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1947/11/22 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第14号
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1947/11/22 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第14号

#1
第001回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第14号
昭和二十二年十一月二十二日(土曜日)
    午後一時五十四分開議
 出席委員
   委員長 天野  久君
   理事 庄司 彦男君 理事 中嶋 勝一君
   理事 根本龍太郎君 理事 若松 虎雄君
      川合 彰武君    成田 知巳君
      松谷天光光君    松原喜之次君
      坂口 主税君    中曽根康弘君
      中山 マサ君    村瀬 宣親君
      最上 英子君    竹尾  弌君
      水谷  昇君    亘  四郎君
      吉川 久衛君    受田 新吉君
 出席政府委員
        復員事務官   荒尾 興功君
 委員外の出席者
        外務事務官   小島 太作君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 海外同胞引揚に要する配船状況に關する説明聽
 取の件
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長 それではこれから會議を開きます。
 會議に先立ちまして御報告いたしますが、先般東京會館におきまして、萬國キリスト教代表の十三箇國の方々がお見えになりました。その機會をねらつて參議院の委員長と不肖私と參りまして、十三箇國代表の方々一人々々にこの引揚對策を懇請いたしまして、たいへんに同情ある御返事をいただいてまいりました。
 なお松谷天光光氏及び山下春江氏及び不肖と、三人でシーボルト閣下に對して、委員會に對するお骨折を感謝し、今後のことをなおお願いするということで、懇請をいたしてまいりました。シーボルト閣下においては非常にこれに同情されて、できるだけのことをやるのだ。そしてまた山下氏から、中國方面に對する引揚げに關する問題に對して割合聲がないが、しかし日本としては非常にやつておるのだということだけを、ひとつ中国の人に知らしたい。何とかお取計い願いたいということでお話したところが、それでは向うの新聞雜誌等に、あなた方が來られて懇請されたということを一つ掲載するようにしてやろう、これまで言われまして、なおかつシーボルト閣下にはドアの外まで送つて出られて、自分たちの努力はなお續ける、だがしかし君たちの期待に副わないで遺憾であるが、できるだけやるからよろしく言つてくれ、こういうようなお話でありました。
    ―――――――――――――
#3
○天野委員長 それから實は最近引揚げられた方の實際の話でありましたが、ナホトカには今七、八千名ないし一萬二千名くらいの殘留邦人が集結しておる。そうしてその状態は海岸でテントもないところに寝ておるというような状態であつて、向うの人たちの言うのには、内地から船さえ來ればこれを歸してやるのだが、船の準備がないために歸れないという状態である。こういう話でありましたが、これに對しまして政府當局の船の用意はどういうふうにできておるか。また、實際においてその人たちが船のために歸れないということで、船の準備が今までできないということであるとしますならば、今後においてその實情に即して、どういう配船、どういう手段が政府としては講ぜられる御用意があるか。これに對して政府御當局の御説明を願いたいと思います。
#4
○小島説明員 ただいま委員長から御質問のありましたソ連地區からの引揚者の數の問題と配船の關係について御説明いたします。
 ただいままでに、今委員長から御疑問が提出されたような、一種の引揚げに關する事態が十分のみこめない、ナホトカにはたくさん溜つておるのに船が來ないから引揚げられないでおるというようなお話はしばしば承つておるのでありまするが、これは以下に申し上げまするところによつてきわめて明瞭になるように、まつたくの誤解でありまして、一應引揚げの機構と申しますか、配船されるその手續きをここに明瞭に申し上げておきたいと思います。引揚者數と配船との關係についての誤解は、現實に引揚げてこられる方の間にも、また國内にも相當廣くあると思われましたので、從來、大臣はラジオ放送において、また國會におけるいろいろの委員會でもその點をしばしば明瞭にしておるのでありまするが、依然としてどういうぐあいに配船されていくのであるかという點がなかなか徹底しない憾みがありますので、多少詳細にわたる憾みはございますが、その點説明させていただきます。ソ連地區からの引揚げに關しましては、昨年の十二月十九日に連合國最高司令官代理と對日理事會ソ連代表との間に引揚げに關する協定が成立しております。その中で引揚者數、配船に關する條項がございますので、その要旨をここに申し上げます。それによりますれば、まず對日理事會ソ連代表は連合國最高司令官に對して引揚待機者がある、配船してよろしい、引揚者の數と引揚の豫定日と引揚者が乘船すべき港の名前は何々であると毎度事前に通報する。これは協定附屬書第二項にあります。次に、これに對して最高司令官は、ソ連港向けに配船される船舶に關する情報を前もつてソ連代表に通知する。これは協定附屬書第三項にあります。その次は、配船に際して最高司令官はソ連側から通報された引揚者數を乘船せしめ得る能力のある船を選擇する、引揚船はソ連側からの通報後二週間以内にソ連港内に到着すること。これは協定第三節第三項にあります。
 以上によつて、現在引揚げが行われている手續と申しますか、引揚げの機構、それの根據になつておる協定の内容は明らかなのであります。この點につきましては、先月二十九日第四十四囘對日理事會においてシーボルト議長から冒頭におきましてきわめて詳細なる報告があつたのでありますが、その中にもこの點を説明されているところがあります。それを煩を厭わずにここに申し上げます。
 本年十月十八日附書簡をもつて、ソ連代表代理は、おのおの二千人の收容能力を有する船舶五隻の追加配船を十月二十三日より二十九日までの間にナホトカに囘航するよう要請し、また本年十月二十日附同樣の書簡をもつて、千五百名收容能力ある船舶一隻を十月二十五日に眞岡に囘航するよう要請しておるのである。本年十月十三日附書簡をもつて、ソ連代表代理は收容能力おのおの二千名の船舶十六隻を本年十一月分のナホトカへの配船として要求しておるのであります。實際にソ連地區から引揚が行われますについては、このシーボルト議長の報告にも明らかにうかがえますように、引揚協定に從いまして、ソ連側から、幾人送り還すから配船してくれという要求がありまして、その要求に應じて連合國最高司令官がその引揚者數を十分乘船せしめ得る船腹を送るという順序になつておるのであります。しからば總司令部はこの配船をいかなる状況において行つておられるかと申しますと、ごく最近の四箇月間、すなわち七月、八月、九月、十月の四箇月間をとつて申し上げますと、ソ連側から七月において送還を通報し船を要求してきたのは、五萬二千三百名に對する配船要求であります。これに對して最高司令官は五萬九千人分の配船をしております。實際にその船に乘つた數は四萬六千五百八十四人であります。從つて七月に配船された船復の一三%というものはむだになつております。このようなむだが八月には二〇%、九月には一九%、十月には一二%になつております。これによりまして、現在ナホトカに引揚者の目撃したところ數千名ないし數萬名の方が船が來ないからといつて、いたずらに歸國の日を待ちわびて待機しておるということは、明らかなる誤解であると考えざるを得ないのであります。さらにこれを裏づけるものといたしまして、實際日本側の船腹の事情はどうであるかという點を申し上げますと、本年三月にはソ連地區からの年内引揚完了を目標とする配船計畫が立てられたのでありますが、これに必要な船腹は十分あつたのであります。ことしの八月下旬に至つて、海外から引揚者數が減少したために、引揚船五十隻中十八隻が、他の緊急物資輸送に振り向けられましたが、そのうちの十二隻はソ連地區引揚用に使用されていた船であります。配船上引揚者の輸送は第一位の優先順位をもつておりますから、引揚者が増加した場合には、物資輸送に振り向けられていた船腹が引揚船に向けられる準備は、常に行われておるのであります。從いまして今ナホトカに、日本側からの配船が足りないため、いたずらに港まで來て歸る日を待つているというのはまさに誤解でありまして、きわめて卑近な例を用いて、その實情を説明することを許していただきますならば、われわれのよく目に映る配給所に米やさつまいもの俵が山ほどある。これがそこに山ほどたまつているのは、各家庭からもつていく袋が小さいからだということではないのでありまして、配給所の方がこちらへくれる數量がきまつている。きまつているからたまつているのでありまして、大きな袋をもつていたら早く片づくという筋ではない。結局送り出す數は月五萬平均ということにきまつておるのでありまして、それを幾人送り出すかということは、ソ連當局の決定するところであるという點を、この際繰返して明らかにしておきたいと思うのであります。これは一切の國民感情の引揚促進の熱望を一應離れまして、各觀的な事實として引揚げに關する機構、配船のぐあいはどうなつているかという事實そのものを申し上げたのでありまして、この實情を背景に、この事實の基礎の上に、引揚げを促進するにはどうしたらよいかという次の案が出てくるべきものであると、われわれ事務當局は常にその事實の上に、最も引揚促進が可能になる方法を研究して、適當な方法がある場合には、隨時それを實行に移しておるのであります。どうか皆々樣におかれましても、この事實の上にさらに有效適切な引揚促進の方法がございましたらば、御指示くださいまして、御鞭撻願いたいと思うのであります。
#5
○天野委員長 ただいまの御説明を聽きますと、萬遺憾ない手はずが整つておる。こういうように承知いたさなければならぬと存じます。實は一昨日函館から引揚げた引揚者でありますが、とにかく向うにはたくさんの人がおる。船さえあれば歸せるのだが、どうしても船がないのだ。こう言われました。この配船が計畫通りにいつておりますならばまことに結構でありますが、どうか今後におきまして、その一般の言うことが誤解であるとのみ片づけずに、今一層の御努力を願うことが必要ではないか。こんなふうに考えます。われわれといたしましても、これに對して外務省のやつておることが間違つておるとは考えませんが、引揚げてこられる人の何人かが、異口同音にそう言われておる。こういうことになりますと、われわれとしましても何かいま一層打つ手はないか。こういうことを考えざるを得ない場面が出てまいりますので、お聽きしたわけですが、どうかひとつ、官廳のやつておる仕事はいずれも正確にいきましようけれども、往々それが計畫通りにいかないというようなこともなきにしもあらず、こう一般の國民は考えなければならぬのでありまして、引揚げてこられる人たちの氣持で、何とかひとつやつてもらいたいという氣持がどうしても起きてくる。そこでやはり船があつたら引揚げられるだろうという氣持は、やはりこちらに歸つて定著後においても、政府に對して何かそこに要望が殘つておるような氣がいたすことがありますと、引揚げた人の氣持もそこに幾分いらいらするというようなことになつてまいります。現状を見ますと毎月五萬と言つておるが、五萬に滿たない人が歸つてきておるような状態でありますので、その點一層の御努力を願いたいと存じます。
 それからなお外務省の方にお願いと申しましようか、方法があるかないかということをお伺いしたいと思うのは、歸られた人が向うにおつていろいろと話を聞いていることと、内地へ歸つてみての状況とはまるで相違しておる。ソ連におつて向うの人の話を聞くと、ほとんど日本はどうにもならなくなつておる。從つてどう歸つてなるだろうかというような氣持で、非常に不案にかられておる。しかし歸つてみれば内地の人が非常に歡迎してくれる。また物資も思つたよりはあるというようなことで、一例をあげて申しますならば、外蒙から引揚げてきた人が、日本にはもうほとんど戰爭によつて何にもないと思つたので、自分たちはぼろぼろの作業衣であつたが、それをもつて歸つてしばらくこれによつて凌ごう。そうして再建しようと思つて歸つてきたら案に相違して、新しい衣服ももらい、くつも新しいものをもらつた。こういう状況であるが、その状況をあちらの殘留の人に何とかして知らせる方法はないだろうかという質問がありましたが、何かそれに對する外務省としての方法がありましたならば、その方法を實施してもらうように願いたい。またわれわれの手でやれることならやつてみたい。こんなふうに考えますが、何かそれに對するお考えはないでしようか。
#6
○小島説明員 ただいま委員長から二點御意見がございましたので、これに對しましてお答え申し上げます。第二の問題は實は關連しておると思ひますので、兩方同時に申し上げたいと思います。ロシヤで現實に聞いてきた話と、歸つてきてからの實情とはまるきり違うという一つの實例が、配船の問題でありまして、これは總司令部が正式に發表されましたように、常に餘裕を見て日本からは船が出發しておるのであります。從いまして船が足りないために、ナホトカに引揚者がたまつてしまうていうことは、今まで一囘もなかつたと斷言し得るのであります。もし多數の引揚者がなおかつそのような疑問をもつて不安に感ずる。未歸還者のために非常に氣の毒に感じておるというようなことが、ございましたならば、われわれは根本問題として急速なる引揚者數の増大、引揚促進ということには、もちろん今後とも全力をあげることは申すまでもありませんが、引揚者數と配船との關係に關して、もしそのような誤解がございましたら、これはどうぞ皆々樣方におかれましても、それが誤解であるゆえんを、その都度撃破していただきいと思うのであります。そのためにわれわれは現在國内限りで行い得る方法といたしましては、文部當局と協力いたしまして、引揚港において「戰後の日本」と題する引揚者用新聞を配つておるのであります。これは文部省主管の事業でありまするが、引揚者の再教育という意味で現在の日本でいかなる事態にあるかということを、一つの小さな新聞でございますが、一讀すれば大體見當がつく、そこでまごつくようなことがないという意味を含めましての新聞でありますが、これにわれわれからただいま申しましたように、引揚者數と配船との關係は決して配船が少いから、大勢歸れないのではないという點を一つの資料として提供して、これに記載してもらつております。
 その次に同じく現地で聞いたことと内地の状況がまるきり變つておるということに關しまして、ただいま政府がソ連地區にある人々のために一種の啓蒙工作をするということは事實上不可能ではないかと思うのであります。留守宅の方々が許された通信の中に、内地の實情を詳細に述べることも、これまた通信に關する制限で思うようにできないんじやないかと思います。從いまして今申しました引揚港で配る「戰後の日本」の中に、上陸港で一目瞭然に日本の現状がわかるような趣旨において編修された記事を配つておる次第であります。
#7
○天野委員長 速記をやめて。
#8
○天野委員長 それでは速記を始めてください。
#9
○村瀬委員 ただいま政府委員の御説明を承りまして、七月から十月に至る間におきましては、配船の過剩が、多いときは二〇%、少い月でも一二%に達したということを聽きまして非常に安心いたしたのでありますが、天野委員長が最初にお尋ねになりましたのは、この數日前に歸つてきたソ連からの引揚者の話に、ナホトカにはなお八千ないし一萬三千の人が殘つておるという話があつたというのでありまして、十一月の歸國豫定の人員はいかようになつておるのでありましようか。先ほど引揚機構、配船手續の御説明がありましたが、それによりますと、あらかじめソ連から何名歸すからその配船をするようにという通知が來るように伺いましたが、そうしますと十一月の引揚豫定人員竝びに十二月の引揚豫定人員も、もうわかつておることと思うのであります。その二點をお伺いいたしたいのであります。そうして十月までは、さいわいにさように船の力が過剩であつたといたしましても、だから十一月にもそういうことがあるとは絶對言えないのでありまして、素人の考えでありますが、あるいは碎氷船の關係とか何とかで、もしかするとナホトカに乘れぬ人がおつたのではないかという心配もわれわれには起るわけであります。十一月にはいくらの配船の通告があつたものでありましようか。また十二月にはどのくらい歸つてくる豫定になつておるのでありましようか。竝びに碎氷船等の用意も完全にできておるものでありましようか、また去年は嚴寒の候は輸送は止つたとか聞いておるのでありますが、今年は一月、二月も間違いなく歸國できる豫定になつておるでしようか。
 もう一つ第二點といたしまして、以前ポシエツトの方にもしかるべき施設ができるかもしれないという非常に嬉しい情報を承つたことがあると思うのでありますが、その方面はどういうふうに進行しておりますか、お伺いします。
#10
○小島説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。私がソ連向け配船は過去四箇月をとりまして十何パーセントかの餘剩があると申しましたのは總司令部の發表に基いておるのであります。それは四箇月間をとりましたが、その以前もずつとそのような状況にあるのであります。ただ過去四箇月がその數字が目立つて大きいという點で、便宜上これを御説明申上げたのでありますが、十一月は十一月の月が終るまでは現實の數字は出てこない状況ですけれども、ただこれを推定いたしますれば、最初の御説明に申上げたように、本年十一月分のナホトカへの配船としてソ連代表が總司令官に要求したのは、二千名の收容能力ある船舶十六隻となつておりますので、ナホトカからこれに一ぱい乘せてもらいますれば、三萬二千名になります。ただいまの状況では樺太から引揚げつつありますので、これまた月が終るまでは確定した數字は出ませんが、かりにこれを各種の事情から總合しまして一萬と假定しますれば、十一月分は大體四萬二千となるのではないかと觀測しております。その次に私が過去四箇月間の數字で船腹に餘裕をもたして最高司令官は配船しておられると申しましたのは、十一月についてはそのようなことは必ずしも斷言できないではないかという點につきまして、またシーボルト議長の言葉をここに利用さしていただきますと――それはなぜかと申しますと、配船といいましてもこれは日本政府がしておるのではなく、連合國最高司令官がしておられるのであります。その場合に日本船を動員されるという形になつておるのでありまして、日本側は自己の發意においてこの増減をすることはできない事態であります。從つて、連合國側がどういうようにお考えになるかによつてきまりますが、シーボルト議長は、ここに利用さしていただきますれば、最高司令官は本年五月以降ソ連港からの日本人引揚げを促進せしむる希望からソ連當局の要請による配船に對して、絶えず一割の餘裕をみて船舶を供給しておるのであるが、しかしこの引揚船は常に約一割の乘船餘裕を利用せずに日本に歸つておる。ここに最高司令官の配船の方針が見られるのでありまして、これは私はこの十一月についても、十二月についても、今後も言えることだと思います。そのくらいの船腹の餘裕は海運當局に聞きますれば十分あると申しております。それから十二月はどのくらいになるかという點は、これまたソ連側から通告を受け、最高司令官が初めてその數を知り得るのでありまして、それがまた日本政府へ通達されるのであります。從いましてこの基準となるのは、月五萬という協定によつて推定し得るだけでありまして、その五萬の解釋も、これまた對日理事會で爭われましたように、月平均であるのか、毎月少くとも五萬であるのか、この點見解の一致を必ずしもみていないと思いますが、ソ連當局は月平均であるという解釋をとつておられるのでありまして、月平均でいきますと、過去數箇月間三萬人臺のときがありましたが、その前に大連地區から引揚げたのは多いときには九萬人になつたことがありまして、月平均でいけば、五萬を上まわつております。從いましてソ連側が日本における引揚促進の熱意に動かされて、これをうんと増加してくれれば問題は別でありますが、五萬という平均を堅持しておると假定いたしますれば、十二月は十一月と大差ないのでないか、それより多少數は上るかと考えます。それはなぜかと申しますると、過去數箇月間三萬臺がありましたために、これを理合せするためにはだんだんと數字をあげてこなければいけない事態になつております。その平均でいきますると、少くとも來年一月からははつきり五萬以上歸さなければ月平均五萬を割ることになります。從つてそれだけの推定は安全に下し得ると思います。
 それから冬の間どうなるかという問題がございますが、今年の初めは港によりましては中止されましたが、いわゆるソ連地區からは確かに五萬以上歸つております。それは大連から歸つた數が多いからであります。さようにソ連は場合によつては凍結した港を使用しないということになるかもしれませんが、そのほかの港、たとえば大連にも殘つておりますが、これを歸還せしめたりして、全然止めないようにしてくれるかもしれません。その點についてはまた引揚げに關する基本協定を御參考までに申し述べますると、協定第二節第二項及び第四項日本人俘虜及び引揚げを希望する日本人は月に五萬人の割合でソ連港から引揚げる。但し天候陸上輸送等に關し豫期せざる事態が發生した場合は、引揚者に變更されまたは一時的に引揚げを中止せしめ得ることとございます。これが協定になつておりまして、この協定をそのままソ連側が採用するかどうかは一にソ連側の選擇にかかつております。今までは今年の初めにはこの規定にもかかわらず五萬以上送つた、こう申し得るのであります。碎氷船に關しては專門外でありまするが、今まで責任者から聞きましたところによると、少くとも三隻はいつでも出し得るように用意してあるということであります。
#11
○荒尾政府委員 ポシエツトの方は引揚者からポシエツト灣を利用して引揚げを準備してくれておるといううわさがたつただけでありまして、まだ何の情報もないのであります。
#12
○成田委員 厚生大臣にお伺いするのが本筋かもしれませんけれども、もしおわかりでしたらお答え願いたいと思います。先月二十九日の對日理事會で、シーボルト議長とキスレンコ少將の應酬があつたことを新聞紙上で拜見しました。そのときにキスレンコ少將の談話といたしまして、こういう問題を對日理事會で取上げることは、日本内地へ引揚げた引揚者の生活が悲惨な状態にある、それを隱蔽するためにやつているのではないかというな應酬があつたらしく、私拜聽したのでありますが、それはソ連代表の言い過ぎだといたしましても、引揚者が相當生活に困つておるということは事實なのです。この問題は當委員會でもいろいろ問題になつたと思いますが、最近私たちのところへよく陳情が來るのでありますが、何とか生業資金を増してくれぬかというお話がありまして、一萬圓程度の生業資金を支給してもらいたいという希望がたくさん參つております。今度政府でおとりになつておる豫算で、引揚者の生業資金として一人大體どれくらいのものが組まれておるか。もしおわかりでしたらお知らせ願いたい。
#13
○天野委員長 どうでしよう。ただいま政府委員と相談いたしましたところ、この次の委員會に厚生省の方から確實な答辯をするようにということですので、答辯は保留させていただきます。受田君。
#14
○受田委員 復員廳の第一復員局の荒尾部長にお尋ね申し上げます。ただいま成田さんから質疑によく似通つていて、直接復員局關係になりますので、お伺いします。今度の追加豫算の未復員者のために特に設けられたもの、未復員者に必要な經費の問題ですが、最初は既復員者出頭に必要な經費として二百四十一萬九千圓を出されておるし、それから在外元軍人軍屬の給與改正に必要な經費として十億六千二百萬圓、さらに戰爭裁判關係の事務處理に必要な經費として八十萬圓出されておる。今後減少したものとして未復員者に必要な經費の減少、これは豫定よりも少く還したからというので、二億三千萬圓ほど減少されたのです。こういうような豫算關係で、せつかくこの豫算がとつてあるのであるが、豫定よりも減少したという場合、この二億三千萬圓の豫算經費減少は、何とかして有利に展開するような途はないものか。特に未復員者がわが上陸地において、非常に殺風景な待遇を受けていることに對してでも、この關係經費をその方へまわすような用意をして、必要な經費として別途新たに費目を設けて、それを要求されるような方法がないか。何も遠慮しておられる必要はないと思う。特に在外元軍人軍屬の給與改正は十何億というものを組んでいただいたことはまことに滿足しますが、この點上陸地における、それ以後の未復員者を優遇する措置をとるように、豫算關係でもう少し積極的におやりになる必要はないか。
 その次はこちらへ歸つてきた復員者の言葉にはいろいろのものがあつて、言い繼ぎもあつてはつきり眞相をつかむのには一定の目標を定めることができがたい點があるのですが、非常に優遇を受けたいというのもあるのであります。そんなに苦勞をするようなことはあまりない。われわれのところでは大したことはないということの話を幾人からも聞いております。そういう點でソ連の待遇は全面的に見て、非常に惡辣なものであるとは考えられない點がある。そしてもつと手廣く復員してきた諸君の聲を總合して、その動向をはつきりするような努力がなされなければならなぬのではないか。非常に御努力をなさつておられるように見えて、第一線ではむしろわれわれ議員の方がよく知つておるようなことが多いし、私たちのところに手紙その他はいつて來る情報を見ても、復員局で調ベられたよりも、もつと的確な點がありますし、こういう點で情報の交換についてもつと積極的な機會をつくり、たとえば地方別にいろいろな集まりをしてみるとか、中央に各地域の代表者を一度集めて復員者の會を設けるとかいうような、積極的に聲を聽く會を設けてはどうか。そういうことをすることは、ラジオ放送その他の方法によるよりも實物で話合いができるのでありますから、非常に效果があると思います。特に既復員者の出頭に必要な經費が二百四十一萬圓ほどありますが、こういうのをもつと増額して、ただ調査のみに止まらず、いろいろ情報を交換して、復員者の將來の生活保障のために、直接歸つてきた諸君の切實なる聲を聽いてやる會を設けるための經費に充當したらどうかと考えますが、この點もつと積極的な豫算を要求して、もつと積極的にこういう會を設けられ、とかく消極的になつてめいりこむような空氣にならないようにしていただきたいと思います。
#15
○荒尾政府委員 ただいまたいへん強い御指示をいただきまして、まことにありがたいと思います。大藏省との折衝におきましては、新しく必要な豫算については十分お願いいたしますが、過去の理由によりまして、成立しておる豫算で過剩ができた際には、明瞭に返還するという態度を今日までとつておりますが、なるほどただいま申されましたように、港における待遇その他についてなを改善すベきことが山積しております。從つてたとえば現在の物價高から考えて、現在の歸郷旅費ではとうてい家に歸れないというふうな問題が多々ございます。これはまことにぐあいが惡く、申譯ないと思つておりますので、次の豫算案のときに何とかただいまの現實の物價高の状態に合うように、別途に増額方をただいま大藏省とせつかく折衝中でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。しかしそれでやりましても、おそらく歸りました多くの人々に對しましては、とうてい十分でございませんので、ただいまお話のように、歸つてきた者から廣く意見を聽いて、もつともつと將來の厚生その他に向つて改善なり。改造なり、そういうことを聽取るような方法を講じたらどうかという話もございますので、大部分は私の局以外の厚生省の所管事項も多々あるように思いますが、お話を承りましてもつともであると思いますので、さらにそういう方法について研究したいと思います。
#16
○受田委員 復員者のうちで傷病にかかつた諸君が國立病院に入院しておりますが、これはこの間東京の國立病院を見たり、また今月の初めに山口縣に歸つて二つの病院を見ましたが、これらを總合してみて、醫者の適當な人がだんだん減少する。復員したけれども、よい醫者がいないことによつて非常に不安を感じておる。そこで追放その他の關係について何らかの措置をとつてもらえないかということもありますし、國立病院のお醫者にはもつと待遇をよくしてやるような措置を考えてやる必要はないか、こういう點について、非常に犠牲的にやつてくれておる醫師諸君の御努力に對して心から感謝するとともに、そういう點について、速やかな措置をとつていただきたいと考えるのであります。
 それからもう一つは、厚生施設に關係して、復員者の中に内地へもどつて、お前軍人であつたということで非常に虐げられて、一般引揚者と比較にならぬほどの冷遇を受けておる。一般引揚者と比ベて同情されておる。給與の面においても何か差別しておるということですが、この點について、軍人であつたがゆえに非常に遠慮しておる傾向がある。これは一般の輿論善導しなければならぬのですが、軍人であつたがゆえにという點で、復員者自身にやや遠慮しておるところがあるのではないかと思いますので、上陸地その他の土地において、復員後の心構えを十分もつてくるような施設を、たとえば國會から議員をその上陸の都度一人ずつ派遣させるとか、また復員局から常に上陸の都度行つて、更生省からも行つて今後の厚生問題についても何時間か話してやるとか、いろいろこういう途があるということを話してやるような機會を設けてやつたらどうか。これは大事なことだと思いますから、そういう御用意はどうであろうかと考えまして、ちよつと伺いたい。
#17
○荒尾政府委員 國立病院の問題でございますが、お説の通りでありまして、終戰後相當數のもとの軍醫が服務しておりました。その後私どもの所管から變りまして、私どもの局以外の現在の厚生省の方に所管が移つておりますので、その後事情につきましては、私どもは詳しく申し上げることはできませんが、實際かつての病院におりました義理合上、現在わずかな俸給でも殘つておつてくれたのでありますけれども、その後追放その他の關係で逐次減少せざるを得ない状態になりましたために、多少留任申請等はしてくださつておるようでありますが、逐次退職をせしめられておる状況であります。現在殘つておりますものの給與改善をする問題は、厚生省の醫務局の方の所管でごでいますので、そういうふうにしていただいたらよいと思いますが、私からも御趣意のほどは申しておきます。
 それから港におきまして、歸つてきてからの復員者に對して政府がとつておるところの措置について説明する機會を十分與える必要がある。これは私もごもつともと思います。現在の生業資金その他のことにつきまして、政府のやつておられまする點に對しましては、上陸直後にこれを傳えまして、それぞれ掲示板等にはつてございまして、それを御了解いただくようにはしておりますが、今御質問を受けてみますと、それが多く向うで苦勞をせられて歸つてこられまして、すぐその掲示板なり、人の話を一遍聽いて、頭にのみこんで自宅に歸るほどどうも徹底しておらぬように思いますので、やり方につきましては、さらに研究をしてみたいと思います。
 なお引揚者と復員者との間にいろいろ待遇上の差があるという問題は、つとめてそういうふうにしていただかないようにというのが私どものお願いでございますが、とかくいたしますと、そういう差があるようでありまして、非常に私どもは心配をしておりますから、そういう方面の御所管の部局とお話合いの節には、差のないように、議員の方からも御指示を願いたいとお願いする次第であります。
#18
○水谷(昇)委員 本日の日程ははつきりしておりませんので、いろいろ多方面にわたつて御質問があり、御意見がありましたが、爾後においては、大體日程を公報でお示しいただいて、範圍をきめておいていただきたいと思います。
 それとただいま受田君から御質問と御希望のありました豫算のうちで使い得なかつた、餘つた分でありますが、流用を許された分は流用して結構であると思いますが、流用を許されてない分は、これまでおとりになつたものをはつきり返す。こういうことは私贊成であります、その代りに、入用のものは強く要求していただきたい。この委員會においても、入用のものは大いに御支援も申し上げたいと思いますから、入用のものは強く御要求をしていただくように、そういう態度に私は贊成いたします。
#19
○天野委員長 ただいまの次會からの議題に對する件は、お説の通りにいたします。
#20
○竹尾委員 私は質問ではありませんが、大分きようはいろいろ議員の方も忙しいと思いますので、この程度で散會していただきたいと思います。
#21
○天野委員長 それでは本日はこの程度で散會いたします。
   午後三時七分散會
ソース: 国立国会図書館
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