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1947/11/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第42号
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1947/11/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第42号

#1
第001回国会 農林委員会 第42号
昭和二十二年十一月四日(火曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 叶   凸君 理事 大島 義晴君
   理事 鈴木 強平君 理事 寺島隆太郎君
   理事 岩本 信行君 理事 萩原 壽雄君
      田中 健吉君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    野上 健次君
      細野三千雄君    松澤  一君
     小野瀬忠兵衞君    小林 運美君
      佐々木秀世君    関根 久藏君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      中垣 國男君    堀川 恭平君
      八木 一郎君    小川原政信君
      田口助太郎君    野原 正勝君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
      中村元治郎君
 委員外の出席者
        農 林 技 官 野口 平治君
        專門調査員   片山 徳次君
        專門調査員   岩隈  博君
   ―――――――――――――
十月三十一日
 農業保險制度確立の請願(大石倫治君紹介)(
 第一〇〇六號)
 農業災害補償制度確立の請願(大石倫治君紹
 介)(第一〇〇七號)
 岩手山麓開發に關する請願(山本猛夫君紹介)
 (第一〇一九號)
 麥酒麥栽培奬勵に關する請願(的場金右衞門君
 紹介)(第一〇二〇號)
 引揚者の開拓入植助成に關する請願(川合彰武
 君紹介)(第一〇四七號)
 入間郡下の民有林開拓計畫中止の請願(山口六
 郎次君紹介)(第一〇六八號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農業災害補償法案(内閣提出)(第七五號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 先般農業災害補償につきましては政府から一應の説明がありました。本日質疑にはいる前に、一應の農業保險及家畜保險制度新舊對照表、要するに掛金制度の内容について、この際政府の説明員から説明をしてもらうことにいたしまして後質疑にはいりたいと思います。
#3
○野口説明員 それでは農業保險及び家畜保險制度新舊對照表という印刷物が差上げてありますが、これによりまして御説明申し上げます。
 第一に組織の點でありますが、從來農業保險におきましては、一番末端に市町村農業會が共濟事業を個々の農家を對象にいたしましてやつておつたのであります。それに對して郡單位の保險組合がありまして、これが市町村の引受けた共濟責任の全額を保險いたしておつたのであります。それをさらに道府縣單位の連合會がありまして、これが郡の引受けた保險責任の七割を保險いたしておつたのであります。なお政府に農業家畜再保險特別會計がありまして、これが道府縣の保險組合連合會の責任額に對しまして超過再保險をやつておつたのであります。家畜につきましては個々の畜主を相手にして、これが組合員になりまして、郡區域あるいは道府縣區域に家畜保險組合があつて、これが組合員である個々の畜主に對しまして保險をいたしておりまして、それを政府の農業家畜再保險特別會計が五割ないし七割の再保險をする。これは農業保險と異りまして歩合保險でありますが、そういうふうな保險をやつておつたのであります。そういう組織に現行制度におきましてはやつておるのでありますけれども、今囘農業協同組合法の施行に伴いまして、農業會が解散せざるを得ないということになりまして、協同組合におきましては加入脱退が自由でありますが、農業保險においてはこれが加入脱退が自由でなく、強制であるというふうなことからいたしまして、協同組合を一番下部の機構として使うことができないのであります。そういうふうな關係で、一応農業に對する災害を全般的に引受けるところの制度としてこの農業災害補償制度というものを考えておるのでありますけれども、そういう意味合におきまして、農業經營の全般を保險するという機能を一應もつておる。そういうために特に協同組合という機構でなしに、農業共濟組合というものを一番末端に置きまして、それに對して道府縣に農業共濟保險組合がつくられる。これが市町村の農業共濟組合の元請保險をやる。それに對して政府に農業共濟再保險特別會計というものを設置いたしまして、これが農業家畜再保險特別會計に代つて生れるのでありますけれども、これが農作物蠶につきましては、今までと同樣に超過再保險制度をやる。すなわち非常に大きな災害がありましたときに初めて發動して、それに對して保險金を支拂うということになり、家畜につきましては從來と同樣な歩合再保險でありますけれども、その歩合の内容につきましては、後にもありますように、相當高額に再保險をするのであります。九割以内というように書いてありますが、そういうふうに高額な再保險をするというふうに機構を改めることになるのであります。
 その次の共濟の目的でありますが、從來水稻、麥、それから桑葉、水田の小作料、農業保險におきましてはこれを保險いたしておつたのであり、家畜につきましては牛馬を保險いたしておつたのでありますが、それをさらに今囘、現在の食糧事情に鑑みて水稻、麥以外の主要食糧農作物につきまして一應保險がやれるように制度を仕組み、從來桑葉の保險をやつておりましたけれども、この保險は農業經濟と直結していない。やはり蠶繭ということにして最後に農家經濟と結びつくところのものを保險することがしかるべきであるというふうな見解に基いて、桑葉保險を蠶繭保險として擴充いたしたのであります。
 なお牛馬のみが農業經營上必要なものではなく、その他のやぎ、めんよう、種豚などにつきましても、相當に農家經營上重要なものでありますので、こういうものを新たに保險目的に加える。なお牛馬については胎兒が農家經濟においても相當重要なものでありますので、牛馬の胎兒につきましても保險目的にするということにいたしたのであります。
 その次の共濟事故の問題でありますが、水稻につきましてはここにありますように風水害、旱害、雹害、風雨を誘因とする白葉枯病、旱害を誘因とする胡麻葉枯病及び旱害に起因する早青立病、麥につきましては風水害、旱害、雹害、雨害、濕潤害、桑葉が風水害、旱害、凍害、雹害、水田家畜につきましては水稻と同じでありまして、特定な事故に限られておつたのでありますが、農業經營を保險する立場から考えますと、事故が特定に限られておるということは、きわめて農業經營の保險ということにそぐわないという見解と、一方昭和十四年から實施してみた經過に鑑みて見ますと、損害の想定をいたす場合において、特定事故に限られているということは、きわめて評價上困難な問題を引き起し、實際問題といたしましては、これらの事故以外のものも損害として現われてくるということに實際上なつているような次第でありますし、そういうふうな見解からいたしまして、特に東北、北海道で問題の冷害も今度保險事故に追加する。それからその他氣象上の原因に基く災害も入れる。すなわち地震だとか噴火などによる農作物の減收はもちろん事故に織込む。それから病害もこの際事故に加える。特に病害として從來問題になつたのは稻熱病でありますが、これらも取入れる。但し病害を入れるということについてはいわよる道徳的危險を増すという懸念もありますので、それらにつきましては、損害評價をやる場合にはたして善良な管理をやつたかどうかということによつて、善良な管理を行わずして病害に遭つたというようなものは、もちろん保險上の免責事項になり、對象から除かれることになるのであります。
 それから桑葉につきましては、先ほど申し上げましたように、今囘やめて蠶繭にする。蠶繭にした場合におきまして、「蠶兒の病害や及び風水害、旱害、凍害またはひよう害による桑葉の減收」というふうにいたしまして、掃立前におきまして、桑葉が霜の害などによつて相當に減收を受けて、そのために掃立が不能に陷るという場合がありますが、その場合はもちろん今度の保險におきましても事故として取り入れるのでありまして、單なる蠶兒の保險だけではなく、蠶兒が掃立前において桑葉の減收によつて掃立できないというようなものは、もちろんこの蠶繭保險の對象な事故になる。こういうふうなことになるのであります。
 それから家畜でありますが、家畜につきましては、先ほど申しましたように牛馬の死亡のみが對象になつておつたのでありますが、この死亡のみが農家經營上の問題ではなくして、その他いろいろ家畜についても農家経済上、事故があつて影響を及ぼす場合があるのであります。從つて今囘の改正によりまして、牛馬の死亡以外に先ほど申し述べましたやぎ、めんよう、種豚も加えまして死亡、廢用共濟といたしまして、死亡以外の廢用も事故に加える。廢用というのは、政令の中でもきめておりますが、病氣になつて價値をなくしてしまつたものとか、あるいは種馬として檢査を受けたものが特にその後特別な事故によつて種馬としての價値をなくしたというようなもの、あるいは突然傷害を受けて、びつこになつて價値をなくしたというようなものとか、その他多々ありますが、要するに本來もつべき價値を失つたものは當然廢用といたしまして、これを保險の對象にする。いわゆる死亡廢用共濟と、疾病傷害、これについてやはり事故に取入れまして新たな疾病、傷害共濟というものを被保險としてやるということと、それから生産共濟と申しまして、特に牛馬についてですが、りつぱな子供が生まれると思つたものが死産してしまつたり、あるいは流産してしまつたり、あるいは變な子供ができて本來の用に供されないというふうな場合において共濟するところの、生産共濟を牛馬について實施することにいたしたのであります。
 それからその次の責任期間の問題ですが、これは水稻、麥につきましては從來通りであります。桑葉につきましては、今度の蠶繭につきましては、桑の發芽期から最終蠶期の收繭をするに至るまでの期間ということにいたしまして、各蠶期ごとに責任期間を切るきとにいしておるのであります。でありますからいわゆる春の蠶繭共濟、それから夏秋蠶の蠶繭共濟、こういうふうに責任期間が切れることになるのであります。
 それから牛につきましては、從來生後六箇月以上十三歳以下というふうになつておりましたが、今囘の改正によりまして、牛は生後六箇月以上、但し生産共濟にあつては妊娠六箇月以降生後五箇月までというふうにいたし、馬につきましては、明け二歳以上明け七歳以下であつたものを今度の改正によりまして、明け二歳以上、但し生産共濟にあつては――生産共濟というのは胎兒の保險でありますが、これにありましては妊娠七箇月以降出生の年の末日まで、それからやぎ、めんよう、種豚につきましては、生後六箇月以上、こういうふうにいたすのであります。
 それから保険金額の問題でありますが、從來水稻につきましては自作地が段當四十五圓、小作地が三十五圓、それから水稻を耕作する小作地の小作料、これは地主の小作料であります。それが十圓、麥が二十五圓、桑葉が三十圓でありまして、これはどうしてどういうふうにきめたかということでありますが、これはちようど昭和十八年に改正があつたのであります。その當時におきましてのきめ方は、大體生産費のうちの現金支出を補填するという建前から、四十五圓とか三十五圓あるいは二十五圓、こういうふうなものを當時保險金額としておつたのでありますが、今囘の改正においては從來の生産費保險の中の現金支出というような、いわゆる生産費保險論を收益保險に變えまして、段當收益、これは公定價格がありますので、段當收益價格ということで、各補助ごとに大體どれくらいの收益かということが價格上きまりますけれども、それを大體において基準にして段當收益價格、あるいはグラムあたり收益價格の約半額というものを基準にして、それを最高の保險金額にするというふうな、つまり生産費保險から收益保險に、建前を保險金額においてかえたということにいたしたのでありますし、なおまた各地において生産力が土地によつて異りますので、その生産力に應じて、保險金額も從來のように全國一率に四十五圓とか、あるいは二十五圓というふうにいたさないで、生産力に應じて市町村別に段等收量の相違によつて保險金額をかえていく。でありますから北海道のように段當收益の少いところは六百圓、あるいは北陸、關西のように非常に收量の多いようなところは、段當千二百圓というふうに保險金額をきめる。麥についても同様に、その生産力に應じて六百圓から三百圓の間で、三階級に大體階級を設けるというふうにいたしまして、段當の收益價格によつて保險金額をきめていく。なおかつこれは法律に書いてありますが、スライデイング・システムにいたしまして、價格が變つてまいりましたならば、公定價格が改訂を受けました場合においては、それに應じて保險金額の方もかえ得るような法制上の措置が講じてある。でありますのでこれは豫算を組んでしまつてから價格のきまつた場合においては、追加豫算などを出して新たにかえなければいけません。でありますから價格によつてすぐかえるということもできかねるのでありますけれども、一應考え方としては價格がきまりました場合においてはその後簡單に措置を講ずることによつて保險金額の方もかえていく、そうして大體二分の一程度の保險金額が農家にいき渡るように制度を仕組む。こういうふうに水稻、麥及び蠶繭、これらについては保險金額をきめることにいたしておるのであります。
 それから牛馬の方でありますが、これは價格の八割以内、從來の規定でそう書いてありますが、今囘も死亡、廢用共濟は大體八割以内ということになつておるのでありまして、この點においては從來とかわりがないのであります。それから生産共濟になつたものは、胎兒は大體において母畜の共濟金額というのがありますが、その二割を標準にしてそれを保險金額にする。それから生まれるまでは二割でありますけれども、それが生まれた後においては、大體一割五分を増して月ごとに保險金額が増加するように仕組んであるのでございます。それから疾病傷害共濟の方においては、診療費の一定割合ということになつておりまして、これは農林省において、ただいま疾病あるいは傷害を受けた場合にどれだけの費用がかかつておるかということを各地で調査しておりますので、その調査によつて診療費が大體どのくらいかかるであろうというものを計算いたしまして、それを基準として疾病傷害の共濟金額というものをきめるというふうにいたそうと考えておるのであります。それからやぎ、めんよう、種豚などについての生産共濟、これは行わないのであります。なぜ行わないかということは、これは價値も牛馬などよりも大分低いでありましようし、また飼育期間も短いということからいたしまして、特に生産共濟については牛馬だけをやるということにいたしまして、やぎ、めんよう、種豚については死亡廢用共濟、疾病共濟、これだけをやることにいたすのであります。
 それから保險金支拂の程度でありますが、これは農作物については、從來三割以上の被害があつた場合に、被害の程度に應じて保險金を七階級にわけて支拂つておつたのでありますが、これを今囘植付不能とか掃立不能というものも合せまして五階級に階級を簡素化した。その簡素化した理由は、非常に從來のものが面倒で、實際の仕事をやつておる者から、なんとか簡單なものにしてくれというふうな要望がありましたので、これを特に簡單にすることにいたしたのであります。それから特に蠶繭につきましては四〇%以上ということになつておるのでありますが、それをどうして蠶繭だけ四〇%にしたかということでありますが、これにつきましては蠶繭の違作というものが、どの程度の形で現われてくるかということが、今のところ大體の見當はつきますけれども、初めてのことでありますので、非常に豫想から狂つてくるかもしれないというふうな心配と蠶絲統制會社がいわゆる違作補償制度というものをやつておるのでありますが、あれは四割以上の違作の場合に初めて補償を實施しておるというふうなことになつておりますので、大體蠶というものは、やはり四割以上の減收ということが違作という觀念にはいるのではなかろうかというふうなことからいたしまして、四割以上ということに特に蠶だけかえてまいつたのであります。
 それから次は保險料の算定の基礎でありますが、從來のものは水稻については大正七年から昭和十五年までの統計を用いたのでありますし、その他のものについては同樣なことをやつておつた。牛馬については四年ごとに改訂をいたしたのでありますが、今囘のその算定の基礎を特に水稻については昭和元年から昭和二十年まで、麥については昭和元年から十九年まで、蠶繭については昭和十一年から昭和二十年、家畜につきましては從來と同樣に、家畜保險の從來の統計に基きましてやるというふうに年限を短かくいたしておるのであります。疾病傷害共濟の方におきましては、特に先ほど申し上げましたように、現在の實績を地方に徴しまして、それによつて掛金をきめていく胎兒につきましても同樣に、從來の畜産試験場あたりの統計だとか、あるいは現在あちこちで調査したその實績に應じて、掛金をきめるということにいたそうといたしておるのであります。
 それから段當の保險料でありますが、從來の保險料は水稻につきましては共濟保險金額が四十五圓の場合に、自作地については一圓二十三錢、そのうち農家負擔が六十二錢で、政府の負擔が六十一錢だつた。政府の負擔と申しましても、これは一般會計と、食糧管理特別會計との兩者で負擔をいたすのでありますが、一般會計の方はこの政府負擔と書いてあるうちの三分の一、それから食糧管理特別會計は三分の二というふうに、保險料の分擔の法律と申しますか、それに規定がありまして、そういうかつこうになつているのであります。それから桑葉の方は三十圓に對して五十八錢、そのうち農家負擔が二十六錢、政府及び蠶絲業會負擔が三十二錢となつておるのであります。麥につきましては、共濟保險金額十五圓に對して段當二十三錢でありますが、そのうち農家負擔が十錢、政府負擔が十三錢となつておるのであります。
 今囘の改正によつて、水稻においては、段當共濟保險金額をちようど中庸である九百圓で計算してみると四十四圓三十五錢になるのでありまして、そのうち農家負擔は二十四圓二十錢であり、消費者負擔は石當り十七圓二十錢となつておるのでありまして、大體農家負擔が五五%、農家以外の負擔が四五%程度の計算になるのであります。蠶繭につきましては、特にこれは來年から實施するのでありますが、グラム當り七十圓で計算してみると、四圓五十五錢になるのであります。そのうち農家負擔がグラム當り一圓九十五錢、農家以外の蠶繭を消費する者の負擔が貫あたり六圓七十錢になるのでありまして、非常に多くなつております。麥の方は四百五十圓に對して六圓三錢、このうち農家負擔が三圓二十六錢、消費者負擔が三圓七十八錢になるのであります。
 そこで特にここで御説明申し上げておきたいのは、この負擔の方法についてどうしてこうなつたかという理由であります。これは農家が五五%、消費者四五%となつておりますけれども、大體水稻、麥については供出が半分である。最近の傾向からみると半額程度は供出して、あと半分程度が保有である。蠶繭については、七五%が農家から出ていつて、あとの二五%が殘るということからして、農家の手もとに殘るものについては、災害があつても當然これは農家が負擔すべきものであるが、供出したもの、いわゆる社會化されて商品となつたものについての保險料は、消費者負擔とする。商工生産品についても大體消費者負擔になつておる。輸入品などにおいても、いわゆる〇・I・F價格と申しておりますが、あのIが保險料だということで沖渡しされる場合において、ただちに沖渡し價格として消費者が負擔することになつておりますから、そういうものと呼應いたしまして、農産物においても、そういう社會化される部分、商品となつた部分についての保險料は、當然消費者が負擔してしかるべきである。こういう論法から、大體二分の一が供出だということで、二分の一に限界をおいて保險料負擔の方法を考えたのであります。但し價格を決定する場合におきまして、全然生産費を無視して價格を決定しているわけでありませんので、その價格を決定する場合に、全國に共通しているようなきわめて低い保險料というものは、やはり價格の中に織込まれておるという考えのもとに、そういうものは一應この計算から差引いてやつたのでありまして、そういうものを差引いた殘つたものについて、先ほど申し上げたような計算方法で保險料を計算する。これは保險料負擔及び負擔割合のところで非常にむずかしい書き方をしておりますが、思想としては以上のような思想でやつております。實際の豫算上の措置といたしましては、非常に大きな災害、これを超異常災害といたし、その次の災害を異常災害とし、普通あり得るような災害は通常災害というように、災害のを三つに分類するのでありますが、これはむずかしく言うとめんどうになりますので、かえつてむずかしく言わない方がわかりやすいと思いますから、その程度にしておきますけれども、保險料の農家の負擔は、全國に共通するような保險料部分、すなわち價格の中に算入されているものは農家負擔であるというので、全國に共通する通常災害保險率と申しますか、それを引いて、そうして通常災害の中で殘つたものと異常災害の二分の一は、消費者負擔、農家負擔におのおのわける。それから滅多にないという非常に大きな災害、たとえば今年の關東の災害とか、東北地方にあつたような災害は超異常災害ということで、これについては農家が保險料を負擔すべきでないというので、國庫負擔と申しますか、消費者に轉嫁するということにいたします。でありますから、消費者負擔は、超異常災害、異常災害、通常災害のうち、全國に共通する部分を差引いた二分の一が消費者負擔になる。その両者をプラスしたものが消費者負擔ということになり、あとに殘つたものが農家負擔といたしておるのであります。それから産繭についても同樣の筆法でやつておりますけれども、供出量が非常に多いということから、農家負擔以外のものが特に多くなつているのであります。
 次の問題は事務費の負擔でありますが、農業保險におきましては、農業保險法第五十六條の勅令によつて、農業保險組合及び同連合會の事務費は國庫が負擔しておるのでありますけれども、家畜保險については從來事務費の負擔をしておらないということになつておるのでありますが、今囘の改正によつて、法律にも規定がありますように、農業共濟團體の事務費の基準となるべきものは國家から負擔するということにして、家畜保險とか農業保險とかいう區別なしに、市町村に生れる共濟組合、道府縣にできる共濟保險組合の基準事務費は、大體において國家が負擔することにいたすのであります。
 次は責任の範圍でありますが、農業共濟組合においては、特に農作物と産繭については一〇%、一割を市町村の共濟組合が負擔することになり、共濟保險組合を政府が九〇%を負擔するということになるのであります。但し政府が負擔するというのは異常災害部分に對しまして特に負擔する。異常災害以上のものが起つた場合に政府がその責任を負う。標準以外額というものを定めておりますけれども、それを超えたものを政府が負擔するということになるのであります。家畜におきましては、これは市町村では危險の分散がしきれないということにもなりますので、全額これを道府縣單位の共濟保險組合の方に責任がまいるのでありまして、そのうち九〇%以内というものが、政府に今度は歩合再保險されるのであります。從來はこれを保險金額によつて、保險金額が一定額までは五割、それを超えた場合においては七割というふうに、家畜について保險金額を歩合再保險いたしておりましたが、今囘の改正案におきましては、家畜の用途別にその歩合の割合をかえていくというふうに考えておるのでありまして、九〇%以内におきまして特に障害の多いようなものはこれは政府の責任額を多くする。相當過去の經驗上被害程度がはつきりしておるというようなものについては、道府縣單位の保險組合に責任額を多くするということにいたしまして、道府縣の保險組合のいわゆる自主性を増すことにいたすのであります。それから農作物で特にここに一〇%の負擔をさしたということについては、これは從來の實績に鑑みまして、市町村を通り拔けてただ縣にもついていくということでは、非常に保險に關する關心が薄いというふうな考え方もあつたようでありまするし、また一方考えてみると、非常に災害に對しまして損害評價というものが、町村が責任がないゆえに、無責任な損害評價が行われておつたようにも思われるというふうな見解もありまして、やはり町村の輿論と、それからわれわれ事務をとつておる者から見ました兩方の考え方からいたしますと、一〇%くらいを町村にもたした方がお互いよかろうというふうな見解から、特に制度を改めて一〇%の保險責任というものを町村に殘すことにいたすのであります。
 大體これが現行制度と改正制度の内容の變り方でありますが、なおここに落ちております點で、特にこれをいつから實施するかということでありますが、水稻につきましては、これは今年度の水稻から實施する。これについては燒けた家庭に保險をするというような議論もでましようけれども、この制度を改正するということは、實は昨年の初めごろから非常に熱烈な希望で、改正しなければこの現行制度というものはむしろ廢止した方がいいというふうなことから、非常に地方的な輿論によりまして、各關係者とそれから學識經驗者というようなものを網羅いたしまして、熱心にこれの研究を續けておりまして、それによつてできた案でもありますし、そういうことで、もうできるだけ早く實施するということで、水稻から實施するというとをかねがね地方でもこれを承知しており、またそうしなければ意味がないということで、そういう意味合いで豫算的な措置もすべて續けられておる。なお法律的な問題にいたしましても、從來全然法律がないのに、そういうことをやるのは、不遡及の原則と申しますか、そういうことから法律違反ということにもなりましようけれども、これはすでに農業保險という法律がありまして、それによつて保險責任は引受けておる。その内容についてできるだけ早く農家の再生産に役立つものにかえてくれということで、いわば約束濟みでこの制度の改正をやつておつたというような關係から、特に法律の百五十二條にもありますように、この法律が施行されたときにおいては、從來の法律は、その水稻を引受けたときにさかのぼつて從來の保險責任關係は消滅させる。そうして新しい法律によつて引受けたということにみなすというふうにいたしますし、また現在あります保險團體においても、そういうことで市町村農業會、それから保險組合、連合會、それから政府というものが、一切法律施行と同時に、新しい保險制度による團體とみなされるということによりまして、法律上も何らそこに議論もない。從いまして燒けた家屋に保險するという觀念とは非常なそこに間隔がある。こういうふうに考えておりまして、特に水稻につきましては現在の刈取最中の水稻にも實施するということにいたすのであります。それから麥についてはこれからまきつけるものからやる。それから家畜につきましては、今度できる共濟保險組合ができたときから、ただちに新制度によつて責任を引受けるというふうなことにいたすのであります。それから蠶繭については、昭和二十三年度から新制度で實施する。こういう考えであります。それから他の甘藷、馬鈴薯とか陸稻、だいず、こういうような供出對象作物につきましては、ただいま生産統計とか、あるいは被害統計を整備中でありまして、こういうものが整備されて、初めてこの保險料というものが算出されますから、そういうものが出ましたら、水稻や麥と同樣な筆法で、政令でその作物を指定いたしまして、保險を實施するということにいたすことに考えておるのであります。
#4
○野溝委員長 それでは本日の會議はこの程度で散會することにいたします。
   午後二時十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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