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1947/10/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第41号
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1947/10/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第41号

#1
第001回国会 農林委員会 第41号
昭和二十二年十月二十五日(土曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 大島 義晴君
      佐竹 新市君    田中 健吉君
      永井勝次郎君    成瀬喜五郎君
      野上 健次君    平工 喜市君
      細野三千雄君    松澤  一君
      小林 運美君    佐々木秀世君
      志賀健次郎君    関根 久藏君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      八木 一郎君    小川原政信君
      佐瀬 昌三君    重富  卓君
      田口助太郎君    野原 正勝君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
      山村新治郎君    中村元治郎君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 平野 力三君
 出席政府委員
        戰災復興院總裁 阿部美樹志君
        物價廰次長   大原總一郎君
        總理廰事務官  長谷川 清君
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        專門調査員   片山 徳次君
        專門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 未利用地耕作利用臨時措置法案(内閣提出(第
 五〇號)
 農業災害補償法案(内閣提出)(第七五號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 付託された議案に入る前に昨日理事會において決定になりました政府に對する要請書を委員長において朗讀いたします。
   要請書
  米價決定の重要性に鑑み農林委員會は曩に政府に對し要請書の提示を以つて妥當價格決定の善處方を要望したが、今囘決定せられたる價格は耕作農民の期待に添わざることに於て遺憾である。依つて農林委員會は日本經濟再建の確立を期するため特に農民の供出意欲に及ぼす影響を考慮し、左記事項を決議し其の遂行を要請するものである。
 一、バリテイ計算の本旨に則し新物價體系に修正を加えらるるに際しては再度騰貴變動率に應じバリテイ計算を行い農民の生活保障資金として改正價格を決定すること。
 二、バリテイ計算の基本項目となりたる農家經營用品竝生活用品七十一品目については、公定價を以て所要量の完全配給を行うこと。尚實施報告を本委員會に行う事。
 三、政府割當ての三千五十五萬石供出については農民の自主性を尊重し遺憾なきを期すること。
 四、供出督勵竝報獎物資の配給確保に要する所要經費については其の使途を明らかにし、苟しくも疑義を持たしめざるの措置を講づること。
 五、空俵の處置については蠶に提出せる農林委員會要請の趣旨に即し還元又は適正價格に買い上ぐること。
 六、供出代金支拂いについては生産者に對し即時拂いとすること。
 七、供出に對しましては加工供出を認め尚米糠、フスマ、麥糠等を家畜飼料として還元すること。
 八、供米に際して米價改訂による農家所得の名目的増加に對しては増加所得税の輕減を行うこと。
 九、農家保有量については再生産所要量を割らざること。
 一〇、右各項の遂行を期し併せて割當て供出の達成を圖るため民主的組織による農村必需物資活用委員會(假稱)を設置し其の目的を果すこと。尚該委員會の構成竝運営については別にこれを定めること。
  昭和二十二年十月二十三日
         農林常任委員會
   總理大臣殿
   農林大臣殿
   大藏大臣殿
   安本長官殿
 以上の理事會を決定に對しまして御了承願えますか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#3
○野溝委員長 それではさよう決定いたします。
 それでは議題に入りまして政府の説明を聽取することにいたします。
    ―――――――――――――
#4
○野溝委員長 これより未利用地耕作利用臨時措置法案について政府の説明を求めます。
#5
○阿部政府委員 ただいま上程されました未利用地耕作利用臨時措置法の提案理由を御説明申し上げます。
今次の戰災は、被害がほとんど全國にまたがり、都市、村落を通じてその燒失面積は防空上の必要により建物疎開をいたした面積をも含めて、ほぼ一億七千萬坪に達しております。このきわめて廣範圍にわたる羅災地域及び疎開跡地を急速に清掃、整地し、復興計畫に基いて、ここに文化國家にふさわしい近代都市の再建をはかりますことは、われわれの深く念願するところでありまして、この目標を達成するため鋭意努力をいたしております。しかしながら今囘の復興事業は對象とする面積がかくの如く廣く、これに要する資金、資材、勞力等は、莫大の量に上り、しかも終戰以來のわが國力は、これらの要求に應ずるにははるかに低い状況でありますため、まことに容易ならぬ難事業でありまして、一朝一夕にその完成をはかろうといたしますことは、とうてい不可能といわざるを得ないのであります。從いまして今後なお當分の間は、罹災跡地または疎開跡地の中のかなりの面積が、道路、廣場、公園、建築敷地等、宅地本來の用に供せられることなく、不完全利用のまま放置せられるであろうことは、遺憾ながらこれを豫期せざるを得ないのであります。
 他面わが國が現に當面いたしております食糧事情は、諸君のすでによく御承知の通り、逼迫の極に達しておりまして、しかもこの状態はここ數年のうちに完全に解決することは期待いたしがたいのであります。ここにおいて食糧の需給をして可及的に均衡を得させるため、あらゆる方途が講ぜられねばならないのでありますが、なかんづくその供給を増大せしめるため、耕し得る土、寸土といえどもこれを耕作に利用することは、きわめて強く要請されねばなりません。罹災跡地または疎開跡地のうち早急には宅地として使用されない土地が、當分の間相當面積存するものと豫想さける以上、これらの土地を本來の用途に使用することは、最もよく以上の要請に副うゆえんであり、急速にこれが實施をはかるべきことであります。ここにおいてこれらの土地をして遺憾なく耕作に利用するため、これに關連する必要な法的措置を講ずる目的をもちまして本法案を提出したのであります。以下本法案の内容中おもなる諸點をあげて御説申上げます。
 第一、本法は罹災跡地または疎開跡地でその本來の用途に從い使用されていない土地、すなわち本法にいわゆる未利用地を耕作の用に供し、食糧を増産してその自給をはかることを目的としております。しかして罹災跡地または疎開地は、主として都市中に廣く存しまするので、本法の施行により、都市における食糧事情の緩和が最も多く期待されるのであります。
 第二、未利用地を耕作の用に供する方途として、本法は、特に市町村長または特別區長がこれらの土地について、その市町村または特別區のために耕作のため使用權の設定し得ることを規定しております。使用權の設定をなし得る者を都道府縣知事とせず、市町村または特別區長といたしましたのは、本使用權はその性質上、迅速簡易に設定されることを必要とすることと、その内容が土地所有者または關係者の權利を拘束することがきわめて輕微であるためであり、使用權の設定を受け得る者を、特に市町村または特別區に限り個人に及ぼさなかつたのは、未利用地の所有者及び關係者に、不測の損害を與えないよう考慮したためであります。
 第三、本使用權は本法の施行の日から一年を經過したときは、これを設定し得ないこととし、使用權の存續期間は最長三箇年といたしました。本法の使未利用地は、大部分は本來宅地として用せらるべきもので、これも耕作のため利用するのは、食糧事情の逼迫に基づく臨時措置でありますがゆえに、かくのごとく、本法施行後最も長い場合にも、四年をもつて使用權の存續を打ち切ることを適當と考えたからであります。
 第四、使用權の設定を受けた市町村または特別區は、使用權の設定せられた未利用地をみずから耕作の用に供し、また希望するものに賃貸して耕作させることができるのであります。市町村または特別區と賃借人との間は民法の賃貸借契約に關する規定によつて律せられるのでありますが、賃貸借の解除、賃借權者の要した費用の負擔及び損失の補償、賃借權の存續期間及び消滅原因については、この賃貸借の特殊な性質に基づき、二、三例外的な規定ほ特に設けておきました。
 第五、市町村長または特別區長は、これらの土地について、土地所有者または關係者が、建築のためその使用を申し出たとき、または公共上の必要が生じたときは、本使用權を取消さねばならない旨を規定いたしたのであります。本法により使用權の設定せられた土地が、その土地本來の用途に使用されようとする場合に、暫定的な目的のための本使用權がただちに取消されねばならないことは、もとより當然のことだからであります。
 第六、本法は最後に本法の規定に基づいて耕作の用に供している土地、及び一般的に罹災跡地または疎開跡地で、臨時に耕作の用に供している土地について生産された主要食糧に關しては、食糧管理法の規定による供出の割當はこれを行わず、また使用權を設定して耕作の用に供する土地には、原則として自作農創設特別措置法、及び農地調整法の適用を排除したのであります。けだし収穫物の販賣を目的とせず、もつぱら自給をはかるため零細な土地を臨時に耕作する者に對し、これらの法律の規定を適用することは、妥當を缺くがためであります。
 第八、以上のほか本法中には使用權の設定の手續、土地の引渡し、土地所有者及び關係者に対する損失の補償、訴願及び訴訟等必要な事項について規定を設けているのであります。
 以上きわめて簡單に本法案の骨子について説明申し上げたのでありますが、これを要するに本法案においては、未利用地を極力食糧増産のため役立たしめることをはかるとともに、これがためにやしくもこれらの土地についての本來の用途に使用される際支障を生じ、ひいては復興の進捗を阻害する結果に至らないよう、十分なる考慮をいたしたのであります。何とぞ愼重御審議の上、御可決あらんことを希望いたします。
   ―――――――――――――
#6
○野溝委員長 次は農業災害補償法案について、政府の説明を求めます。
   ―――――――――――――
#7
○平野國務大臣 農業災害補償法案につきまして、その提案理由の大體を御説明申し上げたいと思います。
 農業は申すまでもなく天然自然の支配力を受けることの最も多い産業でありますが、特にわが國におきましては、氣象變化の激しいいわゆるモンスーン地帶に属しております關係上、諸外國に類例を見ないほど、多くの生産上の危險にさらされておりますことは、御承知の通りであります。從いまして農業保險制度を整備して、農業經營の安定をはかりますことは、農業上にもまた社會的にみましても、不可缺重要なる案件であると思いますので、家畜については昭和四年以來、また農作物については昭和十四年以來、それぞれ保險制度の實施をしてきたのであります。しかるに近年の經濟事情の激變により、かつまた制度の内容においていろいろと制限がありますために、ほとんど從來の法案によりましては、その機能を發揮することが不十分なる状態に陷つたのであります。かつ一方食糧増産の推進、竝びに農地改革後における自由獨立なる農家の經濟の安定をはかる必要からいたしましては、農作物及び家畜の保險制度を根本的に擴充強化することが、最も急務でありますので、ここに現行の農業保險法及び家畜保險法を廢止して、新たに本法案を提出した次第であります。以下本法案の主要なる内容について御説明申し上げます。
 第一は機構の改革であります。農業協同組合法の施行に伴い、全員加入である市町村農業會は解散することになりますので、新たに市町村の區域に農業者全員加入の農業共濟組合を設置し、都道府縣の區域には農業共濟組合を設立して、この團體によつて農作物及び家畜の共濟、保險を併せて行うことといたしたのであります。
 第二は共濟目的及び共濟事故の擴充であります。まず農作物につきましては、共濟事故を氣象上のすべての原因に擴張いたしましたことが、著しいのであります。また冷害をこの中に加えておりますが、この改正によりまして、今後農家は、蟲害を除きましたすべての一切の原因による損失の補償を受けることができるのであります。また共濟の目的につきましては、從來桑葉について補償をしておりましたのを、一歩進めて蠶繭の保險とし、また將來は芋類にも及ぼしていくことにいたしたのであります。家畜につきましては共濟の目的を擴めましたほか、牛馬の廢用、疾病傷害及び生産についても共濟保險をいたすこととし、制度の完備をはかつたのであります。
 第三は共濟金額の改訂であります。現在農作物の共濟金額は、昭和十八年當時定めたままになつて、水稻についていへば段冨四十五圓の低額であつてほとんど保險的機能を喪失しておるのでありますが、本法案では毎年主務大臣が農作物については段當り、蠶繭についてはグラム當りの収穫價額の二分の一を標準として、その基準を定めることといたしたのでありまして、本年の水稻については段當二石以上は千二百圓、一石五斗未滿は六百圓として實施することになつております。家畜の死亡廢用については價格の八割、疾病傷害については主務大臣が定める額の範囲内とし、生産共濟については胎児は母畜の死亡廢用共濟の共濟金額の二割、生後のものはその生後の經過月數に應じて増額することとしております。
 第四は農家の負擔する共濟掛金率及びその掛金の農家と國家との分擔割合の合理化であります。掛金率は一定年間の被害統計を基礎として算定することに變りはありませんが、これを米麥については、各都道府縣ごとに通常、異常及び超異常の三段階に分析して、全國に共通する最低の掛金部分はこれほ農家負擔とし、これを超える通常及び異常部分は二分の一を國家が負擔し、超異常の部分については、全部を國家負擔といたしたのでありますが、平均してみますると、農家と國家の負擔は約半々となつております。蠶繭についても同様の趣旨で措置をいたすことにしております。
 次に農家共濟團體の事務費、すなわち農業共濟組合及び農業共濟保險組合の基準となる事務費は、國庫で負擔することといたしておるのであります。
 以上が本法案の主要なる内容でありますが、特にここでお願いいたしたいと思うことは、今年の水稻について本制度の改訂を適用いたしたいと思つておるのであります。從つて本制度の改正の經過に鑑みまして、本年度のものについても遡及適用することといたしておるのであります。何とぞかような意味において、愼重審議の上、速やかに御協賛あらんことを希望する次第であります。
#8
○野溝委員長 兩法案に對する質疑は後日いたすことにいしたいと思います。なお物價廰から發言を求められております。この際許すことにいたします。
#9
○大原政府委員 昨日米の消費者價格につきまして御質問がありました。それに對してお答えいたしました中に、五割増くらいになる豫定だということを申し上げましたが、それにつきまして生産者價格の五割増であるというような誤解があるといけないと思いますので、申し上げておきたいと存じます。五割増と申しますのは、消費者價格十キロ當り九十九圓の五割増前後、すなわち百五十圓前後というふうになりそうであるということを申し上げたわけでございますので、一言念のために申し添えておきます。
#10
○野溝委員長 本日はこれにて散會いたします。
   午前十一時十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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