度の設備とそれを利用する人的な要素というものは、非常に高度の質を要請せられる、こういうことになると、現在の非常に困窮に直面している地方財政ではまかない切れない。従って、現実において充足率は五割なんです。その結果どういう状態になっておるかというと、昭和三十年の七月で、全国の保健所で専任医者のいないのが九カ所もある。またたった一人しか医者のいないところが百三十九カ所、二人しかいないところが百五十九カ所、七百八十八カ所でそういう状況なんです。この統計は少し古いが、厚生白書による以外ちょっとわれわれ資料がないものですから……。しかし、この傾向はそう大幅には改善されていないと見ている。昭和十二年に旧保健所法ができたときには、結核予防とか性病予防をやるためにはなばなしくデビューしてきた新しい官庁だったのです。それが十年たって、二十二年には一般的な指導行政のほかに取締り行政を加えた。それから十年を経た現在、昭和三十二年にはどういう結果が出たか。人的要素が欠乏し、設備の充実に高価な費用を必要とするのに地方自治体はこれに金をつぎ込まないのです。財政が困難だからつぎ込めない。従って、指導行政が従になって取締り行政が大きく出てきた。手数料かせぎに日々を狂奔しなければ保健所の運営ができない――私は今非常に浮き彫りにした形で御説明しているのですが、そういう事態が出てきた。これは日本の公衆衛生を推進する上において重要問題だ。取締り行政なら警察にやらせておいたらいい。国家試験を受けて高度の技術を持っておる不足な技術者を集めてやるのはもったいない。これは地方自治体においても考えてもらわなければならぬ事態だと思うのです。この点、自治庁の認識も欠乏しておると思う。これは一にかかって厚生省が自治庁に対してそれだけの認識を持っていただく努力をしなかったところにも問題があると思う。私はどちらの責任だとも申しませんが、結局大きな国の公衆衛生を指導する点で内閣全体が政策の貧困を暴露した結果以外の何ものでもないということになるのです。だから問題を局部的に考えて、単に保健所の医師が不足だ、だからそれに金を貸すんだという形で見詰めていくと大局を誤まるのです。こういう点で、取締り行政に堕しておる保健所を一体どういう工合にして救っていくかということです。ほんとうにヘルス・サービス・センターとして機能を、昭和十三年に保健所法が制定せられた昔に復古して発揮させるためにはどうしたらいいかということなんです。
#23
○中垣政府委員 現在の保健所は指導行政面にだんだん欠けていって取締り行政の方に力を入れているのではないかという御指摘点につきましては、私どももさように実は考えております。この問題を解決するために国家試験を通っておる医師の保健所職員の充実ということがどうしても必要である、かように考えておりまして、今度その一環として貸費生の制度等も実は出したわけでございますが、先ほど来滝井さんが御指摘しておられます通り、保健所に勤めるとその位置のままで相当高い報酬が受けられるような制度でなければ――現在は最高が四万五万円ではないか、であるから、たとい貸費生であってもそれはまたやめていくのではないか、こういうような点につきましても同感でございます。そこで、先ほど御答弁申し上げましたように、今度中央の公務員制度で医療職という専門職が一カ条ふえたのであります。それと、地方の保健所の職員もやはり同じような観点に立ちまして、その任務の重大であることは御指摘の通りであります。そこで、そういうことを総合的に考えまして、自治庁とも相談いたしまして、保健所の職員が現在の位置のまま少くとも本省の局長等と同じところまで行けるような制度を打ち立てたい、それに努力をして参りたい、かように考えております。
#24
○滝井委員 まあいろいろ努力をしていただかなければならぬと思うのです。現在の保健所が指導行政から取締り行政に移っているということは、この委員会で今から一年か二年くらい前にやはり言ったことがあるのです。ある大きな温泉マークの浴場や旅館をやっているボスに、今の日本の官庁で、あなた方の関係している中で一番こわいところはどこだと言ったら、私は即座に税務署をあげるだろうと思ったら、税務署とは一言わなかった。まず第一が労働基準監督署です。それから消防署、保健所、税務署は四番目であった。戦後はなばなしくニューフェースの官庁として現われた基準監督署と保健所、それから税務署が大きくクローズ・アップされると思った。税務署は建物もりっぱになりました。ところが最近は取り立てその他が非常に民主的になっているということです。基準監督署、消防署は監督が非常にやかましいので恐れられている。ところがサービス行政を中心に打ち出された保健所がその次にきているということです。これは取締り行政に保健所が移行して、大衆に親しまれている役所でないということを具体的に示している。そういう温泉マーク旅館をやっている大ボスでさえも恐ろしいものだと言って三番目にあげたのですから、こういう点は反省しなければならぬ。保健所というものはたれが行くところか。これはか弱い病人や妊産婦、こういう者が行くところなんです。ところがそれがボスと言われるような人に恐れられる役所に現実になっているということです。これは大問題です。従って、そういう点ぜひ取締り行政から指導行政に百八十度の政策転換をやらなければならぬ。具体的に政策転換をやるにはどうするかということになると、今の御答弁ではどうも期待することができない感じがするのです。そういう点もう少し具体的に問題点を指摘していくならば、先年保健所職員の期末手当とかあるいは勤務地手当というものを国庫補助の対象にある程度加えた。ところが問題は、現在の国庫補助が三分の一だというところにあるのです。これはやはり二分の一くらいにしなければ地方自治体はもう財政的にどうにもならぬ。しかも民生、衛生行政なんというものは目に立たないものである。公選知事の下においては、社会福祉や社会保障に熱意を持っている知事あるいは政令市の市長でない限りとうていこれに相当の金をつぎ込むということはない。なるほど選挙のスローガンには社会保障の充実ということを掲げます。しかしその問題についてほんとうに財政支出をしてやるという知事は少い。だから、保健所の建物はりっぱになったけれども人間は集まっていない、中はがらんどうになっているということです。こういう点について一体厚生省はどういう熱意を――今まで三分の一補助を二分の一にしようということはずいぶん叫ばれている。一体こういうものがなぜ依然として三分の一のままで放置せられているか。しかも充足率は全保健所の職員の状態を見てもわずかに六九%という情ない状態なんです。七割に満たない。こういう状態では私は大問題だと思うのです。こういう点今後指導行政に切りかえていかれるということならば、まず私はここらあたりがてこ入れのポイントになってくると思うのです。この点次官はどういう熱意と自信をお持ちなのか、これを一つ伺いたい。
#25
○中垣政府委員 滝井さんにお答えいたします。前段の保健所の今日の行政の仕方が指導行政の面が薄れて取締り行政の方が少し極端になってきた、こういうことでございまして、その点私もそういうふうに考えておりますが、しかし実はやはり前段申し上げましたように、保健所の職員の充足ということに今後力を入れて参りまして、そういうことともに解決していかなければならぬ問題だと考えております。
 それから第二の御質問の点でございますが、現在保健所職員の国が補助しております三分の一の問題は、実は私どもも二分の一にしたいということで両三年間非常に努力して参ったのでありますが、残念ながら今年もこれは達成することができませんでした。しかしぜひとも二分の一にしたい、かように考えまして努力を続けて参りたいと考えております。
#26
○滝井委員 今の点、あなた方が現在の三分の一の補助を二分の一に引き上げたいとここ三年来努力しているけれどもできないということですが、そのできない理由は一体どこにあるかということなんです。これをお示し願いたい。現実は莫大な国費をつぎ込んでおるにもかかわらずそれが六九%しか充足率がないというこの事態というものは、大蔵当局は認めないはずはないと思うのです。一体これはどうしてこんな貧弱な状態であるにもかかわらずこれが出せないのか、その理由が私にはわからないです。その理由はこれこれの理由だということならばそれをお示し願いたいし、あなた方がわからぬというならば大蔵政務次官を呼んでもらってこれをただしておきたいと思います。
#27
○山口(正)政府委員 保健所の経常費に対する補助率引き上げの問題は、ただいま政務次官から答えがありましたようにここ両三年来非常に努力をして参っているわけでございまして、ことしも最後の最後まで繰り返しやっていただきましたが、理由がどこにあるかという御質問につきましてはここが理由だというふうにはっきりなかなか私としても申し上げにくのであります。国全体として補助率の引き上げということについては全般的な問題がございますので、なかなか実現できないというようなことでございます。先ほど自治庁の政務次官からお話がございましたように、きのうも参議院の地方行政委員会でそのお話が出たのでございますが、やはり地方交付税補助金というもののバランスの関係で国全体としてそういう態度をとっているという大蔵当局から答弁がございました。補助率の引き上げということは全般的に非常に影響してくる点が多いのでございますので、なかなか踏み切れないのじゃないかというふうに私どもは承知しておるわけであります。
#28
○加藤(精)政府委員 ただいま滝井委員から非常に熱烈な御意見の開陳を含んだ御質問がございまして、われわれも非常に感動をさせられているのでございます。私たち自治庁が何か公衆衛生、社会保障という方面に認識があまり十分でないような御観察もございましたが、最近においてはなかなかそうでないのでございますから、従って厚生省と十分連絡をとりまして事態の打開に努力いたしたい、こういうふうに考えております。地方の保健所の医師の充足率が非常に低いことはあまり気がつかないのじゃないかというふうにおっしゃっておられるようにも感じましたが、現に私の居住しております保健所にお医者さんがたった一人しかいないのでございまして、充足率は非常に悪い。またそれが単に保健所ばかりでなしに、農村の診療所等におきましても最近の実例では、お医者様を招致するのに手取り六、七万円はくれなければ来ないというような事態もあるのでございまして、もうそうなりますと単なる地方財政の給付の問題を飛び越したお医者さんの配置の問題とか、お医者さんの養成の数が少いじゃないかという根本の問題にも関係してくるのじゃないかという疑いもまたあると思っております。それから貧弱県といたしましても市町村等と提携いたしまして保健所の充実に対しましては設備、敷地その他につきまして非常に努力している県もあるのでございまして、乏しいながらこれらの行政の重点はそうした社会保障に関係する行政の分野にあることを自覚して努力している団体もございますし、将来自治庁当局といたしましてもでき得る限りの御協力をいたしたい、そう考えております。
#29
○滝井委員 今大蔵省を呼んでおりますので、その間古川さんと山下さんが関連質問があるそうですから先にやっていただきたいと思います。
#30
○山下(春)委員 関連して。ただいま滝井委員の御質問の保健所の充足が不十分だという点に関しましては全く同感でありまして、結局厚生行政をいかに地方に遺憾なからしめるかということは保健所の強化以外にないと思うにもかかわらず、年々これを議論しながら一向にその実が上らないということははなはだ遺憾であることは全く同感であります。私は自治庁の政務次官はこの委員会にあまりお見えになりませんのでこの機会に、話が違いますけれどもぜひ聞いておきたいと思うことがございます。
 それは母子福祉法の中に母子相談員というのがございまして、それは昭和二十七年法律制定のときに平衡交付金の中に必ず七千五百円組み入れてあるはずでございます。自来一つも修正されませんでしたので、たしか三十一年の予算のときだと思いますが、これの積算基礎を九千円に上げたはずでございます。ところが地方に行ってみますと相変らず七千五百円であるのみならず、その後母子福祉法はだんだん内容が拡充強化されまして、母子世帯で生活保護に落ちようとする人をこの法律のために非常にたくさん救い上げて母子世帯を明るくしておることは御承知の通りでありますが、非常に事業量が多くなったにもかかわらず、郡市単位のような社会福祉業務に一人設置されておりますが、それが予算がないために地方によりますと、たとえば高瀬先生の栃木県などは、非常勤であるということをいいことにして一週間三日以上は出てきちゃいけないとか、あるいは私の県等でも行ってみましたら五日くらいにしてくれないかということを言われておるという現状でございます。母子問題が非常にやかましく世間に大きく取り上げられている今日、その一番中心になっておる母子相談員がそういうことであることは非常に遺憾であります。その積算の基礎を局長に聞けば九千円で自治庁に申達してあるというのでありますが、自治庁の方ではおそらく民生、厚生等の費用は、たとえば単価二円なら二円に福島県の場合は二百万県民をかけたその数字というような大ざっぱなことで、この問題を声なき一番大事な問題であるから優先的にきめようと思う知事があればいいのですが、地方財政の逼迫している今日でございますから、声なき方が一番あとに残されますので、この費用というものはほとんどまるきり厄介者に何がしかくれてやるような格好でございます。そこで、これは法律の根拠が非常に薄弱だからこうなっておるのではあるまいかと法制局に頼んでよく調べてみましたら、一番強い法律の表現で書いてある。強い法律の表現で書いてあるにもかかわらずいかないということでは、これは法律そのものを改正して、弱くてもいいから補助ではっきりいく方がいいと思うくらいでございます。そういう問題に対して加藤政務次官は、自治庁も近来社会保険に対して非常に認識を新たにしておると仰せられますので、どうか一つその感覚で御答弁をいただきたいのでございますが、どういう方法でこれが地方に流れておりましょうか。
#31
○加藤(精)政府委員 ただいま山下委員さんからのご質問のございました母子福祉法に基く母子福祉相談員の給与の地方交付税における単位費用の問題でございますが、ただいま七千五百円の単価になっておって、単価を九千円に厚生省から申し出ているのに自治庁の方がそれを受け入れないというお話でございますが、どうも九千円に組んであるようでございますので、その点お含みおきいただきたいと思います。
 それから積算の基礎が九千円でございましても、府県で予算を組むときには下げているというお話でございましたが、そういうことがないように極力指導いたしたい、そう考えております。
#32
○山下(春)委員 そういうふうになっていれば大へんありがたいわけでございますが、その積算基礎が平衡交付金の中へどういう格好で流れておりましょうか。もしわれわれ当委員会がそういうことにてこ入れをしなければならない個所があれば、御教授を願えばぜひそういたしたいと思うのでございます。たとえば民生、厚生等の費用が十ぱ一からげに何か単価が出て、それに人口をかけるということで流れますと、なかなかそれの見分けがつきませんので、よほど強力な御指導を賜わらぬ限りそれは地方では実現いたしかねるケースだと思うのでございますが、どういう方法でそれが流れておりましょうか。説明員でもけっこうでございいます。
#33
○柴田説明員 便宜私からお答えを申し上げます。社会福祉関係の中で一本で組んであるわけでございますので、お言葉のように母子相談員に要する経費も突っ込みになっております。ただ、従来は社会福祉費の中で生活保護費もいっておりましたが、生活保護費を人口で確定いたしますのはやや問題があります。そこで今回の改正法では生活保護費だけを離して――生活保護費もやはり人口でございますが、人口に生活保護者に対する密度補正を適用することにして、実態に即応した措置をとろうとした次第でございます。ただその他のものも全部社会福祉費の中で見て参りますが、積算の基礎は詳細にわたりまして関係の省庁と相連携いたしまして、それに基いて積算いたしましたのをそれぞれ府県には詳細通知をいたしてありますから、府県ではわかっておるはずでございます。ただそれをどのように使うかということは、府県の個々の性格から府県の判断にまかされておるわけでありますので、その間にお言葉のように不公平があると思いますけれども、積算の基礎といたしましては細大漏らさず府県にはわかっておるはずであります。
#34
○山下(春)委員 昔の内務省の時代のように中央の伝達が必ずしも地方の県へすっとそのままには流れないかもしれません。しかしながらわが党といいましてはあれでありますが、今の政府は福祉国家を建設するということを非常に大きくこれまで打ち出しておりました。なかんずく石橋内閣に至りましてこれがきわめて明確に三本の柱のうちの一本の柱という大きな柱で打ち出されておるにもかかわらず、承わりますところによりますと、石橋総理の地元である静岡県では三十一年度の予算に母子福祉資金貸付の地方受け持ちの金額が一銭も計上してなかったということを漏れ開いておりますが、さような不都合なことがあったでございましょうか。
#35
○加藤(精)政府委員 現在各県で明年度予算編成を終り、大体県議会にかかっておるところが多いと思いますが、詳細まだ不明でございますので、事実が判明の上申し上げたいと思います。
#36
○山下(春)委員 三十一年度、今年度の分でございます。
#37
○加藤(精)政府委員 三十一年度分についてはただいまのような事態を聞いておりませんのですが、調査の上お答えいたします。
#38
○山下(春)委員 これで終りますが、厚生省の方といたしましても、母子問題ということはあらゆる面でかねや太鼓で宣伝するだけであって、実際は魂が入っていないということが現状であることをまことに遺憾とするのでありますが、自治庁の方におかれましても、地方財政は何といたしましても決して豊かでございませんので、悪意ではあるまいけれども、そういうものがあとへあとへ追いやられ、声なき予算があとへ残るというのが現状でございます。これは必ずしも県の予算の組み方ばかりでなく、国会においてもそういう弊害がございますけれども、特に厳重に、政府の主要な法律に対しましては十分に意が徹底いたしますように御指導を賜わらんことをお願いいたしまして私の関連質問を終ります。
#39
○古川委員 厚生行政と地方財政とは非常に関係が深いので、厚生大臣並びに自治庁の関係の方々並びに大蔵省の関係の方々に意見を申し上げて、また当局の御意見を伺いたいのであります。
 保健所勤務を希望する医者や歯科医師が非常に少いので、今回は学資を貸すという法案が出されたわけでありますが、学資を貸すこともよろしいのでございますけれども、根本的には保健所勤務の職員全体の待遇が非常に悪いからでありまして、また滝井委員からも昨日も本日も言っておられますように、この根本的な問題に地方財政の問題であると考えるのであります。地方財政のことにつきましては、今回田中長官を初め自治庁の幹部方が昭和三十二年度の予算編成に当りまして従来問題となっておりました重要な点の解決に努力せられて、地方財政健全化が諸についたかのごとき感じで、その御努力に対し感謝と敬意を表するものであります。厚生事業の主体からいいますと、国が直接行うものと地方団体が行うものと個人が行うものとあるわけでありまするが、地方団体の行うものにつきましては国が補助をする、こういう形をしておって、しかもこの種の事業は地方団体の事業でも非常に重要な部分を占めておるわけであります。質においても、量においても非常に重要な地位を占めておると私は思うのであります。自治体の仕事は、御存知のようにいわゆる固有の事務と国から委任された事務とありますが、現在の自治体は、多くはその固有の事務が自己財源ではやっていけないという状態であります。国と関係のある自治体の仕事の中でも、農林へ建設に関係のある仕事もありますが、これらの仕事はその仕事々々に財源的な解決がついておるわけであります。ところが厚生関係の仕事というものはそうじゃなくて、一部は補助金を出しておる。ところがただいま申し上げましたような地方財政の困窮のために、十分行われない。しかも補助金はやられましても、どうしてもほかの仕事に使われて、結局地方財政の貧困というものが厚生行政の面にしわ寄せされている、こういうのが実情じゃないかと思うのであります。従って、補助金をお出しになります場合には、この補助金が有効に、しかも必ず補助金を出した事業が実際において行われるような方法を、自治庁も、厚生省もまた大蔵当局も考えてもらわなくちゃならぬ。せんだっての新聞でも、家族計画の補助金が出ておるけれども使い切らぬ、こういうことも出ておりましたが、地方財政と厚生関係の補助金は一体であるという考え方を持って、どうかこの補助金につきましては、自治庁も、大蔵省も十分に事業の遂行のできるように考えていただきたい、こういうように私は希望するものであります。
 ただいま申し上げました通り、厚生関係の補助金はともすればあと回しになって、たとい政府の力でその趣旨に出してもほかの用途に使われる場合が多いので、考え方としては、理論的にはいろいろ意見はありましょうけれども、当分の間補助金はやはりひもつきにやってもらわなければ、実際において厚生行政の実施は行われない面が多々あると思うのであります。せんだっての予算の編成のときにも、大蔵当局あたりは、従来ひもつきであったものを交付税に入れてしまうというようなことも考えられておったが、われわれがそれはまずいというので、結局従来のままになったようでございます。この点は大蔵省も、自治庁も、厚生省当局も三者ともに考えていただきたい。この点につきまして自治庁にもし御意見がありましたらあとでお伺いをいたしたいと思います。
 それから御承知のように現在地方団体が赤字に悩んでおり、再建整備の適用を受けておるところがたくさんございます。そういう公共団体につきましては新規の仕事はあまりさせないというような方針でおられますけれども、特に必要として厚生省で立案し、予算が具体化しておるようなことにつきましては、再建整備の例外として、その必要に応じてお認め願いたい。これにつきまして自治庁側の御意見を承わりたい。たとえばいろいろな問題もあろうと思いますけれども、屎尿処理のごときは、大阪湾沿岸、東京湾沿岸につきましても、再建整備の適用を受けておる都市がたくさんありますが、これはどうしてもやらなければならぬ、こういうような建前からそういうような問題があり得るわけなんで、この点につきまして自治庁の御方針を承わりたいと思います。
 さらに、先ほど申し上げた通りに補助金の率が少いので、また地方財政が困難なので、実際において仕事が行われないということがありましたが、特に金額が多いものにつきましては、これはぜひとも補助金と、それで足りない分は起債で補うというような方法を考えてもらわなければ、実現できない。予算が通りましたら、いろいろな面でそういうものが具体的にあろうと思います、この面につきましてはもちろん厚生省が中心でございまするが、自治庁、大蔵省と御協力願って具体的なことを研究していただきたい。例は同じ例になりましたが、たとえば屎尿処理の問題にいたしましても、五分の一では実際問題としてできないのじゃないか、こういうふうに考えております。その残りの分は起債でしていただくような御意思があるかどうか、これは主として自治庁の側にお願いいたしたい。
 それから厚生省関係でも、御承知の通り官吏の俸給の地域給の廃止が問題になっております。これに関連して、厚生省関係の補助金とか、あるいは医療単価の問題でも地域的に分けられております。医療単価の問題も、単価引き上げの問題がありますけれども、それよりも前にまず甲地、乙地の問題、これは現在においてはむしろいなかの方が、薬を買うのにも交通費がかかって高くつくという状態で、これは国の財政的な立場がありますけれども、第一に私は両方ともひとしくしなければならぬ、こういう考え方を持っておりまするが、この点。さらにまたこれと同じように、たとえば保育所の措置児童に対しても地域的に非常に違っておる、また生活保護につきましても非常に違っておる、こういう面が厚生省の関係にたくさんあるわけです。従って、こういうような方面のことも、現在官吏の地域給の廃止が問題になっておるのと同じ理由で、厚生省側としてはどういうお考えを持っておられるか、これを一つ厚生大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
 さらに、問題がもとに帰ってきたわけでありまするが、保健所の問題は、従来から二分の一に引き上げてくれ、こういう要求をわれわれもし、厚生省当局もされておれるけれども、財政上の事情で今日まで実現いたしませんでした。しかしこれはどうしても医療行政に関する保健の第一線の機関として、何をおいてもまず第一に充実しなくちゃならぬ。特に今回は、国民保険であるとか、結核撲滅であるとか、あるいは環境衛生の適正化の法律が今提案されております。また水道法案も出ております。これらの法案が通過いたしますると、保健所の仕事は非常にふえてくる。これを充実することが何をおいても必要なことであるとすれば、この際厚生省、自治庁並びに大蔵省は、従来のわれわれの主張をぜひとも認めていただいて、さきに滝井委員からもお話がありましたが、ぜひとも補助率を二分の一まで引き上げてもらいたい。これは本日は私の意見を申し述べ、また政府の御意見をお聞きするにとどめますけれども、できるならば、社会党の諸君も全く同じ意思でありまので、本委員会でこの問題だけは何か具体化するような決議案とかなんとかいうものを、これは動議ではありませんが、お願いいたしたい、こういうような考えを持っております。
 御質問申し上げることをずっとのべつ申し上げたのでありまするが、先ほど申し上げましたような諸点につきまして、厚生省並びに自治庁、大蔵省御当局の御意見を承わりたいと思います。
#40
○加藤(精)政府委員 自治庁関係のお尋ねが、御質問の初めの方に固まっておりますので、自治庁側の答弁を申し上げます。
 第一番目に、社会福祉関係の諸施設が、地方財政の窮迫によりまして、特定の地方団体においては、国の一般的な補助、奨励政策にかかわらず実効を上げていない面があるのじゃないか、そういうことをいかにして予防するか、その予防の方法としては、現在地方財政計画や交付税法の積算の基礎にそういうものを規定するよりも、むしろ少額補助金であっても補助金制度の方がよくないかという点に関する御質問でございます。現在の地方行政のあり方につきましてはいろいろ問題がありましょうと思います。昔の内務行政のように一律に政府から命令的に要請することはできないことになっております関係で、民主主義に切りかえました過渡期におきましてはある程度問題はあるだろうと考えまするが、地方団体そのものがその運営につきまして社会福祉国家の地方団体であることを自覚するように逐次なって参ると思いまするし、終戦直後あるいは学校の二部教授とかあるいは橋梁が落ちて渡れないとかあるいは消防施設も整備できないという緊急の必要施設に追われて社会福祉施設に対して比較的目の届かなかった時代は過ぎまして、最近におきましては国、地方を通じまして、社会福祉施設、社会保障という面に自覚が出て参りました今日におきましては、必ずしも全部の社会福祉関係の施設を補助金という形で施設しなければならぬ時代でもないように考えております。しかしその点につきましては先ほど山下委員から希望的な御意見の開陳もございましたので、自治庁の方におきましても実際に即して十分に研究することにいたしたい、こう考えております。なお具体的な問題につきましては自治庁の説明員より補足させていただきます。
#41
○柴田説明員 少額補助金の問題は今政務次官から御答弁がありました通り、私たちといたしましては半分に満たないような補助金は手数ばかりかかってしょうがない。補助率二分の一以下の補助金はむしろこれを一般財源に振りかえるかあるいは二分の一に上げるかいずれかにすべきじゃないか、こういう意見を事務的には持っております。そういった点から従来から大蔵当局にいろいろお願いをして参ったのでありますが、現状におきましてはそのようになっておらぬ部分も相当あるかと思います。現在その考え方は事務的には変っておりません。
 それから再建団体のお尋ねがございましたが、再建団体につきましては法令に基き執行しなければならない、あるいは法令に基かなくても当然に執行しなければならない、こういうものにつきましては必要額をもちろん再建計画に織り込んでいくことを考えておるのでありますが、場合によりましては非常に不当に削っておるものにつきましても、これは少な過ぎるから十分上げたらどうかというような勧告をした事例もございます。従って御心配のような事態につきましては再建団体において起ることはないのじゃないかと考えております。
 なお屎尿処理等につきまして地方債を見ていかなければならぬのじゃないか、こういうな御意見もありましたが、今回策定いたしました財政計画でも屎尿処理が中心になろうと思いますが、都市の環境衛生施設の維持管理、新設等に要する費用は十分見ておりません。不十分ではありますが、三十二年度の財政計画では六十億ばかりをそれに関します経費として見込んでおりますが、半面地方債も用意いたしております。もとより十分な額とは申し上げられませんけれども、御期待に沿うようなことができるかと思います。
#42
○神田国務大臣 お答えいたします。厚生省関係の地方補助金等に対しましていろいろ御意見があったのでありますが、大体私どもも同意見でございまして、できるだけ一つその線に沿うて増額するように努力をいたして参りたい。政府部内のことでございますけれども、相手のあることでございまして、今日で交渉は十分いたしたのでございますが、なかなか成果が上らないことはまことに残念でございます。
 それから医療関係の甲地、乙地があるとか、あるいは要保護者等につきましても、地域によって保護の標準が違うことはお尋ねの通りでございます。そこでこれをきめた時分と今ではだいぶ流通経済が違ってきておりますので改める段階ではないかという意見に対しましては、実は自分としてはさように感じております。しかしこれはなかなか広範な地域にわたる問題でございますし、医療関係等においては今どうしても改めてくれというような強硬な陳情もございます。事実どうも改めた方がむしろいいのじゃないかというようなところもあるようでございます。今度一点単価等も改正しようというような考えでございますので、これはその際に十分資料を集めまして事務的に固めてみたい、かように考えております。
 なお特に保健所なんを取り上げて医師の充足等についての御意見でございますが、これは全くお述べになられた通りで、私どもも何とか最善の努力をいたしましてその充足をはかりたいと考えております。
 今も与野党一致で一つ応援してやるからというようなお言葉のようでございましたが、非常にありがたいことでございまして、この問題はしばしば与野党から激励を受け、またおしかりを受けたことでございます。厚生関係は何といたしましても大方の支持がないとその充実は困難な点が多々ありますので、われわれも自分のことでございますから十分努力いたしますが、一つ変らない御支援をお願いしたいと思います。
#43
○古川委員 柴田説明員からひもつきの答弁を得たのですけれども、当分の間は現状のような程度でぜひともお願いいたしたいと思います。
 それから厚生省の関係では、地域的な差等のついておるものについては一覧表をお出し願えれば私たちも研究いたしたいと思いますから、その点をお願いいたします。
 大臣の述べられた方針で進められんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
#44
○滝井委員 関連貿問が中に入りましたのでちょっと工合が悪くなりましたが、とにかく今の大臣の御答弁でも保健所の充実については最善の努力をするとおっしゃいましたけれども、努力をする、するという答弁は各大臣みんないつもここでやられるが、なかなかその努力の成果が上らないところに実は問題があるわけであります。そこでまず昭和三十二年度の地方財政計画の中に努力の結果がどういう工合に現われておるかということを自治庁にお尋ねしたいのです。三十二年度の地方財政計画が一兆一千四百億をこえるものになっております。このうち国庫補助負担金を伴うものは千九十一億八千七百万円、前年に比べて七十億七千六百万円増加をすることになっておりますが、この地方財政計画の中で保健所関係と申しますかそういうものが地方自治体としては今年一体どの程度組まれておるのか、しかもそれが昨年に比べてどの程度の増加を地方財政としては見られておるかということです。と申しますのは、今年度においては歳入の面において地方税収入が七百億増加するんだ、こうおっしゃっておるし、しかも地方財政計画の基本的な方針としては行政水準をある程度確保していくんだということを言っておられるし、同時に一般財源の充実もはかったんだということを財政計画ではうたわれておるわけです。そうすると一体日陰になった民生、衛生関係の中核をなす保健所の経費についてどの程度財政計画の中に盛っておられるのか、しかもそれが昨年に比べてどの程度増加をしておるか、これを一つ御説明願いたい。
#45
○加藤(精)政府委員 ただいま滝井君から三十二年度の地方財政計画の中において厚生行政がいかに重んじられておるかという趣旨の御質問がございましたが、それにつきまして補助金、負担金を伴う事業費というワクの経費が厚生行政に対する地方財政の関連部分であるような前提のもとに御推論がございましたが、先ほど説明員の財政課長から申し上げましたように、たとえば屎尿処理等の六十億等も、これは補助負担金を伴う事業というワクの中に入ってない数字でございまして、若干そういう点において厚生行政に熱意を持ってきているということをおくみとりいただきたいと思いますが、なお具体的な測定単位の単位費用の面について、どれだけ進捗しているかという点につきましては、説明員より説明いたさせます。
#46
○柴田説明員 財政計画に組まれております厚生関係の補助負担金の状況を申し上げますと、公共専業以外の普通補助負担金は、昭和三十一年度の厚生省所管の合計は六百八十億、これはもちろん生活保護費が入っておりますが、これに対しまして、三十二年度は七百十五億九千万円、三十一年度に比較いたしますと、三十五億八千九百万円の増額になります。そのうち国庫補助金が二十二億円の増、地方負担が十四億の増であります。そのうち保健所につきましては、昭和三十一年度の五十七億四千三百万円に対しまして、三十二年度は六十二億二千百万円、差し引きまして四億七千万円の増加になっております。なお厚生関係の仕事といたしましては、先ほど政務次官からお答えがありましたように、国庫補助負担金を伴わない事業で相当ふやしております。
#47
○滝井委員 ある程度増加しておるということがわかったわけです。そこで、なお依然として残る問題は、保健所関係で四億七千万円程度三十一年度に比べて増加しておるけれども、問題は、職員の充足のためには、相当高度の技術者であるので、その人件費というものが、これを増加すれば府県の負担になってくることは当然なんです。おそらく本年の地方財政計画というものは、現在の六九%の充足率を基礎にして組まれておるのだろうと思うのです。欠員は一応欠員として、ないものにして財政計画というものは組まれておるのじゃないかと思いますが、この財政計画の中には、現在の保健所の職員の充足率が六九%、つまり三割というものが欠員のままになっている。その三州というものを充実したものとして計画が立てられておるのか、それとも七割の現員で組まれておるのか、その点はどうですか。
#48
○柴田説明員 お尋ねの問題は、財政計画上の積算の基礎は、国庫負担金の積算によっております。国庫負担金の積算に対しまして、公定の負担率をかけて地方負担を出し、両方合せたものが、今私が申し上げた数字であります。従いまして、国庫補助金の積算の基礎がどうなっているかが大きな問題になるかと思います。これは大蔵省の方から御答弁願いたいと思います。
#49
○小熊説明員 お答えいたします。三十二年度の予算といたしましては、全体で七一・五%の充足率を見て予算を編成しております。これは医師その他全部合せての充足率でございます。
#50
○滝井委員 大臣、だんだん問題の所在がはっきりわかってきました。ことしの国の予算というものは、結局保健所の充足率を七一・五%を基礎にして組まれているということがわかったわけです。そうしますと、三十二年度に関する限りは約三割のものは依然として欠員のままで厚生行政が進められるということがはっきりしてきたわけですね。これはもう三年来問題になっているのですが、これをもっと急激に一〇〇%といわなくても、なぜ八割か九側くらいに上げることができないかということなんですね。この理由について実は明白な理由の御明示をいただけなかった。そこで大臣なり大蔵省に来ていただいて、なぜこれができないかということを伺いたかったわけです。この点はいずれあとで私具体的に、これは充足しなければならぬという理由を説明しなければならぬことになる、それを通じて質問しなければならぬことになりますが、大臣、これはどうして充足率を高めた予算が組めないかということなんですね。今七側の充足率の予算しか組まれてない。厚生行政をやるについては一〇〇%組んでもらうことが理想なんだけれども、これを一挙にやるのは無理でしょう。しかし現在でも六九%あるのだから、それを七一・五%一ということは、昭和三十二年には二%しか充足しないということなんです。これじゃあなた方がいくら努力をされると言ったところで二%では努力にならぬ。この点どういう理由でこういうことになるのか。それを局長はどうもわからぬ、明確な答弁は言いにくいと言っているわけなんですがね。
#51
○神田国務大臣 保健所の予算の増額についてはできるだけ一つ増額していただきたいということを申し入れたことがございますが、ただいま滝井委員の御調査によって、それがどうも非常に低い遺憾な事情がわかったわけでございまして、実は私もただいまそういうことを御一緒に耳にいたしまして驚いているわけでございます。この善後措置をどうするという問題と、根本的には将来どうやっていくかという問題と、二つになろうかと思っております。私どもといたしましては、しばしばお答え申し上げておったように、補助率を一つ高めて参りたい、充足を一〇〇%にいたしたいということが、実はずっと厚生省の前からの希望のようでございまして、私も就任後、日が浅かったのでございますが、そういう線で実は交渉いたしております。ところが、これもたびたびお答え申し上げましたように、ついに今年は、一つ待ってくれ、お互いに就任して日も浅いのだから、保健所の経費二億だけはとりあえず増すが、これは何というか、潤滑油といいますか、いろいろ経費面が行き詰まっておるようだから、その活動費として二億円を一つ振り割ろう、補助率だけは一つ待ってくれないかということで、全く瞬間的にも余裕がなくてそういう結果になったのでございます。根本的なことは今後よく調査いたしまして、この秋の予算折衝の際に十分財政当局と相談いたしたいということ、それから今年度のやつをどうするかということは、今三十二年度の予算の地方の府県会の開会中と存じます。大体地方の府県会の予算の計上というものは、国の予算がきまりますものについては、きまってから補正をするという建前が多くとられておるようでありますので、地方によっては、地方財政好転の折柄でございますし、まだ若干余裕があるのではないだろうか。そういう意味におきまして、こういう数字がはっきりいたして参ったことでありますので、なお一つ厚生省といたしましては、自治庁あるいは特に保健所の予算等の低調だと思われる府県等に対しまして、全体として交渉すると同時に、個々のケース、ケースとしても折衝いたしまして、できるだけ成果を上げたい、こういう考えでございます。
#52
○山口(正)政府委員 先ほど私がわからぬと申し上げたのは、補助率の引き上げがどうして行われ得ないかという理由が那辺にあるかということは、これはなかなか複雑な問題だということを申し上げたわけでございまして、現在の保健所の職員の充足率が六九%、それをどの辺まで充足さしていく目途で三十二年度の予算を組んでいくかということは、私どもが予算原案を検討いたします場合に考えたわけでございますが、ただいま滝井先生御指摘のように一挙に百パーセントということはなかなかむずかしい。それなら八〇%にするか七五%にするかといろいろ検討したわけでございまして、財政当局とも折衝をしたのでございますが、保健所の職員の単価の引き上げも行われます等の関係もございまして、地方財政の負担の関係もあって一応七一・五というところで充足をさしていきたいということなのでございます。これだけ充足さしていくという際に、やはり医師に重点を置いてやっていかなければならないわけでございますが、それも先ほどからいろいろ御説明申し上げましたように、なかなか現実の問題として待遇その他の関係があって意のごとく行われ得ない、また地方財政の関係で予算化も十分行われ得ないというようなことで、なかなかそういうことで実現し得ないというような状況だと思うのでございます。
#53
○滝井委員 大臣に御認識をいただいておかなければならぬことは、なぜこれが充足をしないかという点については、まず保健所に勤務する職員の給料が安いということが一つです。従って給料が安いからなかなかやってこないのです。ところがその給料が安いということと同時に、地方自治体が設備を充実するための金が、地方財政が貧困のために出せないということが重なっておる。その上に公衆衛生に対する認識というものが非常に浅いということなんです。従って第一線の衛生行政の機関、少くとも厚生省の手足となる第一線の機関というものが、いわゆるもぬけのからになっいる、こういうことなんです。そのためにはてこ入れとして現在の三分の一の保健所の補助を少くとも二分の一に引き上げなければならぬということは数年来の主張なんです。ところがそれがなぜ行われないかというと、行われない理由が明白でないのです。この点について充足率はなるほど七一・五にしておりますが、それをさらに飛躍せしめていくためには三分の一の補助を二分の一くらいに引き上げる必要がある、それができない。そこでこれは小熊さんの方にお尋ねしたいのは、どうしてこれができないかということなんです。実態は数年来わかっているのです。ここに医者が集まらずに結局むだな国費がつぎ込まれて、技術家がみんな事務屋になっているということなんです。これはあとに出てくる結核予防法の改正とも重要な関連があるのです。そういう点一つ大蔵当局の考え方を承わって、大臣の方は自分たちはお互いに就任の初めだからわからなかったから調査をしてやる、こうおっしゃるけれども、主計局の小熊さんたちはここ数年来やられてきておりますし、これは三年くらい毎年三分の一を二分の一ぐらいにしなければだめだということを言われておるのだが、これはされていない。局長さんの方は理由はどうも明白に言えないのだということですから、あなたの方から何か理由があれば明白にしてもらうし、理由がないということになれば来年度から何とかしなければならぬことは確実なんです。そういうことが第一。
 第二点は、今度給与の改訂が国家公務員については行われます。その場合に今あなたは七一・五%の充足率をやるといわれましたが、厚生当局なり自治庁当局の意見を聞きましたら、現在保健所に勤めている一番典型的な技術員は医者です。これは現在の俸給は最高が十四級の三号で四万五千円が日本の保健所の医者のうちで最高なんです。そうしますと今度の給与法の改訂で当然地方の給与も改訂しなければならぬ。そうすると今度は新しく今までなかった医療職というものを国家公務員の給与の改訂では作っていくということなんです。あなたの方の七一・五%の充足率という場合には、その充足率は当然国家公務員の給与改訂にのっとった給与と申しますか、人件費を一応頭に描いて七一・五%の充足率ということを考えておるのか。それとも給与改訂は全然考えずに現在の給与ベースでこういう充足率を考えておるのか。その二点に対する大蔵当局の御答弁を一応お聞きしたいのです。
#54
○小熊説明員 お答えいたします。まず第一の点でございますが、現在の経常費につきましては三分の一の補助率であります。これにつきまして二分の一にしようというような御要望もあることも存じておりますが、われわれとしてはこの経費だけでなしに一般的な補助金につきましては補助金整理ということでいろいろ合理化をはかりたいという念願を持っておるわけでありますが、なかなかその実現ができていない実情でございます。補助金につきましてどうあるべきかという根本的な問題は、これは非常にむずかしい問題でございましてなかなか一がいには言えないことだろうと思うのでございますが、保健所の補助金につきましてわれわれの考えております点を端的に申し上げますと、この保健所の仕事というのは非常に大切な重要な仕事である、こういう認識につきましてはわれわれとしてもいささかも欠けるところがないのでございます。ただその場合に必ず補助金という形でやらなければならぬかという根本的な問題につきましては必ずしも意見の一致しないところがあるのじゃないか、このように考えております。またかりに補助金でやるといたしましてもそのやり方自体につきましてどういう方法でやるかということにつきましてもいろいろな考え方があると思います。現在の保健所の補助の仕方につきましては、経常費につきましてはほとんど全部につきまして三分の一、そのうちのお医者さんとか特に重要な保健所としてほんとうの基幹的なものにつきまして補助するか、あるいはその他のものとわけて補助するかというような問題が基本的にあるわけでございます。同じような生活保護という重要な問題を扱っておりますところの福祉事務所では、これは運営については補助金を出しておらない。そういう点につきまして根本的に検討する必要があるのじゃないか。今度の貸費学生などにつきましてもこれは医師の充足不足ということに特に着眼いたしましてそういう面についての配慮を特に持ったわけでございます。何か一がいにすべて補助率を上げて補助していくということでなしに、やはり重点的に保健所のポイント、ポイントを押えてそれを重点的に補助していくというような考え方がむしろ実情に合うのじゃないかというような考え方もあるわけでございまして、先生のおっしゃるようなことはわからないわけではないのでございまして、われわれとしても今後十分検討いたしたいと思うのでございます。その際も補助金の整理、補助金の合理化というような根本的な問題、つまり保健所につきましての補助のやり方につきましても十分検討を要する問題じゃないか、このように考える次第であります。
 それから題二点でございますが、職員俸給の関係につきましては前年度十七万七千七百八十円でございますが、それを今年度は十八万八千円に引き上げまして、これにつきまして充足していこうということでやっておりまするので、これで大よそやっていけるのではないか、かように考えております。
#55
○滝井委員 第一点の御答弁いただきました補助金の出し方に対する考え方は、これに私も補助金を整理しなければならぬと思っております。日本の一兆を越える財政の中で三千億の補助金が出ていくという、こういう行き方というものは、これは国の財政というものが地方の通り抜け勘定みたいな形、トンネルみたいな形になっていたずらに中央集権を強化する形になっておる点について問題があると思います。従って私たちは補助金のやり方については検討しなければならぬと考える。一応現在の補助金の制度のもとにおいては、これをとにかく三分の一を二分の一程度にしなければ、現在の地方財政の状態から見て、保健所の人員の充足、あるいは質的な向上は不可能であるということは間違いのないところなんです。これ以外にてこ入れするところはない。補助金制度を根本的に考えてから変えるというのでは、これはいつのことやらわからない。これはシャウプ勧告以来、大蔵省が四年か五年で補助金の整理をやるというあの問題で、なるほど補助金を整理して、これを重点的に持っていく形が出ればいいのだが、その後大蔵省の方もいつの間にか消えてしまって、現実においては二十億かそこらの平均を切っただけで終っているのが現状なんです。従ってこの点は、根本的には小熊さんの御意見のように、私は検討していただきたいと思います。しかし当面来年、再来年の問題としては、保健所の充実をはかっていくためには、やはり地方財政で持てないとするならば、国が何らかの形で見る以外には第一線行政をやる上においでやむを得ないのです。これはいずれ私はあとで結核予防法との関連でやりますが、この問題を解決しなければ、結核の予防を幾らやってもだめなんです。それは金をどぶに捨てるようなことになってしまう。従ってその点は、またあとで出てきますので、一応この程度にして、次は人件費の問題ですが、実は保健所の所長クラスの待遇の問題について、今回国家公務員の給与法で医療職というものができた。ところが現在の俸給というものは、厚生当局の御意見によれば、十四級の三号で四万五千円が保健所の所長としては最高だ、こういうことなんです。そうしますと、さいぜん厚生当局の御説明によれば、少くとも保健所の所長クラスというものは、結局最終的に行き着くところなんですが、最高給というものはやはり公務員の一級職までは持っていきたいという今御意見があった。自治庁もぜひそういうような御意見に沿いたい、こういうことだったのです。そうしますと、今小熊さんの御説明では、十七万何がしを十八万八千円程度に上げた、こういう程度で一級職まで具体的に持っていけるかどうかということです。その点どうですか。お二方どちらでもけっこうです。
#56
○小熊説明員 お答えいたします。先ほど申しましたのは、全部平均でそういうことになっておるわけですが、今度は国家公務員の給与が改正になりました際、現実にどうやっていくかという問題につきましては、厚生省とも御相談いたしまして、そうして実行の段階においてどういうことになりますか、その点まだここではっきり申し上げるわけには参らぬと思うのでありますが、なるべく御期待に沿うように考えたい、こういうふうに考えております。
#57
○滝井委員 小熊さん、ここらあたりが実は一番大事なところなんです。現在は給与が安いから来手がいないということが確実に結論づけられておる。これは提案理由にもそう書いてある。待遇が悪いから集まらないのだ、これははっきり結論を提案理由で説明されているわけです。しかもその原因というものは給与が安いのだから、従って国家公務員に一級職というものを作って、そうして医療職にも最高七万二千円というものが出てきているわけです。そうすると当然これは地方公務員においても七万二千円までいかなくても一級職の一号は五万七千六百円です。やはり五万七千円から七万二千円のここらあたりには入れなければならぬということは私に言えると思うのです。そうしなければ地方に行っておっても給与も安いということになれば、今までのように四万五千円の頭打ちだということになれば、これは二級の五号あたりかそこらになってしまう。あるいは三等級の十三号ぐらいになってしまう。そうしますと、国家公務員になった方がよい、こういうことになる。地方の技官になるより国の抜穴になった方がよい、こういうことで優秀な者は地方にいかなくなるという可能性が十分にある。これはさいぜん加藤自治庁政務次官からも御説明があったように、村で医者を雇おうとしても五方、六万と出さなければ来てくれない、こういうことなんです。だからこれは質の悪い医者を幾らたくさん集めても第一線の技官というものは無理ですよ、やはり優秀な医者を集めなければならない。もし質の悪い年をとった医者ばかりを集めて、単に頭数だけをそろえるというなら私は保健所は要らぬと思います。いずれあとで対案を出して私の考え方を主張しますが、それならば保健所は要らぬのです。やはり質的に優秀な者を置いて近代的な医学の応用ができ、しかも最高の設備を利用して国民の医療と治療に当る程度のものにしていかなければ今の段階では意義はないのです。ですからそういう点で厚生省は、第一級と言うし、自治庁もそれで善処したいと言っているのですから、あなたの方も何かそこらあたりで、やはり平均して十八万八千円という予算を組まれているわけです。それならばそのワクの中でできるかどうかわかりません。わからなければ何か追加でもしてもらわなければならぬことになるが、そこらあたりで何か考えなければ、七一・八の充足率では、保健所のお医者さんはみな年とった人ばかりで、保険の勧誘員と一緒に回るお医者さんの御老体であったり、功成り名遂げた開業医の古手であったら困るのです。そういう点でやはりお隠居仕事でなくて、ほんとうに第一線で働ける優秀な医者を集めようとするならば、待遇をよくするよりほかに道がない、それには国が相当の金を出して相当の待遇をする、そのためには一級まで行くようにして、やはり技術職として技術を尊重する姿を作っていくのだという形を大蔵当局が打ち出さなければ、厚生省も自治庁もなかなかはっきり言えないという段階がきているのです。こういうことをあなたに言っても御無理かもしれませんけれども、あなたは担当の主計官ですから、そこらあたりもう少し誠意のある御答弁をいただいておきたい。
#58
○小熊説明員 お答えいたします。保健所に勤めておりますところのお医者さんと開業医というようなものを比較してみますと、それは相当収入その他の面において開きがあると思うのでありますが、それは給与を上げてもおのずから限度があるのでございまして、開業医に簡単に追いつく、そういうことはなかなか無理だろうと思います。やはり先ほど先生がおっしゃっておりましたように、公衆衛生に対するところの根本的な考え方――これは私はしろうとで恐縮でございますが、根本的な考え方がまず第一番じゃないか、このように考えております。今度の貸費学生についても、やはりそういう面につきまして、単に金を貸すというだけではなしに、厚生省がそういう学生といろいろ面接されまして、その重要性を説いて、そうしてそちらの方向に向けていこう、こういうような公衆衛生に対する関心あるいは重要性というものを十分認識して、そうして保健所に勤めていただく、こういうような方向へ漸次持っていく、こういうような方法あるいはさらにはもっと根本的な対策というようなものも考えられるのかもしれませんが、われわれとしてはとりあえずそういう厚生省の御意向を伺いまして、そういう方策が従来のやり方で、単に給料だけ上げてもおのずから限度があるわけでありますから、何か変った根本的なあるいはそれに近いような対策でやっていくということが現在の段階では必要ではないか、このように考えておったわけでございますが、先生のおっしゃる点もわかりますので、この点についてはさらにさらにもつと検討して参りたい、このように考えております。
#59
○滝井委員 ぜひ一つ、もし国家公務員の給与法が今度の国会を通って、そういう状態になったとするならば、当然地方公務員における技術を持っておる医療職や技能労務職と申しますか、そういうものについてはやはり同じように善処してもらうことを一応要望しておきます。あとまだ相当あるのですけれども、一応これで中止をして午後にやります。
#60
○藤本委員長 暫時休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時五十九分開議
#61
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩前の質疑を続行いたします。八木一男君。
#62
○八木(一男)委員 厚生大臣にお伺いをいたしたいと存じます。結核予防法の一部を改正する法律案についてお伺いをするわけでございまするが、あの内容はいささか前進でございまして、私どもも賛成するものでございます。御承知の通り中に医療費に対する補助その他の規定もあり、事実名前は予防法とついているけれども、その内容は結核全体に対処する法律であるべきだと思うわけでございます。結核問題に関しましては、予防ということを政府は今度ある程度前進させられた、これはけっこうでありますけれども、予防よりもさらに治療という問題が重大であると考える。社会保障的な立場で言えば治癒の方が断じて上位である。現在病気で困っている人の治療について国庫の恩恵を与えないで、現在健康な人の予防を先に考えるということは、社会保障的な立場から言えばさか立ちになるわけです。ただ衛生行政上の立場としては予防も治療も同列に置くべきだということに相なります。しかし予防だけやって治療をほったらかしておきますると、予防が何にもならなくなる。検診をやりあるいは接種をやっても、ほんとうの感染源である今の病人を完全になおして、そうして感染しないような状態に置きませんことには、片一方でいろいろと予防措置をやっても何にもならなくなる。予防のためにも治療を完全にしなければなりません。ところが御承知の通り結核治療というものは個人経済のワクをはみ出ている非常に大きな問題である。個人経済の問題ではない。また保険経済の問題でもない。国家がここに大きく手を加えなければ、この問題は解決しない。結核予防法の改正に当って、予防にちょっと前進はしましたけれども、わずかな金しかかからない予防の方に重点を置き結核のことを考えたということであっては、非常な手抜かりだし、また非常なごまかしである。ほんとうはもっと金のかかるところに勇敢に取っ組んで、結核を全部なくするという対策に邁進されなければならないと思う。その点この結核予防法の改正で、たとえばもっと治療面のいろいろの改正を考えられなかったことは非常に遺憾でございます。その点につきまして厚生大臣のお考えをはっきりとお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
#63
○神田国務大臣 ただいまの八木委員の御所見全く同感でございます。政府といたしましては、結核予防の根本はやはり結核の撲滅にあると考えております。そこで結局これは財政上の問題になってくるわけでございますが、今年度は結核対策といたしまして相当要求もいたしましてその成果を上げたいという考えであったのでありますが、諸般の情勢で今御指摘のような体裁になったことはまことに残念でございます。御指摘のことは全く同感でございますから、今後一つ十分同意いたしまして結核の撲滅を期して前進していきたい、かように思っております。
#64
○八木(一男)委員 御承知の通り社会保障制度審議会の医療保障に対する勧告では、結核撲滅のために、各保険に対する国庫負担を実施して、それと別に最低初年度において三百億、五年目において五百億、ですからほかの保険に対する国庫負担を加えればもっとたくさん要るわけでございますが、それが最低限度必要であるということを言っているわけでございます。そのような勧告に基きまして、今度間に合わなくとも、それを取り返すべく今後来年度から至急にそれに邁進する御決意があるかどうか、それを伺いたいと思います。
#65
○神田国務大臣 われわれといたしましてはあの勧告を尊重いたしまして十分成果を上げるべく努力をいたしたい、そういうふうに考えております。
#66
○八木(一男)委員 その点につきまして来年度から予算に組み込れる御決心があるかどうか、もう一回はっきり伺いたい。
#67
○神田国務大臣 今御指摘の点につきましては、熱心に強力に推進いたして参りたいと考えておりますが、社会保障制度審議会の答申にございますような、きちっとした額そのままを予算に計上できるかというもしお尋ねだといたしますと、私は逃げ口上でも何でもございませんが、財政当局の相手のあることでございますので、すぐここでお答えいたしかねます。しかしああいうりっぱな答申をちょうだいいたしておるわけでございますから――何といっても国民経済全体から考えて、これはもう結核撲滅こそはわが国の社会保障上解決しなければならない最も重大な問題だと考えております。従ってそういう決意のもとに御趣旨よく承知いたしておりますので、成果を上げたい、こう考えております。
#68
○八木(一男)委員 御決意につきましては、大体非常にけっこうだと思いますが、さらに強い決意をぜひ願いたいと思います。
 ここで隘路と申しますか障害が大蔵省の態度である。それに対して厚生省は一丸となって断固としてその主張を貫いていただきたい。大蔵大臣は財政その他いろいろなことでとやかく申しましょう。しかしその財政の立場から考えましても、必要な金を固めてほんとうにほうり込むことが必要な態度だ、ちびちび出して長い間に総計が多くなるよりも、一ぺんにほうり込んで、結核を短期間でなくしていけば、将来結核に対する費用は激減する。その方がずっと財政のやり方としてりっぱなんです。ところが大蔵省の人たちにそのことがはっきりわかっていないのじゃないかと思う。ですから厚生省としてはもっとしっかりとわからせる、大蔵省に財政総ワクからがまんしてくれと言われたときには、これは大臣だけでなく、局長も職を賭してもその主張を貫くという態度をぜひとっていただきたいと思います。
 財政的な点を先に申してしまいましたけれども、結核につきましては非常に重大な問題であり、国民病でありますが、今まではなかなかその治療法が確立いたしておりませんでしたし、非常に気の毒で重大な問題でありながらそれを処置する方策で完全なものがなかった。ところが最近に至りまして結核を完全に治療する方法が内科的にも外科的にもできてきた、それをほんとうに実現するには財政の裏づけさえあればできるような状態になっておるわけであります。結核患者が一人出ますと、その家が一軒破滅に瀕するような状態でございますので、この人たちを救うためにも、またそういう不幸な人を将来日本に出さないためにも、またそういうことによって労働上、経済上大きな損失を日本がこうむっておることを断ち切って、日本のほんとうの意味の再建に資するためにも、断々固としてこの際金を重点的に急速に大量に投入する必要があるわけであります。ところが池田大蔵大臣初め大蔵省の主計局の連中が、こういうことについては非常に無理解でございます。ですから私はそこはどなり合ってけんかしてでもやっていただきたいということをぜひお願いしておくわけであります。その具体的な措置といたしましては、厚生省自体としては、勧告に従ってこれを考えられると思いますが、少くともその医療費につきましては、私どもは全額国費負担というところまでいかなければならないと思います。というのは、一部自己負担を残しますと、それが一部でありましてもその費用が大きいために、貧しい人で重症患者は政府なり地方公共機関なりの医療費に対する扶助を、一部の自己負担があるために受けられないということがあって、せっかくの法律が実効を上げられないということでございます。その点がその人たちに気の毒であると同時に、そういう人を残しておくことによって、また感染源を作ることになりますので、ちょっとのところで大魚を逃がさいように、全部公費なり国費でまかなうという線でぜひ強力に打ち出していただきたいと思います。こういうような負担につきましては、公費に半分負担させて、半分を国費でとるということが今までの慣習上行われております。その点につきまして地方の自治という点で地方にいろいろ自主性を持たせる方がいい場面もございまするけれども、少くともこのような衛生に関する部門につきましては、地方々々の財政事情でその国家のほんとうによくしようという意図が狭められ、またうまくいかないというようなことがあっては断じてならないと思うわけでございます。公費負担は国費負担に全部すべきだ、何らかの事情で公費負担にしなければならない部分がかりにあったとしても、これは今の結核予防法のような自由なものであってはならない、任意的なものであってはならない、義務化して必ずそれに対しては負担をしなければならないという規定に改める必要があると思うわけでございます。別に、結核予防法を改めて結核撲滅対策をしていただきたいということを言っているのではなくて、もっとりっぱな結核全般に対する総合的な法律を作っていただいてもけっこうです。また来年は三百億出す再来年は四百億出すけれども、その法律手続では再来年になるから、来年は結核予防法だけいじくってというお考えになったときだけでも、少くとも全額国庫負担というような趣旨で強力に進めていただく必要があると思うわけでございます。この点につきましてはぜひ大臣もそれからまた局長初め政府委員の方々も一丸となって強く主張を貫いていただきたいと思うわけでございます。私ども要望として申し上げたわけでございまするが、私のこの要望に対しまして大臣さらにまた政府委員も御賛成であろうということを心から期待を申し上げておるわけでございまするが、もう一回はっきり御意図をお示し願いたいと思うわけであります。
#69
○神田国務大臣 ただいま八木委員のお述べになりましたことは全く私も同感でございます。何とかしてわれわれもこの社会から結核を追放いたしたい、そういたしますと、これは非常な決心と巨額な金を必要とするわけでございまして、またそのめどをつけてやらなければ効果が上りません。お説の通りでありまして来年度におきましては一つ十分決意を持って敢闘いたしまして効果を上げたい、こういう決心でありますことを申し上げておきます。
#70
○八木(一男)委員 お答えを伺って非常にありがたいと思います。ぜひそれで強力に押していただきたいと思いますし、私どもその点につきましては全面的に御協力を惜しむものではありません。御協力させていただきたいと思います。
 ちょっと具体的な問題に入りたいと存じますが、それを進めます点につきましていろいろの施設の問題がございます。たとえば予防の面については保健所を充実するとか、中の人員とか施設を充実するとかいうことがぜひとも必要であろうかと思います。また国立療養所につきましては私どもは今の要入院患者が多い実績から見てさらに増設が必要であると思います。今空床のある事実も私どもは知らないわけではございませんけれども、これは健康保険なり社会保険なりあるいは生活保護が十分なる恩恵を与えておりませんための空床でございます。入院加療が必要な人はまだたくさんあるわけでございます。その意味で現在の一時的にほかの生活保護法の医療扶助についての適用上、金が少いために現われた空床ということにとらわれないで、結核対策全体、撲滅のためにそういう点も御整備を願いたいと思います。またその中におきます機械、器具というようなものも少い、また看護要員も足りない。また医師について特に申し上げますると、結核治療の一つの大きな面といたしまして外科的な、たとえば肺切除または整形手術その他の手術的療法が非常に効果を示しております。ところが私の知っている一例をもっていたしますると、非常にむずかしい手術でございまするので、長く専門的にかかっておられまして非常に技量の優秀な医療担当者はそれほど数多くございません。そのために手術を受けてなおしたいという患者がそこに殺到をいたします。そういたしまするとその手術担当の医師が患者をなおしてやるために、ほんとうにみずから医は仁術の立場から夢中になって朝から晩まで重労働をやっております。一回の手術で三時問くらいかかるのもございます。二時間で済むのもございまするけれども、生死にかかわるような、そうして医者もほんとうに必死にやらなけれればならないような手術を朝から晩まで四回もぶっ続けにやっておる。それを毎日やっておってもまだ患者がはけないということがあるわけです。そこでこれはほかの問題にも関連いたしますけれども、医師の問題で外科医というのは体力の関係上、経験があっても四十台を最高として、五十台をちょっと越えると、視力の問題、筋肉の問題、いろんな問題で能力が低下いたします。ですから外科医の最高の時代は三十半ばから四十が最高であって、五十の初年くらいにほんとうの大きな手術に対する一番上手な状態は終るわけです。ですから医師の全生涯が四十前後にかかっておる。非常な給与の安いところで、みずから自分の健康を破壊するような重労働をやって、そしてまた結核に感染するような危険を冒して、また文化的なところじゃない偏在した療養所に住んで、そうして毎日暗い患者の生活を見てずっとやっておる医師がいる。これはほんとうに医は仁術なりで、自分の医学的な良心と仁術という立場から挺身しているわけでございまするけれども、こういうことをそういう人たちの個人的な精神的あるいは肉体的負担にまかしておいたならば、たとえば結核撲滅対策を全面的に推進する場合にほんとうにそれが完全には動かないことが起る。ある程度の待遇ある程度の保障、そういうものを全部やりませんと、ほんとうに手術で直してやろうと思って金を出しても、それをやるだけの技術を持った医師がいないということが起ります。こういう点は外科だけに限りません。内科診断においてもただ普通のどこかの博士を持ってきたら結核がわかるというわけじゃございませんで、専門医でなければわからない。しかも専門医であってもその患者について初めから終りまで見ている医師でなければ、いかなる名医であっても結核のレントゲン像の変化を見なければほんとうの結核の診断は下せないのです。またその変化を見なければ内科的療法でも的確な療法ができない。そういう点で内科の医師も同じく苦労をいたしております。またレントゲンの技師も看護婦もほんとうに苦労をしている。そういう人たちにもっと個人的な精神的肉体的苦労を与えないでやるようにしないと、そういう人たちは途中で倒れてしまうかもしれない。またそういう意欲があっても元気のない人がそこに入ってくる、ごく程度の悪い人が入ってくる、そういうことになったらほんとうの抜本的な財政的対策をやってもそれが動かないことが起ります。そういう設備の点あるいは人間のいろいろなそういう点について、ぜひお考えいただく必要があると思うわけでございます。その点につきましてぜひ大臣も局長も御勘案いただきまして、それがよくなることにつきましては、たとえば給与に関する法律の改正であるとか、あるいは予算を計上するというようなことが必要であろうと思いまするから、今からすぐ御調査、御準備にかかられまして、来年度にそれが実現するようにぜひしていただきたいと思うわけでございます。その点につきましてどうか御所見を承わらさせていただきたいと思います。
#71
○神田国務大臣 ただいま八木委員から結核撲滅に関してもろもろの施策をしなければならないとおあげになられました例のごときは全く大事だと考えております。ただこの問題と取り組む際に考慮しなければならぬ問題があることも承知いたしておりますので、厚生省といたしまして十分資料を集めて財政当局に強硬に一つ交渉して所期の方針を堅持していきたい、こういう決心でございますから、どうか社労の委員会に特別の御支援をお願いいたしたいと思います。
#72
○八木(一男)委員 時間もございませんので、あと具体的な二、三点伺って終りにいたしたいと存じますのでまとめて申し上げます。
 今のは結核をなおす方法でございまするが、今度は患者の立場でございます。おもに入院患者――在宅患者のこともございまするが、結核の患者は決して仕合せなものではございません。いかに全額国庫負担でやっていても、その期間だけ自分のしたい仕事、意欲のある仕事ができない、家族は生命について心配する、そうして常時家族とも会えないというような不幸な状態がございます。でありまするから医療費は普通自分が負担しなければならないのに国家あるいは地方公共団体でやってやるのだから、あとは患者は何でもがまんしろということでは、これは人道上非常に大きな問題でございます。患者としても、療養期間中でも人生の一部でございます。禅坊主みたいになおすだけの一点ばりでやっていればいいという考え方では、人権を尊重する考え方としては非常に不十分である。患者のいろいろの御要望についてはぜひ十分に考えて上げていただきたい。また患者の生活の問題でございますが生活権、病気をなおすという問題に関連のある、たとえば給食の問題であるとか、看護の問題であるとか、またアフター・ケアの問題であるとか、作業療法の問題であるとか、また自後の就職の問題、この問題につきましては結核患者はほとんど職業を失っておる。帰って就職条件が悪いというときに、たとえば結核療養所の職員などは勤まりますし、またほかでもそういうところが探せばたくさんあるはずであります。そういうところに結核患者を優先雇用するというような方策も考えられていいんじゃないかと思います。そういう点全般につきましてぜひ厚生省の立場から御検討いただきまして、来年度に、そういう厚生大臣並びに厚生省関係者の親心が実現するように、ぜひ御配慮を願いたいと思うわけでございます。総括して申し上げましたけれども、あとひまなときに役所にでも行きまして、一つ一つの問題を申し上げることにいたしますから、どうかそれを御配慮願いたいと思います。この点について御意見を承わりたいと思います。
#73
○神田国務大臣 今八木委員のお述べになりましたことは、よく私も納得することでありまして、全く同感でございます。今後のことにつきましては十分御相談する機会もあるようでございますから、またその際に承わりまして善処いたしたいと考えます。
#74
○八木(一男)委員 今の御答弁非常に満足いたしましたが、来年の法律改正、来年の予算計上を待たなくても、行政的に本年度やれる問題がその中にたくさんございます。その問題については即時実行に移していただきたいと考えておるわけでございます。
 時間がございませんから最後に要望だけ申し上げまして打ち切りたいと思うのであります。先ほど最初からいろいろと大きな声で大へん失礼でございましたけれども、御要望申し上げました点、厚生大臣もまた政府委員も、一致団結して初志を貫くために邁進していくという御決心を伺いまして、非常に心強く思うわけでございます。しかし今までの例で見ますと、御決心の何分の一も実現しないということが、ほかの大臣、また厚生省のほかの局長の時代にはずいぶんあります。神田さんなり皆さん方の場合にはそういうことでなしに、断じて貫いていただきたいと思うわけでございます。これは与党の力にも熱心な社会保障関係の方がおられまして、全面的に御協力なさいますでしょうし、私どもも微力ではありますが御協力申し上げていきたいと思います。どんなに大げんかをなされても、日本の多くの大衆のために、日本の経済力の涵養のために、ほんとうにいいことでございますので、歴史の一ページを作るつもりで、重大な決心をもってやっていただきたいということを、最後に心から御要望申し上げまして一応質問を打ち切ります。
#75
○藤本委員長 堂森芳夫君。
#76
○堂森委員 私は母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に関しまして、二、三の問題を伺いたいと思います。もちろんこのたびの法律改正は大きな進歩でありますから、改正自体に賛成することは当然でございます。ただ政府からもらっておる資料を見ますと、たとえば二十八年度には四千六百六十五万四千円政府が出した予算が余っておるわけであります。それから二十九年度には一億二千七百万円ほど余っております。三十年度には一億四千九百万円ほど剰余金が出ておるわけであります。そこで高田局長にお尋ねしますが、三十一年度には今までのところわかった数字がございましたら、どれくらいか説明を願いたいと思います。
#77
○高田(浩)政府委員 三十一年度におきましては、三十年度よりもさらに悪化する見込みでございまして、大体の感じ方としては約二億余る見込でございます。
#78
○堂森委員 そこで厚生大臣にお尋ねいたしますが、この資料を見ておりますと、最後の五番目でございますが、母子福祉貸付金不承認理由の調というところがございます。二十八年度から三十年度までの調査でございますが、貸付金の財源の不足によるものというのが非常に大きなパーセンテージを占めているわけであります。たとえば生業資金を見ましても、生業資金を貸してくれという希望があるときに、貸し付けられない理由の半分は、資金がないから貸し付けることができない。その他まだいろいろあるわけでありますが、とにかく政府が出しておる予算が、従来四億五千万円ほど出しておりますが、そのうち一億数千万円、また三十一年度は二億の予算が消化し切れない。一方貸付してもらう方は、幾らお願いしても資金がない、それで貸せないんだ、これが大部分です。こういうことは一体どういうことでございましょうか、厚生大臣から御答弁を願いたいのでございます。
#79
○神田国務大臣 これはおそらく政府の予算が、地方と折半して持つというようなことで、地方の財政不如意でつらい国庫のそうした資金を受けることのできなかったということが一番大きな問題のように私承わっております。そこで三十二年度におきましては、今度は一つ国が三分の二持とう、地方の財政もやや好転してきておるような際でもございますので、今度は一つ漏れなく各府県に計上していただきまして、今御指摘になりました貸付金の財源の不足によって生業資金すらも半分も借りられないというような事態のないようにいたしたい。一面において、余っておって使えない、一面において、不足しておるということは、おそらく今私が申し上げましたような事情が最大の理由になっておるように承わっております。今度はその点三分の二にいたしましたので、一つ地方に漏れなく配分いたしまして成績を上げて参りたいと考えております。
#80
○堂森委員 厚生大臣の御答弁によりますと、地方の府県の財源が枯渇しているから、二分の一ずつ府県と国が負担し合う制度であったが、今度は三分の一国が持つんだ、これは非常に合理的でその通りでございますが、しかし私が知っている府県などでは必ずしも財源が――それはどこでも非常に枯褐はしておりますが、大体こうした方面への理解が、府県知事あるいは府県の首脳部に非常に少いと思います。従ってまた厚生省当局といたしましても強く府県の当局に通達をするとか、あるいは注意を喚起するとか、そういう努力を怠っておる、こういうことも私はいなめない事実であろうと思うのです。たとえばこの償還率を見ましても、未亡人家庭に貸し付けた金は八割以上返っておる。おそらく借金でこんなにいい率に返すパーセンテージというものはそうないと思うのです。私も病院をやっておりますが、借金というものはなかなか返せないのです。ところが未亡人に貸した金は八割以上返っておる。これはほとんど百パーセント返っておると見てもいいような償還率であると思うのです。府県当局は非常に厳重な査定といいますか、厳重な資格の審査みたいなものを従来やってきた。そこでこの前法律を改正しましたから、その点は非常に緩和されたのでありますが、とにかくこの資料を見ましても、われわれは実にふんまんやる方ないものがあるわけでございます。政府の出した四億五千万円のうち二億余っておる。ところが一方府県に行きますと財源がないから貸せないのだ、こういうようなことでは、幾ら法律を作っても、また予算を政府が幾ら作っても、あるいは来年度は五億九千万円作って出したんだ、一億五千万ふやしたんだ、こう申されましても、この状態を見ておりますと、これは非常に大きな問題だろう、こう思うわけであります。特に再建設備に入っておるような府県へ参りますると、国民健康保険の問題一つ見ましても、その府県へ金を回すことができない。おそらくこういう方面も非常に大きな問題を起していく項目ではないかと思うのでありまして、厚生大臣は非常に勇ましいことをよくおっしゃいますけれども、こまかいところにも一つうんと気をつけてもらいまして、地方の当局に厳重に今後申し入れをしてもらう、こういうことをしてもらわないと、ようやくわれわれが作った法律――この法律ができましてからもうすでに四年くらいですかになりますが、この法律の実施以来このようなことでは金は何にもならぬ、ただ絵にかいたぼたもちであって、母子家庭では使えないということになりますので、今後一そうの努力――私はこれくらいのことでは不満足でありまするけれども、今度の改正は一歩前進でございまするから、もちろん賛意を表するものでありまするが、今後の努力といいまするか、厳重な指令といいますか、政府の一そうの努力を期待しまして、時間もございませんから、簡単に質問を終ります。
#81
○神田国務大臣 ただいま堂森委員の御指摘になりました点はまことにごもっともでございまして、府県によりまして母子資金の貸付金の計上もしないというような県もございまするので、これは先般私ども省議を開きまして、一つこうした政府のあたたかい試みが議会の承認を得て計画が実施される際は、私は府県各個に十分に目を通しまして、漏れなく計上していただくような処置を講じたいということ、それからもう一つは、これは大蔵省といいますか、内部の関係、政府部内の問題でございますが、補助金だとか、こういうような貸付金が事務的におくれて、年度を経過して下に入る、そのために事務的に処理がおくれる、あるいは手続が煩瑣であるといういろいろな点もあるようでございます。この御趣旨も全く私同感でございまして、実はそう考えてそれぞれ措置をしておるような次第でございますので、なお一そう御趣旨の点等を徹底させまして所要の成果を上げていきたい、かような決心でございまするから、御了承願いたいと思います。
#82
○滝井委員 頭が母子福祉資金貸付法案に切りかえられておりますので、その方から先にやりたいと思うのです。今いろいろ堂森さんの方から言われたように、この母子福祉貸付金の貸付は、申込者のうち五割以上が貸付金の財源不足の理由で不承認になっておるわけなんです。この点は実は午前中に自治庁当局が来たときに一緒にあわせて質問をいたしたいと思っておったのですが、もう自治庁が帰ってしまいましたのでやむを得ないと思うのですが、この二十八年以来この統計を大臣ずっとごらんになっても、申し込みの金額というのが昭和二十八年からずっと減ってきておるのですね。二十八年は二十四億、二十九年は十五億、三十年は十三億と減ってきておる。従ってもちろん申し込みが減ったのにつれて貸付率というものは幾分上ってきております。二十八年が五割の申込額に対する決定金額の比率が五割、その次は六八%、その次は六九%、こういう工合に増加をしてきておるのです。問題はどうしてこういう工合に申し込みが減ってきたかということなんです。この理由がちょっと私にはわかりかねるのですが、今堂森委員も御指摘になっておったように、この生業資金なんか借りるについてもその計画表というものが非常に厳重なんですね。私も見たことがありますが、福祉事務所あたりに相談をして出すわけですが、そうこまかい事業計画までなかなか母子家庭では作れないということです。ところがそれを作って出さなければだめなんです。従って私はそういうようにあまり手続その他がむずかしい、何か普通の中小企業者や会社がやるような事業計画を持っていかなければ貸してもらえぬようなところがあって、いや気がさして申し込みの人が減るんじゃないかという感じがするんです。それからいま一つは、たとえば手編みの機械なんかを生業資金を借りて買うわけです。ところが技術を指導する人がいないんです。手編みをする機械は金を借りて買った、ところがその技術を指導する指導員がいないということ、それからその原料の講入がなかなか円滑に、一括して買って配分するということがうまくいかない。こういう点にやはり一つの欠陥がある。なるほど国はここに五億九千万円金をつぎ込んでいった、ところが地方自治団体がそれに見合うだけのものを出してやらない。今度は国が倍出すことになっておるのですが、そうしてやるにしても、これが末端へ行った場合に技術指導ができない、原料の入手ができないということのために停滞をするわけです。私はそういうところに原因があるんじゃないかと考えておるのですが、事務当局なり大臣は、こういう工合に二十四億も申し込みがあったのが半分になっておるというこの現実、この母子福祉資金の貸付金が非常に要望されておるにもかかわらず逆の現象が統計の数字の上では出てきておるということは非常に重大なことだと思うのですが、そういう点どういうところからこういう現象になってきておるのか一つ御説明願いたいと思います。
#83
○神田国務大臣 詳細は政府委員から御答弁すると思いますが、今滝井委員の御指摘になられましたことは私もおもな理由はその辺にあるんじゃないかと実は考えておるのでございます。書類がなかなかむずかしいというお話も実は耳にいたしております。これは国の金、公の金でございますから若干の書類の必要なことは当然だと思いますが、これはこういった特殊の家庭でございますから、できるだけそういうことは整理いたしたいと考えております。
 それから職業補導の面が特に大事なんじゃないか、さらに進んで原料の入手等のあっせんですね、こういうことがこういう特殊な新規に始められる社会的にも弱い方々でございますから、そういう面、ことに運転資金等の問題になるわけでございまして、いろいろ苦労なさったんだろうと思います。この制度ももう五年になろうとしておる際でございますから、今御指摘の事情が根本だと私も考えておりますが、ことしは、政府の方も、御承認を得れば三分の二というような持ち分になります。景気もずっと浸透して参っておるようでございますから、こういう際に職業補導等いろいろ各省関係もございますので十分連絡を密にして所要の効果を上げるように努力いたしたい、かように考えております。他は政府委員からの答弁をお聞き願いたいと思います。
#84
○高田(浩)政府委員 まず技術の点でございますが、確かにお話のような点はあると思います。ただこの法律でも御承知のように技能の修得に必要な黄金の貸付等も行なっておりますが、現実にいなか等において技術それ自体が不足しておる、そういった点もあろうかと思いますので、その辺は今後運営につきまして十分気をつけて参りたいと思います。
 それから申し込みが減っておるということは、これはいろいろなことが考えられると思いますが、潜在的な申し込みがこれに応じて減っているとは考えられないので、結局現実に貸し出される資金との割合等からいたしまして、どうせ金がなくて金を出してもらえないものならばということで、手控えるという点が実際の経験に徴して相当出てきていることも一つあり得るのじゃないかと思うのでございます。それからごらんになりますとおわかりになりますが、生業資金が大体において減っておりまして、修学賞金等はどちらかといえばふえているような感じがするのでございます。この辺は数字の読み方でございますけれども、やはり社会情勢刀なり経済情勢との関連もあるいはあるのじゃないかと考えられるのでございます。なお今後これが運営につきましては、十分こういう制度の趣旨にのっとりまして、母子家庭にその趣旨の徹底でありますとか、そういった点について今後ともなお一そう努力して参りたいと考えている次第でございます。
#85
○滝井委員 実はこういう貸付金制度ができましてからある程度母子家庭は救われていると思いますが、問題は母子寮なんかに入っている母子家庭で子供が十八才になるとその母子寮を出なければならない、こういう事態があるわけです。しかし子供が十八才になったからといって、すぐに一家の生計がうまくいくという事は突然は出てこないわけなんです。ところが何せ母子家挺が多いものですから、そういう家庭は早く出てくれということでせき立てられる、入りたい希望者がつかえているわけなんですから。それでこの母子家庭に対する住宅の問題、貸付金の制度の中でこういう住宅に対する貸付金というものを考えていく必要があるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうお考えになっておりますか。
#86
○高田(浩)政府委員 住宅の問題につきましては、現実の問題としてはいわゆる母子住宅の建設をして推進していく、そして今お話しになりました母子寮等から出なければならない人たちをできるだけ母子住宅の方に吸収していく、そういうような考え方をとっているわけでございます。この家賃の問題につきましては、母子福祉資金の貸付のこの制度でやることが果して適当であるかどうか、その辺の問題も本質的にはあると思いますが、お話の点につきましては今後この母子住宅の問題と関連して十分研究させていただきたいと思います。
#87
○滝井委員 低額所得層の住宅問題は厚生省の社会局は相当熱意を持ってやっておったようでございます。われわれの党においても、ことしの五カ年計画の中において一つの政策としてやはり低額所得層の住宅を打ち出しているのですが、大蔵省等が認めずに遂に流産をしてしまったようでございます。来年度はやはり千円以下の低家賃による母子家庭ばかりでなしくて、低額所得層一般を含めた住宅問題を考える必要があると思うのです。少くとも一千万おるといわれているこの低額所得層のために五、六百円の低家賃住宅を作るということは――建設省との間に所管の問題等もあると思います。あると思いまけれども、何といっても住宅政策というものは社会保障の重要な補完政策でありますから、希望として来年度はぜひ大臣に骨を折っていただきたいことを要望しておきます。
 次に大臣お疲れでございましょうから急ぎますが、結核予防法のことなんです。八木さんいろいろ総論的なことをお尋ねになっておりましたが、少し私は実際的にお尋ねしてみたいと思います。それは今回のこの結核予防法の一部を改正する法律案によりまして、六十一条を削除した。それによって実費負担というものがなくなることになったわけなんですね。一体この実費負担をしなくなったことによって、どの程度の負担増を地方財政はこうむることになるのですか。逆を言えば、実費負担というものは今まで国民はどの程度しておったかということです。
#88
○山口(正)政府委員 数字的な問題でございますから、私からお答えいたします。
 昭和三十一年度健康診断、予防接種に要しました全体の費用が十六億九千三百万円でございます。そのうちで実費を徴収しておりましたのが、五億一千万円、これは端数は切り捨てて申し上げておりますが、それだけ実費を徴収しておりました。三十二年度の事業計画といたしましては、健康診断、予防接種全体につきましての事業総額が十七億六千六百万円でございます。それで今回は実費を全然取らないことになるわけでございます。それで三十一年度と三十二年度を比較いたしまして、国と県と市町村負担額の差を申し上げてみたいと存じますが、三十一年度におきましては先ほど申し上げました実費を除いたほかを国と県と市町村と、それからその他、これは事業主などでございますが、そういうものが負担しておりましたので、分れておりますが、国の負担額は、三十一年度におきましては四億二百五十九万五千円でございました。それが三十二年度におきましては六億五百四十一万三千円、従いまして国の増加が二億二百八十二万八千円、県は全く国と同額でございます。市町村は三十一年度におきましは三億四千二百八十一万三千円、それが三十二年度におきましては五億五百七十七万九千円、従いまして市町村分の負担増加が一億六千二百九十六万六千円、そういうふうになっております。
#89
○滝井委員 大臣お聞きのように、三十一年度分の実費五億一千万を、三十二年度に実際に取るとすれば、五億よりこえるわけです。それを全部無料にするということによって、一応国は二億だけの負担増になりましたが、残りの三億以上のものは市町村と県が負担しなければならぬという、こういう実態が出てきたわけです。問題はここに胚胎をしてくるわけです。この地方自治体の負担増をすぐに地方自治体がオーケーとしてのむかのまぬかということです。ここに今後の結核予防法がかかってくると思うのです。私は一番初めに問題を明確にするために、まず保健所の人件費を中心にして、保健所の機構、この中から一つの欠陥を出してきた。今度はこれを経費の面から見ていく必要があると思う。そうしますと、こういう具体的に実施をやる第一線の市町村なり県が実費負担をするという法律の建前になっても、それを実際に実施して、熱意を持って普及して、国民大衆を五千四百三十四万四千人だけかり集めなければ、これはあなた方の結核予防の目的を達することができないわけなのです。ところがそれをやるだけの熱意と公衆衛生に対する識見とを地方自治体が持っているかどうかということが、こうなってくるとこれは大問題なのです。この点、地方自治体の負担は増加せしめた、そして同時に今後さらにより多くの経費を使ってみんなをかり出して予防接種に来させなければならぬ、一体その具体的な方策をどうするかということなのです。
#90
○神田国務大臣 今の滝井さんのお述べになりましたことは全くその通りでございまして、厚生省といたしましても、これを実効を上げる、府県の財政というものの現実の姿を見まして、こういうような予算を組むに当りまして地方交付税をふやす、こういうことを建前として応じたわけでございまして、この分だけは地方交付税に入れてあるというのが私どもの考え方でございます。そこで問題になるのは、それじゃ一体具体的に地方交付税はどういうことになるかということになりますと、これは大ワクで出ておりますので、申しかねますが、とにかく考え方と申しましょうか、仕組みといたしましてはそういうようなめどをつけましてやっておる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
#91
○滝井委員 理論的に地方交付税でやっておるだろうということは私もよくわかるのです。ところが現在自治体では御存じの通り一般財源というものが非常に不足しておる。地方交付税というものは一般財源として使われてしまうわけです。そうしますと、行政のいわゆる中枢部における役所の経費その他が不足をしておるときに、今度は外に出てそうして住民をかり集めてやる、こういう何と申しますか、さいぜんから日の当らない行政だといっておりますが、そういうものに熱意をもって一般財源をわざわざつぎ込んでやるということはなかなか不可能なんですね。不可能でもあるし、またその実績が上っていないことはすでに過去の実績を見ましてわかると思うのです。それは昭和三十年の実施状況を厚生白書によって見ても二千八百五十三万人で、受診率は二九・二%ですよ。二割九分、三割を割っているのです。もちろんこれはただ学校とか事業場とかいうものは成績がいい。学校なんか約九〇%くらいはいっておるのです。ところが問題は、学校で結核をわれわれが問題にする場合は、これは教師です。生徒から生徒へ感染することはめったにない。開放性の結核を持っている教師が児童に感染せしめるということは非常に多いのです。しかしその児童間において感染するということはきわめて珍しいことなんです。そうしますと、やはりこれは何といっても一般の国民大衆なんですね。こういうところが問題です。ところが、それが三十年度において対象者の中から二九%そこそこしか健康診断、予防接種を受ける人がないという、こういう事態は非常な問題だと思います。しかも要注意者とかあるいは要休養者とか、一応健康診断や予防接種を受けてそういう注意を受けた人は、これは大体年二回やる建前になっている。ところが実際に年二回やられておるかというと、なかなかやられていないのですね。めんどうくさいのでやられていない。こういう二点について――今度は実費診療も無料になったのだということではなばなしく打ち出されておりますが、実施の状況はそういう実態なんですね。
#92
○山口(正)政府委員 ただいま昭和三十年度の健康診断の実施状況が非常に悪いではないか、それをさらに今度のように幅を広げてやろうということにはいろいろ問題があるだろうという御指摘でございますが、三十年度の実施状況が悪かったという点は、これはいろいろ原因があるかと思います。ただいま滝井先生の御指摘のように、地方の予算化の問題もあるかと思いますが、特にこの昭和三十年度に悪かった理由は、私ども痛感いたしておりますのは、御承知のように昭和二十九年度までは三十才未満の者及び集団生活者を中心として結核の健康診断が行われておったのでございますが、実態調査の結果から三十才以上の方にも重点を置かなければならないということで、昭和三十年の年度途中――これは暫定予算の関係もあったのでございますが、年度途中から一般市町村民に対する健康診断を実施するというふうに範囲を広げましたので、それで特に一般市町村長の実施しなければならない健康診断の実施率が悪かった、それが全般に響きまして、全体を平均しますと三〇%に足りないというような状況になったわけでございます。ただいま御指摘のように、受診率の高いところよりもむしろ低いところの方に特に感染源なんかが隠れているということ、これは一応ごもっともと思うのでございまして、私どもも一般市町村長のやる健康診断の実施率を特に上げていかなければならないというふうに考えているわけでございまして、そういう点で、私どもは今回のこの改正によってそちらの方に重点的にやられるように、施設運営の整備をはかっていかなければならないと思っておりますが、先ほど大臣からもお答えがございましたように、健康診断の費用に要する地方の負担分は地方交付税に積算の基礎として入っております。これは自治庁と折衝をいたしまして、はっきり入れてもらってあるのでございますが、それが現実に予算化できるかどうかということは、地方財政の現状から考えましていろいろ疑問の点もございますので、その点は私どもの方でできるだけ努力して予算化をやってもらわなければならぬと考えております。
#93
○滝井委員 それならば、三十一年の健康診断や予防接種の受診者は大体どの程度の数で、どの程度のパーセントになるのですか。三十一年度は現在もうほとんど進行して大体見通しはつくはずだと思います。
#94
○山口(正)政府委員 昭和三十一年度のは全部まだ集計いたしておりません。現在刻々と集めつつあるわけでございますが、先ほど私も申し上げまた滝井委員も御指摘になりました二九・二%というのは三十年の一月から十二月まででございます。三十一年の一月から十二月までの率は三三・二%でございます。これを比較いたしますと、上り方がまだ非常に少いのでございますが、実際に健康診断の行われますのは一月から三月までに市町村民のが非常によく行われる。今馬力をかけております。それで、今一月から十二月までの比較をいたしますとただいまのようなことでございますが、三十年の年度途中からやりましたものですから、三十年八月から十一月までと三十一年八月から十一月までを同期間とって比較いたしますと、約二割増でございます。それにいたしましてもまだ三六、七%ということで、悪いのでございますが、私どもはさらにこれは馬力をかけていかなければならぬと考えております。
#95
○滝井委員 どうも聞けば聞くほど悲観的な状態になってくるのですがね。五千四百三十四万の国民の中の四割と見ても二千万そこそこしかできないということになってしまうわけですね。これではなかなか問題だと思うのです。そこで私は今の健康診断なり予防接種のやり方というものはやはり再検討する時期が来ておると思うのですね。これは私は大へんな国費の浪費だと思うのです。私も第一線でやったことがある。去年も出ていってやりましたが、何人来るかというと、二、三十人しか来ないのです。保健所からはポータブルのレントゲンを持って三人やってきます。その地区の開業医を一人頼みます。それから市役所から事務をとる者が二人来ます。国家試験を受けた技術者と六人も集まってくるわけです。ところが来る人は今言ったように二十人か三十人です。そしてみんな十円ないし十五円払っていきます。そうすると、人口十万の市で全市を十カ所やったって三百人そこそこしかできないのです。レントゲンを持ってきて六人の人を動員して――もちろんやらぬよりかいいと思うけれども、そろそろ何か考え直さなければ、もうマンネリズムに陥っているのですよ。いなかへ行くと、お宮やお寺に集めて予防接種をやっているのです。学校はきちっとできますよ、校医が行ってやりますから。厚生省の城戸さんなんかもわれわれと同じ意見なんですが、BCGの接種をやると開業医が来なくなるのです。だから思い切って、ツベルクリンをやって陽転者には全部レントゲンの間接撮影をやってしまうのです。そうしてあやしいと思う者は直接撮影をする。大量にレントゲンの間接撮影をやっていきますと、BCGより安くつくのです。そうして患者を早くピック・アップしてしまう。ここまではそう金がかからぬでできると思うのです。問題はそれから先ですよ。それから先をうまく処理する態勢が、悲しいかな日本にはできていないということです。どこにできていないかというと、保健所にもできていないのですよ。だからまず第一段階として今までのやり方を検討し、もうBCGの接種をやめてしまて、思い切って間接撮影に移行してみるんですね。この方が金がかからないんです。そうすれば行き方が変るし、珍しいものですから相当来ます。あなたは悪いですぞと言って、悪い人に金を出させて間接撮影をやるから、レントゲンを取られたら大へんだ、悪いんじゃないかということになる。ところがみんながとられるとなるとわんさとやってくると思うのです。いなかではまだ、結核と宣言されることは死の宣言だと思っているのです。だからそういうやり方を一ぺん再検討してみる気持はないかどうかということです。昔ながらのやり方ではなくて、ここらあたりで――BCGでなんかができてからずいぶん長くなっているのですから、一つやり方を変えてみたらどうか、こういう点、お考えになったことがありますか。
#96
○山口(正)政府委員 集団検診の実施方法についてただいま滝井先生から御指摘がございました。ただいまの、ツベルクリン反応をやって、直ちに間接撮影をやったらどうだというような御意見につきましては、私どもの内部でもいろいろ検討をいたしております。前からそういう意見も出ておりまして検討いたしておりますが、いわゆる健康診断の集団検診の一応の実施と申しますか、今そういうものに従ってやっているわけであります。ただ、未感染者に対しては予防接種もやっていかなければならぬ。BCGによる予防接種が発病防止を相当できるというようなことが過去の実績からはっきりしておりますので、それはやっていかなければならぬと存じます。ただ、全部に間接撮影をやってしまってはどうかというようなこと、これは、一面考えますれば、未感染者に対して間接撮影をやるのはむだじゃないかという御意見もありますが、今後検討していかなければならぬ、そういうふうに考えております。先ほど悲観的なことばかりということでおしかりを受けました。しかし、ただいま数字を総計いたしますと先ほど申し上げましたようなことでございますが、最近結核の集団検診の実施率を上げようという努力があちこちで行われており額して、私どもの方で今資料を集めておりますが、九〇%以上の受診率を上げており、はなはだしい場合は九九%何がしである。これは万という単位の町村で、そういうふうなことが何十と今出てきているわけであります。そういうのが次から次とどんどん出て参りますと全体としての受診率が非常に上っていくというふうに考えております。ただいま御指摘の人が集まりにくいというようなことは、成立別の工作も必要だと思いますし、また一々保健所まで呼ぶのは大へんだというときには移動式のレントゲン自動車を整備して回るということで、現在百五十台ありますが、三十二年度はさらに三十七台増加してやっていきたい。そういうふうに一般の人たちの認識を深めると同時に、便宜をはかり、そこに今度実費徴収を行わないというようなこと、いろいろつきまぜて実施率をもっと上げていきたい、そういうふうに考えております。
#97
○滝井委員 最近結核の死亡率は年四万台になっていると思います。三十年は四万六千六百二十五人、四万台になっている。しかも国民の死亡順位から言って、われわれ学生の時代にはほとんど一、二を行っておったのですが、最近は五番になっている。もはや日本は結核がヨーロッパ並みで、青年ばかりでなくて、壮年からある程度老人層に行っているという形が出てきている。従って、結核撲滅のためにやはり何か大きな手を打つ時期に来ていると思うのです。そこで、思い切ってレントゲンの間接撮影を全部やってごらんなさい。発病のおそれのあるものは一応レントゲンの間接撮影をやって、影のあるものは直接撮影をやればわかってしまう。そうしてもう無料でパスかヒドラジットをやるべきだと思うのです。製薬企業に少しメスを入れなければならぬと思いますが、おそらくパス一グラム一円四、五十銭で買っているではないかと思いますが、これは一円以下でできると思います。陽転をして疑いのある人は、日本全国五千万人の健康診断をやり予防接種をやる過程のうちで三十万かそこらしかないと思う。そうすると、三十万人に一グラム一円のパスをやってもこの金はわずかです。今の日本の社会保険にしても、生活保護にしても、健康保険にしても、ガンに結核なんですから、従って新しく出る結核患者さえ押えれば医療費の末広がりはここでストップさせることができる。健康保険の赤字を問題にする前に、三十億の健康保険につぎ込む金を前の段階で数年前につぎ込んでおったならば、全国の医師が二万も医師会に集まって、日本医師会長を血祭りに上げて政府に反対しなくてもよいのです。病気はそれぞれ山があり谷があるのですから、谷が来たら谷に対する対策、山があれば山に対する対策というものを立てなければ、一本調子では問題は解決しません。結核による死亡者が四万四、五千人になり、死亡順位が第五位に下ったというこの段階では、やはり思い切ってパスとかヒドラジットを無料でやるという施策を打ち出すべきである。これは何も全国民にやる必要はない。発病のおそれある者に重点的にやっていけば二、三十万人で済むのじゃないかと思います。二、三十万に六カ月飲ましたところで六百か七百グラムあれば足りるのじゃないですか。金にしたって知れたものです。こういうことを私たち社会党は去年ごろから主張しておる。党の政策にも掲げておりますが、社会党がそう言ったからといって、政府は、あれはどうも社会党が言ったことだからということでなくて、やはりこういうことは考えてみる必要があると思うのです。これは、同時に日本の製薬企業の健全な発達にも役立つことになると思う。何もパスやヒドラジッドは健康保険の中の公費負担でなければ使わないというようなしゃくし定木でなくて、むしろ公費負担でやる前の段階で一つ使う道を考えてみたらどうかと思うのですが、こういう点、大臣はどうお考えになりますか。
#98
○神田国務大臣 今の滝井博士のお述べになりましたことは、私はしろうとでございますが、しかし聞いておりますと、実際一つの示唆を受けたと申しましょうか、何か結核対策の明るさを感じてきたというような気がするのでございます。私は全く正直に、本気になって申し上げておるのでございますが、先ほども同僚委員の御質問にお答え申し上げたのでございますけれども、結核の根本的対策というものを真剣に、しかも大胆に打つべき段階に入っておる。今年度は早期診断、早期治療というような面に手を打って参ったのでございますが、進んで結核自体を撲滅することをはかろうという際に、今お述べになりましたような措置は、私は非常に傾聴すべき御意見だと思います。そこで、この点につきましては、これらの病気に対しまして、いろいろ斯界の権威がございますので、その方面とも十分お打ち合せいたしまして、それらの意見を取り入れまして、そういうようなことができるといたしますれば、政府といたしましても、一つ大胆に取り入れていきたい。それで経費のことになるわけでございますが、三十万人に一日一円の薬を飲ませるいうことは、月に九百万円もあればいいことでありまして、今滝井さんのお話でも、半年やったらどうかということで、半年やったところで、五千四、五百万円の経費ですから、金の問題は私はないと思う。それがほんとうに一つの手だ、有効だということがはっきりいたしますれば、私は真剣になって、実施のできるような処置をとりたい、こう考えております。いずれにいたしましても、専門的なことでございまして、私はしろうとでございますから、政府委員から一つお答えさせまして、十分検討いたしたい、かように考えております。
#99
○山口(正)政府委員 ただいま御指摘の、発病のおそれある者に対して化学療法剤を少量ずつ一定期間飲ませて発病を押えようという御意見につきましては、過去数年来各所でいろいろ検討されて参ってきている問題でございまして、私ども厚生省といたしましても、ただいま大臣からお答えがございましたように、研究費を特別に出して、専門家の方々に現在検討していただいております。近く結論が出てくると思うのでございます。ただ、これは今までもたびたび問題になりまして、社会保障制度審議会でも議題になったことがございましたが、国鉄のような一つの企業体でやっております場合には、非常に成果をあげているということを聞いておりますが、一般の市町村民に対して、定期間規則正しくこれを服用させるということは、なかなか現実の問題としてむずかしい点があるのではないかというふうにも考えられるわけでございます。そのほかに、学問的には、滝井先生も御専門でおられますが、免疫の問題もございますので、そこらの点は、専門家の方にいろいろ検討していただいておりますが、ただいま大臣からもお答えがございましたように、専門家の方々の御意見の一致を見ますれば、これを予防対策として取り上げるのに、私どもも決してやぶさかではないということを申し上げておきたいと思います。
#100
○滝井委員 そういう工合にあなた方が、パス、ヒドラジッドを無料で発病のおそれある者にやるということを一応検討してみるということになれば、なかなか現実問題としてむずかしい問題が出てくる。そこでその現実上の問題を一体どうして解決していくかということなんですが、私は、この五千四百三十四万の国民をことし健康診断の対象にする、これはやることはけっこうだと思います。しかし現実の見通しとしては三割か四割しか出てこれない、こういうことが過去の経過からわかるわけです。そこで、やはり重点というものがなければならぬ。網を全部広げてもなかなかいかない。そうすると、結核対策で重点を置くところはどこかというと、私は入院を要する百三十七万に重点を置くべきだと思うのです。入院を要するというのは、やはり私は菌を出している開放性の患者、相当重い患者だと思うのです。ここに重点を置かなければならぬ。ところがこれは、国民皆保険につながってくるのですが、現在皆保険でない。それでこれらの諸君は入れない。あるいは保険があっても家庭の事情で入れぬという諸君なんですね。従って私は結核の患家対策と申しますか、これがやはり重点でなければならぬと思うのです。だからまず匿名の足らない保健所をかかえておる現状、そして地方財政はきわめて貧困で受け入れ態勢というものを十分作ってくれないという、こういう現状から考えるならば、最小の経費をもって最大の効果をあげようとするならばやはり突き進んでいくところは百三十七万の患家が重点でなくてはならぬ。ここをふさげば火山の口をふさぐことになる。菌がないところに結核がないのですから、菌があるから結核がうつる。その感染のもとはどこかといえば、結局家族感染ですよ。だから百三十七万の家庭をまず押えさえすればいい。これならば現在の充足率七割度の保健所の機能と、そしてこれに地域の開業医を協力させる態勢をとればいい。これをやりさえすれば、私は百三十七万を押えるばかりでなくで、二百九十二万の療養を要する諸君も押えることができると思う。三百万か五百万の数ならば、現在の保健所が中核になって、地域の開業医の動員態勢々をとるならば、私は押えることができると思う。これに現在わずか六六・三%の充足率の保健婦に同町に家庭訪問をさせていく、そしてそれの、バック・アップに医者を背後に置き、パスやヒドラジットの飲み方の指導というものは開業医が中心なってやっていけばいい。そうすれば現在のすぐに充足のできない保健所の医者というものをあわてて充足しなくても、結核対策にそう多くの金をかけなくても、三十億もこれに出せば、無料で飲ませる金が十億程度、そして二十億を開業医の動員態勢と、入院を必要とする百三十万の患者に対するいろいろの行政費に使えば、三十億あれば私は日本の結核というものはある程度押えることができるという見通しを持っておるのです。まず重点というものを百三十七万人に特に置き、同時に二百九十二万の療養を要する結核患者、ここらあたりに置いて、そして同時に開業医の動員態勢を一つとる、これが大臣の言う、ほんとうに開業医というものが日本の国民療養に貢献をする道を開いてやることになる。そういう姿をとらなければ、厚生行政というものが地方自治体からそっぽを向かれておるときに、いくらあなた方がただ上から、わずかばかりの予算をとって、やれやれと言ってもできない段階にきているのです。だから厚生行政というものは、今や日本の十万の療養担当者を動員する姿に方向転換をやらなければならぬ。そして一挙に結核を中心に撲滅していく。これが日本の総医療費を減して、同時に単価問題を解決する最上の道であると私は思っているのです。そのためにはまず三十億の金を用意をしてやってみることだと思うのですがね。この、開業医の動員態勢と結核のいわゆる開放性の患者を中心に重点政策を持っていく、こういう点、どうお考えになりますか。
#101
○神田国務大臣 今お述べになりましたことは全く私も同感でございまして、これは患者家族等に対しては二十九年から特別の健康診断をやっておるということを聞いておるのでございますが、それはそそらく不徹底なことだろうと思います。限られた保健所の機能を充実することの必要であることは、もう先般来の質疑応答でお互いに痛感していることでございまするが、少くとも今の機能を百パーセントこの方面に向けるならば、日本の総医療費の問題が急速に解決するのじゃないか、またお医者さんの全動員ができて明るい日本ができるのではないかという滝井委員のお説は、私はほんとうに心から同感でございます。一つよく内部に歩きましても検討いたしまして、善処いたしたいと思います。詳細なことは政府委員からまたお答えがあると思います。
#102
○山口(正)政府委員 患家対策を特別にやらなければいけない、むしろそちらに重点を置いてくれば結核予防対策の効果が上るという滝井先生の御指摘、まことにごもっともだと存じます。在宅患者、その家族に対する健康管理と申しますか健康指導ということについては、ただいま大臣からお答えがございましたように、二、三年前から特別に患家対策として――一般国民に対しては今回から全部無料で健康診断をやるということになるわけでございますが、在宅患者の家族に対しては二十九年から無料で健康診断をやる、しかもそれは一つ保健所まで行かなくても、一つの表を持っていけば、近くの開業医のどなたのところに行ってもやってもらえるというふうな制度を始めているのでございますが、ただいま大臣も言われましたようになかなかそれが十分に徹底していないといううらみもございますので、この点は、今後の全般的な対策と同時に、やはり在宅患者の家族ということに、重点を置なければならぬことは御指摘の通りでございますので、諸般の対策を特にそういう点に重点を置いて徹底するように指導して参りたい、そういうふうに考えております。
#103
○滝井委員 実は患者に無料の診断を許すといっても、なかなか行かない。だからこれは開業医の方から患家に行かせる姿をとることの方が早い。そうしますと、たとえば一年に一万円なら一万円くらいの手当をやることにして開業医諸君を動員さえすれば、五万の開業医に一万ずつやったってわずかな金で終ってしまう。そうして患家を五軒か十軒受け持てばいいのですから、わけない。そして合間々々には六割か七割の充足率の保健婦がそれへ回ればいい。やはり私は乏しい中から工夫をして、最小の経費で最大の効果を上げる道を考えるべきだと思います。それに居宅隔離室はことしは全然なくなっておる。これは私はおととしから提旧して、川崎厚生大臣のときは二年間やってくれましたが、ことしはやめてしまっておる。ところが生活保護家庭や低額所得の家庭に現在の住宅政策というものが十分に行き回らないとすれば、こういうことはある程度必要なものだと思います。だからこういうものと相並行していくことによって、家族感染を防止することができるのではないかと思うのです。それから先の問題は、今度は患者を見つけたら、たとえば肺の外科手術をするためには入院しなければならぬ、入院するには保険が現在ないということで、皆保険になってくるわけでありますが、一応きょうは保健所の問題ですからそれ以上言いませんが、今の日本の結核対策というものは、方向転換をしなければならぬところに来ておる。これだけは一つ御認識いただきたい。今まで通り健康診断をやる。ツベルクリン、BCGをやる、そしてそればかりで終っているということでなく、何かそこらあたりの一角をちょっと工夫をしてやるべきだと思うのです。そういう形で、一つこういう問題は保守とか革新ということでなくて、国民医療の問題というものは国民が困るのですから、お互いに一つ共通の広場としていいことがあれにお互いに検討し合って進んでいくという形を作るべきだと申します。来年はぜひそういうことで一応御検討願いたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
#104
○藤本委員長 他に御質疑はありませんか。――御質疑もないようでございますので、三案についての質疑は終了したものと認めます。
 次会は明後二十二日午前十一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト