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1947/11/21 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第38号
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1947/11/21 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第38号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第38号
昭和二十二年十一月二十一日(金曜日)
    午後三時二十一分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 高岡 忠弘君 理事 川橋豊治郎君
   理事 酒井 俊雄君
      大石ヨシエ君    笠原 貞造君
      松澤 兼人君    松谷天光光君
      大澤嘉平治君    佐藤 通吉君
      坂口 主税君    小暮藤三郎君
      中島 守利君    石田 一松君
      外崎千代吉君    加藤吉太夫君
 委員外の出席者
        内 務 次 官 鈴木 幹雄君
        内務事務官   加藤 陽三君
        専門調査員   有松  昇君
本日の會議に付した事件
 警察法案(内閣提出)(第九〇號)
#2
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
 本日の日程は警察法案であります。
#3
○酒井委員 緊急質問の形でちよつとお尋ねしたいと思います。この前の委員會におきましてもお尋ねいたしましたが、警察管區本部の名稱及び所在の場所につきまして、最初の腹案とこの原案とが變つておることはわれわれも承知しておりますが、その經緯からみてもこの原案の修正は可能のように考えております。その前提のもとにこの原案の警察管區本部の所在の場所等をみますと、はなはだ不適當な割當であると考えれれます。と申しますのは、この警察管區本部は一つは地理上からみて日本全國を分け、適當な場所へ置くということが必要だと思います。交通あるいは電信、電話、殊に警察の立場としての交通、電信その他通信、こういう方面の地理的關係を考慮に入れる必要があると思います。
 いま一つは、警察と最も關係の深い檢察廳、裁判所あたりの管轄とにらみ合わせることが必要だと思います。警察の管轄と檢察廳、裁判所の管轄とが食い違つておるというような取り方といたしますと、非常に警察事務を行う上に不便を來します。そういう観點から見まして、私はもう少しこの警察管區本部の數を殖やすべきだという意見をもつております。具體的に申しますれば、この六つ數のほかに、四國地區は獨立いたしまして、四國地區へ警察管區本部を一つ置く。本海地區も獨立して、この地區へ一つの管區を置く。欲を言えば、北陸地區へいま一つ置く。だからこれからみると三つ殖やして、名前も札幌管區というような名前を用いずに、北海道警察管區、仙臺管區は奥羽警察管區、東京警察管區は關東警察管區、東海警察管區、北陸警察管區、中國、四國、九州、各その地方の名前を冠して、警察管區の名稱にした方が、國民に親しまれてもおりますし、地理的にその管區が國民の頭へぴたつとくると思います。なお東海地區にいたしましても、四國地區にいたしましても、從來警察關係あるいは裁判所の關係などにおきまして、一つのブロックをつくつてまいりまして、交通も電信もこれを一つの單位として發達してきております。そういう歴史上からみましても、これをほかの管區の下に置くということになると、むしろこういう電信、交通の係統の一つの錯亂を來すというふうに考えるものでありまして、まとまつて今までその地方地方に各連絡を實體をもつてやつてきております。だからこの形を活かして、この管區の數を殖やすということが、この警察法を實際に運用する上においての效果は非常に大きいと考えます。この點についての政府の御意見をお聴かせ願いたいと思います。
#4
○加藤説明員 ただいま警察管區の問題についてお尋ねがございましたが、私どもも同様警察管區をわかつにつきましては、通信、交通、電信の關係、あるいは警察の仕事と、密接に關連をもちます檢察廳や裁判所等の關係も、にらし合わせてきめなけらばならないこと、當初から考えておるのでございます。そこで希望といたしましては、仰せになりましたことく、四國を獨立させ、東海も加え、北陸も加えるというふうにしたいのでございますけども、これについては、ただいまのところ非常に困難なる事情がございまして、管區の數は六つでいくということにいたしておるのでございます。
#5
○坂東委員長 速記中止。
    〔速記中止〕
#6
○坂東委員長 速記開始。
#7
○加藤説明員 ただいまのところ、六つの管區によらざるを得ない困難な事情があるのでございます。この本部の位置、名稱等につきましては、これは考慮される餘地があると思うのでございますけれども、私どもの考えといたしましては、この案がただいまのところ最も適當であると信じております。
#8
○酒井委員 とかく一般的に、政府の腰が非常に弱くていかぬ。むしろ卑屈だという非難があるのでありますが、これがあたつておるかどうかは別問題といたしましても、建前の上から言えば、眞に民主警察がこういけば確立するのだということを、その筋へよく了解せしめる努力をしたならば、民主警察がぐあいよいよいくということがわかれば、その數において、名稱において、私はその筋においても、あえて固執されるものではないという考えをもつております。どうもこの筋の方面から一度言われると、卑屈にこれを受けてはつきり説明もしない、むしろその態度がおもしろくないのではないか、こう思う。一々そうだとは申しませんが、そういう點が全然ないとも言えないのじやないかという考えを、國民が非常にもつておるわけであります。だからこういう問題などにつきましては、眞に民主警察の運營が、その效果をおさめるかどうかという大事な問題であります。
 要はたれしも民主警察の運營がうまく行われるということを望まない者はないわけであります。現在の裁判所の管轄と食い違つたり、檢査廳の管轄と食い違つたり、地理的あるいは通信的位置からみて、民主警察の運營上おもしろくないということを知りながら、ある筋の言われたことだからこれはやむを得ないというふうに頭から呑み込むことが、むしろこれはいかなる立場の人に對しても、却つて不忠實な問題だと私は思います。そういう意味から、この點はぜひ考慮してもらいたいと思いますし、考慮の餘地があるように私どもは思います。なお、これはこれからの問題でありますが、私どもはその立場に立つてこの點については修正案を出そうという用意をもつております。だからもう一度、はたして絶對的に不可能かどうかという點をお聴かせ願いたいと思います。
#9
○鈴木説明員 ただいまの御意見でございますが、私中途から参りまして前段を聴き洩らしまして、あるいはお答えがピントを外れるかもしれませんが、その點はお許し願いたいと思います。警察管區に分け方でありますが、これにつきましてはある参考的な意見がございましたが、それに基きまして、われわれといたしましては、現在あります通信の資材の關係であるとか、あるいは從來の行政區畫の分け方の問題であるとか、あるいは、今までの經濟的な、行政的な繋がりというような點を種々考慮いたしまして、ただいま提案をいたしておりますような六つの管區、竝びにその本部の所在地を決定いたしたようなわけであります。國會側はまた、民主的な別の見地から御意見があります點も、うなずかれる點が多々あるのでございますが、これの變更につきましては、國會といたしましてその見地がらこれが變更の御意見には、考える餘地があるのでないかと考えます。ただ初めに出ました一應の案というものは現在提案いたしております管區のわけ方、所在地のあり方と相當違つておる事情は御了承のことと存じます。
#10
○酒井委員 自治警察と國家警察との人員は、この法によつて明らかに定められるわけでありまするし、その任命の方法等もこの法律によつて明らかなところでありますが、實際にこの警察官をどう任命し、どう取扱つていくかという實際の運營上の考えは、この法をつくるとともに、當局では十分用意されないと、この法律の運營の失敗になると考えております。殊に國家警察の職員になるか、自治警察の職員になるかについても、どうも日本人の國民性と申しますか、自治警察よりは國家警察の方がなんだか地位が上だ、體裁もよいというように考えるだろうと思います。そうすると人材は國家警察の方へ集つて、自治警察の方へは集りにくくなります。なお實際上警察官の昇進榮達という點を考えても、理想的から言えば、どの職といえども地位とか俸給というものが目的でなくて、その職を樂しむ、これが理想だということは言うまでもありませんが、その職にある人は人間であるということになると、地位の榮達、俸給の増額の希望がもてるということが、非常に警察活動の根本をなす大きな力だと私は思います。これは表面からいけば、國家治安のために地方自治治安のために働くという精神が、警察活動の根源だということになるでありましようが、具體的に働くエネルギーの根源は、やはり榮達榮進の途があるというところに根據があるということを考えなければ失敗だ。そういう點から考えますと、地方警察は四、五人で警察を形づくり、その親方の署長は警部補で大體充たされる、そうして、ところてん式に人事が順次いく仕組みになるわけであります。地方警察のそういう小さいところへ巡査としてはいつた者は、最高の親方である警部補まではいけるの希望があるが、それ以上はいけない。
