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1947/08/19 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第8号
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1947/08/19 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第8号

#1
第001回国会 国土計画委員会 第8号
昭和二十二年八月十九日(火曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 荒木萬壽夫君
   理事 細野三千雄君 理事 松井 豊吉君
   理事 内海 安吉君 理事 木村 公平君
      伊瀬幸太郎君    宮村 又八君
      守田 道輔君    生方 大吉君
      鈴木 明良君    村瀬 宣親君
      稻田 直道君    今村 忠助君
      高田 弥市君    野原 正勝君
      水田三喜男君    野本 品吉君
      高倉 定助君    只野直三郎君
 出席政府委員
        内務事務官   岩澤 忠恭君
 委員外の出席者
        議     員 小坂善太郎君
        議     員 坂東幸太郎君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した請願
 冨士岬、本泊間道路開鑿の請願(坂東幸太郎君
 紹介)(第一四號)
 美矢井橋改築に關する請願(坂東幸太郎君紹
 介)(第三六號)
 茶臼山砂防工事竝びに岡田川改修工事施行の請
 願(小坂善太郎君紹介)(第六一號)
 新潟、長野兩縣下における砂防工事施行の請願
 (荊木一久君外一名紹介)(第六二號)
    ―――――――――――――
#2
○荒木委員長 これより會議を開きます。
 本日は公報に掲載いたしました請願十一件を御審議するのでありますが、これにつきましてお諮りいたします。まず、紹介議員よりの説明を承りました上、これに對する政府の意見を伺う程度といたしまして、その議決は、審議の慎重を期しまする意味合において留保いたしまして、他日一括して決定することといたしたいと存じますが、御異議ありませんでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○荒木委員長 それではさよう取計らいます。
 なおもう一つお諮りいたします。紹介議員の御説明を承るわけでありますが、從前でありますると、紹介議員以外の方が代行されたようにも承つてありますが、審議の愼重を期しまする建前から、紹介議員の御出席がない案件は後囘しにいたしまして、まず出席議員がおいでになつた分から片づけていく。こういう順序でまいりたいと思いますが、御異議はありませんでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○荒木委員長 それではさよう取計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○荒木委員長 日程第一から第九までは、目下紹介議員が御出席でありません。日程第十、茶臼山砂防工事竝びに岡田川改修工事施行の請願、小坂善太郎君紹介、文書表第六一號、紹介議員の説明を求めます。小坂善太郎君。
#6
○小坂善太郎君 それでは紹介議員といたしまして、茶臼山の地滑り對策と岡田川改修に關する請願の趣旨に關しまして御説明を申し上げ、各位の御同情を得たいと存じます。
 茶臼山は信越線と中央線の分岐點でありまする篠井驛の西北方約三キロの地點にある海抜七百三十メートルの山であります。川中島の合戦の當時、武田信玄の本陣のあつた所として有名でありますが、昔天保、弘化の當時地滑りを生じまして、この山を水源といたします瀧澤川に土砂を流出することがおびただしかつたのでありまして、當時の松代藩が簡單な砂防工事を施したことがあります。明治十八年ごろから再び地滑りがはげしくなつてまいりまいしたので、明治三十三年に内務省で瀧澤川に砂防堰堤を築造して、その防止に効を奏してまいりました。しかるにその開墾が進むにつれまして、明治四十五年ごろから茶臼山の頂上に龜裂が現われまして、大正四年あるいは五年ごろに表土が滑り去つて以來、地滑りは停止するところなく進行いたしてまいりまして、昭和二年の八月の大豪雨には前記の砂防堰堤の大半を流出いたしまして、岡田川の河床は流下土砂のために埋没して、堰堤は決壤、氾濫して共和村、篠井町に甚大な災害を興うるに至りました。その後縣においても對策を講じまして、瀧澤川の排水、堰堤の築造、貯砂、池の増設等をいたしてまいりましたが、そのいずれもが徹底的にこの地滑りを解決するに至つておりません。しかるに最近とみに地滑り現象が活發化してまいりまして、地滑り地域は約五十町歩に擴大をして、その土量も百萬立方坪と推定されておりまして、下流の瀧澤川の砂防堰堤を乗り越えて、まさに共和村岡田部落三百戸を埋没せんとする形勢を示すに至りました。このままにして推移いたしますならば、岡田部落は早晩茶臼山地滑りの土砂に蹂躙せられまして、二千餘名の生命と財産を烏有に歸するのみならず、下流篠井町、川柳村、鹽崎村の各村の非常に肥沃な耕地千百町歩に被害を及ぼすことは明瞭な次第であります。一方水源を中尾山に發しまする岡田川も、年々流下土砂のために河床が上昇いたしてまいりまして、耕地を抜くこと二十尺餘、近來は少しの降雨出水にも堰堤が決壤いたしまして水が漏つてまいりまするような次第でありまして、篠井町、川柳村、鹽崎村の水害に對する恐怖は一刻もその影を絶たぬようになつてまいつたのであります。國家再建の重大なる時期に直面いたしまして、農耕地を水害から救つて一層の増産をはかり、人心の安定を期することは、古來から國家を治むるにはまず水を治むるという言傳えもございまするし、刻下の急務と信ずる次第であります。國會の各位におかせられましても、また當局におかせられましても、時局柄非常に御多忙中とは存じまするが、ぜひ一度現場を御観察くださいまして、茶臼山の地滑りに對する適切なる砂防工事と、岡田川の改修工事の一日も速やかに實現できまするようお願いを申し上げる次第でございます。
 なおその他千曲川の河床の隆起に對する對策もぜひお願いいたしたいのでありますが、それはまた次會にお願いたすことにいたしまして、私のお願いを終ります。
#7
○荒木委員長 これに對する政府の意見を伺います。
#8
○岩澤政府委員 今小坂代議士からの御説明の通りに、この茶臼山の地滑りというものは、瀧澤川の砂防が效果を發した時代には一應止つでおつたのでありますけれども、最近變動をきたしまして、徐々にまた地滑りをいたし、從つてこの堰堤というものは效果を薄くしまして、その土砂を下流に流しておる。こういうような現状であります。しかもその下流には相當の人家、田畑があるので、これをそのまま放つておくことはできないのであります。内務省といたしましては、あらためてもう一歩根本的に茶臼山の砂防工事を検討して、努めて急速にこれを實施したいというように考えております。なおこれに關連しまして、この茶臼山、あるいはその一帶から流れ出る土砂のために、岡田川がやはり年々歳々河床を上げまして、昔は相當低い河川で、その附近の田畑の灌漑に非常に便宜を與えておつたのでありますが、その流砂のために年々河床が上がりまして、今ではいわゆる天井川と相なりまして、わずかの水でもその堤防を乗り越しで、田畑なりあるいは人家に被害を及ぼすというような、非常に惡化した状態に相なつておるのでありますから、これもやはりこの茶臼山の砂防と關連いたしまして、縣と折衝して、縣を督促しまして、少くとも来年度からこれを實施したいとこういうように考えております。
#9
○荒木委員長 紹介議員及び政府委員に御質問はございませんか。
#10
○今村委員 これは初めてのことだから將來の參考にと思いますが、かような場合にはおよそ予算はどれくらいというようなことは、あらかじめここで御發表願えるものか、どういうことになるのでありましようか。
#11
○岩澤政府委員 これは大體今計畫はできておるのでありますが、大體のわが國の全體の砂防計畫を今立てつつあるので、これが實際大藏省なりあるいは安本と、來年度の予算において折衝した結果において、そしてまたその緩急に應じて割振りするということに相なりますから、たとえば割當としては、こういうような危胎に瀕しておるのですから、できれば三箇年計畫くらいでこれを實現したいと思いますけれども、やはり國家財政の都合によつて、三年が五年になるというようなことが生じますから、今何ぼ何ぼと豫定しておるということは申し上げかねると思います。
#12
