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1956/04/17 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号
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1956/04/17 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号

#1
第026回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号
昭和三十二年四月十七日(水曜日)
    午後一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 菅野和太郎君
   理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君
   理事 前田 正男君 理事 岡  良一君
   理事 志村 茂治君
      小平 久雄君    平野 三郎君
      南  好雄君    石野 久男君
      岡本 隆一君    田中 武夫君
      滝井 義高君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 宇田 耕一君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       秋田 大助君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        厚生政務次官  中垣 國男君
        厚生事務官
        (医務局長)  小澤  龍君
 委員外の出席者
        科学技術庁次長 篠原  登君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局助成課
        長)      堀  純郎君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局アイソト
        ープ課長)   鈴木 嘉一君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    松井佐七郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
 する法律案(内閣提出第一二八号)
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政一
 般)
    ―――――――――――――
#2
○菅野委員長 これより会議を開きます。
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案を議題といたします。
 前会に引き続き、質疑を行います。質疑は通告に従いましてこれを許します。岡良一君。
#3
○岡委員 私は、このたび御提出になった放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案に関連をいたしまして、この際放射線に基くところの障害防止に対する政府の基本的な態度を伺いたいと思います。
 そこで、まず宇田国務大臣にお尋ね申し上げたいことは、申し上げるまでもなく、わが国は他の国々に比べて特殊な事情のもとに置かれております。一度ならず、二度ならず、三度も、いわゆる原水爆による大きな犠牲を払った地球上唯一の国民であるということからいたしまして、特に最近のクリスマス島の水爆実験や、あるいはまたアメリカが行わんとする来月のネヴァダの原爆実験や、あるいはソビエトの無警告実験等に対して、政府みずからが大きく関心を寄せておるわけなんです。国民としても、原子力の平和利用ということが今後政府の手によりどんどん推進をされるということになれば、これらの特殊の事情のもとにおいては、放射線の障害防止ということに対しては、ほんとうに国民が安心することができ、納得することのできるような対策というものを用意しなければならないと思うのであります。その意味において、わが国における原子力の平和利用の発展には不可分な、特に欠くべからざる放射線の防止には、周到なる用意を持って当らなければなるまいと存じます。この点についての宇田原子力委員長並びに科学技術庁長官としての国務大臣の御所信を、一つ承わりたいと思います。
#4
○宇田国務大臣 放射線障害防止に関しましては、お説の通り、これは何世代にもわたってわれわれの民族に非常に大きな影響を及ぼす内容を持つ危険なものでありますから、それについての防止対策というものは、そういう点を考慮に入れまして、万全を期したいと考えております。
#5
○岡委員 私は、そういう御所信に基いてこの際御提出になったものとするならば、このたび御提出になったこの放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案というこの程度のものでは、決して、国民が安心をし、政府の障害防止に対する誠意というものを十分納得し得ないと思うのです。現に、原子力基本法におきましては、明らかに、その第二十条で、「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、」云々というところで、「法律で定める」ということに相なっております。また、原子力委員会設置法の第二条においても、委員会が企画し、審議し、決定する事項の第九項目には「原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること」とうたわれております。ところが、今後まず第一着手として出された放射線障害防止に関する法律案は、いわゆる放射性同位元素等を中心としたものです。原子力基本法の第三条の第五号によれば、原子力基本法第二十条の放射線による障害防止の放射線の定義というものは、「電磁波あるいは粒子線によって直接あるいは間接に空気を電離する能力を持つものをいう」と書いてある。だから、放射線そのものを対象とする総合的な障害防止の対策というものを、この際政府としては当然御提出あってしかるべきだと私は思うのです。真に熱意があるならば、そういう総合的な立法措置を講ぜられるのが政府の責任ではないか。この点いかがなんでしょうか。
#6
○宇田国務大臣 その点につきましては、そういうふうな方針で立法すべきものと考えておりましたが、各関係省庁の中において、ただいま申し上げましたようなこちらの考えを全部盛るのには、事前にこれと混淆を来たす法律等もありましたので、今回の立法措置といたしましては、こういうふうな、この法の中に全部包含し尽くすということでない立法措置をとらざるを得ない結果になったのであります。
#7
○岡委員 それでは私は十分納得できないのですが、どういう理由で総合的な立法ができなかったのですか。
#8
○佐々木政府委員 私から御説明申し上げます。第三条の五号の問題から出て参りますのは、エックス線をどうするか、これを含ますかどうかという問題かと存じますが、それに関しましては、五号だけを見ますと、御承知のように電磁波の中にはエックス線も当然入るわけでございますけれども、第三条の一号を見ますと、「原子力とは」云々という字句がありまして、これは原子力を中心にした基本法であるという解釈からいたしますと、電磁波ではありますが、原子核の変換の過程から生じないエックス線そのものは、これに必ずしも含ませないでもよろしいという解釈も成り立つのではなかろうかというふうに考えますと、まあ、法の解釈――政令はまだ出しておりませんが、第三条第五号の政令の中にはそれを含ませないで政令を書くということも、あながち不可能ではなかろうかという考え方が一つと、もう一つは、エックス線は厚生省等で長い間この取締りをやっておられまして、しかも件数が非常に多うございます。従いまして、この際、まず障害防止法といたしましては、同位元素等に基く放射線を、とりあえずは取締りを強化いたしまして、この方面からの障害を完全に除去いたしたいという点に着眼をいたしまして、そうして、エックス線のように長い歴史と広範にわたっているこの既存のエックス線からの障害防止に関しましては、厚生省等でせっかく取締りを施行しつつある最中でございますので、そちらの方を強化してやっていただく。もちろん、取締りの基準等に関しましては、こちらの審議会等で十分審議をして、そうして向うの省令その他もそれに準じて訂正していただく。ただ基準が問題になるというよりも、この基準を取締りの面でいかに具体化するか、言いかえますと、検査官とかその他の監視機関をどうするかという問題が一番重要でございますが、その方は、ただいまの段階ですぐ技術庁が自分でやるというところまでは、予算あるいは人員の整備等の関係から無理がございますので、従来通り厚生省の方でお進めいただきたい。なお、通産省のように法律のないところは、至急法律を作ってもらいたいということで、通産省の方にも申し入れをいたしまして、向うでも準備中だと聞き及んでおります。
#9
○岡委員 佐々木君の言うことは非常に矛盾しておると思うのですがね。なるほど、原子力基本法の第三条には、原子力というものについての概念規定があります。しかし、第八章の二十条は「放射線による障害を防止し、」云々とあるのですよ。何にも原子力による障害とは書いていない。だから、原子力基本法をあなた方が忠実に守ろうとするならば、放射線による障害防止、いわゆる放射線一般に関する障害防止ということについては、この規定のごとく別に法律によってあなた方は定めなければならない。しかも、厚生省では――医療法は改正されても施行規則ですよ、省令で取り締っているだけで、法律では取り締っておらぬではありませんか。原子力委員会としては、当然、みずから企画し、審議し、決定すべきものとして「原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること」というのがある。これは、明らかに、こういう放射線そのものではなく、放射線を発生する物質あるいはその機器を取り締るということ、しかも、その範囲の中にも、今最も国内において普及されておる放射線発生装置であるレントゲンを除外しておる。しかも、通産省に申し入れをしたが、通産省がやるかやらないかは通産省にまかしてあるという格好です。これでは、原子力基本法に基く放射線の障害に対する法律を定めようという規定というものを、あなた方は無視しておるではありりませんか。原子力委員会が課せられておるこの第二条六号の任務というものを、あなた方は無視しておると私は言いたい。これは、原子力委員長、どうなんです。
#10
○宇田国務大臣 確かに、厚生省ないし通産省関係の政府全体の立場から見ますと、当然その措置をとらなければならないところが、十分な措置をとり得ずして、しかも行政措置はそれぞれの官庁で習慣的に取り扱って参っております。その原子力関係の行政の最近一年間の経過にかんがみまして、従来の長い行政慣習と新しい体系の整備との間に食い違いが幾分あります。そういう点につきましては、十分われわれも検討、討論をいたしました。ただ、この現在の各省間の交渉の経過から見ますと、こういうふうに不十分な表現で、そして各省町の従来の慣習あるいは障害措置を、より原子力基本法に合うように行政措置を加えてもらうように、また加え得るであろうということを期待して、こういうふうな立法措置をとったのであります。従って、これが非常に満足なものであるとは考えておりません。
#11
○岡委員 厚生省次官も出ておられますが、今私が申し上げた通りなんです。原子力基本法では、放射線の障害防止については別途法律に定める。原子力委員会は、障害防止の基本本に関すること――基本ということは、私の信ずるところによれば、放射線そのものの障害を防止することにある。放射線を発生するものあるいは放射性物質を規制するということは手段として必要ではあるが、目的は放射線の障害を防止するということにある。してみれば、放射線を発生するレントゲンというものは新しい法律の中に入る、対象の中に含めて一本で放射線の障害防止に当る、こういう方向に国の施策は進むべきだと思う。次官のお考えはどうでしょう。
#12
○中垣政府委員 岡さんにお答え申し上げます。ただいま御指摘いただきましたエックス線の放射線につきまして取扱い上特殊な技術が要り、同じような障害を与えるではないかという御見解に対しましては全く同感でございます。しかしながら、エックス線は、相当長い間の医療診療上の経験と申しますか、実際上の利用というものが経験されたわけでございまして、厚生省といたしましては、もっぱら、医療診療上の医薬機関としての取扱いを、先ほど申されました委任事項としてやって参ったのであります。今度放射性同位元素を同じように医療診療上の有力なる診療器具として用いることになりますと、あるいはエックス線以上の特殊な技術が必要であると考えているのであります。けれども、これらの問題を、科学技術庁で今度出されましたこの法律によりまして、今すぐ一緒にやっていただくということになりますと、われわれが従来保健所等を通じてやっておりましたこれらのものとの完全な運営が果してできるかどうかと、実は心配もしているのであります。ただいまのようなやり方でも、エックス線の方は十分ではございませんけれども、監督上の責任は果している、こういうふうに考えております。現在の段階では、やはり別々なやり方によって行政化していく、しかし、もし、放射性同位元素の使用がいま少し普及をいたして参りまして、たとえば全国の病院等で三百カ所も四百カ所も医療診療上使われてくるようなことになりますと、そういうときには、厚生省といたしましては、また別な角度からこの問題を取り上げて考えなければならないのではないかと実は考えております。
#13
○岡委員 なるほど、長い歴史を持って、厚生省は、診療用のエックス線装置については、いろいろ障害防止のための取締規則を励行しておられる。しかし、それが一体どれだけの効果をおさめたかということである。昭和十二年に厚生省では診療用エックス線装置取締規則というものを各診療機関に指示しておられる。ところが、それから十年を経た一九五〇年、五一年と二カ年間続いて、専門家が特にレントゲン技術等について放射線による障害の調査をやっている。これは、学界に発表された数字ですから、うそ偽わりはないと思うのです。日本放射線学会が一九五〇年、五一年に発表された大学関係のエックス線業務従事者の血液検査の結果は、それぞれ五〇年には五四%、五一年には六九%が病的異常を示していると書いてあります。これは、病的異常と申しましても、おそらく、要注意というものも含めていると私は思います。さらに、エックス線技師会が二百三十の病院の六百九十名のレントゲン技術者について行なった調査は、どういう結果を示しているかと申しますと、そのときに発見された療養を要する者、すなわち白血球が四千以下の者が七名、また五千から四千までのいわゆる要注意者が二十八名、赤血球では男子四百万以下、女子三百五十万以下二十八名、これは療養を要する程度の者です。注意を要する者は、三十三名、従いまして、六百九十名の中で約百名の者がすでに放射線による障害を臨床的に証明されているのですよ。厚生省は長い間努力をしてこられたというが、何も結果が出ていないじゃありませんか。そこで、結局、原子力平和利用という声があげられて、基本法ができて、原子力委員会ができて、国民の安心のできるような平和利用を進めるためには、やはり放射線そのものについて障害を防止するという総合的な法体系というものができなければ、われわれは、国民に、平和利用の名のもとに安心を与えることはできないじゃありませんか。現にそういうわけなんです。厚生省の実績というものは、何も大したものはないじゃありませんか。
#14
○小澤(龍)政府委員 昭和十二年に、内務省令によりまして、診療用エックス線装置取締規則ができまして、自来、内務省から引き続き厚生省におきまして、診療用のエックス線の、取締り、監督、指導を担当してきておったことは、御指摘の通りでございます。しかしながら、今日から当時を振りかえってみますと、規則そのものも不十分であり、これが指導監督も必ずしも十分でなかったのでございまして、ただいま岡先生の御指摘のようなエックス線による障害患者が出ておったということは、まことに残念なことに存じます。しかし、厚生省といたしましては、その事実にかんがみまして、このままではいけないというところから、学会にお願いいたしまして、新しい基準を作成していただきまして、昨年の二月でございますか、新たなる省令を規定いたしまして、これによって、新しく、さらに完全な姿で、取締り、監督、指導を徹底することに相なった次第でございます。この新しい規則によりまして、私どもは力を注いで努力いたすならば、ただいま御指摘のような患者の発生は大幅に減少するのではないか、また減少させるように努力しなければならない、さように感じている次第でございます。
#15
○岡委員 その新しい改正をなされたのは、医療法の施行規則の改正で第四章を加えられた事実をおさしになるのですか。
#16
○小澤(龍)政府委員 その通りでございます。
#17
○岡委員 それは昭和何年ですか。
#18
○小澤(龍)政府委員 昨年の二月でございます。
#19
○岡委員 私はそういう取扱いも非常に他動的だと思うのです。ほんとうに日本の自主性でもってやっておらないと思うのです。なるほど、その前々年には、国際放射線学会で、放射線の取扱いに関しては、もろもろの、注意基準等を発表しております。それを準用しておるのでしょうが、たまたま昭和二十五年以来、日本には同位元素が輸入されてきました。そのとき、アメリカにこういう規定があるのです。放射線防御基準に関する基礎規則というものがアメリカにある。内容は別といたしますが、とにかくこういう一つの規則をアメリカが設けて――それは大体放射線学会の国際的な勧告に似たものです。そこで、副産物としてのアイソトープを他の国に輸出した場合には、アメリカの一九五四年の原子力法によれば、アイソトープのような副産物質も含めて、原子力委員会は、一般的な権限として、その健康を保護しまたは生命及び財産の危険を最小限にしなければならないということが明記されておる。そこで、これに基いて、必要かつ妥当と認める基準または指令を、規則、規定及び命令によって定める、こういうことに手続がなっているのです。そこで、アメリカから日本が輸入した放射性同位元素については、このような形で、アメリカの原子力法に規定された諸手続から、基準が指示されてくる。これをうのみにして、それに大体似たようなものを、医療法の施行規則の改正事項としてうたっておるにすぎないというのです。だから、これは、去年の二月医療法の施行規則を改正されたから、万ないであろうと言われるけれども、経過を見れば、これはほんとうに放射線の障害を防止しようという政府の熱意に基くものではないと、私はいわなければならぬ。これは、アメリカの原子力法に基く放射線の障害防止のための命令を、ただあなた方は取締規則の上にうたったにすぎないのである。そういうような行き方が、現に内務省の昭和十二年の診療用エックス線の取締規則がうたわれても、十年、二十年後に、依然として、レントゲン技術者の二〇%近いものが、臨床的には明らかに放射線の障害を受けておるという事態が起っておるわけなんです。だから、規則を幾ら作られたところで、真に放射線の障害から守ろうというそのことが、日本の原子力平和利用のための大前提であるという大きな自覚と決意がないということになると、それらのものが空転するんじゃないか。現に、厚生省では、新しい医療法の施行規則の改正にのっとって、府県等に監視員を置かれておるそうでありますが、それらの監視員の活動の状況はどうなのか。それから、現在、科学技術庁は、この同位元素等の法律に基く取締りについては、一体全国で何名の人間をどのように動かそうとしておられるのですか。
#20
○小澤(龍)政府委員 厚生省におきましては、全国の都道府県に、大体平均して五、六名ずつの医療監視員というものを任命して、配置してございます。これは主として医師でございまして、それ以外に、レントゲン技術者その他を補助員として相当多数使っております。こういう人々が、病院の管理運営全般についての監督指導をするとともにレントゲン等の取締り指導に当るわけであります。昨年省令が変りました後には、地方のそれらの技術担当者を東京に呼びまして訓練的な講習会を開いております。そうして現在地方を巡回して指導を実施中でございます。
#21
○佐々木政府委員 私どもの方の人員でございますが、ただいまのアイソトープ関係に問題を限りますと、大体件数にして三百件ぐらいございまして、今年度の任務は、この法律にもございますように、主として基準の作成あるいは国家試験の施行等がおもな事項になっておりますが、実際にこの法の施行は、これにもございますように、一年間余裕が置いてございますので、その間いろいろ養成等もしたいと思っております。ただいま考えておりますのは、今年度は大体十人ぐらい検査官を充実したいということになっております。
#22
○岡委員 厚生省の監視員というのは、これまでの一年間にどういうことをして、どういう実績を上げておりますか。
#23
○小澤(龍)政府委員 これは一応都道府県知事に委任して仕事をしてもらっておりまして、この経費は地方交付税でもって交付しているわけでございます。まだレントゲンに関する実績を徴集しておりませんので、ただいまお答えいたしかねる次第でございます。
#24
○岡委員 とにかく、このごろはポータブルのレントゲンが個人の診療所にもあるようです。診査室の片すみに置いてある。一番危ないのがポータブルなんですが、それがうっちゃってある。そうかと思えば、六日間なら六日間、二人ぐらいのレントゲン技術者でもって集団検診に当っておるという実例を私は見ておる。しかも、相当な公立病院でも、レントゲン室を鉛その他で規格通りの施設をするということについては、予算の関係上ためらっておる場合がある。こういう事態を、一体、あなた方の方では、監視員で壁でもめくって鉛があるかないかなどを調べて、なかったらどうするということまで考えておられるのですか。
#25
○小澤(龍)政府委員 一々壁をめくって検査するというところまでいっておりませんが、たとえば最近のレントゲン障害は、ただいま御指摘の間接撮影によるものが非常に多いのであります。従来でありますと、一日に二、三百人の間接撮影に従事いたしますと、相当のレントゲン量を受けましたが、今回の規定によりしまして間接撮影の防護施設を取りつけますと、これは、一日五百人平均とりまして、六日間で大体三百ミリレントゲンの許容量の程度に達する。これは〇・三レントゲンということでございますから、それより少し離れればさらに許容量より下である。最近の厚生省の省令によりますところの基準による間接撮影装置であれば、そのところは従来に比べて非常に安全になってきた、こういうことがいえるのではないかと思います。
#26
○岡委員 問題は、こうして放射線の障害というものが平和利用の大前提となってくるという新しき局面に際会したわけですね。この新しき局面に際会をしたならば、厚生省は、これまでこういうふうにしておるとか、現在これだけの人員を配して何をしようとしておるとか――そこで、今度は、厚生省の力は除外をして、放射性同位元素等だけでやる。病院ではコバルトを使い、燐を使い、ヨードを使っておるわけです。そうすると、病院で放射性同位元素を診療に使っておるところは、この法律の規制を受けなければならぬ、一方はまた医療監視員がやってきてとやかく言うというようなことで、非常に取締りが二重になる。そういうところにも非常に取締りの人的な非効率性があると思うのです。しかも一方ではレントゲンが他の産業分野に盛んに用いられておる。ところが、この方面に対しては、まだ通産省の方では何ら障害防止に対する法律というものはできておらないということなんです。こういうふうに、一方には空白があるかと思えば、一方には省令でやっておる。罰則規定も何もないでしょう。一方では法律でやる。本来法律でやれといって基本法では規定しておる。障害防止に対する何ら一貫性がない。こういうことで、今後あるいは第二次産業革命の導火線ともいわれているような原子力平和利用がほんとうに進められるかということを、私は非常に懸念するのです。ただ、これまでの慣例上、これまでの運営上、現在の機構上やむを得ないということで、結局これらの事実に目をおおっておるというようなことでは、平和利用のための不可欠な障害防止というものが果してできるのかどうか。これは委員長私は重大な問題だと思う。あなたの腹の締めどころだと思うのです。率直に私をして言わしむれば、障害防止のための総合的な法体系を組むべきだ。レントゲンを入れるのは当りまえなんです。原子炉あるいは核原料物質、核燃料物質等は、原子炉等の規則等に関する法律に障害防止に関することは譲るといっておる。そうじゃなくて、放射線の障害防止というものは別途なものとして、基本法なら基本法を置いて、それぞれ各省別に必要な、あるいはその放射能性物質なり、物そのものによって、取締りの規則というものは別途に設けるとしても、ほんとうに総合的な法体系を組んで障害防止に当るというような、そういう決意を持たなければ、今日の日本の国民には一般にいわばきわめて非科学的な恐怖感があるかもしれない。これを克服するには、法制的にも機構的にもほんとうに合理的な、また取締り規制の内容においても科学的な総合的な障害防止の対策というものをすみやかに立てなくては、真の障害防止というものは私はできないと思う。こういう見解について、宇田委員長、一つ御意見を聞かしていただきたい。
#27
○宇田国務大臣 立法技術的にいえばその通りだと思います。ただ、この慣習法的な帰納的な法律運営ということも、過渡期としては私はやむを得ないと考え、こういう当面の演繹的な法律立法措置をとらずに、帰納的な立法措置を併用した。慣習上、この法が施行期日を昭和三十三年四月一日から施行するという建前からも、応急立法措置としての経過規定としては、こういうものはやむを得ない、こう考えております。
#28
○齋藤委員 先ほどの岡委員の質問に対しまして、原子力局長のお答えになりましたことについて、忘れないうちに一つ関連質問をしておきたいと思います。
 先ほどの御説明によりますと、御当局は、厚生省はさることながら、通産省関係のエックス線の取締りは、別途通産省において立法措置を講ずる、こういう御答弁でございましたが、私の聞きましたところによりますと、三十万ボルト以上のエックス線というものは、通産省関係ではすでに二千台ないし三千台に上っているということを聞いているのです。しかも、過日の参考人の方々の御陳述によりますと、あるものは百万ボルト以上にも上っているエックス線を使っている。それに対して通産省で別途エックス線を取り締る法律をこさえる、こういう御説明なんでございますが、この法律の施行期日は、ただいま長官も言われた通り昭和三十三年四月一日なんです。一カ年ある。どうして、この一カ年間に、エックス線をこの法律の中に包含して、そしてエックス線を取り締る準備ができないのか。一カ年もべらぼうな期間を置いて、そこには何千台という高ボルトのエックス線装置が障害を起しながら、それがどんどん無法律のままに放置されている。一カ年後にこの法律を施行する。一カ年といえば三百六十五日ですよ。その期日があるにかかわらず、なぜこの放射線障害にエックス線を包含できないか。理論的にいえば包含するのが正しいのだ。どんな参考人の御意見を拝聴いたしましても、理論的には包含するのが正しいのだ。もしもこの法律を直ちに施行するというのであったならば、それはそこに何らの準備期間がないからやむを得ない。現行処置によって厚生省は厚生省なりの取締りに委任するということもあるけれども、一カ年の期間があって、そうしてその間に万全の措置を講ずれば、おそらく万全の処置を講じ得られるということが想像できるのに、あえてここからエックス線をはずしているという、その立法に対するところの精神がわからない。われわれは、立法府ですから、両委員その他の専門の方々は専門的見地からいろいろに御不審の点をついておられますが、私としては、立法府の一人として、法律を作る建前から、そういうことがどうしても割り切れない。そこに何だかわれわれ立法府にいるところの人間に了解を得られざる点がある。そういうことは端的に除去した方がいいじゃないか、そう考えて御質問申しているのでありますが、「この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。ただし、第三十五条第一項及び第四項並びに」と、こういうふうに書いてありますので、三十五条の第一項というものを開いてみますと、結局、科学技術庁長の行う放射線取扱主任者試験に合格した者、科学技術庁長官が、政令で定めるところにより、放射線に関し前号に掲げる者と同等以上の学識及び経験を有すると認めた者に対して、放射線取扱主任者免状を交付する。このくらいの処置というものを講じて、初めて放射線の取締りというものができる。要するに、ただいま厚生省の方からの御答弁によりますと、各府県にお医者さんを五人くらい医療試験取締者か何かにして任命しているという。一体、そういう人がほんとうに放射線の何物かということを了解し、放射線を取り締るところの万般の準備を整えて、そういうものに当っているかどうか、そいつも私は非常に疑問だと思う。そうでなければ、そんな障害が起きるはずがない。だから、そういう糊塗的な方法というものはこの際清算をいたしまして、一カ年の期間があるのですから、この法律にエックス線を包含して、エックス線障害に対する万般の措置を講ずるということが、法律としては正しいあり方だと考えておるのであります。これに対しまして、どなたでもけっこうですが、御答弁を願いたい。
#29
○佐々木政府委員 まず、先ほどから御説明いたしました法律の問題からお話し申し上げたいと思いますが、基本法の第三条第五号には確かに「放射線」とあり、第八章二十条にも「放射線による障害を防止し、」とありますが、障害を受けた者を対象にして考えますと、先生方のおっしゃる通りかと思います。ただ、これを私どもの解釈のように考えますと、必ずしもそう考えなくてもいいのじゃなかろうか。たとえてみますと、基本法はさておきまして、原子力委員会設置法並びに科学技術庁設置法がございますが、その原子力委員会設置法を見ますと、第二条の第五号に「原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること」とありますし、科学技術庁設置法を見ますと、やはり同じように「原子力利用に伴う障害防止の基本に関すること」とありまして、はっきり原子力の利用という点が出ておるのであります。しからば、原子力とは何ぞやと申しますと、基本法には、「原子核変換の過程において」云云とありまして、エックス線は明瞭にその中に含まれておりません。従いまして、この法体系から申しますと、エックス線を発生の面からリソースとして見るならば、これをはずしても、決してこの精神にもとらないという解釈も成り立つのじゃないかと考えます。と申しましても、エックス線は、障害を受けるという面から申しますと、今までいろいろお話がございましたように、むしろこの方の障害の方が実態面においては強いということでございますので、そういう点の取締り等に関しましては、十分各省で、得に厚生省が一番対象も多いわけでございますが、今後この法律にならって省令等の改正も行い、さらに取締りを強化するというふうな行き方が一番実際的じゃなかろうかと考えた次第でございます。
 なお、一年間の猶予期間の問題でございますが、なぜこの猶予期間を置いたかと申しますと、同位元素等を使っている対象は、まだ件数はわずかでございますが、すぐ切りかえろといっても、基準の通りかえるのには、財政的な問題があったり、あるいは切りかえるのにひまどったりするので、即日施行ですぐそのまま右へならえというふうにやられますと、使っている方が非常に困りますので、こういう取締り規定には既存のものをどうするかという配慮を払いませんと、非常に事態を混乱さすようなことも起りますので、一年間の猶予期間を置きまして、その間基準等もなるべく早くきめ、その基準に従って、法の施行まで――基準ができてからまだ半年ありますから、その間に設備等は改善してもらいたい、そうして実際にこちらで監査その他の機能を発揮するときには、取り消しその他の行政処分にあわないように、その経過において十分準備をしていただきたい、こういう配慮から期間を設けた次第でございます。
#30
○齋藤委員 私の質問以外のことも御答弁になっておりますが、ただいまの岡委員の、原子力基本法に基くところの放射線の解釈ですが、なるほど原子力局としてはそういう御解釈も一応成り立つと思う。しかし、この第三条第五号に規定するところの放射線というものは、「電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。」のであって、もし政令によってエックス線を除くと書いてあれば、あるいはそういう解釈が成り立つかもしらぬけれども、一般的な放射線というものからどんなことを言うておったって、エックス線を除くという解釈は出てきやしない。われわれが法律規定の上に注意をしなければならぬことはそこなんです。勝手に放射線と書いて、政令できめるといって、解釈するときはエックス線を除いているんだ、こういう解釈をすると、法的解釈においていろいろな場合に紛淆が起きるということを私は懸念するのです。明らかに放射線といって、電磁波をさすものであったならば、エックス線が含まれる。特に政令で除くということであったならば、その政令で除く理由を明記しなければ、そういうふうな解釈というものは成り立たないのです。あなた方の方は、これは放射線と書いてあっても、法律を読んでいけば、エックス線は当然除いているんだ、同位元素に基因するところの放射線だけをここに入れているんだ、こういうことのようです。だから、政令でもってきちっときめておられるならば、私は文句を言わないが、しかし、そうでないとすると、そういう法律の解釈というものは、岡委員のお考えと当局のお考えとに非常に開きが出てくると私は思う。これは放射線と書いてあるが、この放射線の中には当然エックス線も含むと私も解釈しております。
 それから、もう一つの一年間期間がある、それはいろいろな処置を講じて一年間施行を延期してあるのだ、こういうことであったならば、これに当然エックス線を入れてよいわけです。今の局長の御説明は、何らエックス線を除外したということの理由にならぬと私は思う。一年間にやれないかというと、やれるのです。一体エックス線の取締りというのはそんなに大した問題ではないと思う。この科学技術の進歩した世の中です。国家試験を行なってその適格者を定めて、それに予算の裏づけをして、そうして日本全国のエックス線の、取締りをやるといったって、大した問題ではないですよ。それを大した問題と考えておるところに非常におかしいところがある。というよりは、むしろ、もっと大きなボルトを持ったところの産業用のエックス線というものの取締りと処置を今何ら講ぜずして、このまま放擲しておくと、一年たって、今庄通産省が法律を作って直ちに施行したって、なかなかそれは施行ができない。だから、むしろここにエックス線というものを全部包含して、産業用のエックス線障害をも一年たったならば完全に防除できるという処置を講ずるのが、われわれ国民に対するところの法的処置であると私は考える。どうもそういうところがはっきりしないと私は思うのですが、そうお考えになりませんか。産業上の大きなボルテージを持つエックス線というものは、今野ざらしになっておって、何らの法的処置も講ぜられていない。そういうものに対しては、一年同の期間がある間に、この中にエックス線を含めて、一年たってこの法律を施行するときには、もう産業用のエックス線の障害を完全に除去できるという法的処置を講ずるというのが、私は立法措置としては正しいやり方であると考えておるのでありますが、これに対してどうお考えになりますか。
#31
○佐々木政府委員 私決してこだわるわけではありませんが、原子力委員会の設置法、科学技術庁の設置法を読みますと、「原子力利用に伴う障害防止」ということになっておりまして、原子力利用という面から判断いたしまして、エックス線は厳密な意味において入ってこないというふうに考えても、考えられるのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。ただ、お説のように、その間エックス線に対する処置を各省にそれぞれまかせて十分かどうかという点になりますと、きのうでございますか、藤岡委員からも申し上げましたように、できればこういう法律で一本で取り締るのがあるいは妥当かと思われますけれども、何しろそれを取り締るために非常にエキスパートを多数、しかも相当な費用をもって初めてその実施が可能になるのでございますので、むしろ、そういう面は、従来これをやっておりました厚生省並びに通産省等は、至急これに対する何らかの行政処分等の処置を講じまして、そうして取締りを強化するというふうな便法でもとっていただくというふうな考え方も、この際やむを得ないんじゃなかろうかというふうに今考えております。
#32
○岡委員 今佐々木君の発言の中で原子力基本法等を引かれましたが、基本法では放射線という言葉は四つしかないのです。しかも、放射線の定義を第三条にうたって、第八章第二十条では「放射線による障害を防止し」とうたっておるのです。ですから、この場合、基本法の解釈からいえば、放射線とは、この定義に定められたもので、ただ放射線の障害防止とあって、何もここに原子力利用による放射線と書いてないじゃないですか。こういう点はやはりはっきりしておいた方がいいと思うんですが……。
#33
○佐々木政府委員 基本法の第三条五号のみを解釈いたしますとお説の通りだと思います。ただ、そういう基本法の精神を受けまして、そういうものを扱う原子力委員会なり科学技術庁なりの規定を見ますと、範囲が限定されておりまして、「原子力利用に伴う」云々というふうにございますから、原子力に関連のないエックス線は、一応除外しても、法体系自体としては、これに全然違反したというふうにまで考えなくてもいいんじゃないかと思います。
#34
○岡委員 問題は、やはりいわゆるお役所のセクショナリズムが大きく災いしておるということです。だから、問題は、やはり局面を大きく一変した新しい問題と取っ組んでいこうというのだから、あまりそういうものにこだわらないで、厚生省もえこじにならないで、原子力局も勇気を持って――それはたんねんに努力をしておられるんだろうけれども、そういうごまかし、言葉の解釈などでとつおいつしているなんということは、まことに僕は好ましくないと思うのです。
 一応委員長が来られてからにして、私はしばらく質問を保留したいと思います。
#35
○齋藤委員 それでは、その間私が質問を申し上げたいと思うのですが、過日、厚生省に向って、「放射線障害治療の実際について」という資料の御提出をお願いいたしましたところが、昨日その資料をちょうだいいたしたのであります。この資料によりますと、大体薬物対症療法としては、全身の補強に、高カロリー、高蛋白の食餌療法、それからビタミンABCDその他全部のビタミンの給与によるところの治療方法、それから感染の防御というので、ペニシリン、ストマイ、テラマイシン、オーレオマイシン、それから造血臓器障害の治療として、鉄剤、輸血、各種ビタミン、そういうふうな治療方法が並べられておるのでございますが、これは単に厚生省に極限された問題と考えないで、ストロンチウム九〇を含んだ灰も降る、あるいはまた原子力平和利用によって大きく放射線の障害が懸念される今日、ここに論議されております放射線障害防止法という一つの防止的な態度というか、消極的な面からの対策のみでなく、積極的にこれを予防していくという面に対して、厚生省の今日とっておられる処置、どういう研究をしておられるか、またその研究に対するところの予算措置はどうしておられるか、もしおわかりでしたら、一つお答えを願いたいと思います。
#36
○小澤(龍)政府委員 これは厚生省の厚生科学研究費をもちまして今研究中であります。また国立病院等においても研究しておりますが、全体の金額がどれくらいになっておりますか、ただいま資料がございませんので、お答えできないのであります。研究の中身は、こういう放射線障害を受けた人間に対して、どういう治療方法が一番効果的かということが一つであります。これは、白血球の減少とか、あるいは皮膚の乾燥とか、いろいろな症状が出ますので、そういう対症療法的なことしかないのでございまして、それを差し上げたわけであります。それ以外は、どれくらいの防御施設なり、あるいは時間でレントゲンその他に接触した場合にどのくらいの障害が起るだろうかということの測定をやりまして、それに基いて、今度は、従事者が危険をできるだけ避けるためにはどういう執務態勢がいいか、防御態勢がいいかということを研究しております。
#37
○齋藤委員 ちょうだいいたしました資料よりますと、大体障害発生の診断というものは、白血球と赤血球の数によって診断をされておる。赤血球は男四百万、女三百五十万、それから白血球は四千以下、この白血球に対しては文献でよく見るのでありますが、精製痘苗の注射が白血球の増加を非常に来たし得る。これはエックス線障害あるいは放射線障害に対しても実効があるのかどうか、お確かめになったことがありますか。
#38
○小澤(龍)政府委員 あるいは私どもの委託しておる研究所の中ではやっておるところがあるかもしれませんが、その本実については、私どもはただいまはっきりいたしておりません。
#39
○齋藤委員 文献で、新聞等で大きく精製痘苗の注射が白血球の増加に役立つというようなことが発表されておりますときに、厚生省としては、これを直ちに敏感に取り上げて、これがエックス線障害あるいは放射線障害による白血球の低下に、防止的あるいは予防的役割があるという御検討をおやりになる処置はないのでありますか。
#40
○小澤(龍)政府委員 血液がふえたり減ったりするという現象を起させるものはたくさん方法があります。輸血あるいは瀉血というようなこともありますし、昔から用いておりますはりなどでも白血球がふえるというようなことが申されておるのでありまして、実際は白血球がふえるようなことを起させるいろいろな刺激薬剤、刺激の方法はたくさんありますので、いろいろの事項について研究をしておりますが、成果が上ったかということは、ただいま資料がないので、まだ申し上げかねるのであります。
#41
○齋藤委員 私の伺っておりますのは、白血球が精製痘苗によって増加するということでありますならば、これは、エックス線の照射を与えて特に白血球の低下を来たさしめておいて、精製痘苗を注射してその白血球が増加するという試験をやれば、エックス線障害にはきくということになるわけです。それは、はりを刺しても、瀉血をしても、輸血をしても、白血球をふやす方法があるということは、だれだって知っておる。ただ、白血球がふえるというはっきりしたデータが出てきたときに、エックス線障害でもって一生懸命頭を悩ましておる厚生省が、エックス線障害を与えておいて、果してこの精製痘苗によって白血球がふえて、この障害治療に役立つかどうかという試験をおやりになっておるかどうかとういことを伺いたい。
#42
○小澤(龍)政府委員 先ほど申し上げましたように、放射線障害に関する予防並びに治療の研究はやっております。かなり広範囲にやっております。しかし、その中に精製痘苗を用いる研究がどの程度織り込まれておるかということについては、ただいま即答いたすだけの資料を持ち合せておりませんので、聞き合せてから御答弁申し上げたいと思います。
#43
○齋藤委員 その点に対して原子力局ではどういう処置をとっておられますか。
#44
○堀説明員 説明させてい即ただきます。今御質問のございました精製痘苗の研究につきましては、別段処置をとっておりません。放射線障害に対する研究に対しまして、ただいま補助金なり委託費を出しておるのは一件でございます。それは科学研究所で行なっております研究でございまして、その表題は「放射線障害に対する防護物質に関する研究」となっておりますが、その中身は、核酸とかそれからSHというものがございますが、こういうものが、放射線障害に対しまして、特に白血球の減少に対しまして非常によくきくというようなことから、これの研究をただいま動物実験その他で科学研究所で行なっております。この研究費は大体五百万円本年度限りの金額としてつけております。本年度と申しましても、三十一年度でございますから、昨年度でございます。おそらく本年度もこの継続の研究を進めていただくことになるだろう、こういうふうに存じております。
#45
○齋藤委員 その核酸とか、SHですか、そういうものが放射能障害に効果があるということは、ただ実験的結果に基くのですか。核酸を注射するとどういう理由で放射線障害が除去されるかという理論的体系はあるのですか。
#46
○堀説明員 これまでのデータではただそういう実績があるだけでございますが、理論的な体系はまだできておりません。ただいまのところ、微生物とか、ネズミ類、モルモット、こういうものを使って研究中でございます。
#47
○齋藤委員 私はここに昭和二十九年四月十四日の電気通信委員会の速記録を持って参ったのでありますが、これは、東京大学教授木村健二郎君と、それから財団法人石炭綜合研究所長浅井一彦君両人が参考人として出席をして、当時、悪質の貧血症、再生不能型貧血症にゲルマニウムの注射が非常に特効があるという両参考人の陳述をやった記録であります。これは今ここで詳しく申し上げる必要はございませんが、この木村健二博士と浅井一彦両氏が、この電気通信委員会に出席をせられまして、その詳細を説明されたわけなんです。そこで、われわれ当時の電気通信委員は、一つの決議をやったんであります。どういう決議をやったかと申しますと、「デルマニウム工業の振興に関し、意見申入れの件、というので、
  最近米欧諸国においては、競って稀元素デルマニュウムの電子工学的研究に努めた結果、既にその半導体性を利用した高性能のダイオード、トランジスターが発明され、電話、ラジオ、テレビジョン部門にあっては、真空管或は自動交換スイッチに代るものとして、電気通信科学技術に革命的転換をもたらそうとしているほか、ゲルマニュウムの利用分野は、各種兵器、電気計算器、多方面にわたって着々開拓され、その前途はなお無限の将来性を包蔵するものと思われる。
  かかる情勢下にあって近代科学の進展に立ち遅れないためには、わが国においても急速にゲルマニュウムの生産利用の保護助成に関する根本的対策を確立し、政府民間一体となってゲルマニュウム工業の振興を図ることが国家喫緊の要事である。」
という決議をやったわけであります。
 なぜこういう決議を私はきょう持ってきたかと申しますと、この再生不能型悪性貧血症に対して、ゲルマニュウムの注射を行うと特効があるという木村健二郎博士及び浅井一彦氏の実験によるところの結果を表明されたがために、われわれは、ゲルマニュウムの増産というものは医療方面に関しても重大な問題であるから、この増産をはからなければならぬということをやったんです。しかし、この決議を受けたところの開発利用に対して何らの措置を講じない。しかし世の中にはやはりこういう問題に対して懸命な研究を続けている人があって、最近私の手元に届きました、伝染病研究所の東大助教授荒川清二博士の「X線障害マウスに対するゲルマニウム果糖液の効果」というものを見ますと、これは赤血球の増加に対して非常な功績を示していることを報じておられる。過去二年にわたるマウスによるところのデータがここに示されておる。こういうものがとにかくあるということは、国家のために私は非常に力強いと思う。特に、私は、ゲルマニウム果糖液がなぜエックス線障害に対して好結果をもたらすかというと、ただいまこの決議を読みました通り、トランジスター、ダイオード、特にダイオードというものの性能というものは電流の整流を行なうものである。従って、ダイオードができましたために、大きな整流計がごく小さな整流計に変って、しかもその整流の能率というものが非常によくなってきた。そういうことを医学的に考えてみますると、人間にあるところの電流、電波の作用というものは、やはりこれはエレクトロニクスと同じように、あらゆる方面において整流的な作用が行われておらなければ、健康体というものにはほど遠い状態になるのではないか。人体においてもやはりりっぱな整流作用が行われなければならぬ。ですから、この実験作用を見ますと、ゲルマニウム果糖液をマウスに注射をしておいて、そうしてエックス線を照射すると、白血球、赤血球の低下というものがある程度防げるというのであります。もしゲルマニウムというものがそれだけ大きな整流作用を持っておるものであるとするならば、電波、電流に対しての大きな悪影響というものを除去して、常に人体というものを正しい整流作用に置いておけるのじゃないかという観点から、この研究は進められたと、こういうのであります。しかもそういう観点から非常な効果が生まれておると思うのであります。これはごく乏しい研究費の中からこういう研究が行われて、しかもこういう印刷物になって私のところへ五、六冊届いたので、これを一つ当局に差し上げておきますから、こういうものをよく御研究願って、この放射線障害防止という法律によって万全を期するということも非常に大切ですが、将来あらゆる方面において放射線の障害というものを直接人類として受けなければならない段階に立ち至るというならば、やはりこういう積極的な面からの研究というものに大きな予算をさき、有能な人の研究を助成し、そうしていかなる状態がきても放射能にはある程度人類としては抵抗ができて、安全な生活が営めるという事態を建設するということが、私は、厚生省としても、原子力局としても、非常に大きな職能でなければならぬと考えておるのでありますが、こういう問題に対して厚生省はどのくらいの予算を持っておられるか、また原子力局では本年度どのくらいの予算をさくつもりであるか、これを一つ伺いたいと思います。
#48
○小澤(龍)政府委員 先ほど申し上げましたように、本年度予算、前年度予算の正確な数字を存じませんので、あらためて調べてから御報告申し上げるようにいたしたいと思います。しかし、ただいま御指摘のことは非常に重要なことだと存じますが、私どもは、その方向に向って新しい分野の開拓ということにつきまして、最大の努力をしなければならぬと考えております。
#49
○佐々木政府委員 原子力予算の中に補助金あるいは委託金等合せまして六億以上の資金がございますので、ただいま項目をあげまして補助の対象を公募する際であります。従いまして、公募が出そろって補助金あるいは委託金等を出す際には、ただいまのことごもっともと思いますので、十分考慮いたしたいと思っております。
#50
○齋藤委員 私は原子力局に一つお尋ねをしたいのでありますが、原子力と、それからこれをコントロールするエレクトロニクスの分野ですね。原子力局においては、とにかく原子力研究所と、燃料公社と、それから放射線医学総合研究所、こういうものをもって原子力平和利用に対して今発足をしておる。これに関連するところの行政事務は原子力局でやる。しかし、そこに一つ私の最も懸念することは、原子力局というものが日本の原子力平和利用を推進していくところの建前において、エレクトロニクスの分野というものを一体どう考えて、これに対して処置を講じておられるか。どういう構想を持っておられるか。これはどなたでもけっこうですが、一つ御答弁を願いたい。
#51
○篠原説明員 ただいま齋藤先生のおっしゃいましたことは、まことにごもっともな点でございまして、今後、エレクトロニクスの分野は、原子力のコントロールその他多方面に非常に重大となって参ります。また、航空機におきましても、速度がだんだん早くなりますと、エレクトロニクスの負うべき分野は非常に多くなってくる。その他、あらゆる産業におきまして、エレクトロニクスの今後の市大性はおっしゃる通りでありまして、これに対しましても、科学技術庁におきましては、各省各庁の科学技術に関する調整をやる任務を持っておりますので、あるいは通産省、郵政省等とも十分打ち合せをいたしまして、電子技術の予算の要求に対しましても、十分とは参りませんでしたが、エレクトロニクスに力を入れたわけであります。今後、科学技術庁といたしましても、エレクトロニクスの分野につきましては十分研究が促進され、また科学技術の振興がはかられますように、各方面ともいろいろ打ち合せをいたしまして、今御後要望の線に沿って十分努力いたしたい、かように考えております。
#52
○齋藤委員 私の要望いたしておりますのは、先ほど來岡委員からの御質問中にもございました通り、世の中は原子力時代に移行して、これによってすべてのものが革命的な状態に入っていく。その中で一番大きな分野を占めるのはエレクトロニクスである。これは電子技術でありますから、結局、大きな意味から申しますと、原子力の一分野に属するものであると考えても私はいいと思う。それでございますから、原子力発電が計画をされておる原子炉それ自体には、非常に単純な理論と、それから単純な組み立て事業というものに将来は終るだろうと私は思う。しかしこの原子力発電をコントロールするエレクトロニスクの分野というものは、ますます複雑、高度化していくだろう、こう思う。それでありますから、原子力発電というものを考え、あるいはその他の原子力平和利用というものを考えますると、そのうちの六割が七割の分野を占めるエレクトロニクスというものを、非常に力を入れて水準を高め強化しないというと、結局原子力平和利用というものに大きな障害がもたらされるのではないかということを考えておるのでありますが、これに対して科学技術庁としては今どういう行政措置を構じようと考えておられるのか、もっと具体的に説明を願いたいと思います。
#53
○佐々木政府委員 原子力の発展のために電子力そのものの力が非常に大きいということは、仰せの通りだと思います。そこで、補助金、委託金等を出す際にも、特に計測関係あるいは遠隔操作、あるいはまたただいまお話がありましたような発電に伴う電子力の利用等に関しまして相当資金を予定いたしまして、その方の研究を進めるように援助してございます。何しろ原子力に関する問題は非常に多方面にわたっておりますので、あるいは不十分かとも思いますが、できる限りその方面には力を注ぎまして、過去三年間の実績を見ますと、その成果も着々上げつつあるのではないだろうかというふうに考えております。
#54
○齋藤委員 もう一、二点お伺いをしておきたいのは、最近、濃縮ウラン細目協定の問題、それからそれにからんで天然ウランの購入の問題等がありますが、これは結局するところ、こういう細目協定及びその他によって、日本が、非常に窮地にともいいませんでしょうが、困難に遭遇しているということは、日本に天然ウランというものの開発計画が積極的に推進されてないということで、今後一年たったら日本でも天然ウランというものは十分に人手できるのだというような見通しがつけば、外交交渉の基本としても私は非常に強力になると思う。しかし、今日の状態を見ますると、いまだ原子力局においてはウラン鉱石の買い上げ値段を発表しない、一体何をぐずぐずして買い上げ値段を発表しないのかという声が大きくなってきた。どういうところに買い上げ価段の決定が困難を生じているのか、これを一つわかりやすく説明していただきたい。
#55
○佐々木政府委員 ウラン鉱の買い上げの価格の問題は、燃料公社並びに鉱山局それから原子力局で事務的には着着練ってございます。ただ、問題は、前提条件をどういうふうに定めるかというところが非常に問題でありまして、各国の例を見ましても、たとえば、一番わからないのは、製練費の価格がどのくらいかかるかというデータがございません。従いまして、輸入しました場合、たとえばカナダからイエロー・ケーキを輸入した場合、これを日本で精練して天然ウランの価格をどの程度に定めたらよろしいかといったような問題が起きてくるわけですが、そういう国際比価と並びに国内の山の生産コストというものが、逆算をした場合に非常に食い違いが起きて、そして、山を借りようといたしますと、天然ウランが非常に高くなって、従って自給態勢を推進するという意味から、あまり大きい障害が生じてくると、これまたまずいというようなこともございまして、その国際比価と国内の買上価格との調整をどういうふうにとっていくかという問題が、一番大きい問題になっております。で、ただいまの段階では、まだ成案を得たわけではございませんが、今週の初めから、大は、石川委員を中心といたしまして、事務局である程度作りましたものを、本格的に委員会としては検討いたしたいという予定にしておったのでございますが、あいにくと、石川委員がおかぜを召しまして、今週中休んでおりますので、あるいは来週から検討に入るというふうになろうかと思います。ただ、この問題は、国で買い上げるものでございますので、どうしても大蔵省と予算面で同時に検討してやらなければならない問題でございますので、買上価格を委員会等できめます際にも、大蔵省等とも十分相談をしまして、最も適切な値段をきめたいと考えております。
#56
○齋藤委員 私は、その問題に対して一つ希望を申し上げておきたいのは、これは適例になるかどうかわかりませんが、かって金属アルミニウムが精練せられましたときに、その価格というものは金より高かったということは、これは事実であります。しかし、アルミニウムの近代需要というものは年々増加いたしまして、ついに今日のごときアルミニウムの価格になったということは、これは御承知の通りであります。従って、ウラン、トリウムというものが、将来この人類社会そのもの等に対して、いかなる価値を生ずるものであるかということは、これは論ずる必要はないと思う。要するに、日本にウランがあるかどうかということ、どんな貧鉱でも、たくさんあれば、その製練というものは人知の逆歩につれて非常な効率的な効果というものが出てくると思う。問題は、原鉱石としてのウランがあるかないか、トリウムがあるかないかということなんです。これは問に合うところの貰い上げ値段をつけて、どんどん深鉱開発をさせる以外に、この実在を確かめる方法というものはないのです。どんなに偉い人間が行っても、土の中は一寸先はやみなんだ。それを、一体、国家的要請に従って、開発を兼ねてどうして貰い上げるかということを前提としてやれば、私は方法というものは幾らでも出てくるだろうと思う。とにかく、このウランによって一攫千金を夢みているという人は、それは、こう申しては悪いけれども、山師的な考え方を持っておる人もあるかもしれないが、おそらくほんとうにウランと取り組んでいこうという人は、〇・〇〇五のような低品位を目前にして、そうしてこれを開発して、非常な巨利を博しようなんというようなことは、私は考えていないと思う。というのは、そういう低品位のものでもってもうかる理屈はないと私は思う。ただ、そこに、われわれも、またそういう仕事をする人も、一様に考えることは、そういう地帯を縦横無尽に探鉱していったならば、いつか大きな富鉱地帯にぶつかりはせぬかということなんです。これは、鉱業をやる者の、いかなる人でも考えることであって、〇・〇〇五の実在のウラン鉱の中を探っていって、一%、二%という富鉱地帯に突き当らないとは限らないのであるから、そういう富鉱地帯に突き当ったときに、初めてその稼行鉱業というものは大きな利益をもたらすというのが、いわゆる鉱山稼行の常道なんです。現に、人形峠においても一%、二%の富鉱地帯に突き当った。でありまするから、私は、ほんとうに国家が一日も早くこのウランというものの開発をやらなければならないということをお考えになっておるなら、補償して、とにかく〇・〇〇五%という低品位をベースとして、これを開発して、そのウラン鉱石をとっても損をしないような補償措置を講じてやれば、私はどんどん開発というものは進むと思うのだけれども、こういう方法が講ぜられるかどうか、一つ御答弁を願いたい。
#57
○佐々木政府委員 各国の例を見ましても、基礎価格、これは大体山元のコストに該当するようなものかと思いますが、基礎価格と、それから初期奨励金というものを出しておりまして、その比率は大体基礎価格の倍くらいの奨励金を出しております。これは各国とも同じようでございますが、日本におきましても、当然やはりそういう措置が必要であろうかというように考えております。ただ、それを山元に対する補助金でやるというふうな考え方がいいのか、そうではなくて、買上価格にそれを織り込んで、買上価格の中にそういうものが含まれておるというふうな出し方がいいのか、そういう点もいろいろ問題がございますので、ただいま研究中でございます。
#58
○菅野委員長 この際、日米原子力協定の改訂交渉に関し、岡委員より発言を求められておりますので、これを許します。岡良一君。
#59
○岡委員 実は、松井課長がお見えでありますので、新聞等で、アメリカに対する細目協定の改訂のための交渉もかなり進んでおるやに承わっなおりまするので、課長から、この交渉の経過と見通しを一つお伺いいたしたいと存じます。
#60
○松井説明員 御説明申し上げます。第二号炉の燃料の賃借りに関する交渉は、目下継続中でございます。本来ならば、外交交渉中の案件につきましては、相手国の関係もございますので、御説明を申し上げることは非常に困難だと私は考えておるのでございますが、それにもかかわらず、できるだけの範囲において、中間的にお話ししておきたいと思っています。従って、この点は、私は新聞発表は差しとめていただきたいと思います。
#61
○菅野委員長 この際、お諮りいたします。本問題につきまして秘密会といたしたいと思いますが、これに御審議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○菅野委員長 御異議がなければ、これより秘密会を行いますので、関係者以外の方の退席を求めます。
     ――――◇―――――
  〔午後三時一分秘密会に入る〕
#63
○菅野委員長 松井説明員。
#64
○松井説明員 ━━━━━━━━━。
#65
○岡委員 そうすると、今、東海村の方でやがて逆転を開始しようというウォーター・ボイラー型については、聞くところによれば、大弗化ウランですか、大体そういう形で来たものをばアメリカの工場で粉末にして、ソリューションしてフュエルとして使う。今度はアルミニウムと化合した、いわば棒のような形のもので、これを炉心に原料として使う。そこでその場合、免責条項との関係で、引き渡しを受けるときにも十分こちら側としては検査をいたさねばならぬ。その検査をするかいなかということについて、相手国はかなり難色を示しておる。
#66
○松井説明員 まだその点は向うの返事がはっきりしない。向うのきた案には一応原子力委員会が加工業者に対して六弗化ウランを渡すときの原料のエンリッチメントが、製品のエンリッチメントであるということを書きまして、向うが一方的にきめる。その原因につきましては日本政府は何ら関与していないという形になっておる。これは困るということを強く押しております。それから検査をやるときに、六弗化ウランの形で原子力委員会が加工業者に渡すときにやった方がいいのか、あるいは燃料要素の加工精製中の過湿にやったのがいいか、もしも後者の場合とすればどの段階がいいかというようなことについて、私、日本側の学者、専門家の意見も開きますし、それから向うの原子力委員会の意見も今問い合せております。
#67
○岡委員 このCP5、従って濃縮ウラン四キロ、これがどんな形で来ようと、これを燃焼した結果生ずるプルトニウムというものは、ウォーター・ボイラーよりも相当多いのですか。
#68
○松井説明員 原子力研究所の計算によりますと、二ケ月間に、五十一グラムとかいう計算の数字を見せてもらいましたが、その算定の基礎を私よく調べておりませんので、専門家にお聞き願いたいと思います。
#69
○岡委員 それから、今度細目協定では日本側の申し入れは、天然ウランが四トンありますですね。これはどういうことになっておりますか。
#70
○松井説明員 天然ウランの協定の購入契約等の案文は、実は若干前から参っております。関係省におきまして検討いたしております。方針といたしましては、まずCP5の二号炉の燃料の購入契約を早く仕上げる、今度の国会に提出して御審議をいただく。それに引き続きまして天然ウランの購入契約を進めたい。その契約の内容につきまして、立法事項がどの程度あるか、これをどの程度まで向う側の交渉においてしぼれるかということは、今までやった打診の程度よりももっと強くしぼり、その上で国会に出して御承認を得ることになるから、国内立法という線は国会の方で難色が示されるというような話は聞いておりますが、外務省としましては国内立法の線ということを必ずしも捨てておりません。場合によりましては、これは外務省の条約の運営上のきわめて異例だと思いますが、国内立法することその他によりましてきわめて時間がおくれることになりますれば、おそらく私個人の問題になりますが、国会に提出御承認を得るということを努力するにやぶさかではないと考えております。問題点につきましては、まだ向うと折衝中でございますが、まだ結論が出ておりません。今のところは国会に出すか出さぬかという最終的な結論は、向うの一ぺん来た案文が変って新しい案文を出すということを言っておりますので、その新しい案文を取り寄せた上で、さらに慎重に審議した上で、国会に出すということを至急決定いたしたい、こういうふうに思っております。
#71
○岡委員 協定の案文等を私どもまた立ち入ってどうこう申し上げる段階ではありませんが、ただ手続上の問題について、原子力局長にお伺いしますが、今度東海村で運転するウォーター・ボイラー型に天然ウランはどうしても不可欠なんじゃないですか。
#72
○佐々木政府委員 ウォーター・ボイラーの本体を動かすのには、天然ウランは要りません。今もらいたいという天然ウランの使用は、ウォーター・ボイラーの上にもう一つ実験の装置を設けまして、そして下から出て参ります中性子を受けて、それを天然ウランに当てて指数実験をやりたい。これは何のためにやるかと言いますと、国産炉を作る際にこの実験が具体的に役立ってくるわけでありまして、国産炉の精密設計をやる際の前提条件にしたいということで、実はウォーター・ボイラーの動くときに、それに伴ってほしい、こういうふうに言っておるわけであります。従いまして、本来燃料として使う性質のものでも何でもないのでありまして、単なる実験材料としてこれをほしいというふうに考えております。
#73
○岡委員 ただ中性子を取り出す穴をこの炉にあけておかなければならぬというわけですね。それでは天然ウランが来なければ、その穴をあけないままに、ふさいだままで運転を開始する、こういうことでございますか。
#74
○佐々木政府委員 その通りでございます。
#75
○岡委員 これは松井さんに伺いたいのですが、私どもどこか向うの国の文献なんかを見ると、天然ウラン四トンを中性子で、実験に使うという場合には、それこそ相当量のプルトニウムができる。もしこの四トンという量を売却という形で折衝するということになると、相当政府側の保障措置等について条件がついてくるのじゃないかというふうなことを想像するわけです。その点、今日までの交渉の過程から、相手側の意向はどうでございましょうか。
#76
○松井説明員 アメリカの原子力法によりますと、原子燃料の輸出というものは、原子力委員会のライセンスがあれば出してよろしい、ただし、国家のセキュリティ、安全衛生に害があると認めるときはこの限りにあらずという規定があるだけであります。これに基いて外務省としては輸出許可を出せばよいが、日米原力子協定の四条の一般の公開市場で入手できない核資材、原料につきましては、向うが輸出許可を出すと言っておりますので、コマーシャル・ベースで買えないかということを執拗に向うに迫っておるわけでありますが、向うが半年かかってでき上ったところの契約の案文というものは、政府間の協定であります。しかもその協定の内容というものは、御承知のようにプルトニウムの発生生産というものを予定しております。それに基いて一定の保障措置を挿入しております。
#77
○岡委員 この前の天然ウラン四トンを、中性子で照射すればプルトニウムの生産が可能だということについて、原子力局あたりの専門的なお考えはいかがでありますか。
#78
○佐々木政府委員 指数実験に使う際には、ごく少量はプルトニウムに変る場合もありましょうが、ほとんどネグレクトして考えてよろしいのじゃないかと考えております。
#79
○岡委員 それから当初細目協定の改訂の場合には、高濃縮ウランとかウラと二三三、それからプルトニウムのようなものについても、改訂の交渉の内容に含められておったが、そうすると今度はすっかりネグレクトしてしまったわけですか。
#80
○松井説明員 当初の日本政府の原子力委員会の決定に基きますと、確かに岡先生のおっしゃるように、高濃縮度の濃縮ウラン百グラム、ウラン二三五のプルトニウム、九グラム、ウラン二百三十七グラムの購入を前提とするように協定を変えるという方針がございました。ところが現行協定の改訂案に対するわれわれの要求に対しまして、向うの提出してきたものは、いわゆる研究協定と動力協定とを合せたところの一般協定――ゼネラル・アグリーメントの内容を持ってきたのであります。その内容は、こちらに一般協定をやるという結論がない限りは、現在の研究協定の立場から受諾しがたいような厳格な保障措置が入っておる。その他の諸般の情勢を考慮されまして、原子力委員会におきましては、将来準備した後に一般協定をやるだろうから、そのときに研究協定の改訂の目的をあわせてやるから、この際は現行協定の改訂は打ち切りだという線を出されましたので、向うの米国政府に申し入れました。ただ、現行協定の改訂を打ち切った結果、当面わが方が研究契約の推進上急に入手したいところの天然ウランとか第二号の燃料の入手に必要な外交交渉を始める、こういうラインに従いまして、外務省はワシントンと交渉いたしておる次第であります。
#81
○岡委員 それでは、原子力委員会の方へお伺いするのですが、当初のようにプルトニウム十グラムとか、高濃縮ウランとかをぜひとも手に入れたい。これは大体原子力開発計画のどういう部面でどういうふうな計画から要求されておるのですか。そしてまたこれで打ち切るということによって、日本の自主的な研究開発計画の上にどういう影響があるか伺いたい。
#82
○佐々木政府委員 たとえば、プルトニウムの問題でございますが、これを金属といたしまして研究し、御承知のようにプルトニウムは、ブリーダーその他に将来利用されるのではないかということで、当然この研究は必要でございますが、プルトニウムそのものは非常に毒性が多いとか、あるいは燃焼している際に膨脹するとかいったような特殊な性格を持っておりまして、ウランを使うような単純な使い方ではなかなかいかぬ点がアメリカの実験でも明確になって参りましたので、わが方も将来を考えまして、そういう実験を今から進めたいというので、実は申し込んでおったのでありますけれども、今すぐそれを手に入れなければ当面の実験に支障を来たすかと申しますと、そういう性質のものでも必ずしもないのでありまして、これは一般協定を結んだときでも差しつかえないのじゃなかろうかというふうに考えまして、その方を延ばしたわけでございます。
#83
○岡委員 松井さんにお尋ねしますが、私が読んだ文献には、細目協定、研究協定のワク内でプルトニウム十グラム、荷濃縮ウラン百グラム、この貸与がすでに実現しておる協定があるのじゃないですか。
#84
○松井説明員 スエーデンとかほかの国のいわゆる研究協定には、そういうものは入っております。案文もできております。しかしながら日本側のアメリカと現在結んでおるところの協定の中には、御承知の通り第三条のA項におきまして二〇%に濃縮したアイソトープ二三百五、六キログラムを貸与すると書いてある。従って九〇%に濃縮したウランは法律的には解釈されません。それはウラン二三五でありますが、ウラン二三三は入りません。プルトニウムも入りません。現行協定で、これらの核分裂物質をもらうのには、どうしても本協定そのものを改訂しなければならぬという法律上の要求があるのでございます。
#85
○岡委員 当初の日本の開発上どうしても必要なものとすれば、本協定を変えて、研究協定のワク内で二〇%の濃縮ウランの増量並びにプルトニウム、高濃縮ウランの貸与、これを挿入していくということは、技術的に非常に困難なことでしょうか。
#86
○松井説明員 私は必ずしもそうは思いません。しかしながら、向うはどうしても一般協定でやったらいいじゃないか、一般協定は石川ミッションに渡してある。日本政府も了承しているはずじゃないかということを言っておりました。こちらはどうしても一般協定には踏み切れないから、現行協定でプルトニウムその他の貸与をするとか、購入するとか、濃縮ウランの入手量をふやすとかいうことはできるじゃないか、それで現行量も少いのだから、一般協定に予定されたような厳格な保障措置は要らないということをいろいろ言いましたが、向うは、いろいろと各国と結ぶところの協定の型がありまして、それを変えるにひまがかかるとか、あるいは一般協定にしておいても燃料そのものを、たとえば動力協定の五百トンとせずに単に十二キロでもいいじゃないか、そういうことを言いまして、相当両国政府の問でやり合った経緯があります。
#87
○岡委員 それでは現在アメリカとの原子力に関する交渉は、すべて研究協定一本でいっておるということですか。
#88
○松井説明員 その通りでございます。
#89
○岡委員 そうすると、二月九日の原子力委員会では、とりあえずこの研究協定の改訂でいく、同時にそのときの決定では、動力協定についてもこれを取り結ぶ方針のもとにその諸条件を検討する、こう二本の線が出ておるわけですね。私は、この原子力問題の対米交渉なら対米交渉において、原子力委員会は動力協定を是認し、これを前提とする立場から対外折衝を始めようとする、外務省の方では、研究協定のワク内であくまでこれ一本でいくということになれば、日本の原子力外交というものはきわめて一貫しないという印象を当然海外に与えると思うの、ですが、この点原子力委員長としてはどういう方針を持っておられるのですか。
#90
○宇田国務大臣 日本の国会の会期の関係で、どうしても国会の承認を求めるためには、ゼネラル・アグリーメントの交渉を今正面に持っていきました場合には、おそらく審議はなかなか会期内にまとめ上げるということはむずかしいだろう、こういう見解に外務省も立っております。従って、一般協定に関するところの交渉の時期方法等につきましては、国会の会期の工合とか、そして外務省の現地判断と両方合わせて考慮しておるわけですが、ただいまのところは、細目協定によって当面の応急処置を講ずること、これを第一にいたしまして、それを一応この国会中に仕上げること。そしてそれをもって当面の研究実験炉の稼働に支障を来たさないように、また稼働に必要な燃料を、十二分な対策を講じ得るように処置をしたいというのが、ただいまの交渉の目的内容と思います。それで一般協定につきましては、当然早く仕上げたいとは思いますが、当会期中に審議を願うということは困難であるという見通しのもとに、これは第二に、細目協定成立後において、継続的に外務省にその交渉の時期方法等についての判断をまかせたい、こういうふうに考えております。
#91
○岡委員 しかし、それでは私は御答弁にならないと思うのです。全然御答弁にならないじゃないですか。問題は、今、松井課長のお話によれば、結局研究協定のワク内で、あるいは高濃縮ウランを受け入れる、貸与する、あるいはプルトニウムを貸与しておるという事例もあるわけです。ところが、日本側では石川ミッションが行って、いわゆるゼネラル・アグリーメントについても草案を受け取っておる、日本政府もそれを知っておるはずだ、こういう相手方の気持があるということなんです。二月九日には、研究協定でも行くし、動力協定でも行こうじゃないかという決定をしておる。一昨日か、一昨々日かの閣議決定などでも、何かそういうことであったようです。ところが、一方ではそれは今アメリカにしたって、イギリスにしたって、原子力産業というものは輸出産業として非常に競合しておることは御存じの通りだと思う。そこへそういうふうに手のうちをみんな見せてしまって、さて研究協定だけだと言えば、動力協定を結ぶか結ばぬか、これだけのものはやるから、動力協定は必ず結ぶか結ばぬかくらいのところで、それどころか動力協定というものを前提として向う側は迫ってくるということで、わが方の自主的な立場というものは、外交交渉というものは、むしろきわめてみずから困難に陥らしめておる。国会の会期云云と言われますが、しかし国会の会期の問題じゃないと私は思う。問題は、かえって国会の会期に間に合わないようなところまで相手方の態度を硬化させていくというか、相手方にいろいろな条件なり理由をつけさす原因をこちらが与えておるというようなことに、今、松井さんのお話など総合すると、私は利断するのです。その点はどうなんですか。
#92
○宇田国務大臣 一般協定をここで結ぶということは、会期中には困難であるという判断をしたのであります。従って、閣議の了解は二つに分類されておって、研究協定の改訂は、細目協定の取りきめにこれを変えること、そして一般協定の締結につきましては、米英とそれぞれ外務省その他関係の省庁において協議をして、そして時期方法等については別の決定をもって行う、こういうことになっております。その開成の了解事項というのは、当国会において一瞬協定を仕上げることは困難である、こういう見解のもとにそういう次善策をとっております。
#93
○岡委員 本国会でそれが困難であるかどうかということでなくて、もう動力協定を、一般協定を取り結ぶのであるという意思表示もしておるわけなんだ、相手方はそう受け取っておる。そこへもってきて今度外務省の当局では、研究協定一体で何とか日本側に有利な条件を獲得しよう、そうすれば、向うとすればこちらの手のうちを見せているから、効力協定という問題で、下世話にいわばからんでくるというようなことになって、研究協定そのものが、国会の承認を得ることにさえも事実の上において困難な事情が起ってくるかもしれない。そういう種をまいておるということなのですね。こういうような形で、一体日本の原子力外交というものが、どうしたってこの立ちおくれを克服するというならば、外務省も原子力委員会も、やはり一本の形で、そうして原子力基本法に基く自主的な態度を堅持しながら進めていかなければならぬと思う。個々ばらばらなような感じがしてしようがない。いずれこういう問題は、協定等が国会にかかりましたときに、総理にもみな出てもらって、私どもははっきりさせなければいかぬと思いますが、今、承わった程度では、私はそういう印象を受けます。松井さん、あなたは外交の衝に当っておられるのですが、こういうふうに一方では原子力委員会が二月九日にはっきり動力協定を取り結ぶ方針をきめておる。そうしてまた一方では研究協定の改訂もきめておる。こうなれば、外交の衝に当るあなた方としてはきわめて――私があなたの立場に立てば、かなりやりにくいと思うのであります。向うは動力炉を売り込みたくて精一ぱいなんです。そういう点、あなた方、衝に当る者としての心境はどうなんです、率直なところを一つ言っていただきたい。
#94
○松井説明員 御推察におまかせ申し上げます。
#95
○岡委員 それでは国会中にこの細目協定の改訂はできますか。
#96
○松井説明員 全力をあげてやりたいと思っております。まだ、きのう連絡しましたので、二、三日待たないとわかりません。ただ、ちょうど時期が悪いのは、二十一日が向うはイースターの休みであります。国会の終期は間近に迫ってくるし、交渉をやるにつきましては、かなりハンディキャップをつけられます。ある程度の条件をのんで国会に出すことを優先するならば、交渉というものは、ある程度のところで線を引かなければならない。最後のとことんまでやれということならやりますけれども、あるいは国会に間に合わなくなるかもしれません。そのジレンマに外務省は直面しております。
#97
○岡委員 せっかく御努力を願いたいと思うのですが、これは、日本の原子力、特に対外的な支援を求めなければならない原子力としては、対外折衝における第一歩か第二歩か知らないが、非常に教訓的な経験だと私は思うので、これはまた別途な機会にいろいろと検討したいと思います。
 そこで、この際はっきり私確認しておきたいのは、対外的な折衝ですから、はっきり公開の席上ででも責任を持って言っていただきたいのですが、現在アメリカには細目協定の改訂一本で行っているんだ、それ以外、動力協定にかかわる一切の諸条件などというものは、日本側では絶対に受けないという方針で今進んでおられるのですか、進んでいく御決意ですか。
#98
○宇田国務大臣 従来とも石川ミッションがアメリカから一般協定の草案を持って帰ったということはありますけれども、それを取り上げて、正式に外務省にその問題で交渉を依願するという方針を指示したことはありません。原子力委員会は、一般協定を結ぶか結ばぬかということにつきましては、結ぶ方針をとろうじゃないかということは決定いたしております。しかし、その時期、方法等につきましては、外務省と十分に打ち合せをした上で、その万全を期そうという話し合いであります。従って、ただいまは細目協定の交渉で、それだけを外務省に話をつけてもらう、こういうことにいたしてあります。
#99
○岡委員 効力協定、一般協定についても、当初の石川ミッションに与えられたものについて日本側にもかなりいろいろな意見があるということから、最近、アメリカ側でも、日本側の希望を入れた一般協定草案というものがワシントン大使館の方に渡されたというふうな情報も入っておるのですが、これは東京に来ておるのですか。
#100
○松井説明員 石川ミッションが、昨年の十一月だったと思いますが、協定の話をされたときは、一つの案、いわゆる一般協定のその形でありますが、それにつきまして、情報の交換その他について二条と五条が少し修正になりましたので、それを最近ワシントンに電報しまして、そういうものがあればくれと連絡しましたら、ワシントン大使館から送って参りました。その訳文は最近科学技術委員会に提出したはずであります。これは御説明申し上げますと、アメリカの一般協定は二つのひな形があります。日本が受け取ったのはいわゆる機密条項のないところの協定であります。アメリカとノルウェーの間にできた協定がひな形になりまして、日本の場合もそれと同じであります。フランスも同様のものであります。ところがほかの国、オランダとかベルギーなど数カ国ありますが、その国は機密情報の交換を含むところの一般協定で、日本のものは機密条項を含まない、いわゆるアメリカ・ノルウェー型のひな形であります。
#101
○岡委員 いずれ国際原子力委員会の憲章も外務委員会等で春眠されることになっておりますが、それと関連し、私は、日本の、特に一般協定の問題は慎重を期したいと思うのですが、国際原子力期間の理事国として日本が、世界的に原子力の平和利用の普及に当ろうということになれば、やはり一般協定等も国際原子力機関の運営上、それがチェックになるようなものは努めて避けるということが当然の日本の仕事ではないかと思う。いずれこの問題はあとに譲りますが、そこで結局はっきりしたことは、現在日本は、アメリカには、研究協定の改訂一本やりで進んでいる。そこで、最近もたらされたアメリカ側の一般協定草案についても、委員会としては検討を開始しようという所存ではある。しかし、そこで話は個人的になりますが、第二次調査団を今度出すとかいうようなことが原子力委員会できまったとか聞きますが、これは出るのですか。
#102
○宇田国務大臣 出ます。
#103
○岡委員 何のために出るのですか。
#104
○宇田国務大臣 第一次の石川ミッションの報告書に基いて、第二次調査団を出すということになっております。従って、その石川ミッションの報告を尊重する意味で、委員会は第二次ミッションを出す。その目的は、石川ミッションの報告の中にも掲げられておりますように、たとえば地震に対する技術的な交渉、あるいは原子計算を含める経済性に関する基本調査、未決定の分に対する調査を現地において行う、その他数項目あるのでありますが、おもなる点はそういうものを含んでおります。
#105
○岡委員 第二次調査団の行く最大の理由は、石川ミッションが行ったときに、第二次調査団をよこすと言ったからであるというが、しかし、せっかく国費を使って行って、へんなコミットでもされてはたまらぬと思うのです。しかも地震の問題を調べるというならば、東海村でグラファイトのかのひな形を作ってみても、弾性波で試験できるじゃありませんか。あるいは東大の地震学教室へ持ってきて実験をやっても、幾らでもやれますよ。地震のほとんどないような英国へ行って何を検査するのですか。それでは経済的な立場はどうかと申しましたところで、改良型のコールダホールというものはまだ運転を開始していないじゃありませんか。一体一キロワット幾らにつくかということは、これからの話である。しかも、行ってみてもそんなデータはないでしょう。こちらにおってもそんなデータはとれるじゃありませんか。アメリカの場合ならば、なおさらのことです。まだ、これからゆるゆる実験的な発電炉というものが逆転を開始しようというときで、それも、たった一つこの七月か八月にやろうというのでしょう。だから、そんなもののデータのためにわざわざ国費を使って第二次調査団が出かけていくなんてナンセンスじゃありませんか。一体ほかにどんな理由があるのですか。
#106
○宇田国務大臣 第二次調査団を派遣するということについての基本になるものは、第一次調査団の報告に基くものでありまして、第一次調査団の報告に基いて調査団を、派遣すべきもであるというのが委員会の決定でありまして、その点につきましては、なお、それぞれの専門的の立場の意見、それぞれの技術的方面あるいは経済的方面の総合した意見がありますから、あとからそれぞれの立場の者から申し上げる方が適当だと思っております。
#107
○岡委員 とにかく、石川ミッションの報告書は私どもいただいておりますが、少くとも私の記憶にある限り、第二次調査団を出さたければならないという差し迫った理由は、あの報告にはないと私は思う。これはもう一ぺん検討した上で、一つ委員会の見解を聞きたい。
 それから、これは失礼な話ですが、今度はあなたがアメリカへいらっしゃるという話を新聞で見たのですが、あなたはいらっしゃるのですか。
#108
○宇田国務大臣 事情が許せば、行きたいと思っております。
#109
○岡委員 どういう目的でいらっしゃるのですか。
#110
○宇田国務大臣 AEC及びアメリカのフォーラムから招待を受けておりまして――東京において日米合同原子力会議を開きますので、向うからたくさんの人もこっちへ向います。従って向うの意見も聞くことができると思いますが、この原子力に関するところの平和利用について、先進国の現状を調査してくるということは必要であると考えております。
#111
○岡委員 こう申してはなんですが、向うに行っていただきたい人は、科学技術庁にも原子力局にもたくさんあるわけなんです。だから岸さんがアメリカへ行かれるといったって、やはり国会で明確な目的を示してもらう。ただ欧米の原子力事情を調査するなどというような漫然たる視察旅行に、この重大な原子力事情を国内にかかえておって、その席を離れるということはないと私は思うのです。いずれこの問題もあわせて、しかるべき委員会で十分に御所信を承わりたいと私は思う。
#112
○志村委員 松井課長にお聞きしたいのですが、大体今度の細目協定で一番重大な問題は、私は免責条項だと思っておりますが、この免責条項について、アメリカのAECでは、加工会社に加工を委託する。その場合に加工会社は賠償の責任を持つというようなことを私は聞いたような気がするのですが、加工会社は持つのですか、持たないのですか。
#113
○松井説明員 日本政府と加工会社との関係は、契約によってきめます。協定できめるのは、両国政府間の権利義務をきめます。
#114
○志村委員 そうしますと、契約によってどういう形が出るかわからぬが、一応われわれの方でもって、契約上、少くともその会社の加工過程において起ったような事故については、責任を向うということは、われわれは可能だろうと考えております。問題はAECとの関係ですが、AECとの関係になると、直ちにアメリカの原子力法の問題が出てくると思うのです。燃料の生産過程は絶対秘密であるということはわれわれも了承しておる。ところが、この検査に立ち会うこと自身が、燃料の生産過程の秘密に触れるかどうかというような見解になってくると思うのです。そういう点は一体外務省はどういうふうに考えておりますか。
#115
○松井説明員 その点につきましては、向うに検査をやれないならやれない理由を明示しなさいということを要求しております。原子力法の十一条にある秘密条項の定義の中に、たしか同位元素の生産に関することは秘密条項になっておりますが、今度のCP5の燃料の製造過程が来して機密になっているのかどうか、あるいはそれが灰になった場合の化学再処理の問題が機密になっているかどうか、これは念のために向うに問い合せております。
#116
○志村委員 私がお聞きしたのは、今度のCP5に使う燃料の問題です。
#117
○松井説明員 CP5に使う燃料の問題につきましては、受け取ったあとにおいては、その燃料要素の使用、貯蔵その他あらゆる燃料に関して発生したライアビリティというものに対して、協定の免責の条文からは向うの会社は免責しておりません。アメリカ政府を免責しておりますので、引き取る際によく内容を調べたい、こういうことを強く申し込んでおります。それから返還の場合につきましても、でき上ったプルトニウムに対しましては、こちらが代価を要求し得る権利があるから、どういうふうにしてとらえておるのか、プルトニウムの量は一体幾らあるのか、アプリカブルな、堆積可能な濃縮ウランの量は幾らあるのか、こういうことは日本政府ももう少し知っておきたい、それがためには検査に立ち会わしてもらいたいということを申し込んでおるわけであります。
#118
○志村委員 今アメリカの力からは、日本の要求に沿っていないような返事であることをお聞きしたのですが、アメリカでは、検査についての立ち会いまで日本に許さないというその根拠についての説明はありませんか。
#119
○松井説明員 先般打った電報に対しまして、返事が来ればはっきりすると思います。
#120
○志村委員 まだわかっておりませんか。
#121
○松井説明員 ゆうべ電報を打ったわけです。おそらくもう一日か一日半かかると思います。
#122
○菅野委員長 これにて秘密会を閉じます。
  〔午後三時四十五分秘密会を終る〕
     ――――◇―――――
#123
○菅野委員長 この際、お諮りいたします。ただいまの秘密会の記録中、対米交渉に関する松井説明員の経過報告の発言は、特に秘密を要するものとして、印刷配付いたさないことにいたし、その取扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#124
○菅野委員長 御異議なければ、さように決定いたします。
#125
○岡委員 議事進行について。実は、放射性同位元素等の障害防止については、委員会審議の過程におきましても、エックス線発生装置の取扱いがかなりわれわれの関心事であるわけです。このことについて、これをいかに取り扱っていくかということを、ぜひ近い将来の理事会によって検討し得るように一つお取り計らいを願っておきます。
#126
○菅野委員長 ただいまの岡委員の御希望は了承いたしました。
 本日はこの程度にとどめます。次会は広報をもってお知らせいたします。
 これにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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