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1947/08/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第7号
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1947/08/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第7号

#1
第001回国会 労働委員会 第7号
昭和二十二年八月七日(木曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君
   理事 川崎 秀二君 理事 橘  直治君
   理事 原   侑君 理事 三浦寅之助君
   理事 相馬 助治君
      島上善五郎君    田中 稔男君
      館  俊三君    土井 直作君
      前田 種男君    山花 秀雄君
      小川 半次君    小林 運美君
      橋本 金一君    山下 春江君
      伊藤 郷一君    小澤佐重喜君
      村上  勇君    吉川 久衛君
      綱島 正興君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 米窪 滿亮君
 出席政府委員
        厚生事務官   吉武 惠市君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 勞働省設置法案(内閣提出)(第一二號)
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 ただいまより前會に引續いて會議を開きます。
 前會において本委員會に付託されました勞働省設置法案に對する質疑は終了しております。
 これより本案を議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許ます。三浦寅之助君
#3
○三浦(寅)委員 私は日本自由黨を代表いたしまして勞働省設置法案に對しまいて贊成をするものであります。申すまでもございませんが、敗戰の結果日本の經濟界はまことに憂うべき現象にありますことは御承知の通りであります。崩壊に頻しておるところのこの經濟界を復興し、生産を増強するために、あらゆる方法を構じなければならないことに當然でありまするが、殊に私は、勞働行政の面において強力なる勞働行政を行うことによつて、この經濟危機を打開しなければならないと考えておるのであります。そういう點に對して考えてみますと、今後の勞働組合運動というものにつきましても、從來の階級的團體、階級闘爭を目的とするところのストライキ團體であるというような印象をわれわれはなくして、そしてどこまでもこの産業の復興、生産の増強に對して勞働組合も責任をもつ、同時にまた使用者の方におきましても、もちろん勞働階級の生活を保證するというような立場に立つて、勞資對等の立場に立つて勞働協約を締結し、あるいはストライキの防止、あるいは使用者等におい工場を閉鎖しないというところまでいつて、そしてどこまでも勞資協力のもとに勞働爭議の防止というようなことが、相當考えられなければならないと思うのでありす。
 二・一ゼネスト以來鳴りをしずめておりました勞働攻勢も、最近の社會情勢下におきましてこれがだんだん悪化し、各所に勞働爭議が頻發するがごとき傾向を示しております。これは勞働者の立場から萬やむを得ない事情におかれております。また勞働者の生活のためにも、非常にそういう事情があることも考えられます。また反對に資本家の立場、經營者の立場から見ましても、非常に困難なる經營、困難なる悪條件のみであるのでございます、かような點に對しましては、勞働行政を行う場合に、積極的にこれらの對策を考慮すべきであろうと考えているのであります。この點に對しまして、先般の米窪國務大臣の答辯においても、勞働協約等の活用、あるいは勞働委員會の活用等によつて善處するというような御答辯がありましたか、私はその答辯を信用するとともに、さらにこれらの問題に對しまして、合理的なる對策を講ぜらるべきものであろうと考えておるのであります。先般政府の發表いたしました緊急措置要綱なおきまして、産業の合理化ということが掲げられておることは御承知の通りであります。産業の合理化は當然馘首あるいは人員の整理というようなことが考えられるのであります。こういう問題を考えてみますると、それに對して失業の救濟であるとか、あるいは失業手當の問題であるとか、あるいは完全雇傭の問題等は、萬全の措置が講じられなければならないことは當然であります。この産業の合理化は御承知の通り、勞働者の犠牲のみによつてすることの許されないのは當然であるのであります。これらの點に對しまして、政府におきましては十分なる熱意をもつて對處するというような御答辯があつたようでありますから、私どもはしばらく信用しておきたいと考えておるのであります。殊に私は將來の健全なる勞働運動を考えました際におきまして、日本には明治維新以來官尊民卑の弊風がしみこんでおりまして、肉體勞働は精神勞働より劣つていると考えておるのみならず、これは勞働者自身にもそういうように深くしみこんでいると考えるのであります。こういうことは日本の民主化のためにも憂うべきものでありまして、むしろ私は肉體勞働は、その肉體勞働に從事することの誇りをもつていなさればならないし、同時にまた肉體勞働者の社會的地位の向上というような點から考えましても、日本人の從來の官尊民卑の弊風を根本的に改めて、勞働者の地位の向上をはかるという方面からも、その根本を直すことがやはり勞働教育ということになるのは當然だと思つております。であるから勞働教育は単に勞働組合が自治的に行うというに止めないで、一般的に國民全般に、あるいは資本家にも、あるいは經營者側にも、國民全部の人に、勞働問題に對する勞働教育を普及徹底せしめることによつて處理しなければ、この問題の解決がむずかしすぎると考えておるのであります。この勞働教育の重要なことはいまさら申すまでもないのであります。それに對しまして政府におきましては、十分なる熱意をもつて善處するというような御答辯があつたのでありますが、私はこの勞働教育の問題に對しまして、政府の十分なる對策を希望する次第であります。
 その次には婦人勞働の問題でざざいますが、婦人勞働の特殊性、殊に婦人勞働者が少くとも三百萬以下と考えられる際におきまして、婦人勞働者の地位、立場につきましても十分考慮されることは當然であります。勞働基準法等におきましても、男女平等の原則に基いて、賃金の無差別であるとか、あるいは作業時間であるとか、あるいは産前産後の休日とか、あるいは母性保護の問題、あるいは生理休暇の問題、あるいは寄宿舎制度というような問題について考えられておりまするが、これは當然であります。これらの婦人勞働者の將來の問題についても、十分なる熱意を示されているのでありますが、私はさらに一段と當局の熱意を希望するのであります。ただしかし將來の日本の經濟界の状況を見ますると、あるいは女子勞働者の就職の機會を奪われるがごとき心配はなかろうかということも考えられるのでありまして、將來において婦人勞働者の就職の機會を奪われるがごときことのないように、十分に御考慮願いたいと思う次第であります。
 いろいろ申し上げたいこともございまするが、すでに論じ畫されておりまするから、あまり申し上げることを御遠慮いたしまして、ただいま申し上げたような趣旨におきまして、將來勞働委員會の擴充強化をはかり、殊に國會の勞働委員會等も十分に活用せられて、勞保働行政を強力に行つていただくことを希望するのであります。そして積極的なる勞働行政を行う意味におきまして、私は勞働對策委員會というような機關を設けてもらいたいていうことを希望いたしましたところが、政府においてもそれを十分に考慮するということでありまするから、その點に對しても政府の一般の御考慮を願うとともに、速かに實現されるように希望する次第であります。
 大體ただいま申し上げました趣旨によつて私は本案に贊成するものであります。同時にただいま申し上げた趣旨によつて、各派共同提案による附帶決議を提案いたしたいと思うのであります。これより附帶決議を朗讀いたします。
   附帶決議
 一、勞働省の新設に伴い、中央竝びに地方勞働行政機構を可及的速かに一元的に整備するように努めること、特に地方における勞働行政は、窓口を一元化し、事務の簡素化を圖ること。
 二、勞働の生産性、勞働能率の向上及び勞働教育の徹底に關し政府は速かに善處すること。
 三、勞働委員會の擴充強化を圖り、中央勞働委員會の運營に關しては、國會の勞働委員會と有機的連繋を圖るようにすること。
 四、勞働者設置に際しては、配置轉換等により官吏總數の増加を極力避けること。
 以上の附帶決議を提出いたしたいと思います。これをもつて私の贊成の意見を終ります。
#4
○加藤委員長 辻井民之助君。
#5
○辻井委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、勞働省設置法案に對しましては、ただいま三浦君から提案せられました附帶決議を付してこれを可決することに贊成をいたしたいと存じます。今日のわが國が當面しております破局的な經濟危機を打開し、産業の復興をはかりまして、新日本を建設いたしまするには、なんとしても勞働階級の全面的な協力を求めることが絶對條件であります。さいわい今囘長年勞働階級が待望しておりました勞働省が設置せられまして、勞働行政が一元的に行われることになることは、まことに慶びにたえないのでありますが、勞働省が設置せられまする以上は、特に今日のこの重大な情勢にあたりまして、その大きな任務を十分に果すことができますように、ぜひ立派な省として發足し、成長してもらいたいと思います。そのためにはただいまの附帶決議の趣旨をあくまで遵奉して、これを實現してもらいたいと思いまするとともに、なお一、二希望をいたしておきたいと思いますことは、勞働省は日本民主化の基本的な省であり、今日もまた産業復興の上に片山内閣における最も重要な省であると考えますので、この省の性質から申しましても極力官僚化を防ぎまして、徹底的にこの省は特別に民主的に成長してもらいたい。民主的な官廰として進んでもらいたい。そのためには常に勞働組合との間に緊密な連絡をとられまして、そしてその行政の上にもつとめて勞働組合の協力を求める。これはこの勞働省の官僚化を防いで民主化する上において絶對的に必要であると思います。これを強く希望いたしますとともに、いろいろ希望したいことはありまするが、當面の重大な問題としましては、この間の委員會でもたびたび問題になつておりました今日の勞働階級の賃金の問題であります。新しい物價體系によりまして、新しい物價は戰前の六十何倍にも著々引上げられておりますが、勞働階級の賃金は二十何倍、いわゆる平均賃金千八百圖はただちに實施せられましても、それの裏づけとなる政府の公約しておりまする實質賃金は今なおいつ實現させるかわからない。このずれを政府においてなんとか考慮せられない限りは、勞働階級が納得して起ち上るはずはないのでありまして、また起ち上ろうにもこれではまつたく食つていけないのでありますから、いかに理窟を説きましても、それによつい勞働階級が納得し起ち上るはずはないと思います。このずれに對して勞働階級の生活の差迫つた――差迫つたではない、今ぶつつかつておりますところのこの危機を打ち破るためには、ぜひ新しい勞働大臣となられる米窪氏が先頭に立つて、ひとつ閣議を動かしていただきまして、このずれをなんとか解消するために、ひとつ全力をあげてもらいたい。これは勞働省が今後榮働階級の間の信頼を得て、その任務を十分に果すことができるかどうかという、この出發にあたりましての重大な岐路になるであろうと考えます。いろいろほかに希望したいこともありますが、この將求にわたつての勞働省の民主化の點、勞働組合の協力を十分に求めるようにつとめてもらいたいということと、當面しておりまするこの賃金のすれに對して、ひとつ適切な手を熱意をもつて打つてもらいたい、この二つを希望いたしまして、私の社會黨を代表しての贊成演説を終りたいと思います。
#6
○加藤委員長 小林運美君。
#7
○小林(運)委員 私は民主黨を代表いたしまして、勞働省設置法案に贊成を表するものであります。勞働省の設置に關しましては、諸外國の例をとつて考えましても、文化國家といたしましての體面上からも、遲きに失したものと思うのでありまして、第一回におきまして本法律案の上程は、眞に意義あるものと思われるのでございます。本法の第一條にありますごとく、勞働省は、勞働者の福祉と職業の確保とをはかつて、わが國の經濟の興隆と國民生活の安定に寄與するものであると申しております。これはその目的とするところは、どこまでも勞働者を中心として考えることでありまして、現在の逼迫しております國家の財政から相當巨額の豫算を使いまして、いたずらに大臣を製造したり、あるいは役人を増加するのが目的ではないことは明らかなのでございます。先般政府が發表いたしました經濟實相報告書にも明らかにされておる通り、わが國の生産力の根源でありまする勞働力は、戰前の三分の一程度に下つております。失業者は僣在の失業者を加えまして一千萬人になんなんといたしている現状にあるのでありまして、これらの失業者は現在のインフレの波に隠れてはおりますが、この狹い國土において失業者が右往左往して、容易ならざる事態に立至ることは火を見るより明らかな事實でございます。政府はこれらに對しましていろいろの保険制度とか國あるいは勞働者の保護に關する施策を行わんとしておりますが、今までのような官僚の獨善的なペーパー・プランでは、この重大問題は決して解決はできないのではないかと思うのであります。勤勞者の多年の要望でありました勞働者が生れまして、特に勞働運動の實踐者でありまする米窪國務大臣が初代の勞働大臣として、この重責を擔つて立つておられます。すでに委員會におきましても大臣は、勞働者はサービスをモットーとしてやつてゆく役所であるということをしばしば言つておられます。しかし私はもう一歩前進いたしまして、この難局にあたりまして、大臣みずから勞働者とともに、この非常時局を乗り切る覺悟をもつて當つていただきたいということを要望するものでございます。
 次にこの法案によつて勞働者ができますが、われわれがこの法案の條文を讀んで考えてみますと、この中には勞働者の教育に關することが比較的缺けておるような點があるのでございまして、この點につきましてはすでに委員會においても、しばしば同僚各位からも強調されたことでございまして、ただいま三浦君からの附帶決議の中にも、強く要望しておる次第でございまして、これは佛つくつて魂がはいらないものではなにもならぬ。その魂をどうして入れるか、現在のわが國の勞働者の實態を見ますと、そういつたほんとうの意味の勞働に對する信念が、まだはつきり徹底していないのではないかと思わせられるのであります。こういう點につきまして、勞働省しとて十分なる意を用いまして、勞働者の教育を徹底していただきたいと思うのでございます。從來各種の勞働運動が感んに行われましたが、これらは、あるもはの眞劍に勞働運動を、またりつぱな立場からやつておられた向きもございますが、またある種のものは、行過ぎの勞働運動によりまして、かえつて神聖なる勞働を阻害しておつたものが少くないと私は考えております。勞働者においてもほんとうに納得のいくような考えをもちまして、納得のいくような勞働をするように指導を、また教育をしていかなければならないのではないかと考えるのでございます。先ほども御指摘がありましたが、特に婦人の勞働教育に關しましては、その指導方針におきましても、またその取扱い方につきましても、特に注意をしていただきたいと思うのでございます。この問題につきましては、先般委員會におきまして私から、米窪國務大臣に特に念を押しておいたのでございますが、大臣は、新憲法による男女同權をこの省においてはみずから實踐して範を垂れると、こういうふうに約束をされました。はなはだわれわれといたして滿足する次第でございますが、今後とも大臣みずから範を垂れて、婦人の勞働問題につきましては十分なる熱意をもつてやつていただきたいと思うのでございます。なおこの法案において婦人少年局をつくることになつておりますが、婦人と子供は從來弱い者の代表とされております。女と子供だというように簡單にこれは片づける問題ではないのでありまして、さような考え方では、ただいま申し上げました男女同權の問題も、昔と變りないようなことになるのではないかと、危惧するものであります。この點強く私から申し上げておきたいのでございます。
 次に私は勞働能率の向上について意見を申し上げたいと思うのでありますが、先ほど申しましたように、經濟白書によりますと、昭和八年の石炭勞務者一人當りの出炭量は十八トン九分ということになつております。しかるに昭和二十二年におきましては約五トン五分というようなことでありまして、三分の一以下となつております。また國有鐵道の從業員を見ましても、昭和十一年と昭和二十一年では、運轉キロ數においては同じでございますが、その從業員の數に至りましては、二十二萬八千人が五十七萬三千人となりまして、約二倍半の増加となつております。これらは食糧問題とか、あるいは資材とか、いろいろの關係もございましようが、とにかく勞働力の底下を來しておることは確かな事實でございます。すなわち能率が非常に落ちておるのでございます。われわれが汽車に乘つてみましても、また電話を一本かけてみましても、勞働者がいかに現在働いておるかということはよくわかるのであります。勞働者の正當なる要求は十分わかるのでありまして、これは大いに要求すベきものでございますが、誤つた勞働指導者、勞働運動によりまして勤勞者が自然に、知らず知らずサボタージュをしておるようなことが多々あるのでありまして、かような不健全な勞働運動によりまして勞働能率の底下を來しておることは、實に容易ならざることであると思うのでございます。この點につきましては勞働省は、まつたくまつすぐな立場から、公平なる立場から、この勞働者の教育につて眞劍な態度をもつて臨んでいただきたいと思うのであります。これらにつきましては經營者の側にも一半の責任はあるもでありまして、從來いわれます勞働攻勢の前にへたへたとなつてしまつて、當然言うベきこと、また經營者として勞働者に對して當然なすベきことをしない經營者もあるのでありまして、これらは經營者におきましてやけになりまして、大切なこと國家再建のための生産力を落しておるのではないかと思われるのであります。これらにつきましては、今後勞働省といたしまして非常に大きな問題でありますので、勞働者も、經營者も、また勞働省も、ともに大いに自粛自戒いたしてやつていただきたいのであります。
 次に勞務者に對する必需物資の特配に關しましては、生産増強のために、少い國内の物資をわれわれお互いが節約をいたしまして、特に勤勞者に特配をいたすものでありまして、勤勞者におきましても、その氣持で生産のために特配を受けておるということを十分認識いたしまして、これらの貴重なる物資を大切に、しかもこれを土臺といたしまして生産の増強をはからなければならないのでございますが、また一面にこれらの貴重なる特配物資を、經營者側におきまして横流しをするというような事例が多々あるのでありまして、これらに對しましては國民といたしましても、また政府といたしましても、特に嚴重なる取締りをしていただきたいのでございます。
 次に失業者の對策といたしまして、今まで職業補導所というものがございまして、これらにつきましていろいろの斡旋等をやつておりましたが、過去の實績から考えますと、これらも、今の状態から考えまして、また今後一千萬になんなんとする失業者の對策につきましては、現代のような機構では、また現在のようなあり方では、なかなか要易ならざる問題と思うのでございます。こういつた面におきましても、十分なる施策を講じていただきたいのでございます。この失業對策につきましては、事業家の方におきましても赤字に赤字を重ねておりまして、十分なることができないということはお互いによくわかつておることでございます。さればとて、この失業者を抱きまして、國といたしまして、ただ紙の上の計畫やそういつたものでは解決できないのでありまして、何らかそこに國といたしまして、大きなる失業對策を考えていかなければならぬのではないかと思います。それにはいろいろ仕事もございましよう。あるいは官有林の拂下げであるとか、あるいは特別に大きな國家的な事業を起すとかいうようないろいろの仕事があると思います。これらも現在の經濟事情からいたしましてはなかなか困難のことと思いますが、これらに關しましては、勞働省といたしまして政府の各省を督勵いたしまして、十分に勞働者の失業を救うベき大きなる施策のもとに仕事をやつていただきたいのでございます。現在の状態におきましては、失業の問題はなかなか重大な問題でありまして、これら完全なる解決は、將來におきまして日本からどしどし移民でもできるような立場にならなければ、なかなか困難なこととは思いますが、できる範囲におきまして、この問題について政府は大なる施策をもつて臨んでいただきたいのでございます。
 最後に配置轉換によります官吏の増員でございますが、これらにつきましては、先ほど來も申し上げましたように、國の困難なる財政下に、新しい省を建てるのでございまして、現在のいろいろの官吏のあり方、官吏制度というものも根本的に改革を迫られている際でもあります。また今申し上げましたような現在の官吏のものの考え方等では、役人は國民の上に立つているという態度で臨んでもらつてはサービス省である勞働省は困るのでございまして、そんなことでは相變らず國民生活とまつたく離れたお役所ができ上つてしまいます。新しい憲法のもと、第一囘國會によつて生れました、しかも勤勞者のサービスをするこの勞働省は、まず第一に役人の頭の入れ替を行いまして、厚生省に今まで働いておられました諸君も、勞働省にはいりましたら、ほんとうに心から氣持を入れ替えて働いてもらいたいと思うのであります。從いましてこの勞働省におきましては、役所の面子とか、あるいは不要不急の人や物を取揃えるというような氣持でなく、ほんとうに眞に迫つて働ける役人を採用していただきたいのでございます。これらにつきましても附帶決議で十分申し上げてありますので、御注意を申し上げまして結論にいたしたいと思うのでございます。
 勞働省の設立は、この三黨連立片山内閣において成立を見るのでございますが、これは決して一黨一派によつてできたものではないのでございまして、この邊は私は民主黨を代表いたしまして、大いに強調したいところなのでございます。今後におきましては、官吏も、勞働者も、資本家も一體となりまして、この國難を打開し、文化國家の再建の原動力となることを勞働省の大いに切望をいたしまして、ただいま三浦君から掲げられました四つの附帶決議を完全に實行されんことを望みまして、本案に贊成をする次第でございます。
#8
○加藤委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。原案に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#9
○加藤委員長 起立總員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に三浦寅之君より提出せられました各派共同一致の附帶決議に對して採決いたします。この附帶決議に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#10
○加藤委員長 起立總員。よつて本附帶決議は決定いたしました。
    〔拍手〕
#11
○加藤委員長 なおこの際お諮りいたしたいことがございます。報告書は議決の理由を付し、議案の要旨、特色その他を記載して提出すべきものでありますが、報告書の作成は委員長に一任していただきたいと存じまするが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○加藤委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
 次に本案につきまして本會議に上程の際、その討論者を指名いたしておきたいと存じますが、その員數はいかがいたしましようか。
#13
○原(侑)委員 本會議の討論者はその員數を三名にいたしまして、委員長において指名せられんことを望みます。
#14
○加藤委員長 ただいまの原侑君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○加藤委員長 御異議なければ、小林運美君、原侑君、相馬助治君、右三名を討論者に指名いたします。
 なお今後この委員會の豫定日は火曜日と金曜日ということになつております。おそらく來週になりますれば、失業手當法であるとか、失業保險法であるとか、重要な議案が提出されることになると思いますので、できるだけ豫定日はもちろん、委員會のやりくり等がつけば議案提出の模様と見計らいまして豫定日にかかわらず開くことがしばしばあると存じますが、これらの點について前田君何か御意見がありますか。
#16
○前田委員 ただいま委員長が申されましたように、今日までは主として勞働省の案件を審議してまいりましたが、來週は失業保險法、失業手當法が提案される豫定になつておられる趣きでございまするが現下の情勢は勞働行政一般、あるいは勞働對策、物價と賃金問題、その他勞働委員會が掘り下げて檢討すべき重要な問題が山積しておるわけでございます。私は國家の今日の情勢下、勞働委員會の責任が非常に重要であるということを痛感いたしまして、安本長官、大蔵大臣、その他勞働關係の大臣の出席も願いまして、本委員會がそうした勞働對策一般の問題について、適當な委員會の審議を進めていかれるように希望いたしまして、豫定日以外でもやりくりができますならば、できるだけ早い日にちのうちにそうした委員會を設けられるように、委員長を通じて、委員諸君の御了解の上に取計らわれることを希望いたします。
#17
○加藤委員長 ただいまの前田君の御意見はよく承つておきます。つきましてはこの際勞働問題に關する國政一般を調査することの申請をいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○加藤委員長 御異議がなければそのように取計らいます。
 本日はこれをもつて散會いたします。次囘は公報をもつて御通知いたします。
   午前十一時二十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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