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1956/02/28 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
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1956/02/28 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号

#1
第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
昭和三十二年二月二十八日(木曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 菅野和太郎君
   理事 赤澤 正道君 理事 岡  良一君
   理事 志村 茂治君
      小笠 公韶君    小坂善太郎君
      小平 久雄君    南  好雄君
      山口 好一君    岡本 隆一君
      田中 武夫君    滝井 義高君
      原   茂君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 宇田 耕一君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       秋田 大助君
        総理府事務官
        (科学技術庁
        長官官房長)  原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁
        原子力局長)  佐々木義武君
 委員外の出席者
        科学技術庁次長 篠原  登君
        参  考  人
        (原子燃料公社
        理事長)    高橋幸三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四七号)
 科学技術振興対策に関する件
 宇治市に予定される研究用原子炉設置に関する
 問題
    ―――――――――――――
#2
○菅野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取することといたします。宇田国務大臣。
#3
○宇田国務大臣 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法御案について、その趣旨を御説明いたします。
 原子力の平和的利用は、ここ二、三年の間に急速な進展を見つつあり、近く日本原子力研究所においてわが国最初の原子炉が運転を開始し、来年は引き続き第二号炉が設置されんとしておる状況にあります。他方、アイソトープについても、その研究と利用とは急速な発展を遂げ、官民の多数の試験研究機関、事業所等において広範に使用され、わが産業面、医療面、その他において多大の成果が期待されておる次第であります。しかしながら、これら原子力の利用には、一面、ややもすれば放射線の障害というマイナス面を伴いますので、今後原子力の開発の進むに従い、厳重な放射線管理と放射線の障害防止措置を講ずるとともに、放射線による障害の診断、治療等、医学的調査研究の急速なる確立をはかることの必要性が痛感される次第であります。
 従って、政府としては、別途原子炉等の規制に関する法律案――これは仮称であります。――及び、放射性同位原素等の放射線による障害の防止に関する法律案――これも仮称であります。――を、今国会に提案することとし、目下これが準備を急いでおりますが、これとともに、放射線医学に関する総合的調査研究等を行うため、科学技術庁の付属機関として、放射線医学総合研究所を設置することとしたのであります。もともとこのような研究所の設立につきましては、従来、日本学術会議等の要望もありましたので、本案の決定までには、科学技術庁及び原子力委員会において、日本学術会議初め、学界、業界における学識経験者の意見を徴し、慎重にその計画について検討を行なったものであります。
 放射線医学総合研究所は、その所掌業務として、放射線による人体の障害並びにその予防、診断及び治療に関する調査研究を行うことはもちろんでありますが、あわせて放射線の医学的利用並びに放射線による障害防止、及び医学的利用に関係する技術者の養成訓練を行うこととしております。
 なお本研究所は、三カ年計画をもって、茨城県東海村の国有地に新設いたしたい考えでありますが、用地取得の手続等の関係上、最終的結論に至っておりませんので、とりあえず設置場所は政令をもって定めることにいたし、結論を得ますれば、あらためて国会の承認を仰ぐことにいたしたい考えであります。
 以上が科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
#4
○菅野委員長 以上をもちまして、提案理由の説明聴取は終りました。
 本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○菅野委員長 次に、科学技術振興対策に関し、前会に引き続いて、ウラン鉱開発等に関する問題について質疑を行います。
 この際、参考人決定につきましてお諮りいたします。すなわち、本日の議事に関しまして、原子燃料公社理事長高橋幸三郎君を参考人とし、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○菅野委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
#7
○岡委員 先般、本委員会に、宇治に原子炉を設置することの可否につきまして、地元あるいは学界の参考人をお呼びいたしまして、いろいろ御意見を拝聴いたしました。これらの意見に基いて、委員会としても一応考え方を整理すべき必要を感ずるのでありますが、たまたまその委員会において若干の問題が感ぜられましたので、この際、宇田原子力委員会委員長から、責任のある御見解を若干お伺いをいたしたいと思うのであります。
 まず、お伺いをいたしたいことは、今後ともでありますが、関西の大学の人たちが中心となって宇治に原子炉を設置するということは、それは何人が設置するものであろうとも、現段階においては、当然原子力委員会の決定に基いて設置さるべきものと私は信じておるのでありますが、この点についての宇田委員長の御見解を承わりたいと思います。
#8
○宇田国務大臣 お説の通りと思います。
#9
○岡委員 そのことは、いずれ本委員会に付託されます原子炉等の規制に関する法律案によって法制化されることを期待いたしております。
 ところで、先般明らかになったところによれば、文部省の予算の中ではすでに本年度六千数百万円の予算が計上されております。しかも二億数千万円の総予算の中で、いわば年次計画としてすでに予算が計上されておるのであります。そういたしますと、宇治に設置をされるということを前提としての予算と私どもは考えておるのでありますが、原子力委員会といたしましては、いつ宇治に設置するという決定をなさったのでありましょうか。
#10
○宇田国務大臣 原子力委員会は、宇治にこれを設置するということにまだ決定をいたしておりません。それで、この問題は、先般も参考人の方からいろいろの角度から御意見がありましたように、スイミング・プール型というのは日本で初めて置くわけですから、われわれもそれをどこに置くがいいかということについては軽々に決定すべきではない。なお、少しでも疑問点があったら疑問点をただし、そうして万全を期すべきである、こういうように思って、まだそれは原子力委員会にかけられておりません。
#11
○岡委員 そういたしますと、原子力委員会といたしましては、関西原子炉建設準備委員会と申す組織がありまして、昨年来、関西に原子炉を設置することについて、かなり力強く運動をしておられました。私どもは、原子炉ができることはもちろん歓迎いたす立場におりますし、同時にまた、先般の国会においても、学界の自主的な研究ということについては、大幅にこれを認むべきものであるという決議案をも附帯的に添えて、原子力関係法案に対する賛意を表しておるわけであります。しかし、スイミング・プールを作るとか、あるいはそれを関西に置くとかいうようなことが、一体原子力委員会として決定をされておるのか。それにすでにスイミング・プールについての価格についてはある程度までの数字が出ておる、同時にまたどこの会社からこれを買うかということについても、一応の話し合いが進められたという事実もある。そうなって参りますと、原子力委員会が全然関知しない間に、一方においては宇治にスイミング・プールの原子炉が築造されるという事実がどんどん進められて、それに伴う国の予算も計上される、こういうことに相なりますと、これは将来にもわたる大きな先例になると私は思いますので、原子力委員会の権威というものが案ぜられるわけであります。この間の消息について、あるいは国務大臣、また原子力局長あたりから、一つ経過をお伺いし
