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1947/09/18 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第21号
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1947/09/18 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第21号

#1
第001回国会 農林委員会 第21号
昭和二十二年九月十八日(木曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 野溝 勝君
   理事 叶   凸君 理事 寺島隆太郎君
   理事 岩本 信行君 理事 萩原 壽雄君
      佐竹 新市君    成瀬喜五郎君
      平工 喜市君    細野三千雄君
      水野 實郎君    小林 運美君
      佐々木秀世君    関根 久藏君
      寺本  齋君    中垣 國男君
      八木 一郎君    佐瀬 昌三君
      田口助太郎君    松野 頼三君
      森 幸太郎君    梁井 淳二君
      中村元治郎君    山口 武秀君
 出席政府委員
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        議     員 松本 一郎君
        専門調査員   片山 徳次君
        専門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 食糧供出對策基本要綱に關する件
 農業協同組合法案(内閣提出)(第二十九號)
 農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等
 に關する法律案(内閣提出(第三〇號)
 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、参議院送付)(第四五號)
 農産種苗法案(内閣提出、参議院送付)(第四
 八號)
 農業資産相續特例法案(内閣送付)(豫第一二
 號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 本日の日程にあります食糧供出對策基本要綱に關する件、これを議題にして會議を開くことにいたします。政府委員が、見えませせんが、時間の關係上さきに一應小委員會におきまして先般決定になりました方針を、小委員長であります私から御報告申し上げまして御贊成を得たいと思います。
 小委員會設置の理由といたしまして、現下食糧事情の悪化は經濟の一般的危機に拍車をかけて、國民生活に深刻な影響を與えつつあつたのであります。しかして食糧供出の問題は、食糧問題一般における根幹的な事項をなしておりますので、本委員會においても獨自の成案を作成して、これを政府に提示し、もつて二十二年度産米供出の目標達成をはかるため、ここに食糧供出對策小委員會を設置いたした次第であります。
 經過のあらましを御報告申し上げます。昭和二十二年八月二十六日第一囘小委員會を開催、協議事項として、次會の小委員會で各黨對策をもち寄り協議決定するの方針を議決したのであります。右の方針に基きまして、八月二十九日午後三時四十分より第二囘小委員會を開催し、社會黨提示の對策案を中心に、各黨の代表意見を追加補正いたしまして、各委員の贊成を得まして、ここに左記食糧對策基本要綱を確定した次第でございます。その内容を朗読いたします。
   供出對策基本要綱に就て
 一、生産責任制供出制度の採用
 (理由)現行供出割黨には實収量制(實は實収見込量)を以て行つてるがこれは實収見込量より農家保有米を差引いた残額を供出するものである。斯くの如き見込量という非科學的な根據による供出制度は、實収量が所請見込決定であり且つ供出という切實な利害關係と離れ難い關係にある為正確な實収量を掴むことができない。從つて最終決定に當たつては政治的協定により決定されるため農民個々についてみれば精農がよく働いて収量を擧ても収量を擧げただけ供出にとられる結果となる。從つて生産高の報告を正直に出した者と出さぬ者とでは結果からみて正直者が馬鹿をみることになるので之に變るに地方、地形、水利、交通等を基準とし更にその年の天候及び肥料配給量も勘案し、點數制ともいうべき實態調査に基く科學的な根據により之か割當を決定すきであるが、差しづめ間に合わないので當面生産責任制たる基準量制、供出制度を即時採用すべきである。基準量制の實行方法
  (イ)市町村食糧委員會及民主的農民團體等により各一筆毎に地番と面積を訊く地方調査を斷行、米、麥地、芋畑等適地適作により等差級を設けて數量の差を作ること。其の根據は査定標準となるべき標準地を豫め設定し各筆毎に比較等級を定める。
  (ロ)次に標準量を決定するため當該部落の平均段當り収量を過去五年乃至十年に遡り相當年間に之を求め、其の平均段當り収量に當該部落の總面積を乗じて部落の標準収量を算出し、各等級毎の収量の合計が當該部落の標準収量となるように各等級の段當り収量を算出し、作付と同時に供出量の豫定を為し得る方法をとること。
  (ハ)以上の基礎調査に從い、各農家毎に集計した普通生産責任量と家族人員から計算した保有量の差額が農家の可能供出量となるが、作付及び供出共に部落の共同責任制とする。
  (ニ)作柄が責任量を下廻るときは等級の差を低下し、之を當該食糧委員會に申請して、坪刈檢見其の他周到なる調査に基き改訂すること。
  (ホ)責任超過量に對しては累進價格制度により買上げることとし、その決定に當りては民主的機關により決定すること。
 ニ、割當決定機關して中央、地方を通じ民主的食糧委員會を設置し、該機関には耕作農民、消費者代表をも加え公選すること。
 三、現行の如く買上代金の支拂に數ヶ月を要するに於ては、農家經濟維持に支障を招くばかりでなく、必需物資購入に當り値上りの打撃をうけ、その為差損金を生ずる結果となり、惹ては買上價格の低下ともなるので、買上代金は即時拂として、巳むを得ざれば精算拂方式を採用すること。
 四、農家保有量は再生産必要所要量とし、米、麥、馬鈴薯、甘藷等總合保有を考慮の對象とすること勿論であるが、現下の食糧事情の點からある程度の比率變更を行うこと。
 五、買上價格は早期決定をなし、その根據は生産費基準又はパリティー計算、その他諸物價との均衡竝に物價體系維持を考慮に入れ之を決定し、原則的には農業再生産に必要なる價格たること。
 六、報酬用肥料は局部的増産に効果があつても全國的増収にはならないので、小農經營又は精農に對し著しく差等を設ける結果となり反社會性を助長するので、肥料は原則として報酬物資の對象とせず、その配給については即時段別割に公平配給とすること。
 七、早場米供出に對しては地域事情に即應し價格の適性化を圖り、その決定に當りては一應暫定價格制を採用し、支拂方法に關しても精算拂方式をとること。
 八、生産責任性採用の裏打として、必需物資の生産、配給計畫樹立が











































   確立されねばならない。且つ之が完全を期すと共に、その扱いについては農業協同組合及び民主的農民團體の自主性にゆだね、地域事情に應じた必需物資別配給に萬全を期すること。必需物資のリンク制は權利義務の相對關係を意味し、その配給については必要なところに必要な物資を配給する措置を講ずること。
 九、報酬物資については物資審議會(假稱)を中央、地方を通じて設け、該機關に耕作農民の代表を参加せしめ計畫量配給に適性妥當を期すること。
一〇、必需物資竝報酬物資の配給については期日、種類、數量、價格等を耕作農民に公表し周知徹底すること。
一一、買上價格値上りに伴う差益金處分に關しては、農民に還元し又は納得のいくように之を處理し、その結果については判り易く之を農民に公表周知すること。
一二、單作地帶の價格については年間に亙る他物價の變動の影響を蒙るので適當にこれを調整すること。
十三、加工供出を認め、米糠、フスマ、麥糠等を農業家畜肥飼として還元すること。
十四、農民の供出する一切の空俵を還元すること。
十五、適地適作による割當制を採用すること。
一六、収穫高と消費人口との正確なる把握をなすこと。
十七、供出意欲を増進するため農家所得税は公定所得を基礎に賦課すること。
十八、供出に至大の影響を與える農業技術員の生活を保障し、其の費用は全額國庫負擔とし、且つ農地委員、食糧調整委員の手當の全額國庫負擔をなすこと。
十九、供出對策に關連する事項として、栗、くるみ、水産、粉食原料、油脂、澱粉等未利用資源の活用範圍を擴大し、その推進をはかるため未利用資源活用本部(假稱)の如きを設置すること。
二〇、幽靈地、無籍地積の調査方針確立と摘發耕地の開放を行ふこと。
 大體以上が骨子でございまして、小委員會は前段に申し上げました通り、各委員のそれぞれの意見を原案に取入れまして、ここに成案を得た次第でございます。
 以上報告申し上げます。別に御異議ありませんか。
#3
○山口(武)委員 ここに揚げてあります通り、これまでの供出の基礎になります實収の見込みというものが正確な數字をつかみ得なかつた。從いましてこの供出の割當は最終決定にあたつては政治的な協定によつて決定されるということが揚げられておりまして、これは至當だと思うのであります。しかしながらそういうことになるについては、一つの問題として農家の保有米が農業再生産を確實に保障するというところまでいたつていなかつたところに原因があり、それから農作物の價格の問題に原因があつた。そういうような前提をよく見ないで始めますと、この要綱に申しておりますようないわゆる科學的なものは出て來ないのではないか。この問題については一應四、五において觸れられておりまして、農家に必要な保有米は再生産必要所要量とするということを言つておりますが、これは具體的には一體どういう數字になるのか、どういうふうに決定いたすのか、この點が不明確なのでもう少しはつきりしてもらいたい。それから價格につきましても、同様原則的には農業再生産に必要な價格ということを言つておりますが、これでは抽象的で實際にあたりましてはどういうふうに決定されるかわからない。この點をお聴きいたします。
#4
○野溝委員長 お答えいたします。御質疑の點ごもつともでございます。しかし本報告書はあくまでも供出對策基本要綱でございまして、要綱にはそう細かく織込めませんので、さよう御承知願いたいと思います。なおせつかくでございますの、この際委員長として御質疑の點に對していま少しく掘り下げてお答えしておきたいと思います。それはただいま山口委員から御質問竝びに御意見があつたのでございますが、農家保有量は再生産必要所要量等云々とある、それは結構であるが、再生産必要所要量というのは一體どのくらいかという具體的なお問い合わせでございます。しかしこれはたとえば再生産に必要な農家保有量ということになりますならば、あるいは八合と言われる方もありましよう。あるいは七合と言われるか方もありましよう。場所によりましては一升なくてはならぬという方もありましよう。また今囘のように災害のあつた場所におきましては、その保有量の年度分を要求しておる場所もありましよう。かような點で非常に複雜多岐にわたりますので、あくまでも畫一にこれをきめるということはなかなか不可能でありましようが、私の考えといたしましては、大體災害のあつた場合、災害のない場合というような二つくらいに段階をきめて、保有量を決定してもらう必要がありはせぬかと、かように考えております。しかし量目の點につきましては、ここで具體的にどういうことはまだ私から決定的に申し上げるわけにはいきませんが、以上の點だけを考えていることを御承知願いたいと思います。
 それから次に買上價格早期決定竝びに他の物價との均衡ということは非常によいことであるが、一體價格をどこにおくか具體的に示せ。こういう御意見でありますが、御質問される山口さん自身におきましても、なかなかこの問題は相當困難だと思います。たとえばわれわれからいたしますならば、理想からするならば生産費を基準にしてこの價格決定をしたいというのが農民側の偽らざる氣持ちであると思います。これは全部一致していると思います。しかしその場合、生産費と言いましても、公定價格でつくつている生産費を基準にするのか、あるいはやみ價格を入れた生産費を基準にするのかというと、もちろん一切かつかた諸掛りを入れた生産費とみるのが私は正しいと思いますが、なかなかそれは個々によつて容易でないと思います。そこで今まで全國的な生産費調査などもありましたが、それは農業會あたりでやつていた調査資料に基きまするというと、大體一定の戸數を限つてのことでありまして、單作地帶あるいは二毛作地帶ないしはその他種々なところの事情を全部勘案して、全部網羅してやつた生産費調査ではないのでございまして、かような點におきましても非常に困難な點があります。さらばと言いまして、あくまでも農民側からするならば、その地方地方における生産費を基準にしてこの價格決定をしたいという氣持ちはありますが、御承知の通り物價體系というのに基いて大體この價格決定をしなければならぬ。その物價體系に基く場合において、その體系の算定基準がその當時正しかつたかどうかということについては、われわれとしても意見があります。たとえば昭和九年、十年、十一年當時の物價體系が、その當時農産物價と他の物價との均整がはたして保たれておつたかどうかということについては私ども意見があります。たとえば勞働賃金の加算の問題、あるいは御承知のごとく肥料を買う場合におきましては、肥料代金をわれわれは調べている。しかるに農民は推肥、厩肥等の肥料を使つても肥料代金としてもらつておらない。こういうような點をわれわれは考えてみるときに、今までのパリティー計算、現在稱えられておるところのパリティー計算によるところの農産物價というものの妥當性はないと、私どもはかようにみております。よつてさらにその上に今まで見逃されておつた遺憾の點、不滿の點、そういうものを合理的にこれに計上する必要がありませぬか。そういう數字的なことにつきましてはいろいろ意見もありましようが、さように考えておるのでございます。大體さような意圖をもつて本要綱をつくつた次第でありますから、御答辯の點については大體以上によつて御了解ができると思います。
#5
○八木委員 私も小委員でこの案に贊成をいたしておりますが、委員長の御報告にちよつと思い違いがあるのじやないかと思つて質したいのであります。それは御報告の劈頭に社會黨案を中心に審議云々というお話でありましたが、そうではないということを特に私は採決に入るに先だつて發言しておいたはずでありまして、これは速記録をごらんくださればわかると思います。この扱いについては、今後もありますから委員長に注意しておきたいのでありまするが、まじめに供出問題を、いわゆる黨派を超越して農村、農業者の心を心とした意見が熱心に闘わされまして、一應の草案がまとまりかけたときに、社會党におかれてはそれを全部組入れて、社會党案の形をもつてこの小委員に押しつけてきたのでありますが、私はさような取りなし方では朗かに審議ができないのではないかということで、一應この點も注意いたしまして審議を進めていただいたのであります。從つてこの案はそういうふうにこだわらないで、實際に小委員及び農林委員から出た意見が全部網羅された事項でありまするから、委員が主張された事項を委員長としてその手もとにおいてこれを整理した結果がかういう案になつたのだということでなければならない。本日は幸か不幸か委員諸君が出席しておられませんが、その當時おられました委員の氣持ちも買いまして、私はこの際さようないわゆる社會党案を中心として云々ということはお取消しを願いたいと思います。形式として――形式を云々するわけではございませんが、及ぼす點が甚大だと思いますから、御注意いたしておくのであります。
 それから次にもう一點は、價格の點が今山口委員から問題になりましたが、これも當時取上げたことと少し意味が變つてきていはせぬかと思います。これでありますと、農業再生産に必要な價格を原則的にきめてもらえばいいという點ではありますが、原案をきめた際の氣持は、原則的には生産費基準でいく、その生産性基準は原則的に農業再生産に必要なものにいくのだという一項と、その二項にもつてきましてパリティー方式を採用する場合は、そのパリティー方式採用のために必要なる事項として基準年度のとり方とか、採用品目に對する加重因數のとり方とか、そのパリティーに採用する物資取得の時期、こういう具體的のことをあげまして、しかも耕作農民が納得するようにしてもらいたい。パリティーとかなんとかいうごまかし的なことで――なるほど基礎は科學的な基礎でありますけれども、耕作農民からみると納得しかねる點があるということで、意味は二項に入れましたけれども、パリティー方式による場合はこれこれにしてもらいたい、結論はパリティー方式による場合は耕作農民が納得するようにしてもらいたいということをつけ加えてあつたはずであります。一項においては生産性基準でいつて、しかも再生産に必要なる價格、こういうふうに二つ建にしてあるはずでありますから、ちよつと意味が違うように讀みとれますので、この點を今委員長にお諮りするわけでございます。
 それからこれは政府委員がおられませんが、私は農林大臣にこの際供出問題に對する基本觀念といいますか、供出制度に對する恆久性、應急性、あるいはこれを法制化していこうとさえ考えているような動きもありまするから、この問題をひとつ委員會を通じて明快にしてもらいたい。この質問をする機會を與えていただきたいと思います。以上三點を申し上げておきます。
#6
○森(幸)委員 小委員の方はいろいろ御心配願つて案をおつくりになつたのでありますが、この案がこの委員會に政府から提出された時に、私は委員會にこの基本要綱を政府が提案いたした趣意なへんにあるかということをお尋ねいたしたのであります。すでに八月二十日現在において収穫豫想量をきめるというような時期逼迫した問題でありまして、すでに事務的には進捗しておつたのであります。事業の進捗の中途においてそういうことを農林委員會にかけられるということは、政府のやることについて農林委員會もまた責任を分擔せなければならないということを私は考えたのであります。しかしその當時の、政府委員といたしましては、御意見によつて訂正もするし、また御意見を參酌していきたいというお話であつたのであります。委員長は小委員會を開かれまして、いろいろ御審議をせられたのでありますが、前段に書かれてありますところの理由、この理由は大いにわれわれも同感をするのであります。今日の供出制度を根本的に變えなければならないということは、われわれ多年主張しているところであり、その氣持はわれわれの考えている氣持に合致するのであります。しかしこれはここに書いてあります通り、科學的根據によつて決定することは當面の間に合わない。とくに採用することはできないから、この基準要綱によつて基準量制の實行の方法として揚げられてあるのであります。これまたやむを得ないことと思うのであります。ただ私はここに根本的な考え方について、委員會の御決定と違う考えをもつているのであります。それは農家に保有量を年齢別によつて定めて保有せしめるということに無理がある。これをやるからこそ生産の實體をつかむことはできない。そこに私は無理があると思うのであります。私の考えでは、一筆ごとの標準収量を定めるということはいいのであります。そうして標準量を定めて、標準量に一定の率をかけたものを責任供出制とする、たとえばこの田が五俵とれるのが標準収量ということをきめられたならば、惰農がやつた場合には四俵しかとれません。しかし篤農家がやれば八俵とることができるのであります。生産者の勤惰によりまして収穫量が變つてくるのでありますから、標準収穫を定めておいて、標準収量によつて一定の率をかけたものを責任供出として、惰農は自分が惰農であるから標準収量に達しないことがある。篤農家は一生懸命きばれば、標準収量六俵のものを八俵とることができる。そこに生産意欲が起こり、國家的に生産を上げることができる。かように私は考える。今日行われているような、生産量を定めて、その生産量から保有量を引いて、そうして残りを供出せしめるということが今日われわれはなはだいけない點と考えているわけであります。この點は小委員會において討議されたかどうかしりませんけれども、供出の根本を變えなければならぬという理念はそこにあるのでありまして、これをひとつ各委員の方もほんとうに研究を加えていただきたいと思うのであります。これが私の供出制度に對する根本的考え方であります。なお附け加えてこの標準量の實行方法について委員長にお尋ねいたしたいことは、(ニ)の問題でありますが、「作柄が責任量を下まわるときは等級の差を低下しこれを當該食糧委員會に申請して坪刈檢見その他周到なる調査に基き改訂すること」ということが書いてありますが、作柄が責任量を下まわるということはいつこれがはつきりするのでありますか、作柄は政府の要綱は八月二十日でありましたが八月二十日というていわかるものではありません。作柄というものはやはり収穫をやつてみた上でなければ、ほんとうの數をつかむことはできない。かまを入れてみて非常に驚く場合もあり、また存外収量の多かつた場合もあります。責任量を下まわるとか上廻るとかいうことは、収穫してみた上でなければはつきりしないと思うのであります。そうすれば坪刈も檢見もすでに時期が去つてしまつた後でありますから、この(ニ)に掲げてあることが不可能ではないか、かように考えるのでありますが、これは委員會の御意見をひとつ承りたいと思うのであります。
 私は當初に申上げたように、供出制度の根本的考え方がこの小委員會で表現されてきておることと違つておりますので、そのことを申上げて、小委員會にそういうような氣持がなかつたか、私はそういうようにしなければ、ほんとうに生産意欲を高揚さすことができない。また供出制度はそういうふうにして改訂していかなければいけな


























いではないか、こういうことを考えておりますから、私の意見を申上げたのであります。後の(ニ)の問題については委員長の御説明を煩わしたい。
#7
○野溝委員長 八木委員の御質問竝びに御意見に對しましては委員長の方からそれを修正することにいたします。仰せの通りでありましたが、私うつかりして記憶したのですから、それは修正してかようにいたしたいと思います。理由のうち第ニ囘小委員會を開催し各黨各委員よりそれぞれの意見の開陳があり委員長においてこれを勘案し、各委員の賛成を得るここに左記食糧供出對策方法を決定したのものであります。かように改めたいと思うのであります。
 それから第二の點で基準割當の實行方法のうち五の點で、これは一應この案で了承を得たつもりでございますが、内容は八木委員の申された通りでございますので、ここにこういうふうにはつきりしたいと思います。「買上價格は早期決定をなしその根據は生産費基準とすること、もしパリティー計算による場合は、かように改めることにいたします。第三の供出制度に對する政府の根本方針を聴きたいという御質議に對しましては森委員に對する答辯の際政府委員から御答辯願うことにいたします。
 次に森委員の委員長に質問の點で基準量制の實行方法中、(ニ)の點で「作柄が責任量を下まわるときは等級の差を低下しこれを當該食糧委員會に申請して坪刈檢見その他周到なる調査に基き改訂すること」、かような考えは方は一體間違つておるじやないかとういう御意見のように思います。それは作柄が一體いつきめるか、かような御意見のように思います。もちろん作柄は先ほどの實態調査という點におきまして科學的な調査の上に立つて行われることになつておるのでございまして、場合によりましては一應豫備調査ということもやるでありましよう。また實収額調査ということもやることになるのであります。でありますから、これは豫備調査の場合において一應やる場合、ないしは實収量のあつた場合等におきまして、兩方からやることを御了承願いたいと思います。それから農業保有量の再生産必要等云々とありますが、この點につきましては、これは私に對する御質問のようには思いませんが、大體森委員の見解の四に示してある見解とは、内容的においては相違がない、かように信じております。大體本委員會に對する小委員會の決定案に對しまして贊否を問うことにいたしたいと思います。
#8
○成瀬委員 私はこの小委員會に列席いたしまして審議いたした一人でありまするが、しかし最近におけるところの政府の米價の發表といい、また頻々して起こるところの東北の水害、あるいは關東の水害、あるいはまた奈良等におけるところの各縣の旱害等から考えてみましても、この農林委員會におきましては、もつともつと大所高所からこの食糧問題を考究すべきでなかろうか。大體この委員會におきまして、要綱につきましてはもちろん私ども原則として贊成でありますが、ここに米價にいたしましても、その他の問題にいたしましても、やはり政府が管理をする、すなわち政府が天降り的な官僚獨善の行き方を行う憾みがあるのでありまして、ここに二つ割當決定期間という場合と、それから九の報奨物資という場合と、それから十九の供出對策というような場合と、おそらくまたその後におけるところの二十の幽靈地というような場合におきまして、ここに四つほどの食糧に關するところの委員會をもたなければならないことになつておりますが、さような部分的なことにのみ委員會をもつてやるということはどうか。私は中央におきましてそれらを總合したところの一つの強力なる食糧審議會というもの、あるいは對策委員會というものをこしらえまして、それを通じて米價の發表あるいは今言つたような問題の處理に當るべきところの民主的な一つの協力なる機關を追加して決定しなくては、この要綱のみを提出いたすということは、政府はやはり舊態依然といたしまして、そうして農民の納得し得ないところの供出食糧政策がとられていくものである、かかような點に危惧をもつのでありまして、相なるべくはかような點から一つ強力なる總合的な委員會の設置が必要だ、かように考えております。以上申上げます。
#9
○野溝委員長 森委員といい、成瀬委員といい、御意見の點は十分了承いたしますが、これは要綱でございまして、小委員會が是認したのでございますから、一應この程度において御了承をを願いたい思うのでございますが、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○野溝委員長 それではさよう決定いたします。
 先ほど八木委員から御質問がありましたので、この際政府委員の供出對策方針に對する見解を伺うことにします。
#11
○井上政府委員 ちよつと私留守をしておりまして、どういう御見解があつたかよく承つておりませんが、政府の本二十二年度産米、甘藷、雜穀等に對する供出對策要綱につきましては、先般本委員會にお諮りをいたしました原案を骨子にいたしまして、委員會の意見をあらゆる角度から承りましたので、このうち特に本年度ただちに實行でき得るものはこれを實行し、なお次年度においてさらに實行可能なものについては、これを次年度において取上げて實行するように、現にその方針でやつておるのであります。それで本日午後本年度産米竝びに甘藷、雜穀等について、國會側の意見、また學識經験者のの意見、消費者代表の意見等を承りまして、政府の行わんとする割當についての御協力を願うことになつておる次第であります。さらにまた明日は近畿以東の地方長官竝びに關係當局を招きまして割當をいたすことになつておる次第でありまして、國會側の意見をでき得る限り尊重いたしまして、供出の完遂にいたしたい所存でありますので、御了承いただきたいと思います。
#12
○八木委員 この際政府にお尋ねいたしたい點は三つあります。その一つは、これはあるいは大臣に直接伺わないと滿足しかねるかもしれませんので、あらかじめお斷りしておきますが、その一點は、供出問題の審議の際に、しばしば政府とわれわれ委員との間に見解を異にする問題がありまして、それらがだんだん審議の結果本日決定を見たようになつたわけでありますが、ただいまも御説明のありましたように、政府はさし迫つたこの事態に處して善處されておることは當然でありますし、われわれもそれを認めます。しかし私ども國民の感情を正しく傳えて、ここに一應まとまりましたこの案を作文に終わらしたくない。これを實行に移していきたい。こういう熱意よりいたしまして、今次官から抽象的に述べられた問題を、もう少し具體的に各項目にわりたまして、政府が見解を異にし、實施上の困難性ありとする點は、後刻でよろしいから、はつきりしておいていただきたい。そうしてその點を明瞭に片づけていくことが必要であるということを申上げたいのであります。
 第二點は供出に關する年々のずれ――前年度から本年度にくるずれであります。この責任を果さなかつたずれに對する善處策は、どういう方針で處理せられておるか、この點を承りたい。
 第三點は供出の基本理念についてこの際明快にしていただきたい。これはなぜこんな問題を申し上げるかと言いますと、供出は賣買ではない、取引ではないというような常識的な印象をもつような處置が、戰争中はとにかく、戰争が終わつた今日も現にあるわけであります。とるものは一年も先にとつておいて、まだ支拂がこのごろできるというような――食糧はそうでもありませんが、繭價格のごときはそうなつておる。從つて農家は供出ということは一體どういうことだ、供出の基本理念に疑問をもつのであります。農家はかつて小笠原議員でありましたか、企業であるかどうであるかというような質問について、大臣と一問一答せられておつたこともありますが、現に農家自身も、われわれの携つておる業は私企業であるのかないのか、欲と二人ずれで百姓をすることが間違つておるのかないのか、ということをはつきりしてくれろという聲が起きております。これひ引いてだんだん考えてみますと、目の先非常に困つておる。食糧問題のために過重な負擔を農家にもちこみまして、重箱の隅をほじくるように人のきんちやくの金を勘定するような措置を、平氣で行政處理としてとつておる。そうして遂にはこの戰争中の付作統制に同じ理念をもつような農業生産を計畫的にやらせようというように押しつけてきた。最近東京の市内に、私は百姓がこんなものを見たらどんなに怒るのだろうかと思われるような立看板を見ておるのです。それは農作物の公營刈取、國家管理方法を急據制定せよ、農作物の刈取時期をねらつて公營の刈取をするというような國家管理方法を制定すべし、これによつてやみ米が根絶せられ、やみ相場がなくなり、供米が促進されることは必至である。一千萬の消費大衆に署名運動を展開中であるというビラであります。かようなビラが世の中に運動として出ておるということを、今前段に私に申しました欲と二人ずれで百姓をしてはいけないのか、考えが違うのかということと考え合わせますと、この際政府の供出の基本理念に對する考え方を、明快にこの委員會を通じてしていただきたい。この點であります。以上三點お尋ねしたい。
#13
○井上政府委員 第一點の本委員會で御決議になりました供出對策の基本要綱については、各項目を檢討いたしますと、政府としても可なり檢討を加えなければならぬものがございます。これらのことはいずれに後ほど具體的にいたしまして、この點とこの點はさらにもう一度檢討を加え、研究を加える必要があるというような、結論をつけまして、申し上げたいと存じます。しばらくそのことがきまりますまで、御容怒願いたいと思います。
 第二の政府が割當てました割當量を、割當完了までの時期に供出しない者に對する、供出の未納分と言いますか、これに對して一體どういう處置をとつてきたか。またとるつもりかというお尋ねのように伺つたのでございますが、從來政府から一應割當てましたものは、縣において責任をもつてお歸りを願う、かつ縣はそれぞれ下部機構に、これが割當の公平を期してやつていただく建前になつてくるのでありますが、實際下へおろして見ました場合に、いろいろ事情が横たわつておりますして、せつかく責任をもつて供出割當總量を引受けてお歸えりになつた縣においても、實際にそれが官遂できないという事態に立至つておる縣もあるのであります。それらの縣に對しましては、政府といたしましては假りに米で割當通りに供出できない場合は、他の食糧でもつて代替供出をいたしまして、百パーセント供出をしていただく。さらにまたその年度においてこれが完成できない場合は、次年度の作物において穴埋めをしてもらう。大體こういうやり方を從来とつて承つておるのであります。ただ二十一年度産米の未供出分についてどう處置するかという問題は、政府といたしましても、來年度の割當の上に重大なる影響あることでありますし、かつまた農民の生産意欲等も考えなければなりませんので、これらの諸條件、諸事情に檢討を加えまして、未供出分に對する處置をどうするかということの結論をつけたいと考えておる次第であります。
 なお最後に、供出という問題は政府として一體どう考えておるか、農民自身一つの利欲の上に立つて生産をしたものを、供出という名前でこれを納めさすというゆき方は、農民の個人的な利欲をだいなしにするゆき方ではないか、こういうような考え方に承るのでありますが、御承知の通り人間の社金生活は共存共榮であり、まして平和日本の建設をやらなければならぬわれわれといたし、特に戰争以來食糧不足に悩んでおるわが國といたしましては、お互いに助け合つて、この一番大切な食糧を、わかち合つて食べてゆくという考え方にゆきますのは、人間本來の考え方ではないかとわれわれは考えておるのであります。この相互扶助的な、共存共榮の人間本來のうるわしい人情に立つ考え方から、食糧管理法という法律が議會の協贊を得ることになつて、食糧管理法の規定によりまして、耕作されました農民の協力を求めて、その収穫高の一部の政府の要求する數量を、供出してもらうということを規定してあるのでありまして、この觀念に立つて政府はやつておるのであつて、農民の個人的な利欲を抑えつけるとか、あるいはこれを否認するとかという、人間個人の欲望を無視しておるつもりはありません。それから農民生活及び農民の文化的な地位の向上等につきましては、他のいろいろな政治的對策をもつて、また經濟的な裏づけをいたしまして、十分再生産なり、また農家生活が明るい面に立つていきますような裏づけをやるべきであつて、そのかわりできたものについては、國全體の食糧の困つておる現状におきましては、ぜひひとつお助けを願いたい。こういうのが供出を願つておる政府の基本的な考え方でありますし、そういう建前に立つて食糧管理法による供出法規というものがきめられておるとわれわれは理解をしておるのであります。その點は御了承いただきたいと思います。
#14
○野溝委員長 松本君、簡單に番外質問を許します。
#15
○松本一郎君 私は農林委員ではありませんので御審議の御迷惑をおかけいたします。私ども三重縣からは九人の議員が選出されておりますが、不幸にして農林委員には一人も参加いたしておりません。殊に私どもの方は食糧に關しましては、他府縣に相當量移出さしてもらつております。薪炭、木材なおしかりであります。さような關係で、先般來ひまあり次第本會を傍聴さしていただいておつたのでありますが、私ども耕作農民はわずかながらも米麥、甘藷等供出いたしております。また薪炭も供出いたしております關係者の一人といたしまして、この農業政策竝びに供出の問題につきましては、非常に重大な關心をもつておるのであります。つきまして農林委員會竝びに小委員會におかせられまして、供出對策につきいろいろ御配慮を願いたい。この要綱を拝見いたしますと、全面的に私ども御努力に感謝するとともに、贊成さしていただくものでありますが、その内容のただ一點いかがかと思うことがありますので、このことを小委員長にあわせられる委員長にお尋ねをいたしたい。かように考えます。
 それは第二の割當決定機關として、民主的に食糧委員會を設置するということでありまするが、この割當決定機關は、供出の割當決定機關であると私は解釋するのであります。そのときにそのあとにあります消費者代表もこれを公選して参加せしめるということがありますが、中央、地方とここに書かれておりますので、地方の意味が府縣程度であるか、あるいは末端町村にまでもこれに加味されるのか、いかがかと思うのでありますが、もし市町村末端までも、この委員會に消費者代表が公選されて参加するということが事實行われましたならば、おそらく供出は農民心證を非常に悪くして委員會を混亂せしめるものである。かように私は考えます。價格の決定委員會とか、あるいは從来ありました食糧對策委員會とかいうものならば、消費者代表も参加させるがよろしいのでしようけれども、供出關係の委員會になれば、これは供出關係の農民によつて構成すべきが當然ではないか、かように考えますので、中央地方という意味をいま少しく敷衍して御説明願えれば結構とさように考えます。このことをお伺いしたいと思います。
 それからその次は、さいわい井上政務次官もお見えになつておりますので、農林當局の御方針を伺いたいと思うのであります。生産責任割當制をとらすということの御方針は明かとなりまして、非常に私ども結構と思うのでありますが、これを公平に割り當てるということが最も必要なことであります。おそらくだれがやりましても、確實に公平を期することは至難とは思
























いまするけれども、努めて公平を期されて、全國府縣の割當を決定していただきたい、こういうことを強く希望するものであります。ただこの點を御考慮を願わなければならぬのではないかと思いますことは、戰争中二毛作地帶で、麥の増産奨勵のために、麥なら麥の濕地田とは知りつつ、たとえ一俵でも二俵でもとれればとらした方がよいという奨勵指導のもとに、つくらした地帶が多いのであります。すなわちそれは、私ども三重縣でありますが、私ども子供の時分はあちらにもこちらにも春はれんげそうの田があつたのでありますが、近ごろは一つもなくなつた。これはれんげそうをつくるよりも麥をつくらした方がよいというので、戰時中禁止にいたしたのであります。ところがその結果裏作の段別は非常に殖えまして、麥の供出も、過去の實績に鑑みまして相當量殖えてきておるのであります。その反面夏作がその影響を受けまして非常に激収いたしておるのであります。この點も考えまして、これまでの過去の實績に基いて、いずれ生産割當をなさるときに、地方だとかあるいは風土、いろいろ御勘考になることとは思いまするけれど、そういう無理に二毛作をつくらしている所と、あるいは縣によりましては、今なおれんげそうの田がたくさんあるところがありますが、そういう地帶と同様にこの米に關する限り供出割當をされると、往々にして一方の縣は重くなり、一方は輕くなるというようなことになるのではないか。すなわち昨年の米の供出後の状況を見ましても百パーセント楽々と供出して、そのあと米が、比較的やみ値が安い八百圓、千圓で賣買されておつた縣もありますし……。
#16
○野溝委員長 松本君なるべく要點だけお述べ願います。
#17
○松本一郎君 私の縣はそういう實情でありますので、今後そういう點も御勘定願えるのかどうかということを、次官にお伺いいたしたい、かように考えます。
 その次は米價の問題であります。それは先ほどからいろいろ御意見がありましたが、大體再生産に必要な米價、あるいはパリティー計算による米麥ということが言われておりますが、今日の農民生活は肥料とか農機具とかいうようなことのみに限定されておりません。御承知の醫療費もずいぶんかかつております。先般も隣人の者が齒醫者にかかりましたところが、上下總齒を入れかえたら四千圓かかつたと言つております。チブス患者が先般相當發生しましたときも、一月ないし四十日入院治療しましたら、一萬圓内外かかつたと言つております。また教育費も相當かさんでおります。こういうことが農業を専業としております農民の米價あるいは麥の値段に加味されておるかどうかということを、私どもは非常に疑問に思います。今日の農民は一面、マル公の供出、一面實際やみで賣つて収益をはからなければ、なかなか經濟が立ち行かないということは、事實問題としてよく御承知のことだと私は思うのであります。ゆえに全面的に統制を強化して、マル公一本建てでいかなければならぬとするならば、米麥價格というものはこれらの點も加味して御算定願わなければならぬ、かように思うのであります。右の三點についてお伺いいたしたいと思います。
#18
○野溝委員長 松本君にお答えいたします。第一點は委員長に對する御質問のようでございますから、私から答辯しておきます。基準量制の實行方法の次の、割當決定機關として中央地方を通じ民主的食糧委員會設置し、該機關には耕作農民、消費者代表をもこれに加え公選すること、この點は生産者の憤懣を買う、こういうような御意見に思いました。大體今までもかような消費者代表も食糧委員會には参加されておる。ただ問題は割當決定機關にこれを参加させるということについては相當意見がある。かような御意見のように思います。しかし御承知のごとく、この食糧問題につきましては、朝野はもちろんでありますが、全人民がみな關心をもち、かつ納得せる割當方針を要望しておる際でございますので、むしろ消費者をも参加させた方がいいのではないか、かように考えておつたのであります。しかし大體末端の町村に對しては、こうした消費者代表を参加させることはどうかということにつきましては、いずれこれは施行規則と言いましようか、方針書に具體的にこれを記録する場合におきましては、末端の町村に對してはこれは考慮をしていかなければならぬ、かように考えておるものであります。
#19
○叶委員 議事進行についてでありますが、本日委員會付託になつております農産種苗法案と農業資産相續特例法案、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、この三法案につきまして、一應休憩になると思うのでありますが、午後劈頭、政府委員の方から説明をお願いして、そうして協同組合法案に關しまする質問者の質問に移り、本日をもつて一應協同組合法案の質疑を打切り、その後の委員會におきまして、この三法案に對しまする質疑を開始するというように議事を進められんことを望みます。
#20
○野溝委員長 お諮りいたします。ただいま叶委員から議事進行に關する動議が出ました。この動議の内容は、協同組合法案に對する質疑は打切りまして、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案、農産種苗法案と農業資産相續特例法案、右三案を一括上程いたしまして政府の説明を願うことにしたい、かような動議でございます。この道義に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○野溝委員長 それでは動議のごとく決します。
 なお政府委員からの要望がありまして、右三法案の内容は簡單でございますから、ただちに説明をいたしたいという要望がありましたので、これを許すことにいたします。
#22
○松本一郎君 今の私の質問に對して御答辯願えれば結構であります。
#23
○井上(良)政府委員 主要食糧の割當の公平についての御質問でございますが、御意見の通りいかに公平な割當をするかということによつて供出が完遂されまするので、政府としましては、この割當の公平性を期すために作付面積の詳細な調査、同時に作付面積に對する具体的な科學的な總合調査を実施いたしまして、それに基いて耕作農民の、また生産者團體のあるいはまたその部落における各機關の御協力を求めまして、いかにこの割當が公平で妥當で見識のあるものであるかということを十分認識していただきまして、不公平なことのないような處置をとりたい、こういうつもりでやつておる次第であります。さらに近く國會に提案いたします農業生産調整法はまつたくこの精神に基きまして、供出の割當を事前に行いまして、農民の方々が安じてその生産に努力できるような途を開くつもりでございます。
 次に米價決定について御意見がございましたが、これも御意見の通り米價が今日の農村特に農家の經濟の重要な部分を賄つております現状におきましては、われわれ耕作農民の意見を代表する者といたしましては、この米價をどうきめるかということについては、きわめて深甚な注意を拂つております。單にわれわれは深甚な注意を拂うのみならず、できるだけ耕作農民の生活が確保され、再生産に十分の馬力をかけてやつていただけるような價格の決定されることを望んでおります。この米價の決定は御存じの通り物價廳においてやつておるのでありまして、直接農林省の責任において決定することができませんが、今申しますような理由によりまして、できるだけ農民が安んじて生産にいそしみ、かつ農家經濟が營めるだけの妥當な米價をきめてもらう。ただこの際われわれ注意しておかなければならぬ問題は、米價をいたずらに引上げるということから一切の物價が上り、一切の生活が苦しくなつていくという一部の意見もございますけれども、もし米價が農民の納得し得るような價格できめられずに、供出が正當に行われぬ場合は、この方がかえつて一層社會不安を増すのでありまして、そういう點から十分農家が協力できる、納得できる米價を決定しなければならぬというつもりで、われわれは關係當局に對して、そういう積極的な意見で米價の決定について要望をいたしておることを御了承いただきたいとおもうのであります。
#24
○森(幸)委員 ちよつと關連して…。
#25
○野溝委員長 簡單に願います。
#26
○森(幸)委員 供出制度について、これはお尋ねやら希望やらを申したいのでありますが、八木委員が先ほど質問された未供出のものであります。これは昨年は私が申上げるまでもなく、二千八百萬石の當初の割當に對して、雜穀も含んでおるという關係から、超過供出一〇%は少し下まわりの二百五十萬石割當てられたのであります。そのうち現在出ておらないのが百七十六萬石、二百五十萬石のうち百七十六萬石も未供出で終わつておるのであります。ですから一一〇%は豫定通り出ていない。これをこのままみのがされるならば、政府は強權發動もやらんとするすさまじき勢いでやりながら、遂に二十一年度の供出に對して百七十六萬石も未供出で、これをそのまま次年度に讓るということになれば、二十三年度米價の割當をしましても、はなはだ供出者としては熱意を缺くようなことが起こつてきやしないか。これはほかのものに代替させても本年百七十六萬石だけは一應供出して、一一〇%の數字が終わつたということにしておかなければならぬと私は思うのであります。これに對して政府はどう考えておられるか、もう今さらそんなことはやれないとお考えになつておるのか、私は是が非でも、とにかく百七十六萬石だけは供出させなければならぬと考えておるが、政府はどうこれを處置されるか、八木委員の質問に對して、少し囘答が徹底されなかつたと思いますから、重ねてお尋ねする。代金の支拂について、この小委員會の要綱にも速やかに拂えとありますが、非常に遅れておる。どこに遅れておる原因があるかということは、農林省としても研究されておると思うが、これは速やかに是正されなければならぬと思うのであります。と同時に封鎖金をもつて支拂われる。現に芋會社の方から芋代が封鎖金によつて農業會に支拂われた。農業會は封鎖金を貰つてどうにもしようがないので、芋會社の方に要求いたしたところ、政府から封鎖をもつて支拂われるから、封鎖金をもつて支拂うより途がない。こういうことであります。これは末端の金融機關として非常に迷惑を來すわけでありますから、今後そういうような處置を繼續されるつもりか、そういうことはいけないから、現金をもつて支拂いをするような方針をおとりになるのか、その點をひとつお尋ねしておきたいと思う。もう一つは農村で空俵を返せということが非常にやかましく言われている。今日はわら二十五把引きかけたやつが二十何圓も農村でしておるのであります。でありますから一俵の俵が十七、八圓から二十圓かかる。米價が以前安いときには、檢査料も俵装代も加えて一俵なんぼという米の價格で出ておりましたけれども、今は石數あるいはキロによつての價格であつて、俵装は見てない。パリティー計算なんかできやせんにきまつておる。農家は炭にしろ肥料にしろ、かますは囘収される。米だけ俵をとられるということはいけない。ぜひ俵を返せということはやかましい要求である。しかし實際問題として、大阪や東京へ來た俵を、一々出荷地へ返すことはとうていできないのでありますから、返すものは返す、返さないものは相當の價格をもつて政府が買上げるというような形式をとられることが、生産者の意に副うことであり、私はそうすべきことと考えるのであります。まだ麥の値段はきめられたけれど、米の値段がきめられておりませんから、俵装代なんぼということをはつきりきめて、米の値段をきめる時は別途にきめることが妥當であると信ずるのであります。農村の事情に通じておられる大臣、政務次官としては、よくおわかりと思いますから、この際どういうように處置されるかということを承つておきたいと思います。
#27
○井上(良)政府委員 第一の本年の未供出の問題についての處置の問題であります。これはさいぜんお話を申上げました通り、政府としてはこれをこのまま全部帳消しにするという方針をきめているわけではありません。本年とれますところの主要食糧において代替をさすか、あるいはまた他の處置を講じるかということの最後的な處置を、近くきめるつもりでございます。ただいまの御指摘のように、こういうことがもしこのままでよいということになりますと、いわゆる正直農家が馬鹿を見るということを考えられても困りますので、供出できぬにはできぬ理由が明確になつていて、そうして實際できるにかかわらずしなかつたものは、その處置を十分とりたい。こういうつもりでいるのであります。
 それから第二の代金の支拂の問題についてのご意見でございます。ごもつともでございまして、政府といたしましてはできるだけ現金拂でいたすようなつもりでおりますが、ただ芋會社の例をあげてお話がございましたが、どういう理由でそういうことになつたかということについては、一應事務局當局と調べまして、お答えをいたしたいと思います。ただ非常にたくさんの代金を支拂わなければならない富農と言いますか。または僅かの供出しかしないにかかわらず封鎖で支拂われる。こういうように農家においてもいろいろ段階がございますので、非常にたくさん供出する人でありますならば、それは一部封鎖でありましても、そう經濟済全体體に大きな影響はありませんが、僅かな供出をして、しかもそれが農家經濟に重大な影響をするというような支拂代金につきましては、できるだけ現金にいたすような方針をとらなければならぬと考えております。
 第三の空俵の問題につきましては、これは全國の農民の切實な要求でありますので、特に大臣ともいろいろこの問題については打合せをいたしまして、現に物價廳に對して本年度の米價の算定は中味計算でやつてもらいたい。從つて容器は別にきめてもらいたいということをわれわれは物價廳の方へ要求しております。この問題については、私どももそういうことをできるだけ物價廳の方にやかましく主張いたして、御意見のようにきめたいと考えますが、なお物價廳自身の方に對しましても、國會として十分ひとつ意見を反映さしていただきますならば、ともにこの問題は圓満に解決するのではないかと考えている次第であります。
    ―――――――――――――
#28
○野溝委員長 これより開拓者資金融通法の一部を改正する法律案。農業種苗法案、農業資産相續特例法案の三案を一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。井上政務次官。








#29
○井上(良)政府委員 ただいま提出されました開拓者資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の概要を御説明申上げます。御承知の通り、政府におきましては、去る第九十二帝國議會において成立いたしました開拓者資金融通法に基き、開拓者の營農資金及び住宅資金といたしまして、昭和二十一年度におきまして總計四億一千一百萬圓の貸付を完了し、昭和二十二年度第一四半期におきましては總額約三億八千萬圓を貸付中でありまして、資力に乏しい開拓者に、あるいは農機具を、あるいは住宅を、あるいは家畜を入手する機會を與へ得ましたことは、政府といたしましても、開拓者の營農竝びに生活安定の基盤を築く第一歩と信じ、今後ますますこの適切なる運營によりまして同法の目的達成に遺憾なきを期している次第であります。
 しかしながらかように申しましても開拓地は一般に惠まれぬ環境でありまして、しかも地味瘠薄でありますのみならず、經濟的に見ましても非常に不利な條件にあるものが少なくないのであります。從いまして當面の營農収入は全く問題になりません。この困難な諸條件にありますところの開拓者を少しでもその生活の困難を救うために開拓地の自然的經濟在的立地條件に即應して、適正な規模を有する共同施設を導入し、生計の資金の獲得のみならず營農資金の補填おもさせますと同時に、これらの開拓地の農業經營の安定をはかることが目下重要であろうと考えている次第であります。
 しかしながらこれに要します資金は開拓者の自己資金の醵出、あるいは開拓者團體の信用による外部負債の導入等に依存することは事實上困難でもありますし、また普通の金利をもつてしては負擔の重きに失する憂いなしとしないのであります。ここにおきましてどうしても政府資金による低利長期金融を必要とするのであります。そこで政府といたしましては本法案により現行の開拓者資金融通法の一部を改正いたしまして、政府の資金をもつて開拓者の組織する法人に對し、その必要とする共同施設資金を貸付けようとするのであります。本法案に申しますところの共同施設とは、さしあたり開拓者のための副業施設を對象とする所存でありまして、最高限を二十萬圓以内とし、償還の方法等については從来の營農資金、住宅資金と同じく、長期低利の均等年賦償還の方法によることとしたのであります。ただすえおき期間につきましては、營農または住宅資金の場合は五箇年でありますが、共同施設資金については、その貸付は法人に對して行われるものであり、一應は入植者の經済とは別個のものでありますので、施設の操業開始までの期間を一箇年と想定し、この期間のみを無利子ですえおくことといたしたのであります。
 以上がこの法案の趣旨と内容の概略でありますが、どうか愼重御審議の上御可決あらんことを切望する次第であります。
 次に農業資産相續特例法案につきまして、その提案理由を御説明申上げたいと思います。
 申すまでもなく、日本の農業は、經營規模がきわめて零細であることをその特色といたしておるのでありますが、これがために高度な農業技術の導入が妨げられ、農業生産力の發展は停滞いたし、現に今日農業近代化えの大きな障害となつていることは、萬人ひとしく認めるところであります。しかもなおかような零細經營の崩壊を支え、辛うじてその維持發展をもたらしたゆえんの一つは、その可否はともかくといたしまして、わが國の家督相續制度にあつたことは、これまた異論のないところであると存じます。しかるに前議會におきましては、日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置法案が上程可決せられ、わが國の相續制度は改正されることになりまして、家督相續が廢止され、遺産相續だけが行われることとなつた次第であります。從いましてもしも農業の相續に際し、遺産が均分により分割相續されるに至りますならば、さらでだに過少な農家の農地その他の農業資産はさらに細分化され、一層零細脆弱な經營形態となるか、または農業經營者が相續の行われるごとに過大な債務を負擔して、小作農同様の地位に陥るかの、いずれかの途をたどるおそれがあると言わねばなりません。かくては現に實施中の農地改革によりせつかく創設された自作農も再び小作農と同様の地位に轉落し、日本農業もまた弱體化し、われわれが農地改革の結果に期待すべき農業の近代化と農村民主化の實現に重大な支障を及ぼすに至ることは明かであります。從いましてかように相續に起因して、農業資産が細分化されることを防止するとともに、進んで農業を營むべき相續人に對し相續上の保護を與え、農業經營の安定とその健全な發展をはかるべき必要な措置を講ずることが絶對に必要であると確信するものであります。しかし新憲法の施行せられております今日、古き家督相續制度の觀念から脱却するとともに、新憲法の理念に立脚し、新たな觀點より農業の社會的生産力發展の基盤を確保するため農業資産の相續について民法の特例法を制定せんとするのが、すなわち本法案提案の理由であります。以下法案の主要な内容について、概略を御説明申上げます。
 先ず農地その他の農業資産は、相續によつてこれを分割すること禁じ、一人が相續することにいたしたのであります。しかして農業資産相續人については、家督相續の觀念から脱却いたし、農業を營む見込みのある者が相續人になることを建前といたし、被相續人の指定した者または共同相續人の話合いによつて選出した者が原則として相續人になることにいたしたのであります。
 次に農業資産相續人は、相續上農業収益による負擔力以上の債務を負わないように留意いたしまして、他の共同相續人と同様の相續分を受けるほかに、一定の特別の相續分を受けることにいたすとともに、他の共同相續人は、農業資産が一人の相續人に歸属することによつて不當に利益を侵害される場合には、一定の範圍で農業資産相續人に救償をすることにいたしまして、相續人間の利益を公平に調和することにいたした次第であります。しかして、農業資産の相續上の問題が、裁判に附される場合には、裁判所は、農地委員會の委員の意見を聴くことを要することといたしたのであります。
 以上が法案の主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上速やかに御協贊あらんことを切望いたす次第であります。
 次に農産種苗法案について概要を御説明申上げます。
 種種が農業生産にとつて、その根本であり、優良種苗の使用がきわめて重要であることは言うまでもないことであり、殊に蔬菜種子を始め、果樹苗木その他の農家が購入して使用するのを普通とするいわゆる販賣種苗は、その購入にあたつて、しばしば不良種苗によつて栽培農家が損害をこおむる場合が少なくない實情にあるのに鑑み、政府は優良種苗の育成と生産について種々施策に努めておりますが、今囘新たに農産種苗法を制定して、取引種苗の品質の保持向上を期することとしたもので、これによつて國内においての農業生産に裨益し、栽培農家の利益が擁護されるばかりでなく、園藝種苗等の海外輸出の振興に役立つことが期待されるものであります。
 この法律は各種の作物の栽培に使用される種子や球根、苗、苗木あるいは採種のため使わはれる母本とか、苗木を仕立てるための穂木やだい木等に適用されるように規定されてありますが、實際には普通に取引される蔬菜種子、果樹苗木その他の販賣種苗が對象となり、その種類は農林大臣が指定することになるのであります。何人でも自由に種苗の販賣業者となることができるが、その營業所ごとに地元の市町村に届け出で、市町村長はこれを農林大臣に報告しなければならないことにいたしました。これは後の規定による種苗の取締上の必要に基くものでありますが、元來農業生産の根本である種苗を取扱う種苗業者としては、種苗の販賣にあたつて十分責任あるやり方をしなければならないことは當然でありますので、趣旨によるのであります。
 種苗業者が種苗を販賣する場合には必ず種苗の品種名、生産地、生産年月、發芽率等、種苗の品質に關する表示、すなわち保證案の添付を行はせ、これに對して農林省に種苗檢査所を設けて、故意に不正な表示をして需要者に損害を及ぼすことのないよう、種苗檢査取締りを行い、需要者が安心して種苗を購入使用できるようにしたのであります。
 次にこの法律として前項の不正種苗の取締りを行う半面、優秀な新品種、新系統の種苗の育成を推進するため、その育成者の名譽を推賞しその利益を擁護するように、これの育成者は農林大臣に出願して、種苗の名稱の登録を受けられることとしました。この名稱登録を受けた種苗は、登録を受けたもの及びその者から許諾を受けた者でなければ種苗として販賣できないこととし、その販賣について保護を與えるものであります。
 以上が種苗法案の概要であります。何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことを望む次第であります。
#30
○野溝委員長 では休憩します。午後は二時から再開圍します。
    午後零時五十一分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時四十五分開議
#31
○野溝委員長 會議を開きます。
 これより農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法律案の兩案について質疑を繼續いたしますし。寺本委員。
#32
○寺本委員 私は質疑を簡單に行いたいと思います。地方に歸りますと、各町村に農業協同組合懇談會とか、研究會とかいうものが催されて、今までの農業會を指導しておつた主として幹部の人たちが働きかけて、町村のそういう關係者を集めて、研究會とか懇談會とかいうものを開いているようでございますが、それにつきまして一般の風評では、農業會が解散になつて、またあとに協同組合が生まれても、結局そうい

















う人たちが集まつたのであつて、少し名前の違つただけで實際は同じものじやないかという空氣がかなり濃厚でありますが、一説には今までの農業會の首脳部というものは、あとに生まれるこういう協同組合などの團體の首脳部や幹部にはなることはできないというように、遠慮してほしいというような意見もあるように聞いておりますが、今私が申上げましたような實情が地方にたくさんあるのでございますが、こういう行き方について政府のお考えを承りたいと思います。
#33
○井上(良)政府委員 現在の農業會が獨占禁止法その他の關係から解散をされ、これに代る日本農村の民主化の一つとして農業協同組合をつくる。この農業協同組合の組織にあたつて、舊農業會系の指導者が、いろいろ協同組合の組織について懇談會あるいは研究會を開いておる。これはこれらの指導者のが再び協同組合に参加する下準備ではないか。また世間でもそういうように見ておるというお話でございますが、農業協同組合を政府が農業會に代つてつくろうとするゆえんは、すでに提案理由の場合に説明を申し上げました通り、農村の徹底的民営化をはかり、封建的な地主勢力というか、そうゆうものを一掃いたして、日本の農村を民主的な方向に立直していくということのためには、單に農業の改革、土地制度の改革だけではだめだ。どうしても土地を中心とする農民の協同の組織を活用いたしまして、これによつて農村の民主化を推進するとういうやり方をしなければだめだ。その農村の民主化の徹底こそ農民をして解放さすところの一つの條件でありますから、そういう建前において、現に耕作しておるところの農民を中心にして、農民自身の自覚と協力によつてこの組合をつくる、あくまでそれは他の勢力とか他の力によつてつくらすというのではなしに、農民がみずからの經済的地位を確保し、また政治的な力をもち、それを通して農村の民主的な改革を斷行するという行き方を指導しようとするのが政府の考え方なので、從つて舊農業會の勢力がそのまま協同組合におきかえられるということでは、協同組合をつくる意義はまつたく失われるのであります。そういう方向は政府は贊成するわけにもまいりません。またそういう方向に對しては警戒をしなければばならぬと考えております。ただ農業會と申しましても、農業會の中に全部反動的な指導者がおるというわけではありません。やはり農政その他について改新的な、民主的な考え方をもつた方々も多數おります。またこの人々が眞に耕作農民であり、土地とともに農村を開放しようという意識に立つて、協同組合の組織に協力を願うということは、あえてまた排撃すべきことではないのであります。ただ農業會的な、ボス的な力において、いつまでも自己の力を温存しようという勢力を一掃して、農民の協力によつて、農民の協同の力を結集することによつて、封建的な一切の諸勢力を農村から一掃する。こういう新しい行き方に協同組合は出發しなければならぬと考えております。そう方向にわれわれも指導していかなければならぬ。從つて農業會とは全然別個な新しい別なものが農村に生まれる。こういう考え方をもつていただき、われわれそういう方向に指導援助しなければなろぬと考えておる次第であります。
#34
○寺本委員 次官の御説明で大體了承いたしましたが、新しく農業協同組合が農村に生まれますとき、今次官から説明のように、民主化された農村民の盛り上げる力で結成していかなければならないというお話で、まことに結構なことでありますが現在の農民の知性と言いますか、そういうものの程度では、なかなか自分たちでこれを健全に結成して發達させていくというものは、困難な状態であろうと私は思うのであります。こういうあたらしい試みのときは、今後日本の農業經營というものは、從来の農業經營を止揚して、そうして高度な多角的な經營に、いわゆる經營の轉換をはからなければならぬという段階に達しておりますとき、やはりここに協同組合がその推進になると思いますが、そういうときに何らかのやはり指導的役割、それは農林省や府縣廳がおやりになるでしやうけれども、役割をやるところがなければ―――今までは實際は農業會の幹部というものが、中には次官のおつしやる通り、推進的な革新的な考えを持つた人たちもいますけれども、從来のボス的な存在の人が大體そういうような地位を占めている實情であります。そういう人たちが自發的に遠慮するということは、なかなか現在の状態において考えられない様子でございます。これを積極的に推し進めて、そういう人たちが遠慮をするような、そうして新しい革新的な指導力をもつて、それらの人が進んで協同組合を指導していくような方向にもつていくというようなことを、何か農林省でお考えになつておることはありませんか。その點をお尋ねいたします。
#35
○井上(良)政府委員 お説の通り現状のままで放任しておきますと、まつたく古い勢力のものに指導權をもたれて、せつかく革新的な、民主的な方向に協同組合を設立しようとしても、それはできない。何とならば、農民はあまりにも知識的といいますか、政治的な自覚が足らぬということに原因をしておるという御意見がありますが、政府といたしましても、もちろんこの協同組合を自然發生的にできるがままに放任しておくというのではなしに、御存じの通り、協同組合法が國會を通過いたしますと、ただちに政府はそれの施行にかかるのであつて、施行にかかるとともに約八箇月後には農業會が完全に解體をされますので、それに代わるものを、農村に新しい民主的な組織としてこの結成をはからなければなりません關係上、非常な力をこの組織に集中いたしまして、少なくともここ半歳、一年間に、全國の津々浦々に民主的な協同組合の組織が進むような方向に努力をしなければならぬと考えております。それの具體的な運動の方法といたしましては、たとえば從来の農業會と今後國會の承認を得てつくろうとする協同組合とは全然その性質を異にする。農村を一歩飛躍さすところの新しい一つの農村形態であるということを、よくひとつの農民の方々に徹底をさすところ、啓豪宣傳運動を大々的に行わなければならぬと思います。このためにはまず有能なる指導者といいますか、そういう人々に、一定期間協同組合の組織方針についての講習なり研究會なりを十分いたしまして、これらのものを全國の各府縣に派遣をし、またその府縣はさらに下部の郡、市町村等にはいりこみまして、そして新しい協同組合が今申し上げましたような方向によつて結成得するように援助、指導いたす、こういうつもりでおるわけでありまして、これはまつたく耕作農民の自覺を高め政治的意欲を高揚し、進んでこれを推進するところの、農村における民主的組織である農民組合、あるいはまた全農の中にあります青年の方々の協力を求めて、ぜひひとつをこれは大掛りに、しかも果敢に、速やかにこれが透徹するような方法をとりましてやりたい。こうわれわれは考えておる次第であります。
#36
○寺島委員 大體了承いたしました。
#37
○野溝委員長 寺島委員
#38
○寺島委員 本法案中について、先般農林大臣に質疑をいたしましたことに繼續いたしまして、お伺いいたしたいのであります。私思いますのに、この農業協同組合法案を拝見いたしましてつぶさに感じますことは、この農業協同組合法の貫く根本理念いかんという問題に關するのであります。それはわが國の從来の農業經營は、言うまでもなく封建的遺制としての、現物形態の高額小作科による桎梏が第一點でり、次にはあまりにも過小農制あつたという點が指摘されるのでありまするが、このことが言うがごとくに日本農村の資本的地主の勢力をほしいままにせしめ、農村分化を遂に後退停頓せしめたいいうことにあいなつておるのであります。ここにいわゆる農民の悲劇があり、救われない觀があつたのでありますが、農民の解放なくして日本の民主化はあり得ないという建前に立ちまして、私は先般の土地制度の畫期的改革というようなものが、ただいまの次官の御説明によつても、大體農村における封建的殘滓を拂拭し得た一つの方向であろうというような御所論であつた承つたのであります。しかしながらただこれだけをもつてしては、たるの底にたががまだはまつていないということを指摘しなければならのであります。すなわち現在の農民は觀念形態の支配を受けている。従つてこの觀念形態の支配を受ける人的組織を勇敢に改革することに思考せられなければならないのでありますが、この觀點から立案された農業協同組合法案こそ、いわゆる實質的な裏づけをこれに與えるべきものでなければならないと思うのであります。もちろん法は人間組織の形式的一面であり、その規範は最小限度のものであることをわれわれは銘記するときに、その點から農村民主化を實質的に推進するためには、あらゆる角度からその指導と施策とが勇敢に行われなければならないのでありますが、本法においては、日本の農村協同化ということを法の一條にうたつておるのでありますが、その冒頭にいかに日本の農村をもつていくかという、高い理想の旗が明確に掲げられていないということを、私はひそかに心配するのであります。すなわち絶對主義の封建的理念が未だに農民に残存しており、觀念的諸形態として農村人の頭脳の奥深く刻みこまれておる。この中においてこのまま農業協同組合法式をかりに實行いたしてみましても、現實の農村は資本主義の農村浸潤によつて、利己心と現に結びついておるのでありまして、協同精神のいたるところを貧困な有様を露呈しておる状態であつて、それがひいては今日流通秩序をいかに破壊しておるかということは、申しあげるまでもないのであります。すなわち農民自身の知的水準が未だ低い。すなわちこれをどうしても破碎いたさなければならない。このことなしに農民協同組合法案をいかにつくつてみても、それは魂のない佛と化し去る疑念が多分に存在するすると思うのであります。殷鑑遠からず、かつて産業組合の歴史がわれわれにこのことを單的にに教えておるのではないかと思う。農民救済の旗印をあれほど高く掲げたあの産業組合運動を、今日われわれが囘顧してみまするとき、それは地主階級のいわるゆ農民壓迫の手段にかえつて供せられてしまつたということは、申すまでもないのであります。かかる地盤の上に低兼なる勞働力がかえつて農村に求められたという逆効果を来たし、しかしその課程上に、封建的な資本主義の矛盾的二重構造が、日本農業の基礎構造となつておつたのであります。もちろん労働量の豊富なることは、質的な水準をもつものでなかつならばかえつてその害悪を來たすことになるのであります。すなわち勞働量の豊富なことは、労働問題、人口問題、ひいては工業問題にもこれは波及してまいるということを明らかに認識いたしますときに、農業協同組合法案は、最も完成した形式の上にこれらの諸問題を解決するイニシヤチブとならなければならないのであります。資本主義か社會主義化かというようなことは、いわゆる巷間の所論は、この農業協同組合法案をめぐつて私は不要だと思うのでありまするが、まず農民の解放をいかに志すか、日本を救うためにいかにして農村の民主化を行うべきものであるかこれはいかなる理念と、いかなる政治的な實践との結びつけによつて果されるのであろうかということが、第一に問題になつてくるのであります。いわゆる農村協同組合の根本指導理念いかん、これは適當なる機會に大臣方御説明を本委員會においてお伺いできますればさいわいだと存じます。
 次に私は個別的の條項に入つてお尋ねしてみたいのであります。ただいま次官は寺本委員の御質疑に對しまして、非常な大掛りな啓蒙運動の下に、知的水準の比較的低い農民諸君に對して、いうところの農村ボスのとりこにならないようにすると言われたのでありますが、しかしながらかつて日本におけるところの組合運動の歴史等を顧みてみますときに、多くの場合はそれは地主の指導によつて、かえつて農村を束縛されて具にされているのでありますが、産業組合、農業會の過去にわれわれは鑑み、農民諸君を繋縛した民主化は、かえつて一部の權力者によつて束縛指導されるというよな危險性があり、いうがごとき御説明と、今日の立法のみをもつてしては滿足できないと思うのでありますが、この點に對して、具體的な細則をたてられる際においていかように御處置をされるのであるか、これを伺いたいのであります。
#39
○井上(良)政府委員 實際今お話の通り、農村協同組合の目標とする基本的な考え方というものは、寺島委員からも御指摘の通り、日本の農村を封建的な地主勢力の絆から斷ち切つて、働く農民とといいますか、農村の指導勢力であるところの農民を基盤にして、この農民の自覺と政治的な意欲の向上に基いて、農村を民主化していくということが協同組合の最高の目標であろうと考えるのであります。從つてその農村の民主化の必要なる組織として、協同組合運動を展開するのでありますが、この協同組合運動は、單なる組合運動として考えますと、組合利己的な立場に立つて、これが動かされる關係上、過去の産業組合運動と何らの變りがないことになつてしまう、この矛盾をどうするかという問題が起こつてまいるのであります。そこでわれわれといたしましては、いわゆる組合利己的な立場から、協同組合が發達したのではだめでありますので、これはあくまで一方土地改革の線に沿うところの農地の解放と、それからこの組織による農民各自の經濟的な地位を確保しつつ、政治的な自覺を高めて、農業生産力を高めて、國全體の生産力を農村において分擔してもろう、そういう方向にもつていくことにおいて、日本全體の民主化がはかれる、こういうように私どもは考えておるのであります。從つてあくまでこれは組合利己的な、過去の産業組合活動のようなことに陥つたのでは意義がないのでありますので、この點に對してわれわれは組合活動運營において、十分なる注意をせなければならぬと考えておるわけであります。そういう立場において、實際そういう一つの大きな理想と、そういう方向による組合をつくるという場合に、現在の農村の實際の姿を考えたとき、容易ならぬ事業であります。御指摘のように、今日農村においては、いかにして地主階級に属する人々が農村の指導者層になつております現實においては、いくら働く農民の立場におる組合をつくろうという觀念をなんぼわれわれが考えてみても、事實農村における人的分布の状態を考えてみますると、また農村を動かしておるところのありのままの姿を見るときに、大體においてその農村の指導勢力というものは、地主的な、封建的な勢力が中心になつてきておることは事實であります。從つてこれを一體どう切りかえるかということは、まつたく農民の頭の切りかえにまたなければならぬ。すなわち農民の自覺と言いますか、眞に日本が新しい民主的な國家に立ち直りつつある。過去のものとは全然別なものが生まれるのだという一つのレヴォリュウションの考え方を、十分に農民に自覺させなければいかぬのではないか。そうでなければ、依然として土地改革をされておりながら、土地が自分のものとなつていこうとする現状に、しかもまた、自分を中心にする一つの協同組織ができようとするときにおいて、その頭のもち方が依然として古い物の考え方に立つておるということではだめでありますから、その頭の考え方を、やはり新しい物の考え方に切りかえさせ得る一つの方法としても、協同組合運動というものが農民のものの考え方をかえていく一つの方法にもなつていくと私は考えますが、いずれにしても農民の啓蒙と言いますか、政治的な自覺を強めていく。このためには現行の農民組合運動等の力を相當借りまして、この面におけるところの農村の民主化への一つの強力な運動に協力を願う。さらにまた具體的には各部落單位に講習會、講演會等を開き、あるいはまた組合の實際勢力をもち得るまでの具體的な指導と言いますか、具體的な援助と言いますか、





















それを不斷にやはり行いませんとだめでありますので、いかに法律規則でもつて、組合の役員には投票によつて選挙されるということを規定しておきましたところで、實際その組合の實権を握る者が、過去の農業會系統の地主勢力の者によつて押えられるということでは意義がございませんから、こういう點については、具體的に實際部落へはいつて、眞に耕作農民にたびたびお集まり願つて、そうしてよく組合の成立する目標なり、また運營する實際なりについて、長い一つの訓練期間というものを通して、順次耕作農民が組合の指導權を握りように、われわれは援助していかなければならぬ、こういうつもりでおります。從つてそのためにはさいぜん申します通り、實際協同組合組織についても、新しい物の考え方にたつた、そうしてそのために挺身働くところの有能な指導的分子を全國的にやはりもちまして、これらの者がそれぞれの分擔地域において、そういう方向に組合を結成していくようにわれわれは取計らう。一方文書あるいはまたその他の啓蒙宣傳の機關を百パーセント活用いたいましてやりたい、こういうつもりでおります。
#40
○寺島委員 ただいまの農林政務次官のるるたる御説明によつて、その推進的ないわば形式的とも言うべき一面はここに了得できるのでありますが、いわゆる日本農業の構造について冷徹なるメスを入れ、しこうして何のゆえをもつて日本の農村が矛盾した構造に組み立てられなければならなかつたかということに触れてくると、農相竝びに次官の御所論は、私の了解する限りにおいては、いわゆる土地制度の徹底的改革と、しこうしていま一つはその上に展開せさるべき農村協同組合の運動がこれを克服するやに聞こえるのでありますが、私は日本の農村のがんはそういうところにあるのではなくて―――もちろんそれも一つの原因ではありますが、それよりいかに聲を大にして津々浦々に、いわゆるコーペレートの精神を普及しきたつたといえども、日本農業の構造に病源があるならば、これはなかなか果し得ない問題であろうと思うのであります。すなわちそれは過小農制と言われておる現在の農業制度、農業經營の實體であります。この過小な農制というものを、今日このままにしてかりに残しておくというようなことをいたしていけば、農家は獨立自營の營業を營むということが困難になる限りにおきましては、現實に昨年われわれが農地法を審議いたしますときに聴いた、當時の全國の農家の平均段當耕作面積と、その後のおびただしい社會の變化によつてもたされた農家の保有面積というものが減つてきておる。こういう不安な形態に日本の農村をしておく限りにおいては、私はいかに聲を大にしてかような農業協同組合を叫んでみましても、それは次の社會情勢の變革のもとにおいては、それぞれ獨立自營することのできない農業協同組合は、經濟的機構の面から破綻して、かつてわれわれが繰返したような、いわゆる農業の封建性というものをここに再び現出することなしとは保せられないのでありますが、私のお聴きしたいのは、われわれが聲を大にして農業協同組合を今日つくらなければならないゆえんである一つの問題、土地問題についてはこれは大臣御列席の別の機會に論及いたしたいのでありますが、その過小農制というものからくるズレを防ぐことなしには、私は先ほど指摘いたしましたいわゆる地主的勢力というような形で再びのまれてしまう。こういう點について、日本の農業の經營形態をしからばどのように高揚せられて、このずれを防ぐものなりやということについてお伺いしたいのであります。
#41
○井上(良)政府委員 まつたくお説の通りで、いかに土地改革を一方において行い、農地の解放をいたしても、またその土地の上に協同組合組織による農家の經濟を確保し、それを通して日本の民主化をはかろうとしても、かんじんのその土地をというものが、御存じのように年々過小農化していくというこのことを放任しておいて、それでいかに觀念的に農村の民主化のために協同組合組織をつくるのだということを言い、かつ地主勢力を一掃すると言つたところが、それは役に立たぬではないかという御意見でありますが、それはまつたくわれわれも同感でございまして、問題は農家の經済が立ち行く最小限度の土地をどう確保させ得るか、どう保障させ得るかという問題であろうと思います。從つて政府はこのことのためにも、どうしてもある一定限度の土地というものを保障しませんと、農家自身の經營の上にも、また農村全體の民主化の上にも大きな影響がありますので、本日提案をいたしましたように、農業資産の相續法を制定いたしまして、農地の過小化を制限いたしたい。なおまたこれは單に法律の力をもち、制度の方式をもつては、いかに土地の過小化を防止しようとしても、全體のインフレならインフレ、あるいは財政なら財政というものを建直しませんと、いかにもすることができな得ない現状にありますので、少なくとも農家が自分の立ち行くだけの耕作地を確保して、その上でそれぞれの立地條件に適し得る營農の形態をとつて、たとえていうと、有畜農業が十分盛んになるようなところは、その方向による農業經營を極力協同組合を通して技術的に、科學的に指導していく。あるいはまた養蠶その他の地方においては、それをまた中心にやつていきますし、それぞれの立地諸要件を考慮して、大體農家の生活が確保でき得るところの基本的地盤を確立せなればなりませんから、これはお説の通り十分政府としても注意をせなければならぬと考えております。またその方向に必要なるあらゆる對策を立ててまいりたいと考えております。
#42
○野溝委員長 ちよつと關連して農林次官にお伺いします。ただいま寺島委員の質問中、地域的にその地方の産業はそれを協同組合として、その經濟的な運營をはかることにするというお話がありましたが、この點については非常にもつともであるし、またわれわれもそう考えておるのであります。ただ現在この畜産の酪農事業なり、協同事業ををやつていこうとする場合に、酪農調整法というのがあつて、これがこの畜産協同事業なりを非常に阻んでおります。政府では特殊の物資を除くほかは、この協同組合でなし得ることはなつておりますが、畜産協同事業だけは酪農調整法というわくがありますが、政府の方には近い機會にこれを改廢する意思があるかどうか。なおこれは戰時統制立法でありますがゆえに、特にこの點をお伺いしておきたい。
#43
○井上(良)政府委員 具體的に實際伺わぬとわかりませんし、なおまた問題はあくまで農村經濟あるいは農業經濟が立ち行くといくことが目的でありますから、從つてそれを阻むものが國全體として考えてあります場合には、當然そういう方向に改正しなければならぬと思います。
#44
○野溝委員長 これは希望でありますが、一應政府當局において酪農調整法、これは戰戦時中の明治、森永を擁護せる立法で、全農民のもつとも排撃しておる法案でありますがゆえに、政府に對してこの機會にこれを改廢せられて、協同組合をもつとも有機的に運營できるよう切望いたします。
#45
○寺島委員 私は井上次官の御説明によるところのその志す方向については、まことに御同感であります。しかしこれだけの法案を提案せられ、しかも在野當時日本農政に對する幾多の抱負と識見とをわれわれに示唆せられた當局としてお伺いいたしたいのでありますが、それは現在開拓法によつて、農地開拓によつて、いわゆる三箇年間百五十五萬町歩の土地を確保する。これについても開拓法のときに申し上げたいのでありますが、開闢以來不毛の地に、今日のようなきわめて窮迫した資材のもと、これが完成を見るや否やはすこぶる困難であります。こうした横に農地を擴げていくということはにはもちろん限りがあるのでありますが、しかしたといこの家産法をつくつてみたところが、滔々たる現在の農村における現實と申しますものは、次官御承知の通り、限りない耕地の細分化が行


























われ、その面から非常なずれがきておるのでありますが、これは次官よりただいま金融その他の關係上、やむを得ない條件が農村を壓迫するのだというような御答辯の趣きに承つたのであります。さればこそ日本農業の構造を變えてこなければならない。たとえば農村工業という問題、御指摘の酪農の問題、そういうような問題について、農村當局としては、具體的にいかようなる御用意をもつておられるか。たとえば日本農業のどの程度の部門を工業化によつて吸収しようとしていかれるのであるか。たとえばここになお一箇の問題になつてくるのは、獨立自營の農家をどの程度に發展せしめ、それ以外のものはいろゆる協同化によつて行つていくのだ。そういうような全體のにらみ合わせをした一つの案が提示せられませんと、耕作農民としてはなかなか安心していくことができないのであろうと思いますが、お考えになつておるところの具體的なことについて、内容の一斑ないしは今後の抱負に属することでも結構でありますから、お示しを願いたいのであります。
#46
○井上(良)政府委員 現在わが國の立つております國際的な立場、戰争に敗れた現在におけるわが國の将來というものを考えてみた場合に、現状のようなことではいかぬということはだれもわかることでありまして、しからば一體營農を確立する立場上、どういう基礎條件の上に計畫し、維持していくことが必要であるかということでございますが、これらの問題をきめますのについては、今日ここで私が簡単に、たとえば土地はこれこれあつて、あるいはこれに伴うところの家畜とか、あるいはまたいろいろな農村施設等の總合的な組立に應じて、大體この程度でやえば農村としては、あるいは農家としてはやつていける。また将來農村としても文化的に向上していくという一つの計畫を、ただちにここで發表するわけにはまいりません。それらの點について、いずれ國としましても、當面の經濟危機がひとまず突破される見透しがつきますれば、當然わが國の全耕地面積による農家の實際を具體的に検討を加え、またわが國の財政、經濟その他國際的な關係から割り出して、日本の農村、農家としてこういう方向にもつていくことが、最も正しいという正確なる計畫が近く政府の方から立案され、發表されることと考えておりますが、われわれもまたその方向によつて日本の農村の建て直しをやらなければならぬと思いますので、今ここで私が抽象的に、概念的に個人の意見を申しあげることは、かえつていろいろな誤解を招きますので、この點は遠慮しておきたいと考えます。
#47
○寺島委員 その點に觸れてでございますが、過日私が、農村恐慌は世界農業不況の一環として、いかなる形によつて日本に吹き來るものなるや、しかしてこれが防遏を志すことなしには、圓滑なる農業協同組合の發展はきわめてまた困難なりと思料せらるるのゆえをもつて、この農業恐慌をいかがお考えになるかという問題を問い、併せてさればこそ日本農業の經營の根本的な刷新方策を、具體的にこの法案とともに示すことなしには、向後畫期的なる大業を現段階においてなすこと困難なる旨を力説いたしたのでありますが、當時大臣は恐慌は急速にくるものではない、さらに語を繼いで曰く、すなわち二、三年というような日時をもつて農業恐慌は來るものではないと思う。農業恐慌というものはそう急激に來るものではないから、そのときにときに應じてしかるべく處置をしていくのだというような意味の御所論があつたのであります。さらにまた先般私の郷里である千葉縣下に遊説を試みられました際、同地方の農民諸君の質問に對して、ほぼ同じようなことを言われておるのでありますが、私はさようには認識しておらない。現在アメリカ合衆國の小麥の生産高が、今年度において十三億ブッシエルという厖大な生産をいたしておる。いわゆる日本の米と裏作なしておりますところの小麥、これを考えてみますときに、十三億ブッシエルという厖大な小麥、たとえば一例ですが、この小麥を日本につくるためには、莫大ないわゆる農村更正計畫の一環として、全日本の農業技術者を總動員してでき上がつたというような沿革をもち、本來かかる禾木科作物はわが高温多濕なる土地には適さない。かかる立地條件のきわめて困難なるを克服して、日本農業技術者諸君の輝かしい努力によつてのみ成立つておる今日のたとえば小麥作というようなものが、十三ブッシエルという厖大な生産を見ましたことは世界の穀物の過剰と申さざるまでも、ほぼマキシムに達せんといたしておる現段階においては、もう私はすぐ日本の小麥と外國の小麥との競争が、たとえば講話會議以降において間もなくくるのではないかと思う。しからばそれらに對應していわゆる耨耕作物をもつてこれに太刀打ちをしなければならないだ。こういうときにおいて、まだこれらに對して技術的な指導、技術的な改善ないしは全國の研究機關の總動員をして、たとえば私の新論をもつてすれば、第一に襲い來るだろうところの、小麥をもつてせられる世界農業恐慌の一環として脅かされるわが農村をいかに守るんだというような問題、こういうような問題は當然取上げねばならないのでありますが、農業恐慌はまだ來ることが遠いのだという所論のもとに、いわゆる荏苒日を送ることは正しき農政の忠實なありかたではないでなないかと私はひそかに考えるのであります。さればこそこの日本農業の全般の經營の問題につきましては、事きわめて重要であり、私は第一の所論について懇切なる次官の御答辯をいただいたのでありますが、なおこの問題を十四箇條用意いたしておる。問題の個々について論究することは、今日この場合大臣もお見えにならないので、委員長にお願いをいたしたのでありますが、農業協同組合に關する質疑は本日をもつて打切られることに相なるのでありますが、繼續の質問という建前におきまして、いわゆる本委員會で別個の法案を審議いたします際に農業協同組合法の私に關する質問を確約していただきたいということで、一應本日はこの程度にして、大臣の出席を待ちましてその教えを聴きたい、かように考えるのでありますが、如何でございましようか。
#48
○野溝委員長 了承いたしました。協同組合法案に關しましては各種農村立法と關連をもつておりますので、その機會に大臣に對する質問を右法案に關連して發言してもらうことに了承いたしました。
#49
○井上(良)政府委員 いま寺島委員から大臣が農業恐慌は近く來ないのである、そう急に來るものではないから、従つてそれに備える準備なんていうものはそう急がないでもいいというような印象の答辯をせられたように拝聴いたしたのでありますが。われわれは世界農業恐慌が來るという前提を立てて日本の農村の振興に必要なる對策を考えるというのではなしに、いかにすれば日本の農村が一人前の農業家として太刀打ちができるような立派な農村になつていくか、すはわち世界の農村に對して文化的に、經濟的に、あるいはまた政治的に、十分に對比できるだけの農村をつくりあげることこそわれわれに負わされたところの大きな責任だろうとわれわれは考えております。従つて農村恐慌云々のことよりは、當面敗戰の日本の農村として、またこの敗戰の日本を建直す、農村の立直りを、われわれは単に外部的な壓力によつていろいろやるというのでなしに、農民の自覺と農民の協力をわれわれは百パーセント活用する一つの組織をつくつて、この組織の力において政府とともに、また農民の起き上がりとともにやりたい。こういう考え方を私どもはもつていくことにしたいと考えております。私も一應農村恐慌の問題については、多少その意見をもつておりますが、つまり第二次世界大戰の後の世界の食糧事情なり、農村の現状というものは、長い戰争の結果というものは非常に農村が荒廃をしている。そうして農業生産力は非常に低下している。従つてこの農業生産力が戰前に復するためには、相當の年月を要する、これが戰前の生産力に高まらなければ世界の食糧というものは緩和してこないのであります。世界の食糧が不足している現状において、容易に農村が非常な窮迫に陥るという時代は、そう端的に現れないのではないかということは、一應概念的にはつけられやしないかというのであります。ただアメリカが未曾有の小麥がとれたということについては、世界の食糧のために非常に喜ぶべき傾向でありますが、それにいたしましても本年世界食糧の全體の不足というものは、現在の配給を續けることにおいてもかつ年間の四百萬トンから六百萬トンくらいの不足を告げている現状でありまして、從つて現在の配給基準をさらに引上げて、日本の場合ならば二合五勺を三合に増配する場合には、一層その不足の分が大きくなつていくよいうような事實から考えてみても、農村に對してあらゆる國が非常な力を注いで農業生産力を高めようということになつていきはしないかということを、われわれは考え得るのであります。同時にまた國内的な場合を考えてみても、昭和五年から六年七年にかけまして起こりましたわが國の農業恐慌の姿は、まつたくその自由的な商業資本の壓迫のもとに立つたのであります。今日米というものが一應國家管理の形態において取扱われております現状におきましては、昭和五年六年のような恐るべき農村恐慌の時代を再び日本の農村が味わう、ああいうようなことは國全體としておそらくさせないことになりはしないかという考え方は、一應成立つのであります。またわれわれはかりにそういう農村の恐慌のような様相が世界的に現れる場合を豫想をいたすことにいたしましても、今日寺島さんがいろいろ御指摘になりましたように、農村工業なり、あるいは有畜化なり、あるいは養蠶その他のあるゆる必要な手を打つて、十分それに備える對策を今日から立てていかなければならぬと私は考えております。
#50
○小林(運)委員 私は農業協同組合法案につきましては、先般農林大臣にいろいろ御質問を申し上げましたので、本日は後残つた二、三の問題につきまして簡單に御質問を申し上げますから、簡單にお答えを願いたいと思います。
 第一番目に本日も本會議におきまして關東地方の今囘の水害につきまして、關係各大臣から御報告がありました。本國會といたしまして、この水害に對しまして、調査、慰問の議員團を送るということに決議が成立いたしましたが、今囘のような關東の大水害、東北の水害等を考えてみますと、その原因は戰争中の森林の濫伐というようなことも大きな原因であるますが、聴き及びますと、政府におきましては現在行われております農地改革をさらに進めまして、第三次の農地改革をやるのだというようなことをどこからともなく聴いておるのでありまして―――大臣が言つたそうでありまして、そういうことによりまして、山をもつておる人たちが、公定價格で山をとられてしまうというのではこれはたまらんというので、盛んに木を伐つてしまうというようなことが、今囘の水害にも大きな原因となつておるということをわれわれは痛感するのであります。これに關しまして政府はどういうお考えをもつておりますか、大臣は第三次の改革をやるということを言われておりますが、山の關係についてはどういうようなお考えをもつておりますか、明確にお答え願いたいと思います。
#51
○野溝委員長 ちよつと小林委員に申し上げますか、農地調整法の一部改正法立案が出ると思いますが、その際に大臣に直接御質問なさつたらいかがでございますか。
#52
○小林(運)委員 委員長からの御注意もありましたが、この問題については、私も今日の本會議におきまして、今囘の水害の調査委員を仰せつかつたのであります。現地の人に會います際に、政府のこれに對する明確な御意見を聴いてから御慰問をし、また調査をしたいと思いますから、この際どうぞお願いいたします。
#53
○野溝委員長 緊急質問として許します。
#54
○井上(良)政府委員 今囘の水害の原因は、御承知の通り非常な大量な雨が一時に關東地方を襲つたということと、それからそこを受けとめるところの山の木が、戰争以來非常に過伐されておるということが原因をしておると取沙汰されておるのでありますが、この大災害のことから、これを将來未然に防ぐ見地からも、政府は農地改革に伴つて當然山に對する一つの國家的統制をしようとするのではないか。すでに大臣は第三次農地改革を断行し、進んで山の國營でもやりかねまじき意見だということが傳えられておる。こういうような御質問でありますが、第三次農地改革の問題は、一應大臣の構想としては抱いておるのかもしれませんが、政府の大體の考え方といたしましては、第二次農地改革がどの程度成功的に効果を収めるか、第二次農地改革が大體において見透しがつきませんと、第三次農地改革の方針というものは成立たぬのでありますから、從つて第二次農地改革が完全に遂行されたというときに初めてその後どうするかという問題が起こつてくるのであります。この點は誤解のないように願いたいのであります。なおこの農地改革の問題に關連をして山林の問題をどうするか、山を國有にするのとは違うかというような誤解というか、そういう感じが山林所有者に傳つて少しも植林をしない、この際伐つた方が得だというようなふうに妙な影響が起きておる。こういうお説でありますが、政府としては山の問題に關しましては大臣はすでに参議院の本會議においても、あるいはまたはこの委員會におきましても山の問題に關してこれを國家管理するとか、あるいは國有にするとかいうような意思はもつていないということを言明をいたしております。また大臣はそれと反對に、いかにして山林所有者の協力を求め、また國民全般の支持を得まして、いかにすればこの山の植林が速やかに完成するか、そのためには非常手段を講じなければならぬというつもりで、せつかく事務當局といろいろ具體的案を今検討を加えておりまして、少なくとも明年度の豫算には植林、造林計畫に對しては飛躍的の手を打ちたいというつもりでおりまして、われわれ政府當局といたしましても、今日山の形をまつたく別の形にかえるという意思をもつておりません。この點明確に申し上げておきます。
#55
○小林(運)委員 ただいまのお答えをいただきましたが、造林のお話は結構でありますが、現在の山を伐らないようにするために、政府としてこの際國民に強い意味をおいて伐らないような感じを受けるような、何らかの方策をもちまして國民に知らしめる。こういうようなことを農林當局または政府當局といたしまして言明していただきたい。こういう私のお願いでございます。これにつきましてはいずれほかの機會においてさらに申し上げたいと思いますので、この問題をお願いして次の問題に移りたいと思います。
 農業協同組合法の第九條第三項にあります薪炭の生産の問題でございますが、現在の薪炭の價格が公定價格が非常に高い、生産者價格はその三分のニ程度である、これは運賃のプールであるとか、あるいは國家においてある程度の金額を徴収をしておるというようなお話でありますが、こういつたことは生産地におきまして非常に疑惑をもつて見られております。で現在におきましては、薪炭は生産地の近くにおきましては公定價格以下においてやみ取引されておるというような現状であります。なお都市におきましてはこの冬を迎えまして薪炭が非常に不足である、こういう奇現象を呈しておりますが、これに對しまして當局では薪炭の問題につきまして今後どんな方策をおとりになりますか、その邊をお伺いしたいと思います。
#56
○井上(良)政府委員 薪炭の價格が生産者價格と消費者價格との開きが大きいために生産縣は非常に高いものを買わされ、また大消費地において薪炭が非常に不足をして困つておる。これをどういう一體政府は調整しようとするかという御質問でございますが、御存じの通り戦時中から今日にかけまして山の伐採の状況は大體年間二億七千万萬石と記憶しております。一億が大體用材、あと一億七千万が薪炭林ということになつております。そこでこの一億七千萬石を一般に配給いたしますと年間に大體八俵程度しか炭であたりません。薪の數字ははつきり今記憶いたしませんが大體そういうわけで、これ以上伐りますと、結局は電源その他あらゆる面に影響してまいりますので、そう非常對策は立てられません。ただこの十月から来年の三月に至る冬期の薪炭をどう確保するかということで、政府としては大體ニ通りの考え方をいたしております。これはまだ具體的に發表するところへ行つておりませんけれども、大體の構想といたしましては、生産地の消費者價格をもう少し壓縮するという考え方、それからいま一つは生産地内でも特に大消費地、何々市とかいう縣廳所在地であります。それからその次の中都市、何々町というような消費地、それから生産地、こう大體縣内を三段階くらいにわけたらどうか、今の生産者價格と消費者價格の開きが大きいのは全國をプール計算にした、山出しから驛までの運賃と、それから驛から大消費地へ來る運賃が加算をされております關係上、非常に消費者價格と生産者價格との開きが大きいように見えますが、その運賃を結局なくすればそれだけ消費者價格と生産者價格の開きが少なくなりますから、そこで政府としては縣内で使うものはそのわくを縮める考え方でそういうふうにいたします。それからいま一つは今度よそへ移出する、生産縣からたとえば東京とかあるいは横濱とかいうような方面へ移出するものについては大體驛渡しで買いとる、こういう行き方をとつてはどうかという考え方になつております。そういうやり方で大體消費者負擔と生産者價格との開きをできるだけ壓宿して生産意欲を高め、そうして生産縣自身においてもそんなに大きな負擔にならぬようにする、こういう考え方を大體構想してもつて、今關係當局とその問題について打合せをいたしておるわけであります。
 なお、大消費地の炭の問題につきましては、これは實にゆゆしい問題でありまして、大體十月から三月まで約九俵を全燃焼で賄おう―――全燃料で賄おうという意味は、大體炭と薪、練豆炭とガス、電氣の割合については大體四分六くらいの割合でいきたいというつもりでおりまして、六分が練豆炭、薪炭、四分が電氣、ガスということになつております。
 そこで輸送計畫等につきましても計畫的に今日から手當をしてやつておるのでありますが、ただ問題は最近の薪炭の生産状況は、里山がことごとく自家用製炭と製鹽業者に代られてしまいまして、大消費地使おうとするものは奥山になつております。奥山は御承知の通り林道の開發がうまくいつておりませんし、また小運送の關係、自動車の關係等が非常に不圓滑でありまして、そのため奥山からの薪炭の輸送が驛出しに非常な費用がかさんでおるわけでありまして、これらがそれぞれ關係當局の御協力によつて圓滿にいくように努力いたしております。
 それからいまひとつあなたがたにもぜひ御協力を願わなければならぬ問題は、薪炭の滞貨の問題であります。北海道、岩手、福島、秋田、山梨、宮崎、鹿兒島の各縣には、全體で十二萬トンくらいの滞貨がございます。これが緊急に輸送できるような對策を立てませんと、結局山に炭があつて都會で寒い思いをしておらなければならぬということになりますので、これらの炭の確保について運輸省等の協力を求めまして、ぜひひとつこれが冬の間に都會へ運びこまれるとうな對策を進めてんいきたいと考えております。
#57
○小林(運)委員 ただいまのお話によりますと、薪炭の價格を今後生産地の事情によつて三段階にわけるというようなお話でございましたが、これは運賃のプールの問題であると思うのですが、そのほかに現在の薪炭の價格を詳細に聴いてみますと、その間における手數料が相當高額になつておりますが、こういう手數料を極力少くして、生産者にも消費者にも楽になるようにやりたいと思います。次官はあるいはこまかいことを御承知ないかもしれませんけれども、大體運賃プール以外の價格についてお答えを願いたいと思います。
#58
○井上(良)政府委員 あまり詳細なことはわかりませんが、大體木炭事務所の手數料とかまた卸小賣の手數料といいますか、卸は大體一俵に對する三圓、それから小賣は五圓か、六圓ではないかと記憶いたしますが、これもなにもその集荷機關、あるいは荷受機關等を今のように一本によつてやるところにいろいろ弊害がありますので、将来は卸、小賣の關係ももつと安くやつてもらえる團體がありますならば、それらのものによつてやつていただいてもよいのではないかという意見も出しておりまして、一俵三圓でなければ卸さぬ、あるいは一俵五圓、六圓でなければ配達はしないというのではなしに、三圓でも二圓でも配達してやるという新しい荷受機關があつて、そこで円滑に配給してもらえば問題はない。そういうようにできるだけ消費者の負擔を輕くし、また生産者に潤うように、政府としてはやらなければなりません。今までのように一本で、獨占的に手數料を相當幅廣くとるといういき方は絶對反對であります。そういうことのないように、進んで海産物、あるいはまた蔬菜のように、二つか三つの競合できる荷受機關なり、集荷機關をつくつて、それでサービスをするといういき方も考えてみなければならぬと考えております。
#59
○野溝委員長 小林委員、協同組合にあまり深い關係がないから簡單に願います。
#60
○小林(運)委員 次に先般九月四日に蠶絲業の統制をやつております日本蠶絲業會を閉鎖機關に指定するという捗外局の發表があつたのでありますが、この農業協同組合法案にあります蠶絲の協同組合等ができますと、従来蠶絲業法によつて統制をいたしておりました日本蠶絲業會が今後閉鎖機關になりまして、蠶絲業の統制をどこまでやつていくかということが業者の非常に心配の種になつておるのでありますが、この蠶絲業が統制を必要としないということであれば、これはどちらになつても結構でありますが、現下の情勢といたしまして、蠶絲業がどこかにおいて統制をしていかなければならぬということをわれわれは考えておりますが、この協同組合におきまする養蠶の團體が全國的に結成されるというような段階になりますと、そういう養蠶の農業協同組合というものが全國的に統制されてき上がつてくる、これと蠶絲業の全面的な統制關係はどんなふうになつてきますか。これをひとつお伺いしたいのであります。これに關連いたしまして、この農林委員會が當初におきまして、本國會に提出になる法律案を大體豫定された表をいただいたのでありますが、その末項に蠶絲管理の法律案を容易しているように書いてありましたが、その蠶絲管理の法律案は政府におい出しまするかどうか、その點を附け加えてお尋ねいたしたいと思います。
#61
○山添政府委員 獨占禁止法ないしは私的獨占の禁止に伴いまして、蠶絲統制をいかにしていくかということにつきましては、農林省が關係當局と前々から協議をいたしておりましたのは、小林委員の御承知の通りであります。まだ確たる成案を得ておりませんので、いろいろこの場合にはこう、あの場合にはあるというふうな對策を立てて考案をし、また折衡をいたしておりまするけれども、最後案に到達いたしておりません。したがつてお尋ねのことにつきましては、きまりましたならば、また詳細にお答えすることにいたしたいと思います。
#62
○野溝委員長 成瀬委員
#63
○小林(運)委員 まだ質問が終わらぬ。
#64
○野溝委員長 終わらぬと言つてこの協同組合法に伴う緊急質問を許しておるのですから、どうかあと一囘だけにして御注意願いたいと思います。

















て御注意願いたいと思います。
#65
○小林(運)委員 ただいま山添局長からお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、蠶絲業の統制が十一月の初めまでの間になくなつてしまうということは、業者が非常に恐慌を来しておるのでありまして、先般この委員會におきまして、私は農林大臣にも、蠶絲業の根本對策をを早く講じてもらいたいということをお願いしたのであります。それからもう既に一箇月以上も經過しておりますが、捗外局の發表等もあつて、これは非常に急速を要する問題でありますから政府におかれましては大至急この根本對策を立つていただきたいと思うのであります。
 次にもう一つ、それはこの委員會におきましてもしばしばお話があつたのですが、先ほど森委員からもお話がございましてきのうの委員會でありましたが、報奨用として肥料を配給する、ことしの麥の供出に對して肥料を報奨用に使うというお話でありましてが、この委員會におきましては、大部分の委員が、肥料の生産が少くて、必要肥料を十分に配給できない現状において、報奨用に肥料を使うことはおもしろくないというお話があつたにかかわらず、まだ報奨に肥料を使つておられる。今後そういうことに關しまして、政府はまだ報奨用に肥料をお使いになるかどうか。これをお尋ねいたしまして質問を打切ります。
#66
○井上(良)政府委員 蠶絲の問題につきましては、今政府の方において、御承知の通り輸出關係等のもろもろの諸情勢を勘考いたしまして、日本の蠶絲業の将来についての計畫を蠶絲局において立案をいたしておりますから、近く發表されることと思います。
 なお肥料を報奨に使うことはけしからぬという委員會側の意見が相當強硬に述べられてきたのでありますが、これは大臣もたびたび言明されました通り、近く國會提案されます臨時農業生産調整法が國會を通過いたしますと、この法律に基きまして、作付け割當をいたし、かつ農民の方に生産責任をもつていただいて、同時に供出割當をいたすのでありますから、從つてそのときに肥料も裏づけとして當然作付けに應じて割當てられるのでありまして、将来は肥料が報奨用に使われるというようなことはなくなるのではないかという大體の見透しを立てたのであります。ただ本年度の産米及び甘藷等の供出については、まだこの法律を適用するわけにもまいりませんし、なおまた差迫つた供出を促進しなければならぬ事情もございまして、本年は特にこの當面する供出に對しましては、一部報奨に使わざるを得ないやむを得ぬ事情があることを、御了承いただきたいと思います。
#67
○野溝委員長 成瀬委員。
#68
○成瀬委員 この際疑義が一つありますので、簡單にお尋ねいたします。同僚から指摘せられまして、私もそれに對する答辯に窮しましてお尋ねいたしますが、第二章の事業の面における一番末尾の方であります。「農業協同組合連合會は、第一項の事業の外、會員たる組合の指導及び連絡に關する事業を行うことがてきる。第一項第一號及び第二號の事業を併せ行う農業協同組合連合會は、同項の規定にかかわらず、これらの事業に附帯する事業外の他の事業を行うことができない」。ここなんでありますが、以前の農業會におけるところの法律によりますと、第四に貸付と貯蓄の企業を一つにまとめておりましたが、今囘においては二つにいたしてある。二つにいたしてあるということについては、私どもはのみと言えばつちというふうに考えておりますけれども、ここに一號及び二號の事業を併せ行う、これが問題なんでありまして、この第二號の組合員の貯蓄の受入れのみをやる連合會があつた場合には、これは他の事業をやつてゆけるものである。産業におけるところのこの金融の面と事業の面と切り離したようにわれわれは今までは御答辯を検討いたしますと、今言つたように第二號の組合員の貯蓄の受入れのみをやるという場合においては、ほかの事業をやれるというふうに解繹されるのでありますが、この點に對するところの御答辯をお伺いしたい。
#69
○山添政府委員 法文の解繹からいたしすれば成瀬委員会の御解繹になる通りであります。
#70
○成瀬委員 それではそういうような含みのもとに貯蓄の受入れのみをやつて、他の事業をやつてもよいというような、いわゆる農村におけるところの事業の發達のため、さような意味の含みがあるというふうに解繹してよいのでありますか。
#71
○山添政府委員 事實問題として、貯蓄の受入れのみをやるという連合體はこれは想像することはできますけれども、考えられない。問題は第一の貸付をする方でありまして、この貸付をするということはたとえば物の販売の連合會がその集荷資金を連合體で借りて下部の組合に供給する、こういうようなことは當然必要になつてまいります。從つて組織組合に貸付をするという事業は、事業を行う連合會の企業として必要があればやつてよろしい。第一號の事業まで全然禁止して別個であるという觀念はもつていないのです。こういうところに併せ行うとういう字句を使つた實益がある、こういうわけです。
#72
○萩原委員 今の兼營の問題でありますが、御説の通り農業金融の促進に鑑みまして、連合會が信用事業等を兼營するということは今議論の時代を過ぎまして、現實の問題として現在兼營しておらない農業會はありません。殊に今度できまする協同組合の性格を見ますと、ただ單に流通分野における活動のみでなく、むしろそれよりは生産協同體として重きをなすのでありますから、これらの點から今後一層農村金融の特性と生産と金融とを密着させるというような見地から見ましても、當然これは兼營した方がよいのではないかと思います。なお先般御配付になりました冊子によりましても、二十一年一月附の農業協同組合法の農政課の試案を見ましても、やはり兼營の體制がとられておるのであります。この兼營ということはすでに國民の一般的な意識になつておるのであります。特に今後の農業組合法は今までの關係法を違いまして、當初大臣から御説明がありました通り、あくまで自由の原則に立ち、大幅な自由が與えられておると思います。なるほど形式的にはそうかもしれませんけれども、事業の内容にはいつて見ますと、實質的に金融を併せ行つてはいかむというような非常な制限を設けておるのであります。これは法の建前から言つても、あくまで自由の原則に立ちまして、兼營ですることができるというようにするのが、最も形式の上から見ましても、實際の上から見ましても、妥當ではないかと思う。自由にしまして、非常の大きな連合會その他がもし必要なかつた場合には、兼營をやらなければいいのだ。必要によつては、兼營をした方が都合がいい場合には兼營をするようにしたらいいと思います。この點につきましてこの前御答辯がありましたが、はつきりいたしませんので、はつきり御説明を願いたいと思うのであります。
#73
○山添政府委員 金融事業と他の事業と同一の組合でやるかどうかということにつきましては、沿革的に見ましても初めは考えており、最近までまたこれを一緒にしてまいり、今囘の法制によりまして、上級の連合體におきましては、分離をするというふうにいたしたのであります。もとよりこれにつきましては、兼營を便とする面もありまた一面から見れば、今日まで發達いたしました状況を見れば、分離の方がよろしい。これは可否兩論あるわけでありますが、大體今囘分離説をとりました理由は、第一に金額が非常に農村貯金にいたしましても殖えておる。こういうように非常にそれ自身としてこの事業が多くなつておる。かような状況に對しまして貯金というようなものを奨励いたしますためには、どうしても貯金の安全性、貯金をする人の信頼度というものを高める必要があるわけでありまして、そのためにはまた資金の運用が適正でなければならぬ、この事柄はひとり預金者に對する貯金の安全性のみならず、農業面に蓄積された資金を、最も有効に適當な方面に使う。この意味から申しましても、同一主體において、餘りに適宜に便利過ぎてぐあいが悪い點もある。金融は金融の建前を一應とつて、そうして最も適切なる事業方面に使う。購買事業なりあるいは農村工業なり、あるいは土地改良の費用なり、最も適當なる方面に金をまわしていく。また區域的に見ましても、これは廣い地域にわたつて、言いかえてみれば全國金融連合體のようなものが成立すると思いますが、廣い地域にわたつて資金の活用効率化をはかつていく。こういうような理由から考えて、金融事業に關しては連合會の段階においては、これは別個の主體にして、そうして運用をする。もちろんそういうことにいたしましても、金融を扱う連合體と言いましても、これは全農業協同組合の系列の中の一セクションであるわけであります。全體としての調和をはかつていきたい、こういう考えにほかならないのであります。
#74
○野溝委員長 以上で農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法律案に關する質疑は終わりました。なお本日理事の方がお見えになりませんが、法案も山積しておりますので、以上農業協同組合に關係する法律案の各黨の態度を速急にきめて、この結論を得たいと思いますので、委員の各位にはに各黨それぞれ御相談をされまして、二、三日中に各黨の御意見をまとめさせていただきたいと思います。
 本日はこれにて散會いたします。明後二十日午前十時から開會いたします。
   午後四時十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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