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1956/04/02 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 国土総合開発特別委員会 第8号
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1956/04/02 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 国土総合開発特別委員会 第8号

#1
第026回国会 国土総合開発特別委員会 第8号
昭和三十二年四月二日(火曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 五十嵐吉藏君
   理事 川村善八郎君 理事 志賀健次郎君
   理事 鈴木周次郎君 理事 薄田 美朝君
   理事 松田 鐵藏君 理事 竹谷源太郎君
   理事 渡辺 惣蔵君
      愛知 揆一君    伊藤 郷一君
      椎名悦三郎君    田中 正巳君
      林  唯義君    松澤 雄藏君
      三浦 一雄君    井谷 正吉君
      北山 愛郎君    小平  忠君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        国 務 大 臣 石井光次郎君
        国 務 大 臣 宇田 耕一君
 出席政府委員
        北海道開発政務
        次官      中山 榮一君
        北海道開発庁次
        官       田上 辰雄君
        経済企画政務次
        官       井村 徳二君
        総理府事務官
        (経済企画庁開
        発部長)    植田 俊雄君
    ―――――――――――――
三月三十日
 国土調査法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五四号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 北海道開発公庫法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六五号)
 東北興業株式会社法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第九七号)
 東北開発促進法案(内閣提出第一一九号)
 国土調査法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五四号)
    ―――――――――――――
#2
○五十嵐委員長 これより会議を開きます。北海道開発公庫法の一部を改正する法律案、東北興業株式会社法の一部を改正する法律案及び東北開発促進法茱、以上三案を一括して議題として、画会に引き続き質疑を続行いたします。渡辺惣蔵君。
#3
○渡辺(惣)委員 この際岸総理の御出度をわずらわしまして、国土総合開発計画全般につきまして、質問をいたしたいと思います。
 この特別委員会は、昨年の二月設置されましてから、継続して存置をされておったわけでありますが、二月二十八日に第一回の委員会が開かれましてから一カ月余りたちますけれども、いまだもちまして、この委員会にかけられております継続審議の法律案である花海道開発庁設置法案、あるいは石免法案の二つの継続審議法案、並びに新たに提出されております東北関係三法案等は、いずれも提案説明を受けただけで、実質の審議に入っておりません。このことは、私ども委員が特にサボっておるのではないのでありまし、一刻も早く重要法案のそれぞれ審議を遂げたいと考えておるのでありまするけれども、残念ながら主管の大臣特号委員会であります川村国務大臣が、二月二十八日と三月四日に登院されまして、あいさつをされましたきり、その後病気欠席をされまして、全然審議が進まない状態であります。幸い総理の御配慮によりまして、石井さんが北海道開発庁長官代理に就任されましたが、この際、北海道、東北等の個々の地域開発の問題を審議する前に、国策といたしまして、岸内閣としての国土総合開発の基本計画につきまして、所見をお伺いいたしたいと思う。その全国開発の基本がきまらなければ、地方開発計画がいろいろと混乱を生じてくる危険が出て参っておるからであります。特に岸総理は非常に国務繁忙でありますので、個々の具体的な問題等につきまして検討されることができないことは、十分私ども理解をいたすのでありますが、最近特に北海道開発計画がその第一次の五カ年計画を終りまして、今年の昨四月一日から、いよいよ第二次五カ年計画の初年度に入って参ったわけであります。
 そこで、北海道総合開発計画を今後推進いたすといたしまして、第一次五カ年計画の成果とその検討、その反省の上に立って、第二次五カ年計画が策定されなければならない。ところが第一次五カ年計画の実施とその成果につきましては、幾多の論議が繰り返されて参っておるようであります。最近、北海道開発あるいは国土総合開発に関連いたしまして、いろいろ論争を呼び起しておりますことは、私、非常に喜びにたえないわけでありますが、御承知の通り、今年初頭におきまして、産業計画会議が、北海道開発はどうあるべきかという勧告書を発表いたしております。これにつきましては、それぞれ一流のダイヤモンドであるとか、あるいは文芸春秋であるとか、その他の総合雑誌等がこれを取り上げまして、にぎやかに北海道総合開発の経過と成果についての論争が繰り返えされております。多分総理も、文芸春秋四月号の中谷宇吉郎博士の書きましたところの「北海道開発に消えた八百億円」という見出しのついた論文をごらんになったと思いますが、まさか合理主義的政治家であります岸総理の場合は、北大の一教授が書かれた政府の政策を批判した論文だからといって、吉田さんのように、これを曲学阿世の徒だという言葉で、あっさり片づけられるようなことは、万々あるまいと存ずるわけであります。そこで特にこの際、北海道総合開発につきまして一番この論文か指摘をし、また私ども同感の意を表し――また政府の機関であります行政官理庁の長官の諮問機関であります公共事業特別調査委員会の調査報告書においても、同じ結論であります。また三月二十九日、行政管理庁長官から報告されました、行政管理庁監察部の全国の公共事業調査に対する報告事項が閣議決定されておりますが、この一、二カ月のうちに、民間あるいは官庁から先表せられましたそれぞれの論文あるいは主張、勧告等が一致をしておりますのは、北海道の過去の五カ年計画というものが、果して国費七百七十六億円を投じた成果が完全に現われておるかどうかという点について、非常に疑問を持たれておるわけであります。なるほど、役所の側から見ますと、国費を投じたその額に応じて、当初計画から見ると五六%の成果を上げた、こう申しますが、それは予算の実施の関係がそういう数字で現われておるというだけであって、現実におけるそれだけの国家資金が投ぜられた北海道五カ年計画というものが、十分成果を上げているかどうかということについて、非常に疑問を持たれておるわけであります、
 特に一番問題になっておりますのは、農業開発の部面と同時に、人口吸収に関する問題であります。人口の問題につきましても、当初、昭和二十七年に北海道第一次五カ年計画がスタートいたしますときには、当時の約四百三十万の人口に対しまして、百六十万人の増加の計画を立ててスタートをいたしたわけでありますが、実質的には九十万前後しか人口の増加がなされておらない。このことは、どの場合においても指摘をせられておる通りであります。しかも、その五十万弱の人口のうち、自然増が四十三万、残りの部分こいうものは、大半は自衛隊の拡大による社会的増加で、それは五、六万である。開発行政の推進に伴うところの人口増加の部分というものはほとんどない。こういうことが、人口論争において出てきておる問題であります。これについてもいろいろ論議がありますけれども、この論議を裏づける問題と
 いたしましては、実際上北海道におきましては、戦後この十一年間におきまして、農業開発のために入植をいたしました総人口は、戸数にして四万八百四十八戸あるわけでありますが、そのうち、実際はその三二%の一万三千五十二戸というものは、農業入植から十年間のうちに離農してしまっておる。こういう状態でありまする上に、さらに、ここでしばしば論議の種になっておりますのは、二十七年におきまする北海道の農業人口の二十三万七千戸でありますものが、累年農業人口が減りまして、三十年になりますと、二十三万四千戸、あべこべに三千戸の人口が波っておるわけです。ここに非常に論議の焦点が出てきているわけです。
 一面、北海道の農業は、昭和十二年には農耕地が九十八万町歩あったわけであります。ところが、戦争の年の昭和二十年には非常に農地が荒れまして、この時期におきますと、農地は七十六万町歩、二十二万町歩減っておるわけです。ところが、現在はさらに七十四万町歩に減っておるわけです。農地が開発されるのでなく、逆に減っておる。農地が拡大されたと申しますならば、非常に喜びにたえないのですけれども、農業人口も減った。それから十カ年の開拓政策を進めて、農地開発や、あるいは農業移民を行なっておりながら、あべこべに人口が減っていく、農地が減少していくということは、これは少くとも北海道開発計画の基本計画の中に何かの矛盾があって、こういう結果が導き出されておるのではないのか。その根本的な原因はどこにあるのかということを、私はその真相をつかみたいわけです。私どもは言葉のやりとりでなしに、もっと誠実に、日本の国の運命を背う北海道開発及び国土開発につきましては、なぜこういうことが出てきておるのかという事実をはっきりとつかみ出すことによって、これからの新たなる日本の四つの島に限られました国土の上に、日本人の生成発展をになうためには、どういう理由によってこういう現象が出てきているのかという、根本を明確にいたさなければならない。このことが明らかにならないと、次の第二次五カ年計画の初年度以降、今後五年間努力をいたします北海道開発の計画に、非常な困難が生じてくる危険がある。なお同時に、この委員会におきまして、これから審議をいたします東北開発促進法の制定以後における東北開発の問題につきましても、さらに重大な問題が出てくるのではないか。実施をしてから五年も過ぎてから、お互いが矛盾を摘発し合ったり、政治的な責任を究明し合ったり、なすりっこすることなくして、ここで根本的に、なぜそういうような現象が生ずるのか、これからその根本的な問題を解明し合うことが、必要なのではないかと考えるわけであります。この点につきまして、総理のお考えを伺いたいわけであります。
#4
○岸国務大臣 国土開発の問題は、全国的に総合開発を推進する、これは日本経済にとってきわめて重大なことであります。特に北海道につきましては、今お話がありましたように、すでに第一次五カ年計画を終って、第二次五カ年計画に入ろうとしているところであります。一体国土総合開発、こういう開発の仕事というものは、いうまでもなく非常に困難の多いものであります。最初に計画した通りになかなかいかない。先日、過去における東北開発について、三浦委員からもその失敗の跡をるる申し述べられましたが、われわれが今日までやってきたこの種の仕事というものが、なかなか計画通りにいかない。しかし、どうしても日本においてはやらなければならぬし、ことに北海道の開発につきましては、国もすでに強い決意のもとに、五カ年計画を実行し、さらに第二次五カ年計画に入ろうとしている。そうなりますと、今お話の通り、第一次五カ年計画の成績が最初のわれわれが期待した通りにいっておらない。特に農業及び人口の面において著しい支障を来たしているということを、私どもは十分反省し、検討して、第二次開発計画の実施計画を樹立し、その実施に当らなければならぬということは、当然だと思います。第一次北海道開発計画の跡を顧みてみますと、電源開発であるとか、あるいは道路、港湾等の比較的基礎的のものと思われるものに対する成績は、比較的いっているけれども、一番計画通りにいっておらないのは、産業面、特に農業の点である。いうまでもなく北海道の農業開発につきましては、非常に広大な地面で、人口が比較的稀薄であるということには、自然的条件として相当の困難が本来あると思うのです。しかし、これに対しては、十分な計画を立て、適地適作という見地、並びに農業開発に要する農業移民なり、農業人口の増大という計画を、さらに詳細に実地に適するように立てる必要があろうと思う。過去における第一次五カ年計画について、農業上の――特に今御指摘になっているように農地が減り、農家がむしろ減っているという原因については、私自身これをまだ十分具体的に把握いたしておりませんけれども、当然その責任の官庁におきましては調査しており、また一応の見解を持っておると思いますから、その点に関することは責任の官庁の方からお答えをすることにいたしますが、いずれにしても、過去の第一次五カ年計画の実施状況というものを十分に検討して、その原因がどこにあるかということを究明して、第二次の計画の樹立及び実行に当らなければならぬ。同時に、こういう計画は非常に困難があるということを十分みんな考えて、そうして強い意思の決定なり、あるいは、いかなる困難があってもこれを必ず実現するのだという、熱意をこういう事業には込めてやっていかなければならぬ、かように私たちは考えております。
#5
○渡辺(惣)委員 北海道開発の問題につきましては、幸い石井さんというりっぱな大臣においで願いましたので、これは一つ別の機会に主管大臣等にいろいろ御質問いたしたいと思います。
 そこで、人口問題を申し上げたことに関連して、もう一言ここで総理の所見をお伺いいたしたいのでありますが、昭和三十年の十月一日付の戦後第二回目の国勢調査によりますと、人口の動態が著しく変貌を来たしておるわけであります。これは、たとえば五年間に三十万以上も人口が増大をいたしましたころは、東京の百七十五万九千五百三十八人という膨張を初めといたしまして、大阪、神奈川、愛知、福岡、兵庫等がそれぞれ七十万から三十万の人口増を来たしておるわけであります。ところが、一面、五カ年間のうちに人口の自然増が統計の上で一つも出てこないで、あべこべに人口が減少してしまった県が出てきておるわけであります。山形県が三千六百九十八、栃木県が二千八百八十二、山梨県が四千三百二十五、長野県が三万九千五百三十九、滋賀県が七千四百四十六、徳島県が四百二、香川県が二千百九十九というふうに、五年間にあべこべに人口が減少しておるわけであります。ここには当然人口の自然増があったはずでありますが、あべこべに人口が減少しております、これはきっと社会的移動が行われて、人口が減ったのであろうと思うのでありますが、こういう逆現象が出て参っております。これを今度の東北開発促進法案の趣旨に基いて、東北七県の人口で見ますと、千百八十万七千九百三十四人の東北七県の人口のうちで、わずかに二十五万四千八百二十六人しか人口が増してない。この人口の増しましたのは、そのうちの相当数が新潟県でありまして、他の東北六県の人口一の増加率はきわめて微弱な状態に置かれておる。こういう現象が国勢調査の結果現われております。もっとはなはだしいところは四国であります。四国四県の場合は、国勢調査の結果、四百二十三万五千二百四十三人という数字に対しまして、わずかに二万四千九百五十八人しか増加しておらない。四県のうちで愛媛県だけがわずかに増加率を示して、他の府県はほとんど低下をしておるという現象であります。
 ここで問題になりますのは、政府は、全国総合開発の中間案におきまして、昭和四十年には総人口九千七百三十七万人に増加を予定いたしまして、目下全国総合開発の策定中でありますが、こういうような国勢調査の結果、あべこべに五年を経過して人口が減少しておるという形のもの、あるいは大都市、産業都市に人口の社会的集中が行われて、そうして東北及び四国の場合のように、人口の増加が非常に微弱であるか、あるいは自然増があっても、社会的移動が行われて、その地域の開発が全く停頓の状態になっておるという現象がここに発生してきておるのでありますけれども、こういう点につきまして、全国総合開発計画と国の再編成、国民の人口の散布計画というものと、それから産業開発の計画というものとを、どういうように結びつけていかれようとするのか、この点についての所信をお伺いしたいと思います。
#6
○岸国務大臣 過去の傾向、特に今御指摘のありましたように、最近の傾向が大都市に人口が集中しておって、あまりにもはなはだしい傾向であるということは、国政の上から見ましても、重大な幾多の問題を含んでおると思います。全国の国土開発計画につきましては、御承知のように、法律に基いて、一方は今長期経済計画を検討し、改訂をいたしておりますが、これとにらみ合して国土開発の計画を立てなければならぬことは、言うを待ちません。従いまして、特に今お話の人口の偏在的集中傾向に対して十分な検討を加えて、そうして今の経済計画、国土総合開発の計画とにらみ合して決定をしなければならない。ただ単に産業経済の事業の面だけからこれを検討し、論ずることはできない、人口の点の今申したような傾向に対しましても十分検討を加えて、経済計画とにらみ合して、国土総合開発計画を立てていきたい、かように考えます。
#7
○渡辺(惣)委員 そこでお伺いをいたしたいのですが、北海道開発法が二十五年の五月に制定をされ、一月ばかりおくれまして、国土総合開発法が制定をされておるのであります。国土総合開発法が制定されました以上は、国土総合開発法の規定に基きまして、全国総合開発計画が樹立をされて、その全国総合開発計画の基本に基いて、特定地域開発計画であるとか、あるいは地方開発計画、府県開発計画等がそれぞれ割り出されていかなければならないことは当然だと思います。また法の精神であります。ところが、現実には、国土総合開発法が制定をされて七年も経過いたしましても、いまだもって全国総合開発計画の樹立がなされておらない、全然策定されておらない、わずかに中間案というような、いわば無責任な、舌足らずのものが資料として配付されておるだけでありまして、この国土総合開発法に基きますところの全国開発法が一つも策定されておらないわけであります。にもかかわりませず、一方においては、北海道総合開発計画がもうすでに第二次の年度に入り、しかもここで東北開発計画の初年度に入ってくる。こういう中で、たとえば特定地域の開発計画が十九カ所に及んでおる。こういうように、全国がちりぢりばらばらに計画が進められておる。この国会では国土開発の縦貫道路法、鹿児島から北海道の稚内を結ぶ重要な、日本の国の背骨を縦貫する国道を打ち通して、その日本の背骨の一貫した中に産業開発を企てようという新たな法律が国会の通過を見た。もうこの段階になりますと、いやでもおうでも日本の国は、もう一ぺん、今までばらばら開発をしてきたものを一本にまとめて、強力な総合開発計画の樹立をし、その一環として北海道開発を推進し、その一環として東北開発計画を進め、後進地域の開発を進めていく、こういう特定地域あるいは地方開発、府県開発というものを総合一体にする基本としての全国開発計画の策定が急がれなければならない。本来これが先であるべきでありますが、おくれておりますから、五年も七年もおくておるのですから、やむを得ぬといたしましても、もうこの時期に全国開発計画を政府の責任において閣議決定をして、早急樹立をいたさなければ、さらに矛盾が増大をいたして参ります。北海道だけをいかに取り上げましても、全国の部分でありますから、人口の社会的移動その他は随時行われますし、あるいは北海道におけるところの開発計画に対しましても、いろいろ変動が起ってくるのは当然なことでありますから、一体この全国開発計画というものをいつ策定されるのか、こういう状態の中でどうなさるのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
#8
○岸国務大臣 お話の通り、国土の総合的開発につきましては、全国を一つの全体として見て、これに対する確固たる計画を持ち、そうしてその部分として北海道や東北の総合開発計画というものを当然考えなければならない。理論的にはまさにその通りだろうと思うのです。ただ実際問題から見ますると、北海道、東北という全国の総合開発計画におきましても最も重要視しなければならない部分に対しては、すでに特別の措置がとられてきておりますけれども、しかし、同時にその開発計画というものが、全体的の開発計画にも関係を持っておるので、それを全然離れて、北海道の開発とか、あるいは東北の開発もできないわけですから、御指摘のごとく、全国の国土総合開発の計画をできるだけ早く樹立しなければならないことは、言うを待ちません。そこで、先ほどもちょっと触れたのでありますが、目下われわれといたしましては、長期の経済計画を改訂いたして、それの検討をいたしております。これもまた密接な関係がございますから、これと並行して、全国にわたる国土開発計画をして検討して、ほぼこれとにらみ合せた時期において、これを最終的に決定をいたす、こういう考えでおります。
#9
○渡辺(惣)委員 時間がございませんので、この際総理に数々お尋ねをいたしたい問題もありますけれども、最後に二点にしぼりまして私の質問をして、同僚にあとの時間をお願いしたいと思っております。
 最後の二点は、こういうように今国土開発に関する考え方が非常に活発に論議をせられ、またその必要度が高められ、国民の関心も非常に高まって参っております。また総理御自身もそう考えていらっしゃると思います。そこで、国土開発の行政機構のあり方が問題になって参ると思うのでありますが、現在わが国の開発行政機構といたしましては、経済企画庁の中に開発部があり、またその実施の部面については、建設省その他の各省がそれぞれの関係において担当する、あるいは特殊な開発に関する企画官庁として、北海道開発庁等が存在しておる、こういう形になっておるわけであります。ところが一面におきまして、今度の東北開発促進法が通過をいたしますると、企画庁の中に東北調査室等のごどき施設を持たれるという構想が進んでおります。また寒地農業推進のために、農林省の内部に、寒地農業調査室という内容を持ったものが設置せられるかに承わっております。さらに、こういう行政官庁の開発計画の計画、実施の面がばらばらに進行しておりますところへ、二十四国会におきましては、政府は、内政省設置法を国会に提出をいたして、この内政省設置法によれば、これは建設省と自治庁を合体いたして、旧内務省のごとき行政機構を実現しようとする意図あるかに承わっておるわけであります。しかし政府は、行政機構について根本的に再検討を加えるというものの考え方が、鳩山内閣の末期から発生して参っておりまして、内政省設置法は二十四国会から継続審議になっておりますけれども、今もって内閣委員会におきましては、たな上げになって全然審議されておらないわけであります。政府もまだ撤回をされるとか、これを審議を推進するという方策は示しておれらない。そこで内政省というものについても、若干の疑問をお持ちになっていらっしゃるのだと思います。岸内閣は新たにスタートされたのでありますし、ここで行政機構についても根本的一の新たな構想で出発をされることが妥当である、今までの行きがかりにとらわれずに、最も能率的な行政機構、最も目的と手段が一致し得る行政機構を樹立することが必要ではないかと考えるのであります。そこでこの際、この全国開発計画と地方開発計画とをまとめまして、ほんとうに国土総合開発を推進します計画と実施の官庁を一元化して、国土開発省のような強力な計画と実施の官庁を設置せられるお考えがないかどうか、あるいは、そういう方向を持たれようとするお考えがないかどうか、これにについての所見をお伺いいたします。
#10
○岸国務大臣 行政機構の問題を根本的に検討して、そうして行政の目的を最も有効に果すように、機構の改正をしなければならぬということは、これは私は行政機構に対する根本的考えの一つの大きな理論であると思います。われわれも、今日まで行政機構の改革につきましては、鳩山内閣以来いろいろの研究もいたしましたし、その研究に基いた中間的なものも国会の御審議をお願いしておるのでありますが、しかし、これでもって終るものでもなければ、あるいはさらに根本的な検討も絶えずやって、そうして行政機構の能率化や、あるいは綱紀粛正の問題や、いろいろ行政機構として当然考えなければならぬところの根本を考えて参りたい。それについて、国土開発について特別の省を設けたらどうだという御意見でございますが、この点は今おあげになりましたように、今日とにかく一応の機構ができておりまして、関係官庁との間にも協力を進めるような態勢をとっております。しかし私はそれで十分だとは考えておりません。国土総合開発のごとき、各省にわたって関連があり、全国的にいろいろな見地から総合的に計画を立て、実施に当らなければならないこの仕事を推進する上におきまして、今日の行政機構だけで十分だとは思いませんが、しからばというて、さらに今の国土開発に関する一切の計画及び実施の機構を集めて、一つの開発省を作ってやるというようなことにいたしますことも、その点においては相当に意義があるようでありますけれども、他の行政との関係も考えなければなりません。そういう国土総合開発の仕事を総合的に計画し、実行するに十分機能を発揮するような仕組みを考えなければならぬということは、渡邊委員のお考えと私は同様に考えておりますが、さて、それを具体的にどうするかということにつきましては、なお検討をいたしてみたいと思います。
#11
○渡辺(惣)委員 最後に一言だけ質問しておきます。実は北海道開発につきましては、御存じのように北海道開発庁という計画官庁がございます。石井先生が大臣の代理として出て参ったのでありますが、私の計算によりますと、石井さんは実は北海道開発庁長官の第十三代目に相なるわけであります。昭和二十五年六月一日に発足をいたしましてから、大臣のかわること十三人目、今まだ正式にかわっておりませんから、十二人半というところであります。(笑声)そこで、時間がありますと、この際岸さんにお聞きを願いたい数々があるわけです。大体一年以上北海道開発庁長官についた人は、二人か三人しかおらない。極端なのは、周東さんなどは二十七日間で、こういう人がおったかどうかだれも知りません。わずかに六年七カ月のうちに、十三人も大臣がかわられておる。これでは、政府はから題目で、北海道開発をするとか言っておりますけれども、できょうがないのです。実際一表面上北海道に重点施策をするとかなんとか言いましても、大臣を頭数としてふやしているだけです。非常に残酷な申し分でございますが、北海道開発庁というのは、職員は六十人くらいしかいないのです。田中知事が必死になってやっておりますけれども、非常に気の毒だと思います。だからといって、実施官庁にしろというのではありませんが、しかし総理府のあなたの足元にあります北海道開発庁というものは、わずかに六十人前後で、石井さんがその代理になられている。しかも大臣が十三代もかわっている。これでは政策の矛盾が出たり、ばらばらになったり、いろいろな混乱が起るのは当りまえです。しかも、大臣は十三代もかわりましたが、実施している北海道開発局というのは、七年間一人も動かないのです。どうもおかしい、あべこべなんです。一つの予算を握って実行する実施官庁の局長が、七年間も動かないでやっておる。ですから、一昨々日の決算委員会で、会計検査院から、昨年度の北海道におけるいわゆる開発庁関係の公共事業に関する批難事項が三十幾点も出て、開発庁は計画官庁で、実施官庁ではございませんから、引っぱり出された田上さんは非常に迷惑なことだと思います。現実に大臣は十三人かわって、一人の局長が七年間も陣取っておりますと、必ずそこにいろいろな問題が発生してくるのは当りまえだと思うのです。十三人も大臣が転々としてかわり、しかもその下部においては一人が七年も動かないでやっておる。こういうような無責任な役所の人事の刷新や――またほんとうに北海道に根をおろして北海道の開発をやられるなら、この際石井さんがほんとうに腹をきめられて、北海道開発を背負って立っていただくように決意をしていただきたい、こういう点について、この際総理大臣の所信をお伺いいたしまして、私の質疑を終ることにいたします。
#12
○岸国務大臣 従来の北海道開発庁長官というものが非常にたくさんかわって、従って、この仕事を遂行する上にも支障を来たしておるという御指摘でございます。先ほど私が申し上げましたように、大体国土開発の仕事というものは非常に困難を伴う仕事であって、これについては、よほどしっかりした、また長期的な腰を据えた仕事ぶりをしなければいかぬ、こう考えております。従いまして、今の政府としては、北海道開発庁長官が、過去において短かい期間で多数の人がかわっておるというような事態は、十分是正しなければならぬと思います。また、いろいろな事情があったろうと思いますが、むしろ、長官がかわるから、行政機構の方を永続する意味において、局長以下の人事というものが、永続的になっておるという傾向も出てきているのであろうと思います。しかし、仕事自体の性格から見て、先ほど私が申し上げたような性格を持っておる仕事でありますから、政府がほんとうに本腰でやる、この行政機構も、あるいは人事も、そういう点において十分今後は考慮して参りたい、こう思います。
#13
○五十嵐委員長 午後は一時半から再開をいたします。
 この際暫時休憩いたします。
    午前十一時五十六分休憩
    …………………………………
    午後二時三十七分開議
#14
○五十嵐委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。
 質疑を継続いたします。竹谷源太郎君。
#15
○竹谷委員 私は、岸内閣総理大臣に対しまして、まず国民経済計画について、第二は国土開発の基本問題に関して、最後に東北、北海道の漁業開発と日ソ漁業交捗にい、この三つの問問についてお尋ねをいたしたいと思い
 さて、昭和三十年の七月に、鳩山内閣は、内閣の附属機関でありますところの石川一郎氏を会長とする経済審議会に対しまして、経済自立と完全雇用達成のための長期経済計画に関して諮問を発しました。経済審議会は五カ月間慎重調査、審議をいたし、ました結果、同年の十二月、すなわちあなたが自民党幹事長となられたあとに、昭和三十年度から三十五年度に至る六カ年間の第二次長期経済計画を答申いたしたはずであります。しこうして、この答申の前文におきまして、経済審議会は、次のように申しております。政府においてはさらに精密な検討を加え、本案をより完璧な計画たらしめることを要請いたしますとともに、計画の実施に関して言及をしておりまして、特に次の諸点に留意をして着実な推進を要望いたしておるのでございます。その次の諸点と申しますのは、第一は、政府は、この答申に基き、実施計画を決定しますとともに、これを国民に周知徹底せしめ、国民の十分な理解と協力を求めてもらいたい。第二は、関係各省は、本答申案の線に沿って、それぞれ具体的施策を策定し、計画的な実施をはかり、予算は本案の線に沿って編成をしろ。第三は、計画の実施に当っては、少くとも年一回は実績と対照をして、国民に公表しろ。このように述べておるのでございます。この第二次長期経済計画の答申を一体政府はどのように取り扱ったのであるか。実施計画を立てて、閣議決定を見たかどうか。そしてこの線に沿って予算を編成し、かっこれを実行したかどうか、まずお尋ねいたしたいと思うのであります。
#16
○岸国務大臣 わが国の長期経済計画につきましては、今お述べになりました経済審議会において、その実施等に対する意見がつけられて、この計画が政府に答申されております。政府は自来年々の予算を編成するに当りましては、十分この計画に基礎を置きまして、この計画に沿うてこれを編成して参っておるのであります。また実施の状況等に対しましても――常にその計画と実施との関係の状況につきましてもこれを検討いたしまして、所要の措置を講じて今日実施に当っておる、こういうわけであります。
#17
○竹谷委員 ただいま総理大臣から、長期経済計画に関しまして、きわめてそつのない抽象的な御答弁がございました。しかしながら、この答申なるものは、私は国会図書館に行きまして、ガリ版で刷った謄写版刷りの印刷物を見ただけで、われわれ国会議員もよくその全貌を知り得ない、こういうものでございまして、第一これは閣議決定を経、その決定に基いて各行政機関が拘束されているかどうか。私はそうじゃないと思う。過去のことは、あなたが総理大臣にならない時代のことであるから、深く追及はいたしませんが、今後の問題もございますので、ただいまのような抽象的な御答弁でなしに、そのようなことが具体的に実際なされたかどうかということを、再検討をお願いいたしたいのであります。時間もないから、私はこの追及を省きまして、次に移ります。さて昨夜のラジオのニュース及びけさの新聞紙は、経済審議会が三十三年度に始まる五カ年の長期経済計画を企画立案することにきめた旨、報道をいたしております。第二次六カ年計画によると、国民総生産は三十年度において七兆五千八百億円、このように計画したのでありますが、実績は八兆一千八百八十九億円となっておる。また本年度すなわち三十二年度の計画は、八兆三千三百二十億円となっておるのでございますが、現在のところ、見通しといたしましては、九兆八千五百億円くらいになるであろうと観測せられ、これは計画に対しましては一九%も上回っておる。こういう次第でありますから、計画の立て直しをしなければならない段階にきていることは事実でございます。そこで、今後立てるところの長期経済計画は、内閣が責任を持って、これを政府の政策として決定をしなければならぬと思う。そして各省などの各行政機関を拘束をいたしまして、予算並びに実施を確保すべきであると私は思う。たとい、その計画が、われわれから見れば、全く新鮮味も、画期的なものも、希望の持てるものもないおざなりのものであって、時とともにだんだんよくなる法華の太鼓というような計画であるといたしましても、政府といたしましては、膨大な人と金を使って、責任を持ってせっかく作ったものである。作っておきながら、紙くずかごにほうり込んでしまう。そうして、ただ計画はされたが、十分な土台なしに、ひとりでに進んでいく。従って、外国の経済がくしゃみをすれば、日本の経済はかぜを引いてしまう。このような底の浅い、波の間に間に流される小船のような日本経済とならざるを得ない。とういう観点から、経済の専門家である総理大臣は、今後の長期経済計画の樹立に当っては、責任を持ってこれを閣議の決定にし、各省を拘束し、ぜひ所信を実現するようにお考えになる御意思はないかどうか、それを承わっておきたいと思います。
#18
○岸国務大臣 われわれは長期経済計画を立てて、そうして日本の産業経済の基盤を拡大し、さらに、これによって国民生活の向上をはかり、完全雇用を実現しよう、こう考えておるわけでありますが、いうまでもなく私どもは、経済政策の根本といたしましては、自由経済主義をとっておるのでありまして、社会党の考えておられるような強い意味の計画経済なり、あるいは統制経済というものを考えておるわけではございませんので、自然その計画の実施に当りまして、いろいろな計画と実際との間の食い違いができてくることは、私はある程度やむを得ないと思います。しかし、われわれが一つの目標を立て、日本の経済の発展というものを企図いたしていく上における長期経済計画を立てます以上は、これによって政府が予算の編成や、あるいは実施に当って、関係各省が十分この計画の趣旨にのっとってその行政をやっていくことは、当然やっていかなければならぬことでございます。こういう意味において長期経済計画が樹立された上におきましては、政府としては、その線に沿うてあらゆる施策を遂行するに必要な措置は、これをとっていかなければならぬ、私はかように考えております。
#19
○竹谷委員 きのうから麻布の国際文化会館で、十一カ国の経済学者が集まって経済成長会議というものを開いており、その席上でマンチェスター大学のルイスという教授は、経済開発には勇気のある政治的指導力が必要であるということを説いており、またフランスのジュヴネルという教授は、経済発展には天然資源の重要性は無視できない、このように申しておると新聞は報じておるのでございます。従来、日本の国民経済計画と国土総合開発計画の大黒柱ともなるべきものが、どうもなかったようであります。しかしながら、去る三月二十九日に、数年にわたって国会において慎重審議されて参りました国土開発縦貫自動車道建設法がいよいよ成立を見たのでございます。この画時代的輸送手段であり、また開発の中核となるであろう縦貫自動車道、これをバック・ボーンといたしまして、日本経済の飛躍的な拡大発展の計画を立てるべきである、このように思うのであります。ただいま経済審議会がこの企画立案に当ろうとしておるのでございますが、これに際しまして、この国土開発縦貫自動車道をバック・ボーンとして、日本経済拡大発展の計画を樹立する御意思ありやいなや、それを承わりたいのであります。
#20
○岸国務大臣 過般成立いたしました縦貫道路の計画は、単に輸送のみならず、資源の開発や、あるいは日本の産業経済から見ますと、非常に画期的な意味を持っておるものでございます。従いまして、その建設が日本の将来の経済計画の上に大きく作用することは、当然でございます。従いまして、そういうこともこの道路の完成の年次とにらみ合せて、わが国の長期経済計画が立てられることは当然でありまして、そうしなければならないと思います。
#21
○竹谷委員 総理大臣は、この間の本会議における御演説におかれましても、青少年に対しまして精神作興、あるいは愛国心の高揚ということを説いておられます。しかし封建道徳の精神講話をもってしては、愛国心の一粒をも作れないし、また青少年の血潮を沸かすこともできないので愛国心を盛り上げ、国民に希望と光明を与えるためには腐敗、堕落のない正しい政治が行われることが第一に必要であり、第二に、うるわしい豊かな住みよい国土を作り、そして日本経済の繁栄をもたらすこと、これにあると私は思うのであります。前の問題につきましては、新しい政治指導者をもって任じられる岸首相に、断固たる、従来の保守派政治の改革を一つやってもらいたい。あとの経済問題につきましては、新しい経済計画と、飛躍的国土総合開発計画の立案実施を敢行せられたいと思う。これのみが青少年に明るい希望を与え、愛国心を盛り上げることになると私は思うのでありまするが、総理大臣の所見はいかがなものでございましょうか。
#22
○岸国務大臣 次代の祖国の運命をになう青少年の諸君が、希望と自信と勇気とを持って立ち上ることができるようにいたすためには、お話の通り、単に精神訓話やあるいは精神作興を大声疾呼するだけで、できるものではないということは、私もそう思います。それには、その青少年の諸君が将来に向って希望を持ち、また自分たちの祖国をほんとうに愛し、これを盛り上げていこうという熱意の沸くような政治をしなければならぬこと、お説の通りであります。しこうして、そのためには、政治そのものをきれいなものにしなければならぬ。綱紀粛正が行われ、あるいはほんとうに正直なものが栄えてき、不正直な人はいかぬというふうに、正しい姿が政治に現われることが必要であります。また同時に、経済生活の面におきまして、ほんとうに国民生活が安定し、向上する、これによって、青少年の諸君もそれぞれ落ちついて勉強ができ、自分たちの向学心が満足でき、また自分たちのこの力によって国が栄えていく、というふうな希望の持てるようなあらゆる施策をする必要がある。従いまして、私はそういう点に今後政治の中心を置いて考えていかなければならぬ、かように考えております。
#23
○竹谷委員 ただいまこの特別委員会に、東北開発関係の法案が三つ付託されておるのであります。この三つの法案は、午前中に渡辺惣蔵君の質問にお答えになったことをもってわかるのでありますが、東北地方総合開発の具体的計画の上に立ってやったものではない、行き当りばったりのおざなりの案、こう言わざる得ない。開発公庫は、中央の大資本家が東北、北海道に進出をする、それを助けるものであり、また東北開発会社は、政府並びに与党の諸君の御用会社にすぎないものになるのではないかということが多分におそれられる。国土総合開発法第二条末段には、社会福祉の向上、地域住民の利益にというようなことをうたっておりまするが、この地域住民の福祉増進、生活向上に何ほどの効果が上るか、多大の疑問なきを得ないのであります。東北における産業経済の不振というものは、立地条件の整備されていないところにその原因が伏在をする。かつて昭和の初年の冷害対策として、東北振興のために東北興業株式会社が約百に上るところの各種の事業をやった。これは地域住民の福利を増大する性質を持つ事業が多かったのでありまするが、採算のとれない条件のもとにありましたために、失敗をして雲散霧消をいたしました。そうして今残存しているものは、数えるほどもないくらいである。そこで具体的の総合計画に基かない東北開発事業というものは、八億円をどぶに拾てた北海道開発計画と同様の運命に陥ることを私は憂うるものである。そういう心配はないかどうか、総理大臣の御意見を承わりたいと思うのであります。
#24
○岸国務大臣 午前中にお答え申し上げましたように、総合開発の仕事というものは、実際の実行に当りますと、予想しない困難が幾多あるのであります。また北海道、東北が開発がおくれておるというのには、それぞれの原因がございまして、いわゆる産業等の発展のためには、その立地条件を改善するための基礎的ないろいろな施設も十分考えてやらないと、うまくいかないと思います。また私どもは、これが実現された暁におきましては、十分地元の人々の産業、仕事が伸びて参りまして、その生活の安定や、その福祉が増進されることをわれわれはもちろん期待しておるのであります。過去における北海道の開発につきまして、いわゆる第一次五カ年計画というものが、最初の予定通り、計画通りにいっていないことは、これは十分考えなければなりませんけれども、われわれは決してこれがむだであったとか、あるいは、これがどぶに捨てられたものであるというふうなことは、これは全然事実に違っておると思うのであります。むしろ、これによって基礎的な条件がずいぶん整えられてきておりますから、今後第二次の計画が立てられ、これが実施されるならば、これが北海道におけるところの産業開発や産業の振興や、従って、そこの住民の福祉の増進に私は相当に役立つものであると思います。またその意味におきまして、東北振興の問題におきましても、過失において明治以来いろいろな経験は経ておりますが、この三法の実施によりまして、私どもはまだ開発のおくれておるこれらの地方の資源が開発され、また経済的発展が期せられて、地元の福祉の増進に必ず役立つ、こういう確信を持っております。
#25
○竹谷委員 われわれは、十分な計画に基く東北開発の施策とは考えられません。これは所管大臣に追って質問をし、所見を伺うつもりでございまするが、総理大臣におかれまして特に御注意願いたいことは、先般三浦委員からも、いろいろ東北開発の過去の沿革を述べられた通りでございまして、決して工場を持ってくる、あるいは当面の金を貸してやるというようなことで、ほんとうの東北開発は実現できないのでございまして、この点もしこの法案が通り、実施に当っては、今おっしゃったような真の東北開発が実現し、東北の貧乏な住民の生活が豊かになるように御注意を願いたいし、責任を持って実施せられるように要望をしておきます。最後、東北、北海道における水産業の開発という問題について、北洋漁業の振否はきわめて重要な影響を持っております。この問題に関連する日ソ漁業交渉の問題についてお伺いしたい。日本の漁場は、御承知のように戦後著しく狭められまして、朝鮮沿岸や支那海、あるいは太平洋の南方方面、メキシコ湾、そういうところの漁場を失って参りました。北方においても同様でございまして、東北、北海道の沿岸の漁民は、出漁することができない。また日本列島周辺の水産資源は枯渇いたしております。現に、私の宮城県等には、底びき網が非常に多いのでありますが、これが北洋漁業の独航船に権利を売ってしまって、船と漁具と人間がいる。これはただ遊んでいるわけにいかない。そこで免許のない出漁をする。そうすると、水産庁、海上保安庁の船が、あらゆる漁港の入口に待っておって拿捕をする。こういうわけで、いろいろ問題が起っておる。また北海道、東北の沿岸には、樺太やカムチャッカの引揚げ漁民が、仕事がなくて娘を売るという現状であります。ところで、今、日ソ漁業交渉が進行中でございまして、サケ・マスを十二万トンにするとか、十万トンにするとかいって、盛んにソ連と交渉しております。しかしながら、私から見ますならば、わが国が強硬に主張しているのは、二、三の巨大漁業資本家中心の努力といわざるを得ない。昨年北海道、東北の中小漁民が団結をして、母船をチャーターし、船団を作って出漁許可を申し出たところが、河野農林大臣は、巨大資本家のみにこれを免許した。こういうようなやり方でございますから、ソ連としては、日本の漁民のためにならない。とった魚を日本人が食うのではない。八〇%はこれを輸出してしまう。そうして資本家がもうけるにすぎない日本漁業である。こういうような認識の上に立つところに、日ソ交渉の困難性があるのではないかと私は思う。かてて加えて、オホーツク海やベーリング海、その他の北洋の漁族は、カムチャッカなり、シベリアなり、あるいは樺太等の河川にさかのぼって産卵をするわけである。この魚族保護また育成を、ソ連が大いにやっておると言っております。そういうことに日本は何ら努力もしないでおいて、公海であるからといって、どんどんこれをとってしまう。こういうことを見ますならば、ソ連が日本は勝手過ぎると考えるのも無理からぬ点があるように思われる。
 そこで日本といたしまして、日本のサケ・マス漁獲量をできるだけ多く獲得するということは、むろん必要のことでございまするが、こればかりではなく、これと並んで、北海道や東北の漁民がソ連の漁場で労働をして、現物なり、あるいは金なりで報酬を得るという方法を交渉してはどうか。それならば漁業労働者のためになるということになって、交渉の上においても、これはソ連に対してはうまくいきやすくなる。また漁業労働、日本の漁民が北洋のソ連の漁場で働くといいましても、向うには船や漁具も不十分でありまするから、結局、これはソ連漁業の下請企業的なものになる。あり余る漁船、漁具、漁民、漁業労働者が、北海道や東北にはたくさんいるわけであります。これらの人が、労働といいましても、下請企業になりますので、そのようにしてやっていくならば、今水産資源の枯渇した日本列島の周辺を、取締り船と追いつ追われつをして、トロール船のやみ漁業をやっておるというような漁民も救える。また、そのことならば、ソ連としては大いに交渉に乗り得る理由が起ってくる。従いまして私は、日本の日魯なり、大洋なり、あるいは日水なりという、こういう大漁業家の非常なもうけになって、これにくっついていく独航船というものは、全部これをこれらの母船に売らねばならぬ。それで赤字になる。そのようにして、資本家だけがもうけるようなやり方では、なかなかソ連は承服しがたいと思う。そのような漁獲の量を多くすることは大事でありまするが、今私が言うような、東北、北海道の中小漁民が生きる道を、なんぼでもある北洋の漁場において見出して、そうして生活のかてを得る。また日本の外貨獲得にもなる。このようなことを、漁獲量の増大とあわせて御交渉になれば、東北、北海道の中小漁民を救う方法があるではないか。これに関しまして、総理大臣であり、外務大臣である岸さんのお考えを、これはかなり大きな問題ではございますが、最後に伺っておきたいと思うのであります。
#26
○岸国務大臣 日本の漁業、特に漁民に対する一般的なこれの施策は、農林省でそれぞれ講じておりますが、日ソ交渉の過程において、今御提案になったようなことは、実はソ連の実情から見ますると、陸地における漁業は、ソ連がこれを独占的にやっておりまして、それと見合うべき公海における漁獲の制限を、両国において話し合っおるのが現状であることは、御承知の通りであります。これはいうまでもなく、北洋におけるところの漁業資源というものを保存し、長く日ソ両国においてその資源をとっていって、そうして、しかもそれが尽きないように考えていくのに、科学的にどういう基準でとったがいいかということが、その根底として研究をされておるわけであります。われわれは、もちろん公海だけではなくして、陸上における状況についても、実は十分の資料を――ソ連側の提供する資料だけしか持たないものでありますから、これを日ソ両国でもって共同調査して、公海及び陸地における漁業つきましても、十分に科学的な根拠における調査によって、将来のこの北洋におけるサケ・マスの資源を確保しようという見地で、交渉をいたしておるわけであります。しこうして、従来の例から見ますると、サケ・マスだけでなしに、カニ等につきましても、日本の独立の企業において、沿岸漁業をやっておったもの、ソ連領の沿岸においてやられた仕事もあったのであります。また下請のような形でやられたものもございましたが、これらが全部実は閉鎖せられまして、残っているところのものは、公海だけのわれわれの漁撈の仕事だけが残っておる。これについての話し合いが現在行われておる。竹谷君の言われるようなことは、実際問題としては、ソ連が日本の漁民をその漁場に使うというようなことは、現在の状況では、とても考えられない状況であると思います。しかし、日本の漁民なり、あるいは漁民の将来を考えてみ、また日ソの友好親善関係を将来増進していくという上において、北洋についての漁業につきましては、さらにさらに両国の間において、両国の事情、また北洋におけるところの魚族の資源の保存というような見地を、科学的に冷静に判断して、将来適切な措置を講じていく必要があると思います。従いまして、今のような問題も、当然将来の問題としては、われわれは考えておかなければならぬ問題でありますけれども、現在の段階では非常にむずかしいという状況であります。
#27
○五十嵐委員長 北山愛郎君。
#28
○北山委員 時間がありませんから、一点だけ総理にお伺いしておきます。今までやった国土総合開発というものは、いろいろ問題点があろうと思うのですが、非常におくれておるという点、それからゆがんでおる、非常に跛行しておるという点もあるんじゃないかと思います。それはやはり農業開発という点がおくれておるからだというふうに思われる。従来やっております北上の総合開発にしても、あそこに多目的ダムが二つばかりできておりますが、そのダムが完成をすれば、電源開発の方は、直ちに発電所を作って発電をする。しかるに、それに伴った農業水利の方の仕事だけがおくれて、少しも進捗しないというようなことがあるわけです。午前中も問題になった北海道の開発にしても、私は失敗ばかりではない、やはりいいところもあったと思うのです。しかし、その中で特に指摘しなけれでならないのは、せっかく入植をした開拓農民が三二%も脱落しておる、農家の数がかえって減少しているというふうに、農業の開発という面において失敗をしておるんじゃないか。これはいろいろ原因があろうと思うのですが、やはり総合開発上、製造工業なりそういう面に重点が置かれ、公共施設等に重点が置かれて、農業がおくれてしまっているのではないか、こう思うのです。
 そこでお伺いをするのですが、日本の国土が狭いということを言っておりますけれども、それについて土地の利用の問題があります。現在農業用に使っておるのが、採草地も入れて二二、三%です。ところが、ヨーロッパのイギリスは八一%農業用に使っておる。ドイツ、フランス、イタリアは六〇%ぐらい使っておる。(「条件が違う」と呼ぶ者あり)条件が違うと言われますが、非常に山の多いスイスですらも、五二%も農業用に使っておるという事実があるんです。日本では、狭い狭いと言いながら、四分の一も農業用に使っておらぬ。その大部分というものは、六八%ぐらいが山林原野なんです。その山林原野も、十分集約的に使っておらないというような、この土地利用の状態を、総理はどのようにお考えになりますか、これをお伺いしたい。
#29
○岸国務大臣 お説の通り、総合開発の場合におきまして、農業の面における北海道の開発計画の実績にかんがみましても、非常に私は困難が多いと思っております。というのは、電源開発その他の近代的の施設につきましては、資本と技術とあれば、経営力があれば、比較的計画通りに参りますけれども、農業の場合におきましては、なかなかそう簡単にいかない面があると思います。特に今の耕地面積等についての比較を――私は専門家でありませんから、はっきりした数字はつかみ得ませんけれども、日本の農業がヨーロッパ諸国の農業とやや趣きを異にしているのは、とにかく農業というと、水田というものが、日本の農業においては非常に重要な部門を占めておる。これを、さらに畑地なり林野を含めて、有畜農業等が計画的に有効な施設によって進められると、土地利用も日本の農業の上において非常に改善されるのじゃないか、こういうふうに思っておりますが、いずれにしても、農業の計画を推進する場合におきましては、計画とその実施面について、過去の実績から見ましても、今後よほど力を入れなければならぬ、かように考えております。
#30
○北山委員 農業について相当力を入れなければならぬというお話ですが、日本の農業が、ヨーロッパの農業のように土地利用において十分でないという原因は、いろいろあると思うのですけれども、やはり日本の土地制度、特に現在においては、農地改革からはずされておる山林原野の所有形態といいますか、状態ですね、それが一つの障害になっておる。国有林においてもそうであります。東北では全山林原野の四九%、半分ぐらいが国有林なんです。これが林野庁のお考えによって、やはり一つのセクト主義といいますか、自分の財産としてうまく経営しようというだけの見地から運営をしていく。それ以外に相当大きな山林原野を持っておる者があって、そしてそれはそれなりの利己的な考え方から、自分の利益の上に立って、その土地あるいは山林を管理している。これが私は一つの障害じゃないかと思う。やはり東北が発展をしなかった、農業においても発展をしなかったのは、こういうような土地所有管理についての封建的な制度というものが大きな障害をなしており、また現在でもそうなんです。これを一つ打破していくということを政府としてはお考えにならぬかどうか。一つの問題としては、国有林の開放です。国有林というものをもっと広い見地から、今の農業というものを、ヨーロッパのように近代化させるという見地から、国有林を開放するというのも一つの手始めなんです。そういうことを御検討になるお考えがあるかどうか、これを承わっておきたい。
#31
○岸国務大臣 東北地方において国有林の割合が非常に多いということは、過日三浦委員からも御指摘になりまして、私も実は過去において農商務省の役人をいたしておりまして、これに関するいろいろな問題にも接しておりまして、そういう点が特に東北には多いと思います。従ってそれに関していろいろと検討されて、これに対する御意見も起ってくるのは当然であると思います。今国有林を開放して、これを民有に移すことがいいか悪いかは、これまたよほど検討を要する点であると思いますが、少くとも農耕地としての適地につきましては、国有林につきましても、従来開墾を行なってきておる部分も少くないと思いますし、また今申し上げたように、有畜農業の計画から見ますると、土地の所有を国有林にいたしておきましても、これをさらに利用する方法もつこうかと思います。いずれにしましても、農業の開発、ことに東北地方における特殊の事情を考慮いたしまして、農業用の土地の問題につきましては、検討をする必要があると思いますが、それだからといって、直ちに今国有林を開放するということを申し上げることはできぬと思います。十分検討をいたしてみなければならぬと思います。
#32
○北山委員 土地の利用をやるという場合には、国有のものばかりじゃなくて、最初にやらなければならぬものは、土地の調査だと思うのです。ところが、国土の調査がさっぱりできておらぬ。これは去年のこの委員会におきましても指摘をしたのですが、一体、日本の山林原野なら山林原野が、どのくらい面積があるかということがわかっておらない。実測しておらない、従って、固定資産の基礎になる台帳の面積と、林野統計ではまるで違うのです。農林省が発表しておる民有林の面積は大体千二百四十万町歩、ところが、固定資産税の台帳の方で計算をしていくと、七百万町歩ぐらいしかない。そこに五百万町歩くらい開きがある。これは実測しておらぬからです。林野統計の方も大体推定であって、実測ができておらない。国土が狭い狭いと言っておって、その国土の面積の実測もしておらないということでは、これは土地利用ができないのは当然なんです。総合開発の基礎になるのは、土地及び地下資源の調査でなければならぬ。ところがその調査の方は、こういう状態なんです。昨年高碕企画庁長官にこのことを話したところが、初めてそういう話を聞くのだ、それなら検討してみようということで、実はことしの予算を期待をしておった。ところが、国土調査費というものは去年と同じなんです。地方団体にやる分は一億三千万円で、去年と同額なんです。これは総合開発といっても、その基礎になる土地の調査を進めないということでは、総合開発をやるとは言えない。こういうふうな国土の面積の実測もできておらぬという事態を、一体総理はどういうふうにお考えになるか。明治以来何十年もたって、いろいろな面においては近代化が行われておるこの原子力の時代に、土地の実測ができておらぬのですよ。ですから、台帳面積で税金を納めますから、脱税をしておるのです。五割くらいが林野統計と比べても食い違っておる。これは一つ土地の利用というものを進めよう、日本の農業を近代化しよう、こういうことであるならば、土地調査という問題は重大な問題なんです。芸者の花代よりも、こういう問題は閣議で取り上げなければならぬ大きな問題なのです。これは狭い狭いと言うのだから、まさか国土の調査くらいはできているだろうと、だれものんきにかまえているのですが、実際は大きな盲点になっておる。一つこれを推進するお考えがあるかどうか、これを確めておきたい。
#33
○岸国務大臣 国土の調査がおくれておるということは、今北山委員のお話の通りで、総合開発をやる上から申しましても、その根拠になるところの調査が十分にいっていないということは、非常に遺憾と思います。そこで今度国土調査法を改正して、そして三十三年度からは――本年度の三十二年度は、前年通りの予算を計上いたしておりますが、三十三年度以降においてこれを強力に推進したい、かように考えております。
#34
○北山委員 これで終りますけれども、今の問題は、これは大きな問題なんです。しかも調査をすれば、相当な金がかかります。かかりますが、若い人たちに、こういう国土調査という大きな国土建設の仕事に従事してもらうことができる。またその調査の結果、費用がかかっても、面積が確実に捕捉されますから、今まで税金を免れておったものが徴収ができるということで、収入が上るわけです。決して損はしない。だから早く、少くとも来年度はこれに対して思い切った予算を与えて、そして国土調査を完成して、土地利用計画を作るというふうに進めていただきたい。これで私の質問は終ります。
#35
○五十嵐委員長 小平忠君。
#36
○小平(忠)委員 総理大臣にお伺いいたしたいと思いますが、北海道の第一次五カ年計画も三十一年度で終りまして、いよいよ本年度は第二次五カ年計画の第一年度に入ったわけであります。北海道の第一次五カ年計画の経緯につきましては、産業計画会議の意見、勧告なり、あるいは北大の中谷教授の論文等に現われておりますように、鋭い批判がなされております。そういう批判の中に、今回東北の総合開発を推進するために、促進法関係三法を本国会のこの委員会に付託されているのでありますが、岸内閣といたしましても、国土総合開発を促進するという見地から、国家予算の現状から見ましても、単にから宣伝で終らせてはならない、現実的な問題だけに、私はこの問題は非常に重要な点であろうと思うのであります。
 そこで第一点にお伺いいたしたいのは、北海道の過去五カ年間の経緯について産業計画会議が批判されておりますこと、あるいはこの産業計画会議の批判の内容について、北大の中谷教授が一応批判をいたしておりますが、私はこの批判なり論文には、熟読いたしますと、非常にもっともである、なるほど、かくかくの点については指摘の通りであるという点があると思うのであります。しかし中にはおよそ現実を把握していない部面もあるのであります。従いまして、率直に申し上げますならば、やはり吉田内閣から鳩山内閣、さらに今次の岸内閣と、こういう保守党の内閣を通じまして、ともあれ北海道に七百六十五億の金が投ぜられた。そうして批判はあるけれども、戦後の北海道の開発に大きな足跡というか、その実績が残されておることは事実なんです。ただやり方について、予算の使い方、事業の実施の方法、あるいは機構上の問題等々、幾多意見があるわけであります、しかしこの過去五カ年間の経緯にかんがみまして、今後実施さるべき第二次五カ年計画につきましては、再び失敗を繰り返さないように、貴重な国民の血税を最も有効に使わなければならないと私は思のであります。昨年、第二次五カ年計画が開発庁長官から北海道開発審議会に諮問されたわけであります。私もその審議会の一委員といたしまして、この長官から諮問を受けました内容について、審議会は慎重に検討し、その結果一部修正がありましたけれども、全会一致をもってその諮問に答申をいたしております。当時の鳩山内閣、さらに石橋内閣を通じまして、私が現在の岸内閣総理大臣にお伺いいたしたいのは、きわめて、重要なる意義を持つこの第二次五カ年計画につきましては、少くとも国会の議を経る、国会の意思をもってこれを遂行するのだというところまで、実はわれわれ期待するのであります。しかしそれは別といたしまして、少くとも政府としまして、一応審議会に諮問をし、その答申を受けた第二次五カ年計画に対しましては、少くとも最小必要限度、閣議の決定をもってこれでやるのだという態勢くらいは、お示しになるのが当然だと私は考えるのでありますが、その点いかがでございましょうか。
#37
○岸国務大臣 この北海道開発五カ年計画は、第一次の五カ年計画が終りまして、第二次を三十二年度から行うわけでありますが、その要綱は、昨年の七月北海道開発審議会に諮問して、その答申があったわけであります。その答申を尊重して最終的な計画を決定いたしまして、その上で閣議にかけてこれを決定するのが適当である、かように考えております。
#38
○小平(忠)委員 どうか一つただいま答弁されましたように、すみやかに閣議の決定をもって、私は、岸内閣が本年度から実施するのですから、やるという態勢をお示しになることを、野党の立場からもこれはぜひお願いをいたしたいのであります。第二点は、北海道の総合開発を推進する場合に――現在東北の推進についても、一応機構上のことについてもいろいろ問題があるわけであります。岸さんは、石橋内閣の政策をそのまま踏襲するのであるということを、所信表明において明らかにされました。そこで、昨年来から問題になっております――これは鳩山内閣当時のことでありますが、これはいろいろ議論はありますけれども、北海道の分県問題が当時北海道の道民を非常に騒がしておるのでありますが、分県問題とあわせまして、北海道開発庁の実施機関である現地の北海道開発局というのがありますが、これについては、北海道総局設置の案が実は昨年来あるのであります。この分県問題と北海道総局の問題について、総理大臣は現在どのようにお考えになっておるか、お伺いいたしたのであります。
#39
○岸国務大臣 分県問題は、私は目下のところそれを考えておりませんが、いずれにしても、この問題はきわめて重大な意義を持つものでありますから、十分検討をいたしませんと、その結論を軽々に出すべきものではない、かように考えております。また北海道の行政機構につきましては、政府としては、目下御審議中であります北海道開発庁設置法案の御審議を願いまして、これによって将来の開発行政を有効に進めたい、かように思っております。
#40
○小平(忠)委員 時間がきたと、隣からおっしゃるのでありますが、国土総合開発に非常に重要な問題で、総理大臣せっかくおいでになられましたから、二分や三分、あるいは五分ぐらい御猶予を願いまして、あと二、三点でありますから、簡単に要点だけをお伺いします。
 分県問題についての御意見は明確でありますが、設置世法に伴う総局の問題は、御審議願うと総理大臣はおっしゃったのでありますけれども、これはぜひ総理大臣に内容をよく検討していただきまして――現地では、この総局設置について、あなたの直接部下であるその出先機関が、ことごとく反対をしておる。こんなことをおやりになったら、せっかくあなたが北海道開発に熱情を注がれても、これがもう完全に失敗に終りますから、これはほんとうに真剣にお考えになられた方がいいということを、これは私の意見として申し上げたいのであります。
 次に、実は過日のこの委員会で愛知さん、林さんからも御指摘されたわけでありますが青函隊道の問題であります。これは、総理はあのとき、検討して調査をしてとおっしゃられましたけれども、実は基本的な調査は終ったのです。問題はないのです。ですから、これは単に北海道、東北という問題だけでなくて、日本のこの長い国土をつなぐ大動脈として、急速に実現されるということが望ましいのであります。この点については、朝野を問わず一致した意見でありますから、この際この総合開発推進の見地から、総理大臣の所見をあらためてお伺いをいたしたいと思うのであります。
#41
○岸国務大臣 趣旨は、この前お答え申し上げましたように、非常にけっこうなことであるから、ぜひやらなければならぬ。それについては十分一つ調査してということでありますが、私まだ調査の報告を聞いておりませんので、小平君の言うように、調査がもう終っておるということであれば、はなはだけっこうであると思いますから、進めていきたいと思います。
#42
○小平(忠)委員 基本調査は済んでおるのですから、一つぜひごらん願うことを切望いたします。ぜひ早くその推進方を私は希望いたします。
 最後に、昨年の北海道を襲いました開道以来の冷害凶作にかんがみまして、どうしても北海道の寒地農業――これは単に北海道だけではありません。昨年やはり東北地方、甲信越の高原冷涼地帯は一律に冷害の被害を受けているわけであります。私は一昨年北欧の三国を見まして、緯度から申しましても、あるいは気候から申しましても、北海道や東北の高原冷涼地帯よりも、もっともっと寒いところで、りっぱな酪農あるいは牧畜、農作物ができているということは、その寒地農業それ自体が確立されているからである。第一私は、産業計画会議の勧告なり、あるいは中谷教授の論文等にありますように、北海道にいきなり金を八百億投じたから、そのものに直ちにはね返ってくるのだというような考え方、あるいは五年後に百六十万の人口が収容され、ふえるのだと当初から計画する考え方、あるいは農業につきましても、土地改良を行なった、二百億、三百億の金を投じたから、その翌年からそのはね返りがあるのだと考えるのは誤まりなんです。同時に開拓だって、従来の開拓行政というものは、開拓に従事して、入植して営農を継続できないような開拓の方式なんです。こんな方式だから、二〇%も三〇%も引き揚げて離農するというものができるのであります。根本的に寒地でも、基礎的な農業土木、あるいは寒地にいてはどうしても酪農を付属しなければなりませんから、いわゆる畜舎、サイロ、尿だめ等々、これらが整備されなければ、それができないのです。こういう根本的な施設をすることによって、北海道、東北の寒地農業というものが根本的に確立されると思う。そのためには、どうしても長期の計画をもって国の予算だけではなかなか困難でありますか、やはり長期の融資の方法をもってこの問題を進めなければならぬということが、北海道開発審議会においても、昨年北海道の冷害凶作を契機に慎重に検討され、また北海道におきましても、特別委員会を設置してこの問題と真剣に取り組み、一応の目標を立てて、近くその成案を得る段階まできております。そういう見地から、岸総理大臣が、昨年のあの悲惨な現状を再び繰り返さないために、また、あなたがその政策を実施されるとおっしゃいました前総理の石橋さんが札幌へ参られて、凶作のない、冷害のない北海道を作るのだと演説をされたその意思をあなたが踏襲されるならば、ぜひこの寒地農業確立に対する確固たる施策を急速に講じてもらいたいと思うのであります。非常に時間がないために、質問の要を尽しませんけれども、北海道あるいは東北の寒地農業確立に対する御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
#43
○岸国務大臣 北海道及び東北につきましては、過去におきましても幾たびか冷害がございましたし、また雪害等の特別な事情がございますから、当然これらの寒地、そういう雪害のある地方における農業の経営、もしくは技術、もしくは農業の内容等につきまして、科学的な研究に基いた、寒地にも適する、また冷害等の被害を最小限度に食いとめる方法を講じていかなければならぬことは、今お話の通りであります。十分に各方面から研究をいたしまして、また当委員会にもたくさん北海道の御出身の方がおいででございますから、現地の有力な意見を反映していただきまして、これらに対する対策を立てて参りたい、かように考えております。
#44
○五十嵐委員長 これにて内閣総理大臣への質疑を終了いたします。
    …………………………………
#45
○五十嵐委員長 次に、国土調査法の一部を改正する法律案が、去る三十日当委員会に付託になりましたので、本案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取することにいたします。宇田国務大臣。
#46
○宇田国務大臣 ただいま提案になりました国土調査法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明します。
 御承知の通り、国土調査法は、昭和二十四年五月の第五国会における全国統一的土地調査促進に関する衆議院の決議に基いて、昭和二十六年六月施行されまして以来、まず基準点測量より逐次事業を実施しておるのでございますが、各方面の本事業に対する積極的な努力によりまして、予算も順次増加し、調査の方法その他着々と整備されて参っておるのであります。しかしながら本事業の進展に伴い、かつ今日までの実施の経過にかんがみまして、とりあえず地籍調査事業につきましてその促進をはかるため、現行の規定を改める必要を生じましたので、ここに本法律案を提出いたした次第でございます。
 すなわち、第一点は、地籍調査の実施方式についてであります。現行法におきましては、地籍調査は、地方公共団体または土地改良区等の自発的な調査にまかされているのでありますが、地籍調査の重要性にかんがみ、今後は単にかかる実施方式によるのみならず、国土の総合開発に関する施策を策定し、またはこれが実施の円滑化をはかるために、特にすみやかに地籍調査を実施する必要があると考えられる地域については、国が地方公共団体と協議の上、計画を設定いたしまして、この計画に基く地籍調査の実施を推進いたしたいと考える次第でございます。
 第二点は、以上申し上げました方式により地籍調査を実施いたします場合に、これに要する経費につきまして、国と地方公共団体との間の負担関係を明確にいたしたいと考えるのであります。
 さらに第三点は、国有地の調査または測量で地籍調査に類するものにつきまして、その成果が地籍調査と同様の効果を上げるようにする必要がありますので、内閣総理大臣が必要な勧告を行い得るようにいたしたいと考えるのであります。
 最後に第四点は、地籍調査の成果の取扱いについてであります。現行法におきましては、地籍調査の成果が認証されますと、その成果が登記所に送付されまして、土地台帳を訂正するように規定されているのでありますが、地籍調査は土地に関するきわめて正確な調査でございますので、この成果に基いて、単に土地台帳を訂正するだけでなく、不動産登記簿の訂正までも行い得るよう必要な措置をいたしまして、土地の権利関係の明確化をはかるよういたしたいと考えるのであります。
 以上が国土調査法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
#47
○五十嵐委員長 次会は明三日午前十時半より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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