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1956/07/29 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第56号
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1956/07/29 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 社会労働委員会 第56号

#1
第026回国会 社会労働委員会 第56号
昭和三十二年七月二十九日(月曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 藤本 捨助君
   理事 植村 武一君 理事 中川 俊思君
   理事 野澤 清人君 理事 八田 貞義君
   理事 八木 一男君 理事 吉川 兼光君
      加藤 精三君    加藤常太郎君
      加藤鐐五郎君    草野一郎平君
      園田  直君    中山 マサ君
      藤枝 泉介君    赤松  勇君
      井堀 繁雄君    岡本 隆一君
      五島 虎雄君    滝井 義高君
      中原 健次君    山花 秀雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 委員外の出席者
        労働政務次官  二階堂 進君
        労働事務次官  中西  實君
        労働事務官
        (大臣官房長) 澁谷 直藏君
        労働事務官
        (大臣官房総務
        課長)     有馬 元治君
        労働事務官
        (大臣官房会計
        課長)     松永 正男君
        労働事務官
        (大臣官房参事
        官)      飼手 眞吾君
        労働事務官
        (大臣官房労働
        統計調査部長) 大島  靖君
        労働事務官
        (大臣官房労働
        福祉事業団監理
        官)      猿渡 信一君
        労働事務官
        (労政局長)  亀井  光君
        労働事務官
        (労政局労働法
        規課長)    辻  英雄君
        労働事務官
        (労働基準局
        長)      堀  秀夫君
        労働事務官
        (労働基準局監
        督課長)    鈴木 健二君
        労働基準監督官
        (労働基準局安
        全課長)    山口 武雄君
        労働事務官
        (労働基準局労
        災補償部長)  村上 茂利君
        労働事務官
        (婦人少年局
        長)      谷野 せつ君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      百田 正弘君
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策部長)  三治 重信君
        労働基準監督官
        (千葉労働基準
        局安全衛生課
        長)      跡見 春雄君
        参  考  人
        (川崎製鉄株式
        会社千葉製鉄所
        副工場長)   植山 義久君
        参  考  人
        (川崎製鉄株式
        会社千葉製鉄所
        労働組合書記
        長)      林  茂雄君
        参  考  人 中田 幸雄君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
七月十五日
 委員滝井義高君辞任につき、その補欠として楯
 兼次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員楯兼次郎君辞任につき、その補欠として滝
 井義高君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
 委員中村三之丞君辞任につき、その補欠として
 松浦周太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員亀山孝一君辞任につき、その補欠として野
 依秀市君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員野依秀市君辞任につき、その補欠として亀
 山孝一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員小川半次君、大橋武夫君及び古川丈吉君辞
 任につき、その補欠として園田直君、加藤精三
 君及び藤枝泉介君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員加藤精三君、園田直君及び藤枝泉介君辞任
 につき、その補欠として大橋武夫君、小川半次
 君及び古川丈吉君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 労使関係、労働共準及び失業対策に関する件
 川崎製鉄千葉製鉄所のガイデリック倒壊事故問
 題
    ―――――――――――――
#2
○藤本委員長 これより会議を開きます。
 労使関係、労働基準及び失業対策に関する件について調査を進めます。
 この際労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
#3
○石田国務大臣 私はこのたび労働省を担当いたすことになりました。全くのしろうとでありまして、ただいま勉強中でございます。従って今にわかに委員各位の御質問をちょうだいいたしましても、どうも及第点をいただけるような答弁をいたす自信はございませんが、誠心誠意やって参るつもりでございますから、どうかお手やわらかに、かつ気長くおつき合いを願いたいと存じます。
 それから、私が労働省を担当いたしましたにつきまして、これから労働問題についてどういう考え方でやって参りたいか、またいかなることをやりたいと考えているかにつきまして、きわめて簡単に御説明を申し上げてみたいと存じます。
 ただし、これもお断わりを申し上げておくのでありますが、まだ閣議の了解を得た成案ではございませず、また党その他と十分の協議を終ったというわけのものでもございません。従って、正確に私どもの新施策として公けにできる段階ではございませんけれども、少くとも就任早々何を考え何をいたそうとしているかということだけを申し上げまして、皆様方の御批判を得たいと存ずる次第でございます。
 私は基本的に三つの点をこの際何とか前進せしめたいと考えております。第一の点は雇用の増大であります。第二の点は、大企業あるいは公企業と中小企業の勤労者諸君の賃金格差を縮小したいということであります。それから第三の点は、よき労働慣行を作り上げるためにできるだけの努力をいたしたいと思う点であります。以上三点を私は基本的な目標といたしまして、これから申し上げることをやってみたいと存ずるのであります。
 まず雇用の問題につきましては、従来長期経済計画の樹立に当りましては、経済の伸び、主として物あるいは財政の面からの経済の伸びに重点を置かれまして、これに雇用の問題を合せていくという傾向が見られたのでありますが、経済企画庁長官にも十分お話をいたしまして、私はやはり長期経済計画の重点は、これから生じて参ります労働人口の増加、それに即応いたしまして、漸進的に完全雇用に近づけるようなことを基本的な背骨といたしまして取り上げるべきだと考え、この方向については企画庁長官の同意を得ておるのでありますが、計画それ自体は目下まだ試算検討中でございます。
 第二は、今六十数万の完全失業者、それからそれに数倍するいわゆる不完全失業者があるのでありますが、その一面におきましては、職種職能によってはなお求人の方が多い場合が見られるのでございます。さらにわが国経済の全体の動向は、やはり非近代的産業より近代的産業へ移りつつございますので、これに即応いたしまして職業訓練制度を拡充いたしたいと存じております。特に技能教育に重点を置いてやって参りたいと考えておる次第でございます。
 それから第三は、日雇い労働者の諸君が漸次固定化しつつあるのでございまして、これではいわゆる失業問題の長期の解決策にもなりませんし、私どもは、この日雇い労働者諸君の常用化あるいは更生意欲の促進につきまして、あとう限りの努力をいたして参りたいと考えておる次第であります。
 次に賃金問題について申し上げたいのでありますが、先ほど申しました、中小企業の勤労者諸君と大企業の勤労者諸君の賃金格差を縮小する下からのささえといたしまして、漸進的かつ現実的な最低賃金制をできるだけすみやかに制定いたしたいと考えておるわけであります。現在労働問題懇談会の答申によりまして、業者間協定によります最低賃金制の実施を労働省としては奨励し、かつ進行しておるのでありますが、もとよりそれ自体満足すべき状態でないばかりでなく、その進行も不十分であると考えますので、ただいま中央賃金審議会の再開をお願いいたしまして、わが国における現実的な最低賃金制の実施の方法について御研究を願っておるようなわけでございます。これを下からのささえにいたしますと同時に、中小企業の支払い能力を増加せしめ、あるいは大企業につながる系統産業につきましては、大企業の協力を求める等の諸般の措置をとりまして、賃金格差の縮小に努力をいたして参りたいと思っておる次第でございます。
 次に、わが国の賃金制度は、現在なお画一的あるいは生活給的要素が非常に多いのでありますが、しかもなお各職種あるいは職能ごとにおける合理的な賃金のあり方についての調査研究が不十分であったと考えますので、統計調査部をして、職種別あるいは職能別の合理的な賃金体系の確立に努力をいたさせておる次第であります。これはすみやかに、職種、職能あるいは労働の量、質による賃金のあり方の結論を得たいと考えておる次第でございます。
 なお、労働賃金の上昇と勤労者諸君の生活の向上は、やはり生産性の向上に伴ってなさるべきものであり、また生産性の向上が行われているところにはそれ相応の賃金上昇等がありますので、生産性の向上に伴います利益の分配等につきましても、合理的な方途を講じまして、生産性向上と関連をいたしまして、勤労者諸君の生活向上に努力いたしたいと存じておる次第でございます。
 次に、中小企業勤労者諸君の福祉についてでありますが、まず第一に、失業保険制度の適用範囲の拡大をいたしたいと考えております。現在行われておりません五人未満の小企業労働者諸君に対しましても、この範囲の拡大をいたしたいと考えておる次第であります。二番目は、中小企業労働者各位のための住宅を初めといたしまする、託児所その他の福祉施設の増大をはかって参りたいと存じております。大企業におきましては、その企業の単位が大きいのでありますし、自力もございますが、中小企業は、それ自体として弱体でありまして、それをばらばらの形に置いてはなかなか促進ができませんので、このばらばらの形を集合せしめることによりまして、あるいは、具体的な方法はなお研究するといたしましても、協力体制を作らせることによりまして、住宅その他の福祉施設を増大していきたいと考えておる次第であります。
 それから第三番目には、労使の関係につきまして、健全ないい慣行を作りあげて参りたいと存じます。その基本は、やはり労使の間におけるルールの確立であると存じます。ルールは、やはり現行法規によるべきが至当と思われますので、私は労使双方に対して、現行労働法規の完全なる実施を要求をし、それを基本として、労使の慣行樹立のために、忍耐強く、かつ一貫した方針を持ち続けて参りたいと考えておる次第でございます。特に公企業に対しましては、本年初頭のいわゆる春闘におきまして、石橋内閣以来、しばしば政府は仲裁裁定の実施を公約いたし、また政府といたしましてはそれを実行いたして参ったつもりでありますが、一面においては、これを柱といたしまして、これを固く守ることによって公企業の違法行為の絶滅を要求し、あるいはその実現をはかって参りたいと思うのであります。私は今まで七回以上行われました仲裁裁定が――それはそのときどきの事情によっていろいろやむを得ざる理由があったとは思うのでありますが、労使のいい慣行を作るためには、やはり公労法の原則の精神を貫くことが正しいものと考えまするので、今後とも仲裁裁定の実施については責任を持って対処いたしたいと考えております。しかしその反面におきまして、労働組合の行います違法行為に対しても、やはり峻厳な態度をもって一貫して参らなければならないと考えておる次第でありまして、私はこれによっていい労使の慣行を作り上げたいと存じておる次第であります。基本的には当面の問題をできるだけ事なく平穏に片づけることはもとより大切でありますが、その当面の問題に心を奪われて、長い恒久的な労使のいい慣行を作り上げる方向への前進を怠ることは私は間違いであると信じておりますので、政府も法の精神を固く守りますけれども、組合の諸君に対しましても、現行法規の順守を強く要求して参りたいと思っておる次第であります。
 また他面、最近に見られます労働組合運動の行き過ぎを反映いたしまして、また労働組合に対する無理解あるいは感情的反発が見られます。同時に使用者側におきましても、依然として前時代的な考え方を持っている人が相当多い実情にかんがみまして、まず労働問題についての使用者の教育の徹底もはかって参りたいが、他面におきましては、労働組合に対して、あるいは勤労者諸君に対しても、勤労者諸君の生活の向上は社会の他の条件と遊離してはあり得ないことを強く教育をいたしますとともに、その健全な発達に資して参りたいと考え、このため民間の労働問題教育機関を設置いたしたいと思っておる次第であります。
 最後に、現行労働法規に対する私の考え方を申し上げてみたいと存じます。個々の問題は別といたしまして、基本的には労働問題はやはり人と人との関係でありますから、まず第一に法規の改正を考え、罰則の強化を考えるような態度をもってすることは間違いでありまして、やはり人間と人間との関係は友情と忍耐とをもって解決すべきものと考えておる次第であります。
 第二には、現行法規を検討するに当りましては、やはり現行法規が完全に行われているかどうかということを検討することが第一でありまして、その上でなお不十分な点があれば改正を考えるといたしましても、改正を考え、検討を行います前提はやはり以上申し上げたことでなければならぬと考えておる次第でございます。
 以上、きわめて簡単でありますが、私の考えております点について御説明を申し上げ、皆様方の御批判を得たいと存ずる次第でございます。(拍手)
#4
○藤本委員長 次に質疑の通告がありますので、これを許します。中川俊思君。
#5
○中川委員 私は与党でもありますし、ことに石田労働大臣とは長年のお知り合いですから、質疑というような問題でなく、私の感じました点を二、三点申し上げ、これに対する御所見を承わりたいと存じます。ことに今大臣から所感を伺って、これに対する質疑ということになりますると、私のように平素勉強していない者は質疑らしい質疑はなかなかできない、かりに一、二時間その間時間をちょうだいできれば――そう思うのでありますが、そういうこともできませんので、ただいま申し上げます通り、私が平素考えております点その他二、三の点について大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
 ただいま大臣から現行労働法規の問題についてなるべく改正したくない、悪い点があるならば十分に検討した上でそれぞれの処置を考えなければならぬが、なるべくならば現行法は変えたくたいという御所見のように承わったのであります。私は最近の労働運動の激化に伴う一般国民生活への脅威といいますか、これは非常なものがあると思うのであります。さらにまたこれが国の産業経済の発展を阻害している点におきましてもかなりのものがあるのであります。先般来行われておりました新潟の国鉄争議の問題のごとき、御承知の通り農民が一カ年間もかかって作ったスイカを腐らしてしまう、せっかくとった魚は輸送ができなくて腐らしてしまうということで、非常な迷惑を国民各方面に及ぼしているのでありますが、しかしながら一般の民衆は現在これをどこへも訴える道がないのであります。そこで政府といたしましては、ただいまも大臣の御所見の中にありましたように、当然第三者の利益を守るところのルールを確立されなければならないのでありますが、現行法でこれが果して確立できているかどうかという点でございます。もちろん相手のあることでございますから、それぞれの相手により人によっていろいろな見解の相違もございます。しかしながらただいま申し上げますような点で、一般国民大衆に非常な迷惑を及ぼしているということは、これは事実でございます。こういう事実があるのにもかかわらず、なおかつ現行法は改正しないということを堅持されるのか、あるいは先ほど大臣のお話になりましたように、それらの点を十分に検討した上で善処されようとするのであるか、これらの点について大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
 私は公労法並びに労働三法の中には矛盾した点があると思うのであります。一例を申し上げますると、現行法は公共企業体労働委員会の同じ公益委員が調停と仲裁の両方をやっている。こういう点につきまして私どもがいろいろ関知している範囲内におきまして、これは妥当であるかどうかという点について疑念があるのでございます。できることであるならば、これらは別々のメンバーにすべきが妥当ではないかというふうに考えております。またこれらの委員の兼職の問題がございます。なおこれに伴うところの身分保障の問題ももちろんございます。在職年限の問題もございます。これらの点が現行法通りで果していいのかどうか御所見を伺いたいと思うのであります。
 さらに大きな問題は公労法第四条三項の問題でございます。すなわち解雇職員が組合役員になっている問題、これは先般来私ども党の労働委員会におきましてしばしば問題になったのであります。国鉄当局に対しまして、幽霊みたいなものを相手に交渉していて、果して国鉄当局の考えるような交渉ができるのかどうか、これについてどう考えているのかと言って国鉄当局の方々と懇談をしました際にも、国鉄当局は今後はそういうものは一切相手にしないという答弁をしておられる。ところが最近労働省の中で行われておりますところの――つまり藤林公労委員長が国鉄との間を仲裁するという際に、前の基準局長をしておられた富樫さんが、現在の公労委の事務局長をしておられるようでありますが、この富樫さんとそれから国鉄の、ただいま申し上げます首になった小柳委員長とを呼んで話をしておられる。呼ばれたのは藤林さんであるから、政府が呼ばれたのではないでしょうが、しかしもし政府に、私が申し上げますような点で四条三項に違反しておる――違反と申しますと語弊があるかもしれませんが、とにかく規定外の解雇職員を入れて交渉をすることはしないということを言明しておるやさき、労働省においてはただいま申し上げまするようにそういう折衝がすでに行われておるのであります。これらはいささか矛盾してはいないだろうかどうだろうかということを私は憂うるものでありまするが、この点につきましても御所見を承わりたいと思うのであります。
 さらにまた仲裁裁定の実施の問題につきましては、ただいま大臣からるるお話がございましたが、御承知の通りこの十六条の規定には国会の審議権とそれから財政法の問題がからんできておる。従って仲裁裁定を実施するに当りましては、政府といたしましても予算上資金上のやりくりの点を非常に考慮なさらなければならないのでありますから、簡単にはいかないだろうと思う。しかしこの公労法第十六条というものは私どもの目から見ますと実にあいまいなんです。どっちへでもとれる。政府はやるまいとすればやらぬでもいい、仲裁裁定を実施しなくてもいい、予算上資金上できないからというので国会の承認を得るならば、これはやらなくてもいい。そういうような点についてきわめてあいまいな点が多々あるように私は考えるのでございまするが、これらの点につきましてはさらに国鉄営業法の問題もございますが、これは大臣の御所管ではございません。運輸省の所管でありますから、この問題にわたっては申し上げませんが、先ほど来大臣の、現行法は完全に実施できておるようにも思うし、また不備な点があれば将来考える、現在ではなるべく多くの改正をやらないという御意思でありまするが、ただいま私の指摘いたしましたような点について大臣はどういうふうにお考えになりまするか、まず御所見を承わりたいのであります。
#6
○石田国務大臣 新潟で行われました国鉄労働組合の争議類似行為は、これは国民経済にとりましても、国民生活にとりましても、また労働組合の健全な発展にとりましても、私はきわめて遺憾なことであると存じておる次第であります。私が現行労働法規についての考え方を申しましたのは、私の考え方の基本を申し上げたのであります。労働問題は人間を取り扱う問題でありますから、法律で拘束したり、刑罰を強化したりすることを第一義的に考えて解決する問題でないというのが一つ、第二は、現行法規が、今中川委員は、完全に実施されておると私が申したというような発言でありましたが、まだ完全に実施されていない面が多い、従って法規の改正を考える場合には、現行法規が完全に実施されておるかどうか、あるいは解釈に誤まりがないかどうか、そういうことを十分に検討した上で考えるべき問題であると申し上げたのであります。私は就任早々でありますので、この検討が現在の段階で終っておるわけではございません。
 それからいま一つは、現行法規を十分解釈の統一を行い、完全に実施して参りさえするならば、今まで労働組合だからといってある程度の法を犯した問題が既成事実として容認せられ、それが既得権益として重なっておるようなことが非常に多いように思われます。私が申し上げておきたいことは、法規の解釈に当って、そういう積み重ねられた既得権益のようなものをも認めない、法はやはり双方厳格に守らるべきものだ、その上で考えるべきだということを申し上げておる次第であります。
 それから第二点の、藤林公労委委員長の行動でございますが、私は国鉄当局が公労法の規定に反する組合幹部と会わないというのは、これは国鉄当局の判断に基いておることであり、それは国鉄当局とその組合との関係であると存じます。藤林委員長がこの問題の円満解決と申しますか、合理的解決をはかるべく努力される場合に当りましては、これは藤林委員長自身が委員会の了解を得られた上での行動でありまするので、これは藤林委員長の責任において行われておる行動であり、また公共企業体労働委員会というものはやはり第三者的立場に立たれるのが私は至当であると考えておる次第でございます。
 第三に仲裁裁定の実施、第十六条の規定のことに言及せられたのでありますが、私は公労法の精神は、やはり仲裁裁定の実施というところにあるのであって、第十六条はやはり例外規定であると考えます。そうしてその例外規定を残しておくことは、財政法あるいは国会の審議権というものの関係からもそれを残しておいたのでありますが、しかし精神は、国鉄その他の公共企業体の労働組合から争議権を奪っております以上は、それにかわるべき仲裁裁定はやはり原則として実施すべきものと考えておる次第であります。
#7
○中川委員 ただいまの御答弁中、公労法第四条第三項の解雇職員の権限の問題については、これは国鉄当局がやっておるので、自分としてはあえてこの問題は関知すべき問題でないというような御意見があったやに伺ったのでありますが、政府は去る二十五日、労働関係閣僚懇談会をお開きになったはずであります。一体この労働関係閣僚懇談会でそういう問題は出なかったのでございましょうか、どうでしょうか。なるほど今お話しのように、藤林公労委委員長が小柳国鉄委員長をお招きになろうとなるまいと、これは政府の関知されるところではない。しかしおそらく公労委の事務局は労働省の中にあって、政府が直接監督しおられるだろうと思います。そうでなかったら、御教示を願いたい。富樫君は少くともついこの間まで労働省の労働基準局長をしておられた、その富樫君がこの会合に参画されるということについては、もし政府の去る二十五日の労働関係閣僚懇談会で、先ほど私がお尋ね申し上げましたような問題を取り扱われたとするならば、この労働関係閣僚懇談会には労働大臣は当然出ておられるはずでありますから、それらの点はその際お話しになったのではないか、かりにそのときお話が出なかったにいたしましても、これは国鉄の問題であるとか、あるいは専売公社の問題であるとかいう問題ではございません。公労法というものは何も国鉄だけに適用される法律でもないことは申すまでもないし従って公労法の第四条三項に規定されておる解雇職員の問題は、当然私はこういうようなときには重要視さるべき問題だと考えるのであります。従ってもう一度大臣にお尋ねしたいことは、去る二十五日の労働問題の関係閣僚懇談会で、そういうような問題は取り扱われなかったのか。もう一点は、藤林委員長が勝手にお呼びになったのだから、政府は関知しないというので、大臣の幕下にあるところの富樫公労委事務局長をお出しになることは差しつかえないとおっしゃるのか。この二点についてお伺いをいたしたい。
#8
○石田国務大臣 前段の富樫君の問題でありますが、富樫君がかつて労働省の役人であったことは間違いありませんけれども、公労委の事務局長は委員長の任命でございます。従って私の指揮下にはないのであります。行動は私から独立して行なっておる、こういうことでありますから、御了解をいただきたいと思います。
 それからもう一つ、私が聞いておりますところによりますと、正式のあっせんではございません。これは事情聴取という段階でございます。以上の二点で、第一の方は御満足を願います。
 それから第二の二十五日の労働関係閣僚懇談会は、当面の問題と申しますよりは、私どもが改造後の新内閣として、労働問題をどうしていこうかという基本的な考え方、長い計画についてお話し合いをいたしましたので、その席上におきまして、この当面をしております問題については特に議題と相なりませんでした。しかし私は、やはり何事もあらゆる機会をとらえていい労使の慣行を作り上げていくことに努力しなければならぬと思っております上、その前に、これは私が着任の前でありますが、国鉄公社総裁から労働省に対しまして、公労法四条の規定によって、いわゆる首のない整理された、解雇された職員が役員になっている場合、これと団体交渉をすべきものであるかどうかという法解釈の質問がございました。そのときにこういうふうにお答えをいたしておるわけであります。労政局長の名前をもって返事をいたしております。あて名は日本国有鉄道総裁であります。
 「組合役員の解雇に関連し、団体交渉等の取扱に関する照会について、昭和三十二年六月七日職労第六一九号をもって御照会のあった標記の件については、具体的事態に対応して慎重に判断されるべきものと考えるが、一般的には、当職の見解は次のとおりであるから了知されたい。記、公共企業体等の職員が組織する労働組合の役員が解雇され、その職員たる身分を失った場合は、公労法第四条第三項の規定により、役員たる地位にあることができないこととする。したがって、委員長等組合を代表する機関のすべてが被解雇者によって事実上占められ、且つ、労働組合が適法に当該組合を代表する機関の選任を行わない場合は、当該組合は、代表機関を欠くこととなる。かかる場合には、当該組合は、労働協約を締結することができないこととなり、当局側が、これを理由として当該組合との団体交渉を拒否することは、一般に、正当な理由があるものと解する。また、被解雇者が労働組合の執行機関、決議機関等の構成員として事実上とどまり、その権限を行使する場合は、当該機関の決議等の効力に瑕疵の生ずることもあると考えられる。なお、当局側は、一般に、かかる労働組合の法律無視の事態に対応して相応な措置をとりうるものと考える。」
 以上の返事をいたしておる次第でありまして、これは私の着任前のことでありますけれども、私も同様の見解を持っておる次第であります。
 なおその後、日にちはちょっと忘れましたが、私はこの国鉄労働組合と当局との紛争の解決に当っては、やはり漸進的によい労働慣行を作り上げるための努力がなされなければならない、そのためには労働省といたしましては、労使双方とも現行法規を順守するという建前を貫いてもらわなければなりませんので、一般に解雇者の処分の問題だけを議題とすることなく、当局あるいは政府が仲裁裁定を完全に実施するということを背景といたしまして、国鉄労働組合は今後調停あるいは仲裁が行われておる途中において争議類似行為をなお行うつもりであるかどうか、あるいは公労法四条において規定せられておる解雇役員の問題をどう考えるかということについて、国鉄組合側の見解を聴取することが必要であろうということを国鉄当局側に対して私の意見として労働次官をして伝えてもらいました。以上の経過であります。
#9
○中川委員 大体わかりましたが、今労働大臣のおっしゃるようにいけば問題はない。しかし簡単にはいかないと思います。たとえばすでに先ほど来申し上げます通り、公労法四条三項の法律を無視して藤林公労委委員長がすでに首のない者を相手にしておる。これは藤林委員長がやっておるのだから直接に労働省は関係がないとおっしゃられればそれまででありますが、しかし何といっても労働問題については労働省がいろいろの点でイニシアチブをおとりにならなければならないことは申し上げるまでもない。従って内閣に労働関係閣僚懇談会をお開きになりましても、私はおそらく石田労働大臣の発言が最も大きなウェートを持つ結果になるだろうと思うのであります。そういう点から四条の三項は労働大臣としては関係閣僚懇談会に諮ってでも、絶対に法律を守らす、そういうことについて一つ御努力を願いたいと思うのであります。先ほど大臣からお話のありました公労委の事務局は直接の労働省の監督下にはないようでありますが、しかしないといいましてもこれは一連の関連はあると思います。全然関係がないのじゃないと思います。これらの点につきましてはよけいなことを言う必要はありません。一を言えば十を悟られる賢明なる大臣でありますから、十分に御検討いただきまして法律は厳守させていただきたいと思うのであります。最近の労働問題に見られるように、実に全く法律も何も秩序のないこういう労働運動が全国に頻発しておる。それによって迷惑をこうむりますのは一般国民大衆でございます。またこれを当りまえのごとく当然だ、法律を無視しておるのはみな政府であって、労働者のやっておることは正しいといってこれを支持する政党もある。でありますから、これらにつきましても十分に一つ信賞必罰の態度で、先ほど大臣が労使の関係は友情と人情だとおっしゃったが、まことにその通りであります。友情、人情も限度がございます。友情、人情をいかに施しても全然これを受け付けない動物が世の中にはおるのでありますから、これらの点につきましても、ただ友情、人情だというので、この法律の適用を怠られることのないように、大臣から特に事務当局に対しても、この点を御指示願いたいと思うのであります。
 それから次に、その賃金対策であります。先ほど大臣の御所見の中に現実的な最低賃金制を確立する合理的賃金体系の確立をやらなければならぬというようなことをるるお述べになったのでありますが、私はこの賃金問題についてちょっとわからないから、これは一つお教えを願いたいのでありますが、中央賃金審議会なんかがあって、最低賃金制の審議をやっておるらしい。一体いかなる科学的根拠に基いて賃金をきめようとするのか。これはこまかいことでありますから、大臣でなくてもよろしい、事務当局にお答え願いたいのでありますが、たとえば最低賃金制とは何かわからない。たとえば一人の人間が一日に三合の米を食ってそうして住居費は幾ら幾らで、いわゆるいろいろな費用が幾ら幾らかかるから、最低賃金としては一カ月にこのくらいだという基準があるはずでございます。これはもちろんそういう科学的な根拠に基いて、私は最低賃金制なるものはきめられるものだと思うのでありますが、しかしそれはいつごろおきめになったものが、どういうふうな変革に基いて今日のこの経済状態、物価状態とマッチするように訂正されたか、あるいはずっと前にきめられたものがそのままになっておるのか、最近の物価の状態、いろいろな社会の経済状態を勘案されておきめになったことがあるのかどうか、私は不勉強ではなはだ恐縮でございますが、そういう点について一つ最低賃金制とはどういうものであるか、それの経過、過程と申しますか、そういうような点についてまずお伺いしたいと思います。
#10
○堀説明員 賃金は労使間の話し合いによってきめられるのが原則でございます。しかしその場合におきまして、労使間の話し合いだけでなしに、何かその間に国家がこれに介入いたしまして賃金の最低限を規制しようとする制度が最低賃金制でございます。しからばその場合に、最低賃金の額というものは何を基準にしてきめるのであるか、こういうお尋ねでありましたが、これは今まで国際的な事例等を見てみまして、大体こういうことになっておるのでございます。また学者もこういうことを言っておるのでございますが、まず第一に考慮さるべきものは、その地方における労働者の生計費でございます。それから第二番目に考慮さるべき基準は、その企業におきまする賃金の支払い能力でございます。それから第三番目に考慮さるべき基準は、その地方におきまして同種産業に支払われております平均的な賃金、いわゆるプレヴェリング・ウェッジと申しますか、そういうものがあるわけでございます。これら三つの基準を彼此勘案して、その間に適当な最低賃金がきめらるべきものである、こういうふうに考えられておるのが今日までの大体の考え方でございます。
#11
○中川委員 いつごろそうなったのですか。
#12
○堀説明員 これは最低賃金制の初めてできましたのは、一千八百何年ですか、当時のオーストラリアにおいてできたのが最初でございますが、それから以後第一次大戦の勃発いたしますまでに約二十ヵ国でできたのでございます。従いまして大体こういうような考え方がきまって参りましたのは、二十世紀の初めくらいからこういう考え方がだんだん固まってきたわけでございます。
#13
○中川委員 私は今伺いましたが、ちょっとふに落ちない点がある。大体私は人事院勧告なるものについて納得しがたい点がある。今十九世紀か十八世紀か知らないが、オーストラリアかドイツか知らないが、そういうところの基準に基いて日本でもやったというのですが、私は日本の賃金のそもそもの源泉というのは、何といっても一般国民大衆、ことに非常な人口を占める農山漁村民の生活の程度というものが根幹にならなければならぬと思う。ところが現在の賃金制が論ぜられておるのは、皆官公吏と近代産業、重点産業、大きな産業、これとのバランスの問題から論ぜられておるでしょう。ところが農山漁村の一般国民大衆、社会党の諸君が口ぐせのように言う国民大衆の生活というものは向上されていない。向上されてはおるが、重点産業や官公吏の諸君に比べてテンポがおそい。このテンポのおそいところの一般の農山漁村民に対するところの生活の向上ということは、社会党も言いながら、皆ほっておって、そうして政府もまた人事院が勧告を出す場合には、いつでも対象にするのは重点産業、近代産業、電気企業だとか、大きな製鉄業とかいうものの賃金がどんどん上っていく、そうすると官公吏の賃金が低くなるから、あとを追っかけるようにして人事院が勧告してくる。ここに大きな間違いがあると思う。そこが政治だと社会党の諸君は言うが、一般国民大衆の生活を向上するところに政治の面がある。貧富の懸隔をなるべく少くする。(「賛成」と呼ぶ者あり)賛成だと言われる社会党の諸君の言っていることと行動が違うのだ。一般国民大衆、つまり農山漁村民というものの生活は、御承知の通り今日きわめて低い。でありますから、そういうような点について、これは人事院に関する問題でありますが、しかし人事院に関する問題と言っても、やはりあなた方も政府の一員なんだから、十分に一つ考えてもらいたい。大臣は賃金制の問題につきまして、今私が述べましたことについてどういうふうなお考えを持っておられるのですか。ただ官公吏の俸給が近代産業、重点産業のあとを追っかけることだけが私は賃金対策だとは考えないのでありますが、大臣はこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
#14
○石田国務大臣 最低賃金制を考えます場合は、今中川委員がおっしゃったように、勤労者の中におきます一番恵まれない層の生活の上昇というところに重点を置いているのでありますが、農山漁村との比較、農山漁村の生活の向上ということをおっしゃいましたが、これはごもっともであります。これは私の所管ではございませんので、政府全体として考慮すべき問題だと思いますが、労働問題、特に労働問題の中の賃金問題で、特に最低賃金制を取り上げましたのは、今お話の通り大企業及び公企業の労働賃金と中小企業の労働賃金との格差が開き過ぎておる。その格差をどうしても縮めていかなければ、極端な場合ですと、まだ十七、八歳の少年ではありますけれども、一日百円以下の賃金で働かしているところもあるのでありますから、そういうものはやはり幾ら労働力があって、労働力のダンピングが行われていると言いましても、やはり政府といたしましては下からのささえが必要だ、こういう考えで、御説の通り比較的恵まれておる人たちを対象にするのではなくて、格差の開き過ぎている恵まれない人たちの生活の向上に下からささえをいたす、こういう考え方でございます。
#15
○中川委員 結論としましては、私はやはり行政整理をやって役人の人員を少くする、そうして多く仕事をしてもらって多く賃金を払うということが私は一番いいのじゃないかと思うのであります。(「失業者はどうするのだ」と呼ぶ者あり)今赤松君が顔をまっかにして言われているように、失業者の問題も出てくることでありますから、なかなか一朝一夕にいかないが、私は歴代の内閣が行政整理をやる、行政整理をやると言って、今日までかけ声だけは――この内閣になってからまだそんなことを言われたかどうか知りませんが、かけ声だけはまことに勇壮であるが、皆龍頭蛇尾に終っているのを今日まで見てきておるのであります。龍頭蛇尾に終るどころか、逆に職員の数はふえておるのであります。でありますから、どうかひとつ賢明なる石田労働大臣は、行政整理は所掌事項ではないかと存じますが、しかしこれらの点につきましてもやはり最低賃金制やいろいろな問題と関連があるのでありますから、お考えおきを願いたいと思うのであります。
#16
○石田国務大臣 私の持論といたしましては、行政の簡素化、行政整理は必要だと考えておりますが、労働省は勤労者及び労働者諸君の生活を守り、お世話をする役所でございます。従って失業問題の解決あるいはその他の処置を伴わないでそういうことを主張せられる場合におきましては、私は勤労者及び労働者のお世話をする立場からにわかに賛成いたしかねるのであります。
#17
○中川委員 まあ、私の希望として述べておきます。
 次にお尋ねをするのでありますが、大臣が先ほど来しばしば口にしておられること、さらにまたラジオ討論会その他で口がすっぱくなるほど述べておられることは、よき労働慣行を作るということであります。これはまことにけっこうなことでございます。しかして、ちょいちょい大臣の口の裏から漏れてくることは、今日まで労働者だけは法律を守っておるのに、政府は守らなかったんじゃないかというような疑念のある言葉が漏れるのであります。大臣はお気づきにならぬかもしれない。私は特に大臣の、ラジオの討論会とかその他の話をよく聞いておるのでありますが、どうもそういう疑いがある。たとえば先ほどの例の十六条の問題、仲裁裁定の問題でありますが、先ほどもちょっとおっしゃったように、お互いに仲裁裁定をよく守らなければならぬ。それならば今まで政府は守っていなかったのか。私は守っておると思うのです。これをぶち破っておるのは全く一部の過激な労働者の諸君だけであります。しかし何だかそういうような口うらからにおいが漏れてくるのであります。そこで、そういうようなことについて、私どもの保守党内閣が違法行為をやっておるというような疑念を国民に与えることはまことに遺憾なことでありますから――大臣はそういうようなお気持でおっしゃったのじゃないかもしれませんが、ちょいちょいそういうにおいがありますから、どうかこれらの点については御注意を願いたいと思うのであります。決して私は大臣がそういうことをはっきりおっしゃったと言うわけではありません。そういうようなことがありますと、政府は法律は守らないのに、労働者だけに何か無理じいをしておるというような感じを一般国民大衆に与えることは、結果においてよくないことだと考えます。これは別に答弁を求めるほどの問題ではございません。もちろん仲裁裁定の問題につきましては、先ほども申しました通り、財政法の問題もからんでくることでありますし、また国会の審議権の問題もあるのでありますから、そう簡単にいかないことは私どもが申し上げるまでもないことであります。そういうような疑いを多少でも国民に持たすようなことは、今後御注意をいただきたいと思うのであります。
 私の質問はこの程度にいたしておきます。
#18
○石田国務大臣 今のことは誤解が非常にありますから、明らかにしておきたいと存じます。
 私は今までの政府が公労法に違反しておったとは考えておりません。公労法の十六条の規定にのっとってやったのでありますから、法律違反でないことは申すまでもないのであります。しかし、それでは今まで仲裁裁定が行われて実施の状況はどうかといいますと、今日まで仲裁裁定が行われましたものは三十二件であります。そのうち完全実施をいたしたものが二十件でありまして、給与に関するものが十八件、その他に関するものが二件であります。それから実施時期をずらしたものが十一件であります。一部削減したものが一件であります。従って労働組合がほとんど全部実施しなかったというようなことを言っているのは明らかに間違いであります。しかし今まではそれぞれの理由があって、やむを得ざるものがあって十六条の規定を援用する場合もあったのでありますが、これから現行法規を守ることを双方に要求する場合におきまして、また公企業体から争議権を奪っている場合におきましては、やはり仲裁裁定というものを守ることが政府の労働政策の基本でなければならないという、これからの私の心がまえを申し上げておるのでありまして、今までのことが法律違反であったとかあるいは間違いであったとかいうわけではございません。それと同時に、組合側におきましても、今まで違法行為がしばしば行われておる。ところがそれが、その違法行為をその場その場をおさめたいばかりに、つまり秩序のない、筋の通らない一時的妥協を繰り返しておる。それで違法が既得権と認められ、積み重なってきておるような傾向が見受けられたのであります。従って政府もこの公労法の精神をあくまでも守っていくつもりでありますが、今まで違法行為があるたびに妥協によって積み重なって参りました既得権のようなものは私は認めて参るべきものではないと考えております。従ってこちらの方向といたしましても、厳重な一貫した態度をもって双方に臨みたいということを申しておるのであります。違法と申しますか、あるいは法の精神と申しますか、そういうものについてここはこうであった、あすこはああであったということを議論し合っておっても前進しないと思いますので、政府は守るべきものは守り、あるいは組合側に対しても現行法規をあくまでも厳守してもらうという両方の態度を貫くことは、私がしばしば申しますいい労働慣行を作り上げる基本であると考えておる次第であります。
#19
○藤本委員長 赤松委員。
#20
○赤松委員 まず第一に私がお尋ねしたいのは、六月二十九日の自民党の労働問題特別調査会におきまして労働政策の要綱がきめられまして、これが七月の上旬に発表されております。続いて労働省は七月二十三日省議におきまして労働政策の大綱の原案を作られまして、これを発表されております。さらに大臣は大阪におきまして二十一日記者会見において所信を発表されております。そこでお尋ねしたいのは、石田労働大臣のこの大阪における発表あるいは労働省の省議に基く要綱の発表などは、六月二十九日の自由民主党労働問題特別調査会の決定とどのような関連があるのか、この点につきまして一つ御答弁をば承わりたいと思います。
#21
○石田国務大臣 ちょっと今のお話に間違いが二点ばかりありますから、訂正いたしておきます。労働省の省議において労働政策の大綱について検討を加えたことは事実でありますが、発表したことはございません。新聞に漏れて出たようでありますが、それは発表したのではございません。それから私は大阪でしゃべったのではなくて、郷里の大館であります。大阪へは就任以来参ったことはございません。それと倉石君が委員長をしております党の特別調査会の発表とどういう関係があるかということでありますが、私はそれを非常に大きく参考といたしまして、その中から、私の考えておるものの中で特に私が早く行いたいと思うものを重点的に摘出いたしておる次第であります。
#22
○赤松委員 この六月二十九日自由民主党がおきめになりました労働政策の要綱の中にいろいろございます。特に労働法規の改正等につきましてはきわめて重大な改正の要綱が示されておるわけであります。これはもう説明するまでもございませんけれども、公共企業体等労働関係法あるいは国家地方公務員の労使関係等につきましてきわめて大胆に、しかも現行法を抜本的に改正するような要綱が示されておるわけでございますが、これに対しまして大臣はいかなる御見解をばお持ちでありますか。
#23
○石田国務大臣 私の現行法に対する考え方はしばしば申し上げた通りでありますから御了解いただけると思います。そこで具体的に示されている問題でありますが、私はなお現行法で満足する、あるいは解決できるような方法がないかということを目下一生懸命検討しておる段階でございます。
#24
○赤松委員 しからば、先ほどおっしゃいましたように、人と人との関係であるから現行法はこれを守っていきたい、こういうようなお考えだと受け取ってよろしゅうございますか。
#25
○石田国務大臣 人と人との関係であるから、イの一番に法改正や処罰の強化をもってこの問題の解決をはかるという考え方は間違いである。それからもう一つは、現行法規が一体完全に実施されておるか、あるいは十分な解釈が行われておるかということをもう一ぺん私は私の責任において検討する必要がある。その上において考うべき問題だ、こう思っている次第であります。
#26
○赤松委員 それではただいまいろいろ御意見をお述べになりましたが、その御意見は閣議の決定でもありませんし、あるいは自由民主党の政調会の決定でもなくて、石田労働大臣個人の見解である、こういうふうに考え、今後それが大きく変り得るであろうということを考えてもよろしゅうございますか。
#27
○石田国務大臣 私は個人として今申し上げておるわけであります。労働大臣として私のやりたいと思う見解を申し上げているのであります。しかし、正式に閣議の了解を得たものでもなければ、あるいは党との調整を完全に終ったというものでもございません。従って若干の修正は行われるでありましょう。しかし大きく動くようになれば私の責任問題だと考えております。
#28
○赤松委員 あなたが御郷里の大館で発表になりました際に、あなたは、私は労働政策については一切岸総理からまかされておるから、従って私の責任においてやっていくという強い発言をされておるわけであります。労働行政を担当される労働大臣としましては当然の御発言だと私は思うのでありますが、聞くところによれば、自民党の政調会の意見とあなたの意見がなお十分調整されていない。大きな食い違いであるか、小さな食い違いであるか私は存じませんが、少くとも最終的には意見の一致を見ていないのだ、こういうことをしばしば聞くわけであります。従いまして、われわれといたしましては、あなたの労働大臣就任に際して、石田労働行政の全般の大綱を示していただく機会を得たことは大へんけっこうでありますけれども、これが後になりまして、閣議の決定やあるいは自民党の政調会の決定によって大きくゆがめられていくということになりますならば、せっかく私どもこうして御質問申し上げておりましても、このことは無意味になりますので、以下私が御質問申し上げる諸点につきまして、少くともあなたは責任を持ってそれを達成されるという気持で答弁しておるかということをお伺いいたしまして、以下質問に移りたいと思います。
#29
○石田国務大臣 どうも大館の表現の強さ――これは新聞記者が書かれたことでありますから、私はその言葉そのままを責任を持つわけには参りませんが、しかし、いかに自分の責任においてやると申しましても、やはり内閣の一員であり、あるいは政党内閣でございますから、その間の調整をはかって参らなければならぬことは当然であります。しかし、政務調査会あるいは労働問題特別委員会の考え方と私の考え方との間に、基本的な大きな開きがあるなどということは間違いであります。ただ、具体的に問題を実施するに当りまして、本年度予算のワクあるいは財政その他、他の施策との関係において速度に若干の調整をする必要が生ずることがあるかもしれませんから、今申し上げましたこと、それをそのまま私がきまったものとして発表し得られない段階であることを冒頭に申し上げる次第であります。
 いま一つは、やはり内閣の一員あるいは政党内閣の一員といたしまして、それぞれの最終的機関においてきまらないものをいかにも固定したものだとお話をすることは、建前上やはり間違いであるから冒頭にお断わり申し上げる次第であります。
#30
○赤松委員 公労法は、御承知のように制定以来当委員会におきまして相当議論のあったところであります。それは政府当局や国会だけの意見でなくて、学識経験者の中におきましても、また裁判等におきましても、その解釈をめぐりまして大きな問題が出ておるわけです。これは私自身もそう思っております。公労法はずいぶんへんな法律だと思っております。一方におきまして拘束力を持たせるような姿勢を示しながら、他面において予算上資金上と逃げまして、そうして内閣に強大な権限を与えまして、公労法の精神をばしばしば無視するような場合があったと思います。従って、この法の改正ということにつきましてはわれわれまた別の考えを持っておるわけでありますが、ここで私がお尋ねしておきたいことは、公労法の問題と関連しましていつも出て参りますことはすなわち公共の福祉の問題です。それと憲法二十八条の問題なんです。これは元小坂労働大臣就任以来、あるいは倉石労働大臣等ともしばしば論議した点でありますけれども、憲法二十八条に重点を置きまして労働法規の問題をば考えていくということになって参りますと別な問題であります。政府は、憲法二十八条は公共の福祉の問題を抜きにしては考えられないのだ、今までこういう議論をされて参りました。私はここで憲法二十八条の問題をつかまえて新任早々の労働大臣と抽象的な議論をばしたくないのでありますけれども、何と申しましてもこれは国の基本法です。国の憲章なんですから。従って、国家公務員として当然憲法の精神を守っていかなければならぬし、また守る義務があるのです。この憲法の解釈というものが労働行政全体に非常に大きな影響をもたらしますから、この際石田労働大臣から憲法二十八条につきましてその明確な解釈をば示していただきたい、こう思います。
#31
○石田国務大臣 公共の福祉が優先するものと考えております。ただし、そのワクの中で勤労者の利益擁護をできるだけはかって参るのが私どもの役目だ、こう考えております。
#32
○赤松委員 あなたの言っておられますよき労働慣行をば作りたい、労使関係をば形成したい、そういう希望は小坂労働大臣以来ずっとみな政府が言ってきたことなんです。そこで、よき労働慣行を作るという具体的内容、それにつきましてはあなたの御所見を承わりたいと思います。
#33
○石田国務大臣 現行法規を労使双方とも完全に厳格に守ることを忍耐強く貫くことによって得たいと考えております。
#34
○赤松委員 今公労法が問題になっておりますが、公労法だけをつかまえて、これだけでよき労働慣行が形成できるというようなことは考えておりません。なぜならば、それは全体の労働者のうちのほんの一部分である公共企業体関係の労働者と公社当局との関係であるから、私は、少くともよき労働慣行を作るという場合におきましては、広範な一般民間企業も含めたそれでなければならぬ、そうしてよき労働慣行は一体何かということになりますならば、ひとり私は仲裁裁定の問題だけではないと思います。もっと大きな問題は、基準法が今日完全に守られておるかどうか、あるいは職業安定法というものが完全に守られておるかどうか、法規に反した臨時工というものが雇用されておらないかどうか、そうしてそういう臨時工の雇用というものが一般の正常な雇用を圧迫していないかどうか、あるいは先般三重県の津でしたか、基準局長が自分の妻君に売春宿を経営さして、そうしてそこに十六か十七才かの売春婦を雇って売春行為をば行わしておったというような事実もあるわけです。そういうように労働行政全体が今腐敗しつつある。労働基準法違反件数は年に三十万件と言われておるわけでございますけれども、そういうような全体の何といいますか、労働法規自身の取締りがだんだんだめになりつつある。そうしてその面からの――先ほど労働大臣は労働省はサービス省だということを言われました。その通りです。それは設置法にちゃんと書いてある通り、その通りであります。しかしそういうことが現実に行われていないわけです。そういうことが行われていない中で今公労法の中の仲裁あるいは裁定、調停等の問題だけを取り上げて、そうしてその中でよき労働慣行を作っていくんだというようなことを一つぽつんと取り上げておっしゃいましても、われわれといたしましては納得でき得ないわけであります。ですから、石田労働行政がよき労働慣行を作るという場合におきましては、多面的な、そういう全労働者的な規模におきまして、あるいは全企業的な規模において賃金の問題、あるいは職業安定の問題、あるいは失業対策の問題、あるいは労働基準の問題、こういう問題全体についてやはり責任のあるサービス行政をば行なっていただかなければよき労働慣行というものは形成できない、こういうように思いまするが、あなたの所見はどうでしょう。
#35
○石田国務大臣 津で行われました事件はきわめて遺憾なことでありますので、即刻懲戒免官にいたしましたが、なお省内の綱紀の粛正については厳格な態度をもって臨むつもりでございます。
 それから公労法以外の法律の順守についてお話がございました。これも法の精神を尊重して順守せしむべく努力をしなければならぬことは申すまでもないのでありますが、しかしわが国中小企業の実情を無視して行うということは間違いなのでありますので、法の精神を尊重して誤まりなきようその指導に重点を置いて、そうしてできるだけ早い機会にその法の精神を実施することが無理のない状態を作り上げたいと思っておる次第であります。いたずらに罪人を作るのが目的ではなくて、やはり漸進的にやっていくのが私は正しいことだ、こう考えておる次第であります。ただし基準法あるいはその他労働関係法と公労法との間に全然無関係だとは申しません。しかし公労法の適用を受けておる範囲におきましては、私は基準法あるいはその他の法律は厳格に行われているものと考えておりますし、また行わなければならぬと思っておる次第でありまするから、公労法の建前は他の法規の漸進的な状況に藉口をいたしまして、公労法は法を守らなくてもいいのだという議論は私は出てこないと思っております。
#36
○赤松委員 地方に参りますとこういうことを言われますね。今度石田さんが労働大臣になった、これはめちゃめちゃをやるぞ、こういうことを言う労働者があるのです。それで私は、御承知のようにあなたが当選されまして以来いろいろな委員会で、ことに議運などでよくおつき合いをしまして、あなたの気象は大体私は知っておると思います。強い半面もありますけれども、やはり私は法をたよらない、人間と人間との関係だというような意味におきまして、いい場合も悪い場合もありましょうが、やはり法をかなり政治的に解釈され、また運用される場合もあり得ると思うのです。私はそういう意味であなたに聞いておるのですけれども、基準法は完全に守られておるということをおっしゃいましたけれども、守られておりますか。どのくらい守られていないかということは労働省が一番よく知っています。亀井さんなんか前に基準局長をやっているから一番よく知っている。基準局長をやったものはみな知っています。あなたは労働大臣になりたてなんで――今までは労働大臣はしばしばこう言われます。何しろ人手が足りないで弱っております。こういう答弁をして、ぜひ人員の増加という点についても御協力を願いたいということを言ってきたわけですけれども、私はやはり地方の基準局の状況などを見ますると、実際あの状況では基準法を完全に守るような監督行政はちょっとできないんじゃないか、たとえば一人でもって完全に監督行政をやろうとすれば、三年に一回しかその工場をば回ることができないというような実情にあるわけです。これは保守とか革新とか自民党とかあるいは社会党ということを抜きにしまして、少くともある法をばこれを守っていくんだという建前に立つとすれば、この違反件数をば少くし、そのために監督行政をばきびしくして、そうして労使のよき慣行をば作り上げていく、こういうノーマルな労働行政が当然私は行われなければならぬと思います。あなたは政治力がある労働大臣と私は確信しておりますが、その点についてはどうでしょう。今のような基準行政で放任しておいていいかどうか。私は現行のままでは絶対に基準法を完全に守るような監督行政はできない、こういうふうに確信しておりますが、できるとおっしゃるならばその根拠を示してもらいたい。
#37
○石田国務大臣 私はおだてられた分は別といたしまして、今労働基準法につきましては二つの議論があると思います。
 一つはやはりわが国の中小企業の実情にかんがみて、この法自体が先に進み過ぎておるという議論があります。それからもう一つは、この法自体は間違いでないのであるから、この法が進み過ぎているからといってあと戻りするような直し方をすべきでないという議論が二つあると思っております。私は、今この基準法というものを実情に沿わないからといって、進んでおるものを直すべきでないという議論は、ちょうどこれはよけいなことかもしれませんが、現行憲法は世界の情勢から見て進み過ぎているけれども、正しいのだから直すべきでないというあなた方の考え方にも通ずるものがあると思います。またそれに国内においてこういう現実的な問題を処理していく場合におきまして、やはりその基準としては、今のものを後退させるよりは、私は今のものは残しておいてもこの運用によって漸進的に直していくという考え方を気長くとる方が正しいじゃないかと私は今考えている次第であります。特に監督上に運用でよく指導するということになれば人間が少いじゃないかというお話でありますが、なるべく私は現行の定員をもってできるだけその運用の妙を得てもらうように努力をするのが私の建前でありまして、私はいろいろ経験をした上で御説のようなことがございますことをいよいよ痛感いたしました場合には、その際はまた別に考えたいと思っております。
#38
○赤松委員 次に私はお尋ねしたいのですけれども、それはやはり大館のここで発言されております中におきまして、最低賃金の問題に触れられておるわけです。そうしてこれを次の通常国会に出したい、こういうことを言っておられます。次の国会にお出しになるということをすでに発表されたのでございますが、その内容について、さらに全労案をば支持するということを言っておられます。これはおそらく全労会議においては非常に迷惑をしていると私は思っております。その全労案の基本的な考え方と、それから保守の政権である岸政府の考え方とは私は本質的に違う点があると思います。しかしそういうことは別といたしまして、この際お伺いしておきたいことは、政府が次の国会に提案をされるところの最低賃金法案の内容、それからもう一つは、社会党案に今まで反対をされて参りましたが、その社会党案に反対をされまする一番大きな根拠です。こまかい点はけっこうですが、一番大きな根拠につきまして労働大臣の御見解を明らかにしていただきたい。
#39
○石田国務大臣 私が全労案を支持すると言ったというふうに新聞が書いておりますが、新聞記事をよくお読みになるとおわかりだと思うのです。いろいろのことについて私の意見を聞かれましたので私がそれにお答えをいたしましたら、記者諸君が、それは全労の考え方によく似ているじゃないか、こういうお話であります。そうかもしれない、少くとも全労の諸君が反対をするようなことはなるべくやらぬ方がいいと私は考えておるのだと言っただけでありまして、相手方が御迷惑であるかどうか――直接御迷惑だということを承わっておりませんが、私は御迷惑でなかろうとあろうと、どなたの御意見でも賛成なものは取り上げて実施に移したい。特に赤松君のごときは多年の御交友でありますから、いろいろ御意見を承わらせていただけますならば、私の方で賛成できるものはできるだけ実行に移したいと考えております。
 次の国会に提出する案の内容については、ただいま中央賃金審議会にも諮問をいたしております。これは具体的実施の方法いかんという諮問ではございませんが、そういう調査をお願いいたしております。それから労働省といたしましても今検討を続けておる次第でありますが、基本的には、職種及び地域別の業者間協定を基本といたしまするものを考えたい、こう考えておる次第であります。
 社会党案に反対をいたします最大の理由は、これが画一的であるという点でございます。
#40
○赤松委員 どうして画一的であるという点で反対されますか。われわれは、法律を作って、ちょうど基準法と同じように画一的にやらなければ最低賃金制はしかれないのだ、そういう考え方の上に立っているのですけれども、その点についてはどうですか。
#41
○石田国務大臣 日本の産業のあり方、企業自体の経営能力というものはなかなか画一的に参らない。それから労働の量、質にも大きな差があると私は考えますから、やはり現実的にやって参ります場合、また企業自体をつぶさないでやって参る必要があると考えますから、そう考えておる次第であります。
#42
○赤松委員 われわれは業種別的な賃金体系を作ろうというのじゃない。量や質は問題ではなくて、労働再生産に必要な最低の生活保障は最低賃金制に求めよう、こういうのでございますから、今の労働大臣の答弁は少しおかしいと思うのです。しかしそれは別といたしまして、この点については少し質問も無理かと思いますから、これはやめておきましょう。
 ただここで再度お尋ねしておきたいことは、今賃金委員会に諮問中であるというお話、さらに労働者におきまして検討中であるというお話でございますけれども、今労働省で検討されております業種別あるいは地域別の具体的な内容をもう少し詳しくお話をしていただきたい。と申しますのは、前の二十六国会におきまして、われわれは静岡のミカン業者が行なっている最低賃金制の問題をば明らかにいたしまして、あれは最低賃金制ではなくてむしろ賃金ストップだ、最高賃金制だといって反対をしておったのであります。そういう意味で、その案の内容につきまして、もし労働大臣の方でおわかりにならなければ、関係のあれでよろしゅうございますから、一つ明確にしていただきたいと思います。
#43
○石田国務大臣 おわかりになる、おわかりにならぬは別といたしまして、まだ皆さん方に発表する段階に至っていないのであります。
 それからもう一つは、御心配のような最高賃金制になるようなことは、もとよりする意思はございません。
#44
○赤松委員 次にこの国際労働大臣に鉄の問題と関連をいたしまして一点お伺いをいたしておきたい点があるわけです。
 さっき中川委員からとんでもない御質問があったわけですけれども、小川委員から、なぜ政府の方がもっと積極的に介入しないのであるかという御発言がありました。私は社会労働委員会の中におきましてああいう発言があることは、はなはだ遺憾に思うわけであります。言うまでもなく、労使は対等の立場にあるのだ、そうして対等の立場から団体交渉を行う、そして公正なる調停あるいは仲裁を求めることが法の建前であるわけです。従ってそこから出て参りました裁定をばどう実施していくかという問題につきましても、いろいろそれは問題が起きるでございましょうけれども、それと、政府が介入しなければならぬとか、なぜもっとしっかり介入しないのかという議論とは、私はおのずから違うと思うのです。もしその裁定の実施の過程においていろいろ見解の相違が出てきた、あるいはそれに伴って紛争が起きてきたと申しましても、それは治安問題ではないと思う。あくまでそれは労使の問題、労働問題でありまして、やはり憲法二十八条の範疇に属する問題だと私は思うわけです。従って政府の方から国鉄当局に対してああしろこうしろというような容喙がましいことをするのは、明らかに憲法違反の行為だと思います。私は前に二十六国会において岸総理大臣に言っておきました。それには岸内閣総理大臣も同意を示しておりますけれども、御承知のように電産の争議なども、後に至って最高裁などで無罪の判決が出ているわけなんです。それで解雇処分に関する問題、つまり労法違反であるかないかといような問題についてすでに労働組合側も訴訟をば提起し、またあとからいろいろな訴訟をば提起しようとしている。これは裁判所によって最終的にはきめられる問題である。その間にもし労働法規からはずれた、つまり労働組合法によって保護を受けることができないような事態が発生した、つまり刑事犯に属するようなことが発生したということになればこれはおのずから別個の問題になります。従ってどういう面からいきましても、政府の行政権力というものが労働争議に介入するということは許されないと思う。ただ国鉄を担当する立場にありますから、輸送の円滑等について運輸大臣等が心配することは当然ですけれども、労働大臣がこの労働関の中へ入っていって、そうして、絶対妥協を許さぬとか、政治的生命をかけてもおれは反対する、そういうような態度をとるということは、公労法に反するというよりも、私は憲法の精神に反するのではないか、こういうふうに考えているのでございます。
 こういう点につきましては先ほど来しばしばよき労働慣行をば作りたい、こういうふうに言っておられます。従ってよき労働慣行を作るためには――あの公労法という労働法規の中で行われているところの紛争なんです。従って政府は容喙する権限もなければ、また介入することは不当である。それはだれによって解決されるかといえば、その場合、もし国鉄公社自身が悪いならば当然これは国民によって批判され、労働組合自身が悪いならば国民によって批判される。要するに民主主義の政治ですから、これは世論にまかすべきであるということが一つ。もう一つ、違反する行為であるかどうか、違法行為であるかどうかということは、これは行政解釈によって、びしびしやる、行政権力の介入によって、たとえば警察権をば発動させるような教唆扇動をやるのではなくて、やはりこれは裁判所の裁判に最終的にゆだね、その結果を待つべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。これが第一点。
 第二点としまして労働大臣は、今後こういう行為はやりませんということを言えばお前たちはかんべんしてやろう、一つ団体交渉にも応じてやろう、もしそういう約束をしないならば団体交渉に応ずるわけにはいかないというような意味の発言をされているようでありますけれども、これも私は非常に間違った発言ではないかと思うのであります。第一に政治的に考えてみましても、今四十万の労働者をかかえまして――この原因につきましてはあなた自身やはり問題を取扱った一人でありまして、放送討論会においてもあなたと私がやり合った。あなたにはあなたの言い分があり、われわれにはわれわれの言い分がある。われわれはあれはやみ給与ではない、団体協約によって獲得した確定賃金だ、こういう解釈を持っております。従って予算単価にはプラス・アルファすべきであるという見解を持っておりますけれども、そのことはしばらく別といたしまして、現に四十万の労働者をかかえている労働組合が、この裁定の問題でああいうような事態に陥ったという場合におきましては、少くとも労働省はサービス省なんですから、サービス省である限りにおきましては、介入する必要はありませんけれども、少くとも一歩でも二歩でも合理的な円満な解決の方に向いていくような、そういう雰囲気を作っていくべきではないか、こう思うのでございますけれども、無用な発言をされ、しかも不当な、労使の間の円満なよき慣行を作る一つの過程にあるそれに対して水をさすような、そういう発言をされることは私は間違いではないか、こういうように思います。
 もう一つの点につきましては、これは国鉄労働組合及び公社側におきまして、現に今団体交渉の機運が盛り上っておる。私はここで仲裁委員会に言いたいのですけれども、そもそも仲裁委員会というものは、給与の問題を扱うところだけではないと思います。現に今まで出ました裁定の中には、労働条件一般に関する問題も入っておるわけですしそこで裁定によってこの紛争が起きております以上、しかも裁定に対する確固たる仲裁委員会の見解というものが、国会に照会して委員長以下に尋ねてみましても、それが明確になっていない。非常にあいまいである。あいまいだから政府の見解と私どもの見解がよけい混乱する。その混乱の一半の責任は私は仲裁委員会にあるとさえ思うわけであります。そうしてそれによって起きました紛争でございますから、私は仲裁委員会というものはもっともっと早く出て参りまして、労働省はサービス省ですから出る必要はない。これはうしろに引っ込んでおればいい。先に出て来なければならないのは、私は当然仲裁委員会であると思う、仲裁委員会が全努力を傾けて、それはあっせんという形をとるか、あるいは調停という形をとるか、そういう形の問題は別です。問題は誠意の問題である。誠実だと思うんです。こういう大きな問題でありますから、みずから下した裁定について、その裁定に関して疑義が生じた。その生じた疑義に基いて紛争が起きておるのでございますから、仲裁委員会としてはもっと積極的な行動をとるべきではなかったか。しかしこれは労働省に言っておるのではないのであります。少くとも公労法を私どもがいろいろ運用する面におきまして、この仲裁委員会のこういう能動的な活動というものを前提としなければ、ただ調停と仲裁の案をぱっと出して、そしてよきように取り計らえというのであっては、私は本来マッカーサー声明によってスト権の剥奪をされた、そのかわりに与えられましたこの調停、仲裁というものの意味をなさない。いわんや、調停、仲裁の解釈でさえも、これが仲裁委員会によって正しく統一的に正確に表明されない。いわんや裁定の問題だけでなく、その拘束力がきわめてあいまいでございますから、いつも損をするのは労働者の方である。労働者の方は団体交渉によってお願いをしておるのではない。当然の権利としてその余剰価値を要求しておるわけです。何も主人に対して家来が物ごいをしておるわけではない。自分の労働の剰余価値に対して当然その剰余価値のある部分は与えてもらいたいというところの立場に立って、あすの労働再生産のために、今日剰余部分の要求をやっておるのですから、私はどろぼうでも何でもないので、正しいと思う。これは農民が米価の値上げを要求するのと同じ精神だと思う。そういう意味から申しますならば、これは単なる物ごいでも何でもない。あるいは出さなければやっつけるぞという昔の東条軍隊的なものではないわけです。だからこそ国鉄労働組合は三月の十一日でしたか十日でしたか調停案が出たときに、その千二百円の調停案を不満であるけれどものみましょう、承知いたしました、こういってのんでおる。その後に抜き打ちストが起きたのは、たしか私は三月二十三日と思いますけれども、これも業績手当をやろうというので、ちゃんと団体交渉によって協約ができて、そうして公社側と労働組合が正当なよき慣行によって約束をいたしました。その約束に基いて業績手当を出す。その業績手当を目の前にして大蔵省が出してはいけないといって横やりを入れたということが紛争の原因になっておるわけでございます。こういう点は幸い労働省に入られたのだから、その事件の経緯というものを詳細に検討されまして、何か労働者の方がひとりむちゃを言っているのだ、こういうような考え方でなくて、なぜこういうような結果が起きたのであるか、なぜ輸送に混乱が生じたのであるか。それはひとり労働者の責任か、あるいは公社の責任であるか、大蔵省の責任であるか。そういう点を明確にして、正しいことを一つ国民に伝えてもらいたい、こういうように思うわけでございます。まあ過去のことを今ここで、二十六国会のことを新しく石田新労働大臣と何かその問題を引っぱり出してやり合おうという考えはありませんけれども、どうぞこれから国鉄の問題その他の問題を――民間の場合でも同じです、お扱いになる場合には、自分はサービス省の長なんだ、行政省なんだという精神をあくまでも忘れないで、そして憲法二十八条の精神をどう生かしていくか。そういう場合における紛争をば、よき慣行を作る一つの手段としてどのように教育し活用し、かつ習慣づけてやくか。そういう点について一つ強がりだけでなくて、高い立場から考えていただきたいということを、午前中の質問の最後として私は労働大臣に強く要求しておきたいと思います。
#45
○石田国務大臣 国鉄と組合側との交渉について、労働省が干渉する意思もまた事実もございません。先ほど何が違法行為であるか、違法行為に対していかなる処罰が適当であるかということは最後は裁判所がきめるべきだという御発言はごもっともであります。その通り処分撤回闘争などはなさらないで、その処分が不当であるか正当であるかは裁判所の決定まで静粛に双方が秩序を維持するように組合側に対して働きかけをお願いしたいと存じます。
 それからもう一つは、私がいい労働慣行を作るために、公社側に対しまして処分撤回の問題だけではなく、これからどういうことが約束されるかということを議題とすべきじゃないかと申したことは間違いであるようなお話でありますが、私は労働関係法規をあずかっておりまする建前といたしまして、またいい労働慣行を作る責任がある建前といたしまして、処分撤回闘争あるいは処分撤回の問題だけを議題とするのでなくて、これからどういう考えでおるかということを当然聞いておく必要があると私は今日でも信じております。
 それから春期闘争以来、仲裁裁定実施の過程について赤松君がいろいろおっしゃいましたが、私はその間自分で担当いたした者といたしまして、今の赤松君の御発言をそのまま容認するわけにいきません。私はそれらの事件について私なりの見解を持っておりますけれども、今ここで議論をする必要もなければ、またもう十数回すでにいろいろやっておりますので、省略をいたします。ただ基本的に、いい労働慣行を作り上げていくという努力は、その場その場の無秩序な無方針な妥協によって生まれるとは私は考えておりません。あるいは一時的に混乱が激化されるようなことがありましょうとも、一貫した方針を忍耐強く貫くことによってのみ生まれるものと私は考えております。それから私は労働省を労働者諸君に対するサービス省と考えておりますが、同時に政府は公共の福祉全体をはかる責任がありますので、私どもはその政府の一員といたしまして、やはり労働者諸君の生活の安定向上ということは社会の秩序維持と並行し、そのワク内において行わなければならぬものと考えておる次第であります。
#46
○赤松委員 処分撤回闘争をやめて、そうして裁判所の決定を待つとおっしゃいまするが、私はそれは一方的だと思う。その場合、その裁判所の決定を待つまでは当然公社側も団体交渉に応ずべきだと思うんです。そうして円満に当面の労働条件の問題について話し合うということが、私はよき労働慣行を作る一つのあれだと思う。
 もう一つの問題は、これは労働大臣の所管には属していないのですけれども、もし答え得れば答えてもらいたいと思うのですが、ちょっと第三者が見ましても、労働組合ばかり責任が追及されておる。実際はそうなんですが、国鉄当局への責任の追及ということが全然行われていない。むしろ弱腰だからもっとしっかりやれというふうな激励はありましても、この紛争が起き、その紛争をば早くすみやかに円満に解決するようなその努力を怠った点について、何らこれに対するところの責任が運輸大臣等からもとられていない。こういう点につきましてサービス省の行政庁の長であるあなたとしてはどういうようにお考えでございましょうか。それを最後に一点お伺いしまして私の質問を終りたいと思います。
#47
○石田国務大臣 私が申し上げたのは、裁判所で裁判が行われておる間の話し合いを否定あるいは肯定しておるわけではありません。裁判所によって決定せらるべき性質のものを実力行使によって解決しようとする方法が間違いだと、こう申し上げておるわけであります。それから国鉄当局の責任はもとより運輸大臣が判断をすべきものであると思います。よくても悪くても、やはり労働省はこの交渉の経過あるいは結果について干渉すべきではないと思いますが、しかしどうも不思議なことが春闘以来行われます。政府には干渉すべきでないということを表向きおっしゃいますが、裏に回ると、私官房長官のときも労働大臣のときも、いろいろな方が参りましてもっと処分を緩和するように何とかならないかというお話をよく持って参られますが、きつくしろということも干渉であればやわらかにしろということも干渉であると考えております。
#48
○藤本委員長 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十九分開議
#49
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。
 この際労働政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
#50
○二階堂説明員 今回労働政務次官に任命をされまして、労働省にお世話になることになりましたが、労働行政につきましては全くのしろうとでございます。委員の皆様方の御協力をいただきまして職責を全ういたしたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
#51
○藤本委員長 次に休憩前の質疑を続行いたします。滝井義高君。
#52
○滝井委員 午前中赤松さんから、春闘を中心として公労法関係の質問があったのですが、私は簡単なものから先に二、三点お尋ねしたいのです。
 まず第一点は、昨年でございましたか、西ドイツに日本の炭鉱労務者を五十九人ばかり派遣をしたのですが、最近また第二次派遣として百八十名程度、西ドイツの炭鉱に技術修得ですか、そういう意味で派遣するということがいわれておるわけです。すでに第一次として出ました労働者の実態はどういうもので、またドイツの炭鉱労働がどういう実態で行われておるのか、これをまず簡単に御説明願いたい。
#53
○石田国務大臣 昨年度の状況及び本年度の経過については、飼手参事官を今呼びますから、あとで飼手参事官からお聞きいただきたいと思います。私の承知している範囲では、これは両国間の条約になっておりまして、それに基いてことし百三十人足らずを出すということを聞いております。
#54
○滝井委員 では、それは係の参事官が見えるまであと回しにいたします。福祉事業団関係の方は見えていますか。――では次に、二十六国会において通過いたしました、労働福祉事業団に関する点をお聞きしたいのですが、実は七月一日から、労災協会がなくなりまして、労働福祉事業団というものが発足したということを聞き及んでおるわけです。今まで労災協会に所属をしておった職員というものは、当然切りかえられて労働福祉事業団に入ることになるだろうと思います。そうなりますと、当然給与の問題、退職金の問題、これらのものはすべて、多分労働大臣は大蔵大臣と協議をして、業務方法書ですか、そういったものをいろいろ作らなければならぬということが法律で規定をせられておったと思うのです。すでにもう七月も終らんとしておるわけでございますが、労働福祉事業団の発足の状態というものはどういう工合になっておるのか、これを御説明願いたいと思います。
#55
○澁谷説明員 ただいま御質問のございました福祉事業団の件でございますが、七月一日に正式に発足をいたしまして、職業補導関係の施設は、都道府県議会との関係がございまして、十月以降において事業団に移しかえの手続をとるということになりまして、差し当っては、従来の労災保険協会が管理運営をしておりました労災病院関係の施設が、事業団関係の施設として発足したわけでございます。資本金につきましても、概算の登記をいたしまして、五十一億円の資産をもって発足いたしております。
 次に本部の職員でございますが、一般職員が五十三名、役員が七名、合計六十名でございます。
 それから、ただいま御質問のございました退職金その他の給与関係の規定につきましては、現在大蔵省と折衝中でございまして、これは間もなく正式な本ぎまりになる予定でございます。
#56
○滝井委員 実はまだ給与の体系がきまっていないということでございますが、これは私はおかしいと思うのです。少くとも事業団が七月一日に発足したならば、その発足したときにすでに、あなた方の給与はこういうようになるのだ、退職金はこれこれをあげます、ということが明白になっておらなければならぬと思うのです。それがまだきまっていないということは、これはどういうことでございますか。
#57
○澁谷説明員 退職金の規定についてはただいまお答え申し上げた通りでごさいますが、一般職員の給与につきましては、従来労災保険協会の管理運営に属しておりました施設に従事しておりました職員については、従来通りの給与で切りかえたわけでございます。それから本部職員につきましては、役員の俸給は、これはもちろん正式に決定いたしまして、職員につきましても、これは大体労災保険の施設に従事しておりました職員の給与との均衡等を考慮いたしまして、すでに決定を見ております。
#58
○滝井委員 この事業団というものは、給与が従来の給与そのままということでなくして、当然国家公務員に準ずべきものなんです。というのは、労働省から入られたところの役職員の方々は、おそらく労働省の給料そのまま持っていくだろうと思う。しかも恩給もそのまま持っていくことになっておるわけです。そうしますと、これは当然国家公務員の給与体系にならわなければならない。現在御存じのように、医療職というような新しい職種が今度の給与法の改訂でできたわけです。労災病院は医者が多いわけです。従って、国家公務員の医療職にならったものがそこに実施をせられ、同時に院長その他については管理職手当というようなものがきちんとつけられなければならないと思う。そういう点は一体どういうことになっておるのか。ただ労働省から行ったお役人だけは、自分たちのもとの給料そのまま持っていき、あるいは恩給もついていくという形で優遇をせられておる。しかしながら、元からそこにおった職員は、昔ながらの悪い――資本金は何ぼですか、二十万か三十万当時の労災協会の姿をそのまま具現をしていくということになるならば、これは労働福祉事業団を設立して全国の労災の患者を優遇するということにならないのです。従って当然職員の給与も国家公務員に見ならった形で大蔵省と折衝しなければならぬと私は思うのですが、そういう点は一体どういうことになっておるのか、国家公務員通りにやられるのかどうか。
#59
○澁谷説明員 福祉事業団の職員につきましては、身分が国家公務員とははっきりと違っておるのは、法律で規定されておる通りでございます。あくまでも事業団の職員でございます。ただ恩給関係で、政府の公務員との人事の交流関係がございますので、各種の事業団、公団等の先例にならいまして、恩給のまだついておらない職員につきましては、事業団に行ったために恩給の通算が中断されるということがないための規定は定められておるわけでございます。
 ただいま御質問のございました、特に病院の医者の先生方の給料等につきましては、確かに御指摘の通り、一般の職員とはその仕事の内容が違います関係上、当然異なった給与が適用されるわけでございます。それで事業団といたしましては、発足を急ぎまして、七月一日にとにかく発足をさせたいということで各種の準備を急いだ関係上、事業団全体を通じての給与の、職員の数であるとか、それのグレードのつけ方等につきましては、全体の体系としての正式な決定をまだ見るに至っていないのでございます。最初にお断わり申し上げましたように、この事業団の一つの大きな半分を占める予定になっております職業補導関係の施設につきましては、いまだ事業団に移しかえになっておらないという現状でございますので、その方も全部含めまして、正式な給与その他の職位のグレード等もきめて参りたい。その点が多少おくれておりますのは、まことに遺憾にたえない次第でございます。われわれといたしましては、すみやかに労災関係、職業補導関係を含めましての妥当な給与その他の職位をきめて参りたいということで現在事務を進めておりますので、この点につきましては、いましばらく御猶予をお願いしたいと思うのでございます。
#60
○滝井委員 事業団が国家公務員と違うことは、私は法案を審議したのでよく知っております。しかし少くとも事業団というものは、労働基準法関係では国とみなすという規定が法律の中にうたわれておるくらいに、国のやっておったいわゆる職業補導あるいは労災保険関係というものを移してやるのですから、国がやるよりかもっと能率が上る形でできなければならない、これが労災の仕事なんです。そういう関係から見ると、そこに勤務する職員の給料は国立病院、その他よりか安い、あるいは優遇ができないということになれば、悪い職員、悪い医者しかやってこないことは明らかです。従って大蔵大臣と協議する場合にはそれらのことを頭に入れながら国家公務員と同じような給与体系を確立しなければ人間は集まらない。優秀な人間を集めるために、国家公務員からいく場合にはわざわざ恩給もそのままついていくということをあの条文の中にはうたっておるわけです。
 そこで、これは労働大臣にお願いでございますが、今お聞きのように、すでに発足をした事業団というものはまだ給与さえもきめられていないのです。これでは働く職員が非常に不定安になることは明らかです。しかも労働基準監督局の所管にある労災の病院は今まで就業規則がなかった。燈台もと暗しと申しますか……。従って退職金を一体何でやるかという退職金の根拠がないはずです。それで何があったかと申しますと、労災病院の設置要綱というものしかない。設置要綱とは何かというと、労働省と労災協会との間に作られておる設置要綱です。そうすると、労災協会は今度は当然その設置要綱に基いて従業員諸君と労働条件及び就業規則というものを作らなければならない。労働基準法に基く就業規則というものを作っていない。従ってやめた職員は一体どういう基準によって退職金をもらうか、それがわからないのです。こういうのが今までの大臣の所管の中における委託をされておった労災協会の実態なんです。こういうことが今後福祉事業団というものになってやられるということになったら大へんなんです。労働省としては就業規則をすみやかに作って、給与や労働条件をきちっときめて、そうして発足するのがほんとうだと思う。それをまだ大蔵省との交渉ができないでぐずぐずしているということになると、これは大へんだと思う。そういう実態でございますが、大臣としては一体どういう工合にやるのか。これをやらなければどうしても労災の仕事はうまくいかないといって、二十六国会の末期われわれが反対したにもかかわらず、労働省は拝むようにしてこの法案を通したのです。ところが、通って二ヵ月になるにもかかわらず、まだ実際に大蔵省とも協定ができない。労働者諸君は困っている。しかも最近労働組合を作ることについてはどうも圧力が加わっているということも開いている。そういうことであってはならぬと思う。やはり民主的な労働慣行を作ろうとするならば、労働省みずからが率先して自分の所管の中におけるそういう労働福祉事業団というものについては、スムーズにいくような形を作ってやらなければならぬ。自分の所管の中における労働者が不安であって、どうして他のことを言うことができますか。また労働省自身が模範を示さなければだめなんです。従ってこれは大臣にお願いでございますが、急速に大蔵省と折衝をして給与体系を作り、同時に労働組合ができましたならば、労働協約を結び、就業規則も作って常々と、あなたの言われるように友情と忍耐をもってこれはやっていってもらわなければ困ると思う。ところが現実はそうではない。従って労働者の諸君はわれわれのところにいろいろ言ってくるし、われわれも労災病院を回って非常に不安定になっているということを聞いております。これは私も先頭に立って反対した一人でありますが、通った以上は少くとも御協力申し上げて、この法律が名実ともにその精神を生かす方向にいくことを念願するのです。そこで今のような実態でございますので、大臣の所見を一応承わって次に移りたいと思います。
#61
○石田国務大臣 できるだけすみやかに関係省と折衝いたしまして給与体系を作り、就業規則等を整備いたしたいと存じております。
#62
○滝井委員 大臣はまだ実態がわからぬと思いますので、ぜひ一つお願いをいたしたいと思います。
 次に今問題になりました、この説明の中にもありましたように、この労働福祉事業団というものは職業補導事業を受け持つことになります。そうすると、さいぜん大臣の御説明の中にもありました通り、今後労働慣行をよきものにしていくためには、労働者の教育が必要だ、その教育は民間にやらせるという御意見がございました。現在労働省関係の労働者教育というものは二つの面から行われると思います。一つは職業安定法関係から行われます。一つは労働基準法関係から技能者養成の面で行われるわけです。そうしますと、今申しますように、労働福祉事業団に職業補導の面がとられてしまうという形が出ている。もちろん県にはまだ県自身のやる職業補導教育が残っております。しかし総合的な国のやっておったものは一応福祉事業団に行く形が一本できているわけです。こういう中で今後労働教育を振興されていとうというのですが、一体具体的な構想をもう少しく法律にのっとった形で――基準法では技能者養成があり、職業安定法では職業補導があります。これが労働省のやる労働者教育だと思うのです。こういう二つのものを基礎にしながらどういう方向に大臣は持っていこうとするのか、これを一つお聞かせ願いたい。
#63
○石田国務大臣 私どもが先ほど申し上げました、一つは労働基準法による技能者養成及び職業安定法による職業補導を一方において拡充いたすとともに、現在の雇用状況の中で、失業者がいる一方、技術者を必要としている状況を調整して、雇用の増大をはかっていきたい、これが一つの方向であります。いま一つは労働問題全体に対して使用者側におきましてもまだなお労働関係法規に対する理解あるいは労働問題についての前時代的な考え方というものが非常に残っておりまするから、そういうことについての労働問題全体の教育をやりたい、それから一方労働組合に対しても、これはどうも現行法規から考え、あるいは国民全体の利益の上から考えて、逸脱あるいはおくれている面がございますから、そういう面の教育もあわせて行いたいと存じている次第であります。その後者の分については新たに民間に適当な機関を作ってやりたいと思っているのでありますが、内容等については目下検討中であります。
#64
○滝井委員 今大臣から労働基準法なり職業安定法に規定せられている技能者養成や、あるいは職業補導関係のものも拡充をしてやる一方、労働問題全般についてなお事業主なり、あるいは労働者の教育を進展せしめていくという御意見がございました。実は今から五、六年前、昭和二十五、六、七年ころまでは各労政事務所ごとに労働学校というものがあったのです。私も当時労働学校の先生をしておりましたが、これによりまして、中堅労働者を集めまして教育をしていったのです。ところがそれがいつの間にか消えてしまった。なせ消えたかというと、資本家側の反対で消えてしまった。その当時多分一カ月くらいの期間をもって労働法上のいろいろの法律の問題はもちろん、経済問題まで全部教えたのです。たとえば福岡県なんか非常に盛んに行われました。これは亀井さん福岡県出身だから御存じだろうと思いますが、非常に盛んに行われました。当時これは夜にやるわけにいかないので日中やっておりました。午後一時ごろからやっておりましたが、そうしますと、これはある程度賃金を見てやらなければならない。初めのうちは事業主側も喜んで、労働学校を卒業した生徒は非常にまじめでいろいろ知識もあってよろしいということで協力をしておったのです。ところが資本家陣営の姿が終戦の混乱からだんだん確立をしていくにつれて、これは労働者がものを知る、知恵がつくということは――知るということは悩みを生することです。悩みを生ずるということは、やはり人間の進歩なのです。労働者が進歩するということについては異議ありという形が出てきた。そうして事業主がこの労働者の日当を支払うということについて、当時多分半額を負担しておったかと思います。半額は労政事務所負担であったかと思いますが、この半額の負担をやらなくなってしまった。そうして労働者教育というものはやめた。すなわち資本家側がみずからの体制を確立することによって、労働者教育というものは終末を告げなければならぬという実態が起ってきた。これが当時の昭和二十六年からずっと、多分七、八年ぐらいまで行われておったと私は記憶しておる。相当やりました。私も四、五年くらいその先生をしておったと記憶しておるのですが、そういう実態があるのです。従ってこの点、そういう過去があるゆえに、石田労働大臣のいわゆる労働問題に対する総合的な教育を、資本家なりあるいは労働者諸君にやっていくということについては、われわれは過去にそういう苦い経験を持っておるので、よほど注意をしなければいかぬということです。かつて私が学生のときに、そこの芝に労使協調の協調会館というものがありました。私はあの協調会館に行って、あそこに社会政策学院というのがあったのですが、これを卒業したのです。今もし石田大臣の構想が、あの協調会がやっておったような構想であれば、これは労働者がついていかないのではないかと思うのです。それだけに資本家もすでにわれわれがやった進歩的なものについては反対だ。当時あれは県がやっておったのです。県の労政事務所が主催で労働学校をやったのですが、それを資本家がそっぽを向いてやらなくなったとすれば、労使協調の協調会館もいかぬということであれば、一体どういう方針で、大臣は基本的な態度として労働者教育なり資本家教育をやろうとするのか、基本的な構想だけはこの際お示しを願っておかなければならないと思うのです。
#65
○石田国務大臣 基本的には生産の向上、経営の安定というものはよき労働慣行によって労働者諸君の心からなる協力を得、かつそれに伴っての生産性向上がなければならないということを使用者側には徹底して知ってもらいたいと存じます。逆に労働者諸君もまた社会の他の要素と独立しては労働者諸君の生活の向上も安定もない、すなわち社会の連帯性の上に立って、それぞれの立場を生かし、あるいはそれぞれの生活の向上を求めていくのが正しい道であるということを基本的な方向としてとりたいと思っておりますので、先ほど御質問の中にありましたような、そのいずれかの利害によってゆがめられるようなことは絶対に避けて参るつもりであります。なおちょっと私の承知しておることと違っておると思いますのは、労働学校は現在なお存置し、その仕事を続けていると承知しておりますので、その経過等につきましては労政局長から説明をいたさせます。
#66
○亀井説明員 きょう実は資料を持って参っておりませんが、私の現存承知。いたしておりますのは、先生の言われます昭和二十五、六年当時の数と現在の数がどうなっておりますか、今ここで申し上げかねますが、実態につきましては現在もやっておるのでございます。先般も各地方でそういう講座を分担しております労政課の職員を中央に集めまして、いろいろ今後の学校の持っていき方につきまして会議をしたばかりのところでございます。先ほど大臣のお話もありましたような方針にのっとりまして、われわれもなおこの方向についての労働教育の徹底、またその中の一環としての労働学校的な動き、こういうものも検討してみたいというふうに考えております。
#67
○滝井委員 今やっておるということでございますが、おそらくやっておってもそれは蓼々たるものではないかと思うのです。労働県といわれておる福岡県でさえなくなってしまいました。これは資本家側の無理解のために消えうせた。労政事務所の存在も非常にさびれてしまったものになった。これはすでに資本家が本来の姿を確立することによって、そういう姿が出てきたということは学者もみんな言っておるし、われわれもそういう見方をしております。従って今後石田労働大臣の就任によって新しい角度から、ほんとうに近代的な労務者、近代的な資本家のあり方として労働教育が取り上げられるということは、これは私は一大進歩だと思うのであります。従ってぜひこれは御推進をしていただきたいということを一応要望いたしておきます。基本的な方針が確立されたならば、その上でまた御質問させていただきたいと思うわけであります。
 次に問題にいたしたい点は、大臣の御説明の中で現存日雇いの労務者が非常に固定化してきたというようなことを申されました。しかし大臣が基本的な方針の中で現存大臣の方の省が出された労働白書も明白にしておるように、非常に日本には雇用がふえたけれども、その雇用のふえ方は臨時工の形でふえたというこの臨時工の問題を率直に言われなかった点でございます。大臣は、業種別、地域別、職種別等の最低賃金制の問題を言われましたが、最低賃金制度以前の問題として臨時工の問題があるということです。現存日本の経済というものが非常に急速な伸びをした。この現在の日本の急速な経済の伸びは一体何が根本的な原因なんだということを聞いたら、アメリカの学者は端的に日本の経済の状態を見て、それは豊富な農村から供給される労働力であると端的に指摘いたし、しかもその端的に指摘せられた豊富低廉な日本の労働力、これがすなわち低賃金でしんぎんしておる臨時工の形で現われておると思うのですが、この臨時工というものについて大臣はどういうお考えを持っておるのか、不幸にしてさいぜんの基本方針の中には臨時工の臨の字も言われなかったのですが、大臣の方の白書も明らかに臨時工が増加しておるということを言っておるのです。ひとつこの臨時工に対する大臣の考えをお聞かせ願いたい。
#68
○石田国務大臣 各企業が初めて人を雇います場合において、臨時工という形がある一定期間――あまり長い期間は望ましくありませんが、きわめて短かい期間そういう形があることはやむを得ないのではないかと思いますが、それが常態になることはやはり避けて参らなければならないと考えております。
#69
○滝井委員 大臣の答弁、私もそう思うのです。ところが現在の日本の客観的な情勢というものは、そういうわけには参っていないようでございます。まず臨時工には非常に女子が多いということです。しかもパートタイマーというようなスマートな言葉で呼ばれておるので、よほどいい仕事をしておるのかと思うと、それはあにはからんや低賃金の臨時工である。しかもその臨時工というのは堂々と国家関機の中に非常に多くなってきておるということです。すなわち常勤的な非常勤が多くなってきておるということ、これはいわば民間会社でいえば臨時工ならざる臨時工です。たとえば農林省なんかを見てみると、全国十万の職員の中の三万六千というものは臨時工なんです。すなわち臨時職員なんです。しかもそれが五年、七年、八年、一番長い臨時工は運輸関係におるそうでございますが、これは多分十四年六ヶ月、こういうような実態、しかもそれが日本の産業のいわゆる伸びというものを双肩に背負っておるというのがこの臨時工であります。いわば経済の安全弁の形でやられておる。これは労働法上非常に問題であると思うのです。今大臣の言われたように、企業がとりあえず雇う、短期間に臨時工を雇うということであるならば、私はその通り賛成であります。それはやむを得ないと思う。ところが日本の現実の実態というものはそうではない。すなわち臨時工というものが雇用の中にだんだんふえつつあるというこの実態、しかもこの臨時工ならざる臨時工がふえつつある、しかも堂々と官庁の中にもふえておるというこの実態は、労働大臣としては是正してもらわなければなならぬと思う。これは当然多くの労働法上の問題を持っております。この官庁の中にそういう常勤的な非常勤――労働省の中にもおそらくあるだろうと思いますが、この常勤的な非常勤、あるいは民間会社における臨時工ならざる臨時工、これを具体的に、今大臣の言ったような御意見であるならば賛成でございますが、実態はそうでないのだが、一体大臣はこれをどういう工合に今後処理をされていくか。この問題の処理なくして最低賃金制度を論ずることは、木によって魚を求めるのと同じことだ。従ってまず私は、最低賃金問題とからまって、臨時工の問題をどういう工合に打破しながら最低貸金に乗り込んでいくかということを一つお聞かせ願いたいと思います。
#70
○石田国務大臣 公務員の場合におきましては、定員法との関連がございます。従って急速なる解決はなかなかむずかしい問題であり、また御審議を得なければならぬ問題があると思いますが、こういう傾向がいいとは思っておりませんし、これからよく研究をいたしまして、先ほど当初に申し上げましたような、私どもの考えに合致せしめるように努力したいと思います。
#71
○滝井委員 むずかしい問題でございますが、少くとも、最低賃金制度をわれわれが論議しようとする場合には、まずこの問題に取り組んでいかなければ、最低賃金制度というものはできないと私は確信をいたします。従ってまずぜひこの問題を取り上げていただきたいと思う。というのは、さいぜんも指摘をいたしましたように、この常用工のふえ方に比べて、臨時工の増加曲線というものは非常な速度で上ってきておるというのが実態なのです。しかもこの臨時工が非常にふえておるということは、日本の経済の伸びというものが、日本の資本家諸君によって信用せられていないということを一方に示すのです。なぜならば、日本経済が安定を保ちながら上昇の一路をたどっておるとするならば、資本家諸君というものは当然常用的な、固定した労働者を雇う。ところが日本経済がいつ危機に直面するかわからないということであるがゆえに臨時工にするのです。それは殷鑑遠からず、ことしの予算を審議するときに、日本経済は末広がりであるということを断言しておったにもかかわらず、それからわずかに五カ月を出ずして、日本経済というものは神武以来の好景気から、奈落の底に転落しなければならなくなった事態というものは、明らかに日本の資本家というものが先を見ておったということになりかねない。そういう点でいわゆる労働者教育、同時にそれが資本家の教育と言われるならば、まず私は資本家諸君にこういう点を教育してもらわなければならぬと思うのです。まず日本の政府のやることには信用をしてくれ、労働者諸君の身分を安定し、よき労働慣行を作るためには、まず生活の安定を得なければならない。そのためには臨時工をやめてくれということは、労働大臣がまず労働組合にいろいろなことを言う前に、保守党の政策を実現していく建前から、日本の経営者諸君にまずこれを言わなければならぬのです。この点は一つ、この場を通じて労働組合に言うと同じように、日本の経営者諸君に協力を求める言葉を――私はどういう言葉で大臣が言われるか知りませんが、ほしいと思うのです。
#72
○石田国務大臣 先ほどから申しましたように、臨時工の形が長く続くことは、労働行政上好ましくないととだと思っております。従って政府といたしましても、その是正については努力したいと思っております。ただ日本経済の見方でありますが、奈落の底へ落ちたというふうには私どもは考えていないのでありまして、国際収支が若干――かなりの程度悪化をいたしておりますけれども、その分だけは国内に資材として残っておりますし、輸出も決して減っていないのでありまして、伸びております。従って日本経済の基盤がそう急激に弱くなっている、あるいは弱くなった実態をさらけ出したものとは考えていません。
#73
○滝井委員 私は日本経済が奈落の底に落ちたと言ったのは、いわば物事を少しくわかりやすく誇張するために言ったのですが、それは大臣も御存じの通り、すでに政府が出した経済白書の中にも副題として、早過ぎた拡大とその反省ということがいわれておる。今までの日本の経済白書は多分ことしで十一回目だと記憶しておりますが、絶えず大ぶろしきを広げて堂々の陣を張ってきた。ところが今度の十一回目と記憶する経済白書だけは反省の言葉を実は述べておる。これは明らかに日本経済に対して大きな見通しの誤まりがあったことは確実なんです。大臣が何と言おうと、池田大蔵大臣等もとどまり得なかった事態というものはそれを具体的に示しておると思うのです。従って一応奈落の底と言った方が表現としてはわかりやすいので言ったのでありますが、とにかく日本経済というものは悪くなってきておることは事実である。しかもその悪くなった日本経済の中で、臨時工という低賃金労働者というものが非常に多い実態というものはどうしてもわれわれは忘れることはできない。従って労働大臣は、こういう問題について率直に検討し改善すると言われておりますので、ぜひ一つお願いをいたしておきます。
 次に大臣は五人未満の事業所に失業保険を適用したいと御言明になりました。かつて松浦労働大臣もその言明をせられたのでございます。現在厚生省は五人未満の事業所の労働者に、労働省が失業保険を適用せられるならば当然これに健康保険を適用しなければならぬ理論になってくるわけです。ところが厚生省はその確信と踏み切りを持たない、むしろ現在の客観的な情勢は、大蔵当局も含めて五人未満の事業所の労働者諸君は国民健康保険に入れていくという意見が強い。労働省だけが失業保険に五人未満の事業所を入れるということになると、事務的に見ても行政機構の面から見ても混乱が起ると思うのですが、五人未満のものを失業保険に入れるということは、厚生省なりその他関係当局と十分打ち合わせの御言明だと理解して差しつかえございませんか。
#74
○石田国務大臣 私は、党の労働問題特別委員会の御意見もそうでありますが、私ももとからそういう考えでございまして、私が仕事をするに当って、その方向に向って努力をしたいと言っておることでありまして、他省との調整は目下進めておるところでございます。
#75
○滝井委員 少し具体的に五人未満の事業所のことを聞きたいと思いますが、どうも検討中で明確な御答弁がいただけそうにございませんので、もし五人未満の事業所の労働者諸君を失業保険に入れられるとするならば、車の両輪として当然健康保険に入れられることが筋だと思います。これは大臣もその通りお考えになると思いますが、その点どうですか。
#76
○石田国務大臣 これは他省の所管に属することで私から言明する筋ではないように思います。
#77
○滝井委員 そうしますならば、これは大臣にお願いでございますが、きわめて重要な問題でございますので、十分厚生省その他関係各省とお打ち合せの上、一つそれらのものと車を合してもらいたい、こう思うわけでございます。
 それから西ドイツの炭鉱労働者の派遣の問題について参事官の方が見えたそうでございますから御説明を願いたい。
#78
○飼手説明員 よんどころない用務でおくれましてまことに申しわけありません。西ドイツの問題は一昨年以来ILOなどで議論をしておりましたが、日本の政府の基本的な方針といたしまして、国境を越えて労働者をより自由に移動させたいということを国際社会のあらゆる部面で力説しておりました。昨年も前大臣がILOの総会の代表演説においてもそのことを力説せられて、その基本的な態度に立ちまして西ドイツに参りまして、向うの労働大臣と直接話し合われた結果、昨年の十一月二日に両政府間に協定ができまして相当数の日本の炭鉱労働者をルール地区に派遣することがきまったのであります。協定に従いまして本年の一月二十一日に、五十九名の者がルールに到着いたしました。最初の就労場所は、ルールの西のはずれ、デュイスブルクハンボンという町がありますが、そのハンボン鉱業所の第2/5坑というビットに入ったのであります。このハンボン鉱業所というのはルール地区の一流の下という会社です。従業員大体一万、フリードリッヒテュッセンの財閥解体後に独立会社になったものですが、非常に中堅的な穏健的な労務管理の行き届いたいい会社だと私ども思っておりますが、それ以来今日までのところ、多少最初ふなれなこともありまして、一、三の事故を見ましたが、今日までのところ。一つの大きな事故を除いてはさしたる事故もなく、今日まで平穏に働いております。大体最初は一カ所に集約して働きましたが、その後二カ月ばかりたったところで、本人の希望等に照らしまして、坑内の七箇所ばかりのところにそれぞれ配置がえをいたしまして、ドイツ人の中に入って、それこそ文字通りまっ黒になって働いております。給与その他の条件は、向うのイーゲベルグパウという非常に大なき炭鉱及び金属鉱山を全部含めた坑夫組合がございますが、この坑夫組合が持っております。非常に進んだ労働協約をそのまま文字通り適用されておりまして、ドイツ人との間に何らの差別待遇はございません。むしろより高くすることも不可能でありますが、より低くすることも組合が承知いたしませんから、その点では絶対安全な保護を協約によって与えられておると考えております。今日までのところ、入りましてから約六カ月ですが、何らの問題なく、現に七月四日の日には、約半数の三十九名の者が年次有給休暇でオランダからスイス、イタリア、オーストリアと大旅行を二週間にわたって敢行いたしました。九月には残りの半分が行くというようなことで、ドイツの生活、西欧の世活を十分エンジョイしながら、そうしてまたドイツの炭鉱技術を身につけながら、目的に沿って働いておるものと考えております。
 協定によりますと大体五百名以内の者を送るということになっておりましたが、最近日本の石炭経営を代表する人たちによってルールの石炭経営者との間に協定ができまして、あと百八十名送ろう、それで一応政府間協定の問題は落着にしたいという協定が成立いたしました。この方針に従って政府は今後臨んでいきたいと考えております。
#79
○滝井委員 そうしますと、現在聞くところによりますと、炭鉱労働組合で一番大きい炭労等が、どうもドイツに行った五十九名の実態は、必ずしも技術修得というものではない。支柱を立てる作業ばかりやらせられて、ほんとうの技術修得になっていないのだというような意見も言っておるようでございます。従って、今後第二次の百八十名を送ることについても異議ありというようなことを新聞報道等で見ておるのでございますが、そういう点について今のきわめてりゅうちょうな表面的な御説明だけでは非常にいいようでありますが、しかし実際はドイツの炭鉱の非常に進んだ技術を十分に修得して、そして日本に帰ったならば日本の技術指導者となり得るだけの価値のある仕事をさせられておるのか。ドイツ炭鉱労働者不足の単なる労務提供者にすぎないのか。そこらあたりの実態を端的に御説明願いたいと思います。
#80
○飼手説明員 もちろん私ども単なる労務の充足のために政府間の協定を作ったり、あるいは苦労してこのことを進めておるのではありませんので、政府間の協定にもはっきり書いてありますように、明白に職業上の技術を完成し、知識を広めるため送る、こういうことになっておるのであります。従いまして、向うに入りましてからでも、今申しましたようにまだわずか六カ月でありますから、まず言葉の問題から、風俗習慣の問題から、今やっと職場にやや落ちついてきたというのが実情であります。もちろん、非常にせっかちにあれも覚えたい、これも覚えたいということもあるでしょうが、あるいは逆に出身会社から、これはどうなっている、あれはどうなっているというような質問があって、早く調べて報告しろというような問題がいろいろあるのであります。しかし、わずか半年やそこらであれもこれもというようなことをいろいろ言われること自身が、本人も非常に迷惑でしょうし、困ったことだと私は思うのですが、それにしましても、あくまでも技術を修得し、知識を広めるというところに力点があるのでありますから、今度の両経営者門の協定によりましても、今後半年ごとに全員の職場の配置がえをするということを協定文の中に入れてあるわけです。もちろん向うの側からいいますと、ある一定の場所でずっと継続して働いてくれることが望ましいに相違ないので、半年ごとに動かすということを約束するということ自身が非常に困難なことだと思うのでありますが、しかし、そのこともやはり炭鉱労働者を送っている大きな目的に沿うゆえんであるからそうしたいということで協定の中に新たに入れたような次第であります。最初はもちろん言葉等の関係もありまして――ドイツの炭鉱保安規則によりますと、ドイツ語のわからない者を地下労働に入れることを禁止されているわけでありまして、国家試験を受けてドイツ語がある程度こなせるというところで初めて地下労働に入れるという規則がございます。ところが、人員の不足その他の問題もございまして、なるべく早く地下に入りたいという労働者の希望もありまして、それでは連絡員として行っている人たちをつけて一緒に働いてもらうことにするからということで急いで入れた関係から、その連絡員の人が通訳として一緒に入った、その段階においては同じ場所で同じ仕事をしなければならなかった。その後に、先ほど申し上げたように、国家試験を受けましてみなそれぞれ一人歩きをしてよろしいということになりまして、たしか五月に入ってからだと思いますが、坑内で七ヵ所ばかりのところにそれぞれ配置がえをしたわけであります。縦坑を勉強したいという人には縦坑のところへ行ってもらいましたし、機械工になりたい人には機械工場へ向ってもらったわけでありますが、もちろん配置のことでありますから全員が希望通りになっていないということは事実であります。しかし、かようなことをすぐ指摘されてそれが勉強になっていないというのは、私としては言い過ぎではないかと思う。三年間勉強しようというのでありますから、やはり三年間の成果を見て、その上でのことにいたしたいというのが私の希望であります。
 炭労がこの問題について反対の意向を表明したということは、私は実は土曜日に知って非常に驚いているのでありますが、きょうもこっちへ参るのがおくれましたのも、実はその関係で協議をいたしておりましておくれたのでありますが、炭労の皆さんとよく話し合ってよく了解を遂げたいと希望しているので、できましたならば応援をいただきたいと思っております。
#81
○滝井委員 今の説明でおよそわかりましたが、とにかく出身の母体である労働組合から、実態がどうもいかぬ、反対だというようなことが起る理由は何か、それが起るだけの理由があったと思うのです。従って、一つ皆さんの方でも十分納得のいくような御説明をしていただいて、国際的な協定でございますならば円満にそれがいくように御努力をして下さるようお願いして、私の質問はこれで終ります。
#82
○藤本委員長 五島君。
#83
○五島委員 時間がありませんから、三点の問題についてきわめて簡単に質問していきますから、きわめて簡単にわかりやすく答弁をお願いしたいと思います。
 第一点は、きょう大臣がいろいろ施政方針の中にも言われましたように、雇用の増大ということは一つの大きな中心的な施策、方針であります。そこで赤松さんや亀井さんからもいろいろの観点からお話がありましたけれども、雇用増大の問題に関連して、今滝井さんは臨時工の問題を質問しておられました。この臨時工の問題は、今後の労働省の行政施策としては全く重要な問題であります。しかしシャウプ勧告以来臨時工の数が非常に大きなところで停滞をしておるという現実を見のがすことはできないと思います。ところが臨時工の数が大産業の中に停滞をしておる反面において、雇用量の増大がどこに伸びていったかというと、これは社外工の面に伸びていっているのではないかという姿を無視することはできないと思うのであります。大企業の面で、今臨時工は大体一割から一割三分くらいの人員で停滞をしておるわけですから、これの解決も重要でありますけれども、なお、今労働省自身が考えていかなければならないことは、いわゆる社外工の問題であります。この社外工の増大が一体どういう趨勢で伸びてきたかというと、現在では、すでにある産業のごときは、本工一〇〇に対して社外工が一〇〇というようなパーセンテージを占めておるようであります。たとえば造船業においても、六〇%、七〇%の社外工の人員によって一つの産業が運営されているということを無視することはできません。ところがこの社外工の実態は、二つも三つもその姿があるということであります。第二十六国会が終了しましたその直後に、兵庫県下の大きな造船業である相生造船というところで海の手配師問題というのが起って新聞に書き立てられたわけです。労働省の基準局や職安局の方たちは十分これを知っておられると思いますけれども、私たちも関係者が行って実地にこれを調査したことがあります。ところがその社外工をいかにして雇い入れ、いかにして本社の播磨造船にその労務力を入れているかというその過程を調べますと、全く言語道断な入れ方であります。たとえば終戦以来岡山や呉から、非常に仕事はできるが失業している労働者を、相生造船に職があるから来いということで連れてきて、それを旅館に詰め込んで毎日相生造船の本社に通わせている。そうしてよく調べたところが、人員の賃金じゃなくて、一工数といってもう仕事だけが対象であって、人間を人間として扱っていない状態が出たわけであります。これじゃおれたちは何のために仕事をしているかわからないというので労働者が不服を申し立てたら、それを連れてきた組長でしたか、手配師でしたか――新聞は陸の手配師として書き立てたわけですけれども、それらを連れてきた人たちも旅館住まいをして、一工数一千円以上の契約金を取って、労働者には四百円か四百二、三十円の賃金を渡して毎日働かした事実が出たわけです。これは警察問題になりました。
 ところが、私は今相生造船の問題を一つ例にとりましたけれども、これが社外工問題として全国にいろいろの問題が派生しているんじゃないかと思う。そうすると、石田さんは完全雇用を実現するとかなんとか言っておりますが、非常に力のある新しい労働大臣がこれから完全雇用を実施していかれる上については、臨時工の問題も大いに問題として――短期間の問題はよいけれども、長い臨時工として、三年も四年も臨時工でおるという臨時工は何らか処置しなければならないとともに、ならないと言われたことは同感でありますが、社外工の問題、職業安定法に違反したり、労働基準法に違反したりしておるところのこういう産業界の労働構成自体を今後どういうようにして解決していかれるか。日本の経済の要求に応じてこういう労働問題が出てきたのだから仕方がないといって、石田労働大臣はそんなことをゆるがせにされないと思いますが、どうでしょうか。
#84
○石田国務大臣 決して仕方がないなどとは思っておりません。社外工が今日のような状態になるにはなるだけの条件があったと思いますし、それから経済の見通し等について比較的不安定な産業にそういう状態が多いことも事実でありまして、やむを得ない点もあるとは思いますが、そういう形が望ましい形でないことは臨時工の際に申し上げた通りであります。ただ労働省といたしましては、そういう状態がたとい現在の段階である程度やむを得ないものといたしましても、基準法及び職業安定法等によりましての処置は厳重にやって参りたい、こう考えております。
#85
○五島委員 厳重にやっていくということの言葉だけは非常にいいと思うのであります。ところが松浦前労働大臣も、この問題については十分五島さんと協力して何とか明るい行政にしていきたいという約束をされたことがあるわけですが、もうすでに松浦労働大臣はおられない。ところが昨年の五月に、神戸の港湾労働者が、手配師という、すなわち人入れ稼業の人に野球のバットでなぐり殺された事件がありました。それを今度は海の手配師問題として地方紙も取り上げ、全国の新聞もあるいは週刊誌も取り上げたという事件がございます。社会党では、去る二十六国会において、これを明るくしていくためには、何としても港湾運送事業法の改正から手を染めていかなければならないということから法律化の問題で提案したことがあります。これは継続審議になったわけです。ところがこの問題が発生いたしまして以来、労働省と運輸省では港湾対策審議会というものを作られたわけです。そうしていろいろ港湾労働行政あるいは港湾労働者の問題を根本的に解決しようという意欲のもとに協議会ができました。学者あるいるその使用者とか労働者とか、そうして労働省も運輸省もこれに入りまして、営々として研究されておられた結果、約一年かかってことしになってその結論が出たようであります。ちょっと新聞に書いてありました、けれども、その答申書ができたかどうか、できたらわれわれ関係委員にもその答申書をすみやかに配付されて、われわれの参考にされたいと思います。
#86
○石田国務大臣 今月の十九日に港湾労働対策協議会からの答申が出て参りました。政府はこの答申を尊重して善処いたします。なお答申の内容については、これはまだ配付しておりませんといたしますと、当方の手落ちでございます。すぐ配付いたしますから、御検討を願います。
#87
○五島委員 これは新聞だけですからわかりませんが、新聞に発表された内容の一点を見ますと、やはりこれらの強力な答申が出た。答申をして、そうして今後これらの問題を解決するに当っては、出先機関の拡充整備をしてその誤まりないように監督行政を強化していかなければならないという方針が出たように覚えておるわけであります。ところが、この海の手配師問題が発生して、われわれが現地に行って検討した結果、職業安定所の職員が足りないといったり、あるいは職業安定所自身が非常に狭いといったり、それで就職のお世話ができなかったり、あるいは毎日々々海上の問題ですから海上を監督することができない。これは人員が非常に少いんだというようなこともわれわれは確認してきたわけです。ところがこの答申を尊重してやられるならば今後こういう問題が起きない、そうして法律違反の問題が生じないためには出先機関を労働省は、あるいは運輸省もですが、労働省も拡充しなければならないと思うのです。そこでもう三十三年度の予算の編成もだんだん近づいてきておるわけですが、この問題を今後尊重して実施するとするならば、出先機関の拡充強化をされる気があるかどうかということをここで一つお聞きしたい。
#88
○石田国務大臣 それは必要が生じました場合は当然考えなければならない問題でありますが、やはり原則としては、でき得る限り現在機構をもって間に合わせ、能率的な運用を考えていくということが先でなければならぬと思っております。
#89
○五島委員 それではその問題はいかなる答申が出たか、そうしてそれをいかに尊重して実施されるかということは今後の問題として、出先機関が非常に脆弱である。脆弱なるがゆえに大産業からごまかされ、あるいはいろいろな問題が発生しつつ、出先機関の職員そのものも所長以下が非常に困っている面があるということを、大臣以下よく検討し、今後参考にされた方がいいのじゃなかろうかと思います。
 それから雇用の問題についてもう一つ。今後重要に考えていかなければならないのは駐留軍労務者の失業問題であります。駐留軍労務者、すなわち岸さんがアメリカに渡られたのだけれども、アメリカ軍が日本から引き揚げるというようなことを発表されておる。そうすると宿命的な仕事に従事し、終戦以来十カ年も駐留軍に働いた労務者は、好むと好まざるとにかかわらず失業のうき目にあう。しかも現在まで何万人かの失業者が出ておるということです。そうしてこれからはわんさと出るだろうということは既定の事実であります。そこで駐留軍労務者の雇用の問題にはわれわれも頭を悩まし、政府も頭を悩まされているだろうと思うわけです。それであるいは仕事のできる運転手の人たちには営業の許可を与えて、そして運転ができて仕事が可能であるようにというような、いろいろの話し合いもしているわけですけれども、何万人となく現われるであろうところのこの失業者を、一挙に政府はどういうように解決していかれる方針があるか。しかも完全雇用の面については、これはいろいろの問題かあるだろうと思いますけれども、現実に生じてくる、そして政府とアメリカとの今までの話し合いの中から、政府の責任の大きな一端であろうと思うわけですが、今後いかなる対策をもってこれらの失業問題を解決していかれる気持があるかということをお伺いいたします。
#90
○石田国務大臣 これはお説の通り、今当面いたしております緊急な問題のうちで一番困難な問題だと思っております。具体的にはあるいは特別失対事業を地域的に集中するとか、あるいは公共事業の実施を行うとか、そのほかでき得る限りの処置を関係各省と連絡してとらなければなりませんけれども、恒久的にはやはり当該地に対する企業の誘致について、新しい雇用の発生要件を整えることについて政府が努力していかなければならないと思っております。一時的に失業対策事業等をやりましても、これは結局一時的なものでありますから、そういう方法をとりたいと思っております。なおいろいろな特殊条件があったのでありますが、私は党におりましたとき、この問題の特別委員長をいたしまして、呉の国連軍引き揚げに伴って発生いたしました事件の処理に当ったことがございます。あの当時発生いたしました失業人口は約八千人をちょっと越えたと思っておりますが、現在二千五百人は新規産業に吸収されております。それから二千五百人ばかりは統計上は出て参りませんけれども、中小企業あるいはその他に吸収されているようで、職業安定所の方へも出て参っておりません。現在職業安定所の方で取り扱っております数は三千人くらい残っているのではないかと思っております。その三千人につきましても今工場の誘致等をやっております状態で、近く漸次雇用がふえていくのじゃないかというようなふうに聞いているわけでございまして、もとより呉はすでに特殊なる施設がございまして、港湾もありまして、そういう点ではやりやすいところではありましたけれども、政府はたとえば工業用水の供給あるいはそのほか産業条件の整備に努力をいたした結果こういうことになっているのであいますが、より以上不利な地点に対しましても、既存設備をできるだけ生かして、あるいは不足な産業条件を調整する施設を講ずることによりまして、できるだけすみやかに恒久的な雇用が新たに発生するように努力をして、それを最終目標としてやって参りたい、こういうふうに考えている次第であります。
#91
○五島委員 新聞なんかの発表では、来年三十三年度には自衛隊を一万人増強するとかなんとかいうようなことを言われているわけですが、駐留軍の労務者が今年じゅうに何万人ぐらい失業するかというようなことは労働省で予想を立てておられますか、どうですか。
#92
○石田国務大臣 大体立てておると思いますが、詳しい数字は事務当局からいたさせます。
#93
○百田説明員 まだ本会計年度の間にどの程度出るかということは明確になっておりませんが、本会計年度の間に全部陸軍部隊が撤退するといたしますと、現在駐留軍関係の労務者で陸軍に現在勤務いたしておりますのは六万六千六百名おるわけてございます。あるいはそういう関係で空軍その他基地の移動ということも考えられる、われわれは一番大きな数字を頭に置いてやらなければならぬと考えております。
#94
○五島委員 それではこの問題については石田大臣が言われましたように、十分今後努力をされて万遺憾ないようにお願いしたいと思います。われわれもこの問題については十分協力したいと思います。
 それから非常に一瀉千里でございますが、国民大衆の大きな世論を巻き起したにもかかわらず、四月一日から国鉄運賃が改正されてしまったわけです。それに基いて、いろいろの価格――入浴料の改正とか、散髪料の改正とか、あるいはこの間自民党を引っくり返そうとしたところの消費者米価の値上げ問題等々も出てきました。それとともに全国のバスの運賃はなしくずしに次第に改正されつつあります。それとともに私鉄の運賃も百数十社の経営者の企業の中に、もうすでに七、八十の会社が運賃を改正したのであります。ところが先月の終りから今月の初めにかけて関東地区の大手私鉄が運賃値上げの申請をしました。先月の終りには関西地区の大手が運賃値上げをしたわけであります。そうして十七社が非常に大きな運賃値上げをしようといたしましたので、世論が非常にわき起っておるわけです。この場合に、組合が国民大衆の福祉の増進を守るために、そうして単に一方的に経営者の考え方通りに運賃が改正されるならば、お客が乗らないだろう、乗ってこないということは経営がますます困難になるおそれがある、従っておそれがあるということは、おけ屋の思案じゃないけれども、労働賃金に関係が出てくる、従って公衆の福祉を守るとともに労働者みずからの生活を守り、そうして企業そのものを守っていくためには運賃改正をすることは、これは反対であるという方針を立てたわけですね。そうしてあえて運賃を改正するならば、最悪の場合はストライキを決定してまでも、ストをしてもこれを阻止しなければならないという方針を立てました。そうして労調法の三十七条に基きまして、これは一県の関係ですから、地労委と知事にあてて三十七条の十日間の予告をしたわけです。通告をしたわけです。ところが地労委はこれを何のことなく、いろいろ問題はあったわけですけれども、これを受け入れたわけです。ところが行政府であるところの知事は、これは初めてのケースだから大へんだ、重大問題だというので、労働省にその見解を求めたということです。ところが労働省は、これは三十七条の問題ではないから、受け付けちゃならぬというようなことを、労働省が発表したんじゃなく、新聞が発表したわけです。そこでこれは非常に問題になっておるわけです。どこが問題になっているかというと、兵庫県の山陽電鉄労働組合という組合が非常に問題にしているわけでありまして、県民の世論をわき起し、地方紙は、神戸新聞を中心といたしまして、大新聞も全部筆をそろえて書き立てておるわけです。この問題について、県から、県の労政課を通じて労働省に相談に来たとき、労働省はどういうような解釈を下されたかということを一応聞いておきます。
#95
○亀井説明員 お説の通りその事件につきましてそういう予告の手続がございましたので、労政課としましてこの事件をどういうふうに処理するかという問題で連絡がございました。われわれがそのときに承知しておりますのは、私鉄の運賃の値上げの反対のための争議であるというふうに了解をいたしております。そういたしますると、ただいまお説の中に、非常に間接的に労働条件に影響があるというようなお説ではございましたが、われわれはこの問題につきましては、労調法の建前からいいましても、労働争議はあくまでも労働関係に関する主張の不一致の場合初めて行われるものであって、私鉄の運賃の値上げ反対というようなものを対象としての争議は労調法上の争議ではないという解釈をとっておるわけです。しかしながら一方、かりにそういうような解釈に反しても組合がストライキをやるという場合におきましては、市民に不測の迷惑をかけますので、知事として何らかの手段によってこれを一般に周知させる方法をとっていただきたいという趣旨のことでございます。ただその場合におきまして、労調法三十七条の規定に基くそれは公告ではないのであって、知事が一般市民に対するそういうものの予告をするといいますか、報知をするといいますか、そういう趣旨のものに取り扱っていただきたいという趣旨の指示をいたしました。ただ知事がこれを受けましてどういう措置をとるかということはわれわれは連絡を受けておりません。おそらくきょうまでは告示も何ら手続的にはとっていないように聞いております。
#96
○五島委員 そうすると、労働関係の争議でないと解釈せられる。団体交渉等を会社と組合がやって、そうしてこれは経営の問題について、企業のあり方についていろいろ団体交渉をしている、そうして、いやわしたちは組合にこんな話をする必要はないんだとかなんとかいって、意見が不一致の場合、そうして間接的には回り回って労働者の生活を守ることが困難であるというようなことになってきたときの不一致は、労働関係ではないと解釈されておるのかどうかということです。
#97
○亀井説明員 その関係におきましてどういう団体交渉が持たれましたか、内容につきまして十分私は承知をいたしていないのでございまするが、今まで労政課から連絡を受けておりまする範囲内におきましては、労調法第六条にいう労働争議行為でないというふうにわれわれは解釈をいたしております。
#98
○五島委員 第六条の労働関係の紛議状態ではないと解釈されるならば、第七条の現実に起るであろうところの争議、紛争状態が起る、そこで第七条から派生して労調法の三十七条の通告の義務がある、そうして施行令の十条の四項ですか、四項においてそれらの紛議が起り得るおそれがある場合は、通告されたらその県民に対して起り得る予想を公示する義務がある。従ってこの三十七条というのは義務規定じゃないですか。ところが今局長が言われたようなことに解釈するならば、これは経済闘争じゃないのだ、経済闘争じゃないことを三十七条をもって処理するのはおかしいじゃないかということを労働省は県に言っているんじゃないですか。ところが現実に県は受理したと新聞で発表された。労働委員会はこれは法のいかんを問わず受理するのが当りまえだとしておる。ところが労働省はこれはおかしいじゃないか、これは大体取り上げるべき用件でないのだ、従って三十七条を適用することはおかしいじゃないかと言われるのだったら、労働行政に一貫した見解がないと解釈してもいいじゃないですか。そこでそういうようなことは間違っているかどうかわからぬけれども、そういうものが大きく新聞に取り上げられると、県民は――国民といってもいいと思うのですが、国民は非常に戸惑いするわけです。戸惑いすることを大々的に発表し、労働省の見解であるというふうなことならば、国鉄闘争と同じように、何だか国民に組合のストライキは違法なんだというようなことを認識してしまわれるおそれがあるというふうにも思われるのです。従ってほんとうによく指導する必要がありはせぬかと思うのですが、大体七条から派生して六条をとられたんですけれども、七条から三十七条が出てくるんだ、そこで施行令の十条の四項をもって告示しなければならない、県公報などによって県民に知らしめなければならないという義務規定がそこにあるんじゃないかと私は解釈するわけですけれども、これは受け付けちゃならぬ争議行為だと断定されるわけでしょうか。これは私は神戸の山陽電鉄の組合だけだということを言ったわけですけれども、これは関東にもあるいは関西にもあるいは九州にも名古屋にも私鉄はあります。それでまことに重大な問題である。そうして今までそういうような解釈を下しつつ争議行為をやったところがあるか、あるいは争議行為がとどまったかということの先例があるかどうかということも聞かして下さい。
#99
○亀井説明員 この問題は先ほども申し上げましたように、労調法の建前から申しますればわれわれは受理すべきではない、こういう見解をとったのであります。ただそれかといいまして、違法という言葉がいいかどうか、言葉が過ぎるかもしれませんが、ともかくも労調法上の争議行為でない争議行為を行なった場合、現実的に電車がとまる、あるいはとまるというふうな事態が予想される場合に、県の一般総合行政を分担している知事が県民あるいは市民に対して、その事実を予知しながら黙っておるということも、必ずしも行政上妙を得た手ではないと考えるのであります。従いましてそういう事実行為に対する予告は、国民あるいは県民に知らせる。これは違法行為であるかどうかというふうな判断とは別に、そういう事実行為がある。しかしわれわれはあくまでも労調法上の争議行為ではないというふうに考えております。
 また前例につきましては、昨年電車の運転手の免許制の問題で運輸省令の改正の問題がございました。その際に私鉄総連全体としまして、全国的な争議行為を予告をして参りました。しかしこの場合におきましても、われわれとしては、同じ趣旨をもって労働省に持って参りましたが、これは受理しなかった、結局争議も現実には行われなかったという前例はございます。
#100
○五島委員 そうするとこの問題で県知事のとった態度とあなたたちの考えられていた態度が食い違った場合は一体どうするのですか。知事に対する指導が悪かったとわれわれは判定していいのかどうかということをちょっと教えて下さい。
#101
○亀井説明員 われわれは正しい指導をしておると思っております。ただその指導にもかかわらず知事が反対の行動に出られた場合は、われわれはほかの県知事が同じような行動に出られないような別の措置をとらなければならない、また国民に対してもその点は周知させなければならぬというふうに考えております。
#102
○五島委員 県側と労働省の見解が食い違うことはおそらくあるまいと思うのですけれども、もしも食い違ったら、労働省としていかなる態度と手段を講じられるのですか。今後あり得るかもしれないし、得ないかもしれない。そうしてこれは、今度はそういう問題は生じないだろうけれども、今後はあるかもしれない。その態度を知らして下さい。
#103
○亀井説明員 ただいまも申し上げましたように、われわれとしては正しい指導をしておると思います。十分な連絡もしております。ただ知事は、今その点について結論は出ていないようでございますが、もし逆な結論が出ます場合は、われわれはやはりこの点について是正させる措置はとりたい。さらにほかの県知事に対しましても、同様の誤まった行動に出られないような措置もとりたい。また国民にもその趣旨は十分周知徹底させたいというふうに思っております。
#104
○五島委員 この問題についてはいろいろ長く聞きたいのですけれども、時間がないですから……。
 あなたが、この省側の運賃値上げの問題に対するストライキの予告は六条の範囲外であるというようなことであれば、労調法外の争議であるという解釈になるわけですが、その場合地労委の見解としては、あなたは中労委の事務局長でしたからなんですけれども、地労委がこれは受けつけるべきであるという判定をして、県がもたもたして、そうして三十七条の十日間の予告期間というものが経過したあとに組合がストに入った場合は、一体どう解釈したらいいんですか。そうしたら労働省は何らかの見解を発表するとでもおっしゃるのですか。
#105
○亀井説明員 繰返し申し上げるのですが、そういう事態になりますれば、労働省としての見解をはっきり国民の前に示さざるを得ない。昨年の私鉄総連との関係におきましては、そこのぎりぎりまでいかないうちにわれわれとしては片づけたいというような趣旨でございましたが、様相がはっきり出ましたら、われわれもはっきりものを言わざるを得ない。
#106
○五島委員 あなたがこの問題について言われるところは、こんなのは経済闘争じゃないのだ、政治闘争なんだ、経済闘争外にはみ出しているから労調法外の闘争である。こういうようなこととイコール同じじゃないですか。そうすると経済闘争、労働関係というのは、どこからどこまでが労働関係の問題である、それ以上はみ出すならばそれは違う、適用外なんだというような見解の限界があるのですか。新聞によると労働省内でも意見がまちまちであって一致していないと発表している。そういうような重要な問題を、裁判の問題とかなんとかいうことで解決するならばまた別問題ですけれども、これをもって労働省の見解であるというようなことでやられると、今後非常に重大な問題が発生するのではないかと思うわけですが、私の質問に対するところの局長の解釈は大体わかったような気がします。しかしこれをもって、あなたが解釈をされたから今後こういうようなことになるのだなと私は引き下るわけではないわけですが、時間がありませんからこれで終りまして、他日実際の問題が出たり、あるいは出そうなおそれがあるというような場合は、再びこの問題をひっさげて、あなたたちと質疑をやりたいと思っております。どうもありがとうございました。
#107
○藤本委員長 井堀君。
#108
○井堀委員 暑い折柄ですからごく短かくお尋ねをいたしたいと思っております。ただ時期的にぜひきょう伺っておきたいと思いますことは、御案内のように岸内閣は三悪追放というごく簡単なスローガンを掲げて、それを基礎に新しい政策を打ち立てると公表しているのであります。また労働政策についてはすでに自民党のそれぞれの機関で新労働政策の要綱を公表されているわけであります。言うまでもなく議会政治は主権者の意思に問うて政府は政策の是非をきめていくというのが理想の姿だと思うのでございます。しかるに、この主権者の意思を問うということは選挙をくぐるわけでありますが、聞くところによりますと、この内閣は早期解散をやる御意思がないように伺っているわけであります。こういう折柄であり、行政は政党政治の中における政策との間にたゆみなく発展しつつある問題でありますだけに、われわれは国民の名においてきびしく新しい政策の方向を明確にする必要があると思うのであります。ただ時間も制約がございますので、要点だけをお尋ねいたして、その中で自民党の考える基本的なもの、その政党内閣の労働大臣としての方向だけでもこの機会にわれわれは国民にかわって伺っておきたいと思うのであります。
 まず第一に、先ほど赤松委員から質問した際にお答えになっておったようでありますが、まだ明確でありませんので、念のためにもう一度伺っておきたい。先ほど申し上げました自民党の新労働政策の要綱というものと、岸内閣が新政策の中で労働政策というものをいずれ公表されると思いますが、この関係であります。あなたは政党内閣であるから政党の政策に拘束されることを先ほど明確にされたようであります。これがこれからお尋ねする上に重要でありますから、もう一ぺんこの点を確認する意味で伺っておきたい。
#109
○石田国務大臣 政党内閣でございますから、政党の意見に当然拘束されると思います。従って私が労働省を担当して参るに当りまして、自由党の特別委員会で出しました結論を大きな参考としておりますことはもちろんでありますが、その中で私自身がやりたいと思っておりますこと、あるいはニュアンスの上で若干の相違のある問題等が生じますならば、事前にやはり調整をする必要があると存じております。私が本日午前中に申し上げましたような方向について、自民党内部及び内閣との最終的な了解を得ているわけではございませんけれども、基本的な方向として違っているとは思っておりません。
#110
○井堀委員 基本的に食い違いはないだろうと、応政党内閣の常識としてわれわれもそう考える。しかし先ほど赤松委員の質問の中で、あなたは郷里の大館で新聞会見をやられた際に、かなり広範にわたって労働行政の基本的なものについて大胆な発表が行われております。確かにその中の一つ一つを私がここで例証すれば、あなたは否定できないと思うのです。党の基本方針とあなたの労働行政の方針とは、単に私はニュアンスの問題ではなくて、相当基本的なものでお考えの相違があるのではないかと思うのでありますが、こういうものに対して、私の考えを先に申し上げてお尋ねするのが便宜だと思いますが、私は政党内閣であっても、行政府を預かる労働大臣としては当然政党の政策には拘束されるであろうが、やはり自由の範囲というものはどの程度認めらるべきかということが、党と政府との間の話し合いの上に行わるべきものだと思うのです。これはいずれの政党にあってもそうだと思う。原則はそこにあると思いまするので、あなたがあの公表をなされるときには、党との間に交渉なくして行われたものでないと常識上判断いたしておるのでありますが、この点は私どもの考え方が誤まりでありますか。
#111
○石田国務大臣 党との基本的な連絡の問題は、私ども内部の話でございます。しかし私が党の了解を得られないようなことを話しておるつもりはございませんです。公表された文章とあるいは幾らか違っておりましても、御説の通り私が労働行政の責任者でございますから、やはり私が政党内閣の労働大臣に任命せられました以上は、私の責任において最終的に行われるものである。ただし当然政党内閣でございますから、党の了解を得るように努力し、それを得ることが前提だ、こう考えておる次第であります。
#112
○井堀委員 あなたのおっしゃられるように、内閣との問題にわれわれが容喙しようとは思いません。全く自由な話し合いをなされることは言うまでもないのであります。しかし冒頭に申し上げましたように、新しい政策は、政党政治であると同時にその政党は主権者の意思によって、政策というものは、すなわち選挙をくぐってきた政策でありますならば、私はいい悪いは国民の判断の後になったものだと思う。しかしあなたはすでに石橋内閣の、さらに第一次岸内閣の大番頭をお勤めになったのでありますから、こういうことを申し上げることは釈迦に説法で恐縮でありますけれども、それだけに私はこれを重視いたすものであります。よもやそういう地位に御経験をお持ちになるあなたが、党と連絡なしにあのようなことは公表されないだろうという想像は、単に私の過ぎた想像ではない。ここに公表されたものは生きた政治と取り組んだ事柄についてであります。理想を言うような政策もあります。しかしあなたの関係しておるお仕事は現実に直面しておる。しかも岸総理のおっしゃられるように貧乏と暴力と汚職といっておりますけれども、これは政治家の常識で判断すればわかるように、貧乏を追放することに成功いたしますならば汚職はなくなります。暴力も必然に影を消すでありましょう。でありますから、貧乏撲滅ということを大胆に打ち出したものと一般の人は解釈しておると思うのであります。この政策の中心はよってもって私は労働行政の中に具体性を発見せざるを得ないものであります。しかもこの問題は刻々に動いておる問題でありまして、決して猶予を与えることのできないものであるだけに、この点しつこいようでありまするが、あなたの今おっしゃられた中である程度了解はいたしましたが、もう一度確認しておきたいと思いますものは、党と政府との間の了解なしに、ああいうものが発表にならないだろうという私どもの解釈に対して、そうでない、了解なしで、あなたが独断でおやりになったというのであれば、これは私は質問を申し上げません。しかし今あなたは了解ができるという可能性の上に立って発表したという御答弁でありますが、これはどちらであってもけっこうでございますが、こういう意味で、このことは非常に重大なことだと思うのです。それでくどいようでありますが、明確に一つ御答弁を願いたい。
#113
○石田国務大臣 私は本日午前中に私の考え方を申し上げました。新聞等で伝えられております私の旅先の話そのままの言葉で、あるいはそのままの内容でおっしゃられますと、これは必ずしも正確にとらえられたとも言えないでしょうし、各新聞社それぞれ違っておる表現もあります。しかし私が本日午前中に申し上げたことは、私がこれからやりたいと思っておることを申し上げたわけでありますが、私は旅先におきましても、大体本日と同様のことを申し上げたつもりであります。その際、本日の午前中も冒頭に申し上げましたように、最終的な了解を得ておりませんし、手続が完了しておるとも言えませんし、また予算編成等との関係もございますから、これが決定的なものと言っているわけではありませんが、私はこういう考え方でやりたい、しかもそれが基本的に、あるいは大きく変るようなことはしないつもりであるということを申し上げておったはずであります。そういう考え方でありますので、党と私の考え方との調整は私は当然でき得るものという見通しのもとにやっておるのであります。
#114
○井堀委員 明確でございました。
 そこで次にやや具体的のものを一、二お尋ねをいたして私の質問を一応終りたいと思いますが、この自民党で公表されました新労働政策の要綱はかなり広範にわたるものであります。反対党の立場にある私どもといたしましては、かくのごとき労働政策の広範にわたるものを公表されたことは、二大政党の現況におきまして非常に歓迎すべきことだと敬意を表しておるわけであります。ただし内容については、これは今後具体的に国会において、あるいは院の外においてそれぞれ論戦を試み、あるいは実践過程において討議を試みることと思うのであります。しかしこれは先ほど冒頭に申し上げまするように、今すでに動いておりますから、将来に見返ることのできない点が一、二あります。その点を取ってお尋ねをしてみますと、あなたも要約してお話がございました。あなたは、雇用の増大の問題と中小企業と大企業との賃金格差を締めるためのささえとして最低賃金制度を実施いたしたい、さらによき労使慣行をこの際急速に確立したいという御趣旨のようでありました。適切な問題ばかりだと思うのであります。雇用の問題については、私はかなり喫緊な問題もあるし、広範にわたる問題でもございまするので、時間をかしてもらえればと思っておりましたが、きょうの委員会の予定は大へん時間が詰まっておるようであります。委員長にも希望を申上げておきますが、冒頭に申し上げたように、選挙をくぐらない内閣が政策を公表する際においては、議会はひんぱんにやはりこういうものを討議する議会を与えてほしいと思っております。雇用の問題については、残念ながらそういうわけで飛ばしまして、次に最低賃金制の問題でありますが、これはあなたの方の要綱の中でもうがった表現をいたして、かなり進歩したものだと敬意を表しております。これをこのまま引用さしてもらいますと、最低賃金の必要性をごくわかりやすく端的に表明しておられる。それによりますと、低賃金の労働者の保護が目的であることは言うまでもない。企業の公正競争と雇用の近代化をうたい、次に労働の生産性の向上をあげておる。次には国際信用の維持を強調されておりまして、実にりっぱな主張であります。この点はいずれも喫緊な問題でありまして、日本の経済は先ほどもお話がありましたように、一時は神武景気といって国民の気分を沸き立たせるような状態から非常に暗い状態に陥ったのは、言うまでもなく国際収支のバランスが崩れたということだけであります。これは貿易に関係を持つことであること申すまでもないわけであります。この関係は第四にあげられておりまする国際信用の維持ということが前提にならなければ、どのようにさか立ちをしても今後の新しい市場の開拓はできないと思う。この点一点を取り上げてみても、最低賃金制度の必要は国際的な要請になっていると思うのです。また労働の生産性向上も言うまでもないのでありますが、労働の資質を引き上げないで生産性を上げるなんということはナンセンスです。とういう点からあなた方の党も指摘され、あなたもこのことは全くその通りであると言われると思いますが、こういう四つの要点をあげられたことは、最低賃金制を即座に実行しなければならぬ理由であるということには疑いを差しはさまぬと思う。そこであなたにお尋ねしておきたいのは、あなたの責任においてなさなければならない問題がある。一つは既存の労働基準法の中に、あなたの地位をもってすれば、必要を認めたときには中央賃金審議会に諮問して直ちに最低賃金制度を実施することの可能な道を法律は与えておるわけであります。これだけのことを言う以上は、この道を通じて行政的な措置で最低賃金制は直ちに法制化できる可能性があるのです。これをお選びになるお考えがあるかどうか。これをお選びになる場合には、中央賃金審議会も今新しく招集諮問されておるようでありますが、その答申に対して――これは答申されなければわからぬというような仮定のことを私聞くのではございません。私の伺おうとするところは、あなたの責任においてなせばできるという限界がここにある、基準法のたしか二十八条と二十九条だったと思いますが、これは何ものからも拘束を受けない、国務大臣の地位さえあればできるのでありますが、この点に対する明確な御意見を一つ伺っておきたいと思います。
#115
○石田国務大臣 中央賃金審議会では、先般、何月か忘れましたが、二十九年に答申が行われまして、四つの業種に限り最低賃金制を実施したらよかろう、その裏づけとして実効性のある措置をとれ、こういう答申が行われました。労働省といたしましては、この実効性のある措置をとりますために関係各省と連絡をとり協議を進めておったのでありますが、そのときの経済条件から申しまして、その四種は非常に経営不安定であり、かつその四つの業種に限って実効性のある措置を特にとることは非常に困難であるという事情のもとに今日までまだ実効性のある措置についての結論が出ないままでおったわけであります。その後一般的に経済的な条件も漸次改良せられましたし、また最低賃金制についての社会一般の認識も高まって参りましたし、それから労働問題懇談会におきましても労使の協議会方式によります最低賃金制を逐次実施するようにという勧告があり、かつ中央賃金審議会を再開し、その具体的な実施方法について協議をするようにというお話がありましたので、私は今中央費金審議会でその調査研究をしてもらっておりますとともに、自由民主党におきまする案あるいはそのほか各方面から出されております案を検討いたしまして、労働省としても独自の立案をいたさせておりますとともに、労使の協議会によりまする最低賃金制の実施につきまして指導を行わしめておるといったような状況であります。従って今中央賃金審議会にその具体的な現在とるべき措置について意見を聞いておる段階でありまして、労働省としても独自の見解を作っておるという状態でありますが、先ほど御質問の中央賃金審議会の答申がそのまま行えなかった事情は今御説明申し上げた通りであります。
#116
○井堀委員 中央賃金審議会に諮問をしておりました過去のものについては私も多少意見があるわけであります。それで私がお尋ねをいたしましたのは、あなたは中央賃金審議会の諮問が、今ここに党が公表され国民に約束されました四つの点だけをあげましてもなるべく早い機会に実施したいということはわかるわけです。ところが私どもの審議会に対する見解の一つであります私の意見を述べてあなたの意見を聞くのが便宜だと思いますから伺いますが、三者構成はまことに民主的なニュアンスに富んだ制度であることには私は何らの反対はない。しかしこういう額を直ちにきめなければならぬような場合については、労使両方の意見が一致を見ることは私は非常にむずかしいと思う。あの二十九条による審議会の役目――今日の場合においては額を幾らに定めるか四業種に限定をするということは、あなたもお認めのように、今日の賃金の格差というものは業種別な格差ではございません。規模別な格差である。でありますから、全国いずれの業種を問わない。すなわち規模の小さい事業場ほど賃金が低いのでありますから、低賃金の労働者を保護することになると、四業種の答申はすでに時代おくれだ。きっと変った答申が行われるでありましょうけれども、しかしいずれにいたしましても、この三者構成の欠陥というものは、具体的な数字を求める場合には不適当といえば強過ぎるかもしれませんが、適当な制度ではないのではないかという考え方が私にはあるわけであります。このことはこの問題に対する一つの判断の一番手近な問題であると思いますので、あなたのお考え方はどうか、これをまず伺います。
#117
○石田国務大臣 中央賃金審議会に限らず労使の問題を解決するいろいろの委員会におきまして、その三者構成のあり方が、そのままで特におっしゃる通り具体的な数字なんか出す場合には問題が起るだろうと私も感じております。しかし現在制度としてそういうものがあります以上はその制度を活用して参りたい。さらに研究をいたしまして結論が出ましたときには適当な措置をとらなければなりませんけれども、考え方としてあなたと同じような感じは持っておりますけれども、現在そういう制度がございますからその制度にのっとってやりたい、こう思っているわけであります。
#118
○井堀委員 そこで基準法第二十八条、二十九条に対するあなたのお考え方はある程度伺うことができたと思う。ちょっと誤解があってはなりませんから申し上げますが、三者構成もほかの場合においては非常にいい制度だと思う。特に労働委員会といったような制度は、よき労使慣行を作り上げていく媒介的な役割としては日本には打ってつけだと思う。しかし最低賃金の額を諮問される機関としては、よほどこれは行政府も誠意をもって諮問されませんと、他の労使関係のストライキのあっせんとか、調停とか、仲裁とかいったようなものと異なりまして、仲裁はちょっと似たようなものでありますが、しかし異なって、諮問の仕方が抽象的であって意味をなさぬということを申し上げたいために言ったのであります。しかしこれは基準法が施行されましてから十年以上経過して、その間には日本の経済が最低賃金の額を定めるには適当でない時期もあったと私は思います。しかしもう日本の経済はいろいろな公式の機関に政府も公表しておりますように、最低賃金の額を定めることが困難だなどということはどこからも出てこない状態にあるわけであります。しかしこういう制度に今申し上げるような一つの疑問がある場合には、一つ別な方法があると思う。それは額を法律によって定めるという行き方があるわけであります。社会党の提案はこれであります。最低賃金制度の問題を今混線しているきらいがあると思います。労働団体の間ですら、専門家の間ですら多少混線をしております。最低賃金制度の問題は当事者同士によっても作ることができます。労働協約あるいは団体交渉の形によって、業種別及びその産業別あるいは地域別に定めることもできるわけであります。しかしそういうものはここであなたの方の要綱で言っている問題とは違うのです。すなわち低額所得者のささえということになる以上においては、これは額を明確にして、低額所得者全体が法の恩典を受けられるという制度にならなければ、法治国としては、ある者が恩典を受けておる、ある者は同じ条件のもとにあって、同じ性質の法律の保護を受けたいという法律を作ることは許されることではございません。この点からいきまするならば、私は今日の場合は、最低賃金の額を立法的処置によって定める段階に当面しておるのではないか、そのことを明確にしなければ、ここに掲げておりまするものは羊頭狗肉、人民をだますものであるとして、一番極端な政策として非難をされるであろうと思います。最低賃金の問題は今日額を定めて実施に入るということが必須の条件になっておると考えるのでありますが、行政の一番トップにお立ちになっておりまする労働大臣として、この問題に対して明確な御答弁をいただかないと、国民は納得しがたいと思うのであります。一つ明確な答弁を伺いたい。
#119
○石田国務大臣 賃金の格差は確かに経営の規模によるところがある。だから画一的にささえをきめても一向差しつかえないであろうというお話でありますが、私はもちろん経営の規模によって影響するところが非常に多いと思いますが、その経営の規模のあり方自身が、業種によって、あるいは職種によって違っておるように思います。それから、やはり職種、業種によっても差がございますし、地域的な差もあると思います。漸進的にかつ現実的に進んで参ります場合、私どもの建前から申しますと、両一的に定めることは私は時期が早過ぎると考えておる次第であります。
#120
○井堀委員 私はさっき基準法第十八条、十九条と申しましたが、第二十八条、第二十九条の誤まりです。
 それから、今あなたのお答弁によりますと、そこがあいまいなんです。私ははなはだ失礼な言い方ですけれども、あなたの政治感覚をもってすればずばり答弁を願わなければならぬ問題だと思う。今日最低賃金を実施するかしないかという誠意の示し方は、二つに一つだと思う。その額の公表をしないで、あなたは業種別、地域別の問題を考慮される。それもいいと思うのであります。いろいろあっていいと思う。いいけれども、最低賃金の原則というものは、今日もう国際的に一つの基準が出ております。ことに、私はさっき堀基準局長の答弁を聞いて、ちょっと理解に苦しむ点がありましたから、これはあとで基準局長から答弁を願ってもいいのでありますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。あなたの方にも書いてありますように、国際信用を維持しようという一項は、非常に重要だと思うのであります。これは何を意味するかといえば、これは、岸総理大臣も、三十二年度予算審議の際において、予算委員会で私の質問に対して明確に御答弁をなさっておいでになったのでありますから、この内閣としてはもう方針はきまっている。それはILOの勧告や条約については、これをできるだけ全面的に批准をし、あるいは実行に移して参りたい、これは国際信義を守る意味で当然だと思うのです。そうしますと、ILOの最低賃金に対する問題は、一九一九年と、それから一九二八年の二つの総会に最低賃金問題が採択されておるわけです。この二つの総会とも、結論の中で明確になっておりますものは、最低賃金の額を定める基準がちゃんと明示されておるわけであります。この点に対して、労働大臣御存じでなければ事務当局に答弁させてけっこうです。この際二つのILOの総会で、賃金の額を決定する基準について明らかにされておりますが、これに対する労働省の所見はどうでありましょうか。明確にこの機会に一つ伺っておきたい。
#121
○石田国務大臣 私は今あなたのおっしゃる通りでなく理解しておったものですから、問いただしたのでありますが、第一条に「本条約を批准する国際労働機関の各締盟国は、団体協約其の池の方法に依る賃金の有効なる規律の為の施設存ぜず且賃金が例外的に低廉なる若干の職業又は職業の部分(就中家内労働の職業)に於て使用せらる、労働者の為、最低賃金率を決定し得る為の制度を創設し又は維持することを約す。」となっておりまして、この文章から私が理解する範囲は、画一的なものを要求しておるものとは考えません。
#122
○井堀委員 次にもう一つ。お尋ねいたしたいと思います。その項の次に、進んで賃金の額を決定する指針を与えておるが、その点に対する御見解を伺いたい。
#123
○堀説明員 ただいまお諮のありましたように、最低賃金制度の施設に関する条約の趣旨は、本来は労使間の話し合いによって賃金をきめるものである。しかし、ある職業あるいは職業の部分において、賃金が例外的に低廉なる場合、しかもその賃金の有効な規律のための方法が存しない場合において、その最低賃金制度を政府が創設するものである、こう言っておるのでありまして、やはり職業別、職種別ということを前提にしての考え方であると理解しております。
#124
○井堀委員 もう一つ伺いたいと思いますが、額を定める場合には、あなたは先ほどどなたかの質問に対して三つの要件をお述べになりました。第一は生計費を上げられた。第二は支払い能力の問題をあげられた。それから第三には比較さるべき賃金というものについて言われておりましたが、これは明確な二つの決議を行われておりますので、ああいうことは非常に公式な機会にまずいと思います。御訂正をなさるか、なさらなければ私の方で申し上げますが……。
#125
○堀説明員 先ほど申し上げましたように、各国の立法例等を参酌いたしますると、それから最低賃金に関しまして、御承知でもございましょうが、最も通説的な立場をとっておりまするリチャードソンの学説によりましても、この最低賃金の額を決定する場合には、三つの基準が考えられる。第一に労働者の生計費、第二に産業の支払い能力、第三に、同種産業の一般賃金ベース、この三つの基準によって定められておるものである、こういうことを言っておりますが、私といたしましても、最低賃金額決定のための基準は、やはり今申し上げた三つの基準を参考にしてきめられるべきものである、このように了解しております。
#126
○井堀委員 これは非常に重要だと思うのであります。基準局長というポストにおつきになっておる方が、ある場合には国際労働総会の勧告の部分読みをして、ある部分はほかの例を持ってくるというようなことは、狡猾なやり方か、しからざれば他意があってそういうことをするというふうにとられます、私はそうでないと信じますが。そこでこの際明らかにしておきたいと思うのであります。これは今諮問されております中央審議会においても当然論議の中心になるだろうと思う。この国会でも問題になると思いまするが、勧告によりますると、しかも二つの総会とも、支払い能力の問題については、一部から支払い能力を順守するという提議が行われたことは不実であります。しかし、それは委員会やその他の方面で、一応満場一致の形で、支払い能力の問題を取り上げてくると、最低賃金の実施はここからくずれてくるということを、総会の意思によって結論が出ておる。そういうことをよも御存じないことはないはずです。こういう大事な審議の際の質問に、支払い能力を第二にあげてくるがごときは、他意があるのか、しからざればこの法案に反対せんがための伏線だと言われてもしかたがないと思う。こういうことは石田労働大臣の名誉のためにも私はあえて申し上げておきたい。外国では最低賃金を定めるときには、第一には生計費の問題、第二の問題には、なされた労務の公正なる、しかも合理的な価値に対する判断が必要であることを言っておる。さらに第三には、労働協約あるいはこれに類似する、そういう形において、すなわち大半が組織された労働者の場合の協定あるいは決定したものが参考とされなければならぬ。第四には、地域的には同様十分に組織化されたということを言っておる。このことは私は日本の最低賃金制度の問題を論議する場合に、しかも今日の段階において非常に重要だと思いますから、これはもちろん訂正されると思いますけれども、されなくてもけっこうであります。しかし私は冒頭に申し上げましたが、時間がありませんから、多く述べられませんが、自民党の新労働政策と労働大臣の考え方の上に、この問題だけを取り上げても、あるのです。それは不用意に言っておるのか、意識的におっしゃっておるかということについては、失礼ながら前段に述べたように、二つの内閣を通じて内閣の大番頭をお勤めになった方でありますから、そんな思いつきをおっしゃられるようなことはないはずであります。十分検討されてのことであると思います。私は最低賃金を実施していく段階の今日においては、額の決定については、よほどしっかりした見解と方針が示されなければならないと思う。それがない限りにおいては、それはいいかげんなものである。最賃が騒ぎ出されたから調千を合せていくということにほかならないのでありますから、そういう政治は今日許されないと思いまして、これは労働大臣の人格にもさわることでありますから、お尋ねをいたしたわけであります。
#127
○石田国務大臣 決していいかげんに世論につじつまを合せるためにやる意思ではございません。ただこれを実効あるものといたすためにも、やはり現実的に、かつ漸進的にやりたいと思っておる次第であります。額の決定、たといそれが画一的のものであろうとなかろうと、その額の決定と申しますか、基準が論議せられることも必要であることは、否定はいたしませんが、しかしそれはやはり各種の実情に応じた検討がなされた最後に行わるべきもので、先にきめておろすものではないと考えております。
#128
○井堀委員 議論はしようと思いません。額の問題を定める責任の地位にあなたがおつきになっておりますから、いずれ近い機会にお約束を実行されるだろうと思います。その際にあやまちのないことを私どもは願ってやみません。そのことは労働者全体の仕合せのために、あなた方も言っておられるように国際信義を維持する上に重要だと思ったからであります。いろいろ伺いたいのでありますが、時間がございませんから、最後に一つだけちょっと伺っておきます。あなたはしきりに労使のよき慣行をと主張される、それはごもっともであります。たまたまこれは何かの失言ではないかと思いますが、どなたかの質問にあなたがお答えになっておった際に、公企業体の国鉄の争議の問題じゃないかと思いますが、団体交渉の段階において積み上げてきた労働条件の問題、もしくは団体交渉方式の問題、あるいは闘争の合法非合法の線に対する責任者の見解などがあるいは力に押し切られて、あるいはなれ合いで、いろいろそれはそのあとから第三者が批判すればあると思う。しかしやせても枯れても一方は国鉄という大世帯を持つ、しかもその地位は総裁以下理事は保障された地位であり、りっぱな人々によって構成されておる。労働組合についてもいろいろの批評の仕方はあるにいたしましても、公然たる合法的な労働組合の幹部との間に行われた団体交渉、労働協約というものは、私はよき慣行としてこれをみなすべきではないかと思う。にもかかわらず、あなたはその中で何かの勘違いじゃないかと思いますが、何か合法非合法の線をそういうところで積み上げた、そういうものを今の法律に照らして、そうして上ったものを引き下げるかの感じを与えるような御答弁のように伺ったのであります。もしそういう考え方で、労使のよき慣行というふうに思っておいでになるとするならば、それはまゆつばものだという感じを、私どもだけではなくて、少くとも労働運動に多少でも関心を持つ者は抱くであろうと思います。これは何かの間違いではないかと思います。速記に残ってくると思いますから。この点、念のためにあなたのほんとうのことを伺っておきたいと思います。
#129
○石田国務大臣 労働協約なりあるいは団体交渉によって積み上げられた事実というものを、私どもは尊重しないと言っておるわけではございません。しかしそれは一般の法以上のものではないと私は考えております。やはり一般の法と抵触しない限りにおいての問題だと思っておりますことが一点。それから第二点、特に私が重要に申し上げました点は、従来この程度のことは認められておったのだから、従来この程度のことなら何ともなかったのだから、明らかに法律に違反した行為であっても、労働運動の名前のもとにこの程度のことは許されていいのじゃないかというような話がよく伝わります。私は労働運動といえども、一般の法の規制の外にあるものではないということを申し上げたのであります。
#130
○井堀委員 多少こまかくなってきますが、非常に大事な点だと思います。もちろん合法的でなければならぬ点については、われわれいささかも非合法を主張するものではありません。特に私はそうでありますが、合法的であるということは、法律それ自身の解釈、たとえば法律には自由裁量をまかされたものがある。その自由裁量は、ある場合には行政官に、あるいは司法官に、ある場合には労働法のようなものは当事者の団体交渉の中によき慣行を作られるというように、裁量というものがまかされておる。特に労働法の基本的な精神というものは、できるだけ権力が介入したり第三者が圧力を加えるということでなくて、労使間の全く自由にして、そうしてそこからよき慣行を作る。もちろんそれは広く国民の世論の監視の中において行われるということが前提であります。でありますから、間違えれば世論が懲罰をするでありましょう。これが私は労働法の特徴だと思います。こういう中で積み上げられてきたものを、六法全書を引き出してきて、ますのすみをようじでつつくような調子で、これはこう解釈をすればこうなるというようなことは、せっかくよき慣行として――あるいは悪い慣行があるかもしれません。悪い慣行なら世論がこれを非難いたしましょう。その非難にこたえて団体交渉によってまた修正をされてくる、こう行われていくべきものと私どもは判断をいたしておるのであります。この判断が正しいとあなたがお認めになれば、今まで積み上げてきたものが、公労法のような、要するに非常に自由裁量の幅のある法律を、何か一方的な弁護士の判断やあるいは特殊の法律学者の判断によって動かすべきものではなくて、やはりその法の精神を労使の当事者が良識的に判断をして、またきびしい世論の批判にこたえて、善処していくというやり方が、私は労使のよき慣行を積み上げていく唯一の方法だと思う。積み上げてきたものが悪ければ、政府がそれをたたくとか、裁判所が問題にするとかいうようなことは、私はよき慣行に対する是正の仕方ではないと思う。その是正の仕方はあくまで世論にこたえて労使が団体交渉で積み上げたものは、団体交渉でまた。訂正をしていく。かように判断するのが私はこの法律の精神であり、また労働運動の常識であると信じておっただけに、あなたの御答弁がちょっと――あなたはそういう方面は専門的ではないと思いますが、しかしこの考え方については非常に重要だと思うのです。特にあなたの方の党は、公労法に対する再検討をということを言っておる。そういう点を逸脱して、脱線してやられた日には、天下の公党として議論する前に、問題ができてくると思いますので、よけいなことでありますが、あなたの解釈、あなたの判断というものが党の判断になり、あるいはまた世論の大きな渦巻の頂点に立つ、かように考えましたから、時間的に先に送ることはまずいと思いましたから、非常にきびしいようでありますが、明確な御答弁をお願いいたします。
#131
○石田国務大臣 法の建前上自由裁量にまかされている分についてまで言おうとするのではありません。しかしながら明らかにその他の法律、たとえば刑法その他の法律に触れている行為でも、労働運動であるという名前のもとに看過せられてきたような事態が若干あったように私どもは思っておるのでありまして、労働運動であるという名のもとに不法は許されないだろう、こう思います。
#132
○井堀委員 ちょっと問題になりそうでありますが、私はあまり議論を好みません。しかし就任間もないことでありますから、特に公労法については心を配って御検討を願いたい。よき労使慣行というものは、あくまで労使の常識と自由なる団体交渉の中において積み上げていくべきものだ。この一線ははずさぬようにお願い申し上げます。誤まって、いろいろな事態が起ってからわれわれが批判をすることは、あまり好ましくないと思います。まだいろいろお尋ねをいたしたいのでありますが、約束の時間も参りましたので、他日また近い機会に伺うことにして、私の質問を終ります。
#133
○藤本委員長 八木一男君。
#134
○八木(一男)委員 石田労働大臣の御抱負を伺いまして、労働問題全般について御質問をいたしたいのでございますが、遺憾ながら時間が詰まって参りましたし、同僚の中原、吉川委員がお待ちでありますので、ごく一点にしぼって御質問をいたしたいと存じます。
 私の御質問申し上げたいことは社会保険に関してでございまして、ただいまの大臣の御抱負を伺いますと、今度失業保険制度を零細企業に適用したいというような方針を伺ったわけでございます。もっともこのような零細企業は、一番雇用の状態が不安定でごさいますし、また失業した場合に、早晩生活をささえるだけの財源になるべき賃金が非常に少いものでございます。そういうような用意を自己で、自分の経済ですることができないというような状態にございますから、こういう制度はもっともっと早く拡充されていなければならなかった問題でございます。私どもはかねがね主張しておったわけでございますが、おくればせでもこの問題を新労働大臣の手で取り上げていきたいというお考えを伺ったことは、非常によいことだと思っております。労働大臣の御所信の中に、党との関係、あるいはまた内閣全体の関係というようなことで、何と申しますか、そういう話がございましたけれども、自民党の新労働政策におきましては、この失業対策の拡充、零細五人未満の事業所に対する適用という問題は、私ども拝見したところによりますと明らかに載っておりますので、この制度が流産に終るということはめったにないと思うわけでございますが、その点につきまして重ねて御所信を伺いたいと思います。
#135
○石田国務大臣 これは松浦前労働大臣のときから言われ、党でもかねて主張をしていたことであります。流産などのないように全力を尽して努力をしたいと思っております。
#136
○八木(一男)委員 非常に有能な石田労働大臣がそう言われましたので、安心はいたしましたが、ゆめゆめ大蔵官僚などに内閣が押されるようなことのないように、流産のないようにお願いしたいと思います。この失業保険の拡充につきまして、五人未満の事業所に対する拡充というふうに書いたものもあったと思いますが、五人未満はもちろんでございますけれども、労働者と名のつくもの全部に、失業した場合にいささかでもその生活がささえられるように、失業保険制度を全面的に拡充される必要があると思うわけでございます。たとえば山林の労働に従事する山林労働者等はどのような工合にしようと考えておられるか、それを承わりたいと思うわけです。
#137
○石田国務大臣 具体的な問題になりますと、就業時間のつかみ方――いろいろ具体的な問題になるとなかなか問題が多いと思いますので、それはこれから検討をしていかなければならぬ段階でありますから、具体的な答弁は差し控えさせていただきます。
#138
○八木(一男)委員 これから御検討でございますから、 それでけっこうでございますけれども、御検討のときにぜひお願いいたしたいことは、今までのいろいろな法制上のしきたりにとらわれて、ほんとうに労働者であって、ほんとうに失業したときに非常に困るという人が、ただ法制上の慣習によってはずれることがございます。社会保険全般について言えることでございますが、このような、法制局の公務員の人のただ形式的満足ということで、労働者の実質的な大事なことがじゅうりんされるということがないように、一つ強力な施策を打ち出していただきたいと思うのでございます。
 その次に、先ほど同僚の滝井委員の御質問のときに、五人未満の事業所の健康保険の問題について、所管外であるから答弁は差し控えたいというお話でございました。一応ごもっともだと存じます。しかしながら、この問題で一つ申し上げたいのは、健康保険の問題が今まで厚生省だけでいろいろと行われておる。特にことしの健康保険の改悪のときに、労働省はほとんど関知していないように私どもにはうかがわれるわけであります。ところが、あの健康保険の改悪は労働者に重大な被害を与えることは、賢明な石田労働大臣はすぐおわかりだと思いますが、それだけに、一部負担がふえれば、それだけ労働者の負担がふえる。今までしなくてよかったものがふえるわけであります。そういうことで、健康保険に関しては、労働者の福利に非常に重大な影響がございます。この場合に、労働大臣といたされましては、閣議において、労働者の立場においてこの労働者の福利を擁護する、また新しく推進するという点で熱心にやっていただきたいと思うのです。先ほどお話の一端に出ましたように、五人未満の事業所における健康保険の問題、これは当然健康保険の適用をすべきだということは、社会保険関係のほとんど天下の世論になっております。また前の神田厚生大臣からも、そういうふうにやっていきたい――確実な話ではございませんでしたけれども、努力していきたいというようなお話も承わっております。ところが、国民健康保険でよいではないかという声――これは一部の、金を活用することを考えないで、金さえ減らせばいいというような大蔵官僚から出ていることと思うのでありますが、これは国民健康保険にしようというような、非常に間違った考え方が一部出ているように伺っております。もちろん自民党もそうではないと思うのであります。政府もそうではないと思うのでありますが、そういうことがあったら、労働者にとっては非常に重大な問題でございます。御承知の通り健康保険制度には傷病手当金というのがございまして、傷病にかかって非常に長い間療養をしますときに、賃金が切れて、そうして傷病手当金が六割入る。それでも非常に少いのでございますが、それで生活をささえながら。傷とか病気をなおすことができる。ところが国民健康保険の場合にはその制度がございません。それでありますと、労働者にとっては首尾一貫しないものになるわけでございます。もちろん国民健康保険全体、農民も零細企業者に対しても、傷病手当金の必要は十分ございます。それを推進していただかなければなりませんけれども、傷病手当金は特に労働者に必要である。これはたとえばお店の場合には、御主人が病気であっても奥さんがかわり得る状態がある。あるいは農家の場合でも、そういう状態がある。ところが労働者の場合には賃金だけが生活の根源でございますから、そういう場合傷病手当金がなければ、健康保険制度が生きてこないわけでございます。そういうわけで、どうか閣議におかれましても、こういう問題は厚生大臣だけにまかせずに、労働者の福祉を担当しておられます労働大臣が強力に、労働者の立場から、ほんとうの社会保障全体の立場から推進していただきたいと思うわけでございますが、それについての御所信を伺いたい。
#139
○石田国務大臣 単に閣議の席だけでなく、労働省は労働者の立場を代表する唯一の役所でありますから、あらゆる機会にその立場を堅持して参りたいと存じます。
#140
○八木(一男)委員 あとたくさん質問者が控えておられますので、ほかの質問は次会に保留いたすことにいたしまして、これで私の質問を終ります。
#141
○藤本委員長 中原健次君。中原さん、恐縮ですが、お約束の時間を厳守して下さい。
#142
○中原委員 石田労働大臣に初の質問をいたします。実はきょうは重要な時間――いわゆる一般的に社会的に段階が非常に重要だ、われわれとしては、単に質問ということだけでなしに、相当論争もしてみたいと思います。またする義務がある。きょうはそういう時間が許されない。十分だと委員長が非常に御心配ですもちろん十分で正直にやりますから、ただいま四時でありますから、どうぞ御記憶願います。
 先ほど労働大臣の御答弁の中で、裁定の完全実施、特に給与関係十八プラス二と私は聞きました。あるいは十八であったかもしれません。こまかい記録を見てもらえばわかりますが、多分違わぬと思います。しかし今その一つ一つをせんさくしようというのではない。いずれにしましても、今期の公労協関係の実力行使の最も争点ともいうべきものは、裁定の実施いかんの問題、ここにあると思います。そこで私は今回の裁定について政府の労働大臣としての解釈――官房長官時代にあなたもかなりそれについての御所見を新聞やラジオで発表されていますし、今そのことを取り上げますと、新聞の方の解釈が違ったり何かしたかのごとくにおっしゃいますから、そのことは申しません。ただ問題はその裁定についてのあなたの解釈です。どういうふうに見ておいでになるか。
#143
○石田国務大臣 私は、政府はあの裁定を誠意をもって安全実施をしたものと考えております。
#144
○中原委員 あのときの裁定は大体千二百円でしたね。その千二百円の裁定を実施するに当って政府の発言の中にやみ給与、こういう宣伝が流れたわけです。そこでそのやみ給与とは何か、これについて御所見を伺いたい。
#145
○石田国務大臣 政府がやみ給与という言葉を使ったことは記憶しておりません。新聞がやみ給与という言葉を使ったのだろうと思います。当時私は官房長官をいたしておりましたが、私の方は少くとも政府の代表的な発言でやみ給与という言葉を使ったことはありません。ただ新聞あるいはラジオでそういう言葉が使われるようになりましたから、その後におきましては、いわゆるやみ給与というような言葉は私も使ったことがあると思います。しかし裁定は千二百円という数字は出ましたが、それは予算単価の上に千二百円を積み重ねるという裁定であったことは御存じの通りであります。予算単価と実行単価との差をあるいはそういう言葉で表現をしておったのではないか、私どもはそういうふうに理解をいたしております。
#146
○中原委員 時間がないのははなはだ残念でありますが、大臣が発言しております。官房長官はその後にそれを承認されて発言されたのかもしれない。いずれにしても責任のある大臣が発言しておる。しかもそのことが災いいたしまして、国民は何も知りません。だから、やはりやみ給与があの中に介在しておったのかしら、こういう疑惑を持ったのが今度の実力行使に対する国民の感覚です。そういう感覚でこれをながめている。これは大へんだと私は思います。実にけしからぬことだと思います。やはりあるがままの姿をそのままに国民に受け取らしめて判断をしてもらうというのが、特に労働者当局の責任だと私は思う。それがどちらに有利であろうとか不利であろうとかいうことは、問うべき事柄ではないのであります。やはり妥当適正にあるがままの姿を国民に理解せしめるということが、政府のとらなければならぬ責任ある態度だと私は思います。しかるにさき申しますように、労相はそう言うけれども、前労相はそれをやみ給与などと放言しているし、あとからであったにせよ、重ねて官房長官ともあろう大責任者がやはり繰り返して言っているということになれば、この責任は大きいと思う。これがもし災いを及ぼすことになれば、今度の実力行使によってかりに問題があるといたしましても、責任の所在点はどこだということになると思います。この議論は時間がないから今はいたしませんが、あとでまたいたしたいと思います。そこでそういう解釈をいたしますときに、先ほど労働大臣の責任において言われた言葉の中に、よき労働慣行を作る、まことに同感であります。これはだれもよき労働慣行を作ることに対していなという者はありません。しかしよき労働慣行を作るためにはどうしたらいいかという問題がここに出てくると思います。労働大臣は先ほど現行法律を誠実をもって守ると言われたと思いますが、その通りです。それならば今の裁定の問題に対して、政府はほんとうに誠実をもって根気よく守るという態度をとられたかどうか、実はとっておらぬのです。たとえば国鉄でいえば五百二十円を引いたあと云々ということを私は聞いているのです。そうなりますると、それが実行であるか予算であるかの説明でかりにそこをごまかすとしても、これはごまかし切れぬ、給与の問題ははっきりしているのです。そこでそのあとにすぐ出てくる問題は何かといえば、それならその五百二十円という増額の単価部分は何か、これは国鉄が勝手にさえずっているのか、そうではありません。国鉄は勝手にそのことを流しているのではありません。公社と労働組合との正式に構成された団体交渉の結論なんです。そうなるとそれはどうなるのですか。これに対する御解釈を承わりましょう。
#147
○石田国務大臣 私どもはその裁定書に表われたものを正確に解釈しようとして努めたのであります。裁定書には予算単価の上に千二百円を加えろということが第一にございました。どういう経過があったか詳細には知りませんが、予算単価以外に実行単価というものがあったことは事実であり、その間相当の差額があったことは御承知の通りであります。そこで裁定書は予算単価の上に千二百円を加えろということになりまして、それを厳格に計算をいたしますと、八十円にしかならない。それではもう一つの裁定のあとに規定せられております。実際上相当額のベース・アップになるように考慮しろということを満足させるわけには参りませんので、六百円を引いた残りの五百二十円という部分を一ぺんに消すことをやめまして、三カ年に消すように計算をいたさせたのであります。ところがそういたしましても、なお三百何十円にしかなりませんので、私は当時大蔵省との間をあっせんをいたしまして、四百三十円か四十円になるようにいたしたのでありまして、裁定書主文は御承知のように千二百円を予算単価の上に加えろということであります。従って政府はその裁定書をそのまま忠実に実行いたしました。それについて御不満がありますならば、それは裁定書主文を発行された方におっしゃっていただきたいと思います。
#148
○中原委員 石田君のなかなか確信に満ちた御表現で敬意を表しますが、しかし問題はそういうことではなくて、労働問題の起ってくる原因というのは、やはり生活の問題が横たわっているわけです。国鉄関係並びにその他の公社現業の労働者は、たしか私の記憶では昭和二十九年以来給与が増額しておらぬのではないか、違っておればありがたいのですが、不幸にして当っているかもしれません。たしかそうであると思っている。そうしますと、その間におけるいわゆる給与上の不均衡の是正は全くなされておりません。そういう場が累積されて今度の問題が起きているわけであります。たまたま出てきたその裁定というのが、先般も藤林委員長がこの委員会の席上で、なかなかややこしい言葉を使われた。将来とか、将来の解釈論も出ておりましたが、委員長も非常に苦しかったようです。あの答弁は、私どもも聞いておって、聞くにたえませんでした。もうこの場に至ってそういう論理のもてあそびは無用なのです。そういうことではなくて、基準法でもはっきりいうておりますね。健康人たるに値する生活、憲法もそういうております。健康で文化的だというておりますが、そういう言葉が単なる空文ではなくて、やはり新段階の日本においては最も重要視されなければならぬ法の精神であるということであるならば、やはりもっとそれに接近せしめるべく誠実に努力するということが大切なのです。だから今度の公労協関係の実力行使等に関係いたしましても、そこに問題があるのです。だからこそ関係労働者諸君が幾たびたたかれても立ち上っておる、こういう現象が起きておると私は思います。そうなりますと、法律の誠実なる履行ということについて、政府は果してほんとうにそれに値する履行者として誠実を傾けたかどうか、そういうことが問題になると思うのです。何とかそこに抜け道があれば抜け道を抜けて、より少しでも出すことを惜しもうとする態度の方が露骨に出ておる。ということは、さっき申しましたように、この前の協定の場合でも、かなりの圧力がその場合に動いておることも私どもはよく知っております。妙な圧力が動いておりました。そういう形の中で労使関係が妥当適正に運営されるか、よき労働慣行が生まれるか、私は生まれがたいと思います。だからよき労働慣行を作り上げなければならぬという誠をお示しになるならば、その前提としての、基礎条件としての労働に対するよき考慮、これがなければならぬ。それをたなに上げておいて、そうしてその責任を労働者の方に転嫁して、国民には誤解を与えるようにしむけて、しかもやみなどという言葉を流して、いわゆる支配攻勢といいますか、そういう攻勢力をかけるということになってきたのでは、これは法律の誠実なる実行者としての政府だと言いがたい、こういうように思うのです。この点を私は一生懸命に、真実にそう思うからそういうふうに言っておる。決して私は目先で言っているのではないのです。ですからあなたの巧妙な発言で、言葉の先での御答弁はごめんなのです。これはなくていいのです。真実に人としての石田、われわれが期待する青年大臣石田博英としての発言を聞きたいのですが、いかがですか。
#149
○石田国務大臣 仲裁や裁定が力の圧迫が行われないところでやらなければならぬと、全く同感であります。従って私は同じような意味において、調停が進行中に実力行使などを計画するととも、やはり力の圧迫だと解釈いたしております。
 それから、前のことは私は議論を避けたいと思います。なぜかというならば、私は詳細に知っておりませんから。しかし今回に関する限りは、私は当時官房長官をいたしておりましたけれども、どうして会いにこないのだというお話なので、政府としてお目にかかりに一度参りましたが、たった二分、政府は裁定を実施するつもりでありますから、よろしくお願いをいたしますと言って帰ってきただけです。それ以外のことは何も申しません。
 それから何が健康にして文化的な生活水準であるか、今までいかなる給与体系にあったかというようなことを、全部含めて仲裁というものが下されたものだと私は解釈しております。従って政府としてはこの仲裁をいかにして誠意をもって実施するかということにかかっておるのでありまして、従って仲裁をこっち側が勝手に解釈してはならない、政府側として勝手に解釈してはならないという建前から、数度にわたって仲裁委員会に関係次官を派遣をいたしましてその意図を聴取いたしまして、しかもどうもそれでもなお不明確なものが残りますので、最後には文書でもって回答を取った次第でございます。その文書の回答をもとといたしまして、それをできるだけ誠意をもって、私は自分で申すわけではございませんけれども、八十円というのはもってのほかでありますが、三百幾らという数字が出たときも、なお数字の検討をさらに命じて増額をできるだけはかったつもりでおります。
#150
○中原委員 ただいま調停の最中に実力、つまり干渉することはいけない、こういうふうに言われた。私もそう思うのです。そのことに関連しての御答弁の中に、だから政府は実力を加えない、だから労働組合もその間に実力行使ということはけしからぬ、こうおっしゃった。政府は第三者です。労働組合は当事者なんです。当事者と当事者の間におけるその間の関係というものは、政府と組合との関係とは異なっておると私は思っておる。そのことを混同して一緒にされるというところに解釈論の大きな開きがある。そういう解釈があなたの主観にあるのではないか、妙な独断があるのではないか。やはり労働組合のよき発展、労働者のより高き生活水準、より高き合理的な成長ということを願えば、やはりそこに問題があるのではないか。これは当事者なんですから混同されては困るわけです。従ってそういうような解釈から考えて参りますと、公共企業体労働関係法は、今やたび重なる経験の中で、政府によってじゅうりんされ、しばしば歪曲された、こういうことにどう合理的な解釈を下そうといたしましてもなるかのように思うのです。そうなって参りますと、みずから法を行わなかった政府に対抗する場合に、あるいは公社に対抗する場合に、関係労働者がそれでもなおかつストライキ禁止の問題を必死になって守らなければならないという理屈があるでしょうか。従ってそこに法を守る限界点がもはや突き当ってしまっておる。これ以上法を守るという立場をとるならば自殺行為になってしまう、みずから自滅するのほかはない。にもかかわらず国鉄初め三公社五現業の諸君は、一生懸命法を守ろうとしてこれ努めておるわけです。こういう点に関する解釈は、もっと公正に、しかも労働のよき成長のための判断から下していかなければ、とうていよき結論は出ないのではないか、こう思います。時間がないので、今も通告が参りましたのでやめますが、そういうわけです。
 それでそういうような諸関係について最後に私は希望として申しますが、もう少しわれわれは平らかな気持になって、ただ単に労働階級を押えさえすればすべての問題が解決するかのごとき独断はやめて、労働階級のよき成長、発展の中に、さらに労働階級が一方の責任を背負い込んだそういう責任の形の中によき労働慣行を作る、こういうことに努力を集中していただきたい。新――新という言葉が適当かどうか、今日は新という言葉が適当でしょうが、石田労政に期待しますが、どうか正しきを求めてやまない純真な青年の気に燃えて、そういうふうな問題についてのより深く掘り下げた分析と解釈を切にお願いしたいということを一言申し上げて、一応私の質問を終ります。
#151
○石田国務大臣 私は中原さんの御期待に私なりの解釈を勤労階級の生活の上昇のために情熱を捧げるつもりであります。ただこの際申し上げておきたいと思いますことは、調停あるいは仲裁進行中における実力行使の問題であります。私は当事者なら当事者だけそうあるべきである。みずから調停を申請しております以上は、調停ということは、実力行使を行わずして条件の改善をはかろうということであろうと思います。第三者の判断によって調停、仲裁が行われている間は、当事者なら当年者だけやはり調停あるいは仲裁委員会に信頼をして、その結果を待つのが順当であろう。それは仲裁裁定、調停を申請しながら、一方において実力を行使するということは、ある意味においては私は公労委に対する一種の侮辱じゃないかと思っておる次第であります。
 それからいい慣行を作り、いい労働組合を育て上げ、そして労働者諸君の生活の上昇をはかって参りますために、私は新潟や何かで起ったような事件は、非常に残念な事件だと思っております。また同時に、ああいう問題をとめ得なかった人たちは、私は法の順守ということに努力しているとは解釈するわけに参りません。
    ―――――――――――――
#152
○藤本委員長 この際お諮りいたします。労働基準に関する問題につきましては、本日おいでを願っております川崎製鉄千葉製鉄所副工場長植山義久君、川崎製鉄千葉製鉄所労働組合書記長林茂雄君、事故の際現場におられました中田幸雄君、以上三君を参考人と決定いたし、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#153
○藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 この際参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日はおせわしいところおいでいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見を、時間の都合もございますので、はなはだ恐縮でございますが、ごく簡単に要約してお述べ願いたいと存じます。ただ議事規則の定めるところによりまして、参考人の方々が御発言なさいます際には、委員長の許可を得なければなりませんし、また参考人の方々は、委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、以上お含みおきを願いたいと存じます。
 それでは質疑の通告がありますのでこれを許します。吉川兼光君。
#154
○吉川(兼)委員 先日の理事会の決定では、この労働基準局関係の川崎製鉄所の災害問題は、本日の午後三時から委員会にかかるようになっておったのでありますが、新労働大臣が熱心な御答弁をしていただくものですから、委員諸君もえらく熱心になり、一時間半も時間が食い込んでおるのでございます。先刻より委員長の切なる御希望もありますから、私はできるだけ時間を端折って質問を集約いたします。そこで大臣もお疲れのようだから、私は一問だけ大臣の御答弁を煩わしまして、そのあとは労働基準局長がお見えのようだから、大臣にかわって局長から答弁を聞くことにいたしたい。
 この際大臣に申しておきますが、本日ここに緊急にかかりました労働基準関係の問題というのは、去る七月一日、時あたかも労働者では全国安全週間を実施中でありまして、その日はその催しの初日に当るのでありますが、このような意義深い日に川崎製鉄の千葉製鉄所において、設置中であった高さ六十メートル、自重二十トンという巨大な揚重機、ガイデリック・クレーンが主柱の中途から折れまして、付近におりましたその揚重機関係の労働者や、それに関係のない労働者までが、その下敷きになり、即死五名、重軽傷者がたしか十三名というような悲惨事が起っておるのであります。これは去る十日の本委員会でも、私から簡単に質問をしておいたのでありますが、その際前の百田労働基準局長も御答弁の中で、これは労働省始まって以来初めての事故でございますと言っておるほど、しかく重大なものでございます。あなたがこのたび労働大臣をお引き受けになり、先般その大綱を発表した自由党の労働政策と呼応して、新施策を行わんとしておらるることは、私どもは所見は異にいたしまするけれども、青年大臣としてのあなたの盛んなる意気を壮とし、かつある種の期待もいたしておるのであります。しかし、いかに大きな題目を掲げ、けんらん目を奪うものがありましょうとも、その題目のもとにおいて、あなたの所管する労働行政の中に、わけてもウエートの重い安全関係のものがかくも軽視され、労働省始まって以来というような事故が起るとあっては、せっかくのあなたの新政策もから念仏となりましょう。もしこの問題がいいかげんに処置されることにでもなるとしたら、あなたの新政策もそういうそしりも免れないと私は思うのであります。そこで本件については後ほど堀基準局長に質問し、私の希望も申しておきますから、大臣は必らず基準局長から川崎製鉄の問題を特にお聞き取りいただき、何らか適切な処置を講じてもらわなければならぬ、もしまた法の不備な点などについては、来たるべき国会におきまして早急に改正の手続をとってもらわなければならぬと思います。要するにこれほどの事件だから、あなたもある程度の報告は聞いておられるでしょうから、これが応急的な処置、恒久的な対策等につきまして、あなたの責任のあるお考えを、その一端でもここで御答弁をお伺いしておきたいと思います。御答弁のいかんでは続けて質問をしなければなりませんが、大体のところお疲れのようだからこれで釈放して上げようと思うのですが、どうですか。
#155
○石田国務大臣 私も就任早々この事故の報告を受けまして、非常に驚くとともにお気の毒にも存じ、また遺憾にも思っておる次第でございます。もとよりこれは必ずしも労働行政だけに限ることではありませんが、一切の政治の基礎は人命の尊重にございますから、今後安全行政の万全を期しまして、こういう事故の再発しないように必要なる措置をとりたいと考えております。
#156
○藤本委員長 以上で労働大臣並びに基準関係以外の所管に対する質疑は終了いたしました。吉川君。
#157
○吉川(兼)委員 そこで参考人の御三氏並びに基準局長にお尋ねいたしますが、今度の川崎製鉄のガイデリックの倒壊について、その事実の御認識を、各位それぞれの角度におきまして簡単に御説明をいただきたい。どういう順序でもけっこうでございます。
#158
○堀説明員 今回の川崎製鉄の事故につきましてはまことに遺憾でございます。労働省といたしましては、千葉労働基準局、産業安全研究所と共同いたしまして、災害の総合的な調査検討に当ったのであります。その結果今回の事故の原因と思われるものが判明いたしたのであります。まず第一に、ガイデリックのマストについての強度計算及び使用鋼材の顕微鏡試験、引っぱり試験並びに衝撃試験によりますと、マストの鋼材構造及び使用鋼材には、この災害を惹起する欠陥は認められなかったのであります。しかしながらその作業方法について、二、三の欠陥があったと思われるのでありまして、その概要については、お手元に資料も差し上げてございますが、やや具体的に申し上げますと、まず第一にブームの先端から五、六メートルのところをつっております坊主丸太の玉掛方法が悪かったということであります。すなわち玉掛用のワイヤー・ロープをブーム昇降用の三日月型に穴があけてあります足がかりに通してつり上げたのでありますが、そのワイヤー・ロープが足がかりの鋭い角度の部分に直接当っておりましたために、つり上げ中の動揺ですり切れまして、ブームが落下いたしたのであります。そのためにブームの中間をマストの中間からつっておりました補助ロープがブームの落下をささえる結果となったのでありまして、十七・五トンのブームの全重量がマストの中間部に衝撃的にかかり、マストはこれに抗し切れずに地上約三十八メートルのところから折れて倒れたものと考えられるのであります。すなわち、以上申し上げましたように、玉掛方法が悪かったということと、ブームが落ちる際、マストに異常な力を与えるような補助ロープのとり方が悪かったという、この二つの点が作業方法の欠陥としてあげられるのでございます。
 以上か原因でございますが、次にこれにつきましての基準法上の違反の問題につきましては、あとで申し上げたいと思います。
#159
○藤本委員長 植山参考人。
#160
○植山参考人 去る七月一日、全国安全週間の第一日に、今基準局長がおっしゃいましたように、溶鉱炉建設用のガイデリックの組み立て準備作業中に、突如倒壊いたし、多数の死傷者を出しましたことは、御遺族の方々、また皆様に非常に申しわけなく、衷心よりおわびを申し上げる次第であります。その経過につきまして会社側として一応説明をいたします。
#161
○藤本委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#162
○藤本委員長 速記を始めて。林参考人。
#163
○林参考人 川鉄の千葉製鉄所労働組合書記長の林でございます。大体先ほど監督庁並びに会社側の副工場長の方から申されましたような事実の認証につきましては、組合側といたしましてもそれぞれ機関におきましてそのような確認を行なっております。ただこういう現象か起りまして、そうしてそういう災害の直接の被害が労働者の上にかかってきた。そういう点におきまして、安全衛生規則上の問題あるいは職制の問題、その他労働条件の種々の問題に関連しまして、労働組合といたしましては専門委員会を持ちまして、工場安全委員会あるいはその他の会議によりまして、慎重に現在検討を行なっている段階でございます。それから本社会労働委員会におきまして皆様方がこの問題を慎重に検討されまして、この種災害を、川鉄はもちろんでございまするが、労働者の皆様方が未然に防止するということを真剣に御討議下さいますことを厚く感謝申し上げま下す。
#164
○藤本委員長 それでは次に中田さんにお願いいたします。
#165
○中田参考人 自分は清水建設株式会社川崎製鉄千葉製鉄所建設工事に当っているものでございます。七月一日に起りましたガイデリック事故現場の至近距離にいたことは事実でございます。
#166
○吉川(兼)委員 そのガイデリックが倒れたのは、今各位から言われた通りであって、それ以上の専門的なことを伺いましてもわれわれしろうとにはよくわからないのであります。この事故の専門的な究明については、目下警察庁の科学研究所でも調査研究中のようでありますから、その結論を待つことにし、私がお尋ねしたいのはいわゆる安全管理の問題でございまして、基準法第五十三条並びにそれに基く安全衛生規則は四百条からに上る大法律でありますが、この中に法定されている安全管理者、これは労働者数の百五十人以上の工場であればちゃんと置いているわけであります。私の聞いたところによりますと、きょう御出席の植山参考人が副工場長であるとともに、その安全管理者でもあるそうであります。そこで私が伺いたいのは、こういうような事故は未然に防ぐことが果して不可能であったかという点についてであります。本日は千葉の労働基準局からも安全衛生課長がお見えのようでありますから、その方から詳しい説明を伺いたいのですが、何分にも時間に余裕がないので、まづ私が得た材料によってお尋ねを進めてみたいと思います。そもそも安全の管理、特にこういう危険物を扱いまするところの設置場所等について、会社側においても、また基準局側においても、これが配慮と監督にいささか欠くるところがあったのではないかという認識を私は持っております。
 そこで私が会社側にこの際伺っておきたいのは、ただいま組合の方も言っておられたようでありますが、職制上の所管は陸運課であり、その陸運課の上に運輸部というのがあるようでありますが、その運輸部長は安全管理者でもある植山参考人が兼ねていられるのでございますか。
#167
○植山参考人 はい。
#168
○吉川(兼)委員 運輸部長のもとに陸運課長というのがいて、その陸運課の中に、今回の事件の主たる責任者の一人と見られる田坂職員がおり、このたびの揚重機の設置を担当したようでございますね。この設置については安全衛生規則の中に事こまかに書いてありますが、果してそれに合致しておったかどうかということを今一々聞いておっても時間が足りませんので、私は要約してお伺いしますが、その設置工事の現場に職制上の責任者である運輸部長なり、あるいはその下の陸運課長なり、そういう方が立ち会っておったのでしょうか。
#169
○植山参考人 お答え申し上げます。当日は、大体先ほど申し上げましたように、あのロープのたるみを見るというだけの作業をやっておったのでございます。私どもは二日の日にあのほんとうの作業をやるという連絡を受けておったのであります。ほんとうにあのブームを起すという作業は二日の日からやるということになっておったのでありますが、田坂職長は、その当時、明日の準備の都合もあるので、ただそのたるみを見るだけの作業をやろうということで、それをなくなりました大本組長以下に命じてやらしておったのであります。その当時はもちろんそういう連絡がありましたし、私どもも二日の日からあのブーム起しという作業をやる、こういうふうに考えておりました。先ほどのお尋ねのように、私どもの安全管理ということにつきましても、あらゆる部面から、もちろん千葉監督署の非常な熱意をもちまして、現在まで下部の下部までに徹底するような安全組織をもってやってはおりますが、この真相を確かめてみますと、実際にそれがほんとうの規則に準じた作業をやっておりますれば、こんな重大事故は起らなかったのであります。現にこれをやりました早川という助手は、かような台付ではいけないということを大本組長に進言したところが、大本組長はそれを実際にやらせなかったのであります。これではまだとうてい安全の完璧を期することはできませんので、私どもは今後における対策も考えておる次第でございます。
#170
○吉川(兼)委員 参考人の方に申し上げます。大へん失礼でございますが、本日は時間が詰まっていますので、質問の要点だけにお答えいただければけっこうだと思います。あなたはその現場におられたかどうか、また陸運課長は。
#171
○植山参考人 おりませんでした。
#172
○吉川(兼)委員 そこで伺いますが、田坂さんという人は職長を勤めるくらいの人でありますから、非常な経験者のようではございますけれども、学歴は小学校をお出になったくらいの方で、学問的というか、あるいは科学的というか、そういう点においてはやはりあなた方の監督下でなければ高尚なことはわからない、いわゆる経験と勘でやるといった方のようですね。
#173
○植山参考人 それは間違いありません。
#174
○吉川(兼)委員 そこで私は申し上げたいのでありますが、なるほど先ほどのあなたのお話によりますと、ロープのたるみを見るというだけのことであるから、これを軽視して運輸部長も陸運課長も現場にいらっしゃらなかったのかもしれませんが、その軽視したロープのたるみを見る作業がこのような事件を起しておるのです。あなた方のようなちゃんと技術の心得のある人が立ち会っていたら、今度の災害はおそらく未然に防げたでありましょうが、このように見てくると、運輸部長、陸連課長の責任はきわめて重大である。私はこう解釈するものでありますが、いかがでしょう。
 それから先刻本委員会に配付になった会社御作成のこの資料でありますが、それについてちょっとお尋ねいたしたいのは、これは新聞に載っておったのでありますが、去る二十三日に千葉の労働基準局がこの事件の調査の結果を新聞記者を集めて発表いたしております。その記事によりますと、会社の調査と基準局の調査が結論において一致したということが新聞に出ておるのです。これは偶然に一致することもありますから、一致することだけを私はとやかく言うわけではありませんが、ただ七月一日に起った事件が三週間以上もたちました二十三日に、初めて基準局からその結論なるものが発表された、第一その調査期間があまりに長過ぎる。しかも出てきました事故の原因は、ただいま基準局長なり植山参考人なりが説明されたように、要するにロープが切れたためであります。もちろん、幾ら簡単なようであっても、三日や四日では調べは終らぬでしょうが、三週間以上とは少々時間がかかり過ぎるではないか、前の百田基準局長も参議院の社労委員会で一週間もあれば調査が終りますといっているくらいであるのに、いかにも時間がかかり過ぎておるではないか。といいますことは、私の調査では先刻から各位が御説明になりましたような形で、ロープが切れて落ちたということは、当日現場に居合せた人は目撃したところで、早くからそのように言っておるのです。それが三週間もかかって同じ結論しか出ていない。前述の警察庁の捜査科学研究所というところにけさも電話で問い合せてみたところ、この方はその後新たに追加された研究事項があるので、なお五日ぐらいたたなければ結論が出ないといっておりますが、そういうふうなこまかい精密なことはともかくといたしまして、この会社の報告書に見られる程度のものであれば、少くとも一週間か十日もあれば結論が出るべきではなかったか。しかもその結論は会社と基準局とが同じだということです。
 そこで基準局の局長にお尋ね申し上げたいのは、基準局の調査の方法はどういう方法でやったのか。独自でやったのか、他のところに協力を求めてやったのか。先刻安全研究所のお話などもありましたが、そういうことだけなのか、場合によっては川鉄の会社等とある時期において共同して調査に当ったことがあるのか。そういう点を、局長直接でわからなければ、千葉からきているという課長でもよろしいから、簡単にお答えを願いたい。
#175
○堀説明員 ただいまの点につきましては、労働省といたしましては千葉労働基準局が中心になりまして、産業安全研究所と共同して災害の調査に当ったわけであります。その結果、マストについての強度計算あるいは鋼材の試験等をやったのであります。そういうような関係がありまして、判明する時間がしばらくたったということはまことに残念なことであります。しかしその間に、そのような精密試験を行いましたことが、この結果を確かめるための裏づけとして必要であったということを御了承願いたいと思います。なお調査は千葉労働基準局と安全研究所が主体になって行いまして、その間におきまして、会社あるいは組合の方にいろいろ証言等を徴するようなことがあったのであります。あくまでも千葉基準局と安全研究所の共同した労働省としての独自の調査であったわけであります。
#176
○吉川(兼)委員 同じ質問について植山参考人から御答弁をお伺いいたしたい。
#177
○植山参考人 私の方では極力この調査を進めるべく督励いたしましてやりましたのでございますが、初めのあのガイデリックが折れました十三メーター半というところの問題と、最後にそれをいろいろ突きとめました場合に、三十七メーター半というところが折れたのが確かであろうという大体の結論を出しますのに多少のひまもかかりまして、それと御承知の通りそういう最大事故を起しましたことから、基準局あるいは監督署、それから警察、その担当者が一々呼ばれまして、調べがその方に集中されまして、その間幾らか延びました点はまことに申しわけないのでありますが、大体三十七メーター半のところで折れたのに間違いなかろうというところから、急速にその原因が判明いたしまして、重大な事故でございますから一応慎重にこれを取り扱いまして発表いたした次第であります。
#178
○吉川(兼)委員 そこでちょっとつけ加えてお伺いしておきたいのは、会社はこの事件が起りましてから即日か翌日あたりにさっそく対策委員会というのを設けましたね。これは被害者とか遺族なんかの対策もありましょうし、将来の対策もありましょうから、もちろん必要なのでしょう。ところが調査について、当時私が会社首悩部からお聞きしたところによりますと、調査委員会というものはできておりません。その後調査委員会をお作りになったのかどうか。また調査を進めるに当って、たとえばその安全に関しましては、法律の定めるところによりまして労働者の参加した安全委員会というものがあるわけですが、その安全委員会等に協力を求めるという方法をとったのかどうか、もっと平たく申しますと、この調査なるものは労働者を参加させた調査機関というものによって調査をしたのか、あるいは会社だけで調査したのか、その点明らかにお聞きいたしたい。
#179
○植山参考人 それは対策委員会の中に安全委員を含めました調査を進めております。別に労働者の方は、別個の証言をとるためにその対策委員会の中にその事故を起しました者に対してはそれを含めてやっておりましたけれども、特別に人名を指名してこの委員会を作ったのではございません。
#180
○吉川(兼)委員 そうしますと、会社の調査機関といいますものには労働者は参加していない、ただ証言をとるために呼んだことはあるが、労働者の参加していない調査機関で調査した、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
#181
○植山参考人 それは私の申し上げることが不十分でございまして、もちろんその現場におりまして、そうしていろいろとその調査に必要であった者は一応意見を聞きながら調査を進める……。
#182
○吉川(兼)委員 ですから労働者から意見を聞いたり証言を聞いたりはしたが、労働者として調査機関に参加したのではなく、安全委員会関係でも労働者側の代表としての参加ではなく、その事件関係者の労働者を呼んで意見や証言を求めた、こういうことなんでしょう。あなたのところの組合は完全組合のようですから、その組合の機関決定を経てしかるべき代表者をその調査機関に参加させ、協力して調査を一緒にやったというようなことはなかったわけですね。
#183
○植山参考人 それは私が運輸部長でありました関係上、まず第一にやらせましたことは、運輸部を動員いたしまして、別個の調査に当らしたわけであります。調査委員会に労働者の代表を入れて調査委員会を作ったのではございません。
#184
○吉川(兼)委員 いよいよ時間が迫ってきたようですから、これからは重要と思うところを断片的に御質問申し上げることになると思いますが、先刻いただきました会社御作成の資料を見ますと、添付されている図面の一番最初の図面で、死亡者の中の佐藤、君塚、大松の三氏の遭難位置が示されているのであります。これによると倒れた主柱の先端のところに三氏の名前が出ておりますが、植山参考人にお伺いいたしますが、この三氏は陸運課員でガイデリック設置の要員でございましょう。そのような要員が主柱が折れて倒れた先端に近い地面で遭難をしたことになって、その個所に黒い〇がついているのですが、これが私のしろうと眼で見てもおかしいのです。この三氏の遭難した地点を主柱の間に、問題の第二高炉があり、その高炉で働いていた揚重機とは無関係の労働者が、そばづえを食って圧死していますが、設置作業要員の前記の三氏が、どうしてこんな位置にいたかということを植山参考人から聞きたい。
#185
○植山参考人 私はちょうどその当日団体交渉をやっておりました関係で、実際に現場を見たのではありませんが、報告によりますと、これが倒れます前にロープが非常にここに集中するために、この辺が一番被害者が多かった、こういう報告を受けております。
#186
○吉川(兼)委員 現場にいらっしゃらないあなたにお答えはむずかしいのかもしれませんが、もっと端的に申し上げますと、この三氏は実はガイデリックの中に乗っておったという説が、現場の目撃者の中にあるのです。二人は中に乗って、一人は足場に乗って仕事をしておりながら、倒れた主柱と運命をともにしたというのです。三氏がこんな遠方になぜいたのか、今かりにそれは退避したのだと推定してみても、退避したのであれば、六十メートルからの主柱が倒れてくるまでには、十分に逃げられるのではないか、しかも三氏はほかの場所の工員ではなしに、この、ガイデリックを設置する係ですから、ガイデリックが倒れるか、ロープを切れるかと思って退避したのであれば、当然主柱を見つめていたはずで、あの大きいものが倒れてくる間には十分逃げる時間がある。三氏がそろって目でもつぶっていない限りは、そこで殺されるまでじっとしているわけがないと私は思います。このように考えてくると、この図面は合理性が乏しい。どうも私が聞き込んだように、ガイデリックの中に入っておったということが、何だか正当性を帯びてくるような気がいたします。いずれこの問題は刑事事件にもなるのでしょうから、あなた方の方でもっと詳しくこの点を調べておく必要があるのではありませんか、私今この図面を見てそう感じたままを申上げておくのです。
 そこで基準局長に申し上げておきますが、これだけの危険な作業をいたしますのに――これも今いただいた会社の調査書にあるのでありますが、その周囲に百二十五人も仕事をしておる。よろしゅうございますか。百二十五人もその危険な付近で仕事をしておるのに、そういうような状況のもとにおいて、ガイデリックが設置されていたのであります。それは書類申請で許しても、法には違反しないでしょうが、許しっぱなしで、以後は全然監督にも行かないのでありますぞ。なるほど関係法規の中には、設置中のためしづりまでは検査に行かなければならぬということははっきり書かれてないかも知れません。しかし労働基準法第五章に盛られておりまするところの安全関係の法律の精神からいいまするならば、私はこういう状況のもとでこういう危険な工事をやらせることを一片の書類の認可申請だけで許して、見にも行かないというようなことは、これは当然問題にされなければならぬと思います。法の精神から――先刻別な意味において石田大臣と井堀委員だったかの間に法律の自由解釈の範囲についていろいろ議論がありましたように、これこそそういう意味における自由解釈の問題であります。百二十五人からの者を危険な場所に放置しておいて、しかも現にその横で無心に高炉の仕事をやっていた石川島重工業関係の扶桑興業の花岡という人がむざんにも下敷きになって死んでおる。よろしゅうございますか。監督官を呼んで、ガイデリックは使用に耐えるかどうかという検査を受けるときには、もうそれは検査を通る見通しがついた状況になってから検査を求めるのです。その前に安全度をためすためにいわゆるためしづりということをやるのです。従ってこのためしづりということは一番危険なときなんです。自信をもって検査を受けるときよりも、検査を受ける前のためしづりこそが問題です。設置の許可は書類でやった、検査を受ける前の危険な工事は立ち会わなくてもよろしい、こういうような機械的な考え方で、果して安全行政が全うされるとお考えになっているのかどうか、はっきりとしたお考えを私は聞かざるを得ないのです。この点について局長の明快な御答弁を伺いたい。
#187
○堀説明員 お説まことにごもっともでございまして、私も七月十三日に基準局長に就任いたしましてから、さっそくこの事件の報告を受けまして、調査検討を進めたわけでございまするが、安全衛生規則等によりますれば、法規上はただいまお話のように、このような起重機の設置届というものが出てきた場合に、その構造その他につきまして審査はいたしますけれども、しかしそれは一応書面審査なのでございます。それから据付作業をやります際の作業方法、それからその指揮をだれが責任を持ってとるかというような責任者の届等は法規、安全衛生規則には要求しておらないわけなんであります。そこで今回の事故について根本的な――まあいろいろな問題はありましょうが、根本的な原因を私何であるかと思って考えてみたのでありまするが、やはりその据付の作業を行う責任者である人が、非常に多年の勘もあり、経験もあったわけでありまするが、応用力学的な技能知識を持たなかった、そこにやはり根本的な欠陥があったのではないかということが考えられるわけであります。根本的な問題については安全衛生規則等のまだ舌足らず、あるいは不備の点も相当その後出ておるのであります。これはただ単に起重機だけでなしに、たとえば化学関係の産業等につきましても、生産方法は日進月歩しておりますから、安全衛生規則の内容はそれに応じてときどき変えなければ適正を欠くことになるのでありまするが、起重機関係について不備があることは遺憾ながら認めざるを得ない。そこでこの安全衛生規則の検討につきましては、私さっそく関係専門家を集めまして、その再検討と改正に乗り出したいと思っているのでありますが、当面の措置といたしましては、今お話のありましたように、起重機設置届の審査についてもう少しやることがあるのじゃないかということで、これは二十四日か五日でありますが、要するにこの事故の原因のはっきり判明しました直後におきまして、本省の基準局長から地方の基準局長あてに、この種の相当大規模な起重機の設置届のあった場合には、書面審査だけでなしに現場審査にも行くということ、その上で認可するということ、それから設置認可の書類にもう少しつけ加えさせる、すなわち据付作業の方法、それから据付作業の工事責任者の名前だけでなしに、その経歴等もつけて出させてこれを審査の対象にする、こういうことをあわせてやるようにということを通達いたしました。これによって当面のこの種の事故の再発防止に遺憾なきを期したいと思っているわけであります。
#188
○吉川(兼)委員 千葉労働基準局が去る二十三日局長の部屋で調査の結論を発表したときに、書類面の設置違反が一件あることが安全課長の談話形式で新聞に出ています。厳密にいえばこれも基準法違反と言えないことはないが、そういう小さな手続上の問題を私はとやかく言うのではありません。ただいかに法律がりっぱにできていても、それを運用する当事者が、いわゆる真実から安全な労働の実現を考えるという熱情がなければ、法律は空文にひとしいことになろうと思うのです。この点について、基準局関係役人の深い反省を望みます。実は他の方面でトビ職とか、その他の専門家について、私がいろいろ研究したところによりますと、このたび事故を起したような大きなブームを不用意に地頭起しという、ちょうど寝ている地頭を起すようなやり方は危険この上もないものだそうです。これはほんとうはまん中をつるしてその一方を根元に合せて起すというやり方をとるか、もう一つ大事をとる場合には一番先から起すやり方をやる。一番先をずっと起して、そうしてあの主柱に近いところに先を合せて下部を主柱の根本につける、そういうように安全度の高い取りつけ方がいろいろある。ところがこれがほとんど無暴に近い地頭起しというようなことをやった。しかもこの会社の説明書によりますと、そんなことには全然論及されておらず、大本組長といった、こんど遭難してなくなった方の非常な過失に帰せられている。あるいはこれは事実でもありましょう。私は別にうそを書いたとは思いませんけれども、いわゆる死人に口なしであって、その人だけが過失の七、八割の責任を持たなければならぬような結論の出し方は、正直なところ私の気に食わない。私はそれは技術的な面だけのことを考えればそうなるのかも知れない。しかしながら今度の事故はには技術以前のもの、いわゆる安全管理といった面で会社側に大きく欠くるところがあったのではないか、しかもその欠くるところを基準監督署において事前に察知することができなかったという安全行政上の遺憾な点のあったことは、見のがせないのではないかと思うのです。ところがここに前の百田局長時代にもらった資料と、堀局長になってからもらった資料と、合せて二つの基準局資料があります。これは第一の資料の中に書いてあるのですよ。千葉基準局が、川崎製鉄について監督を実施した状況を昭和二十七年から来年までの間に四十三件あり、その中の二十二件は安全関係のものであると書いてあります。もっとも川鉄はその後は非常に安全操業の成績がよくなって、何でも労働大臣から表彰を受けておるようでありますから、一般的に言えば現在の川鉄の安全度は高くなっているのでしょうが、少くとも今私が取り上げた資料の千葉基準局の報告書自体では、監督実施件数の五〇%以上は安全事故である。このような会社で、このたびのような危険な揚重機を設置するのに、これが監督上の取扱いにはなはだ誠意が欠けているように考えます。これらの点については、一々法文を引用して一問一答式にお尋ねしてでも、もっと事理を究明したいと思いますが、いかにも時間がないので、先刻来いろいろなことをつきまぜてお尋ねしておりますけれども、要するに先ほどから述べてきたような状況のもとでこのたびの事故が起っておりますので、私はこれは決して防げないものではなかった。安全管理が事故の当時も大臣の表彰に値するほどに成績を上げていたら、こんな事故は起らずに済んだであろう。この意味で会社はもちろん、同時に基準監督の立場にある基準局でも、責任を感ずべき性質のものである、こういうふうに考えております。
 堀局長からは、将来にわたっての対策等について御答弁がありましたけれども、私はその御答弁には満足いたしません。失礼ながら、なおおざなりの答弁と取れる点が少くないと思います。もう少し身の入った御答弁が聞きたい。答弁だけではなく、将来にこういう事態が起りました際、他を顧みて自己の責任のがれをまず考えるような監督官を出さないようにしなければ、幾ら安全週間を提唱してみても、ほんとうの安全管理は期待できないでしょう。私はここでいたずらに末端の監督官の悪口を言おうとするものではありませんが、この機会にもう少し突っ込んだ御答弁と将来の方針をお聞きしたい。
#189
○堀説明員 お話の点はまことにごもっともでございます。今回の事件の根本的な原因はどこにあるか、これはまず第一に川崎製鉄の安全管理と安全教育が形式的に流れて、下部機構に対する徹底を欠いたということが、やはり根本的な原因であるということを認めざるを得ないと思うのであります。それと同時にやはり基準局及び監督署におきまして、これに対する監督指導の心がまえというものがやはり薄かったということも、私は率直に申しまして認めざるを得ないのじゃないかと思うのです。これは法律的の責任という問題ではなしにです。しかし大体私は率直に申しまして、この大事故が起きた場合において、これに対する責任がどこにあったかというような法律的な問題を云々します前に、やはりそれを所轄しております担当の基準局及び監督署長が、その管内において大事故が発生いたしました場合には、これは自分の責任である、それは道徳的責任であるかもしれませんが、とにかくこれは自分の管内に起きた大事故であって、自分が悪かったのだ、こういう気持で行政を運営するようでなければ、真にこの安全行政の徹底は望めないと思うのであります。ただいまのは新聞記事のことでありますから、その通り言ったのかどうか私は存じませんけれども、ただその形式的な責任が監督署にある、ないというような問題でなしに、やはりその管内にそのような事故が起きたことについて、基準局長あるいは監督署長として責任を感ずるのだ、こういう心かまえでやっていかなければならないと思うのであります。私は就任して早々でありますが、今後におきまして行政の重点をこの種重大事故の再発防止、絶滅――これはなかなかむずかしいことでありますが、目標をそこに置きまして安全行政の刷新と強化充実をはかっていくために努力する所存でございます。
#190
○吉川(兼)委員 今の御答弁にも私は満足ではないが、堀局長は基準行政のベテランのはずでございますから、言外の意味をくんで将来の施策に大いに期待をしておきます。ただし、ただいま言明されたことは急速に具体化するようにしてもらいたい。
 そこで先刻ちょっと触れたことですが、この際ちょっとつけ加えておきたいのは、佐藤、君塚、大村の三氏が遭難の際に主柱に乗っておったかどうかということです。これはこういう事件が起った以上は、主柱に乗っておったからといってそれが特に悪く、退避しておったから幾らかそれはいいなどということではないと思うのです。たとえは刑事上の責任なんかの場合にしても、こんなことが罪の軽重に関係があるとは考えられないが、いずれにしても万人が納得のいくような事故調査書でなければならぬと思う。ここまできたら結果は同じですから、やはり何百人という人の目が見ていることだし、もし私の聞き込みが間違っておればよいが、こういう大事故をきれいごとに終らせようなんかという配慮でもあるとすれば、破り捨てなければならぬと思うのです。ありのままに調査書類を作って、どこでも、だれでも納得するようにしたい。ちょっと図面を見ただけでも納得がいきかねるようなことはあってはならぬ。これは私は会社側なり基準局側なり希望いたしておきます。希望ですから御答弁は要りません。これは単なる私の杞憂であればけっこうです。
 この際私は労働組合の林参考人にお伺いしておきたいと思いますが、このたびのような事故はひとり川鉄の労働者だけではなくて、全鉄鋼労働者、ひいては他の重工業労働者全体の問題でもございますから、おそらく組合においてもいろいろ対策を練っておられると思うのでございますが、この事故が起りましてから組合としてはどういうことをやっておられるか、時間もないようですからその要点だけでけっこうでありますが……。
#191
○林参考人 お答え申し上げます。七月一日はちょうど団体交渉中でありまして、夏季一時金の交渉を行なっておったのでございますが、急遽会社の方から休憩を求められましたので、私たちも休憩をして審議をいたしました。一日の団体交渉はそこで打ち切りまして、さっそく執行委員会を開催いたしまして、この問題に対してどのように処置を行うかということを審議したわけでございます。それでまず会社に事故が起った原因について調査をする機関があるならば、その機関に組合の三役を加えていただきたい、このように会社に申し入れると同時に、組合側の工場安全委員会を開催いたしまして、この原因の探求、それから今後の対策というものを考えるべきである、このように結論を得まして、そうして会社に申し入れを行なったわけでございますが、その申し入れによりまして七月の十二日に第一回の工場安全委員会を開催しております。この工場安全委員会と申しますのは、組合の執行委員全員並びに各職場の安全に関するそれぞれのベテランが、組合代表といたしまして三十名近く集まります。会社側の代表といたしまして職制上の部課長が約五、六十名集まりまして、非常に膨大な人員でございますが、その席上におきまして、ガイデリックの事故について調査を行なっておりますが、その時期におきましては、ガイデリックの真相が現在はまだわかっていないという会社の報告がございました。組合の方におきましても、この問題だけをとらえまして、組合側の工場安全委員会を、同じ日に開催いたしております。それからいろいろとこの問題に関しましては、人命がなくなっているというような問題におきまして、あるいは発展すれば刑事上の問題とか、そういうものに触れるのではないかというところで、組合自身におきましても、なまはんかな事実調査でもってそういう事実の認定を下すべきでないということをもちまして、慎重に検討を行なってきたわけでございますが、七月の十七日に会社の方から組合の三役に来ていただきたいという申し出がありまして、お伺いいたしましたところが、会社の方より、今回の事件についていろいろ調査を行なった結果、先ほど申し上げましたような事実について話を聞いたわけでございます。さっそく組合の方におきましては、本部委員会と申しまして、決議機関があるわけでありますが、その席上で会社から発表されました事故につきまして報告を行いまして、各職場におきましても、その事実は大体いろいろうわさあるいは現場で見ておった人の意見を総合すると、正確であるという印象の意思の統一をはかっております。そこでわれわれといたしましては、今後このような事故をなくするという意味で、どういう対策を立てるかという点でございまするが、本日二十九日に第二回工場安全委員会を会社側と持とうということになっておったのでございますが、本委員会があるということで中止いたしたわけでございますが、さっそくあすかあさってに工場安全委員会を持ちまして、この判明いたしました原因につきまして、さらに究明をいろいろな角度から行なっていきたいと考えております。
 それから安全の問題でございまするが、三年、四年前におきましては、建設あるいは非熟練、未熟練という問題におきまして相当災害が起っておった。そういう点で労働組合におきましても運動方針に取り上げまして、災害を防止する、そういう安全衛生の問題につきまして、慎重に検討を行いました。執行委員の厚生部長をもってそれの職務を担当させておるわけでございます。以上御報告を終ります。
#192
○吉川(兼)委員 そこで伺いたいのは、会社と安全問題を議するのは、今あなたが言われた安全委員会だけですか。何か団交なんかの場合に、会社にこれこれの安全上の施設をやるべきだとか、こういうふうな研究をやるべきだというような要求を持ち出したりすることはないのですか。
#193
○林参考人 お答え申し上げます。工場安全委員会におきましては、団体交渉と異なりまして、そういうことを会社側と労使において決定すると申しますか、協定することができないようになっております。安全委員会におきましてきまりましたことを会社に答申するということに性格がなっておりまして、それでやはり労働条件に関しまして、われわれが自分たちの職場をいろいろ衛生環境その他でよくしていこうとする場合には、苦情処理委員会あるいはそういうものが発展いたしまして団体交渉ということで、苦情として取り上げることができるようになっております。
#194
○吉川(兼)委員 では、この機会に安全問題とは直接関係はないかもしれませんが、ちょっと川鉄の労務管理のことについて組合側から見たところを伺っておきたいと思うのです。きわめて簡単でよろしいので御答弁いただければ幸いであります。これは少々突っ込んだことで恐縮でございますけれども、川鉄のいわゆる賃金ベースですね。他の製鉄会社などの間はどういうふうなことになっておるのでしょうか。あるいは千葉県下の他の産業などと比較して、どんなことになりましょうか、そういうこともお差しつかえなければこの際お伺いしたい。
#195
○林参考人 お答え申し上げます。私たちが所属していますところの労働組合におきましては、鉄鋼産業に属しておるわけでございまして、鉄鋼産業の全国平均賃金が、高炉メーカーにしまして二万八千円から二万九千円というところでございます。川鉄の場合におきましては、千葉に高炉を建設するまでは平炉メーカーでございまして、現在の賃金ベースは、平炉メーカーから高炉メーカーに移行するという段階にあるもの、このように私は判断いたしております。川鉄の組織労働者が一万七千おりまして、平均ベースが二万七千円程度になっておると聞いております。それから千葉県内の平均ベースでございますが、これは確かな数字でないかもわかりませんが、二万二、三千円であるということを聞いております。千葉のベースが低いということは、勤続年数が低いということでもございます。それから千葉の一般産業との比較でございまするが、千葉の一般産業のベースと比較しますると、川鉄がおそらく最高ではないか、このように考えております。
#196
○吉川(兼)委員 その他の労務管理についてお気づきの点はないですか。
#197
○林参考人 お答え申し上げます。川鉄の労使関係でございまするが、組織的に申し上げまして、日本の労働組合は総評と全労とに分れております。それから中立組合というのがございまするが、私たちの団体は現在中立組合でございまして、中立組合という性格の中から労使関係というものが規制されておるわけでございます。敗戦後の混乱した社会の中から一つの新しい秩序を保っていくという中におきまして、それぞれ労働組合が果してきた役割は大きいと思うのでございまするが、私たちの労働組合におきましては、労使関係の円滑化をはかる、そしてわれわれの労働条件をよくしていこう、こういう平和的な労使関係を二十三年以降行なって参っておるわけでございます。ほかの組合からながめましたならば、ストライキのない組合だというようなお考えでもって見られておるかもわからないのでありまするが、二十三年以降ストライキを行なっていない、こういう労使関係が実態でございます。
#198
○吉川(兼)委員 川鉄の労使関係は、ただいま林参考人の御説明によりますと、労働者にとりて満足なものとは思いませんが、給与ベースなどもまずまずというところだろうと思うのですが、どうも安全関係になりますると、こういう事件が起ったから申し上げるのではありませんけれども、私どもはいろいろのことを聞いているのであります。本委員会などでも将来何回か取り上げていいような事態にまだあるのではないかと想像いたすのであります。そこで会社の植山参考人にお伺いいたしますが、労務管理の点は本日の主題ではないので、これ以上は論ずることを避けますが、安全管理について今後どういうふうにその完璧を期するお考えなのか。あなたはたまたま法定の安全責任者でもあるようでありますから、その辺の所見を伺いたいと思います。
#199
○植山参考人 先ほど林労働組合書記長から申しましたように、私どもの今までの立場を申しますと、まず第一に考えなければならないことは、会社の設備に非常な欠陥がありはしないか、そういう点で使用者側に欠陥があってはいけないということから、各中央委員会におきましても、安全管理の問題においては、この点につきましては相当の議論を戦わし、かつ会社といたしましては、相当の費用はかかりましても、その設備の点におきましては、労働組合から申される以上に、設備その他につきましては、あらゆる設備の点において安全に関することにつきまして、欠陥のないように現在では進めておるのでございますが、今度の起りました欠陥は、要するに先ほども出ましたように、安全管理の徹底ということが問題になりますので、これは私が安全管理を担当いたしております当初より、すべて技術のことにおきましても、安全管理のことにおきましても、すべてものに徹するという信念をもってこれを指導し続けておるのであります。ところがいかにこの安全管理がむずかしいかということを如実に私はこのたび感じました次第でございまして、この点におきましては、技術陣にいたしましても組織におきましても、十分現在におきましても検討いたし、また先ほども出ましたように、運輸部におけるところの技術担当者の問題、あらゆる問題におきまして今後具体的にその対策を進めていく考えでおります。
#200
○吉川(兼)委員 千葉基準局の安全課長さんにちょっと伺いたいのですが、基準法の百四条で、安全に関しまして会社側が命令に違反した場合、労働者から行政官庁あるいは労働基準監督署などに申し出ることができることになっておりますが、過去においてこういう事実が川鉄の場合にあったでしょうか。
#201
○跡見説明員 基準法の中では、労働者から会社側のやっていることに不満がありましたならば、監督署に対して申告ができるようになっておりますが、川鉄の労働者からの申告は、私の記憶の限りではないと思っております。
#202
○吉川(兼)委員 川鉄の植山参考人に伺いますけれども、ただいまの安全課長の御答弁によれば、今までは労働者の申し出ではなかったそうでありまするけれども、労働者はいつでも基準監督署あるいは行政官庁に直接言っていくことができるわけです。労働者の労働上の安全の問題についてこのように法律でも重大に考えて、ちゃんと規定されていることでありますから、安全管理者としてのあなたのお立場上、今後は特に安全管理の点に万々遺漏のないように御配意いただきたいと思います。再びこんなことがあってはなりませんので、くれぐれも御注意を喚起しておきたいと思います。それから将来この種の調査機関などには、組合を通じて正規な労働者の代表も入れるようにして、会社側だけで何か秘密裏にやったような印象を外部に与えないようになさるのも肝要かと存じます。今後安全管理の完璧を期そうというあなたの御決心のほどを先刻伺いまして、また同時にあなたがそれほど一生懸命にやったのにこういう事件が起るというお嘆きのほども伺ったのでありますが、繰り返すようで恐縮ですがこういう事態が起ったときには、安全関係者あるいはそういう係の人だけではなくて、やはり多数の労働者をも参加させて、全部の労働者が納得のいくような調査の過程を経てその結論を出す、こういうふうにしていただく方がいいじゃないか。もう起ったことは仕方がありませんし、この際災いを転じて福とするといいますか、これを一つの契機にいたしまして、川鉄の少くともあなたの所管する安全に関する限り民主化といいますか、そういうことをおやりになってはいかがか、そうしてこういう事故の再発をできるだけ大ぜいの力によって防ぐという努力をすべきではないか、こういうふうに私は思いますが、いま一度あなたの御所見を伺わしていただきたい。
#203
○植山参考人 ごもっともでございまして、私も以前こういう問題が起りましたときに、その結論が出ない場合がございました。その場合にはそういう委員会を組織いたしまして、それの結論を出させたこともございます。今度の場合も、そういう考え方を先にいたせばよかったのでありますが、いずれにしても早く結論を出さなければならぬ観点からいたしまして調査をいたさなかったということは、私も手落ちだったと思いますが、今後におきましてはそれに関係した者も加えた調査方法が必要だと思います。
#204
○吉川(兼)委員 それでは清水建設の中田さんに伺いますが、あなたは現場におられたのですか。
#205
○中田参考人 現場におりました。
#206
○吉川(兼)委員 あなたの方の関係者にも負傷者がだいぶ出ておりますね。あなたの方の関係者はどういう仕事をやっておったか。そうしてどういうふうな事故を起して何人けがをしておるか。そのけがの程度等を一つ伺いたい。その他付近のことについて気づいているようなことがあれば、これから先のわれわれの調査の参考になりますから、その点についても一つ伺いたいと思います。
#207
○中田参考人 当日われわれ清水建設の担当いたしております第二溶鉱炉の斜塔基礎工事に使用しました砂利、砂、コンクリートに使用する骨材の残滓があった、その残乱している骨材を一ヵ所にまとめ整理するために、土工が約十名ガイデリック倒壊現場より三十メートル離れているところで作業をしておった。突然ガイデリックのマストが倒壊いたしまして、その頂部から張られておりました五十ミリの虎綱によって頭部をたたかれたことによって負傷者が四名出まして、その一名は肩胛骨の骨折で蘇我病院に入院し、もう一名は左の腕を打撲しまして筋肉の筋を切り、目下蘇我病院に入院しており、あとの二名は衝撃によりまして一間あるいは一間半くらい飛ばされてそのときに受けた打撲ですが、大したことはなかった。
#208
○吉川(兼)委員 あなたの職場以外に気のついたことはありませんか。
#209
○中田参考人 職場以外といいますと、純然たるこのガイデリックの設置そのものは川鉄陸運課の直営によって行われておりまして、私どもは川鉄から請負ってやっているあれでありますから、大した関心を持っていないわけであります。
#210
○吉川(兼)委員 そこで参考人の方及び当局に申し上げたいのですが、こういう大工場にありがちな事故というのは、天災はやむを得ないでしょうけれども、天災以外のことになりますと、どうも法律を無視したり軽く見たりするきらいがえてして大工場側にあるのではないかと思われるのです。これを裏返して申しますと、大工場に対する監督署の監督が不当に執行されておらないのではないかとの疑いが持たれるのです。これは私の杞憂であればいいのですが、そういう気がするのです。もし私の杞憂するようなことがありといたしますならば、どこまでいっても事故というものはなくならないでしょう。従って大会社の方でも、あまり法律を無視したり、役人を軽んじたりするようなことがないようにしてもらわなければならぬし、役所の方でも、大会社といえどもその威勢に巻き込まれたり何かしてはならない。そういうことはむろんないでしょうが、そういう意味におきまして今度起りました事件は監督者、会社いずれにとっても非常にいい転機だと思いますから、今後の会社側なり当局なりの処置について、幸い私は同県内のしかも近くに住んでおる者でもありますので、刮目して拝見したいと思います。そうして再びこの事件を社会労働委員会に持ち込まないで済むようにしていただきたい。だいぶ私も勝手なことを申し上げたようで失礼の段はお許しいただきたいと思います。この他におもだった被害者や御遺族の処遇等についてもお尋ねいたしたいことが多々ありますが、本日は時間の関係から、残念ながら割愛いたしたいと思いますが、もちろん法定の補償のほかにも、会社や組合において十分に御考慮されていることと思います。もしそれらの関係者から御不満の声があがるようなことがある場合には、また本委員会に持ち出さねばならなくなるかもしれませんから、あらかじめお含みおき願います。それでは以上をもって私の質問を打ち切ります。本日はおそくまで長時間にわたりまことに御迷惑でございました。いずれ正式なあいさつは委員長からもあると思いますが、質問者の私からもお礼を申し上げておきます。
#211
○藤本委員長 参考人の方々に対しましては、長時間御多忙中お差し繰りいただきまして、まことにありがとうございました。
 次会は明三十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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