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1947/10/20 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第25号
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1947/10/20 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第25号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第25号
昭和二十二年十月二十日(月曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 中島 茂喜君
   理事 松野 頼三君 理事 酒井 俊雄君
      笠原 貞造君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    大澤嘉平治君
      佐藤 通吉君    千賀 康治君
      小暮藤三郎君    大村 清一君
      大内 一郎君    小枝 一雄君
      外崎千代吉君
 出席政府委員
        内務事務官   林  敬三君
 委員外の出席者
        専門調査員   有松  昇君
本日の會議に付した事件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第七十三號)
#2
○坂東委員長 これより治安および地方制度常任委員會を開會いたします。
 本日の日程は地方自治法の一部を改正する法律案でありますが、この審議を進めまする前に、ちよつと私から御報告事項がございます。それは御承知の通り、内務省解體に伴う後の機構の編成につきましては、関係法律案は政府からこれを徹囘したというものであります。しかるにその後の機構につきまして種々なる関係上、関係方面から委員長の意見を求めてまいりましたことが數囘にわたつております。そこで實は関係方面においてもまだ最後の決定に至りませんが、委員會としましてもこれの審議を進めて決定する前に、委員の意見を聴き、また理事諸君とはかりまして、それから委員長の意見としまして、出席した理事の賛成のもとに委員長の意見を出しました。それは去る十三日であります。と申しますのは、関係方面では、例の地方自治委員は必要ないという見解をとつておつたのでありますが、しかしながらあの中には、各種選擧の関係あるいは行政部面のこともありますから、これがなくては中央と地方との連絡がなくなりますから、そういう見解から私は出席の理事に諮りまして、委員長の意見を十三日に提出しました。これをこの際御報告申し上げます。と申しますのは、すでに衆議院方面におきましては委員長の意見を出しましたが、参議院の方へ行きまして、この間新聞紙上に参議院の意見と開陳した経験がありましたから、その責任上ここに私は発表いたします。
 なお落しましたが、関係方面では、この地方自治委員會のうちにおきまして、財政方面だけ必要だという意味から、財政委員だけでよろしいことでありました。しかしわれわれの見解では財政だけでは足らない、中央地方との関係は、行政方面もあればまた府縣知事の選擧、市長村會議員の選擧もあります。それで地方のものに任せておいて、中央が知らぬということはいかぬ。そういう見解から、やはり選擧関係、行政関係を入れました地方委員會をつくるがよろしいという意見を発表したのであります。それを今発表いたします。
   地方委員會法案
 第一條 内務省の廃止に伴い、自主的地方財政權の確立その他地方自治の健全なる発達を期するため、臨時に地方委員會を置く。
 第二條 地方委員會は、左に揚げる事務に関し、内務総理大臣を補佐する。
  一 地方公共團體の自主的財政權(租税の賦課及び徴収、豫算の調整並びに起償に関する權限を含む。)その地方自治權の確立に関する調査及び資料の蒐集並びに企畫及び立案に関する事項
  二 地方公共團體に對する財政の援助及び幹施に関する事項
  三 地方公共團體との連絡一般に関する事項
  四 地方公共團體の財政その他地方自治に関する報告の受理及び整理に関する事項
  五 地方税法及び地方分與税法の施行命令に関する事項
  六 地方自治法の施行に関し他省の主管に屬しない事項
  七 地方自治法の施行命令に関する事項
  八 國會議員の選擧及び最高裁判所の裁判官の任命の國民審査に関する調査及び資料の蒐集並びにこれらの制度の企畫及び立案に関する事項
  九 國會議員の選擧及び地方自治法に基く選擧その他の投票並びに最高裁判所の裁判官の任命の國民審査に関する豫算の要求、用紙の幹施その他のこれらの施行準備に関する事項
 第三條 地方委員會は左に揚げる者で、これを組織する。
  一 全國町村會長の地位に在る者
  二 全國市町會長の地位に在る者
  三 全國都道府縣知事の連合體の長の地位に在る者
  四 國會において指名した者一人
  五 各省大臣でない國務大臣の中から内閣総理大臣において命じた者一人
    前項第四號の委員の任期は、四年とする。
 第四條 委員長は、國務大臣たる委員を以て、これに充てる。
     委員長は、會務を総理し、委員會を代表し、所部の職員を指揮監督する。
     委員長に故障があるときは、委員長の指名する委員がその職務を代理する。
 第五條 委員會は、委員三人以上の同意を以て、會務を決する。
 第六條 委員會に法律で定められた事務を補佐させるため事務局を置き、國會の承認を経て、局長その他必要な職員を置くことができる。
     事務局の職員の進退は、委員會がこれを行う。
 第七條 國務大臣たる委員以外の委員は、國務大臣と同様の待遇を受けるものとする。
 第八條 この法律施行に関し、必要な事項は、地方委員會でこれを定める。
       附則
 第九條 この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを施行する。
 これはすなわち委員長の意見として出してたものでありますが、私委員長としてはこれを最もよいものと思つておるのであります。あるいは選擧に関する事項と、それから行政事務に関する事項は別に出るかもしれません。今しきりに折衝中であります。従つてその法律がもし案ができましたならば、むろん十分こういう點を考えて決定したいということを御報告を申し上げます。またその時分に関係方面から現在の日程の地方自治法に関する二項の要望があります。それは今吉田調査員から説明いたします。と申しますのは、政府の案が印刷できましたが、そしてその案に入れることはできませんから、委員長に示したのであります。速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#3
○坂東委員長 速記を始めて。これより地方自治法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを行います。質疑の通告はあらかじめ主事に申し出を願います。そして通告しない議員諸君は、通告した議員がすべて終つた後に委員会に發言を求め、委員長の許可を得た後に御發言を願います。發言通告者酒井俊夫君。
#4
○酒井委員 私は大體概論的な質問を申し上げようと思います。従來わが國におきまする地方自治なるものは、御承知の通り極端にその範圍が狭められ、ほとんど地方公共團體は國家の出先の仕事をするのが大部分の役目でありました。これは民主主義政治のまつたく逆をいくものでありまして、今や大幅にこれが順次改正をされつつあるのであります。そういう意味におきまして、私はこの地方自治法なるものが、なお一層民主的な改正を遂げることを心から期待するものであります。
 そこで今度の改正案のうち、二、三質問申し上げたいと思いますが、地方選擧に関する法文が改正されることになつて、中で選擧人名簿の調製、これは今までは据えおき主義と申しますか、名簿を調製して一年間はそのまま据えおいたのでありまりるが、今度はそのつど名簿を調製されるので、選擧權ある者を脱漏しない點からまことに結構なことと思います。ただそうなると、相當これは手續の上で煩雜なものだと思いまするが、その調製の期間等につきましては、遺漏なくできるかどうか、その見透しをまずお伺いしたいと思います。
#5
○林(敬)政府委員 選挙權を行使する機會を廣く捕捉いたしまするために、いわゆる随時名簿をとるというのでありますが、これは御承知と存じますが、大體地方議會なり、あるいは地方の知事、または市町村長の選擧、あのときに使いましたものの名簿はほとんど全部が衆議院議員選擧人名簿、及び同補充選擧人名簿、これに基礎をおきておるわけであります。それでこれといわゆる都道府縣、市町村の選擧に使う選擧人名簿というものは、ほとんど違わないのであります。ただ違いますところは、いわゆる特別の関係ある者を選擧人名簿の中に加えることができるという點が、地方議會の方はそれだけ殖えておるわけでございますし、それから海外引揚者の點については、衆議院の名簿よりも少し範圍が狭くなつておる。こういう點だけが違うわけでございます。そこでほとんど全部衆議院議員の選擧人名簿に基いて、それにほんのわずかだけ附箋を貼りましたり、それから附加えたりということをやりまして、地方團體関係の選擧を行つておるわけでございます。従つてその部分を臨時名簿にこれを切替えるわけでございます。従つて技術的に申しましても、手数の上から申しましても、ほとんど大した問題はないのでありまして、ただいまお尋ねになりましたような遺漏なくできるかどうか、これはもう大丈夫、人数の點からいいましても、今までのやり方の點からいいましても、こう改めても萬々誤りはなく、遺漏なく行うことができると確信いたしております。
#6
○酒井委員 衆議院議員の選擧人名簿を基礎とされるということは、これは一つの地方自治選擧の要件になる。便宜上そういうことにされるのか。條文の解釋からいたしますれば、もう全部の有権者を随時選擧のあるたびに調べ上げて、名簿を調製するということにならなければどうもいかぬじやないか。しかるに衆議院議員を基礎として、足りない部分だけ補充するのだということになると、この條文とは矛盾してくる。改正の意義がどうも根據が怪しくなるのじやないか、こう思います。
#7
○林(敬)政府委員 御承知のように地方自治法の二十六條によりまして、普通公共團體の選擧は、衆議院議員選擧人名簿及び臨時選擧人名簿またはその抄本をもつてやる、その足らない部分を別に名簿をつくりまして、これを補つていくというような建前になつておるわけでございます。それでこれはお話のようにすぱつと考えていけば、確かに地方公共團體の選擧はまたそれでもつて一つの名簿をつくつたらいいじやないかという御議論が成立つと思うのでありますが、賓際問題としては、こういう衆議院議員の名簿があるわけでありまして、ほとんど違いがないのであつて、それをまた二つつくつていくということは、いかにもまつたく無駄な二重の手数を二度やるわけでございますから、それで衆議院議員の名簿がある、それで選擧をやる毎に随時足りないところを附加えていく。こういう形でやるのが一番簡便であり、また賓際に営つておる、こう考えましてこの制度をとつておるわけであります。
#8