○細野委員 財政の面もありましようが、セメントその他の必要な資材の面については、相當窮屈のやうに思いますが、財政の面さえ解決すれば、資材の面は問題ないのではございましようか。
#13
○岩澤政府委員 その點が砂防に對しては非常に困難な點があるのでありますが、こういつた茶臼山とか、岡田川のようなところの改修に對しては、また別の方法セメントの量をできるだけ少くするというような工法をとれば、割合目的は達せられるのではないかと考えております。たとえば昔からやつておりますような、大きい石を積んで、しかも高い堰堤でなくして、最近やつておりますようなコンクリート堰堤で、割合高い堰堤、一時に上からくる土砂を大量に土砂止めするというような方法をとらずに、段階的にこれをやりますれば、セメントが窮屈ではありますけれども、割合使う量も少く、また大きい石を使えば、その石だけでこれが防げるような、いろいろ資材の不足の折柄でありますから、工法を十分檢討して目的を達成するようにしたいと考えております。
#14
○守田委員 今まで河川改修とか、あるいは砂防というものは、近來行われたもののようでありますが、とくに河川を改修するという場合には、かつては地元民だけで年々歳々これをやつておつたものです。ところが最近そういうことがなくなりまして、これは國民全體の氣持の上からでもあると思うのですが、全然顧みないという空氣が起つている。ただ地元民である一部の有志が政府に嘆願して、その改修を政府だけにやらせようというような考え方が相當強いのであります。この點今後における河川改修というものは、地元民との完全なる協力ということも必要であるのではないかと考えます。政府の方においても地元民と無關係なような改修が行われているように思うのですが、この點を改める必要はないのでありましようか。とくにこれは局長のお尋ねいたします。
#15
○岩澤政府委員 守田さんの御意見はごもつともなことでありまして、率直なことを申し上げますと、大體昔は地元の河川は地元民が農閑期を利用して相當各自が労役をして、水害の予防的な施設をしたように私は承つているのでありますが、最近、と申しましてもよほど前から、ある一定の河川が縣費支辨というような格づけせられた場合においては、その地元町村民は、昔のような自分の川であるということを忘れて、縣が當然これをすべきものだというような、多少他力本願的な観念が非常に強くなつたのと、従つて農閑期を利用してこれを改修するとか、あるいは浚渫するというような労役奉仕が全然なくなつたために、非常に荒れに荒れるというような形になつているのであります。もう一つ、これはもちろん監督官廳である内務省の指導方針も悪かつたのでありますけれども、府縣廳が河川の維持というものは、河川が荒れれば、結局一朝水が出ますとすぐ災害が起きる、その災害の復舊に一時彌縫的なことをやる。こういうような習慣がついたために、ますます府縣費における河川の維持費というものは、ほとんどないと言つてよろしいのです。でありますから、河川は荒れに荒れておる。そういうところへ一朝水が出ますと、ただちに大災害を起こすというような状態であるのであります。でありますから、この状態が続けばますます河川というものは荒れに荒れて、また災害というものは常に起こつてくると考えておりますから、私どもは來年度からは、これは皆さんの御賛同を得まして、府縣の河川に對する維持という観念を強める意味において、維持費に對する助成をして強化したい。そうすれば多少でも水害を防止し得ると考えております。また河川改修という點でありますが、河川改修はどれもこれも改修するということは最も望ましいことではありますけれども、縣財政なりあるいは國の財力ということによつて左右せられておる點が相當ありますから、そういうような場合においては、現在においてもやはり地元民の要望なり、あるいはまた災害の程度等、またそれによつてこうむる田畑の被害状況というようなことを勘案しまして、そうして大體地元民の納得のいくような方法によつて、すべての改修をやつておる状態でございます。
#16
○野本委員 最近の水害の頻發激化というような點から、治水治山の問題につきましては、國家としても府県としても、非常に深い關心をもつてきたと思うのであります、従つて今後この種の事業に關係します請願陳情等は、かなり数が殖えてくるものと私どもは予想いたします。そうした場合に、國全體の立場から、その問題の軽重前後といつたような關係を判断することがきわめて重大なことと思いまするが、政府の予定しておりますこの種の工事計畫というか、年度計畫というか、資料を提供していただきたいと思います。
#17
○岩澤政府委員 ただいまのお話でありますが、私どもは戦争以来の山林の過伐その他の原因にいります水害を惹起する最大原因を、根本的に除却したいという考えから、ただいま全國に連絡をとりまして、河川治水五箇年計畫というものを検討しまして、各縣からこれを取寄せて、今せつかく本省において審議いたしておりますから、その審議が済み次第、それをひとつパンフレットにいたしまして、皆様のお手もとに差上げたいと思います。従つて多少時日がまだかかりますが、その點はひとつ御了承おき願いたいと思います。
#18
○松井委員 ちよつと局長さんにお尋ねいたしますが、大體計畫設計図面というものは提出にならぬのでしようか。
#19
○岩澤政府委員 その計畫の設計図面と申しますと、今私が申し上げた五箇年計畫ということについての、それが大體実施し得るような実施計畫設計図というお話でございますか。そこまでは非常な大量になりますから、大體平面図によつて方針でもきめまして、そうしてどのくらい工費が要るかということに止めておるのであります。それをいよいよ予算化す前において、もちろん順位がありますから、順位に従つて実際の設計調査をいたしまして實施に移すということになりますから、全部が全部実施計畫をお手もとにすぐ差上げるということは、事実上また不可能であろうと考えております。
#20
○守田委員 私は紹介者にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほどちよつとお尋ねをしたのと同じ關連をもつのでありますが、たとえばこうした砂防工事には河川改修ということをやりますと、いわゆる國の財政が三箇年でやるべきものが五箇年に延び、あるいは七箇年に延びるというようなことになり、そうするとまたそのうちに大きな雨が降つてきて堤防は決壊する、山は崩れる、こういうふうにいくらやつてもやつても結局いい結果になつてこない。こういうことが相當考えられるのでありまするが、これを早く竣工せしめるのには、どうしても地元民の労力提供ということがかなり必要であるのじやないか。そういたしますれば五箇年計畫が三箇年でやり上げられる。この點私自身も砂防であるとか河川改修という問題にたくさんぶつかつておるのでありするが、どうしてもそういうふうな方向にもつていつて、國をあげて砂防、河川改修というものを今やらなかつたならば、日本の国は案外滅びていくのではないか、かように考えますので、ひとつ地元民の考え方について御紹介者からお答え願えれば幸いであります。
#21
○小坂善太郎君 ただいまの御意見まことにごもつともでありまして、私としても全然同感であります。一體工業の面におきまして、よく縮小再生産という言葉が言われますが、これは申し上げるまでもなく、使うものの方がつくるものの方より多い、たとえば鐵鋼生産の場合にしましても、百萬トンくらい鐵を使つているのに、三十萬トンしか鐵ができないというような場合を言うのであります。今私どもがお願い申し上げ、ただいま御指摘になりましたような點は、これはやはり同様なのであります。山の木をやたら伐つていく、無計畫に伐つていく、しかもそれに對する次の恒久對策を何ら講じていないということが、この十年間ぐらい続いたのじやないか。殊に戦時中はまつたくあとの補充と申しまするか、要するに伐つていく木に對して、その跡を埋めていくという手段が講ぜられていなかつた。その結果が今日になりましてあらゆる河川が荒れてきて、あちらこちらで問題が頻発するようになつた原因だろうと思つております。それに關しましては、やはり國をあげて對策を講ずる。結局政府がやるとか、あるいは予算がどうとかいうことよりも、全国民が、やはり国をあげて今の荒發した国土を復舊するのだ、こういう覚悟にならなければできないと思います。もちろんそこに政府としても多額の出資、すなわち公共事業費ということでわれわれ言つておりますが、そのわくの中から金を出しますが、その金を出すということが、もちろん地元民の協力いかんによつてはその金額も少くて済みまするし、資材も少くて済みますしいたすと思うのであります。もちろんこういうお願いをいたします以上は、地元民としては、極力地元の労力資材をあげてつぎ込むということは、たれのためでもない、われわれ地元民自身のためでありますので、これにつきましては極力やるように考えております。これにつきましては先ほどちよつと申しましたが、岡田川の水が千曲川に流れてくるそのために、千曲川の河川の河床が非常に上つて、各所に危険な場所をつくつております。それに對しましては、回りの村が全部をあげまして村有林を伐りまして、それを自家の労力によりまして制水と申しますか、筏みたいに組んで流れを止めるような――これは國の予算に期待して、今お願いしていずれ出していただかなければならぬと思つておりますが、目下のところ国の予算をいただけませんから、地元民自身でやつておるような次第であります。極力地元民自身としてやるようなつもりでおります。
#22
○荒木委員長 ほかに御意見はございませんか。
    ―――――――――――――
#23
○荒木委員長 日程第一一、新潟、長野両県下における砂防工事施行の請願、荊木一久君外一名紹介、文書表番號第六二號、紹介議員の説明を求めます。紹介議員小坂善太郎君
#24
○小坂善太郎君 それでは紹介議員といたしまして要旨を申し上げます。
 新潟縣、長野縣の両県にわたりまする地滑りは、今も茶臼山の例をもつて申し上げましたが、全国的に有名でありまして、年々災害を繰返しておるのであります。その關係町村数は、兩縣におきまして九郡五十九箇町村に及んでおります。先般新潟県下の能生谷村、及びただいま御説明申し上げました長野縣下の茶臼山におきまして発生した地滑りは、その一例でありまして、現に活動を始め、またその兆候が認められるものは、兩縣にわたりまして根知川流域ほか六流域の広範囲にわたるものであります。これに加えまするに、今次戦争以来、山野の荒發は洪水の危機を招来いたしておりまするし、なおかつ地滑りの直接かつ有力な原因となるために、現在そこの土地に住んでおりまする住民の不安というものは、今非常なものであります。従来地滑り地帯に砂防工事を実施いたしまして、その防止に成功した経験に鑑みまして、この際政府はできるだけ速やかに、地滑り地域全域にわたる對策を砂防工事計畫を確立せられまして、災害予防、民心安定のために緊急実施をせられますよう、切にお願いいたしまするし、また国會の各位におかれましても、十分御審議の上、御同情ある措置を賜らんことを切にお願いいたします。
#25
○荒木委員長 次にこれに對する政府の意見を伺います。岩澤国土局長。
#26
○岩澤政府委員 新潟、長野両県下の地滑りによります土砂の流出、従つて砂防工事の必要性というものは、政府におきましても十分認めまして、すでに前からこの地帯に對して、重要な箇所に砂防堰堤をつくりつつあるのであります。しかし何ぶんにも新潟――新潟と申しましても大體新潟縣の西部地域に属し、それから長野縣におきましては、大體特にひどいのは大町からずつと姫川流域の沿線が、割合大きいように考えております。こういうように非常に地域が大きい事と、またこれに支出する予算が非常に少いために、早急にその所期の目的を達することができないことは、われわれ非常に遺憾と存じておるのであります。このたびの新潟縣竝びに長野縣の地滑りに關しまして、特に最近発生いたしました新潟県下の能生川、及び長野縣の茶臼山の地滑りなどの惨害に對しましても、地滑り全体についての調査計畫を至急いたしまして、この根本的な對策を講じたいと考えております。従いましてすでにわれわれのところからは、現地に技術官を派遣し、それで十分調査をいたしておるのでありますから、できるだけ早く国庫財政の許す範囲において、この地帯の地滑りに伴ういろいろな惨害對策を講じたいと考えております。なお能生川の地滑りに關係しました地方に對しましては、ただいま五百萬円を支出して、応急的な工事をやりたいというふうに、ただいま各關係方面と折衝中でありまして、これが承認になれば、少くとも能生川の今年度の地滑りに對する對策というものは、ただちに工事として実現し得るような状態であります。
#27
○荒木委員長 ただいまの紹介議員の説明及び政府側の意見に対しまして、御質疑がありましたら、御發言願います。宮村又八君。
#28
○宮村委員 大體こんなに洪水が多いということは、濫伐の結果である。しかし今までは材木商というような人々が、非常に輸送上の面からのみ見て伐採しておる感があるのであります。こういう見地に立ちまして、私は残つておるところの山には老木がある。この老木は水の吸水力が非常に弱い。そこで政府として植林政策を一日も早くしてもらうことが、今日の水害對策の一役となる。こう考えますが、政府の御意見はいかがでありますか。
#29
