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1956/03/20 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号
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1956/03/20 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号

#1
第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 菅野和太郎君
   理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中曽根康弘君 理事 前田 正男君
   理事 志村 茂治君
      小平 久雄君    椎名悦三郎君
      須磨彌吉郎君    南  好雄君
      石野 久男君    岡本 隆一君
      佐々木良作君    田中 武夫君
      滝井 義高君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 宇田 耕一君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       秋田 大助君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁企
        画調整局長)  鈴江 康平君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務事務官
        (国際協力局長
        心得)     森  治樹君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (科学技術庁次
        長)      篠原  登君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    松井佐七郎君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事)   嵯峨根遼吉君
    ―――――――――――――
三月十九日
 技術士法案(内閣提出第一〇八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 技術士法案(内閣提出第一〇八号)
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政一
 般)
    ―――――――――――――
#2
○菅野委員長 これより会議を開きます。
 技術士法案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。宇田国務大臣。
#3
○宇田国務大臣 技術士法案の提案理由の説明をいたしたいと思います。
 科学技術の振興を強力に推進するためには、我が国独自の技術の創造発展をはかる必要のあることは、あらためて申すまでもないところと存じます。従来欧米の先進技術の導入にきゅうきゅうとした状態は決して本来あるべき姿ではないのであります。しかしながら、またこれと同時に、わが国においてすでに相当の水準に達した各般の技術を、あまねく産業各分野に浸透せしめ、活用せしめることも、重要な課題でなければならないと考えるものであります。御存じの通り、わが国におきましては、進歩した技術は、ややもすれば一部企業に独占される傾向がありまして、その他大多数の企業は、資金その他の制約を受けて、進歩した高度の技術を十分に取り入れることもできず、一般的には、技術の後進性が著しい状況にあります。このような現状がわが国産業上の重大問題であるとともに、わが国の輸出、ひいては国民生活水準の向上に密接につながる緊要な問題であることは、いうまでもないことであります。このような企業においてこそ、諸般の合理化が強力に推進せらるべきものと考えます。一がに合理化と申しましても、大は最新技術を擁する新工場の建設から、小は生産工程中の一部機械の改良に至るまで、各種各様のものがありましょう。わが国一般の企業においては、このうち、それほどの資金を必要としない中規模以下の合理化についても、なお取り残されて、旧態依然たる部面が少くないということであります。なぜそうなのか、この点については、種々理由が考えられるのでありましょうが、ここでは次の重要な二点、すなわち、各企業はみずからの技術上の問題点の所在について、ややもすると視野が狭いためにこれを看過しがちであること、また、問題点の所在を認識しても、これを最適の方法によって解決する能力を持った技術経験の十分な技術者を各専門ごとに配置整備しておくことは、一般企業としてはまず困難であることを指摘する必要があります。企業における技術上の問題点を的確に把握し、最善の方法によってこれを解決するという技術能力は、実地について各種各様の経験を重ね重ねして初めて真に身につくものであります。
 これを換言いたしますと、技術を産業に適用しようとする場合に当面する最大の問題は、しょせん人の問題であり、十分な技術経験を持つ人を得るやいなやにかかっていると考えるのであります。このような有能技術者多数が、今かりにそれぞれの専門別に各企業の技術相談に応じて、その該博な経験を広く企業の実際に生かすとすると、わが国の一般の企業における合理化は一段と促進され、わが国産業における技術水準の向上に目ざましい成果を上げることが期待せられるのでありましょう。技術士とは、このような社会的な機能を営む経験豊富な高度の技術者をいうものでありまして、わが国の現段階におきましては、技術士の活発な活動に期待するところきわめて大なるゆえんも、以上述べましたところから、大よそ御賢察願えると思うのであります。
 欧米先進諸国におきましては、技術士のことをコンサルティング・エンジニアなどと呼んでおりますが、数十年も前にこの職業制度が確立せられ、その団体は多数の会員を擁して、技術の名分野において輝かしい業績を上げており、その技術能力と業績に対する社会的な信頼は、案に絶大なものがあるのであります。米国について見ましても、一九〇七年ワイオミング州において初めてこれに類似の制度が設けられ、以来急速な発展を遂げて、今や連邦各州において法律の制定を見るに至り、全国で登録されたもの実に二十万を算する盛観であります。
 翻ってわが国の現状を見まするに、最近ようやく技術士という独立した職業分野が一応明確な地歩を築くに至っておりますが、なお先進諸国の状況に比べますと、著しい立ちおくれの実状にあるのであります。現在社団法人の日本技術士会というものがありまして広く専門技術者を糾合し、今日約四百五十人がその会員となっております。
 先に述べましたように、わが国産業の全般にわたって合理化の要請きわめて切なるものがあります。その合理化をはかる上において、一企業の技術能力を越える問題もまたきわめて多きを数える状況にあります。この合理化の問題のほかにも、工場の新増設、電源の開発、橋梁、港湾の建設など、一企業体の固有の技術スタッフをもって解決することの困難な問題は少しとしないのであります。その上わが国としては、現在東南アジアや南米の諸国に対するブラント輸出あるいは技術進出を積極的に推進すべき段階にありますが、このような部面は、まさに技術士に対して格好のヒノキ舞台を提供するものにほかならないのであります。しかも、他方におきましては、わが国では幸いにしてこれら諸般の問題に対してそれぞれ専門的な見地からするところの適切な解決を与え得る経験十分な有能技術士たるべき人を多数擁しているのであります。このような基本条件のもとにあるにもかかわらず、わが国では遺憾ながら、ただ一つ、技術士制度の健全な発達を支持し、促進するところの最大の要素たる技術士に対する社会的認識という点において、きわめて不満足な状態にあるのであります。たとえて申しますと、多くの産業に共通する工場内の粉塵の処理あるいは金属メッキに関する第一流の技術士がいるとしても、企業の側ではまさにそこに技術問題を包蔵しているにもかかわらず、それらの人の存在を知らないとか、かりに知っていても、あえてその門をたたくことをしない場合がはなはだ多いのではないかと思うのであります。このことはひっきょう、わが国において技術士制度というものがいまだ十分に根を張っていないことに主たる原因があると考えられるのでございましてまず第一に、技術士というものに対して社会的な関心を高め、一般の認識を深めるような措置をとる必要を痛切に感じさせられるのであります。もとより問題はこれにとどまるものではないと考えます。たとえば、いま一つ、技術士から法外の報酬を要求せられはすまいか、あるいは技術士に工場の秘密を探知せられはすまいかといった企業の側としてはしごく当然な懸念がそこに伏在することも十分あり得ることだと思うのであります。従って、第二として、このような事態に対しましても、また企業が安んじて技術士に相談を持ちかけられるような適当な措置が望ましいのであります。
 先に述べました第一の社会的認識を深めるための措置としては、技術士になろうとする希望者のうちから、まさに技術士たるにふさわしい有能の士に技術士となる道を開き、これにのみその名称の使用を認めるよう立法措置を講ずることにしたのであります。このことはまた、同時に技術士が国情の全然異なる東南アジアなどに進出する上において、大きな効果をもたらすものと存ずるのであります。第二として述べた、企業側における不安を解消するための措置としては、技術士となった以上、技術士としての信用を失墜したり、業務上知り得た企業の秘密を他に漏洩することなきよう、法律の権威のもとに禁止する規定を設けることにしたのであります。
 本法案はこの二つの考え方を眼目とするものでありまして、その根本には、第一に技術士制度の発達を自然の成り行きにまかせるには、科学技術及び国民経済上の要用はあまりにも大なるものがあるという認識があり、第二にこのような立法措置を講ずることによって、目下成長の段階にあるわが国の技術士制度の健全な発達を著しく促進することができるという確信があります。この二点につきましては、今まで述べて参りましたところで大体御了解願えるのではないかと考えている次第であります。
 なお、本法案と同じ技術士法案の名称で第十九国会に議員提案せられたことがございます。その場合には、所管官庁をどこにするかとか、法文の上で若干問題がありましたが、法文上の点につきましては、慎重な検討を加えて、相当な修正を行い、面目を一新した形で、今般ここに科学技術庁所管の法律案として政府より提案せられたものであります。
 以上が技術士法案の提案理由であります。
 以下、本法案の内容につきまして重点的に御説明申し上げます。
 第一に、法律によって、権威を与えられるれっきとした技術士としては、企業等に対する技術指導に従事する以上は、高等の技術能力を持った者でなければならないのでありますが、この点については、大学卒業程度の基礎的な学力を持ち、しかも専門的な問題について実際に設計などの実務を行なった期間が通算して七年をこえる者でなければ、本試験を受けることはできないとして、その受験資格を制限するとともに、さらに本試験によって、それぞれ専門の技術部門ごとに高度の実務能力を判定することとしているのであります。なお、基礎的な学力を判定するために、予備試験を行うことにしておりますが、大学、旧専門学校等の卒業者には、この試験を免除することにいたしております。
 第二に、いやしくも技術士たるものは、最初からその社会的な信用が疑われるような人であってはならず、また、技術士として当然に課せられるべき諸般の義務は、これをして厳に順守せしめなければならないのでありますが、この点に関しましては、まず法律違反に問われて、禁固の刑に処せられたり、特定の行政処分を受けた者は、欠格条項の該当者として技術士となることを拒否することにしております。
 次に、技術士の義務につきましては、信用失墜行為や秘密漏洩行為などを行なってはならないという義務規定を置き、技術士の登録の取り消し、あるいは刑罰をもってその義務違反を追及する建前をとっているのであります。
 第三に、高度の技術能力を持ち、かつ社会的に信用して差しつかえのない技術士としての適格性十分な人であるかどうかの判定は、以上述べて参りましたような方法で行うのでありますが、本法案は、このような適格者のみを技術士として登録し、これに技術士の名称を用いることを認める反面、技術士でない者にはその名称の使用を厳に禁止しているのであります。この措置が成長発展の緒についたばかりの技術士制度に対する世の関心と認識を一段と高めようとするところにねらいを置いておりますことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。
 なお、本法案では、登録を受けたものでなければ技術士という名称の使用を認めないという名称独占の考え方をとっておりますが、これとともに、業務独占の考え方、すなわち登録を受けた技術士でなければ技術士業務を行うことができないという考え方をとるべきかどうかに関しましては、諸般の実情にかんがみ、現段階ではこれをとらないことにいたしております。
 第四に、本法案におきましては、今後運用上の問題がきわめて重要であると考えられますので、技術士審議会及び技術士試験委員を置いて、運用に万遺憾なきを期している次第であります。
 以上、技術士法案の要旨について御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#4
○菅野委員長 以上をもちまして、提案理由の説明は終りました。
 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○菅野委員長 次に、科学技術振興対策に関し、本日は原子力行政一般について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。すなわち、本日の議事に関し、原子力研究所理事嵯峨根遼吉君を参考人としてその意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○菅野委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
 それでは、通告に従いまして質疑を許します。中曽根康弘君。
#7
○中曽根委員 原子力の問題を御質問申し上げます。まず湯川博士の辞任の問題からお尋ねしたいと思うのでありますが、新聞の伝えるところによりますと、病気のためにお引きになるというようなことであります。まことに残念でありまして、約一年半前、われわれ委員が総力を結集しまして御出馬を願った湯川さんが、たとい病気のためにせよ引かれるということは、日本の原子力行政の前途に若干の危惧を感じさせられるものがあると思うのであります。そこでお尋ねしたいのでありますが、原子力委員の間にいろいろな問題について見解の相違や対立と申しますか、そういうものがかなりあるのではないかと私は想像しておる。湯川さんは理論物理の出でありまして、湯川さんの弟子の中には相当な素粒子グループと申しますか、権威者もおられる。そういう学問的分野を代表する方々と、それから産業や工業を代表する方々等との間に意見が食い違うのは当然であると思う。しかし、そういうようなものが根にあって、もしおやめになるということであると、これは相当な問題であると私は思う。そういう事実があるかないか、まず宇田長官にお尋ねいたしたいと思います。
#8
○宇田国務大臣 湯川博士が委員会へ出られたのは、たしかインドの国産炉ができたときに、われわれ委員会の中から国民の代表として湯川博士に行っていただいて、そうして帰ったあとで二回か三回か委員会へ出席されたはずであります。その出席されたときに、委員会の運営等についていろいろ話があったと記憶しますけれども、今記憶に残るような湯川博士との意見の食い違いとか、あるいはそのときに話し合ったことで、われわれの記憶に残らぬほどですから、本格的な論議を戦わせたことはほとんどありません。それでインドに行かれる前にも、インドに行くことについての打ち合せや何かをやったのですが、そのときにも別にこだわりがあったというふうな記憶は全然ないのです。おそらく出席した委員みなそうだったと思います。喜んで、では私が行ってきてあげましょうというわけでインドへ行ってきてそれから帰ってきて委員会で報告を受けたのですが、それも別にどうということはなかったのです。そのうち一、二回見えたのですが、たしかそのときに審議したのは障害防止に関する法案を審議して各省との調整が困難であった段階ですから、それについて湯川さんも一、二の注意をするような場面もあったというようなわけで、どっちかといえばしごくなごやかに従来は経過してきたのです。それで、二月の上旬の委員会に見えて、それから後委員会へ全然来られなかったのですが、しかし実は湯川さんを無理に迎えなければならぬような案件があまりなかったものですから、どっちかというと今国会に提出する法案の審議に追われて一般の計画その他の重要な根本問題について話し合いをするというような機会はなしに今日に至っております。それで、引き続き湯川さんは欠席せられて、われわれは委員会で顔を合わさなかった、あるいはその他湯川さんにお会いするという機会は持ち得なかった、というわけであります。従って委員会の内部の意見の対立によって湯川さんが辞任をしなければならないようになったというふうに思うことは、心当りが全然ないのです。要するに、インドへ喜んで行って帰ってこられて、そのうちに二、三回見えて、それから二月の中旬ごろからですか、お見えにならないけれども、まあ審議することも大したことはないというので、われわれは国会対策に追われておったと、こういうことであります。
#9
○中曽根委員 本格的なことを議論しなかったということや、放射線障害防止法のさまつな法案をいじったということが、結局はやめる理由になったのじゃないのですか。ということは、原子力委員というもの、あるいは委員会の運営自体が、長い間湯川さんの心の底にわだかまっておったのではないかという気もいたします。ということは、さらに申し上げますと、原子力委員会法あるいは基本法等によって職務分担をやらされている原子力委員というものは、総理大臣もその決定を尊重するくらいに国の基本国策をやっている。湯川さんがあの分野を代表されてこられたというのには、やはり日本の学問的な基礎を深めるということや、あるいはほかの技術面と学問との協力をやるという、そういう深みのある仕事を自覚しておいでになったのじゃないかと思うのです。われわれはまたそういう期待で湯川さんをお迎えしたわけでありますが、それがたとえば動力炉の問題が出てくる、あるいは国際協力の問題が出てくる、アメリカにするか、イギリスにするかというような問題が出てくる、しかしその場合にどうも本格的な議論を今までやらなかったらしい、それでいつも行政上のさまつなことをやっている、そのことが委員会自体の権威を落して湯川さんがまた病気で出られなくなるという原因を作ったのではないかということも考えられますが、委員会の運営をやっている宇田さんいかがですか。
#10
○宇田国務大臣 委員会の運営の中で、原子力研究所を中心とするいわゆる九十億ばかりの三十二年度の予算、その予算を中心として原子力委員会の持つ計画、その計画の中で特に問題となるのは動力炉の輸入ということであったのですが、その動力炉の輸入については、石川ミッションの報告が一月の十七日に出されて、その石川ミッションの報告に基いてコールダーホール・タイプを輸入するのが好ましいという結論、しかし地震に対する対策その他採算あるいは技術上の疑問点が数点あるから、第二のミッションを昭和三十二年度には派遣をしてその報告によって動力炉の輸入に対する決定をはかる、そういうふうな方針をとるのが適当であるというのが一月下旬の委員会の決定で、そのときには湯川さんもお見えになったのです。それで、いずれにしても、ただいまのところ、動力炉を輸入するという決心を持つだけの基本データーがそろわない。従ってあらためてミッションを送り出そうじゃないか、そしてその送り出す場合には、イギリスのみならずアメリカにも送ることにして、そうして動力炉をどういうのを輸入するのが好ましいかということの決定をするまでの基本の調査をそういう諸君に頼もうじゃないかというので、動力炉の輸入についてはそういう方法でいきましょうということは、湯川さんも全然賛成せられて一致しております。そういうわけで、その点についてはその後ああでもない、こうでもないと、それぞれの情報を持ち寄って話はあるでしょうけれども、委員会の運営上の決定は石川ミッションの報告の線に沿っていくということが原則であって、それから一歩も出ておりませんから、それでどういう、こういうという心配をなさることにはならなかったと思う。またコールダーホール・タイプを石川ミッションの報告に従って輸入した方がよろしいというあれに注意書きがありますから、コールダーホール・タイプを輸入するのには当然一般協定が必要となるはずでありますから、われわれとしては一般協定を締結するに必要な基本の検討を始めなければならぬ。石川さん自身がドラフトを持っておられる、そういうことについての概要を委員会で聞くというヒアリングもやりました。やったけれども、別に湯川さんがどうこうと言って、やめなければならぬという御意見をそこで吐かれたということはなかったと思っております。そういう意味で、アグリーメントについての話し合い、あるいは動力炉の輸入についての前提条件の石川ミッションの報告等の一連の問題についての審議の過程において、どうしてもやめなければならぬという雰囲気はなかったと私は思っております。
#11
○中曽根委員 簡単に一つ要点を御答弁願いたいと思います。私は何月何日にだれがどうやったということを聞いておるのではないのであって、原子力委員会法、原子力基本法の法の精神、あるいは原子力政策というものを日本で打ち出してきたところの根本精神から見て、委員会というものはどうあるべきかということを申し上げておるのです。そういう観点から一つお考えを願いたいと思うのですが、どうも私とは波長が合わぬようです。そこで私のダイアルに合せてもらいたいと思うのです。(笑声)私が申し上げたいことは、湯川先生においで願ったときには、みんな苦労して、なかなか出られないというのを実はおいで願った。あのときからもうすでに胃の病気はあった。自分は学者であるから、研究室にこもって研究の成果を出すことが自分の任務である、変な行政事務に出るのは私の務めではないというのをしいておいでを願ったのは、それだけの仕事をしてもらうつもりだった。研究室におられるよりも、もっと国のためになることをやってもらいたくておいでを願った。ということはどういうことかというと、それは日本の学者や、あるいは大学その他の学問というものが、実際の工業や原子力の推進に完全に協力してもらう態勢を作るということ、それから日本の原子力政策の基本の一つには、学問のすそ野を広げるというところがあった。従って、原子力研究所を作る場合にも、単に動力炉を作るだけではないのだ、それは電力会社の職人を養成するという概念ではないのだ、従って、生物の研究所も博物の研究所も、あるいは場合によっては心理学も化学も物理も、あらゆる総合研究所に原子力研究所を育てていかなければならぬ。そういう部面について湯川さんのお働きになる分野はかなりあったと思う。また一昨年ジュネーヴ会議が行われましたが、このジュネーヴ会議で各国の出した資料についても、学者のチームを編成して、それを完全に消化する、日本の工業力の中に栄養分を入れていく、こういう大きな使命があった。ジュネーヴ会議の資料は古いでしょう。二、三年前の資料だったに違いない。古いにせよ、日本は消化していないのだから、そういう部面について湯川さんが原子力委員として学界との間をかけ回ってやる仕事には、大きなものがあったと思う。しかし、その後見ておると、全く行政事務の中に埋没されて、くだらぬ法案の審議などをやらされて、そういう本格的な仕事に取りついていない。またそういうスタッフもなければ、予算の措置もない。これが湯川さんがやめたいという気分を持った根本原因だと思うのです。私は、そういうことを期待して湯川さんにおいで願ったわけだから、今度おやめになるということについては、非常な責任を感ずる。だから私はあなたに質問をしておる。従って、単に湯川さんがやめられるということは、病気の原因だけを考えてはいけないのです。前からそういう気分もあったということは、長い過程がそういうことをさせた。それはあなたの責任だというのではありませんが、ともかく日本の原子力政策を、原子力委員会のあり方をここで再検討する時期に来たと思うから申し上げておる。そういう反省をここでしないと、超党派のあれがくずれる危険性があります。原子力基本法を作るときに――私はきょう原子力基本法を読んできましたけれども、あのときに、こういうような精神でわれわれは原子力委員というものを考えたのです。当時、私が――自分のことで恐縮ですが、ある新聞に書いたのがあります。これはそのときみなそういう気持でおったのでありますから、ちょっと読みますが、「湯川、朝永両博士以下、わが国には、理論物理の面にも、その他の分野にも有能な学者、技術者が多数おられる。特に、三十才前後の若手の学者、技術者陣の中には、近き将来、注目すべき単組を世に訴えるであろうと期待される人々も多数おられる。これらの人々が、十分その能力発揮が行えるか、否かに日本の原子科学の発展は、一にかかっているとすら言い得るのである。機構や予算はこの能力発揮を促進するための補助的手段であることをまず確認すべきである。「それは、関係の学者、技術者が思う存分研究ができるような環境を、精神的にも物質的にもつくり出すことに、国民が、特に政治家が、暖かい周到な配慮をするということである。」「ところで、わが国原子力政策の「眼」は、実際のところ、機構や予算にあるのではないと思う。それ以前のところにあると思うのである。」こういうことを私が書いて、湯川さんもこれはお読みになっておると思う。もう一つ大事な点は、「われわれはかかる観点から、まず、わが国原子力政策の基本線として、日本学術会議の主張される諸点を法律上にも確立することに努めた。「平和利用」と、いわゆる学術会議の三原則」の厳守である。第二は、全国民的立場からする超党派性の確保である。日本の原子力は「財界の原子力」であってはならないし、いわんや、電力会社が原子発電に備えるための職人養成のための原子力であってはならないのである。「全国民のための原子力」であり「科学発展の基礎、または応用のための原子力」でなければならない。このような配慮から、原子力委員会の性格については、学術会議の主張を取上げ、行政委員会の性格を最大限に保持せしめ、原子力政策の企画、審議、決定の機関とし、特に内閣総理大臣はその決定を尊重しなければならないと明記した。原子力委員の任命は国会の同意を要し、罷免は、心身の故障または重大なる欠格原因の存在以外に、一内閣が簡単に罷免出来ないようにして、委員の身分を保障し、わが国原子力政策の推進を、政争の圏外に置いて、じっくり腰を据えて、長期持続の計画を遂行し得るよう配慮した。」こういう精神で原子力委員会というものができておる。私はこの精神はあくまでも正しいと思う。しかし、ややもすれば日本の原子力というものは、エネルギーの需給関係から、現実面に非常にプレッシャーがかかっておる。そうして、学問的な分野というものは、ややもすれば置き去りにされる憂いがあったので、その間に湯川さんという人がおって、おとなしい人でもあり、内気な人でもあるから、自分でばんばん言ったりやることができない。そうして気をもんでいるうちに、だんだんだんだん消極的な気分になってきたということをわれわれ反省しなくちゃならぬと思う。そういう点について、今までの原子力委員会のあり方等についても、改革を加える余地がないかどうか、委員長にお尋ねしておきます。
#12
○宇田国務大臣 原子力委員会の運営については、私は就任日が浅いから、従来一年間どういうふうにやってきたかということについての検討をするひまがなかったのですけれども、私の考えでは、今、中曽根委員から申されたような線で、大きく反省しなければならぬ点が多いと思っております。
#13
○中曽根委員 そこで、委員会の運営を反省する、改革するということは、当然これからここ一年政治の日程に上って私はいいと思うのです。湯川先生がもし引かれるということになれば、それを転機にわれわれは禍を転じて福にする必要があると思うのです。そこで、一つのポイントはどういうことであるかというと、原子力委員会に事務局が必要であるということだと思う。これは、原子力委員会を作るときから問題があって、執行機関にしてはならぬというところから、科学技術庁に原子力局を持っていって、それを執行機関にした。しかし、アメリカのAECやあるいはその他の外国の例を見ても、スタッフのないところに決定や審議というものはあり得ない。あるいはこれから動力炉や年間九十億、百億という大きな予算を使うようになると、監察という面も出てきます。アメリカのAECでは、乱費を防ぐために非常に監察を強化してやっておる。これは国会の合同委員会で協力してやっておる。そういうような監察の面も原子力委員会が直接やるということも考えられるわけです。そういう点から、宇田長官は、原子力委員会の改組という問題及び改組する場合に自分のスタッフを大勢持って、調査もやるし、新しい構想も生み出すし、あるいは監察も行う、そういう事務局を持つという方向にこれを改革する必要はないか、お尋ねいたしたいと思います。
#14
○宇田国務大臣 私は、実際、原子力委員会というもののほんとうの行政体としての権限とか、またこれが運営に万全を期するのにふさわしい組織であるかどうかについても、少し考えなければならぬ点があるように思っております。原子力委員会という機構が、日本の原子力の将来のために非常に適当な組織であるかどうかという点について、ただいまの原子力委員会設置法の建前では、どうも十分に自信の持てないような点があるように思っております。それは、具体的にどの項、どの項ということを申し上げるような、まだ成案は得ておりませんけれども、原子力委員会設置法に基く原子力委員会の権限あるいは行政しのいろいろな措措等をとるために、これでいいかなあという気がしております。また、原子力委員会のもとに事務局を構成するということも、これは必要な点もあると思っております。ただ、原子力委員会の期待されるところを考えてみますと、事務局というものがかえって手足まといになることもあり得るのじゃないかという心配も持っております。事務局にどういうふうな権限を持たして、どういうふうに事務局を運営するかについては、好ましいとは思いますが、その規模あるいは運用の方針等もよく勘案しなければならないのじゃないか、簡単にそれは置くべきものであるという結論には達しない点があると思うわけであります。
#15
○中曽根委員 宇田さんのお話を聞いておると、どうも自分はそう大してその必要は認めないが、言われたからそうとも感ぜられる、そういうふうに受け取られるのです。しかし私はそんなものじゃないと思うのです。たとえば、石川さんが産業界から出ておる。石川さんが産業界と接触をして、いろいろな企業態勢の研究をする。新しく動力炉を持ってきたときにいろいろな問題が起るわけですが、その場合に、原子力産業会議のスタッフを中心にしてやったのでは、これは原子力産業会議の案ができるだけなのです。だれが中心になってやるかというと、石川さんには秘書が一人もいません。原子力局というのは行政官庁で、これは事務を執行するところなのです。そうすると、まさか科学技術庁の人間をそう年じゅう使うわけにはいかない。原子力委員会というものは内閣に直属しておるのです。スタッフがなくて石川さんが全能力を発揮できるか。湯川さんは学者や学問の関係を分担されるが、これも秘書がいない。湯川さんは年来秘書をつけてくれと言っていたが、秘書がおらぬ。委員室にはお茶くみの女の子しかいない。それだけで東大や京大や学術会議との連携を大幅にやりまくって、原子力委員の仕事をやり繰りすることができるか。有澤さんにしても同じでしょう。そういう点からわれわれが原子力委員会を作っていたとき危惧していた弱点が、はしなくもここに出てきた。それが湯川さんがおやめになった心境の一つじゃないかと自分たちは反省しておる。宇田さんが一日も早くその心境に達することを私はこいねがうのです。それは、お互いがじっと見て、そういうことを感じておるからです。今までのように、石川さんや有澤さんや湯川さんの仕事の役割から見て、そういうスタッフや事務局を作る必要はやはりないとお考えですか。
#16
○宇田国務大臣 事務局を作るということは、私は考えたいと思っております。それからあなたのおっしゃることの、要点は、よく私にはわからぬ点がありますけれども、秘書をつけるとかいう程度のことならば、それは別に反対することもないと思う。また事務局というものが、そういうふうな意味のことならば、ちっとも反対はしません。何でもないことだと思っております。
#17
○中曽根委員 まだ私の言うことがおわかりになっておらぬと思う。秘書をつけるなどということは小さなことなんです。それは一つの例として申し上げたのです。それよりもスタッフをつけるということです。石川さんには石川さんの産業界に働きのできるようなスタッフを作る。湯川さんには湯川さんの学問的な分野で働けるようなスタッフを作る。あるいは原子力委員会としての調査機能を持つ。あるいは監察機能を持つ。そういうことが必ずこれからの日本の原子力政策の上で必要になると私は思う。そういう専門的スタッフを持つという点について原子力委員にそういう要望はなかったですか。あるいはそういうことをお尋ねになったことはございませんか。私は前から聞いておるのです。
#18
○宇田国務大臣 原子力委員会でスタッフをどういう構想で持つかということについての具体的な協議あるいは諮られたことはありません。
#19
○中曽根委員 その点は私ら前から聞いておることであり、あるいは委員長に遠慮して言われていないのかもしれませんから、一つお調べ願って機構の改革の点については、慎重にしかもなるたけ早く考え方をまとめてもらいたいことを私は希望します。
 それから、その次にもう一つ湯川さんの問題で申し上げたいと思いますことは、原子力政策の超党派性という問題です。日本の原子力を推進する上について、自民党、社会党両党が協力したということは、非常に大きな力をなしておったと思うのです。そういう超党派精神というものが、実は湯川さんを原子力委員にお願いするということにもなってきたと私は思うのです。その湯川さんが、もし万一おやめになるということになると、その後のいろいろな人間の選び方やその他の面で、超党派性というものにひびが入るおそれがないとは言えない。私はこのことを非常におそれる。一方的な考え方でこれを行うと、将来非常に大きなきずが五年後、十年後、日本の原子力の上に出てくると私は思う。原子力委員会発足前後、あるいはその後超党派性というものは非常にうまく保たれて、あらゆる問題について両党が事前に相談してスムーズに運営してきたと思うのですが、最近その傾向が非常に薄らいできたように私は思う。もっとも、原子力委員がりっぱに選任されて、原子力委員会もスタートしたことですから、国会側はあまりしゅうとの嫁いびりみたいなことをするのはいかぬと思いまして、われわれはことさらに出ていくことを遠慮し、またあまり役所や何かに出入することは慎んでおって、政府がやることをわれわれは国会で受けて立つという態度をとっておったのです。普通の行政事務ならばあるいはそれでいいかもしれぬ。しかし、こういう問題は、むしろ政府の方が両党の議員の方へ積極的に相談をかけて、提携していくべきものだと私は思う。今までは政府の機構がなかったから、われわれ議員が先に出て両方で協力してやりましたが、政府のそういう機構ができた以上は、今度は政府の方が両党の方へ話を持ちかけて事前の調整をやるということがいいやり方ではないかと思うのです。そういう点について、ここ一年ぐらいはどうも発足当時のような関係にいかない、この点われわれももう一回いろいろ考え直さなければならぬと思いますが、政府の方のやり方も御反省を願って、改革すべきこともないとはいえないと思うのです。たとえば、動力協定の問題にしましても、くすぶっている問題がある。どこに問題があるか、そういう点はわれわれは新聞で知るだけであります。そういうことがくすぶっているということが、原子力委員会あるいは原子力関係と国会の方を疎遠にするもとにもなっておる。これはわれわれ自体が反省して申し上げるのでありますが、政府の方でもその点はもう一回いろいろ考え直してもらって、改革すべき点は改革してもらいたい。この点はいかがですか。
#20
○宇田国務大臣 行政府と国会との関係を円滑に持っていくということは、非常に重要なことだろうと思っております。それを抽象的でなく具体的にどういうふうに運んでいくのが一番効果的かということでありますけれども、その点については、なお今まで通りでいいとは考えておりません。もっと十分な連絡のとれる方法を考えなければならぬ、こう考えております。
#21
○中曽根委員 時間がありませんから話を進めますが、この間マッカーサー大使と御会見になったようです。おそらく宇田さんが会った中心は、今進めている研究協定あるいは一般協定との関係を促進するというお心づもりだったに違いないと私は思いますが、この点についてもしお話願えるならば、先方の見解や当方の申し出をここでわれわれに説明していただけばありがたいと思います。
#22
○宇田国務大臣 マッカーサー大使には、着任をせられたので、それぞれ総理その他各大臣を訪問してそれで初めて着任をしたことに対するあいさつであるというようなのが前提であったのです。そうして、来られて会ってみたら、その劈頭手紙を出して、その手紙を私に渡して、よく読んでくれ、こういうことだったのです。その手紙を見てみると、アメリカのAECのストローズ氏から私に対するアメリカへの招待状が入っておった、そういうわけで、それについてどうだろう、こういう話でしたから、自分は今国会が会期中であるし、また政府にも相談をしなければならぬし、それから原子力委員会においてもこういう問題は諮らなければいかぬ責任があるから、いずれそれぞれの機関に諮ってから御返事をいたします。こういうことを話しました。それで、日本はアメリカとの関係でも懸案の問題が数点あると思うのだが、原子力協定、原子力に関するところの条約等についてはどう思うかと言ったら、自分は実は全然アトムの問題についてはしろうとなものだから、それは一緒に来たウェアリング氏が担当でよくわかっているのだから、あらためて別の機会にそのことは協議をしてもらいたい、こういうことでした。こっちとしては、いずれにしてもウォーター・ボイラーをCP5が稼働を始めるから、それに必要な資材あるいは燃料はもらわなければならない、情報ももらわなければならないと思うから、そういう点については協定をどうしても必要とする、あるいは条約を必要とするはずだから、そういう点は一つ今後よく話し合いをする機会を持ちたいのだ、それはよくわかっている、十分それには配慮したいと思うのだが、自分は専門でないから、今ここでどういう経過になっているかということはわからないから、その点はあらためて君の方からも別の機会に申し出をしたらどうか、そういうことだったのです。それで話は、儀礼的な訪問であるということと、それからAECからの手紙を届けに来た、それ以外のことについては、きょうは実は話はするつもりで来たのではない、別の機会にしようじゃないか、そういうことでした。
#23
○中曽根委員 研究協定の草案を早く日本に渡してくれとか、研究協定に対する考えを早く知らせてくれとか、これに対して督促することはなかったのですか。
#24
○宇田国務大臣 それも話してみたのです。話してみたら、そのことについては自分はまだよく知らぬから、ウェアリングがここにおるから、十分話をしておくから、なお確かめてほしい、こういうことでした。
#25
○中曽根委員 向うから、一般協定について、日本側は受けて立つ用意はないかとか、一般協定を早くやろうとか、そういう話はなかったのですか。
#26
○宇田国務大臣 条約等のことについては自分はよく調べておらぬから、そういう点についてはウェアリングを通じて話をさせるから、すぐに別の機会をとらえて諸君の方から希望を出してほしい、そういうことでした。
#27
○中曽根委員 そうすると、この一般協定や研究協定については、あなたとマッカーサーとの間では早くやろうとかやるまいとか、具体的な話はなかったのですか。
#28
○宇田国務大臣 その点についてはあらためて自分の方は話をする機会を持ちたい、そういうことでした。
#29
○中曽根委員 新聞によりますと、ストローズから招待が来て、それからユーラトムの方も見ると書いてありましたが、非常にけっこうなことだと思うのです。しかし、ここで私ら考えさせられますことは、長官あるいは委員長は、そういう問題で外国へ行くこともけっこうだけれども、しかし行く前にやる仕事がまだ相当あると思うのです。うっかり小学生の遠足みたいにいい気になって行くと、向うへ行って単なる見学をやったにすぎない、あるいはとんだ重荷をしょわされてくるということもあり得る。どうせ中心は、アメリカは売りたくてしようがないから、一般協定の問題にきまっている。それに対してこっち側の腹、態勢を十分整えて、そごのない格好をしていかぬと、相当のリアクションを国内に起すおそれがあると思う。そういう点からして行くことはけっこうだけれども、またなるたけ行っていただいた方がいいと思うけれども、行く前に国内の態勢やら調査というものを十分によくやってそして行っていただきたいと思う。その点について宇田さんは何か構想でもありますか。もしありましたら聞かしていただきたいと思います。
#30
○宇田国務大臣 国内的にどういうふうな問題点を構想するかということについては、私も一応それは考えを持っておりますけれども、いずれにしても原子力委員会であるとかあるいは政府部内のいろいろの考えであるとか、あるいは国会において皆さんの意見がそれぞれあることと考えますから、そういう点もよく聞き合して、そうして自分の方向をきめたい、こういうふうに考えております。
#31
○中曽根委員 正力さんが委員長になったときも実はストローズから招待状が来た。しかし、私は正力さんに、そんなものは行かぬ方がいい、一回や二回はこっちから断われ、そういうことを僕は個人的に申し上げた。そんなことは公表もあまりしなかったし、実際行かなかった。それは原子力委員会あるいは原子力研究所を整備して早く発足させるという仕事もあったし、あるいは研究協定の細目協定の仕事もあって、そっちの態勢を整えるために正力さんは行かなかった点もあるのです。向うから招待が来たからといって必ずしも行くことがいいとは限らぬ。外交上のテクニックからしてもいいとは限らぬと思います。しかし、それは宇田さんに来たのだから私が何とかという筋はありません。しかし、ことによれば一回くらいは断わった方があるいは日本の値が上るかもしれません。何しろアメリカ側としてはイギリスとせっているし、早く動力協定を結びたいから、ちょうど東京の大メーカーが地方の小売店を熱海へ招待するようなものだと思う。そういう点がないとは言えない。まあ言い過ぎた表現かもしれませんが、ないとは言えない。従って、日本の原子力の態勢をよく整えて買うなら買う、買わないなら買わないとか、どういう順序でやるとか、年次計画はどうするとか、産業界や学界との話し合いはこういうふうな見当でいくとか、そういう諸般の態勢を整えて、見当をつけていかぬと、われわれが数年前にオークリッジとかアルゴンヌを見た程度のものに終ってしまうし、それでは今日貴重な時間をかけて行く意味がない。そういう点からして、よほどその前に体制を固めるということをここ一、二ヵ月の間に真剣にやっていただきたいと私は思うのです。今日の日米関係だけを見ても、相当解決すべき問題があり、国内側の体制の確立にも非常に急速に要する問題があると思う。これはあとでいろいろ申し上げます。そういう点について宇田さんの御意見を承わりたいと思います。
#32
○宇田国務大臣 それは、お説のような立場、お説のようなタイミングをとるということも私は意義があると思います。私自身は、いずれにしてもヨーロッパないしアメリカの原子力及びこれの平和利用についての現況を、責任の所管の地位にある者が行って見てくるということは、自分たちの新しい計画を立てるためにも必要であるという概念の上に立って、すみやかにそれを実行するのがよろしい、こういうふうに思っております。それで、招待があったときに、一、二回くらいは断わった方がいいというふうな立場をとるのがよろしいかどうかということについては、私は反対の考えを持っております。
#33
○中曽根委員 原子力研究所その他の本年度の事業についてちょっと嵯峨根さんにお尋ねしたいと思います。新聞によりますと、東海村でウォーター・ボイラーが七月から運転を開始するということでありますが、ウォーター・ボイラーはいつごろ動き出すか、それからCP5はいつごろ着手して、来年のいつごろから運転開始ができるか、それに必要な濃縮ウランはいつまでに入手しなくちゃいかぬか、そういう点についてお話し願いたいと思います。
#34
○嵯峨根参考人 ウォーター・ボイラーについては、第三回のシップメントが届きまして、五月ごろには相当な整備ができる、燃料の入手についてはかなりのいきさつがありまして、非常な努力をいたしました結果、けさ電報が参りまして、五月の十五日ごろに到着するということがはっきりわかって参りました。そういう意味では一向に支障なく、そのころからだんだんと動かし始めまして、実際に動き出すのが大体七月ごろになる、うまくいけばもっと非常に早くいく可能性も十分あるわけでありますが、いいところ大体七月というふうに考えております。なお、七月からはウォーター・ボイラーのような初めての原子炉がどういうふうな特性を持っているかということを十分調査をしませんと、将来研究計画にも支障がありますので、それを今のところ約三ヵ月予定しております。あるいは四ヵ月になるかもしれませんが、大体ことしの十月ごろからは、相当フル・パワーで動くというようなことをねらっております。なおCP5については、現在設計が終りに近づきまして、図面がどんどん出てくる、三菱のほんとの現場のぱりぱりがどんどん出かけまして、端からチェックして、これは日本には向かぬ、いいというようなことを今やっておりまして、そういう意味において、大体予定通り進行中でありまして、ことしの終りごろからそれぞれ荷物が入り始めまして、今の予定では、来年の三月の中ごろに一応組み立て完了に近いということになっております。燃料はすぐにぽかぽかと入れるかどうかということは、なかなかむずかしい問題でありまして、なお重水等もどういうふうに入れる、かというのもよく相談をした結果でないとわかりません。向うでは割合短い時間にフル・パワーで入れてみせる、そして引き渡すのだということを明言いたしておりますが、その点も外国の原子炉を見ますと、全部予定通りいっているというのはほとんどないという実情でありますから、われわれも十分の注意を払って、そういうことのないように努力をしているわけであります。現在の考えでは、来年の六、七月ごろには相当な運転状態に入るということを期待しているわけであります。
#35
○中曽根委員 研究協定によって濃縮ウランを増量しなくてはならぬということがあるのですが、いつごろまでに濃縮ウラン増量を手に入れなくてはならぬか。ということは、研究協定をいつどの国会で、つまり今国会でやってしまわなくてはいかぬか、秋の臨時国会でもあった場合でいいのか、通常国会でも間に合うのか、こちらには国会の都合があるものだから、その点をお聞きしておるわけです。
#36
○嵯峨根参考人 私の目下の了解では、今国会に通していただかないと、CP5にさしつかえがある。というのは、燃料を手配するのにまずAECにそれだけの燃料を出してもらう手続をし、それから今度それを加工するメーカーに契約を結び、それから何ヵ月かたってやっとものができる。ものができて果してうまくいくかという試験もある程度しなくてはなりませんから、そういう意味において、私の了解では、今国会にぜひ通していただきたい。臨時国会が非常に早くあれば必ずしも間に合わないということもないでしょうが、そういうものがあっても、すぐに開会まぎわに可決されるということはちょっと考えられません。そういう意味において、ぜひとも今国会に通していただきたいということを希望しております。
#37
○中曽根委員 そこで、研究所の機構改革をおやりになったような記事がありましたが、具体的にどういう改革をおやりになったか、あるいはおやりになるか、承わりたいと思います。私が申し上げたいのは、先ほど申し上げましたように、研究所というのは総合研究所の性格を持つべきもので、単に動力炉の問題だけを対象にしてやるべきでない、そういう考えを研究所を作るときにも持っておったし、今でも持っておるものですから、そういう観点からお尋ねする。
#38
○嵯峨根参考人 研究所が出発しましてから、やっと三十二年度の初めに東海村の建物がぼちぼちでき初めまして、そっちへ移住するという立場に立ちますので、ある程度の機構組織を変えなくては工合が悪いということは、初めからわかっております。と同時に、研究方面におきましても、特に従来から非難のありました工学関係の人が非常に少いという点を何とか補充したい、実際にまず芽を出してという努力をいたしましたが、必ずしもいい人を何にも機構的にないところに迎え入れるわけにはいかないという点がありまして、英語で言いますとニュー・クリア・エンジニアリングという部門、日本語であまりいい名前がないので、臨時的に原子力工学部と呼ぶものを作ろうという努力をしております。それが一応今の組織の計画案の中に入っておりまして、まだ最終的に決定に至っておりません。もう一つおもなものは、動力炉の準備室というのを作って、どういうことを調査したらいいか、どういうことがいいかというようなことの調査をやるところがついております。そのほかにはおもだった変化はありませんで、東海村に行くために外部から来る人の受け入れをやる課、あるいは工作工場とか、そういうものをつけた程度でありまして、本格的に動き出しますと、なお現在芽を出した工学部がもっと大きな形になるだろうということを期待しております。なお、最初にあまり考慮に入っておりませんでした放射線の利用、すなわちアイソトープ関係のものがかなりの大きさの部となって現われてきているという程度であります。
#39
○中曽根委員 ウォーター・ボイラーではそう大きな試験はできないかもしれませんが、それにしても生物とかあるいは物理化学あるいはそのほかの農業に対する利用とか、いろいろ総合的な研究所の体制をスタートしなくてはいかぬと思うのです。できてからゆっくりやればいいということもありましょうけれども、人員を集めるということからもうすでに早くしないと、そのときになってからでは間に合わぬ、そういうことで、外国のアルゴンヌとか、あるいはどこでしたか、九つの大学で連合してやっているようなところがありました。ブルックヘヴンですか、そういう態勢を作っていく準備というか、準備室とかなんとか、そういう準備をする時代に入ったんじゃないですか、その点いかがですか。
#40
○嵯峨根参考人 御高説非常にけっこうなことだと思いますが、具体的に考えますと、われわれは当初六百人の定員で案を立ててそれでも人が足りないで困っておりましたところ、三十二年度には最終的に四百五十人でいいだろうというようなことになっておりますので、現在のわれわれの考えでは、現在われわれの持っている計画だけもそれではとても間に合わない。そこで、窮余の一策としましては、外部から来る出向者ももちろんですが、手弁当の人、向うの会社なり学校なりの給料を払ってもらいながら研究所で仕事をするというような人を予定いたしまして、それの受け入れ態勢を考えておるわけであります。そういう意味で、農学等の、特にアイソトープ関係のところを利用されることが期待されますので、研究協力課という先ほど申し上げましたような課を作って、受け入れ態勢の準備をするということにし、かつ学界その他には十分連結をして、いつごろからそういう予定でやるかということを連絡をしておる状態であります。理想的に申しますと、われわれの研究所の中にそういうような専門家が何人かいてみんなの要求が立ちどころにわかる――御承知のように、農学部の先生の言うことがすぐに理学部の物理の連中にわかるとは限りません。言葉のわかる人を入れたいのでありますが、現在そこまでの余裕がないという状態であります。来年度は皆様の御援助で、ぜひそういうふうに運はしていただきたいということを希望しております。
#41
○中曽根委員 原子力学校を作るとか新聞にありましたが、こういう学校を作るのですか。
#42
○嵯峨根参考人 現在の研究所の計画の中には、まだ入っておりません。
#43
○中曽根委員 研究所を作ってみて一番苦情を聞くのは、大蔵省の干渉が非常に激し過ぎる、小さいものを買うのでも主計官の許可を得なければならぬ、こういうことをよく聞いております。この点については、われわれの同僚議員からも、大蔵省にずいぶん警告をしておりますが、改まっておらぬようであります。具体的に、たとえばどういう点を改革する必要があるか、重要と思う点を二、三点あげていただきたいと思います。
#44
○嵯峨根参考人 非常に難題でありますが、まっ先に、すぐに気がつきますのは、たとえば建設部であります。われわれの建設部にいつまでも非常に多人数の建設の専門家を置くのがいいかどうかということは、多分に疑問であります。そのために、もし理想的であれば、原子力に非常に特殊な建物の専門家を養成するということに重点を置きたいわけでありますが、現在要求されておるのは、研究室とかあるいは職員の住宅とか、普通に外に出せるものがたくさんあるわけであります。ところがそれをいきなり外の建設の専門家に出して、それの見積りができたからすぐお願いしますと言うと、これは高過ぎる、あした代案を持ってこいと言われますと、もうそういうことは外の専門家ではやってくれない。結局うちで全部そういうものを持たなければならないということで、建設自体の人員が非常に多人数要って、しかも夜業の連続というようなことをしょっちゅうやっているというような点が非常に困難な点だと思います。
 第二の点を申し上げますと、原子力の事情というものはどんどん進歩しまして、実は世界的にも早いのと一緒に、日本は今幕をあけている最中でありまして夜が明けかかっているのでありますから、今までわからなかったことがどんどんわかる。ところが、実際の予算を組むのは、たとえば三十二年度の今通りかかっております。認可のおりかかっております予算は、昨年の七月ごろ、私がまだ何にも知らないころに立案されたものが主体になっている。そして、それを使うのが一年後どころではなくて一年半から二年後に使う。こういうような実情では、新しく発生したことに対しての応急な処置ができないのだ、そのために予備金を持てばいいじゃないかといいますが、実際に、御承知のように予備金というものを一回置いたところが、それを使うのに相当な努力をしなくちゃならぬということになると思います。そういう点で、現在のような程度のものでありますと、実際には研究所の内部で最も優秀な人がそれへどうしてもかからなくちゃならぬ。そうすると、最も優秀な人の努力が実際の有効な面に使われないで、予算をいかに獲得するかというような面、その中には多分に予算技術と称する妙な面がありますが、そういう点までに力を使うということが、果して有効かということが、非常な問題になっていると思います。まあ、その程度です。
#45
○中曽根委員 それでは、研究協定と一般協定の問題について、外務省及び原子力局及び大臣にお尋ねしたいと思います。
 本年度の研究協定の改訂をしようとしたそのポイントは、当初はどこと、どこと、どこでありましたか。
#46
○佐々木政府委員 研究協定の改訂のポイントは、大きく分けますと四点ございます。一つは、天然ウランの買い取り並びに濃縮ウランの増量をしたいという点であります。第二点は、プルトニウムあるいはウランの二三三を研究用として、ごく少量でありますが、向うの許される範囲で向うからもらいたい。これは一昨年結んだ協定の本文には載っておりませんので、今度の改訂を機会に、それを本文に載せたいという点であります。第三点は、免責条項の問題でございまして、これはわが国で結びました協定の本文の中には載っておりませんで、細目協定の方に載ってございます。ところが、日米協定以後に結びました諸国、たとえばドイツその他の国でありますが、その国々では本文に免責条項が載っておりまして細目協定の中から抜いてございます。そういう関係もございまして、免責条項をこの際本文に載せまして、そして本文に載せたからには、細目協定の方は、行政取りきめですべて運べるというふうな、非常に弾力性のあるやり方をとりますので、免責条項を入れたのが第三点であります。第四点は、ただいままでの現行の日米協定では、ウランの貸与ということにつきまして、貸与に伴ってのスペント・フュエル等の処理の問題が原則として全然ノー・タッチで、アメリカに返還しろということになっておりますので、その点を購入に切りかえまして、そして一応購入でございますから、所有権は日本に移るわけでありますが、それに伴ってのスペント・フュエル等の処理をもう少し有利な条件で処理したいというのが第四点であります。以上四点が主たるものでございます。
#47
○中曽根委員 今、改訂に御努力なさっておりますが、その当初の今のポイントは、その後変更なく改訂するという方針ですか。それとも、その中には向うとの話し合いで今やらぬでもいいという問題が出てくるとか、あるいは変更を要するものが出てきましたか。その点を伺いたい。
#48
○佐々木政府委員 ただいま交渉しておりますのは、四点をそのまま変えずに向うで原案を作成してもらいたいということでやっております。
#49
○中曽根委員 そうすると、たとえばプルトニウムあるいはウラン買い取りの問題も、大体向うが話しに応じてうまくいきますか。あるいはそのほかの免責の問題にしても、天然ウランの購入にしても、研究協定の中でそういうことが一挙に解決できるかどうか、お尋ねいたします。
#50
○森(治)政府委員 アメリカに対して最終的に申し入れましたのが二月の上旬でございまして、アメリカ側からの回答が実は二回にわたって延びているわけでございます。最終的には、三月の十八日に、向うの方で草案を準備して日本側に渡すからということでございましたが、先方の法律の専門家が病気中だそうでございまして、そのためにおくれている。しかしながら、ただいま原子力局長から御説明いたしました日本側から申し入れた四つの点に関して、アメリカ側は実体的に異存はない。ただ、従来の条約に例のないものであるから、条文の作成に手間取っておるということであります。
#51
○中曽根委員 そうすると、向うから草案が来るのはいつごろになりますか。
#52
○森(治)政府委員 ただいままではアメリカの日本大使館の方で、原子力局と先方の原子力局に督促を重ねて参りましたけれども、御承知の通りに、わが方でも国会の会期との関係もありますし、この辺で一応の見通しをつけなくちゃいけないと考えております。従いまして、この二、三日中に本省の方から在米大使館の方に電報いたしまして、その点の見通しを最後的につけたいと考えているところでございます。
#53
○中曽根委員 貸与と購入とによってどういう差異が出てきますか。
#54
○佐々木政府委員 貸与と購入の違いの一番おもな点は、先ほど第四の点を申し上げた際に出て参りましたが、二つの大きい問題があろうかと思います。もし足らぬ場合は外務省の方から補足されると思います。一つは貸与、購入をいたします際には、ただいま申しましたようにスペント・フュエル、消費済みの燃料をそのまま向うへ返すのじゃなくてそのフュエルの一部をこちらの研究用に残してもらいたいという点をはっきり明示してもらいたい。それから、かりに向うで残りを買い取った場合、あるいは預託した場合等は、今後のいろいろな折衝できまってくると思いますが、それがこちらの研究等でさらに必要な場合には、一部買い戻し権を留保いたしたいという点が大きい問題であります。第二点は、前の協定では、協約期間が済んだ際には燃料等は全部返してもらいたいという条件がございましたが、今度は協約期間後かりに購入に切りかわった際には、その処置に対しましてもう少し違った条件がつけ得るだろうという二点が非常に大きい問題だと思っております。
#55
○中曽根委員 もう少し違ったというのは、どういうことですか。
#56
○佐々木政府委員 ただ条約の期間が過ぎると返すということになりますと、こちらの研究ができない格好になりますので、購入する際には買ったものでありますから、所有権はこちらに属していることになりまして、貸与の場合とはおのずからその点の扱いが非常に変ってくるだろう、どういうふうな変り方をいたしますか、向うの原案を見ませんとわかりませんが、かりに購入をした場合でも、その後の扱いは全部返せというふうな議論にはならないのではないか。そういたしますと、燃料の所有に伴ってのいろんな問題、たとえば軍事的に利用しないとか、あるいは第三者の利用をいたさせないといったような、そういう条件は国際憲章その他にもございますので残っていくだろう、そういう扱いはどうなっていくかといったような問題も当然出てくるのではなかろうかという感じがいたします。
#57
○中曽根委員 アメリカがほかの国とやった一般協定の型がありますが、それによると、売却した場合といえども、その灰の処理方法について向うが条件をつけて、その適合した場合には処理をやらせる、適合しない場合には寄託するとか、場合によっては優先的に返還、向うが保留するとかいう内容がありますが、購入の場合でも、研究協定に際しても、やはりそういうことになる見通しなんですか。
#58
○佐々木政府委員 ただいまの研究協定の範囲内でありますと、非常に数量がわずかでございまして、その消費した燃料を、こちらで工場的なスケールで処理するというところまでいかないのではなかろうかという見通しでございます。従いまして、ただいま中曽根委員からお話のありましたように、動力協定等の問題になりますと、当然その問題は大きく浮かび出てくるわけでございまして、その際にも、今お話にあったようなAECの施設あるいはAECで承認する施設で化学処理をやらせることになっておりますけれども、ただいまの研究協定で私ども考えておりますのは、むしろその以前の問題でありまして先ほど申し上げましたように使用済みの燃料をこちらで化学処理する研究をさすために、一部こちらに必要な分は残してもらいたいという段階、それから向うに一たん返しましても、その中から、たとえば向うで処理した場合にはプルトニウムとかセシウムとか、特にアイソトープ関係のもの等の研究の必要な場合には返してもらいたいというようなことが主たるねらいであってただいまお話のように、化学処理の工場の形態までは今度の暫定協定では必要ないじゃないかという感じもしております。
#59
○中曽根委員 もう一つ研究協定で伺いますが、免責条項を研究協定に入れるという問題は、これは今までだいぶ問題になった点でありますが、細目取りきめに乗っかった文書を研究協定にそのまま入れるわけにはいかないのか、あるいはどういう免責条項が乗っかる見込みでありますか。
#60
○佐々木政府委員 細目協定の際は、ウォーター・ボイラーに必要な二キロの濃縮ウランを借りる際のいろいろな免責条項が載っておったわけでありますが、今度の場合は、購入という形式に切りかえたいという申し入れをしておりますので、おのずから免責の範囲あるいは内容等が貸与の場合とは違ってくるのじゃなかろうかという感じがいたします。その際どういうふうに違ってくか、またその違ったものに対して、こちらとしてはどういうふうな希望を持って――こちらの希望通りにいきますれば解決できるように交渉するか、そういう問題はアメリカにとっては新しいケースだと言っておりますので、そういう点を、原文をよく見た上で交渉したいという気持でおります。
#61
○中曽根委員 何か国内法で立法するというようなことがきのうの朝の新聞に出ております。私ら推測するのに、免責条項の問題がうまくいかぬので、それでこちらの会計法の特例を設けるというようなアイデアではないかと私ら推測しておるのですが、免責条項の問題について、向うのそういう見解は示されていないのですか。国内法を立法するというようなことが新聞に出ているのは、ちょっと私らは奇異に感ずるのですが、その点はいかがですか。
#62
○森(治)政府委員 私からまず御説明申し上げて、もし足りないところがありましたら、原子力局長から補足していただくことにいたします。私の方の立場といたしましては、細目協定というものはこれは実体的には売買の契約である。従いまして予算ですでに御承認を得ておるものについて、さらに細目協定を国会の御審議に付する必要もないのじゃないか。そうしますと、国際の約束というものが、それじゃ国会の御審議を願う点をどこで打ち切るかという点にけじめがつかなくなりますから、予算で御承認を――これはすでに実体的なその内容となるものについては御承認を得ておる。その実体とするところはその売買契約そのものである。それを出ない。ただ免責条項だけが国会の御審議をいただかなくちゃいけない事項である。従って、より弾力性を持たせるためには、その免責条項について国内法を立法していただけば、私の方としてはこれに過ぎることはないということを、原子力局に外務省の希望として申し入れた次第でございます。
#63
○中曽根委員 その免責条項について国内法の立法をやるということは、どういうことですか。つまり日本の今までの会計法にひっかかるところをひっかからなくてもいいというように、特例を設けるという意味ですか。
#64
○森(治)政府委員 財政法の特例を設けるということを了解をいたしております。
#65
○中曽根委員 そうすると、今まで問題になっておったことを国内的に解決するということであって条約上は向うの言い分の通りだ、そういうようにわれわれは感じますがね。それは実際文書が出てこないと何とも言えませんが、大体そういうふうなものであると了解していいのですか。
#66
○森(治)政府委員 条約的には、この範囲を極力詰めるための努力をいたすべきことはもちろんでございますが、事柄の性質上、どうしてもある程度のものは残ると思いますので、その部分を、弾力性を持たせるために、何とか国内的に措置をしていただきたいというのがわれわれの希望でございます。
#67
○中曽根委員 話が進行中ですから、私は深くこのことは申し上げませんが、両方の国内法的に見ると、日本の方がへっこんで向うがふくらむという形、言いかえれば、アメリカのアトミック・ローというものがぐっと張り出してきて、日本はそれを特例という形で受けとめる。そういう形でやることは、できるだけ避けた方が私はいいと思う。むしろ、条約、協定の正文において日本の言い分を通すという努力をすべきである。細目取りきめで、この前の協定によって日本の検収、引き渡しについて、かなりわれわれが納得する線までがんばれた。要するに、引き渡しのときに検収をして、分析その他は第三者に委託してもいいから、入手する。あれなら私は堂々たるものであろうと思う。アメリカがドイツやその他に対してそれを認めないということは、日本の外交の大成功だったと思うのでありますが、それを今後も引き続いて行うように協定の正文にも付すべきである。あのまま載せられなくても、そういうことをやり得るという原則を確立すべきである。国内法的にものを糊塗したり、逃げたりすべきではない、私はそう思いますが、どうですか。
#68
○佐々木政府委員 ただいまの中曽根先生のお話に返すようで恐縮ですが、やはり本協定と細目協定との区別がございまして、いかなる場合でも本協定は本協定であり、細目協定は、その本協定に基いての細部の協定を結ぶのが細目協定だと思います。そこで、ただいまのお話は、かりに国内法を作ったといたしましても、どうしても細目協定は必要でありましてその細目協定に基いて――これは売買協定でございますから、それによってウランその他を入手するわけでございますが、その際、もちろんお話にありましたように、免責の範囲を極力詰めて、あるいはこの前細目協定にありましたような、入手する前に分析をするとかあるいは検収するとか、あるいは証明書をつけるとかいうふうな免責の範囲を極力詰めるという努力と申しますか、そういうことは、今後とも当然やる必要があると思いますし、また向うでも、細目協定の中には明記するだろうと思います。そこで、ただこの本文との関係の問題になってきますけれども、本文の方に、そういう本来売買に対する細部の条項を織り込めるかと申しますと、この点は、向うでも、条約の性質上、すぐその方がよろしいということは、なかなか疑問かと思います。そこで、先ほどお話がありました国内法については、まだ十分練ってはおりませんけれども、かりに国内法を作りまして、そうして国内法でそういう免責の条項を通した場合には、その一つの裏打ちといたしまして、そういう免責の範囲を極力狭める、極限していくというふうな努力も必要でありましょうし、あるいは何らかの形式でそういうものが国内法に浮び出るような考え方をすべきではなかろうかというふうに、ただいまのところ考えております。
#69
○中曽根委員 そう簡単に国内法に譲られる問題ではないと私は思うのです。言いかえれば、アメリカの法体系によって日本の法体系を一部占領されるという形にならないとは言えない。法案の出方によってわれわれは考えますが、現在の政府側の努力としては、そういうことが起らぬで済むように最大の努力をしてもらいたい。
 その次に承わりますが、動力協定いわゆる一般協定の問題で非常にごたごたしておるのは、一つは協定の内容が世の中にわからぬからだろうと私は思う。そういう点で、私はこの前どこかからいただいた一般協定のパターンをずっと読んでみた。それから、今度の国際原子力機関憲章の重要な点を読んでみました。そこで、この際一般を啓蒙する意味において、今、日本とアメリカ、あるいは日本とイギリスがやっておる一般協定――原案が来ておるかどうか知らぬが、石川さんがもらってきたとも言うし、在外機関は手を回して相当やっておるはずである。そこで、その問題点はどこにあるかということを一つ解明してもらいたいと思う。私がこのパターンで調べたところによると、一つは秘密資料の問題がある。第三番目は、第三者あるいは第三国への情報の通知という問題がある。第三は、設計の審査や承認の問題がある。第四は、免責の問題、情報の問題、それから受け渡しの問題がある。憲章では、検量するとか分析機関を置くとかという程度まで書いてある。第五は副産物の処理の問題、第六がインヴェスチゲーション、検査、検閲の問題、第七は化学処理の問題、それから第八は融資の問題がある。イギリス、アメリカでは融資するとかなんとかいう。第九は政府の管轄外への移転の問題がある。第三国は輸出するとかなんとか、あるいは民間会社にやらせるというのはどういう意味を持っておるか。政府の管轄の問題はどうなるか。それから条約の期間、この十項目にわたって、大体のインフォーメーションをここで知らしてもらいたいと思う。現在イギリスとアメリカでやっているもの、向うの第一次案でもいいのですが、その原文にのっとって、今の点を明らかにしてもらえばありがたいと思います。
#70
○森(治)政府委員 相当広範にわたりますので、あとで文書で整理いたしまして、資料として提出することにいたします。
#71
○中曽根委員 それじゃ一つ一つ聞いてみます。まず第一に、秘密資料の問題ですが、この点は、イギリス、アメリカとの関係はどうですか。このあれによりますと、アメリカ側のは、秘密の資料は渡さないと書いてある。イギリスやその他、どうですか。それからパテントの問題があります。
#72
○松井説明員 部分的に御説明申し上げます。まず、機密資料の交換の問題につきましては、アメリカ側が石川委員に出された案によりますと、ディストリクト・データは交換しない、すなわちアメリカの原子力法で言う機密の情報は日本側に渡さないということを明文でもって書いております。イギリスとのテキストは今手元に持っておりませんが、この点はあとで調べて御返答申し上げます。
 それからパテントの問題であります。パテントに関する規定は私今条文が見つかりませんが、外務省としましては、この問題はまだ正式に逐条ごとに進めていないのでございまして、あとであらためて御説明させていただきたいと思います。
#73
○中曽根委員 第三者への通報の問題はどうですか。
#74
○松井説明員 情報の通報に関しましては、機密資料が交換されないから、その結果出るような情報は機密でないという前提に立っております。それは研究協定の場合と同様に、原子力平和利用については交換し、ただ情報の通報については、一般協定案の第五条におきましては、先方がわが方に提供する情報並びに資料等は、その正確さ及び完全について保証はしないという規定があります。
#75
○中曽根委員 それはあとで聞きますが、その次に設計審査とか承認という問題がありますね。つまり、この憲章によっては、原子炉の設計とか施設とか、そういうものは向うが設計図を見て承認を与えたものについてやらせる、そういうふうになっておるのですが、日米、日英の場合にも、そういうような向うの承認を必要とすることになつているのですか。
#76
○松井説明員 御説明申し上げます。大体一般協定になりますと、研究協定と違いまして非常に出力の大きいリアクターを使うので、従って、その発生するところの副産物中のプルトニウムの量の問題、それから放射性の強いものでありますから、安全衛生という問題もあるし、軍事目的に転用しないという見地から、デザインにつきましては、日本側で一方的にきめられなくて、向うと協議して、向うの承認を一応しるということが、イギリスと日本、日本とアメリカ、あるいは国際原子力機構の場合におきましてもはっきりしております。これは大体各国に確立された一種のパターンだと考えます。
#77
○中曽根委員 その次に燃料の受け渡し検収ですが機関憲章によると、それは書いてなくて、おそらく二ヵ国協定に譲るのだろうと思いますが、二ヵ国協定にあるものを見ていると、検収その他についてはあまり明確に書いていないと思う。その点はどうですか。たとえば、分析をこっちである機関にやらせるとか、あるいは実際立ち会って化学検査をやってから引き取るとか、そういう点は重要な点だと思うのですが、どうですか。
#78
○松井説明員 御説明申し上げます。まず憲章の関係につきましては、受け取りの場合の条件その他は今、中曽根先生のおっしゃったように、エージェンシーと受取国との間のアグリーメントをきめる。しかしながら、国際憲章の中におきましては、十二条におきまして受け取ったものの使用状況それから化学処理の内容、それから天然ウランなどの燃料、核分裂物質の使用の明細というものをはっきりきめて、エージェンシーからインスペクターを出して、あらゆる資料を調べさせてきておるのであります。二ヵ国間の一般協定におきましては、受け取りの場合のインスペクションということにつきましては、規定はございませんと思っております。しかしながら、この問題は、本質的に受け取った後の使用状況その他につきましては、二ヵ国協定の場合は、燃料提供国から一種の事実上のインスペクションをやる。あるいは両国間の協議に基いて、国際原子力機構のインスペクションを受けさせることを予定したところの条文が織り込んであるわけであります。
#79
○中曽根委員 その点は、会計法上重要な問題があると思うのです。つまり、不安定な、不特定な契約をするわけにはいかぬ。そうすると、その内容を実際確かめないで受け取るというわけにはいかぬと思うのです。こっちの憲章の方では、そういう分析機関とか燃料ということをやれるということになっておれば、当然二ヵ国条約においてもそれは認められておらなければいかぬと思うのですが、その点どうですか。
#80
○松井説明員 その分析の内容、方法につきまして、第一号の燃料につきましては、一応濃縮度が検収の対象になっております。しかし日本では分析はできないです。施設はおそらくないはずだと思っております。アルゴンヌとか向うの原子力委員会の施設を利用いたしまして、もしくは両国政府の協議する機関を通じて分析をやらせております。今度の場合には、もしも動力協定をやれば、濃縮度が九〇%くらいの燃料はもらうだろうと思います。これは嵯峨根先生よく御存じのことと思います。量も多いし、その分析をどうするかということが、今後の外交交渉の大きな焦点になるのではないかと思っております。
#81
○中曽根委員 そこで、今の受け取り検収ということが、動力協定のような場合には濃縮度も多いし、大量でもあるし、非常に重要な問題になってくると思う。従って、二ヵ国協定に書いてないということは、私は相当問題になると思う。この点は、もしやる場合には――一般協定の内交渉をやっておるかどうか知らぬが、注意してやってもらいたいと思います。
 もう一つ今の免責の問題ですが、このパターンによると、情報のアキュラシー、コンプリートネス、こういうものは保証しない、それから物質あるいは設備の利用の適合性についても同じように書いてある。これは一体どういう意味ですか。つまり情報という意味が燃料の質あるいは設備の合目的性というか、安全性というか、そういうものまで入るのかどうか。
#82
○松井説明員 御説明申し上げます。この一般協定の第五条は、単に濃縮ウランに関する貸与を前提としたような免責条項とは違う。この一般協定の内容は燃料貸与の場合と買却の場合を想定しております。従って、その入手の方法についても違った場合を想定しております。入手さるべきものは、単に濃縮ウランだけでなく、天然ウランもあるだろうし、あるいはリアクターのデザインの場合もあるだろうし、研究結果の報告の場合もあるだろう、そういう一連のことを通じまして、アメリカは最善のものをよこすように努力はするけれども、万一不完全なものがあっても一応責任はとれないということが規定してありまして、受け取る日本側から見ますと、将来持つべき対外責任ということについてアメリカ側に文句が言えない、クレームを言えない。アメリカの民事裁判所に持ち込んで損害賠償を請求することができない。日本側はリナウンスせざるを得ない、放棄せざるを得ない。そうすれば、財政法の八条の日本の国会の承認を得るという関係で、立法事項になると思っております。ただし、この表現は各国とも共通でありますけれども、アメリカの原子力法そのものを読んでみますと、こういう包括的なことを想定したところの条文が、私の知る限りにおきましてはございません。アメリカの原子力法の第五十三条のCの八項におきましては、アメリカが濃縮ウランを受け取った場合につきましては、使用並びに所有の一切の責任についてはアメリカ政府を免責するという文句になっております。しかしながら、こういう包括的な、濃縮ウランのみならず、リアクターのデザイン、設計情報についても、一切の責任をとらぬという国内法の法的根拠を調べたいと思っております。申し上げますが、一般協定については原子力委員会の決定がございませんで、私らの方は予備的な交渉もしておりません。
#83
○中曽根委員 そうしますと、燃料についてはまだわからぬが、大体受け取りのときに検査はできる。しかしそれ以外の燃料が入ってきた場合及び施設、原子炉、そういう一連のものについては、事故が起きても向うは責任がない。対外請求権は日本は放棄する。燃料の受け渡しの際に検収があるという程度であってあとは全部免責されるというふうに解釈していいですか。
#84
○松井説明員 その点は、もう少し向う側と意思の疎通をはかった上でないと、わからないと思います。
#85
○中曽根委員 条文の上ではどうですか。
#86
○松井説明員 条文の上では、そういうふうに一応読めると思います。
#87
○中曽根委員 その次に承わりますが、副産物の処理について大体どういうふうになりますか、たとえばプルトニウムやその他のものについて。
#88
○松井説明員 副産物につきましては、一応この一般協定では濃縮ウランの貸与ということがきまり文句として入っております。貸与の場合もありますけれども、おもな特徴は二つあると思います。一つはフュエル・エレメントの処理は、依然としてアメリカで行う、もしくはイギリスで行う、ただし受け入れ国において貸与国のアメリカなりイギリスの当該政府官庁の施設があるならば、その限りではないということを規定しております。それから、第二には、そのでき上った副産物であるプルトニウムをリテンションできるかいかなの問題につきましては、はっきりした条項がございます。平和利用の限度においては、プルトニウムを存置してよろしい。しかしながら、その国のリクワイアメントを越える場合は、アメリカなりイギリスがそれを優先的に買い戻すという規定がございます。こういう規定は、国際原子力機構の十二条のAの5をごらんになると、似たような規定がございまして、灰の処理権につきましては、大体原子力機構の条文並びに日米間の一般協定の条文というものは似通っておる。一定のある種の国際的な型になるのではないかというふうに考えます。
#89
○中曽根委員 その次にインスペクションの問題で、このパターンによると、「パーソナル」と書いてあるが、これが入ってきた。その場合に同行させるというようなことがありますね。日米あるいは日英の場合はどうですか。
#90
○松井説明員 一般協定では私は当然入っておると思っております。それは国際原子力機構のインスペクションの場合には、当時外務省から同行できるかと、言ったら、できるはずだということで、憲章ができ上ったものを見ますと、そういうことに明文が入っております。一般憲章は、私自身は十分に勉強しておりませんから確認できません。あるべきだし、また、もしなければ入れることは可能だと思います。
#91
○中曽根委員 最後に承わりますが、政府管轄外への移転の問題ですね。たとえば民間の電力会社が始めた、しかし、ある程度政府との管轄でやっているかもしれぬ、それを他に動かすとか、あるいは所有権を変えるとか、そういう問題はどうですか。
#92
○松井説明員 御説明申し上げます。それは、国家が購入した場合と民間が購入した場合と、二つあると思います。国家が購入した場合、国有財産だから、国有財産法の規定に従って勝手にしたらいいじゃないかという解釈も成り立ちますけれども、それは条約によって約束したその範囲内において関係法は修正もしくは排除されると思います。それから、民間の場合につきましては、これは条約上のそういう義務を政府が負うわけですから、対内的にこれに応ずべき立法をするか、あるいはその条約そのものを国内法と同様にみなして、法行的な効果を持たせるかという問題によって取締りができると思います。
#93
○中曽根委員 日米あるいは日英の条約の期間はどうですか。この期間は、原子力の発展に応じて相当考えなくちゃならぬ問題だろうと思いますが……。
#94
○松井説明員 期間につきましては、はっきりしたものがありません。十年という説もありますし、十五年という説もありますし、まだ全然話しておりません。石川委員がこれは御存じかと思います。
#95
○中曽根委員 大体十年以上ですか。
#96
○松井説明員 中曽根先生の御承知の通り、リアクターの出力の大きな動力炉というものは、設計にもひまがかかるし、それからプラクティカル・ユースに相当の期間をかけなければならない。期間が研究協定より長いのは当然だと思います。それが十年がいいか、十五年がいいかという問題は、技術的な立場からも検討さるべきものだと思います。
#97
○中曽根委員 向うからは、腹案はないのですか。
#98
○松井説明員 ありません。研究協定の場合は、御承知の通り十年という意見がございましたが、当時日本側は五年と切ったことがありますが、研究協定ですらも十年であったから、一般協定はそれより長いかもしれぬというのは、合理的な請求だと思います。
#99
○嵯峨根参考人 偶然私が同席しまして伺いましたのは、オーラルだったか何か記憶しておりませんが、十年というサゼスチョンがありまして、十五年にしたらどうだということを言いましたときに、十五年でもけっこうだ、しかし一応十年で切って、十年の終りの近くにもう一ぺん改訂するかどうかというのをやった方がリーズナブルじゃないかという意見交換がありました。それだけ記憶しております。
#100
○中曽根委員 嵯峨根さんにもう一つ承わりますが、動力炉、一般炉の場合に、燃料を貸与にするか、あるいは購入にするかというのは、大きな問題だろうと思います。これは金利計算でどっちが有利かということもありますし、出てきたウェーストを処理するという問題もあります。この憲章を読みますと、あるいは二ヵ国協定の原文を読みますと、処理施設を作らなくちゃならぬということになる。そうすると、あの膨大なアイソトープの分離施設をやるということは、日本の金にしてもあるいは何百億かかるかもしれぬ。とてもイギリスやアメリカがやっているような分離工場を作るということはむずかしいように感ぜられます。また買うということになると、相当な金もかかる。しかし、借りるということになると、金利計算で計算すれば、原価も出てくるということになる。そういう諸般の総合情勢を考えてみて、一体借りた方が得ですか、買った方が得ですか、どうですか。
#101
○嵯峨根参考人 その点は最近だんだんと夜があけてきたといいますか、見当がついてきた部門の一つであります。つい半年か一年ぐらい前までは、だれでも、動力炉ができたときには、一回燃料を入れたら、途中で半燃えのものを出して再処理をして、もう一ペん動力炉に入れるという了解があったのでありますが、最近技術の進歩がありまして、イギリス型はもちろんのこと、アメリカ型も、一回入れた燃料要素は、できるだけそこで燃してしまって、出したときには、処理して、残ったいわゆる薄くなったウラニウムを動力炉の中に入れて使うのは経済的でないということが、はっきりめどがついてきたと思います。その点では、御質問の、買った方がいいか、借りた方がいいかというのは、今後の政治的の問題が含まれておりますので、私は科学者でありますから、その点は何とも言えないと思いますが、買ったにしても、処理を日本がする用意は必要でありますけれども、経済的に持っていくには、かなりの準備が要る。ですから、多分買い戻してもらうという期間がある程度あっても差しつかえはないというふうに考えられます。特にそれがアメリカ型の場合には、もう一ぺん似たようなアメリカ型の濃縮ウランの燃料棒に直すということは大へんな金がかかります。その点は、日本の情勢及び外国の言い方、オッファーによって、提出する条件によっていろいろ処置を考えるべきだと私は考えます。
#102
○中曽根委員 日本の財政力あるいは技術能力等から見て、科学処理を日本でやった方がいいか、あるいは今の情勢ではイギリスなりアメリカでやらせた方がいいか、どちらが適当だと考えますか。
#103
○嵯峨根参考人 私個人の考え方は、まだ大して議論はしておりませんが、現在のところでは、初期においては経済ベースだけから考えますと、日本内地で買って売り返すか、借りて返す方が経済的になる。しかし、いつまでもそういうことを続けているというのは、将来のこともありますから、その点は研究的にある程度どこかで進めるというのを十分計画的にやるということが必要だと思います。
#104
○中曽根委員 原子力研究所の研究の対象に、そういう科学処理という問題を今日においてどの程度に取り上げらるべきものですか。
#105
○嵯峨根参考人 ついこの間までは、これは重大な懸案でありましたが、三十二年度の予算を作成するに当りまして非常な激論をたたかわせました結果、こういう態度を当分とるということに大体意見の一致を見ました。それは、燃料の再処理に関する情報というのは、現在のところ非常にわずかしか入っていない。しかし外国の情報はごく近いうちにかなりのところまでわれわれも見る可能性があり、しかも、もっとはっきりした発表がある見込みが多い。については、現在のところ、われわれの一等大事だと思うところの数点を特にしっかりやるということをやって、かたわら外国の情報をできるだけ入れるような努力をここ一年間やろう。そうしてそれにはどこが大事かということがはっきりわかるためには、一貫の、いわゆるパイロット・プラント的のものの設計は十分やってみる。そうすると、ここも大事なところだという点がはっきりわかってくるというようなことでありまして、三十二年度において、初っぱなから全部一貫したものを設計してそのまま作るなんということは必ずしも考えない。設計の勉強はする、しかも急所がわかったら、そこは十分押える、そして情報が入ってくる見込みが相当あるかないかを十分検討して、いつまでも待ってはいられませんから、適当なときにはっきり覚悟をきめてスタートするというのが、原子力研究所の今の態度であります。
#106
○中曽根委員 最後に宇田さんにお尋ねしますが、一般協定といいますか、動力協定の問題は、非常に包括的な問題でありまして、一方においては原子力研究所の分担をどういうふうに役割を受け持たすべきか、一方においては電力会社やあるいは電源開発というようなものが、また自分の領域にしようとしていろいろ考えもあるようです。しかも一般の民間の会社の技術能力、技術陣の活用の方法も考えなくちゃいかぬ、それから資金の動員の面も考えなくてはいけない、企業形態の面も考えなくちゃいかぬ、あるいはそれに伴う学問研究への応用という問題もあります。また、それに必要な技術員の養成計画準備の問題もあります。あるいはあなたがやっている五ヵ年計画との即応という問題もあります。そういう観点からすると、動力協定の問題というものは、一つの文明転換のポイントにもなる、運転手にもなるという大げさな表現すらできる問題になるだろうと私は思う。従って、一般協定の問題は軽々に取り扱うべきではない。肉の厚いやり方で、非常に深い姿勢でじっくり取り組まぬと、すべり出して途中でペンディングになるおそれもあります。端的な例が、たとえば電力九分割をやったときに、議会が反対して、ついにマッカーサーの命令でなければ分割できなかった。電発の総裁をきめようということになったら、与党の内部でいろいろな勢力がぶっつかって、じんぜん日をむなしゅうした。今度の問題にしても、九電力があるし、また電発は電発で自分の考えを持っているというので、非常な複雑な政府問題も入ってくると思う。そういう問題をうまく適合させて、調整をやって、スムーズに、しかも社会党と超党派的に持っていくというのが好ましい持ち上げ方だと私は思う。そういう点から見ると、今の原子力委員会――湯川さんがこういう不幸なことになっておるという状態では、なかなか全部処置し切れないと思う。そういう観点からして、これは官民、あるいは国会議員も入れた審議会のようなものを作ってそして諸般の態勢の準備を整えて動力協定という問題を打ち出してくる、そういう深い姿勢でこの問題を処理しなくちゃならぬと思うのですが、そういう総合的な審議会を作って、動力協定、一般協定の問題を総合的に取扱う、そういう考えに対して、あなたはどういうふうに思われますか。
#107
○宇田国務大臣 その点、先ほどの私が申し上げたことにも触れるのですが、原子力委員会の持つ機構というものは、われわれはなお深く考えなければならぬものがあるというのは、それも一部分の、私の考え方でやっておる問題の一点であります。原子力委員会の構成そのものについても、なおもっと、将来の日本の原子力の平和利用を進める上においては、ただいまの機構ないし、構想だけでは不十分ではないかというふうに考える点が数点あります。ただいまお話のあったような条約に関する諸懸案の解決ということは、もちろん立法府に非常に深い関係があります。行政官庁としても、この取扱いについては責任がありますから、そういう意味で原子力委員会と合せて、三者を中心として、そしてそういうふうな特別な審議をする機関は持つべきではないか、そういうように考えております。
#108
○中曽根委員 もう一つ伺いたいと思いますが、今から一ヵ月ぐらい前に、一般協定と動力協定の問題をどう取扱うかということをわれわれ議員で懇談したことがある。そのときには、一般協定も一緒にすべり出したらどうか、もちろん研究協定を今国会に上げるが、先方のいろいろな事情もあって、かけ引きの関係もあって 一般協定と並行してやる方が賢明だ、そういうような構想で今国会は研究協定を上げるけれども、一般協定にも入る、そういう構想で話を進めてもらいたいということを宇田長官にわれわれ申し上げたはずですが、一般協定の方は向うとはどういうふうな話になっておりますか。まだそういう話し合いに至っていないのか。どうも研究協定が難航しておるところを見ると、一般協定については向うとあまり話をしていないんじゃないか、正式の試合が始まっていないんじゃないか、そういうように思われますが、いかがですか。
#109
○宇田国務大臣 一般協定をわれわれが向うとの交渉に持ち出すかどうかということについては、国会の会期あるいは研究協定の話し合いの途中において相手国に対してこれを持ち出すということによって、結局混乱の起るおそれもある、そういうふうに考えましたので、原子力委員会としては、研究協定のみに限って、この国会の会期とにらみ合せて話をまとめていくという態度でいこう、もしその途中において、一般協定についても話し合いをして差しつかえないという環境の見通しがついたときには、それについても話し合いを始めようじゃないか、こういうことがただいまの実情であります。
#110
○中曽根委員 そうすると、まだ一般協定については話し合いは始まっていないのですか。
#111
○宇田国務大臣 正式に始まっておりません。
#112
○中曽根委員 私はばらばらにやるということは、アメリカとの話し合いでも非常にまずいんじゃないかと思う。というのは、向うのねらいは、何といっても一般協定にあるのであって、研究協定はつけ足りです。従って、一般協定というものを全部隔離させて研究協定をやっても、向うは日本に対して相当な不信感あるいは非常な誤解やら猜疑心を持ってくると思う。どうせ一般協定はアメリカとも、イギリスとも、あるいはカナダともやるべきである。やらなくちゃならぬのですから、話し合いはなるだけ早くやって――これだけの大問題を処理するのですから、どうせ半年や一年くらいかかるでしょう。そういう意味において一般協定、研究協定同時に発足させてやるべきである。今やってないなら、今からでもやるべきである、そういうふうに思いますが、いかがですか。
#113
○宇田国務大臣 一般協定にいずれこれは入るでしょう。次の国会には少くともこれが審議を求めなければならぬという環境に入っていくとは思いますけれども、ただ研究協定それ自身の具体的な交渉中であってそれに対する返事を向うからもらえるという話し合いのところまできておったものですから、それの目鼻が一応つくというので、タイミングを一般協定についてはずらしてある、こういうただいまの状況であります。
#114
○前田(正)委員 関連して、今の大臣の御答弁は私もちょっとふに落ちないところがあるのです。実は、この間私から御質問申し上げましたときに、当委員会におきまして大臣は、一般協定の交渉に入るという御答弁をされたのであります。私はその結果、一般協定の交渉に入ると決定されたものと思って、この委員会に、いつの日に決定されたということを御発表になるかと思って待っておったのです。今の御答弁を聞いておりますと、この委員会で一般協定の交渉に入るということを言われたことも、言をまた違えたような御答弁であるし、またそのような調子なら、原子力委員会では――私に答弁されてからあと定期的な委員会もあったと思うのですけれども、一般協定の交渉に入るということもまだ決定されていないんじゃないかと思う。さっき外務省の説明員の話を聞いておりましても、原子力委員会としては、正式に一般協定の交渉に入るということはきまっておりませんから、われわれは何もやってないのだということを言っておりましたけれども、これはどうも大臣の御答弁が食い違っていると思います。どっちがほんとうですか。
#115
○宇田国務大臣 一般協定と研究協定と並行して向うに話をかけることが適当であるかどうか、またもしそれをかけるとすると、そういう時期はどういう時期を選ぶのがよろしいかということは、外務省を通じて向うともよく話し合いをしてもらうように伝えてはあります。しかし、ただいまのところ、十八日でしたか、研究協定に関するドラフトが向うから日本に渡される、こういうところにきておりますから、それから判断をすると、一般協定をすぐに向うに持ちかけるというのは、混乱があって好ましくないのだ、こういうのが出先からの報告であります。外務省からそういう報告を受けましたから、自今たちとしては、とりあえず今年度のウオーター・ボイラーなりCP5に必要な処置の万全を期しておくというためには、一般協定を持ち出すのも、タイミングをもう少し待った方がよろしいじゃないか、そういうのが出先からの注意であります。従って、私はこの十八日に渡されるところのドラフトを中心にして検討を加えて、そして一般協定をどういうふうに話を持ちかけるかということのタイミングを考えなければならぬと思っておった。それで一般協定それ自身の検討に入ることが反対である、こういうわけじゃありません。ただ、ただいまのアメリカとの交渉の経過にかんがみてまたこの国会の会期の見通し等から判断をすると、一般協定の取り扱い方というものは少し考えなければならぬ、どういう時期にどういう話をするかということについては、もう少し一般協定は待つべきである、こういうのが結論であります。
#116
○前田(正)委員 それは、私がこの前に質問申し上げたときにも、必ずしもこの国会へ提案できるかどうかということは疑問であるということでありました。また、その正式な交渉にお入りになるというのも、研究協定の関連等がありまして、タイミングは、政府がおやりになることでありますから、これはもちろん当然でありますけれども、原子力委員会としては、いわゆる一般協定というものを取り上げて検討に入る、交渉に入るという正式の決定というものがされてない。一般協定を結ぶというその交渉に入っていくとか、その時期、タイミングとか、どこの国とやるとかいうことは別でありましょうけれども、一般協定をやる、その検討に入るという方針を原子力委員会としては決定されたかどうかということをお聞きしたら、一般協定の検討に入る、やるのだ、こういうことをこの問御答弁になった。私はその後、委員会にお諮りになって、正式におきめになったかどうかを待っておったのでありますが、その辺の返事を一つお聞かせ願いたい。
#117
○宇田国務大臣 一般協定を結ぶということは、すでに決定しておるのです。委員会でも決定しております。そして、石川さんの持ってこられたドラフトについても検討いたしました。それで、その点についてのわれわれの申し上げたことに、食い違いはないと思っております。ただ、アメリカとの交渉において、あるいはイギリスとの交渉において出先の関係が、タイミングは考えたい、とりあえず研究協定の仕上げのために自分たちはまず整理すべきものは整理をしますと言うので、それならそういう順序でいきしましよう、こういう経過です。
#118
○前田(正)委員 それならば私は聞きたいのですけれども、そういうふうに原子力委員会として一般協定をやるということを御決定になっておるなら、交渉するタイミングはおくれても仕方がないのですけれども、一般協定の内容についても、あるいはまた今までの経過とか、そういうものについて外務省と相談して、なぜもっと検討されないかということをお聞かせ願いたい。われわれも、この間、実はこの国際機構の問題その他の問題があるから、国会にも一つ一般協定の資料を出してくれと言ったら、英文のものを配ってこられた。われわれの国会は外国の国会ではありません。日本の国会でありますから、正式に訳したものでなくとも、少くとも仮訳した程度のものは出さなければいけないと思います。まだ検討が十分できていないとか、今まで一般協定でやるというようなことははっきりきめて発表してないとか、そういうようなことだから黙っておったのでありますけれども、そういうふうな資料も、予算を検討された結果でも、一般協定というものをやるということが正式に前にきまっておったというなら、なぜもっと早く正式にわれわれの方にも資料として出され、あるいは説明されないのか。われわれは、その点についてまだきまっていないと思っておったから、またこの間大臣が初めてやるというふうに答弁されたから、それじゃそれからの時期を待って、国会で検討させてもらおう、こう思っておった。しかし、今のお話のように、前からそういうことをきめておったというなら、なぜもっと早くそういう問題について整備態勢をとらないか。さっきからの中曽根君の御質問に対しましても、原子力局においても、また外務省においても、ほとんど一般協定はまだ検討してない、内容はよくわからない、こういうような返事をしております。そういうことじゃ、大臣が御答弁になった一般協定は前からきめておったというのとは食い違っておると思いますが、どうですか。
#119
○宇田国務大臣 それは、一般協定を結ぶということの方針はきめております。ただ先方からのこういう方針でいきたいというドラフトその他等につきましては、われわれは国会に提出するだけの確信のある資料をただいまここに持ち合せてない、それを皆様にお渡しをして、検討に入っていただきたいというほど権威のあるものではない、だれかが持ち帰ったという程度のものをここに出してそれを論議をするというのにはまだ早いんじゃないか、もう少し権威のあるものを皆さんに差し上げるべきである、従って、出先のわれわれの責任のある官庁の機構の中において、正式にそういうものをわれわれのところへ求めて、それを基本として検討に入っていただきたい、こういうふうに考えておったわけであります。
#120
○中曽根委員 そうであるならば、早く向うと話をして向うの最終草案をなるたけ早く手に入れるべきであります。手に入れてないというのは、怠慢のそしりを免れないと思う。それで、研究協定をやるにしても、イギリスやアメリカの今の動きを見れば、あなたのところに招待状が来たような現実なんだから、向うは売りたくてしようがない。急いでおる。そういう点からしても、一般協定に日本の積極的な熱意を見せるということは、イギリスに対しても、アメリカに対してもいいと思うのです。それはアメリカだけにやるということはまずいかもしれませんが、イギリスともやりなさい、カナダともおやりなさい。なるたけ早く食いついて、なるたけ早く最終草案を手に入れて交渉を開始する。それがうまいやり方だと思う。現地の関係がどう考えておるか知らぬが、しかし、みなでここで話したときにはそういうことであった。その趣旨に従ってやってもらわなければいかぬと思う。
 それから今いろいろ原子力局なり外務省から話を聞いてみると、どうも一般協定に対する認識が軽いのです。一般協定の背後には相当大きな社会の変革とか企業形態の変化とか、そういうものが出てくるのであって、そんななまやさしい考えでやるべきじゃない。もっと深い、社会経済的な態勢を整えてやるべきものだ。そういう点について原子力局や政府の認識は非常に甘過ぎる。そんな認識で外国に行っても、大した成果はない。チョウチョウが花を飛んで回るという程度しかない。それでは困る。従って、行かれる前にはそういう態勢を整備して、そうしてゆるぎのない程度まで態勢だけは整えて行くべきだと思う。そのことを最後に要望しまして、私の質問を終りますが、今申し上げたところでもう一回強調しておきたいことは、イギリス、アメリカ、カナダ、この三つと少くとも最初に、できたら同時に協定を締結したらよろしい。各個ばらばらでなく、時間的に多少の差はあってもいいけれども、検討とかネゴシエーションは同時にすべきである。そうして日本に有利な態勢をとるべきである。そういうふうに私は思います。その点について、大臣の見解を伺えれば幸いです。
#121
○宇田国務大臣 私は全然その点では同感であります。またあわせて西独との関係も研究したいと思っております。
#122
○前田(正)委員 この際私がお聞きしたいと思いますことは、さっきの関連の間にもちょっと申し上げたことでありますが、過日から原子力委員会におきましては、外国、特に英国型の原子炉を輸入したいということを方針としてきめようとされたようであります。その前に、今の大臣の御答弁を聞きますと、一般協定というものについては締結するということをきめておったそうでありますから、その炉を輸入するに当っては、もちろん一般協定を結ぶということをきめておられたのでありますから、その一般協定については内容を相当御検討になったと思うのです。何回ほど御検討になって、その結果、この協定の内容は大体日本としても締結できる可能性がある、従って、イギリスから炉を入れるということに方針をきめられたのか。その間に委員会としては何べんほど御検討されて、そうしてイギリスとの間の協定は、日本としても締結してもいいという大体の方針をきめられて、それで炉を入れるということをきめられたと思うのでありますが、その間の経過をもう少し詳細に御説明願いたいと思います。
#123
○佐々木政府委員 事務的な問題のようでありますから、私から大臣にかわって御説明申し上げます。先ほど中曽根委員からお話がありましたように、カナダからのドラフトはまだ参っておりませんが、国連の問題あるいは英米等、それぞれまだほんのドラフトの段階ございます。まだ公式的なものとも言えない性質のものかと思いますが、そういうものを中心にいたしまして、同じような性格のものでありますから、その比較をどうしたらいいか、それを比較いたしまして、どういう点がどういうふうに違って、炉としてはどういう炉が一番望ましいかといったような点もございますから、そういう点の比較検討等も重要なことだと思います。言いかえれば、日英協定に関しましては逐条審議を終えまして、問題点の整理にかかっております。日米協定に関しましても同様でありまして、逐条的に検討いたしましてその問題点の整理にかかっております。また天然ウランの細目協定に関しましても……。
#124
○前田(正)委員 それでいいです。そうすると、逐条審議をされて原子力委員会としては、この協定は大体日本とイギリスとの間で結んでもいいということをきめられてから、この間の委員会の決定の原子炉を輸入するという方針をきめられたわけですか、その間の議事の進行はどうだったのですか。
#125
○佐々木政府委員 条約でございますので、向うと交渉いたしませんと、実際にわが方で希望する通りのものが入るかどうか、この問題は未解決でございます。そこで、ドラフトで検討してみますと、先ほど中曽根さんもおっしゃいましたように、問題が非常にたくさんございまして、すぐ右から左へと妥結するものとは考えておりません。従いまして、こちらで研究の結果、交渉に入りました際には、そういう問題点をそれぞれ向うと交渉いたしまして、その上で決定するだろうと思います。その炉を入れる前後、条約の前後といった問題がありますが、もちろん協定が締結されませんと、炉の燃料が入ってこないのはおっしゃる通りでございます。といって、向うと条約を締結しなければ、炉のいろいろの、具体的なネゴシエーションに入れぬかと申しますと、必ずしもそうではないのでありまして……。
#126
○前田(正)委員 いや、意味が違うのです。答弁が間違っておるのです。私はそういうことを言っておるのじゃないのです。炉の交渉はけっこうですけれども、このイギリスとの間の条約というものは、原子力委員会としては、いろいろな問題点があるが、その問題点はわが国には差しつかえない、こういうふうに承認されたからイギリスから炉を買おうということをきめた――条約を結ぶのと炉を買うのは一緒であるかもしれません。従って、炉を買う交渉を早くからやられて、実際に炉を買うときに条約を結ぶかもわかりませんけれども、しかし炉を買うということをおきめになって外部に発表する以上は、当然一般協定というものをその前にすでに検討しておる、逐条検討もしておるという話ですから、逐条的に検討された結果、この日本とイギリスとの間の条約はわが国には差しつかえない、こういうことを原子力委員会としては認定されてから、イギリスから買うということにきめられたんじゃないかと私は思うのですが、その点はどうなっているかというのです。
#127
○宇田国務大臣 それは全然無関係であります。条約に対する見通しがついたから炉を買うという態度ではありません。
#128
○前田(正)委員 そうしますと、日本とイギリスとの間の条約は十分に検討しなくても、言葉をかえて言えば、日本とイギリスとの間の条約の中に、日本の原子力基本法とか、あるいはそういったものに触れる問題とか、あるいは国会の承認がむずかしいとか、どのような問題があっても、原子力委員会としてはそういうことに関係なしに、自分の方は炉を買うということだけきめていって差しつかえないか、こういうことをお聞きしたいと思います。
#129
○宇田国務大臣 炉をイギリスから買うということは決定いたしておりません。
#130
○前田(正)委員 決定ではないのですよ。買いたいということをこの間方針としてきめられたんじゃないですか。それはこの間の新聞に出ておる通り、決定ではないけれども、買いたいという方針をきめられたんじゃないですか。これはどうですか。
#131
○宇田国務大臣 新聞の報道が誤報であります。
#132
○前田(正)委員 新聞が誤まりであるならば別問題でありますけれども、この原子力の炉を買うことをきめようという前は、まだ一般協定の検討をされてないから、ごく軽く、買ったらいいではないかという程度で話をされたのかと思っておったわけです。けれども、さっきからのお話を承わっておりますと、逐条的に検討されているということであるから、この中にどういう問題点があって、どういう影響を及ぼすかということは、原子力委員会として、原子力政策の決定の立場上あるわけです。従って、それがどういうふうな影響を及ぼすかということをもう少し検討されて、その可能性があるようになってから炉を買うとか買わぬとかという話を進めるべきであると思いますが、この点はもう少し慎重にしていただきたいと思います。
 それから、ついででありますからお聞きしなければならぬと思いますのは、それは先ほどの外務省の御答弁と大へん食い違うところがあるのです。一体、一般協定の問題について、外務省と原子力委員会の間では何回くらいそういうような政府間の交渉をしておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
#133
○佐々木政府委員 一般協定の問題の各条項に関する具体的な打ち合せは、まだ外務省とはしておりません。ただ、この問題をどういうふうに扱うかという問題につきましては、前国際協力局長にわざわざお出ましを願いまして、この問題の処置方に対しまして協議したことがあります。
#134
○前田(正)委員 そうではなしに、先ほど大臣から御答弁のあった通りに、原子力委員会として一般協定というものを結ぶということがきめられたのです。僕はその話をしておるのです。そういう方針をきめられてから、原子力委員会として外務省にどういうふうに交渉されたか、その結果外務省はどういうふうに動いたかということを次に聞きたいと思うのです。どういうふうに交渉されたかということを聞きたい。
#135
○佐々木政府委員 それは、交渉に入るその時期はまだわからないのでありますが、先ほど大臣からおっしゃられました通りでありまして、ただいま協定の改訂をお願いしておる最中でありますから、その点もにらみ合わすということで、かたがた、先ほど申しましたように、条文等の検討も進めたいということで準備中でございます。先刻来るる申し述べましたように、条文等は検討中でありますので、外務省の方でも検討中でございましょうから、そういう点等が明確になりました際には、それによってお互いに話し合うというふうにしたいと心がけております。
#136
○前田(正)委員 そうではなしに、私の言うのは、原子力委員会として交渉に入るということがきめられれば、当然外務省を通じて、アタッシェとかそういうものを通じて、資料とか情報を集めるように正式に要求されるべきではないでしょうか。原子力委員会の決定を原子力局としては当然外務省に伝えられて――今の交渉に入る時期とか条約の検討とかはまだ問題があるでしょうけれども、とにかく動力協定、一般協定というものを結ぼうという方針をきめたら、原子力局としては、政府機関を通じてできるだけそれに関する情報とか資料とかを集めるような話し合いを外務省にすべきじゃないかと思いますが、それはどうですか。
#137
○佐々木政府委員 条約の交渉等はかねて前田さんも御承知だと思いますが、ただやみくもにどうだということではないのでありまして条文の中を一々整理いたしまして、こういう点をどういうふうに解釈したらいいかというところから交渉が始まっていきまして、その問題の整理を今やっておる最中であります。
#138
○前田(正)委員 条文の話ではないのです。大臣から、一般協定の資料というものはまだ来ない、こういうふうな御答弁があった。だから、今は石川さんが持って帰った程度のものしかないということであるから、私の言うのは、条文の性格とかそういうものではなしに、原子力委員会が一般協定を結ぶということをきめたなら、原子力局としては、きめた方針に基いて、政府を通じて正式に、われわれとして十分参考になるような条文とか資料というものの入手について、外務省に依頼すべきじゃないかと私は思うのですが、それはどうされたかということです。外務省から正式の資料として皆さんの手に入ってくる、それをまたわれわれは皆さんからこちらへもらって検討する、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、それはどうされたかということを聞いておるのです。
#139
○森(治)政府委員 外務省としましては、原子力局からこの一般協定に関する締結の用意があるということを外国政府に通報するようにという正式の御依頼は、まだ受けておりません。これは外務省としましても、先ほどから中曽根委員も指摘されましたように、非常な問題でございますから、正式に原子力局から公文でそういう通報をいただくものと思っております。その文書はまだいただいておりません。
#140
○前田(正)委員 そうするとお聞きしますが、まず提携の問題とか、そういうことは別問題でありますけれども、一般協定に必要な資料の収集といった方のことで、政府としてわれわれに参考資料として出せる程度の資料の収集というものは、まだ正式に活動を開始しておられないわけですか。
#141
○森(治)政府委員 原子力に関する情報につきましては、できる限り各機関を動員しまして、収集いたしております。その資料は逐次原子力委員会にお渡しいたしております。特定にこういう資料ということで御指摘になれば、それの収集についてはさらに努力をいたすつもりでおります。
#142
○前田(正)委員 いや、そうじゃありません。一般協定を締結するということを原子力委員会の方できめたというから、一般協定の締結に参考になるような資料というものを収集しておられるかどうかということです。
#143
○森(治)政府委員 まだいたしておりません。
#144
○前田(正)委員 それじゃ原子力局長は外務省との間はどうされたのですか、決定されてから外務省との連絡はどうされたか。
#145
○佐々木政府委員 この点は石川ミッションがアメリカに参りました際に、向うのAECの権威ある方から手交されましたので、その資料を中心に検討を進めております。内容は、どういうふうに今後変っていくかわかりませんけれども、とりあえずはその中でもどういう問題があるか、どういう内容なのかという点をまずしさいに検討いたしませんと、今後の活動ができませんので、その検討を開始するということを申し上げた次第であります。
#146
○前田(正)委員 それでは、原子力委員会で決定したことを早急に正式に外務省に通知をしていただいて、正式に政府としても資料を集めてわれわれの方に提出していただきたいということを特に大臣にお願いします。
 もう一点は、今の局長の話を聞きますと、石川ミッションの資料を母体として原子力委員会は検討するということのようであります。さっきも大臣は、一個人のものではないという考え方のようでありますから、もちろんそれもけっこうでありますが、政府の正式の調査団として持って帰ってきたのでしょうから、正式の書類でないにしても、それが重要資料であるならそれを外務省に正式に送って、そうして外務省から当然それをわれわれの方にも調査団の資料として提出できるようにしてもらいたい。
 まだいろいろ問題はありますけれども、時間もありませんから私質問をやめますが、委員長に特にお願いしておきたいと思いますのは、過日われわれの方に英文の一般協定を、石川さんのものを配ったのでありますが、これは当然国会に、少くともその仮訳程度のもの――正式の責任をとる訳でなくてもけっこうでありますから、仮訳程度のものを外務省が原子力委員会からもらって、外務省は当然ここに提出すべきである、こう思うのです。原子力局と外務省の間の連絡が十分でないような説明でありますけれども、われわれ国会としては政府は一本に扱わなければならぬと思いますから、外務省から正式に一つ仮訳したものを提出するようにお願いしたいと思います。
 これで質問は終ります。
#147
○菅野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十二日、午前十時より開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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