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1953/07/17 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 労働委員会 第14号
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1953/07/17 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 労働委員会 第14号

#1
第016回国会 労働委員会 第14号
昭和二十八年七月十七日(金曜日)
   午前十一時三十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     栗山 良夫君
   理事
           井上 清一君
           田畑 金光君
   委員
           伊能 芳雄君
           田中 啓一君
           宮澤 喜一君
           吉野 信次君
           梶原 茂嘉君
           阿具根 登君
           吉田 法晴君
           寺本 広作君
           堀  眞琴君
           市川 房枝君
  国務大臣
   労 働 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
   通商産業省公益
   事業局長    中島 征帆君
   労働政務次官  安井  謙君
   労働省労政局長 中西  実君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       磯部  巖君
   常任委員会専門
   員       高戸義太郎君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
  説明員
   労働省労政局労
   働組合課長   山崎 五郎君
  参考人
   東京大学助教授 磯田  進君
   東京都立大学教
   授       沼田稲次郎君
   早稲田大学教授 野村 平爾君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○電気事業及び石炭鉱業における争議
 行為の方法の規制に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○労働情勢一般に関する調査の件
 (ピケツトの正当性の限界に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。
 本日会議に付する事件は、電気事幸及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(予備審査)、地方公営企業労働関係件の一部を改正する法律案(予備審査)でございます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○梶原茂嘉君 私はスト規制法案に関しまして若干の質疑を労働大臣にしたいのであります。その前にこれは委員長に私の希望を申述べることをお許しを願いたいと思います。
 私は御承知のように新らしくこの委員会に参加したのでありますが、先日来のスト規制法案審議に関連いたしまして、当委員会で行われました論議を拝聴いたしておつたのでありますが、当時の状況から見まして、こういう状況で果してこの重要な法案の審議に参議院の委員として万全にその職責を果し得るかどうか、実は非常に憂慮したのであります。幸いに委員長の格段の御配慮でこの審議が軌道に乗つて参りましたことは非常に喜ばしいことで、委員長の御配慮には私感謝申上げるのであります。ただ併しながら残されておりまする時間もそう多くないのでふります。今後この法案の審議に関しまして万が一にも遺憾の点がありますると残念に思うのでありますから、そういうことのないようにこの上とも一つ御配慮をお願いしたいということを希望いたします。
 なお資料をお出しを願いたいのであります。それは電産関係の争議行為によらない電気聖業の停電のこれまでの概況であります。終戦後しばしば停電が行われ、そのために国民生活の上におきましても、国民経済の上におきましても大きな脅威と影響を与えましたことは御承知の通りであります。私はストの争議行為による影響を考えまする上において、ストの争議行為以外の原因に基く停電の実態というものをこの際検討することがやはり必要と思うのであります。これは通産省関係の所管かと思いますけれども、委員長よりその資料の提出方をお願いしたいと思います。なお、私はそれらの点に関して適当な機会に通産大臣の御見解を伺いたいという考えを持つておりますので、あらかじめお含み置きを願いたいと思います。
 スト規制法案についての私の質疑は、法律の問題、憲法との関連の問題、労働行政よりの問題等、各般に亘るのでありまするが、本日は主としてこれまで行われましたいわゆる電産争議の実態についてお伺いしたいと思うのであります。労働大臣の本法案に関しまする提案理由の説明を私承わり、又速記によつて御説明も数回読んだのでありますが、極めて合理性に富んでおり、いわゆる大臣の用いられまする社会通念からいいますると極めて尤ものように響くのであります。併しながら御説明と現実の事態とを比較してみて参りますると、どうも私はその間に相当の隔りがあるような感じを禁じ得ないのであります。御説明の節々は非常に合理的であり妥当性に富んでいるのでありますけれども、これを現実の事態に当てはめてみますると、どうもそこに大きなギヤツプがある感じがするのであります。そういう観点と、又今回のスト規制法案提案の直接の動機、又立法の唯一の原因というものが、従来のいわゆる電産ストの実態及びその体験、特に昨年秋から冬にかけて行われましたあのストにあるわけなんです。そのことは大臣も説明をされておるのであります。従いまして私はこの法案を審議する上において、これまでの電産ストの公正な又的確な分析をするということが絶対的に必要であると思うのであります。終戦後たびたびと申しますか、私はよくは承知しないのでありますけれども、数回の電産ストが行われたと思います。昨年冬のストは規模において大きかつたことは確かであります。それで私は第一に従来行われましたスト、昨年のものを暫らく除きまして、それまでの電産ストの実態の分析、それに対して政府は如何なる見解を持ち、如何なる措置をとつて来られたかということを先ずお伺いしたいと思うのです。勿論これはその間政府も変り、責任大臣もお変りになつておるわけでありますけれども、労働行政の観点からいえばそういう点は明確になつておることと思います。又そうでなければこの法案を提案されることはあるまいと思う。それらの点について御説明を一つお願いしたいと思います。
#4
○国務大臣(小坂善太郎君) 誠に御尤もな御趣旨でございまして、何かの措置を講ぜんとすれば、先ずその原因を究明しなければならんことは御説の通りであると考えます。そこで只今御指摘の電気事業並びに石炭鉱業というものは、我が国におきまする最大の基礎産業中の基礎産業ともいうべきものでございまして、この産業中におきまする労使の関係はそれぞれ非常に大規模なものでありまして、且つ全国的な組織に跨がつておる強固な基盤を有しておるものでございます。従つてその間の争議というものも常に長期化の傾向を持つものでありましたのですが、御承知のごとく占領下におきましては占領軍の仲介若しくは勧告によつて解決せられたものが多いと考えております。併しながら独立後におきましては、殊に昨年の場合は労使それぞれ非常に自主性によるところの問題の解決を強力に主張いたしまして、第三者の介入というものを排除する傾向にあつたのでございます。昨年の争議につきまして後ほど又申上げたいと存じますけれども、それ以前のことにつきましては、むしろ事務当局から経過を御報告申上げたほうがよろしいと思いますので御了承願います。
#5
○説明員(山崎五郎君) 昭和二十一年以来の電産争議の概要を申上げます。
 先ず第一に、昭和二十一年九月争議、即ち労働組合発足後間もなく、本格賃金並びに協約の問題で争議に入つたのでありますが、二十一年十月十二日から十二月二十日までサボタージュの争議行為に入つております。なお十月十九日十八時より全国五分間停電に入つております。十月二十三日午前中は主要工場の停電行為がなされております。これに対しまして当時商工大臣星島二郎氏は入江電産委員長に対して停電ストは労調法に違反し、電気事業法第三十五条にも抵触し、占領目的をも阻害する虞れがあるとして善処を要望いたしました。十月二十三日東京検事局木内検事正と鈴木警視総監の連名で、組合に対し五分間停電と重要工場に対する送電停止は労調法第三十七条並びに電気事業法第三十五条に違反する旨の警告を行なつております。続きまして昭和二十二年の九月争議でありますが、この争議が又蜿蜒延びまして、昭和二十三年三月十八日、茨城、群馬、新潟の一部に停電が行われております。十九日東京、神奈川に一部停電が行われております。併し両日とも一般家庭に対しては停電は行われておりません。二十一日千葉、群馬、埼玉、山梨の一部に停電が行われております。
 第三に、昭和二十三年七月争議でありますが、これは二十三年六月八日に福島県猪苗代発電所に電源ストが行われ、六月三十日群馬県利根分会岩室班で二時間の電源ストが行われております。なお、七月一日静岡県大井営業所においては短時間の電源スト、同じく七月二日静岡県掛川営業所において短時間の電源ストが行われております。七月末から八月にかけ関東、関西、東北の一部にストライキが行われております。九月二日から同月九日まで傘下組織で電源スト、停電スト、事務スト、野放し送電が行われております。十一月二十一日から二十三日まで京王、帝都両私鉄各線に三十分間の停電ストが行われております。なお同日都内大口工場に対して一時間の停電ストが行われております。十二月十三日東京都内大口工場に対して夜間の停電が行われております。なお十五日一時間の停電及び主要官庁に対して停電が行われております。この争議に対しては時の加藤労働大臣は九月十七日中労委に強制調停を請求するに当りまして、停電ストの指令によつて全国各地に各種の争議行為の頻発を見るに至つているが、電産のごとき公共性の高い基礎産業においてかような行為に出ることは、組合運動と組合員にとつて不幸な事態を招来するという談話を以て警告を発しております。
 次に昭和二十四年一月争議でありますが、このときは二十四年二月二十六日より四月三日まで停電スト及び事務ストが行われております。次に昭和二十四年六月の争議でありますが、これは六月十八日事務スト並びに業務ストが行われております。昭和二十四年十月争議におきましては、二十五年の二月二十日より二十三日まで北陸三分会で野放し送電並びに電源スト、停電ストが行われております。三月九日から十六日までは第一次停電スト、三月十七日から二十二日までは第二次停電スト、二十三日から二十五日までは第三次停電スト、二十六日から二十八日までは第四次停電スト、二十九日に第五次停電ストが行われております。
 なお、昭和二十五年八月の争議でありますが、十二月十五日停電スト、十二月十八日、十九日停電ストが行われております。昭和三十五年十一月争議、これは昭和二十六年の二月十八日事務ストが行われております。なお続きまして四月三日に電源スト、四月六日電源スト、四月九日電源ストが行われております。
 昭和二十六年の六月争議におきましては九月二十一日には事務スト、十月二十五日には電源スト。次昭和二十六年の七月争議でありますが、一昨昨年の争議でありますが、本格賃上げ並びに労働協約の争議であります。十一月十七日電源スト、十一月二十日電源スト、十一月二十四日電源スト、十一月二十六日電源スト、十一月二十八日電源スト、十一月二十九日電源スト、十二月一日電源スト、十二月二日電源ストであります。
 以上が昨年の電産争議以前の争議行為の経過概要であります。
#6
○梶原茂嘉君 私は昨年の秋の電気産業に関する争議行為とそれ以前とを区別して分析する必要を感ずるのであります。と申しますのは先ほど大臣も言われましたように、従来のストは占領治下という特殊の条件の下に行われたのであり、昨年秋から冬にかけてのは、日本が独立してからのストであるというところに如何なる相違と又労働行政それ自体がどう変化しつつあるか、どう変化せんと政府は考えておるかというところに一つの問題があろうと思うのです。そういう点の区別をお伺いするわけであります。今の御説明によりましても、殆んど毎年電産に関する争議行為が行われておるわけであります。又電源ストも停電ストも行われておるのであります。相当国民生活並びに国民経済に脅威と損害を与えておることは想像にかたくないのであります。今御説明にあつたのでありますが、それらの争議行為において停電と電源ストが、当時の政府は、これは電気事業法でありますか、それから調整法関係の条項から違法であるという解釈をとつて来られたのかどうか、そういうふうに伺つたのでありますが、その通りと承知していいのか。
#7
○国務大臣(小坂善太郎君) 前のまあ解釈でございますが、争議というものは労務の不提供であり、従つて不提供の域を越えるスイッチ・オフというものにはこれは違法であるという見解をとつております。他の争議方法に関しましては、これはどうも非常に困つたことだと、これは公益性の強い業種のものであるから困つたことであるということはあつたのでございますが、これを違法であるということを明確にした警告は発したのでございますが、それをはつきり断定したということは法令上はなかつたかと思います。ただ昨年の争議というものは極めて大規模であり、その争議の経過を通じてこれは違法であるのだという社会通念がそこに成熟したというふうに私どもは考えておる次第であります。
#8
○梶原茂嘉君 私は大臣はしばしば社会通念という言葉を御披露になるのでありますが、社会通念上非である。社会通念上不当であるということを散見するのでありますが、私はその意味はよく了解を実はいたしておるつもりであります。併しながら今回のこの法案は内容にいたしましても、背景にいたしましても、非常に複雑な実態があり、又殊に労働争議の方法を規制するというのでありますから、その上におきます何といいますか、労働争議のまあ技術といいますか、それにも関連があるのであります。一面非常に厳正な法律論も憲法に関連してあるわけであります。従いまして単純に社会通念ということで律するわけに行かない面が多々ありはしないかという感じが非常にするのであります。殊に仰せになりましたように規模如何によつて社会通念が変る、これもあり得ると思います。又時間の経過によつて社会通念が変る場合もこれは勿論あるわけであります。併し電産争議は過去ずつと連続して参つておるのであります。昨年の争議の規模が大きかつた、それで何と申しますか、社会通念が変るということも私には実は合点が行かないのであります。大臣の社会通念のお考え方を私といたしましては十分理解する必要を実は感じておるのでありますが、御承知のように、電気産業のような基幹的な産業についてはそれ自体争議を認めない、争議を認めることがよろしくないというのが一つの社会通念として私はあるのじやないか、むしろそのほうが社会通念であつて、そのうちの一部はこれはよろしい、一部はこれは社会通念上いかない、そういうふうに区別して観念せられるべきものではなかろうかと思うのでありますが、これは他の公益事業と関連いたしまして後刻又お伺いする機会があろうかと思います。それから時間の関係もありますので残念でありますが、昨年の秋から冬に行われました電気産業の争議の実態の分析、特に労働組合側の動きに対する政府としての見解、経営者側の措置等に関する分析、それと政府自体のあの大規模の争議に対しておとりになつた施策及び具体的の措置について御説明を煩わしたいと思います。
#9
○国務大臣(小坂善太郎君) 社会通念の問題につきまして非常に妥当な御意見を承わりましたのでございますが、今この労働法は御承知のごとく終戦以来の立法でございまするが、その間におきましてその解釈上、非常に労働争議の性質と申しますか、そういう面に関係する部門が多いのでございまして、その間の解釈等につきまして先ほどもちよつと触れたのでございますが、只今争議中の賃金支払であるとか、或いは専従者の給与の支払であるとか、そうしたような問題に関係いたしましても、昭和二十四年に労働組合法を改正してはつきり組合法第二条の三号にそうした趣旨のことを取入れまするまでには、政府といたしましてもその間に、例えば争議中の賃金をどうするとか、組合専従者の給与を会社側が支払つておつたような場合におきましても、これを或る程度違法であるからどうしなければいかんというようなことの措置をとつたことはないのでありまして、停電につきましてもそうした事実があつたことを認めなければならんかと思うのであります。やはり占領下におきましては常に司令部当局がいろいろな指示を出し勧奨を与えましたので、とにかく争議が終結すればいいというふうな考え方に全体がなずんでおつたというような傾向があつたということは否めないかと思うのでございます。只今御指摘の昨年の争議について見ますると、なお詳しく説明員のほうから申上げることにいたしますが、炭労の場合でございますと、マーケツト・バスケツト方式によるところの賃金の倍額要求、坑内におきまして一方当り当時五百五十円でございましたのを千六十円にする、坑外一方当り当時三百四十円でございましたのを五百六十円にするという要求を提出いたしたのでございますが、これに対しまして経営者側は現行賃金据置で標準作業量の切下げを回答いたしまして、この間に非常に大きな懸隔がございました。交渉過程におきましては労使とも最終段階までその主張を曲げなかつたのでございます。こうした両者の主張は、当時我が国の経済事情から見て妥当なものであつたかどうかは問題があろうかと考えるのでございます。而も第三者の斡旋調停というものを避けまして、飽くまでそれぞれの交渉による実力による解決を考えたのでございます。電産におきましても、組合はマ・バ方式によりまするところの五六%の賃金値上げを要求いたしましたのでございます。当時一万二千八百円を、要求としましては二万五十五円でございました。それに対しまして経営者側は全面的に拒否をいたしまして、両者は真向から対立をいたしたのでございます。交渉の決裂によりまして中労委に調停を申請したのでありまするが、相当長期間に亘ります為労使代表委員を含む三者構成の調停委員会の慎重なる審議の結果提案されました調停案を労使双方とも拒否いたしまして、その後に経営者側は各社間の経営の内容の相違を理由にいたしまして個別交渉を主張し、一方組合側におきましては統一交渉を極力主張いたしまして、交渉方式につきましても意見が対立いたしたのでありまするが、後半におきまして中山中労委会長の斡旋案を経営者側は受諾をいたし、組合側は拒否するという態度をとりまして、解決まで紆余曲折を経たのでございます。両争議ともこれは直接の原因は労使間の賃金或いはその交渉方式というようなものが主体でございまして、経済問題についての争議でございました。
 なお詳しい経過につきましては、山崎説明員から申上げます。
 私今ノルマの切下げと言つたのですが、切上げの意味でございます。訂正いたします。
#10
○説明員(山崎五郎君) 電産の争議経過概要を申上げます。
 先ず要求提出までの経過でありますが、要求提出までの電産の賃金は一万二千四百円、先ほど申上げました二十六年の争議によりまして二十六年十二月四日妥結した額であります。それから労働協約の問題が昨年三月二十八日改訂申入れがなされております。
 第二に、組合側の要求概要でありますが、組合側の要求は基準賃金二万五十五円、当時一万二千四百円の賃金が一万二千八百円に移行しております。一万二千八百円に対する五六%の賃金要求が出されたのであります。第二に十七歳最低賃金八千円、これを本年四月以降、即ち昨年四月以降実施方の要求がなされたのであります。なお労働協約におきましては、労働組合側におきましては、完全ユニオン制の採用、人事等に関する協議約款の明確化、非組合員の範囲の組合による決定、休職休暇に関する待遇条件の引上げであります。これに対する会社側の態度でありますが、賃金に対しては全面的に拒否であります。協約に関してはオープン・シヨツプ制の採用、争議行為の予告条項の新設、更に争議不参加者条項の新設、労働条件に関する協定の改訂整備による労働条件の合理化等が会社側の主張点でありました。団体交渉でありますが、賃金に関しては四月十四日要求書を提出いたしまして、五月十五日まで五回に亘り団体交渉が持たれております。協約に関しては四月一日から五月十日まで八回に亘り団体交渉を持つておるのでありますが、いずれも了解点に達し得ず、調停の段階に進んだのであります。
 次に調停委員会でありますが、労働組合側は五月十六日賃金に関し、五月十三日労働協約に関しそれぞれ調停を申請いたしました。中労委は、協約に関しては細川、藤林両公益委員、前田、水津経営者側委員、藤田、長牛両労働者側委員、賃金に関しては中山会長、中島公益委員、前田、別所経営者側委員、太田、藤田労働者側委員を以て調停委員会が構成されました。その間電産は第七回定期大会を持ちまして、協約並びに賃金に関するスト権の確立をしております。
 次に調停案でありますが、九月六日基準賃金に関しては一万五千四百円、即ち一九%アップの賃金の調停案が提示されました。なお生活保障給と能率給との比率を六〇対四〇とすること、職階制については両者更に協議決定すること、労働条件の不合理なる点については両者協議の上是正すること、新賃金の実施は十月以降とすること、経理の実情から右賃金の実施が事実上困難なる会社については別途協議するという調停案が提示されました。なお、この調停案の前文におきまして、中山会長は、電産賃金問題に対して困難である二つの点を提示しております。協約につきましては七月二十二日、現行労働協約が過去二回、即ち二十六年の一月、十月との二回に亘つて中労委の調停斡旋にかかつたものであるからこれを尊重すること、問題点については必ずしも改訂を要せず、適切な運用によつて解決されるとの基本的態度に立つて大部分現行労働協約通りにすべきである旨の協約調停案が提示されたのであります。
 これに対して調停案をめぐる労使の動きでありますが、電産は九月十日、組合の要求とはほど遠いものであるといたしまして、本賃金の調停案を拒否しております。同時に労働協約案をも拒否しております。経営者側は九月二十日労働協約案を拒否、九月三十六日賃金案を拒否しております。その間九月十一日団体交渉をやられたのでありますが、決裂になりまして、電産は九月二十四日第一波の電源ストの指令を発しております。
 次に調停案拒否後の労使の動向でありますが、十月十八日経営者側は、今後の交渉は中央統一交渉によらず、各電力会社と電産各地方本部との間の各社別交渉を申入れいたしました。これに対して電産はこれに反対し、労使間の対立がここに激化したのであります。十月二十七日、経営者は電産本部に各社長が訪ね、地方交渉を申入れたのでありますが、電産はこれを拒否しております。なお二十八日、経営者側は再びこの交渉方式に対する申入れがなされておりますが、組合側は中央交渉なりとて二十九日交渉に一旦入つたのでありますが、この基本的な対立のために決裂しております。
 次に中山会長の第一次斡旋案であります。労使の対立による行き詰りを打開すべく、十月二十三日労使双方を招き事情の聴取に入つております。十月二十九日、十月三十一日調停案の再検討を勧告しております。十一月四日労使を招き、調停案を再検して斡旋に応ずるよう促したのでありますが、組合側は統一交渉、統一賃金が解決の途である、調停案を基礎に解決を考えるという中山勧告は、調停案をそのまま呑めということではないと中山会長の説明があるので、組合としては調停案によつて交渉に応ずる用意がある、但し調停案では呑めない、情勢によつては解決のため具体案の提出準備がある、労働協約も一体となつており、退職金の問題も同時に解決したいと申述べております。経営者側は個別交渉、個別賃金を主張して譲らないのであります。十一月十一日一十二日経営者、組合を重ねて呼び勧告をしております。労働大臣は事態を重視いたしまして、十一月十三日、労使それぞれ早期争議解決のため自主的交渉の至急開始を要請いたしました。且つ中労委会長の斡旋を受けるよう要望したのであります。組合側は十一月四日の条件の下に斡旋が行われるものとしてこれに応ずる旨の回答がなされたのでありますが、経営者側は十四日、斡旋中争議の中断或いは事業経営の合理化、労働条件の合理化等の条件をつけて受講しております。十一月十五日斡旋が開始されたのであります。経営者側は統一賃金は承服できない、労働条件の合理化の必要なることを述べております。組合側は労働条件は現行通り、調停案の統一賃金を基礎とすること等が主に主張されたのでありますが、なおこの際具体案を中山会長に提示したのであります。即ち基準賃金を一万六千二百円に下げる案を提示したのであります。中山会長は経営者側に対して統一賃金、組合側に対して労働条件に譲歩を強く要望したのであります。特に斡旋の過程においてストを行うことについて自粛を要望いたしました。組合側は実施中の四十時間電源ストの中止指令が同日出されております。十九日から斡旋が難航しまして、労使依然として深い対立を見せております。そこで中山会長は労使の個別の説得にかかつたのであります。十一月二十日から二十四日に至る間斡旋が続けられまして、労使の意見の調整に当つたのでありますが、二十六日斡旋案を提示する段階に至つたのであります。斡旋案は一万五千四百円、調停案通り、北海道、北陸、中国、九州につきましては原資に期末手当或いは臨時給与の特例の問題がついておりまして、四国については別途協議の条件が附加されております。なお一週間の平均労働時間四十二時間を一月一日以降実施する条件がついております。なお十月以降の退職金の計算基礎は新賃金の九〇%で計算すること、労働協約は調停案の通り、有効期間は六カ月とするとのおおむね右のような斡旋案が提示されたのであります。組合側は同日開催中の執行委員会の決議により受諾できない旨の回答がなされました。労働大臣は二十八日労使をそれぞれ招きまして、事態の速かなる解決を要望いたしました。経営者側は同二十八日受諾の回答を出されております。勿論若干の希望がされております。
 斡旋案拒否から解決までの経過でありますが、組合側はスト態勢の強化が進められました。十二月二日、三日の四十時間ストに引続きまして、十五日まで三百十二時間、二〇%減の電源ストが実施されました。十二月十二日地方代表者会議が開催されております。同日、十七日以降無期限電源職場放棄、十八日以降変電所、開閉所のストライキ、二十日以降給電所、給電指令所の職場放棄の指令が出されました。労働大臣は三度労使双方を招致しまして事情を聴取すると共に、早期解決を要望いたしました。組合側は十三日事業連合会にスト通告と共に団体交渉の再開を申入れしておりますが、十四日電力会社は社長会議を開催して、関西、中部は目下地方交渉に任しており、東電等の会社は斡旋案を受諾することのみが解決であるという回答がなされております。一方東電労働組合は、中央労働委員会の調停案一万五千八百四十二円を拒否して交渉中であつたのでありますが、十二月八日一万五千八百四十二円の調停案通り、或いは四十二時間制の実施は協約の問題として協議する等のことで妥結を見ております。電産本部の意向にかかわらず、関西電力は十二月十五日基準賃金一万六千八百円、配分は調停案通り、四十二時間制は四月一日実施で、期末手当等も併せてここで妥結を見ております。一方十月下旬から電産本部に対して反対して第二組合を結成しておつた中部電力労組は、十六日一万五千百円、配分は調停案通りによつて妥結を見ております。なお関東地方は十二月十八日地方交渉によつて解決を見ております。そこで十二月十六日中山中労委会長は労使を招致しまして斡旋の意向を示し、会社側は斡旋案受諾以外に途なく地方交渉が進展しておるといつて解決に余り熱がなかつたのでありますが組合側は十六日夜から十七日にかけて常任委員会を開きまして検討いたしまして、中山会長に斡旋を要請いたしました。十七日夜から斡旋が開始されまして、十八日早朝組合側の受諾を見て、夕刻会社側の受諾を見たのであります。同日午後九時十五分スト中止の指令が発せられて、争議が解決いたしたのであります。
 なおストライキの実施状況でありまするが、九月十六日から十月四日まで時間外、当宿直、管内外出張拒否、但し出張拒否はその後もずつと継続されております。九月二十四日以降本支店増資業務拒否、十月七日及び十一日、当宿直、時間外拒否に入つております。
 なお事務系職場放棄は、十月三日一時間事務系職場、十月十八日二時間本支店全員、十一月一日から十一月二十一日まで重点職場、十一月二十四日から十一月二十七日まで重点職場、十一月二十七日から十二月三日まで全職場、十二月四日以降重点職場の事務系の職場放棄が行われております。
 次に電源ストでありますが、九月二十四日第一波六時間の電源ストが行われ、十月三日八時間の電源スト、十月七日八時間の電源スト、十月十一日四時間の電源スト、十月十五日八時間の電源スト、十月二十一日八時間の電源スト、十月二十二日八時間の電源スト、十月二十八日八時間の電源スト、十月二十九日八時間の電源スト、十一月六日八時間の電源スト、十一月十三ら八時間の電源スト、十一月十九日か日四十時間の電源ストが行われたのでありますが、先ほど申したように中止指令が出まして、実際は五時間半の電源ストが行われました。十二月二日、三日、第十二波スト、以後十二月十七日まで三百十二時間の継続電源ストが行われております。
 なお停電ストにおきましては、十一月七日九時から十二時まで停電スト、十一月十二日十時から十四時まで四時間停電スト、十一月十七日十時から十四時まで四時間停電スト、十一月十八日十時から十四時まで四時間停電スト、十一月二十一日十時から十四時まで四時間停電スト、十一月二十二日十時から十四時まで四時間の停電ストが行われております。
 以上電産の争議経過の概要と争議行為の概要を申上げました。
#11
○梶原茂嘉君 只今の御説明で只今までの電産争議の、何と申しますか、表面的の経過、これは明瞭にわかるわけであります。それはそれ自体として結構でありますが、私の本当に伺いたいところは、それを一歩掘下げる点にあるわけであります。時間の関係もありますので、適当な機会に或いはお漏らし願いたいと思います。
 そこで昨年の電産争議に対して政府自体が如何なる態度を以て臨み、如何なる具体的措置をおとりになつたかということを一つお伺いいたします。
#12
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府の両争議に対しましてとつた措置でございますが、労使間におきまして双方が責任を以て自主的に解決するということが労働争議におきましては望ましい。そこで特に第三者が徒らに介入するということは避けたいという気持を政府は持つておるのでございます。こうした基本原則に立ちまして両争議に対処したのでございますが、同時にそうした原則を徒らに固執していたわけでもございまんで、これが解決につきましては重大関心を持つて時宜に適した措置をとつたものと考えております。即ち電産につきましては中労委の調停案及び斡旋案の提示に際しましては全面的にこれを支持推進する態度を持しまして、再一に亘つて労使双方を招致いたしまして、中労委案を基礎に争議解決を図るよう勧告をいたした次第でございます。又自主的交渉の途が杜絶しまするや、炭労に対しましては労使双方に対して中労委斡旋案によるべきことを勧告いたしまして、中山会長に対しましても斡旋に乗り出すように要請をいたしたのでございます。その後斡旋案が提示されまして、組合がこれを拒否いたしまするや、代表者を招いて受諾勧告を行なつたのでございます。かくてストの長期化によりまして国民経済並びに国民生活に与える影響の重大化と共に最終段階に至りまして、保安要員の引揚げ準備指令を出すという重大時期に至りまして、一方この間におきまして石炭の欠乏は特に甚だしくなつて参りまして、家庭のガスも停止される、列車の運行も終戦直後の状態に返るというような事態も近きを想定されるに至りまして、政府は遂に緊急調整の決定によりまして事件の解決を図つたのであります。
 こうした争議が発生したことは誠に遺憾でありますが、公正な労使関係の維持確立という建前に立ちまして、事態の推移に応じて事件の解決を図りますると共にあとう限りの努力を政府はいたしたものと私も事務引継において聞いておりますし、又さように了解いたしておる次第でございます。
#13
○梶原茂嘉君 私は炭労争議と電産争議とは今度の法案では一緒になつておるわけでありますけれども、非常に大きな違いがあると思うのであります。従いまして今までの質問は大体に電産に限つて来たわけであります。
 お話がありましたので、一つばかり伺いたいと思いますが、今度の法案提出の最大の理由として、先般の電産争議の国民生活に与える脅威、国民経済に与える損害が極めて大きかつたということを力説されておわるけであります。それかまさしく提案の理由だろうと信ずるのでありますが、かかる大きな損害、大きな脅威を与えるまで当時の政府がこれを見送つておつたと申しますか、結果においてはそうなつておるのであります。その点に私は遺憾の感じを禁じ得ないのであります。記憶によりますと、昨年の十二月十二日に当時緑風会におきましては議員総会を開きまして、当時の緒方官房長官、戸塚労働大臣並びに小笠原通産大臣に対しまして、電産、炭労の争議のでき得る限り早く解決を見るように必要な措置をとられんことの申入れをしておるのであります。ともかく憲法に関連するような重大な問題、それを立法化するには、それまで事態を持つて行つたというところに、私は了解に苦しむところがあるのであります。今大臣の言われました緊急調整でありますが、石炭関係においては緊急調整が発動され、電産関係においては発動されなかつたのであります。当時の実態から言いますると、電産関係の争議の与えておりまする影響、これは必ずしも炭労の場合に比べて低かつたとも思えないのであります。何が故に石炭のほうに対しては緊急調整が発動され、どうして電気関係は発動されなかつたか、これは労働大臣の前のことで甚だ恐縮でありまするけれども、労働行政の観点から一つ御答弁を頂きたいと思います。
#14
○国務大臣(小坂善太郎君) 緊急調整をもつと早く発動してもよかつたではないかという問題が炭労の場合にございますし、或いは電産の場合になぜ緊急調整を最後になさなかつたかという問題があると思います。私どもの考えによりますると、やはり緊急調整というものは、この法案にもございまするように、省議行為によりまして当該業務が停止されるときは、国民経済の運行を著しく阻害し、又国民の日常生活を著しく危くするという虞れが現実に存在するときということになつておりまするので、これは法案にはございまするが、いわゆる伝家の宝刀である、これは最後まで非常に慎重に、そういう現実の慮れを認めたときに発動すべきであると、こういうふうに考えておるのでございます。
 そこでこの炭労の場合は、今申上げたように非常に国民生活が危殆に瀕するという機運が現実に強くなりましたので緊急調整の発動を見たわけでございますが、電産の場合につきましては、やはり只今御指摘のごとく、国民経済、国民生活に与えるところの影響は非常に甚大なものがあつたと考えまするが、政府は従つて緊急調整を発動すべく考慮しておつたのでございまするが、一部地方的には争議がもり妥結するような機運も見えて、又中労委の斡旋によりまして全般的な解決の見通しも強くなつて参りましたので、これを差控えておりましたが、幸いに争議のほうも終つた、こういうような状況と承知をいたしております。
 なおこの争議に際しまして、やはり正当ならざる争議行為というものの法律的な規制につきまして、現行法においては不十分な点があつて、その点がやはりこうした問題を惹起したのではないか、この点はまじめな勤労者諸君に対してはつきり不当の範囲を明定することによりまして、却つてこうした国民全体からの怨嗟というと言葉が大きいかも知れませんが、とかくの批判を受けることなしに済むのではないか、こんなふうな考え方を持つている次第でございます。
#15
○梶原茂嘉君 大臣の考え方はよくわかるのであります。ただ私理窟を弄するわけではありませんけれども、今回のこの法案は、去年の電産争議が国民生活なり国民経済に非常に大きな打撃と影響を与えた。従つてこれはどうしても法律を以てその争議行為を禁止しなければならないということだと思うのです。併しながら緊急調整の観点から見れば、それはさほど緊急調整を発動するような程度ではないのだというところでありますね。その間に一つの私は労働行政としてのギャップといいますか、一貫性がないのでございます。こういうことをお伺いしようとしたのでありますが、それはそれで結構であります。
 いま一つ前にちよつと返るかもわかりませんけれども、昨年の電産争議の実態を私新聞で拝見したに過ぎないのですけれども、労働組合といたしましては相当何と申しますか、労働争議のいわゆる技術面、争議行為の面から苦悶と申しますか、苦悩と申しますか、そういう場合にぶつかつておつたように感ぜられます。第三者として見てみますると、明らかに違法だとなつている問題を、そういう争議行為を組合として簡単にやすやすと実行するということは、私はまずいと考えます。実際問題として行いますには、できる限り合法的な方向に行きたいということは、これは私当然な考え方であろうと思うのであります。昨年以前の経緯を見ますると、先ほど御説明のありましたように電源ストについての違法性、不当性というものは必ずしも明確でなかつた。大臣は昨年の争議についてもその点お触れになつたと思います。果して電源ストが違法なのかどうか、社会通念上単に不当とか妥当じやないということだけでは、これは憲法に保障事の勘案において適当に許可するということになりましようが、これもやはり合理的に許可して行くべきであろうと思います。甚だ卑近な例でありますけれども、丁度昼食時になつたというようなときであれば、休憩をするというようなことは当然議事の整理上委員長の職権としてやれる、正当視されるのではなかろうか。そういう場合に発言を求める順序を、そこで一時休憩して、打切るというふうなことも、全体としてこれは議事が運んでいるということであれば、そういうことも正当視されるのではなかろうかと思います。
#16
○宮澤喜一君 法制局長にほかに御質問がなければ、法制局長の御退席を願いまして、議事を整理して頂きたいと思いますが、特に他の委員の御質問がなければ、法制局長にここで御退席を願いまして、委員長に御質問したい。どうも遅くまで有難うございました。
 この問題を再度持出しますことは、非常に実は私残念に思いますが、昨日午後の会議におきまして委員長に御善処を要望いたしましたにもかかわりませず、今日の午前の終りの頃におきまして、梶原委員の御質問と政府の答弁との合間頃から井上委員が委員長に発言を求めておられました。この発言の内容はほぼ想像がつくことでありますが、今それにつきましてここに論じようとは思いませんが、再度の発言の要求がありまして、最後に梶原委員の質問が終りましたときに御発言の要求があつて、それについて委員長は梶原委員が要求されました資料の調整の問題について通産省の政府委員にお質しがありまして、これは至極妥当な御措置であつたと思いますが、そのあとに井上委員の御発言をお許しになりませんで、他の、遅れて発言の要求のありました委員の発言をお許しになりました。他の委員は、休憩の動議を、動議と申してよろしいか、提議をなされたわけですが、この間井上委員は前に引続いてずつと発言の要求をしておられた。かなり大きな声で発言の要求をしておられましたが、そのことに委員長はお気附でありましたか、先ず伺いたい、委員長にお尋ねいたします。
#17
○委員長(栗山良夫君) 大きい声であつたかどうか知りませんが、井上君、吉田君その他大分発言の要求のあつたことは承知しております。時間的のことはよく存じません。
#18
○宮澤喜一君 梶原委員と政府との問答の切れ間において井上委員が何度か発言を求められておられたことは、委員長がこれを制止せられましたので当然御承知のことと考えます。そこで伺いますが、かかる発言がありましたにもかかわりませず、委員長が一方的に休憩を宣せられましたのは如何なる権限に基いてなされましたか、お伺いします。
#19
○委員長(栗山良夫君) 委員長の権限でやりました。ちよつとそこを申上げますが、今日の発言の通告ですが、これは普通の発言じやございません。通信がちやんと来ております。梶原、井上、田中、その順序でこれは発言の通告が今朝、午前中来ておるのですよ。そこで梶原君が質疑が終つたとおつしやればいいのですが、保留したとおつしやつたのです。それですから私は梶原君に念を押しました。まだ梶原君が通産省に資料を要求せられたけれども、通産省は出すということを答弁しない。そこで私は念を押しまして、そうして梶原君に保留せられたと、よろしいですかと、こう言つたらよろしいと言われたのです。それならば今日は午後予定がありまするから、一応ここで次の発言者は次回に譲つて、今日はこれで休憩しますと、こういう工合にやつたわけです。
#20
○宮澤喜一君 それは多少、失礼でございますが、事実と違つております。委員長はその前に田畑委員の発言をお許しになつております。御記憶でございましようか。
#21
○委員長(栗山良夫君) 関連質問ですから。
#22
○宮澤喜一君 関連質問じやございません。田畑委員の休憩の動議の発言をお許しになつております。御記憶ございますね。
#23
○委員長(栗山良夫君) それは動議ですね。
#24
○宮澤喜一君 動議とお認めになつてお許しになりましたか。
#25
○委員長(栗山良夫君) 動議という発言があつたかなかつたか速記録で調べてみます。そういうふうに言葉を正確に言わなければならんということであれば速記録で調べてみます。
#26
○宮澤喜一君 私は動議であると否とに実はこだわつておるのではありませんで、通産省に資料のことをお確かめになりまして、その後に井上、田畑両委員から発言の要求がありましたときに田畑委員の発言をお許しになつた。田畑委員は動議とはおつしやいませんでした。発言を許されて、結局休憩の動議と最後におつしやつたのでありますが、私はそれにこだわつてはおりません。両君の発言の要求があつて田畑委員の発言をお許しになつて直ちに休憩を宣した。委員長のおつしやつたのとは違つておりますが、それは如何なる事由によつてお許しになりましたか。
#27
○委員長(栗山良夫君) その言の順序をおつしやつておるのですが、私は発言の順序はこういうふうに理解しております。普通の場合ですと大体文書で通告するわけですね、予算委員会とか何かは。そういうときは厳格に発言の順序はきめられるのです、ずつと委員会規則で……。衆議院のほうはこういうことはありません、全部発言を通告してやつておりますから。参議院の場合には殆んどフリーに発言を手を挙げて許可しております。それで宮澤君のおつしやるように発言の順番をやるということであれば、発言の順番の記録係か何かを置いてこれは一々やらなければならない。恐らく委員会の慣習ではそういうところまで行つておりません。
#28
○宮澤喜一君 私は発言の順序にこだわつておりませんので、議院規則四十二条二項によりまして、委員から発言を求められたときは要求の順序によつて委員長がこれを許可する。仮に百歩を譲りまして、田畑委員の御発言が先でありましても、発言を求められておることは委員長が知つておるとおつしやられた。これをお許しにならなかつた理由を伺つております。
#29
○委員長(栗山良夫君) 併しそれは許さなくても、委員長がこの際休憩したいと思えば休憩するということは幾らでもありますよ。だからそれは先ほども局長が言われた通りに、そういうことであればこれは委員長が行なつた行為が適当であつたかなかつたかということを、これは判別願うよりしようがないです。そういうことです。
#30
○宮澤喜一君 私が伺つておりますのは、先ほどの奥野法制局長の説明によりましても明らかなように、委員長が委員会の統裁の権限を行使せられますについてはいろいろな制約がある、こういうことを申上げております。この権限がないと申上げるのではございません。それは法制局長もおつしやつた通りでございますが、少くとも多数の意思によつてこれを通例の場合でありますとお持ちになる、これが通例の慣例でございましよう。こういうことを申上げておるわけなんでございます。そこで田畑委員が休憩の提案をなされて、これについて明らかに井上委員が発言を求められておりますときに、それをおかまいなしに休憩をお宣しになつたということは、仮に先ほどの法制局長の言葉を用いますならば、委員長の会議の統裁権の、不法とは申しません、不当なる行為ではないかということを伺つておるわけでございます。
#31
○委員長(栗山良夫君) それはわかりませんね、不当であるかどうか。
#32
○吉田法晴君 議事進行について……。
#33
○委員長(栗山良夫君) 私は不当だとは考えませんよ。
#34
○吉田法晴君 あの、宮澤さんね、発言を許したことの順序その他について当不当を危惧しているのですが、問題は参議院規則ですね。私どももこれでとにかく委員会を余り長く引張られることは大変迷惑するのですが、それで参議院規則についてはあなたのところからもたくさん議運の諸君も出ておられますが、議運で参議院としては解釈するということは一応委員会の建前だと思うのです。それで議運で、こういう委員会よりも混乱しておりますが、今この数年間ずつと自由党で議運の委員長をやつておられる、その取扱い等を見て、私ども今のような宮澤君の意見が出て来るのは実は不思議に思うのですが、それらのことは今細かく言うより、一つ議運の委員の諸君について御研究頂くことをお願いし、正規にこの参議院規則の解釈について御議論がおありならば議運で御論議願うことをお願いして、この委員会はもう一応この辺で御散会願いたいと思います。
#35
○寺本広作君 委員長から先ほど発言を許さなかつたことの当、不当は自分はわからない、皆で御判断願うよりほかはない……。
#36
○委員長(栗山良夫君) いや、そうじやないのです。委員長は正しいと思つておりますと言つているのです。
#37
○寺本広作君 それを正当かと言われたのに、当、不当は自分ではわからん、皆で御判断願うより……。
#38
○委員長(栗山良夫君) いや、それは速記録を見なければわからない、委員長は正当だと思います。
#39
○寺本広作君 いや、当、不当は皆で判断して下さいと委員長は言われた、そういうことにならないように、皆で角を立てて委員長の当、不当を判断しなければならないような事態にならんように議事運営を私はお願いしたい、これは私の希望でございます。
#40
○委員長(栗山良夫君) 当、不当ということをおつしやつたから、私自身としては正当だと考えております。併しあなたがたが飽くまでも不当であるとお考えならば、これはやはり成規の手続を経てそういう工合にお取上げ頂くよりしようがないということを申上げたのです。
#41
○寺本広作君 委員長のお話は非常にまあ角が立つていると思うのですね、あなた方が不当だと思うならば成規の手続を経てやれというのは穏かならないのです。やはりそういう事態にならないように御注意願いたいと思います。それを特にお願いいたします。
#42
○委員長(栗山良夫君) 一般論として、寺本君がおつしやつた委員会の進行をスムースにやるということについては異議がございません。
 それから特に私は昨日、今日の議事をそういうことにしている意味というのは、もう相当連日やつてくたびれておりますのに、而も珪肺法の調査にいたしましても、今日の参考人の調査にしても、これは相当時間がかかる、実際やり出しますと、今日だつて五時までというお約束でしたが三十分以上延びている。これはなかなか議論が尽きるはずはない。而もこういうことは研究事項で、明日やるということにはならないのですね、参考人ですから……、従つて私もずつと延ばしておつたのですが、あれだけやりましてもなかなか行かない。特に今日は私は井上君の発言を、実は内容を勘違いしておりまして、実際私の想像は、藤田君でしたか言われたことについて、あとでおつしやつたのですが、僕はそうじやなくて、今日三人発言の申込がありましたね、梶原君の発言が非常に長かつた、お約束では今日一時ちよつと過ぎ、一時から二時ぐらいまでの間に参考人を呼ぶということでしたね。あと二人の発言をずつとそのまま許せば食事を喰べる暇もなくなつてしまうということを考えておつた。ところが井上君から発言がありましたので、これはきつと私ずつと続いてやれと、こういうお話だつたろうと、それならば私がもう頭で考えておりましたから、それでよかろうという気持を持つておつたわけであります。これはそういう意味でありました。他意はないのです。
#43
○宮澤喜一君 只今藤田君のことをおつしやいましたが……。
#44
○委員長(栗山良夫君) それは井上君なり藤田君がここに傍聴に来ておられましてね。そうして政府委員が答弁をしておつたのです、梶原君の質問に対して……。そうしましたならば、その答弁が、電産の去年の争議の実績に関することでして、内容にいささか自分のやつたことと違うようなことがあつたのでして、事実と違うというようなことを一言、二言私語のように言つておりました。そのことであとで発言を求めて、それはけしからん、そういうことは困るから、委員長注意しろ、こういう御発言であつたことがあとでわかりました。
#45
○宮澤喜一君 委員長は、委員外の委員席に座つて、私語であるにせよ、委員長のお耳にまで入つた、その発言されたことについて御注意を委員長がなされなかつたというのはどういうわけですか。
#46
○委員長(栗山良夫君) そこまで行けば常識論でありまして、私はお答えいたしません。それは前に注意はしたことがありました。本国会で労働委員会を開会いたしましたときに、傍聴者が若干やかましく言いましたときに、私注意しております。今日でもたしか一言、二言言いまして、あとは続いておりません。終つちやつたんです。耳障りにも何もならない、委員外の発言じやないのです。それだから私はとめたのです。それぐらいは私は、私も国会の委員会に六年おりまして、いろいろな委員会にも参画し、議院運営委員会にも出て、混乱状態に陥つた委員会に参画もしておりますから……。
#47
○田畑金光君 先ほど来宮澤君からいろいろ御発言がありましたのですが、私聞いておりましてね、ちよつと問題が小さ過ぎやせんかというような感じを持つのです。ただ併し御質問の趣旨は、或いはこの委員会の運営についての根本的な本質にかかわると、こういうような趣旨で御質問なさつておるかも知れませんが、ただ私がさつきから、今朝ほどの井上君の質問に対してこれを取上げなかつたということは、非常に必要以上に神経質にこれを考えられておるように感じます。私もそういう考え方で井上君が発言を求めた、私があとから発言を求めて、私に指した。こういうようなことが、委員長の議事運営についての何か事をかまえた故意の措置であるというような御解釈であるとなると、これは非常に行過ぎじやないか、ということは、私自身若しそういうようなことを以て委員長の故意な措置であつたとするならば、今まで何回も私自身も委員長に質問を求めてかような場合を経験しておるのです。現にあなたは出席していなかつたかも知れませんが、先般私も色をなして委員長に食つてかかつたこともあります。それは私の発言に関しまして、発言中にもかかわらず、質問続行中にかかわらず、而も大事な問題のポイントをこれから聞こうというときに緑風会の質問者に許した。これはやはり委員長として、議事運営のまあその一つのテクニツク、或いはいろいろな周囲の情勢からして発言の順序が前後する場合もあり得ると思うのです。これは私今宮澤君が本質的な問題に繋るような考え方で究明しておられまするが、ちつと私これは酷なように感ずるわけなんです。それと私もう一つ申上げたいことは、本日御承知のごとく本会議を終えたのが十一時十分、そうして今までの委員長及び理事打合会では午前中質問して、午後は公述人にスト規制法、いやピケ・ラインの合法性の問題について解釈を聞こうとしておつたわけであります。で、私は十二時の針を指すときから実は時計を見ておりましたが、質問は継続中であり、而も重要な問題に触れておる。それが更に梶原委員の質問は一時間以上に亘つておるわけです。そうして問題をこの辺で打切つてもよさそうな点もあつたわけですけれども、併しこの質問については、こう申したらなんですが、自由党の各位は質問の促進ということを先般来非常に心配せられ、切望して、そうしてまあ委員長に色をなして要求されているわけです。こういうふうな実態を私は非常に尊重しまして、そうして飽くまでもまあ委員長及び理事打合会では午前中ということだつたが、すでに本日は十二時四十分を越えていたのです。そこまで私は黙つて見ていたのです。そう経過を振り返つてみますると、梶原委員も重要な一歩掘り下げた問題はこの次に保留して、そうして事実についての当局の説明を願いたい、そうして丁度問題が切りを付けるに適当なところに来たので、私は発言を求めておるのであります。決して議事の引延し等を策するとか或いは他意あつてそうやつたわけじやないし、又私はあの経過を振り返つたとき、委員長のなされたことは決してそういうあなたの御心配なさるような、委員会の運営について本質的な問題に触れることじやない、こう私は察せられまするし、どうかその点は御了解願つて、今の問題はこれ以上掘り下げても、私自身むしろ問題が瑣末に過ぎて、ちよつとこういうようなところで質問し、応答するには余り問題が私小さ過ぎるような感じがしますので、私の感じを申上げまして、どうかこの辺で御了承を願いたい、かように要望するわけです。
#48
○委員長(栗山良夫君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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