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1947/11/20 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第37号
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1947/11/20 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第37号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第37号
昭和二十二年十一月二十日(木曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長代理 理事門司 亮君
   理事 矢尾喜三郎君 理事 高岡 忠弘君
   理事 川橋豊治郎君 理事 酒井 俊雄君
      大石ヨシエ君    菊池 重作君
      久保田鶴松君    松澤 兼人君
      大澤嘉平治君    佐藤 通吉君
      千賀 康治君    坂口 主税君
      小暮藤三郎君    大村 清一君
      中島 守利君    石田 一松君
 出席政府委員
        内務事務官   久山 秀雄君
 委員外の出席者
        專門調査員   有松  昇君
十一月十九日委員小枝一雄君辭任につき、その補闕として石田一松君が議長の指名で委員に選任された。
本日の會議に付した事件
 警察法案(内閣提出)(第九〇號)
#2
○門司委員長代理 これより會議を開きます。
 委員長が所用のため、委員長の委任により私が委員長の代理を勤めます。本日の日程は昨日に引續いて警察法でありますが、日程に入るに先だちまして、小暮議員より緊急質問の申出がありますので、これを許すことに御異議ありませんか。
    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○門司委員長代理 御異議がなければこれを許します。小暮君。
#4
○小暮委員 私の當局に急遽お尋ねしたいと思いますのは、今朝の各新聞を通じて記載されたところによりますと、岡山縣警察部の者が神奈川の横濱市の某貸席に參りまして、しかも參りましたのは、新聞の報ずるところによりますと、十月二十二日でありまして、十七日まで二十數日にわたりまして豪遊をきわめ、しかも政令違反をいたしておるということが各紙にこぞつて出ております。殊に地方の新聞を見ますと詳細にそれを書き、警察官がそれを見ましたときに、はたしていかに感じるか、また一般國民が、しかも警察法が國會に出ようとする前においてこれが新聞等に出まして、さもなくも全國の警察官は不安の思いをいたしておりましたときに際會いたしまして、かくのごとき奇怪な記事が出たことによりまして、志氣の頽廢はますすはなはだしくなるのではないかということを識者は憂えております。當局はこの眞相をお調べになつておると思うのでありまするが、この機會にまずそれを承つておきたいと思います。なお承りました上いろゝ意見を申し上げようと思います。
#5
○久山政府委員 實は私も今朝新聞を見まして驚いたのであります。さつそく神奈川縣の方に電話で問合せてみましたところ、大體あれに似た事實があつたというとでありまして、これはさらに岡山縣の方にさつそく嚴重な調査をいたさねばならぬと思うのでありますが、その結果いずれにいたしましても、新聞に掲載されておりましたようなことが事實であると神奈川縣は言つておるのでありますが、その通りでありました場合におきましては、もちろん嚴重に處置いたしまして、警察官の綱紀肅正、さらに志氣の頽廢を防止する意味におきましても、至急に嚴重にこれに對しまして處置をいたすつもりで、岡山の方に對しまして早速、監察官をして調査をさせることにいたしておるような次第であります。
#6
○小暮委員 ただいまの御答辯はきわめて抽象的でありまして、新聞に出ておる通りだというように御答辯でごさいましたけれども、新聞によりましているるに書いてあります。殊に地元の神奈川新聞を見ますると、詳細に書いてあります。定めし當局はそれ以上に詳細にお調べになつていると思いますから、この機會にお差支えない限りは詳細に御發表を願いたいと思います。それを承りました上で意見を申し上げたいと思います。
#7