○酒井委員 そういたしますと、衆議院の選擧の名簿は従來のまま行われる建前のもとにできておるのか。衆議院の方も臨時主義をとつていくという建前だとすれば、特に地方選擧に臨時主義を揚げなくても、衆議院の選擧名簿によるということでよいと思います。そこはどういうふうになつておりますか。
#9
○林(敬)政府委員 これは衆議院の方は九月十五日現在で十二月に確立するという定時名簿主義をとつて、しかしそれでは非常にに脱漏が多くありますから、そのほかに選擧の都度臨時名簿というのをつくりまして、定時名簿の缺陷をそれで補つていく、こういう形をとつておるわけであります。そこへ地方公共團體の分は、補充選擧人名簿というものがその上にその都度加わる。従來は補充選擧人名簿すら定時名簿をつくつておつたが、これはまつたく無駄なものであつて、わずかな部分を、その都度九月十五日現在で十二月に確定するということでおさえていくのは非常に無駄なことですから、補充選擧人名簿だけは完全なる名簿にしてしまう、こういう建前をとつたわけであります。
 そこで私どもの気持ちとしては、でき得れば将來ちやんとカードを衆議院の方もつくつておきまして、随時期間をずつと見ては絶えずこれを訂正していつて、選擧のときには完全に訂正したものをもつて使つていく。衆議院の方も随時名簿主義というのが、とれればとりたいと思つておりますが、これは一番初めにちよつと御心配がございましたように、遺漏なく行い得るや否やという點でまだ非常に心配でありますが、今はとりあえず定時名簿主義をとつて、それに臨時名簿をつけて補充していく。それから随時名簿は選擧の都度つくれば、かえつて手数も省けて妥當である。将來はできればカード式にしてやつていくのが一番名簿としてはよいのじやないか、かように考えておりますが、手續、貸材、手数、その他から見て、今まだそこの形式にまで私どもいたつておらない次第であります。
#10
○酒井委員 その随時名簿の確定したします確定という言葉がよいか悪いかしりませんが、その日時はいつまでになるわけですか。選擧の當日から数えてどうなるのでありますか。
#11
○林(敬)政府委員 これは選擧をやるということにきまりましてから、急いでつくりまして大體選擧の二、三日前には確定する、一番選擧の日に近いところであつて、しかもその選擧をやるに支障のないだけの餘裕をもつた期間に確定するという形をとるようにいたしてまいりたいと思います。
#12
○酒井委員 法令上その期日は明示されないわけですか。
#13
○林(敬)政府委員 これはその都度當該選擧管理委員會で告示をしてきめるというように法令をつくつてあるわけであります。
#14
○酒井委員 次に地方選擧の候補者が一人になつた場合、従來の法律の建前から申しますれば、無投票で當選が確定されたのでありますが、民主主義の建前を貫くために、五日間選擧期日を延長して補充立候補、なお決選投票の場合には、第二位の者が缺けておれば第三位の者の競争を認めるという趣旨、まことに結構だと思います。しかしこの五日間というような短い期間で補充立候補した人が、はたして自分の力を十分出すだけの期日がこれであるかどうかということは問題だと思います。なお選挙人の側から申しますと、五日間くらいの期日において、その立候補者の人格なり識見なりを知るということは不可能じやないかと思います。そこでこの五日間という期日は、もう少し長くていいじやないか。但し選擧をあまり遅らすということについても、いろいろな點に弊害がございますので、この期間というものは双方の立場から餘ほど重要に考えなければならぬと考えます。
 それから決選投票の場合、第二位の者の競争を認めるということは、選擧人の意思からはたしてどうかと私どもは思います。というのは第一位、第二位が争うということは、選擧する者の意思からも當然これは豫想されることと思いますが、あまり順位が距つた者と一位とが争うということが、順位が距てば距つほど、選挙人のその人に對する期待というものは薄いわけなのです。あまり大きく距つものを競争相手にもつて來るということは行きすぎじやないかと考えます。この二つの點については御答辯願いたい。
#15
○坂東委員長 ちよつと御参考までに申し上げますが、関連事項については發言希望者外でもできますから、申し上げます。
#16
○林(敬)政府委員 最初の五日間の延期は短すぎる、そういう感じをおもちになる御気分に、私どもも感を同じうする部面をもつのでございますが、今お話のありましたように、これは二つの要素から見ての考えでありまして、その二つの要素に基いて考えて見て、どのくらいならば適當かということを考えた結果、原案といたしまして五日間ということに落ちついたわけでございます。これはできるだけ選擧を公正にやつて、あとから名乗り出して來る人に對して選擧の機會を與えるという點から言えば、もつと長い方がいいと存ずるのでございますが、やはり選擧というものをできるだけ速かに行つて、不安定な状態を速かに解消するということが選擧の一つの大切な考慮すべき要素であると考えるのでございます。その點から見て、あまりにこれを延ばすということは妥當でないのではないかということが一つであります。
 それから選擧の期日を長く延ばしていくと、初めから立候補しておる者に對しては、過度の選擧運動をせざるを得ない立場に追込むわけでありまして、あまりにも選挙費用、その他においても過大を強いるということになりはしないか、それらを考え併せて、ここのところを五日間ということが最も妥當ではないかと、かように考えた次第であります。
 それから決選投票の場合の第三位を繰上げて決選させることについての御疑問も、一應ごもつともだと存じます。非常に票の離れた人が第二位になつておる場合には、たいへん期待が薄い人をするわけでありますが、しかしこういう制度に改めたいと申します氣持のものは、できるだけいわゆる選擧というものを正しき選挙民の意思に合致したような結果の出るように行うわけがありまして、いわゆる決選投票の行われますときには、いずれも八分の三の票をとつていない人であります。八分の三の票をとつていない人について、さらに選挙民の投票者の中の八分の三というものが、第二義の問題としてさらにだれに入れるかということをきめるのが決選投票でありますので、やはりいずれも八分の三ないことにおいては同じである。そこでもつてもう一回やり直して、二人でやります場合に多数の票をとる人がなるということで、もう一回そこのところの投票者の意思を確かめていくということでもつて、一應選擧の目的は達せられるのではないかと思います。お話の點もごもつともでありますが、まあ趣旨にはこれでもつて副うのではないか、かように考えておる次第であります。
#17
○酒井委員 次に地方自治團體の首長に對する彈劾の制度の改正につきまして、彈劾裁判所というような特別の機關による制度をやめて、普通裁判所に一つの裁判權を認め、事實の認定権を與える。その結果最後は内閣総理大臣が罷免するというふうにゆくようでありますが、この司法権と行政権との本質的な建前、分野というものはおのおの違つた範圍をもつておるもので、行政上の善悪、あるいは怠慢であつたかどうかというようなことを、通常裁判所で裁判するという形がはたして本質上どうかと考えますとともに、やはり司法裁判所は司法に關する専門でありまして、行政に關する知識というものは専門外のことだと思います。でありますからこれらの裁判判断、いわゆる行政に關することは特別な行政の方面に知識経験の深い者をもつて構成する彈劾裁判所というようなものでいつた方がいいのではないか、こう思いますが、この間の御意見を承りたいと思います。
#18
○林(敬)政府委員 行政と司法が適正な分野をもつて進まなければならないという御所論は、まつたく同感であります。これはいずれも相侵さず相侵されず、立派に調和をとつてやつていくことが三權分立の根本思想であると存じます。この點について御疑問のあることは當然と存ずる次第であります。これに對しては政府としてはかように考えておるのであります。この問題は、百四十六條についての裁判所は、行政廳の命令を前提として、それが適法である限りそれに従うべきことを命じ、あるいは憲法の事實の有無を確認するだけのものでありますから、決して行政権に不當の干渉を加えるというものではなく、その點司法と行政との分野を亂るということはないと存じます。すなわち行政廳の命令というものを前提とします。ただその命令が適正であるということを認めた場合に、それに従いなさい。あるいは憲法の事實があるかどうかということを見るというだけのものであります。従つて司法裁判所は、何ら行政行爲自體を行うというものではなくて、行政権の作用に對する事實の認定を行つて、そしてその裁判による認定に従つて、行政機關が代執行または知事、市町村長の罷免という行政處分を行うという建前であつて、すなわち違法の事實があるかどうか、あるいは適法な命令を出しているかどうか、そういう法律上の問題を認定してもろうというだけを司法裁判所であり、それによつて行政行為というものを、しつかり誤りなく確認してもらつて、それによつて行政上のこういう措置をしてゆくということでありますので、司法権が行政作用を營むとか、あるいは行政の分野にはいりこんでゆくとかいう問題ではない。その點に至れば、これは行政司法の分野を亂れるという心配は萬々ないと考えているのであります。
 お話のように行政に關する知識は、従來の司法裁判所であれば、まことにこれは専門外のことであつたと思うのでありますが、新憲法後においては行政訴訟といわず、民事訴訟といわず、一切の訴訟というものは司法裁判所で扱うという點になつて、従つて判事の素質というものについても、行政裁判所の系統の人も最高裁判所にもおはいりになつてやつていらつしやるというような賓際の問題もございまして、その點も新憲法後においては解消をしてゆく問題だと考えております。
#19
○酒井委員 御説明の御趣旨はよくわかりました。私が質問いたしました點も、あえて司法權が行政權を表すんだというような意味ではなかつたわけであります。なお將來の裁判所が、あらゆる特別裁判所というものを否定いたしまして、司法裁判所一本でゆく事實も憲法の建前上明らかなことであります。ただ私は司法裁判所が行政の事實を認定するという點については、單に地方自治團體の首長が法令に従つたかどうかということだけの認定ではなく、その行つた行政が適正であつたかどうか、妥當であつたかどうか、もつと具体的に言えば、怠けたのじやないかというところまで判断をする意味だと私は思います。法令の解釋だけならば、これは司法裁判所で結構だと思います。特別裁判所という、裁判所の形で彈劾機關を設けるということは、不可能にいたしましても、裁判所という形以外の彈劾機關を特に行政に鍛錬した者をもつて構成することは、私新憲法上から見ても不可能じやないと思います。そういう意味におきまして、まことに筋道はよくわかるのでありますが、必ず將來これによつて地方團體の長たる者が、司法裁判所というものに一つの束縛を受けるような形が出てくるのじやないか、事實はそういう弊害が生ずるのではないかと思いますが、しかしこれ以上は水掛論でありますからお尋ねいたしせせん。
 次に総理大臣の罷免權でありますが、これはこの場合だけでなしに、りろいろな場合にもこうした筋道のことが出てまいりますが、公選で選んだ地方團體の長を、総理大臣という役人が罷免するといぅうこの形が、はたして合理的かどうかということを、ほかの場合でも疑つているものであありますが、やはり公選で選んだ役人が適當でないならば、またこれは選擧した者の意思によつてこれを罷免するなり、慮分するといぅ原則的な形でいく方法ほ考えられないであろぅかといぅことを私は思います。この點について御意見をお伺いいたします。
#20
○林(敬)政府委員 気持から言いますと、地方の自治といぅものを尊重いたします限りにおいては、地方の住民の公選によつて選ばれた首長の罷免というものを、総理大臣がその数量で行うというのは非民主的ではないかという気持は出てまいると存じます。しかしながらいわゆるこの百四十六條に規定いたしますのは、おをらく實際上はほとんど規定の通用はないのではないかと思われるほどまれな、まことに想像したくないような場合の問題でございまして、先ほどこの質疑應答が始まります前にも申しましたように、いわゆる國家の統治權というものを基として地方の自治權、自治行政作用というものも出てまいつておると存ずるのであります。そこで萬一にも國を基礎にするところの民主主義と、地方を基礎にするところの民主主義といぅものとが、まつたく相矛盾してしまつて、そうしてその間の統制がとれないというような状態が起つたとき、その打開をはかる方法としては、こ方法でもつていくよりほかはないのではないかと考えられるわけであります。しかしながら地方から選擧で選ばれてくるよくよく人望のある方でありましても、國会全體から見た場合に、どうしても明らかに法令の規定に違反する、あるいは違反はしないけれども、逆になすべきごとき行わないというような人がありました場合には、國家全體として生きていくためには、これはどうしても代つてもらうよりほかやむを得ない場合には、こういうことを行い得るような法律を設けるよりほかにいたし方がないのじやないかというように考えております。しかしながら申すまでもなく、勝手にこれをやつてはいけない。またこれを濫用された場合には、地方自治に對して恐ろしい侵害になる、脅威になるように考えますので、ここにさらに限定をして、すなわち國の機関として都道府縣知事が行う場合として、委任事務であるとか、あるいは地方自治體の固有事務に属するものについては、一切これに触れない。国の機関としての都道府縣知事の權限に属する行政事務の管理もしくは執行が、法令に違反し處分に違反する、あるいは執行を怠るといぅよな事實があつた場合、しかもそれは裁判所に裁判を求めて、その冷静にして厳正なるところの判定を待つて、その上でこれが、罷免を行う。こういうふうに非常に場壊合を限定して、ほとんど裁量の餘地のないようにして、その場合だけ罷免する、こういうことを考えているわけでありまして、理想としては、そういうことを萬一にも豫想するということは、實に好ましくないことでありますけれども、他にそういう場合に國家の全體の利益と、地方の一部の主張というものとがどうしても矛盾いたしまして、國全體とし、國の機関としてこれを行使することがでないというような場合には、やはり代執行または罷免ということを、國の機関の名において行うことができるというようにいたしますよりほかに方法がないのではないかと考えて規定をいたした次第でございます。
#21
○酒井委員 御趣旨はよくわかります。この総理大臣の罷免權、その他代執行權等が、いわゆる國の固有事務の權限において行われる。だから監督權と申しますか、管理權と申しますか、その根據においてこの罷免權その他の權限が生ずるのだという意味も、よく理屈の上ではわかるのであります。ただ實際問題として、こういう形でいきますと、やはり非常に官僚的な色彩が地方自治團體に大きく影響すると思います。殊に國家の固有事務であるか、地方企共團體の事務であるか、理屈の上ではよくこの區別はつくのでありますが、具體的な問題になりますと、一つの仕事を取り上げて考えてみると、これは一體國家の事務か、地方公共團體の事務か、はつきりしないというようなものがずいぶんあると思います。殊にはつきりしているものでも、どこまで一體國家の監督權というものが地方團體に行い得るかといぅ範圍については、よほどこれは厳密に考えないと、やはり官僚的な色彩が強くなるのではないかと思います。たとえて申しますれば、教育の問題などは國家の固有の事務である。これはもうたれが言わなくてもはつきりしている。ただこれを委任事務として地方團體へどの程度委任しておるか、教育すべてを託任してしまたつたということでもない。地方團體の委任事務としての範圍などは、いわゆる小学教育、六・三教育だけを考えてみましても、その委任の範圍などは非常にぼやけたものなんです。殊にこの経費の問題などは、市町村を大きく負擔しておる、こういう場合に、たとえば市町村長が六・三制のこの制度は、もちろん實施はしなければならぬからするでありましようが、設備などとても負擔にたえないというのでやらないといぅような町村も現にあるわけであります。そういう場合に、六・三制の設備をしないのは不都合だ、これは國家の固有事務であり、また委任事務の範圍じやないかというような理屈から、市町村長をやはり責めて罷免する理屈も、一應そんな中からでも考えられるのじやないかと私は思います。そういうような點から言つて、総理大臣個人の力でもつて、一人の力でもつて市町村長あるいは府縣知事、こういつた者を罷免するということは、どうもおもしろくないじやないか。道理はよくわかりますが、事實の問題として一體どう取扱われるかという點をさらにお聴きかせ願いたい。
#22
○林(敬)政府委員 酒井さんの御心配はまつたく同感でございます。その點につきましては、いわゆる國家の事務といえども明らかでないじやないか。實際いろいろ行政法學者が、これは国家事務だ、これはそうではないとか申しますので、一概に國家事務といつても不明瞭なものがずいぶんあるわけであります。しかしながらこの百四十六條の適用のありますのは、これは明らかにいわゆる國の機関として、その行政事務の管理もしくは執行を委託されたその仕事に限る。そうしてしかもそれが、法令の規定あるいは大臣の許可などの條件に違反するというような、いわゆる明らかに國家事務とされておつて、明文で書いてある、そういうようなものをやらなかつたり、違反したりという場合にだけ實行される。なおまたそこのところの水かけ論になつたり、結局國の方の解釋で泣寝入りになるというおそれをなからしむるために、司法裁判所に入れまして、はつきり司会裁判所で、ならほどそういうものであるという確認をもらつたもの、そういうものだけについてやるわけであやます。従つてこの百四十六億で、しからば司法裁判所が間へはいつて行司役で判決を下します以上は、その點があいまになつて地方にえらい迷惑でかかつてくるということは、絶対にないと考えておるのであります。なお六・三制の例をひいてかお話しがございましたがいわゆる六・三制の経費を出して校舎の設備をつくるというのは、これは團體委員の事務といいますか、その當該地方に委任された仕事なんでございますので、ここでこの百四十六條の適用がありますのは、そういう團體に國家から委任された仕事でなくて、市町村長、知事とか、その個人個人というか、その個人に對して委任した。いわゆる機關選任と俗に學説上申しますが、その仕事についてだけの違反を問われるわけなんであります。それで團體に委任されて、いわゆる團體の仕事に委されてしまつたものは、源泉が國家から出ておりましても、それに對してかりに違反しましても、この百四十六條の適用はない。機関に委託されたものだけについて、しかもその機関に委託されたものは、どういうものが委任されておるか、どういう場合にどういうふうに法令に違反したかということは、行政機関だけの指示になさないで、司法裁判所がその間にはいつて明確にして、それでもつてなおかつ怠るという場合に代執行または罷免ということが行われるという建前にいたして、御心配の點を萬々なからしむるように留意しておるわけであります。なお蛇足でございますが、もちろんこのほかに、いわゆる府縣會なり、市長村會で不信任の議決というものがあつて、知事、市町村長を罷免することができますし、あるいは入民の方から解雇請求のリコール・システイムというものも行われるものであることを併せて申し上げておきます。
#23
○酒井委員 最後に一點、これは私いつかの本會議でもこういう趣旨を述べたのでありますが、地方債の不許可主義、これは私が長年主張しておつた點で、だんだんそれに近づてまいりますのは結構だと思います。なお、當分の間所轄行政廳の許可を受けなければならないとされておるのでありますが、地方債は地方自治團體の信用において、またその力において行うものでありあす。これが行政上の負擔を國家にかけるものじやないという建前から、この際すべて地方債に関するいろいろな制限は撤廢される意思はないかどうかということをお伺いします。
#24
○林(敬)政府委員 このたび御承知のように地方債は建前を明らかにいたしまして、建前としては不要許可自由に起債をし得るという理想をここに揚げた次第であります。しかしながらお尋ねの點にありました現實の問題として、それでは今ただちにまつたくフリー・ハンドにしてしまうかというと、現在の日本の金融状態、あるいは財政状態、これから見まして、どうしてもそれができないような實情にあるわけでございます。そこで當分の間は所轄行政廳の許可ということにいたしたわけであります。もつと國が富んでまいりまして、あるいは金融状態というものがゆたかになつてまいりまして、資金蓄積の状態というものもどんどん非常に上つてまいりますれば、この但書は要らないことになるのではないか、かように考えるのでありますが、ここ数年あるいは十数年というものは、どうしてもこういうことが、かりにこの法律の上から消えましても、實際問題としてはどうしても生ぜざるを得ないような状態であろうと存ぜられるのであります。すなわち申し上げるまでもなく、資金蓄積の状態も悪うございますし、金融状態も悪い。國全體としての財政状態も悪い。そこでいわゆる起債というものの全體のわくというものは、一年間にどれだけということは大體初めからきめられてあるわけでございます。そこでたとえば本年度なら本年度の起債は、総額五百億なら五百億ということを、大蔵省と、内務省と、日本銀行とが相談しまして、関係方面の許可を受けて全體のわくといおうものを一體まずきめてしまうわけです。そのうちでもつて、國債はそのうちのどれだけとる、地方債にはどれだけやる、社積にはどれだけということを、わくを大きくきめてまいるわけでございます。そのときにいろいろ公共事業その他の需要によりましてきめていくわけでございます。そうして地方債なら地方債は一年間に八十億なら八十億、九十億なら九十億というわくをもらつて、それ以上はどうしても起債はできないというようなことを、現在せざるを得ない状態なのであります。それ以上にいたしますれば、また金融の方で引締める。現在のような状態になつておれば、いくら起債しようと思つても、どうしても借りられない、それからそれを自由に借りられるようにすれば、日銀の兌換銀行券のような發行はうなぎ上ぼりになつて、またインフレになつてします。そういうような状態でありますから、どうしても國全體の起債のわくをきめて、さらにその中に國債のわくと、地方債のわくと、社債のわくをきめてまいる。國債の方は國債の方でもつて、資金調整方に基きまして、甲乙丙丁の分類をつけて、その中の優先順位のものからやむを得ず許可していく。それから地方債についてはそれぞれの要望をとつて一定の基準を設け、こういうものは許可しないというようにする。すなわち公共安定事業であるとか、あるいは災害復舊事業であるとかは優先的にやむを得ずやつて、それ以外のものは後順位に落していく。全體の需要にどうしても應じ切れませんためにさようなことをいたしておるのであります。それからこれは全部を許可いたしました後では、関係方面の承認を得る、こういう関係で、現在のところ、これをはずして自由にするということは、これはどうしても日本の金融状態ではいたし兼ねる状態でございます。もしこれを自由にいたしますれば、結局極端に言いますと、ある町ではプールとつくりたい、ある町ではどうしても堤防の切れた跡を直さなければならない。そういうときに、プールをつくる方で非常にうまく運動をしたり、情實があつたり、つてがあつたりすると、金を先に借りられる。そうして必要なところに金が借りられないというような状態も起つてまいることにもなる。それのみならず、たとえば八十億なら八十億、九十億なら九十億の地方債のわくをもらつてまいりますと、そのかわりをもらつたものについては、日本銀行で大體裏打ちをして起債の許可をする。許可をすることは逆に言いかえれば、何とか金は現金化できる。現金化できるということの裏付けで幹施するわけであります。起債の許可をするときには、必ず起債協議會というものに諮りまして、日本銀行及び特殊銀行、あるいは市中銀行の人にも集まつてもらい、内務省、經濟安定本部の関係官が出て参りまして、毎月々々の資金蓄積の状況を見ておつて、一年間のわくの中であつても、毎月々々の資金蓄積の状況に応じて、今月は十億やろう、今月は五億やろう、こういうことでちびちび許可しながら、辛うじて金融機関に對する資金の手當等とにらみ合わせて、どうやら借りられたり、あるいはなかなか思うようにいかないで、借りられなかつたりというような状態を、今繰返しておるのであります。許可とは申しますが、逆にある意味においては、保証というようなことをやつておるような状態でありあます。かれこれ亂雜に申しましたが、さような状態であつて、一言にして申しますれば、現下の日本、あるいは今後當分遺憾ながら續くであろうところの日本の金融財政状態から見れば、これを許可主義にして、ごくごく丸要なものからやる、そこに對しては、そのかわりに裏付けをして、現金化については金融機関の方には逆に約束をする。そうして月別の計画を立てて、その月々の状態を見て辛うじて許可をいたしておるような状況であります。従つてこれを自由にはずしてしまうというわけいにはどうしてもまいらぬ。法律上ここで自由にすると書きますれば、今度は自由になつたのはよいが、やはり関係方面とも許可を全部受けるというような関係もありまして、これは社債なみということになつてしまつて、かえつて地方國債としては、不幸に陥るというような結果にもなると存ずるのでありまして、どうしても但書以下のことは現在の状態では遺憾ながら必要であろうと考えるのであります。
#25
○大澤委員 ただいまの地方局長のお話しのように、公債の許可をしない場合があつたとすれば、かりに六・三制の問題で校舎をつくるというような場合、少なくともこれはつくらなければならないから、公債の許可がなければ、結局地方なり市町村なりで有力者に寄附を仰ぐ、そひて完全に校舎ができれば結構であるが、その寄附もまとまらぬという場合には、結局市町村民に割當ててまでも校舎をつくらなければならぬという實情になつておりますから、まことにこの話しは不合理で、結局は何かの名目でその地方から金を集める。理屈の上では今地方局長の申された通りで、なるほどということになるのでありますが、實際問題としては許可がないからといつて校舎をくつられずにおかれないというので、あらゆる手段を講じてやつておる實情であります。その問題にはまことに地方々々において目まぐるしい實情が生れてまいるのであります。寄附金を募集するにしてもなかなか割當等がむづかしく、喜んで寄附する者もあり、絶對にしないというような人もあつて、その間に地方團體の圓滑なる建替、あるいは圓滑なる發達ということがむしろそのために阻害されておる實情が各所にあるように見受けられるのでありますが、そういう點に對して政府としては、何らかこれに對して對策をお考えになつておるということを一言お伺いいたしたいと思います。
#26
○林(敬)政府委員 六・三制を起債の問題及び寄附の問題については、お話の通り私どもといたしましても、特に地方團體のお世話をする立場に立つておりまする仕事をしております関係上、人一倍心を痛めておる問題であります。今申し上げましたように、健全財政、あるいは逆にいえば窮乏財政、この建前からいえば、どうしても自由に好きなだけというものを認めることができないとうものが現下の實情でおり、やはりわくの内で締めて、重要な分からやつていくほかないという状態であります。かたがた教育の理想からいえば、六・三制というのが理想であつて、それに向つてすでに出発してしまつておる。そこでその間いろいギャップが出まして、寄附であるとか、あるいはそれの割當でるとか、結局そういうことになつて、窮乏財政と、それから教育理想というものの間にはさまつて苦勞するのに自治體、あるいは延いて苦勞がかかるのは地方の住民の方々、こういぅことになつてくるのであります。これは一日も早く、健全なコースに乗せて、打開していかなければ問題であると存じます。私どもも微力ながら、大蔵省及び文部省の間を終始折衝いたしまして、努力を続けてきておる次第であります。御承知のように、今度の追加豫算には三十一億二千萬圓というもの、これは地方の校舎をつくるという要望からみますれば、決して十分なものではありませんが、少くとも財政そのた他からにらみ合つて三十一億二千萬圓という設備費、六・三制施行に判う必要な経費というものを考えて、その中十四億は國庫補助にする。それからあとの十七億は起債にする。こういうことで十七億の起債のわくを大蔵省及び日銀、その他金融機関と折衝をして認めてもらい、確約をしてもらつたわけでございます。すでに文部省及び内務省、大蔵省三者の共同通牒でもつて、この範圍での起債は優先的に許可をするから、それでもつてそれぞれ計畫を出してもつてこい。殊に寒い方の地方については早く要るであろうから、早くもつてこい、早く許可するから。こういう意味の通牒を出して、まずまず不十分ではありましようが、起債の點については、十七億の程度の起債は認めるということで、大蔵大臣とも確約いたしました。日本銀行との間もはつきり相談をいたしまして、これは起債のわくからいつて無理でありますが、それだけを割りこまして、これを認めてあるわけでございます。しかしこれでもいろいろと不十分の點があるのではないかと存ぜられます。のみならず、まだ追加豫算も、そういうことで責任大臣の承認を経て、通牒を出してございますが、また最近やや、この基礎の数字について動揺を來しておるというような、うわさを聞くのでありまして、私ども事務當局として、また責任上も、非常にこの點を今憂えている状態でございますが、今後御心配を少しで少からしむるように、できるだけ努力をしてまいりたいと存じます。
#27
○大澤委員 地方局長のお話しは、まことにごもつともと感ぜられるのでありますが、十七億の起債では、わが國の六・三制の實施に對して、ほんとうの政府の弥縫策ということになると思うのであります。實際問題としては、各市町村におきましても、まつたく政府の許可あるいは手續等が非常に遅れておるので、御承知の通り現在のわが國の經濟事情からいたしまして、半年経てばすでに諸物債が倍にもなり、あるいは物によれば三倍にもなるというように、經濟事情が非常に變動しておる現在の實情でございます。そのために市町村としては、豫算を一度立つてみたが、三箇月しか経たないが、もうこの豫算では何もならぬ。理想倒れ、計算倒れで、實際には一つも實行に移つておらぬということが、現在の地方の市町村におけるところの實情であるのであります。こういう點に對して、市町村は市町村の計畫も立て、かりに木材のある市町村であれば、早速六・三制を實施するについては木材の點を確保し、あるいはセメントのようなものは相當確保していくということで、商工業者であれば、先を見越して素材を用意してかかるということもできるのでありますが、御承知の通り公共團體であれば、そういうような許可もなく、あるいは實際問題として許可がないものに對して、見越して資材を買入れるということができない。正式の許可もあり、手續も済も済んだ後に着手するという實情であるために、實行に移す場合には全部豫算も計畫も違つておるという實情であるのでありまして、こういう現在の經濟事情であれば、六・三制の問題等は、地方局長のお話しはごもつともであるが、地方々々に大選任せて、特に六・三制を實施するについては地方々々の實情に任せて、あまり統制をしないで任せてやらなければ、とうてい實施できないということは事實の問題であると思われます。こういう點に對して、もちろん文部當局でないのでどうかと思われるのでありますが、また地方局長として、いろいろお骨折のことはよく承知しておるのでありますが、なんとか文部省あるいは大蔵省、内務省等で會議の上、實際の地方の實情をもう一遍踏みこんでいただいて、先ほど申しましたように、各地方地方によれば、この問題をめぐつて思想の上からも、その他あららゆる面から非常な禍根を残し、しかも地方自治團體の運營に重大なる支障が、近いうちに生れてくるうことはまつたく事實だと思われるのであります。よくその點を當局が御相談をしていただいて、地方民が安心し、地方の自治團體の運營をしていけるように、一時も早く通牒なり何らかの方法をとつていただかなければ、われわれ地方から選ばれた議員として、政府に對していかにお願い申し上げても、何らのはつきりした實際の面において、この六・三制の實施できる方法がないということであつたならば、選擧區に歸つた際も、一番先にその問題が問われるのでありまして、これに對する説明さえもできないような實情であるのであります。よくこういう點も政府當局としてお考えになつて、要るに地方々々の實情に任せてやらせるということを考えてもらうよりほかに、實際問題としてないのではないか。よくこの點一段の御研究と御協議を願いたい。
#28
○林(敬)政府委員 ただいまのお話しは、地方における切實なる姿をそのままお述べになりましたものとしまして、十分拝聴いたしました。私どもの立場も、政府都内における地方團體の利益擁護、代表としての正しい主張を傳える立場であると存じますので、お話しの點は文部省、大蔵省、安定本部、これらによくお話しもいたします。そうして今後一層これが解決を速やかに推進するように最善の努力を盡してまいりたいと存じます。
#29
○坂東委員長 速記ととめて。
    〔速記中止〕
#30
○坂東委員長 では速記を始めて。
 お諮りいたします。この委員會にはなお内務省解雇に伴う警察法、その他各種の法律案が付託になりますから、この地方自治の形成法律案もなるべく早くいきたいのでありますが、きようは出席が少いからこれでやめまして、二十二日の午前十時から開會いたします。その時分には、各派とも多数出席するように御勧誘を願います。
 本日はこれをもつて散會いたします。
  午前零時三十分散會
ソース: 国立国会図書館
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