○岩澤政府委員 お説ごもつともで、われわれも常に考えておるところでありますが、ただいまの内務省の所管としては、渓流から来た土砂を止めるこいう渓流砂防を擔當しており、その發生する原因である山腹のとめ、すなわち植林という方面は、農林省の林野局の方でこれを受持つておるのであります。しかしながらわれわれは砂防の渓流堰堤をする場合は、大體林野局へも相談をして、その目的が合致するように折衝にはつとめておりますけれども、いろいろな事情によつて、ときどきちぐはぐになることが起るのであります。しかし今後におきましても、できるだけ兩省とも十分に連絡をとりまして、しかも現在お話の通りに、戦争中より今日まで非常に山林が過伐せられたのでありますが、これを補充する意味におきまして、この植林を大々的にやつてもらえば、非常に下流部において樂になるのでありますから、その點は十分植林政策とまた治水計畫と相まつて、考えてみたいと思つております。
#30
○細野委員 新潟縣西頸城郡の地滑りの写真がここにまいつておりますが、これは砂防工事というような人間の力で、一體防止できるものであるかどうか。私はよくわからぬのでありますが、日本海岸というものは年々地質學的に陥没している傾向にあるのではないでしようか。たとえば義經、辧慶で有名な安宅は、今すでに海中になつておるということを聞いておりますが、人間の力ではどうにもならぬ部面があるのではないでしようか。
#31
○岩澤政府委員 私は専門外でありますけれども、大體この日本海沿岸は一応安定しております。たとえばこういう斜面がありますと、これが安定しておるのでありますが、何かの拍子で、たとえばここを深く掘つて道路をつくると、そのためにここに平衡を失うような場合において、今まで安定しておつたものがずつと落ちてくる。こういう傾向が多分にあるのであります。でありますから、たとえば道路改修前においては全然山が動かなかつたものが、道路改修をやつたためにその土地が動き出したという例もあります。この關係は地質の關係か、あるいはまたそこにある森林が全然含水量がなくなつて、それがある點までいきますと、粘土層が滑り出すということも言われておるのであります。この地質關係なり地盤關係の調査はしておりませんけれども、われわれとしての當面の問題は、現在滑つたものをいかに処理するかということに重點をおいておるのであります。いずれまた關係の學校方面とも連絡をとりまして、その方面の専門家の意見も徴しまして、御披露する機會があろうかと思います。
#32
○荒木委員長 ほかに御發言はありませんか。
    ―――――――――――――
#33
○荒木委員長 次は日程第三、冨士岬、本泊間道路開鑿の請願、坂東幸太郎君紹介、文書表番號第十四號、これに對します紹介議員の説明を求めます。坂東君。
#34
○坂東幸太郎君 北海道利尻郡鴛泊村字冨士岬より本泊市街地に通ずる拓殖道路の改良工事は、ただに地方産業進展開發に寄與するに止まらず、實に戦後食糧増産の重大使命を果し得る緊急事業なるも、窮迫せる村財政の現況にてはとうてい自力施行困難につき、これが急速施行方を謹みて請願する次第であります。本村字冨士岬部落は戸数百三十戸準地方費道より分岐し、字本泊市街地に至る約二粁の海岸線に點在する部落でありまして、石川縣人がその部落の大部分を占めて、勤儉力行、鋭意開拓に努め本村における優良部落を建設今日に至つております。しこうして本部落の西端は本泊小漁港に連り、全部落漁民にして年産額百七十餘萬円、本村生産額の二割五分を占め、その生産物及び漁業用資材は、全部陸路馬車によりまして、鴛泊港及び本泊、水産倉庫に移出し、これに連ぬる道路は本部落産業の生命であります。昭和七年秋振興土木救済事業によつてその一部(一粁餘)は開鑿せられましたが、残餘の一料餘は路面岩石凹凸せるものを、若干手入れを施し踏分通路のまま今日に及びました。殊に本道路の兩側には民家併列し、年々維持修繕に勉めてまいりましたが、一時を糊塗するに過ぎません。よつて交通産業上に及ぼす影響まことに大なるものと信じます。殊に今後ますます生産擴充を必要とするとき、これが急速施行を痛感するものでありますが、窮迫せる村財政の現況にては自力施行困難なる實状でありますので、地方費をもつてぜひとも施行方御高配を相仰ぐ次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
#35
○荒木委員長 次にこれに對する政府の意見を伺います。
#36
○岩澤政府委員 現在内務省でとつております道路政策といたしましては、國民生活に密接な關係をもつている生産道路に最重點主義をとつているのであります。でありますから、ただいまの請願の道路についての性格はどんなものであるか、今の御説明によりますと、非常に生産的な面に寄與するようにも考えておりますけれども、この點につきましては、なお十分われわれとしてもその具體的のことを知らないために、ただいま北海道知事の方にその具體的の調査を依頼して、その結果今私どもが申しました國民生活に密接な關係を有する生産道路であるということを認定いたしますれば、わずかばかり残つている道路でありますから、これを貫通するように極力来年度から實施したい、かように考えております。
#37
○荒木委員長 ただいまの紹介議員の説明及び政府の意見に對しまして御質疑はありませんか。
#38
○松井委員 ちよつと伺います。本委員會で決定せられるものは、やがて予算面に對し相當の責任を有すると思います。本案については、セメントその他の資材については言うまでもなく、玉石とかバラス等を集中蒐集する關係と、それから地元の請負工事の關係で、地元民の熱意によつて人夫の労銀等にも關係がありますので、地元においてこういう熱意をもつているかどうかを伺いたいと思います。
#39
○坂東幸太郎君 御承知の通りこの鴛泊村は北海道の漁業地として最も有名な利尻島にありまして、年産おそらく数億を産する所であります。また労務の點につきましては政府が要望するならば、いつでも充足できるのであります。また岩とか玉砂利などたくさんある所でございますから、工事は比較的簡単に行われるのではないかと考えております。
#40
○荒木委員長 ほかに御質疑はありませんか――別に御質疑もないようであります。
    ―――――――――――――
#41
○荒木委員長 次は日程第五、美矢井橋改築に關する請願、坂東幸太郎君紹介、文書表第三十六號、これに對する紹介議員の説明を求めます。
#42
○坂東幸太郎君 本請願の要旨は、愛知県矢作川に架る美矢川橋は数年前の大洪水で破壤され、現在のものは假橋であるため増水の都度破壤され、毎年多数の死傷者を出している實情であります。ついては速やかに該橋の完全な修理工事を施行せられたいというのであります。何とぞよろしくお願いいたします。
#43
○荒木委員長 これに對する政府の意見を伺います。岩澤政府委員。
#44
○岩澤政府委員 この美矢井橋の流失につきましては、これの復舊はすでに災害国庫補助の中にはいつているのであります。しかしながら現在におきましては非常に資材難の折から、やはり長い間假橋で一応交通を許しているというような状態でございまして、わずかの洪水でも假設的なものであるために、常に流れて交通杜絶となりまして、關係住民が非常に不便を來しているというように承つているのであります。この點につきましては管理者であります愛知県知事に對しまして、できるだけ速やかに資材を蒐集して完全な架設をするように督促をいたしているのであります。なお国庫補助の點につきましても、値上りとかその他の点につきましては国の方において十分考慮いたしている次第でございます。
#45
○荒木委員長 ただいまの紹介議員の説明及び政府の意見に對しまして御質疑はありませんか。
#46
○松井委員 坂東氏の説明によりまして、局長から予算關係についてただいま御説明がございましたが、この橋梁については、幅員は何メーターで、延長はどのくらいあるのでありますか。また予算の關係についても、先刻局長ははつきり申し上げることができないという御意見でございましたが、それらの關係について、木材を主に利用するものと、セメント、鐵を用いるのとそれぞれ違うと思いますが、それらの點について御説明を願いたいと思います。
#47
○岩澤政府委員 この橋は永久橋としてのものでなく、戦争中から資材が非常に窮屈なために、橋梁は大體木橋をもつてかけかえるということになつております。またお尋ねになりました延長とか幅員とか、工事費はどのくらいの予算かというようなことについては、ここでもちようど記憶しておりませんが、いずれまた調査した上において御報告申し上げたいと思います。
#48
○荒木委員長 ほかに御質疑はございませんか――別に御質疑もないようであります。
 本日はこれをもつて散會したいと思います。残りました日程は紹介議員がおいでになりませんので延期いたします。
   午前十一時三十分散會
ソース: 国立国会図書館
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