○久山政府委員 私が見ましたのは東京の毎日新聞と讀賣新聞でありまして、殊に毎日新聞に相當大きく出ておりまして、電話で一應毎日新聞にこういうふうに出ておるがどうかということを聽きましたところが、大體その通りである。さらにその詳細なる状況につきましては、早速警察部の職員が内務省の方に書類をもつてただいま行くからということでありますので、あるいは縣の方の新聞には、そういつたような、縣側からおそらくもつて參りまする書類の内容に近いような詳細のものが出ておつたかどうか知りませんが、私のただいままで承知しておりますることは、東京の毎日新聞に出ておりましたような記事の程度であり、またその程度において大體それは事實であると、こういうふうに了承いたしておるのでありまして、あるいはもう、縣から定めし詳細な報告が到達しておるかと思うのでありますが、私出ますまでは、毎日新聞に出ておりました程度のことが事實であるという報告だけを受けまして、ただちに岡山の方に對する監察を命令してまいつたような次第であります。
#8
○小暮委員 ただいまのお話でよくわかりました。この機會に神奈川新聞に出ておりますところを申し上げまして、もしかくのごとき事實があれば、當局はいかに御處置なさるかということを承つてみたいと思うのであります。この新聞記事を簡單に申しますと、「札ビラ切る岡山縣の現職警官花街で二十五日ランチクキ騒ぎ」こういう見出しであります。私ども聞きましたところによりますというと、この記事は事實である。かように信じております。
 これを讀みあげて御參考に供したいと思います。「民主警察のあり方について各方面から色々の批判がなげかけられている折から、岡山縣警察部長と稱する男が百數十萬圓在中のボストンバツクをかかえて來濱、政令違反をおかして花街で豪遊をしたあげく、姿を消したという事件が起り、岡山縣警察部に照會したところ、現職部長刑事だつたということが判明した。
 去る十月二十二日ごろから横濱市南區高砂町一ノ一〇貸席業おかめこと加藤いさみさん方に「おれたちは岡山縣警察部の者だ」と稱する三人づれがあらわれ、百圓札をギッシリつめたボストンバツクを預け、東京方面から高級乘用車二臺、ガソリンドラム罐四本(約百二十萬圓)を買込み、羽振りをきかせているうち同人あての電報に岡山縣警察部長とあつたので、すつかり加藤さん方では信用し「部長さん部長さん」と下にもおかぬもてなしぶり、津田某と名乘る男は階下八疊、藤原は二階六疊に陣どり(他の一名は本田某といい、三日目に歸岡した)藝妓二人をかかえきりで、料飲休業もなんのそのと、飲めや唄えと約二十五日間にわたり大ランチキを續けていたという、この三人の行動に不審をいただいた壽署では、十七日午後一時ごろ係官がおかめを取調べたところ、彼等は買込んだ自動車でいち早く岡山縣に歸つたあとで、直ちに靜岡縣警察部に手配するとともに、岡山縣警察部に照會したところ「津田を出張させたのは事實だ」との囘答があり、こつ然姿を消した自稱警察部長は同縣刑事課鑑識係勤務の部長刑事津田喜之、他の一人は自動車ブローカー藤原馨と判明したが、彼らが自動車を求めるため上京し、何のために來濱したか、一巡査部長の出張で何萬圓を消費するという豪遊ぶりができ得るかどうか、前記おかめに支拂つた約四萬圓はどこからでたか、この現職警官のとく職事件は各方面に多大の問題をなげかけている。
 大體批評もありますが、これだけの事實があるということは、ほぼ信用できる方面から聞いて確かめておるのでありますが、かくのごときに對しまして當局はいかに御處置なされるか、御方針を承りたい。
#9
○久山政府委員 ただいま申し上げましたように、そういう事實があつたということを神奈川縣の警察部は報告をいたしておるのでありますので、早速地もとの岡山縣につきまして詳細に調査をいたし、できるだけ早い機會に當委員會におきまして、その實情およびこれに對するわれわれの處置等につきまして御報告を申し上げたい、かように考えます。
#10
○小暮委員 よく了承いたしました。いずれその御報告を聽きまして申し上げることにいたします。これで緊急質問を打切ります。
#11
○門司委員長代理 それでは前日に引續いて警察法の質疑を行います。千賀委員。
#12
○千賀委員 簡單に質問をいたします。私は地方公安委員の性格について二、三不審な點を伺いたいのであります。地方公安委員が政黨に所屬しておると、ある數をもつて制限をせられる、また公安委員中に政黨に所屬いたしましても、ある數に達するとこれは退職しなければ罷免を受けるということがありますが、政黨の政黨員たることはどうして認めるのか、この點が私にははつきりいたしません。たとえば政黨の首領のごときも政黨員であるし、また地方に、おきまするごく先端な政黨員で、ただ某に投票をし、選擧のときには某に聲援を與えるというようなものも、政黨の役員と言えば言えるかもしれぬし、この限界をどの點にもつていつておられるのか、そこらがはつきりいたしません。たとえば政黨に屬しておる議員である私どもが、ただひら議員であつて、たとえば民主黨に屬しておつても、民主黨の本部の役員もしていなければ、また地方支部の役員もしていない。それでもつて身分は民主黨の國會議員をやつておるというような場合は、國會議員からという立場から言えば、いかさま役員をしておるようであるけれども、名簿の上にいて特に役員というものを、會長とか幹事とか常議員だとか、そんなような名のついたものを出さないとすると、それでも役員でないのかどうか、これは將來について非常に複雜微妙な問題がまつわつて起つてくると思うので、この際はつきり伺つておきたいと思います。
#13
○久山政府委員 本人がある政黨に所屬する、つまり政黨員であるかどうかということの認定の方法でありますが、あるいは政黨法というふうなものが成立いたしますれば、そういうことによつて明らかになるかもしれませんが、現在におきましては勅令第百一號によりまして、政黨その他の政治團體の所屬の黨員は、それを届出る義務を課せられておるのでありまして、結局その勅令によりまする届出によりまして、その人が明瞭に政黨の所屬員であるかどうかということが判明いたすのでありますから、その届出の勅令の規定運用によりまして、政黨所屬の關係ははつきりいたすことと考えておるのであります。さらにこういう政黨の役員というものをどういう程度に考えるかという點につきましては、これもそれぞれその政黨によりまして、名稱なり役員の段階なり數なりというものが違うだろうと思うのでありますが、要するにその政黨の運營によりまして、中心的な役割をもちまする人間、名前はいろいろあると思うのでありますが、單なる黨員ではありませんで、その團體の運營につきまする一つの中樞的な役割をもつという者を政黨の役員と考えておるのでありまして、これも的確に法規によりまして、どういうものを役員とするという規定は、おそらく政黨法などができました場合におきましては明確になろうと思うのでありますが、現在のところは、そういつたような程度の役員というものを考える以外に方法はないと考えておるのであります。
#14
○千賀委員 政黨に關するいろいろな制限を公安委員の性格にお考えになつておるのは、いずれある政黨が公安委員の全部を獨占いたしておる、これが將來の犯罪檢擧その他にまで影響を及ぼしていつて、政黨にはいつておる者がある村へ行つて、法律を犯すようなどんな行為をしようが、一切檢擧されない。それだのに、片一方の政黨に屬しておる者は、たれであろうが、ないものまでほじくり出されて處罰をされていくのだ。こういうふうな深刻な弊害が起つてくるのを排除せんがために、この項は挿入せられておると思いますけれども、實際の運用に關してはかなりこれはむずかしいことだと思います。殊に公安委員の選定が公選にあらずして、そこの市町村長が主となつてこれを選定する段になりますと、その屬しておる人らがどうしても選定されやすいのであります。そこでその人らの選定する人は、この政黨の地方支部に加入をしていなくても、選擧のためにそれがしの政黨に加擔をいたし、また一生懸命で運動する。また政黨人としての意識もきわめて濃厚であるというような人は、たくさんの中からなら容易にこれは選定し得るのであります。單に政黨の地方支部の役員に名を連ねたということよりも、實質上は非常に政黨に對して犬馬の勞をとり、黒を白と言いくるめたい氣持の人ばかりをここで選定することができるのでありまするが、そういうような人で、その町のいわゆる公安の實力を制握した場合には、これは民衆の間から非常に怨嗟の的となるという場合は豫想され得るのでありますが、そういうことを除去せんがためだろうと思うのですが、こうした項を加えておられまして、この運用がどうも今の御意見くらいでは、その弊害を除去しきれないと思います。依然として政黨の弊害が、ここに深刻に公安委員をめぐつて起つてくるように思うのでありますが、そういう氣持であるならば、その目的を達するように、もう少しここにはつきりした何か名案はなかつたか。また現在は、私らのこの質問を聽いて、そう言えばそこに大きな缺陥があるのだから、こう直したいというような考えが起つておりますかどうか、いま一囘お伺いをします。
#15
○久山政府委員 一つの政黨の影響力が公安委員の絶對多數の者に及ぶということは、少くとも嚴正に執行をいたすべき警察の運營につきまして、いろいろの疑惑を起させることでありまするので、少くとも明瞭に同じ政黨に屬するということのわかつておりまする人が、絶對多數を制するような構成においては、公安委員をつくらないようにということが、最小限度の法律の要求として掲げられておるのでありまして、お話のように明確に政黨に所屬するという形をとりませんでも、いろいろの關係におきまして政黨とのつながりなり、あるいはある政黨に好意をもつというふうな關係におきまして、あるいは公安委員の多數の人が、一つの政黨との關係におきまして他の政黨よりも關係が多いというふうなこともあろうと思うのでありますけれども、そこまではこの法律によつてはこれを制限する方法もないのでありまして、はつきりわれわれが法律をもつて制限することのできる限度は、この法律に書いておりますように、絶對多數の者が同じ政黨に所屬するということだけを排撃いたし、その他のことは實際上の運營によりまして適正にこれが行われるように、市民自體がこれを監視する。あるいはみなが、そういうつもりでこの運營にあたるというそのいわゆる自覺と申しますか、要するに民主主義的な根本の考え方にまつという以外に、まだ名案はないのでありまして、ここに書いておりまする以外に、特にそういつた點につきましての特別の考え方は現在もつておらないのであります。
#16
○川橋委員 重要な點につきまして大體において、各委員諸君から質疑應答がありましたので、ごく簡單に條章にわたつて質問いたしますから、お答え願いたい。
 第二章第一節の國家公安委員會の第五條の公安委員會の缺格條項です。これには「禁治産者若しくわ準禁治産者又は破産者で復權を得ない者」とあります。その次の第三節の都道府縣公安委員會の缺格條項には單に「破産者で復權を得ない者」とある。すなわちこの都道府縣公安委員會では、禁治産者竝びに準禁治産者という缺格條項がないのですが、その理由をお尋ねいたしたい。
#17
○久山政府委員 第五條におきまして「禁治産者若しくわ準禁治産者又は破産者で復權を得ない者」というのを、國家公安委員會における缺格條項に掲げておるのでありますが、二十一條の都道府縣公安委員會の缺格條項として掲げました場合に、單に「破産者で復權を得ない者」ということで、禁治産者および準禁治産者を書いてない理由は、二十一條の都道府縣公安委員會の委員たる要件に「委員は、その都道府縣の議會の議員の被選擧權を有する者で」ということがはいつておるのでありまして、それが地方自治法の第二十條によりまして、禁治産者及び準禁治産者というものは被選擧權をもつていないということになつておる關係上、ここで「破産者で復權を得ない者」ということだけを掲げまして、内容的には、第五條の國家公安委員會におきまする缺格條項と同様のことをうたつておることになるのであります。
#18
○川橋委員 それから第二に禁錮以上の刑に處せられた者、これは第五條にも第二十一條にも規定してありますが、大體最近前科というものが抹殺されることになつておりますにかかわらず、禁錮以上の刑に處せられた者が缺格條項に該當しないということはどういう理由ですか、伺いたい。
#19
○久山政府委員 改正刑法によりますと、禁錮以上の刑の執行を終りまたはその執行の免除を得た者が、罰金以上の刑に處せられることなくして十年を經過したときは、刑の言渡しはその效力を失う。そういう新しい規定が刑法の改正でできたのでありまして、要するに禁錮以上の刑に處せられた者は公安委員になることができないのでありますが、もしこの改正刑法の適用を受けまして、罰金以上の刑に處せられることなくして十年を經過いたしましたときには、禁錮以上の刑に處せられたというそのこと自體が、それがなかつたと同じことになるというこの新しい規定の精神によりまして、そういう場合には公安委員の缺格者ではないということになるのであります。
#20
○川橋委員 わかりました。大體法律の條章は、簡明ですぐわかるようにすることが必要と考えております。そこで市町村警察の場合には、自治體警察の場合には、自治體警察の第一節の總則の第四十四條、これには市町村の公安委員の場合には、第二十一條ないし第二十六條の規定を準用することになつております。大體において都道府縣の場合においても、國家公安委員會の規定を準用するといつたような簡單なことに修正できないでしようか。これについての御意見を伺いたいと思います。
#21
○久山政府委員 大體お話のような趣旨を酌みましてこの法案を作成いたした積りであるのでありますが、都道府縣と國家公安委員會とは任期が違うこと、人數が違うこと、それからただいま申しましたように、當該都道府縣の議會の議員の被選擧權を有するということが委員の特別の要件になつておること、そういつたようなことで一應準用するということでなく、都道府縣の場合におきましては、最小限度に國家公安委員會との關係におきまして違つた點を書き、もちろん缺格條項等におきましても、ただいま申し上げましたように、多少書き方を變えなければならぬような點もありましたので、大體準用をする精神は同じでありますが、一應ここに書いてありますことが、この程度に書く必要があろうと考えたのでありますが、市町村の方にまいりますと、これはまつたく都道府縣の公安委員の場合の條件と同じでありますので、ここで初めて都道府縣の委員の條項を二十一條ないし二十六條、こういうふうにして準用する。こういうふうにいたしたのでありまして、まつたくお話のような趣旨によりましては實はつくつたのでありますが、そういうような理由から、都道府縣の場合に公安委員の方を、そのまま準用するということをせずに、こういうふうに書いた理由は、今申し上げましたようなことからきておるのであります。しかし趣旨はまつたくそういうような意味合で書いておるのであります。
#22
○川橋委員 さらに附則第九條に、國有財産の問題について「現に警察の用に供する國有財産又は國の所有に屬する物品、」こう書いて、現在都道府縣において所有する財産についての規定がないのであります。大體現に警察の用に供する府縣の財産または物品で、今後市町村の警察の必要なものは、現在府縣の警察の財産、府縣費と國庫先渡金等は、特に地方の寄附によつてやつておるのであります。府縣費は市町村民も縣税として納めているので、これは府縣が警察行政を行うために納付しておるのでありまして、現行制度においては、警察は府縣において行われる建前のもとに、必要な財産は府縣がこれを處理していく。ところが今度この事務が市町村に移管された場合は、これに附隨して市町村がこれを所有していくべきものと考えるのであります。從つてこの理由によつて、府縣有警察財産で市町村の警察に必要なものは、當然當該市町村に無償で讓渡されることが適當と考えます。從つてただいま第九條のことを申しましたが、「現に警察の用に供する國有財産又は國の所有に屬する」というところへ「國有財産又は國あるいは都道府縣の所有に屬する物品」というように「都道府縣」という文字を挿入することはどうかと考えておりますが、これに對する御意見を伺いたい。
#23
○久山政府委員 現に警察の用に供しております國有財産または國の所有に屬する物品につきましては、この附則の第九條におきまして、國家地方警察に必要でないものは市町村警察の必要によつて無償でこれを讓與する。こういうふうに書いておりますが、お話のように都道府縣の財産または都道府縣の所有に屬する物品で、現在都道府縣における警察が使つておるものも、ずいぶん多いのでありますから、それにつきましても、やはりこれと同じような趣旨におきまして、市町村の警察に必要な場合は、これを無償で讓渡してもらうことが望ましいのでありますけれども、これはそれぞれ都道府縣の事情もありますし、都道府縣という自治體の財産でもありますので、それを一律に法律で國の財産と同じように、全部無償でこれを必ず讓渡するというふうには書きませんで、ここには國のものだけを書いておるのでありますが、もちろん新しくこういう制度になりまして、自治體警察が發足をいたしますにつきまして、從來府縣の財産としてもつておりましたもので、今度はこれが國家地方警察というふうになるのでありますが、これとまつたく同じ趣旨によりまして、それぞれ府縣の各例をもつて、大體この趣旨によりまして市町村の方に讓與してもらうというふうになることを希望し、またおそらくなると思うのでありますが、法律でもつて自治體の財産を一律に無償で讓與するというふうに書くことはいかがかと考えまして、ここには國の財産についてのみ規定をいたしたのでありますが、趣旨は都道府縣の財産につきましても、都道府縣のいろいろの事情もあろうと思いますけれども、この法律の圓滿なる運營のために、まつたくこの規定の趣旨と同様な考えによりまして、それぞれ府縣の財産の處置を規定していただくように希望をいたしておるようなわけであります。
#24
○川橋委員 希望でなくて、何かの意味で表現する必要はないか。今警保局長のお話のようであれば、都道府縣の方では、なるべく自分の方の都合のよいようにやるだろうと思います。いろいろな物件がたくさんありますが、その中で、今局長のおつしやつたように圓滿を期するために、都道府縣に留保するものはよろしいが、大體においては今日まで、やはり都道府縣管下の市町村で負擔した費用が多いのですから、從つてそういう方面に警察權が移動される場合には、當然そうしなければならぬと考えております。その點について何らかの措置を講ずる必要があると思いますが、いかがでしようか。
#25
○久山政府委員 大體今警察で使つております廳舎とか、いろいろの備品とかいつたようなものは、おそらく國家地方警察という名前におきまして、大體國家地方警察がもちろん使うことになる部分が多いのでありまして、まつたく國の財産と同じように、その國家地方警察で必要のないもの、從つて自治體の警察の使用に必要なものは、もちろん府縣におきましても、これを自治體の方に讓渡することになるのがもう常識でありまして、おそらくそういうふうになることと、私どもは固く考えておるのでありますが、先ほど申しましたように、自治體の財産につきまして、一律にここではつきりそういうふうに必ず讓渡するというふうなことを書くことはどういうものであろうか。國の財産につきましては、明瞭にこういうことが言えるのでありますが、そこはやはりある程度自治體の財産權と申しますか、自治體の自主性というものを尊重いたしまして、法律で一律にきめずに、その自治體の條例によりまして、そういつたようなことをそれぞれきめていただく。そしておそらく現在警察署その他で使つておるものは、そのまま國家地方警察署になりますか、あるいは自治體の警察署になるのでありますから、當然そういつたような精神によつて處理されることになろうと思いまして、そこで別にそういつたようなことを、法律でここに一律的に書くということは適當ではない、かように考えます。
#26
○川橋委員 これ以上申し上げませんが、法律に規定しなくても、地方において適當な手段によつて、今局長のお話のように、圓滿にそういう移動が行われることに十分の御注意を願いたい。
 なお、さらに申し上げたいことは、大體市町村に警察權が移動されます關係上、市町村の財政が非常に膨張する傾向にあります。從つてこの場合に、地方自治體の税制整理の點について充分御考慮願いたいということと、さらに今言いましたような關係で、非常にこの經費が膨張いたしますから、相當の國庫補助についてのお考えはないか。こういうことをお尋ねしたい。
#27
○久山政府委員 この自治體がみずからの警察をもつというその同じ建前で、やはりこれをみずからの財政によつて維持する、そこに初めて自治體の名實伴う警察ができあがる、そこに眞の民主主義が發達するというふうな考え方で、この法律ができておるのでありますから、財政が苦しいといいましても、國もやはり苦しいのでありまして、いつまでも苦しいから補助をもらうという考え方でなくて、もちろんそのために税制の改正なり、分與税の改正なり、できるだけ自治體がみずからの自主的な立場において、財政的にもこういう警察がやつていけるように、この法制を改正し、整備するということにつきましては、私どもといたしましても、できるだけ努力をいたしたいのでありますが、國からの補助という問題につきましては、そういうことができますまで現状のまま續けるという以上に、現在新しく補助ということは非常に困難であろう、かように考えます。
#28
○川橋委員 補助の點についてはただいまお話の通りでありますが、ただこの法律が實施された場合においては、ただちに相當の經費が要るのでありますから、しかも早急に施行する必要があるようでありますから、少くとも年度替り、すなわち四月一日ころから、この改正による税制が施行されるよう、來るべき第二國會の開會の劈頭において、そういつたような税制整理の點について、特に御考慮を願いたいことを希望いたしまして、質問を打切ります。
#29
○松澤(兼)委員 ただいま川橋委員から、警察廳舎その他都道府縣用の財産の無債讓渡の話が出ました。これに關しまして、私も強く希望を申し上げたいのでありすま。大體ただいまのお答えでは、國家地方警察なり、自治體警察なりで使うことになるからというお話であつたのでありますが、地方に行きますとなかかそうもいかないので、あの警察の建物はこういうことのために使いたいという府縣側の強い希望もあつたりいたしまして、必ずしもそれが自治體警察に讓渡されるとは限らない場合が生じてくると思うのであります。この點につきましては、川橋委員の希望のごとく、何とか、法律で出なければ、内部的な措置として、警察廳舎その他の設備は、自治體警察なりあるいは國家地方警察なり、警察の目的のために使用する、しかも市町村が自治體警察のために使用する場合におきましては、優先的にこれを無償で市町村に讓渡するというお指圖を願いたいのであります。
 それからもう一つお聽きいたしたいことは、第四條の國家公安委員會の仕事の中にいろいろあるのでありますが、その第七項に「皇宮警察の管理に關する事項竝びに當該機關の要求のあつた場合において東京都内における國會、内閣、各省、會計檢査院及び施設の警備」ということがあるのであります。この場合におきまして、宮城の警備ということがこの中にはいつていないのでありますが、これはどういう御趣旨で省かれたのでありますか。なるほど皇宮警察の管理に關する事項ということはありますが、これは皇宮警察そのものの管理に關する事項でありまして、後にあります重要各官廳の建物及び施設を警備するということとは別のように考えられるのでありまして、宮城に對する警備を國家公安委員會がやらないという理由はどこにあるのか、承つておきたいと思います。
#30
○久山政府委員 府縣の所有に屬します財産その他物品につきましての處置につきましては、事實上の相談によりまして支障のないようにいたすつもりであります。またそうできるだろうと深く信じております。
 第四條の皇宮警察の管理に關する事項ということでありますが、お話のように、これは皇宮警察の管理でありまして、皇宮警察ということが直接にはうたわれておらないのでありますが、皇宮警察というものが本質的に、天皇及びその住つておられまする宮城というものを護衛するという本來の建前をもつておる警察でありますので、しかしてまた、現在そういうことを現實にやつておるのでありましてそういう警察の仕事を國家公安委員會が管理するということの建前から、當然この皇宮警察の管理ということによりまして、宮城の皇宮警察による警備ということは國家公安委員會の仕事としてこれを擔當するのである。こういうふうに理解をいたすのであります。
#31
○松澤(兼)委員 それは間接的にはそういうことになるかもわかりませんが、このあとの項の「竝びに當該機關の要求のあつた場合」と書いてありますところに、宮城という文字がないのがわからないのでありまして、皇宮警察がどういう場合におきましても、宮城の警備に完全であるという場合は別でありますけれども、おそらくはそうでないと考えられるので、そういう場合におきまして、要求のあつた場合においては、國家警察がその警備をすることができるということが、この言葉の中になければぐあいが惡いじやないか、こう考えるのであります。この點いかがでしようか。
#32
○久山政府委員 確かにお話のような場合のことはあるのであります。實は想像していなかつたのでありますが、皇宮警察の管理ということによりまして、宮城の警固の全きを國家公安委員會の所管において期することができるというふうに考えたのでありますが、御質問のような場合におきまして、あるいはこれだけの規定によりましては、それを應援すると申しますか、そういう警備の完璧を期しますために、國家警察をしてその警備に當らせることが、これだけの字句によつては、どうもできないのではないかというふうな疑いが確かにあると思うのでありまして、その點についてはさらにひとつよく研究いたしたいと思います。
#33
○門司委員長代理 この際御報告いたしたいことがあります。それは委員の小枝一雄君が辭任せられたので、昨十一月十九日石田一松君が議長の指名で委員に選任せられましたから、この旨御報告いたしておきます。
 他に御質疑ございませんから、本日はこの程度で散會したいと思いますが、御異議ありませんか。
    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○門司委員長代理 それでは本日はこの程度で散會いたしまして、明日は午後一時から開會いたしますが、念のため申し上げておきますけれども、もしこの議案に對する修正意見等がございますならば、なるたけ明日、御提出と申しますか、お話を願つて、そしてなお關係方面の了解を得て、それから討論を終結したいと思います。さよう御承知おき願います。
 それでは本日はこれをもつて散會いたします。
   午後二時五十九分散會
ソース: 国立国会図書館
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