 なお法の建前から、國家警察と地方警察の人事の交流は許さないことになつておる。その法の裏面で操作すれば別だが、そうであつても、退職して一方に就くというような形になる。そうしてみると、自治警察の小さい警察の巡査としてはいつた者は、一生涯たつて上の人がなくなつて、かりに自分が最高になつても警部補止いということになると、まことにはかない人生が豫測されるわけである。こういうふうで、落ついて眞にその職務を盡し得るかどうか。殊に日本人の今の教養の程度では、職のためし樂しむというようなことから活動の根源は起きてこないと思います。だからこの點、法の表面とは別に、これをうまく運營し操作する對策と申しますか、こういう用意がなければ、必ずこれは失敗に終ると私は考えます。そういう點について、當局には何かを考えでもございますれば、承りたいと思います。
#11
○鈴木説明員 ただいま御指摘になりました自治團體警察、なかんずく小規模の自治體におきまして、警察官が榮達の途を制度上塞がれて、そこには人材も集らなければ、向上心も磨滅するであろうという御心配を承りました。まことに適切な御意見と拜聴いたしました。私どもも實は、その點に關してのその制度をこしらえますにあたりまして、常に心配をいたしておる點でありますが、制度の上においては、自治體警察相互間あるいは自治體警察と國家警察相互間において人事交流をする、あるいはその間に便宜的な何らかの處置をとるということは規定をいたしておりません。從つて制度の上においては、このようなことはないという建前になつておりますが、實際の運營として、これらの點について特別の考慮を拂わなければならぬのではないかと考えております。自治體の側からいたしましても、そういいう地位に安住し得るように、また自治體内部といたしましても、その人の善良なる向上心を伸ばしてやるような、機會と便宜を與えるような工夫をしなければならぬ。また國家全體といたしましても、非常に優秀な、しかも向上心に燃えておるような素質をもつた警察官を優遇し、その素悪を伸ばすということを考えますことは、この制度運用上に課せられた大きな問題であろうと存ずるのであります。具體的に、しからばどういう案をもつておるかということになりますと、ただいま的確にこれを申し上げる成案をもつておらぬことは、まことに恐縮でありますが、ただ制度以外の問題といたしまして、おのずから自治體と自治體、あるいは自治體と國家警察の間におきまして、ある程度の本人に榮進の希望を與えるようなことを、事實上考える餘地はあるのでなからうかと考えておりますし、またそういうようなところにおきましても、警察官が少なくともその自治體の範圍におきまして、生活環境を著しくよくして、安住の地位を認めしむる、そうして自分の向上心を充し得るような措置を講ずるというようなことを、考えてしかるべきではなかろうかと、ただいまのところは考えておる次第であります。
#12
○酒井委員 まことに考えは同じでありますが、しかし具體的にどうすべきかという問題になると、ほとんど行き詰るだろうと思います。なぜならば、舊來の警察機構の考え方からいけば、そういうことは易々としてできるわけであります。しかし今度の自治體警察というものには上級官廳はないわけです、監督指導、叱られる方もないかわりに、償められる方もなくなる。まつたく自主獨立の立場に立つわけである。こういうものに對して國家が榮進せしめるといつても、國家の權限は絶對にその間には私は及ばないと思います。本質からいつて、その自治體自體で考えてくれれば別であるが、國家の力でこれはどうしようもない。そこに權限の連絡というものではないわけです。そうなつてくると、どうしてもこれは自治體警察の警察官になる者は、まず役得というようなことくらいしか樂しめない。役得でもやり得るような人格の者ならこの警察官で甘んじておれるだろうが、正しく警察官の職務に殉じていこうというようなことになれば、絶對に私は榮進の途は考えようがないと思う。國家がどうするわけにもいかぬ。そうすると私は、非常に自治警察の將來を寂しく思います。その間の名案を私は伺つた。あなたのおつしやる優遇策を考えてやるというその氣持ちは、だれしももたない者はないと思う。そこに權限が及ばないのだから、どうするわけにもいかないじやないかというのが、私の質問の要點なんです。その點について何か考え得るかどうか、考える餘地があるかどうかということも承りたいのであります。
#13
○鈴木説明員 重ねて御質問をいただきましたが、私が國家的に考えると申しますのは、國家的な權限を使つてどうするというようなことは、もちろんできない。そういうような社會的に見て固定をされた、比較的不遇な地位にあつて長く勤め得るのには、一面から言いますると、國家的に榮譽を與えるとか何とかいうことは、國家の權能としてできるのでありますから、そういう方面において優遇する途を考えることができるのじやなかろうかと思います。さらに問題の核心はそこにないようでございますが、善良なきわめて優秀な警察官が、小さな町村の警察において、非常に不遇をかこつというようなこと自體に對しては、制度の上においては、ただいま申したより方法はないのでありまするが、事實問題とするならば、それを解決するような方法は私はでき得るのではないかと思います。
 しからばどういうような具體的な方法かというようにお尋ねされますと。實は私も答辯に困るのでありまして、これはただいま當局としても、大きな問題として考えておるのであります。なおこれについては、御心配をいただいている國會の皆様方の御意見を十分拜聴いたしまして、この方法を具體化していくことに努めたいと考えております。
#14
○酒井委員 これで重ねて質問はいたしませんが、靜かに考えてみますと、實際これは警察運營の一つの悩みだと思います。どうかこの點については、愼量に具體策をお考え願いたいと思います。規則はできたけれども、自治警察の署員希望者がいない。たままある者は職にあふれ、どこにも行くところがないから、まあひとつ自分の權限でも揮つてやれというようなことに、この形のままであつたならば必ずなると私は思う。これは日本の警察にとつてゆゆしい問題だと考えておるのであります。いかに民主的なりつぱな形の法案ができましようとも事實上日本人がこの警察官の地位に當るのだという、その日本人の人間としての心理なり、具體的に人間そのものの価値なりをよく御批判願いまして、何とか救濟というか、榮進というか、先を樂しんでその職に當り得るという途を開いていただかないと、いろいろな事情で、たまま警察官を志望する者があるかもしれませんけれども、しかしこれは心から希望するものではないのであります。警察本來の活動というようなことはよそにして、ボスと結託して權限を揮い、そして私利私慾のはしるというような、變な形にいつてしまうと私は思います。これは別に、知事、警察官の地位を亂そうというものが悪いのではありません。この制度から見ると、人間として當然落ちるべきところに人を追いやる形であると思つております。今までの警察においては、昇進の途もあり、また大いに國家から稱揚される途もあり、いろいろ榮達の途もあるにもかかわらず、人間の弱點として、ややもすると利慾の方面に走つてしまうような者が出たり、まして今度は監督にしても、上からの監督ということもない。ただ自治的に住民の批判はあるでありましよう。それも警察に對する批判は、言うべくして實行はしにくいのであります。お互いにこういうむずかしい世の中でありますから、多少規則を犯さないと生きていけないペたなことを言つて批判すれば、自分がやられるのだというようなことになると、住民の批判もあてにならない。だからそういう點をよくお考え合わせになりまして、ともに警察將來のために、當局においては具體的な妙案を考え、實施していただきたいと思います。これで終ります。
#15
○坂東委員長 石田一松君。
#16
○石田(一)委員 私は二、三日前にこの委員會の常任委員として選ばれました者で、以前に行われた質問と重複する點があるかもしれませんが、しかし大體の線に沿つて、當局に對し二、三の質問をしてみたいと思います。
 まず第一に私がお尋ねしたいことは、警察法を制定して、この警察法による日本の今後の警察組織によつて、現在日本の治安が、さながら無警察状態のごとくになつていると、私は日々感じておりますにもかかわらず、この警察法によつて、この治安が確保されるかどうか。日本の治安維持、國民の身體および財産の保護に任じ得る確信があつて、この法案を提出なすつたかどうか。敗戰後日本の警察制度の中から、いわゆるあの思想警察、特高警察などが省かれ、憲兵的な警察が全然抹殺されました。その後おわゆる民衆に親しまれる警察になつて來た現下の警察制度を今一擧にかかる警察制度に覆さなければならないほど、それほど重要な理由がどこにあるのかを見出すことができません。現在の國家警察の制度が非民主的であり、封建的であるというならば、この警察機構を内務大臣の權限から離し、警察廳というものを設け、この警察廳の長官は、民主的選擧によつて選ばれた長のもとに、あるいはまた檢察廳のもとにこれを繋がらせる。こうした現在の機構を、ある一部改正することによつて、それより以上の效果をあげるものと私は確信しておるのであります。にもかかわらず、この法案が提出されて、私のただいま心配しましたところの、この制度の確立によつて。眞に日本の治安が維持できるかどうか、その確信がおありになつてお出しになつたのかどうか。
 もう一つは、この法案の警察制度は、いずれの國の警察制度をまねておつくりになつたか、このことをひとつお聴きしたいものであります。
#17
○鈴木説明員 ただいまの御質問に對してお答えいたします。今度の新しい警察制度によつて、現在の亂れた治安を確保する確信が當局にあつて、この法案を制定したかどうかというような御趣旨の御質問に解釋をいたしました。今次の法案は、すでに御説明を申し上げたことと存じますが、一つは新しい憲法のもとにおきまして、地方自治の基盤であるところの市町村の基礎を確立いたしまして、もつてわが國民主制度の確立を期するための政治的要請という、非常に大きな目的を達成しようとしておるのであります。從來尊重しました警察能率という點から見れば、このような警察制度を地方分權にいたすことは、この警察能率を向上する意味からいたしますならば、ここに多少の障害矛盾を生ずることは、避け得ないことであろうと考えるのであります。しかしながら新憲法のもとにおいて民主制度を確立する、地方分權を徹底するということは、この民主日本に課せられた至上命令でありまして、これは困難を冒して遂行しなければならないところであろうと考えるのであります。この新警察制度は以上の要請を滿たしつつここに立案したのでありまして、從來見ますがごとき、國家警察一本建で、指揮命令がきわめて確立いたし、そして上から全國にわたりまして命令をするというような、國家警察だけの能率の點から見ますならば、この新警察制度は若干の遜色というものは認めざるを得ぬのであります。しかしながらこれは、今後新たに總數にいたしまして三萬の國家警察を認め、自治體警察に大體現在擁しておりますほぼ九萬五千の人員を充てまして、ここの國家警察を通信の中樞となし、犯罪捜査の中樞的な性格をもたせまして、そしてこの全國にわたりまする約二千の自治體警察と協力一致いたしまして、警察能率の向上に邁進をいたしますならば、現下の治安といえども、これを維持することができるであろうと信じまするし、またぜひともそうしなければならぬという確信のもとに、この法案を提案したような次第であります。
 この警察制度はどこの國の例によつて立案したかという最後の御質問でありましたが、これに最も近い警察制度は、アメリカの警察制度がこれによく似ておるということを申し上げておきたいと思います。
#18
○石田(一)委員 至高命令が日本の民主化である、民主化が至高命令であるということはよくわかつております。民主化ということが至高命令であるために、これをおやりになつて、そのために幾分の警察力の減殺というか、治安維持に障害があるやもはかり知れない。しかし少々治安がが亂れても、どうしても民主化をすることが至高命令であるから、この法律をつくるということになりますと、日本のあらゆる機構を民主化するということは、個人の權利と自由を保護するために、國民一人一人の安寧を維持するために民主化されるはずである。にもかかわらず、民主化することが至高命令であるから、民主化することによつて、それで治安が亂れても、――一應そういうことがあるかも知れぬということを認めながら、本案を制定しなければならぬ理由が私にはわからない。民主化するということは、一人々々の權利を護り、生活をまず確保してやるという意味での民主化でなければならぬと思うのであります。にもかかわらず、ただいまの御答辯では、ちよつと私も不安を感ずる次第であります。
 しかし最後に當局は、この制度によつて萬全をを期したいとおつしやいましたそのお言葉の中に、この制度によつて地方自治體の警察などを、最後に國家的な中央的なところにその力を集めて、それを中心として、皆でやつていくというお話でございました。私は本案をつぶさに檢討しまして、自治體警察、あるいは都道府縣の國家地方警察が、中心として集まるところがどこにあるかということをお尋ねしたいのであります。おそらくそれは、國家地方警察がその中心となるだろうという御答辯があるだろうと思いますが、この法案によると國家地方警察、いわゆる國會の承認を得て總理大臣が任命した五人の公安委員會によつて組織されるところの國家地方警察なるものは、自治體警察を運營管理されると思います。しかし今當局のおつしやたように、自治體警察とか都道府縣の國家地方警察が中央に從つて動くというようなことは、總理大臣が非常事態にあると布告したとき以外にはありません。すなわち國會において承認され、しかも國會において選ばれた總理大臣が任命した公安委員會でさえ、第二條に謂うところの行政管理に關する機能はもつておりますが、第二條第二項の運營管理權というものは國家地方警察には全然ないのが明らかであります。そういたしますと、ただいまの今後この組織によつて國家地方警察を中心として、地方自治警察が中心になつて治安維持ををやつていきたいということは、おそらくこの法律では不可能ではないかと考えておるのであります。この點について明確なる御答辯をお願いいたしたいのであります。
#19
○鈴木説明員 法案の上におきまする國家警察と自治體警察の權限というような點からは、どこが中心であるというか、どちらが優位であるとかいう問題は全然ありません。それは御説の通り自治體警察、國家地方警察、おののが獨立であります。おののにおいて指揮命令という關係のないことは御承知の通りであります。ただ事實問題といたしまして、國家公安委員會が管理いたしております通信施設の根幹は國家地方警察がもつのであります。これはいろいろと連絡、教授いたす上におきまして國家地方警察が中心をなすことを意味するのでありますが、さらに教養機關というようなものは、警察大學というものは中央の公安委員會が管理をし、地方警察學校のごときものは都道府縣の公安委員會によりまして管理していく。かようなことは今後警察官を養成いたします中心が、この國家警察の中に教養機關をもつておるということを意味してするのでありまして、實際問題としては連絡、教授ということでありますが、これがおのずからその場合におきましても連絡教授中心と申しますか、そういうようなものになつていくのではないかというふうに申し上げたのであります。またさようになつて運營されていくことが望ましいのではなかろうかと考えておるのであります。
#20
○石田(一)委員 ただいま國家地方警察が通信施設の行政管理をするので、そういう方面からいつても、國家地方警察中心に運營することも可能ではないかという話でございましたが、しかし第四條の第一號に「警察通信施設(自治體警察の本部から管下の下部組織に通ずるものを除く。)」となつておりますから、國家公安委員會なるものが維持管理をしますのは、私たちのこの法案からの解釋によると、要するに國家公安委員會、國家地方警察に必要な通信施設のみでありますが、末端に連絡をとる場合には、この括弧内にある通信施設に對しては、國家公安委員會そのものもこれを維持管理する權能をもつておりません。この點からいくと、今御答辯になりましたこの通信施設によつて、そういうことが考えられるということも、私にはどうも合點がまいらないのであります。それどころか、この第一號の但し書には、「國家地方警察及び他の自治體警察との連絡のために、自治警察はこれを利用することができる。」とありまして、結局この通信施設も國家公安委員會、國家地方警察のみがこれを維持管理するのではなくて、これを必要によつては自治體警察も自由に利用もできるのであります。決してこれは國家公安委員會竝びに國家地方警察の特權でもなんでもない。その點については、ただいまの御答辯の論據としての直接の維持管理があるからということは、これも私には合點がいかないのであります。
 私がここでこの問題について一々御説明を求めても、御答辯も一理あると思いますが、ただ一つ殘念に思いますことは、主としてこの法案がアメリカ警察制度を取入れえて立案なさつたという御答辯が先ほどあつたと思いますが、私がアメリカの有力なるお方から直接聴いた話によりますと、その方はまことに適切な批評をなさいまして、あながち自分の國の警察制度が、世界に冠絶した警察制度ではないということを自分もよく知つておる。しかも日本の警察制度というものは、自分の國の警察制度には見出せないよさがあるというようなことを言われたのであります、むしろこのお方の言葉を敢行するならば、敗戰後の日本の國家から現在の日本の警察をマイナスしたら、日本の國家にはゼロしか殘らないというふうな御意見であつたと思うのであります。なるほど理解があると私たちは考えました。しかもその方自身が、決して萬全なものでないとおつしやつていたのでありますので、これは相當萬全に近いように立案されたことと思うのでありますが、この警察制度がちりぢりばららになることによつて、往年アメリカあたりでずいぶん問題をかもしました大規模な犯罪が起きたときに、この制度のもとにおける日本の警察が、はたして犯罪を未然に防止または檢擧、捜査、逮捕することができるか危惧の念を懐いておるのであります。これは決して民主化することに私が反對しているのではない。民主化する上において、現在の治安を維持しつつ民主化する方法は他になかつたかと實は憂えておるのであります。
 そこでこまかい點について一、二お尋ねしたいのでありますが、第五條の國家公安委員會のメンバー五人を選ぶ場合第二項にいろゝ制限が加えてありますが、この制度の中に國會議員もはいるかどうか。國會議員は公安委員になれるか、なれないか。國會法の第三十九條の規定によつて、國會が承認した場合には國會議員もこのメンバーの中に加わることができるかどうか。このことについてちよつとお尋ねしてみたいと思います。
#21
○加藤説明員 ただいまのお尋ねでございますが、國會法の第三十九條には御承知であろうと思いますが、「議員は、その任期中別に法律で定めた場合を除いては、官吏又は地方公共團體の吏員になることはできない。」かように規定せられております。この國家公安委員は、本法の第六條によつて、國家公務員法第三章第七節の規定を準用するということに相なつておりまして、この第三章第七節は國家公務員のうちの一般職の公務員の服務に關する規定でございます。國家公務員法に官吏、吏員というふうな使いわけはいたしておりませんけれども、國家公務員法中の一般職の公務員は、實質上官吏に相當するものであるという解釋をとつております。そこで國會法第三十九條の規定によりまして、國會議員は國家公安委員となることはできないという解釋をとるものでございます。
#22
○鈴木説明員 通信のことですが、もう一邊誤解のないようにお答えしておきます。通信というものは自治體警察も管理いたします。それは下部組織にいたるものを管理する。と申しますのは、例をもつて言いますれば、立川市なら立川市の警察というものは、立川市内の派出所であるとか駐在所とかいうところにいつておる線は管理しております。しかしながら立川から青梅にいたる警察線その他に通ずる線は、これは國家地方警察が管理する。從つて今通信線は御承知のように、警察通信というものは、大體九州から北は北海道にまで至つておりまが、その根幹になりまするものを國家警察がもつということであります。自分の區域内にあるものだけは、自治體警察がもつ。從つてどれが中軸であり、どれが支線であるかはおのずから明瞭であろうと思います。その意味を申し上げたのであります。
#23
○石田(一)委員 國家公務員法の第三章第七節の規定によつて、この公安委員をいうものは、はつきりは書いていないけれども、官吏、公吏というふうな公務員ということにまず解釋して、三十九條の「議員は、その任期中別に法律で定めた場合を除いては、官吏又は地方公共團體の吏員になることができない。」ということに限定されたようですが、この第三十九條には、いわゆる例外の場合が規定してあるのでありまして「議員は、その任期中内閣行政各部における各種の委員、顧問、嘱託その他これに準ずる職務に就くことができない。但し、法律で定めた場合又は國會の議決に基く場合は、この限りでない。」こうなつておるのでありまして、法律で定めた場合ももちろんいいし、また國會の議決に基く場合にはなれるという例外があるのです。この例外規定がここに適用されるかどうかということをお尋ねしたいのであります。ぜひこの點ははつきり御答辯をお願いしたいのでありあます。
#24
○加藤説明員 ただいまのお尋ねでよくわかりました。この問題は重要な問題でありまして、關係の方面と打合せを遂げておりませんので、この次まで答辯を留保させていただきたいと思います。
#25
○石田(一)委員 これはこの次の御答辯によつて生ずると思いますので、國會議員がこの委員に任命されることが可能であるという前提のもとにこれを質問するということはどうかと思いますが、この次の會にこれを質問することを省く意味で尋ねてみたいと思うのですが、もし國會議員がこの五人の委員に選ばれることが可能である、適法である、こういうことになりますと、もし議會における各政黨が二大政黨の對立という關係になつた場合、この二大政黨から二人ずつ委員が選ばれて、殘る一人は絶對に國會議員であつてはいかぬという原則がここに立たなければ、第五條のいわゆる制限規定というものは何ら效力がなくなりますが、そう解釋していいか。いわゆる三人以上一つの政黨に属してはいけないと見られますから、二大政黨の對立になつたときには、四人は國會議員から選ばれていい、但し一人だけは絶對にそれ以外から選ばれるものでなければならぬという原則が、ここに立たなければならぬと私は考えておるのでありますが、この點に關して、未決定の問題に對して、假定に基いて御質問申し上げておるので、これも御答辯の保留があるのかと思いますが、この點も一應次囘の御答辯のときにまとめてやつてもらいたいと思います。
 さて、やはりこの第五條の第三號でありますが、「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政黨その他の團體を結成し、又はこれに加入した者」ということが規定してありますが、これはもう當然なことと思います。しかしかかる政黨であるという認定は何を基準にしてするか。すなわちその政黨が掲げておる政策を檢討して、これは暴力で政府を破壊しようと主張する政黨であると、その政策をもつてこれを認定するのか、その行動によつてこれを認定するのか。
 しかももう一つお尋ねしたいことは、この第三號に該當するおそれのある政黨が現在あるかどうか、この點もひとつ御答辯を願いたいと思います。
#26
○鈴木説明員 ただいまの第五條の三號でありますが、この政黨、團體というものに關しましての意味でありますが、これをは御承知のように、昨年の二月に成立をみておりまする勅令第一〇一號というのがございまして、この政黨、協會その他の團體の結成の禁止等に關する件、政黨結社の禁止の規定、これにありまして、大體こういうような憲法あるいはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政黨その他の團體というようなものに對しては、内務大臣が解散を命ずる。こういうことに相なつておるのであります。それでかような意味をもつておりまする政黨、團體というものへの加入者は委員になることができない、こう解釋しております。
 現在こういう團體が現實にあるかというような御質問でありましたが、これは現在のところはございません。こういうものがありますれば、内務大臣はこれに解散を命ずるということに相なつております。
#27
○石田(一)委員 現在こういう政黨がないということで、まことにわが意を得た次第であります。だから私がもう一つその點に關してお尋ね申し上げたいのは、そうし一憲法のもとに成立した政府を暴力で破壊することを主張する政黨であるとか、團體であるということを認定する基準は、その政黨の掲げて政策によるのか、それとも実行行為によるものか、それともその主義が、學説の通念上そういうものを含んでおるということからこれを認定するのか。その團體であり政黨であるということを認識するのが、何を基準にして認定するのか。こういうことがはつきりしていない場合には、この第三號の規定がはつきりしない。こう思うのであります。この點をひとつお尋ねしたいと思います。
#28
○鈴木説明員 ただいまのお尋ねの點でありますが、そういう政黨、あるいは團體が政策に、憲法もしくはその下に成立した政府を暴力で破壊するという政策を掲げておけば、もちろん該當することは問題はないのであります。しかしながら事實におきまして、そういう政策を掲げるということは、きわめて常識的に言いますれば、ないであろうと考えられるのであります。その場合におきましては、事實の問題としてこれを考える以外にはなかろうかと思います。あるいはそういうことに對する實行行為があつた、あるいはこれに對するところの、客観的具體性をもつところの行為があつたということによりまして、判定を下す以外にはなかろうかを思うのであります。
#29
○石田(一)委員 しつこく聴くようですが、ある政黨が、過去においてわれわれは暴力革命を主張したが、現在の日本の段階ではすでに軍隊もなく、また警察力もまことに微弱であつて、なにもそんなものを覆えすのに暴力革命は必要じやないから、合法的にまず機會を邊營することによつてこれをやつていくのだ、しかしながらこれは戰略上の問題であつて、今後武力を必要とするような場合には、そうでなければわれわれの主張が通せない場合には、それはそのときによつて、その戰略戰術を變える必要があるというようなことを、もし各地において座談會なり、または講演會なりで、その政黨のいわゆる幹部が演説をして歩いたり、そういうことを言つて歩いておる、こういう政黨に加入しておる者でも、現段階では合法的にやると言つておるのだから、これはこの三號には該當しない、こう解釋していいわけでございますか。
#30
○鈴木説明員 この法律の制定のときにおきまして、あるいはまたこの法律によりまして委員を任命するときにおきまして、具體的、客観的に、憲法あるいは政府は暴力で破壊するというようなことを主張するという認定がつきましたならば、委員になることができない、かように解釋しております。
#31
○石田(一)委員 なるべくこの點、はつきりと基準を定めておやりにならないと、今後この制度における公安委員會なるものは、特に自治體における公安委員會は、運營管理の權限までもつておりますので、非常に危険な状態が起つてくるのではないかと私は憂うるのであります。むしろ暴力によつてすべてを解決しようとするようなおそれのある者まで、これにはいるのではないかと私たちは考へておるのであります。ただこれを客観的に、あるいはその事實に、あるいはまた政策に、これが現われていないからといつて、そのおそれがあるのに、これらの者を警察の根幹をなす公安委員に選ぶなどというようなことがあつては、私は國家の治安を維持するどことか、それらの人口によつて任命された警察官吏が一挺々々ピストルを持つて、何とかときと場合があれば、これで政府を轉覆してやろうというような者ばかりが警察官であつたら、とんでもないことであると私たちは恐れます。そういうことが杞憂で終れば結構でありますが、の各地の公安委員會の委員が任命されるときに、十分なる檢討と人選とを必要とするのではないかと思います。
 次に委員の罷免に關する問題でありますが、第八條には、「内閣總理大臣は、委員は心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、兩議院の同意を經て、これを罷免することができる。」こうなつておりますが、これは罷免するかしないかということが内閣總理大臣の權限にあるのであつて、内閣總理大臣が罷免しようと思うときにのみ兩議院の同意を得ることができるのか。それとも、たとえば解散前の兩議院が公安委員を認めた、しかし解散後の兩議院が、この公安委員は實に義務違反その他委員たるに適しない非行がたくさんあるというようなことを認めて、解散前の議會が承認したことを覆えして、承認しないという意思表示をしたときにも、内閣總理大臣はこれを罷免することができるかどうか。内閣總理大臣が議會に諮らない以上、兩議院はこれを承諾するとか承諾しないという意志表示ができないのか。この點を一つ御答辯願いたい。
#32
○鈴木説明員 第八條に規定をいたしておりますように、罷免は内閣總理大臣がこれを國會の同意を得て行うことになつておるのであります。從つて國會が發議をとつて、委員があるいは心身の故障のために執務ができない、あるいは設例のような場合に罷免權を發動するということはできないでありますが、事實問題といたしましては、内閣總理大臣に正式にあるいは非公式にその事實を言いまして、内閣總理大臣の罷免權の發動を求めるということは、事實問題としては可能でありましようが、この法の建前から申しますれば、そういう權限は國會にはない、かようにお答えをいたさなければならぬと思います。
#33
○石田(一)委員 そうしますと、内閣總理大臣が罷免權を發動する場合に、議會に諮ることがこの法規においては許されているので、議會みずからが發議することは實際的にはあり得るかもしれぬが、法的にはそれは許されていない。かくなりますと、今まで多數黨であつた一つの甲黨が總選擧の結果少數黨になり、今まで少數黨であつた乙黨が總選擧の結果多數黨になつた場合に、おそらく内閣總理大臣は國會の指名によつて任命されるのでございますから、總辞職してかわります。かわつた場合に、この總理大臣が委員たるに適しない非行があつたと認めた場合であるならば、議會に諮つて自分の與黨が多數であるから、これを全部でも罷免ができるかどうか、この點が非常に疑問になると思うのであります。この點についてどういう御見解をもつていられるか、ひとつ伺いたいと思います。
#34
○鈴木説明員 委員に職務上の義務違反であるとか、あるいはその委員たるに適しない非行があつた場合におきましては、内閣總理大臣は兩議院の同意を經ましてこれを罷免することに趣旨は相なつております。みだりに罷免權を、理由なくして行使することができない反面の規定を有しておるのであります。從つてこういうような委員たるに不適當である、適しない非行があつたような場合におきましては、内閣が總辞職をして次の新しい内閣がでたからする、あるいはそういうような場合がなければしないという問題にかかわりませず、いついかなるときにおきましても、そういうような事實があつたときにはすべきものであろうと思いますし、またこういうことがないときに、非行がないにもかかわらず罷免するということは、なすべきことではなかろうと考えているのであります。御質問の趣旨にお答えしたかどうか存じませんが、この法律上の問題といたしましてはさように考えているのであります。
#35
○石田(一)委員 私は法律を、なにも悪い場合ばかりを考えて、悪く解釋しようというものではありません。ただ先ほどの御説明に、警察制度の民主化をはかるためにこれを御提出になつたという御説明でありますので、民主化ということが目的であるならば、今までの議會によつて選ばれていた公安委員の選ばれた根據は、總選擧によつて一擧にくつがえされたのであります。くつがえされた結果、議會の政黨の分野においては、過去において選ばれた公安委員を認めないのであります。總選擧の結果國民の意思が全然違つた方向に現出された、選擧の結果その議會が今の公安委員を承認しないという立場にあるのに、なおこれが總理大臣によらなければ罷免されなかつたり、あるいはまたこうした場合に總理大臣が罷免するということは、ここに書いたはつきりした條件にかなつていないからそれができぬということになりますと、はたしてこれが民主的であるかどうか、ほんとうにこれが民意を反映しておる公安委員會であるかどうか。要するに議會の承認を得るということが委員に選ばれる條件であるならば、議會の構成が百八十度に變つたときには、もちろんこの公安委員會も議會のあり方と同じように變るべきではないか、こういうふうに私が考えることが眞の制度の上の民主化ではないかと考えるのであります。
 それとともに、これをまたおそれるのであります。民主化なるほど結構ですが、總選擧のたびに警察の根幹をなす公安委員會が、いつももぐらついてくるということをおそれるとともに、また制度の民主化をする上には、それがなければ眞の民主化ではないと私思うのでありますが、當局はこの點についてどういうふうにお考えになつておりますか。私はこの點に非常に疑問をもつているので御質問したわけであります。
#36
○鈴木説明員 公安委員の資格と申しますか、公安委員たる人の性格につきましては、この法案を通覽していただくとわかりますように、その間に政治上の爭いとか、政治的な色彩を濃厚ににもつということを避けたい、警察をしてそういう圏外に立たしめて中正な道を歩かしめたい、というのがこの委員の前提の適格條項などに盛られている趣旨であります。從いまして、その趣旨によつて選ばれた警察の公安委員は、總選擧の結果ある政黨が今までの第一黨に打勝つて政界の分野が一變したことによつて、ただちに公安委員も變更しなければならないというような、政治的な理由が生じないような委員を選ぶという建前に、この五條以下の規定もなつております。私どもの考えております趣旨からいたしますならば、公安委員會といたしましては、ある一定のなれない資格をつくりますると同時に、公安委員に選定された者が行政權の發動によつて、みだりに罷免をされるということを避けるために第八條の規定がありまして、一定の條項に該當する以外には罷免されないという保護的な規定を置き、あるいはその任期を五年、あるいは地方の公安委員會におきましては三年にきめるというような趣旨は、ある一面におきましてはこれを制限いたしまするとともに、ある一面においてはこの地位を保障する、かような趣旨に出たものであります。從いまして、總選擧の結果從來の政黨とがらつと變つたために、前の公安委員を罷免して別の公安委員を出さなければならぬということには考えておらぬのであります。ただいまの石田さんの御質問の、御心配になつておりまする趣旨はわかるのでありますが、この法案の精神といたしましては、さような事態が起らないように考えて立案をいたし、運營をいたしたいと考えておるのであります。
#37
○石田(一)委員 私もただいまの御答辯のようにあつてほしいと思うので、こういう質問をするのでありますが、もしこの公安委員が政黨の分野によつて左右されない、いわゆる儼然たる政黨に偏しない性格をもつた公安委員會をつくろうとなさるのならば、國家の公安委員會、あるいは都道府縣におけるところの公安委員會、また市町村における公安委員會のメンバーを選ぶのに、絶えずその地方の縣知事が、その府縣會議員に諮つて公安委員を選ぶということになつておりますが、國家の總理大臣が國會に諮つて國會議員の同意を得て選ぶ、都道府縣知事が府縣議會に諮つて府縣會議員の同意を得て選ぶ、それでは政黨色をもたせるなと言たつて、これは政黨色をもつのであります。それほど正しい公安委員會をつくろうと思うのならば、なぜ公選にしないのか。それが眞にあなたたちのおつしやる意に適うのである。その土地で選ばれたいわゆる地方長官、また總理大臣はほとんど一黨の總裁がなります。その者が選ぶのでありますから、これでは政黨色は儼然とはつきりしたものです。しかもその同意を得て選ぶという議會の構成は、政黨人ばかりでできているのであります。にもかかわらずそれに選ばせておいて、その選ばれた者が政黨に属さないようにということは、全然これは論旨が支離滅裂であると言わなければならぬのであります。ほんとうに政黨に属さないものならば、この適格條項に從つて候補者をたてて、これが地方自治體あるいは國家の選擧に選ばれれば、いわゆる最高裁判所長官が國會の總選擧のときに、その任に留まるかどうかということの可否を同時にやるように、いわゆる國民投票というような意味によつてこれを選ばせるのならば、それは今おつしやるような意味になると思うのですが、このままではいくらそういうような氣持であるとおつしやいましても、そうはなりません。總理大臣がまぎれもない政黨人であり、しかもその總理大臣が同意を得ようとする國會が政黨なんですから、國會の同意とは滿場一致同意とは書いてありません。國會の同意ということが成立するためには、半數以上をもつている一つの多數黨が同意したならば同意になり、他黨が反對しても差支えない。こういう場合に政黨色がないなどということを考えるということは、およそ夢みたいな問題で實際とはかけ離れている。この點について私は、この公安委員會の委員はぜひとも公選にさるべきものであると考える。公選におることが――特にこのために選擧を行うということが、實際上の問題として、また地方の財政的な面からいつて不可能であるならば、府縣會議員あるい市町村會議員を選擧するときに併せてこれを選ぶ。まず第一囘はこういう方法により、大體今後はこういうふうにする。あるいは國會議員の選擧のときに、第一囘目に選ばれた者のいわゆる信任投票的なものを併せて行うようにしたならば、眞にただいまおつしやつた意味における性格の委員會ができると私は考えるのでありますが、この點についてぜひ御意見を承りたいと思うのであります。
#38
○鈴木説明員 ただいま委員を選任する内閣總理大臣は政黨人であり、議會はまた政黨の結集であると言いますが、政黨的色彩をもつたものであることは當然であります。しかしながら公安委員という性格は、以上申し上げましたような性格をもつたものでありまするが、この場合における總理大臣は、政黨人であるというよりは、一國行政の長であります。その者が公安委員としての適格者を選び、これが政黨的な分野でありますところの國會の同意を得るといたしましても、必ずしも公安委員が、そこにおいて政黨な色彩を全部もたなければならぬということには、相ならぬかと存ずるのであります。むしろ、同一政黨に属する者が二人に限定されておるという趣旨から考えましても、さような趣旨が減り込まれておるのでありまして、この警察運營に當りまする公安委員が、適當な人選をこの方式によつて得られるというふうにいたしたいと考えておるのであります。最も民主的な方法としては、それなら公安委員を公選にしらいいのじやないかというような御意見でありまして、まことに一つの御意見であろうと思うのであります。公選も一つの方法には違いないと思いますが、初期期の制度でもあり、また一般に廣く公選といいましても、公安委員の性格なり、あるいはそのどういう人を選ぶかということにつきましては、現段階におきましては國會あるいは地方議會の議を經まして、これを任命し罷免するという方法によりまして、この民主化が達成できるというような考えのもとにこのような制度にいたした次第であります。
#39
○石田(一)委員 決して内務次官に楯つくわけではありませんが、ただいま御答辯くだされましたことは、全部私の主張が正しいと證明してくだすつたことになると私は思います。結局私の言う公選ということが眞に民主的な方法であるということも、一つの意見だとおつしやいましたが、一つの意見どころか、そうする方が一番民主的なのでありまして、總理大臣が公安委員を選ぶのに、現段階ではどれがいいかと選らで、それを國會に承認させるという現段階の國家のあり方を見て、それが民主的だなどとは、おそらくお考えになつていないと思います。そうすると私たちに言わせれば、これは警察制度の民主化が目的だと言われるけれども、すでに公安委員を選ぶのに眞の民主的な方法によつて選んでおらぬということで、これは民主化ということが表面の理由であつて、事實は民主化されておらぬ。こういうことにもこの法案の缺階がある。こういうふうに私は考えております。實際問題として、この第五條か何かに委員になれないものの制限が加えております。たとえば職業的公務員であつた者はなれないで、素人ばかりが選ばれるのですが、素人ばかりを選ぶのだつたら、なにもこの者がいい、あの者がいいと總理大臣が選ぶ必要はないのであります。素人だけ候補者に立てて公選にすれば、それでいいのであります。私はそれが民主化されたものだと思ふのでありますが、今の御説明ではまだ十分納得ができませんし、たいへんお苦しい答辯だと私は思います。
 まだ他にこまかい質問をもつておるのでありますが、聞くところによると、これには審議の期限があるとか、なるべく早くとかいうお話でございましたが、日本の警察制度を根本から變えようというようなこんな大きな重大法案を審議するのに、審議をする時間あるいは日數に制限をつけなければならぬ、それほど差迫つてただちにこの法案を實行しなければならぬというほど、この法案が萬全なものではないと思います。まだまだこれを審議したならば、ただいまの公安委員の問題にしても、あるいは先ほどお尋ねしたら、まだちよつと研究して次囘に答辯するとおつしやいましたように、國會議員が公安委員會の委員になれるかどうかということさえ、まだはつきり御答辯が得られない。こういう現状にあるのに、これをすぐに討論にかけて採決にもつていこうとする委員長あたりのお考えのようでありますが、これはいかがなものでございますか。もうちよつと時日をかしてもらつて、ゆつくりひとつ研究を遂げて、公聴會か何かを開いて、専門的な人たちを呼んで、眞に萬全を期した警察法をつくつて、われわれ國民の治安を維持する。眞にその目的を達成するというりつぱな警察法をわれわれが制定してこそ、私たちは國民に選ばれた選良としての義務が盡せるものと思いますが、この點を委員長に一ことだけお伺いいたしまして、私の質問をまず一應留保する形で打切ることにいたします。
#40
○鈴木説明員 委員長に御質問でありまして、私からかれこれ申し上げる筋合いではありませんが、御参考までに私どもこの警察制度に對しまする立場を申し上げずして併せて御了解を得たいと思います。
 この警察法案は、まことに御意見のごとく、日本の警察制度を根本的に大改革をいたす法案であります。その意味においては、非常に重大な法案であることは、仰せの通りであります。しかしながら日本の民主化を推進する、民主化の徹底ををするということは、至上の急務でありますし、また一面、講和條約も近づいておることも豫想せられておるような國際關係にあるのであります。さような意味合いをもちまして、愼重に御檢討を煩したいと存じますが、時間はなるべくできるだけ早い機會に、この法案の成立いたしますることを、當局としては切にお願いをいたしておるような次第であります。この邊の點は御了承をお願いいたしたいと思います。
#41
○坂東委員長 ただいま政府側の説明の通りで、私個人が別に急ぐわけではありません。事情を御了察願います。
#42
○大石(ヨ)委員 ただいま石田委員がおつしやいましたことは、私は非常にもつともと思います。しかしただいま石田さんがおつしやいましたのは、われわれが過去においてこの場所で質問した點が多々ございまして、非常に重複しております。ただこの問題は重大なる問題でございます。ゆえにわれわれは、この國會の治安委員會の意見として、私たちがお互いにその思つておる點をここにもち寄りまして、それを理事のお方に審議していただいて、御相談願いたいと思うのでございます。ここでいろいろ審議いたしておりましても、時間の問題がございます。それでこれは審議も愼重を要します。私も先申しました公聴會を開きたい。公聴會を開くにしても、警察の人二人、民間の人八人くらい呼んで開きたいということを先刻申しました。けれどもここで申しましても、時間をとるばかりでございます。自分たち治安委員會の者が意見をもち寄りまして、それを理事會にかけて、愼重な態度でやつていきたいと思うのでございます。あまりに同じ問題が重複して、ここで時間を重ねますから、重ねて委員長にこれを私はお尋ねしたいと思いますが、いかがでございましよう。
#43
○坂東委員長 その點は十分に了承いたします。
#44
○門司委員 ちよつとお聴きしておきますが、先ほど石田委員もお話になりましたように、きわめて重要な問題で、しかも審議を急がなければならないという實情にあることを承知しておりますが、そこでこの法案の施行は、おそらくこの法案が決定して九十日後になりますので、今議會で決定をいたしましても、來年の三月になるかと思いますが、次の議會でこの法案は修正することが可能であるかどうか。これを一應先にお聴きしておきたいと思います。
 立つたついでに申し上げておきますが、法案自體を見ますと、非常に杜撰な點がありますし、また重なつて、われわれが考えなければならない點があります。この附則の中にある、この法律によつて衆議院議員選擧法を改正するとか、参議院議員選擧法を改正するとかいう、附則の十五條から十八條でありますが、これはこの法をもつて他の法を改正するというような複雑なことになるかと思います。これは便宜上こういう字句を使わないで、これはいろいろといきさつがあると思いますが、たとえばこの法案が通過しなければ、全部向うの法律が活きておる。從つてこの法案の施行を見なければ、そういうふうに改正することができないというような意味があるとしますれば、この法案の施行に際しては、地方自治法その他の法案をこういうふうに讀み替えるというような字句に改めておくならば、そういう弊害は起らないのじやないか。そうしておのの地方自治法の改正なり、あるいは参議院議員選擧法の改正なり、衆議院議員選擧法の改正等のときに、この法案に必要なものは當該の法律案を改正しておくという方が、私は正しいと思いますが、そういう御意思が當局にあるかどうかということを、一應お聴きしておきたいと思います。それから公安委員の缺格條項の中に、禁錮以上の刑とありますが、これは當然新しい憲法のもとに廢止されました治安維持法とか、國防保安法とか、機密漏洩に關する法律とかいうものは、全部廢止されたのでありますが、これら特殊な犯罪に觸れておつた者は、これには觸れないものであると解釋しますが、そういうふうに解釋していいかどうかということをお聴きしたいと思います。
#45
○鈴木説明員 最初のお尋ねにありましたところの、この警察法を次の議會で修正ができるかどうかという問題であります。國會の意思が意思が、修正をするというような御意思がありまするときには、國會の權能としてできることは當然であろうと思います。以下の點は他の政府委員から申し上げます。
#46
○加藤説明員 まず附則第十五條以下の規定の問題でございますが、お話のような方法ももちろんあるのでございます。ただ私どもとしては、門司委員からお話がありました通り、これらの事項の改正は警察法と一體をなすものでございまして、警察法が成立すれば當然ただちに改正されませんと、動けないような規定が多いのでございます。成立されませんければ、こういうふうな改正は要らないので、規定したような次第でございまして、適當な字句で讀み替えするようなことができますれば、またこれも一つの方法であると思うのでございますが、市町村の公安委員というようなものは現在の制度にはございませんので、どうしてもこれは法の改正によつてはつきりといたしておきませんと、いろいろな點で疑問が起るだろうと考えたような次第でございます。
 次に法案の第五條の第四項の第二號にございますが禁錮以上の刑に處せられた者などの中に、治安維持法等で處罰せられた者は、はいるかはいらないかというお尋ねであつたように思いますが、この點については昭和二十年の勅令第七百三十號によりまして、治安維持法、國防保安法、軍機保護法、新聞紙法、出版法、その他三十五ほどあげてございますが、この三十五の列記に該當する罪を犯しまして、勅令第七百三十號の施行前に刑に處せられました人の資格に關する法律の適用については、將來に向かつてその刑の言渡しを受けざりし者と見做す、かように規定してございますので、禁錮以上の刑に處せられましても、人の資格に關する法令の適用といたしまして、この點は適用がない、禁錮以上の刑に處せられたものとしての適用を受けないと解釋します。
#47
○門司委員 なお重ねて申し上げたいと思いますが、附則の問題につきましては、これは政府自體に申し上げておきたいと思いますが、今囘の國會に提案されました法律の中には、こういう形で現われておりますものが二、三あるように聞き及んでおりますが、こういうことが例になつてまいりますと、非常に新しい法律をたくさん要求しております時代には、法律自體が輻湊してまいります。そして非常な疑惑を生じやすいおそれが多分にあると思いますので、この點を御研究願いたいと思います。
 それからもう一つお伺いしておきたいと思いますことは、地方自治警察の中の、五千以上の人口を有する市街地を形成した土地の認定でありますが、これはきわめてむずかしいと思いますが、これに對しては法律の定めがございませんので、ただ法律には、最近において發表された人口五千以上の市街地ということがうたつてあるだけでありまして、これの認定は警察官の總數の上に多分の影響を及ぼすものと思いますが、この認定における基礎條件と申しまするか、基礎づけるものを明確にお示しになつておいた方が法の施行の上に非常に都合がよいと考えておりますが、この點はどういうふうにお考えになつておりますか。
#48
○加藤説明員 ただいま市街地的町村をいかに認定するかというお尋ねでありますが、私どもの考えておりますのは、これに類しますものといたしましては都市計畫法とか、市街地建築物法、それから市制を施行いたします場合の一應の認定の基準というものがございます。これらのものをいろいろ考え合せまして、最も市街地的町村という條件に該當するもので、警察の責に任ずるに適當な町村を認定したいと思うのでありまして、その基準が法律等で正確に規定できますれば、これまた一つの方法であるかもしれないと思いますけれども、ただいまのところでは、そういうところまで適當な規定ができないのではないか、こう考えておるような次第であります。
#49
○坂東委員長 ちよつと速記をやめて。
    〔速記中止〕
#50
○坂東委員長 速記を始めて。
#51
○門司委員 大體の意見は了承することができますが、そうなつてまいりますと、なおさらめんどうな問題であつて、基準が明確になつておりませんと、一體だれがその基準をはつきりするかということであります。たとえば町村において人口五千以上の村であつて、どうしても自治警察をもちたいというような意見をもつ自治體があるといたしますれば、おそらく制限を加えるというようなことが非常に困難になつてくる。そうなつてまいりますと、實際問題として警察官も限られた數においては、その配置が非常に困難になるという形が、實際上必ず生じてくるように考えられますから、なお重ねてその點の考慮を煩わしておきたいと考えております。これは法令で定められなければ、政令か何かでこれを定めるという一つの條項を入れておいていただかなければ、實際の運營にあたつて認定するときに非常に困ると考えておりますのと、さらにこの認定權はどこかの官廳がもつかということを、併せてお聴きしたいと考えております。
#52
○加藤説明員 ただいまの門司委員のお考えの點は、私どもわかるのでございます。たださようにいたしまして、はたして現在のような事情のもとにおいて、關係者一同の滿足するような結果に該當する規定が、うまくおけるかどうかという點につきまして、實ははなはだ困難な状況に當面しているのでございまして、なおこの御意見の點につきましてはよく研究してみたいと思います。
#53
○坂口委員 私は最初に質問をいたしましてお答えがありましたが、それについてなお納得のゆかぬ點を二、三お伺いしたいと思います。私不在の間にあるいは問題が出ましてお答えがあつたかとも思いますが、そういう場合にはお省きを願います。
 第一は公安委員の資格の問題であります。これは職業的公務員というものについて、どうしてもこの法の中に規定をしなければならぬということであるかと思いますが、私は先般も申しあげました通り、これは形式として非常におかしい。恆久法でありますところの警察法の中に、公安委員の缺格條項のうちで、この職業的公務員というものをどこまでも入れるということについては、どうしても納得がゆかぬのであります。他の方法で、他の形式で、これを排除するというようなことができるのであるかどうか。先般それをお伺いしたのでありますが、政府委員からその形式の點においては御答辯がなかつたから、他に何か方法はありませぬかと、例をあげて申したのでありますが、その點についてはつきり御答辯を願い、なお實質としましても、一體こういうことで排除されましたならば、日本のように公務員の多い國におきまして過去、現在、未來にわたつて公務員の經歴をもつた者すべて排除することになりましたならば、一體國民の何パーセントくらいから公安委員として任命されることになるか。公安委員になる資格があるかということについて、およそ當局でも御檢討なつておると思いますが、その點も實質としてお伺いいたしたい。
 次は都道府縣知事と地位といいますか、その點について、どうもこの案によりますと、全然極限がない、つまり地位を認められていない、從つて都道府縣知事の警察行政運營の上に今後何らの發展性がない。ただ單に公務委員を任命するというだけであるようであります。たとえば、都道府縣の警察署長の任命にしましても、何ら權限がない。つまり人事については、直接的にも間接的にも何らの權限がないという點。
 もう一つは、財政上の點において、國家地方警察の費用は、全部國庫でこれを支辯する建前になつておりますので、そうすると都道府縣の財政でこれを分據する、そこからまた發言するということも、これまでは閉じられているようであります。また實際の警察の運用といたしましても、私どもは臺灣で經験がございますが、國庫のみによる警察費の支辯は、理屈として非常にすつきりしているようでありますが、しかし實際問題としては非常な弊害が起るということは、國庫による豫算というものはきちんとして、なかなか融通がつかぬのであります。從いまして實際問題としましては、警察を運營をしていきますそれぞれの事情におきまして、必ず警察雜費というものは地方民の寄附という形でとられる。そうしますと、各地方の間において、寄附その他において競爭ができるというようなことから弊害もおきます。またこういう權力をもつた警察の費用を、寄附によつてやることになると非常に弊害がある。その方面からも、私はやはり都道府縣の現在行われておる分け據制度というものを加味しておくことが、最も適當であると考えるのであります、この點に關して御答辯を願いたいと思います。
 いま一つは、この前御囘答をいただきましたが、なお納得ができませんのは、結局警察管區の別表の問題であります。私はこの別表そのものについて、非常なむりがありはせんかと考えます。また特に九州地區につきましては、福岡に管區本部を置かれるということは、先般通信上の關係というようなことを言われたのでありますが、一體福岡にどれだけの通信施設、警察施設があるか。それよりも私は長くあるべき管區を決定するには、やはり交通上の關係というものを尊重して、ここに重點をおいて、それから漸次施設替をする、無電の施設、有線にしても方法は必ずあると思います。しかし、もしどうしてもそれができないという具體的な理由がございましたら、現在ある警察通信の施設の種類、あるいは能力の詳細をお示し願いまして、さらに考えたいと思います。
#54
○鈴木説明員 お答えをいたします。一番初めの、職業的公務員を缺格せしめるに、他の方法がないかという御質問でございます。實は前囘お尋ねがあつたようでありますが、私席におりませんので、聴き漏らしておりまして、御質問の趣旨を取違えておるかもしれませんが、この職業的公務員を缺格するということは、わが國の實情といたしましては、はたしてそういうようなことをやつて適當な人選が得られるかというような御心配から出た質問と存じます。しかしながら一面考えてみますと、こういうような方々は、また同時に多分今までの經歴におきまして、從來の型と申しますか、性格と申しますものをつけておる。この新しい警察制度の刷新のときにあたりましては、そういう古い型とも申しますか、そういうようなものが適切でないという趣旨から、この規定を設けたような次第であります。現在の日本におきまして、しからばこういう職業的な公務員が何パーセントになるかということは、現在のところ調査したものがありません。ただ常識的に申しまして、われわれの住んでおります町や村、あるいは區なりにつきまして考えてみまして、およそどのくらいになるかという程度の推定をくだすに止まつておりますが、數字的にこれを一割とかあるいは五分とか申し上げることは、私どもといたしましては、はなはだ困難を感じておる次第であります。
 なお都道府縣の公安委員會、あるいは都道府縣の國家地方警察に關しまして、知事の權限がないという御質問でございました。これの考え方は、大體國家地方警察といたしまして、都道府縣の公安委員會の關與をいたしております第一線まで含めたものを一括いたして、國家地方警察というような観念でいたしておるのであります。從つてこれにつきましては、この法文によりますと、行政管理、あるいは運營管理、いずれとも都道府縣の知事の權限には属しておらぬのであります。ただしかしながら、運營につきましては、府縣知事の意見をある程度反映せしめるることが必要であろうというのが、この都道府縣知事の所轄のもとにおいて、都道府縣知事の任命いたしまする公安委員會が、この運營、管理にあたる條項がありまして、これによつて國家地方警察の都道府縣單位に行われます運營は、この限度におきまして、都道府縣の知事の管理と申しますが、こういうようなものを滲透する餘地が殘されておるように法案は作成いたしておるのであります。
 それから都道府縣の警察の費用でありますが、原則としてこれは國家地方警察でありますから、國當の負據ということになつております。ただ當分の間――この當分の間はある機關続くと考えますが、その間は現在の負據區分によつて國庫と都道府縣がもち合う、いわゆる連帯支辯金の制度というものが施行さるわけであります。この問題は相當將來に大きな問題をなすのでありまして、御指摘になりましたように、寄付金で警察の廳舎をつくるとか、いろいろなことをやつておるということは、事實私も率直に認めておるところでありますが、さらに將來、國家地方警察の費用を國庫が負據するという原則を行いますには、國家警察の要します經費が相當豊かなものがなければならぬということは、私が確信しておるところであります。かりにこれが自治體警察というよな方面より、その施設なり、装備なり、その處遇なりにおいて、劣るところがあつては、國家警察として非常に大きな問題であろうと考えます。この寄付金を集めるとか、公共團體の費用によつて賄うということをなくして、國家地方警察の基礎を強力なものにしていくために、國費の費用負據を相當増大いたすことも、またやむを得ないでしようし、またそうしなければ、國家地方警察というものが生成發展していくことはできなかろうと考えております。
 最後に警察管區の別表の問題ですが、これは先ほど御質問がありましてお答え申上げた通りであります。いろいろと經過はございましたが、あるいは通信施設の點とか、あるいは現在における行政區畫、行政編成上の問題とか、あるいは經濟的な關係、政治的な問題、他の行政官廳との關係等を考えまして、あの六管區竝びに本部の所在地を選定いたしましたような次第であります。なお通信器材の問題が出ましたが、私的確な數字は覺えておりませんが現在六つの管區の所在地を變更するという問題が前にありましたが、それをいたしますと、その中四つの管區の所在地の本部を移動させるというだけに要する費用――これは私の記憶が間違つておつたかもしれませんが、私の今覺えておりますのでは、費用にして二億円、資材にして銅線が一千トンでありましたかを要して、現在としてはなかかその資材を出すことができ難い。もちろん、これには電線その他は入つておりませんが、そういう説明を聞いたように覺えております。この數字は的確でありませんから、その點は御諒承願いますが、通信施設、器材の點をとりましても、そういうような障害があるというように覺えておる次第であります。
#55
○坂口委員 今お答えをいただきましたが、私はその三つの問題も十分納得いたしかねる。職業的公務員がどのくらいあるか、それ以外のものがどのくらいあるかをお考えにならないと、實際公安委員會が立派に運營できるかどうか確信がつかぬだろうと考えます。これは村とか何とかで考えればわかるというお話でありましたが、しかし非常に大きな數だろうと思います。また新警察法が發足する當初においては、そういう經験なり、色彩なり、古い型のないものがよいというお話のようでしたが、これは恆久法であつて、今後職業的公務員、現在二百五十萬ある人が、將來それにはいる人も加わる。過去から現在、未來、永久にそういうものが排除されるという恰好の法律である。これは他の方法で、排除する必要があれば排除すべきである。また實際問題として、一體その全部を除いて適當な人が、あるかどうかということは、やはり親切にお考えにならなくてはならぬ問題である。これはとにかく二、三箇月たてば、これによつて重大なる警察の仕事をやつていかれるという場合でありますので、非常に大事な問題であると思うのであります。その點について重ねて、何か他の形式がないかお考え願いたい。
 それから都道府縣の知事の地位につきましても、知事が管理者であつて、委員會の任命をするから、それで知事の意思が反映する、影響するという意味のお話でありましたが、私はこれは絶對しないと思う。この法文の形式からいいましても、實質上もしない。知事はこの警察の運營なり行政について全然關與できない立場にある。私はどうしてもこの注文からそうしか思えない。ただ知事の、法規の關係でなく、その人の個人的品格なり、識見なりによつて影響されるなら別でありますが、そういうことが問題ではない。その點について、もう少し親切にお教え願いたい。
 第三の問題につきましても、もう少し具體的に資料を提供していただいて、私も虚心坦懐に考えますが、どうもいろいろ諸條件によつてこうきめたというようなお話は、ただ原案が適當であろうというようなところで賛成しなければならぬ恰好になる。もう少し親切にお話願いたい。そうじて、内務省が解體されるために、はなはだ失禮でありますけれども、警察法についても非常の御苦心なさつたことについては、十分了承いたし、想像いたしておりますけれども、しかしながらすべてに、なんらかもう少し熱意と親切みをもつて、この法案の立案についても、またその將來についても、また本委員會における御説明についても、お願いせんければならぬと私は考えます。内務省が解體されますがゆえに、この畫期的な新警察制度というものが重大であればあるほど、このあと始末――あと始末というとはなはだ失禮ではありますが、これに十分、熱意をもつていただきたい。これはむろん熱意をもつておやりくださつておるのに違いないのでありますが、しかし今少し警察の將來の運營について、親切な熱意をもつて對處していただきたいという氣持をもつております。
#56
○鈴木説明員 内務省が解體になるにつきまして、警察法その他の問題につきまして熱意を缺いておるのではないかというようなお叱りを受けましたが、まことに當局といたしまして恐縮に存じます。ただ内務省といたしましては解體はいたしますが、この大きな警察法の問題を初め、その他解體後に伴いまする新しい制度の發足にあたりまして、十分にこれが運營がうまくいきまするように、また日本の將來につきまして、これが一つの大きな段階として發展の道が開けますように、十分なる努力を傾け全力を畫して、これにあたらなければならないと考える次第でありまして、もしそういうふうに見られる點がございましたならば、ひとつ十分なる御叱正と御指導を煩わしたいと思います。
 なお、ただいま私がお答え申したにつきましては、いろいろと重ねて御質疑いただきました。第一の職業的公務員の排除を、何かほかの方法でやれないかというお話でございますが、實はこの問題につきましても、今日まで關係方面とも種々折衝いたしまして、御説にありまするように、こういうものを排除いたしまして、そうして適當な委員が得られるかどうかというような點も、十分に考えなければならぬ點であります。またこの法律できめてしまえば、これは永久的なものであるというようなことも、もちろん存じておるのであります。しかしながら何といいましても、新しい制度の出發にあたりまして、こういう古い殻を捨てまして、新しく踊り出すというためには、こういうような措置が必要であり、また日移り年變りまして、これの必要がなくなれば、そのときはまたそのときといたしまして、法案が修正されるという點は、この制度を實施いたしました上におきまして、あるいはここに止まらず、他にも出てくることかと存じます。
 なお府縣の知事が、公安委員會に對しまして、法制上何らこれに權限がないと仰せになりました。これにつきまして法制上におきまして、公安委員會を指揮し、これを命令するという權限のないことは、仰せによりましても明かであります。ただしかしながら、知事がこの委員會の所轄をいたしまして――所轄するという意味は、全體的にこれを管理するのでありまして、その内容といたしますところのおもな點は、公安委員を任命いたし、公安委員として一定の條項に觸れる場合におきましては、これを罷免する。もちろん地方議會の同意を要しまするが、こういうような權限をもつているのであります。そのもつております者は、全然この權限をもたない者に比較いたしまして、公安委員會に對しまして何らかの實質的な影響がないかどうかということは、お考えを願いたいと思います。私はこの意味におきまして、公安委員會におきましては、知事の意見、あるいは知事の縣政に對する方針というものが、反映する餘地があるというふうに考えておる次第であります。
 なお警察管區の問題でありますが、先般來申し上げておりますように、ただいまのところ、さような別表にありますように、諸種の條件と申しますか、あるいは機械、設備、資材の點であるとか、あるいは現在の他の行政官廳との問題であるとか、あるいはその地方におきまする經濟的、政治的な結合というような諸種の點を勘案いたしまして、かような管區竝びにその本部の所在地を定めましたような次第であります。なおこれに關しまして、九州においては福岡より熊本がよいというようなお説のようにも拜聴いたしましたが、これが福岡から熊本に移轉いたしますと、どういうような費用がかかり、あるいはどういうような資材が要り、あるいはまたどういう諸種の利害得失があるかということは、資料がございます限りにおきましては、次の機會までに調べましてお答え申し上げますから、御披見を願いたいと存じます。
#57
○坂東委員長 大體通告による質疑はこれで終りました。なお關連事項による質疑もあると思いますが、本日はこれをもつて散會いたします。明日は午前十時より開會いたします。
   午後五時四十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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