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1947/10/03 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 図書館運営委員会 第4号
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1947/10/03 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 図書館運営委員会 第4号

#1
第001回国会 図書館運営委員会 第4号
昭和二十二年十月三日(金曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 中村 嘉壽君
   理事 石井 繁丸君
      山口 靜江君    井上 知治君
      松田 正一君    多田  勇君
 委員外の出席者
        衆議院參事   細野 孝一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 打合會經過報告の件
 國會圖書館運營に關する件
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これより會議を開きます。
 圖書館運営委員會は、七月二十六日に第三囘の委員會を行つた後、數囘にわたつて打合會を行つてまいりましたが、一應その打合會の經過をここに簡單に御報告申し上げます。
 打合會は、七月三十日、八月二日、八月六日、八月十九日、八月二十二日の五囘にわたつて行い、九月十九日、九月二十九日には圖書館視察を行つたのであります。
 打合會において行いましたことは、七月三十日には、圖書館事務要綱圖録の説明をいたしました。これは植村囑託にお願いいたしたのであります。それから米國議院圖書館についての説明がありまして、その説明の岩淵君にお願いしたのであります。國會圖書館としてのアメリカ合衆國圖書館の説明、これは法貴君にお願いいたしました。それから合衆國圖書館のリフアレンス法と法制圖書館、これもパンフレツトが一つありまして、その説明を岸君にお願いいたしました。
 八月二日には、アメリカ合衆國圖書館組織法の説明を細野調査部第一課長にお願いいたしました。それから政治經濟研究所及び國會圖書館について渡邊君のお話を伺いました。國會圖書館の創設にあたり、特に注意すべき事項に關する意見書の説明が圓地君によつて行われました。
 八月六日には圖書購入費の件に關して、委員長、理事を評價委員に選定いたしました。參議院よりの連合會開會及び公聽會を開くように申込みがありましたけれども、本委員會におきましては、これに反對の意見がありましたので、參加せないことといたしました。その次に圖書分類法の説明は、專門家の意見聽取をすることに相なりました。
 それから八月十九日、圖書分類について植村君から御説明を願い、國際十進分類法について鍋島君から聽きました。八月二十二日に、日本十進法に關して森君から御説明を願いました。
 それから左の事項に關して懇談をいたしました。第一、日本圖書館の分類法の理想的方法、第二に、館長人選に關する關係方面の意見傳達、それから第三に、新館設立まで特許局あるいは永田町の小學校使用の件、それから和漢洋書の分類に關して土井君からの御説明を願つたのであります
 右今日まで行われた打合會の模樣について御報告申し上げた次第であります。これから、この報告について、何か御質問なり、あるいは御意見がありますならば、この際お伺いしておきたいのであります。
#3
○松田委員 今いろいろ、委員長から御報告がありましたが、館長を早くきめてもらいたいと思います。この館長のことについて、どういう經過になつておりますか、承りたいと思います。
#4
○中村委員長 松田君の御心配のことは、同樣に私どもも心配しておりますし、いろいろ人選について、議長とも御相談しております。ようやくこのほどに至りまして、適任者と認められる人を私どもから御推薦申し上げてあります。それについてはもちろん議長の權限内のことでありますから、兩議長に一切お任せすることにいたしまして、われわれは意見を具申してあるだけのことであります。このことは遠からず何とか兩院議長の間で御相談があつて、速やかに進行することと信じております。なお、これについては、皆さん方の御希望もあることでありますから、この上ながら促進するような方法をとりたいと思つております。それについて、委員長、理事竝びにほかの人も一緒に、議長にさらに促進方をば頼むことが必要であるとお考えであれば、そのように取計らつたらよいと思いますが、いかがですか。
#5
○松田委員 館長を早くきめなければ、豫算を使つて圖書館の具體化をすることができ得ない。人選については、委員長にいろいろ御心配願つておるのですが、人というよりも、私どもから考えれば、早くきめていただくことが、目下の急務であるように思うのです。それで委員會の方で、委員長と理事でもよろしいし、他の委員が加わつてもよろしいが、促進方を議長に要求するようなことをやつていただいたらどうかと思います。
 それと、もう一つは、家を早くきめてもらいたい。それが外部に向つて、國會圖書館の具體化してきたということになる。今までいろいろ傳えられておるところによると、參議院の方はいろいろやつておるが、衆議院の方は一向進まない、具體化していないというように宣傳せられておることを耳にいたしますが、事實はそうじやないのでありますから、今までの經過をたどりまして、なるべく早く具體化するようなことにお計らいを願いたいと思います。
#6
○中村委員長 松田君の御意見は、私も同感でありますから、いずれ議長の方にその旨傳達いたしまして、願わくは、委員長と理事ともう一人どなたか加わつて、三人で議長のところにさらに交渉するということに御了解願いたいと思います。
#7
○松田委員 本日はこれだけ寄つておりますから、皆さんに行つていただいたらいかがですか。
#8
○中村委員長 ではそういうことにいたしましよう。
 それから、さらにまた皆さん方に御報告申し上げた方がよかろうと思いますが、第一に、この間のウイリアム氏の講話ついて、いろいろな事故のために再び延期になつておりましたが、適當な時期において、またもう一遍日を改めて、向うの都合のいい日、こつちの都合のいい日をきめてお願いしたいと思いますが、いかかでしようか。
#9
○松田委員 結構です。
#10
○中村委員長 それではさように交渉することにいたします。
 それから第二に、アメリカから圖書館の顧問を送つてもらうことに、皆さんの御了解を得まして交渉しておきましたところが、マツカーサー司令官から報告がありまして、適當な人物をば物色してやるということにはなつておりました。このことはさきに報告申し上げたと思つております。最近、私が會いましたオアーという人がおりますが、その目的で行つたのでありませんが、そのオアー氏が私に言うには、近いうちに――近いうちといつても、そのときは先々週でしたが、來週くらいはいい、ニユースがあるよ、人選もほぼきまりかけているから、きまつたら早速知らせるからと、こう言つておりました。おそらく遠からずその人選もきまるだろうと思います。
 それから建物とか分類法等につきましては、今、特許局を何とかしてあけてもらいたいということを交渉はしておりますが、それはさきに議長が水谷商相に御相談の結果、一應斷られたのであります。けれども、この間も御報告申し上げましたように、やはりあそこに合宿しておる商工省のいろいろな役所の分室は、バラツクでもこしらえて、そこに移つてもらつて差支えないのじやないか、圖書館はそういうぐあいにいかぬし、堅牢な建物でなければならぬから、やはりああいうような所であり、かつ國會と近い所でなければならぬから、ぜひあそこを貸してもらいたいということを再びお願いしまして議長が相談してくださることと存じております。これも今日でも行つてさらにお願いいたしますが、そういうことについて、もしあまりはかどらないとするならば、なおアメリカの顧問とも相談してみまして、これらの協力も得ることが必要ではないか、こう思つております。
 それからいま一つは、顧問を招聘するにつきましては、やはり相當の豫算をとらなくてはならぬと思いますから、それを今度の追加豫算に要求しておきたいと思うのでありますが、これらについて、もし皆さん方の御意見があれば、お伺いいたしたいと思います。
#11
○松田委員 この建物ですが、今は商工省の方で相當のところを全部バラツクでも建ててそれを移すということは、日數もかかることでありますから、どうでしよう、現在圖書館で要るだけのところを貸せということで、部分的に借りて、それから後おむろに對策を講じたらどうかと思います。それから今日は記録をもつておりませんで、顧問とか何とか、外國の婦人の權威者があるように承つておりますが、そんなことは委員長の方でお考えになつておりますか。
#12
○中村委員長 それは私は知りませんが、今向うから物色をしてくるという人があるならば……。
#13
○松田委員 婦人でも一人來るようにということで……。
#14
○中村委員長 それも含んでおるかどうかしりませんが、とにかく三人くらいを向うは物色してくるということです。豫算要求のことは御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○中村委員長 それから圖書の購入につきまして、八月二十六日に評價委員會を開催したのであります。そのうち中西寅雄さんの藏書、これはいろいろ評價いたしました結果、洋書は二十年前にドイツで購入せられた、非常に貴重な本でありますが、その當時の値段の八倍ないし九倍というところを標準としたのであります。それから和書は一部五十圓というような程度で見積られまして、八十五萬圓と、そのほかに輸送費を拂つたらということで、ほぼ了解は得ております。これならばきわめて適當な値段だし、むしろ中西さんにお氣の毒なくらいの値打でありますが、中西さんはこれを了承しておられます。今この見積書を參議院の方にまわしてあります。向うの御了解を得たならば、早速取引をするような運びにしたい。それから大津留氏の藏書があります。これは適當な値段でという相手方の御要求があるのでありますから、今これを適當に見積つて買收したいと、こう思つております。もう一つは、政治經濟研究所の藏書が千七百册持ち出されまして、そのうち一册が百五十圓ずつであり、内容があまり感心しないので、今のところは留保しております。それからその他井川忠雄氏の藏書、木下謙次郎氏の藏書がありまして、これも買い求めたいというので、今交渉中であります。適當の評價をいたして、できるならば頂戴したいと思つております。
 それからロツクフエラー・インスチチユートの方から相當な寄贈のものがありまして、これは事務總長から御禮の手紙を出してもらつております。そのほかにカーネギー財團からの申込みが外務省を通じてまいりまして、自分の方で出版するものは、必要であるならば送つて差上げるから知らせろということを言つてきておりました。一應圖書館といたしましては、全部もらいたいということを返事したそうであります。その後、それに對して、向うからまた八月二十六日附の手紙が外務省に來ているのであります。それによりますと、ただ一般的にというよりも、そこで必要なものだけを知らしてくれと言つております。必要なものが、何何が必要か、リストがないのでわかりませんから、これはさらにまたここに進駐軍の人とも御相談をし、今度エキスパートが來ましたならば、そういう人々とも御相談をしまして、ここに適當なものをもらう方法を相談して、直接國會圖書館から交渉してみたい、こう思つております。さよう御了承をお願いいたします。
 それからもう一つ御相談申し上げておきたいと思つておることがあります。三原氏という人は日本で浮世繪を集めることの非常な大家でありまして、この人のもつておられた浮世繪は、日本で有數なものでありますから、これをどうかして手に入れたらと思つております。浮世繪は、今、御承知のように日本よりも世界で有名なものになつております。ボストンの博物館には日本の浮世繪の一番いいもの、とうてい日本にないようなものが集つておりまして、われわれははずかしいくらいに思つておりますが、三原さんのものはそれほど大きなものではありませんが、もし手にはいつたらいいと思つております。この間、三原さんの知己の人に聽いてみたら、ほかに處分されたそうでありますが、それはまた相手に交渉したならば、手にはいらぬものでもないというようなことから、今日三原氏の嗣子の方に電話をかけまして午後會うことになつております。こういう貴重なものでありますから、なるべく圖書館に備えたいと思うのであります。
 それからなお御報告申し上げたいことは、圖書館の見學をしたことは、前にも申し上げましたが、九月十八日に、上野の圖書館及び東洋文庫を見に行つたのであります。九月二十九日に静嘉堂文庫を見にまいりました、こういう圖書館は、もしできるならば今のままで存在させておいて、これをこつちの方に分室として移管してもらつたらどうかというようなことを、これと關連する最高ともいうべき人々と、今、交渉を始めておりますから、さよう御了承を願つておきたいと思つております。
 先ほど館長のことを御報告する順序になつておりましたが、先ほども松田君からの御質問によつて、私からお答えいたしましたから、これは省くことにいたしたいと思います。
 それから政治經濟研究所の末弘嚴太郎氏が、九月三十日に御來訪になりました。その要旨は、自分たちが外から見ておると、國會圖書館の運營が一面進捗しないようで、非常に憂慮すべきことであるというふうな御進言がありましたから、一體私らが怠慢であるということを、どんなところでお考えになるのかというようなことも、私からよくお聽きし、また私の今までやつておることもずつと説明しておいたのであります。人を入れることについての御進言もありましたから、適當な人を入れることは、もちろんわれわれも必要だと思つておりますが、それは今までのとらわれた國書館人にこだわるということなしに、白紙になつていい人を訓練し、そうして專門家でなければならぬところには入れるけれども、そうでないところにはこだわらない人を採用したいというわれわれの氣分であるし、また過去においての經驗をもつた人であつても、われわれはそれを知らぬのであるから、一々適當な機關によつてスクーリンしていきたいのだ、こういうところに思想的に危險であるとか、また日本の國體に容れないような、かれこれ言われるような人々はなるべく避けたいつもりであるということを、私はよく説明しておきました。しかし、いずれ御協力を求めなければならぬこともありましようから、そのときはお願いをする。なを國會圖書館のためになることであるならば、いつでもお話はお伺いするということを申し上げておいたような次第であります。さよう御了承を願いたいと思います。
 なお八月二十二日の東京民報及び九月十七日の文化新聞に國會圖書館運營委員會に關しての記事が出ておりますから、皆さんの御參考までに、書記をして朗讀いたさせます。
    〔書記朗讀〕
 八月二十二日 東京民報
 不活溌な圖書館委員會
   國會の面目問題へ
     民間團體から申入れ
  國會が國權の最高機關であり、唯一の立法機關としての權威をたもち任務をまつとうするには國民の代表たる國會議員の豐富な知識によらねばならない。そのために國會の兩院常任委員會に圖書館委員會が設置され、この委員會の運營にかかる國會圖書館が國會議員の「知惠の泉」となり代議士諸君の惱みの洗濯場として大きな役割を演じるわけで、これが完成すれば政府の提出議案がなく審議するものがないからとの理由をつけて國會の休會がつづいたり貴重な時間の浪費がなくなる。
  しかしこれまでの議會は軍閥、財閥、官僚のロボツトで代議士はただこれらの提供する資料にたよつていればよかつたせいか圖書館委員會が出來ても運營すべき圖書館が貧弱すぎて利用價値もないのか議員の不勉強は前代からのゆずりでもあるのか自ら圖書館充實についての熱意を示すものが少く、事務當局に一任のかたちである。こんなことでは將來がおもいやられると、政治經濟研究所その他の民間研究、調査機關廿二團體、勞組五千餘名の代表(委員長前野良氏)は十八、廿兩日衆、參兩院議長、圖書館委員長にたいし、國會圖書館の準備は官僚にまかせず、國會議員自らの手で完全なものをつくり、文化的水準を高めるために努力すべきである」との申入れを行つた。以下國會圖書館の現状と圖書館委員會の活動振りを調査答えにかえよう。
  藏書米國の百分の一
  圖書館の現状・外部が利用
  現在の圖書館は國會の四階にあるごく狭く氣分的にも利用しにくい、だからそれでなくとも不勉強な議員たちは一向に利用しようともしていないようだ、藏書數は未整理本を除いて衆議院側は約七萬、參議院が三萬冊であるから大體地方圖書館級の實施で上野圖書館の八分の一程度にすぎない、アメリカの國會圖書館は約九百萬冊の藏書があるというからその百分の一という貧弱さである。
  國會開會中は藏書は代議士以外は貸出を許さず閲覧も制限して議員の勉強に備えているが閲覧者は一日廿人がせいぜいという淋しさだ、かえつて事務員の利用が多い、外部からは極東軍事裁判の辯護團がしばしばここの貸出しを使つているにすぎない、議員の貸出しは一日三、四件を數えるだけである。
  議員の利用者を政黨別にわけると衆議院は社、民、共の順で自由黨も少いし婦人代議士は殆んど足をはこんでいない、洋書の貸出しは、武藤嘉一氏(民)ただひとりという有樣、參院では衆院と反對に婦人議員の勉強家が多くそれについで共産黨、社會黨の順でここでも民、自兩黨の閲覧者は案外少い、兩院の圖書館を通じさすがに各黨の幹部どころや中堅級の利用が目立ち、がいして一年生議員は不勉強のようである、常連は衆參ともきまつており、一度も圖書館に顏をみせない議員たちが六百餘名のうちの大部分である。
  館長には大臣級
   衆院に反し張切る參院
  衆議院の圖書館運營委員は七月中に九、十二、二十六日と三囘ひらかれたのみで、そのうち二囘は理事互選、委員の交代のための引繼ぎで、三囘目が僅かに國會圖書館の歳出見積りと運營について簡單な話し合いが行われただけで、根本的対策は何ら議せられていない、打合會は六月中旬から八月十九日まで七囘行われているがこれも國會の事務局の調査部員や圖書館の囑託から意見を聽取するだけの場合が多く、館長や建物、藏書など國會圖書館運營の根本問題については何ら具體的な進行をみせていない。
  現在までに館長は大臣級の人物、建物はとり敢えず特許局の建物を接收してはどうかの話し合いがきまつたのと、藏書關係では舊滿鐵調査局の資料を購入する件で大藏省との了解がついた程度である。
 參議院では羽仁五郎氏を委員長に大張切りで審議をつづけ國會開會以來、殆んど毎週全委員出席して開かれており、すでに滿鐵圖書館藏書の圖會移管、終戰以來戰災などによつて機能を停止している圖書館の藏書のうち國會で必要とするものの吸收などを決定している、またさる五日には(一)國會圖書館は如何に建設さるべきか(二)館長は如何なる人を適當だと考えるかの質問を全國圖書館協會、全國大圖書館長、各大學總長、各新聞社論説委員、新聞、通信、放送各調査部長、新聞通信、放送勞組、印刷出版勞組各文化部長、全國各地調査機關主任、同勞組調査部長、學士院、藝術院各會員の委員長の名前で出し各界から意見を求めており、これに對する答申はぞくぞく委員長の手許に舞ひ込んでいる、委員會ではこれを參考として具體案を練ることになつている、羽仁委員長も是非今期中に具軆化への第一歩をふみ出したいといつている。
  米に司書の派遣を依頼
   衆議院議長 松岡駒吉氏談
  圖書館のことは委員會に任せてあるが、まだ何ら具體的にすすんでいない點は責任をもつべき議長として遺憾に思つている、先般來米國のコングレス、ライブラリーへ優秀な司書の派遣方を依頼している。
  問題は何といつても館長にその人を得ることにあるので學問的にも人格的にも優秀な人を選びたいと思つている、はやく圖書館の總合的な活用を講じ議員が進んで發案權を行使できるようにしたいと考えている、今のところ誰を責めても困る問題だと思う。
  名實共に立法府調査機關に
   最高の公開圖書館にしたい
   參院圖書館委員長羽仁五郎氏談
  新憲法下の國會では立法府が國民の幸福と安全を目的とする立法が行われなければならないが、その調査機關が全くお話にならない、從來行政部はりつぱな調査機關を持つていたが、もうこの必要はなくなつたからこの機能の必要なものは國會に移されなければならないと思う、そうして國會圖書館をして名實共に立法上必要な調査機關としての機能を果せるようにしなければならない、第二に日本最高の公開圖書館にしたい、第三に日本全國及び國際圖書館との協力の中心的存在にしたいと思つている、この外圖書館を中心とした文化的な任務を果さなければならないと思つている、たとえば著作權の登録とか納本或はフヰルムの保管などをやりたい、このようにして圖書館は文化の參謀本部たらしめるというのがわれわれの希望である。
 九月十七日 文化新聞
 館長は誰に?
  實際的な活動家を
   氣をもむ羽仁委員長
 國會圖書館
 さきに議會政治の確立と、文化國家建設の中核たらしめようと、雄大な構想を持つて出發した國會圖書館のその後はどうか、第一囘國會の發足により、國會圖書館は、兩院の圖書館運營委員會の手に移讓された形になつているが、その實際の活動は低調で未だ準備期を經てないというのが現状である、以下國會圖書館がこれまで歩んで來た足どりをたどつてみよう、國會圖書館は、科學性のある政策確立の前提として、公民教育、社會教育、文化活動の中心としての必然的な要請から出發した、この國會圖書館設立計書には當初民間の有識者も異常な關心をよせて大内兵衛、姉崎正治、末弘嚴太郎氏らはいち早く國會事務當局と連絡を保ち國會圖書館懇談會を結成したものである、國會圖書館の構想と内容はアメリカのコングレス・ライブラリーに範をとろうとする意見が最初から壓倒的であつた、懇談會でも一、納本制度の確立一、レフアレンス・ライブラリーであると同時にナシヨナル・ライブラリーにすること、一、圖書館運營につき優秀な館員と學識經験者をあてること、一、分類法を確立するなどの申し合せがおこなわれた、第一囘國會の召集により衆議院參議院兩院には圖書館運營委員會という常任委員會が設けられ、國會圖書館にかんする全權をあたえられた、衆議院では委員長中村嘉壽(民主黨)氏をはじめ森戸文相、鈴木法相、林國務相、三木遞相ら十名の委員をあげ、參議院は羽仁五郎(無所屬)委員長外堀眞琴、金子洋文、松平恒雄、小林勝馬氏ら同じく十名の委員をあげた、まず合同審査會が六月二十二日院内で開催されたがこの會は非公式ながら(一)館長には四十五歳以下の實際的な活動家をえらびその待遇を大臣級とする。(二)大學教授級の調査員數十名をおく(三)館員數を三百名とする(四)舊陸軍參謀本部跡を敷地候補にする(五)一般經常費を五千萬圓程度とする(六)一切の著作權を管理する圖書資料の收集、などおおむねさきの懇談會で行われた構想を押し進める結論を生んだ、つづいて當然行われるべき合同審査會は今のところこの一囘限りで絲を絶ち切つた感じである、その後、衆議院、參議院はそれぞれ委員會を開いて審議をすすめる豫定のところ、かんじんの委員の出席が惡いので流會が多く一部の非難を買つている、參議院羽仁委員長らの奔走で満鐵調査部の圖書約三萬が國會圖書館におさめられ又特許局の建物を接收するのが進行しているのは事實だが、委員會の面子を立てている程度である、委員會の出席も惡いことと、委員會開催の度數が少いとは何といつても致命的で、國會圖書館に關心をよせている人に失望感を與えるが、中村、羽仁兩委員長もこの點大いに苦慮し名譽挽囘につとめているようだ、國會が休會に入る直前、兩委員會は「國會圖書館は如何に建設されるべきか」「館長は如何なる人を通常と考えるか」の二問を全國國書館協會、各圖書館長、各大學總長、新聞通信社などに送り民間の智えを借りた、その囘答もようやく委員長の手にまとまりつつある、國會國書館館長の選定が今なお後れているのは種々の原因によるが、兩院とも委員長一任の形にすすんでおり休會開けとともに急速に具體化しそうだ、館長さえ決まれば後はどんどん進ちよくするという樂觀説もあるが、兩院委員會に對する不信、一般圖書館との對立、豫算面の障害など國會國書館の前途は多難である。
#16
○中村委員長 今お聽きの通りですが、今讀んだことに對していろいろな感想も起るだろうと思うのですが、三、四日前、末弘さんが來られたときに、今日までその系統の人々が言われることを聽くと、いかにも國會圖書館は何か政治、經濟研究所がつくつたようなことを考えておられるようです。どういう經路がそういうことになつたか、私は知らぬが、おそらくこれは間違いだと思う。そんな簡單なことでこれができるものではない。日本の輿論によつて、國會の人たちが必要だと思つてやつたことだと私は思つております。そのことを私は末弘さんによく言つておきました。それからこの羽仁君の言われることをみると、おそらくこれは運營委員會には、國會圖書館は今自分が獨りでやつているようなことを言つておられるようですが、これはどんなお考えかしらぬが、われわれとしては一笑に付すべきことではありますが、そのことを私は松平議長にもお話したのであります。松平議長は、いろいろなところに意見を聽きにやつたということは不同意だということを申し上げておいて、參加しなかつた。一體議長たちの行爲に對して、私は越權行爲だと思うがと言いましたところが、松平さんは、自分もそう思うが、自分はあれは羽仁君が個人としてやつたのだろうとしか思わないのだというお話でありました。名前は參議院の國會圖書館委員長として出しておられるのですから、それは質しておかなければならぬと思つております。御參考のため、これを讀んでもらつたような次第であります。
    ―――――――――――――
#17
○中村委員長 それから、今度は國會圖書館關係の豫備金要求の説明を細野第一課長から説明してもらうことにいたします。
#18
○細野説明員 ちよつと簡單に御説明いたします。この豫備金は、よほど前につくられて、大體大藏省との交渉が濟んで、今度の國會にかけられるという状態であります。全體の金額から申しますと、衆議院としましては、一億九百萬圓以上になつております。これの國會圖書館に關するものといたしましては、國會圖書館ができた場合の職員の俸給が大體千八百圓のベースになりまして、その差額がこの中に盛り込まれております。それから次の關係事項といたしますと、三枚目の十のところに「役務費」というものがあります。この役務費の中に、いわゆる常任委員會の費用が六十三萬圓あります。大體一つの委員會が三萬圓見當というふうに聞いておりますから、やはりここの委員會といたしましても三萬圓の豫算が計上されておるわけであります。それから、その次の十一の備品費が千六百萬圓程度あります。この千六百萬圓の備品費の中で、一千萬圓が圖書購入費であります。大體この圖書購入費と委員會の三萬圓と、それから、できた場合の職員の増加の追加、これだけが國會圖書館の關係事項でございます。それから、さきに中村委員長からお話のありました顧問招聘に關する經費といたしましては、こちらの委員會の承認がありましたら、早速追加豫算に要求をいたしまして、顧問が來た場合には、十分遺憾のないよう豫算的の措置を講じたいと思います。同時に、各委員にも大いに活躍していただきたいことを、私どもとしてお願いする次第でございます。
#19
○中村委員長 なお報告は以上で濟んだと思いまするが、今後の委員會運營の方法、あるいは問題とすべき議題について、何か御意見がありましたら、この際お伺いいたしておきます。
#20
○多田委員 ただいま新聞記事の朗讀がございまして、國會圖書館の運營委員會について、いろいろ批判的な記事が報道されたことを承知したのでありますが、私ども考えますところでは、國會圖書館という一つの目的のもとに、衆議院と參議院のそれぞれの委員會が、同じ目的のために別々に委員會を開き、協議をするということは、一面國會國書館の中に、しかも建設途上にありますだけに、現在のようなへんな空氣をみなぎらせるという一つの原因になつているのじやないかと思いますし、兩院の委員會が、なるべく一緒にいろいろな問題について檢討し、協議するというような委員會の運營方法で行つたらどうかというふうに考えておるのでございますが、委員長のお考えはどうでしようか。
#21
○中村委員長 多田君の御質問にお答えしたいと思います。私らも、もうそういうような感じがするのであります。これは前に連合會も一遍やつたことがありまするから、兩方が一緒になつて話をするということは、いつでもできるのでありますけれども、私個人の考えから申しますと、ほかの委員と國會圖書館の委員とは、よほど違う組織でなければいけないと考えるのであります。ほかの委員會は、いろいろの意見をまとめていくのだが、國會圖書館委員會は、一つのものをつくり上げるのだから、ほんとうを言えば、兩院が一緒になつてやるべきものであると私は思うのであります。なお、そういう意見も附け加えて議長にも申し上げてみたいと思うのですが、本日これから議長の所に皆さん方と一緒に行きまして、そのこともひとつお傳えしてみたい、こう思つております。
 なおほかにありませんか。――何か問題がありませんければ、もう時間もまいりましたから、それではこれで本日は散會することにいたします。この次は金曜日の午後二時からということにいたします。
    午後零時三分散會
ソース: 国立国会図書館
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