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1947/08/01 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第4号
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1947/08/01 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第4号

#1
第001回国会 労働委員会 第4号
昭和二十二年八月一日(金曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 山下 榮二君 理事 川崎 秀二君
   理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君
      荒畑 勝三君    菊川 忠雄君
      土井 直作君    前田 種男君
      尾崎 末吉君    小林 運美君
      寺本  齋君    松本 一郎君
      山下 春江君    伊藤 郷一君
      石田 博英君    江崎 真澄君
      小澤佐重喜君    倉石 忠雄君
      栗山長次郎君    河野 金昇君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 米窪 滿亮君
 出席政府委員
        厚生事務官   吉武 惠市君
    ―――――――――――――
七月二十八日
 國民生活安定にための諸施策に關する陳情書(
 産業復興運動促進勤勞者大會提出)
 勞働者の最低生活保障に關する陳情書(日本都
 市勞働組合同盟第二回大會提出)
が本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 勞働省設置法案(内閣提出)(第一二號)
    ―――――――――――――
#2
○原(侑)委員長代理 それでは前會に引續き委員會を開會いたします。加藤君が用事がございまして、理事の原が代つて委員長の代理を勤めます。これから勞働省設置法案に對する各自の質疑に移ります。河野金昇君。
#3
○河野委員 私は主として米窪さんから、政治的な御答辯をいただきたいと思つておりますが、おられませんから、何かの機會にまた承ることにして、どなたでもその關係の方に一應伺つておきたいと思うのであります。炭鑛勞働者その他重要産業に從事している人に加配米が行われておりますが、最近全遞あるいは國鐵の從業員諸君にも加配米の制度が行われることになりました。それに對して全遞の大阪支部ですかが、加配米を返上してきたようなことが新聞に出ているのでありまたが、全遞の諸君が要らぬというようなものをなぜおやりになつたか。もし全遞の諸君が言うように、これは勞働戰線の分裂を政府が企圖しておるがゆえに斷るというのを、その通り政府はおとりになつておるかどうか。一體全遞のこの要求というものを素直にとつていいのか、あるいはその背後には何らかの勢力がまた動き始めておるかどうか、まずこの問題からお聴きしていきたいと思います。
#4
○吉武政府委員 ただいまの御質問は、やはり米窪國務大臣御出席になりまして、大臣から御答辯した方がよかろうかと思いますので、後ほどにお答えいたすことにいたします。
#5
○河野委員 この間から同僚諸君からの質問に對する政府關係者の方からの答辯を承つておりますと、もちろん勞働省の問題でありまするから勞働者に重點が置かれことは當然でありますが、ややもすれば、なんだか農協と乖離したかのごとき感をときどき懐かしめられるのであります。たとえば社會黨の山花君が、農家を最近優遇し過ぎるという不平が勞働階級から起きておる、こういうようなことを言うのであります。しかしわれわれが農村をまわつてみれば、農民はわれわれには肥料の配給も十分にくれず、あるいは農業再生産に必要な資材の配給も渡さずにおいて、百パーセント出せばいいといつておきながら、また十パーセントよけい出せ、あるいはその上に救國米を出せ、あるいは小包米、縁故米を出せとかいつて次々と百姓をだましてくる。これは農民が團結をしておらないから、こういうふうに、ばかにされるのであつて、都會の勞働者諸君は團結しておるがゆえに、むしろ勞働者諸君が優遇されておるというように言うのであります。だから勞働階級の立場からものを見れば、農民が優遇されておるだろうし、農民の立場から見れば、勞働者が優遇されておるように見えるのであります。いやしくも國の政治を行うには、もつと公平な立場から見ていかなければならぬと思うのでありますが、一體勞働省設置の局にあたろうとしておられるあなた方は、農民の勞働というものをどういうふうに解釋しておられるか。すべての農産物價などをきめる場合でも、農業の勞働賃金、勞働力というものは非常に過小銃價されておる傾向があるのでありますが、この案全體を通じて、もちろん勞働階級を對象としたものではありましようけれども、この勞働階級を對象とした案を立案するにあたつての、やがておかれる勞働當局の農民勞働に對するところの見解を承りたいと存じます。
#6
○吉武政府委員 ただいまの御質問ごもつともと思います。廣い意味の勞働問題といたしましては、農民の勞働關係も含まるべきであると思います。しかしながら勞働省として取扱いまする勞働問題は、いわゆる農業問題でなくして、雇傭關係にある勞働を對象にいたしております。ですからこまかく申しますると、農村におきましても雇傭關係に立つ農民の問題は、もちろんこれは勞働省として取扱いますが、いわゆる廣い意味における農民は雇傭關係に立つておりませんので、これはいわゆる農村問題として、農林省がこれを主管することに相なるのであります。さよう御了承いただきたいと存じます。
#7
○河野委員 これもまあ厚生大臣に聴いた方がいいと思いますから、後回しにしますが、もう一つ、最近政府は次次といろいろな、經濟緊急對策要綱を裏書きするがごとき具體的要綱を發表しつつあるようであります。最近出ました流通秩序確立要綱のごときその一つだと思いますが、これを單なる作文に終らせずに、實效をおさめようとすれば、徹底したるやみの取締りをしなければならぬと思います。今日集團的に元氣のいいやみをやつているのは、主として復員帰りの若き青年諸君であります。だからこの流通秩序を確立することは大切でありまするが、これを徹底することによつて、食えなくなつた彼らは、元氣だけはありまするから、泥棒になつたり強盗になつたりするおそれが多分にあると思います。ただ一方的に取締りを巖重にするだけで、それに對する對策を放つておいたらたいへんな社會不安を來すと思いますが、この流通秩序確立要綱に追われる命知らずの元氣のいい失業者に對するところの對策を、何かお考えになつているかどうかお伺いしたいと思います。
#8
○吉武政府委員 ごもつともな御質問でございまして、やはりインフレを抑制いたしまするためには、どうしても流通秩序の確立をせざるを得ないのでありまして、政府といたしましては先般發表いたしましたように、やみの取締りを徹底いたすつもりでおりまするが、そういたしますると、お話のように現在從事している元氣な、いわゆるやみ屋というものが失業いたすことは想像されるところであります。これにつきましては政府としては、やはり適當なる職業を斡旋するということに努力しなければにならないことももちろんでありまして、われわれといたしましては、地方職業安定所を通じまして職業の斡旋をいたしますることはもちろん、また一方公共事業費として本年度は大體豫算九十億を計上しているのでありまして、これらの事業の方面に斡旋をしなければならぬと思います。できるだけこれらの人を正規の職業の方面に振向けていくということに努力をいたすつもりでございます。
#9
○河野委員 特に今の問題は警察力の手落というのか、自信をなくしている今日の警察力のもとにおいては、非常にむずかしい問題だと思うのであります。だからこういう問題は、むしろこれは厚生省の方々にお伺いするよりも、取締りの當局にお伺いするのが當然であるかも知れないけれども、米窪國務大臣を通じて閣員全體の問題として取扱つていただかないと、治安をみだすことになると思いますから、十分御注意をしていただきたい問題だと思う。ちようど米窪さんが來られましたから、先ほど保留になつております問題を御答辯を願つて、それからあと進めたいと思います。
#10
○米窪國務大臣 閣議がありまして、ちよつと重要な問題がございましたので、遅くなつて濟みませんでした。河野さんの私の不在中に御質問のあつた點にお答えいたします。欠席しておつたのですから、はたして御質問にぴつたりはまるような回答ができるかどうかわかりませんが、實は全遞及び國鐵の、全部ではありませんが一部、いわゆる深夜業、それから重勞働をする人たち、殊に地域的にいうと京阪神、北九州、北海道等に働いておられる遞信省關係、運輸省關係の、今申し上げたような人たちに對して、從來遅配になつておつたところの加配米を特にそういう部署に働いておる人に、この際まとめて配給するということが閣議で決まつた。これは決して要求がないのにやつたわけではないので、遞信大臣及び運輸大臣から今申し上げた地方及び今申し上げた部署におる人が、この際加配米が足らないということで、買出しその他に行ために、日常の事務にまで差支えがある、これを放置しておけば將來遞信事務及び運輸事務が、あるいは一部その事業が停止されるようなおそれが多分にある、こういう切々たる報告が閣議にあつて、そうして大藏、農林等の各省において考慮した結果、そういう處置をとつたわけでございます。
#11
○河野委員 その範圍においては了承できるのでありますが、そういう處置をおとりになつておるにかかわらず、大阪地区の全遞が、加配米を一部の勞働者が ろうことは、勞働戰線の分裂を政府が企圖しておるものなるがゆえに、これを返上するという決議をして返上したがごとく新聞紙上は傳えておるのでありますが、一體これはその通り受取つていいものかどうか、あるいは要求があつたから出したにかかわらず、あとから要らぬと言つて來るということは、何らかの指令でも動いて、政府が賃金を千八百圓に釘づけしたことに對する一つの闘争の現われとして來たものであるかどうか、その背後に何らかの政治勢力といいますか、何らかの指令が動いたことく一部には噂されておるのでありますが、差支えなければ、大臣が知つておられるなら、そういうようなことも承りたいと思います。
#12
○米窪國務大臣 今河野さんの御指摘になつたような記事が新聞に出ていたのは私も見たのであります。ただし今までの閣議において三木遞信大臣から、何らこの點についての正式な報告はありません。これも新聞記者から聞いたことであるから、こり席上で私が一國務大臣としてお答えするだけの十分な資料であるかどうかは別ですが、ある地方に限つたことと、今の深夜業、重勞働に關係のある部署に限つたということが全遞内で問題になつて、そういう人たちはもらいたいことはやまやまであるが、他の同僚に對してもこの際一應自分たちは返すという態度をとつた方がいい、さればといつてそれではもらわないかというと、やはりもらいたい、こういつた非常に微妙な動きがあるということを聞いております。また一部にはこれをもつて政府が、勞働戰線の分裂といいますか、そのくさびを打込んだごとく惡意に解釋をしているものがありますが、政府は意識的に、そういう勞働戰線分裂というようこなとにこの問題を利用しようという考えは毛頭ないのであります。以上はなはだ不徹底でございますが、閣議でまだ正式の報告を受けておりませんから、新聞記事を中心としての私の意見を申し上げた次第であります。
