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1947/11/10 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第44号
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1947/11/10 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第44号

#1
第001回国会 農林委員会 第44号
昭和二十二年十一月十日(月曜日)
    午後二時五十三分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 大島 義晴君 理事 鈴木 強平君
   理事 岩本 信行君 理事 萩原 壽雄君
   理事 佐竹 新市君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    野上 健次君
      平工 喜市君    細野三千雄君
      松澤  一君   小野瀬忠兵衞君
      小林 運美君    佐々木秀世君
      志賀健次郎君    関根 久藏君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      堀川 恭平君    八木 一郎君
      小川原政信君    佐瀬 昌三君
      重富  卓君    田口助太郎君
      野原 正勝君    益谷 秀次君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
      山村新治郎君   的場金右衞門君
      中村元治郎君    山口 武秀君
 出席政府委員
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        議     員 守田 道輔君
        農 林 技 官 安田 誠三君
        專門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
十一月八日
 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五九號)
 國有林野法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第八九號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農業災害補償法案(内閣提出)(第七五號)
    ―――――――――――――
#2
○大島(義)委員 それではこれから會議を開きます。
 これより農業災害補償法案の質疑を繼續いたします。
#3
○八木委員 この法案を實施する場合を考えまして、特に明かにしていただきたい二、三の點をお伺いしたいと思います。第一は掛金と共濟金との相關關係が心配なのであります。實は昭和十四年以降今日までの實績を、ちよつと調べてみますと、掛金が少くて出す方が多いということで、通俗的にいえば勘定合つて銭たらずの共濟事業になつておるのが實績でございます。その不足は八千萬圓以上に上つておるということを聞いておるのであります。かような計畫の上に立つて廣汎な災害補償共濟事業を實施してまいります際に、あたかも今年は第一年からすでに大きな災害を背負いこんでスタートする、こういう際にあたりますから、大體の目安から推してみまして、計畫としてはいわゆる勘定合つて銭足らずの心配がないかどうか、あるとすればその對策はどうか、こういう點を伺いたいと思います。併せて今まで十四年以降不足を告げておると言われる八千萬圓とか一億圓という金は、どうするかということを明かにしていただきたいと思います。
 それから第二點は、災害補償の方法におきまして、通常、異常、超異常というような三段階にわけて、通常、異常の災害の場合は二分の一、超異常の場合は全部を國庫から支辯する計畫であると言つておりますが、こういうことになりますと、今問題になつております本年水稻の災害を受けなかつた地區の、いわば通常災害程度の府縣の掛金は縣に積んでおかれて、超異常災害と異常の災害の分は國庫の助成で賄えるということになるならば、國庫の助成の關係において災害のひどかつた地區に對しての實施が年度中にできるのではないかと思いますが、その邊がはつきりいたしません。その點を計數をあげて明瞭にしていただきたい。私ども手もとに災害を受けた地區からは、多數即時實施を要請してきておりますし、災害を受けておらない水稻關係地區では、すでに刈取をしてしまつて、今年からかけろと言つても困るという賛否両方の要請がたくさんまいつておりますから、計數をあげて具體的に國庫の助成の關係と、異常災害及び超異常災害と災害補償の方法を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
 第三點は、いずれにいたしましても、災害共濟金額が相當の金額に及ぶ。六億とか十億とかいう額に及ぶのではないかというそら勘定はできるのでありますが、これは國家資金計畫の中に、この災害補償の金融的處置とか、あるいは特別な用意がしてあるかどうか。表面だけの金で實際の共濟金は手にはいらないというような杞憂をもつものでありますが、その心配はないかどうか。以上三點をまず伺いたいと思います。
#4
○山添政府委員 共濟掛金竝びに國家が負擔をしております掛金、言いかえてみますと、危險率に基いて算定したところの保險料、これが實際の共濟金支出に足りないじやないかというお話、現實の問題といたしまして昨年までにたまつております國の特別會計の赤字は、約七千萬圓であります。これは新しく保険制度を建直す場合に、一般會計に肩替りをする。こういう措置をとりました。本來バランスが合うかどうかという問題につきましては、農業保險のことでありますから、御承知のように危險の分布からいたしましても、どうしても偏つている。そこで短期間に安定をしておるものと違つてバランスはとれない。人の生命保險であるとか、あるいは家畜の保險というようなものは、非常にバランスがとりやすいのでありまして、農業保險はその關係がむずかしいのであります。しかし過去の實績を基礎といたしまして計算をいたすのでありますから、長い期間をとつてみればそこに収支相償う、こういう基礎のもとに計算をいたしておるのであります。しこうして農作物の保險につきましては、毎五年目ごとに共濟掛金を改定する。すなわち新しい年度を繰入れては、實績によつて掛金を算出していく、こういう方法をとつておりますので、若干追かけ追かけということになりますけれども、そういう方法によりまして、全體としてのバランスをとつていく、こういうことになつておるわけであります。従つてそういう觀點から立てます限り、本年はたとえばこれはきまつておりません、推定でございますが、政府だけの勘定についてみますと、大よそ収入として、特別會計として六億九千萬圓、支拂として十二億一千萬圓、約五億圓の不足を生ずるのであります。しかしその事柄は別に心配もしていないのでありまして、長い目で見れば毫も差支えない。またそのように五年目ごとに實績によつて掛金を算定していく。こういう方法をとつておるというわけであります。
 その次に國と農家との掛金の分擔をいたすことにつきましては、お述べになりましたような全國共通の最低部分は國家負擔、それから異常災害に相當するものは農家と政府と若干ずつ、それから超異常の部分に對應するものは、これは政府が全額をもつということになつております。しかしこれは一つの共濟保険の掛金という中に分析してそういう分擔方法をする、こういうわけでありましてその年にたくさんの損害が起つたから、その部分を政府がもつんだというような關係ではございません。こらは申すまでもないことでありますが、とにかく過去二十年にわたるところに機關を基礎にとつての一定の危險乗率を算定して、それを分析してみると、ただいまのような通常、異常、超異常と三つにわかれるということでありまして、前例によつて、今年災害が多かつた部分は政府がもつんだとか、年々の災害状況に應じて掛金を算定するのではございません。従つて災害のあつたところ、なかつたところ、これをさかのぼつて水稻について新制度を適用していくことにつきましては、お話のような關係は起つてこないのであります。
 第三番目に、ただいま申述べましたように、政府の特別會計においても五億園ばかり支出増になる。これは全體を通覧いたしますれば、さらに七千萬圓は出る。そういうことになります。現在まで資金計畫というようなわくの中に繰入れてはおりません。これを繰入れるかどうかについては、資金計畫の方と相談をしてみまして、もう少し數字がはつきりいたしました上で考えたいと思いますが、それにはいつていないからというので、その支出が遅れるということはございません。國に關する限り國は責任を果しますし、國にあらざる府縣の組合、その他の組合の分につきましては、これは農林中央金庫から貸してもらうということに話合いがついております。
#5
○八木委員 第一點のいわゆる勘定合つて銭足らずの情勢は私が心配した以上に一應の計數を伺いますと心配なのでありますが、長期契約のうちに何とか決濟がつくという程度の計畫ではまことに不安なものであります。これは過去の例から見ましても、共濟金が現在の二十分の一ないし四十分の一のわずかな時代でも、すでに七千萬圓の赤字があるというものでありますから、それも長期契約で何とかなるという、まことに頼みがいのない基礎の上に立つた共濟事業では、これを補填する別途の國家計畫か何か講じてなくては、よし金融的な處置ができておりましても、やはり勘定合つて銭足らずで、非常に動きのつかないものが出てきて、また今囘のように法案の改正を餘儀なくされるという不安がありますから、この點については、何かもう少しつつこんだ對策を考えていただきたいと思います。たとえばこういう考もあるというような、何かお考えがありましたならばお伺いたしたいと思います。
 それから第三點の金融的の金の問題は、計畫にははいつていないけれども、借りて出すなり、あるいはわく外で出すなり處置があるという御答辯でありますが、今日の財政金融の現状よりいたしまして非常に不安にたえません。わずかな金額であるならばともかく、場合によつたら十億以上にも及ぶ金が、御答辯のような次第では不安にたえません。これは善處する對策を伴わなくてはちよつと満足いたさないのでありますが、御答辯のように計畫にはない。借りれば借りて結構出せるというお見透しについて、もう一度御答辯を願いたいと思います。
#6
○山添政府委員 掛金とそれから實際支出する分との間に、差が過去において生じたことはもちろん、また本年も相當不足が出る。しかしこれは昭和元年から昭和二十年までを基礎にして、農作物についてはその二十年間の損害をとつて基礎といたしておるわけであります。しかして今後五箇年間を經てば、その五箇年間を附け加えて、またその年間にわたる損害發正率を基礎としてやるわけであります。お話のように、なるべく安全をとつていたらどうかというので、そういうふうにして出しました保險料に、安全率をどの程度見るかということは別個の問題でございます。これについては、通常災害におきましてはさような安全率も見ておるわけであります。國のもちますところの異常保險の部分については、そういうものは見ておりません。しかしこれは前囘の委員會でも委員の方々からご眞疑があつたのでありますが、今までの改正前における料率よりも、今度の料率は相當程度上がつております。それは最近五箇年間―昭和十六年ないし二十年を附け加えたその間に、相當農作物において災害がひどかつたという理由で上つておるのであります。こういつた過去の事實を基礎とし、かつまたそれを五年ごとに移動平均的に事實の基礎の中に繰入れていくというのでありますから、このバランスが合わないではないかということは、年々にはございますけれども、長期的に觀察する限りそういう心配はまつたくないのであります。その點は確信をもつて申し上げることができると思うのであります。もつとも不正が行われれば別であります。たとえばみんな一町つくつておるのに、九段歩つくつたと言つて掛金は九段歩、そして災害のあつたときは一町歩、こういうことが行われますれば、それだけぐあいの惡いことが生ずることが豫想されますけれども、そういうことでない限りは、計數的に御心配の點はありません。
 それから資金計畫の點でありますが、政府自身の支出は財政資金として當然その中にはいつておるわけでありまして、關係ないのでありますが、農業中央金庫から保險團體が借入れます分につきましては、今までそういう扱いをいたしたことがないので、いかに扱うべきやについては、先ほど申しますように、關係當局と相談してまいりたいと思いますが、いずれにしましても、これは法令上の義務とも申すべきものでありまして、そういう點から何ら差支えなく支出はできるものと確信をもつております。
#7
○八木委員 もう一點伺いますが、いわゆる第二種共濟事業なるものは成績がおもしろくないからやめたのですか。あるいは何かほかに事情があつてやらないのですか。
#8
○山添政府委員 いわゆる第二種共濟事業は成績は惡いことはございません。従つて今度の制度における團體においても、第二種共濟事業を併せ行うことを希望いたす心持もありますけれども、それに反するような理論もありますので、今囘はそういう措置をとらなかつたわけでありまして、將來におきましては、これは併せ行うことの方が、農業關係の保險の全體的な發展の上には適當ではなかろうかというふうには考えておるのであります。
#9
○大島(義)委員長代理 平工喜一君。
#10
○平工委員 農政局長に伺いますが、災害補助が農林省、内務省等多方面から來る場合がありますし、それが農業の再生産に直接役立つことが過去においてむつかしかつたのであります。それでこういういろいろな補助費が來ると、積んでおいて、村長がたとえば農業會長と村長と同一人であつても、別な人間であつても、妥協してしまつて、村會議員の會合の場合に交際費として流用されたり、農業會の理事會等で飯を食べたりするときの費用にしたりする弊害が確かにありましたが、そういう點を總合的に一まとめにして、この保險機關を通じて補助費が配分されることになれば、確實に個々の農家の再生産に直接役立つことになつて、過去の弊害の惰性から免れると思いますが、この點について農林省としてはどのように御用意なさつておりますか。
 次に災對策について、たとえば冷害旱害地帶等におきまして、
    〔大島(義)委員代理退席、委員長着席〕
 冷旱害を免れるために、品種の改良等において過去においても相當實績を示されておるということは信じておりますが、いま一段この方面についての研究及び實際の場合に適切な指導をしてもらうためには、災害豫防對策の技術面においていかなる用意をされておるか。技術指導員というものが將來いろいろ不安に脅やかれておるわけですが、そこの中から優秀な人材を集めて、そういう方面へ活かして働かせるというようなことについて、何か農林省において適切なお考えがありますなら、この際お伺いしておきたいと思います。
#11
○山添政府委員 保險制度によりますところの、個々の農家に交付すべき共濟金が途中でいいかげんのことに使われてしまう例があつたというお話でございますが、この保險に關する限りは、町村を今まで經由するわけでもございませんで、末端の事務と言いますが、それは農業會がやつておつたのであります。これは個々の農家に對して、災害評價委員會できめたところの災害を基礎とし、規則に定められたところの損害補填率を基礎として、この計算をしてきちきちと渡しておると思います。ただ災害復舊等の名目で土木費等に對して交付します部分につきましては、さようなことはたくさんあるとは思いませんけれども、今お話のような點があつたのかもしれない、かように思うのでありますが、いずれにしましても、保險につきましては、一定の委員會制度によつて損害を評價し、かつ一定の定つておるところの金額を共濟金として交付するのでありますから、途中でどこかに行つてしまうということは考えられないのでありますが、萬一さようなことがございますといたしますならば、私どもも戒心をし、注意をいたしまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。
 それから災害の豫防ないしは防除對策についての御意見でございますが、私どももまつたく同感に考えております。災害が起つてから追つかけて共濟金を交付するよりも、むしろ災害の起らないように努めますことの方が、農家のためにも、また國のためにも必要であることは申すまでもございません。従つて従來といえども、たとえば雪害にたえるところの品種を研究しておるということも御承知の通りでありまするし、また旱害地方に對しては溜池をつくることを將勵したり、水路の改善を奨励したり、場合によつては井戸を掘る――これは應急的なことでありますが、そういうような小農業土木ということも將勵いたしております。ただ従來のことを反省してみますと、とかく農業保險とそういう農業土木の災害防除の對策とに、緊密な連絡が缺けておるという點がございます。そこで今後の方向といたしましては、保險の方をむしろ基礎にして、毎年災害の起る所はきまつておるようでありますからそこに對してどういうことをなすべきかということも、おのずからわかつておることでありますから、農業土木等をいたしますにつきましては、十分連絡の上、さような災害を防除すると言う點に施行をしていきたい、かように考えておる次第であります。また病蟲害の點でありますとか、その他諸般の點で災害豫防について、農家竝びに農家の團體の活動ないし施設を援助することが、必要であります。これに關する技術員等の整備につきましては、農林省で關係方面とも協議の上抜本的に制度を立てたい。御承知のように補助金政策というのは今の財政上、またいろいろな支障上打切りになりましたので、今後農業政策といたしましては、増産對策として科学技術の振興竝びに農家末端までの普及滲透、この點に重點を置いておるのでありまして、そういう技術員等につきましても、まだ確定はしませんけれども、相當な計畫を練つておるのでありまして、それらの活動ということの重要な部面の一つがまた災害對策にある。わが國の農業といたしましては、いろいろ進んではまいつておりますが、とかく最近は増産で伸びる部分ということは少くなつて、災害を防除するということによつて實質上増産になる部面が非常に多いので、十分力を入れたいと考えておる次第であります。
#12
○野溝委員長 それでは本日はこれにて散會いたします。
   午後三時二十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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