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1956/03/22 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 建設委員会 第10号
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1956/03/22 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 建設委員会 第10号

#1
第026回国会 建設委員会 第10号
昭和三十二年三月二十二日(金曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 薩摩 雄次君
   理事 内海 安吉君 理事 荻野 豊平君
   理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君
   理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君
      生田 宏一君    伊東 隆治君
      大高  康君    久野 忠治君
      徳安 實藏君    堀川 恭平君
      山口 好一君    井谷 正吉君
      小川 豊明君    田中幾三郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 田中伊三次君
 出席政府委員
        建設政務次官  小澤久太郎君
        建 設 技 官
        (河川局長)  山本 三郎君
        建設事務官
        (住宅局長事務
        取扱)     鬼丸 勝之君
 委員外の出席者
        建設事務官
        (河川局次長) 美馬 郁夫君
        建設事務官
        (住宅局住宅総
        務課長)    鮎川 幸雄君
        住宅金融公庫総
        裁       鈴木 敬一君
        住宅金融公庫理
        事       岩永 賢一君
        専  門  員 山口 乾治君
    ―――――――――――――
三月二十日
 一級国道十号線の拡張整備に関する請願(瀬戸
 山三男君紹介)(第二三三八号)
 笹谷街道にトンネル開さくに関する請願(松浦
 東介君紹介)(第二三三九号)
 母合橋を永久橋に架替え等に関する請願(小牧
 次生君紹介)(第二三四〇号)
 府県道阪鶴線の国道編入に関する請願(井上良
 二君紹介)(第二三八九号)
 県道成羽東城線改修に関する請願(永山忠則君
 紹介)(第二三九〇号)
 道路財源の確立等に関する請願(田原春次君紹
 介)(第二四二三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 揮発油税法案について大蔵委員会に連合審査会
 開会申込に関する件
 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第八二号)
 特定多目的ダム法案(内閣提出第九〇号)
    ―――――――――――――
#2
○薩摩委員長 これより会議を開きます。
 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。前会に引き続き残余の質疑を行います。二階堂進君。
#3
○二階堂委員 自治庁長官は非常にお忙しいようでありますので、簡潔に質問いたして大臣の所見を承わっておきたいと思います。一昨日の委員会で瀬戸山委員から住宅金融公庫法の一部を改正する法律案のうち、災害住宅のことに関していろいろ質問されたのでありまして、それに対する自治庁長官の御答弁を承わりまして、大体私も大臣のお気持がわかったのでありますが、さらにもう少しお伺いをいたしまして所見を伺っておきたいと考えます、
 御承知の通り南九州は毎年台風に見舞われておりまして、その被害はきわめて大きいのであります。特に台風のための一般の民家の被害というものは非常に大きなものがあります。二、三年前の台風のときには、私の地域は一町村に三百戸ないし五百戸という家屋が全壊、半壊あるいは破損をいたして、その復興に非常な困難を来たしたことがあるのであります。これは毎年でありまして、農地とか河川とか道路とかいうような復旧はいろいろ法律がありまして、その法律によって復旧が促進されておりますが、ひとり住宅のみが非常な被害を受けましても、その復旧が思う通りにならないわけであります。大臣は私どもが毎年のごとく受けております災害を、身をもって体験されたことがあるかどうかわかりませんが、一町村におきまして、貧乏な百姓の家や民家が何百戸も破損倒壊すると、これが復旧には自治体といたしましても非常な困難を感ずるわけであります。そういうように極度の災害がありまして住宅を破壊した場合には、御承知の通り厚生省の所管になっております災害救助法の適用を受けた町村も、いろいろな法律によって救済の手を差し伸べてくれます。特にこの住宅に対しましては、破損した住宅の修理につきましては見舞金として現金二万円以下というふうになっておりますが、現金を与えて家の復旧を促進させるというような方法もございます。これは極度に生活に困っていて生活保護を受けている者といった方々の住宅復旧を主として考えているわけであります。そういうような対象にならない人の復旧につきましては、公営住宅の災害住宅というのがありまして、町村の方から県を通じてそれの申し込みをいたすわけであります。その災害住宅のワクを幾らかもらって家を建ててやるという方法もあります。その他金融公庫を通じて金を借りて家を建てるという方法もあり、あるいはまた正確な法律の名前は忘れましたが、銀行の融資を受けて家を建てるという方法もございます。一町村に五戸や十戸といったような破壊の程度ならそういうような方法をもっても復旧が可能でありますが、集団的にたくさんの住宅が破壊をされる、倒壊をする、非常な惨状を呈することがたびたびあるのであります。そういう場合には、今申しましたような法律をもってしてはなかなか家の復旧が進まない。長い間倒壊した家屋の中に、わずかばかりの部屋を作って、その部屋に家族一同住んでおるようなところもたくさんありますし、またお寺に一時間借りをして住む、あるいは人のうちに間借りをして住むといったようなことが現実にあるわけであります。そこで私はこれらの困っておるような人たちの家をどうしたならば早く復旧できるかということを、災害のあったときに地元の町村にも参りまして、そうして自治体の長や各種団体のいろいろな方を集めて聞きますと、ことに二年前の災害のときには私はずっと町村を回りまして、座談会をして回ったのでありますが、そのときに異口同音に自治体の長やあるいは組合長さんあるいは被害を受けた方々が要求されたことは、先ほど申し上げましたようないろいろな法律はありますが、これらの法律を通じて金を借りて家を建てるとかいうような法律をもってしては、六ヵ月ないし一年かかる、なかなか家が建たない、そこでとりあえず何がしかの現金を自治体の方に貸しつけてもらいたい、そうするならば町村長が議会の承認を経て責任をもって金もお返しする、とりあえずその金がそこにあることが家の復旧促進にも一番役立つんだ、なおまた家を建てる場合にも監督が行き届く、借りる人の事情も町村の長なりあるいは議会の対策委員なりというものが一番よく知っておるし、一番早く家を建てさせるのに、また家を建てるについての監督も十分できる、そういうふうに一つぜひ考えてくれないか、こういうことがもう私が回りました町村の長あるいは被害をこうむった方々の異口同音の要求であったわけであります。
 そこで私はそういうような方法はないものかということで、いろいろ一年前から建設省やあるいは厚生省、大蔵省の方にもお願いをしておったわけであります。それが大体この金融公庫法の一部改正をしてそういうふうに役立たせようというふうになったものと私は考えております。そこで政府が今回出しましたこの一部改正の法律の内容を見ますと、これは今私が申し上げましたような趣旨に沿って、早く家を復旧させるような方向に一段の進歩が見えておるということはうかがわれるのであります。しかしながら最後に金を貸せるのはやはり公庫の責任になっておる、町村自体が金を借りてそうして責任をもって金を返すというようなところまでいっていないのであります。そこで私は先般来自治庁の小林部長さんも、正式な委員会ではございませんでしたが、来ていただいていろいろ御懇談を申し上げた。ところがそういう自治体が責任を負わされるということは困る、そういうことは絶対にできません、こういうことを言われた。政務次官にちょっと意見を聞いたところが、それは絶対できない、私ができないと言えば絶対にできないんだ、こういうことを私に申された。私はそのときは加藤さんには、これは二人の間の話でありましたが、あなたは政党の方から出ておられる政務次官なんだ、それで部会の方でもそういう意見があるし、また災害を受けたところの地元の人たちもそういう要望があるんだ、そういうことを一つよく聞いて、そして自治庁のほんとうの考え方をまとめていただくのがあなたの責任じゃないか、こういうことを申し上げましたが、がんとして、それはできない、こういうような御意見だった。これは正式な委員会なりあるいは部会に来ていただいて意見をただしたわけではありません。そこでやはり困った人の家を早く復旧させるためには、私は先ほど申し上げましたような、町村がある程度の責任を持って――町村が責任を持つというのは結局議会の承認を経て、そうして町長なりが責任を持って何がしかの金をお借りする、そうして十年か十五年後においては必ず約束をもってお返しするのだというような措置がとられなければ、災害地において非常に困った人の家の復旧が進まない。先ほど申し上げましたような法律はありますが、災害のときには、極端に言うと、何ら役立たないような法律がたくさんある、そこで、自治庁の方でも、町村の自治体が金を借りる場合に、議会の承認を得て町長なりが責任を持ってお返しするという約束を認めていただくようなことができないものかどうか。これは、今ありまする自治法とか、あるいは御承知の通り法人に対する政府の財政援助制限に関する法律、こういうようなものを見ましても、自治体が個人の災害復旧等に関する金を借りる場合の保証をしてはならないというような禁止規定は、私はこれは詳しくないのでありますが、ないように伺っております。ですから、ある程度の――私は金額というのじゃありません。金額の保証を自治体がするということは申しておらないのであります。また自治体も、金を借りる場合には償還能力があるかどうかというようなこと、あるいは最近は特に自治体の財政が逼迫しておりますので、金を借りるにしましても相当の責任を持って自分の町村の財政事情を考えて、金を借りると思うのであります。この規定ができたからといってむちゃくちゃに乱用する町村は私はないと思うのであります。ほんとうに困った人の家の復旧を救済するのには、そういうようなことをお考えになりましてそこまで手を差し伸べてやらなければ、困った人の家の復旧の救済に役立たないのじゃないか。私はほんとうにそういうことを考えますので、自治庁長官としては、そういうことを自治体がやることがいけないとお考えになるのか、あるいは法的にそういうことを認めてやることがいけないとお考えになるのか、一つ私が申し上げました実情をお考え下さいまして、大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
#4
○田中国務大臣 災害を受けました地方住民の住宅建設について大へん御同情と熱意のある御意見を拝聴いたしまして、自治を預かる私の立場におきましても大へんお礼を申し上げたい心持でございます。
 そこで、ただいまお尋ねの、そういう場合に地方自治体がその借入金の債務につき保証を行うことが許さるべきことであるかどうか、これらの運用についてお前の見解はどうかということでございますが。これは御承知の通り一昨日でございましたか、当委員会で瀬戸山先生から熱心な御質疑がございました結果、私も調べてみなければならぬという点も考えまして地方自治法を調査をしてみたのでございます。ただいまお言葉のありましたように、こういう場合に地方自治体が必要なりと認めて自己の責任において保証の任に当りますことは、特に奨励をする規定はございませんが、これがいけないという規定はどこにもないわけであります。そこで問題は、この自治法の運用の問題にかかる点が多いのではなかろうか、運用よろしきを得るならば現行法のもとにおいてもこのような重要な債務保証を自治体が進んで行うということはいささかも禁ずべき理由がないのではないか、こういうふうに考えまして、今朝も私の方の役所のその担当の係官等を呼びまして、これは一体どこが委員会で問題になり、どこがいけないのか、法律を調べるところによると、自分の必要と認めたものについて債務の保証をすることは少しも差しつかえないじゃないかという話を私自身も積極的にしたわけであります。そこで私の方の意見はもうまとまっておるとお考えをいただいてけっこうでございますが、自治法その他現行法の建前上許す限りにおいてこれは御協力を申し上げなくちゃならない、こういう考え方に立ちまして、具体的な地域に具体的な災害が起った場合に、その具体的な住宅被害に対して公庫から金融をしていただくという場合に、これに対して保証を行うということが適当でないなどということで、これを妨害するように見える措置は一切いかぬ。やる、やらないということは自治体の財政の状況というものを見て、自治体の財政でやるゆとりを持っておる自治体がこれをやるという場合において、これを禁止するという態度をとるべきものでない。いやしくも自治体の災害の復旧に関する事柄で、ありがたい事柄なんだから、そういう見解を持つべきものでないということで、私としての意見をここでやや法律的な見解に堕するきらいはあるかもしれませんが、私としての意見を強く申しまして、その意を含めたような事情でございます。よってここの私の公式の答弁といたしましては、自治法その他の現行法上の諸般の規定に照らしまして、この種の保証を行うことは何ら差しつかえはない。これを禁じたり、これをなさないように自治庁が地方自治体を指導するようなことは間違いであるから、今まではどういう答弁があったか存じませんが、それはやらさない。誠心誠意これに協力をするという方針に向って運営をしていく、こういうふうに御答弁を申し上げまして、その通り各地方においてこれを行いました際に、決して消極的な態度や意見をとることがないように、努めて努力をして参りたいと存じております。
#5
○二階堂委員 きわめて御理解のある答弁をいただいて、了承いたすわけでありますが、昭和三十二年度の予算の編成の途中でありましたか、私が瀬戸山委員あるいはここの委員等々と大蔵大臣にもこのことで面会をいたしまして、相談をいたしたのであります。そのときも私が今申し上げましたようなことを池田大蔵大臣にとくと申し上げまして、別ワクをどうしても置いてくれ、こういうことでお願いを申し上げたのでありまするが、その他部会とかあるいは政調会、いろいろなところからも意見があったと思いますが、別ワクを十億ですか認めてもらったのです。そのときの話では、早急に役立つように、一つこの金が使えるようにしなくちゃならぬという趣旨で別ワクを十億作ってもらったのです。ところが先ほど来申し上げまするように、なかなか別ワクの十億がほんとうに私どもの考えておるような意図に沿って役立たないというような結果になってしまった。そこで先ほど来申し上げたような意見を申し述べて所見を伺ったのでございますが、自治庁としては、地方団体が保証するということはどうも現行法からいって好ましくない、またできない。大蔵省の方の銀行局の方の御意見としては、これは国の金を出すのだから、自治体が保証しなければ金を出せぬ、自治庁の方で保証することはまかりならぬという。結論から言うと、それでは十億という別ワクを設けてもらった、その別ワクの十億がわれわれが考えておる通りに使えないということになってしまう。これは法律上は今申し上げましたようになかなか現行法上ではむずかしいことでありまするが、せっかくそうした目的を持って別ワクをもらった金でありますから、使えるように政府としても法律の改正をするということが、私はあたたかい政治のあり方であると考えます。一昨日でありましたか、瀬戸山委員も建設大臣に、当局としてそういうような措置を当然考えていくべきじゃないかという意見を述べられたのでありまするが、私もその通りだと思います。ところがいろいろ法律の折衝の過程において、予算の関係もありましたので、早く法律を出してくれ、こういうことで、私に今出ておるようなこういうような案で一つどうだろうかという話がありました。私はできるならばあくまでも自分の考えておることをこの法律の中に出したい、それは災害を受けた地方の人たちがみんな考えておることであるし、みんな望んでおることでありますから、それはあくまでも通したいと私は考えて、この修正を委員会においてしたいということまで私は考えておるわけであります。私の考えておること、災害を受けた地方の人がみな考えておることを自治庁大臣がよくおわかり下さって、そして今非常に御理解のある答弁をいただいたわけであります。もちろんこれは現在の自治法あるいは法人に対する政府の財政援助制限に関する法律を見ましても、自治体と公庫なりとがそういう保証契約をすることは禁止はしてないと大臣も申されましたが、私も調べてみましたところが、そういうような規定はないのであります。自治体がほんとうに困って早く金を借りるためには、ある程度の保証があるならば公庫の方からも金が借りられるというようなことであるならば、これは自分の方でそういうようなことができるわけでありますので、それを自治庁の方でそういうことをしてはならぬということは言わないとおっしゃる。ですからこれは非常に困った場合には公庫の方にもそういうことを一つお願いして、そうして早く金を借りる。借りた金は一番実情をよく知っておる町村が責任を持って金の配分もするし、また金のお返しもする、私はそう考えております。また家を建てる監督も、金を借りた自治体の人が責任を持って監督をして、一日も早く家が復旧できる。こういうことなんですから、積極的に一つこの法律を大臣の非常に理解のある答弁がありましたので、私は一応了承いたしますが、また本年の災害等でいろいろな問題が起りました場合には、一つ今申し上げましたような趣旨をよく御考慮下さいまして、修正をする場合には御同意をお願い申し上げたい、こういうように考える。そうでなければ役立たない。こういうことでございますので、そのような場合には積極的に自治庁大臣の方からも、そうしたような住宅の復旧を援助するというお気持を示していただきたいということをお願い申し上げるわけであります。
#6
○瀬戸山委員 関連。前回の委員会と今の二階堂委員の御質疑に対して、自治庁大臣は非常に御理解のある御見解をいただいてありがとうございました。
 そこで金融公庫の方へちょっと伺っておきますが、こういう場合に金融公庫としては、地方自治体の保証と申しますか、そういうふうなやり方でやっておられたようにも聞いておりますが、そうであったかどうか。同時に、今自治庁大臣のお考えをそこでよく聞いておられたのでありますが、やはりこういう改正案を出されておるのでありますから、これを生かすために、自治庁大臣の御見解に沿うように金融公庫としては、法律は積極的にそう書いておらないけれども、この改正の趣旨と今のような実情とを考え合されて、事務上のことは私はわかりませんが、業務方法書とか内規とか、そういうことで地方自治体にその趣旨を徹底させる、そういう場合にはこういう道があるという処置をとられる考えがありますかどうか、この点を承わりたいと思います。
#7
○鈴木説明員 ただいまの御質疑にお答え申し上げます。在来の公庫法のままで災害特別貸付をしばしばいたしておりますることは御承知の通りであります。その場合、市町村から議会の議決をもって債務を一切保証するから貸してくれ、こういうお申し込みのある場合もしばしばであります。そういう場合には、これは貸し借りでございまして、われわれの方は恩恵をたれるとか補助するとか救済するとか、そういう気持はありますけれども、具体的にそれが出てこないのは貸し借りの基礎においての取扱い上やむを得ないところでございます。しかしそういう議決までして御熱心に貸付を迫られる債務については、あくまで責任を持つ、こういうようなことで法的にも公式に言明された場合がしばしばむしろ大多数そうであったように思います。そういう場合には、同じ債務者の償還能力の調査等におきまして、やや変った結果が出てくる、これは人情の上でもそういうふうになりがちのものでありますが、具体的にそういうことが大体考えられるかと思うのでありまして、ただいま出ております改正法律案のままに成立実施されるといたしましたならばという前提を置いて考えてみますときにおいて、貸付の決定は公庫であるといたしましても、町村から現実に貸付の決定を要請されました場合においては、公庫としては立法の趣旨にもかんがみまして、できるだけ敏速簡易にお貸付の決定ができるようにということにつきまして、事務的の見地からできるだけその御趣意に沿うように心がけてみたい、かように考えておる次第であります。これは現在のところ主務省令でそこまで出ることはおそらくあるまいと思いますが、御承知の公庫法によって業務方法書というものを作りまして、現在主務大臣の認可を得て実施しておるのでございます。この災害復興住宅の取扱いにつきましても、同じくそういうような手続方法によりまして現実の処置方法をあらかじめきめて参らなければならぬかと考えております。なお一昨日も建設当局の方からお答えがあったのでありまするが、いずれ市町村に対しましては、そういう場合にはどういう点を調査して、どういうふうに公庫に具申してもらうか、そういう標準をできるだけ具体的にあらかじめお示しをしておきまして、いざというときにその通り調べ書き上げていただく、もちろん公庫の側からも人を特別に派するというようなことは、その災害の程度、具体的の実情いかんによりまして、できるだけしなければなるまいかと思っております。公庫とここにありますのは、これもすでによく御承知のように、われわれの方の支所が公庫を代表して決定をする、こういうことに取り扱い得ると思いますので、特別に議会等の決議をもって正式に保証するという手続まで経てお申し入れの際には、特別簡易迅速にできる場合が多々あると思います。さような気持だけ申し上げておきます。
#8
○二階堂委員 今自治体と公庫の方とがそういうような話し合いをして、早く金を借りて家の復旧を急ぐということにはもう干渉しない、むしろ好意的にそういうことは援助してもよろしいというような大臣の御答弁でありましたが、御承知の通り再建団体といいますか、特に南九州、鹿児島県全体が再建団体になっておりますし、また地方でも台風の常に通るような私の地方などには再建団体に指定された町村もあるわけであります。そういうような町村自治体が今申し上げましたようなことを考えて、そうして全額でなくてもある程度の保証を自治体がするということが具体的になった場合、自治庁とされましてはいろいろなワクをきめておられるわけでありますが、そういう再建団体に指定されておるような町村の場合でもやはり自治庁としてはそういうことはしてならぬとか、あるいは積極的ではないが、やはりそこに干渉と申しますと語弊がありますが、何かおっしゃるようなことがもしあるとするならば、これはまた非常に困るわけであります。そういうような団体に対しましても、先ほど大臣がお答えになりましたようなことをその通り考えてよろしいかどうかということを一つ御答弁願います。
#9
○田中国務大臣 再建団体でない一般の団体につきましては、先ほど申し上げた通り団体自体の財政の状況にかんがみて、またその災害の復旧を急ぐべき実情にかんがみて、自主的に債務の一部の保証を行うというような方法をやりますことは、積極的にこれを禁止するとかやっちゃならないとかいう指導は断じて行わないということは申し上げた通りでございます。それが今お尋ねの再建団体であります場合はやや趣きが変るわけで、御承知の通りに自治体そのものが一定の契約によって債務を負担するようなことが起る場合、いずれその債務の償還年次が参りましたならばその年度においては財政負担となってくるという実情にもなるわけであります。そこで再建団体であります場合においては、具体的な当該地域の再建計画に載っておらないことが災害として起ってくる、こういう事情になるわけでありますから、自治庁に対しましては内示をしまして、こういう事柄について債務を負担したいと思うがどうだろうかというようなことは、内協議と申しますか、具体的な問題について内々あるいは県を通じて協議があるのではないか、こう見るわけであります。そういう協議のありました場合においてはこういうふうに申し上げておきたいと存じます。ものをはっきりしておかなければいけませんから申し上げます。赤字再建団体の再建計画が当該年度々々で立っております。それにはすでにオーケーを与えておるわけであります。そういう再建計画を著しくこわすおそれのない限り、これに対しては一般の団体と同様に扱って積極的にこれを禁止するというがごとき態度をとらしません、こういうように御了解をいただきまして、さて実際の取扱いの具体的問題に際しましては、十分ゆとりを持って災害地の御事情に応じてお役に立つようにこれを考えていく、こういうふうに運営の面において措置をしていったら大いにお役に立つのじゃなかろうかと考えております。
#10
○二階堂委員 そこで公庫の総裁にくどいようでありますが、念を押しておきたいと思います。今お聞きの通りの答弁があったわけでありますが、町村の方で保証するから早く金を貸してくれというようなお願いがあった場合に、事務的にはどういうふうに早くその趣旨に沿うように家を建てさせたらいいかということなんです。従来のような行き方でありますと、金を貸し付ける貸し付けないの決定権は公庫にあるし、また個人別に窓口である銀行等が調査に参りまして、担保能力とか償還能力とかいうものを考えて、この者に金を貸し付けてよろしい、この者にはどうも困るというような決定をあなたの方でされるわけです。これは九州で申しますと、福岡の支所長がされるわけであります。この修正案を出した理由はよくおわかりのことと思いますが、そういったような災害が起った場合に、従来のような方法でおやりになると、時間が長くかかるので間に合わないというようなことになるわけでありますが、こういう修正ができたら、あとあなたの方では敏速に金の貸付も決定する、家の復旧も急いでもらうというようなことがおわかりでありまするならば、どういうふうに従来と違った方法をおとりになろうとお考えになっておるか。またどうしたらよいとお考えになっておるか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
#11
○鈴木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほどの御答弁と大体重複したようなお答えをしなければならぬかと思いますが、今回の改正の御趣旨は簡易敏速に貸付が実現する、こういうことがねらいであろうかと思います。もちろん貸借でありますから、必ず返していただけるという見込みが立つような成り行きでなければ困るのでありまして、現実に返していただけるかいただけぬかわからぬという貸付方はわれわれの責任の上からもできないことと思います。ただ簡易敏速にやるためには、あらかじめ標準を府県を通じて市町村等にも示しておきまして、こういうことを調べて、こういう点で、こういう程度まできたならばよろしいと認めてもらいたいというようなこと、これをあらかじめ検討をしておきまして、それによって調べていただいて、何もかも玉石混淆で貸し付ける、こういうことでは困るのでありますから、やはり市町村長として金融機関等よりも町村民の実情がよく大多数おわかりであると思いますので、そういうことをやる。それから市町村の議会が保証の議決をして、正式に町村として保証の位置に立たれるということであるならばというので、従来の貸付よりもきわめて簡易敏速な方法でいける手段をふだんからとっておきたい。それから災害が発生した場合には、人も現地に派遣して、ある程度滞在さして、市町村当局とも協力して実現するように事を運ぶ処置を考えております。まだごく具体的なことは主務省等とも打ち合せておりませんし、私ども内部でも確たる具体的なことまで精細に樹立しておりませんので、さような精神であくまでも立法改正の趣旨を尊重して、われわれの方の貸借という根底はくつがえすわけには参りませんが、ある意味からいうと、それは矛盾した方向の考え方でもありまするけれども、おのずからそこは両者折衷した具体的な手段、程度が存在するものと確信いたしますので、その趣旨において具体策を立てて事務的に取り運んでいきたい、かように考えております。
#12
○二階堂委員 よくわかりましたが、私はそういう場合には、公庫の方から理事なり支所長なりが現地に行って相談して、貸付の決定を敏速にやっていただきたいとお願いしておきます。総裁の御答弁もそうでありましたので、非常に早く金の貸付ができまして、非常な進歩であると考えております。もちろんこれは政府の金を個人に貸すわけでございますから、必ず金が返らなければならぬということを考えるのは当然であります。しかし議会の承認を得た、町長が責任を持って金を借りてお返しするということを明確にして、あなたの方に意思表示した場合、それでもあなたの方では何人かのその個々別々の人を従来のように調べてみなければ金を貸すことができないというようなことをあまり強く言われると、結局従来のようになってしまう。そういうようなことがないように、今後促進するようにお考え願いたいということの希望を申し述べて私の質問を終ります。
#13
○薩摩委員長 三鍋委員。
#14
○三鍋委員 総裁にお尋ねいたしますが、先ほどから二階堂委員からも非常に現実に当面した問題を中心としていろいろと当局のお考えをただしておられたのでございますが、やはりこの改正案の趣旨から考えまして、いかに迅速にこの事務を運ぶかということが中心でありますから、地方議会において保証した場合、その決定権もこれに委託するということができれば非常にけっこうだと思うのであります。またこの改正案の趣旨徹定の上からも大へん適切な処置ではないかと思うのであります。もちろん総裁はその責任者として非常に慎重な態度をとられることは、これまた当然でありますし、私たちの望むところでありますけれども、どうも、早く貸付を決定して住宅を復興させるという趣旨はりっぱにうたってあるけれども、実際これを実施していく上において、やはり従来と同じような手間がかかって、実際罹災者が思うような住宅復興ができない、こういうことはやっぱり非常に懸念されるのでありますが、せっかく改正せられるのですから、決定も地方公共団体にまかせることはできないでしょうか。