#13
○河野委員 今度は勤労者の教育の問題で承りたいのでありますが、一昨日の本委員會において、勤労者諸君のためにいろいろなパンフレツトをつくつているとか、週刊勞働新聞を出しておるとかいうようなことを承つたのでありますが、この程度では私は滿足することができません。勞働者諸君が眞に自覺して、日本産業の再建に協力するのには、どうしても正しき意味における教育というものが加味されてこないとできないことだと思うのであります。特に一部の、ただなんでもかんでも行き過ぎたことのみを好なと人は別して、眞面目な勤勞者諸君は働きながらも勉強する機會を非常に望んでおります。特に最近地方をまわりますと、勉強したいけれどもその機關がなし、たとえ勉強する不十分な機關はあつても、晝間の學校と違つて何らの資格も與えられないということを、非常に勤勞者諸君は惱んでおるようであります。社會黨を中心とした連立問題の下において、勤勞者諸君に米の配給をすることもよかろう、いろいろなことをしてやることもよかろうけれども、一番の本であるところの教育の問題になぜもつと重點をおかないのか、たとえば今度できるところの六、三、三制の上の高等學校、あるいは大學にできる限り夜間部を設けて、晝間働きつつ勉強することができ、しかも夜勉強するそれらの人々に、晝間の人同様の資格を與えることが最も大切だと思いますが、設備の點その他から全部認めるというわけにいかないとしても、少くとも大きな都市においては一つや二つの高等學校なり大學の夜間部をぜひとも設置して、それに晝間の學生同様の資格を與えることが必要だと思いますが、特に勞働運動に挺身してこられた米窪さん個人の意見もまた、今の内閣の意見も併せて承ることができれば仕合せだと思います。
#14
○米窪國務大臣 今日の日本の状態、殊に經濟危機に當面して、産業復興をしなければならぬという重大なときに、勞働者の教育ということがきわめて大切であることは仰せの通りであります。ただそれではなぜ獨立した局を設けなかつたかということが、昨日も委員の方から御質問があつたのですが、實は勞政局そのものが、いろいろな任務をもつておりますが、これを實際の面からみると、ほとんど勞働者に對する啓蒙宣傳ということで主たる任務であると私は考えております。そういうことで、先ほど勞政局長から勞働教育に對する任務の一端の御説明があつたと思いますが、私としては、今河野さんの御指摘になつた一、二の例でございますが、そういうことも將來勞働教育諮問委員會において至急案を立てて、そうして必要があれば文部省とも交渉して御趣旨の實現に努めたい、こういうぐあいに考えております。
#15
○河野委員 實は私は名古屋の勤勞者諸君から依頼を受けて、すでに名古屋では産別、勞働組合總合同盟、この組合が非常なる熱意をあげて名古屋の夜間學生諸君を應援しておるのであります。その熱意を文部大臣竝びに文部次官にも傳達しましたところ、文部大臣としても非常な熱意をもつてやりたいと言つておるのでありますから、文部省にもそういう意向があるなら、勞働者諸君と眞劍にまじめに取組んでいかなければならない勞働省においても、ただ研究するとか何とかというだけでなく、すでに文部大臣もその熱意を十分にもち、下からの産別なり―東京などの産別のことはまだ知りませんが、少くとも愛知縣の産別なり總同盟、あるいは教育勞働組合は全面的に贊成しておる問題でありまするから、われわれ議員も及ばずながら御協力申し上げたいと思いますから、これは急速に案を立てて、働く者に、ただ今日のパンの問題だけでなしは、明日の生きる光明を見出させる意味においても、ぜひ、せつかく社會黨が中心になつておるこの内閣が潰れぬうちに、一つの制度として、設けてもらえるように、特に米窪さんの熱意を要望しておきます。
#16
○原(侑)委員長代理 それは希望條件としてですか。――ほかに御質問ありませんか。
#17
○河野委員 もう結構です。
#18
○原(侑)委員長代理 荒畑勝三君。
#19
○荒畑委員 私は二つ御意見を伺いたいことがあるのですが、一つの方は今資料がございませんので、一つにしておきまして、またあとで機會がありましたら御質問させていただきたいと思います。先ごろ東京都の勞働委員會で裁決が下りまして、工場主側六人、その中にはチヤールス・ドライヤーというアメリカ人まで含まれておりますが、これが勞働組合法第十一條違反で送局に決定したという事件がございました。この事件の起りましたのは、吉祥寺の正田製作所、これは昨年の夏やはり工場側の一方的な工場閉鎖の宣言によつて争議が起りまして、二箇月間もいわゆる生産管理が行われたところであります。それがまた今年の、ちようど一年目に争議が起つた。その争議は、正田製作所主が、チヤールス・ドライヤーという米國人に工場の經營權を移讓した、そういう形をとりまして、内實は請負みたようなことなのでありますが、そういう口實を設けまして、米國人となれ合いでか、あるいは手先に使つてか、組合員の首脳部を解雇いたすような措置に出ましたので、争議が起りまして、とうとう勞働委員會に提訴されその結果は、先ほど申しましたように、米國人を含めて經營者側六七人が送局されました。さいわいにして、この事件は勞働委員會の巖正な態度によりまして、勞働組合法の威巖が保たれ、勞働者側に有利に解決されましたことはまことに喜ばしいのでありますが、これはまあ無事に解決はいたしましたが、しかし私はこういう事件が今後しばしば起つてくるのじやないかと思うのです。今後いろいろ外國人が日本の事業の經營にいろいろな形で参加してくる。そうしますと、争議の中に外國人が介入してくる。あるいは外國人を相手の争議が起る。そういう事件が今後しばしば起つてくるのではないか。私はこの正田製作所の問題は、そういうこれから頻發するのであろうと思われる事件の一つの先例を開いたものをいうふうに考えるのであります。勞働組合法がございますし、勞働委員會が存立しておりまして、今後こういう不正なる事件に對しましては、峻巖な公正な態度をもつて、あくまでも勞働組合法の威巖が維持されるに違いないとは存じますが、しかしかような事件が今後しばしば起るといたしますれば、この問題に對して勞働省當局の御意見なり態度なりというものが、私は勞働政策の上に非常に重要であるのでないかと考えるのでありますが、これはまだこれから先のことでありますから、起つた場合にどうするかという豫想に近いものではありますが、こういう將來必ず起るに違はない問題に對して勞働省當局としての態度、御見解を伺いたいと存ずるのであります。
#20
○米窪國務大臣 御指摘の正田製作所において、各義上、チヤールス・ドライバーに經營權を移讓したと稱して、そうして、眞相を曲げられて報告されたM・Pの助力まで得て、勞働組合法第十一條を侵害するがごとき行為をしたということは、最近私も正式に勞働團體の代表者から陳情を聴いて實は驚いたようなわけで、直ちにG・H・Qのレーバー・セクシヨンの方にも一應話をして、われわれの態度を明らかにしておいたのですが、さいわいに都の中央勞働委員會によつて明確なね裁決が下されて、その結果正田某をはじめ、チヤールス・ドライヤーをも含めた六名の者が送局されたということは、勞働組合法の威巖を維持する上から見ても、當然なことであるが、喜ばしいことと思つております。將來そういう第三國人を利用して、そうして勞働者のもつ憲法に定められた當然の基本的人權を侵害するがごときことのないように、至急勞働省發足と同時に、使用者側に對して、そういうことの全然起らないように、あらかじめひとつ豫告をして、そんなことで勞働委員會を煩わして、生産の増強を滞らせあるいは産業の回復に支障を起すことのないように巖重に企業者側、經營者側の注意を促したい、こういうぐあいに考えております。
#21
○荒畑委員 ぜひ一つそういう明白なる政府の態度を示していただきたい。これが資本家に對する警告にもなりました勞働者に對して勞働者のとる勞働政策というものが、勞働者にとつて非常に有利なものとなるという観念を與えますことが、私は勞働組合を健全に發達させ、勞働者の生産意欲を向上させる上に大きな力となるものと考えるのであります。正田製作所主のようなのは例外でありまして、世間の資本家がこういう者ばかりでないことは明らかでありますが、肝腎の生産―日本を復興させるために必要な生産の方はサボつておいて、そうして一方ではカフエーをやつたり、ダンスホールをやつたり、キヤバレーをやつたり、料理店をやつたり、そういうものによつて、新圓稼ぎばかりをやつておる。そうして一方では外國人などに權利を移讓するというような形を表面上整えまして、いわゆる食い逃げをやろうとするやうな、こういう資本家は實に惡質な資本家である。殊にこの男はもと海軍の軍人が何かでありまして、この弟で支配人か取締役になつておる者も海軍の軍人。それがたとえ表面上にしろ、自分の財産を外國人に移讓してしまつたということにして自分の負擔を免れる。あるいは利益を保護しようとする。これに對してはついせんだつても、これは内論の話でありますが、中央勞働委員會の席上でこの問題が話に出ましたときに、茶飲み話ではありますが、資本家代表まで、軍人だつたくせに財産を外國人に讓り渡すとは何事だと言つて憤慨した。そういう憤慨が正しいか正しくないかは別として、そういう憤慨まで出たくらいであります。こういう資本家に對しては、私は現在の勞働組合法に規定されておりまする資本家の條項違反に對する罰則というものは、少し輕すぎるのでないか。もう少し巖重な態度で臨まなければ、ずるいやつはどんなことをやるかわからない。そういう點もぜひひとつ考慮に入れて、今後の勞働政策を立てる上に御考慮を願いたいと思います。それからこれは今正確な數字をもちませんから、また後にお手許に差上げてもよろしいのでありますが、しばしばこういう話を聞くのであります。それは、資本家側が意識的に賃金支拂の遅配をやる。賃金の計畫遅配を行つておる。主食だけでは政府との政策に協力できないと思うのかもしれないのでありますが、賃金支拂の計畫遅配をやつておるという實例が方々にあるという話を聞くのであります。その詳しい數字を、今日はまだ手にはいりませんから、後にお届けしてもよろしいのでありますが、これまた正田製作所なんかのやり方と一般共通の心理に出たものでありまして、こういう資本家側のやり方に對しても、勞働省としては今後巖重な態度をもつて臨んでいただきたい。かように思うのでありますが、これに對してどういうふうにお考えになりますか、一應御見解を明らかにしていただきたいと思います。
#22
○米窪國務大臣 正田製作所がしたようなことがされた場合においては、組合法の三十三條において六箇月以下の禁錮、五百圓以下の罰金ということになつておつて必ずしも荒畑さんのおつしやるように罰則が輕くはないと考えております。またそういう違反事項は罰則をもつと強化しても、はたして防げるかということもまた疑問と思うのでございまして、この點は特に研究してみたいと思うのでございます。先ほどの私の答辯を少しく補足したいのですが、これはG・H・Q關係方面の人たちの講演にもあり、なるべくならば勞働關係調整法の規定にかかわらず、争議中は工場主、營業主り方は工場のロツク・アウトを行わない。勞働者はこれに對しストライキをやらないという態度が、今日の緊急の經濟危機を目の前にして産業復興をしなければならない日本において、きわめて大切なことだと考えております。從つて企業者側、經濟者側にもその意向を達すると同時に、勞働組合の方もなるべく争議中においては公共事業はもちろんのこと、公共事業にあらざるものも、條件の交渉中においては争議に入らないということが望ましいと私は考えております。
 それから賃金が計畫的に遅配であるということを最近聞くのでありますが、これは私は資本の攻勢とは必ずしも考えない。これはおそらく緊急經濟對策のためにマル公が非常に上りまして、物資の買入れ、その他の經濟面から使用者側が經濟的に相當困つているので、やむを得ず賃金の二度拂い、あるいは三度拂いといつたような非常手段をとつているのではないかと考えております。これは計畫的に、言葉は惡いですが、いわゆるどさくさまぎれに便乗して賃金をわざと二度拂いにしているのじやないと考えておりますが、これは事務當局をして巖重に調査をさせて、もしも一種の資本攻勢と認められる點があれば、そういうことをやつている經營者に對しては巖重に戒告をしたいと思います。
#23
○原(侑)委員 石田博英君。
#24
○石田(博)委員 先般も同僚委員諸君から御質問があつたことでありますが、私は勞働省設置と行政整理の問題にからんで、二、三お尋ねいたしたいと思います。現在わが國の行政機構が複雑多岐にわたつている點と、官吏の非常な低能率及び獨善、あるいは腐敗その他は、一般國民の非常な指彈の的となりつつあるように考えております。また官吏の定員あるいは現在員というものが現實に要求されている數量に比較いたしまして、非常に人數が多いということも一般の輿論のように感じておりますが、こういう傾向風潮に反しまして、事實は役人の増員をはかるように施設、あるいは法案が續々と出てくるような状態にあるように思われます。勞働省設置の必要という點については私も十分承認するものでありますけれども、こういう輿論の現状に省み、また現實の事態に鑑みまして、勞働省設置に伴つて、いかなる程度に役人を増員される豫定になつているか、この點についてまず、お答えいただきたい。第二點は官業勞働全般の問題と關連があることであると思うのでありますけれども、米窪國務大臣は現在の行政機構内にある人員及び官業の使用いたしておりますところの人員が、國家の現状に鑑みて、世論の言うがごとく剰員があると考えておられるのか。またこの問題についてどういう處置をとられるつもりであるか。この點についてお答えをいただきたい。
#25
○米窪國務大臣 石田さんにお答えします。第一の點は、まことにごもつともの御意見でありまして、過日もそういう御意見が出たのでありますが、勞働省を新設するためには、どうしても官房及び婦人少年局と勞働統計調査局という二つの局が絶對に必要な局でありまして、この二局と一官房をつくるために人員の増加は避けられない。それでは大體どのくらいの人員が要るかというと、私の持論としては、なるべく人員を少くしたい。そうしてサービス省たる本來の目的を達成するために、一人々々の能率をあげることによつて最少限度の人員に止めたいと思つておりまして、中央、地方を通じて約千二、三百名の範圍に止めたいと思つております。それから第二の御質問については、ほかの官業は人員の余剰が多過ぎるじやないかというようなお尋ねだつたと思うのですが、一番これで問題になるのは運輸省ですが、官業の中でも特に現業官廳として一番大きい、また人員も非常に多い、戰争中において三十數萬が今日五十萬になつておるということで、一應は多いということに認められておるが、これを運輸大臣に聴いみると、總數の上では多いけれども、部門々々によつて檢討していきますと、若干多い部門もあるけれども、非常に少い部門もあるので目下多いところ、余剰のところから、少い部門へ勞務の配置轉換をやることに今骨を折つておる、それによつて新しくは入れないで今のところで間に合わせていきたい、こういう御意見だつた。ほかの官公廳においても、同様の現象があるのではないかと考えております。
#26
○石田(博)委員 第一點の勞働省の新たに増員せられる人數については承知いたしましたが、勞働省を新たに設置いたしますにつきまして、先般も民間人をたくさん採用するようにという御質問があつたのでありまして、その御質問の趣旨には私は贊成でありますが、全體としてどれだけ余剰があるかという、具體的な數字を出すわけにはまいりませんけれども、大體各官廳とも水ぶくれの状態になつている。人員がふえておる事實については、各所管大臣がそれぞれ自分の所管の省の問題についてそれを論議しますと、今の運輸大臣の御説明のようなぐあいに必ずなると思うのですが、實際問題として官吏の數が多過ぎるということは、これは現實の明らかな事實であろうと思うのであります。從つて千二百名あるいは三百名の人員の増加につきましても、各ほかの行政官廳の方の剰員をもつて差支えない限りこれを埋めて、官吏定員をこれ以上殖さないということが必要でなかろうかと思うのであります。それから第二點の官吏の人員の問題でありますが、今後企業整備を政府が強行されるにあたつて、まず政府みずからが政府自身の人件費とか、あるいは水ぶくれの状況を整理していかなければ、他に向つてこれを強いるということははなはだ不公平、偏頗になると考えるのであります。それが多いか少いかという事實よりも、現在わが國の財政の中に占めておりますところの人件費負擔が、非常に過重なものであるという事實一つをもつてしても、現在のわが國の行政規模においては、不當の人員を抱えておるということは問違いないことである。こういう問題を整理しないで、勞働者が今後の民間事業に對する企業整備をどういう方法において扱つていかれますか。この點についてお答えを承りたいと思います。
#27
○米窪國務大臣 第一の點について民間側からなるべく起用しようという御意見があるけれども、財政の面、官吏が、非常に水ぶくれになつているという面から見て、いほわゆる官公廳の役職員の増員をこれ以上殖さないようにほかの者から融通をしろ、こういう御意見だろうと思うのでありますが、この兩方とも私は必要だと思うので、この點はこに二つの方法をしんしやくしてなるべく御趣旨に副つていきたいと考えております。企業整備については、目下企業の整備再建の委員會をつくることを經濟安定本部でやつておりますが、これはもちろん民間側に企業整備の案を示すにあたつては、官廳側がまず模範を示すべきは當然だと思うのであります。これは近く發表される國家公務員法等とにらみ合わせまして、相當のそういつた官廳側の粛正と申しますか、そういうことが行われ得るものと私は確信しております。
#28
○石田(博)委員 次には勞働の生産性が現在非常に低下しておるということは、先般の經濟實相報告書においても明らかなることだろうと思うのでありますが、勞働生産性の低下の原因について經濟實相報告書は、主として勞働者側以外の條件に生産性低下の全責任、全原因があるように書かれておる。勞働の生産性の現在低下しているという原因については、米窪國務大臣は經濟實相報告に書かれてある通り、勞働者側の内部に起つておるところ内部側の原因については全然考えられないで、外部の勞働者以外の條件のみでこういう事態になつておるとお考えになつておるのですか。
#29
○米窪國務大臣 生産性が上らず、生産力が落ちておる點は私も認めております。しからばその原因は勞働者以外のフアクター、すなわち條件から出ておるかという御質問ですが、主なる原因は、やはり米が足らない、從つて買出しにも職場を休んでいかなければならぬ。賃金の不足である。こういつたところが相當大きな原因だと思いますが、それでは勞者自身の責任に帰すべきような原因はないかというと、これはやはり私はあると思う。これはまだ敗戰後國民が、いわゆる精神的に虚脱状態から脱却しておらぬ、また新たに起つたところの勞働運動が、われわれが從事しておつたところの勞働運動のような、健全な勞組合主義というものの本質をつかんでおらぬ。こういう點も認めざるを得ない。こういうぐあいに考えておりますので、勞働教育の必要なることをますます痛感する次第であります。
#30
○石田(博)委員 憲法に勞働の權利と義務が竝んで規定されておりますが、終戰後の勞働立法というものが現在まで、ほとんど全部といつていいくらい、勞働者の保護という點にのみよつておつたと思う。これは戰前の勞働者の處遇状態等に鑑みて當然のことと思うのでありますけれども、ただいま御答辯にもありました通り、勞働者の教育、特に勞働者の勞働の義務の観念の涵養というものの必要は當然であろうと思う。ところが先般河野君、その他の議論にもありました通り、その勞働者の義務の徹底は主として教育に委ねて、しかもその教育はこれを勞働組合の自治性に委ねるという御答辯であつた。しかし現状の問題といたしまして、最近勞働者の教育、あるいは勞働者の義務を徹底的に勞働者の人々に認識してもらうためには、そういう状態では不完全ではないかと思われる事態が、しばしば見受けられるのであります。たとえて申しまするならば、先般次官會議によつて官廳の半ドンが中止と決定いたしました。これが示達されましたところが、これをもつて勞働協約違反であるとして、東京の全遞の二、三の支部においては、半ドンを強行しておる。この勞働協約は何によつて主張しておるかというと、昭和十一年に決定された閣令を基準として主張しておる。昭和十一年は御承知の通り支那事變以前であります。日本の國家の情勢は、今日とまつたく違つた状態にある。そういうときに決定されたところの、すなわち死文化しているような閣令を基準にして、もつて政府の權威ある決定を無視する。こういう實情が現われておるわけであります。ところがこの問題を考えてみますと、勞働協約の權威というものは、國家の決定の上にあるものか、あるいは下にあるものか、こういう點についての米窪國務大臣のお考えを承りたい。第二點は、このことは現在國家再建の途上にあつて、國民各階層が一生懸命努力をしなければならない場合にあつて、官廳だけが暑いからといつて半ドンをすることが適當でないことは、申すまでもないことである。そうしてこれは國家の輿論であり、またこういう輿論のいかんにかかわらず、勞働者自身が自分の義務をしつかり認識するならば、當然これはみずから辞退すべきである。こういう事態が生れたことは、現在行政當局あるいは米窪國務大臣の意圖せられておる程度の教育をもつてしては、所期の目的を達成できないものであるということを、如實に私は示しておるものであると考えております。この點についてお答え願いたいと思います。
#31
