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1947/08/22 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第10号
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1947/08/22 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第10号

#1
第001回国会 労働委員会 第10号
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 辻井民之助君 理事 山下 榮二君
   理事 川崎 秀二君 理事 橘  直治君
   理事 原   侑君
      荒畑 勝三君    島上善五郎君
      館  俊三君    土井 直作君
      前田 種男君    山花 秀雄君
      小川 半次君    尾崎 末吉君
      小林 運美君    寺本  齋君
      伊藤 郷一君    石田 博英君
      吉川 久衛君    河野 金昇君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 米窪 滿亮君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        總理廳事務官  木村忠二郎君
        厚生事務官   上山  顯君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 職員安定法案(内閣提出)(第三六號)
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續いて質問を繼續することにいたします。前田種夫君。
#3
○前田(種)委員 私は安本長官、法制局長官竝びに勞働大臣に、順次質問したいと思います。安本長官、法制局長官は、閣議で手が離せぬそうでありますが、安本を代表して勞働局長が見えておるそうですから、さきに安本長官に對する質問をしたいと思います。
 本法の第一條の目的のところには、明確に「各人に、その有する能力に適當な職業に就く機會を與えることによつて、工業その他の産業に必要な勞働力を充足し、以て職業の安定を圖るとともに、經濟の興隆に寄與する、」この目的に副いまして、第四條に「第一條の目的を達成するために、左の業務を行う」として、第一には「國民の勞働力の需要供給の適正な調整を圖ること、及び國民の勞働力を最も有效に發揮させるために必要な計畫を樹立すること」その他七項目にわたつて目的達成の業務を明文化してありますが、敗戰後の日本の經濟建直しの今日までの現状を見ますと、安本を中心にして計畫を立てられております面は、主として金融財政の面、さらに最近は物を中心とする計畫が主として立てられつつあるのでございます。私はそれとともに人的計畫、いわゆる勞働の計畫性というものが非常に重要になつてきておると思います。金融財政、あるいは物の計畫、それ以上に、ある場合におきましては、勞働をいかに適正に配置して、日本國民すべてをその職につかしめるがというこの計畫が樹立されなければ、日本經濟の建直しは不可能だと考えます。本法が提案された趣旨も、結局はそこにあると私は考えます。そうした意味における安本の計畫全貌を、勞働委員會を通じて天下にはつきりしてもらいたいというのが、私の質問の要旨でございます。もしきようその計畫が明確にできなければ、近いうちにこの點を明確にしてもらいたい。これは全国の勤勞大衆が要望してやまないことでありますし、また使用者側も勞働政策の全貌、この計畫がいかなるものであるかを一日も早く知りたいと待つておるという現状であろうと思います。この計畫を適正に立てまして、さうして間違いのない行政をやつていかなければ、勞働行政の完璧は期せられないと思いますが、こうした面におけるところの安本の所信を承つておきたいと思います。
#4
○木村政府委員 物の計畫と金融財政方面の計畫と伴いまして、勞働を中心にしました計畫を立てなければならぬと言われます前田委員の御質問の御趣旨には、まつたく同感であります。ただ物と金融部面と勞働の關係とは、若干差異がありまして、その計畫につきましては、戰争中に行いましたような計畫は、今後立てられるものではないと一應考えます。しかし今後日本の勞働力をどういうふうに有效適切に使うかという計畫が立たなければ、今後日本の經濟の再建はできないことは當然であります。從いまして今安定本部におきましても、雇傭勞働の計畫を確立いたしつつあるのであります。大體の考え方といたしましては、できる限り正常の職業につかせる機會を與える、それでできない面におきましては、政府におきまして、特にそういう失業等を吸收いたします特別な事業を起す。それでもできない部面につきましては、生活の保障を與える方途を構ずる、つまり職業を失うことのないようにする。失業の危險をできるだけ防止することが第一、それから正常な職業の機會をつくるということが第二、それでもできれば失業者を對象とする臨時的事業を起す。最後にこれらに漏れるものについては、生活の保障を與える。こういう計畫のもとに全體の計畫をいしたしますれば、最後の目的といたしましては完全雇傭、完全就業であることは申すまでもないのであります。最後には必ずその目標にもつていくように考えて計畫いたしておりますが、企業整備の方針、あるいは企業整備をするかしないかということにつきまして、まだ明確にきまつておりませんし、貿易の再開についても今後どういうふうにきまるかという具體的なものができておりません。これらの進行と相並行して、できるだけ早機會に計畫を明らかにいたしたいと考えております。
#5
○前田(種)委員 今の局長の答辯は、あまりにも抽象的にすぎるのであります。もちろん、それ以上今日安本として計畫が立つてないということでありますなら、それ以上質問することはやぼだということになりますが、過日の經濟白書には、一千萬の失業者が出るといわれております。もちろんこうした失業者に對しては、失業手當その他の方面においてカバーするという方策も立てられつつあることは認めておりますが、こうした問題は最後の手段でありまして、今日の實情からいきますならば、もつと企業を整備する、健全化するためには整備しなければならぬ。整備のためには相當多量の失業群があることを豫期しなくてはならぬのであります。企業それ自體の健全なる經營の立場からいきますなら、整備をすることも當然でありますが、今日日本のおかれておる現状は、狹い國土に八千萬の人口を抱えておる。しかもわれわれは今日國外に出て働くことの許されない現状においては八千萬の人口をおのおの職業に從事せしめて、いかに有效にその能力を發揮さすかということに對して、賢明なる施策が必要であろうと考えます。もちろんこの施策というものは容易ではありませんが、ただ單に企業のみを健全化することによつて、日本の經濟が安定するとは考えていないのでございます。企業の健全化も必要でありまするが、それ以上に八千萬の國民をどうして就業せしめるか、そうして一人の徒民もないような方策が望ましいのでございますが、これはなかなか言うことは易いのでありまするが、實行は困難であることは、私はよく承知しております。しかしこの計畫に對して、眞險な對策が立てられなくてはならぬと考えます。勞働省が設置されまして、こうした問題を主として勞働省のみを中心にしてやろうということは不可能なことでありまして、政府は全力をあげてこうした面に對するところの對策を立て、その對策の中心は、あくまで安本として立てらるべきものであろうと私は考えます。こうした面についてもつと具體的な方法をできるだけ早く立てて、そうしてその内容を明確にして、しかもその内容に基いて、われわれの勞働委員會としても論議する機會を與えてもらいたいということをお願いしておきます。
 さらに過日、クレジットの問題を中心にいたしまして、十五日以後貿易再開が許されまして、今の答辯の中には、今日貿易の對象がどうなるかということし今急速に豫測しかねるという答辯がございましたが、私はこう考えておるのでございます。日本の資源に乏しい國でありまして、原料を輸入して、それを加工して再輸出することによつて、日本の經濟が立ち得る途がただ一つ殘されておる。それ以外には日本經濟の再建の途は殘されていないのでございます。そういたしますならば、輸入した材料をいかに有效に活用するかということに尽きると私は考えます。一例をとりますならば一貫匁の鋼材を輸入して千圓か二千圓の製品にして売るか、一萬圓、十萬圓、百萬圓の高級な製品にして売るかということによつて、日本經濟が再建できるかどうかということになると私は考えます。これはもちろん科學あるいは技術の進歩、あるいは勞働階級の熟練の賜以外にし求める方法はなしと私は考えます。悪い材料、少い材料をいかにして有效に活用して、そうして世界の市場に敗けないところの立派な製品をつくり出すことに成功しなければ、日本經濟の建直しは不可能だ、また日本商品が外國市場に出て、外國市場に太刀打ちするところのものにはなり得ないと私し考えます。いかなる品物が外國に求められるかどうかという點すら未知数であるという意向等もありますが、こういう品物が売れるといつてそれから計畫をしては遅いと私は考えます。少くともわれわれ國民の努力によつて、世界の市場へ日本の品物をどこまでも輸出せしめるという積極的な計畫が必要であろうと私は考えます。こうした點等を考えますと、どうして勞働者を有能な熟練工に育成し、補導と、あるいはそうしたものを教養するかという點が重要であろうと考えます。前の勞働法審議のときも當委員會においては、勞働者の教育の面につきましては、主として公民教育の立場から論議されたのでございますが、私は本日はむしろ技術的な指導教養の面からもつと勞働者教育の點について言及したいと思いますが、こうした觀點に對するところの安本の所信をもう一度お伺いしておきたいと思います。
#6
○木村政府委員 ただいまのお話、まことにごもつともでありまして、われわれの方もお同感にに存じております。従いまして今後の運營につきましては、その御趣旨に副うようにやつていきたいと思います。
#7
○前田(種)委員 私し技術の補導その他教養等について、これは勞働大臣にさらにあとで質問したいと思いますが、どうも安本の説明といたしましては不十分でありますけれども、きようは安本長官がいないのですから、これ以上質問はいたしませんが、どうぞ緊急に、いわゆる財政金融資金計畫以上に重要でありまするところの勞働計畫の面から、日本再建の全貌を具體的に安本の方針として、しかも政府の方針として、この委員會を通じてはつきりしていただきたいということを特に安本に希望いたしまして、安本に對する質問は終ります。
 勞働省關係の質問を申し上げますが、今觸れました第三節の職業指導、四節の職業補導等に盛られておりますところの條項に關連して、私は今申し上げたように日本經濟の建直しは高能率、高級品の製造、技術の錬磨、いわゆるいかに有能な熟練職工を養成するかということが當面の問題であろうと考えます。こうした點につきまして、今までの安定所のような即設の補導、その他の機關だけでは不十分だと私は考えます。どうしてももつと計畫的な、根本に觸れるところの大方針が立てられて、いかに日本の勞働階級をして、技術の上におきましても歐米人まさるよう熟練工を養成するかということに意を注がなくてはならぬと私は考えます。もちろん基準法におきましても、技術者の養成という一章を設けられて、それぞれ事業主を内心にして養成する途は開かれております。こうした方法は非常に幼稚なものでございまして、今日の日本政府といたしましては、もつと計畫的な補導施設を確立すべきであろうと私し考えます。一例をあげますならば、東京、大阪というような重要工業地帶には、適當な工場を買収して、そこの國立の補導所を設けて、簡單に熟練職工を養成するという方法等も大膽にとるべきであろうと私は考えます。こうした問題等につきましての米窪國務大臣の所見を承つておきたいと思います。
#8
○米窪國務大臣 前田さんから先ほど、經濟安定本部の事務當局にお尋ねの點は、一々ごもつともでございます。そこで私としては、今日豫定されておる勞働省の機構内に、ぴつたりと御質問の趣旨に副うような部局は設けられてはおりませんが、民間の勞働科學研究所等と密接な連絡をとつて、そうしてこの研究所の研究の結果を政策の中に取入れて、熟練勞働者の育成及び助長に必要な施策を實現していきたいと考えております。もちろん將來の問題でございまするが、場合によつてはこの勞働科學研究所と對應するがごとき部課をつくつて、御希望に副うていきたいと思うのでございます。また勞働者の能率をあげるということは、單に勞働省だけの問題ではないのでございまするが、勞働省發足と同時た、事務當局にその研究を命令しておる問題としましては、いわゆる能率を増進するためには、一方において主務官廳が、優秀なる能率をあげた勞働者を顯彰する方法ガ、一つの奬勵方法として考えられるベきである。これについてはもちろん勞働者だけがこれに關與するのではなくして、これに對する報奨物資であるとか、あるいは社會的待遇を優先的に與えるとかいうことが、ほかの省との連絡が起るのでございまして、これは私の方としては、急速に閣議においてこの問題を取上げていきたいと思うのであります。もう一つは、今日の賃金はいわゆる生活給が基準になつておるのでありますが、將來は勞働の強化にならない範囲内において能率給を中心として、賃金體系を能率増進の線に沿うようにしてまいりたい。こういうぐあいに考えておるのでございます。勞働者の能率を増進する方法としては、大體そういう施策を行つていきたいと考えております。
#9
○前田(種)委員 さらに質問を進めまして、第四條の六項に「運營の改善向上を圖ること」とありますが、これと關連いたしまして、官吏職員の特殊的身分の地位が第九條にうたわれております。さらに第五十二條にい、職員の教養、訓練等がうたわれております。これは主として本法に關連する官公吏職員の身分、あるいは特殊的地位を確保する條項でございますが、どうも今日までのこうした機關は、一口に言いますならば、あまりも官僚的でありまして、こうしたところに出はいりかる勞働者は、やむをえず出はいりするというような形であつて、喜んで出はいりするというような役所にはなつていないのでございます。もちろん提案説明のときに、大臣みずからが、あくまで勞働省の下部組織もサービス省でなくてはならぬということを力説されておられますから、今後は相當改善されると思いますが、こうした特殊的地位、しかも第九條のごときは、他に轉任ができないほど身分を保障するというようなことにまでなつております。そういたしますならば、少くともこの待遇というものは、特別の待遇を與えなくてはならぬと考えます。またそうした特別の待遇をしなければ、立派な人が得られない。立派な人が得られなければ、せつかくのこうした機關が運用されない。民間の職業紹介等は、悪徳者を一掃するために本法によつて禁止するということになつておりますが、今まで一概に民間の業者が悪かつたとは言えない。いわゆる官營のこうした機關が悪かつた一面には、民間の業者の中には非常に有效に働いた業者もあるわけでございます。もちろんこうした民間の事業を拘束するということになりますと、特に今日以後の情勢から申しますならば、官營のきの機關の活動に全幅の信頼を全産業人が、全勞働者が寄せるということになります。そういたしますならば、こういた問題に對する教職員の心構え、あるいはそうした點に對する立派な人物を得るということは、なかなか容易でないと思いますが、そのような原因は待遇が悪いということに關連しております。どうかその點に關してもう一度、勞働大臣の意見を明快にしてもらいと思います。さらに第十條に連絡委員問題をうたつておりますが、一體連絡委員の身分、待遇等はどういう方針であるかという點を、もう一度明確にお願いしたいと思います。
#10
○米窪國務大臣 お答えします。職業紹介という事業は非常に專門的な知識と經驗を必要とするものでございまして、從つて政府はこれらの命令系統、あるいは事務の所管については、一貫的でなければならないと認めておるのでございますが、同時に地方自治の精神から見て、窓口の行政を簡素化するという點に鑑みまして、未端組織における事務については、今日のところは都道府縣にこれを委任しているような情勢でございます。しかしあくまでも原則としては、こういう特殊な行政事務に關係するものはなるべく他へ轉職せしめ轉補せしめるということの弊害を避けたい。しかしこれに伴つては、やはりその職階制において、横滑りをして昇進をすることは避けて、なるべく一本で上へ昇つていく方針をとつていきたいと思います。もしもそれで昇進が遅れるような場合においては、公務員法との關係もありますが、給與の點については、その勞に報いるだけの特別な待遇をしてまいりたいと思うのであります。前田さんの御質問は、少しく明確を缺いておりますが、民間人を起用してはどうかという御意見かとも思われますが、これについて先ほど申し上げる通り、特殊の經驗と知識とを要するものでありますから、ただちにこれを職員の本官に任命するという考えはもつておりません。ただしかし民間側の、いわゆる勞働者側の意向を尊重する必要は大いにあるのでございまして、從つて職業安定委員會というものを、中央においても地方においても設けまして、また市町村との間においては連絡委員というものを設けて、民意の反映に對しては十分なる注意を拂つて、民意を尊重してまいりたいと思つております。連絡委員の身分構成等については、事務當局からの御説明申し上げます。
#11
○上山政府委員 連絡委員は公共職業安定所の補助機關として市町村との運絡にあたりまして、公共職業安定所の仕事を助けてまいるという性質のものでございます。これは官吏でございませず、民間からお願いするものでございまして、身分としては公務員に準ずるというような性質のものでございます。それでその定數、職務等につきましては、詳しく命令できめることになつておりますので、大體はどういう人をお願いするかということにつきましては、今まで町村役場の吏員でありますとか、學校の教職員の方々なんかにもずいぶんお願いしているのがございますが、今後は勞働組合關係方面等の方にもお願いをいたしまして、十分實情に副つた安定所の運營ができますように働いていただきたいと思います。
#12
○前田(種)委員 今大臣の答辯の中に、官公吏職員の身分のことと待遇の問題について御答辯がありましたが、今日の政府においても、末端の安定所の官公吏職員を滿たすために相當苦勞をしておられると思います。今日の待遇、今日の状態の下においては、容易に人は求められないというような状態に現實にあるのです。まして有能な人物を得ようとすることは、なおさら困難であろうと考えます。どうしても特殊な地位を與えるとともに、相當この點には立派な待遇をしてやらなければ、この重要な職責を果すわけにはいかないと私は考えますので、この點については一段の努力を希望しておきます。
 次に第十二條に關連いたしまして、中央職業安定委員會の構成、地方安定委員會等の問題でございますが、この條項はあくまでも諮問機關という形になつております。私は相當權威者がこの委員會を活用いたしますならば、そこで協議決定させることを、もつと重要に取扱う必要があるじやないかと考えます。そうすれば、端的に言えば、決議機關にしたらどうかということになつてまいりますが、私は明確にここで決議機關にしてもらいたいという希望はありますが、そういうように修正しようとは考えませんが、ただ單に勞働大臣の諮問、府縣知事の諮問の答えるというだけでなくして、もつと積極的にこの委員會が働き得る餘地を見出さなければならぬと私は考えます。その意味におきまして、委員會みずからが建議上申するというような途も開いてあるというようなことにもならなくてはならぬと私は考えます。さらにこの委員會の開催につきまして、法律をもつて明瞭に都道府縣職業安定委員會、特別地區職業安定委員會及び地區職業安定委員會は、一箇月に一囘以上、中央職業安定委員會は、三箇月に一囘以上、これを招集しなければならない」と法的に明記をしておるのでございますが、われわれは勞働組合の立場から申しましても、あるいは勞働行政の立場からいきましても、これ以上に活用されることを望みます。しかしおそらく地方地區の委員會を合わせますと、何百という委員會が全國にできるわけです。そうした場合に、一箇月に一囘以上必ず開かなければならぬと法が命じておるにもかかわらず、開く用事がなかつた場合には一體この法の威嚴がどうなるか。これはむしろ法制局長官にお尋ねするのがほんとうであるかわかりませんが、こういう條項を明記してあるということは、今までの一般法規にはおそらくないと私は考えます。今囘の勞働省關係のこの法規が初めてであろうと思いますが、こうした一箇月一囘以上というような文字は、これこそ政令にまつべきものであるというように私は考えるのでありますが、實際の法規の上に明記して法律になつて實行される場合は結構だし、また實行するように強制する力はわれわれ喜びますが、實行されなかつたときに一體どうなるかという點の答辯を求めておきたいと思います。
#13
○米窪國務大臣 第一の御質問の、必要に應じては安定委員會が建議をするというようにしたらどうかというお尋ねでしたが、これは十二條にはつきりと關係行政廳に建議することができる、こういうぐあいにきめてあります。またこの一箇月に一囘とか三箇月に一囘ということはむしろ政令に讓るのがほんとうであつて、一たび法文に書いた以上は、これをやらない場合においてはどういうことになるかというお尋ねですが、これは當然官廳の監督命令に背くことになるのでございまして、その場合においては、監督關係においてこれに相當の處置をしていくつもりであります。それから一箇月に一囘ときめてあるが、それより以上にもし必要がある場合はどうかということについては、必要に應じてはこれらの安定委員會は關係行政廳に報告を求めることができる。すなわち一箇月に一囘以上必要のある場合において報告を求めることができますから、安定委員會が自動的に機能を發揮し得ると考えております。
#14
○前田(種)委員 今の一囘以上數多くやることはもちろん問題ではないのです。一箇月に一囘以上、中央は三箇月に一箇以上やるべしと法の明記しているときに、やらなかつた場合には怠慢だから、中央から下部の機關に對して命令をするということでありますが、こういう委員會の囘數を法規で明記しておくということそれ自體が無理ではないかと私は考えます。この點については法制局長官に答辯を願いたいと思いますが、法律でこうしたものを明記して、もしやらなかつた場合に、何百もある全國の地區の勞働大臣がやらなかつたからといつて、一々やらなければならぬのではないかといつてみたところで、これによつてどうなるか。むしろこうしたものこそ政令で十分やるように進めることができますし、法律に明記した理由については、もう少しはつきりしてもらいたいと思います。法制局長官にこうした點に對するところの法律上の解釋を説明してもらえば結構だと思います。
#15
○佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。ただいま米窪大臣からお答えございましたように、少くとも一箇月に一囘くらい、あるいはまた三箇月に一囘くらいという最低の基準をきめておりまして、これを運用上から申しまして、法律でかようなことをきめましても、決して無理なことはないと一應考えます。それからただいまの違反の場合の問題でありますが、この種の事柄につきましては、いろいろほかの問題につきましても精密に考えますれば、この場合の違反はどうなるか、あの場合の違反はどうなるかという、いろいろ問題になるべき事柄はございますけれども、ただいまの具體的の問題といたしましては、これらに對する違反というものを表面から、あるいは罰則的の制裁をおくとか、これに違反した場合の善後處置を書くとかというところまでの必要はないと考えまして、他の場合にも同様な扱いがしてあるものがたくさんございますので、この程度でよろしいかと考えております。
#16
○前田(種)委員 この問題については、私の意見になりますから、後日意見のときにこれ以上は申し上げることにいたしまして、留保いたします。今までの答辯では私は滿足しません。それは法律に明記する必要があるかないかという點について、もつと議論したいと思います。質問のときにはこの程度でおきます。法制局長官が見えられたので、法制局長官の答辯を先に求めたいと思つて質問をいたします。
 本法の第六條、第八條、第五十六條、第六十一條に關連いたしますが、結局勞働大臣の地方長官に對する指揮指導の權限でございます。第六條には、安定局長は勞働大臣の指揮監督を受けて、都道府縣知事を指揮監督する。第七條にも、都道府縣知事は勞働大臣の指揮監督を受けるということが明記されておりますし、八條には、公共職業安定所は勞働大臣の管理に屬すということになつておりますが、問題は地方長官の處分が法に違反しておる場合、いわゆる五十六條にありますところの「勞働大臣は、都道府縣知事のした處分が、この法律若しくはこの法律の規定に基いて發する命令又はこれらに基いてなす處分に違反すると認めるときは」云々の文字から、五十七條にそうした規定がございますが、これは官公吏服務規程、あるいは近く制定されようとするところの公務員法等の内容には、どうなつておるかわかりませんが、こうした指揮監督をする面と、地方長官がきかなかつた場合には高等裁判所に勞働大臣は提訴するというような條項との關係に、法律上の疑義、あるいは命令系統、その他に對して疑義があろうと思いますので、この點に對する全體の法規の上にもあるかわかりませんが、法制局長官としてこの際明確にしてもらいたいと思います。
#17
○佐藤(達)政府委員 少々總論的なことを申し上げまして恐縮でございますけれども、地方の都道府縣知事が自治體の執行機關たる地位をもつておりますほかに、國の機關としての地位をもつておりますことは、今さら申し上げる必要もないのでありますが、その都道府縣知事が國の機關としての立場につきまして、一般的の法制がどうなつておるかと申しますと、御承知の地方自治法の中に、國の機關としての都道府縣知事は主務大臣の指揮監督を受ける。それから前議會において成立しました行政官廳法におきましては「各大臣は、主任の事務について、國の機關としての地方公共團體の長の法律に基いてなす行政事務に關しその長を指揮監督することができる。若し、國の機關としての地方公共團體の長の措置が成規に違い又は權限を侵すものありと認めるときは、その措置を停止し、又は取消すことができる。
 前項の規定は、地方公共團體の長の地方自治の本旨に基く法律に基いてなすその地方公共團體の事務に關しては適用しない。」という基本的の條文が行政官廳法と地方自治法にございます。その趣旨を受けまして、御指摘の第五十六條でありますか、それ以下の條項ができているわけでございます。ただいま申しましたように、この行政官廳法の規定によりますと、知事の國の機關としての處置が違法であり、越權である場合には、停止とか、取消しができるという根據規定がございます。この行政官廳法だけで申しますと、停止、取消しは主務大臣の一存でやれるように了解されるかどもあるのであります。この職業安定法におきまして都道府縣知事は、いやしくも公選によつて選ばれたものであり、また一方においては地方團體の機關としての地位をもつておりますから、そう簡單に停止なり取消しなりに運ぶことはよろしくないという趣旨で、特に嚴重なる裁判所に對して裁判の手續等をとるようにいたしまして、あまり主務大臣としての自由な處分ができないというような見地から、このやかましい條文を設けているのであります。この點から申しますと、むしろ都道府縣知事の立場を、非當に重く考えて、擁護してできた條文であると申し上げることはできると思います。
#18
○前田(種)委員 今の答辯を聽いて、いま一つ明瞭になりませんが、今の答辯の中にもありましたように、自治法の第五十條、第五十一條等にも、答辯になつたように、主務大臣の指揮監督を受けるということが明記されているわけです。さらに都道府縣知事は管下の市町村長、行政廳に對しましては、明確にその處分を取消し、また停止することができるということが、自治法には明記してある。この都道府縣知事が、同じ公選された市町村長、行政廳に對して、處分を取消したり、停止を命ずることができるように、自治法に明記しているのにかかわらず、今審議している本法において、そういう嚴重なことにすることは、自治法との關係からいつても法的矛盾があると私は考えます。こうした矛盾が今日過渡期にあるから、あとからでき上るところの法律は、こうした矛盾があつても差支えないというような方針で、提案されておられるということならば、これ以上論議する必要はありませんが、自法もこの春の議會で通過したものでございます。そうした精神からいきますと、五十六條以下のこうした方法を講じられるという嚴重なものをつくるということと、府縣知事が公選であるから、府縣知事の權限を重要に認めてやるということはわかりますが、中央の政府にいたしましても、公選された政府だということが言い得られるわけです。こうした矛盾をこのままおいて、實際の行政事務をやる場合に、そこにちぐはぐが出てくると私は考えますが、こうした點等について、もう一度法制局長官の明確な御答辯を承りたいと思います。
#19
○佐藤(達)政府委員 ただいま私が申し上げました中に、少し精密を缺くところがございました。ただいま私が申しましたのは停止の場合、取消しの場合を申し上げましたけれども、この法律案の中には五十八條の關係でありますか、勞働大臣が都道府縣の知事に代つて、代行的のことをやらせるというようなこともございまして、相當これは大きな處分でございますから、ことの運用において輕率にならないようにという含みから、かような手續ができているような次第でございます。なお地方自治法の一般の問題につきましても、あるいは府縣知事と地方公共團體の長との關係においての規律が考えられる時期があるとは存じますが、ただいま御指摘の通り、それ以外の場合については、かような規定はございません。それから先ほど都道府縣知事と市町村長の關係は、これは都道府縣知事自身が公選のものである見地からおかれているものと思います。
#20
○前田(種)委員 今の自治法第百五十一條の答辯は十分じやないと思います。もちろん自治法をここで審議しておるわけでありませんから、それ以上質問することはやぼかもわかりませんが、私は命令系統をもつと明確にしておかなければ、今日の官僚の頭では、一つでも口實ができれば、それを唯一の力として、いろいろ中央に反く、あるいは中央の命令をきかぬことが民主主義だというような、行政をやられる向きがないとは言えぬと思います。ほんとうに理想的な民主主義化された國におきましては、もちろんそうした悪用がないことは言うまでもありませんが、今日の日本の現状は、官吏ばかりでありません、全體が民主化の初期でございます。民主化の初期の時代には、えてして公選されたところの知事は、管内の府縣民の意思だけ開いておれば、それが民主主義の知事のやるべき役目だというようなことをやつて、國全體の立場からは面白くないという行為も多々あるわけでございます。そうしたさなかにおいて、こうした法律ができますと、こういう條項を楯にとつて、必ずしも中央の命令はきかなくてもいいというようなことになりがちだと私は考えます。こういう法律は今後日本の民主化と並行いたしまして、より高度な完成された法律に改善されるべきものでありまして、現行においてあまりに理想に近いようなものをこしらえるということは、現實の面に相當弊害があるということを、考えなくてはならぬと私は考えます。そうした弊害の面から見てまいりますと、命令系統は指揮監督するということにおいて盡きると私は考えるのです。しかしこうした條項があることによつて、もし間違つて法に違反し、勞働大臣が裁判所に訴えなければ、どうにもならぬというようなことになつてしまいますと、府縣知事の中においては、中央との間に相當摩擦が起きると私は考えます。今引用されました五十八條のごときは、府縣知事のやることがはなはだしく悪い場合には、勞働大臣の權限において直接にやることができるということになつておりますが、そうやつてしまえば、なおさら中央と地方府縣との摩擦が激化するという結果になりまして、五十八條の條項のごときは、もしあつても使うべきものではないと私は考えます。そういう觀點から申しまして、地方自治體の府縣の立場を重要に考えるという意圖はわかりますが、現状においてはたしてそうした效果があがるかどうか。むしろ悪用される危險性が多分にあると私は考えますが、この點に對して長官なり國務大臣から、もつとはつきりしたところの御答辯を願つておきたいと思います。
#21
○佐藤(達)政府委員 ひとまず私からお答えさしていただきますが、ただいま御指摘の問題は、掘り下げれば非常に深い問題でございまして、この地方自治と國の行政というものとの接觸點、これをどの邊に限界をおくか。自治の擁護というものと、國政全般の建前からくるいろいろな必要性というもうの調和の問題になるのでありまして、きわめて明確な一線を引くということは、困難な事柄であろうと存じます。これらの點をあらゆる觀點から總合いたしました結果、この職業安定法においては、かような原案にありますがごとき點において線を引くことが、最も適當であろうと考えて立案した次第でございます、ただいまの五十八條等のお話については、まことにごもつともである。五十八條というような條文は、私ども必要であると存じますけれども、かような條文のごやつかいになるような事態のなからぬことを希望する點においては、まつたく御同感でございます。
#22
○前田(種)委員 これ以上その點について質問を申し上げることは留保します。ただ願わくは、できるだけ民主的に、地方自治體の長の觀限を擴大するという親心はわかりますが、ここ数年の日本國内の現状においては、こうしたものがあるために悪用されるということを、政府當事者は十分銘記されて、これの運用に萬善を期してもらいたいという希望を申し上げておきます。
 最後に法制局長官に、もう一點質問したい點は、罰則の六十五條の五項に、「勞働條件が法令に違反する工場事業場等のために、職業紹介、勞働者の募集若しくは勞働者の供給を行つた者、又はこれに從事した者」には罰則を適用するということになつておりますが、近く施行されます勞働基準法が、實際に各それぞれの職場にあの法規がそのまま適用されるためには、なかなか短日月ではできないのではないかというふうに、私は現實を見ております。そうした場合に、もちろん民間の供給業者、その他の人々が違反した場合は問題でありませんが、安定所が職業紹介、募集、あるいは供給を行つた場合に、しかも求人の相手方である工場が、勞働基準法に違反しておつた。そうしたことを十分調査もせずに、知らずしてそうした方面に紹介した場合に、安定所の所長は、この六十五條の適用で違反行為になるかどうか。現實にはそうした五項の解釋を嚴格にとつていきますと、安定所といえども、その行為に違反した場合には、罰則が適用されることになりますが、こうした點に對する法的解釋をはつきりしてもらいたいと思います。
#23
○佐藤(達)政府委員 ごもつともな御縣念であると存じます。安定所の場合を例におとりになりましたので、その場合を考えてみますと、もちろん安定所長は重大なる法律上の責任をもち、國の機關としての職責を果していくのでありますから、この適用の關係におきましては、法令に違反する工場、事業場であるかどうかということは、十分に實際調査を遂げた上に、これを行うことは申すまでもないことであります。十分な職責を盡して、なおかつそれが何らかの理由によつて法令に違反する工場、事業場であつた場合には、それは安定所長としては、職責を盡した上でのことであつて、何らそこに不都合はないのでありますから、この法令に違反の問題はもちろん起り得ないと考えております。
#24
○前田(種)委員 長官に對する質問は終りまして、勞働省關係の大臣なり、局長に質問を續けます。
 まず三十九條の募集の方法等についていろいろ書いてございますが、主として地域募集をやるということが、この前後の法文に書いてある。しかし實際問題といたしましては、なかなかそうはいかない點があるわけです。それぞれ地域的に工場が分散されておる場合は、そうしたことができますが、そうでない場合は、地方の農家から相當たくさんの人々を募集して、工場の密集しておるところに働いてもらうことは現實にあることであります。特に生産業等においては、そうした問題が強く叫ばれておりまして、寄宿舎制度を廃止するというような意見等も、いろいろ論議せられておりましたが、今日の現状において、そうしたことは實際にはできないと考えます。寄宿舎制度の弊害から、地域募集を主としてやつたらどうかという點が出ておるのではないかと考えますが、今日の現状は、やはりそれぞれ勞働力のある他方から相當募集いたして、そうして日本の既設の事業場を有效に活用することが、現實の問題としては考えられます。寄宿舎を十分改善しなければならぬことはよくわかりますが、あくまで地域募集を主眼にして、寄宿舎に入れるようなことは、今後なくしていかなければならぬというものの考え方等が、この法を貫いておる意見であろうと思いますが、この點についてもう少し明確にしてもらいたいと考えます。
 それともう一つは本法においては供給事業には勞働組合もタッチすることができるようになつておりますが、ひとり供給事業だけでなく紹介事業、補導等に對しても勞働組合が、もつと自主的に働き得る途をつくり出す必要があると私は考えます。敗戰後の日本の勞働組合の行き方は、あまりにも當面の問題だけにとらわれて、勞働組合運動の本質から離脱していたきらいもあるわけであります、むしろ勞働組合運動の本筋の事業の一つである紹介事業、補導、供給事業等は、相當幅をもつて、健全なる勞働組合運動の重要なる事業に仕向けていくことが必要であろうと思いますが、そうした點に對する御意見を承つておきたいと思います。
#25
○上山政府委員 第三十九條に關してでございますが、これは先般も本委員會で御説明申し上げた點でございます。原則といたしましては、できるだけ通勤地からの募集なり、また通勤地の工場への募集なりを私ども希望しておりまして、今後の工場建設等につきましては、こういう勞働政策の方針を十分頭に入れて、工場立地をやつてもらいたいと考えております。現實の問題といたしましては、通勤地以外からも募集しなければならぬ點があることは、私たちも十分認めております。從いまして、寄宿舎に收容しなければならぬような募集も現實にあることを十分認めておることを御承知願いたいと思います。
 それから供給事業につきまして、殊に勞働組合のことを書いているのは、供給事業は、それを目的といたしました勞働組合以外の場合には、全然認めないというので特に規定したのでありまして、これにつきましても、職業安定のいろいろなる仕事について民主化の立場から勞働者の意思を十分参酌してやつてまいりたいということは、連絡委員會等で申し上げた通りでありまして、私たちも前田委員と全然同じ考えをもつております。
#26
○前田(種)委員 もう一つ特に希望を申し上げておきます點は、勞働組合關係の點につきましては、實際どういう人がどういう職場にいるかということは、事業體よりも、あるいは安定所の管職員よりも、勞働組合員當事者が一番よく知つている。それでそうした面を有效に活用することは國家的にも非常によい。あるいは勞働組合の今度の行き方についても、そうした面について相當の幅をもたして、勞働組合の一つの事業として、できますれば紹介事業なり、供給事業は勞働組合が一手に引受けて、完全な勞働組合の組織によつていきたいとわれわれは希望しているわけであります。できるだけそうした方向に向けるように指導していただきたいことを希望として申し上げておきます。
 最後に私は、二十條の爭議行為の問題に對する面で「部門」という解釋、定義、それからその次に、前項に規定する部門以外の場合においては、爭議行為發生中といえどもそうした斡旋ができるようになつておりますが、この點の解釋を明確にしてもらいたいと考えます。一例をあげますれば、同一會社が東京と大阪に工場をもつている場合に、大阪の工場で爭議が發生しておつた場合、東京ではこれでは職業紹介ができるということになつておりますが、そういうような解釋が正しいか、政府當事者の解釋をもう少し明確に願つておきたいと思います。
#27
○米窪國務大臣 業務の部門の内容についてお尋ねでありますが、業務の部門とは、業務の内容がわかれておる場合に、その業務を構成しておる職能的な區別、あるいは現場的な區分をいうのでありまして、たとえば工員と職員、事務系統と技術系統、坑内夫と坑外夫、本社と現場、こういう意味でここに業務の部門というものを明記したわけであります。
#28
○前田(種)委員 もしそれであれば、二十條の内容をもつと明記してもらわなければならぬと私は考えます。一會社の關係の中の一工場で爭議をして場合に、事業主はその工場を閉鎖してでも、工場の爭議が起つていない次の工場に集中いたしまして、生産を續行するということができるのであります。もちろん全部勞働組合が完成しておる場合におきましては、同一歩調で、工場をあげて勞働爭議をやることができるのでありますが、なかなかそうはいきませんし、そうかといつて職業安定所がそうした行為の起つておるところの職場に、しかも事業主がそうした行為を積極的にやろうとする場合に、その部門においては紹介事業ができるということを認めますならば、非常にここには弊害が起ると私は考えます。この點はもし今大臣の御答辯になつたようなことでありますならば、この内容は相當修正しなければ、むしろ弊害があると私は考えますので、重ねて御答辯を願つておきたいと思います。
#29
○上山政府委員 これは、私たちの解釋といたしましては、ただいま大臣から答辯がありましたように考えておるのでありまして、大阪と東京というふうにわかれておりまして、全然向うには爭議が起つていけないという場合におきましては、申すまでまなく、かりに東京で爭議が起つておりましても、大阪の方に就職斡旋をしてもよいのではないかと思つております。ただそれが今申しましたように、非常に近接いたしておるという場合におきまして――全然爭議行為が關係ございません場合には、その部門をやつてもいい。しかしその場合には、安定所といたしましては必ずやるとかいうのではございませず、それは情勢をよく見まして、この二十條の第一項にもございますように、爭議行為が發生するおそれがあること明らかな部門というふうに書いてありまして、現に爭議行為が發生しておりもせんでも、そういう紹介をいたしましたために、かえつて爭議がそちらの方にも波及するというようなおそれがありますときには、そちらへ紹介してはいけないということになつておるわけでございまして、從つて反面から考えますと、二十條の二項の場合には、爭議行為がそのために發生するとか、爭議行為に悪い影響がないことが明らかな場合に初めて斡旋することがあるのでありまして、しかもその場合に求職者に對しまして爭議行為が發生しておるということを、あとで問題があることを防ぎますために、特に文書で通告をするというような、非常にめんどうなと申せばめんどうな、愼重な手續を經た上で斡旋するというのでございますので、私たちとしましては、原案で弊害はないのじやないか。かように考えております。
#30
○前田(種)委員 どうも非常な弊害があると私は考えます。東京と大阪と同一工場があつた場合も、そうした紹介事業等はやめた方がいい。その前に勞働省は勞働委員會その他を活用いたしまして、爭議自體を一日も早く解決せしむることに全力を注いで、その期間中は人の紹介事業はやらないということにする方が本筋だと私は考えます。今後いかなる行為が勞資間に起るかもわかりませんが、今まで答辯されたような對策は、どうぞ改めて、爭議自體を解決つける。それまではその關係工場には、そうした斡旋も紹介もしないというような對策ができるように計らつてもらいたいと私は考えます。そうしなければ、今まで答辯されたようなことを實際に行つてまいりますならば、それぞれの事業にいろいろな、必要でないとところの紛爭がそのたびに起きてくるということが豫期されるわけでございますので、またそうしたことを事業主はえして悪用するという危險もあるのでございますから、起きた爭議を一日も早く解決つけるということが本筋であります。そうしたおそれのある工場に人を斡旋するというようなやり方は、その期間中やめるというような對策をとり得るように、この法の運營をもつていつていただきたいということを重ねて希望いたしまして、私の質問を終りといたします。
#31
○加藤委員長 本日はこれをもつて散會いたします。次會は來週火曜日に開きます。
   午後零時六分散會
ソース: 国立国会図書館
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