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1956/03/07 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
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1956/03/07 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号

#1
第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
昭和三十二年三月七日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 菅野和太郎君
   理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君
   理事 齋藤 憲三君 理事 中曽根康弘君
   理事 前田 正男君 理事 岡  良一君
   理事 志村 茂治君
      小笠 公韶君    小平 久雄君
      保科善四郎君    山口 好一君
      田中 武夫君    中崎  敏君
      原   茂君    松前 重義君
      石野 久男君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府技官
        (科学技術庁調
        査普及局長)  三輪 大作君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      緒方 信一君
 委員外の出席者
        科学技術庁次長 篠原  登君
        参  考  人
        (経済団体連合
        会理事)    池田龜三郎君
        参  考  人
        (科学技術審議
        会情報部会長) 中原 延平君
    ―――――――――――――
三月七日
 委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
 中崎敏君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本科学技術情報センター法案(内閣提出第六
 一号)
    ―――――――――――――
#2
○菅野委員長 これより会議を開きます。
 日本科学技術情報センター法案を議題といたします。
 本日は参考人より意見を聴取することといたしますが、御出席の参考人は、三菱油化株式会社社長、経済団体連合会理事池田穂三郎君、東亜燃料株式会社社長、科学技術審議会情報部会長中原延応平君、以上二名の方々であります。
 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中にもかかわらず、本委員会の法律案審査のためにわざわざ御出席を賜わり、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。日本科学技術情報センター法案は、技術の革新をはかるために、内外の科学技術情報を迅速にかつ的確に収集し、これを各般の需要にこたえて提供する情報活動を推進するところの国家的機関を設ける必要があるとして提出せられたのであります。本委員会といたしましては、本案審査に当りまして、特に、日ごろからこれらの問題につきまして研究し、造詣の深い参考人各位の御意見を承わり、本案審査の参考にいたしたいと存ずる次第であります。何とぞ忌憚のない御意見の御開陳を願いたいと思います。なお、参考人の御陳述は一人約二十分程度とし、あとは委員諸君の質疑によりお答えを願いたいと思いますので、さよう御了承を願います。
 それでは、池田参考人。
#3
○池田参考人 御指名によりまして参りましたのですが、特に科学技術情報センターの必要性は今あらためて申し上げるほどのこともないので、むしろ、私どもといたしましては、こういった国家的な、中枢的な機関の設置が非常におそ過ぎたという感じを持ちます。大体、この法律案なんか見ましても、私どもが期待しますスケールから申しますと非常に小さ過ぎるもので、もっと大きなものであってほしいということを痛感ずるものであります。しかし、また、国家財政そのほかいろいろな関係もございまして、おそくて、スケールははなはだ満足できかねますけれども、とにかく、今度こういう法案ができまして論議されて、やがて成立することと思いますが、これができたことは、一応これで私ども非常に満足する次第でございますが、ただこれがりっぱに生まれて大きく育っていくことを念願してやまない次第であります。
 この問題につきましては、私の関係しております経済団体連合会でも取り上げまして、私の方の産業技術委員会で最初論議いたしまして、その結論を持ちまして、委員会、常任理事会等にかけまして、結局全会一致で経団連としましても政府に要望するということで、昨年の十一月十四日に、科学技術庁長官正力大臣のところまで要望書を出したのでございます。
 ごく概要を申し上げますと、今世界的に技術革新の時代に入っているということは、だれでもおっしゃいますけれども、その認識については非常に大きな差があるように私たちは考えております。たとえば、原子力につきましても、あるいはオートメーションでありますとか、私ども直接関係しております石油化学工業な見ましても、ただいま設立準備中の会社が小社ございます。そのどれもの会社が全部外国の技術を取り入れようという格好になっております。そこで、今私ども取り上げようとしている技術でも、大体向うでは二十年前くらいの研究で相当でき上ったものでございます。しかし、この方はなかなか進歩のテンポが早いのでございまして、そして非常に種類が複雑しております。そこで、その情報をつかまえまして聞違いのない企画をいたしませんと、結局工場ができ上ったころは、もうそれがおそいということにもなりかねない。たとえば、同じものができておりましても、その技術、製造法等が日進月歩でございまして、そのもの自体が非常に変っているといったような事態は、御承知の通りでございます。また次々と新しいものができる。一番いい例は、合成繊雑等がその例であります。かれこれしまして、私ども企画しますのでも、まずどういうものを現在あるいは将来に向って取り上げるのが一番いいかということが昨常に問題でございまして、自分の方の筋にある方面からだけの情報によって判断いたしますと、非常な間違いを起すということがたびたびあると思います。そして、これらは、一ぺんやりますと、非常に建設が高くつきまして、途中から模擬変えをするということではとうてい国際競争に入られぬのでありまして、そういう面から見ましても、慎重に情報を取り入れて企画をしなければならぬといった状態でございます。
 そういうことからしまして、ことに日本は、これもどなたもおっしゃることなんですけれども、資源が乏しい。人口が多い。技術がおくれておる。そこで、やはり、あくまでも輸出を第一にしました経済政策から申しましても、技術の革新ということは非常に必要なことでございます。そこで、この点は、大体どちらでも、どなたもその必要性は痛感しておるのでございますが、ことにわが国は、戦時中あるいは戦後、大きく先進国と比較しまして離されました。それで、一応は今官民ともこの間隔を縮めようと努力しておるつもりでおりますけれども、縮まるのではなくて、場合によりますと、だんだん引き離されていくんではないかというおそれもないことはございません。確かにこれは一部にはあります。たとえば、あるアメリカの一会社の一年の研究費――これは有機化学工業でございますけれども、七千億円くらいの研究費を使っておる。原子力にしましても大体それくらいでございましょうか。イギリスに行けば七百億、フランスあたりは三百五十億、日本は百億くらいの研究費といったような状態でありますので、やはりこれとても、やむを得えない事情といえば、やむを得ない事情でありますが、これにどう対策を講じていくかということになりますと、やはりまず広く深くこの世界の情報をなるべく迅速に的確に取り入れまして、そして私どもの研究なりあるいは企業の参考にして間違いない方針に持っていきたい、こういうことでございます。しかし、何としても、今の状態では、とにかく先に申しましたように恥かしい遺憾なことでございますけれども、石油化学のごときは全部外国技術を取り入れなければならぬ。しかも、現在ありますトップ・レベル、あるいは今後改善されましてなお一そう進歩するという可能性あるものを取り入れていくのでございます。繰り返して申しますと、できるだけ海外の広い的確な情報を取り入れる必要があるわけでございまして、このことは申し上げるまでもございません。
 さらに、国内の技術情報でございますが、これまた、ずいぶん日本には学会とか研究会とかそういうものが多いのでございますが、みんなばらばらで、一向組織的に、系統的にまとめて情報活動をしておるという例はございません。そこで、私ども利益を受ける方からいきますと、各社とも大体自分たちの全力を尽してやっておるつもりでおりますけれども、それは、国の力と同じように、会社自体の力が十分ではございませんので、やはり非常に遺憾の点が多いのでございます。遺憾の点が多いながら、みんな各社ばらばらにやっておるのであります。そこで、会社に行ったりあるいは研究所等に行ってみまして、そこで情報を集めております雑誌とか本を見ましても、大てい同じようなものを見ているにすぎません。結局それだけむだな重複した仕事をやっておるわけでございまして、これは相当問題じゃないかと私どもかねて考えております。
 そこで、今国の内外ともそういうふうな状況にございますので、おそまきながらこの程度のセンターでもできまして、一応りっぱにこれが育ちまして、将来の発展に資していくということが非常に好ましいことだ、こういうふうに思っておるのであります。そんなことでございますが、これは今ここで諸先生方に私からかれこれ申し上げるまでもないのでございまして、そこで、経団連といたしましても、これはできる限り物心両面で協力したい、こういうことを考えておるのでございます。ただ、ここで注文を申し上げますと、これは官僚的な運営では困りますので、できるだけ民間の知識なり経験なりあるいは協力も十分得まして、民主的にしかも重点的にやっていただきたい、こういう意見を申し上げたいのでございます。
 次に、この法律案を拝見いたしたのでございますが、第二条にございます「定義」としまして、「この法律において「科学技術情報」とは、自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい、当該技術に直接関係する自然科学に関する情報を含むものとする。」こう書いてございますが、これは、科学技術庁についての行政審議会でも、一体科学技術とは何ぞやという問題がまず起りました。そのとき、前の根本官房長官が、はっきりこれは産業技術だということをおっしゃったのでございますが、やはり、この情報機関としましても、あまり幅を広げましてぼやけますと、重点も薄らぎますし、わずかに政府出資金が四千万円、民間が四千万円、あと寄付金が三千万円、この程度では十分でございませんので、やはり、この第二条の定義のうちにありますうちでも、はっきり自然科学あるいは自然科学を基礎とする技術というふうに、範囲をなるべく重点的にやっていただいたらどうか、私はこう考えます。法律は大体これでよろしかろうと思いますが、そういうふうに感じました。
 その次は、十一条でございます。役員の規定でありますが、「情報センターに、役員として、理事長一人、常務理事一人、理事四人以内及び監事三人以内を置く。」とあります。これもこの人じゃ足りないと思いますけれども、一応これでもよろしかろうと思いますが、この選任は総理大臣が任命することになっております。この選任が非常に重要なことではないかと思います。要するに、この情報センターは、われわれの仕事からいいましても、やはり事業は人なんでございますので、これも一つの事業でございますから、ういう方面で十分りっぱな役員を一つ総理大臣が任命下さるように希望したいのでございます。この待遇等のことは私よく存じませんが、しかし、薄給で、りっぱな、仕事もよくできるし、また識見の高い人でということになりますと、なかなか容易じゃないのではないか。あとに兼任の条項もございますが、この点はよく考えていただきまして、この人事でこの情報センターのなにもきまるんじゃないかと思うくらいでありますので、その点を希望いたしたいと思います。そこで、役員の兼職禁止というのがございまして、「ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」ということになっておりますが、私の考えから言いますと、最初だけでも相当有力な人を理事長に持っていきまして、兼任でやるといったことになるのではないだろうかというふうに、私なりに考えました。
 それから、なお、第三章の業務のところですが、「業務の範囲」としてございまして、いろいろここに書いてございます。これを全部完全にやるということになりますと、なかなか容易なことじゃないと思います。そこで、この中でも、どういう面に一番重点を置いてスタートをするのかという企画の方がより重要ではないか。私ども仕事をしている経験から言いますと、そういう感じを受けるのであります。そこで、「業務開始の際」としてありますが、一応国内でいろんな海外の情報等もとりまして、そうして企画をいたしますが、その上で、なるべく早く海外に――予算も三百六十万円からあるそうでございますから、なるべく早いところ海外の調査等にも出したらどうだろうかという感じを持ちます。
 それから、第二十四条に、「情報センターは、その業務を行うに際しては、できる限り、国立国会図事館その他の関係機関の文献及び資料の利用を図るほか、関係機関と緊密に協力しなければならない。」こうございますが、これは、こういう機関にこのセンターが協力することよりは、むしろ当分はそれらの機関からセンターが協力を受けるという方が主になっていくぐらいじゃありませんと、この機構では十分にいかぬのじゃないかという感じを受けました。
 それから、第六章の雑則のところに「第三十八条」とございますが、「関係行政機関の長は、情報センターの行う科学技術情報の収集について、できる限り協力するものとする。」これが、いろいろ採用人員等も書いてございましすけれども、これまた、私どもの体験から言いまして、最近はことに非常に景気がいいので、なかなか優秀な人を得にくいような情勢でございます。そこで関係行政機関の長はできる限り協力するということです。これはこの情報センターについて非常に重要なことじゃないか、特にこれは御理解を持っていただくことが必要じゃないかということを感じました。
 それから、附則の方でございますが、「内閣総理大臣は、設立委員を命じて、情報センターの設立に関する事務を処理させる。」こうございます。それから、5のところに、「設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府以外の者に対し情報センターに対する出資を募集しなければならない。」こういうことができて、初めてこれがスタートすることになると思います。寄付の方はここに書いてありませんので、これまたどういうことになるかわかりませんが、設立委員は非常に重要な方で、また責任も非常に重くなっておるようでございます。なお、これにつきまして私どもの考え方から言いますと、やはり審付は経費で落せるようにしていただきませんと――利益からの経費じゃなくて、利益勘定から出るといいますと百万円としても二百万円の寄付になりますので、この点をお考えになっていただきたい、こんなふうに考えます。
 大体この法案を拝見しまして私が気がついたところを率直に申し上げました。
#4
○菅野委員長 次に、中原参考人。
#5
○中原参考人 私中原でございます。本日科学技術情報センターについての考え及びその概要を申し上げる機会を得ましたことは、喜びにたえない次第であります。
 私は大体四つに分けて申し上げたいと思います。第一は科学技術情報センターの必要性、第二は諸外国における情報センターの状況、第三はわが国における情報の現状、最後にこの科学技術センターの構想について申し上げたいと思います。
 まず最初の科学技術情報センターの必要性については、今さらその必要性を説くまでもないことと思いますが、私が感じておりますその必要性について、ごく簡単に申し上げたいと思います。御承知のように、最近科学技術の進歩が加速度的に早くなっております。特に原子力とか、合成化学とか、あるいはオートメーション等におきまして画期的な進歩を続けております。そして、最近の傾向といたしましては、これらの技術が非常に細分されまして、多極多様に相なっております。そして、それぞれが相関連するという新しい特色を持って参っております。たとえば一つの原子力の発電所をこしらえるということを考えてみましても、その工業を完成するためには、あらゆる工業のトップ・レベルの技術が必要であるばかりでなく、実に医学とか衛生学、そういった分断にまで及んでおるのであります。こういうふうに、最近の技術は非常に多種多様に細分されて、それらが相互いに関連しなければ完成した工業ができないということになりますので、これらの技術を実際に使うため、あるいはそれを研究するためにとります情報にいたしましても、一つ一つの分散した情報では効果が非常に少いのでありまして、これはどうしても総合した情報をとらなくちゃいけない、あるいは分散した情報を一つにまとめなくちゃいかぬということが出てくるのであります。原子力等の関係で産業に大革命が起ろうとしておる現在におきましては、これらの点に十分注意いたしまして、情報を総合的にとるということが非常に必要に相なると思います。科学技術庁におきましては、この点に深く留意されまして、科学技術センターをこしらえるということに進まれたことは、非常に当を得たことで、私は敬意を表する次第であります。わが国の技術水準は、欧米の先進国よりも進んでおるものもありますが、概して、今、池田さんのおっしゃったように、おくれておるものが多いのであります。従いまして、わが国が世界と競争していくためには、どうしてもわが国よりもすぐれておる先進国の技術を利用して競争していくということをせざるを得ないのであります。ところが、わが国は欧米のいわゆる先進国から距離的に相当離れておる。最近距離の観念が非常に狭まってきましたけれども、それでもなおかつ距離の制約がある。また一面言葉の制約が非常にありまして、情報等を集めるのに非常に困難を来たすのであります。従いまして、現在わが国はいろいろ情報をとっておりますが、たとい情報をとる機関が大企業であるといたしましても、自分の必要な情報を総合的にとるということは、非常にむずかしくて、ほとんど不可能な状態に相なっておるのであります。この点が、科学技術情報センターを作ることが非常に必要なことになってくると思うのであります。
 また、最近の世界の傾向といたしましては、文献の活動とかあるいは情報を集めるということが、研究とか企業とかいうものと分れて、別個に存在してきておるのであります。それは、いわゆる文献活動が盛んになり、またアメリカ等におきましてはリテラチュア・サイエンティストといいまして、科学技術の情報を整理しまして、これを研究者に与えるという専門の仕事も出てきておることを見てもわかるのであります。そういうふうに科学技術情報センターがいろいろな情報を総合的にとるということに、非常に意味があると思うのであります。
 次に、諸外国のうちで、おもな外国の情報事情を二、三あげたいと思います。外国においては、文献を集めるという運動、あるいは情報を集めるという仕事は、相当古くからやっておりますが、たとえば、イギリスにおきましては、科学技術研究庁がありまして、そこに情報部があります。また専門図書館情報局協会というものもあって、情報を中枢的に集めております。また、ソ連では、例の科学アカデミーがありまして、そこに情報部があり、またフランスにおきましては、科学研究センターがありまして、そこに文献のセンターがある。こういうふうに、おもな先進国では情報の中枢機関がありまして、それぞれの国情に応じまして、その文献を収集整理して、そして研究にあるいはその企業に資しておるのであります。ところが、これらの情報機関で一致しておるところが数ヵ所見つかるのであります。それは、第一に、これらの研究機関は国立であるかあるいは国立に準ずるものであるということ、そして、その情報機関は、たとえば国立の図書館等から独立して存在しておるということ、それから第三には、専門の情報機関と別に総合的の情報収集機関があるということであります。
 次に、わが国の現状はどうかと申しますと、これは、御承知のように、文部省では学術局に情報を収集する機関があります。また学術会議ではその事務局で収集しております。また国立図書館や特許庁等におきましても情報を収集しておりますし、また公立あるいは官立の研究所においても、それぞれ情報を集めております。また民間におきましても、大小の企業はそれぞれ自分の必要に応じて情報を集めておりますが、これはなかなか困難で、うまくいっておりません。ことに、中小企業におきましては、その情報を得ることが非常に困難なのであります。わが国の産業における中小企業のウエートは非常に大きいものでありますし、また、中小企業といたしましては、その経営者は非常に研究に熱心であるとか、あるいは新しい研究を企業に応用するということに非常に熱意があるのでありますが、これを実際に集めることが非常にむずかしいので、困難いたしております。従いまして、もし情報センターのようなものができまして、この中小企業に必要な情報を適時供給するようなことができましたならば、中小企業は画期的に発展するのじゃないかというふうに思っております。わが国におきましては、そういうふうにいろいろな情報を集める機関が現存しておりますが、それはどれも十分ではない。しかも、その上に、これを一まとめに有機的に集めるという機関がないので、そこに非常な欠陥がありますが、もし、ここに情報センターができまして、現在ある情報機関の情報を集めて、有機的に一体にするということができれば、非常に効果が上るのじゃないかと思っております。
 次に、今回こしらえようとしておる科学技術情報センターのことについて、その概要を申し上げたいと思います。これは、科学技術庁の科学技術審議会に情報部会というものがありまして、そこでこの情報センターの構想をまとめておったのであります。その情報部会には、関係官庁とか、あるいは国会図書館とか、学術会議の事務局とか、あるいは特許庁その他の代表者が出ておりますほかに、いわゆる学識経験者も出まして、いろいろ審議したのであります。そして、特に、既存の国立のこれらの情報機関、たとえば国立図書館とかあるいは特許庁とか、そういうものとは仕事がダブらぬように、互いに相侵さずに、しかし机助け相補って、完全なる情報を有効に収集するという方針でやろうじゃないかということに話をきめております。そして、この情報センターでねらっておりますことは、第一に、その確実なる情その情報源には、外国の政府の刊行物、これはなかなか民間の手には入りにくいのでありますが、これらのものも集める。また、文献だけではなしに、必要な科学技術の情報、そういうものを集めたい、文献にまだ載っていない必要なる情報を集めたいということ、そしてこれらの収集した情報を整理し、分析して、それに評価をして、迅速に適時、できれば安い値段で、これを分配するというふうにしたい、第三には、研究者とかあるいは工場とかあるいは特に中小企業等の求めに応じまして、その必要なる情報を適時供給できるようにしたいということ、あるいはまた、第四といたしましては、複写とかあるいは翻訳をいたしまして、語学等において非常にハンディキャップがありますが、そういうことをこういう方法で解消したいと思っておるのであります。第五には、先ほどもちょっと触れましたように、いろいろな情報機関とか科学者、研究者、あるいは企業団体等と連結をとりまして、情報を交換して、お互いに有効に利用したいということを考えております。こういうふうな構想のもとにおきまして、この情報センターを作るのでありますが、それは、先刻御承知のように、総理大臣の監督を受ける特殊法人として、できればこの七月からスタートいたしたいと思ってやっております。そして、初めの三年間に、理学、工学に関する情報収集を一応完備しまして、そのあとで、いわゆる産業技術じゃないかもしれませんけれども、医学とかまた農業の方へも進出したいと思っております。また、センターの中枢機関が東京にありますが、必要に応じて支所も作ってやっていきたい、そういう構想においてやっておるのであります。
 最後に一言させていただきたいと思いますのは、私はかねがねからこう思っております。それは、わが国は、この小さい国土で一億になんなんとする人口が食っていかなければならない。まだその上に、その人口が非常にふえていく。そして、その一人々々が、食うだけじゃなしに、人間として値打のある生活をしていかなくちゃいけない。そのためにはどうしても産業を盛んにする以外に手がない。その産業を盛んにするためには、一面におきましては、理論的あるいは応用方面の研究を盛んにするということと、他面におきましては、外国の技術で日本の技術よりも進歩したものがあれば、それを利用して国際場裏に活躍できるようにしていくということでありますが、この理論的あるいは実用的研究にいたしましても、外国のすぐれた技術を利用することにいたしましても、どうしても、それをやるためには、それらの情報を得ることが非常に必要なのであります。情報を得ることがまず最初に必要なことに相なるのであります。それで、私はこういうふうに考えております。これは多少意味が違うかもしれませんけれども、科学技術情報センターというものをこしらえるということは、あるいは河川を改修したり、港をこしらえたり、あるいは道をよくしたり、あるいは耕地整理をしたりするようなものと同様、あるいはもっと根本的の意味におきまして非常に必要な、あるいは緊急な国家投資であると思っておるのであります。
 そういうふうに、情報センターというものは非常に必要なものだと思っておりますから、どうか、皆様の御指導、御援助によりまして、これが早く設立されまして、しかもそれが健全に発展していくように、御援助を願いたいと思います。
#6
○菅野委員長 以上をもちまして、参考人の意見陳述は終りました。
 質疑の通告がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
#7
○齋藤委員 簡単に参考人各位にお尋ねを申し上げたいと思います。この科学技術情報センターは、科学技術庁といたしましては、三十二年度の予算面その他に照らしてみましても、ある一つの最初の大きな試みでございまして、これが設立に関しましては、ただいま参考人のお述べになりました通り、われわれも心から賛成をしておるものであります。ただ、この法律の第一条を見ますと、その「目的」に、「日本科学技術情報センターは、わが国における科学技術情報に関する中枢的機関として内外の科学技術情報を迅速かつ適確に提供することにより、わが国における科学技術の振興に寄与することを目的とする。」これは非常に大きな目的でございまして、科学技術情報センターを科学技術庁が作りまして、しかもその上に日本という字をつけて発足をするということから考えますと、これは当然の目的だと思うのです。いやしくも科学技術庁で科学技術という言葉を使います以上は、いわゆる普遍的な論理的な科学技術というものの定義に従ってこの言葉を使うことが、私は正しいことだと考えておるのであります。ところが、第二条にいきますと、この目的ががたんとおっこちて、非常に歪曲混迷に陥っているような定義が書かれておる。私は法律はしろうとでわかりませんが、第一条と第二条を読んでみますと、まことに奇妙な感じを受けるのであります。これは私何回も読んでみたのですが、法律の用語というものは、私もしろうとでよくわかりませんが、「この法律において「科学技術情報」とは、自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい」ということになりますと、情報というものは自然科学に限定される。自然科学に限定されることはいいといたしましても、「当該技術に直接関係する自然科学に関する情報を含むものとする。」――これを読むと、今度は、情報というものは、その技術に直接関係する自然科学ということに限定される。ですから、第一条の目的を見ますと、われわれの意図する日本科学技術情報センターというものはかくあるべしという非常に大きなものだけれども、第二条を見ますと、科学技術情報というものは非常に小さなものになってしまう。そういうふうな感じを受けるのであります。これに対しまして、情報部長としての中原先生、池田先生、この御両人の御高見を拝聴いたしたいと思うのであります。
#8
○中原参考人 これは科学技術はどういうものかということだと思いますが、自然科学を基礎にしない技術というものはどういうものか、あるいは、先ほども、焦点がぼけてはいけないから、はっきり言い表わさなければいかぬというお話もあったのですが、産業技術というだけでもないかもしれません。やはり自然科学からくる技術ということで、その自然科学の情報もみな集めるということになると、これはまた大へんなこと――非常にそういうことは望ましいのですが、今すぐにできるかどうかということに一面不安があるような気がいたします。それで、私の希望としては、これは焦点をはっきりして、技術情報ということにこの際はすべきではないか、そういうふうに思っておるのであります。
#9
○齋藤委員 いや、私の伺っておりますのは、この「目的」というものをこう定めておきまして、その第一条の「目的」には「科学技術情報に関する中枢的機関」とこう書いてあるんですね。第二条で「定義」をこうきめますと、この第一条の「目的」のところに書いてある科学技術情報というものも、第二条の「定義」によって、これは当然拘束されますね。拘束されるということになってしまう。「日本科学技術情報センターは、わが国における科学技術情報に関する中枢的機関として」というようなことをうたっておいて、そうしてこれはもうりっぱな、大局的に立った、将来どんどん発展していった場合には日本のあらゆる科学技術情報センターとなり得るものに対して、定義でもってこういうふうな狭義のワクをはめてしまうということは、法体系としてはこれははなはだおかしなことではないかと私は思う。目的でもって、科学技術情報センターというものを国家の中枢機関として、これによってわが国の科学技術の振興に寄与するものであるとうたっておいて、今度は、第二条では、「自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい、」さらに「当該技術に直接関係する自然科学に関する情報を含むものとする。」というようなことは、これはどういう意味でここで書かれたのかわからぬけれども、とにかくよけいなものであることは、これは間違いないですな。だから、私といたしましては、この法律において、科学技術情報とは、せめても「自然科学及び自然科学を基礎とする技術に関する情報をいう」、ごうすればすっきりするのですけれども、「当該技術に直接関係する自然科学に関する情報」なんというものは、これはよほど頭のいい人間でなければちょっとわからないことになると思うのです。そういうことを一つはっきり忌憚なくお述べを願いたいと思うのです。
#10
○中原参考人 今、齋藤さんのおっしゃるのは、自然科学の情報と自然科学を基礎にした技術の情報と両方にしろとおっしゃることだと了解するのですが、自然科学の情報というものは、自然科学によってできた技術よりも非常に広いわけですね。それですから、自然科学を基礎にした情報が根本であるけれども、その技術に関連する自然科学で必要なものはとりたい。しかし、その技術に関連する自然科学の情報以外にも、自然科学の情報というものは非常に広い。そこまでとるかどうかということが問題になって、この技術に直接関係のある自然科学の情報と、それと自然科学を基礎にした技術の情報ということにきめたわけなんです。
#11
○齋藤委員 それなら、日本技術情報でいいわけですね。サイエンス・アンド・テクニックなんです。これはサイエンティフィカル・テクニックスではないわけなんです。科学的情報ということではなくして、科学とそれから技術、科学技術情報――科学技術庁というものは明白にサイエンス・アンド・テクニックなんです。ですから、科学というものと技術というものとは、関連している面もありましょうし、あるいは関連してない面もありましょうけれども、とにかく科学に関する情報もとらなければならぬし、科学と関連しているところの技術の情報もとらなければならぬ。また、われわれから見ると、いやしくも科学技術の情報ということを考えると、これから人文科学を除き得るかなどと、人文科学と自然科学の関係ということまでいくので、そこまでわれわれはあまり深入りしない方がいいと考えておるのですが、いやしくも現代の進歩した科学行政において、第一こういう定義を書く必要があるかどうかということです。自然科学に限定して情報をとるなんということは、実際上今の人文科学――人文科学という言葉の使い方も私よくわからぬのですが、従来のわれわれの用語によりますと、いわゆる社会科学、ソーシャル・サイエンスというものとナチュラル・サイエンスというものが、今の高度化したるところの人知において一体分類できるかというと、分類できないのが今日の考え方でしょう。皆さんそう言ったって、原子力とかオートメーションとかサイバネティックスとか、いろいろな言葉を使っておる。ことにサイバネティックスというものは、人文科学、社会科学と自然科学と混同しよう、これはけじめがつかないのだということを言っていることにすぎないので、そこで、旧態依然として社会科学と自然科学と分けようとすること自体が無理なのに、この「目的」にちゃんと科学技術情報と書いておって、そうして「定義」には自然科学とやってきている。これが一つ私は大きな不自然だと思うのですが、百歩を譲って、自然科学というものにこの日本科学技術情報センターというものを限定するとしても、自然科学の情報を得ずして一体技術情報などというものは無理だろうと私は思う。一体、自然科学を前提とした技術であればあるほど、将来日本の国連に寄与せんとするならば、自然科学の情報というものを広く集めて、さらにその情報から技術の振興をはかるということが、日本科学技術情報センターの大きな役目でなければならない。それを、技術に限定して、技術に関係のない自然科学はこれを情報として集めないのだというがごとき、局限した、しかも、帰納して参りますと、科学技術という言葉をこの法律でもって歪曲し、しかも小さなワクをはめようとするような立法精神というものは、この際われわれはとらざるところであって、いやしくも将来日本科学技術情報センターをもってわが国の科学技術情報の中枢的機関とせしむるならば、やはりオーソドックスな科学技術という解釈のもとに、一切の目的を定め、定義を定めていくということが正しいやり方ではないか、私はそう考えておるのです。これに対して一つ池田参考人の御意見を承わりたい。
#12
○池田参考人 私は大体法律家でもありませんし、とにかく、これは科学技術庁の審議会のときから「科学技術とは何ぞや」という問題がだいぶ議論されました。結局そのときも結論は出なかった。自然科学と人文科学との区別はどうかといったようなことは出ませんでした。これは、一般になりますと、今の科学技術庁も、齋藤先生のお話のようでしたら、非常にむずかしいことになるのじゃないかと思います。構想としまして、恒久法としまして、今、先生のおっしゃるように考えることは、まことにけっこうなことだと思いますけれども、それで、私も最初から申し上げました、この程度におさめる。――この程度の人、これは大へんなことだとおっしゃいましたが、人文科学まで含めたものはなおさらできませんし、自然科学でも非常に広くとるということは、まず私は不可能だろうと思います。それですから、書きましたのは私はよくわかりませんけれど、も、直接関係があるといったようなことを、非常に限定したことにお書きになったのじゃないか、こう私は受け取りたい。それから、今の目的の方も、おそらく、これは、科学技術として今齋藤先生のおっしゃるような非常に広大無辺な、全部を含めた中心機関ということまでお考えになっていないじゃないか。私は、さしあたっては、これは法文の解釈にもなると思いますが、先行きは先生のおっしゃるように解釈をします。それが足りなかったら、あるいは法律の改正も皆さんのお手でいつでもできるのですから、そういうふうになさって、まず今は重点的に、一番近い、最初私どもが行政審議会でやりました産業技術という面にやっていただく方が、私は効果的になるんじゃないだろうか、こう考えます。法律論や人文科学、自然科学の議論は私にはできません。私どもの審議会内でもどうもはっきりしなかったのでありまして、ちょっと何とも参考人は御答弁ができないのであります。
#13
○中原参考人 ちょっと齋藤先生に質問させていらんだきたいのですが、こういうところの慣例を知りませんから……。これは、自然科学の情報といいますと、それをとるということになると、「必要な」ということにすれば問題ないのですけれども、たとえば、クラゲの生殖の文献とか、そういうものまでもとるという意味でしょうか。
#14
○齋藤委員 私の申し上げておりますのは、二十当条に「業務の方法」というのがあるのです。業務の方法、それは総理府令できめるのです。ですから、業務の方法というものは総理府令できめておいて、そのときどきにこれは拡充したり削ったりすることはできるわけですけれども、これは政府当局じゃないのですから、私は何もあえてどうだ、こうだというような御質問を申し上げておるのじゃないのですが、この日本の社会の商敵な業務の地位にあられるエキスパートとしてのお考えを伺っておるわけなんです。こういう法律を決定いたしまするときに、こういう法律でもって、「科学技術情報」とか「科学技術」なんという、すこぶる尊敬をしなければならぬ国家の基本となるべき観念を、こういうふうに法律でどんどん歪曲していくということは悪いんじゃないかということを言うておるのです。科学技術と言ったならば、科学技術というものはどんな立場において使われても、一般国民にぴしゃっと入るような定義というものが国家にあってしかるべきものだと思う。ところが、第一条の目的に、科学技術情報センターとしてこのりっぱな目的を掲げておきながら、第二条の定義にこんな定義を掲げたら、非常におかしな形態になりはせぬか。だから、なるべく、この法律における科学技術情報も、オーソドックスな、第一条のいわゆる目的に沿うようなことにしておいて、そして今度は、その業務においてあなた方の今お示しになりましたような重点的な業務の方法をまずやっていく。そしてこれは三ヵ年、五ヵ年、十ヵ年計画でやっていくのでございますから、究極の目標は、そのオーソドックスのりっぱな第一条の目的に合致するような科学技術情報センターを作っていくということでなければ、立法精神というものははっきりしないじゃないか、こういうことを考えてお尋ねをしておるのでありまして、重点的にやらなければならぬということは、ちゃんと二十三条の総理府令をもって業務を行う場合のことをきめるのでございますから、しかもこれは各関係庁との協力のもとにおいてやっていくということもできておるのであります。ですから、私は、日本科学技術情報センターとして作る以上は、やはり第一条の目的に沿うたことを完成するという意味から、第二条の定義というものもすっきりした形に持っていく方がいいのではないか、そういうことを御質問申し上げておるのですが、どうでしょう。そういうことで御意見を承わりたい。
#15
○池田参考人 私は今申し上げた以上に御答弁がはっきりできません、科学技術の定義を先にきめていただかぬことには。ただし相当異議があると思いますが、その方が先決になりませんと、ちょっと問題じゃないかと思います。
#16
○齋藤委員 それでは科学技術庁にお尋ねします。これは今日即答はお願いいたしませんが、文部省の学術局長も来ておられますから、私は私なりに科学技術というものに定義を持っておりますが、果して政府当局として、科学技術というものについては、いかなる定義を持っておるか。次会に一つ両省御協議の上お示しを願いたい。そうでないと、参考人が科学技術の定義がわからなければあれだとおっしゃるから、即答してまた間違うと、当局として非常に責任が残るといけないから、次会までに両省協議の上で、科学技術というものの定義をはっきり示していただきたい。それによってわれわれも論議を重ねて、科学技術というものをこの国会においてはっきりしたいと思う。私は、前に科学技術庁設置法の審議に当りましたときに、岡先生の御質問に答えて、私は私なりの科学技術というものの定義を速記録に残しております。それでやってよろしいというならば、私の今の意見は堂々と通らなければならぬ。ですから、科学技術庁も、文部省も、こういうものに関係のあられる省庁において、科学技術というものの定義の統一したところの意思表示をしていただきたい。それをきめておかぬと、これから出てくる法律は、全部、科学技術の定義がわからぬからといって、あいまいもこたるうちに審議されるということになる。この際それをきめていただきたい。それでこの委員会を運行していきたい、こう私は考えていますから、今日はこれで質問をやめることにいたします。
#17
○菅野委員長 岡良一君。
#18
○岡委員 科学技術の用語の概念規定で齋藤博士と大論争がありましたが、今日は、参考人の方々の肩書きを拝見いたしますると、池田さんも中原さんも、それぞれ実業界における指導的な立場におられ、同時にまた、日本の科学技術振興にも大へんな御関心をお示しのお方でありまするので、この機会に、私は、日本の科学技術振興の現在のあり方、また将来の方針というふうなものについて、いささか御両所のお立場から率直な御意見を聞かしていただきたいと思うのです。
 今度の科学技術情報センターの予算及び人員等は、大体どの程度のことになっておりますか。これは政府の方に聞きます。
#19
○三輪政府委員 予算につきましては、三十二年度に政府から出資金四千万円、補助金が三千万円、合計七千万円が計上されております。そのほかに民間から約同額の寄付がございます。そのうち、現在のところ四千万が出資金になり、三千万は事業補助としての寄付金ということで、約一億四千万、それに事業売り上げ一千万を予定いたしまして、三十二年度は一億五千万程度でございます。三十三年度は政府の補助が九千万程度と考えております。これに民間からの寄付金といたしまして一千万、あとは事業でかせぎまして、全体で二億程度の仕事をやりたい。三十四年度が三年目の最終年度でありますが、これも政府補助九千万、あと残りは事業収入によって、全体が二億六千万程度の仕事をやりたい。人員につきましては、三十二年度に約六十名内外、三十三年度におきましては、これにプラスいたしまして百十名程度、最終年度の三年目におきまして百五十名、従いまして、完成いたしました暁には、百五十名の人で約二億六千万程度の仕事をする。そのうち九千万程度は国の補助をどうしてもお願いしなければ、情報センターはやっていけない。大体以上のような次第であります。
#20
○岡委員 日本の国は、戦争中から引き続き占領下のいろいろな制約の中で、国際的に科学技術、特に技術水準が非常な立ちおくれを見せておる。従って、これを取り返さなければならぬ。さらにはまた先進国を追い越すという意気込みで科学技術の振興をはからなければならぬ、そういう立場に置かれておるわけです。ところが、そのための非常に重要な役割をなすべき機関と私は思うわけですが、それが三年目になってもなお二億六千万、百五十名、こういう程度の規模で果してこの第一条に掲げられているような目的を果し得るのかどうかということなんです。いかがなものでしょうか、これは特に両参考人の御意見を聞かしていただきたいと思います。
#21
○池田参考人 お答えいたしますが、私の考えでは、果せないと思います。私の非常に消極的な科学技術の解釈によりましても、果せないと思います。まして齋藤先生のような大きな構想から見れば、絶対に果せないと思います。
#22
○中原参考人 私は、情報センターというものは、中小企業が利用すればいい、そう思いました関係上、その経費は全部国で出すのがしかるべきじゃないか、そう思ったのですが、そういうわけにもいかないらしくて、民間にも金を出さすということになってきたと思っております。それで、もちろんこれだけの規模のものでは完全なものと言い得ないと思いますけれども、今までは何もなかったんだ、しかし、これからは小規模といえどもできるのだということなのですから、国の予算等のことを考えますと、小規模でもまずスタートして、それが非常に有効な仕事をやるということになれば、政府の方でも金を出すし、また民間も自然に金を出すようになって、齋藤先生その他の所期するようなことになってくるのじゃないか、そういうふうに思っております。
#23
○岡委員 ないよりはまさる、そうしていよいよあることの意義を発揮するように持っていきたいということ、それはだれしも思っていることなんですが、少くともここ三ヵ年間の計画の規模では、なかなかそこまで所期するような目的に行きがたいのじゃないかと思うんです。
 それからもう一つ、これもお二方にお伺いしたいのですが、通産省が技術白書というものを発表しております。あれを見ると、「最近において目立った新製品、新技術の多くは、チタン、ビニロン、尿素などを除いては、もっぱら外国技術の導入や外国機械の輸入にもとづくものであって、わが国の工業には自力で技術を発展させていく実質的な力が充分につちかわれていない。」こういうことを言っておる。これは通産省の技術白書の中にうたわれている言葉なんです。私はそのことはまさしくその通りだと思うが、技術のための外貨の支払いが、昭和二十九年が四十数億、三十年が七十数億台、三十一年はおそらく百億程度であると推定されるということです。こういうふうなことで、単に立ちおくれているというのではなく、現状のままにまかせれば、日本の産業技術そのものが、いわば第三局面だといわれる技術革新の時代に、事実上技術的には外国への依存性をますます強くしてくる、こういうことをも考えた場合、今の規模で科学技術情報センターがこの任務を果し得るかという点は、私は至って悲槻的な見通ししか実は持てないのです。この点は今、なきにまさるということ、どうも困難だという御意見でありましたので、法案の御審議のとき政府当局との間の問題に譲りたいと思います。
 それから今、中原さんのおっしゃいました中小企業の技術向上のためにこれが裨益するところがあるというお見通しでございます。言うまでもなく、日本の中小企業は、日本の経済構造の中では非常に大きな部門を占めておるわけです。しかも、この部門に非常に技術の立ちおくれがある。これに対して新しい技術を与えるということは、当然政府の施策でなければなりません。しかし、この科学技術情報センター法案は、特に中小企業に重点を置いての施策として何ら表現されておりません。いま一つは、かりに運営の上において中小企業に新技術を導入する媒介体としての役割を積極的に果すといたしましても、中小企業は技術だけの導入ではどうにもならないのではないかと思うのです。やはり技術に伴う設備もあろうと思います。そういうわけで、技術と同時にやはり資金の持ち込みもはからなければならぬ。こういう政策が並び行われて初めて中小企業に対して新しい技術を導入する国の施策というものが完備するのではないかと思う。ただ、技術情報センターだけを設けても、それだけではなかなか容易に中小企業の特に立ちおくれた技術の革新は望みがたいのではないかと思うのですが、この点は御両人の御見解はいかがでしょうか。
#24
○中原参考人 おっしゃる通りだと思います。技術があってもそれを生かす金がなければどうもできない。特に中小企業においてしかりだと思います。その金をどうするかということは、これは別個に考える以外に手はないと思います。そうだからといって、中小企業に技術の情報を与えなくていいかというと、そうでもないと思います。今のままの企業形態といたしましても、中小企業はやはり技術の研究もやっているし、情報を待ちわびているという面も多々あると思います。
#25
○岡委員 しかし、問題は、それもなきにまさるという程度であって、やはり資金の供給ということも同時に並行的にやるという顧慮がなければ、実際面として技術が用いられてくる可能性は非常に低まるのではないかと思うのです。現在、日本国内においても、私は、日本は科学水準では決して立ちおくれてはいないと思うのです。ある分野分野においては、相当高度なものがあると思うのです。そこで、実業界におられるあなた方の御意見を率直に伺いたいのですが、問題は科学的な水準が高くても、これが技術として産業に応用されるというこの切りかえの間に不十分なところがある。もう一つ、新しい発見なり発明として技術が提供されても、今度経営者がそれを自己の工場に導入するという勇断というか着想、ここにまたそのかぎをなす一つの断層があるのではないか。こういう断層を一つ一つ解決していかないと、日本の技術革新の総合的な進歩というものは、私はないと思うのです。どうもそういう間の、要するに科学水準は高いけれども、これが産業面に技術として応用される段階に一つの切れ目があるのではないか、もう一つ、それが技術として発明されても、それが新しい産業の具体的な生産の現場に用いられるという経営者の踏み切り、この二つの間に私は何かずれがあるように思えてしようがないのです。外国なんかの事例を見ますと、そういう点に相当顧慮が払われておるように思うのですが、そういった点は、あなた方のお立場からどういうふうにお考えですか。
#26
○池田参考人 それは、今のお話に私は大体同感でございます。一番最初の金をつけなければいかぬということでありますが、これは大企業にも中小企業にも、もっとどこかから金を持ってこなければいかぬということは、当然だと思います。最近インパクト・ローンなんか、外資導入をしてはいかぬという意見もだいぶ出ておりますけれども、一方では外国に投資しろ、そしていろんな、南米のミナスの製鉄所もそうなんですけれども、これにはやはり自分の蓄積よりも資本を外国から取り入れてでも国内に投入し、海外にも出すということでないと、なかなか日本は一億近い人間を養っていけないだろうと思います。
 それから、科学水準は諸外国より高いかもしれぬというお話のように伺ったのですが、私は大へん見解が違います。どの面を見ましても非常に劣っていると思います。たまたまあるものもありますけれども、これはこの間私ども審議会で、学術会議の会長からもその話がありましたけれども、大体総じてみて、そう考えた方がよろしかろう、こう思っておりまして、これも何とかしたい、こんなふうに考えておるものであります。
 なお中小企業は技術だけでいかぬという問題も、最近はどちらかというと、私は石油化学をやりかけておるから特に感ずるのですけれども、これなんかも、中小企業の応用関係に一番重大な効果の多い問題だと思います。私どもは、たとえばプラスティックでもそうでありますが、加工まではいたしません。その先は全部中小企業に参ります。それを応用関係そのほかから見ますと、やがて輸出のきくものもありますし、また日本の地下資源はだんだん減ってきておるので、鉄にかわり、石炭にかわり、石油にかわりあるいは石灰石にかわるというふうな面からいいましても、当然中小企業に対しましても、私どものやる範囲からいいましても、どうしても技術がもっと進歩しませんと、なかなか労力だけにたよっていくという時代ではございませんから、これは相当重く考えていただいてよくはないかと思います。
 それから技術は私は高いと思っておりませんですが、その技術を工業化するのに企業家の方の踏み切りがつかぬ、これは確かにその通りでございますけれども、私どもの見るところでは、今、日本の研究面でどこが一番欠けているかというと、これまた総合を調整するというか、そういう機関がございません。結局一番いいのは、大学研究所あるいは国立研究所あるいは公立研究所、民間研究所を見てお歩きになるとよくわかると思います。たとえば、大学の研究所に行きましても、ある予算ではこれを工業化するまでの技術の開発は絶対に不可能だと思います。そこで、応用を中間試験所に移すということは、これこそ技術も要りますけれども、当然相当の資本が入らぬとできないと思います。そのために、科学技術庁からも予算が出たと思いますけれども、あの技術開発公団でございますが、今年からこれも経団連でもぜひ取り上げてやってほしいという要望もいたしたいのでありますけれども、何か知りませんが、公団とかあるいは特殊法人とかいうものが十幾つあるというので、これを全部やめようという話になったかのようになって、調査費だけ予算が出たかのように伺っております。これなんかせっかく国立なり公立なりで研究しておりまして、あるところまでめどがついたものを、今の国立なりの研究所で工業化する、実際に技術をよそに出してギャランティするほどの自信のあるものは、今の施設ではなかなか生まれてこないと思います。そうして、これを中間試験に移すなり工業化するためには、相当大きなリスクがあるわけでありまして、このリスクをあえておかしてやるというための国家技術開発公団という構想だったと思います。これは私は非常にいいことだったと思いますが、どういうことか予算でもただ調査費だけということで終ったということは、非常に遺憾に思います。結局、今のような、日本の科学方面は、基礎研究あるいは応用化はうまくいっているけれども、工業化に踏み切りがつかないということで、あの辺の機関をもちまして踏み切りをつける、階段をつけるということが非常に心要じゃないだろうか、こう思っております。何にしましても、国と大学その他全部入れましての研究費がどのくらいあるのでしょうか、おそらく百五、六十億しかないのではございませんか。それから、外国から導入して、七億ぐらい払っておるのではないかと思っております。そんな状態です。これは国全体でそうでございますけれどもさっきもだいぶ申し上げましたが、デュポンの研究所は大体一年七千億ぐらいだろうと思います。そういうふうな海外の会社と競争していこうということでございますから、との点は一つほんとうに官民ともに認識を新たにし、深くいたしまして、これに対する対策を今から講じませんと、今後とも非常に心配な状態になるのではないか、私こう考えております。
#27
○岡委員 石油化学は、何と申しましても近代的な花形です。しかも、すばらしいテンポで発展している化学ですから、この面ではいろいろな条件、日本の持つ内外的な潜在的な条件はあまりお感じにならないのではないかと思うのですけれども、しかし、私の方は、いなかにおりますと、たとえば繊維工業などの機械の工場の下請などというものは、ユニバーサルの旋盤五、六台でまだやっているという状態なのです。だから、旋盤が狂っているのです。どれだけ狂っているかということをちゃんと勘で知って、自分の勘で狂わないようにしているという工場がざらにあるわけです。そういう点にむしろそれだけ技術の進歩があるのかもしれませんが、きわめて非科学的な勘の技術なんです。こういう面が、実際問題として日本の中小企業にはあるわけですから、技術が導入されるということになりますと、今、石油関係、化学関係など、昨年の設備投資か石油で三百八十五億、化学で六百六十七億ですから、合せて大へんなものなんです。今年から化学ではさらに十億の設備投資が計画としてふえておりますね。国のこういう設備投資の動向、計画というものは、非常にふえておる。しかし、これだって化学と石油で、会社の数は合せてわずかに百二十ぐらいのものですから、日本の企業体のほとんどを占めておる中小企業の方には、なかなか資金が回っておらないということで、今申し上げたような技術の断層が、経営の実態そのものに断層を起すというような傾向が実際に助長されるのではないか。科学技術情報センターというものにこういう断層の穴埋めをしてくれる、断層の差をできるだけ少くしてくれるような作用を持たしめていくということが、これの大きなねらいであるとすれば、さっき申し上げたように、やっぱり資金の問題なんか非常にあれじゃないかと思うのです。
 それから、これは経済界の方ですからいかがでしょうか、こういうふうな形でどんどん新しい技術が導入される。同時にまた設備も改善をされるということで、品物の規格もよくなり、量産も進んでいく。しかし何と申しましたって、これは市場が重要な要素になってくるわけです。そこで、海外市場について最近非常に悲観的な見通しが経済新聞などに出ておるようです。特に輸出入とも日本が大きく依存しておるアメリカの景気の動向なんか、下半期は、おそらく設備投資はだんだん頭打ちから下降の状態をたどるだろう。しかもその実態は、やはり過剰生産という面が事実上出てきておる。自動車や住宅は現に予算面にも出てきておるわけですが、そういう形がきますと、日本の今年の三十二億ドルという国際収支も、かなり危ないんじゃないかと思うのです。少くとも健全な黒字としていけるかどうか、五千万の赤字でいくと政府は言っておりますが、私は困難じゃないかと思うのです。万一そういうような状態で、海外市場が非常に窮屈になり、国際収支が悪化してくると、国内では技術革新、技術革新ということで、これは当然やらなければならぬことなのだが、さてその結果、海外における濫費市場というものは、アメリカが頭打ちになる。東南アジアにしても中共にしても、どの程度期待できるかということは、僕は楽観できないと思うのです。そういう形になってくる条件がかりにあると、これはまことにめんどうなもんだと私思うのですが、こういう点の見通しは、実業界におられる皆さんの見通しとしてどうなんでございましょうか。繁栄をきわめておる石油工業という立場を離れて、日本の産業界全体の今後を見きわめていく立場からお話し願いたい。
#28
○池田参考人 お断りしておきますが、私は石油工業をやっておりません。中原さんの方が石油工業でございまして、私は、石油化学工業の方をやっております。
 今のお話のことは、私も痛感いたします。景気というものは、そういつまでも永久に続くものではございません。ですから、もし不況があるとすれば、それに備えるためには、科学技術は進歩しなければいかぬものだ、私はこう確信いたします。ただ、今の設備過剰の問題でありますけれども、その点は私は非常に心配いたします。この点は、日本は自由資本主義の格好でいっておりますが、この間も鉄鋼需給調整法できましたり、前に機械の方の法律ができました。せんだっても化学の方の振興法というものがちょっと顔を出しまして流れましたが、あの中には私ども反対な項もございましたけれども、やはり将来の不況に備え、あるいは日本経済の全体の効率的な効果をおさめるような長期計画を立てなければいかぬという面からいきますと、非常に必要な部面があったと思います。そこで、今のお話のように、つまらぬものに設備をどんどんやるということは私は大反対でございます。例を言いますと、ちょっと当りさわりがあるかもしれません。たとえば今、塩化ビニールが非常に足りない状態で、アメリカまでも輸出をしており、その他海外に輸出可能なのですが、これはけっこうなんです。その原料としてのカーバイドが足りないということで、今、小カーバイド炉をあちこちでかりに作るといたしますと、この炉が二年前までは一万八千から二万していたのが、最近は三万円もするのじゃないでしょうか、私はよく知りませんけれども――。もしそういうものを目標にして計画をするとしたら、今、先生のおっしゃる通りに、非常に好ましくないことだと思います。それと、これには電気が伴いますが、電気は今非常に足りない。この電気をどう効率的に持っていくかということが非常に大事だと思います。電気を原料にしたものを輸出するということはどうであろうかと思います。たとえば、油なり石炭をたきますが、油は全部輸入していますし、石炭はなかなか資源も少いし、それほど生産も伸びません。そういうものをたきまして、電力を作ります。その電力で、たとえば今のカーバイドを作って化学製品を作る、こういう道なんですけれども、もっとそれを短絡しまして、電力を使わないでまつすぐ石油化学へいくということも考えられるわけであります。そうしませんと、結局非常に非能率なものを設備することになる。そうして電力が足りない、片方では炭素材が足りないということになりますと、結局全体の稼働率を落すということになりますから、自然先生のおっしゃる設備過剰という結果になるだろうと思います。その辺の調節がどうしてもなくちゃならぬと思います。私は、その点は非常に先生に賛成でございますが、ただ将来の不況に備えるというためには、技術振興をしなければいかぬ。この点は、技術の振興といってもいろいろ考え方なりやり方もございますから申し上げにくいのですけれども、私はそういうふうに考えております。
#29
○岡委員 それからもう一つは、何と申しましてもやはり国内市場の問題なんですが、私ども統計の数字を申し上げるのは何でありますけれども、結論だけ申し上げますと、昭和二十九年から三十一年まで全産業の雇用者、使われておる人たちの所得を拾ってみますと、とにかく月額八千円以下の雇用者が数で四百九十六万、これは二十九年三月、それが三十一年には六百十九万というふうにだんだんふえていっているわけです。賃金あるいは月給の安いのがまだまだたくさんおるし、ふえてくるようにも思うのですが、そういう状態の中で、産業界の技術革新でどんどん規格のりっぱなものが量産される。それを消費する国内市場というものが、現状ではこれに伴いがたいのではないかということが、一応数字の上で出てきておるのです。こういう点は、やはり経営者である皆さん方も十分顧慮しておられると思うのですが、こういう点についての率直な御見解を伺いたい。
#30
○池田参考人 非常にむずかしい質問でありまして、今ちょっと答弁しかねますけれども、私案は今新しいことを始めておるのですが、一つは、まだ日本にあまり需要のないもの、もっぱら外国から輸入しておるものではございますが、現在外国から輸入しまして相当意義のあるものであれば、これは国内で生産しますと、外貨の節約もできますし、これは御異存はないと思います。しかし、新しいものとなりますと、結局はやはりある程度は自分でマーケットを作っていかなければなりませんので、こういう点は、今のお話にもございましたけれども、私は非常に日本には欠けていると思います。市場調査とか市場の計画とか、マーケット・リサーチまでやって、マーケッティングまではあまりやっておりませんが、そういう意味でいいますと御説の通りで、十分国内現存の市場で、あるいは潜在した市場を探して、これをだんだん作っていこうということでなければいかぬのじゃないかと思います。今、賃金が低いということがございましたけれども、私どもは、だんだん較差ができるということは、どうしてそんなに較差ができるのかわかりませんが、何と申し上げようもございませんけれども、これは一般に賃金レベルも上りまして、消費もふえて、生活もだんだん安定を来たし、あるいは文化生活もだんだん進んでいくということが一番好ましいことだろうと思います。そういう点からいいますと、新しいものを作りましても、たとえばプラスチックで鉄にかわる、銅にかわる、鉛にかわる、あるいはゴムにかわるというふうなことはぜひやらなければいかぬと思います。ですから、全然今まで使っていない新しいものを作る場合と、それから現在あるものを新技術で安く仕上げるということと、それから全然新製品を作る、それからそれを海外に輸出する、こういつたような順序になると思うんです。この辺の非常に広範囲にわたる詳細なことになりますと非常にむずかしいことなんで、私、一々についてお答えできませんけれども、やはりそ点は慎重に、広い範囲の視野から見たいろいろな計画が必要じゃないかと思います。これは私どもが計画いたしますのでも、さっき申しました情報センターを作るにも、まず計画が一番大事だろうということを申し上げましたのは、これは私が今仕事をやりかけておりますその面からの体験から申し上げたわけでありまして、今おっしゃったことは、いろいろな面から考慮していかなければならぬということは、これはどなたも異議がないことだと思います。
#31
○岡委員 私もこれで終えますけれども、いずれにいたしましても、国の産業界に新しい技術が導入されるということになると、やはり国外市場もさることながら、国内市場の開拓ということも、これが裏づけられていく政策が同時に進められないと、結果的に意味がない。ほんとうの意味の日本の国民経済の発展はないということです。所得なんかのここに資料がありますが、一九五三年当時の国民一人当りの所得が、アメリカでは千九百ドル、イギリスが八百十六ドル、西ドイツが五百ドル、日本が百八十ドルです。しかも、その場合一人当りの消費がどれだけかというと、それぞれみんな六〇%です。いかに日本の国民所得というものが、国内市場として貧別なものであるかということがわかるわけです。こういうわけで、技術革新の問題は非常にけっこうだし、これは世界の大勢であり、歴史の大きな方向だから、どんどん国としては進めなければならぬが、しかしこういうふうに資源が乏しい、人口が多い、潜在失業人口も一千万人近い、あるいは労働力が年々九十万人近くふえているというような、非常な悪い条件にありながら、その中で技術革新を進めていくという場合に、そこにやはり大きな矛盾が出てくるわけですね。だから、そういう場合、アメリカと違って、日本の現在のいわば資本主義の体制の中で技術革新を進めていくということになると、資本主義そのものの進歩が国民経済の中における大きなアンバランス、不安定を起す。進歩と安定というものが、二つの別々な相反するファクターとして国民経済に作用してくるということを考えなければならぬということです。こういう点は、やはり科学技術に非常に関心を持っておられる皆さん方の今後の重要な課題として、いろいろまた御心配願いたいと思うんです。また、これは委員長にもお願いしたいのですが、この技術センターの審議には、そういう意味でやはり通産大臣なり労働大臣なり次会あたりにお呼びいただいて、法律そのものはこういう法律ですけれども、初めてのことでもありますから、多角的に慎重に一つ御審議を進めていただくことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
#32
○菅野委員長 小平久雄君。
#33
○小平(久)委員 私は簡単に中原さんにお尋ねしたいのですが、中原さんは科学技術審議会の情報部会長をしていらっしゃいますので、このセンターを作るに当りまして、部会長としてもいろいろ御審議なさったことであろうし、先ほど来のお話を承わった感じを基礎にしてお尋ねしたいと思います。
 先ほど斎藤委員からもいろいろ御指摘がありましたが、この法案を一瞥すると、極端に言えば、実は何か羊頭狗肉的な感じがするわけです。科学技術情報センターといいながら、技術を主にするというようなことをはっきりうたっております。ところが、われわれがよく耳にするところは、技術というものは、やはりその基礎になる理論というものを切り離してはなかなか考えられぬのだというような声を、特に学者の方面から聞くことがわれわれは多いわけです。しかるに、今度作ろうとするこのセンターは、何かむしろ技術面に重点を置いておるように、ここにうたわれておるところからすれば感じられるのですが、情報部会等においても、基礎理論というよりもむしろ技術を主にするのだ、そういうような話し合いがあったのかどうか、これが第一点です。
 それから、時間がないからまとめてお伺いいたしますが、先ほど来のお話を承わっておると、このセンターを作ることによって中小企業者に利益するところが多いだろう、大いに利用してもらったらいいと思うというようなお話がございました。しかし、中小企業が利用する技術というものは、概括的に見れば、そう高度の技術じゃなかろうと思うのです。そうすると、このセンターというものは、そう高級な技術というよりも、何といいますか、むしろ程度の低い、と言っては語弊があるかもしれぬが、そう高くない技術、そ、ういうものの情報を中心に終始ける、少くともそれを重点的に終始するといったような方針をとったらよかろうというようなことが、あなたの主宰しておられる情報部会などで御論議があったものかどうか、こういう点を第二点として承わりたい。
 それから第三点には、先ほど羊頭狗肉的だと申しましたが、この情報センターの法案を見ますと、たとえば、この三十条ですか、それには何か利益があった場合、出資者に分配することができるというようなことがうたってある。先ほど予算の話も出ましたが、初年度から何か一千万からの事業収入を見込んでおる、こういうようなお話があったのです。そうすると何か、お話の中小企業に特に利用してもらったらいいと思うというようなことと、初年度から一千万も事業収入を当てにする、ましてや剰余金があったら分配する、こういうようなことは、中原さんがこの審議会で御審議になっておったことと違う内容になってこの法案が出てきておるのじゃないかというような気がするのです。あるいはこういった利益があったら、出資者に分配すべきだというような議論が逆におありになったのかもしれませんが、いずれなのか、その辺も一つ承わりたいと思うのです。
 最初、この三点だけ承わっておきたいと思います。
#34
○中原参考人 初めの科学技術の問題ですが、もちろん科学の情報をちっともとらないということじゃなしに、理論的のもので、それに関連して必要なものはもちろんとることになると思います。
 それから、今の、中小企業を対象としてやっておるというふうに、私の説明に中小企業に非常にウェートを置いたような表現があったかもしれませんけれども、中小企業だけじゃなしに、一般に情報をとることはもちろんであります。ただ私の強調しましたのは、大企業は自分自身でも情報がとれるけれども、中小企業はそういう点に非常に困難しているから、利用の価値が多かったという意味のことを申しましたので、単に中小企業を対象としておるわけではありません。また中小企業の技術の水準が低いとおっしゃいますけれども、企業としては小さくても、技術面としては必ずしも水準が低いということは言えないじゃないか、非常に小さい町工場でも、非常に高い技術水準の仕事をやっているところもあると私は思っております。
 最後に、もうけたら配当するというが、それだけもうかるのか、もうかるならば、もっと情報を広くとって安くやればいいじゃないか、そういう御趣旨だと思いますが、それはごもっともであると思います。そういうふうにやります。ただ、法律としては、非常にうまくいったときにこうもやれるということを書いてあるものだ、そういうふうに了解しております。もちろん、特に初めのうち、なかなかみんながこれを認識しないうちは、非常に経営も困難であると思いますけれども、順調にいくようになれば、ペイするようになるんじゃないか、こう思っております。
#35
○小平(久)委員 今の最後の点ですが、法律的にそう書いてあるだろうと思うというだけのお話ですが、これはあなたの方の審議会の部会で何かそういう点は話題にならなかったのですか。
#36
○中原参考人 それはいろいろな意見がありまして、なかなか初めのうちはもうからぬぞ、だから初めのうちは民間から利益が上らないような予算を組むと無理がいくということで、初めにこしらえた予算よりも、その民間からの収入というものは非常に滅してこしらえたはすでございます。
#37
○小平(久)委員 先ほどのお話のうちに、外国にもいろいろ情報機関がある、それは多くは国が直接やっているか、あるいはそれに準ずるものだというお話があったと思うのでありますが、今度作ろうとする情報センターとそういうところはやはり同じような、こんな内容ですか。そういう点までお調べになっておりませんか。要するに、今度作ろうとするような建前、これもある意味においては国で作るのに準ずるといった建前であろうと思うのです。半官半民のような、特殊法人にしようが、外国のと比べて内容的にとう違っているかということを伺いたい。
#38
○中原参考人 詳しいことは存じませんけれども、もちろんソ連におきましては、全部国の制度でやっているから問題がないわけであります。それから、フランスの国立というようなものも、これは国立でやっておるから問題はないと思います。大体国のウェートが非常に多いから、こういう問題は少いと思います。日本においては、大体政府が五十出せば民間が五十出すというふうな建前が普通にやられておるものですから、こういう問題が起ってくるのだと思います。
#39
○小平(久)委員 もう一点承わりたいのですが、このセンターと国立国会図書館を初めとする図書館、それから先ほどもお話がありましたが、特許庁等で集めておる資料、そういうものとの関係が、この法案のうちにもその関係について一、二触れておる規定があるようですが、実際問題として、これはどんなふうに両者がお互いに、先ほどのお言葉を借りれば相侵さず相協力してやるか、実際問題としてはどんなふうに運用されることが望ましいのでしょうか。その辺のところを一つ、これもあなたの部会でいろいろお話が出たと思いますので、その内容を承わりたい。
#40
○中原参考人 これは、情報部会でもその方面の代表者も出ておりまして、初めから問題になっておるところなのです。国会図書館もあるし、学術局もありますし、また学術会議の方はこれは純粋の理論ばかりでありますから、割合少いのでございますが、そういうことで、これが問題になると、科学情報センター設立そのものに非常に悪い影響を及ぼすから、お役所の内部同士ですから、それらの関係でしかるべく調整していただきたいということを私の方から申しまして、それでよく御相談下さってやっていけるということになったと思っております。
#41
○小平(久)委員 どうもお話を承わっておりますと、あなたはそう申しては失礼だが、科学技術審議会情報部会長さんなんだから、もう少し突っ込んだ御議論があって、それをお聞かせ願いたいと思うのだが、どうも役所の方でしかるべくやってくれるだろうというようなことでははなはだ物足らぬのです。私は、科学技術センターをお作りになることもけっこうだし、その必要のあることも認めますが、しかし、この運用をうまくやらぬことには、ある意味においてはいわゆる二重投資的な性格になってしまうのじゃないか、国会図書館あるいは特許庁あたりでも相当の資料を集めておられるのじゃないかと思います。ですから、またセンターを作って同じようなものをここへ集めるというようなことをやると、これはある意味においては二重投資――投資と言うことが適当かどうか知らぬが、とにかく国の金のむだ使いということにならぬとも限らぬと思うのです。ですから、考えようによると、新たにこういう機関を別に作らぬでも、国会図書館に情報の提供機関をさらに拡充して作るとか、その他の適当の処置をとれば、このセンター法の目的もおのずから果せるのじゃないかというような気もするのです。あえてこのセンターというものを新たに作る、科学技術庁ができたから科学技術情報センターというものを作らぬと、どうも役所の形体をなさぬというような、まさかそんな形式的なところからこれが出発しておるのじゃなかろうと思うのですが、既存の施設を利用せずに、どうしてもこういうものを作らなければならぬという根拠というものは、あなたたちのお考えからするとどういうところにあるのでしょう。
#42
○中原参考人 一番最初私が御説明申し上げましたときに、非常に詳しく申し上げたと思っておりますが、科学技術情報というものはいろいろ分野が広いのです。それを総合的にとりまして、それを選別して、評価して、これを民間に流すというところに重点があるのであります。もちろん既設の特許庁であるとか国会図書館とは連携してやりますけれども、単に文献を貯蔵しておくとか、そういうことじゃなしに、もう少し積極的にそれを整理、評価して提供するという業務を持ってやるので、今までの機関だけではこういう仕事はやっておりませんし、またやることを望むことはできないというふうなことでございますから、これは非常に必要であると思います。
#43
○志村委員 関連して。情報を関係方面に流される、理論あるいは科学技術を流されるということになりますと、その情報によりまして、この理論を使って新しい技術ができるんじゃないか、あるいはレディメイドであっても、その技術をある程度モディファイして、新しい技術が生まれるというようなことは、その情報を見た現場の技師連中が、いろいろ思いつくところである。そういうところから、理論により新しい技術が生まれてきたり、また技術の応用面が広くなったりすることが非常に多いということをソ連で聞いて参りました。レニングラードの国立技術研究所ではそういうことが多い、ソ連の場合においては、新技術の発見はそういうようなチャンスで起きることが非常に多い、こういうことをいわれております。これを見ますと、情報を流すだけで、それで現場の技師がこの理論を使ったら、こういうような一つの技術ができ上るんじゃないかというようなことを思いついた場合に、それをどこでめんどうを見てくれるかということなんです。ただ情報を流すだけでなくて、こういうアイデアでこういうような技術を作り上げようと考えてきたときに、今のところでは、どこもそれを取り上げてくれるようなところはないような気がします。国内の場合なら、研究所へ行っていろいろ話し合うというようなこともありましようが、海外の場合は事実上、一そう困難になって、思いついてもどうにもならぬというような場合があると思います。その場合に、この規定によりますと、何かそういうことは取り扱うことができないようになっております。しかし、しまいの方の「業務の範囲」の第二十二条第五号に、「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務を狂うこと。」と書いておるのでありますが、一体そういうようなことが含まれておるのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
#44
○中原参考人 今お話のようなことは、大際問題として非常に必要であると思います。しかし、この情報センターでは、たとえばコンサルティング・エンジニアの仕事までやるようにはもくろんでいないのであります。
#45
○志村委員 コンサルティング・エンジニアのことができないということは私知っておりますが、ただ情報を流すということではなくて、それを具体的な技術まで持ち上げるためには、その程度のめんどうを見て下さった方がいいんではないか。日本の場合においては、特にそれが必要じゃないか。ソ連においても、新しい技術はそういう経路を通じて発見されるケースがきわめて多いということを聞いておるのであります。これはやってはいけないということは私はないと思うのですが、いかがでしょう。
#46
○中原参考人 これは、たとえばどういうことを調べたいからというふうな御相談は、それに応じまして、その情報を集めるということはやることにしております。これを実際に応用するためにはどうするとか、あるいは企業化するためにはどうしたらいいだろうというフドヴァイスをやるところまでやっておりませんので、それはあるいは、先ほど池田さんのお話のあったような、何かそういうふうな研究を育成するような機関の方へ持っていっていただく方がいいんじゃないかと思います、もしそういうものができましたら。
#47
○志村委員 それでは、情報の次の段階として、そういうことをやるということをお考えになっていらっしゃるんですか。
#48
○中原参考人 それはまだそこまで考えておりませんけれども、先ほど岡さんからもお話がありましたが、非常にいい研究ができた、しかし、それが外国に劣らぬような研究でも、日本では実を結ばぬということが非常に多いので、非常にわれわれも残念に思います。これはやはり日本全体あるいはわれわれ業者の大きな責任だろうと存じております。そういうふうなことは今後ともぜひとも必要だと思います。一足飛びにそれが企業になるか、あるいは中間試験をやらなければいかぬか、そのものによって違うと思いますけれども、中間試験に相当大きな金をつぎ込んでやるように日本がならなければ、いかにりっぱな研究ができても、おそらくそれが実を結ばぬということになるんじゃないか、そういうところを心配して、われわれとしましては、とにかく日本にできた研究は、相当犠牲を払うつもりで金をつぎ込まなければいけないのじゃないか、そういうようなことを考えております。しかし、この情報センターとしては、まだそこまで考えていないと思います。
#49
○志村委員 これを企業化するためのいろいろな施設ということももちろん考えておりますし、今度も考えられたようでありますが、そういうような大きな資金を要するというものではなく、一つのアイデアをつかんで、これをこういうように簡単に工業化できるんだ、その場合には研究所で一つのデザインを作ってくれればいいんだというところまで進んでおるときに、その間の連絡がうまくいかないために、立ちおくれになるという場合は、きわめて惜しいと思う。少しの経費しか要らないのに見のがされるということは惜しいと思うので、そういうふうな資金的なめんどうを見るとか、大きな中間試験をしなければならぬという場合を除いても、簡易にできる場合があると思います。中で仲介の労をとって下さればできる面もあるのですから、そういう場合は考えていただけないか、こういうことです。
#50
○中原参考人 おそらくは、そういう場合には、その中小企業の方よりも、このセンターの方の役員がその間の事情をよく知っておるはずでありますから、「そういう問題はどこに行って御相談したらいいでしょうか」、「工業試験所に打って御相談なすったらいいでしょう」、こういうふうなことは言って差し上げることができると思います。
#51
○菅野委員長 参考人に対する質疑は、これにて終了いたします。
 参考人各位には、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重なる御意見を承わり、まことにありがとうございました。本委員会の法律案審査に資すること、きわめて大なるものがあると考えます。委員会を代表して、私より厚く御礼を申し上げる次第であります。
 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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