○米窪國務大臣 最初の御質問ですが、これは石田さんのお言葉で言えば、ほとんど死文化している閣令であるということでありますが、やはり閣令は閣議でもつてこれを廢止するとか、あるいは大げさに言えば、法律でもつて廢止をする法律案を出さない限り、やはり生きておる。從つて半ドンの問題については、閣議あるいは次官會議で、廢止するということを決定したのはけしからぬということは、半ドンをやめたのがいけないというのではない。これは問題を起した組合の代表者も、半ドンを今日の日本の實情からみて、自分らの立場からみて、これは返上すべきことは當然である、ただその手續の問題である、なぜわれわれの意向を聴いてきめてくれなかつたかということで、これは一應は團體協約に疑義がある。われわれもその當時の半ドンに關する閣令を見たのですが、これが團體協約と稱すべきであるかどうかについては、まだ一應の疑義をもつておるのですが、いずれにせよ閣令で半ドンというものをきめて、それを一方的に政府の次官會議、閣議をもつて廢止するというのについては、各官廳と各省の大臣との間に團體協約がある今日において、なぜわれわれにも相談してくれなかつたかという點に、彼らの反感があつたと思います。そこでいわゆる原則論として、閣議の決定の方が上であるか、團體協約の方が上であるかというお尋ねでありますが、これは各官廳の從業員の諸君が、一方においては役人であるすなわち官吏服務紀律によつて、上司の命令を聴かなければならぬ、一方においてはやはり憲法、あるいは勞働組合法によつて認められたところの勞働者としての團結權、あるいは團體交渉權をもつておる。こういう二重な人格をもつておるのであつて、私はどれが上であるか、下であるかということは、その問題ごとによつてきめなければならないと思つておりますが、今のような場合におきましては、私は團體協約であるかどうかということについて疑義があるということと、もう一つは、その閣令の效力をストツプするということを閣議できめた以上は、官吏はやはり欣然としてこれに從つていくべきである。ただそれをきめる前に一應なぜわれわれに相談してくれないかつたかという點、運營の上においては手落ちであつたけれども、理論においては、閣議の決定に從つていくべきが當然じやないかというぐあいに考えております。その一つの例をもつてきて、今日この委員會において説明されたような程度の勞働教育方法では、だめではないかというお話ですが、私は前の説明を繰返すようではありまするが、やはり勞働組合が自主的にきめて、著しく誤つた點においては、勞働省がこれに對して注意を與えるということでいきたいと思つております。そうでない限り、東條内閣當時のいわゆるよらしむべし、知らしむべからずといつたよう弊害に陥りやすい危險があると思うのでありまして、これはあくまでも民主主義の立場から、勞働組合自體が教育方針を立てて、それが著しく右に傾き、左に偏つた場合においては、これを主管省である勞働省が注意を與えて、日本の國情とにらみ合わせて、健全な勞働組合主義の進展に副えるという方針が最も適當ではないかと考えておるのであります。
#32
○石田(博)委員 ただいまの全遞と政府との問題については、まるで喧嘩の仲裁のような、どつちでもよろしいというような御答辯であつて、まだ釋然としない點がございますが、この點は留保いたします。私ども考えますのには、手續の問題その他、議論をして後ほど決定すればいい問題である。ただ現實に仕事を休むということによつて、國家の行政の上に支障を來し、あるいは一般に迷惑をかける。こういう事態を生んだという事實とは、何か關係がないことである。手續をとらえてこれを云々するのは、小役人のやりがちなことであつて、まことに戒むべきことであると私は考えるわけであります。次にお伺いしたいことは、勞働能率の向上の問題であります。勞働の能率を向上させてまいりますためには、もちろん勞働者の方々の自覺に待つということは當然でありますけれども、あるいは勞務管理において、あるいは勞働者の諸君の技能上の科學的な調査において、あるいはその人の天賦の才能の發揮において、いろいろ科學的に研究をすべき餘地がずいぶん殘されておると私は考えるのであります。特に勞働者の知能の程度によつて―知能と申しましても教育ではなく、もつて生れた知能の程度によつて、その向き向きの仕事も違うはずである。それらの科學的に研究し、勞働科學というものをここに確立することによつて、初めて勞働者のほんとうの能率の向上、完全な勞務管理ができると思うのでありますが、この勞働能率の向上の問題について、新設勞働省はいかなる措置をとられようとしておるか、その點をまず第一點にお聴きしたいと思うのであります。
 第二點は勞働組合が發展いたしてまいりまして、勞働組合のもつ社會的、政治的意議というものは、きわめて大きくなつてまいりました。特に勞働組合の役員の諸君が、單にその企業の勞働組合内部において重要な位地にあるというばかりでなく、勞働組合を通じて經濟問題、政治問題に大きな發言權をもつようになつてまいりました。これは勞働組合の發展のために喜ばしいことであると思うのであります。それだけ重要な地位をもち、重要な力をもつようになつてきた勞働組合の役員の選出方法、任用方式が、きわめてまちまちである。あるところにおいては投票によつて決定するところもあれば、あるところにおいては談合によつて決定するところもある。また候補者を立てて豫め選擧をする場合もあれば、そうでない場合もある。これだけ公的に大きな使命をもつてきている勞働組合の役員の選出について、現在まで何らの規定を見ないということは、はなはだ遺憾に思うのであります。こういうことのために、あるいは組合が獨善的になり、あるいは一部の極端な人たちの個人的發言によつて選任されんとするような事態が生ずるのでありますから、ここで勞働組合法の一部を改正するなり、あるいは別個のお考えでやられるなりして、勞働組合の役員の選出について何らかの立法上の處置をとられるお考えがあるかないか、この點をお伺いいたしたいのであります。
#33
○米窪國務大臣 第一の點についてお答えいたします。實情から見て、勞働科學の研究、及びその研究の結果を政策の中に取入れるということは、きわめて重要なことでございます。勞働省設置にあたつて、勞働科學局とでもいうべき局を設けろという意見もあつたのであります、とりあえずこの第十條に勞働省に産業安全研究所を置いて工場事業場における災害豫防の調査研究、及び工場事業場における災害豫防に關する技術者の養成ということを行う。それから勞働統計調査局というものを設けて、これと相まつて研究をしていく。さらに民間に勞働科學研究所というものがございますが、これを一つ局に入れたらどうかという意見もあつたのですが、諸般の事情を参酌しまして、將來はともかく、今直ちにこれを吸收するという時期ではないと考えます。ただしこれに對しては補助育成等、また密接なる連絡をとるということが必要であると考えておるのであります。大體以上で第一の御質問にお答えしたつもりであります。第二の點は、勞働組合法に勞働組合自身の役員の選出について明確なる規定がないではないかという御意見であつたと思うのでありますが、これについては勞政局長からお答えをさせます。
#34
○吉武政府委員 ただいま石田さんの御質問、ごもつともでありまして、勞働組合の役職員の選任については、自由にして民主的でなければならぬと思います。現在あります組合の中には、若干一部少數の者によつて獨裁的傾向がないともいえないかと思いますが、しかしながらこの役職員の選任については、やはり組合の自主性にまつべきものでありまして、法律なり政府で圖一的にこうするということは組合の自主性から見まして好ましくないと思います。しかしながらもし著しき弊害がございますならば、これは法律の處置を必要としてくるかもしれません。この點は今後研究をいたしたいと思います。
#35
○石田(博)委員 先ほど勞働教育の問題に關して、また現在の勞働組合の役職員の問題に關しても、勞働組合の自主性に任せ自由にして民主的にやられるということは、御説明としてまことにごもつともでありますが、それはやはり現實の事態というもりに即應してあてはめていかなければならぬ。わが國の勞働運動というものは、終戰後勃興したものであつて、一部の知識ある人、あるいは前にいろいろ訓練なり勉強した人々の中には十分認識をされている人々も多いと思いますが、大部分の人々はほとんどそういう知識がないはずです。これを育成して完全なものにしてまいりますためには、やはり自由にして民主的な方法で役員を選擧するということでなければならぬと思います。それから、先ほど勞働教育の問題について、これ以上中央官廳がやるということは、東條時代と變らぬじやないかというお話でございますが、私はそうは考えない。これは結局勞働教育の基本的な方針というものを確立いたしまして、そうしてそれによつて何人も首肯し得る勞働教育の根本方針というものがやはり成立つわけであります。それを徹底させるということは、必ずしも産報的な方向に行くのでなければ、東條的な行き方にもならぬと私は考えます。從つて勞働組合の役職員の問題につきましては、これがその選ばれたところの單位の勞働組合の内部においてのみ力をもつ問題です。あるいはその影響する範圍が狭いものであるならばおし擴めても結構でありますが、現在の段階におきましては、あらゆる政治、經濟、社會的な活動の中に勞働組合の代表という形において發言せられている。場合によつてはわれわれと同様の、あるいは同様以上の權限を特別な問題についてはもたれるようになつている。しかもその選任の方法は、その人の立場を權威づけるところの裏づけが少しもない、從つて、もし現在のような未熟な状態にありましては、一部の積極的な人が能動的に動くことによつて役員の選擧などはどうにでもなるような状況に現在あるように思われる。こういう状態でいくことは勞働組合の健全な發達に寄與するゆえんでないと確信いたしますので、この點につい重ねて御反省を要求するとともに、適當なる處置をとられんことを希望する次第であります。
#36
○米窪國務大臣 勞働組合の役職員の選擧については、先ほど勞政局長から御説明があつたのでありますが、大體今日の日本の勞働組合の現状と申しますか、構成がまちまちである。たとえば單一の勞働組合もあれば産業別に組織されているところもあれば、あるいは總同盟のような形體をとつているところもあり、自由勞働組合のような形體をとつたところもありますが、これらの各種の組織の違つたものを通觀して特にわれわれが感じている點は役職員の選擧はやはり公選ということを中心にしてやつている。一般の組合員、あるいは組合員全部を集めることができない場合は、それの代議員が組合長、執行委員、議長というような執行部を公選するという建前をとつているのでございますから、われわれとしてはやはりそういつた建前をとることとを奨勵していきたいと思うので、從つて執行部の内容が各組合によつて大分變つている。これは最近とみに勃興しつつある勞働戰線の統一ということににらみ合わせて、將來もし畫一的な規約を勞働組合の中に取入れる必要が起つた場合には、取入れていきたいと考えております。
#37
○原(侑)委員長代理 次會は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散會いたします。
   午前十一時四十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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