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1956/04/03 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第23号
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1956/04/03 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第23号

#1
第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第23号
昭和三十二年四月三日(水曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 有田 喜一君
   理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君
   理事 前田 正男君 理事 志村 茂治君
      小笠 公韶君    小平 久雄君
      須磨彌吉郎君    塚原 俊郎君
      南  好雄君    石野 久男君
      岡本 隆一君    滝井 義高君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 宇田 耕一君
 出席政府委員
        検     事
        (法制局第二部
        長)      野木 新一君
        科学技術政務次
        官       秋田 大助君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      島村 武久君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政一
 般)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により本日も菅野委員長が出席できませんので、私がその指名により、委員長の職務を行います。
 科学技術振興対策に関し、調査を進めたいと思います。
 本日は、原子力行政について質疑を続行いたします。通告に従いまして、質疑を許します。前田正男君。
#3
○前田(正)委員 まずこの際、科学技術庁長官であり、原子力委員長の宇田大臣に一つ御質問いたしたいと思うのであります。それは、過日来閣議におきまして、米英カその他関係の諸国に対しましても、一般協定の提携及びその提携の可能性があるかどうかということを了解をされたということで、文書をもって各省に通達をされて、その手配をされるということをやられた、またそういうことについては、昨日の委員会においてもお話があったのであります。ところが、昨日の官房長官の発表によりますと、これは閣議の了解ではない、この問題は取り消すのだというような官房長官談話というものが発表されておりました。聞くところによると、岸総理大臣か外務大臣どっちの資格でか知りませんけれども、これに対しまして異論を唱えたというふうなことが新聞に書いてあるわけでありますけれども、これは今までの宇田大臣のお話とはだいぶんと内容を異にするように考えるのですが、その間の経過について、まず詳細に御説明を願いたいと思います。
#4
○宇田国務大臣 石田官房長官がどういうように発表したのか、実は官房長官にまだよう会わないもので、責任のある発表内容を知り得ませんから、その点について官房長官に十分聞いてみたいと思っております。閣議の内容は秘密でありますから、これを外部へ発表するという場合は、特別の申し合せをしなくてはならないのじゃないかと私は思っておりますから、なおその点についても打ち合せをしたいと思っております。
 それで、私が初めに閣議に報告したことはどういうことかという経過を申しますると、実は国連憲章が閣議にかかって、国連憲章を国会に出すということについて決定をしたのですが、その国連憲章の中に重要な問題があります。それは一般協定の内容の、特に燃料の取得とか、動力の規制とか、いろいろ重要な条文がここに入っております。その国連憲章に加盟する国もここに列記されてあります。それで、あの条約を審議するためには、必ず加盟しておるところの列国の意向というものを的確に知らなければならないはずでありますから、それを知るためには、外務省を通じて、米、英その他加盟国全部について――もちろんソビエトも含むのは当然と思いますが、そういう国々に対して、外務省はそれらの国がどういうふうにものを考えているのか、その中でも国連憲章を中心として一般協定――ゼネラル・アグリーメントについて、どういう工合に考えておるかということを調べてもらわなければ因る。科学技術庁としては、少くともそういう報告を求めなければ、科学技術庁としての確信のある国連憲章への参加後の運ばし方、あるいはただいままだ準備中でありますけれども、準備中におけるこっちから任命する準備委員の任務がどうなるか等については、十分下打ち合せをしなければならぬことがありますから、そういう問題を解決するためにも、外務省を通じて、各国の考え方についての報告を求めたいと思ったわけであります。そういうことについて閣議に報告をして、了解をしてもらいたい、こういうことを言ったのですが、そのときには別にだれも異議はなかったのです。またそのときに、米、英、カナダ等については、やがて炉が入ってくるだろうし、それから燃料公社の燃料の精練設備も完成してくると、必ず精練試験というものをやらなくてはならないと思うが、それに必要な天然ウランその他を購入するということをやらないと、燃料公社の能率試験ができない場合も起るのだが、それがためにはどうしても、米、英、カナダ等と条約協定を結ばなければ、それが遂行できないことになるだろうと思うから、燃料関係からいっても、新しい協定を結ぶということに取り運んでもらいたい。それについては、時期、方法は外務省にまかして、どういう時期にどういう方法でこれを行うのがいいかということは、外務省を通じて話をしてもらいたいと思う、そういうことを報告しておいたのです。それで、改めて文書をもって正式な了解事項として話をコンクリートにしたい、こういう話をしておいたのです。そういう点については、だれも異議を申す人はなかったのです。ところが、その後の経過、あるいは記事に出たものの中に、表現の仕方が、いろいろ扱い方が違っておって、アクセントの付け方の違っておる点等もありて、きのうは外務省を通じて、われわれはそれぞれの関係各国と、それぞれのただいま申し上げましたような問題点について話をしておいてもらいたいということを申してあったから、外務省として、それについて米、英、カナダ等との燃料公社の設備等に伴う新しい燃料獲得についての話し合いを進めることについて、どういう時期にどういう方法でやるのか、一般協定をこちらでは結びたいと思っておるのだけれども、外務省の方はどうだということを聞いておいたのですが、外務省としては、資金関係もそこにからまってくることである、たとえば天然ウランを買うとすれば、それの値段とか何とかもあるでしょうから、外務省だけではきめがたいから、関係省庁と連絡をして、閣議の了解をそういう技術的な面ではっきりするようにしてもらった方がいいと思う、そういう意見が一つ。もう一つは、ソビエトを含んで動力協定を結ぶというふうなことは、今のところなかなか事情が許さないというか、そういうことはこの際は時期でないじゃないかと思うけれども、そういう意味で閣議の報告をそのまま了承をしたということにはしないでほしい、こういうような外務省の希望である。その希望に対して、閣議が了承を与えた、こういうわけです。従って、外務省に対してこちらが希望を前閣議で申し述べておいた閣議報告に対する外務省の見解としては、ただいま申し上げましたような、米、英、カナダとの関係、その他の国との関係を区別して、外務省自身の見解はこういう見解であるということを伝えてきたので、その伝えてきた見解に対して、われわれは閣議で、外務省の考え方がそうであるならそれで差しつかえない、こういうことになったわけです。それで、初めから時期、方法については、米、英、カナダとの交渉も、外務省の意向を聞きたいということを前提にしてあるのです。それから、その他の諸国に対しても、出先の外交機関を通じて、どういうことを考えているか、特に国連の原子力機構に対する考え方、あるいは国連の原子力機構の中におけるゼネラル・アグリーメントの内容について、各国はどういうふうなことを考えるんだ、なお進んで国連原子力機構が二年後に仕上るが、それまでの閥はどういうふうに各国相互間で一般協定について話し合いを進めるのか、そういうことについて、外務省を通じて情報をもらいたい、そういうことであったのです。それで、日本がそれぞれの国と動力協定を結ぶか結ばぬかというふうなことが日程に上ってきて、それを原子力委員会が決定をして、外務省にそれが交渉を要求する、こういうふうなものではなかったのであります。
#5
○前田(正)委員 今のお話を聞いてみますと、大体前に原子力委員長から閣議に了解された趣旨と、それから外務省からの異議が出たという趣旨とは、あまり変らないように思うのでありますが、しかしきのうの官房長官の新聞に出た談話の通りならば、前の委員長が了解されたすべての閣議了解というものが取り消されたと感ずるわけであります。従って、米、英、カの一般協定の交渉に入る問題を初め、その他の情報を探るということも、全部取り消されたというような印象を受けるのであります。それで、この問題は、今も委員会から官房長官に出席の要求をしていただきましたので、官房長官が出てこられると思いますから、官房長官が出ましてから一つお話をいたしたいと思いますが、官房長官の出てくるまでの間、観点を変えて別の問題で一つ大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、科学技術庁の設置法によりますならば、科学技術庁は、原子力の問題については、原子力委員会というものとは別個に、基本的な政策を企画し立案し及び推進することができることになっておると私は思うのであります。その点については、従来ともそういう仕事を推進しておいでになったと思うのでありますけれども、原子力委員長としては、この法律に基いて、要するに科学技術庁の立場から、科学技術庁の長官としてこういう問題を強力に推進し、考えていくということについて、従来どういうふうにやっておられたか、またどういうお心がまえでおられたかということを、一つお聞かせ願いたいと思うのであります。
#6
○宇田国務大臣 科学技術庁の行政措置としては、科学技術庁に関する基本の法律がありますから、それによって原子力に関してはそれぞれの企画立案その他の所管事項を行政庁自身の責任において遂行していくということをやっております。それから、委員会に関しては、庶務に関する事項を科学技術庁の原子力局で扱うということになっておりますから、それは原子力局で庶務事項の整理はさしております。ただ、原子力委員会の持つ権限の中で、やはり企画立案事項があります。その点につきましてはスタッフがありませんが、そのときどきに専門委員を任命をして、そして調査せしむることができるというふうな規定になっておりますから、そういうふうなことを配慮しながら、参与の運営を、月に一、二回参集のもとに、諮りながら今まで委員会を運営してきたわけであります。ただ、委員会の運営のときに一番困ることはどういうことかといいますと、少くとも週に一回はどうしても開くようにしなければならないということになっておるのです。また、緊急問題については、臨時に委員会を開いてよろしいということになっておるのです。ところが、委員会で一番困ることは、委員長のほか二名の委員が出席しなかったなれば、ものの決定は全然できないことになっております。たとえば、ただいまのように緊急な事件が起った場合に、有澤委員が旅行中でいない、藤岡委員が旅行中でいないということになりますと、委員会は開いても事実上何らの決定はできないという基本の規定日が十一条か何かにあるのです。それで実はもう先日来お二人の旅行がありまして、どこに連絡をしていいのかとつさになかなかわからないということがあって、事実上、石川委員だけが今在京中で、その条文通りの指示に従うと原子力委員会を開けないし、また意思決定はできない。それでは困るものですから、科学技術庁の長官の責任において、国会との応酬あるいは閣議との連絡等ほやっておく。そして委員が帰ってきたときにそれを報告をし、そして事後承認を求めるということをなるべくやって、規定のワクの中において仕事を運んでおく、そういうことをやっております。ただ、原子力委員会の持っている規定の中には、そういうふうな特別な束縛もありますが、しかし、行政官庁としての科学技術庁は、それになるべく抵触しない範囲内で、独自の行政措置を必要な時期に必要な方法でとっていく、こういうことはやっております。
#7
○前田(正)委員 実は、その問題についてはきのうも私からお話しした通り、国会を開いているこの重要な時期の最中に、常勤委員の藤岡氏が、公式の関係だけに離れていかれるということならいいことでありますけれども、それ以外にまで出ていかれるというのでは、私は実際問題として委員会の決定ができたいという事態が起ってくるのではないかと思うのです。ところが、この今閣議に諮られました、了承を求められました一般協定、そういった問題については、原子力委員会にこれを諮って決定をするといっても、原子力委員が今お話の通り事実上おらないとか、これができないということになれば、科学技術庁の長官としてこれを企画、立案、推進できるわけでありますから、科学技術庁長官として決心をされて、それを閣議に諮るということは、決して私は違法ではないと思うのですけれども、この問題についてはどうお考えになりますか。
#8
○宇田国務大臣 私も実際委員会の意思決定を尊重するという意味で、いろいろこの方法に間違いのないようにと配慮して、それは研究はしてみたのですが、事実上、委員が二人以上出席しなければ決定ができないのですから、これはやむを得ない場合の措置としては科学技術庁で当然執行して差しつかえないようなこの法の内容になっておりますから、その通りやっております。また委員会の決定は尊重するのですけれども、委員会に何もかも諮らなければ行政当局としては動きがとれないものである、そういうふうな法律内容とは思っておりません。従って、委員会を尊重をしますけれども、科学技術庁の行政管轄内における責任は、この法律の決定しておる範囲で行なって差しつかえない、それは決して委員会と抵触をしないものと考えております。
#9
○前田(正)委員 そこで、次の問題をお聞きしたいと思うのでありますが、原子力委員会に諮る議案等につきましては、原子力局においてこの法律に基いていろいろと科学技術庁の立場から立案して推進するものもあると思うのですが、それは一々技術庁政務次官、大臣の了解を得て原子力委員会に諮っておられるかどうか。この点について、大臣がすべて毎日かかります議案について了解を得られてから原子力委員会の事務局の諸君が委員会に諮っているか、事実を一つお聞かせ願いたいと思います。
#10
○宇田国務大臣 この事務の運ばし方というのは非常にデリケートなものですが、この委員会の会議をする場合には、必ず日程をあらかじめ委員に通告をすること、また議事の内容をあらかじめ通告をするということになっておるのです。委員会を開く場合には、この法律によりますと、必ず日程と議事についてあらかじめ委員に通達をする義務があるのです。それは庶務事項であって、原子力局がやらなければならないことになっております。従って、そういうことはあらかじめやる。初めには、その場で、口頭で本日の議事日程はこうですということをよく言っておったのですが、その後、そうでなくて、事前にこの法律に基く方法でそれを取り運ぶべきであるというので、ただいまはそういうふうにやっております。
#11
○前田(正)委員 私の聞いておるところによると、どうも事実はそうじゃない。原子力局の諸君が原子力委員と直接に話し合いをして、そうして話を進めておられることが相当多いように思うのであります。私は、この問題は、事実国会でどうせいと言われても、われわれとしても、野党側としても立場がありますから、そう突っ込んでは申し上げませんけれども、しかしながら、きのうから問題になっております通り、科学技術庁の原子力局というものが原子力委員会の庶務を行うのでありまして、いやしくもこれに関係ある原子力委員会の企画、審議というような関係の議案については、これは原子力委員会の事務局として現在の原子力局の職員が働くことはできないはずであります。昨日もこの問題について原子力局長にも明確にいたしまして、今度できるところの事務室というのは、原子力委員会の事務室だというふうに新聞には出ておったけれども、それはそうではない。それは原子力局の中にある原子力委員会担当の人を置くのであって、決して原子力委員会に事務室を置くのではないということをきのう答弁しておったですけれども、従来の原子力委員会と科学技術庁の関係というものは、実はわれわれが法律を立案した当時とは、やり方、運営等が厳重にいってないと思われる。従って、新聞にもああいうふうに原子力委員会に事務室を設けるというような誤まった記事が出た。そうして、きのうも一日その問題で議論をしなければならぬという結果になってきたと思う。これは科学技術庁の長官初め、原子力局の職員全員に徹底して、この際長官からも注意をしていただきたいと思います。原子力局の職員は、庶務はやれますけれども、いやしくも原子力委員会に関する企画、立案というような事務は、これは原子力委員会の下請としてやることはできない。これは科学技術庁の職員としてやるわけであります。従って、科学技術庁の職員として原子力局で立案したものは、当然次長、政務次官等の上級者の了解を得て、そうして科学技術庁の長官の了承を得てからこれを原子力委員会に諮るべきものであると私は思うのであります。それが現在の法律の規定だと思う。それで、現在の原子力委員会の諸君の審議、立案することに対しましては、先ほどお話があった通り、参与会とかいうようなものを設けて、その意見を求められることはけっこうでありますけれども、しかし、この考え方というものをこの際明瞭にしてもらわないと、それが現在の原子力委員会の企画、審議、立案に人が足りないというなら、法制に基いてこの原子力委員会のあり方とかやり方というものをこの際修正をする、それが立法事項であって、私はその権限機能というものは、きのう申した通り、国会の権限としてやるべきことである、こう考えておるのであります。従いまして、この際、科学技術庁の職員については、この法律に規定する通り、その議案その他の内容の問題について原子力委員会に諮るべき事項は、すべて科学技術庁の長官の決済を得てから諮る、こういうことをあらためて明瞭に一つ科学技術庁の長官の立場から、局長以下局員の人に伝達を徹底していただきたいと思います。その点についての長官のお考えを一つ聞かしていただきたいと思うのです。
#12
○宇田国務大臣 それはお説の通りと思います。施行令ないし設置法にある規定通りにこれが取り運ばれなければならぬ、こう思っております。
#13
○齋藤委員 私はただいまの前田委員の質問に関連して、科学技術庁当局にお尋ねをするわけでございますが、私の知っておる法律学者から、憲法の解釈が正確な意味を持つには二十年や三十年はかかるものだ、一体に法律というものはそういうものだ、こういう話を聞いたことがあるのでございます。この科学技術庁に関連いたしております、または原子力に関連いたしております法律もだんだん時日を経るに従いまして、いろいろな解釈上の疑義が出てきている。しかし、われわれ立法府に籍を置く者といたしましては、あくまでも立法精神を尊重して、法律を制定したときの気持を貫かなければ、職責が全うできないと思う。ところが、時を経るに従いまして、書かれた条文の字句その他形式によって、ややもするとその立法精神が歪曲せられるようなことが起きてくる。それだったならば、この立法府としての責任は、私は全うできないと考えておる。そういう立場から、私は今、前田委員の御質問に関しまして、関連してお尋ねいたすのでございますが、今、質疑応答がありました科学技術庁の原子力局の事務と、原子力委員会の原子力問題に関するところの所掌事務と、これは条文を見るとほとんど同じことが書かれておる。だから、今の御質問によると、科学技術庁長官は科学技術庁設置法に書かれておるところの原子力局所掌事務の規定に従って、原子力問題に対してはそれ相当のことができる。もちろん私はそうであると思う。また原子力委員会の規定によるところの原子力委員の所掌事務というものも、字句はほとんど同じに書かれて、「決定」と「推進」とだけ違っておる。しかし、立法の精神というものは同じ字句が書かれておるから、同列にものが行われると考えたら大間違いです。委員会の所掌するところの原子力問題というものは、これは委員会の設置せられたるところの精神に基いて、すなわち大所高所から原子力の根本問題、重要事項を審議、立案、決定をしていくのであります。この原子力局において行われる立案、審議、推進というものは、行政的立場において立案、審議、推進することができる。そこを紛淆すると、同じ字句が書かれておるから、原子力局はどんどん原子力問題に対して立案、審議して、これを委員会に持ち込むことができるというふうな解釈になってしまう。これではさっきのような前田委員の危惧する問題が出てくると思う。であるから、私たちはそういうことをよく考えて、原子力の推移に思いをいたしますと、ここでそういうことを立法精神的にはっきり区別をして、一方は原子力委員会の持つ立法精神に従って、原子力問題の根本から、大局的な立案、審議、決定をやっていく。事務局は原子力委員会が決定せられたところの根本問題の線に沿うて、行政的に審議、立案、推進をしていくということでなければ、私は立法精神が完遂されない、そう考えておる一人であります。こういう意味から、当局はその立法精神を完全に遂行する手段として、われわれの要求しておりまする考え方の一つであります、委員会に強力な事務局を設けた方が、こういう立法精神が完全に遂行されるのではないか、私はそういうふうに考えておるのでありますが、政務次官はこれに対して一体どうお考えになっておりますか、御答弁を願いたい。
#14
○秋田政府委員 齋藤委員のお話はごもっともと思います。なお、私どもとしては、十分研究してみたいと思う点が多々感ぜられるのでございます。それで、結論的に、原子力委員会に事務局を設けることはどう思うかという第二段につきましても、これまた決定的なことはいま少しく研究をさしていただきたい。時間の余裕をいただきたいと思いますけれども、また考え方によりまして、齋藤さんと同じような考え方が十分成り立つということだけは私にもわかります。たといその立場に立つにいたしましても、これを実行するには、相当適当な時期があろうかとも思います。その実施の時期等につきましても、この際、この段階においては、十分検討をし、慎重な用意をもってやらなければならないというようなことも感ぜられております。まことに研究不十分でございまして、齋藤委員の意に満つるような御返事ができないことは遺憾でございますが、十分御趣旨のほどは尊重をして、なおよく検討をしてみたいと思います。そして、たといよろしいという結論が万一出ましても、これを実行する時期、方法等は、非常に慎重を要するのではないか、私の大体の感じを申し述べまして、お答えにいたします。
#15
○佐々木政府委員 原子力委員会設置法の第二条に所掌事務が書かれておりますが、科学技術庁の役目の中にもほぼ同様な趣旨のことが書かれております。庶務を扱う機関がどうしてこういう委員会と同じような規定を設けざるを得なかったのかというその根本的な理由は、私、齋藤先生の今のお話の通りだと思いますが、その当時の考え方といたしましては、原子力委員会の所掌事務並びに原子力局の所掌事務というものをほぼ同じにしておいて、そして完全に原子力局というものは原子力委員会の事務局であるという性格を一面には持って、そして原子力委員会は最高政策を決定し、その決定に従ってわれわれは行政事務を遂行するということが、この法の精神じゃなかったのではなかろうかと考えます。ただ、その際、前田先生から先ほどお話がありましたように、科学技術庁の内局として原子力局というものが設けられておりますので、おのずから科学技術庁そのものの官庁としての形態と申しますか、命令系統がございます。そこで、行政官庁として、行政の執行面に当りましては、やはりそれぞれの所轄々々の庁にこれを伺いまして、そして執行に際しては、委員会ではこうきめたけれどもこれでよろしいかということを、文書にして重要な事項は各省に伝達するなり各省と協議するなり、そういうふうにして実施をはかっていくというのが、この原子力委員会設置法並びに科学技術庁設置法の精神じゃなかったかと考えておりますので、私どもといたしましては、一つの趣旨としては、原子力委員会とほぼ同じ規定で、そして完全に原子力局が原子力委員会の事務局としての任務を果すということでありますれば、委員会の運営等に関しまして、委員の御趣旨に沿って、この次はこういう問題を取り上げたい、この次はこういう問題を取り上げたい、こういうものを準備しろということで委員会の委員の皆さんの御意向をそんたくしながら、重要や項を委員会にかけていくというふうに進むべきじゃなかろうかと考えております。ただその際、どこまでが基本方針で、どこまでが行政事務かという分岐点が非常に不明確になっておりまして、たとえば原子力委員会設置法第二条第二号を見ますと、関係行政機関の原子力利用に関する事務の総合調整を原子力委員会がやるとなっておりますが、これは最高方針といっていいのか、あるいは行政事務といっていいのか、あるいはその次には、予算の「経費の見積及び配分計画に関すること」といったような事項がやはりございまして、そういう点も実際の配分ということになりますと、どうしてもこれは大きい見方からのみではそういう配分はできませんので、委員会としては、どうしても各省の予算の内容も聞き、そしてそれの調整をとって初めて原子力委員会としての任務が達成できるのではなかろうかという観点から、議案のここまでが行政事務の分野、ここまでが政策決定機関としての原子力委員会の分野と、こういう分野規定を分ければ分けるほど、非常にぎごちない、融通のきかない、従って、ややともすれば意見の相違を来たすような事態にもなりますので、そういう点は事務の運び方が非常にまずかったかもしれませんが、大体決定事項はそのまま実行いたしますけれども、これから決定しようという事項に関しましては、なるべく委員会におかけして、そして委員会の御決裁をいただいて行政事務に移したいというので、あるいは間々批判のありますように、委員会で取り上げるべき事項でないようなことまで委員会で決定をしたというような点があるいはあるかと思います。そういう点は今後十分この法規の精神に従いまして、委員会等の運営方法を考えまして、円滑にやつていきたいというように考えております。
#16
○前田(正)委員 今の局長の答弁は、私は非常に意外に思うのです。立法の精神というが、大体局長は立法に当ったのですか。これは、われわれ国会議員が集まって法案を通し、基本法を作り、その他修正をしてやったものであって、局長が立法の精神を――今の答弁でいくと、執行は科学技術庁がやるというようなことを答弁しておられるが、どこにそんな規定があるのですか。法律によりますと、科学技術庁は原子力政策の企画立案をしていくということがちゃんと明記してあるじゃないですか。科学技術庁としてやっていける、そんなでたらめな、法律によらないような、そしてまた全体の事務局として原子力局がやるのだとおっしゃるが、どこにそんな規定がありますか。これは、原子力委員会の庶務を科学技術庁の原子力局が行うと、ちゃんと法律に書いてあるのです。これは、私どもがこの法律を作るに当りまして、行政機関であるところの内閣の行政の責任制という問題と、この決定機関との意思の調整をはかるという意味において、原戸力委員会においても決定はできるけれども、行政官庁である科学技術庁としても、責任内閣制の立場から、科学技術の行政というものをみずから企画し、立案していくことができる、こういうふうにしなければいけないのじゃないかと思う。しかしながら、それについては、原子力委員会の方においても同じように企画し、みずから決定してその意見を述べることはできる。しかもそれは、その両方の意見の間に食い違いがあっては困るから、いろいろと意見があったのであるが、委員長というものを科学技術庁の長官ということにして、そうしてこの委員長がどこの大臣でもないように、科学技術庁の長官たる国務大臣が委員長になるというふうに法律できめて、そうして調整をはかる。こういうふうにしてあったのでありまして、あなたの今の答弁は、全然法律にもないことであるし、どこに立法の精神があるか全然怪しいと思います。どういうお考えであるか、一つよくお聞かせ下さい。
#17
○佐々木政府委員 立法の精神はあるいは言い過ぎたかもしれませんが、原子力委員会の任務を遂行するに際しては、その庶務は原子力局が扱う、そこで扱う範囲はどういうことかといいますと、単に庶務ということで、出張の予定を作ったり、あるいは世話をしたりという庶務のみでいいかと申しますと、原子力委員会はスタッフがないわけであります。従いまして、そのスタッフは原子力局をして当らしめるというのがこの立法をした際の考え方ではなかったろうかというふうに考えますので、私どもは、本来の行政事務の任務の遂行ももちろんいたしますが、しかしながら反面、原子力委員会の事務局としての任務も達成すべきではなかろうかというので、そういう点に関しましては、立案その他をいたしまして、そうして委員会に御決定をいただくというふうな建前をとったわけでございます。
#18
○前田(正)委員 原子力局長は国家公務員であって、法律に基いて働くのは当然だと思いますが、どこにそんなことが法律に規定されておりますか。今の原子力委員会設置法に基いて原子力委員会としていろいろとやる仕事に対しては、今のような原子力委員会の人だけでは十分でないから、科学技術庁の人が協力するということはもちろんでありますけれども、それはあくまで科学技術庁の職員としてやるべきでありますから、当然、科学技術庁の局長から、上は次長、政務次官大臣というものがあるわけです。そういう人たちの了解を得て、科学技術庁の意向として原子力委員会に協力すべきではありませんか。原子力委員会の事務局だというようなことはどこにも書いてない。また、原子力委員会の庶務は取り扱うけれども、その企画、審議、立案をするようなことは、当然科学技術庁の職員として行なって、それを科学技術庁の事項として決定されてから、原子力委員会にはかっていく、そうして原子力委員会の委員諸君に協力する、これは当然だと思いますけれども、その法律の権限外のことを、原子力局長が局長の権限でやれるはずはないと考えますが、どう考えられますか。
#19
○佐々木政府委員 その点に関しましては、新大臣が見えましてから、委員会にかけます議題等は必ずその事前に科学技術庁の長官である国務大臣とお話して、その上で委員会に臨んでもらいたいというようなお話がございましたので、ただいまのやり方といたしましては、議題を作りますと、必ずその内容あるいは大臣の御出席いただける時間の範囲で重要問題が決定できるように事前に御裁可を得まして、それによって運営したいというような格好になっております。
#20
○前田(正)委員 それだからこそ、皆さんが今度委員会の審議の仕方で手足をつけなければいけないというふうなことについて、われわれ一年間の経験から見て、法律によってこの機構を改正したらどうかと考えておるのに、自分の方で勝手に内規みたいなもので――それは科学技術庁の内規かもしれないけれども、法律によらないで、そういう事務室みたいなものを作ろうというような考え方は、そこから出てくるのじゃないかと思う。それは非常に誤まっておると思う。やはりこれは科学技術庁の職員として、法律に基いてやってもらわなければいけない。あなたの今のお話を聞いていると、原子力局長は、議題は原子力委員長である国務大臣に了解を得るということですが、そうじゃないでしょう。原子力局長は科学技術庁の職員であるから、あなたの決定したことは、科学技術庁の次長、政務次官、長官の了解を得るべきじゃないですか。順序が違うのじゃないですか。
#21
○佐々木政府委員 科学技術庁の原子力局でありますから、重要事項に関しましてはもちろん次長あるいは政務次官、大臣というふうな御決裁をいただくのは当然かと思います。従いまして重要事項に関しましては、そういう措置をとっております。
#22
○前田(正)委員 重要事項というのは、あなたが科学技術庁の局長の立場から原子力委員会にはかる事項は、科学技術庁の職員としてであるから、当然次長、政務次官、長官の了解を得てやるべきことじゃないですか。もちろん局長の権限でやってもいいと長官から委任されている事項は別でありますけれども、そうでない事項については、科学技術庁の職員としてやる以上は、当然科学技術庁の法律の規定に従った通りにやっていくのが当りまえじゃないですか。
#23
○佐々木政府委員 厳密な解釈をいたしますと、あるいはお説の通りかと思いますが、それでは原子力委員会に科学技術庁の次長あるいは政務次官等も公式に出席してお話し合いができるかといいますと、法の建前からいくと必ずしもそうじゃないようにも考えられます。しかしながら、実際の運用をやっていく際には、やはり科字技術庁の政務次官並びに次長が御出席して、そして委員会の御意向を十分行政方面に間違いなく反映できるようにすべきだというふうに考えますので、原子力委員会には、大臣のみならず、政務次官、次長にも御出席いただきまして、決定した事項を間違いなく行政方面に反映できるようにというふうな措置をとっております。
#24
○前田(正)委員 あなたに今聞いているのは、原子力委員会のことじゃありません。原子力委員会というのは、科学技術庁と関係ない。これは総理府の決定機関であります。だから、それはそれで当然原子力委員会としての運営についてはいろいろと原子力委員会へ聞かなければならぬけれども、私が言っておるのは、原子力局長として原子力委員会ではかるべき事項は、局長に大臣から委任されている事項以外は、科学技術庁の職員として、当然次長、政務次官、大臣という順序を経て、了解を得てはかるべきじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。
#25
○佐々木政府委員 通常のこういう委員会の場合には、前田先生も御存じの通りでありまして、たとえば経済企画庁の例で申し上げますと、電源開発調整審議会というものがございまして、その庶務は計画部が担当しております。しかしながら、その事務を遂行する際には、必ず次長あるいは政務次官に常時おはかりして、そうして各省庁との関係を十分つけた上で電源開発調整審議会にはかって、その決定を遂行していくというのが建前だと思います。ところが、この原子力委員会ができましたそもそものときを考えていただきますと、その具体的な企画がよくおわかりだと思いますが、初め総理府の内局として原子力局を設けまして、そうして、その内局に設けられました原子力局の任務は、科学技術庁の原子力局の持っておられる規定と同じようなものがその当時あったのでございます。そのときには、それでは内局である原子力局が原子力委員会にかけるときに、必ず総理府の長である官房長官あるいは総理大臣に事前におはかりしたかと申しますと、そうじゃないのであります。その当時の事務局と申しますか、原子力局がそのまま命を受けて議案を審議したというのが例であったわけであります。そこで、科学技術庁ができまして、その中へ原子力局が入った際に、性格的には、私どもの解釈では二重の性格を持っておるのじゃなかろうかと解釈したわけでございます。二重の性格と申しますのは、原子力委員会の庶務といいますのは、とりもなおさず事務局という概念で、単に会計その他の事務をやるという考えでなくて、やはり事務局としての任務をいうのじゃなかろうか、一方科学技術庁の内局でありますから、科学技術庁の内局としてのそれぞれの行政面の実施をはかるのだと解釈しておったものですから、科学技術庁の内局として、行政局としての任務、同時に原子力委員会の事務局としての任務というふうに、二つの任務を遂行しておったように私は考えます。
#26
○前田(正)委員 それは、総理府にありましたときは、暫定的な措置だったかもしれませんけれども、科学技術庁という国家行政組織法に基いて大臣を長官とする行政機関を設けるに当って、原子力委員会の決定事項というものを、内閣の行政の責任という立場からいかに調整するかという問題は、さっきからあなたは立法の精神と言っておられるけれども、われわれが立法するに当りましては、党の中においてもいろいろとそういう決定機関とかいうものについての意見が出て、しかしやはり行政の責任は科学技術庁の長官がとらなければならない、それでは科学技術庁の長官は決定されたものだけ押しつけられるのか、それでは行政ができないじゃないかというので、そこで科学技術庁の立場からもみずから企画立案できる、こういうふうにしてこの任務もきめてあるわけなのです。従って、科学技術庁の中に原子力局というものが償いてある以上、これは行政府としてやるのだから、当然原子力局も原子力委員会とは別にみずから企画立案することもできるし、また行政の執行もできる、しかしそれは当然科学技術庁の職員として、科学技術庁の範囲においてやるべきことであって、原子力委員会とは別であります。原子力委員会の方については今お話した通り、この原子力局は庶務を行うのであって、何も事務を行うとは書いてない。従って原子力委員会の任務であるところの事項とは、そこに食い違いがあると私は思う。庶務というものは、全部の権限を行うものじゃないと思います。従って、その間において、こういう決定機関では、人とかその他が不十分であってはいけないから、当然科学技術庁の方で、官吏としての次長、政務次官、大臣という順序をちゃんと経て、科学技術庁から原子力委員会にいろいろと協力して、審議すべき議案を出してる、こういうことは私はあり得ると思います。また、原子力委員会自身も参与とかその他を設けて、みずからいろいろな資料を集めることもあり得ると思いますけれども、われわれとしては、そういう組織でこれを作った。しかしながら、最近のやり方では不十分だ。また私さっきからあまり実例をあげて追及しないでおるのですけれども、今までのところ、あなた自身も今ちょっと答弁されたように、庶務と事務と混合して、長官とか政務次官とか次長なんかの了解なしにどんどんと原子力委員との間の連絡をしておられる。そういうことをしないと、事実原子力委員会の運営が困る、手足がなければ実際に困るという現状であるようですから、私たちは当然そういう任務を持った事務局というものをこの際原子力委員会に設けるようにしたらどうかということを、きのうから話をしておるわけです。しかし、その法律を曲解して、こういうことはできるんだ、ああいうことはできるんだという考え方は、私は誤まっているんじゃないかと思う。もしそういう必要があるならば、堂々と法律の改正を出すべきじゃないかと思うのです。
#27
○佐々木政府委員 先ほど例に申し上げましたように、電源開発調整審議会の事務を経済企画庁計画部が持つということになりますと、単に庶務を行うということではないのでありまして、これはあくまでも事務局のない場合には、事務局の機能を計画部が持つというふうに解釈するのが行政上の通例でございます。従いまして、原子力委員会の庶務を原子力局が担当するといったから、庶務だけを、会計経理だけを扱えばいいというのは、あくまでも私は法の解釈ではなくて、その庶務という場合には、そういう事務局というような性格を持った庶務と解釈すべきではなかろうかというふうに解釈しておりますので、ただいま申し上げましたような点をるる申し上げたわけでありますが、前田委員のおっしゃるように、それは単なる庶務であって、事務的な性格のものは法律上許されないのだという御解釈であれば、もう一ぺん研究さしていただきたいと思います。それから行政機関でありますから、(前田(正)委員「法制局長官を呼んで下さい、そんなばかなことがあるか、不明確にしておいてはいけませんよ」と呼ぶ)……私どもはそういう解釈でやっております。
#28
○前田(正)委員 そういう法律の問題は、法制局長官を呼んでこの際明瞭にいたしますけれども、事実上協力している例があるとか、こういうことがあるとかいうことは、科学技術庁の正式の次長とか政務次官とか大臣という人たちのちゃんと決裁を得て、そうして協力していく、そうして事務局としての仕事をする、当然科学技術庁の職員であるから、科学技術庁としての上司のちゃんと決裁を得て、そうして事務的な仕事の協力をしていくということはあり得るでしょう。しかし、自分たちだけで、われわれは事務局だから科学技術庁の上司には関係なしに、委員と一緒になって原子力局が仕事ができる、私はそういうふうに解釈できない。
#29
○佐々木政府委員 その点は前田先生のおっしゃる通りだと思います。科学技術庁でありますから、行政事項は上司の命を受けて、そして委員会にお出しするのはその通りだと思います。私の申し上げますのは、その点に全然異論があるというのではないのでありまして、それは御解釈の通りだと私は思います。ただ、そうじゃなくて、原子力委員会の庶務を原子力局が扱うという、その庶務という内容はどういう内容かと申しますと、経理、会計という内容だけじゃなくて、事務局的な内容を持った庶務というふうに解釈すべきではなかろうか、こういうふうに申しただけであります。
#30
○齋藤委員 関連して。今、大臣がちょっと中座をされた間に、法律上の解釈の問題が出たのでありますが、その当時を追想してみますと、前田委員の申されることも原子力局長の言われることも、これはどっちも理屈があるように私は考えるのです。ということは、一年有半経てきました今日、結局われわれが最初に考えた原子力委員会に事務局をつけなかったということが、形式上において欠陥が暴露されてきた、私はそう考えて、この問題を処理するのが一番いいと思うのです。実際の問題として、あの当時は原子力委員会を出発せしめるに当って、予算及び定員その他の問題が大きな支障となって、ついにわれわれも事務局を設けることを押し切ることができなかったので、まずとりあえずイージー・ゴーイングとして、原子力局に原子力委員会の庶務等をやらせるという形式をとったわけです。これは急速に膨張する原子力委員会のあり方に即応して、原子力局も法規上逸脱したかの感がある処置を講じてきた。これはどうしても必要に迫られてやった場面も多々あると思うのでありますから、まあこの際、法制局長官を呼ばれまして、法律上の解釈を的確に決定すると同時に、もう現実的には、原子力委員会に事務局を設けなければ、法律上の紛淆さも避けられないという状態になってきた。先ほど政務次官はまだいろいろ異論があって、研究すべき点も多々あると言われておるのでございますが、もう事実はこの遷延を許さざるような状態になってきておると私は思う。そこで、担当国務大臣としては、この委員会においてかわされる質疑応答の中から、原子力委員会には当然強力な事務局を設けて、そうして今まで暴露されてきたようないろいろの欠陥をこの際急速に除去して、わが国の原子力平和利用の推進をさらにタイムリーにはかっていくという処置を講ぜられたいと考えるのであります。この点一つ国務大臣のはっきりした御答弁をお願いしたいと思います。
#31
○宇田国務大臣 私が就任以来一番解釈論の困難な点は、要するに原子力委員会設置法において、第二条に掲げる九項目の決定、審議、企画、こういうことは非常な広範にわたるものであって、この任務を完全に遂行しようとした場合に、これは当然任務を遂行するに必要なスタッフを要求せざるを得ないだろう、こう私は考えます。それから科学技術庁の設置法の第八条に掲げる条項も非常に広範にわたっておりまして、この任務を完全に遂行しようとする場合に、原子力局の十三項目にわたる項目は、これもこれからの原子力行政の前途を考えると、ただいまのスタッフでは、とうてい足りない問題だろう、こう思っております。極端に申せば、これは原子力省にも類するような規模のものでなければ処理がしおおせないものじゃないかとも思います。将来はそういうふうに考えられるような非常に広範な内容と見ておのます。従って、ただいまは過度期であると判断をして、過度期の行政に間に合うための規模はこの程度であるでしょうが、いずれにしても、委員会といい、局といい、現在のままでこれが十二分にこの目的を達成するということは困難ではないか、このように思っております。
#32
○前田(正)委員 これは法制局長官に来てもらいまして、原子力委員会の庶務というものが事務を行えるかどうかということを明瞭にして、それによって、今後の委員会の構成の問題についても相談をいたしたいと思いますけれども、それは長官がお見えになるまで次に延ばします。
 この際、先ほど申しました通り、科学技術庁長官は、みずから企画、立案、決定をすることを原子力に対してもできるわけであります。従って、何も原子力委員会のきめたことの執行だけするということではないであろうと私は思うのであります。そこで、これはさっきも大臣からそういうふうに御答弁がありましたけれども、今までは原子力委員会の決定した事項を執行するのが科学技術庁だ、こういうふうな考え方は、私は一般に間違っておるのじゃないかと思う。原子力委員会の方でもみずから企画、決定をする。ただし、それをみずから企画、立案して、しかしそれは一応原子力委員会にはかって決定を求めるということはいいでしょうけれども、しかし、みずから原子力政策について考えて推進をすることもできると思うのです。そこで、この際お聞きしたいと思うことは、原子力の懇談会を大臣が持たれる、こういうことに対しまして、新聞によりますと、原子力委員会に参与会があるから、そういうものは必要ないじゃないか、こういうふうな議論が、原子力委員会とかその他一部にあることも書いてある、私はこれほど誤まった問題はないと思うのです。原子力委員会みずからが参与会に意見を求めて、原子力委員会みずからの企画、立案のために意見を求める、そうしてやられることは当然でしょう。しかし、科学技術庁の長官である、また原子力委員長であるところの宇田大臣がみずから自分で企画、推進するために意見を求める。それは何ら原子力委員会の権限と抵触することはない。原子力委員会の参与会とは何の関係もないことだと思う。それを旧いかにも関係がある、原子力委員会に参与会があるから、各界の意見を求めておるから、それで十分じゃないか。原子力委員会がきめたことだけを科学技術庁の長官の原子力委員長はやっていくのか、それではこの法律制定当時の意見とも食い違うし、また同時に設置法からいっても私は違うと思う。科学技術庁の長官は、やはり原子力政策一というものを企画立案できる。従ってみずからの立場で、原子力委員会に参与会があろうがなかろうが、そういうことは関係なしに、科学技術庁の長官が各方面の意見を求められて、そうして企画推進するのに何ら問題はないと思うのです。これについてどうお考えであるか、一つお聞きしたいと思います。
#33
○宇田国務大臣 懇談会は、立法府と行政府との間を特にうまく調和して、そうして科学技術庁独自の、第八条に示されたたくさんある責任をどういうふうにうまく遂行していくかということであって、原子力委員会があるから、そういうことは必要でないというようなこととは、これは全然観点が別になると思います。
#34
○前田(正)委員 どうもそういった点について混淆した意見が世の中に非常に多くて、それが新聞に載ると、あたかもそれが当りまえの意見のように思っている人が多いのであります。この法律を作りましたときは、先ほども申しました通り、責任内閣制度という行政の立場から科学技術庁というものを設けて、行政官庁を設ける以上は、当然行政官庁としての責任をとらなければならない、こういう点から科学技術庁自身においても、原子力政策というものはみずから企画立案し、推進していくのだ、こういうふうなことになっておるのであります。決定の執行機関であるというようなことを局長はさっきあやまって答弁して、取り消したようでありますが、これは決定の執行機関ではないのであります。そういう点を誤まらぬようにしていただきまして、原子力委員会の参与会というものと私はこの間の問題は食い違っておるということを明確にしておいていただきたいと思うのであります。
 そこで、今、大臣が退席しておられる間に問題になった点でありますけれども、科学技術庁設置法、こういうものから見まして、原子力局の職員というのは、みずから企画、立案、決定したものを科学技術庁の次長、政務次官、大臣というものを通じて、これは原子力委員会にはかるべきである。しかし、原子力委員会の方においては、科学技術庁の原子局というものは庶務を扱うだけであって、全体の仕事がない、それでは仕方がないということで、そういうふうな科学技術庁の上長の決裁を得て、そしてこれに対する協力をする、これは当然だと私は思うのであります。しかしながら、そういう上長の了解もなしに勝手に事務局として原子力委員会の仕事をするというようなことは、私は誤まりであると思うのです。それは法律にも明記してある通り、当然科学技術庁というものはみずからそういう仕事を行うことができるわけでありますから、科学技術庁の職員というものは、科学技術庁の大臣その他政務次官、次長というものの決裁を得て行うべきものである、こう考えるのでありますけれども、この点についてはどうお考えであるか、一つ明らかにしておいていただきたいと思います。
#35
○宇田国務大臣 当然そうならなければならぬと思っております。それで、行政庁は行政庁として、科学技術庁の責任の範囲内において原子力委員会の機構の運営と科学技術庁の運営と混淆を来たさないように、科学技術庁は科学技術庁が行政体として秩序を保って運営をしていく、これは当然考えております。
#36
○前田(正)委員 そこで当然私は、今後の運営はもちろんでありますけれども、これからについても、そういうふうなことをやっていきましたならば、きのうも御質問申し上げました通り、現在の原子力委員会が科学技術庁の職員の協力を受けるというようなことだけでは、単に庶務を行うだけであってはやれないということから、この際、事務局というものを設ける。従って、原子力委員会の構成とか権限というものをこの際改める、そうするのが当然であって、それは法律によってやるべきことであると考えるのです。それをいいかげんなごまかしで、一部の人を配置しようとか、そういうようなことは法律上できない。しかし、きのうも追及していくと、それは原子力委員会の事務の人じゃなくて、科学技術庁の原子力局の中にそういう人を置くのだ、こういうふうなことを言っておられましたけれども、私は、こういうことは、明瞭に、現在の原子力委員会のこの法律の規定でやっていくことは、実際問題として困難だ、こういう御認識なら、法律に基いて明らかな組織を設ける、こういうふうにするのが適当だと思うのです。第ー、今のようなやり方だけでは不十分だからどうだとか、あるいは法律に基いて明瞭にこの際事務局を置くというふうにやっていかれるかどうか、こういうことについて長官の御意見を一つ付いたいと思います。
#37
○宇田国務大臣 立法の趣旨は、原子力委員会の性格は、民主的な運営をはかるためにという前提が一つあって、それは民主、公開、自主という原則の非常に重要な一点に関連をするもの、こういうふうに考えております。従って、原子力委員会の持つところの性格を伸ばすというためには、この設置法に掲げてある条項に忠実に企画、立案、決定をするために、その委員会に直属をする組織というものがなくてはならないものである、こういうふうに思います。
#38
○前田(正)委員 それでは、大体大臣の考え方もわかりましたので、この際私は、法律に基いての庶務ということは、事務はできないと思いますけれども、法制局の意見も聞いてから、もう一つ明確にしたいと思います。それで、実は一つ先ほどの官房長官の取り消した声明について質問いたしたいと思いますが、官房長官がきょうお見え願えないということでありますから、次回にこの問題は譲ることにいたします。きょうは一つ法制局の方から法制の問題について、もう少し突っ込んでお伺いをしてみたいと思います。法制局から部長が出席されましたので、この問題を一つ明瞭にいたしたいと思うのであります。先ほど齋藤委員からもお話がありました通り、原子力委員会というものを設置する法律を作る原案をわれわれが考えておりましたときは、この原子力委員会に当然事務局というものを設けないことには、これだけの事務はできない、こういうことであったのでありますけれども、参与とかその他の有志の意見を聞くとか、庶務は原子力局でやるとか、また予算がとれないとか、あるいは一部には従来の総理府の原子力局の方からもあまり賛成でないような意見があったことから、一応この程度で仕事をしようということになったのであります。われわれが先ほどから質問しております通り、ここ一年間の経過を見ますと、事実上はその立法と相当違ったようなことをやっておってこの際法律上明瞭にするならば、どうしても法律に基くところの事務局を設けなければならぬと私は思うのであります。まず原子力委員会の法制について、一つお考え願いたいと思うのであります。まず第二条に、この委員会は次の所掌事務をやるということがありまして、企画、審議及び決定をするということになっておりまして、その中にこまかいことがずっと書いてあります。それに対しまするところの事務につきましては、第十五条に、「委員会の庶務は、科学技術庁原子力局において処理する。」というふうになっておるのであります。これでは先ほど申しました通りに、われわれは庶務ということでは、事務の全般のことは、この所掌権限の全体の仕事はできない、この庶務では不十分ではないかということも考えたのであります。しかしながら、科学技術庁を設置するに当りましては、科学技術庁は国家行政組織法によるところの、しかも国務大臣を長とするところの行政機関として設けるのでありますから、科学技術庁自身がこの原子力の問題について企画立案して推進することができなければ、これは行政官庁としての値打がない。そこで原子力委員会で決定された事項だけを執行するのではなく、みずからも政策を企画立案していき、またその行政の執行の仕事もしなければならないのでありますから、原子力局は科学技術庁という行政官庁の中において、科学技術庁みずからの企画、立案、推進をやり、執行もやる。こういうことにいたしたのであります。しかし、そういうことになりますと、この決定と委員会との間に食い違いがあっては困るからというので、特に科学技術庁長官であるところの国務大臣であるということを明記して、原子力委員長になってもらうということにいたしてあるのであります。そこで、この法律から見ますならば、科学技術庁の原子力局は、原子力委員会の庶務をやるだけではいけない。そこでそれ以上の事務的な仕事をするということは、当然科学技術庁の長官、政務次官、次長等の決裁を得て、事務的な仕事に協力するということは私はあり得ると思います。しかし、あくまでそれは科学技術庁の職員として行うことでありますから、原子力局が法律で与えられた庶務以外の仕事をするについては、当然科学技術庁の長官とか、政務次官とか、次長等の決裁を得てやるべきであると思う。ところが、事実上そういうふうな人たちの了解を得ないで、原子力委員と相談をしていろいろな仕事をしている例があるようでありますが、実際問題として、そういうことはこの法律の建前からは狂っているのじゃないか。原子力委員会にそういう事務的なスタッフをつける必要があるのなら、立法の当時に考えたように、原子力委員会の事務局を法律によって設けるのが至当じゃないかと思う。現実にそういう例があるのだから、私はこの際明瞭にする必要があるのではないかと思います。そこで原子力委員会の庶務というものは、これはあくまでも庶務であって、この所管事項にあるようなことを全部この原子力局の人が十五条の庶務という規定で、長官、政務次官、次長等の了解なしに委員と直結してどんどん仕事をやっていっていいものかどうか。この際、法制局のお考えはどうであるか、お聞かせ願いたいと思います。
#39
○野木政府委員 原子力委員会設置法第二条において、委員会の所掌事務が定められてあります。これはあくまで委員会の決定すべきものであります。しこうして、御指摘のように、十五条において、「委員会の庶務は、科学技術庁原子力局において処理する。」とあります。しかし、委員会には別に事務局のようなものもございません。そうしてみますと、この第十五条の庶務というものは相当広く読み得るのではないかと存ずるのであります。たとえば、裁判所法において、最高裁判所事務総局は最高裁判所の庶務をつかさどるという一言で片づけておる例もあるわけでございます。もちろんこのほかに、委員会に事務局を設けて、企画立案に当り、直接に委員会を補佐する、そういうことも立法上可能でありまして、それは一に立法審議の問題に属するわけであります。しこうして、現在は事務局も何もなくて、委員会は委員だけで構成するわけでありまして、第二条にあるような事項について審議し、企画し、決定するというような重大な事項を所掌することになっておりますので、たとえば政策に関することを決定するにしても、委員が自分で何から何まで調査してやるということは不可能な場合もありますので、その助力を求めるということも出てくるのではないかと存じます。そういう場合においては、資料を集めるとか、あるいは下の案を立案する場合の調査を手伝う、そういうこともこの庶務に含まして読んでも、必ずしも原子力委員会設置法に反するわけでもないのではないかと存じます。御指摘のように、委員会の委員長は科学技術庁の長官がこれに当っておりまして、科学技術庁との間には密接不可分な関係がありますので、その辺は運用のよろしきを期待しておる。現在の建前はおそらくそういうことで立法されておるものと存ずるのであります。
#40
○前田(正)委員 立法の建前はそうではないのですけれども、あなたがそういうことである程度の庶務の範囲のことができるということでありますと、調査とか、資料を集めるとかいうことは庶務という中に入るというわけですね。そうすると原子力委員会の議案を立案するという仕事は、庶務の中に入るのですか。それから原子力委員会として決定しなければならぬ事項のものを書くということも、庶務の中に入るのかどうか。原子力委員会が自分たちの手足として調査をしたり、資料を集めたりすることは庶務の中に入ると言われるが、しかし原子力委員会の所掌事務というような企画、審議、決定するような議案を作ったり、決定事項の原案を作ったりすることも、庶務の中に入るのですか。
#41
○野木政府委員 原案と申しますか、原案のまた原案に相当するものになります一番下の案、それを原案にするかどうかということは、やはり原子力委員会が決定するものだと思いますが、原案にするかどうかという、その前の案のようなものを、委員の方がわずかの人数で全部やるということも不可能でありますから、そういうことも一種の調査の範囲になるのではないかと思います。そういうものを委嘱することは、これに入れて読んでも法に反するまでのことはないのではないかと存じます。もっとも、それではほかの方で不適当であるということから、これは原子力局でそこまでやらすべきものでもないということになると、委員で全部やらなければならぬ。そういうことになりますと、事務局も設けておられませんし、委員会はほとんど何もできないということになるのではないかと思います。
#42
○前田(正)委員 そんなことはありません。それだからわれわれは科学技術庁を設置するときに、事務局を設けようと思ったのだけれども、科学技術庁の方において、今の委員のやるべきようなことは科学技術庁でもできるというふうにしてあるわけです。科学技術庁設置法を見ればおわかりになりますが、企画、立案、審議はできるようになっております。ですから、原子力委員だけで十分仕事ができなければ、科学技術庁でやって、科学技術庁として委員に協力する。こうあるべきではないかと思う。原子力委員会の事務局でないものが、庶務ということを拡大をして、事務局のような仕事をすべきではないのであって、科学技術庁の方に権限がなければ、それはあなたが今言われた通り、原子力委員会としての法律に定められた権限がないことになりますから、原子力委員としては、そういうことを庶務としてやらしてもいいでしょう。しかし、そういうことをやる役所が科学技術庁にあるのです。だから、その役所を通じてやるべきじゃないか。それをしないで、自分の手足として庶務の範囲でやらしてもいいかどうかということです。
#43
○野木政府委員 御指摘のように、科学技術庁設置法の原子力局の事務といたしまして原子力委員会の所掌事務に裏はらのようなことが規定してあるようでございますが、このことは、一面原子力委員会に、おっしゃるような事務局を設置したらということとやはり相関連するものだと存じます。従いまして、原子力委員会から科学技術庁長官に申し出て、その命令に従って原子力局の本来の事務としていろいろの企画立案する、それを委員会に提供するということももちろん可能であると存じます。しかしながら、原子力委員会と科学技術庁とは、委員長と技術庁長官とは同一にしておるというような関係で、非常に密接な関係で組み立てられておりますので、その辺は一々技術庁長官の命令を受けてやるというようなことにまでしなくても、必ずしも原子力委員会設置法の趣旨に反するというまでは言えないのではないかと存ずる次第であります。
#44
○前田(正)委員 その意味のお話だと、委員長は科学技術庁長官である国務大臣がやっておるからその必要はないというようなお話でありますけれども、原子力委員会の委員長を科学技術庁長官にしたのは、科学技術庁の長がこういうような行政の権限を持っておって、しかもただ単なる国務大臣を委員長にするということになれば、もし別の国務大臣が原子力委員長になったときは、法律的に違反でないわけですね。そうでしょう。科学技術庁の長官は原子力の企画、立案、執行するという権限を持っておって、原子力委員会の設置法において、原子力委員長というものは科学技術庁長官たる国務大臣が委員長になるということが明記してなければ、ほかの国務大臣が原子力委員長になってもいいことになるわけです。それでは困るから科学技術庁の長官であるところの、こういう行政的にも企画、立案審議する権限を持っておるところの国務大臣がなるということであって、何もその大臣が科学技術庁長官であるから、庶務の範囲を越えて、事務的な仕事は科学技術庁で行うということにはならぬと私たちはこの法律を作るときに考えたのであります。科学技術庁で行うべきことであるから、科学技術庁の方にそういう権限を与えてあるわけです。その科学技術庁において、この委員会の事務と庶務のことは違いますよ。庶務は原子力委員会設置法に書いてある通りでありますけれども、しかし、この事務的なことは科学技術庁においても行える。それだから、御承知の通り、原子力委員会には事務局を置かなくても、われわれは置かなければいかぬと思ったけれども、いろいろな関係で置かなくてもいいではないか、置かなければ事務が困るではないか、困るならば科学技術庁において行えるからいいじゃないかということだったのであります。今お話を聞きました科学技術庁は素通りして科学技術庁の職員は事実上の原子力委員会の事務局として働ける、そういうふうな解釈は私は生まれてこないと思う。何も原子力委員長が科学技術庁の長官であるというために、科学技術庁の決裁を経ないで、技術庁の政務次官、長官を経ないで事務局の仕事を立案できる、私はそういうふうに解釈できない。それがために科学技術庁に事務局としての権限を与えておるのではないかと思う。それはどこからそういう解釈が生まれてくるのか、その根拠を一つ明らかにしてもらいたいと思う。
#45
○野木政府委員 結局、解釈論といたしましては、原子力委員会設置法第十五条におきまして、委員会の庶務は科学技術庁原子力局において処理するとあります。この委員会の庶務という点の解釈論に結局は落ちつくのではないかと思います。そうすると、これがどの程度までこの庶務ということで読めるかということになるのではないかと存じます。その点は、科学技術庁原子力局というのは、本来の権限をどの程度持っているかということは別にしても、一応考えることができるのではないかと存じます。もちろん全然関係のないところに庶務を行わせるのは立法政策上不適当なことで、あまり考えられないことでしょうけれども、一応観念的にはそう考えられるわけであります。従いまして、結局委員会の庶務という解釈は、私といたしましてはある程度ゆとりのある読み方ができるのではないか、抽象的な議論としてはその程度のことを申し上げておく次第であります。
#46
○前田(正)委員 その庶務の範囲が不明確であるということでありますけれども、われわれは庶務というものは事務局とは違うと思うのです。庶務を行うということは事務局と違う。そのかわりに原子力委員会に事務局を設けることが困難であるという情勢になったから、その事務は科学技術庁において行うということで私たちはこれを立法したのです。私はそういう考えでこれは解釈している。科学技術庁においてその仕事が行えないなら、ほかに行うところがなければ、なるほどあなたの言う通り庶務というものを拡大していって、事務局の仕事としてもいいでしょうが、科学技術庁というものがあって、科学技術庁で庶務の仕事ができるのに、それを拡大して庶務というものは事務局だということになれば、有名無実の事務局が一つできて片方科学技術庁の原子力局が庶務の仕事をする、両方になってくるじゃないか。それはおかしい。法律的に、両方の仕事ができるものが幾らでもできてくるということは、あり得ないと思うのです。原子力委員会の庶務というものと科学技術庁とは面接関係がないというけれども、この庶務の範囲というものをあなたの方で解釈しているところ、その根拠としているところは、原子力委員会の仕事ができないから拡大してもいいじゃないか、こういうお話ですが、庶務というものと事務とは明瞭に違っていると思う。この権限全部が庶務としてやれるということなら、すべてそんな事務局を置くとかそういうことは、法律上に書く必要はない。今まででもほかの法律に全部事務局を設けるとか明瞭に書いてあります。それならば、庶務を行う、そういうことで済むわけです。私はそうじゃないと思う。しかし今の場合、さっき一番初めに御説明のあった通り、ほかの例をあげておられたけれども、こういうことをやるについて十分の事務局がないとか、あるいはまたそういう事務をやるところがないとかという場合に、与えられた法律の権限上、原子力委員の諸君が庶務というものを拡大していって仕事をやらせるということはあり得るかもわかりませんが、しかしこれは明瞭に科学技術庁の方においてこの事務というものはできる。従って、科学技術庁の原子力局の諸君は、科学技術庁の職員としての仕事の範囲において、大臣とか政務次官とかいうものの決裁を得て事務の仕事に協力するのは当然だと思います。従いまして、委員会として作るべき議案とかというものは、当然科学技術庁の政務次官とか次長とか大臣の了解を得てから委員会と相談すべきじゃないかと思うのです。この点が不明瞭であれば、原子力委員会と科学技術庁の対立がいつまでたっても解けない。その点を一つもっと明瞭にしてもらわないと、そういうふうなあいまいなことでやっておっては、これは実際できない。そういう問題のいろいろとガンがあるから、私たちはこの際原子力委員会に事務局を法律によって明瞭に設けて、権限を明らかに分けようという考えを持っているわけです。今のお話のようなことだったら、何も法律を設けなくても、いいかげんにルーズに幾らでもやれるということになる。そういうものでないと私は思う。この点についてどういう根拠からおやりになるか、科学技術庁の原子力局というものがそういう権限をやれることになっているかを、もう一ぺん私は法制局長官にもおいで願って明瞭にしたいと思います。
#47
○野木政府委員 原子力委員会設置法におきましても、原子力の研究開発利用に関する行政の民主的な運営をはかるため原子力委員会が設けられたと承知しておりますが、この委員会において与えられた所掌事務を遂行するため、いろいろの手足として使う事務局というものを設置する、これももちろん可能でありまして、原子力局、科学技術庁とは関係なく事務局を置いて、委員会を補佐して、大いに十分な活動をはかるということももちろん可能だろうと思います。しかし、法律はその建前をとりませんで、委員会の庶務は、科学技術庁、原子力局において処理するということになっておりますので、この規定によって委員会の活動がある程度できるように、またさらに科学技術庁、原子力局におきましても、別途科学技術庁設置法八条の規定におきまして、原子力局の事務と、さらに両々相待って原子力の行政が円滑に発展していくように期待しておるものと存ずる次第であります。
#48
○齋藤委員 関連して。ただいまの前田委員と法制局との質疑応答はなかなか私たちも考えてむずかしいと思うのです。庶務の取扱い、庶務という字をどこまで拡大して所掌事務の範囲を広げるとか狭めるとかいうことはなかなかむずかしいところでありますが、結局するところ、前田委員の御質問の要旨は、法制川に申し上げておきたいことは、こういうふうに科学技術庁ができて科学技術庁も原子力局も、原子力の問題については、企画、審議、推進することができるという権限を与えている。そういう権限を持っておるのであるから、原子力委員会に協力するという態勢であったならば、原子力局の権限において、いわゆる行政庁としての順序を踏んで原子力委員会に協力すべきものである。それを庶務の解釈を拡大して、科学技術庁を、行政官庁の順序を踏まずして直接に原子力委員会と原子力局とが立案、審議、決定の線に食い込んでいくということは越権行為ではないか、法規の逸脱ではないか、こういう点に尽きると私は思うのであります。それはなかなか法制局におかれましても長官とよく御相談して、そういうことを一つはっきりと御答弁になる方が、私は万事好都合だと思いますから、この際委員長のお取り計らいをもって、この問題は次会において、法制局から正式な御回答を賜わることにして、この際喫飯のため暫時休憩されんことを委員長にお願いいたします。
#49
○前田(正)委員 私はこういう問題を不明確にしておくということは絶対に反対でありまして、こういうふうなことで不明確な問題があるから、きのうからもいろいろなつまらぬことで質問しなければならぬ問題が出てきておる。事実そういう弊害もあるのです。だから、この際これは明瞭にしていただきたいと思うのです。われわれが法律を作ったときの考え方と違うことが現在行われておる。それをさっきから私聞いておると、これは立法の精神だと局長は言うておる。立法に局長が関係しておるなら話はわかりますが、われわれが関係して、われわれが国会の方で原案を作ってまとめた、そのときの考え方とは全然違うのです。そういうふうなことで、それは立法の解釈だとか、立法の精神だとか幾らでも曲解して、法律を曲げて幾らでも仕事はできる、そういう弊害ができてくる。しかも最近そういう弊害があるから、われわれは法律権限として原子力委員会に事務局を設けたらどうか、こういうことを言い、大臣もさっき法律を設けよう、こう言っているのに、原子力局の中では、法律によらないで人を持っていこうというような考え方を持っている。そういうような不明確なやり方はいけない。それはこの際明瞭にしてもらいたいと思いますが、今のお話のように、法制局の長官がここにお見えできないということでありますから、それでは一つよくきょうの私の質問の点を法制局長官にお伝え願って、次回の委員会で一つ明瞭にしていただきたいと思います。
#50
○有田委員長代理 それでは、野木第二部長も、今の質問の要旨はおわかりでございましょうから、法制局長官とよく御協議願って、次会にはっきりした御答弁をお願いすることにいたします。
 本日はこの程度にとどめます。次会は明四日、午前十時より開会いたします。
 これにて散会いたします。
    午後零時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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