くにさくロゴ
1947/10/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第19号
姉妹サイト
 
1947/10/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第19号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第19号
昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君
   理事 松野 頼三君 理事 酒井 俊雄君
      笹原 貞造君    松澤 兼人君
      佐藤 通吉君    千賀 康治君
      坂口 主税君    中垣 國男君
      大村 清一君    中島 守利君
      渡邊 良夫君    外崎千代吉君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 平野 力三君
 出席政府委員
        農林事務官   近藤 康男君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 道路交通取締法案(内閣提出)(第四〇号)
 地方出先官廳の整理に關する件
 消防法案起草小委員會設置に關する件
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
 本日の日程は道路交通取締法案及び地方出先官廳の整理に關する件でありますが、日程に先立ちまして御報告事項がございます。すなわち去る九月二十九日本委員會において決定いたしました治安及び地方制度に關する国政調査承認要求の件は、當日ただちに議長から議院運営委員會に詰問されましたところ、承認いたすことに協議決定いたしましたから、右御報告申し上げます。
 なお日程の順序を變更いたしまして、地方出先官廳の整理に關する件を議題に供します。今統計調査局長が見えておりますから、これに關して質疑がありましたならばこの際お願いいたします。
#3
○千賀委員 さいわい有名なる調査局長がお出になつておりますので、この際二、三御質問をいたしたいと思います。農林の統計がほんとうの正鵠をつかみ得ないということは、わが国の過去においても相當に悩みがあつたのでありますが、世界においても農林の統計に限つては、なかなかほんとうの實情をつかみ得ないということがいわれております。ソ連が比較的世界の中では農林統計においても正確であるといわれておりましても、なおソ連でも工業生産の統計ほどには農林統計はいかないのだ。結局農林統計、殊に農業統計というものは、統計の現實としてほんとうのところがつかみ得ないということがまず世界の定評に近いのでございます。日本におきましても、もちろんこの世界的の傾向は多分にございまして、われわれは長い間地方政治に参與いたしておりましたが、やはり統計の不正確な點においては悩み抜いておつたのでございます。今日この農林統計のもとをなすというような意味で、農林省の出先官廳が整理をしたらどうだという問題になつておるのでございますけれども、はたしてわが国においては、農林省の出先事務所がほんとうに機能を發揮しておつたかどうかという點につきましては、私に見るところでは、やはり御多聞に漏れなかつたように思うのであります。政府の意見としては、府縣廳の調査が不正確であるから直営の調査事務所を置くのだという御意見もあるようでございますが、直営の事務所をもちましても、なおかつ相當不正確である、かように私は思つておりまするけれども、この世界の情勢を前にされまして、はたして當局は正確を期する御信念ありや否や伺いたいのであります。
 次に、最近わが国の農地が二百九十萬なにがしであるということをいわれ、一口には三百萬町歩の水田があるといわれておるのであります。これは昔の土地整理よつて累計せられました廣さが基準になつて、この数字があげられておると思いますけれども、近ごろ現地の調査によつては、水田面積の實在はもう少し増大しているということが頻々と報告をせられております。この数字の異動などは、御専門でありますから、はつきりいたしておろうと思いますので、これを伺いたいと思います。またこれをどうした数字の基礎によつて御算定なさつたのか、政府の出先事務所のみの数字をもとにせられたのか、府縣の報告ももとにせられておるのか、あるいは農地等の新しい機能の調査をも勘案してこれを推定しておられるのか、こんな點も伺いたいと思います。
 もう一つ伺いたいのは、新聞の報ずるところによりますと、最近の水害におきまして、水の底にはいつた水田並びに畑の面積は二十数萬町歩といわれております。この数字はまことに莫大でありまして、わが国の保有しまする水田面積の、ほとんど一割近いものが水にひたつたことになりまするが、この数字の全部のものが収穫皆無になつたのか。一囘は水の底にはいつたけれども、まだ作物の生命力があるうちに減水して、多少の収穫減収程度で今年の収穫は確保せられるものがその数字の中に相當量あるのか、またはその數字は流失せぬまでも今年の収穫はゼロに歸するものか、その點を伺いたいと思います。これはわが委員會には關係ないようでありますが、かのような點を闡明いたしますことは、われわれが常に考慮いたしております地方の治安維持等に關しまして重大なる關係があるので、さような點も伺いたいと思います。以上御答辯を得まして、またさらにお聴きするかもしれません。
#4
○近藤政府委員 第一の御質問の、農業統計というものは非常にむずかしいものだけれども、今まで府縣でやつておつたものを直営機關でやればりつぱなものをつくる自信があるかどうか。殊に、今まで直営の機關でやつておつたものについても、必ずしもいいものは出ておらないと思うが、どうかという御質問であつたと思いますが、それは御説明のように農業の統計、特に生産高の測定というのは非常に困難であるわけでありまして、各国ともこれについて色々苦心しているのであります。この前のときにも申し上げたのでありますが、早く知りたい。それから経費をなるべくかけないで知りたいということがありますために、ずいぶん難しい仕事になるわけであります。そういう話しではアメリカで發達しているサンプリング・メソッドというのが農業に應用されているのでありますが、これを日本でも取入れて、比較的少い経費で早く、しかもどの程度の誤差の範囲かどうかということまで調査していくという行き方でいつているのであります。ただ今まで直営の機關でやつておつたもの、たとえば作物や食糧管理の關係から、村の調査員の調べたものはだめではなかつたとおしやつたのだと思いますが、その點は我々も認めておるのであります。であるからこそ農林省では縣からも離し、また農林省の中では食糧管理局からも離して、孤立の調査それ自身の責任をもつ統計調査局をつくる。そのために作物報告事務所というものを今年の四月から設けたわけであります。ただここで申譯をいたしたいのでありますが、今年の四月から作物報告事務所が出發して人員を整えるについては、殊に統計の調査に従事する人員はだれでもいいというわけにはまいらないのであります。向こうの方からのアドヴァイスによりますと、この仕事に従事する者は国家試験をやつて、その仕事に適した能力をもつた者だけを選べということまで言つてきておりますので、人を選ぶ場合にも、客觀的な調査をやつてくれるような人を選ぼうということでいつておりますために、現状を申しますと、このごろ調べますと、豫定した人員のちようど半分くらいまでしか充員されておらないのであります。今問題になつております米の作況、あるいは面積のようなものは、實は今までの食料關係の人に兼務という形で作物報告事務所の仕事をやつていただいたのであります。實は今年の調査は從來のしかたと考え方を変えようとしておりますけれども、末端で働いてもらう人は同じなのでありまして、そういう點で今年の調査についても、われわれ自身としては非常に不満足に考えているのであります。そういう點を御了承いただきまして、今までの農林省直営の調査も十分でなかつたということを、農林省も認めているというふうに御了承いただきたいと思います。
 なお、お前たち自信があるかとおつしやいましたが、これは自信があるのでありまして、つまり調査が客觀的にできますならば、事柄自身はむずかしいのでありますが、ずつと以前こういう統制になります前にも、統計の中で米の統計にはかなり力を入れておつたわけでありまして、この米の生産高の統計につきましては、まず誤差があつても全國で三十万石程度だろう。あとで統計で収穫はこれくらいだろう。と言いますのは、十二月、年のうちにきめるわけでありますが、なお檢査米その他いろいろなことで、實際の数量がだんだん上つてまいります。それで調べますと、大體間違いがあつても全國で三十万石程度だろう。それはずつと戦争以前の、統計がゆがめられない前の状態であります。前の科學的な方法を用いない、ほんとうの経験だけで調査員に調査してもらうというしかたでも、その程度の精密さまではいつておつたのであります。これはわれわれ十分に、役所といたしまして自信のある数字を得たいと考えております。
 第二に御質問になりました、田の面積が増加しておると思うが、それはどういうふうにして調べておるかという點であります。われわれも田の面積は終戦以來増加しておると思うのであります。ただ統計には減に出ておるのでありますが、この面積についての調べ方は、一つ府縣知事、市町村長を通しまして、村では農林統計調査委員という人にお願いして、この人たちの手によつて農家の申告に基いて、つまり縣廳を通して調査しております。今年は八月一日に、臨時の農業センサスと申しましたが、あの中で田畑の面積を調べておるわけであります。その仕方でするのが一本。それからほかに、ご指摘になりましたような増減を調べておるのでありまして、その増減は農家の申告をまたないで、市町村長から報告を求めておる。これはこの前の會議の時に農地調査と申しましたが、これがそれであります。市町村から、お前の村では過去一年間にどのくらい増減があつたか。その増の原因は開墾のためであるか、あるいは畑を田にしたためであるか、原野を畑や田にしたためであるかというような増加、減少の原因別に市町村長からの報告を求めておるのであります。それは申告によらないで、いわゆる農地調査と言つております、その中には、たとえば開拓で面積が殖えるというような面積は、當然はいつてくるはずになつておるわけであります。しかし今申しました農地調査というものが、完全とはわれわれみておらないのであります。そういう意味で、農地調査の上ですぐ割當などに使う數字が得られない状態であります。それが第二點であります。
 それから第三の、水害の面積につきまして新聞などに發表がございますが、御質問の點は全部水につかつた面積というものは、全實収穫がゼロになるだろうかどうかという御質問だろうと思いますが、むろん土砂などをかぶつたところはゼロになりますが、水のつかつた時間の短い部分などは、かなり囘復するのがあるのでありまして、われわれの方で前に試験場などと研究をいたしまして、何時間つかつたかという時間、それからそのつかつた水の濁りぐあい、きれいな水なら比較的長くつかりましても後の影響が軽い、それから水の温度が高いと腐りやすい、それからもつと重要まのは、稲のどういう時期につかつたか、つまり花のときならだめですし、花が済んでからならよい、もつと早ければむろんよい、そういう稲の成育の時期、そういうつかりぐあいを区別して、こういうような状態でそれだけつかつたならば何パーセントの減収があるものだ、われわれの方ではこれを被害の尺度と申しておりますが、そういう被害の尺度というものが、一應不完全なものではありますが、できております。それで今利根川の被害をやつておりますが、それがどの程度のものになるだろうかということを今測定してもらつております。これでみますと、縣で比較的急だせいもありますが、そういう尺度を用いないで、大體目分量でこのくらいの減収があると見當をつけられた数字とつき合わせてみますと、かなりな違いがあるのであります。埼玉縣の分などにつきましては、縣の農務課で推計されたものは、われわれが今のような尺度を用いてやつたものと比べますと、それの六割半くらいに減収の計算を出したものであります。今申しましたのは減収の程度の被害の尺度と申しておりますが、そういうものを使つてわれわれの方では計算しております。水につかりました全部がゼロになるわけではないようであります。
#5
○千賀委員 その筋から農業調査員は國家試験をせよと言つてきておるという今お話でありますが、國家試験をすることも結構ですが、その試験科目はどんなことをやられるのか、試験科目以外に能力その他においてどんな特性をもつ者が統計員に適するものと認めて試験をやられるのか。その點も一つ伺いたい。
 それから新聞を見ますと、水害のための供出の割當減少は五十四萬石くらいと、今朝の新聞は報じておるのであります。もしも二十四萬町歩を収穫皆無になつたとすれば、むろん今度水をかぶつたところは關東においても有数な米作地でありますから、一段一石とみても一町歩で十石の減収になりますので、二十四町歩で二百四十萬石収穫皆無であるならば割當減少をしなければならないはずであります。五十四萬石減少をしておるということになると、これは三分の一強ということになりましようが、そうすると今政府がみておられます割合よりも、もう少し少い被害があるという見方ではないか。それはやはりそうした数字の基礎から出ておる五十四萬石でありましようか。ほかの現象から定められた五十四萬石ですか。その點も伺います。同時に、今年は愛知縣の方では、旱魃のために二萬町歩ほどがたいへんな減収になつておるということを、続々と陳情に來ておるのでございまするが、新聞などでは、愛知縣の旱魃に對する割當減少というようなものは一向出てまいりませんが、統計局の方では、愛知縣の旱魃の實情に對してはどうごらんになつておるか、おわかりになつておつたら伺いたいのであります。以上伺います。
#6
○近藤政府委員 統計に從事する官吏に對して國家試験をやつたらどうかということは、向うからアドヴァイスを受けておるわけでありますが、またそれをすぐ着手しようというところまでには至つておりませんので、どういう科目の試驗をやろうというようなことまで、きまつておりません。ただわれわれとして考えておりますことは、農林省として大事な點は、本來の統計の學問、むしろそれよりは農學の専門の知識をもつということを、どうしても缺くべからざる資格にしたいというふうに考えておるのであります。どういうような人をとおつしやいますと、われわれは最も試實に仕事をやるということが、この仕事に從事する一番大切な要素だろうと考えております。ただわれわれとしては、すぐ國家試験まではしないにしても、現在從事している人の再教育と申しましようか、長期の講習會のようなことはぜひやろう、こう考えて、その豫算なども準備をいたしておるわけであります。今そういう程度の状態でありまして、もう一つ考えなくちやならぬことは、今までの状態ですと、こういうやつかいな、ずいぶん骨の折れる任事、しかもいわば縁の下の力持ちのような、そういう種類の仕事でありまするから、そういう場合に、試験があつて資格がやかましいということになりますと、そういう方に從事してくれる人が、今までの状態ですと得られないおそれの方が多かつた。これからはおそらく、そうではなくなろうと思いますけれども、だんだんこの仕事の重要性を認識してまいりまして、アメリカなどでは、ついでに申し上げますと、スタテイステイシアンというものは、普通の官吏の三倍の月給を貰つておるのだそうです。それはつまり、ある意味ではかたわになるわけだからです。日本ではそういう取扱いは急にはできないと思いますけれども、利害關係に動かされないで、客觀的な調査ができるような、そういう機構、調べる人も選びたいと考えております。
 それから第二は、水害の五十四萬石、この数字は私實はまだ聴いておらない數字でありますが、新聞などで見ておるのは、たしか埼玉縣で縣から申し出された数字が五十四萬石減収というように承知するのですが、表向にきまつた数字ではございません。ご指摘になりましたように、面積と被害は、先ほど私が申し上げましたように、面積がすぐゼロにはならないのだけれども、それがうまく合わないではないかというような感じはたれしもおもちになるので、今日新聞に出ておりました前の割當と今度の割當の差の百五萬石、これが水害だろう、小さなものだというような感じを、おそらくおもちになるだろうと思いますけれども、被害そのものの差額についての最後的な、決定的な数字は、まだ私どものところではつくり上げておりません。まだ時期的にでき上らない段階であります。この點ははつきりしたお返事を申し上げかねるのであります。
 それから愛知縣の旱魃の點についての御質問でありますが、米及び甘藷の作況の決定をいたしましたときには、愛知縣の半島方面がかなりひどい旱魃であるということをわれわれ報告を受けております。あの作況の決定の中には、織りこんだつもりをいたしておるのであります。ただ正確な面積、その他につきまして、最後的なものは、私まだ見ておりませんのでありますが、十分考慮はすることになると思います。
#7
○千賀委員 ありがとうございました。
#8
○松野委員 作物報告事務所は、作物の数量の調査をされるのか、あるいは面積の統計調査をされるのか、どちらを主體にされるのか、お伺いいたします。
#9
○近藤政府委員 作物報告事務所の任務は、おもな任務はこの前申し上げたと思いますが、早く、どの程度収穫できるだろうかという豫想をつけることと、それから實際の収穫高、これがねらいなのであります。ところが、そのどれだけとれるかということを調べますのに、ぜひ必要な二つの要素があるわけであります。面積と作柄――作況と申しておりますが、この二つの要素がいるわけであります。その兩方をやることによりまして、豫想の収穫高、それから現實の實収高の推計というものをいたすわけであります。そういう建前でやつておるのであります。
#10
○松野委員 私ははなはだ落膽したのであります。と申しますのは、現在最も供出あるいは農村問題について關心をもたれておりますことは、農業政策の最も大きな基礎をなす農地面積の實態の把握が足りないことで、これがすべての論據である。この論據に立つていわゆる作物報告事務所が面積の實態を調査把握される機關であると信じておりましてけれども、ただいまのお話でありますと、やはり作物の實収高に主眼をおかれるようであるまたこの作物報告事務所という名前から申しましても、やはり今まで通り舊態依然たる提出の根據となる、あるいは政府の高壓的な提出数量の論據となる一つの報告をつくるのみであつて、私の期待しておりました農地面積の把握という點に触れておらないことを、まことに遺憾に存じます。
#11
○近藤政府委員 私のただいまの説明が不十分であつたかもしれませんが、この前にもその點を強調いたしたと思いますが、今日の場合に最も國として知りたいことは、どれだけの米を政府が握り得るだろうかという話だと思います。それをやるために、面積、それから作柄、そういうものを調査しなければならないというわけであります。これはあとで御審議をいただくことと思いますが、來年度の農林省統計調査局の事業の重點はどこにおくかとお尋ねになりますならば、面積の調査におきたいと申したいのであります。つまり面積の點で非常にあやふやであり、殊に偏頗な不公平な状態にある。これをまず是正することが、米に限らず農業統計の基礎になるわけでありまして、米の収穫高などを測定し、殊に供出可能な量を測定する場合に、そこをしつかりとしなければならぬという意味でありまして、その點御意見と私は違つておらないと思いますけれども、いかがでしようか。
#12
○松野委員 ただいま説明をお伺いしますと、結局やはり作物の作柄及び収穫高を正確につかむためという話ならば、今までその機關として地方事務所がそのために設けられている、また各市町村または農地委員を通して府縣の食糧課において作付面積、作付数量及び作柄を調査して供出の對象としている。その上にあなた方の説明によりますと、再びもう一つ監督者のための監督者、その上に目付をおくというような結果にしかならないのではないかと言う以外に、論據がないように思います。また今度農業生産調整法というものが立案されておりますが、この農林大臣の指示する数量、これは私に言わせれば地方の目付でる。あるいは地方の監督者、いわゆる食糧事務所の報告にも信用できぬ、縣の報告にも信用できぬから、また再び目付をおくのだ。二重監督じやなしに、三重監督の弊を繰返す以外に何の根據がないとともに、これはただいま盛んにやつておられます知事の供出懇談會ですが、そこにおいて農林大臣が、自分の方の割當数量を殖やすため一つの論據としかならない。どちらも正確にならない。なぜならば、あなたがおしやつたこの前の委員の陣容を見ますと、私は一萬一千人と記憶しておりますが、一萬一千人を各町村に割當てますと三百人、その實態をどうして調査されるかというと、市町村の農地委員を使つて調査されることでありますから、何らあなた方が正確につかもうとする生産物の収穫高は把握できない。なぜならば、ここにおいて使われる委員は、やはり町村の委員である町村の委員は縣の報告する委員と同じ委員である。だからいたずらに紛爭する――供出の割當数量を紛争させるために、再び紛爭を重ねるための論據をつくる以外に何ら効果がないのじやないか。
#13
○近藤政府委員 現在二重のが今度三重になるとおしやつたかと思うのでありますが、そういう意味ではなくて、簡単に申しますならば、今まで食糧檢査員が調査しておつた、その調査をさせるのでなく、それをやめてこの作物報告事務所の係官が調べる、こういう建前になつているわけであります。だから米の収穫高の調査の仕事を、食糧事務所の手から作物報告事務所の手に移すのでありまして、二重のが三重になるということにはならないものだと思うのです。
 それから今末端のことを申し上げて、われわれの方の作物報告事務所の調査がどういうふうになるかということを申し上げますと、この間委員會のときに申し上げました数字は現状でありまして、われわれとしては、もつと末端を充實してもらいたい、一町村に一人ずつの専任の擔當者をおいてもらいたいという案を大蔵省へ出して、あとで國會で御審議をいただきたいと思うのでありますが、そういう末端の充實という點が一つあるわけであります。もう一つわれわれが考えている點を申しますと、あの委員會でも申し上げましたような國が責任をもつてやる調査は、米の生産高について申しますと――ほかの點は違つておる場合もあるかもしれませんが、米の生産高について国が責任をもつてやろうと考えているところは、町村単位の數字――あのときにもしばしば強調して申しましたように、町村間の不公平ということが今日の統計調査としては、どうしても直さなければならない一つの重要な點である、府縣の間、町村の間の生産高、從つて供出高になると思いますが、そういう問題を国が責任をもつてやるんだ。その割當られた量を村の中でだれが供出するか、こういうことになると、それは村で現在の食糧調整委員會、將來は生産調整委員會になる、あの委員會にやつてもらうことが、私は民主的な行政の運営だと考えているわけであります。この村のわくは国がきめる。村同士の間のアンバランスがないようにきめる。村同士ではそういう仕方で最も事情のよくわかつたあれでやつてもらう。ただわれわれは、勝手にやりなさい、こういう意味では決してないのであります。たとえば來年度の豫算として御審議をいただくようにいたしております中にも、地方別の等級別の、と申しましようか、何級にわけますか、二十階級にわけたらいいか三十階級にわけたらよろしいのか、つまり地方別の統計によつて面積をわける、こういうことをいたしたいと考えておるのであります。そういう調査をいたしまして、そういう材料を提供して、そのための費用であるとか、紙であるとか、調査用紙であるとかいうようなものを供給して、村の中で調査をしていただいたらいいではないかと考えております。村でやるのだからちつとも變らないじやないかという、そういうことにはならないようにわれわれは考えております。
#14
○松野委員 今の説明了承いたしました。そうすると、農業生産調整法に關連してお話になりましたけれども、それについて作物報告事務所が活躍されることになると、ますます私は大きな問題を起すように思います。なぜならば、農業生産調整法は、ご承知のごとくいよいよこれが實施されたときには、ほとんど個人の自由によつて作物はつくれない。お前は麥をつくれと言われたら麥をつくらなければならぬ。ある地點に米をつくれ、麥をつくれという指令が來たならば必ずつくらなければならぬ。そのときに監視するのは作物報告事務所の所員が、それを監視するんじやないか。お前は麥をつくれという命令に對して、甘藷をつくつた、この目付役は非常に大きな役をする。今お話を伺いますと、先ほど申しましたように、農民を監視する岡つ引のような感じしか受け取れないのであります。なおまた各町村に一人ずつの委員をおきたい。これはたいへんな大間違いである。この内閣は最初に、行政機構の改革というスローガンをかかげられましたけれども、年々歳々人数が殖えておる。またあなたは御承知かどうかしらないけれども、地方において最も困るのは建物であります。お役所ができるとその建物ができない。国家の財政の現状においては、できないのは當然でありましようが、結局のところ地元民において新築はできませんけれども、一室を設ける。その費用は何かというと、地元民に寄付を仰ぐ。一人の役人とおつしやるかもしれないけれども、町村においては一室をつくること、一つのテーブルをつくることさえできない現状にあるのに、なおこの上に各町村に一人々々の目付をおかれたら、農村においてはあるいは起ち上る氣力を失う、これは大きな問題だと思うのであります。現在小學校には一人の机さえないのが村の財政であります。あなたはその末端の事情までお考えの上でお話かどうか知りませんけれども、ある部門において調査することははなはだ結構、ないよりもあつた方がいいだろう。しかし現在溺れる者が多い時代に水泳を教えるよりも、まず溺れる人を救つてもらいたい。實態を申しますと、農村においては現在うんかが湧いておる。あお蟲が湧いておる。これを防ぐ方法を知らない。残念ながら縣の食糧課に勤務されておる統計官吏の方は、うんかが何か、あお蟲が何かを知らない現状であります。統計においては詳しいでしようけれども、その話を伺いますと、ただいま私が例を申しましたように、溺れる者が多いのだから、溺れる者を救うことが先であつて、水泳は後で教えてもらい、もつとほかに手を打つていただくことが多いのじやないかと思う。統計は統計として必要なところは尊重いたしますけれども、私はまだまだほかに、現在の農村においては自分たちの目の前の畑に蟲が湧いて困つておる。この蟲を駆逐する方法さえ知らない現状なのであります。
#15
○門司委員 この前の質問に關連してお聴きしたいと思います。農村における精密な耕作面積をはつきり知り得るものが揃つていないという話でしたが、これは一體明確な数字がどれくらいの割合に出ていないのか。さらに何年度の豫算でどれだけの豫算を、府縣廳を通じて渡しておるかということを一度お聴かせ願いたいと思います。それからこの問題の根本に触れた問題でありますが、先ほど松野さんのお話のように、日本の食糧事情を調査せんとするならば、まずその第一義的の要素の問題は面積の問題であります。大體作付面積が詳しくわかつていないで作柄のみをどんなに調査いたしましても、それのみによつておそらく完璧を期するのは困難だと思う。從つてこういう檢査をし、調査をし、統計をとる必要があるならば、それはちようど臨時的の国勢調査のような形で、国家全體の作付面積というような基本的なものだけをはつきりと把握する必要はあるでございましようが、それ以上作柄等については、おそらく地方の行政と中央の行政との確執をきたすような事態が起りはしないかと思う。それは今囘の食糧問題に鑑みましても、一度知事を呼んで割當てをしましても、政府の割當と地方長官の言うこととがなかなか一致しない。そこで政府の考えておる豫想高ほどのものが出てこないというので、いろいろ割當を変更するとか、あるいはこれをごまかすというような事態が起つてくる。これらは政府がただ単に、でき高というようなもののみに拘泥して、そうして基礎的なものをはつきり持つていないということが一番大きな問題だと思う。それから日本の食糧の横流れしております原因も、大體ここらにあるのではないかと考えられるのでありまして、農村心理、それから農村における調査の基礎がはつきりさえしておれば、その上にかけるものはそう私は不公平はないと思うのであります。なぜであるかというと、殊に最近民主化された自治國體と申しますか、いろいろな農民組合その他の民主國體ができてまいつておりますので、農村の作付その他においても、そう不公平な見積りをするわけにはなかなかまいらぬと思います。從つて耕作面積さえはつきりして、そうして基礎をはつきりつかみ得れば、おそらくそういう問題は大した問題ではないと思いますので、どこまでもこういう調査、統計が必要だとするならば、それはちようど国勢調査のような形で――国勢調査もやはりそういう形で行われておると思います。これも各町村役場において人口の数をはつきりさせなければならないものを、ことさらに国勢調査によつて明確を期するという必要があつて行われておると思いますが、こういうような統計などには、そうした基礎的なものだけを国家が行つて、そうしてあとは地方廳に大體委譲して、でき得るならば町村會くらいにこれを委譲して、そうしてそれの統計を政府に集めるというようなことで、地方の自治國體を政府が信頼される形におかれた方がやりよいのではないかと思いますが、その點についてのお考えがございますならば、一度承りたいと思います。
#16
○近藤政府委員 ただいまの御意見、われわれも同じように考えておるのでありまして、作物報告事務所という名前、それから農作物の實収高、あるいは豫想収穫高の調査、こう申しますから、そこでお受けになる感じは、これは収穫高だけを調べて、とることだけを考えているのだろう、こういうお感じをおもちになると思うのでありますが、この間からもお話申し上げましたように、われわれが収穫高を正確に調べる上で、今の場合に最も重要と考えるのは面積であります。一體現在米の収穫高がうちわに申告されておるけれども、そのうちわに申告されておるのにはどういう要素があるだろうかという點で、今面積の方と作柄の方と二つにわけまして、どちらの方により多くの誤謬が紛れこんでいるだろうかということを若干調べたのがあるのであります。それによりますと、御説のように明らかに面積の方に間違いが多いのであります。今日の場合は面積を正すことが、農林省の統計調査局としては急務であるとわれわれは考えております。その場合に、では國勢調査のように臨時の仕事としてやつたらいいではないか、こういう御意見かと思うのでありますが、ある意味では臨時といつていいと思います。實はわれわれの意氣ごみと申しましようか、明治初年に地租改正のときに、たしかあの當時の國費としては莫大な三千五百萬圓くらいの、国が出したものだけでもそういう金を使つて調査をしたのでありますが、われわれはあの地租改正のときの土地臺帳をつくつた調査をやり直すという意氣ごみをもつておるのであります。これさえできますならば、あと毎年の作況というようなものさえしつかりやりますならば、御説のように生産高、供出し得る量等の測定が非常にやさしくなるわけであります。これは同じような考えでおるわけでございます。
    ―――――――――――――
#17
○坂東委員長 お諮りいたします。本日の會議の事件であります地方出先官廳の整理に關する件のうちの、作物報告事務所に關する調査審議はこれで一旦とめまして、道路取締法案を議題に供することに異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○坂東委員長 それではさようにいたします。道路取締法案はすでに質疑が終了いたしましたから討議採決をいたします。討論は通告順たよつて許します。門司亮君。
#19
○門司委員 本案に對しては別段修正の個所もないと思います。本案が、今まで複雑いたしておりました道路並びに交通に關する取締を一本にして法の策略を期し、なおこれを完璧なものにしたいという提案理由に對しましては、賛成の意を表するものであります。すなわち内容につきましては、いろいろ檢討すべき點もないではないのでありますが、殊に考えられますのは、二十六條の道路使用に對するいろいろな許可の問題であります。本案によりますと、道路を使用する場合であるとか、あるいは看板を立てる場合であるとか、いろいろなことが警察署長の認可を得れば、それでいいようになつておりますが、これはやはり土地を管理しております者の権限が相當大きい問題になつておりますので、これらの點を法の施行にあたりましては十分考慮されなければ、いろいろ問題を起すのではないかという考えが起きるのであります。ただこの法案によつてのみ檢討いたしますならば、これで別段差支えないと思いますが、いよいよ實施に當りましては、そういう問題をひき起す可能性があるものと考えますので、この點は十分に法の施行にあたつて御考慮を願いたいと思うのであります。
 それからさらにもう一つは、第九條であります。知事が運轉手の免許を取消す場合の條項のうちに、故意の過失という文字が使つてありますので、これは往々にいたしまして、片寄つた政治が行われる一つの原因をこしらえるのであります。その過失の程度がなかなかはつきりいたしませんので、從つて故意であるか過失であるかという見解が、全然故意である場合には、これは問題ないと思いますが、過失の場合におきまして、それがたとえば不可抗力であるとか、あるいは非常に大きな過失であるとかいうような、いろいろな斟酌を相當しなければならぬことがあると思いますので、これについてもなお十分の注意を要すると考えておるのであります。從つて私は多少注意をしなければならない事項にして、これが完全に行われまするならば、本法案については賛成の意を表するものでございます。
#20
○坂東委員長 中島茂喜君。
#21
○中島(茂)委員 私は民主黨を代表いたしまして本案に賛成をいたします。ただ、ただいま門司君から御説明のありました第九條、第二十五條の御指摘にありました話については、十分な御檢討をお願い申し上げたいと思います。賛成をいたします。
#22
○坂東委員長 川橋豊次郎君。
#23
○川橋委員 この法律は道路交通規則の方針、並びにその安全をはかる法律でありまして、大體現實に即した法律と認めまして賛成いたします。ただいま門司君から各條項にわたつての御意見がありましたが、これも同感であります。ただこの際政府當局として、またわれわれの考えなければならぬ問題は、現在の日本の交通機關はいわゆる軌道交通機關でありまして、すべてのものが鐵道、電車等に重點をおいております。ところが戦争中各都市が荒廃されました關係上、郊外の住民が飛躍的に殖えまして、現在ではほとんど電車で市内に通勤するような状態であります。しかもその状況を見ますと、非常に混雑いたしまして、通勤する人たちが非常な困難を來しております。今日の交通状態から申しましても、そういうような状態でありまするが、今後はますますそういうことが憂えられますので、有軌道交通機關から無軌道交通機關がさかんにならなければならない情勢で、現に戦前の欧米等を見ましても、有軌道交通機關がだんだん無軌道交通機關に轉換しつつある。すなわち自動車の非常な發達によりまして、そういう現象を呈しております。今後日本におきましては、交通難緩和あるいは觀光国家の完成という點から見ましても、道路を整備して自動車がさかんに用いられる時代がこなければならぬのであります。現状に即した法律としてはやむを得ませんけれども、將來のそういう趨勢を見まして、まず政府當局あるいはわれわれとしては、道路の整備ということについて十分檢討いたしまして、これに善處しなければなりません。そうして同時に、これに伴うて自動車の運轉が非常にさかんになる前途を見ますときに、今後交通取締については、今日より相當研究してそういう事態に即應しなければならぬと考えます。この法律につきましては、完全とは申しませんが、とにかく賛成でありますが、今後そういう事態を豫想して、交通取締につきましても十分の研究を要すると考えております。こういう意見を述べまして賛成いたします。
#24
○坂東委員長 酒井俊雄君。
#25
○酒井委員 道路交通に關する各種の法令がこれに統一されまして、一つの系統をもつてまとめられましたことについては、心から賛成いたすものであります。ただこの道路交通に關しまして、過去において種々なる事故が發生し、これがために被害をこうむつた人も多いのでありますが、私ども常々考えておりましたのは、こうした被害者の救済は、単に法案の整理だけで目的を達するものでないし、また被害者の發生の減少も、法案の整理によつてこれをきたすというものじやないと思います。せつかくこの法律ができまする以上、この法律の運営に直接あたる官憲は、特にこの法律の精神をくみとつて、事故の發生防止その他に最善を尽さなければならぬと思います。なお私法律の取扱いに關係しておるものでありますが、この交通事故發生の場合に、被害者が救済されてまいりました状態を考えてみますると、常に交通事故發生の場合において、故意過失ということが要件になりまして、被害者を救済する義務ありやいなやということに問題がかかわつておりますので、非常に被害者の救済がいき届かなかつたということを、私どもはしばしば痛感しておるものであります。と申しまするのは、営業として交通事務を取扱つている者が他人に被害を加えるという場合に、元來から申しますれば、交通運輸を業としている者は、一般の人間と違いまして、特に最善の注意を拂う義務があるはずで、こう考えますると、むしろその事故に故意過失があつたかどうかということは、交通運輸の業にあたる者が立證してよいはずだと、理屈上私どもは信じておるのでありますが、しかし一旦これが法廷などへ出ますると、常に権利を主張する者が、その交通運輸の業にあたつた者に故意、過失があつたということを立證しなければならない不利を負わされております。これは法律運営の原則からきておるものでありますが、しかし加害者に立證責任がなくて、被害者に立證責任を負わせておきますると、非常にその救済というものが薄弱になりまして、私ども種々なる裁判に立會いましたが、敷町も見通しのきく廣い道路で人をひく、明らかに運轉手などの不注意だということは常識上わかつておるのに、裁判上これを立證しようというと、何かその根據、ある證據を出さなければならないというので、見通しのきく廣い道路で人をひいた事件に對して、三年も五年も訴訟が續くというようなことが例になる。よく辯護士は、損害賠償事件がやれるようにならなければ一人前じやないといわれる。その言葉は、いかに立證ということが困難であるかということを物語るものでありますが、お互いしろうと同士ぶつつかつたとか何とかいう問題は別といたしましても、少くとも交通運輸業にあたる者が他人に害をこうむらした場合には、特別の注意義務をもつておるものでありますから、むしろ立證責任の轉換が欲しいとまで、私どもは過去の経験から考えるものであります。しかし法案上そこまではまいつておりませんが、この氣持を十分、この法案を取扱う者におきまして、認識をして、運営をしてもらいたいという希望を附しまして、厚案に賛成するものであります。
#26
○中島(茂)委員 ただいま討論をいたしました際、あまり簡單にすぎましたので、第九條を敷衍いたしまして説明を申し上げたいと思いますが、道路上における事故が非常に頻發いたすのでありまして、これはただ単に事故を起した自動車の操縦者を處罰するだけでは、とうていその危急を救うことは不可能であると考えます。從つてある面考えると、非常に苛酷であるように思うのでありますけれども、ちようど今日アメリカで行われておりますような方法によりまして、道路上で事故を起こした原因をよく檢討いたしました際、そこにおいて不用意に遊んでおつた、あるいは交通の妨害になるようなことをしておつた者に對しても、相當の取締を必要とする、かように考えられるのであります。そういうことも御研究をお願い申し上げたいと思います。
#27
○坂東委員長 これにて討論は終了いたしました。
 これより採決に入ります。原案に賛成の方の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#28
○坂東委員長 起立總員、よつて道路交通取締法案は、可決確定いたしました。
 なおお諮りしておきますが、本法案に關する報告書は、衆議院規則第八十六條によつて、委員長より議長に報告を提出せねばなりませんが、この報告書に關しましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○坂東委員長 御異議ないものと認めます。
    ―――――――――――――
#30
○中垣委員 動議を提出いたします。さきに本委員會で決定いたしました消防局設置の件に伴いまして、この際消防法の制定を希望するものであります。先般本委員會で發言申し上げたのでありますが、火災、水害の損害はまつたく驚くべき多額に達しておるのであります。本日の新聞にも掲載されておるようでありますが、連合軍消防課長エンゼル氏の調査によりましても、一月より八月までの損害が家屋だけでも七十五億圓に達すると發表されておるのであります。これに衣類や各種計器を加えますと、眞に憂慮にたえない次第でありまして、特に最近では一日一億圓くらいの火災による損害を国民が負擔をしておると思われるのであります。これらは水火災等に對する根本的な對策に欠如しておるからだ。こういうふうに言つてあえて過言ではないと思いますので、本委員會は治安の見地から、また国民に對する責任上消防法を制定し、水火災の損害から国民を免れしめなければいけない。かように考えますので、本委員會は消防法の起草のために小委員を設けられたい。なほ小委員の選出方法や人数等については、委員長のもとで適當にお取計らい願いたい。これをお願いするものであります。
#31
○坂東委員長 ちよつと中垣さんにお尋ねしますが、この點に關し、關係方面と多少でも輪郭的の折衝でもあつたのですか。
#32
○中垣委員 私はこの問題につきまして、さる二十六日に消防課長のエンゼル氏にお會いしたのでありますが、彼は法案の成立に全面的に協力するから、この際どうか一つ法案を提出してくれ、こういうような希望もあつたようであります。その際特にアメリカでは百ドルの保険金に對して、わずか五十セントの火災保険をかけている、日本は百ドルに對して何十圓の率にあたつておるのではないか。こういうことではとうてい国民の福祉を護ることはできない。なおまた豫算の點からみても、向うは国民一人で四ドル五十セントないし五ドルを負擔をしている。日本はわずかに二圓より負擔していない。日本の金と向うの金の實質的価値から考えたときに、もう少しこういう問題に国民と政府が自覚するならば、この多額なる有害無益な損害から国民を免れしめることができる、こういうようなお話でありました。
#33
○千賀委員 まことに結構な動機でありまして、われわれは直ちに賛成をいたしたいのであります。何もこの動機に對しまして反對をすべき理由は一向認めません。しかしながら水災竝びに火災豫防におきまして、われわれが現状に目を注ぎますと、今日本の中から機械力を集中して水災を防除することも、火災を防除することも、まつたく不可能でありまして、ただ人力を集中するよりほかに途はないのでございます。われわれが人力をもつて水災を防除したい、あの關東水災における大惨害におきましても、各地の壮丁全部をここに結集いたしまして、これに適當な指揮を與えて素材の運搬、その他杭打ち等を適時適切に行いましたならば、あの水災は何分の一に減らすことができたか、これは思い半ばにすぎるものがあるのでございます。しかしながらこのわれわれで可能なただ一つの途、これさえもわれわれは敗戦の現實のために、殊に現在指揮の中樞たるべき内務省の機能に對しましては、いろいろ意見がありまして、これができないのであります。また火災の防除に對しましても、われわれが戦時中につくつた水槽のごときは、どこでも今ひつくりかえして水が空にしてあるじやないか。あの全国各地におきまするひつくりかえされた水槽を眺めるときに、われわれは實に涙なくては眺められません。あれに水を一ぱいにし、そこらに埋めてある大きなタンクから土を出して水を入れましたならば、非常の際にどれくらいこれが火災豫防のために間に合うか。また戦時中に訓練をいたしましたバケツの送法でも、現在のバラツクぐらいは大抵バケツで消し止め得るのでありますが、これさえも思うように任せない實情であるのでございます。かく觀じ來りますと、われわれがなし得る災害防除の大部分は、まつたく半身不随、血壓硬化症の形になつて、これを實施することができないのでございます。法案が研究されましたところで、やはりこれは人力をまつて當面の災害を防止するよりほかには途がないのでございます。そこで私は中垣君の提案に對しましては、満腔の贊意を表するものでございますけれども、目の前に見ておりますこの可能な事柄でさえも、ただいま申し上げるように、これを使うことができないような悲しきわれわれの運命を否定することができない以上は、果してこの法案をつくつて可能、適切だと思われる途を考えつきましても、それが現在直ちに行われるかどうかわからないのであります。それで中垣氏が會われました権威者は、あるいは法案をつくれといつて賛成をせられたでありましよう。それは事實でありましようが、さて一人の人が賛成をしたからといつて、全部の人が賛成をしてくれるかどうか、これはわからないのでありますから、私はこの動議が成立いたしますことは結構だと思いますが、その前に委員長から適當だと思われる方面に親しく折衝をしていただきまして、その結果でこの動機を進めていくことがよいと思つております、一言私の私見を申し上げて御参考に供します。
    ―――――――――――――
#34
○坂東委員長 ただいま農林大臣が見えましたから、この問題は一時中止して、すぐ農林大臣に對する質問をしていただきます。外崎君。
#35
○外崎委員 農林大臣がお見えになりましたから、この際お伺いいたします。統計局長の話によると、未だ日本では完全な農地面積の統計がない、よつて総登録をやりたいということをお話になつておりましたが、耕地面積の實態がつかみ得ないのに、昨年一昨年のごときあの農家の供出問題、今年でさえできないものが、昨年のごとき、ほとんど無計畫のまま農村に供出を割當てた。その結果どこの農村でも非常に農家が迷惑をしておる。この點は前内閣の時代であつたからやむを得ないとしても、現内閣において、しかもいつも言う通り、農林大臣は農業組合及び農家には最も關心を持つておる大臣と思われるが、その大臣でさえもやはり無統制、無計畫のままで再び府縣に對してこの供出を強いるのか。その強いた結果、完全に供出ができない場合には、再び強権を發動して農家をいじめてもとるのか。この點を特に農林大臣から伺つておきたいと思うのであります。御承知の通り、農家は一生懸命働いて、働いた者が監獄にはいらなければならぬというような、こういうばかげた制度は世界どこの国にもないと思うのであります。しかるに日本においては、政府が最も無責任な供出をわれわれ農家に強いておつて、その供出割當が不完全であるといつて葬つても、これを取上げてしまつておる。これを再びやり返すつもりであるか。しかも確たる統計もなく、どういう方法で府縣に供出をやらせるつもりであるか。この點を承りたいと思つて、特に農林大臣の御出席を求めたのであります。
#36
○平野国務大臣 無統計で供出割當てをきめて、出さなければ強権發動をする。そういうような考え方は毛頭もつているものでありません。あくまで各地方の實情と、政府の考えておりまする数字との理解と納得の上に、大體割當数量をきめて、しかもその割當数量は強権發動することなく、農家の自主的供出にまつという建前は堅持しておるのであります。ただ最近新聞によつてご承知の通りに、供出割當が非常に永引いておりまする關係上、かような形であつては日本の食糧政策について相當遺憾であるというマッカーサー司令部からの覚書をいただきまして、そこで三千五十五萬石というものは、この十月七日までに割當を完了する、こういう方針に現在政府は態度を決める。このことは三千五十五萬石程度は、今年の日本の収穫状況から見て、大體においてかすに方法手段をもつてすれば、強権發動等を行わなくても大體出るべきものであるという認定に立つておるのであります。御指摘のような、無統計で割當てて強権發動するという意思は毛頭ない。ただお詫びを申したいことは、統計調査局ができて、まだ日も非常に浅いのでありまして、この統計調査局でもつておる数字が、必ずしも完全な數字であるとはもとより言えません。相當不十分であると考えますので、この統計は私ども割當の基礎といたしますけれども、最後はこの統計と突き合わせて、地方の食料調査委員あるいは知事等と懇談協議を遂げて決定するという方針をとつておるのであります。
#37
○外崎委員 この間統計局長あるいは課長のお話によれば、地方廳の數字は信用できないから、政府がこれをつくるとはつきり言つておる。その信用できない地方廳と相談したところで、政府は方法がつかぬではないかと考える。しかも地方長官はこの間まで政府の地方長官であつたが、今度は民選地方長官であるから信用できないのか、前の地方長官が嘘をついたので政府は信頼できないのか、いづれにしても全然信用のできない地方廳と相談して、政府が供出割當をすることになれば、おそるべき結果を來たすのではないか、この點について農林大臣の御意見をお伺いしたい。
#38
○平野国務大臣 地方廳が信用できぬということを、そう簡単に言い切つたものではないと思うのであります。問題を具體的に申しますと、たとえば肥料の割當を決めるときに集まつてまいります統計の數字と、米を供出する場合に集まる數字とでは、この前の麥の場合においても約二十萬町歩ほど違うのであります。肥料を渡すときには二十萬町歩ほど土地が殖え、供出の割當のときは二十萬町歩土地が減る、これは現在のような報告を中心としての統計數字だけをもとにしては信用できない、こういう意味で統計局長も申したのではなかつたと思うのでありまして、これは地方廳を信用すべきことは相當信用し、相當疑つてかからなければならぬことは、統計の上においては疑つて、なお眞實を掴むという態度をとつております。
#39
○外崎委員 そういう議論は當つてないということは、速記録を見れば、事實の上において信用のできないということをはつきり申しておる。もう一つ、日本政府は今年の米の収穫高は六千萬石ぐらいが實収高だと發表しておる。しかるにマッカーサー司令部は八千萬石からあると發表しておる。そこに多少の差があるならいざ知らず、二千萬石という開きが日本政府とマッカーサー司令部との調査の間にある。これに對して政府は、いかなる統計をもつてさような發表をされたか。そうでないということがどうして言えるか、この點を農林大臣から承りたい。
#40
○平野国務大臣 八千萬石という記事が出ておりましたのは、司令部の公式な機關の發表ではありません。司令部と私どもと打合せております數字は六千百六十萬石になつております。この點は司令部の数字も政府の数字も、結論においては同じことになつております。八千萬石というのは司令部の正規の機關でない方面から、かりにこういう考え方もとれるという話で、日本でもある特別に専門家が、七千萬石穫れるとか七千五百萬石穫れるとか數字をいう場合もあるのであつて、公式の數字は日本政府もマッカーサー司令部も一致しております。
#41
○外崎委員 公式の數字ではない、政府の六千萬石が公式な數字である、マ司令部の八千萬石は公式ではないといわれるが、新聞に發表すればわれわれは公式と認めざるを得ない。大きなそこに差額があつて、それがそうであるとかそうでないとか、六千萬石についても政府自體が農地の實態がつかめない。どうしてそういうことが言えるのか。これはどうしても、はつきりした數字をわれわれに示してもらつて、われわれがこれならばなるほどと納得のできることであれば、自分の各府縣に歸つても話もできるけれども、政府みずから不完全であると申しておるのに、それをもつていつて、これを農家に強いる、もしできなければ強権發動をしてまた農家を苦しめるという方法では、われわれこれを承服できないと思います。この點はつきり農林大臣から、そうではない、こういう點について十分見當がついてやるのだということをお知らせ願いたい。
#42
○平野国務大臣 たとえばあなたがここに七千萬石穫れたとおつしやつても、あなた自身、こういう根據で七千萬石あるということをお證明なさるとは困難である。私はよく言うことでありますが、ある機械をあてれば、それで米がいくらとわかる機械でもない限り、實際の申告によつて統計を集めていく場合には、何人もこれが正確であると言い切ることは、日本のみならず、世界で、農業統計によつて生産量を把握することくらい困難なことはないという結論を與えられておりますから、これについてはある程度諸般の状況を考えた上における腰溜といいますか、常識といいますか、こういうものを勘案した上で、今日の日本の食糧統計を見なければならぬのでありまして、この點は御了解を願いたい。そしてあくまでもわれわれは、強權發動をするということは言つておらぬのであります。政府がきめました数字について、なるほどと納得の上に供出していただく、この態度はあくまで堅持する。
#43
○川橋委員 この際これに關連して農林大臣に申し上げたい。この問題について、この間から各委員から質問せられました要點は、出先官憲が非常に多過ぎる。それで今問題になつております農業統計の問題は、大體現内閣は健全財政を標榜されまして、インフレ防止にはどうしても財政支出を制約しなければならぬ。これは委員各自の意見であります。それでそういう統計をつくつて、作付段別とかあるいは生産物の調査とかいうことになるのでありますが、これについては、今日まで各府縣にそれぞれ相當の機關があるのであります。要するに屋上屋を架す、これによつて財政支出をますます増大する。また一面においては それがために、あまり農村民にそういう態度で臨みますと、増産意欲が減退することを恐れるのであります。今農林大臣が言われました通り、農業統計というものは非常にむずかしい問題であります。それを知りつつ、なおこれを敢行するよりは、むしろ在來のすべての機關を完全に使用いたしまして、そして民主的にこれを決定する、こういうことが現状に即した行き方でなかろうかと考えるのであります。そういう點について、さらに私申し上げたいことは、戦爭によつて都市も非常な災害を蒙りましたが、またこれと同時に、農山漁村も相當荒廃しておる。まず私はそういう方面に使う金があるならば、農漁山村の復興が先決問題でなかろうか。またあるいは先ほど松野君から質問がありましたが、今日は農民は、蟲害を知りつつ、それを退じるところの薬品が乏しい、あるいは技術が非常に貧困である。こういう方面についても、農村を指導することが今の行き方でなかろうかと、こう考えております。統計等によつて、盗人を捕えてなわをなうというような行き方をよして、現状に即してまず農漁山村の荒廃をどうするか。また現在はこういう時代でありますから、在來の機構を拡大して、あるいはこれを活用して、農林大臣が考えているような仕事をさすということが、時代に適した行き方ではなかろうか。こう考えております。これに對する農林大臣の御見解を伺いたいと思います。
#44
○平野国務大臣 私は農業統計は非常に困難であるということを先刻申し上げましたが、しかし困難であるということは、今後農業統計をおろそかにして、農業統計については、力を入れぬという意味とは全然違うのであります。いかに困難でありましても、將來完全なる農業統計を日本が握るためには最善の努力を盡す。しかもこれは今日与えられている農業政策上の面において、私は土地改革あるいは農業協同組合、こういうような面と決して劣らざる重要性をここに認めている。そこでこの完全なる農業統計を握るには、単に從來の町村から縣廳、あるいは単なる生産者、こういう方面からの報告だけを集めたものをもつて完全なる農業統計ということができない。言いかえますと、農業統計をつかむには、一つの客觀的なる面から、これらの利害關係をもたざる完全なる白紙の立場から、農業統計を握ることのできる機關をつくりたい。そこに新しい作況報告事務所というものを設けて、これから報告をとる。また農林省内において從來統計課といいましたのを、今囘統計調査局というものにあらためて、しかしてこの統計調査局長が特別に専念いたしまして農業統計を把握するということは、かような趣旨に基いているのでありまして、御指摘のような、從來のあり來つたところの機關を利用すればいいというのではなく、新たにわれわれは農業統計をつかむためには、新たに客觀的な機關を設けて――この方面は、地方において農林省の出先機關を廃止せよという御意見もありますが、この不要なる出先機關はわれわれも廃止したいと思う。しかしながら農業統計に關する地方の出先機關というものは、今後いよいよ必要である。かように考えておりますので、この點ひとつ御了承を願いたい。
#45
○川橋委員 私は大臣の説明に對して反對するのでありません。ただ今日の財政の上から、また農漁山村の荒廃の現状から考えて、その方面より以上に必要な仕事はたくさんあるのであります。ですから今申します通り、卑近な例でありますが、盗人を捕まえてなわをなうというようなことをやらずに、なすべきことをまず先決問題として解決していく。しかる後にそれをやられても遅くないという見解をもつております。別に答辯は要りませんが、そういう考えをもつております。そういうことをお考え願いまして、まず現在の農村をいかに救濟するかということをお考え願いまして、さらに一段の施策を希望いたします。
#46
○外崎委員 農林大臣に伺います。今年の統計はできていないということですが、それなら今年の割當方法は何を基準にして割當をしたのか、伺いたい。
#47
○平野国務大臣 もとより段別、段當収量、その他被害状況というようなものを、相當に現在の統計調査局及び農林省の所管諸機關において確められるだけつかんで、それを基礎としてやつている。しかしこれのみによつて絶對にやるというのではなくて、それには諸般の状況を判断して、昨年の割當はこうである、今年はかような水害があつた、旱害があつたというようなことを勘案して各府縣別に割當てておるのでありまして、厳密に言えば相當に議論はありますが、常識的に考えれば、相當に政府も尽力をしたということに御了解を願いたい。
    ―――――――――――――
#48
○坂東委員長 それでは中垣君の動議について御意見を伺います。
#49
○川橋委員 中垣君の消防法制定の動議に對しまして賛成の意見を述べます。先般ある會に私は消防の綜合對策ということを説明したのであります。今日のわが国の火災の現状は、今提案者から申されましたように、まことに戦慄に値するものであります。のみならずこれによつて潤渇せる資材がさらに乏しく相なりまして、民生安定に大なる影響を及ぼすことと私は確信いたします。この點からいたしまして、いわゆる消防の綜合對策、あるいはまた防火の方法等について、適切なる制度を設けることが目下緊急焦眉のことと私は考えております。こういう意味から、この御提案に對しまして賛成するものであります。ただいま千賀君から御意見がありましたが、これはこの動議を成立せしめて、これを研究しつつ、さらに他にそういうものを附することも決してむだでないと思います。この意味において、この動議に賛成いたします。
#50
○坂東委員長 川橋君の御意見のように動議を進行なさつてはいかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○坂東委員長 それではただいまの中垣君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○坂東委員長 それでは御異議ないものと認めまして、消防法案起草小委員を置くことにいたします。小委員はいかがいたしますか。
    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
#53
○坂東委員長 それでは小委員の数を七名とし、委員長から指名いたします。
   門司  亮君  松澤 兼人君
   中垣 國男君  坂口 主税君
   川橋豊治郎君  松野 頼三君
   酒井 俊雄君以上七名を指名いたします。小委員の方は本委員會散會後お残りになりまして、今後の委員會運営方針につきましてお打合せを願います。
 本日はこれを持つて散會いたします。
    午後零時四十六分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト