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1956/03/28 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第31号
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1956/03/28 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第31号

#1
第026回国会 社会労働委員会 第31号
昭和三十二年三月二十八日(木曜日)
   午前十一時十二分開議
 出席委員
   委員長 藤本 捨助君
   理事 大坪 保雄君 理事 亀山 孝一君
   理事 野澤 清人君 理事 八木 一男君
      植村 武一君    加藤鐐五郎君
      小島 徹三君    田子 一民君
      田中 正巳君    高瀬  傳君
      八田 貞義君    古川 丈吉君
      山下 春江君    赤松  勇君
      岡本 隆一君    栗原 俊夫君
      五島 虎雄君    滝井 義高君
      中原 健次君    山口シヅエ君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (医務局長)  小澤  龍君
        厚生事務官
        (社会局長)  安田  巌君
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      田邊 繁雄君
        労働政務次官  伊能 芳雄君
        労働事務官
        (大臣官房総務
        課長)     村上 茂利君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (社会局保護課
        長)      尾崎 重毅君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
三月二十六日
 引揚者給付金等支給法案中の支給範囲に終戦前
 旧蘭印引揚者包含の請願(床次徳二君紹介)(
 第二四七二号)
 引揚者給付金等支給法案中の支給範囲に戦前旧
 マレー引揚者包含の請願(床次徳二君紹介)(
 第二四七三号)
 国立病院等の常勤労務者定員化に関する請願(
 滝井義高君紹介)(第二四七四号)
 健康保険法の一部改正反対に関する請願(有馬
 輝武君紹介)(第二四七五号)
 生活保護法等の一部改正に関する請願(有馬輝
 武君紹介)(第二四七六号)
 衛生検査技師の身分法制定に関する請願(安藤
 貴君紹介)(第二四七七号)
 同(滝井義高君紹介)(第二四七八号)
 同(菅野和太郎君紹介)(第二五一七号)
 同(山花秀雄君紹介)(第二五一八号)
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
 制定の請願(片山哲君紹介)(第二四七九号)
 大工、左官及びこれに準ずる労働者の社会保障
 に関する請願(田中彰治君紹介)(第二四八〇
 号)
 同(猪俣浩三君紹介)(第二五一九号)
 戦傷病再発医療費全額国庫負担に関する請願(
 竹山祐太郎君紹介)(第二四八一号)
 戦没者遺族の処遇改善に関する請願(有馬輝武
 君紹介)(第二五一六号)
 はり、きゆう、マッサージ師に健康保険等適用
 に関する請願(黒金泰美君紹介)(第二五二〇
 号)
 戦傷病者雇用法制定に関する請願(滝井義高君
 紹介)(第二五二一号)
 健康保険法の一部改正反対等に関する請願(徳
 田與吉郎君紹介)(第二五二二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 労働福祉事業団法案(内閣提出第一一四号)
 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五八号)
    ―――――――――――――
#2
○藤本委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。当委員会に付託されております引揚者給付金等支給法案につきまして、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会より、連合審査会の開会を申し入れられております。同委員会との連合審査会を開会するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 なお連合審査会の開会の日時につきましては両委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#5
○藤本委員長 次に労働福祉事業団法案を議題とし、審査を進めます。
 まず趣旨の説明を聴取いたします。伊能労働政務次官。
    ―――――――――――――
 労働福祉事業団法案
  労働福祉事業団法目的
 第一章総則(第一条−第七条)
 第二章 役員及び職員(第八条i
  第十八条)
 第三章 業務(第十九条・第二十
  条)
 第四章 財務及び会計(第二十一
  条−第三十一条)
 第五章 監督(第三十二条・第三
  十三条)
 第六章 雑則(第三十四条−第三
  十八条)
 第七章罰則(第二十九条・第四
  十条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)第一条 労働福祉事業団は、労働者
 災害補償保険の保険施設及び失業
 保険の福祉施設の設置及び運営を
 適切かつ能率的に行うことによ
 り、労働者の福祉の増進に寄与す
 ることを目的とする。
 (法人格)第二条労働福祉事業団(以下「事
 業団」という。)は、法人とする。
 (事務所)第三条事業団は、主たる事務所を
 東京都に置く。2 事業団は、労働大臣の認可を受
 けて、必要な地に従たる事務所を
 置くことができる。
 (資本金)第四条 事業団の資本金は、附則第
 六条第一項の規定により政府が出
 資した額と、附則第十条第一項の
 規定により事業団の設立に際し地
 方公共団体が出資した額の合計額
 とする。2 事業団は、必要があるときは、
 労働大臣の認可を受けて、その資
 本金を増加することができる。3 政府は、前項の規定により離業
 団がその資本金を増加するとき
 は、事業団に出資することができ
 る。4 政府は、前項の規定により芦業
 団に出資するときは、土地、建物
 その他の土地の定府物又は物品
 (以下本条中「土地等」という。)を
 出資の目的とすることができる。5 前項の規定により出資の目的と
 する土地等の価纐は、出資の口現
 在における時価を基準として評価
 委員が評価した価領とする。6 前項に規定する評価委員その他
 評価に関し必要なれ項は、政令で
 定める。
 (登記)第五条 事業団は、政令で定めると
 ころによb、登記しなければなら
 ない。2 前項の規定により登記しなけれ
 ばならない事項は、登記の後でな
 ければ、これをもって第三者に対
 抗することができない。
#6
○伊能政府委員 ただいま議題になりました労働福祉事業団法案についてその提案理由を御説明申し上げます。
 御承知のごとく、政府におきましては、労働者災害補償保険事業及び失業保険事業の一環といたしまして、昭和二十四年以来労災病院、傷癖者訓練所その他の労働者災害補償保険施設を、また昭和二十八年以来総合職業補導所、簡易宿泊所その他の失業保険施設の設置及び運営を行なって参ったのでありますが、これらの保険施設は、逐年増加の一途をたどり、現在その数は、未完成のものも含めて、労災病院二十四個所、傷演者訓練所二個所、総合職業補導所二十三個所、簡易宿泊所十二個所の多きを数えるに至っておるのであります。
 しかして、これらの保険施設の運営の実情を見まするに、まず、労働者災害補償保険関係の施設につきましては、その施設のうち、労災病院等の経営は、委託契約により、一財団法人に委託してこれを行わせているのでありますが、労災病院の数が少かった間はともかく、すでに二十四にも達せんとする労災病院の経営を一民間団体に行わせることは、その事務能力、財政能力等の点から申しましても、責任態勢に欠けるところがあり適当とは言いがたいのみならず、さらに今後この種の施設の拡張発展に伴い、その適切かつ能率的運営を期するためには、その方法等について根本的に検討を加える必要があると存ずる次第であります。
 他方、失業保険関係の施設につきましては、総合職業補導所等の施設の経営は、委託契約により、当該施設の存する都道府県等に委託してこれを行わせているのでありますが、これは、あくまで一時的かつ便宜的理由によるものでありまして、総合職業補導所のごとく、国家的見地から統一的運営を必要とする施設を永続的に都道府県に委託経営せしめることは、その性格にかんがみ、必ずしも適切な方法であるとは認めがたいものがあるのであります。
 右のごとき事情を考慮いたしますとき、これらの保険施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行うためには、政府みずからがこれらの施設の設置及び運営に当る方式が考えられるのでありますが、国が直営することは、行政機構の拡大等のおそれもあり、また、その能率性等から見て、必ずしも最善の策とは考えられないのでありまして、むしろこの際、これらの保険施設の設置及び運営のごとき業務は、国の代行機関たる性格を有する労働福祉事業団を設立し、これに行わせることがより適切であると思料されるのであります。以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に法案の内容について、概略御説明申し上げます。この法案は、労働者災害補償保険及び失業保険の保険施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行わせるため、労働福祉事業団を設立することを定めるとともに、その組織、業務、財務、会計、監督等に関し、所要の規定を設けたものであります。
 すなわち、第一に、労働福祉事業団は、法人といたしますとともに、その当初の資本金は、事業団の成立に際しまして、政府が出資する額と地方公共団体が自治庁長官の承認を受けて出資する額の合計額といたしております。しかして政府は、事業団の成立に際しましては、労災病院、傷痍者訓練所、総合職業補導所、簡易宿泊所等の用に供している国有の不動産、これに付属する物品等を事業団に現物出資することといたしております。
 第二に、事業団の役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内を置くこととし、その任期は、それぞれ四年といたしております。
 第三に、事業団の行う業務といたしましては、労災病院、傷演者訓練所等の労働者災害補償保険施設及び総合職業補導所、簡易宿泊所等の失業保険施設の設置及び運営を行うことを主たる業務とし、あわせて前述の業務を行うに支障のない範囲内で委託を受けて、これらの保険施設を利用して労働者の福祉の増進をはかるため必要な業務をも行うことができることといたしております。
 第四に、事業団の財務及び会計でありますが、事業団の予算、事業計画、資金計画、財務諸表、借入金等につきましては、その業務が国の代行業務たる性格にかんがみ、労働大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしております。
 第五に、事業団は労働大臣の監督に服するものとし、労働大臣は事業団に対して監督上必要な命令等をすることができることとし、また事業団の業務の監督等に当らせるため、特に労働省に労働福祉事業団監理官一人を置くことといたしております。
 なお、設立初年度の特例といたしまして、労働福祉事業団が昭和三十二年度に行う業務は、これら保険施設の運営のみを行い、設置は行わないことにいたしております。
 以上がこの法案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
#7
○藤本委員長 以上で説明は終りました。なお本案についての質疑その他につきましては後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#8
○藤本委員長 児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。栗原俊夫君。
#9
○栗原委員 本日生活保護法による医療扶助に関連して質問を申し上げようと思っておりましたが、本日の厚生省の方の段取りから申しますとまことにどうも不手ぎわで、遺憾この上ないと思います。医療扶助に関連しておりますので、医務局長並びに社会局の関係のことにつきましては保護課長さんに説明していただいて、追って局長あるいは大臣に確認をしていただく、こういうことを前提に質問をさしていただきたいと存じます。
 まずお尋ねいたしますが、昭和三十一年八月十五日に東京都の民生局長が、民保護発第八三九号、生活保護法による医療扶助の適正実施についてという文書を福祉事務所、地方事務所あるいは市等の長あてにマル秘でもって通達を出しておる。この事実を御存じでございましょうか。なおその内容等についても御存じでございましょうか。
#10
○尾崎説明員 その通牒は実は私も見たことはございますが、大体同年の六月に、全国の生活保護担当の課長、それから医療関係の技官を集めて、生活保護に関するいろいろな方針について説明を行いました。特に医療扶助につきましては、その技官に対しましても特別に通達をいたしました。この通達は詳細にわたっておりますが、それを東京都が受けまして、今お話しのような通牒を出したというふうに了解しております。
#11
○栗原委員 そうしますとこの東京都の通牒は、東京都ばかりでなしに、各府県においても衛生部等において同様の通牒がそれぞれの方面に通達されておる、このように了解してよろしゅうございますか。
#12
○尾崎説明員 各府県の実情は私つまびらかには承知しておりませんが、大体本省の指示が口頭で行われましたので、それを受けまして、あるいは文書で出したところもありましょうし、あるいは口頭で連絡したところもありましょう。いずれにしても末端の福祉事務所には連絡しておると思います。
#13
○栗原委員 そのような本省からの指示によって、都あるいは府県等においていろいろな取扱いが行われておる、その取り扱われておる実情は、本省で指示しておるその精神にのっとって執行されておる、このように認識されておりますか。
#14
○尾崎説明員 私どもの精神は御質問があればお答えしてもよろしゅうございますが、生活保護の具体的な事務執行は、この医療扶助の問題だけでなしに、いろいろむずかしい点がございまして、往々にして私どもの精神通りにやってくれないものも例外的にあることは否定し得ないところでございます。しかし概してはよく私どもの精神を体してやってくれているというふうに了解しております。
#15
○栗原委員 特にその通達の中で、行政区域外といいますか、その行政官庁の指定施設外に委託しておる患者あるいは新たに指定施設外に委託をしようとする患者、こういうものに関する問題でありますが、いろいろ聞くところによりますと、これはむろん原則としてはその都道府県の患者は都道府県の指定した施設に委託する、これは当然だと思います。しかしそれは新たな者であって、その以前から指定施設外に委託されておる者については十分配慮を行われてしかるべきだ、こう考えるのですが、この点はいかがでございましょう。
#16
○尾崎説明員 この点につきましては今お話しのように、当該患者の医療に差しつかえるような場合には、従来の者であっても、あるいは今後取り扱う者であっても同様に特定の医療機関に対して、それが県外であっても、そこに委託するというふうに取り扱わなければならないということは、その際にも指示しておるわけであります。従いまして問題は主として今後の取扱い方にある、そこに重点があるということもお話の通りでございますが、しかしながら従来病院、療養所に入っている患者につきましても、医療に支障がなければできるだけその県の病院、療養所に引き取るということはやっても差しつかえないというふうに私どもは通達をいたしております。
#17
○栗原委員 実は最近群馬県の大日向の療養所に一つの問題が起ったわけでございます。それは現在東京都の板橋区志村中台二千八百一に住んでいる国府田きんさんという人が大日向に入院しているわけであります。この国府田さんは群馬県の利根郡に前に住んでおりまして、昭和三十一年の六月に発病して大日向荘に入荘いたしました。当時利根郡福祉事務所から生活保護法の医療扶助を受けて入院したわけでありますが、家庭の都合でその家族は本三十二年の一月に東京のただいま申し上げました住所に移ったわけです。従ってこの二月からの医療券は東京都の板橋福祉事務所の志村支所から交付されている、こういう実態であるわけであります。本人の病状はどうかと申しますと、両方の肺に病巣がありましたが、化学療法が非常に調子よくいきまして、近く肺切除が可能になって荘の手術決定会でも決定を見て、現在結核予防法の申請中で、許可があり次第手術をしよう、こういう状態にあったわけであります。ところがこの三月十九日に東京都の板橋福祉事務所の志村支所から大日向荘に電話がありまして、国府田さんは東京の出身者だから東京の指定医療機関に入ってもらわなければならぬ、ついては二、三日うちに大日向に伺うから、こういう電話があったというのです。そこでその翌二十日の午後一時ごろ同支所のケース・ワーカーである松村駿二さん、金子幸太郎さんの二人が西武のハイヤー、番号三の七八九八一で大日向を訪れて、国府田さんに対して、あなたは東京の福祉で保護を受けているのだから東京の病院に入ってくれ、手術は従って東京でやってもらうのだ、とりあえず長塩病院に落ちついて、その後東療や中野に入ってもらうのだ、きょう東京から自動車で来ているので、すぐ荷物をまとめてあなたもきょうこの車で東京に行ってもらうのだ、こういうことを通告したそうであります。その間施設長には何らその理由を告げてもおらぬし、直接本人に通告して何ら書類等の提示もない、こういうことで本人に有無を言わさず連れ去ろう、こういう姿になったというのであります。しかもこれは先ほど申しました昨年の八月十五日の民生局長の通達の第一項の指定外の施設における患者の取扱いについてというところから扱ったように見られる、こういうのであります。そこで、そのケース・ワーカーの言うのには、民生局長の命によって三月三十一日までにはどうしても都内の施設に移れということになっておるんだが、いろいろ折衝の結果、本人もそれはとてもだめだというようなことで一応その日は引き揚げたそうでありますけれども、こういう状態はなかなか容易ならない問題だと思うのであります。こういうことに関して、おそらくそれは本省の趣旨とは違うんだ、こうお答えになろうと思いますけれども、これは一方的な話で、両方つき合わしての調査でありませんから、一方的な話としてもこの話が事実であるとしたら、とんでもないことだと思うのですけれども、この点に関してお考えはいかがでしょう。
#18
○尾崎説明員 実は東京都と近県との関係につきましては、今お話のような問題以外にもいろいろ問題がございまして、私どもも関心をもって調査したこともございます。その際にわかりましたことは、東京都側としては、この調査は一月ほど前だったのですが、その時期までには他府県におる患者を東京都に移したという事例はほとんどないというふうなことがわかっておったわけであります。従いまして、今のそういう事例は、おそらく初めてのケースか、あるいはごくわずかの場合の一つに当るというふうに考えられますが、お話のように第一線の福祉主事というものが、非常にむずかしい仕事を担当しておるわけでありますから、患者に法の立場あるいは仕事のやり方の内容を懇切丁寧に教えて、それで患者も気持よく協力してくれるというふうな関係に持っていくのが理想的なんですが、現実はなかなかそういっていないうらみがあるわけです。従いまして、今のケースも果して福祉主事の話し方が悪かったのか、あるいは実際問題としてわれわれの方針通りに移しても差しつかえない状態にあるものであるかどうか、その辺は調べてみなくてはわかりませんが、そのお話の通りだとすれば、私ども――私も医学的な問題はわかりませんけれども、医療上支障があるというような場合に該当しますれば、無理に東京へ移すことは適切でないというふうに考えます。
#19
○栗原委員 これはたまたま群馬の大日向荘に起った問題ですが、いろいろ情報等によりますと、たとえて言うと、鹿児島県において隣県の宮崎県の都城に委託してある患者に対して盛んに県内に引き揚げを強要する、引き揚げなければ補助給付を打ち切るということまでも患者に思わせるような口ぶりで持ち込んでくる。さてそれでは引き揚げるということになると、鹿児島県には実際に受け入れられる施設がない、こういうようなことでやはり問題が起る。また一方においては、そのようにして県内の指定施設に患者を入れるべきだ、こういう原則を立てておるけれども、軽快作業ベッド等の問題に関しては、福井県、富山県等では、これは指定でなくて、そういうことを希望すると、石川県にあるから今度は石川県に出ていけと、こういう趣旨とは全く相反する、矛盾したようなことを強要する。口頭によるお指図であったと言っておられますけれども、東京都においては堂々と、マル秘ではあるけれども、文書で流しておる。各府県においてもおそらく同様な文書が流れておろうと思うのです。これはこういうことを中心にして具体化してきたというので、患者の人たちも非常に心配しておるわけです。そこで私はここで当局の方々にはっきりしていただきたいことは、新しく入る人たちはむろん指定のところへ入ってもらう、これはけっこうです。ところがすでに入っておって、その後通達を受けたということで、行政区外に入っておるとか、あるいは事情によって住所が変ることによって今度は保護を受ける主体が移って、おれの方の指定機関ではない、指定施設ではない、こういうような事態が起きた場合には、ほんとうに病人を中心に考えて、快癒するまでめんどうを見てやっていただきたい、それには具体的に本人の希望、といえばわがままもありましょう。しかしこれを客観的に見れば、主治医の判断あるいは荘長の判断、こういうものがやはり大きな中心題目になろうと思うのです。従って、そういう指定地区外あるいは指定施設外におる人を引き揚げなければならぬような場合には、やはりどこまでも荘長あるいは主治医の意見を主体としてやるのだということをぜひとも明確にしていただきたいことと、いま一つは、ただいまの国府田さんの問題は、一方的であるといえばそれまでですが、事態がこういうことで荘長あるいは主治医も非常に心配しておる。しかもこの三十一日までに引き揚げるのだと志村の支所のケース・ワーカーはがっちりと伝えて引き揚げた。こういうことで非常に心痛して、むしろ病状が進むというような形にさえなっておるというので、この際何らかの手を打っていただいて――もちろん絶対にだめだと私は言うのではない、事態が判明して引き揚げられるような事態であるならば、引き揚げてもらってけっこうですけれども、そういうことにおかまいなしに、ただ一片の通達で、上からの命令だということでやることなしに、やはり一応ストップして、十分荘長なり主治医の意見を聞いて、その上でこういうことを具体化してもらいたい、こう考えるのですが、この点について一つ明確にしていただきたいと思う。
#20
○尾崎説明員 お話のように、確かにそういう従来入っておる患者を移しますときには医療上支障があれば移すべきではありませんので、その辺の判断は当然患者の主治医なりあるいは医療担当者の判断を十分尊重してやらなければならぬという意味合いにおきまして、福祉事務所としても、その辺の連絡は十分つけるべきであるというふうに私ども考えます。従いまして、そういう点何らかの機会に明確に下部の方に流したいと思っております。
#21
○栗原委員 何らかの機会というのは、私としてはきわめて不満足なんです。とにかくすでに通牒を口頭ではあったけれども流して、最末端まで行っておる。しかも実際において、親の心子知らずということは言い過ぎかもしれませんが、必ずしも心持にそぐわない面が、特に新たなる委託患者でなくて、前々からいる委託患者の中に起っておるということを耳にした以上、やはりこういうことがあるからこれについてはかくすべきである、こういう注意をしろということを明確に流していただきたい。これをはっきりしてもらいたいと思うのです。この点いま一度、重ぬてお尋ねいたしますから答弁を願います。
#22
○尾崎説明員 何らかの機会にと申し上げましたのは、できるだけ引き延ばそうとかそういう意味合いではございませんで、実は近々医療扶助に関しましても全国的に通牒を流したいと思っておりますから、その中に織り込んでその点も明確にしたいということを考えておる、そういう趣旨で申し上げたのであります。
#23
○栗原委員 それでは最後に、具体的な問題になっておる国府田さんの問題ですが、これは三月三十一日までにどうしても連れてこい、こういう命令で来ておるのだ、こう支所の方々が言い切っておるわけです。それではということで当日は一応分れておるわけですが、三十一日に万一これを強行して、引き揚げるべきでない人を引き揚げたら、重大問題が起ろうと思いますので、この点一つ早急に間違いのないような手配をしていただきたい、こう思います。これに対するお考えを伺って、私の質問を打ち切りたいと存じます。
#24
○尾崎説明員 さっそく調査をいたしまして、その点不都合のないように措置いたしたいと思います。
#25
○滝井委員 関連して……。実は今の問題について先日私が一般論として社会局長に御質問をしたのですが、局長はそれぞれの県の生活保護の患者がその当該県でやるのは当然ということを実は御説明になっておったのです。しかしこれは、なるほど医療券をもらった患者は、その県でやるという原則論についてはいいと思うのです。しかし東京みたように、この空気の悪い中にどんないい病院があっても、千葉県や近郊の県というものは今までこぞってみな結核療養所を建てたのです、近郊の方がいいんだということで。ところが今度それを生活保護の患者については近県に行ってはまかりならぬ、こういうことになると、医務局長さんお見えになっておりますが、患者を治療するいわゆる安静、栄養と清浄な空気というような、こういう原則からいっても反することになるのです。単なる生活保護行政、社会局の御都合だけで、せっかく患者が希望して入院しているもとの病院を引き揚げさせて、そして患者を東京都内に移すということは、どう見ても科学的な理論ではない感じがするのです。一体そういう相談を医務局は社会局から受けられたのかどうかということです。医務局長さんおいでのようだから、それをちょっと御説明願いたいと思います。
#26
○小澤政府委員 実は先ほど栗原先生のお話の東京都の民生局長通牒というものは、私が医務局長に就任する以前のことでありまして、その間のいきさつについては存じておりません。ただ医務局といたしましては、御承知のごとく、病院なり診療所なりにつきましては、それぞれおのずからなる診療圏というものがあると思います。これが主として患者のうちと病院との距離の関係、交通関係によって支配される、またはその病院の医療能力と申しますか、専門科名によって支配されるのではないかと思います。そのことは同時に、患者の医療にとって最もお互いに都合のいい場所の病院ということになるものと存ずるのでございます。社会局のお考えは、先ほど来尾崎保護課長がるる申し述べておりました通りに、患者の診療第一主義である。患者の診療を主体にいたしまして、あと法の施行の上におきましても、患者の都合のいいように、お互いの便宜を考えながら適正に運用したいという趣旨において答弁しておられるようでございまして、その限りにおきまして私はその趣旨には賛成なのでございます。決して社会局といたしましては最も都合のいいところにおる患者を無理やりに主治医にも相談しないでよそに移していく考えは毛頭ない、またそういうことがあっては医務局としても困る、かように存じておる次第でございます。
#27
○滝井委員 医務局長さん、あなたのうわべの答弁はそれでいいと思う。しかし現実は、東京から千葉県に入院しておった生活保護の患者は全部引き揚げさせられております。それから今栗原さんからの質問のように、やはり近県に東京の患者が行っておった者は引き揚げさせておるのです。これは事実なんです。この前社会局長さんは、生活保護の患者がそんな遠いところに行けば、交通費もかかるし、うちから見舞なんかにも行くから、そんなことはないはずだとおっしゃる。しかしこれはやはり金があろうとなかろうと、人間の生命に関するときには金勘定じゃなくて、借金して無理したって自分の信頼する医者に見てもらうというのは人情です。それをただ生活保護の予算の関係だけで、東京のものは東京でなくちゃならぬ。そうしてわざわざ好んで入院しておるところから引き揚げて来させるというのは、あまりにも行政的過ぎて、全く病気というものを無視しておる。そういうことが、それじゃ生活保護の経済にいい影響を与えるかというと、結局病気が長引いて、長い目で見たら生活保護はかえって得にならぬという結果が私は出てくるのではないかと思うのです。そういう点おそらくあなたの方に御相談になっていないのでしょう。これは社会局だけが独自の立場でやっている、こういうことなんです。最近の社会局の行政というものは、日の当らない一番弱い国民層を対象にする行政が非常に血も涙もないということが言われておる。社会局はみんなからありがたがられなければならぬのに、怨嗟の的になりつつあるということですね。ここに出てきていつも問題になるというのはそういうことです。社会局の取扱い方が悪い。社会局はここの国会の答弁では、悪くしておりませんと言うけれども、結局末端においてそういう取扱いが現実に行われておるということは、社会局長なり厚生大臣の指導が悪いということになるのです。だからこれは医務局長さんに言ってもしょうがないことなんですけれども、しかし事やはり医療行政に関することなんです。病院がそういう冷酷な取扱いをやらなければならぬということなんですね。たとえば普通の医療機関が、金を払わぬからといってこれをおっぽり出してごらんなさい、どういうことになるかということです。大問題です。ところがたまたま金を出しておる社会局が病人を無理に連れて帰っても、病人は何も言えぬということなんですね。こういうことは医務局の立場としては許されぬことです。こういう点は厳重にあなたの方から社会局に通告をして、そして抗議をして、そういうことをやってはいかぬというべきです。医療券というものは自由でなくちゃならぬです。憲法でも明らかに最低生活を保障されております。しかも国が出したものであるからどこかの医者へ行けといって指定する権限などない。指定医療機関ならどこへ行ってもいいはずなんです。それをどこか特定のところでなければ行くことはならぬということは、私は行き過ぎもはなはだしいと思う。こういう点あなたはどうお考えになるのか、また社会局としてはどうお考えになるのか。私はこれはちょっと行き過ぎだと思うんです。
#28
○小澤政府委員 社会局の一般的方針は、先ほど尾崎課長が述べ、かつ私が受け取っているような考え方だと思います。ところがその趣旨が必ずしも末端に平らに通って徹底しない場合もあり、従って先ほど例としておあげになりました大日向荘のような事項もそのために起るのではないか。従いまして医務局といたしましては、今後とも社会局とこの問題については十分連絡いたしたいと思います。かようなケースが起きたならば、ケース・バイ・ケースで事情を調べて善処したいと存じます。
#29
○滝井委員 尾崎さんにお尋ねしますが、大体あなたの方から通達を出す前には、東京都から東京都内の都民が生活保護関係でどの程度他県に入院しておったか、そしてその通牒を出した現在の結果はどうなっておるのか、これを一つお示し願いたい。
#30
○尾崎説明員 今手元に具体的な資料がございませんので、数字をあげましてお答えいたしかねるのでございますが、埼玉、千葉――これは私一回数字は見たことがあるのですが、ちょっと忘れましたので、その点はあとからまた数字をお知らせいたしたいと思いますが、大体二、三千人じゃなかったかというような記憶もございますけれども、その点は非常にあいまいでございます。
#31
○滝井委員 埼玉、千葉等に東京都から二、三千人の入院患者があった、それであなた方が通達を出した後にその二、三千人の入院患者たちがどういう工合に変化してきたかということなんです。おそらく私はそれが非常に少くなってきていると思っている。ほとんどないのじゃないか。その結果はおそらく調査が出てきておるはずだと思うのです。通知を出したのは去年の八月十五日でしょう。その後から現在およそわかっておるはずです。これはことしの予算編成のときに入院料その他見るのに当然検討が行われておると思うんですが、どういう工合になっておるか。これはおよそお答えできるでしょう。
#32
○尾崎説明員 実は先ほどもお答え申し上げたのですが、一月ほど前だったと思うのですが、資料を埼玉、千葉からとりまして調べたことがございます。同時に東京都の責任者にも来てもらって事情を聞きましたが、そのときまでは東京都としては県外から患者を移したという事例はない、こういうふうに言っておりました。従いまして、あるいは末端の福祉事務所の方でそこら辺の連絡が漏れておって、例外的にあるのもあるかもしれません。しかしながら、東京都の責任者といたしましては、東京都としては県外から患者を今まで引き上げてはおりません。なおあの通牒を出されたあとでも東京都から他県への委託は行なっております。もちろんこれも例外でございますが、行なっておるものも百名ぐらいあるというふうに言っておりました。そういうふうに承知しております。
#33
○滝井委員 いずれあとでけっこうでございますから、東京都から近県に入院しておった患者の数、それが昨年八月十五日に通牒を出した後における変化をぜひ資料として出していただきたい。同時に千葉県から東京に来ておって、千葉に引き揚げた、埼玉も同じですが、東京近県のものを至急に資料として出していただきたいと思います。
 それからいま一つ、一体今までそういう通牒を出さなくてやっておったものを、なぜ現在になってそういう通牒を出さなければならぬかということ。医療の本質からして何の必要もない。金がかかるとか何とかいうことは患者の自主的な判断に待つべきものであって、交通費がかかるからお前は悪い病院へ行けとかどの病院へ行けという権限はないはずです。そういうことまで生活保護で世話をやくということになれば、私は基本的人権の侵害だと思う。それで医療選択の自由を阻害することになる。もし二千人、三千人入院しておった患者を千葉なり埼玉の病院へ引き揚げれば、その病院の経理は大きな打撃を受ける。こういう病院行政の立場からも問題があるわけです。なぜそれを昨年の八月十五日になったら突如としてやらなければならなかったか、その根本原因はどこにあるか、一応御説明願いたいと思います。
#34
○尾崎説明員 御承知のように、生活保護の医療扶助というものが、この四、五年金額的にも増加して参っており、非常に生活保護の実施上における重大問題になってきたわけであります。それで大体法律の精神から申し上げますと、先生のおっしゃる患者の自由なり意思なりを尊重するという建前は、これは私どもも十分了承するわけでございますが、同時にいわゆる公費をもって患者の治療に充てるという建前から申しますれば、その関係の配慮もなさなければならぬ。従って私どもとしては常にその両者の調和をはかっていかなければならぬというように考えておりますが、遺憾ながら、昨年暮れまでの実情は、ある意味においては、たとえば極端な例ではございますが、青森県の患者がぜひ東京の清瀬に入りたいとか、そういう事例もございまして、私どもとしては、そういう場合においては、その患者が東京都の特別なお医者さんでなければなかなか直らないというような場合には、そういう希望を十分尊重しなければならないだろうというように考えます。しかしながら普通の結核性疾患なり普通の疾病の治療の場合には、やはり青森県にもそれ相当のお医者さんがいるので、そういうところから交通費という問題も出てきましょう。さらにわれわれが考えなければならぬのは、医療扶助がだんだんそういうふうに重要になっておりますと、患者が医療にかかる、病院に入院するといって、それをほうりっぱなしにするというような従来の傾向は改めてもらいまして、十分入院、入所中の患者とも出身世帯の方ともケース・ワーカーが連絡するというふうなことでケース・ワークを重点的に取り上げていかなければならないというようなことから、昨年の八月の指示でその辺をやったわけでございます。
#35
○滝井委員 青森と東京の関係は極端な例でございますが、やはり大都市とその近郊が一番問題になる。そういう場合に、もしあなたの方で東京の近郊に入院している患者の実態が把握されていないということは、あなたの方の福祉行政がうまくいってない証拠なんです。各福祉事務所割拠の弊がある。これは密接な連絡をとってやれば、たとえば青森の患者が東京へ入院しているならば、東京のケース・ワーカーに調べてもらって通知すればいい。その行政には血が続いているはずです。血が続いていないで、東京は東京、青森は青森とやっているところに問題があるんです。それはあなた方の行政の無能力をはしなくもこの生活保護の問題で暴露している。それは医務局とあなたの局との間の連絡がうまくいっていないことを暴露している。
 ただ問題は、交通費だけの問題です。交通費だけの問題なら、これはわずかなものです。病気というものは精神的な作用というものが非常に大きな影響を及ぼす。従って患者がこの病院なら直るという信念を持って行ったものを、それをまかりならぬといってよその病院へ持っていけばどうなるかということです。これはあなた方が自分の子供が病気したときのことを考えれば一番よくわかる。自分がこの病院なら自分の子供の病気が直ると信頼して行ったものを、その病院はいかぬ、この病院へ行けと言われたら、どんな感じがするかということです。そこらがあなた方は行政だけを問題にして、病人の心理というものを問題にしていないところに問題がある。そういう病院に青森から東京に来たならば、青森県から東京に通知して、ケース・ワーカーが調べてやったらいい。おそらくその病院には東京都以外の他の患者も入院しているはずだから、それを調べるときに一緒に調べてやったらいい。それが血の続いた行政だと思う。青森は青森、東京は東京とばらばらにやっているところに問題がある。この間時間がなかったから局長にあまり言わなかったんですが、この問題ではあなたの方の局は血も涙もないと言われておる。これは医療機関の間でもけしからぬと言っている。そうして私の知っているある小児結核を専門に扱っておる病院に千葉県から入ってきた。ベッドがないときに千葉県ではどうぞお願いしますといって頼んで、今度この通達が出たら、手のひらを返すように引き揚げてしまっておる。患者もそのお母さんもぜひこの病院でやらせて下さいと哀訴歎願したけれども、無理に帰らしてしまっておるという例があるんです。医者はその子供の治療については非常に専門的に熱意を打ち込み、母親もその子供も、長期療養を要するから、その医者を非常に信頼している。ところがそれを無理に引き取ってしまう。しかもただ一片の通達で引き取って、わざわざ医者の方から連絡しても、いや私はあなたの方に置いておっていいと思いますけれども、上司がそういうことは許さぬと言っておりますから、私はできませんときわめてそっけなくやっている例を私はこのごろ聞いている。そういうことで、まるっきり医療行政というものを無視して、全く生活保護の予算関係のために人間を無視している。予算が先か人間が先か。人間が先ですよ。だからあなた方がわずかの交通費を倹約するために、このか弱い生活保護の患者をそういう工合にやったら大へんです。しかもその結果どういうことが行われてくるかというと、今度は福祉事務所にわいろを使わなければ引き揚げた患者はとれぬというような事態が起ってきている。わいろを使ってそして生活保護の患者を自分の家に集めるという病院が出てきている。いわゆる行政が非常に強くなって患者の自由意思を無視する結果、この患者をどこに入院させるかという活殺自在の剣を福祉事務所が握り始めた。これは医療の順当なる遂行を福祉事務所が干渉し始めるところの一つの現われなんです。だからそういう場合に引き揚げた患者はどこに入院するか迷って福祉事務所に行くと、ここに入院しろという、そういう場合病院は指定をされるためには福祉事務所にわいろを使うという事態が出てきている。これは大へんなことです。か弱い病人が自由自在に福祉事務所に振り回されているという事態が出てきておるのです。その端的な現われが、この府県の交流を妨げるという政府の干渉なのです。これは断じて許されないことなんです。医務局がこういうことを黙っているということは医務局に責任があると思う。病院はわいろを持っていかなければ医療券がとれないという事態が起ってきている。これは調べてごらんなさい、東京には幾らでもありますから……。私は知っている。こういう事態というものは、結局福祉事務所が医療券を干渉するということです。私はこの前この問題について大臣にも言いました。いずれ医療券の問題は機会をあらためて医務局長さん、社会局長さんに質問しますが、とにかく医療券を出すのもびしっと期限を切りますし、それから今度は延長する場合は延長願いを出さなければならぬ。医者の事務は大へんです。大へんであってもその患者をとるということは医療機関にとっては大事なことになる。長期の結核患者あるいは精神病等の患者というものは医療券をとって入院させなければベッドが満員にならないから一生懸命になる。そうしますと入院について便宜をはかって期限等を自由自在にきめるところは、医者がきめるのじゃない、そういうことは医者がきめてもなかなかその通りにはならない、福祉事務所が先にやってしまう、そうしますとこの福祉事務所と医療機関との間にいろいろのやましいことが行われるのは当然なんです。医療機関のいった通りに、あるいは患者の希望通りに医療券ができていくならば、そういう問題は起らないけれども、福祉事務所という全く医療に無関係のものがそこにタッチしてやることになるとそういうことになる。そうなると弱い患者の立場はどうなるかというと、医療券ももらわなければならぬ、生活保護のワクもできるだけ広げてもらわなければならぬ、そうしてもらいたいといえば、その福祉事務所の係員の言う通りにならなければだめということになる。そういう弱い立場のものをこういう医療面で締め上げていくということは、これは医療行政の面からいっても悪いことだし、またこういう弱い人に対する行政としてはよくないことなんです。それが現実に行われている。おそらくこういうことが行われるとすれば、ますます私はそれが激しくなってくると思うのです。こういう点いずれこれは生活保護医療の問題とそれから法律上の問題と私は機会をあらためて、資料を全部用意していますから、医務局長さんと社会局長さんにお尋ねしますが、きょうは関連質問ですから……。私は社会局だけにまかせずに、医務局は大いに医療行政の面として関与していく必要があると思う。そういう点をお願いし、同時に保護課長さんの方に、今私が述べたような点について、あなたの方でも情報がわかっておるはずです。わいろが横行している、そのために医療行政に非常に支障を来たす状態が出てきているということは事実なんです。そういう点あなたの方はどういう工合に考えているか。
#36
○尾崎説明員 私は全国の社会福祉事務所あるいは社会福祉主事というものは、例外はあるかもしれませんが全員まじめに仕事をやっておるというふうに信じております。従いまして今の御指摘は私にとりましてははなはだ――実はそれが事実でありますれば、これは監督上非常に問題であるというふうに考えます。もちろん第一線の福祉事務所の監督は直接には都道府県の本庁がやっておるわけでありますが、その点につきましては少くとも全国の社会福祉事務所あるいは社会福祉主事というものは、片方からは冷酷だという非難を受け、片方からは保護の適正化をはからなければいけないのだというようにけつを引っぱたかれ、そういう悪い環境のもとで黙々と仕事をやっておるというふうに私は信じております。
 県外入院の今の問題につきましては先ほど私が申し上げましたように、これは患者の自由意思というものといわゆる公費によってまかなわれる医療扶助を妥当とするという両者の調和をどういうふうにはかっていくかという点が、私どもの問題でもありますと同時に第一線の問題でもあるわけなのです。それで無理々々患者を引っぱっていくとかあるいは冷酷な取り扱いをするとかいうことは、いわゆるケース・ワーカーとしての社会福祉主事の自覚の問題でございまして、およそ社会福祉主事、ケース・ワーカーというものはそういう点についてよく要保護者に対して納得するように取り扱ってやらなければならぬという根本的な前提があるわけです。その点につきましては、御指摘のような例外的に悪い事態があるかもしれませんが、できるだけ私ども努力いたしまして、中央、地方と一体化をはかりまして要保護者に信頼関係を打ち立てるようにいたしたいというように考えます。
#37
○山下(春)委員 関連して。滝井委員のだんだんの御説を伺っておりまして、国民全体の医療ということを考えておる厚生省としてそう考えるべきだということに私別に異論を申し上げるわけではないのでありますが、今の旅費だけというお話でございますけれども、生活保護法による医療は国が八割地方が二割になっております。先ほどの尾崎課長の御答弁の東京都から都外に二、三千人、かりに三千人といたしますれば四千五百万円という大ざっぱな入院費用が国と地方で要るわけでありますが、滝井先生の方の同士であられる北海道の田中知事から昨年の夏私は非常に痛切に訴えられたことがあるのです。この公費負担をこれ以上はもう北海道庁としても負担し切れないのだ、大体一億二千五百万円くらい、これは結核予防法を合せてでありますけれども、生活保護法と両方で持っておる、これ以上はとても道の力としては負担し切れないということを聞いた。北海道は海がありますから青森から北海道に入院するということはおそらく非常に少いだろうと思います。しかしながら東京のような富裕県が三千人も県外に出しておるということはゆゆしき問題で、地方財政が今日のような状態でありますと、なるほど理想は滝井先生おっしゃる通りでありますけれども、この負担が今滝井先生の仰せられるような考えで医療機関の希望とあるいは医療を受ける患者の希望だけで行われますと、地方の行政はとても立っていかないと思うのであります。その点に対してあなた方が旅費等の問題、患者が病院に通院するための便宜のためのお考えであるならば私はこの問題に異論があると思うのでありますが、その点は支払い状況等の問題から地方財政が非常にそういうことで圧迫を受けておるという現状があるのかどうなのか。その点はどういうふうになっておりますか。
#38
○尾崎説明員 御指摘のように生活保護費は総額が非常に膨大なものでございますので、たとい二割の負担でございましても、地方公共団体としてはその負担にたえかねるというような訴えをしてくるところもございます。しかし私どもが今承知しておりますところは、都道府県よりはむしろ市の方にその問題があるように聞いております。全国の市長会でもたしか御決議になりまして、全額国庫負担にしてくれというような御希望があるようでございます。今のところ、私どもといたしましては、その点については従来の方針を変えるつもりはございません。なお今の県外入院の問題がその問題とどう関連あるかということでございますが、しいて申し上げますれば、少くともその県の患者につきましては、二割負担もその県で考えるべきだというその点は、確かに県外入院の場合にその県の負担になるのでございますから、その点はあまり県外入院の問題は今の問題とは直接関連はございません。むしろ旅費等の問題と申しますのは、本人と家族との交通関係、それから滝井先生も先ほど御指摘がございましたが、遺憾ながらやはり現在の福祉事務所というものは必ずしも理想的に充実されておりません。ケース・ワーカーが非常に過労な状態にある現状でございまして、その点はやはり行政事務の能率化という配慮も必要なのでございまして、その意味において、ケース・ワーカーが病人と出身世帯を一緒にめんどうを見るというような配意が必要ではないかと思いますので、そういう点からもその方針をとった次第でございます。
#39
○山下(春)委員 もう一つの問題は、福祉事務所がわいろを取って医療券を発行するというようなことがありとすれば、これはゆゆしき大問題で、私の承知しておる小さな範囲で、いろいろなことからいうと、先ほど尾崎課長が言われた通りに、上からは規則を守れと言われ、下からはほんとうにせつない訴えがある。その中で非常に苦しんでおるが、私の知っているあまり大きな範囲でないところでは、ケース・ワーカーと福祉専務所の努力というものは、恵まれない措置のもとに全くよくやっていると思うのでありますが、そういうことで、これは滝井先生が御指摘になったようなケースもないとは限りませんから、今後そういうところに幾らかでも国民の不平が胚胎するような事件があっては大へんなことでありまして、厳重にその点は下へ流して、そういう疑いを受けることのないような御措置を十分おとりになるように要望いたしておきます。
#40
○滝井委員 この機会に言っておきたいのですが、先般大臣は医療券を健康保険の請求書とともに、簡素化するという言明をされておるわけです。従って生活保護の医療券をどういうふうに簡素化するか。あれは予算委員会の当時ですから一カ月以上の期間がたっているから、それがあればこの機会に一つ発表してもらいたいし、そういう構想がなければ、至急に一つ当委員会にその構想を御発表願いたいと思います。
 それから医療券のわいろ問題でございますが、それはどういうことによってそういうことになるかと申しますと、さいぜんも申しますように、病院を指定をしていくわけです。どの病院ということを医療券に書いてあります。そうしますと、患者の自由意思にまかせて、医療券を渡すときに、まずその人に聞いてから書くのならば、これはいいわけです。そういう指導の方法を必ずしてもらわなければならぬ。ところが福祉事務所の方で初めから医療券に病院の名前を書くということになれば、これは問題が出てくる。そうして福祉事務所の書いたところにみんな医療券が集中してしまう。ここに問題が出てくる。だから医療券というものは、初診券を渡すときにはまず患者の自由にやらせなければいかぬ。そうしますと、自由にやらせるということになれば、たとえば患者は県外にも行くかもしれない。あるいは隣の病院に行くかもしれない、遠くの病院に行くかもしれない。ところがまかりならぬ、お前は、交通費はおれの方が払うのだから、この近くへ行きなさい、近くならあの病院だ、ということになる可能性が出てくるのです。そこにわいろの問題が出てこざるを得ない。そうしてその病院と福祉事務所とが非常に緊密になることはきまっている。だから指定医療機関というものを作っておりますけれども、指定医療機関のどこに行くことも自由です。福祉事務所は指定してはいけない。全部患者の自由意思にまかして、患者の選んだものについて、福祉事務所が指定をしていくのだ、こういう形をとるならいいけれども、ところが端的に大きな形で現われているのは県外の問題だ。患者が福岡県に行こうが青森県に行こうが東京都に行こうが、それは患者の自由だ。ところが青森県に行ってはいかぬ、東京都でなくてはいかぬということは、大きな形でひもをつけたことを意味する。それが小さく現われれば、Aという病院に行きなさい、Bという病院はいけませんぞ、と言うことと同じです。端的に言えばそうなる。医療券にはみな病院の名前を書くのです。従ってそこらあたりの指導をよほどうまくやっておかぬと、弱い患者というものは、結局自分の意思の病院に行けないことになる。それはどうしてかというと、食う方のお世話にもなっているし、病気になればお世話になるということになれば、福祉事務所の意向と反対の行動は、弱い者はなかなかとれない。だから今後注意していかなければならぬというのは、そういうことです。それはあなた方、東京の末端の医者に行って尋ねてごらんなさい。必ずそういう不満が出てきます。どこかに医療券の集中しているところがあるはずです。どうしてそこに医療券が集中しているか、お調べになってごらんなさい。いろいろな問題が出てくるはずです。これは社会で一番弱い人を扱う行政ですから、だからそこらも手心をちょっと加えることによってどうにでも動くのですよ。選挙のときだって生活保護の患者をつかまえるのは一番確実だといわれている。ここにボスが胚胎するのですよ。だからそういう点はよほど注意してもらわなければならぬということなんです。私はそういう点は御注意をきょうは申し上げておきます。今後簡素化について、具体的なものを一つ児童福祉法が上るまでの間にお示しを願いたい、こう思うわけであります。これを要望して一応質問を終ります。
#41
○藤本委員長 次会は明二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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