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1947/09/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第18号
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1947/09/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第18号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第18号
昭和二十二年九月二十九日(月曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君
   理事 松野 頼三君
      笠原 貞造君    菊池 重作君
      久保田鶴松君    佐藤 通吉君
      千賀 康治君    坂口 主税君
      中垣 國男君    大村 清一君
      中島 守利君    小枝 一雄君
      外崎千代吉君
 出席政府委員
        内務事務官   林  敬三君
        内務事務官   久山 秀雄君
        農林事務官   近藤 康男君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
九月二十七日
 京都市特別市制實施反對に關する陳情書外一件
 (京都府町村議員河村太一郎外百八名)(第三
 一四號)
 特別市制實施反對に關する陳情書(兵庫縣自治
 連盟理事長辻猛外一名)(第三一五號)
 特別市制實施に關し調査委員派遣の陳情書(大
 阪府中河内郡町村長會長木村國雄)(第三一六
 號)
 地方自治團體の財政補助等に關する陳情書(九
 州各縣議會正副議長會幹事稻員稔)(第三二〇
 號)
 町内會、部落會に閲する陳情書(兵庫縣多紀郡
 篠山町長藤本善吉外十八名)(第三二一號)
 京都市特別市制實施反對に關する陳情書(京都
 府與謝地方町村長會長宮津町長徳田富治)(第
 三二九號)
 京都市特別市制實施促進に關する陳情書外一件
 (京都市特別市制即時斷行上京區區民大會外一
 名)(第三三〇號)
 神戸市特別市制實施反對に闘する陳情書外一件
 (兵庫縣武庫郡鳴尾村長井上寅藏外一名)(第
 三四六號)
 大阪市特別市制實施反甥に關する陳情書外二件
 (大阪府南河内郡町村長外四名)(第三六二
 號)
 名古屋市特別市制實施反對に關する陳情書外三
 百三十五件(愛知縣八名郡賀茂村長山本安吉外
 三百六十五名)(第三七五號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 内務省解體に關する件
 地方出先官廳の整理に關する件
 國政調査承認要求の件
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより會議を開きます。
 本日の日程は道路交通取締法案、内務省解體に關する件、地方出先官廳の整理に關する件でありますが、日程に先立ち御報告申したいことがあります。
 九月二十五日の委員會において協議いたしました關係地方水害地の治安状況調査のための委員派遣は、衆議院規則第五十五條の規定により議長の承認を申請いたしましたが、議長より議院運營委員會に諮問いたしましたところ、水害地への委員派遣は議院より派遣しているから、各委員會において別々に派遣することは見合せた方がよいということに決定いたしましたから、この段御了承願います。なお議員團として派遣します中に、本委員會では大澤嘉平治君がはいつております。右御報告を申し上げます。
 なおこの際お諮りいたしたいことがあります。本委員會の使命を十分遂行いたしますため、治安及び地方制度に關する種々の調査、研究を行いたいと思ひますが、そのためには衆議院規則第九十四條により、議長の國政調査承認を必要といたしますから、この際治安及び地方制度に關して國政調査承認要求を、本委員會より提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○坂東委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。なほ他に御報告事項がございますが、それは五大都市の特別市制に關する件であります。この件に關しましては、過日關係方面に参りました。五大都市の市長竝びに本委員會の代表四名、及び参議院からも四五名参りましたが、そのほかに府縣の知事竝びに府縣會議長等三十名ほどおりました。その席上關係方面のある一人から、いろいろ説明がありましたが、要するに一般選擧に關しまして、その人の意見は、それは全體選擧というような個人的の意見がありましたが、しかしながらこの點に關しましては、關係方面のその人といたしましても、別にその案に反對の意見というわけではないのであります。それが終りまして、後から他の關係方面の人の話によりますと、それは何らかの方法をもつて研究してみたらどうかというような意見もあつたのであります。從つて當委員會としましては、從來の方針に基きまして、他の面から研究を進める必要があるということになつておりますことを御報告申し上げます。なおまた新聞紙等では、非常に間違つた記事が載つておりますから、本委員會としましては、決してこの假決定をそのまま放棄するわけではないのであります。いやしくも假決定をしました以上は、その趣旨が徹底するように、あらゆる方面から調査研究を繼續するということはもちろんであります。この點だけを御報告申し上げます。
#4
○川橋委員 數日前の東京新聞に参議院の治安及び地方制度委員長の吉川君の名において、われわれの了承に苦しむ記事が掲載されておるのであります。本委員會は、昨年設置されました地方制度調査委員會の決議、またこれを背景として制定せられました地方自治法の第二百六十五條の規定、竝びにこの自治法が九十二議會において通過いたしました際に、附帶條件としてその第三項に、次の國會には五大都市特別市制法案を制定するという決議がされたのであります。われわれは、大體國會の權威から鑑みまして、そうしてその沿革竝びに地方自治法に準據いたしまして、かつ附帶條件たるに基きまして、この五大都市特別市制問題を愼重に審議いたしまして、一應議案の整理を見たのであります。しかるに参議院において、いまだ衆議院において審議中のこの案に對して、あるいは國會冒涜であるというようを亂暴な意見が、東京新聞に掲載されておるのであります。しかも吉川君は委員會を代表云々の言葉を使つております。およそ衆議院と参議院におきましては、その性格及び權能において、おのずから順序と秩序があるのであります。いまだ衆議院において審議中のこの法案に對しまして、参議院の治安及び地方制度委員長が、かくのごとき暴言を吐くことは、むしろ彼こそ國會を冒涜するところの行為と、私は斷ぜさるを得ないのであります。この問題はひとり治安及び地方制度委員會における問題のみならず、衆議院全般の面目にかかわる問題と考えております。よつて委員長におかれましては、この新聞記事の出所を探究せられまして、なおその結果によつては、参議院に對しまして相當の行動手續をとられんことを希望いたします。
#5
○坂東委員長 ただいま川橋君から、お聽きの通りの事情でございますが、他の委員諸君のこれにつきましての御意見がありますならば、この際御發表を願います。なお川橘委員にお尋ねいたしますが、その後参議院におきまして、その治安及び地方制度委員會のある委員から、相當吉川委員長を詰責したということがありますが、これをお聞きになりましたか。
#6
○川橋委員 参議院の中井議員からそういうことをされたということは聞いておるが、しかし本委員會におきましても、適當にこの問題の内容を調査して善處せられんことを希望いたします。
#7
○坂東委員長 今の川橋君の御意見に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#8
○坂東委員長 ではさよう決定しまして、私はよく調べてみます。それでは本日の日程の順序を變更しまして、まず先に地方出先官廳の整理に關する件を政府に説明を求めます。今農林省から統計調査局長の近藤康男君が來ておられますから、近藤君から一應その説明を聽くことにいたします。
#9
○近藤政府委員 この間の二、三の新聞に、地方出先機關を整理したいという記事のうちに、統計調査關係の農林省の作物報告事務所の仕事を縣に移したらいいじやないかという意見が出ておつたのであります。この問題につきまして私責任者といたしまとて、作物報告事務所というものがどういう事情ででき、どういう機能を果しておるか、われわれはどうい考えで調査に從つておるかということをお話申し上げまして、皆様のこの問題につきましての御判斷をなさる御参考にいたしたいと思います。それにはこの作物報告事務所というものができました経過を、一通り御説明申し上げるといいかと思うのであります。
 この問題が取上げられましたのは、申すまでもなく米、麥などの主食の生産高の調査、あるいは生産高の豫想調査という問題が、非常に國民の日常生活にとりまして重要な問題になり、最も正確な統計を要する時代になつたのでありますが、最も緊切を要すれば要するほど、農村の供出をする側と、それから供出をとる側との利害關係の樹立と申しましようか、これが一層著しくなりまして、片方は隱そうとする、片方はなるべく多くとろうとする、そのために調査もそれによつて曲げようとするという勢いが非常に強くなりまして、統計がほとんど行政の資料として役に立たなくなつた。そういう實情に基いたと思うのであります。今までの官廳の調査につきましてのわれわれの一般的な考えというものは、行政の擔當者が當然その行政をするのに必要な調査をすべきものである、これが今までの普通の考え方であつたのであります。そこで農林省の内部で申しますと、食糧行政は食糧管理局がやつておる。だから米や麥などの重要なものは、食糧管理局が自分の出先調査機關を使つて、自分で調査をしなければならないというので、食糧事務所などを使つてずつとやつておつたのであります。また縣知事の立場からみますと、縣の食糧の責任をもつておるのは自分である、從つて自分の縣の調査をするのは自分でなければならぬ。人の調査を押付けられるということでは、食糧の行政に責任をもつて行政を擔當するわけにいかぬ、こういういき方であつたのであります。そのために先ほど申しましたように生産高の調査が眞實から非常に離れてきたというわけであります。この根本的な考え方を切換えなければならないということに、だんだん氣が付いてまいつたのであります。殊にG・H・QのN・R・Sの方から、昭和二十一年の八月十日に農林省に對しまして、農産物調査に關する四大原則として、こういうことはぜひやらなければならぬというので示されましたのが、第一に作物の調査を中央政府が統制すること、第二に農林省に作物報告の責任機關を設けること、第三に中央政府の作物報告機關を、府縣を通して各農家まで達せしめること、第四に農民から中央政府に對して質問表を郵便で送るような組織をつくること、こういうような原則をもつて農林省は考えてみろ、こういう問題を投げつけられまして、農林省はそれに基きまして、作物報告組織整備要綱というものを九月三日に出したのであります。その要綱は、作物の收穫高の豫想實收高をなるべく、早くとらえて、供出の制當その他食糧行政に役に立つような資料を提供し、過大に報告したり、内輪に報告したりすることのないようにすること、こういうような目的でもつて農林大臣直属の農業統計官を中心として作物統計調査組織をつくりたい、こういうような答をいたしたのであります。これに對しまして二十二年の一月二日にGHQから、日本の作況報告制度改善に關する勸告というのがなされまして、日本の作物の統計がしつかりしていないと、日本が食糧にどれだけほんとうに不足しているかわからぬからして、それだけ日本の國民全體の非常な不幸になるぞということを前書にいたして、これは中央集權的にぜひやらなければならぬ、世界どこの國へ行つても、この作物の調査が、地方政府でやつている場合にうまくいつている例はない、こういうようなことを言いまして、四つのことを勸告してまいつたのであります。
 一つは農林省の内に、統計調査の計畫實施について全面的に責任を負うところの統計局をつくれ。第二に統計局と作物報告の機關というものは中央政府に對して直接に責任をもて。各地に配置している作物報告の職員も中央政府に直接責任をもつようなものにせよ。統計院の調査に從事する者は、單に事務ができる者でなくて、一定の國家試驗をやつて、必要な有資格者の中から選ぶようにしなければならぬということが第二。それから第三は、作物報告機關の仕事は、食糧を集めたりする仕事とも、あるいはその他の統制、あるいは調整の機關の仕事とも全然離れてやらなければならぬ。離れた機構をもつてつくらなければいかぬ、それが第三。第四に、作物や家畜の統計、殊に豫想をするという方法で、どういう方法をとつたらいい豫想ができるか、その調査をやらなければならぬが、どういう方法をとるかということの研究に着手しろ。こういう四つの勸告を受けたのであります。
 これに從いまして統計調査局が四月一日から發足いたし、府縣に作物報告事務所が設けられ、そうして大體五箇村に一箇所くらいの見當をもつてその出張所が設けられました。豫章上の定員を申し上げますと、二級の官吏が全國で八百四名、三級官が二千三百九十大名、雇員、傭員合わせますと八千二百三十四名を擁する厖大な調査機構ができたのであります。これが今まで米や麥の調査をしておりました食糧管理局の調査から統計調査局に移り、また府縣や市町村という地方官廳から獨立した調査機構ができたゆえんであります。こういう経過を辿つたのであります。
 ここで特に府縣の縣知事などから、作物報告事務所はやはり出先機關の一つとして整理してもらいたいという聲が、きつと皆さんのお耳にもいろいろ届いていると思うのでありますが、ここで私が特に御考慮をいただきたいことは、調査の實際を見まして、府縣の相互の間に――これは町村に、ついてもそうでありますが、町村相互の間に非常に不公平と申しましようか、眞面目にやるところと、眞面目にやらないところと、非常なかけ値をするところと、非常に眞面目にやるところとあるということでありまして、それが農民から見ますと、隣の村は供出が輕いのに、俺のところは非常に重いという聲が出るもとに私はなつていると思うのであります。今日の供出制度の本質において、どうしても樂になり得ない間は、中央集權的にこれをやる、それによつてこの統計を客観的なものにするということが、今日非常に大切だと思うのであります。一例を申しますと、たとえばこの間新聞にも公表いたしましたが、稻の作付面積が一番多い時は、戰争中の數字は三百十五、六萬町であつたのでありますが、それがこの間の臨時農業センサスによりますと、――これは府縣知事、市町村長を通した今までの仕方でやつたのでありますが、その申告によりますと二百七十七萬町歩という減り方であります。同じ臨時農業センサスにおきまして、これはまだ公表するまでにはいたつておりませんが、稻以外の各種の作物の作付面積を、重要なものを全部網羅してこの間調べたのでありますが、その作付面積、殊に甘藷の面積を檢討する場合に、われわれはよくその點を檢討したのでありますが、全體としての畑作物の面積というものは、そんなに去年とひどく變る筈はないのです。もし甘藷が減つておるならば陸稻がふえるとか雑穀がふえるとか、こういうふうになるのが當然豫想されるのであります。それが實態だと思うのでありますが、縣によりますと、いろいろな作物の全體としての作付面積を総合的に眺めてみますと、ちやんと付き合うところであります。なるほど甘藷は減つておる、しかし陸稻はだいぶ殖えておる、豆が殖えておるというような縣もあります。主ごろが甘藷も減つておる、陸稲も減つておる、どの作物も皆減つておる。しかも畑が放棄されておるかというと、決してそうでないのでありますから、明らかに申告という方法によつて今までやつておりましたやり方が適當でないのであります。つまり農民はこういう時期でありますから、どうしても内輪に申告したいというのが人情でありますが、これを府縣知事にいたしましても、あるいは市町村長にいたしましても、こういう穴があるというので見逃すようなものが大勢ではないかと思うのであります。私きわめて最近に、この統計調査局長の仕事をお引受いたしたものであります。私の考えでは、耕地面積、それから作付面積に徹底的にメスを入れる、これは決して供出の苛斂誅求をやる、こういう意味ではなくて、ほんとうの正しい調査に礎つて、地方的な違いによつての不公平のないような、そういう供出その他の行政的措置をとりますためには、農業については面積の調査、これが基本だと考えておるのであります。これを徹底的にやることが私の第一の任務だと考え、そのためには身分におきましても中央において關與する、握つておる、そういう人でなければ、あの縣の係はだめだ、あれで困ると思いましても、何とも仕方がない。こういうことでは實はメスを入れるということはわれわれできないのであります。そういう意味において私は、この調査を客観的なものにする。こういう意味においては、日本の今日の情勢では、殊に作物の實收高を豫想するということは、中央集權的にやらなければできない。こう私は思つておるのであります。ある意味においては技術的な面が必要である、こう申さなくちやならぬと思います。
 その技術的であると申します點をもう少し御説明申し上げたいと思いますが、作物報告事務所ができました意味は、私は二つあると思うのでありまして、一つはただいま申しました調査機構を他の食糧の行政その他と獨立して、全然別個の責任をもつて調査をするという點が一つでありますが、第二の點は調査の科學化と申しましようか、比較的少い経費でもつてなるべく適切な眞實に近い數字を得るということ、こういう二つの意味をもつて参ると思うのであります。と申しますのは、われわれの今までの統計方法についての考えはドイツ流でありまして、センサスにより、つまり個々のものを數え上げ、それをだんだんと町村、府縣と積み上げて、その結果が統計である、センサスをやつたものが、一番正確である、こういう考え方であります。これは人口などを數えます場合には、そういう方法が實際正しいのでありますが、今のような経済的問題につきますと、必ずしもそういう方法によらないで、もつと少い経費でもつてこれはアメリカやロシアなどで非常に發達したのでありますが、いわゆるサンプリング、このサンプリングというのは全部を數えないで、そのうちの一定のものを數えて、一定のものを観測して、その結果によつて全體の状態を推計する、こういう方法をとつておるのであります。一例を申しますと、これは新聞などにわれわれ發表いたしましたが、今年の米の作付面積はいかにも眞實から離れておるというので、それを是正する意味におきまして、全國一萬五千筆ばかりのサンプリングをいたしました、それを實測しよう、それと申告とどれだけ違つておるだろうかということを見て、全體の申告がどの程度内輪になつておるだろうかということを推計しようとしておるのであります。その場合にも、ただできるだけたくさんサンプルを選んで調べるというのではなくて、統計の理論というものは、こういう方法でサンプルを選んで、これだけの數を實測した場合には、實際とものサンプルによつてでてきた結果との間に、たとえば三%なら三%の誤差があり得る、しかしどんなに大きくても三%であつて五%にはならない、そういうような、つまり誤差の範囲というものが、あらかじめわかるような調査の企畫をいたすのであります、そういう仕方によりますと、センサスをやるということをしなくて、一定のものをしつかり調べて、それをもつて推計するというようなことで、経費が非常に少く済む。そういう、仕方は全國的な企畫においてやらざるを得ないわけでありまして、米の收量などにつきましては、全図的な企畫においてやらなくちやならぬのであります。そういう意味におきまして、これをばらばらにしてやつたんでは企畫の立てようがない、こうも言えるのであります。
 それから統計を科學的にするということのもう一つの例を申しますと、今まで米の收穫高の豫想をいたしますのに、一番下から段々と見込を集めまして、この村ではどれだけ、この府縣ではどれだけ、全國ではどれだけというふうに、下から積んでまいつたのでありますが、そういう仕方をしないでやりますと、どうしても主観がはいる。普段でも主観がはいるのでありますが、こういうような供出の段階では、どうしても内輪にやりたいという心理が作用するわけであります。たとえば七月の終りに稻の株をとつて、その株の乾燥重を計つて、それで推定するというようなこと、これはまだ確立しているわけでありませんが、そういうような全然主観のはいり得ないような方法で調査をして、その客観的な資料から米の分量を推定する、こういうような方法を取入れなければならぬということを研究しておるのであります。あるいは被害調査などについてもそうでありまして、被害の調査は今日非常に重要な關係があるわけでありますが、だれがやりましても、被害直後に見ますと、どうしても過大になりやすいのであります。意識的にも無意識的にも過大になりやすい。それをわれわれが雨が何日間降つた場合、温度であるとか、濁りぐあいであるとか、それが何日間上に滯溜しておればどれだけの損害が必ずある。こういうような被害調査につきましても、こういうような方法をとりたいと思うのでありまして、そういうような點が府縣に任せた場合にどうしても取入れにくく、今までの方法でやることになるおそれが多いのであります。私は今日の情勢では、米姿の生産高などを調査いたします責任ある數字を得るためには、どうしても作物報告事務所というものをお認めいただきまして、食糧の行政とも、地方の行政とも、全然關係のない正しい調査をすることそれ自身に、責任をもつ機關にやつていただくことが必要であろうと思うのであります。この點は調査に從います者の根本的な心構えで、實は今年の作付面積は、水害地を含めて二百九十二萬町歩というあの數字を公表いたしました。あるいはまた米の作柄が平年に比べて一〇四%であるというような數字を公表いたしましたが、われわれのあの數字の調査のしかたにつきましては、それぞれ關係筋と了解を遂げておりますが、調査の結果そのものについては報告をし、説明をいたした次第でありまして、向うの意見を求めるというようなことはしない。全然われわれの責任おいて、もし間違つておれば私の責任である。こういう意味であの調査の公表をしておるのであります。調査の責任制、殊に米麥の生産高調査につきましては、今日は最も重要に考えなければならぬと考えるのであります。
 なおこの問題をお考えいただきますために申し添えておきたいことは、統計調査に關しましては、統計委員會というものができておりまして、大内教授を委員長にいたしまして、私なども前からその一員になつておつたのであります。その統計委員會がいろいろな統計の規格について審査をいたし、その意見を述べて調整をする役を實はやつておるのでありますが、この作物統計調査につきましても統計委員會に諮りまして、統計委員會は府縣の調査につきましては、なるべく府縣の統計調査課にやつてもらつたらよろしいという意見がいつも支配的であります。そしてこの間新しい豫算として、各町村に一人ずつ統計に從事する專任の吏員を設置することに骨を折つたのでありますが、その統計委員會におきましても、作物の生産高調査については、これは例外であつて、これをあの中に入れるわけにはいかぬだろう。やはり全然行政と別個に、責任をもつような作物事務所の報告組織をつくつてやるのがいいという結論になつておつたのであります。この點も申し添えたいと思います。なお御質問もございましようから、御質問によつてまたお答え申し上げたいと思います。
#10
○坂東委員長 ただいまの調査局長の説明に對しまして、質疑がありますならば、この際お願いします。
#11
○外崎委員 今の局長さんの御説明によりますと、地方廳の調査は全然信用できないということになるわけでありますか。地方廳の調査が信用ができないからわれわれの手によつて完全にやるんだ。だがこの間の新聞等を見ると、日本の政府の調査にによれば約六千萬石くらいの米がある、しかるにマ司令部においては八千萬石くらいあるのではないかということが出ておりますが、日本の政府において完全なる作付面積その他の調査ができておるのかいないのか、これが一つ。
 それからいま一つ、現在の調査機關を認めてくれるということになりますと、地方廳は信用できないからわれわれがやるんだ、こういうことになります。地方廳の調査がすべて信用できない、だからしてわれわれの手でやるのだ、こういうことを認めろというのですか。この點をお伺いしたいと思います。
#12
○近藤政府委員 あの米の供出の會議が始まつたころに、GHQのソンレー氏から、日本は八千萬石あるんじやないかということを言われ、それに關連して現在の調査は非常に悪い、不十分だというような意味のことを各新聞に掲げられたのであります。八千万石あるかないかは、これはわれわれ調査してみなければわからぬのでありますけれども、そう今年は決してない、私の見込みはそうでありますが、面積調査が非常に不十分だ、これはわれわれも認めておるのであります。たとえばわれわれ個個にわたりまして若干の事例的な調査をいたしてみたのでありますが、申告と實際との面積の開きは、一例を申上げますと、これはもつとも東京都下の畑の調査でありますが、二割五分の内輪になつておるというような事例があるわけです。どれだけ面積調査が不十分であるかということはわかりませんが、とにかく不十分であるので、ここにメスを入れなければならぬ。こういうわれわれの覺悟であるということは、そういう意味では私はソンレー氏と同じ意見であります。それでは地方廳にやらしたらいいじやないか。われわれがやるというのは、地方長官を信用できないからか、こういう意味かと思うのでございますが、これは先ほども申しましたように、つまり事柄によつて責任者をわかつことが必要であつて、その責任をわかたないことによつてほんとうの仕事ができない、その一例だと思います。調査ということをほかの米の供出であるとか、そういうことに全然關係のない機構をもつて調査をするということが、ほんとうの供出にも使える數字になる。使わなければならぬから、供出の擔當者と供出の責任者とは、別個の責任者が調査をしなければならない、こういう意味なのです。つまりそれが先ほど申しましたところの、日本において今まで、たれしも普通當然だ――おれが供出の責任者だからおれが調査するんだ、これが普通の考え方であつたのでありますが、それではほんとうのものにならない。その點を直さなければならぬ。そういう意味でこの機構が食糧管理局とも離れ、地方長官とも離れなければならないという意味を申し上げたわけであります。
#13
○外崎委員 申告による調査と實際の調査とは合つていない、そのためにこれからメスを入れなければならぬ、そういうことだと言われるが、長年の間の農民の苦しみはそこにある。實際において、その反別が政府の方においても關連性がない、地方廳においても關連性がない、けれども供出が割當られるとそれを出さなければ強權を發動する。それでも出さなければ監獄に入れるというような、そういう方法で一體農民はどうするか。むしろ政府が一つの大きな機關をもつて、あなた方もわれわれも信じておる、農民も信じておるものでなければならぬ。日本政府は六千萬石と言い、司令部においては八千萬石と言つておる。それに對して何ら反發することもできない。調査もできていない。そうして今になつて、地方廳のしたことは信じることはできないから、われわれがもう一遍やつて、これからメスを入れる。そうすると、去年や一昨年まで苦しんだ農民はどうすればいいか。今年は割當の方法はどうするか、この點についてもう少し具體的に御説明願いたい。
#14
○近藤政府委員 われわれの苦しみも實はそこにあるのであります。こういうふうになれるのがわれわれの理想だと考えておるのであります。それは收穫高などの市町村單位までの數字を國が責任をもつてやる。つまり横の町村間の、バランスが非常に破れておることが、苦情の大半を占めておつたと思うのであります。その町村と府縣、その横のバランスをちやんとしたものにする。そこまでを國の機關がやる任務として、町村の中でこれを個人的に割當てる場合におきましては、今までは食糧委員會、今度は農業生産調整法ができますれば、農業調整委員會というように承つておりますが、そこで村の内部における割當をしてもらう、調査をしてもらう。つまり何と申しましようか、官の仕事と民の仕事とそこで結びつく。つまりわくは、この村の生産高これだけである。これまでは一つのわくでありますが、それは國が責任をもつてきめる。その中の個人の割當は、民主的な方法でもつて食糧委員會がきめる。こういう建前にするのが、私は理想の形じやないかと思つておるのであります。今おつしやいましたところの、農民が非常に不完全な調査である、ために今まで苦しんでおつた、苦しんであつたその根本の理由は、實は今までは調査をやる建前にはなつておりましても、調査はやらなかつた、私はそこにあると思います。たとえば一例をとつて申しますならば、秋にやります坪刈の檢査、この坪刈というものが作柄をきめて、今年はもう村の中の割當をしますのに、この坪刈がものを言うわけであります。この坪刈をいたしますのにも、坪刈は調査の規定によりますと、一部落に二十箇所、去年などは二十箇所になつておるのであります。そういうふうに経費がなつておりますのに、實情は一部落に一箇所くらいやつておつたところがざらにある。私は、極端な言葉で言えば、調査はやつた建前になつておるけれども、やつておらない。むしろ、お前のところはこれだけあることにしておけというがごとき、一種の取引きとして、縣と郡の間あるいは町村の間というものがなつておつた。それが實情だと思う。それをほんとうに、調査機關が誠意をもつてその調査をやりましたならば、今日のような町村間のアンバランスは私はないはずだと思うのであります。それでそこまでを國が、今申しましたような科學的の方法をどんどん取入れてやりまして、村の中は、こまかい家族の數であるとか、地味の上下であるとかいろいろありますから、村の食糧委員會に調査をしてもらう。そういう仕方をとるのが、ほんとうじやないかと思つておるのであります。ただいま御質問にによつておらなかつた、それを調査することによつてその問題が解決されるようになる、こう私は考えております。
#15
○外崎委員 今の政府委員の説明を聽いて、おそるべき事態のあることを發見したのであります。というのは、調査をするべきはずであつたが調査をしなかつた。しからば何ら調査せずして、農民にあれほど苛酷な責任を負わしたか。そうしてわが青森縣のごときは、四囘にわたつて檢察當局の調べを受け、何十人は監獄にはいり、何百人は罰金をとられておる。こういうようなことを、政府自體がやるべきことをやらずしてやつたというのならば、非常なる重大問題ではないか。しかも、もうすでに監獄にはいつておる、この場合に未だ調査ができていない。こういうことをもつて、再びこれが繰返えされるならば、農民はどうするか。一體議會は何をしておるかと言われても、仕方があるまい。これから食糧委員會をつくつて調査して、中央で調べたことと相合致すればいい。しかして完全なものをつくるのが理想であるが、その食糧委員會のものは違うものである、地方長官を初め地方は信用できないということで、政府が地方と協力することはできない。こういうようなことで一體農民はどうするか、今後これを調べてみて一體どうするか。しかも政府は六千萬石と言い、G・H・Qは八千萬石と言い、そこに二千萬石の差がある。これに対して何ら抗辯することもできなければ、これに利して調査もできていない政府に對して、まじめに働いておる農民を代表するわれわれは、どういうふうに処置すればいいか。この點について政府は、もう少し具體的にはつきりと、われわれの安心できるような方法がなければ、われわれは納得できない。一體調査々々というが、一體調査をするかしないか。これから調査して、はたして今年はすでに刈入をしているが、間に合うか間に合わないか、この點ももう少し具體的に、もう一遍説明願いたいと思います。
#16
○近藤政府委員 今年の間に合うかどうかという點につきましては、極力間に合わせたいのです。ただ時間の關係がありますし、経費の關係がありますから、今年はどうも十分なことはできないだろう。ただ先ほども申しました全國一萬五千程度のサンプル調査というようなもので、面積をある程度――ある程度と申しますのは、府縣單位の數字で三%の誤差という意味でありますが、ある程度がまんし得る面積についての調査をいたしたいと思つておるのであります。それから私がその調査をしていないと申しましたのは、これは極端な言葉で誇張して申したのでありまして、十分に調査すべきはずのものが十分にできていない、こういう意味に御了解いただきたいのであります。ただそれでは、G・H・Qが八千萬石と言つているのに對して、何ら抗言するような資料は何もないのか。こういう御趣旨だと思いますが、われわれはこれにつきましては、あの八千萬石という數字は單に一つの、何と申しましようか、意見として出ておるによぎないと思うのであります。われわれの方の統計官が参りまして、賓はその點はやつたのでありましてどういう方法でああいう意見を言つたとかいうようなことを聽いたのでありますが、向うは、きわめてわずかな地方を旅行してまいりまして、農民などに聽きまして、そういう意見を総合したり、あるいは地方の軍からの報告を総合した、こういうようなことを言つておつたのであります。まだわれわれとしては、あれに表向き抗言をするという形をとつてはおらないのでありますが、あれに對しては十分な反駁をし、八千萬石じやないということを證明する資料は十分にもつておるのであります。その點はどうぞ御安心いただきたいと思います。
#17
○外崎委員 その點は絶対に安心ができないのであります。なぜできないかというと、現に去年も調査していない、一昨年も調査していない、その後においては今年も十分に調査ができない。今年も調査ができていないのに、何を基準にして農民に供出をさせるか。八千萬石と六千萬石では二千萬石の大差がある。G・H・Gが旅行して農民の聲を聽き、わずかな情報を得ただけで、これだけあると言う。政府は完全な調査機關をもつておりながら、十分にできない。できないでやられては、農民はたまつたものではない。こういうことになれば、今年政府が供出命令をかけた場合に、これに對して農民が應じないと返事した場合にどうするか。そのとき政府は強權發動をする意思があるかないか。完全にできないものをもつて農民に供出命令を課するということは、非常な悪政だと私は考える。もしあなた方が、できないものをもつて農民に供出を命令する場合には、われわれも農民に返上させなけばならぬと考えておりますが、この場合再び強權を發動ずるか。強權發動についても、不完全なものをもつて農民に強いて、いたずらに農民を苦しめるということは、政府のやるべきことではないと思う。現政府のやり方がこういうことであつたならば、一層恐るべき事態を來すのではないか。働く農民のみを苦しめて、給料をとつておる考が調査もしていない。調査していないものをもつていたずらにやる。六千萬石と八千萬石という二千萬石の大差に對して反駁ができると言うが、何を根據にして言えるのか。八千萬石でないということを、どうしてG・H・Qに對して言えるか。これをもう少しはつきりしてもらいたい。もし政府がつくつたものが不完全であつたならば、われわれは返上させる。返上した場合にどういう措置をとるか。こういう點について、もう一度はつきりしたことをお伺いしたい。
#18
○近藤政府委員 ただいまの御意見につきまして、われわれはこう考えておるのです。つまりどういう結果が、どういう數字が出るかということについて、この統計調査局は、調査するものについて責任をもつのでありまして、それは先ほども申しましたように、今までわれわれの見ましたところでも不十分であつた。今年はそれを若干なりとも費用、勞力の許す限り、今までしなかつたような方法をとり入れて調査を實施して、眞實のものに少しでも近よることをするのであります。しないのでなくして、するのであります。それから面積調査につきましては、先ほど申しましたサンプル調査をやる。それから坪川につきましても、ただ名目的に何筆とるということでなくして、それは實際にやる。實際にやつたあとわれわれは、あとからどの縣へ行つて査察をするか知らないけれども、あとでやつてまたやるというようなことをいたしまして、やるはずであつたがやらなかつたというものは、少しもないように努めておるのでありまして、今までやらなかつたよりははるかによくなると、私は實はお約束してちつとも差支えないのであります。次に、そういう不完全な調査であるからして、農民がこういう割當では出せないから返上すると言つたらどうするかという御質問でありますが、この御質問に對しては、私はお答えする責任をもたないのであります。われわれは食管なり、食糧の問題に責任をもち、供出について責任をもつ擔當者に、われわれの調査としては責任をもつて答える數字はこれだけである、そこまででありまして、これをどういうふうに使うかということは、これは管理局長官の責任だと私は思つております。
#19
○外崎委員 ますますもつてわれわれ不可解に思う。今までもできない、今年はやつてみるつもりだ、但し費用と勞力の關係によつて思うようにいかないかもしれぬと言う。しかし不完全なものをもつて再び供出を強いるということに對しては、われわれ賛成することができない。答辯ができぬというならば、私は委員長に、ただちに農林大臣の出席をお願いしたい。われわれは責任ある農林大臣から聽かなければ、今後選擧區に歸つても、否、選擧區ばかりではない、少くとも日本の農民は全部苦しんでおる。不完全なことがはつきりわかつた以上、われわれ黙つておることはできない。要するに農林大臣の出席を求め、農林大臣にこれに對して責任ある意見を聽いて、それに對して処置をとりたいと思います。委員長に對して農林大臣の出席を求めます。
#20
○坂東委員長 お答えいたします。今内務省から來ておりまして、内務省解體問題のその後の経過の問題がありますから、次會にその點をやりたいと思いますが、いかがですか。
#21
○外崎委員 ようございます。
#22
○門司委員 この機會にちよつと聽いておきたいと思いますが、食糧調整委員選擧が全國的に行われたはずであります、あるいは行われておるのでありますが、これと作物報告事務所との關連をひとつ明確に御説明願いたい。それからさらに先ほどのお話を伺つておりますと、作付段別、耕作面積等がはつきりしていないというお話でありますが、これは内部の機構が惡いのじやないかと思います。なぜそういうことを言うかというと、今度の農地調整法の關係から一筆調査が行われておりまして、おそらく從來よりもはつきりした農村の耕作面積というものが出ているはずであります。これがわからぬという理屈はどうしても私は立たぬと思う。これは農地調整法の關係からいきますと、ほとんど全國のいわゆる現況農地であつて、種目が山林であろうと宅地であろうと、そういうものに關係なく、今までの統計というものは現況農地でありまして、それが山林農地あるものは統計から除かれておつた。あるいは宅地治安であることのためにそれが作付面積から除かれて、供出の對象にならなかつたというようないろいろな不都合があつたと思う。それが今囘はおそらくなくなつておると思います。從つて現況農地の調査というものは、一筆調査が完全にできておるということになりますれば、おそらくいまさら耕作面積がわからぬという理窟は毛頭立たぬと思う。これはわかりすぎておるほどわかつておらなければならぬ。しかもこの調査をしたことのために、東京都内で二割三分くらいが違つておつたというがこれは事實であります。大體私どもの調査によりましても、はなはだしい農家においては、届出でた耕作面積よりも五割、あるいはそれの倍ぐらい、五段の届出をしても、實際は九段から一町くらいつくつておるというような農家がないではなかつたのであります。大體二割くらいを隱されておつた。これはいろいろな關係で開墾したとか、宅地であるからこれは届出をしないでもよいというような、善意のそういう考え方から、大體二割くらい届出をしない者があつたということは事實であります。そういうことがはつきりしております以上は、今統計をもたない、あるいははつきりしたものがないということは、おそらく廳内の間違いであるか、不一致がこういう結果になるのではないかと思いますが、この點は私はもう少し明確にしておいてもらいたいと思う。そうしませんと、農地調整法の方を掌つております官廳の方は明確な數字が出ておつて、穀物檢査報告事務所の方は明確なことがわからぬというようなことになつて、從つてそれの割當も十分にゆくかゆかぬかわからぬというような、同じ農林省内でそういうふうの統計を繞つて、明確でなければならないものが、不明確であるというようなことは、きわめて農村にとつて不都合な話であるともに、非常に農民は迷惑な話であります。と同時に坪刈その他の問題でありますが、これについてもほんとうに耕作いたしております農民、いわゆるほんとうに働いております農民の諸君が、十分に官廳との連絡がとれて行われますならば、おそらくそういうことはないと思います。供出をいたします者は眞劍であります。從つて過酷な割當をされることは好まないのであります。なるたけ村内院全部の平均の割當、いわゆる平等の割當を主張しておりますので、おそらく坪刈等に對しても、一坪だけを出してよい加減にしておくというようなことはなされないと思う。これは今までの組織というものが、そういう下部組織のほんとうに耕作しておる者まで浸透しないで、ただ町村における悪口を申し上げますと、一部の、ボスというか、そういう者だけによい加減にそういうものが行われております。それをまた役所の連中が、そのまま鵜呑にしておつたという結果が今日のような状態を招いておると思います。その點に對しての局長の御意見を一應承つておきたいと思います。
#23
○近藤政府委員 作物報告事務所の調査と、それから町村でこの間選擧いたしたはずの食糧調整委員會との關係はどういうことかということの御質問でありますが、これは先ほど申しましたように、市町村單位の數字、農林省から府縣へ割當てましたあの數字が、府縣から町村へゆくわけでありますが、あの食糧調整委員會というのは、もつぱら割當のことを自主的にやろう、そういう意味のことを第一の任務にいたしておる委員會であります。それから第二に御指摘いただきましたのは、農地改革に關連して一筆調査をやつておる筈であるから、いまさら面積がよくわからぬということはないはずだろう、こうおつしやつたのでありますが、この農地改革の一筆調査が面積調査をたいへんよくしてくれたことは私もよく認めます。ただ全國どこも、あの規定が求めておりますようなことをやつておるかと言うと、そうでないのです。指導者のぐあいによりまして非常に甲乙があるのでありまして、その點なのです。われわれこういうことを一應調べたのであります。各町村に六百分の一の畑地圓というものは地租法で必ずある。ところがあれは携帶に不便であるから、二千分の一、三千分の一という耕地圓をつくることを、これは農林省は今まで數囘豫算をもらいましてつくつてもらつたはずです。あれはあるはずです。三千分の一くらいの地圖が各町村にあるはずになつておるのです。ところが實際にあるかないかを當つてみたのです。さうしましたら、私は今細かい數字は忘れましたけれども、約五分の一だと思うのです。二千ぐらいの町村には地圖がある、それ以外にはないのです。調査費用は大藏省からもらつてやつておるはずだけれども、ないのです。私の申し上げたいのは、その點なのです。その現状を何とも仕方がないので、そこから出發してものを考えなければならないので、われわれはさらに十分な経費を、今年の場合はまだもたぬのでありますけれども、できるだけわれわれの貧弱な頭を絞つて最もいい方法をとろう、こう申しておるのであります。その點をどうか御了承いただきたいと思うのでありまして、決してこれは廳内不一致ということではないと、私はここで斷言いたしたいと思うのであります。その點は、最後に例をおあげいただきました坪刈についてもそうでありまして、非常によくやつてくれるところがあるのです。また十分にやつて、おつしやられたような、ボスが勝手をする餘地を、そういうところでつくり出しておると私は思うのであります。實は先ほど例にあげました東京都の調査にまいりましたときに、麥の坪刈のときに一緒に面積の調査をやつたのでありますが、そのときに村の人はこう言つたのであります。あれは坪刈と申しましても、まだわれわれの説明が不十分でありましたが、今までの坪刈というものは、えてしてできのいいところを選ばれる危險があつたのです。農民はその點が非常に不滿足であつたと思うのでありますが、われわれの考えております坪刈の方法というものは、いわゆる統計の理論に從いましてサンプリングをやるのでありますが、これはこういう方法をとるのです。全村の筆をずつと竝べまして、その筆に番號を打ちまして、たとえばこの村で二十筆のサンプリングをやろうという場合には、全體が手筆あつて、そのうちの二十筆やるならば、ちようどばらばらにその二十が選ばれるように、籤をひくような仕方で、眼をつぶつて對象を選ぶのであります。目をつぶつてと申しますと、少し説明が足らないのでありますが、上中下などにわけまして、上のうちで眼をつぶつて、中のうちで眼をつぶつて、下のうちで眼をつぶるというわけでありますが、まず眼をつぶつて選びまして、その當つた筆の調査につきましては、それがどういう田でありましても飽くまで調べる。決してどの土地を選ぼうとか、あるいは今までやるときは、道路の近くの便利のいいところを選びやすかつたのであります。それをしないで、どんな山の間のたんぼに當りましても、そこでやる。その點をどうしても動かさないで、今の東京へまいりましたときも、あんなところは坪刈に都合が悪いから、こちらにしていただきたいということをずいぶん言つたのでありますが、そうでなくて、それでなければいかぬということで、とんでもないできの惡いところも當りまして、農林省は今度は惡い土地を選んで坪刈をするのですかということを農民が言つておつたのでありますが、そういう點なのです。われわれが先ほど申しました客觀的な方法でと申しましたのは、そういうような仕方でやろう。そういうことを取り入れますと、今年の調査は、今の經費の関係などにおきまして、はなはだ不十分だということはわれわれは認めますけれども、しかも先ほど申しましたように、縣の數字としては三%の誤差の範圍に止まるような調査をしたい、こういうわれわれの狙いでありまして、その程度の調査ならばできるのであります。そういう點を御了承いただきたいと思います。
#24
○笠原委員 農林省の作物報告事務所ですか、これを今後存續するか否かという上におきましても重要な點だと思うので、二、三お伺いしておきたいと思うのです。作況報告の點でありますが、これは今局長もおつしやつたように、農業會、または小作官等の地方におります技術者を加えて坪刈等もやつておるので、またこれは過去において長い間の統計もありますから、私は食糧收穫統計の上におきまして、作況調査にこれだけの機關をつくつてやる必要はないのじやないかと考えます。問題は結局耕作面積、これがおそらく私はわからないと思うのでありますが、しかしこの機關をつくつてやりましても、日本の耕地の食違い、面積のつかめない點は、もちろん耕地整理がやつてありませんから、非常にくるつておるのであります。あるいはまた荒蕪地とか原野とかいうものが、別段に開墾されておるものもあります。それから歩呑、歩詰りというものももちろんありますが、そういうものが總合的に耕作面積をつかみにくくなつておるのでありますが、もしも農林省がこういう機關をつくりましても、耕地面積が完全にならぬ限りにおきましては、正確な作付面積をつかむことは相當困難じやないかと思います。私はむしろ作付面積を正確につかむことができますならば、この調査は一囘やればいいと思います。それで私は、こういう機關をつくるのでありますから、おそらく常置する考えだろうと思いますが、そういう考えでやつておるのかどうか、その點を伺います。
 それから、今言うように耕地面積の點は、一度よく調査いたしますならば、その次の年におきましては、それに基いて報告させて、もし減つた場合においては、どういう理由で減つたかということを報告させて、もしそれに不審がありましたならば、出ていつて納得のいくまで調査するという方法をとりましたならば、なにもこういうような機關を常置してやる必要はないと思うのであります。まして今聽いて見ると、八千數百人という人が要るということで、豫算も相當かかるのじゃないかと思いますが、その豫算もおよそどのくらいかかるか、その點もお伺いいたしたいと思います、私は、もし相當の豫算があるならば、こんなものに使うよりも、肥料とか、農機具とかいうものをつくつて配給するか、または、開墾でもしてその助成でもやるという方法で、むしろ増産の面にこういう費用を向ける方が正しいのではないかと思います。
 次に聽いておきたいのは、農林當局、むしろ政府當局でございますが、はたして食糧を日本において將來自給自足でやつていこうという考えでおるのでありますか。さもなかつたならば、現在のように絶對量が足らないのだから、ある程度のものはやはり輸入して賄つていく方針であるのかどうか。もしそういう方針でありますならば、正確に握るということで非常に金をかけていきましても、おそらくこれを完全に正確に握ることはできませんから、そういう面におきましては私はむだな金を使うことは、おそらく不經済じやないかと思いますから、どういうような方針で將來いくつもりかということをお伺いしたいと思います。
 それから、先ほど申しましたように耕地整理のない限りにおきましては完全なる統計を握れぬと思いますが、それともこの調査をやりましたならば握れるという確信があるかどうか、その點も附加えて聽いておきたいと思います。以上の點について答辯を求めます。
#25
○坂東委員長 ちよつと笠原君に申し上げますが、近藤君は調査だけですから、政策面はこの次に農林大臣に聽いていただきたいと思います。
#26
○近藤政府委員 耕地整理が行われていない限り、ほんとうの耕地面積の調査、従って作付面積の調査はできないのじやないか、こういう御質問でありますが、非常に嚴密に言えばそうだと思います。ただ供出の割當に使うにたえるようなそういう調査は、耕地面積の済まない所につきましても、歩呑がどのくらいであるかというようなことを調べることによりまして、十分に使える數字ができると考えておるのであります。われわれの現在の考えておる方向としましては、進駐軍から飛行機寫眞を借りてまいりまして、これで實際のあれをチエツクしてみたい。全部は急にはする餘力はありませんけれども、そういうような方法を考えておるわけであります。しかし面積調査というものは、一度やれば、あとは増した理由、減つた理由を檢討しさえすればそれでいいのじやないか、こういうお答えのように承つたのでありますが、それはそうはいかないのです。その理由の一つは、こういう例を申し上げたら一番いいかと思います。昭和十五年の稻の作付面積、これはまだ供出制度などによりまして數字がひどく歪められておらなかつた時代と考えられるのです。昭和十六年から農林省の統計は申告を中心にいたしましてまいつたのであります。そのおそらくまだ歪められていないという昭和十五年の調査、これを基礎にしまして、その後の田畑の増減面積はむろん調査があるわけです。その理由は、たとえば開墾でこれだけ殖えたとか、災害でこれだけ減つたとかいうようなことで、調査があるわけであります。市町村長を通し、府縣知事の報告してまいつたいわゆる屬地調査でありますが、それでプラス・マイナスして昭和十六年から二十一年までやりますと三百萬町歩になります。今年申告してまいりました數字は、先ほど申し上げましたように、作付面積については二百七十七萬町歩であります。われわれのこの間、米の供出に関連して稻の作付面積として最低限これだけだろうといつた數字は二百九十二萬町歩であります。今おつしやいましたようなしかたで、一度やつておけば、あとはもう要らないはずなんですが、それがそういかないところにこういう機構が要るわけであります。豫算の點について申しますと、本年度一億七千萬圓の費用を計上されておるのであります。大體使います費用は印刷費、それから人件費というものが大部分をなしておるのであります。
#27
○笠原委員 その作付面積ですが、これは強制作付を命ぜられない限りにおきましては、作付面積がくるつてくることはあり得ると思うのです。その年において自分のたんぼを畑にする場合もありましようから、くるつてくることはありますが、しかし、わずかなくるいというものに對して、そういう莫大な金で調査するということは無意義じやないかと思うのです。大體農民の側も、今肥料も配給制度になつておるのでありますから、たんぼや畑にやるについていくら配給しくれ、今年は畑をいくらつくるからというので肥料の申告をやつておるのでありますから、供出にたえるほどの面積の調査ならば、これは肥料申告の面積でよいのでないかと思いますが、いかかでしようか。強制作付を命ずれば別でありますが、命じない限りにおきましては各自の自由でありますから、動いてくるのが當り前でありますから、それよりも肥料配給の申告面積でよいのでないかと思いますが。
#28
○近藤政府委員 作付面積については、多少のあれはあつても、大丈夫できるのではないかというお考えのようでありますが、たとえば肥料の割當の數字が使えるじやないかという御意見でありますが、これは肥料會社に集つた數字を見ましても、正確なことは記憶いたしませんが、米につきまして三百十何萬町歩、ですから使えないのです。もう一つの點を申し上げてみたいのは、この作物報告事務所の仕事は、作付面積が殊に私の場合の最も重要な課題だと思うのでありますが、作物報告事務所の仕事としてもう一つ重要な仕事は、收穫高の予想ということであります。なるべく早く、なるべく正確な豫想の收穫高を握る、こういうことが一つの大きな課題でありまして、考えようによれば、つまらないように見えますけれども、これは向こうの勧告の中にもありましたように、早くそれが正確に間違えないようにわからぬと、今どれほど日本へ輸入してよいか計畫を立てるのがおそくなる。一日も早くそれをやらなければならぬ。それがためにパワー・キヤスチングの仕事が作物報告事務所の仕事になるのでありまして、これがために常置的には、今申したパワー・キヤスチングの資料を集める仕事、それから専任の統計官をおく必要はそこにあるのであります。その點御了承をお願いいたしたいと思います。
#29
○坂東委員長 お諮りいたします。この地方出先官廰の整理に關する件はさらに次會に継続いたします。
 そこで次には、内務省解體に關する件でありますが、ご承知の通りすでに出ました内務省解體に關する件は、全部政府が撤囘されておりますから、その後の情勢あるいは事情の變化をこの際お伺いいたします。暫く速記は中止いたします。
  〔速記中止〕
#30
○坂東委員長 速記開始――ただいま林地方局長竝びに久山警保局長から、内務省解體後に設置する各機關に關するいろいろな事情の報告を詳細伺いました。これを聽きますと、これは日本の國家の運營上、大いに研究いただかなければならぬ點がありますから、政府の諸君の御努力にまつと同時に、この委員會は自發的に十分檢討して、日本の治安が十分維持できるような制度を生み出すべく努力したいと思うものであります。
 本日は時間も大分經過いたしましたので、これにて散會いたしたいと思いますが、その前に先日資料を要求しております道路交通取締法案につきましては、次會に討論採決を願いたいと思います。本日はこれで散會するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○坂東委員長 御異議ありませんから、これにて散會いたします。次會は広報をもつてお知らせいたします。
    午後零時五十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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