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1947/10/22 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第38号
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1947/10/22 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第38号

#1
第001回国会 農林委員会 第38号
昭和二十二年十月二十二日(水曜日)
    午後一時四十九分開議
 出席委員
   委員長 野溝 勝君
   理事 大島 義晴君 理事 叶   凸君
   理事 鈴木 強平君 理事 萩原 壽雄君
      佐竹 新市君    田中 健吉君
      永井勝次郎君    成瀬喜五郎君
      野上 健次君    細野三千雄君
      松澤  一君   小野瀬忠兵衞君
      小林 運美君    志賀健次郎君
      関根 久藏君    寺本  齋君
      中垣 國男君    堀川 恭平君
      八木 一郎君    小川原政信君
      佐瀬 昌三君    田口助太郎君
      野原 正勝君    益谷 秀次君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
      山村新治郎君   的場金右衞門君
      中村元治郎君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 平野 力三君
 出席政府委員
        物價廳次長   大原總一郎君
        總理廳事務官  長谷川 清君
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        議     員 飯田 義茂君
        議     員 今井  耕君
        議     員 千賀 康治君
        専門調査員   片山 徳次君
        専門調査員   岩隅  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 一 農村に報奨物資を無料配給の請願(飯田義
   茂君紹介)(第五〇號)
 二 米の生産價格再檢討その他に關する請願(
   神山榮一君紹介)(第七一號)
 三 麥類竝びに馬鈴薯の豫想収穫高再調査の請
    願(庄司一郎君紹介)(第一九八號)
 四 供出制度是正の請願(栗田英男君紹介)(
    第四二五號)
 五 早掘甘藷買上價格即時決定その他に關する
   請願(的場金右衞門君紹介)(第五六三
   號)
 六 昭和二十二年度産米買上價格その他に關す
   る請願(野溝勝君紹介)(第五八三號)
 七 米の多収穫競技會設置の請願(廣川弘禪君
   紹介)(第六二四號)
 八 山口縣東南部地方の主食供出割当輕減その
   他に關する請願(受田新吉君外四名紹介)
   (第七二六號)
 九 山形縣農業會技術員の待遇改善費國庫補助
   の請願(金野定吉君外二名紹介)(第五五
   號)
一〇 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願
   (志賀健次郎君紹介)(第八五號)
一一 農業技術員費國庫補助に關する請願(坂東
   幸太郎君紹介)(第一四九號)
一二 農業技術指導農場施設費増額の請願(今井
   耕君紹介)(第二五六號)
一三 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願
   外二件(山本猛夫君紹介)(第四六六號)
一四 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願
   (井谷正吉君外四名紹介)(第六〇二號)
一五 農業技術指導農場整備擴充に關する請願(
   今井耕君外一名紹介)(第五八六號)
一六 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願
   (西村久之君紹介)(第六一五號)
一七 農業會農業技術員の設置費國庫補助の請願
   外四件(佐々木盛雄君紹介)(第七三三
   號)
一八 肥料の配給是正に關する請願(庄司一郎君
   紹介)(第一一號)
一九 酒田市に肥料工場設置の請願(圖司安正君
   外三名紹介)(第一五三號)
二〇 間接肥料太陽菌販賣認可の請願(野溝勝君
   紹介)(第二八一號)
二一 農作物の榮養週期栽培法の普及實施に關す
   る請願外二件(野溝勝君紹介)(第三〇五
   號)
二二 農作物の榮養週期栽培法の普及實施に關す
   る請願外三件(野溝勝君紹介)(第四七〇
   號)
二三 肥料配給是正の請願(佐竹晴記君紹介)(
   第四八一號)
二四 澱粉等菓子原料品の配給機構改善その他に
   關する請願(大石倫治君紹介)(第四六九
   號)
二五 北海道の甜菜糖業助成の請願(永井勝次郎
   君外三名紹介)(第四八四號)
二六 青果物の統制是正に關する請願(本多市郎
   君紹介)(第四九七號)
二七 鹿兒島縣産百合根輸出取扱その他に關する
   請願(的場金右衞門君紹介)(第五六二
   號)
二八 三菱商事會社經營の澱粉工場を幡羅村に讓
   渡の請願(野溝勝君紹介)(第六二〇號)
二九 乳肉衞生行政を農林省に一元移管の請願(
   五坪茂雄君外一名紹介)(第八二三號)
 米價の決定に關し当局より説明聽取の件
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 會議を開く前に委員諸君の御了解を得ておきたいことがありますので、一應委員長からその内容につきまして朗讀的に申し上げたいと思います。御承知の通り新國會においての法律の審査は最も愼重を期することとし、いやしくも採擇した以上は必ずこれが實現の方途を講ずることとし、これがたのには請願の内容に應じて必要あるときは委員會において法律案の起草を提出することもありますし、また豫算的措置を必要とするものについては、必要により豫算委員會と連合審査會を開く場合も当起り得るのであります。なおあらゆる角度からの愼重審議を要しまするので、本日御審査を願う請願の諸件についての採擇、不採擇、その他決定はしばらく留保しておきたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○野溝委員長 それではさよう決定いたします。
 これより請願の審査にはいります。
 日程第一、農村に報奬物資を無料配給の請願、文書表第五〇號紹介議員飯田義茂君の説明を求めます。飯田義茂君。
#4
○飯田義茂君 私は農村に報奬物資を無料配給の請願の趣旨辯明をいたしたいと思います。
 農家としましては生産の物資竝びに日常必需生活物資ともに、大いに缺乏を來しておるのであります、殊に生産物すなわち主食糧の割当供出後の農家として、最も數の多い低収穫農家のごときものは、最も希望をつないでいるものは報奨物資でありまするが、その配給を受ける物資の價格が、マル公とはなつておりましても、中には相当高價な物資があるのでありまして、いかに求めたくても、供出した残りの保有農産物は、自家食糧以外に賣却するものもないのでありまして、せつかくの配給もそれを求めることができない状態である農家が相当多いのであります。政府とせられましては、昭和二十一年度産の米價の決定に際しての米の價格は高いとは思わない、安いとは見るが、いろいろの事情でこれを高價にもつていくことはなかなか至難である。それについてはいろいろ物資を補うことにする。いわゆる報奨物資で補う。その價格なるものは最も安價なるところの價格で、これを適当に生産者に分配をする。これによつて生産者の手取は適当なる價格になるように取計らいをする。こういうお話であつたのでありまするが、さてこの報奨物資の配給たるや、地方産といたしましては、何々を何月の何日ごろには何村、あるいは何部落に配給するというおさたはたびたび出ておりますが、これがからの配給であつて、待てど暮せどその報奨物資の來ないことがたび重なつたのであります。私どもその中間に立つて、地方廳に對して要求しても、政府からどういうわけか來ない、こういうわけであります。今の生産農家はもう待ちこがれておるというようなことで、實にわれわれも迷惑をしておるのであります。從つて生産者すなわち農家なるものは、報奨物資について政府の言われることはもう信頼できない。これは供出さしたいために、物をえさにしてつられるのであるというようなうわさも、日に月に強くなつてきておるのでありまするが、しかもただいまも申した通り、せつかく待ちこがれておつた特配物資が來たとしても、値段が非常に高く、とうていこれを買い求めることができないのであります。これは何品にしても、たとえば肥料にしても非常に高く、その他あらゆる配給物資の高いことは、本委員會におかれまして、委員各位より十分の御説明があつて、おわかりのこと思いますが、たとえば衣料品にしても、銘仙一反配給する。報奨物資としてお前の手もとに渡すから、こういうので品物を見ますと、なるほど銘仙らいしが、その價格たるやマル公とはなつておりましても、一反が千數百圓というような價格であります。もとより今日のやみから見ればいくらか安いかもしれないが、マル公といえば農家は實際百圓かそこらの價格のものであると考えられるものが、それが千圓以上というような高い價格である。しかもそれを買うために何か賣ろうとしても、農産物はほとんど供出してしまつてなくなつておる。中には自分の保有食糧まで供出してしまつた農家がある。そこで賣る物はない。從つて買う金もないというところから、せつかく政府としても親切にくださつた報奨物資をもらうわけにいかない。
#5
○野溝委員長 飯田君。まだ相当請願案件もありますので、なるべく要點だけを簡単にお述べ願います。
#6
○飯田義茂君 もう終わりますから…。それでせつかく政府がくださるものならば、ああいう高いマル公の價格でなくて、無償で配給していただきいた。趣旨はそこにあるのでありますから、どうか本委員會におかれましても、特に御詮議にあずかりまして、ぜひ御採擇あらんことを切望する次第であります。簡單でありますが、以上をもつて終ります。
#7
○井上政府委員 ただいま飯田議員から御紹介されました、農村報奨物資を無料で配給してもらいたいという御請願に對しては、政府といたしましては、この意見が現在農村の農業生産を行うのについて、農家經濟が成り立たない、ゆえに政府が一方において主要食糧をマル公供出さしておいて、一方においてはその裏づけに報奨物資が圓滑に、かつ適正に配給されていない。しかも農家の經濟は非常に困るから、ぜひひとつこれを無料で配給しろ、こういう御意見でございますが、政府といたしましては、主要食糧の年間の供給を確保してもらいませんと、國内の食糧の配給が確保できませんので、主要食糧の生産に必要なる資材の裏づけ、なおまた農家生活上必要なる諸物資の配給等に關して、格段の手当を加えてきております。特に最近農家の報奨物資が割当られたにかかわらず、これの配給が非常に遅れ、あるいはまたまいりましても品質の點に、値段の點に農家の満足するものが與えられないという事實に鑑みまして、この報奨物資及びリンク物資等に關しまする農村必需物資の適正配給に對しましては、今後こういう農村必需物資の配給に對する特別措置を講ずるつもりで、先日も米價決定に對應いたしまして、閣議で實に數日間を費しまして、農村の必需物資、報奨物資の確保に對して討議を重ね、この秋の米及び甘藷の供出の裏づけである報奨物資及びリンク物資の確保について、明確な方針をきめてもろうことにいたしておる次第であります。なおこれが單なる方針に終つてはなりませんので、これが具體的に、實際農家の手に適期に必要なものが渡りますように、十分推進していく方途を講じてやりたいつもりであります。ただこれを無料で配給するということのためには、わが國の財政經濟の見地からとうてい應ぜられないのでありますが、マル公供出をさす以上は、できるだけ農家の再生産が確保され、農家經濟が安定するという方向に、政府といたしましては十分諸々の施策を併行いたしてまいりたいと考えますので、その點は御了承いただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#8
○野溝委員長 日程二、三、四の紹介議員の方がおりませんので、日程第五に移ります。早掘甘藷買上價格即時決定その他に關する請願、文書表第五六三號、紹介議員的場金右衞門君。
#9
○的場委員 私の紹介いたしました請願は、早掘甘藷の價格を速急に決定をしていただきたいという請願であります。すでにもう時期はずれになつておる次第でありますが、早掘甘藷というのはちようど食糧の切目でありまして、食糧の配給に非常に困つておりますときに、非常措置として、まだ太る芋を掘つて食糧危機を切り抜けようという非常手段なのであります。この場合に、未だに充實しない、今から太つていく芋を掘るというのは、これは不合理なことであるし、百姓といたしましても非常に惜しい氣持でありますけれども、食糧の危機を突破するために、非常手段として政府が要求いたしまして早掘甘藷を供出せしめる、その場合に價格はいくらになるのかということさえもはつきりせずに、早掘芋を供出しろということは、非常に矛盾である。だから早掘芋を供出させなければならぬような非常の場合には、思い切つて、相当今後太るであろう芋を掘つてしまうのでありますから、秋に収穫すればどのくらいの収入があるかということを推察いたしまして、適当な高値に早目に決定をして供出を要求してもらいたい。これが請願の趣旨であります。これは年々繰返される問題でありまして、價格が決定しないのに、若い芋を掘つて出せという無理な要求を府縣においてやることは、非常な矛盾がありますので、この請願が出てきた次第でありますから、今後もひとつそういうつもりで農村の實情を考えていただきまして、供出前に價格を決定していただきたいという請願であります。今年だけに限つたことではありませんから、今後かような問題については、十分ひとつ御配慮願いたいと思うのであります。なお米その他の農産物の價格にいたしましても、供出はどんどん進行しておるのに、價格は決定しない、こういうことはきわめて不合理でありますから、供出を要求する場合には、まず價格を相当なところにきめていく方が増産になると思いますので、早堀甘藷以外のものについても同様のお考えをしてもらいたい、これが請願の趣旨であります。
#10
○井上政府委員 早堀甘藷の奬勵金につきましては、早場米の早期供出奬勵金とともに、ちようど食料の大端境期を救うてくれるために行う緊急措置でありまして、毎年これらの奬勵金については、それぞれ必要な手段を講じてまいつたのでありますが、特に本年の八月に早堀甘藷及び早場米の奬勵金を、大體生産農民の要求をする額にほぼ近い金額が決定されまして、ただちにこれを實施しておるような次第でありまして、ただいま紹介されました御意見は、政府は今實施中であります。なお米價の決定に對し、まだ芋類生産價格の決定に關しましては、御意見の點はよく承りまして善處いたしたいと考えます。
    ―――――――――――――
#11
○野溝委員長 次は日程第六でありますが、紹介議員は私になつております。これはすでに委員會におきまして米價問題をとりあげ、大體結論を得ておりますので、紹介議員から撤囘することにいたします。
    ―――――――――――――
#12
○野溝委員長 第七、八の紹介議員の方は來ておられませんが、これは大體

ただいまの紹介議員の紹介内容と同一趣旨と思いますので、委員會においては同一趣旨の理由をもちましてこれを愼重審議いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#13
○野溝委員長 次は日程第九から第十七までは同一内容に思います。紹介議員は見えないようでございますから、これも愼重審議を期することにいたしますが、日程第一二と第一五は、ただいま今井耕さんが見えたようでございますからこれを審議いたします。
 日程第一二、農業技術指導農場施設費増額の請願、文書表第二五六號それから第一五の農業技術指導農場整備擴充に關する請願、文書表第五八六號これを一括して紹介議員の説明を願います。今井耕君。
#14
○今井耕君 刻下の食糧不足下におきまして、目前の供出問題はもちろん眞劍に考えなければならぬのでありますが、同時にその根本をなすところの食糧増産には、一層の努力をいたしまして生活安定の基礎を確立しなければならないと信ずるものであります。これがためには耕地の擴張とか、あるいは農業生産資材の供給確保等、その基礎條件の解決をはかるとともに、特に國土の挾いわが國の現状としましては、これを最も有效に利用する最高度の農業技術の研究とその滲透をはかる最大の努力がなされなければならないことは当然であります。しかるに今日までこれに對する政府の施策が非常に乏しいのは、まことに遺憾とするところでありまして、ただいま私が紹介説明いたそうとするところの、農業技術指導農場のごときは、昭和二十年度に、政府がこれまで農業方面に行つていた各種の奬勵施設を、一切整理して、これに集中いたしまして、全額國庫負擔によりまして、農業技術の研究とその滲透を期せんといたしまして、三箇年間に全國に千箇所を設置することを目標として設置されたのでありまして、既に千五百箇所が著手されているのであります。各府縣におきましてはこの政府の指示によりまして、おのおの地元市町村の協力を求めまして、農場の設置に非常な努力を拂つてきたのでありまして、これがため地元の犠牲も實に多大なものがあるのであります。しかるにその後の物價騰貴により、著手いたしましたものの、その設備及び經營に非常な困難をきたしたので、指導農場關係者はもちろん、地元の市町村におきましても一方ならぬ努力と犠牲を拂つてきたのであります。政府がこれに對して支出いたしまする金額はきわめて小額でありまして、このままではその局に当る者の努力、關係地元市町村の負擔のみでは遂行し得ない現状にありまして、今日においては政府の誠意すら疑われつつあるのであります。農民といたしましても、政府のやることにはろくなことはないという非難の聲さえ起つている地方もあることは、まことに遺憾とするところであります。しかしてこの施設は、前に申しました通りに、政府の農業技術の研究及びその滲透施設の隨一のものでありまして、政府の責任においてどこどこまでも完成して、農村に對して最大のサービスをなすべきものと考えるのであります。政府は經費の増額に躊躇して、これを府縣や地元市町村の協力によつて解決せんかの意中もあるように伺うのでありますが、今日眞劍に檢討されておりますところの米價のごときも、農民の要望よりはるかに低く決定せされんとしつつありまして、これは農民の大なる犠牲と言わなければなりません。また食糧事情の緩和と同時に、農村の深刻なる不況を豫想せられることはすでに御承知の通りであります。このような現状において、なおその上に農民に犠牲を強いるがごときは、絶對に避くべきでありまして、この際政府は現下の食糧問題解決のため、また將來の農村に對處するため画期的計画を樹立して、積極的にこれを遂行すべきであると信ずるのであります。今囘關西十五府縣の農民、農業技術員、農場關係者二萬數十名が請願せられた理由は、以上の趣旨によるのでありまして、その後引續き全國的に非常に強い要望があることも、すでに御承知のことであります。本年度の追加豫算には、職員の待遇改善に要する費用ほかごく少額が計上されておるようでありますが、これくらいではただ職員の壽命を繼ぐ程度でありまして、實際の效果を上げることはとうてい不可能で、生かさず殺さずの現状におくよりいたし方ありません。昭和二十三年度の豫算も現在いろいろ立案中と存じます。どうか以上の點を了とせられましてぜひこれが實現方を請願する次第であります。
#15
○野溝委員長 政府の意見を求めます。
#16
○井上政府委員 今井さんから紹介されました農業技術指導農場施設費の増額、竝びに農業技術指導農場整備擴充に關する請願、この二つの請願について、政府の意見を申し述べたいと思います。この農業技術指導農場につきまして、農村の技術指導施設といたしましてはわが國の農業生産の上に非常な重要性をもつておりますので、農業生産及び經營の合理化をはかりますために、昭和二十年度から四箇年計画によつて、全國で約二千箇所を設置する計画であります。ところがこの指導農場の新設にあたりましては、請願の文書にも、かつ今紹介された御意見にもありました通り、この年度中におきましてはいろいろな施設、諸物資の費用がかさまりまして、豫定の建設設備ができず、きわめて不滿足な現状にあります。しかし政府としましては、この施設が農業再建の上に、また農業會が近く解散をされることから考えまして、末端の指導機關としての重要な地位に鑑みまして、今後各地の事情に即し、漸次施設の充實をはかるとともに、職員についても現在の職員のほかにさらに各種専門技術者を増置いたしまして、總合技術指導農場として整備したい方針で、目下連合軍といろいろ打合せをいたしまして、その具體案を檢討中であります。さしあたりこれら施設充實の處置といたしまして、今囘國會に指導農場職員施設費及び經營費について、一億七百八十五萬五千餘圓を國庫補助において増額することの豫算を提出しておりますから、御了承を願いたいと思います。
#17
○野溝委員長 報奬物資に關する請願及び價格に關する請願、農業指導農場施設費増額等に關する請願はいずれも豫算との關係がありますので、愼重を期することにいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#18
○野溝委員長 次は日程第二〇、間接肥料太陽菌販賣認可の請願、文書表第二八一號を私から紹介いたします。
 本請願の要旨は、間接肥料太陽菌はさきに販賣を停止されたのでございますが、しかし該菌が農産物の増産に特效のあることは、すでにこれを使用した篤農家によつても證明されているのでございます。しかるに農林省農業事試驗場の試驗は、明年夏でなければその成績がわからないのであります。それでは現下の食糧問題を解決する上におきましてまことに遺憾でございます。ついては本請願書に添付した専門學者の研究報告を初め、その他参考書類を速やかに檢討されて、該間接肥料である太陽菌の販賣認可を願いたいというのが趣旨でございます。これについては、先般來委員會におきましても、この太陽菌の化學的な肥料要素につきまして、深野博士の説明を聽取いたしまして、われわれもこの科學者の熱意ある試驗の結果から見ても、なおかつ東北あるいは近畿地方、あるいは關東地方における農家が、この肥料を使つて非常なる效果をあげて、その成績を示しておられる點から見ましても、現下のような食糧不足の際は、一刻も早くこういうものを取入れて、食糧増産に寄與することがいいのではないか、かように思つておるのでございます。なおこの間接肥料につきましては、私も實際これを適用しておるのでございますが、この成績は非常によいのでございます。かような點から見ましても、現在の政府の農事試驗場が必ずしも完璧を期しておる試験場とも思いませんし、なお今までの試驗場の成績は百プロ農業と言いましようか、窒素、燐酸、加里というものを對象としてやつておる成績でありまして、現在のように、肥料が戰前のごとく生産できない事情のもとにおきまして、そうした農業指導の方針も一應檢討し直さなければならないのではないかとさえ思つておる次第でございます。大體請願の趣旨を申し上げた次第でございますが、よろしく審議の上採擇あらんことをお願いする次第であります。
#19
○井上政府委員 ただいま野溝委員長から紹介されました間接肥料太陽菌販賣認可の請願でありますが、間接肥料太陽菌に關しましては、当初白金菌の名稱で堆肥の腐熟促進に有效であるとして販賣許可の申請があつたので、昭和十九年に農林省農事試驗場において、本件申請者竝びに松岡代議士等の立會いの上堆肥試驗を行つたところ、堆肥の腐熟促進竝びに肥效に何ら特別の效果を認めなかつたので、その販賣は認可しなかつたのであります。しかるに終戰後において再びこれが販賣せられるようになつたので、前記試驗成績を基礎として販賣停止の處置をとつたのであります。その後日本農産化學研究所においては、深野博士の人糞尿腐熟試驗成績を添付して、人糞尿に對する效果を述べて、再申請をせられたのであります。そこで本省の農事試驗場において嚴密に人糞尿の腐熟試驗を行い、冬時期ごとにアンモニア化成量を調査したのであるが、その結果は生きた太陽菌に特別の效果があるとは認められなかつたので、この販賣は認可しないことにしたのであります。今日まで試驗の結果について、当省と深野博士との間において試驗方法において觀點の相違などがあり、また太陽菌に病原菌と殺菌する力の強大なものがある旨を申し出てきたので、今後速やかなる機會に農事試驗場は日本農産化學研究所竝びに深野博士との立合い試驗を行い、申請者において十分なる理解のできる措置をとりたいと考えておるのであります。よつて今囘農事試驗場においては、秋の麥について立合い試驗を行うこととして、試驗設計を樹立中でございます。またこの試驗は、別に財團法人肥料研究所においても試驗することにして、九月一日、農林省と肥料研究所、深野博士三者立會の上で試驗設計を行い、九月二日より試驗を行うことになりました。これらの再試驗の結果が明かになれば、速やかにこれに對する處置を講ずる方針であります。さよう御了承願いたいと思います。
#20
○野溝委員長 政府に一言希望を述べておきます。政府が愼重審議してその試驗をするということにつきましては、滿腔の感謝をするものでございますが、特に從來の政府の技術官僚必ずしも完全なる技術的見解をもつておるとは言い得ないのでございます。野に遺賢ありでございまして、特に今までのような官僚組織のもとにおきましては、どうしても民間の技術者なり、遺賢なりが登用されないのでございます。特にこうした食糧問題が危機を告げておる折に、それを解決するの技術がここに發見されたとするならば、害毒を促さない範圍において積極的にこれを取上げて、この食糧問題の解決に資するということに最大の努力を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#21
○野溝委員長 次は日程第二一、農作物の榮養週期栽培法の普及實施に關する請願外二件、文書表第三〇五號、第二二、農作物の榮養週期栽培法の普及實施に關する請願外三件、文書表第四七〇號紹介議員は私になつておりますが、この際千賀康治が代つてちよつと御紹介を願いたいと思います。千賀康治君。
#22
○千賀康治君 ただいま野溝委員長から私にというお話でございまするので、まことにこの點私光榮に感じて御説明いたします。私自身がこの榮養週期農法の體驗者でございまして、この體驗の概略は前囘本席において、皆様の前に報告をさしていただいたところでございまするので、この點はあまり言葉を重ねることを避けます。
 この榮養週期農法たるものが世間に認められてまいりまして、ことしの夏でございましたが、かの小石川の護國寺等に夏期講翌會を開いたのでございます。全國から集まりました青年の數は實に二千に上り、あの護國寺の七堂伽藍の大建築を埋め盡くしてまだ足らずに、隣の某裁縫女學校の建築をことごとく埋め盡して、三日間この道を學ぶ者で、この家々は占領せられたほどであつたのでございます。われわれ政黨人がときどき大會を開きまして、地方から黨員を集めましても、なかなかこんなふうに集まるものではございません。數十萬の經費を投じましても、なおかつこれに及ばざるところ遠いのでございます。向う辨当でこうして道を求める青年が東京に蝟集してまいるということは、いかに榮養週期農法なるものが、最近世の中の人に理解を受けてきたかという證左であることは申すまでもありません。榮養週期農法なるものが、一介のいかさま農學者において唱されたとするならば、こんなに大民衆が動員されるはずがないのでございます。ここにまず私どもは榮養週期の確かなる農法であるということを提唱いたす者としてまことにこれは強い心の糧といたすのでございます。しかして最近東京の新聞記者團が、埼玉縣の神流村に出張されまして、この榮養週期の全村あげての挺身状況を視察されました。そこの報告を見ますると、これは讀賣新聞に載せられておりまするが、第一面を埋め盡くしまして「一目でわかる健康な稻」」とか「「麥も四割の増収、肥料は配給で十分、いも類、トマト等に效果著しい」等々まことに頼しい文字がそこに竝べられて、たくさんな記事が埋められております。これなども新聞記者諸君が、村落における實施の状況を見られまして、心からなる贊意を表されておる一つの現れでございます。かようにいたしまして、私どもはこの榮養週期農法なるものが、今日におきましてはもう疑問の余地はないと思うのでございます。しかしながら過去におきまする政府筋のこの農法に對しまする態度というものは、まことに冷酷そのものとも言うべきもので、私はかつて愛知縣の縣會議員をしておりましたときに、縣の農事試驗場にこれを試驗することを、むりやりに取上げさせたのでございます。愛知縣の農事試驗場は安城にございまするが、これは政府の西ヶ原試驗場の最も柱石というような、大事な子分筋の試驗場でございまするけれども、この安城におきまする結果の報告というものは、實に奇快極まるものでありまして、單にそこでは大井上式農法は西ヶ原の指導農法の八割の収穫にしかすぎないものだ。こういうことを斷定をされたのでございます。この八割という數字がどこから出ておるのか、實にこれは怪しむべきものでありまして、私どもの體驗からいたしましても、さようなことは絶對にない。こうした氣持で官僚から、この大井上式榮養週期農法というものは、常に冷遇を受けてきたのでございます。ところが皆様にぜひここでわかつていただきたいことは、農村の青年諸君がこの農法に一たび親しみまするや、ほんとうに心からなる農業者になつてくることであります。小理學者であり、小生物學者であり、小植物生理學者であるというふうに、農村の青年がずんずんとこの學問の深遠なところに興味をもちまして、ことごとく小科學者の態度になつてまいります。そうしてこの新しい農法と自分の生活がにぎわされ、その生活と直結いたしましたところに興味と希望をつなぎまして、ほんとうに農村が生き生きとよみがえつてくることであります。今日農村の文化とか何とか言つておりますが、これは淺薄な思想から言いますと、コンクールでがあがあと騒いでみたり、あるいは盆踊りをやつてみるとか、芝居のまねをやつてみるとか、こういうものが農村文化というふうに曲つて考えられておりますけれども、私に言わせますれば、この大井上式などに親しみまして、ほんとうに農村の青年の一人一人が小科學者であり、小植物學者となつて、ほんとうにこの學問に精魂を打ちこみ、植物の成育を科學的に檢討いたしまして、育つていくのを樂しむということになりますれば、これこそほんとうにわれわれのねらうところの農村文化の向上でありまして、こういうことに没頭すれば、盆踊りであるとか芝居とかいうものに關心がなくなる。これが今までの農村よりも、ほんとうに世界の水準に近づくと申しますか、あるいは世界の水準を一歩出るという農村の進み方、いき方がここにあると考えております。こういう農法が現在ありまして、しかもこれを採用しておる村は、どこでも供出を完納しております。供出ぐらいへでもないといつてけとばしておるぐらいであります。こういうものがあるのに、わざわざ目をつぶつて、大井上式は在來の農法の八割であるとか九割であるとか、こういうことを言つてむりに斥けておく必要はないのである。政府はぜひともこれを取上げて、國の奬勵農法の中に加えられていただきたいということと、なおまだ疑いがあれば、私どもは今までの學者の態度は非難すべきところがあるといつておりますから、衆議院の皆様もぜひこの試驗のメンバーにはいつていただきまして、いま一囘正当な民主的な調査研究をやつていただきたい。ぜひこれをお願いするということと、もしもその調査研究において、OKという及第點がつきましたならば、ぜひともこれは國策の奬勵農法に入れて、大いに農村青年があの護國寺で氣勢をあげた、あの數千の農村青年の運動が、新日本の農業の創設の第一歩であり得るようにお願いいたしたいと思うのでございます。これは私の概略の説明でありますが、要はいま一囘民主的な調査機關を設けて、これを取上げて調査していただき、それがよかつたら奬勵の方に取入れていただきたい、こういうことでございます。どうかそれぞれおくみとりくださいまして、ぜひ御採擇のほどをお願い申し上げます。
#23
○野溝委員長 政府の説明を求めます。
#24
○井上政府委員 ただいま紹介されました農作物榮養周期栽培法の普及實施に關する請願でございますが、本法は大井上康氏の提唱にかかるものでございますが、この施法に對する政府の意見といたしましては、肥料は直接作物に吸収されるのではなくして、土壤に施した後に土壤中で種々な變化を經て作物に吸収利用されることを閑却しておる點があるのではないかと思われる節があります。その次には移植して五日ないし十日後に硫安を施すことになつているが、この時期に窒素肥料を施せば脱窒作用を受けて大部分は損失する結果となります。第三は水稻に對する燐酸缺乏は生育の初期に起るから、元肥とした場合は效果が現れるが、しかし追肥の場合は、生育後後期において土壤中の加給燐酸が有效化するため、追肥の效果は少いと考えられます。消石灰は窒素の過剰を防ぐ目的で施すことになつているが、土壤學から見れば、消石灰の施用により土壤中の窒素は有效化すると考えられます。第五に窒素肥料の補肥は稻作に有害であるとしているが、從來の補肥に關する幾多の試驗成績とも異つております。以上のように理論的に、また從來の試驗成績からも、本説はそのまま認めることはできない。なお本法と標準と施法に關し六縣の地方農事試驗場で比較試驗をした結果によれば、標準施法玄米収穫量を一〇〇としたとき八一%九四%となつており、平均いたしまして八八%となつているのでありまして、なおまたこの施法については最近關東のある地域におきまして、連合國軍司令部の方の立會のもとで現實に試驗成績をやつておりますが、まだ的確に政府としてこれならば確信をもて農家に推奬できるという域に達していないことを非常に殘念に思いますが、なお一層試驗を重ぬて、これが農家に推奬に値するものならば、一日も速かにそういう方途を講ずるように進めたいと考えます。
#25
○千賀康治君 大體御答辨は豫期いたしておつたのでございますが、そこに石灰の用途は窒素を意味するのだということが結局書いてありますけれども、これが私どもは全然承服できないのであります。たとえば芋の生育の末期に石灰を給しますと、あなたのただいまの御所説によりますと、窒素でありますから硫酸アンモニヤか人糞尿をやつたと同じ結果になる筈でございますが、芋の生育の末期に人糞尿あるいは硫酸アンモニヤを加給しますれば、芋はやわらかくなり、また芋の形は長くなり、腐取し易くなり、黒斑病等が出易くなるとい芋ができて、味はうまくない。こういう芋ができるのでありますが、ここで石灰を加給しますと、芋の形は丸くなり、堅くなり、澱粉は緻密になり、甘さが甘くなる。全然違うのであります。結果において、かような大きな違いができるのに、いまだに石灰をやることは窒素をやることになるのだというような斷定でございますが、これ一つでも私どもは今の學者の觀念による推論は承服しがたいので、ぜひともこれは民主的に、私どもがかく言つているのであつて、全國の農村のほとんどがとり上げてまいつている当農法でございますから、ぜひともこだわらずに民主的に試驗をやつていただきたい。これにはわれわれも加えていただいて、殊にこれを提唱している大井上側の方からも代表者を出さして、試驗をやつて、よかつたらぜひともこれをとり上げていただきたい、こういうことでございます。
#26
○野溝委員長 なお紹介議員の私からも、簡單に申上げておきます。千賀議員から詳細に述べられているので、要は盡きておりますが、どうも政府の考え方は固定化しているのじやないかと思います。それを採用し、またはその技術を取り入れて相当成績をあげているというこの現實を、ただ一片の固定化した技術論だけで推論するということに對しては、これは相当考えてもらはなければならんと思う。この際政府におかれては、襟度と見解を廣めるために、一應大井上式栽培技術に對して眞檢に研究し、そうして農民の期待に副い、かつ政府の意圖している食糧増産に積極的に協力するという態勢をとつてもらいたいと思う。この點に對して特に政府に希望を述べておきます。(拍手)
#27
○井上政府委員 この榮養周期の問題は、かねて当委員會でも説明があり、また委員長も熱心にこの問題について檢討を加えられているそうでありますが、政府においても決してこれを閑却しておりません。さいぜんも説明をいたしました通り、連合國の科學者も加え、政府の方の農事試驗場の優秀なる職員も加え、かつ食糧同志會の指導者も加え、また實際これを生育いたしまする耕作者も参加いたしまして、現實に水稻に對する試驗を施しているのでありまして、從つてそれが確信をもつて科學的に明確な結論が出ぬ限りには、政府の責任において推奬するわけにはまいりません。これは政治的な問題ではないので、現實に、科學的に、これならばいいという結論が出てまいりませんと、單に政治的な取引によつて、あるいはまた政治的な一つの政策によつて行うべきものではないので、あくまでも總合的な、科學的な具體的な結論が出てまいりませんというと、政府としては責任がもてないのでありますから、この點についてはあなたの御請願の趣旨を十分くみまして、氏間の有能な人々も参加してもらつて、かつまたわが國とは多少進歩しておりまする連合國の方も立會つてもらつて、また實際必要な地域に、必要なときに、これを檢討を加えてまいることにやぶさかでないことだけは附加えておきます。
#28
○野溝委員長 千賀君、食糧増産の問題、食品關係等に對する問題等に關しましては、本委員會で調査することになつておりますので、いずれ近い機會にそれぞれ調査をすることにいたしておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#29
○野溝委員長 次は日程第二四から第二九まで、これは食品關係の請願でございます。順次紹介議員の説明を願うことにいたします。第二四の紹介議員は來ておりませんね。では第二五、北海道の甜菜糖業助成の請願、文書表第四八四號、紹介議員永井勝次郎君。
#30
○永井委員 これは御承知のように、終戰後領土を失いました結果、國内の砂糖生産は鹿兒島縣の種ヶ島の一部に甘蔗糖を生産するだけでありまして、あとは北海道の甜菜糖業にまたなければならない實状に置かれておるわけであります。その自給量はきわめて低いのでありまして、こういう大きな變革からいたしまして、國内の自給度をできるだけ高めていく、こういうことが現在とらるべき國策上の重要な問題であると思うのであります。單に消費量の自給度を高めるというばかりでなしに、この甜菜糖業を北方寒地農業の經營の中に取入れるということが、北方寒地農業の經營を合理化する上における基礎的な條件でもある。こういうことで農業經營を確率化し、加えてその製品が國内における砂糖の消費自給度を高める。こういう一石二鳥の效果をもたらすわけでありますから、この問題について政府は基本的な態度を定めて、その政策を明らかにしていただきたいということが、本請願の趣旨であります。
 北海道においては、道聽において現在五箇年計画を立てまして、昭和二十六年までに作付面積を五萬町歩にしたい。そうしてその砂糖の生産は約二百二萬ピクルを目標にしておるのであります。これだけの生産をすることによつて、ビート・パルブが七十八萬ピクルできるわけであります。このビート・パルブを生産することによつて、家畜の濃厚飼料が自給されるわけでありまして、すべて土壤を肥やし、その生産したものは、一つは精製したものは砂糖となり、そのかすは家畜の濃厚飼料となり。北方の寒地農業における有畜農業の上においては、これは不可缺な要件であるのでありますから、これに對しては、政府は相当の助成政策をとりまして、寒地農業の經營を合理的に確率するために努力をしていただきたいと考えます。このビート耕作につきましては、ヨーロッパ方面における先進國においても、すべて徹底的な保護助成政策をとつておるのでありまして、國家の助成政策なしには、この耕作の安全を期することができないというのが、世界的な現状でありますので、ぜひそのことを實現していただきたい。きわめて簡單でありますが、以上を申し上げます。
 なお本年度においてビート糖に對して消費税をかけたのでありますが、その國家収入が二億七千萬圓に上つております。もし先ほど申した五箇年計画を實行いたしまして、豫定の通りの生産をあげるといたしますならば、砂糖消費税は實に二十一億六千萬圓の巨額に達するわけでありますから、これだけの國の収入をひとつ再生産的な助成の上に投資するようにお計らいを願いたい。
#31
○野溝委員長 政府の意見を求めます。
#32
○井上政府委員 ただいま永井委員から紹介されました北海道のビート糖業の保護政策に關する問題でございますが、御存じの通り戰争に敗れた日本は、重要な砂糖の産地でありました臺灣を失いました。すなわち糖業地としての唯一の臺灣を失つたわが國としましては、内地においてはただ北海道のビート、それから鹿兒島、四國等に多少でございます熱帶甘蔗、これを基礎にしなければ生産ができない状態でございます。そこで北海道のビートの増産は、非常に重大な砂糖供給源になつておりますので、中央においても速やかに糖業政策の確立をして、このビートだけでも、少くともこれによつて相当供給を確保したい。ところがこれは今お話の通り、熱帶甘蔗と比較して、條件が悪い北方の寒地農業でありますので、この寒地農業である特殊性を活用して、たとえばこれを北海道の畜産と結びつける。あるいは輪作關係においてこれを考える等の保護政策をとつて、増産の對策を確立しなければならぬ。そこで農林省としましては、これを一體どう確立するかという具體案を今立案しております。そしてこれに必要ないろいろな對策が立てられなければなりませんので、經濟安定本部なり、あるいは大藏当局とも打合せております。今政府が考えております對策は、大體ビートの價格をどうするか。競合作物との價格の均衡をはかるために、このビート價格について物價廳と打合せております。それから農家に對する砂糖の還元配給、これはことしも昨年と同様に還元配給したいつもりでおります。第三番目は肥料、石炭等の生産資材を確保すること。これも今所管の農政局と、北海道のビート糖業審議會の計画に基いて、經濟安定本部とこれが裏づけの確保について打合せをしております。それから今度は甜菜の原種團の補助金の問題、試驗研究に要する豫算の問題、これらの問題は、それぞれ大藏当局と檢討を加えております。積極的にやるつもりでおりますから、御了承願います。
#33
○永井委員 ただいま御答辯の中にありましたビート耕作に對する試驗機關の設置でありますが、これは從來の農事試驗場の中のある部分に置くのか、あるいは獨立して含糖率の高い原種を増産する、この原々種育成の目的をもつて獨立して原種を育成し、併せてビート耕作に對する試驗研究を寒地農業の中に織り込んで、どういう經營形態でやつていくかというような總合的な研究をおやりになる考えがあるのか。その試驗機關の設置の性格及びその構造について、簡單にひとつ御答辯を願いたい。
#34
○山添政府委員 試驗機關につきましては、目下北海道廳の人も上京せられまして、われわれの方といろいろ打合せをいたしておるのであります。現在の北海道廳の試驗そのものを、いかなる形で今後やつていくかという、根本問題から考えておるわけであります。ビートにつきましてもその中の重要なる項目の一つとして、取していくわけであります。
#35
○野溝委員長 お諮りいたします。他に紹介議員が見えられないようでありますから、本日付託になつた請願につきましては一層の愼重を期することにいたしたいと思いますが、いかがでございましようか。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○野溝委員長 さよう決定いたします。
#37
○成瀬委員 本日請願になりました各條項につきましては、ただいま委員長決定の通りに、善處するというような方針で決定されたのでありますが、この際もう少し、私どもこれらに對するところの審議の資料を求めて研究する意味におきまして、一、二簡單に政府委員の方にお尋ね申し上げたいのであります。第一二の農業技術指導農場設置につきまして、質問なり説明なり、また御答辯がありましたが、わが國農業の近代化のためにいかにこれの方面についての施設が必要であるかということは、今さら喋々申し上げるまでもありませんが、デンマークの例におきましても、ロシヤの例におきましても、こういう過渡期におきますところの食糧の確保のためには、こういう方面に對する政府の重點的な施策というものが必要なのでありまして、かかる觀點から、この農業技術指導農場の技術員が、縣の農業會のそれらの職員として活動いたしておるところの縣もあるし、あるいはまた縣の技官というような身分によりまして活動いたしておる縣もありますが、こういう兩者の點を比較對照いたしますと、技術員はできる限り國家の技術員といたしまして、そして十分なる手腕を振いたいというような點、また經濟的の面におきましても、生活の保障される點がこの面において多いのでありまして、農林省は、かかるわが國農業技術の先端指導をなす技術員の身分保障という意味からいたしまして、國の機關として、吏員としてこれを保証するという氣持があるかないかという點について、お尋ねを申し上げたい。なおまた第一八の肥料の配給是正に關する請願でありますが、本請願の内容は私存じておりませんけれども、肥料公團の現在進行いたしておるそれらの業績を檢討してみますと、私は貧弱な資料しかもつておりませんけれども、ある縣におきましては、從來縣農業會におきまして大體六名程度の職員で十分仕事ができておつた。今度公團になりまして、いろいろな方面からの職員増加によつて、五十數名に及んでおるということにもなつておるのであります。その縣の名前をはつきり申し上げてもいいのでありますけれども、かようにいたしまして、公團におけるところのそれらの職員の増加は、必然的に經費が多くかさんでくる。これらが國家豫算の上におきまして、あるいはまたその肥料の消費者に對しまして、大きな影響があるのであります。
#38
○野溝委員長 成瀬さん、米價の問題を早く發表したいということでございますから、要點だけひとつ……。
#39
○成瀬委員 その問題につきまして、こういう點を是正する意向があるかないかという點についてお尋ねいたしたい。また青果物の統制是正に關する點につきましても、現在青果物が生産縣におけるところの最も不合理なる價格統制によりまして、すいぶん生産が阻害されておるのであります。こういう點につきまして、もつともつと實情に即して、季節的な青果物はそれを除外して、そうして國民の食糧確保の面におきましての施策を必要とするという點もあるのでありますが、かような點につきましても一應御意見を承りたいと思います。
#40
○野溝委員長 成瀬さんに申し上げます。紹介議員でないのでございますが、一應關連しておる御意見として委員長はこれを許したのでございます。つきましては、それに對し簡單に政府から答辯を願うことにいたしますが、時間の關係がありますから再質問は遠慮していただきたいと思います。
#41
○山添政府委員 技術指導農場におります技術員の身分につきましては、農業會の廢止に伴いまして、これを縣の吏員の身分に切替をいたします。全額國庫負擔の縣吏員であります。それから肥料公團の事務員が非常に多くなり過ぎておる場所があるというお話、これはさような點がございますれば、實情についてとくと検討いたしまして、改善をすべき點は改善を加えたいと思いますが、大體當初きまつております豫算の範圍内でやつておるのでありまして、かつ業務の内容も、もとと今度の公團になりましてからとでは非常に違います。公團は今度は御承知のように商工系統、農業團體系統二元配給であり、かつ末端まで世話をするということになつておりますので、性質上相違のあることもまた御了解を願いたいと思うのであります。青果物等につきましては、野菜については御承知の通りの制度であります。また最近果樹等につきましては、これはまた特別の考え方をいたしておるわけであります。
#42
○野溝委員長 お諮りいたします。この際政府から米價の決定までの經緯について報告したい。かように申出がありました。これを許したいと思いますが、いかがでありますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○野溝委員長 ではさように決します。
#44
○大原政府委員 農林大臣は三時半ころおいでになるということでありますが、先立ちまして私から米價決定の結論について申し上げます。
 かねて閣議において米價の問題を最終的に決定するということになりまして、その後すべて米價は首相一任ということになりました。昨日の閣議におきまして、總理から最終の閣議に對する決定案を提出され、全閣僚異議なくこれを承認されました。その後各方面の事務的折衝竝びに處理を終えまして、今日閣議におきましてこれを提出され、承認されたものでございますが、ただいまお手もとにお配りいたしました通り、玄米につきましては一石生産者價格一千七百圓、但しこれは中味のみであります。二重俵一俵當り七百一圓六十錢、そのうち中味が六百八十圓、包装二重俵が二十二圓六十錢、こういうふうに決定いたし、また同時に甘蔗價格につきましても、生産者價格十貫當り九十六圓、但し裸賣りの場合は八圓五十錢引きするというふうに今日決定いたしました。ここに皆さまに御報告いたす次第であります。
 この價格の決定につきましては、かねてから委員會等の御希望に對して、若干の隔りのある結果と相なりましたが、この價格の決定につきましてはあくまで政府がインフレ防止のために採用した經濟緊急對策の根本方針に則りまして賃金物價の惡循環によるインフレの高進と、これによる、國民經濟の全面的な破壊を極度に避けるために、この米價の問題につきましても、あくまでこのインフレ防止の新價格體系の中において決定したいという意圖のもとに、總理の最後の斷となつた次第でございますが、この新米價の決定の基礎は、わねて御報告申し上げました通りに、物價廳におきましては、生産費計算による方法もあるのではございますが、たとえば自家勞賃のごとき非常に評價の困難なものも存在いたしておりますので、パリテイ計算によるという根本方針を、關係方面とも折衝の上決定いたされまして、この計算をいたしたわけでありますが、前囘一應そのウエイド表なんかについて御説明申し上げたのに比べまして、多少の變更がその後になされまして、お手もとに差上げましたパリテイ計算指數表というものが最終的のものとなる。その最後のページにございますバリテイ指數は、基準年度と二十一年度との幾何平均によりまして、六二・五五倍という最後の數字を得ました。これを基準年次の米價二十七圓十六錢にこれを乗じまして千六百九十八圓八十五錢という結論を得たのでございますが、これを千七百圓に切上げることといたしまして、千七百圓に決定いたしました次第であります。なお基準年度の價格につきまして少しく計算違いもございまして、二十七圓四十錢と以前は申上げたかと思いますが、二十七圓十六錢に變更いたしました。また倍數もそれよりも前には少し低かつたと思いますが、少しく上がりましてこのような結論を得た次第であります。なおこのたびはかねての御要望もあり、俵につきましてはこれを別計算にいたすことといたしました。その説明文の第二枚目の紙の末尾に揚げてあります通りに、複式三本編俵が十七圓四十錢、かます三十三圓三十錢、單俵十三圓ということに別の扱いをした次第であります。
 なお甘藷の價格につきましては、米價との最近數箇年の比率を出しまして、これを新しく決定されました米價千七百圓、それに俵は石當りにいたしまして平均五十圓にになりますので、千七百五十圓。これにその比率、つまり一石の米價と十貫目の甘藷の比率は〇・〇五五になりますので、これに乗じまして九十六圓を得た次第であります。これは包装をこめての甘藷の新しい生産者價格であります。
 以上のように最終的な決定の運びに至りました。最初の御要望にいささか距つたところがあると思いますが、物價廳その他の方面、閣議全體の御意向としましても、新物價體系を崩さない限り、でき得る限りの努力はしたつもりであります。さらにこのパリテイ計算による千七百圓、俵込みで千七百五十圓という結論に、總理の裁斷によりまして、百パーセント二月末までに供出した農家に對しては、全供出量に對して五十圓ずつの特別報勵金を交付することも追加決定され、これも關係方面に了解を得まして、併せて廢表いたす次第であります。御質問がありますればお答えいたします。
#45
○八木委員 委員長にお尋ねいたします。まず農林委員會が去る十一月十八日に愼重なる討議の結果、決議を得ました三綱目に對して、ただいまの發表に至るまで、本委員會の要請事項は政府において考慮されたあとがあるのかどうかということについては、ただいまの報告だけでは了承いたしかねますから、その後委員長において、この決議に基き行動せられ、要請せられた經緯竝びに結果をこの際承りたいと思います。
#46
○野溝委員長 委員長に對する御質問のようでございますが、今八木委員が申されましたことく、委員會は米價問題に對して數囘にわたり委員會を開いてきたのでございます。最後の結論といたしまして、十八日に一應成案を得まして、米價問題に對する善處を要望すべく、二十日の午前八時半に首相官邸を代表者が訪問いたしまして要請いたしたのでございます。その際の要請文案の内容につきましては、ここで申しあげるまでもなく八木委員御承知のことと思います。ただ委員會の要請と米價の決定とは相當の開きがあるとは思いますが、しかし委員會におきましても米價をいくらにしなければならぬとい價格決定をもつて要議をしたのではないのでありまして、この點具體的に委員會の要請内容と違うじやないかということは、結論として言うことはできないのでございます。ただここで委員長として遺憾に感ずる點は、政府が第三の、政府は米價の決定にあたつて農業用必需物資に對し責任をもつてこれを確保する萬全の用意のもとに、同一米穀年度内において米のみを公定價格にして供出せしめ、農民をして農業必需物資をやみ價格で求めしむることのないように、責任ある措置のもとに決定されたいということに對する結論が得られておらないのでございます。かような點は委員長といたしましてまことに遺憾に感じますし、かつこの結論を得たいと思いますので、いずれ本日の委員會終了後一應理事會を開きまして、今後の對策を決定したい。かように考えておる次第であります。
#47
○八木委員 委員長の御答辯によりますと、政府は米價を決定するにあたつて、委員會の意思を徴して決定したというふうにお認めになつておるやに聽きますが、さよう御了承なんですか。
#48
○野溝委員長 委員會の意思を徴し決定されたしという要請はいたしましたが、御承知のごとく國會において米價の決定權ということになりますと、立法機關としての點について相當論議があると思います。またさらばといつて國會の意思を無視して米價を決定するということに對しても、これは非民主的であると、かように考えております。よつてさような深淵な意圖に基く要請書の文案と私は解釋しております。本日政府から發表された價格は、國會の意思を必ずしも容れたということには解釋しておりません。しかし以上の立法機關と行政機關との權限の問題になつてきますと、相當意見もありますので、この點につきましては委員長といたしまして、此處でしかく結論をはつきりするということはできません。問題は要請書の趣旨を體してやつてもらいたいということに對しましては、委員長といたしましても同感でございます。
#49
○八木委員 委員長の御答辯どうもひようたんなまずでわかりませんが、國會の意思を徴し決定せられたしとの要請をしたわれわれの意思は、政府は國會の總意によりまして、十五日でありましたか、片山總理大臣の答辯がありましたように、政府獨自できめるという結果になつたのか、あるいは要請したように意思を徴したのかということについての、委員長の見解を聽いておるのです。どうも徴したがごとく、徴せざるごとくでありますが、はつきりひとつ答えてください。
#50
○野溝委員長 八木委員のお察しの通りでございます。要するにはつきりは言えません。
#51
○大原政府委員 これは物價廳の原案と總理の裁斷との間には少しく距りがありますので、物價廳で下された最後案は、國會の意思を尊重した上での總理の決新であると解釋いたしております。
#52
○小林委員 ただいま物價廳のお話を聽きまして、先ほどここに發表いたしましたウエートのパリテイ計算をずつと見ておりますと、このパリテイ計算によつて千六百圓というものはきまつた、こういうようにお話がありました。安定本部は初めからこういうパリテイ計算をしたのではないかと私は思うのですが、今お話を聽きますと、どうもあとで總理が國會の意思を尊重して千七百圓にきめた、こういうお話なんですが、初めのお話だと、物價廳のパリテイ計算はこういう數字になつて、すなわち基準年度の米の値段が二十七圓十六錢、それに六二・五五というものをかけて千六百九十八圓七十五錢になつた。總理の裁定は一圓十五錢をやつた。こういうように計算上は考えられるのですが、そうでしようか。それをちよつとお尋ねします。
#53
○大原政府委員 私が申したのはボーナスのことについて申したのであります。物價につきましては、パリテイ計算につきましては、あくまで價格算定の基本方針に則つて算定したのであります。
#54
○野溝委員長 この際農林大臣から發言を求められております。これを許します。平野農林大臣。
#55
○平野國務大臣 本日閣議終了後總理大臣より特に本日農林委員會に出席をして、米價決定の經緯及びその段階内容等について、私より報告をするようにというお話がありました。また私は農林大臣といたしまして、總理のそのお話とは別個に、農林大臣として本日この委員會に今日までの米價決定の經緯の概略を申し上げまして、御了承を得たい、こう思つて發言を現在許していただいたわけであります。
 米價問題が閣議に正式に取上げられるに至りましたのは十月の七日からであります。それは御承知の通り十月の五日に全國の知事會議において、三千五十五萬石の割當を敢行いたしましたそのとき、知事會議において總理大臣よりも、米價についてはきわめて速やかに、大體今月の二十日ころまでに、その決定をみたいという言明もあり、この問題は供出と絡んで、單に物價廳と農林省の食糧管理局との間の折衝を繼續するには、あまりに問題自體が重大となりましたので、七日の日に正式に農林大臣より閣議に米價問題を提示いたしまして、ここに米價問題が閣議の狙上に上つたのであります。今囘の米價の決定にあたつて、まず第一に御了解を得たいと思うことは、物價廳が米價を決定いたしましてこれを閣議にはかり、閣議がこれを了承するという態度では、今度の米價の決定の方法は困るという點を私から發議をいたしまして、すなわち米價の決定は閣議においてこれを決定し、閣議の決定したものについて物價廳がそれぞれ關係當局の了解を得ていく方法をとつていただきたいという基本的な方針については、大體において七日の閣議の了承を得まして、爾來この方針のもとに安定本部と農林省との兩案の米價問題について折衝を重ねたのであります。そこで先般も中間に申し上げました通りに、安定本部といたしましては、パリテイ計算、しかもそのパリテイ計算の方式は最も精密なるフイツシャー方式というものを採用いたしまして、最も近代的なるパリテイ計算の方法によつて、順次米價決定の方法を進めてこられたのであります。農林省といたしましては、農林省の見るいわゆる農家の生産費を基調とする米價の決定と、農民團體側から提議されておるパリテイ計算と二本建で臨んだのであります。そこで農林省の主張いたしておりまする數字と、安定本部の物價廳のパリテイ計算との間には、相當に收支の開きがありまして、その開きを緩和するためには數囘の閣議を開催いたしましたが、遂に閣議においてはこれを決定を見ることができません。そこで經濟閣僚懇談會に移しまして、懇談會を開きますること大體三囘、その間農林省といたしましては、安定本部の物價廳のパリテイ計算の中に取入れられております農村必需物資の七十一品目、この品目についてわれわれは相當深刻なる檢討を加えたのであります。また安定本部といたしましては、農林省の提案いたしております生産費調査のうち、農家の勞働賃金、農家の勞力の換算に向つて相當するどい批判がありまして、この二つの點については、經濟閣僚懇談會において、安定本部長官と農林大臣の間には、相當の論議を應酬いたしましたことは、新聞によつて御承知の通りであります。なおこの米價決定にあたつて、皆さん御承知の通り、この米價最後決定というものが千八百圓のいわゆる標準賃金のベースを割るか割らぬかという問題について、なお大きな論議があつたのであります。農林大臣といたしましては、千八百圓ベースを擁護することの必要であることはもとより認めるが、その標準賃金の犠牲に農民の生産費を割るという議論には賛成できない、これはあくまで米價を合理的に決定することによつて供出を促進し、その供出を促進することによつて遲配缺配をなくし、この面から國民經濟の安定をはかることこそ、現下の時局に即應した價格政策である。しかして物價體系は米價を基準として決定すべき議論を私は繰返し繰返し主張いたしたのであります。しかしながら、大體において現内閣のとつております方針は、この千八百圓ベースを堅持するという點の牢固たることは、皆さん皆さん御承知の通りでありまして、この點においても遂に結論を見るに至らなかつたのであります。私どもといたしましては、かりに千八百圓ベースを擁護するといたしましても、かつて安定本部長官が、十一月になれば三百九十九圓の黒字を見ることができるというような言明もあるので、せめて米價がこの三百九十九圓までは食いこんでも千八百圓ベースを割らぬではないか。從つてパリテイ計算にプラス三百九十九圓までで米價の決定ができるではないかというような議論まで展開をいたしまして、ここに米價論といたしましては、率直に申しますると、あらゆる角度から檢討を加えて、相當なる論議を行つたのであります。しかしながらこの面においてもついに結果を見ることができませんでした。最後に、農林省といたしましては、百歩讓つて、このパリテイ計算を完全に承認して米價を決定する場合においては、パリテイ計算の線に沿つた七十一品目、農村必需物資である肥料、農機具、地下タビ、綿布、綿絲、自轉車、こういうものがマル公で農村に配給されるということを絶對條件とするということに議論が發展をいたしまして、商工當局を閣議に呼びまして、この品目についてきわめて精細なる再檢討を行つたのであります。しかしながら、商工省から提案されたその數字は、とうていわれわれが満足することができません。この數字は農林當局が滿足することができないのみならず、安定本部においても、商工省から提示せられた品目については不滿足である意思を表示せられたのであります。しかして具體的に申しますると、たとえば地下タビが農村に對して四年目に一足より配給できない。また農機具の鐵材も三十七萬トンを必要とするのに、わずかに二千トンである。かような状況であるといたしますれば、いかにパリテイが議論の上において正當であつても、實質においては農村においてこれが施行できないではないかというような議論も一方において展開したのであります。しかしながら、いかようなる議論をいたしましても、現内閣の基本方針といたしまして、千八百圓ベースを堅持する、この建前はあくまで總理大臣初め牢固たる意見でありますので、遂に米價問題は、安定本部長官と農林大臣との間に展開している議論だけでは、結局協調の道なしということに到達いたしましたので、先般この席上において總理大臣からも御報告がありましたように、閣議は總理大臣に一任して、總理の裁定によつて米價を決定するのやむなきに至り、またわれわれといたしましては、總理大臣に一任して、總理大臣から決裁のありました米價については、これを是認していこうということになりまして、遂に米價問題はごらんのとおり總理大臣一任となつたのであります。そこで總理大臣といたしましては各關係閣僚の意見を十分に檢討せられて、かつその筋との交渉その他も愼重に檢討をせられました結果、本日の十一時半に至りまして、特に米價問題に關する臨時閣議を招集せられ、總理大臣から最後の斷案を下されたわけであります。その内容については、先刻物價廳次長より御説明があつたと思いますから、繰返して申す必要はないかと思いまするが、率直に申しますると、米價は千七百圓、俵は五十圓、さらに供出獎勵金として五十圓でありますが、この供出獎勵金は百パーセント完遂した場合において、その供出の總量に向つて五十圓を加える、農家の供出は百パーセント供出すれば千八百圓の手取りになる、こういうような總理大臣の斷案が下つたのであります。私どもといたしましては、總理大臣に一任してかような決定をされたのであります。しかも現在の供出は非常に重大なる段階にあり、かつ米價問題はあらゆる國民の視聽を集めているときでありますので、この際あまりにこれ以上米價問題について論議をいたしますることは、事のいかんにかかわらず、全國の經濟の体勢から見まして、この際は總理の決裁によつて、あとは供出完納に邁進する、これが現在において與えられた唯一の道であるという決心をいたしまして、ここに米價問題はかように決定を見たのであります。この決定はあらゆる關係方面のすべての支持を受け、最後的斷案でありますので、當委員會におきましても、いろいろ御不滿もありましようし、また經過については種々なる皆さんの御議論もありましようが、特に御了承願いたいということを私からも重ねてお願いする次第であります。
 なお最後に、農林省といたしましては、この米價が決定をいたしました直後、すぐ左に申し上げる問題を閣議決定といたしまして、今囘の供出に關する新しき方法として閣議の了解を受けたのであります。その内容の一つを申し上げますると、都道府縣に對し供出督勵のために要する經費竝びに報獎物資の配給確保のため機構整備に要する經費を助成すること、こういう一項目を閣議の決定において了承したのであります。從いまして、これに要しまする費用といたしましては、まず供出督勵のために要する費用として六千萬圓でありますが、これはどういうことに使うかと申しますると、ただ供出を現在のままに放任していろいろやつている程度では、とうていこの供出は完遂できない。特に供出督勵に關するいろいろの運動を起し、またこれに關する人員を相當整備するために六千萬圓、次には報獎物資配給確保のための經費が二千四十七萬圓、この内釋は府縣に對して一萬圓、町村に對して二千圓、これを合計いたしまして二千四十七萬圓であります。これはどういうことであるかと申しますると、大體報獎物資が從來政府から出ていると言つても、實際末端の農村には届いておらない。從つてこの經費によりまして、どこの村へはかようなわけで届いておらない。届いておるか。こういうことを見届けるところの費用でありまして、これは府縣と町村に、たくさんでもありませんけれども、これだけの費用を使うことによつて、これらの報獎物資の潤滑不十分の點を緩和していきたい。かような意味におきまして二千四十七萬圓の經費を了解を得たのであります。
 次には農村に還元すべき空俵であります。この空俵は政府においてその輸送費を全額もつ。こういうことの了解を得たのであります。この費用は大體二千萬圓であります。ここで具體的に申し上げますと、農村から政府が米を買います場合においては、その俵は五十圓で買う。そこで空俵は政府の輸送力において農村に返す。返しました場合においては、この空俵は十圓六十錢で農村が引きとる。言いかえますと、この空俵の輸送費は全部政府がもつのでありますが、農村では五十圓で供出いたしました俵を、十圓六十錢で還元を受ける。こういう處置を今囘講じたのであります。これは永年の農村の要望でありまして、この處置をとりましたことは、米價の基本的な問題については相當御不滿もありましようが、米價に俵代をプラスしたということと、空俵は原則として政府の輸送費用によつて農村に還元するの方途を考えた。この點についてはひとつわれわれの意のあるとことを御了承願いたいと思うのであります。かようにいたしまして大體ここに、約一億圓の費用を見積りまして、供出の督勵及び報獎物資の届いておるかどうかということを見届け、かつ空俵の農村還元というような途を講じましたので、この點特に御了解を願いたいと思います。
 なお最後に申し上げたいと思うことは、今囘のパリテイ計算というものが、一つの理論として、しかもこれが實踐的に將來このパリテイというものが正しいものであるということを、名實ともに行うのには、パリテイの上に載つた品目が農村へ公定ではいる。このことが嚴として行われなければ、パリテイは理論であつて、これは現實ではないということは、安定本部及び物價廳も十分これを是認せられ、またいろいろ係官方面においても、この點については特に認めておられることでありまして、なお閣議におきましても、この米價で農村の供出を強要する限りは、農村に渡るべきところの品物については、嚴として政府の今後責任においてやるということは、嚴粛なる事實であるということを、大體認めておるのでありまして、本日農林省といたしましては、とりあえず商工大臣に向つて紺織物四百萬反、これは農家一戸あたり約一反、供出農家が大體四百萬戸ありますので四百萬反、この數字は現在の商工省の全能力を發揮すれば、可能なる數字であります。もとよりそのためには他方面た配給するところの反物も、相當犠牲にしなければなりますまいが、この四百萬反というのは農林省の調査によりますれば嚴としてある。行うことは商工大臣の決心によるというのでありますので、とりあえずいろいろな品目もありますが、本日この米價決定を機會に、農林省としては商工大臣に向つて、紺織物四百萬反をとりあえず取りそろえて、これに對して農村に配給できるかどうかという、確たる返事をなすべしという申合せをいたしまして、これは近く商工大臣から農林大臣に對して返事があるはずであります。しかしこれは商工省が全誠意をもつてやればやれる。今日農村においていろいろ不足しておるものがありますが、とりあえず今囘の供出にあたつて、紺織物一反づつどこの農家へも配給できる。こういう裏づけ物資を握ることが、このパリテイ計算を意義づける具體的な事實である。私はこの點を商工大臣に今日要求いたしました。なお私は今後商工大臣に對して、地下たび一千萬足の生産の計畫――四年目に一足の地下足袋ということでは、農業生産はできないのでありまして、順次一千萬足の地下たびの生産計畫を立つべしということを言つておるのであります。
 ここで大體私の報告はおわらせていただきますが、農林省といたしましてはここにかような經過において決定いたしました米價の結論、またその經緯については、農林委員會の皆さんには御不滿もありましようが、ぜひとも御了承を願いたい。しかし農林省としてはこの農村の裏づけ物資となるところの肥料、農機具、地下たび、綿布、自轉車これらの點については、今後びしびしと要求すべきものは要求いたしまして、農家の要望に副いたい。われわれはこういう努力を今後拂う。このことを實踐するという意味におきまして、今囘の米價の決定を農民諸君に了解を得ていく。これが農林省の立つておりますところの基本的態度でありますので、この點も御了承願いたいと思います。
 なお私は農林大臣といたしまして、かような米價の決定に關する經緯を、全農村にくまなく、もとよりラジオを通じて、あるいは新聞を通じて申し上げることは當然でありますが、近く全國私は出張するの計畫を立てまして、あらゆる要所におきまして、この米價決定の經緯を農民諸君に報告し、しかしてかようなわれわれの悲壯な決意について、十分農民諸君の了解を得まして、この世界の食糧の非常に困難なる状況にあたつて、わが國の食糧問題の解決に、あくまで誠心誠意邁進しなければならぬ。かような考え方をもつておりますので、どうか結論といたしまして御不滿の點も多多あろうと思いまするが、本農林委員會におきましても、今日までの米價決定の經緯について、何とぞ御了承願いまして、皆さんも供出完遂のために最前の御協力を願いたいことを重ねてお願いいたしまして、これをもつて私の報告といたします。
#56
○野溝委員長 別に御質疑はありませんか。
#57
○成瀬委員 農林大臣のなみなみならぬ御努力に對しましては、私ども敬意を表する次第でありまするが、ただ一言、總理としましてのお言づけがありませんか。御同様な御趣旨のもとの御意見でありましたか。それを伺いたい。
#58
○平野國務大臣 總理大臣は總理大臣御自身として、また適當の機會に御意見もあろうかと思います。本日は私にその經緯と内容だけを、ひとつ代つて報告するようにという話でありましたので、總理大臣の意見まで、ここで申し上げることはできません。
#59
○大島(義)委員 米價の問題はただいま農林大臣から詳細に承つたのですが、農林大臣も言われる通り、今後の農家の報獎物資等に關しては、重大なる關心をもつておりますので、後日適當な機會に商工大臣竝びに安本長官、農林大臣にもお立會いを願つて、三大臣おそろいの上で、本委員會においても今後の行く手をはつきりしたいと思いますから、さようお取計いを願いたいと思います。
#60
○萩原委員 ただいま大臣のお話ですが、パリテイ計算で出した米價と、農林省の生産の經費とには、開きがあるということでございましたが、パリティ計算の數字についてはこの表にありますが、農林省が提案されました經費を、御参考までにお知らせ願いたいと思います。
#61
○平野國務大臣 それは委員長の手もとに數部差上げてありますので、それをごらん願いたいと思います。
#62
○野溝委員長 ちよつとお諮りしますが委員長の手もとにもらつてあるのは、先般御報告をした通りの報告でございまして、この點大臣と私の間に誤解のないように願いたいと思います。農林省の發表といつても團體の發表でございます。農林省としてはそれ以上の資料はまだ出せないということを、農林次官が言つているわけですから、先ほど言いました通り各團體の資料として、五部手もとにまいつております。
#63
○野上委員 米價の決定いたしました今日、その基準その他について議論をしようとは思いませんが、ただこのパリテイ樣式によつて、最も最新式のフィッシャー方式ですか、これを採用し決定された。そうすると、將來においてこの基準に取上げられました品目の價格が改訂されるような場合が生じたときに、當然米價もこれに從つて改訂さるべきであります。その間の處置を當局はどういうふうにお考えになつているか。米は御承知のように一年に一遍しかとれないものである。その間今日決定されて來米穀年度までそういう米價で行かれたのでは、まつたく農民は犠牲の上にもまた犠牲を強いられるようなことになりますが、それらの差額は一體どういうふうに補償されるか。そういう點について一つ大臣の御意見を承りたいと思います。
#64
○平野國務大臣 まことにごもつともでありまして、私もその點は安定本部長官にしつこく質問をいたしまして、結論を得ております。その品目は動かさないということでありまして、その品目が動けばその裏には當然米價が動く、こういう解釋であります。
#65
○田中(健)委員 ただいま物價廳の次長竝びに農林大臣から、米價決定に至るまでの經緯、事情について詳細に承りましたが、これに關連いたしまして、いわゆる農家が農協經營上必要とする物資、農家の生活上必要とするところの日用品を、一箇年にわが國の全農家がどれだけ必要とするかという數量を、農林省から明日午前十時までに詳細に本委員會に御提出を願いまして、さらに引續き商工省竝びに安本、關係各閣僚の御出席を願つて、その必要なるものが、適當の時期にどういう方法によつて配給せられるかということを、確實に、これはかなり緊急な問題でありますから、承りたいと思います。從いましてでき得るならば明日再び農林委員會を開かれまして、總理以下閣僚の御出席を願いまして、この點を明確にしておかないと、價格だけがきまつて、物がいつくるかということを、かりにわれわれが地方に歸つた場合においても、これは農民の質問に對して、われわれ國會議員として答えることができないという結果になりますので、この點を明確にするという意味においてお願いいたしたいと思います。
#66
○野溝委員長 大島委員竝びに田中委員の御發言はごもつとも思います。よつて安本、商工、農林の各關係大臣の出席を願いまして、今後におけるところの必需物資の問題等を初め、農民の供出意欲を缺かないようにするところの該問題に對して、十分政府と折衝、結論を得たい、かように思います。そこで、ただいま農家の必要物資の數量がどのくらい必要かという點に關して、農林省から明日午前中にその資料を出せという御要求でありますが、今農林省の事務當局に聽きますと、明日午前中ということは、どうしても不可能と思うという御意見でございます。そこでなるべく急速にそれを作成して委員會に提示するように要求しております。よつて早急その資料を得次第、この米價問題竝びに今後の農村の供出問題と關連した諸問題に關しまして、委員會を開きたいと思います。
#67
○野上委員 それに關連しまして、大藏大臣をも本委員會に出席していただいて、この米價の支拂方法というものは、非常に供出に對して大きな問題となるのでありますから、そうした資金關係等について、大藏當局の意見を十分伺いたいと思いますので、ぜひ大藏大臣の出席をお取計らい願いたいと思います。
#68
○八木委員 物資七十一品目全部にわたつては、なるほど即時は無理であろうと思いますが、閣議において熱心に論議された經過からみますと、主要な品目については當然農林大臣の手もとにあるはずだと了承いたしますので、手もとにある品目だけなりとももつてきてもらいたい。そうでないと抽象論になつて問題になりません。
#69
○大島(義)委員 ただいま關係各大臣の出席を求める要求が、ひとり私ばかりでなく、他の委員諸君からも出たようであります。今までの會議の經過によりますと、參議院にいかなければならぬとか、どこに行かなければならぬとかいうことで、いつも途中で尻をへし折られるので、われわれ結論を見出せないのであります。これだけ大きな問題でありますから、晝間に限つたことはありません。委員長の御都合で夜でも結構でありますから、十分質疑應答の時間をとつていただきたいということをお願いいたしまして、速やかに會議を開かれんことを望みます。
#70
○野溝委員長 折衝いたします。なお八木委員のただいまの申入れに關しましては、努めて政府當局に努力させて、早急に出させることにいたしたいと思います。各大臣の時間の問題でございますが、大島委員から言われた通り、まつたく委員長といたしましても最善の努力はしておるのですが、いずれにいたしましても委員の申入れのありました通り、委員長として最善の努力を拂うということで御了承願いたいと思います。もちろん夜についても考えております。
 本日はこの程度で散會いたします。
   午後三時五十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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