#15
○鈴木説明員 お答え申し上げます。先ほど来二階堂さんからの御質問にも申し上げましたように、一面では災害を受けた市町村民の方々の困窮の状況を見るに忍びないから、住宅復興だけは早くできるように、足しになるような金を確かに借りられるという安心感を早く与えたい。そしてそれを基礎にして一日も早く復興住宅を建てさせたい、このお気持はよくわかるのであります。それを公庫の貸付によって達成したい、こういうところでありまして、しかも法律の原案として市町村長に貸付の決定を委託するということでありますならば、ある意味からいえばわれわれの責任はよほど軽くなるのでありますが、先ほど申し上げましたように、急速に窮境を救ってあげたい、安心を与えてあげたいということと、金を貸し付けるのだから返していただくことが前提である、これは非常に違う。反対の方向ともいえるような関係でありまして、これを私の責任において公庫が貸付の決定をせよ、こういう法律案でありますから、その意味からいうと、これは公庫に非常に重大な責任を課せられたという感じを免れないのであります。これは私として非常に苦心を要するところと思います。しかし、先ほど来申し上げたように、今回の改正案の立法の趣旨はとくと了承しておりますので、その趣旨を減殺しないように、できるだけこれを生かす、つまり簡易敏速に貸付決定をするという方法を具体的に講じなければならぬ。しかし、一面においては、やはり償還はしていただけるようなところでいかなければなるまい。今までの貸付におきましては、これは正直な話、今お答えせぬでもいいことでありますが、災害特別貸付の償還の成績が割合によろしいのであります。ただいまの債権残額が三千四百万円ばかりでありまして、その全国平均の償還率が八九・三%ぐらいに上っております。ただ、全国的にはそうでありますが、場所によりまして、やはり地方的事情もございますし――これは例をあげてはなはだどうかと思いますが、ある北方の大火のありました町の状況を見ますと、これは五〇%そこそこしか償還ができてないのです。これはわれわれの側として実に困った現象でございますけれども、これは、その当該町民の方々の不誠意に基くというよりは、天然現象といいますか、海流の状況が変ったために、近年漁獲がよくない。従って魚の水揚げ高が激減している。またそこは水産加工の非常に盛んであったところでありますが、ひいては水産物の加工も思わしくいかない。要するにそういう天然現象の結果として、大火後から資力が激減したというような事情がありまして、誠意がありながら返せないということでありますので、これはわれわれも過酷な回収手段をとることが能でないことを十分承知しておりまして、第三者から見ましても、誠意がありながら返せないというような場合には、御催促は申し上げますけれども、いわゆる高利貸し的の処置には一切及ばない、できるだけ善意を持ってお返し願えるように御相談を進めておるというようなことであります。全国的には八九・三幾らまで回収ができておりますのに、その大火のありました町に限って五〇%前後、それに類したところは二、三ございます。それで非常に平均率を下げておるというようなことでありますから、今までのような調査といいますか、貸付の決定の資料を収集してありますならば、皆さん方に対しても私ども十分責任を持ってやれますと申し上げられますけれども、どうも急いで簡易にやるということと償還をお願いするということはなかなかむずかしい事柄であります。一つ御趣意はよくわかっておりますから十分尊重いたしまして善処したい。ただいまのところその気持だけおくみとりを願って、答弁にかえたいと思います。
#16
○三鍋委員 御答弁によりますと、相矛盾せる二つの重大な責任を持って事務を遂行していかなければならない総裁の立場がよく理解できるのでありますが、要はこの趣旨は迅速にという建前から、私たちはいろいろとお尋ねしておるのでありますが、できるだけ迅速に貸付決定をしてやりたいという気持は総裁にも十分おありでございますが、現在の公庫の陣容でこういう事務的処理を迅速にやる態勢がしっかりできている自信があるかどうか、これを一つ聞かせていただきたい。
#17
○鈴木説明員 先日三鍋さんからほぼ似通った御注意と申しますか、大へん御同情のある御質疑といいますか、ございまして、お答え申し上げたのでありますが、今までのところ四十名の増員を、来年度において認められることになっております。これを適当な人を得て、かつ適当な配置をいたしまして、できるだけ勉強して善処してみたい、かように考えます。災害のことでありますから、果して一カ年十億円の予算で間に合うか間に合わないか、あるいは存外はなはだしく残るかもわかりません。従って私の方の執務分量も、一応やってみたいという程度の気持でございまして、必要に応じては、先々とてもこれだけの陣容を、すなわち先日お尋ねのあった理事一名減、職員四十名増、この程度では、やってみましたがとてもうまくいきませんから何とかして下さいということを、状況によってはお願いしなければならぬかも存じませんが、ただいまのところの見込みでは、何とか善処できるだろうと一応考えておりますのでお引き受けしておるような次第でございます。
#18
○前田(榮)委員 関連。災害住宅についてただいま総裁から、金融公庫の立場に立って災害の地方にあまり同情し過ぎてもやりにくいし、そうかというて災害の事情から同情を持ってやらなければならぬので、その硬軟両端を控えながらやっておるという、非常に実情に即した、金融業者の立場を保持しながらやる。しかし現実に災害地においてはその五一%の償還、他の方はどちらかというと成績がよくて八九%。そこで建設省の御意見を聞いておかなければならぬ。これは現実の金を扱っておる金融公庫としては、現在の法規の上に立ってやることになればやむを得ないことと大体推測はできるのであります。しかしながらこのまま、災害地は五一%であるからということから調査を粗略にできないというようなこと等によって、どうしても不便を感じるのは災害民であると思う。住宅を失った人である。そこで政治的に行政措置としてこれをどう取扱うかという一つの方針を示してもらわないと――建設委員会としても、将来に対するわれわれの所信を決定する重要なかぎがそこにできてくると思います。たとえば特別な財源措置を行なって、多少そこにはそういう問題があっても支障のないように進めていく方法を考えておるとか、あるいはその他のいろいろな考えが当然できると思うのですが、その点をこの際明らかにしておいてもらいたい。
#19
○小澤政府委員 災害住宅を早く復旧させるということは、ぜひわれわれとしても念願しておるところでございますが、個人が家を建てるために金融公庫から金を借りてくる。それに対しましてはぜひ償還するようにしていただきたい。それからまた災害復旧地におけるいろいろな住宅対策の問題でありますが、災害を受けました約三割というものは公営住宅といたしまして建てて現に貸しておるというようなことをしておりますので、個人に貸しました金はやはり返していただくということをわれわれはぜひお願いしたいと考えております。
#20
○前田(榮)委員 そういうことではわれわれは納得できないので、わざわざ住宅金融公庫法の一部を改正いたしまして、災害住宅の問題を、この公庫法に基いて解決を促進しようというのであって、従来やっておりましたいわゆる補助住宅等によれば私はそれが一番いいのではないか、そういうことにもう少し積極的に融資の道を開いて補助を十分にいたし、そうして地方公共団体の財政負担が過重にならないようにその処置を政府が行えばそれが一番いいと思う。しかし現実にはそれだけでは足りないからというところから公庫法の改正になっておる。そういたしますならばこの公庫法をわざわざ改正するという実情に即して、やはりそのことが災害住宅であるという非常に緊急を要する問題、それから特殊の困難な生活環境に置かれておる人々を取扱う関係ということから起る問題でありますから、いろいろな償還に支障がある実情等は当然起るのはやむを得ないじゃないかと思う。他の、調査をし、適正な保証人を求めるということが厳重に行われた場合と、いわば非常に急いだ場合とは当然そこにそういう差ができるのである。災害民に対しては、将来最後には償還を一〇〇%行うのであるが、それが少々おくれることを覚悟してやるくらいの気持でないと、これは遂行できないのではないかと思う。そこでそういう場合におけるところの公庫の立場を十分理解して処置しなければならぬが、監督官庁である建設省がこれに対して積極的な方策を一つ考えてもらわないと、せっかくこの法律を改正しても、その成果が十分に上らないおそれがあるとわれわれはおそれるのでありまして、その点一つ、現在はやむを得ないといたしましても、次には何かそこに方策を講ずるなら講ずるとかいうようなお考えがあるか、お示しを願いたいと思う。
#21
○小澤政府委員 今回の法律の改正は、これまで公庫法で一応貸付の道は開いておったわけでございますが、手続がかかるし、それから補修住宅等に関しても貸すことができないというような実情がありまして、地方においては早く貸してもらいたい、あるいは補修に対して貸していただく道をぜひ開いてくれというようなお声がありましたので、それに従ってこういう法律を作りましたので、やはり補助住宅は公営住宅の方でやりまして、その公営住宅の方の数を増すということもございますが、これは法律でもきまっておりますし、そう増すわけにもいきませんので、そういう金融公庫の道を開ままして、地方の方の声に応ずるということで前進したと思うのでございますが、ただその償還については、これは補助でございませんので、やはり返してもらうことを建前としてお願いするというふうにいたしたいと存じます。
#22
○前田(榮)委員 大体気持はわかったような気持がするのでありますが、こう理解してよろしいですか。監督官庁として、金融公庫の今の実情、総裁が示されたことを十分理解のもとに、その点は覚悟して取り扱わせるという考えを持っておると明確に言明はできないにしても、やむを得ない実情であろうと考えておるくらいのことに理解してよろしいかどうか、もう一度伺いたい。
#23
○小澤政府委員 この償還につきましては、実は据え置き期間も三カ年というものを別に設けてあるというようなことでございまして、償還のしやすいようにわれわれはしておるつもりでございます。なるべく早く返していただきたいということは、金融公庫といたしまして金を貸す以上、そういう方針でやりたいと思っております。
#24
○薩摩委員長 小川豊明君。
#25
○小川(豊)委員 お尋ねいたします。私は法律を拡大解釈したり縮小解釈したりすべきじゃないと思う。やはり法律は額面通り受け取るべきだ。ことにこの金融公庫の場合、利権屋が横行する心配が今度の改正によって多分に出てくる。そういう点から明確にしておきたいと思うのは、説明の中にもあるわけですが、「原則として相当の住宅部分を有し、」という抽象的な言葉がここにある。一体相当の住宅部分とはどのくらいと解釈したらよいのか。それからずっと後段に、また「貸付金に係る住宅のための宅地造成に併せて、これに支障のない範囲内でそれ以外の住宅のための宅地を造成する事業についても、」ここにも支障のない範囲内という一つの抽象的な言葉がある。こういう点をもっと具体的に説明したらどういうようになるか、これが一点。
 それから次に、今までの公庫の貸付の場合に、だいぶ返済の問題等が議論されておるが、その貸付が目的通りに使われているかどうか。こういう点についての監査をなされたことがあるかどうか。監査をなされたとするならばどんな結果が現われてきているか。これをお示しいただきたい。たとえば一時償還を命ずるようなことがあったのかなかったのか、どういう事情でそういうことが行われたのか。こういう点をお尋ねしたい。
#26
○鬼丸政府委員 第一点の、今回新たに加わりました中高層耐火建築物の融資の規定に関しまして、十七条の新しい七項におきまして「相当の住宅部分」という字句を使っておるのでございまするが、これは原則は全体の建物のうち二分一程度を考えております。全体の床面積の半分でございます。しかしながら場所によりまして――と申しまするのは、防火建築帯とかあるいはそれに準ずるような場所におきましては、住宅部分の床面積が二分の一より多少減りましても融資の対象にいたしまして、その高層化その他家屋の不燃化を促進するのが適当であると考えられる場合がございまするので、そういうものを含めまして原則として「相当の」という言葉を使ったのでございます。これは現行規定の足貸しの規定にも「相当の」という言葉を使っておりますが、以上申し上げましたような理由でございます。
 第二点は、今回宅地造成につきましての融資の幅を広げたわけでございまするが、従来は公庫の住宅建設の貸付を受けるもののためにだけ宅地の造成を行う、その造成の融資をいたしておりましたが、相当な団地を造成いたしますと、その団地の中で必ずしも公庫の貸付にかかる住宅を建てる人にだけその宅地を使わせるというわけに参らない場合があります。つまり自力で住宅を建てるために使う宅地の譲渡を受ける、そういう宅地の造成につきましても融資をしようという考えで、支障のない範囲と規定いたしましたのは、建前はやはり公庫の貸付金で家を建てる人を主体に考えていくという意味でございます。主としてとか、支障のない範囲でという言葉を用いたのはそういう事情でございます。そういうことで公庫から金を借りて家を建てる人を主体に考えているけれども、ただその団地の実情によりましては、一部自分で家を建てる人にもその宅地を分けてやることが適当な場合にはそれを考えようという趣旨でございます。
 それから第三点は、公庫の償還につきまして監査を建設省としてやったかどうかというお尋ねでございましたが、抜き取り的に監査をいたした例はございます。ただ大がかりにはやっておりません。今後この点は十分一つ考えて参りたいと思っております。
 なお一時償還の例、これは一昨日も申し上げましたが、違った用途に勝手に変更したというような場合に一時償還をさせることになっておりますが、その例はございます。私今ここで数字をはっきり記憶いたしておりませんので、あるいはこの点は公庫の方からお答えいただいてもけっこうかと思いますが、そういう例はございます。
#27
○鈴木説明員 ただいま手元に一時償還せしめたことに関する正確な数字を持ち合せておりませんが、これは申告もあった場合もありますし、投書もあった場合もあります。また公庫自身の監査によって発見したのもございます。せっかく貸し付けて建ててもらいましたが、その部屋の用途を当初の趣旨に違反した異なった用途に供しておる、その例を示せというお話でありますが、たとえば居住部分であるとして公庫から貸付を受けて建設したのに、下の方に飲み屋の店がありますので、その部分をその飲み屋のお客を上げる営業用の客室に利用した、あるいは最もはなはだしいのは旅館に利用した、なお進んで、この節はあまりございませんが、一時ございましたさかさクラゲの看板を出したという例もございまして、これらに対しては、われわれは極刑を課して、一時償還をさせました。そういう例がちょいちょいございます。ただこの場合数字をあげ得ないことははなはだ残念でございますが、これは容赦なく処置をしておりますから……。
#28
○久野委員 関連して。ただいまの総裁の御答弁はまことにりっぱなものです。しかし実際問題としてそう簡単にはいきません。用途変更した場合に厳罰に処する、こうおっしゃる、一時返還を要求する、こうおっしゃる、その場合に調査をしたりあるいは手続をするのにおそらく一カ月あるいは二カ月かかるでございましょう。わずか一カ月や二カ月でできるわけはない。その期間の間にこの建築をした建築主はおそらく莫大な権利金を取ることによって、一時償還の資金の穴埋めをするでございましょう、それは必ずやります。それくらいのことができ得ないようなことでこういう建物の金を借りるわけはないです。実際の運営の面でまことに困る問題が起きてくるからというので、先回の委員会からるる私はそのことを実例をあげて皆さんに申し上げておる、それを法律で規制する考えはないか。行政措置によってこれを行う、こうおっしゃるが、それをやるとするならば別に主務省令か何かで規制をする考えはないか、この点まで私は申し上げておるのでありまするが、それに確たる御返答がない。とにかく日本人というものはすべて善人であればそれは通ります。すべて善良な人たちであれば通りますけれども、最も悪らつな人があったとして、こういう人たちがこの金を借りた場合に――私はもう一つ例を上げて申し上げてみたいのでありまするが、先般も申しましたように、標準建築費の七割五分でまず資金を借ります。借りることは借りますがそれに自己資金をプラスいたしまして、そして内容を改変した場合、その場合に主務省令できめた家賃を取る、こうおっしゃいますが、おそらく建築主はそれ以上の権利金を要求するかあるいは水増しの家賃を要求するでありましょう。そういう際にもやはり契約違反だといってこれに厳罰を処するかどうか、そういうことも一つお尋ねしておきたいと思います。
#29
○小澤政府委員 ただいま久野さんからお話がございましたように、法律上も「公庫の定める用途以外の用途に供せられたとき。」は一時償還をさせるというふうに書いてありまして、公庫の定めましたそれ以外のものは一時償還させるというふうに書いてあるわけであります。
#30
○鬼丸政府委員 家賃を規制いたしました場合にその規制に違反して家賃を取りましたり、あるいは他の権利金等を取りました場合には、これは省令なり規定の違反になりまして、やはり一時還償の方途を講ずることに相なります。
#31
○久野委員 そこが私はさっきから大きな声を出して言っている問題点だと思うのです。とにかく建築主というものは金を借りてしまえばもう自分にもらったも同然なんです。だからどんな違反を行おうと、どんなことをやろうと権利金で簡単に穴埋めができるのです。現にそうじゃありませんか、これは住宅とは違いますけれども、新橋のところに道路を作りましたね、あれなどもまさに契約違反であります。当委員会において再三この問題は追及いたしましたけれども、彼らは莫大な権利金を取りまして、それでもって現に建築を続けておるじゃありませんか。それと同じ結果が生まれるかと私は思うので、何らかの方法で規制する用意があるかどうか、それをまず伺いたい。
#32
○小澤政府委員 そういうことに対しましては貸付の際によく現状を調査いたしまして慎重に審査した上で貸しまして、そういうことのないようにいたしたいと思っております。
#33
○久野委員 これ以上申し上げてもどうも水かけ論になりそうでありますから、この問題は十分実施官庁において努力していただくという程度で終りたいと思います。
 次にお尋ねいたしたいことは、土地の取得に関しまして融資を受けるような制度ができておりますが、従来の法規によりますと、五十年以内となっております。今回の改正法規によりますと十五年以内とありますが、どういう理由でこの年限が縮小されたのでありますか。
#34
○鬼丸政府委員 土地の取得融資は償還期間は今まで三年でありましたものを今回の改正では五年に延ばしました。これはいわゆる宅地の造成関係でございます。これは中高層耐火建築物の中にある「耐火構造の住宅の建設及びそれに付随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付」ということでございまして、すでに御承知のように中高層耐火建築物そのものを一体として今回の新しい融資を受けました場合には十五年でございますが、そのうち住宅部分をこの一般貸付の方途によって受けられるという意味におきまして、その住宅部分だけは、こちらの方の一般貸付でやった場合には、いわゆる耐火構造の住宅あるいはその敷地といったことになりまして五十年以内ということに考えておるわけであります。
#35
○久野委員 店舗もしくは事務所部分を併置するとありますが、それは厳重に店舗もしくは事務所と規定されるのかどうか。それ以外の用途の場合でも融資の対象になり得るかどうかお尋ねいたしたいと思います。
#36
○鬼丸政府委員 店舗事務所等でございますが、これで用途的にはなお具体的に今後検討いたしたいと存じておりまするが、風俗営業関係の建物の一部については用途として認めない、こういうふうに考えております。なお具体的にはもう少し検討さしていただきたいと思います。
#37
○久野委員 具体的にはとおっしゃっても、もう法律が通ってしまいますれば、予算措置も講じられておることですからあとでは私はおそいと思うのです。そのことは今のうちに十分規制をしておかれないと困ると思うのです。
 それから前回の委員会でも私はお尋ねをいたしたのですが、高級アパートの建設についてであります。これは一般庶民の住宅として建設する場合もあり得ようかと思いますが、現に東急不動産とかその他が高級アパートなどを建設しております。主としてこれを利用する人たちは第三国人のおめかけさんであるとかあるいは重役のおめかけさんであるとか、いわゆるおめかけアパートという異名をとっておるのでありますが、それと同じような施設をするおそれが多分にあろうかと思うのであります。上部にそういうものを作って、おそらく一般の庶民アパートは下に作ると思うので。そういうこともあり得ようと思いますが、それを禁止することができますか。
#38
○鬼丸政府委員 上か下かの関係は、よく用途、設計の関係を見て公庫において厳重に審査をする。ただ相当の部分と規定しておりまして、先ほど申し上げましたような考え方で、変なホテルとかを含まない一般の住宅と半分ということを原則に考えておりますから、あまり高級ホテルのようなものが大きな部分を占めるということは考えられないと思いますし、それから用途といたしまして、先ほど言葉が足りませんでしたが、これは公庫が定める用途にという根拠の規定がございますから、具体的には公庫の業務方法書等で明確にいたすことになりますが、私は風俗営業関係の一部というようなことを申し上げましたのは、たとえばキャバレーとかあるいはいかがわしい飲み屋とか、そういうものは用途としては禁止する、ただパチンコ屋程度になりますと、同じく風俗営業の対象になっておるようでありますけれども、場所によりましては、パチンコ屋を全然認めないというわけにもいかぬ場合があろうかと思うのであります。それからもう一つは商業地域のような、場所によって現在いろいろな店を開業しておるものがございます。その人たちが今度の中高層耐火に建てかえるという場合があり得るわけですが、そういう場合にさかさクラゲとかキャバレーなんかははっきり禁止するけれども、ものによってはおでん屋とかそういうものはある程度認めなければならぬじゃないか。いろいろなケースがあると思うのであります。そこでこれは公庫におきましてなおもう少し検討さしていただいて、この法案が成立した暁におきましてはできるだけすみやかに具体化するようにしたいと思います。
#39
○久野委員 そういたしますと、現在営業しておる営業面を生かすような利用についてはある程度認めなければならぬというお答えのようですが、そうなりますと非常に幅の広いものになろうかと思います。そこに問題が起きると私は思うのです。たとえて申し上げますならば、現在平家建で映画館を営業しておる、これを高層化して下を映画館として利用したいという人があるかもしれません。それも風俗関係ででき得ないとおっしゃるかもしれませんけれども、実際住宅不足を緩和するという意味合いからいくならば、これは必要であるかもしれません。それから先ほど私がお尋ねしたのはそうじゃないのです。そういう意味でお尋ねしたのじゃない。高級なアパートを併置するようなものは、こういう融資を受けた場合に、これが貸付の条件に違反するからといってあなたたちが禁止されるかどうか、また一時還償を命ぜられるかどうか、そのことをお尋ねしたわけです。
#40
○鬼丸政府委員 高級なアパートを併置した場合、いろいろ考えられますが、設計上ある程度初めからわかるわけであります。そういう高級なアパートになっておるものにつきましてはこの法律の目的からいいましても融通する必要がないじゃないかということで、貸付の決定をなすべきかどうかという段階において処理いたしたいと思ます。
 それから第二、貸付の決定で、申請が出てきたときにはあまり高級でない普通の六万円程度の建築の設計となっておる、しかし貸付を受けてからどんどんりっぱにしまして、特に家具、調度その他の部屋の中の模様をりっぱにすることになった場合の問題だと思いますが、その場合もむろん家賃は押えておりますから、その家賃を守ってもらえばある程度りっぱな設備をしてもやむを得ぬと思います。ただ規制された家賃額以上にとるとか、あるいは別に権利金をとるという場合には、これは一時還償のできるように相なるのであります。
#41
○久野委員 さようにいたしますと罰則規定は一時還償ということだけですか。それ以外に罰則規定はないのですか。
#42
○鬼丸政府委員 罰則と申しますとちょっと何ですが、お話のような趣旨での他の罰則規定はございません。
#43
○久野委員 ないといたしますと、年六分五厘の低利の金を借りて、しかも高級的な建物を建てた場合には、建築費は相当かかりましょうから、七割五分借りたといたしましても五割程度だろうと思う。あとの五割は自己負担によってやらなければならぬ。そこで当初の計画と違うからというので一時還償をお命じになる。さすれば建築主はおそらくそこに入る人たちからそれに準じた権利金をとりまして一時還償に充てると思う。できてしまえばこっちのものです。公庫のものでもなければあなたたちのものでもない。そういう際に、契約違反であるから公庫が没収すると言うならばやりますまいが、所有権は建築主にあるわけでありますから違反事項がどんどん出てくると思う。そこで私が先ほどから申し上げましたように、莫大な権利の生ずるおそれがあるから、この問題は事前に十分注意をして、運営の面で何らかの規制をされないとお困りになるのではなかろうか、かように私は御注意を申し上げておるのです。そのことが質疑応答によっても明らかになりません。もう一度その点を詳しくお話しを願いたい。
#44
○鬼丸政府委員 もう一度まとめて申し上げますと、用途は公庫においてこの法律の規定に基きましてきめます。その用途以外に使った場合は一時還償、これも法律に規定がございますのでその方法を講じて参ります。それから家賃額も省令において規制できますから、それに違反したものは法律の条章に従いまして一時償還ということになります。制度としてはそういうことでございますが、私が思いまするに、一番肝心なことは貸付の審査をいたします場合に、これは運用面でございますが、十分慎重を期してもらうことが一番重要じゃないかと思います。先生のお話のようなケースは、調査を十分いたしますれば貸付決定に至らないで、それが一番被害が少いのですから、貸付の決定をしないで済むような場合があり得ると思います。公庫法の第一条はあくまで資金の融通を一般市中銀行その他の金融機関から受けることが困難なものに対して融通するという大目的がございますので、この目的を公庫当局におきましても十分体しまして貸付の決定審査に当って万全を期すというふうに考えておる次第でございます。
#45
○小川(豊)委員 私も今の問題に関連してお尋ねするのですが、今あなたは、一般金融機関から融通を受けることができないものに適用するという大前提がありましたが、その前の大前提があるのです。国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金という大前提があるのです。ところが今総裁にお聞きすると、それが様々な形で一つも健康的でもなければ文化的でもない。不健康的な非文化的なものにそれがかなり多く使われておるということが今の答弁の端でもうかがわれるのです。私ども心配するのは、この法律は住宅に困っておる人々に住宅を建設しやすからしめるために政府が資金を融通する法律でしょう。従って国民から喜ばれ感謝される法律でなければならないはずだと思うのです。ところがあの人は目先がきくからうまいところへ地所を借りて建てて商売が繁昌しているというようなことがあるとするならば、国民の疑惑の府となるのではないですか。そのパーセントが多い少いという問題ではなくて、そういうことがあったとしたら国民の疑惑のもとになる。ですからこの点の十分な配慮が必要である、と私は考える。その配慮がこの法律の規定には私には見当らない。であるから、その配慮の規定をどこにどういうふうにうたってあるのかということを私はお尋ねしたいのです。住宅を建てるということは、非常に住宅難の折だから住宅を急いで建てていかなければならない。そのために資金を融通しなければならないということはわかる、わかるけれども、そういう中にもあくまでも政府の施策が国民から感謝される点がなければならないわけです。ところがもし何年か、今のようなさかさクラゲを建てるというようなことをしていったならば、むしろ金融公庫というものは疑惑の府になる可能性が多分にある。これに対する配慮をこの法律の中のどこにうたってあるのかというこしをお聞きしたい。
#46
○鬼丸政府委員 ただいま小川先生からのお尋ねの趣旨は私も全く同感でございまして、ごもっともでございます。ただ法律の規定におきましては、先生のおっしゃいましたような趣旨におきまして、第一条の今回中高層耐火建築物につきましては、特に新たに三項として目的規定を加えたのでございます。これは抽象的ではございまするが、相当の住宅部分を有する建築物で土地の合理的利用及び災害の防止に寄与するに必要な資金、しかもそれは一般の金融機関から融通することを困難とするものを融資の対象として考える。これが大方針と申しますか、根本原則に相なっております。お話の趣旨は、中高層耐火建築物の場合、特に利権化するおそれがひどいとおっしゃる点だと思いまするが、これは全般の一般貸付の分も含めまして、先ほど私が申し上げましたように、公庫の定めるところにより、あるいは建設省令の定めるところによりまして、具体的にいろいろな規定を現に設けておるものもあります。さらにこれを追加整備して、その運用を適切に行うことによりまして、御意見のような弊害を防除いたしたい、さように考えて申し上げておる次第であります。なお数字をここに持ち合せませんではなはだ恐縮でございますが、公庫の融資にかかる住宅等は、大半は法律第一条の本来の目的に沿っておるものと信じております。非常に変な用途変更などが多いというふうには考えておりませんので、いずれこれはまた、もし御要望によりましては、そういうケースをもう少し調査した上でお答えいたしたいと思いますが、相当多いということは、私少しお言葉が違いはせぬかというふうに考えております。
#47
○小川(豊)委員 私はパーセントが多いとか少いとかを問題にしているのではないですよ。そういうものが幾つかあると、せっかくのこの法律の精神が死んでしまうおそれがあるそういうことから言っておるのであって、従ってここで最も大切なのは、あなたがおっしゃられるように規定というものは大切である、その大切なところは原則として相当部分の住宅を有し、あるいはこちらには支障のない範囲内というように、あなたの方で非常に拡大解釈することもできる、気にいらなければ縮小解釈も可能なような、こういうばく然とした言葉で最も重要な点を現わしておる。これは法律を扱っていく場合には、これならば非常にやりよいけれども、こういうところから今言ったようなものがたとい少数であろうとも出てくる可能性があるのではないか、こう思う。それで一時償還というのは、先ほども議論しましたが、これは罰則にはならいなのです。私は別に好んで例をあげてまで御説明しようとは思っておらないけれども、私知っておるのでは、すでに一時償還を命じられてもけっこうなんです。ほかへ売るから十分もうかるんだ、一時償還は罰則ではなくてむしろ恩典になるくらいだ、一時償還を命ずるくらいだからよそへ売ることは自由だ、建てたときよりもはるかに高い金額で売ることができるとしたなら一時償還なんて罰則でなくて恩典です。そういう点を少しも考えられないで、ただ一時償還を命ずるからよいじゃないか、それでこれは支障がない、そういうことでこの法律を考えるべきではない、もっとその点については明確な点をうたっておくべきではないか、こういうことを私は言うておるのです。
#48
○鬼丸政府委員 今回の中高層耐火建築物の融資対象になる建物を、「相当の」住宅部分を有する建築物と規定いたしましたのは、実は私ども特にいろいろ配慮いたしまして、「相当の」というふうに、現在の足貸しの規定もそうなっておりまするが、同じ規定の仕方になっておるのでございます、これは決して「相当の」と書いたからちょっぴり住宅があって、あとはもうどんなものに使われるような建物でもよいという趣旨ではございませんので、その土地の合理的な利用というような面から、防火建築帯あるいはそれに準ずるような場所等におきまして、下の方を事務所に使うあるいは店に使うという場合に、住宅が必ず半分以上なければならぬというふうに規定いたすことは、場所によりましては実情に合わぬ場合がありはせぬか、場所によりましては事務所の部分が半分よりちょっと多いという場合も認めてやることが、その場所の高層化なり不燃化のために必要であろう。大筋といたしましては、やはり都心部に住宅を建てる、住宅建設を伸ばすという大筋でこれにあわせまして、そういう地域の不燃化、災害防止というものを並行的に進めるわけでございますから、私ども原則はあくまで二分の一以上住宅部分を持っておる建物を対象にする、ただ特別に非常に地価の高いような場所におきまして、若干事務所の部分が半分より多くなる場合があり得るというふうに考えて、二分の一と明記いたさなかったのであります。ですからたとえば場所によりまして、五階建のうち五階と四階はアパートにする、そうすると一階、二階、三階は事務所、店舗になるという場合が考えられるだろう、その場合にも融資をいたします床面積は、五階、四階、三階、二階、これだけになります。面積としましては一階は貸付の対象にはならない、融資の面積には入らない、こういうことになります。そういう場合も含めて、法律の規定をあまり窮屈にしないというような配慮で規定いたしたのでございまして、決していかがわしい用途をこれによって救おうというような気持は毛頭ないことを御了承願いたいと思います。
#49
○小川(豊)委員 もう一点、要綱の中の第二に、「地方公共団体に対し第一による貸付業務に関し申込の受理及び審査、資金の貸付、元利金の回収その他貸付及び回収に関する業務を委託することができる」というようになっておるのです。これは私も別にこの問題に対してはどうということではなくて、こういう規定ができるとなっているが、地方公共団体等がこれをやるとすると、これに対する人員、手数料等がかなりかかってくると思うのです。こういう場合に地方公共団体には何らかの形で公団からそうした事務費に該当するものを交付するような用意があるのですかないのですか。
#50
○鬼丸政府委員 これは委託いたしました場合には、公庫が受託者に対しまして手数料を支払うということに相なっておりまして、同じ二十三条のあとの方にそういう規定がございますので、今回新たに事務を委託します場合には、相当の手数料を公庫から公共団体に払うということに考えております。
#51
○小川(豊)委員 ここにも相当と出ているのです。この場合には相当でも大した問題ではないけれども、すべて大切なところにくると相当な相当なということであって、これではまずいのです。こういうことに対してもかかった経費の何ぼを補助する、そういうふにした方が簡単じゃないですか。大切なところにくると相当という。相当ということほどあいまいなことはないですよ。この点一つお考え願いたい。
#52
○鬼丸政府委員 お断わりしておきますが、要綱の書き方というものは簡略に表現いたしますので、相当というふうになっておりますので、その点御了承いただきたいと思います。法律には具体的に手続が書いてございますが、これには手数料の額の基準が一、二書いてございます。手数料そのものは主務大臣、すなわち建設大臣、大蔵大臣が認可してきめる、こういうことになります。
#53
○前田(榮)委員 関連。中高層建築の用途の問題で不明瞭なところがあるので研究させてくれ、こういうことで、研究してもらうことはいいのですが、同僚委員の御意見にもあったように、現在東京都内に建っておる高層建築ビルについても、利権的に建設しておるビルがずいぶんたくさんあることは御承知の通りでございます。そういうおそれがあることを考えて、どういう種類にはどういう規制をするかという具体的なものをきめてもらわないと、われわれこの法案の議決を行うのに困る問題があるのであります。これは急速にきめるわけにいかないのでしょうか、お示しを願いたいと思います。
#54
○鬼丸政府委員 法律の規定では、公庫の定める用途以外の用途に供してはいかぬという趣旨で一時償還に関して法律で規定しております。そこで公庫といたしましては、今回の中高層耐火建築物につきましては業務方法書について具体的相談してきめます。先ほど研究すると申しましたのは、何も政治的な意味の御答弁を申し上げたのではありません。実際にそれを具体的にきめないと動かぬことになりますので具体化いたしますが、さらにその基準をきめてそれによって債務弁済抵当権設定契約の中に契約上の事項としてはっきり用途の制限をしたいと思います。足貸しの場合の債務弁済抵当権設定契約によりますと、たとえばこういうふうにきめております。「当該家屋内の住宅居住者の生活を害するおそれがある臭気または騒音が激しい事業あるいは居住者に被害を加え建物を破壊するおそれのある事業、風教上居住者に悪影響を及ぼす事業」、こういうものに建物の下の方の部分を供してはならないということになっております。もう少し具体的にきめる必要があるかと思いまして、私もうちょっと具体的に検討を要すると申したのであります。つまり従来の足貸しの場合の契約程度では不十分だからこれを早急に検討してきめたい。これが今回の法律の趣旨から申しましても必要であるという意味において申し上げた次第でございます。
#55
○前田(榮)委員 この法律の中には風俗営業等に使用するなどということは書かれないから、あなた方の方でお考えになっている公庫法の貸出し規則というか内規というものの中に、いろいろな細則というものが考えられるのではないかと思います。そういうものが明確にならないと、ややもすると利権屋の乗ずるおそれのある中高層建築であるがゆえに、それを今さら研究するのを待たなければならぬようなことでは困るのだと思います。一般住宅のアパートについては、今おきめになっておるものでよろしい。それを行政的に善用してやってもらえば大体支障がないことになっているが、同僚議員が御心配になっているように、利権的に利用されるおそれの多いことと、また十分その余地がある。つまり建ってしまえば一時償還を命ぜられることがかえって建築主の大きい利権がそこに現われることは当然なのであります。従ってこの法律をきめてそういう中高層建築物の普及をはからなければならぬ際に、法律はきめたけれども実際利権屋が相当巣食っているというこになったのでは、われわれ立法府の方の議決が、社会からいろいろな疑惑の念をもって見られる結果になるおそれもあると思う。それを少し明確にしてもらわないと、われわれもちょっと判断に困る事情なんです。これははっきりした書きものはなくても、われわれに示されたものでも、今のところこれこれはきめる考えであるということを少し具体的に明確にしてもらいたいという希望を持っているのですが、その点いかがなものですか。
#56
○鬼丸政府委員 この点は、今回改正を見ました第一条の三項の新しい規定の趣旨を体しまして、具体的な方法としましては、公庫法の現行法にあります業務方法書、これは公庫が主務大臣の認可を受けて定めるものでございまするが、この業務方法書におきまして明確な処理基準を定めることにいたしたいと考えております。
 それからさらにこの方法書に基きまして実際の契約を公庫がいたすわけであります。従来の足貸しの場合にも、程度の差はありましても、理論的にはお話のような懸念があったわけでございまするが、先ほど申し上げましたような契約条項によりまして十分処理しております。今後は中高層耐火をさらに大々的に伸ばしていきますためには、御懸念の点がやはりわれわれも心配されますので、従来の足貸し程度の場合よりも、さらに精密に業務方法書において規定し、さらに具体的にそれを契約内容とする、そのことによりまして法律に基く一時償還の方途が徹底的に行われるようになるわけでございます。
 それからもう一つ、貸付の審査、選考といいますか、そういうことにつきましてもいやが上にも慎重を期しまするように、これも実際の業務取扱いにおきまして明確な基準を設定して貸付の審査決定を十分慎重にやっていくということにいたしたいと考えております。
#57
○小川(豊)委員 これはちょっとくどくなるのですが、住宅難のときですから、中高層建築をどんどんやっていかなければならぬということはわかるのです。ですから審査を厳重にしなければならぬこともわかりますが、そうその点にこだわると、かえって今度仕事の促進に支障を来たしてくるのじゃないか、審査しても、あとでそれが他の方面に逆用されていくので、それに対する制御策、制裁する規定が作られるべきだ。あなたは今、それは業務方法書を作って、それによって処理する、こう言われておるが、それならば業務方法書というものはもっと早く作っていいのじゃないか。この法律を改正する場合にそういう点は懸念されていたのだから、少くとも業務方法書というものを作るその考え方くらいはここでまとめておくべきではないか。法律は通ってしまう、それから業務方法書は作りますということでは、われわれとしては納得がいかない点があるのです、審査ばかり厳重になると、矛盾してしまうのだから、審査は審査で一応厳重にするのはいいが、審査しても、そのあとであなたの方の趣旨、精神と違った形が現われてくるのだから、それをどう規制するかということをもっと慎重に考るえべきだ、こう私は思う。
#58
○小澤政府委員 小川さんからただいま審査をするために敏速を欠くおそれがあるのじゃないかというお話がありましたが、これは先ほどから問題になりました利権化するおそれがある、必要のない人が金を借りる、そういう点に重点を置きまして十分に審査をするのであります。これがためにこの仕事をおくらせるというようなことは厳重に慎しまなければならぬ、そういうふうに思っております。
#59
○薩摩委員長 ほかに御質疑はありませんか。――なければ本案に対する質疑はこれにて終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○薩摩委員長 御異議なしと認めます。
 本案に対する討論、採決は次回の委員会において行います。
    ―――――――――――――
#61
○薩摩委員長 この際、お諮りいたします。ただいま大蔵委員会におきましては、当委員会とも関係の深い揮発油税法案を審査中であります。つきましては、揮発油税法案につきまして連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 午前の委員会はこの程度にとどめ、午後は二時半より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十一分開議
#63
○薩摩委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。
 特定多目的ダム法案を議題とし、審査を進めます。本案につきましては南条建設大臣より趣旨の説明を聴取いたしておりますが、引き続き補足説明を聴取いたします。山本河川局長。
#64
○山本政府委員 さきに提案理由の説明を申し上げました特定多目的ダム法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。
 第一条は、本法案の目的に関する規定でございまして、本法案が河川法の特例を定め、ダム使用権を創設することによって、多目的ダムの建設の促進及び管理の合理化を図り、その効用をすみやかに、かつ、十分に発揮させることを目的とするものであることを明らかにいたしたのであります。
 第二条は、本法案において用いられる用語の定義に関する規定でございます。本法案におきまして多目的ダムとは、建設大臣が直轄で施行するダムで発電、水道または工業用水道の用に供されるもの及びそのダムと一体となって効用を全うする余水路、副ダムその他の施設または工作物を総称するものであります。ダム使用権とは、一定量の流水の貯留を一定の地域において確保する権利をいうのでありますが、このダム使用権は、水利権が一定量の流水を排他独占的に継続して使用する権利であるのに対しまして、その水利権の行使を全からしめるため必要な流水の貯留を確保する権利でございます。すなわち、特定用途に供するための水利権の行使を全からしめるためには、それに必要な流水の貯留に多額の投資を必要といたしますので、その投資の目的となった流水の貯留の状態を確保することを権利として確立したものであります。
 第三条は、多目的ダムにより貯留された流水を特定用途に供する者は、水利権のほか、ダム使用権を有する者でなければならないものとし、ダム使用権の実質的価値を明らかにしたものであります。
 第四条は、多目的ダムの建設に関する基本計画に関する規定であります。もちろん、従来の多目的ダムの建設に際しましても基本計画は事実上作られていたのでありますが、これを法定することにより、事業の適正かつ円滑なる実施をはかったものであります。なお、本計画においてはダム使用権、設定予定者、費用の分担等の重要な事項が定められ、多目的ダムの建設についての具体的構想が明らかにされるものでありますので、その作成、変更または廃止については関係行政機関の長に協議し、都道府県知事及びダム使用権設定予定者の意見を聞くことにより、他の行政との調整をはかり、多目的ダムの建設と発電、水道または工業用水道事業の実施が円滑に行われる措置をとったのであります。
 第五条は、ダム使用権設定予定者となるべき者の要件について規定したものであります。その要件はダム使用権の設定の申請をした者で、かつ後に御説明いたしますダム使用権設定の要件を備えていることを要するのであります。
 第六条は、ダム使用権設定予定者の地位は将来多目的ダムが完成した後においてダム使用権の設定が受けられるものであり、一種の期待権的な地位でありますので、相続、合併その他の事由による一般承継を認めたものであります、
 第七条は、ダム使用権設定予定者の費用負担に関する規定であります。多目的ダムの建設に要する費用の範囲、負担金の納付の方法及び期限等負担金に関する詳細な事項は政令で定めることといたしておりますが、ダム使用設定予定者の負担金額は、従来の共同事業の場合の費用振り分けの方法に準拠して定められる予定でございます。
 第八条は、多目的ダムの建設に要する費用についての河川法により都道府県が負担すべき金額の算定方法を定めたものでございます。この方法は、道路法及び海岸法に基く直轄工事についての地方公共団体の分担方法と同一でございます。
 第九条は、多目的ダムの設置によって著しく利益を受ける者がある場合における受益者分担金の徴収に関する規定であります。なお、受益者分担金の徴収は、徴収を受くべき者が流水を政令で定める特定用途に供するものであるときは建設大臣、その他の者であるときは都道府県知事が行うことといたしました。
 第十条は、専用施設を設けて土地改良区等が多目的ダムにより貯留された流水を灌漑の用に供する場合において、その土地改良区等が負担すべき金額を規定いたしたのであります。これらの者はダム使用権の設定を受けず、従って第七条の負担金を納付しないのでありますが、多目的ダムの建設によって受ける利益が特に顕著でありますので、一定額を負担することが公平の理念に合致するとの趣旨でございます。
 なお、この場合において土地改良区等が負担すべき金額は、当該土地改良等がダム使用権設定予定者であったと仮定した場合における金額の十分の一以内の金額に建設期間中の利息を加算した額でございます。
 第十一条は、受益者負担金及び土地改良区等の負担金で都道府県知事が徴収するものは都道府県に帰属することを規定したものであります。なお、これらの金額は第八条によりまして後に国に納付することとなっております。
 第十二条は、ダム使用権設定予定者が多目的ダムの建設に要する費用を負担し、すでにその全部または一部を納付した後においてダム使用権の設定の申請の却下または取り下げがあったときは、国がその納付した金額を還付するものとしたのであります。なお、多目的ダムの建設計画が廃止された場合を除き、他の者がダム使用権設定予定者となる場合が考えられますので、かかる場合においてはその者が定められるまで還付を停止し得るものとし、還付事務の煩を除くこととしたのであります。
 第十三条は、ダム使用権は工事完了後に設定され、従ってその後において初めて流水を特定用途に供し得るのが原則でございますが、完成前に一部流水を貯留し、発電等を行う必要がある場合がありますので、かかる場合においては建設大臣の許可を受け、水利権のみで流水を利用できることといたしたのであります。
 第十四条は、多目的ダムの工事の完了したときにおける手続に関する規定でございまして、遅滞なく工事完了の公示をするとともに、付属物の認定をすべきこととしたのであります。なお、多目的ダムの付属物の認定は建設大臣が行うものとしたことは河川法の特例でございます。
 第十五条は、建設大臣のダム使用権の設定に関する規定でございまして、ダム使用権の設定の要件を定めております。すなわち、ダム使用権の設定を受ける者は、その者の事業が河川の総合開発上適当であることと、他の法令による許認可等を受け、または受け得る見込みのある者であることを要するのであります。
 第十六条は、ダム使用権の申請があった場合において却下すべき場合を規定したものであります。
 第十七条は、ダム使用権の設定の時期に関する規定でございまして、河川の付属物の認定があった後すみやかに設定すべきこととされているのであります。
 第十八条は、ダム使用権設定の際、建設大臣が明らかにすべき事項について規定するものであります。すなわち、ダム使用権の内容を明確にいたしたものであり、かつ、その内容は、洪水調節、公共利水、発電等の事業等多目的ダムの有する効用を十分発揮し得るようにその範囲を示すことが要求されるのであります。
 第十九条は、ダム使用権により流水の貯留が確保される一定の地域の限界について規定したものであります。
 第二十条及び第二十一条は、ダム使用権の性質に関する規定でございます。ダム使用権は前にも述べましたごとく、相当な投資をして実現される流水の貯留を確保する権利でございますので、これが保護の措置は十分に講ずる必要があるものでございます。従いまして、本法案におきましてはこれを物権とみなして、物上請求権により直接第三者の侵害に対抗し得る地位を付与し、抵当権等の目的とすることによってその経済価格を認めんとしたのであります。なお、ダム使用権は、相続その他の一般承継、譲渡、滞納処分及び強制執行並びに一般の先取特権及び抵当権の目的となるのでございますが、その性質上質権、貸付等の目的にはなり得ないことといたしました。
 第二十二条は、ダム使用権が公権であること及びその行使の公益に関連するところ大であることにかんがみまして、一般承継以外の移転、分割、併合または設定の目的の変更について建設大臣の許可を要することといたしたのであります。
 第二十三条は、抵当者保護の見地より、ダム使用権に登録された抵当権があるときは、ダム使用権の分割、併合もしくは設定の目的の変更の許可申請または放棄について抵当権者の同意を要することといたしたのであります。
 第二十四条及び第二十五条は、ダム使用権の取り消し、変更の処分に関するものでありますが、ダム使用権の取り消し、変更はそれが物権である以上、その取り消し、変更については厳密なる要件を課すとともに、水利権とダム使用権と相待って初めて多目的ダムにより貯留された流水の使用ができることにかんがみ、水利権の取り消し、変更とダム使用権の移転に牽連関係を持たせたものであります。すなわち、河川の状況の変化または河川工事の必要から水利権の処分をし、かつ、従前通りの水利権の行使ができない状態になった場合においては、ダム使用権につきこれに相当する処分をしなければならないとするとともに、水利権の処分をした場合において、他の者に新たにその水利権を附与する必要があるときは、ダム使用権をその者に譲渡する命令を発することができるとしたのであります。なおこの場合において、譲渡命令により譲渡がなされないときは、ダム使用権の取り消しまたは変更をすることができることとし、水利権とダム使用権との関係の調整をはからんとしたのであります。
 第二十六条は、ダム使用権及びこれを目的とする抵当権の設定等に関し、ダム使用権登録簿に登録し、第三者に対する対抗要件を具備せしめたものであります。
 第二十七条は、多目的ダムが完成後においてダム使用権設定予定者以外の者がダム使用権の設定を受ける場合における一定の納付金の納付に関する規定であります。
 第二十八条は、ダム使用権の取り消しまたは変更の処分があった場合において、すでに納付した負担金または納付金の還付に関する規定でございます。なおこの際の還付金の額は、還付のときにおけるダム使用権の効用に応じて定められることとなっております。
 本条第二項及び第三項は、ダム使用権が消滅した場合において、その上に抵当権があるときは、抵当権者の承諾を受けた場合を除き還付金を供託しなければならないものとし、抵当権者の物上代位をなす方途を講じたものであります。
 第二十九条は、完成後の多目的ダムにつき、建設大臣が管理を行う場合を明らかにした規定であります。すなわち、河川法によれば、完成後は都道府県知事において管理を行うのが原則でございますが、二以上の都府県の区域にわたる河川に存するもの及び政令で定めるものについては、建設大臣が直轄管理することが公益の保全のため必要でありますので、特に決定いたしたわけでございます。
 第三十条は、多目的ダムの操作について多目的ダムの有する効用を十分に発揮するよう、その基本原則を規定いたしたものであります。
 第三十一条は、建設大臣または都道府県知事が多目的ダムの操作を行う場合において準拠すべき事項を建設大臣が操作規則として定むべきことを規定したものであります。なお操作規則は、公共の利益を保全し、及びダム使用権者の行う事業の実施につき重要なものでございますので、その制定に当っては関係行政機関の長に協議し、ダム使用権者等の意見を聞くことにより適正な内容とする措置を講じているのであります。
 第三十二条は、多目的ダムを管理する建設大臣または都道府県知事は、多目的ダムの操作によって生ずる危害を防止する必要な措置を講ずべきこととし、洪水調節のための予備放流等の際にとるべき警報通知について規定いたしたものであります。
 第三十三条は、多目的ダムの維持、修繕その他の管理に要する費用は、多目的ダムを管理する国または都道府県とダム使用権者が負担すべきこととし、河川法の特例を定めたものであります。
 第三十四条は、多目的ダムによって貯留される流水に関する水利権等の河川法の処分は、基本計画の公示後においては建設大臣が行うものとし、多目的ダムの建設、ダム使用権の設定等の処分と河川法上の処分との調整が保たれるよう措置したことであります。この場合において、建設大臣は処分をするに際し、関係行政機関の長に協議し、都道府県知事の意見を聞くことにより、円滑な運用を期したのであります。なお建設大臣が処分をした場合におきましても水利使用料等の収入は都道府県に帰属いたしますことは従来と同様であります。
 第三十五条は、多目的ダムで発電事業のためにダム使用権が設定されるものにつきましては、本法案の附則におきまして国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律を改正し、多目的ダムを管理する国または都道府県が所定の交付金を市町村に交付することといたしたのでありますが、これは本来ダム使用権者が固定資産税として納むべき性質のものでございますので、ダム使用権者等がその額を国または都道府県に納付すべきことを規定したものであります。
 第三十六条は、本法案の負担金または納付しない者がある場合における強制徴収の規定であります。
 第三十七条は、本法案に基く一定の処分に関し訴願を許し、これによってこの処分の矯正の道を開いたものであります。
 第三十八条は、本法案の実施のため必要な事項につき、政令で定める旨委任した規定であります。
 附則第一項は、本法案の施行期日でございますが、多目的ダム建設工事特別会計と密接な関連がございますので、四月一日といたしたわけであります。
 附則第二項は、従来共同事業として建設大臣と事業者とが共同して設置したダムまたは建設中のダムは、事業者の持ち分が国に帰属したときにおいて本法案の多目的ダムとなり、本法案の適用を受けることとなる旨の規定でございます。すなわち、建設中のダムは、そのとき以後建設大臣が単独で工事を施行することとなり、その資産及び負債は特別会計に引き継がれるわけでございます。
 附則第三項は、土地改良区等の負担金につきましては、従来の経緯もあり、現に建設中のダムで政令で定めるものについては適用しないこととしたのであります。
 附則第四項は、ダム使用権に登録制度をとったため、登録税法を改正し、登録税を納付することとしたのであります。
 附則第五項は、第三十四条の規定により多目的ダムによって貯留される流水に関する水利権等の処分につき、建設大臣が関係行政機関の長い協議の措置をとることにしたことにかんがみ、河川法による一般の水利権に関する処分についても建設大臣が処分し、または都道府県知事の処分を認可する際に関係行政機関の長に協議する措置をとるため、河川法の一部を改正したものであります。
 附則第六項は、ダム使用権を工場抵当法による工場財団の組成物とし、多目的ダムにより貯留される流水を特定用途に供する者について工場抵当制度が活用されるようにする、工場抵当法につき所要の改正をしたものです。
 附則第七項は、現在建設大臣と事業者との共同事業にかかるものについては、事業者の持ち分について固定資産税が課せられているのであります。本法案に基くダム使用権も、本来ならば同様に固定資産税を課すべきものでありますが、地方税法は無形減価償却資産について非課税の体系をとっているため、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正し、多目的ダムで発電の目的でダム使用権が設定されているものについては国または都道府県が所有する同法第二条第一項第三号の固定資産とみなして同法を適用し、国または都道府県が市町村に所定の交付金を交付し、かつ第三十五条で説明申し上げましたようにその額をダム使用権者等が国または都道府県に納付することといたしたのであります。
 附則第八項は、附則第二項に該当するダムですでに固定資産税または市町村交付金を課せられているものが、この法律による多目的ダムとなり前項の規定の適用を受けるに至った場合の経過措置を規定したものであります。
 附則第九項は、本法案の制定にかんがみ、建設省設置法の一部を改正し本法案の施行に関する事務を追加いたしたものであります。
 以上が特定多目的ダム法案の逐条説明でございますが、何とぞ御審議の上すみやかに御議決あらんことをお願い申し上げます。
#65
○薩摩委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。瀬戸山三男君。
#66
○瀬戸山委員 ただいま大体の御説明をいただいたのでありますが、新たにダム使用権という民法上の物権を設定せられたものであると思います。そこでこのダム使用権と名前が違います普通のいわゆる水利権、これとの関係はどういうふうに区別されておるのか、あるいはどういう関係があるのか、御説明を承わりたいのであります。
#67
○山本政府委員 御説明申し上げます。流水が特定の用途に供せられる場合には、流水占用権とダム使用権は表裏一体となって働くのでございます。すなわちダム使用権によりまして確保されました一定量の貯留された流水は、流水占用権に基きまして引水されまして初めて特定用途に供されることとなるのであります。従いまして多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を特定用途に供するものは、流水占用権のほかにダム使用権を有するものでなければならない、こういうふうに考えておるのであります。
#68
○瀬戸山委員 そうしますと、このいわゆる多目的ダムというのは、御承知の通りに、これは流水の利用というよりも河川のはんらん等の河水調節と申しますか、それが主たる目的であると思います。しかしながらせっかく水を調節するためにダムを作る、ダムを作って貯留した水をそのままむだにするわけにいかないから利用いたしたい、発電、水道、工業水道、こういうふうに利用したい、これがダム使用権となるのだと思います。そうするとこれは国が作るダムでありますから、その場合普通の水利権というのはだれが持っておって、その他のダム使用権というものはどういうものが持つかということを御説明願いたい。
#69
○山本政府委員 お話のごとく、この法律で定めます多目的ダムは建設大臣が作るものでございまして、先ほども御説明申し上げましたように、でき上ったものも建設大臣または河川管理者としての都道府県知事が管理するわけでございます。そしてその計画も、洪水の調節につきましては、季節ごとに最高の水位を規定しておりまして、その通りに操作されて参るわけでございます。その範囲内におきまして、特定用途のダム使用権が設定されるわけでございます。従いまして、制限を受けましたダムを使う権利が、発電業者なりあるいは水道業者なり工業用水の業者なりに与えられるわけでございます。
#70
○瀬戸山委員 河川法の第十八条、「河川ノ敷地若ハ流水ヲ占用セムトスル者ハ地方行政庁ノ許可ヲ受クヘシ」これがいわゆる水利権だと思うのですが、それは国が持つのですか。それともこういうダム使用権者が持つのですか。それはどういうことになりますか。
#71
○山本政府委員 多目的ダムを使いまして貯留する権利も、特定用途を計画しておりまする特定用途者が持つわけであります。それから、それを使いまして発電を行う水利権につきましても、その発電業者が持つわけでございます。
#72
○瀬戸山委員 わからないわけでもないのですが、国がやるダムでありますから、いわゆる河川法第十八条の権利というのは、国が持つのじゃないかという考えが私にあるのです。たとえば、多目的ダムは、このほかにも地方公共団体が作る多目的ダムがあるわけですから、その多目的ダムのうちのいわゆる特定なダムだけがこの中に入る。そうすると、これ以外のダムを作る場合に、電気オンリーの場合は発電会社が水利権を持つ。府県が多目的ダムと同時に発電をやる場合がたまたまありますが、そういう場合には、都道府県知事と申しますか、都道府県が水利権を持つのじゃないのですか。それはどういうことになりますか。
#73
○山本政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、ダムを県が作りまして、それによって生ずる水利使用は、公共団体としての、電気事業者としての知事が持つのでございます。
#74
○瀬戸山委員 そうすると、第三条に、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を特定用途に供する者、これは河川法第十八条のいわゆる水利権と同時に、ここにいうダム使用権を持たなくちゃならぬ、こう書いてあるのです。それから第二条に書いてありますのは、発電、水道、工業用水道の用に供せられるもの、こういうふうになっておるのですが、第十条の灌漑用水はこれに入るのか入らないのか。これはどういうことになりますか。
#75
○山本政府委員 灌漑用水は、ダムの特定用途ということで規定していないつもりでございまして、この第二条にあげておりまする発電、水道または工業用水道の用に供する水利使用と、それからダム使用権を持っている者が、その多目的ダムによる流水の貯留を利用して特定用途に供することができる、こういうことになるわけでございまして、灌漑用水は特定用途ということに規定しておりません。
#76
○瀬戸山委員 法文ではそういうふうに書いてあるようでありますが、そこで第三条の規定とどういう――何と申しますか、表現の問題かもしれませんけれども、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を特定用途に供する者はこれこれ、灌漑用水は特定用途ということにしないということになるわけですか。それはどういうことになるのですか。
#77
○山本政府委員 灌漑用水はこの法律で申します特定用途ということではございませんで、もともと建設大臣が河川法第八条第一項の規定によりますダムの工事の目的といたしまして、洪水を調節しあるいは公益のために下流の流水をふやすというような仕事は建設大臣が作りますダムの本来の目的であるというふうに解釈しております。
#78
○瀬戸山委員 それから第三条でありますが、そうするとこれはいわゆる流水占用権とダム使用権、二つの権利があるわけですが、しかも両方とも持っておらなければならない、こういうように書いてあります。そうすると一つのダムに、あるいは発電をし、あるいは水道、工業用水、こういう場合がたまたまあるといたします。そうするとみんなが一つのダムについて、かりに発電、水道、工業用水を利用するということになると、六つの権利が重複する、こういうことになるのですか。
#79
○山本政府委員 これはお話の通りでございまして、基本計画のときに、ダムの貯水量がございますが、その貯水量のうち何立方メートルは発電のため、何立方メートルは水道、あるいは工業用水のためというように、その容量を区分いたしまして使用権を設定いたします。従いまして一つのダムにつきまして二つあるいはそれ以上のダム使用権が設定されることが予想されるのでございます。
#80
○瀬戸山委員 ダム使用権は大体三つ、少くとも二つ以上ということになると思います。それに応じてダム使用権を持っておる者は、逆に見ると、流水の占用権や水利権を持たなくてはならぬ、水利権を三つも四つも許可することになる、こういうことになるわけですか。
#81
○山本政府委員 そのダムの下流におきまして発電する者、あるいは水道の事業を行おうとする者等につきましては、一つの水につきましてもそのヘッドを利用する発電、あるいはその水を完全に取り入れまして水道にするというような、内容的には違いますけれども、そういうふうな水利権が設定されるわけであります。
#82
○瀬戸山委員 もとに戻りますが、そうすると灌漑用水については水利権は設定されないのですか。
#83
○山本政府委員 第十条にありますが、新たに専用施設を新設いたしましたりまたは拡張いたしまして、新築される多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を灌漑の用に供する者は、このダムにつきましても先ほど御説明申し上げましたように負担金を払うわけでございます。そういう灌漑につきましては水利権を設定する予定でございます。
#84
○瀬戸山委員 それはやはり水利権を設定されるのですね。
#85
○山本政府委員 今申し上げましたような場合には、農業の水利権も設定される予定でございます。
#86
○瀬戸山委員 それならば、第三条で、そういう灌漑用水の水利権をダム使用権から抜かれたのは何かいわれがあるのでしょうか。
#87
○山本政府委員 先ほども申しましたように、多目的ダムを建設大臣が作りまして行います場合には、公害を除去いたしまして公利を増進するという目的で作るわけでございまして、その目的の中に、すでに渇水期の下流の流量をふやして利水に使うようにするというのが入っておるわけでありまして、特に特定用途に入れなかったという点につきましては、先ほども御説明申し上げました発電、水道、工業用水等は、この法律によってダムを作るときに全額建設に要する負担金を納付することになっております。それから灌漑用水につきましては受益者負担金のような形式で、この負担が非常に内容的に違います。従って特定用途というふうに考えなかったわけでございます。
#88
○瀬戸山委員 発電は大都市にかかわらずどこにもありますが、水道、工業用水なんかは大都市に近接したところのダムに多いと思います。その他多く作られておる多目的ダムというのはおよそ灌漑用水の方が多いと思います。それで多くの場合の灌漑用水についてすでに別な考えを持っておられたら何か特にそれを第三条あるいは第二条から除外する理由があるかということをお尋ねしたのです。今のお話によると、なるほど電気であるとか水道あるいは工業用水というのは灌漑用水の場合と多少違う。こういった意味で負担金の関係も相当複雑になっておる。そういう意味で違わしたのだという、理論的じゃないかもしれぬが便宜主義でやられたのかもしれぬが、大体了解いたしました。
 そこできょうは個条書き的にわかってないところをお尋ねしておきますが、第七条の「(建設費の負担)ダム使用権の設定予定者は、多目的ダムの建設に要する費用のうち、建設の目的である各用途について、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該用途に供することによって得られる効用から算定される推定の投資額及び当該用途のみに供される工作物でその効用と同等の効用を有するものの設置に要する推定の費用の額を勘案して、政令で定めるところにより」これは具体的にいってどういうことなんですか。大体見当はつくわけであります。推定の費用と書いてありますが、これはどういうことを書いてあるか。こういうダム使用権を設定するについては、相当根拠がある算定のもとにやっていただかなくてはならないわけです。多くの影響があるわけですから。法律に推定と書いてありますが、どういう基準を考えておられるか承わりたい。
#89
○山本政府委員 第七条でございますが、このダムに要する費用の負担をどういうふうに設定しようかということにつきましては、従来におきましては電源開発促進法によりまして共同工事の費用割り振りの規定がございます。大体それに準拠いたしまして今度の法律におきましてもそれに準ずる政令を定めまして費用の負担をきめたいと考えております。そこでここに書いてありますのは非常にわかりにくいように考えられるのでございますが、第一番目の「多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該用途に供することによって得られる効用から算定される推定の投資額」というのでございますが、これは俗には妥当投資額と言っております。それは、ちょっとめんどうくさくなりますが御説明申し上げると、多目的ダム建設の目的である各用途につきまして、多目的ダムによる流水を貯留することまたは多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該用途に供することによって得られる効用を金銭に見積ったものから、当該用途のため当該多目的ダム及び専用施設の運転管理等に要する費用を差し引いた額を利子率及び減価償却率及び専用の施設に固定資産税が課せられる場合におきましてはその固定資産税率、それから国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の規定の適用がある場合におきましては、同法第三条第一項の率を合計した率で除した金額を妥当投資額といっております。今申し上げましたのは非常にめんどうでございますが、ダムを作ることによりまして各目的が利益になることがございます。それを資本に還元いたしまして、これだけは出してもよい、これだけの効用が生まれるならば、今の経済情勢においてこれだけの金は投資してもよろしいと推定される額を妥当投資額といっております。それからもう一つでございますが、次は「当該用途のみに供される工作物でその効用と同等の効用を有するものの設置に要する推定の費用の額」というのでございますが、これは俗に身がわり建設費というのでございまして、ちょっとめんどうになりますが、多目的ダムの建設の目的である各用途につきまして、当該用途のみに供される工作物で多目的ダムによる流水を貯留すること及び多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該用途に供することによって得られる効用と同等の効用を有するものの設置に要する推定の費用ということでございまして、この身がわり建設費というのは、自分がその多目的ダムを作ることによって効用を生ずるわけでございますが、自分だけの目的でそれと同じ効用を発揮するものを同一地点に作ったときにかかる費用でございます。その二つの推定される費用を勘案いたしまして、おのおのの用途についてそれらを計算いたします。それでその費用の少い方を寄せ集めて、その割合で建設費を分担しようというのが内容でございます。
#90
○瀬戸山委員 従来も多目的ダムのときにはそうやっておられたのでしょうが、今まではダム建設をされて多目的ダムがそういう場合に共有みたいになっておったと思います。そこで附則にも書いてありますが、この場合は初めからしまいまで、当初から建設大臣が作るダムは国有になると思うのです。これは私しろうと考えで、今のように複雑な高等数学みたいなことは聞いておってもよくわかりませんが、たとえば一つの発電会社が発電するために何メートルかのハイ・ダムを作る場合と、国が河水統制を主たる目的としてハイ・ダムを作った場合と、それによってたまった水を利用する発電と、初めから発電をするためのダムを作るこういう場合と、どっちが一体費用がかかるものでしょうか。たとえば一万キロの発電をするためには相当なハイ・ダムを作らなければならない。この場合は河水統制が主たる目的でございますから、発電しなくても作るダムであります。それと、発電だけを目的としてたとえば一万キロの発電をする貯水池を作る、これは計算すると同じ費用になるものでしょうか。非常に常識的なことをお尋ねするのですが、どうなんでしょうか。
#91
○山本政府委員 その点につきましては非常に河川ごとに状況が違いますし、また発電会社の作るダムは相当上流の高い位置に作ります。これはそのダムに直結いたしました発電所だけでなく、ずっと下流に連続いたしまする発電所の効率を高めるために、高い位置に作るのが普通であります。多目的ダムはそう高い位置でなく、なるべく洪水調節の観点からいいましてできるだけ流域をたくさん集めたところに作りたいというような点で計画いたしますために、いろいろと違いは出てきますが、ただいま持っている資料で申し上げますと、多目的ダムの二十三カ地点、これはすでにでき上ったのもありますし、まだ工事中のものもありますが、二十三カ地点につきましてそれによって発生するキロワット・アワー当りの電気のダムに対する分担金を計算いたしますと、総平均いたしまして四万二千円。それでは片っ方電気事業者が作っているダムがございますか、それらについて約十二、三カ所、平均いたしてみますと、一キロワット当り五万四千円になる。そういうわけでありまして、これのみから見ますと、多目的ダムのキロワット当りの方が建設費が安いということに相なりますが、これにつきましては先ほども御説明申し上げましたように、発電会社の方が高い位置のダムが多いということと、また多目的ダムはなるほどキロワットはこういうふうに計画されておりますけれでも、洪水期には水位を下げておかなければならぬ、そういうふうに堰堤の上に制限がありますので、電力は自分の要求に従ってのみ発生するわけにはいかぬというような点がありますので、多目的ダムの方が安いから電力会社には有利だとは直ちには申されないような状況であります。
#92
○瀬戸山委員 直ちには申されないかもしれないけれども、今御説明のことは平均単価でございます。平均単価だとすれば同じことじゃないかとしろうと考えでは出ます。そうすると電気会社を痛めるというわけじゃありませんが、少くとも電気オンリーの場合のダムの建設の平均単価くらいは負担させてもいいのじゃないかという気がするものですからお尋ねするのですが、政府に多目的ダムを大いに作らして、少くともここにおいて平均一円以上安いこれでみると一円幾らかになると思うのですが、そういう非常に安いものを電力会社は利用するという形に、この数字からいうと結論がなるように思います。電力会社がもうけて悪いとは言いませんけれども、今の第七条の計算からいうと大いに多目的ダムを作ってもらって、電気会社はいわゆるダム使用権を大いに利用さしてもらえば、国の費用で作ってもらって安いものができる。しかし安くは売らない。ほかの五万四千円のダム建設費のコストで電力を国民に配給するという結果にならぬですか。
#93
○山本政府委員 今の多目的ダムは、実情といたしましては先ほど申し上げました二十三の実例のうち、電力会社がやっておりますのはただ二カ所でございます。あとの二十一カ所は府県営のものでございます。それにいたしましても電力の方が有利じゃないかというお話でございますが、多目的ダムというのは先ほども御説明を申し上げましたけれども、どちらの費用も安くなる。自分で単独でやるとか、身がわり建設費とか妥当投資額で計算いたしまして、いずれも安くなるということでございまして、単に電力だけが安くなるということでなくて、もし電力会社のものに比べて多目的ダムの方が有利だとするならば、やはりそれに応じて安くできるというのが実情でございます。
#94
○瀬戸山委員 私は皮肉な問いをして申しわけありませんが、それは何でも安くできる方がけっこうなのです、ただ安くできた電気も高くできた電気も国民に配給するときには安いのを安く配給しないと電力会社がもうかりはしないか、こういうことを申し上げているわけですが、これはほかの委員の方から御研究を願うことにいたします。
 次に第九条でありますが、「多目的ダムの建設によって著しく利益を受ける者がある場合において、その者が流水を政令で定める用途に供する者であるときは建設大臣、その他の者であるときは都道府県知事は、その利益を受ける限度において、多目的ダムの建設に要する費用の一部を負担をさせることができる。」これは具体的にいうとどういうことですか。
#95
○山本政府委員 初めの「流水を政令で定める用途に供する者であるときは建設大臣」というのは、ダムを作りまして負担金を出す特定用途者はダムに直結した発電業者でございますが、その下流にすでにある発電所とかいうものがございまして、それがまたダムを作りまして利益を受けるわけでございます。その下流におきまして電力が増強する分の受益者負担金のことをいっておるわけであります。
  〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
 それから次の「都道府県知事は、その利益を受ける限度において、」というは、これに規定してありまする電力の下流増、あるいは第十条に規定いたしまする専用施設を作って灌漑用水を取り入れる場合の負担金以外のもので特に利益がある場合には知事が多目的ダムの建設に要する費用の一部を負担させることができるということでございまして、今特に定めました以外のもので利益が非常に著しいものがあれば、そのものから負担金を取れる規定を設けたわけでございます。
#96
○瀬戸山委員 前述の「政令で定める用途」というのはどういうものをいうのですか。それから「その他の者であるとき」というので第十条の灌漑用水などひかれましたが、そういうものの利益を受ける限度においてそれの建設に要する費用の一部を負担させることができる、こうなっているのですが、先の方の何条かには、それは都道府県の収入になるとなっておるのであります。これは管理費か何か知らないけれども。どういう理由ですか。国が費用を出してダムを建設する、それから灌漑用水の方でその水を利用するという利益を受ける、そうすると国が作ったものについて、都道府県知事がこれを負担させて、それは都道府県の収入になる、こういうわけですか。
#97
○山本政府委員 ただいまの御質問でございますが、下流において利益を受ける者というのはほとんど想定されないのでございますが、専用施設なり、工場を新設したり、拡張したりしない場合に特に利益があることも考えられるものですから、そういう「負担させることができる。」という規定を挿入したわけでございます。そうして知事が費用の一部を負担させたものは国に納めるわけであります。
#98
○瀬戸山委員 知事が徴収したものは国に納めるということになっておるのですが、十一条には、「前二条の規定により都道府県知事が負担させ、又は徴収した負担金及びその負担金の納付義務者から徴収した延滞金は、当該都道府県に帰属する。」こういうふうになっておるのですが、そうじゃないでしょうか。
#99
○山本政府委員 今の、都道府県知事が費用の一部を負担させた分が国に入る規定は、第八条の最後に、「都道府県が収納する政令で定めるその他の負担金の額を合算した額、」こういうことがございますが、この中に入るわけでございます。
#100
○瀬戸山委員 わかりました。それからもう一つ、第二十九条の建設大臣の管理の規定であります。「多目的ダムで。二以上の都府県の区域にわたる河川に存するもの及び政令で定めるその他のものについては」云々とありますが、この「政令で定める」というのはどういうことを考えておられるのですか。
#101
○山本政府委員 建設大臣の管理しようとしておりますのは、二以上の都府県の区域にわたる河川に存するものと、それから政令で定めるものということになっておりますが政令におきまては、その水系にほかにもダムがございまして、それらのダムと総合的に操作を行わなければ効果が期待できないとか、非常に危険であるというようなもの、あるいは操作が非常に複雑であり、高度の技術を要するというようなものを建設大臣が自分で管理しようというふうに考えております。
#102
○瀬戸山委員 最後にもう一つですが、この附則の第二項、第三項についてであります。第二項は先ほどお尋ねいたしました中に入っておったのでありますが、いわゆる多目的ダムの場合に、従来は共有になっているようなところがあったのを、この附則によって調整されると思う、そこで「その持分が国に帰属した時において」云々とありますが、それはどういうときのことなんですか。
#103
○山本政府委員 附則の二項に建設中またはすでにでき上ったダムに対する経過措置がございますが、従来は共同行為としてやっておりましたそれらのものも、この法律の趣旨によりまして国が全部所有いたしまして、それらの管理等を行っていくのが理想でございます。しかし従来の経過もございますので、それらの持ち分を持っている者と国に属するというふうな方向で協議いたしまして、その話し合いがまとまったときにはこの多目的ダムの方を適用いたしまして、管理なりあるいは将来の操作なりを行なっていきたい、こういう趣旨でございます。
#104
○瀬戸山委員 もう一つ、第三項のこれにも、現に建設大臣が建設しているダムで政令で定めるものについては、第十条、いわゆる灌漑用水に関する規定は適用しないとあります。政令で定めるものという、この規定を設けられた理由を一つお聞かせ願います。
#105
○山本政府委員 その第十条の規定は農業者の負担を規定する規定でございまして、現在までにおきましてはこの規定がなくて参ったわけであります。従いまして現在すでに工事中のものにつきましては、分担の契約等ができまして、すでにやっておるわけであります。従いましてこれに新しい負担をかけるということは無理であるので、そういうものにつきましては、農業負担の項を適用しないという方が順当であるというふうに考えております。それらのものに含まれるものといたしましては、すでに工事中の天龍川の美和ダム、そのほか継続工事中の六カ所のダムを考えております。
#106
○瀬戸山委員 現に建設大臣が建設しているダムというわけで、それで政令で定めるというのは、何かその政令で定められないで、今度の法案の適用を受ける農業用水等があるわけですか、どうなんですか。
#107
○山本政府委員 そういうものはないわけでございますが、ここに一々あげるのを省略いたしまして、政令としたわけでございます。すでに工事を実施しているダムでは、この十条の規定を適用するものはございません。
#108
○瀬戸山委員 私はこれだけです。
#109
○二階堂委員 一点だけ関連して伺います。全体このことにつきましてはまた来週委員会で二、三お聞きしてみたいと思っておりますが、ただ一点だけ伺ってみたいと思います。水が灌漑用に供せられる場合ですが、この場合は、土地改良区は第十条によりますとダム使用権の設定を受けないと書いてあるのですが、そのあとで、土地改良区等がダム使用権設定予定者であったと仮定した場合における金額の十分の一以内の金額に、建設期間中の利息を加算したものを負担しなければならぬという負担規定がここにあるのでありますが、この負担の規定というのは、総工事費の金額の十分の一以内という意味ですか。それが一点と、それから同時に今国会に提出されておりまする特定土地改良工事特別会計というのがありまして、これもやはり国の方で、国の金と資金運用部等の金を借りて灌漑、排水、そういう事業をやるわけですが、この場合は当然目的が一つでありますので、土地改良区の負担金というものは簡単に出てくるわけであります。ところがこれは電気とか、水道とか、あるいは工業用水とか、さらにまた農業用水、こういうふうに非常に目的が分れておるわけでありまして、従って費用の負担分も、先ほど局長の説明がありましたが、私はよくわからなかったのでありますが、いろいろ負担分も違うと思うのであります。そこでそういうようにたくさんの目的に使われる場合、同時に土地改良区を設定して灌漑用に水が使われる場合、その負担区分というのが非常にこの場合はめんどうになってくるのではないかと思う。農業関係で土地改良特別会計でもってやる場合と、これは工事の総量にもよるわけでしょうが、負担分というのが非常に違ってくるのではないかと思うのです。これは仕事が違うわけですから、一反歩の負担金は違うのが当然かもわかりませんが、非常にこの差が大きくなってしまうと、いろいろ受益者の方から文句が出てくるのではないかと思うのです。そういう場合の負担の区分をどういうふうに考えておられるのですか。その点を一点お伺いしたいと思います。
#110
○山本政府委員 この点非常にわかりにくい点でございますが、従来費用の分担を決定する場合におきましては、やはり治水の効果あるいは灌漑の効果、電気の効果等に分けまして、そのダムの負担金をきめておりました。それで治水の効果と灌漑の効果につきましては、直轄事業におきましては全額国費で出しております。その分担を治水事業と同じように灌漑事業につきましても建設省は県に分担金を命じておりました。今度の場合はそれが多少変ってきたわけでありまして、灌漑用水につきましては、その効果から算定されまするところの灌漑用水として持つべき金がございます。その一割を土地改良区等に持ってもらう。それはなぜかと申しますと、農林省が国営の土地改良事業としてダムを建設する場合におきましては、従来からその建設費の二割を土地改良区に持ってもらっておりました。ところが私の方でやっておりました多目的ダムにつきましては、灌漑の効果がありましても、その分担金は県だけが持っておった。従いましてその点において不均衡があったという点からいたしまして、農業の持つべき建設費の一割だけは土地改良区に持ってもらう。そのかわり農林省の土地改良におきましては二割持っておりますけれども、私の方は借入金でありますから、建設費自体に利息がつきます。その分を合せて土地改良区に持っていただきますと、土地改良区で持っていただく金につきましては、大体土地改良と歩調が合うということでございます。そうすると、多目的ダムに貯留された水を、土地改良でやったと同じように、下流の方で減水の工事をやらなくとも、取り入れの工事、あるいは排水路の工事をやりますと、灌漑用水に使えて、国営の土地改良と大体同じ方向でいけるということでございます。
#111
○二階堂委員 まだよく私はわからないのですが、特定土地改良工事特別会計、これも今度はやはり政府の金、資金運用部の利息のつく金を借りて工事をやるわけです。そうして仕事が済んでから負担金を徴収する、もちろん利息もその中に考えられるわけです。多目的ダム建設工事特別会計もやはり同じようなことになると私は了解しているのですが、たとえば負担金等も、これも預金部資金から金を借りてやるわけですから、工事が済んだあとからその負担金を徴収することになるのですか。これは私よく読んでいないのですが、この説明によりますと、受益者負担分は云々と書いて、償還条件は年利六分五厘、十五ヵ年の年賦償還で、うち据え置き三年と書いてありますが、これは多目的ダムが全部完了して、そうして三年据え置いてから、負担金というのですか、それを国や県の方に納めるわけですか。
#112
○山本政府委員 今の灌漑の受益者負担金の負担割合につきましては、先ほど申し上げましたように、灌漑で分担すべき分の十分の一でございますか、その償還につきましては、多目的ダムの建設が完了いたし、また農業用の専用施設または拡張の工事が完了した年の翌年から起算いたしまして、十年を下らない期間といたしまして、利率は年六分五厘以内とする、こういうのが土地改良区としての償還の計画でございます。予算書に書いてありますのは、地方分担金の県で償還するものの内容でございます。
#113
○二階堂委員 わかりました。それから工事中に災害があった場合、この災害復旧は特別会計では見るのですか見ないのですか。また、たとえばそれに多額の費用がかかった場合、これは工事費の中にその災害復旧費というものを入れて考えるわけですか。
#114
○山本政府委員 工事が全部完了するまでに起りました災害にもいろいろあるわけでございます。またたとえば下流の副堰にいたしましても、まだほんとうの工事中だというような場合の災害復旧につきましては、これは手戻し工事として出てきて、工事費の増額でやらなければならぬかと私は考えております。それから、もうでき上りまして効用を発揮したもの、そういう程どのものが災害、要するに異常な天然現象でこわれたというような場合には、災害復旧費として行います。そうして特別会計の中で処置するというふうに考えます。
#115
○二階堂委員 そうしますと、その中で利息を考えなければならない金が工事費の中に含まれているわけですね。そうしますと災害のために、たとえば一年、二年かかる、非常なたくさんの金がかかったという場合、その災害復旧費もやはり、特別会計になりますれば、利息のつく金が使えるわけですか。そうしますと、その方までも受益者負担に加算されるわけですか。私はそういうことはちょっと不合理だと思うのですがね。災害で金がたくさん要った。工事中の災害ですが、その分までも受益者が負担をしなければならぬということになると、これは大へんなことになると思うのですが、やはりそういうことになるのですか。
#116
○山本政府委員 災害が起りました場合には、それを処置する金といたしまして特別会計の中に予備収入というのが計上してございます。それが起りましたときにはやはり一般会計から繰り入れる分、あるいは特定用途から出してもらうというものを合せまして、その災害復旧をやるわけでございます。そして一般会計につきましてはもちろん閣議の決定を経まして、特別会計にその金を入れまして使うわけでございまして、おのおの持ち分に比例しまして持ち合って災害復旧をやるということになります。
#117
○二階堂委員 ちょっとわからないのですが、一般会計から入れるものは利息がつかないわけなんですが、特別会計の中で預金部資金等から金を借りて工事をやるわけです。災害復旧もその特別会計の方で見ると言われるのですが、そうなりますと利息のつく金で災害復旧をやられるその分までも、たとえば土地改良区なら土地改良区で負担金を出す場合に、その利息のつく金でやられた場合、その災害復旧にかかった費用、一般会計の分は別として、利息のかかる分の費用までもさらにまた受益者が負担をしなければならないのかどうかということです。
  〔内海委員長代理退席、委員長着席〕
#118
○山本政府委員 災害が起った場合にもちろん一般会計で出します。またほかの例もございますので、地方の公共団体等はその比率で持たなければいかぬと思います。それから農業負担につきましては、ちょっと研究を要しますのではっきり調べてこの次にお答えいたしたいと思います。
#119
○薩摩委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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