 たいと思います。
#12
○佐々木政府委員 私から経過を申し上げます。三十一年度の予算に三千万円でございましたか、今期になって予算をつけましたのは、発生はどういう過程かともうしますと、実は三十一年度の予算でございますので、三十年度の末に組んだ大体の予算であります。ところが、原子力委員会ができましたのは、御承知のように、三十一年の一月一日でありまして、その前に予算が編成されつつあったわけであります。ところが、法律に基ぐ原子力委員会ができる前に、御承知のように、内閣には原子力利用準備調査会というものがございまして、時の副総理がその会長になって審議した事項がございます。その際には、閣議決定まではいかなかったのでありますけれども、関係各大臣が委員でありまして、その際決定した事項の中に、関西に大学用の実験炉を置くというふうな決議をしておりましたので、その決議に基きまして、大蔵省といたしましては三十一年度の予算を計上したというふうに理解しております。
 しからば、三十二年度の予算に関しましてはどういう経過かというふうに申し上げますと、今、上程されました予算の経過でございますが、これは実は昨年の九月六日に、原子力委員会といたしまして、原子力開発利用長期基本計画というものを内定してございます。それはもちろん決定ではございません。なぜ決定しなかったかと申しますと、その後議員団、学界あるいは政府の正式のミッション等がそれぞれ海外に調査に参りましたので、その成果を待ちまして、この基本計画をさらに具体的にしたいという意向がございましたので、一応内定というふうなものにいたしまして、この線に沿うてしばらくの間は原子力政策を進めたいというふうにきめたわけであります。その内定した中に、二項目本件に関する事項がございます。一つは方針でございますが、その十三項に、「大学における研究教育用の原子炉については、わが国における原子力の研究の進展に応じてその設置を考慮するものとする」というふうに一項うたっておりまして、そうして、細部の炉の建設計画におきましては、「大学における基礎研究および教育のための原子炉はさしあたり関西方面に一基を設置し」――関西方面に設置するということだけきめております。「その後必要に応じ、漸次考慮するものとする。そのため大学の連合等の正常方法の確立を図るものとする」ということをきめまして、一応それだけの内定を見たわけでございます。この内定に基きまして、その後委員会といたしましては、大学で原子炉を設置する場合には、この了解の上に立って問題を進めてもらいたいということで、正式に文部省の方に文書でもって差し上げております。その文書はどういうものかと申しますと、大学における基礎研究及び教育のための原子炉の設置については、昭和三十一年九月六日内定の原子力開発利用長期基本計画5(2)(ロ)の(h)という、さっき読みました文章ですが、その趣旨に従い、さしあたり関西方面に一基を設置し、大学連合等により運営を行うものとする。ただし、わが国における原子力の研究開発はようやくその緒についたばかりであり、かつまた日本原子力研究所も設立後日浅く、原子炉管理等の諸法制も未制定の現状にかんがみ、本研究用原子炉の所有形式等に関しては、別途検討を加えるものとするというふうに、管理所有形式等はしばらくきめてもらわないで、どういう炉のタイプにするか、それから大学連合で管理するとすればどういう管理の方法がいいのか、こういうものを研究してもらいたいということで、文部省の方にお願いいたしまして、文部省の方ではこの依頼に基きまして、準備委員会というものを文部省の中へ設置したのでございます。そして、これは全国のたしか十大学と思いますが、おもな大学には全部サンプリングを出しまして、一、二回会議を開いて、大体の筋をきめまして、その上でさらに具体的な事項に入るというので、その中に準備委員会というものをさらに設けまして、そしてその準備委員会は湯川さんが委員長になりまして、私どももその委員に入っておりますが、その準備委員会で具体的な炉のタイプあるいは大きさあるいは設置場所等の検討をいたしたいということで、検討を開始したわけであります。その結果、ただいま問題になっております宇治を第一候補にしたい、しかし、これこれの条件がありますという条件は、先般の公聴会の際に十分お聞き取りのことだと思いますので省略いたしますが、そういうことで一応決定というところまでは行っておらなかったのですけれども、第一候補としてはどうだろうかというふうに一応定めたわけでございます。そのきめましたものを実は正式に原子力委員会の方に御報告いただきまして、そして原子力委員会としては、その正式報告を基礎として、さらに単に学問的な分野以外の広範な分野からもいろいろ大所高所の視野から検討いたしまして、そうして、最終的にきめたいというふうに考えておったのでございます。ところがこの委員会の席上に、三回ほど前の委員会かと記憶しておりますが、準備委員長である湯川博士もお見えになりまして、もう一ぺん準備委員会としては検討をいたしてみたいので、その後に正式に原子力委員会としては取り上げて検討していただけないかというお話がございましたので、それではもう一度文部省でやっております準備委員会の審議を待とうじゃないかということで、実は先週開く予定のように記憶しておりますが、それが延びておりまして、まだ実は開いておらないようであります。それで、中間的の報告は原子力委員会として受けてございますけれども、関係者が全部集りまして、正式に政府から一件書類の説明を聞くという段階までまだ立ち至っておりませんので、実は原子力委員会といたしましては、最終的な検討には入っておらぬ状況であります。
#13
○岡委員 原子力委員会としては、最終的な結論にはまだ達しておらない。ところが、一方では、先般この委員会に参考人としてお招きをした方々からいろいろ資料をいただいてございます。そうすれば、まずスイミング・プールを決定した、それに伴うホット・ラボラトリーの設計も全部できた。その他各般の設計ができ上って、そしてまた、もちろんそれに基いての予算要求があったものと考えざるを得ないわけです。しかも、特にまた宇治は火薬庫を敷地とするということでありますから、国有の転用になりまするから、予算面においてはやはり大きな要素にもなっており、参考人の御意見の中にも、宇治を選んだ理由としてそれがあげられておるわけであります。そういうような形で原子力委員会はより多くいわば先行して、一方宇治にスイミング・プールの計画が進められておるという状態、そこに原子力委員会としては結論を出さないが、事実上予算が計上され、建設の計画が進められておる。型も選ばれるというような事態があるわけですね。こういうズレは、私は、今後の先例として原子力の総合的な開発計画という立場からいいましても、非常に遺憾な事態ではないかと思うわけなんです。宇田国務大臣いかがにお考えでございましょうか。
#14
○宇田国務大臣 その点は全く同感であります。今までの報告によりますと、具体的に申し上げますと、何十カ所か候補地があった中で、とりあえず最後までしぼられて残っておるものが宇治と舞鶴であったということを、原子力委員会で内々の内報は受けてあります。しかし、最後の決をどうとるかということについては、その後に宇治に対する水源地の問題で非常に論争が激しくなって、そして、技術的にわれわれの決定をそれほど急がない方がいいだろうというような新しいデータも実はいろいろ聞いたものですから、それで準備委員会としては宇治を希望しておるように見受けられましたけれでも、むしろそういうことに無理に持っていくことによって、将来に不慮の災禍がもし起るようなことがあっては相済まぬからというわけで、文部大臣のところでもう少し研究させてほしい、こういうことになったわけであります。
#15
○岡委員 問題は、ここではっきりさせておきたいことなんですが、原子力委員会は、当面やはり原子力の平和利用を推進するという立場から、たとい大学の自主的な研究は認めるとしても、いかなる炉を選ぶべきかというようなことは、当然原子力委員会の決定にかかわる事項ではないかということ、それからもう一つは、原子力委員会とあのアメリカとの研究協定によれば、炉の購入は授権されたる者ということですから、原子力委員会が何人として指名した者、許可した者がそういう炉の購入について当然当る、あるいはまた内交渉等も進めるべきものではないかと思うのです。そういうふうに、日本の総合的な原子力研究の推進のためには、いかなる炉をきめるべきかというようなことは、原子力委員会の仕事でなければならぬ。これが全然無視されておるのではないか、しかも一方では、すでに購入についての内交渉が進められておる、そうすれば、いわば何ら正式に政府から授権されない者がこういう話を進めている、またそういうことが進められなくては予算の計上というものがないわけなので、現にそういう予算の計上があるということになっておるわけです。そこで問題は、今後何人がいかなる形式の炉を購入すべきかということは、少くとも日本の原子力の平和利用のための総合的な大局的見地から、原子力委員会が決定すべきものであると私は信ずるが、この点の御所信。第二点として、また正規に原子力委員会が授権をした機関が炉の購入等についての内交渉を進めるべきものであって、それ以外なものが他の国との間にそういう話し合いを進めるべきものではないのじゃないかと思うのです。今後の原子力委員会の運営について、この二点について大臣より御所信を承わりたい。
#16
○宇田国務大臣 それは岡委員のおっしゃる通りだと思います。原子力委員会で、原子力委員会の設置法等を勘案して、全部その通りに運ばなければいけないのだと思っております。
#17
○岡委員 この間の席上では、厚生省側、特に水道を所管事項にしておる責任者からは、住民の重要な水の問題との関係において、宇治はやはり妥当ではないのではないかというような御意見があったわけです。一方、文部省側の御意見としては、宇治ということでなるべくならばいきたいという意向があったわけです。それからまた、地元では、京都大学の方と大阪大学の方ではかなり意見が違うというふうに、地元の学界においても、地元の住民を代表する人たちの意見においても、かつはまた政府部内においても、宇治をめぐっては賛否両論があるということです。そういうことから、地元の近畿方面では問題が大きくクローズ・アップされて、新聞でもいろいろ論議をされておるということも聞いておるわけです。こういう紛糾、混乱が起されたということそのことば、やはり原子力委員会がもう少しその権限に立って決断をすべきものはする、そのために必要な周到なる検討を原子力委員会の責任においてやるという手順がなく、一方的に独走したというようなところにあるのじゃないかと私は思うわけなんです。これは済んだことではありますけれども、日本の原子力の平和利用、その開発というものは、当然一生懸命やらなければならぬことでありますが、やはり広島や長崎で大きな犠牲を浴びておるわれわれ日本人とすれば、本能的な恐怖を持っておるわけです。その本能的な恐怖に迎合したり妥協すべきものじゃない、といって、現実にそれがあるということです。それをいかに打開をしていくかということ、こういうところに日本原子力平和利用の重要な一つの問題点があるわけです。原子力委員会としては、宇治に原子炉を設置すべきかいなかという点について、今申し上げましたような観点から今後どういう方針で処理をされるつもりか、具体的な形式的な処理の段取りと、また大臣として後段に申し上げましたような観点において、どういうふうに問題を処理すべきであると思われるか、この二点について大臣から承わりたいと思います。
#18
○宇田国務大臣 この研究用の原子炉の設置の件については、文部省側とわれわれの原子力委員会とで、文書でもって準備委員会に委嘱する範囲はきめてあります。従って、その取りきめました範囲内においての委託事項と申しますか、そういうことは当然原子力委員会は前提として承認をしておるということになるはずであります。その中で、原子炉の型は、熱出力一千キロワットのスイミング・プール型とするとこということが記載をされてあります。従って、その点については準備委員会がそれを希望し、決定する場合には、その線を承認するという前提に立っておると考えます。
 それから設置場所につきましては、一応関西ということになっておりまして、それを宇治に決定するかしないかということの最後の決は、委員会にあらためて協議すべきものである、こう了解いたしおります。それ以外のただいまも仰せられたような原子力の管理については、お話の通りに、原子力委員会が当然取り運ぶべき責任があると思っております。ただいま大学における基礎研究の目的をもって、教育のための原子炉の設置をするという経過にかんがみ、また原子力委員会の発足前からのいろいろの経緯にかんがみまして、これは非常に特殊の異例であると一つお考え願いまして、今後の行政措置等につきましては、全く岡委員のおっしゃることが正しい、原子力委員会が全部責任を持って、そして明確な管理規制をしていくべきものだと私は考えております。
#19
○岡委員 最後に一点、今お尋ねした点なのですが、こうして原子力の施設等が先進国では一種の輸出産業となっておるわけですね。そこでやはり外国のメーカーがセールスマンを日本派遣して、そのセールスマンと日本の民間会社との間に炉の購入等についての契約というふうなものが進められる可能性は十分あるわけです。まあメーカーが来て話をされることは商業の自由ではありましょうけれども、こういう事態が将来起り得るのであるが、これに対して原子力委員会としては、原子炉が設置されたものについての規制は法律によっていたしましても、設置されるに至るまでの、規制というと、語弊があるかもしれませんが、やはり一つの方針というものがあっていいのではないかと思うわけなんです。こういう点について、今後どういう方針でいかれるつもりなのか、原子力委員会としての御方針があったら聞かしていただきたいと思います。
#20
○宇田国務大臣 それは、特に放射線障害等を考えまして、アイソトープの輸入等につきまして、危害予防あるいは身体に対し障害を与える等の場合を考慮して、これは予防措置だけの見地から申しましても、十分な国家規制を講じる必要があると考えます。また、最近の話題になっておる原子力発電等になりますと、放射線による障害のみならず、地震等の場合には非常な不慮の危害が起るおそれがあまりすから、そういう点等も考えまして、外国から原子力発電のリアクターを購入するという場合におきましても、民間の自由な契約に基く売買ということは許されがたいものであって、やはり原子力委員会の決定を尊重して、政府は行政措置を講じるべきものと考えております。
#21
○岡委員 そこで、原子炉等の規制に関する法律または同位原素あるいは放射能の防御に関する法律は、いつごろ御提出になる御予定でございますか。
#22
○佐々木政府委員 同位原素等の障害防止に関する法律に関しましては、各省間の話し合いもつきまして、先般次官会議も要綱を通し、党の方の総務会あるいは科学振興特別委員会等の審議も絡まして、具体的な法律化の過程にあります。これも大体今月一ばいくらいで済みまして、来月の初めから法制局の審議をしていただきたいと考えております。従いまして、法制局の審議さえ済みますれば、おそらく三月のおそくとも中旬以前には出せるのじゃなかろうかというふうに考えております。
 それから、後者の原子炉等規制に関する法律につきましては、ただいま要網の段階で、相当法文化した要綱でございますが、これをもって委員会等の審議を一応終えまして、ただいま関係各省間の折衝に入っております。これが済みますれば、その後所定の手続を経まして、そして、法制局の審議という段階に移るわけでありますけれども、とその方は少しおくれまして、相当膨大な法案でございますので、法制局の審議等も手間取るかと思いますから、あるいは三月の下旬くらいになるのではなかろうかというふうに考えております。
#23
○菅野委員長 田中君。――田中委員に申し上げます。大臣は十一時までの約束でございますので、恐縮ですが、簡潔にお願いいたします。
#24
○田中(武)委員 簡単に今の岡委員の御質問に関連してお伺いしたいと思います。宇治の研究用原子炉設置の問題で、ただいま大臣は文部省に、委託をして云々というようなことをおっしゃったのですが、この点についてもう一度確かめておきたいのです。この宇治の研究用原子炉設置の問題について、原子力委員会それから文部省、関西の準備委員会の関係はどのようになっているのですか。
#25
○宇田国務大臣 設置準備委員会というのは、原子力委員会と文部省との間に交換をした文書がありまして、その交換した文書の中で、原子炉の型及び設置場所の二点につきましては、研究用原子炉設置準備委員会の決定を尊重するという方針であることが書かれてあります。それで、文部省に委託をするというのではなくて、文部省と原子力委員会との往復文書の中で、準備委員会の決定を尊重しようではないかということを両方が相談をいたしております。それで、なぜその相談の中に文部省が入ってきたかというと、大学における基礎研究及び教育のための原子炉の設置ということが、両方が相談し始めた基本的な理由だと思います。それで経過は、原子力委員会のできます前にこの問題が話題になっておって、そして、原子力委員会が生まれると一緒に、文書によって準備委員会の性格というものは両者の合意のものであるということに経過が移ってきた。こういうわけで、準備委員会に依頼することが二点明記されておる、こういうわけであります。従って、原子力委員会はこの経過にかんがみて、文部省のただいままでとってきた経過を、昨年の一月一日以後においては、原子力委員会と協議しなければならぬはずであるということを文書でもって通告をした形だと私は思っております。その文書で通告した場合に、どういうことを条件としての文書であったかというと、設置に対する準備委員会を尊重しようじゃないか、ただし、委員会の権限はこういう点だけにとどめようではないか、こういうことになっております。
#26
○田中(武)委員 もって具体的にお伺いしたいと思います。先日、委員会におきまして、この問題について参考人及び政府委員から意見を聞きました。宇治のこの件につきまして伏見参考人と児玉参考人、文部省の緒方局長、この間に意見を聞いたのですが、同じ準備委員である児玉参考人と伏見参考人の意見に若干食い違いがあるように思っておる。ということは、現在の宇治の問題で地元に大きな反対を起しておる。だから、あらためて検討ができるかどうかということについて、児玉参考人の方はもうできないような陳述をしておった。一方伏見参考人の方は、白紙に戻して云々というような言葉も使われておったと思います。また緒方局長の話では、何だか文部省でそういうことをきめられるような意見のようにも聞かれたわけです。そこで具体的にお伺いしたいのですが、私がどんぴしゃっとお答え願いたいのは、宇治においては御承知のように反対運動もあり、いろいろと反対をいたしておるわけです。それを、この反対にかかわらず、かりに準備委員会の方で決定をした場合に、この決定は最終的な決定であるのか、準備委員会が決定をすれば文部省に報告をする、そうしたら文部省でそのことを決定する権限があるのか、最後には原子力委員会の方に決定権があるのか、こういう点なんです。
#27
○宇田国務大臣 準備委員会には、最後の決定権はございません。最後の決定権は原子力委員会にあります。
#28
○田中(武)委員 それではもう一つ伺いますが、かりに準備委員会が、宇治の反対にもかかわらず設置することに決定して、原子力委員会においてこれは適当でないと認めに場合は、その決定を拒否するだけの権限はあるわけですね。
#29
○宇田国務大臣 あります。
#30
○田中(武)委員 それではもう一度伺いますが、あの大きな反対の一つの原因は、あの宇治が阪神すなわち大阪、尼崎、神戸等の六百万人の水源地になっておるということです。そこで、今後もこういう原子力の研究、発展のためには、このような研究用の原子炉を置く必要があると思いますがそういう場合に、このような水源地をどのように考えておられますか。できるならば水源地のようなところは避けるべきではないかと思っておりますが、大臣はどう思っておりますか。
 それから、時間がありませんから続いてお伺いいたしますが、もう一つは、この原子炉が置かれる場合に、今言ったように、衛生上の見地から、こういう点は十分に考えなければいけないと思いますが、その問題について、学者間にも、大丈夫だというのと、絶対的に保証できないという二つの意見があるわけであります。原子力委員会といたしましては、こういう学者間の意見の対立とは別に、たとえば今問題になっておるようなスイミング・プールについてはこうだというような見解を発表せられる必要もあるのじゃないかと思いますが、それについてどうお考えになっておりますか。
 それからもう一つは、今の宇治の問題については、学者間の意見の対立というものも必ずしもほんとうの科学的なものでなくて、何らかそこに若干問題があるかのように思われるわけでありますが、大臣はこれについてどのような見解を持っておられますか。
#31
○宇田国務大臣 大衆の厚生関係、特に衛生とか放射能による障害防止という点につきましては、初めての炉の設置でありますから、慎重を期さなければならないと思っております。従って、単純に準備委員会がこれを決定いたしましても、必ずしも、それを準備委員会の決定であるからといって、無条件に原子力委員会が無批判に取り上げるということはできないと考えております。特に第一回目の炉の設置については、そういうような点はなお十分に原子力委員会としては配慮すべきものであると考えております。
 それから、原子力委員会独自の見解を発表するかどうかということでございますが、ただいまのところ、それほどの必要な点は見出されておりません。それで、今後の経過にかんがみて、原子力委員会としての独自の見解を発表する必要がある場合には、あらためて考慮したいと思いますが、委員会でただいまその点が論題になって討議したことはございません。私個人としては、ただいまその必要を痛感するような事態には至っておらないと思っております。
 それから、学者間に意見の相違があるということでございますが、それはどの面でも意見というものはあるべきだと思います。そうでなかったら、学問というものは進歩発達しないものだろう、こういうふうに思っております。従って、そういうことはあまり気にしない方がよいと考えております。原子力委員会がありますから、またそこでよく話をまとめるように相談いたしたいと思っております。
#32
○田中(武)委員 最後にもう一つお伺いいたします。先日の参考人の陳述の中にもあったのでありますが、あれは大阪の府会議員でしたか、それから伏見参考人にもあったと思いますが、これは最後は科学的な問題ではなくて、社会的の問題であり、政治的な問題である、こういうような言葉を吐かれておった。そこで、かりに技術的に見て、現在の日本の原子力に対する科学技術から見れば多分大丈夫だといっても、最後までのほんとうの確信が持てるところまではいっていない。しかし、学問的に、科学的に見て大丈夫だとしても、現地その他に反対の機運がまだ濃厚であり、また強い反対をしているときに、これを押しつけることはどうかと思うのです。最終的には原子力委員会においてきめられることになった場合に、かりに現在の日本の知識で、科学的には大丈夫だ、こう思われても、最後はやはり社会的、政治的問題となると思うのです。このような問題について、あくまで科学的に物事を処理せられるか、あるいは政治的、社会的面までも考えられるのか、お伺いしたいと思います。
#33
○宇田国務大臣 それは、原子力委員会の構成をみましても、科学的、技術的なことのわからぬ方もおられるし、それから湯川さんのような、むしろ政治よりは学術理論的な方面の権威の方もおられる。また有澤委員のように経済学方面の権威の方もおられ、それぞれの立場の違ったものが五人で構成いたしておりますから、いろいろの角度の配慮が持ち寄られて、そうして円満を期していけるもの、こういうふうに思っております。
#34
○岡委員 昨日は、国内におけるウラン資源の問題について、赤澤委員、斉藤委員また政府委員等より質疑応答があって、私ども非常に勉強いたしました。そこで、これは佐々木さんに私は原子力基本計画というものとの関連において、国内におけるあるいは国外からのウランその他核分裂物質との関連をお聞きしたいと思うのです。
 そこで、一番初めにお伺いをいたしたいことは、昨年の九月の六日に原子力の開発利用の基本計画が作られた。これは内定ということで発表をされておるわけです。その後、この基本計画については、多少修正を必要とするというような御意見に新聞等を通じて拝見をいたしております。そこでまず第一点は、この原子力基本計画なるものを修正をされるのかどうか、原子力委員会としての現在における態度を承わりたい。
#35
○佐々木政府委員 ただいままでの審議の過程から申し上げますと、この基本計画の全部とはいいませんが、一部は改正する賞悟でおります。
#36
○岡委員 それでは、その改正の具体的な方針はどういうところにあるわけでございますか。
#37
○佐々木政府委員 まだどの条項をどういうふうに変えるというところまでは正確にはきめておりませんけれども、一つの例を取り上げて参りますと、たとえますれば、この前にもお話申し上げましたように、この設置計画では、一応の原子炉の建設計画等は作ってはございますけれども、その後のエネルギー事情等の客観情勢の緊迫に伴いまして、新しい情勢との調整問題等も起きてきておりますので、そういう点も加味して、いろいろこの案の修正というものが問題になってくるのじゃなかろうかというふうに考えます。また同時に、輸入動力炉をとる問題に関しましても、非常にぼんやりとうたってあるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、調査団の成果をもちまして、その成果をこの基本計画に織り込んでいくというふうな建前をとっておりますので、そういう点も具体的に変ってくるのじゃなかろうかと考えております。
#38
○岡委員 そういたしますと、基本的には、わが国のエネルギーの需給の実情を勘案して、営業用の動力炉の輸入は急がねばならないというようなことがこの基本計画の修正の中で大きな一つのめどになる、こういうふうに理解してよろしいわけです。
#39
○佐々木政府委員 必ず急ぐという結論にはただいままではなっておりません。ですが、五年後に輸入動力実験炉を導入いたしまして、それを基礎にして、その後国産炉に進んでいくという考え方が果して今の情勢上妥当なのか、あるいは引き続いて輸入して、その上で次第に国産化に切りかえながら国産炉に向っていく方がいいかどうかというようなことは、まだ日本の技術の水準等も考えなければならぬ点もございますので、そういう点も加味しながら考えたいということで、エネルギー事情が現実に切迫しているから、すぐそれに即応してこの計画をどしどし変えていくという短兵急な考え方は、ただいま持っておりません。
#40
○岡委員 さしあたってのこの計画のめどと申しますか、一つの山として、昭和三十四年には天然ウラン・重水の国産炉を建設する、この方針は現在のところ堅持しておりますか。
#41
○佐々木政府委員 全然変っておりません。
#42
○岡委員 そこで、そのような国産炉を建設するだけの態勢は、もちろん今後の努力の問題でありますが、昭和三十四年といえば明後年であります。この態勢は十分整えられ得るという確信を持っておられますか。
#43
○佐々木政府委員 これはいろいろなファクターから検討を要する問題でございますけれども、ただいまのところでは、設計の問題あるいは所要資材の問題等は、過去二年、三年等の経験上、相当集積して参りましたので、これを再修正いたしますと、必ずや所期の期間にこの炉の建設が可能でなかろうかと考えます。ただ問題は、やはり燃料が非常に問題になろうかと思います。この点は、原参子力燃料公社の理事長高橋さんから昨日お話のありました通り、ぜひこれに間に合うように必要な燃料は国産したいということで、むしろ問題の重点はそちらにあるのじゃなかろうかというような感じがしておりまして、そちらの方を促進したいと考えております。
#44
○岡委員 私も実はその点を懸念をいたしておるわけなんです。金属材料なり設計なり、また運転の技術なり、それぞれそうした技術分野の問題は、これはある程度まで努力が解決してくれる。しかし、国内において名実ともに国産炉として、国内における天然ウランをこの国産炉に供給し得るだけの産出が見込まれるかどうかというところに問題がかかっていると思うわけです。この点は高橋理事長のお見込みといたしまして、今日までのいろいろな探査の結果として、どういうふうなお見込みでございましょうか。
#45
○高橋参考人 ただいまの御質問に対しては、昨日もこの席でお答え申し上げましたことを繰り返すわけでございますが、当初、先ほどの基本計画に基いた三十四年度の国産炉に対して、名実ともに、燃料も含めて国産をわれわれは考えたわけでございます。幸いただいま探鉱中の人形峠の鉱帯調査もだんだん進んで参りまして、ただいままでの結果では、相当期待されるものがあり得るということもだんだんと実際に調査した結果があがって参りましたので、その点われわれは非常にほがらかな気分でおります。ただ、あの鉱石の性質は普通の海外の鉱石などと非常に逢いまして、品位は悪いし、鉱帯の状態も採鉱に問題がありますし、その点は、われわれ技術者としては慎重に、一つこれを最も効果的な、最もむだのないような方法でやりたいという考えで、今とりあえずその準備を進めております。一方、三十二年度のわれわれの事業に対する予算の裏づけというものは、数字的に約十億をこす予算が見込まれておりますけれども、そのうち精練関係は約六割、六億組んであります。しかし、そのうち約四億というものは三十二年度の財政負担額になっておりまして、三十三年度にならなければこれが実際に使えない、こういう事情でございます。そうしますと三十二年度、つまりこれから新たに始まる年度内にはその金は使えない。すなわちそれは精練、つまり国産のウラン鉱を処理するための設備の改良でありますので、その点が一年ずれるという現実の状態でございます。従って、三十四年度の国産炉に間に合うような国産のウラン鉱を作り出すということは、今のところ一年ずれたという結果になっております。しかし、国産のウラン鉱といいますが、われわれの目的は精練技術の確立ということに非常に重点を置いておりますので、全部が全部みな国産でいかなくとも、一部は海外の鉱石を輸入する。海外の鉱石と申しましても山から掘り出した鉱石でなしに、つまり一応抽出工程を経た、いわゆる粗製練とわれわれがよく呼んでいますが、それによってできた中間品を海外から輸入して、そしてそれを基礎にした精練方法、つまり精製、還元、溶解工程を中間から始めていっても最後の金属ウランができるのでございます。それで、国産ウランは極力急ぎますが、しかし三十四年度に間に合わなくとも、海外の輸入鉱石によって、国産の技術において、現実にわれわれの力によって、われわれの設備によって得た金属ウランを国産炉に使いたいというふうな方針で、ただいま徐々に準備を進めておるわけでございます。国会の方でも、またいろいろ御討議があると思いますが、ぞひそういう方針でわれわれの仕事を一つ御指導願うようにお願いしたいと思います。
#46
○岡委員 私ども何も国産という言葉にとらわれるわけでもありませんけれども、なろうことなら、やはり原料の鉱石についてもまた精練の技術もすべてが国産ということになれば、これは日本もいろいろな意味で原子力平和利用の推進を世界に示すことになりますので、そうありたいと思うわけです。そういう意味で、御希望の数字につきましては、私どももできるだけの御協力はしたいと思っております。
 そこで原子力の基本計画を見ると、いわゆる日本の国内におけるウラン資源については、十分安心できる鉱山が持てないということから、やはりいわゆる増殖炉という方向に原子力の発展を持っていきたいという希望が強く出ておるわけですが、国内のトリウムの資源、これについてはどういうような現状でございますか。
#47
○高橋参考人 お話の通り、私どもも将来は増殖炉に対して非常に期待を持っておりますが、ただいまのところ、現実にはまだその実行の段階に入っていないという現状にあります。しかし、将来必ずそういう事態が来るだろうということを予想しまして、私どもといたしましてもトリウム資源に対しては非常に関心を持っております。国内の現状は、トリウムに対する具体的な探鉱なり採鉱の計画はまだ何も聞いておりません。われわれもまたやっておりません。しかし、資源的に見た場合に、ペグマタイト鉱床という、これは一種のウラン鉱床でありまして、特殊な鉱体ですが、それにはウランももちろん入っておりますが、それに増してトリウムが多いのであります。われわれ今までいろいろ調査しておりますと、約三倍に近いトリウムがウランのほかに入っておるのであります。それで、ただいまのところ、ペグマタイト鉱床に対しての研究は地質調査所が担当しております。それからさらにその。ペグマタイト鉱の製練方面の現実の研究は資源技術研究所の方でやることになっておりますので、その方にも今年の予算は相当見込まれておるはずであります。それからまた政府の方から研究の依頼を受けておる三菱の鉱業研究所においても、そういうペグマタイト、国産のウラン鉱の研究を三十一年度から引き続いて研究することに現在なっておるはずでございます。また海外の方、われわれの方で当局の御依頼で調査に行きました南方諸国においても、トリウムは相当将来期待できるというふうに私どもは考えております。ですから、もし将来トリウムが現に手に入るという機会がありますれば、われわれとしては見のがすことなく、一応そのトリウムの資源は確保しよう。そういう意味で、予算にもその買鉱の資金が幾分計上されておるわけでございます。
#48
○岡委員 原子力委員会としては、トリウムの探鉱とかそういう方面については、現在どういう御方針ですか。
#49
○佐々木政府委員 トリウムに関しましては、ただいま高橋理事長からお話があった通りでございまして、三十二年度の予算にも買鉱費等の予算を計上し、同時にまた調査におきましても、概査、精査を問わず、ウラン同様、トリウムに関しても調査して参りたい、そういう方針で進んでおります。
#50
○岡委員 先般、原委員の御質問の際の宇田国務大臣の御返答の中に、かつて中国の東北地方においてウラン資源等の調査があったというようなことがあったように思います。何かそういうふうな資料があるのでございましょうか。
#51
○高橋参考人 ただいまの質問はトリウムに関してですか。
#52
○岡委員 ウランであります。
#53
○高橋参考人 中国については、私ども何ら資料を持っておりませんし、それについての詳しい情報は何も聞いおりません。
#54
○岡委員 原料の問題になるわけでごさいましょうが、今度研究協定の改訂ということが原子力委員会で問題になっております。あれはどういう具体的な要求をわが方として出しておるのですか、何の必要でなされるのか。そうしてまたその交渉の経過、見通し、こういう点を全般的にお伺いしたい。
#55
○佐々木政府委員 原子力協定の改訂の必要は四点ございまして、一つは、濃縮ウランはただいまのところでは六キロ以上はもらえないことになっておったのでありますが、これを十二キロまで拡張いたしまして、そうして大学等の原子炉に必要な濃縮ウランもまかないたいというのが第一点でございます。それから第二点は、プルトニウムあるいはウラン二三三でありますか、そういうものを少量試験用に日本へ譲ってもよろしいという向うからの申し出がございまして、これを確保するためには、どうしても昨年締結いたしました原子力協定では不十分でございますので、そういう条文を入れたいというのが第二点であります。第三点は免責条項の問題でございまして、免責条項はアメリカの対日本の条約を結んだ以後にドイツその他数カ国との協定を見ますと協定本文に載せておりまして、細目協定では扱っておりません。ところが、わが方では、本文にこれが載っておらない関係上、細目協定に譲られております。ただ細目協定は、本来であれば、事の性質上行政協定でありますので、国会の批准等は要しないのが本来の建前でありますが、免責条項が入っておる関係上、どうしても不確定債権あるいは債務等が発生するおそれもございますので、わが方の財政法との関係から、細目協定といえども、国会の批准を要するというふうな建前になっておりましたので、それをほかの国と同様本文に入れまして、そうして以後の細目協定は行政協定でやっていきたいという必要上、免責条項を本文に入れたいというのが第三点でございます。第四点は、従来の協定では、貸与という形式になっておると思いますけれども、この濃縮ウランの貸与の形式を、できますれば売却に変えていただきたい。なぜかと申しますと、売却に変えることによりまして、一つはウエーストの処理を、こちらに必要なものに限っては――もちろん平和目的に限定するということは当然でございますけれども、研究に必要なものはこちらで研究できるようにしたい。従来の条文でありますと、原則といたしましては、手を触れないで全部本国に返せということになっておったのでありますけれども、そうなりますと、わが方で研究自体に非常に不便を感じますので、これをこちらに残したいということと、もう一つは、できますればウエーストを向うへ返したあとで、できますプルトニウムその他のものに関しましては、日本で必要なものはこちらに買い戻すと申しますか、返してもらうというふうな意味もかね合せまして、貸与から売却に切りかえたいという四点がこの改正の主たる目的でございます。
 経過を申し上げますと、そういう目的をもちましてアメリカ側に申し入れたのでございますが、アメリカ側では、最後の売却の点につきましては、これをもし売却という本来の線で考えて参りますと、ちょうど去年の十一月大統領声明がありまして、その大統領声明の中には、研究協定は原則として貸与ということになっておりますが、その原則を一部例外を作るという建前になって、どうしてもそういう際にはいわゆる一般協定に近いような条文内容になってくる。そうなりますと、アメリカ国内の手続上、国会の承認その他非常に時間のかかることになるのだが、それでよろしいかという向うからの注意事項がございましたので、こちらでいろいろ審議した結果、とにかくできるだけ向うでも努力していただいて、そしてこちらの国会も通りますような手順のできますような時間的な余裕を見て、そうして原案を早く作成していただきたいということで、最初、原子力委員会としては態度をきめまして、向うへ申し入れをしたわけであります。アメリカ側といたしましては、こちら側の申し入れを受け取りまして、ただいま原案を作成中ということでございます。
#56
○岡委員 そういたしますと、大体わが方の要求の骨子はわかりましたが、これはやはり研究協定という形で可能なことでございましょうか、あるいはまたそういうアメリカとの双務協定で、今、日本側が要求をしているような内容を持った双務協定というものが事例としてあるでございますか。
#57
○佐々木政府委員 研究協定で売却という事例は、米国と各国の間の従来の経験からございません。研究協定は、原則として貸与というのが建前のようになっております。従いまして、先ほど申しましたような売却という条件を入れますと、あるいは非常に時間的にはむずかしい状況に立たされる懸念もございますので、それこれ合せまして、できるだけ早く原案を見せてもらいたいということで、催促いたしております。
#58
○岡委員 そういたしますと、たとえば第一段の濃縮ウランを十二キログラムということに増量をする。同時にまた、それはわが方へ売却をすることになるというようなことが改訂の結果としてもしでき上るとすれば、そのこと自体がもうすでにいわゆるアメリカとフランスあたりの動力協定と大体同じようなものになるのじゃないですか。
#59
○佐々木政府委員 動力協定には、数量の制限はございません。ただし、この研究協定には、最高十二キロという限度がありまして、これはやはり去年の十一月の大統領声明にも載っております。従いまして、研究協定の範囲、十二キロという範囲では、動力の問題など思いもよらないような格好でございますので、あくまでも研究に回したいというふうに思っております。
#60
○岡委員 資料を見ると、フランスは濃縮ウランを大体四十キログラムですね。それからベルギーあたりは、濃縮ウラン五百キログラムというふうに数量の制限があるのです。でありますから、かりに一応研究協定の名のもとに十二キログラムの濃縮ウランを受け入れる。しかもそれを売却という形で受け入れるということになれば、さらに今度は動力炉を輸入する、この運転に必要な燃料ということになれば、これはただ十二キログラムを四十キログラムなり五百キログラムなり数字だけ入れかえて双方の国会で批准を得れば、これは直ちに動力協定という効果を事実上持つということになるのではないですか。
#61
○佐々木政府委員 必ずしもそうでないのでありまして、たとえば動力協定の場合には、ウェーストの処理等は非常に大量になって参ります。研究協定の範囲内でありますと、せいぜい十二キロのものから出てきますウェーストでありますから、数量はごく握れるような数量でございますけれども、動力協定になって参りますとそうではございません。そこで、その処理の問題等に関しましてどういうふうな差異が出てくるかと申しますと、向うでは、その処理はアメリカの指定する工場というふうになりまして、処理工場の指定等の問題が起きて参ります。ただし、研究協定の間では、そういう工場の指定といったような問題までは発展しなくて、せいぜいこちらの必要な研究の分だけはこちらで確保する、残りは、こちらでまだ処理工場等がないわけでありますので、本国へ返して、そうしてその処理した結果をこちらにちょうだいしたいというような格好になっております。そういうところが非常に重要な点でございますが、大きい差異が出てくるだろうというふうに考えております。
#62
○岡委員 動力協定と研究協定との間は、今、御指摘のように量の問題で違ってくる。その次は特許権の問題がおそらく起ってくるのではないかと思います。その次にはウェーストの処理、いわば、そういうようなものがプラスされれば、それで動力協定というものになる、そういうふうなものでございますか。
#63
○佐々木政府委員 まだ動力協定なるものの成文は公式にはちょうだいいたしておりませんが、動力協定という名はついておりません。一般協定ということでありまして、研究もできますれば、情報交換もできる、あるいは動力の燃料その他も補給できるというふうに、非常に多目的な意味合いを持ちました協定の内容になっておるようでございます。従いまして、動力協定と申しますか一般協定になりますと、必ずしも今まで研究協定で限られました範囲じゃなくて、もう少し深い範囲に入ってくるだろう。たとえば情報交換と申しましても、今までの範囲ではこちらでちょうだいした燃料で運転して、その成果を報告するというようなことになっておりますけれども、動力協定、一般協定等になりますれば、向うからも積極的な情報を出してくる。従って向うに人が行きまして、具体的に工場等に入っていろいろ研究するといったようなことも可能になってくるのではなかろうか、もう少し範囲の広い研究ができるというふうなことになろうかと思います。
#64
○岡委員 これは先般も資料としてお願いをしたのですが、アメリカ側が日本側に内示したいわゆる一般協定の草案というものがあるはずですね。あれはやはりわれわれも十分資料として検討しなければならぬのじゃないかと思うのですが、なぜあれは提出していただけないのですか。
#65
○佐々木政府委員 実は、まだ正式にアメリカ政府から日本政府に対して交付を受けたものではないのでありまして、石川ミッションが参りました際に、向うのコミッティの一員から参考までにちようだいしたものでございますので、まだ正式なものとしてこれをお見せする段階にはなっておらない状況でございますので、お出ししないというようなことになっております。
#66
○岡委員 これは、原子力産業会議がすでに法制委員会というものを作って、そしてアメリカとフランス、アメリカとオランダ、そしてまたアメリカと日本との間にアメリカの草案として提示されたものを、三者比較しながら、相当研究しているのですよ。そういうわけですから、そう秘密なものでもないんじゃないか。少くともあなた方の方では、原子力産業会議の方に見せておられるわけです。だから、やはり委員会にもこういうものは一応の参考の資料として御提示になって、別に秘密外交というようなことを事新しく言うわけじゃありませんけれども、やはり公明にわれわれの勉強の資料にしていただくというようなお取扱いが、適当ではないかと思います。
#67
○佐々木政府委員 お説の通りだと思います。ただ、産業会議でお出しになっている資料は、私はまだ見ておりませんけれども、おそらくは、一番初めのお話し合いと申しますか、石川ミッションが参りましていろいろ私的に懇談をなさっておりますが、その懇談をする前の資料で、向うでもまだ全然自信がないと申しますか、米国の原子力委員会としてのほんの素案中の素案という程度のものじゃなかろうかと私ども想像するのでございますが、産業会議で入手した範囲のものであれば、あるいはお出ししてもいいのではなかろうかと考えます。しかし、それはあくまでも一番初めの初歩の程度のものでございます。その後、私的懇談の結果、だいぶ変った節もございますので、そこの点はこれが最終だという段階に達しておりませんし、向うからこれでどうだという公式な政府対政府の文書というものも受けておらないというような状況でありますので、お出しできないというふうに申し上げておる次第であります。
#68
○岡委員 産業会議の法制委員会の報告書を見ますと、昨年の十月にアメリカから動力協定草案が非公式に提案されておるというように書いてあるわけですから、これが新しいものか古いものか私はよく存じませんけれども、法制委員会というものを作って、岩田宙造さんが委員長になって、ずいぶん各国の立法例等を比較しながら、かなり精微な研究の報告があるわけです。そういう意味ですから、せめてこういう程度のものでも私はやはり御提示になるべきじゃないかと思うのです。
 それから、この間、石川さんもお見えになった席上で、私、念を押したのですが、どうもはっきりしなかったので、これは局長が一番御存じのことと思うのでお伺いしておきたいと思うのです。かりに動力炉を入れた場合において、原料の確保にどの程度の確信があるかということなんです。先般ニコルズさんと宇田さんがお会いになったということですが、そのときのお話が、原子力委員会でも議事録にとどめられておるのを拝見いたしました。原料については心配は要らないといっておるわけです。ただしかし、アメリカの大統領は、海外に放出する濃縮ウランは二万キロと言っておる。そうして、それを今八基ですか、試験的な動力炉の設計が済んで、その一基はすでに完成をしておるという事情のようですが、このアメリカの国内の実験炉についても、大体三千キロくらい要るということが情報として伝えられておるようなわけであります。これは日本だけでもありませんので、国外に相当動力炉ができるということになると、濃縮ウラン二万キロが国外に放出されたということだけでは、濃縮ウランを原料とする動力炉をもらってもなかなか追っつかない。もちろん売った以上、燃料についての保証はするでありましょうけれども、しかし、燃料供給のことで、いつもわれわれが非常にへりくだった立場に立たなければならないという事態が起るのではないかと考えるわけです。国際原子力機関に提供するものも二万キロのワク内だ、こういうふうにも申しておるようであります。そういうことになりますと、いわゆるヤンキー型十四万キロワットなどというものが、やはり燃料を、一度だけでなくて相当挿入しかえていかなければならぬというような事情にもなりますと、動力炉を輸入したという場合を仮定した場合、アメリカからの原料としての濃縮ウラン提供について、果してあなたの方でどの程度の確信を持っておられるかということについて、お伺いいたしたいと思います。
#69
○佐々木政府委員 御承知のように、原子力協定と申しますものの本質は、軍事目的に使わないとか、あるいは安全保障とか、いろいろの問題がございますけれども、最も中心になるのは、燃料の管理補給の問題でございます。従いまして、この動力協定を結ぶ際には、必ずその数量と今後の計画等が基礎になってくると思います。ただ、それがなければ動力協定は結べぬのかと申しますと、決してそうではないのでありまして、動力協定を結んでおいて、その後に必要なものは向うに具体的な計画を申し出るというふうな建前になっております。なってはおります。が、もちろん一般協定を結ぶのには、濃縮ウランの入手が一番の目的でありますので、結んでも何ら実益がないというような見通しで結ぶわけではございません。その点は、当然アメリカ側と十分下話をいたしまして、必要なものは供給するというふうな見通しの上に立って、一般協定を結ぶことになろうと思います。
#70
○岡委員 ただ一応の協定は結んだとしても、そのつど原料の入手の問題で、日本がいわば従属的な立場に置かれることは、日本の現状としてやむを得ないのではないかと思いますが、そういう点が私の一番気がかりな点であります。
 それから、英国のいわゆるコールダーホール改良型と申しましょうか、動力炉としては特にこの方がいいのではないかという御意見も報告の中にあるようでございます。これも、あの報告書を見ると、天然ウランの供給については、英国は保証をしておるとあります。しかし、実際英国の島では決して天然ウランはないわけで、他国の供給に待つ。ところが、仏領コンゴーにしましても、カナダの天然ウランにいたしましても、アメリカを含めた一つの供給に関する取りきめがあるわけです。ですから、英国が軍事用に使うとか、国内の平和目的に使うというときには、この協定の取りきめに基いての供給は期待できる。しかし、今度は英国が他国に原子炉を出すという場合に、この取りきめのワク内では、英国として日本に天然ウランを供給する操作の道がないわけです。こういう点にも一つ気がかりがあるわけですが、最近カナダ等との天然ウランについての問題も話題に上っております。これは英国型を輸入した場合には、その点原料の保証にどういう程度のものがあるのか、あるいはカナダとの関係はどういうことになっておりますか。
#71
○佐々木政府委員 英国から原子炉を買います際には、その天然ウランのとりかえ等に対する補給等についてもやはり協定が必要でありました、これはこちらへ不自由をかけることはもちろんないと存じますが、その天然ウランを供給するリソース、根源がどこから出てくるかという点に関しましては、もちろん今度のミッションではそこまで詰めておりません。しかし、御承知のように、コンゴ一等に関しましては英米白三国で協定を結んでおりますし、カナダのウランに関しましても同様かと思います。ただ、必ずしも英国はその二国に限ったわけではございませんので、御承知のように、オーストラリアあるいは。ポルトガル等、特にポルトガルでは大へんな富鉱が発見されて、その開発等は一部英国でやっておるような状況でございまして、そういうリソースは必ずしもカナダあるいはコンゴーに限ったものじゃないのではなかろうかという感じもいたしますので、どこのウランかというところまでこちらで突き詰めぬでも、向うで保証をさえはっきりしていただければ、非常に手広くやっておる国でありますので、安心して一応いけるものであろうというふうに考えます。
#72
○岡委員 世界のどこかにあるということ、そしてどんどん開発しているから、ますますあるであろうということは言えると思うのです。しかし、ものがものだけに、単に英国から天然ウランを供給してくれるだろうという一札をもらっただけではなく、そういう場合は、ポルトガルならポルトガル、あるいはオーストラリアならオーストラリアと、政府と政府との間の、やはり天然ウランの供給に関する取りきめぐらいの保証がなくては、四百何十億のコールダーホールの改良型を入れて運転するわけにはいきますまいと思いますが、そういう点については何かお考えがありますか。
#73
○佐々木政府委員 オーストラリアの天然ウランに関しましては、これは英国と一体の国でございますから、英国とオーストラリアの話し合いで、向うから出すとすれば、供給できるんじゃなかろうかというふうに考えます。ポルトガルに関しましては、英国との国際的な関係は私はよく存じ上げておりませんが、いずれにいたしましても、たとえば日本のオーストラリアあるいは日本とポルトガルというふうな双務協定がなければ、英国から天然ウランをもらえないというふうな性格のものでなく、英国が供給する際には、カナダあるいはコンゴーその他の、自分のある程度支配できますその中からこちらの方に供給するという責任を向うで持って下さいますはずでございますので、その点は英国との双務協定で、国対国の話で、しかも保証するということになっておりますので、そこまでは詰めぬでもやっていけるんじゃなかろうかというような感じを私は持っておるわけであります。
#74
○岡委員 何しろ原料の問題は一番焦眉の問題でもありますし、一番肝心かなめの問題でもありますので、それが他の国との間で大きく制約を受けなければならぬような立場に置かれたくはないし、そういう意味で、やはり国と国との間で、ポルトガルならポルトガルと、、どこの国とでも協定を持って、天然ウランの供給を確保するというぐらいは、責任ある当局としては考えられ、また進めらるべきではないかと思うのです。
 それはそうといたしまして、原料の問題と関連して、そういうわけで、日本もウラン資源については十分確信を持てない、トリウムもない、一方原子力の平和利用が、いわゆる核融合反応というようなことで、これも高温から常温へというふうな方向に、新聞紙等の報道では、進んでおります。日本の素粒子グループというのもかなり学問的なレベルが高いものということに私は承わっているのですが、そういうふうな新しい着眼が当然必要になってくるのではなかろうかと思うわけです。かつ日本には学問的な基礎として高い水準があるとすれば、原子力委員会あたり、こういう問題をやはり基本計画の中で、まだ具体的にどうというわけではありませんが、構想としては、それぞれお考えの向きがあるんじゃないかと思いますが、その辺のところはどういうことになっておりますか。
#75
○佐々木政府委員 その点は、非常に日本のような資源のない国では重要な問題でありまして、先般も核融合関係を研究しておいでになる各大学の最もすぐれた学者のお方たちにお集まりいただきまして、湯川委員が中心になりまして、各大学等で進めております段階あるいは進み方等をいろいろ御披露いただきまして、今後の連絡あるいは研究方法等、それぞれディスカッションしたのであります。その会議の次第によりまして、今後この問題をさらにまとめ上げて、緊密な各般の連絡をとりながら進めていきたいというふうに申し合せができている次第であります。従いまして、従来分散的であったと申しますか、そういうものを、総合的な関連を持ちながら有機的に問題を進めるところまで、ほぼ緒につきつつあるというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
#76
○岡委員 そういう見通しの上に立ってということになれば、やはり今年度予算その他で、そういう問題の研究を推進し、あるいは実用化に持っていこうという意図のもとにおける予算的な助成措置というようなことも必要じゃないかと思うのですが、原子力関係予算の中には、そういうものはないのでございますか。
#77
○佐々木政府委員 原子炉予算の中には実はないのでありますが、原子力研究所の中に、そういう中心的な人間と申しますか、要員を作りまして、そうして、研究所の研究の重要な一ブランチとして、今後各般の方と連絡をとりながら進んでいきたい。そのためには研究所の費用の一部をさくもやぶさかでないというふうな計画で進めております。
#78
○岡委員 それから、原料と関連して、国際原子力機関ができる、これと双務協定との関係なんですが、特にこれを原料供給の確保という問題をめぐって考えてみまして、双務協定というものと、国際原子力機関に日本が加入した場合、いろいろ問題があるんじゃないかというような気がするのですが、私どもも結論を持っておるわけではありませんが、国際原子力機関ができる、そこへ通報する、査察を受けるというようなことになるわけです。双務協定でもそれを受けるわけです。かりに研究協定の段階ならようございますが、動力協定、一般協定の段階になりますと、アメリカと日本との間の動力に関する一般協定の中では、秘密資料の通報はない――ないといたしましよう。しかし、来ているものは、やはり秘密資料に基いて設計をされ、また構築をきれたものであるわけですね。あるいは原料もそうだと思う。そういう場合、これをアメリカが査察をする、アメリカに通報をするということで、双務協定ならいくわけです。日本が国際原子力機関に入れば、原子力機関にまた通報しなければならないし、査察を受けなければならないということになる。そこにいわゆる二つの国の双務協定と、国際原子力機関というものとの関係が、いわば一つの日本の自主的な開発を阻害するような要因がそこに生まれてくるんじゃないか、いわば、日本の立場としては、国際原子力機関というものが、もっともっと、現在の制限を越えて、そうして国際的に原子力平和利用の推進をはかる、そのための技術なり資料なり、あるいけ原料なり施設というものを普及していこう、日本も理事国として加わっていく、そういう方向に努力する。一方おひざ元の日本が、アメリカとの間に一般協定を結んで、あるいは動力協定を結んでいく。そうすると、相手国としては、かりにアメリカならアメリカとすれば――原子力機関といえばだれが来るかわかりません。フランスが来るかもわからない。ソビエトが来るかもわかりません。そういう者が来て、日本に運転をされている現状を査察する、その通報を入手するというようなことになってくると、アメリカの国内法における機密保護との関連で、日本が国際原子力機構に参加しながら、一方また他の国と一般協定あるいは双務協定を結ぶと、そこに大きな摩擦が起ってくる。こういうような懸念を私は感じておるわけです。これは今後の問題ではありましょうけれども、そういうところから、おのずから原料の問題なんかで制約を受けてくるような事態が起ってくるというようなことも思われるわけです。そういう点について、あなた方の方で何らか一定した御見解を持っておられるでしょうか。
#79
○佐々木政府委員 国連の機関と双務協定との関連を今後どういうふうに持っていくかという問題でありますが、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、それぞれの条項を照し合せながら、相互の関連がどういうふうになっていくかということをただいませっかく研究中でございます。ただ、双務協定でありましても、最近国連の機関ができた以後の動向から察知いたしますと、両国の間で国連の規定をどういうふうに準用するか、あるいは効果が失効した場合には、安全保障問題なり、デリゲーションの問題は、国連等に依頼するかしないかといったようないろいろ関連問題を視定の中に織り込んで、そうして、相互の機関がそれぞれ連絡をとりながら進めるような格好になっているのでございますので、その点をあわせてただいま研究中でございます。
#80
○岡委員 この問題は今後の日本の原子力開発の推進に重要な問題でありますので、国連の国際原子力機構の規約、そして、それと双務協定とのいろいろな関連等について、広く文献等をも抄録せられた資料を御提出願って、委員会としてもいろいろ皆さんと御意見を交換したいと思います。以上で私の質問を終ります。
#81
○菅野委員長 ほかに御質疑はありませんか。――なければ、本日はこの程度にとどめます。
 次会は明三月一日、午前十時より理事会を、十時三十分より委員会を開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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