くにさくロゴ
1947/10/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第27号
姉妹サイト
 
1947/10/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第27号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第27号
昭和二十二年十月二十三日(木曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 高岡 忠弘君
   理事 中島 茂喜君 理事 松野 頼三君
   理事 酒井 俊雄君
      笠原 貞造君    菊池 重作君
      松澤 兼人君    大澤嘉平治君
      千賀 康治君    中垣 國男君
      中島 守利君    渡邊 良夫君
      小枝 一雄君    外崎千代吉君
 出席政府委員
        内務事務官   林  敬三君
 委員外の出席者
        内務事務官   鈴木 俊一君
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第七三號)
    ―――――――――――――
#2
○中島委員長代理 これより會議を開きます。
 委員長の委任によりまして委員長の來られるまで、理事の私が委員長の職責を行います。
 本日の日程は前會に引続きまして地方自治法の一部を改正する法律案であります。昨日に引続き質疑を績行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。なお念のため申し上げておきますが、通告者の質疑に關連した事項については、通告していない方も質疑をされて差支えありませんから、この點申上げておきます。松澤兼人君。
#3
○松澤(兼)委員 第一にお伺いいたしたいことは、地方税法の改正が衆議院に出ております。これはきわめて簡単なようでありますが、地方税法の問題はあの程度のもので、今後改正がないものであるかどうか、伺いたいのであ」ります。なお地方税の問題については、最近各市町村とも非常に財政が窮乏しておりまして、ほとんど無制限に各種の新税を探し出しまして、これをかけているようであります。一方地方財政を確保するという意味からいえば、そういうことも當然考えられることでありますけれども、地方國家的な見地かち考えてみますと、ただ地方財政の必要から無制限に新しく地方税をつくつて、これを微收することはあるいは国家の産業の點から、その他の點から、あまりに無統制になり過ぎると、弊害も起つてきはしないかと思うのであります。地方分權ということは、一方において大切なことであります。同時にまた、國家的な、産業再建という點から考えてみて、著しく産業の回復を阻害するというような税は、一定の基準のもとに、これを調整する必要がありはしないかと思うのでありますが、内務省の解體せられた後、どういう方法でこの全國的な地方税の調整ということがなされるか、具體的な方法をお示し願いたいのであります。以上二、三質問がありますが、以上の點につきまして御答辯願います。
#4
○林(敬)政府委員 松澤さんからのお尋ねの第一點は、現在提出されております地方税法の改正、あれはあの程度で今後改正しないかとのお話でございますが、あれは約一箇月前に提案いたしましたが、その後御推察いただきますような特別な事情かありまして、今まだ審議にはいつておりませんが、一應その當時においては、とりあえず直ちに改正を必要とする者はあの程度と考えまして、あの法律を案を提出したわけでございます。その後あの法律案の中に、地方自治委員會の権限となつておりますものが、直しましたようにいたしましたものが数箇條あるのでありますが、その點は今後關係方面とも折衝しました上で、この名稱が變つてくる、あるいは所管が變つてくるということが起り得るわけでございます。それからそのほかに税をとる方法などについても、いろいろその間に仲介的な人がはいりまして税をとるような、委託徴收の方法の中のよろしくない、そういうものについては、やはりこれを防止するような、何かの法律を考えなければならないのではないかということも、今檢討いたしております。さしあたり今國會に政正をお願いいたしたいと思つて、政府で考えておりますのは、まずあの法律案の程度で、あとは名稱であるとか、徴税方法について若干の工夫を加えたものを追加いたしますが、その程度に考えておるのであります。しかしながらこの次の通常國會というか、第二囘目の冬から春にかけての場合には、もつと地方財政というものを根本的に充實するような、いい税金の地方委譲、あるいはその他の地方財政の健全化という方向に向つての税法の改正をいたしたいと、目下研究もいたしておりますし、関係方面とも折衝中の状態でございます。
 それからお尋ねの第二の、地方の自治團體でとる地方獨立税、これを無制限にとるときは、國家的見地から見て弊害を生ずる場合がある。國家的見地から見て、やはり徴税する必要のあるものは徴税すべきだと思うけれども、これについて今後いかなる方法でやるかといお話でございます。御趣旨はまつたく同感でございまして、いかに地方の財政が窮迫しても、無制限にいかなるのでも、どんなことをやつてもいいというようなことになつて、國家に弊害を及ぼすようなものは、許可の際にこれを抑止して、何らかの方法でもつて、その團體が別の方法で生きていくようなことを考えなければならぬと思います。現在内務省が地方税法に基いて許可しておりますものも、その趣旨によつてやつております。そこでなるべく地方のことは地方にやらせるという趣旨から、新税の設定ということは極力抑制はしないで、自由に任せていく方向をとつてまいりたいと存じておりますけれども、しかしこれがために、小さな自治團體がまつたく鎖國的になつてしまつて、言いかえると、お互が関税障壁を設けるというような結果になつて、流通秩序の破壊を來すような税は、嚴にこれを戒めて抑止しております。また國家全體の見地から、一地方のためのみを考えて、全體を崩すというような建前のものは、これを止めるようにいたしておりますが、今後におきまして、内務省解體後におきましても、必ずこの機能を行う何らかの機關というものは、中央政府部内においてぜひ必要だと存じます。大體今までやつておりましたのと同じような方針で同じような力をもつて地方の自治というものは、伸ばしつつも、全國的な見地から見てこの流通経済を破壊する、あるいは國家的な弊害を及ぼす、それを調整する必要のあるものあるものは調整するという、政府部内において、これを行うに必要適切なる機關は存置する方針でございます、近く關係方面とも話合がつきました上で、本委員會に提案してお諮りをいたしたいと考えておる次第であります。
#5
○松澤(兼)委員 第二にお尋ねしたいのは選擧法の問題でありますが、これはこの改正とは直接關係がないのでありますが、一方でそういう要求を聴きますので御質問申し上げるわけであります。それは現在行われております不在投票であります。これは衆議院選擧法の三十三條に「勅令ノ定ムル事由二因リ選擧ノ當日自ラ投票所ニ至リ、投票ヲ為シ能ハサルヘキ、」そういう者に對しましては、不在投票の制度があるのでありますが、それが特に船員の場合、不在投票の實効が少しも現われておらないのであります。最近におきまして船員の中にも選擧というものにつきまして非常に關心をもち選擧權を行使したいと考えておるのでありますが、少とも實際投票を行いますまでには、三囘くらい書類の往復をやらなければ、その選挙権が行使できないという實情にあるのであります。神戸、大阪、横濱などにおきまルては、ずいぶ、ん多数の船員がおるのでありますが、賞際九月十五日の調査のときに不在であつたというようなとで、その貴重なる選挙権を行使することができないとい實情にあるのであります。この不在投票をもつと簡単になすことのできる方法を考えることが、きわめて必要だと存ずるのでありますが、この點につきまして現在何らかの考慮が拂われておらないのですか、どうですか御質問申し上げます。
#6
○林(敬)政府委員 お尋ねの不在投票の問題でありますが、私も實はまつたく憂いを同じうするものでございまてて、久しぐ縣にありまして、この選擧のことに携つておりまして、不在投票というものは趣旨は非常に結構である、けれども法文は難解であり、手續は煩瑣であつて、これは行う上において實にめんどうなものである、あれほどめんどうならば捨ててしまおうというような氣分に、みななるのも無理はないという感じを、数年前に非常にもつたわけであります。それであれは投票をなさる方には不便である、また選擧の事務を取扱いますところの事務當局にとつても、非常に難解かつ複雑をきわめたものなのであります。そこで本年になりまして、過般衆議院における選擧法を改正いたしましたその際に、施行令も直しまして、不在投票のできる範囲を非常に擴げたわけであります。それから手續もできるだけ簡易化をいたしたつもりでございます。それでただ不在投票をさせる、廣く選擧權を公の事由その他やむを得ない事由で、いない人でも選擧權が行使できるというようにさせるためには、これは廣く範圍を廣めた方がよい。しかしながら一方投票の弊害というものも、こういう場合になつてるとどうしても逆に憂えられるのでありまして、範圍を擴げて手續を簡易化いたしましても、最後の一番簡易な、郵便ででも投票するというようなすつとしたふうにすれば、選擧のときには間々濫用する方もございますし、ほんの僅かでも濫用する方がありますと、昨日もお尋ねがありましたが、選擧の全體の効力に影響があつたり、當の選効力に影響があつたりする場合がありますので、まだまだある限度まではある程度の制限を加えるということも、やむを得ないという事情もあるわけであります。それこれにらみ合せまして、選擧の理想と、それから實施の場合の弊害防除の實際、これを両方にらみ合せました上で、まず現在のところこの程度というふうに考えておるわけでございます。しかしながらなおそれにしても、お尋ねのような憂いが私どもまだ心の中にあるわけでありまして、できるだけ弊害の方とにもみ合せながらも、この選擧權行使の目的を達成するに便宜ならしあるように最大の工夫を引續いていたしまして、結論を得次第また法案改正としてお出しするよう努力を授けてまいりたいと考えております。
#7
○松澤(兼)委員 漸次不在投票の制度は改善せられまして、船員等が賓際選擧權を行使できないというものがなくなつておることは事實でありますが、それにもかかわらずなお海員組合などからは熾烈な要求がありまして、さらに改正を要求しておるのであります。これは最も簡便な方法をとりますならば、いずれは住んでおるところがあるのでありますから、常時その人がおらないというだけの理由でありますから、それぞれの市區町村役場において、船員の業務を管理しております關係官廳と申しますか、そういうものの證明をつけてそうしてその人が不在であつて選擧權の行使ができないという證明をもらいまして、どこからでも郵便によつて、選擧の期間になりましたならば、これを郵送するというきわめて簡単な方法をおとり願えれば、今日のまうな危險が非常に多いということが防止せられるという要求があるのであります。現在各町村を調べてみましても、まず百人おります船員の中において、實際に選擧權を行使する者は十人に足りない状態ではないかと思うのであります。この點については、將來ともひとつ御考慮を願いたいと考えるのであります。
 それから五十三條に、無投票になつてしまいました選擧におきまして、五日間選擧を延期して、できるだけ選擧を行わせる方法をとるということがあつたように思うのでありますが、實際五日間では、あとから出てきた人は選擧に非常に不利でありまして、實際他の人たちはそれまで選擧期間中選擧運動をしておつて、選擧の期日の前日までに、候補者が死亡し、もしくは辭退したために選擧が行われないで、無投票になりそうである、それを五日間延期する、その期間内において新しい候補者が出てはたして勝目があるかどうかということになりますと、ほとんどこれは見込がない。そういうことになりますと、せつかく五日間延期しましても、結局無投票に終つてしまうということになります、ので、これをもしほんとうに生かしていくためには、としても十日ないし十五日くらいは延期しなければその實数が少いのではないか。五日という期間の延長は、どういう根據からこれを規定したのでありますか、お伺いしたいのであります。
#8
○林(敬)政府委員 先ほど私から御答辯申し上げた中で、一つ間違つていた點がございますから、恐縮でございますが、訂正を御了承願います。選擧法の施行で、この前不在投票の範囲を擴めて手續を簡易化したということを申し上げましたが、これは地方自治法の施行令で直したのでございます。いわゆる國會議員の選擧の方は、まだ従来の規定になつております。新自治法の方の地方議會の選擧の方が、不在投票の範囲を擴充いたしまして、手績も簡易化いたしておるわけであります。こちらはある程度進んでおると申しますか、今御指示がありました郵便で出してやる制度なんかも、ある程度の制約をもちながらも認めておるというような形に相なつております。選擧法の方につきましては、當然自治法でそこまで出てきておるのでありますから、選擧法もこれとおおむね歩調を合わせて改正していいわけでございます。この選擧法というのは非常にデリケートな法律でもございますから、しかるべき機會――この次の何か選擧法をいじるという機會がありましたときに、これは併わせて、こちらとしては大體自治法と歩調をそろえる程度までには、この不在投票のやり方の改正を行つてまいりたいと存じます。
 それから第二のお尋ねの無投票の問題であります。無投票で當選をするという場合には、五日間期間を延期しまして、そこへ新しい人が出て、できるだけ競争によつて當選するようにという趣旨の改選をお願いしておる次第でありますが、この五日間といたしました理由は、第一囘の質疑應答でもお尋ねがございまして、そのときも申し上げたわけでございますが、やはり選擧をしなければならない、すなわちそれがためには、自治團體の長あるいは議員というものが缺員になつておる状態であります。そういう執行機關または大切なる理事機關が缺員になつておるという状態というのは、理想からいえば、できるだけそういう不安定な状態というものは短かく終らしていきたいという氣持が一つございます。それからまた、あまりにこの五日間という期日を長くいたしますと、費用の點におきましても、初めから立つて残つておる候補者については、莫大な費用を結局出さざるを得ない状態にもなります。そこで不安定の状態、あるいは費「用の關係、それらも考慮いたしまして、しかしかたがたできるだけ選擧といものは住民の意思が反映し、競争によつて當選することを妥當とする。こういう趣旨と、この兩者をにらみ合わせて折衷いたしました結果、まず五日くらいが最も妥當であろう。こういうことで本案を提出したわけでございます。
#9
○松澤(兼)委員 實際におきましては効果がないということは、確かに言えると思うのであります。その點は別といたしまして、もう一つ八十四條に但書が加わりまして、五十八條第五項の規定によつて當選人と定められた者は、一年以内において解職請求ができるということになつておりますが、他の者に對しましては、一年以内においてはできない。この五十八條第五項の規定によつて當選した者は、一年以内においてもできるというのでありますが、はたしていつからできるのであるか。ある程度までやらしてみなければわからないということも言えるわけでありますが、規定の中におきましては、ただ年以内においてもできるということになりますから、就任いたしましてただちにでもできるということになりますか。御質問いたします。
#10
○林(敬)政府委員 今最後にお述べになりました御見解の通りに當局も考えております。
#11
○松澤(兼)委員 それから出先官憲の問題でありますが、これは國會の承認を得なければならないということになつております。たとえば勞働基準局のごとき、法律をもつて制定しているのがあります。あるいはこれまですでに法律によつて、その設備を認められているものがあるのであります。すでに従前からそういうものが設備せられており、しかもまた法律をもつて制定せられているものは、あらためて國會の承認が必要であるかどうか。あるいは法律をもつて規定せられているものは、あらためて國會の承認がなくとも、今後も継續して存續し得るものか。その點につきましてお伺いいたします。
#12
○林(敬)政府委員 百五十六條についてのお尋ねでありますが、この百五十六條の規定は、今後設置せんとする國の地方行政機關についてであります。從つてこれから設けますものについては、國會の承認がなければ設けてはいけないということが書いてあるわけでございます。そこで本法施行になるまでにすでにできておりますところの出先機關につきましては、あらためて國會の承認は要らない、こういう注文になつておるわけでございます。
 それで附加して申しますと、今後設けるものについては、それでは法律で書いてあれば、あらためて國會の承認が要らないかと申しますと、これは要らないと思います。法律でこういう機關をどこそこに設けるということが明確に書いてあれば、別にさらに國會の承認を得る必要はないのであります。その法律を今後設ける場合でありますが、これはよろしい。しかしながらただ豫算だけで設けるという場合は、たとえ豫算で議決がありましても、これでは明確なところがわかりませんので、別に何々の機關を設置することを承認するの件という案件を出しまして、國會の承認を経なければならない。こういうふうに考えておるのであります。なお、それでは今までできております機關についてはどうするかという點でございますが、これは特に本委員會においても小委員會をおつくりになつて御檢討のことでありまして、御承知と思いますが、政府においても闘係各省と折衝いたしておりまして、できるだけこれを廢止するという方向で、やむをえない、國家の統制を保つためによくよく必要だというもの以外は、これを廢止して地方機關の中へ入れていく。こういう方針でもつて、今檢討中でございます。
#13
○松澤(兼)委員 もう一つ、八十二條に、都道府縣知事及び内務大臣という言葉が第一項にも第二項にも使つてありますが、改正の方には八十二條の改正というのは出ておらないと思うのでありますが、その點、内務大臣をそのままに殘しておいて差し支えないものでありましようか。
#14
○林(敬)政府委員 八十二條も、改正法律案の十三ページの終りから三行目に「第七十七條及び第八十二條中「内務大臣」を「地方自治委員會」に改める。」これでよろしゆうございます。
#15
○松野委員 このたびの第百四十六條の都道府縣知事は彈劾裁判所によらず、煩雑なる方法を避けて地方裁判所の確認によるということに、私は非常に不安をもつものであります。なるほど煩雑な方法を避けて便利にはなりますけれども、地方長官あるいは市町村長身分に關して非常に不安を懷くものであります。地方裁判所の裁判官は、御承知のごとく民事、刑事の正確なる判斷については多年訓練されております。しかるに行政的素質を加味した事實の確認あるいは判定ということは、なかなかできるものではない。最近できました最高裁判所または東京高等裁判所の例について、その人員的構成を見ると、行政的事實について行政的判斷を的確にやつてもらえるメンバーが少いのではないかという感を深くしますが、まして地方の裁判所に對しては、なお一層この不安を懷くものであります。最近の地方の大きな問題としまして、特に今後の適用において不安を感じますことは、農地改革あるいは供出制度ということに關して、都道府縣知事あるいは市町村長が國家機關として大きな權限を行使する場合、これが命令違反であるということならば、簡単に斷定できますけれども、職務が怠慢という點を考えますと、昨年の例をとつても、百パーセント供出をした縣が少い。これを職務怠慢という一言で斷定をされれば、夫縣知事の身分は非常に不安を覺えるのであります。また彈劾裁判所ならば對等の立場で相争う機會が與えられますけれども、この方法でいくと、證據を固めればすなわち判決をされるという點に私は非常に不安を感じます。そのあとで上訴の手續はとれますけれども、少とも判決をくだす前に、お互いの情實あるいは事情、殊に行政的措置におきましては、刑法や民法と比べてなかなか判斷がむずかしいのでありますから、ただ證據を固めただけで認定されてその身分を失うことに、私は非常に不安を感じるのであります。
#16
○林(敬)政府委員 御意見も、現在の實情に即して、一應ごもつともなことと拜承いたします。ただお話のように、民選された知事、市町村長、これの立場をみだりに國權をもつて脅かすことは、地方自治に對して非常に危險なことであると考えております。それゆえにこの百四十六條を立案するにあたりましても、國の機關としての都道府縣知事の権限に屬する事務に限つて、團體に委任された事務あるいは團體固有の事務、それらについてはいかなる行「動、いかなる怠慢、いかなる違反があ「りましても、國の方からその身分を奪うことはできない。これを奪うことのできるのは當該市町村會あるいは府縣會、あるいは人民の手によるリコールによつてのみ解職することができるという建前をとつておる次第であります。しかしこれも御了承のことと思いますが、國全體として、どうしてもこの筋を通して、窮乏した日本で一體となつて生きていかなければならないということになつてまいりますと、知事、市町村長の機關としての立場において委任をいたしました事務については、それは筋を通していかなければならないということも、國全體の今日生きていく立場からやむを得ないと思うわけであります。しかしそれゆえに、みだりにこれは行つてはならないということで、事由も、いわゆる法令の規定もしくは主務大臣の處分に違反する場合、または管理もしくは執行を怠る場合ということで、この場合だけに限りまして、しかも勝手にそれをやつてはいけないので裁判所の判定にまつて、事實の確認を得ました上で、代執行なり罷免をするという愼重な手續をとつて、百四十六條に長々と書いてあります。これだけの手續で催告を數囘やり、いろいろと裁判も受けまして、その結果によつて、なおかつ、これは確かに違反している、怠つているという判定を受けましたものについてやる、こういう手續で愼重に行いますならば、まずまず御心配のようなことはないのではないかと考えておるわけでありまして、これが濫用されて地位が不安になつて仕方がないということはないのではないかと思うのであります。また今まで裁判所は民事、刑事のみ取扱つておいて、こういう行政事項については経験が乏しいということも仰せの通りであります。しかし今後の新憲法においては、御承知のごとくに民事、刑事のみならず、すべての問題を裁判所が取扱うことになつておりますし、殊に上級の高等裁判所あるいは最高裁判所には、その道の専門家も入れる制度になつてお力ますのて、今後今までの舊憲法時代の裁判所とは、逐次その面目を改めてくるものを期待して院おるわけであります。
 それから最後に御指摘になりました、違反する場合ならまだしも忍べるが、怠るという場合は認定が非常に困難であつて、供出とか農地改革とかで地方のために正當な主張をしたと認められる者が、怠慢の名によつて馘首されるということになつては困るとい、う御心配でありますが、これも裁判所が事實の確認をするというときには、この執行を怠るという事實の確認をするわけでありまして、そのときにはもちろん書面審理でぱたつと片づけてしまうというわけではなく、當事者を呼出さなければいけないということになつて、双方の當事者を呼出して理由を聽き、言譯を聽いた上で審理をして、その怠つているかどうかということを認定してもらうわけでございます。從つてその點もいわゆる對等の立場で爭い得る、かように考えるわけでございまして、萬々これが濫用されるというごどはないのではないかと私は考えておるのであります。立案をいたしましたとき、やはり今お尋ねのような憂いを私どももちまして、その點について内でいろいろ議論をいたしたわけでありますが、その結論は、この法文についてはまずまず御心配のようなことはない、かように考えている次第でありまして、御了承願つておきたいと思います。
#17
○松野委員 ただいまの御説明で大體了承いたしましたが、ただ一つ罷免する時期ということに私は不安を感ずるのであります。なぜならば、確認によつて罷免する、なお異議があつた場合には上訴して再び前判決を取消すというならば、判決をいわゆる罷免する前においてやるべきではないか。一度は最後の判決は、知事あるいは總理大臣の個人の判斷によつて罷免してしまう。そうして異議のあつた場合には再び上訴するとい場合があるならば、その前になぜ判決をもつと的確にやつてやらないか。仰せによりますと、確かに相當に本人の意見を述べる機會がありますけれども、しかし最後の判決は總理大臣または知事の罷免權にかかるのであります。そうして不平な場合には、なおかつ上訴するという方法があるけれども、しかし一度罷免されて、地方廳における身分を失うという前に、なぜ正確に、お互いに對等な立場においで相爭つてくれないか。證據固めにおいては、なるほど自分の證據はこうだと、多少述べる機會はありますが、しかしこれは対等ではない、なぜなら、判決權は總理大臣あるいは地方長官に任してあります。この點において、なおかつ多少獨裁的傾向がある。あるいは事務の煩雑を避けるという言葉によつて隠されておるかもしれないけれども、多少獨裁的な、中央集權的な色をここで感じるのであります。
#18
○林(敬)政府委員 知事、市町村長の地位を保護するという點から言いますれば、お話のように、すべての訴訟が済んだあとでこれを罷免するというのが、一番いいと思います。しかし御承知のように、この百四十六條を適用しなければならぬという場合は、これはよくよくの場合だと存じます。そうしてそれだけのよくよくな場合であつて、それで高等裁判所で審理をやりまして、その結果に基いて裁判がなければ總理大臣は罷免することができない。ただ審理しただけではもちろんできないのであつて、審理した結果、裁判所でこれは確かにいけないのだという裁判をしない限りは、總理大臣はどうしても罷免することができない。しかもそういう裁判がありましても、總理大臣は罷免してもよし、しなくてもよしということになるわけであります。そこでなおかつ裁判がありましても、代執行で片がつくという場合には代執行をやつて、よくよく、これは代執行とか何とか手ぬるいことでいつては、何とも國の全體の趣旨というものが通らないという場合にのみ、總理大臣かこれを適用する。おそらくこの法文が成立いたしましたならば、やはり怠慢なり、違反なりというものも若干これを重ねまして、よほど大きな悪質の怠慢をやるか、あるいは商工大臣の言うことをきかなかつた、農林大臣の言うことをきかなかつた、運輸大臣の言うことをきかなかつたというような何犯かになりまして、總理大臣がこれは仕方がねいということで、罷免命令を出すということに、愼重に扱われるのじやないかということも豫想しておるのであります。それで訴訟が濟んでからということになりますと、これは非常に長いことかかりまして、最高裁判所までいつて判決を得て、それからということになりますと、いろいろな場合に行政行為は、片方急を要するわけでございます、それで半年なり一年なりはどうしてもかかるものと考えなければなりません。その訴状が出てから半年なり一年なり經つて、そうしてそれで罷免ということになつたのでは、片方國の機關としての役目というものが、全然、そのころになつてかりに罷免になつて、別の人が出てこれを行いまじても、効果がなくなつてくるという憂いがあるわけでありまして、行政執務というものを急いでやつていかなければならないという建前からいたしましても、訴訟が全部濟んでからというふうにいつては、民法の目的はまつたく空文になつてしまうということが憂いられるわけであります。
    〔中島委員長代理退席、委員長著席〕
 そこで高等裁判所の審理判決というものがあつて、それに基いてだけやることにいたしたわけであります。それで一方の行政の作用というものと、確實迅速に行うといつ要素の方から考えますと、實は内部の議論では、十五日以内に審理をしろ、こういう意見があつたのです。これは長すぎるということです。即日これを決すべし、こうやつたらどうだという相當な有力者からの意見も、内部ではあつたような次第であります。いわゆる地方自治を擁護する立場からいけば、これは長く、愼重を要し方がいい。また國の仕事というものを、ぴしつと地方の行政機關を通じてやるという建前からいきますと、これは短い方がいいということも、片方考えられるわけであります。その間のまず中間をとつたと申しますか、十五日以内でできるだけ速やかにきめる。ういう日をきめたような次第もあるわけでございまして、大體申し述べまして御了承を得たいと思います。
#19
○坂東委員長 千賀康治君
#20
○千賀委員 第一にお伺いするのは、地方議會に、今度は豫算の發案權にひとしい豫算の追加、削減が認められることになつております。しかし但書がつきまして、これは市町村長の豫算發案權を侵害してはならないということでありますが、ここがまことに曖昧でありまして、發案權を侵害せないということであるなら、それでは市町村長が、あるいは縣知事にいたしましても、その團體の長が承認をする範圍内で豫算を修正するということが、この事實にあてはまるか。承認をしなくてもやれると見てやれば、他日民事訴訟等の問題が起きても、それは民事訴訟で敗訴になれば、もちろん議會側が負けるのでありますが、勝訴になればそれで市町村長が承諾をしないところでも、議會によつて豫算の修正ができるのか。そこのところがはつきりいたしておりませんが、この簡単な文字だけでは私どもははつきり受取れません。どの程度のことがここに該當するとお考えになつて、この法案をおつくりになつたのか、伺いたいのであります。
 次は選擧に關してでありますが、地方公共團體の議會の議員または長で、投票を行われずして當選人と定められた場合は、その一年後でも解職の請求をすることができる。これは何人が解職の請求をするのか。この點がはつきりいたしませんから、御説明を願います。
 それからきのう關連質問がたくさんありまして、私は伺い殘したことがございますが、やはり選擧に際しまして、補完名簿の届出というものは、すこぶる危険が多いと思います。たとえば絶對に勝てないということを觀念しておる小政黨に屬しておる人々が、その選擧を攪亂するために、各所で不正な届出をいたしで、さて選擧が濟んでしまつてからこうだというようなことになります。もちろんこれには罰則がつくことは當然でございまするが、現今の世相では、みずから求めて犯罪人となつて、むしろ監獄の中の方が生活が安定できるというような放言をするような、心得違いの者もある世相でありますから、むしろこんなようなことは、政黨のお先棒をかついで、そうした大きな選擧をひとつ攪亂したら、むしいこれは街の英雄だというような誤つた觀念で、相當にこれを志願し、計畫するような者が多いのじやないかと思う。罰則によつてこの危險が取締られると考えることはできません。そこでやはりこれは取扱い上、あくまで取扱いとして、かようなことが防止できるという觀點に立つてやつてもらわぬと、どうしても將來の選擧というものは、すこぶる不確かなものになるのであります。そこで補充名簿に届出を請求する人たちの書式であるとか、條件であるとか、たしかにこれは二重の届出をしていないというようなことを、届出を受ける方の地方公共團體が、確信をやつてその事務を整理していくのたは、どんな條件をとり入れておられるのか、その點を御説明を願いたいと思います。
#21
○林(敬)政府委員 千賀さんのお尋ねの、第一の豫算の發案權の問題でございます。九十七條をこんどは改正をいたしまして「議會は、歳入歳出豫算について、増額してこれを議決することを妨げない。但し、普通地方公共團體の長の歳入歳出豫算の提出の權限を侵すことはできない。」こういう一項を加えたわけでございますが、これは現在行われております制度と、實質的にはなんら變更を加えたものではないのでございます。それで現在もこの通り行われているわけでございます。ただ現在はこれをいわゆる行政實例、または判決例というものによつて、こういう解釋をとつてやつているのでございますが、いかにも成文法としては不親切という感じがいたしますので、今囘その意味をここに明示したわけでございます。それで申すまでもなく、歳入歳出豫算というものは、いわゆる觀念上わけますと、執行權の仕事に屬するわけでありまして、歳入の状態というものほ、やはり執行機關がいちばんよくわかつている。そこで歳入と歳出とを睨み合せて豫算を提案していくということは、國會におきましても、あるいは地方議會におきましても、これは理事機關の方が出すという建前になつているわけでございます。しかしながらそれでは、それを削ることは議會ができるけれども、増額することはできないかという問題になつてまいりますと、増額することできる。但し、知事市町村長の發案權を侵書しない限度においてできる、こういうわけになるわけでございます。發案權を侵害しない限りにおいては、お話しがございました承認をするとか、しないとかは問題でなくて、知事市町村長が承認いたしませんでも、議會の方で發案權を侵害しない限度においては増額をしてもよろしいし、それから知事、市町村長がかりに承諾をいたしましても、發案權の方を侵害するという上な結果になる場合は、これは増額修正はできないということになるわけでございます。久しくこの方面に御経験をおもちになつて、おわかりになつでいることと存じますが、一例をあけますと、たとえば道路改修費というものを縣が議會に提案いたします。十五萬圓で道路をどこからどこまで直す、こういう發案をいたすといたしますと、その議會の方でその單價をみまして、甲から乙までの土地の道路を直すというのに、單價が一間あたりこれだけというような安いことでは、現在の時局下どうしてもこれはできない、だからこの單價を倍にしろ、こういう意見を主張いたしまして、結局その道路改良費というものが倍額になつていくというようなふうに、倍額の修正をいたしますこういうことは、豫算の發案權の侵害にはならないという解釋でございます。しかしながら、甲から乙にひく道路のほかに、乙から丙にひく道路を一緒に直すという意味で、その豫算の金額を倍額にするという場合は、乙から丙の間の道路を直すということについては、何も自治機關の方から發案をしていないわけでございますから、その直すところのものを含めた増額の修正というものはできない。こういう解釋でございます。そこを但し書きで現わしている次第でございます。
 それから第二の無投票當選の場合は、一年經たない前にでも解職の請願ができるという點は、普通の投票によつて當選いたした人は、一年經つてから後からは解職の請求かやれるわけでございます。しかしながち無投票當選となりました人は、當選の事由から考えましても、一年以内では選擧人の方、すなわち有權者の三分の一の連署をもつて解職の請求をすることができるということをここに書いたわけでございます。解職の請求をいたしますと、これは選擧管理委員會でやるわけでありますが、選擧管理委員會は今度の一般投票によりまして、その住民の三分の一以上から連署をもつて要望のあつたこの要望は、是か否かという一般投票を問うわけでございます。それでもう一囘解職して、投票をやり直すべ」しという一般投票の方が勝を制しました場合には、選擧のやり直してということを行うというようなのが普通のモデルになるわけであるます。これに解職を請求いたすその職によりまして、いろいろとやり方が違いますが、一つの例をあけますると、そういうような手績で行われるわけであります。
 それから第三の補充名簿でございます。これは昨日もお尋ねがございました。これについては大體衆議院議員の名簿を主にいたしておりますから、ごく僅かのパーセンテージが補充名簿に載つてくるわけであります。從つてそれだけ眼が届くわけで、事前に相當愼重に誤りを極力少なからしむることができるという感じをもつております。それからもし、これが事前に不正の届出等をやつておりますれば、附箋をつけて投票さして、なお事後にこれがわかれば、判決をもつて覆し、また處罰ができるわけであります。ただそれではなお不正の心配がございますので、書式とか條件とかいうものにつきましては、前の住所地はどこであつたかということを、この届出のときには一緒に書き込ませまして、それに基いて選擧係員か審査をいたしまして、誤りなきを期するという方法をとるようにいたしております。實はこれに對しては、千賀さんが御心配のようなことを内部で話しておりまして、外國にあるように、手を擧げて宣誓するというようなことをやつてはどうかということがありましたが、どうもその場合いい加減に手を擧げられてしまつたのでは心配だ、それには前住所地を書き込まして、それでもつて調べるという方法をもつて過ちなきを期したいと考えております。
#22
○千賀委員 第一の問題でございますが、ただいま道路をあげて御説明になりまして、まことに私の方もそこで審議がしよいのでありますが、先ほどの話で、十五萬圓の道路を三十萬圓かかるという工うな修正をしたといたしますると、財源があれば結構でありまするが、そこで三十萬圓の道路をつくる財源はない、道路の改修の延長においでは、同じ単位であつても、市町村會が條正したために倍の經費が要つて、そこには倍の經費を賄うだけの財源がないという場合には、やはりこれは發案權を侵害しておると思います。それで決議してやられたところで、その執行機關は執行する自信もなければ能力もない、こういうことになると思うのですが、それで運行がはたしてできるか否や、それからいま一つは、たいてい地方の執行機關の財政が隠されておるところは繰越金だとか、そうした「ものに多く餘力をしまつておくのでございますが、これを決議機関が見つけまして、そこにそんな金をもつておるならば、この金でひとつ道路を延長しようじやないかというよなことを發案したといたしますと、それは發案權の侵害になるだろか。もちろん執行機關が頭を下げて閉口すれば、これは話合いがつくのでありますから、侵害ではないと思いますけれども、そこであくまで市町村長、縣知事ががんばつておるのを、繰越金あるいは豫備金等の中からもつてやるとすると、あるいはそれが發案權の侵害になるかどうか。また先ほどの道路の例で、今政府の方では、こういうものならいいとおつしやるけれども、その財源がない場合に、それをやつたら、おそらくこれはやはり發案權の侵害のようにも思いますが、その場合でも侵害でないかどうか。財源があつたときには、もちろんおつしやる通りでいいと思います。そのときに豫備金の方から、これは財源があるじやないかということでもつていけたらいいと思いますが、そういう場合の例はいかがでございましよう。
 それから、先ほど二番目の議員の資格のことでございますが、無投票で當選しました地方公共團體の長であるとか、議員であるとかいうものが、一年以丙で民衆から彈劾を受け得るといふことは、何だかその人らに弱點があればこそ、ほかの競爭して當選した議員よりも、身分を軽く見られるということになるはずでありますが、これがまつたく作為も何もなしに、本人は純然たる選擧をやつて堂々と勝つつもりでやつてきたのに、あまりその人が強すぎて相手がなくなつたとか、あるいは相手が死んだとかいうことで、偶然に無投票になつてしまつたという場合には、まつたく投票して議員になる人と全然内容においては、その貴さにおいても違いはないと思います。それであるのに、無理にこうしたことをするのは、それならばその人らが半分だけの資格しかない議員になるというわけで、自分たちの仲間の中から偽装の競争者をつくつて、それで選擧をやるならば、一應表面上選擧をやつたことになるのでありますが、むしろこれは選擧の民主主義に淫すると言いましようか、おもねると言いましようか、あまりにも民主主義、はやり言葉に陶酔しすぎて、むしろ滑稽な内容ができてくる。偶然に、まつたくこれは、人為を超越した結果によつて無投票になつた正しい當選者であるならば、その間に何も境をつける必要はない、かように思うのですが、その點の御見解はどうであろうか。
 それから先ほどの最後に聽きましたものですが、外國では手をあげて宣誓せしめるというようなお話でございますが、日本の現在の道徳状況におきましては、なかなかそんなにいきません。宣誓をいたした者が、どんどんと前言を覆えしていく例はいくらでもあります。こいつはだめだと思うのです。またやはり投票の二、三日前に整理をせられるこの補充者が、前の住所をすつかり申告をしろということでございますが、それでも、こいつを初めから、うそを言つてだまそうという気持でくれば、同じことだと思う。結局一番よいことは、前の住所だというその住所の戸籍抄本か何かもつてくれば、これが一番確かなんですが、二日三日前の仕事にそれはおそらくできないから、これもただ本人の申告によつて選擧權を認めるということになつていくと思いますけれども、依然として、どうもここには一番大きな選擧法の改正に伴う弱點が包藏されていると思います。この弱點があるために、この新しい修正をやめてはどうかというようなことを言う意思は私はないのでございますが、何とかしてこれはもう少しわが國の國情にも副い、このまだ混沌とした民族性にも鑑みて、一枚上から出て、ここでそうした不正届出者を鑑別して、初めからそうした陰謀の行われないようにする方法は、他に考究できないものか、いま一應御答辯を煩わしたいと思います。
#23
○林(敬)政府委員 第一の九十七條の問題でありますが、先ほど私は例をあげまして、その歳出の方だけを申したわけでありますが、これはもちろんお話のように、收入を伴わなければできないことでありまして、ほかの費用を整理いたしますとか、補助金を見こみますとか、新しい税金を話すことを考えますとか、あるいはお知りのように、繰越金という手でまいりますか、そういうことでもつて歳入の方を殖やしてバランスをあわせなければ、その修正はできないと存じます。もし萬一にも、そうしたバランスのとれない、歳出だけを殖やした豫算というものを修正したといたしますと、これは執行する能わずと認める豫算ということになりますので、これは理事者側の方で再議に付するわけであります。そうしてこれを改めてもらうということに相なると思うのであります。自治體の自主自律性に鑑みまして、そういう執行することのできない豫算を組むことは萬萬ないと存じますし、結局やれないと申し上げた方が妥當ではないかと思うのであります。それでやはり増額修正をするときは、歳入の方もやはりそれだけの増額をいたさなければならないと存じます。
 それから無投票で當選した者についての御心配でありますが、これは一應ごもつともだと思います。本來の禮儀の上、その他の見地からみれば、やはり一年間はその議員の方のお手並を拜見するといいますか、働き振りを見るといいますか、そういうことを見る期間があることがよいという所論も成り立つと存じます。しかしながら反面、いわゆる議員は選擧人から信託されて出てくるという觀念から言いますと、選挙人側の意思というものを、必ずしも明確に反映したとだけは言い得ない状態で出てくる場合も、無投票當選についてはあるわけであります。そこでやはり民主主義の徹底いたします見地から、これらの人に對してだけ、かようなやや例外のことを設けてあるわけであります。關係方面とも篤と打合わせまして、この條文を入れた次第でございます。
 それから補充名簿の不正届出の御心配でございますが、これは虚偽の申告をして、前佳所をごまかすというようなことがわかります場合は、これは詐欺投票に關する罪というのに問われるわけでありまして、かたがた先申しましたように數が少いし、相當目を届かして萬全を期するということをもつて御了承願いたいと思います
#24
○千賀委員 どうもはつきりしませんが、これは外囲においても、こういう選擧法をとつておるところでも、大きな弱點があつて悩んでおるということを伺いますと、わが國においても、このシステムをとつたからといつて、弱點をなくするということはできますまい。これでいくならば、お互いに少しでも、その弱點を弱點として、表面に出ないように努力するよりしようがないのだろうと思います。そこで第一に伺ました豫算の問題でありますが、従前はこの問題について、あまり深刻な爭いがございませんでした。これはどこまでも、政黨というものが極端に壓迫されまして、全國一政黨というような形でどこまでもいつておりましたから、比較的この點はなかつたのでありまするが、將來議會政治が確立すると同時に、政黨政治でなければこの議會運用ができないということで、この政黨はますます小になればなるほど線が太くなつてまいります。同時に、政黨がある以上は爭いもあるし、一分野が必ずしも一元的であり得ない場合が多いのであります。たとえば、市町村長が自由黨で、その議員は社會黨が大多數だというような場合には、どちらもやつぱり人間的な心理が働きますので、議會と執行機關と常に逆に出ておつて、執行機關はあれらの功名にさせたくない、また議會の方では、執行機闘の功名にさせたくないというような對立観念から、積り積つて、執行機關はできるだけ小さく議案を出していこう。また決議機關は、俺たちがやつたのだと民衆に存在を誇示せんがために、いくらでも仕事をしようとする。こうした抗爭は相當に多かろうと思います。これは私が自分の體驗でも、二十年くらい前の縣會などでは、相當こうし抗爭があつたのでありまするが、こうした場合に發案權を侵害するとかせぬかいうことが非常にあります。そこでいま一つ例を引きますと、道路の單償を上げてみた場合、これだけの土木費が要るのだ、そこで議會の方では、この財源は繰越金の中から出るのだという見解をもつてこれを主張する。執行機關は、それならと意地になつて、いや俺の健全財政ではこの繰越金は絶対に過大でないのだ、これくらいを上げなければ不健全財政になつてやつていけない、こういうことを固執します。その勝負はいつつくかというと、一年か一年半経つて、ほんとうに豫算を執行してしまつて、これの決算報告を手にしてから初めて勝負がつくわけで、初めのその豫算を審議するころには、どちらの言うことも水掛け論でわからない。こういう場合に、議會の方は執行權を侵害せずと主張し、執行機關の方は、そういう決議の仕方は俺の發案權を侵害しておるのだ、こういうことで爭いが果てないだろうと思いますが、こういう場合を想像すると、この法律案というものは、これに輪をかけるようなことになるのではないだろうか、これにいて伺います。
#25
○林(敬)政府委員 以前各府縣においては、お話のようなことが、ままあつたようにも私も聞いております。また私どもはじめて官吏になりましたころ、そういう驗體もいたしておるのでありまして、これはお話の通りであります。ただあの當時は、いわゆる原案執行いうものがございまして、片方が、繰越金はそんなにない、片方は、ある、こういうことになつてきますと、最後にそういう議決をかりにいたしますと、中央に指揮を仰いで、原案を執行することができたわけであります。しかし今日においては、原案執行權はなくなりてしまいました。結局地方の團體の長と議會との間で、自律的にこれを解決するということになつてまいるわけであります。そこでやはり、繰越金というものについて若干の開きがあるということでもつて、しかし議會が歳出の發案權を侵害しない限度でもつて増額して、それに合わせて歳入において、一應相當な見積りをするということになれば、結局理事機關はこれに従わざるを得ないのではないかと考えておる次第でございます
#26
○千賀委員 その場合、これは一體政府が仲裁をとることになつていきますか。政府は最後までこれは知らぬ顔をして、裁判の方にその關係の仲裁を任せるのですか。そこはどういうようになつていきましよう
#27
○林(敬)政府委員 新地方自治法の建前におきましては、政府はその爭いに干渉しない、その爭いは地方團體で解決をするという建前をとつ、ております。それでいわゆる團體の長の方では、あまりむちやな修正をやられました場合に、再議に付するわけです。再議に付してどうしてもきかなかつた場合は、いたし方ないということになるわけであります。そこで、しかしなお進んでいけば、それほど理事機關の方は、言いかえれば、實質的不信用という問題になるわけでありまして、それほど不信用であるならば、ひとり知事なり市町村長なりを信任するかしないかということを提案するわけであります。そこで信任するということになれば、それならばこれをもう一回再議に付したらどうか。信任しないということになるならば、そこで自分が引くか、十日以内に解散をやるとか、どちらになつても、そこで爭つて、最後は國民の投票、住民の投票で解決をつける、こういうようになる方法でくよりほかはないのであります
#28
○千賀委員 裁判の提訴は政府がやるだけであつて、自治體の中の爭いは、解散して最後の解決をつける以外に途はないということでございましようか。
#29
○林(敬)政府委員 非常にものが不幸にいきました場合は、そういうことになると思いますが、最後のところは、お互いの理解をもつて話合い、さらに大きくなればその住民の監視、良心ということで私は解決がつくだろうと思います。それが非常にこじれて、おかしなことにいきましたならば、解散ということで住民の意思を問うて、けりをつけるということになる。裁判にいきます場合に、違法を行つたかどうかということになりませんと、裁判の方の沙汰にはならないと思います
#30
○千賀委員 わかかりました。終ります。
#31
○外崎委員 これは政府委員に質問するのではありませんが、千賀議員から先ほどの質問の中に、補助名簿の問題が出ましたが、もし小會派で絶対多數を得ない場合には、こうい、りとをするといつたことがありましたが、小會派というのはどういう點を指して……。
#32
○千賀委員 小會派ではなくて、少數派ですよ。
#33
○外崎委員 小會派でも少數派でも、どういう點を指されたものであるか。第一黨に対する――社會黨に対する自由黨が少數派か、国民協同黨、あるいは農民黨、あるいは共産黨を指して少數派というのか。いずれにしても、少數派が絶対出し得ないという言葉がありました。別に言葉尻を捕えてどうと言うのではありませんけれども、私の部屋に歸つて、こういう問題が明日戸む決を採る場合には、問われたときに困るから、一應その點を御説明願いたいと思います。
#34
○千賀委員 これは私に答辞させていただきたいと思います。もちろん多數派、少數派はありますが、私の質問應答は選擧という一つの學問に対して論議をしておるのでありますから、少數派あり、多數派ありということは、選擧界の當然の姿でありますので、その姿に対しては私どもは論議をしておるからといつて、今議會の中で小會派の人がこれに文句を言つていただいてはおかどが違うと思います。どうかさようにお願いいたします。あなた方を指摘して着りたのでは断然ない少數派もあり、多數黨もあり、あるいは大政黨の場合の少數派であるかもしれないし、十も二十も政黨があつて、それの少數派かもわからないが、現在日本において対立しておる各政黨の一つ一つを指摘して言つておるのでありませんから、どうか御了承いただきたいと思います。
#35
○外崎委員 ただ選擧というのは、御承知の通りその選擧區、選擧區によつて違いまして、社會黨が落選する、自由黨か落選する、少數派が落選するというような場合があるのでありまして、そういうことを理由をとるのに事缺いて、少數派とか小會派とかいうことは、すこぶる、われわれの立場からいうならば、賛成し兼ねるのでありますが、ただいまのようなお話ならば了解いたします。
#36
○門司委員 第十八條に「特別の關係のある者」という字句が使つてありますが、今度は「天災事變等に因り」という字句になりまして、ややその點明確になつてきたのですが、この特別の場合というのはどういうことを指しておるのか、その點ひとつ御回答願いたいと思います。
#37
○鈴木説明員 第十八條の特別選擧權のことですが、これはただ特別の關係というのでは明瞭でありませんので、「天災事變等に因り他の市町村の區域内に住所を移した者その他の者で當該市町村に對し特別の關係のあるもの」、こういうふうにややわかりやすくいたしたのであります。つまり元の住所を放棄しないで、一時的の避難をした者はごの法律の厄介にならない、當然前の住所に住所をもつておるのでありますが、ところがそうでなくて、やむを得ずして隣村に移つたけれども、機會があれば歸つて参りたい、こういうものが第一に例示したものであります。それから海外から引揚げてきた者であつて、従来そこに多年住んでおつた、そういう者が引揚げてきて六箇月に達しない、一、二箇月しか経たない、こういうものもまた「特別の關係のあるもの」、こういうふうに考えております。そういう二つのものが一番主たるものであります。あとは從來長く市町村長をしておつたとか、市町村會議員をしておつたという方で、現在その村に住んではおりませんけれども、やはり村のために働いてもらいたいという人には特別に選擧權を與える。こういう實例はあまりないと思いますが、法では豫想しておるのであります。
#38
○門司委員 非常にむづかしいようですが、最近のような状態になつてまいりますと、重要な問題になつてくると思いますが、この届出には議會の議を經てと書いてありますが、議會ということになると、市町村會を開かなけれぱならぬ思いますが、その届出の期日等は明確にされていない、この點はどういうふうになつておりますか。
#39
○鈴木説明員 これは別に時期的には何ら制限がございません。從つて特定の選擧人が市町村長なり、選擧管理委員會なりに申出ましたならばそれを布町村長から議會に適當な時期に提案をいたしまして、そうしてこれに選擧權を與える、こういうことになるわけであります。従つて特定の選擧が行われますようなときには、それに間に合いますような通常な時期に、市町村長がこれをまとめてかけるという態度がなされることが望ましいわけであります。
#40
○笠原委員 百四十六條第項の新しい規定を見ますと、「都道府縣知事が前項の期限までに當該事項を行わないときは、東京高等裁判所に對し、當該事項を行うべきごとを命ずる旨の裁判を請求することができる。」とありますが、東京高等裁判所ということになりますと、北海道の果の知事とか、鹿兒島の知事というものは非常に不便だと思います。今までの裁判所の民事訴訟の原則からいうと、被告の住所地區がその管轄地區になつておるようでありますが、高等裁判所は各地にできるのでありますから、東京高等裁判所と限定しない方がよいと思いますが、こういうように定めたところの理由をお伺いしたい。
 それから裁判の請求の方式は、この原案によりますと、第七條によりまして、最高裁判所がこれをきめることになつておるようでありますが、第四項を見ますと、當事者を呼び出すということが書いてありますから、大體これは口頭辯論主義によつてやるような形が見えますが、これはどんなふうにやられるのか。
 なお訴えられましたところの知事な、いしは町村長は、辯護人を附して爭うことができるかどうか。その場合において、訴えられた知事は主務大臣の處分自體が不適當なのだというような爭いができるかどうか。命令が違法なのだ、不適當なのだと言うことができるものであるかどうか。
 それからやはりこの四項に「審理の期日は、囘項の規定による請求を受けた日から五日以内とする。」ということになつておりますが、これは第一囘の審理のことを言うのであつて、その後の審理は十五日を経過しても制限を受けないのか、十五日一囘で終らしてしまうのかどうか。
 もう一つは、大體この百四十六條において、弾劾裁判所に罷免の訴追ができるというのを改めまして、司法裁判所にしたという理由です。これなども私どもがら見ますと、大體憲法も三權分立主義をとつておつて、例外の場合は憲法に大體規定してあるのですが、特にこれだけりもりを司法裁判所に委ねるという理由は、どういうところからきておるかということをお伺いしたいと思います。
 それから七項と八項ですが、七項においては、主務大臣は確認の裁判があつても代執行ができる。八項は、内閣總理大臣は罷免できるというが、これは代執行をする人と罷免する大臣と違えたいというのでありますか、どうして總理大臣と主務大臣が罷免するようにしても差支えないのじやないかと思いますが、それを別にした理由を承りたい。
 それから第九項の問題です。九項によりますと、一遍罷免された人がまた再び生き返てくるような形ですが、罷免という意義です。罷免ということは、大鵬國の機關としての府縣知事の地位を排除するというだけであるか、あるいはまた自治體の長としての府縣知事の地位まで排除するということになるのか、その點をはつきり御答辯願いたいと思います。大體それだけのことをお伺いいたします。
#41
○林(敬)政府委員 お尋ねの第一でありますが、東京高等裁判所にいたしましたのは、この種のことの裁判の實例というものは統一をとつていかなければならないということが一つございます。それからもう一つは、主務大臣というものが原告になるわけでございまして、主務大臣の方は東京を離れる、あるいは代理者を派遣するにしても非常に困難である。日常のどうにも困る業務をやつておる場合もございますし、主務大臣を福岡の高等裁判所まで引張り出すということも、事實上非常に困難である關係もありまして、東京にしたのが第二であります。また第三には、ややこれは第二とは矛盾いたしますが、常事者を呼出すといいましても、いわゆる訴訟代理人を出してきてもよいわけでありますから、そこでもつて鹿児島の知事が訴えられましても、事實絶對に不可能なこともないのではないか。大臣を福岡までもつていくのと、鹿兒島の知事をこつちにもりてくるのと、どちらかということを彼比權衡いたしまして、これらの理由の全部を合わせまして、東京の高等裁判所で統一してやろう、こういう考えでございます。
 それから第二は、審理はいわゆる口頭辯論主義によります。そこで當事者を呼出す、それでなお氣持としては、ほとんど出てきておる間にきめてしまう、即日あるいは二、三日のうちにきめてしまう、こういう氣持をこの法文の裏にもつております。運用はそうあつて欲しいと、實は私どもは考えております。これは仕事の性質から、早くきめて、早くやることはやる、いけないことはいけない、いいことはいいときめていきたい、そういう仕事の性質があるからであります。
 それから第三には、その辯論の場合には、主務大臣の權限が無權限である、あるいは違法ということ、十分爭うことができると思います。またこれは不適當であるということも述べてよいと思いますが、これは處分が違反したかどうか、あるいは執行を怠つたかどうかということを判定するための、傍證といいますか、参考になるだけであつて、主たる根據にはならないと思いますが、もちろん主張してもかまわないと思います。
 それからその次の、十五日というのは、御質問の通り、第一囘の呼出し期日が十五日ということであります。しかし運用の氣持としては、先ほど申し上げましたように、そこでもう第一囘できめていくというような慣例に、裁判所はやつていただくことが、望ましいことではないかと考えております
 それから罷免された場合です。これは國の機關として罷免されるだけではなくて、もちろん自治體の地位までも失う、こういうことに相なるわけでございます。そして生き返つてくるということに、いわゆる知事が罷免された場合に、知事になるということではないのでありまして、再び知事に選挙せられる資格を囘復する、いわゆる資格、の囘復であつて、その地位の囘復ではないのでございます。これはやはり知事とか市町村長とかいうものが、訴訟を起關で罷免されて、れれから訴訟を起して一年後になつてまた生き返つてくる、また知事になるということでは、次に補缺で選擧した人の地位を失うことになりますので、資格は囘復する、しかしながら地位はもはや再び囘復しないのでありまして、もう一囘補缺でもあるとか総選擧でもあつて、當選しないことには囘復しない、こういうことになつております。
#42
○笠原委員 裁判の統一ということが東京高等裁判所にした理由だという話ですが、上訴の途が開かれておるようですから、上訴によつて統一するという方が正しいのじやないかと思います。常局では裁判を一囘かそこらできめてしまうようでありますども、少くとも訴訟代理人について爭う場合には、重大な裁判でありますから、相當かかると思うのであります。そういう點を考えれば、やはり一般の民事訴訟の原則に待つて、高等裁判所は管轄はよろしうございますから、地方の裁判所に対してももたすべきだという氣持をもつておりますが、御考慮願いたいと思います。
#43
○林(敬)政府委員 今のお尋の點は、東京高等裁判所の裁判があつて、その結果なおかつ行わないということになつて、かりに罷免ということになつてまいりますと、先ほど御指摘になりましたように、もうそれで斷定をしてしまうわけでございます。それで上告をしても、上訴は執行停止の效力を有しないということになるわけであります。従つてその上告審で統一しましても、意味が非常に薄くなるわけであります。どうしてもこういう場合の裁判は、原審で統一していかなければならない、かように考えるわけでございます。
#44
○坂東委員長 本日はこの程度にして、次は十八日に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○坂東委員長 それではさよう決定いたしまして、本日はこれをもつて散會いたします。
   午後零時四十七分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト