くにさくロゴ
1947/08/12 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第11号
姉妹サイト
 
1947/08/12 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第11号

#1
第001回国会 農林委員会 第11号
昭和二十二年八月十二日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 叶   凸君 理事 清澤 俊英君
   理事 寺島隆太郎君 理事 岩本 信行君
   理事 大石 倫治君 理事 萩原 壽雄君
   理事 北  二郎君
      佐竹 新市君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    野上 健次君
      平工 喜市君    水野 實郎君
     小野瀬忠兵衞君    小林 運美君
      志賀健次郎君    関根 久藏君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      堀川 恭平君    八木 一郎君
      小川原政信君    佐瀬 昌三君
      重富  卓君    田口助太郎君
      益谷 秀次君    松野 頼三君
      森 幸太郎君    梁井 淳二君
      坪井 亀藏君   的場金右衞門君
      中村元治郎君
 出席政府委員
        法制局次長   井手 成三君
        總理廳技官   坂田 英一君
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   三堀 參郎君
    ―――――――――――――
八月五日
 農業會農業技術員設置費國庫補助増額に關する
 決議案(船田享二君外七名提出)(第九號)
八月九日
 飼料配給公團法案(内閣提出)(第二七號)
 農業協同組合法案(内閣提出)(第二九號)
 農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等
 に關する法律案(内閣提出)(第三〇號)
八月十一日
 都城市に國立茶業試驗場設置の請願(川越博君
 外五名紹介)(第六八號)
 米の生産者價格再檢討その他に關する請願(神
 山榮一君紹介)(第七一號)
 農地委員會經費國庫補助増額の請願(神山榮一
 君紹介)(第七二號)
 北海道開拓者の保護に關する請願(飯田義茂君
 紹介)(第八二號)
 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願(志
 賀健次郎君紹介)(第八五號)
 農地調整法及び自作農創設特別措置法改正に關
 する請願(山本猛夫君紹介)(第一二二號)
の審査を本委員會に付託された。
八月十一日
 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)(豫第九號)
の豫備審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 食料品配給公團法案(内閣提出)(第九號)
 油糧配給公團法案(内閣提出)(第一〇號)
 飼料配給公團法案(内閣提出)(第二七號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 食料品配給公團法案、油糧配給公團法案の兩案を議題といたしまして質疑を繼續いたします。堀川委員。
#3
○堀川委員 先般大臣がお見えになつとたき一言申し上げたのでありますが、次官にはまだお話いたしておりませんので、一應申し上げておきたいと存じます。油糧配給公團法第一條には、油あるいはその原料の適正なる配給に關する業務を行うということになつておるのであります。ところが油糧公團法の中に油かすが入つておるのであります。この油かすが一體油糧と何の關係があるかということを、先般大臣に一言お聽きいたしたのであります。この點につきまして、私は一應次官にもお聽きいたしておきたい、かように考えるのであります。御承知のごとく、本日次に飼料配給公團法が出ておるのであります。公團法が出る以上は、その公團に配給物資の基本となるところの物資がなければ、その公團の意義をなさないと思うのであります。そこでこの油かすは一體何に使われるのに油糧公團法によつて適正なる配給をなさるのであるかということを一應お聽きいたしておきたいと考えます。
#4
○井上政府委員 御指摘のように油糧公團法の取扱品目の中に油かすをあげておりますが、今お話になりましたような點につきましては、飼糧公團法が皆様の御審議を仰ぐことになつておりますので、その公團法が成立いたしますならば、當然これらの關係において、政府といたしましては紛淆を來さないようによく内容を調整いたしまして、御期待に副うように取計らいたいと考えておる次第であります。
#5
○堀川委員 ただいまの次官のお話でよくその趣意は了解するのであります。しからばこの油糧公團法の第一條から油かすを削除してもよいというお考えなのでありましようか。
#6
○井上政府委員 油糧公團法の中から油かすを削除して飼料公團法の中へ取扱つたらどうかというような御意見でありますが、御存じの通り油糧の統制をはかるためには、それから出てまいります油かすを當然一つの統制のわくの中に入れておきませんと、いろいろな點で不合理を來しますので、一應これを統制の品目の中に加えたような次第でございまして、これを油糧公團の方で扱うからというて、後ほど出てまいります飼料公團の取扱い品目の上において、決して御不便をかけないような行政上の措置を講ずれば、御期待に副えると政府は考えている次第でございます。
#7
○三堀政府委員 私からも少しく補足してお答え申し上げたいと思います。實は油かすの中には、御指摘のように飼料になるものもありますし、有機肥料になるものもあるかもしれません。ところが有機肥料關係は現在統制がないのでございまして、この關係も法律をもつて調整する必要がございますし、また現にだいずの油かすにつきましては、植物關係の油の統制の中にはいているわけであります。今次官からも御説明申し上げましたように、飼料との關係は適當に調整をいたすつもりでありますので、御心配のようなことは今後とも起らないと思います。
#8
○堀川委員 今次官からのお話では、大體油かすというものは、油糧公團法の中に入れておいても適正な配給をする。大體油脂の原料がある以上つながりがあるというお話であります。それだつたら私は矛盾していると思う。大體食糧品公團の中に練乳製品などがはいつております。飼料と練乳は密接な關係があるが、これが飼料の公團の中にはいらずに食糧品公團にはいつておるということは、その配給が適正に配給されるからそれにはいつておるのである。これと同じ道理でありまして、今局長のお述べになりましたような點もあると存じます。しかし油かすは、大部分が一體何かということをお考えになつたならば、常識的に私はわかると考えるのであります。いろいろこじつけて、ある公團に、あるいは局に別別にそれを握つておるということが私は不思議だと思うのであります。飼料の公團法ができて、その飼料公團は一體何を取扱うかというと、ほとんどあらゆる公團からいろいろなものをもらつて、その飼料公團法が運營される。御承知のように日本の畜産界は、戰前から實に減退しておりまして、畜産界は現状維持もできかねるような状態であります。しかるにこの畜産から出るところの乳製品は公團法によつて配給される。あるいは肥料、あるいは基本的運輸といろいろな方面にこれは役立つのでありまして、このためには、飼料公團法に確實なほんとうにしつかりしたところの飼料、材料をもたして、この法律を運用しなければ、とうてい現在の家畜が發達することはおぼつかないと私は考えるのであります。そこでいろいろなだいずかすとか、食糧にこの方面から出ていく。肥料にいたしましても、ほとんどこの油かすを肥料にいたしますにしても、一應家畜の腹を通して肥料にするということが、家畜の増産にもなり、肥料の増産にもなると考えるのであります。そこで今局長が言われたように、いろいろの方面に多少はいるのだということは、政府の方の省令によつて、この飼料の部面からその方へ割いてやつたらそれでいいのだ。そこで基本的なところの物資を飼料としてはつきりと載せるということが、私は本筋だと思う。この點次官の率直なお考えを聽きたいと思います。
#9
○井上政府委員 御意見の點はよく了解をいたすのでありますが、御承知の通り、飼料が今日わが國の家畜の現状から考えまして、絶對不足を告げておる状態から、その飼料をできるだけ多く確保するという見地からの御意見でございますので、その建前からわれわれが考えた場合は、一應御意見のようなことになることと思います。しかし飼料が不足すればするほど、この飼料が正當ルートで確保されるということが必要であります。油糧を統制する場合には、その油糧の原料でありますだいずなり、だいずから油を搾りました場合、當然それからできる油かすというものは、横流れその他になつてはなりませんので、これをやはり公團で十分統制いたしまして、それで飼料に必要なる分は飼料にまわす、肥料に必要なものは肥料にまわす。こういうような統制を立てておいた方が、飼料の確保の上にもかえつてよいではないか。こういうふうに考えております。これは決して政府が單なるなわ張りとか、そういうことではなしに、肥料も飼料も完全に確保するという見地において、これを油糧公團において扱いたいという趣旨でございますから御了承いただきたいと思います。
#10
○堀川委員 今の次官の御釋明は、こじつけだと私は考えるのであります。大體飼料なるものは、御承知のようにとうもろこし、あるいはだいずかすとかいろいろなものが飼料にあつたのであります。ところが主食の不足した今日、この飼料はこうりやんにいたしましても全部主食に返上いたしたのであります。そこでそれから出るところのぬかとかあるいはぬかを搾つたところの油かすというものは、當然飼料でなければならぬのであります。そこで大體化學的にこれを分析いたしましても、かようなものはそのからでありまして、繊維的なものである。この繊維的なものは人間の胃袋では絶對消化されないのであります。動物的な胃袋なら消化するのでありまして、かようなものは飼料以外には何の效力もないのであります。また肥料にいたしましても、先刻申し上げましたように、家畜の現状維持を目的とせられる政府におきましては、これは家畜の腹を通して肥料にするということが、一番有效適切なことだと私は思うのであります。そこで今のような次官のこじつけ、油糧公團にこれを置くと一番配給に公正を缺かないということは、もつてのほかだと思うのであります。飼料配給公團は政府が監督され、政府が出資されるのでありまして、飼料配給公團にこれをもつていかれても、横流しするというような憂いがあるならば、飼料配給公團法はここで提出なさらずに、打ちやめたらどうかと私は思います。公團なる以上は横流しもささず、そして適正なる配給をさすということで、この公團が成り立つておるのだと私はいちずに思つておるのであります。そこでこの取扱い物資をどの公團にもつていつても、適正な公團にもつていてこそ、ほんとうに横流しがないと私は思うのであります。飼料公團にもつていくならば、ほんとうにこれを何々政令によつて何パーセント渡せということならば、飼料としては相當研究して、それは要るだろうということで渡し得られると思います。しかし何の關係もない公團がもつておるということは、各分野において、自分のところによけい取るという非常なる競走がされると私は考えるのであります。そこで私はこの油糧公團からは、絶對的にこの油かすは削除せられるということを希望いたすのであります。次官も私と同感だと思うのでありますが、ただ政府委員になつておられる關係上、そういうこじつけの御議論をなさるのだと私は考えるのであります。ほんとうに腹からの信念をもつて御答辯を願いたいと私は考えるのであります。
#11
○井上政府委員 重ねての御質問でございますが、本質的な御意見については私ども贊成をいたします。ただ問題は、油かすが全部飼料になるのだという斷定の上に立てば、そういう議論は成り立つのであります。しかし油かすの一部にはやはり人間の食糧になる部分もあるのでありますし、また今お話申し上げました通り、そのまま肥料にまわさなければならぬ部分もありますので、そういう建前上一應この公團で扱うことになつておりまして、御指摘のように、當然これは飼料にまわすべき筋合いのものであるという部分については、勇敢に飼料公團の方へ、安本の配分計畫に基いて割當てるのでありまして、その分までこれでとやかくしようというのではないのであつて、その點はどうか誤解のないようにしていただきたいと思うのであります。
#12
○堀川委員 次官の言われることもよくわかるのでありますが、大體油かすは當然飼料であるべきなのであります。その中幾分人間の食糧にもなり、あるいは肥料にもなるのであります。と申しますのは、前申し上げましたように大體中味も外も全部飼料であつたのであります。それが主食の不足のために、中味まで主食に獻上しておるのであります。でありますからその皮と、それから油をとつたかすは當然飼料なのであります。當然過ぎるほど飼料なのであります。その飼料から幾分また食糧に、あるいは肥料にということならば、當然なるところへもつていかれるということが私は當然だと思う。こんな油糧公團に何をもつて關係があるかということなのであります。そんな必要は全然私は認められないと思う。この點につきましては、次官がどうしても政治的に、政府委員なるがゆえに、いろいろなことをこじつけられますならば、私の方は私の方で、委員といたしましてその點に對しましては相當考えがあるのであります。
#13
○井上政府委員 別にこだわつて、また固持しておるわけではございません。今申し上げました通り、飼料になる部分は、當然飼料公團の方へまわす、そのうち人間の食糧になる部分は、當然人間の食糧として確保しなければなりませんし、また肥料にまわす部分は肥料にまわさなければなりませんので、そこでひとまずこれを油糧公團の中で扱う、こういう筋合いになつておりまして、全部が全部飼料になるのだという斷定をつけておいて、それでもつて人間の食うものは人間の食う食糧としてその分から渡す。肥料に渡すものはその分から肥料に渡す。こういう御意見のように伺うのでありますが、私の方は、油かすの中から人間の食糧にまわす分は人間の食糧としてまわし、また家畜の飼料となるものは飼料とする。また肥料になるものは肥料にまわすというふうにしておく方がいいではないか。一度飼料に全部落してしまつて、そして人間の分、肥料の分と區分するよりも、その方がいいではないかというつもりで申しておるのでありまして、全部これは家畜のものだ、家畜の所有權だ、それを人間様が横取りするとはもつてのほかだ。あるいはまた肥料にまわすのはもつてのほかだという御議論と、私の方の議論とは多少違うのでありまして、私の方は、油かすというものをそれぞれの關係において配分したいという考え方でありますから、飼料の分まで人間が食おうというのではないのでありますから、この點は明らかにしておきたいと思うのであります。
#14
○堀川委員 當然すぎるほど飼料の部分であるのであります。大體飼料の配給統制規則の中には、とうもろこしもはいつていれば、こうりやんもはいつている。またその皮はむろんのことはいつていたのであります。そこで今度は公團になつたのであります。現在當然すぎるほど飼料であつたそのものが、主食の不足のたぬに食糧になつてきているのであります。ところが前にも申し上げましたように、科學的にこれを考えましても、油を搾つたかすであるその繊維は、人間の胃袋ではとうてい消化することはできないのであります。これははつきりしすぎるほどはつきりしておるのであります。そして動物の胃袋ではこれを十分消化することができるのであります。それを滿腹感のために、かような胃袋に消化できないようなものを主食にするということが、すなわち間違いなんであります。當然すぎるほど油かすは飼料なのであります。そこで私はこれを主張しておるのでありまして、當然すぎるほど飼料であるから、飼料の部分にこれをまわして、そして幾分滿腹感にこれをとられるということなら、政令によつてそれをおまわしになつたらいかがかと私は考えるのであります。その點を申し上げておりますので、當然すぎるほど飼料だということはこれはむろんのことである。
#15
○井上政府委員 これ以上議論をいたしたくはありませんが、まあこれは感じでございます。實際飼料に落しておいて、その飼料に配給された分を人間の食糧にまわすということが、感じにおいて一體どう考えられるかという問題が起つてまいるのでありまして、當然やはり油かすの中から幾分は飼料に落し、人間の食糧に轉化するものは人間の食糧にこれをまわす。肥料になるものは肥料にするという線を明らかにしておいた方がいいではないか。これは全部が飼料になるのだということで飼料に落しておいて、その中から人間の必要な食糧として、これをまた必要な分はとつたらいいではないかという考え方と、多少私どもの考え方は違うのでありまして、私どもは人間の食膳に上るものは人間の食膳に上し、飼料に上すものは飼料に上すという筋途を、この際明らかにしておいた方が食糧關係においてはいいのではないか。こういうつもりでおるのでありまして、決してこじつけでことさらにとやかく言うているのではございません。この點は明らかにしておきたいと思います。
#16
○堀川委員 もう一口、例をあげて申し上げておきますが、同じ飼料にまわすものでありましても、あの小麥からできるところのふすまであります。このふすまが昨年十一月から本年五月までに一萬四千トンほど飼料に對する配給があつたのであります。ところがこのふすまは現在まで日本飼料統制といいましたか、日本飼料でありましたか、これが現實に扱わなければならぬ飼料配給規則があつたのであります。ところがこの一萬四千トンのふすまが、その原料が外麥であるとか、あるいはその他いろいろ小麥の關係上、食糧管理局が原料をおもちになつておるのであります。そこでこの食糧管理局がそれからできるところのふすまをみな握つた。一萬四千トンのふすまを、各縣におきましては食糧事務所が全部握りまして、そうして同じ飼料を配給するのに、日本飼料が扱つたのは一萬四千トンのうち二百三十トンほどで、あとは全部食糧管理局が配給しております。それは何に配給しておるかというと、飼料に配給しておる。あるいは緊急輸送用とか、あるいはいろいろな面で名目を立てられて、自分の食糧の運送のために特別にやつておられるのであります。そのために各縣は配給機構がめちやくちやになるのであります。そういう例もあるのであります。これは飼料配給公團のときにお話しようと思つておるのでありますが、そういうことでその主掌する公團がもたずにほかの者がもつということは、ここに適正なる配給ができないということになるのであります。でありますから大部分が飼料であるならば、その公團に物資を一應もたすということが、私は矛盾せないところの適正なものであると考えるのであります。この點を一應次官まで申し上げておきますから、次官には篤とお考え願いたいと思います。私はこの油糧公團からは、この油かすは、必ず削除せなければいかぬという觀念をもつておるということを申し上げておきます。
#17
○野溝委員長 まだ政府委員の出席がないので、田口委員と小川原委員との質問が留保されております。ほかにどなたか……。
#18
○小川原委員 この機會に一つ小さいことですが、お聽きしたいことがあります。醤油のもろみは一體どういうふうにお取扱いになりますか。醤油をとつてしまいまして、その醤油は公團に出すのでしようが、あとのもろみは自由に會社で處分していいのですか。またこれを醤油の一部分としてお取扱いになるのですか。
#19
○三堀政府委員 言葉じりをとるようではなはだ恐縮ですが、もろみと申しますのは醤油の釀造の途中なんでございまして、今御指摘のものはおそらく醤油の搾りかすのことだろうと思います。これは實はもろみとは違うのであります。醤油の搾りましたかすは、今までのところは、六體におきましてこれは飼料になつております。最近においては醤油の諸原料が非常に不足しておりますし、醤油の搾りかすもいろいろ利用方法によりましては使い途がありますので、これをさらにもう一度醤油に使うというような技術的な考案をいたしまして、でき得る限りこの醤油の搾りかすをもう一度使うような方法をもつて、現在は各工場とも指導しております。
#20
○小川原委員 いかにも私の言い方が大ざつぱであつて相すまなかつたですが、それがどこまでが搾りかすで、どこまでがもろみか私にはわからない。一囘搾つたあとは搾りかすになると言われるが、私はそれはもろみだと思う。そういうふうにすると、その搾りかすから何囘おりにな搾るつもりですか。
#21
○三堀政府委員 醤油は要するにあの壓搾機にかけて搾るわけでありまして、その搾り方はもちろん壓力その他の關係でいろいろありますけれども、一囘とか二囘とかいうことでなしに、一度搾れば搾りかすになるのでありまして、その出ました搾りかすは、先ほど申しましたようになお利用價値がありますので、さらにこれをもう一度醤油に使うように現在している。こういうことなんであります。
#22
○小川原委員 大體わかりました。一囘搾つたあとの搾りかすを次に使うということでありますが、二囘目で全部搾りかすはなくなつてしまいますか、その點です。一囘搾つたあとは搾りかすとして、醤油のもろみとして換算はしないのですね。そこをはつきりしていただきたい。
#23
○三堀政府委員 醤油を搾つたものは、もちろんもろみとはわれわれ考えておりません。これはできるだけ利用いたしました後、できるかすは當然えさになるものと考えております。
#24
○野溝委員長 先ほど申しました通り、大臣と法制局長官がまだ見えませんので、この際ほかに御發言はありませんか。
#25
○坪井委員 現在油糧については、蛋白とともに、國民の健康を保持する上において非常に缺乏をきたしております。國民の健康を保持する上において、一定の脂肪をとらなくてはいけないという點から見ても、どうしてもこれは少いものを適正に配給してもらうということは、當然のことと考えます。現在品物があればだれがやつてもよろしいが、ないから結局配給制度をとつておる。これも事實であります。しかし配給公團にして、官吏が配給すれば幾分でもこれがよけいに配給されるということならば、非常に結構だと思いますけれども、どうも私どもの觀點から見ますと、これは逆であつて、おそらく官吏のいわゆる統制によつて配給をするということになつてくると、むしろ供出量が減つてくる。從つて配給量が減つてくるおそれはないかということを多分に憂えます。これらの觀點を政府當局はどんなふうに考えておるかということを、私はまず第一の點としてお伺いいたしたいと思います。
 時間がありませんからなお續けて質問いたしたいと思います。適正配給と言われますけれども、それは根據をどこに置いておるか。ただあるものを、結局數字によつてこれを配給するということならば、だれでも數字を知つておる者だつたらできます。しかしながら國民の保健、健康ということを保持する上においてのカロリーから見て、どうしてもこれだけのものが必要だ、この脂肪が必要だというような絶對量から見て、この公團でやればそれだけのものが配給される、確保されるということであつたならば、私はもちろんあえてこの公團によつての配給を阻止するものではない。けれどもそうでないならば、この今の、一方においては失業者が續出しております。そうしてなんで一般は生活していこうかというときに、それは官僚によつていわゆる統制をしていつて、一般民間人を採用しないということになるのならば、結局失業者を續出させる。官吏のみがここで安逸を貪るような生活がかりにできてくるかもしれないが、一般國民大衆はこの逆になつてくるのではないかということも憂慮されます。ひいてはこの油糧配給の面から見ましても、そうしたいわゆる社會問題ということまでも考えなくてはいかぬではないか。これらについてはどんな考えをもつておるか、いわゆる失業救濟という面から見ても、わざわざ官吏が公團をつくつて配給せんでもいいではないか、こういう見解を私はもつておるのであります。これが第二點であります。
 第三點におきましては、生産の面に觸れぬということを、先般質問したときに言われましたが、配給の面だけだと言われまするが、生産がなくして配給はできない。結局この油糧配給公團が實施されるならば、生産面にどういう手を打つていくかというような具體的方法について、いわゆる絶對量を殖やすというような方法についての、今後に對する政府の御所見を承りたい。これが第三點であります。
 次に資本金が一千萬圓でありまして、これは政府が全額を出資すると言われまするけれども、結局こうした公團をつくれば、相當のいわゆる事業資金がたくさん要ると思う。一手買取をするには相當の額が要ると思うが、そういうことになつてくると、政府はたださえ國の赤字のときに、一方的に莫大な金をその方面に向けるというようなことをしなくてもいいのではないか。民間にやらしておけばそういうこともないではないかというようなことを考える點において、私ははたしてこの一千萬圓の資本金でいくかどうかという、資金面について政府はどういう處置をとつているかという點についても、詳細に伺いたいと存じます。
 なおまた役員に關する事項でありまするが、すべてが天降りであつて、これまた官僚そのものであります。もつとこうしたものについては民主的にいかなくてはならない。しかもこうした一つの配給公團におきまして、名譽的色彩を設けるというような點は、絶對に私は反對いたしたい。理事もあれば理事長もあるといつたような權限でいけばいけようと思うのに、ことさらに十條におきましては、油糧配給公團に役員として總裁、副總裁を一人おくというようなことになつておるが、こうしたものは私は要らぬではないかと思うが、これらに對する觀點をお伺いいたしたいと存じます。看板倒れのものは要らない。それから十六條でありまするが、これらもまことに輻湊しておりまして「油糧配給公團は、業務開始の際、業務方法を定めて、經濟安定本部總務長官に提出し、その認可を受けなければならない、これを變更しようとするときも同様である。經濟安定本部總務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、經濟安定本部總務長官にあるものとする。」こういうような輻湊的な――責任の點においてかくまでにしなくても、これはもちろん配給公團ができればその責任者ができる。これが責任をもつことは當然のことであります。こうしたまわりくどい、輻湊的のことを避けるという點について、どういう考えをもたれておるかという點について、お伺いをいたしたいと存じます。
 三十二條におきまして「油糧配給公團が成立したときには、帝國油糧株式會社は、解散する。前項の規定による帝國油糧株式會社の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。」こうなつておりまするが、この帝國油糧株式會社は解散する。その解散後におけるこの會社に對するいわゆる補償とか、その他の點については、どういう方法をもつていくかというような點について、お話を伺いたいと存じます。まず最初にこれらの點について、油糧配給公團法について部分的に政府の所見を御質問いたしたいと思います。
#26
○三堀政府委員 第一のこの公團實施に伴つての生産の面でございまするが、たびたび繰返して申し上げておりまするように、一應この公團法は公團の組織法でありまして、生産の面につきましては、別段直接の關連をもつておらないわけであります、從つて法律の内容といたしまして、生産をどうするというようなことは出てまいらないわけであります。ただもちろん生産あつての配給なんでありまして、生産が殖えなければ配給も圓滑にいかないことは當然のことであります。生産につきましては、この公團が設立されるされないにかかわらず、今のところいろいろできるだけのことはいたしておりますし、今後も十分できるだけのことはいたしたいと思つております。特にさしあたりの大きな問題といたしましては、國内産だいずの増産でありますが、これらについてもできるだけのことはいたしておるわけであります。ただはなはだ遺憾なことには、十分の餘地がございませんので、國内産のだいずをもつて賄うだけには當然まいらないわけでありまして、それにはどうしても油糧關係といたしましては、輸入にその資源をまつのが今後とも非常に大きな面を占めるだろうと思います。輸入の點につきましては、こういうようなはつきりした配給機構が整うことによりまして、輸入の面につきましても當然増進されるということが想像されるわけであります。そういう面におきましては、生産とは別に要するに供給を殖やすという面におきまして、この公團の成立は、相當今後の配給増加の面に貢獻するところが多いのじやないかと思つております。
 それからその次の問題といたしまして、この公團をつくることによつて、官吏がこの公團の事務の内容に當つて、從つて失業問題を起すというような點を御心配のようでありますけれども、この問題は前にも申し上げましたように、公團の職員は大體において現在の統制會社、統制團體――この油糧公團としては、當然帝國油糧の職員が大部分この公團の職員になるわけでありまして、この公團をつくることによつて形式的に職員の數は殖えるかもしれませんが、それは現在の帝國油糧の職員が公團の職員に肩代りされるにすぎないのでありまして、その間に失業問題を起すというような御心配は要らないのではないかと思つております。
 その次は資金の問題でございますが、これはもちろん一千萬圓で賄えるわけではございませんので、この公團の取扱いの高に應じまして、適當なる運轉資金が要るわけであります。その運轉資金は法案にも明記してありますように、復興金融金庫から借りることになるのであります。もちろん現在の復興金融金庫のわくでは小さいのでありまして、現在設立を準備いたしております各公團の資金状況に應じて、復興金庫もそのわくは相當殖えることであろうと、われわれとしては考えておるのでありまして、その面において、今後の公團の運營にはさしたる支障は來さないつもりであります。ただこの公團をつくるつくらないにかかわらず、當然國内に生産される、あるいは外國から輸入されるものを動かすには必要な資金は要るわけなのでありまして、それは公團になるならないにかかわらず、すなわち物を取扱うことによつて動く資金の量は、そんなに變化はないわけであります。從つて公團をつくることによつて政府の負擔が増すとか、あるいは國民經濟上に大きな影響を與えるというような問題はもちろんございません。公團をつくつてもつくらなくても、それだけのものが國内に生産せられ、あるいは外國から輸入されるならば、當然それだけの資金が要るわけなので、その資金は國として当然賄わなければならないので、ただそれを公團が使うか、あるいは民間の機關が使うかにすぎないのでありますから、公團をつくることによつて、別段國家の負擔が増すという問題は起つてこないと思つております。
 また役員の任命についても、大臣からお話がありましたように、法案の建前はでき得る限り大臣の任命になつておりますけれども、民主的な運營方法をとつて、業界の希望に合い、民主的な運營のできる人を選ぶことは、當然のことだろうと思つております。ただ總裁というような文字を使つておりますけれども、これは今まで出ました各公團ともみな總裁、副總裁という言葉を使つておりまして、これに強いて異を立てるほどのことではございませんので、そのまま踏襲したわけであります。現在帝國油糧にも社長がおりまして、その社長が總裁という名前を今度新しくかぶるだけの話でありまして、大した違いはなかろうかと思つております。
 それから次は十六條の監督權の關係でございます。この點も今までたびたび問題に出たわけでありますが、經濟安定本部の總務長官も、全體的な計畫を立てる意味におきまして、當然監督權をもつております。また大藏大臣も資金その他の關係で、ある一部の監督權をもつておるわけであります。主務大臣はもちろん主務大臣としての責任があるわけでありまして、總務長官が最終的な責任者ではありますけれども、そういう認可その他の關係におきましては、それぞれ關係の大臣に相談をするという官制の建前でございます。それから三十二條の關係における、帝國油糧の解散後の措置でございますが、帝國油糧はこの公團が設立されますれば當然解散になります。解散することによつて、別段補償等の關係は現在としては考慮しておりません。補償等をしなければならない必要は生じてこないものだと考えておるのであります。
#27
○坪井委員 これは見解の相違ですが、資金を政府が使つても民間が使つても同じだと言われますが、資金が足らぬからといつて復興金庫の金を借りた場合においては、それだけ復興金庫は金が少くなる。復興金庫は國家を再建する上に大きな使命をもつておるものでありまして、その金を使うのと民間の金を使うのと、私は大きな相違があると思う。民間は金を借りたくても借りられない。そういう現情のときに、政府自體がみずからこれを獨占してしもうということは不都合だと考えます。この點私は見解の相違ですけれども、これはどちらが使つても同じことではなくて、當然活用いかんによつて大きな差をもつておると思つておりますから、この點については御再考を願いたいと考えます。
 それから役員あるいは總裁の關係でありますが、これは一應はこうなつておるけれども、形式的に置くというような話でありましたが、そういう形式的や、ただ名前をつけるだけであつてどうでもいいものならば、むしろ置かない方がいいではないか。ただ一つの床の間の置物式にこれを飾りつけるんだというような、有名無實なものであるならば、絶對これは置かぬ方がいいと思うが、どうしても總裁、副總裁を置かなければならぬという強い理由があるはずですから、もう一遍御再考の上御答辯を願いたい。大體總活的に申しまして、この油糧というものはただ配給の適正をはかることのみが大きな目的になつておりますけれども、私はこの根本は國民の健康保持、いわゆる國家再建のために、一般國民の勤勞意欲を高揚する上において、こうした脂肪が必要であり、これらの量を殖やして、適正圓滑に配給するのが目的であると思うが、これはただ形式的の配給にとらわれまして、この公團はまつたく生れても價値なきものだと私は考えております。これらの目的についても、もう少し突つこんだ強い考えをもつて政府は當るべきであると考えておるが、これらについてのお考えは井上政務次官から伺いたい。
#28
○三堀政府委員 資金の問題につきましては、もちろんこの公團は油糧の一手買取リ、一手販賣をするという、國家的に必要な物資の配給に當る團體でありますので、それに要する資金については、國としてももちろん特別な考慮を拂わなければならないと思つております。その資金が不十分であつて、公團の運營に支障を生ずるというようなことであれば、もちろん公團をつくつたことが意味をなさないことになりますので、公團をつくります上からには、その後における公團の運営に支障のないだけの資金は、當然國としても考えるのが筋なのでありまして、それは當然のことだと思つております。ただ私の申し上げましたのは、公團をつくるにしてもつくらないにしても、要するにその物が動くのには、いずれにしても金が要るのだからということを申し上げたのでありますけれども、御指摘の通りに、それが復興金庫を通じて出るのと、市中の金融機關を通じてやるのとは、ある程度の差はもちろんあると思います。そうして公團をつくりますからには、今も申しましたように、その運營に支障のないだけの十分なうしろ盾と申しますか、はつきりした保障なりを、政府としても當然やつていくことになると思つております。
 それから役員は總裁、副總裁がどうでもよろしいと申し上げたわけではないのでありまして、ただ名前が總裁ということになつたことについて、強くて深い意味があつたわけではないのだということを申し上げただけでありまして、これは一つの方針でありますし、その業務を行います上には、當然當面の責任者がいるわけなんでありますので、この責任者としまして總裁なり副總裁を置かなければならないことは、これは當然のことなのでありまして、公團をつくつた上は、その公團の責任者としての總裁、副總裁というものは、これは絶對に必要なものだと思つております。そしてその任命その他につきましては、これはでき得る限り民主的な方法で實際はやつてまいりたい、こういうことを申し上げたのであります。
#29
○井上政府委員 公團をつくつて實際民主的によく運營して、それの適正な配給が期せられるかどうかということでございますが、問題は國民の絶對必要なる生活資材が、いろいろな點で思うように政府の計畫ルートへ上つてまいりませんので、一方國民の生活を確保し、これによつて産業經濟の再建をはかるという見地から、物が足らなければ足らぬように、一層明確な線で物を押えまして、そして完全にこれを配給していくという、明るい面を出そう。なおまた、そういうことを完全に行うことにおいて、今後必要な需要量に對する生産計畫もおのずから立ちますし、またそういうことを明らかにすることによつて、今後生産面におけるいろいろな明るい統制も完全に行われることになりますから、現状では、この法案をもつて完全に國民の需要を充し、かつそれによつて一切のものがうまくいくとは考えておりません。しかしこういう明るい一つの方向を立てて、今後あらゆる面を正確なルートでやつていくのだという線を明らかにして、この線にあらゆるものを捕捉、擴大強化してまいりたい。こういうつもりでございますから、御協力をいただきたいと思います。
#30
○坪井委員 今の次官の御答辯ではちよつと滿足ができないのですが、この公團法によつては、結局明るい一つの目標のもとにと言われますが、おそらくこのくらいどうもまつくらい、むやみな、いわゆる公團法はないと思う。現状におきましてもこの目的、つくられます性格というものが、まつたく過渡期における一つの、ないからやるのだというだけの單なる、いわゆる配給の配給というだけに終つておる觀がいたします。政府においては、どこまでもこれ以外には、もう他に完全無缺な配給機關はないのだというところまで十二分に研究し、檢討を加えて、そして、しかもこれでいくならば、今までかりにこれだけの配給があつたけれども、今後はこれが二割でも、三割でも、あるいは五割でも殖えていくのだという、それを國民一般に納得のいくような、安心をさせていく法案であるならば、これは囑望されて、明るいところの公團だということが言い得られると思いますけれども、結局統制を強化して、いわゆる官僚だけで今まで民間でやつていたものを取上げて、そして高飛車にやつて、物が減つたということであれば、これはまつたく將來明るいどころではない、ほんとうの暗黒なる公團法であるということを、私は言わざるを得ないのであります。これ以上説明を求めたいというわけではございませんが、どうかひとつ大臣竝びに――今度は大藏、あるいは安本というように、各所管に關係しておりますので、私は本來ならば、今日は安本長官または大藏大臣、あるいは農林大臣も出席を求めて、これらについての眞の目的を明確に知らしめてもらいたい。こう考えておつたのですが、遺憾ながら今日は見えておらないので、どうか一つ十二分に、次官からもこの意を傳えて、明るいところの公團法によつていくんだといつたこの線に沿つて、一つ萬遺憾なきを期してやるように、特に私は委員として切望いたしますので、この公團法についての贊否ということについては、今申し上げぬが、とにかく今後こうしたいろいろなる公團法が出ますけれども、もう少し政府としては、案を吟味する上においても、この目的を明確にして、ひとつ今後はすべてをされたいということを希望しておきます。
 次に食料品配給公團について、簡單に政府のお答えを願いたいと存じます。食料品配給公團法の第一條に「みそ、しようゆ、アミノ酸(グルタミン酸ソーダを含む。)砂糖、罐詰、乳製品その他命令で定める食料品の適正な配給に關する事務を行うことを目的とする。」これも品目をここにあげまして、簡單にただあるからこういうものをやるのだ、またおそらく食料品といいましても、この中にはほとんど主食になるべきものが相當多いのであります。これらの限界を政府はどう考えておるか。いわゆるみそや醤油を多くつくつてしまえば、食糧の方が減つてくるということに相なつてくるわけですが、これらは國が計畫的に、遲配缺配の行われているときに、結局みそで腹がふくれた、醤油で腹がふくれた、カロリーがとれた、と言つて喜んでいるものは國民一人もない。やはり豆でもろうとか、あるいは小麥でもらうということになつてくれば、これは相當價値があろうと思うが、どうもややもするとこれが一つの企業倒れ、あるいは過去においては一つの業者の利潤というようなところから、まあ何番でもいいから搾つて、そしてカラメルでも入れて色をつけて、一つ醤油にでもしようということが相當あつたではないかとも想像される點が多々あります。またみそも代用みそというものがありまして、私が言わぬでも知つていると思いますが、みその惡いのはぬかみそといつておりますが、ぬかでつくれば相當うまいものができるが、どうも馬鈴薯やさつまいもの原料では、いいみそはできぬ。ないから仕方がないが、どちらでも、主食をこの方面に向けて、みそを多量につくつて、この配給を適正にやろうということは、どうもこれは非科學的だ。もう少し政府としては科學的に考えて、そうした小麥とかだいずとかあるいは甘藷、馬鈴薯というような主食をこの方面にまわさぬでも、現在のこのカロリーがとれるというような方向に向つて進むべきだ。しからばそういうものはどういうものがあるかといえば、これは考えれば、さなぎのようなものからは、いくらでも油もとれたり、いくらでもいいみそがりつぱにできる。そういうものの利用價値は何ら研究せずにおいて、先つぽの方のできたものを、ただちよこんと適正配給するのだ。それで配給公團はさきに井上次官が言われたように、どうも明朗化された、明るい配給機構が確立されるなんといつているようでは、まことに時代に逆流する政府の施策と考えております。これらについて、主食の關係は減りますけれども、小麥とかだいずをどんなぐあいに政府はこの方向に使つているのだ。そうすれば遲配缺配はよけい殖えてくるが、一體そういう面についてはどんな考えをもたれているか。また今後は米、小麥あるいはさつま、馬鈴薯などを使わぬで、みそ、醤油をつくつていくことを考えておるかという點について御答辯願いたい。私は少くとも科學的な方法によつて、今後みそ、醤油をつくつて主食の方にこれらを振向けるべきだと考えておりますから、この點についての御見解をお述べ願いたい。
 さつきも私が申し上げました資金面でありますが、第三條には食料品配給公團の資本金は四千萬圓になるということになつて、前の三千萬圓よりは殖えておりますが、かように政府は元卸しはするけれども、結局實入りがないというわけで、まずくいつた責任は政府が負うのだというようなことになればかまいませんが、結論は國家國民の負擔になるということを忘れてはいけないと思う。結局資金面についての關係を十二分に考えていくべきだと、私は考えておるわけであります。これらについてはたしてこれでやれるかどうか。はたまた資金は一體一手買取りという場合において、どれくらいこれが要るのだ。どのくらいの金があつたらできて、しかもまた内地のものあるいは外地のものまでも買い入れるというような場合においても、價格差に對する補給金というような制度がなくてはできぬと思うが、これは一體どうなつておるかというようなことも、わかつておつたならば御説明を願いたいと思います。
 次に十條におきますところの役員、總裁問題、これは私も不必要だと思いますが、この點も前同様と私の方では理解いたしまして省きます。現在の役職員というものは、帝國油糧の職員をそのまま官吏に採用するから、失業方面には何ら失業者を出すというような憂いはないと言われておりますが、しかしどこまでも法の性質といたしまして、これは名文化されておるわけではありません。名文化された通りにやらなければ政府みずからこれから逸脱する。これはでき得ないと思います。その見地からすると、十四條にまいりまして、「食料品配給公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。」そうちやんと規定があるのに、そんな方へ曲げて、結局解散したものは使わうと使うまいと頓著ないのに、一會社を救濟するためか、職員を局部的に救濟するというためにこれそのまま名前をかえるなんていうことは、不都合千萬である。やはりこの方面においても、そういうような方法でいくのかどうかということについて、政府の考えを伺いたいと思う。もしそうするならば、この第十四條によつていくというならば、社員とかあるいは職員をそのまますぐに採用するというようなことは勝手氣ままだ。言語道斷の考えと言わざるを得ない。これについての考えを明確に御答辯願いたい。
 三十一條にまいりまして「この法律は昭和二十三年四月一日又は經濟安定本部廢止の時の何れか早い時にその效力を失う。食料品配給公團は前項の時に解散する。但しその時までになした行為に對する罰則の適用及び食料品配給公團の清算に關しては、この法律は、この時以後もなおその效力を有する。」こうなつておりまするが、すべて政府は何でも緊急だ、暫定だと言つて、一時逃れにいたしまして、行當りばつたりの政策を、すぐに政令とかあるいは獨斷專行にやることが多いのでありますけれども、一旦これを法律として出した以上は、どこまでも權威を保ち、なおまたこの責任を負わなくてはならぬ。いかに緊急でありましても一時的のものでは相ならぬと思う。二十三年四月の一日が來た場合、または經濟安定本部を廢止のときのいずれか早いときにその效力を失う、こうなつておりますが、結局この公團が解散したときに效力を失うということにしておけばいいと思う。ことさらこういうことをするということになつておるが、これはどんな考えをもたれておるか。これについて伺いたいと存じます。その他一番最後にこの提案の理由があります。「みそ、しようゆその他の食料品の適正な配給を圖るため、食料品配給公團を設立する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」これだけではどうも國民をあまりにも侮辱した理由だと私は言わざるを得ない。もう少し官吏は、いかに暑いかかしらぬけれども、ひとつ勉強されて、理由を明確にしていただかなければわれわれは納得できないと思います。次官はこれらについても、政府委員の發案者、成案者、にこれらについての内容を十分に檢討させて、そして理由についてはこうだ。これでこそ眞の公團ができたならば、われわれはこうした食料品というものは、安心して配給を受けられるのだという安心を與えて、あるいはまた目的がそれであるならば、われわれいかに官僚統制だろうと何だろうとかまわないというところまで、もつていかなければならぬ。こういうことでは、ますます官僚統制の横暴さをここに發輝しておるというような點からみて、われわれも委員の一員として實は憤慨しておるのであります。これらもひとつ、次官はどういう態度をとられるか、なおまたどんな方向に向つての公團の提案理由か、よくわれわれに納得のできるような説明をされ、確固たる御意見を伺いたい。
#31
○井上政府委員 大體大要の點は私からお答えをいたしまして、詳細な點は事務當局から説明をさすことにいたします。
 第一の御質問のみそ、醤油に主要食糧を振當てるということは、結局遲配缺配等を起しておる現状において困るじやないか。できるだけみそ、醤油というようなものは代用品をもつて、あるいは未利用資源その他のものを活用することによつて、主食の方を確保する必要がありはせぬか。こういう御意見でございます。現下の食糧事情は、御存じのごとくまつたく主食の絶對不足に當面いたしておりまして、これの確保に政府が非常な努力を拂つておりますときに、特にその一部をみそ、醤油にされるゆえんはどこに一體あるか。もちろん今日みそ、醤油の需要量というものは、それを主食糧に充足するだけのものを割いておりませんけれども、現在の主要食糧の中から特にみそ、醤油に割いておりますゆえんは、人間の生活においてみそ、醤油というものがいかに重要な食品となつて今日使われているが、米の足らぬときだから、みそ醤油なんてつくる必要はない。鹽でもねぶつていたらいい、これなら問題はない。しかし。やはり人間生活は味わいのある、潤いのある生活をする必要がありますし、またみそ醤油というものが、やはり日本人の食生活の上に重要な榮養價値を占めている現状におきましては、これに相當の資材を確保することは當然の行き方であります。しかし絶對量の不足は。主要食糧を、その方の要求に應じて思うように割くことはできませんから、その何分の一くらいしか、わけられません。詳細な數字はあとから説明をさせますが、それ以外はすでに皆さん御存知の通り、煮干汁を利用しますとか、その他さなぎでありますとか、いろいろな代用品が今日出ておりまして、これらの代用品については國民といたしましても十分滿足なものはできていないのでございますけれども、しかし主要食糧の足らない現状においては、代用みそ醤油においてある程度のがまんを願つているようなわけであります。しかし主要食糧の確保がある程度見込がつきますならば、さらにこれらの點についての對策を講じて、調味料におけるわれわれの家庭生活の潤いを増していきたいという考え方をもつている次第であります。現下の事情は、このみそ醤油の絶對量が需要量に對して少ない現状において、これをまつたく公正な方法で確保したい。またそれを配給したい。それで國民生活を少しでも明るい面に導きたい。こういう目的でこの公團法を提出しているゆえんでございますから、御諒承いただきたいと思います。
 その次に一手買取り、一手販賣をやる場合の資金計畫はどうかというお尋ねでございましたが、この點については、政府といたしまして、公團をつくつて大衆の食生活を明るい方向に導こうというのでありますから、それに必要なる資金は十分確保いたしまして、この公團の運營に差支えない方途を講じたいと考えている次第であります。
 最後に、提案理由がはなはだ貧弱ではないか、もう少し公團法をつくる理由を堂々と述べて、國民の協力を求めてやるべきではないかというお尋ねでございましたが、當然でございます。ただ、そこにお手もとに差出してあります分は、紙の關係、いろいろな關係で、まつたく短文になつております。しかし先日この委員會に、大臣から本法案の説明書を實に四十五分の長き時間を費やしまして、堂々その提案の理由を詳細にわたつて述べておりますから、どうぞその方において、十分この公團法を政府が提出した理由を御了解をいただきたいと存ずる次第であります。なおそれらの資料はございますから、もし提案の理由が詳細に知りたいという場合は、お手もとの方に速記もまわりましようが、速記がまわるまでに間に合わぬ場合は、私の方にございますから、ゆつくりひとつ御檢討を願いたいと存ずる次第であります。その他は事務當局から説明をさしていただくことにします。
#32
○三堀政府委員 この公團法の取扱い方でございますが、これは先日お手もとに資料としてお配りしている中に入つているのでございますが、食料品配給公團事業計畫概要というのが表紙を除いて四枚目にあります。その中に出ておりますので、詳しくはこれをご覺願いたいと思いますが、最後のつじつまだけ申上げますが、合計は七十七億三千八百萬圓あまりになつておりまして、それに要する年間の運轉資金が十六億九百萬圓、こういう數字になつております。最初に申上げましたのと、その後さらに數字を精算いたしまして、若干の違いが出てまいりましたけれども、大體現在われわれの方で計算いたしましたところでは、七十七億と十六億、こういう見當になつておりますので、御了承を願いたいと思います。
 それから職員につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、現在各統制機關の職員が、この公團取扱物資の配給に關しましては、知識經驗をもつておる者でありますので、そういう者をこの公團の職員としてできるだけ採用してもらいたい。そういう者がいわゆる政府職員となつて、この公團の中で働くことになるわけであります。それが公團を運營してまいりますのには、最も適當な方法ではなかろうかと考えておるのであります。
 それから三十一條の關係でございますが、大體臨時物資需給調整法そのものが、御存知かと思いますが、やはりこれと同様の行き方になつておるのでありまして、二十三年の四月一日または經濟安定本部の廢止の時、いずれかその早い時というその時に、臨時物資需給調整法も效力を失うことになつておるわけでありまして、それと歩調を合せておるわけでありまして、こういう臨時物資需給調整法關係の物資については、大體同じような考え方でもつて書いておるわけであります。もつとも度々申し上げておりますように、この一年あるいは一年半くらいで、こういう配給統制を實施する必要がなくなる。從つて公團がもはや存續の必要がないという事態が、そう簡單にくるだろうとは豫想せられないわけでありますが、書き方といたしましてはそういうことになつておるわけであります。
#33
○坪井委員 ただいま十四條の「食糧品配給公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。」こうなつておるにかかわらず、希望があるから、しかも今までの經驗者でやることが妥當であるというふうに、ただ簡單に考えられておるけれども、この點についての説明がきわめて不滿足でありまして、そんならば一般民間の學識經驗のある者よりこれを入れるという方向に行くならばよろしいでありましよう、これで見ると官僚そのものである。こういう點についての見解を質問したのに對して、ただ今までに經驗があるから、そういう者を入れることが妥當である。こういうように言われておりまするが、その精神がどこにあるかという點から見ると、十四條の今の言葉は相反するではないか。かように考えまして、いま一應明確なるこれに對する御答辯を、井上次官からできますならば伺つておきたい。
#34
○井上政府委員 新しくできます公團法の役員について、從來の統制會社の、あるいは民間團體の人々を採用するのについて、これが政府職員になるということから、いろいろの疑義があるのでないかというお尋ねでございますが、政府といたしましては、要するに公團を圓滑に、公正妥當な方向に運營することが第一條件でございますから、その場合に、今までの統制會社の役員なりあるいは職員なりが、どうもうまくやつていない。特に一部の者には非常に不正、不公正な者があるというような者は、政府としては扱わないのでありまして、あくまでやはり公正妥當な、この人に任せておけば、十分責任をもつて運營してもらえるという責任のある人を選ぶのであります。もちろんそれ以外に、技術に、經驗に、學識に、この公團に入つて十分働らけるだけの能力のある人をどんどん御推薦を願いたい。そういたしますれば私どもの方も思い切つてやるつもりであります。何もこれは前の職員だけにわれわれ限つておるわけでありません。あらゆる有能な人をやはり入れて、公團を圓滑にやりたい。差當りは今やつておる人の中で特に經驗の多い人、またまじめにやつてもらえる人、この人人をお願いすることが、配給の上に最も圓滑ではないかという立場に立つてやつておるのでありますから、その點御了承願いたいと思います。
#35
○野溝委員長 ただいま法制局次長井手君が見えております。留保されておりました田口委員に質疑の繼續を許します。
#36
○田口委員 この前經濟安定本部長官にお聽きしたのでありますが、法制局から囘答してもらうということで留保になつております點についてお伺いいたします。經濟安定本部令第一條によると「經濟安定本部は、内閣總理大臣の管理に屬し」云々の規定があつて、また第七條には「總裁は、内閣總理大臣を以て、これに充てる。總裁は、部務について、その責に任ずる。」という規定があり、第八條には「總務長官は、國務大臣を以て、これに充てる。總務長官は、部務を掌理し、部内の三級官の進退を專行する。」と規定してあります。この條文から見ますと、經濟安定本部の最高機關は總裁であり、經濟安定本部全體の責任者は總裁であつて、安定本部長官ではないと思うのでありますが、この公團法によると實際の安定本部に關する一切の事務は安定本部總務長官がやる。その責任は安定本部長官がとるようなふうに書いてありまして、安定本部令とこの公團法との間に食違いが相當あると思いますが、法制局としては、どういう考えでかくのごときことを認めておるかという點をお聽きしたいのであります。
#37
○井手政府委員 この安定本部の組織及び公團につきまして、安定本部の總務長官等の權限につきましては、實は新しい制度を今囘出したのではございませんで、先般の議會を通過いたしました公團法も、大體同様の形をとつておるのでございます。しかしただいま御質問のありましたことく、この御質問は行政機構にとりましては非常に深刻であり、かつつつこんだ質問でありまして、特に今囘私からその趣旨を御説明をさしていただきたいと思います。
 そもそも安定本部令そのものが、從前の行政機構から見ますと相當變つた形をとつております。公團法も非常に變つた形をとつております。われわれのように法制を擔任いたしております立場から見ますと、なるたけ從前の機構に當てて濟むなら濟ましたい。從前の行政法の形で、はまつていくものははめていきたいというのが、大體法制局の考え方でございますけれども、とにかく安定本部ができ、公團法が生れんとしてきたゆえんのものは、この非常に行き詰つてきた經濟危局を打破していかなければならない。これを克服していかなければならないというような、重要な問題に當面いたしまして、それでこの安定本部そのものの存在は、この經濟危局を打破していく、短期間の暫定的な存在であります。またこの公團法制も、先ほどどなたかから御質問がございましたが、短期間存在していくのでありまして、この短かい期間には、從前の考え方をぶち破つて、なんとか結果を得ていきたいという大きな實質上の要求と、かつまたこれと從前の行政機構とをいかに合わしていくかというところに、私ども法制を擔任いたしておりますものの苦心があつたわけであります。しからばどの邊まで實質の要求を認めるかと申しますと、これはあくまで日本國憲法の許しておる範圍内でございますし、またいわゆる行政法理論の容認し得るところでなければならないと私ども考えておりまして、そのわく内におきましてこの要求をわれわれは充當して、安定本部會をつくり、またこの公團法の提案を見ておる次第であります。
 一般論を申し上げますと、そもそも安定本部總務長官は、もちろん補助部局の長でありまして、それ自體は行政官廳じやございません。これは御質問の通りであります。この點は總理廳の恩給局長のようなもので、ひとしく總理大臣という行政官廳の補助であるにすぎないのでありますが、個々の恩給裁定というような具體的な事務につきましては、これを總理大臣がその責任をとつて處分をしていくということはたいへんでございますので、恩給法という法律によつて、恩給の裁定という行政官廳の權限を與えております。内閣の官房長官、往年の書記官長も、同様に總理大臣の補助機關であるにすぎないのでありますが、總理廳部内の職員の三級官の人事につきましては、獨立官廳たる權限を與えております。これは事と便宜に從いまして、一面補助部局であるけれども、一面は獨立官廳たる地位を與えております。この極なるものはいわゆる外局であります。この經濟安定本部という大きな組織そのものとしましては、事あくまでも重要なことでありまして、あくまで總理が最後的に行政官廳たる地位をもつべきものであつて、これを單獨の大藏省とか農林省という省にわかつことができないような總合的な、いわば現在の政治のほとんど重要な部門をもつておるわけでありますから、各省にわかつことはできない。しからば總理みずからやるかというと、ここにございますように安定本部令の七條にありますように、全體の大きな立場においてはあくまで責任者である。しかし事と場合によつては最後の指揮監督の責任は維持しますけれども、こまかい具體的の、公團法に現われてくる處分とか、認可とか、こういうことを一々總理大臣がやつておつては、總理大臣の他の大局の面が失われる。從つて總理大臣のふところにはいつて、總理大臣を補助する立場の者に行政權限を與えていつていいじやないか。結局、上の責任は總理にあるけれども、具體的の個々の處分の責任は、安定本部總務長官というクラスの者に任していつた方がいいじやないか。これは各省にわかつことができない非常な總合的であり、根本的なものであるから、總理自體がもつていきたいけれども、しかし事は承認であつたり、許可であつたり、そういう具體的なことになれば、恩給局長が恩給の裁定をいたすと同様に、安定本部の總務長官に與えていいじやないかという考えで、一見するとやや矛盾するように見えておりますけれども、總理が上に立つて指揮監督をしておつて、個々の小さな、小さなといつても内容は大きいのでありますけれども、具體的な處分は、たとえばこの金は何錢何厘にきめるということにつきましては、補助部局たる安定本部總務長官に行政官廳としての權限を與えていつた方が一番いいだろうという考えで、つくつたのであります。從つてその限度においては行政官廳であります。この行政官廳は憲法によりましても、内閣法によりましても、あくまで總理大臣の指揮監督を受けておるのでありまして、總理大臣が行政各部を、内閣を代表として指揮監督する中にはいつておる以上は、總理大臣の權限に紛淆を來たすことはないという考えで、私どもはこの公團法を提出いたした次第でございます。
#38
○田口委員 實際問題として、總裁よりも安定本部長官が實際の事務をとる。だから實際にとる者を書いたのだ、從來の觀念とは違つたいき方をとるのだというお話でありますが、しからば今後實際に主務大臣とか、この公團法にも主務大臣というふうな抽象的なことで相當書いておりますが、將來この事務はだれだれがやるというふうに、實際擔任者を書くような法律の書き方に今度は改めるのですか。その點をお伺いしたいと存じます。
#39
○井手政府委員 ただいま申し上げました通り、各省の機構は行政官廳法できまつておりまして、大臣が行政の當局者となり、最高行政官廳は大臣であるという建前はあくまで堅持していきたい。事項によりましては、小さなものは財務局長とか營林局長であるという地方部局、あるいは引揚援護院總裁というような、いわゆる中央におります外局長官に與えることはありますが、大きな事項は今後といえども各大臣の權限にわれわれは維持していきたいと思います。具體的の問題が起りまして、そういうことでやつていけるか、あるいは特にこれを他の、從前で言えば補助部局であるようなものに與えるかということになりますと、その時々の問題でありまするが、大體においてわれわれは、各省では少くとも大臣以下の、局長あるいは次官というようなものに、獨立官廳たる權限を與えていきたくないと思つております。但し總理大臣は先ほど申しましたように、一面において内閣を代表して、非常に大きな政務をもつておられます。一面において行政としても、現在總理廳の包藏しております。行政の量は非常に多いのであります。從つて總理は上におつて、そのことによつて補助部局である外局の長官または内局の長官、たとえば恩給局長のようなものに權限をもたしていくことは相當起ろうかと思います。われわれとしては責任はあくまでも總理にあつて、その具體的の處理は、總理を煩わすのは困るというような兩面の要求が一致したときにおいてのみ、そういうことにしたいと考えております。
#40
○田口委員 結局行政事務を處理するのは長官にさせる、責任は總裁が負う。こういうお考えのようですが、これはこの法案だけを見ても責任の所在が三つになると思います。主務大臣と安定本部總務長官と總裁ということになると思います。特に總務長官が最後の責任者であるという規定が十六條、十七條、十九條、二十一條に規定されてあつて、責任もこの點については總務長官が負う。それ以外の點は總裁たる總理大臣が負う。それからその他主務大臣が負う。こういう三段の責任を負う機關ができるのですが、法制局はそれを認めておるのですか。
#41
○井手政府委員 各種公團法に、主務大臣に協議したり主務大臣の承認を受けて行う場合に、安定本部總務長官の責任が最終的であるということは書いてあります。これは少し耳新しい條件でありますが、各省が事實上の處分をする、あるいは各省に相談をして安定本部總務長官が處斷をするという場合においても、これはあくまで總合的な、全體的な經濟危機突破というところから起つておるのであつて、協議したり承認を求めてきたからといつて、それは安定本部の總合的な立場の責任を減殺するものではないということを明言したものであります。その規定がなくして主務大臣がそのまま出ておりますところは、これは主務大臣の獨自の權限でありますが、安定本部總務長官が承認を與えるとか、安定本部總務長官が協議をしてものを定めるという場合には、あくまで總合的な方の見地から處斷をやつていくのだということを、法文に表わした次第であります。總裁が責任を負わないということは安定本部令の方の問題であつて、公團法の問題というよりも、安定本部令の立て方だと思つております。これは内閣法あるいは憲法に基きまして、あらゆる行政官廳のやることについては、いかに法律で主務大臣に最終的責任があると書いてあつても、もつと根本にいきまして、憲法で總理大臣が内閣の代表として行政各部を統括する、指揮監督するということがある以上は、字がどうあろうとも、あくまで憲法にもどりまして、總裁である内閣總理大臣のところに最後の責任があるとわれわれは考えております。第二義的に、この法の運營については、他の省と關連がある場合においても、總合的の立場である經濟安定本部の方で責任を負うのだということを書いた考えでありまして、われわれとしては、この程度の制度は一向差支えないと考えて提案いたした次第であります。
#42
○田口委員 大體あとは意見になりますが、私はあくまでも責任を一本にすること、從來の制度というようなものを、輕々しく變更すべきでないという意見をもつておりますので、これは討議のときに主張することとして、この問題に關する質問はこれだけにして、次の問題をお聽きいたします。
 新憲法においては、總理大臣が國務大臣の上にあるということは、今も政府委員から説明された通りでありますが、各主務大臣は平等の原則に新憲法も立つておると思いますが、法制局はどう考えられますか。
#43
○井手政府委員 各大臣が閣議を構成して、そうして大きな問題をきめていくという場合におきましては、これはあくまで對等な立場でものを判定し、論議していかれるという見地において、できるだけ各省大臣は、他の行政官廳との關係において、各省は少くとも上に立つ、そうして各省は平等の立場に立つというぐあいにしていくのがよかろうと思います。しかし問題が行政官廳、行政を擔任していく役所という立場になつてまいりますと、法律論としては、どの官廳がこれを指揮する、どの官廳が承認を與えるというようなことをつくつても、これは憲法上は許されていると思うのであります。しかしただいま申し上げましたように、一面國務大臣として、閣議において最高の政策を平等の立場において論議していくという立場をとつておられますから、できるだけ上下の關係をもつとか、あるいはお互いが承認したりされたりするという關係はもたない方がよい。但し總理大臣はこの上にありますから、總理大臣の下にこれは立つことがある。この安定本部總務長官は、實は總理大臣のやる仕事を下請しておるというようにお考えを願うことによつて、許されるだろうと思います。
#44
○田口委員 大體閣議とかその他の重要な事項は平等だけれども、小さい事項は平等でない場合もあるということは、終始一貫していないこじつけな議論だと思います。私は新憲法の下においても、國務大臣平等の原則は堅持すべき必要があると考えております。しかるにこの法案を見ますと、主務大臣が安定本部長官の承認を受けてやらなければならないという規定が三箇所あります。しかもそれが安定本部の、いわゆる企畫官廳というようなものを逸脱したものについて承認を受ける。たとえば十四條二項の、給與とか服務の特例を定める規定を設けるのに、主務大臣は安定本部長官の承認を受ける。あるいは施設借入れの補償の金額を決定するのに、主務大臣が安定本部總務長官の許可を受けるというような、小さな、しかも安定本部の權限に屬しないようなものまでも承認を受けるということは、國務大臣平等の原則に反する失當の規定であると私は考えておりますが、法制局ではそれをどう考えるか、もつと合理的に説明していただきたいと思います。またそれと同様な考えで、安定本部長官が監督命令を出す場合に、農林大臣を通じてやるんだ、こういうことになつております。そうすると安定本部長官が、農林大臣にこれこれの監督をしろということを命ずるようなことに實質的にはなると思いますが、これは上になるという考えになつております。あるいはまた先ほど申しましたように、責任者を段階をつけて、最後の責任は安定本部長官だ、責任を最終でもつておるならば、權能もまた一段上にあるということを前提におかなければ、責任だけを負うということは成り立たない。責任のあるところには權能がある。責任に甲乙丙丁の順序があるならば、權能にも甲乙丙丁がなければならないと私は考えます。そこで最終責任というようなものを安定本部長官に與えておるということも、これは裏返してみれば、主務大臣の上に安定本部長官がのつておるということになると考えますが、これをもう一遍法制的立場から説明を願います。
#45
○井手政府委員 あまり長くなりますので問題のポイントだけをお答えさしていただきます。國務大臣としての問題について、われわれはあくまでも平等に最高政策を決定していただきたいと思いますが、ここに現われておりますのは行政官廳の問題であります、行政官廳間の問題は、憲法上總理大臣が上になつて指揮監督するということ以外に、別段の制限がございませんので、行政官廳同士の間においては、いずれがどの承認を受けるかということは自由に委れておると思います。但し先ほど申しましたように、一面において國務大臣たる立場をもつておりますから、それを行政官廳たる面から非常に制限をしてしもうというような結果はおもしろくない。從つてやむを得ない段階しか認めたくないと考えております。そうして安定本部總務長官は、先ほどから申しますごとく、總理大臣の身代りというような立場において、ここにわれわれは權限を與えるという規定を置いたつもりであります。經濟安定本部令は、第一條は、企畫立案の基本に關するもの、各廳事務の總合調整及び推進を扱うということにして、これは總理大臣の權限としてやつていく、それを實施にあたつては、部務を處理するという意味において安定本部總務長官がやつていくという考えでございます。
#46
○田口委員 大體その以後につきましても、これは意見になりますから、この點は質疑を打切ります。私の考えは、それならば、それならば總裁が上にあるのだからというのならば、全部總裁にすべきだ。安定本部長官という文字は全部削除して、總裁に代えるべきだという意見をもつておりますが、これは意見でありますから次に讓ります。
 もう一つ聽きたいことは、安定本部の性格が安定本部令に規定されておりますが、これはあくまでも經濟安定の緊急施策に對する企畫立案に關する企畫官廳であると私は考えるのでありますが、法制局はこれをどう考えておられるか、伺いたいのであります。
#47
○井手政府委員 安定本部は本來この第一條にございまするごとく、企畫立案の事務の總合調整、推進、施策の實施の監査、勵行というようなことが本體でありまして、第一線に出ていつて行政措置をしていくということは、本來はその性格としてもつておりません、ただし具體的な事項によりまして、安定本部をして第一線事務をやらした方がよいということが決定いたしますれば、安定本部令のわくの外に出て、それぞれの法律、それぞれの法令によりまして、これを許すことは法制的に可能であります。本來の安定本部令の第一條にない事項でありましても、これの實施のために必要な限度あるいはまた他の大きな要求のありまする場合には、これに附加することはできると考えております。公團法におきましては多少これに附加するような意味において權限を附け加えておると考えております。
#48
○田口委員 大體法制局の考え方は、安定本部は原則としては企畫官廳である。しかし立法で委任するならばそれもできるという話でありまして、それは當然のことであります。立法で委任すればできるのはあたりまえのことでありますが、われわれは委任するかしないかが問題でありまして、何ゆえに委任しなければならないかが聽きたいのであります。特に公團法の中に、今法制局の考え方でも、逸脱している部面もあるからということを前提に置いて、これはやむを得ないのだというふうに言つておりますが、私は農林大臣がやつても、絶對にこの公團の動きには影響ない。かえつて安定本部が自分の權限外の、性格外のことにはいることが二重行政になつて、事務を混亂せしめるというふうに私は考えます、そこでこの中で企畫以外のものにはいつていくものがたくさんあります。たとえば定款の認可及び變更というものは、これは農林大臣と主務大臣と安定本部長官が一緒になつてやることになつておるからまだ滿足できるとしても、設立認可は大體農林大臣がやるのに、解散命令は農林大臣がやらずに、これを安定本部長官がやるということが第七條にはいつておる。解散命令、しかもその命令の理由を会議して、兩方でやるのならばいざしらず、これを單獨に農林大臣にだまつてやるということは間違つておるのじやないか。これは安定本部の性格から逸脱しておる。あるいは安定本部令の規定から逸脱していると考えます。また十四條に、役員の給料を含む事項の特例を設ける場合には、安定本部長官がやつて、農林大臣はやらない。役員を任命するものが農林大臣であつて、その服務紀律や給料をきめるというような特例をきめるのは安定本部長官がやるということも、これは矛盾している。あるいは業務執行の指示をするというのも、農林大臣でなくて、安定本部長官がやる。これは企畫に何ら關係ない。それから販賣業者の指定條件を定めるのも安定本部長官がやる。ただ販賣業者の指定は農林大臣がやるが、その條件は安定本部長官がやる。これも、企畫に何ら關係ない。それから販賣業者の指定といえば、資産がどのくらいとか、あるいは倉庫をもつているとか、あるいは經驗が何年くらいとか、あるいは人物がまじめであるとか、信用をおけるというようなことであつて、何ら企畫官廳のタツチすべき問題ではないと私は考えます。あるいは業務方法を公團が定める場合においても、これを安定本部長官がやる、農林大臣は知らない。それから會計に關する考課状、財産目録とか、貸借對照表というようなものは、農林大臣に出さずに安定本部長官に出す、主務官廳が考課状、財産状況の報告も知らないでいて、安定本部長官が知るということは、明らかにこれは農林大臣の權限を奪つてしまつている條文だと私は考えております。あるいは公團が金が餘つたというような場合における納付命令も、これは主務大臣である農林大臣がやらないで、安定本部長官がやる。この金が餘つたとか、もうかつたとか損をしたというような問題は、何ら企畫とか計畫に關係ない問題である。純然たる行政事務だと思うのに、これが十九條一項にはいつているということも、おかしなことである。それから役員の報酬規定をつくるというのも、農林大臣でなくて、安定本部長官になつていることは、二十一條以降できめてあります。これも役員の任免權が農林大臣にあるのに、給料の方の決定は安定本部長官ということは實に紛らわしいし、これまた企畫官廳の域を脱している規定であると、私は考えます。また最もおかしいのは、二十二條の一項、二項の規定であります。農林大臣が役員を解任する規定は、いわゆる違法行為に對する解任權であります。法令に違反したとか何とかいうような、法令または定款もしくはこの法律に基いて命令に違反したときは農林大臣ができる。ところがそうでなく、いわゆる不當行為に對する解任權は安定本部長官にある。役員がその任に適しないとか、職務を適切に執行しないというような場合には安定本部長官、かように二つにわけた理由も承りたいし、またかりにわけるとするならば逆にしなければならぬではないか。違法處分については安定本部長官でもよいが、それを適任かどうかというような認定に基く問題を安定本部長官がやるということは、これは實にさかさまの規定であるというように考えるが、何ゆえに二つにわけたか、またわけたならば何ゆえにこういう違法處分に對しては農林大臣、不當處分に對しては安本長官というようにわけたか、その理由を特に承りたいと思います。あるいはまた一般民間から施設を借上げて、それにいくら拂うかという使用料の決定についても、農林大臣ではなくて安本長官である。政府の貸與命令を出すのは主務大臣でありますが、使用料の決定をするのは安本長官というようなこともあり、また施設の借上げの承認を與えるのも安本長官、事務所を借りる値段をきめたり、あるいは公團が施設を借りたから承認してくれというのも安本長官ということは、あまりにも企畫官廳の域を脱し、行政事務を紊亂させ、責任の所在を明らかにしないゆえんであると考えますので、この點を具體的に、これはこういう理由があるからこういう立法をしたのだということを、説明していただきたいと思います。
#49
○坂田政府委員 ただいまの御質問につきまして、いろいろの場合があるわけでありますが、先ほどお話がありましたように、安定本部に關します事務といたしましては、一番大きな問題といたしましては、經濟安定の緊急施策についての企畫立案の基本に關する事務であります。第二番目には具體的に申しますと、各廳事務の總合調整、第三番目には施策實施の監査及びその勵行という三つに相なるわけであります。その中で經濟安定本部の緊急施策の根本的企畫立案という問題に關連いたしまするのは、公團法の第一條にあります副當計畫及び配給手續の決定、それから十五條の割當計畫及び配給手續、竝びにこれらに關する指定の決定、これらがつまり基本的企畫立案の權限になるわけでありますが、これらは具體的に一つ一つ指定、指示するのではなくして、大體において指定の基準をつくるとか、あるいは全般的に計畫を決定いたしますのでありまして、この場合においては、その方針はもちろん閣議にかけて決定されるということであります。いろいろの指示のごときも政令その他として現われてまいる場合が多いのであります。それから販賣業者指定の設定、要件の設定、つまり十五條の第二項にある問題、十六條の業務方法の認可、十七條にあります半事業年度の事業計畫及び資金計畫、認可の問題といつたようなものになりますと、これは割當計畫及び配給手續の實行を確保するための權限でありますと同時に、各廳事務の總合調整をはかるということに關するものであると思うのであります。それから附則の第三十四條、いわゆる設立定款の認可の問題、それから定款變更の認可、あるいは第四條の役職員に關する給與を含むその他特例の承認、第十四條の問題は、あるいは第十九條五項の剩餘金國庫納付の件、第二十一條の特別報酬規定の認可、第二十三條の施設の使用料の決定第二十三條の資材の讓渡、補償金規定の承認の權限に關するものでありますが、これらは各公團に對します取扱いがまちまちにならぬように、統一的な取扱いをするために、各廳事務の總合調整を確保するための權限でありまして、特に關係方面等の連絡によつて決定される面が多いと思うのであります。次に第十九條の會計書類の半年毎の承認、檢査、あるいは二十條の監督助成の權限、業務報告の聽取、檢査、二十二條の役員の解任權、これらは監査權に由來するものでありまして、その監査の及ぶ範圍はもちろん基本的な割當計畫及び配給手續に則つて運用がなされているかどうか、及び各公團の取扱いの統一のため設けられました基準に、適合して運用されているか否かということに限られると存ずるのであります。大體さように相なつておるのでありますが、なお公團に對します關係において、安定本部は各省の上級官廳となるのではないかといつたようないろいろの懸念につきまして、公團法上總務長官が、各省大臣に對して直接指示するごとき規定はまずないと思うのであります。その必要がある場合は、もちろん閣議を經まして總裁であります内閣總理大臣が行うことになろうと思います。認可や承認の規定におきまして、主務大臣と總務長官が竝立的な場合、いわゆる定款の認可の場合、それからもう一つは主務大臣が總務長官の承認を得る場合、たとえば給與を含むその他の事項に關する特例の規定、十四條のような場合であります。第三番目には總務長官が認可または承認をする場合に、主務大臣または大藏大臣に協議する場合。これは先ほどの業務方法の認可といつたようなもの。十七條、十九條、あるいは二十一條に該當するもの。竝立的な場合につきましては別に問題ありませんが、(ロ)の主務大臣が總務長官の承認を得るという場合というふうになつておりまするのは、もちろん決定權は主務大臣にあると存じます。各廳事務の總合調整の見地からいきまして、總務長官が原案に修正を求める場合があることを規定しておると見ていただけばいいと思います。
 それから總務長官が認可または承認する場合に、大藏大臣に協議するという場合でありますが、主務大臣、大藏大臣及び安定本部長官はそれぞれ認可または承認の權限を與えますることも、各大臣の平等の立場から考えられるのでありますが、しかし安定本部の基本計畫の總合性を確保するためと、各廳事務の調整をはかる意味合から、安定本部において修正認可、あるいは修正承認する場合もあり得るのでありまして、結局において三省の意見が一致しなければ認可または承認の效力を發生させることができないために、この場合は申請者の便宜をはかつて、かかる規定を設けたと見ていいと思うのでありまして、從いまして申請者のため當該認可または承認の效力の發生時期、效力内容等を明瞭にしておくためには、最終責任を規定しておく必要があると思うのでありまして、この意味から最終責任が安定本部總務長官にあると規定しておりますることは、別に行政官廳といつたようなことではないというふうに了解を願いたいと思います。
#50
○野溝委員長 お諮りいたします。あと質疑を繼續されておる方が一、二名ありますので、田口委員の質疑は繼續を許すことといたしまして、午前中の質疑はこの程度で打切つて休憩したいと思います。一時半から再開いたします。
    午後零時三十九分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時十七分開議
#51
○野溝委員長 午前に引續き會議を開きます。
 この際お諮りいたしますが、食糧問題及び蠶絲、林業問題に關し、國政調査の承認を議長より得ておきたいと思いますが、國政調査承認要求書を提出することに別に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○野溝委員長 御異議なきものと認めます。それでは國政調査承認要求書を議長に提出することにいたします。
 この際お諮りをしておきます。付託されました食料品配給公團法竝びに油糧配給公團法に關しましては、大體質疑も盡されたことと思います。あと二、三の質問が留保されておりますので、これを許すことにいたしまして、本日は公團法に關する質疑はこの程度で打切りたいと思います。さよう御了承願いたいと思います。成瀬君。
#53
○成瀬委員 大體公團法に對するところの質疑應答は、ほとんど盡されておるかのように考えますので、この際委員長にお尋ね申し上げたいと思います。われわれが審議するにあたりまして、國會は最高の權威といたしましての立場から、政府提出のこの法案に對しましては、相當熱心なる質疑應答が交わされてまいつたのであります。しかしながらこの間におけるところの印象たるや、舊態依然たる状態である。何となれば古き議會におきましては、政府の立案せる議案を質疑應答をして、それを協贊するというような形であつて、立法の最高機關といたしましてのこの國會が、獨自の立場からこれを立案するという建前をとらなくてはならないという建前からいたしますと、今までの審議の面におきまして、まず統制の様式を獨占禁止法によりまして公團様式に改めたことによつて、何ほどの意義がそこに存在するかということにつきましては、われわれは後に來るべきところの人事の構成、機關の構成に對して、はなはだ疑わざるを得ないのであります。從つてこの政府提出の案に從いますと、統制會社を公團にする必要はさらにない。ものによれば生産者から消費者に至るまで四つの段階を通り、あるいは六つの段階を通りましていたずらに消費者階級の人たちの負擔を増加せしむるということに相なるのみであります。從つてそういつたような立場からいたしまして、私もこの公團に對しるる申し上げておるように、統制、すなわち資本家に對する官僚の統制様式によりまして、依然として消費者の犠牲がそこに生ずるものであるということをもつて、強く今まで質問いたしてきたのであります。こういう點に對しまして消費者の利益を代表するところの一つの協議機關と言いましようか、そういつた決定機關をもつべきであると思うのであります。またこの公團法のこれらの監督機關が、二重監督というか、二元的な監督によりましてやつていくことが、生産者はもとより消費者に至るまで少からず迷惑をこうむる、こういうように考えるのでありまして、過日も經濟安定本部の和田長官に對しまして説明を求めたのでありますが、どうも不十分と考えるのであります。從つてかような不十分の上に、さらに午前中におきましていろいろ質疑應答が重ねられたのでありますが、かような取扱いに對しまして、委員長獨自の立場から原案を修正して、議會本來の目的を達するよやうな意思が嚴然として存在せられるかどうかをお尋ねいたします。
 次に次官に對しましてお尋ねいたしたいのであります。午前中たまたまお答えの中に公團の役員の人選については、先例を主張せられておるということを聞いたのであります。國のあり方、議會のあり方、すべてがまつたく新しい構想のもとに今運營いたしているにかかわらず、この人事の點に對しまして先例を重んずるということは時代不認識もはなはだしいと考えるのでありまして、かような先例を重んずるということになれば舊態依然であつて、何ら公團としての改革すべき點が認められない。從つてこれらの先例を認めるというところの御意思が那邊にあるかということをお伺いいたしたい。もし先例ということを盾にとりまして、そうして、財閥、資本家の經驗、有能さということのみでなさるのではありましたならば、本公團は机上のプランに終るものであり、その害たるや、一般消費者階級にとつてはなはだしいものがあると考えるのでありまして、この點についてお尋ねいたします。
#54
○野溝委員長 私に對しまして、御鞭撻の御意見を織りこまれた御質疑のようでございますが、本委員會はあくまでも國會法に規定してある委員會でございまして、委員長は本委員會の意思を尊重いたしまして、これに善處するものでございます。政府が提案された法案に對しましては、國會は人民の代麦の立場におきまして、一つのそれに對する成案をつくりまして、國會に提出する、あるいは政府案に對しましては、それを修正する等の處置ができるのでございます。委員長は本委員會の意見を尊重いたしまして、それに善處するという考えでございます。さよう御了承を願いたいと思います。よつて委員會におきまして質疑が終り、その結果、その集結したものをもつて、國會にその案を提出したいと思つております。委員長としてくお答えは以上であります。
#55
○井上政府委員 公團の役員の選任について、先例を重んじてやるようだが、それは不都合ではないかという御質問でございます。公團をつくりますゆえんのものは、たびたび政府から説明をいたします通り、國民生活資材の中で、特に日常生活に絶對必要な必需品を選んで、公團をつくる方向に今進んでいるのでありまして、これは國民の食生活をあくまで確保し、同時にそれらの生活物資が公平に、完全に配給されるということを目的にしてこの公團はつくるのでありまして、この公團をつくる目的に反するがごとき役員の選任は、政府はしないつもりであります。この點をどうぞ御了承いただきたいのであります。少くとも公團を設立いたす目的に反し、この運營を利己本位な、あるいはまた從來と何ら變りのない考え方に立つて運營しようとするがごとき役員は、政府は選任しないつもりであります。また當然これにはそれぞれ設立委員が選ばれましようが、これらの設立委員會に對しましても、政府はその趣旨を十分含ませまして、御心配のないような方法をもつて、りつぱな人を選んで、この公團の設立いたします意義を失わないようにいたしたいつもりでありますから、どうかその點御了承を願いたいのであります。
 この際つけ加えておきますが、先ほども申し上げました通り、政府はこれが國民生活必需品を扱う關係上、この公團をつくりました後に、この運營が圓目のにまいらぬということになりますと、國民の生活上重大な支障を來しますから、その運營はあくまで合理的に、公正に行わなければならないのであり、それを行うについては、どうしてもそれらに長い經驗と實際をもつた公正妥當な人を選ぶ必要がある。しかしそれが今申します通り、公團設立の目的に反するということであつては、實際たいへんなことになりますから、そういう點はあらゆる角度から注意いたしまして、御心配のないような方法をとりたいと考えますから、さよう御了承いただきたいと思います。
#56
○成瀬委員 お言葉の表面的な點から考えますと、われわれそれで滿足いたすのであります。しかしながら長い經驗というような言葉の印象からいたしましても、その際にもう一言掘下げてお尋ね申し上げたいのは、この公團があくまでも消費者のためになされる公團であるとすれば、ここに生産者のそれらの面も考慮することは當然でありますけれども、學識經驗者であるとか、あるいは消費者の代表であるとか、その他の各種の方面の人たちを入れる御意思であるか。あるいはまた從來の統制の機構に携わつておる人たちの中から、公正妥當なる人を選ぶというのであるか。これらの點について一應お尋ねいたしたい。
#57
○井上政府委員 それらの點につきましては、設立委員會がつくられます。設立委員會は御存じの通り、政府がその委員を委囑することになつておりますので、この委員會において公正妥當なる人々が選ばれるのでありまして、政府からあらかじめこうこういう人を選べと言うことは、越權行為であると私は考えております。從つて設立委員會を構成するメンバーが、どういう人が設立委員になるかということが、この公團の役職員をきめる上において重要な任務をもつてまいるのであります。だから成瀬委員の御質問のような點については、われわれ十分その設立委員に對して、消費者の利益を侵さない、またこれを設立した意義を失わない、運營の公正妥當なる人を選ぶようにということについては申し上げますけれども、だれを選べ、彼を選べということは、政府としては出過ぎた行為であろうと考えております。あくまでそれは設立委員會が適當な役員を選任するということになつておりますから、そういう點については十分政府も注意をいたしたい。なお消費者の方面から、眞にこれらみそ、醤油、油糧等について深い經驗者、また實際このことのために、眞に熱心に働こうというような有能な方がありますならば、當然設立委員會にそれらの人々を推薦して採用願う方法もあるのでありますから、それらの點について、何も私は別に垣を設けるとか、あるいはまた採用方を拒否するというような態度はとつておりません。あくまでさいぜん申します通り、この公團が消費大衆の生活確保という上においてつくられるのでありますから、それに適合する人を選ぶということが絶對條件であります。これは附加えて申し上げておきます。
#58
○成瀬委員 くどいようでありますが、もう一點お尋ね申し上げたい。政府は公團を設立するにあたりまして、絶對責任をもつということはいうまでもないのでありますが、その監督機關であるところの政府が、だれはこうだ、ああだというところの干渉がましいことはできないということは、どなたが當選せられましてもその通りであります。いやしくも設立委員ができましたなれば、その設立委員の權限を侵すごときはとうていなされないことは當然であります。しかしながら、その設立委員にだれがなるか、また設立委員をいかなる母體において推薦するかということが問題になつてくるのでありまして、これらの公團の組織メンバーが各種統制會社の者であるということを一應頭の中に入れて見ますと、それらの統制會社は解體するが、しかし變つた公團が生れてくる。そういうような關係で、統制會社に推薦の權限をもたすとすれば、われわれが心配いたしておる點は、ここに實現しない。いわゆる政府におきまして、いかほどいろいろ御心配になりましても、すでに設立委員に對しましてその選擧方法が誤つておるということになるのでありますが、政府におきましては、どういうような方法で設立委員をこしらえるところの御計畫をもつておられるか。この點につきましてお伺いしたいのであります。
#59
○井上政府委員 設立委員の選任につきましては、今成瀬委員から御質問のように、公團の一切の問題を決定する重要な準備委員になりますから、從つてその人選をどうきめるかという問題については、きわめて重要でございます。その人選の方法でございますが、これらはおのずからその範圍というものはきまると思います。たとえば、みそ、醤油ならみそ、醤油に對して、最も深い經驗をもつておる人、あるいはまたこの面に學識經驗をもつておる人、あるいはいろいろの指導援助を與えた人、あるいはまた特に消費者代表としてりつぱな人、いろいろあろうと思います。それらの人々で、政府で必要と考えられる人を設立委員にお願いをいたしまして、一つの事業會社であるとか、あるいは統制會社の出店であるとかいうような資本關係、あるいは派閥關係、あるいはまた利害關係等を代表するのではなしに、一體消費者の利益をどう確保するかということを公團は目的にしておりますから、あくまでその目的に合致し得る、公正妥當な人を政府は選任したい。こういうつもりでおるわけであります。さよう御了承いただきたいのであります。
#60
○成瀬委員 大體それによつて了承いたしました。過日安本長官も、いわゆる協議會というような形をとれないので、公團の中にそういつた人たちをというような御意向があつたのでありますが、はたして何人がこの設立委員の權限をもつかという點について疑問をもつておりましたが、今の御説明によりますというと、われわれの疑問とする點、心配する點は大體了承いたしたのであります。願わくは、消費者という立場におきまして、政府は、勞働組合であるとか、あるいは消費組合であるとか、こういつた廣い面におきまして、人材をひとつ御推薦していただきたい。こういうことをお願いいたしておきます。
#61
○野溝委員長 この際、東北水害の視察にまいられました委員を代表いたしまして、圖司委員から報告を聽くことにいたしたいと思います。
#62
○圖司委員 私から、東北地方の第二班、秋田縣及び山形縣の水害地方を調査いたしました結果につきまして、概略御報告申し上げたいと存じます。
 私どもは、七月三十一日から八月九日にわたりまして、秋田縣の三大河川であります雄物川、米代川、及び子吉川の流域、竝びに山形縣の最上川、その流域にあります鮭川、日向川、月光川、そうした流域をくまなく調査いたしてまいつたのであります。出發にあたりましては、私どもは七月二十一日から二十四日の間にわたりまする第一囘の水害の状況を調査すべくまいつたのでありましたが、中途で、八月二日三日に思わざる豪雨、洪水に遭遇いたしました。私どもみずから慘憺たる水害の状況に遭遇したのでありまして、そうしたみずからの體驗を織入れまして、御報告申し上げたいと存じます。
 第一囘目の七月二十一日から二十四日の間にわたりまする水害は、多量の雨がありましたのと、しかもそれが豪雨であつたという點が、自然條件として氣象上見逃すべからざる大きな原因であると思うのであります。それに戰時中及び戰後を通じて、森林が過伐、濫伐せられておりましたのと、しかも治山治水の事業を怠つておりましたがために、にわかに降りました雨のため水勢を早めまして、山の方のあるいは岩石とか土砂というものが、一時にどつと下流に流れてまいりましたので、それが道路にあふれ、あるいは橋梁を破壞し、あるいはまた耕地を埋め盡す。こういう結果に相なつたと思うのであります。
 なおこれを行政的に觀察いたしますならば、治山治水事業は農林省が主管としてやつておつたと思いますが、河川改修事業におきましては、これが内務省の所管となつておりまして、その間セクシヨナリズムのために連絡統制がとれなかつた。たとえば河水の統制をいたしたといたしましても、農林省とは何らの相談がありませんでしたので、砂防工事をやつておらない。下流の方は河川改修をやつておりましたが、上流のかんじんの砂防工事を怠つておつたとか、あるいは山林を伐採するにいたしましても、奥の方を伐採することを怠りまして、なるべく平野部に近い方面から伐採をいたしておつた。しかも林相を整備するというような點に關しましては、何らの考慮も拂われておらなかつたというようなことが、この被害をして大ならしめた大きな原因であろうかと思われるのであります。
 現状につきましては、いずれ地方廳あるいは關係方面から御報告があるだろうと思いますから、この數字等は省略いたしたいと思います。しかも第一囘目の數字は一應まとまりがついておりますけれども、第二囘目に襲いました八月二日、三日の水害というものは、第一囘目から降り續きました霖雨のために、あるいは多雨のために土質が膨軟となつておりまして、地盤から表土が離れておつた。でありますから二日、三日にわたります豪雨のために、表土がすつかり洗い去られてしまつた。その結果耕地を埋め盡すようなことに相なつたのでありますが、その統計的な集計は未だなされておりません。なおまた日を經るに從いまして、洪水が引いたあとの冠水の状況、あるいはたんぼの流失、埋没の状況などは、ますます被害額を大ならしめるばかりでありますのと、そうした有形的な損害というものはここに統計に表わすことができましても、無形的な損害というものはこれを統計に表わすことができない。直接的な統計はこれをキヤツチすることができますけれども、間接的な、たとえば井堰を埋め盡したがために、わずかの日照りでも用排水に支障を來して旱害になる。そうした間接的な被害につきましては、にわかに集計することはできませんので、いずれの縣でも、あるいは地方事務所でも、町村でも、完全な統計は未だできておりません。
 こういうような關係からいたしまして、今ここに數字を羅列いたしますことは差控えたいと思いますが、概略大つかみにいたしますと、秋田縣のごときは、水田におきまして約五萬町歩に近いものが冠水したのではないか。そのうち流失、埋没いたしましたところの面積というものは五千町歩に及ぶのではないか。收穫におきましては、四割ないし五割の減收を見るのではないかと思われたのであります。山形縣は一部秋田縣寄りの郡でございまして、飽海郡とそれから最上郡一帶にわたります被害でありますから、總額におきましては秋田縣の比ではございませんけれども、それにいたしましても最上郡は平年作のおそらく五割減でございましよう。飽海郡は二割ないし三割減は當然計算せられると思うのであります。そうした被害を見ましても、いずれその状態が明らかとなるに從いまして、きわめて大いなる數字が現われることは當然でございます。
 私どもは、まず七月三十一日に秋田縣の院内地方に最初に足を印しまして、土砂降りの中を雄勝郡から平鹿郡へ、さらに北上いたしまして、北秋田郡から鹿角郡へと、各郡ともくまなく足を印してまいつたのであります。八月二日三日鹿角郡におりました時には、あの小坂鑛山及び小眞木鑛山の大きなダムがまさに決壞を見んとして、その鑛毒を滿々とたたえておりましたダムが、わずかに數尺を殘しまして、下の方は決壞し始めておつたのであります。地方民は涙ぐましいばかりの努力をもつて、これが防止に當つておりましたが、さいわいに橋を流されただけで、ダムの決壞は止まつたと聞いておりますけれども、扇田の町に出ました時には、犀川の堤防が切れまして、濁流が扇田の町を襲いまして、豚とか鶏とかの家畜類などが算を亂して逃げまどつておつた。町中は阿鼻叫喚の慘状を呈しておりまして、私どもはその間慘憺たる光景をながめて、自動車を進ますこともできず、ズボンを脱ぎ服を兩脇に抱えまして、歩き通し歩いて大館の町に出まして、さらに米代川の濁流をながめながら鷹巣町に泊つた。夜は夜もすがら半鐘の音と、消防自動車のうなりと、住民の阿鼻叫喚とを眞暗なところで聞いておつたのでありますが、このような慘憺たる光景を體驗して、遂に奧羽線を秋田に出ることができず、青森縣にまわりまして、弘前から五能線によりまして能代に出まして、能代から徒歩で秋田に出るとき、米代川の河口の能代にかけてありました、あの木橋の大橋が流れるのを眼のあたり見まして、秋田にはいつたようなわけでございまして、私どもの調査は、みずからの眼と耳とそれから足と、自分の心と身體とでまともにぶつかつてまいつたことを御報告し得るのであります。
 こうした結果、私どもはその後に來るべきものがより恐るべき結果をもたらすのではないか。たとえば農民經濟が極度に逼迫しておりましたところに、このような大慘害をこうむつたのでありまするから、土地改革が圓滿に遂行し得るや否やというような問題、あるいは直ちに緊急施策として耕地の復興に取かからねばならないけれども、農機具を流し、家畜を流し、肥料を流したところの農民が、はたして直ちに起ち上ることができるや否やという問題、戰時及び戰後を通じまして、打ちのめされた農民の肉體上及び精神上に受けました打撃が、いまだ囘復せざる間にこのような慘害に遭いまして、呆然自失たる結果が、將來に向つてどのような思想上の問題を殘すか、さらに道路橋梁などが破壞せられて、最も救援を至急に要します山間地方の部落が孤立いたしまして、救援物資は届きませんし、わずかな薪炭が山に滯貨して、これを賣りさばいて經濟を補う資といたします山間部落民が、道路橋梁が決壞したために賣るものも賣れず、買うものも買うことができないような、まつたく孤立經濟に取殘されておるようなこと、あるいはまた電信、電話その他文化施設が破壞されたために、流言飛語が亂れ飛んで、住民が非常に不安にかられておるようなこと、あるいは糞尿だとか堆肥だとか、そうした不潔物が濁水の中に混入いたしまして、それが濁流となつて床上床下を埋め盡してしまつたのでありまするから、その結果として當然傳染病の發生を豫期せられるということ、そうした間接的な被害を考慮に入れますると、その後に起りまするいろいろな不祥事を省察せざるを得なかつたのであります。私どもは到る所でそうした話を聽きながら、それに對する對策をどうすればよろしいかということについて、各方面の意見を徴してまいつたのであります。異口同音に地方民の申しますることは、まず物を先に送つてもらいたい。たとえば耕地を復舊するにいたしましても、あるいは農機具であるとか、あるいは木材であるとか、ボルトであるとか、釘であるとか、そうした物を至急に送つてもらいたいということ、それから全額國庫負擔で一切の復舊事業をやつてもらいたいということ、すなわちこれまで政府においてやりまする事業というものは、先に金が渡されないで、いつでも後になつて金が渡される。ところが人夫を頼むにいたしましても、資材を集めるにしても、まず先に金を握つておらなければ集まつてこない。現に秋田縣の北秋田地方、あるいは山形縣の最上地方などにおきましては、物は地方事務所で握つておりませんので、會社であるとかあるいは鑛山であるとか、そうした物をもつておる所から鐵線の融通を受けたり、カーバイドを融通してもらつたり、いずれは物で返すから、あるいは金で支拂うからというようなことで、應急的に間に合わしてはおりましたものの、何分にも政府の豫算の建前から、あるいは經費の支出の建前から、金錢の支拂いがおそくなり、物が支給されることがきわめて時を經てからなされるというようなことから、會社でも鑛山方面でも、物を融通することをしぶつておる氣配が見えるというようなことを、懇々として訴えられてまいつたのであります。さらに當面窮乏いたしておりまする轉落農家といいまするか、非常な生活困窮者に對しまして救助米を配給するとか、衣類だとか布團類とか、あるいは蚊帳だとか、そうした物が流されてしまいましたので、そうした物資を供給することにつきまして、萬全の對策を講じてもらいたい。そうした事柄を懇々として私どもに訴えておつたのであります。私どもは、そういう緊急の對策は、政府によつて一日も早く立てられなければならぬことを痛感してまいりましたが、同時にそうした緊急對策は根本對策に通ずるやり方でなければならぬということを、また深く考えさせられてまいつたのであります。今までは、先ほども申しましたように、内務省あるいは農林省、あるいは大藏省というような、各省間のセクシヨナリズムの結果といたしまして、各省まちまちの對策を講じ、その間に連絡統制も、あるいは總合的な施策も見受けられなかつたのでありまするが、そうしたやり方というものは、百害あるも一利なしの結果を生んでおるのであります。たとえば堤防などを見ましても、築くべからざるところに堤防を築いたがために、かえつて被害を甚大ならしめた箇所も、少くなく私どもは見受けてまいりましたし、あるいは河川改修にいたしましても、やらずともよろしい所をやつておつて、かんじんのやらなければならぬ所には何ら手を施しておらないという状況も見受けられた。つまり死金を使つておる所が多分に見受けられてまいつたのであります。そうとしますならば、ここに各省間の連絡をとり、統制を密にいたしまして、總合的な施策の上に立つた治山治水事業と、河川改修事業、あるいは土地改良事業というものが、渾然一體となつたところの對策を打立ててもらいたい、こういうことを希望するのは當然であろうと思われたのであります。さらに國民運動としてもう少し政府は温い心を被害民の上に及ぼしてもらいたい。いち早く政府はどのような救援對策を考えておるか、たとえば議會におきましてはどのような方策を講じ、一般國民の同情あるいは救援ということに對しましての、政府の施策はどうしたことを考えておるかということをば、一日も早く被害民の上に知らせるということが、現實の問題としてきわめて重大であるということを考えさせられてまいつたのであります。以上きわめて簡單でございますが、東北水害の窮状竝びに對策に關する地方民の要望を織りまぜまして、御報告いたします。
#63
○野溝委員長 ただいま圖司委員から東北地方、特に秋田、山形の視察の概況報告がありました。なお書面をもつて水害状況の調査報告書が委員長の手もとにまいつております。この第二班の報告書は諸君の了解を得まして、速記録にこれを留めて、皆さんのお手もとに配付することにいたしたいと思います。次に一班の報告を大石委員に願います。
#64
○大石(倫)委員 このたびの東北地方の水害調査として、私ども八名が本委員會より選ばれまして、第一班四名、第二班四名、私どもの班は民主黨の志賀健次郎君、國民協同黨の坪井龜藏君、日本農民黨の北二郎君と不肖の四名であります。
 一行は三十日東京を發ちまして、宮城、岩手、青森三縣下の實地調査をいたしたのであります。この一行に對して厚生委員會より委員一名の參加の申込を受けまして、ことごとく同件をいたしたのは、すなわち田中松月君であります。
 まず宮城縣の状況を御報告いたしますると、大體範圍は宮城縣の北部に限られておりまして、仙臺を中心とした附近及び南の方には何ら被害はありません。その主なる所は、遠田郡、栗原郡、登米郡、桃生郡、これらがその中心であります。しかして水害の最も大をなさしめました關係は、栗原、登米を貫流しております迫川の氾濫、堤防決壞、またその支派川であります夏川、あるいは北上川の決壞、さらに江合川と申す遠田郡における川の氾濫決壞等が主なるものであります。冠水面積は四萬二千餘町歩になつておりまして、收獲減收見込高は目下のところ十八萬石と見積られておるのであります。それは水田地帶でありまして、さらに畑作は大麥も刈りとつてまだ運び終らなかつたという關係で、大麥にも非常な水害があり、小麥は刈りとつたもの、もしくは刈りとらざるものが殘つておりまして、これらが非常な損害を受けました。その他じやがいもであるとかいろいろな畑作物の損害もこれに伴うほどの被害であつたことを申し上げたいと思うのであります。宮城縣の水害は大體昭和十六年、昭和十九年と、この七年の間に三囘の大水害がありまして、その被害地域は今囘の被害地域の大部分であります。殊に栗原、登米兩郡は十六年、十九年にも大被害を受けましたので、七年間に三囘、遠田郡では新聞にもありましたように、屋根に水が達した寫眞が出ておりましたが、あの地方ではさらに十五年の秋にも水を受けまして、四囘の水害を受けたのであります。その原因はいろいろございましようが、河川改修の未完成が原因であります。殊にはなはだしいのは江合川改修工事で、まことに奇怪至極な現状におかれておる。江合川とこれに隣るところの鳴瀬川は、宮城縣の阿武隈、北上を除きましては大河川でありまして、その沿岸流域の耕地は、宮城縣の穀倉と言われておる大崎耕土に關係のあるものであります。この鳴瀬川と江合川は、今より三十年前に改修工事の計畫が成り立ち、工事が起されておりまして、その工事は、鳴瀬、江合の合流工事というものがあるのであります。それで鳴瀬、江合を合流いたしまして、互に水流の調節をするという仕組になつておりまして、その合流工事のために、新河川を掘鑿いたしましたのは今より二十數年前、良田六百町歩をつぶして新川を掘鑿いたしましたが、今なお流水に至らないのであります。わずかに縣道に架する橋がかかつておらないとか、取入口の一部が完成しないとかいうような工事未完成のために、この三十年前に立てられました工事が未だ役に立つておらない。もしこの工事が完成しておりますれば、今囘の江合川における遠田郡の水害は絶對ないということを證明されるのであります。なぜならば、鳴瀬川の出水は先月の二十二、三日の雨にはわずか一メーターくらいのものであります。なお餘しておる水量はたくさんあります。それに反して江合川は、危險信號をなすべき線よりもさらに一メーター以上の水位になりましたために、左岸は決壞をいたしまして、數百町歩の水田が冠水し、皆無地、流失家屋、あるいは死傷等が生ずるような慘害を來したのであります。この合流工事ができておつて、この多くできた江合川の水を水位の低い鳴瀬川に流しこみますれば、鳴瀬川は海に注ぎますから、遠田郡の水害はなかつたということが證明されるのであります。いわんやこの江合川の川尻も、栗原郡を貫流しておる迫川と同じく北上川に注ぐのでありますから、北上川の水位が高くなりましたがために逆流を生じまして、江合川、迫川、北上川がいずれも大慘害を釀した一助にもなつております。迫川はさきに佐沼町というところから下流の工事が完成をして、川幅は非常に擴げられ、新川が掘鑿せられまして、下流における水害は大體除去されておつたのでありますが、佐沼町から上流の改修は昭和十六年に豫算の決定をいたしまして、同時に工事に著手して、下流の改修に用いました人力、機械その他の資源を直ちに活用すべきはずでありましたにかかわらず、時局に名をかりてこの工事が延ばされて、佐沼町の凶作地の開鑿ができないというような關係から、十六年はやむを得ませんが、十九年と今囘の二大水害を招來いたしまして、その冠水面積は約一萬何千町歩というのでありまして、この十八萬石の減收の大部分がすなわちこの迫川關係によつたのであります。この工事を特にわずかの工費をもつてやり得べきはずにかかわらず、政府が時局に名をかりてこういう工事を中止延期いたしておりました關係であります。この凶作地のすぐ上の方において迫川に流れこむ夏川、それから伊豆沼という大きな二千町歩近い沼があります。この伊豆沼から流れこむ荒川、この二本を加えまして、佐沼において流水が停頓して上流が決壞をいたした、こういうのが十九年、十六年、また二十二年における水害の現状であります。殊にこの水害について最もわれわれの注意を拂わねばならぬのが、圖司君の報告と同様出水時間が非常に短縮して、急激なる出水をいたしたという點であります。今まで十時間を要して出水いたしますところが、六時間で出水をいたした。これはどういう關係であるかというと、山林の樹木の濫伐であるということをどうしても見逃すことはできないのであります。これは戰時中における樹木の濫伐もさることながら、現在におきましてもこの濫伐の弊を絶つことができない現状にありまして、それは農林省の關係の治水治山と、開拓事業というものを結びつけて考えなければならない現状を悲しむものであります。開拓事業は食糧問題解決のためにたいへん重要であることはもちろんでありますけれども、實際開拓事業の行われておる事情をみますと、悲しむべき状態にありまして、かりに畑作におきまして米一俵に匹敵する増産を得たとするならば、その一俵のために既成耕地におけるところの五俵あるいは十俵の收穫を失いつつある。この開拓のためにある土地がその土地と毛上、すなわち立木とを取上げられて、これを開拓民に與える。開拓民は直ちに毛上を伐つて賣つてしまつて、開拓はおろそかになる。こういうことを聞きこんでおるから、むやみにそんなものにはいられてはつまらぬから、早く伐つてしまえということもあります。あるいは農地調整法による處分が民有林にも及ぶだろうというようなデマが飛んでおりまして、非常に人心が不安であるから、むやみに木を伐つております。ひとり國有林ばかりでなく、民有林も濫伐せられつつあるのであります。私はこの開拓事業の再檢討をすべき最も大切なる時期に際會しておるということを、この水害を通じてはつきり認識いたしたのであります。こういうような關係で、雨量は十九年に比較してむしろ少なかつた、出水量も十九年よりは一尺くらい低かつた、こういうようになつておるにかかわらず、十九年よりも被害の地域が擴大せられて被害が甚大であつたということは、この出水が早くなつたということ、それから樹木濫伐のために土砂の流出がおびただしかつたというような關係であります。私どもが宮城縣を見まするとき、この迫川左岸大巻という堤防が決壞をいたしまして、家屋が流失をいたし、そこから濁水が川下ばかりでなく川上に横溢いたしまして、約五千町歩が一帶に冠水をいたして、大減收のやむなきに至りました。中にも石越村、あるいは若柳の一部、あるいは石森町というようなものの冠水が今なお停滯いたして、完全なる引水をいたさないのであります。その大巻堤防の決壞土地から私ども委員は小舟に乘りまして一時間ばかり、水上雨降る中を實地に視察をいたしたのでありますが、それは皆水田の上でありまして、稻草のあるところより舟を漕いでおる水量は、二尺以上も水がたたえておつたのであります。石越村は宮城縣における相當の大きな村でありまして、水田千二百町、畑三百町。この千二百町歩のうち八百餘町冠水をいたし、現に五百町歩というものが皆無になつております。それに隣接する石森町、若柳また右岸における畑岡等は壞滅がたくさんありますが、この石越村と境をいたしております岩手縣の西磐井郡の永井村、油島村、涌津村は同一水増によつて被害を受けております。かような關係におきましてこの治水問題、治山、土砂打止の問題は、最も急速なる國家施設として、應急、恆久ともにやらねばならないことであろうと存じます。なお詳細なる數字は、なかなか調査がよく行き届いておりませんので、今はつきりとここに申し上げることができないのであります。
 さらに岩手縣にまいりましては、宮城縣の水害の内容とよほど異つた特異性を認められたのであります。岩手縣の水害は大體北上川を中心として、この川の濫亂による水害が例でありますが、今囘の豪雨はやはり七月二十二日、二十三日にわたつておりましたが、北上川の氾濫というよりも、山津浪の被害が多かつたのであります。すなわち中央山脈方面に降りしきりました豪雨が、にわかに谷間を傳つて出てまいりまして、土砂の流出あるいは堤防耕地の崩壞、埋没あるいは灌漑水路の埋没破壞等、まつたく宮城縣の水害とは異つた特異性をもつた水害でありまして、それに北上川が氾濫をいたし、被害を甚大ならしめました。殊に七月の二十二、二十三日のほかに、八月の二日、三日という第二囘の豪雨が、一段とこの水害を大ならしめましたが、それはさらにこの北上川あるいは膽澤川、和賀川、雫石川というような川の氾濫によるものであります。岩手縣には、御承知の通りさきに五大ダムを築造いたしまして、一石三鳥の計畫を立てられましたのが、まつたく適當な計畫であると存じておりましたが、この計畫は今もつて一つも完成しておりません。工事はあるいは著手を中止せられ、あるいは未著手のままに放任せられておるのであります。すなわち雫石川あるいは猿ヶ石川、和賀川、膽澤川、北上川の本流のこの上流に五大ダムが完成したならば、かような水害というものはなくなりまして、完全なる發電力も起り、灌漑力もでき水害の調整除去も行われるのであります。これらの問題は、このいわゆるわが國の穀倉であるところの宮城、岩手あるいは秋田、山形というようなところを侵しておるのでありますから、東北に對する觀念を改めて、この政治の普遍化をはかつていくことが、われわれ農林委員として政府にも警告し、また國會としてもとらねばならぬ途ではなかろうかと思います。岩手縣の冠水は宮城縣よりは少くありますけれども、それでもなお約一萬五千町歩にわたり、損害の概算は第一囘におきまして一億五千萬圓、さらに第二囘を加えますれば、二億圓ないし二億五千萬圓を突破しておるではないかと思われるのであります。
 さらに青森県におきましては被害東西兩津輕郡竝びに三戸郡の三郡でありまして、冠水面積約七千町歩にわたるというのであります。この損害もまた少からざるものでありまして、三縣を通じて米の減收のみをもつていたしましても三十萬石を突破するのではないかと考えられます。殊に青森縣は獨り水害に止まらず、この氣候不順のため冷害の型をもつておりますのでおそらく水害以外の土地におきましても、三割減の被害は免れなかろうと觀測せられておるのであります。わが國の食糧問題の解決の一大脅威をこの東北において見ましたことは、まことに悲しみにたえざる次第であります。なお詳細の數字は今調査蒐集中でありまして、日を改めて御報告申すことといたしたいと思います。なお私の御報告いたしました不足の點につきましては、坪井、北兩委員がおりますから、兩委員から、補足してもらうことといたします。
#65
○野溝委員長 お諮りいたします。水害の報告に關しましては第一班大石委員、第二班圖司委員から報告がありました。なお報告書はそれぞれ速記に止めることにいたします。なおこれが善後處置に關しましては、理事會を速急に開いてもらいまして、なお調査に行かれました一行の意見を參酌いたしまして、これに對する善後對案を立てたいと思います。さよう御了承願いたいと思いますが、いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○森(幸)委員 今圖司、大石兩委員の報告を承りまして、まことに東北の方方のお困りのことをお察しするのでありますが、われわれはこの際特に政府當局に要請いたしたいことは、日本におきましては七月八月九月が颱風の時期であり、また洪水の時期であるのであります。本年の稻作は格別なる事情のない限り大體順調なる成育を遂げておるのでありまして、ただ農家として心配いたしておりますことは、九月に入つてからの颱風の關係であります。ひとたび颱風が來らんかただいまも御報告されたことくに、ほとんど山林は極度に荒廢に歸しておりまして、十時間もつ耐水量が三時間あるいは五時間で出水になつてくるということは、いずれの地においても否定できない事實でありまして、非常に八月九月は心配されるときであるのであります。それがただいまも大石委員の報告されたことくに、できた結果においてああしておけばよかつた、こうしておけばよかつた、ここに政府の手落ちがあつたということを、その災害後に考えてみてもだめなのであります。特に食糧事情の窮迫いたしておる今日、せつかく粒粒辛苦でつくり上げたる稻作が、一晩のうちに、あるいは二晩の雨のために見る影もないような慘状を呈することは、實にその地方の問題だけではないのであります。どこかこの颱風時期を前にひかえまして、各府縣に農林省は指令されまして、土木事業についても、あるいは農林省の所管であるとか、あるいは内務省の所管であるとかいう所管爭いの問題ではありません、高所からながめて、萬一の場合にはどういうふうにやつてくれと、從來の洪水あるいは出水の記録は今日役立たぬのでありますから、十分各府縣に警戒されるように、農林省として善處せられんことを特に要望するのであります。かつまた視察されました東北地方に對しては、相當農林省においても手配されてあることとは存じますが、至急に手配されまして、地方の避難されておる農民諸君の苦境を、一日も早く救濟するような手段を講じられんことを望む次第であります。
 なおこの機會に一言委員長に私お願いいたしておきたいことは、從來議會におきまして、主務大臣は本會議であるとか貴族院に會議があるという關係で、なかなか委員會には出席ができ得なかつたのであります。豫算委員會に主務大臣をひつぱり出すのは非常な骨折りでありました。ところが今日の國會は、申すまでもなく委員會が中心であります。この委員會には農政に堪能なる井上次官が毎度出席されておりますから、あまりそれを必要とするのではありませんけれども、平野農林大臣がいま少しこの委員會を尊重されて、出席されんことを私は要望する。本日も農林大臣は宿舎を出られたことを私は見ておる。どうい御用があるのか知りませんけれども、いま少しこの農林委員會に對して、農林大臣は熱心に耳を傾ける必要があろうと私は考える。われわれ委員としても、かくのごとき冷膽なる主務大臣であれば、またもつて考えなければならぬことを申し上げておきます。
#67
○坪井委員 ただいま兩委員から水害に對する調査の顛末の大略の報告がありましたが、なかなか今後數字的にこれをまとめまして、この數字によつての對策ということは、應急、恆久を問わずたいへんなことと思います。從つて地元、いわゆる災害民の要望がたくさんあります。これは追つて各町村單位にまとめ、なお地方事務所あるいは縣を通じまして、それぞれ農林關係あるいは國土、あるいは厚生というようにまとまつてくるだろうと思いますが、この農林省所管に關するものは、いち早くとりまとめ願いまして、これに對する應急的の處置をとり、なおまた恆久的施設をいち早くやつてもらうことが最も必要だと考えております。私ども視察にまいりましても、ばらばらでありまして、地元民にたいへん御迷惑をかけたのでありまするが、今後の水害等につきましては、それぞれの關係におきまして分野がはつきりしておるのですから、やはり農林とか、あるいは國土とか厚生というものが同じときに出發してもらいたい。農林省も大名行列でたくさん行つております。各省からみな行つておるけれどもこれがバラバラであつて、結局行つたり來たりというようなわけで、便が非常に惡くて、私ども一緒に歩きましたが結局數字的にもこの調査がお互いに齟齬があるというようなことになりますと、過大すぎても困るし、過小すぎても困るということに相なつておりますので、この水害の今度の數字というものが、今後計畫をする上において非常に大きな影響をもたらしますので、私どもとしてもこまかい數字は發表いたしませんけれども、どうか一つこの衝にある農林所管に對しては、偽らざる數字、的確なる數字をつかんで、そうして應急的處置を講ずるとともに、恆久的處置を遺憾なく講じてもらうようにお願いいたしたい。なおまた委員會もこれにつきましては、ひとつ萬難を排してこれらの要望にこたえるように、いずれこの要望等については、いろいろ各縣の代表がそれぞれ陳情に參つております。なおまた今後も數囘行かれると思いますけれども、先ほどくれぐれも言われましたが、いわゆる金融の面、資材の面、食糧の面、衣料の面、これらに最も困つておる。なおまたこれは餘談になりますけれども、厚生の面では藥品に困つておる。クレゾールにしてもD、D、Tにしても、その他の、藥品が非常に少いと言われておりますが、醫療の要望がたくさんありますから、これらも一つ各省と連絡をとりまして、本委員會におきましても萬遺憾なきを期していきたい、かように考えておりますので、委員長におかれましても、過去における水害對策がいかにも緩慢であつたというのに鑑みまして、今度のこの東北の水害を初めとして、今度來るべき各種の災害については、いち早く機を逸せざるように處置を構ずべきだ。こう私は直感してまいりましたが、今度は委員會におきましても、私ども委員が四人行きました。大石先生は宮城縣、岩手縣を視察されましたけれども、あと青森縣へは參られなかつたので、私と北氏が參りました。なおまた民主黨の志賀健次郎先生も、青森にこられるつもりだつたが、何だか見えられなかつた。なおまた今度の水害の調査については、死力を盡して私どもは調査をして、豫定通り參りましたけれども、これらの調査すべき任務は重いのでありまして、少くとも何とか調査に行くならば、相當の準備がなければいかぬということと、なおまた現地にはやはり相當迷惑をかけます。でありますから、今後はこれらの調査團についても萬遺憾なきを期して、少くともこの委員會から派遣する場合においては、たれか指揮者というか指導者が附いて行つて、そうして脱落、あるいはまたその目的に反したる行動をとらないように、今後十分なる監督をして行つてもらわなければ困る。私どもはなはだ遺憾の至りでありますけれども、報告にあたりまして、杜撰な報告をしてお茶を濁すというようなことでははなはだ相すまない。こう考えておりますので、私は委員の一人といたしまして補足的に以上を申し上げまして、今後たびたびあるこうした調査につきましても、萬遺憾なきを期していきたい。かように考えましたために、これは委員長に特に念を押しておきます。どうかひとつ調査員が十分に調査の目的を果すよう、物心兩方面においても十分に再檢討すべしということも、一言附加えざるを得ない。今後これらにつきましても、委員長は微に入り細に入り、委員の意向を十分に忖度されるようにお願いいたしたい。かように考えております。
#68
○野溝委員長 お諮りいたします。先ほど私が皆様にお諮りいたしました通り、本問題は速急に對案をつくりまして、政府に要望するなり、その處置を講ずるなりするようにしなければならぬと思います。よつてただいま報告竝びに報告書にもとずきまして、それが對策の方針を樹立するように、理事竝びに視察された委員の方々と協議の上、即刻對案をつくることにしたいと思いますが、その點御了承を得ておきたいと思います。いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○野溝委員長 なおこの際森、坪井兩委員から、本委員會に對する希望がありました。森委員からの希望はごもつともでございまして、すべての法案は、從來とは違いまして委員會に付託されてそこで審議を開始するのでございます。大臣が見えないというお叱りでございますが、ごもつともなことでございます、政務次官も出席されておりますので、この點特に私からも言いますし、政務次官からも特に平野君に御通達を願いたいと思います。それから坪井委員のお話で、調査方針の確立についての御意見がありました。ごもつともなことでございますので、理事會におきまして後刻調査要項なり調査方針なりの骨子をつくることにいたしてもらいたいと思います。
 なおこの際おはかりしたいと思います。實は午後に委員の方で質問を留保されておる方があります。特に大藏大臣に對してと、それから安本方面でございますが、大藏大臣は午後見えるということになつておつたのでございますが、今聽くところによると、司令部へゆかれたという返事でございます。よつて大藏大臣に對する質問の點は、明日午後にお釀りを願いたいと思います。なお安本に關する質問でございますが、生活物資局長の坂田局長が見えておられますので、坂田局長に對する御質疑を願いたいと思います。では田口委員。
#70
○田口委員 午前に引續きまして、生活物資局長の答辯がありましたが、まだ了承しない點がありますので、あまり概括的に質問したので答えが概括的になつてわからないと思いますので、今度は一つ一つお伺いしたいと思います。先ほど申し上げました通りに、安本は第一條の規定通りに、まず原則として政策策定の官廳である。特にこれを具體化したものの中には經濟安定本部規定がありますが、その十一條に生活物資局においては、左の事務を掌るということで第一號から四號まであります。一號の中には「國民の合理的な物的生活水準の策定及び國民の物的生活水準の改善に關する政策及び計畫の基本に關する事項、二、生活物資の割當及び配給に關する政策及び計畫の基本に關する事項、三、經濟安定本部總務長官の指定する生活物資の生産に關する政策及び計畫の基本に關する事項、四、前三號に掲げる國民の物的生活水準策定及び改善竝びに生活物資の割當、配給及び生産に關する各廳事務の總合調整及び推進に關する事項。」
#71
○野溝委員長 ちよつと私から申し上げますが、先ほど法理論上の質疑に對しましては、意見の相違というところで一應打切られたのでございますが、なお生活物資局長に對する御質疑も、大體一點だけお話になれば、似通つたような點については例をたくさんあげないで、一點だけで質疑を打切つてもらいたいと思います。
#72
○田口委員 大體ここに書いてある通りに、明らかに政策策定機關であるにかかわらず、本法案においては非常に經濟安定本部令竝びに規程と逸脱した部面が、私をして言わしむれば十四ある。全部言いたいのでありますが、一點か二點ということでありますから、そのうち特に拾いたいと思うのは、二十二條の一項に「主務大臣は、食料品配給公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。」二項で「經濟安定本部總務長官は、食料品配給公團の役員が食料品配給公團の目的及び業務に關して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。」こういう規定があります。すなわち主務大臣ないし農林大臣は、食料配給公團の役員が、法令、定款その他法律にもとずく命令に違反したときだけはこれを解任することができるという規定があり、安本長官はその任に適せない。あるいは職務を適切に遂行しないというような、不當行為に對して解任權をもつておる。何ゆえにこれを二つにわけたのか。私をして言わしむるならば、これを二つにわけたとしても逆になるのじやないか。直接の監督機關は農林大臣でありまして、その行為が適任であるかどうか、あるいは職務の遂行が適切であるかどうかという認定は、まず農林大臣がやるべきが至當であるというふうに考えるのでありますが、これは何ゆえに二つにわけ、しかもこういう規定を、逆にしたかということを、御説明願いたいと思ひます。
#73
○坂田政府委員 お答えいたします。食料品配給公團、すべて公團に關しましては、非常に臨時的なものでありますし、經濟の緊急對策としては短期間のうちに基本計畫を樹立し、その計畫に基いて責任を完遂していくという方向に向わなければならぬという本質上の問題からくるわけでありまして、つまり經濟安定本部におきまして、先ほど申しましたように基本的な計畫を樹立し、十分それが行われるように追及していくというところにありまする關係からして、この役員問題につきましても、法令違反その他法律にもとずいてなす命令に違反したといつたような、一般的に行われるものにつきましては、もちろん主務大臣がこれを解任するということになるのでありますが、目的及び業務に關してその任に適しないという場合においては、經濟安定本部においてこれを解任する。かようにいたしてあると思うのであります。
#74
○田口委員 どうもその問題についても私には納得できません。一例をあげますと、委員が惡いことをした、あるいはどうも出勤率が惡い。とにかく不公正であるとか、怠けておるというような場合には、安定本部がやるのですが、それとも主務大臣がやるのですか。
#75
○坂田政府委員 お答えいたしますが、つまりこの二十二條の第二項に出ておりますのは、第一條の目的及び業務に關して不適任であるというときには解任するということになると思います。
#76
○田口委員 どうも、わからぬですが、今具體的事例としてあげたことで、とにかく怠けている、出勤率が惡いという場合にはどれにあてはまるか、安定本部がやるか、主務大臣がやるか。
#77
○坂田政府委員 怠けておるとか何とかいつたような問題でなくして、つまり目的及び業務に關して、これではいわゆる公團の事業が完遂できないということを認めた場合でありまして、怠けるとか言つても、どの程度か具體的にならぬとわかりませんでしようが、少し怠けた場合にはどうするとかいつたような具體的の問題になると、それはお答えできかねますけれども、結局公團の目的及び業務に關して、これではいかんといつた場合でありまして、常識的に解釋されることになろうと思いますけれども、そういうことであろうと思います。なおこの問題はもちろん主務大臣なり、經濟安定本部等において、十分業務上はいろいろ連絡もあることであると思いますから、いろいろの場合においては、お互いに協調をとつて、相談しあつていくということになろうかと思います。
#78
○田口委員 私は例をあげて、そういうような場合には結局違法行為がないのだ。違法行為がないのだから、それは不當行為といつても違法行為じやないのだ。そういうような違法行為でない場合において、安定本部長官がやるということはおかしいのじやないか。違法とか、計畫に違つているというような場合に、安定本部がやるのだというふうに解釋するのに、それに對してどういうふうに考えるか。そういうふうにあるべきじやないかというように、それに對して聽いておるのであつて、よい、惡い、首を切るときにはいつ切るかというようなことを廳いておるのじやない。そういうような不當處分の場合において、安定本部がやるのはおかしいじやないか。しかしこの私の質問は實際は法制局長官に聽きたいのであつて、安定本部の人が責任をもつて囘答して、それを政府の意見としてわれわれ了承して、まず差支えないかどうかを先に聽きましよう。
#79
○坂田政府委員 御質問の趣旨ははつきり私にもわかりませんけれども、この第二項は第一條の目的に反するような、業務を執行することができないという場合において、安定本部長官においてその解任をするということに解釋申し上げて御了解を得たいと思います。
#80
○田口委員 私のはそういう場合にはそれでもいいのですよ。ところがそれではない場合、やはり不當行為の場合においてどつちにはいるかということなんです。それがこの規定では農林大臣じやなくして、安本長官になつているのはおかしいじやないですか。
#81
○坂田政府委員 それは第一項にはいつていないことで、全般において怠けて、業務に關してその遂行ができなくて、目的を達しられないというような場合は、もちろん第二項の中にはいると思います。
#82
○田口委員 あとは議論になりますから私はこの程度で打切ります。とにかくこの問題につきましては、ひとり私は自分だけの問題でなく、安定本部の性格及びそれを代表する官僚が、政治機構に相當大幅に介入をしてくる點を恐れますので、この點からも安定本部の性格を明らかにしたいと考えまして、非常に長たらしく質問したのでありますが、不幸にして、私の考えておることと、安定本部の説明とは、全然食違いがあつてわかりません。あとは私の意見として後刻の機會に讓りたいと思います。先ほど法制局以外の方からお答えを得た分の解釋については、政府の意見として私たちは了承して差支えないかどうかを農林次官に聽いておきたいと思います。
#83
○井上政府委員 大體さいぜん法制局當局から御説明をいたしました點については、當然そういう方向にまとめあげることに公團法としての性格はきまつておるのでありまして、このことにつきましては、前議會でも相當問題になりまして、それがようやく審議の結果議會との了解がついた問題であります。ただ新憲法が實施されまして、實際この案文を見てみますと、いろいろな點に割切れない點があると思います。しかしこれはわれわれと議會との間において、十分その認識の相違についての懇談を遂げたならば、ある程度の了解がいくであろうと考えますので、そういう點については何も議會の意見を無視し、政府の意見をあくまで通していくというのではなしに、いかにりつぱな法案をつくるかということが目的でありますから、われわれはそういう方向に向つていきたいと考えております。
#84
○三堀政府委員 しばらく前に重富さんから御質問がございまして、お答えを保留いたしておきました、公團の責任が有限か無限かという點につきましてお答をいたします。この點につきましては、いろいろ法制局とも相談したのでありますが、結局法律的に申しますと、法人の責任が有限か無限かというのは、その法人が、個人竝びに法人等を構成員といたしております、社團法人的な性格をもつ場合において、有限か無限かということが問題になるのであつて、この公團のごとき財團法人的な性格をもつものに對して、その性格について有限か無限かを論ずることは、法律上むしろおかしいのではないかというような考え方であります。つまり個人なり法人なりが構成員である場合に、その法人が單なる法人の有する財産のみに止まらず、さらに構成員としての個人なり法人なりにまである限度無限に責任を追究する場合に、初めて有限無限ということが問題になるのであつて、財團的の性格においては、有限無限ということが一應法律上は問題にならないというように申していいと思うのであります。半面から申しますと結局財團的性格をもつ法人については、そのもつておる財産を限度としてしか責任は負わないのだ。こういう意味においては、常識的な言葉で言えば、責任は有限だということになるかと思います。ただそう申しましても、この公團が法律的にも政治的にも、その責任を有限で滿足しておるという意味ではないのでありまして、ごらんの通りこの公團法案の中には、法人が破産するという場合は豫想しておらないのでありまして、破産の規定を設けておりません。この公團は、繰返して申しますように、國家の重要なる食料品の配給に關する業務を擔當する國の別働的な人格をもつ團體でありまして、それが損失するということは豫想できないのでありますが、もし損失があつて破産的なことに陷つて、もはやあと仕事が續けられないことになりますと、國家の重要な政策を行うこともできなくなるわけでありまして、こういうことは當然われわれといたしましても、想像できないのであります。從つてそういう場合においては、法律上何ら責任はないけれども、政府としては當然政治的な十分な責任をもち、もしかりに大きな損失を負う、赤字を出すという場合におきましては、當然一般會計から適當な金額を補給することによつて、この公團のその後における運營に、支障のないようにやつていくというのが當然であろう。こういうふうに御了承願いたいと思います。
#85
○野溝委員長 お諮りいたします。小川原委員の質疑に對する大藏大臣の答辯が、留保されておるのでございまして、大藏大臣は明後日でなければどうしても出席できない。こういうわけでございます。それで明後日食料品竝びに油糧の配給公團法案に對する審議を、繼續することにいたしたいと思います。
 なおこの際、九日の日附でもつて委員會に付託されておりまする飼料配給公團法について、一應政府から御説明を聽いておきまして、付託されました食料品竝びに油糧の配給公團法と一括いたしまして、明後日審議することが非常に便宜と思いますので、この際飼料配給公團法を議題といたしまして、まず政府の説明を求めることにいたしたいと思いまするが、いかがいたしましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○野溝委員長 それではさよういたします。井上政務次官。
#87
○井上政府委員 それではただいま議題となりました飼料配給公團法案の、提案の理由を説明いたします。
 畜産の基礎である飼料については、昭和十三年以來、飼料配給統制法に基く一元的な集荷配給機關である日本飼料株式會社の運營によつて、統制してきたのでありますが、最近における飼料需給の状況は、相當逼迫してきておるのであります。今昭和二十二年の需給状況の推算を申し上げますと、需要三百二萬トンに對し、供給は百四十八萬トン程度にしか、見積り得ない状況でありまして、差引約百五十四萬トン以上の大幅の供給不足が存在すると、推定せられるのであります。このような供給減少の理由は、昭和十四年において百七萬トンの輸入があつたものが、昨昭和二十一年においては輸入食糧副産物を加えても、わずかに約四萬トンに止まつたこと、及び國内食糧管理の強化竝びに飼料資源の食糧轉用等をあげることができるのてあります。
 このような事情のため家畜の能力は低下し、家畜の數は激減し、ために農業生産力の低下はもとより、牛乳の生産は減退し、食糧の供出にも惡影響を及ぼし、輸送にも重大な影響を與える等、きわめて廣汎深刻な影響を、國民經濟に及ぼしているのであります。かかる飼料不足に對處いたしましては、まず農業生産力増大の見地から、畜産を取入れた農業經營の合理化の方途及び範圍を確立し、その結果農業經營の輪作化、適當な飼料作物の栽培による耕地利用の合理的増進をはかるとともに、國内飼料資源を合理的かつ徹底的に活用することが第一義でありますが、その他農業副産物の利用増加、草その他山林牧野の未利用資源の利用促進をはかる等、自給飼料の確保を期したいと考えております。しかし當面の不足を補うために必要な飼料の輸入懇請については、特に政府としてももとより努力しておる次第であります。このような飼料需給の事情のもとに、この少い飼料資源を重點的、合理的に活用して、乳牛、飼料、輓牛馬飼料、種畜、種禽飼料その他配給に依存する家畜、家禽に飼料を配給することは、畜産の推持發展をはかる上からはもちろん、國民經濟上重要なる農業生産力の向上、牛乳の確保、輸送の確保及び食糧の統制自體のためにも必要であるのであります。しかるに飼料資源の現状において、この重點配給を行うためには、集荷配給を自由に放任することなく、何らかの機關において強力に遂行する必要があるのであります。從來はこの機能を飼料配給統制法に基き、日本飼料株式會社が行つていたのでありますが、獨占禁止法の精神により、この種機能は民間會社でこれを行うことができなくなつたのであります。しかし飼料需給の現状では、ここに申し述べますように、これを放任することができないのでありまして、この操作を公團形式によつて、政府みずからの責任において遂行することが、適當であると考えるに至つたのであります。これと並行していわゆる切符制によつて、飼料の配給を行うのでありますが、御承知の通り飼料は總量が少い上に、非常に種々雑多でありまして、食糧加工製造の副産物も多いので、飼料として生産が計畫的に行われないので、切符制のみでは統制しがたく、また種類の多い飼料資源の榮養價値は、物によつて相當開きがあるので、なるべく完全な榮養價値のあるものを供給するためには、いわゆる配合飼計の形で配給することが必要でありますが、このためにも一手に集荷配給する機關がないと、この操作がうまくやれないのであります。その他需給に機動性をもたせるためにも、ある程度豫備貯藏をなし得ることが必要であり、また飼料輸送の圓滑、生産配給の徹底、飼料價格の安定等のためにも、公團形式による把握を適當と考えるのであります。
 以上のような考えで飼料配給公團を設立することを考慮したのでありますが、飼料配給公團は大體他の公團と大同小異であります。政府はこの公團設立によつて飼料の重點配給を確保し、農業生産方の向上、牛乳の確保、輸送の圓滑、食糧統制の確保等をはかりたい所存であります。
 本法提案の理由は以上の通りであります。何卒皆様御審議の上、速やかに御協贊あらんことをお願いいたします。
#88
○野溝委員長 本日はこれにて散會いたします。
   午後三時五十九分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト