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1956/04/12 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 外務委員会 第17号
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1956/04/12 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 外務委員会 第17号

#1
第026回国会 外務委員会 第17号
昭和三十二年四月十二日(金曜日)
    午前十時二十五分開議
 出席委員
   委員長 野田 武夫君
   理事 菊池 義郎君 理事 須磨彌吉郎君
   理事 高岡 大輔君 理事 山本 利壽君
   理事 松本 七郎君
      愛知 揆一君    植原悦二郎君
      町村 金五君    松田竹千代君
      松本 俊一君    岡田 春夫君
      田中 稔男君    戸叶 里子君
      森島 守人君
 出席政府委員
        外務政務次官  井上 清一君
        外務参事官   法眼 晋作君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      宮崎  章君
        外務事務官
        (情報文化局
        長)      近藤 晋一君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
四月十一日
 日本国とエジプトとの間の文化協定の批准につ
 いて承認を求めるの件(条約第一六号)
 千九百五十三年十月一日にロンドンで署名のた
 め開放された国際砂糖協定を改正する議定書の
 受諾について承認を求めるの件(条約第一七
 号)
同月十日
 日中両国通商代表部設置に関する請願(田中彰
 治君紹介)(第二七八一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国とエジプトとの間の文化協定の批准につ
 いて承認を求めるの件(条約第一六号)
 千九百五十三年十月一日にロンドンで署名のた
 め開放された国際砂糖協定を改正する議定書の
 受諾について承認を求めるの件(条約第一七
 号)
 国際情勢等に関する件
    ―――――――――――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢等に関する件につき質疑を許します。菊池義郎君。
#3
○菊池委員 政務次官にお伺いいたします。松下特使が英国を離れてから、あとは特使の資格をとってしようというようなことが新聞に出ておりますがそれは米国に行ってもやっぱり特使の資格でもってアイゼンハワーやその他に会った方が有効ではないかと思うのですが、どういうわけでもって特使の資格をとる必要があったのか。
#4
○井上(清)政府委員 お答え申し上げます。松下特使を英国に派遣いたしましたことは、英国に対しましてそういう特使として行ってもらったようなわけでありまして、英国に行くことが目的であったわけでございますので、他の国を回られる場合には特使の資格でなくなるわけであります。
#5
○菊池委員 そこでアメリカに回るについて、さらに特使の特権を与えて折衝させるということは便宜上非常にいいと思うのですが、どんなものでしょうか。
#6
○井上(清)政府委員 御説のようなことも一応考えられますけれども、もうこちらを出発いたしますときに、英国側との折衝、またいろいろ特使としての使命を達成する件につきまして、十分打ち合せをいたして出発したわけでございますから、その他の国についてはそうした事情もございませんでしたので、この際特使は英国だけということにしていただきたいと思います。
#7
○菊池委員 ソ連や米国にも特使を出すということを前に言われたようでありますが、それはいつになりますか。
#8
○井上(清)政府委員 今御説のようなことも考えられておるようでございますけれども、まだ具体的にはなっておりません。
#9
○菊池委員 水爆実験は五月といい、六月といい、まだ新聞にもはっきりした報道がないのですが、外務省にはそれは伝わっておりますか。
#10
○井上(清)政府委員 クリスマス島における水爆実験の日取りにつきましては、三月一日から七月末日までの間、公海の制限その他があるだけでありまして、いつ実験するかということにつきましては、外務省には何ら通告もございませんし、また私どもはさような件につきまして情報も得ておりません。
#11
○菊池委員 日本の政府部内には、総理みずから英国に乗り込んで、マクミランと議論を戦わして、それをとめるべく強要する一方、また一面においてはあの原水爆禁止日本協議会、ああいう連中をむしろ督励して、日本側はこれに補助を与えて数十隻の船団を作って、水爆実験の現場にすわり込みをやらせれば、英国は必ずこれをやめるだろう、やり得ないだろう。そうすれば世界の世論は沸騰点に達する。おそらく中部太平洋から大西洋へ変えるかあるいはやり得ないか、これをとめることは易々たることであろうという意見があるにかかわらず、外務省が軟弱のためにこれをやり得ない、やらせないのだ、そういうようなうわさが立っておりますが、実業界にもそういう意見があるのです。交詢社あたりにもそういうような意見がある。なぜそれをやらせないか、私はこう考える。それについて政務次官の御意見を伺いたい。
#12
○井上(清)政府委員 お答えを申し上げます。原水爆の実験区域内に船舶を仕立てて、その船舶にたくさんの人を乗せて行って、そこですわり込みをやらせる、それによって原水爆の実験を中止させるようにしたらどうだろうか、こういう御意見、それに対して政府がとめておるそうではないか、そしてまたそれに対する政府の考えはどうか、こういう御質問であったようでございます。あの船を仕立てて原水爆の実験地の付近に行って、そこに滞留をいたしまして、実験を阻止しようという計画が民間の一部にあるように聞いておりますが、これはあくまでも民間の計画でございまして、政府がこの運動に対して関与はいたしておりません。しかし政府といたしましては、人間が生命をかけてそうした運動を阻止するというような方法は、これはきわめて奇矯な、またどちらかと申しますと過激な方法じゃないかというように私ども考えるわけでございまして、あくまでも原水爆の実験を中止さすためには、この盛り上っております国民的な世論を背景とし、世界の世論に訴えて正々堂々たる行き方をもって原水爆の実験を中止させる方向へ持っていくというのが、やはり政府としての正しきとるべき道ではないか、かように考える次第でございます。
#13
○菊池委員 総理大臣は、原水爆禁止日本協議会のあの行動は常識はずれであるから、とめさせるというようなことを言っておりますが、むしろ政府が奨励してやらせるべきであると思うのです。日本が数十隻繰り出せば、必ず世界列国もまた繰り出して数百隻にふえるだろうということは想像にかたくない。常識をもって判断することができるのです。英国をとめることができればソ連をもとめることができるし、ソ連をとめることができれば米国をもとめることができる。そうして日本は世界平和の主導権を握って立つことができる、そういう考え方が政府部内に当然なければならぬと私は考えるのであります。すわり込みをやらせることは非常識であり過激であるというならば、真珠湾のなぐり込みも非常識であり、四十七士の切り込みも非常識きわまることであり、高杉晋作の馬関の焼き討ちも非常識きわまることである。いやしくも正義を貫かんための非常手段としては当然過ぎるほど当然であると思うのですが、政務次官の御意見を承わりたい。
#14
○井上(清)政府委員 ただいまのお説につきましてはどうも私ども賛成いたしかねるのでございまして、やはりまっ正面から正々堂々と原水爆の実験をとめる方向にわれわれは努力すべきであって、あくまでも矯激と申しますか、先ほども申しましたように過激な手段をもって、しかもまかり間違えばそれによって人命に対して非常な損害をこうむるおそれもあるような手段、方法というようなことは、やはり国としてとるべき手段、方法ではない、かように考えるわけでありまして、それをとめようとする熱情につきましては、私どもも十分了解できるところでございますけれども、私どもとしてはやはりあくまでも外交的な手段、方法によって、まっ正面から世論を背景として日本の主張を貫徹することに努力をしていくというのが、当然とるべき道でなかろうか、かように考える次第でございます。
#15
○菊池委員 決してすわり込みは生命を捨てることでもなければ危険なことでも何でもない。それをやることによってごの実験をとめることができることははっきりしておるのです。絶対にやり得ませんよ。それをやるなんということをしたら、それこそ世界の世論は許しません。世論を背景とするならば、いよいよますますやらなければならぬと私は考えるのでありますが、これは意見の相違で幾ら議論をしたところで仕方がないと思うのであります。それで日本は御承知のように野蛮人扱いを通り越して動物扱いをされておる。広島において長崎において、そしてビキニにおいてモルモット扱い、また今度四たびウサギ扱い、この恥辱をそそがんがためには、日本は不退転の信念をもって正義を貫くために非常手段に訴えることは当然だと思う。ほかの方でもよろしいのですが御意見ございませんか。
#16
○法眼政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、これは岸総理大臣もしばしばいろいろな委員会において申し上げております通り、この際はそういった強硬手段と申すべきものはむしろ避けて正道と申しますか、世界の世論によってじゅんじゅんとして説くという方法をとりまして、そうして松下特使もイギリスにおいて非常に成功をおさめておりますので、そういう方法によってむしろより強く、しかも浸透するような方法によって世界の世論に訴える。ある意味から言えば決して私はすわり込み戦術なるものが線香花火のようなものとは思いませんけれども、そういうもろもろの危険に対してできるだけ過激な行動を避けてじっくりと、根強く、静かに、しかし腹を据えてかかるという立場がいいというふうにわれわれは考えるわけであります。しかしこれは人によって見解が違うと思いますので、この点はいたし方ないと思っております。
#17
○菊池委員 私はすわり込みをやるというあの協議会に行きまして、あなた方水爆の実験をやる周囲にすわり込むというが、そんなけちな卑怯なまねはよせ、すわり込むならば実験の現場に行ってやれ、おれも一緒に行くと言って激励鞭撻してきたのですが、これは意見の相違で仕方がございません。
 それではお伺いいたしますが、この欧州共同市場によって日本の欧州諸国に対する輸出が阻害される、また中近東や東南アジアなどに対する輸出が困難になると思うのです。それで政府は過般六ヵ国に対して最恵国待遇を与えてくれという要求をしたということでありますが、それは事実でございますか。
#18
○井上(清)政府委員 最近欧州共同市場のプランが漸次具体化して参りまして、これが将来の日本と欧州共同市場に属しております国々との間の交易関係に相当大きな影響を及ぼすであろうということが予見せられておるところでございます。われわれといたしましては今後欧州共同市場というものがどういう方向に向っていくだろうか、またどういう形を具体的にとっていくであろうかということについては、深甚な注意を払っておるところでございます。先ほど欧州共同市場に参加しております六カ国に対して最恵国待遇を要求したというがどうか、こういう御質問でございましたが、実はこの点について申し入れをいたしておりまして、今後これらの点で折衝をして参りたいと考えておる次第でございます。内容の詳細につきましては今具体的に申し上げる段階にまで至っておりませんことをまことに遺憾とするものであります。
#19
○菊池委員 米国もただいまアジア共同市場の創設を考えておるといわれておりますが、それの外務省に対する情報などどんなものでしょうか。
#20
○井上(清)政府委員 これは私どもまだ具体的には聞いておりません。先般アイゼンハワーの特使として来られましたフェアレス氏がアメリカへ帰られまして、そうしてアメリカで新聞なりその他で話をされましたその内容に、できるならば東南アジアにおいても欧州共同市場的な考え方でもって共同市場を考えたらどうだろうかというような意見を述べられたということを、新聞その他不確定な情報によって、私ども承知しておりますが、公けにそうした提案もまたそうした話もございません。
#21
○菊池委員 それからココムによって日中貿易が制限せられておりますその代償として、米国は日本に対する東南アジア向けの軍需品買付の巨額な域外発注の計画をしておると伝えられておりますが、その真相を伺いたいと思います。
#22
○井上(清)政府委員 ただいまの御質問のような事実はございません。私ども何ら承知いたしておりません。
#23
○菊池委員 総理大臣が東南アジアに先に回る、それはわれわれも賢明な策であると考えるのでございますが、総理は米国に対して先発隊を出すということを言っておられます。今まで総理がこの国会においてたびたび繰り返した答弁は、基本方針の話し合いをするという答弁でありましたが、先発隊を出すということは、それを変えて、何か具体的な話し合い、具体的な決定をするという意向に切りかえられたというような印象を与えるのであります。先発隊を出すということは、その具体的の話し合いに変ったということでございましょうか、どうでしょうか。
#24
○井上(清)政府委員 岸総理大臣兼外務大臣が六月中旬に渡米をいたしまして、日米間の諸問題に関してアメリカでいろいろ協議を進めたいということを計画いたしておりますことは、すでに公表された通りでございます。このアメリカ訪問の前に、総理が特別にミッションを出しまして、あらかじめ総理の渡米の際の諸問題に関して打ち合せをさせるというような計画がある、こういうふうにお話しになりましたけれども、私どもは、実は、現在そうした計画があるということは、承知をいたしてはおらないのでございます。
#25
○菊池委員 それから最近中共への旅行者が激増いたしまして、昨年のごときは千二百名も行っておるのです。これはみんな招待されて行くのでありますが、向うでさんざんにごちそうされ、あるいは見物させられ、そうして帰ってくるのでございます。そういったような招待の目的は、申すまでもなく、毛澤東が言っております日本解放のための宣伝工作に利用しようということにほかならないのでありまして、われわれ三十八名が一昨年ソ連へ行ったときにも、完全に利用されて、百害あって一利なき結果を招来したのであります。向うの新聞に書かれ、ちょっとでも向うの機械などをほめると、日本の議員がこう言ってほめたというて、それこそ針小棒大に宣伝する。けなしたことは何一つ書かない。そういうふうにして宣伝の具に供せられた。中共への旅行者もその宣伝の具に供せられ、また日本へ帰って宣伝してもらいたいという含みに違いないと思うのでありますが、この旅行者を制限することについて、政府の深甚なる考慮をわずらわしたいと思うのでございます。それについて御意見を伺いたいと思います。
#26
○井上(清)政府委員 最近におきます中共渡航者の激増に対して政府はこれを制限する意図はないか、中共渡航というものは害こそあれ、あまり利益はないのだという御意見と拝承いたしたのでございますが、本年もすでに向うの招待によって出かけた方々も相当ありますし、また特別な用件を帯びまして、あるいはまた貿易その他の問題に関しまして要務を帯びて、特別な外貨の割当をいただいて、かの地を訪問した人々もございます。中共は本年度も相当たくさんの日本人を招待をして中国の建設の状況を見させたい、こういうことで招待外交が昨年と同様に本年の初頭以来相当活発な状態であることは御指摘の通りでございます。私どもといたしましては、特にわが国の治安その他に影響があると思われるような渡航に関しましては、法規に基きまして制限をいたしておるわけでございますけれども、さようでないものにつきましては、特に強く制限する理由もございません。向うへ渡りまして実際に向うの状況を見て参りますことは、必ずしも中国の意図しておりますような、御懸念になるような、中国の術策に陥るというようなことにも相ならぬと私は思うのであります。ただ新聞だとかあるいはまた雑誌などにいろいろ掲げられておりますことのみならず、実際に中国の状況を見てくるということに相なりますと、ほんとうに正しい批判力と申しますか、そういうものも得て帰ってくるということにも相なるわけでございますので、ただ何でもかでもとめるのだというような態度でもいかぬのじゃないか、私はかように思うわけでございます。まあ隣国に位しており、日本との貿易というような点におきまして相当関係のある国でございますので、隣国を正しく見て、隣国に対する正しい認識を得てくるということも、日本の将来のために役立つのじゃないか、かように考えておりますので、野放図な渡航の許可ということは、私どもとして慎しまなければならぬし、またある程度厳重にやらなければならぬと思いますけれども、ただ、いたずらに制限をするというような行き方にも、私どもは賛同いたしかねるような次第でございます。
#27
○菊池委員 そうすると、ソ連からも日本に対して五百名の青年を招待するといっておるのだそうですが、もしそういう申し入れがあったならば、それに応ずるおつもりでございますか。
#28
○井上(清)政府委員 これは具体的な問題に当って考えなければならぬと思います。ただいまのような計画は私初めて承知をいたしたような次第でございますが、これは十分考えなければならぬ幾多の問題を含んでおると思います。
#29
○菊池委員 それからもう一つお伺いしたいのは、日ソの交渉、平和条約の締結を延ばしたのは何か含みがあるように思われるのでありますが、これは大臣でなくて政務次官でけっこうですが、歯舞、色丹に対する領土の交渉を継続してやるという約束をしなかったということは、国会の論議においてもすつかり暴露されておる。向うとしても領土についての継続審議の意図は全然ないということを言っておる。でありますからこの際日本としては、すべからく直ちに平和条約を締結して、歯舞、色丹だけでも日本に取って、漁業者の利便をはかるべきであろうと思うのです。いつまでもこれを引き延ばし、そうしていかにも国後、択捉に対する領土権の獲得を保留しているような印象を与えようとしているのは、国民を欺瞞するところの罪深い態度であると私は思うのでありますが、どうでありましょうか。
#30
○井上(清)政府委員 日ソ平和条約の締結を渋っておるじゃないかというお説でございますが、決してさようなことじゃございません。これは領土に関する両国の主張に非常な距離があるわけでございまして、その明白な距離のあるものを急いでやってもだめだ。そこでできるだけ時期を見ましてこの条約の締結が可能だと見通される時期まで実はまだ待っておる次第でありまして、ただ、いたずらに遷延をさせておるということではございません。
#31
○菊池委員 国際情勢の変化を待って平和条約締結の交渉をするなんということを言っておりますが、領土が取れるような国際情勢の変化ということはあり得ないのです。ですからこれは直ちに条約を締結して、私は歯舞、色丹だけでも取るべきだと思うのであります。今言ったように国会でもって暴露されておる。領土についての継続審議はやらぬということははっきりしておるのです。その約束を取り結んでいなかった。向うとしても全然そういう意思はないということを言っておるのであります。でありますからして、この際直ちに条約を締結して、歯舞、色丹を手に入れて漁業者の利便をはかるべきであると私は思うのです。その点についてもう一ぺんお伺いしたい。
#32
○法眼政府委員 ただいまの菊池先生のお話でございますが、日本は領土の継続審議をするということを決して放棄したわけではございません。これははっきりと、たとえば松本・グロムイコ書簡にも書いてある通りでございます。従いましてこれは決して継続審議を放棄したわけではありません。ただしかしながら、ただいま政務次官からお話がありましたように、日ソ双方の領土に対する意見というものは非常に対立しておるわけでございます。しかも日本の国論は決してこの国後、択捉を放棄することはあり得ないという国論でございます。日本の立場ははっきりしておるわけでありますが、向うの態度もはっきりしておるということでございますので、今直ちに交渉を再開しても、これは同じく意見が対立するというのでは、やはり時期を見るのがいいのじゃなかろうかというのがわれわれの考えでございまして、先般岸総理大臣も国会におきまして、この点はいつとは言えないけれども必ずやる。しかしこれも今すぐやれば同じ結果になるということを申されておりますが、その通りでございます。
#33
○菊池委員 その意思があるならば、すでに共同宣言によって戦争状態が終結した今日において、当然に南千島よりのソ連の撤兵を要求すべきであると思うが、なぜこの撤兵を要求せぬのですか。
#34
○法眼政府委員 このことは一昨年六月以来の日ソ交渉におきまして、両代表の間にしばしば意見がかわされたところでございます。しかしながら事実上先方が占領しておるという事実は変らないわけでございます。これを変更せしめることはできなかったというのは事実でございます。それでございますからこの点はやはり領土問題に関する双方の意見の相違であって、その見解の相違は双方譲らぬという事実に基いてこの事実があるわけでございますので、この点はいかんともできない状態であるということは御承知願わなければならぬと思います。
#35
○菊池委員 できるできないは別といたしまして、政府に南千島を返還させる要求の意思があるということを国の内外にはっきりさせるためには、当然に主張すべきことを主張しなければならぬ。その主張を主張しないで引っ込めておくということは、南千島要求の意思がないということを国民に認めさせるようなものでありまして、これははなはだ遺憾な態度であると思う。すべからく撤兵を要求すべきである。できるできないはおのずから別問題であります。
#36
○法眼政府委員 日本は主張を変えておりませんからこそ、領土を継続審議するということになっておるわけでございます。日本が領土を継続審議するということを申しておりますことは、すなわち領土問題に対する日本の意見はあくまでも保持する。決して放棄するものではないということを天下に表明しておるわけでございます。かような意味におきまして、去る日ソ交渉及び共同宣言における経緯において十分御了解願いたいと思います。
#37
○菊池委員 撤兵を要求すべきで、領土返還要求の意思があるならば、まず当然なすべき撤兵要求を何ゆえに要求せぬか、その撤兵を要求せぬければ、政府に領土返還要求の意思ありと認めることはできないじゃないか。この点を聞いておるのです。
#38
○法眼政府委員 日本は領土問題に対する態度を変えておらぬ。領土の継続審議をするということの中には、当然にそういったソ連が事実上やっておる行為の改変を求めておるということが入っておるわけでございます。従いましてこの点につきましては、日本の意心は十分に明瞭にしているわけでございます。これは交渉の経緯に照らし、また共同宣言ができるに至ったその際二おける交渉に照らして、きわめて明白なことでございます。
#39
○菊池委員 やっぱり答弁があいまいでほかへはずれてしまっている。撤兵を要求すべきなのになぜ要求せぬか、できるできないはおのずから別問題である。
#40
○法眼政府委員 私が繰り返して申し上げましたことは、領土の継続審議をやっておる、日本の立場を主張しておるということの中には、当然に先方が占領しておることは間違っておるという明白なる意思を含むものでございますから、その点については天下に何ら疑いのないところである、こういうような政府の見解でございます。
#41
○菊池委員 どうもまだ答弁になっていないのですが、仕方がない。それから歯舞、色丹は日本に返ってもこれは軍事基地にしないということをソ連と約束したということでありますが、そういう場合にもし米国が軍事基地にしてもらいたいというて要求しても、これは拒むつもりですかどうですか、この点御答弁願います。
#42
○井上(清)政府委員 歯舞、色丹に関しましてアメリカから軍事基地にしたいという要求がありましても、これはわが国としてはさようなことを応諾する考えは全くございません。
#43
○菊池委員 中ソ同盟条約で、日本を敵国扱いにしておる点、この取り消しをソ連に申し入れるつもりはないかどうか。国連安保理事会の許可なくしても、地域的な強制行動密とり得るようになっておるのがこの中ソ友好同盟条約なのでございます。従ってこれを変えなければ、日本にとりまして非常な不安がある。危険千万でありますが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#44
○井上(清)政府委員 中ソ友好同盟条約に関しましては、これは先方は、この同盟の目的は、日本に向けられたものではないということをしばしば言っております。しかし中ソ同盟条約というものの存在については、十分注意をしていかなければならぬ点とは思いますが、向うは先ほども申しましたように、日本に向けられたものではないということを繰り返しわが国に向って言っておるわけであります。
#45
○菊池委員 終ります。
#46
○野田委員長 次に、日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件、千九百五十三年十月一日にロンドンで署名のため開放された国際砂糖協定を改正する議定書の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府側より提案理由の説明を求めます。井上外務政務次官。
#47
○井上(清)政府委員 ただいま議題となりました日本国とエジプトとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由他説明いたします。
 昭和三十一年三月エジプト政府からわが方に対して文化協定を締結したい旨の申し入れがあり、先方はその後の交渉におきましてもきわめて熱意のあるところを示しましたので、ほどなく案文について意見の一致を見るに至ったのでございますが、同年夏スエズ問題の突発により一時署名を延期するのやむなきに至りました。その後、本年二月にエジプト側より早急に署名を行いたい旨の申し入れがあり、わが方といたしましてもエジプトとの友好親善をはかる上に本協定の締結が有意義であると考えられますので、去る三月二十日カイロにおいて在エジプト土田大使とA・ファッターフ・ハサン・エジプト外務副大臣との間で本協定の署名調印を行なった次第であります。
 本協定は、戦後わが国が締結いたしましたフランス、イタリア、メキシコ・タイとの文化協定または今期国会においてすでに御承認を得ましたドイツ、インドとの文化協定と内容的におおむね同様のものでございまして、両国間の文化交流のための諸種の便宜供与、文化活動の奨励、学者、学生の交換等について規定したものであり、この協定の実施によりエジプトとの文化関係を通じて両国民の間の相互理解が一そう深められ、両国の親善関係の増進に資するところ少くないものと期待されます。
 よって、ここに本協定の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本件につき御承認あらんことを希望いたします。
 次に、千九百五十三年十月一日にロンドンで署名のため開放された国際砂糖協定を改正する議定書の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 わが国は、一九五四年に国際砂糖協定に参加して以来、砂糖輸入国の立場から国際市場における砂糖需給計画の策定に積極的に参加してきたのであります。同協定は、有効期間五カ年でありますが、発効後三年目の一九五六年に改正を行うこととなっておりましたので、国際連合主催による協定改正のための砂糖会議が客年五月にニューヨークで、さらに同年十月にジュネーヴで開催され、わが国も代表を出席せしめたところ、同会議は十一月二日本件議定書を採択いたしました。
 この議定書による改正の結果、わが国が受ける利益のおもなものは、協定に基く輸出国の輸出割当量が増加すること、輸出割当量を調整する価格点の水準が引き下げられること、及びわが国の投票数の増加に伴い砂糖理再会におけるわが国の発言力が強化することであります。
 政府におきましては、右の利点を考慮し、客年十二月十一日にこの議定書に署名いたしました。また、この議定書第四条(1)の規定によりますと、議定書の受諾期限は一応本年一月一日となっておりますが、同日までに受諾を行うことのできない国は、本年七月一日までに議定書を受諾するよう努力する旨の通告をあらかじめ英国政府に行なっておき、その後七月一日までに正式の受諾を行えばよいこととなっておりますので、この規定により、政府は、客年十二月二十四日に右の通告を行なっております。
 よって、この際は、この議定書の受諾について御承認を求める次第であります。
 右の事情を了察せられ、御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。
#48
○野田委員長 これにて提案理由の説明は終りました。ただいまの両件に関する質疑は次会に譲ることといたします。
 次回は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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