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1947/10/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第15号
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1947/10/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第15号

#1
第001回国会 国土計画委員会 第15号
昭和二十二年十月七日(火曜日)
    午前十一時十二分開議
 出席委員
   委員長 荒木 萬壽夫君
   理事 細野三千雄君 理事 松井 豊吉君
   理事 内海 安吉君 理事 木村 公平君
  理事 的場金右衞門君
      伊瀬幸太郎君    松澤  一君
      宮村 又八君    原  孝吉君
      村瀬 宣親君    今村 忠助君
      高田 弥市君    野本 品吉君
      高倉 定助君    只野直三郎君
 出席政府委員
        内務事務官   岩沢 忠恭君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
 委員外の出席者
        議     員 岡田 勢一君
        議     員 千賀 康治君
        議     員 猪俣 浩三君
        議     員 田村 虎一君
        專門調査員   西畑 正倫君
        厚生事務官   飯島  稔君
        厚 生 技 官 楠本 正康君
        運輸事務官   森  巌夫君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した請願
 小松島港を開港場に指定の請願(岡田勢一君外
 三名紹介)(第四〇二號)
 愛知縣内の海岸堤防改修工事施行の請願(千賀
 康治君外二名紹介)(第四五四號)
 高師、天伯原一帶に砂防工事施行の請願(千賀
 康治君外二名紹介)(第四五八號)
 逢妻川上流砂防工事施行の請願(千賀康治君外
 二名紹介)(第四五九號)
 愛知縣における砂防工事費國庫補助増額の請願
 (千賀康治君外二名紹介)(第四六〇號)
 瀬戸市を中心とする地域に砂防工事施行の請願
 (千賀康治君外二名紹介)(第四六一號)
 上越地方の雪害對策に關する請願(塚田十一郎
 君外三名紹介)(第四八七號)
 妙高高原を國立公園に指定の請願(塚田十一郎
 君外三名紹介)(第四八九號)
 馬見ケ崎川上流砂防工事竝びに下流改修工事施
 行の請願(松浦東介君紹介)(第四九九號)
 岡ノ内、別府間道路開鑿の請願(長野長廣君紹
 介)(第三三一號)
 岩國港を開港場に指定の請願(田村虎一君二名
 紹介)(第二〇一號)
    ―――――――――――――
#2
○荒木委員長 これより會議を開きます。
 前會の委員會におきまして上程紹介を留保せられてありました崎山村に防波堤築設促進の請願、西村久之君紹介、文書表番號三九二號は、十月三日の公報に付託に關する訂正がいたされましたので、本委員會の審査より除くことになりましたから御了承願います。
 去る九月三十日、審査を延期いたしておきました岡ノ内、別府間道路開鑿の請願、長野長廣君紹介、文書表番號三三一號は、八月二十六日上程審査いたしました岡ノ内、別府間道路開鑿の請願、黒岩重治君紹介、文書表番號一五九號と同一趣旨のものであり、すでにその説明及び意見を聽取しておりますから紹介を省略することといたします。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○荒木委員長 御異議なしと認め、さよう取計います。
    ―――――――――――――
#4
○荒木委員長 日程第一、小松島港を開港場に指定の請願、岡田勢一君外三名紹介、文書表番號四〇二號、紹介議員の説明を求めます。
#5
○岡田勢一君 本請願は徳島縣の小松島港を開港場に指定せられんことを懇願するものであります。以下簡單にその理由を御説明申し上げます。
 四國の東海岸竝びに東南海岸におきまして、ただ一つの重要港灣であります小松島港は、徳島縣全部と高知縣の一部、香川縣の三縣にまたがる廣大なる地域を擁しておりまして、その完備しております陸上、海上の設備と相まちまして、出入りの船舶、貨物は年とともに増加いたしまして、昭和十八年におきましては入港船舶は百萬トンを超え、移出入の貨物九十萬トンの多きに達しておるのであります。かつ本港を經由いたします輸出入貨物におきましても、昭和十五年度にすでに二十萬トンを算するに至つておるのであります。しかるにたまたま戰爭の劫發するに及びまして、對外貿易の杜絶のために、本港の利用は一時その目的を異にするのやむなきに至つたのでありましたが、戰爭國力の囘復に伴いまして、生産また増強の一途をたどりまして、今や貿易の再開を目眉に控え、さいわいにいたしまして戰災を免れました本港におきましては、後方地域における綿織物、木材、果實、たけのこカン詰、マツチ、木製品、竹製品、その他雜貨等、年産十數萬トンに及ぶ對外輸出貨物が、まさにその生産態勢を整えまして待期の姿勢にあるのであります。なお先ほど申しましたように、徳島縣と高知縣にまたがつております有名な劍山、あの山には數十町歩に及びます千古斧鉞を加えない大森林があるのでありまして、今後支那大陸方面に對しましても、大量にまくら木などの輸出が豫定されておるのであります。その他木製品、竹製品におきましても豐富なる資源をもちまして、どんどん生産設備が整えられていつております。あるいはまた吉野川流域の沃野におきましては、農産物が莫大に産出されており、また瀬戸内海から鳴戸海峡、太平洋沿岸、室戸岬に至る海岸におきましては、漁業が盛んでありまして、これまた莫大なる收穫を得つつあります。これらの加工品が積出されますことは明かなる事實でありまして、本港の開港の指定はまさに焦眉の急を要する時期に到達しておると思うのであります。よつて政府におかれましても、先般來の地元からの陳情によりまして、ほぼ御了解をくださつておると思うのでありますが、本委員會におかれましては十分なる御審議を逐げられまして、速やかに本港を開港に指定せられんことを御決定いただくように切に希望する次第であります。
#6
○荒木委員長 本件に關する政府側の御意見を求めます。大藏省主税局長、前尾繁三郎君。
#7
○前尾政府委員 ただいまお述べになりました御趣旨でわれわれもすでに檢討いたしておりまして、大體御趣旨に副うような結論に到達いたしておりまして、ただいま手續進行中でございます。ただこれを法律の別表として出すかどうかということにつきまして、いろいろ法制局との問題がありまして、それでちよつと遅れておる形にあります。
#8
○荒木委員長 なお運輸省の海運局關係の意見を求めたいと思います。
#9
○森説明員 ただいまの小松島港を開港とする件につきましては、ただいま大藏省側からお述べになりましたように、私どもも適當と考えまして、その實現に向つて善處いたしたいと考えております。
#10
○荒木委員長 他に御意見はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○荒木委員長 前委員會におきまして延期いたしておりました案件について、田村虎一君が御出席になりまして、日程に追加の要請がございます。これを認めるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○荒木委員長 それでは日程は追加されました。岩國港を開港場に指定の請願、田村虎一君ほか二名紹介文書表第二四一號紹介議員の説明を求めます。田村虎一君。
#13
○田村虎一君 本請願は岩國市岩國港を開港地に御指定に相なるよう請願をいたしておるのでありますが、きわめて簡單に御説明を申し上げたいと思います。
 この岩國港の港灣は、元陸軍の燃料廠に屬しておりましたその港灣を御指定願いたいのでありますが、下關、神戸間におきまして一萬トン級船舶が横ずけになるような所は、おそらく岩國だけだと存じております、この一事をもつてみましても、岩國港の港灣施設が完備しておりますことは明らかであると思うのであります。港灣における状態は、岸壁は大岸壁、小岸壁、荷揚場等が完備しておりますし、倉庫方面におきましても現在使われております、役立つ倉庫が八棟六千六百平方米の面積をもつております。戰災に遭いまして、やや修理すれば使えるものが五棟四千平方米、野積場といたしまして十五萬平方米の面積をもつております。そのほか給水施設、給油施設、浮標、荷揚積卸し等の機關、鐡道の引込線等すべて完備いたしておるのであります。そしてまた一方この港灣に對するところの臨港施設といたしましては、運輸省が目下築造中の約三百メートルの突堤、突堤下が水深約九メートルでありますが、この施設に加えるに帝國人造絹絲株式會社の臨港施設、山陽パルプ株式會社の臨港施設、東洋紡績株式會社の臨港施設、日本紙業株式會社の臨港施設、山口縣營貯木場の臨港施設等がいずれも完備いたしておりまして、この間岩國港の將來における非常な發展性を備えておると思うのであります。なお産業關係におきましては、帝國人造絹絲岩國工場、麻里不工場、東洋紡績岩國工場、山陽パルプ岩國工場、日本紙業藝防工場、與亜石油岩國工場、中國塗料岩國工場、岩國竹材工業株式會社の岩國工場、そのほか中國製鹽公社岩國工場、義濟堂株式會社等各大小の工場がありまして、年間生産數量は百二萬トンを越しておるのであります。こうした状態でありまする上に、岩國地方は御承知のごとく島根縣の南部、廣島縣の山口縣寄り方面におきまして、多數の林産物の産地でありまして、殊に大島みかん、岸根くり、たけのこ、まつたけ、そうした果實の生産地でありまして、これら生産物に對する加工工場も、目下著々としてこれが整備中であります。なお岩國は御承知のごとくで錦帶橋の所在地であり、また港のすぐ東端には巌島を控え、將來名勝地、観光地として非常に望まれておる所であり、それに加うるに岩國にかつてありました海軍航空隊が、今は國際航空場として著々と整備中でありまして、將來國際飛行場としてここに岩國が浮き上るのであります。そうした各觀點からいたしまして、岩國港灣の貿易港、開港場としての指定は、この請願の趣旨にありますようにお願いを申し上げたいと思いますが、どうぞ委員會におきましては、御審議の上、速やかにこの請願を御採擇くださいますように、ここに切にお願いを申し上げる次第であります。
#14
○荒木委員長 本件に對する政府側の意見を求めます。
#15
○前尾政府委員 ただいまお述べになりました御趣旨につきまして、われわれもすでに檢討いたしたのでありますが、大體におきまして開港場に指定する價値あるものを考えまして、ただいま手續進行中でございます。
#16
○森説明員 岩國港の開港場指定に關しましては、小松島港と同様にその必要性を考えまして、その實現の手續中でございます。
#17
○荒木委員長 御質疑等はございませんか……。
    ―――――――――――――
#18
○荒木委員長 次は日程一三、愛知縣内の海岸堤防改修工事施行の請願、千賀康治君外二名紹介、文書表番號第四五四號。紹介議員の説明を求めます。千賀康治君。
#19
○千賀康治君 私が紹介議員を勤めておりますが、この問題はかつて愛知縣の全代議士十九名が愛知縣知事の官邸に招請を受けまして、ここで知事と協議をいたしまして、集合いたしましたところの者は全員賛成をいたしておるのでございます。私便宜上代表としてここに紹介の役目をいたします次第でございます。
 愛知縣の海岸線は約百里に及んでおります。しかしてこのうち海岸堤防は三十里前後に及んでおるのでございます。この海岸堤防が包容しております耕作地の面積は約一萬町歩弱に達して、非常に廣大なるものでございます。これが海岸堤防の保護によりまして、年年愛知縣は特に優秀なる農作物を生産いたしております。たとえばオランダの某々地點におけるような役目をいたしておる重要な部分でございます。ところが昭和十九年の暮と昭和二十年の早春に二囘の大地震が、ほとんど愛知縣地内を震源として起つたのでございます。昭和十九年の分は愛知縣の沖合と言われております。また二十年の分は三河の地で、殊に幡豆郡と言われておりますが、三河のほとんど中心部であります。これが震源地をなしておるのでございますが、その兩囘の地震を通じましての被害は、まことにおびただしいものであつたのでございます。一般の被害につきましては、別に私はここで申し述べる煩を避けますけれども、當時海岸におります人たち、またこの海岸堤防に擁せられておる村落の人々は、やつと津浪の被害だけは免れたと言つて喜んでおりましたが、當時どうしたことか、海の水が非常に高くなつて、今までよりも二尺も三尺も、ところによると四尺くらいも海の水が上つてきた。これは津浪は免れたけれども、この地震の影響でこんなことになつた。海の變化は恐ろしいものだというようなことを、村人は言い合つておつたのでございますが、だんだん日の經つに從いまして、これの眞相を研究をいたしてみますと、海岸堤防もろとも、海岸に面しているすべての土地が沈下したことが明瞭になつたのでございます。まことに危劍この上もないわけでございまして、さいわい今年の夏は愛知縣には大暴風雨がございませんでしたために、辛うじて助かりましたが、もしも愛知縣に關東におけるような暴風がございますれば、必ずその堤防は決壊し、またその村々は水の底になつているに違いなかつたのでございます。すでに八月十五日ごろ關東の水害、あるいは東北の水害を見ざる前に、私どもは請願を提出いたしまして、早く何とかしてくださいというお願いをしておるのでございますが、やつと今囘委員會に上程せらるることになつてきたのでございます。今まではちよくちよく堤防が決壊するとか、あるいは弱點を露呈いたしますと、大體町村の負擔において、また縣の補助も加えて、これで修築をしてきたのでございますが、その町村の負擔の中には、おもに地方におきまする田地を所有する大地主の負擔が相當の重要部分であつたのでございます。ところが最近農地法の實施によりまして、そうした大きな地主はことごとく追放を受けまして、そしてみな新たに創設された自作農の所有に移行することになりましたので、まとめて町村が財源を得ることができない實情になりまして、今度の修築に關しましては、ほとんど町村の手でやることができないのであります。どうしてもこれには大なるバツクに頼らなければやれないということで、ここに政府の畫期的な補助をお願いする次第であります。堤防の最も沈下して危機に瀕しているところは、名古屋から西の方の海部郡、知多郡で、大體平均沈下は二尺五寸程度、三河にまいりまして一尺五寸から二尺程度でございまして、いずれにいたしましても、この三十里の海岸堤防の八割以上はこの前の震災によりまして沈下をいたしておるのでございます。ぜひともこのお願いの趣旨を當委員會において十分御審議を賜りまして、この請願を御採擇あらんことをお願いする次第であります。
#20
○荒木委員長 本件に對する政府委員の御意見を求めます。
#21
○岩沢政府委員 ただいまお述べになりました愛知縣の海岸堤は、元來干拓事業によつて、民營によつて、できたものでありまして、比較的堤體も小さいように私は聞いておるのであります。こういつた非常に脆弱な海岸堤が十九年、二十年の兩度の震災に遭いまして、相當被害を受けたのでありますが、これに對しては政府としてすでに復舊の助成をいたしておるのであります。しかし全體的からみますと、今仰せになりました通りに沈下をいたしておるのでありますから、これに對しましては、政府としてできるだけの助成をして、速やかに安全確保をしたいと思つておるのであります。なおこの席におきまして、愛知縣というような大縣が、この三十里になんなんとする海岸堤を、未だに町村支辨にしているということは、非常に關係町村の大なる負擔でありますから、私どもはできるだけ速やかにこれを縣費支辨に編入しかえて、そして大きな力で將來におけるいい修繕をやつてもらつたらいいではないかということを、縣當局にも慫慂いたしておるのでありますが、その點はやはり關係町村におきましても、縣の方にそういつたような話をしてもらうことが、今後いい修繕をしてもらうについて好都合ではないかと考えております。
#22
○荒木委員長 御質疑等ございませんか。なければ次に移ります。
    ―――――――――――――
#23
○荒木委員長 次に日程第一四高師、天伯原一帶に砂防工事施行の請願、千賀康治君外二名紹介維第四五八號、日程第一五逢妻川上流砂防工事施行の請願、千賀康治君外二名紹介、第四五九號、日程第一六愛知縣における砂防工事費國庫補助増額の請願、千賀康治君外二名紹介、第四六〇號、以上三件を一括して上程いたします。紹介議員の説明を求めます。千賀康治君。
#24
○千賀康治君 ただいま上程になりました三件を一括して説明さしていただきます。愛知縣におきます砂防の必要なところ、言いかえますと瘠薄であつて、表土の流れやすいところと申しますと、大きく分類をいたしまして、名古屋と岡崎との間のやや北に偏するところに猿投山という山がございます。この猿投山の山腹は、西の方は瀬戸市に面し、南は擧母から伊保というような方面、これは西加茂郡の一帶であります。またこれが東に至りますと、東加茂郡一帶になり、遠くその山系を發しまして岡崎市の一部分にもはいつておるのでございます。また一方知多郡の一帶もはなはだ瘠薄でございまして、表土は膽弱で、いたるところに耶馬溪によく似たような山形を露呈しておるような景況で、土砂を流出しやすい地表になつております。また豐橋の方に至りますと、高師原と申しまして、ちようど東京の戸山原によく似たような表土でございます。支那で言えば黄土と言いますか、まことに膽弱瘠薄な地表の一連の地帶でございまして、昔からこの方面は練兵場に使われたりいたしまして、ますます荒廢の度が重なつておるのでございます。大別いたしましてこういう膽弱な表土をもつた地方がございますが、これが近年に至りまして、どこの土地も同じでございますが、亂伐の結果とまた農地開拓の縣内移住、あるいは新開懇地造成等の立場から、まことに無統制に開懇を始められました結果、土砂の流出はますます激しくなつてきたのでございます。豐橋の方面についてみれば、その荒地の眞中に梅田川という川がありまして、この川の沿岸は相當に肥沃な水田地帶でございますけれども、これが兩方の高地から流れ出ます土砂のために、川は埋れまして、どんどんと水が外に溢れて、肥沃な耕地を荒してしまう。また猿投山の山腹地帶では、擧母伊保原方面にいたしましても、逢妻川上流方面にいたしましても、また瀬戸の附近にいたしましても、土砂がどんどん流れ出まして、附近の優秀な豐穣なところを埋め盡していきつつあるのでございます。これをこのままにしておきますと、まことに將來恐るべき結果になるのでありまして、どうしてもこれは急速に砂防工事を施行していただかなければなりません。愛知縣におきまする砂防指定地の總面積は九萬町歩を超すくらいになつておりますけれども、現在施行されたものは四千何がしで、また相當に大きな面積が指定のみで殘されておるのであります。これが最近までは、相當に砂防指定地ということで天然稚樹の育成が目的を達せられまして、それぞれ適當な山相になつておるのでございますが、敗戰以來燃料の足らないためであろうか、あるいは道義の廢頽等によりまして、いま一つは、山の所有をやがては國家に取上げられるというようなうわさが原因をいたしまして、すさまじい濫伐が起りました。このためにせつかく砂防指定地という制度のもとで、まつたくのはげ山がまた青々とした第一期林相にもどりかけたものを、再びここに赤はげにむかれてしまつたというようなものが、到るところに續出をいたしまして、まことに憂慮すべき實相を呈しておるのであります。私どもはすでに八月初旬からこの請願をいたしまして、今に大雨が降つたらものすごい結果になりますぞということを、私どもは叫んでおつたのでありますが、その大雨がさいわい愛知縣は逃がれましたが、東北、關東地方におきましては、皆様の御承知のような結果を現わしてしまつたのでございます。これは愛知縣におきまする砂防も、やがてはこうした雨量があれば、ちやうど同じ結果になるぞという示唆を與えられたのと同じことでありまして、かような點にすべからく適當な力を注いで、いかにして施設を促進さしていただくかということは刻下の急務であると思うのであります。またその對策として、造林というようなこともときどき議會の中でも叫ばれておりますけれども、造林をいたしましたところで、濶葉樹が相當に水を防遏するだろうというような成績を表わすまでにも、少くも十年やそこらはかかるのであります。針葉樹を植林すれば三十年、四十年經たなければ防水の效果が現われてきません。その間大雨がなしに濟むということは、何人といえども期待することができないのであります。何とかこれは急速に別な方法をとらなければ、水を防ぐということはできないのでございます。かように所論いたしますと、どうしても今まで内務省がやつておいでになりましたあの上流砂防、または山腹山脚の保護をなりまする堰堤砂防、こうしたものを一段と強化していただくよりほかに、實效を現わす方法はないのであります。私どもは常々かようなことを叫んでおるのでありまするけれども、今こそほんとうにこの國土委員會が國土計畫の立場から機能を發揮していただく。今こそ上流砂防、つまり堰堤砂防をここで完成していただくということが、ほんとうに日本を救う最善最急の途であるということを、私どもは指摘せざるを得ないのでございます。かような意味におきまして請願いたしましたこの三件を、ぜひとも御採擇をいただきまするとともに、わが國の治山治水の端緒をここにはつきりと明示していただきたいと思う次第でございます。どうかよろしく御採擇のほどを願います。
#25
○荒木委員長 ただいま紹介がありました三件に對する政府側の意見を求めます。
#26
○岩沢政府委員 愛知の地質というものは、今お述べになりました通りに、一雨降ればすぐ流れるというような河川の水害地帶が非常に多いので、これを防止する意味から、砂防工事が比較的全國に比べると、愛知縣は早くから行われておつたという状態であります。すなわち明治三十二年から、この砂防工事が愛知縣において行われまして、今日まで支出した金額は大體九百十萬圓ばかりの工費を使つてはおりますけれども、しかしながら全縣下が非常に地質が惡いために、土砂の流出がはだはだしい。從つてこれを扞止するためには相當大規模の砂防工事をしなければならぬというような現状でありまして、今後なお愛知縣の砂防を完全にやるための工費は、われわれの調査によりますと、なお八億五千萬圓を要するような状態であります。しかしながらこれは等閑に付することはできませんから、できるだけ速やかに豫算を相當頂戴いたしまして、そうして急速に砂防工事を進めていきたい。こういうように考えております。なおこの請願の逢妻川でありますが、これは大正二、三年ごろから一應砂防工事を始めたのでありますが、戰爭中これが飛行場に相なつて地形が一變し、またその後終戰後農地開發というようなことから、ますます土砂の流出が激しく相なつたのでありまして、これは比較的工費も少く、これを扞止する意味においては百四、五十萬圓あれば一應は土砂は防止できるのではないかと思いますから、これも來年度において豫算化して、急速にやつてまいりたい、こういうように考えております。また天伯原、高師の溪流につきましても、これは從來から相當食糧増産というような點から留意しておるのでありまして、昭和二十一年度からようやく砂防工事に著手したのでありますが、豫算が非常に少いために、二十一年度では十五萬圓、二十二年度には二十一萬圓ばかりの工費を投じておるにすぎないのでありますから、今後なお天伯原、高師の砂防工事に要する工費はざつと一千萬圓を要するのでありますが、これは先ほど申しました通り、食糧増産という面に非常に寄與する個所でありますから、政府におきましてもできるだけ早く砂防扞止をいたしたい、こういうように考えております。
#27
○荒木委員長 御質疑等はございませんか。
    ―――――――――――――
#28
○荒木委員長 お諮りいたします。次の日程一七、瀬戸市を中心とする地域に砂防工事施行の請願、千賀康治君外二名紹介、文書表番號四六一號の案件は、先だつて本委員會において審査されました同一題名の早稻田柳右衞門君紹介、文書表番號一五二號とその趣旨が同一でありますので、その紹介説明及び政府側の意見を聽取しますることを省略したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○荒木委員長 御異議なしと認めましてさよう取計います。
    ―――――――――――――
#30
○荒木委員長 日程第二〇、上越地方の雪害對策に關する請願、塚田十一郎君外三名紹介、文書表番號四八七號、紹介議員の説明を求めます。猪俣浩三君。
#31
○猪俣浩三君 上越地方と申しますのは、高田市を中心とした中頸城郡、西頸城郡、東頸城郡の三郡を言つておるのであります。この三郡におきまするところの雪害というのは、温暖地においては想像にあまりあるものでありまして、二メートルないし六メートルの雪が毎年降る地方が多いのでございます。四十萬の住民がそれがために非常な苦勞をしておる。これに對しまして特別な御配慮を願つてあるのであります。
 具體的要望といたしましては、第一に學校なんかも降雪のために非常に破損をいたします。それから除雪等のために非常に經費を要しまして、町村の平均負擔金が二十萬圓を下らないという現状であります。その他子供を温めるための設備とか、雪圍いをするための設備とかいわゆる温暖地方に見られないようなよけいな經費がいります。これに對しまして相當の補助金をもらいたいというのであります。
 第二點といたしましては、この積雪のために交通路の被害がはなはだしいのであります。道路、橋梁その他融雪期におきましては、水が一ぺんに出ますために、毎年大水になりまして、いろいろの交通期關を破壊する。そのたびにそれぞれに關係地法において復舊いたしておるのでありますが、これがための犠牲が非常に大きいのでありまして、こういう復舊費についての出費に對して、何らかの補助をしていただきたいというのであります。なお根本といたしましては、國費によりましてかような被害防止の對策を立てて、國家でやつていただきたい。それまでの間は自治的にやりましても、それに對して實費としてなにがしかの補助をしていただきたいというのであります。
 第三點といたしましては、積雪のために、自然雪の消えるのをまちますと、半年くらいまつておらなければならぬという状態でありますので、人工的に雪を早く消す方法をとりたい。これがためにはそこに非常に多額の經費を要しますので、國家としてもこれに對して特別の御配慮を願いたい。
 第四點といたしましては、家屋税の問題でありますが、これも積雪地方の家屋はただ雪に耐えるということを中心としてつくつてありますために、非常に廣いけれども家の中を利用することは少いのでありますし、また毎年雪のために家の損傷がはなはだしいのでありまして、こういうものには、なるべく家屋税を特別に減免していただきたいというのであります。
 第五點といたしましては、積雪地方は他地方に比べて非常に寒い期間が長いために、衣料、寝具その他につきましてこれを要することが多いのみならず、燃料などにいたしましても、非常に多量を要します。また外出用のゴム靴、長靴などは必要品になつておりまして、その他防寒用の被服なども、温暖地とは比較にならぬほど要りますので、これらの品に對しても配給をしていただきたいのであります。
 第六番目といたしましては、衞生その他に對する考慮を拂つてもらいたい。長い間雪の中にはいつておりますために、非常に衞生上不健康を來しております。それが身長その他體重等にたいへん影響を及ぼしておるのであります。なおまた眼病にかかる者が非常に多いのであります。こういうものに對しまして、衞生設備を何とか國家で心配してもらいたいというのであります。
 それからなお雪害防止についての一つの國家機關として研究機關を設けていただいて、これに對する科學的な一つの對策を國家において講じてもらいたいというのであります。この雪の深い地方は單作地帶でありまして、米をつくる以外に何等收穫のないような地方であります。現在私どもが各町村をまわつてみますと、實に閉口いたしますので、いろいろ多角經營とか何とか申しましても、あるいは機械化というようなことを申しましても、ほとんどこういう雪の降る山岳地帶はさようなことは望めないのでありまして、鶏や牛を飼うといいましても、雪のためにほとんどそれが飼えない。鶏、牛を飼うにいたしましても、半年の長い間それをかくまつておかなければなりませんから、そこに非常に大きな設備をしなければ飼うことができないから、牧畜、養鶏につきましても非常に支障を來しておりまして、芋、米をつくる以外に方法がない。近代的考慮ができないような惨澹たるところが多いのであります。それから特にこの交通機關の破壊という場合には、供出米を搬出しますのに非常に影響を及ぼしまして、それがために村の人の犠牲というものは實に多大なものであるのでありまして、供出を阻害するような點も多少あるのであります。かような事情でありますので、皆様の御考慮を願いたいというのが本請願の趣旨であります。
#32
○荒木委員長 本件に對する政府側の意見を求めます。
#33
○楠本説明員 積雪地方の保健對策、衞生對策についてお答え申し上げます。ただいま御指摘のごとく、わが國の裏日本の積雪量は、その量の多いこと竝びに長期にわたりますことは、世界文明國にまつたくその比類がないのでありまして、從つていろいろの方面に尨大な損失を與えておる。殊に日常生活等に影響するところが大きいために、ただいま御指摘のごとく、衞生上にも幾多の缺陥が認められておるのでありまして、私どもといたしましては、去る昭和十七年に若干の豫算を融通いたしまして、新潟縣の小出町に積雪地方生活調査研究所を開設いたしまして、いろいろ具體的に積雪地方の生活を調査研究いたしまして、これに基いて適切な施設等を擴充いたしたいと考えたのでありますが、その後豫算等の關係もありまして、また終戰以後の窮迫した情勢等のために、その調査機關も閉鎖のやむなきに至つて、今日に至つておるのであります。しかしながら現在といたしましては、その當時の調査資料、竝びに現在の實情等をよく考えまして、目下別箇なる對策を立てまして、これら積雪地方の保健對策の萬全を期したいと研究をいたしておる次第であります。なおこれに伴いまして、ただいま御指摘のごとき調査機關も以前あつたのでありますから、これを再び活發に動き得られますように、豫算等を考慮いたしたいと考えておる次第であります。
#34
○岩沢政府委員 融雪による土木工事の災害は、現在でもすでに災害復舊工事のうちで國から補助をいたしておりますから、もしそういつたような融雪による災害が起れば、縣を通して申請をお願いいたしたいと思います。
#35
○荒木委員長 御質疑等ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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#36
○荒木委員長 次は日程第二一妙高高原を國立公園に指定の請願、塚田十一郎君外三名紹介、文書表第四八九號、紹介議員の説明を求めます。猪俣浩三君。
#37
○猪俣浩三君 妙高高原を國立公園にしたいという請願でありまして、申すまでもなく妙高高原は妙高山、焼山、火打山、その他黒姫山、飯綱、戸隠こういうものをみな一望に見られるところの、壮快なる所にあるのでありまして、風景の明媚たることは喋々を要せぬのであります。ここに現在すでに觀光ホテルが建つておりまして、連合軍の將兵が多數保養地としてまいつております。その景色の雄大にして壮嚴なることに對して歎美の聲を放つておるのでありますが、この外客誘地、民間貿易再開の今日、これを國立公園として御指定いただきますならば、わが國家のためにもなるのじやないか。なおまたこれを衞生上から見ましても、まことに保健衞生に適した土地でありまして、國立公園として御指定願いたいというので、請願に及んだ次第であります。これはなお文化委員會とも連關があると存じますから、委員長において適當に處置していただきたいと思います。
#38
○荒木委員長 本件に對する政府側の意見を求めます。政府委員厚生省公衆保健局調査課長飯島稔君。
#39
○飯島説明員 御承知のごとく、國立公園はわが國土の傑出した大風景地を開發いたしまして、これを國民保健、休養、教化のみならず、外客を誘致いたしまして、廣く世界の觀光客を通じて、國際親善竝びに國際貸借の改善に資せんとする經濟的目的をもつているわけでありますが、ただこの國立公園の撰定に當りましては、わが國を代表するに足る自然の大風景地であつて、かつなお文化的にあるいは科學的に、かつまた歴史的な諸條件が滿足せしめられなければならないと考えておる次第でございまして、ただいま御請願の妙高高原地帶の地域は、妙高、黒姫、戸隠等の諸峰竝びに山麓の高原、温泉、野尻湖等がまとまつた觀光地帶を形成しておるわけでありますが、その周圍には中部山嶽國立公園があり、また近く國立公園候補地として考えておられる三國山脈の國立公園もございまして、全國的な配置の點から考えますると、この周圍が脈帶に國立公園になるという點もございますので、將來國立公園として指定するということになりますと、配置の關係、またその風景の國土傑出の程度等について、なお十分調査研究をしなければならないものを考えておる次第でございます。
#40
○荒木委員長 御質疑等ございませんか……。猪俣浩三君にお答えいたします。國立公園の關係は、御意向のごとく文化方面におきましても關係がございまするし、ことに觀光事業との關連は密接なものがあろうと思います。ただ委員會の審査といたしましては、國立公園は本委員會の所管事項となつておりまするので、審査そのものにつきましては連合審査等のことは取計ろう意向はございません。ただ實際問題として、文化委員會との連繋はとりたいと思います。さように取計らいまするので、御了承願います。
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#41
○荒木委員長 お諮りいたします。日程第二三、馬見ケ崎川上流砂防工事竝びに下流改修工事施行の請願、松浦東介君紹介、文書表番號第四九九號は同じく文書表番號第一七一號とその趣旨が同一でありまして、すでに他の紹介議員の説明及び政府側の意向を聽取いたしております。よつて本件はあらためて紹介及び意見の開陳することといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○荒木委員長 御異議なしと認めましてさよう取計らいます。
 次の委員會の日時は公報をもつて御通知申し上げます。本日はこれをもつて散會いたします。
    午後零時五分散會
ソース: 国立国会図書館
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