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1947/10/18 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第10号
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1947/10/18 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第10号

#1
第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第10号
昭和二十二年十月十八日(土曜日)
    午前十一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 天野  久君
   理事 藤原繁太郎君 理事 中嶋 勝一君
   理事 原   侑君 理事 若松 虎雄君
      川合 彰武君    成田 知巳君
      松谷天光光君    松原喜之次君
      和田 敏明君    中曽根康弘君
      松本 一郎君    村瀬 宣親君
      菊池 義郎君    竹尾  弌君
      亘  四郎君    内藤 友明君
      受田 新吉君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        復員事務官   森田 俊介君
 委員外の出席者
        外務事務官   小島 太作君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國際赤十字委員會宛「メツセージ」の經過報告
 に關する件
 引揚者の厚生問題に關する件
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長 それではこれより會議を開きます。
 會議に先だちまして御報告をいたすことがあります。前囘御協議、御決定を願いました海外同胞歸還促進に關する國際赤十字委員會あてメツセージの件は、司令部の好意によつて、司令部外交局の方でそれぞれ發送の手續をとつていただくことになりました。右經過を御報告申し上げます。
#3
○天野委員長 本日はこれより、厚生大臣より復員廳の厚生省移管に關する御説明を聽取することにいたします。一松厚生大臣。
#4
○一松國務大臣 皆樣すでに御承知のことであろうと思いますが、本月の四日に連合軍總司令部から政府にあてられまして、復員機關改造に關する指令というものが到達いたしたのであります。その内容は、今までの第一復員局關係の機關を全部厚生大臣の管掌下に移し、第二の復員局關係の業務はさしあたりこれを總理大臣の監督下におきまして、そうして昭和二十三年一月一日までに仕事をやり、そのときまでに仕事の終了しないものは厚生大臣の所管に移せ、こういうような指令であつたのでございます。
 その後の復員業務について申し上げますと昭和二十年の十月十日附の日本武装軍隊の復員に關する覺書、その他の法規等に基きまして、從來とまつたく同樣に實施せられておるのでございます。それから私どもの方で引繼いでしなければならない仕事の中で、將來どういうようなことにしたらよろしいかというような點に對しましての十分な調査研究をいたしまして、その結果を連合軍の方に詳細に報告しなければならぬというようになつておるのでございまして、今日のような状況になつておりますけれども、なお未復員者が相當ありますので、これらの點に對しましては全國民こぞつて復員の促進を希望しておりますことは申すまでもないのでございます。そこで一通り陸海軍部隊の復員の現況を御報告いたしますならば、終戰の當時におきまして四百萬人近くの者が海外にあつたのでありますが、そのうち陸海軍部隊が二十五箇月を過ぎました本年の九月までに、無事に生還いたしました者が二百八十七萬人となつております。現在はソ連關係地區に約五十五萬の人々が殘留していると推定されておるのであります。なおソ連地區以外の地區に健在している者は約一萬一千人あると推定せられております。
 復員のための機關といたしましては、御承知のように、昭和二十年の十二月に陸海軍省を改編いたしまして、第一復員省、第二復員省というのが設けられておつたのでありますが、その後省を廢しまして、廳にして總理大臣管轄のもとに復員廳というものが生れて、中央、地方を通じて復員の實情に應ずるような改革を逐次行つてまいつたことは、皆樣御承知の通りで、そして今日に至つているのでございますが、元來これらの復員業務というものは民衆の福利増進に重大な關係があるのでございまして、私の所管いたしておりますところの厚生省の業務のうちの引揚援護院關係とよく類似いたしておるのでございます。そういうことでございますので、私の方で從來引揚援護院關係について、引揚者のことに關して親切丁寧にこれを促進するということに精勵いたしておつたのでありますが、今囘復員廳の事務の引繼を受けました以上は、同じくこれらの引揚援護院關係同樣に促進をはかりまして、それらの人々の遺家族等にもでき得べき限りの安心感をもつていただくようにしなければならぬというように考えているのでございます。ただ遺憾に思います點は、ソ連地區に關します殘留者の非常に數の多いことでございます。これは過般外務大臣から一大朗報であるとして話されましたように、一箇月に相當數の人々が歸還することに豫定せられておつたのでありますが、その後の状況の變化によりまして、相變らず一箇月五萬ぐらいの人々よりほか復員ができないというような状況に立至つたのは非常に遺憾に考えております。その五萬といたしましても、一般の人が三萬、軍關係の人が二萬、合計五萬、これらの人々は一箇月五萬人ずつ歸されるといたしますると、向うに殘留しておりまする人々の數を五で割りますと、ちようど二十四年の秋ごろまで歸還完了に時日を必要とするのでありまして、それではあまりにもそれらの殘留している人々に氣の毒であるのみならず、遺家族等の人々に對してもまことに相濟まぬということのために、しきりに政府といたしましても促進の方法を實行し、また考えております。しからばどういうことをやつているかと申しますると、これは何をおきましても、これらのことはポツダム宣言の趣旨に基きまして、連合軍のすべての監督下でなければ仕事はできません立場から、連合軍に促進力をお願いして、そうして五萬少くともそれ以上を至急に歸すようにということを、ずいぶんいろいろの手をもつて懇請いたしております。政府といたしましてもそれ以外にとるべき手はないのでございまするが、連合軍の方におきましても、特にアメリカの方のそれらの關係人々は、特に同情をもちまして、いろいろな機關を通じて、ソ連の方に交渉をしてくれているようでございます。その結果でありましようか、ソ連の方も最近ではラジオ等によつて、今どのくらい歸すようにしておる、今どういうようなふうに促進の状態があるということを報告しておるというような状態を耳にいたしておるのであります。結果は惡い方ではなく好轉しているということを喜んでおります。また民衆の方が直接にソ連の關係方面に御運動をなさるというようなことも有效適切であろうと思うのであります。その他新聞雜誌あるいは赤十字その他の諸團體、あるいはカトリツク教會というような各關係の人々が、熱心にソ連方面にそれらの促進方についてそれぞれ手を打つてくださつておることはこれまた喜びにたえないのであります。要は一日も速やかにこれらの人々の無事に歸還することを念願いたしておる次第でございます。政府といたしましては、今後ともでき得べき限りそれらの點については十分促進方に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。一應私の手にわかつておるごく概略を御報告申し上げて御了解を得たいのであります。
#5
○内藤委員 厚生大臣にお伺いしたいと思います。この夏ごろ外務大臣からお話を承りましたところによりますと、一大朗報だという月五萬人づつ歸還し得るというお話であつたのでありますが、今厚生大臣のお話によりますと、それが種々の事情が惡くなつたために月五萬に減つた、その惡くなつたということはどういうわけか、おわかりでありますればお聽かせ願いたいと思います。
#6
○一松國務大臣 外務大臣が話されました以後において、状況の變化があつたということだけしか、今公開の席上で申し上げられませんので、それらの點はたいがい御想像を願いたいと思います。
#7
○内藤委員 想像するにも實は想像する材料もないのですが、いつかの機會に祕密會でもやつていただきまして、その状況の變化をお聽かせ願いたいと思いますので、委員長から重ねてお願いいたしたいと思います。
#8
○天野委員長 承知いたしました。
#9
○村瀬委員 以前この委員會でもいろいろたくさんの人を引揚げてもらうという意見があつたのでありますが、そのときにナホトカには碎氷船を使うならば、冬でも續いて歸してもらえるであろう。ほとんどその實現が可能であるかのように御説明を承つたことがあつたように思います。また今厚生大臣のお話によりますと、五萬人歸つておるし、結果は好轉しつつあるというお話でありますが、むしろ五萬人に達していないようにも聞いておるのであります。三萬くらいに減つたというようなことも聞いておるのでありますが、今後確實に五萬は減ることのないお見透しがありますか。また冬の期間碎氷船を使つて、あるいはそのほかの方法ででも冬でも續いて一箇月相當の歸還ができるお手配を政府の方でしていただいておりますか。
#10
○森田(俊)政府委員 私からお答えを申し上げます。ただいまお尋ねになりましたナホトカ港に碎氷船を入れれば、冬季でも引續き復員ができることは事實でありますが、今年の一月以後は碎氷船をいれてもらえなかつたのでありまして、その期間ナホトカ港から送還は中絶いたしまして、今年の冬にはでき得べくんば碎氷船を入れていただいて、途中中斷されることのないようにできるだけ事務的にはお願いもし、折衝もいたしておるのでありますが、私どもまださようにはからつてもらえるという確報を得ておりません。のみならず心配して考えますれば、ナホトカ港における冬季の收容施設も大體昨年のような樣子で、碎氷船は入れてもらえないのではなかろうかという非觀的な情報さえもありますから、さらにできるだけ連合軍總司令部にお願いを續けるつもりでありますが、今日もなおこの期間碎氷船を入れて引揚を續けて、中斷することのないようにするという確報はいただいておりません。先ほど大臣からお話のありました二十四年の秋までかかるだろうという數字は、大事をとりまして冬の間は碎氷船を入れていただけないで中斷するであろうというようなことを見越しまして、五萬の數で歸還を續けるとすれば、二十四年の秋までかかるだろうというような計算を出しておるようなわけであります。またお尋ねのもう一つの中に、五萬ずつ實行していないじやないか、それより少くなつておる月もあるじやないかというお尋ねでありますが、これも本年の春以來七萬以上にも上つた多い月もございますから、この春からの一箇月平均を申しますれば、五萬以上になつております。八月以降五萬に達しない月が續いておりますので、この點も總司令部に各月とも五萬を切ることのないように、またそれをオーバーして歸していただけるように、再三事務的にはお願いを續けておる次第であります。以上お答え申し上げます。
#11
○村瀬委員 私は引揚者である關係上、いろいろ激越な、またきわめて熱烈な要求を毎日手紙でその他で受けておるのであります。今も春から平均すれば五萬になるが、順々に減つておるというようなお話であります。これは春は二萬であつたが、順々に殖えて、平均五萬に達したというならば、非常に心強いのでありますが、春は多かつたが、順々に減つてようやく平均わずか五萬に今のところはなつたのだという状態でありますと、將來非常に心細いのであります。また多く地方の引揚團體からの陳情要求を見ましても、われわれはやりたいこともあつたし、言いたいこともあつたが、ポツダム宣言を忠實に守ろうと思つて、忍んで歸つて來たのであるし、また歸つてからも、その線に沿つて忠實にやつておるつもりなんだが、一體日本のどこにポツダム宣言に違反しておるところがあるのか。ないのらば、ポツダム宣言ではつきりと約束されたわれわれの同僚をなぜ歸してもらえないのか。それをやると言つて出てきた國會議員たちも、政府も何をしておるのか。もしわれわれにこういう點を改めよ。この點がポツダム宣言に違反しておるから歸してくれぬというのならば、われわれはいかようにしてでも改める。その點を聽かしてくれと、いつも言つてくるのであります。言えないお事情もいろいろあると思いますけれども、一體政府の方ではこれをこのままどうしようとお考えになつておるのでありましようか。春は多かつたが、順々に減つてくる、碎氷船も入れてもらえない、冬は中斷するであろう。こういう状態を率直に地方の引揚者たちに私はよう話して聽かせられないのであります。むろん困難な事情はわかつておりますけれども、もう少し今後はこういう方法も講じてみたいと思うが、こういう方法をすれば少くとも五萬は確保できる、あるいは冬も月に一囘くらいは船も歸つてくれるかもしれないというような點を、いま少し御發表願いたいと思います。
#12
○一松國務大臣 今あなたのお希望のあつたことは、政府はもちろん日本國民全部の考えでありますが、そこは相手方のすることなんだから、自分の方でこうしたいのだが、なぜあなたの方はしてくれぬかといつて、今わが國が向うに對してこれを要求がましいようなことのできないことは、今日のわが國と連合國との關係の状態から、これは御推察していただくことができようと思うのであります。ただ問題は、日本政府が誠心誠意ポツダム宣言を履行しておる、だからどうか日本政府、日本國民の誠意を認めて、なるたけひとつわれわれの意に副うように御協力をお願いしたい、御實行願いたいという哀訴嘆願以外に方法はありません。その哀訴嘆願ということについては、政府としてはできるだけの手を打つて、先刻申し上げましたように、連合軍の方、殊にアメリカの關係方面にいろいろお願いをして、その方面からソ連に交渉していただくということにしなければならないような手續になつておりますから、そういうことはもう間斷なく手をかえ品をかえやつております。そのときにソ連の方が必ずしも日本の要求通りに應じなければならぬというような義務が、向うにあるということであればいざ知らず、向うはおれの勝手でやるのだということにかりに出られたとしたならば、それ以上こちらは向うに向つて反撃的態度なり、あるいは攻撃をするというようなことのできないことは、今日の國際情勢上御存じのことであろうと思いますが、要は十分に手を盡すだけ盡せという御希望であろうと思いまするが、それらのことについては手ぬかりなくやつております。また諸團體、民衆がいろいろな方法によつて、直接ソ連側の方に交渉するというようなことは、これは連合軍から政府に要求してあることと違う行動でありまするから、これらの點に對しましては政府としては別にこれを阻止しないのみならず、喜んでそういうことをやつてくれることをもちろん希望しておるということは、先刻申し上げた通りであります。これ以上にどうすればよいというようなことは、敗戰國の悲しさちよつとできませんのです。ただしあなた方の方でこういうような手があるじやないか、ああいう手があるじやないかというふうに政府を督勵していただくような妙手、妙案がありまするならば、教えていただけば、政府は檢討の上、なるほどそれは正しいりつぱなことであると思えば、喜んでそういう手を打つに少しもやぶさかではありません。
#13
○村瀬委員 われわれはこの際わらをもつかみたいような氣持で、何とかしてソ連に殘つている人を歸したいと思うのでありますが、それについて政府の方におかれましては、今御承知の通りわが國のこの國會には共産黨というものもはつきりおるわけであります。黨員の議員もおるわけでありますし、またソ連が共産主議國であり、インターナシヨナルとか、いろいろな機關をまた復活したというようなことも新聞で聞いておるのでありまするから、日本共産黨の方々と特別にこの引揚問題につき、またソ連關係につき御協議をなさるか、あるいは適當な方法をお考えになるというような御計畫はあつたのでありますか。また將來お考えになつておるのでありますか。あるいはこれらの方々にソ連入國というようなこともお考えになつたことはあるのでありましようか、伺いたい。
#14
○一松國務大臣 ソ連は共産主義の國である、わが國の現國會議員の中には共産黨の人々がいるじやないか、その共産黨の人々に政府がいろいろな要請をし頼んで、そうしてこれらの人の手からソ連を動かすという手があるじやないか、そういうことを考えたか、また將來そういうことをする意思があるかというお話でありますが、先刻も申しましたように、すべて諸外國に向つて日本政府がいろいろな要求をし、意思表示をしようとする場合には、連合軍を經なければできないことになつております。でございまするから、今あなたの仰せになつたように、共産黨の議員に働きかけるとか、共産黨の議員に頼むとかして、そうしてこれらの人を動かして、直接ソ連に云々というようなことは、政府としてはできません。でございまするから、それらの共産黨の議員の人々が進んで日本國民の意思を推測して、自分らがひとつ大いにやろうというようなことでやつていただくことは、もちろん政府としては喜ばしいことであります。また議員諸君が、共産黨の代議士諸君と協力して、そういう行動をとつていただくというようなことも非常に結構なことであります。またそういうようなことの決議を議會において、議會の意思としてするというようなことについても結構な話でありますが、日本政府が連合軍を通じてすべての意思表示をしなければならぬということの責任を負うておる立場から、連合軍を度外視してそういうようなことはできません。その點はひとつ惡しからず御了承を賜わりたい。
#15
○天野委員長 ちよつと速記を止めて……。
#16
○天野委員長 それでは速記を始めてください。松谷君。
#17
○松谷委員 目がさめれば物價が上つていくこのインフレの中にあつて、殊に働き手を失つておる留守家族、これに對する國家保護が現在一體どの程度になされておるか。それからまたソ連殘留五十五萬、その他一萬一千名の家族に對する今後の生活保障の手を、政府はどの程度に差伸べようとしておるかという點について、現在の状態、あるいは今後に對する大臣の見透しなどを伺いたいと思います。
#18
○一松國務大臣 引揚者に對しての更生資金の制度が設けられておることは御承知の通りでありまして、今では一世帶に對して五千圓ということになつておるのでありまして、それらのことは庶民金庫を經て放出するということになりまして、合計十六億六千六百六十七萬圓というものが、第一次、第二次で出すことになつておつたのであります。ところがそれらのものを相當出しまして、今では殘額が三億一千六百六十七萬圓ほど殘つております。しかしこれだけでは十分に手を盡すことはできません。かりにこれだけを全部放出してしまつたといたしましても、三十數萬世帶以上には貸付ができないことになります。百萬に近い世帶數に對して三十數萬世帶では、まだあと六十何萬世帶というものが、そのままに放置されるという状態にあります。しかしその中には何も生業資金がなくても、たとえば勞務に從事しておつたとかいうような人々もありますから、そういう人人を取除きましても、まだ少くとも二、三十萬世帶には更生資金を貸し與える必要がありますので、今追加豫算でほとんど八億圓以上のものを要求しております。そういうものができますれば、今の五千圓というものを、もう少し七千圓とか、八千圓とかいうことに世帶に貸付ける限度を高めることができます。そういたしまして、それらの高められた金額を數世帶の人が寄つて生業資金ということに活用いたしますれば、どうかこうか生業にありつくことができるのではなかろうか。こういうように考えて、今大藏省の方にそれらのことを要求しております。これが實施せられますれば、引揚げた人に對しましての、まあまあこの程度ならばがまんできるくらいの援助ができるのではないか、かように考えておるので、その以外のことは例の生活保護法におきまして、それらの人たちの生活を保障すべく援助の手を打つております。さよう御承知願いたいと思います。
#19
○松谷委員 ただいまの御説明は引揚者に對しての保障の手段であろうと考えます。私はただ引揚げてこられた家族ばかりでなしに、以前から國内にあつて戰災を受けておられる、つまり留守家族に對する特別な保障のこと、それからただいま大臣の言われた追加豫算八億の中に、今言われた引揚者に對する更生資金であるか、あるいはそうした留守家族にもその中から保障をする豫算が組まれておるかどうかもお伺いいたしたいのであります。
#20
○一松國務大臣 今の八億というのは、更生資金として、引揚者に對する厚生資金の貸出です。それから軍人の遺家族に對しましては、いわゆる生活保護法と、その以外にその軍人に相當するだけの給與を出しておつたのですが、それらの金額は非常に少い。それを増額するように今交渉をしております。そういう具體的のことは、政府委員から御説明することにいたします。
#21
○森田(俊)政府委員 ただいま厚生大臣からお答えの通りでありますが、未復員のもと軍人軍屬は、終戰後におきましては、連合軍御指令によりまして、當時認められた給與を拂つております。その給與はまことに少額でありまして、營内居住の昔のままの制度が認められまして、たとえば營内居住の二等兵でありますれば、月にたしか九圓四十錢か五十錢であつたかと思いますが、そういうふうなものを出してもよいというような状況であつたのでありますから、たとえこれが一年分溜りましても、二年分溜りましても、ほとんど問題にならないのであります。そこで援護という意味ではございませんが未復員のそういう人たちの給與を改善していただきたいということで、かねて大藏省にも事務的に折衝しておつたのであります。關係方面の御了解も得て、今囘提出いたされる豫定になつております豫算には、未復員の兵には大體月百圓、これは本人が復員されて歸られたときにその港で一括して何箇月分か上げる。それで扶養義務のある御家族に對しましては、月にお一人百五十圓というものを豫算で組んで認められておる次第でありまして、必ずしも十分に行き届くという意味ではありませんが、一般の公務員の方々の給與もだんだん何囘にも改善せられておりますような現況でありますので、未復員のもと兵の方々に對しましても、給與改善の意味において、その給與改善の中に扶養義務のある御家族に對しても今度加えて、御一人百五十圓ということを認められておるわけであります。いずれ皆樣方の御審議を經て、これが通過いたしますれば、七月分に遡つて施行する豫定で、これだけの施行に不足のないように、約六億あまりの金を認められておる次第であります。これは物價高に非常にお困りになつておる未復員の元兵の御家族をこれで援護するという意味ではございませんが、未復員の元兵の方々の給與を改善するその反射的な作用として、御家族にも及ぶというのでありますから、先ほど大臣から仰せになりました生活保護法は、その百五十圓をいただいておつても、なおかつ御家族が大勢であつて生活上非常にお苦しくて、一般の生活保護法による救助を受けなければならぬような御家族であれば、百五十圓のこの家族手當が出るようになりましても、今までの生活保護法による救助の手當が排除せられるわけではございません。これは給與の改善でございますから、生活保護法は別に行つておる。こういうことで兩々相まちまして、多少なりとも未復員の元兵の御家族で非常にお困りの方々には、いくらか手が伸びるのではないか、かように考えておる次第であります。
#22
○松谷委員 ただいまの御説明で大體納得ができましたが、その議會の協贊を得てと言われる見透しは一體いつごろになる見込みでございましようか。
#23
○森田(俊)政府委員 今度の追加豫算に盛つていただいておりますから、追加豫算が出ますときには、その中にはいつておるわけであります。この議會中に出るに間違いないことでございましようが、この議會の終るときにはきまる。私ども遡つての準備を完了いたしておりますが、遡つて七月から及ぼしていく。かように考えております。
#24
○松谷委員 もう一つ厚生大臣にお願いし、また御意向を伺いたいのですが、先ほど生活保護法によつて、大體未復員の家族に對するそういう手を差伸べるというお説でございました。これは一部においてはもうそうした保護を受けておる家族もありますが、大體においてまだなかなか種々なる理由で、民生委員はどうしても許可をしてくれないというような事情も諸所にあつて、いろいろ訴えを受けておりますので、ひとつ厚生大臣から民生委員に對して、再調査、あるいは篤とそうした未復員の遺家族に對しては手を差伸べるように、特別な何が通達を發していただきたいとお願ひしたいのですが、それをしていただける御意思がありますかどうか、なお念のために伺います。
#25
○一松國務大臣 了承いたしました。
#26
○中曽根委員 今日は實は外務大臣がお見えだというお話であつたので、期待してまいつたのでありますが、これは厚生大臣の所管ではないと思いますが、外務大臣にこの次においでになるときに準備していただきたいと思いますので、申し上げたいと思ます、一つは、最近新聞で講和會議の時期が非常に近づいておる。そういう氣配が感ぜられておるのでありますが、時期が次第に近づいておるということを感ずると同時に、われわれは非常に大きな不安をもつておる。それはどういうことかというと、ソ連が講和會議に加わらないのではないかという豫想が一方にはある。その場合、ソ連を除いた國で講和會議をやつて、引揚げをまだ完了してない同胞はロシヤでどうなるか。これそのままにしておいて講和會議を開くのかどうか、これは六十數萬の在外同胞にとつては實に重大な問題であろうと思う。これに對して政府の方では、もうある程度準備を進められておるだろうと思うのですが、どういうお考えでおられるか承りたいと思います。
 次はそれと同時に在外資産の問題もやはりひつかかつてくるだろうと思う。在外資産の問題についても政府で今わかつている見解があつたらお聽きしたい。
 三番目は、最近揚者が日本の港において給與されている衣服というものは非常に劣惡なものになつているようです。終戰後の引揚者はかなり特殊物件や何かで埋合わされて、もつてきたと思うのですが、最近はそれが枯渇してないためか、前から比ベると問題にならないようなものを着て歸つてきております。これはなはだ不公平であつて、少くとも前に歸つて來た人と、今歸つて來ている人と同等でなければならぬ。むしろ今歸つてきている人の方が苦しい生活をしてきているのだから、優遇しなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、當局はどういうふな處置をしておるか承りたい。
 最後に、八月以降の復員の状況ですが、資料として毎月どの港からどのくらい歸つておるか。これを提出していただきたいと思います。
#27
○天野委員長 第一、第二の問題は外務大臣に傳えます。第三の問題に對しては、厚生省に關係があると思います。
#28
○一松國務大臣 第三の問題は、調査して具體的にお答えいたします。
#29
○村瀬委員 先ほど松谷委員から生業資金の問題につきましてお尋ねになつておりますし、ちようど厚生大臣もお見えになつておりますから、お尋ねをいたしたいと思いますが、その前に私は特にお願いを申し上げてをきたいことが一つあるのであります。この海外同胞引揚の特別委員會はいわゆる引揚げが主になつておるのでありますが、しかし、ただ引揚げさして、あとかえつて餓死させては困るのでありまして、自然どうしても引揚げてから人間として生きるだけのことは考える必要があると考えております折柄、ちようど第一、第二の復員局がやがて厚生省に移管されるということは、引揚げた後に對しましてのいろいろな御施設を、今まで以上に熱心にお願いをし、また考えていただけるという點を非常に喜ぶのであります。と同時にこの引揚促進という點につきまして、外務省で一生懸命今までやつておられてもこういう状態であつたのが、今度厚生省に何もかも復員業務が全部移つているという場合に、まことにわれわれはまないたの上に乘つた鯉のようなものであることは承知いたしておりますけれども、この引揚促進という點につきましても、何とかできる限りのことを今まで以上にしていただくようにお考えになつて、それからどうも不熱心に考えるというような一般國民の聲がもし聞えますと、われわれとしても非常に殘念であります。歸つてからのいろいろな施設は私はこれによつて非常に安心をするのであります。引揚促進ということにつきましては、特に力を入れていただくようお考えをいただいて、厚生大臣に特にお願いをいたしておく次第であります。
 元へもどりまして、生業資金でありますが、われわれの方で調べて見ましたのは、昨年からすでに生業資金の申込みをいくらしましても全然受付けてないのであります。むろん豫算の關係もあるでありましようが、これはただいま衣服の問題で中曽根委員が、苦勞して歸つた者にみじめな目をさすのは、いわゆる政治道徳、人間としてのいろいろ根本的な考えからも間違つているというお話がありましたが、早く歸つた者は三千圓にもせよ、五千圓にもせよ、借りられたが、苦勞して着の身着のままで歸つた者は申込みさへ受付けぬ。こういう状態は實に大問題であります。それで現在申込需要者と考えられているものが五十一萬世帶あるのでありまして、これに平均五千圓ずつ貸付けるといたしますならば、二十五億圓がただちにいるのであります。この二十五億につきましては、昨年末政府當局も大體原則的に御了解を與えておられたと存ずるのでありますが、今伺いますと八億圓見當ということであります。これは今さら急にその款項の豫算だけを殖やすことは困難かもしれませんが、何らかほかの方法で、あとから歸つて來たからといつて金を貸してやらぬというようなことのないように、すべてを公平に得心のいくような政治をするというような手段をとつていただけないものであるかどうか。これをお伺いしたいのであります。
 それから生業資金の貸付計畫は昨年八月ごろの計畫でありまして、當時からの經濟事情の激變を考えてみますならば、當然一萬五千圓くらいは貸して與えませんと、實際生業資金の效果を發揮することができない今日の事情でありますが、これに對しましてどういうお考えをもつておられるか、これを承りたいのであります。最後に特にお願い申し上げておきたいことは、これはいずれ關係者の方で請願書が出ておりますので、紹介議員として特に厚生委員會でお願いをいたしたいと考えておりますが、今日引揚者に殘された、今日ただちに政府または厚生大臣のお考え一つで、今からでも明日からでもやり得ることは、住宅の問題と生業資金の問題一つに壓縮されてまいるのであります。引上げて來ました人の當然やつてもらえる、なぜこれくらいのものがやつてもらえないかと思うことが、およそ十二ほどありますが、その十二の項目を次々に吟味していきますと、いわゆる先ほどから厚生大臣がお話になつた、相手國がある、敗けた日本としてはこれも後囘し、これも後囘しとなつていくのでありますが、ただ生業資金と住宅の問題だけは何も占領とは關係なく、厚生大臣または現政府のお考え一つで、今日からでも、明日からでも、實施し得る問題になつておるのであります。この生業資金につきましては、特別な英斷をもつてお取計らいを願いたいと思うのであります。
#30
○一松國務大臣 引揚者に對する衣料給與の問題について、先に引揚げた者に對して給與したものと、その後の引揚者に對する給與が非常に優劣の差があるということは、實は私なはだ恥しい話ですが、その邊まで承知していなかつた。調査がそこまで届いていなかつたことははなはだ恐縮でありますが、今事務當局に聽いてみると、實際その通りだ。それはどうもけしかなぬ話だ。どうしてそういうことになつたかということをだんだん聽いてみますと、やはり物資が初めよりもだんだん少くなつて、またあるものは惡いものが多く殘つているというようなことのために、そういうことになつているということを承りました。それらのことに對してまことに公平を失したという建前から相濟まぬことでありますが、將來注意いたしまして、そういう人に對しては特別に何かの手當をして埋合せでもせなければならぬのではなかろうか、こういうようなことを考えまして、これらのことは事務當局にもよく調査させまして、なるたけそういうような不平不滿をなからしめるように努力するということを御承知願いたいのであります。
 それから復員廳の仕事が厚生省に引繼がれた以上は、これらの海外におる人の歸還促進のために厚生省も努力せよということは、もつともなお話で、どこまでも努力する決意をもつておりますが、先方に交渉すべきことは、御承知の通り外務省を經て交渉をしなければなりませんから、これらの點については、外務省と協力してその目的を達するように、私からも外務大臣の方によく御質問の趣旨を傳えまして、實現できるように努力いたします。
 それから更生資金の問題でありますが、更生資金は申しこんだにかかわらず今に至るも貸出しをしないところがあるということを聞いておるが、一體そういうことははなはだ不都合ではないか、今日引揚げてきておる人が内地に揚つて何も頼りにすべき人もない。生業はできない、生活に困つている、金は貸してくれないということで、故國へ歸つてきても生存と維持することができないということではまことに濟まぬので、調査してみると、すでに先刻申しました十六億六千何百萬圓というものを全國に割當てたものが、ある縣によつてはすでに支拂い盡したために、あとの金の來るのを待つているために、そういう不都合な話があるそうでありますが、これはまことに濟まぬわけで、政府としては先刻申し上げましたように、三億六千何百萬圓という未拂のものがあるのでありますから、そういうものをいわゆる配置轉換して、どこそこへやつたものは拂つてしまつたが、どこそこに殘つているというものに手をつければいいのですが、そういうことがあつたらしいのでありまして、こういう點も急速に手を打つてそういうことのないようにいたしましよう。それと同時に今の八億というお金も、あなたのお話によると五十萬世帯として五千圓とすれば二十五億という金が要るということでありますが、そういうものに對しましては、今申し上げましたように、必ずしもその中で更生資金を必要としないものもある。たとえば獨り者であるとか、勞務に從事しておつたとか、もしくは人に雇われておつた者が、内地に歸つて同じように雇われるような立場になつて、更生資金も要らぬという者もありますから、そういうものを差引きますと、今八億圓の追加豫算で要求しておるものが通過すればどうかこうかいきはせんかというめやすを立てております。そうかといつて、今あなたのお話のように五千圓では少いから、三倍の一萬五千圓にせよということは、今のわが國の財政状態から少し無理ではないかと思いますが、今度の八億が通過すればあるいは七千圓から八千圓になりはせんか。一世帯に七千圓や八千圓の金は今では目くされ金でありますが、これも十軒寄れば八萬圓、百軒寄れば八十萬圓ということになるので、緊急處置的のことをやつていただけば急場は凌げるのではないかと思います。それでもなお物價がどんどん上つてどうしてもやつていけないというのであれば、これはまた別途に考えなければならないと思つております。別途に考えるということは、國會が開けておれば豫算の請求をするが、そうでなければ豫備金から出す方法もありましようから、なるたけ御期待に副うように努力して、それらの人が故國に歸つて、故國の人を怨んで、それがために平和を亂すというようなことのないようにひとつ努力いたします。
 次に住宅問題でありますが、これは目下の非常に窮迫した問題でありまして、これらの數百萬人の人がにわかに海外から引揚げてきたものに對して住宅の供與すべきものがない。これほど困つたものはないと思います。政府としては休閑住宅、休閑部屋――大きい家にわずかの家族が住んでおるというようなところの空いている部屋をこれら困つておる人に貸し與える方法をとつておりますが、そんなことではなかなか間に合いませんので、寺院とか學校公會堂とか、工場の空いておるところに割當てておるけれども、なかなか思うようにいきませんので困つております。こういうことについては今まで御承知の住宅營團がやつておりましたが、これも遲々として進まないのみならず、いろいろな非難があるということに關しまして、住宅營團を解散して急速に整理し、今までより働きが敏速にいくように、そうしてこれらの困つておる人々のために住宅を提供する方法を講じようというようなことも、今閣議等において議論されておりますから、こういうことも早晩できるでありましよう。そのほか追加豫算等もこういう方面に相當な豫算を組んでおりますから、できるだけ努力いたしますが、それまでやはりやむを得ませんから今申しましたようなことでお世話のできるところはお世話をするし、できないようなところはバラツクでも一時建てる、あるいは寺院、公會堂、工場、空家というようなものでもうしばらく我慢をしていただく以外には方法はないのでありますが、政府といたしましてはできるだけ急速に、かりに三疊一間であろうと、自分ら家族が水入らずに住むことのできるようにしてあげるのが一番よいことであるし、また一番喜ばれることであろうと思いますから、そういう方法を考えましてできるだけ努力いたしますから、この際御了承を願いたいのであります。
#31
○村瀬委員 非常に御親切な御答辯をいただきまして引揚者一同も感謝をすると思うのであります。今の數字でありますが、私たちの方で調べておりますのは、大體百二十萬世帯でありまして、十六億六千萬圓を一口三千圓ないし五千圓貸付けるといたしまして三十萬ないし五十五萬世帯となるのでありますが、今まで申込で貸付を受けたものが申込みの六・一九%というような状態になつておるのであります。それで引揚げて歸つた百二十萬世帯の六割五分が生業資金を要する者という計算のもとに見ましても、なおかつ五十萬世帯はどうしてもこれからまだ借りたい者があると見るのであります。それに被服一つでさえも前歸つてきた者より惡いというような非常に氣の毒な有樣であります。前歸つた者は五千圓でも借りればおでん屋でもやれておるのに、あとから歸つた者は被服もボロで、金もひとつも貸してくれぬ、申込みさえ受付けてくれぬというのでは非常に氣の毒であり、本人たちも異樣な感じがするのであります。そういう感じを起させないためには、どうしても五千圓としてここに二十五億の金を用意しなければ、またこれから歸つてきた人はこういう目に遭うのであります。これははつきりしているような感じがいたすのであります。結局前の者が得をしてあとの者はばかを見るというようなことでなく、やはり負けても日本の國はありがたい、先の者もあとの者も一緒にやつてくれるという感じを起さすのには、どうしても生産資金の二十五億圓を用意していただく必要があると思うのでありまして、この點私たちの機關を通じて調べました數字に基きまして、特にお願いをする次第であります。なお手段等につきましても、いろいろと今お考えくださつているようでありますが、引揚者が今申しておりますのは、われわれは敵國の中を互いに何萬という人間が寄り合つて、むち一つつえ一つなしで歸つて來たのであるから、もし今團結して起ち上るなら、何も二・一ストの指導者の力を借りなくても一人でやつていける。もう一度日本の名譽を囘復したいと思つてやつているのだ。どうかこの氣持をおくみとりくださいまして、これ以上激越な考えを起させないような施策を、あまり遲れないように取計らわれんことをお願いしておきます。
#32
○一松國務大臣 ただいまの御主張につきましてはせいぜい注意いたしまして、なるたけ御期待に副うようにいたします。
 それから、さつき私が申し上げました、その後に歸つた者に對する給與の衣服が特に劣惡だという御意見であつたのでありますが、特に劣惡ということはないようであります。ただ初めに歸つた人とあとから歸つた人とを比べてみれば、多少品質はどうだかなと思うようなものもなきにしもあらずでありましたが、事務當局の實地の調査がそうでないそうですから、特に劣惡というようにもし私が言つたとすれば、これはひとつ訂正していただきたいと思います。最初に歸つた者とあとに歸つた者との間に多少相違があつたということはまことに濟まぬことであるから、そういうことがあればそれらのことは大いに是正すべく努力いたします。こういうことを御了承願いたいと思います。
#33
○村瀬委員 最後にもう一つお願いをしておきます。ただいま厚生大臣から、生業資金が三億數千萬圓あるから、配置轉換を早急にしてやるというありがたいお言葉をいただきましたが、これはできる限り早くしていただきたいのであります。地方に行きますと、庶民金庫等でなんとかかんとかいつて遲れるのでありますが、少くとも十一月末には全部放出せよというような御指示を、關係機關へお出し願えないものがありましようか、どうか伺います。
#34
○一松國務大臣 よく事務當局と打合わせた上でなければ、今ここで答えることはできません。そういう人が困つていることはわかつていますから、なるたけ急速にやりましよう。
#35
○受田委員 先ほど厚生大臣の御答辯で未復員者の家族を救援する對策がすでに明らかにされていることで、非常に喜んでいるものでありますが、ここで問題が一つ殘つているのは、戰死をして歸つて來た場合に、この人たちの打切りの一時金が三百十圓くらい充てられているじやないかと思います。長いこと引揚げを待たれていた家族が、それまで本人百圓、扶養家族百五十圓ずつもらつておつたのに、それが戰死して英靈となつて歸つてきた場合に、三百十圓の打切りで片づけられると、これは實に悲慘です。しかも葬儀費ももらえないという實情であるのであります。この間も私の郷里の家内でたくさんの英靈が歸つてきたのに、その英靈をこうもり傘で隱して歸つてきた。それをお迎えに行く人も多くないというありさまで、英靈だといつて見せるのが、いたわしいから、こうもり傘で隱して歸つてきている。こうした悲慘な實情で英靈を迎えている親たちは歸つて葬儀もできない。こういう國家の豫牲になつた人に對して、政府は三百十圓の一時金で濟ましておることは實に悲慘だと思うのでありますが、これに對して戰死者の遺族を公務による死亡として、例の勞災法によるほどの額を、勞働者と同じ待遇をするという點でもいいが、ここまで引延ばしていただけないか。また葬儀料なども渡してもらうようにできないか。この點重大な問題だと思いますので、豫算などにもどういうふうになされておるか、お聽きいたしたい。
#36
○森田(俊)政府委員 お答えいたします。死歿をしてお歸りになる英靈に對しましては、死亡資金二百七十圓、葬祭料四十圓、遺族の出頭旅費二百七十圓、合計五百八十圓を御遺骨をお渡しするときに差上げておるような状況でありまして、お尋ねのように、これは最初連合軍の御指令の中にこの額がきめられておるのでありまして、その後物價の漸騰等に照らしますれば、遺族として御遺骨を受取りになる往復の旅費とか、その他諸雜費とかを考えますれば、こういうことではお歸りになつてのおとむらいもろくろくできないというような向きもありますことは、私ども關係方面からたびたび聞いておりますし、また各御遺族の方々からじかに手紙その他で訴えられてきておる方も少くないのでありまして、その間の事情は十分承知いたしておる次第であります。今囘の追加豫算にはこれらの點とか、また生きて復員せられて、上陸せられたときに、三百圓だけ差上げておるその額も、現在では適當でないじやないか、改善しなければならぬじやないかというようなお話も、これとは別にあるのでありますが、この問題を含めて十分考究しなければならぬ問題と考えておるのであります。この次の國會にはぜひこれらの點も改善の實をはかり、豫算にもお認め願つて、皆さんの御協贊を得るようにいたしたいと思つて、十分努力をするつもりでありますが、今囘の追加豫算には、前申し上げました通り、未復員者の給與の改善をして、未復員者の家族の方には若干の好影響を及ぼし得る措置を講ずることにいたします。
#37
○受田委員 非常に氣の毒な人に對しての術策が早急になされぬことを殘念に思いますが、これは軍人と名がついたためにそうなつたと思いますが、勞災法による勞働者としての公務死亡という取扱いはされないだろうかということが一つ、それからもう一つは引揚未復員者の生死がはつきりしていない場合に、いろいろな調査がなされて、はつきり確認されて初めて公報されるのだと思いますが、これが死亡がとつくに確認されておるにかかわらず、いろいろな手違いで發表されなかつた場合には、やはり未復員者として取扱われるのか。既往に遡つて取扱われるのか。こういう問題がいろいろからまつてくると思います。生死不明者が五萬というふうに統計に現われておりますが、これだけのものをあいまいのうちに給與を與えるようにしてあるのか、はつきりしないのでお尋な申し上げます。
#38
○森田(俊)政府委員 生死不明の間には、もとよりただいま申しました未復員者の給與の改善が行われればそれが及ぶわけであります。ただその戰死が確定した場合には、戰死をされた日附に遡つて、前に差上げた支給濟みのものを取返すというようなことは、なかなかできにくいのではなかろうかと思います。またその戰戰死を確認した日からこの給與が切れるというようなことにはからうのが適當ではなかろうかと、これは事務當局として考えているわけであります。いずれこの追加豫算と一緒に未復員者の給與法案という法を出しまして、その法の規定に基いてこれが施行せられることになるわけでありますから、その法の規定の中に今お尋ねになりましたような趣旨を十分參酌して織りこんで、あまり不都合のないようにこの法案をきめていくようにいたしたい、かように考えております。御承知を願います。
#39
○松谷委員 先ほど村瀬委員からお尋ねのありました住宅問題に對する大臣のお答えについて、なお少し伺いたいと思います。大臣の御説明によりますと、遊休住宅の開放を實現しつつあるというお言葉でございましたが、私ども現状を拜見いたしますと、どうもこの遊休住宅の活用がまだ完全になされてない。これを當局は全力をあげてなさる意思があるかどうか。私どもとしてはこの遊休住宅の活用を速急に實現していただきたい、こう願うものであります。
 それからいま一つは、政府とされても住宅の新築にできるだけの全力をあげるというお話でございましたが、今日驛頭に參りますと、例のやみ市はどんどんと見ている間に建てられておりますにかかわらず、いわゆる引揚者あるいは戰災者に提供する住宅が依然として進まない。これに對して當局は、こういうやみ建築を取締つて、そうして正規ルートによるところの建築に引きかえる、その御用意は一體どの程度におありになるのか。これを伺いたいと思います。
#40
○一松國務大臣 遊休住宅に對するお互いの讓り合いが十分に徹底していないということは、實は私どももそういうことを聞いております。また私の知つておる人で家族が少く間が多いのがそのままになつておるということもあります。それらのことは、やはり地方の各公共團體等が徹底的に勵行することがなまぬるいから起つてくるので、あなたの御要求のように、これは一層督勵しましてそういうことのないように、なるたけそれらの人を吸收して、不滿のないように努力いたしましよう。ただここでいろいろ問題のあることは、御承知の通り、臺所とか、便所とか、そういうものをこしらえるについて、それがために思うようなことができない。臺所が一つではいやだからいかぬとか、便所がああいうことではおもしろくないとか、そういうことで思うように融和ができないために、促進ができぬという隘路がございましようがそういう點についてはできるだけ政府も協力して、力を貸してやつて、そういうことのないように、一層力を盡すことにしましよう。それからやみ建築がしきりに行われておるにかかわらず、必要な引揚者に提供すべき住宅というものは思うようにできぬじやないか、これも實際だろうと思う、これについてはその關係の役人の方にもいろいろな不正というようなこともあるようだし、また建築する方面にも手をかえ品をかえていろいろなことをやつているというようなこともあるようです。そういうようなことは多くその間に不正が行われておるということが大部分の原因をなしておろうと思うのであります。政府といたしましては、そういうやみ建築等につきましては、極力その原因を探究いたしまして、證據のあるものは續々檢擧摘發して、なるたけ正しいルートにまわして、それらのやみ建築が正しく行われることができるようにとやつておるのでありますが、御承知の通り、水害等がにわかにああいうぐあいに起りまして、それがためにこれらの哀れなる人に對する建築というものは特に許可を受けずして、緊急對策として建築を認めておるというようなことも影響しておろうと思います。何にいたしましてもやみ建築が盛んになつて、正式のルートに乘つた木材が出まわらずして、それがために住宅の建築が遲れておるということはよくないことでありますから、一層注意をいたしまして、そういうことのないようにいたしましよう。
#41
○松谷委員 大臣のお言葉を伺つてたいへんうれしく思うのでございますが、ぜひ強硬にお進めただくことをさらにお願いしておきます。
 なお大臣に對してお伺いいたしたいことは、遊休住宅の場合、引揚者等が個人でそういう一つの具體的事例をもつてまいりました場合には、厚生省としてはそれを取上げて、適切な處置をしていただけるものかどうか、個人で探してきたものはいかぬ、これはやはり當局側から遊休住宅と指定したものでなければならないというような規則があるのでございましようがどうか、この點も一應參考までに伺つておきたい。
#42
○一松國務大臣 特に個人が調べ上げて厚生省に交渉してきた場合、これはお前は打つべき手を打つてこなければいかぬとか、それは手續が違うのだというようなことは、私は言わぬつもりであります。そういうことになつたならば、それらの人に對して關係方面になるたけ厚生省が手を打つてやり、そうしてそれらの方面に向つていわゆる勸奬をして、そういうことを促進するように力を盡すということにいたしましよう。何も厚生省がおれの方に直接來るのはいかぬから、おれは知らぬというような態度は愼まなければならぬことですから、かりに權限があつてもなくても、そういうようなことがあれば、その係りの方に厚生省から口添えをして、圓滿に解決のできるようにいたしましよう。こういうことを御承知願いたい。
#43
○松谷委員 大臣のそのお言葉を伺いまして、實はたいへんうれしく思うのでございますが、今までそうした努力をしたものも皆窓口で歸されておるというような事例がいくつもございましたので、大臣のお言葉を伺いまして、家に困つて路頭に迷う者は一生懸命で家を探し、そうして多くの人々が救われることも近い將來に見えると非常にうれしく思います。
 なお一つこれも參考までに伺つておきたいのですが、それは先ほどの留守家族の方々が、政治的な方面では政府その他議會が十分活動してくださるだろう、しかし自分たちもじつとしておられないから何か積極的な行動に出てみたいというような意向で、留守家族の方たちが直接對日理事會なり、あるいはソ連側に訴えたいというような希望が非常に多うございますが、ただ一つ心配をして聞きにまいりますのは、われわれが直接にソ連側に嘆願に行つてよいものかどうか。せつかくできておる空氣を壊すようなことはないだろうか。最もよい方法は、ソ連代表に直接當るのがよいか。あるいは對日理事會に伺うのがよいか。どちらがよろしいであろうかということを非常に懸念しております。政府からごらんになりまして、こういう點は、一體どこに直接にそういう家族の方が團體で行かれるのが、最も效果的であるか、お見透しがつけばひとつ伺わせておいていただきたい。
#44
○一松國務大臣 それは今私からどうしたらいいかということは、ちよつと言えないが、もちろん民意を暢達する意味において、民衆が自分らはこういう考えでおるから對日理事會に訴えるとか、あるいはソ連の大使館に直接訴えるということは各個人の意思に任せなければいけない。政府がそれを指導して、それは對日理事會に行け、それはソ連の大使館にもつていけというようなことの指導はちよつとこまります。しかしそれに對して向うの對日理事會にそういうことを訴える、あるいはソ連の大使館に訴えるという時分に、先方の方で快く受理してくれ。あるいは快く話を聽いてくれるということは、先方の氣持ですから、そういうことを政府が言うたからと言つて、向うがおれはそんな話は聽く必要はないと言つてつつぱねられればやむを得ぬ。要するに誠心誠意をもつてぶつかつてみるということはいいことだ。ただどうしたらいいだろう。こうしたら效果的だということは、政府としてはちよつと責任をもつて申し上げることははばかる方がいいと思います。
#45
○天野委員長 速記を止めてください。
#46
○小島説明員 外務省の在外邦人課長であります。先ほど委員長と村瀬委員からちよつと御發言がありまして、引揚げ促進に關する事務が外務省から厚生省へ移つたとおつしやいましたが、今度事務が移つたのは復員廳が厚生省へ移つたのでございまして、外務省所管の事務は全然變化はございません。從つて外務省は獨自の判斷で必要な場合には、對外交渉の要望、申入れ、抗議の申入れ等の提置は隨時いたしますし、また關係官廳からその御希望が出た場合には、これを正式に取上げて、相手方に傳えることもいたします。また國民各位からいろいろな御要望が出た場合に、これが最も效果的と思われるところへその御要望を結集するために、いろいろ御相談申し上げております。從つて引揚げに關する引揚げ促進事務の對外面は、從來通り、あるいはまた今後はこれ以上、いよいよ馬力をかけてやるべき立場にあるということは從來通りでございますから、どうぞさよう御了承願いたいと思います。
#47
○松谷委員 ちよつと委員長にお願いしたいのですが、先ほど村瀬委員からもお話の出ましたように、私ども次に政府側との懇談をいたします前に、共産黨の委員もひとつ加えていただいて、委員の懇談會を開いていただきたいと思うのでございます。
#48
○天野委員長 承知しました。
 それでは本日はこれにて散會いたしたいと存じます。
   午後一時十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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