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1947/11/17 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第35号
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1947/11/17 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第35号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第35号
昭和二十二年十一月十七日(月曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 高岡 忠弘君 理事 川橋豊治郎君
   理事 酒井 俊雄君
      大石ヨシエ君    笠原 貞造君
      菊池 重作君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    松谷天光光君
      大澤嘉平治君    佐藤 通吉君
      千賀 康治君    坂口 主税君
      中垣 國男君    小暮藤三郎君
      大村 清一君    外崎千代吉君
 出席政府委員
        内務事務官   久山 秀雄君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
    ―――――――――――――
十一月十四日
 警察法案中東京都各區に公安委員會設置の條項
 挿入の請願(坂東幸太郎君紹介)(第一一〇四
 號)
 料理飲食業者の營業再開許可の請願(庄司一郎
 君外一名紹介)(第一一〇五號)
 同 細川八十八君紹介)(第一一四二號)
 足寄村及び淕別村を十勝支廳管轄に編入の請願
 (森三樹二君外四名紹介)(第一一四九號)
 料理飲食業者の營業再開許可の請願(庄司一郎
 君他一名紹介)(第一一六〇號)の審査を本委
 員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 警察法案(内閣提出)(第九〇號)
    ―――――――――――――
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
 前會に引續いて質疑を行います。坂口主税君。
#3
○坂口委員 二、三お問いいたします。第一、本法によりまして警察の事務というものが、大體警察固有の事務といわれておりますものに限定されていることは、しつかり出ているようであります。この中の公共の秩序の維持、公安の維持ということは普通使うことでございます。これを具體的にいたしますと、第二條のところに出ております運營管理の中の「公共の秩序の維持」というものと同じ意味になるのか、あるいはなおそれより廣い意味におとりになつておるのか。從來の警察において弊害があつたというふうに認められておりますことは、要するにすべてのことが公安の維持ということと、押しつめていけば關連しないものはない。從つて警察仕事がだんだんそういうふうに擴がつていくおそれがやはりあるのであります。從いましてここで、この意味をはつきりしておかれることが必要であると思うのであります。たとえば從來の特に本案と關連します營業の取締、あるいは風俗警察といわれているようなものは、この際大體において他の方へ移り、警察では與からないことになると思うのであります。これと結びつきまして公安の維持、あるいは公共の秩序の維持と關連して、御解釋を承りたいと思います。
 次には第五條の國家公安委員會の點であります。これはあとの都道府縣、市町村の委員會でも同樣でありますが、この中に強調されておりますことは、從來警察あるいは職業的公務員の經歴のある者を缺格條項にしてあるようであります。マツカーサー元帥の書簡によりましてそういう意味が現われ、希望されておるようでございますが、これは他の缺格條項であります從來ある程度以上の犯罪を犯した者や、また將來この憲法のもとにおいて、日本の國家に對する反逆というようなことの缺格條項は別といたしまして、從來いやしくも官吏であつたものの全體に對して、この公安委員會の委員たる資格がないというようなことを、恒久法であるところの警察法で排除するということは適當であるかどうか、私は大いに疑うのであります。何十萬あるいは何百萬とおりますところの從來の官職の經歴者、そういうものが平穏公然と職を行つて國家生活をしてきておるものに對しまして、恒久法でありますところの法規の中で永久にこれを排除する形において、そういう條項を入れるということは適當でない。憲法にも、すべての國民が法の前に平等である。人種が違つても、あるいはその他のいろいろな、性別はもちろんでありますが、宗教その他一切のものが無差別平等であつて、そのために社會的あるいは政治的の條件で、差別されることはないとということが明らかに宣言されておるのであります。こういうりつぱな憲法のもとにおいて、新たにつくられますこの恒久的な法律において、國民の相當の部分を占めますものに對して、こういう形においてこれを排除するということは私は適當ではないと考えます。もちろんこれはマツカーサー元帥の希望というか指示によりまして、その必要があるするならば、何か他の方法があると思う。たとえばポツダム勅令によりますところのパージの諸條項なり、あるいはまた、かりにそういうものでなくても何かのものによりまして、將來これは任命でありますから、内閣總理大臣なり都道府縣知事なり、そういう人を任命する側において、こういうものは當分任命しない、あるいは永久に任命しないという一つの基準をさえもつておりましたならば、こういう人種を脅かすというか、侮辱するかに見えます條項をここに入れるようなことなくして、マツカーサー元帥の心情なり希望に副うことができると私は考える。そういう點について御意見を承りたい。
 それから特別區というものがありまして、自治體警察として少し特別なやり方になつておるようでありますが、この點は日本の最も大きい都市に關するものでありまして、この條項によつてほぼ了承はできますけれども、しかしたとえば各區が連合して警察の責に任ずる、しかしまた他の一方においては、各區がそれぞれ普通の市と同じような立場にあるというようなこともあります。またもし公安委員會というものが、一つでこれだけをやるということであれば、他の市町村竝びに三人の定員でいいのであるかどうか、あるいは五人なりもつと數を殖やしてやる必要はないか。そういうことも考えますが、とりあえずこのこの特別區に對しまして警保局長の御説明を讀みましても、それほど詳しくありませんので、この點は特に重大と考えますから、もう少し詳しく具體的御説明をお願いしたいと思います。
 それから國家警察の運營といいますか、事務の範圍について掲げられておりますが、それ以外の鐵道とかあるいは水上、海上の警察というようなこと、殊に今後日本に軍備がなくなりますと、こういう島でありますので、日本の置かれました地理的の條件から申しますと、近い周圍にいろいろな國がありまして、從來の實情から申しますと、密渡航のごときもあり得る。密貿易もある。またそれのみならず、さらに今までの實情から考えますならば、海賊というようなもののおそれもあります。またある場合には、特に對岸から日本に暴力をもつてはいつてくるというようなおそれもある。これもある程度までは、やはり日本の警察において防禦しなくてはならぬ。そういう點に對するところの考慮は、もちろん國家警察なり自治體警察なり、國家非常事態として全般を動かしてやられると思うのでありますが、そういう點を御考慮の上の十二萬五千であろうと考えますが、そういう點についての御見解、特に平時の水上警察というものはどういうかつこうになるのでありますか。多くの港灣は自治體で經營しておりまして、その中に包含されておりますが、そういうのも自治體警察でおやりになるのであるか。公安、水上警察、そういうものについてお伺いしておきたい。
 最後に警察管區の問題でありますが、別表によりまして管區の名稱、區域というようなものが示されております。多くは妥當であると思いますが、九州管區につきましては福岡になつておるようでありますが、私はこれははやり交通を考えた上の地理的の中心が最も望ましい、こういうふうに考えます。他の方で見てみますと、大體交通がそこから出ておりまして、必ずしも嚴密な地理的の中心地ではありませんけれども、交通的にも中心にはつておるようでありますが、九州だけは福岡よりも熊本がやはり交通地位の上において中心である。これはやはり先の長いことを考えて、私はおきめになつておく方がよろしいと思います。いろいろな施設もだんだんしていかなければならぬ。ただ現在のちよつとした便宜のためになるということは、よほどお考えにならなくちやならぬ。どういう理由で福岡におきめになつて、熊本ではないのか。この點についてお尋ねしたいと思います。
#4
○久山政府委員 まず最初に警察法第一條にうたつてあります公安、維持、それから第二條の第二項第一號に書いてあります公共の秩序の維持というような點に關しまして、お答えを申し上げます。法律的に解釋いたしますと、第一條にあります公安の維持というのは、第二條第二項の各號に掲げてありますことの中で、生命、身體及び財産の保護、犯罪の捜査、被疑者の逮捕、及び公安の維持ということでありまして、犯罪の豫防及び鎮壓、それから交通の取締とか、令状の執行とか、要するに第二條第二項各號に書いてありますことで、第一條に大きく生命身體財産の保護と犯罪の捜査と、被疑者の逮捕及び公安の維持、こう書いたのであります。その公安の維持は具體的には、第二條の第二項の各號の中に現わしてまいります事柄を包括いたしまして公安の維持と、こう書いたのであります。從いまして第二條におきます公共の秩序の維持ということが、公安の維持よりはさらに狹くなつて、結局二號、三號、四號、五號、六號というふうに警察の新しい任務として明瞭なものを書き上げました以外におきまして、どうしても個人的な權利の侵害以外の、社會全般の秩序の侵害に對する秩序の維持というものが警察の職責として殘るのでありまして、從來公共の秩序の維持という名におきまして、いやしくも公共の秩序の維持に關係がありますれば、便宜上いろいろなことを警察の職責にこれを附加いたしまして、本年の警察、つまり純粹に公共の秩序の維持ということを逸脱いたしまして、警察やつた方が全體の效果を上げる上に適當である、より效果が多いというようなことを、相當廣く警察の任務として課しておつたのであります。それが今後新しい警察の出發を機會といたしまして、もつとも從來、終戰以後、殊にこういつたような方面の事務は大體他に委讓いたしたしているのでありまして、現在警察が現實に職責としてやつております事柄の中で、新しくここで警察の任務からはずすというふうに考えておりますことは、もちろんこれも公共の秩序の維持というのには關連があるのでありますけれども、たとえば經濟統制法令の執行というような事柄は、本來の嚴格な意味におきまする警察の任務としては、必ずしも適當ではないというようなことから、そういうものはこの際警察の任務からは、はずすというふうに考えているのであります。しかし公共の秩序の維持ということの結果として、どうしても警察がやらなければならぬ事柄というものは、はやりいろいろ殘るのでありまして、これは具體的には法律をもちまして警察の任務として新しくこれを規定していく。從いましてただいまお話がありましたような、風俗の破壊に對しまする公安の維持というようなことは、やはりこれはどうしえも警察の職責として殘るのでありまして、公共の秩序の維持の中におきましては、やはり風俗の破壊に對しまする秩序の維持というものは、その大きな一つとして殘るというように考えているのであります。
 それから公安委員の資格、條件といたしまして、かつて職業的に官公吏と申しますか、公務員であつた者を除外いたしているのでありまして、これはただいま坂口さんからお話がありましたように、かような者がことごとく公安委員として不適當であるということは、おそらく言い得ないのではないかと思いますけれども、この新しい民主的な制度の建前からいたしまして、全然官公廳に職を奉じなかつた、いわば全然役所に關係のなかつた新しい人、少くとも警察ということに關連いたしまして、全然役所の經歴をもたないほんとうの民間の人材をもちまして、新しいこの制度の運用にあたります中樞の公安委員になつていただくということが、やはりこの制度を施行いたしました一つのねらいでありまして、もちろんそのもとに具體的に事務を執行いたしますものは、そういつた職業として公務員の經歴をもち、あるいは將來もそういう希望をもつ人がなるのでありますけれども、その最高の管理者である公安委員は、全然從來のような役所の組織なり、考え方、運營、殊に警察等につきましては、全然染みておらない人をもつて、はじめてこの制度の精神を活かしていくことができるというふうに考えまして、ここに法律にそういうふうに書いたのであります。從いまして官公吏というものは事務部局において働く、そして全然經歴をもたない、いわば素人である民間の人がその運營の管理に當る。そういうふうに一つの警察運營の組織の中での責任を、分擔すると申しますか、違つた要素をもつた人の結合によつて、眞に民主的な警察の運營が完全にできるように、こういう建前でかような立案になつたのであります。
 それから特別區の問題につきましては、もともとこれは現在は東京都だけしかないのでありますけれども、東京の例で申しますれば、二十三の特別區があるのでありますけれども、それがいわば一つの自治體、市としての作用ももちろんもつておるのでありますけれども、何と申しましても、二十三區の連合いたしました全體の區域が、自治的な生活におきましては一つの自治體的な働きをもつておるのでありまして、その吏員などもこれは都の吏員でありまするし、また選擧權、被選擧權などにつきましても、各區ごとの制限はないのでありまして、やはり二十三區を包括する區域をもつて、一つの資格要件の區域といたしておるようなわけでありまするし、水道であるとか、ガスであるとか、電氣とか、そういつたようないろいろのものにつきましても、二十三區が連合して、それが一體となつて運營されるというところに、普通の都市と違つた性質があるというふうに考えるのでありまして、それが現實には都というものの中に一體として包含されておるわけでありまするので、特別區が連合いたしまして都知事の所轄のもとに一つの委員會をもつて、二十三區にわたる區域の警察の運營に當るということが最も實質に即し、また警察の性格から申しまして、一番適當ではないかと考えまして、ここに特別區に關する特例といたしまして、そういう趣旨の規定を置いた次第なのであります。
 それから海上の警察につきましては、海上保安廳と申しますか、沿岸警備の特別の組織が、運輸省所轄の系統におきまして設置されることになつておるのでありまして、その海上保安廳という役所が、海上におきまする現在の警察の事柄を掌ることになるのであります。從いまして密輸入とか密入國とか、あるいは海賊とかいうものに對します海上の警察力といたしましては、海上保安廳に所属いたしますものが、これに當るのを第一義の建前といたしおるのであります。ただ港の内におきまするいわゆる從來の水上警察というような仕事は、やはりその港の水域を所轄いたしております自治體が、自己の警察として港灣における水上の警察事務を掌ることになるのであります。もちろん港灣に限りませんで、それぞれ自治體がその沿岸の水域におきましては、それぞれの自治體あるいは國家警察、それぞれその所管に從いまして、水上におきましても警察力をもつのでありますが、殊に港灣におきましては、相當そういつた事務がたくさんあるのでありまして、これは普通自治體である市が、その地域として關係するところが多いのでありまして、大體港灣におきまする水上警察は、その港灣を所轄しておりまする自治體が、その警察をもつという建前に相なるのであります。
 それから六つの管區についてお話がございましたが、これはいろいろの條件を勘案いたしまして、別表に書いてありますようなわけ方と、その本部の所在地を指定いたしたのでありまして、お話のように九州におきましては、もちろん管區本部というものがその管區にあります各府縣の公安委員會と密接な連絡をとり、各府縣のおきまする國家警察の運營の調整均一化をはかりまする關係上、あらゆる點で中心である便宜のいい場所を選ぶべきでありまして、それにはもちろん交通ということも需要な要素の一つでありますが、同時に通信の施設というものも、一つの重要な要點として考えたのであります。さらに現在現實にいろいろの社會關係、政治關係、行政等の措置におきまして中心になつておるような關係、さらに檢察廳の方の關係、向うの軍政の方の統括しておりますような關係、そういつたいろいろの點を總合的に判定いたしまして、別表に掲げておりますように、九州におきましては福岡が、やはり管區本部の所在地としては最も適當である、こういう結論を得たのであります。大體そういう次第でありまして、殊に通信の關係等は非常に重く考えたのでありまして、そういう他の條件におきまして、多少あるいは別の土地がある點において適當であるということがありましても、一應現在施設いたしております有線、無線の施設というものが當分日本の現状なり、資材の關係からいたしまして、これを他に轉ずるということがほとんど實行不能であるというような觀點から、通信施設というものの中心地というものにつきましては、相當重く考慮をいたしたのでありまして、そういう觀點から九州においては、どうしても福岡が官公署の所在地として最も適當だ、こういうふうに判定をいたした次第であります。
#5
○坂口委員 ほかにまだ質疑の通告がたくさんあるようですから、私の質疑は留保いたしておきます。
#6
○坂東委員長 松谷天光光君。
#7
○松谷委員 まず第一にお伺いいたしたいのは、これは先ほどの質問にも出ておつたようでありますが、第一條の公安の維持に當るというこの内容についてであります。ただいまの御答辯によりますと、大體これは第二條の第二項の數項目に當る内容であるというようなお話でありましたが、この中にいわゆる經濟警察も含まれておるのであるが、あるいは經濟警察はこれには含まないのであるかという點についてお伺いしたいと思います。
#8
○久山政府委員 文字の解釋からいたしますと、いやしくも公安の維持、公共の秩序の維持ということが警察の職務でありまする以上は、統制經濟が施行いたされておる今日、その違反の犯罪を取締り、違反者を檢擧することが、警察の職務であることは疑いがないのであります。ただ問題は、統制經濟の法令の違反者の取締を、警察にやらせることが適當かどうかということできまつてくるのでありまして、法律によつてそういうものを警察にやらせないで、別個の組織をつくつてやらせる方が、非常に效果的に統制經濟の目的が達せられるということになれば、警察の職務から離れてくるであろうと思うのでありまして、現在私どもはそういうふうに考えており、またそういうことで政府におきまして、法案の準備を進めておるような次第でありまして、ここにありまする公安の維持ということからだけでは、はいるとかはいらないとかいうことは、ただちに出て來ないのでありまして、それがやはり公共の秩序の維持であり、そういうことを警察にやらせるということが適當であるという法律をつくられれば、それは當然警察の義務としてやることになる、かようになると思います。
#9
○松谷委員 ただいまの御説明で、ちよつと私の聽き方が悪かつたかもしりませんが、納得し得ない點があります。それは別に法律をこしらえて、いわゆる經濟警察をもこの中に含めるというお話なんでしようか。それとも全然別個に、經濟警察なるものの組織をなさるという行き方をおとりになるのでしようか。その點をお伺いいたします。
#10
○久山政府委員 新しい法律によりまして、警察からははずした行き方でいきたいと考えております。
#11
○松谷委員 大體それはいつごろ成立させる御豫定でありましようか。この經濟警察に關する面は、今日の新しい警察に發足いたします場合において、公共の維持にあたつて相當大きな部面を私はもつものであると考えておりますが、そういうことは早急にやつていただきたい。この法律とともに出していただきたいと考えるのでありますが、大體時期がわかりますれば、お伺いしたいと思います。
#12
○久山政府委員 それは經濟安定本部の方が中心になりまして、目下法案の準備を進めておりますから、おそらくこの議會に早急に提出されることと考えております。
#13
○松谷委員 次は第四條に掲げられております國家公安委員會の掌るところの事務についてでありますが、國家公安委員會は行政管理にはあたらないものでございましようか。第四條の内容で拜見いたしますと、いわゆる運營管理にのみあたるように解釋されるのでありますが、この點はいかがですか。
#14
○久山政府委員 つまり運營管理はやらないのでございます。國家公安委員會は行政管理をやるのでありまして、從つて直接執行と申しますか、第二條第二號に書いてありますように、直接執行にあたりますことはやらないのでありまして、人事と豫算と組織と申しますか、そういうことをやるのでありまして、警察通信とか、犯罪鑑識施設、教養施設、そういうようなこと、つまり行政管理、直接警察の執行ではない、しかもそれが全體的に統一されてどこかで維持されておらなければ困るという、そういう組織的な警察の基礎をなしまする通信と犯罪鑑識施設と教養施設、これを公安委員會が管理をいたし、さらに現實の犯罪鑑識、犯罪統計、これもやはりどこかが統一して扱わないと効果がないというものであつて、さらに非常事態の勃發の際には行政、運營、兩方をやるのでありますから、それは別でありますが、大體これは行政管理という概念の中にはいる事柄だと考えておるのであります。
#15
○松谷委員 次に第十二條に、その他にも出ておつたと思いますが、ちよつと今條章を思い出しませんが、この中にあります「一定の事由により罷免する。」いわゆる長官の任命に公安委員會があたり、その罷免にあたつては一定の事由によるというだけの漠とした條文になつておりますが、この一定の事由によるというのを、もう少し私は内容的に説明しておきませんと、いわゆる國家公安委員會の決定によつてなされると思いますが、これが今日問題になつておりますように、罷免というものを政争の具に供されてはならぬと考えます。こうした漠とした一定の事由によるというだけでは、そういうおそれが多分にあるのではないかと憂うるものであります。この一定の事由によるというその内容を、どういうところにお置きになりますか。
#16
○久山政府委員 それは公務員法の七十六條、七十八條に、公務員を罷免する事由というものが書いてあるのであります。一定の事由というのは公務員法に書いてある規定に基いているわけでございます。
#17
○松谷委員 それではこの問題は後に讓り、次に三十五條で、現在警察官吏が取得しております官位というものは、この新しい警察法においてもそのまま認めるのでございましようか。
#18
○久山政府委員 國家警察の職員でありますが、大體現在おります人の中から、おそらく警察署長が選ばれ、また警視、警部以下の者が選ばれる。將來新しくいろいろ採用をいたし、あるいは運用の上でどうなつていくかは別問題でありますが、現在の人がそのままの階級により新しい國家警察の職員になることだろうと思つております。
#19
○松谷委員 次は第四十條に關することですが、「市及び人口五千以上の市街的町村は、その區域内において警察を維持し」とありますが、東京都の二十三區は人口が大體十萬から三十萬餘を擁しております。これを特別區という理由によつて、特別連合して東京都にその責任を與えるという點について、先ほどからたびたび御質問があつたようでありますが、人口の割合から申しましても、また警察權を地方分權的に確立するという點から申しましても、東京都二十三區に對する扱いは、その區の實態を御調査の上で、もう少し愼重になされてしかるべきだと考えてるのでありますが、當局は二十三區に、國民みずからによる公安委員會の設立の御意思は全然ないものでしようか。この點について伺いたいと思います。
#20
○久山政府委員 先ほども御説明いたしたのでありますが、なるほど人口五千以上ということから見ますと、相當多いのであります。これは獨立した一つの町村でありますが、現在は東京都しかありません。特別區は警察を設置いたします觀點から見ました場合に、その特別區にある區域全體が自治體的に一體をなしているという觀點から、警察は區の存しております區域全體に一つの組織があることが最も實態に合つておるのであります。特別區においては先ほども申しましたように、都市計畫とか、あるいは道路とか、水道とか、そういつたようなものにつきまして、區ごとの特別區は存在しておりませんし、また都の吏員が特別區に配屬されて仕事をするのでありますし、議員の選擧の條件においても、區ごとの住所の區畫というものもないのでありまして、これが一體として一つの共同生活體をなしているという面が相當強く殘つておるのであります。警察をつくる場合に各區ごとにつくることは、かえつて事態に即しないのでありまして、東京都においては二十三區が連合して、一つの公安委員のもとに一つの警察をもつということが最も實體に適している。かように考えているのであります。
#21
○松谷委員 憲法の條章によつても、地方公共團體は財産を管理して事務の處理及び行政を執行する機能を有するという規定がなされておるのでありますが、こういう點から考えても、ただいまの御説明だけでは、新憲法の精神やその意圖と相容れない點も出てくるのではないかと考えるのでありますが、東京都における特別區單位の公安委員會設置の點について、いま一應御考慮をいただきたいものだと考えます。
 なお都道府縣の公安委員會の構成人員が三人であると第二十一條に出ておりますが、この組織については、委員が三人というのは少いのではないか。いわゆるボス的な傾向に流れるおそれなしとは考えられないのでありまして、この人數を増加なさる御意思はないのでありましようか。殊に三人とおきめになられた理由を伺いたいと思います。
#22
○久山政府委員 委員の數を何名にするかということにつきまして、必ず何名でなくてはならないという理由は特別あるわけではないのであります。ただ自治體警察の委員は、直接運營執行というものを管理いたす責任をもつておりますので、あまり數が多いというのでは、かえつてその委員會の性質に適さないのではないか。やはり常識的に考えまして三人という程度が、最も警察の管理にあたりまする委員會としては、適切なのではないか。それは地域が廣いとか、人口が多いとか、從つて警察官の所屬いたしております數が多いとかいうことに関係なく、公安委員は三名というのが、どうも社會の常識と申しまするか、警察の運營の性質から申しまして、適當なのではないか。從いまして非常に大きな特別區が連合してもちますような場合におきましても、やはり公安委員は三名が一番適當であると考えております。
#23
○松谷委員 この公安委員會の三人という點は、前に内務省解體後における組織の審議の場合であつたか何かと記憶いたしますが、やはり三人では少いという委員の御意見もあつたように記憶いたしておりますので、委員長より全委員にお諮りいただきまして、再考慮をしていただきたいと希望するものであります。私の質問はこれで終わります。
#24
○坂東委員長 次は佐藤通吉君。
#25
○佐藤(通)委員 私はまず最初に、率直に政府委員の方にお尋ねをいたしておきたいことがあるのであります。というのは、この前のこの委員會に付託されました例の交通取締法案の審議のときであつたのでありますが、私どもは取締りの一元化その他の立場から、また取締り法規の國際化と申しますか、そういう見地から、少くとも私の意見としては、大幅の修正案をもつておつたのであります。ところがいろいろな點から、そういうようなわれわれの考えが、法案の中に入れられないような空氣が濃厚であることを私は看取いたしましたがために、遂にその案を發表することなく引込めたのであります。それでこの警察法も、いわばこれは畫期的な改正であり、敗戦日本の警察の現在及び將來のあり方を示す新しい意味の立法であります。そこで私も過去には警察に若干經驗をもつておりますが、過去の警察の經驗を活かす意味において、今後の日本の警察をこういうふうな行き方にしてしていきたいというような考えをもつておりますが、こういような自分の意見が、法案の中に織込まれる可能性があるかどうかという問題。これはいろいろな筋の關係もありましようが、もし可能であるとするならば、いろいろこの法案に對して修正の意見もあるだろうと思いますが、その修正意見を取りまとめてでもこの警察法案に對して、はつきりした意見の開陳をしてみたいと思うのでありますが、この點を最初にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
#26
○久山政府委員 この法律を制定いたしました趣旨といたしまして、提案の際に内務大臣から説明がありましたように、民主的な警察をつくつて、地方分權を強化するというこの建前はもうわれわれ日本國民として、今日とらざるを得ない立場であり、またそれが日本を眞に民主化するために、絶對的に必要なことでありまするので、そういう觀點からの問題は別といたしまして、それ以外にこの個々の内容につきましては、もちろんこの委員會等で委員のお考えによりまして、適當に意見を出され、あるいは修正的な意見をお出しになることは、私どもといたしましては、それは當然のことでありまして、そういうことがどうこうということは、何とも申し上げられないのであります。
#27
○佐藤(通)委員 ただいまの局長のお話を聽きまして、私も大體その眞意を了承することができたのでありますから、それでは私の意見として、次に二、三申し上げてみたいと思うのであります。
 まず第一に、法案の第一條でありまするが、「警察は、國民の生命、身體及び財産の保護に任じ」、こういうふうなことが書いてまります。法律が保護するべき法域というものは、生命、身體、自由、財産、名譽というようなふうに、幾多の法律に列擧してありますが、何がゆえにここに生命、身體、財産だけを、警察がこれを取締る一つの法域の對象にしたかという問題、私どもは、刑法を見ましても、その他の法規を見ましても、常に法律の保護すべきいわゆる法域というものは、生命、身體、自由、財産、名譽というふうに規定してあるように記憶しております。これを何がゆえにこの第一條の警察は生命、身體、財産、これだけを護らねばならないか、これが第一點であります。
 それから公安委員會の委員の選任について、非常に制限がされておるようでありまするが、選考上の條件といたしまして、前に公職についていたような者は、絶對に公安委員になることができないというような規定が、隨所に見られるのであります。これはどういう御趣旨から、こういう立法がなされたのであるが、こういう案ができたのであるか。この點も伺つておきたいと思います。
 それから國家の非常事態の場合に、國家地方警察權の發動する場合が當然豫想されるのであります。そうした場合に公安委員會からの勸告がなければ、いわゆる主務大臣は、その衝にあたる人たちは、國家非常事態に對する警察權の發動ということはできないことになつておるようでありますが、もし寸刻を争うような緊急事態が發生した場合に、この條文の命ずるままに動くならば、緊急の處置に萬全を期することができるかどうか。私は危惧なしとせざるを得ないのであります。
 それからこの案全體を眺めますると、現在の日本警察の組織というものは、これは御承知の通り、いわゆる國家警察の組織で強化されて今日まで來つておるのであります。ところが將來この案が實施されました暁には、國家地方警察のほかに自治體警察というものができます。もちろん組織としてはこれはいいでありましようが、こういう組織をつくることによつて、警察權力の分散化になり、犯罪その他行政取締りの上に、幾多支障を來すおそれがありはしないかという問題。これは實例を引いて意見を申し上げてもよろしゆうございますが、その必要はもうないと思います。
 も一つは、この案を通して、法律になつた場合には、自治體警察などが生れるのでありますから、あるいは他地方において勤務をしておる人たちが、その土地々々に歸るというような氣持をもつ者も、たくさんあるのじやないかろうかと思う。そういう場合を顧慮して、いわば今のうちに人事交流についての案が政府の方であるかどうかという問題。また案だけではなく、實施されておるかどうかという問題。以上の點についてお答えを願いたいと思います。
#28
○久山政府委員 第一條に「生命、身體及び財産」、この三つだけを掲げておるのでありますが、第二條の二項の二號にまいりますと「生命及び財産の保護」、こうあるのでありまして、通常簡單に表現いたします場合には生命及び財産ということをもちまして、名譽、身體、自由、權利その他、人に附隨いたします一切の、そういうものの保護に任ずるということの内容を現わすために、生命、身體及び財産というこの三つの言葉でそういうことを現わしておるのでありまして、詳細に書きますれば、ただいまお話のようにここにいろいろのことを書くのでありますけれども、簡單にこれだけのものをもちまして憲法で保護されておりまする、また社會生活上保護をしなければなりません人の生活に所屬いたしまするといろいろの自由とか權利とかいうものを、すべてこれで表現したつもりであるのであります。
 それから公安委員の資格につきまして、相當嚴格に職業的公務員というものを排除いたしておるのでありますが、これは先ほども御説明いたしたのでありますが、この新しい制度、新しい法案の根本觀念がいわば畫期的と申しますか、そういう經歴を全然もたない人のもとに、新しい警察を運營していくという建前をとつたために、こういう職業的公務員と、官公廳にかつて職を奉じた人は公安委員の資格がないというふうな法律になつておるのであります。ただこの職業的公務員の内容につきましては、實はなおいろいろ問題があるのでありまして、これはできますれば、ここ數日のうちに解釋を決定いたしまして、場合によりますれば、こういう法文でそういう解釋がとれますかどうですか、その點につきましては、さらに後刻詳細に御説明を申し上げる機會があろうと思うのであります。
 それから非常の場合に、公安委員會の勸告に基いて、内閣總理大臣が非常事態の宣告をするということにつきまして、そういう勸告を待たずして直接やつた方がいい場合があるのではないかというお話でありますが、しかし公安委員會は警察の運營を掌りまする責任者であり、またその事務局としていろいろの警察の機關組織があるのでありますから、まず非常事態を宣告する必要のあるような事態の發生につきましては、公安委員會が最も迅速に、明確に、その事態を認識することが最初であるわけでありますので、それの勸告によつて總理大臣が非常事態を宣告するということが順序になちうかと思うのでありまして、全然平素そういう事務に關係のない人の勸告によつてやるということでありますれば、御心配のようなことがあるわけでありますが、勸告する人が第一次的に警察の責任者でありますので、やはりその勸告によりまして總理大臣が非常事態の宣告をしろということにしておきまして、御心配のようなことはないと考えてるのであります。
 それから警察が分散獨立いたしますることと、總合的な犯罪檢擧の問題につきましては、これはお話のように、いわばこういう制度の一つの缺陥と申しますか、一體化された警察から比較いたしますると、確かに一體的な働きをする上には、少くとも一つのいい條件にはならない建前であることは、これは申し上げるまでもないことであろうと思うのであります。しかしそういうことはお互いの協力連絡によつて、その缺陥を補うということによりまして、やはりこの民主的な制度を、われわれはとるということでいくよりしかたのない問題であろうと思うのでありまして、密なる協力連絡によりまする犯罪檢擧の總合的機能の運營ということが、今後こういう獨立した警察相互の間に課せられた一つの大きな問題であろうと考えるのであります。
 それから、この過渡的な警察官の勤務配置につきましては、本人の希望によりまして、出身地なりそういつたところへ歸つて勤務をいたしたいということは、できるだけ取計らいたいと考えておるのでありまして、目下各府縣におきまして、それぞれそういう問題を中心に、いろいろ案を考慮いたしておるのでありますけれども、この小さな自治體にはなかなか希望者がないのでありまして、むしろみんなが心配いたしておりますことは、そういう數名の警察をもちまする自治體の警察官になることは好まない、なり手がないということが、一番心配なのでありまして、これは何とかその自治體自體が新しいみずからの手によりまして警察官をつくり上げまするまで、少くとも半ば強制的にその自治體の警察官として勤務せしめ、その代り何かそういうある一定の時期には、また本人の希望によつて他への交流を認めるとかいう處置をとりませんと、どうも數名の警察官をもちまする自治體には、希望者がないということを心配いたしているのでありますが、全體の配置の建前といたしましては、できるだけこの際本人の任地の希望などは聽いて配置の轉換をやりたい、かように考えてあります。
#29
○佐藤(通)委員 この警察法の中に盛られておりまする大網は、主として行政警察の面が中心であるようでありますが、司法警察の點について、今どの程度關係筋との間に連絡が進められておるか、その點を伺いたいと思います。
#30
○久山政府委員 ちよつと今の御質問がよく了解しかねたのでありますが、新しい警察の職責といたしまして、從來司法警察といわれておりましたことが、本來の警察の職責として新しい法律に規定をされておるのでありまして、犯罪の捜査及び被疑者の逮捕ということがあるのでありまして、その點について、これ以外に特別の法律的な措置は別に考えておりません。
#31
○佐藤(通)委員 私がお尋ねしたいのは、自治體警察の警察署長などが、管内における捜査をする場合に、從來の例から申しまするならば、やはり檢察廳の指揮を受けて犯罪の捜査、處置、結末をつけておつたのであります。ところが今度新しいところの警察法によつて自治體警察というものが生れたときに、やはりそういうような形で、自治體警察の署長は司法警察の點について仕事をやつていくのかどうか。あるいは事件の處置一切のことに關して、時分の主觀によつてすべてのことを判斷して結末をつけていくようになるのかどうか、その點が司法省との間にどの程度連絡があり、了解がついておるかという問題であります。
#32
○久山政府委員 刑事訴訟法の方の問題に、この法律としては、その關係を讓つておるのでありますが、その方の關係におきまして、やはり個々の事件につきましては、檢事が犯罪の捜査につきまして、命令ができるというふうなことになるのであります。警察それ自體が固有の職責、權利といたしまして捜査權をもつのでありますが、個々の犯罪の捜査につきまして、やはり檢事が警察官に對しまして、指揮命令の權限をもつというふうに、刑事訴訟法の方で規定せられますので、その點は大體現在の司法警察の運營と大差はない、かように考えております。
#33
○坂東委員長 外崎委員。
#34
○外崎委員 二重になるかもしれませんが、お伺いしたいと思います。第三章の自治體警察の中に、第四十一條「市町村警察は、第二條第二項に掲げた事項に關するすべての職務を行う。」こうなつております。それで第二條第二項は「一、公共の秩序の維持、二、生命及び財産の保護」これだけになつております。そうすると第二條の公共の秩序の維持、生命及び財産の保護、あとの方の三、四、五、六というのはどういうふうに考えるのですか。
#35
○久山政府委員 それは全部をやるのでございます。二項の中で、一、二、三、四、五、六と、こうあるのでありまして、二項に掲げた事項に關するすべての職務でありますので、それは一から六まで全部やるという意味であります。
#36
○外崎委員 第四十九條に「警察署長は、上司の指揮監督を受けて、管轄區域内における警察事務を執行し」とありますが、この地方警察、自治體警察の上司とは一體どれを指しておるのでありますか、御説明を願いたい。
#37
○久山政府委員 自治體におきまする警察署長の上司ということになりますと、警察長――警察長というのは第四十七條、四十八條にありますが、その市町村警察長というのがまずその上司になるわけでありまして、しかもその自治體におきましては、運營、行政、兩方の管理を市町村の公安委員會がこれをやりますので、結局上司の指揮監督とくことになりますと、警察長及び根本の運營方針等につきましては市町村公安委員會、この二つになろうかと思います。
#38
○外崎委員 警察署長とありますが、警察署長以外に長をつくるのですか。
#39
○久山政府委員 警察長というのは必ず二人はなくてはならぬのでありますが、警察署が小さいところでは、それとは別に置く必要はないので、あるいは警察長が同時に署長をかねるというような場合が多いだろうと思います。
#40
○外崎委員 第四十七條には、「市町村警察長は、條例に從い」というのと、第四十九條の「警察署長」というのとは、そうすると、各市町村に警察長というものを一つずつ置くわけですか。
#41
○久山政府委員 一つは少くともないと、それが警察を執行する上に……。
#42
○外崎委員 警察長というものは縣に置くものですか、警察官理の市町村に一つ置くものですか。
#43
○久山政府委員 市町村に一つ置かなければならぬ。警察署長も警察長も一つはある。それは同じ人がかねる場合が多いだろうと思います。小さいところは、警察長が同時に警察署長をかねていいと思います。
#44
○外崎委員 そうすると、その場合の上司の指揮とは何ですか。
#45
○久山政府委員 その場合は公安委員會であります。
#46
○外崎委員 第五十五條の「都道府縣國家地方警察の警察官は、市町村公安委員會からの援助の要求があつた場合は當該市町村の區域において、援助の要求をした市町村公安委員會の運營管理の下に、その職權を行うことができる。」そうすると、市町村公安委員會から援助の要求がある。警察から援助を求めるのでなくて、警察が犯人を追いかけていく、そうして歸つてきてからこの委員會を開く。こういうことになりますか。
#47
○久山政府委員 警察からというのは、つまり公安委員が警察の一番の首腦者でありますので、その責任のある人から援助の要求があつた場合に初めて出ていく。そうして責任をはつきりいたしませんと、ただ巡査が、ちよつとやつてくれというようなことではないのでありまして、やはりその市町村の責任をもつている公安委員から要求があつた場合に出張していく。こういうことであります。
#48
○外崎委員 そうすると、その委員會は常時委員が三人とも警察へ詰めて事務をとつておるのか。それともとつていない場合に緊急の事件があつた場合、たとえば犯人が逃げて隣の區域へはいつたというような場合に、あらためて三人の委員を集めて、その委員會から隣の委員會にいくということになるのですか。
#49
○久山政府委員 犯人を追跡して行つたとか何とかいうことは、これとはまた別なのでありまして、それは相互に協力し合うのでありまして、これは國家地方警察へ要求をして、自治體の方へ警察官に來てもらつて、そこである警察の仕事をやつてもらう。こういう場合の規定なのでありまして、今のように追いかけて行つてどうのこうのというのは、これは警察同士の連絡でとつていくわけであります。
#50
○外崎委員 そうすると、援助を受けるという場合はどういう場合ですか。要するに集團強盗がはいつて、自分の區域から逃がした、その場合に、公安委員會が頼まれれば援助するとかしないとか、そこはどうですか。
#51
○久山政府委員 もちろんそういう場合にも、公安委員會というのがその警察の一番の責任者なのでありまして、これがいつも警察のいろいろの問題を知らないというふうな委員であつては困るのでありまして、それの要求が一番責任があつてよいのでありますが、ここで規定しておりますのは、そういう突發の場合よりも、たとえば事前に大きな集會があるとか、そういう特別に手入をしなければならない。ある催しがあるとか、ある施設があるとかいうふうな場合に、自分の自治體の警察だけでは足りない、從つてあらかじめ請求をいたしまして、國家警察の方から三十人なら三十人、何日にひとつ應援に來てもらいたい、こういうような場合を大體考えるのでありまして、突發的なお互いの事故の場合の連絡というのは、それぞれがほんとうに協力し合つてやるということでありまして、ここに書いてありますのは、そういうときももちろんはいるわけでありますが、應援のために援助を求める、しかも自分の方へ來てもらつて、そこで働いてもらうという場合でありまして、これは公安委員が前から正式に要求をするということが一番よい、こういう建前であります。
#52
○外崎委員 公安委員は、三人とも常時詰めるのですか、詰めないのですか。
#53
○久山政府委員 その公安委員會の勤務の状況につきましては、これは實は法案の上では、それほど明瞭に現われておらぬのでありますが、中央の公安委員會は完全に常勤制で、絶えずそれだけを仕事にして常時詰めていただく。しかし地方の公安委員は、必ずしも三人が三人常時二十四時間、つまり普通の勤務と同じように詰めておらなければならぬことはないのではないかと考えておるのであります。またりつぱな人を得る建前から申しましても、完全に一切の他の職業を全部禁止いたしまして、公安委員だけを、しかも常時詰めておるというふうなことにいたしますことが、はたして適當かどうかということで、國家公務員法の規定に準じまして、それぞれ實際の條例でそういう規定をつくるのであります。もつとも國家公務員法にいたしましても、所屬長の許可を得れば、いろいろ他の兼業のようなこともできるのでありますが、自治體の公安委員につきましては、三人が三人とも、常時普通の公務員として完全に詰めておる必要はないのではないか。あるいはその三人の間で、どういうふうに運營するかということはきめていただくことになりましようし、またそれが他の職業と兼勤いたします状況につきましても、所屬長の許可を得ればよいのありますが、それは場合によりましては、適當にそういうことがあつてもよいのだというふうに、法律の修正をしてもよいくらいに、實は私どもも考えておるのでありまして、そこは自治體の實情に應じまして、この規定のもとで的切な人が得られるように、またその勤務の状況については、自治體の實情によつて委員會自體できめていただく。しかしこれは警察の最高の責任者でありますから、何か突發事件がありました場合には、すぐ出勤していただくということは、もちろんしなければならぬ義務がありますけれども、必ず公務員と同じように、三人が三人とも全部、時間通り勤務しなければならぬという必要はないのではないかと考えております。
#54
○外崎委員 市町村の事情を見て方法をとろうというだけしか考えていないのですな。市町村長はこの三人のほかに加わつてやるのですか。
#55
○久山政府委員 市町村長は三人を任命するだけでありまして、直接の責任はないのであります。直接は委員が責任をもつわけであります。しかしそういう人を任命したのは市町長でありますので、そういう人が、適切に委員としての職務を運營しておるかどうかということは、絶えず知つておらなければ、その人を任命した責任及びいろいろの規則條例等をつくります責任、つまり處罰する責任がありますので、そういう意味ではもちろん市町村長が責任がありますけれども、運營それ自體については公安委員が責任者になる。一々市町村長がそのときに出て行つてどうするということはないのであります。
#56
○外崎委員 第五十七條に「國家警察及び市町村警察は、その都道府縣國家地方警察又は市町村警察の管轄に屬する區域の境界外五百米以内の地域における犯罪については、その地域内においても職權を行う。」そうすると五百メートル以外のところはどうですか。
#57
○久山政府委員 それは管轄外でありまして權限がないのであります。
#58
○外崎委員 そうすると、せつかくどろぼうを追いかけて行つても、五百メートルを一歩出られてもいけないのですか。
#59
○久山政府委員 それは五十八條に書いてあります。管轄區域内で行われた犯罪については、管轄區域外においても職權を及ぼすことができる。こちらの管轄區域内で起つた犯罪については、他の區域内においてもできるのであります。
#60
○外崎委員 そうすると、自分の區域から五百メートル向うで犯罪が行われた場合には、向うの依頼がなければ黙つていなければならぬ。
#61
○久山政府委員 つまり五百メートルを超えたほかの管轄は權限がないのでございます。
#62
○外崎委員 自分の方からどろぼうが逃げていつた場合は、現行犯であつた場合は五百メートル以内は押えられるが、自分の區域外のものは、五百メートル以内にはいつて來なければ、どうにもすることができないのでありますか。
#63
○久山政府委員 現行犯がこちらの管轄外で行われておるときは、管轄という觀念はなく、すぐ逮捕しなければならぬのであります。それ以外の場合は、自分の管内で行われないで、管内に影響を及ぼさない犯罪については、他の管内にはいつていつてやることはできないわけであります。今おつしやるような場合は、もちろんやらなくちやならぬのであります。そこで犯罪が行われている、しかしそれは五百メートルの外だという場合は、すぐつかまえなければならぬのであります。
#64
○外崎委員 こういうとがはつきりしていないと、警察官は皆講習を受けた者ばかりでないだろうから困ると思う。いずれにしても實に不可解な法律になつてしまうのぢやないかと思う。もう少しこの點をはつきりしないと將來困る問題だと思います。
#65
○久山政府委員 今お話のようないわゆる現行犯的なものは、もう管轄區域はないのでございます。どこでだれがそれを見つけても、現行犯は逮捕できるのでございます。警察官はそれを逮捕しなければならぬ義務をもつのであります。そういううことでなく、管轄區域外で行われた犯罪だけは、區域外には行つてはやれないということでありますから、おつしやるような意味の心配はないと思います。
#66
○外崎委員 經濟事犯はどうなりますか。
#67
○久山政府委員 先ほど申し上げましたように、經濟警察は原則として警察からはずす。警察でない別の組織でこれを扱うというふうになると思います。もし警察が經濟警察をやるといたしました場合には、これは非常に關係が複雜になるのでありまして、區域内で行われた行為、あるいはその結果が及ぼした行為というふうな場合は、向うから物を買つて來てこちらで賣りさばいたとか、いろいろ複雜な關係がありまして、どこかで所轄できることになつておりますが、一應經濟警察の問題は警察からはずす建前で進んでおるわけであります。
#68
○外崎委員 經濟警察をはずすと、警察の前で行われておつてもどうすることもできない。米を鐵道で送ろうとしていることがわかつても、その米を抑えることができないということになります。いわゆるやみ取引が行われておつても、經濟問題であるから警察はこうすることもできないわけですが、これは改めて方法をとるのですか。
#69
○久山政府委員 實は經濟警察を今の警察からはずすことによりまして、大きな經濟統制の根本の考え方が、私はかわつてくるんじやないかと思います。警察が、統制違反については全然これを取扱わないという建前にいたしますと、よほど厖大な綿密な組織ができませんと、今やつておりますような程度の取締りはできないと思います。從いまして今考えておりますような程度の組織なり人員によりますと、結局超重點主義と申しますか、非常に大口の、ある特定のものについてのみ嚴格にやる。そうして今警察がやつておりますようなこまかいことは、おそらく警察がやらないということになりますと、統制からはずすというか、逆にそういうことになるんじやないかと考えております。
#70
○外崎委員 この法案が議會を通過すれば、九十日内に行われる。そうすると、九十日内に統制のわくがはずれればいいが、もしはずれない場合は非常に困る問題になる。
#71
○久山政府委員 そこは經過的にいろいろ問題がありますので、實態に沿うように政府として考えていかなければならぬと思います。
#72
○外崎委員 五千人以上市街地に六人、あるいは何人というふうなことはどういうようになつておりますか。五千以上、あるいは一萬以上、三萬以上、五萬以上というような市町村に對する警察官の配置はどういうようになるのですか。
#73
○久山政府委員 今はつきり人口何萬に何人というところまで決定した案をもつておりませんが、大體人口の基準によりまして、何名から何名くらいの人口をもつておるところには、何名から何名くらいの警察官を置くというような基準が出てくると思います。
#74
○外崎委員 そういう基準がなくしてこの法案が出ても、これは大丈夫もてるのですか。少くとも五千以上の市街地には六人以上置けとか、三萬はいくら、五萬はいくら、十萬はいくらというふうに、人員の基準もできぬようなふうで、この法案はそのままもつていけるのですか。
#75
○久山政府委員 それは現在九萬三千九百三十七人という警察官がおるわけでありまして、經過的にはそれを、國家警察と自治體警察に配置をきめるわけです。まだその五千以上の市街地町村というのが、まだ明確に全部の決定を見ておらないのでありまして、從つてどこへ何人配置をすれば、全體としてうまく現在員が配置できるかということは、これを實施するまでにはもちろんきめなくてはいけませんが、この法案の審議と竝行して今その準備をしておるわけです。
#76
○外崎委員 市町村の公安委員會はその市町村でできますが、これを統括するものはやはりあるのですか。
#77
○久山政府委員 そういうものはありません。
#78
○外崎委員 そうすると、ただ市町村長が任命した三人によつて、その市町村の警察が運營されているというわけですか。
#79
○坂東委員長 ちよつとお諮りいたしますが、この邉で休憩してはいかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○坂東委員長 休憩する前にちよつとお諮りいたします。石田一松君がやがて小枝君に代つて、本委員會の正式な委員ではありませんので、正式な委員諸君の質疑が終つてから、委員外の發言をしたいとのことでありますが、これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○坂東委員長 それではさよう決定いたしまして、暫時休憩、午後一時半から再開いたします。
    午後零時四十一分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時四十七分開議
#82
○坂東委員長 開會いたします。
 都合によりまして、本日はこれにて散會いたします。
  午後二時四十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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