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1947/10/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第27号
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1947/10/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第27号

#1
第001回国会 農林委員会 第27号
昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午後二時十七分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 叶   凸君 理事 寺島隆太郎君
   理事 岩本 信行君 理事 大石 倫治君
   理事 萩原 壽雄君 理事 北  二郎君
      大島 義晴君    佐竹 新市君
      田中 健吉君    永井勝次郎君
      野上 健次君    細野三千雄君
      松澤  一君    水野 實郎君
     小野瀬忠兵衞君    小林 運美君
      佐々木秀世君    関根 久藏君
      寺本  齋君    中垣 國男君
      堀川 恭平君    小川原政信君
      田口助太郎君    益谷 秀次君
      松野 頼三君    森 幸太郎君
      梁井 淳二君    山村新治郎君
     的場金右衞門君
 出席政府委員
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        議     員 前田 正男君
        農林事務官   小倉 武一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農業協同組合法案第九條第三項の修正に関する
 請願(中村元治郎君紹介)(第七二五號)
 農業協同組合法案一部修正に関する陳情書(東
 京都中央區日本橋通二丁目日本林業會長大村清
 一)(第二四七號)
 農業協同組合の金融事業分離に反對の陳情書
(大分縣農村青壮年連盟結成大會)(第二六六
 號)
 農業協同組合法案一部修正に関する陳情書外五
 件(静岡市尾形町静岡縣林業會長戸塚昌宏外九
 名)(第三三八)
 農業協同組合法案一部修正に関する陳情書外十
 五件(鹿児島縣森林組合聯合會長右江静哉外二
 十一名)(第三五五號)
 農業協同組合法案一部修正に関する陳情書(岩
 手縣林業會長三田義一外千七百六十二名)(第
 三七六號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 會議に移り、議案の審議にはいる前に、委員長から委員諸君に御了承を得ておきたいと思います。それは衆議院規則の第十一章、請願に關するところでありますが、その百七十八條には、委員會において議院の會議に付するを要するものと決定した請願については、委員會は議員に報告しなければならないということになつておるのでございます。よつて本日會議に付する議案の審議にはいる前に、各委員の御了解を得たいと思うのですが、本日のこの議案を受理することに對して、一應各委員の御意見を問いたいと思います。
#3
○大石(倫)委員 受理するというのは、その請願と陳情を受理するかせぬかという問題でありますか。
#4
○野溝委員長 そうです。その内容はお手もとに公報をもつて示してあります。
#5
○岩本委員 賛否は別でありますが、時局を憂える相當な請願のように思いますので、受理して審議することに進めていただきたいと思います。
#6
○野溝委員長 受理して審議するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○野溝委員長 ではさよう決定いたします。
 次に御了解を得ておきたいことはこの百七十九條ですが委員會において、議院の會議に付するを要しないものと決定した請願の報告に對して、一週間以内に、議員二十人以上から會議に付する要求がないときは、委員會の決定を確定とする。ということになつております。その點もあらかじめ御了承おき願いたいと思います。
 いま一つ御了解を得ておきたいことは、百七十八條ですが、「委員會は、請願についてその審査の結果に從い左の區別をなし、議員に報告する。一議院の會議に付するを要するもの、二議院の會議に付するを要しないもの、議院の會議に付するを要する請願については、なお左の區別をして、報告する。一採擇すべきもの、二不採擇とすべきものの中、内閣に送付するを適當と認めるものについては、その旨を附記する。」ということになつておりますので、以上の點を御了解の上御審議を願いたいと思います。
 では會議に付する請願の第一、農業協同組合法案第九條第三項の修正に関する請願、中村元治郎君紹介、第七二五號、中村紹介議員の代人といたしまして、第一議員クラブの前田正男君。
#8
○前田(正)委員 中村委員の代理といたしまして、私から請願の趣旨その他について御説明申し上げたいと思います。
 まず第一に請願の要點でありますが、この農業協同組合法案を見ますときに、その本質を異にする林業の重要部分までも農業の範囲に入れようかとするかのごとき印象を與える條項がありますので、この點については、國土の保安、森林資源の培養保護、その他林産物の生産増強について、重大な使命を有しておる林業澹富者全體として、これを見逃すことはできないのであります。すなわち同法案の第九條第三項において、「みずから前項に揚げる業務を營み、又はこれに從事する者が行う薪炭生産の業務(これに附随する業務を含む)は、この法律の適用については、これを農業とみなす。」、こうあるのでありますが、この際わが國再建のため、農業と林業との分野の上における不合理な面は、これを清算するとともに、強力な林業を確立して、國土の保全に遺憾なきを期していこうというために、この條項を削除していただきたいということが趣旨であります。請願者の主なる人は、日本林業會會長、大日本山林會會長、全森連會會長、日本治山治水協會會長、全國治水砂防協會會長、森林愛護連盟會長、全國燃料組合連合會會長、日本林学會會長、興林會理事長、以上の方であります。
 この理由でありますが、まず第一に、薪炭林の伐採量に比べて数倍に達しております。しかも薪炭林の伐採面積は、普通の用材林に比べると数倍に達しております。そこでこういう現状において、この第三項を認めるということになりますと、森林資源の培養、治山治水、ないしは國土保安の責任をどこでとるかという、重大な問題が起つてきまして、これが農業のもとにおかれますと、林業擔當者としてはこの問題に對して重大なる關心があるわけであります。
 第二の理由としては、森林に原因する利益は、原則として森林に還えせらるべきでありまして、それによつて初めて國土の保安が保障せられるのであります。これが農民や農業協同組合に歸属するということになると、森林はますます荒廢いたし、その結果ついに國土の保安が維持できないという重大なる支障を來すではないかと考えるのであります。
 第三の點につきましては、薪炭は農産物と林産物と、こういうふうに二つあるように考えられますと、生産配給等の行政面において非常に混濁を來すのではないか、こういうことであります。
 第四につきましては、農民の側から生産されるところの薪炭量は、總生産



量の五割以下でありますので、しかもこれが農民の農閑期において行うものであつても林業であつて、明らかにこれは農業と區別してみなされても差支えないではないかということであります。
 第五の點は、もし第三項に書いてありますような法律が成立するということになりますと、林業業者の方が耕作だとか、あるいは養蟲であるとか、養畜というようなことをやつておる場合には、それは林業とみなすというようなことも言い得ることになつてくるのでありまして、農業側から言えば不都合千萬だということになるわけであります。
 從いまして以上のような第九條第三項の定義、それからこういうような解釋というものは、この際ひとつ撤回していただきたいと思うのでありまして、ぜひともこの際農業と林業との組立上における不合理な點は生産いたしまして、強力な林政を確立していただきたい。以上のべましたような請願をいたしまして、御採擇あらんことをお願いいたす次第であります。簡単でありますが、以上をもつて説明を終ります。
#9
○野溝委員長 紹介議員の請願内容に對する説明は、一應本法案は政府提出の法律案でありますがゆえに、この際参考のため、政府の意見をお聴きしたいと思います。
#10
○井上政府委員 第九條第三項のただいま請願になりました條項につきましては、本委員會において委員各位からあらゆる角度から、この問題についての質疑がございまして、政府としての所見を申し上げたつもりでございます。政府は、農家が自家用炭をつくる場合は、農業の經營の必要上やるのであつて、當然それは農業のひとつの領域ときめた方が妥当だ、こういう考えでおるのでありまして、決して山林の領域を冒すようなつもりでこの規定は設けてないのであります。その點誤解のないように願いたいと思います。
#11
○大石(倫)委員 ただいま提案理由を聴きました、政府の御所見を承りましたが、政府における第九條第三項の關係は、農家が薪炭を生産する、言いかえれば、農閑期において農業のほかに薪炭を副業的に生産する意味の條項のように聴きとれたのでありますが、もしそういうことでありますれば、これはただいまの條項でははなはだ廣汎な意味をもつておるのでありまして、たとえば薪炭の專業とする者の生産者もこれに當然含まれておらねばならぬということになるのであります。これが森林行政の上から、あるいは治水、治山、砂防、その他の上から心配される點であると思います。それで、もし今政府委員の説明するごとき意味合いでありましたならば、これにむしろ副業として薪炭を生産する者というような限定をつける必要があるかのように考えるのでありますが、その意味において、削除するということは、まだそこまでまいらぬでも、そういうような調整の方法があれば第三項は多少そういうようにしてもよかろうかと思うのでありますが、これに對して……。
#12
○森(幸)委員 本日の議事に上る請願の中に、第九條の薪炭に関する條文を削除せよというのと、やはり原案通りにやつてくれという請願と出ておるのであります。ただいまは削除しておくという請願が議題に上つておるのであります。われわれ委員會といたしましては、農業會に関係あると、あるいは林業會に関係あると問わず、虚心坦懐に農業協同組合法というものを審議せなければならぬと思うのであります。この審議に先だつて、ただいま請願の問題が二つ現われておるのでありますが、私はこの際われわれとして十分に考えをめぐらさなけつればならぬことがあると思うのであります。それは、去る議會におきまして、森林法が提案されたのであります。その原案におきましては、薪炭は林産物に認めてなかつたのであります。しかるに、このいずれの請願文書にもあります通りに、薪炭というものは今日林業の上において重大なる位置を占めております。しかるがために、前議會におきましては、薪炭を林産物に加入すべしという意見が強く出まして、そうして、政府原案には林産物に薪炭が加わつていなかつたのでありますが、議會の修正といたしまして、この薪炭を林産物に加えたのであります。その當時なお竹材までも林産物として取扱えという強い意見もあつたのでありますが、薪炭だけは、その當時委員會において満場一致林産物にこれを入れることに原案を修正いたしたのであります。さほどこの森林經營の上におきましては、薪炭というものは重大な位置を占めておるのであります。しかるに今回、農業協同組合法の發布によりまして、この薪炭の生産が農業者の關係であるがために、これを農産物に認めるという意味のこの本法に對して、ここに二つの請願が現われたのであります。それでありまするので、農業會の關係の方、あるいは林産業に關係のある方から、相立場を異にしての請願が出ておるゆえんであります。しかし私は、虚心坦懐に各業者の人も考えていただきたいと思います。またわれわれも最も冷静な立場において、この問題は取扱わなければならぬと思います。先般「農民の營む薪炭生産について」と題して全國農業會がパンフレツトを發表になりました。その文にこういうふうに書いてあります。「協同組合法の立法精神にうといか、または薪炭生産の實態を知らないか、ないしは一部林業者の策動に乗せられたるものであるか、いずれにしても言語道断というべきである」と、もしこの薪炭問題に對して原案を修正するものがあれば、こういうものであるという結論が下されてあります。しかも、その文の途中へ行きますと、「この實態に郎するときに、これが林業であるとか農業でないとかいう議論は、農民にはどうでもいいことであるし、またそれが何と規定されようと、その實態にいささかの變化もないのである。」こう書かれてあります。またその末尾に行きますと、「從來薪炭者たる農民をその配下に隷蜀させて搾取し続けてきた自己の特權的地位をあくまでも温存せんとする策動のほかの何ものでもないのである。」こういう暴論が吐かれてあります。これは全國農業會の出された文でありますが、これはかりそめにも全國農業會としては不謹慎きわまる文書と考えるのであります。私は、農業會がいかに運動されようと、林業會がいかに運動されようと、林業會がいかに運動されようとわれわれは議員の立場としてこの問題を冷静に取扱いたい。あるいは他の諸君は、その黨の立場としてどういうふうな態度に出られますか、明後日の討論會に臨まれることによつて、明らかになるのでありますが、昨年の議會において、林産物として薪炭をいれたということは、この議會の意思であります。議會が薪炭を林産物として入れた以上、この農業協同組合法に、この林産物を切り離して農業として認めるということは、絶對にわれわれの今日までの意志を尊重する上においてでき得ないのであります。私はただいま議題に上つております請願の趣旨は、そういう意味から當然これは森林形態の上において、林産物として取扱うべきものであると考えます。しかもこの薪炭は今日日本の林産物の非常に大きな位置を占めていることは申上げるまでもない。ただこの森林經營の上において、ただ薪炭を生産するという、利用ということのみ考えられて、森林の維持造成、保護という責任背負わないということは、もつてのほかと考えるのであります。昨年林業會法に薪炭を入れましたときに、農業會の立場としてはこれに相當の反對意見もありました。しかし農業者が副業として自家用薪炭を生産される上においては、必ずしもこれを林産物として認める上において、林産組合に加入されてもいいのである。決して今日まで取扱つておられることを根本的に訂正するものではない。こういうことを明らかにいたしたのでありまして、その當時農業會方面におかれましても、その意味は涼とせられた。この農業協同組合法が新らしくできるということによつて政府はどういうようなお考えをおもちになつたのか。一應林業會法に林産物として歸趨を明らかにいたしたこの薪炭を、農業協同組合法に新らしく加えるということはまことに政令の紛淆であります。私は政府としてよろしく國民の輿論を尊重されまして、林業會法が昨年の議會に新らしく生れたときに、これは林産物として取扱うべきものであるということを國民の輿論として決定した以上は、これを尊重して農業協同組合法においても、あるいは特別なる副業として、自家用炭に制限するとかいうような立場に出られることが、當然であつたのではないかと思う。こういうふうな林野局によつてしている。あるいは薪炭の檢査におきましても、林産物として林業會がやつている、そのものに對して、今回はこれを農業の方に包含さすということは、まことに紛淆を來たすものでありまして、最も私は政治の上からよろしくないことと考えるのであります。私は林業會の立場でもありません。農業會の立場でもありません。冷静な立場から、今日日本の造成をし、保護していかなければならぬことは重大な仕事である關係上、ただ利用のみを農業者がやる、そして林業の保護維持という責任を背負わないというようなことは、國土保全の上からみましても重大な結果を及ぼすものと考えるのであります。法案の決定に對しては、われわれはわれわれとしての意見をまた申上げる機會もあろうと思いますが、本請願は請願の趣旨まことに妥當であると考えるわけであります。
#13
○的場委員 森委員の御意見を拝聴したのでありますが、森委員の言われるように、私どもはこの問題に限らず、議案を審議する上においては冷静な、とらわれない立場で審議するということは、當然なことであります。しかして、この農業協同組合法は、私どもは非常によくできていると考えております。昨年の話も森さんからいろいろお話しがありましたが、昨年の場合においても、私どもは意見を異にしたのであります。これも決して農業會にのまれて意見が相反したのではないのであつて、私ども農業というものをつぶさに檢討するとき、相一致せない考え方がおのずから生れてくるものであります。今、山を保護し、山を育てていきます者の、林業家と稱する人方のなされる仕事ではなしに、國全體の農山漁村における農民たちが、山に木を植える、下草拂いをし、これを育てていくのであつて、これを指導してくださる林業關係の國體に對しては、われわれは大いに感謝をし敬意を表しておるのであります。けれどもその團對の下にあつて、山の木を育てていきますものは專門の林業家ではない。これは農民たちが山の木を育てつつあるのでありまして、山を保護し、山を育てていきますためには、その山の木を育てる人を本位にものを考えなければならぬのであります。山を本位に考え米を本體として論ずるのではなしに、米をつくり山を育てる人間を本位として考えますとき、これは一人であつて二人ではないのであります。米をつくる者が山を育てていく。芋をつくる者が木炭も製造しております。山の木を育てる者が木炭をやるのであるから、山を粗末には決してせないはずでありますから、私たちは人本位に、人間相手に考えますとき、これを切り離したり何したりする必要はちつともない。これはわれわれの協同組合であるから、自分たちがつくつた木炭を自分たちが取扱うことができるのが當然である。當り前である。かように私どもは解釋をいたしておるのでありまして、決して林業會がどうするとかこうするとか、農業協同組合がどうするとかこうするとかいつたものではなしに、私ども耕作農民たちが、みなの意思によつてつくつた農業協同組合の中で、何をつくろうが、つくつた物をどう取扱うはうが、そういうことにおせつかいは要らない。かように考えまするがゆえに、私はこの法文の中にあります九條三項のこの事項は、原案の通が正しいものであつて、そうでなければならぬものである。かように私は考えるものであります。以上。
#14
○田口委員 ただいま的場委員のお説を拝聴いたしたのでありますが、的場委員のお説の正しい點もありますが、また一方的に偏した誤つた實態把握があると私は考えます。それは一部はなるほど農民がみずから木を植えてやるという場合もありまするが、また現在事實としてこれは農民だけのものでない。農業を專業にやつておる者も現在多数にありますし、あるいは農業といつてもただ一畝か二畝つくつておるだけで、主として木炭あるいは薪炭だけを製造しておる者、あるいは木炭や薪炭だけを專業にしておる者もあるのでありまして、これらも含めるということは行き過ぎではないかと考えるので、私は一應本件は採擇して、しかる後條文の中に兩方の利點をとり入れて、調和することが、一番適當だと考えますので、一應この請願は採擇すべきが至當であると考えます。
#15
○野溝委員長 お諮りいたします。新憲法によりまして、人民の意見を尊重するという意味において、請願を重要視しておるわけであります。討論だというような意見もありますが、委員長といたしましては相當反對意見をある程度聴き入れた方が妥當と考えてこれを許した次第でございます。なお大體におきまして原案反對の意見も、要約いたしまして出盡したと認めます。なおこの際御了解を得たいのでありますが、農業協同組合法案に對しましては、原案賛成、原案削除、まあ反對ですが、これに對して各方面から陳情書竝びに請願書がまいつております。よつてこれを一々審議することもできません。大體その内容は反對が二十件、原案支持が二十二件、かような状態でございます。よつて内容におきましては、いずれも反對、賛成の趣旨は同一内容であると認めますので、ただいま原案に對する修正の意見の請願に對してこれを決定をしたいと思います。この決定の方法をいかが取計らうかお諮りいたします。大體請願につきましては、採擇、不採擇ということになつております。本請願に對しまして採擇、不採擇によつて大體先に不採擇を諮い、あとに採擇を諮うという方針でいきたいと思います。
#16
○松澤(一)委員 議事進行で…。この問題は私は採擇、不採擇を起立で諮うたり、数で決するというようなことまでいかぬでも、今日の委員會の委員はみんなこれは了解済みだと思つておるのであります。協同組合がその所属が山林に属そうと、農業會に属そうと、それは別個の問題でありまして、われわれ當事者が任意にその組織を作る大局の方針になつておりますので、こうした重要な法案を、いやしくも農林行政に關心をもつ者が一方ずくで―もちろん賛成反對あることは結構でありますが、あたかも認識に不足しておるように、数によつて決するようなことは、私は好まないと思うし、森委員の御意見等にしてもわれわれの點はこの協同組合の運營さえわれわれが考えれば、その所属がどこに属そうと問題でないと思うのであります。從つてその點ひとつ森委員等にも御了承願つて、これの採擇、不採擇の考え方をきめようと思うのであります。
#17
○寺島委員 本案は賛否兩論について、委員會がかくのごとくわかれておりまする以上においては、採擇に決しますことも、不採擇に決しますことも私はよろしくないと思う。よつて参考送付という取扱いをもつて、何とぞ善處せられんことを望みます。
#18
○野溝委員長 ちよつとお諮りいたします。ただいまの松澤委員の進行上に関する御意見に對しましては、あとでお諮りいたすといたしまして、さきに寺島委員の御發言中、協同組合法案の請願を處理する上におきまして、採擇、不採擇というきめ方よりは和やかにやつていこうじやないか、こういう御趣旨で大體反對側の御意見に對しましては、一應これを参考送付としてやることにして、これを處理していつたらどうかというふうに委員長は受取りました。さような御意見もあり、なお松澤委員の進行上に對する御意見もありますので、この際暫時休憩して決定をしたいと思います。暫時休憩いたし


ます。
    午後二時五十五分休憩
    午後三時一分開議
#19
○野溝委員長 再開します。
#20
○大島(義)委員 ただいまの請願に對して、賛否こもごもの御意見があつたようですが、本案は元來農業協同組合の根本的な趣旨と背馳するところがありますので、本請願は採擇せざることに御決定願いたいと思います。
#21
○野溝委員長 ただいま大島委員から農業協同組合法案修正に關する請願は、法案の趣旨と内容を異にするものであると認めるがゆえに、修正の請願に對しては不採擇を望むという動機がありましたが、これについて賛否を問うことにいたしたいと思います。
 まず本案修正の請願に對し不採擇に賛成の方々の起立を望みます。
    〔賛成者起立〕
#22
○野溝委員長 起立多数、よつて動機のごとく決定いたしました。
#23
○野溝委員長 次に陳情書を議題といたします。

 一農業協同組合法案一部修正に關する陳情書
  (東京都中央區日本橋通二丁目日本林業會長
  大村清一)(第二四七號)
 三農業協同組合法案一部修正に關する陳情書外
  五件(静岡市尾形町静岡縣林業會長戸塚昌宏
  外九名)(第三三八號)
 四農業協同組合法案一部修正に關する陳情書外
  十五件(鹿児島縣森林組合聯合會長右江静哉
  外二十一名)(第三五五號)
 五農業協同組合法案一部修正に關する陳情書
 (岩手縣林業會長三田義一外千七百六十二名)
  (第三七六號)
右は同一内容でございますので、一括して御審議を願いたいと思います。
#24
○大島(義)委員 ただいま議題となつておりますのは陳情書でありますので、参考として送付して討論の際にこれらの問題がとりあげられるように願いたいと思います。
#25
○野溝委員長 この際御了解を得ておきたいと思いますが、先般の議會運営委員會におきましては、陳情書も請願書と同じような氣特で扱おうということでありましたので、採擇不採擇ということにいたしましたが、これは嚴密に言うならば送付ということも實は必要ないのでございます。しかし陳情書も大體において請願の趣旨に副つて取扱うことになつておりますので、さように取計らつても差支えないと思います。よつてただいま大島委員から、本陳情書は参考として送付することにいたしたいとの動議が出ましたが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○野溝委員長 それではさよう決定いたしました。
#27
○野溝委員長 次に第二の農業協同組合の金融事業分離に反對の陳情書を議題に供します。この内容は先の四件と全然違いますので、一應紹介議員から、内容の説明を願います。野上君。
#28
○野上委員 ただいま議題になりました陳情書に關しまして、一應趣旨辯明をいたし本委員會の御同意を得たいと思うのであります。
 農業協同組合金融事業分離に反對する陳情でありますが、これは大分縣農村青壮連盟結成大會が去る八月四日にございまして、この大會の決議として決定したものを、陳情の形にして送付してまいつたのであります。その趣旨といたしましては、戰時戰後を通じて農民組合金融は異常なる躍進を遂げ、わが國金融界に大きな地位を占むるようになつたのであります。しかしこのことは農業經營の正當なる餘剰價値の蓄積の結果ではなくして、かえつて掠奪農業の尊い犠牲の現金化、あるいは預金化であることに思いをいたしまして、これが資金は農業復興資金として使われなければならないということは、もとより言うまでもないことであります。しかるに都市市場の狭隘性打破の途を農山村に求めんとする金融資本の金融攻勢は、農業協同組合より金融事業を分離せんとするところの運動として擡頭しつつあるということが傳えられておるのであります。このことはせつかく過去において蓄積された農村金融の分散をはかり、組合金融の弱化を企畫ほかの何物でもないのでありまして、われわれは將來の農業經營が協同化され、あるいは大規模化されなければならないためには、厖大なる資金を現在用意蓄積しなければならないことを考えまして、資金分散を防ぎ、協同組合金融の強化をはかるため、日本農業の特殊性に基く農業協同組合よりの金融事業分離に反對をするというような趣旨の決議がなされたのであります。もちろんわれわれは農業協同組合の速やかなる發展を期するために、傳えられるがごとき金融事業分離の運動を斥けまして、さらに進んでは組合事業の圓滿なる達成をはかるために、國營農業銀行の設立を希望するものでありますが、本法案の審議にあたり、委員各位の慎重なる御檢討を得て、願わくは本陳情に對する御同意を賜わらんことを切望する次第であります。以上簡單でありますが、陳情の趣旨を述べた次第であります。
#29
○野溝委員長 野上委員の陳情内容に對する趣旨は最も妥當な意見と認めますので、これを採擇したいと思いますがいかがですか―なお申し上げておきますが、衆議院規則第百八十條に「陳情書その他のもので、その内容が請願に適合するものは、議長は、これを適當の委員會に送付する。」とあります。請願に適應するものに對しましては、先ほど申し上げました通り、大體請願の趣旨に副つていこうということなのでございます。しかしこれを採擇不採擇にしなければならぬということは規定してありませんし、そうやつていいとも悪いとも規定してありませんが、大體請願の趣旨に副つて行け、こういうことになつておりますので、お諮りしたのでありますが、各委員の御意見によりまして送付だけでよろしいというならば、これまた送付だけにいたしてもいいわけであります。
#30
○大島(義)委員 ただいま議題になつております第二の陳情でありますが、陳情はひとりこれだけではないと思うのであります。すべての陳情書を一々この會議で取り上げてやつていくということになりますと、今後一切の政治問題は陳情責めに合う危險が非常に多いのであります。こういうことを阻止する上においても、請願の途も別にあるわけでありますから、陳情に對しては前囘の取扱いと同様、やはりこれは参考として御送付あらんことを希望いたします。
#31
○野溝委員長 ただいま大島委員より陳情取扱いに關する動議が出ました。参考送付といたしたいという御意見でございますが、御異議ございませんか。
  「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○野溝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なおこの際お諮りしておきたいと思います。それは陳情書も相營に提出されておるのでございます。これが處理につきましいては、後刻理事會を開いてこの取扱いを協議したいと思います。さよう御了承願います。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後三時十六分散會






ソース: 国立国会図書館
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