くにさくロゴ
1956/05/16 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 運輸委員会 第30号
姉妹サイト
 
1956/05/16 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 運輸委員会 第30号

#1
第026回国会 運輸委員会 第30号
昭和三十二年五月十六日(木曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 淵上房太郎君
   理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君
   理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君
   理事 井岡 大治君
      有田 喜一君    關谷 勝利君
      中嶋 太郎君    永山 忠則君
      堀内 一雄君    小山  亮君
      下平 正一君    松原喜之次君
      山口丈太郎君    山崎 始男君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
 出席政府委員
        運輸政務次官  福永 一臣君
        海上保安庁長官 島居辰次郎君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (銀行局保険課
        長)      松本 十郎君
        運輸事務官
        (海運局定期船
        課長)     中野  大君
        運輸事務官
        (海運局海運調
        整部長)    辻  章男君
        海上保安監
        (警備救難部
        長)      砂本 周一君
        運輸事務官
        (中国海運局運
        航部長)    田仲 舎人君
        参  考  人
        (第五北川丸遭
        難者対策委員
        長)      住  留吉君
        参  考  人
        (芸備商船株式
        会社代表取締
        役)      石部 松夫君
        参  考  人
        (中国地方定期
        交通船組合理事
        長)      奥窪 謹策君
        参  考  人
        (日産火災海上
        保険株式会社新
        種保険部長)  小山田義一君
        参  考  人
        (日本定期船協
        会理事長)   渡辺  浩君
        専  門  員 志鎌 一之君
    ―――――――――――――
五月十六日
 委員眞鍋儀十君及び上林與市郎君辞任につき、
 その補欠として小澤佐重喜君及び山崎始男君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員小澤佐重喜君辞任につき、その補欠として
 眞鍋儀十君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十四日
 白石、北白川駅間に駅設置の請願(愛知揆一君
 紹介)(第三二〇一号)
 同(保科善四郎君紹介)(第三二〇二号)
 南九州地区にレーダー設置に関する請願(池田
 清志君紹介)(第三二〇三号)
 三陸沿岸縦貫鉄道全通促進に関する請願(小澤
 佐重喜君外一名紹介)(第三二〇四号)
 山陽本線の電車化を上郡駅まで延長に関する請
 願(山口丈太郎君紹介)(第三二〇五号)
 特定水域指定解除に関する請願(星島二郎君紹
 介)(第三二四六号)
 瀬戸内海の航行危険水域に航路標識増設に関す
 る請願(星島二郎君紹介)(第三二四七号)
 瀬戸内海における海難事故防止等に関する請願
 星島二郎君紹介)(第三二四八号)
 国鉄旧ずい道を国道へ移管の請願(西村直己君
 紹介)(第三二五三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 第五北川丸遭難事件に関する件
    ―――――――――――――
#2
○山本(友)委員長代理 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
 委員長が法案提出者として内閣委員会に出席になっておりまするから、私が御指名によりまして委員長の職務を行います。
 この際御報告をいたします。去る十三日設置されました請願審査小委員会は、その数を十二名とし、
   今松 治郎君  木村 俊夫君
   永山 忠則君  畠山 鶴吉君
   淵上房太郎君  堀内 一雄君
   松山 義雄君  山本 友一君
   井岡 大治君  下平 正一君
   山口丈太郎君  松尾トシ子君以上の方々を小委員に、小委員長には堀内一雄君を指名いたしました。
 なお委員の異動等に伴う小委員の補欠につきましては委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○山本(友)委員長代理 それではさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#4
○山本(友)委員長代理 本日は第五北川丸の沈没による遭難事件につきまして審査を行います。第五北川丸の問題につきましては、本委員会におきましてもしばしば調査を行いましたが、本日は直接当事者の方々及びその関係者の方々を参考人として、種々御意見及び実情を聴取いたしたいと存じます。なお仁田参考人は、御病気のため出席しかねる旨診断書を添えて申し出がありましたので、御了承願います。
 この際本委員会を代表いたしまして参考人各位にごあいさつを申し上げます。参考人各位には、第五北川丸の沈没という不幸なできごとのため、その処理に日夜心痛され、御多忙の毎日を送っておられると存じまするが、本委員会の調査のためわざわざ御出席をいただき感謝にたえません。忌憚ない御意見の発表をお願い申し上げます。
 なお参考人各位にお願いいたしますが、御意見及び実情の発表に当りましては、あとに委員各位の質疑もございますので、なるべく五分程度におとどめを願いたいと存じます。なお参考人の発言時間につきましては、参考人の方々の御都合もあることと存じますので、委員長に御一任いただきたいと存じます。
 まず最初に、第五北川丸遭難者対策委員長住留吉君にお願いを申し上げます。
#5
○住参考人 第五北川丸遭難事故発生後直ちに遺家族大会を開きまして、遭難者対策委員会を設置いたしまして、それ以来、遭難船の引き揚げ作業、遺体の引き渡し手続、遺族宿泊旅費、遺体発送、遺体捜査継続等、委員会といたしまては、広島検察庁、海運局、海上保安部、サルベージ会社、芸備商船株式会社とたびたびの交渉会見の結果、遺族と政府の出先機関と会社側とはきわめて順調に、大した摩擦もなく事を運んで参りました。ところが遺家族としては最も重要視して強く要求いたしておりまする弔慰金、補償金に至りましては、会社側としては、御遺族に対しまことに申しわけなく、誠意は持っておるが、会社の資産内容ではいかんともできがたいと申しておりまして、今日遺族としては弔慰金十万円、補償金百五十万円は最小の要求額であるのでございまするが、委員会といたしましてはたびたびの相談をいたしました結果、辛うじて十万円と百五十万円を要求いたしたのでございます。ところがその後会社側としてはこれに応じかねまして、弔慰金のうちの一万円を内渡しとしてちょうだいすることになり、本月の十日が受け渡しの期日になっておりますが、今日いまだなおその問題が解決しないというような実情でございます。
 かようなことでありまして、遺族といたしまして、この問題につきましてはいろいろと要求をいたしておりまするが、会社側といたしましては、これ以上責められることは、会社は赤字となり、破産することになり、職員雇用者五十家族が路頭に迷うとか、九航路の島民との足がとまるとか、株主は商法による委付をもって免責せよというような声があるとかいうことで、まことに非人情的な、道徳に欠けましたる遺憾なことをわれわれに申しておるのでございます。さらに遺憾に存じますことは、芸備商船の親会社は瀬戸内汽船であり、芸備商船の株主の八〇%は瀬戸内汽船の重役で占めているようでありまして、瀬戸内汽船より芸備商船が分離いたしましたことは、瀬戸内汽船一つの航路権であっては将来競争船が出願のおそれがあることを考慮して、子会社として、しかもその経理面だけは別個のものとしてあるということであります。これは瀬戸内汽船社長の政治的に運ばれたという県民の声もあるのでございますから、瀬戸内汽船みずからも、みずから進んで弔慰金、補償金を解決すべきであろうと考えます。
 会社側の言い分といたしましては、事故発生後所有船一隻を重役個人保証によりまして五百万円の融資を受け、さらに五百万円を重役それぞれの融資によりて調達、都合一千万円をもって船体引き揚げ、遺体捜査費、遺族の旅費、宿泊、遺体の発送、香典、弔慰金等々に充てるというのでありますが、株主資本金九百万円は別といたしましても、三十一年度借入金七百三万円と、事故発生による借入金一千万円、都合約千七百万円でありまして、会社の資産約千九百七十万円で、まだ二百七十万円が残るような会計面になっておるのでございまして、航路権を他に譲渡するなれば、誠意をもって弔慰金、補償金ができるものと考えるのでございます。
 また天災地変によって災害救助法の発動を見たことは存じておりまするが、人災をもって起したこういう事故に、厚生省が広島県をして災害救助法を発令せしめたことは今回が初めてであろうと存じまして、政府なり県がいかに事態を重視せられたかということにほかならないと思います。そこで政府におかれても、法的の責任については私としては存じませんが、行政的な、徳義上の責任を果していただくことをわれわれ遺族といたしましては念願するものであります。
 その一つの理由は、瀬戸内海中最も危険な難所であり、たびたび事故の発生する虎丸礁に今日まで標識を立てておらなかったということ、第二は、十六才の少年に見習いの免許を与えておったということ、第三は、平素運航について指導監督に欠けておったという点、第四は、人命を左右する海運について、事故発生を考慮しての弔慰金、補償金を出せないような会社に重要な航路をまかせておったということ、第五は、一がいに定員過剰というが、定員過剰によって自然に沈没したものではない、危険標識もない虎丸岩礁に衝突したものであって、定員を守っておってもこれに衝突いたしましたなれば沈むのは当然であろうと考えます、第六は、定員過剰が原因であるなれば、船員の停止するにもかかわらず、大蔵省の職員である税務官吏二十四名が、暴言を吐いて集団乗船をしたという事実がありまして、その引率の責任者はただいま進退伺いを出しておるというようなことでございます。これらを考えまするならば、定員過剰のゆえをもって保険金の支払いを、約款をたてにとって支払わないのもおかしいと遺族の方は申しております。私は弔慰金の十万円、補償金の百五十万円の要求は、まことに悲惨きわまる遺家族としては決して無理のない要求であると考えます。ゆえに、その要求額はいずれから支出いただきましてもけっこうであります。もちろん瀬戸内海汽船、芸備商船両会社を初め保険会社、政府、この四者より、ただいま悲惨なる生活をしておりまする遺家族に要求額を支払っていただきたいのでございます。
 本委員会とせられましても、われわれの意のあるところをおくみ取り下さらんことを御懇願申し上げる次第でございます。
#6
○山本(友)委員長代理 芸備商船株式会社代表取締役石部松夫君。
#7
○石部参考人 私、芸備商船株式会社代表取締役の石部松夫でございます。
 去る四月の十二日、三原市佐木島の西方の虎丸岩礁におきまして、私どもの所有船第五北川丸が大きな事故を起しまして多数の犠牲者を出し、御遺族の方はもちろん、社会一般に対しまして何とおわびを申し上げてよいやら、言葉もない次第でございます。三十有余日の海上、海底捜査を続けておりますが、なお二十九体の御遺体がいまだに行方不明であるということにつきまして、私はらわたを裂かれるような思いでございます。つきましては御遺族の方々にできるだけのことはいたしたいと思っておりますが、会社の実情その他によりまして、私非常に苦慮いたしておりまして、できるだけのことをして御遺族の方々をいつまでも私はしょって立っていこう、このように考えておりますが、その点で連日連夜苦慮いたしております。どうぞこの点御推察願いまして、皆様の御援助その他を懇願する次第でございます。なお国会より諸先生方を御派遣いただきまして現地にお見舞をいただきましたことはまことに恐縮に存じ、ありがたく存じました。以上でございます。
#8
○山本(友)委員長代理 中国地方定期交通船組合理事長奥窪謹策君。
#9
○奥窪参考人 中国地方定期船組合の組合員たる芸備商船が今回の大事件を起しまして、まことに申しわけないと存じております。遺族に対しましてはもちろんのこと、また世間を大へんお騒がせしまして、何とも申しようがないのであります。
 われわれといたしましても、今後用心しなければならぬことはもちろんでありますけれども、今回の事件に対しましても遭難者に対してできるだけのことはしてあげたい、御援助したい、かように考えておりますけれども、何さま私どもの組合は申すに及ばず、また芸備商船としても貧弱な会社でありまして、思うようにいきません。この点返す返すも遺憾に存じて、いろいろと心配しておるような次第であります。どうぞよろしく一つ御協力をお願いいたします。
#10
○山本(友)委員長代理 日本定期船協会理事長渡辺浩君。
#11
○渡辺参考人 今回私どもの会員であります芸備商船の惨事につきましては、まことに申しわけないと存じております。この事件に対しまして定期船協会といたしまして処置いたすべきことはたくさんございますが、特に遭難者の遺族の方たちに対しまする弔慰の問題につきまして、私どもでは全会員を一団といたしまして、船客傷害賠償保険というものを東京海上以下十八の日本じゅうの保険会社と団体契約をいたしております。この点につきましてどういうふうに進めておるかということを御報告申し上げたいと思います。
 定期旅客船事業者が私どもの会といたしまして約四百近くございますので、これらのものをまとめまして定期船協会が保険契約者なり会員たる事業者を被保険者といたしまして、船客に死傷のあった場合、その賠償いたしましたものを保険会社から填補を受けるという契約を結んでおります。今回の事故に当りましてこの保険金が取れるかどうかということが問題になっておるのでありますが、一般の保険契約におきましては、保険契約者もしくは被保険者の故意または重大な過失のあった場合には、保険会社は保険金の支払いをしないということになっております。これが非常に判定といたしまして困難な問題でございますので、定期船協会と十八の保険会社の間に結びました契約におきましては、もっと具体的に特別約款を設けまして、これらの責任の見解を明らかにいたしたのであります。そんな関係で今回の事故が約款から見まして、保険金として請求いたしますことは困難なように存じます。従いまして私どもは保険金としては請求いたしておりません。しかしながら今回の事故は非常な大きな社会問題であり、多数の遭難者の方に対しまして何とか弔慰の方法を講じなければならぬ、かように考えましてお見舞金、弔慰金、名義は何であるとを問いませんが、とにかくでき得る限りのものを保険会社十八社で出してもらいたい、かように考えまして、幹事会社である東京海上、大阪住友、日産火災、この三社に向って強く要望をいたしております。ただいま三社におきましていろいろ研究され、また過般三社のあっせんで十八社の担任老とも懇談いたしまして、何らかの方法を設けて、相当まとまったものを出してもらいたいということを強く要望いたしておりまして、私ども保険会社の方において十分考えていただけると確信を持って、なおこの話を進めておるという次第でございます。
#12
○山本(友)委員長代理 日産火災海上保険株式会社新種保険部長小山田義一君。
  〔山本(友)委員長代理退席、委員長着席〕
#13
○小山田参考人 日産火災海上株式会社新種保険部長の小山田でございます。
 まず順序といたしまして第五北川丸の加入しております保険の性格について申し上げ、この保険は一体どういう保険契約であるかということを明らかにいたしたいと思います。
 保険の種目は、船客傷害賠償保険という名称でございます。保険契約者は日本定期船協会、被保険者は本契約の場合は日本定期船協会の会員であります芸備商船株式会社でございます。この保険の責任の範囲でございますが、保険の申込書に記載されました航路に就航中に、偶発事故によりまして船客の生命または身体を害しました場合に、それらの船客に対しまして被保険者、つまりこの場合には芸備商船株式会社でございますが、これが法律上の賠償責任を負いまして、現実にこれを支払いましたときに、それによる被保険者の損害を填補する、こういう保険でございます。ただし特約条項がございまして、第四条の特約条項並びに特約条項の免責規定となっております第六条、これに違反した場合には保険金額は払われない、こういう契約になっておるのでございます。ただいま申し上げました第四条と申しますのは、搭載船客の人員の最高限度というものが定めてございまして、この限度を越えました場合には、契約は一切填補する責めに任じない、こういうことになっておるわけでございます。また免責規定で第六条ということを申し上げましたが、そのうちのおもなるものを申し上げますと、保険契約者、被保険者あるいは保険金を受け取るべき者、またはこれらの者の代理人、これは船長、乗組員または水先人を除くわけですが、もしくは使用者の故意または重大な過失、これは免責になる、こういうことになっておるわけでございます。ただいま申し上げましたように、この保険は被害者を直接救済するわけではございませんでして、船主の異常危険を保険契約の目的といたしております諾成契約でございます。それゆえ保険者といたしましては、根本的にこの契約は免責である、かように考えておる次第でございます。しかしながら多くの災害者に対しましてまことにお気の毒でございまして、われわれといたしましても衷心より御同情申し上げております。そこで保険会社といたしましては、全く填補の責任はないのでございますけれども、政府及び関係官庁の方々も非常に心配せられておりますので、保険会社といたしましても何とかならないものか、こういう工合に考えておりまして、目下協議をいたしております段階でございます。
#14
○淵上委員長 以上をもって参考人の意見の御開陳は一応終了いたしました。御意見がありましたならば発言を許します。關谷勝利君。
#15
○關谷委員 参考人各位に簡単に基本となります事柄だけをお尋ね申し上げたいと思います。この事故を再発させないということにつきまして、恒久的な対策につきましては、私は風前に政府に責任があるということをはっきりと申し上げておるのであります。今日の場合は時間の関係で省略をいたしまして、現在遺族の方々がまことにお気の毒であって、これに対して弔慰金あるいは補償金等を何とかして少しでもたくさん出してあげたいというのが、私たちの今の気持であります。それについて関連しております事柄を、少しずつ参考人各位にお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず第一番に、芸備商船の社長の石部さんにお尋ねをいたしたいのでありますが、会社の現在の経理の内容、資産、負債、あるいはこれを差し引いて残りがどのくらいあるのか。それを誠意をもって支払いをする場合に、どれほどの金高を負担し得るのかということ、並びに今までの捜査その他に対して支出をいたしております費用が、どれだけであるのか、この点を伺ってみたいと思います。
#16
○石部参考人 ただいままでに消費いたしました経費について申し上げます。現在ただいままで捜査費用、御遺族の御遺体とかそういうものの輸送費用、各遺家族の方の現地での宿泊費用、船体の引揚費用、捜索費用その他一切を含めまして、すでに支払っておるものが六百四万七千円でございます。なおすでに経費を使いまして未払いになっておりますものが四百五万七千円、一千十万円の捜査費をすでに使っております。そのうち五百万円は所有船のふるたかを取引先にお願いしまして、五百万円の融資を願っております。なお残余の五百万円につきましては、私いかに金策すべきか非常に……。銀行あたりももうすでに貸してくれませんし、非常にこの点では苦慮をいたして日夜奔走しておりますが、いまだに見通しはございません。昨年の十二月三十一日、芸備商船として第十回の決算終了時でございますが、その後大した資産の移動もございません。それに最近全部関係書類を検察庁その他に押収されまして、全然最近の資産表を作ることができない状態でございますので、三十一年の十二月三十一日の決算書に基きまして、全部のものを一応処理し、現在の所有物を全部処理して、なお支出しましたものを処理いたしますと、負債が九百七十二万円に対しまして、処分価格が九百九十四万円となります。まだこのほかに、解散するとすれば会社規定によりまして退職金その他のものもございますので、これはこの中に含まれておりません。簡単でございますが……。
#17
○關谷委員 私が伺いますと、今の処分価格との差がなくなってくる、解散の退職金もなくなってくる、そうして資産表を作ることもできないという状態で、会社はまことに遺憾な状態にあると思います。
 次に私はお尋ねをいたしたいのでありますが、先ほど遺族代表の方から、瀬戸内海汽船が親会社である、こういうふうなことがありましたが、この瀬戸内海汽船との関係はどういうふうになっておるのか、これを石部さんから伺っておきたいと思います。
#18
○石部参考人 昭和二十七年の二月、芸備商船株式会社が発足いたしたのでございますが、当時瀬戸内海汽船には二百トン、五百トン、そういう大きなクラスの船を持ちまして、幹線航路、相当大きな航路に就航しておるものもあり、また島嶼部を、小さい船で小さい航路をやっているというようなものも、それぞれ航路は雑多のものがございまして、この運営につきましても大きいものと小さいものとのいろいろむずかしい点がございましたので、これを分離することによりまして、おのおの性格を生かし、なお芸備商船に分離しました航路の収益等からいたしましても、非常に採算率の悪い航路でありましたので、それを分離することによって、一般利用者の方々の利便により以上の貢献ができるというような見地からいにしまして、芸備商船を分離いたしました。これは公正取引委員会の届出もいたして、御承認いただいております。それ以来、芸備商船も分離いたしましてからは、過渡期におきましては相当採算面に苦しい面もございましたが、年を追うに従いまして、経営も多少楽になって参りましたが、なお所期の利益をあげることができず、瀬戸内海汽船の持ち株に対する配当金その他については、一応辞退をしてもらっておりますような状況でございまして、現在の採算もあまり楽ではございません。以上でございます。
#19
○關谷委員 内容はともかくでありますが、その瀬戸内海汽船と芸備商船というものが親会社、子会社の関係というのか、今までその瀬戸内海汽船の応援によっていろいろ事業をやっておるのか、あるいは全然別個で関係なしということになっておるのか、その点を伺っておきたいと思います。
#20
○石部参考人 経理はどこまでも全然別でございます。瀬戸内海汽船と芸備と、取引については一銭もそういうふうな親子の関係は全然ございません。はっきり経理は分れております。
#21
○關谷委員 次にお尋ねをいたしたいのでありますが、保険会社の関係であります。先ほど保険の性格があくまでも船主の異常負担に対してこれを補てんするのだという御説明がありましたが、私はそういうふうなことなら船客傷害賠償保険という名前自体がおかしいのではないかと思うのであります。それがしかも異常負担を補てんする意味の保険だから、今度は免責規定によって払う必要はないのだというふうなことでありまするが、保険会社の方は御承知かどうかしれませんが、保険の保険料というものは運賃の中に含まれておるのでありまして、それが船長あるいは船主の重大な過失であろうとあるいは故意であろうと、この船客にはそういうことは一切かかわりないのであって、被害者である船客に対して払うべきものではないのだというようなことであるといたしますと、こういうふうな保険はやめてしまえ、そうしてそういう保険がないなら、船客の傷害賠償保険というふうなものを別途に、自動車の場合と同じようなものを作らなければならぬとこういうことになるのでありますが、旅客に対してその危険を保障するのだというふうな考えは、この中には毛頭含まれてないのか。もう一回はっきり伺っておきたいと思います。もし何にもないのだというふうなことならば、私たちとしてはあなた方のような保険会社を相手にしない。国家が再保険をして船客に対しまする保障というものができるような保険というものを作らなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありますが、あなた方どういうふうに考えておられますか。はっきりと伺っておきたいと思います。
#22
○小山田参考人 ただいまの御質問でございますが、先ほど申し上げましたようにこの契約は、直接被害者を救済する保険ではないのでございまして、一般の傷害保険も現在ございます。でございますから一般の傷害保険をおつけになっておられました場合には船主あるいは船長……。
#23
○小山(亮)委員 ちょっと……。船客傷害保険でしょう。船客と書いてある。目的はここじゃないでしょうか。船客は関係がないのですか。対象じゃないですか。そういう点はへ理屈を言わないではっきり言って下さい。あなた方がそういうことを言えばこっちも言うことがある。船客とあるのですよ。船客傷害保険と書いてある、船客はこの中に入ってないのですか。
#24
○小山田参考人 ちょっと混乱しておるようでありますが……。
#25
○小山(亮)委員 混乱しておるのはそっちじゃないか。
#26
○小山田参考人 私どもは先ほど申し上げておりますように、保険の性格というものをはっきり申し上げておるのでありますが、この契約の場合には、一定の契約の条件に基いて契約をしておるのでありまして、この条件を越えておりますものにつきましては、一応填補責任はない、かように申し上げたわけであります。
#27
○關谷委員 あなた方保険会社は、まるでインチキのようなものであります。船客傷害賠償保険というようなこういう名前はおやめなさい。船客をだますものであります。そういうふうなものをつけておるというようなことは、私はもってのほかだと思います。それと、そうなりますと、渡辺さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、あなた方は会社を擁護するためにこの保険をつけておるのですか、あるいはこの被害者、船客を擁護するためてつけておられるのですか。この点を伺っておきたいと思います。
#28
○渡辺参考人 この保険は両方でございます。会社はどうせそういう場合には相当のお見舞なり弔慰金を何とかして出さなければならぬ。出すためには会社をつぶしては困ります。だから、お客さんに何とかして出さなければならぬ、それを会社は出すが、出したあとつぶれないように補てんしてもらおう、こういうことになりますので、遭難者の方にも、あるいは会社の方もそのためにつぶれないようにしたい、こういうねらいでこしらえたものでございます。
#29
○關谷委員 私はかって陸上で自動車の賠償保険を作りました際に、海上においても同じように、海上運送法によりまして強制保険を命令することができるという一項がありますので、そういうふうなことをしろというようなことを言ったのでありますが、その私たちの考え方の基本となりますものは、船客の受ける被害に対してそれを補償しようという趣旨で、私たちはあの中へあの条文を取り入れておるのであります。ところが今保険会社とあなた方の考えておりますところによると、会社に補てんすることが即船客の傷害の補償にもなるのだというふうなお考えでありますが、私たちは会社に対してやるというふうなことはその際にも考えてなかったのであります。もし保険会社もそういうふうになっておるといたしましたならば、あの条文は何も意味をなさないものであって、あれを裏づけするためには、別途の傷害保険というふうなものでもつけなければならぬというようなことになるのでありますが、保険会社にはまだ船客に対します傷害保険というふうな性格のものがあるのですか、ないのですか。これを保険部長の方から聞いておきます。
#30
○小山田参考人 一般の傷害保険は現在ございます。この船客という文字を使いましたのは、率直に申しますと、船に乗っておられます方がけがをされた場合に、被保険者の方に補てんする。被保険者と申しますのは船主でありますが、そういう意味で船客という言葉が使われておるわけでございます。
#31
○關谷委員 そうしますと一般傷害保険というふうなものも、この定期船協会のような団体としてつけることができるのですかどうですか、この点伺っておきたいと思います。もしそういうふうなことができるとすれば、なぜそういう保険をつけておかずに、異常負担を補てんするというためにつけたのか、この点を保険部長と渡辺さんと両方から聞きたいのでありますが、一般傷害保険というふうなものに対して、定期船協会のような場合に団体保険がつけられるのかつけられないのかということを保険部長にお尋ねいたします。そしてそういう保険があるということになれば、なぜ定期船協会の方はその方の保険をつけておかなかったのか、これを聞いておきたいと思います。
#32
○小山田参考人 お答え申し上げます。一般の傷害保険は現在ございますと申し上げましたが、これは船に乗ります際にそれぞれつけるということは、現状では非常に困難ではないかと思います。と申しますのは、傷害保険の性格からいたしまして、あらかじめ契約者個々に契約しておかなければならないわけであります。
#33
○關谷委員 団体契約ができるかできないかと聞いておる。
#34
○小山田参考人 団体契約そのものはできるのでございます。
#35
○關谷委員 おかしいな。そのつどそのつどでなければつけられぬというふうなお話ですが、そんなばかげたお話がどこにありますか。そんなことはないはずであって、年間通じて保険金をかけておれば、いついかなるときにそういうふうなことがあっても、船主が乗客に対しまして、その乗客が被害を受けた場合に、乗客に支払い得るという保険があるのかないのかということを聞いておるのであります。
#36
○小山田参考人 傷害保険は特定の人の傷害保険でございますから、あらかじめ傷害保険をつけられる方の、つまり被保険者となる方の氏名というふうなものがはっきりしておらなければ、現在では契約できない保険になっております。ですからただ不特定のお客さんが常に乗る、そういうものを包括した傷害保険、こういう制度は現在ではございません。
#37
○關谷委員 それがないのなら、定期船協会あたりもあなた方を相手にして契約することはやめなければなりません。そしてはっきりと渡辺さんおやめなさい。こんなばかげた話がありますか。これは特定の人で名前がわかっていなければならぬというふうなことで、それなら運賃の中へその保険金を含めておるというのが運賃構成の要素になっておるのでありますが、乗客からはそれを取って、そして今度きた金は、その被害を受けた乗客が保険金を受け取るのでなくして、船会社の補てんだというふうなことになるのであれば、これは別途私たちは考えなければなりません。自動車の損害補償というふうなものと同じようなものを作らなければならぬのでありまして、こういうふうなことで保険会社がこれから先もやっていくということは大へんなことであります。ことに名前は、これは羊頭を掲げて狗肉を売るというのかどうか知りませんが、船客傷害保険というふうな名前を使ってはなりません。こういうふうな名前を使っておりますから、みんな世間では誤解して、そういう保険があるので当然払ってもらえると思っております。現にここに遺族の代表者がおられますが、保険会社から払ってもらえるものだと思っておるはずであります。それがそうではないというふうなことであるのなら、こんな保険契約というものはやめて、別に私たちは遭難した船客の遺族、あるいは本人が負傷した場合には本人等が、いかなる場合にも受け取れるという保険を作らなければなりません。こんなばかげた保険はありません。そして免責規定がありますからとかどうとか言いますが、船客に何の責任がありますか。死にたくて乗っておる者は一人もないのであります。それをいろいろなことを言って、これは払わないで済むのだというふうなことなら、こんなばかげた話はありません。こういうふうな保険ではどうにもなりませんが、これは私たちもその保険について考えますが、定期船協会というものもこういうふうな保険であるのなら、そんな性格のものならもう少し研究をして、船客が補償を受けられるような保険というふうなものをお考えにならなければならぬと思います。そういう点について渡辺さんの御意見を伺っておきます。
#38
○渡辺参考人 先ほど私、これは乗客の方と会社の両方に利益をするような御説明をいたしましたが、会社が助かるということはその結果として助かるだけのことで、もともとは名前のように船客傷害賠償保険でございまして、船客に賠償したその補てんを保険会社から受けるという趣旨になっておりまして、それ以外のものを何も船会社が保険会社からもらうのじゃないのでございまして、遭難されたお客さんの死傷に対しまして賠償金を出した、その額を全額補てんしてもらう、こういう趣旨の保険でございます。ただそういうふうにやった結果としては、船会社がそれだけ本来出すべきものをあとで補てんしてもらったからそれだけ助かった、結果としては船会社も助かる、こういう意味で申し上げたのです。
 それから今お話のようにお客さんには何ら故意過失はないのだ、そういう者に事故があった場合に、なぜすぐ払えるようにしないか、そういうものをやらぬかという御意見でございますが、私どもがかりに乗客の方から全部保険料をいただきまして、そして保険会社へ払い込んで契約しているということになりますれば、もうこれは船会社は通さないで直接お客さんへやれるわけでございます。ところが今の保険は、なるほど運賃を認可されます際には、いろいろな要素、たとえば燃料は幾ら、あるいは船体保険料は幾ら、あるいは船用品費は幾ら、こういったものをこまかく計算いたしまして、これでこの運賃をいただけばこの航路は経営できるということで御認可をいただいております。従って運賃計算をします際に、要素として一応それを織り込んでおります。その場合にそういう計算から、かりに百円の運賃を取るのだということになりましても、地方の実情その他で、これを九十円にしなければならぬ、あるいは八十円にしなければならぬ、こういう場合に一体それではその原価計算のどの部分を削ったのかといいますと、これは必ずしも明らかでないのでございます。従いまして保険料を原価計算の中で見たと申しましても、運賃のほかに保険料を別にもらうということになっておりませんので、私どもは直接お客さんを相手に保険をつけるということはできません。ですから保険料に相当するものは、とにかく全般の収入の中から船会社が醵出いたしまして、これを基礎にいたしまして保険をつけている、こういうことになっております。
#39
○關谷委員 渡辺さんの今のお話はちょっと違います。これは運輸省が運賃を認可しております際には、その中の要素の一つに保険料は入っておるのだ、これはかって調整部長か海運局長か定期船課長かだれか知りませんが、はっきりと答弁にあるので、いずれ私は記録を調べまして、またそういうふうなことであなた方にお話し申し上げることがあるかと思いますが、それは含まれておるのであります。別にもらったのではないと言いますが、運賃決定の要素になっておるということは間違いないのであります。それから先ほど保険部長は、特定の人でなければ不特定多数の者ではできないのだ、こういうふうなお話でありました。また会社がこれを当然払うのだ、そして払ったものを負担するのだというふうなことになっておるというのでありますが、これはその中に会社が入るということは非常にいろいろな場合に障害になることがありますので、私たちはこういうふうな場合に、被害を受けた旅客が直接補償してもらえるというふうな保険の制度を考えたいと思います。しかも船長あるいは船主の重大過失とか、あるいは故意の場合には払わないでよろしいというような、そんなばかげた保険は私たちは改正すべきものであると思います。もし保険会社が改正をしないようでありましたならば、別の保険を作って、そういう保険会社は相手にしないということにしなければならない。私たちはそういう方向に持っていきたいと思います。これはいずれ残された問題といたしまして私たちは考えたいと思いますが、今保険会社といたしましては、この事件に対しましてどういうふうなお考えを持っておられるのか、その点を最後に伺っておきます。
#40
○小山田参考人 保険会社といたしましては、一定のワクに基きましての契約を常にしておるわけでございますので、このワクを越えましたものの処理につきましては、慎重に審議をする必要があるわけでございます。目下審議をいたしております過程でございます。
#41
○關谷委員 私が先ほど申し上げたので大体あなた方もわかっておられると思いますが、あなた方の今度の出ようによりましては、これは契約に基けばのがれ得るというのでそういうふうなことを考えて、徳義的なことを考えずしてやった場合には、私たちは別の保険を作らなければならぬという結果にもなるわけでありますが、その点について審議中と言っていつまで審議するのかわかりませんが、これは大蔵省あたりがいろいろ言うからというのであなた方がそれをたてにとるような気持であれば、思い切った金は出されないことになるのでありますが、この際こういうふうな場合には、見舞金を出すのには何も遠慮は要らぬはずであります。それが出せないとか、あるいは大蔵省が阻止するという理由もないと思いますが、見舞金としてなら出せるはずでありますが、そういうふうな名目で最大限に出そうというふうなお気持があるのかないのか、この点を伺っておきたいと思います。
#42
○小山田参考人 お尋ねの要旨は結局金額の点であろうと考えておりますが、金額の点についてはまだ決定の時期にまで達しておりませんので協議中と申し上げるよりほかいたし方がないのであります。
#43
○關谷委員 私はもうこれ以上はあなた方にのれんに腕押しのような問答になりますので申し上げませんが、誠意のある御解決をお願いいたしたいと思います。そしてこれから先は、船客が直接保険会社から受け取り得るような方法を考えてもらいたいと思います。それだけのことを私は要望いたしておきます。それからもう一つ、今の十八社の保険会社でありますか、それがもしもそれをやらないということでありますれば、別途にやれる方法を国会としては考えなければならないということだけを申し上げておきます。
#44
○小山田参考人 保険会社といたしましては、一つの線が出ましたならば契約者と十分協議いたしまして、誠意を持ってこの処理に当りたいと思います。
#45
○淵上委員長 小山亮君。
#46
○小山(亮)委員 第五北川丸事件は、最近の海上における遭難事故としてまことに悲しむべきできごとでありまして、私はかような問題についてここに質問しなければならぬということは非常に遺憾に思います。ただいままでのお話を伺っておりますと、保険会社の方は契約条項をたてにとって、なるべく自分らはその責任を軽からしめるというような御答弁をなさっておいでになるように私たちは先ほどから伺っておる。また船主の方は、自分の会社が経営困難である、かかる事件を引き起しても何ら遭難者に対して弔慰金を払えないということを、いかにして委員会に知らしめようかと努力しておられるように思う。私はこういう言葉をもってあなた方に質問しなければならぬことを非常に遺憾に思います。こうした遭難事件に対しましては、遭難者も、あるいはこれに対していろいろな関係を持っておられる方々も、お互いに誠意を持って手を握り合って解決に当るということでなければ、決して円満なる解決はなし得ない。また船主の立場から申しましても、こうした事件が起きて賠償する、そうして謝罪する、あとからさんざん悪く言われる、これはもう定期船の船主としても、実際何といっても自分の気持をだれにも打ちあけていくことができないで救われないような状況に陥ることは当然です。それはまことにお気の毒だとは思う。思うけれども、しかしもしも、さらに私どもに言わしめれば、大事な人の命を預かって運航に当る仕事を政府から許可を受けてやられるのですから、そしてまた定期船である以上は、航路は競争者のないようにある程度保障されておるわけであります。そういう立場にあるのですから、もしもそういう遭難があったならば、遭難に対しては誠意を持って解決ができるくらいな考え方を準備しておやりになるのが当然だと私は思う。またそれだけの十分な内容を持たない会社に、みだりに定期船の航路を独占させたり、あるいはそれに対して許可をお与えになる運輸当局は、よほど考慮しなければならぬと私は思います。この附近の状況を見ましても、瀬戸田−尾道間の旅客の定期航路をやっておる汽船会社は、因島汽船、生口汽船、芸備商船、瀬戸内海汽船、瀬戸田開発、三原瀬戸田汽船、こういうふうにこの間だけでもすでに六社の会社が航路を競っておる。ただいま定員問題がございましたが、私は芸備商船の代表者に伺いますが、この付近の旅客の輸送状況は、定時定員を厳守しておいでになるかどうか、それを伺いたい。私どもに言わせれば、今たくさんあります船は、ふだんは定員に満たないようなお客で運航しておる。しかしながら琴平さんの祭だとか耕三寺のお祭だとかいうときには、お客が一ぱい乗って運航しているということは、隠すことのできない事実だと私は思うのです。またそれをきびしく取り締ったならば、瀬戸内の小さな運航汽船は成り立たないと私は思う。政府できめた、たとえば第五北川丸の定員は四十九名、あるいは三時間以内の航路ならば七十七名、こんな七十七名や四十九名の定員を守っておったなら、あなた方、商売が成り立たぬと思う。どうしても人員を超過して乗せるということは、これは普通の状態だと私は思うのですが、この点に対して率直な意見を伺わしていただきたい。
#47
○石部参考人 御説ごもっともでございます。私の監督不行き届きのために、定員外を乗せまして、こういう事故を起しまして、まことに申しわけございません。平日の運航はほとんど定員の三〇%ないし五〇%くらいのものと私は思っております。日曜とか物日――これは私また就任して間がないもので、はっきり実情をつかんでおりませんことは、非常に責任のないような言い方でございますが、先日のこの北川丸の例から推しましても、定員外を積んでいたことは間違いないと思います。それにつきまして、三〇%、四〇%の利用では需給のバランスは全然とれませんので、従って航路の採算も出合わないというような結果になっております。以上でございます。
#48
○小山(亮)委員 中国海運局から田仲さんに来ていただいておりますが、この当日の模様について私は少し知りたいと思うのです。当日は耕三寺の祭か何かで大ぜいの人がその島に行った。推定およそどのくらいの人が行ったか。またそれに対して配置された船は何そうぐらいで、どのくらいの人が輸送されてきたか。ほかの第五北川丸以外の船は定員通り乗っておったのか、北川丸と同様に定員以上に多数の人が乗っておったのか、そういう点を詳細に私は伺いたい。私どもの常識から言いますと、この地方の実情では、こういうような日には、定員以上乗っておることは当然過ぎるほど当然なんだ。ことに海上の模様があるのです。波が荒いとか風が非常に吹いているとかいうときは、これは常識上そんなに人が乗りません。しかし瀬戸内海の四月、五月、六月といいますと、畳の上を行くような、ほんとうに穏やかなところなんです。そして景色もいいし、どうしても人は船にたくさん乗るのです。ですから船が足りない。足りないが、よそから借りてこようといったところですぐに間に合うものじゃないのですから、どうしても定員をはるかに超過して乗せるというのが実情なんですよ。でありますから、第五北川丸の問題を論ずるときに、この北川丸だけがそんなに乗ったのか、あるいはこのほかに船があったのか、そしてほかの船はどういう状況であったのかということを、私は監督の立場にある田仲さんに伺いたいのです。
#49
○田仲説明員 当日の模様をかいつまんで申し上げます。当日は祭であったわけではございませんが、最近春と秋は旅行シーズンで、私どものところではこれをただシーズンと言っておりますが、この旅行シーズンになりますと人出が非常に多くなります。当日は、尾道から耕三寺に参りますお客が相当殺到いたしまして、団体といたしましても四十七の団体があったのでございます。それで九時に出ますさくらという船がございまして、これはやはり同じくらいな定員でございますので、それに乗り切れなかったのであります。そこで次の九時五十分に出るべき定期便の古川夫を朝の九時のつけ船といたしまして、二隻出しました。このときもお客は殺到して乗ったものでありますから、やはり二百人前後乗っているのじゃないかと思っております。北川丸は行きて二百二十九人乗っております。そうして九時五十分に出る船がございませんので、第五北川丸――これは当日下大崎の大浜というところから尾道に朝入ってきた船でございます。それが瀬戸田−尾道間の予備船になっておりますので、これを九時五十分の定期便に出したのでございます。このときに乗りました人数が二百二十九名、それに、これ一隻では足りませんので、もう一隻つけ船を出しております。これはしらたきという船でございます。
#50
○小山(亮)委員 それはこの会社のじゃないのですね。
#51
○田仲説明員 瀬戸内海汽船の借り船でございます。
#52
○小山(亮)委員 トン数は。
#53
○石部参考人 五十九トンくらい。
#54
○田仲説明員 それを借りましてつけ船といたしまして、二隻出しました。
#55
○小山(亮)委員 どのくらい乗りました。
#56
○田仲説明員 これも相当乗っております。はっきりいたしませんが、大体同じくらい乗っておったのじゃないかと思います。そうして参りまして、そのうちこの北川丸に乗りました岡山県の早島町の共販組合の方々が、これは往復切符を買っておられたので、次の瀬戸田から出ます十三時八分の尾道行の船に乗ることになっておったのでありますが、この方々はお急ぎの関係でこの第五北川丸にお乗りになったということもあって、北川丸は非常に多かった。そこで私ども港務所に、どうしてそんなにたくさんの人間を乗せたのかと尋ねましたら、港務所では、北川丸は行きに二百二十九人積んでおったから大丈夫だろうと思って出したのだというのでございます。
#57
○小山(亮)委員 四月十二日のこの遭難の起きました当日、瀬戸田――尾道間を芸備商船が旅客輸送をしましたその船名と回数、それを伺いたい。
#58
○田仲説明員 その四隻だけでございます。さくら、古川丸、第五北川丸、しらたき、この四隻だけでございます。午後は結局これが帰ることになりまして、その船が帰る。
#59
○小山(亮)委員 そうすると、午前の古川丸の行きに乗った数、それからさくらの数、しらたきの数、これを私は伺いたい。それから午後帰りに同様に乗って参りました数を伺いたい。いつもこういうことをお調べになる心要はないが、こういう事件の起きましたときには、この北川丸の乗り組み定員というものが多いとか少いとかいうことを考えまする対照として、当日往復しました同じ会社に所属しております船に乗ったお客の数というものを海運局は当然お調べになったことだと思いますので、これを伺いたい。今のお話から言いますと、古川丸というのは三十六トンなんです。第五北川丸が三十九トン、古川丸に乗りました人数と北川丸に乗りました人数を比較対照したい。しらたきというのは五十九トンでありますから、それもやはり人数を比較対照するために伺いたい。
#60
○田仲説明員 まことに恐縮ですが、その人数を書いたのを持って参りませんでした。
#61
○小山(亮)委員 そうすると、事件に関係してどういうことなら御質問してお答えになれますか。これは肝心なことですが、北川丸に行きがけ二百二十九名、非常にたくさん乗った。それならば古川丸、さくらにはやはりどのくらい乗ったかという人数をすぐに対照的に調べてみようというお考えになるはずだと私は思うのです。
#62
○田仲説明員 調べてありますが、うっかりして持って参りませんでした。
#63
○小山(亮)委員 まだ私どもはあなた方の方から詳細な資料をちょうだいしておらないのです。どういう人がなくなって、人数が何人ということはわかっておりますが、男女別にどうなっておるか、年令別にどうなっておるか、職業別にどうなっておるか、そういう資料はちっとも海上保安庁からお出しにならない。これでは委員会で調べろ調べろと言っても、一体何を私たちは調べたらいいのか、目をつぶってものを探しているようなもので、こういうものは表を作ってお出しになるくらいの親切な御処置があってしかるべきだと私は思う。
#64
○田仲説明員 申し上げます。当日乗っておりました者が、生存者が百二十六名、死者八十四名、行方不明二十九名でございますが、その死亡者八十四名の内訳を申し上げますと、年令別に申し上げますとこまかいのでありますが、十才までが六人、十一才から二十才が一人、二十一才から三十才が十人、三十一才から四十才が十一人、四十一才から五十才が二十一人、五十一才から六十才が十五人、六十一才から七十才が十五人、七十一才から八十才が三人であります。それで年のわからない方が二人おります。
 行方不明者でございますが、十才までが三人、十一才から二十才までが一人、二十一才から三十才が五人、三十一才から四十才が二人、四十一才から五十才が六人、五十一才から六十才が六人、六十一才から七十才が三人、七十一才から八十才が一人、不詳が二人、計二十九名であります。
 男女別を申し上げますと、死者八十四名中男二十一名、女六十三名、行方不明者男二十人、女九人でございます。これは船員の死者一名は除いてございます。
 次に職業別の方はちょっとわかりにくいのでございますが、出身県別を申し上げますと……
#65
○小山(亮)委員 いや、いいです。私はこれについてもう一度芸備商船の代表者に伺いたいのですが、船主として船長の人物について、どういうような人物であるか、技量はどういう技量であるかとお考えですか。これは率直に伺いたいのです。
#66
○石部参考人 船長は甲種二等運転手の海員免状を持ちます三十才の船長でございますが、技術は私どもの会社の船長中一応右翼と思っております。それに平素の服務態度その他については非常によく、各船員の模範となるような船長でございまして、私ども船長のうちでは非常に優秀な者だと考えております。
#67
○小山(亮)委員 死亡しました北川丸の甲板部員の見習者、十六才のこれに対しては、会社としてはどういう人物であって、どういう技量の者だというふうにお考えでしょうか。
#68
○石部参考人 これは入社いたしましてなお日浅いために、私人物についてまだよくわかりません。一応そういう見習いがかじを持つという場合は、船長はそばにおって必ず前方を監視し、操舵を指導するというのが建前でございます。たまたま船長がほかの仕事をしておって、目を離しておったということにこの大きな事故の原因があることは、まことに遺憾と思っております。
#69
○小山(亮)委員 四月十二日にあなたの所有船で、古川丸、さくら、第五北川丸、しらたきの四隻で輸送しました人員は、お客は総数、往復どのくらいですか。
#70
○石部参考人 その輸送人員については、まことに申しわけございませんが資料を持参するのを忘れました。
#71
○小山(亮)委員 ただいま芸備商船の代表者は、あなたの会社の性格、内容についてお話しになりました。そして瀬戸内海汽船とあなたの方は何も親子的な、経理的な関係はない、こういうことをおっしゃったが、しかしあなたの会社の株を八割も持っておるということになれば、明らかにこれは親会社じゃないでしょうか。それからまた株を八割も持っておれば、現在の重役の発言権というものはほとんどないですね、その株主に左右されるのです。八割を持っておる株主が、たとえば瀬戸内海汽船の重役であるとすれば、現在の芸備商船会社の重役の発言権というものは、ほとんど大株主に左右されるということは当然です。それをあなたの方は親会社じゃない、こういうふうにおっしゃっても、ちょっとこれは通らないと私は思うがどうでしょうか。
#72
○石部参考人 親会社、子会社の関係は、一応瀬戸内海から分れまして、そういう面からいきますれば親子の関係がございますが、経理的の内容は全然別になっております。
#73
○小山(亮)委員 私は経理のことをあえて聞こうとしておるのじゃないので、要は親子の関係にあるということだけは間違いないことで、経営の内容等についても、必要があれば常時あなた方に対していろいろな注文をすることは当然である、いわんやこの会社が瀬戸内海汽船から分離しましたその出発の目的、動機が、瀬戸田−尾道間の航路の他の会社の競願を防ぐために、特にその子会社として出発さしたということになれば、よほどこれは関係が深い。また今の状態において、経理の内容が非常に豊かでない間は、親会社というものは小言は言いません。しかしあなたの方がどんどんと収益が上ってくれば、必ず親会社というものは、これに対していろいろ注文をつけることは当然なんです。私はこういう点において、今度の問題が起きましてから、あなたはこのあなたの親会社に対して御相談なさったことがございますか、それを伺いたい。
#74
○石部参考人 それは親会社からは、事変勃発以来人間も総動員して援助をしてくれますし、船舶等につきましても、私どもに保有船舶がありませんので、救助作業その他についてはほとんど瀬戸内海汽船より援助を受けております。またこのたびの捜索費用その他につきましても、非常に瀬戸内海汽船には迷惑をかけております。そんな関係で、私としてはこれ以上言うことができませんので、まだ何も親会社にはお願いしておりません。以上でございます。
#75
○小山(亮)委員 あなたの御答弁は、著しくすなおさを欠いていると私は思う。私は、ここは法廷じゃありませんから、何もやかましいことを掘って聞くのじゃないのです。ただ今のあなたのおっしゃっておることに非常に矛盾が多いのです。親会社と子会社の関係は、初め親会社と子会社の関係もない、経理上の何の関係もない、こうおっしゃるけれども、事実はこの四月十二日の耕三寺のシーズンに人出が多い、船が足りないということになると、瀬戸内海汽船からしらたきという船が応援に出ておるでしょう、援助してもらっておるわけです。それからまた今度でも、この事件があって御相談なさったかと言うと、何も相談しないと言いながら、遭難費用や何かを借りている。これではあなた全然相談しないも何もない、結局内容は同じ会社なんじゃないですか。表面は、法的には違った会社です。しかし内容がほとんど同じ会社だということは、あなたがおっしゃっている言葉の中から出ておるでしょう。これ以上御迷惑をかけないというのはあなたの感情だ、感じなんです。それは御迷惑をかけないで済めばそれでいいわけなんです。けれどもこれは同じ会社で、助けたり助けられたりしながらやっている会社だということは明瞭でしょう。あなたのおっしゃった御答弁から考えて、私は明瞭だと思うのですがどうでしょう。違いますか。
#76
○石部参考人 お説のようにごもっともと存じます。われわれも親のように思っております。事件の処理費用その他につきましては……。
#77
○小山(亮)委員 それは伺っておりません。私が伺っていないことは、あなたが話したいとおっしゃれば格別ですが、しいてお話し下さらぬでもよろしいのです。
 私は、会社は営業形態は別になっておるけれども、内容は、実際においては会社の株を八割も持っておるし、人が多くて船が足らぬときには船も貸してくれるし、今度の遭難のような事件が起きれば遭難の費用も援助してくれる、あるいは借りてくれるという関係にあれば、これは密接な親子関係なんです。私はそういう意味において、今度の事件の解決は法律によってのみ解決しようと思ったらだめだと思うのです。法律なんかで解決をしようということを考えても、みんな逃げよう、逃げようとしたら解決のつくものではない。けれども法律でどう考えても考え切れないのは、殺されるつもりはない、耕三寺というお寺に行って――この大ぜいの人の中にはずいぶんお年寄りもいる、そのお年寄りが耕三寺というお寺に行く、老後に一度寺参りをしたいというような非常なあこがれを持ってそこに行かれた人が、帰りに思わぬ過失のために殺されてしまったということなんです。これは法律でどう考えたって考えられないことですよ。又法律で解決しようとしても、どうしても解決のできないことなんだ。その遺家族の気持というものを考えて、私どもは法で解決をしようとするのではない。なるべくこれは政治的にも考慮し、また人道的にも考慮して、円滑なる解決をしたいというのが私の気持なんです。きょうお伺いしているのもその気持なんです。でありますから、今後も、あなたの方でできない、できない――なるほど従業員の退職金までも支出して足りぬのだ、こうおっしゃる。けれども私は会社経営いうものは、そんな知恵のないことをしなければ金ができないものとは思いません。事業をしている会社にまとまった金なんかあるはずはない、何百万円、何千万円という金がごろごろしているわけはない。みんな苦しいやりくりをしてやっているのだ。そしてまた海運界がどんどん調子が出てお客が多い、行楽のシーズンになって人出が多いというようなときに船を作ったり設備をしたりしますし、会社の経理というものは一ぱいにやっておるのですから、おそらくまとまった金があるはずはない。だがこうした問題が起ったときに、会社の建物を売ったり地所を売ったりして金を作って遺家族の補償費を出すのではなくて、将来を考え、いろいろな協力者を求めて相談して、金のあるところから金を借りて、そしてこれを弁済すればいいのです。金を借りるということは、それは頭を下げて借りにいくということはいやでしょうけれども、何も利息を払うのですから、借りようとする方法を考えて、方法を立てれば借りられるものなんですから、私はこの際定期船協会の中国の組合の方もおられるし、日本の中央にも定期船協会の方々もおられるのですから、会費を払ってただ一緒になっているだけじゃなくて、こういうときこそお互いに助け合う気持で相談に乗っていただいて、その協力を求めれば、弔慰金を支出するということは考えられると私は思うのです。これに対してあなたのお考えはどうでしょう。何も工合のいいときだけが協会員じゃないでしょう。都合の悪いときに、非常に苦しい窮境に落ち込んだときに協力してもらえるからこそ協会があり、組合があるのですよ。飲んだり食ったりするときだけ、もうけを分割するときだけの組合というのじゃなくて、あるいは政府に陳情するときだけの組合じゃなくて、ほんとうに非常の場合に助け合うということのために作っておるお互いに同業者の組合であるとすれば、そこに御相談なされば、自分の考えだけではどうしても開けない道も開けるということを私は考えるのですが、御意見いかがですか。
#78
○石部参考人 お説ごもっともでございます。それにつきまして、御遺族の委員の方にも一応会社の内容をお目にかけまして、われわれで何とかして遺族の方にできるだけのことができるように具体案を立てるべくただいまやっておりますが、まだ結論に至っておりません。それにつきまして、私はどこまでも遺族の方に会社が何もないからできないのだということでなく、どうしたら会社が立ち入って遺族の方にも御満足いただけるかという点を、いろいろ方法を立てております。これはまだ結論に至っておりませんが、そうすればまた親会社にもお願いしなくてはならぬ場合もくるかと思います。まだ私の手元ではそこまで結論が出ておりませんので、取り急いで結論を出して、遺族の皆様とお諮りしたいと思っております。
#79
○小山(亮)委員 渡辺さんに伺いますが、今私が芸備商船の代表に話しましたように、この場合芸備商船の経理内容というものを私はまだつまびらかにしておりません。営業報告等も拝見したいのでありますけれども、まだそういう資料を手にいたしておりませんから、わかりません。だが先ほど申しましたように、この会社の内容を見ましても――所有船がここに私の手元にあるだけで十隻ありますが、さっきふるたかということをおっしゃったが、これはこの資料に出ておらない。あるいはこれがまたもう一隻よけいにあるのかもわかりませんが、船齢を見ますと、いずれも古いです。一番若いのが十六年、一番古いのが三十三年、第五北川丸は三十三年の老朽船なんです。この内容から見ましても、現在の瀬戸内海その他を歩いておりますところの小型の定期船の業者が、新しい船を建造するのに建造資金が得られないで非常に苦しんで、それがために老朽な船をがまんして使わなくてはならぬような状態にあるということが、この数字だけでわかるような気がするのです。次第に世の中も変っておりますし、近代的な設備も必要となってくる今日、瀬戸内海のような重要な――瀬戸内海を観光地として考えているということも、私は無理だと思うのです。これは一つずつ見ればみな離れ島なんですから、これは汽船でお客を輸送する以外には方法がない。飛行機ではできないのですから、そうしますと、汽船でやる以外に連絡方法がないのです。自動車があったって、何かあったって通じない。でありますから、唯一の大事な交通機関なんです。その交通機関にお客さんが少しよけい乗ってその船が遭難すれば、保険金を払わないということを保険会社から言われるような、こんな哀れな状態ではあまりにも気の毒過ぎると私は思うのです。どうかできるならこれに対しては離島航路と同じような補助をやって保護をしてやって、そして船がどんどんとできるようにしてやりたいと私は思うのです。よく通産省あたりは、陸の交通機関と比較しまして、船だけにそんな援助を与えられない、外貨を獲得するのでなければ開銀あたりの低利資金は貸せないというようなことを言われるが、これは船を知らないことはなはだしいもので、こういうことに対しては運輸省の海運局の専門的な立場にいる人が、大蔵省のわからない役人に十分に説明する必要があると思う。その説明の努力が足りない。たとえば陸で交通事故が起る、自動車が衝突したとします。そうしたら、そのときにけがをしてそのときに死んだ人間だけなんです。ところか海はそうじゃない。ぶつかったということになれば、けがをしない、何にも衝撃を受けないで死なないで残っていた人間まで、一蓮托生で全部死んでしまう。だからこれは陸とはほとんど比較にならない。それを陸の交通機関と同じように、陸に対しては保護をしないのだから、海に対して特別の船舶建造の低利資金を貸す必要はないといりような役人が日本にいるような状態で、海運政策なんというものが成り立つわけはないのです。私はその意味から、この点は特に定期船の方によく腹をきめて考えていただきたいと思います。同時にこんなような場合には、この苦しい経営をしている業者に対しては、日本じゅうの定期船の業者が寄って、何とか金を借りる方法を――この会社に金がなければ、また親会社に金がなければ、それをみなで援護したり保証してやってもいいのですし、保険会社あたりでも現在のような保険会社もたくさんあることだから、保険協会あたりからの金を借りて、足りない遭難者に対する費用を捻出するという方法も、私は考えればできないことはないと思うのですが、これはいろいろな方法があるでしょう。その点を特に考慮していただきたいと思うがどうでしょうか。
#80
○渡辺参考人 まことに私ども一番大きな問題として今日までやってきておりましてまだその実績が上っておりません点を、先生からお話がございました。協会が発足いたしまして約五年になりますが、一番最初に取り上げましたのがこの問題でございます。私どもの定期船は、全国を通じまして約一千隻ございます。このうち鋼船が約二割、あとの八割は木船でございます。これらの木船、鋼船、いずれもその過半数はいわゆる老齢船になっております。三十年を経た木船がたくさんございますが、瀬戸内海のあの状況は、瀬戸内海だけではなくして、ほかの地域も非常に多いのでございます。私どもは海上でお客様を年に八千万からお預かりしますので、船の設備をよくして、安全な船にしなければいかぬということを考えまして、どうしたらできるか――私どもの会員は今わずかに四百しかございませんが、五トン未満の船を持っているものと合せますと、全国に約一千以上もおりますこの業者は、中小と申したいが、非常に小企業者でございますので、自分の収入ではなかなかできない。運賃も全部認可でございますので、思うようには取れない。従って古い船でやっておるから何とかつないでおる。まあできぬものは仕方がないじゃないか、こういったような半ばあきらめもございますので、それでは申しわけない。そこで何とかそういう小さい業者にも船の交代ができるような道を開きたいというので、関係当局へ、あるいはまた国会へいろいろお願い申し上げまして、まず手始めといたしまして国会で離島航路整備法というものを作っていただきました。これは国会で御提案願って作っていただいた法律でございます。これで外海の離島就航船につきましては開発銀行を通じまして、あるいは中小企業金融公庫を通じまして、財政資金によって今日まで約五十隻以上の船の建造あるいは改造をされております。私どもは向う十カ年の実は計画を持っておりまして、一日も早くこれら老齢船を交代して参りたいという考えを持ちまして、離島航路整備法は、まず一番最初に手をつけなければならぬ離島からやっていただきました。しかしながら今日におきましては、離島の古いと思いました船はおおむね交代いたしましたので、今度は内海方面に手をつけていただきたい、かように考えまして、昨年度あたりから旅客船は離島航路に限らないで、一般の定期航路についての船の交代に財政資金の御援助をいただきたい、かようなことを関係当局にるるお願いいたしております。昨日も実は私どもの協会の役員が数名運輸大臣にお目にかかりまして、るる懇請をいたしたのでありますが、私どもは業者が小さいだけに地方銀行等からとうてい相手にされません。従って開銀なり中小企業金融公庫なりの財政資金によってこの改善をはかっていく以外には方法がないと思いますので、そちらの方へお願いいたしましてこれは絶えずやっております。離島航路につきましては、先ほど御説明いたしましたように一部実現を見ましたが、その他の内海航路についてはまだ手がついておりません。これは今後関係当局はもちろんのこと、皆様の御援助をいただきまして、一日も早く老齢船をなくしまて、安心して海上でお客さんをお預かりできるようにいたしたいと考えて努力いたしております。
#81
○小山(亮)委員 どうも肝心なことを御答弁にならない。今石部さんのお話から、芸備商船というのはなかなかお金が出そうもない。この点はあなた方も協力して、こうした問題を何とか救済する方法を考えるというふうにしていただきたい。その点はどうでしょう。
#82
○渡辺参考人 この点につきましても、私どもの中にこういう非常な事態に際会しましたので、協会としていかにすべきかということを実は再度にわたりまして役員会を開きまして協議いたしております。まだ具体的な結論は出しておりませんが、私どもとしてもできるだけの努力はいたしたい、かように考えております。
#83
○小山(亮)委員 これは小山田さんに伺いたいのですけれども、おなれにならないからむやみに質問して、また変な答弁をされて紛糾いたしてもいけないから、取りまとめて渡辺君に伺いますが、船客の傷害賠償保険特約書、この件について保険会社側からのお話は、私ども非常に納得しかねる点がきわめて多い。保険の性質は私はあえてあなた方にお話し申し上げる必要もないが、多分に社会政策的な性質を持っておるものです。普通の保険会社はなるほど今は営利事業でありましょうけれども保険をただ営利事業だけの考え方で考えたならば大へんな間違いだと私は思う。ことに海上保険はそうです。私は一番模範とすべきイギリスのロイドの保険会社がやってきたところの今日までの態度はりっぱだと思う。普通の海難事故が起きましても、日本の保険会社だと、とにかくこの分は保険会社が負担すべきものだ、これは負担すべからざるものだということで、なるべく少く負担しようしようという態度をとる。ところが同じ保険でも英国のロイドにかけますと、何にも言わないでさっと向うの方で保険の責任をとってくれるのですよ。ですから日本の保険会社とイギリスの保険会社とは、実際に保険をかけてみれば態度が非常に違うのですよ。この点で日本の保険会社はイギリスに学ぶべき点が多いと思います。この場合もそうです。この規定の第四条によれば、「前項の員数を超えて船客が搭載された船舶が遭難し、それ等の船客が傷害を被った場合においては、当会社は、被保険者が支払った損害賠償金について一切填補する責に任じない。」こう書いてある。これはなるほど員数を越えた船か遭難したのだからこれだということをおっしゃいますが、私どもの常識から言いますと、なぜオーバー・ロードしてはいけないのかというと、オーバー・ロードすれば船が危険なんです。あの相模湖の事故は明らかに乗り過ぎたから、見る見るうちに沈んでしまった。しかしいかなる場合にも乗り過ぎてはいけないか、契約によって定められた員数よりか一人でも乗ったらもう保険会社は金を払いませんか。私は一人や二人はかまわないとおっしゃるだろうと思います。そうするとその限度は一体どこまでかということになるでしょう。やはりこれは水かけ論で、そのときの感情とかそのときの話し合いで話をつけるということになるでしょう。これはそんなに厳格なものではありませんよ。戦後の日本の交通をごらんなさい。陸、海いずれにおいてもオーバー・ロードしないところはありませんよ。定員過剰でないものはほとんどありません。定員過剰のときは払わないということを契約なさるならば、もう日本の船舶その他日本の乗りものは全部定員以上に乗るということを百も承知しておりながら、過剰のときは払わないという契約をしたら、こんなインチキな保険はありませんよ。払わないということを承知しておって契約をしたと言っても過言ではありませんよ。これは乱暴なことですよ。戦後の日本の産業事情は輸送力がないのですよ。現に国鉄だって困っておる。あらゆる場合、場所において輸送力が行き詰まってしまって困っておる。海上も同様ですよ。また先ほど言いましたように、船舶の建造資金を得るのに困難で、新しい船ができないという状態です。勢い旅客船に乗れなければ漁船に乗りますよ。瀬戸内海はもうどんどん漁船に乗ってしまいますよ。漁船は定期船よりまだ危険です。この危険な漁船にどんどん人を追いやるような方法をとるようになるのだが、これは日本の海運の発展のために保険会社が大所高所から考えていただきたいと思います。喜んで海の旅に出られるように、安心して海の旅に出られるように一日も早く日本をしなければ、この狭い日本の国がこの過剰の人間をどこにはくことができますか。船を作ることを運輸省がどんどん奨励しているのは、戦後に朝鮮を失い、台湾を失い、千島を失ったというような状態で、四つの島に追い込まれた日本の国民は、領土をこれ以上に拡張することはできないが、考えてみれば船を作れば船は国土ですよ。島のようなものなんです。新しい国土を作るような気持で船を日本が建造するのでなければ、日本の発展はないでしょうという見地から、私は保険会社の方々も、保険会社は先ほどのような解釈をやめて、条文には当てはまらないかもしれないが、できるだけ保険というものの趣旨を考えて、これを寛大な解釈の仕方をやって、そして保険金を支払うという考え方にあなた方の頭を切りかえていただきたいと私は思うのです。これは水かけ論になりますから議論がありましょうが、定員を越えてお客が乗った場合に起る遭難過失というものはどんなことかというと、それは船の浮揚する力がなくなるのです。船の浮き上る力がだんだん人が多くなるからなくなる。ちょっとした波でも、ちょっとした風でも、あるいはちょっとした動揺によっても船が沈没する。だから定員を越えちゃならぬということになる。しかし先ほど申し上げましたように、瀬戸内海の四月、五月、六月なんというときは、ほんとうにだれでも遊びたいと思うような海の上なんです。そしてまた何人、人が乗っちゃいけないかということをきめるのは、その船の性質です。幾らでも船は乗れるものなんです。船の性質なんです。その性質によってはたくさん乗れますし、その性質によるとたくさん乗れない船があります。これは卑近な例を申しますと、この間隅田川で慶応と早稲田のボートレースをやったでしょう。普通ならばあの早稲田と慶応のボートレースはどんどん走るはずなんだ。ところが波があった。風があった。それがために一つのボートは沈没したでしょう。だから波がある状態のときと、波のない状態のときとはあれほど違うのですよ。浮いてりっぱに走れる船と沈没する船とが出てくるのだから、従って瀬戸内海もそうなんで、冬の瀬戸内海のような荒れているときに定員を超過して乗ったということになれば非常に危険ですけれども、今のような状態ならば危険でない。現に当日をごらんなさい。行きがけに二百二十九人乗っておるじゃないですか。ほとんど同じように乗って、ほかの船は、海運局の方もお調べがないから発表するわけにはいかないが、おそらくこれはトン数から言えばおびただしく人間がよけい乗っていると思う。もしあなた方のようなしゃくし定木な解釈をされればおそらく瀬戸内海にある――当日は瀬戸田−尾道間の旅客を輸送したのは因島汽船、生口汽船、芸備商船、瀬戸内海汽船、瀬戸田開発、三原・瀬戸田汽船、これはみな各持ち船を動員して輸送したものだと思う。みな定員を超過しているのだ。たまたまこの問題が起ったから払わぬとおっしゃるが、ほかの事件が起っても払わぬというのでは、保険は掛金は取るけれども、こういうような因縁のつくような条項を残しておいて払わないということになる。私は保険会社である以上はこんな条件をつけるのはおかしいと思う。それから重大な過失というのは何ですか。これは船主、船長あるいはその使用者が行なったところの過失に対しては、当然保険会社は責任を負うのですよ。その過失に対して責任を負わなかったら、一体何のために保険を払うのですか。故意にやった場合にはいけないが、過失によってやった場合は……。重大な過失とは一体何ですか。初めから船を沈むようにこしらえて持っていったというような場合には故意ということになるでしょうが、重大な過失というものは私は意味がわからない。実際こんなに一見して実にあいまいもこなる条文を入れておいて、何かにつけて保険金を支払わないような方法をやろうということは、これは私は実にやり方が狡猾だと思う。資本家が攻撃されるといいますが、資本家が攻撃されるのは、こういうようなことをこそこそとやるからこそなんですよ。私はこんなときには、あなた方自分の、保険会社の代表取締役さんや何かのお子さんがなくなった、あるいは親類の方がなくなったとお考えになってごらんなさい。それはわかりますよ。何とかしてこれに対してできるだけの温情のある処置を講じてやろう、条文はこういうことがあっても、何とか温情のある処置をとってやろうとお考えになるのが当然じゃないかと私は思うのです。そして私どもに言わせれば、当日起った事件は、定員を超過しておったために起った事件じゃございません。一人も乗っていなくても、あの岩子島にたたきつければこれは沈没します。木船だから沈没しない方がおかしいのだ。ことに三十三年の木船だから持ちっこありません。人間の年で言うならば七十才以上だ、これはぶつかればすぐいっちゃいます。ですからこれは人が乗ったから沈んだ、乗らなかったら沈まないじゃないのです。私はこの条文はそういう条文じゃないというようなことを議論するのではないのです。かりにあなた方の方で、この条文でもって補償する義務なしとお考えになっても、私の申し上げたようなへ理屈でも一応理屈として成り立つものと考えるならば、何とか温情のある処置を講ぜられるはずだと思う。あなた方も何かきっかけがないと払えないでしょう。払って下さるきっかけを私は作りたいのです。こういう話で私の気持が保険会社の方々におわかりになって下さればありがたいと思う。しかもこの保険を引き受けて下さる会社は日産火災、住友海上、東京火災海上など十八社、日本に名だたる会社ばかりだ。金がうなるほどある会社ばかりだ。この会社に割り当てたらわずかなものです。そのわずかなものでありますが、これがために遭難した方やその遺族がどのくらい喜び、どのくらい感謝し、どのくらい世の中をあたたかい目で考えるかということを私は考えている。監督の立場におられるところの大蔵宿の保険課の方々は、ことにこういうときにはがりがり取り締りなさるでしょう。しかし私はこういう場合には情のある考え方をしていただきたい。法はすべからく情のあるような運用をしていただきたい。今日、戦争後の日本の国内情勢は、ともすればあまりにも潤いがなさ過ぎる。あまりに情がなさ過ぎる。理屈と規則一点張りでぎりぎりぎりぎり果しなき争いをやったならば、これはとても住みにくい世の中になる。この住みにくい世の中を住みよいようにするために、どうかすべてものの解釈はいいように、ゆるやかな、温情のある方法で解決するように一つ考えていただきたい。保険会社が寄って、なるほどこれは気の毒だ、これは規則からいったら出せないような金だが、一つ温情をもって処理して出そうと思っても、大蔵省が規則によってそんなことをしてはいけないということをやかましく言えば、出そうと思うものが出せない。私がこの場合大蔵当局にも考えていただきたいのはその点なんです。やかましいだけが規則じゃない。悪いことをしたやつはどんどん取り締ってもいいが、これは悪いことじゃない。収賄でもしよう、それがために隠し金でも作ろうということになればこれは取り締ってもらいたいが、これはそうじゃない。この事件によって遭難した人たちは、今お話を伺えば十才以下の者から八十才の老人に至るまで百十三名、この人たちが今申し上げたようなお扱いをすることによって、どのくらい感謝するかわからないということを考えたら、どうか今回は格段の御配慮を願いたい。
 それからまたもう一つは、この機会に、こうしたような事件が起ったときに、これに類似する――芸備商船を対象にしては申しわけないかもしれないが、芸備商船のようにもう一銭の金も払えないというようなことをおっしゃる会社がたくさんあるはずだ。定期船の会社は日本じゅうに千二百あるのですが、その中にはこういうのが多いと思う。これでは大へんですから、やはり別の保険、自動車の保険のように無過失賠償のようなああいう保険制度を作って、そして政府もこれに腰を入れて、安んじて業者が仕事のできるような措置を考えていただきたい。私ども委員会もこれは当然新しい観点に立って考えていきたいと思いますが、政府もこれに対してお考えを願いたいと思います。これについては調整部長と保険課長に一言御答弁をお願いしたい。
#84
○辻説明員 ただいまの小山先生のお話まことにごもっともでございまして、現実の第五北川丸の件に関しまする保険会社、それから大蔵当局に対しましては、われわれの方からも先生のおっしゃったと同様のことをお願いいたしまして、何とか御遺族の弔意の何ほどかに役立つようにとういことでお願いいたしておりますが、なお今後も引き続きその線でお願い申し上げていく次第であります。
 それから現在定期船がかけておりまする保険について、こういう事故の場合に会社あるいは会社の使用人の過失その他のことによりまして保険金の支払いに不備がある、乗客の傷害あるいは死亡に対する保険制度としては欠点があるじゃないかという御指摘でございますが、私どもも今回の事件に遭遇いたしまして、その点を痛感いたしております。関係者とも打ち合せいたしまして、早急に乗客の利益をできるだけ保護するということに重点を置きまして、保険につきまして再検討を加えたい、かように考えております。
#85
○松本説明員 大蔵省銀行局の保険課長の松本でございます。今回の第五北川丸の事件につきましては悲惨な大事件でございまして、遺族の方々に対しましてはまことにお気の毒の限りと存じます。関係当事者の方々が誠意をもって善処されることを私どもとしても期待いたしております。そこで先ほど小山先生からお話しになりました保険制度の問題でございますが、これを大蔵省といたしましては当面の問題と将来の問題と、この二つに分けてお答えしたいと思います。
 まず将来の問題でありますが、今回の事件を契機といたしまして、現在の保険制度では不十分である、この点は先ほど調整部長から答えられましたように、私どもも同感でございます。そういう意味におきましてあるいは自動車の賠償責任のような保険制度を考えるなり、あるいは現在のこの船客傷害賠償保険の内容について、さらに定員が超過しておろうと、あるいはどういう事故、過失があろうと、当然補てんし得るというふうに、契約なりあるいは条項なり料率なりを合理的な妥当なものに改正することが必要かと考えております。何分にも重要な問題でございまして、今後関係方面とも十分協議いたし、慎重な検討を加えていいものに持っていきたいというふうに考えております。
 次に当面の問題でございますが、先生に保険のことを申し上げることは釈迦に説法かと存じますが、そもそも保険と申しますのは保険約款と特約を前提といたしまして、保険数理に基いた合理的な料率というものを算定いたしまして、その範囲内における事故について、船保の使命を負っておる次第でございます。従いまして特約条項の条文を逸脱して保険する、てん補するということは、保険数理を害し、将来の保険の契約の基礎を危くするおそれもある、こういう意味におきまして、今回の問題につきましては、法律的にはてん補責任はないと申し上げざるを得ないと思います。また定員超過の点につきましても、保険会社といたしましては定員を越すことは間々ありがちなことであるということを十分考えまして、定期船協会とも御相談申し上げた上、この第五北川丸の例をもっていたしますれば、定員は四十九名でありますが、百四十四名、およそ三倍にわたる範囲内においてが安全に航海し得る船客の搭載限度であろうというふうに考えまして、百四十四名以内の船客で運航される場合におきましては、いかなる事故が起きましても完全にてん補いたしますというような特約になっておるわけでありまして、当面の問題といたしましては、そういう意味から保険金を支払うことができないということを申し上げざるを得ないと思うのであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、この問題は大きな社会問題でありまして、そういう法律論だけでは片づけられない要素も多分に含んでおりますので、関係者が誠意をもってお話し合いになりましていい結論を出されることを、われわれとしても衷心より期待する次第でありますし、将来の保険制度の問題につきましても、この事件を契機といたしまして、災いを転じて福となすという意味において、よりいい保険制度の確立に努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#86
○小山(亮)委員 ただいま保険課長からの御答弁がございましたが、これについて定員四十九名の三倍というふうなお話がございました。私はこれは根拠がないと思うのです。しからば定員というのは何を根拠にして考えるかといいますと、あれは大西洋、太平洋のような大きな洋上の荒波を越えるに適当な、堪航力があるということを基準にしてきめた定員なのです。ですから平水航路とか瀬戸内海の航路であるとかいうことになりますと、当然乗船規程からくるところの定員というものは変ってしかるべきものなのです。ですから定期船協会の傷害賠償保険契約書を見ましても、これによって勘案しますと、あなたのおっしゃる数字よりももっと人がよけい乗れることになっている、百七十八名乗れることになっている。あなたは百四十四名と言われたが、この契約書によると百七十八名乗れることになっている。それでもなおかつ、違うのは船の性質、性能、そういうものをよく考えるということ、それから海上の模様というものはみな違うのですから、それを考えて適当に勘案をきれておきめにならなければ間違いが起ると私は思う。私は今その問題については規則があるのですから、あえてそれを論争しようというのじゃないのですが、近いうちに今度の定期船の乗客の規程というものは必ず変ると思っている。四十九名なり七十七名なりでやれと言ったって、それではみな破産してしまいます。そんなことはないので、それは必ず大幅に変ると思います。そういうことがあると私は確信して、あえて保険課長にその話を申し上げるのです。また今までこういう問題について、運輸省側から大蔵省側に十分に理解ある説明をしなかったという点は、私は非常に遺憾に思います。例を申しますと、今度の事件におきまして、瀬戸内海においては障害標識を整備しなければならないということを申し出ておるものがたくさんありますが、本年の計画を見ましても、もう数年来の計画でありますが、その計画を見ましても、遭難が起りました寅丸礁なんかは、早くここに何か灯台なり浮標なりをやってくれということの要求を海上保安庁からしておるのです。これを見ますと、この付近は、広島県におきましては十二カ所、芽刈岩であるとか、岩子島であるとか、佐木島南方であるとか、能地堆の上端であるとか、柳の瀬戸であるとか、津久賀島であるとか、至るところに灯台の必要があるから金を出してくれという要求を政府にしておるのです。それを大蔵省の方は金がないといってお出しにならない。一億二千万ほどの金があるならば現在の瀬戸内海の定期船が航海するところの危険と見られるところの標識は、全部完了するはずなんです。わずかこの一億二千万円の金を出させなかったという運輸省も力がなかったのだが、大蔵省の方もこれを出さないためにこんな事件が起った。だから全然政府当局に責任がないなんていってしらを切るわけにも私はいかないので、大体この航路標識というものはやらなければならないものなんですから、陸の航路標識をごらんになればわかりますけれども、かゆいところに手が届くように航路標識ができておる。にもかかわらず海上においては何もない。この点を考えられて、海の施設に対してはもっと積極的な理解をしていただきたいことをお願いする。
 以上、いろいろ申し上げましたが、小山田さんに最後に伺いたいが、保険課長あるいは調整部長あるいは渡辺理事長等がお答えになりましたお答えと、保険会社の責任者のお考えとは私は違わないと思うのです。あえて小山田さんの御答弁を伺わないのは、それに間違いないと考えて伺わないのですが、それで差しつかえありませんか。
#87
○小山田参考人 御遺族の方々に対しましてはまことにお気の毒でございまして、衷心から弔意を表する次第でございます。なお本件の処理に当りましては、お説のように誠意をもって解決いたしたい、かように考えます。
#88
○渡辺参考人 小山先生、先生ほどのお話で私、契約をこしらえました当人でございますので、作った当時のことをちょっとお話し申し上げてよろしゅうごさいますか。――この保険を作りますにつきまして、いろいろ諸外国の保険の例も拾ってみましたが、一番問題になりますのは、やはり定員を超過して乗せた場合一体どうなるか、これは非常に大事な問題なんで、これを調べたのでございます。従来やっております保険は、定員を超過した場合、いつも過失があるか、重過失があるかという問題が起っておるのです。これは五人超過した、あるいは十人超過したという程度ならばよかろう、しかし四十人も超過したらこれは重過失だといったようなことでしょっちゅう争われておるのです。そこで、どこで線を引くのがいいかということは非常にむずかしいのですが、私はこういうことで争いが起ることは適当でない、そこでわれわれが常識的に考えまして、この辺まではいいじゃないかということで、もう重過失なんという問題は起さないようにしたい。普通の場合には、かりに五十人の定員に百人乗せた、いろいろ話し合ってみて重過失がないから払うということになりましても、この場合には五十人の保険に対して百人乗せたんだ、一人当りの保険料は二分の一にする、これが従来行われておる約款なんです。これも適当でない。
 そこで私どもいろいろ考えまして、一年を通じて船の定員と乗客の関係を全国的に調べてみますと、運航回数を定員にかけた全体の輸送容量と申しますか、これに対して現実の輸送は四割しかなっておりません。周年を通じましては定員の四割しか乗っていない、こういう数字になります。しかしながら時期的には定員の場合に倍乗るようなときがしょっちゅうあるのでございます。こういうことでやっとバランスがとれる。そこで定員の倍も乗るようなときを考えて、この場合に定員以上だから保険を払うな、こういうことではこの保険は意味がない、かように考えまして、そこで限度をどこへきめようということでいろいろやりました結果、この保険特約に書いてありますような保険人員というものをきめたわけであります。これを現在の定員に比べてみますと、大体二倍ないし三倍になるわけであります。これは定員をきめられた役所の面から見ますと非常に不都合だ、定員をきめておるのに、それの二倍も三倍も乗るような保険契約をするのは不都合だ、こういうおしかりを受けるかもしれませんが、私どもとしては現実に動いておる姿をそのまま契約に入れておきませんと万一の場合に役に立たぬ、そういうことで、保険会社が被保険者の過失の有無を認定する資料として、ここまではもう全然過失はないのだ、こういうふうに認めてもらおうという数字を保険人員として書いたわけであります。これが現在の定員に比べまして二倍ないし三倍の数字になっております。ただ三倍以上にもなれば、これはおそらく現実ではないだろう、定員の三倍以上も乗せることもないだろう、また格好としてもまずいのではないか、定員の三倍ということで切っておけば大体全部がまかなえる、こういう見通しを立てまして一応船ごとに計算して、それが三倍以上になったら三倍の線で切る、そこまでは過失はないものとして保険会社が全部の填補をする、しかも、かりに五十人の保険をつけておって百五十人までが塔載限度だ、そして百四十人の事故があったという場合に、五十人の分を百四十人に出すのでは意味がありませんから、五十人に対すると同じものを百四十人に出す、こういう契約をしておるのであります。
 従って今回の場合も、私どもがきめた塔載限度の範囲内であれば、この遭難者百十三名全部に対して当然支給することになるわけです。しかしあの約款が塔載限度というものをきめて、今回の事件はあの塔載限度を越しておりますので、約款上当然払えということは私どもとしては言えないのでございますが、しかし問題が問題でありますし、この保険をこしらえた趣旨が、お客さんにとにかくある程度の補償はしたいということでしたつもりでありますから、保険会社に対しましてはとにかく約款に拘泥しないで何とか救済してくれ、保険会社としては監督官庁の方に対する御説明もありましょう、いろいろ困難な事情もありましょうから、その技術的方法は保険会社で十分お考え下さい、私どもはどういう名前をつけられてもけっこうだ、とにかくまとまったものをちょうだいしたい、こういうことで保険幹事会社なり十八社と今日まで交渉して参りまして、今小山田部長から申されたように誠意を持って解決する、私の見たところでは保険会社は十分の誠意を持ってこれをやって下さっておるようです。従って相当いい結果が得られるのではないか、私はかように確信しておるのでございます。
#89
○小山(亮)委員 大へん理解のあるお言葉で、非常にうれしく思うのです。さらに伺いたいのは、第五北川丸の船体に対する保険はどのくらいついておりますか。
#90
○渡辺参考人 第五北川丸については、船体保険はついておりません。実は私どもの業界には百トン未満の船が非常に多いので、この百トン未満の従来の船体保険は全損しか保険がない、全損では意味がないというようなことから、百トン以下の船は鋼船、木船を問わずほとんど保険はついておりません。かような状況でほうっておくことは、私どもの業界を健全に発展させるゆえんでないということを考えまして、最近保険会社では鋼船につきましては分損まで見ようという約束ができました。従って今後は百トン未満の鋼船もだんだん保険がついて参るだろう、これがある程度成果を得ますれば次に木船まで及ぼしていきたい、かように考えております。
#91
○小山(亮)委員 最後に私は小山田さんに一応御参考までにお話を申し上げたいのですが、先ほど私は定員過剰によって起った事故ではないということを申し上げたのですが、その実例は、定員を超過した場合の船に起ったところの事故は、あの相模湖における相模丸事件、あれは明らかに定員超過によって起った事件の模範的なものだ。岩にぶつけるとか何か障害物にぶつかった場合には、定員なんか超過しょうかしなかろうが船というものは持たない。あの有名な大西洋上に起った悲惨なタイタニック号の事件、世界最大の優秀船が進水式の直後の一番新しい処女航海のときに、流氷にぶつかって沈没しました。あれから見ましても、船が航海中に障害物にぶつかった場合には、人員が超過しておろうがおるまいが、全速力でぶつかるのですから沈没は免れない。ですから今度の事件は人が乗っておったから起ったとか、人が乗っていなかったから起きなかったとかいうことでなくて、一番遺憾なのはあの大事な寅丸礁という岩のところを、若い十六才の未熟な船員にかじを船長がまかしたということは、私は今でも実に残念に思うのです。海上に生活する人、しかも芸備商船において一番優秀だ、右翼であると目されたところの船長が、広い場所でかじを十六才の少年にまかしたならわかります。しかし寅丸礁の付近、一番危険な水域において十六才の子供にかじをまかしたという、その油断がかかる事件を起したのでありまして、これは明らかに船員の過失なんであります。私はその点で特別なる保険会社の御処置をお願いしたいということをお願い申し上げるのです。もし御答弁が願えるなら伺いたい。
#92
○小山田参考人 契約者の方からは、できるだけのことをしていただきたいという強い御要望が参っておりまして、われわれといたしましては、幹事会社三社並びに分担会社十八社によりましてしばしば打ち合せ会を行いまして、何とかこれを打開したい、こういう工合に考えまして、現在誠意をもって努力しております。
#93
○淵上委員長 山本友一君。
#94
○山本(友)委員 北川丸事件につきましては、私かつても申し上げたわけでございますが、私自身同様の事件で、昭和二十一年に百六十人の人を船室で殺したことがございます。従いまして本事案に対しましては、私は何人よりも身に迫る切実感を持っておるものでございまして、すべてこういう場合の発言も遠慮いたしておりまするのが、私のありのままの気持であります。従いまして船主並びにとうとい犠牲になられました御遺族の方々に対しましての彼我の立場を、私はことごとく体験上身にしみておるわけでございます。このことにつきましてはいろいろなことも体験上ございますが、ただここで關谷、小山両委員がつまびらかに御質問をされました際でございますし、本会議の時間も迫っておりますので差し控えますが、私どもはこういうことあるときに処しまして、保険とかなんとかというようなことを、現実の経営の苦しい中から苦労してやっておるわけであります。今も渡辺さんがおっしゃいましたように、船体保険はつけなくとも、お客さんなんかに迷惑をかけてはいけないという純真な気持で苦労しておることは間違いないことであります。私今静かに聞いておりますと、保険会社の言われることは、道義的に、通念的に、いかにもつけたりの理屈を言われる。いかに船長なり船主に過失がありましたところで、前段にも申しましたように、お客さんに何の罪がありますか。そういうことを補っていかなければならぬというような考え方から、平素苦労しておるものであります。私はこの際道義的にお考えになりますれば、保険約款がどういうように書いてありましても、社会道義といたしましては当然処置してもらわなければいかないことだということが、私の祈念の全部でございます。従いまして、大蔵省の見解も承わりましたが、なるほど監督官庁といたしましては無理からぬ見解と思いまするけれども、この状態でもし保険会社が払わないといたしますれば、私をしてありのままの感情を発散しますれば、保険会社というりっぱな看板をかけて、白昼詐欺をするようなものです。こういうような事故があってはいかないということでやっておるわけであります。それが何のかんのと言うて、こういう事件に払わないのでしたら、これは体裁のいい詐欺です。詐欺に乗った姿が今の船主協会の契約になっておるというようなことしか考えられぬと、私は道義感に燃えるものであります。このことにつきましてはもうちょうちょうを要しませんが、一つ保険会社にも道義的に考えていただいて処置をしていただきたい。この問題はあまねく日本中の人が、処置を見ているわけであります。保険会社がそういうへ理屈をつけて、こういうような道義を没却するならば、保険会社はその信を失うと思います。こういう意味において保険会社の善処をお願いいたしたいのでございます。同時に、当委員会といたしましても、私は自民党でございまするが、この問題を契機に、日本の交通船のあり方について大いに研究しなければならないという大きなテーマが起って参りました。この問題については長く話したいのでございますが、時間がございませんから、簡単に要点のみを申し上げます。これが重要な使命を課せられておる問題でございますことは論を待たないのでございますが、政府のこれに対する保護政策というものがきわめて希薄でございます。離島航路振興法というものがございますけれども、これも名前だけであって、まことにりょうりょうたるものであるというように、保護政策の面に非常に欠けておる面がございます。私はこういう点も大いに実態を把握してもらいまして、ほんとうにお客様が安心をして乗っていただけるように、船主や政府が協力をしなければならぬ。国全体のこういう交通機関を預かるという体系の上から、今日の保険会社のようなことでは安心ができない。自動車保険のようにして、社会公共性のある保険制度を私どもは望んでおるのでありまして、かって運輸大臣にも、この事件の直後この処置を申し入れまして、来国会において政府においても考えていただくという非公式の言明をいただいておりまするが、この点辻さんもお見えになっておりますので、その後お考え方が進んでおるかどうかということをちょっと承わりたい。
 それからこの際ついでに海上保安庁に申し上げたいと思いますが、こういうような事案につきまして、日ごろ治安の任に携わっておられます御苦労を私ども常に感謝しておりますが、この事件以来非常に取締りがきびしくなった。これはもちろんきびしくあってしかるべきことでございまするが、私は今のあり方では、こういう事件が起るとぱっと取締りをするというようなことでございまするが、これでは恒久性がございませんので、私は運輸当局において、現在の定員法というものを再検討しなくてはならないということを常に考えておるのでございます。御承知のように、航路資格は、遠洋、近海あるいは沿岸、平水、この四つに分れておりまするが、定員は航路の資格によりまして違う。たとえば遠洋航路の資格の船が平水を走りましても、検査表に表われておる定員を超過いたしますれば、これはまさしくいわゆる定員違反であります。ですが、実体上は定員違反かということです。でありますから船主におきましても、今の定員制度では、とかく定員制度を軽く見、等閑に付することが起ってくるわけであります。でありますから、平水航路なら平水航路で、何時間のところは何ぼの定員がこの船にはあるのだというような式に、実際に即した定員制度をやっていただいて、常にその安全度の限度を保たすようにする。これをやりますれば、こういうように定員は見てやるが、定員を厳守せよということが言えるわけです。先ほど小山君の指摘の通り、定員だけで乗せておるというようなことでは、やり切れない事態でありまするし、先ほど石部君からも言われましたように、平素は定員の三〇%であるというようなことでございますので、有事の場合でも限度というものを見てやる定員法の見直しをやらなければならない。ところが海上保安庁が取り締るのは、検査表に表われておる定員を対象にいたしますから、始終実際に即しない違反が起るわけであります。沿岸航路の船が平水航路の水域を走っておりましても、沿岸水路の定員でございますから、まさしく規約違反になる。そういう子供らしい違反を会場保安庁が始終対象にしておるという実態でありますので、これに検討を加えていただきたい。海上保安庁が人命安全のために常に払われております努力に対しましては、敬意を表しますが、今日の場合俗にいいますあつものにこりてなますを吹くような感じを持っております。始終どれもこれも船の点検をしている。人の生命を安全たらしめようということが目的なのでございます。海上保安庁は単にこういう定期船、資格船のみを対象とされずして――最も危険なのは何かと申しますれば、衝突の予防法も知らない漁船、機帆船などにどんどんたくさんの人を乗せてやることなのです。そういう危険な船に乗って、衝突の予防法も知らず、事故が起りました場合、一体どうするかというような大きな問題が私は蔵されていると思うのでありまして、海上保安庁の取締りの方針としても、その辺をよろしく取り締っていただきたい。今のような危険なものは定員も何も尺度がないのです。そういう無資格船は何も取り締らないで、有資格船のみ取り締るというやり方は、一口に申しますれば迷惑千万でございます。ですからあまねく人の命を安全たらしめんとする取締りが根底をなします以上、そういうものを対象にしての海上輸送知識の普及のため、強力な御配慮をいただきたいということをつけ加えてお願い申し上げます。
#95
○辻説明員 お答え申し上げます。保険の制度に関しましては、私の方でも寄り寄り検討いたしておるのでございますが、まだ具体的な成案を得るに至っておりません。早急に保険制度の検討をいたしまして、もし自動車賠償保険法のごとく新しく国が法律を作りまして、あれに似た保険にいたしますか、あるいは現在の保険会社との話し合いで、要するに趣旨は乗客の危険をカバーするということが達せられればいいわけでございますので、その点早急に検討いたしまして、もし法律が必要ならばぜひとも来国会にも提出したいと考えております。
 それから定員の問題でございますが、私どもも今山本先生がおっしゃったそういう感じを持っているのでございまして、先般当委員会におきまして運輸大臣からもそういう点を含めて定員の問題を再検討したいという御答弁がございました。私どもその線に沿いまして至急に検討いたしたいと考えております。
#96
○島居政府委員 海上保安庁といたしましては、急に取締りを厳重にしているわけではございませんで、平素から春、秋などの行楽季節には厳重にしているわけでございます。しかし御趣旨のありましたように、あまり形式に流れないように、なお定員の問題につきましては、運輸省の船舶局あたりによく申し入れまして検討していただくことにいたしたいと思います。なお小山先生からお話がありました航路標識につきましては、できるだけ早急に、緊急に必要なところを整備いたしたいと思っております。
#97
○小山田参考人 ただいまのお話中、保険会社は詐欺であるというようなお言葉がありましたが、約款につきましてはそれぞれ監督官庁の承認を得て実施しているのであります。また特約条項に関しましては、それぞれの契約者と十分協議の上に取りきめたものでありまして、ただいまのようなお言葉がありますことは、われわれとしましては非常に遺憾に存じております。これは公正な契約である、かように考えております。
#98
○山本(友)委員 私は道義的なことを申し上げましたので、保険会社、すなわち小山田君たちが詐欺師であるということは言っておりません。保険料を取りながら、船客保険に入った者に一銭も払わないというようなことは、道義において白昼詐欺をするようなものだと言っておるのでございまして、これにもとらぬようなあなた方の良心的な処置をお願いしたいわけです。
#99
○小山田参考人 先ほどからしばしば申し上げておりますように、保険会社としましては誠意をもって解決する、さように申し上げているわけでございます。
#100
○淵上委員長 参考人各位には御苦労様でした。まことにありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト