くにさくロゴ
1947/08/13 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第6号
姉妹サイト
 
1947/08/13 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第6号

#1
第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第6号
昭和二十二年八月十三日(水曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 天野  久君
   理事 庄司 彦男君 理事 中嶋 勝一君
   理事 原   侑君 理事 若松 虎雄君
      川合 彰武君    高瀬  傳君
      成田 知巳君    松谷天光光君
      松原喜之次君    吉川 兼光君
      和田 敏明君    坂口 主税君
      村瀬 宣親君    庄司 一郎君
      竹尾  弌君    受田 新吉君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        復員事務官   森田 俊介君
        復員事務官   上月 良夫君
        復員事務官   荒尾 興功君
        復員事務官   山本 善雄君
        厚生事務官   葛西 喜資君
        引揚援護院次長 大野 連治君
        農林事務官   山添 利作君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 復員者の國立病院有料治療及び農地
 問題に關する件
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長 それではこれより會議を開きます。
 皆樣にお諮りいたします。先般小委員會でおきめを願いました決議案に對して少々變更がありましたので、ここで申し上げますからどうかひとつ御了承願いたいと思います。前におきめを願いましたのは
 衆議院は、連合軍總司令部が海外同胞の引揚に關し、多大の盡力を傾倒せられあるに對し、ここに感謝の意を表すると共に、終戰後滿二箇年を經た今日なお、ソ連管轄地域、中共地區及び英軍管下に殘留する約九十萬同胞の急速なる歸還の實現を期する。
 政府またこれにつき全幅の努力を傾注すべきである。こうしてあつたのでありますが、その中の「ソ連管轄地域、中共地區及び英軍管下」を削除して、その代りに「各地に殘留する約九十萬同胞」、こういうふうに變更いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
#3
○天野委員長 御異議なければ右のように決定したします。
#4
○天野委員長 本日は國立病院及び農地問題等につきまして委員から質問の通告があります。これを許します。庄司彦男君。
#5
○庄司(彦)委員 厚生大臣にお伺いしたいと思います。國立病院の患者の費用というものは、從來は國家が負擔をしてこれを支給していた。しかるに今度これを私費にするということが發表されましたが、その實情を考えてみますに、國立病院に收容せられておる者は、日本におけるところの最も困窮者、竝びに戰地から病み傷ついて歸つてきた兵隊であります。まことにこれらの人々の状態というものは驚くべき悲慘な状態でありまして、昨年の陳情に厚生大臣はお立曽になつたこともありますが、あの白衣の兵士の陳情にも、まことにわれわれ普通の人の聽くことのできないような悲慘な状態を述べられて、その後多少その費用も増額されたような状態であります。殊にこの傷病兵たちの家庭の實情を各地からの陳情なんかで考え、またわれわれが實際に見ましたところによると、自分一家の働き手であり、自分一家の生活を支えておる若い者を出して、國家のためといつて耐え忍んできた。着物を賣りあるいは中には身まで賣つて生活を支えてきた者がある。しかるにこれらの人々が歸つてきまして、足らないながらも自分の病氣を養つておる。それが官費でやられても足らなかつた。しかるに今後これが私費になつたとすると、とうていこれらの人々は自活していけない。いきおい町に流れていくのでありますが、これらの人々の生活をどこに求めるかということをわれわれは考えたいと思う。國家の費用多端というこは、われわれよく知つておりますけれども、國立病院の費用を國が負擔しなくても、これらの人々が外へ出てどこか市町村あるいは縣その他において負擔すれば、結局國家が負擔するのも自治團體が負擔するのも、負擔するところは國家の費用であると思うのであります。何とかこの點を解決していただきたい。軍閥のことを今さら言うのではないけれども、國家がまいた種の果實は國家でかり取つていただきたい。これを私は質問するというより、特に厚生大臣の御奮起をお願いしたい。スエーデンなどにおけるあの國立病院の完備さを見、彈後あの疲弊、國家の危機とまで叫ばれておる英國すら、昨年の十一月には國立病院の費用は全部國家が負擔するということを實行しておるのであります。日本は負けたとはいえ、まだまだこれらの人人を養つていくことができないとは私は思わないのであります。どうかこの點厚生大臣の強い政治力をもつて解決願いたいということを、私は質問でなく陳情の形でお願いする次第であります。
#6
○天野委員長 中嶋君。
#7
○中嶋(勝)委員 ただいま庄司委員の御要望であり、厚生大臣の御説明まことに滿足に存ずるのでございますが、なお重ねてお尋ね申し上げてみたいと存じますことは、ただいまの生活保護法の問題でございます。
 第一に生活保護法の適用の範圍はどの程度でございましようか。家族が現に生活補助を受けておるもの、現に生活補助を受けていないが醫療補助を受ける必要のあるものを含むのかどうか、この場合これが査定竝びに支給の處理が適正迅速に行われるでございましようかどうでございましようか。
 第二に生活保護法の範圍を受け得ないもので、他に治療費の支出の途のないもの、この範圍はどういうことになつておりましようか。
 それから治療費の免除と豫算との關係はどんなものでございましようか。生活保護法の適用を受け得ないものに全面的に治療費を免除する御意思はないでしようか。もしありといたしますれば、いずれにしても國庫負擔でありますから、生活保護法の適用を撤廢されてはどうでごさいましようか。
 第三に伺いたいと思いますことは、生活保護法の適用の實施の現況はどういう状態になつておるのでございましようか。市町村が一割を負擔しておるのでございますけれども、これを出ししぶる市町村はありませんでしようか。
 次に生活保護法の適用を受け得ないものでも治療費を免除せられるとするならば、市町村としては生活保護法の適用を極力忌避するようになり、結局全面的治療費免除となるのではございますまいか。
 次に生活保護法の適用を受けるため病院及び市町村に煩瑣な事務手續を要し、勞力及び時間を浪費するのみならず治療費の支拂を遅延し、いたらずに患者に焦燥の感を與えるおそれはないでしようか。厚生省の治療費支辨の要領を病院、療養所及び市町村民主委員に普及徹底するためにとられた處置は、どういう方法をとられたのでありましようか、まずこの點をお伺いしたいと思います。
#8
○一松國務大臣 生活保護法によります入院料や藥價の免除ということに對して今私がお答えした通りでありまして、できるだけ生活保護法を活用してそういう人を救濟するという趣旨のもとに、生活保護法を活用するという私の考えでありますから、多少のことは活用の範圍において――そこが私の言う腹でいくということであつて、きちんと要件にあてはまらないとどうだとかこうだとかいうことになると、あるいは救助ができないというような點もあるのでありますから、それは具體的の事實に即應いたしまして、なるたけそういう人を苦しめないように、生活の保護ができるように、安んじて病氣を治療することのできるようにするという程度において、生活保護法を活用するという意味でありますから、そこは嚴格にとられてはちよつと困るのであります。
 それから豫算ですが、豫算はまだよほど殘つていると思います。今正確なことは覺えておりませんが、なんでも十何億か殘つているようでありますから、それは困りません。もし足りなければ、これは第二豫備金でも出せるのであります。
 それから生活保護法の現況ということは、私にはよくわかりませんから、事務當局から次の機會に答辯させます。
#9
○中嶋(勝)委員 第二にお伺いいたしたいと思いますことは、舊軍人軍屬の傷病患者の治療費支辨について、全面的に勞働者災害補償保險法を適用もしくは準用してはどうであろうか、この點でございます。これをお尋ねいたしますることは、勞災法では業務上の傷病の場合、療養補償、療養の實施または費用の負擔、療養間休業する者には、別に休業補償日分の六十があります。それから打切補償、療養開始後三年經ても治らない場合は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行ひ、爾後の補償を打切る。療治料は療養の實施または費用、實費の負擔、打切扶助料、療養開始後一年六箇月を經ても治らない場合は、十六箇月から三十箇月分を渡す。傭人扶助令、共濟組合規則等も、おおむね右に準ずるようになつております。舊軍人軍屬は、從來陸海軍病院で當然無料診療を受けていたため、右のようなバツクになる補償の法令はなかつたのでございます。それから厚生省で現に實施せられつつあります取扱いは、實質的の無料診療で、とにかく應急次善の策でありまするから、急速に各病院療養所でもちろん、市町村、民生委員等に徹底せしめられることを、希望いたすものはございますが、しかしこの施策は、公務起因の特殊性を著しく不明確にして、一般の生活困窮者竝に取扱い、あるいはしからざるも病院のいわゆるお目こぼしの恩惠を受けるものであつて、戰傷病の舊軍人、軍屬としてははなはだ心外に思うところであろうし、また國民としても戰禍の犠牲となつたこれらの同胞に對する國民感情上、はなはだ相濟まない氣持であることは當然でございます。またこの厚生省の實質的無料診療、生活保護法適用者を除く者は、何ら法的根據がなく、單なる内規的の處理であるから、情勢の變化による浮動性が多いということも考えられるのでございます。從つて事情の許す限り、堂々と無料診療を受けしめるように、何らかの施策をなされていただきたい。かように考えるのでございます。これら舊軍人、軍屬の公務起因傷病の患者は、公務起因という點で、引揚者や戰災者や、一般生活困窮者等の患者と同一視すべきではない。舊軍人、軍屬の患者でも、公務に起因していない者は、もちろんこれらと同樣でありますけれども、連合軍の指令では、ただいま大臣の仰せになりましたように、傷病軍人軍屬の特別優遇的取扱いを禁じてはおりまするけれども、しかしこれらと同等程度の、他の國民が受け得る程度の取扱いを受けることは當然であつて、これは認められておるところと思うのでございます。現在の舊軍人の傷病恩給、勅令第六十八號は、軍人恩給廢止の連合軍指令による「但シ受領者ノ勞働能力ヲ制限スル身體上ノ不具ニ對スル補償ニシテ非軍隊的原因ニ起因スル之ニ匹敵スル身體上ノ不具ニ對スル補償ノ最低限度ヲ越エザル割合ニヨルモノヲ除ク」と認められているので、當時の厚生年金保險法の業務上の傷病者に對する障害手當金を基準として、その恩給額を定められておることを見ても明らかであります。從つて勞働者や政府の雇員、傭人等が業務上すなわち公務起因で受傷罹病した場合に受ける取扱いと、同等の取扱いを受けしめることは、あらゆる點から見て當然であり、かつ何ら支障はないはずだと思います。すなわちこれらの治療費は勞災法の適用により、當然の權利としてこれらのバツグにより無料診療を受けしめ、その上生活困窮者には入院中の生活費補助として、生活保護法の生活扶助を與うべきであると考えるのであります。本案によつて、ただいま申し上げましたことによりましても、療養開始後勞災法では三年以後は、それぞれ無料診療を打切られるので、各國立療養所に入所中の腦神經、脊髄、癩及び結核等長期療養を要する患者には、はなはだ氣の毒なような状態におかれておるのであります。しかしながら舊軍人のこれらの患者のみを特別扱いにすることは、前にも申しましたようにできないのでありますから、これらの特殊患者に對しては、國家として全般的に醫療保護の政策をとるか、やむを得なければ現在厚生省のとられている實質的無料診療を、適用せられるようにしていただきたいのでありますが、これに對する厚生大臣の御所見を、お伺いいたしたいと思う次第であります。
#10
○一松國務大臣 先刻來申し上げましたように、法律の許す範圍内において、でき得る限りこれらの人々を救濟いたしたい、かように考えておるのでありまするが、勞災補償の問題は、これは御承知の通り、勞働者が業務上傷害をこうむつたとかいうような場合にのみ、適用されるのでありまするから、軍人が戰のために傷を受けたとかいうようなことで、ただちに勞災補償に關する救護の手を差伸ばすことは、現行法では困るように私は思うのでございます。しかし將來そういうような點にまで國家が救いの手を伸ばすように考慮してはどうかという御意見でありますならば、これは考慮してみる必要もあると思いまするけれども、ただこれを考慮する場合においては、先刻申しましたように軍人軍屬であるがゆえに、國民と差別待遇をしてはならないというその筋の意見と、ただちにこれが衝突すると考える。こういう點はよほど愼重に考えて、しかもその筋の了解を得なければ、ただちにこれを實施するということはできない。かように私は考えておるのであります。しかしあなたの御趣旨はよくわかるのであります。なるたけそういうふうに、多方面から正々堂々と救いの手を伸ばしていただくようにということは、私は至極結構なことだと思います。今そういうような障害がありますので、その點を御了承願いたいと思います。
#11
○中嶋(勝)委員 懇切なお答えでまことにありがとうございました。大臣のお答えになつております御趣旨は、よくわかりましてございますが、しかしややともしますると、本省においての御方針であり、また御考慮なさつておりますことが末端に徹底せず、かつ末端におきましては、考え違いな行動がとられておる點が多々ありまするので、どうぞお願い申し上げたいことは、くどく申し上げてまことに恐縮でありまするけれども、これが末端に徹底いたしまするように、特に御配慮を賜わりますように切にお願いをいたしまして、私の要望する質問を終ります。
#12
○一松國務大臣 ただいまの至れり盡せりの御注意はよく拜承いたしました。私も實はその點が行きわたつていないことを、はなはだ遺憾に思つております。實はそういう方面につきましても、過般民生委員會というものを本省に招集しまして、二日間にわたつてそういう點にも十分に私の考えを話し、外部の意見も聽いて、徹底するように取計らつておりますから、いずれ遠からざるうちに、そういうようなことの弊害はまつたく拭い去られるようなことになろう。この點しばらくの間お見守りを願いたいと思います。
#13
○天野委員長 受田君。
#14
○受田委員 厚生大臣に續いてお尋ねいたします。ただいま中島委員の御質疑の中にありましたことについての御囘答で、なお滿足できない點についてお尋ねいたします。
 ただいま中島委員から御質疑なさつたことに對して、大臣が、軍人軍屬を公務起因の傷病患者としての取扱いにする。すなわち勞働者と災害、補償保險法の適用を受けることについての御囘答で、舊軍人軍屬の公務起因の傷病患者、この者を適用もしくは準用していただくことに對して、現在ではそれができない。これは關係方面の御方針もあつて、やむを得ないと思いますけれども、しかしながら舊軍人軍屬の中には、公務起因の傷病患者としからざる者があるのでありまして、この公務起因傷病患者、特に終戰後強制勞働、強制作業に服して、しかる後傷病を受けた者に對してはこれを適用もしくは準用するように急速におはかりになる必要はないだろうか、この點第一にお尋ね申し上げます。
 第二が現在舊軍人軍屬で國立病院に入院している患者の數がどのくらいあるのか。これらに對して無料にしたならば國家がいかなる豫算負擔をしなければならないのか。この點を今一歩數字的に明らかにしていただいて、今の手心ということを、もつと廣範圍に、あるはつきりした線までを示していただいたらと思います。あやふやにしていくというと末端においてよい加減のうちに措置がとられて、なるべく手をつけないでおこうというような氣持が起るし、また手續上いろいろやつかいになりまするから、病院においても、民生委員においても、市町村當局においても、なるべく手をつけまいというふうなずるい考えが起ると思います。この點において厚生大臣の指示がいかにありましようとも、ある程度のはつきりしたわくをきめない以上、末端にはその解釋が實にずるく考えられるというおそれがある。これが過去の政治の大きな缺陷だろうと思います。特にこうした涙や愛情を施すべき大事な政治の面におきまして曖昧模糊とした面が強いということを私ははなはだ遺憾であると思いますし、關係方面においても、傷病軍人、軍屬の特別優遇的取扱いは禁じておるが、しかし他の國民が受け得る取扱いと同等程度の取扱いを受けることは認めておるのであつて、この同等程度の取扱いを受けるようにさせる。それはすなわち第一に御質疑申し上げた公務起因の傷病患者として、これをはつきりと認めてやるというようなところへも、心を配つてやられる必要はないか、こういう點についてお尋ねを申し上げるわけであります。そうしてここで一應便宜的に論議がされたことであつても、これが末端にはつきりと徹底するように、私たちは國民代表として責任をもつておりまするので、だだ委員會で質疑應答を行われたということでなく、ただちに第一線におるこれら困窮者に對して眞の仁政を施す責任者として、私は出ておるのであります。この點明瞭な御態度をもつてお示し願いたい。
 もう一つ、軍人の中で非常に年をとつてもはや働き得ないといううよな者に對して、何らかの方法をもつて、從來の恩給に類するものの復活をなさる御用意はないか。また遺族に對して從來の扶助料に準ずるような救濟の方途を速やかに講ずる必要はないか。これは未復員軍人の家族のみならず、現に戰死者を出して、あとへ遺つた悲痛なる生活をしている何百萬という同胞のあることを忘れてはならないのでありまして、これらに對して、先ほど庄司委員からも切々胸を打つ御質疑もありましたが、私は未復員軍人家族と同時に、この未復員軍人の家族がやがて戰死の烙印を押されて英靈が歸つてきたときに、その家族はすなわち遺族となるのである。この點について今後早急に對策を立てられる用意があるかないか。この點特にはつきり御意見を拜聽いたしたいと思うのであります。以上であります。
#15
○一松國務大臣 第一點の舊軍人軍屬の終戰後における勞働に從事したがために、いわゆる公務に起因するところの傷病患者といいますか、そういう人に對して何か特別の優遇ということについてはどうだというお話でありますが、これは私はもう軍人としていくさをして、それがために傷害を受けたというようなこと以外に、特別に政府の要請によつて業務に從事した。それがために公傷を受けたというような者に對しましては、それはまた特別の方法によつて救濟ができるように私は考えております。これは公務起因の傷病者としての相當の政府の待遇は、他の官公職員に對し、もしくは官公職員以外の人で職務のために倒れた、傷害を受けたというような人に對しての特別の待遇は何ら差支えないのであります。ただ關係方面の人々のいわゆる軍人軍屬が戰傷を受けたということのために軍人軍屬として特別の待遇はいけないぞ、國民と同樣の待遇をしなければならぬというところに精神があるのでありますから、先刻私がお答え申し上げたのはそういう意味だということに御了承を賜わりたい。
 あなたの最後に御質問になりました、いわゆる軍人軍屬としての仕事でなく、歸つてきて内地におるときに公務に從事して、いわゆる公務の起因するところの傷病を受けたというような場合には、特別の待遇はもちろんできようと思う。
 それから軍人中の年老いた人に對して軍人恩給というものがまつたく取除かれてしまつて、實に憐れな状況にある。こういうことは私は身寄りの者にこういう者がおります。しかも軍人で功績があつたということのために恩給を支給せられて、わずかな恩給によつて貧しい生活をしておつた人々が、今日その恩給をまつたく支給されないために、にわかに收入がなくて生活に困つておる人がたくさんあると思います。これは實にあなたのおつしやるように、ほんとうに涙なくしては見られないような實情にあるので、何とか國家としてもそういう人に向つて救助の手を差伸べなければならぬと考えております。これも今申し上げましたように今日のわが國の情勢においては今すぐということはできないと思います。
 それから未復員軍人の家族等に對する特別の手當とかいうようなこともその通りで、同情しなければなりませんが、今では生活保護法の規定を活用する以外には方法はないのであります。ただ早急にしからば何らかの對策を練らなければならぬのじやないかという點については、實は打明話をしますと、これは閣議でも問題になつた。閣議でも何とかしなければあまり氣の毒だという話まではいきましたが、今わが國の情勢上そこまでいかない實情にある。しかし政府は決してこれを等閑視しておるという意味ではないということを御了承願いたい。ゆえに生活保護法の費用は今では足らないけれども、少し物價も上つたのだから殖やさなければならぬということにつきましては、政府はでき得る限りの方法によつてそういうような豫算を増加せしめて、そうしてなるたけそういう法の活用によつてこれらの人々を救濟しようということ以外には、特別にどうということを、政府は今速急に考えておるかという御質問に對しましては、今では考えていないということ以外にはお答えができないのであります。
 それからその患者數とそれを無料にしたときの豫算はどれくらい要るかというようなことを、それから末端にまで徹底するようにしなければいけないという、この末端にまで徹底するということは、先刻申しましたように、そういう方針でありますから、これは徹底いたします。ただ患者數とこれを全部無料にしたときに國家の豫算はどれくらい要るかということは、今私材料を手もとにもつておりませんから、後刻お答えすることにいたします。
#16
○天野委員長 受田君、よろしゆうございますか。
#17
○受田委員 結構です。
#18
○天野委員長 原君。
#19
○原(侑)委員 一昨年以來全國から引揚げました各團體が約百十六あります。これを一つにまとめて引揚者團體全國連合會をつくり、各府縣にその支部を全部一つにまとめてつくり上げたのであります。これが大體民間における一つの推進機關として進んでおる。政府及び民間團體の間の連絡機關、査察機關、厚生機關として同胞救援議員連盟をまた組織いたしたのであります。當時御存じの通りに外務省には引揚者團體の一つの會がありますし、今日においては財團法人として、恩賜財團同胞援護會がございます。これは高松宮樣の御主宰になつておられる財團法人であります。また厚生省においては援護院ができまして、引揚者その他に對する施策については十分なる御討議をせられておつたのでありますが、最近聞きますと、外務省の中に中央更生團體協會というような財團法人ができまして、官吏で職にあぶれた人がこれを組織してやつておる。いわゆる官僚機構そのままでやつておるということを聞いたのであります。それのまた外郭團體で更生事業推進連合會というようなものがあつて、外務省内においてまたこの仕事をやつておるということを聞いておるのでありますが、もちろん財團法人でやつておりますから、寄附行為その他でやつておられると私は考えておるのでありますが、厚生省においてはかくのごとき團體に豫算を出しておられるかどうか。あるいは外務省にあります現在の財團法人その他の機構に對して、厚生省の案といたしてこれを遂行せられたかどうか。昨年以來同胞救援議員連盟においては、各議員から百圓ずつ私は寄附を集め、約四萬五千圓ほど集めました。これを基礎にして同胞救援議員連盟を組織いたしたのであります。本年においても同じく各代議士から二百圓ずつの寄附を受けて、そうしてこの救援に進まなければならぬというので、豫算の點についてはまことに苦心をいたしておるのであります。昨年度においては、厚生省から維持費として十五萬圓を出していただきましたが、本年は約二十萬圓と聞いておるのであります。もちろんわれわれは、救援事業をやつている以上は、代議士としても自分らのでき得る限りの財をあげてこれに努力いたさなければならぬのであります。厚生省として同胞救援議員連盟の豫算の點について深甚なる御考慮があるかどうか。また厚生事業の將來の問題については、やはり國會を御尊重くださいまして、議員連盟を中心にして救濟に乘り出すことが一番適當ではないかと私は思うのであります。いわゆる官僚組織においてのみこの仕事をやつておることに對しては、もちろん連合軍當局者に對する立場上においても、いろいろな問題が起る點でありまして、ぜひとも同胞救援議員連盟を中心にして、歸りました人たち、一歩でも國土を踏んで死にたいと思つて歸つてくる引揚者、戰災によつて非常に惠まれざる國民に對しても、もちろんこの救いの手を議員たちとしては伸べていかなければならぬと思つております。第一にお聽きしたいのは、今申し上げた外務省における中央事業推進會というか、協會というか、これは厚生省が中心になつてやつておるか。第二は同胞救援議員連盟に對して、厚生大臣としてはたしてこの議員連盟を中核として救濟事業に乘り出すかどうか。この二つをはつきりお聽しいたしたいと思います。
#20
○一松國務大臣 今原委員の引揚團體全國連合會、これを基礎にして同胞救援議員連盟というものを組織して、議員諸君が昨年度は百圓ずつ集めて四萬五千圓、今年は二百圓ずつ集めて同じく救援の方面に支出して、少しでも彼等を救援するということに進みたいという苦心のあるところも、私議員でありますからよく承知しておりまして、これらの點につきましてはわれわれは全面的に贊意を表し、これらの人を幾分でも喜んでいただくような手を伸ばさなければならぬということについては全然贊成であります。昨年は厚生省は十五萬圓補助したのでありますが。本年は實は緊縮豫算のために補助ができる金額を直ちに申し上げられぬのですが、こういう立派な趣旨でありますから、いすれ何らかの方法で厚生省としても相當の補助をしたいと考えております。金額を今ここで幾らということを申し上げることは、少しく遠慮さしていただきたいのであります。要するにこういうりつぱな事業に對しまして、厚生省本來の精神からいたしまして、でき得べきだけの救援のお手傳いをするということに御了承をお願いします。それからその他の點のこまかいことに對しましては當局の方から答えさしていただきます。
#21
○大野(連)政府委員 お尋ねの更生事業對策協議會の問題でありますが、これは經濟安定本部に置かれておりまして、現在關係各局の連絡機關でございます。それと別に更生事業推進中央會という民間機構がございます。これは、大藏省所管の法人でございまして、企業の育成に與つております。これにつきましては厚生省は豫算を出してはおりません。厚生省が指導的團體ではございません。
#22
○原(侑)委員 そうしますとこの更生事業推進中央會というのは厚生省は何ら御關係はないのですか。大藏省だけの豫算ですか。その問題につきまして私は外部からいろいろお話を聞いておるのでありまするが、何かタバコを一億本ほどもらつてそれを財源にいたしてその仕事をしよう、こういうような團體であるように考えるのであります。大藏省所管というのが、そこに基因しておるのではないか。かくのごとき、タバコを一億本もらつて、それをバザーか何かして金もうけした上でやろうというような觀念の上に立つたものか、大藏省の中に設立せられたということに對しまして、まことにわれわれは遺憾に感ずるのであります。かくのごとき事業體に對しましては厚生省としては十分探索せられまして、引損者團體あるいはその他の災害者、戰災者すべての人たちを救濟すべき眞實のものをつくつていただきたい。厚生省が知らなかつたというようなことではまことに困るのであります。更生事業その他に對しましては十分なる御注意の上で進んでいただきたいと思うのであります。
 それから先刻庄司君が質問いたしました各病院の實情であります。これは昨年白衣の勇士が街頭に立つて募集金をなしておる姿を見て、まことにわれわれは胸を打たれたのであります。ぜひともかくのごとき悲惨な姿を街頭にさらさせないように一つ厚生大臣の仁の道を立てていただきたい。しかもこの國立病院のときにおきましても實にひどい待遇でありまして、榮養その他につきましても囘復の途のとれないような榮養状態、私も國立病院をまわりまして、過去をわれわれは云為するのではありませんが、實に言語に絶すべき姿で、それがまた一属苦痛の立場に立ち至るということに對しましては、議員といたしまして何かの方法を講ぜなければならぬ、こういうようにわれわれは考えるのであります。でき得べくんば國民の聲を糾合いたしまして、特殊的な救援はできないまでも、何とかいたして戰災者すべてを含めた一つの救濟更生事業を一つ議員の中から起していかなければならぬのではないかと思うのであります。この點につきましては、表面上厚生大臣といたしてお力添えができ得ないかもわかりませんが、戰災者すべてを含めた更生事業に對しましては、これは厚生大臣とせられては當然お盡し下されなければならぬことだと思うのであります。何かこの救濟事業に乘り出すべき、いわゆる日本の赤十字といいますか、世界に愬えるべき赤十字的な運動を展開いたさなければならぬのじやないかと私は思うのであります。將來これを機會に各議員が相團結いたしまして、この救濟運動に乘り出さなければならぬと思うのでありまするが、そのときにおきましては厚生大臣はでき得るだけの御援助、御後援を得たいと思うのであります。希望意見といたしまして厚生大臣に申し上げる次第であります。
#23
○一松國務大臣 原委員の御質問のうち、私から一つだけお答え申し上げまして、他はさいわい當局もまいつておりますから、その方で答えさせていただきます。先刻來申し上げましたように、白衣の勇士であり、國立病院に入院しておる人に對する待遇問題は、先刻來數度申し上げたことによつて厚委員も御了承賜わつたことであろうと思ふのでありますが、昨年末でありましたか、本年初めでありましたか、東京第二病院の白衣の勇士諸君が街頭に立つて金を集めたいという事實は、あなたの御指摘の通りでありまして、實は私その當時は厚生大臣ではなかつたのでありますが、これはまことに氣の毒なことである、かように考えておりました。爾來厚生大臣任官後それらのことについて内々取調べてみましたところが、そういうようなことが結局東京都を刺激いたしまして、殊に東京都會議員諸君の問題に取上げられまして、こういうようなことではいかぬではないかというようなことから、東京都がこれら入院患者の諸君を救濟するために、相當の授産場みたようなものを設けて、そうしてこれらの方が退院後においても生活の困らないようにしてやろうということで、さいわい厚生省所管の建物が第二病院の所に三棟ございます、それがちようど今空いておる、その三棟を厚生省の方から容易に借り受けることができ得るという見込みをもつて、東京都の方でその三棟を適當に修理して、その中に授産場みたようなものをこしらえて、これらの諸君の更生の途をはかろうということで、伺でも東京都で豫算を三百六十數萬圓のものを決議したということを私承りまして、たいへんよいことだ、そういうことによつてこれらの人が街角に立つて自分から金を募らないでも、都がそこまで關心をもつてやつてくれたら結構なことだ、残るは建物だけだ。ところがこの厚生省所管の三棟の建物が非常に希望者が多うございまして、ただいま建物が拂底しておりますために、各方面から國民學校とか、あるいは厚生省自身の方面からとか、東京都の今の第二病院におる白衣の勇士等の入院患者諸君から、またその他からも希望がありまして、いろいろな陳情を受けましたけれども、歸するところ、國家のためにこの建物をほんとうに利用したいという私どもの考えで、厚生省、目黒の小學校、それと第二病院の入院患者諸君の授産場のためにというので、三棟を三つにわけて使用させることといたしましたので、各關係者が非常に喜びまして、三棟を三つにわけて使うことにいたしました。第二病院の數百人の入院患者及び白衣の勇士諸君もその建物を手に入れ、東京都から三百數十萬圓の豫算をこの方に投じてくれるということに力を入れまして、街頭に出て募金をするというようなこともやめてしまいまして、今ではその實現の速やかならんことを期待しております。こういうような實情でありますから、第二病院におります諸君もそういう方面に一つ大いに手を伸ばして、いつまでも國家の御厄介になつておるということでなくて、自分らもほんとうに更生の途を講じようということで、その設備の充實することを今待つているというような實情であります。厚生省といたしましても、このことはただ第二病院だけでありまするが、その他の病院方面にもこういうような施設をいたしまして、そうして十分に授産場というものを擴大強化して仕事を教えてやり、病院を出た後にも自活の途に困らないようにしてやる、こういうような考えをもつておりまするから、さよう御了承を願いたいのであります。その以外のことは社會局長もしくは引揚授護院の次長が參つておりますからその方面から御答辯をさせていただきます。
#24
○葛西政府委員 ただいま傷痍軍人に對しましてたいへんありがたいお言葉をいただいたのでございますが、戰爭前までは軍人の援護ということについては、軍事保護院等があつて、非常に手厚い保護をやつておつたのでありますが、終戰とともに軍事保護院がなくなりましたので、軍人ということで特に優先機を與えてやるとか、あるいはまた特にそこへどうこうするというようなことが御承知のようにできなくなりました。その後生活保護、あるいはほかの一般の保護救濟の施策というようなことで平等に取扱うというような方針で現在までまいつておつたのであります。ところがどうもその間にあるいはもとの軍人でありました傷痍者に對しまして、手を伸べるというふうなことに何かよけいハンデキヤツプがございまして、惡いことをしておるのではないかというような印象が、とかくあつたのではないか、さようなことから不必要に手控えがされてきておるのではないであろうかと思われる節さえもあつたと思います。これはたいへん殘念なことでございます。從いまして私どもは大臣の命によりまして、先般――今月の四日、五日でございますが、全國の民生部長を集めました際にも、これらの傷痍者竝びに遺族等の保護については特に注意をする。これはもちろん遺族であるからどう、傷痍軍人であるからどうという取扱いは、これは許されておりませんけれども、特に漏れがないように、保護を十分できるような指示をするとともに、ただいま大臣からお述べになりましたように、特に優先權を與えるというふうなことでない保護對策、言葉をかえて申しますれば、傷痍者であるということのために、一般の保護對策では賄いかねる部分があるのでございます。御承知の通りに傷痍者等については、職業につくにしても、身體が不自由だというふうなことで、なかなか職業が見つかりにくいというふうな、いわゆるハンデキヤツプとでも申すものがあります。ここらのところに實情に即した保護の手を差伸べるということが必要でございます。これはあるいは民生委員なり、あるいは地方の府縣廳なり、市町村長がお取扱いいただきます場合の法意とともに、そういうものに適切な社會施設というふうなものもある程度必要になつてくるわけであります。從いましてこういうものにつきましては、ただいま大臣からは東京都の例を引いて詳しくお述べになられたのでございますが、私どもの方におきましても、かような趣旨のもとに今具體的な案を關係方面と折衝をいたしておることを申し上げたいと思います。從いまして私どもはそういう傷療軍人であり、また産業の傷痍者であり、戰災の傷痍者でありましても、できるだけ無差別平等にいたすのでありますが、これらの方方の救護に遺憾のないように具體案を練つておるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 それからついでにと申し上げては恐れ入りますが、先日私不在いたしております間に、生活保護法の施行の状況についてのお尋ねがあつたようでありますので、資料をもつてまいりましてただいまお手もとに配付いたしたのでありますが、こういうふうな施行の状況になつております。もちろん生活保護法が昨年の議會で御審議いただいておりますころは、非常に漏れがあつたような状態でございますが、議會におけるいろいろな御意見、あるいはまた地方當局のこの方面に對する理解等から、八、九月から年末にかけましては、ずつと漏れがなくなつてきておるように思うのでございます。大體から申しますと、生活保護法の施行の状況はまず順調にいつておるのではないかと私どもは承知いたしておりますが、なおまた、傷痍者でありますとか、遺族の方々とか、あるいは引揚者という人で、土地になじみの少いというような者については、まだ漏れている者はないとは申し上げられないのであります。一面にはまたやり過ぎておると申しますか、一遍扶助を開始いたしましても、あるいは働き手がもどつて相當の收入があるということになれば、もちろん國家の扶助は打切るべきものである、それを漫然と續けておるというふうな實例もないことはないと承知いたしております。從つて今後はこれらのものを是正いたしますとともに、漏れておる者が一人もないようにということで、私ども大臣の命によりまして、地方を督勵いたしまして、この法の精神を第一線まで具體的に徹底させていくという心組でおります。
#25
○原(侑)委員 最後にお問い申し上げたいのは、厚生省におきまして引揚者その他に對するところの生活の實態調査ができておるのか、今まで引揚げました軍人、軍屬はもちろん引揚者全體に對するところの實體調査ができておるのか、すでに終戰後二年でありますが、この實態調査ができていない間は、私は厚生の手は伸びんと思うのであります。この點につきましてひとつ政府のはつきりした御返事を願いたいと思うのであります。
#26
○葛西政府委員 ただいまのお尋ねは引揚者の生活實態調査ということでございましたが、これは今お述べになりましたように、救護の萬全を期しますには、生活の實態調査をいたしてまいらなければならぬことはもちろんでございますが、引揚者というふうに特別にはいたしておらぬのでありますが、第一線の民生委員には社會調査をするようにと、御承知のように民生委員令に基きまして、社會調査カードというものを用意いたしておりまして、民生委員の受持地區内におります生活に困つております者については、民生委員がつくりました生活の要援護者のカードを集計いたしたものがあるわけでありますが、そういうものが一應ございまして、それを基礎にしてただいま生活保護等を實施いたしておるようなわけでございます。なお民生委員が行いますそういうものではねらうところが非常にこまかくやらなければならぬというふうなこと等がありますので、あるいは民間の生活問題研究所というふうな所に委託いたしまして、若干の町村等をピツクアツプいたしまして、縱から横からこういう生活要援護者の生活の實態を調査いたそう、これは例としてはごく一部分のものであります。それからまたあるいは中央といたしましては、拔き檢査的に地方でやつております。そういうふうなカードを中心にした實態につきまして、全國の府縣を督勵し、本省みずからが出掛けまして拔き檢査的にそういうものを調査し、それに右へならえをしまして、生活調査が完璧を期せられますよう、せつかく努力をいたしております。
#27
○受田委員 先ほどの私の質疑の内容について政府委員の方にお答えを願いたいのでありますが、私の質問いたしましたことは、現在國立病院に舊軍人、舊軍屬關係の入院患者が療養所その他を含めてどの程度おるのか。これは醫務の方との御連絡も必要だと思いますが、その入院患者に對する有料の規定を設けるために、どれだけの豫算の差異が起るのか。これを無料としてこのまま繼續するとして、どれだけの支障があるかという點について先ほど大臣にお尋ねしたのでありますが、そういう立場からお答えを願つて、これに對して病院當局が患者治療の事務的な面において、社會局當局のおおらかな線を十分のみこんでいないところがあるのじやないか。醫務局と社會局との事務の間の連繋に事を缺いておるのではないかというような心配もあるのであります。この點ちよつとお尋ね申し上げます。
#28
○葛西政府委員 お尋ねになりました國立病院の患者數、それから有料になる場合と無料になる場合との經費の違いというような點につきましては、實は私直接の責任者でございませんので、ここで私は答えることはできません。醫務局長の方からお答えをいただきたいと思います。
 それからなお、入院しております人たちの有料にいたしました場合の取扱いについて病院當局、あるいは醫務當局と、地方の厚生竝びに社會課と、それから中央の社會局との連絡が十分じやないではないかというようなお尋ねでありますが、これはやはりある程度現在の事態に立ち入つておりました點につきましては、地方廳と十分連絡を密にして徹底するという點について若干缺けるところがあるのじやないか。これは實は恐縮いたしておる次第であります。それで先般民政部長會議を四日、五日に開きました際にも、醫務局長からよく民政部長各位にはこの點をお話しておきました。それからなおこの取扱いにつきましては、私どもの方では實は十分連絡もし、こういうふうにやるのだという取扱いについての打合せをしてやつたのでございますけれども、まだやはり第一線ではいろいろお尋ねをいただきましたり、あるいは御叱聲もいただきますような點が非常に多いのでまことに申譯なく思いますが、それで實は近いうちに社會、醫務兩局長の連名をもちまして、この取扱いにつきましての根本指示を地方廳に出すということになりまして、案文を用意いたしまして、大臣の決裁を得るよう準備いたしております。これはたいへん申し譯のないことであります。實はありていに申しますと、國立病院は國の直接の施設になつておる關係上、中央に醫務局があり、それから地方のブロツク別に醫務局出張所があり、これが國立病院につながつている。これが一方の線でありまして、それから社會局の關係は中央から縣廳にいき、縣廳から地方事務に、これから國立病院につながつているという線がありまして、この兩者の間にある第一線では意思の疎隔、誤解があつたりしまして、氣の毒な人々にいたずらに御心配をかけたり、第一線に心配をかけたりいたしまして、そういう陳情を實は私どもも受けております。そこでこれを根本的に書き改めまして、これはこうやるのだというようにいたしまして、ただいま準備をいたしておる次第であります。
#29
○一松國務大臣 ただいまの醫務局長に關する答辯は適當な時機にお答えさせることにいたします。
#30
○天野委員長 農林大臣の出席を要求しておきましたが、ただいま農政局長が見えましたので、農地問題について御發言を願いたいと思います。
#31
○一松國務大臣 ちよつとこの際御報告申し上げたい。先刻來の御質問のうち白衣諸君の待遇改善の御要求がありましたが私から氣ずいた點を御報告いたして、都合によれば皆樣方の御視察を適當な機會にお願いしたらよくわないかと考える一事があります。皆樣御承知かもしれませんが、それは東京の第一國立病院の特別な患者に對する治療の方法であります。私過般視察いたしまして非常に感激いたしたのでありますが、この感激を私一人でなく、國民代表の皆樣におかれても、いかにこれらの患者諸君が好感をもつてこの治療を迎え、また國民が非常に喜んでおるかという實情を御視察賜ることは大變有意義であると思うのであります。たとえば鼻、耳、上下の顎などのまつたくとれている患者に對して、完全とはまいらないかもしれませんが、身體の他の部分から肉をとつてきて植えて元の形につくりあげるのであります。この治療を二年三年かかつてやつておるのを視まして私は非常に驚いたのであります。世界各國でもこういうように技術の進んだところはないと外國の醫者なども視察して驚嘆しておるということであります。これらの患者諸君はどのくらい入院しておるかというと、そう大きい手術をしますには、短くても一年半、二年、あるいは二年半というような患者がおつて、そうして、完全ではありませんが、でき上つたあとを見ると、ちよつと傷があるが、この人は鼻がなかつた、その鼻のなかつた人がまつたく鼻ができておるというような實情にあることを見て私は驚いた。もう一度こまかに視察してみたいと思つておりますが、もし皆樣の中で御視察されようというお方がありますれば何どきでも御案内申し上げて、このすぐれたる技術を見ていただくことが非常に御參考になろうと思いますから、ついででありますがこれを御報告いたしておきまして、皆樣の御視察をお願いいたしておきます。
#32
○中嶋(勝)委員 私は自作農創設特別措置における未復員者の取扱いについてお尋ね申し上げてみたいと思うの御ございます。私山口縣でありますが、現在山口縣等におきましては、歸つて來られた人々が、不在地主としてその土地がもう處分せられておる、それによつて、その人々らは、せつかく自分の土地がありながらも、國家のために應召しておつたわけでありますが、不在であつたために、その土地か處分せられておりますから、歸つて來ても耕作する所がございません。それを農地委員會等に陳情もいたしまして、ある村のごときは、その陳情を受け容れて、その復員者の申入れに副うた所もありまするけれども、しかしながらそうしたことのできないで非常に紛糾を來しておる所がたくさんあるのでございます。紛糾いたしました結果においては、その申入れが全然受容れられないということになつて、結局それらの人々はまことに氣の毒な状態におかれてあるのでございまして、その結果就職しようにも就職し場がない。しかして土地は自分の土地であつたものをつくることができないというところから、その日の生活に困つているというような状態でありまして、それらの人々がいきおい思想の點においてもはなはだ憂うべは傾向がございまして赤化していくという點が非常にあるのでございます。私どもこの點を非常に憂えまして縣知事にもしばしばこれを陳情いたしまして、あの法律というものは大體國民を赤化させるような法律をつくつたもので、實に困つたものだということまで極言したのでありまするけれども、法を調べてみまするところがそうではない。すなわち自作農創設特別措置法第二條第三項、第四條第二項及び第五條第六號等の特別の事由として、施行令の第一條及び第七條には次のごとくに掲げられてございます。「一、疾病、二、就學、三、召集、四、選擧による公務就任その他の事由で市町村農地委員會が、やむなしと認め、都道府縣農地委員會の承認したもの」すなわち右の事由で、一、「同居しなくなつたものが有する農地の自作權、小作權等は、現に耕作の業務を營むその家族に属するものとみなし、」(法第二條第三項)、二「その所有する農地のある市町村の區域内に住所を有しなくなつたものは、これを當該市町村の區域内に住所を有する者とみなし、」(法第四條第二項)三、その自作地に就き自ら耕作の業務を營むことができないため賃貸借又は使用賃借により一時當該自作地を他人の耕作の業務の目的に供した場合、市町村農地委員會が、その自作農が近く自作するものと認め、且つその自作を相當と認める當該農地は、これを買收しない。」(法第五條第六號)、こうした旨が規定せられておるのでありまして、以上を要約すれば、疾病、就學、召集等の特別事由があれば、不在地主とは認められないという規定であると信ずるのであります。そうして措置法の附則によつて、農地買收計畫は昭和二十年十一月二十三日現在における事實に基いて定めることができることになつておるのであります。以上の規定ははなはだ不備であつて、そのために復員者が多大の不利をこうむつておる事例は、ただいま私が申し上げたことによつて御了承願えることと思うのでございます。また未だ六十萬に上る未復員者があるのでありまして、その中にも不利をこうむるべき者が少くないことを考え、ぜひとも救濟措置をとられなければならないと考えるのでございます。しからばその不備とは何かと申しますと、次に申し上げることであると思うのであります。一は、召集のみを特別事由に認めていて、現役兵として徴收された者は召集の中には含まれないのであるが、まことに不合理でございます。また、今次戰爭の特質上、從軍期間が長期化したため、自然の結果として徴收または召集後現役下士官として服務していた者もはなはだ多いのでございまして、しかもこれらの者は、終戰後は何等自己の意思のよらず、外部的、強制的條件によつて、その復員の時期を決定せられておるのであることを考慮する必要があると思うのでございます。すなわち、以上の通り、まつたく議論の餘地のない法令の不備によつて、多數の復員者、未復員者がきわめて不利な取扱を受けているのであります。しかも、地方農地委員會またその不合理を知りつつも、法令の解釋上、手を下し得ない實情にあるのであります。この「召集」とは未復員を意味するものと解釋し、農林當局は至急その見解を地方農地委員会に通達してもらいたいと考えるのでありますが、この點につきましては御當局の御見解はいかがでございましようか。
 次は、地主、自作者は特別事由によつた保護されておるのでありますが、小作者はその家族が現に耕作している場合以外には保護されていない。すなわち法第五條第六號によれば「自作農が特別事由で自ら耕作を營むことができないため賃貸借又は使用賃借により一時當該自作地を他人の耕作の業務の目的に供した場合、市町村農地委員會が、その自作農が近く自作するものと認め且つ自作を相當と認めた當該農地は買收しないこと」となつておるのであります。しかるに小作人が召集等のため一時他人に小作地の耕作を依頼していた場合は、前述の自作地の場合と同樣であるにもかかわらずこれはまつたく保護されておらないのであります。これに關するところの農林御當局の御見解と處置を承りたいと存ずるのであります。
#33
○山添政府委員 第一の問題にお説の通りでありまして、實は法令の方に不備があるとは考えておらないのであります。要するに、職業軍人は別でありますが、それ以外の兵役徴收になつた人はすべて不在地主とは見ないのであります。これはもうあたりまえのことであります。別段法令上そこに誤解があるようには、私は今までそういうことは聞いておりません。從つて、初めからの職業軍人でありますればとにかく、そうでない人につきましては、すべてああいう規定の設けられた趣旨に從つて解釋すべきものでありまして、もし何らかその趣旨が誤つて運用されているということでありますれば、是正をする措置をとりたいと思います。
 それから一時賃貸借をしておりました者、これはお話のように、自作をすることが相當と市町村農地委員會で認めますれば、これは買收をしないで、もとのように自作をさせる措置を認めるわけでございます。但しこのことにつきましては、何しろ非常に長い期間にわたつております關係上、常時家族勞力が不足であるために一時賃貸の目的で貸した。しかし七年も八年も經ちますと、そこにまつたく状況の變化を來している。從つて、返してもらう人からみればこれを自作せしめるということが相當であるという主張もなり立つでありましようが、借りている人からみますと、もうその程度になつていると、これはもとのような考え方ではないという事態も起り得るわけでありまして、從つてそういう場合は農地委員會の方で双方の事情を考えて適當な決定をすべきである、かように考えております。
#34
○中嶋(勝)委員 私のお願い申し上げたいと思うのは、第一の方でありますが、これは御趣旨がそこにあるといたしますならば、この御趣旨に反した取扱いをしている町村が相當あるのであります。しかもその町村が間違つたことをしたとして、これを縣の農地委員會に訴願したという場合にも、村の農地委員會がそういうふうに決定したのであればというので、大部分はその村の農地委員會の意向を尊重しているために、非常に紛糾している地域があります。これは全國的のように私どもの同僚からも聽いているのであります。ですからこれは改めてただいまお答えいただきました御趣旨の點を大臣の通牒によつても全國に發していただきたいと考えるのであります。これを發していただけるかどうかという點と、それからもう一つは、今の後段の點でございますが、今度の戰爭はああいうふうに非常に長期にわたつておつたわけでございますから、最初應召して、最後に歸つてきたのは五年になり七年になるといふ者もたくさんあつたのでございます。これらの人は實の氣の毒な戰爭の大きな犠牲者でございますから、こうして人々に對しても特にそうした點を認めるように、何とか農林御當局においてただいまお答えの趣旨の徹底するようにお取りはからいが願いたいと思うのでありますが、その點に對するお考えを伺いたいと思います。
#35
○山添政府委員 この法律の施行令によりますと、昭和二十年八月十五日以前の召集というので、普通の人が兵隊に召集されて、それが士官になつた、こういうことで先ほど言われた問違いが起ると言われるのですか。
#36
○中嶋(勝)委員 そうです。
#37
○山添政府委員 それから二番目の一時賃貸借の問題でございますが、これは立法の趣旨ははつきりしております。そういうつもりであつたといたしましても、七年も經てばその間事情の變更ということもありますので、これは兩方の事情をよく考えて公正な判斷を下さなければいかぬのじやないか。その當時そうであつたということが實は必ずしもはつきりいたさない場合が多いわけでありますから、一方的な理由で、これは兵隊に行つたのだから必ず一時の賃貸借であつたというようにただちにきめてしまうわけにはいかないのじやないか。ですから當事者の事情をよく考えてこれは判定すべきものであろうと思います。
#38
○中嶋(勝)委員 ただいまの召集と徴集という點は、兵隊と同じように徴用でどんどん軍人以外の者を南方に送つたというのがあります。そうしてまだ歸つて來ないのもありますし、歸つて來たとしても長年行つていたという、そういう者を市町村では非常にこだわる。とにかく農地調整委員會がいたずらに法にこだわつて、どうも本省の趣旨と反する取扱いをする點が多いように思う。それで今お答えいただきましたような趣旨のことが徹底すれば結構でございますが、徹底しないために紛糾しているので、それのための國家の損害はおびただしいものである。これが紛糾しているために供出もうまくいかない。そうしてその村が非常に平和を缺いているという點は全國的に非常なものだと思いますから、これは速やかに大臣通牒をもつて、末端まで徹底するようにお取りはからいが願いたいと思うのであります。
#39
○山添政府委員 召集のほかに徴用の點がございましたね、承知いたしました。
#40
○受田委員 法規の解釋ですが、今の農地の問題、昭和二十年十一月二十三日現在ですか、耕作權を擁護する基準を設けた日時がありましたが、これにあまりとらわれて、それより前に復員した者はよいが、二十三日を過ぎ、二十四日に歸つたのはもうだめだというような嚴正な解釋を、とかく地方の農地委員會はしたがる。特に耕作權擁護の方に重點をおいている關係上、多くの耕作者の方に有利な解釋をされている。そうしてそれが縣の農地委員會に訴願された場合でも、ほとんど例外なしに耕作者の方に有利に取計らわれている。この點は衆目の見るところで、小作人がその土地の返還を申し出た場合でも、なおかつ小作人にもう一度返せというような委員會の解釋で、それを返還するというような行き方をとつているようです。この法的な期日の解釋をあまりに嚴正にし過ぎて、ちようどあのころが復員の最中で、あの日を前後にして非常に不公平な、たとえば船の入港が遅れたというような者と、ちよつと前に内地に勤務して早く歸れた者との間に非常な差異があると思いますが、あの日限の解釋についてはあまり嚴正な解釋をしないような、特に事情を勘案するような措置はとれないものでしようか。この點、特に念を押して伺つておきます。
#41
○山添政府委員 十一月二十三日現在の状況によるのが原則でありますけれども、それ以後に復員したような人におきましても、これは趣旨から見まして不在地主にはしないのであります。それは法律の解釋を嚴正にすることによつておかしいことになるということですが、それはそうではなく、法律の解釋を嚴正にかつ稠密にすればそういうことはない。ほかにも、十一月二十三日が原則で、その時の状況で小作の方が申し立てをすれば、その時の状況によつて買收をする、そういう要求がない場合においては委員會が判斷するという規定があります。また小作人の方が申し立をした場合でも、小作人の方で信義に反するとか、いろんなまずいような、かえつてそういう要求をすることが不當であるという場合には、それを取上げないという規定もある。規定があると申したのは、今囘その點については自作農創設特別措置法の改正案を提出し、明確にいたしまして、いずれ國會で御審議願うつもりにしておりますので、今のような點は結局法律の解釋が精密でないということ、嚴正であるべきだけれども、それを精密にやればお説 のうな不合理な點は起らないように法律はなつております。ただその指導上そういう非常に間違つた點があれば、さらに趣旨を徹底せしむることが必要だと思います。
#42
○受田委員 今の法律の解釋を嚴正にすればその間違いがない、そういう間違いは起つていないというお言葉でありますが、この點について農林省當局が特に地方農地委員會その他に對して説明をされた場合に、耕作權擁護を極度に強調するような行き方で説明をされて、特にその期日などは強く言われた點で、法規に比較的親しみのなかつた民衆は、その一方的な言葉が強く印象ずけられて、まだ法治國としても成長していない現在において、そういう規則があるならばというような非常な率直な受入方で解釋をしておられる。これはたしかにあると思うのです。それでそれらを放任しておくと、これが地方農地委員會のメンバーになつておる人たちの中に、少數のリーダーが耕作權擁護を主體に強調するということによつて引きずられるおそれがある。これが現實の問題として非常に多數の紛爭が起つておることがはつきりしておるのでありまするから、例の一定の期日を限つたこの法規の解釋も、實際は末端には非常に強く印象ずけられておるという點を私は思うのでありますが、どうでしようか。これは當時の指導精神において……。
#43
○山添政府委員 この農地改革は、法律の全體を通じてその趣旨とするところが、耕作權の保護確立にあることは御承知の通りであります。從つて右にしようか、左にしようかという疑問のあるときには、これは當然その方向に行くべきであります。また今までの普通の社會的氣分あるいは考え方から申しまして、耕作權保護を強調するのは當然のことと思つております。しかしながら今お述べになつた事實については、現在の法制では市町村農地委員會が相當と認めるとき、こういう字句があります。相當と認めるときには、十一月二十三日の條件、多少そこに判斷を加えて措置する、こういうことになつておる。しかしこれは現在の條文では不十分なので、原則としてこれは十一月二十三日による。その邊のことはさらに今囘の改正によつて明確にするわけでありまするが、しかしお述べになつたような場合は、これは何でもかでもいかなる事情があろうとも、十一月二十三日で、それ以後に復員した人は認めないというのはまるでしやくし定規というか、解釋が不十分なので、そういう誤解を起しておる人がありましたならば、訂正をするように言つておいていただきたいと思います。
#44
○村瀬委員 先ほど中嶋委員から要望のあつた通牒を出していただくということは……。
#45
○山添政府委員 その點私どもはいろいろな機會にいろいろ通牒も出しておるし、話もしておりますし、いろいろやつております。だから、これは通牒通牒と言われますけれども、農林省では絶えずやつておるわけでありまして、現在の段階ではむしろだんだん具體的な問題になつてきて、これは府縣の方で實際に市町村に行つて指導を請う。今までもしたでしようか、今でも、これから半年が山でありますから、出て行つて現地指導をやるべき段階になるのではないかと思います。今御質問にありましたようなことは、市町村ではそういうことかもしれませんけれども、實は府縣では皆わかつておることであります。
#46
○天野委員長 この際委員長として一言お願いいたしておきますが、山添局長は今農林省としてはそれぞれ話もしてあると言われますが、全國到る所に今その問題で紛糾を生じております。從つて國のために長い間犠牲となつて、何年間か家をあけておられた人が、帰つてみて農地の耕作ができない。それに反して家におつて戰争に參加しなかつた者はそのまま農地を耕作することができる。かようなことが幾多繰返されておる。それからまた地方地方における農地委員會の構成そのものが結局小作人、自作農、地主、こういう階級でつくられておるので、やはり小作側の有利な解釋をする者が多くなるというようなことで、そこに紛糾が起きて、場合によるとあるいは涙をのんで何ともいかないというような方に、無知なるがゆえにそれに屈從しておるというような形もあつて、それがために生活が非常に困窮に導かれておるというような状態も幾多ありますが、どうかこれに對しては法の解釋をぜひ各府縣に、今一應御通牒願いたいと思います。今の法を正しく解釋するようにすればそういう間違いはないという法律が出ておるにかかわらず、農地委員會にその裁量を任せる。こういうことであるから、その農地委員會はやはり小作權者の有利なる解釋をするがために、國の犠牲となつて歸つてきた人たちが涙をのんで暮しておらなければならぬような非慘な状態が幾多生じており、また幾多そういう實例があるために、今日のこの委員會が招集されて、農林當局の方にもお出でを願つて、ここに論議が闘わされなければならぬ。こういう事態になつたのでありますから、どうかその點お含みの上、大臣と御相談の上、早速かような紛糾が各地に起らないように御處理願いたいと思います。
#47
○山添政府委員 これは一段と御趣旨のような點を徹底させるように努めたいと思います。同時に今の農地委員會は、ああいう例がなかつたような、まつたく委員會に任された例になつておりまして、從つてある村等では行き過ぎのような場合もあるわけでありまして、そういう場合に現在ではこれを適當に是正する途については、實は法制的に不十分であります。そこでこの國會に提案する改正法におきましては、そういう不法な決議、また著しく不當なものにつきましてはこれを再議に付する、あるいは上級の委員會に取消しを求める。かように地方長官の相當な監督ができるようにいたしたいと思つております。相まつて御趣旨に副うようにしたいと思つております。
#48
○中嶋(勝)委員 この農地調整法は改正案を御提案になりますか。
#49
○山添政府委員 はい。
#50
○中嶋(勝)委員 わかりました。
#51
○天野委員長 ほかに御質問ありませんでしようか。
 それでは本日はこの程度に止めて散會いたします。
   午後零時五十分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト