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1947/11/11 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第13号
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1947/11/11 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第13号

#1
第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第13号
昭和二十二年十一月十一日(火曜日)
    午前十一時二十三分開議
 出席委員
   委員長 天野  久君
   理事 庄司 彦男君 理事 藤原繁太郎君
   理事 中嶋 勝一君 理事 根本龍太郎君
   理事 若松 虎雄君
      高瀬  傳君    成田 知巳君
      松原喜之次君    和田 敏明君
      坂口 主税君    中曽根康弘君
      中山 マサ君    最上 英子君
      水谷  昇君    内藤 友明君
      受田 新吉君
 出席政府委員
        復員事務官   荒尾 興功君
        復員事務官   遠藤 武勝君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 未復員軍人の給與に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長 これより會議を開きます。
 會議に入ります前に御報告いたすことがありますが、先般本委員議で議決されました政府に對する緊急質問はこれを本日行うことになつておりますから御了承願いたいと存じます。しかして質問は委員長において行うということになりましたので御了承願いたいと存じます。
 それからなお昨日世界メリスト教團の方々が東京會館に見えられましたので、參議院の委員長と同伴いたしてそれぞれ代表の方十三名にお目にかかつて歸還促進の陳情をいたしてまいりました。非常に好意をもつて、今後働こう、こういうようなお話を承つてまいりましたので、御報告いたします。
 それでは續いて復員廳の方から諸般の報告事項がありますので、この御説明を願います。ちよつて速記を止めて。
#3
○天野委員長 速記を始めて。
#4
○荒尾政府委員 ただいまお手もとにお配りいたしました長い圖表について申し上げます。これは各都道府縣におきますところの復員の進捗状況を圖表に現わしたものでありまして、元の陸軍、すなわち第一復員局關係だけを統計にしたものであります。この長い圖表をお開きになりますと、右側の方の網の目のような暈おう、これは從來生死状況の不明な方々につきまして各都道府縣の世話課が調査いたしました結果、このくらいの率がわかつてきまして、お留守宅にそれぞれその確定状況を御通知した數であります。それから向つて左側の網の目で書いてありまするのは、各般の御盡力の結果、現地から生きて歸つてきた者の數であります。これは昨年の八月、未復員者の届けを各留守宅から出すようにお願いをしたのでありますが、その以後本年の八月まで一箇年間にどれだけの仕事が進んだかという表であります。すなわちただいま申し上げました兩方の網の目のような暈おうが復員事務の終了したパーセンテージを示しております。眞中のぼつぼつと書いてありますのがソ連地域以外におきましていまだ生死状況の確定しておらないパーセンテージであります。それから眞中の白いのがソ連地域におきまして生死状況の不明な方でございます。それから左側の斜線で書いてありまするものが外地におきまして南方ソ連を含めまして確實に生きておるか、なお未歸還の方々をパーセンテージで現わしております。すなわち網の目の暈おうが復員が濟んだところ、その他の三段に書いてあるのが復員處理が終つておらないというところを現わしております。概要をごらんいただきますと、大體一箇年間に半分終つております。たとえば東京の例で申しますると、右と左を比ベますと四九%終つております。殘りがまん中に殘つておるわけであります。非常に勉強しておるところは滋賀縣でありまして、滋然縣は非常な勉強の結果、状況不明者の處理がその圖表にありますように四五%になつております。それから歸還者が二一%、合計いたしまして六六%濟んでおります。それからなおソ連地域の状況不明者が八%で、現地の殘留者が約九%と書いてございまするが、これは滋賀縣におきましては、現に滋賀縣に本籍をもつておられる方の、ソ連におる人の五七%はその生きておるという状態をつかんでおるのであります。ソ連地域が一番不明だと一般に言われますが、いろいろの調査の結果、ソ連の白い區域の欄の非常に少いところ、すなわち滋賀縣であるとか、福井縣、これは非常に勉強しておりまして、福井縣もソ連地域におる者から五八%は現在向うに生き殘つておるということをつかんでおる次第であります。これは非常に地道な作業でありますが、皆樣の御鞭撻によりまして、各縣がすべて滋賀縣とか福井縣のような成績を出し得まして、できるならば現在の機構、現在の構成員をもちまして、來年一ぱいにおおむねこういうふうな成績を出して、最後にやむを得ざるものが若干殘るというふうになりますと、復員の事務が非常に進捗するのではないかと思います。非常な地道な作業でありまして、お留守宅の氣持をくみながら仕事をいたしませんと、こういう仕事はなかなか進捗いたしませんので、一日二日放つておけばわずかの端緒をもつてわかり得るものがそのまま放置せられます。あるいは適任者が缺けます。そうするとその人の記憶が作業の上に現われてこない。あるいはその人が適任なる者を知つておつて、それを呼んでくるという作業が一目遲れれば遲れるほど、この作業が遲れますので、非常に鞭撻をいたしまして、生存者の復員を促進していただきますと同時に、その人の状況の不明なる者の處理、これにつきまして萬全に期して努力しておる次第であります。この一年間の各府縣の勉強の度合がここに出ておる次第でありますので、お國にお歸りの節はどうぞ御鞭撻していただきまして、いい成績の出るように御指導を願いたいと思います。私の報告はこれで終ります。
#5
○遠藤(武)政府委員 私第一復員局の經理部長であります。このたび議會に追加豫算として提出されております第一復員局の引揚げ在外者關係の追加豫算の内容について御説明いたします。
 今度の追加豫算第七號としまして提出されております第一復員局關係の追加豫算は、追加額が九億七千六百餘萬圓それから減少額が二億三千萬圓で、差引七億四千六百萬圓餘の提出をしておるのであります。そのうち大體どういう項目で要求しているかと申し上げますと、復員官省竝びに世話部等で行方不明者、状況不明者の調査をするために、すでに復員して歸つてまいりました人々に來てもらいまして調査するとか、あるいは職員が出張しましてそれらの人々について調査するかといつたふうな仕事をするための經費が、六百六十萬圓ばかり追加豫算で出してございます。これは必ずしも十分な經費ではないと思いますが、とりあえず一遍郷里に歸つた人々を來てもらつてり、また職員が出向いて調査しますための旅費としてはまず大體やつていけるではないかと思いますけれども、御承知のように復員官省の仕事は通信でありますとか、それに伴う消耗品、紙類の問題でございますが、そういつたふうのものが非常にたくさん要る仕事でございますので、こういつたふうな經費が最近の物價の値上りに伴いましてなお不足するように思つております。年内で約一千萬圓くらいの不足を生ずるではないかと思つておりますが、こういうふうな經費の不足、もちろん經費については節約しなければなりませんけれども、こういうことのために状況等の究明が遅れるということがあつてはならぬと思いますので、極力既定豫算のやり繰りはやりますけれども、なお足らぬところは何とかして追加してもらいたいと思つておる次第であります。
 さつき申し上げましたその差引き約七億あまりの追加豫算の大部分というものは、在外者の給與を改正するという經費であります。この件につきましては先般概略前の復員廳時分の官房長から説明があつたと思いますが、その概要について御説明申し上げます。お手もとに差上げてあると思いますが、未復員軍人新舊給與比較概要という表がございますので、これについて御説明申し上げます。この未復員軍人給與につきましては、現在豫算がここに出ておりますが、法律案が法制局で現在審議中でございまして、これがそのうちに議會に提案になると思います。まだ政府としても法律案としたものが完成しておりませんので、法律案そのものをお目にかけるわけにいかぬと思いますが、大體その骨子となる事項を以下御説明申し上げたいと思います。現在の規定と新しい規定とを大體對照して申し上げます。それにつきましては大體給與の給額とそれを支給する方法と二つに分けて申し上げなければならぬと思いますが、まず第一にその支給金額そのものの問題について申し上げます。現在は給與の種目は本俸といろいろな手當と兩方にわかれておりますが、その本俸におきましては、戰爭中から引續きまして、大體前の軍人としての給與規定を適用してまいつているのであります。すなわちここの給與規定という欄に書いてございます本俵の欄に、大將の月五百五十圓から二等兵の月九圓まで、戰時中からの給與の規定そのままによつてこれを實行しておるのであります。それから手當につきましては、下士官以上、つまり從來官吏と稱してその範疇にはいつておるものでございますが、それにつきましては内地における物價騰貴等に伴いまして、一般官公吏の給與の増額がございましたが、その増額に應じましてこれを増額してまいつたのであります。すなわち物價手當であるとか、臨時手當であるとか、さらに暫定加給であるとか、家族手當であるとかいうものを、内地の官公吏と大體同じような歩調にとりまして、下士官以上について家族をもつておる者に限り、これを増加してまいつたのであります。しかし兵の階級にある者は、從來官吏として取扱つていなかつたために、こういう者は家族をもつておるとないとにかかわらず、何ら手當をせずにきております。こういう給與法は、詳しい説明を申し上げるまでもなく現状に適しませんので、實は終戰後復員の大體の見透し、引揚げの見透しというものがつき始めました昨年の初めごろから、この改正に手をつけてまいつたのでございますけれども、なかなかいろいろな問題に突き當つてきまりませんで、やつと今年の七月ごろこの提案する案が、大體關係方面との間に話がきまりまして、この議會に法律案を提出する段取りになつたわけであります。その變り方につきましては、本法はつまり從來の軍人の階級制度を認めておりましたのを全部やめまして、すべて階級にかかわらず、一律に月百圓と決定しております。それからいろいろな手當は、下士官以上兵の區分なく、月扶養家族一名について百五十圓、扶養家族が二人おれば三百圓になりますが、要するに一名に扶養家族について、月百五十圓というものを設けまして、これが全然從來のものにかかわらず、新しい給與規程の一般原則としたのであります。ただ現在まで、さつき申し上げました本法と諸手當というものを加えました額が、この新しい給與額と比べてみました場合におきまして、古い額の方が多い場合には、これはいろいろな理窟は別といたしまして、給與の上から現状において給與を下げることは適當でないと考えまして、新しい規定より多いものは、從來の規定によるという方法で、法律案をつくつたのであります。それが具體的にどうなるかということはあとで表がございますので申し上げます。そういうような方法によりまして、この舊規程から新規程をつくつてまいつたのであります。そこでこの支給額をどういう方法で支給するかという問題が起きてまいります。すなわち現在におきましては、この留守家族渡しという欄に書いてございますが、現在の規定によりましては、營外者は、――營外者と言いますと、大體もとの曹長の中間から上の者が營外者でございますが、それに對しましては全部の者に對して、現在の支給金額の全額を留守宅に支給しておるのであります。それから曹長の眞中ぐらいから下の者は、ただ希望者のみに全額を留守宅渡しにしておるという状況でございます。これをこのままでは非常に不公平を生じますので、結局その區分をやめまして、營内外の區別なく、家族をもつておる者には全部家族手當を留守宅に渡す。從つて家族をもつていない者に對しては、現在營外者でも獨身者があるわけでございますが、それに對しては留守宅渡しをしておりますけれども、新しい規定によりますと留守宅渡しをやめまして、家族持だけに對して、留守宅渡しをする。その留守宅渡しをする金額はさつき申しました金額のうち、家族手當だけを留守宅渡しにする。こういう方法でまいることにしております。そうしますと現在はこれは大體六月末の計算でございますが、月約十一萬件の留守宅渡しをしておつたのが、約四十萬件の留守宅渡しになるのであります。それ以外の給與は登録地に歸りました旅費の三百圓の支給、それから亡くなつた方の御遺族に對するいろいろな支給金というのは現在のままであります。これも同時に考えてまいつたのでありますけれども、豫算金額その他の問題から、今議會にはこれに手を觸れることができずにきたのであります。以上のような方法で新しい法律案の構想を今研究しておりますのと、現在の豫算はこの基礎において著算しておるのでありますが、次をはぐつていただきますと今申しましたことが、未復員者給與規程としてここに書いてあります。その次に三枚目に別表というのがございます、この表が結局新しい制度に基きまして、扶養家族をもつておるものの留守宅渡しの月渡し額になるわけであります。たとえば扶養家族一人をもつておるものにつきましては、大尉ぐらいで月七百六十圓、それから兵は百五十圓となるのであります。これは結局新しい制度はさつき申しましたように一律ではありますが、現在の制度で七百六十圓大尉ぐらいはもらつておりますので、これはそのまま据置きとしたのでありまして、下の方だけが上つてきたのであります。兵が百五十圓、二人になると三百圓、それから四百五十圓、六百圓、七百五十圓というふうになるわけでありまして、家族一名あたりの金額が現在の制度より高いのでありますから、家族數が殖えれば殖えるほど上下の差額は少くなつてまいりますが、家族數が少いとこういうふうな差額があるわけであります。
 大體以上申し上げましたのが、新しく今後法律案が出ます給與法の概要でございます。從いまして追加豫算の構成の内容を大體なしておるわけでありますが、これをつくりましたときには、實は本年の春でございましたが、逐次今日になつてまいりますと、いろいろな物價の騰貴その他の變化に伴いまして、當時考えましたよりは非常になお不十分な金額に、結果としてなつておるような氣が私どももいたします。しかし今これを動かすということは、實際問題として施行の期日が遅れるだけになりますので、次の機會において全面的に各種の給與も考えて、増額することにお願いしたい。こういう氣持をもつておる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
#6
○天野委員長 ただいまの御説明に對して、何か御質疑はありませんでしようか。
#7
○水谷(昇)委員 ただいま御説明をいただいてよく了承したのでありますが、この改正せられた分に對しても非常に少いと思うのであります。たとえば歸郷旅費の三百圓だとか、死亡の給與、新法案によりますと二百七十圓は元通りでありまして――埋葬費これも同じですか。
#8
○遠藤(武)政府委員 この金額はちよつと項目を變えただけでありまして、同じです。
#9
○水谷(昇)委員 金額は同じですね。これらの點が非常に少いと思うのでありますが、ただいまの場合これが増額ができないという御説明でありましたので、近き將來においてはこれはもつと増額をしていただきたいと私は希望いたします。
 それから別表の留守宅渡しの月額表を見ましても、今日の物價から考えましていかにも少いようであります。これも増額をしていただきたいと思いますが、當局のお考えになつておりまする今日の物價から考えてどの程度が適當であるとお考えになりますか、この點をひとつお伺いしたいと思います。
#10
○遠藤(武)政府委員 これは實はまだ私の方の一案として大藏省に話しておる程度でありまして、決定的な問題としてお取上げ願いますと困るのでありますが、一應事務的に考えておるところをざつくばらんに申し上げておきたいと思います。現在歸郷旅費、つまり上陸地において三百圓もらつております金額、これが非常に少いということは、私が申し上げるまでもない皆樣御承知の通りでありまして、歸つてきた人々、また上陸地に勤務する人々からやかましく痛烈なる聲があるのであります。中にはせつかくもつて歸りました被服を途中で賣拂つて歸りの旅費を調達しておるという人もあることを承知しておりますし、三百圓ではどうにもならぬというので、現在の物價程度で考えましても、少くとも三倍程度ぐらいには上げてもらつたらどうかという氣がいたしております。それからさつき申し上げました家族手當百五十圓、これも今日の物價から考えてこれだけでは非常に少いということも明瞭であると考えますので、これは大體倍ぐらいにしてもらつたらどうか、つまり家族一名につき百五十圓というのを三百圓にしてもらつたらどうだろう、それから遺骨をお渡しします場合にその埋葬諸費竝びに受取りに來られた御遺族に對して旅費というものの金額は合計五百八十圓でございますが、これを大體三倍前後ということにしてもらつたらどうかというような案をもつて、今役所の中ではそんな氣持で仕事を續けておる次第であります。ただ豫算の點につきましては今後の復員の速度によつて大分違つてまいりますけれども、このまま大體殘つておりますものが來年度中に歸つてくるというような計算のもとで考えますと、現在の規定のままでいく場合に比して十億圓前後の豫算の増加になるんじやないか、こういうつもりでございます。
#11
○水谷(昇)委員 ただいまの御説明を伺つたのでありますが、三倍程度に増額したいという御希望のようでありますが、これはそのときの物價から考えまして適當にひとつ勘案をいたしまして増額をしてもらうことを希望いたします。
 それから別表ですが、大將から兵に至るまでの本俸でありますが、これがたいへん少いように思います。扶養家族に對する額は三百圓なら三百圓でよいと思いますが、もとの本俸がたいへん少いように思うが、これは増額の御意思はないのでありますか。
#12
○遠藤(武)政府委員 本俸は百圓でございますが、實はこれも決して滿足すべき額とは思つていないのでありますけれども、これは理窟を言いますと、本人は外地におつて一應生活しているのである、だから本人の生活費は要らないじやないかという一つの理窟がありますのと、そういう理窟をつけますゆえんのものは、實は本俸を増加いたしますと、家族をもたない者全部に對しての本俸の増加になりまして、豫算金額が急激に殖えるわけです。そこでちどらかといえば、扶養家族をもつている人々をできるだけ安心し得る状態にもつていくということに重點をおくことが必要でないか。獨身者で比較的留守家族について心配のない人についてはがまんしてもらうほかしかたがないだろうというので、金の使い方の重點を、扶養家族をもつている人々、また扶養家族において考えるほかしかたがないと考えますので、本俸の増加に對してはがまんをするのはどうもやむを得ぬじやないかと思つております。
#13
○天野委員長 中山マサ君。
#14
○中山マサ君 委員外でございますけれども、ちよつと申し上げたいと思います。私選擧當日に街頭演説にまいつておりましたときに、二人のお婆さんが私のところにまいりまして、もしあなたが當選したならば、自分たち二人は子供をお國に捧げて、その後何の音さたもない、どうかこの點をひとつ何とかしてくれということを言われましたのを、今この埋葬費とかいろいろな費用について伺いまして、しみじみと思い出している次第でございます。こちらの方が仰せになりましたように、とにかく生きて歸つてくる人はまた笑う日もあるのでございますけれども、子供あるいは夫を捧げた人たちはなかなか笑う日も歸つてまいりませんので、どうぞ戰死者に對しては特に厚いお手當を御考慮くださいますように、切に私はお願いしておきます。
#15
○中曽根委員 いろいろ御當局で復員者手當、死亡者の手當に對して御協力いただいて感謝にたえない次第でありますが、私は根本的な精神においてどうも遠慮しているんじやないかという氣がいたす次第であります。新聞でもよく見ますように、千八百圓ベースとか何とかいうことが今非常に叫ばれておりますが、この未復員者の給與についてもやはり食えないということは同じ條件であつて、生活費が一人當り大體千八百圓要るとするならば、未復員者の家庭でもやはり同じ條件じやないかと思います。日本は敗けたのであるから、特に軍人であるからといつて厚遇はできないとは思いますが、やはり人間としての、あるいは家族としての最低生活を保障するということは、これは憲法でも保障されているのであります。この軍人あるい未復員者の人々が一般の國民よりきわめて惡い待遇にあるということは、私は考えようによつては憲法にも反する措置でないかと考える次第であります。この點は私は復員當局竝びに國會その他の關係者において相當反省しなくてはいかないのではないか、そういう意味から私はこの委員會においてもう少し大藏當局なりあるいは關係當局に對して考え方の基準を、委員會として今までのものを是正するという方向に措置せられたらいいと思うのですが、この點について委員長の御考慮をひとつ促しておきたいと思います。これはとつぴな發言のようですが、純粹理論から考えて、私は私の言つておることが正しいと思います。
 それからもう一つは、中共地區の未引揚者の點であります。私の知つておる浦野正孝という人、この人は兵庫縣の人で非常に篤志家でありまして、中共地帶から歸つてきたあらゆる人をつかまえて、向うの動向を調査しておるのですが、この人のお話によりますと、現在一般者は約十萬人くらい抑留されておる。その中には技術家もあれば一般家族、個人及び難民、そういうものがはいつておるそうであります。そのほか見習看護婦として二萬人、正規の看護婦として三千五百人、これくらいの女があるということを言つております。これらの人々の状況を聽いてみると、實は精神的に參つておるらしいのであります。ソ連においでになる方々は、月五萬人ずつ返していただけるという希望があるので、まだ生活に若干の光明があるのですが、中共地區においでになる方々は實際いつ歸えれるのだかわからない。國民政府と中共軍との軍事的なあるいは政府的な推移のまにまに自分たちの運命が左右されておるというわけで、非常に精神的に苦痛を味わつておるそうであります。ソ連の方面は割合に人の關心を得ておるのですが、この中共地區におる人に對しては、國會も國民も割合に關心が薄いと思うのであります。これは何とかして打開して希望を與えてやることが、私は國民として重大な義務であろうと思うのですが、その對策として何といつても國民政府と中共の首腦部に對して、こちらの方から外交交渉でもつてかけ合つてもらうより以外に方法はないと思います。この状況をひとつ委員會として特別に浦野氏あたりをひつぱつてきて、状況を聽取して、關係當局に對して正式に國民政府なりあるいは中共首腦部に對して交渉をしていただく、そういう措置をぜひ講じていただきたいと思います。
#16
○天野委員長 ただいま中曽根委員のお話はごもつともでありまして、私もこの給與の表を拜見いたして、復員廳關係當局の御苦心のほどは感謝いたしますが、いかにも少けないので、これに對しては何とかいたすことが當然ではないかと考えております。お説の通りこれは委員長といたしまして、大藏當局その他關係方面に増額方を懇請することにいたします。
 それから第二の中共地區の問題につきましては、委員會といたしましても何か手づるを見つけて、これに絲口をつけたい、こういうことでそれぞれ苦慮いたしておりますが、さいわい實は浦野氏は中共の事情をお知りだというわけで、今日の委員會へおいで願つて御説明を願うということでいろいろ折衝したのでありますが、お見えになつていただけないので、いつかまた時期を見て御説明を願いたいと考えております。
#17
○天野委員長 そこでなお續いて皆樣にお諮りいたしたいことは、實は今世界キリスト教の各國の青年代表がわが國に來られておりまして、先ほども御報告申し上げました通り、委員長といたしましては、昨日參りまして各國代表にそれぞれ歸還促進方の御助力をお願いいたしたのであります。この方々はまだしばらくこちらにおられるらしいのですが、こういう絶好の機會はないと存じますので、この方々に歸還促進の世界的輿論に訴えて、何か運動していただく方法等について、各委員に何かお考えがありましたら腹藏なくお話願いたいと存じます。委員會といたしまして今考えておりますことは、この十五日に總理官邸において招待があるという話でありますので、それを機會に總理及び外務大臣等を通じて特に懇請をいたし、でき得れば兩院にその人たちのおいでを願つて、議會において緊急質問という形か何かでこれを行い、そしてわが國の引揚げに對して熱望する状況を見ていただいて、各國に運動を願うというようなことも必要ではないか、あるいはその他今までやりましたことに對して、書類を作成して手もとに届けて、ゆつくり船の中ででも見ていただいて、そして關心を高めていただいたらどうかというようなことも考えておるわけであります。なおそのほかに何かよい方法がお考えつきで、御發議願えましたら、できるだけこの歸還促進のために有效に取扱つてまいりたいと考えております。何かお考えつきのことがありましたら御遠慮なく御發議願いたいと存じます。
#18
○中山マサ君 私一昨日シンガポールからお歸りなつた軍人のお二人に會いましたところが、くれぐれもこの三點を何とかしてほしいというお話がありました。いろいろ向うでつらい目に遭つて、歸ることはできないと思つてほとんど絶望しておつたところ、歸れるという報を得た。そこで喜び勇んで船に乘つたところが今度はそこで自分の國の人たちに食糧的に虐げられて實に悲しい思いをしたというのであります。その船に乘りますときに英軍の方から給與、レーシヨンが與えられたそうでありますが、それを船の方の方が、船員さんたちにはレーシヨンを一人に一箱づつ渡しておるのに、復員軍人には一箱を四人でわけるようにと言つて渡したそうであります。それをある方面から聞きこんで、英軍から渡された量とは大分違うと思つて、靜かに見ておきましたところ、その船員が倉庫を破つたそうであります。ところがそこからレーシヨンの箱が四十とか出てきました。それでそれについて交渉したところが、いやにこれはある場合に必要なときがあつたらと思つてとつておいたのだ、そういつて言を左右にしたそうです。ところがどういうはずみでありましたか、電氣の作用で、ほとんど壁としか思えないその壁がはずれたそうです。そこが必密倉庫になつておつたそうでございますが、それからまたそのレーシヨンが八十個ほど出てきた、それから今度は事務長やすべての責任者を呼びまして、そようどその船には千人ほどの復員者が乘つておつたそうですか、皆が取巻いていろいろ詰問をいたしましたところが、非常に苦しい答辯ばかりいたしまして、それはあらしのとき、あるいは難破のときのための用意であつたということを、言を左右にして申したそうです。しかしこれまでの經驗上、タバコでも、あるいはそのほかの食糧でも、吸い殘したり何かすると必ずそれだけは差引いて給與があるものですから、絶對に必要量だけは兵隊に渡すことになつておる。それが渡つておらないということはわかつておりましたので、いろいろと責めたてまして、遂にそれが復員者に渡すべき食糧であつたということを白状したということをおつしやつたのであります。これが第一に、國のためにと思つて戰いに行つたのに、向うではそうして外人にひどい目に遭い、船に乘つてわが國の人と懷しく思つたところが自分の國の人にそういう目に遭つて、大和民族腐つたかと思つた。どうぞこういう復員してくる方に絶對にそういうことのないように、ひとつ政府にあなたからおつしやつてくださいということをおつしやつた。
 第二は、内地に上陸して――その方は佐世保でありましたか、長崎でありましたかに上陸した方であつたそうでございますが、福岡で食事が渡ると聽いて、福岡に來てみたところが、食事の用意もない、どうなつておるかと思つて聽いてみたところが廣島で渡るからと言う。それではというので、しかたがないのでひもじい腹を抱えて廣島まで來てみたところがそこでも食事の用意がない。そうしてその人は東京の人ですが、何日かとうとう東京に著くまでひもじい思いをして歸つてきた、何とか人後歸る人のためにお辯當が必ず渡るようにしてやつてほしいということが第二でございます。
 第三は、今の給與の點でございますが、自分の友だちがまだ歸つてきていないので、向うの状況なんか報告しようと思つて向うへ尋ねていきましたところが、まだ留守宅の人たちに渡すお手當が六月までしか渡つていないというので、とても家族が困つておる。この點どうぞぜひ月々に渡すべきものは渡していただくように、何とかお話が願えないものだろうかということを、私はこの軍人さん方に伺いまして、ぜひひとつ政府の方でその三點を御善處いただけるようにお願いをいたしたいと思いまして、今日伺いました次第でございます。
#19
○遠藤(武)政府委員 さつき申されましたうち最後の點について一つ申し上げたいと思います。一般の留守宅への給料を渡すのは、さきに申し上げましたように營外者に對しては全額渡しておりますし、營内者、すなわち下の方の下士官竝びに兵に對しましては、大體渡していないという状況であります。六月まで渡しておつたと申しますのは、その人は何であつたかわかりませんけれども、一般的には七月から今申し上げました制度を實施するつもりであつたものでございますから、それがこう實は延びるとは思いませんので、もう少し早くできるつもりであつたものですから一時止めまして、新しい制度によつて支給しよう、こういうふうにしておつたのであります。ところが今日延びましたのでございますから、その後從來支給しておつた人には支給するように處置しておりまして、今は大體支給しておるんじやないかと思います。ただ獨身者には新しい制度でも渡さないことになつておりますので、獨身者には渡しておりませんけれども、扶養家族をもつておられる人には渡すように處置しておりますから、多分行つておるんじやないか、こう思います。
 それから歸ります時分の辯當の問題でございますが、その方はいつ歸られたかしりませんが、現在では大體において上陸地におきまして、現物の辨當とかあるいは乾パンを支給することはあり得るのでございますが、非常に遠くになりますと腐ります關係もありますので、外食券を渡しておる、こういうことになつておりまして、距離によつて違うのでございますが、大體その點は一番初めのころはなかなかうまくいかなかつたのでございますけれども、現在は大體改善されてきておるように存じます。もつともこの方は給與の方とは直接扱う方が違いまして、厚生省の引揚援護院の方でやつておりますけれども、聞いたところではそういうふうになつております。
#20
○天野委員長 ただいまたいへんいいお話を承つたので、委員會といたしましても關係方面にできるだけ注意します。ほかにだれか御發議はありませんでしようか――それでは今日は中共地區のお話を承りたいと思いましたが、浦野さんがお見えになりませんので、また次會にお願いすることにいたします。
 本日はこの程度で會議を閉じます。
   午後零時十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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