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1956/04/25 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 運輸委員会 第26号
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1956/04/25 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 運輸委員会 第26号

#1
第026回国会 運輸委員会 第26号
昭和三十二年四月二十五日(木曜日)
   午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 淵上房太郎君
   理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君
   理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君
   理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君
      有田 喜一君    生田 宏一君
      關谷 勝利君    永山 忠則君
      濱野 清吾君    原 健三郎君
      堀内 一雄君    眞鍋 儀十君
      米田 吉盛君  早稻田柳右ェ門君
      小山  亮君    下平 正一君
      中居英太郎君    山口丈太郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (海運局長)  粟澤 一男君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  山下 正雄君
 委員外の出席者
        通商産業事務
        官
        (重工業局車両
        管理官)    古河  潤君
        運輸事務官
        (海運局海運調
        整部長)    辻  章男君
        海上保安監
        (海上保安行警
        備救難部長)  砂本 周一君
        専  門  員 志鎌 一之君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 委員石山權作君辞任につき、その補欠として日
 野吉夫君が議長の指名で
 委員に選任された。
同月二十五日
 委員勝間田清一君辞任につき、その補欠として
 小山亮君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月二十四日
 小型船海運組合法案(木村俊夫君外二名提出、
 衆法第二九号)の審査を本委員会に付託され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 モーターボート競走法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一二七号)
 モーターボート競走法を廃止する法律案(井岡
 大治君外十名提出、衆法第二四号)
 小型船海運組合法案(木村俊夫君外二名提出、
 衆法第二九号)
    ―――――――――――――
#2
○淵上委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
 昨日本委員会に付託されました小型船海運組合法案(木村俊夫君外二名提出、衆法第二九号)について、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。木村俊夫君。
    ―――――――――――――
#3
○木村(俊)委員 ただいま議題となりました小型船海運組合法案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 木船を中心としまして、小型船は現在総数約二万三千二百隻、百七十五万重量トンに及びますが、これらの船舶によって輸送されますものは石炭、鉄鋼、石材、砂利等、わが国基礎産業の重要物資でありまして、昭和三十年度における総輸送量は約三千七百七十五万トンに達しております。この輸送量はわが国の内航総輸送量の六三・五%に相当しておりまして、海運において小型船の占める地位はまことに重要なるものがあるのであります。しかしながらこの小型船による輸送を担当しております小型船海運業者の実態を見ますと、九〇%以上の者がいわゆる一ぱい船主でありまして、お互いに無用の競争を行い、運賃は不当に低いものとなっております。従いまして当然その経営状況はきわめて悪く、資本の食いつぶしによって維持されておるといっても過言ではないのであります。その結果、船体は老朽化し、海難率も高くなり、積荷保険料も高率なものになりまして、このことがまた運賃採算の悪化へと循環いたしまして、小型船海運業の不振を恆常化しているのであります。このような小型船海運業の事態を改善いたしまして、近代的、合理的な中小企業として小型船海運業の健全なる発達をはかり、もってわが国経済の発展に寄与するためには、零細な小型船海運業者が相互に団結いたしまして、組合組織のもとに、運賃の低下その他不合理な点を是正することが必要でございます。すなわち、これらの個々別々の零細企業者に対しまして、その置かれている経済環境を改善するために、小型船海運業者が団結してその力を強化する道を与えなければなりません。その組織化を助長促進し、要すれば組合員以外のものにも国家の力によって法規制を行い、もって小型船海運業の安定をはかろうとするのが、この法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。まず小型船海運組合の組合員たる資格者は、木船運航業者、木船貸渡業者、木船回漕業者並びに五総トン以上五百総トン未満の鋼船による運航業者及び貸渡業者であります。設立の方法は、十人以上の発起人が集まり、地区別、貨物別または業種別に、運輸大臣の認可を得て設立いたします。小型船海運組合の事業は、運賃、回漕料、貸船料等の運送条件、貨物の引き受け、配船船腹、保有船腹、燃料等の購入等について調整するいわゆる調整事業が主でありまして、副次的に共同事業を行うことができます。調整事業を行う場合には、調整規程を定めて、運輸大臣の認可を受けなければなりません。このようにいたしまして、小型船海運業者が自主的に小型船海運業の合理化、安定化をはかるのでありますが、それが員外者の行為によって乱される場合には、運輸大臣が事業活動の規制に関する命令を発することによりまして、小型船海運組合の調整事業を保護助長することとなっております。
 以上が小型船海運組合法案の提案理由と概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わるようお願い申し上げます。
#4
○淵上委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
#5
○淵上委員長 昨日提出者より提案理由の説明を聴取いたしましたモーターボート競走法を廃止する法律案(井岡大治君外十名提出、衆法第二四号)及びモーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二七号)を一括して議題とし、質疑を許します。山口丈太郎君。
#6
○山口(丈)委員 大臣がお見えになっておりませんから、私は事務的な面について質問をいたします。
 まず通産省にお伺いをいたしますが、競輪、あるいは小型自動車、あるいはボートレース、あるいはオートバイによります競走等、この種の法律ができましたのは、一面におきましては地方財政あるいは国家財政等、財政の面からその収入を増加するというような目的もありましたが、それと同時に、これらの産業を開発して、いわゆるこれら産業の振興に寄与するという目的をもって制定せられたものであると存じております。法律の趣旨におきましてもそれがうたわれておるわけでありますが、今までこの種の競走によりまして、これら内燃機の発達にどのように効果を現わしたか、その具体的な効果面についてお伺いをいたしたい。
#7
○古河説明員 昭和二十九年度以降でございますけれども、自転車産業その他の機械産業につきまして、約十八億円の金を使っております。その支出先としましては、輸出の振興とか、それから今おっしゃったような機械の研究、その他いろいろの事業振興をやっておりますが、今おっしゃいましたエンジン等につきましては、その後非常に研究が進みまして、外国の性能に比べまして、さして劣らないという段階まで至っております。
#8
○山口(丈)委員 競走用のために、その性能が優秀になって、進歩している。それは競走せんがためのいわゆるエンジンの改良、あるいは自転車におきましても、その自転車の能率の改善等が行われたのでございましょうが、しかしそれが実際にわが国産業の発展上、実用的にどういう効果があるかということについては、競走用そのものについては効果があるといたしましても、たとえばこのモーターボートに取りつけられるエンジンのごときは、競走用としてはなるほどいいかもしれませんが、しかしこれを実用に供そうとする場合に、さしてこの競走法があるから、従ってそれが振興するとは考えられないのでございます。実際にモーターボートに取りつけられるエンジンなるものが、船舶に実用化されておるのでありますか、どうでありますか、そういう点について伺っておきます。
#9
○山下政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問がございましたモーターボート競走のエンジンの進歩発達の面でございますが、お話のようにモーターボート競走が開始されまして以来、その使いますエンジンの改良の面につきましては、確かに著しい点があると思います。しかし御承知のようにあのようなエンジンは、原理的には実用の機械につきましても同じようなことが言えるわけでございます。たとえばああいう早い回転数を出しまして、またそのためにシリンダーの内部の熱に対する影響とか、または点火栓の問題とか、またはその燃料を気化しますいろいろの機能等につきまして、同じようなエンジンにつきましてはやはり同じような原理が適用されるわけでございます。御承知のように現在のわが国のエンジンは、スロー・スピードの機械は相当発達をいたしておりますけれども、ああいうハイ・スピードのエンジンにつきましては、非常に劣っているわけでございます。従いましてああいうエンジンの性能が向上されることによりまして、その応用といたしまして実用になる、ああいうハイ・スピード・エンジンの改良になるということは当然でございます。しかもそれのみでなく、ああいう競走用のエンジンが、今芦ノ湖におきまして一般のレクリエーションのボートに使用されておるという例も相当あるわけでございます。従いまして特定のエンジンでございますが、それを改良することによりまして、応用として同種類のエンジンの改良に役立つということは、はっきり申し上げることができると思います。
#10
○山口(丈)委員 通産省にお伺いいたしますが、今の通産省の説明によりますと、わが国の機械輸出について非常な貢献をしておると申されますが、私は競走用の自転車等によって、日本の機械産業が海外に大きく輸出を伸ばしていくような基礎になっているとは考えられませんが、もしあるといたしますならば、具体的にどういう点が改良せられておるか。その結果に基いてどういうふうに日本の機械産業の振興状況が現われたか。私はそういう点については、この競走があるためにそういうふうな研究が旺盛になり、そうして御答弁にあるような振興がはかられているとはどうも考えられませんが、その点いかがでしょうか。
#11
○古河説明員 自転車競走からの影響でございますけれども、今御指摘の点は、自転車競走によってどの程度輸出が伸びるかという御質問かと思いますけれども、これにつきましては自転車競走によりまして自転車の重量が軽くなってきた。軽い車でないと走れない。従いまして輸出いたします車も軽化した、いわゆる軽い車というふうに研究しまして、目下いわゆる軽量車の輸出が徐々に進んで参っておる、こういうことであります。それからあと一点でございますが、自転車競走そのものからではございませんで、自転車競走をやりまして、その結果今までございました自転車競走法等の臨時特例に関する法律というのがございまして、これによって一定の率の、いわゆる振興費と申しておりますが、その金を使っております。その金を使いまして、輸出の振興、生産技術の向上、中小企業の指導、こういう方にその金を活用いたしております。それから特に輸出の向上につきましては、たとえば海外に見本市、フェアがございます。そういったときの出品をいたしますとか、あるいはまた自転車の貿易あっせん所を作るとか、あるいはその他の機械のあっせん所を作るとか、そういったことに活躍いたします基盤を提供いたしておるのでございます。
#12
○淵上委員長 山口君に相談いたしますが、自転車の問題でなくてボートの問題を願いたいのですが……。
#13
○山口(丈)委員 関連があるから質問しておるのです。委員長はこの法律案をよく見てもらいたいと思うのです。このモーターボートの競走法の改正案には、いわゆる自転車競走法と同一性格において時限立法を作るということにおいて時限されておるわけです。従ってこれは関連がありますから、一つ御了解をいただきたいと思います。
 私はこの機械の研究向上というものについては、何も競走によって、言いかえると賭博行為によって得た金で指導奨励の資金を得、あるいは研究費を得なくても、こういう邪道によって産業の振興をはからなくとも、もっと国家の責任において、正当な国家予算をもって、国民全体の責任においてこれらの研究を行うようにすることが正道である、こういういたずらなる射幸心をあおり、賭博行為を奨励してそして日本の輸出産業を奨励するというようなこじつけをやるということは、私は正しい政治のあり方ではない、こういうふうに考えるわけですが、所管大臣である運輸大臣は、これについて一つどういう所見でありますか、伺いたい。
#14
○宮澤国務大臣 大体御質問の御趣旨は私もそう思いますけれども、今までやってきておりまして、今急にこれを変えていくということも、いろいろな面からなかなか困難であろうと思っておりますので、地方財政の面も同様でありますし、それから業界自体としても全くお話のようにこれが性能、技術その他の方面に貢献しないということもないようであります。今日までずっと一つの事実としてやってきておりますので、急にこれを変えていくということは非常に困難ではないか、こう思っております。
#15
○山口(丈)委員 今変えることが困難である、急激にこれをなくすることが困難であるといたしますならば、法案をお出しになる場合、今直ちにこれを廃止することができないとしても、三年間なら三年間の期限を切ってその後には廃止するという目標を定めて、その有効期間内にそれぞれ改正すべき方向へ、研究機関を設けるなりいたしまして、社会秩序の上から見ましても確かに弊害のあるこれらの法律を廃止をしていくよう、政府として当然の努力をせらるべきではないか。しかるに何らそれについては努力されない、そして今言われるように、既存の事実として社会悪をそのままに残しておくという手はないではないかというふうに私は考えるわけですが、これについてどうですか。
#16
○宮澤国務大臣 このたびの改正もお話のようないろいろな弊害をなくして、いい方面を生かして悪い方面を減らしてやってみる、ですからこの際三年という期限を切らないでも、それでしばらくやってみて、その結果また考えてもいいではないかというように考えます。
#17
○山口(丈)委員 私はあまりにも現在の社会には、特に戦後は公認賭博が多過ぎると思う。競輪にいたしましてもあるいは競馬にいたしましても、あるいはモーターボートあるいはオートレース、それのみではございません。まだ町にはパチンコなど、まことに現在の社会は賭博の社会といっても差しつかえない。あるいはまた富くじなど、このためにどれほどまじめな人々がこれらの社会悪の中に落ち込んで、まじめな家庭生活を破壊せられておるか。枚挙にいとまがありません。(「競輪は片山内閣のときにできたのだ」と呼ぶ者あり)今かりに配付せられました資料によって見てみますと、この競輪、競馬あるいはモーターボートあるいはオートレース等、この種の賭博行為によってあげられる金は、この表によりますと年々一千億以上に上っております。これは私は国民の悲劇をここに現わしておるといっても差しつかえはないと思います。もちろん競輪は、法ができましたのは片山内閣のときであったと言っております。私も認めますけれども、必ずしも社会党だけの責任ではない。終戦当時のあの国家財政上あるいは地方財政上から、その財源のための一つの方法としてとられたことでありましょうけれども、私はそれにいたしましても決してこれは正しいものではないというふうに思います。同席の委員諸君もそう思われると思うのであります。もしこれが正しい行為である、このような政策をとることが正しい行為であると言われる方は、一人もなかろうと私は思う。こういう意味におきまして少くともこれらの正しくないことを認めつつも、社会の混乱を来たしている。全く秩序の乱れた、他に手段のない時代であれば別であります。今日のように社会秩序も回復をし、財政経済も一応の安定を見ているこの社会におきまして、ひとり競輪、競馬等あらゆる公認賭博行為をもって社会秩序を混乱に陥れる、あるいはまじめな家庭社会を破壊するような行為をごうも存続しておく必要はない。また今通産省の御答弁にもありましたが、日本の機械産業がこういう競走によって著しく進歩していき、そのために海外貿易に非常に貢献しているなどということは考えられません。かりにこれを競輪にとりましても、競輪用の自転車が自転車の軽量になることを研究して、それが非常に貢献しておるとおっしゃいますけれども、そんなことは何も競輪でなくとも、時代の趨勢としてそれを研究していかなければ、国際社会の競争に勝つことができないのでありますから、従ってそういうようなことは私はあり得ないと思います。まして今日なるほど自転車の軽量化ということは非常に進められておるようでありますけれども、実際にその軽量化された自転車が実用に供せられるかどうか、生活上必要であるかどうかとかいう点につきましては、私は非常な疑念を持ちます。実際に運搬用あるいはその他の実用には供されないのであります。言いかえますと、遊覧用あるいはその他のいわゆる享楽用に用いられるものであって決してまじめな生活に貢献し得るものではありません。こういうようなものを、ただ政府のそのときそのときの答弁によって合理化されることを私は遺憾に思うわけでありますが、通産省としても、あるいはまた運輸省としても、私が今申し上げますようないわゆるこういう不当な行為をあおって、その行為を正当化するようなことはお互いにやめていくべきだと考えますが、そういう点について、他にもっと有効適切な振興方法をはかるために・その計画が持ち合されてしかるべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。そういう計画をお持ち合せになっていないのでしょうか、あるのでしょうか。
#18
○山下政府委員 ただいまお話のございましたような面につきまして、私どもこのモーターボート法を施行いたしますにつきまして、とくと反省をいたしております。御承知のようにこのモーターボート法施行の目的にございますように、地方財政に寄与すると同時に、関連工業の育成、振興をはかるということになっておりますが、いろいろの点で今まで地方財政に寄与した点につきましては十分御承知の通りでありますが、現在の段階において不公平があるのではないか。一つの自治団体がモーターボート等によって非常に収益を上げておるのに、他の付近の市町村がこれに参加できないというような不公平論もあるように私は聞いております。しかしこれにつきましては、市町村の指定につきましては、自治庁長官が認可する建前になっておりまして、市町村がその必要がありといたしますならば、私たちも一つの競走場においてこれらの自治団体が利用し得るように、極力あっせんなりまた仲介の労をとりたいと思っております。そういう意味におきましてなるべく地方財政に寄与するように、その均霊化という問題につきましても私どもは努力いたしたいと思っております。
 それから先ほど輸出振興の点につきましていろいろ御質問なり御意見がございましたが、自転車におきましても、いろいろ競輪を行うことによりまして、自転車の輸出振興または品質の改良の点に大いに効果を上げておられると思います。またモーターボートにおきましても、先刻申しましたように、モーターボートの性能の向上という点につきまして偉大な貢献をいたしております。それ以外に輸出振興の面におきましても、この納入金によります事業、今回の交付金によります事業を輸出振興等に相当振り向けております。たとえば舶用の内燃機関の海外宣伝用の。パンフレットを作成するとか、また舶用機関の海外市場の調査をするとか、またそれらの宣伝用の映画を作成いたしますとか、海外宣伝用のカタログの作成をいたしますとか、また英文の日本の標準規格を作りましてそれを外国の船主に示し、日本の造船工業ではこういうものを使っておるのだということを示したりいたしております。そのほか輸出向けの小型内燃機の形式を統一するというような研究等も、これらの費用をさきましていたしておるわけでございまして、特にこれが目に見えて直ちに響くということは言えないかもしれませんけれども、大きな意味におきます輸出振興の面につきましては相当な寄与をいたしております。たとえば小型内燃機の輸出実績におきましても、三十年度は輸出は約二千二百台でございましたが、三十一年度には約四千台の輸出を見ております。金額にいたしまして約十億円ほどの額になります。これが直ちにモーターボート法による効果ということはとうてい断定できませんけれども、大きな意味におきます輸出振興の面で、相当にこのモーターボート等の売上金の一部によります振興が行われておるということははっきり言えるのではないかと思います。こういうようなわけでございまして、これを直ちにやめまして、それにかわる方法があるかというお話だと思いますが、先ほど申しましたように地方財政の面と関連工業の振興という面で相当大きな寄与をいたしております。従いまして、ただ私どもといたしましてはこのモーターボート競走が与えます悪い影響を極力減らすように、またこの競技を健全化するような線で考えて、できるだけの改善を加えていきたい、こういうふうに思っております。そういう線で私どもとしましてはこのモーターボート競走を施行する際に、今後とも厳重な監督を加えて、世人の非難等をできるだけ縮減していく決意を持って進めていきたいと思っております。
#19
○山口(丈)委員 今御答弁がありましたが、私はやはり私どもの主張していることは正しいと思うのです。と申しますのは、この競走によりまして得る金というのは、ほとんどが中産階級以下のいわゆる大衆層からの金であります。しかもこれらの富くじでありますとかあるいはパチンコ競技でありますとか、スマート・ボール競技であるとかは、まだ年々町にはんらんをいたしております。公認をいたしております賭博行為の売上金、こういうようなものを数えれば私は莫大な金に上ると思いますが、そのうちの競輪、中央競馬、公営競馬、モーターボート競走あるいはオートレース等の、この種の競技だけのものをここに提出を願いましたこの資料をもって見ましても、その売上総額は千億以上をこしておる。このような膨大な金を集めておいて、そしてその利益がなるほど地方財政に寄与しあるいは国家財政に寄与をいたしておるといたしましても、この法律の目的はいわゆる機械産業振興を主たる目的として、地方財政、国家財政に寄与するものは副次的に第二義的に考えられておるのがこの法律の趣旨なんです。しかるに今の答弁によりますと、この競走によってのみとは考えられないけれども、少くともそれによって改善されたものをもってして輸出その他による利益というものが十億であるというようなお話であります。これは全くもって弊害ばかりが多くて、利益というものは皆無だと申しても差しつかえない、私はこういうようなことを続けるよりも、少くとも早期にこれを廃止するような方向を政府がとることが正しい政治のあり方であると考えますがゆえに、社会党はすでに昨日御説明も申し上げましたように、その趣旨に基きまして競馬あるいは競輪あるいはモーターボート・レース等々のこういう賭博行為を主とした法律を、以後二年間をもって廃止すべしという法律案を提出いたしておるのであります。もちろん今御答弁にありますように今日きょうからこれを廃止するといたしますならば、それは膨大な施設あるいはこれに使用をいたしておりまする諸財産等の処分及び地方財政等に対しまする措置等、一連の措置を講じなければ、これを一気に廃止するということはできないということをわが党も認めます。しかるがゆえにそれだけの期限を置いて、そして将来これを廃止するという建前に立って、正しい社会秩序を善導して参るということが、当然の責任として考えられなければならぬのであります。従ってわが党はこの廃止の法案を提出いたしました。少くともこの法案の趣旨には私はどなたも反対ではなかろうと思うのであります。政府におきましてもすでに改正法案を出されまして今審議中でありますが、政府の法律案にはそのようないわゆる解消すべき目標を国民に与うべき絶好の機会に際しまして、なおその方向を与えないということは、これは国民を迷わし、かつ社会秩序を善導しないで、逆に悪導の方に導くものである。こう考えるわけでありますから、従ってこの際政府はこれがすみやかなる解消に向って措置すべきであり、私はこの機を絶好の機として、その御意見を明確にせらるべきときではないかと思いますが、運輸大臣の所信を承わりたい。
#20
○宮澤国務大臣 大体のお話の趣旨には、なるほど反対する理由はないと思います。ただこういう公認した射幸的なことを一挙に閉じてしまえば、またそれが隠れた方面に出ていかないとも限りませんし、やはりこれは全体の国民の生活文化の改善向上と相待って、こういう事柄は総合的に考えていかなければいけないのじゃないか。この面にも悪いところばかりではない。やはり人間の生活にこういう楽しみも一つあっていい。その楽しみに付随して起る悪が非常にひどければ、これは是正していかなければならない。やはり人間が伸びていくのですから、あまり窮屈に考えないで、悪い方を是正して、しばらく模様を見るということでこの改正案も出ておりますし、そういうふうな考え方を今政府としてはとっていきたいと考えております。
#21
○山口(丈)委員 運輸大臣はどうも答弁を巧妙にして、目標をはっきりと示されない。従って私は非常な不満を覚えるわけなんです。わが党提出の法律案も、今一気にこれを解消しようという考えは持っておらないのであります。少くとも二年間の期限を置いて解消する。そうしてその二年後に解消を目標といたしまして審議会を作って、そしてよくその実情を検討する。その検討の結果、なお存置すべしという結論が出ればまた別でありますけれども、この審議会において適切なる解消の結論を経て運輸大臣に答申があれば、政府はその解消に向って努力をして参られることが当然の責任であると私は考えるわけであります。従って今運輸大臣の御答弁は、私の質問あるいはわが党が提出をいたしておりますこの廃止法案を何か誤解されているか、あるいはその内容を御存じないのではないかというふうに思うわけであります。私が今の大臣の答弁に遺憾に思いますのは、よい面もある、よい面もあると申されますけれども、そのよい面と悪い面とを比較しまして、たといよい面が七、悪の方が三でありましても、こういう三分の悪を残しているというようなことではいけない。少くとも競輪でありますとかモーターボートとかオートレースとか、こういうようなものは少くとも悪が七割であって善が三割にしか過ぎない。しかるに現実に金を取り上げて政府の責めに帰すべきものを大衆に転嫁して 地方財政をまかなわしめておる、こういうことは私は邪道だと思う。邪道が善をいかほどにかばおうといたしましてもかばえるものではありません。従ってこの際私はすみやかに解消に向うべき研究だけでも、総合的に研究する機関だけでも設けられるべきではないかというふうに考えるわけですけれども、全然その御計画はないのですか、あるのですか、一つ承わりたいと思います。
#22
○宮澤国務大臣 お答えいたします。これらのことを研究していくということはもちろん反対するわけではありません。それは何らかの方法をもって−ただこれに期限をつけてすぐに目標を定めるというのではなくて、改正いたしまして、それを見ながらその両方をやっていったらいいのではないかと考えております。
#23
○山口(丈)委員 もうこれ以上質問をいたしましてもはっきりとした御答弁は得られませんし、そのときばったりの政策でこの種事実を解消しようといたしますことは、それ自体社会が混乱になるわけでありまして、解消の意思なしと断ぜざるを得ません。そういうような社会悪をもあふっていく政府であることを確認いたしておきます。あとは討論に譲ります。
#24
○淵上委員長 ほかに質疑はありませんか。――なければ両案に対する質疑は終了いたしました。
 なおモーターボート競走法を廃止する法律案は議員発議にかかる予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定により内閣に対し意見を述べる機会を与えなければなりませんので、この際内閣の意見を求めます。宮澤運輸大臣。
#25
○宮澤国務大臣 ただいま答弁のうちにも申し上げました通り、すでにモーターボート競走法の改正案が出ておりますので、この改正案によりましてお話のようなこの法の欠陥を是正していきたい、こういうように考えておりますので、この際すぐにこの社会党提案に賛成することは残念ながらできません。
#26
○淵上委員長 それではこれよります。モーターボート競走法を廃止する法律案について討論に入りたいと思います。通告がございませんので、直ちに採決いたします。
 モーターボート競走法を廃止する法律案(井岡大治君外十名提出、衆法第二四号)に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#27
○淵上委員長 起立少数。よって本案は否決すべきものと決しました。
 次にこれよりモーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二七号)について、委員長の手元に委員開谷勝利君から修正案が提出されておりますので、提出者より趣旨説明を求めます。關谷勝利君。
#28
○關谷委員 ただいま議題となっておりますモーターボート競走法の一部を改正する法律案に対しまして、修正の動議を提出いたします。まず修正の案文を朗読いたします。
  モーターボート競走法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  第一条の改正規定中「その他モーターボートの」を「その他モーターボートの製造に関する事業」に、「並びにこれらの」を「並びにこれらの製造に関する事業及び海難防止に関する事業」に改める。
  第二十二条第二項中「製造に関する事業」の下に「並びに海難防止に関する事業」を加える。
  第二十二条の四第四号中「製造に関する事業」の下に「並びに海難防止に関する事業」を加え、同条第六号中「又は」を「若しくは」に改め、「製造に関する事業」の下に「又は海難防止に関する事業」を加える。
 次に修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。御承知の通りわが国周辺の海域は、特殊の気象現象のため海難事故が続出いたしまして、貴重な人命が失われるのみならず、海運界は毎年多額な損害をこうむっておるのであります。たとえば海難統計によりますと、昨年一カ年間における海難船舶は五千四百九十五隻の多数に上り、また積荷並びに船舶に与えた見積り損害額は実に四百億円の巨額に達しておる実情であります。これら海難の防止につきましては、海上保安庁を初め民間各団体においてそれぞれ対策を講じて鋭意努力を続けておりますが、経費の関係上所期の目的を達し得られないことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。よってこの際本法案に基く交付金の一部を海難防止に関する事業に使用し得るように改めましてこれら事業の活発なる活動を促進し、もって船舶航行の安全確保に寄与せしめようとするのが、本修正案の目的とするところであります。何とぞ委員各位の御賛成を得たいと存じます。
#29
○淵上委員長 ただいま提出されました修正案に対し、質疑があればこれを許します。
#30
○中居委員 ただいま提出になりました本法律案に対する修正案に関連いたしまして、運輸大臣または当局者にお尋ねを申し上げたいと思います。実は私は先ほど本法の改正案に関連して質問しようと思ったのでありますが、委員長から質問許可の通知がなかったものでございますから、この修正案に関連いたしましてお尋ね申し上げたいと思うわけでございます。
 今回のこのモーターボート競走法の一部を改正するという政府提案の原案を前提といたしまして考えますならば、ただいま關谷議員から提出になりましたこの修正案は、一歩前進した修正案であるということを認めることに私はやぶさかではないのであります。しかし運輸大臣にお尋ね申し上げたいことは、今回のこのモーターボート競走法の一部改正案の改正の大きな項目は、国庫納付金制度を廃止いたしまして、これを交付金制度に改める、こういうことが今回の改正案の一つの大きな眼目であるのでありますが、こういった競走法というものを必要悪として認めて、何がしかの利益を国家社会に及ぼそう、こういう考え方に立ってこういう制度を存続しようとするならば、どうして国庫納付金制度というものを廃止して交付金制度になさったか、これは政府が考えておられる必要悪というものを是認していくという考え方と相反するものではないか、こう思うわけでございますが、この点いかがお考えですか。
#31
○宮澤国務大臣 これはお話の通り、そう言うと矛盾になりますけれども、そんなにいいことではないということですから、それから上る金を国庫納付金としない方がいいじゃないかというような考えからきておるものであります。
#32
○中居委員 そうすると政府はこういう制度を必要悪として、やむを得ざるものとして認める、こういう必要性を認めて、そしてこういう法律の存続を決定しておきながら、それから上ってくる何がしかのお金を国庫の納付金にして、それを広く国家社会のために使うということ、そのことが私は必要悪として是認せらるべきただ一つの理由ではないかと思うのです。それを国庫納付金制度というものを廃止しまして、これを民間団体べの交付金として、その使用方法も全部一任するということは、私は非常に危険な方法ではないか、こう考えるのですが、重ねて大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#33
○宮澤国務大臣 ただいまの修正案にもあります通り、その方にもまた一つ制限を加えてこういう海難救助の方面にも金を向わそうとか、いろいろ配慮しております。これくらいな金額のものを地方団体の処理にまかせても差しつかえないのではないか、こう思うわけであります。
#34
○中居委員 私はむしろこの売上金の何%かが返ってくる、この金を集中的に社会保障制度、社会事業制度、こういうものに国家の強い命令によって使用する、こういうことによって初めてこういった賭博行為というものが必要悪として是認せられる理由というものが生じてくるのじゃないか、こういうふうに私は考えておるのです。従いましてこういう法律、こういう制度というものを政府が是認するならば、むしろ堂々と国庫納付金としまして集中的に社会事業的なものにこれを使用するということによって、世論の緩和というもの、あるいは国民の納得ということも得られるのじゃないか、私はこう考えておるのです。ところが今回のように国庫納付金制度というものを廃止しまして、それをどうにでも使いなさい、こういうふうな投げやりな態度をするということは、弊害をますます助長させましてこういう制度に対する世論の緩和というものを皆無にしてしまうのではないか、こう私は非常に憂えておるのですが、重ねて大臣の御答弁を願いたいと思います。
#35
○宮澤国務大臣 御質問の御趣旨は一つの御意見として私どもも十分傾聴はいたしますけれども、地方自治体においてもこれはやはり社会事業の方に使っておるわけでありますから、この程度の金額は、その地方々々で得たものを地方の処理にまかせていこうということで、必ずしも国庫に集中しなくてもその目的を達すれば、御意見のような御趣旨によってこれはまかなえるようにもなっておりますので、そういう方面に指導していけばいいのではないか、こう考えております。
#36
○中居委員 それは大臣のお考え違いなんです。地方財政に対しては従来から還付金制度、納付金制度があるのです。それは地方財政の寄与になっているのです。そのほかに国庫に五%ですか、何%ですか、納付せられておった金額を廃止して、それを交付金制度として連合会に交付する、こういうことになったのです。この点を私は伺っておるのです。
#37
○山下政府委員 地方財政の寄与の意味におきまして、昨年度においてはモーターボート関係だけで約十億近い金が投ぜられておるわけでございます。交付金としまして例の関連造船工業の振興に使います金は約一億数千万円になっております。従いましてこの一地方の公共の福祉の点につきましてはそれぞれ地方の自治団体におかれまし出て、その地方の事情を十分反映して有益に計画を立てて進めておられるようであります。額にしましても先ほど申しましたように約十倍近い大きな額が地方に還元されておるわけでございますが、このうち約一割程度をこの造船の関連工業の振興に使いますることは、決して意味のないことではございませんし、またその一億数千万円の納入金がおもに中小企業の設備資金、合理化等にも大幅に使われております。そういう意味におきまして中小企業の振興という事業並びに中小企業の技術の改善という面で、やはり一種の社会福祉的な意義を持つものではないか、ただその範囲が非常に局限されておりますけれども、やはりそういう意味におきましては、一種の社会福祉的意義を持つものではないか、こういうふうに考えております。将来ともやはり先ほど修正の御提案がございましたような、たとえば海難救助にいたしましても、大きな船も海難はありますけれども、海難のおもな数はやはり中小の船主の持っております船でございます。たとえば機帆船とか漁船とか、そういうものがやはり海において相当大きな損害を受けておるわけでございます。そういうことにこの費用の一部が使われ、海難がなくなるということになりますと、やはり大きな意味におきます社会福祉的な寄与が中止企業にも及ぶというふうに考えられるわけでございます。従いまして先生の御意見のように全面的に全部がいわゆる福祉的な意義に使われることにはならぬかもしれませんけれども、そういう意味においては相当程度やはり社会福祉のために使われているということが言えるのじゃないかと思います。
#38
○中居委員 年間一億数千万円、この金は逐年増加すると私は思うのですが、一体交付せられた金の所有権はどこに属するのですか。
#39
○山下政府委員 今度の法律の建前では、モーターボート競走連合会に一応所属するわけでございます。
#40
○中居委員 そうしてその交付せられた年間一億数千万、年を経るに従ってこの交付金額は莫大な金額になってくると思いますが、この交付せられた金額の使途はどういう計画に基いてどのように使用せられるのですか、その具体的な計画をお示し願いたいと思います。
#41
○山下政府委員 従来はこの納入せられました金は連合会のものでございましたが、この使途につきましては運輸大臣が指示されるところに使う。運輸大臣がどういうところに指示されるかにつきましては、それぞれの学識経験者を集めましていろいろ協議をいたしまして、必要なところに使うべきだということを大臣に答申をいただいて、そうしてその答申に基いて大臣が指示をされております。今度の法律におきましては、法律上の解釈でございまするが、そういう競走から上りました金が連合会のものであるのに、大臣がこれを指示するのはおかしいではないか、やはり競走会の金であれば競走会が使うようにすべきだというような法律的な解釈でございます。しかしその使途につきましては、金の性質上連合会がみだりに自分勝手に使うということはいかない。当然その使途につきましては運輸大臣の承認を得て使いなさいというふうな規定になっております。この使い方につきましてはしかるべき組織を設けまして、そこで十分先ほど申しましたような趣旨に合致するような運営が、運輸大臣の納得せられないような線であれば、運輸大臣は当然承認をなさらないのではないか。その趣旨が納得されるものであれば、運輸大臣が御承認されるというふうになります。またその交付金の使用計画その他につきましても、事前に連合会において十分案を練らせまして、それに対して承認を与えて、また毎四半期その実際の使途につきまして十分に監査をする。また計画変更等があれば承認を得させるというような、非常に繁雑でございますが、しかし金の性質上取扱いを非常に慎重に、しかも有効に使われますように、十分な監督を加えていきたい、こういうふうに考えております。
#42
○中居委員 私はそういう制度自体について非常に心配を持っておるのです。大体このモーターボート競走法は、先刻来同僚の山口委員からも指摘いたしましたように、時限立法のつもりで制定せられたものだと私は思っております。しかしこれを数度にわたって改正することによって、なるべく弊害を少くしよう、こういうことで、今まで数度改正になったのですが、そうすることによってこういう時限立法を政府はあるいは運輸当局は恒久立法化しようとしておるのではないか、こういうことを私どもは指摘しておるのです。そうして弊害を少くしよう、そういう考えのもとに改正せられることがどういうことになるかといいますと、一方においては官僚がそういうものについての実権を握ってしまう。見ようによりましては、個々の経理に対するところの特殊法人の設立、こういうものは、明らかにそういう私どもの杞憂というものが事実となって現われておるのではないか、こういうように私は考えております。こういうことが一つ。もう一つは、今回のこの納付金の使途についてでありまするが、民間のそういう審議会、団体の考えに基いてこれを使用せしめる、こう言ってはおりますが、しかし実態は、弊害をなくするために運輸大臣がその事業計画なり何なりについて詳細に検討して認可するのだ、こういうことであります。これも結果論を申し上げますならば、運輸官僚がこういうものについての発言権を持つのだ、こういう弊害が私は当然生じてくると思っております。こういう制度は、現に過去二ヵ年間臨時措置法といたしまして実施して参りました。しかし国庫納付金制度をとっておった過去の実績と、それからこういう臨時措置法によって行われて参りました過去二カ年間の実績の経過と比較してみましても、何らそこにプラスの面がなかった。むしろここに根強いガンというものが形作られつつあるのではないか、こういうことを私どもは考えるのです。しかも私は、社会を混乱せしめることによって社会の暗い面を作ることを前提としながら行われておるこういう制度は、なるべく廃止すべきではあるが、しかしあなた方の言われるように、いい面もあるのだ、こういう必要悪という考え方に立ってやるならば、こういった金の使途は、こういった制度から上ってくる金は、広く国民大衆のために使われるべきものであって、限られた機械工業とか、モーターボートの関連産業、そういうものに限定して使途すべきものではないと私は考えております。しかもこういう制度を行なって参りました過去二ヵ年間の実績をごらんなさい。金の使途をごらんなさい。ほとんど大半が何々振興会、何々協会に対する補助金、こういうふうに流れております。こういう振興会あるいはこういう協会がどういうことをしてそのお金を使っておるかということは、私が論ずるまでもなく、皆様方が十分御了解のことと思うのであります。今日政界とこういった業界とのくされ縁、あるいは官界とのこういった面のなれ合い、こういうことがひどく国民世論の反撃を貝っておる場合に、かりにもそういう疑いを起すような原因を私は作るべきではないと思うのです。これはむしろ堂々と必要悪として、昔のように国庫納付金といたしまして、国庫の収入として国会の審議を得て、そうして国家予算としてこれを国民大衆のために使ってこそ、初めて必要悪であるという一つの理由というものが生じてくると思うのでありまするが、これらについて運輸大臣の確たる所信を重ねて私はお尋ねしたいと思うのであります。
#43
○宮澤国務大臣 ただいま中居さんの御意見き、私どもも重要な御意見として承わりたいと思います。これも三年間の期限で時限がついておるそうであります。やはりモーターボートだけでなく、自転車その他の方面とも関連いたします広範な関係を持っておりますので、それらともにらみ合せまして、ただいまの御意見を尊重してこれから先考えていきたいと思います。
#44
○淵上委員長 有田喜一君。
#45
○有田委員 この提案者並びに政府側に聞きただしたいのでございますが、御承知の通り現在水難救済会というものがありまして、これが海難防止並びにその海難の救助に非常に努力しております。この事業はきわめて重大な事業でございますが、そういう方面に、このモーターボートによる納付金といいますか、この資金を融通されて、そういう真剣な海難防止、救助の事業の発展に大いに資するということは、刻下きわめて重大なことであります。今まで提案者もこの海難防止にはそういう意味が含まれるというように言い、私もそのつもりでおりますが、ここにこの点を明確にいたしたいために、一つ提案者並びに政府から、この水難救済会の救助事業は入るかということをはっきり御答弁願いたいと思います。
#46
○關谷委員 ただいま有田委員からのお尋ねの点は、私はその防止の中に救助の意味を含めて考えております。
#47
○山下政府委員 ただいま仰せございました海難救助の面につきまして御承知のようにただいま運輸省におきまして航行安全審議会を設けまして、海難防止につきましていろいろ研究をいたしております。この結果に基きましてどういう手を打てば一番海難救助、海難防止に役立つか、またはこの海難救助に対しては、どういう点を考えるべきだというようなことが当然審議されまして、この結論が得られることと思います。従いまして私どもといたしましては、ただいま提案ございました点につきまして、そういう審議会等の意見を相当尊重いたしまして、処していきたい、こう考えております。
#48
○淵上委員長 これにて質疑は終了いたしました。これよりモーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二七号)及びただいま提出されました修正案を一括して討論に入りたいと思います。山口丈太郎君。
#49
○山口(丈)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたモーターボート競走法の一部を改正する法律案並びに同法律案に対する修正案について討論をいたしたいと思います。もうすでに質問におきまして明らかになりましたように、この法律は当初から地方財政に寄与し、かつわが国産業の振興、発展を目的として設けられたものでございます。しかし当初よりこれは時限立法として制定せられたものであります。今日モーターボート競走に限らず、競輪及び地方競馬、公営競馬、オートレース等の射幸的なこの種の競走によりまする収益は、そのねらうところが主として一般庶民を対象といたしまする大衆層であります。しかもその開催せられるに当りまして車券もしくはこの種の競走券の発売等につきましても、何らの制限が付されておりません。従って娯楽の範囲を逸脱し、しかも社会悪は年々増大する傾向にあるばかりではなく、きわめて平和に暮しつつありまする庶民生活をはなはだしく脅かし、かつそれによりまする悲劇は随所に見受けられるわけであります。かりに今申しました競輪あるいは地方競馬、公営競馬、モーターボート競走、オートレース等に限ってこの売上高を見ましても、昭和二十九年には千二十六億八千余万円をあげております。三十年度におきましては千六十二億八千余万円、昭和三十一年度におきましては千二百三十八億円の巨額に上る売上げをあげているのであります。このほかあるいは市井にありまするパチンコ屋、その他富くじ等、この種射幸心をあおるようないわゆる公営賭博的な施設によりまして大衆の乱費いたしまする費用は、まことに膨大なものがございます。今日社会の秩序もようやく回復し、わが国経済、産業の発展とともに、今こそ社会の悪を取り除いて、われわれはその良心に従って国の政治を正しく実行することが、当然の責任でなくてはならぬと思うのであります。しかるに先ほど来の質疑によりましても、政府におきましては、このような社会悪を知りつつなお本制度を存置し、しかもこれが廃止等の措置につきましては何らの具体策も持ち合わされていないことをはなはだ遺憾に思うのでございます。わが党はすみやかにこのような法律をなくいたしますために法案を提出いたしましたけれども、これは本委員会のみならず、全議員が、内心におきましてはその良心に従って廃止すべきであると考えつつも、今日のいろいろな情誼、情実等をこわがって否決せられましたことは、はなはだ遺憾であります。私どもは一刻も早くこの種法律の全廃せられんことを望み、かつそれが国民に善政をしく良心的な行動でなくてはならぬと私は強く主張いたすのであります。従いましてただいま提出せられました修正案につきましても、もしこの法律が存続せられ、このモーターボート競走がなお行われるといたしますならば、その収益から海難救助に関する費用に幾分なりとも充てられていくというのでありますならば、その趣旨においてはけっこうでありますけれども、このような事業を行うにいたしましても、今申し上げましたような出発点が邪道より発するものであるといたしますならば、断じて賛成するわけには参りません。従って以上の趣旨によりまして、本法案並びに修正案に反対をいたします。
#50
○淵上委員長 これにて討論は終了いたしました。
 これより採決に入ります。まず最初に閥谷勝利君提出の修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#51
○淵上委員長 起立多数。よって本修正案は可決することに決しました。
 続いてただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#52
○淵上委員長 起立多数。よって本案は修正可決されることに決しました。
 なお本日議決されました両法案の報告書の作成につきましては、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○淵上委員長 それではさように決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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